JP2021044239A - 輻射デバイス - Google Patents

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淳一 ▲高▼原
淳一 ▲高▼原
Junichi Takahara
博章 高瀬
Hiroaki Takase
博章 高瀬
哲大 河野
Akihiro Kono
哲大 河野
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Abstract

【課題】特定波長の電磁波を効率的に輻射する。【解決手段】輻射デバイス(100)は、ミー共振器(110)と、負誘電体層(120)とを備える。ミー共振器(110)は、誘電体を含む。ミー共振器(110)は、ミー共振を励起する。負誘電体層(120)は、負の誘電率を有する。ミー共振器(110)と負誘電体層(120)との間において、プラズモニック共振を励起する。【選択図】図1

Description

本発明は、輻射デバイスに関する。
輻射デバイスは、熱エネルギーを電磁波エネルギーに変換して電磁波を輻射することにより、対象物体の熱を移動できることが知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、基材と導電層との間に誘電体層を設けたプラズモン共振構造体を備えた冷暖房用パネルが記載されている。特許文献1の冷暖房用パネルでは、基材と導電層との間に誘電体層を設けたプラズモン共振構造体が波長8〜14μmの赤外線を選択的に放射または吸収することにより、熱を効率的に移動できる。
特開2017−96516号公報
特許文献1では、輻射デバイスから放出される電磁波の波長が広く分布してしまい、プラズモン共振構造体から放出される電磁波を有効に利用できないことがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、特定波長の電磁波を効率的に放出可能な輻射デバイスを提供することにある。
本発明による輻射デバイスは、ミー共振器と、負誘電体層とを備える。前記ミー共振器は、誘電体を含み、ミー共振を励起する。前記負誘電体層は、負の誘電率を有する。前記ミー共振器と前記負誘電体層との間において、プラズモニック共振を励起する。
ある実施形態において、前記負誘電体層は、金属を含む。
ある実施形態において、前記負誘電体層は、金属酸化物を含む。
ある実施形態において、前記ミー共振器は、前記負誘電体層から突起している。
ある実施形態において、前記輻射デバイスは、前記ミー共振器と前記負誘電体層との間に位置するギャップ層をさらに備える。
ある実施形態において、前記ギャップ層は、前記ミー共振器の屈折率よりも低い屈折率を有する。
ある実施形態において、前記輻射デバイスは、相転移によって前記負誘電体層に変化する相転移層をさらに備える。
ある実施形態において、前記相転移層は、温度の変化によって金属相と誘電体相との間を相転移する。
ある実施形態において、前記相転移層は、二酸化バナジウムを含む。
ある実施形態において、前記相転移層は、ドーパントを含む。
ある実施形態において、前記ドーパントは、タングステンを含む。
本発明によれば、特定の波長の電磁波を効率的に放出できる。
(a)および(b)は、本実施形態の輻射デバイスの模式的な斜視図である。 (a)〜(c)は、本実施形態の輻射デバイスの模式的な斜視図である。 (a)は、本実施形態の輻射デバイスの模式的な斜視図であり、(b)は、輻射デバイスの模式図であり、(c)は、輻射デバイスにおける電場分布および磁場分布を示すグラフであり、(d)は、輻射デバイスにおける電磁波の波長および入射角に対する輻射率の分布を示すグラフである。 (a)は、本実施形態の輻射デバイスを取り付けた冷却装置の模式図であり、(b)は、電磁波の波長に対する輻射デバイスの輻射率を示すグラフである。 本実施形態の輻射デバイスの模式的な斜視図である。 (a)は、本実施形態の輻射デバイスにおける電場分布を示すグラフであり、(b)は、本実施形態の輻射デバイスにおける磁場分布を示すグラフであり、(c)は、本実施形態の輻射デバイスにおける吸収率および輻射率の波長依存性を示すグラフである。 (a)は、本実施形態の輻射デバイスの模式的な斜視図であり、(b)は、輻射デバイスの模式的な側面図である。 (a)は、本実施形態の輻射デバイスにおける輻射強度の波長依存性を示すグラフであり、(b)は、輻射デバイスにおける電磁波の波長および入射角に対する輻射率の分布を示すグラフであり、(c)は、本実施形態の輻射デバイスにおける輻射強度の波長依存性を示すグラフである。 (a)〜(f)は、本実施形態の輻射デバイスの製造プロセスを示す模式図である。 本実施形態の輻射デバイスにおける輻射強度の波長依存性を示すグラフである。 (a)は、本実施形態の輻射デバイスにおけるITOの屈折率の波長依存性を示すグラフであり、(b)は、本実施形態の輻射デバイスにおけるITOの反射率の波長依存性を示すグラフであり、(c)は、本実施形態の輻射デバイスにおけるITOの透過率の波長依存性を示すグラフである。 (a)〜(c)は、本実施形態の輻射デバイスの模式的な斜視図である。 (a)および(b)は、本実施形態の輻射デバイスの模式的な斜視図である。 (a)および(b)は、電磁波の波長に対する輻射デバイスの輻射率を示すグラフである。 (a)は、本実施形態の輻射デバイスの模式的な斜視図であり、(b)は、(a)の輻射デバイスにおいて電磁波の波長に対する輻射デバイスの輻射率を示すグラフである。 (a)は、s偏光の電磁波が入射される本実施形態の輻射デバイスを示す模式図であり、(b)は、(a)の輻射デバイスにおいてs偏光の電磁波の波長に対する輻射デバイスの輻射率を示すグラフであり、(c)は、p偏光の電磁波が入射される本実施形態の輻射デバイスを示す模式図であり、(d)は、(c)の輻射デバイスにおいてp偏光の電磁波の波長に対する輻射デバイスの輻射率を示すグラフである。 (a)は、本実施形態の輻射デバイスにおける輻射スペクトルを示すグラフであり、(b)は、黒体輻射スペクトルを示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明による輻射デバイスの実施形態を説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するx方向、y方向およびz方向を記載することがある。典型的には、x方向およびy方向は水平方向に平行であり、z方向は鉛直方向に平行である。ただし、x方向およびy方向のいずれかが鉛直方向に平行であってもよい。
まず、図1を参照して、本実施形態の輻射デバイス100を説明する。図1(a)は、輻射デバイス100の模式的な斜視図である。
輻射デバイス100は、電磁波を輻射する。輻射デバイス100は、熱エネルギーと電磁波エネルギーとを相互に変換可能である。輻射デバイス100は、外部の熱エネルギーを電磁波エネルギーに変換して電磁波を輻射する。また、輻射デバイス100は、外部の電磁波を吸収して電磁波エネルギーを熱エネルギーに変換できる。
ここでは、輻射デバイス100は、輻射デバイス100に伝導した熱を用いて熱エネルギーを電磁波エネルギーに変換して電磁波を輻射する。輻射デバイス100は、2次元メタマテリアル構造を有している。
輻射デバイス100は、ミー共振器(Mie Resonator)110と、負誘電体層120とを備える。ここでは、ミー共振器110は、負誘電体層120の一部の領域の上に配置される。ミー共振器110は、負誘電体層120に支持される。負誘電体層120は、xy平面に広がり、ミー共振器110は、負誘電体層120に対してz方向に延びるように配置される。ここでは、ミー共振器110は、負誘電体層120と接触している。
