以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。また、細部については図示及び/又は説明を省略することがある。従って、例えば、部材の形状について矩形と表現しても、アンテナ特性等に大きな影響が生じない大きさで、角部が面取りされていたり、矩形の辺に凸部又は凹部が形成されていたりしてもよい。
また、便宜上、アンテナに固定的な直交座標系xyzを図面に付し、これを参照することがある。アンテナは、いずれの方向が上方又は下方とされてもよいが、便宜上、z方向の正側を上方として、上面又は下面等の語を用いることがある。
また、図面においては、導体層の平面パターンの視認性を良くするために、便宜上、導体層の表面に(すなわち、部材の断面ではない面に)ハッチングを付すことがある。導体層等の「層」は「板」を含むものとする。
第2実施形態以降の説明においては、基本的に先に説明された実施形態との相違部分についてのみ述べる。特に言及しない事項については、先に説明された実施形態と同様とされたり、類推されたりしてよい。
互いに類似する構成については、「第1アンテナ導体7A」及び「第2アンテナ導体7B」のように、同一名称に対して互いに異なる番号(「第1」、「第2」)、ならびに互いに異なる大文字のアルファベット等からなる付加符号(「A」、「B」)を付すことがある。また、この場合において、単に「アンテナ導体7」といい、両者を区別しないことがある。
[第1実施形態]
(アンテナモジュールの全体構成)
図1は、第1実施形態に係るアンテナモジュール91を模式的に示す斜視図である。
アンテナモジュール91は、例えば、電波の送信及び受信の少なくとも一方を行うアンテナ1と、電波を反射する反射器51と、これらを保持している保持体93とを有している。
アンテナ1は、例えば、y方向を電界の振動の方向とする直線偏波の電波の送信(放射)及び/又は受信に利用可能である。また、アンテナ1は、例えば、y軸に交差する軸回りに旋回する円偏波の電波の送信及び/又は受信にも利用可能である。なお、以下の説明では、便宜上、送信のみに着目した用語(例えば給電)を用いて説明することがある。アンテナ1が利用される周波数帯は任意である。
反射器51は、アンテナ1に対して−z側に配置されている。反射器51は、例えば、+z側から反射器51に入射する電波を+z側に反射する。これにより、例えば、アンテナ1は、+z側の利得が高くなる。すなわち、所望の方向の利得を向上させることができる。別の観点では、アンテナ1は、反射器51によって指向性が調整される。
アンテナ1と反射器51とは互いに離れて配置されている。両者の間には、気体(例えば空気)が介在している。なお、両者の間は真空とされていてもよいし、誘電体等の他の材料が介在していてもよい。本実施形態では、後述するように、アンテナ1及び反射器51の外表面は、絶縁体によって構成されている。このような場合においては、図示の例とは異なり、アンテナ1及び反射器51は、互いに当接していてもよい。
保持体93は、アンテナ1及び反射器51を保持することによって両者を互いに固定しており、ひいては、両者の位置関係を規定している。保持体93の材料及び形状は任意である。例えば、保持体93の材料は、導体(金属)であってもよいし、絶縁体であってもよい。保持体93は、アンテナ1及び反射器51を収容する容器状であってもよいし(図示の例)、フレーム状であってもよい。
なお、保持体93は設けられなくてもよい。また、アンテナ1及び反射器51は、直接に互いに固定されていてもよい。アンテナ1及び反射器51(そのうちの後述する絶縁性の基板)は、一体的に構成されていてもよい。
アンテナモジュール91の大きさは、アンテナモジュール91が利用される周波数帯等に応じて適宜に設定されてよい。以下の説明では、アンテナモジュール91が比較的高い周波数帯で利用される比較的小さいものである場合を例にとることがある。例えば、アンテナモジュール91は、300MHz以上3000MHz以下の範囲で設定された周波数帯で利用される。また、例えば、アンテナモジュール91の外形の1辺の長さは、100mm以下である。
アンテナモジュール91は、例えば、電子機器に組み込まれる電子部品として構成されてよい。別の観点では、アンテナモジュール91は、それのみで流通可能とされてよい。ただし、アンテナ1及び反射器51が別個に電子機器に組み込まれ、その電子機器の一部がアンテナモジュール91として概念されてもよい。別の観点では、保持体93は、モジュールのパッケージであってもよいし、電子機器の筐体であってもよい。
なお、アンテナモジュール91は、既述の大きさの説明からも理解されるように、電子部品として構成されるものに限定されない。例えば、アンテナモジュール91は、数十cm以上または数m以上の大きさを有し、鉄塔または家屋等の不動産に設けられたり、又は船舶等の移動手段に設けられたりしてよい。
(アンテナの全体構成)
アンテナ1は、例えば、全体として、概略、z軸に直交する平板状に形成されている。その平面形状は適宜に設定されてよい。本実施形態では、アンテナ1の平面形状は、x軸及びy軸に平行な辺を有する矩形である。当該矩形は、例えば、y軸に平行な方向を長手方向とする長方形である。
アンテナモジュール91の大きさと同様に、アンテナ1の大きさは、アンテナ1が利用される周波数帯等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、アンテナ1のy方向又はx方向における最大長さ(図示の例では1辺の長さ)は50mm以上100mm以下である。アンテナ1の厚さは、2mm以上8mm以下である。
図2は、アンテナ1の分解斜視図である。なお、アンテナ1に固定的な直交座標系xyzのz軸の向きから理解されるように、図2は、図1とは上下が逆である。なお、アンテナ1の向き(別の観点では反射器51との位置関係)は、図示の例とは逆であっても構わない。
アンテナ1は、下面1bに露出する端子部1cを有している。アンテナ1は、端子部1cを介して電気信号が入力され、その電気信号を電波に変換して送信する。及び/又はアンテナ1は、受信した電波を電気信号に変換して、その電気信号を端子部1cを介して出力する。
なお、図2では、端子部1cを含む導体層の全体が図示されている。実際には、この導体層のうち、端子部1cを除く部分は、不図示の絶縁層(例えばソルダーレジスト)によって覆われていてよい。
アンテナ1は、複数の誘電体層3(第1誘電体層3A〜第3誘電体層3C)と、複数の誘電体層3に重なる導体層(例えばアンテナ導体7(7A及び7B))と、複数の誘電体層3をその厚さ方向に貫通する貫通導体(例えば後に他の図で示す貫通導体17)とを有している。換言すれば、アンテナ1は、多層基板によって構成されている。また、別の観点では、アンテナ1は、1以上の誘電体層3を含む基板5(符号は図1)と、基板5に重なる、又は埋設されている導体とを有している。
(誘電体層)
複数の誘電体層3の平面形状は、例えば、互いに同一であり、また、上述したアンテナ1の平面形状の説明は、各誘電体層3の平面形状に援用されてよい。複数の誘電体層3の厚さ及び/又は材料は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
各誘電体層3は、単一の材料から構成されていてもよいし、複数の材料から構成されていてもよい。複数の材料から構成される場合、例えば、誘電体層3は、異なる材料からなる誘電体層が厚み方向に積層された部分を含んでいてもよいし、及び/又はガラス布等からなる基材に誘電体を含浸させた部分を含んでいてもよい。
誘電体層3の材料は、基本的には(例えば8割以上は)、誘電体である。誘電体は、例えば、セラミック及び/又は樹脂である。誘電体層3は、例えば、各種の導体の保持に寄与しているとともに、電波の波長の短縮に寄与している。すなわち、アンテナ1の外形寸法は誘電体層3の材料の誘電率に関係する。
(導体層及び貫通導体)
誘電体層3に重なる導体層及び誘電体層3をその厚さ方向に貫通する貫通導体の材料は、例えば、金属である。金属は、Cu、Al又はステンレス鋼など、適宜なものとされてよい。後述する種々の導体層及び貫通導体は、互いに同一の材料から構成されていてもよいし、互いに異なる材料から構成されていてもよい。また、各導体層又は各貫通導体は、単一の材料から構成されていてもよいし、複数の材料から構成されていてもよい。一の導体層が複数の材料から構成される場合、例えば、互いに異なる金属からなる層がz方向に積層されて構成されていてもよい。
導体層と貫通導体との接続部において、材料等の観点から見たときに、導体層の上面又は下面と貫通導体の端面とが接合されていてもよいし、貫通導体が導体層の孔に挿通されて貫通導体の外周面と孔の内面とが接合されていてもよいし、そのような区別が不可能であってもよい。以下では、上記のような接合態様の相違を特に区別しないこととする。
第1誘電体層3A、第2誘電体層3B及び第3誘電体層3Cは、この列挙順で下面1b側から積層されている。第1誘電体層3Aの−z側の面は、アンテナ1の下面1bを構成している。第3誘電体層3Cの+z側の面は、アンテナ1の上面1aを構成している。
図3(a)は、第1誘電体層3Aを−z側から見た平面図である。図3(b)は、第2誘電体層3Bを−z側から見た平面図である。図4は、第3誘電体層3Cを−z側から見た平面図である。
第1誘電体層3Aの−z側の面(図3(a))には端子部1cが構成されている。第2誘電体層3Bの−z側の面(図3(b))には、端子部1cと電気的に接続されるアンテナ導体としての第1アンテナ導体7Aが重なっている。第3誘電体層3Cの−z側の面(図4)には、端子部1cと電気的に接続される第2アンテナ導体7Bが重なっている。
なお、本実施形態では、2つのアンテナ導体7が設けられている態様を例に取っているが、アンテナ導体7の数は、1つのみであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、アンテナ導体7は、基板5の内部(互いに重なり合う誘電体層3の間)ではなく、基板5の表面に位置していてもよい。
