JP2021028203A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動操舵中に運転者により操舵介入が行われても軽い操舵介入で違和感の無い手動操舵を実現し、運転者による緊急操舵時の安全性をより確保した、アシスト制御と舵角制御を両立した電動パワーステアリング装置を提供する。【解決手段】舵角制御のための舵角制御電流指令値を演算する舵角制御部を備え、舵角制御部は、基本舵角速度指令値を演算する位置制御部と、補償舵角速度指令値を求める操舵介入補償部と、基本舵角速度指令値と補償舵角速度指令値とに基づき舵角速度指令値を演算する舵角速度指令値演算部と、舵角速度指令値と実操舵角速度とに基づき基本舵角制御電流指令値を演算する舵角速度制御部と、モータの回転速度にハイパスフィルタにてフィルタ処理を施すことで安定化補償電流指令値を求める安定化補償部と、安定化補償電流指令値と基本舵角制御電流指令値とに基づき舵角制御電流指令値を演算する舵角制御電流指令値演算部とを備える。【選択図】図7
Description
本発明は、電流指令値に基づくモータの駆動制御によって操舵系に対してアシスト制御及び舵角制御を行うことにより、自動操舵も可能とする電動パワーステアリング装置に関し、特に自動操舵中に運転者により操舵介入が行われても、安全で且つ違和感の低減が可能な電動パワーステアリング装置に関する。
近年、車両の自動運転技術の研究開発が進められており、その中の自動操舵において、電動パワーステアリング装置(EPS)を応用する提案がなされている。EPSにより自動操舵を実現する場合、従来のEPSが実行しているアシスト制御のための機構と、車両が所望の方向に走行するように操舵系を制御する舵角制御のための機構とを独立して保有し、これらの出力を調整可能とする構成が一般的となっている。また、舵角制御では、操舵角の制御目標である舵角指令に対する応答性及び路面反力等に対する外乱抑圧性で優れた性能をもつ位置速度制御が用いられており、例えば、位置制御ではP(比例)制御、速度制御ではPI(比例積分)制御が採用されている。
アシスト制御と舵角制御を独立して実行し、双方からの出力である指令値を切り換えて全体の制御を行う場合、スイッチ等により急に切り換えてしまうと、指令値が急変動し、ハンドル挙動が不自然になり、運転者へ違和感を与えるおそれがある。特許文献1では、この問題への対応として、トルク制御方式(アシスト制御に相当)と回転角制御方式(舵角制御に相当)との切り換えにおいて、双方からの指令値それぞれに係数(自動化係数及び手動化係数)を乗算して加算した値を最終指令値とし、この係数を徐々に変化させることにより、指令値の急変動を抑制するようにしている。また、回転角制御方式での位置制御ではP制御、速度制御ではPI制御を使用している。
特許文献2では、設定操舵角に従ってハンドル操作を自動で行い、特に駐車支援を目的とした自動操舵制御装置が提案されている。この装置では、トルク制御モード(アシスト制御に相当)と駐車支援モード(舵角制御に相当)が切り換えられるようになっており、駐車支援モードでは、予め記憶された駐車データを使用して制御を行っている。そして、駐車支援モードでの位置制御ではP制御、速度制御ではPI制御を行っている。
特許文献3はEPSを直接応用したものではないが、自動操舵モードへの切り換えにより舵角制御を開始する際に、操舵速度(舵角速度)を緩やかに増加させることにより、開始時のハンドル急変動による運転者への違和感を低減している。
しかしながら、特許文献1では、方式の切り換え中は舵角制御に対する指令値(舵角制御指令値)が係数により制限されて最終指令値に出力されるので、制限された分だけ最終指令値が小さくなってしまう。この制限により、舵角制御指令値から算出される舵角速度に対する指令値(舵角速度指令値)に対して、モータの実速度が遅くなってしまうので、舵角速度指令値と実速度の間に偏差が発生し、速度制御内のI(積分)制御の積分値が蓄積されてしまうことになり、速度制御から更に大きな舵角制御指令値が出力されてしまうことになる。この結果、アシスト制御に対する指令値(アシスト制御指令値)に乗算する係数が徐々に大きくなっていく状態では、係数による制限が緩和されていくので、係数が大きくなるに従って舵角制御指令値が過剰な値となり、ハンドルが舵角速度指令値に対して過剰に反応し、引っ掛かり感等の違和感や不快感を運転者に与えるおそれがある。
