(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る無線通信装置1の概要について、図1〜図3を参照して説明する。
本実施形態に係る無線通信装置1は、通信端末2と無線通信を行うアクセスポイント101としての機能を有する装置である。例えば、Wi-Fi(登録商標)等の規格に準拠した無線通信を行う通信端末2は、アクセスポイントに接続されることで、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続される。無線通信装置1は、このようなアクセスポイントとしての機能を有している。
本実施形態に係る無線通信装置1は、無線通信部11(図3参照)と、筐体12(図2B参照)と、カバー13(図2A参照)と、を備えている。無線通信部11は、通信端末2と無線通信を行うアクセスポイント101として機能する。筐体12は、施工面300(図2B参照)に固定される。筐体12は、無線通信部11を収容する。カバー13は、筐体12の前面121を覆う。
この構成によれば、施工面300に固定された筐体12内に、アクセスポイント101として機能する無線通信部11が収容されているので、据置き型のアクセスポイントを置くためのスペースを確保しなくても、スマートにアクセスポイントを設置できる。しかも、筐体12の前面121がカバー13によって覆われているので、カバー13にて、塵埃、水分、油分又は外力等から、筐体12を保護することができ、更には、施工面300の見栄えも損ないにくい。よって、本実施形態に係る無線通信装置1によれば、アクセスポイント101の設置の自由度が高くなる。
また、本実施形態に係る無線通信装置1は、無線通信部11と、筐体12と、を備えている。無線通信部11は、複数のアクセスポイント101を含むメッシュネットワークにおいて、複数のアクセスポイント101の1つとして機能する。複数のアクセスポイント101の各々は通信端末2と無線通信を行う。筐体12は、施工面300に固定される。筐体12は、無線通信部11を収容する。
この構成によれば、施工面300に固定された筐体12内に、アクセスポイント101として機能する無線通信部11が収容されているので、据置き型のアクセスポイントを置くためのスペースを確保しなくても、スマートにアクセスポイントを設置できる。しかも、無線通信部11は、メッシュネットワークに含まれる複数のアクセスポイント101の1つとして機能する。つまり、無線通信部11は、単なるアクセスポイント101ではなく、メッシュネットワークを構築するアクセスポイント101として機能する。メッシュネットワークが構築されることで、複数のアクセスポイント101のいずれかの通信可能範囲内に通信端末2があれば、通信端末2はメッシュネットワークに接続可能となる。しかも、あるアクセスポイント101の通信可能範囲から別のアクセスポイント101の通信可能範囲に通信端末2が移動するような場合でも、通信端末2の通信相手は、2つのアクセスポイント101間でシームレスに切り替わる。よって、本実施形態に係る無線通信装置1によれば、通信中における通信端末2の移動の自由度が高くなる。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る無線通信装置1、ネットワークシステム100(図3参照)、配線器具システム200、及びネットワークの提供方法について、詳しく説明する。
(2.1)前提
本実施形態では、無線通信装置1は、施設F1(図1参照)の施工面300に固定される。本開示でいう「施工面」は、無線通信装置1が固定される部材の表面であって、例えば、建物の壁、天井若しくは床等の造営物の表面、又は机、棚、若しくはカウンタ台等の什器(建具を含む)の表面等を含む。無線通信装置1が設置される施設F1は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、学校、工場、病院若しくは介護施設等の非住宅施設である。本実施形態では一例として、無線通信装置1は、戸建住宅の壁面からなる施工面300に取り付けられる、埋込型の配線器具であると仮定する。
本開示でいう「通信端末」は、アクセスポイント101と無線通信を行う機能を持つ端末であって、例えば、スマートフォン、タブレット端末若しくはウェアラブル端末等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、コンピュータゲーム機、設備機器又は家電機器等である。家電機器の例としては、ネットワークテレビ、冷蔵庫、洗濯機又は空調機器等がある。これらの通信端末2は、それぞれ人の操作を受け付ける機能として、例えば、タッチパネルディスプレイ又は外付けの操作デバイス(キーボード及びポインティングデバイス等)からの入力信号を受け付ける操作入力機能を有している。また、これらの通信端末2は、それぞれ人に情報を提示する機能として、例えば、ディスプレイに情報を表示する表示機能を有している。
本開示でいう「無線通信」は、電波を伝送媒体として非接触で行う通信を意味する。本実施形態では、アクセスポイント101(無線通信装置1)と通信端末2とは、双方向に通信可能である。また、本実施形態では一例として、アクセスポイント101(無線通信装置1)と通信端末2との間の無線通信は、Wi-Fi(登録商標)に準拠した無線通信であることとする。
本開示でいう「メッシュネットワーク」は、複数のアクセスポイント101を含み、かつ通信端末2が、複数のアクセスポイント101に対してシームレスに接続可能な態様であるネットワークを意味する。メッシュネットワークを構築する複数のアクセスポイント101は、相互に通信して連携することにより、通信端末2と通信を行うアクセスポイント101のシームレスな切り替えを実現する。その結果、1つのアクセスポイント101の通信可能範囲に比べて、1つのメッシュネットワークの通信可能範囲を拡大することが可能である。本実施形態は、上述のようにアクセスポイント101(無線通信装置1)と通信端末2とはWi-Fi(登録商標)により通信するので、複数のアクセスポイント101にて構築されるメッシュネットワークはメッシュWi-Fi(登録商標)である。一般的に、メッシュWi-Fi(登録商標)を構築する複数のアクセスポイント101は、共通のSSID(Service Set Identifier)及びパスワード(パスフレーズ)を有する。
本開示でいう「シームレス」は、継ぎ目なく連続することを意味する。つまり、あるアクセスポイント101の通信可能範囲から別のアクセスポイント101の通信可能範囲に通信端末2が移動しても、通信端末2の接続先は、2つのアクセスポイント101間で継ぎ目なく切り替わる。その結果、メッシュネットワークに対する通信端末2の接続状態が、シームレスに維持される。
本開示でいう「通信可能範囲」は、アクセスポイント101との無線通信が可能な範囲を意味する。つまり、通信端末2は、あるアクセスポイント101の通信可能範囲内にあれば、このアクセスポイント101との間で正常な無線通信が可能となる。一方、通信端末2は、あるアクセスポイント101の通信可能範囲外にあれば、このアクセスポイント101との間で正常な無線通信が困難となる。通信可能範囲は、アクセスポイント101と通信端末2との間の無線通信における、例えば、SN比(Signal-Noise Ratio)、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、エラー率又は伝送速度等を表す評価値を用いて規定される。一例として、アクセスポイント101と通信端末2との間の無線通信におけるSN比を表す評価値が、所定の閾値以上である範囲が、このアクセスポイント101の通信可能範囲となる。
(2.2)ネットワークシステム
次に、本実施形態に係るネットワークシステム100について、図1及び図3を参照して説明する。
本実施形態に係る無線通信装置1を含む複数のアクセスポイント101は、メッシュネットワークからなるネットワークシステム100を構築する。言い換えれば、本実施形態に係るネットワークシステム100は、無線通信装置1を含む複数のアクセスポイント101を備える。このネットワークシステム100は、これら複数のアクセスポイント101にて、メッシュネットワークを構築する。すなわち、本実施形態に係るネットワークシステム100は、メッシュネットワークを構築する複数のアクセスポイント101を備えている。そして、これら複数のアクセスポイント101のうちの少なくとも1つは、本実施形態に係る無線通信装置1である。