第1誘電体層3Aと第2誘電体層3Bとの間に位置している導体層(第1アンテナ導体7A)は、第1誘電体層3Aの+z側の面に重なっていると捉えられてもよいし、第2誘電体層3Bの−z側の面に重なっていると捉えられてもよい。ただし、本実施形態の説明では、便宜上、第2誘電体層3Bの−z側の面に重なっているものとして説明する。他の導体層(例えば第2アンテナ導体7B)についても同様に、便宜上、誘電体層の−z側の面に重なっているものとして説明する。
(アンテナ導体)
アンテナ導体7の平面形状は、2つの概略C字状の形状を、その途切れている側とは反対側同士で連結した形状である。従って、各C字は、その途切れている部分に電圧が印加されることにより、フォールデッドダイポールアンテナ又はループアンテナのように機能し得る。ただし、この説明は、理解を容易にするための便宜上のものである。本実施形態に関する下記の具体的な説明、及び後述する他の実施形態からも理解されるように、本開示に係るアンテナ導体の形状及び作用は、フォールデッドダイポールアンテナ又はループアンテナの概念には縛られない。本実施形態のアンテナ導体7の具体的な形状等は、例えば、以下のとおりである。
第1アンテナ導体7A及び第2アンテナ導体7Bは、例えば、互いに略同一の形状及び大きさを有しており、また、両者は、xy平面において互いに略同一の位置に設けられている。すなわち、両者は、平面透視において互いに過不足なく重なっている。
アンテナ導体7の平面形状は、例えば、y軸に平行な第1対称軸CL1に対して線対称、かつx軸に平行な第2対称軸CL2に対して線対称の形状とされている。なお、第1対称軸CL1及び第2対称軸CL2は、別の観点では、アンテナ導体7の中心線である。中心線は、例えば、アンテナ導体7の互いに対向する1対の縁部からの距離が等しい点の集合からなる線である。
また、アンテナ導体7の平面形状は、例えば、矩形に1対の切欠き部9が形成された形状とされている。
アンテナ導体7の上記矩形は、より具体的には、例えば、x軸及びy軸に平行な辺を有する矩形であり、さらに詳しくはy方向を長手方向とする長方形である。また、この矩形は、例えば、誘電体層3の概ね全体に広がっている。別の観点では、アンテナ導体7の外縁(切欠き部9を除く)は、例えば、誘電体層3の外縁から概ね一定距離で内側へシフトした形状を有している。前記一定距離は、例えば、0.5mm以上2mm以下、又は誘電体層3の最大長さの0.5%以上2%以下である。
切欠き部9は、アンテナ導体7をその厚さ方向に貫通している。また、切欠き部9は、平面視においてアンテナ導体7の外縁に凹部を構成している。換言すれば、切欠き部9は、アンテナ導体7の外縁に到達している開口又は貫通溝である。1対の切欠き部9は、第1対称軸CL1に対して両側に位置しており、第1対称軸CL1に対して互いに線対称の形状及び位置とされている。また、各切欠き部9は、第2対称軸CL2上に位置しており、第2対称軸CL2に対して線対称の形状とされている。
各切欠き部9は、第1部位11と、第1部位11からアンテナ導体7の外縁へ到達している第2部位13とを有している。
第1部位11の形状、大きさ及び位置は、アンテナ1に要求される仕様(アンテナ1が利用される周波数帯)等に応じて適宜に設定されてよい。
例えば、本実施形態では、第1部位11の形状は、x軸及びy軸に平行な辺を有する矩形とされている。当該矩形は、より具体的には、例えば、y方向を長手方向とする長方形とされている。長方形の縦横比は適宜に設定されてよい。図示の例では、第1部位11は、溝又はスリットという語から想起される一般的な寸法に比較して、幅(x方向、短辺の長さ)に対して長さ(y方向、長辺の長さ)がさほど長くない形状とされている。例えば、第1部位11の長さは、第1部位11の幅の3倍以下である。
また、例えば、第1部位11のy軸に平行な不図示の中心線は、第1対称軸CL1と、アンテナ導体7のy軸に平行な辺(長辺)との中間位置よりも内側(第1対称軸CL1側)に位置していてもよいし(図示の例)、前記中間位置上に位置していてもよいし、前記中間位置よりも外側(第1対称軸CL1とは反対側)に位置していてもよい。
また、例えば、1対の第1部位11同士の距離(別の観点では後述する幅狭部7bの幅)は、第1部位11のx方向の長さ(幅狭部7bの長さ)に対して、長くてもよいし(図示の例)、同等でもよいし、短くてもよい。
第2部位13の形状、大きさ及び位置も、第1部位11と同様に、アンテナ1に要求される仕様等に応じて適宜に設定されてよい。
例えば、本実施形態では、第2部位13の形状は、x軸及びy軸に平行な辺を有する矩形とされている。当該矩形は、より具体的には、例えば、x方向を長手方向とする長方形とされている。長方形の縦横比は適宜に設定されてよい。
第2部位13のy方向の長さ(径)は、第1部位11のy方向の長さ(径)よりも短くされている。その差の絶対値又は割合は適宜に設定されてよい。本実施形態では、両者の差は比較的小さい。例えば、第2部位13のy方向の長さは、第1部位11のy方向の長さの1/2以上となっている。
また、例えば、第2部位13のy方向の長さは、アンテナ導体7のうち、第2部位13のy方向両側に位置する部分同士(後述するように互いに異なる電位が付与される部分同士)が短絡しない限り、短くされて構わない。ただし、本実施形態では、第2部位13のy方向の長さは、比較的長くされている。例えば、当該長さは、5mm以上、アンテナ導体7のy方向の長さの1/10以上、又はアンテナ導体7と誘電体層3の外縁との距離の5倍以上とされている。
また、例えば、第2部位13のx方向の長さは、第1部位11のx方向の長さよりも長くてもよいし(図示の例)、同等でもよいし、短くてもよい。
アンテナ導体7の大きさと切欠き部9の大きさとの相対関係も、アンテナ1に要求される仕様等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、切欠き部9が無いと仮定した場合のアンテナ導体7の面積をSa0とし、1対の切欠き部9の面積をScとする。なお、実際のアンテナ導体7の面積Sa0−Scは、Sa1とする。このとき、例えば、Sc/Sa0は、0より大きく、0.5以下である(Sc/Sa1は、0より大きく、1以下である。)。より具体的には、例えば、Sc/Sa0は、0.05以上0.3以下、又はSc/Sa1は、0.05以上0.5以下である。
上記では、アンテナ導体7の形状について、矩形に切欠き部9が形成されていると捉えて説明した。ここで、アンテナ導体7は、y方向に互いに離れている1対の幅広部7aと、1対の幅広部7aの間に位置して両者を接続している幅狭部7bとを有していると捉えられてもよい。幅狭部7bは、x方向の長さ(幅)が幅広部7aのx方向の長さ(幅)よりも狭く、1対の幅広部7aに対してx方向の中央側に位置している。
幅広部7aは、例えば、概略矩形である。また、幅広部7aは、第1部位11のy方向の長さが第2部位13のy方向の長さよりも長いことに伴って、x方向外側に他方の幅広部7aに向かって突出する部分を有している。なお、当該突出する部分を除いた矩形部分が幅広部7aとして捉えられてもよい。幅広部7aが、上記の突出する部分を含んで定義される場合において、又は含まずに定義される場合において、幅広部7aのx方向の最大長さ及びy方向の最大長さは、いずれが他方よりも長くてもよいし、同等であってもよい。1対の幅広部7a同士の距離(第1部位11のy方向の長さ又は第2部位13のy方向の長さ)は、幅広部7aのy方向の長さよりも短くてもよいし(図示の例)、同等でもよいし、長くてもよい。
幅狭部7bは、例えば、矩形である。別の観点では、幅狭部7bは、一定の幅でy方向に沿って(例えば平行に)延びている。ただし、幅狭部7bは、幅が一定でなくてもよい。幅狭部7bの幅(x方向の長さ)と、幅広部7aの幅(x方向の長さ)との比又は差は適宜に設定されてよい。例えば、幅狭部7bの幅は、幅広部7aの幅の1/2以下又は1/5以下とされてよい。1対の第1部位11同士の距離の説明で述べたように、幅狭部7bのx方向の長さは、幅狭部7bのy方向の長さに対して、短くてもよいし(図示の例)、同等でもよいし、長くてもよい。
アンテナ導体7の概略寸法は、例えば、上記のようにアンテナ導体7の半分をフォールデッドダイポールアンテナ又はループアンテナと捉え、アンテナ1が利用される周波数帯の波長に基づいて見積もられてよい。例えば、図3(b)に示すように、第2部位13のy方向両側の縁部の一方から他方への経路Rt1を考える。経路Rt1は、例えば、切欠き部9の縁部も含めたアンテナ導体7の縁部に関して、互いに対向する縁部の中央を通過するように設定する。この経路Rt1のうち第1対称軸CL1上の長さLt1が、アンテナ1が利用される周波数帯の実効波長の半分になるように、又は経路Rt1の全体の長さが前記実効波長になるように、概略寸法が見積もられてよい。
一例を挙げると、例えば、アンテナ1が利用される周波数帯の代表値fが1200MHzであり、誘電体層3の比誘電率εrが4.8であり、自由空間における光速cが3×108(m/s)であるものとする。この場合、実効波長λgは以下の値となる。
λg=c/(f×√εr)
=約0.114(m)
従って、長さLt1について、概略寸法を57mm(=0.114m/2)と見積もることができる。また、図示の例では、長さLt1は、例えば、アンテナ導体7の長辺の長さの6割〜7割であるから、アンテナ導体7の長辺は、概略、81mm〜95mmと見積もることができる。
ただし、上記はあくまで概略寸法の求め方である。より詳細な寸法は、例えば、種々の寸法について、利得等を算出するシミュレーション計算を行い、設定されてよい。このときに、例えば、上記の概略寸法に基づいて、シミュレーション計算が行われる寸法の範囲が設定されてよい。シミュレーション計算の結果、上記のような考え方で見積もった概略寸法から実際の寸法が乖離しても(例えば、見積もった概略寸法の1割以上の差で離れても)構わない。
