JP2021065574A - 歩行支援装置 - Google Patents

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Yoshiyuki Shibata
由之 柴田
学 金谷
Manabu Kanetani
学 金谷
松岡 祐樹
Yuki Matsuoka
祐樹 松岡
俊貴 粂野
Toshiki Kumeno
俊貴 粂野
裕策 安井
Yusaku Yasui
裕策 安井
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Abstract

【課題】使用者が左右の持ち手を把持して駆動する歩行支援装置において、使用者が把持を止めた場合には歩行支援装置を停止させ、使用者が歩行支援装置にブレーキを掛けない状態で把持した持ち手を意図しない方向に偶発的に押した場合であっても、使用者の意図に反する方向への走行を防止、又は抑止することができる歩行支援装置を提供する。【解決手段】フレームと駆動輪を含む車輪と走行用駆動手段と持ち手と作用力検出手段と進行速度検出手段と制御装置を備え、制御装置は第1所定時間以上継続して持ち手で検出した作用力が所定閾値以下でかつ進行速度が所定進行速度以下の状態の場合は駆動輪の駆動を抑制する移動抑制制御を行う移動抑制制御部と、移動抑制制御中に第2所定時間を超えて継続して持ち手で作用力閾値を超える作用力を検出した場合には、移動抑制制御を解除し駆動輪を駆動する進行制御を行う進行制御部と、を有する歩行支援装置である。【選択図】図1

Description

本発明は、歩行支援装置に関する。
近年、自立歩行が可能ではあるが支援を必要とする高齢者等の使用者に対して、モータ等の駆動手段により進行方向に対してアシスト力を発生させたり、荷物を運搬する際の負荷を軽減させたりして、歩行を支援する、種々の歩行器が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の手押し車(歩行支援装置に相当)は、使用者がハンドルバー(持ち手に相当)を把持して手押し車を押す力であるハンドル力の大きさと、その方向に応じて、手押し車に対して進行方向の移動をアシストするアシスト力を発生させ、使用者の歩行を支援する。また、ハンドルバーには使用者の右手による把持を検出する右把持センサと左手による把持を検出する左把持センサが設けられており、使用者がハンドルバーを把持して手押し車を押すと、車輪を駆動して、使用者の進行方向に沿って手押し車の移動をアシストする。
特開2017−12546号公報
特許文献1に記載の手押し車では、例えば、手押し車にブレーキを掛けない状態で、歩行を止めた使用者が、バランスを崩して偶発的に把持したハンドルバーを押すと、使用者の意図に反して手押し車が使用者から離れる方向に走行し、使用者がさらにバランスを崩してしまう可能性がある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、使用者が左右の持ち手を把持して駆動する歩行支援装置において、使用者が把持を止めた場合には歩行支援装置を停止させ、使用者が歩行支援装置にブレーキを掛けない状態で把持した持ち手を意図しない方向に偶発的に押した場合であっても、使用者の意図に反する方向への走行を防止、又は抑止することができる歩行支援装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、フレームと、前記フレームに設けられた少なくとも1つの駆動輪を含む複数の車輪と、前記駆動輪を駆動する走行用駆動手段と、前記フレームに設けられ、使用者に把持される左右一対の持ち手と、左右一対の前記持ち手のそれぞれに設けられ、前記フレームに対して、少なくとも一つの検出方向に沿って作用する作用力を検出する、それぞれの作用力検出手段と、前記フレームの進行方向における速度である進行速度を検出する進行速度検出手段と、前記走行用駆動手段を制御する制御装置と、前記走行用駆動手段と前記制御装置への電源となるバッテリと、を備え、前記制御装置は、第1所定時間以上、継続して、少なくとも一方の前記持ち手において検出した前記作用力が所定閾値以下である、かつ、前記進行速度が所定進行速度以下である、状態の場合には、前記駆動輪の駆動を抑制する移動抑制制御を行う移動抑制制御部と、前記移動抑制制御中に、第2所定時間を超えて、継続して、少なくとも一方の前記持ち手において前記所定閾値より大きい作用力閾値を超える前記作用力を検出した場合には、前記移動抑制制御を解除して、前記検出方向に基づいて前記駆動輪を駆動する進行制御を行う進行制御部と、を有する、歩行支援装置である。
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る歩行支援装置であって、前記制御装置は、前記移動抑制制御部にて、前記走行用駆動手段の通電を停止することで、前記駆動輪の駆動を抑制する、歩行支援装置である。
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明に係る歩行支援装置であって、前記走行用駆動手段は、サーボモータであり、前記制御装置は、前記移動抑制制御部にて、前記走行用駆動手段をサーボロック状態に制御することで、前記駆動輪の駆動を抑制する、歩行支援装置である。
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明〜第3の発明のいずれか1つに係る歩行支援装置であって、前記制御装置は、前記移動抑制制御中に、前記第2所定時間以下、継続して、少なくとも一方の前記持ち手において検出した前記検出方向の作用力が前記作用力閾値を超える状態の場合には、前記検出方向に基づいて、所定の微小時間又は所定微小距離進行するように、前記駆動輪を駆動する制御を行う微小進行制御部を有する、歩行支援装置である。
次に、本発明の第5の発明は、上記第4の発明に係る歩行支援装置であって、それぞれの前記作用力検出手段は、互いに方向の異なる複数の前記検出方向に沿って作用する前記作用力を検出し、前記作用力閾値は、複数の前記検出方向のそれぞれに対して個別に設定されている、歩行支援装置である。
次に、本発明の第6の発明は、上記第5の発明に係る歩行支援装置であって、前記検出方向は、前記フレームに対する前後の方向において、前方向に向かう前方作用方向と、後方向に向かう後方作用方向と、を含み、前記前方作用方向の前記作用力の前記作用力閾値である前方作用力閾値は、前記後方作用方向の前記作用力の前記作用力閾値である後方作用力閾値よりも大きくなるように設定されている、歩行支援装置である。
第1の発明によれば、使用者が持ち手の把持を止めた場合には歩行支援装置の移動を抑制し、使用者が持ち手を把持し所定の方向に歩行支援装置を移動させたいと所望した場合に所望した所定の方向に歩行支援装置を移動させることができる。これにより、使用者が歩行支援装置にブレーキを掛けない状態で把持した持ち手を誤った方向に押した場合であっても、使用者の意図に反する方向への歩行支援装置の走行を防止することができる。
第2の発明によれば、走行用駆動手段の通電を停止することで駆動輪の駆動を抑制するため、移動抑制制御におけるバッテリの消耗を抑制することができる。
第3の発明によれば、走行用駆動手段をサーボロック状態に制御することで駆動輪の駆動を抑制するため、平地ではなく傾斜地等の傾斜面を走行する場合であっても、より確実に歩行支援装置の移動を抑制することができる。
第4の発明によれば、歩行支援装置を所定の微小時間又は所定微小距離だけ進行させ、使用者から少し離れる方向に移動させて、使用者により偶発的に持ち手に作用力が加えられた場合なのか、使用者が歩行支援装置の移動を所望して意図的に持ち手に作用力が加えられた場合なのか、を判別し、より正確に歩行支援装置の移動を抑制することができる。
第5の発明によれば、使用者による互いに方向の異なる複数の検出方向における偶発的な持ち手に対する作用力に対応できるため、より好適に歩行支援装置の移動を抑制することができる。
第6の発明によれば、後方作用方向の作用力に対する検出感度を前方作用方向の作用力の検出感度よりも高くすることで、前方作用方向の作用力に対しては使用者による持ち手に加えられる作用力が前方作用力閾値を超えた場合に使用者が歩行支援装置の移動を所望していると判定し、後方作用方向の作用力に対しては使用者による持ち手に加えられる作用力が後方作用力閾値を超えた場合に使用者が持ち手を把持していると判定することができる。
第1の実施形態の歩行支援装置の外観を説明する斜視図である。 フレームを右方向から見た図である。 筒状部、シャフト、持ち手の外観と構造の例を説明する斜視図である。 図3において筒状部をIV方向から見た図である。 ロック機構の構造の例を説明する図であり、シャフトを解除状態にした場合の例を説明する図である。 ロック機構の構造の例を説明する図であり、シャフトをロック状態にした場合の例を説明する図である。 シャフトがロック状態とされている場合であって、シャフト基準位置にシャフトが戻されている(保持されている)状態を説明する図である。 シャフトがロック状態とされている場合であって、前後規制範囲内においてシャフト基準位置よりも前方へと、シャフト及び持ち手が使用者に押されている状態を説明する図である。 シャフトがロック状態とされている場合であって、前後規制範囲内においてシャフト基準位置よりも後方へと、シャフト及び持ち手が使用者に引かれている状態を説明する図である。 シャフトが解除状態とされている場合であって、前後規制範囲を超えてシャフト基準よりも大きく後方へと、シャフト及び持ち手が使用者に引かれている状態を説明する図である。 操作パネルの外観の例を説明する図である。 第1の実施形態の歩行支援装置の制御装置の入出力を説明するブロック図である。 第1の実施形態の歩行支援装置の制御装置の処理手順(全体処理)を説明するフローチャートである。 図13に示す全体処理中の入力処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図14に示す入力処理中の右(左)速度、移動方向、振幅算出処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図14に示す入力処理中の右(左)作用力算出処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図13に示す全体処理中の動作、制御モード判定処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図13に示す全体処理中の中央位置速度補正量算出処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図13に示す全体処理中の進行速度調整処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図13に示す全体処理中の移動抑制制御処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図13に示す全体処理中の微小進行制御処理の処理手順を説明するフローチャートである。 歩行支援装置の平面図であり、持ち手前後位置、持ち手前後中央位置、仮想前後基準位置等を説明する図である。 前後方向偏差・中央位置速度補正量特性の例を説明する図である。 持ち手を把持して腕を前後に振りながら歩行する使用者と、歩行支援装置及び持ち手の位置、の例を説明する図である。 右・左の持ち手の作用力に基づく歩行支援装置の制御モードの判定の例を説明する図である。 第2の実施形態の歩行支援装置の外観を説明する斜視図である。 左側の持ち手フレームに配置された持ち手と作用力検出手段の構造の一例を説明する分解斜視図である。 第2の実施形態の歩行支援装置の制御装置の入出力を説明するブロック図である。 第2の実施形態の歩行支援装置の制御装置の処理手順(全体処理)を説明するフローチャートである。 図29に示す全体処理中の入力処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図29に示す全体処理中の動作、制御モード判定処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図29に示す全体処理中の進行・旋回制御決定処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図29に示す全体処理中の進行速度調整処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図29に示す全体処理中の進行速度制限処理の処理手順を説明するフローチャートである。 図29に示す全体処理中の進行速度駆動処理の処理手順を説明するフローチャートである。 左右の持ち手の作用力の方向に対応する第2の実施形態の歩行支援装置の進行・旋回モードを示すテーブルである。
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。なお、図中にX軸、Y軸、Z軸が記載されている場合、各軸は互いに直交している。そしてX軸方向は、歩行支援装置10A、10Bから見て前方に向かう方向を示し、Y軸方向は、歩行支援装置10A、10Bから見て左に向かう方向を示し、Z軸方向は、歩行支援装置10からみて鉛直上方に向かう方向を示している。以降では、歩行支援装置10A、10Bに対して、X軸方向を“前”、X軸方向に対して反対方向を“後”とし、Y軸方向を“左”、Y軸方向に対して反対方向を“右”、Z軸方向を“上”、Z軸方向に対して反対方向を“下”とする。また以降では、フレームの前後方向を「フレーム前後方向」と記載する。
