JP2021053813A - 二重袋構造体 - Google Patents
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Abstract
Description
この作業を効率的に行なうための技術として、特許文献1に、セメント、細骨材等からなる粉粒体110を収容した施工器100と、ポリマーエマルション210を収容した補助器200を、例えば専用の工場で準備し、次いで、施工現場で、施工器100に、補助器200内のポリマーエマルション210を注入し、施工器100の容器120を手で揉むことによって、モルタル310を製造し、最後に、施工器100内のモルタル310を吐出させて、例えば目地モルタルとして使用することが記載されている(図1〜図2参照)。
[1] 縁辺がヒートシールされて密封された外袋と、上記外袋の中に収容された、密封された内袋と、上記外袋と上記内袋の間の第一の空間に収容された粉状材料及び気体と、上記内袋の中の第二の空間に収容された液状材料を含む二重袋構造体であって、
上記内袋は、その縁辺の一部が、上記外袋と共にヒートシールされていることによって、上記外袋に対する固着部分を形成しており、かつ、その縁辺の残部が、上記外袋に対して固着されずに、上記内袋のみについてヒートシールされているものであり、
上記内袋の縁辺の残部における上記ヒートシールされている部分は、上記内袋の縁辺の一部における上記外袋と共にヒートシールされている部分、及び、上記外袋の縁辺における上記ヒートシールされている部分に比べて、シール強度が小さいものであり、
上記粉状材料は、上記粉状材料が上記第一の空間を最大限に満たしている場合の量の5〜65質量%の量で収容されており、かつ、上記気体は、上記粉状材料の存在下で上記空間を最大限に満たしている場合の量の7〜75体積%の量で収容されており、
上記液状材料は、上記液状材料が上記第二の空間を最大限に満たしている場合の量の3〜75質量%の量で収容されており、
上記粉状材料がセメントを含み、かつ、上記液状材料が水を含むことを特徴とする二重袋構造体。
[3] 上記外袋が、開封用の切欠きを有する、上記[1]又は[2]に記載の二重袋構造体。
[4] 上記外袋と共にヒートシールされている上記内袋の縁辺の一部は、上記外袋の縁辺の一部またはその隣接部分に位置しており、上記外袋の開封用の切欠きは、上記外袋と共にヒートシールされている上記内袋の縁辺の一部とは反対側の上記外袋の縁辺の近傍であって、かつ、上記内袋が配設されていない箇所に形成されている、上記[3]に記載の二重袋構造体。
[6] 上記混合工程における上記液状材料と上記粉状材料の混合を促進するための動作が、上記外袋に対する加圧箇所を移動させながらの加圧と、上記外袋に対する揺動のいずれか一方または両方を含む、上記[5]に記載の水硬性組成物の製造方法。
[7] 上記[5]又は[6]に記載の水硬性組成物の製造方法によって、上記水硬性組成物を得た後、上記外袋を開封して、上記水硬性組成物を施工箇所に用いて、上記水硬性組成物からなる硬化体を形成させることを特徴とする硬化体の製造方法。
[8] 上記硬化体が、目地に対する充填物である、上記[7]に記載の硬化体の製造方法。
図1中、本発明の二重袋構造体1は、外袋2と、内袋3と、外袋2と内袋3の間の内部空間(第一の空間)内に収容された粉状材料4及び第一の気体5と、内袋3の内部空間(第二の空間)に収容された液状材料6及び第二の気体7(ただし、第二の気体7は、任意で収容可能なものであり、本発明において必須のものではない。)とからなる。
外袋2は、2枚の同一形状(矩形)の透明な合成樹脂製シートを対向して重ね合わせて、該2枚のシートの全周の縁辺部分をヒートシールしてなるものであり、後述する内袋3のヒートシール部分10に比べて、より大きなヒートシール強さを有するヒートシール部分8(4つの直線状かつ帯状のヒートシール部分からなる矩形のもの)を有するものである。
外袋2を構成するシートの例としては、ヒートシール性(特に、大きなヒートシール強さ)を付与するための材料からなる層を少なくとも有する、一層または二層以上の層からなるシートが挙げられる。
ここで、ヒートシール性を付与するための材料の例としては、ポリプロピレンが挙げられる。
