JP2021031389A - 放射線治療効果増強剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、がんに対する放射線治療の効果を増強することができる手段を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、Rac GTPase活性化タンパク質1(RacGAP1)に対する阻害性核酸、抗RacGAP1抗体及びその誘導体並びにλ-カラギーナンよりなる群から選択されるRacGAP1の発現を抑制する又は活性を阻害する物質を含む、放射線治療効果増強剤に関する。本発明によれば、がんに対する治療効果が放射線照射を単独で行う場合よりも強く発揮され、より効果的に、さらには放射線治療単独では効果が期待できなかった対象においても、がんを治療及び/又はその再発や転移を予防することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、RacGTPase活性化タンパク質1(RacGAP1)に対する阻害性核酸、抗RacGAP1抗体及びその誘導体並びにλ-カラギーナン(CGN)よりなる群から選択されるRacGAP1の発現を抑制する又は活性を阻害する物質を含む放射線治療効果増強剤、並びにCGNを含むRacGAP1発現抑制剤に関する。
放射線治療は、電離放射線(IR)などを用いるがんの標準治療法であり、手術不能ながんの治療に用いられる他、臓器温存を目的としたがん治療としても利用される。
放射線治療は、IRをがん組織又はがん細胞に照射すること(放射線照射)により行われる。放射線照射は、細胞内の活性酸素種(ROS)の蓄積及びアポトーシスを含む細胞死を誘導することが知られている。一方、放射線照射後も生存するがん細胞において浸潤活性が亢進する場合があること、がん細胞の遠位転移が浸潤活性の亢進と関連している可能性があること等が報告されている。これらの現象は、正常細胞への直接的なダメージとは別の、放射線照射によって引き起こされ得る潜在的に望ましくない放射線治療の副作用の一種である。
また、放射線治療の治療効果を高めるために、化学療法薬をがん細胞又はがん組織に対する放射線照射と組み合わせて投与する、化学療法と放射線治療の併用もしばしば試みられる。しかしながら、化学療法薬の多くは正常組織に対して細胞毒性を示すため、化学療法と放射線治療の併用は、高齢患者又は全身状態が不良な患者には適さないことが多い。したがって、放射線治療と組み合わせて使用することで、少なくとも放射線照射によるがん細胞死を妨げずに、放射線照射後のがん細胞の遠位転移を抑制する等の、放射線治療の効果を増強することができる物質又は方法の開発は非常に望ましい。
Rac GTPase活性化タンパク質1(RacGAP1)は、グアニントリホスファターゼ活性化タンパク質(GTPase activating protein)ファミリーのメンバーであり、MgcRacGAP又はhCYK-4としても知られる。RacGAP1は活性化されたRho GTPaseに結合してGTPの加水分解を刺激することで、Rho介在性シグナルの制御に関与している。近年、RacGAP1により活性化されるRho GTPaseが腫瘍増殖を促進すること(非特許文献1)、三次元細胞外マトリックス(3D ECM)におけるインテグリン関連侵襲性細胞移動にRacGAP1が関与していること(非特許文献2)、RacGAP1は複数種のがんにおいて高発現しており、転移及び予後の予測マーカーとして期待されていること(非特許文献3及び4)等が報告されている。
Toure A, et al., J Biol. Chem., 1998, 273, 11, p.6019-23.
Jacquemet G, et al., J Cell Sci., 2013, 126, 18, p.4121-35.
Imaoka H, et al., Carcinogenesis, 2015, 36, 3, p.346-54.
Wang C, et al.. Cancer Sci, 2018, 109, 1, p.84-93.
本発明は、がんに対する放射線治療の効果を増強することができる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、放射線照射後も生存するがん細胞においてRacGAP1の発現が亢進していること、及びがん細胞におけるRacGAP1の発現抑制が放射線照射の効果を増強し得ることを見いだし、以下の発明を完成させた。
(1)Rac GTPase活性化タンパク質1(RacGAP1)に対する阻害性核酸、抗RacGAP1抗体及びその誘導体並びにλ-カラギーナンよりなる群から選択されるRacGAP1の発現を抑制する又は活性を阻害する物質を含む、放射線治療効果増強剤。
(2)放射線治療を受けた後のがん患者に対して用いるための、(1)に記載の増強剤。
(3)λ-カラギーナンを含む、RacGAP1発現抑制剤。
(4)がん細胞におけるRacGAP1の発現を抑制するための、(3)に記載の発現抑制剤。
(5)放射線照射を受けたがん細胞におけるRacGAP1の発現を抑制するための、(4)に記載の発現抑制剤。
(6)放射線照射を受けた後のがん細胞に対して用いるための、(5)に記載の発現抑制剤。
(2)放射線治療を受けた後のがん患者に対して用いるための、(1)に記載の増強剤。
(3)λ-カラギーナンを含む、RacGAP1発現抑制剤。
(4)がん細胞におけるRacGAP1の発現を抑制するための、(3)に記載の発現抑制剤。
(5)放射線照射を受けたがん細胞におけるRacGAP1の発現を抑制するための、(4)に記載の発現抑制剤。
(6)放射線照射を受けた後のがん細胞に対して用いるための、(5)に記載の発現抑制剤。
本発明によれば、がんに対する殺細胞効果が放射線照射を単独で行う場合よりも強く発揮され、また、がんの転移を抑制する効果が発揮される。したがって、放射線治療を単独で行う場合よりも効果的に、さらには放射線治療単独では効果が期待できなかった対象においても、がんを治療及び/又はその再発・転移を予防することができる。また本発明によれば、RacGAP1の発現を抑制することができ、RacGAP1発現亢進を伴う疾患又は症状を治療及び/又は予防することができる。
本発明の第1の態様は、Rac GTPase活性化タンパク質1(RacGAP1)に対する阻害性核酸、抗RacGAP1抗体及びその誘導体並びにλ-カラギーナンよりなる群から選択されるRacGAP1の発現を抑制する又は活性を阻害する物質を含む、放射線治療効果増強剤に関する。以下、特に断らない限り、RacGAP1その他の生体高分子及び分子生物学的機構を含めた本発明の詳細は、ヒトを代表例として説明される。
本発明におけるRacGAP1の発現を抑制する又は活性を阻害する物質の1つであるRacGAP1に対する阻害性核酸の例としては、RacGAP1をコードする遺伝子からのmRNA転写を抑制することができる核酸、当該mRNAを分解することができる核酸及び当該mRNAからのタンパク質翻訳を抑制することのできる核酸を挙げることができる。これらの物質の典型例は、NCBI GeneにGene ID:29127として登録されているヒトRacGAP1をコードする遺伝子及びタンパク質に翻訳されるmRNAの塩基配列を基にして、当業者が設計、作製することができるアンチセンスRNA又はsiRNA等の阻害性核酸である。
また、siRNAの塩基配列を含むshRNA、適当な発現プロモーターの支配下に置かれることで上記アンチセンスRNA又はsiRNAを転写誘導することのできるDNA、及び上記アンチセンスRNA又はsiRNAの塩基配列の一部が修飾されてヌクレアーゼによる分解に対する安定性が高められたRNAも、上記アンチセンスRNA又はsiRNAと機能的に等価な核酸として、本発明にいう発現を抑制する物質に包含される。ヌクレアーゼによる分解に対する安定性を向上させるための修飾としては、2'O-メチル化、2'-F化、4'-チオ化等を挙げることができる。
