JP2021041037A - 術具、手術支援システム、並びに手術用操作ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】開閉型のエンドエフェクタを有する術具を提供する。【解決手段】術具は、シャフトと、第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、それぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体を具備する。術具は、前記第1のジョー部材に形設された第1のジョーキャプスタンと、前記第1のジョー部材を牽引する第1のケーブルと、前記第2のジョー部材に形設された第2のジョーキャプスタンと、前記第2のジョー部材を牽引する第2のケーブルをさらに備える。【選択図】 図1
Description
本明細書で開示(以下、「本開示」とする)する技術は、例えば手術支援システムに適用される術具、手術支援システム、並びに手術用操作ユニットに関する。
近年のロボティクス技術の進歩は目覚ましく、さまざまな産業分野の作業現場にロボティクス技術が広く浸透してきている。例えば医療分野では、マスタスレーブ方式の手術用ロボットが普及しつつある。この種の手術用ロボットは、スレーブ装置が備える1又は複数の術具を、術者などのオペレータがマスタ側から操作するように構成されている。また、マスタスレーブシステムの制御方式として、マスタ装置からスレーブ装置を操作すると同時にスレーブ装置の状態をマスタ装置にフィードバックするバイラテラル方式が知られている(例えば、特許文献1を参照のこと)。スレーブ装置に装着される術具は、先端に鉗子などの開閉機構を有するエンドエフェクタが搭載されている。また、術具が体腔内や体表などにおける施術で使用されることを想定して、先端は多自由度を備えつつ細径で小型且つ軽量であることが強く望まれている。具体的には、術具先端は、回転2自由度と開閉自由度の合計3自由度を持っていることが望ましい。また、小型化のため、術具先端の操作にはケーブルを用いた駆動方式が適用されることが多い(例えば、特許文献2〜4を参照のこと)。
本開示に係る技術の目的は、先端に鉗子などの開閉型のエンドエフェクタを有し、小型且つ軽量に構成される、手術支援システムに適用される術具、手術支援システム、並びに手術用操作ユニットを提供することにある。
本開示に係る技術の第1の側面は、
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を具備する術具である。
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を具備する術具である。
第1の側面に係る術具は、前記第1のジョー部材に設けられた、前記第2軸を回転軸とする第1のジョーキャプスタンと、前記第1のジョーキャプスタンに巻き付けられた第1のケーブルと、前記第2のジョー部材に設けられた、前記第2軸を回転軸とする第2のジョーキャプスタンと、前記第2のジョーキャプスタンに巻き付けられた第2のケーブルをさらに備えている。そして、前記第1のケーブルを牽引することによって前記第1のジョー部材は前記第2のジョー部材に向かう方向に旋回し、前記第2のケーブルを牽引することによって前記第2のジョー部材は前記第1のジョー部材に向かう方向に旋回するようになっている。
また、第1の側面に係る術具は、前記リストに設けられた、前記第1軸を回転軸とするリストキャプスタンと、前記リストキャプスタンにそれぞれ逆方向から巻き付けられた往路及び復路のケーブルからなる第3のケーブルと、前記第1のケーブルを牽引する第1のアクチュエータと、前記第2のケーブルを牽引する第2のアクチュエータと、前記第3のケーブルを牽引する第3のアクチュエータをさらに備えている。
また、本開示に係る技術の第2の側面は、
術具と、前記術具を取り付けた支援システムを具備し、
前記術具は、
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を備える、手術支援システムである。
術具と、前記術具を取り付けた支援システムを具備し、
前記術具は、
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を備える、手術支援システムである。
また、本開示に係る技術の第3の側面は、
術具と、前記術具を取り付けたハンドル部を具備し、
前記術具は、
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を備える、手術用操作ユニットである。
術具と、前記術具を取り付けたハンドル部を具備し、
前記術具は、
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を備える、手術用操作ユニットである。
本開示に係る技術によれば、先端に鉗子などの開閉型のエンドエフェクタを有し、部品点数を削減して細径化を実現する、手術支援システムに適用される術具、手術支援システム、並びに手術用操作ユニットを提供することができる。
なお、本明細書に記載された効果は、あくまでも例示であり、本開示に係る技術によりもたらされる効果はこれに限定されるものではない。また、本開示に係る技術が、上記の効果以外に、さらに付加的な効果を奏する場合もある。
本開示に係る技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本開示に係る技術について、以下の順に従って説明する。
A.術具ユニットの課題
B.術具ユニットの構成例
C.術具ユニットの動作
D.術具ユニットの可動域
E.術具ユニットの変形例
F.術具ユニットの応用例
G.効果
B.術具ユニットの構成例
C.術具ユニットの動作
D.術具ユニットの可動域
E.術具ユニットの変形例
F.術具ユニットの応用例
G.効果
A.術具ユニットの課題
手術支援システムに適用される術具は、先端に回転2自由度と開閉自由度の合計3自由度を持っていることが望ましい。具体的には、一対の対向するジョー部材からなる開閉型のエンドエフェクタと、このエンドエフェクタを支持するリストと、長手軸を有し先端部にリストを連結させるシャフトを備えるタイプの術具を挙げることができる。この種の術具は、シャフトの先端に対してリストを例えばヨー軸回りに旋回させる第1軸と、リストに対してエンドエフェクタの向きを例えばピッチ軸回りに旋回させる第2軸と、ジョー部材を開閉操作する第3軸(開閉軸)、という自由度構成を備えている。以下では、第2軸と開閉軸が同軸となる実施形態について説明する。
手術支援システムに適用される術具は、先端に回転2自由度と開閉自由度の合計3自由度を持っていることが望ましい。具体的には、一対の対向するジョー部材からなる開閉型のエンドエフェクタと、このエンドエフェクタを支持するリストと、長手軸を有し先端部にリストを連結させるシャフトを備えるタイプの術具を挙げることができる。この種の術具は、シャフトの先端に対してリストを例えばヨー軸回りに旋回させる第1軸と、リストに対してエンドエフェクタの向きを例えばピッチ軸回りに旋回させる第2軸と、ジョー部材を開閉操作する第3軸(開閉軸)、という自由度構成を備えている。以下では、第2軸と開閉軸が同軸となる実施形態について説明する。
例えば腹腔鏡下手術においては、シャフト以降の先端(遠位端)側は、トロッカー経由で体腔内に挿入して使用されることが想定され、細径に構成する必要がある。また、脳外科手術においては、狭い術野に対する処置を施す必要があるため、術具によっては術者の視野をできる限り遮らないようにする必要がある。このため、基本的には、シャフトの根元側(近位端)に配設されたアクチュエータ(例えば、電磁回転モータ)によって生成された駆動力をケーブル経由で伝達して、術具を作動させるように構成される。すなわち、シャフト先端に対してリストを第1軸回りに旋回させる動力、リストに対して監視の向きを第2軸回りに旋回させる動力、及び開閉型のエンドエフェクタを開閉操作するための動力の各々を伝達する、3系統のケーブルが必要であり、これらのケーブルはシャフト内に挿通される。また、ケーブルを使った動力伝達機構では、ケーブルに動力を加え又はケーブルからの力を軸力に変換するためのキャプスタンや、シャフト内でのケーブルのレイアウト調整並びにケーブルに一定の張力を付与する目的で使用されるアイドラプーリなど、複数のプーリが使用される。
ここで、アイドラプーリを用いてケーブルのレイアウト調整を行う方法によれば、摺動性が高いため耐久性や信頼性に優れ、エンドエフェクタのトルク制御を高精度で実現することができる。その反面、アイドラプーリの分だけ部品点数が増えるため、術具(例えば、シャフトの外径)が大型化し、コストも増大する。アイドラプーリを用いず、周辺部品に形成したR面でケーブルを摺動させる方法によれば、アイドラプーリを省略して部品点数を削減して小型化することができるが、摩耗によりケーブルが劣化し易くなり、信頼性が低下する。また、摺動面での摩擦係数が大きいため、外乱となり、トルク制御が難しくなるという問題もある。また、所望のレイアウトに沿うように配設された丸穴の中にケーブルを挿通させる方法も挙げられるが、丸穴に通したケーブルを操作する際にガタが発生するという問題がある。
また、アクチュエータによるケーブルの牽引力によって出力側のキャプスタンを駆動する方法として、一般に、ケーブルループ型とケーブル個別牽引型を挙げることができる。