また、シートが二層以上の層からなる場合、ポリプロピレン層以外に、ナイロン層等の層をシートに含めることができる。
一例として、円筒状の長尺のフィルム成形体を、当該円筒状の形状の軸線に垂直な方向の切断面で、適宜の長さに切断した後、2つの切断箇所の各々をヒートシールしてなるものが挙げられる。
また、外袋の形状として、図1に示す矩形の形状以外に、他の形状(例えば、図2に示すもの)を採用することができる。図2については、後で詳しく説明する。
内袋2を構成するシートの例としては、ヒートシール性を付与するための材料からなる層を少なくとも有する、一層または二層以上の層からなるシートが挙げられる。
ここで、ヒートシール性を付与するための材料の例としては、外袋3と同様に、ポリプロピレンが挙げられる。
また、シートが二層以上の層からなる場合、ポリプロピレン層以外に、外袋3と同様に、ナイロン層等の層をシートに含めることができる。
ヒートシール強さは、例えば、プレス温度を変えることによって、調整することができる。
粉状材料4の一例としては、セメントと、セメント100質量部に対して500質量部以下(例えば、350〜450質量部)の量の細骨材(例えば、珪砂)との混合物が挙げられる。
粉状材料4の量は、外袋2の中に内袋3(液状材料6及び第二の気体7が収容されたもの)が収容された状態において、粉状材料4が第一の空間を最大限に満たしている場合の量(100質量%)に対して、5〜65質量%、好ましくは10〜62質量%、より好ましくは15〜59質量%、さらに好ましくは20〜56質量%、特に好ましくは25〜53質量%の量である。
該量が5質量%未満であると、二重袋構造体1を用いて製造されるモルタル等の水硬性組成物の量が少なくなるばかりか、二重袋構造体1内の水硬性組成物の全量中の、排出後(目地材等としての使用後)に二重袋構造体1内に留まる水硬性組成物の量の割合(ロス率;質量%)が、例えば10質量%を超える大きな値となる。該量が65質量%を超えると、粉状材料4を収容した外袋2の中に、内袋3を収容することが、困難になる。
第一の気体5の量は、第一の気体5が粉状材料4の存在下で第一の空間(粉状材料4が収容されている空間)を最大限に満たしている場合の量(100体積%)に対して、7〜75体積%、好ましくは9〜70体積%、より好ましくは12〜65体積%、さらに好ましくは16〜60体積%、特に好ましくは20〜55体積%である。
該量が7体積%未満であると、第一の空間内における粉状材料4と液状材料6の練り混ぜの作業が困難になる。該量が75体積%を超えると、内袋3を加圧しても、ヒートシール部分10が開口し難くなり、液状材料6を第一の空間(粉状材料4が収容されている空間)内に流入させることが困難になる。
液状材料6の一例としては、水及び接着性向上用樹脂を含むポリマーエマルションが挙げられる。
接着性向上用樹脂は、粉状材料4と液状材料6の混合物である水硬性組成物(例えば、モルタル)を、目地に対する充填材等として使用する際に、目地等に対する接着性を向上させるために、液状材料6中に含ませておくものである。
接着性向上用樹脂の例としては、スチレンアクリル系樹脂、EVA(エチレン−酢酸ビニル)系樹脂、天然ゴム系樹脂、SBR(スチレン−ブタジエン−ラバー)系樹脂等が挙げられる。
セメント100質量部に対する接着性向上用樹脂(固形分)の量は、好ましくは4〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部、特に好ましくは15〜35質量部である。
液状材料6を構成する成分として、水及び接着性向上用樹脂に加えて、分散剤(各種の減水剤)を用いることができる。
分散剤は、粉状材料4中のセメントの量に対する液状材料中の水の量(換言すると、水セメント比)を減少させて、目地に対する充填材等としての使用後の水硬性組成物(例えば、モルタル)の硬化体としての強度(例えば、圧縮強度)を高めるためのものである。
分散剤の例としては、リグニンスルホン酸系分散剤、ポリカルボン系分散剤等が挙げられる。
分散剤を用いる場合、セメント100質量部に対する分散剤(固形分)の量は、好ましくは0.1〜3質量部である。
