JP2021057384A - 熱電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】n型熱電変換素子とp型熱電変換素子との熱膨張率差によって、基板や熱電変換素子の一部に破壊が発生することが抑制された熱電変換装置を提供する。【解決手段】一の方向Zにおいて互いに対向する第1の基材2及び第2の基材3と、第1の基材2と第2の基材3との間に配置されて、一の方向Zにおける熱膨張率が互いに異なるn型熱電変換素子4及びp型熱電変換素子5とを備え、n型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5とのうち、何れか一方の熱電変換素子5は、無機熱電変換材料とバインダとを含み、何れか他方の熱電変換素子4よりも一の方向におけるヤング率が相対的に小さくなっている。【選択図】図3
Description
本発明は、熱電変換装置に関する。
例えば、内燃機関や燃焼装置などからの排熱は、利用されないまま消失している。このため、省エネルギー化の観点から、この排熱の利用が近年着目されている。特に、熱から電気への変換を可能とする熱電変換装置の研究が盛んに行われている(例えば、特許文献1,2を参照。)。
熱電変換装置では、一対の基板の間に、n型熱電変換素子とp型熱電変換素子とを配置し、一方の基板側に設けられた第1の電極と他方の基板側に設けられた第2の電極とを介して、これらn型熱電変換素子とp型熱電変換素子とを電気的に直列に接続したπ形構造を有している。
このような熱電変換装置では、一方の基板を高温(加熱)側に配置し、他方の基板を低温(放熱/冷却)側に配置することによって、各熱電変換素子の第1の電極と第2の電極との間に温度差が発生する。これにより、各熱電変換素子の第1の電極と第2の電極との間に電荷(キャリア)の移動が起こる。すなわち、各熱電変換素子の第1の電極と第2の電極との間には、ゼーベック効果による起電力(電圧)が発生する。
ここで、1つの熱電変換素子で発生する起電力(電圧)は小さいものの、一対の端子の間で、n型熱電変換素子とp型熱電変換素子とを交互に直列に接続することによって、これら一対の端子の間からは、その総和の起電力として、比較的高い電力(電圧)を取り出すことが可能である。
ところで、上述した従来の熱電変換装置では、n型熱電変換素子とp型熱電変換素子との間に熱電変換材料の違いによる熱膨張率差がある。このため、n型熱電変換素子とp型熱電変換素子との間で熱膨張時に発生する変形(歪み)に差が生じることによって、基板や熱電変換素子の一部に破壊が発生してしまうことがあった。
特に、熱電変換装置では、温度変化により熱電変換素子が膨張と収縮とを繰り返すことによって、上述した破壊の発生率が上昇することになる。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、n型熱電変換素子とp型熱電変換素子との熱膨張率差によって、基板や熱電変換素子の一部に破壊が発生することが抑制された熱電変換装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
(1) 一の方向において互いに対向する第1の基材及び第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間に配置されて、前記一の方向における熱膨張率が互いに異なるn型熱電変換素子及びp型熱電変換素子とを備え、
前記n型熱電変換素子と前記p型熱電変換素子とのうち、何れか一方の熱電変換素子は、無機熱電変換材料とバインダとを含み、何れか他方の熱電変換素子よりも前記一の方向におけるヤング率が相対的に小さくなっていることを特徴とする熱電変換装置。
(2) 前記一方の熱電変換素子は、前記無機熱電変換材料がバインダに担持された構造を有することを特徴とする前記(1)に記載の熱電変換装置。
(3) 前記バインダが有機熱電変換材料を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の熱電変換装置。
(4) 一の方向において互いに対向する第1の基材及び第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間に配置されて、前記一の方向における熱膨張率が互いに異なるn型熱電変換素子及びp型熱電変換素子とを備え、
前記n型熱電変換素子と前記p型熱電変換素子とのうち、何れか一方の熱電変換素子は、有機熱電変換材料からなり、何れか他方の熱電変換素子よりも前記一の方向におけるヤング率が相対的に小さくなっていることを特徴とする熱電変換装置。
(5) 前記他方の熱電変換素子は、無機熱電変換材料からなることを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか一項に記載の熱電変換装置。