本実施形態では一例として、図1に示すように、ネットワークシステム100(メッシュネットワーク)を構成する複数(図1の例では5つ)のアクセスポイント101は、いずれも無線通信装置1である。すなわち、複数のアクセスポイント101は、同一の構成を有する複数台の無線通信装置1からなる。そのため、以下では、特に断りがない限り、1台の無線通信装置1について述べる構成は、複数のアクセスポイント101の全てにおいて共通の構成であることとする。
ここで、メッシュネットワークを構築する複数のアクセスポイント101は、互いに通信可能に構成されている。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。本実施形態では、複数のアクセスポイント101は、いずれも電線L1に接続されることで、有線接続されている。
すなわち、本実施形態では、無線通信装置1は、有線通信部14(図3参照)を更に備える。有線通信部14は、複数のアクセスポイント101のうち無線通信部11とは別のアクセスポイント101との間で有線通信する。これにより、無線通信装置1と他のアクセスポイント101との間の通信は、電線L1を媒体とする有線通信にて実現されることになる。無線通信装置1の無線通信部11もまた、アクセスポイント101として機能するため、結果的に、複数のアクセスポイント101間の通信が有線通信にて実現される。本実施形態では一例として、電線L1は通信用の信号線であって、より詳細には、LANケーブルである。つまり、本実施形態では、メッシュネットワークを構築する複数のアクセスポイント101間の通信方式は、有線LAN方式である。
このように、複数のアクセスポイント101を接続するためのバックホール(Backhaul)は、有線(電線L1)にて実現されている。言い換えれば、複数のアクセスポイント101は、有線バックホール、特に、イーサネット(登録商標)バックホール(Ethernet(登録商標) Backhaul)にて接続されて、メッシュネットワークを構築する。ここでは一例として、複数のアクセスポイント101間の接続トポロジはスター型である。具体的には、後述する親機としてのアクセスポイント101に対して、後述する1台以上の子機としてのアクセスポイント101が直接的に接続される。本実施形態では、子機は複数台設けられているため、1台の親機に対して、複数台の子機が電線L1にて接続されることになる。
また、本実施形態では、有線通信部14は、施工面300の裏側に配置された電線L1を通して別のアクセスポイント101と有線通信する。ここでいう「施工面300の裏側」は、施工面300が壁面である場合には、壁裏、厳密には壁裏の空間を意味する。勿論、壁裏に限らず、施工面300が床面であれば床下(床下の空間)が「施工面300の裏側」となり、施工面300が天井面であれば天井裏(天井裏の空間)が「施工面300の裏側」となる。このように、有線通信部14は、施工面300の裏側を通すように設置された隠ぺい配線を電線L1として用いて、有線通信を実現する。したがって、メッシュネットワークを構築する複数のアクセスポイント101間が有線接続されているにもかかわらず、複数のアクセスポイント101間を接続する電線L1が露出せず、見映えがよい。しかも、異なる部屋に設置された複数のアクセスポイント101間を接続する場合でも、電線L1が施工面300の裏側を通ることで、これら複数のアクセスポイント101間を電線L1にて有線接続することが可能となる。図1では、実際に電線L1が通る経路を忠実に表すのではなく、施工面300の裏側に配置された電線L1を模式的に表しているに過ぎない。
複数のアクセスポイント101は、施設F1における複数の部屋に分散して配置されている。図1の例では、1つの部屋に1つのアクセスポイント101が設置されている。このように、施設F1内において、複数のアクセスポイント101が分散して配置されることにより、複数のアクセスポイント101で構築されるメッシュネットワークの通信可能範囲を拡大することができる。本実施形態では一例として、施設F1の全体が、メッシュネットワークの通信可能範囲に含まれることとする。これにより、通信端末2は、施設F1のどこにあっても、メッシュネットワークを構築する複数のアクセスポイント101のいずれかと無線通信可能であって、結果的に、メッシュネットワークに接続可能となる。
ところで、メッシュネットワークとしてのネットワークシステム100は、メッシュネットワークとは別の外部ネットワーク3(図3参照)に接続されている。本実施形態では一例として、外部ネットワーク3は、インターネット等の公衆網である。ネットワークシステム100は、外部ネットワーク3に対して、光回線終端装置4を介して接続される。図面中では、光回線終端装置4を「ONU」(Optical Network Unit)と表記する。光回線終端装置4は、施設F1に設置されており、施設F1に引き込まれた光ファイバに接続される。光回線終端装置4は、光回線(光ファイバ)により外部ネットワーク3に接続され、光信号と電気信号との相互変換を行う。これにより、ネットワークシステム100は、光回線終端装置4及び光回線(光ファイバ)を介して外部ネットワーク3に接続されることになる。
本実施形態では、メッシュネットワークを構築する複数のアクセスポイント101は、親機又は子機のいずれかに分類される。親機はメッシュネットワーク内に1台のみ存在し、子機はメッシュネットワーク内に1台以上存在する。本実施形態では、メッシュネットワーク(ネットワークシステム100)は、1台の親機としてのアクセスポイント101と、複数台(図1の例では4台)の子機としてのアクセスポイント101と、を備えている。
親機は外部ネットワーク3に接続され、1台以上の子機は親機に接続される。ここでは、親機としてのアクセスポイント101(無線通信装置1)は、光回線終端装置4に接続されることにより、光回線終端装置4を介して間接的に、外部ネットワーク3に接続される。親機としてのアクセスポイント101(無線通信装置1)と光回線終端装置4との間は、例えば、LANケーブルにて接続される。メッシュネットワークにおいて、親機は「ルータ」としての機能を有し、子機は「サテライト」としての機能を有する。そのため、1台以上の子機のSSID及びパスワードは、親機のSSID及びパスワードと共通である。すなわち、複数のアクセスポイント101は、メッシュネットワークとは別の外部ネットワーク3に接続される親機と、親機に接続される1台以上の子機と、を含む。子機は、親機の識別子(一例としてSSID)と同一の識別子を使用する。
ここで、本実施形態では上述したように、親機としてのアクセスポイント101に対して、1台以上の子機としてのアクセスポイント101が直接的に接続される、スター型の接続トポロジによって、複数のアクセスポイント101が接続されている。本実施形態では、子機は複数台設けられているので、少なくとも親機としての無線通信装置1は、複数台の子機を電線L1(ここではLANケーブル)にて接続するための、複数のポートを有している。
詳しくは「(2.3)無線通信装置」の欄で説明するが、本実施形態では、無線通信装置1は、親機及び子機のいずれとしても使用でき、親機と子機とのいずれで使用されるかを切替え可能に構成されている。そのため、複数のアクセスポイント101として用いられる無線通信装置1は、構成としては共通の構成を有している。よって、本実施形態では、無線通信装置1は、いずれも複数のポートを有している。
このように、メッシュネットワークとしてのネットワークシステム100は、インターネット等の外部ネットワーク3に接続されている。したがって、通信端末2は、メッシュネットワークに接続されることで、メッシュネットワークを介して、インターネット等の外部ネットワーク3に接続される。本実施形態では、上述したように施設F1の全体が、メッシュネットワークの通信可能範囲に含まれるので、通信端末2は、施設F1のどこにあっても、メッシュネットワークを介して外部ネットワーク3に接続可能となる。
(2.3)無線通信装置
次に、本実施形態に係る無線通信装置1について、図2A〜図3を参照して説明する。
上述したように、本実施形態では一例として、無線通信装置1は、施設F1(住宅)の壁面からなる施工面300に取り付けられる、埋込型の配線器具である。つまり、無線通信装置1は、施工面300に固定され、施工面300の裏側を通した配線(電線L1を含む)を接続可能に構成された配線器具である。特に、この無線通信装置1は、施工面300に形成されている施工孔301(図4A参照)に、筐体12の少なくとも一部が埋め込まれた状態で、筐体12が施工面300に固定される、埋込型の配線器具である。
