以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態のコネクタ付き電線1は、組付け型コネクタハウジング2と、2本の被覆電線3と、2つの接続端子4とを備えている。これらのうち、組付け型コネクタハウジング2と、その内部に保持された接続端子4とによって、コネクタ5を構成している。
なお、以下の説明において、組付け型コネクタハウジング2の長手方向、短手方向、厚み方向をそれぞれ前後方向、幅方向、上下方向とし、図1中、矢印Fは前方向、矢印Uは上方向、矢印Rは右方向、矢印Lは左方向をそれぞれ示すものとする。
図1に示すように、被覆電線3は、導電性材料から成る導体31と、導体31の外周全体を被覆する、絶縁材料から成る絶縁被覆部32とを有している。
導体31は、銅又はその合金から成る複数の素線を束ねて銅芯線として形成されたものを採用しているが、導体31は、一本の素線から形成されたものを採用してもよい。なお、導体31の材料は、目的等に応じ、銅又はその合金以外とすることができ、導体31は、表面のみ導電率の高い導体とすることができる。
被覆電線3の長さ方向における、接続端子4と接続する側の末端部33(以下、「電線末端部33」と称する。)には、絶縁被覆部32を剥がす等によって導体31を露出させた導体露出部31aが形成されている。さらに、電線末端部33における導体露出部31aよりも基部側(末端側と反対側)には、被覆末端部32aが形成されている。
また、コネクタ付き電線1は、上述した被覆電線3を2本備え、これら2本の被覆電線3は、互に撚り合されて形成されるツイストペア電線35を構成している。
そして、2本の被覆電線3のコネクタ5への接続側の各末端側には、撚りを戻して(解いて)、撚り戻し部35aが形成されている。この撚りを戻した撚り戻し部35aに、導体露出部31aが形成された電線末端部33を有している。
接続端子4は、雌型の端子金具であって、導電性を有する金属板を所定の端子展開形状に打ち抜いた後に曲げ加工等により形成される。
接続端子4は、ボックス部41、トランジション部42及び電線接続部43が備えられている。前方から後方へこの順に直列に配置されたボックス部41、トランジション部42及び電線接続部43が一体に形成され、接続端子4は細長い形状に形成されている。
ボックス部41は角筒状に形成されている。ボックス部41の底面の前端から前方へ延出する延出部分を後方へ折り返された弾性接触片41a(図7(c)参照)を内部に配置している。
そのため、不図示の相手側接続端子(雄型接続端子)に備えたタブがボックス部41の前方から挿入されると、ボックス部41の内部においてタブに対して弾性接触片41aが付勢された状態で接触することで、相手側接続端子と接続端子4とが電気的に接続される。
トランジション部42は、ボックス部41と電線接続部43との間に介在され、これら各底面を一体に繋ぐ部位である。
電線接続部43は、被覆電線3の電線末端部33を接続する部分である。電線接続部43は前側にワイヤバレル部44を備えるとともに、後側にインシュレーションバレル部45とを備えている。
図3及び図4(a),(b)に示すように、ワイヤバレル部44とインシュレーションバレル部45は共に、バレル底面44a,45a(図4(a),(b)参照)と、左右一対のバレル片44b,45bとで一体構成されている。
左右一対のバレル片44b,45bは、バレル底面44a,45aに対して幅方向外側程上方へ延出するように形成されている。
このように、バレル底面44a,45aと、バレル片44b,45bとで構成されたワイヤバレル部44とインシュレーションバレル部45はオープンバレル形状に形成されている。
ワイヤバレル部44は、後述する電線接続工程において電線末端部33における導体露出部31aを圧着する(図5(a),(b)参照)。インシュレーションバレル部45は、電線接続工程において電線末端部33側における被覆末端部32aを圧着する(図5(a)参照)。インシュレーションバレル部45は、被覆末端部32aを保持可能にワイヤバレル部44よりも一回り大きく形成されている。
また、図1に示すように、第1実施形態のコネクタ付き電線1は、2本の被覆電線3のそれぞれに対応して合計2つの接続端子4を備えている。
組付け型コネクタハウジング2は、ハウジング本体2dと、ハウジング本体2dを上方から覆うカバー2uとで構成され、全体として直方体形状に形成されている。組付け型コネクタハウジング2を構成するハウジング本体2dと、カバー2uは何れも誘電性(絶縁性)を有する合成樹脂材料で構成されている。
組付け型コネクタハウジング2の内部には、少なくとも1つの端子収容室6が設けられている。1つの端子収容室6につき、1つの接続端子4が収容される。図1及び図2(a),(b)に示すように、第1実施形態では組付け型コネクタハウジング2の内部には、2つの接続端子4が収容できるように2つの端子収容室6が幅方向に並設されている。
図7(b),(c)に示すように、端子収容室6は、上側端子収容凹部6uと、下側端子収容凹部6dとで構成される。
上側端子収容凹部6uは、接続端子4の上側(厚み方向の一方側)を収容可能にカバー2u側に形成されている。下側端子収容凹部6dは、接続端子4の下側(厚み方向の他方側)を収容可能にハウジング本体2d側に形成されている。
上側端子収容凹部6uは、カバー2uに対して下側から接続端子4を嵌め込み可能にカバー2uの下面が下方に向けて開口する凹状に形成されている。また、下側端子収容凹部6dは、ハウジング本体2dに対して上側から接続端子4を嵌め込み可能にハウジング本体2dの上面が上方に向けて開口する凹状に形成されている。
なお、端子収容室6は、接続端子4を収容可能であれば、例えば、カバー2uについては下面を凹状に形成せずに平坦状に形成するとともに、ハウジング本体2dの上面のみを凹状に形成した構成を採用してもよい。
この場合には、図示省略するが、下側端子収容凹部6dは、接続端子4をその上下方向の全体が嵌め込まれる深さで形成され、カバー2uとハウジング本体2dとを組み付ける際に、下側端子収容凹部6dの開口をカバー2uによって上方から塞ぐように構成される。
また、図1及び図2(a),(b),(c)に示すように、ハウジング本体2dは、ベース部21、前壁部22、後壁部23、左右各側の側壁部24,24及び隔壁部25で構成され、一体形成されている。
ベース部21は、ハウジング本体2dの底板を形成し、ベース部21における、平面視で下側端子収容凹部6dに対応する部位の上面によって、下側端子収容凹部6dの底面が形成される。
また、後壁部23、隔壁部25及び左右各側の側壁部24,24は、何れも、組付け型コネクタハウジング2の高さよりも若干低い高さの縦壁状に形成されている。一方、前壁部22は、組付け型コネクタハウジング2と略同じ高さとの縦壁状に形成されている。
これにより、前壁部22の上部は、左右一対の側壁部24,24及び隔壁部25の各上面に対して上方へ段状に突き出して形成される(図1参照)。また、側壁部24,24は、ハウジング本体2dの幅方向の両端において前後方向に延びている。そのため、側壁部24,24は、前壁部22及び後壁部23におけるそれぞれの幅方向の両端同士を連結する。隔壁部25は、左右各側の後述するボックス部配置領域61を幅方向に仕切るように前後方向に延びている。
以下、上述したように端子収容室6を構成する上側端子収容凹部6uと下側端子収容凹部6dとのうち、ハウジング本体2d側に形成された下側端子収容凹部6dの構成を中心に説明する。
図2(a),(b),(c)、図6及び図7(a),(b),(c)に示すように、下側端子収容凹部6dは、ボックス部配置領域61と、電線接続部配置領域62とを備えている。
ボックス部配置領域61は、下側端子収容凹部6dに上方から嵌め込むように配置した接続端子4におけるボックス部41が配置される。
電線接続部配置領域62は、下側端子収容凹部6dに上方から嵌め込むように配置した接続端子4における電線接続部43及びトランジション部42が配置される。
ハウジング本体2dにおいて、縦壁状の前壁部22、後壁部23、側壁部24,24及び隔壁部25によって、下側端子収容凹部6dの内壁が下側端子収容凹部6dの内部空間を臨むように形成されている。
左右各側の下側端子収容凹部6dにおけるボックス部配置領域61は、上述したように隔壁部25によって幅方向に仕切られている。また、ボックス部配置領域61は、隔壁部25と左右それぞれに対応する側壁部24,24とによって、ボックス部41を嵌め込み可能にボックス部41の幅よりも若干幅広に形成されている(図6及び図7(c)参照)。
