JP2021048580A - 別の植え込み可能な医療装置と通信リンクを確立するように構成された植え込み可能な医療装置 - Google Patents

Abstract

【課題】制御回路１１及び別の植え込み可能な医療装置２、３との通信用の通信回路１３を含む植え込み可能な医療装置１を提供する。【解決手段】通信回路１３は送信ユニット１３０及び受信ユニット１３１を含む。送信ユニット１３０は他方の植え込み可能な医療装置２、３と通信リンクＬを確立するため複数の送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５を送信するように構成され、各送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５は既定の周波数レンジのうちの割当てられたサブレンジＡ１〜Ａ５に対応付けられる。受信ユニット１３１は送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５に呼応する応答通信信号Ｒ２〜Ｒ４を受信するように構成される。制御回路１１は、割当てられたサブレンジＡ１〜Ａ５に対応付けられた送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５に呼応する応答通信信号Ｒ２〜Ｒ４が受信されたかを確認し、確認に基づき通信リンクＬを確立するように構成される。【選択図】図２

Description

本発明は、概して植え込み可能な医療装置、植え込み可能な医療装置のシステム、及び植え込み可能な医療装置と別の植え込み可能な医療装置の間で通信リンクを確立するための方法に関する。

この種類の植え込み可能な医療装置は、例えば、ペースメーカ、植え込み可能な電気除細動器、圧力センサ等のセンサ装置、又は患者に皮下的に植え込まれるループ・レコーダ等の記録装置であり得る。

植え込み可能なペースメーカは、例えば患者に皮下的に植え込まれ、例えば心臓の右心室に鼓動作用を与えるために、電極を伴ってペースメーカ装置の発生器ユニットから患者の心臓内に延在する導線を備え得る。或いは、植え込み可能なペースメーカ装置は、導線を備えず、鼓動作用を与えるために、患者の心臓内に、例えば右心室内に直接植え込まれる導線なしのペースメーカとして定義してもよい。

電気除細動器は、場合によっては命を脅かす患者の心臓の不整脈を監視し、治療する役割を果たすことができ、この種類の電気除細動器は、例えば皮下的に植え込み可能で、信号を記録し、且つ患者の心臓内に刺激エネルギーを注入して例えば電気ショック（除細動）を施すために、患者の心臓内へ延在する導線を備えることができる。

圧力センサ、流れセンサ、温度センサ等のようなセンサ装置は、治療を施す上で関連のあるパラメータの監視を実現するために、例えば静脈等の血管内に植え込み可能である。

ループ・レコーダは、例えば皮下的に植え込まれ、例えば心電図（ＥＣＧ：electrocardiogram）等の心臓の働きに関する情報を連続的に記録する役割を果たす。ループ・レコーダは、連続的にそのメモリを繰り返し上書き可能で、且つ信号の特定部分を保存して、信号の分析及び診断の提供のために、記録された信号を外部の装置に通信できるようにする。

患者に植え込まれた医療装置が相互に作用できるようにするため、医療装置が互いに通信可能となることが望まれている。例えば、ペースメーカ装置又は植え込まれたセンサ装置によって検知された信号は、ループ・レコーダがそうした信号を記録できるように、ループ・レコーダに送信されてよい。加えて、ペースメーカ装置は、センサ装置の検知信号を患者の心臓内での鼓動作用の制御に考慮するために、ペースメーカ装置から離れて植え込まれたセンサ装置からの信号を受信してよい。

通信を確立するため、植え込まれた医療装置間で信号を交換できるように、植え込まれた医療装置を互いにリンクする人体ネットワーク（ＩＢＮ：intra-body network）を作り出す方法がある。

例えば、欧州特許第２３２７６０９（Ｂ１）号文書は、植え込まれた医療装置間で情報を交換するための、植え込まれた医療装置間での音響通信リンクについて記述している。音響通信リンクは、植え込まれた医療装置間の無線通信を可能とするために確立され、既成の通信リンクを改良するために、感度や搬送波周波数等の伝送パラメータと適合可能である。

植え込まれた医療装置間での無線通信は、一般的に音響、ラジオ周波（ＲＦ：Radio Frequency）、又は磁気信号を含み得る。通常、ここで、信号は特定の搬送波周波数を使用して伝送され、伝送は、ある植え込み可能な医療装置によって、別の医療装置による受信のために開始できる。ある医療装置が特定の搬送波周波数を使用して信号を伝送する場合、ここで、他方の医療装置がその搬送波周波数の前記信号を受信可能であることが確実でなければならない。通常、植え込まれた医療装置は寸法が小さく、従って単純化された処理用回路しか備えない可能性があるため、植え込まれた医療装置は、信頼性の高い通信リンクで要求されるように、特定の搬送波周波数へ確実に同調し、且つそれを保持することができない場合があり得る。