また、本実施形態では、無線通信装置1は、スイッチ装置の機能を兼ね備えている。無線通信装置1は、壁面からなる施工面300に取り付けられるので、いわゆる「壁スイッチ」を構成する。そのため、無線通信装置1は、電源と負荷5(図1参照)との間に挿入される。本開示でいう「挿入」とは、電気的に接続される二者間への挿入を意味し、無線通信装置1は、電源と負荷5とで構成される回路において電源と負荷5との間に電気的に接続されることになる。言い換えれば、負荷5は、電源に対し、無線通信装置1を介して電気的に接続される。
電源は、例えば、単相100V、60Hzの商用の交流電源(系統電源)である。負荷5は、例えば、LED(Light Emitting Diode)からなる光源と、光源を点灯させる点灯回路と、を備える照明装置(照明器具)であると仮定する。この負荷5では、電源からの電力供給時に光源が点灯する。したがって、スイッチ装置として機能する無線通信装置1は、電源と負荷5との間の導通/非導通を切り替えることによって、電源から負荷5への電力の供給/電力供給の停止を切り替える。
このようなスイッチ装置(壁スイッチ)としての配線器具は、一般的に、コンセント(Outlet)等に比較すると、施工面300(壁面)の高い位置に設置される。すなわち、スイッチ装置は、その操作性等を考慮して、家具で隠れにくく、かつユーザが立った姿勢で操作し易い高さに設置されることが多い。本実施形態でも、スイッチ装置として機能する無線通信装置1は、コンセント等に比較して、高い位置に設置されることと仮定する。一例として、無線通信装置1における鉛直方向の中心が、床面から110cm以上、120cm以下となるように、無線通信装置1が施工面300に固定される。
無線通信装置1は、図2A及び図2Bに示すように、回路ブロック10と、筐体12と、カバー13と、を備えている。
回路ブロック10は、回路基板(プリント配線板)と、回路基板に実装された種々の電子部品と、を有している。詳しくは後述するが、回路ブロック10は、少なくとも無線通信部11(図3参照)を含んでいる。回路ブロック10は、回路基板を複数枚含んでいてもよい。
筐体12は、上述したように、施工面300に固定される。筐体12は、無線通信部11を収容する。厳密には、筐体12は、無線通信部11を含む回路ブロック10を収容することで、回路ブロック10ごと無線通信部11を収容する。筐体12には、回路ブロック10の他、端子を構成する端子板等の内部部品が適宜収容される。筐体12は、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。
本実施形態では、筐体12は、直方体状であって、3個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法に形成されている。筐体12は、図2Bに示すように、筐体12が施工面300に取り付けられた状態で前方(室内側)に露出する前面121を有する。ここでは、筐体12の前面121は、鉛直方向の寸法が水平方向の寸法よりも大きい長方形状である。筐体12の前面121には、後述するスイッチ71、表示部72、設定操作部73、設定スイッチ74及び動作表示部75が配置される。
ここにおいて、本実施形態では、筐体12は、図4Aに示すように、筐体12を施工面300に固定するための取付枠19と一体化されている。さらに、取付枠19には、図4Aに示すように、スイッチプレート8が取り付けられる。ここで、本実施形態では、取付枠19及びスイッチプレート8を、無線通信装置1の構成要素に含むこととする。つまり、無線通信装置1は、取付枠19及びスイッチプレート8を更に備えている。ただし、取付枠19及びスイッチプレート8が、無線通信装置1の構成要素に含まれることは必須でなく、取付枠19及びスイッチプレート8の少なくとも一方は、無線通信装置1の構成要素に含まれなくてもよい。取付枠19及びスイッチプレート8について詳しくは、「(2.4)無線通信装置の取付構造」の欄で説明する。
カバー13は、上述したように、筐体12の前面121を覆う。ここで、カバー13は、筐体12の前面121の全域を覆うような大きさ及び形状である。本実施形態では、カバー13は、電気絶縁性を有する合成樹脂製であって、矩形板状に形成されている。カバー13は、図2Aに示すように、無線通信装置1が施工面300に取り付けられた状態で前方に露出する前面131を有する。ここでは、カバー13の前面131は、筐体12の前面121よりも一回り大きい長方形状である。
また、本実施形態では、カバー13は、筐体12に対して取外し可能に取り付けられている。図2Aは、筐体12にカバー13が取り付けられた状態を示し、図2Bは、筐体12からカバー13が取り外された状態を示している。そして、図2Aに示すように、筐体12にカバー13が取り付けられた状態において、筐体12の前面121がカバー13で覆われることになる。図2Bに示しように、筐体12からカバー13が取り外された状態では、筐体12の前面121は露出することになる。すなわち、カバー13は、筐体12の前面121を覆う第1位置と、筐体12の前面121を露出させる第2位置との間で移動可能である。図2Aのように筐体12にカバー13が取り付けられた状態では、カバー13は第1位置に位置し、図2Bのように筐体12からカバー13が取り外れた状態では、カバー13は第2位置に位置する。
ここで、カバー13は、スイッチハンドルとしての機能を兼ね備えている。つまり、カバー13は筐体12に取り付けられた状態で筐体12に対して変位可能な可動式であって、カバー13がユーザの操作を受けることにより、無線通信装置1がスイッチ装置として機能する。本実施形態では、図2Bに示すように、筐体12の前面121に、筐体12の前面121側から押操作可能なスイッチ71が配置されている。ここでいう「押操作」は、スイッチ71を、後方に押し込む操作である。このスイッチ71は、例えば、筐体12の前壁の一部に形成された片持ち梁状のレバーと、レバーの後方に配置された押釦スイッチと、で構成される。スイッチ71が押操作されることで、スイッチ装置として機能する無線通信装置1は、電源と負荷5との間の導通/非導通を切り替える。
具体的には、カバー13は、正面視における左右方向の一端部(ここでは左端部)に軸部を有している。カバー13は、軸部を中心に回転可能となるように、筐体12に取り付けられる。また、カバー13は、その背面の一部から後方に突出する操作部132を有している。操作部132は、スイッチ71に対向する位置に配置された突起からなる。これにより、カバー13の前面131(特に軸部とは反対側の右端部)が押操作されると、カバー13が軸部を中心に回転し、カバー13の操作部132にてスイッチ71が後方に押し込まれる。つまり、カバー13は、スイッチ71を押操作するためのピアノハンドルである。
要するに、本実施形態に係る無線通信装置1は、筐体12の前面121側から押操作可能なスイッチ71を更に備えている。カバー13は、カバー13越しにスイッチ71を押操作するための操作部132を含んでいる。この構成によれば、筐体12にカバー13が取り付けられた状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を覆う第1位置にある状態において、カバー13越しにスイッチ71を操作することが可能である。
ところで、本実施形態では、図2Bに示すように、スイッチ71の他に、表示部72と、設定操作部73と、設定スイッチ74と、動作表示部75と、が筐体12の前面121に配置されている。
表示部72は、接続情報を表示する。本開示でいう「接続情報」は、通信端末2を無線通信部11に接続する際に用いられる情報であって、例えば、識別子としてのSSID及びパスワード等を含む。表示部72は、例えば、図2Bに示すように、筐体12の前面121の中央部に配置されている。そのため、筐体12にカバー13が取り付けられた状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を覆う第1位置にある状態においては、表示部72はカバー13に覆い隠される。一方、筐体12からカバー13が取り外された状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を露出させる第2位置にある状態においては、表示部72は露出し、視認可能な状態となる。すなわち、無線通信装置1は、筐体12の前面121に配置され、通信端末2を無線通信部11に接続する際に用いられる接続情報を表示する表示部72を備えている。少なくともカバー13が第2位置にある状態では、表示部72が視認可能である。