以上のような形状のアンテナ導体7では、例えば、電波の送信及び/又は受信に関して、アンテナ導体7内をy方向へ流れる電流を利用することができる。この電流は、広帯域化に適している。そして、第2部位13よりもy方向の長さが大きい第1部位11が設けられていることにより、例えば、アンテナ導体7をx方向に流れる電流を低減することができる。このx方向の電流は、上記の広帯域化に適したy方向の電流を阻害するから、x方向の電流を低減することによって、広帯域化がさらに容易化される。第1対称軸CL1の両側に位置するアンテナ導体を2つ結合させて一つのアンテナ導体7としていることから、例えば、2つのアンテナ導体をそれぞれ作製して並列配置する場合に比較して小型化することができる。また、アンテナ導体7が誘電体層3に重なっていることから、実効波長を短くすることができ、ひいては、アンテナ1を小型化することができる。
(アンテナ導体への電気的経路)
図3(a)に示すように、端子部1cからアンテナ導体7への電気的経路は、例えば、第1誘電体層3Aの−z側の面に重なっている1対の線路15(第1線路15A及び第2線路15B)と、第1誘電体層3Aをその厚さ方向に貫通している貫通導体17(第1貫通導体17A〜第8貫通導体17H)とを含んでいる。線路15は、端子部1cに電気的に接続されており、貫通導体17は線路15と第1アンテナ導体7Aとを接続している。これにより、端子部1cと第1アンテナ導体7Aとが電気的に接続されている。
また、図3(b)に示すように、上記電気的経路は、第2誘電体層3Bをその厚さ方向に貫通する貫通導体19(第1貫通導体19A〜第8貫通導体19H)を有している。貫通導体19は、貫通導体17と第2アンテナ導体7Bとを接続している。これにより、端子部1cと第2アンテナ導体7Bとは、線路15、貫通導体17及び貫通導体19を介して電気的に接続されている。
なお、図4に示すように、第3誘電体層3Cの厚みの全部又は当該厚みの第2誘電体層3B側の一部を貫通する貫通導体21(第1貫通導体21A〜第8貫通導体21H)が設けられていてもよい。この貫通導体21は、例えば、貫通導体19と第2アンテナ導体7Bとの電気的接続の信頼性を向上させることに寄与している。もちろん、当該貫通導体21は省略されてもよい。
1対の線路15は、例えば、平面透視したときに、アンテナ導体7の形状の基準である第2対称軸CL2を対称軸として互いに線対称の形状及び位置で設けられている。また、各線路15は、例えば、平面透視したときに、アンテナ導体7の形状の基準である第1対称軸CL1を対称軸として互いに線対称の形状及び位置で設けられている。
線路15は、例えば、概略、一定の幅でx方向に直線状に延びる長尺状に形成されている。ただし、線路15は、長さ方向の一部で幅が異なっていたり、一部又は全部がx方向に対して傾斜していたり、一部又は全部が曲線状となっていてもよい。線路15の幅等の寸法は、アンテナ1に要求される仕様等に応じて適宜に設定されてよい。一例として、線路15の幅は、0.5mm以上2mm以下である。
第1線路15Aは、第1貫通導体17A〜第4貫通導体17Dを介して第1アンテナ導体7Aに接続されている。第1貫通導体17A〜第4貫通導体17Dは、図3(b)において第1貫通導体19A〜第4貫通導体19Dが示されている位置にて、第1アンテナ導体7Aに接続されている。すなわち、第1貫通導体19A〜第4貫通導体19D又はこれらによって示されている位置は、第1アンテナ導体7Aの給電点と捉えられてよい。
同様に、第2線路15Bは、第5貫通導体17E〜第8貫通導体17Hを介して第1アンテナ導体7Aに接続されている。第5貫通導体17E〜第8貫通導体17Hは、図3(b)において第5貫通導体19E〜第8貫通導体19Hが示されている位置にて、第1アンテナ導体7Aに接続されている。すなわち、第5貫通導体19E〜第8貫通導体19H又はこれらによって示されている位置は、第1アンテナ導体7Aの給電点と捉えられてよい。
以下では、給電点の語に19(19A〜19H)又は21の符号を付すことがある。複数の貫通導体17(給電点19)は、例えば、第1対称軸CL1に対して線対称に、かつ第2対称軸CL2に対して線対称に配置されている。
第1線路15Aに接続されている第1貫通導体17A〜第4貫通導体17Dは、第2部位13の+y側に配置されている。第2線路15Bに接続されている第5貫通導体17E〜第8貫通導体17Hは、第2部位13の−y側に配置されている。すなわち、互いに電位が異なる給電点は、1対の第2部位13に対してy方向の両側に配置されている。言い換えると、第2対称軸CL2をまたいだ両側に配置されている。これにより、各第2部位13のy方向の両側に(第2対称軸CL2をまたいだ両側に)互いに異なる電位を付与することが可能になっている。
より具体的には、例えば、複数の貫通導体17は、第2部位13の縁部に隣接した位置に配置されている。縁部に隣接した位置は、例えば、縁部からの距離が貫通導体17の直径又は最大径以下の位置である。なお、以下において、他の貫通導体及びアンテナ導体について、隣接する位置という場合の例も、上記と同様とされてよい。
また、1対の第2部位13のy方向両側(第1対称軸CL1をまたぐ両側)の合計で4つの縁部それぞれに対しては、同一の電位が付与される2つの貫通導体17が設けられている。第2部位13の各縁部において、2つの貫通導体17は、例えば、当該縁部の両端(当該縁部に交差する縁部に隣接する位置)に配置されている。これにより、縁部全体に均等に電位を付与しやすくなっている。ただし、給電点19の数は、各縁部に1つのみでも構わないし、3つ以上でも構わない。
上述のように、平面透視において、複数の貫通導体17の位置と、複数の貫通導体19及び21の位置とは一致する。また、既述のように、平面透視において、第1アンテナ導体7Aの外縁と第2アンテナ導体7Bの外縁とは略一致する。従って、第2アンテナ導体7Bの給電点の位置(別の観点では第2アンテナ導体7Bに対する貫通導体19又は21の位置)は、第1アンテナ導体7Aの給電点の位置と略同様である。
貫通導体17、19及び21の寸法(例えば直径又は最大径)は、アンテナ1に要求される仕様等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、これらの貫通導体の直径又は最大径は、線路15の幅よりも小さい。また、寸法の一例を挙げると、直径又は最大径は、0.5mm以上2mm以下である。
(平衡不平衡変換回路)
図5は、図3(a)の領域Vの拡大図である。
アンテナ1を外部の機器と接続するための端子部1cは、例えば、1対の端子23(第1端子23A及び第2端子23B)を有している。1対の端子23は、例えば、交流電源31によって模式的に示されているように、一方(図示の例では第1端子23A)が基準電位用とされ、他方が不平衡信号の入力及び/又は出力用とされている。不平衡信号は、情報の内容に応じて基準電位に対する電位が変化する信号である。
この1対の端子23は、平衡不平衡変換回路25(以下、単に「変換回路25」ということがある。)を介して1対の線路15と電気的に接続されている。1対の端子23は、変換回路25の不平衡側のポート27(第1ポート27A及び第2ポート27B)に接続されている。1対の線路15は、変換回路25の平衡側のポート29(第1ポート29A及び第2ポート29B)に接続されている。
これにより、例えば、1対の線路15には互いに逆相で電位の絶対値が互いに等しい信号(すなわち平衡信号)が入力され、アンテナ導体7は、ダイポールアンテナのように機能し得る。なお、ポート27及び29は、点線でその範囲が示されていることから理解されるように、明瞭にポートとして区別できる部位が存在しなくてもよく、端子23及び/又は線路15の一部がポートの一部又は全部として兼用されていてもよい。また、上記では、変換回路25が平衡側のポートを2つ有しているものとして概念したが、変換回路25が平衡側に4つのポート29a、29b、29c及び29dを有していると概念されてもよい。
変換回路25の構成は、適宜なものとされてよい。図示の例の構成は、以下のとおりである。
変換回路25は、点線で示すように、インダクタ35(第1インダクタ35A及び第2インダクタ35B)及びキャパシタ37(第1キャパシタ37A及び第2キャパシタ37B)を有している。第1インダクタ35A及び第2インダクタ35Bは、基本的に、互いに同一の構成(例えばインダクタンスが同一)である。同様に、第1キャパシタ37A及び第2キャパシタ37Bは、基本的に、互いに同一の構成(例えばキャパシタンスが同一)である。
第1端子23Aは、第1インダクタ35Aを介して第1線路15Aと電気的に接続されているとともに、第1キャパシタ37Aを介して第2線路15Bと電気的に接続されている。一方、第2端子23Bは、第2インダクタ35Bを介して第2線路15Bと電気的に接続されているとともに、第2キャパシタ37Bを介して第1線路15Aと電気的に接続されている。すなわち、第1端子23Aと第2端子23Bとでは、第1線路15Aとの間に介在する素子及び第2線路15Bとの間に介在する素子が互いに逆の素子になっている。
このような構成により、例えば、変換回路25に入力された不平衡信号は、平衡信号に変換されて1対の線路15に入力される。
インダクタ35及びキャパシタ37等の構成は適宜なものとされてよい。図5では、チップ型のインダクタ35及びキャパシタ37が第1誘電体層3Aの−z側の面に重なる導体層(例えば第1配線部33A〜第4配線部33D)に表面実装されている場合を例示している。具体的には、端子23から線路15へは、4本の配線部33が延びている。そして、インダクタ35及びキャパシタ37は、配線部33の先端のパッド(符号省略)と線路15から突出しているパッド(符号省略)とに不図示の半田等を介して実装されている。なお、配線部33及びパッドは、変換回路25の一部と捉えられてよい。また、図示の例とは異なり、インダクタ35及び/又はキャパシタ37は、その一部又は全部が基板5の表面又は内部の導体によって構成されていてもよい。