さらに、上記RNAのリボヌクレオチドの一部が、対応するデオキシリボヌクレオチド又はヌクレオチド類似体に置き換えられたキメラRNAもまた、本発明にいう発現を抑制する物質に包含される。ヌクレオチド類似体としては、例えば、5位修飾ウリジン又はシチジン、例えば5-(2-アミノ)プロピルウリジン、5-ブロモウリジン等;8位修飾アデノシン又はグアノシン、例えば8-ブロモグアノシン等;デアザヌクレオチド、例えば7-デアザ-アデノシン等;O-又はN-アルキル化ヌクレオチド、例えばN6-メチルアデノシン等を挙げることができる。
上記阻害性核酸において、修飾される又は置換される塩基の種類又は個数は、そのRacGAP1の発現を抑制する能力を失わない限り、特に制限は無い。
上記阻害性核酸は、遺伝子組み換え技術又は化学合成技術を利用して人工的に合成することができる。遺伝子組み換え方法、核酸の化学合成方法、また非天然型の塩基の合成手法又はこれを含む核酸の合成手法としては、当業者に知られた手法を採用することができる。またいわゆるDNAシンセサイザー等の機器を用いることで、核酸を合成してもよい。
本発明におけるRacGAP1の発現を抑制する又は活性を阻害する物質の1つである抗RacGAP1抗体及びその誘導体の例としては、RacGAP1に対する特異抗体、特にRacGAP1に対する中和抗体及びその誘導体等を挙げることができる。上記抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体であり得る。また誘導体は、上記抗体に由来するFab、Fab’、F(ab’)2、scFv又はF(ab’)2等の抗体断片、ダイアボディ(diabody)、dsFv、CDRを含むペプチド等であり得て、さらに他の薬剤と結合した抗体薬物複合体であってもよい。
抗RacGAP1抗体は、好ましくは遺伝子組換え手法で作製されたRacGAP1を抗原として、ウサギ、マウス、ラット等の適当な実験動物を免疫することを含む一般的な抗体作製方法によって調製することができる。
本発明におけるRacGAP1の発現を抑制する又は活性を阻害する物質の別の例は、λ-カラギーナン(本明細書中で単にCGNともいう)である。CGNは、紅藻類から抽出されるD-ガラクトースを繰り返し単位とする硫酸化多糖類の一種である。CGNは、繰り返し単位の中に3つの硫酸基を有する、アンヒドロ-Dガラクトースを含まない、ゲル化しないという特徴を有し、ゲル化剤又は安定化剤として広く利用されているκ-カラギーナン及びι-カラギーナンとは区別される。
本発明におけるCGNは、市販されているものを使用することができる。
RacGAP1の発現抑制は、RacGAP1をコードする遺伝子の塩基配列情報を利用したハイブリダイゼーション、定量的PCRその他の細胞内における特定の遺伝子発現を検出又は定量することのできる一般的な方法により、確認することができる。また、RacGAP1活性の阻害は、ウェスタンブロッティングやプルダウンアッセイその他の、RacGAP1とGTPaseとの結合を検出することのできる一般的な方法、又はGTPase活性を測定すること等により、確認することができる。
放射線治療効果の増強とは、放射線照射と上記RacGAP1の発現を抑制する又は活性を阻害する物質とを組み合わせたときに、がんに対する治療的及び/又はその再発・転移の予防的な効果、例えばがん組織の縮退、転移の抑制、がん細胞の死滅、がん細胞の増殖抑制等が、放射線照射を単独で行ったときよりも上回ることを意味する。
本態様の放射線治療効果増強剤は、放射線照射と組み合わせて使用される。がん患者への放射線治療効果増強剤の投与と放射線照射との順序に特に制限はなく、がん患者への放射線治療効果増強剤の投与は放射線照射の前であっても後であってもよい。好ましくは、放射線治療効果増強剤は、放射線照射後のがん患者、すなわち放射線治療を受けた後のがん患者に対して用いられる。この場合、放射線照射後およそ14日目まで、好ましくは10日目まで、より好ましくは7日目まで、なおより好ましくは5日目までの間に放射線治療効果増強剤を投与することが望ましい。
本態様の放射線治療効果増強剤は、放射線治療と組み合わせて使用される、がんの治療及び/又は予防のための医薬の有効成分として利用することができる。したがって、本発明は、有効量の放射線治療効果増強剤を含む、がんの治療及び/又は予防のための、特にがんの再発又は転移を抑制するための医薬組成物を別の態様として提供する。
本態様の医薬組成物における放射線治療増強剤の有効量は、組み合わされる放射線治療の効果が増強される量、すなわち放射線治療増強剤を放射線照射と組み合わせたときに、がんに対する治療的及び/又は予防的な効果、例えばがん組織の縮退、転移の抑制、がん細胞の死滅、がん細胞の増殖抑制等が、放射線照射を単独で行ったときよりも上回るような量を意味する。有効量は、放射線治療増強剤及び組み合わされる放射線照射の条件、対象の年齢、性別、体重、がんの種類その他の条件等に応じて適宜決定される。
本明細書において用いられる用語「治療」は、がんの治癒、一時的寛解等を目的とする医学的に許容される全てのタイプの治療的介入を包含する。また用語「予防」は、がんの罹患又は発症の防止若しくは抑制等を目的とする医学的に許容される全てのタイプの予防的介入を包含する。すなわち、がんの治療及び/又は予防とは、がんの進行の遅延又は停止、病変の退縮又は消失、発症の予防又は転移若しくは再発の防止等を含む、種々の目的の医学的に許容される介入を包含する。
本態様の医薬組成物は、がんに罹患した又は罹患するおそれのある対象、例えばマウス、ラット、ハムスター、モルモットを含むげっ歯類、ヒト、チンパンジー、アカゲザルを含む霊長類、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジを含む家畜、イヌ、ネコを含む愛玩動物といった哺乳動物に投与される。好ましい対象は、ヒトである。
本態様の医薬組成物により治療及び/又は予防することができるがんは、放射線治療の対象となる任意の種類の固形がんであり得て、例としては、口腔がん、食道がん、胃がん、結腸がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、胆嚢がん、腎臓がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、子宮がん、子宮頸がん、前立腺がん、肉腫、骨肉腫、グリオーマ、メラノーマ等を挙げることができる。また、医薬組成物により治療及び/又は予防することができるがんは、任意のステージのがんであり得る。
本態様の医薬組成物は、上記の有効成分に加えて、有効成分以外の薬物又は緩衝剤、抗酸化剤、保存剤、タンパク質、親水性ポリマー、アミノ酸、キレート化剤、非イオン性界面活性剤、賦形剤、安定化剤、担体等の薬学的に許容される成分を含むことができる。薬学的に許容される成分は当業者において周知であり、当業者が通常の実施能力の範囲内で、例えば第十七改正日本薬局方その他の規格書に記載された成分から製剤の形態に応じて適宜選択して使用することができる。
本態様の医薬組成物の剤形は任意であり、標的部位やがんの種類等に応じて適宜選択することができる。剤形は、経口製剤であっても非経口製剤であってもよいが、非経口製剤である場合は、例えば注射剤、経皮剤、経腸剤、点滴剤等であることができる。また医薬組成物の投与経路は、特に制限されないが、非経口製剤である場合は、例えば血管内投与(好ましくは静脈内投与)、腹腔内投与、腸管内投与、皮下投与、標的部位への局所投与等を挙げることができる。好ましい実施形態の一つにおいて、医薬組成物は、経口投与、静脈内投与又は局所投与により生体に投与される。また、医薬組成物の投与量は、用法、対象の年齢、性別、体重、がんの種類その他の条件等に応じて適宜選択される。