前者のケーブルループ型では、出力側のキャプスタンと、アクチュエータの駆動により回転する駆動側のキャプスタンとをループさせてケーブルをレイアウトする構成となる。ケーブルループ型によれば、単一のアクチュエータで往路と復路のケーブルを拮抗制御することができるので、駆動部の小型化及び軽量化を実現し易い。また、ケーブルのプリテンションをアクチュエータの出力で補償する必要がないので、アクチュエータを小型化し易い。しかしながら、制御対象の軸角度やその他の軸の影響により、ループさせたケーブルの全長が変動するような装置構成の場合には、ケーブルに加わるプリテンションが変動するため、ケーブルループ型を適用し難い。例えば、リストを第1軸回りに駆動させたとき、各ジョー部材を駆動するそれぞれのケーブル長が変化する。
一方、後者のケーブル個別牽引型では、出力側のキャプスタンに取り付けたケーブルの往路及び復路をそれぞれ個別のアクチュエータで牽引する構成であり、往路及び復路のケーブルをそれぞれ独立して制御できることから、術具の構成上の設計自由度が高くなる。その反面、ケーブルのプリテンションをアクチュエータの出力で補償する必要がある。コイルばねや錘などを使ってプリテンションを補償することも可能であるが、アクチュエータで駆動させる際に、その分のバネ力や慣性力が加わるため、制御が難しくなる。
ケーブルループ型並びにケーブル個別牽引型のいずれにおいても、ケーブル毎に1つずつ牽引用のモータが必要になる。ケーブルのプリテンションを補償するための重くて大きなモータをケーブルの本数分だけ搭載すると、収容スペースや装置重量が大きくなってしまう。また、ケーブルループ型並びにケーブル個別牽引型のいずれにおいても、1つの出力側のキャプスタンを双方向に回転させるために往路及び復路の合計2本のケーブルを使用するため、ケーブルのレイアウト調整のためのアイドラプーリも2本分必要となり部品点数が多くなる。
そこで、本明細書では、より少ないアイドラプーリだけでケーブルのレイアウト調整を行うとともに、所望のプリテンションを付与し易い方法でケーブルを牽引して、小型化及び軽量化を実現する術具、手術支援システム、並びに手術用操作ユニットについて、以下で開示する。
B.術具ユニットの構成例
図1には、本開示に係る技術を適用した術具ユニット100の構成例を示している。術具ユニット100は、長手軸を有する中空のシャフト102と、シャフト102の一端の術具ユニット先端部101と、シャフト102の他端の術具ユニット駆動部103を備えている。術具ユニット先端部101は、後述するように、シャフト102に対しヨー軸と平行な第1軸回りに旋回可能なリストエレメントと、リストエレメントの先端にピッチ軸と平行な第2軸を開閉軸として開閉動作するエンドエフェクタを含んでいる。エンドエフェクタは、第2軸を中心に旋回して開閉動作する一対の対向するジョー部材からなる。また、術具ユニット駆動部103は、術具ユニット先端部101におけるリストを駆動する1個のアクチュエータと、各ジョー部材をそれぞれ駆動する2個のアクチュエータと、これらのアクチュエータをシャフト102の他端付近に取り付けるベース部材で構成される。但し、第2軸は第1軸からオフセットさせた位置に配置されている。
図1には、本開示に係る技術を適用した術具ユニット100の構成例を示している。術具ユニット100は、長手軸を有する中空のシャフト102と、シャフト102の一端の術具ユニット先端部101と、シャフト102の他端の術具ユニット駆動部103を備えている。術具ユニット先端部101は、後述するように、シャフト102に対しヨー軸と平行な第1軸回りに旋回可能なリストエレメントと、リストエレメントの先端にピッチ軸と平行な第2軸を開閉軸として開閉動作するエンドエフェクタを含んでいる。エンドエフェクタは、第2軸を中心に旋回して開閉動作する一対の対向するジョー部材からなる。また、術具ユニット駆動部103は、術具ユニット先端部101におけるリストを駆動する1個のアクチュエータと、各ジョー部材をそれぞれ駆動する2個のアクチュエータと、これらのアクチュエータをシャフト102の他端付近に取り付けるベース部材で構成される。但し、第2軸は第1軸からオフセットさせた位置に配置されている。
図2には、術具ユニット100のうち、術具ユニット先端部101及び術具ユニット駆動部103の各主要部分を拡大して示している。また、図3には、術具ユニット先端部101を拡大して示している。また、図4には、術具ユニット100の自由度構成例を示している。また、図5には、術具ユニット100を上方から俯瞰した様子を示している。
術具ユニット先端部101は、リストエレメントWEと開閉型のエンドエフェクタを含んでおり、エンドエフェクタは第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の一対の対向するジョー部材からなる(例えば、図3を参照のこと)。リストエレメントWEは根元付近で、シャフト102の先端(遠位端)の、ヨー軸と平行な第1軸回りに旋回可能に支持されている。また、エンドエフェクタを構成する第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2は、リストエレメントWEの先端の、ピッチ軸と平行な第2軸回りに旋回可能に支持されている。第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2は、第2軸を開閉軸として開き角度が変化して開閉動作する。
また、術具ユニット駆動部103は、第1のジョー部材J1の駆動に使用される第1のモータM1と、第2のジョー部材J2駆動に使用される第2のモータM2と、リストエレメントWEの駆動に使用されるモータM3を備えている(例えば、図2を参照のこと)。また、これらのモータM1〜M3の各出力軸には、駆動キャプスタンとしてのモータキャプスタンMC1、MC2、MC3が取り付けられている(例えば、図4を参照のこと)。そして、これらのモータM1〜M3は、ベース部材によってシャフト102の端部(近位端)で支持されている。本実施形態では、各モータM1〜M3に回転モータを使用することを想定しているが、減速機付きのモータであってもよい。
リストエレメントWEの根元付近には、上記の第1軸を回転軸とするリストキャプスタンWCが形設されている。また、リストキャプスタンWCと第3のモータキャプスタンMC3には、シャフト102内に挿通された第3のケーブルが巻き付けられている。そして、第3のモータM3が発生する駆動力が第3のケーブル3によって伝達され、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回動作を実現する。
図4に示す例では、第3のケーブルは、往路のケーブルC3aと復路のケーブルC3bからなるが、駆動側となる第3のモータキャプスタンMC3と出力側となるリストキャプスタンWCにループさせたケーブルループ型の構成をなしている。第2のモータM3を回転させると、その回転方向に応じて、往路のケーブルC3aと復路のケーブルC3bの間に張力の差が生じるので、張力差に基づく回転トルクがリストキャプスタンWCに作用して、リストエレメントWEが第1軸回りに旋回する。したがって、第3のモータM3で往路のケーブルC3aと復路のケーブルC3bを拮抗制御することにより、リストエレメントWEを第1軸回りに旋回動作させることができる。
また、ケーブルC3aとケーブルC3bからなる第3のケーブルには、撓み防止のために、予張力(pre−tension)を与えるテンションばねTS3が挿入されている。図4及び図5に示す例では、ケーブルC3b側にテンションばねTS3が挿入されている。但し、予張力は追加のアイドラプーリを使って与えるように構成してもよい。
なお、第3のケーブルをループ型にせず、往路のケーブルC3aと復路のケーブルC3bをそれぞれ別のモータを使って個別に牽引して、リストエレメントWEの第1軸回りに旋回させるように構成してもよいが、モータの台数が増加する。
第1のジョー部材J1は、第2軸回りに旋回可能となるように、根元付近でリストエレメントWEに支持されている(例えば、図3及び図4を参照のこと)。同様に、第2のジョー部材J2は、第2軸回りに旋回可能となるように、根元付近でリストエレメントWEに支持されている(例えば、図3及び図4を参照のこと)。したがって、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の開き角が増大又は減少するように(言い換えれば、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の第2軸回りの角度の差が変化するように)、各々を第2軸回りに旋回させることによって、エンドエフェクタの開閉動作が実現する。また、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の開き角を一定に保ったまま(言い換えれば、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の第2軸回りの角度の和が変化するように)、両者を同時に第2軸回りに旋回させることによって、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2からなるエンドエフェクタの第2軸回りの旋回動作が実現する。
第1のジョー部材J1の根元付近には、上記の第2軸を回転軸とする第1のジョーキャプスタンJC1が形設されている。そして、第1のジョーキャプスタンJC1と第1のモータキャプスタンMC1には、第1のケーブルC1が巻き付けられており、第1のモータM1が発生する駆動力が第1のケーブルC1によって伝達され、第1のジョー部材J1の第2軸回りの旋回動作が実現する(例えば、図4を参照のこと)。第1のジョーキャプスタンJC1と第1のケーブルC1の結合部を、第1のジョーキャプスタンJC1の外周の任意の場所に設定することができるので、第1のジョー部材J1の広可動域化を実現することができる。