2つのインダクタ35及び2つのキャパシタ37の1対の線路15に対する合計4つの接続位置は、例えば、第1対称軸CL1に対して線対称、かつ第2対称軸CL2(ここでは不図示)に対して線対称とされる。別の観点では、これらの接続位置は、180°回転対称とされる。これにより、例えば、1対の線路15同士で電気信号を高精度に逆相かつ同等の大きさとすることができ、また、各線路15において、第1対称軸CL1の両側同士で電気信号の位相及び大きさを高精度に合わせることができる。
なお、以上に説明した端子部1cからアンテナ導体7までの電気的経路は一例に過ぎず、適宜に変形されてよい。例えば、第1アンテナ導体7Aの−z側に2層以上の誘電体層3及び導体層が設けられ、当該導体層によって電気的経路が構成されてよい。また、例えば、端子部1cと第1アンテナ導体7Aとの間の層に端子部1cに重なる基準電位層が設けられてもよい。また、例えば、端子部1cと変換回路25との間に適宜な電子素子が設けられてもよい。電子素子としては、例えば、分波器、フィルタ、増幅器(例えばローノイズアンプ)、IC(Integrated Circuit)、抵抗体、キャパシタ及び/又はインダクタが挙げられる。
(アンテナの特性)
図6(a)及び図6(b)は、反射器51が設けられていない場合のアンテナ1の特性の概要を示す図である。図6(a)は、アンテナ1をy方向に見たときの右旋円偏波の利得の概要を示している。図6(b)は、アンテナ1をx方向に見たときの右旋円偏波の利得の概要を示している。これらの図のx軸、y軸及びz軸は、図1等に付したx軸、y軸及びz軸に対応している。また、これらの図においては、中心から離れるほど利得(例えばdBi)が高いことが示されている。線Lg1及びLg2は、アンテナ1の利得と、x方向、y方向及びz方向の位置との関係を示している。
図6(a)に示されているように、アンテナ1は、y方向に見て、概略、全方向へ同等の利得を有している。また、図6(b)に示されているように、アンテナ1は、x方向に見て、y方向の利得が低くなっており、概略、8の字で表される指向性を有している。特に図示しないが、z方向に見た場合も、図6(b)と同様に、y方向の利得が相対的に低くなっており、概略、8の字の指向性が示される。このように、アンテナ1は、半波長ダイポールアンテナに類似した指向性を有している。
(アンテナ1の製造方法)
アンテナ1の製造方法は、例えば、具体的な形状等を除いては、多層基板の製造方法と同様とされてよい。また、多層基板の製造方法も種々存在するが、そのいずれが利用されてもよい。例えば、アンテナ1は、いわゆるビルドアップ法によって作製されてよい。ビルドアップ法では、一の誘電体層3を形成するとともに当該一の誘電体層3に対して必要に応じて導体層(例えばアンテナ導体7)及び/又は貫通導体(例えば貫通導体17)を形成する工程を繰り返すことによって、複数の誘電体層3が順に積層されて固定される。また、例えば、アンテナ1は、誘電体層3となるセラミックグリーンシートに貫通導体及び導体層となる導電ペーストを配置したものを積層して焼成する一括積層法によって作製されてよい。
(反射器)
図7は、反射器51の構成を示す分解斜視図である。
図2と図7との比較から理解されるように、反射器51は、例えば、アンテナ1と類似した構成とされている。具体的には、アンテナ1から、アンテナ導体7に接続される電気的経路に係る構成(端子部1c、線路15、並びに貫通導体17、19及び21等)を無くした構成である。すなわち、反射器51は、1以上の誘電体層53(第1誘電体層53A〜第3誘電体層53C)を含む基板55と、基板55に重なる、又は埋設されている導体とを有している。導体は、例えば、1以上の反射層57(第1反射層57A及び第2反射層57B)を含んでいる。各反射層57は、1対の幅広部57aと、これらの間に位置する幅狭部57bとを有している。
既述のアンテナ1の説明は、電気的経路に係る構成についての説明を除き、反射器51の説明に援用されてよい。この際、誘電体層3は誘電体層53に、基板5は基板55に、アンテナ導体7は反射層57に読み替えられてよい。さらに、切欠き部9は切欠き部59に、第1部位11は第1部位61に、第2部位13は第2部位63に、幅広部7aは幅広部57aに、幅狭部7bは幅狭部57bに読み替えられてよい。第1対称軸CL1は第1対称軸CL51に、第2対称軸CL2は第2対称軸CL52に読み替えられてよい。
反射器51の各部の具体的な材料、形状及び寸法は、アンテナ1の各部の具体的な材料、形状及び寸法と同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、z方向に平面透視したとき、アンテナ導体7と反射層57とは、過不足なく重なってもよいし(互いに同一の形状及び寸法であってもよいし)、そのように重ならなくてもよい。後者の場合としては、例えば、一方の導体の全部が他方の導体の一部に重なる態様、及び一方の導体の一部が他方の導体から食み出すとともに他方の導体の一部が一方の導体から食み出す態様が挙げられる。
ただし、例えば、幅広部7aと幅広部57aとは少なくとも一部同士が重なり(対向し)、幅狭部7bと幅狭部57bとは少なくとも一部同士が重なり、切欠き部9と切欠き部59とは少なくとも一部同士が重なる。アンテナ導体7と反射層57とが互いに重なる面積は、例えば、アンテナ導体7の面積の8割以上、9割以上又は全部とされてよく、また、反射層57の面積の6割以上、8割以上、9割以上又は全部とされてよく、前者の下限と後者の下限とは適宜に組み合わされてよい。なお、後述する第4実施形態(図11)に本段落の説明を援用するときは、後述する開口部439の存在は無視されてよい。
また、例えば、反射層57の切欠き部59は、アンテナ導体7の切欠き部9とは異なり、y方向の長さが互いに異なる第1部位61及び第2部位63を有していなくてもよい。換言すれば、反射層57の幅広部57aは、他方の幅広部57a側へ突出する部分を有していなくてもよい。
また、例えば、反射層57の厚さは、アンテナ導体7の厚さに比較して厚くされてもよい。例えば、アンテナ導体7の厚さが20μm未満であるのに対して、反射層57の厚さは、0.1mm以上1mm以下とされてよい。ただし、本願発明者は、シミュレーション計算により、本実施形態に係る反射層57は、一般的な反射層よりも薄くしても反射層としての機能を維持できることを確認している。例えば、一般的な反射層であれば1mm程度の厚さが必要な場合において、反射層57は0.2mm程度の厚さとすることも可能である。
反射層57は、例えば、電気的に浮遊状態とされている。すなわち、反射層57は、地板とは異なり、基準電位は付与されていない。2以上の反射層57が設けられている場合において、これらは互いに電気的に接続されていなくてもよいし(図示の例)、互いに接続されていてもよい。本実施形態では、地板は設けられていない。ただし、基準電位が付与される、又は電気的に浮遊状態の導体板が、反射器51に対してアンテナ1とは反対側に存在しても構わない。そのような導体は、保持体93の一部であってもよいし、保持体93内に配置される他の部材であってもよい。
反射器51の作製方法は、アンテナ1の作製方法と同様とされてよい。ただし、上記に述べた構成の相違に応じてアンテナ1の作製方法と異なる点があってもよい。例えば、反射層57の厚さは、比較的厚いから、多層基板において導体層を形成する方法とは異なる方法によって作製されてもよい。例えば、誘電体層53となる材料に金属板が重ねられて反射層57が作製されてもよい。
(アンテナと反射器との距離)
アンテナ1と反射器51との距離は適宜に設定されてよい。例えば、アンテナモジュール91が対象としている周波数帯の中心周波数の波長をλとしたときに、アンテナ導体7と反射層57との距離は、0.3λ以下又は0.2λ以下とされてよい。また、別の観点では、当該距離は、20mm以上30mm以下とされてよい。
なお、アンテナモジュール91が対象としている周波数帯は、例えば、仕様書に基づいて特定されてもよいし、製品の特性を測定することによって特定されてもよい。後者の場合においては、アンテナモジュール91が利用される技術分野において一般的に要求される利得が得られる周波数帯が対象の周波数帯として特定されてよい。また、λは、真空中の波長とされてもよいし、実効波長であってもよい。
アンテナ導体7が2以上設けられている場合、及び/又は反射層57が2以上設けられている場合においては、アンテナ導体7と反射層57との距離は、代表値が設定又は測定されてよい。代表値としては、例えば、互いに最も近いアンテナ導体7と反射層57との距離、及び1以上のアンテナ導体7の重心と1以上の反射層57の重心との距離が挙げられる。
以上のとおり、本実施形態では、アンテナモジュール91は、アンテナ1と、反射層57とを有している。アンテナ1は、y方向に電界が振動する電波の送信及び受信の少なくとも一方に利用可能である。反射層57は、z方向の一方側(−z側)からアンテナ1に面している層状の導体によって構成されている。また、反射層57は、1対の反射幅広部(幅広部57a)と、反射幅狭部(幅狭部57b)と、を有している。1対の幅広部57aは、y方向に互いに離れている。幅狭部57bは、x方向の幅が1対の幅広部57aよりも狭く、1対の幅広部57aの間に、かつ1対の幅広部57aに対してx方向の中央側に位置して、1対の幅広部57a同士を接続している。
従って、例えば、既述のように、−z側へ向かう電波を反射器51によって+z側へ反射することによって、アンテナ1の+z側の利得を向上させることができる。また、例えば、周波数選択反射板としての反射層57の小型化及び広帯域化が容易である。その理由としては、例えば、以下のものが挙げられる。反射層57を小型化すると、周波数が低い(波長が長い)電波を反射することが困難になる。しかし、切欠き部59を設けると、図7において点線で示すように、8の字のような電流の経路Rt2が構成される。その結果、切欠き部59を無視したときの反射層57の大きさに比較して、周波数が高い電波を反射することが可能になる。ひいては、小型化及び広帯域化が容易化される。
また、本実施形態では、反射層57は、y方向に平行な第1対称軸CL51に対して線対称の形状であり、かつx方向に平行な第2対称軸CL52に対して線対称な形状である。