負誘電体層120の上面は、xy平面に広がる。ミー共振器110は、負誘電体層120の上面の上に配置される。ミー共振器110は、突起形状を有し、負誘電体層120から突出する。ミー共振器110の底面は、負誘電体層120に対向する。ミー共振器110の上面は、xy平面に広がる。
ミー共振器110は、誘電体を含み、正の誘電率を有する。ミー共振器110は、ミー共振を励起する。ミー共振が励起されることにより、外部から伝達された熱に応じて、特定の波長を有する電磁波がミー共振器110から散乱して輻射が行われる。詳しくは、ミー共振により、誘電体の内部に電気双極子および磁気双極子が励起される。この結果、特定の波長を有する電磁波がミー共振器110から散乱する。
ここでは、ミー共振器110は、円柱形状を有している。ミー共振器110が円柱形状であることにより、ミー共振器110の加工が容易になるとともに電磁波の偏光依存性を避けることができる。
ミー共振器110の径dは、0.5μm以上5μm以下であり、1μm以上3μm以下であってもよい。ミー共振器110の高さhは、0.5μm以上5μm以下であり、1μm以上3μm以下であってもよい。
ミー共振器110は、誘電体を含む。ミー共振器110は、比較的高い誘電率を有する誘電体から構成される。例えば、ミー共振器110を構成する誘電体の誘電率は10以上18以下である。一例では、ミー共振器110は、ゲルマニウム(Ge)またはシリコン(Si)を含む。ミー共振器110がゲルマニウム(Ge)から構成される場合、ミー共振器110の誘電率は16.0以上16.7以下である。また、ミー共振器110がシリコン(Si)から構成される場合、ミー共振器110の誘電率は12以上15以下である。
ミー共振器110を構成する誘電体は、特に限定されないが、屈折率が3以上であることが好ましい。屈折率が3以上であることにより、誘電体の内部に電場および磁場をより強固に閉じ込めることができる。例えば、誘電体は、シリコン(Si)、リン化インジウム(InP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、テルル化亜鉛(ZnTe)およびリン化ガリウム(GaP)のいずれかであり得る。これらの屈折率は3以上である。なお、シリコンは低損失の材料であるため、ミー共振器110をシリコンで形成することにより、ミー共振器110自体においてミー共振を効率的に励起できる。例えば、ミー共振器110は、シリコンを含む。シリコンの屈折率は約3.8である。
負誘電体層120は、負の誘電率を示す。負誘電体層120は、負の誘電率の材料を含む。
負誘電体層120は、金属を含む。負誘電体層120は、金属から構成された金属層であってもよい。典型的には、負誘電体層120が金属層である場合、負誘電体層120の誘電率はマイナス(負)となる。あるいは、負誘電体層120は、半導体層であってもよい。
負誘電体層120は、金属酸化物から構成された金属酸化層であってもよい。負誘電体層120は、可視光領域において透明であってもよい。一例として、負誘電体層120は、スズドープ酸化インジウム(Indium Tin Oxide:ITO)を含んでもよい。
負誘電体層120は、高融点材料から構成されることが好ましい。これにより、輻射デバイス100を高温環境下で用いる場合でも、輻射デバイス100の特性が変化することを抑制できる。一例では、負誘電体層120の融点は、1000℃以上であり、2000℃以上であってもよい。
負誘電体層120の厚さは、特に限定されない。負誘電体層120の厚さは、ミー共振器110の高さhよりも小さくてもよい。あるいは、負誘電体層120の厚さは、ミー共振器110の高さhよりも大きくてもよい。
ここでは、負誘電体層120は、ミー共振器110と接触している。このため、ミー共振器110と負誘電体層120との間において、表面プラズモン共鳴が誘起され、プラズモニック共振が励起する。
上述したように、ミー共振器110は比較的高い誘電率を有するのに対して、負誘電体層120は比較的低い誘電率を有する。少なくとも輻射デバイス100から輻射される電磁波の波長に対して、ミー共振器110は比較的高い誘電率を有するのに対して、負誘電体層120は比較的低い誘電率を有する。
ミー共振器110におけるミー共振の角度依存性は低いため、輻射デバイス100から輻射される電磁波の角度依存性は比較的低い。したがって、輻射デバイス100は指向性を低くできる。このため、輻射デバイス100は、広い角度範囲にわたって特定波長の電磁波をほぼ均一に放出できる。
輻射デバイス100では、ミー共振器110の寸法、形状および誘電率(材料)、負誘電体層120の誘電率(材料)を調整することにより、輻射する電磁波の波長および強度を制御できる。このため、輻射デバイス100は、ミー共振器110および負誘電体層120に応じた波長の電磁波を輻射する。
本実施形態では、ミー共振器110の近くに負誘電体層120が配置されることにより、ミー共振器110と負誘電体層120との間で生じるプラズモニック共振が生じるため、ミー共振器110内で生じるミー共振と、ミー共振器110と負誘電体層120との間で生じるプラズモニック共振との結合が強くなる。このため、ミー共振の損失が大きくなり、ミー共振に対応する特定波長の電磁波を効率的に輻射できる。
なお、ミー共振器110は、プラズモニック共振の有無にかかわらず、ミー共振を励起する。ただし、ミー共振だけでは、損失が生じにくい。本実施形態の輻射デバイス100では、ミー共振器110および負誘電体層120により、ミー共振およびプラズモニック共振が結合するため、ミー共振の損失が生じ、特定波長の電磁波の吸収および輻射を増大できる。
輻射デバイス100は、メタマテリアル技術で作製できる。例えば、ミー共振器110は、電子線リソグラフィまたはナノプリント技術を用いて形成できる。一例では、ミー共振器110は、印刷技術を用いて形成されてもよい。これにより、輻射デバイス100を容易に作製できる。
なお、図1(a)に示した輻射デバイス100では、ミー共振器110が負誘電体層120に支持されたが、本実施形態はこれに限定されない。負誘電体層120が薄い場合、および/または、負誘電体層120の強度が比較的低い場合、負誘電体層120は、別の支持部材に支持されてもよい。
また、図1(a)に示した輻射デバイス100では、負誘電体層120に1つのミー共振器110が設けられたが、本実施形態はこれに限定されない。負誘電体層120に対して複数のミー共振器110が設けられてもよい。この場合、ミー共振器110は、所定の間隔に離れて配置されてもよい。
次に、図1(b)を参照して、本実施形態の輻射デバイス100を説明する。図1(b)は、本実施形態の輻射デバイス100の模式的な斜視図である。図1(b)の輻射デバイス100は、負誘電体層120に対して複数のミー共振器110が設けられる点を除いて、図1(a)に示した輻射デバイス100と同様の構成を有している。このため、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
図1(b)に示すように、輻射デバイス100は、複数のミー共振器110と、負誘電体層120とを備える。複数のミー共振器110は、周期的に配列される。図1(b)の輻射デバイス100は、図1(a)のミー共振器110が周期的に配列された構造を有する。例えば、周期Pは、2μm以上10μm以下であり、3μm以上8μm以下であってもよい。負誘電体層120の上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積よりも大きい。