本態様の医薬組成物は、放射線治療と組み合わせて用いるためのものである。「放射線治療と組み合わせて用いる」とは、その必要がある、すなわち放射線照射によるがんの治療が望まれる患者に対して、放射線照射の前及び/又は後に、本態様の医薬組成物を投与することを意味する。
本態様の医薬組成物と組み合わせられる放射線照射の線種としては、X線、ガンマ線、電子線、陽子線、ヘリウム線、炭素イオン線、ネオンイオン線、アルゴンイオン線、シリコンイオン線、負パイ中間子線又は中性子線等を挙げることができる。
本発明において、放射線照射はがんを治療することができる照射条件で行えばよいが、一般に放射線照射が単独で行われる場合と同等であるか、又は放射線量をこれより低くすることができる。単独で行われる場合と同等の放射線照射を行うことで、がんに対するより強力な治療効果が発揮され、より短期間に、又は放射線照射単独では効果が期待できなかった対象において、がんを治療及び/又は予防することができる。また、放射線照射が単独で行われる場合よりも放射線量を低くすることは、がんに対する効果を維持しながら、正常組織へのダメージを減らすことができるという利点を有する。
本態様の医薬組成物において、放射線治療効果増強剤は1種類を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。「放射線治療効果増強剤を組み合わせて用いる」とは、その必要がある、すなわちがんの治療及び/又は予防が望まれる患者に対して、2種以上の放射線治療効果増強剤を一緒に又は別々に、同時に又は逐次的に投与することを意味する。
後に詳述する実施例に示されるように、RacGAP1に対する阻害性核酸及びCGNは、放射線照射を受けたがん細胞におけるRacGAP1の発現を抑制することができる。したがって本発明は、CGNを含むRacGAP1発現抑制剤をさらなる別の態様として提供する。CGNを含むRacGAP1発現抑制剤は、RacGAP1の発現が亢進した細胞において、RacGAP1の発現を抑制することができる。本態様における用語であるRacGAP1及びCGNは、上で説明したとおりである。また、RacGAP1の発現抑制は、RacGAP1をコードする遺伝子の塩基配列情報を利用したハイブリダイゼーション、定量的PCRその他の細胞内における特定の遺伝子発現を検出又は定量することのできる一般的な方法により、確認することができる。
RacGAP1の発現が亢進した細胞の例としては、がん細胞、例えば口腔がん、食道がん、胃がん、結腸がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、胆嚢がん、腎臓がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、子宮がん、子宮頸がん、前立腺がん、肉腫、骨肉腫、グリオーマ、メラノーマ等の細胞を挙げることができる。また、放射線照射はRacGAP1の発現を亢進させることから、放射線照射を受けたがん細胞は、RacGAP1発現抑制剤の好適な対象である。
RacGAP1発現抑制剤は、in vitro又はin vivoの両方において用いることができる。in vitroの場合はRacGAP1発現抑制剤をRacGAP1の発現が亢進した細胞と共存させることによって、例えばRacGAP1発現抑制剤を含む溶液で細胞を処理することによって、またin vivoの場合はRacGAP1の発現が亢進した細胞を有する生体にRacGAP1発現抑制剤を投与することによって、当該細胞におけるRacGAP1の発現を抑制することができる。
放射線照射を受けたがん細胞に対してRacGAP1発現抑制剤が用いられる場合、RacGAP1発現剤での細胞の処理又は生体への投与と、放射線照射との順序に特に制限はなく、RacGAP1発現剤での細胞の処理又は生体への投与は放射線照射の前であっても後であってもよい。好ましくは、RacGAP1発現抑制剤は、放射線照射後のがん細胞に対して用いられる。
好ましい実施形態において、RacGAP1発現抑制剤は、RacGAP1の発現亢進を伴う疾患又は症状の治療及び/又は予防のために用いることができる。このような疾患又は症状の例としては、がん、特に放射線治療後のがんや、浸潤能の高いがん等を挙げることができる。
さらに本発明は、RacGAP1に対する阻害性核酸、抗RacGAP1抗体及びその誘導体並びにCGNよりなる群から選択されるRacGAP1の発現を抑制する又は活性を阻害する物質の有効量を、放射線治療と同時に又は逐次的にがん患者に投与することを含む、がんの治療及び/又はその再発若しくは転移の予防のための方法を、さらなる別の態様として提供する。
加えて本発明は、有効量のCGNを、RacGAP1の発現亢進を伴う疾患又は症状を有する患者に投与することを含む、前記疾患又は症状の治療及び/又は予防のための方法を、さらなる別の態様として提供する。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定さ
れるものではない。
れるものではない。
実験材料及び方法
1)細胞株及び細胞培養
ヒト乳がん細胞株MDA-MD-231、ヒト膵がん細胞株PANC-1、ヒト頭頸部がん細胞株FaDu及びマウス乳がん細胞株4T1は、American Type Culture Collection(ATCC; Manassas)から購入した。MDA-MB-231及びPANC-1は、10%ウシ胎児血清(FBS、HyClone)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、ナカライテスク)中で培養した。FaDuは、10%FBSを含有するイーグル最小必須培地(Sigma-Aldrich)中で培養した。4T1は、10%FBSを含有するRPMI-1640(Sigma-Aldrich)中で培養した。
1)細胞株及び細胞培養
ヒト乳がん細胞株MDA-MD-231、ヒト膵がん細胞株PANC-1、ヒト頭頸部がん細胞株FaDu及びマウス乳がん細胞株4T1は、American Type Culture Collection(ATCC; Manassas)から購入した。MDA-MB-231及びPANC-1は、10%ウシ胎児血清(FBS、HyClone)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、ナカライテスク)中で培養した。FaDuは、10%FBSを含有するイーグル最小必須培地(Sigma-Aldrich)中で培養した。4T1は、10%FBSを含有するRPMI-1640(Sigma-Aldrich)中で培養した。
2)放射線照射(IR処理)
細胞に対するIR処理は、CellRad X線発生装置(Faxitron)を用いて、特に断らない限り照射量が4 Gyとなるように130kVのX線を照射することで行った。マウスに対するIR処理は、X線発生装置(HITACHI)を用いて、特に断らない限り照射量が2 Gyとなるように125kVのX線をマウス腫瘍部に照射することで行った。
細胞に対するIR処理は、CellRad X線発生装置(Faxitron)を用いて、特に断らない限り照射量が4 Gyとなるように130kVのX線を照射することで行った。マウスに対するIR処理は、X線発生装置(HITACHI)を用いて、特に断らない限り照射量が2 Gyとなるように125kVのX線をマウス腫瘍部に照射することで行った。
3)CGN処理