この場合、例えば、y方向に見て又はx方向に見て、z方向に平行な対称軸(不図示)に対して対称的な大きさで利得を得ることができる。すなわち、意図していない傾き(チルト)が低減される。
本実施形態では、アンテナ1は、z方向に面している層状の導体によって構成されているアンテナ導体7を含んでいる。アンテナ導体7は、1対のアンテナ幅広部(幅広部7a)と、アンテナ幅狭部(幅狭部7b)とを有している。1対の幅広部7aは、y方向に互いに離れている。幅狭部7bは、x方向の幅が幅広部7aよりも狭く、1対の幅広部7aの間に、かつ1対の幅広部7aに対してx方向の中央側に位置して、1対の幅広部7a同士を接続している。1対の幅広部57a(少なくとも一部)は、1対の幅広部7a(少なくとも一部)に対向している。幅狭部57b(少なくとも一部)は、幅狭部7b(少なくとも一部)に対向している。
この場合、例えば、小型化及び広帯域化が容易なアンテナ1と、小型化及び広帯域化が容易な反射器51との組み合わせによって、小型化及び広帯域化が容易なアンテナモジュール91が得られる。また、平面透視において反射器51の大きさをアンテナ1の大きさと同等とすることが容易化される。ひいては、アンテナモジュール91の小型化が容易化される。
また、本実施形態では、アンテナ1は、z方向に面している層状の導体によって構成されているアンテナ導体7を含んでいる。アンテナ1が対象としている周波数帯の中心周波数を有している電波の真空中の波長をλとしたときに、アンテナ導体7と反射層57との距離が0.2λ以下である。
この場合、例えば、アンテナモジュール91を低背化することが容易化される。また、例えば、アンテナ1によって直接的に送信及び/又は受信される電波の位相と、反射層57によって反射されて送信及び/又は受信される電波の位相とのずれが低減される。
また、本実施形態では、アンテナモジュール91は、反射層57が重なっている誘電体層53を含んでいる基板55を更に有している。
この場合、例えば、反射層57の周囲において実効波長を短くすることができ、ひいては、小型の反射層57で周波数が低い(波長が長い)電波を反射することが容易化される。また、例えば、反射器51を多層基板の作製方法と同様の作製方法によって作製することができる。
また、本実施形態では、反射層57が両面側から2つの誘電体層53に挟まれて基板55の内部に位置している。
この場合、例えば、上記の実効波長を短くする作用が大きくなる。また、反射層57が周囲の電子部品と短絡する蓋然性が低減される。
また、本実施形態では、アンテナモジュール91は、アンテナ1に対してz方向の一方側(−z側)に位置しており、z方向に互いに距離を置いて積層的に配置されている複数の反射層57を有している。
この場合、例えば、1層の反射層57を透過した電波を他の反射層57によって反射することができるから、反射器51の反射特性が高くなる。ひいては、アンテナ1に対して反射器51とは反対側の利得を大きくすることができる。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係るアンテナモジュール291を説明するための図であり、第1実施形態の図4に相当している。
アンテナモジュール291は、基本的に、アンテナ(誘電体層及びアンテナ導体)並びに反射器(誘電体層及び反射層)の平面形状のみが第1実施形態と相違している。図8では、アンテナ201のうちの1層の誘電体層203及び1層のアンテナ導体207のみを図示している。アンテナ201が複数の誘電体層203及び複数のアンテナ導体207を有している場合、他の誘電体層203及び他のアンテナ導体207の平面形状も図示のものと同様である。また、第1実施形態で述べたように、反射器の構成は、アンテナから電気的接続のための構成を無くした構成とされてよい。従って、ここでは不図示の反射器の誘電体層(別の観点では基板)及び反射層の平面形状は、アンテナ201の誘電体層203(別の観点では基板205)及びアンテナ導体207の平面形状と同様又は類似とされてよい。
本実施形態の誘電体層203及びアンテナ導体207の平面形状は、概して言えば、第1実施形態における概略矩形状の誘電体層3及びアンテナ導体7において、4隅を切り落とした形状である。より具体的には、例えば、誘電体層203及びアンテナ導体207は、全体として六角形とされており、y方向の両側に、y方向の中央側を底辺側とする2等辺三角形を有している。別の観点では、誘電体層203及びアンテナ導体207は、x方向において第1対称軸CL1(幅狭部207b)から離れるほどy方向の長さが短くなる形状である。そして、誘電体層203及びアンテナ導体207は、例えば、第1対称軸CL1上の長さが他のいずれの方向及び位置における長さよりも長い。また、幅広部207aは、概略、三角形状となっている。幅狭部207bの形状は、第1実施形態の幅狭部7bと同様に、矩形状である。そして、1対の幅広部207a及び幅狭部207bは、両側を指し示す矢印のような形状を構成している。
アンテナ201が第1実施形態のアンテナ1と同一の周波数帯で用いられるものである場合において、誘電体層203及びアンテナ導体207の第1対称軸CL1上における長さは、例えば、アンテナ1の誘電体層3及びアンテナ導体7の第1対称軸CL1上における長さと、概略、同等である。従って、誘電体層203及びアンテナ導体207の面積は、誘電体層3及びアンテナ導体7の面積に比較して、概略、4隅が切り落とされた分だけ小さくなっている。
誘電体層203及びアンテナ導体207において、y方向両側の三角形の辺の傾斜角等は適宜に設定されてよい。例えば、頂角(2等辺三角形の2つの等辺がなす角)は、直角であってもよいし(図示の例)、鋭角であってもよいし、鈍角であってもよく、例えば、45°以上135°以下、60°以上120°以下、又は85°以上95°以下である。アンテナ導体207の1対の切欠き部9の構成は、第1実施形態の切欠き部9の構成と同様である。ただし、具体的な寸法については、アンテナ導体207の形状をアンテナ導体7の4隅を切り落とした形状としたことに伴い、アンテナ導体7とは異なる寸法が最適値として選択されてよい。
以上の第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、アンテナモジュール291の広帯域化及び小型化が図られる。
また、本実施形態では、1対の幅広部207aは、幅狭部207bからx方向に離れるほどy方向の長さが短くなる形状を有している。別の観点では、アンテナ導体207は、平面視において、第1対称軸CL1から離れるほど第1対称軸CL1に平行な方向(y方向)の長さが短くなる形状を有している。
ここで、本願発明者が行った実験及びシミュレーション計算によれば、第1対称軸CL1上の長さは、他の寸法に比較して、アンテナ201の特性(例えば共振周波数)に及ぼす影響が大きい。従って、上記のように第1対称軸CL1から離れるほどy方向の長さが短くなる形状にすると、例えば、アンテナ201の特性を維持したまま、アンテナ導体207の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、アンテナ導体207だけでなく、基板205(誘電体層203)も、平面視において、第1対称軸CL1から離れるほど第1対称軸CL1に平行な方向(y方向)の長さが短くなる形状を有している。別の観点では、基板205は、上記のように第1対称軸CL1から離れるほど第1対称軸CL1に平行な方向(y方向)の長さが短くなる形状を有しているアンテナ導体207のy方向両側の縁部に沿って(例えば平行に)延びる縁部を有している。
従って、例えば、アンテナ201を小型化することができる。また、例えば、基板205を母基板から多数個取りすることによってアンテナ201を作製する場合においては、一の母基板から切り出せるアンテナ201の数が増加する。すなわち、生産性が向上する。
なお、図示の例とは異なり、比較的広い回路基板の一部の領域にアンテナ導体207が設けられて、当該回路基板の一部にアンテナ201が作り込まれてもよい。この場合においては、アンテナ導体207の小型化によって、アンテナ201が回路基板に占める面積が縮小される。
アンテナ201の効果について述べたが、同様又は類似の平面形状を有する不図示の反射器についても同様の効果が奏される。例えば、反射層の幅広部が反射層の幅狭部からx方向に離れるほどy方向の長さが短くなる形状を有していることから、反射層の特性を維持したまま、反射層の小型化を図ることができる。
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態に係るアンテナモジュール391を説明するための図であり、第1実施形態の図4に相当している。
アンテナモジュール391は、基本的に、アンテナ(誘電体層及びアンテナ導体)並びに反射器(誘電体層及び反射層)の平面形状のみが第1実施形態と相違している。図9では、アンテナ301のうちの1層の誘電体層303及び1層のアンテナ導体307のみを図示している。アンテナ301が複数の誘電体層303及び複数のアンテナ導体307を有している場合、他の誘電体層303及び他のアンテナ導体307の平面形状も図示のものと同様である。また、第1実施形態で述べたように、反射器の構成は、アンテナから電気的接続のための構成を無くした構成とされてよい。従って、ここでは不図示の反射器の誘電体層(別の観点では基板)及び反射層の平面形状は、アンテナ301の誘電体層303(別の観点では基板305)及びアンテナ導体307の平面形状と同様又は類似とされてよい。
(アンテナ導体の平面形状)
本実施形態のアンテナ導体307の平面形状は、概して言えば、第2実施形態におけるアンテナ導体207をx方向において短くした形状である。具体的には、例えば、1対の第1部位311同士の距離(幅狭部307bの幅)が他の実施形態に比較して短くされており、かつアンテナ導体307(幅広部307a)のx方向の両側部分が切り落とされている。別の観点では、第2部位313のx方向の長さが短くされている。さらに別の観点では、アンテナ導体307の外形(切欠き部309を除く)は、第1対称軸CL1と平行な一対の辺を備え、その辺の長さは、その辺が対向する間隔、すなわち第1対称軸CL1と直交する方向における間隔に比べ長くなっている。具体的には2倍以上としてもよい。また、アンテナ導体307においては、第2部位313のy方向の長さ(径)も他の実施形態に比較して短くされている。より詳細には、本実施形態は、例えば、以下のように第2実施形態と区別できる。