●[第1の実施形態の歩行支援装置10Aの概略全体構成(図1〜図2)]
図1を用いて、第1の実施形態の歩行支援装置10Aの概略全体構成を説明する。歩行支援装置10Aは、フレーム50と、前輪60FL、60FRと、後輪60RL、60RRと、走行用駆動手段64L、64Rと、バッテリBと、制御装置40Xと、持ち手20L、20Rと、シャフト21L、21Rと、筒状部30L、30R、バッグ50K等を有している。
フレーム50は、上下方向に延びて筒状部30L、30Rを支持する筒状部支持体51L、51Rと、フレーム50に対する前後方向であるフレーム前後方向に延びて車輪を支持する車輪支持体52L、52R、座椅子部55等を有している。車輪支持体52Lは筒状部支持体51Lの下方に固定され、車輪支持体52Rは筒状部支持体51Rの下方に固定されている。使用者は、フレーム50の開放されている側(後方)から筒状部30Lと筒状部30Rの間に入り、左右の手で持ち手20Lと持ち手20Rを把持して、歩行支援装置10Aを操作する。
筒状部支持体51Lの上端には筒状部30Lが保持され、筒状部支持体51Lの下方の側には、車輪支持体52Lが固定されている。なお筒状部支持体51Lは上下方向に伸縮可能とされており、腕を振りながら歩行する使用者の手の高さに応じて、筒状部30Lの高さを調整可能とされている。また車輪支持体52Lの前方の側には、旋回自在なキャスタ輪である前輪60FLが設けられており、車輪支持体52Lの後方の側には、走行用駆動手段64Lにて駆動される後輪60RLが設けられている。なお、筒状部支持体51R、筒状部30R、車輪支持体52R、前輪60FR、走行用駆動手段64R、後輪60RRも同様であるので、これらの説明は省略する。上記のように、フレーム50には複数の車輪(前輪60FL、60FR、後輪60RL、60RR)が設けられており、少なくとも1つの車輪(この場合、後輪60RL、後輪60RR)は、駆動輪である。
走行用駆動手段64Lは、例えばサーボ機構付き電動モータ(サーボモータに相当)であり、電源となるバッテリBから供給される電力に基づいた制御装置40Xからの制御信号に基づいて、後輪60RLを回転駆動する。同様に、走行用駆動手段64Rは、例えばサーボ機構付き電動モータであり、バッテリBから供給される電力に基づいた制御装置40Xからの制御信号に基づいて、後輪60RRを回転駆動する。
また走行用駆動手段64Lには、エンコーダ等の進行速度検出手段64LEが設けられており、走行用駆動手段64Lの回転に応じた検出信号を制御装置40Xに出力する。制御装置40Xは、進行速度検出手段64LEからの検出信号に基づいて、地面に対する歩行支援装置10Aの進行速度(後輪60RLによる進行速度)を検出することができる。同様に、走行用駆動手段64Rには、エンコーダ等の進行速度検出手段64REが設けられており、走行用駆動手段64Rの回転に応じた検出信号を制御装置40Xに出力する。制御装置40Xは、進行速度検出手段64REからの検出信号に基づいて、地面に対する歩行支援装置10Aの進行速度(後輪60RRによる進行速度)を検出することができる。
筒状部30Lは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有し、フレーム前後方向に延びるシャフト21Lを、フレーム前後方向に移動可能となるように収容している。同様に、筒状部30Rは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有し、フレーム前後方向に延びるシャフト21Rを、フレーム前後方向に移動可能となるように収容している。筒状部30Lと筒状部30Rは、左右一対で設けられている。
シャフト21Rは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有して少なくとも一部が中空状とされ(図3参照)、筒状部30R内に収容されてフレーム前後方向に移動可能とされている。そしてシャフト21Rの後端部には、持ち手20Rが固定されている。同様に、シャフト21Lは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有して少なくとも一部が中空状とされ、筒状部30L内に収容されてフレーム前後方向に移動可能とされている。そしてシャフト21Lの後端部には、持ち手20Lが固定されている。シャフト21Lとシャフト21Rは、左右一対で設けられている。
持ち手20Lは、使用者が左手で把持する個所であり、シャフト21Lの後端部に固定され、使用者の歩行に伴う左腕の振りに合わせて、筒状部30Lに対して(すなわち、フレーム50に対して)シャフト21Lとともに、フレーム前後方向に移動可能とされている。なお、持ち手20Lには、後輪60RLの回転を減速させるブレーキレバーBKLが設けられている。同様に、持ち手20Rは、使用者が右手で把持する個所であり、シャフト21Rの後端部に固定され、使用者の歩行に伴う右腕の振りに合わせて、筒状部30Rに対して(すなわち、フレーム50に対して)シャフト21Rとともに、フレーム前後方向に移動可能とされている。なお、持ち手20Rには、後輪60RRの回転を減速させるブレーキレバーBKLが設けられている。持ち手20Lと持ち手20Rは、左右一対で設けられている。
筒状部30L内には、フレーム50に対する前後方向における持ち手20Lの位置を検出可能な持ち手位置検出手段21LS(作用力検出手段に相当)が設けられている。例えば持ち手位置検出手段21LSはエンコーダであり、シャフト21Lのフレーム前後方向の動きに応じて回転し、筒状部30L内におけるシャフト21Lのフレーム前後方向の位置(すなわち、持ち手20Lのフレーム前後方向の位置)に応じた検出信号を制御装置40Xに出力する。制御装置40Xは、持ち手位置検出手段21LSからの検出信号に基づいて、フレーム50に対する(筒状部30Lに対する)持ち手20Lのフレーム前後方向の位置である(左)持ち手前後位置を求めることができる。
同様に、筒状部30R内には、フレーム50に対する前後方向における持ち手20Rの位置を検出可能な持ち手位置検出手段21RS(作用力検出手段に相当)が設けられている。例えば持ち手位置検出手段21RSはエンコーダであり、シャフト21Rのフレーム前後方向の動きに応じて回転し、筒状部30R内におけるシャフト21Rのフレーム前後方向の位置(すなわち、持ち手20Rのフレーム前後方向の位置)に応じた検出信号を制御装置40Xに出力する。制御装置40Xは、持ち手位置検出手段21RSからの検出信号に基づいて、フレーム50に対する(筒状部30Rに対する)持ち手20Rのフレーム前後方向の位置である(右)持ち手前後位置を求めることができる。
また筒状部30R(30L)には、使用者によって操作されるロック操作部31R(31L)が設けられている。ロック操作部31R(31L)は、フレーム前後方向に移動可能とされたシャフト21R(21L)を、「ロック状態」と「解除状態」のいずれかの状態に設定する。「ロック状態」では、シャフト21R(21L)のフレーム前後方向の移動範囲は、シャフト基準位置の近傍の前後規制範囲W1内(図7〜図9参照)に規制され、持ち手20R(20L)を拘束する。「解除状態」では、シャフト21R(21L)及び持ち手20R(20L)の移動範囲は、前後規制範囲W1を超える範囲に許容される(図10参照)。
操作パネル70は、例えば筒状部30Rの上面に設けられており、図11に示すように、メインスイッチ72、バッテリ残量表示部73、トレーニングモード表示部74、アシストモード表示部75、駆動トルク調整部76等を有している。なお、操作パネル70の詳細については後述する。
3軸加速度・角速度センサ50Sは、フレーム50に設けられており、X軸・Y軸・Z軸の3方向の軸のそれぞれに対して加速度を計測するとともに、3方向のそれぞれの軸を中心とした回転の角速度を計測し、計測結果に基づいた検出信号を制御装置40Xに出力する。例えば3軸加速度・角速度センサ50Sは、歩行支援装置10Aが傾斜面を進行している場合、X軸・Y軸・Z軸のそれぞれに対する歩行支援装置10Aの傾斜角度に応じた検出信号を制御装置40Xに出力する。また、例えば3軸加速度・角速度センサ50Sは、歩行支援装置10Aの車体に加えられた加速度(例えば、車体への衝撃)を検出し、検出した加速度に応じた検出信号を制御装置40Xに出力する。また、例えば3軸加速度・角速度センサ50Sは、歩行支援装置10Aの車体のピッチ角速度(Y軸回りの角速度)、ヨー角速度(Z軸回りの角速度)、ロール角速度(X軸回りの角速度)を検出し、検出した角速度に応じた検出信号を制御装置40Xに出力する。制御装置40Xは、3軸加速度・角速度センサ50Sからの検出信号に基づいて、歩行支援装置10AのX軸・Y軸・Z軸に対するそれぞれの傾斜角度、加速度(衝撃)の大きさ、ピッチ角速度、ヨー角速度、ロール角速度を検出することができる。
●[筒状部30Rとシャフト21Rの詳細構造(図3、図4)]
次に図3を用いて、筒状部及びシャフトの詳細構造について説明する。なお、筒状部及びシャフト(及び持ち手)は、左右一対であるので、右側の筒状部30R、シャフト21R、蓋部34R、持ち手20Rを例として説明し、左側の筒状部30L、シャフト21L、蓋部、持ち手20L(図1参照)については説明を省略する。図3は、筒状部30R、シャフト21R、蓋部34R、持ち手20Rの斜視図を示し、図4は、図3において筒状部30RをIV方向から見た図である。なお図3及び図4では、ロック操作部31Rに連動するロック機構(図5、図6参照)については記載を省略している。
筒状部30Rは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有し、内部には、案内レール32R、案内ローラ33R、持ち手位置検出手段21RS、弾性ユニット35R4等が設けられている。また筒状部30Rの上面には、ロック操作部31R、操作パネル70等が設けられている。シャフト21Rは、持ち手嵌合孔21R1、ロック孔21R2、中空部21R3、被案内部材24R、シャフト側弾性部材26R、抜け防止部材25R等を有している。蓋部34Rには、シャフト21Rが挿通される挿通孔34R1が形成されている。持ち手20Rは、シャフト嵌合部20R1、ブレーキレバーBKL等を有している。
なお、図7に示すように、シャフト側弾性部材26Rにおける一方の側(X軸方向に向かう側の先端)は、シャフト21Rが筒状部30R内に挿通された後、筒状部30Rに固定される。また図7に示すように、シャフト側弾性部材26Rにおける他方の側(X軸方向とは反対方向に向かう側の先端)は、シャフト21Rの中空部21R3内に挿通されてシャフト21Rに固定されている。
また図7に示すように、弾性ユニット35R4は、筒状部30R内の前端(X軸方向に向かう側の先端)に固定されている。そして弾性ユニット35R4は、筒状部側弾性部材35R1、カラー35R2、ダンパ35R3等を有している。図7に示すように、筒状部側弾性部材35R1における一方の側(X軸方向に向かう側の先端)は、弾性ユニット35R4に固定されている。また図7に示すように、筒状部側弾性部材35R1における他方の側(X軸方向とは反対方向に向かう側の先端)は、カラー35R2における前方の側の面に固定されている。またカラー35R2における後方の側の面には、シャフト21Rの先端が衝突した際の衝撃音等を吸収するダンパ35R3が取り付けられている。そして図7に示すシャフト基準位置では、ダンパ35R3における後方の側には、シャフト21Rの先端が接触している。
図3において、持ち手20Rのシャフト嵌合部20R1は、蓋部34Rの挿通孔34R1に挿通されて、シャフト21Rの持ち手嵌合孔21R1に嵌め込まれ、持ち手20Rとシャフト21Rとが一体化される。そしてシャフト21RはX軸方向回りに右回りに90°旋回されて筒状部30Rの上下の案内ローラ33Rの間に差し込まれ、X軸方向に沿って押し込まれていく。シャフト21Rの先端の抜け防止部材25Rが抜け防止パネル36Rを通過して案内レール32Rに達する前に、シャフト21RはX軸方向回りに左回りに90°旋回される。そしてシャフト21Rが更にX軸方向に沿って押し込まれていくと、シャフト21Rの被案内部材24Rが案内レール32Rの凹状部に差し込まれ、シャフト21Rが案内レール32Rに案内される。そしてシャフト21Rの前方の側の先端がダンパ35R3に接触するまで差し込まれ、シャフト側弾性部材26Rの前方の側の先端が、作業者によって筒状部30Rに固定される。
●[ロック機構の構造(図5、図6)]
次に図5及び図6を用いて、ロック機構の構造について説明する。図5及び図6に示すように、ロック機構は、ロック操作部31R、スイッチ機構31R1、ロック部31R6等を有している。図5はロック機構を「解除状態」とした場合の例を示し、図6はロック機構を「ロック状態」とした場合の例を示している。ロック機構も左右一対であるので、筒状部30R、シャフト21Rの側のロック機構を説明し、筒状部30L、シャフト21Lのロック機構については説明を省略する。
なお図5及び図6は、使用者が持ち手20R(図1参照)を把持していない状態であってシャフト21Rがシャフト基準位置に保持されている状態(図7参照)を示しており、ロック突起31R3がロック孔21R2と対向している状態を示している。またロック孔21R2は、ゴミ等が堆積しないように下方に向かって開口していると、より好ましい。
ロック操作部31Rは、筒状部30Rに形成された孔部30R1に取り付けられ、孔部30R1に沿ってフレーム前後方向(X軸方向)にスライド可能とされている。使用者がロック操作部31RをX軸方向にスライドさせた図5に示す状態が「解除状態」であり、使用者がロック操作部31RをX軸方向とは反対の方向にスライドさせた図6に示す状態が「ロック状態」である。