これにより、2つの接続端子4のボックス部41は、ハウジング本体2dの上面の左右各側に凹状に設けられたボックス部配置領域61にそれぞれ嵌め込まれるように配置される。そして、この状態においてボックス部41は、左右それぞれに対応する側壁部24,24及び隔壁部25によって形成されるボックス部配置領域61の内壁によって幅方向に嵌合保持される。
このように、ボックス部配置領域61においてボックス部41が幅方向に保持されることによって、ハウジング本体2dは、接続端子4自体を、下側端子収容凹部6dに嵌め込まれるように配置された状態で幅方向に保持することができる。
なお、ハウジング本体2dによる接続端子4の保持形態は、下側端子収容凹部6dにおけるボックス部配置領域61にボックス部41を嵌合することにより接続端子4を保持する上述の構成に限定しない。
例えば、図示省略するが、ハウジング本体2dに、下側端子収容凹部6dに嵌め込むように配置した接続端子4に係合する係合部等を、下側端子収容凹部6dの内壁に形成し、係合部等によって接続端子4を保持する構成を採用してもよい。
図1及び図2(a),(b),(c)に示すように、第1実施形態のハウジング本体2dにおける、左右各側のボックス部配置領域61よりも後部には、ハウジング本体2dの上面に対して凹状の幅広凹部7が形成されている。
幅広凹部7は、左右各側の電線接続部配置領域62を一部に備え、これら電線接続部配置領域62と同じ深さになるように底面がベース部21の上面によって形成される。さらに、幅広凹部7の内壁は、左右各側の側壁部24,24、後壁部23及び、隔壁部25の後端によって囲まれるように、これらによって形成される。
図1及び図2(a)に示すように、幅広凹部7は、左右各側の幅方向外端の内壁が、左右それぞれに対応するボックス部配置領域61の幅方向外端の内壁よりも幅方向外側へ位置するように幅広に形成されている。さらに、幅広凹部7は、ハウジング本体2dの幅方向に離間して有する左右各側の電線接続部配置領域62の間も含めて、これら電線接続部配置領域62を幅方向に跨ぐように形成されている。すなわち、幅広凹部7は、隔壁部25によって幅方向に仕切られることがなく幅方向に互いに連通して形成されている。
なお、左右各側のボックス部配置領域61の後端は幅広凹部7に向けて開口し、これら左右各側のボックス部配置領域61と幅広凹部7は前後方向に連通している。換言すると、左右各側の電線接続部配置領域62を幅方向の一部に有する幅広凹部7をハウジング本体2dに形成している。
このように、幅広凹部7をハウジング本体2dに形成することで、後述する電線接続工程において、被覆電線3と接続端子4とを圧着する一対の工具81,82(ここでは加圧型である上側工具81,下側工具82)のうち、特に上側工具81とハウジング本体2dとの干渉を回避している(図5(a)(b)参照)。
具体的には、被覆電線3と接続端子4とを接続するため、ハウジング本体2dに配置された電線接続部43に対して上方から上側工具81が降下する。降下した上側工具81は幅広凹部7の凹状空間へ侵入するため、上側工具81とハウジング本体2dとが干渉することを回避することができる。
また、図1及び図2(a)に示すように、ハウジング本体2dの前壁部22には、接続端子4と接続される相手側接続端子(雄型接続端子)のタブを挿入する挿入孔22aが形成されている。
具体的には、前壁部22における、正面視(前方から後方視)で下側端子収容凹部6dに対応する左右各側の部位に、相手側接続端子のタブが前方から挿入される挿入孔22aが、前後方向に貫通形成されている。
図1及び図2(a),(b),(c)に示すように、ハウジング本体2dの後壁部23には、被覆電線3が配置される電線配置凹部23aが形成されている。
詳しくは、後壁部23における、後面視(後方から前方視)で下側端子収容凹部6dに対応する左右各側の部位に、被覆電線3が配置される電線配置凹部23aが後壁部23の上面に対して凹状に形成されている。
電線配置凹部23aは、後述する電線配置工程において、下側端子収容凹部6dに配置した接続端子4の電線接続部43に電線末端部33を配置した状態で、被覆電線3と後壁部23との干渉を回避するものである(図3及び図4(a)参照)。
このように構成されることで、下側端子収容凹部6dに収容された接続端子4は前後方向に位置ズレしないように保持される。具体的には、下側端子収容凹部6dに収容された接続端子4の前端は前壁部22の後面に当接する。また、下側端子収容凹部6dに収容された接続端子4の後端は後壁部23の前面に当接する。このように、下側端子収容凹部6dに収容された接続端子4の前後端が前壁部22及び後壁部23に当接することで、下側端子収容凹部6dに対する接続端子4の前後方向の位置が規制される。
図1及び図2(a),(b),(c)に示すように、ハウジング本体2dの電線接続部配置領域62には、ハウジング本体2dを上下方向に貫通する貫通孔10が形成されている。貫通孔10は、ハウジング本体2dにおいて幅方向に離間する左右各側の電線接続部配置領域62を跨いで形成されている。
換言すると、貫通孔10は、図2(a)に示すように、幅広凹部7の底面における周縁を除く中央部に平面視矩形状に形成されている。
貫通孔10は、後述する電線接続工程において一対の工具81,82のうち、少なくとも下側工具82(固定型)が下側から挿入される大きさ及び形状に形成されている(図4(a),(b)及び図5(a),(b)参照)。
詳しくは、貫通孔10は、下側工具82が、左右各側の電線接続部配置領域62に配置された電線接続部43を下側から支持した状態においてハウジング本体2dに干渉しない大きさ及び形状に形成されている(図5(a)(b)参照)。
さらに、第1実施形態における貫通孔10は、一対の工具81,82のうち、ハウジング本体2dに対して上側に配置された上側工具81(可動型)が降下した状態においてハウジング本体2dに干渉しない大きさ及び形状で形成されている(図5(b)参照)。
加えて、貫通孔10は、被覆電線3の組付け型コネクタハウジング2への接続部分3C(図7(a)参照)の特性インピーダンスが所定の範囲内となるように整合する大きさ及び形状で形成されている。
また、図1及び図7(a),(b)に示すように、上述したカバー2uは、平板状の天板部27と、天板部27の幅方向両側から下方へ延びるカバー側壁部28,28とで一体形成されている。
天板部27は、前壁部22を含めてハウジング本体2dを上方から覆うよう構成されている。
カバー側壁部28,28は、側壁部24,24を幅方向外側から覆うよう構成されている。
図1に示すように、ハウジング本体2dの側壁部24,24の外面には、係合突起29dが形成されている。
また、カバー側壁部28,28における、係合突起29dと対応する部位には、ハウジング本体2dとカバー2uとを組み付けた状態において、係合突起29dと係合する係合孔29uが形成されている。なお、係合突起29dおよび係合孔29uは、図1のみ図示するものとする。
図7(a),(b),(c)に示すように、コネクタ付き電線1は、ハウジング本体2dとカバー2uとを組み立てて一体化した組付け型コネクタハウジング2の内部に、接続端子4と電線末端部33とが圧着接続された状態で収容される。
これにより、コネクタ付き電線1では、組付け型コネクタハウジング2の内部において、電線末端部33の導体露出部31aと接続端子4とが電気的に接続される。
次に、上述のコネクタ付き電線1の製造方法について説明する。
コネクタ付き電線1の製造方法は、端子配置工程、電線配置工程、電線接続工程及びカバー組み付け工程を行う。
端子配置工程は、接続端子4をハウジング本体2dに配置する工程である。
電線配置工程は、電線接続部43に電線末端部33を配置する工程である。
電線接続工程は、一対の工具81,82により、電線接続部43と被覆電線3とを圧着接続する工程である。
カバー組み付け工程は、ハウジング本体2dに対してカバー2uを組み付けてコネクタ付き電線1を完成させる工程である。
以下において、各工程について詳しく説明する。
まず、接続端子4をハウジング本体2dに配置する端子配置工程を行う。
この端子配置工程では、2つの接続端子4を、ハウジング本体2dに設けた、左右の下側端子収容凹部6dに嵌め込むように、ハウジング本体2dの上方から配置する(図3参照)。
これにより、ボックス部41は、下側端子収容凹部6dにおけるボックス部配置領域61において、ボックス部配置領域61の内壁によって保持される。