欧州特許第２３２７６０９（Ｂ１）号

信号伝送用の通信リンクを確実に確立することを可能とする、植え込み可能な医療装置、植え込み可能な医療装置のシステム、及び植え込み可能な医療装置間で通信リンクを確立するための方法を提供することが目的である。

一態様では、植え込み可能な医療装置は、制御回路、及び別の植え込み可能な医療装置と通信するための通信回路を含み、通信回路は送信ユニット及び受信ユニットを含む。送信ユニットは、他方の植え込み可能な医療装置と通信リンクを確立するために、複数の送信通信信号を送信するように構成され、それぞれの送信通信信号は、既定の周波数レンジのうちの割当てられたサブレンジと対応付けられる。受信ユニットは、送信通信信号に呼応する応答通信信号を受信するように構成される。制御回路は、割当てられたサブレンジに対応付けられた送信通信信号に呼応する応答通信信号が受信されたかを確認し、且つ前記確認に基づいて前記通信リンクを確立するように構成される。

例えばセンサ装置等の植え込み可能な医療装置は、植え込み可能な医療装置の全機能が必要ではない場合に、長時間にわたりスリープ・モードに入ることがある。スリープ・モードでは、植え込み可能な医療装置の、他の医療装置と通信するための通信機能等、いくつかの機能が停止する可能性がある。従って、医療装置の初期の電源投入時、又は医療装置がスリープ・モードにあった状態の後には、医療装置間のデータ通信を可能にするために、別の医療装置との通信リンクを確立しなければならない場合がある。

人体ネットワークにおいて通信リンクを確立するには、一方の医療装置によって信号の送信及び受信のために使用される搬送波周波数が、他方の医療装置が受信及び送信のために使用する搬送波周波数と一致しなければならない。複数の医療装置が同じ搬送波周波数で作動する場合にのみ、医療装置間での確実な通信リンクが確立可能となる。

特に小型で低出力の医療装置にとっては、医療装置が搬送波周波数を十分な精度で確実に確立できるとは必ずしも保証され得ないため、本明細書では、通信リンクを確立する上で、データ通信に先立って、医療装置間での通信にどの搬送波周波数を使用するかを規定するために、医療装置が搬送波周波数を取り決めることを提案する。

このため、通信リンクを確立しようとする医療装置は、別の医療装置に向けて複数の相異なる送信通信信号を送信し、ここで、それぞれの送信通信信号は、既定の周波数レンジのうちの割当てられたサブレンジに対応付けられる。これは、搬送波周波数が既定の周波数レンジ内にあることを想定しており、データ通信を可能とするために、周波数レンジ内のどの搬送周波数が医療装置によって使用可能かが確定される必要がある。

このため、既定の周波数レンジがいくつかのサブレンジに分割される。通信リンクを確立しようとする医療装置は、いずれかのサブレンジで、他方の医療装置からの応答通信信号が受信されるかを検知するため、相異なるサブレンジの相異なる送信通信信号を送出する。特定の送信通信信号に呼応して受信された応答通信信号に基づいて、次に、植え込み可能な医療装置の制御回路は、応答がそれに対して受信されたサブレンジの搬送波周波数を医療装置間でのデータ通信に使用可能な通信リンクを確立できる。

一実施例では、送信ユニットは、通信リンクを確立するために、前記既定の周波数レンジ内の一連の割当てられたサブレンジに対応付けられた送信通信信号を順次送信するように構成される。従って、医療装置は一連の送信通信信号を送信し、その送信通信信号は相異なるサブレンジに対応付けられており、他方の医療装置がそれらのサブレンジのいずれかをデータ通信に使用可能かどうかを、医療装置が確定できるようにする。

一実施例では、送信ユニットは、通信リンクを確立するために、送信通信信号を順次送信するように構成され、周波数レンジの第１の末端にあるサブレンジで始まり、周波数レンジの第１の末端の反対側の第２の末端にあるサブレンジで終わる。従って、医療装置は一連の送信通信信号を送信することにより、例えば既定の周波数レンジの低い方の末端で始まり、周波数レンジの第２の高い方の末端に到達するまで周波数を次々と増加させる周波数スィープを行う。ここで、１つ又は複数のサブレンジの応答が他方の医療機器により受信されるかどうかが検知され、そうした応答通信信号に基づいて通信リンクが確立できるようにする。

この、既定のサブ周波数のレンジの端から端までをスィープする概念は、その後に規定される一連のより狭いサブ周波数のバンドに利用可能であり、従って、植え込まれた装置間の通信リンクの最適化をもたらす、利用通信周波数の非常に細かい同調が可能となる。

一実施例では、受信ユニットは、送信通信信号のそれぞれの送信の後に、受信された応答通信信号を記録するように構成される。従って、医療装置は、特定の送信通信信号への応答が受信されたかを監視し、その応答に基づいて、送信通信信号に対応付けられた特定のサブレンジで、他方の医療装置が通信可能かを確認できるようにする。他方の医療装置は、応答を用いて送信通信信号の受信を知らせ、応答通信信号により、特定の送信通信信号及び応答通信信号に対応付けられたサブレンジ内の搬送波周波数を使用して通信が可能であることを（第１の）医療装置に通知する。