スイッチ機構31R1は、例えばスライドスイッチであり、制御装置40X(図12参照)へ接続されている。スイッチ機構31R1は、ロック操作部31Rがロック側に移動されるとオンの状態になり、ロック操作部31Rが解除側に移動されるとオフの状態になる。
ロック部31R6は、例えばソレノイドであり、ロック突起31R3とロック状態検出手段31R7等を有する。ロック部31R6は、制御装置40Xへ接続されている。ロック部31R6は、電流が供給されないと、図示は省略するがバネ等の付勢手段によりロック突起31R3が上方へ移動し、電流が供給されるとロック突起31R3が下方へ移動する。図5に示す「解除状態」では、ロック部31R6は、通電状態にされて、ロック突起31R3を下方(解除側)へ移動させる。図6に示す「ロック状態」では、ロック部31R6は、無通電状態にされて、ロック突起31R3を上方(ロック側)へ移動させる。これにより、電源(バッテリB)が喪失した場合であっても、持ち手20L、20Rが「ロック状態」となり移動できないため、より安全である。
図5に示す「解除状態」では、スイッチ機構31R1はオフの状態となり、ロック部31R6の駆動を止めロック突起31R3を下方へ移動させる。図6に示す「ロック状態」では、スイッチ機構31R1はオンの状態となり、ロック部31R6を駆動しロック突起31R3を上方へ移動させる。スイッチ機構31R1は、オン・オフの状態に対応した信号を制御装置40Xへ出力する。
ロック状態検出手段31R7は、「ロック状態」と「解除状態」とに応じた信号である状態検出信号を出力する。ロック状態検出手段31R7は、例えばプッシュスイッチであり、制御装置40Xへ接続されている。ロック状態検出手段31R7は、ロック突起31R3の下方の端部側にあっての筒状部30Rの底面の内側に設けられている。
図5に示す「解除状態」では、ロック突起31R3が下方へ移動することにより、ロック状態検出手段31R7の先端上部を押し下げロック状態検出手段31R7をオンの状態にする。図6に示す「ロック状態」では、ロック突起31R3が上方へ移動することにより、ロック状態検出手段31R7の先端上部を押し下げることを止めて、ロック状態検出手段31R7をオフの状態にする。ロック状態検出手段31R7は、オン・オフの状態に対応した信号(状態検出信号)を制御装置40Xへ出力する。
●[ロック状態における持ち手20Rの可動範囲(図7〜図9)と、解除状態における持ち手20Rの可動範囲(図10)]
図7は、使用者が持ち手20Rを把持していない状態、かつ、ロック機構を「ロック状態」とした場合の例を示しており、筒状部30Rに対するフレーム前後方向(X軸方向)における、シャフト21Rの位置がシャフト基準位置に保持されている状態の例を示している。なお図7〜図10では、ロック機構の詳細を省略し、ロック突起31R3にて「ロック状態」と「解除状態」を示している。持ち手20Rに前後方向(X軸方向に平行な方向)の力が付与されていない場合、ロック機構が「ロック状態」または「解除状態」のいずれの状態であっても、図7において、シャフト21Rはシャフト基準位置に保持される。この場合、シャフト側弾性部材26R及び筒状部側弾性部材35R1が、シャフト21Rをシャフト基準位置に保持する。
図7に示すシャフト基準位置では、シャフト側弾性部材26Rと筒状部側弾性部材35R1が共に自由長(力が付与されていない場合の長さ)、あるいは、シャフト側弾性部材26Rがシャフト21Rを前方に引っ張る力と筒状部側弾性部材35R1がシャフト21Rを後方に押す力とが釣り合うように設定されている。このシャフト基準位置では、シャフト21Rに設けられたロック孔21R2の前後方向の長さ範囲である前後規制範囲W1内のほぼ中央位置にロック突起31R3が位置するように、シャフト側弾性部材26Rの長さと、筒状部側弾性部材35R1の長さとが調整されている。なお、筒状部側弾性部材35R1のバネ定数である前方向バネ定数は、シャフト側弾性部材26Rのバネ定数である後方向バネ定数よりも大きくなるように設定されている(前方向バネ定数>後方向バネ定数)。
基準前後位置SPは、シャフト基準位置に対応するシャフト21Rの先端のフレーム前後方向における位置である。基準前後位置SPは、図7に示すように、シャフト21R及び持ち手20Rのフレーム前後方向の移動可能なストロークである可動ストロークW3(図8参照)におけるほぼ前端近傍の位置とされている。
図8に示すように、図7に示す「ロック状態」から、使用者が持ち手20Rを把持して、力Ffにて持ち手20Rを前方(X軸方向)に押すと、ロック突起31R3がロック孔21R2の後方縁部に突き当たるまで、シャフト21R及び持ち手20Rは前方に移動可能である。そして図8に示す状態から使用者が持ち手20Rから手を離すと、筒状部側弾性部材35R1の弾性力によって、シャフト21Rは図7に示すシャフト基準位置に戻され、シャフト21Rの先端は基準前後位置SPに戻される。
図9に示すように、図7に示す「ロック状態」から、使用者が持ち手20Rを把持して、力Frにて持ち手20Rを後方(X軸方向とは反対の方向)に引くと、ロック突起31R3がロック孔21R2の前方縁部に突き当たるまで、シャフト21R及び持ち手20Rは後方に移動可能である。そして図9に示す状態から使用者が持ち手20Rから手を離すと、シャフト側弾性部材26Rの弾性力によって、シャフト21Rは図7に示すシャフト基準位置に戻され、シャフト21Rの先端は基準前後位置SPに戻される。
図10に示すように、「解除状態」では、シャフト21Rのフレーム前後方向の移動範囲が前後規制範囲W1内に規制されない。従って、使用者が持ち手20Rを把持して、力Frにて持ち手20Rを後方に引いた場合、シャフト21Rの先端の抜け防止部材25Rが抜け防止パネル36Rに干渉するまで後方に引くことができる。すなわち、使用者は、図10に示す「解除状態」にした場合、腕を大きく振りながら歩行支援装置を用いて歩行することができる。
このように、シャフト21R(シャフト21L)には、自身を収容している筒状部30R(筒状部30L)に対するフレーム前後方向における基準となる位置であるシャフト基準位置が設定されている。図7に示すように、使用者が持ち手20Rを把持していない場合、シャフト側弾性部材26R及び筒状部側弾性部材35R1によって、シャフト21Rはシャフト基準位置に保持される。そして図7に示すように、シャフト21R(持ち手20R)がシャフト基準位置にある場合、ロック孔21R2のフレーム前後方向におけるほぼ中央位置が、ロック突起31R3と対向する。そして「ロック状態」では、シャフト21Rはシャフト基準位置の近傍となるようにフレーム前後方向の前後規制範囲W1内に保持される。
「解除状態」では、使用者は持ち手20R(持ち手20L)を、図7に示すシャフト基準位置から後方へと、フレーム前後方向に沿った持ち手20R(持ち手20L)が移動可能なストロークである可動ストロークW3(図8、図10参照)(例えば150[mm]程度)の範囲内にて、引くことができる。また、シャフト基準位置から前方へと、ストロークW2(例えば2[mm]程度)(図8参照)の範囲内にて、押すことができる。また、使用者が持ち手20Rの把持を止め手離すと、持ち手20Rは、強制移動手段(シャフト側弾性部材26R、筒状部側弾性部材35R1)により、フレーム前後方向に沿ってシャフト基準位置へ向かって移動させられ、シャフト21Rの先端は基準前後位置SPに戻される。
なお図7〜図9では、わかりやすくするために、ロック突起31R3からロック孔21R2の前方縁部または後方縁部までの距離を比較的大きくしている。しかし、ロック突起31R3からロック孔21R2の前方縁部または後方縁部までの距離は、1[mm]程度で充分である。また「解除状態」では、使用者はシャフト21Rを、図7に示すシャフト基準位置から後方へと、フレーム前後方向に沿った持ち手20Rが移動可能なストロークである可動ストロークW3(図8参照)(例えば150[mm]程度)の範囲内にて、引くことができる。また、シャフト基準位置から前方へと、ストロークW2(例えば2[mm]程度)の範囲内にて、押すことができる。
●[操作パネル70の外観(図11)]
次に図11を用いて操作パネル70について説明する。本実施の形態に示す例では、操作パネル70は、筒状部30Rの上面に設けられている。そして図11に示すように、操作パネル70は、メインスイッチ72、バッテリ残量表示部73、トレーニングモード表示部74、アシストモード表示部75、駆動トルク調整部76等を有している。
メインスイッチ72は、歩行支援装置10Aの起動を指示するスイッチであり、使用者がオンにするとバッテリBから制御装置40Xと走行用駆動手段64R、64Lへ電力を供給し、歩行支援装置10Aの操作及び動作を可能にする。また、バッテリ残量表示部73には、バッテリBの残量が表示されている。
駆動トルク調整部76は、歩行支援装置10Aが進行する際の走行用駆動手段64L、64Rの駆動トルクの強弱を、使用者が調整するための入力部である。例えば上り傾斜面で歩行支援装置10Aを使用する場合、使用者は、駆動トルク調整部76から駆動トルクを増量する指示を入力する。
また、歩行支援装置10Aには、左右の持ち手20L、20Rを把持した使用者が腕を前後に振りながら歩行する「腕振り歩行」を支援する「トレーニングモード」と、左右の持ち手20L、20Rを把持した使用者が腕を振ることなく歩行する(非腕振り走行)を支援する「アシストモード」と、の2つの動作モードが用意されている。使用者は、「腕振り歩行」を所望する場合、「解除状態」となるようにロック操作部31L、31Rを操作し動作モードを「トレーニングモード」に設定し、左右の持ち手20L、20Rを把持して腕を振りながら歩行する「腕振り歩行」を開始する。また使用者は、「非腕振り歩行」を所望する場合、「ロック状態」となるようにロック操作部31L、31Rを操作し動作モードを「アシストモード」に設定し、左右の持ち手20L、20Rを把持して腕を振らずに歩行する「非腕振り歩行」を開始する。
●[制御装置40Xの入出力(図12)]
図12は、制御装置40Xの入出力を示すブロック図である。制御装置40Xは、図示省略したCPU等の制御手段と、記憶手段44等を有している。また制御装置40Xには、スイッチ機構31R1、31L1とロック状態検出手段31R7、31L7と進行速度検出手段64LE、64REからの検出信号、持ち手位置検出手段21RS、21LS(作用力検出手段に相当)からの検出信号、3軸加速度・角速度センサ50Sからの検出信号が入力されている。
制御装置40Xには、操作パネル70から、メインスイッチ72、駆動トルク調整部76の操作状態が入力されている。また制御装置40Xは、トレーニングモード表示部74とアシストモード表示部75に出力する。トレーニングモード表示部74は、動作モードがトレーニングモードの場合に点灯される。アシストモード表示部75は動作モードがアシストモードの場合に点灯される。また制御装置40Xは、操作パネル70のバッテリ残量表示部73に表示するためのバッテリ残量情報を操作パネル70に出力し、走行用駆動手段64L、64Rとロック部31R6、31L6に制御信号を出力する。
なお制御装置40Xは、装置対地速度算出部40A、持ち手前後位置算出部40B、持ち手速度算出部40C、持ち手対地速度算出部40D、進行制御部40F、持ち手前後中央位置算出部40G、中央位置速度補正量算出部40H、作用力検出部40J、移動抑制制御部40K、微小進行制御部40L等を有しているが、これらについては後述する。
●[制御装置40Xの処理手順(図13〜図21)]
図13は、制御装置40X(図12参照)の処理手順における全体処理を示している。使用者がメインスイッチ72をONにすると、内部カウンタ等が初期化された後、所定時間間隔(例えば数[msec]間隔)で、図13に示す処理が起動される。制御装置40Xは、図13に示す処理が起動されると、ステップS005へと処理を進める。なお以下では、使用者が歩行支援装置とともに前進するように歩行する場合の例を説明する。
ステップS005にて制御装置40Xは、SB100(入力処理)を実行してステップS010に処理を進める。なおSB100(入力処理)の詳細については後述する。
ステップS010にて制御装置40Xは、SB200(動作、制御モード判定処理)を実行してステップS015Aに処理を進める。なおSB200(動作、制御モード判定処理)の詳細については後述する。
ステップS015Aにて制御装置40Xは、制御モードが「通常制御」であるか否かを判定し、制御モードが「通常制御」である場合(Yes)はステップS050に処理を進め、制御モードが「通常制御」でない場合(No)はステップS015Bへ処理を進める。
[歩行支援装置の制御モードの説明]
「通常制御」は、歩行支援装置の駆動輪を通常に駆動するように制御(進行制御)であり、使用者は所望する方向に歩行支援装置を走行させることができる制御である。また、「移動抑制制御」は、第1所定時間以上、継続して、左右の持ち手の少なくとも一方において検出した作用力が所定閾値以下である、かつ、進行速度が所定進行速度以下である、状態の場合に、駆動輪の駆動を抑制する制御である。また、「微小進行制御」は、「移動抑制制御」中に、第2所定時間以下、継続して、左右の持ち手の少なくとも一方において検出した検出方向の作用力が作用力閾値を超える状態の場合には、検出方向に基づいて、所定の微小時間又は所定微小距離進行するように、駆動輪を駆動する制御である。なお、作用力閾値は、予め設定されたフレームに対する前後の方向における作用力に対する所定の作用力値である。