λ-カラギーナン(plant mucopolysaccharide, Cat#: 22049, Sigma-Aldrich: CGN)は、10 mg/mlとなるようにMilli-Q水に溶解し、0.45μmフィルター(Advantec)で濾過したものを使用した。細胞に対するCGN処理は、2.5 mg/mlのCGN水溶液中で細胞を24時間インキュベートすることで行った。
λ-カラギーナン(plant mucopolysaccharide, Cat#: 22049, Sigma-Aldrich: CGN)は、10 mg/mlとなるようにMilli-Q水に溶解し、0.45μmフィルター(Advantec)で濾過したものを使用した。細胞に対するCGN処理は、2.5 mg/mlのCGN水溶液中で細胞を24時間インキュベートすることで行った。
4)細胞生存率のアッセイ
細胞生存率及び細胞毒性は、トリパンブルー排除法による細胞計数及びヨウ化プロピジウム(PI)染色後のフローサイトメトリーにより試験した。
細胞生存率及び細胞毒性は、トリパンブルー排除法による細胞計数及びヨウ化プロピジウム(PI)染色後のフローサイトメトリーにより試験した。
5)アポトーシス分析
アネキシンV染色は、Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(Abcam)を用いて行った。1×105以上の細胞を500μlの結合バッファーに懸濁し、アネキシンV-FITC又はPIと共に暗所で常温で5分間インキュベートした後、FACSAria IIIフローサイトメーター(BD Biosciences)を用いてFITC又はPI陽性細胞を分析した。また、カスパーゼ活性は、Caspase-3, Caspase-8, and Caspase-9 Multiplex Activity Assay Kit(Abcam)を用いて測定した。簡単に説明すると、細胞を96ウェルプレートに2×104細胞/100μL FACSバッファー(PBS中2% FBS)で播種し、37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。マイクロプレートリーダー(CLARIOstar)を用いて、カスパーゼ-3活性を励起(Ex)/発光(Em)=535/620 nmの蛍光で、カスパーゼ-8活性をEx/Em=490/525 nmの蛍光で、及びカスパーゼ-9活性をEx/Em=370/450nmの蛍光でモニターした。
アネキシンV染色は、Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(Abcam)を用いて行った。1×105以上の細胞を500μlの結合バッファーに懸濁し、アネキシンV-FITC又はPIと共に暗所で常温で5分間インキュベートした後、FACSAria IIIフローサイトメーター(BD Biosciences)を用いてFITC又はPI陽性細胞を分析した。また、カスパーゼ活性は、Caspase-3, Caspase-8, and Caspase-9 Multiplex Activity Assay Kit(Abcam)を用いて測定した。簡単に説明すると、細胞を96ウェルプレートに2×104細胞/100μL FACSバッファー(PBS中2% FBS)で播種し、37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。マイクロプレートリーダー(CLARIOstar)を用いて、カスパーゼ-3活性を励起(Ex)/発光(Em)=535/620 nmの蛍光で、カスパーゼ-8活性をEx/Em=490/525 nmの蛍光で、及びカスパーゼ-9活性をEx/Em=370/450nmの蛍光でモニターした。
6)ROS検出アッセイ
細胞中のROSレベルを、Cellular ROS Detection Assay Kit(Abcam)を用いて測定した。簡単に説明すると、細胞を20μMのジクロロフルオレセインジアセテート(DCFDA)で37℃で30分間染色し、FACSAria IIIフローサイトメーターを用いてDCFDA陽性細胞を分析した。
細胞中のROSレベルを、Cellular ROS Detection Assay Kit(Abcam)を用いて測定した。簡単に説明すると、細胞を20μMのジクロロフルオレセインジアセテート(DCFDA)で37℃で30分間染色し、FACSAria IIIフローサイトメーターを用いてDCFDA陽性細胞を分析した。
7)DNA含量及び倍数性解析
細胞ペレットに70%エタノールをゆっくりと添加した後、-80℃で一晩保存した。遠心分離し、冷PBSで2回洗浄した後、細胞を300μLの染色溶液(10mlのPBS中、0.1%(v/v)のTriton X-100、2mgのRNase A(NIPPON GENE)、400μLの500μg/mLのPI(Setareh Biotech)を含む)に再懸濁した。37℃で15分間インキュベートした後、FACSAria IIIフローサイトメーターで分析した。
細胞ペレットに70%エタノールをゆっくりと添加した後、-80℃で一晩保存した。遠心分離し、冷PBSで2回洗浄した後、細胞を300μLの染色溶液(10mlのPBS中、0.1%(v/v)のTriton X-100、2mgのRNase A(NIPPON GENE)、400μLの500μg/mLのPI(Setareh Biotech)を含む)に再懸濁した。37℃で15分間インキュベートした後、FACSAria IIIフローサイトメーターで分析した。
8)免疫蛍光染色
細胞を4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で固定し、0.2% Triton X-100/PBSで透過処理し、次いでPBSで洗浄した。倍数性を調べるため、細胞をブロッキング後、αチューブリン抗体(Cell Signaling Technology)と共にインキュベートし、PBSで洗浄した後、Alexa Fluor二次抗体と共にインキュベートした。細胞核をPIで対比染色した。RacGAP1局在のイメージングのため、細胞を抗RacGAP1抗体(Abcam)、αチューブリン抗体及びDAPIで染色し、Leica True Confocal Scanning(TCS)SP8顕微鏡システム(Leica Microsystems)を用いて蛍光画像を取得した。
細胞を4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で固定し、0.2% Triton X-100/PBSで透過処理し、次いでPBSで洗浄した。倍数性を調べるため、細胞をブロッキング後、αチューブリン抗体(Cell Signaling Technology)と共にインキュベートし、PBSで洗浄した後、Alexa Fluor二次抗体と共にインキュベートした。細胞核をPIで対比染色した。RacGAP1局在のイメージングのため、細胞を抗RacGAP1抗体(Abcam)、αチューブリン抗体及びDAPIで染色し、Leica True Confocal Scanning(TCS)SP8顕微鏡システム(Leica Microsystems)を用いて蛍光画像を取得した。
9)マトリゲル浸潤アッセイ