送信通信信号及び同様に応答通信信号も、例えば、パルス符号変調（ＰＣＭ：Pulse Code Modulation）、周波数偏移変調（ＦＳＫ：Frequency Shift Keying）、位相偏移変調（ＰＳＫ：Phase Shift Keying）、四位相偏移変調（ＱＰＳＫ：Quadrature Phase Shift Keying）、ＦＭ又はＡＭ変調等のような一般の変調方式を用いて変調可能である。ここで、送信通信信号には、他方の医療装置に通信リンクを確立しようとすることを通知するトリガ・メッセージ（「Ｈｅｌｌｏ」メッセージ等）に加えて、通信リンクをそれに対して確立しようとする他方の医療装置の識別子、及び送信している医療装置の識別子を符号化可能である。他方の医療装置は送信通信信号を復号し、例えば、通信を求めている医療装置の識別子、応答している医療装置の識別子、及び認知メッセージ（「ＯＫ」メッセージ等）がその中に符号化された応答通信信号を作成することが可能である。

ここで、それぞれのサブレンジに対し、送信通信信号の送信が一回行われてよく、又は既定数の回数、例えば４回にわたって繰り返されてよい。

一実施例では、制御回路は、サブレンジに対応付けられた送信通信信号に呼応して応答通信信号が受信された場合、前記通信リンクを確立するための前記サブレンジを選択するように構成される。通常、特定のサブレンジでの応答が受信された場合、他方の医療装置がそのサブレンジで通信可能であると想定される。従って、制御回路は、通信リンクを確立するためのサブレンジを選ぶことができる。

ここで、様々なシナリオがあり得る。

周波数スィープにおいて、特定のサブレンジで応答信号が受信された場合、医療装置は次の隣り合うサブレンジの別の送信通信信号を送信してよい。次のサブレンジで応答信号が受信されなかった場合、医療装置の制御回路は周波数スィープを終了させてよく、応答信号が受信された特定の前のサブレンジを、通信リンクを確立するために選んでよい。

別の実例では、特定のサブレンジで応答信号が受信され、且つ１つ又は複数の更なるサブレンジで１つ又は複数の更なる応答信号が受信された場合、制御回路は、そのサブレンジのうちの１つを、通信リンクを確立するために選んでよい。例えば、３つの連続したサブレンジで応答信号が受信された場合、制御回路は、これらのサブレンジの真ん中のサブレンジを、通信リンクを確立するために選んでよい。

別の実例では、特定のサブレンジで応答信号が受信され、且つ１つ又は複数の更なるサブレンジで１つ又は複数の更なる応答信号が受信された場合、制御回路は、そのサブレンジのうちの１つを、通信リンクを確立するために選んでよい。例えば、３つの連続したサブレンジで応答信号が受信され、且つそれぞれのサブレンジが、例えば４つの「Ｈｅｌｌｏ」メッセージを用いてテストされ、しかし１つのサブレンジのみが４つ全ての「Ｈｅｌｌｏ」メッセージに「ＯＫ」メッセージで応答し、その他は４つより少ない「Ｈｅｌｌｏ」メッセージに「ＯＫ」メッセージで応答した場合、制御回路はこれらのサブレンジのうち、４つの「ＯＫ」メッセージを受信する結果となったサブレンジを、通信リンクを確立するために選んでよい。

選択されたサブレンジのいずれも、全ての「Ｈｅｌｌｏ」メッセージへの「ＯＫ」応答を達成できなかった場合、制御回路は、引き続き通信リンクを確立するための最適な搬送波周波数を識別するために、最も多くの「ＯＫ」メッセージを受信する結果となった、前のサブレンジ内で、細かい階層のサブレンジでの追加のスィープの実施を選ぶことができる。

周波数スィープにおいて、医療装置により、いずれのサブレンジに対応付けられたいずれの送信通信信号に対しても応答通信信号が受信されなかった場合、制御回路は、他方の植え込み可能な医療装置との通信リンクの確立を終了させるように構成されてよい。このため、他方の医療装置からの応答が受信できない場合、この時点では他方の医療装置との通信リンクは確立できないと想定され、従って、通信リンクを確立するための更なる送信通信信号は送出されない。

ここで、ある一定期間、例えば数分後に、医療装置は取り決めの手順を繰り返すことにより、他方の医療装置との通信リンクを確立することを再度試みてよい。

一般的に、医療装置は別の医療装置との通信を実現するために、様々な伝送技術を使用することができる。特に、信号は音響伝送、ラジオ周波（ＲＦ）伝送、磁気（誘導）伝送、又は単なる電界伝送を使用して送信及び受信可能である。