ステップS015Bにて制御装置40Xは、制御モードが「微小進行制御」であるか否かを判定し、制御モードが「微小進行制御」である場合(Yes)はステップS030に処理を進め、制御モードが「微小進行制御」でない場合(No)はステップS020へ処理を進める。
ステップS020にて制御装置40Xは、SB700(移動抑制制御処理)を実行して処理を終了する(リターンする)。なお、SB700(移動抑制制御処理)の詳細については後述する。
ステップS030にて制御装置40Xは、SB800(微小進行制御処理)を実行して処理を終了する(リターンする)。なお、SB800(微小進行制御処理)の詳細については後述する。
ステップS050にて制御装置40Xは、SB500(中央位置速度補正量算出処理)を実行してステップS060に処理を進める。なお、SB500(中央位置速度補正量算出処理)の詳細については後述する。
ステップS060にて制御装置40Xは、SB600(進行速度調整処理)を実行して処理を終了する(リターンする)。なお、SB600(進行速度調整処理)の詳細については後述する。
●[SB100:入力処理の詳細(図14)]
次に図14を用いて、SB100(入力処理)の詳細について説明する。図13に示すステップS005にてSB100を実行する際、制御装置40X(図12参照)は、図14に示すステップSB010へ処理を進める。
ステップSB010にて制御装置40Xは、目標トルク、右持ち手前後位置、右進行速度、左持ち手前後位置、左進行速度、車体傾斜、ピッチ角速度、ヨー角速度、ロール角速度、を更新してステップSB030に処理を進める。
具体的には、制御装置40Xは、駆動トルク調整部76(図11参照)からの入力情報に基づいた目標トルクを記憶する。また制御装置40Xは、持ち手位置検出手段21RS(図1参照)からの検出信号に基づいて求めた、フレーム50に対する持ち手20Rの位置(フレーム前後方向の位置)を右持ち手前後位置に記憶する。また制御装置40Xは、(右)走行用駆動手段64Rの(右)進行速度検出手段64REからの検出信号に基づいて、(右)走行用駆動手段64Rの回転数を検出して後輪60RRの回転数から後輪60RRによる進行速度を検出して右進行速度に記憶する(図1参照)。
同様に制御装置40Xは、左持ち手前後位置、左進行速度、を記憶する。また制御装置40Xは、3軸加速度・角速度センサ50S(図1参照)からの検出信号に基づいて求めた歩行支援装置10Aの車体の傾斜角度や傾斜方向等の傾斜情報を車体傾斜に記憶する。また制御装置40Xは、3軸加速度・角速度センサ50S(図1参照)からの検出信号に基づいて求めた歩行支援装置10AのY軸回りの角速度をピッチ角速度に記憶し、Z軸回りの角速度をヨー角速度に記憶し、X軸回りの角速度をロール角速度に記憶する。
同様に制御装置40Xは、ロック状態検出手段31R7、31L7からの状態検出信号に基づいて、左右の持ち手20L、20Rのそれぞれの状態(「ロック状態」、「解除状態」)を記憶する。
ステップSB010を実行する制御装置40Xによる処理は、それぞれの持ち手位置検出手段21RS、21LSからの検出信号に基づいて、フレーム50(歩行支援装置10A)に対するフレーム前後方向のそれぞれの持ち手20R、20Lの位置であるそれぞれの持ち手前後位置(右持ち手前後位置と左持ち手前後位置)を算出する、持ち手前後位置算出部40B(図12参照)における処理に相当する。
ステップSB030にて制御装置40Xは、ステップSB010にて記憶した右進行速度及び左進行速度に基づいて、歩行支援装置の進行速度を求めて記憶し、ステップSB040に処理を進める。例えば制御装置40Xは、進行速度=(右進行速度+左進行速度)/2にて、進行速度を求める。
ステップSB030を実行する制御装置40Xによる処理は、進行速度検出手段からの検出信号に基づいて、地面に対する歩行支援装置10Aの進行速度を算出する、装置対地速度算出部40A(図12参照)における処理に相当する。
ステップSB040にて制御装置40Xは、SBA00(右(左)速度、移動方向、振幅算出処理)を実行して、ステップSB050に処理を進める。なおSBA00(右(左)速度、移動方向、振幅算出処理)の詳細については後述する。
ステップSB050にて制御装置40Xは、SBC00(右(左)作用力算出処理)を実行して処理を終了する(リターンする)。なおSBC00(右(左)作用力算出処理)の詳細については後述する。
●[SBA00:右(左)速度、移動方向、振幅算出処理の詳細(図15)]
次に図15を用いて、SBA00(右(左)速度、移動方向、振幅算出処理)の詳細について説明する。図14に示すステップSB040にてSBA00を実行する際、制御装置40X(図12参照)は、図15に示すステップSBA05へ処理を進める。
ステップSBA05にて制御装置40Xは、動作モードがトレーニングモードであるか否かを判定し、動作モードがトレーニングモードである場合(Yes)はステップSBA10に処理を進め、動作モードがトレーニングモードでない場合(No)は処理を終了する(リターンする)。
ステップSBA10に処理を進めた場合、制御装置40Xは、右持ち手速度に、「(今回処理時の右持ち手前後位置(今回右持ち手前後位置)−前回処理時の右持ち手前後位置(前回右持ち手前後位置))/時間」にて求めた速度を記憶して、ステップSBA15に処理を進める。なお、この場合の「時間」は、図13の処理を起動する間隔の時間である(例えば10[msec]間隔で起動する場合は10[msec])。また、今回右持ち手前後位置が前回右持ち手前後位置よりも前方である場合では右持ち手速度は「正」の速度となり、今回右持ち手前後位置が前回右持ち手前後位置よりも後方である場合では右持ち手速度は「負」の速度となる。
ステップSBA15にて制御装置40Xは、前回処理時の右持ち手速度(前回右持ち手速度)=正(0より大きい)、かつ、今回処理時の右持ち手速度(今回右持ち手速度)=負(0以下)であるか否かを判定する。そして制御装置40Xは、満足する場合(Yes)はステップSBA25Aに処理を進め、満足しない場合(No)はステップSBA20に処理を進める。
ステップSBA25Aに処理を進めた場合、制御装置40Xは、今回右持ち手前後位置を右前端位置に記憶してステップSBA30に処理を進める。
ステップSBA20に処理を進めた場合、制御装置40Xは、前回処理時の右持ち手速度(前回右持ち手速度)=負(0未満)、かつ、今回処理時の右持ち手速度(今回右持ち手速度)=正(0以上)であるか否かを判定する。そして制御装置40Xは、満足する場合(Yes)はステップSBA25Bに処理を進め、満足しない場合(No)はステップSBB10に処理を進める。
ステップSBA25Bに処理を進めた場合、制御装置40Xは、今回右持ち手前後位置を右後端位置に記憶してステップSBA30に処理を進める。
ステップSBA30に処理を進めた場合、制御装置40Xは、右前端位置−右後端位置(右前端位置>右後端位置)にて求めた長さを右振幅に記憶し、ステップSBB10に処理を進める。
ステップSBB10〜SBB30の処理は、左の持ち手20Lの速度(左持ち手速度)、左前端位置、左後端位置、左振幅(左の持ち手ストローク)を求める処理であり、右の持ち手20Rの速度(右持ち手速度)、右前端位置、右後端位置、右振幅(右の持ち手ストローク)を求めるステップSBA10〜SBA30と同様であるので説明を省略する。
ステップSBA10、SBB10を実行する制御装置40Xによる処理は、それぞれの持ち手前後位置(右持ち手前後位置と左持ち手前後位置)に基づいて、歩行支援装置10Aに対するそれぞれの持ち手の速度であるそれぞれの持ち手速度(右持ち手速度と左持ち手速度)を算出する、持ち手速度算出部40C(図12参照)における処理に相当する。
●[SBC00:右(左)作用力算出処理の詳細(図16)]
次に図16を用いて、SBC00(右(左)作用力算出処理)の詳細について説明する。図14に示すステップSB050にてSBC00を実行する際、制御装置40X(図12参照)は、図16に示すステップSBC10Aへ処理を進める。
ステップSBC10Aにて制御装置40Xは、持ち手位置検出手段21RS(作用力検出手段)(図12参照)からの信号に基づいて、「今回右持ち手前後位置−基準前後位置」を求め、右持ち手移動距離に記憶し、ステップSBC20Aに処理を進める。
ステップSBC20Aにて制御装置40Xは、右持ち手移動距離が「正」(>0)であるか否か判定し、右持ち手移動距離が「正」であると判定した場合(右持ち手移動距離>0)(Yes)はステップSBC30Aに処理を進め、右持ち手移動距離が「正」でないと判定した場合(No)はステップSBC40Aに処理を進める。なお、制御装置40Xは、右持ち手前後位置が基準前後位置SPに対してフレーム前後方向の前方の側にある場合に右持ち手移動距離が「正」であると判定する。すなわち、制御装置40Xは、シャフト21Rの先端位置が基準前後位置SPに対してフレーム前後方向の前方の側にある場合に右持ち手移動距離が「正」であると判定し、フレーム前後方向の後方の側にある場合に右持ち手移動距離が「負」であるとする。
ステップSBC30Aにて制御装置40Xは、右検出方向に「前方作用方向」を記憶し、ステップSBC50Aに処理を進める。
ステップSBC40Aにて制御装置40Xは、右検出方向に「後方作用方向」を記憶し、ステップSBC50Aに処理を進める。
ステップSBC50Aにて制御装置40Xは、右持ち手作用力に「前方向バネ定数×右持ち手移動距離」にて求めた作用力を記憶し、ステップSBC10Bに処理を進める。
ステップSBC60Aにて制御装置40Xは、右持ち手作用力に「後方向バネ定数×右持ち手移動距離」にて求めた作用力を記憶し、ステップSBC10Bに処理を進める。
ステップSBC10B〜SBC60Bの処理は、左の持ち手20Lの左持ち手作用力(左持ち手の作用力)、左検出方向(左持ち手の作用力の検出方向)を求める処理であり、ステップSBC10A〜SBC60Aと同様であるので説明を省略する。
ステップSBC10A〜ステップSBC60A、及びステップSBC10B〜SBC60Bを実行する制御装置40Xによる処理は、持ち手位置検出手段21RS、21LS(作用力検出手段)のそれぞれからの信号に基づいて、持ち手20R、20Lのそれぞれに作用する作用力の大きさ及び作用力が検出される方向である検出方向を求める、作用力検出部40J(図12参照)における処理に相当する。
●[SB200:動作、制御モード判定処理の詳細(図17)]
次に図17を用いて、SB200(動作、制御モード判定処理)の詳細について説明する。図13に示すステップS010にてSB200を実行する際、制御装置40X(図12参照)は、図17に示すステップSB010へ処理を進める。
ステップSB010にて制御装置40Xは、左右の持ち手の状態が「ロック状態」であるか否かを判定し、「ロック状態」である場合(Yes)はステップSB020Aに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB020Bに処理を進める。
ステップSB020Aに処理を進めた場合、制御装置40Xは、動作モードに「アシストモード」を記憶し、ステップSB030Aに処理を進める。
ステップSB020Bに処理を進めた場合、制御装置40Xは、動作モードに「トレーニングモード」を記憶し、ステップSB030Aに処理を進める。
ステップSB030Aにて制御装置40Xは、制御モードが「通常制御」であるか否かを判定し、制御モードが「通常制御」である場合(Yes)はステップSB040Aに処理を進め、制御モードが「通常制御」でない場合(No)はステップSB030Bに処理を進める。
ステップSB040Aにて制御装置40Xは、右持ち手作用力及び左持ち手作用力が所定閾値以下(右持ち手作用力及び左持ち手作用力≦所定閾値)であるか否かを判定し、右持ち手作用力及び左持ち手作用力が所定閾値以下である場合(Yes)はステップSB050に処理を進め、右持ち手作用力及び左持ち手作用力が所定閾値以下でない場合(No)はステップSB060Aに処理を進める。なお、制御装置40Xは、所定閾値として、検出方向が「前方作用方向」の場合は後述する前方所定閾値を用いて上記判定を行い、検出方向が「後方作用方向」の場合は後述する後方所定閾値を用いて上記判定を行う。
ステップSB050にて制御装置40Xは、進行速度が所定進行速度以下(進行速度≦所定進行速度)であるか否かを判定し、進行速度が所定進行速度以下である場合(Yes)はステップSB060Bに処理を進め、進行速度が所定進行速度以下でない場合(No)はステップSB060Aに処理を進める。なお、所定進行速度は、歩行支援装置が停止していると判断する歩行支援装置の進行速度であり、ほぼ0の値に設定されている(例えば、0.01m/sec)。
ステップSB060Aにて制御装置40Xは、(暫定)制御モードに「通常制御」を記憶し、処理を終了する(リターンする)。なお、(暫定)制御モードは、SB200(動作、制御モード判定処理)において、制御モードを「通常制御」から「移動抑制制御」へ移行させるか否かを判断するために用いられる暫定の制御モードである。また、制御装置40Xは、(暫定)制御モードに「通常制御」を記憶するとともに、内部カウンタが動作している場合は、内部カウンタのカウントを停止し初期化する。
ステップSB060Bにて制御装置40Xは、(暫定)制御モードに「移動抑制制御」を記憶し、ステップSB070Aに処理を進める。なお、制御装置40Xは、(暫定)制御モードに「移動抑制制御」を記憶するとともに、内部カウンタが停止している場合は、内部カウンタのカウントを開始する。
