JP2021060935A - ブレーキ能力推定装置、安全距離決定装置およびブレーキ能力推定方法 - Google Patents

ブレーキ能力推定装置、安全距離決定装置およびブレーキ能力推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ブレーキ能力の推定精度を向上させることができるブレーキ能力推定装置を提供する。【解決手段】車両に搭載され、車両を停止させる能力であるブレーキ能力を推定するブレーキ能力推定装置であって、ブレーキ能力推定装置が搭載されている車両である自車両1が走行している道路の路面状態を逐次決定する路面状態決定部112と、路面状態決定部112が決定した路面状態に基づいて、自車両1のブレーキ能力を逐次推定するブレーキ能力推定部114とを備える。自車両1のブレーキ能力は路面状態により変化する。したがって、路面状態に基づいて自車両1のブレーキ能力を推定することで、路面状態を考慮しない場合に比較して、精度よく自車両1のブレーキ能力を推定することができる。【選択図】図1

Description

車両に搭載されるブレーキ能力推定装置、安全距離決定装置およびブレーキ能力推定方法に関する。
車両制動制御などにおいて、車両のブレーキ能力を推定する必要がある。本明細書において、ブレーキ能力は、車両を減速させる能力である。車両の速度とブレーキ能力とにより、制動距離が変化する。
特許文献1に記載された車両制御装置は、自車両と直近前方車両との間の安全な車間距離(以下、安全距離)を算出する。そして、車間距離がその安全距離以下になった場合、車両を緊急停止させる。安全距離は、前方車両と自車両のそれぞれのブレーキ能力をもとにして算出することができる。
国際公開第2018/115963号パンフレット
同じ車両でも、車両が走行している道路の路面の状態(以下、路面状態)が変化すると、制動距離が変化する。つまり、ブレーキ能力は路面状態により変化する。また、車両においてブレーキ能力に影響を与える因子(以下、ブレーキ影響因子)には時間変化がある因子がある。ブレーキ影響因子には、タイヤ、ブレーキパッドなどのブレーキ系装置および車重が含まれる。
特許文献1では、路面状態およびブレーキ影響因子の特性の時間変化が考慮されていない。よって、特許文献1に開示された技術では、ブレーキ能力の推定精度が不十分であった。また、ブレーキ能力の推定精度が不十分であると、安全距離の信頼性も低くなる。
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、ブレーキ能力の推定精度を向上させることができるブレーキ能力推定装置、安全距離の信頼性を向上させることができる安全距離決定装置、ブレーキ能力の推定精度を向上させることができるブレーキ能力推定方法を提供することにある。
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。
上記目的を達成するためのブレーキ能力推定装置に係る1つの開示は、
車両に搭載され、車両を停止させる能力であるブレーキ能力を推定するブレーキ能力推定装置であって、
ブレーキ能力推定装置が搭載されている車両である自車両(1)が走行している道路の路面状態を逐次決定する路面状態決定部(112)と、
路面状態決定部が決定した路面状態に基づいて、自車両のブレーキ能力を逐次推定するブレーキ能力推定部(114)と、を備える。
自車両のブレーキ能力は、路面状態により変化する。そこで、ブレーキ能力推定部は、路面状態決定部が決定した路面状態に基づいて自車両のブレーキ能力を推定する。したがって、路面状態を考慮しない場合に比較して、精度よく自車両のブレーキ能力を推定することができる。
上記目的を達成するためのブレーキ能力推定装置に係る別の開示は、
車両に搭載され、車両を停止させる能力であるブレーキ能力を推定するブレーキ能力推定装置であって、
ブレーキ能力推定装置が搭載されている車両である自車両(1)においてブレーキ能力に影響を与える因子であるブレーキ影響因子のうち時間変化がある因子の特性を逐次更新する特性更新部(113)と、
ブレーキ影響因子の特性に基づいて、自車両のブレーキ能力を逐次推定するブレーキ能力推定部(114)とを備える。
自車両のブレーキ能力は、自車両のブレーキ影響因子の特性により変化する。また、自車両のブレーキ影響因子には時間変化があるものがある。そこで、特性更新部は、自車両のブレーキ影響因子のうち時間変化がある因子の特性を逐次更新する。ブレーキ能力推定部は、自車両のブレーキ影響因子の特性をもとに、自車両のブレーキ能力を逐次推定する。よって、精度よく、自車両のブレーキ能力を推定することができる。
上記目的を達成するための安全距離決定装置に係る1つの開示は、
ブレーキ能力推定装置と、
自車両の前方を走行する前方車両のブレーキ能力を推定する他車ブレーキ能力推定部(116)と、
自車両のブレーキ能力と、前方車両のブレーキ能力とに基づいて、自車両と前方車両との間の安全距離を決定する安全距離決定部(118)とを備えた安全距離決定装置である。
また、上記目的を達成するためのブレーキ能力推定方法に係る1つの開示は、
車両を停止させる能力であるブレーキ能力を推定するブレーキ能力推定方法であって、
車両に搭載されたセンサが検出したセンサ値に基づいて、車両が走行している道路の路面状態を逐次決定し、
決定した路面状態に基づいて、車両のブレーキ能力を逐次推定する。
また、上記目的を達成するためのブレーキ能力推定方法に係る別の開示は、
車両を停止させる能力であるブレーキ能力を推定するブレーキ能力推定方法であって、
車両においてブレーキ能力に影響を与える因子であるブレーキ影響因子のうち時間変化がある因子の特性を逐次更新し、
ブレーキ影響因子の特性に基づいて、車両のブレーキ能力を逐次推定する。
第1実施形態の車両制御装置100の構成を示す図である。 図1の路面状態決定部112の処理の一例を示す図である。 安全距離を算出するまでの処理順序を示す図である。 ブレーキ能力を推定する処理を示す図である。 第2実施形態の車両制御装置200の構成を示す図である。 第2実施形態においてブレーキ能力推定部114が実行する処理を示す図である。 第2実施形態において他車ブレーキ能力推定部116が実行する処理を示す図である。 第3実施形態の車両制御装置300の構成を示す図である。 第3実施形態において図4に代えて実行する処理を示す図である。 図9のS51の処理を詳しく示す図である。 第4実施形態においてセンサ統合部が実行する処理を示す図である。 第5実施形態において路面状態決定部112が路面形状を算出する際に実行する処理を示す図である。 第6実施形態において路面状態決定部112が路面摩擦係数μを算出する際に実行する処理を示す図である。 第7実施形態において特性更新部113が実行する処理を示す図である。 第7実施形態において摩擦係数μを算出する処理を示す図である。 第8実施形態において図14に代えて特性更新部113が実行する処理を示す図である。 第9実施形態において路面状態決定部112、ブレーキ能力推定部114、他車ブレーキ能力推定部116が実行する処理を示す図である。 第10実施形態において図4に代えて実行する処理を示す図である。 第11実施形態でブレーキ能力推定部114が実行する処理を示す図である。 第12実施形態において他車ブレーキ能力推定部116が実行する処理を示す図である。
<第1実施形態>
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態の車両制御装置100の構成を示す図である。車両制御装置100は、自車両1に搭載されている。自車両1は、ある車両制御装置100を基準としたとき、その車両制御装置100が搭載されている車両である。
車両制御装置100は、ブレーキ能力推定装置として作動し、ブレーキ能力推定方法を実行して、自車両1のブレーキ能力を推定する。また、車両制御装置100は、安全距離決定装置としても作動し、自車両1の前方を走行する前方車両のブレーキ能力も推定し、自車両1のブレーキ能力と前方車両のブレーキ能力とをもとに、安全距離を決定する。