例えば伝送が必要となる場合、やや低い周波数レンジ、１０ｋＨｚと１ＭＨｚとの間の、好ましくは３００ｋＨｚと５００ｋＨｚとの間の、例えば４００ｋＨｚ辺りのような搬送波周波数を使用すると有利となり得る。信号はヒト組織を通して伝送されなければならないため、信号が損失を受けることがあり、従って、やや低い周波数（及び、それに応じた長い波長）での伝送が、より高い周波数での伝送より好ましい。伝送のために、体液内の電解質に起因して、人体全体にわたっての電位変動を引き起こす振動電界を使用することができる。

別の態様では、植え込み可能な医療装置システムは、第１の植え込み可能な医療装置及び第２の植え込み可能な医療装置を備える。第１の植え込み可能な医療装置は、第１の制御回路、並びに第１の送信ユニット及び第１の受信ユニットを有する第１の通信回路を備える。第２の植え込み可能な医療装置は、第２の送信ユニット及び第２の受信ユニットを有する第２の通信回路を備える。第１の送信ユニットは、第２の植え込み可能な医療装置と通信リンクを確立するために、複数の送信通信信号を送信するように構成され、それぞれの送信通信信号は、既定の周波数レンジのうちの割当てられたサブレンジに対応付けられる。第２の受信ユニットは、前記複数の送信通信信号のうちの送信通信信号を受信するように構成される。第２の送信ユニットは、前記送信通信信号の受信に呼応して、応答通信信号を送信するように構成される。第１の受信ユニットは、前記応答通信信号を受信するように構成される。第１の制御回路は、割当てられたサブレンジに対応付けられた送信通信信号に呼応する応答通信信号が受信されたかを確認し、且つ前記の確認に基づいて、前記通信リンクを確立するように構成される。

医療装置に対する上述の利点及び有利な実施例は、システムに同様に適用され、従って、この点に関して、システムには上の説明が適用されることになる。

第１の植え込み可能な医療装置は、別の第２の医療装置と通信リンクを確立するために、送信通信信号を送出する。第２の医療装置は、その受信ユニットを用いて１つ又は複数の送信通信信号を受信し、受信された送信通信信号に反応して、送信通信信号が対応付けられたサブレンジの応答通信信号を発生させる。応答通信信号は、第２の医療装置の送信ユニットを用いて第１の医療装置へ送られ、第１の医療装置は応答通信信号を受信し、応答通信信号に基づいて通信リンクを確立する。従って、第１の医療装置は、トリガ／認知方式で通信リンクを確立するために、周波数レンジのいくつかのサブレンジを試みる。サブレンジのうちの１つの応答が受信された場合、他方の第２の医療装置が特定のサブレンジで通信可能であり、従って、そのサブレンジ内の搬送波周波数を用いて通信リンクが確立されることを示すと結論づけられる。

更に別の態様では、ある植え込み可能な医療装置と別の植え込み可能な医療装置の間の通信リンクを確立する方法が、植え込み可能な医療装置の通信回路の送信ユニットを使用して複数の送信通信信号を送信し、それぞれの送信通信信号が既定の周波数レンジのうちの割当てられたサブレンジに対応付けられていること、植え込み可能な医療装置の通信回路の受信ユニットを使用して、送信通信信号に呼応する応答通信信号を受信すること、及び、植え込み可能な医療装置の制御回路を使用して、割当てられたサブレンジに対応付けられた送信通信信号に呼応する応答通信信号が受信されたかを確認し、且つ前記確認に基づいて前記通信リンクを確立することを含む。

植え込み可能な医療装置及び植え込み可能な医療装置のシステムに対する上述の利点及び有利な実施例は、方法にも同様に適用され、従って、方法にも上述のことが適用されることになる。

方法の中で、周波数レンジ内の複数のサブレンジにわたる周波数スィープが実行可能である。このために、一実施例では、複数の送信通信信号を送信するステップが、周波数レンジの第１の末端にあるサブレンジで始まり、周波数レンジの第２の末端にあるサブレンジで終わる、送信通信信号の順次の送信を含んでよい。一実施例では、周波数スィープの始まりにおいて、第１の送信通信信号が、周波数レンジの第１の末端にある第１のサブレンジで送信されてよい。続いて、第１のサブレンジに隣り合う第２のサブレンジの第２の送信通信信号が送信されてよい。その後、前記第２のサブレンジに続く、更なる連続するサブレンジの更なる送信通信信号が、周波数レンジの第１の末端の反対側の第２の末端にある最後のサブレンジに到達するまで、送信されてよい。