また、特許文献1では、位置制御にP制御、速度制御にPI制御を使用しており、舵角制御中に運転者による手入力の介入があった場合、舵角制御は舵角制御指令値に追従するように動作するので、舵角制御からアシスト制御への切換動作が行われるまで、手動により操舵することが困難となる。また、手入力検出や切換動作により時間的な遅れが発生し、運転者による操舵介入の動作を十分に行うことができないおそれがある。
特許文献2でも、位置制御にP制御、速度制御にPI制御を用いた舵角制御を行っている。車両において舵角制御を行う場合、車速、摩擦及び路面反力の変化等により外乱や負荷状況が大きく変化するため、装置は、それらに対して耐性がある制御構成でなければならない。しかし、特許文献2に記載の装置の制御構成のみでは、例えば路面反力が変化した場合や、目標操舵角が素早く変化した場合に、ステアリングホイール系のバネ要素と、ステアリングホイールの慣性により振動が発生し、それを運転者が違和感や不快感として感じるおそれがある。
特許文献3では、舵角制御開始時に徐々に舵角速度を増加させているが、増加が始まると舵角速度の上限値に達するまで増加し続けるので、I制御の積分値が過剰に蓄積してしまう。その結果、舵角制御指令値が過剰な値となり、ハンドルが舵角速度指令値に対して過剰に反応し、運転者に違和感を与えてしまうおそれがある。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、自動操舵中に運転者により操舵介入が行われても軽い操舵介入で違和感の無い手動操舵を実現し、運転者による緊急操舵時の安全性をより確保した、アシスト制御と舵角制御を両立した電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る電動パワーステアリング装置は、電流指令値に基づいてモータを駆動し、前記モータの駆動制御によって操舵系に対してアシスト制御及び舵角制御を行う制御システムを有する電動パワーステアリング装置である。
この電動パワーステアリング装置は、少なくとも操舵トルクに基づいて、前記アシスト制御のためのアシスト制御電流指令値を演算するアシスト制御部と、少なくとも前記操舵トルク、舵角指令値及び実操舵角に基づいて、前記舵角制御のための舵角制御電流指令値を演算する舵角制御部と、前記アシスト制御電流指令値及び前記舵角制御電流指令値に基づき前記電流指令値を演算する最終電流指令値演算部と、を備える。
前記舵角制御部は、前記舵角指令値及び前記実操舵角に基づいて基本舵角速度指令値を演算する位置制御部と、前記操舵トルクに基づき、前記舵角制御中の運転者の操舵介入を補償するための補償舵角速度指令値を求める操舵介入補償部と、前記基本舵角速度指令値及び前記補償舵角速度指令値に基づき舵角速度指令値を演算する舵角速度指令値演算部と、前記舵角速度指令値及び実操舵角速度に基づき基本舵角制御電流指令値を演算する舵角速度制御部と、前記制御システムの安定性を補償するための安定化補償電流指令値を求める安定化補償部と、前記基本舵角制御電流指令値及び前記安定化補償電流指令値に基づき前記舵角制御電流指令値を演算する舵角制御電流指令値演算部と、を備える。
そして、前記操舵介入補償部は、前記操舵トルクに対する前記補償舵角速度指令値の特性を定めた操舵介入補償マップを有する補償マップ部を備え、前記補償マップ部を介して、前記操舵トルクより前記補償舵角速度指令値を求め、前記安定化補償部は、前記モータの回転速度にハイパスフィルタにてフィルタ処理を施すことで前記安定化補償電流指令値を求める。
この電動パワーステアリング装置は、少なくとも操舵トルクに基づいて、前記アシスト制御のためのアシスト制御電流指令値を演算するアシスト制御部と、少なくとも前記操舵トルク、舵角指令値及び実操舵角に基づいて、前記舵角制御のための舵角制御電流指令値を演算する舵角制御部と、前記アシスト制御電流指令値及び前記舵角制御電流指令値に基づき前記電流指令値を演算する最終電流指令値演算部と、を備える。
前記舵角制御部は、前記舵角指令値及び前記実操舵角に基づいて基本舵角速度指令値を演算する位置制御部と、前記操舵トルクに基づき、前記舵角制御中の運転者の操舵介入を補償するための補償舵角速度指令値を求める操舵介入補償部と、前記基本舵角速度指令値及び前記補償舵角速度指令値に基づき舵角速度指令値を演算する舵角速度指令値演算部と、前記舵角速度指令値及び実操舵角速度に基づき基本舵角制御電流指令値を演算する舵角速度制御部と、前記制御システムの安定性を補償するための安定化補償電流指令値を求める安定化補償部と、前記基本舵角制御電流指令値及び前記安定化補償電流指令値に基づき前記舵角制御電流指令値を演算する舵角制御電流指令値演算部と、を備える。