例えば、複数のミー共振器110は、負誘電体層120に対してマトリクス状に配列される。ここでは、9個のミー共振器110が負誘電体層120に対して3行3列のマトリクス状に配列される。なお、図1(b)では、複数のミー共振器110は、周期的に配列されているが、ランダムに配置されてもよい。
なお、図1に示した輻射デバイス100では、負誘電体層120の上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積よりも大きかったが、本実施形態はこれに限定されない。輻射デバイス100において、負誘電体層120の上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積とほぼ等しくてもよい。
次に、図2(a)を参照して、本実施形態の輻射デバイス100を説明する。図2(a)は、本実施形態の輻射デバイス100の模式的な斜視図である。
輻射デバイス100は、ミー共振器110および負誘電体層120に加えて、基板130をさらに備える。基板130は、ミー共振器110および負誘電体層120を支持する。典型的には、基板130は、ミー共振器110の屈折率よりも低い値の屈折率を有する。
基板130の材料は、特に限定されない。例えば、基板130の材料は、石英(SiO2)および酸化アルミニウム(Al23)のいずれかであり得る。また、基板130は、フレキシブルであってもよい。
ここでは、ミー共振器110の上面の面積は、負誘電体層120の上面の面積とほぼ等しい。例えば、ミー共振器110の径は、負誘電体層120の径とほぼ等しい。一方、ミー共振器110の高さhは、負誘電体層120の高さh2よりも大きい。
基板130の上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積よりも大きい。基板130の厚さは、ミー共振器110の高さhよりも大きいことが好ましい。これにより、基板130は、ミー共振器110および負誘電体層120を充分に支持できる。ただし、基板130の厚さは、ミー共振器110の高さhよりも小さくてもよい。
なお、図1および図2(a)に示した輻射デバイス100では、ミー共振器110は、負誘電体層120と接触するとともにミー共振とプラズモニック共振とが結合したが、本実施形態はこれに限定されない。ミー共振器110と負誘電体層120との間に別の部材が配置される一方で、ミー共振とプラズモニック共振とが結合してもよい。
次に、図2(b)を参照して、本実施形態の輻射デバイス100を説明する。図2(b)は、本実施形態の輻射デバイス100の模式的な斜視図である。
輻射デバイス100は、ミー共振器110および負誘電体層120に加えて、ギャップ層110gをさらに備える。ギャップ層110gは、ミー共振器110と負誘電体層120との間に位置する。例えば、ギャップ層110gの屈折率は、ミー共振器110の屈折率よりも低い。ギャップ層110gは、屈折率が1に近い材料で構成されることが好ましい。一例では、ギャップ層110gの屈折率は、1以上2以下である。
ここでは、ギャップ層110gの径は、ミー共振器110の径dとほぼ等しい。一方、ギャップ層110gは、比較的薄い。典型的には、ギャップ層110gの高さhgは、ミー共振器110の高さhよりも小さい。このため、ミー共振器110においてミー共振が励起する一方で、ギャップ層110gを介してミー共振器110と負誘電体層120との間でプラズモニック共振が励起する。したがって、ミー共振とプラズモニック共振との結合が強くなることから、ミー共振の損失が大きくなり、輻射が増大する。例えば、ギャップ層110gの厚さ(z方向の長さ)は、0.01μm以上1μm以下であり、0.05μm以上0.5μm以下である。
また、ギャップ層110gは、高融点材料から構成されることが好ましい。これにより、輻射デバイス100を高温環境下で用いる場合でも、輻射デバイス100の特性の変化を抑制できる。一例では、ギャップ層110gの融点は、1000℃以上であり、2000℃以上であってもよい。例えば、ギャップ層110gは酸化アルミニウム(Al23)を含む。
輻射デバイス100では、ミー共振器110がギャップ層110gと接触する一方で、ギャップ層110gを介してミー共振器110と負誘電体層120との間でプラズモニック共振が生じる。このため、特定波長の電磁波を効率的に輻射できる。
なお、図2(b)に示した輻射デバイス100では、ギャップ層110gの上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積とほぼ等しかったが、本実施形態はこれに限定されない。ギャップ層110gの上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積よりも広くてもよい。
次に、図2(c)を参照して、本実施形態の輻射デバイス100を説明する。図2(c)は、本実施形態の輻射デバイス100の模式的な斜視図である。図2(c)に示した輻射デバイス100は、ギャップ層110gの上面の面積がミー共振器110の上面の面積よりも大きい点を除いて、図2(b)に示した輻射デバイス100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
図2(c)に示すように、輻射デバイス100は、ミー共振器110と、負誘電体層120と、ギャップ層110gとをさらに備える。ギャップ層110gは、ミー共振器110と負誘電体層120との間に位置する。ギャップ層110gの上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積よりも大きい。この場合でも、ミー共振器110においてミー共振が励起される一方で、ギャップ層110gを介してミー共振器110と負誘電体層120との間でプラズモニック共振が励起する。したがって、ミー共振とプラズモニック共振との結合が強くなることから、ミー共振の損失が大きくなり、輻射が増大する。
なお、上述した説明では、ミー共振器110は円柱形状を有したが、ミー共振器110の形状は、特に限定されない。例えば、ミー共振器110の形状は、楕円柱状であってもよい。あるいは、ミー共振器110の形状は、三角柱状や四角柱状のような多角形柱状、または、五線星形柱状や六線星形柱状のような星形柱状であってもよい。あるいは、ミー共振器110の形状は、円錐形状や三角錐形状のような錐形状であってもよい。あるいは、ミー共振器110の形状は、滴形状または樽形状であってもよい。
次に、図1〜図3を参照して本実施形態の輻射デバイス100の光学特性を説明する。図3(a)は、本実施形態の輻射デバイス100の模式的な斜視図であり、図3(b)は、輻射デバイス100において発生した磁気双極子共鳴を示す模式図である。また、図3(c)は、輻射デバイス100においてxz平面内の電場分布および磁場分布を示すグラフである。なお、図3(c)では、波長7.9μmの電磁波を想定している。図3(d)は、輻射デバイス100における電磁波の波長および入射角に対する輻射率の分布を示すグラフである。
図3(a)に示すように、輻射デバイス100は、ミー共振器110と、ギャップ層110gと、負誘電体層120とを備える。ここでは、ギャップ層110gは、ミー共振器110と負誘電体層120との間に配置される。
ミー共振器110は、円柱形状を有する。ミー共振器110の高さhは1.9μmであり、ミー共振器110の径dは1.9μmである。ミー共振器110はゲルマニウム(Ge)からなる。ミー共振器110の誘電率は16.0であり、ミー共振器110の屈折率は4.03である。
ギャップ層110gの厚さhgは、0.2μmである。ギャップ層110gは酸化アルミニウム(Al23)からなる。ギャップ層110gの誘電率は1.35であり、ギャップ層110gの屈折率は1.7である。