一方、トランジション部42及び電線接続部43は、電線接続部配置領域62、すなわち幅広凹部7に嵌め込まれた状態で配置される。
このとき、電線接続部43は、ワイヤバレル部44とインシュレーションバレル部45とが共に上方を臨む姿勢で電線接続部配置領域62に配置される(図3及び図4(a),(b)参照)。
続いて行う電線配置工程では、図3及び図4(a),(b)に示すように、下側端子収容凹部6dに配置した接続端子4の電線接続部43に対して電線末端部33を上方から配置する。
その際、電線末端部33の導体露出部31aをワイヤバレル部44のバレル底面44aに配置し、電線末端部33の被覆末端部32aをインシュレーションバレル部45のバレル底面45aに配置する。
電線接続工程では、電線末端部33を配置した電線接続部43を一対の工具81,82で上下方向の両側から挟み込んで互いに圧着接続する。一対の工具81,82は、上側工具81と下側工具82から成る。
電線接続工程では、図4(a),(b)に示すように、一対の工具81,82のうち、被覆電線3を配置した電線接続部43の下方に下側工具82が配置され、上方に上側工具81が配置されるようにセットする。
このとき、下側工具82は、下方から貫通孔10に挿入し、下側工具82の上面(加圧面82a)を電線接続部43の下面に直接当接させる。これにより、下側工具82は、電線末端部33が配置された電線接続部43を下方から支持する状態となる。
そして、図5(a),(b)に示すように、電線末端部33よりも上方に配置した上側工具81を降下させる。これにより、上側工具81と下側工具82とで、電線接続部43と電線末端部33とを上下両側から挟み込むように互いに圧着接続することができる。
具体的には、図5(a),(b)に示すように、ワイヤバレル部44において電線末端部33の導体露出部31aの外周にバレル片44bが巻き付くようにワイヤバレル部44を塑性変形させる。これにより、導体露出部31aはワイヤバレル部44によって加締められ、電線末端部33と接続端子4とは、導体露出部31aとワイヤバレル部44とが互いに接触し、電気的に接続される。
インシュレーションバレル部45においては、被覆末端部32aの外周にバレル片45bが巻き付くようにインシュレーションバレル部45が塑性変形する。これにより、図5(b)に示すように、被覆末端部32aはインシュレーションバレル部45によって加締められる。そのため、接続端子4が電線末端部33を保持する保持力を、導体露出部31aとワイヤバレル部44のみを圧着する場合と比して高めることができる。
上述した電線接続工程では、図5(a),(b)に示すように、貫通孔10に下側から挿入させた下側工具82によって電線接続部43を、ハウジング本体2dを介さず、直接支持している。さらには、降下して電線接続部43を加圧する上側工具81を、幅広凹部7及び貫通孔10に上方から侵入させる(図5(b)参照)。
これらにより、上側工具81と下側工具82とは、共にハウジング本体2dに干渉することなく、電線接続部43と電線末端部33とを圧着接続することができる。
すなわち、電線接続部43と電線末端部33とは共に、ハウジング本体2dに配置された状態のまま互いに圧着接続することができる。
上述の電線接続工程後カバー組み付け工程を行い、ハウジング本体2dに対してカバー2uを上方から組み付ける。
図7に示すように、電線末端部33と電線接続部43が接続された端子付き電線の接続端子4は、ハウジング本体2dにおける下側端子収容凹部6dに嵌め込まれた状態となる。
この状態において、端子付き電線の接続端子4が配置されたハウジング本体2dの上方からカバー2uで覆う。このとき、ハウジング本体2d側の係合突起29dとカバー2u側の係合孔29uとを係合させて固定する。
これにより、図7(a),(b),(c)に示すように、ハウジング本体2dとカバー2uとは、端子付き電線の接続端子4を端子収容室6に収容した状態で互いに組み付けることができ、コネクタ付き電線1を作成することができる。
図1に示すように、コネクタ付き電線1は、内部に導体31を有する被覆電線3と、被覆電線3と電気的に接続される電線接続部43を有する金属製の接続端子4と、接続端子4を保持する、誘電性を有するハウジング本体2dとが備えられている。
図1及び図2(a),(b),(c)に示すように、ハウジング本体2dに、電線接続部43が配置される下側端子収容凹部6d(接続部配置部)が設けられている。図3に示すように、電線接続部配置領域62に配置された電線接続部43と、電線接続部43に配置される電線末端部33とは、図4(a),(b)及び図5(a),(b)に示すように、これらの両側から一対の工具81,82により挟み込んで互いに接続される。
また、同図に示すように、ハウジング本体2dに対して下側(電線接続部43が配置された側と反対側)に配置された下側工具82(一方の加圧型)が下側(反対側)から挿入される貫通孔10が、ハウジング本体2dにおいて、上下方向(一対の加圧型の挟み込み方向)に貫通形成されている(図2(a),(b),(c)参照)。
前記構成によれば、被覆電線3を、ハウジング本体2dに保持された接続端子4に接続する際に、被覆電線3が座屈することなく被覆電線3と接続端子4とを適切に接続することができる。したがって、ハウジング本体2dに接続される被覆電線3の耐久性を確保するとともに伝送損失を抑制することができる。
詳しくは、ハウジング本体2dに被覆電線3と接続端子4を接続する際には、被覆電線3と接続端子4とが互に接続されていない別々の状態でこれら被覆電線3と接続端子4とを、コネクタ5を構成するハウジング本体2dに配置し、その状態でこれら被覆電線3と接続端子4とを接続する。
具体的には、下側端子収容凹部6dの電線接続部配置領域62に配置された電線接続部43と、電線接続部43に配置された電線末端部33とを、これらの両側から一対の工具81,82により挟み込んで被覆電線3と接続端子4とを互いに接続する。
その際に、ハウジング本体2dにおける電線接続部配置領域62において上下方向に貫通形成された貫通孔10に下側工具82を下側から挿入し、電線接続部配置領域62に配置された電線接続部43を下側工具82によって下側から直接支持する。
そして、電線末端部33が配置された電線接続部43を、上側工具81(他方の加圧型)と下側工具82とによって上下方向に挟み込むようにして互いに接続する。
このように、ハウジング本体2dに配置した接続端子4と被覆電線3とを接続する際に、被覆電線3と接続端子4とをそれぞれ別々にハウジング本体2dに対して配置し、一対の工具81,82により加圧接続するため、従来のように、接続端子4を被覆電線3に予め接続した端子付き電線の接続端子4をコネクタハウジングに挿入せずとも、ハウジング本体2dに配置した接続端子4と被覆電線3とを接続することができる。
また、被覆電線3と接続端子4とを一対の工具81,82により加圧接続するため、下側工具82の加圧面82aに接続端子4を配置する作業と、ハウジング本体2dに接続端子4を保持するために、ハウジング本体2dに接続端子4を配置する作業の2つの端子配置作業を、接続端子4をハウジング本体2dに配置するという1つの端子配置作業にまとめることができ、端子配置作業の手間を簡略化することができる。
詳述すると、被覆電線3と接続端子4とを接続し、接続端子4をハウジング本体2dに配置した状態にするにあたり、例えば、予め接続端子4を接続した端子付き電線を作成しておき、この端子付き電線における接続端子4を、コネクタハウジングの上面に設けた下側端子収容凹部6dに嵌め込むようにして配置することで互いに接続する方法が考えられる。
この接続方法によれば、従来のように、予め接続端子4を接続した端子付き電線における接続端子4をコネクタハウジングに挿入する必要がなくなる。そのため、コネクタハウジングに被覆電線3を接続する際に被覆電線3の座屈のおそれを解消できる利点がある。
しかし、予め接続端子4と被覆電線3とを接続した端子付き電線における接続端子4をハウジング本体2dに配置することにより、コネクタ付き電線を製造する場合には、その製造過程で行う接続端子4の配置作業に手間を要するという課題を有する。
なぜなら、従来のコネクタ付き電線の作成方法の場合、電線接続工程においては、一対の工具81,82による加圧の前段階として、一対の工具81,82のうち、クリンパ(固定型)の加圧面に端子を配置する作業と、コネクタハウジングへの端子取付け工程において、端子付き電線の接続端子4を、コネクタハウジングに配置する作業との双方を行う必要があるからである。