そして、前記操舵介入補償部は、前記操舵トルクに対する前記補償舵角速度指令値の特性を定めた操舵介入補償マップを有する補償マップ部を備え、前記補償マップ部を介して、前記操舵トルクより前記補償舵角速度指令値を求め、前記安定化補償部は、前記モータの回転速度にハイパスフィルタにてフィルタ処理を施すことで前記安定化補償電流指令値を求める。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、舵角制御において、マップを利用して操舵介入の補償を行っているので、自動操舵中に操舵介入があっても安全を確保しつつ違和感を低減することが可能である。加えて、モータの回転速度をハイパスフィルタでフィルタ処理して生成した安定化補償電流指令値によって、制御システムの安定性を補償するようにした。これによって、例えば、軽い操舵介入を実現することを目的にマップの勾配を大きくすることによって生じる制御システムの不安定化を防ぐことが可能となる。その結果、制御システムの不安定化による制御的な振動の発生を抑えつつ、マップの勾配を大きくして軽い操舵介入を実現することが可能となる。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものも含まれており、部材ないし部分の縦横の寸法や縮尺は実際のものとは異なる場合があることに留意すべきである。従って、具体的な寸法や縮尺は以下の説明を参酌して判断すべき場合がある。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(実施形態)
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置(EPS)は、従来のEPSの機能であるアシスト制御と、自動運転における自動操舵で必要となる舵角制御とを行う制御システムを備えている。アシスト制御及び舵角制御は、それぞれアシスト制御部及び舵角制御部で実行され、各部から出力されるアシスト制御電流指令値及び舵角制御電流指令値を用いて、モータを駆動制御するための電流指令値を演算する。自動操舵(自動操舵状態)では舵角制御とアシスト制御の両方が実行され、運転者が操舵に関与する手動操舵(手動操舵状態)ではアシスト制御が実行される。自動操舵中での操舵介入により発生する違和感を軽減するために、操舵トルクに応じた操舵介入補償を行う。具体的には、予め用意された操舵介入補償マップを使用して操舵介入補償部で求められた補償値(補償舵角速度指令値)により、舵角速度指令値を補償する。加えて、操舵介入時に制御システムが不安定化して制御的な発振による振動が発生するのを防ぐために、モータの回転速度に応じた制御システムの安定化補償を行う。具体的には、モータの回転速度又はこれに相当する速度(例えば実操舵角速度)にハイパスフィルタにてフィルタ処理を施して安定化補償電流指令値を求め、この安定化補償電流指令値により制御システムの安定性を補償する。
(実施形態)
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置(EPS)は、従来のEPSの機能であるアシスト制御と、自動運転における自動操舵で必要となる舵角制御とを行う制御システムを備えている。アシスト制御及び舵角制御は、それぞれアシスト制御部及び舵角制御部で実行され、各部から出力されるアシスト制御電流指令値及び舵角制御電流指令値を用いて、モータを駆動制御するための電流指令値を演算する。自動操舵(自動操舵状態)では舵角制御とアシスト制御の両方が実行され、運転者が操舵に関与する手動操舵(手動操舵状態)ではアシスト制御が実行される。自動操舵中での操舵介入により発生する違和感を軽減するために、操舵トルクに応じた操舵介入補償を行う。具体的には、予め用意された操舵介入補償マップを使用して操舵介入補償部で求められた補償値(補償舵角速度指令値)により、舵角速度指令値を補償する。加えて、操舵介入時に制御システムが不安定化して制御的な発振による振動が発生するのを防ぐために、モータの回転速度に応じた制御システムの安定化補償を行う。具体的には、モータの回転速度又はこれに相当する速度(例えば実操舵角速度)にハイパスフィルタにてフィルタ処理を施して安定化補償電流指令値を求め、この安定化補償電流指令値により制御システムの安定性を補償する。
(全体構成)