また、第2のジョー部材J2の根元付近には、上記の第2軸を回転軸とする第2のジョーキャプスタンJC2が形設されている。そして、第2のジョーキャプスタンJC2と第2のモータキャプスタンMC2には、第2のケーブルC2が巻き付けられており、第2のモータM2が発生する駆動力が第2のケーブルC2によって伝達され、第2のジョー部材J2の第2軸回りの旋回動作が実現する(例えば、図4を参照のこと)。第2のジョーキャプスタンJC2と第2のケーブルC2の結合部を、第2のジョーキャプスタンJC2の外周の任意の場所に設定することができるので、第2のジョー部材J2の広可動域化を実現することができる。
ここで、第1のケーブルC1と第2のケーブルC2は、互いに逆方向から、それぞれ第1のジョーキャプスタンJC1及び第2のジョーキャプスタンJC2に巻き付けられている。具体的には、第1のケーブルC1は、牽引したときに、第1のジョー部材J1が第2のジョー部材J2に接近する方向に旋回するように、第1のジョーキャプスタンJC1に巻き付けられる。また、第2のケーブルC2は、牽引したときに、第2のジョー部材J2が第1のジョー部材J1に接近する方向に旋回するように、第2のジョーキャプスタンJC2に巻き付けられている。したがって、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の第2軸回りの角度の差が変化するように、第1のモータM1及び第2のモータM2によって第1のケーブルC1と第2のケーブルC2の牽引力を制御することで、エンドエフェクタの開閉動作を行うことができる。また、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の第2軸回りの角度の和が変化するように第1のモータM1及び第2のモータM2によって第1のケーブルC1と第2のケーブルC2の牽引力を制御することで、エンドエフェクタを第2軸回りに旋回動作させることができる。
第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の間には、常に開く方向へ反発力が作用するようにスプリングSPが配設されている(例えば、図4を参照のこと)。図6には、術具ユニット先端部101を拡大して、スプリングSPの実装例を示している。また、図7には、図6に示した術具ユニット先端部101の部品展開図を示している。図6及び図7に示す例では、スプリングSPは、リストエレメントWEの先端の第2軸に取り付けられ、第1のジョー部材J1に対して第2のジョー部材J2から開く方向に回転力を与える第1のねじりコイルばねTCS1と、第2のジョー部材J2に対して第1のジョー部材J1から開く方向に回転力を与える第2のねじりコイルばねTCS2で構成されている。ねじりコイルばねは、コイル中心軸回りにねじりモーメントを作用させるコイルばねである。したがって、第1のジョー部材J1及び第2のジョー部材J2には、常に開く方向にプリテンションが作用する状態となっている。
第1のねじりコイルばねTCS1は、第1のジョー部材J1にのみ接触し、リストエレメントWEには接触していない。同様に、第2のねじりコイルばねTCS2は、第2のジョー部材J2にのみ接触し、リストエレメントWEには接触していない。このため、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2間の開き角度を一定に保ったまま、エンドエフェクタの第1軸回りの角度を変化させたとしても、一定の反発力を第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2間に与えることができる。
スプリングSPには、ねじりコイルばねを用いることが好ましい。なお、図6及び図7に示す例では、2個のねじりコイルばねを用いているが、反発力のために使用するスプリングの個数は特に限定されない。また、スプリングに代えて、磁石などを用いて(例えば、同極の磁石間の反発力を利用して)反発力を生じさせるようにしてもよい。
このように第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の間には、スプリングSP(若しくは、第1のねじりコイルばねTCS1及び第2のねじりコイルばねTCS2)の復元力によって反発力が作用し、常に開く方向にプリテンションが作用している。したがって、第1のジョー部材J1を1本の(言い換えれば、往路のみの)第1のケーブルC1を使い第1のモータM1で閉じる方向に牽引するとともに、第2のジョー部材J2を1本の(言い換えれば、往路のみの)第2のケーブルC2を使い第2のモータM2で閉じる方向に牽引すると、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2を閉じることができる。また、第1のモータM1及び第2のモータM2による牽引を停止すると、スプリングSP(若しくは、第1のねじりコイルばねTCS1及び第2のねじりコイルばねTCS2)の復元力によって、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2は自ずと開く。すなわち、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2を開く動作はねじりコイルばねTCS1及びTCS2の弾性力によって行なわれるので、ジョー部材を開くための復路のケーブルは不要である。
したがって、各ジョー部材には閉じる方向に牽引する1本のケーブルを使い、且つ各ケーブルの入力端に設置したそれぞれ単一のアクチュエータで、ケーブルの張力と弾性体の反発力を拮抗制御することで、ジョー部材の開閉操作を実現することができる。すなわち、ジョー部材の開閉に必要なケーブルの本数及びアクチュエータの個数を削減することができる。
なお、スプリングSPは、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の最大の開き角度においても反発力が作用する自然長を有するものとする。あるいは、第1のねじりコイルばねTCS1及び第2のねじりコイルばねTCS2は、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の最大の開き角度においても反発力が作用するものとする。
第1のケーブルC1及び第2のケーブルC2をそれぞれシャフト102内に挿通するように第1軸付近で方向変換させ、さらにはシャフト102内での各ケーブルのレイアウトを調整するために、アイドラプーリが使用される。上述したように、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2をそれぞれ牽引するケーブルを往路のみの1本に削減したことから、必要なアイドラプーリの個数も少なくて済み、コスト低減に繋がる、ということを理解されたい。
図3及び図4に示す例では、第1のジョーキャプスタンJC1に取り付けられた第1のケーブルC1は、第2軸に直交する方向に牽引されるが、第1軸を回転軸とする第1のアイドラプーリP1aによって第1軸に直交する方向に方向変換される。さらに、第1のアイドラプーリP1aに隣接し、第1軸と平行な回転軸を持つ第1の隣接アイドラプーリP1bによって、第1のケーブルC1は、シャフト102内を挿通するとともにシャフト102の長手軸方向に方向変換された後、他端で第1のモータキャプスタンMC1に巻き付けられている。
第1のケーブルC1は、第1のアイドラプーリP1aに対して最短距離となる方向から巻き付けられている。また、第1のケーブルC1を牽引したとき、第1のアイドラプーリP1aと第1の隣接アイドラプーリP1bが逆方向に回転するように、第1のケーブルC1が巻き付けられている。そして、第1のモータM1で第1のモータキャプスタンMC1を回転させて、第1のケーブルC1の牽引力を発生させると、第1のジョー部材J1に第2軸回りのトルクを加えて、第2のジョー部材J2に接近する方向(閉じる方向)に旋回させることができる。
また、図3及び図4に示す例では、第2のジョーキャプスタンJC2に取り付けられた第2のケーブルC2は、第2軸に直交する方向に牽引されるが、第1軸を回転軸とする第2のアイドラプーリP2aによって第1軸に直交する方向に方向変換される。さらに、第2のアイドラプーリP2aに隣接し、第1軸と平行な回転軸を持つ第2の隣接アイドラプーリP2bによって、第2のケーブルC2は、シャフト102内を挿通するとともにシャフト102の長手軸方向に方向変換された後、他端で第2のモータキャプスタンMC2に巻き付けられている。
第2のケーブルC2は、第2のアイドラプーリP2aに対して最短距離となる方向から巻き付けられている。また、第2のケーブルC2を牽引したとき、第2のアイドラプーリP2aと第2の隣接アイドラプーリP2bが逆方向に回転するように、第2のケーブルC2が巻き付けられている。ここで、第2のケーブルC2を第2のアイドラプーリP2aに巻き付ける方向は、第1のケーブルC1を第1のアイドラプーリP1aに巻き付ける方向とは逆方向となる。そして、第2のモータM2で第2のモータキャプスタンMC2を回転させて、第2のケーブルC2の牽引力を発生させると、第2のジョー部材J2に第2軸回りのトルクを加えて、第1のジョー部材J1に接近する方向(閉じる方向)に旋回させることができる。