該量が3質量%未満であると、二重袋構造体1を用いて製造されるモルタル等の水硬性組成物の量が少なくなるばかりか、内袋3から第一の空間(粉状材料4が収容されている空間)内に液状材料6を流入させた後における、内袋3に収容されていた液状材料6の全量中の、内袋3内に留まる液状材料の量の割合(ロス率;質量%)が、例えば8質量%を超える大きな値となる。該量が75質量%を超えると、内袋3に対して不測の外力が加わったときの緩衝性が弱くなるため、意図せずにヒートシール部分10が開口して、内袋3内の液状材料6が第一の空間内に流入してしまうおそれがある。
第二の気体7の例は、第一の空間(粉状材料4が収容されている空間)内の第一の気体5の例と同じ(例えば、空気)である。
第二の気体7の量は、第二の気体7が液状材料6の存在下で第二の空間を最大限に満たしている場合の量(100体積%)に対して、好ましくは80体積%以下、より好ましくは75体積%以下、さらに好ましくは70体積%以下、特に好ましくは65体積%以下である。
該量が80体積%を超えると、内袋3に対して不測の外力が加わったときの緩衝性が弱くなるため、意図せずにヒートシール部分10が開口して、内袋3内の液状材料6が第一の空間(粉状材料4が収容されている空間)内に流入してしまうおそれがある。
該値が12N以上であると、ヒートシール部分8、9が開口して、外袋2から内容物(粉状材料4、液状材料6)が流出するのを、より確実に防止することができる。
該値の上限値は、特に限定されないが、通常、35Nである。
内袋3のヒートシール部分10におけるヒートシール強さは、「JIS Z 0238:1998」(ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法)に規定される試験方法で測定される値として、好ましくは2〜6N、より好ましくは2〜5N、さらに好ましくは3〜4N、特に好ましくは3Nである。
該値が2N以上であると、内袋3に対して不測の外力が加わったときに、意図せずにヒートシール部分10が開口して、内袋3内の液状材料6が第一の空間(粉状材料4が収容されている空間)内に流入してしまうのを、より確実に防止することができる。該値が6N以下であると、内袋3を加圧して、ヒートシール部分10を開口させ、液状材料6を第一の空間内に流入させる作業を、より容易に行うことができる。
本発明の二重袋構造体の使用時において、粉状材料4と液状材料6の混合物である水硬性組成物は、開封用の切込み11を手で裂いて、外袋2を開封することによって、目地等の施工箇所に用いることができる。
本発明の二重袋構造体の例として、図1に示す二重袋構造体1以外に、例えば、図2の(a)に示す二重袋構造体21や、図2の(b)に示す二重袋構造体31を挙げることができる。
図2の(a)中、二重袋構造体21は、五角形の形状(より具体的には、野球のホームベース状の形状)を有する外袋22、及び、矩形の内袋23を有する。
図2の(b)中、二重袋構造体31は、矩形ではない四角形の形状(より具体的には、矩形の一辺に対して、直角三角形を、その斜辺ではない辺が当接するように組み合わせてなる形状;ただし、互いに当接される矩形の辺と直角三角形の辺とは同じ長さを有するものである。)を有する外袋32、及び、矩形の内袋33を有する。
外袋22、32は、各々、鋭角の角部の近傍に、開封用の切込み24、34を有する。
外袋22、32は、各々、図1に示す例と同様に、その全周の縁辺部分をヒートシールしてなるヒートシール部分(ヒートシール強さが大きい部分)を有する。また、内袋23、33は、各々、図1に示す例と同様に、外袋22、32の縁辺のヒートシール部分に隣接する領域に、外袋22、32と共にヒートシールされてなるヒートシール部分(ヒートシール強さが大きい部分)を有し、かつ、それ以外の縁辺に、内袋23、33のみがヒートシールされてなるヒートシール部分(ヒートシール強さが小さい部分)を有する。図2中、これらヒートシール部分は、すべて、図示を省略している。
また、図2の(a)〜(b)中、外袋及び内袋以外のもの(粉状材料、液状材料、気体)は、省略している。
図2の(a)〜(b)に示すような鋭角の角部の近傍の開封用の切込み24、34を有する外袋22、32を用いることによって、目地のような狭い施工箇所に対しても、水硬性組成物を正確な位置で充填することができる。