このため、このような従来のコネクタ付き電線の作成方法においては、工程ごとに端子の配置作業を行う必要があるため面倒であるという課題を有する。
これに対し、上述の本発明の製造方法では、接続端子4をハウジング本体2dに配置するだけで、一対の工具81,82により接続端子4を加圧接続するために接続端子4をハウジング本体2dに配置する端子配置作業と、ハウジング本体2dに接続端子4を保持(取付け固定)するために接続端子4をハウジング本体2dに嵌め込むように配置する端子配置作業とを1つにまとめることができ、端子配置作業の手間を簡略化することができる。
特に、コネクタ付き電線に複数の接続端子4を備えた場合には、端子配置作業において、接続端子4をその個数に応じて1つずつ配置する必要がある。このため、従来のコネクタ付き電線の作成方法のように端子配置作業を、工程ごとに行う必要がある場合には、接続端子4の数が増加するに伴って、全体として行う端子配置作業に要する労力が増大する。
これに対して、上述の本発明の製造方法では、例えば、細径化された複数の被覆電線3をハウジング本体2dに接続する場合においても、複数の被覆電線3の数に応じて存在する複数の接続端子4の配置作業を、各工程間で1つにまとめることができる。そのため、コネクタ5と被覆電線3との接続作業効率を大幅に向上させることができる。
さらにまた、上述の構成によれば、被覆電線3と接続端子4とを一対の工具81,82によって挟み込むようにして加圧接続のみを行う箇所と、ハウジング本体2dに接続端子4を保持した状態で配置したり、接続端子4に被覆電線3を配置する箇所とを1つにまとめることができる。そのため、コネクタ付き電線1の製造装置をコンパクトに構成することができる。
また、図1、図2(a),(b)、図6(a),(b)及び図7(a),(b)に示すように、貫通孔10は、被覆電線3のハウジング本体2dへの接続部分3Cの特性インピーダンスを所定の範囲内に満たされるように整合する大きさ及び形状で設けられたものである。
前記構成によれば、ハウジング本体2dに形成する貫通孔10の大きさ及び形状に応じて被覆電線3のハウジング本体2dへの接続部分3Cの特性インピーダンスが所定の範囲内となるように整合をとることができる。
なお、本実施形態では、貫通孔10の大きさ及び形状で、接続部分3Cの特性インピーダンスの整合性を図ったが、貫通孔10の大きさのみ、あるいは貫通孔10の形状のみで接続部分3Cの特性インピーダンスの整合をとるように構成してもよい。
以下、詳述すると、特性インピーダンスは一般に、CAN方式の通信系においては120Ωに設定され、イーサネット(登録商標)で汎用される100BASE−Tの通信系においては100Ωに設定されている。
そこで、例えば、コネクタ付き電線1をCAN方式の通信系に適用する場合には、被覆電線3のハウジング本体2dへの接続部分3Cの特性インピーダンスを、120Ω±10%の範囲内になるように整合する。また、コネクタ付き電線を100BASE−Tの通信系に適用する場合には、接続部分3Cの特性インピーダンスを、100Ω±10%の範囲内になるように整合する。
具体的には、誘電性を有するハウジング本体2dの厚みが厚いところほど、被覆電線3のハウジング本体2dへの接続部分3Cの特性インピーダンスは、低くなる傾向がある。
また、ハウジング本体2dに形成した貫通孔10に相当する部位は、ハウジング本体2dよりも誘電性が低い空気によって満たされるため、特性インピーダンスが高くなる傾向にある。
また、被覆電線3のハウジング本体2dへの接続部分3Cの特性インピーダンスは、被覆電線3の線間距離(一対の被覆電線3の間隔)や接続部分3C間の距離が大きくなると高くなる傾向にある。
このように、被覆電線3の前記接続部分3Cの特性インピーダンスは、線間距離や、ハウジング本体2dの誘電率等に起因して変動するが、接続部分3Cの特性インピーダンスが、所定の範囲として120Ω±10%の範囲内に整合されるようにハウジング本体2dに形成する貫通孔10の大きさ及び形状を設定している。
例えば、接続端子4における、相手側接続端子と接続されるボックス部41と電線接続部43とを連結するトランジション部42は、ボックス部41や電線接続部43と比して接続端子4の構成材料としての金属部分が占める割合が少ないため、特性インピーダンスが高くなる傾向にある。
そこで、ハウジング本体2dの平面視で、電線接続部配置領域62の中でも特にトランジション部42が配置される部位にも貫通孔10を設けることで、例えば電線接続部43が配置される部位のみに設ける場合と比して効果的に特性インピーダンスの整合をとることができる。
なお、第1実施形態のコネクタ付き電線1に備えた、一対の被覆電線3を撚り合わせて成るツイストペア電線35は、CAN方式の通信系で一般に用いられる。
また、図1に示すように、2本の被覆電線3を撚り合されたツイストペア電線35の各電線末端部33に、撚りを戻して電線接続部43に配置される撚り戻し部35aが形成されたものである。
ツイストペア電線35は、CAN方式の通信系で一般に用いられ、CAN方式の通信系においては特性インピーダンスが120Ωに設定されることが多いが、被覆電線3のハウジング本体2dへの接続部分3Cに、撚り戻し部35aが形成されることに起因して特性インピーダンスが所定値に対してズレている、すなわち120Ω±10%の範囲外となる場合がある。前記構成によれば、ハウジング本体2dに形成する貫通孔10の大きさ及び形状に応じて被覆電線3のハウジング本体2dへの接続部分3Cの特性インピーダンスが120Ω±10%の範囲になるように、整合をとることができる。
また、図2(a),(b),(c)に示すように、ハウジング本体2dにおいて、2つの下側端子収容凹部6dが互いに離間して並設されており、貫通孔10が、2つの下側端子収容凹部6dの電線接続部配置領域62の間に亘って設けられたものである。
前記構成によれば、被覆電線3のハウジング本体2dへの接続部分3Cにおける特性インピーダンスの下げ幅(低下の影響)を、例えば、下側端子収容凹部6dに対応する部位ごとに貫通孔10を互いに離間して設けた場合と比して大きく抑えることができる。その結果的に所定値に対して大きくズレた特性インピーダンスの整合をとることができる。
すなわち、被覆電線3の前記接続部分3Cにおける特性インピーダンスが、所定の値に対してのズレ幅が大きい場合であっても、上述したようにハウジング本体2dに貫通孔10を、電線接続部配置領域62の間に亘って形成することで、整合をとることができる。
また、図1及び図7(a),(b),(c)に示すように、上述したハウジング本体2dの内部に接続端子4を収容するように、カバー2u(コネクタハウジングカバー)をハウジング本体2dに組み付けて組付け型コネクタハウジング2を構成したものである。
前記構成によれば、ハウジング本体2dとカバー2uとの内部に被覆電線3と接続端子4とを接続した接続部分を収容することで、接続部分を外的要因から保護することができる。
また、図1、図3、図4(a),(b)、図5(a),(b)、図6及び図7(a),(b)に示すように、配置した電線末端部33を一対の工具81,82により加締めて圧着するバレル片44b,45bを電線接続部43に備えたものである。
このように、接続端子4に備えた電線接続部43にバレル片44b,45bを備えることで、導体露出部31aをバレル片44b,45bによって覆うように加締めて接続できる。そのため、ハウジング本体2dに配置された接続端子4と被覆電線3とを優れた接続強度で接続することができる。
続いて、上述した第1実施形態のコネクタ付き電線1と異なる他の実施形態について説明する。但し、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
(第2実施形態)
図8及び図10に示すように、第2実施形態のコネクタ付き電線1Aは、電線末端部33Aに、導体露出部31aを有しておらず、被覆電線3Aの長さ方向における、導体露出部31aに相当する部位も含めた末端に至るまで導体31の外周全体が絶縁被覆部32によって覆われている。
また、接続端子4Aの電線接続部43Aは、後側にインシュレーションバレル部45Aを備えているが、前側にはワイヤバレル部44を備えずに、圧接部44Aを備えている。
図11(a),(b)に示すように、圧接部44Aは、底壁44Aaと、底壁44Aaの左右両端から上方へ延びる側壁44Abと、一対の圧接片44Acとを有している。これら一対の圧接片44Acは、前後方向に離間して互いに対峙するように配設されている。