また、本実施形態では、表示部72は、筐体12の前面121の所定領域に貼り付けられたシールである。つまり、接続情報が印刷によって表記されたシールが筐体12の前面121に貼り付けられることで、表示部72を構成する。ここで、表示部72としてのシールは、1台の無線通信装置1に対して複数枚、同梱されることが好ましい。すなわち、無線通信装置1は、上述したように、親機と子機とのいずれで使用されるかを切替え可能に構成されている。そして、子機は、親機と同一のSSID及びパスワードを使用するので、表示部72としてのシールが複数枚あれば、親機に加えて1台以上の子機に対しても、親機と同一の接続情報が表記された表示部72が設けられる。要するに、表示部72は、無線通信部11が子機として機能する場合に、親機の識別子(一例としてSSID)を表示する。
設定操作部73は、無線通信部11の機能を設定するための操作を受け付ける。本実施形態では一例として、設定操作部73は、図2Bに示すように、筐体12の前面121に配置されたスライドスイッチである。そのため、筐体12にカバー13が取り付けられた状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を覆う第1位置にある状態においては、設定操作部73はカバー13に覆い隠される。一方、筐体12からカバー13が取り外された状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を露出させる第2位置にある状態においては、設定操作部73は露出し、操作可能な状態となる。すなわち、無線通信装置1は、筐体12の前面121に配置され、無線通信部11の機能を設定するための操作を受け付ける設定操作部73を備えている。少なくともカバー13が第2位置にある状態では、設定操作部73が操作可能である。
設定操作部73では、無線通信部11について、例えば、通常モード、オフモード及び設定モードの3つの動作モードを切替え可能である。通常モードは、無線通信部11のアクセスポイント101としての機能を有効にするモードである。オフモードは、無線通信部11のアクセスポイント101としての機能を無効にするモードである。つまり、無線通信装置1の無線通信を停止させる場合には、設定操作部73にてオフモードを選択すればよい。設定モードは、例えば、接続情報の設定、親機と子機との切り替え等を行うためのモードである。
設定スイッチ74は、接続設定を行うためのスイッチである。本開示でいう「接続設定」は、通信端末2と無線通信部11との間の無線通信を確立するための設定、言い換えれば、通信端末2をアクセスポイント101に接続するために行われる設定である。本実施形態では、例えば、無線通信部11のSSID及びパスワードが通信端末2にて入力されることが、接続設定が実行される。ただし、通信端末2の中には、SSID及びパスワードを入力するためのユーザインタフェースを持たない機器(設備機器等)があり、このような通信端末2については、別の手段で接続設定を行う必要がある。具体的には、例えば、Wi-Fi(登録商標) Protected Setup(WPS)等の方式により、アクセスポイント101側の操作で通信端末2と無線通信部11との間の無線通信を確立することが可能である。本実施形態では一例として、設定スイッチ74は、WPSによる接続設定を行うためのスイッチである。すなわち、無線通信装置1は、通信端末2と無線通信部11との間の無線通信を確立するための設定スイッチ74を備えている。
本実施形態では、設定スイッチ74は、図2Bに示すように、筐体12の前面121に配置された押釦スイッチである。そのため、筐体12にカバー13が取り付けられた状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を覆う第1位置にある状態においては、設定スイッチ74はカバー13に覆い隠される。一方、筐体12からカバー13が取り外された状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を露出させる第2位置にある状態においては、設定スイッチ74は露出し、操作可能な状態となる。すなわち、設定スイッチ74は、筐体12の前面121に配置されている。カバー13は、第1位置にて設定スイッチ74を覆い、第2位置にて設定スイッチ74を露出させる。
動作表示部75は、無線通信部11の動作状態を表示する。本開示でいう「動作状態」は、無線通信部11の動作に関し、例えば、未接続、接続完了、通信中又は接続異常等の状態である。本実施形態では、動作表示部75は、図2Bに示すように、筐体12の前面121の左上隅部に配置され、無線通信部11の動作状態を発光状態で表示する表示灯(LED等)である。ここでいう「発光状態」は、例えば、動作表示部75の点灯/消灯、点滅パターン(点滅周期)、及び発光色等を含む。そのため、筐体12にカバー13が取り付けられた状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を覆う第1位置にある状態においては、動作表示部75はカバー13に覆われる。一方、筐体12からカバー13が取り外された状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を露出させる第2位置にある状態においては、動作表示部75は露出する。すなわち、無線通信装置1は、筐体12の前面121に配置され、無線通信部11の動作状態を表示する動作表示部75を備えている。
ここにおいて、カバー13のうち、少なくとも動作表示部75に対向する部位は光透過性を有することが好ましい。ここでいう「光透過性」とは、透光性又は透明の意味であって、少なくとも可視光を透過する性質を意味する。これにより、筐体12にカバー13が取り付けられた状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を覆う第1位置にある状態においても、動作表示部75はカバー13を通して視認可能となる。
回路ブロック10は、図3に示すように、無線通信部11と、有線通信部14と、処理部15と、記憶部16と、切替部17と、負荷制御部18と、を有している。つまり、本実施形態では、無線通信装置1は、無線通信部11及び有線通信部14に加えて、処理部15、記憶部16、切替部17及び負荷制御部18を備えている。回路ブロック10は筐体12に収容されているので、筐体12には、無線通信部11だけでなく、有線通信部14、処理部15、記憶部16、切替部17及び負荷制御部18も収容されることになる。
無線通信部11は、上述したように、通信端末2と無線通信を行うアクセスポイント101として機能する。ここでは、無線通信部11は、通信端末2とはWi-Fi(登録商標)により通信する。本実施形態では一例として、無線通信部11は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11ac/11n/11a/11g/11bに対応している。さらに、無線通信部11は、2.4GHzと5GHzとの両方の周波数帯を、同時に利用可能である。特に、本実施形態では、無線通信部11は、各々が通信端末2と無線通信を行う複数のアクセスポイント101を含むメッシュネットワークにおいて、複数のアクセスポイント101の1つとして機能する。
有線通信部14は、上述したように、メッシュネットワークを構築する複数のアクセスポイント101のうち、無線通信部11とは別のアクセスポイント101との間で有線通信する。つまり、有線通信部14は、無線通信部11と他のアクセスポイント101との間の通信を、電線L1(ここではLANケーブル)を媒体とする有線通信にて実現する。これにより、複数のアクセスポイント101を接続するためのバックホールが実現される。
処理部15は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを主構成として備えている。マイクロコントローラは、1以上のメモリに記録されているプログラムを1以上のプロセッサで実行することにより、処理部15としての機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、1以上のプロセッサを、処理部15として機能させるためのプログラムである。