また、内袋は、上述した矩形以外の多角形(例えば、矩形ではない四角形や、三角形等)のシート状の形状を有することができる。
本発明において、内袋は、その多角形のシート状の形状の少なくとも一辺が、外袋と共にヒートシールされる部分であり、該多角形のシート状の形状の他の少なくとも一辺が、外袋に対して固着されずに、内袋のみについてヒートシールされているものとして、形成することができる。
水硬性組成物の製造方法は、(A)二重袋構造体1の内袋3を加圧して、内袋3のヒートシール部分10(ヒートシール強さが小さい部分)を開口させて、液状材料6を、外袋2と内袋3の間の第一の空間内(換言すると、粉状材料4が収容されている空間内)に流入させる加圧工程と、(B)外袋2に対して、液状材料6と粉状材料4の混合を促進するための動作を加えて、これら2つの材料4、6が均一に混合してなる水硬性組成物を得る混合工程、を含む。
加圧工程(A)における加圧は、例えば、施工現場で適宜定めた二重袋構造体1の載置のための面(例えば、アスファルト、コンクリート、金属等からなる堅固で平坦な面)の上に、二重袋構造体1を載置した後、二重袋構造体1の内袋3に対して上方から、手で押圧することによって行うことができる。
この際、加圧によってヒートシール部分10が開口した後も、内袋3内の液状材料6を手で押し出して、内袋3内の液状材料6のほぼ全量(例えば95質量%以上)を、外袋2と内袋3の間の空間(第一の空間)内に流入させる。
混合工程(B)における液状材料6と粉状材料4の混合を促進するための外袋2に対する動作の例としては、外袋2に対する加圧箇所を移動させながらの加圧(例えば、加圧箇所を移動させながら、手で押圧すること)や、外袋2に対する揺動(例えば、二重袋構造体1を上下逆さに反転させる動作を複数回、繰り返すこと)や、これら加圧及び揺動を組み合わせること等が挙げられる。
得られた水硬性組成物(例えば、モルタル)は、開封用の切込み11を手で裂いて、外袋2を開封することによって、目地に対する充填物等として用いることができる。
この際、開封用の切込み11が上に位置するように二重袋構造体1の位置を定めた後に、開封用の切込み11を裂いて、外袋を開封し、次いで、開封用の切込み11が下に位置するように二重袋構造体1を反転させて、水硬性組成物を開封口(開口部分)から流出させ、目地等の施工箇所に充填すればよい。
目地等の施工箇所に充填された水硬性組成物は、気中養生等の養生を経て、硬化体となる。
[使用材料]
以下に示す材料を使用した。
(a)粉状材料
粉状材料として、セメント100質量部と、細骨材(珪砂)400質量部の混合物を用いた。
(b)液状材料
液状材料として、水100質量部と、接着性向上用樹脂(スチレンアクリル系樹脂)30質量部(固形分)の混合物であるポリマーエマルションを用いた。
(c)外袋及び内袋
外袋及び内袋の材料として、ポリプロピレン層を含む2層の積層構造を有する、厚さが65μmの合成樹脂フィルム(以下、「フィルム」と略すことがある。)を用いた。
以下の実験例(実施例、比較例)における合成樹脂フィルムの「ヒートシール強さ」は、「JIS Z 0238:1998」(ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法)に規定される試験方法で測定された値である。
[実施例1]
以下のようにして、図1に示す二重袋構造体1を得た。
内袋の製造用の矩形のフィルム(320mm×150mm)を2枚重ね合わせて、4辺の中の1辺を除く3辺の縁辺(幅:10mm)について、ヒートシール強さが3Nになるようにヒートシールを行い、3辺にヒートシール部分10を有しかつ1辺が開口した内袋3を得た。内袋3の最大収容量は、1,700ミリリットルであった。
この内袋3の中に液状材料800ミリリットルを収容し、さらに空気を100ミリリットル収容した状態で、開口した1辺の縁辺(幅:10mm)について、ヒートシール強さが3Nになるようにヒートシール(後で再度ヒートシールして25Nのヒートシール強さになるもの)を行い、密封された内袋3を得た。
一方、外袋の製造用の矩形のフィルム(580mm×230mm)を2枚重ね合わせて、4辺の中の1辺を除く3辺の縁辺(幅:10mm)について、ヒートシール強さが25Nになるようにヒートシールを行い、1辺が開口した外袋2を得た。外袋2の最大収容量は、8,000ミリリットルであった。