ブレーキ能力は、車両を減速させる能力である。車両は、道路上を走行する車両であれば特に限定はない。普通乗用車、トラック、バスなどが車両に含まれる。車両制御装置100は、自車両1の挙動を制御する装置である。挙動には、速度と進行方向とが含まれる。車両制御装置100は、レベル1以上の自動運転レベルに対応する車両制御を実行する。車両制御装置100は、自動で自車両1を減速および停止させる制御を行う。
車両制御装置100は、1つ以上のセンサ101を備えている。センサ101が出力する値をセンサ値とする。センサ101には、周辺車両の挙動を検出するセンサが含まれる。周辺車両の挙動を検出するセンサは、周辺車両の挙動を示すセンサ値を出力する。センサ101には、カメラを含ませることができる。他にも、センサ101には、ミリ波レーダ、Lidarを含ませることもできる。図1には、センサ101として、センサ101a、101b、101cを示している。これらセンサ101a、101b、101cを区別しないときはセンサ101と記載する。
センサ101には、自車両1の位置および自車両1の挙動を検出するセンサも含まれる。現在の自車両1の位置(以下、自車位置)を逐次検出できれば、自車両1の挙動である自車両1の速度、進行方向を決定できる。よって、自車位置を検出するセンサを備え、自車両1の挙動を直接的に検出するセンサ101は備えなくてもよい。自車位置を検出するセンサ101には、GNSS受信機も含ませることができる。自車両1の挙動を検出するセンサ101には、車速センサ、ヨーレートセンサ、加速度センサなどを含ませることができる。
また、Lidar等により検出した自車両1の周辺の形状と高精度地図とを照合することで現在の自車位置を検出することができる。この場合、自車両1の位置および自車両1の挙動を検出する専用のセンサ101を備えずに、周辺車両の挙動を検出するセンサ101により、自車両1の位置および自車両1の挙動を検出することができる。
センサ統合部110、経路計画部120、事故責任判断部130、走行部140は、少なくとも1つのプロセッサを備えた構成により実現できる。たとえば、センサ統合部110、経路計画部120、事故責任判断部130、走行部140は、少なくとも1つのプロセッサ、ROM、RAM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えたコンピュータにより実現できる。ROMには、汎用的なコンピュータを、センサ統合部110、経路計画部120、事故責任判断部130、走行部140として機能させるためのプログラムが格納されている。プロセッサが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに記憶されたプログラムを実行することで、コンピュータはセンサ統合部110、経路計画部120、事故責任判断部130、走行部140として機能する。これらの機能が実行されることは、プログラムに対応する車両制御方法が実行されることを意味する。
センサ統合部110、経路計画部120、事故責任判断部130、走行部140は、それぞれ別のプロセッサにより実現することができる。また、センサ統合部110、経路計画部120、事故責任判断部130、走行部140を、3つ以下のプロセッサを備えた構成により実現してもよい。
センサ統合部110には、センサ101からセンサ値が入力される。センサ統合部110は、車両識別部111、路面状態決定部112、ブレーキ能力推定部114、他車ブレーキ能力推定部116、安全距離決定部118を備える。
車両識別部111は、センサ値をもとに、周辺車両の相対挙動を逐次決定する。また、車両識別部111は、自車両1の位置と挙動も決定する。
相対挙動には、相対位置および相対速度が含まれる。相対位置は、相対距離と相対方位により表すことができる。相対挙動は、自車両1の位置と周辺車両の位置の変化から決定することもできる。
路面状態決定部112は、自車両1が走行する道路の路面状態を逐次決定する。路面状態には、路面形状、路面傾斜、路面濡れ度が含まれる。
図2に、路面状態決定部112の処理の一例を示す。図2に示す例では、路面状態を決定するセンサ101として、カメラとLidarを利用する。路面状態決定部112は、図2に示す処理を、自車両1が走行している間、周期的に繰り返し実行する。
ステップ(以下、ステップを省略)S1では、カメラ画像を取得する。このカメラ画像は、自車両1が走行している道路の画像を含んでいる画像である。S2では、Lidarによる計測値を取得する。S3では、S1およびS2で取得したデータをもとに、路面形状、路面傾斜、および、路面濡れ度を算出する。路面形状には、路面の上下方向の形状、換言すれば、路面粗さが含まれる。路面粗さは、路面の材質を区別できる程度の精度で検出することが好ましい。路面の材質は、たとえば、アスファルト、石畳、砂などである。Lidarの計測値は、これらの路面の材質を区別できる精度で、路面粗さを検出できる場合がある。また、代替的に、カメラ画像を解析して路面の材質を決定し、路面の材質から路面粗さを推定してもよい。
路面傾斜は、カメラ画像、Lidarの計測値のいずれからでも決定することができる。また、センサ101に傾斜センサが含まれていれば、その傾斜センサの検出値をもとに、路面傾斜を決定してもよい。
路面濡れ度は、カメラ画像を解析して決定することができる。また、Lidarの計測値から路面の濡れ度を算出することもできる。また、カメラ画像、Lidarの計測値、および、他のセンサ値を組み合わせ、つまり、センサフュージョンにより、路面濡れ度を算出してもよい。路面形状、路面傾斜も、複数種類のセンサ値を組み合わせて決定してもよい。
説明を図1に戻す。ブレーキ能力推定部114は、自車両1のブレーキ能力を逐次推定する。前述したように、ブレーキ能力は、車両を減速させる能力である。自車両1のブレーキ能力は、自車両1が備えるブレーキ装置の能力に基づいて定まる。しかし、自車両1のブレーキ能力は、自車両1が備えるブレーキ装置の能力だけでは正確には定まらない。
ブレーキ装置の能力が全く同じであっても、路面状態が異なれば、同じ車速から減速したときの制動距離は変化する。また、自車両1のブレーキ装置の能力が全く同じであっても、タイヤの性能が異なれば同じ車速から減速したときの制動距離は変化する。また、ブレーキ装置の能力が全く同じであっても、車重が変化すれば同じ車速から減速したときの制動距離は変化する。つまり、ブレーキ装置の能力が全く同じであっても、自車両1のブレーキ能力は変化する。なお、本明細書では、ブレーキパッドなどを備えたブレーキ装置と、車両内において、そのブレーキ装置と機械的に連結されてブレーキ装置の制動力により回転速度が減少する部材を合わせてブレーキ系装置とする。ブレーキ装置はフットブレーキが踏まれたときに作動する装置である。ただし、ブレーキ装置は、自動で作動させることもできる。ブレーキ系装置には、ブレーキ装置とタイヤとが含まれる。
さらには、ブレーキパッドの摩耗等があるのでブレーキ装置それ自体の能力も変化する。そこで、車両制御装置100では、ブレーキ能力推定部114を備え、自車両1のブレーキ能力を逐次推定するのである。
本実施形態では、路面状態決定部112が決定した路面状態をもとに、自車両1のブレーキ能力を推定する。たとえば、路面状態からブレーキ能力が定まるブレーキ能力推定マップを予め記憶しておき、路面状態決定部112が決定した路面状態とそのブレーキ能力推定マップとを用いて、自車両1のブレーキ能力を推定する。また、基準となるブレーキ能力を、路面状態で補正するブレーキ能力推定関数を予め記憶しておき、路面状態決定部112が決定した路面状態とそのブレーキ能力推定関数とを用いて、自車両1のブレーキ能力を推定してもよい。
予め記憶するブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数は、実際に実験をしたり、シミュレーションをしたりして決定する。実験やシミュレーションを経て決定されるブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数は、ブレーキ系装置の特性が反映されたものとなる。したがって、これらブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数を用いることで、自車両1が備えるブレーキ系装置の特性に基づいて、自車両1のブレーキ能力を推定していることになる。