負誘電体層120はタングステン(W)からなる。負誘電体層120の誘電率は−980+i400(実部:−980、虚部:400)である。
図3(a)に示すように、xz平面内で振動する電場を有するp偏光およびxz平面内で振動する磁場を有するs偏光が輻射デバイス100に入射すると、図3(b)および図3(c)に示すように、ミー共振器110において、光の電場方向と垂直な方向に磁気双極子が励起され、その周囲に渦状の電場が発生する。このことから、ミー共振の磁気双極子モードが生じていることが理解される。
図3(d)は、s偏光が入射した時の吸収率を示す。なお、キルヒホッフの法則により、吸収率は放射率(輻射率)と等しいことが知られている。図3(d)に示すように、輻射デバイス100の輻射率は、波長約7.8μmにおいて極めて高く、他の波長において極めて低い。このため、共振波長において、輻射率はほぼ1であり、共振波長以外の波長において、輻射率はほぼ0.05である。この輻射デバイス100のQ値は、約100である。このように、本実施形態の輻射デバイス100は、高いQ値を示す。このため、輻射デバイス100は、特定波長の電磁波を選択的に輻射できる。
また、図3(d)に示すように、輻射率は角度に応じてほとんど変化せず、共振波長は、角度にかかわらずほぼ一定である。このため、輻射デバイス100は、熱エネルギーを電磁波エネルギーに効率的に変換して電磁波を輻射できる。
上述したように、輻射デバイス100は、熱エネルギーを電磁波エネルギーとして外部に放出するため、輻射デバイス100は、対象部材を冷却する放射冷却素子として用いることができる。輻射デバイス100を放射冷却素子として用いる場合、輻射デバイス100は、大気の吸収しにくい波長の電磁波を効率的に放出することが好ましい。典型的には、輻射デバイス100から輻射される電磁波の波長は、8μm以上13μm以下に設定される。このような輻射デバイス100は、スカイラジエータとも呼ばれる。これにより、輻射デバイス100は、熱エネルギーを電磁波エネルギーとして宇宙空間にまで放出できるため、地上を冷却できる。
図4(a)は、本実施形態の輻射デバイス100を冷却素子として取り付けた冷却装置200の模式図である。冷却装置200は、熱源Hを有する冷却対象物210と、冷却対象物210の外面に取り付けられた輻射デバイス100とを備える。図4(a)に示すように、輻射デバイス100は、ミー共振器110が冷却対象物210に対して外側を向くように冷却対象物210に対して取り付けられることが好ましい。
図4(a)に示すように、輻射デバイス100から輻射される電磁波が地球上の大気に吸収されると、最終的には、熱エネルギーは地球内にとどまることになる。一方で、輻射デバイス100から輻射される電磁波は、地球上の大気に吸収されないと、宇宙空間にまで到達できる。
空気中の大気は、波長8μm以上13μm以下の電磁波をほとんど吸収しないことが知られており、波長8μm以上13μm以下の範囲は、大気の窓とも呼ばれる。このため、輻射デバイス100から輻射される電磁波の波長は8μm以上13μm以下に設定されることが好ましい。
輻射デバイス100は、駆動電力を必要とせずに、冷却対象物210を冷却できる。このため、環境およびコストの負荷をかけることなく、不要なエネルギーを用いなくても冷却対象物210を冷却できる。
例えば、冷却装置200において、冷却対象物210は、建物であってもよい。輻射デバイス100が建物を冷却する場合、輻射デバイス100は、建物の屋上に取り付けられることが好ましい。
あるいは、近年、データ処理量の増大に伴い、大型サーバー等の情報処理装置による熱の発生が問題となっている。このため、冷却装置200において、冷却対象物210は、情報処理装置の設置された部屋であってもよい。この場合、輻射デバイス100は、情報処理装置の設置された部屋の外壁または窓に取り付けられることが好ましい。
また、冷却装置200において、冷却対象物210は、移動機器であってもよい。一例として、移動機器は自動車を含む。輻射デバイス100が自動車を冷却する場合、輻射デバイス100は、自動車のルーフに取り付けられることが好ましい。
また、冷却装置200において、冷却対象物210は、電子機器であってもよい。一例として、電子機器は、半導体装置であってもよい。例えば、電子機器は、スマートフォンまたはパーソナルコンピュータを含む。
図4(b)は、輻射デバイス100の輻射率を示すグラフである。理想的には、波長8μm以上13μm以下の範囲では輻射デバイス100の輻射率は1であり、波長8μm未満の範囲では輻射デバイス100の輻射率は0であり、波長13μmを超える範囲では輻射デバイス100の輻射率は0である。
なお、図4(b)では、説明のために、輻射デバイス100の輻射率が、波長8μm以上13μm以下の範囲にわたって1であることを示している。ただし、輻射デバイス100のQ値を高くすることにより、波長8μm以上13μm以下の範囲の特定の波長において、輻射デバイス100の輻射率が高くてもよいことは言うまでもない。
なお、図4を参照して、輻射デバイス100を放射冷却素子として用いた形態を説明したが、本実施形態はこれに限定されない。輻射デバイス100は、特定波長の電磁波を効率的に放出する熱輻射エミッターとして用いてもよい。例えば、輻射デバイス100は、輻射デバイス100から輻射される電磁波の波長が、加熱対象物に吸収されやすい波長になるように設定されることが好ましい。例えば、輻射デバイス100から輻射される電磁波の波長は、人体、特定のポリマー、塗料の特定成分の吸収に適したように設定されてもよい。また、輻射デバイス100は、特定波長の電磁場を吸収するセンシング機器として用いてもよい。
輻射デバイス100の輻射スペクトルのピーク波長は、1μm以上1000μm以下であってもよい。また、輻射デバイス100の輻射スペクトルのピーク波長は、1.5μm以上100μm以下であってもよく、2μm以上20μm以下であってもよい。
なお、図3(d)に示した輻射デバイス100では、輻射スペクトルのピーク波長は約7.8μmであったが、本実施形態は、これに限定さない。輻射スペクトルのピーク波長は、別の波長であってもよい。
次に、図5および図6を参照して、本実施形態の輻射デバイス100を説明する。図5は輻射デバイス100の模式的な斜視図である。
図5に示すように、輻射デバイス100は、ミー共振器110と、ギャップ層110gと、負誘電体層120とを備える。ギャップ層110gは、ミー共振器110と負誘電体層120との間に配置される。ここでは、ギャップ層110gの上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積よりも大きい。
ミー共振器110は、円柱形状を有する。ミー共振器110の高さhは1.0μmであり、ミー共振器110の径dは1.0μmである。ミー共振器110はゲルマニウム(Ge)からなる。ミー共振器110の誘電率は16.0であり、ミー共振器110の屈折率は4.03である。
ギャップ層110gの厚さhgは、20nmである。ギャップ層110gは酸化アルミニウム(Al23)からなる。ギャップ層110gの誘電率は1.35であり、ギャップ層110gの屈折率は1.7である。
負誘電体層120はタングステン(W)からなる。負誘電体層120の誘電率は−980+i400(実部:−980、虚部:400)である。