第2実施形態では、例えば、1対の第1部位11同士の距離(幅狭部207bの幅)は、第1部位11のx方向の長さよりも長い。これに対して、本実施形態では、1対の第1部位311同士の距離(幅狭部307bの幅)は、第1部位311のx方向の長さよりも短い。また、例えば、第2実施形態では、1対の第1部位11同士の距離は、アンテナ導体207の最大幅(x方向)の1/5以上1/3以下である。これに対して、本実施形態では、1対の第1部位311同士の距離は、例えば、アンテナ導体307の最大幅(x方向)の1/10以下又は1/20以下である。
また、第2実施形態では、例えば、第2部位13のx方向の長さは、第1部位11のx方向の長さと同等以上(1倍以上)である。一方、本実施形態では、第2部位313のx方向の長さは、第1部位311のx方向の長さよりも短い。より具体的には、例えば、第2部位313のx方向の長さは、第1部位311のx方向の長さの1/2以下又は1/5以下である。
また、第2実施形態では、例えば、第2部位13のy方向の長さは、第1部位11のx方向の長さ及び/又はy方向の長さの1/2以上である。一方、本実施形態では、第2部位313のy方向の長さは、第1部位311のx方向の長さ及び/又はy方向の長さの1/2よりも短く、より具体的には、例えば、第2部位313のy方向の長さは、第1部位311のx方向の長さ及び/又はy方向の長さの1/3以下又は1/5以下である。
アンテナ301が利用される周波数帯に対するアンテナ導体307のy方向の最大長さ(第1対称軸CL1上における長さ)は、概略、他の実施形態と同様とされてよい。ただし、上記の形状及び寸法の相違に応じて、適宜に微調整がなされてよい。本願発明者の実験及びシミュレーション計算では、微調整の結果、第1対称軸CL1上の長さは、第3実施形態の方が第2実施形態よりも約1割短くなった。すなわち、上記の形状及び寸法の相違は、x方向だけでなく、y方向の小型化に寄与している。
なお、第1部位311の形状及び大きさならびにアンテナ導体307のy方向両側の頂角等も、概略、第2実施形態と同様とされてよく、また、上記の形状及び寸法の相違に応じて適宜に微調整がなされてもよい。
(誘電体層の平面形状)
誘電体層303の平面形状は、他の実施形態と同様に、アンテナ導体307の平面形状(切欠き部309は除く)と同様の形状であってもよいし、図示の例のように、アンテナ導体307の平面形状とは異なる形状であってもよい。
図示の例では、誘電体層303の平面形状は、概略、アンテナ導体307のy方向の両側の2等辺三角形の等辺を延長して形成される矩形状(菱形)とされている。より具体的には、図示の例では、アンテナ導体307の頂角(等辺がなす角)は、90°とされており、誘電体層303の平面形状は正方形である。そして、誘電体層303は、アンテナ導体307に対してx方向の外側へ三角形状に広がっている。別の観点では、基板305は、平面視において、アンテナ導体307から、x方向の外側へ張り出す長さが、アンテナ導体307のうちのy方向における両側部分よりも、その間の部分において大きくなっている。
(アンテナ導体への電気的経路)
第1実施形態では、1つの第2部位13のy方向の一方側には2つの給電点21(別の層では給電点19。以下、同様。)が設けられた。一方、本実施形態では、第2部位313のx方向の長さが短くされたことに伴い、1つの第2部位313のy方向の一方側に設けられる給電点21は1つとされている。すなわち、1つのアンテナ導体307に対する給電点21は合計で4つとされている。
また、第1実施形態では、給電点21は、アンテナ導体7のうち第2部位13の縁部に隣接して設けられた。本実施形態では、給電点21は、アンテナ導体307のうち第2部位313の縁部から比較的離れている。具体的には、比較的短い距離(例えば給電点に接続される貫通導体の直径以下)で、第1部位311に対してy方向の外側に位置している。ただし、給電点21は、第1実施形態と同様に、第2部位313の縁部に隣接して設けられても構わない。
給電点21が4つとされていることに伴い、貫通導体17(図3(a))も合計で4つとされている。また、線路15(図3(a))は、第1実施形態に比較して短くされてよい。
以上の第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、アンテナモジュール391の広帯域化及び小型化が図られる。
また、本実施形態では、基板305は、平面視において、アンテナ導体307から、x方向の外側へ張り出す長さが、アンテナ導体307のうちのy方向の両側部分よりも、その間の部分において大きい。すなわち、基板305の、アンテナ導体307からx方向の外側へ張り出している三角形状の部分は切り落とされていない。
この場合、例えば、本願発明者の実験及びシミュレーション計算によれば、三角形状部分を切り落とした場合に比較して、共振周波数が低くなる。その結果、アンテナ301に要求されている周波数帯に共振周波数を合わせるように設計した場合、第1対称軸CL1上の長さを短くできる。ひいては、アンテナ301をy方向において小型化することができる。なお、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、x方向の外側に張り出している三角形状の部分を切り落としてもよい。すなわち、三角形状部分を切り落とす量と、第1対称軸CL1上の長さを調節して、基板面積が最も小さくなるように形状を決定することも何ら差し支えない。この場合には、さらに小型なアンテナ301を提供することができる。
また、本実施形態では、アンテナ導体307の平面視において、1対の第1部位311同士の距離(x方向)は、第1部位11のx方向の長さよりも短い。及び/又はアンテナ導体307の平面視において、第2部位313のx方向の長さは、第1部位311のx方向の長さよりも短い。
本願発明者の実験及びシミュレーション計算によれば、このように第1部位311同士の距離及び/又は第2部位313のx方向の長さを比較的短くしても、アンテナ301の特性を維持することができ、ひいては、x方向においてアンテナ導体307の小型化を図ることができる。さらに、本願発明者の実験及びシミュレーション計算によれば、第1部位311同士の距離及び/又は第2部位313のx方向の長さを比較的短くすると、アンテナ導体307の共振周波数を下げることができる。その結果、アンテナ301に要求されている周波数帯に共振周波数を合わせるように設計した場合、第1対称軸CL1上の長さを短くすることができる。ひいては、x方向だけでなく、y方向においてもアンテナ導体307の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、アンテナ導体307の平面視において、第2部位313のy方向の長さが、第1部位311のy方向の長さの1/2よりも短い。
本願発明者の実験及びシミュレーション計算によれば、このように第2部位313のy方向の長さを比較的短くしても、アンテナ301の特性を維持することができ、かつアンテナ導体307の共振周波数を下げることができる。その結果、アンテナ301に要求されている周波数帯に共振周波数を合わせるように設計した場合、第1対称軸CL1上の長さを短くすることができる。ひいては、y方向においてアンテナ導体307の小型化を図ることができる。
アンテナ301の効果について述べたが、同様又は類似の平面形状を有する不図示の反射器についても同様の効果が奏される。例えば、反射層の平面視において、幅狭部の幅(x方向)及び/又は切欠き部の第2部位のx方向の長さを短くすることによって、反射層の特性を維持しつつ、反射層を小型化することができる。
[第4実施形態]
図10は、第4実施形態に係るアンテナモジュール491を説明するための図であり、第1実施形態の図4に相当している。
アンテナモジュール491は、基本的に、アンテナ(誘電体層及びアンテナ導体)並びに反射器(誘電体層及び反射層)の平面形状のみが第1実施形態と相違している。図10では、アンテナ401のうちの1層の誘電体層403及び1層のアンテナ導体407のみを図示している。アンテナ401が複数の誘電体層403及び複数のアンテナ導体407を有している場合、他の誘電体層403及び他のアンテナ導体407の平面形状も図示のものと同様である。
(アンテナの平面形状)
本実施形態のアンテナ導体407の平面形状は、概して言えば、第3実施形態のアンテナ導体307(より詳細には幅広部407a)において、開口部439(別の観点では導体非形成領域)を設けた形状である。このように開口部439を設けると、アンテナ導体407に流れる電流の経路が8の字状となりやすい。別の観点では、電流の経路が長くなりやすい。その結果、アンテナ導体407の外形を小型化することができる。
開口部439の形状及び寸法は適宜に設定されてよい。図示の例では、開口部439の縁(幅広部407aの内縁)は、幅広部407aの外縁(切欠き部409に向かって突出している部分を除く)に沿って(例えば平行に)延びている。また、幅広部407aの内縁と、幅広部407aの外縁との距離は、開口部439の周方向における領域間で異なっている。具体的には、当該距離は、アンテナ導体407のy方向両側の領域において、他の領域よりも長くなっている。その差は適宜に設定されてよい。例えば、上記距離の最大値は、上記距離の最小値の2倍以上又は4倍以上である。なお、図示の例とは異なり、幅広部407aの内縁は、幅広部407aの外縁に沿って延びていなくてもよい。また、幅広部407aの内縁は、その全体に亘って、幅広部407aの外縁と一定の距離を保ちつつ平行に延びていてもよい。