ステップSB070Aにて制御装置40Xは、第1所定時間以上、継続して、(暫定)制御モードが「移動抑制制御」である場合であるか否かを判定し、第1所定時間以上、継続して、(暫定)制御モードが「移動抑制制御」である場合(Yes)はステップSB080Aに処理を進め、第1所定時間以上、継続して、(暫定)制御モードが「移動抑制制御」でない場合(No)は処理を終了する(リターンする)。具体的には、制御装置40Xは、内部カウンタのカウント値が第1所定時間に対応した値を超えている場合に、第1所定時間以上、継続して、(暫定)制御モードが「移動抑制制御」であると判定する。なお、第1所定時間は、例えば、3秒である。
ステップSB080Aにて制御装置40Xは、制御モードに「移動抑制制御」を記憶し、処理を終了する(リターンする)。
ステップSB030Bにて制御装置40Xは、制御モードが「移動抑制制御」であるか否かを判定し、制御モードが「移動抑制制御」である場合(Yes)はステップSBC40Bに処理を進め、制御モードが「移動抑制制御」でない場合(No)はステップSBC40Cに処理を進める。
ステップSB040Bにて制御装置40Xは、右持ち手作用力あるいは左持ち手作用力が作用力閾値より大きい(右持ち手作用力あるいは左持ち手作用力>作用力閾値)場合であるか否かを判定し、右持ち手作用力あるいは左持ち手作用力が作用力閾値より大きい場合(Yes)はステップSB080Bに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB080Aに処理を進める。なお、制御装置40Xは、所定力閾値として、検出方向が「前方作用方向」の場合は後述する前方所定力閾値を用いて上記判定を行い、検出方向が「後方作用方向」の場合は後述する後方所定力閾値を用いて上記判定を行う。
ステップSB080Bにて制御装置40Xは、制御モードに「微小進行制御」を記憶し、処理を終了する(リターンする)。
ステップSB040Cにて制御装置40Xは、右持ち手作用力あるいは左持ち手作用力が作用力閾値より大きい(右持ち手作用力あるいは左持ち手作用力>作用力閾値)場合であるか否かを判定し、右持ち手作用力あるいは左持ち手作用力が作用力閾値より大きい場合(Yes)はステップSB060Cに処理を進め、そうでない場合(No)は処理を終了する(リターンする)。なお、制御装置40Xは、そうでない場合(No)において、内部カウンタが動作している場合は、内部カウンタのカウントを停止し初期化する。また、所定力閾値は、後述する前方所定力閾値Fth2、後方所定力閾値Rth2である。なお、制御装置40Xは、所定力閾値として、検出方向が「前方作用方向」の場合は後述する前方所定力閾値を用いて、検出方向が「後方作用方向」の場合は後述する後方所定力閾値を用いて上記判定を行う。
ステップSB060Cにて制御装置40Xは、(暫定)制御モードに「通常制御」を記憶し、ステップSB070Bに処理を進める。なお、制御装置40Xは、(暫定)制御モードに「通常制御」を記憶するとともに、内部カウンタが停止している場合は、内部カウンタのカウントを開始する。
ステップSB070Bにて制御装置40Xは、第2所定時間以上、継続して、(暫定)制御モードが「通常制御」である場合であるか否かを判定し、第2所定時間以上、継続して、(暫定)制御モードが「通常制御」である場合(Yes)はステップSB080Cに処理を進め、第2所定時間以上、継続して、(暫定)制御モードが「通常制御」でない場合(No)は処理を終了する(リターンする)。具体的には、制御装置40Xは、内部カウンタのカウント値が第2所定時間に対応した値以上である場合に、第2所定時間以上、継続して、(暫定)制御モードが「通常制御」であると判定する。なお、第2所定時間は、例えば、2秒である。
ステップSB080Cにて制御装置40Xは、制御モードに「通常制御」を記憶し、処理を終了する(リターンする)。
●[SB500:中央位置速度補正量算出処理の詳細(図18)]
次に図18を用いて、SB500(中央位置速度補正量算出処理)の詳細について説明する。図13に示すステップS050にてSB500を実行する際、制御装置40X(図12参照)は、図18に示すステップSB505へ処理を進める。
ステップSB505にて制御装置40Xは、動作モードがトレーニングモードであるか否かを判定し、動作モードがトレーニングモードである場合(Yes)はステップSB510に処理を進め、動作モードがトレーニングモードでない場合(No)はステップSB550に処理を進める。
ステップSB510に処理を進めた場合、制御装置40Xは、「(右持ち手前後位置+左持ち手前後位置)/2」を求めて持ち手前後中央位置に記憶し、ステップSB520に処理を進める。
ステップSB510を実行する制御装置40Xによる処理は、それぞれの持ち手前後位置に対するフレーム前後方向の中央となる持ち手前後中央位置を求める、持ち手前後中央位置算出部40G(図12参照)における処理に相当する。
図22は、歩行支援装置10Aを上から見た図であり、(右)持ち手20Rの持ち手前後位置(PmR)、(左)持ち手20Lの持ち手前後位置(PmL)、仮想前後基準位置(Ps)、持ち手前後中央位置(Pmc)、可動範囲(シャフト21L、21Rのフレーム前後方向の移動範囲)の中央位置(Pc)を説明する図である。例えば、フレーム前後方向において、持ち手20R、20Lの可動範囲L1は、可動範囲L1の前端位置(Po)から、可動範囲の後端位置(Pr)までである。そして中央位置(Pc)は、フレーム前後方向における可動範囲L1の中央位置である。例えば可動範囲L1の中央位置(Pc)よりも所定距離Laだけ後方となる位置が、フレーム前後方向における所定位置である仮想前後基準位置(Ps)に設定されている。また、右持ち手前後位置(PmR)と左持ち手前後位置(PmL)とのフレーム前後方向における中央位置が、持ち手前後中央位置(Pmc)となる。
ステップSB520にて制御装置40Xは、「持ち手前後中央位置−仮想前後基準位置」を求めて前後方向偏差に記憶し、ステップSB530に処理を進める。なお図22に示すように、前後方向偏差ΔLは、持ち手前後中央位置(Pmc)と仮想前後基準位置(Ps)との偏差である。
ステップSB530にて制御装置40Xは、前後方向偏差に応じた中央位置速度補正量を求め、求めた中央位置速度補正量を記憶して、処理を終了する(リターンする)。例えば、図23に示す前後方向偏差・中央位置速度補正量特性が記憶手段に記憶されており、制御装置40Xは、当該前後方向偏差・中央位置速度補正量特性と、前後方向偏差とに基づいて、中央位置速度補正量を求めて記憶する。
ステップSB550に処理を進めた場合、制御装置40Xは、「右持ち手前後位置−シャフト基準位置」を求めて右偏差に記憶し、ステップSB560に処理を進める。動作モードが「アシストモード」の場合、「ロック状態」とされているので、使用者は、持ち手を把持して腕を振りながら歩行することはできない。「アシストモード」の場合、以下のステップSB550〜SB580にて、持ち手が前方に押されている場合に、中央位置速度補正にて歩行支援装置10Aを前方に加速させる。
ステップSB560にて制御装置40Xは、「左持ち手前後位置−シャフト基準位置」を求めて左偏差に記憶し、ステップSB570に処理を進める。
ステップSB570にて制御装置40Xは、「(右偏差+左偏差)/2」を求めて前後方向偏差に記憶し、ステップSB580に処理を進める。
ステップSB580にて制御装置40Xは、前後方向偏差に応じた中央位置速度補正量を求め、求めた中央位置速度補正量を記憶して、処理を終了する(リターンする)。例えば、図23に示す前後方向偏差・中央位置速度補正量特性が記憶手段に記憶されており、制御装置40Xは、当該前後方向偏差・中央位置速度補正量特性と、前後方向偏差とに基づいて、中央位置速度補正量を求めて記憶する。なお、前後方向偏差の値が同じであっても、ロック状態の場合の中央位置速度補正量(ステップSB580)を、解除状態の場合の中央位置速度補正量(ステップSB530)よりも大きくすると、より好ましい。
ステップSB520、SB530、SB570、SB580を実行する制御装置40Xによる処理は、フレーム前後方向において、持ち手前後中央位置を仮想前後基準位置に近づけるように歩行支援装置10Aの進行速度を調整する中央位置速度補正量を算出する、中央位置速度補正量算出部40H(図12参照)における処理に相当する。
●[SB600:進行速度調整処理の詳細(図19)]
次に図19を用いて、SB600(進行速度調整処理)の詳細について説明する。図13に示すステップS060にてSB600を実行する際、制御装置40X(図12参照)は、図19に示すステップSB610へ処理を進める。
ステップSB610にて制御装置40Xは、「進行速度+対地速度補正量+中央位置速度補正量」を求めて右目標速度に記憶し、「進行速度+対地速度補正量+中央位置速度補正量」を求めて左目標速度に記憶し、ステップSB620へ処理を進める。なお、対地速度補正量は、持ち手対地速度が「負」の場合には歩行支援装置を前方に加速させる所定の速度補正量が設定され、持ち手対地速度が「正」の場合には歩行支援装置を減速させる所定の速度補正量が設定される。
ステップSB620にて制御装置40Xは、右目標速度、かつ、目標トルクとなるように(右)走行用駆動手段64Rを制御し、左目標速度、かつ、目標トルクとなるように(左)走行用駆動手段64Lを制御し、処理を終了する(リターンする)。
ステップSB610、SB620を実行する制御装置40Xによる処理は、検出方向に基づいて歩行支援装置の駆動輪を駆動する制御をする、進行制御部40F(図12参照)における処理に相当する。
●[SB700:移動抑制制御処理の詳細(図20)]
次に図20を用いて、SB700(移動抑制制御処理)の詳細について説明する。図13に示すステップS020にてSB700を実行する際、制御装置40Xは、図20に示すステップSB710へ処理を進める。
ステップSB710にて制御装置40Xは、サーボロック状態になるように、右走行用駆動手段及び左走行用駆動手段のそれぞれを制御し、処理を終了する(リターンする)。
ステップSB710を実行する制御装置40Xによる処理は、駆動輪の駆動を抑制する移動抑制制御を行う、移動抑制制御部40K(図12参照)における処理に相当する。
●[SB800:微小進行制御処理の詳細(図21)]
次に図21を用いて、SB800(微小進行制御処理)の詳細について説明する。図13に示すステップS030にてSB800を実行する際、制御装置40X(図12参照)は、図21に示すステップSB810へ処理を進める。
ステップSB810にて制御装置40Xは、微小進行制御開始から所定の微小時間Δt経過したか否かを判定し、微小時間Δt経過した場合(Yes)は処理を終了し(リターンし)、微小時間Δt経過していない場合(No)はステップSB820に処理を進める。なお、微小時間Δtは、例えば、数100msec程度で良い。
ステップSB820に処理を進めた場合、制御装置40Xは、検出方向に基づいて、所定の微小速度になるように、右・左走行用駆動手段を制御し、処理を終了する(リターンする)。
ステップSB810〜820を実行する制御装置40Xによる処理は、検出方向に基づいて、所定の微小時間又は所定微小距離進行するように、駆動輪を駆動する制御を行う、微小進行制御部40L(図12参照)における処理に相当する。
●[使用者の腕振り歩行状態と歩行支援装置の移動状態の例(図24)]
図24は、使用者が右手で(右)持ち手20Rを把持し、左手で(左)持ち手20Lを把持し、左腕を前方から後方に振りながら歩行している状態(右腕は後方から前方に振られている)の例を示している。
(左)持ち手20Lが後方に移動する際、地面から見た(左)持ち手20Lの速度である(左)持ち手対地速度が「負」になると、対地速度補正量にて歩行支援装置10Aは前方に加速するので、図24中に一点鎖線で示すように、(左)持ち手20Lは、地面から見た際、あたかも静止しているように見える。つまり、歩行支援装置10Aは、地面から見た際に、後方に移動された(左)持ち手20Lがあたかも静止して見えるように、進行速度を調整しながら進行する。
●[右・左の持ち手の作用力に基づく歩行支援装置の制御モードの判定の例(図25)]
図25は、右・左の持ち手へ加えられる作用力の大きさ及び作用する時間に対する歩行支援装置の制御モードにおけるモードの遷移の例を示している。
図25において、前方所定閾値Fth1は、フレームに対する前後の方向における前方向に向かう作用力に対する所定閾値であり、後方所定閾値Rth1は、フレームに対する前後の方向における後方向に向かう作用力に対する所定閾値である。また、前方作用力閾値Fth2は、フレームに対する前後の方向における前方向に向かう作用力に対する作用力閾値であり、後方作用力閾値Rth2は、フレームに対する前後の方向における後方向に向かう作用力に対する作用力閾値である。なお、フレームに対する前後の方向にて、前方向に向かう作用力は「正」であり、後方向に向かう作用力は「負」である。
前方作用力閾値Fth2は前方所定閾値Fth1より大きくなるように設定され(Fth2>Fth1)、後方作用力閾値Rth2は後方所定閾値Rth1より絶対値が大きくなるように設定されている(|Rth2|>|Rth1|)。また、前方作用力閾値Fth2は後方作用力閾値Rth2の絶対値より大きくなるように設定されている(|Fth2|>|Rth2|)。
また、所定進行速度Vth1は、歩行支援装置が停止していると判断する歩行支援装置の進行速度であり、ほぼ0の値に設定されている(例えば、0.01m/sec)。なお、前方所定閾値Fth1、後方作用力閾値Rth2は、作用力が0と判定できる程度に小さい値であれば良い(例えば、0.01N)。また、前方作用力閾値Fth2は、後方作用力閾値Rth2の10倍程度の大きさで設定されてあれば良く、例えば、前方作用力閾値Fth2が3Nで、後方作用力閾値Rth2が0.3Nであれば良い。