なお、本実施形態では、ブレーキ能力の推定において、車重の変化およびブレーキ系装置の能力の変化は考慮しない。これらを考慮して自車両1のブレーキ能力を推定する例は、第2実施形態以降で説明する。また、本実施形態では、ブレーキ能力の推定において、車重の変化およびブレーキ系装置の能力の変化は考慮しないので、車重の変化およびブレーキ系装置の能力の変化を考慮する場合に比較して、ブレーキ能力の精度は劣る。
そこで、ブレーキ能力を、正規分布などの分布を持ったものとして表してもよい。たとえば、分布の横軸はブレーキ能力であり、縦軸は確率である。また、横軸を、ある車速のときの制動距離、縦軸をその制動距離で停止できる確率とする分布により、ブレーキ能力を表してもよい。後者の場合、そのときの自車両1の車速に応じて横軸である制動距離を補正する。こうすることで、ブレーキ能力をもとに、ある制動距離で停止できる確率の分布を得ることができる。
また、ブレーキ能力は、上記とは異なり、分布を持たない1つの値としてもよい。この場合には、車重やブレーキ系装置の能力などは、標準的な値であるとして、ブレーキ能力を推定する。あるいは、車重やブレーキ系装置の能力などを、ブレーキ制御において一般的に考慮すべき最悪値に設定しておいてもよい。
他車ブレーキ能力推定部116は、自車両1の前方車両のブレーキ能力を逐次推定する。自車両1の前方車両のブレーキ能力も路面状態などにより変化するので、他車ブレーキ能力推定部116が、自車両1の前方車両のブレーキ能力を逐次推定する。自車両1の前方車両には、自車両1と同じ車線を走行する直近の前方車両が含まれる。その他に、自車両1が走行する車線に隣接する車線を走行する前方車両を含ませてもよい。
他車ブレーキ能力推定部116が、前方車両のブレーキ能力を推定する方法は、ブレーキ能力推定部114と同じでよい。すなわち、ブレーキ能力推定マップやブレーキ能力推定関数を用いて、前方車両のブレーキ能力を逐次推定する。なお、他車ブレーキ能力推定部116が用いるブレーキ能力推定マップやブレーキ能力推定関数は、自車両用のマップや関数と同じあってもよいが、前方車両用の専用のものでもよい。また、前方車両用のブレーキ能力推定マップやブレーキ能力推定関数は、1種類ではなく、車種別に設けられていてもよい。
さらには、自車両1のブレーキ能力と同様、前方車両のブレーキ能力も、正規分布などの分布を持ったものとして表してもよい。また、これとは異なり、前方車両のブレーキ能力も、分布を持たない1つの値としてもよい。
安全距離決定部118は、自車両1と前方車両との間の安全距離を決定する。安全距離は、前方車両が、前方車両にとって可能な最大限速度で減速して停止しても、自車両1が前方車両と衝突しない距離である。よって、安全距離を決定するには、前方車両の車速、前方車両のブレーキ能力、自車両1の車速、自車両1のブレーキ能力が必要である。そこで、安全距離決定部118は、前方車両の速度、116で推定した前方車両のブレーキ能力、自車両1の速度、114で推定した自車両1のブレーキ能力から、安全距離を決定する。
センサ統合部110は、センサベース情報Sを経路計画部120と事故責任判断部130にそれぞれ出力する。センサベース情報Sは、センサ統合部110に入力されるセンサ値、および、センサ値をもとにして導出できる情報である。センサ値をもとにして導出できる情報には、対象車情報と安全距離が含まれる。対象車情報は、センサ値から車両識別部111が決定した周辺車両の相対挙動、自車両1の位置と挙動を表す情報である。
経路計画部120は、自車両1が次に走行すべき短期経路の候補となる候補経路T(i=1,2,3・・・)を逐次計画する。短期経路は、走行部140が実行する制御を決定するための経路である。走行部140は、自車両1の加減速と進行方向を制御する。短期経路は、走行部140が実行する次の制御周期で自車両1がどの方向にどの速度で走行するかが定まる経路である。短期経路には、時刻の情報も含まれ、ある時刻にどの位置に自車両1が位置すべきかが定まる。
経路計画部120は候補経路Tを、車両識別部111が識別した周辺車両の相対挙動に基づいて決定する。前述したように、候補経路Tは、短期経路の候補となる経路である。短期経路は、長期経路を複数に分割した経路であって、周辺車両を避けつつ、長期経路を走行することができる経路である。よって、短期経路は走行を継続するための経路である。長期経路は、現在位置から目的地へ向かう経路である。目的地は、自車両1の乗員により目的地が設定されている場合にはその目的地とすることができる。また、自車両1が現在走行中の道路を一定距離走行した地点を目的地とすることもできる。
経路計画部120は、複数の候補経路Tを計画する。候補経路Tは、走行部140に指示する短期経路の候補となる経路である。前方に存在する車両を避けるために車線変更する2つの経路であっても、車線変更する時刻が相互に異なれば、異なる候補経路Tである。また、前述したように、短期経路には時刻の情報も含まれるので、たとえば、同じ直進経路であっても、Δt秒後に到達する位置が異なれば、異なる候補経路Tとなる。経路計画部120が計画する候補経路Tの数は特に制限はない。経路計画部120が計画する候補経路Tの数が状況によって変動してもよい。経路計画部120は、計画した候補経路Tを事故責任判断部130に送る。
事故責任判断部130は、事故責任予測部131、経路選択部132、緊急停止選択部133を備えている。事故責任予測部131は、経路計画部120が計画した各候補経路Tを自車両1が走行した場合について、その候補経路Tを走行して自車両1に事故が生じた場合に、自車両1に生じる事故の責任を予測する。事故の責任は、たとえば、潜在事故責任値ALvalで表すことができる。潜在事故責任値ALvalは、対象車両と自車両1との間に事故が生じた場合における、自車両1の責任の程度を示す値である。
本実施形態では、潜在事故責任値ALvalは、責任が低いほど小さい値になる。潜在事故責任値ALvalは、自車両1が安全運転をしているほど小さい値になる。たとえば、車間距離が十分に確保されている場合には、潜在事故責任値ALvalは小さい値になる。また、潜在事故責任値ALvalは、自車両1が急加速や急減速をする場合に、大きい値になるようにすることができる。また、事故責任予測部131は、自車両1が交通ルールに従って走行している場合に潜在事故責任値ALvalを低い値にすることができる。自車両1が交通ルールに従って走行しているかどうかを判断するために、事故責任予測部131は、自車両1が走行している地点の交通ルールを取得する構成を備えることができる。
自車両1が走行している地点の交通ルールを取得する構成としては、自車両1の位置を検出し、その位置の交通ルールを、ルールデータベースから取得する構成を採用することができる。他にも、自車両1の周辺を撮像するカメラが撮像した画像を解析して、標識、信号機、路面標示などを検出することで、現在位置の交通ルールを取得することもできる。
経路選択部132は、経路計画部120が計画した候補経路Tから、走行部140に指示する経路を選択する。選択した経路を、以下、選択経路Tpassedとする。選択経路Tpassedは、慎重経路Tsafeであることが条件となる。慎重経路Tsafeは、対象車両に対して事故責任を負わない経路である。
緊急停止選択部133は、事前に設定されている緊急停止経路Tを走行部140に提供する。緊急停止経路Tは、慎重経路Tsafeがない場合に選択する経路である。緊急停止経路Tは、たとえば、操舵角は変更せずに自車両1が停止するまで最大限速度で自車両1を減速させる経路である。
事故責任判断部130は、走行部140へ選択経路Tpassedを出力する。選択経路Tpassedは、経路選択部132が慎重経路Tsafeを選択した場合には、その慎重経路Tsafeである。緊急時経路計画部134が緊急停止経路Tを選択した場合には、緊急停止経路Tを、選択経路Tpassedとして走行部140に出力する。