処理部15は、少なくとも無線通信部11及び有線通信部14を制御する。そして、処理部15は、例えば、設定操作部73の操作に応じて、無線通信部11の動作モードを、通常モード/オフモード/設定モード間で切り替える。さらに、処理部15は、例えば、設定スイッチ74の操作に応じて、無線通信部11の接続設定を実行する。
記憶部16は、無線通信装置1の動作に必要な情報を記憶する。記憶部16は、書き換え可能な不揮発性メモリを含む。本実施形態では、記憶部16は、少なくとも識別子としてのSSID及びパスワードを記憶する。さらに、記憶部16は、複数のアクセスポイント101同士を接続してメッシュネットワークを構築するために必要な情報も記憶する。
切替部17は、無線通信部11について親機と子機との切り替えを行う。すなわち、上述したように、無線通信装置1は、親機及び子機のいずれとしても使用でき、親機と子機とのいずれで使用されるかを切替え可能に構成されている。一例として、設定操作部73で設定モードを選択した状態で、設定スイッチ74を長押しする、といった特定の操作を無線通信装置1が受け付けた場合に、切替部17にて親機と子機との切り替えが行われる。勿論、親機と子機との切替え用のスイッチ(ディップスイッチ等)が設けられていてもよい。
1つのメッシュネットワーク内においては、1台の無線通信装置1のみが親機となり、残りの1台以上の無線通信装置1は全て子機となるように、無線通信装置1ごとに切替部17にて親機/子機が選択される。親機及び子機が選択されると、親機のSSID及びパスワードは、バックホール(電線L1)を通して1台以上の子機に送信され、子機のSSID及びパスワードは、親機のSSID及びパスワードと共通化される。
負荷制御部18は、スイッチ71の押操作に応じて負荷5を制御する。本実施形態では、負荷制御部18は、例えば、トランジスタ又は双方向サイリスタ等の半導体スイッチを含んでいる。無線通信装置1は、一対の端子を備えており、負荷制御部18は、一対の端子間に電気的に接続されている。無線通信装置1は、スイッチ71の押操作に応じて、負荷制御部18にて半導体スイッチを電子的に制御することにより、電源と負荷5との間の導通/非導通を電子的に切り替える、いわゆる電子スイッチである。つまり、カバー13越しにスイッチ71が押操作されることにより、無線通信装置1は、電源と負荷5との間の導通/非導通を切り替える。これにより、無線通信装置1は、負荷5への通電状態を切り替えるスイッチ装置として機能する。
また、本実施形態では、無線通信装置1は、半導体スイッチの両端に印加される電圧から内部回路(回路ブロック10)の動作用の電力を生成する電源回路を有している。電源回路は、例えば、回路ブロック10に含まれている。言い換えれば、無線通信装置1は、電源から一対の端子間に印加される電圧を入力として、内部回路の動作用の電力を生成する。すなわち、無線通信装置1は、一対の端子に接続される2本の電線にて、内部回路の動作用の電力をも確保できる、いわゆる2線式の配線器具である。このような2線式の配線器具においては、内部回路の動作用の電力を供給するための電源端子を、一対の端子とは別に設ける必要がなく、無線通信装置1を設置する際の配線作業も簡単になる。
(2.4)無線通信装置の取付構造
次に、本実施形態に係る無線通信装置1の取付構造について、図4A及び図4Bを参照して説明する。
本実施形態では、無線通信装置1は、上述したように埋込型の配線器具であるので、例えば、埋込型のスイッチボックス等の取付部材85を用いて施工面300(ここでは壁面)に取り付けられる。すなわち、施工面300には施工孔301が形成されており、施工面300の裏側(壁裏)に配置されたスイッチボックス等の取付部材85に対して、無線通信装置1が施工孔301を通して取り付けられる。
取付枠19は、例えば、日本工業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠である。本実施形態では、取付枠19は筐体12と一体化されている。具体的には、取付枠19は、正面視において矩形枠状に形成されている。この取付枠19の内側に筐体12が位置するように、筐体12と取付枠19とが一体化されている。
取付枠19は、一例として、合成樹脂製である。取付枠19には、一対の取付孔191と、一対のプレート固定孔192と、が形成されている。一対の取付孔191を通して、一対の取付ねじ83がスイッチボックス等の取付部材85に締め付けられることで、取付枠19は、施工面300に取り付けられる。
スイッチプレート8は、化粧プレート81と、固定プレート82と、を有している。つまり、本実施形態では、スイッチプレート8は、化粧プレート81及び固定プレート82の2部材で構成されている。スイッチプレート8(化粧プレート81及び固定プレート82)は、一例として、合成樹脂製である。
固定プレート82は、取付枠19に固定される。化粧プレート81は、固定プレート82の前面を覆うように、固定プレート82に取り付けられる。このように、化粧プレート81は、筐体12と一体化されている取付枠19に対し、固定プレート82を介して間接的に固定される。化粧プレート81には窓孔801が形成されており、スイッチプレート8が取付枠19に取り付けられた状態では、窓孔801からカバー13の前面131が露出することになる。
つまり、スイッチプレート8は、窓孔801を有する枠状の部材であって、その窓孔801からカバー13の前面131を露出させるように、取付枠19と組み合わされる。言い換えれば、取付枠19とスイッチプレート8とが組み合われた状態では、正面視において、スイッチプレート8(化粧プレート81)の内側(窓孔801内)にカバー13の前面131が位置する。これにより、図4Bに示すように、スイッチプレート8が筐体12及びカバー13と共に施工面300に取り付けられた状態で、筐体12及びカバー13の周囲をスイッチプレート8が覆うことになり、取付枠19及び施工孔301等が露出せずに見映えがよくなる。
より詳細には、化粧プレート81は、正面視において矩形枠状に形成されている。化粧プレート81の中央部には、化粧プレート81を前後方向に貫通する窓孔801が形成されている。化粧プレート81は、スナップフィット構造により、取外し可能な状態で、固定プレート82と機械的に結合される。すなわち、化粧プレート81及び固定プレート82は、化粧プレート81と固定プレート82との少なくとも一方の弾性を利用して、化粧プレート81及び固定プレート82一方の爪を、他方の孔に引っ掛けることにより、機械的に結合される。
また、固定プレート82は、正面視において矩形枠状に形成されている。さらに、固定プレート82には、一対の透孔821が形成されている。一対の透孔821を通して、一対の固定ねじ84が取付枠19の一対のプレート固定孔192に締め付けられることで、固定プレート82は、取付枠19に取り付けられる。
(2.5)ネットワークの提供方法
次に、本実施形態に係るネットワーク(メッシュネットワーク)の提供方法について説明する。
本実施形態に係るネットワークの提供方法は、上述したような構成の無線通信装置1を用いることで、無線通信装置1を含む複数のアクセスポイント101にて構築されるメッシュネットワークを提供する方法である。すなわち、上述したように無線通信装置1の無線通信部11は、複数のアクセスポイント101を含むメッシュネットワークにおいて、複数のアクセスポイント101の1つとして機能する。したがって、この無線通信装置1を、施設F1の施工面300(ここでは壁面)に複数台設置することで、メッシュネットワークを構築することができる。
より詳細には、「(2.4)無線通信装置の取付構造」の欄で説明したように、無線通信装置1は、例えば、埋込型のスイッチボックス等の取付部材85を用いて施工面300に取り付けられる。本実施形態では、施設F1の全体が、メッシュネットワークの通信可能範囲に含まれるように、1つの部屋に1つの無線通信装置1が設置される。ここで、有線通信部14を接続するための電線L1(LANケーブル)は、施工面300の裏側を通すように設置された隠ぺい配線(先行配線)である。そこで、無線通信装置1を施工面300に固定する際には、無線通信装置1を電線L1に接続する。これにより、電線L1を介して複数台の無線通信装置1が有線接続されることになる。さらに、無線通信装置1は、電源及び負荷5に対しても接続される。
それから、無線通信装置1の各々においては、親機/子機の選択等の初期設定が行われる。親機及び子機が選択されると、親機のSSID及びパスワードは、バックホール(電線L1)を通して1台以上の子機に送信され、子機のSSID及びパスワードは、親機のSSID及びパスワードと共通化される。さらに、親機のSSID及びパスワード等の接続情報が表示された表示部72(シール)が、親機及び1台以上の子機に貼り付けられることで、全てのアクセスポイント101に同様の表示部72が設けられる。