この外袋2の中に、粉状材料2,350ミリリットルを収容し、次いで、内袋3を外袋2の中に収容した後、図1に示すヒートシール部分9の位置にて、外袋2と内袋3について、ヒートシール強さが25Nになるようにヒートシールを行い、外袋2と内袋3が固着してなるヒートシール部分9を形成させた。
この際、外袋2の中に内袋3を収容する作業の容易性について、「内袋の収容の容易性」(表1参照)として、「◎」(非常に良好)、「○」(良好)、「×」(不良)の3段階で評価した。
その後、外袋2(内袋3が配設されている箇所)を手で強く押して加圧して、ヒートシール部分10を開口させ、内袋3内の液状材料6を、内袋3と外袋2の間の第一の空間内に流出させ、次いで、二重袋構造体1を揺動させる動作(具体的には、上下に複数回、反転させる動作)と、加圧箇所を移動させながらの二重袋構造体1への加圧を、各々、複数回行って、粉状材料と液状材料が均一に混合してなるモルタルを得た。
次いで、開封用の切込み11が上に位置するように二重袋構造体1を片手で持ち、その状態で開封用の切込み11を他の片手で裂いて、外袋2を開封し、その後、二重袋構造体1を上下に反転させて、二重袋構造体1内のモルタルを流出させた。モルタルの流出後に、二重袋構造体1内のモルタルの残存量を測定した。
二重袋構造体1内に収容されていたモルタルの全量中の、モルタルの流出後の二重袋構造体1内のモルタルの残存量の割合(質量%;以下、「モルタルのロス率」ともいう。)を算出した。
以上の結果(内袋の収容の容易性、及び、モルタルのロス率)を、表1に示す。
外袋2の中に収容した粉状材料の量(2,350ミリリットル)を3,950ミリリットルに変更し、かつ、外袋2の中に供給した空気の量(2,000ミリリットル)を1,700ミリリットルに変更した以外は実施例1と同様にして、実験を行った。
[実施例3]
外袋2の中に収容した粉状材料の量(2,350ミリリットル)を850ミリリットルに変更し、かつ、外袋2の中に供給した空気の量(2,000ミリリットル)を1,000ミリリットルに変更した以外は実施例1と同様にして、実験を行った。
[実施例4]
外袋2の中に収容した粉状材料の量(2,350ミリリットル)を4,950ミリリットルに変更し、かつ、外袋2の中に供給した空気の量(2,000ミリリットル)を1,500ミリリットルに変更した以外は実施例1と同様にして、実験を行った。
[比較例1]
外袋2の中に収容した粉状材料の量(2,350ミリリットル)を5,650ミリリットルに変更し、かつ、外袋2の中に供給した空気の量(2,000ミリリットル)を1,200ミリリットルに変更した以外は実施例1と同様にして、実験を行った。
以上の結果を表1に示す。
「内袋の収容の容易性」が「◎」(非常に良好)であり、かつ、「モルタルのロス率」が5質量%以下である場合、「総合評価」は、「◎」(非常に良好)である。
「内袋の収容の容易性」が「◎」(非常に良好)であり、かつ、「モルタルのロス率」が5質量%を超え、10質量%以下である場合、または、「内袋の収容の容易性」が「〇」(良好)であり、かつ、「モルタルのロス率」が5質量%以下である場合、「総合評価」は、「〇」(良好)である。
「内袋の収容の容易性」が「×」(不良)である場合、または、「モルタルのロス率」が10質量%を超える場合、「総合評価」は、「×」(不良)である。
なお、実施例1〜4において、後述の実施例5と同様の「内袋の破袋性」及び「材料の混練性」の評価を行ったところ、すべてについて、「◎」(非常に良好)の評価を得た。
[実施例5]
外袋2内の空気の量(換言すると、外袋2と内袋3の間の空間に収容された空気の量)を2,000ミリリットルから1,400ミリリットルに変更した以外は実施例1と同様にして、二重袋構造体1を得た。
なお、表2中、「最大空気収容量」の値(5,650ミリリットル)は、外袋2の最大収容量(8,000ミリリットル)から、外袋2の中に収容された粉状材料の量(2,350ミリリットル)を差し引いたものである。
また、表2中、「空気の割合」は、「最大空気収容量」(A)中の「外袋内の空気の量」(B)の割合((B)×100/(A);体積%)を示す。