走行部140は、選択経路Tpassedを走行するように自車両1の進行方向と速度とを決定する。そして、決定した進行方向と速度とに基づいて、自車両1に備えられている操舵アクチュエータと、自車両1に備えられている駆動力源および制動装置を制御する。
[安全距離を算出するまでの処理順序]
次に、安全距離を算出するまでの処理順序を図3を用いて説明する。安全距離は、自車両1が走行中、逐次、決定される必要がある。したがって、図3に示す処理は、自車両1が走行中、周期的に実行される。
S11では、車両識別部111が、前方車両との間の車間距離と、前方車両の速度を決定する。前方車両との車間距離は、たとえば、Lidarあるいはカメラの検出値から検出することができる。前方車両の速度は、前方車両の位置の時間変化から決定する。また、上記車間距離の変化から、自車両1に対する前方車両の相対速度を決定し、この相対速度と、次に説明する自車両1の速度とから、前方車両の速度を決定してもよい。
S12では、車両識別部111が、自車両1の速度を決定する。S13では、ブレーキ能力推定部114が自車両1のブレーキ能力を推定する。S14では、他車ブレーキ能力推定部116が、前方車両のブレーキ能力を推定する。ブレーキ能力の推定は、図4に示す処理により行う。
S21では、路面形状を取得する。S22では、路面傾斜を取得する。S23では、路面濡れ度を取得する。これら路面形状、路面傾斜、路面濡れ度は、図2を用いて説明したように路面状態決定部112が算出している。
S24では、S21〜S23で取得した路面形状、路面傾斜、路面濡れ度と、前述した、ブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数とから、ブレーキ能力を推定する。ブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数として、自車両用のものを用いれば自車両1のブレーキ能力が推定できる。ブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数として、前方車両用のものを用いれば前方車両のブレーキ能力が推定できる。
説明を図3に戻す。S15では、S11〜S14で決定した、自車両1の速度とブレーキ能力、前方車両の速度とブレーキ能力とから、安全距離を算出する。詳しくは、自車両1の速度とブレーキ能力から、自車両1の制動距離が得られる。また、前方車両の速度とブレーキ能力から、前方車両の制動距離が得られる。これら2つの差分から、自車両1と前方車両が停止した場合に、自車両1が前方車両に接近する距離が得られる。この距離が安全距離であり、この安全距離よりも、S11で決定した現在の車間距離が長ければ、自車両1と前方車両とが衝突する可能性は低い。
なお、前述したように、ブレーキ能力は分布を持ったものとすることができる。この場合、自車両1と前方車両が停止した場合に、自車両1が前方車両に接近する距離も、分布を持つことになる。自車両1が前方車両に接近する距離に分布がある場合、予め決定した確率に対応する距離を安全距離とする。
[第1実施形態のまとめ]
自車両1のブレーキ能力は、路面状態により変化する。そこで、ブレーキ能力推定部114は、路面状態決定部112が決定した路面状態と、予め記憶されたブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数とに基づいて、自車両1のブレーキ能力を推定している。したがって、路面状態を考慮しない場合に比較して、精度よく自車両1のブレーキ能力を推定することができる。
また、本実施形態では、前方車両のブレーキ能力も、路面状態決定部112が決定した路面状態を考慮して推定している。そして、路面状態を考慮してそれぞれ逐次推定した自車両1のブレーキ能力と前方車両のブレーキ能力とから、前方車両と自車両1との間の安全距離を逐次決定している。したがって、安全距離の信頼性も向上する。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
図5に、第2実施形態の車両制御装置200の構成を示す。車両制御装置200はセンサ統合部210の構成が、第1実施形態のセンサ統合部110と相違する。第2実施形態のセンサ統合部210は、路面状態決定部112に代えて特性更新部113を備える。
特性更新部113は、自車両1におけるブレーキ影響因子の特性を逐次更新する。具体的には、タイヤの状態、車重、ブレーキパッドの摩耗状態を逐次更新する。本実施形態でのタイヤの状態は、具体的には、タイヤの摩耗状態である。センサ101として、ドライバーにとって死角となりやすい車両周縁部を撮影するために、ミラー下部などにカメラが設置されることがある。車両周縁部を撮影するカメラには、タイヤが撮影範囲に入っていることがある。その場合、カメラの画像を解析することで、タイヤの摩耗状態を推定することができる。また、ブレーキ踏み込み量、ブレーキ油圧など、自車両1を減速させる作動と減速度の関係の変化から、タイヤの摩耗状態を推定してもよい。
車重は、サスペンションに荷重センサを取り付けることにより、基準となる重量からの変化を測定することができる。基準となる重量は、車両の型式により定まる重量である。ブレーキパッドの摩耗状態は、ブレーキパッドの交換時からの走行距離により推定することができる。また、ブレーキパッドの摩耗状態を検出するセンサを設け、そのセンサの検出値から、ブレーキパッドの摩耗状態を推定してもよい。また、自車両1を減速させる作動と、減速度の関係の変化は、タイヤの摩耗状態だけでなく、ブレーキパッドの摩耗状態も影響する。そこで、自車両1を減速させる作動と減速度の関係の変化から、タイヤの摩耗状態とブレーキパッドの摩耗状態を合わせて推定してもよい。
なお、特性更新部113がこれらの特性、すなわち、タイヤの摩耗状態、ブレーキパッドの摩耗状態、車重を更新する頻度は、たとえば、1走行毎とすることができる。1走行は、イグニッションオンからイグニッションオフまでの走行である。特性更新部113が推定したこれらの特性は、所定の記憶部に記憶済みの特性に代えて上書き保存する。
図6に、第2実施形態においてブレーキ能力推定部114が実行する処理を示す。S31では、自車両1のタイヤの摩耗状態を取得する。S32では、自車両1の車重を取得する。S33では、エンジンブレーキ可否を取得する。自車両1の駆動力源がモータのみであり、自車両1にエンジンが搭載されていない場合には、エンジンブレーキを作動させることはできない。ブレーキ時には、アクセルはオフになるので、自車両1に駆動力源としてエンジンが搭載されていれば、エンジンブレーキは作動する。しかし、S33では、それよりも強い制動力をエンジンブレーキにより発生させることができるかを判断するための情報を取得する。アクセルオフ時に、変速比を大きくできれば、変速比を変えない場合よりもエンジンブレーキによる制動力を大きくすることができる。そこで、S33では、駆動力源としてエンジンが搭載されており、かつ、変速比が制御装置により変更可能であるかどうかを示す情報を取得する。
ブレーキ時に、変速比を大きくしてエンジンブレーキを作動させることができれば、ブレーキ能力が高くなる。以下では、ブレーキ時に、変速比を大きくしてエンジンブレーキを作動させることを、単に、エンジンブレーキが可能であると記載する。エンジンブレーキが可能であれば、ブレーキ能力が高くなる。したがって、エンジンブレーキが可能であるかどうかは、ブレーキ能力に影響を与えるブレーキ影響因子の特性である。
S34では、ブレーキパッドの摩耗状態を取得する。タイヤの摩耗状態、車重、ブレーキパッドの状態も、ブレーキ能力に影響を与える。よって、これらタイヤの摩耗状態、車重、ブレーキパッドの状態も、ブレーキ影響因子の特性である。
S35では、S31〜S34で取得した情報をもとに、自車両1のブレーキ能力を推定する。自車両1のブレーキ能力を推定するために、第1実施形態と同様、S31〜S34で取得する情報からブレーキ能力を推定することができるブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数を予め記憶しておく。これら、ブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数と、S31〜S34で取得した情報とをもとに、自車両1のブレーキ能力を推定する。なお、第2実施形態でも、自車両1のブレーキ能力を、正規分布などの分布をもったものとしてもよい。