(1) 一の方向において互いに対向する第1の基材及び第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間に配置されて、前記一の方向における熱膨張率が互いに異なるn型熱電変換素子及びp型熱電変換素子とを備え、
前記n型熱電変換素子と前記p型熱電変換素子とのうち、何れか一方の熱電変換素子は、無機熱電変換材料とバインダとを含み、何れか他方の熱電変換素子よりも前記一の方向におけるヤング率が相対的に小さくなっていることを特徴とする熱電変換装置。
(2) 前記一方の熱電変換素子は、前記無機熱電変換材料がバインダに担持された構造を有することを特徴とする前記(1)に記載の熱電変換装置。
(3) 前記バインダが有機熱電変換材料を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の熱電変換装置。
(4) 一の方向において互いに対向する第1の基材及び第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間に配置されて、前記一の方向における熱膨張率が互いに異なるn型熱電変換素子及びp型熱電変換素子とを備え、
前記n型熱電変換素子と前記p型熱電変換素子とのうち、何れか一方の熱電変換素子は、有機熱電変換材料からなり、何れか他方の熱電変換素子よりも前記一の方向におけるヤング率が相対的に小さくなっていることを特徴とする熱電変換装置。
(5) 前記他方の熱電変換素子は、無機熱電変換材料からなることを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか一項に記載の熱電変換装置。
以上のように、本発明によれば、n型熱電変換素子とp型熱電変換素子との熱膨張率差によって、基板や熱電変換素子の一部に破壊が発生することが抑制された熱電変換装置を提供することが可能である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を熱電変換装置の特定の面内における第1の方向Xとし、Y軸方向を熱電変換装置の特定の面内における第2の方向Yとし、Z軸方向を熱電変換装置の特定の面内に対して直交する第3の方向Zとして、それぞれ示すものとする。
本発明の一実施形態として、例えば図1〜図3に示す熱電変換装置1について説明する。なお、図1は、熱電変換装置1の構成を示す透視平面図である。図2は、図1中に示す線分A−Aによる熱電変換装置1の断面図である。図3は、熱電変換装置1の各熱電変換素子4,5が熱膨張により変形した状態を示す要部断面図である。
本実施形態の熱電変換装置1は、図1及び図2に示すように、第3の方向Zにおいて互いに対向する一方側(本実施形態では上側)の第1の基板(第1の基材)2と、他方側(本実施形態では下側)の第2の基板(第2の基材)3と、第1の基板2と第2の基板3との間に配置された複数(本実施形態では32個)のn型熱電変換素子4及び複数(本実施形態では32個)のp型熱電変換素子5とを備えている。すなわち、本実施形態では、一の方向が第3の方向Zであり、第3の方向Zは、第1の基板2及び第2の基板3の厚み方向と同じ方向となっている。
第1の基板2及び第2の基板3は、矩形平板状に形成された絶縁性の基材からなる。また、第2の基板3は、平面視で第1の基板2と第3の方向Zにおいて重なる範囲よりも外側(本実施形態では−X側)にはみ出している。
第1及び第2の基板2,3としては、例えばアルミナ(Al2O3)基板などの絶縁性が高く温度に対して安定な基板を用いることができる。また、第1及び第2の基板2,3としては、高熱伝導性の観点から、例えば窒化アルミニウム(AlN)基板やシート抵抗が10Ω以上となる高抵抗シリコン(Si)基板を用いることもできる。第1及び第2の基板2,3のシート抵抗が10Ω以上となることで、n型及びp型熱電変換素子4,5の間で電気的な短絡が生じるのを防止することが可能である。
また、第1及び第2の基板2,3としては、上述した基板の他にも、例えば、基板内に酸化絶縁層を有するSOI(Silicon On Insulator)基板や、その他のセラミック基板、その他の高抵抗単結晶基板などを用いることができる。さらに、第1及び第2の基板2,3としては、シート抵抗が10Ω以下となる低抵抗基板であっても、この低抵抗基板と熱電変換素子との間に高抵抗材料を配置したものを用いることができる。
複数のn型熱電変換素子4及び複数のp型熱電変換素子5は、第1の基板2と第2の基板3との間に挟み込まれた状態で、特定の面内においてマトリックス状に並んで配置されている。