Biocoat Matrigel invasion chamber(Corning)又はMatrigel Growth Factor Reduced (GFR) Basement Membrane Matrix(Corning)でコーティングされたMillicell Hanging Cell Culture Insert, PET 8μm, 24-well(Millipore)を用いて、Matrigel浸潤アッセイを行った。Millicellインサートのコーティングのため、400μg/mlのMatrigelを含む100μlの無血清培地をMillicellインサートチャンバーのメンブレン上に均等に分配し、続いて37℃で少なくとも2時間インキュベートした。浸潤アッセイの際、0.1% BSAを含むDMEMに懸濁した細胞を上部チャンバーに播種し、下部ウェルを10% FBSを含むDMEMで満たした。8時間インキュベートした後、メンブレンの下面に移動した細胞を4% PFAで固定し、1%クリスタルバイオレットで染色し、浸潤細胞の数を計数した。4回の独立した実験からデータを収集し、未処理群の結果に対して正規化した。
Biocoat Matrigel invasion chamber(Corning)又はMatrigel Growth Factor Reduced (GFR) Basement Membrane Matrix(Corning)でコーティングされたMillicell Hanging Cell Culture Insert, PET 8μm, 24-well(Millipore)を用いて、Matrigel浸潤アッセイを行った。Millicellインサートのコーティングのため、400μg/mlのMatrigelを含む100μlの無血清培地をMillicellインサートチャンバーのメンブレン上に均等に分配し、続いて37℃で少なくとも2時間インキュベートした。浸潤アッセイの際、0.1% BSAを含むDMEMに懸濁した細胞を上部チャンバーに播種し、下部ウェルを10% FBSを含むDMEMで満たした。8時間インキュベートした後、メンブレンの下面に移動した細胞を4% PFAで固定し、1%クリスタルバイオレットで染色し、浸潤細胞の数を計数した。4回の独立した実験からデータを収集し、未処理群の結果に対して正規化した。
10)ウエスタンブロッティング
細胞溶解物をSDS-PAGE又はNu-PAGE Bis-Tris Protein Gels(Thermo Fisher Scientific)によって分離し、PVDFメンブレン(Merck Millipore)にトランスファーし、次いでOdyssey(登録商標)ブロッキングバッファー(LI-COR Biosciences)でブロッキングした。メンブレンを一次抗体である抗RacGAP1抗体(Proteintech)又は抗β又アクチン抗体(Abcam)とインキュベートし、次いでTris緩衝生理食塩水Tween-20(TBST)で洗浄した。メンブレンを二次抗体とインキュベートし、次いでTBSTで洗浄した。シグナルはOdyssey CLx Imager(LI-COR Biosciences)で検出した。
細胞溶解物をSDS-PAGE又はNu-PAGE Bis-Tris Protein Gels(Thermo Fisher Scientific)によって分離し、PVDFメンブレン(Merck Millipore)にトランスファーし、次いでOdyssey(登録商標)ブロッキングバッファー(LI-COR Biosciences)でブロッキングした。メンブレンを一次抗体である抗RacGAP1抗体(Proteintech)又は抗β又アクチン抗体(Abcam)とインキュベートし、次いでTris緩衝生理食塩水Tween-20(TBST)で洗浄した。メンブレンを二次抗体とインキュベートし、次いでTBSTで洗浄した。シグナルはOdyssey CLx Imager(LI-COR Biosciences)で検出した。
11)マイクロアレイ解析
IR+CGN組み合わせ処理後のMDA-MB-231細胞から、NucleoSpin(登録商標)RNAキット(MACHEREY-NAGEL)を用いてtotal RNAを分離した。高感度3D-Gene(登録商標) Human oligo chip 25k ver 2.10(TORAY)を用いてマイクロアレイ解析を行い、TORAYに解析を依頼してデータの正規化及び解析を行った。グローバルノーマライゼーション後の遺伝子発現値が100未満のものを除外した。
IR+CGN組み合わせ処理後のMDA-MB-231細胞から、NucleoSpin(登録商標)RNAキット(MACHEREY-NAGEL)を用いてtotal RNAを分離した。高感度3D-Gene(登録商標) Human oligo chip 25k ver 2.10(TORAY)を用いてマイクロアレイ解析を行い、TORAYに解析を依頼してデータの正規化及び解析を行った。グローバルノーマライゼーション後の遺伝子発現値が100未満のものを除外した。
12)siRNAを用いたRacGAP1のノックダウン
下記の配列のsiRNA二本鎖(北海道システムサイエンス)をLipofectamine RNAiMAX(Thermo Fisher Scientific)を用いてがん細胞にトランスフェクトし、RacGAP1のノックダウンを行った。
Negative Control:
5'-GUUUAUGAGUAAGUAAGAAGAdTdT-3'(センス鎖) 配列番号1
5'-UCUUAACUUGUCAAUAAACdTdT-3'(アンチセンス鎖) 配列番号2
siRacGAP1 #1:
5'-CAGGUGGAUGUAGAGAUCAAAdTdT-3'(センス鎖) 配列番号3
5'-UUUGAUCUCUACAUCCACCUGdTdT-3'(アンチセンス鎖) 配列番号4
siRacGAP1 #2:
5'-CUAGGACGACAAGGCAACUUUdTdT-3'(センス鎖) 配列番号5
5'-AAAGUUGCCUUGUCGUCCUAGdTdT-3'(アンチセンス鎖) 配列番号6
下記の配列のsiRNA二本鎖(北海道システムサイエンス)をLipofectamine RNAiMAX(Thermo Fisher Scientific)を用いてがん細胞にトランスフェクトし、RacGAP1のノックダウンを行った。
Negative Control:
5'-GUUUAUGAGUAAGUAAGAAGAdTdT-3'(センス鎖) 配列番号1
5'-UCUUAACUUGUCAAUAAACdTdT-3'(アンチセンス鎖) 配列番号2
siRacGAP1 #1:
5'-CAGGUGGAUGUAGAGAUCAAAdTdT-3'(センス鎖) 配列番号3
5'-UUUGAUCUCUACAUCCACCUGdTdT-3'(アンチセンス鎖) 配列番号4
siRacGAP1 #2:
5'-CUAGGACGACAAGGCAACUUUdTdT-3'(センス鎖) 配列番号5
5'-AAAGUUGCCUUGUCGUCCUAGdTdT-3'(アンチセンス鎖) 配列番号6
13)RacGAP1の過剰発現
RacGAP1のcDNAを、MDA-MB-231細胞の1st strand cDNAからPCRによって得た。RacGAP1 cDNAをmVenus N1ベクターにサブクローニングし、続いてPiggyBacトランスポゾンベースのドキシサイクリン誘導性ベクターであるpPB-TRE3G-MCS-CEHrtTA3-IPにサブクローニングした(Onodera Y. et al., Nat Commun 2018; 91: 2682.)。得られたRacGAP1-mVenusプラスミド及び高活性PiggyBacトランスポザーゼベクターをViaFect Transfection Reagent(Promega)を用いてMDA-MB-231細胞にトランスフェクトし、ピューロマイシンにより選択した。200 ng/mlのドキシサイクリンの添加によってRacGAP1-mVenusの発現を誘導した。