補足すると、第2のジョーキャプスタンJC2に巻き付けられた第2のケーブルC2は、第2のアイドラプーリP2a及び第2の隣接アイドラプーリP2bに対して、第1のケーブルC1と点対称な経路でシャフト102の長手軸方向に方向変換される。また、第1のアイドラプーリPa1と第2のアイドラプーリP2aは同一の直径であることが望ましい。第1の隣接アイドラプーリP1bと第2の隣接アイドラプーリP2bは、第1のアイドラプーリPa1及び第2のアイドラプーリP2aと同一の直径である必要はないが、第1のケーブルC1及び第2のケーブルC2がそれぞれシャフト102内を通過するように適切なサイズであることが望ましい。
また、図8には術具ユニット先端部101の他の構成例を示している。図9には、術具ユニット先端部101が図8に示した構成を有する場合に対応した、術具ユニット100の他の自由度構成例を示している。図8及び図9に示す構成例では、第1のケーブルC1及び第2のケーブルC2の各々に対して適用されるアイドラプーリの構成が、図3及び図4に示した自由度構成例とは相違する。
図8及び図9に示す例では、第1のジョーキャプスタンJC1に取り付けられた第1のケーブルC1は、第2軸に直交する方向に牽引されるが、第1軸を回転軸とする第1のアイドラプーリP1xに少なくとも1周だけ巻き付けられることによって、シャフト102内を挿通するとともにシャフト102の長手軸方向に牽引されるように方向変換され、その後に他端で第1のモータキャプスタンMC1に巻き付けられている。第1のケーブルC1は、第1のアイドラプーリP1xに対して最短距離となる方向から巻き付けられているものとする。そして、第1のモータM1で第1のモータキャプスタンMC1を回転させて、第1のケーブルC1の牽引力を発生させると、第1のジョー部材J1に第2軸回りのトルクを加えて、第2のジョー部材J2に接近する方向(閉じる方向)に旋回させることができる。
なお、第1のケーブルC1が第1のアイドラプーリP1xの外周に巻き付けられる際にケーブル同士が重ならないように、第1のアイドラプーリP1xの外周の途中で第1軸方向の巻き付け位置を切り替える切り替え部を配設している。図10には、切り替え部を備えた第1のアイドラプーリP1xの構成例を示している。図10に示す例では、切り替え部は、第1軸方向の巻き付け位置が異なるように凸設された第1のボス1001と第2のボス1002からなる。第1のケーブルC1は、第1のボス1001と第2のボス1002の間を通過することによって、第1の軸方向の巻き付け位置が切り替わる。この結果、第1のケーブルC1が第1のアイドラプーリP1xに巻き付くときと第1のアイドラプーリP1xから離れるときとで巻き付け位置を異ならせることで、ケーブル同士が重ならないようにしている。
また、図8及び図9に示す例では、第2のジョーキャプスタンJC2に取り付けられた第2のケーブルC2は、第2軸に直交する方向に牽引されるが、第1軸を回転軸とする第2のアイドラプーリP2xに少なくとも1周だけ巻き付けられることによって、シャフト102内を挿通するとともにシャフト102の長手軸方向に牽引されるように方向変換され、その後に他端で第2のモータキャプスタンMC2に巻き付けられている。第2のケーブルC2は、第2のアイドラプーリP2xに対して最短距離となる方向から巻き付けられているものとする。そして、第2のモータM2で第2のモータキャプスタンMC2を回転させて、第2のケーブルC2の牽引力を発生させると、第2のジョー部材J2に第2軸回りのトルクを加えて、第1のジョー部材J1に接近する方向(閉じる方向)に旋回させることができる。
なお、第2のケーブルC2が第2のアイドラプーリP2xの外周に巻き付けられる際にケーブル同士が重ならないように、第2のアイドラプーリP2xの外周の途中で第1軸方向の巻き付け位置を切り替える切り替え部を配設している。切り替え部は、図10と同様の構成でよい。
図8及び図9に示す構成例によれば、図3及び図4に示した構成例と比較して、第1のケーブルC1及び第2のケーブルC2のためのアイドラプーリをより小さくして、シャフト102の細径化に寄与することができる。
第1のケーブルC1及び第2のケーブルC2をシャフト102内に挿通させる手前(すなわち、第1軸付近)でそれぞれ方向変換させるためのアイドラプーリが、図3及び図4、あるいは図8及び図9のいずれに示す構成であっても、図2に示すように、第1のケーブルC1はシャフト102内を通過した後に、アイドラプーリP1cを経由して方向変換され、末端部で第1のモータキャプスタンMC1に巻き付けられている。同様に、第2のケーブルC2はシャフト102内を通過した後に、アイドラプーリP2cを経由して方向変換され、末端部で第1のモータキャプスタンMC1に巻き付けられている。但し、図4や図9では、便宜上、アイドラプーリP1c及びP2cの図示を省略している。
また、図2及び図5に示すように、第1のモータキャプスタンMC1にはケーブルC1´が第1のケーブルC1と同じ方向から巻き付けられるとともに、第2のモータキャプスタンMC2にはケーブルC2´が第2のケーブルC2と同じ方向から巻き付けられている。さらに、ケーブルC1´とケーブルC2´は、テンションばねTS1を介して連結されている。したがって、第1のケーブルC1と第2のケーブルC2には、テンションばねTS1の復元力による予張力が与えられている。
ここで、第1のケーブルC1と第2のケーブルC2に必要な予張力について考察する。図11には、第1のケーブルC1と第2のケーブルC2に予張力を与える前の第1のジョー部材J1及び第2のジョー部材J2の開閉状態を示している。また、図12には、第1のケーブルC1と第2のケーブルC2に予張力を与えたときの第1のジョー部材J1及び第2のジョー部材J2の開閉状態を示している。各図では、第1のねじりコイルばねTCS1と2のねじりコイルばねTCS2の中心軸回りのねじれ状態も併せて示している。
第1のねじりコイルばねTCS1と2のねじりコイルばねTCS2のばね定数をいずれもkj12[N・mm/deg]、第1のジョーキャプスタンJC1及び第2のジョーキャプスタンJC2の半径をともにRj12[mm]とおく。そして、予張力を与える前の第1のケーブルC1と第2のケーブルC2の開き角度をα1、予張力を与えたときの第1のケーブルC1と第2のケーブルC2の開き角度をα2とすると、予張力Tpre-tensionは、下式(1)のように表される。
したがって、第1のケーブルC1と第2のケーブルC2に対して予張力Tpre-tensionが生じるように、ケーブルC1´とケーブルC2´の間にテンションばねTS1を設置することが好ましい。
C.術具ユニットの動作
続いて、術具ユニット先端部101の具体的な動作方法について説明する。
続いて、術具ユニット先端部101の具体的な動作方法について説明する。
第1軸における動作:
往路のケーブルC3a及び復路のケーブルC3bを含む第3のケーブルは、第3のモータキャプスタンMC3とリストキャプスタンWCにループを描くように巻き付けられている。したがって、第3のモータM3で第3のモータキャプスタンMC3を回転させると、第3のケーブルに牽引力が発生して、リストキャプスタンWCを第1軸回りに回転させることができる。これによって、リストエレメントWE及びリストエレメントWEに搭載されたエンドエフェクタを、第1軸回りに旋回させることができる。
往路のケーブルC3a及び復路のケーブルC3bを含む第3のケーブルは、第3のモータキャプスタンMC3とリストキャプスタンWCにループを描くように巻き付けられている。したがって、第3のモータM3で第3のモータキャプスタンMC3を回転させると、第3のケーブルに牽引力が発生して、リストキャプスタンWCを第1軸回りに回転させることができる。これによって、リストエレメントWE及びリストエレメントWEに搭載されたエンドエフェクタを、第1軸回りに旋回させることができる。
第2軸における動作:
第1のジョー部材J1の第2軸回りの角度と第2のジョー部材J2の第2軸回りの角度の平均値をエンドエフェクタの第2軸回りの角度とする。第1のジョーキャプスタンJC1及び第2のジョーキャプスタンJC2を同じ方向に同じ速度で回転することで、エンドエフェクタの第2軸回りの旋回動作が生成される。
第1のジョー部材J1の第2軸回りの角度と第2のジョー部材J2の第2軸回りの角度の平均値をエンドエフェクタの第2軸回りの角度とする。第1のジョーキャプスタンJC1及び第2のジョーキャプスタンJC2を同じ方向に同じ速度で回転することで、エンドエフェクタの第2軸回りの旋回動作が生成される。
エンドエフェクタの動作:
エンドエフェクタは、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の一対の対向するジョー部材からなる(例えば、図3を参照のこと)。第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の開き角度をエンドエフェクタの開閉角度とする。第1のモータキャプスタンMC1と第2のモータキャプスタンMC2を反対方向に同じ速度で回転させることで、エンドエフェクタの開閉動作が生成される。
エンドエフェクタは、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の一対の対向するジョー部材からなる(例えば、図3を参照のこと)。第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の開き角度をエンドエフェクタの開閉角度とする。第1のモータキャプスタンMC1と第2のモータキャプスタンMC2を反対方向に同じ速度で回転させることで、エンドエフェクタの開閉動作が生成される。