図8及び図11(a),(b)に示すように、圧接片44Acは、被覆電線3Aの外径よりも幅広に形成されている。また、圧接片44Acの幅方向の中央部に、上端から下方に延びる凹部44dが形成されている。凹部44dは導体31の外径よりも若干幅広に形成されている。
図8及び図9(a),(b),(c)に示すように、コネクタハウジング2Adに貫通形成された貫通孔10Aは、左右各側の電線接続部配置領域62に対応する部位ごとに幅方向に互いに離間して形成されている。すなわち、1つのコネクタハウジング2Adにおいて、左右各側の電線接続部配置領域62に対応する2つの貫通孔10Aがそれぞれ独立して形成されている。
但し、コネクタハウジング2Adにおいて幅方向に互いに離間するように形成された貫通孔10Aは、電線接続工程においてコネクタハウジング2Adの下側に配置された下側工具82(固定型)が下側から挿入できる(すなわち下側工具82が通過する、または一時的に存在(滞在)することを許容する)大きさ及び形状に形成されている。
さらに、第1実施形態の貫通孔10と同様に、貫通孔10Aは、被覆電線3Aの接続部分3C(図13(a)参照)の特性インピーダンスが所定の範囲内となるように整合する大きさ及び形状で形成されている。
続いて、コネクタ付き電線1Aを製造する方法について説明するが、上述した第1実施形態に係るコネクタ付き電線1を製造する方法と異なる構成を中心に説明する。
図10に示すように、端子配置工程において、接続端子4をコネクタハウジング2Adの左右それぞれに設けられた下側端子収容凹部6dに嵌め込まれるように配置する。その後、電線配置工程において、電線末端部33Aを電線接続部43Aに対して上方から配置する。
その際、図11(a)に示すように、電線末端部33Aは、圧接部44Aとインシュレーションバレル部45Aとのそれぞれに対して上方から配置されるが、このうち、圧接部44Aに対応する部位は、圧接部44Aに備えた一対の圧接片44Acを前後に跨ぐように配置される。
続いて、電線接続工程を行うにあたり、一対の工具81A,82Aのうち、被覆電線3Aが配置された電線接続部43Aの下側に下側工具82Aが配置され、上側工具81Aが上側に配置されるようにセットする(図11(a)参照)。
上側工具81Aは、圧接用上側工具81Aaと圧着用上側工具81Abとを備えている。下側工具82Aは、圧接用下側工具82Aaと圧着用下側工具82Abとを備えている。
電線接続工程において、圧接用上側工具81Aaと圧接用下側工具82Aaとによって圧接部44Aと電線末端部33Aを圧接する。また、圧着用上側工具81Abと圧着用下側工具82Abとによってインシュレーションバレル部45Aと電線末端部33Aを圧着する。
具体的には、圧接用下側工具82Aaと圧着用下側工具82Abとを、コネクタハウジング2Adの下側から貫通孔10Aに挿入し、圧接用下側工具82Aaの上面(加圧面)を電線接続部43Aの圧接部44Aの下面に直接当接させる。
同時に、圧着用下側工具82Abの上面(加圧面)を電線接続部43Aのインシュレーションバレル部45Aの下面に直接当接させる。これにより、圧接用下側工具82Aaと圧着用下側工具82Abとによって、電線末端部33Aが配置された電線接続部43Aを下方から支持することができる。
その状態から電線末端部33Aよりも上方に配置された上側工具81A(圧接用上側工具81Aa及び圧着用上側工具81Ab)を降下させる。これにより、圧接用上側工具81Aaと圧接用下側工具82Aaとによって圧接部44Aと電線末端部33Aとを上下両側から挟み込むように互いに圧接接続する。また、圧接用上側工具81Aaと圧着用下側工具82Abとによってインシュレーションバレル部45Aと電線末端部33Aとを上下両側から挟み込むように互いに圧着接続する。
特に、圧接接続においては、圧接片44Acの凹部44dに導体31が嵌め込まれるとともに、圧接片44Acによって絶縁被覆部32が切り裂かれ、凹部44dに嵌め込まれた導体31は、圧接片44Acの凹部44dの周縁と当接して、被覆電線3Aと接続端子4Aとが電気的に接続される。
このように、コネクタハウジング2Adに貫通孔10Aを設けたため、電線接続工程において、下側工具82Aがコネクタハウジング2Adに干渉することなく、貫通孔10Aに挿入した下側工具82Aによって電線接続部43Aを、コネクタハウジング2Adを介さずに直接支持することができる。
すなわち、被覆電線3Aと接続端子4Aとは、コネクタハウジング2Adに配置された状態のまま互いに圧接接続することができる。
このように、被覆電線3Aと接続端子4Aとを圧接接続する場合には、絶縁被覆部32を切り裂くように電線末端部33Aを圧接片44Acに差し込むだけでよく、第1実施形態のようにオープンバレル型のワイヤバレル部44を塑性変形させて被覆電線3Aと接続端子4Aとを圧着接続する場合と比して、貫通孔10Aの幅が小さくても下側工具82Aがコネクタハウジング2Adに干渉することなく圧接接続することができる。
したがって、電線接続部43Aをコンパクトに構成でき、ひいては、接続端子4Aを加圧する一対の工具81A,82Aもコンパクト化することができる。また、コネクタハウジング2Adにおいて、下側工具82Aが挿入される貫通孔10Aもコンパクト化することができる。
但し、本発明の貫通孔は、第2実施形態のように被覆電線3Aと接続端子4Aとを圧接により接続する場合においても、第1実施形態の貫通孔10のように、コネクタハウジング2Adにおける左右各側の電線接続部配置領域62に亘って幅広に形成した構成を採用してもよい。
また、本発明の貫通孔は、第1実施形態のように、被覆電線3Aと接続端子4とを圧着接続する場合においても、第2実施形態の貫通孔10Aのように、下側工具82がハウジング本体2dに干渉しない範囲で、ハウジング本体2dにおける左右各側の電線接続部配置領域62ごとに独立して形成した構成を採用してもよい。
第2実施形態のコネクタ付き電線1Aは、図8及び図9(a),(b),(c)に示すように、下側端子収容凹部6dは、コネクタハウジング2Adの上面における左右各側に互いに離間して並設されており、貫通孔10Aは、これら2つの下側端子収容凹部6dに対応する部位ごとに互いに離間して設けられたものである。
前記構成によれば、貫通孔10Aを、下側端子収容凹部6dに対応する部位ごとに、互いに離間して設けることで、極力最小限の大きさに留めて形成することができる。これにより、コネクタハウジング2Adは、電線接続工程において貫通孔10Aに挿入される下側工具82Aとコネクタハウジング2Adとの干渉を回避しながらも、貫通孔10Aを形成したことよる強度低下を抑制することができる。
さらに、貫通孔10Aを、このように極力最小限の大きさに留めて形成することで、誘電性を有するコネクタハウジング2Adに静電容量が蓄えられることに起因する、被覆電線3Aのコネクタハウジング2Adへの接続部分3Cにおける特性インピーダンスの下げ幅(低下の影響)を、例えば、第1実施形態の貫通孔10のように、左右各側の下側端子収容凹部6dに対応する部位に亘って幅広に設けた場合と比して小さく抑えて高精度に整合をとることができる。
すなわち、被覆電線3Aの前記接続部分3Cにおける特性インピーダンスに、所定の値に対して僅かなズレが生じている場合においても、所定値に対して高精度に整合をとることができる。
(第3実施形態)
図14に示すように、第3実施形態のコネクタ付き電線1B(コネクタ5B)に備えられた組付け型コネクタハウジング2B(以下、「コネクタハウジング2B」と略記する)は、ハウジング本体2dとカバー2Buとの両方に貫通孔10(10d,10u)が形成されている。
以下の説明において、ハウジング本体2d側とカバー2Bu側とのそれぞれに形成された貫通孔10を区別する場合などにおいては、ハウジング本体2d側に形成された貫通孔10を本体側貫通孔10dとも称するとともに、カバー2Bu側に形成された貫通孔10をカバー側貫通孔10uとも称する。
本体側貫通孔10dは、第1実施形態のコネクタ付き電線1において、ハウジング本体2dに形成された貫通孔10と同様に、左右各側の電線接続部配置領域62を跨ぐように幅広に形成されている。すなわち、本体側貫通孔10dは、第1実施形態の貫通孔10と同じ形成部位に、該貫通孔10と同一の形状および大きさに形成されている。
一方、カバー2Buにおけるカバー側貫通孔10uは、カバー2Buによってハウジング本体2dを上方から覆った状態において、該カバー2Buにおける、ハウジング本体2dの本体側貫通孔10dと上下方向に対向する部位に形成されている。