上記ブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数は、エンジンブレーキが可能である場合には、エンジンブレーキが使用できない場合よりも、ブレーキ能力が高いと推定する。エンジンブレーキの可否により、どの程度、ブレーキ能力を変化させるかの一例を以下に示す。たとえば、ブレーキ能力を分布をもったものとする場合、エンジンブレーキが可能である場合、エンジンブレーキが使用できない場合よりも、分布の中心値を事前に設定した一定値だけ、ブレーキ能力が高い側へ変更する。
図7に、第2実施形態において他車ブレーキ能力推定部116が実行する処理を示す。S41では前方車両のタイヤの摩耗状態を推定する。たとえば、前方車両が停止しているときに、前方車両のタイヤを自車両1が備える前方カメラで撮影できれば、前方車両のタイヤの摩耗状態を推定することができる。
S42では、前方車両の車重を推定する。前方車両の車重は、カメラで前方車両を撮影できる場合、前方車両の車種あるいは型式をもとに、その車種あるいは型式の標準的な車重を取得することができる。また、カメラで撮影した前方車両の画像から、前方車両の乗員数を推定する。この乗員数に一人当たりの標準的な体重を乗じて、乗員の総重量を推定する。そして、標準的な車重と乗員の総重量を足した値を、車重として推定する。前方車両のタイヤの摩耗状態および車重も、1走行毎、かつ、前方車両が別の車両に変更になる毎に推定すればよい。
S43では、S41およびS42で取得した値をもとに、前方車両のブレーキ能力を推定する。前方車両のブレーキ能力を推定するために、第1実施形態と同様、S41、S42で取得する情報からブレーキ能力を推定することができるブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数を予め記憶しておく。なお、前方車両については、ブレーキパッドの状態は取得せず、かつ、ブレーキ能力推定マップあるいはブレーキ能力推定関数も、前方車両のブレーキパッドの摩耗状態を必要とせずに、前方車両のブレーキ能力を推定できるマップあるいは関数としている。前方車両のブレーキパッドの摩耗状態を推定することは困難だからである。
第2実施形態においても、前方車両のブレーキ能力を、正規分布などの分布をもったものとしてもよい。また、自車両1とは異なり、ブレーキパッドの摩耗状態を考慮しないので、前方車両のブレーキ能力を、分布をもったものとする場合、その分布を、自車両1のブレーキ能力の分布よりも広い分布としてもよい。
[第2実施形態のまとめ]
自車両1のブレーキ能力は、自車両1のブレーキ影響因子の特性により変化する。また、自車両1のブレーキ影響因子には、タイヤの摩耗状態、車重、ブレーキパッドの摩耗状態など、時間変化があるものがある。そこで、第2実施形態の車両制御装置200では、特性更新部113は、自車両1のタイヤの摩耗状態、車重、ブレーキパッドの摩耗状態を逐次更新する。そして、ブレーキ能力推定部114は、自車両1のタイヤの摩耗状態、車重、ブレーキパッドの摩耗状態をもとに、自車両1のブレーキ能力を逐次推定する。よって、精度よく、自車両1のブレーキ能力を推定することができる。
また、自車両1のブレーキ能力は、エンジンブレーキの有無によっても変化する。そこで、第2実施形態のブレーキ能力推定部114は、自車両1のエンジンブレーキの可否も取得する。そして、エンジンブレーキが可能である場合には、エンジンブレーキが使用できない場合よりも、ブレーキ能力が高いと推定する。このように、第2実施形態では、エンジンブレーキの可否も考慮してブレーキ能力を推定するので、精度よく、自車両1のブレーキ能力を推定することができる。
また、本実施形態では、ブレーキ影響因子の特性の一例である、前方車両のタイヤの摩耗状態と前方車両の重量とを逐次推定しており、前方車両のブレーキ能力も、前方車両のタイヤの摩耗状態と前方車両の重量とを考慮して推定している。そして、自車両1および前方車両のブレーキ影響因子の特性を考慮して逐次推定した自車両1のブレーキ能力と前方車両のブレーキ能力とから、前方車両と自車両1との間の安全距離を逐次決定している。したがって、安全距離の信頼性も向上する。
<第3実施形態>
図8に、第3実施形態の車両制御装置300の構成を示す。車両制御装置200はセンサ統合部310の構成が、第1実施形態のセンサ統合部110と相違する。第3実施形態のセンサ統合部310は、第1実施形態と同じ路面状態決定部112と、第2実施形態と同じ特性更新部113を備える。
そして、第3実施形態では、図4に代えて図9に示す処理を実行する。S51では、自車両1が走行している道路の路面と自車両1のタイヤとの摩擦係数μ、および、その路面と前方車両との摩擦係数μを算出する。S51の処理は図10に詳しく示している。S511では路面形状を取得する。S512では路面傾斜を取得する。S513では路面濡れ度を取得する。これらは、路面状態決定部112が逐次更新している。
S514では、タイヤの摩耗状態を取得する。これは、特性更新部113が更新している。図4と同様、図9は、自車両1および前方車両のブレーキ能力を算出する。したがって、S514では、自車両1のタイヤの摩耗状態および前方車両のタイヤの摩耗状態を取得する。
S515では、自車両1について路面との摩擦係数μを算出するとともに、前方車両についても路面との摩擦係数μを算出する。自車両1についての路面との摩擦係数μ、および、前方車両についての路面との摩擦係数μは、ともに、S511からS514で取得した値と、それらをもとに摩擦係数μを決定する予め記憶してあるマップあるいは関数とを用いて算出する。
説明を図9に戻す。S52では、自車両1の車重を取得し、また、前方車両の車重を推定する。自車両1の車重は、特性更新部113が更新した値を取得する。前方車両の車重は、第2実施形態のS42と同様にして推定する。
S53では、自車両1のブレーキ能力および前方車両のブレーキ能力をそれぞれ推定する。S53を実行する時点で、自車両1および前方車両に対して摩擦係数μと車重と路面傾斜を取得している。これら摩擦係数μ、車重、路面傾斜から、摩擦力を算出することができる。この摩擦力をもとに、摩擦力とブレーキ能力との間の予め設定した関係から、自車両1および前方車両のブレーキ能力を推定する。また、摩擦力を算出せず、摩擦係数μ、車重、路面傾斜から、直接的に自車両1および前方車両のブレーキ能力を決定できるマップあるいは関数を予め用意しておき、そのマップあるいは関数を用いて、自車両1および前方車両のブレーキ能力を推定してもよい。
自車両1のブレーキ能力および前方車両のブレーキ能力を推定した後は、第1実施形態と同様、S15を実行して安全距離を算出する。
[第3実施形態のまとめ]
この第3実施形態では、自車両1のタイヤと路面との間の摩擦係数μを決定する。なお、摩擦係数μは路面状態の一例である。この摩擦係数μをもとに自車両1のブレーキ能力を推定している。自車両1のブレーキ能力は、自車両1のタイヤと路面との間の摩擦係数μにより変化する。したがって、自車両1のタイヤと路面との摩擦係数μを考慮しない場合に比較して、精度よく自車両1のブレーキ能力を推定することができる。
また、本実施形態では、前方車両のブレーキ能力も、摩擦係数μを考慮して推定している。そして、摩擦係数μを考慮してそれぞれ逐次推定した自車両1のブレーキ能力と前方車両のブレーキ能力とから、前方車両と自車両1との間の安全距離を逐次決定している。したがって、安全距離の信頼性も向上する。
<第4実施形態>
図11に第4実施形態においてセンサ統合部が実行する処理を示す。S61〜S63は路面状態決定部112が実行する処理である。S64、S65は、ブレーキ能力推定部114および他車ブレーキ能力推定部116が実行する。