スィープは、周波数レンジの下側の末端で始まり、上側の末端で終わってよい。或いはスィープは、上側の末端で始まってよく、下側の末端で終わってよい。

あるサブレンジで応答通信信号が受信され、しかし、それに続く隣り合わせのサブレンジでは、更なる応答信号が受信されない場合、周波数スィープを終了させてよい。

通信リンクを確立するための手順は、ある医療装置が別の医療装置と通信を確立しようとする時はいつでも実行できる。これは医療装置の最初の起動の際、又は例えば通信機能が停止していたスリープ・モードの状態から抜け出した後に行われてよい。

通信リンクの確立に先立って、通信のために使用されるサブレンジが取り決められるため、医療装置は、正確な既定の搬送波周波数を高い精度で確立できる回路を必ずしも備える必要がない。どの通信にも先立って搬送波周波数が取り決められるため、医療装置の回路が単純化でき、費用並びに電力消費を低減できる。また、ことによると、より広い周波数レンジが通信に使用可能となる。

装置及びシステムに関して開示された特徴は、方法にも適用でき、逆もまた同様である。

本発明の様々な特徴及び利点は、以下の詳細説明及び図面に示された実施例を参照して、より容易に理解できる。

患者に埋め込まれた医療装置のシステムの概略図である。 医療装置間でのデータ通信のための通信リンクがその間に確立されることになる、２つの医療装置の概略図である。 サブレンジに分割された周波数レンジ及びサブレンジに対応付けられた送信通信信号を示す図である。 通信リンクを確立するための、ある医療装置から別の医療装置への送信通信信号の送信の概略図である。 送信通信信号の送信の別の例を示す図である。 通信リンクを確立するための送信通信信号の送信の別の例を示す図である。

続いて本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。図面において、同様の参照数字は同様の構造要素を示す。

実施例は、本発明に対して限定をするものではなく、単に説明のための実例を表すことに留意されたい。

図１を参照して、植え込み可能な医療装置１、２、３は、患者の内部で異なる機能を提供するために、患者の中に異なる場所で植え込み可能である。例えば、導線のないペースメーカ装置の形状をした医療装置１は、心臓Ｈ内に鼓動作用を施すために、患者の心臓の右心室ＲＶの中に植え込み可能である。例えばループ・レコーダの形状をした別の医療装置２は、胸部内に皮下的に植え込み可能で、ループ・レコーダは、信号を記録し、且つ例えば患者の内部でいくつかのパラメータを監視するために、外部装置と通信を可能にする。センサ装置、例えば圧力センサ、流れセンサ又は温度センサ等の形状をした別の医療装置３は、血圧又は血流等の特徴的なパラメータを検知するために、例えば血管内に植え込み可能である。

一般的に、患者に植え込まれた異なる医療装置１、２、３の間でのデータ通信が望まれる。医療装置１、２、３の間でデータを交換可能とするため、医療装置１、２、３を共にリンクする人体ネットワークを確立することにより、無線形式でこの種の通信を確立する方法がある。これにより、ループ・レコーダは、例えばセンサ装置のセンサ・データ、或いはペースメーカ又は電気除細動器のデータを記録することができ、また、例えば医療動作を制御するために、ペースメーカ又は電気除細動器へデータを提供することができる。

データ通信を可能とするには、医療装置１、２、３の間の通信リングが確立される必要がある。信号は、ここで、音響伝送、ラジオ周波（ＲＦ）伝送、磁気（誘導）信号伝送、又は振動電界に基づく伝送等の特定の通信技術、及びＰＣＭ、ＦＳＫ、ＰＳＫ、ＱＰＳＫ、ＦＭ又はＡＭ変調等のような特定の変調方式を使用して、変調された形で交換される。

特定の伝送技術に関わらず、伝送は搬送波周波数を使用して行われ、搬送波周波数は、確実な通信リンクを確立するために、通信する医療装置１、２、３の間で一致しなければならない。

次に図２を参照して、患者内に植え込まれる医療装置１、２は、小さな造りで、患者内に長期にわたりとどまるために、電力消費が低くなるように設計され得る。

例えば導線のないペースメーカの形状をした第１の医療装置は、ここでは、筐体１０、制御回路１１、刺激信号を発するため、又は検知信号を受けるための電極装置１２、通信回路１３及び、例えば電池の形状をした蓄電部１４を備え得る。

例えば圧力センサ等の植え込み可能なセンサ装置の形状、又はループ・レコーダの形状をした第２の医療装置２は、筐体２０、制御回路２１、通信回路２３、及び例えば電池の形状をした蓄電部２４を備える。

通信回路１３、２３は、それぞれの場合において、送信ユニット１３０、２３０及び受信ユニット１３１、２３１を備える。通信回路１３、２３は、音響信号、ラジオ周波（ＲＦ）信号、磁気信号又は電気的信号を送信及び受信するための特定の伝送技術用に設計される。また通信回路１３、２３は、送信及び受信のためにそれぞれ信号を変調、復調し、伝送パラメータを最適化し、受信信号を増幅し、且つ信号を処理して、処理された信号を分析及び医療装置１、２の動作の制御用に制御回路１１、２１へ転送するように設計される。