図6(a)は、図5に示した輻射デバイス100においてxz平面内の電場分布を示すグラフであり、図6(b)は、上記輻射デバイス100においてxz平面内の磁場分布を示すグラフである。ここでは、有限差分時間領域法(Finite Difference Time Domain:FDTD)を用いて、波長3.95μmのx−z断面の電場分布およびy−z断面の磁場分布を取得した。光が輻射デバイス100に入射すると、図6(a)および図6(b)に示すように、ミー共振器110において、光の電場方向と垂直な方向に磁気双極子が励起され、その周囲に渦状の電場が発生する。また、ギャップ層110g内では表面プラズモンが励起されており、ミー共振とカップリングしている。
図6(c)は、輻射デバイス100における波長に応じた輻射率(吸収率)を示す輻射スペクトル(吸収スペクトル)を示すグラフである。図6(c)の輻射スペクトルは、輻射デバイス100に対して光を垂直に入射させた場合の輻射スペクトルを示す。また、図6(c)には、参考のためにMIM(Metal−Insulator−Metal)プラズモニック共振器の輻射率(吸収率)を併せて示す。
図6(c)に示すように、輻射デバイス100の輻射スペクトルのピーク波長は3.95μmである。輻射デバイス100の輻射スペクトルは、MIMプラズモニック共振器の輻射スペクトルと比べてかなり狭い。
輻射デバイス100のピーク波長における吸収率は0.96であり、Q値は86.3である。輻射デバイス100は、ピーク波長(共振波長)以外の波長の電磁波における吸収率は0.1未満である。一方、MIMプラズモニック共振器のQ値は約14である。輻射デバイス100によれば、MIMプラズモニック共振器と比べて、特定波長以外の波長の電磁波に対する吸収および輻射を抑制できる。
なお、図3および図6を参照した説明から理解されるように、輻射デバイス100の構造の変更により、輻射のピーク波長を変更できる。特に、輻射のピーク波長は、ミー共振器110の直径に大きく依存する。典型的には、ミー共振器110の直径が短くなると、輻射のピーク波長も短くなる。ただし、ミー共振器110の直径が短い場合、ミー共振器110に電場および磁場を強く閉じ込める必要が生じるが、ミー共振器110から電磁場が漏れるため、Q値が小さくなる傾向がある。
なお、図3および図6には、1つのミー共振器110を備えた輻射デバイス100のシミュレーション結果を示したが、輻射デバイス100は、複数のミー共振器110を備えてもよい。また、複数のミー共振器110は、周期構造に配列されてもよい。
次に、図7および図8を参照して、本実施形態の輻射デバイス100を説明する。図7(a)は、本実施形態の輻射デバイス100の模式的な斜視図であり、図7(b)は、図7(a)の輻射デバイス100の一部を拡大した側面図である。
図7(a)および図7(b)に示すように、輻射デバイス100は、ミー共振器110と、ギャップ層110gと、負誘電体層120とを備える。ここでは、ギャップ層110gは、ミー共振器110と負誘電体層120との間に配置される。
ミー共振器110は、円柱形状を有する。ミー共振器110の高さhは2.0μmであり、ミー共振器110の径dは1.96μmである。ミー共振器110はゲルマニウム(Ge)からなる。ミー共振器110の誘電率は16.0であり、ミー共振器110の屈折率は4.03である。また、ミー共振器110の周期Pは、6.1μmである。
ギャップ層110gの厚さhgは、25nmである。ギャップ層110gは酸化アルミニウム(Al23)からなる。ギャップ層110gの誘電率は1.35であり、ギャップ層110gの屈折率は1.7である。
負誘電体層120はタングステン(W)からなる。負誘電体層120の誘電率は−980+i400(実部:−980、虚部:400)である。
図8(a)は、輻射デバイス100の垂直方向(90°)の熱輻射スペクトルを示す。図8(a)には、参考のために、温度100℃の擬似黒体輻射スペクトルを併せて示す。
図8(a)に示すように、輻射デバイス100における輻射のピーク波長は7.96μmである。また、擬似黒体輻射スペクトルとの比較から理解されるように、輻射デバイス100からの輻射は、特定の波長以外では充分に抑制されている。輻射デバイス100のピーク波長(7.96μm)におけるQ値は132である。
図8(b)は、輻射デバイス100における電磁波の波長および入射角に対する輻射強度の分布を示すグラフである。図8(b)は、s偏光が入射した時の輻射強度を示す。図8(b)に示すように、輻射デバイス100の輻射率は、波長約7.8μmにおいて極めて高く、他の波長において極めて低い。また、輻射デバイス100は、入射角に対して輻射角0〜40°の範囲にわたって1.5×106Wm-2-1sr-1以上の熱輻射強度を維持できる。
図8(c)は、輻射デバイス100の熱輻射スペクトルを示す。図8(c)は、波長範囲を7.0μm〜9.0μmの範囲としている。図8(c)には、参考のためにMIMプラズモニック共振器の輻射強度を併せて示す。
図8(c)に示すように、輻射デバイス100の熱輻射スペクトルのピーク波長は7.96μmであり、Q値は132である。一方、MIMプラズモニック共振器のQ値は約14である。輻射デバイス100によれば、広い角度にわたって変化の少ない輻射を狭い波長領域で実現できるため、低指向性のエミッターに適用できる。
次に、図9および図10を参照して、本実施形態の輻射デバイス100の製造プロセスおよび光学特性を説明する。図9(a)〜図9(f)は、輻射デバイス100の製造プロセスを示す模式図である。
図9(a)に示すように、積層体Lを形成する。積層体Lは、シリコン基板Sと、クロム層Crと、タングステン層Wと、酸化アルミニウム層AOと、ゲルマニウム層Gとをこの順番に積層する。積層体Lは、電子ビーム(EB)蒸着または高周波(RF)スパッタリングによって作製される。
図9(b)に示すように、ゲルマニウム層Gの表面を選択的に覆う所定パターンのフォトレジストPrを形成する。フォトレジストPrは、マスクレス露光で作製できる。
図9(c)に示すように、電子ビーム(EB)蒸着により、ゲルマニウム層GおよびフォトレジストPrを覆う酸化アルミニウム層AOmを形成する。
図9(d)に示すように、リフトオフを行う。リフトオフにより、積層体Lから、フォトレジストPrおよびフォトレジストPr上の酸化アルミニウム層AOmを取り除く。
図9(e)に示すように、積層体Lのゲルマニウム層Gを覆う酸化アルミニウム層AOmをマスクとして利用してイオンエッチングを行い、積層体Lのゲルマニウム層Gを選択的に除去する。
図9(f)に示すように、マスクとして用いた酸化アルミニウム層AOmを除去する。これにより、ミー共振器110が作製される。この場合、ゲルマニウム層Gがミー共振器110となり、酸化アルミニウム層AOは、ギャップ層110gとなり、タングステン層Wは負誘電体層120となる。
なお、ここでは、図7および図8を参照してシミュレーション結果を説明した輻射デバイス100を作製した。ミー共振器110は、円柱形状を有する。ミー共振器110の高さは2.0μmであり、ミー共振器110の径は1.96μmである。また、ミー共振器110の周期は、6.1μmである。ギャップ層110gの厚さは、25nmである。
図10は、図9に示したプロセスにしたがって製造した輻射デバイス100の垂直方向(90°)における熱輻射スペクトルを示すグラフである。図10のグラフは、輻射デバイス100を100℃まで加熱して真空中で輻射スペクトルを測定した結果を示す。図10には、参考のために、温度100℃の擬似黒体輻射スペクトルを併せて示す。
図10に示すように、輻射デバイス100の共振波長は7.82μmである。輻射デバイス100の輻射率は0.84であり、Q値は33.7であり、いずれも高かった。また、擬似黒体輻射スペクトルとの比較から理解されるように、輻射デバイス100からの輻射は、特定の波長以外では充分に抑制されている。