外袋2(内袋3が配設されている箇所)を手で加圧した時のヒートシール部分10の開口の容易性について、「内袋の破袋性」(表2参照)として、「◎」(非常に良好)、「○」(良好)、「×」(不良)の3段階で評価した。
また、ヒートシール部分10を開口した後に、外袋2と内袋3の間の第一の空間内で粉状材料4と液状材料6を混練する時の混練作業の容易性について、「材料の混練性」(表2参照)として、「◎」(非常に良好)、「○」(良好)、「×」(不良)の3段階で評価した。
[実施例6〜8、比較例2〜3]
外袋2内の空気の量を2,000ミリリットルから、表2に示す量に変更した以外は実施例1と同様にして、二重袋構造体1を得た。
得られた二重袋構造体1について、実施例5と同様にして、「内袋の破袋性」及び「材料の混練性」を評価した。
以上の結果(内袋の破袋性、及び、材料の混練性)を、表2に示す。
「内袋の破袋性」が「◎」(非常に良好)であり、かつ、「材料の混練性」が「◎」(非常に良好)である場合、「総合評価」は、「◎」(非常に良好)である。
「内袋の破袋性」が「◎」(非常に良好)または「〇」(良好)であり、かつ、「材料の混練性」が「◎」(非常に良好)または「〇」(良好)である場合(ただし、これら2つの評価が共に「◎」である場合を除く。)、「総合評価」は、「〇」(良好)である。
「内袋の破袋性」と「材料の混練性」の少なくとも一つが「×」(不良)である場合、「総合評価」は、「×」(不良)である。
なお、実施例5〜8において、上述の実施例1と同様の「内袋の収容の容易性」及び「モルタルのロス率」の評価を行ったところ、「内袋の収容の容易性」については、実施例5〜8のすべてについて、「◎」(非常に良好)であり、「モルタルのロス率」については、実施例5〜8のすべてについて、3.0質量%以下であった。
[実施例9]
実施例1と同様にして、3辺にヒートシール部分10を有しかつ1辺が開口した内袋3(最大収容量:1,700ミリリットル)を得た。
得られた内袋3の中に液状材料800ミリリットルを収容し、さらに空気を100ミリリットル収容した状態で、開口した1辺の縁辺(幅:10mm)について、ヒートシール強さが3Nになるようにヒートシールを行い、縁辺のすべてのヒートシール強さが3Nである、密封された内袋3を得た。
この内袋3を、30cmの高さの地点から、コンクリート面上に自由落下させ、以下のように「落下強さ」の評価を行った。「◎」(非常に良好)は、破袋が生じなかったことを示す。「〇」(良好)は、液状材料の流出は見られなかったものの、ヒートシール部分10の10mmのシール幅が部分的に50%以下(5mm以下)となったことを示す。「×」(不良)は、ヒートシール部分が破れて、液状材料が流出したことを示す。
また、内袋3を手で加圧して、内袋3内の液状材料を排出させた後、内袋3内の液状材料の残存量を測定し、内袋3内に収容されていた液状材料の全量中の、内袋3内の液状材料の残存量の割合(質量%;以下、「液状材料のロス率」ともいう。)を算出した。
[実施例10〜13、比較例4]
内袋2内の液状材料の量を800ミリリットルから、表3に示す量に変更した以外は実施例9と同様にして、実験を行った。
以上の結果(落下強さ、及び、液状材料のロス率)を、表3に示す。
「落下強さ」が「◎」(非常に良好)であり、かつ、「液状材料のロス率」が5質量%以下である場合、「総合評価」は、「◎」(非常に良好)である。
「落下強さ」が「◎」(非常に良好)であり、かつ、「液状材料のロス率」が5質量%を超え、10質量%以下である場合、または、「落下強さ」が「〇」(良好)であり、かつ、「液状材料のロス率」が5質量%以下である場合、「総合評価」は、「〇」(良好)である。
「落下強さ」が「×」(不良)である場合、または、「液状材料のロス率」が10質量%を超える場合、「総合評価」は、「×」(不良)である。
[実施例14]
実施例1と同様にして、3辺にヒートシール部分10を有しかつ1辺が開口した内袋3(最大収容量:1,700ミリリットル)を得た。
得られた内袋3の中に液状材料800ミリリットルを収容し、さらに空気を550ミリリットル収容した状態で、開口した1辺の縁辺(幅:10mm)について、ヒートシール強さが3Nになるようにヒートシールを行い、縁辺のすべてのヒートシール強さが3Nである、密封された内袋3を得た。