通信回路１３、２３は、以下に詳細に説明するように、特に伝送の搬送波周波数を変更可能とされる。

通信リンクＬは、例えば医療装置１、２のうちの１つの最初の起動の際、又は医療装置１、２の長期間の不活性状態後にスリープ・モードを抜け出した後に、医療装置１、２の間で確立されることになる。ここで、通信を確立しようとする医療装置１、２は、他方の医療装置２、１に向かってトリガ信号を送出し、トリガ信号は医療装置１が通信を確立しようとすることを示す。

通信リンクＬを確立する上で、ここでもまた、通信用に使用される共通の搬送波周波数が医療装置１、２の間で取り決められることになる。このために、通信を確立しようとする医療装置１、２は、周波数レンジにわたる一連の送信通信信号を送出し、その次に周波数レンジの特定のサブレンジの搬送波周波数を使用して通信リンクＬを確立するために、応答通信信号を待つ。

次に図３を参照して、通信が確立可能となる周波数レンジは、例えば中央の周波数の４００ｋＨｚ辺りが中心であり得る。例えば、周波数レンジは、約３８０ｋＨｚの低い周波数から約４２０ｋＨｚの高い周波数に及んでよい。ここで３９９ｋＨｚと４０１ｋＨｚとの間にある中央のサブレンジＡ３が通信のために最適と想定され、通信は、３９５ｋＨｚより下のサブレンジＡ１、３９５ｋＨｚと３９９ｋＨｚとの間にあるサブレンジＡ２、４０１ｋＨｚと４０５ｋＨとの間にあるサブレンジＡ４、及び４０５ｋＨｚより上にあるサブレンジＡ５に相当する、他のサブレンジＡ１、Ａ２、Ａ４、Ａ５でも確立され得る。

従って、通信リンクＬを確立するために、通信を確立しようとする医療装置１、２は、相異なるサブレンジＡ１〜Ａ５の送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５を送出し、サブレンジＡ１〜Ａ５のいずれかの応答通信信号が他方の医療装置２、１から受信されるかを監視する。一実施例では、医療装置１、２はここで、周波数スィープを実施し、その中では送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５が順次且つ連続して送信されて、最も低いサブレンジＡ１で始まり最も高いサブレンジＡ５で終わり、それぞれのサブレンジＡ１〜Ａ５で他方の医療装置２、１からの応答通信信号が受信されるか監視される。

次に図４を参照して、一実施例では、医療装置１が送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５を他方の医療装置２へ送出可能である。送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５には、通信が確立される他方の医療装置２の識別子を含み、且つ他方の医療装置２に通信が確立されることを知らせるトリガ・メッセージ（「Ｈｅｌｌｏ」）をも含むメッセージが変調されてよい。更に、送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５は、どの装置が通信を確立しようとしているかを他方の医療装置２に知らせるために、送っている医療装置１の識別子を含んでよい。

サブレンジＡ１で始まって、医療装置１は、送信ユニット１３０を使用して送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５を送信する。ここで、送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５のそれぞれの送信は一回実行されてよく、又は既定数の回数、例えば４回にわたって繰り返されてよい。

それぞれの送信の後、医療装置１は応答信号が他方の医療装置２から受信されたかを監視し、監視は既定の時間、すなわち受信ユニット１３１が、他方の医療装置２からの応答通信信号を待つ、既定の待ち時間にわたって行われてよい。特定の送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５に対して応答が受信されない場合、医療装置１は、隣接した別のサブレンジの送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５を、周波数レンジの末端、すなわち最も高いサブレンジＡ５に到達するまで送信し続けてよい。

図４の実例にあるように、他方の医療装置２から応答通信信号が受信されない場合、医療装置１の制御回路１１は、通信リンクＬを確立することを終了させ、ことによると、既定の時間、例えば数分の後、通信リンクＬを確立することを再び試みてよい。

次に図５を参照して、特定のサブレンジＡ２に対応付けられた送信通信信号Ｓ２に続いて応答通信信号Ｒ２が受信された場合、医療装置１は、隣接するサブレンジＡ３の別の送信通信信号Ｓ３を送出し、隣接するサブレンジＡ３で応答がまた受信されるかを監視してよい。そうではない場合、制御回路１１は、応答通信信号Ｒ２が受信されたサブレンジＡ２内で搬送波周波数を使用して通信リンクＬを確立する。

応答通信信号Ｒ２は、例えば、送っている医療装置２の識別子、応答通信信号が向けられている医療装置１の識別子、及び送信通信信号Ｓ２が受信され、認知されたことを医療装置１に知らせる認知メッセージ（「ＯＫ」）を含むことができる。