S61はS1と同じであり、カメラ画像を取得する。S62はS2と同じであり、Lidarによる計測値を取得する。S63では、S61、S62で取得したカメラ画像とLidarによる計測値とから、傾斜角と、路面摩擦係数μを算出する。傾斜角は、たとえば、Lidarによる道路傾斜の計測結果から得ることができる。路面摩擦係数μは、路面の摩擦係数を表した値である。摩擦係数は1つの物質のみでは決まらず、互いに接触する物質の組み合わせが異なれば、摩擦係数は変化する。ここでの路面摩擦係数μは、路面に接触する他方の物質が、予め設定した標準的なタイヤであるとして決定する値である。
路面摩擦係数μは、正規分布をもつものとして表す。すなわち、式1により、路面摩擦係数μを表す。式1においてμe0は正規分布の中央値であり、σ は正規分布の分散である。
(式1) μ=N(μe0、σ
路面摩擦係数μは、カメラ画像およびLidarによる計測から定まる路面の凹凸形状に基づいて決定する。路面の凹凸形状と摩擦係数との間には相関関係がある。そこで、路面の凹凸形状と路面摩擦係数μとの関係を予め決定しておく。この関係と、カメラ画像およびLidarによる計測から定めた路面の凹凸形状とに基づいて、路面摩擦係数μを決定する。
S64では、自車両1の車重を取得し、かつ、前方車両の車重を推定する。自車両1の車重は特性更新部113が逐次更新している。前方車両の車重はS42と同様にして推定する。
S65では、ブレーキ能力を推定する。ここでのブレーキ能力の推定方法は第3実施形態におけるS53とほぼ同じである。S53において用いていた摩擦係数μに代えて路面摩擦係数μを用いる点でS53と相違する。また、摩擦係数μに代えて路面摩擦係数μを用いるので、ブレーキ能力を決定するマップあるいは関数が、S53とは相違する。その他はS53と同じである。
第3実施形態では、路面状態決定部112が決定した路面形状、路面傾斜等に基づいて、ブレーキ能力推定部114、他車ブレーキ能力推定部116が、摩擦係数μを算出していた。これに対して第4実施形態では、112が傾斜角、および、路面摩擦係数μを算出する。この違いがあるが、第4実施形態でも路面状態の一例である路面摩擦係数μをもとに自車両1のブレーキ能力を推定する。よって、精度よく自車両1のブレーキ能力を推定することができる。
また、前方車両のブレーキ能力も路面摩擦係数μをもとに推定しているので、自車両1のブレーキ能力と前方車両のブレーキ能力とをもとに決定する前方車両と自車両1との間の安全距離の信頼性も向上する。
<第5実施形態>
第5実施形態では、路面状態決定部112は、図12に示す処理により路面形状を算出する。S71では、サスペンションの振動信号を取得する。サスペンションの振動信号は、サスペンションに取りつけた振動センサにより検出することができる。S72では、S71で取得した信号に対して独立成分解析などの手法を適用して、路面の凹凸に由来する信号を抽出する。そして、路面の凹凸に由来する信号から、路面の凹凸形状を決定する。
路面形状の算出以外は、これまでの実施形態で説明した手法を適用できる。この第5実施形態のように、自車両1に取り付けたセンサにより、自車両1に伝わる路面の振動を検出することで、間接的に路面形状を算出してもよい。
<第6実施形態>
第6実施形態では、路面状態決定部112は、図13に示す処理により路面摩擦係数μを算出する。S81では、サスペンションの振動信号を取得する。この処理は、S71と同じである。S82では、S81で取得した信号に対して独立成分解析などの手法を適用して、路面の凹凸に由来する信号を抽出する。さらに、その路面の凹凸に由来する信号から、路面の凹凸形状を決定する。この路面の凹凸形状をもとに、S63と同様にして、路面摩擦係数μを算出する。
路面摩擦係数μを算出した後の処理は、第4実施形態と同じである。この第6実施形態のように、自車両1に取り付けたセンサが検出した信号に基づいて、路面摩擦係数μを算出してもよい。
<第7実施形態>
第7実施形態では、特性更新部113は、図14に示す処理を逐次実行してタイヤ状態を逐次更新する。タイヤ状態は、タイヤに関する状態であって、ブレーキ能力に影響するものである。したがってタイヤ状態はブレーキ影響因子の一例である。タイヤ状態として具体的には、第7実施形態ではタイヤ摩擦係数μを算出する。
図14においてS91では、路面情報を取得する。路面情報は、具体的には、図11で説明した路面摩擦係数μである。S92では、操作情報を取得する。操作情報は、自車両1の運転者がブレーキペダルを踏み込んだ量あるいはそれに伴い変化するブレーキ油圧の変化量を含む。また、運転者のブレーキペダル操作により自車両1が減速を開始したときの自車両1の速度も操作情報に含まれる。
S93では、S92において自車両1の運転者がブレーキペダルを操作したことで自車両1が停止した場合、ブレーキペダルを操作してから自車両1が停止するまでの制動距離を取得する。
S94では、S91、S92、S93で取得した路面情報、操作情報、制動距離に基づいてタイヤ摩擦係数μを算出する。路面情報、操作情報、制動距離とタイヤ摩擦係数μとの関係は、予め実験等に基づいて決定しておく。この予め決定しておいた関係と、S91、S92、S93で取得した路面情報、操作情報、制動距離に基づいて、タイヤ摩擦係数μを算出する。
摩擦係数は、種々の要因により定まり、路面情報、操作情報、制動距離だけで一意に決定できるものではない。したがって、第4実施形態で説明した路面摩擦係数μと同様、タイヤ摩擦係数μも分布を持つ、具体的には正規分布を持つものとして式2により表す。式2においてμW0は正規分布の中央値であり、σ は正規分布の分散である。
(式2) μ=N(μW0、σ
第7実施形態では、ブレーキ能力推定部114および他車ブレーキ能力推定部116は、図15を実行して算出される摩擦係数μをもとに、自車両1のブレーキ能力および前方車両のブレーキ能力を推定する。図15に示す処理は、図10に代えて実行する処理である。
S101では、路面情報である路面摩擦係数μを路面状態決定部112から取得する。路面状態決定部112は、図11で説明した処理により路面摩擦係数μを計算している。S102では、S94で算出したタイヤ摩擦係数μを取得する。S103では、S101で取得した路面摩擦係数μとS102で取得したタイヤ摩擦係数μをもとに、式3により摩擦係数μを算出する。
(式3) μ=μ(μ+μ
摩擦係数μを算出した後は、図9のS52に進む。このように、第3実施形態で説明したμの算出方法に代えて、路面摩擦係数μとタイヤ摩擦係数μとを算出し、これら2つの摩擦係数から路面とタイヤとの摩擦係数μを算出することもできる。
<第8実施形態>
図16に、第8実施形態において、図14に代えて特性更新部113が実行する処理を示す。S111では、自車両1のタイヤ温度を取得する。タイヤ温度は、たとえば、タイヤを撮影できる位置に設置したサーモカメラにより検出する。S112では、タイヤ温度に基づいて、タイヤ状態の一例であるタイヤ摩擦係数μを算出する。タイヤ温度が変化すれば、タイヤ摩擦係数μが変化する。そこで、タイヤ温度とタイヤ摩擦係数μとの関係を予め定めておき、その関係とS111で取得したタイヤ温度とに基づいて、タイヤ摩擦係数μを算出する。S112で決定するタイヤ摩擦係数μも分布をもったものである。なお、タイヤ摩擦係数μを算出する際に用いたタイヤ温度もタイヤ状態の一例である。
<第9実施形態>
図17に、第9実施形態において路面状態決定部112、ブレーキ能力推定部114、他車ブレーキ能力推定部116が実行する処理を示す。S121は、路面状態決定部112が実行する処理である。S121では、周辺車両から車車間通信により、傾斜角、路面摩擦係数μを取得する。なお、第9実施形態では、自車両1は、周辺車両と無線通信する無線機を備える。
周辺車両が第4実施形態で説明した車両制御装置と無線機とを備えており、その周辺車両が測定した傾斜角と路面摩擦係数μを逐次送信している場合、自車両1は、周辺車両から、傾斜角と、路面摩擦係数μを取得することができる。