RacGAP1のcDNAを、MDA-MB-231細胞の1st strand cDNAからPCRによって得た。RacGAP1 cDNAをmVenus N1ベクターにサブクローニングし、続いてPiggyBacトランスポゾンベースのドキシサイクリン誘導性ベクターであるpPB-TRE3G-MCS-CEHrtTA3-IPにサブクローニングした(Onodera Y. et al., Nat Commun 2018; 91: 2682.)。得られたRacGAP1-mVenusプラスミド及び高活性PiggyBacトランスポザーゼベクターをViaFect Transfection Reagent(Promega)を用いてMDA-MB-231細胞にトランスフェクトし、ピューロマイシンにより選択した。200 ng/mlのドキシサイクリンの添加によってRacGAP1-mVenusの発現を誘導した。
14)in vivo評価
1×価v6個の4T1細胞/100μL PBSを6週齢のBalb/cマウスの左大腿に皮下注射して4T1異種移植片モデルマウスを作製した。4T1細胞接種後10日目から、マウス腫瘍に対して1日1回、4日間、麻酔下でIR処理した。最初の照射の1週間後に、腫瘍内注射により50 mg/kgのCGN又はPBSを3回投与して、IR+CGN組み合わせ処理とした。放射線照射後1日目に測定した腫瘍サイズを基にして、各放射線照射後の腫瘍サイズを標準化した。動物実験はすべて、北海道大学の動物実験委員会の承認を受けた。
1×価v6個の4T1細胞/100μL PBSを6週齢のBalb/cマウスの左大腿に皮下注射して4T1異種移植片モデルマウスを作製した。4T1細胞接種後10日目から、マウス腫瘍に対して1日1回、4日間、麻酔下でIR処理した。最初の照射の1週間後に、腫瘍内注射により50 mg/kgのCGN又はPBSを3回投与して、IR+CGN組み合わせ処理とした。放射線照射後1日目に測定した腫瘍サイズを基にして、各放射線照射後の腫瘍サイズを標準化した。動物実験はすべて、北海道大学の動物実験委員会の承認を受けた。
15)免疫組織染色
腫瘍組織を採取し、4%PFA溶液に置いて24時間固定し、エタノール勾配で脱水し、パラフィンブロックに包埋した。パラフィンブロックを4μmの切片に切断して顕微鏡スライド上に載せた。抗原回復のために、腫瘍切片のスライドを抗原アンマスキング溶液(Vector Laboratories)中で80℃で1時間インキュベートした。内因性ペルオキシダーゼ活性を10%メタノール中の3%H2O2を用いてクエンチした。各スライドを2%ブロッキングバッファー(Roche)中で1時間インキュベートし、次いで抗RacGAP1一次抗体(Proteintech)と共に一晩インキュベートした。Super Sensitive IHC Detection Systems(BioGenex)を用いてシグナルを増幅した。切片をホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)二次抗体で染色した。2回の洗浄後、スライドをヘマトキシリン(Muto Pure Chemicals)で対比染色した。陽性染色は次式を用いてスコア化した。
(r3/t)×3+(r2/t)×2+(r1/t)×1
ここで、tは全腫瘍切片の腫瘍組織の総面積、r3は高強度染色(強度3)の総面積、r2は中強度染色(強度2)の総面積、r1は弱強度染色(強度1)の総面積である。
腫瘍組織を採取し、4%PFA溶液に置いて24時間固定し、エタノール勾配で脱水し、パラフィンブロックに包埋した。パラフィンブロックを4μmの切片に切断して顕微鏡スライド上に載せた。抗原回復のために、腫瘍切片のスライドを抗原アンマスキング溶液(Vector Laboratories)中で80℃で1時間インキュベートした。内因性ペルオキシダーゼ活性を10%メタノール中の3%H2O2を用いてクエンチした。各スライドを2%ブロッキングバッファー(Roche)中で1時間インキュベートし、次いで抗RacGAP1一次抗体(Proteintech)と共に一晩インキュベートした。Super Sensitive IHC Detection Systems(BioGenex)を用いてシグナルを増幅した。切片をホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)二次抗体で染色した。2回の洗浄後、スライドをヘマトキシリン(Muto Pure Chemicals)で対比染色した。陽性染色は次式を用いてスコア化した。
(r3/t)×3+(r2/t)×2+(r1/t)×1
ここで、tは全腫瘍切片の腫瘍組織の総面積、r3は高強度染色(強度3)の総面積、r2は中強度染色(強度2)の総面積、r1は弱強度染色(強度1)の総面積である。
16)統計解析
すべてのin vitro試験の結果は、少なくとも3回の独立した実験によって確認した。データは両側Student t検定により解析した。グラフは平均値±平均値標準誤差(SEM)として示す。in vivo実験(各群n>5)では、データセットの正規性をKolmogorov-Smirnov検定で調べた(p>0.05で正規分布)。F検定により分散の均一性を判定後、統計的有意性は、均一分散の場合は両側t検定で、不均一分散の場合はWelchのt検定で調べた。非正規分布のデータについては、F検定で均一分散を確認した後、Mann-Whitney検定で統計的有意性を調べた。グラフは散布図で示す。有意差は*P < 0.05、**P < 0.01、***P < 0.001、有意でない場合はn.sで示す。
すべてのin vitro試験の結果は、少なくとも3回の独立した実験によって確認した。データは両側Student t検定により解析した。グラフは平均値±平均値標準誤差(SEM)として示す。in vivo実験(各群n>5)では、データセットの正規性をKolmogorov-Smirnov検定で調べた(p>0.05で正規分布)。F検定により分散の均一性を判定後、統計的有意性は、均一分散の場合は両側t検定で、不均一分散の場合はWelchのt検定で調べた。非正規分布のデータについては、F検定で均一分散を確認した後、Mann-Whitney検定で統計的有意性を調べた。グラフは散布図で示す。有意差は*P < 0.05、**P < 0.01、***P < 0.001、有意でない場合はn.sで示す。
実施例1 がん細胞に対するIRとCGN又はRacGAP1ノックダウンとの組み合わせ処理
1)細胞生存率
MDA-MB-231細胞、FaDu細胞、PANC-1細胞及び4T1細胞をIR処理し、その24時間後にCGN処理した(IR+CGN組み合わせ処理)。比較のため、IR処理とCGNに代えて水での処理とを行った細胞(IR単独処理)、IR処理を行わずにCGN処理のみを行った細胞(CGN単独処理)、及びIR処理を行わずCGNに代えて水での処理を行った細胞(未処理)を用意した。IR処理から72時間後に各細胞の生存率及びアポトーシスを評価した。
1)細胞生存率
MDA-MB-231細胞、FaDu細胞、PANC-1細胞及び4T1細胞をIR処理し、その24時間後にCGN処理した(IR+CGN組み合わせ処理)。比較のため、IR処理とCGNに代えて水での処理とを行った細胞(IR単独処理)、IR処理を行わずにCGN処理のみを行った細胞(CGN単独処理)、及びIR処理を行わずCGNに代えて水での処理を行った細胞(未処理)を用意した。IR処理から72時間後に各細胞の生存率及びアポトーシスを評価した。
いずれのがん細胞株においても、細胞生存率は、IR単独処理と比較してIR+CGN組み合わせ処理により有意に低下した(図1A)。また、後期アポトーシスを表すPI陽性細胞(図1B)及び初期アポトーシスを表すアネキシンV陽性細胞(図1C)は、IR単独処理と比較してIR+CGN組み合わせ処理により有意に増加した。これらの結果は、IR+CGN組み合わせ処理が、アポトーシス細胞死の誘導によりがん細胞の生存率を低下させることを示す。
2)細胞死