また、n型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5とは、特定の面内において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとに交互に並んで配置されている。すなわち、これらn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5とは、第1の方向X及び第2の方向Yに互い違いに並んで配置されている。
なお、本実施形態では、第1の方向Xにおいて4個のn型熱電変換素子4と4個のp型熱電変換素子5とが交互に並んで配置され、第2の方向Yにおいて4個のn型熱電変換素子4と4個のp型熱電変換素子5とが交互に並んで配置されている。
n型及びp型熱電変換素子4,5は、互いに同じ大きさ及び厚みを有して、平面視で矩形状(本実施形態では正方形状)に形成されている。なお、n型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5とは、互いに同じ大きさ(形状)を有するものに限らず、互いに異なる大きさ(形状)を有するものであってもよい。
本実施形態の熱電変換装置1は、第1の基板2の第2の基板3と対向する面(以下、「第1の対向面」という。)2a側に配置された複数(本実施形態では32個)の第1の電極6と、第2の基板3の第1の基板2と対向する面(以下、「第2の対向面」という。)3a側に配置された複数(本実施形態では31個)の第2の電極7と、第2の基板3の第2の対向面3a側に配置された一対の端子8a,8bとを備えている。
n型及びp型熱電変換素子4,5は、それぞれの第3の方向Zの一端(本実施形態では上端)側が第1の電極6を介して第1の基板2と熱的に接合され、それぞれの第3の方向Zの他端(本実施形態では下端)側が第2の電極7を介して第2の基板3と熱的に接合されている。
複数の第1の電極6は、第1の基板2の第1の対向面2a上に、平面視で矩形平板状(本実施形態では長方形状)に形成されている。複数の第2の電極7は、第2の基板3の第2の対向面3a上に、平面視で矩形平板状(本実施形態では長方形状)に形成されている。一対の端子8a,8bは、第2の基板3の第2の対向面3a上に、第1の基板2と第3の方向Zにおいて重なる範囲よりも外側(本実施形態では−X側)に位置して、平面視で矩形平板状(本実施形態では長方形状)に形成されている。
第1の電極6、第2の電極7及び端子8a,8bには、導電性及び熱伝導性が高く、且つ、形状加工がし易い、例えば、銅(Cu)や金(Au)などを好適に用いることができる。また、n型及びp型熱電変換素子4,5と第1及び第2の電極6,7との接合には、導電性及び熱伝導性が高く、且つ、接合強度に優れた、例えば、Sn−Ag−Cu系合金やSn−Bi−Ag系合金などのはんだ合金等を用いることができる。
本実施形態の熱電変換装置1では、一対の端子4a,4bの間で、複数のn型熱電変換素子3と複数のp型熱電変換素子4とが複数の第1の電極6及び複数の第2の電極7を介して電気的に直列に接続されたπ形構造を有している。
具体的に、複数の第1の電極6は、面内方向において隣り合うn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との組毎に、それぞれn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との間を電気的に接続している。
本実施形態では、複数の第1の電極6が、第1の方向Xにおいて隣り合うn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との組毎に、それぞれn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との間を電気的に接続している。
これにより、第1の方向Xに並ぶ4個の第1の電極6を介して4組のn型及びp型熱電変換素子4,5が電気的に接続され、第2の方向Yに並ぶ8個の第1の電極6を介して8組のn型及びp型熱電変換素子4,5が電気的に接続されている。
一方、複数の第2の電極7は、面内方向において隣り合う組同士の間で、それぞれn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との間を電気的に接続している。
本実施形態では、複数の第2の電極7のうち、第1の方向Xの最も一端側(−X側)と最も他端側(+X側)との間に配置された複数(本実施形態では24個)の第2の電極7が、第1の方向Xにおいて隣り合う組同士の間で、それぞれn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との間を電気的に接続している。