次に図６を参照して、別の実例では、応答通信信号Ｒ２、Ｒ３、Ｒ４が複数の送信通信信号Ｓ２、Ｓ３、Ｓ４に対して受信される場合がある。ここで、医療装置１は、更なる応答通信信号Ｒ２〜Ｒ４が受信されなくなるまで、又は周波数レンジの末端、すなわち最も高いサブレンジＡ５に到達するまで、送信通信信号Ｓ１〜Ｓ５を送出し続けてよい。

図６の実例にあるように、複数の応答通信信号Ｒ２〜Ｒ４が受信された場合、制御回路１１は、応答通信信号Ｒ２〜Ｒ４に対応付けられたサブレンジＡ２〜Ａ４のうちの１つを、通信リンクＬを確立するために選ぶように構成されてよい。例えば、応答が受信された連続したサブレンジＡ２〜Ａ４の真ん中のサブレンジＡ３が選定可能である。又は、中央の、おそらく最適なサブレンジＡ３の応答が受信された場合、サブレンジＡ３が常に、他のサブレンジＡ１、Ａ２、Ａ４、Ａ５の全てに優先して選ばれてよい。

実際の通信を確立する前に、通信用に使用される搬送波周波数が医療装置１、２、３の間で取り決められるため、医療装置１、２、３は既定の周波数に正確に同調可能である必要はないが、周波数レンジ内の変更可能な搬送波周波数を使用することができる。これにより、医療装置１、２、３の回路を単純化し、電力消費及び費用を低減できる可能性がある。

説明した実例及び実施例の数多くの修正及び変形形態が、上述の教示に照らして可能であることが、当技術分野の技術者には明白であろう。開示した実例及び実施例は、例示の目的でのみ示したものである。これらに代わる他の実施例は、本明細書で開示した特徴のいくつか又は全てを含むことができる。従って、本発明の真の範囲内で得られる、そうした修正及び代替の実施例の全てを包含することを意図している。

１ 植え込み可能な医療装置
２ 植え込み可能な医療装置
３ 植え込み可能な医療装置
１０ 筐体
１１ 制御回路
１２ 電極装置
１３ 通信回路
１４ 蓄電部
２０ 筐体
２１ 制御回路
２３ 通信回路
２４ 蓄電部
１３０ 送信ユニット
１３１ 受信ユニット
２３０ 送信ユニット
２３１ 受信ユニット
Ａ１ サブレンジ
Ａ２ サブレンジ
Ａ３ サブレンジ
Ａ４ サブレンジ
Ａ５ サブレンジ
Ｈ 心臓
Ｌ 通信リンク
ＲＶ 右心室
Ｒ２ 応答通信信号
Ｒ３ 応答通信信号
Ｒ４ 応答通信信号
Ｓ１ 送信通信信号
Ｓ２ 送信通信信号
Ｓ３ 送信通信信号
Ｓ４ 送信通信信号
Ｓ５ 送信通信信号

Claims (12)