なお、上述した説明では、負誘電体層120は、金属から形成されたが、本実施形態は、これに限定されない。負誘電体層120は、金属酸化物から形成されてもよい。例えば、負誘電体層120は、可視光に対して透明な導電層であってもよい。一例では、負誘電体層120は、スズドープ酸化インジウム(Indium Tin Oxide:ITO)から形成されてもよい。
次に、図11を参照してITOの光学特性を説明する。図11(a)は、ITOの屈折率の波長依存性を示すグラフである。図11(a)は、Govind Dayal and S. Anantha Ramakrishna,OPTICS EXPRESS Vol.22, No.12,15104(2014) DOI:10.1364/OE.22.015104「Broadband infrared metamaterial absorber with visible transparency using ITO as ground plane」に記載の理論式およびパラメータを用いて取得した結果を示す。図11(b)は、ITOの反射率の波長依存性を示すグラフであり、図11(c)は、ITOの透過率の波長依存性を示すグラフである。図11(b)および図11(c)は、ガラス基上に形成したITOの光学特性を測定した測定結果を示す。なお、図11(b)および図11(c)は、ガラス基上のITOの反射率および透過率をそれぞれ示す一方で、参考のためにガラス基板自体の反射率および透過率を併せて示す。
図11(a)に示すように、波長0.5μm未満の範囲では、ITOの屈折率nは、消衰係数kよりも大きい。一方で、波長2μm〜15μmの範囲にわたって、ITOの屈折率nは、消衰係数kよりも小さい。このため、少なくとも波長2μm〜15μmの範囲において、負誘電体層120の材料としてITOを用いることができる。
図11(b)に示すように、ITOの反射率は、波長2μm〜16μmの範囲にわたってガラス基板よりも高い。特に、ITOの反射率は、波長4μm〜16μmの範囲にわたって0.7を越えており、この波長範囲において、ITOは、いわゆる金属と同様に光を反射する。一方で、ガラス基板は、波長8μm〜10μmの範囲において部分的に高い反射率を示す一方で、他の波長では、比較的低い反射率を示す。
また、図11(c)に示すように、ITOの透過率は、波長2μm〜16μmの範囲にわたって比較的低い。詳細には、ITOの透過率は、波長2μm〜5μmの範囲にわたって0.1〜0.2であるものの、波長5μm〜16μmの範囲では、ITOの透過率は、0.1未満である。一方で、ガラス基板の透過率は、波長5μm〜16μmの範囲では、0.1未満であるものの、波長2μm〜5μmの範囲にわたって0.5を越える。
このため、輻射デバイス100の負誘電体層120をITOから形成した場合、輻射デバイス100は、いわゆる通常のガラス基板と比べて、波長2μm〜16μmの範囲の電磁波を効果的に反射しつつ、電磁波の透過を抑制できる。このため、ITOから形成された負誘電体層120を備える輻射デバイス100は、可視光に対して透明で、かつ、外部からの電磁波の進入に伴う温度の上昇を抑制する冷却素子として好適に用いられる。
このように、負誘電体層120は、可視光領域において透明であってもよい。例えば、輻射デバイス100は、太陽電池または窓部材として好適に用いられる。これにより、可視光を透過させて有効に活用可能とする一方で、可視光以外の電磁波を遮断でき、太陽電池自体または窓部材に覆われた室内を冷却できる。
なお、輻射デバイス100において、負誘電体層120は、相転移によって誘電率が変化することで形成されてもよい。例えば、負誘電体層120は、周囲環境に応じて相転移することによって形成されてもよい。一例では、負誘電体層120は、温度に応じて相転移して形成されてもよい。本明細書において、相転移によって負誘電体層120となる層を相転移層と記載する。
次に、図12(a)〜図12(c)を参照して本実施形態の輻射デバイス100を説明する。図12(a)〜図12(c)は、本実施形態の輻射デバイス100の模式的な斜視図である。
図12(a)に示すように、輻射デバイス100は、ミー共振器110と、相転移層120sとを備える。ここでは、相転移層120sの上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積よりも大きい。
相転移層120sは、金属相と誘電体相との間で相転移する。例えば、相転移層120sの厚さは、0.2μm以上5μm以下であり、0.3μm以上3μm以下であってもよい。
相転移に応じて、相転移層120sの屈折率は変化する。相転移層120sの屈折率は、ミー共振器110の屈折率よりも低い値に変化できる。また、相転移層120sの屈折率は、ミー共振器110の屈折率に近い値に変化してもよい。
相転移層120sは、相転移材料を含む。相転移材料は、金属相と誘電体相との間で相転移する。例えば、相転移材料は、環境に応じて金属相と誘電体相との間で相転移する。一例としては、相転移材料は、温度に応じて金属相と誘電体相との間を相転移する。
ここでは、輻射デバイス100は、基板130をさらに備える。基板130は、ミー共振器110および相転移層120sを支持する。典型的には、基板130は、ミー共振器110の屈折率よりも低い値の屈折率を有する。
図12(b)に示すように、相転移材料が金属相になると、相転移層120sは負誘電体層120に変化する。このとき、ミー共振器110と負誘電体層120との間において、表面プラズモン共鳴が誘起され、プラズモニック共振が励起する。この場合、上述したように、ミー共振器110内で生じるミー共振と、ミー共振器110と負誘電体層120との間で生じるプラズモニック共振との結合が強くなる。このため、ミー共振の損失が大きくなり、ミー共振に対応する特定波長の電磁波を効率的に輻射できる。
図12(c)に示すように、相転移材料が誘電体相になると、相転移層120sは誘電体層120dに変化する。このとき、ミー共振器110と誘電体層120dとの間において、表面プラズモン共鳴が誘起されず、プラズモニック共振は励起されない。したがって、特定波長の電磁波は実質的に輻射されない。
このように、相転移層120sは、相転移によって、負誘電体層120または誘電体層120dに変化する。例えば、相転移層120sが金属相になるとき、相転移層120sは負誘電体層120に変化する。また、相転移層120sが誘電体相になるとき、相転移層120sは誘電体層120dに変化する。輻射デバイス100が相転移層120sを備えることにより、電磁波の輻射を制御できる。
なお、輻射デバイス100を冷却素子として用いる場合、高温のときに相転移層120sが負誘電体層120に変化し、低温のときに相転移層120sが誘電体層120dに変化することが好ましい。輻射デバイス100は、環境に適応して電磁波の輻射を制御することが好ましい。
輻射デバイス100は、輻射率を切り替え可能であることが好ましい。例えば、輻射デバイス100は、低温時には輻射率が低く、高温時には輻射率が高いことが好ましい。これにより、低温時には、輻射デバイス100は輻射をあまり行わず、温度を低下させない一方で、高温時には、輻射デバイス100は高効率で輻射を行うため、輻射デバイス100の温度を低下できる。これにより、輻射デバイス100は、昼および/または夏等の温度の高い時には、対象物を冷却する一方で、夜および/または冬等の温度の低い時には、対象物をほとんど冷却しないため、対象物を必要以上に冷却することを抑制できる。このため、輻射デバイス100は、冷却機能および/または加熱機能を切り替えることができる。