この内袋3について、実施例9と同様にして、「落下強さ」の評価を行った。
内袋3の中に収容する空気の量を550ミリリットルから表4に示す量に変更した以外は実施例14と同様にして、実験を行った。
以上の結果(落下強さ)を、表4に示す。
2,22,32 外袋
3,23,33 内袋
4 粉状材料(セメント、細骨材)
5 第一の気体(空気)
6 液状材料(水、接着性向上用樹脂、分散剤)
7 第二の気体(空気)
8,9 ヒートシール部分(ヒートシール強さが大きい部分)
10 ヒートシール部分(ヒートシール強さが小さい部分)
11,24,34 開封用の切込み
Claims (8)
- 縁辺がヒートシールされて密封された外袋と、上記外袋の中に収容された、密封された内袋と、上記外袋と上記内袋の間の第一の空間に収容された粉状材料及び気体と、上記内袋の中の第二の空間に収容された液状材料とを含む二重袋構造体であって、
上記内袋は、その縁辺の一部が、上記外袋と共にヒートシールされていることによって、上記外袋に対する固着部分を形成しており、かつ、その縁辺の残部が、上記外袋に対して固着されずに、上記内袋のみについてヒートシールされているものであり、
上記内袋の縁辺の残部における上記ヒートシールされている部分は、上記内袋の縁辺の一部における上記外袋と共にヒートシールされている部分、及び、上記外袋の縁辺における上記ヒートシールされている部分に比べて、シール強度が小さいものであり、
上記粉状材料は、上記粉状材料が上記第一の空間を最大限に満たしている場合の量の5〜65質量%の量で収容されており、かつ、上記気体は、上記粉状材料の存在下で上記第一の空間を最大限に満たしている場合の量の7〜75体積%の量で収容されており、
上記液状材料は、上記液状材料が上記第二の空間を最大限に満たしている場合の量の3〜75質量%の量で収容されており、
上記粉状材料がセメントを含み、かつ、上記液状材料が水を含むことを特徴とする二重袋構造体。 - 上記外袋は、多角形のシート状の形状を有するものであり、
上記内袋は、多角形のシート状の形状を有し、該多角形のシート状の形状の少なくとも一辺が、上記外袋と共にヒートシールされていて、かつ、該多角形のシート状の形状の他の少なくとも一辺が、上記外袋に対して固着されずに、上記内袋のみについてヒートシールされているものである、請求項1に記載の二重袋構造体。 - 上記外袋が、開封用の切欠きを有する請求項1又は2に記載の二重袋構造体。
- 上記外袋と共にヒートシールされている上記内袋の縁辺の一部は、上記外袋の縁辺の一部またはその隣接部分に位置しており、
上記外袋の開封用の切欠きは、上記外袋と共にヒートシールされている上記内袋の縁辺の一部とは反対側の上記外袋の縁辺の近傍であって、かつ、上記内袋が配設されていない箇所に形成されている、請求項3に記載の二重袋構造体。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の二重袋構造体を用いた水硬性組成物の製造方法であって、
上記内袋を加圧して、上記内袋の縁辺の残部における上記ヒートシールされている部分を開口させて、上記内袋に収容されている上記液状材料を、上記外袋と上記内袋の間の上記第一の空間内に流入させる加圧工程と、
上記外袋に対して、上記液状材料と上記粉状材料の混合を促進するための動作を加えて、上記液状材料と上記粉状材料が均一に混合してなる上記水硬性組成物を得る混合工程、
を含むことを特徴とする水硬性組成物の製造方法。 - 上記混合工程における上記液状材料と上記粉状材料の混合を促進するための動作が、上記外袋に対する加圧箇所を移動させながらの加圧と、上記外袋に対する揺動のいずれか一方または両方を含む請求項5に記載の水硬性組成物の製造方法。
- 請求項5又は6に記載の水硬性組成物の製造方法によって、上記水硬性組成物を得た後、上記外袋を開封して、上記水硬性組成物を施工箇所に用いて、上記水硬性組成物からなる硬化体を形成させることを特徴とする硬化体の製造方法。
- 上記硬化体が、目地に対する充填物である請求項7に記載の硬化体の製造方法。
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