S122では、S121で取得した傾斜角および路面摩擦係数μに基づいて、自車両1のブレーキ能力および前方車両のブレーキ能力を推定する。なお、図4と同様、自車両1の重量および前方車両の重量を取得あるいは推定し、それら自車両1の重量および前方車両の重量も考慮して、自車両1のブレーキ能力および前方車両のブレーキ能力を推定してもよい。ただし、自車両1および前方車両の車重は用いずに、自車両1のブレーキ能力および前方車両のブレーキ能力を推定してもよい。
<第10実施形態>
図18に第10実施形態において図4に代えて実行する処理を示す。第10実施形態はこれまでに説明した実施形態を組み合わせたものである。S131では、路面状態を取得する。路面状態は、これまでの実施形態で説明してきた種々の具体的状態を採用することができる。路面状態は具体的には、路面傾斜、路面形状、路面濡れ度、路面摩擦係数μなどである。S131で取得する路面状態は、これまでに説明した具体的な路面状態のうちの1つ以上である。
S132では、自車両1のブレーキ影響因子および前方車両のブレーキ影響因子を取得する。S132で取得する自車両1のブレーキ影響因子および前方車両のブレーキ影響因子も、これまでの実施形態で説明した種々の具体的なブレーキ影響因子を1つ以上、採用することができる。
S133では、S131およびS132で取得した路面状態およびブレーキ影響因子をともに考慮して、自車両1のブレーキ能力および前方車両のブレーキ能力を推定する。S133でも、ブレーキ能力を推定するために、路面状態およびブレーキ影響因子をもとにブレーキ能力を推定することができる関係を予め求めておく。そして、その関係と、S131およびS132で取得した情報とをもとに、自車両1のブレーキ能力および前方車両のブレーキ能力を推定する。
この第10実施形態では、路面状態と車両のブレーキ影響因子をともに考慮して、自車両1のブレーキ能力および前方車両のブレーキ能力を推定する。したがって、より精度よく自車両1のブレーキ能力および前方車両のブレーキ能力を推定することができる。
<第11実施形態>
図19に第11実施形態でブレーキ能力推定部114が実行する処理を示す。S141では路面状態を取得する。路面状態は、フルブレーキで減速したときに自車両1がスリップするかどうかを推定するための情報である。たとえば、路面状態は、前述した路面形状、路面傾斜および路面濡れ度である。また、路面状態は路面摩擦係数μでもよい。
S142では、タイヤ状態および自車両1の車重を取得する。タイヤ状態は、前述したように、タイヤに関する状態であって、ブレーキ能力に影響するものである。具体的には、タイヤ状態は、たとえば、タイヤ摩擦係数μ、タイヤ温度などである。
S143では、フットブレーキのみでよいかどうかを判断する。フットブレーキのみでよいかどうかは、フットブレーキのみでフルブレーキをしたときにスリップしてしまうかどうかを判断するものである。なお、ここでのフットブレーキのみとは、積極的にはエンジンブレーキを利用できないことを意味する。フットブレーキ時には、アクセルオフになり、駆動力源としてエンジンを備えていれば、アクセルオフ時にはエンジンブレーキが自動的に作用する。積極的にエンジンブレーキを利用するとは、このような自動的に作用するエンジンブレーキではなく、フットブレーキ時に変速比を高く変更して自動的に作用するエンジンブレーキよりも大きな制動力を発生させることを言う。フットブレーキのみでフルブレーキをしてもスリップしない場合にはS143の判断結果をYesとする。
フットブレーキのみでスリップしてしまうかどうかを判断するために、フルブレーキをすることにより発生するタイヤと路面との間の摩擦力と、減速時に自車両1に生じる慣性力とを比較する。摩擦力の方が大きければ自車両1はスリップしない。摩擦力は、路面とタイヤとの間の摩擦係数μと車重とから算出する。路面とタイヤとの間の摩擦係数μは、たとえば図10あるいは図15に示した処理により算出する。減速時に自車両1に生じる慣性力は、フルブレーキ時の減速度として予め設定した減速度と車重を乗じることで算出できる。
S143の判断結果がYesの場合にはS144に進む。S144では、フットブレーキのみでのブレーキ能力を推定する。フットブレーキのみでのブレーキ能力は、図6に示した処理において、S33でエンジンブレーキが利用できないと判断した場合にS35で推定するブレーキ能力である。
S143の判断結果がNoの場合にはS145に進む。S145ではエンジン状態を取得する。エンジン状態は、自車両1がエンジンを搭載しており、かつ、変速比を大きくすることができる状態であるか否かを示す情報である。
S146では、S145で取得した情報に基づいてエンジンブレーキが利用できる否かを判断する。S146の判断結果がNoであればS147に進む。S147の処理はS144と同じである。すなわち、S147では、フットブレーキのみでのブレーキ能力を推定する。
S146の判断結果がYesであればS148に進む。S148では、エンジンブレーキ利用時のブレーキ能力を推定する。エンジンブレーキ利用時のブレーキ能力は、S35において説明したように、たとえば、ブレーキ能力を分布をもったものである。エンジンブレーキ利用時のブレーキ能力は、エンジンブレーキが使用できない場合よりも、ブレーキ能力の分布の中心値を事前に設定した一定値だけブレーキ能力が高い側へ変更する。S149では、エンジンブレーキを利用することを、変速機を制御するECUへ通知する。
自車両1のブレーキ能力を推定した後は、図3のS14およびS15を実行して、安全距離を算出する。
第11実施形態では、フットブレーキに加えてエンジンブレーキを利用した場合のブレーキ能力を推定している。エンジンブレーキが利用できる場合に、エンジンブレーキを利用することで、自車両1の制動距離を短くすることができる。
<第12実施形態>
図20に、第12実施形態において他車ブレーキ能力推定部116が実行する処理を示す。この実施形態においては、自車両1は周辺車両と通信する無線機を備え、車両制御装置はその無線機との間で信号の送受信が可能になっている。
S151では、前方車両と車車間通信可能かどうかを判断する。この判断は、前方車両から送信された信号を受信できたかどうかにより行う。S151の判断結果がYesであればS152に進む。
S152では、前方車両との間で車車間通信をして、前方車両のブレーキ能力と前方車両の速度とを受信する。前方車両に、自車両1と同じく車両制御装置が搭載されていれば、前方車両から、前方車両の速度だけでなく前方車両のブレーキ能力を受信することができる。
S151の判断結果がNoであればS153に進む。S153では、前方車両の速度を決定する。この処理は、S11で説明したものと同じである。S154では、前方車両のブレーキ能力を推定する。この処理はS14と同じである。なお、前方車両と車車間通信が可能であったが、前方車両からブレーキ能力を受信できなかった場合にも、S153、S154を実行すればよい。
このようにして、前方車両の速度とブレーキ能力を決定し、かつ、ブレーキ能力推定部114が自車両1のブレーキ能力を推定した後は、安全距離決定部118が、安全距離を算出する。
車車間通信により受信した、前方車両が推定した前方車両のブレーキ能力は、自車両1が推定する前方車両のブレーキ能力よりも精度がよいと期待できる。したがって、前方車両が推定した前方車両のブレーキ能力を用いることで、安全距離の算出精度が向上する。
以上、実施形態を説明したが、開示した技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も開示した範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
<変形例1>
路面摩擦係数μは、タイヤ状態を考慮せずに決定できる値である。そこで、予め地図情報として路面摩擦係数μを格納しておき、自車両1の現在位置をもとに、地図情報から、自車両1が走行中の道路の路面摩擦係数μを取得してもよい。
<変形例2>
第9実施形態では、傾斜角、路面摩擦係数μを周辺車両から車車間通信により受信していた。しかし、傾斜角、路面摩擦係数μを、路側機から受信してもよい。また、自車両1と周辺車両との通信が、基地局を介した通信であってもよい。
<変形例3>