一方、第1の方向Xの最も他端側(+X側)に配置された複数(本実施形態では4個)の第2の電極7が、第2の方向Yにおいて隣り合う組同士の間で、それぞれn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との間を電気的に接続している。
一方、第1の方向Xの最も一端側(−X側)に配置された複数(本実施形態では3個)の第2の電極7が、第2の方向Yの最も一端側(−Y側)及び他端側(+Y側)に位置する組を除く、第2の方向Yにおいて隣り合う組同士の間で、それぞれn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との間を電気的に接続している。
これにより、第1の電極6を介して電気的に接続されたn型及びp型熱電変換素子4,5の組同士が第2の電極7を介して電気的に直列に接続されている。
一対の端子8a,8bのうち、一方の端子8aは、第1の方向Xの最も一端側(−X側)、且つ、第2の方向Yの最も一端側(−Y側)に位置するp型熱電変換素子4Aと電気的に接続されている。すなわち、一方の端子8aは、第1の方向Xの他端側(+X側)に向けて延長された第3の電極9aを有している。p型熱電変換素子4Aは、第3の電極9aと電気的に接続されると共に、この第3の電極9aを介して第3の方向Zの他端側が第2の基板3と熱的に接合されている。
これに対して、他方の端子8bは、第1の方向Xの最も一端側(−X側)、且つ、第2の方向Yの最も他端側(+Y側)に位置するn型熱電変換素子3Aと電気的に接続されている。すなわち、他方の端子8bは、第1の方向Xの他端側(+X側)に向けて延長された第3の電極9bを有している。n型熱電変換素子3Aは、第3の電極9bと電気的に接続されると共に、この第3の電極9bを介して第3の方向Zの他端側が第2の基板3と熱的に接合されている。
以上のような構成を有する本実施形態の熱電変換装置1では、一方の基板(本実施形態では第1の基板2)を高温(加熱)側に配置し、他方の基板(本実施形態では第2の基板3)を低温(放熱/冷却)側に配置する。これにより、各熱電変換素子4,5の第1の電極6と第2の電極7(又は第3の電極9a,9b)との間に温度差が発生する。
このとき、各熱電変換素子4,5の第1の電極6と第2及び第3の電極7,9a,9bとの間に電荷(キャリア)の移動が起こる。すなわち、各熱電変換素子4,5の第1の電極6と第2及び第3の電極7,9a,9bとの間には、ゼーベック効果による起電力(電圧)が発生する。
このうち、n型熱電変換素子4には、冷接点側電極となる第2及び第3の電極7,9a,9b側から温接点側電極となる第1の電極6側に向けて電流が流れる。一方、p型熱電変換素子5には、温接点側電極となる第1の電極6側から冷接点側電極となる第2及び第3の電極7,9a,9b側に向けて電流が流れる。
なお、図1では、各熱電変換素子4,5に流れる電流の方向を、それぞれ矢先(紙面の手前に向かう方向)又は矢尻(紙面の奥に向かう方向)の記号で表している。また、図2では、各熱電変換素子4,5に流れる電流の方向を、それぞれ矢印の向きで表している。
ここで、1つの熱電変換素子4,5で発生する起電力(電圧)は小さいものの、一対の端子8a,8bの間で、複数のn型熱電変換素子4と複数のp型熱電変換素子5とを交互に直列に接続することによって、これら一対の端子8a,8bの間からは、その総和の起電力として、比較的高い電力(電圧)を取り出すことが可能である。また、一方の端子4a側(+)から他方の端子4b側(−)に向けて電流を流すことが可能である。
ところで、本実施形態の熱電変換装置1では、n型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5とのうち、何れか一方の熱電変換素子(本実施形態ではp型熱電変換素子5)が、何れか他方の熱電変換素子(本実施形態ではn型熱電変換素子4)よりも、第3の方向Zにおける熱膨張率が相対的に高くなっている。すなわち、この熱電変換装置1では、n型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との第3の方向Zにおける熱膨張率が互いに異なっている。
また、n型熱電変換素子4は、無機熱電変換材料からなる。p型熱電変換素子5は、無機熱電変換材料とバインダとを含む複合材料からなる。p型熱電変換素子5は、無機熱電変換材料よりもヤング率が小さいバインダに無機熱電変換材料が担持された構造を有している。これにより、p型熱電変換素子5は、n型熱電変換素子4よりも第3の方向Zにおけるヤング率が相対的に小さくなっている。