1. 制御回路（１１）、及び
   別の植え込み可能な医療装置（２、３）と通信するための通信回路（１３）であって、前記通信回路（１３）が送信ユニット（１３０）及び受信ユニット（１３１）を含む通信回路（１３）、
   を備える植え込み可能な医療装置（１）であって、
   前記他方の植え込み可能な医療装置（２、３）と通信リンク（Ｌ）を確立するために、前記送信ユニット（１３０）が、複数の送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）を送信するように構成され、それぞれの送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）が既定の周波数レンジのうちの割当てられたサブレンジ（Ａ１〜Ａ５）に対応付けられ、
   前記受信ユニット（１３１）が、送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）に呼応する応答通信信号（Ｒ２〜Ｒ４）を受信するように構成され、且つ
   前記制御回路（１１）が、割当てられたサブレンジ（Ａ１〜Ａ５）に対応付けられた送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）に呼応する応答通信信号（Ｒ２〜Ｒ４）が受信されたかを確認し、且つ前記確認に基づいて前記通信リンク（Ｌ）を確立するように構成される、
   植え込み可能な医療装置（１）。
2. 通信リンク（Ｌ）を確立するために、前記送信ユニット（１３０）が、前記既定の周波数レンジの中の一連の割当てられたサブレンジ（Ａ１〜Ａ５）に対応付けられた送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）を順次送信するように構成される、請求項１に記載の植え込み可能な医療装置（１）。
3. 通信リンク（Ｌ）を確立するために、前記送信ユニット（１３０）が、送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）を順次送信するように構成され、前記周波数レンジの第１の末端にあるサブレンジ（Ａ１）で始まり、且つ前記周波数レンジの前記第１の末端の反対側の第２の末端にあるサブレンジ（Ａ５）で終わる、請求項１又は２に記載の植え込み可能な医療装置（１）。
4. 前記受信ユニット（１３１）が、送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）のそれぞれの送信の後に、受信された応答通信信号（Ｒ２〜Ｒ４）を記録するように構成される、請求項１から３までのいずれか一項に記載の植え込み可能な医療装置（１）。
5. サブレンジ（Ａ１〜Ａ５）に対応付けられた送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）に呼応して応答通信信号（Ｒ２〜Ｒ４）が受信された場合に、前記制御回路（１１）が、前記通信リンク（Ｌ）を確立するために前記サブレンジ（Ａ１〜Ａ５）を選ぶように構成される、請求項１から４までのいずれか一項に記載の植え込み可能な医療装置（１）。
6. 前記受信ユニット（１３１）により、いずれの送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）に対しても応答通信信号（Ｒ２〜Ｒ４）が記録されない場合に、前記制御回路（１１）が、前記他方の植え込み可能な医療装置（２、３）との前記通信リンク（Ｌ）を確立することを終了させるように構成される、請求項１から５までのいずれか一項に記載の植え込み可能な医療装置（１）。
7. 前記周波数レンジが、１０ｋＨｚと１ＭＨｚとの間、好ましくは３００ｋＨｚと５００ｋＨｚとの間の領域内に設定される、請求項１から６までのいずれか一項に記載の植え込み可能な医療装置（１）。
8. 第１の植え込み可能な医療装置（１）、及び
   第２の植え込み可能な医療装置（２）、
   を備える植え込み可能な医療装置（１〜３）のシステムであって、
   前記第１の植え込み可能な医療装置（１）が、第１の制御回路（１１）、並びに第１の送信ユニット（１３０）及び第１の受信ユニット（１３１）を含む第１の通信回路（１３）を備え、
   前記第２の植え込み可能な医療装置（２）が、第２の送信ユニット（２３０）及び第２の受信ユニット（２３１）を含む第２の通信回路（２３）を備え、
   前記第１の送信ユニット（１３０）が、前記第２の植え込み可能な医療装置（２）と通信リンク（Ｌ）を確立するために、複数の送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）を送信するように構成され、それぞれの送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）が既定の周波数レンジのうちの割当てられたサブレンジ（Ａ１〜Ａ５）に対応付けられ、
   前記第２の受信ユニット（２３１）が前記複数の送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）のうちの送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）を受信するように構成され、
   前記第２の送信ユニット（２３０）が、前記送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）の受信に呼応して応答通信信号（Ｒ２〜Ｒ４）を送信するように構成され、
   前記第１の受信ユニット（１３１）が、前記応答通信信号（Ｒ２〜Ｒ４）を受信するように構成され、
   前記第１の制御回路（１１）が、割当てられたサブレンジ（Ａ１〜Ａ５）に対応付けられた送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）に呼応する応答通信信号（Ｒ２〜Ｒ４）が受信されたかを確認し、且つ前記確認に基づいて、前記通信リンク（Ｌ）を確立するように構成される、
   植え込み可能な医療装置（１〜３）のシステム。
9. 植え込み可能な医療装置（１）と、別の植え込み可能な医療装置（２）の間の通信リンク（Ｌ）を確立するための方法であって、前記方法が、
   前記植え込み可能な医療装置（１）の通信回路（１３）の送信ユニット（１３０）を使用して、複数の送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）を送信するステップであって、それぞれの送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）が既定の周波数レンジのうちの割当てられたサブレンジ（Ａ１〜Ａ５）に対応付けられるステップと、
   前記埋め込み可能な医療装置（１）の前記通信回路（１３）の受信ユニット（１３１）を使用して、送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）に呼応する応答通信信号（Ｒ２〜Ｒ４）を受信するステップと、
   前記埋め込み可能な医療装置（１）の制御回路（１１）を使用して、割当てられたサブレンジ（Ａ１〜Ａ５）に対応付けられた送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）に呼応する応答通信信号（Ｒ２〜Ｒ４）が受信されたかを確認し、且つ前記確認に基づいて前記通信リンク（Ｌ）を確立するステップと、を含む方法。
10. 前記送信するステップが、前記周波数レンジの第１の末端にあるサブレンジ（Ａ１）で始まる、送信通信信号（Ｓ１〜Ｓ５）を順次送信するステップを含む、請求項９に記載の方法。
11. 前記送信するステップが、前記周波数レンジの前記第１の末端にある第１のサブレンジ（Ａ１）の第１の送信通信信号（Ｓ１）を送信し、続いて前記第１のサブレンジ（Ａ１）に隣接する第２のサブレンジ（Ａ２）の第２の送信通信信号（Ｓ２）を送信するステップを更に含む、請求項１０に記載の方法。
12. 前記送信するステップが、前記第２のサブレンジ（Ａ２）に続いて、更なるサブレンジ（Ａ３〜Ａ５）の送信通信信号（Ｓ３〜Ｓ５）を、前記周波数レンジの前記第１の末端の反対側の第２の末端にある最後のサブレンジ（Ａ５）に到達するまで送信するステップを更に含む、請求項１１に記載の方法。
    

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