上記1)と同様に、MDA-MB-231細胞にIR処理及び/又はCGN処理を行い、IR処理から72時間後にアポトーシス関連細胞死及び分裂期細胞死(mitotic catastrophe)を評価した。IR単独処理と比較して、IR+CGN組み合わせ処理により細胞内ROSレベルの上昇(図2A)、カスパーゼ-3活性及びカスパーゼ-8活性の上昇(図2B)が確認された。高レベルのROSはアポトーシスの重要なタンパク質であるカスパーゼ-3及びカスパーゼ-8を活性化することが知られていることから、上記の結果は、IR+CGN組み合わせ処理によってアポトーシス関連細胞死が効率的に誘導されることを示す。
上記1)と同様に、MDA-MB-231細胞にIR処理及び/又はCGN処理を行い、IR処理から72時間後にアポトーシス関連細胞死及び分裂期細胞死(mitotic catastrophe)を評価した。IR単独処理と比較して、IR+CGN組み合わせ処理により細胞内ROSレベルの上昇(図2A)、カスパーゼ-3活性及びカスパーゼ-8活性の上昇(図2B)が確認された。高レベルのROSはアポトーシスの重要なタンパク質であるカスパーゼ-3及びカスパーゼ-8を活性化することが知られていることから、上記の結果は、IR+CGN組み合わせ処理によってアポトーシス関連細胞死が効率的に誘導されることを示す。
また、IR単独処理、IR+CGN組み合わせ処理のいずれにおいても、共焦点蛍光顕微鏡下で異常な倍数体巨細胞(polyploid giant cells)が観察された(図2C中の矢印で示す細胞)。倍数体細胞の割合は、未処理が5.6 ± 2.7%、CGN単独処理が12.9 ±1.7%、IR単独処理が17.6±3.3%、IR+CGN組み合わせ処理が26.1 ±1.9%であり、IR+CGN組み合わせ処理による有意な増加がみられた(図2D)。倍数体細胞は分裂期細胞死が増加した結果であると理解されていることから、上記のデータは、IR+CGN組み合わせ処理が有糸分裂関連細胞死を増強し得ることを示す。
3)浸潤能
上記1)と同様に、MDA-MB-231細胞及び4T1細胞にIR処理及び/又はCGN処理を行い、IR処理から72時間後にマトリゲル浸潤アッセイに供して浸潤能を評価した。いずれのがん細胞株においても、IR単独処理による浸潤細胞数の増加、及びIR+CGN組み合わせ処理による浸潤細胞数の減少が認められた(図3A、B)。がん細胞の浸潤能に対するCGN処理の効果をさらに確認するために、上記のIR処理及び/又はCGN処理を施した細胞を、3DラミニンリッチECM(lrECM)培養(Lee GY. et al., Nat Methods 2007; 44: 359-65.、Debnath J. et al., Nat Rev Cancer 2005; 59: 675-88.)に供した。3D lrECM培養は、非悪性又はがん性の乳房上皮細胞について形態形成及び発がん性の生理学的関連性を評価するための一般的な方法である。図3Cに示すように、未処理のMDA-MB-231細胞は3D lrECM培養において星状突起を伴う浸潤的増殖を示す一方、IR+CGN組み合わせ処理を受けた細胞では突起形成が抑制された。これらの結果は、IR単独処理は生き残ったがん細胞の浸潤能を向上させる一方で、IR+CGN組み合わせ処理は生き残ったがん細胞の浸潤能を大きく低下させることを示す。
上記1)と同様に、MDA-MB-231細胞及び4T1細胞にIR処理及び/又はCGN処理を行い、IR処理から72時間後にマトリゲル浸潤アッセイに供して浸潤能を評価した。いずれのがん細胞株においても、IR単独処理による浸潤細胞数の増加、及びIR+CGN組み合わせ処理による浸潤細胞数の減少が認められた(図3A、B)。がん細胞の浸潤能に対するCGN処理の効果をさらに確認するために、上記のIR処理及び/又はCGN処理を施した細胞を、3DラミニンリッチECM(lrECM)培養(Lee GY. et al., Nat Methods 2007; 44: 359-65.、Debnath J. et al., Nat Rev Cancer 2005; 59: 675-88.)に供した。3D lrECM培養は、非悪性又はがん性の乳房上皮細胞について形態形成及び発がん性の生理学的関連性を評価するための一般的な方法である。図3Cに示すように、未処理のMDA-MB-231細胞は3D lrECM培養において星状突起を伴う浸潤的増殖を示す一方、IR+CGN組み合わせ処理を受けた細胞では突起形成が抑制された。これらの結果は、IR単独処理は生き残ったがん細胞の浸潤能を向上させる一方で、IR+CGN組み合わせ処理は生き残ったがん細胞の浸潤能を大きく低下させることを示す。
4)RacGAP1の細胞内発現とCGN又はsiRNAによるその抑制
上記1)と同様に、MDA-MB-231細胞にIR処理及び/又はCGN処理を行い、IR処理から72時間後にtotal RNAを分離し、遺伝子発現をマイクロアレイにより解析した。RacGAP1の遺伝子発現は、IR処理により増加し、その後のCGN処理により抑制された(図4A)。また、上記処理後の細胞をウェスタンブロッティングにより解析したところ、RacGAP1タンパク質の発現は遺伝子発現と同様の傾向を示すことが確認された(図5B)。さらに、上記処理後の細胞を免疫蛍光法により解析したところ、RacGAP1タンパク質は主に核に局在し、その発現量はIR処理により増加し、その後のCGN処理により抑制されることが確認された(図5C)。
上記1)と同様に、MDA-MB-231細胞にIR処理及び/又はCGN処理を行い、IR処理から72時間後にtotal RNAを分離し、遺伝子発現をマイクロアレイにより解析した。RacGAP1の遺伝子発現は、IR処理により増加し、その後のCGN処理により抑制された(図4A)。また、上記処理後の細胞をウェスタンブロッティングにより解析したところ、RacGAP1タンパク質の発現は遺伝子発現と同様の傾向を示すことが確認された(図5B)。さらに、上記処理後の細胞を免疫蛍光法により解析したところ、RacGAP1タンパク質は主に核に局在し、その発現量はIR処理により増加し、その後のCGN処理により抑制されることが確認された(図5C)。
MDA-MB-231細胞、FaDu細胞、PANC-1細胞及び4T1細胞を最大で8 GyまでのX線でIR処理し、IR処理から72時間後の細胞をウェスタンブロッティングにより解析したところ、いずれのがん細胞株においてもIR処理によるRacGAP1タンパク質の発現亢進が認められた(図4B)。また、MDA-MB-231細胞を0.5 mg/ml又は2.5 mg/mlのCGN溶液中で24時間インキュベートした後、ウェスタンブロッティングにより解析したところ、CGN濃度依存的なRacGAP1タンパク質の発現抑制が認められた(図5A)。
次に、MDA-MB-231細胞にRacGAP1に対するsiRNAを導入し、48時間インキュベートした後にIR処理し、IR処理から24時間後に上記1)から3)と同様の評価を行った。RacGAP1タンパク質の発現はRacGAP1 siRNAの導入により抑制され、IR処理後の発現増加も確認されなかった(図4C)。また、RacGAP1 siRNAを導入したMDA-MB-231細胞は、control siRNAを導入したMDA-MB-231細胞と比較して、IR処理による生存率の低下(図4D)、アポトーシス細胞の増加(図4E)、ROSレベルの上昇(図4F)及び倍数体細胞の増加(図4G)を示し、さらにはIR処理誘導性の浸潤能亢進の抑制(図4H)を示した。これらの結果は、RacGAP1の発現抑制によりがん細胞に対するIR処理の効果が増強されることを示す。
5)RacGAP1の過剰発現