最後に、メッシュネットワークに接続する通信端末2において、アクセスポイント101に接続するための接続設定を実行する。つまり、スマートフォン等のユーザインタフェースを持つ通信端末2については、通信端末2にて親機のSSID及びパスワードを入力することで接続設定が行われる。ここで、上述したように、無線通信装置1は、筐体12の前面121に配置され、通信端末2を無線通信部11に接続する際に用いられる接続情報を表示する表示部72を備え、少なくともカバー13が第2位置にある状態では、表示部72が視認可能である。そのため、ユーザは、例えば、近くに設置されている無線通信装置1の表示部72にて、接続情報(SSID及びパスワード等)を確認することができる。ユーザインタフェースを持たない通信端末2については、WPSによる接続設定を行うための設定スイッチ74を操作することで、接続設定が行われる。
以上のような手順で、複数台の無線通信装置1が設置され、複数台の無線通信装置1同士が接続され、初期設定が行われることによって、メッシュネットワークとしてのネットワークシステム100が構築される。つまり、上記ネットワークの提供方法により、メッシュネットワークが提供され、通信端末2は、メッシュネットワークを構築する複数のアクセスポイント101のいずれかと無線通信することで、メッシュネットワークに接続可能となる。
(3)ネットワークシステムの使用例
次に、本実施形態に係るネットワークシステム100の使用例について説明する。
ネットワークシステム100が導入された施設F1においては、広範囲にわたって、ネットワークシステム100からなるメッシュネットワークの通信可能範囲とすることができる。特に、本実施形態では、上述したように施設F1の全体が、ネットワークシステム100の通信可能範囲に含まれるので、通信端末2は、施設F1のどこにあっても、メッシュネットワークを介して外部ネットワーク3に接続可能となる。
そのため、例えば、ユーザは、通信端末2を、施設F1の1階のリビングにおいてメッシュネットワークを介して外部ネットワーク3に接続したり、施設F1の2階の寝室においてメッシュネットワークを介して外部ネットワーク3に接続したりすることができる。ここで、通信端末2は、例えば、リビングにおいてはリビングに設置された無線通信装置1からなるアクセスポイント101と無線通信し、寝室においては寝室に設置された無線通信装置1からなるアクセスポイント101と無線通信する。したがって、アクセスポイント101が、施設F1に1つしか設置されていない場合に比較して、施設F1の広範囲において、通信端末2をネットワークシステム100(及び外部ネットワーク3)に安定的に接続することができる。
また、ネットワークシステム100はメッシュネットワークであるので、複数台の通信端末2をネットワークシステム100(及び外部ネットワーク3)に同時に接続する場合でも、安定的に接続することができる。例えば、第1のユーザが施設F1の1階のリビングにおいて、第1の通信端末2を、メッシュネットワークを介して外部ネットワーク3に接続する場合を想定する。この場合、同時に、第2のユーザが、施設F1の2階の寝室において第2の通信端末2を、メッシュネットワークを介して外部ネットワーク3に接続しているとする。この場合において、第1の通信端末2は、リビングに設置された無線通信装置1(アクセスポイント101)に接続され、第2の通信端末2は、寝室に設置された無線通信装置1(アクセスポイント101)に接続される。したがって、通信端末2からのアクセスは複数台の無線通信装置1に分散され、1台の無線通信装置1にアクセスが集中する場合に比較して、無線通信装置1の通信負荷が軽減される。
要するに、通信可能範囲を拡大する手段として中継器を用いることもあるが、メッシュネットワークにおいては、中継器とは異なり、全てのアクセスポイント101が同一の機能を有している。そのため、中継器の場合は1台の親機に通信負荷が集中しやすいのに対して、メッシュネットワークでは、通信負荷を分散することができ、安定的かつ高速な通信を実現しやすい。
また、ネットワークシステム100はメッシュネットワークであるので、通信端末2は、複数のアクセスポイント101に対してシームレスに接続可能である。例えば、ユーザが通信端末2を持ったまま、施設F1の1階のリビングから施設F1の2階の寝室に移動する場合を想定する。この場合、ユーザの移動に伴って、通信端末2の通信相手は、リビングに設置された無線通信装置1(アクセスポイント101)から、寝室に設置された無線通信装置1(アクセスポイント101)に切り替わる。ただし、これら複数の無線通信装置1も、共通のSSID及びパスワードを有しており、メッシュネットワークを構築しているので、通信端末2と通信を行うアクセスポイント101のシームレスな切り替えが実現される。つまり、通信端末2の通信相手は、リビングに設置された無線通信装置1から、寝室に設置された無線通信装置1へと、シームレスに切り替わる。したがって、施設F1内を通信端末2が移動する場合でも、施設F1の広範囲において、通信端末2をネットワークシステム100(及び外部ネットワーク3)に安定的に接続することができる。
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、実施形態1に係る無線通信装置1と同等の機能は、無線通信方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における無線通信装置1は、処理部15等にコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における無線通信装置1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、無線通信装置1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは無線通信装置1に必須の構成ではなく、無線通信装置1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、無線通信部11と負荷制御部18とは別の筐体に設けられていてもよい。また、処理部15等の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ又はクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
また、複数のアクセスポイント101間の接続トポロジはスター型に限らず、適宜の接続トポロジを採用可能である。例えば、親機としてのアクセスポイント101に対して、複数台の子機としてのアクセスポイント101がデイジーチェーン接続されていてもよい。この場合、親機に対して第1の子機及び第2の子機が接続されるとすれば、第1の子機が親機に直接的に接続され、第2の子機が第1の子機に直接的に接続されることで、第2の子機は第1の子機を介して間接的に、親機に接続されることになる。さらに、親機としてのアクセスポイント101、及び複数台の子機としてのアクセスポイント101が、スイッチングハブに接続されていてもよい。この場合、複数台の子機は、スイッチングハブを介して間接的に、親機に接続されることになる。
また、無線通信装置1が有線通信部14を備えることは、無線通信装置1において必須の構成ではなく、有線通信部14は適宜省略可能である。有線通信部14が省略される場合、無線通信装置1と他のアクセスポイント101との間の通信は、例えば、無線通信によって実現される。言い換えれば、複数のアクセスポイント101は、無線バックホールにて接続されて、メッシュネットワークを構築することになる。
また、無線通信装置1が親機及び子機のいずれとしても使用できることは、無線通信装置1において必須の構成ではない。すなわち、無線通信装置1は、親機又は子機のいずれかとして機能してもよい。この場合には、親機として機能する1台の無線通信装置1と、子機として機能する1台以上の無線通信装置1と、でメッシュネットワークが構築される。さらに、無線通信装置1においては親機と子機との区別がなくてもよい。