無機熱電変換材料としては、それぞれの導電型を有する、例えば、シリコン−ゲルマニウム(Si−Ge)系合金や、ビスマス−テルル(Bi−Te)系合金、ビスマス−アンチモン−テルル(Bi−Sb−Te)系合金、ビスマス−テルル−セレン(Bi−Te−Se)系合金、シリコン−鉄−アルミニウム(Si−Fe−Al)系合金、鉄−バナジウム−アルミニウム(Fe−V−Al)系合金などを用いることができる。
バインダとしては、無機熱電変換材料よりもヤング率が小さく、且つ、無機熱電変換材料を担持することが可能な材料を用いることが好ましく、例えば、ゴムやポリマー、粘土などを用いることができる。
また、バインダとして、有機熱電変換材料を用いることができる。有機熱電変換材料としては、例えば、ポリフェニレンビニレンや、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT):トルエンスルホン酸塩、PEDOT:ポリ(4−スチレンスルホン酸)(PSS)などを用いることができる。
また、素子抵抗を下げるため、バインダとして、例えば、銀(Ag)や銅(Cu)、アルミニウム(Al)、はんだ合金などを用いてもよい。さらに、上述した何れかのバインダを混合して用いてもよい。
また、p型熱電変換素子5は、上述した無機熱電変換材料とバインダとを含む複合材料の代わりに、上述した有機熱電変換材料からなる構成であってもよい。この場合、無機熱電変換材料をバインダに担持させることなく、無機熱電変換材料からなるn型熱電変換素子4の第3の方向Zにおけるヤング率よりも、p型熱電変換素子5の第3の方向Zにおけるヤング率を小さくすることができる。
本実施形態では、例えば、n型熱電変換素子4として、リン(P)がドープされたSi−Ge合金からなるバルクを用いている。また、その熱膨張率は4×10−6[1/K]であり、そのヤング率は130[GPa]である。
一方、p型熱電変換素子5として、硼素(B)がドープされたSi−Ge合金の粉末と、シリコーン樹脂とを混合した複合材料からなるバルクを用いている。また、その熱膨張率は200×10−6[1/K]であり、そのヤング率は0.02[GPa]である。
本実施形態の熱電変換装置1では、図3に拡大して示すように、p型熱電変換素子5がn型熱電変換素子4よりも第3の方向Zにおける熱膨張率が高いため、熱膨張時にp型熱電変換素子5がn型熱電変換素子4よりも第3の方向Zに膨張しようとする。
このとき、p型熱電変換素子5は、n型熱電変換素子4よりも第3の方向Zにおけるヤング率が低いため、第1の基板2及び第2の基板3から受ける第3の方向Zの圧縮力により変形しやすい。このため、p型熱電変換素子5は、図3に示すように、特定の面内(XY平面内)の方向に膨らみながら変形することになる。これにより、p型熱電変換素子5に発生する変形(歪み)をXY平面内の方向に緩和させながら、n型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との間で第3の方向Zに発生する変形(歪み)の差を縮小することが可能である。
したがって、本実施形態の熱電変換装置1では、上述したn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との熱膨張率差によって、第1及び第2の基板2,3やn型及びp型熱電変換素子4,5の一部に破壊が発生することを抑制することが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態の熱電変換装置1では、図4に拡大して示すように、p型熱電変換素子5の第3の方向Zにおける熱膨張率よりもn型熱電変換素子4の第3の方向Zにおける熱膨張率が高い場合には、熱膨張時にn型熱電変換素子4がp型熱電変換素子5よりも第3の方向Zに膨張しようとする。
例えば、本実施形態の熱電変換装置1では、図4に拡大して示すように、p型熱電変換素子5の第3の方向Zにおける熱膨張率よりもn型熱電変換素子4の第3の方向Zにおける熱膨張率が高い場合には、熱膨張時にn型熱電変換素子4がp型熱電変換素子5よりも第3の方向Zに膨張しようとする。
このとき、p型熱電変換素子5は、n型熱電変換素子4よりも第3の方向Zにおけるヤング率が低いため、第1の基板2及び第2の基板3から受ける第3の方向Zの引張力により変形しやすい。このため、p型熱電変換素子5は、図4に示すように、特定の面内(XY平面内)の方向に凹みながら変形することになる。これにより、p型熱電変換素子5に発生する変形(歪み)をXY平面内の方向に緩和させながら、n型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との間で第3の方向Zに発生する変形(歪み)の差を縮小することが可能である。
したがって、この場合も、上述したn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との熱膨張率差によって、第1及び第2の基板2,3やn型及びp型熱電変換素子4,5の一部に破壊が発生することを抑制することが可能である。