図13には、リストエレメントWEの第1軸回りの動作例を示している。但し、同図は、術具ユニット先端部101を第1軸に平行な方向から眺めた図である。同図に示すように、リストキャプスタンWCのプーリ半径をRψとし、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回角度をψとする。
また、図14及び図15には、エンドエフェクタの第2軸回りの動作例を示している。但し、各図は、術具ユニット先端部101を第2軸に平行な方向から眺めた図である。各図に示すように、第1のジョーキャプスタンJC1及び第2のジョーキャプスタンJC2のプーリ半径をともにRθとし、第1のジョー部材J1の第2軸回りの旋回角度をθg1とし、第2のジョー部材J2の第2軸回りの旋回角度をθg2とし、エンドエフェクタの開き角度をαとし、エンドエフェクタの第2軸回りの旋回角度をθとする。
また、図示を省略するが、第1のモータキャプスタンMC1及び第2のモータキャプスタンMC2のプーリ半径をともにRm12とし、第3のモータキャプスタンMC3のプーリ半径をRm3とし、第1のモータM1の回転角度をφm1とし、第2のモータM2の回転角度をφm2とし、第3のモータM3の回転角度をφm3とする。
すると、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回角度ψ、エンドエフェクタの第2軸回りの旋回角度θ、及び、エンドエフェクタの開き角度αは、それぞれ下式(2)〜(4)のように表される。
また、第1のジョー部材J1の第2軸回りの旋回角度θg1と、第2のジョー部材J2の第2軸回りの旋回角度θg2は、それぞれ下式(5)及び(6)のように表される。
上式(2)〜(6)から分かるように、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回角度φに対して、第1のジョー部材J1及び第2のジョー部材J2の第2軸回りの旋回角度θg1及びθg12は影響しない。他方、第1のジョー部材J1及び第2のジョー部材J2の第2軸回りの旋回角度θg1及びθg12に対して、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回角度φは影響する。したがって、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回角度φの影響を補償するように制御することで、目的のエンドエフェクタの第2軸回りの旋回角度θ及び開き角度αを実現することができる。
要するに、第3のモータM3の回転角度φm3を制御することによって、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回動作を制御することができる。また、第1のモータM1、第2のモータM2、及び第3のモータM3の各回転角度φm1、φm2、φm3を制御することで、エンドエフェクタの第2軸回りの旋回動作及び開閉動作を制御することができる。
D.術具ユニットの可動域
続いて、術具ユニット先端部101の可動域について説明する。
続いて、術具ユニット先端部101の可動域について説明する。
図16〜図21には、エンドエフェクタの開閉及び第2軸回りの旋回動作の例を図解している。
図16及び図17には、エンドエフェクタが第2軸回りの旋回角度θ=0度で且つ開いた状態を示している。但し、図16は、術具ユニット先端部101を第2軸と平行な方向から眺めた様子を示し、図17は、術具ユニット先端部101を斜視した様子を示している。
また、図18及び図19には、エンドエフェクタが第2軸回りの旋回角度θ=30度で且つ開いた状態を示している。但し、図18は、術具ユニット先端部101を第2軸と平行な方向から眺めた様子を示し、図19は、術具ユニット先端部101を斜視した様子を示している。
また、図20及び図21には、エンドエフェクタが第2軸回りの旋回角度θ=30度で且つ閉じた状態を示している。但し、図20は、術具ユニット先端部101を第2軸と平行な方向から眺めた様子を示し、図21は、術具ユニット先端部101を斜視した様子を示している。
図22〜図25には、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回動作及びエンドエフェクタの第2軸回りの旋回動作の例を図解している。但し、図22〜図25のいずれも、エンドエフェクタは開いた状態とする。
図22には、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回角度ψ=0度で且つエンドエフェクタの第2軸回りの旋回角度θ=0度の状態を示している。また、図23には、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回角度ψ=0度で且つエンドエフェクタの第2軸回りの旋回角度θ=100度の状態を示している。また、図24には、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回角度ψ=90度で且つエンドエフェクタの第2軸回りの旋回角度θ=0度の状態を示している。また、図25には、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回角度ψ=90度で且つエンドエフェクタの第2軸回りの旋回角度θ=100度の状態を示している。
第1のジョーキャプスタンJC1及び第2のジョーキャプスタンJC2を牽引するケーブルは、それぞれ第1のケーブルC1及び第2のケーブルC2の1本でよい。第1のケーブルC1を第1のジョーキャプスタンJC1に結合する箇所を、第1のケーブルC1を第1のジョーキャプスタンJC1の外周に90度以上巻き付けた箇所に設けることができる。第2のケーブルC2を第2のジョーキャプスタンJC2に結合する箇所も、90度以上巻き付けた箇所に設けることができる。
エンドエフェクタの第2軸回りのより広い可動域を確保するために、リストエレメントWEの第1軸回りの旋回角度ψ=0度で且つエンドエフェクタの第2軸回りの旋回角度θ=0度の状態で、第1のケーブルC1及び第2のケーブルC2をそれぞれ150度だけ巻き付けた位置で第1のジョーキャプスタンJC1及び第2のジョーキャプスタンJC2の各々と結合する箇所を設けることが望ましい。これによって、エンドエフェクタの第2軸回りの±90度以上の可動域を確保することが可能である。
E.術具ユニットの変形例
E−1.ジョー部材間に反発力を与える方法の変形例
第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の間に常に反発力を作用させるスプリングSPとして、ねじりコイルばね(図6及び図7を参照のこと)の代わりに、圧縮コイルばねを使用してもよい。
E−1.ジョー部材間に反発力を与える方法の変形例
第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の間に常に反発力を作用させるスプリングSPとして、ねじりコイルばね(図6及び図7を参照のこと)の代わりに、圧縮コイルばねを使用してもよい。
図26〜図31には、圧縮コイルばねを用いて第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2の間に反発力を作用させる術具ユニット先端部101の構成例を、エンドエフェクタが開閉及び第2軸回りに旋回する動作とともに例示している。
図26及び図27には、エンドエフェクタが第2軸回りの旋回角度θ=0度で且つ開いた状態を示している。また、図28及び図29には、エンドエフェクタが第2軸回りの旋回角度θ=30度で且つ開いた状態を示している。また、図30及び図31には、エンドエフェクタが第2軸回りの旋回角度θ=30度で且つ閉じた状態を示している。
但し、図26、図28、図30は、術具ユニット先端部101を第2軸と平行な方向から眺めた様子を示し、図27、図29、図31は、術具ユニット先端部101を斜視した様子を示している。
なお、術具の姿勢に拘わらすジョー部材間に一定の反発力を与えることができる他の弾性体や反発力発生装置を、スプリングSPに代替えすることが可能である。例えば、高分子弾性体、空気で加圧された蛇腹、ジョー部材間に反発力を作用させるように取り付けられた引張ばねを代替品として挙げることができる。
また、第1のジョー部材J1と第2のジョー部材J2を、金属棒を二つ折りにした攝子のように一体成形して、開く方向に弾性力を有する構造にしてもよい。
E−2.ケーブルを駆動する方法の変形例
上記では、ケーブルを牽引するアクチュエータとして回転モータを使用する例について説明してきた。ケーブルを牽引するアクチュエータとして直動アクチュエータを使用することもできる。
上記では、ケーブルを牽引するアクチュエータとして回転モータを使用する例について説明してきた。ケーブルを牽引するアクチュエータとして直動アクチュエータを使用することもできる。
図32には、第1のケーブルC1、第2のケーブルC2、第3のケーブルの往路ケーブルC3a及び復路ケーブルC3bを、それぞれ直動アクチュエータLA1、LA2、LA3a、LA3bで牽引するように構成された術具ユニットの構成例を示している。同図では、術具ユニット駆動部103の拡大図も併せて示している。
直動アクチュエータLA1、LA2、LA3a、LA3bには空気圧式のアクチュエータを使用することができる。また、ケーブルを牽引するアクチュエータの他の変形性として、例えば、さらに以下を挙げることができる。