相転移層120sの誘電率が低下すると、ミー共振器110と負誘電体層120との間でプラズモニック共振が生じるため、ミー共振器110内で生じるミー共振と、ミー共振器110と負誘電体層120との間で生じるプラズモニック共振との結合が強くなり、ミー共振の損失が大きくなり、輻射が増大することになる。一方、相転移層120sの誘電率が増大すると、ミー共振器110と誘電体層120dとの間ではプラズモニック共振が生じないため、ミー共振の損失が減少し、輻射が低減する。
相転移材料は、二酸化バナジウム(VO2)を含むことが好ましい。典型的には、二酸化バナジウムは、約68℃(約341K)の相転移温度を有する。二酸化バナジウムは、相転移温度よりも低い温度の場合、二酸化バナジウムの結晶構造は単斜晶系構造に変化して誘電体相になる。一方、二酸化バナジウムは、相転移温度よりも高い温度の場合、正方晶系構造に変化して金属相になる。このため、二酸化バナジウムの屈折率および抵抗率は、温度に応じて大きく変化する。
相転移材料が二酸化バナジウム(VO2)である場合、相転移温度よりも低い場合の相転移層120sの誘電率は約10である。また、相転移温度よりも高い場合の相転移層120sの誘電率はマイナスに変化する。
さらに、二酸化バナジウムは、可視光において半透明であり、高い透過率を有する。このため、輻射デバイス100は、太陽電池に搭載された冷却素子として用いることができる。
なお、相転移材料にドーパントをドープすることより、相転移温度を変更できる。典型的な条件下において、相転移を簡易に実行するためには、相転移温度は、室温(25℃)に近いことが好ましい。
例えば、相転移材料が二酸化バナジウムを含む場合、ドーパントとしてタングステンを二酸化バナジウムにドープすることにより、相転移温度を室温に近づけることができる。例えば、タングステンを1.5モル%にすることにより、相転移温度を約40℃(310K)に変更できる。さらにタングステンを3.3モル%にすることにより、相転移温度を約0℃(270K)に変更できる。
ドーパントは、タングステン(W)以外に、チタン(Ti)であってもよい。あるいは、ドーパントは、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)およびフッ素(F)のいずれかであってもよい。
なお、相転移材料として二酸化バナジウムを用いた場合、ドーピングによって相転移温度を充分に調整できる一方で、ドーピングにかかわらず光学特性(透過率、反射率、屈折率および消衰係数)はほとんど変化しないことが知られている。相転移温度を調整しても、輻射デバイス100の光学特性には大きく影響しない。
あるいは、相転移材料は、GeSbTeの合金を含んでもよい。典型的には、GeSbTeの相転移温度は約300℃である。合金は、さらに酸素を含有してもよい。
なお、輻射デバイス100は、メタマテリアル技術で作製できる。例えば、レーザーを用いて、基板130の上に相転移層を堆積した後で、レジストを塗布してパターニングしてシリコンを蒸着させる。その後で、レジストを除去することによって、輻射デバイス100を作製できる。
なお、図12(a)に示した輻射デバイス100では、相転移層120sの上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積よりも大きかったが、本実施形態はこれに限定されない。輻射デバイス100において、負誘電体層120の上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積とほぼ等しくてもよい。
次に、図13(a)を参照して、本実施形態の輻射デバイス100を説明する。図13(a)は、本実施形態の輻射デバイス100の模式的な斜視図である。図13(a)に示した輻射デバイス100は、相転移層120sに対して複数のミー共振器110が配置されている点を除いて、図12(a)に示した輻射デバイス100と同様の構成を有している。このため、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
図13(a)に示すように、輻射デバイス100は、複数のミー共振器110と、相転移層120sと、基板130とを備える。複数のミー共振器110は、相転移層120sに対してマトリクス状に配列される。ここでは、9個のミー共振器110が相転移層120sに対して3行3列のマトリクス状に配列される。
なお、図12および図13(a)に示した輻射デバイス100では、相転移層120sの上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積よりも大きかったが、本実施形態はこれに限定されない。輻射デバイス100において、相転移層120sの上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積とほぼ等しくてもよい。
次に、図13(b)を参照して、本実施形態の輻射デバイス100を説明する。図13(b)は、本実施形態の輻射デバイス100の模式的な斜視図である。
図13(b)に示した輻射デバイス100において、相転移層120sの上面の面積は、ミー共振器110の上面の面積とほぼ等しい。また、基板130の上面の面積は、相転移層120sの上面の面積よりも大きい。
次に、図14を参照して、偏光に応じた電磁波の波長に対する輻射デバイス100の輻射率を説明する。図14(a)および図14(b)は、電磁波の波長に対する輻射デバイス100の輻射率を示すグラフである。
図14(a)に示すように、周囲温度が相転移層120sの相転移温度よりも低い場合、波長15μm以下の範囲では輻射デバイス100の輻射率は0である。これにより、輻射デバイス100は、低温時に実質的に輻射しない。
一方、図14(b)に示すように、周囲温度が相転移層120sの相転移温度よりも高い場合、波長8μm以上13μm以下の範囲では輻射デバイス100の輻射率は1であり、波長8μm未満の範囲では輻射デバイス100の輻射率は0であり、波長13μmを超える範囲では輻射デバイス100の輻射率は0である。これにより、輻射デバイス100は、高温時には、特定波長において効率的に輻射する。
このように、周囲温度が相転移層120sの相転移温度よりも高いか否かに応じて輻射デバイス100における特定波長の輻射率が変化することが好ましい。なお、図14では、発明の理解を容易にするために、特定波長の輻射率が輻射率0と輻射率1との間で変化したが、本実施形態はこれに限定されない。ただし、輻射デバイス100における輻射率は、低温度において比較的低く、高温度において比較的高いことが好ましい。
次に、図15を参照して、相転移層120sに応じた電磁波の波長に対する輻射デバイス100の輻射率の変化を説明する。図15(a)は、本実施形態の輻射デバイス100の模式的な斜視図である。
輻射デバイス100は、ミー共振器110と、相転移層120sと、基板130とを備える。ミー共振器110は、円柱形状を有する。ミー共振器110はシリコン(Si)からなる。ミー共振器110の誘電率は12以上15以下であり、ミー共振器110の屈折率は3.8である。
基板130は、Si(100)基板である。基板130の誘電率は12以上15以下であり、基板130の屈折率は約3.8である。
相転移層120sは、基板130を覆う。相転移層120sの厚さは0.5μmである。相転移層120sは、金属相と誘電体相との間で相転移する。相転移層120sは、二酸化バナジウムから形成される。金属相である場合、相転移層120sの誘電率の実部は−70〜−60である。誘電体相である場合、相転移層120sの誘電率の実部は1〜6であり、相転移層120sの屈折率は2〜3である。