開口部439以外の各部の寸法は、第3実施形態(又は他の実施形態)の各部の寸法と同様とされてもよいし、開口部439の影響等を考慮して、第3実施形態の各部の寸法とは異なるものとされてもよい。図示の例では、アンテナ導体407(幅広部407a)の最大幅は、第3実施形態のものよりも広くされている。また、1対の第1部位411同士の距離(幅狭部407bの幅)は、第3実施形態におけるものよりも広くされており、例えば、アンテナ導体407の最大幅(x方向)の1/20以上1/5以下である。第2部位413のy方向の長さは、第3実施形態のものよりも長くされており、例えば、第1部位411のy方向の長さの1/2以上又は1/3以上である。
アンテナ401が利用される周波数帯に対するアンテナ導体407のy方向の最大長さ(第1対称軸CL1上における長さ)は、概略、他の実施形態と同様とされてよい。ただし、上記の形状及び寸法の相違に応じて、適宜に微調整がなされてよい。本願発明者のシミュレーション計算では、微調整の結果、第1対称軸CL1上の長さは、第4実施形態の方が第3実施形態よりも約1割短くなった。すなわち、上記の形状及び寸法の相違(特に開口部439の存在)は、y方向の小型化に寄与している。
誘電体層403(基板405)は、第3実施形態の説明で述べたように、アンテナ導体407からx方向の外側へ張り出す部分を有していてもよいし、有していなくてもよい。図示の例では、後者の態様が示されている。
(反射器の平面形状)
図11は、アンテナモジュール491のアンテナ導体407及び反射層457の構成を示す斜視図である。
他の実施形態の説明で述べたように、反射層の平面形状は、アンテナ導体の平面形状と同様又は類似の形状とされてよい。図示の例においても、反射層457は、1対の幅広部457aと、これらを接続する幅狭部457bとを有している点において、アンテナ導体407の外縁の形状と類似している。ただし、図示の例では、反射層457の細部の形状はアンテナ導体407の形状と異なっている。具体的には、以下のとおりである。
反射層457(幅広部457a)は、アンテナ導体407(幅広部407a)と異なり、開口部439が設けられていない。従って、幅広部457aは、幅広部407a(導体部分)に対して対向しているとともに、開口部439に対しても対向している。
また、アンテナ導体407の幅広部407aの平面形状は、概略、二等辺三角形の底辺の両側の角部が切り落とされた5角形状であるのに対して、反射層457の幅広部457aの平面形状は、概略、角部が切り落とされる前の上記の二等辺三角形である。換言すれば、反射層457は、アンテナ導体407からx方向の外側に張り出す部分を有している。
第1実施形態の説明では、反射層57の切欠き部59は、y方向の長さが互いに異なる第1部位61及び第2部位63を有していなくてもよいことを述べた。図11に示す例では、反射層457の切欠き部459は、第1部位61及び第2部位63を有していない。なお、切欠き部459のy方向の長さは、アンテナ導体407の第2部位413のy方向の長さ以下であってもよいし(反射層57はアンテナ導体407の第2部位413のy方向両側の部分に対向してもよいし)、当該長さよりも大きくてもよい。
第1実施形態の説明でも述べたように、アンテナ導体407及び反射層457は、互いに同一の寸法を有していてもよいし、互いに異なる寸法を有していてもよい。例えば、アンテナ導体407における角部が切り落とされる前の二等辺三角形と、反射層457における二等辺三角形とは、概ね同等の寸法を有していてもよいし、互いに異なる寸法を有していてもよい。また、図示の例では、反射層457の幅狭部457bの幅(x方向の長さ)は、アンテナ導体407の幅狭部407bの幅よりも狭くされている。
図示の例では、反射層457が1層のみ示されているが、他の実施形態と同様に、2層以上の反射層457が設けられても構わない。反射器451の不図示の基板(誘電体層)の平面形状は、図8の基板205のように矩形からx方向の両側の角部が切り落とされた形状であってもよいし、図9の基板305のように矩形状(反射層457からx方向の両側に張り出す部分が切り落とされていない形状)であってもよい。
以上の第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、アンテナモジュール491の広帯域化及び小型化が図られる。
また、本実施形態では、1対のアンテナ幅広部(幅広部407a)は、それぞれ開口部439を有している。1対の反射幅広部(幅広部457a)は、1対の幅広部407aの開口部439に対向している。
従って、例えば、既述のように、アンテナ導体407に開口部439を設けることによって、アンテナ導体407を小型化することが容易化される。また、例えば、アンテナ導体407から−z側に向かう送信用の電波を反射層457によって反射したときに、この反射した電波がアンテナ導体407によって反射されて反射層457に戻ってしまう蓋然性が低減される。また、例えば、+z側から開口部439を通過した受信用の電波を幅広部457aによって反射することができる。
[実施例]
実施形態に係るアンテナモジュールに対して具体的な寸法を設定した実施例に係るアンテナモジュールについて、シミュレーション計算によってアンテナ特性を調べた。その一例を以下に示す。ここでは、第4実施形態のアンテナモジュール491に係る実施例についての計算結果を示す。また、比較例として、アンテナモジュール491から反射器を無くした構成を設定した。
比較例及び実施例に係るアンテナモジュールは、周波数帯L5、L2、L6及びL1の4つの周波数帯においてが利用されることを想定して設計された。各周波数帯の中心周波数は、以下のとおりである。
L5:1176.45MHz
L2:1227.60MHz
L6:1278.75MHz
L1:1575.42MHz
実施例に係るアンテナモジュール491の代表的な寸法等を以下に示す。基板405、アンテナ導体407及び反射層457の各部の寸法の比率は、概略、図10及び図11に図示したとおりである。反射器451は、誘電体層を有さず、1層の反射層457のみからなる構成とした。
基板405:
y方向の最大長さ:75mm
x方向の最大長さ:38mm
厚さ(導体層も含めた合計厚):約4mm
比誘電率:4.4
アンテナ導体407:
層数:2
基板405の外縁からアンテナ導体407の外縁までの距離:1mm
厚さ:18μm
反射層457:
層数:1
y方向の最大長さ:74mm
x方向の最大長さ:53mm
厚さ:1mm
幅狭部457bのx方向の長さ:1mm
切欠き部9のy方向の長さ:18mm
基板405と反射層457との距離:20mm
図12(a)〜図12(d)は、比較例に係るアンテナ特性を示す図である。図12(a)、図12(b)、図12(c)及び図12(d)は、それぞれ、周波数帯L5、L2、L6及びL1におけるアンテナ特性を示している。線Lxは、x方向に見たときの右円偏波の利得を示している。線Lxに関しては、横軸、縦軸及び同心円状の目盛りは、図6(b)のものに相当している。線Lyは、y方向に見たときの右円偏波の利得を示している。線Lyに関しては、横軸、縦軸及び同心円状の目盛りは、図6(a)のものに相当している。同心円(目盛り)の中心は−16dBiであり、最外周の同心円は6dBiであり、2dBi毎に同心円が描かれている。
これらの図に示されているように、比較例においては、利得の大きさは、+z側と−z側とで同等となっている。すなわち、比較例の利得は、xy平面に対して対称性を有している。また、比較例の最大利得は、いずれの周波数帯においても0dBi未満となっている。
図13(a)〜図13(d)は、実施例に係るアンテナ特性を示す図であり、図12(a)〜図12(d)に相当している。
これらの図に示されているように、実施例においては、利得は、+z側が−z側よりも大きくなっている。すなわち、実施例の利得は、+z側が相対的に高くなる指向性を有している。ただし、特に図示しないが、実施例の利得は、xy平面においては対称性を有している。また、実施例の最大利得は、いずれの周波数帯においても0dBi以上となっている。
比較例及び実施例の結果から、反射器451を設けることによって、+z側の利得を向上させることができることが確認された。
4つの周波数帯のいずれにおいても、反射器451によって+z側の利得が向上していることから理解されるように、反射器451は、反射特性が高くなる帯域の比帯域が比較的広い。例えば、図示の例では、1176.45MHz(L5)〜1575.42MHz(L1)において反射特性が高くなったことが示されている。この周波数帯の帯域幅は398.97MHzであり、中心周波数は1375.935MHzであるから、比帯域は約29%である。また、1176.45MHz(L5)〜1278.75MHz(L6)において反射特性が高くなったと捉えれば、このときの比帯域は約8.3%である。従って、少なくとも比帯域10%の帯域で反射特性が高くなっていると言える。
図示の例では、周波数が最も高い周波数帯L1における反射特性が最も低くなっている。このときの+z側の最大利得は、−z側の最大利得に比較して、2dB以上高い。従って、−z側の最大利得が+z側の最大利得よりも2bB小さくなる周波数は、反射特性が高くなっている周波数と捉えられてよい。そして、そのような周波数を含む周波数帯は、上記のように比帯域10%以上である。
なお、図示は省略するが、本願発明者は、上記の実施例とは寸法等が異なる他の種々の実施例においても、上記と同様の結果が得られることを確認している。ここでいう同様の結果は、例えば、4つの全ての周波数帯で最大利得を0dBi未満から0dBi以上に向上できること、4つの全ての周波数帯で−z側の最大利得が+z側の最大利得よりも2bB小さくなることを含む。具体的には、例えば、上記の実施例に対して、反射層57のx方向の最大長さを60mmまで長くしたり、反射層457の厚さを0.2mmまで薄くしたり、切欠き部9のy方向の長さを13mmまで狭くしたりしても、同様の結果が得られることを確認している。また、例えば、本願発明者は、反射層57の材料をアルミニウムにしたり、ステンレス鋼にしたりしても、同様の結果が得られることを確認している。また、本願発明者は、反射器451に対してアンテナ401とは反対側に比較的広い面積(例えば反射器451よりも広い面積)を有するベタ状の導体層が存在したり、反射層457が重なる誘電体層を反射器451が有していたりする場合においても、同様の結果が得られることを確認している。