・ピエゾ式直動型超音波モータ
・ピエゾ式回転型超音波モータ
・油圧式直動モータ
・油圧式回転モータ
・高分子直動アクチュエータ
・電磁式式直動モータ
・形状記憶合金
・ピエゾ式回転型超音波モータ
・油圧式直動モータ
・油圧式回転モータ
・高分子直動アクチュエータ
・電磁式式直動モータ
・形状記憶合金
また、いずれのタイプのアクチュエータを採用するにせよ、アクチュエータに減速機や位置検出器、非常用のブレーキ機構を装備するようにしてもよい。ここで、減速機として、例えば、ギア式減速機、波動歯車減速機、郵政歯車減速機、不思議郵政歯車減速機、ケーブル減速機、トラクション減速機、ボールねじ、滑りねじ、ウォームギアなどを挙げることができる。また、位置検出器として、例えば、磁気式エンコーダ、光学式エンコーダ、ポテンショメータなどを挙げることができる。
E−3.ジョー部材の形状の変形例
各図では、第1のジョー部材J1及び第2のジョー部材J2を、便宜上、簡単な形状で描いた。現実には、術具ユニットの用途に応じて、ジョー部材の形状を変更してもよい。例えば、以下を挙げることができる。
各図では、第1のジョー部材J1及び第2のジョー部材J2を、便宜上、簡単な形状で描いた。現実には、術具ユニットの用途に応じて、ジョー部材の形状を変更してもよい。例えば、以下を挙げることができる。
・鉗子
・バイポーラ式鉗子
・鋏
・ステープラー
・バイポーラ式鉗子
・鋏
・ステープラー
E−4.シャフトの変形例
シャフト102は、理想的には剛体であるが、可撓性のある構成であってもよい。また、各図では、簡素化のため、単純な中空円筒形状をしたシャフト102を描いたが、必ずしも円筒形状である必要はない。例えば、シャフト102の断面が多角形形状や楕円形状であってもよいし、長手軸方向の途中で断面形状が切り替わってもよい。
シャフト102は、理想的には剛体であるが、可撓性のある構成であってもよい。また、各図では、簡素化のため、単純な中空円筒形状をしたシャフト102を描いたが、必ずしも円筒形状である必要はない。例えば、シャフト102の断面が多角形形状や楕円形状であってもよいし、長手軸方向の途中で断面形状が切り替わってもよい。
E−5.ケーブルの変形例
ケーブルは、金属線を束ねたもの、樹脂を束ねたもの、あるいは金属線と樹脂など複数の素材を織り交ぜたものでもよい。また、シャフト102内部などに配置され、湾曲を必要としないケーブルの箇所には剛性が高い金属製のシャフト102を用い、湾曲を有する箇所に用いられる柔軟なケーブルと連結して、1本のケーブルを構成するようにしてもよい。ケーブルの代替品として、例えば、以下を挙げることができる。
ケーブルは、金属線を束ねたもの、樹脂を束ねたもの、あるいは金属線と樹脂など複数の素材を織り交ぜたものでもよい。また、シャフト102内部などに配置され、湾曲を必要としないケーブルの箇所には剛性が高い金属製のシャフト102を用い、湾曲を有する箇所に用いられる柔軟なケーブルと連結して、1本のケーブルを構成するようにしてもよい。ケーブルの代替品として、例えば、以下を挙げることができる。
・金属製又は樹脂製のワイヤ
・細径の金属製又は樹脂製の細線を編み込んだワイヤ
・細径の金属製又は樹脂製の細線を編み込んだワイヤ
E−6.アイドラプーリの変形例
上記では、ケーブルのレイアウト調整のためにアイドラプーリを使用する例について説明してきた。アイドラプーリを用いれば、ケーブルを牽引する際の摺動摩擦を低減して滑らかな動作を実現することができる。摺動摩擦を低下させたい場合には、回転軸受を備えたアイドラプーリを使用してもよい。他方、アイドラプーリを使用すると、機構のサイズが膨らみ、部品点数が増えるという問題がある。そこで、術具ユニット先端部101のさらなる小型化のために、アイドラプーリを使用せず、機構に形設した案内溝に沿ってケーブルをレイアウトするようにしてもよい。
上記では、ケーブルのレイアウト調整のためにアイドラプーリを使用する例について説明してきた。アイドラプーリを用いれば、ケーブルを牽引する際の摺動摩擦を低減して滑らかな動作を実現することができる。摺動摩擦を低下させたい場合には、回転軸受を備えたアイドラプーリを使用してもよい。他方、アイドラプーリを使用すると、機構のサイズが膨らみ、部品点数が増えるという問題がある。そこで、術具ユニット先端部101のさらなる小型化のために、アイドラプーリを使用せず、機構に形設した案内溝に沿ってケーブルをレイアウトするようにしてもよい。
E−7.センシング
ケーブルの張力を検出するために、各ケーブルに歪みセンサを搭載してもよい。歪みセンサとして、例えば、抵抗変化型の歪みセンサや、FBG(Fiber Bragg Grating)式の歪みセンサを挙げることができる。また、ケーブルを牽引するアクチュエータにトルクセンサを搭載してもよい。
ケーブルの張力を検出するために、各ケーブルに歪みセンサを搭載してもよい。歪みセンサとして、例えば、抵抗変化型の歪みセンサや、FBG(Fiber Bragg Grating)式の歪みセンサを挙げることができる。また、ケーブルを牽引するアクチュエータにトルクセンサを搭載してもよい。
F.術具ユニットの応用例
F−1.手術支援システムへの応用例
図33には、本実施形態に係る術具ユニットを利用した手術支援システムト3300の外観構成例を示している。図示の手術支援システム3300は、多リンク構造からなるアーム3301を備え、そのアーム3301の先端に、術具ユニット3302が搭載されている。術具ユニット3302は、交換可能であってもよい。手術支援システム3300は、例えば腹腔鏡下手術に適用され、術具ユニット先端部101がトロッカー(図示しない)を経由して腹腔内に挿入して、患部の把持や切除といった施術が実施される。
F−1.手術支援システムへの応用例
図33には、本実施形態に係る術具ユニットを利用した手術支援システムト3300の外観構成例を示している。図示の手術支援システム3300は、多リンク構造からなるアーム3301を備え、そのアーム3301の先端に、術具ユニット3302が搭載されている。術具ユニット3302は、交換可能であってもよい。手術支援システム3300は、例えば腹腔鏡下手術に適用され、術具ユニット先端部101がトロッカー(図示しない)を経由して腹腔内に挿入して、患部の把持や切除といった施術が実施される。
図示の手術支援システム3300は、例えばマスタスレーブロボットにおけるスレーブ装置として利用され、マスタ装置(図示しない)からの指令に従ってアーム3301並びに術具ユニット3302が駆動する。また、この種のマスタスレーブロボットには、例えばバイラテラル制御方式が適用される。
なお、アーム3301は、極座標型ロボット、円筒座標型ロボット、直角座標系型ロボット、垂直多関節型ロボット、水平多関節型ロボット、パラレルリンク型ロボット、RCM(Remote Center of Motion)型ロボットなどのうちいずれの機構型のロボットであってもよい。
また、手術支援システム3300が腹腔鏡手術を支援する手術用ロボットである場合には、機構のコンパクト性や、トロッカー箇所でのピボット動作生成の容易性などの観点から、アーム3301として、垂直多関節型や、駆動回転中心から離れた位置に遠隔回転中心を配置してピボット(不動点)運動を実現するRCM(Remote Center of Motion)型のアームを用いることが好ましい。
また、図33では1本の術具ユニットのみを装着可能な手術支援システムの構成例を示したが、同時に複数本の術具ユニットを装着して腹腔鏡下手術を実施可能なタイプの手術支援システムにも、同様に適用することができる。
F−2.手術用操作ユニットへの応用例
図34には、本実施形態に係る術具ユニットを利用した手術用操作ユニット3400の外観構成例を示している。手術用操作ユニット3400は、ユーザ(術者)が直接手に持って操作するハンドル部3401を備え、そのハンドル部3401の先端に、術具ユニット3402が搭載されている。術具ユニット3402は、交換可能であってもよい。
図34には、本実施形態に係る術具ユニットを利用した手術用操作ユニット3400の外観構成例を示している。手術用操作ユニット3400は、ユーザ(術者)が直接手に持って操作するハンドル部3401を備え、そのハンドル部3401の先端に、術具ユニット3402が搭載されている。術具ユニット3402は、交換可能であってもよい。
ハンドル部3401は、例えば、術具ユニット3402の術具ユニット先端部の姿勢を任意の方向に指示するための、親指で操作可能なジョイスティック3403を備えてもよい。また、ハンドル部3401は、ジョー部材の開閉操作を支持するための、人差し指で操作可能なボタン3404を備えてもよい。
ハンドル部3401内には、コントローラ(図示しない)が搭載されている。このコントローラは、ジョイスティック3403やボタン3404の操作量に応じたリストエレメントWEの第1軸回りの旋回角度、エンドエフェクタの第2軸回りの旋回角度及び開き角度を演算し、これを各モータの回転量に換算して、術具ユニット駆動部103への制御信号を出力する。
G.効果
本開示に係る技術によれば、一対の対向するジョー部材を有するエンドエフェクタの(第2軸回りの)旋回動作とジョー部材の開閉動作を、2本のケーブルで実現することができる。したがって、ケーブルの牽引に使用するアイドラプーリの個数を削減することができ、術具ユニットの先端部の細径化を実現し易くなる。特に、エンドエフェクタの旋回軸(上記の第1軸)において直列に配置するアイドラプーリの個数は2個でよいので、細径化が容易である。