ここでは、相転移層120sの上には、相転移層120sに当接して4つのミー共振器110が配置される。4つのミー共振器110は、それぞれ円柱形状である。4つのミー共振器110は、第1共振器110aと、第2共振器110bと、第3共振器110cと、第4共振器110dとを含む。
4つのミー共振器110はマトリクス状に配列される。第1共振器110aおよび第2共振器110bはx方向に隣接して配置され、第3共振器110cおよび第4共振器110dはx方向に隣接して配置される。第1共振器110aおよび第3共振器110cはy方向に隣接して配置され、第2共振器110bおよび第4共振器110dはy方向に隣接して配置される。
第1共振器110a〜第4共振器110dの高さは2μmである。第1共振器110aおよび第4共振器110dのそれぞれの径は2.5μmであり、第2共振器110bおよび第3共振器110cのそれぞれの径は1.8μmである。4つのミー共振器110の距離、すなわち、第1共振器110aと第2共振器110bとの距離、第2共振器110bと第4共振器110dとの距離、および、第1共振器110aと第3共振器110cとの距離は、それぞれ4.5μmである。
以上の条件において、厳密結合波解析(Rigorous Coupled Wave Analysis:RCWA)法を用いて輻射デバイス100の輻射率を取得した。
図15(b)は、図15(a)に示した輻射デバイス100において電磁波の波長に対する輻射率を示すグラフである。図15(b)において、相転移温度以上は、相転移層120sが負誘電体層120である状態を示し、相転移温度未満は、相転移層120sが誘電体層120dである状態を示す。
図15(b)に示すように、相転移層120sが負誘電体層120である場合、輻射デバイス100は、高い輻射率を示す。輻射デバイス100の輻射率は、特に、波長8μm以上13μm以下の範囲において高い値を示す。一方、相転移層120sが誘電体層120dである場合、輻射デバイス100の輻射率は大きく減少する。
次に、図16を参照して、偏光に応じた電磁波の波長に対する輻射デバイス100の輻射率を説明する。図16(a)は、s偏光の電磁波の入射された本実施形態の輻射デバイス100を示す模式図であり、図16(b)は、図16(a)に示した輻射デバイス100において電磁波の波長に対する輻射率を示すグラフである。
図16(a)に示すように、xz平面内で振動する磁場を有するs偏光が角度θの入射角で輻射デバイス100に入射すると、輻射デバイス100の輻射率は、図16(b)に示すように変化する。図16(b)に示すように、輻射率は、角度にほとんど依存しない。また、輻射率は、波長8μm以上13μm以下の範囲において高い値を示す。このため、輻射デバイス100は、広い角度範囲にわたって波長8μm以上13μm以下の電磁波を充分に輻射できるため、高い冷却能力を有することが理解される。
また、図16(c)は、p偏光の電磁波の入射された本実施形態の輻射デバイス100の模式図であり、図16(d)は、図16(c)の輻射デバイス100において電磁波の波長に対する輻射率を示すグラフである。
図16(c)に示すように、xz平面内で振動する磁場を有するs偏光が角度θの入射角で輻射デバイス100に入射すると、輻射デバイス100の輻射率は、図16(d)に示すように変化する。図16(d)に示すように、輻射率は、角度にそれほど依存しない。また、輻射率は、波長8μm以上13μm以下の範囲において高い値を示す。このため、輻射デバイス100は、広い角度範囲にわたって波長8μm以上13μm以下の電磁波を充分に輻射できるため、高い冷却能力を有することが理解される。
次に、図17を参照して輻射デバイス100の輻射スペクトルおよび冷却能力を説明する。図17(a)は、本実施形態の輻射デバイス100の輻射スペクトルを示すグラフである。図17(a)は、入射角を0°以上80°以下の範囲で2°ごとに変化させ、偏光角を15°ごとに変化させ、波長を3μm以上15μm以下の範囲で50nmごとに変化させて計算した結果を示す。
図17(a)に示すように、輻射デバイス100の輻射率は、波長8μm〜13μmの範囲において比較的高い値を示す。また、輻射デバイス100の温度が増加するにつれて、輻射率も増加する。
図17(a)に示した結果から、輻射デバイス100の冷却能力を求めたところ、輻射デバイス100の冷却能力は、温度70℃では211W/m2であり、温度80℃では240W/m2である。また、輻射デバイス100の冷却能力は、温度90℃では273W/m2であり、温度100℃では308W/m2である。
比較のために、図17(b)に黒体輻射スペクトルを示す。図17(b)は、黒体輻射スペクトルを示すグラフである。図17(a)と図17(b)との比較から、輻射デバイス100は、黒体と同程度の輻射スペクトルを有していることが理解される。
上述したように、相転移層120sは、二酸化バナジウム(VO2)を含んでもよい。典型的には、温度が低くなると、VO2は、負誘電体から誘電体に相転移する。ただし、VO2は、特定の波長の電磁波に対して、温度が低くなっても、相転移することなく負誘電体のままであってもよい。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施形態として実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果を実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本実施形態の輻射デバイスは、種々の用途に適用可能である。例えば、本実施形態の輻射デバイスは、熱輻射エミッター、特に、放射冷却素子として好適に用いられる。
100 輻射デバイス
110 ミー共振器
120 負誘電体層
130 基板

Claims (11)

  1. 誘電体を含み、ミー共振を励起するミー共振器と、
    負の誘電率を有する負誘電体層と
    を備え、
    前記ミー共振器と前記負誘電体層との間において、プラズモニック共振を励起する、輻射デバイス。
  2. 前記負誘電体層は、金属を含む、請求項1に記載の輻射デバイス。
  3. 前記負誘電体層は、金属酸化物を含む、請求項1に記載の輻射デバイス。
  4. 前記ミー共振器は、前記負誘電体層から突起している、請求項1から3のいずれかに記載の輻射デバイス。
  5. 前記ミー共振器と前記負誘電体層との間に位置するギャップ層をさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の輻射デバイス。
  6. 前記ギャップ層は、前記ミー共振器の屈折率よりも低い屈折率を有する、請求項5に記載の輻射デバイス。
  7. 相転移によって前記負誘電体層に変化する相転移層をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載の輻射デバイス。
  8. 前記相転移層は、温度の変化によって金属相と誘電体相との間を相転移する、請求項7に記載の輻射デバイス。
  9. 前記相転移層は、二酸化バナジウムを含む、請求項7または8に記載の輻射デバイス。
  10. 前記相転移層は、ドーパントを含む、請求項7から9のいずれかに記載の輻射デバイス。
  11. 前記ドーパントは、タングステンを含む、請求項10に記載の輻射デバイス。
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CN116482051A (zh) * 2023-06-14 2023-07-25 有研工程技术研究院有限公司 一种红外频段生化传感器及其制备方法和应用

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