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、図1に示すように、車両2に搭載されている。車両2は、左右の転舵輪となる前輪3FR及び3FLと、後輪3RR及び3RLとを備えている。前輪3FR及び3FLは、電動パワーステアリング装置1によって転舵される。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、図1に示すように、車両2に搭載されている。車両2は、左右の転舵輪となる前輪3FR及び3FLと、後輪3RR及び3RLとを備えている。前輪3FR及び3FLは、電動パワーステアリング装置1によって転舵される。
電動パワーステアリング装置1は、ハンドル11と、ステアリングシャフト12と、操舵トルクセンサ13と、ユニバーサルジョイント14aとを備えている。加えて、中間シャフト15と、ユニバーサルジョイント14bと、ピニオンシャフト16と、ステアリングギヤ17と、タイロッド18と、ナックルアーム19とを備えている。
ハンドル11に運転者から作用される操舵力はステアリングシャフト12に伝達される。このステアリングシャフト12は、図1に示すように、入力軸12aと出力軸12bとを有し、入力軸12aの一端がハンドル11に連結され、入力軸12aの他端が操舵トルクセンサ13を介して出力軸12bの一端に連結されている。
この出力軸12bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント14aを介して中間シャフト15に伝達され、更に、ユニバーサルジョイント14bを介してピニオンシャフト16に伝達される。このピニオンシャフト16に伝達された操舵力はステアリングギヤ17を介してタイロッド18に伝達される。更に、このタイロッド18に伝達された操舵力はナックルアーム19に伝達され、前輪3FRおよび3FLを転舵させる。ここで、ステアリングギヤ17は、ピニオンシャフト16に連結されたピニオン17aとこのピニオン17aに噛合するラック17bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン17aに伝達された回転運動をラック17bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト12の出力軸12bには、操舵補助トルクを出力軸12bに伝達する操舵補助機構20が連結されている。この操舵補助機構20は、出力軸12bに連結された減速ギヤ21と、この減速ギヤ21に連結されて操舵系に対して補助操舵トルクを発生する電動モータ22とを備えている。
電動モータ22は、本実施形態において3相ブラシレスモータから構成され、図示しない環状のモータロータと環状のモータステータとを備えている。モータステータは、径方向内側に突出する複数の極歯を円周方向に等間隔に備えて構成され、各極歯には励磁用コイルが巻き回されている。そして、モータステータの内側に、モータロータが同軸に配設されている。モータロータは、モータステータの極歯と僅かの空隙(エアギャップ)をもって対向しかつ外周面に円周方向に等間隔に設けられた複数の磁石を備えて構成されている。
モータロータはモータ回転軸に固定されており、モータステータのコイルにEPS側ECU200(後述)を介して3相交流電流を流すことでモータステータの各歯が所定の順序に励磁されてモータロータが回転し、この回転に伴ってモータ回転軸が回転する。
そして、モータ回転軸が回転すると、その回転力(操舵補助力)が減速ギヤ21を介してステアリングシャフト12に伝達されステアリングシャフト12が回転する。一方、ハンドル11が操舵されてステアリングシャフト12が回転すると、その回転力が減速ギヤ21を介してモータ回転軸に伝達されモータロータが回転する。すなわち、電動モータ22の回転位置とステアリングシャフト12の回転位置とは対応関係があり、いずれか一方の回転情報から他方の回転位置を算出することが可能である。
また、操舵トルクセンサ13は、ハンドル11に付与されて入力軸12aに伝達された操舵トルクTtを検出するものである。本実施形態の操舵トルクセンサ13は、操舵トルクTtを入力軸12a及び出力軸12b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気信号で検出し、それを電気信号に変換するように構成されている。検出した操舵トルクTtは、不図示の車載ネットワークを介してEPS側ECU200に入力される。