本開示に係る技術によれば、一対の対向するジョー部材を有するエンドエフェクタの(第2軸回りの)旋回動作とジョー部材の開閉動作を、2本のケーブルで実現することができる。したがって、ケーブルの牽引に使用するアイドラプーリの個数を削減することができ、術具ユニットの先端部の細径化を実現し易くなる。特に、エンドエフェクタの旋回軸(上記の第1軸)において直列に配置するアイドラプーリの個数は2個でよいので、細径化が容易である。
また、本開示に係る技術によれば、術具ユニットで使用するケーブルの本数やアイドラプーリの個数が少なくて済むことから、低コスト化に有利である。このように部品点数が少ないことから、術具ユニットの構造が簡素化されるので、組み立てコストを抑えることができ、メンテナンスも容易となる。
また、本開示に係る技術によれば、各ジョー部材をそれぞれ1本のケーブルで牽引する構造であるが、ジョーキャプスタンとケーブルの結合部をジョーキャプスタンの任意の場所に設定することができるので、ジョー部材の広可動域化を実現することができる。
また、本開示に係る技術を適用した術具ユニットは、リストエレメント及び開閉機構付きのエンドエフェクタ及びのリストエレメントを3台のモータで駆動することができ、ケーブル本数が少ないので、術具ユニット駆動部におけるケーブルのレイアウトを簡素化することができるので、コンパクト且つ軽量に構成することができる。
また、本開示に係る技術を適用した術具ユニットは、リストエレメント上にアイドラプーリを配置しないので、第1の軸から第2軸までの距離を短くすることができる。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本開示に係る技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本開示に係る技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本明細書では、本開示に係る技術を手術支援システムに用いられる術具に適用した実施形態を中心に説明してきたが、本開示に係る技術の要旨はこれに限定されるものではない。本開示に係る技術は、精密作業ロボットなど、医療以外のさまざまな分野のロボットに適用することができる。また、本開示に係る技術は、ユーザが手で握りながら操作可能なグリップ型手術用操作ユニットや精密作業装置にも適用することができる。
要するに、例示という形態により本開示に係る技術について説明してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本開示に係る技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
なお、本開示に係る技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を具備する術具。
(2)前記弾性体は、前記第1のジョー部材に前記反発力を作用させる第1の弾性体と、前記第2のジョー部材に反発力を作用させる第2の弾性体を含む、
上記(1)に記載の術具。
(3)前記第1のジョー部材に設けられた、前記第2軸を回転軸とする第1のジョーキャプスタンと、
前記第1のジョーキャプスタンに巻き付けられた第1のケーブルと、
前記第2のジョー部材に設けられた、前記第2軸を回転軸とする第2のジョーキャプスタンと、
前記第2のジョーキャプスタンに巻き付けられた第2のケーブルと、
をさらに備え、
前記第1のケーブルを牽引することによって前記第1のジョー部材は前記第2のジョー部材に向かう方向に旋回し、前記第2のケーブルを牽引することによって前記第2のジョー部材は前記第1のジョー部材に向かう方向に旋回する、
上記(1)に記載の術具。
(4)前記リストに設けられた、前記第1軸を回転軸とするリストキャプスタンと、
前記リストキャプスタンにそれぞれ逆方向から巻き付けられた往路及び復路のケーブルからなる第3のケーブルと、
をさらに備える、上記(3)に記載の術具。
(5)前記第1のケーブルを牽引する第1のアクチュエータと、
前記第2のケーブルを牽引する第2のアクチュエータと、
前記第3のケーブルを牽引する第3のアクチュエータと、
をさらに備える、上記(4)に記載の術具。
(6)前記弾性体は、前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の最大の開き角度においても前記反発力が作用する自然長を有する、
上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の術具。
(7)前記第1のケーブルを前記シャフトの長手軸とほぼ平行な方向に変換する第1のアイドラプーリ部と、
前記第2のケーブルを前記シャフトの長手軸とほぼ平行な方向に変換する第2のアイドラプーリ部と、
をさらに備える、上記(3)乃至(6)のいずれかに記載の術具。
(8)前記第1のアイドラプーリ部は、前記第1軸回りに回転する第1のアイドラプーリと、前記第1のアイドラプーリに隣接して前記第1軸と平行な回転軸を持つ第1の隣接アイドラプーリを含み、
前記第2のアイドラプーリ部は、前記第1軸回りに回転する第2のアイドラプーリと、前記第2のアイドラプーリに隣接して前記第1軸と平行な回転軸を持つ第2の隣接アイドラプーリを含む、
上記(7)に記載の術具。
(9)前記第1のアイドラプーリ部は前記第1軸回りに回転する第1のアイドラプーリを含むとともに、前記第1のケーブルは前記第1のアイドラプーリに少なくとも1周巻き付けられ、
前記第2のアイドラプーリ部は、前記第1軸回りに回転する第2のアイドラプーリを含むとともに、前記第2のケーブルは前記第2のアイドラプーリに少なくとも1周巻き付けられる、
上記(7)に記載の術具。
(10)前記第1のアイドラプーリ及び第2のアイドラプーリの少なくとも一方は、前記第1のケーブルを巻き付ける際に重ならないように、第1軸方向のケーブルの巻き付け位置を切り替える切り替え部を備える、
上記(9)に記載の術具。
(11)前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルに予張力を与える予張力付与部をさらに備える、
上記(3)乃至(10)のいずれかに記載の術具。
(12)前記第3のケーブルに予張力を与える予張力付与部をさらに備える、
上記(4)乃至(11)のいずれかに記載の術具。
(13)前記第3のアクチュエータの駆動により前記往路及び復路のケーブル間に生じた張力差により前記リストキャプスタンに回転トルクを作用させて、前記リストを前記第1軸回りに旋回させる、
上記(4)乃至(11)のいずれかに記載の術具。
(14)前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の前記第2軸回りの角度の差が変化するように、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータの駆動により前記第1のケーブルと前記第2のケーブルの張力を制御する、
上記(3)乃至(13)のいずれかに記載の術具。
(15)前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の前記第2軸回りの角度の和が変化するように、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータの駆動により前記第1のケーブルと前記第2のケーブルの張力を制御する、
上記(3)乃至(13)のいずれかに記載の術具。
(16)術具と、前記術具を取り付けたアームを具備し、
前記術具は、
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を備える、手術支援システム。
(17)術具と、前記術具を取り付けたハンドル部を具備し、
前記術具は、
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を備える、手術用操作ユニット。
(1)シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を具備する術具。
(2)前記弾性体は、前記第1のジョー部材に前記反発力を作用させる第1の弾性体と、前記第2のジョー部材に反発力を作用させる第2の弾性体を含む、
上記(1)に記載の術具。
(3)前記第1のジョー部材に設けられた、前記第2軸を回転軸とする第1のジョーキャプスタンと、
前記第1のジョーキャプスタンに巻き付けられた第1のケーブルと、
前記第2のジョー部材に設けられた、前記第2軸を回転軸とする第2のジョーキャプスタンと、
前記第2のジョーキャプスタンに巻き付けられた第2のケーブルと、
をさらに備え、
前記第1のケーブルを牽引することによって前記第1のジョー部材は前記第2のジョー部材に向かう方向に旋回し、前記第2のケーブルを牽引することによって前記第2のジョー部材は前記第1のジョー部材に向かう方向に旋回する、
上記(1)に記載の術具。
(4)前記リストに設けられた、前記第1軸を回転軸とするリストキャプスタンと、
前記リストキャプスタンにそれぞれ逆方向から巻き付けられた往路及び復路のケーブルからなる第3のケーブルと、
をさらに備える、上記(3)に記載の術具。
(5)前記第1のケーブルを牽引する第1のアクチュエータと、
前記第2のケーブルを牽引する第2のアクチュエータと、
前記第3のケーブルを牽引する第3のアクチュエータと、
をさらに備える、上記(4)に記載の術具。
(6)前記弾性体は、前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の最大の開き角度においても前記反発力が作用する自然長を有する、