なお、本実施形態では、上述したn型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5とのうち、p型熱電変換素子5がn型熱電変換素子4よりも第3の方向Zにおけるヤング率が相対的に小さくなる構成を例示しているが、n型熱電変換素子4がp型熱電変換素子5よりも第3の方向Zにおけるヤング率が相対的に小さくなる構成であってもよい。
このような構成において、p型熱電変換素子5の第3の方向Zにおける熱膨張率よりもn型熱電変換素子4の第3の方向Zにおける熱膨張率が高い場合には、熱膨張時にn型熱電変換素子4がp型熱電変換素子5よりも第3の方向Zに膨張しようとする。
このとき、n型熱電変換素子4は、p型熱電変換素子5よりも第3の方向Zにおけるヤング率が低いため、第1の基板2及び第2の基板3から受ける第3の方向Zの圧縮力により変形しやすい。このため、n型熱電変換素子4は、上記図3に示すp型熱電変換素子5の場合と同様に、特定の面内(XY平面内)の方向に膨らみながら変形することになる。これにより、n型熱電変換素子4に発生する変形(歪み)をXY平面内の方向に緩和させながら、n型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との間で第3の方向Zに発生する変形(歪み)の差を縮小することが可能である。
一方、n型熱電変換素子4の第3の方向Zにおける熱膨張率よりもp型熱電変換素子5の第3の方向Zにおける熱膨張率が高い場合には、熱膨張時にp型熱電変換素子5がn型熱電変換素子4よりも第3の方向Zに膨張しようとする。
このとき、n型熱電変換素子4は、p型熱電変換素子5よりも第3の方向Zにおけるヤング率が低いため、第1の基板2及び第2の基板3から受ける第3の方向Zの引張力により変形しやすい。このため、n型熱電変換素子4は、上記図4に示すp型熱電変換素子5の場合と同様に、特定の面内(XY平面内)の方向に凹みながら変形することになる。これにより、n型熱電変換素子4に発生する変形(歪み)をXY平面内の方向に緩和させながら、n型熱電変換素子4とp型熱電変換素子5との間で第3の方向Zに発生する変形(歪み)の差を縮小することが可能である。
なお、上記熱電変換装置1では、第1の基板2を高温(熱源)側に配置し、第2の基板3を低温(放熱/冷却)側に配置した場合を例示しているが、第2の基板3を高温(熱源)側に配置し、第1の基板2を低温(放熱/冷却)側に配置することも可能である。この場合、各熱電変換素子4,5に流れる電流の方向が図1に示す場合とは逆向きとなる。
1…熱電変換装置 2…第1の基板(第1の基材) 3…第2の基板(第2の基材) 4…n型熱電変換素子 5…p型熱電変換素子 6…第1の電極 7…第2の電極 8a,8b…一対の端子 9a,9b…第3の電極
Claims (5)
- 一の方向において互いに対向する第1の基材及び第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間に配置されて、前記一の方向における熱膨張率が互いに異なるn型熱電変換素子及びp型熱電変換素子とを備え、
前記n型熱電変換素子と前記p型熱電変換素子とのうち、何れか一方の熱電変換素子は、無機熱電変換材料とバインダとを含み、何れか他方の熱電変換素子よりも前記一の方向におけるヤング率が相対的に小さくなっていることを特徴とする熱電変換装置。 - 前記一方の熱電変換素子は、前記無機熱電変換材料がバインダに担持された構造を有することを特徴とする請求項1に記載の熱電変換装置。
- 前記バインダが有機熱電変換材料を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱電変換装置。
- 一の方向において互いに対向する第1の基材及び第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間に配置されて、前記一の方向における熱膨張率が互いに異なるn型熱電変換素子及びp型熱電変換素子とを備え、
前記n型熱電変換素子と前記p型熱電変換素子とのうち、何れか一方の熱電変換素子は、有機熱電変換材料からなり、何れか他方の熱電変換素子よりも前記一の方向におけるヤング率が相対的に小さくなっていることを特徴とする熱電変換装置。 - 前記他方の熱電変換素子は、無機熱電変換材料からなることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の熱電変換装置。
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