図25において、右・左の持ち手の作用力がともに前方所定閾値Fth1以下で、かつ、歩行支援装置の進行速度が所定進行速度Vth1以下の状態が第1所定時間T1以上継続すると(時刻P1〜時刻P2の間)、制御装置40X(図12参照)は、歩行支援装置の制御モードを「通常制御」から「移動抑制制御」へと移行させる(時刻P2)。なお、第1所定時間T1は、例えば、3秒である。
図25に示すように、「移動抑制制御」中に前方作用力閾値Fth2を超える作用力(例えば、右の持ち手の作用力)を検出すると(時刻P3)、制御装置40Xは、歩行支援装置の制御モードを「移動抑制制御」から「微小進行制御」へと移行させる。制御装置40Xは、「微小進行制御」において、歩行支援装置を検出方向である前方向に向かって進行させるため、所定の微小速度になるように右・左走行用駆動手段を制御する。このように「微小進行制御」は、使用者から歩行支援装置を少し離れる方向に移動させて、使用者が偶発的に持ち手に作用力を加えた場合なのか、使用者が歩行支援装置の移動を所望して意図的に持ち手に作用力を加えた場合なのか、を判別し、より正確に歩行支援装置の移動を抑制することができる。
制御装置40Xは、「移動抑制制御」中に、少なくとも一方の持ち手(右の持ち手)において前方作用力閾値Fth2を超える作用力を検出した場合には、制御モードを「微小進行制御」に移行させ、第2所定時間T2(時刻P4〜時刻P5の間)を超えて、継続して、当該持ち手において前方作用力閾値Fth2を超える作用力を検出した場合には、「微小進行制御」を解除して、検出方向に基づいて駆動輪を駆動する進行制御(「通常制御」)へと移行する(時刻P5)。なお、第2所定時間T2は、例えば、2秒である。
●[第2の実施形態の歩行支援装置10Bの概略全体構成(図26、図27)]
図26を用いて、第2の実施形態の歩行支援装置10Bの概略全体構成を説明する。歩行支援装置10Bは、第1の実施形態の歩行支援装置10Aに対して、持ち手20R、20Lの代わりに持ち手20RB、20LBを有し、筒状部30R、30Lの代わりに持ち手カバー30LB、30RBを有し、制御装置40Xの代わりに制御装置40Yを有している点で相違する(図1、図26参照)。以下、歩行支援装置10Aに対して相違する点について詳細に説明する。
持ち手カバー30LBは、持ち手フレーム51LBの上端部分と、持ち手フレーム51LBの持ち手フレーム51RBに対向する側の右側壁部51LRの上端部に取り付けられた作用力検出手段81Lと、を覆うように略箱体状に形成されている。また、持ち手カバー30RBは、持ち手フレーム51RBの上端部分と、持ち手フレーム51RBの持ち手フレーム51LBに対向する側の左側壁部51RLの上端部に取り付けられた作用力検出手段81Rと、を覆うように略箱体状に形成されている。なお、作用力検出手段81L、81Rの詳細については後述する(図27参照)。
また、持ち手カバー30RBの上端面には、メインスイッチ12が設けられている。メインスイッチ12は、歩行支援装置10Bの起動を指示するスイッチであり、使用者がオンにするとバッテリBから制御装置40Yと走行用駆動手段64R、64Lへ電力を供給し、歩行支援装置10Bの操作及び駆動走行を可能にする。
持ち手20LBは、使用者が左手で把持する個所であり、持ち手フレーム51LBの上端部から後方に突出するように設けられている。持ち手20LBは、持ち手フレーム51LBに対して(即ち、フレーム50に対して)、使用者が操作していない際の中立位置から中立位置の近傍位置まで(例えば、約1mmである。)操作する方向へ、即ち、フレーム前後方向へ移動可能とされている。
同様に、持ち手20RBは、使用者が右手で把持する個所であり、持ち手フレーム51RBの上端部から後方に突出するように設けられている。持ち手20RBは、持ち手フレーム51RBに対して(即ち、フレーム50に対して)、使用者が操作していない際の中立位置から中立位置の近傍位置まで(例えば、約1mmである。)操作する方向へ、即ち、フレーム前後方向へ移動可能とされている。
作用力検出手段81Lは、使用者の操作によるフレーム前後方向に沿って持ち手20LBに対して作用する作用力を検出し、検出した作用力に応じた検出信号を制御装置40Yに出力する。制御装置40Yは、作用力検出手段81Lからの検出信号に基づいて、持ち手20LBに対して、フレーム前後方向に沿って、前方向に作用する作用力(前方作用力)と、持ち手20LBに後方向に作用する作用力(後方作用力)と、を検出することができる。つまり、制御装置40Yは、作用力検出手段81Lからの検出信号に基づいて、使用者が持ち手20LBを押している場合には前方作用力を検出し、引いている場合には後方作用力を検出する。また、制御装置40Yは、作用力検出手段81Lからの検出信号に基づいて、使用者が持ち手20LBを離している場合、あるいは、使用者が把持した持ち手20LBが中立位置にある場合は、前方作用力と後方作用力のいずれも検出しない。
同様に、作用力検出手段81Rは、使用者の操作によるフレーム前後方向に沿って持ち手20LBに対して作用する作用力に応じた検出信号を制御装置40Yに出力する。制御装置40Yは、作用力検出手段81Rからの検出信号に基づいて、持ち手20RBに対して、フレーム前後方向に沿って、前方向に作用する作用力(前方作用力)と、持ち手20LBに後方向に作用する作用力(後方作用力)と、を検出することができる。つまり、制御装置40Yは、作用力検出手段81Rからの検出信号に基づいて、使用者が持ち手20RBを押している場合には前方作用力を検出し、引いている場合には後方作用力を検出する。また、制御装置40Yは、作用力検出手段81Rからの検出信号に基づいて、使用者が持ち手20RBを離している場合、あるいは、使用者が把持した持ち手20LBが中立位置にある場合は、前方作用力と後方作用力のいずれも検出しない。
●[持ち手20LBと作用力検出手段81Lの詳細構造(図27)]
次に、持ち手20LB、20RBと作用力検出手段81L、81Rの概略構造について説明する。なお、持ち手20LB、20RBと作用力検出手段81L、81Rは、図26に示すように、左右一対で、且つ、左右対称に配置されているため、左側の持ち手20LBと作用力検出手段81Lを例として説明し、右側の持ち手20RBと作用力検出手段81Rについては説明を省略する。
図27に示すように、持ち手20LBは、シャフト部材22Lと、スライド部材23Lと、持ち手部材25GL等から構成されている。ここで、図27に示すように、持ち手20RBは、シャフト部材22Lと、スライド部材23Lと、持ち手部材25GL等と同じ構成のシャフト部材22Rと、スライド部材23Rと、持ち手部材25GR等から構成されている。
図27に示すように、シャフト部材22Lは、持ち手フレーム51LBの上端部から後方へ延出され、中空軸状に形成されている。また、シャフト部材22Lの基端部側には、一対のブレーキレバー取付部221が設けられている。一対のブレーキレバー取付部221の周方向両側縁部の間には、シャフト側案内溝222が形成されている。
図27に示すように、上側のブレーキレバー取付部221には、ネジ27のためのネジ孔223が形成されている。ネジ孔223は、ブレーキレバーBKLの取付用筒部BKL1をシャフト部材22Lの外側に挿入して、持ち手フレーム51LBに当接させた際に、取付用筒部BKL1の上端部に形成された貫通孔BKL2に対向する位置に形成されている。
また、図27に示すように、持ち手フレーム51LBの上端部の左右方向の両側壁部には、左右一対のフレーム側案内溝28が設けられている。
また、左右一対のフレーム側案内溝28には、持ち手フレーム51LBの前後方向中央位置に左右に貫通する断面矩形状の貫通孔(挿通孔)32が形成されている。
図27に示すように、シャフト部材22Lの上下一対のブレーキレバー取付部221よりも後方側の外周面には、径方向外側に突出する断面半円形状のリブ部36が、軸方向(前後方向)に沿って、ほぼ全長に渡って形成されている。そして、図示は省略するが、シャフト部材22Lの外側に、略円筒状に形成されたスライド部材23Lを挿入して配置した場合には、各リブ部36のシャフト部材22Lの径方向外方の先端部が、スライド部材23Lの内周面に当接して、スライド部材23Lを摺動可能に支持する。
次に、スライド部材23L及び持ち手部材25GLの概略構成について図27に基づいて説明する。図27に示すように、スライド部材23Lは、円筒状に形成された円筒部231と、円筒部231の前側先端部から互いに径方向に対向し、且つ、軸方向外側に延出される細長板状に形成された左右一対の挟持部232と、から構成されている。
また、図27に示すように、スライド部材23Lの円筒部231の外側には、ゴム製の持ち手部材25GLが、後端側から嵌入されて装着される。
スライド部材23Lの円筒部231の長さは、シャフト部材22Lの上下一対のブレーキレバー取付部221の後端から後方側端部までの長さよりも少し長い寸法に形成されている。また、円筒部231の内径は、各リブ部36のシャフト部材22Lの径方向外方の先端部が、摺動可能に当接するように形成されている。
また、左右一対の挟持部232の先端部には、左右一対の貫通孔232Aが、互いに対向して同軸に設けられている。また、左右一対の挟持部232の上下方向の幅は、左右一対のシャフト側案内溝222の上下方向の幅、及び、左右一対のフレーム側案内溝28の上下方向の幅と、ほぼ同じ幅寸法に形成されている。
そして、図27に示すように、円筒部231をシャフト部材22Lの外側に配置した際には、左右一対の挟持部232は、それぞれ、左右一対のシャフト側案内溝222と取付用筒部BKL1の内周面とで形成される隙間に前後方向摺動可能に挿入され、更に、左右一対のフレーム側案内溝28に前後方向摺動可能に挿入される。
左右一対の挟持部232の先端部に形成された左右一対の貫通孔232Aは、左右一対のフレーム側案内溝28を左右に貫通する断面矩形状の貫通孔32を間に挟んで互いに対向する。そして、断面円形の支持軸(軸部材)33が、一方の貫通孔232A(例えば、図27中、右側の貫通孔232A)から、貫通孔32を経て、他方の貫通孔232A(例えば、図27中、左側の貫通孔232A)へと左右方向に嵌挿される。
また、図27に示すように、持ち手フレーム51LBの上端面の左右方向中央置には、上方に開口する前後一対のバネ用凹部38が形成されている。一対のバネ用凹部38は、貫通孔32の中心軸32Bを中心に挟んで、支持軸33の直径にほぼ等しい間隔、又は、支持軸33の直径よりも僅かに小さい間隔で前後方向に沿って配置されている。一対のバネ用凹部38のそれぞれの底面部は、断面矩形状の貫通孔32の底面32Aよりも所定高さ(例えば、支持軸33の半径にほぼ等しい高さ)下側に位置するように形成されている。
図27に示すように、各バネ用凹部38の矩形状断面の左右方向の幅は、各バネ用凹部38に上方から押し込まれる一対の圧縮コイルバネ39の外径よりも僅かに大きい寸法に形成されている。一対の圧縮コイルバネ39の外径は、支持軸33の直径よりも大きい。また、各バネ用凹部38の矩形状断面の前後方向の幅は、圧縮コイルバネ39の全長よりも少し短い寸法に形成されている。
従って、図27に示すように、一対の圧縮コイルバネ39は、それぞれ、圧縮された状態で各バネ用凹部38に上方から押し込まれて、各バネ用凹部38の底面部に当接される。その結果、一対のバネ用凹部38の奥側まで押し込まれた各圧縮コイルバネ39は、貫通孔32に嵌挿される支持軸(軸部材)33の外周面に当接して、この支持軸33を一対のバネ用凹部38間の中心位置、つまり、貫通孔32の中心軸32B上に位置するように前後方向の両側から付勢する。
また、支持軸33が一対の圧縮コイルバネ39の付勢力によって貫通孔32の中心軸32B上に位置された場合には、スライド部材23Lの円筒部231の前側端面と、シャフト部材22Lの上下一対のブレーキレバー取付部221の後側端面との間には、それぞれ隙間が形成されている。また、同時に、持ち手部材25GLの前側端面と、ブレーキレバーBKLの取付用筒部BKL1の後側端面との間にも、隙間が全周に渡って形成されている。
また、同時に、スライド部材23Lの各挟持部232の先端部と、各フレーム側案内溝28の前側内壁面との間にも、それぞれ隙間が形成されている。
これにより、使用者が持ち手部材25GLを把持して、前側に押した場合には、圧縮コイルバネ39の付勢力に抗して、支持軸33を貫通孔32の中心軸32Bに位置する状態から前側方向へ移動可能な距離まで移動させることができる。また、使用者が持ち手部材25GLを把持して、後側に引いた場合には、圧縮コイルバネ39の付勢力に抗して、支持軸33を貫通孔32の中心軸32Bに位置する状態から後側方向へ移動可能な距離まで移動させることができる。
次に、作用力検出手段81Lの概略構成について図27に基づいて説明する。図27に示すように、作用力検出手段81Lは、ベース部材82と、移動部材83と、一対の感圧センサ85等から構成されている。図27に示すように、ベース部材82は、フレーム側案内溝28を覆うように各ネジ86により取り付けられる正面視矩形状の平板部82Aと、平板部82Aの前後方向の両側縁部から全長に渡って略直角右側方向、つまり、略直角内側方向へ延出された略矩形状の一対のフランジ部82Bと、から形成されている。
また、平板部82Aは、フレーム側案内溝28に形成された貫通孔32に対向する位置に、貫通孔32の中心軸32Bと同軸に貫通する断面矩形状のストッパー用貫通孔82Cが形成されている。