上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の術具。
(7)前記第1のケーブルを前記シャフトの長手軸とほぼ平行な方向に変換する第1のアイドラプーリ部と、
前記第2のケーブルを前記シャフトの長手軸とほぼ平行な方向に変換する第2のアイドラプーリ部と、
をさらに備える、上記(3)乃至(6)のいずれかに記載の術具。
(8)前記第1のアイドラプーリ部は、前記第1軸回りに回転する第1のアイドラプーリと、前記第1のアイドラプーリに隣接して前記第1軸と平行な回転軸を持つ第1の隣接アイドラプーリを含み、
前記第2のアイドラプーリ部は、前記第1軸回りに回転する第2のアイドラプーリと、前記第2のアイドラプーリに隣接して前記第1軸と平行な回転軸を持つ第2の隣接アイドラプーリを含む、
上記(7)に記載の術具。
(9)前記第1のアイドラプーリ部は前記第1軸回りに回転する第1のアイドラプーリを含むとともに、前記第1のケーブルは前記第1のアイドラプーリに少なくとも1周巻き付けられ、
前記第2のアイドラプーリ部は、前記第1軸回りに回転する第2のアイドラプーリを含むとともに、前記第2のケーブルは前記第2のアイドラプーリに少なくとも1周巻き付けられる、
上記(7)に記載の術具。
(10)前記第1のアイドラプーリ及び第2のアイドラプーリの少なくとも一方は、前記第1のケーブルを巻き付ける際に重ならないように、第1軸方向のケーブルの巻き付け位置を切り替える切り替え部を備える、
上記(9)に記載の術具。
(11)前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルに予張力を与える予張力付与部をさらに備える、
上記(3)乃至(10)のいずれかに記載の術具。
(12)前記第3のケーブルに予張力を与える予張力付与部をさらに備える、
上記(4)乃至(11)のいずれかに記載の術具。
(13)前記第3のアクチュエータの駆動により前記往路及び復路のケーブル間に生じた張力差により前記リストキャプスタンに回転トルクを作用させて、前記リストを前記第1軸回りに旋回させる、
上記(4)乃至(11)のいずれかに記載の術具。
(14)前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の前記第2軸回りの角度の差が変化するように、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータの駆動により前記第1のケーブルと前記第2のケーブルの張力を制御する、
上記(3)乃至(13)のいずれかに記載の術具。
(15)前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の前記第2軸回りの角度の和が変化するように、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータの駆動により前記第1のケーブルと前記第2のケーブルの張力を制御する、
上記(3)乃至(13)のいずれかに記載の術具。
(16)術具と、前記術具を取り付けたアームを具備し、
前記術具は、
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を備える、手術支援システム。
(17)術具と、前記術具を取り付けたハンドル部を具備し、
前記術具は、
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を備える、手術用操作ユニット。
100…術具ユニット、101…術具ユニット先端部
102…シャフト、103…術具ユニット駆動部
3300…手術支援システム、3301…アーム
3302…術具ユニット
3400…手術用操作ユニット、3401…ハンドル部、
3402…術具ユニット、3403…ジョイスティック
3404…ボタン
102…シャフト、103…術具ユニット駆動部
3300…手術支援システム、3301…アーム
3302…術具ユニット
3400…手術用操作ユニット、3401…ハンドル部、
3402…術具ユニット、3403…ジョイスティック
3404…ボタン
Claims (17)
- シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を具備する術具。 - 前記弾性体は、前記第1のジョー部材に前記反発力を作用させる第1の弾性体と、前記第2のジョー部材に反発力を作用させる第2の弾性体を含む、
請求項1に記載の術具。 - 前記第1のジョー部材に設けられた、前記第2軸を回転軸とする第1のジョーキャプスタンと、
前記第1のジョーキャプスタンに巻き付けられた第1のケーブルと、
前記第2のジョー部材に設けられた、前記第2軸を回転軸とする第2のジョーキャプスタンと、
前記第2のジョーキャプスタンに巻き付けられた第2のケーブルと、
をさらに備え、
前記第1のケーブルを牽引することによって前記第1のジョー部材は前記第2のジョー部材に向かう方向に旋回し、前記第2のケーブルを牽引することによって前記第2のジョー部材は前記第1のジョー部材に向かう方向に旋回する、
請求項1に記載の術具。 - 前記リストに設けられた、前記第1軸を回転軸とするリストキャプスタンと、
前記リストキャプスタンにそれぞれ逆方向から巻き付けられた往路及び復路のケーブルからなる第3のケーブルと、
をさらに備える、請求項3に記載の術具。 - 前記第1のケーブルを牽引する第1のアクチュエータと、
前記第2のケーブルを牽引する第2のアクチュエータと、
前記第3のケーブルを牽引する第3のアクチュエータと、
をさらに備える、請求項4に記載の術具。 - 前記弾性体は、前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の最大の開き角度においても前記反発力が作用する自然長を有する、
請求項1に記載の術具。 - 前記第1のケーブルを前記シャフトの長手軸とほぼ平行な方向に変換する第1のアイドラプーリ部と、
前記第2のケーブルを前記シャフトの長手軸とほぼ平行な方向に変換する第2のアイドラプーリ部と、
をさらに備える、請求項3に記載の術具。 - 前記第1のアイドラプーリ部は、前記第1軸回りに回転する第1のアイドラプーリと、前記第1のアイドラプーリに隣接して前記第1軸と平行な回転軸を持つ第1の隣接アイドラプーリを含み、
前記第2のアイドラプーリ部は、前記第1軸回りに回転する第2のアイドラプーリと、前記第2のアイドラプーリに隣接して前記第1軸と平行な回転軸を持つ第2の隣接アイドラプーリを含む、
請求項7に記載の術具。 - 前記第1のアイドラプーリ部は前記第1軸回りに回転する第1のアイドラプーリを含むとともに、前記第1のケーブルは前記第1のアイドラプーリに少なくとも1周巻き付けられ、
前記第2のアイドラプーリ部は、前記第1軸回りに回転する第2のアイドラプーリを含むとともに、前記第2のケーブルは前記第2のアイドラプーリに少なくとも1周巻き付けられる、
請求項7に記載の術具。 - 前記第1のアイドラプーリ及び第2のアイドラプーリの少なくとも一方は、前記第1のケーブルを巻き付ける際に重ならないように、第1軸方向のケーブルの巻き付け位置を切り替える切り替え部を備える、
請求項9に記載の術具。 - 前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルに予張力を与える予張力付与部をさらに備える、
請求項3に記載の術具。 - 前記第3のケーブルに予張力を与える予張力付与部をさらに備える、
請求項4に記載の術具。 - 前記第3のアクチュエータの駆動により前記往路及び復路のケーブル間に生じた張力差により前記リストキャプスタンに回転トルクを作用させて、前記リストを前記第1軸回りに旋回させる、
請求項4に記載の術具。 - 前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の前記第2軸回りの角度の差が変化するように、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータの駆動により前記第1のケーブルと前記第2のケーブルの張力を制御する、
請求項3に記載の術具。 - 前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の前記第2軸回りの角度の和が変化するように、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータの駆動により前記第1のケーブルと前記第2のケーブルの張力を制御する、
請求項3に記載の術具。 - 術具と、前記術具を取り付けたアームを具備し、
前記術具は、
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を備える、手術支援システム。 - 術具と、前記術具を取り付けたハンドル部を具備し、
前記術具は、
シャフトと、
前記シャフトの先端に第1軸回りに回動可能に連結されたリストと、
前記リストに対してそれぞれ第2軸回りに回動可能に支持された第1のジョー部材及び第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の間に反発力を作用させる弾性体と、
を備える、手術用操作ユニット。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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