また、子機としての無線通信装置1(アクセスポイント101)が複数台設けられることは、ネットワークシステム100に必須の構成ではない。つまり、ネットワークシステム100には、少なくとも2つのアクセスポイント101を有していればよく、この場合に、1台の親機としての無線通信装置1と、1台の子機としての無線通信装置1とでメッシュネットワークが構築されてもよい。
また、負荷制御部18は、電源から負荷5への電力の供給/電力供給の停止を切り替えるだけでなく、例えば、調光機能のように、電源から負荷5へ供給される電力量を制御する機能を有していてもよい。この場合、無線通信装置1は、スイッチ装置としての機能に加えて又は代えて、調光装置としての機能を有することになる。
さらに、負荷5は、LEDからなる光源を備える照明装置に限らず、LED以外の光源を備える照明装置であってもよい。さらに、負荷5は、照明装置に限らず、例えば、換気扇、表示装置、電動シャッタ、空調機器又は防犯機器等の機器(装置、システム及び設備を含む)であってもよい。また、負荷5は、1台の機器に限らず、電気的に直列又は並列に接続された複数台の機器であってもよい。
また、カバー13は、筐体12の前面121を覆う第1位置と、筐体12の前面121を露出させる第2位置との間で移動可能であればよく、筐体12から取外し可能であることは無線通信装置1に必須の構成ではない。例えば、カバー13は、正面視における左右方向の一端部に回転軸を有し、この回転軸を中心に回転可能となるように、筐体12に支持されていてもよい。この場合に、カバー13は、回転軸を中心に回転することで、開閉可能となる。そして、カバー13が閉じた状態では、カバー13は筐体12の前面121を覆う第1位置に位置し、カバー13が開放された状態では、カバー13は筐体12の前面121を露出させる第2位置に位置することになる。
また、カバー13は、カバー13越しにスイッチ71を押操作するための操作部132を含んでいればよく、カバー13全体がスイッチ71を押操作するためのピアノハンドルを構成することは必須でない。例えば、カバー13は、ピアノハンドル以外の、例えば、シーソー動作をするスイッチハンドルでもよい。さらに、カバー13は、その一部に片持ち梁状の操作部が形成され、この操作部のみが移動してスイッチ71を押操作するような構成であってもよい。
また、カバー13のうち動作表示部75に対向する部位が光透過性を有することは無線通信装置1に必須の構成ではない。この場合、筐体12にカバー13が取り付けられた状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を覆う第1位置にある状態においては、動作表示部75はカバー13に覆い隠される。一方、筐体12からカバー13が取り外された状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を露出させる第2位置にある状態においては、動作表示部75は露出し、視認可能な状態となる。
また、設定操作部73及び設定スイッチ74は、いずれも少なくともカバー13が第2位置にある状態で操作可能であればよく、カバー13が第1位置にある状態においても操作可能であってもよい。例えば、設定スイッチ74は、スイッチ71と同様に、カバー13越しに押操作されてもよい。この場合、筐体12にカバー13が取り付けられた状態、つまりカバー13が筐体12の前面121を覆う第1位置にある状態において、カバー13越しに設定スイッチ74を操作することが可能である。
また、スイッチ71は、カバー13が第1位置にあるときと第2位置にあるときとで、異なる機能が割り当てられてもよい。例えば、カバー13が第1位置にあればスイッチ71は負荷制御の機能を有し、カバー13が第2位置にあればスイッチ71は設定スイッチ74の機能を有してもよい。この場合、カバー13が第2位置にある状態でスイッチ71が操作されれば、接続設定が実行される。言い換えれば、スイッチ71は設定スイッチ74として兼用されることになる。カバー13が、筐体12の前面121を覆う第1位置と、筐体12の前面121を露出させる第2位置と、のいずれにあるかは、適宜のセンサにて検知可能である。このようなセンサの検知結果に応じて、スイッチ71の機能が切り替えられる。
また、表示部72は、筐体12の前面121の所定領域に貼り付けられるシールに限らず、例えば、銘鈑又はカード等が筐体12の前面121に付されて表示部72を構成してもよい。さらに、表示部72は、筐体12に直接的に印字又は刻印されることで形成されていてもよいし、筐体12の前面121に手書きで記入されてもよい。
また、アクセスポイント101(無線通信装置1)と通信端末2との間の無線通信は、Wi-Fi(登録商標)に限らず、例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る無線通信装置1Aは、図5A〜図6Bに示すように、スイッチ装置としての機能を有さない点で、実施形態1に係る無線通信装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、カバー13は、スイッチハンドルとしての機能を有さないため、可動式でなく、固定式である。つまり、カバー13は、筐体12に対して取外し可能に取り付けられてはいるものの、筐体12に取り付けられた状態で筐体12に対して想定的に変位しない。
図5Aに示す態様では、無線通信装置1Aは、カバー13の前面131の一部にセンサ91を有している。ここでは一例として、センサ91は、人の在否を検知する人感センサである。これにより、センサ91の検知結果に応じて、無線通信部11を制御すること等が可能である。例えば、センサ91が人感センサであれば、無線通信装置1Aの周囲に人が存在しない場合に、無線通信部11をオフにする又は間欠動作等の省電力モードとすることで、無線通信部11での電力消費量を抑えることができる。
つまり、無線通信装置1Aは、センサ91を備え、無線通信部11は、センサ91の出力に応じて動作する。ここで、センサ91は、人感センサに限らず、例えば、明るさセンサ、振動センサ、近接センサ若しくは音センサ、又はこれらの組み合わせであってもよい。例えば、センサ91が明るさセンサである場合には、無線通信装置1Aは、センサ91で検知された明るさ(照度)が閾値以下であれば、無線通信部11をオフにする又は間欠動作等の省電力モードとする。
図5Bに示す態様では、無線通信装置1Aは、カバー13の前面131の一部にUSB(Universal Serial Bus)コンセント(Outlet)92を有している。ここでは一例として、USBコンセント92は、1個口である。USBコンセント92は、機器のUSBプラグを差込接続可能なUSBのレセプタクルであって、USBプラグを通じて機器に5Vの直流電圧を出力するように構成されている。つまり、無線通信装置1Aは、USBコンセントを備えている。
特に、無線通信装置1Aは、内部回路(回路ブロック10)の動作用の電力を生成する電源回路を有している。そのため、この電源回路で生成された動作用の電力を、USBコンセント92の出力として利用することで、USBコンセント92用の電力変換回路を電源回路と別に設ける場合に比較して、回路規模を小さく抑えることが可能である。
また、図6A及び図6Bの例では、無線通信装置1Aは、他の配線器具201と共に、配線器具システム200を構成する。すなわち、本実施形態に係る配線器具システム200は、無線通信装置1Aと、配線器具201と、を備えている。配線器具201は、筐体12と並べて施工面300に固定される。
図6Aの態様では、配線器具システム200に含まれる配線器具201は、1個モジュール寸法のスイッチ装置である。この態様では、無線通信装置1Aの筐体12は2個モジュール寸法に形成され、配線器具201(スイッチ装置)と鉛直方向(上下方向)に並べて、1つのスイッチプレート8の内側に設置される。
図6Bの態様では、配線器具システム200には、1個モジュール寸法のスイッチ装置からなる配線器具201が2個含まれている。この態様では、2個の配線器具201(スイッチ装置)は鉛直方向(上下方向)に並べて配置される。無線通信装置1Aの筐体12は実施形態1と同様の3個モジュール寸法に形成され、2個の配線器具201と左右方向に並べて、1つのスイッチプレート8の内側に設置される。
ただし、図5A〜図6Bに示すような構成において、無線通信装置1Aがスイッチ装置としての機能を有していてもよい。これにより、例えば、図5Aの構成においては、無線通信装置1Aは、センサ91付きのスイッチ装置として機能し、図5Bの構成においては、無線通信装置1Aは、USBコンセント92付きのスイッチ装置として機能する。