ストッパー用貫通孔82Cに嵌挿された支持軸33は、貫通孔32の中心軸32B上に位置した際の中立位置から、支持軸33の外周面がストッパー用貫通孔82Cの前後方向の両内側壁面に当接するまで、前後方向にそれぞれ所定距離だけ移動可能に構成されている。また、図27に示すように、平板部82Aのストッパー用貫通孔82Cの所定高さ下側には、正面視前後方向に長い突出片82Dが所定高さ水平に突出している。突出片82Dは、支持軸33の右側端部に取り付けられた移動部材83の下面が、上方から摺動可能に当接して、移動部材83が中心軸32B回りに回転しないで前後方向に案内されるように構成されている。
移動部材83は、図27に示すように、ベース部材82の平板部82Aに摺動可能に当接する左側面が、ストッパー用貫通孔82Cの断面よりも大きい矩形状の略直方体に形成されると共に、前後方向両端部に左側方向へ、つまり、平板部82A側へ窪む一対の段差部83Aが形成されている。また、移動部材83の前後方向両端部に形成された一対の段差部83Aには、例えば、シリコンゴム等の弾性体で略円柱状に形成された一対のセンサ当接部83Bが、移動部材83よりも前後方向外側に突出して同軸に取り付けられている。
また、図27に示すように、移動部材83は、正面視中央位置に、支持軸33の外径にほぼ等しい内径の貫通孔83Cが形成されている。そして、移動部材83は、ストッパー用貫通孔82Cから突出する支持軸33の右側端部が貫通孔83Cに嵌挿された後、支持軸33の右側端部に形成された環状溝33A(図27参照)にEリング88が固定される。また一方、支持軸33の左側端部は、一対の挟持部232に形成された一対の貫通孔232A、及び、貫通孔32に嵌挿されて、左側の挟持部232の貫通孔232Aから突出する。そして、支持軸33の左側端部に形成された環状溝33B(図27参照)にEリング88が固定される。
その後、上記のように、一対のバネ用凹部38のそれぞれに、各圧縮コイルバネ39を上方の開口から奥側まで押し込むことによって、支持軸33及び移動部材83が、貫通孔32及びストッパー用貫通孔82Cの中心軸32B上に位置される。つまり、支持軸33及び移動部材83が中立位置に位置される。
図27に示すように、一対の感圧センサ85は、ベース部材82の各フランジ部82Bの前後方向内側面に、移動部材83の一対のセンサ当接部83Bに対して前後方向に相対向するように、接着等によって取り付けられている。感圧センサ85は、圧力を電気的に検出する素子である。例えば、感圧センサ85は、電極層と感圧抵抗層からなる感圧抵抗フィルムによって構成される。
作用力が検出されていないとき、つまり、使用者による操作がなく、支持軸33及び移動部材83が中立位置に位置して、感圧センサ85がセンサ当接部83Bによって押圧されていないときは、電極層と感圧抵抗層とは接触していないので、絶縁状態となり、感圧センサ85の抵抗値が大きくなる(例えば、数MΩ以上)。一方、作用力を検出したとき、つまり、使用者の操作により、支持軸33及び移動部材83が移動方向に移動して、感圧センサ85がセンサ当接部83Bによって押圧されたときは、電極層と感圧抵抗層とは接触状態になって、圧力に応じた感圧センサ85の電気抵抗が検出される。圧力が大きいほど感圧センサ85の抵抗値は小さくなる(〜数kΩ程度)。
これにより、作用力検出手段81Lは、使用者が持ち手20LBを操作していない際の支持軸33及び移動部材83の中立位置から、使用者の操作による作用力によって支持軸33及び移動部材83がフレーム前後方向に移動した動きに応じた各感圧センサ85の検出信号を制御装置40Yに出力する。
具体的には、作用力検出手段81Lは、持ち手20LBが押されると(前方作用力)、前方の側の感圧センサ85の圧力に応じた電気抵抗に応じた検出信号を制御装置40Yに出力し、持ち手20LBが引かれると(後方作用力)、後方の側の感圧センサ85の圧力に応じた電気抵抗に応じた検出信号を制御装置40Yに出力する。
制御装置40Yは、作用力検出手段81Lにて、持ち手20LBに対して、予め設定された所定判定時間以上、フレーム前後方向に沿って前方向に作用する作用力が継続した場合には、該作用力を前方作用力として検出し、予め設定された所定判定時間以上、フレーム前後方向に沿って後方向に作用する作用力が継続した場合には、該作用力を後方作用力として検出する。また、制御装置40Yは、作用力検出手段81Lにて、持ち手20LBに対して、予め設定された所定判定時間以上継続して、フレーム前後方向に沿って作用力が作用していない場合には、前方作用力と後方作用力のいずれも作用していないとする(作用力未検出)。
支持軸33及び移動部材83が中立位置に位置している際は、各感圧センサ85と、相対向する各センサ当接部83Bとの間には、それぞれ隙間が形成されている。各感圧センサ85と相対向する各センサ当接部83Bとの間の距離は、支持軸33及び移動部材83が、貫通孔32及びストッパー用貫通孔82Cの中心軸32Bに位置する状態からフレーム前後方向に移動可能である移動距離よりも小さい距離L1(例えば、移動距離よりも約0.3mm〜0.5mm小さい距離)(図示省略)に設定されている。これにより、持ち手部材25GLが使用者によって操作されて、移動部材83が距離L1だけフレーム前後方向に移動した際に、センサ当接部83Bによって操作方向の感圧センサ85を確実に押圧することができる。
●[制御装置40Yの入出力(図28)]
図28は、制御装置40Yの入出力を示すブロック図である。制御装置40Yは、図示省略したCPU等の制御手段と、記憶手段44等を有している。また制御装置40Yには、進行速度検出手段64LE、64REからの検出信号、作用力検出手段81R、81Lからの検出信号、3軸加速度・角速度センサ50Sからの検出信号が入力されている。
制御装置40Yには、メインスイッチ12の操作状態が入力されている。また制御装置40Yは、走行用駆動手段64L、64Rに制御信号を出力する。
●[制御装置40Yの処理手順(図29〜図36)]
図29は、制御装置40Y(図28参照)の処理手順における全体処理を示している。使用者がメインスイッチ12をONにすると、所定時間間隔(例えば数[msec]間隔)で、図29に示す処理が起動される。制御装置40Yは、図29に示す処理が起動されると、ステップS005Aへと処理を進める。なお以下では、使用者が歩行支援装置とともに前進するように歩行する場合の例を説明する。
ステップS005Aにて制御装置40Yは、SB100A(入力処理)を実行してステップS010Aに処理を進める。なお、SB100A(入力処理)の詳細については後述する。
ステップS010Aにて制御装置40Yは、SB200A(制御モード判定処理)を実行してステップS015AAに処理を進める。なお、SB200A(制御モード判定処理)の詳細については後述する。
ステップS015AAにて制御装置40Yは、制御モードが「通常制御」であるか否かを判定し、制御モードが「通常制御」である場合(Yes)はステップS030Aに処理を進め、制御モードが「通常制御」でない場合(No)はステップS015BAへ処理を進める。
ステップS015BAにて制御装置40Yは、制御モードが「微小進行制御」であるか否かを判定し、制御モードが「微小進行制御」である場合(Yes)はステップS080Aに処理を進め、制御モードが「微小進行制御」でない場合(No)はステップS070Aへ処理を進める。
ステップS070Aにて制御装置40Yは、SB700(移動抑制制御処理)を実行し、処理を終了する(リターンする)。なお、SB700(移動抑制制御処理)は、第1の実施形態の制御装置40XにおけるSB700(移動抑制制御処理)と同じである。なお、ステップS070Aを実行する制御装置40Yによる処理は、駆動輪の駆動を抑制する移動抑制制御を行う、移動抑制制御部40KY(図28参照)における処理に相当する。
ステップS080Aにて制御装置40Yは、SB800(移動抑制制御処理)を実行し、処理を終了する(リターンする)。なお、SB800(移動抑制制御処理)は、第1の実施形態の制御装置40XにおけるSB800(移動抑制制御処理)と同じである。ステップS080Aを実行する制御装置40Xによる処理は、検出方向に基づいて、所定の微小時間、進行するように、駆動輪を駆動する制御を行う、微小進行制御部40LY(図28参照)における処理に相当する。
ステップS030Aにて制御装置40Yは、SB300A(進行・旋回制御決定処理)を実行してステップS050Aに処理を進める。なお、SB300A(進行・旋回制御決定処理)の詳細については後述する。
ステップS050Aにて制御装置40Yは、SB500A(進行速度調整処理)を実行してステップS090Aに処理を進める。なお、SB500A(進行速度調整処理)の詳細については後述する。
ステップS090Aにて制御装置40Yは、SB900A(進行速度制限処理)を実行してステップS100Aに処理を進める。なお、SB900A(進行速度制限処理)の詳細については後述する。
ステップS100Aにて制御装置40Yは、SB1000A(進行速度駆動処理)を実行して処理を終了する(リターンする)。なお、SB1000A(進行速度駆動処理)の詳細については後述する。
●[SB100A:入力処理の詳細(図30)]
次に図30を用いて、SB100A(入力処理)の詳細について説明する。図29に示すステップS005AにてSB100Aを実行する際、制御装置40Yは、図30に示すステップSB010Aへ処理を進める。
ステップSB010Aにて制御装置40Yは、右の持ち手の作用力の検出方向・大きさ、右現在進行速度、左の持ち手の作用力の検出方向・大きさ、左現在進行速度、車体傾斜、ピッチ角速度、ヨー角速度、ロール角速度、を更新して、ステップSB030Aに処理を進める。
具体的には、制御装置40Yは、作用力検出手段81R(図28参照)からの検出信号に基づいて求めた、フレーム50に対する前後の方向であるフレーム前後方向に沿って、前方向に作用する前方作用力と、後方向に作用する後方作用力、のそれぞれを検出し、検出された作用力を右持ち手作用力として記憶する。また、制御装置40Yは、前方作用力を検出した場合、右の持ち手の作用力の検出方向である右検出方向に「前方作用方向」を設定し、後方作用力を検出した場合、右検出方向に「後方作用方向」を設定する。また制御装置40Yは、前方作用力と後方作用力のいずれも検出しない場合、右の持ち手の作用力の方向に「中立」を設定する。
また制御装置40Yは、(右)走行用駆動手段64Rの(右)進行速度検出手段64REからの検出信号に基づいて、(右)走行用駆動手段64Rの回転数を検出して後輪60RRの回転数から後輪60RRによる進行速度を検出して右現在進行速度に記憶する(図28参照)。
同様に制御装置40Yは、左の持ち手の作用力の検出方向・大きさ(左持ち手作用力)、左現在進行速度、を記憶する。また制御装置40Yは、3軸加速度・角速度センサ50S(図28参照)からの検出信号に基づいて求めた歩行支援装置10Bの車体の傾斜角度や傾斜方向等の傾斜情報を車体傾斜に記憶する。また制御装置40Yは、3軸加速度・角速度センサ50S(図28参照)からの検出信号に基づいて求めた歩行支援装置10BのY軸回りの角速度をピッチ角速度に記憶し、Z軸回りの角速度をヨー角速度に記憶し、X軸回りの角速度をロール角速度に記憶する。
ステップSB030Aにて制御装置40Yは、ステップSB010Aにて記憶した右現在進行速度及び左現在進行速度に基づいて、今回の処理における歩行支援装置の進行速度である現在進行速度を求めて記憶し、処理を終了する(リターンする)。例えば制御装置40Yは、現在進行速度=(右進行速度+左進行速度)/2にて、現在進行速度(進行速度)を求める。
ステップSB010Aを実行する制御装置40Yによる処理は、作用力検出手段のそれぞれからの信号に基づいて、持ち手20RB、20LBのそれぞれに作用する作用力の大きさ及び作用力が検出される方向である検出方向を求める、作用力検出部40JY(図28参照)における処理に相当する。
●[SB200A:動作、制御モード判定処理の詳細(図31)]
次に図31を用いて、SB200A(動作、制御モード判定処理)の詳細について説明する。なお、SB200A(動作、制御モード判定処理)は、制御装置40XにおけるSB200(動作、制御モード判定処理)のステップS010〜ステップSB020Bがない点を除き、その他のステップは同一であるため、説明を省略する。
●[SB300A:進行・旋回制御決定処理(図32)]
次に図32を用いて、SB300A(進行・旋回制御決定処理)の詳細について説明する。図29に示すステップS030AにてSB300Aを実行する際、制御装置40Yは、図32に示すステップSB305Aへ処理を進める。
ステップSB305Aにて制御装置40Yは、進行・旋回モードを決定し、処理を終了する(リターンする)。
具体的には制御装置40Yは、記憶されている左右の持ち手の作用力の方向(「前方作用方向」、「中立」、「後方作用方向」)から図36のテーブルに基づいて、「前進」、「後進」、「右旋回」、「左旋回」、又は「停止」の一つを選択し、進行・旋回モードに記憶する。例えば、右の持ち手の作用力の方向が「前方向」であり、左の持ち手の作用力の方向が「後方向」である場合、制御装置40Yは、「右旋回」を進行・旋回モードに記憶する。
●[SB500A:進行速度調整処理の詳細(図33)]
次に図33を用いて、SB500A(進行速度調整処理)の詳細について説明する。図29に示すステップS050AにてSB500Aを実行する際、制御装置40Yは、図33に示すステップSB510AAへ処理を進める。
ステップSB510AAにて制御装置40Yは、進行・旋回モードが「前進」であるか否かを判定し、進行・旋回モードが「前進」である場合(Yes)はステップSB520AAに処理を進め、進行・旋回モードが「前進」でない場合(No)はステップSB510BAに処理を進める。