なお、車載ネットワークとしては、CAN(Controller Area Network)、LIN(local interconnect network)、FlexRay(フレックスレイ)などを採用することが可能である。
電動パワーステアリング装置1は、更に、操舵角センサ23と、EPS側ECU200とを備えている。
操舵角センサ23は、操舵角(トーションバーの上側の角度)θhを検出する。検出した操舵角θhは、車載ネットワークを介してEPS側ECU200に入力される。
EPS側ECU200は、マイクロプロセッサ(例えばCPU、MPU、MCU等)を含んで構成されるコントロールユニットであり、電動パワーステアリング装置1の動作を総合的に制御する。
また、電動モータ22には、図2に示すように、レゾルバ等の回転角センサ22aが連結されており、回転角センサ22aからモータ回転角θmが検出されて出力される。このモータ回転角θmは、車載ネットワークを介してEPS側ECU200に入力される。
操舵角センサ23は、操舵角(トーションバーの上側の角度)θhを検出する。検出した操舵角θhは、車載ネットワークを介してEPS側ECU200に入力される。
EPS側ECU200は、マイクロプロセッサ(例えばCPU、MPU、MCU等)を含んで構成されるコントロールユニットであり、電動パワーステアリング装置1の動作を総合的に制御する。
また、電動モータ22には、図2に示すように、レゾルバ等の回転角センサ22aが連結されており、回転角センサ22aからモータ回転角θmが検出されて出力される。このモータ回転角θmは、車載ネットワークを介してEPS側ECU200に入力される。
図1に戻って、車両2は、更に、車速センサ50と、車載カメラ51と、車載センサ52と、バッテリー53と、イグニッションスイッチ54(以下、「IGNスイッチ54」と記載する場合がある)と、動作モード切換スイッチ55と、車両側ECU100とを備えている。
車速センサ50は、車両2の車速Vを検出する。検出した車速Vは、車載ネットワークを介して車両側ECU100及びEPS側ECU200に入力される。
車載カメラ51は、車両前方の車両通行帯(所謂車線等)を含む車両周囲の撮影領域を撮影するビデオカメラである。車載カメラ51の撮影データPaは、車載ネットワークを介して車両側ECU100に入力される。
車載センサ52は、車両2に搭載された各種センサであり、車両2と対象物(例えば前方車両)との間の距離(例えば車間距離)Daを検出する距離センサ、車両2のヨー角、ロール角及びピッチ角の角速度ωを検出する角速度センサ、車両2の前後左右方向の加速度Gaを検出する加速度センサ等を含む。車載センサ52で検出された距離Da、角速度ω、加速度Ga等は、車載ネットワークを介して車両側ECU100に入力される。
車速センサ50は、車両2の車速Vを検出する。検出した車速Vは、車載ネットワークを介して車両側ECU100及びEPS側ECU200に入力される。
車載カメラ51は、車両前方の車両通行帯(所謂車線等)を含む車両周囲の撮影領域を撮影するビデオカメラである。車載カメラ51の撮影データPaは、車載ネットワークを介して車両側ECU100に入力される。
車載センサ52は、車両2に搭載された各種センサであり、車両2と対象物(例えば前方車両)との間の距離(例えば車間距離)Daを検出する距離センサ、車両2のヨー角、ロール角及びピッチ角の角速度ωを検出する角速度センサ、車両2の前後左右方向の加速度Gaを検出する加速度センサ等を含む。車載センサ52で検出された距離Da、角速度ω、加速度Ga等は、車載ネットワークを介して車両側ECU100に入力される。
車両側ECU100及びEPS側ECU200は、車載電源であるバッテリー53から電源供給されることによって作動する。ここで、バッテリー53の負極は接地され、その正極はエンジン始動を行うIGNスイッチ54を介して車両側ECU100及びEPS側ECU200に接続されると共に、IGNスイッチ54を介さず直接、車両側ECU100及びEPS側ECU200に接続されている。
動作モード切換スイッチ55は、本実施形態ではダッシュボード(図示略)に設けられており、電動パワーステアリング装置1の制御システムの動作モードを切り換えるスイッチである。動作モード切換スイッチ55は、動作モードを切り換えるための切換信号Sgを出力する。この切換信号Sgは、車載ネットワークを介して車両側ECU100に入力される。なお、動作モード切換スイッチ55は、ダッシュボードに限らず、ハンドル11等の他の位置に設けてもよい。