ドキシサイクリン誘導性RacGAP1過剰発現システムを導入したMDA-MB-231細胞を、ドキシサイクリン誘導又は非誘導下で、上記1)と同様にIR処理及び/又はCGN処理を行い、IR処理から72時間後に細胞生存率を測定した。ドキシサイクリンによる誘導は、導入されたRacGAP1を発現させ(図5D)、CGN単独処理及びIR+CGN組み合わせ処理による細胞生存率の低下を有意に抑制した(図5E)。
ドキシサイクリン誘導性RacGAP1過剰発現システムを導入したMDA-MB-231細胞を、ドキシサイクリン誘導又は非誘導下で、上記1)と同様にIR処理及び/又はCGN処理を行い、IR処理から72時間後に細胞生存率を測定した。ドキシサイクリンによる誘導は、導入されたRacGAP1を発現させ(図5D)、CGN単独処理及びIR+CGN組み合わせ処理による細胞生存率の低下を有意に抑制した(図5E)。
実施例2 がん移植モデルマウスにおけるIRとCGNとの組み合わせ処理
4T1異種移植片モデルマウスを用いて、図6Aに示されるスケジュールでインビボ評価を行った。具体的には、4T1細胞を移植したマウスを未処理群(PBS投与のみ)、IR単独処理群(移植後12〜15日目にIR処理、18、20、22日目にPBS投与)、CGN単独処理群(移植後18、20、22日目にCGN投与)、IR+CGN組み合わせ処理群(移植後12〜15日目にIR処理、18、20、22日目にCGN投与)の4群(n>5)に分けてそれぞれ対応する処理を行い、腫瘍サイズを経時的に測定した。移植後25日目にマウスを屠殺して肺及び移植腫瘍を採取した。肺組織の切片をH&E染色し、肺組織内の転移性小瘤を計数した。また、移植腫瘍組織の切片を抗RacGAP1抗体を用いて免疫組織染色し、画像解析によりRacGAP1スコアを算出した。
4T1異種移植片モデルマウスを用いて、図6Aに示されるスケジュールでインビボ評価を行った。具体的には、4T1細胞を移植したマウスを未処理群(PBS投与のみ)、IR単独処理群(移植後12〜15日目にIR処理、18、20、22日目にPBS投与)、CGN単独処理群(移植後18、20、22日目にCGN投与)、IR+CGN組み合わせ処理群(移植後12〜15日目にIR処理、18、20、22日目にCGN投与)の4群(n>5)に分けてそれぞれ対応する処理を行い、腫瘍サイズを経時的に測定した。移植後25日目にマウスを屠殺して肺及び移植腫瘍を採取した。肺組織の切片をH&E染色し、肺組織内の転移性小瘤を計数した。また、移植腫瘍組織の切片を抗RacGAP1抗体を用いて免疫組織染色し、画像解析によりRacGAP1スコアを算出した。
IR単独処理群及びCGN単独処理群の腫瘍サイズ推移及び移植後25日目時点の腫瘍サイズは、未処理群のそれと大きな差がなかった一方、IR+CGN組み合わせ処理群では腫瘍増殖が抑制され、移植後25日目時点の腫瘍サイズは他の群のそれよりも小さいものであった(図6B、図6C)。また、肺組織内の転移性小瘤(図6D中に矢印で示す)も、IR単独処理群及びCGN単独処理群では未処理群と同等に観察された一方、IR+CGN組み合わせ処理群では他の群のそれよりも少なかった(図6D)。腫瘍組織内のRacGAP1スコアは、IR単独処理群及びCGN単独処理群と比較して、IR+CGN組み合わせ処理群において抑制された(図6E)。これらの結果は、IR+CGN組み合わせ処理は、IR単独処理及びCGN単独処理と比較して、原発腫瘍増殖を抑制し、また肺への遠隔転移を抑制し得ることを示す。
実施例3 IR+CGNの逐次処理と同時処理との比較
実施例1の1)と同様に、MDA-MB-231細胞にIR処理及びCGN処理を行った(逐次処理)。また、別のMDA-MB-231細胞にIR処理とCGN処理とを同時に行った(同時処理)。逐次処理、同時処理のそれぞれについて、IR処理とCGNに代えて水での処理とを行った細胞(IR単独処理)、IR処理を行わずにCGN処理のみを行った細胞(CGN単独処理)、及びIR処理を行わずCGNに代えて水での処理を行った細胞(未処理)を用意した。IR処理から72時間後に各細胞の生存率を測定した。
実施例1の1)と同様に、MDA-MB-231細胞にIR処理及びCGN処理を行った(逐次処理)。また、別のMDA-MB-231細胞にIR処理とCGN処理とを同時に行った(同時処理)。逐次処理、同時処理のそれぞれについて、IR処理とCGNに代えて水での処理とを行った細胞(IR単独処理)、IR処理を行わずにCGN処理のみを行った細胞(CGN単独処理)、及びIR処理を行わずCGNに代えて水での処理を行った細胞(未処理)を用意した。IR処理から72時間後に各細胞の生存率を測定した。
結果を図7に示す。逐次処理、同時処理のいずれの場合も、IR+CGN組み合わせ処理は、IR単独処理及びCGN単独処理よりも細胞生存率を低下させた。細胞生存率の低下の程度は、IR単独処理と比較して逐次的なIR+CGN組み合わせ処理で59%、同時のIR+CGN組み合わせ処理で46%であり、がん細胞の生存率を低下させるには、逐次的なIR+CGN処理、すなわちIR処理の後にCGN処理を行うことがより有効であることが確認された。
配列番号1 ネガティブコントロール用センス鎖オリゴヌクレオチド
配列番号2 ネガティブコントロール用アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド
配列番号3 RacGAP1ノックダウン用センス鎖オリゴヌクレオチド#1
配列番号4 RacGAP1ノックダウン用アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド#1
配列番号5 RacGAP1ノックダウン用センス鎖オリゴヌクレオチド#2
配列番号6 RacGAP1ノックダウン用アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド#2
配列番号2 ネガティブコントロール用アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド
配列番号3 RacGAP1ノックダウン用センス鎖オリゴヌクレオチド#1
配列番号4 RacGAP1ノックダウン用アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド#1
配列番号5 RacGAP1ノックダウン用センス鎖オリゴヌクレオチド#2
配列番号6 RacGAP1ノックダウン用アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド#2
Claims (6)
- Rac GTPase活性化タンパク質1(RacGAP1)に対する阻害性核酸、抗RacGAP1抗体及びその誘導体並びにλ-カラギーナンよりなる群から選択されるRacGAP1の発現を抑制する又は活性を阻害する物質を含む、放射線治療効果増強剤。
- 放射線治療を受けた後のがん患者に対して用いるための、請求項1に記載の増強剤。
- λ-カラギーナンを含む、RacGAP1発現抑制剤。
- がん細胞におけるRacGAP1の発現を抑制するための、請求項3に記載の発現抑制剤。
- 放射線照射を受けたがん細胞におけるRacGAP1の発現を抑制するための、請求項4に記載の発現抑制剤。
- 放射線照射を受けた後のがん細胞に対して用いるための、請求項5に記載の発現抑制剤。
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JP (1) | JP2021031389A (ja) |
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2019
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