本実施形態においては、カバー側貫通孔10uの位置および形状は、コネクタハウジング2Bを平面視したとき、本体側貫通孔10dの位置および形状と完全に一致するように形成されている。
カバー側貫通孔10uは、後述する電線接続工程において、一対の工具81,82のうち、少なくとも上側工具81が通過する、または一時的に存在することを許容する(図15(b)参照)。
第3実施形態のコネクタ付き電線1Bを製造する方法においては、カバー組み付け工程を、電線接続工程後ではなく、電線配置工程と電線接続工程との間に行う。
具体的には、図14中の矢印s1に示すように、端子配置工程において、接続端子4の電線接続部43を、下側端子収容凹部6dに上方から配置するとともに、図14中の矢印s2に示すように、電線配置工程において、ハウジング本体2dにおける、下側端子収容凹部6dに配置した接続端子4の電線接続部43に対して電線末端部33を上方から配置する。
なお、第3実施形態のコネクタ付き電線1Bを製造する方法については、端子配置工程と電線配置工程とを同時に行ってもよい。すなわち、接続端子4の電線接続部43の上方に電線末端部33を配置した状態で、電線末端部33と共に電線接続部43を下側端子収容凹部6dに配置してもよい。
その後に行うカバー組み付け工程において、図14中の矢印s3に示すように、ハウジング本体2dに対してカバー2Buを上方から覆うようにして組み付ける。
これにより、コネクタハウジング2Bの内部に配置された電線接続部43および電線末端部33は、カバー側貫通孔10uおよび本体側貫通孔10dを通じて外部に露出した状態となる(図15(a)参照)。
続いて行う電線接続工程において、図15(a)に示すように、下側工具82は、下側端子収容凹部6dに配置した接続端子4の電線接続部43を、上述したように、本体側貫通孔10dを通じて下方から直接当接した状態で支持する。
さらに、電線接続工程において、電線接続部43に配置された電線末端部33に対して、カバー2Buよりも上方から上側工具81を降下させる。
ここで、ハウジング本体2dは、カバー2Buによって上方から覆われているが、カバー2Buにおける、下側端子収容凹部6dの直上部位には、カバー側貫通孔10uが形成されている。このため、図15(b)に示すように、電線接続部43に配置された電線末端部33に対して、カバー2Buよりも上方から上側工具81を降下させても該上側工具81は、カバー2Buに干渉することがなく、電線接続部43と電線末端部33とを直接加圧することができる。
これにより、上側工具81と下側工具82とで、電線接続部43と電線末端部33とを上下両側から挟み込むように互いに圧着接続することができ、図16(a)(b)に示すように、第3実施形態のコネクタ付き電線1B(コネクタ5B)を得ることができる。
上述した第3実施形態のコネクタ付き電線1Bにおいては、ハウジング本体2dに本体側貫通孔10dを形成することに加えて、カバー2Buにカバー側貫通孔10uを形成することで、カバー組み付け工程の後に電線接続工程を行うことが可能となる。換言すると、カバー2Buをハウジング本体2dに対して上方から覆うように組み付けた状態で接続端子4の電線接続部43と電線末端部33とを接続することが可能となる。
すなわち、下側端子収容凹部6dに配置した接続端子4や、接続端子4の電線接続部43に配置した電線末端部33が、電線接続工程の際に、下側端子収容凹部6dに対して位置ずれしたり、抜け出たりしないように、これら接続端子4や電線末端部33をカバー2Buによって上方から覆うように保持することができる。
したがって、例えば、現場において電線接続工程を行う場合においても、上側工具81と下側工具82とで、電線接続部43と電線末端部33とを、カバー2Buで抑えない場合と比して、容易に、かつ精度よく圧着接続することができる。
また、第3実施形態のコネクタハウジング2Bは、ハウジング本体2dに本体側貫通孔10dを、カバー2Buにカバー側貫通孔10uを、それぞれ形成することで、本体側貫通孔10dの大きさ及び形状のみならず、カバー側貫通孔10uの大きさ及び形状に基づいて、被覆電線3のハウジング本体2dへの接続部分3Cの特性インピーダンスが所定の範囲内となるように整合をとることができる。
すなわち、前記特性インピーダンスを、本体側貫通孔10dの大きさ及び形状のみに基づいて整合をとる場合と比して、よりきめ細かに整合をとることができる。
また、第3実施形態のコネクタハウジング2Bは、第1実施形態のコネクタハウジング2と同様に、カバー2Buをハウジング本体2dとを単一の部材により一体に形成せずに、カバー2Buとハウジング本体2dとを組み付け可能に互いに別部材で構成したものである。
このため、第3実施形態のコネクタハウジング2Bは、第1実施形態のコネクタハウジング2と同様に、端子配置工程において、ハウジング本体2dにカバー2Buを取り付けない状態として、接続端子4の電線接続部43を、下側端子収容凹部6dに上方から配置することができる(図14参照)。
さらに、第3実施形態のコネクタハウジング2Bは、電線配置工程において、ハウジング本体2dにカバー2Buを取り付けない状態として電線接続部43に対して電線末端部33を配置することができる。
すなわち、第3実施形態のコネクタハウジング2Bは、ハウジング本体2dとカバー2Buとが一体化されたコネクタハウジングのように、製造時において、電線接続部43と電線末端部33とを、該コネクタハウジングの内部に挿入する必要がない。このため、電線接続部43と電線末端部33とを、コネクタハウジングの内部に挿入する場合のように座屈するおそれがなく、ハウジング本体2dに対して上方から容易に配置することができる。
また、第3実施形態のコネクタ付き電線1Bを製造する方法においても、第1実施形態のコネクタ付き電線1を製造する方法と同様に、従来のコネクタ付き電線の製造方法の場合と比して端子配置作業の手間を簡略化することができる。
具体的には、従来のコネクタ付き電線の製造方法においては、接続端子4に備えた電線接続部43と電線末端部33とを圧着接続する際に、下側工具82の加圧面82aに接続端子4を配置する作業を要する。さらに、従来のコネクタ付き電線の製造方法においては、電線接続部43と電線末端部33との接続部位にコネクタを取り付けるため、電線末端部33に接続した接続端子4を、コネクタハウジングの内部に挿入する作業を行う必要がある。
これに対して、第3実施形態のコネクタ付き電線1Bを製造する方法においては、従来のコネクタ付き電線を製造する方法において行っていた、上述した2つの端子配置作業を、接続端子4および電線末端部33をコネクタハウジング2Cに配置するという1つの端子配置作業にまとめることができる。
(第4実施形態)
図17(a)(b)(c)に示すように、第4実施形態のコネクタ付き電線1C(コネクタ5C)に備えられた一体型コネクタハウジング2C(以下、「コネクタハウジング2C」と略記する)は、第1実施形態のコネクタハウジング2における、ハウジング本体2dとカバー2uとのそれぞれに相当する部位が一体に形成されている。
コネクタハウジング2Cは、第1実施形態のコネクタハウジング2と同様に内部に端子収容室6を有して形成されている。
具体的には、コネクタハウジング2Cは、2つの接続端子4が収容できるように少なくとも幅方向(左右方向)に並設された2つの端子収容室6を有して中空状に形成されている。また、図17(b)(c)に示すように、コネクタハウジング2Cは、カバー2u(上面)に相当する部位が上壁部27’として形成されている。さらに、後壁部23’、隔壁部25’及び左右各側の側壁部24’,24’は、何れも、前壁部22と略同じ高さを有する縦壁状に形成されている。端子収容室6は、上側端子収容凹部6uと、下側端子収容凹部6dとに区分けせずに構成されている。
そして、第4実施形態のコネクタハウジング2Cについても、第3実施形態のコネクタハウジング2Bと同様に、下壁部に相当するベース部21と、上壁部27’との双方に貫通孔10(10u’,10d’)が形成されている。
以下の説明において、ベース部21側に形成された貫通孔10を下面側貫通孔10d’とも称するとともに上壁部27’側に形成された貫通孔10を上面側貫通孔10u’とも称する。
下面側貫通孔10d’と上面側貫通孔10u’とは、幅広凹部7の内部空間を隔てて上下方向に互いに対向する部位に形成されている。下面側貫通孔10d’は、第3実施形態における本体側貫通孔10dに対応し、上面側貫通孔10u’は、第3実施形態におけるカバー側貫通孔10uに対応する。