ただし、反射器451に対してアンテナ401とは反対側に反射器451と同程度の広さのベタ状の導体層を反射器451に近接させると、周波数が低い帯域において、+z側の利得と−z側の利得との差が小さくなることが確認された。例えば、実施例の反射層457と、1辺が100mmの矩形の導体層とを1mmの距離で対向させると、+z側の利得と−z側の利得との差は、1dBi程度となる。この結果は、付加された導体層の反射特性が支配的になったことによるものと考えられる。また、この結果は、別の観点では、反射層457における1対の幅広部457a及びその間の幅狭部457bを有する形状が、低い周波数帯において指向性を向上させることに有効であることを示している。なお、上記のように+z側の利得と−z側の利得との差が2dBi以下となった場合においても、+z側において0dBi以上の利得(比較例よりも高い利得)が維持されることが確認されている。従って、例えば、利得を高くするという課題に関して、反射器451に対してアンテナ401とは反対側に反射器451と同程度の広さのベタ状の導体層を反射器451に近接させても構わない。
[アンテナの利用例]
図14は、アンテナの利用例としての通信装置151の要部の構成を示すブロック図である。
通信装置151は、電波を利用した無線通信を行うものであり、アンテナ159を含んでいる。アンテナ159は、例えば、上述したアンテナ1、201、301又は401のいずれかによって構成されてよい。ここでは、アンテナ159に組み合わされる反射器の図示は省略されている。
通信装置151において、送信すべき情報を含む送信情報信号TISは、RF−IC(Radio Frequency Integrated Circuit)153によって変調及び周波数の引き上げ(搬送波周波数を有する高周波信号への変換)がなされて送信信号TSとされる。送信信号TSは、バンドパスフィルタ155によって送信用の通過帯以外の不要成分が除去され、増幅器157によって増幅されて分波器101の送信フィルタ109に入力される。そして、送信フィルタ109は、入力された送信信号TSから送信用の通過帯以外の不要成分を除去し、その除去後の送信信号TSをアンテナ159に出力する。アンテナ159は、入力された電気信号(送信信号TS)を無線信号(電波)に変換して送信する。
また、通信装置151において、アンテナ159によって受信された無線信号(電波)は、アンテナ159によって電気信号(受信信号RS)に変換されて分波器101に入力される。分波器101の受信フィルタ111は、入力された受信信号RSから受信用の通過帯以外の不要成分を除去して増幅器161へ出力する。出力された受信信号RSは、増幅器161によって増幅され、バンドパスフィルタ163によって受信用の通過帯以外の不要成分が除去される。そして、受信信号RSは、RF−IC153によって周波数の引き下げ及び復調がなされて受信情報信号RISとされる。
なお、送信情報信号TIS及び受信情報信号RISは、適宜な情報を含む低周波信号(ベースバンド信号)でよく、例えば、アナログの音声信号若しくはデジタル化された音声信号である。無線信号の通過帯は、適宜に設定されてよく、公知の各種の規格に従ってよい。変調方式は、位相変調、振幅変調、周波数変調若しくはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせのいずれであってもよい。回路方式は、ダイレクトコンバージョン方式を例示したが、それ以外の適宜なものとされてよく、例えば、ダブルスーパーヘテロダイン方式であってもよい。また、図14は、要部のみを模式的に示すものであり、適宜な位置にローパスフィルタやアイソレータ等が追加されてもよいし、また、増幅器等の位置が変更されてもよい。
第1実施形態の説明では、アンテナモジュールは、種々の電子素子を含んでよいことについて触れた。従って、例えば、アンテナモジュールは、アンテナ159を構成するだけでなく、分波器101を含んでいてもよいし、アンテナ159から増幅器157及び161までを含んでいてもよいし、アンテナ159からバンドパスフィルタ155及び163までを含んでいてもよいし、アンテナ159からRF−IC153までを含んでいてもよい。
なお、以上の実施形態において、反射層の幅広部57a及び457aは、反射幅広部の一例である。反射層の幅狭部57b及び457bは、反射幅狭部の一例である。アンテナ導体に係る幅広部7a、207a、307a及び407aは、アンテナ幅広部の一例である。アンテナ導体に係る幅狭部7b、207b、307b及び407bは、アンテナ幅狭部の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
第1〜第4実施形態は適宜に組み合わされてよい。例えば、第4実施形態のアンテナ導体に開口部を設ける構成は、第1及び第2実施形態のアンテナ導体に適用されてもよい。また、第4実施形態における反射層がアンテナ導体に対してx方向外側に張り出す構成は、第2及び第3実施形態のように開口部を有さないアンテナ導体と対向する反射層に適用されてもよい。逆に、第2及び第3実施形態における反射層がアンテナ導体に対してx方向外側に張り出さない構成は、第4実施形態のように開口部を有するアンテナ導体と対向する反射層に適用されてもよい。
アンテナは、y方向に電界が振動する電波の送信及び/又は受信が可能な種々の構成のものとされてよい。例えば、アンテナは、y方向に延びる軸状の導体を有するダイポールアンテナであっても構わない。また、層状導体(金属板)を有するアンテナは、基板(誘電体層)を有さないものであってもよい。
アンテナの基板及び/又は反射器の基板は、誘電体層からなるものに限定されない。例えば、基板は、誘電体層以外の層(例えば半導体層)を含んでいてもよい。ただし、基板のうちの誘電体層からなる部分のみを本開示に係る基板と捉えてもよい。なお、誘電体層が誘電体以外の材料(例えば樹脂が含浸される基材)を含んでいてもよいことは実施形態でも述べたとおりである。
アンテナ導体及び/又は反射層は、1層のみ設けられていてもよいし、3層以上設けられていてもよい。また、アンテナ導体の層数と、反射層の層数との組み合わせも任意である。アンテナ導体及び/又は反射層は、基板(誘電体)に埋設されずに、基板の上面又は下面に重なっていてもよい。別の観点では、誘電体層は1層のみでよく、多層で設けられていなくてもよい。
アンテナ導体及び/又は反射層は、平面視において、対称性が崩されていてもよい。なお、微調整のために比較的小さい面積(例えば対称軸の一方側と他方側との面積差が両者のうちの小さい方の面積の5%以下)で対称性が崩されている場合は、線対称と表現する態様に含められてもよい。
アンテナ導体及び/又は反射層の平面形状(切欠き部が無いとした場合の形状)は、多角形に限定されない。例えば、当該平面形状は、円形又は楕円形のように曲線を含む形状であってもよいし、曲線と直線との組み合わせであってもよい。また、アンテナ導体及び/又は反射層の平面形状が多角形である場合において、多角形は、矩形及び六角形に限定されない。例えば、y方向両側にx軸に直交する辺を有する八角形であってもよい。
同様に、切欠き部(第1部位及び/又は第2部位)の形状は、矩形に限定されない。例えば、切欠き部又はその各部の形状は、円形又は楕円形のように曲線を含む形状であってもよいし、曲線と直線との組み合わせであってもよいし、矩形以外の多角形であってもよい。また、第1部位と第2部位との間には段差が存在しなくてもよい。すなわち、両者の境界は一義的に特定可能でなくてもよい。
アンテナ導体及び/又は反射層、1対の幅広部を互いに接続する幅狭部以外の部分を有していてもよい。例えば、y方向に平行な対称軸(第1対称軸CL1又はCL51)に対して線対称に、1対の幅広部同士を接続する1対の接続部が設けられていてもよい。
第2〜第4実施形態では、アンテナ導体及び反射層(並びに基板)が、平面視において、幅狭部(第1対称軸CL1)からx方向に離れるほどy方向の長さが短くなる形状を示した。この形状は、実施形態で例示したy方向の両側に三角形が位置する形状に限定されない。例えば、y方向の両側部分は、y方向外側を上底とする台形状であってもよいし、y方向外側に膨らむ弧状であってもよいし、幅狭部からx方向へ離れるほどy方向中央側に位置する階段状であってもよい。なお、階段状であってもよいことから明らかなように、幅狭部からx方向に離れるほどy方向の長さが短くなるという場合、幅狭部からのx方向の距離に関わらずにy方向の長さが一定の部分がアンテナ導体及び/又は反射層の一部に含まれていても構わない。
第4実施形態では、アンテナ導体の幅広部に導体非形成領域(開口部)が設けられる形状を示した。この開口部は、幅広部中に閉空間を形成するようなもの(開口部)に限定されず、切欠き状のものであってもよい。また、1つの幅広部に、閉空間を形成するような導体非形成領域を複数設けてもよいし、切欠き状の導体非形成領域を複数設けてもよい。
アンテナ及び/又は反射器は、多層基板の平面視における一部であってもよいし、及び/又は多層基板の厚み方向における一部であってもよい。すなわち、多層基板の一部にアンテナ及び/又は反射器が作り込まれていてもよい。
上述の例では、反射層が2層の場合を例に説明したが、1層でもよいし、3層以上としてもよい。また、反射層を複数層設ける場合には、パターンを各層で異ならせてもよい。具体的には、例えば、凡その形状は相似形にして電流の経路の長さが各層で異なるように調整することで、より幅広い周波数範囲に対応できるようにしてよい。また、例えば、外周の形状は略同一として反射幅狭部の太さや長さを異ならせることで、電流の経路の長さが各層で異なるように調整し、より幅広い周波数範囲に対応できるようにしてもよい。