ステップSB510BAに処理を進めた場合、制御装置40Yは、進行・旋回モードが「後進」であるか否かを判定し、進行・旋回モードが「後進」である場合(Yes)はステップSB520BAに処理を進め、進行・旋回モードが「後進」でない場合(No)はステップSB510CAに処理を進める。
ステップSB510CAに処理を進めた場合、制御装置40Yは、進行・旋回モードが「左旋回」であるか否かを判定し、進行・旋回モードが「左旋回」である場合(Yes)はステップSB520CAに処理を進め、進行・旋回モードが「左旋回」でない場合(No)はステップSB510DAに処理を進める。
ステップSB510DAに処理を進めた場合、制御装置40Yは、進行・旋回モードが「右旋回」であるか否かを判定し、進行・旋回モードが「右旋回」である場合(Yes)はステップSB520DAに処理を進め、(進行・旋回モードが「右旋回」でない場合(No)はステップSB520EAに処理を進める。
ステップSB520AAに処理を進めた場合、制御装置40Yは、「現在進行速度+所定進行速度」を求めて右目標速度に記憶し、「現在進行速度+所定進行速度」を求めて左目標速度に記憶し、処理を終了する(リターンする)。なお、所定進行速度は、予め設定された所定の速度量である。
ステップSB520BAに処理を進めた場合、制御装置40Yは、「現在進行速度−所定進行速度」を求めて右目標速度に記憶し、「現在進行速度−所定進行速度」を求めて左目標速度に記憶し、処理を終了する(リターンする)。
ステップSB520CAに処理を進めた場合、制御装置40Yは、「現在進行速度+所定進行速度」を求めて右目標速度に記憶し、「現在進行速度−所定進行速度」を求めて左目標速度に記憶し、処理を終了する(リターンする)。
ステップSB520DAに処理を進めた場合、制御装置40Yは、「現在進行速度−所定進行速度」を求めて右目標速度に記憶し、「現在進行速度+所定進行速度」を求めて左目標速度に記憶し、処理を終了する(リターンする)。
ステップSB520EAに処理を進めた場合、制御装置40Yは、「速度0(停止)に向けて減速」に応じた速度を求めて、右目標速度に記憶し、速度0(停止)向けて減速」に応じた速度を求めて、左目標速度に記憶し、処理を終了する(リターンする)。なお、制御装置40Yは、具体的には、速度0(停止)に向かうように徐々に減速するように、現在進行速度に対して、所定の速度を減じた速度を求めて、右目標速度、左目標速度のそれぞれに記憶する。
●[SB900A:進行速度制限処理の詳細(図34)]
次に図34を用いて、SB900A(進行速度制限処理)の詳細について説明する。図29に示すステップS090AにてSB900Aを実行する際、制御装置40Yは、図34に示すステップSB910Aへ処理を進める。
ステップSB910Aにて制御装置40Yは、右目標速度が前方制限速度以上(右目標速度≧前方制限速度)であるか否かを判定し、右目標速度が前方制限速度以上である場合(Yes)はステップSB930Aに処理を進め、右目標速度が前方制限速度以上でない場合(No)はステップSB920Aに処理を進める。なお、前方制限速度は、予め設定された所定速度であり、歩行支援装置の前進走行における制限速度である。前方制限速度としては、例えば、3〜4km/hである。
ステップSB920Aに処理を進めた場合、制御装置40Yは、右目標速度が後方制限速度以上(右目標速度≦後方制限速度)であるか否かを判定し、右目標速度が後方制限速度以上である場合(Yes)はステップSB940Aに処理を進め、右目標速度が後方制限速度以上でない場合(No)はステップSB910Bに処理を進める。なお、後方制限速度は、予め設定された所定速度であり、歩行支援装置の後進走行における制限速度である。後方制限速度としては、例えば、1km/hである。
ステップSB930Aに処理を進めた場合、制御装置40Yは、前方制限速度を右目標速度に記憶し、前方制限速度を左目標速度に記憶し、ステップSB910Bに処理を進める。
ステップSB940Aに処理を進めた場合、制御装置40Yは、後方制限速度を右目標速度に記憶し、後方制限速度を左目標速度に記憶し、ステップSB910Bに処理を進める。
ステップSB910B〜SB940Bの処理は、左目標速度を求める処理であり、右目標速度を求めるステップSB910A〜SB940Aと同様であるので説明を省略する。
●[SB1000A:進行速度駆動処理の詳細(図35)]
次に図35を用いて、SB1000A(進行速度駆動処理)の詳細について説明する。図29に示すステップS100AにてSB1000Aを実行する際、制御装置40は、図35に示すステップSB1010Aへ処理を進める。
ステップSB1010Aにて制御装置40Yは、右目標速度となるように(右)走行用駆動手段64Rを制御し、左目標速度となるように(左)走行用駆動手段64Lを制御し、処理を終了する(リターンする)。
ステップSB1010Aを実行する制御装置40Yによる処理は、検出方向に基づいて歩行支援装置の駆動輪を駆動する制御をする、進行制御部40FY(図28参照)における処理に相当する。
●[本願の効果]
以上に説明したように、本実施の形態にて説明した歩行支援装置は、使用者が左右の持ち手を把持して駆動する歩行支援装置において、使用者が把持を止めた場合には歩行支援装置を停止させ、使用者が歩行支援装置にブレーキを掛けない状態で把持した持ち手を誤った方向に押した場合であっても、使用者の意図に反する方向への走行を防止することができる。
本発明の、歩行支援装置は、本実施の形態で説明した構成、構造、形状、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態では、複数の車輪を有する歩行支援装置を、四輪車として2個の駆動輪を設けた例を説明したが、歩行支援装置を前一輪、後ろ二輪の三輪車にして、前輪を駆動輪、後輪の二輪をキャスタ輪としてもよい。つまり、歩行支援装置は、少なくとも1つの駆動輪を有していればよい。また本実施の形態の説明では、走行用駆動手段(サーボ機構付き電動モータ)の制御において、「進行速度」を調整する例を説明したが、「速度」の制御に限らず「トルク」を制御するようにしてもよく、モータトルクを制御して進行速度を調整するようにしてもよい。
本実施の形態では、SB700(移動抑制制御処理)において、制御装置がサーボロック状態になるように右走行用駆動手段及び左走行用駆動手段を制御する例で説明したが、これに限定されず、制御装置が走行用駆動手段の通電を停止することで駆動輪の駆動を抑制しても良い。
本実施の形態では、検出方向が「前方作用方向」及び「後方作用方向」である例を用いて説明したが、これに限定されない。例えば、検出方向は、フレーム前後方向に直交する方向であって、フレームに対して垂直方向であるフレーム垂直方向において、上方向に向かう「上方作用方向」と、下方向に向かう「下方作用方向」と、を含んでも良い。この場合において、作用力検出手段をフレーム垂直方向に沿って設けて、「上方作用方向」と作用力と「下方作用方向」の作用力を検出する。これにより、使用者により偶発的に持ち手に加えられる上下方向の作用力に対応できるため、より好適に歩行支援装置の移動を抑制することができる。
本実施の形態では、SB800(微小進行制御処理)において、所定微小時間、歩行支援装置を走行させる例で説明したが、これに代えて、微小進行制御処理として、所定微小距離(例えば、20mm程度の距離)、歩行支援装置を走行させても良い。
本願の歩行支援装置の進行制御は、本実施の形態の対地速度補正や持ち手を前後方向に沿って振る機構を有する歩行支援装置に限定されず、これらを有しない構成の種々の歩行支援装置における進行制御でも良い。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
10A、10B 歩行支援装置
20L、20R 持ち手
20LB、20RB 持ち手
21L、21R シャフト
21LS、21RS 持ち手位置検出手段(作用力検出手段)
21R1 持ち手嵌合孔
21R2 ロック孔
21R3 中空部
24R 被案内部材
25R 抜け防止部材
25GR、25GL 持ち手部材
26R シャフト側弾性部材
30L、30R 筒状部
30LB、30RB 持ち手カバー
30R1 孔部
31L、31R ロック操作部
31R1、31L1 スイッチ機構(スライドスイッチ)
31R3 ロック突起
31R6、31L6 ロック部
31R7、31L7 ロック状態検出手段(プッシュスイッチ)
32R 案内レール
33R 案内ローラ
34R 蓋部
35R1 筒状部側弾性部材
35R2 カラー
35R3 ダンパ
35R4 弾性ユニット
36R 抜け防止パネル
40X、40Y 制御装置
40A 装置対地速度算出部
40B 持ち手前後位置算出部
40C 持ち手速度算出部
40D 持ち手対地速度算出部
40F、40FY 進行制御部
40G 持ち手前後中央位置算出部
40H 中央位置速度補正量算出部
40J、40JY 作用力検出部
40K、40KY 移動抑制制御部
40L、40LY 微小進行制御部
44 記憶手段
50 フレーム
50K バッグ
50S 3軸加速度・角速度センサ
51L、51R 筒状部支持体
51LB、51RB 持ち手フレーム
51LR 右側壁部
51RL 左側壁部
52L、52R 車輪支持体
60FL、60FR 前輪
60RL、60RR 後輪(駆動輪)
64L、64R 走行用駆動手段(サーボ機構付き電動モータ(サーボモータ))
64LE、64RE 進行速度検出手段
70 操作パネル
72 メインスイッチ
73 バッテリ残量表示部
74 トレーニングモード表示部
75 アシストモード表示部
76 駆動トルク調整部
81R、81L 作用力検出手段
82 ベース部材
82A 平板部
82B フランジ部
82C ストッパー用貫通孔
82D 突出片
83 移動部材
83A 段差部
83B センサ当接部
83C 貫通孔
85 感圧センサ
86 ネジ
88 Eリング
B バッテリ
BKL ブレーキレバー
Pmc 持ち手前後中央位置
PmL、PmR 持ち手前後位置
Ps 仮想前後基準位置
P1〜P5 時刻
SP 基準前後位置
Vth 所定進行速度
W1 前後規制範囲
W2 ストローク
W3 可動ストローク
Fth1 前方所定閾値(所定閾値)
Rth1 後方所定閾値(所定閾値)
Fth2 前方作用力閾値(作用力閾値)
Rth2 後方作用力閾値(作用力閾値)
Δt 微小時間

Claims (6)

  1. フレームと、
    前記フレームに設けられた少なくとも1つの駆動輪を含む複数の車輪と、
    前記駆動輪を駆動する走行用駆動手段と、
    前記フレームに設けられ、使用者に把持される左右一対の持ち手と、
    左右一対の前記持ち手のそれぞれに設けられ、前記フレームに対して、少なくとも一つの検出方向に沿って作用する作用力を検出する、それぞれの作用力検出手段と、
    前記フレームの進行方向における速度である進行速度を検出する進行速度検出手段と、
    前記走行用駆動手段を制御する制御装置と、
    前記走行用駆動手段と前記制御装置への電源となるバッテリと、を備え、
    前記制御装置は、
    第1所定時間以上、継続して、少なくとも一方の前記持ち手において検出した前記作用力が所定閾値以下である、かつ、前記進行速度が所定進行速度以下である、状態の場合には、前記駆動輪の駆動を抑制する移動抑制制御を行う移動抑制制御部と、
    前記移動抑制制御中に、第2所定時間を超えて、継続して、少なくとも一方の前記持ち手において前記所定閾値より大きい作用力閾値を超える前記作用力を検出した場合には、前記移動抑制制御を解除して、前記検出方向に基づいて前記駆動輪を駆動する進行制御を行う進行制御部と、を有する、
    歩行支援装置。
  2. 請求項1に記載の歩行支援装置であって、
    前記制御装置は、
    前記移動抑制制御部にて、前記走行用駆動手段の通電を停止することで、前記駆動輪の駆動を抑制する、
    歩行支援装置。
  3. 請求項1に記載の歩行支援装置であって、
    前記走行用駆動手段は、サーボモータであり、
    前記制御装置は、
    前記移動抑制制御部にて、前記走行用駆動手段をサーボロック状態に制御することで、前記駆動輪の駆動を抑制する、
    歩行支援装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の歩行支援装置であって、
    前記制御装置は、
    前記移動抑制制御中に、前記第2所定時間以下、継続して、少なくとも一方の前記持ち手において検出した前記検出方向の作用力が前記作用力閾値を超える状態の場合には、
    前記検出方向に基づいて、所定の微小時間又は所定微小距離進行するように、前記駆動輪を駆動する制御を行う微小進行制御部を有する、
    歩行支援装置。
  5. 請求項4に記載の歩行支援装置であって、
    それぞれの前記作用力検出手段は、互いに方向の異なる複数の前記検出方向に沿って作用する前記作用力を検出し、
    前記作用力閾値は、複数の前記検出方向のそれぞれに対して個別に設定されている、
    歩行支援装置。
  6. 請求項5に記載の歩行支援装置であって、
    前記検出方向は、前記フレームに対する前後の方向において、前方向に向かう前方作用方向と、後方向に向かう後方作用方向と、を含み、
    前記前方作用方向の前記作用力の前記作用力閾値である前方作用力閾値は、前記後方作用方向の前記作用力の前記作用力閾値である後方作用力閾値よりも大きくなるように設定されている、
    歩行支援装置。
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