また、配線器具システム200に含まれる配線器具201は、スイッチ装置に限らず、例えば、コンセント(Outlet)、センサ装置又はタイマ装置等であってもよい。
実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。例えば、実施形態1に係る無線通信装置1であっても、他の配線器具201と組み合わせて、配線器具システム200を構成することが可能である。
(実施形態3)
本実施形態に係るネットワークシステム100Aは、図7に示すように、無線通信装置1以外の無線装置6をアクセスポイント101,102に含む点で、実施形態1に係るネットワークシステム100と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、複数のアクセスポイント101,102は、メッシュネットワークとは別の外部ネットワーク3に接続される親機(アクセスポイント102)と、親機に接続される1台以上の子機(アクセスポイント101)と、を含む。親機(アクセスポイント102)は、無線通信装置1とは別の無線装置6である。
一例として、無線装置6は、ルータとしての機能を有する据置き型のアクセスポイントである。そして、親機としてのアクセスポイント102(無線装置6)に対して、1台以上の子機としてのアクセスポイント101(無線通信装置1)が直接的に接続される。本実施形態では、子機は複数台設けられているため、1台の親機に対して、複数台の子機が電線L1にて接続されることになる。これにより、無線通信装置1の有線通信部14は、電線L1を通して別のアクセスポイント101,102と有線通信する。ここで、1台以上の子機(アクセスポイント101)のSSID及びパスワードは、親機(アクセスポイント102)のSSID及びパスワードと共通である。
以上説明した本実施形態の構成によれば、メッシュネットワークとしてのネットワークシステム100Aを構築するにあたり、全てのアクセスポイント101,102を同一の無線通信装置1で揃える必要がない。つまり、無線通信装置1と無線装置6とを連携させることにより、メッシュネットワークとしてのネットワークシステム100Aを構築することが可能である。
また、本実施形態では、無線通信装置1とは別の無線装置6は、親機(アクセスポイント102)として用いられているが、これに限らず、子機として用いられてもよい。さらに、ネットワークシステム100Aは、1台の無線装置6に限らず、複数台の無線装置6を含んでいてもよい。
実施形態3で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1又は実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る無線通信装置(1,1A)は、無線通信部(11)と、筐体(12)と、カバー(13)と、を備える。無線通信部(11)は、通信端末(2)と無線通信を行うアクセスポイント(101)として機能する。筐体(12)は、施工面(300)に固定される。筐体(12)は、無線通信部(11)を収容する。カバー(13)は、筐体(12)の前面(121)を覆う。
この態様によれば、据置き型のアクセスポイントを置くためのスペースを確保しなくても、スマートにアクセスポイントを設置できる。しかも、筐体(12)の前面(121)がカバー(13)によって覆われているので、カバー(13)にて、塵埃、水分、油分又は外力等から、筐体(12)を保護することができ、更には、施工面(300)の見栄えも損ないにくい。よって、アクセスポイント(101)の設置の自由度が高くなる、という利点がある。
第2の態様に係る無線通信装置(1,1A)は、第1の態様において、施工面(300)に形成されている施工孔(301)に、筐体(12)の少なくとも一部が埋め込まれた状態で、筐体(12)が施工面(300)に固定される。
この態様によれば、施工面(300)からの筐体(12)の突出量を抑えることができ、筐体(12)が邪魔になりにくい。
第3の態様に係る無線通信装置(1,1A)は、第1又は2の態様において、筐体(12)の前面(121)側から押操作可能なスイッチ(71)を更に備える。カバー(13)は、カバー(13)越しにスイッチ(71)を押操作するための操作部(132)を含む。
この態様によれば、カバー(13)越しにスイッチ(71)を押操作することができ、カバー(13)をスイッチハンドルとして利用できる。
第4の態様に係る無線通信装置(1,1A)では、第1〜3のいずれかの態様において、カバー(13)は、筐体(12)の前面(121)を覆う第1位置と、筐体(12)の前面(121)を露出させる第2位置との間で移動可能である。
この態様によれば、カバー(13)が第2位置にあれば、筐体(12)の前面(121)を露出させることが可能である。
第5の態様に係る無線通信装置(1,1A)は、第4の態様において、表示部(72)を更に備える。表示部(72)は、筐体(12)の前面(121)に配置され、通信端末(2)を無線通信部(11)に接続する際に用いられる接続情報を表示する。少なくともカバー(13)が第2位置にある状態では、表示部(72)が視認可能である。
この態様によれば、ユーザは、少なくともカバー(13)が第2位置にある状態で、通信端末(2)を無線通信部(11)に接続する際に用いられる接続情報を確認可能となる。
第6の態様に係る無線通信装置(1,1A)は、第4又は5の態様において、設定操作部(73)を更に備える。設定操作部(73)は、筐体(12)の前面(121)に配置され、無線通信部(11)の機能を設定するための操作を受け付ける。少なくともカバー(13)が第2位置にある状態では、設定操作部(73)が操作可能である。
この態様によれば、ユーザは、少なくともカバー(13)が第2位置にある状態で、無線通信部(11)の機能を設定可能となる。
第7の態様に係る無線通信装置(1,1A)は、第4〜6のいずれかの態様において、通信端末(2)と無線通信部(11)との間の無線通信を確立するための設定スイッチ(74)を更に備える。
この態様によれば、無線通信装置(1,1A)側の操作により、通信端末(2)と無線通信部(11)との間の無線通信を確立することができる。
第8の態様に係る無線通信装置(1,1A)では、第7の態様において、設定スイッチ(74)は、筐体(12)の前面(121)に配置される。カバー(13)は、第1位置にて設定スイッチ(74)を覆い、第2位置にて設定スイッチ(74)を露出させる。
この態様によれば、ユーザは、少なくともカバー(13)が第2位置にある状態で、通信端末(2)と無線通信部(11)との間の無線通信を確立する操作が可能となる。
第9の態様に係る無線通信装置(1,1A)は、第1〜8のいずれかの態様において、筐体(12)の前面(121)に配置され、無線通信部(11)の動作状態を表示する動作表示部(75)を更に備える。
この態様によれば、ユーザは、無線通信部(11)の動作状態を確認できる。
第10の態様に係る無線通信装置(1,1A)は、第1〜9のいずれかの態様において、センサ(91)を更に備える。無線通信部(11)は、センサ(91)の出力に応じて動作する。
この態様によれば、無線通信部(11)の動作が多様になる。
第11の態様に係る無線通信装置(1,1A)は、第1〜10のいずれかの態様において、USBコンセント(92)を更に備える。
この態様によれば、USBコンセント(92)からの給電が可能となる。
第12の態様に係る無線通信装置(1,1A)では、第1〜11のいずれかの態様において、無線通信部(11)は、メッシュネットワークにおいて、複数のアクセスポイント(101,102)の1つとして機能する。メッシュネットワークは、各々が通信端末(2)と無線通信を行う複数のアクセスポイント(101,102)を含む。
この態様によれば、あるアクセスポイント(101,102)の近くから別のアクセスポイント(101,102)の近くに通信端末(2)が移動する場合でも、通信端末(2)の接続先は、2つのアクセスポイント(101,102)間でシームレスに切り替わる。
第13の態様に係る配線器具システム(200)は、第1〜12のいずれかの態様に係る無線通信装置(1,1A)と、配線器具(201)と、を備える。配線器具(201)は、筐体(12)と並べて施工面(300)に固定される。
この態様によれば、アクセスポイント(101)の設置の自由度が高くなる、という利点がある。
第2〜12の態様に係る構成については、無線通信装置(1,1A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。