第4実施形態のコネクタ付き電線1Cを製造する方法については、端子配置工程において、接続端子4を、後壁部23’に貫通形成された電線配置凹部23aを通じて、コネクタハウジング2Cの内部に有する端子収容室6に挿入する。
これにより、接続端子4のボックス部41は、端子収容室6におけるボックス部配置領域61(図17(a)(b)(c)参照)に配置されるとともに、接続端子4の電線接続部43は、端子収容室6における電線接続部配置領域62(同図参照)に配置される。
さらに、電線配置工程において、後壁部23’に貫通形成された電線配置凹部23aを通じて、コネクタハウジング2Cの内部に有する端子収容室6(電線接続部配置領域62)に電線末端部33を挿入する。これにより、電線末端部33は、接続端子4の電線接続部43の上方に配置される。この状態で、電線末端部33および電線接続部43は、互いに接続されていない状態でコネクタハウジング2Cの内部に収容(格納)される。
なお、第4実施形態のコネクタ付き電線1Cを製造する方法については、端子配置工程と電線配置工程とを同時に行ってもよい。すなわち、接続端子4の電線接続部43の上方に電線末端部33を配置した状態で、これら接続端子4と電線末端部33とを電線配置凹部23aを通じて端子収容室6に同時に挿入してもよい。
続いて行う電線接続工程において、下側工具82は、下面側貫通孔10d’を通じて電線接続部43と電線末端部33とに対して下側から直接当接させることができるとともに、上側工具81は、上面側貫通孔10u’を通じて電線接続部43と電線末端部33とに対して上側から直接当接させることができる。
これにより、上側工具81と下側工具82とで、それぞれがコネクタハウジング2Cに干渉することがなく、電線接続部43と電線末端部33とを上下両側から挟み込むように互いに圧着接続することができる。
なお、上述した端子配置工程において、接続端子4を端子収容室6に配置するに際して、電線配置凹部23aを通じて端子収容室6に挿入するに限らず、下面側貫通孔10d’又は上面側貫通孔10u’を通じて端子収容室6に挿入してもよい。
上述した第4実施形態のコネクタ付き電線1Cを製造する方法においては、端子配置工程においては電線接続部43を、電線配置工程においては電線末端部33を、それぞれ電線配置凹部23aを通じて端子収容室6に挿入する点で、第3実施形態のコネクタ付き電線1Bを製造する方法とは異なる。
しかしながら、第4実施形態のコネクタ付き電線1Cを製造する方法においても、従来のコネクタ付き電線を製造する方法の場合と比して端子配置作業の手間を簡略化することができる。
詳しくは、第4実施形態のコネクタ付き電線1Cを製造する方法においては、電線接続工程の前に、接続端子4を、電線配置凹部23aを通じてコネクタハウジング2Cの内部に挿入する。その後、電線末端部33を、電線配置凹部23aを通じてコネクタハウジング2Cの内部に挿入し、電線接続部43の上に配置する。
これにより、電線末端部33と電線接続部43とが予め接続された状態で挿入する場合と比して電線配置凹部23aを通じて端子収容室6にスムーズに挿入することができる。
より詳しくは、例えば、従来のコネクタ付き電線の製造方法のように、電線末端部33と電線接続部43とが予め接続された状態でコネクタハウジング2Cの内部に挿入した場合、挿入途中において端子収容室6や電線配置凹部23aの各内壁に引っ掛かり易くなり、座屈することが懸念される。
これに対して、第4実施形態のコネクタ付き電線1Cを製造する方法においては、電線末端部33と電線接続部43とを、電線配置凹部23aを通じて端子収容室6に互いに別々に挿入できるため、それぞれの挿入途中において電線末端部33や接続端子4が座屈することがなくスムーズに挿入することできる。
また、上述した第4実施形態のコネクタ付き電線1Cにおいては、カバー2uを備えずに、ハウジング本体2dとカバー2uとのそれぞれに相当する部位が一体に形成された一体型の構成を採用したため、組付け型の構成と比して部品点数を削減できるとともに、製造時にカバー組み付け工程を省略することができる。
さらにまた、第4実施形態のコネクタ付き電線1Cについても、第3実施形態のコネクタハウジング2Bと同様に、幅広凹部7を隔てて上下方向に下面側貫通孔10d’と上面側貫通孔10u’とが形成されている。このため、被覆電線3のコネクタハウジング2Cへの接続部分3Cの特性インピーダンスを、下面側貫通孔10d’と上面側貫通孔10u’とのそれぞれの大きさ及び形状に基づいて整合をとることができる。
したがって、前記特性インピーダンスを、下面側貫通孔10d’と上面側貫通孔10u’とのうち、何れか一方の貫通孔(10d’又は10u’)のみに基づいて整合する場合と比して、よりきめ細かに整合をとることができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態として、コネクタユニット50について図18、図19を用いて説明する。
図18、図19に示すように、本実施形態のコネクタユニット50は、上述した第3実施形態のコネクタ付き電線1Bを複数(当例では2つ)備えるとともに、複数のコネクタ付き電線1Bのそれぞれに備えたコネクタ5B(コネクタハウジング2B)を保持するユニットハウジング51とを有して構成されている。
なお、図18、図19中の矢印Yは、ユニットハウジング51の奥行方向を示し、矢印Y1は、奥行方向の一方側を示し、矢印Y2は、奥行方向の他方側を示す。また、図18において、コネクタ5Bの外側からコネクタハウジング2Bに設けられたカバー側貫通孔10uを通じて視認される内部構造(接続端子4と電線末端部33との接続部分)の図示は省略する。
ユニットハウジング51は、合成樹脂材料により形成されるとともに、複数(当例では2つ)のコネクタ5Bの略全体を嵌め込んで保持する内部空間としてのコネクタ嵌込み部55を備えている。
コネクタ嵌込み部55は、複数のコネクタ5Bに対応して幅方向において複数(当例では2つ)配設され、それぞれが同一形状に形成されるとともに区分けされている。
コネクタ嵌込み部55は、ユニットハウジング51の内部において奥行方向に貫通形成されている。
コネクタ嵌込み部55の奥行方向の一方側には、コネクタ5Bを該コネクタ嵌込み部55に差し込むコネクタ差込み口55aが形成されている。コネクタ嵌込み部55の奥行方向の他方側には、後述する接続相手側コネクタユニット60に備えた雄型端子65を差し込み可能な端子差込み口54(図19参照)が形成されている。
図19に示すように、端子差込み口54は、コネクタハウジング2Bの前壁部22に設けた2つの挿入孔22a(図1参照)に対応して1つのコネクタ嵌込み部55につき幅方向に2つが配設されている。
すなわち、端子差込み口54は、ユニットハウジング51の奥行方向の他方側の端面に、2つのコネクタ嵌込み部55に対応して幅方向に4つが配設されている(図19参照)。
これにより、本実施形態のコネクタユニット50は、コネクタ嵌込み部55にコネクタ5Bを嵌め込んだ状態において、コネクタハウジング2Bに設けた挿入孔22aとユニットハウジング51に設けた端子差込み口54とが奥行方向に連通する。
そして、本実施形態のコネクタユニット50は、2つのコネクタハウジング2Bに対応して多極(当例では4極、すなわち、4つの端子差込み口54)を有する雌型コネクタユニットとして構成される。
また、図18中の符号60は、接続相手側コネクタユニットを示している。接続相手側コネクタユニット60は、本実施形態のコネクタユニット50に奥行方向の他方側から接続可能に4極を有する雄型コネクタユニットとして構成されている。なお、本実施形態の接続相手側コネクタユニット60は、ケーブル61の先端部に接続されているが、基板上に搭載されたコネクタや端子に接続されてもよい。
上述したコネクタユニット50のコネクタ嵌込み部55に、コネクタ5Bを嵌め込んだ状態とし、さらに、該コネクタユニット50に、接続相手側コネクタユニット60を奥行方向の他方側から接続した状態において、接続相手側コネクタユニット60に備えた雄型端子65は、先端に有する突出片65a(タブ)が、端子差込み口54(図19参照)および挿入孔22a(図19参照)を通じてコネクタ5Bの内部に備えた接続端子4のボックス部41(図1,図6参照)に挿入され、接続端子4と電気的に接続される。
また、ユニットハウジング51には、一対のコネクタ嵌込み部55を、幅方向の両側および上方から取り囲むようにシールドシェル57が配設されている。なお、シールドシェル57は、ユニットハウジング51の奥行方向に延びる中心軸周りの全方向を取り囲むなど、全方向のうち少なくとも一方向に配設した構成を採用することができる。