第12実施形態では、自車両1は、前方車両のブレーキ能力を車車間通信により受信していた。しかし、自車両1は、前方車両のブレーキ能力を、基地局を介した通信により受信してもよい。
<変形例4>
第1実施形態では、路面状態として、路面形状、路面傾斜、路面濡れ度をもとにブレーキ能力を推定していた。しかし、路面形状、路面傾斜、路面濡れ度のうちのいずれか2つ、あるいは、いずれか1つのみを用いてブレーキ能力を推定してもよい。
<変形例5>
本開示に記載のセンサ統合部110、経路計画部120、事故責任判断部130、走行部140は制御部であり、この制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部およびその手法は、専用ハードウエア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウエア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。ハードウエア論理回路は、たとえば、ASIC、FPGAである。
また、コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体はROMに限られず、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていればよい。たとえば、フラッシュメモリに上記プログラムが記憶されていてもよい。
1:自車両 100:車両制御装置 101:センサ 110:センサ統合部 111:車両識別部 112:路面状態決定部 113:特性更新部 114:ブレーキ能力推定部 116:他車ブレーキ能力推定部 118:安全距離決定部 120:経路計画部 130:事故責任判断部 131:事故責任予測部 132:経路選択部 133:緊急停止選択部 134:緊急時経路計画部 140:走行部 200:車両制御装置 210:センサ統合部 300:車両制御装置 310:センサ統合部

Claims (14)

  1. 車両に搭載され、前記車両を停止させる能力であるブレーキ能力を推定するブレーキ能力推定装置であって、
    前記ブレーキ能力推定装置が搭載されている車両である自車両(1)が走行している道路の路面状態を逐次決定する路面状態決定部(112)と、
    前記路面状態決定部が決定した前記路面状態に基づいて、前記自車両の前記ブレーキ能力を逐次推定するブレーキ能力推定部(114)と、を備えるブレーキ能力推定装置。
  2. 車両に搭載され、前記車両を停止させる能力であるブレーキ能力を推定するブレーキ能力推定装置であって、
    前記ブレーキ能力推定装置が搭載されている車両である自車両(1)において前記ブレーキ能力に影響を与える因子であるブレーキ影響因子のうち時間変化がある因子の特性を逐次更新する特性更新部(113)と、
    前記ブレーキ影響因子の特性に基づいて、前記自車両の前記ブレーキ能力を逐次推定するブレーキ能力推定部(114)とを備える、ブレーキ能力推定装置。
  3. 前記自車両が走行している道路の路面状態を決定する路面状態決定部(112)を備え、
    前記ブレーキ能力推定部は、前記路面状態決定部が決定した前記路面状態と、前記ブレーキ影響因子とに基づいて、前記自車両の前記ブレーキ能力を逐次推定する、請求項2に記載のブレーキ能力推定装置。
  4. 前記路面状態決定部は、前記路面状態として、路面傾斜、路面形状、路面濡れ度のいずれか1つ以上を決定する、請求項1または3に記載のブレーキ能力推定装置。
  5. 前記路面状態決定部は、前記路面状態として路面の摩擦係数を決定する、請求項1または3に記載のブレーキ能力推定装置。
  6. 前記特性更新部は、前記ブレーキ影響因子の特性として、前記自車両のタイヤの状態を逐次更新し、
    前記路面状態決定部は、路面形状、路面濡れ度のいずれか一方または両方と前記タイヤの状態とに基づいて、路面と前記道路を走行している車両のタイヤとの間の摩擦係数を決定する、請求項3に記載のブレーキ能力推定装置。
  7. 前記ブレーキ能力推定部は、前記ブレーキ影響因子として、タイヤの摩耗状態、ブレーキパッドの摩耗状態、車重、エンジンブレーキの有無のいずれか1つ以上を用いて前記ブレーキ能力を推定する、請求項2または3に記載のブレーキ能力推定装置。
  8. 前記ブレーキ能力推定部は、前記エンジンブレーキの可否を用いて前記ブレーキ能力を推定するようになっており、前記エンジンブレーキが可能である場合には前記エンジンブレーキが使用できない場合よりも、前記ブレーキ能力が高いと推定する、請求項7に記載のブレーキ能力推定装置。
  9. 請求項1、3〜6のいずれか1項に記載のブレーキ能力推定装置と、
    前記自車両の前方を走行する前方車両の前記ブレーキ能力を推定する他車ブレーキ能力推定部(116)と、
    前記自車両のブレーキ能力と、前記前方車両のブレーキ能力とに基づいて、前記自車両と前記前方車両との間の安全距離を決定する安全距離決定部(118)とを備えた安全距離決定装置であって、
    前記他車ブレーキ能力推定部は、前記路面状態決定部が決定した前記路面状態に基づいて、前記前方車両の前記ブレーキ能力を逐次推定する、安全距離決定装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のブレーキ能力推定装置と、
    前記自車両の前方を走行する前方車両の前記ブレーキ能力を推定する他車ブレーキ能力推定部(116)と、
    前記自車両のブレーキ能力と、前記前方車両のブレーキ能力とに基づいて、前記自車両と前記前方車両との間の安全距離を決定する安全距離決定部(118)とを備えた安全距離決定装置であって、
    前記他車ブレーキ能力推定部は、前記前方車両において前記ブレーキ能力に影響を与える因子であるブレーキ影響因子の特性を推定し、推定した前記前方車両のブレーキ影響因子の特性に基づいて、前記前方車両のブレーキ能力を逐次推定する、安全距離決定装置。
  11. 請求項5または6に記載のブレーキ能力推定装置と、
    前記自車両の前方を走行する前方車両の前記ブレーキ能力を推定する他車ブレーキ能力推定部(116)と、
    前記自車両のブレーキ能力と、前記前方車両のブレーキ能力とに基づいて、前記自車両と前記前方車両との間の安全距離を決定する安全距離決定部(118)とを備えた安全距離決定装置であって、
    前記他車ブレーキ能力推定部は、前記路面状態決定部が決定した前記摩擦係数に基づいて、前記前方車両の前記ブレーキ能力を逐次推定する、安全距離決定装置。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のブレーキ能力推定装置と、
    前記自車両の前方を走行する前方車両の前記ブレーキ能力を推定する他車ブレーキ能力推定部(116)と、
    前記自車両のブレーキ能力と、前記前方車両のブレーキ能力とに基づいて、前記自車両と前記前方車両との間の安全距離を決定する安全距離決定部(118)とを備えた安全距離決定装置であって、
    前記他車ブレーキ能力推定部は、前記前方車両から前記前方車両のブレーキ能力を無線通信により受信できる場合には、前記前方車両のブレーキ能力を推定することに代えて、無線通信により受信した前記前方車両のブレーキ能力を、前記安全距離決定部に出力する、安全距離決定装置。
  13. 車両を停止させる能力であるブレーキ能力を推定するブレーキ能力推定方法であって、
    前記車両に搭載されたセンサが検出したセンサ値に基づいて、前記車両が走行している道路の路面状態を逐次決定し、
    決定した前記路面状態に基づいて、前記車両の前記ブレーキ能力を逐次推定するブレーキ能力推定方法。
  14. 車両を停止させる能力であるブレーキ能力を推定するブレーキ能力推定方法であって、
    前記車両において前記ブレーキ能力に影響を与える因子であるブレーキ影響因子のうち時間変化がある因子の特性を逐次更新し、
    前記ブレーキ影響因子の特性に基づいて、前記車両の前記ブレーキ能力を逐次推定するブレーキ能力推定方法。
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