本実施形態のシールドシェル57は、上壁部および左右の側壁部のそれぞれの略全面に対応する大きさを有するように曲げ加工された金属板で形成されており、ユニットハウジング51の上壁部および左右の側壁部のそれぞれの内部に埋設されるようにインサート成形されている。なお、シールドシェル57は、ユニットハウジング51に圧入されていてもよく、ユニットハウジング51の外周を覆うように形成されていてもよい。
コネクタユニット50は、ユニットハウジング51に金属製のシールドシェル57を備えることにより、コネクタハウジング2Bとコネクタ保持部54との接続部位、および接続相手側コネクタユニット60との接続部位を電磁シールドすることができる。
一方、ユニットハウジング51に保持される2つのコネクタハウジング2Bに対応する2組のツイストペア電線35は、それぞれのツイストペア電線35の外周側から編組線58によって長手方向に沿って覆われている。そして、シールドシェル57は、被覆電線3の外周を長手方向に沿って覆う編組線58の末端部と電気的に接続されている。
なお、シールドシェル57は、ユニットハウジング51の他、コネクタハウジング2Bに設けられていてもよく、コネクタハウジング2Bのみに設けられていてもよい。
また、シールドシェル57は、ユニットハウジング51のコネクタ嵌込み部55の内周と、コネクタハウジング2Bの外周との両方に設けられた構成を採用してもよい。
この構成においては、ユニットハウジング51のコネクタ嵌込み部55の内周のシールドシェル57と、コネクタハウジング2Bの外周のシールドシェル(図示せず)が電気的に接続されることとなる。さらに、この構成においては、編組線58はコネクタハウジング2Bの外周に設けられたシールドシェル(図示せず)と接続されることが好ましい。
また、上述した構成によれば、コネクタ5Bをユニットハウジング51のコネクタ嵌込み部55に嵌め込んだ状態において、コネクタハウジング2Bの上面および下面に形成された貫通孔10u,10dをコネクタ嵌込み部55の内壁によって覆うことができる。
よって、コネクタ5Bは、ユニットハウジング51のコネクタ嵌込み部55に嵌め込まれることで、嵌め込まずに単品で用いる場合と比して電線接続部43と電線末端部33との接続部分の防水性を高めることができる。
また、本実施形態のコネクタユニット50は、ユニットハウジング51のコネクタ保持部54において複数のコネクタを保持することで、多極(当例では4極)を有する構造を容易に構成することができる。
また、本発明のコネクタユニットは、上述したように、複数のコネクタ嵌込み部55を、ユニットハウジング51の幅方向に配設した構成に限定されず、ユニットハウジングの幅方向および上下方向のうち、少なくとも一方の方向に複数備えた構成とすることができる。
また、本発明のコネクタユニットは、上述したユニットハウジング51のように、コネクタ5Bを収容するコネクタ嵌込み部55のみが設けられた構成に限定されず、図示省略するが、コネクタ5Bを介さずに接続端子4を単独で嵌め込み可能な端子嵌め込み部が設けられた構成を採用してもよい。
この発明は、上述した第1〜第5の実施形態の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
上述した実施形態の変形例として、本発明は、コネクタハウジング2Adの少なくとも下側端子収容凹部6dに貫通孔が形成された構成を採用する場合は、貫通孔が、幅広凹部7の底面に対応する部位に限らず、ボックス部配置領域61に至るまで延設された構成を採用してもよい。
具体的には、本発明の貫通孔は、図20(a)に示す貫通孔10’のように、左右の電線接続部配置領域62に亘って形成された第1実施形態の貫通孔10をボックス部配置領域61に至るまで延ばしたような形態で形成してもよい。また、図20(b)に示す貫通孔10A’のように、電線接続部配置領域62ごとに形成された第2実施形態の貫通孔10Aをボックス部配置領域61に至るまで延ばしたような形態で形成してもよい。
上述した実施形態の変形例として、本発明の貫通孔は、図21(a)に示す貫通孔10f,10rのように、左右の電線接続部配置領域62に亘って形成した第1実施形態の貫通孔10を、ワイヤバレル部44に相当する部位と、インシュレーションバレル部45に相当する部位とに独立して設けてもよい。
或いは、本発明の貫通孔は、図21(b)に示す貫通孔10Af,10Arのように、左右の電線接続部配置領域62ごとに離間して形成した第2実施形態の貫通孔10Aを、圧接部44Aに相当する部位と、インシュレーションバレル部45Aに相当する部位とに独立して設けてもよい。
このように、本発明の貫通孔は、第2実施形態の貫通孔10Aのように、コネクタハウジング2Adの幅方向に離間して形成するに限らず、前後方向に離間して形成してもよい。
また、図21(a)中に一点鎖線で示すように、上述した貫通孔10f,10rのうち、ワイヤバレル部44に相当する部位に形成した貫通孔10f(前側の貫通孔10f)をボックス部配置領域61に至るまで延設してもよい。また、図21(b)中に一点鎖線で示すように、上述した貫通孔10Af,10Arのうち、圧接部44Aに相当する部位に形成した貫通孔10Af(前側の貫通孔10Af)をボックス部配置領域61に至るまで延設してもよい。
さらにまた、言うまでもなく、貫通孔10Aは、コネクタハウジング2Adの幅方向及び前後方向に離間して形成するにあたり、図示省略するが、幅方向、又は前後方向に2つずつに限らず、3つ以上独立して設けた構成を採用してもよい。
また、本発明は、第3実施形態のコネクタ付き電線1Bに備えたカバー2Buのように、カバーに貫通孔を設けた構成を採用することができる。但し、本発明は、カバーに貫通孔を設ける場合は、電線接続工程において、一対の工具81,82のうち、少なくとも上側工具81が通過する、または一時的に存在することを許容する様々な態様(大きさ、形状、部位、数等)で設けることができる。
すなわち、カバー側貫通孔は、電線接続工程において、カバー2uによってハウジング本体2dを上方から覆った状態において被覆電線3と接続端子4とを圧着する際に、一対の工具81,82(特に、上側工具81)と干渉しない大きさおよび形状であれば、第3実施形態のカバー側貫通孔10uと異なる形状で形成されたものであってもよい。
また、上述した実施形態のコネクタ付き電線1,1A,1B,1Cに備えられた被覆電線3は、2本の前記電線を撚り合されて形成されるツイストペア電線を採用したが、ツイストペア電線に限らず、ツイストされていないペア電線を採用してもよい。
具体的には、電線は、互いの間隔が長手方向に沿って略一定になるように、すなわち略並列(平行)に配置された一対の導体31が備えられたペア電線を採用してもよい。
ペア電線は、ツイストされているか否かに関わらず、例えば、リボン電線のように、長手方向に沿って互いの間隔が略一定になるように略並列(平行)に配置された一対の導体31を絶縁被覆部32で一体に被覆したものであってもよい。
或いは、ペア電線は、例えば、電源ケーブルのように、一対の導体31のそれぞれが互いに独立して絶縁被覆部32で被覆されたものであってもよい。
さらに、ペア電線は、ツイストされているか否かに関わらず、編組線や金属箔等から成る電磁シールド部材で覆った構成が好ましいが、電磁シールド部材は必須ではなく、電磁シールド部材で覆われていない構成であってもよい。
また、本発明に備えられたコネクタハウジングは、上述した第1実施形態の組付け型コネクタハウジング2のように、ハウジング本体2dとカバー2uとのうち、主にハウジング本体2d(下側端子収容凹部6d)によって接続端子4を保持する構成を採用したが、この構成に限らず、主にカバー2u(上側端子収容凹部6u)によって接続端子4を保持する構成を採用してもよい。
すなわち、本発明に備えられたコネクタハウジングは、接続端子4が、実質的にハウジング本体2d側ではなく、カバー2u側に嵌め込まれた状態で保持される構成を採用してもよい。
また、第5実施形態のコネクタユニット50のユニットハウジング51に備えたシールドシェル57は、上述したように、コネクタハウジング2B、すなわち、第1実施形態のコネクタハウジング2Bの外周に備えてもよいが、本発明は、この構成に限定されず、第2実施形態のコネクタハウジング2Aの外周、第3実施形態のコネクタハウジング2Bの外周、或いは第4実施形態のコネクタハウジング2Cの外周に備えた構成を採用してもよい。