車両側ECU100は、マイクロプロセッサ(例えばCPU、MPU、MCU等)を含んで構成されるコントロールユニットであり、車両2に搭載された自動運転装置(図示略)の動作を総合的に制御する。
車両側ECU100は、マイクロプロセッサ(例えばCPU、MPU、MCU等)を含んで構成されるコントロールユニットであり、車両2に搭載された自動運転装置(図示略)の動作を総合的に制御する。
(車両側ECU100の構成)
車両側ECU100は、図2に示すように、車両状態量検出部110と、切換指令部120と、目標軌道演算部130と、車両運動制御部140とを備えている。
車両状態量検出部110は、車速センサ50、車載カメラ51及び車載センサ52からの信号に基づき車速V、撮影データPa、距離Da、角速度ω、加速度Ga等を検出する。
以下、車両状態量検出部110で検出した車速V、撮影データPa、距離Da、角速度ω、加速度Ga等を、総じて「車両状態量Cv」と記載する場合がある。
車両状態量Cvは、切換指令部120、目標軌道演算部130及び車両運動制御部140にそれぞれ出力される。
車両側ECU100は、図2に示すように、車両状態量検出部110と、切換指令部120と、目標軌道演算部130と、車両運動制御部140とを備えている。
車両状態量検出部110は、車速センサ50、車載カメラ51及び車載センサ52からの信号に基づき車速V、撮影データPa、距離Da、角速度ω、加速度Ga等を検出する。
以下、車両状態量検出部110で検出した車速V、撮影データPa、距離Da、角速度ω、加速度Ga等を、総じて「車両状態量Cv」と記載する場合がある。
車両状態量Cvは、切換指令部120、目標軌道演算部130及び車両運動制御部140にそれぞれ出力される。
切換指令部120は、車両状態量検出部110からの車両状態量Cvと共に、動作モード切換スイッチ55からの切換信号Sgを入力し、切換信号SWをEPS側ECU200に出力する。動作モードには「アシスト制御モード」と「舵角制御モード」があり、「アシスト制御モード」は手動操舵に対応したモードであり、「舵角制御モード」は自動操舵に対応したモードである。運転者の意思を示す切換信号Sgの値を基に、車両状態量Cv中の各データの値を加味して動作モードを決定し、決定した動作モードを切換信号SWとして出力する。
目標軌道演算部130は、車両状態量Cvに基づいて、既存の方法により目標軌道Amを演算し、車両運動制御部140に出力する。
車両運動制御部140は舵角指令値生成部141を備えており、舵角指令値生成部141は、目標軌道Am及び車両状態量Cvに基づいて、操舵角の制御目標値である舵角指令値θrefを生成し、EPS側ECU200に出力する。
車両運動制御部140は舵角指令値生成部141を備えており、舵角指令値生成部141は、目標軌道Am及び車両状態量Cvに基づいて、操舵角の制御目標値である舵角指令値θrefを生成し、EPS側ECU200に出力する。
(EPS側ECU200の構成)
本実施形態の制御システムを構成するEPS側ECU200は、図2に示すように、EPS状態量検出部210と、切換判定/徐変ゲイン生成部220と、舵角制御部300と、アシスト制御部230と、切換部240と、電流制御/駆動部250と、モータ電流検出器38とを備えている。
EPS状態量検出部210は、操舵トルクセンサ13、操舵角センサ23及び車速センサ50からの信号に基づき、実操舵角θr、操舵トルクTt、車速Vを検出する。ここで、操舵角センサ23からの操舵角θhを実操舵角θrとして検出する。加えて、EPS状態量検出部210は、実操舵角θrに対して微分演算を行うことにより、実操舵角速度ωrを算出する。
以下、EPS状態量検出部210で検出及び算出された。実操舵角θr、操舵トルクTt、車速V及び実操舵角速度ωrを、総じて「EPS状態量Ce」と記載する場合がある。
本実施形態の制御システムを構成するEPS側ECU200は、図2に示すように、EPS状態量検出部210と、切換判定/徐変ゲイン生成部220と、舵角制御部300と、アシスト制御部230と、切換部240と、電流制御/駆動部250と、モータ電流検出器38とを備えている。
EPS状態量検出部210は、操舵トルクセンサ13、操舵角センサ23及び車速センサ50からの信号に基づき、実操舵角θr、操舵トルクTt、車速Vを検出する。ここで、操舵角センサ23からの操舵角θhを実操舵角θrとして検出する。加えて、EPS状態量検出部210は、実操舵角θrに対して微分演算を行うことにより、実操舵角速度ωrを算出する。
以下、EPS状態量検出部210で検出及び算出された。実操舵角θr、操舵トルクTt、車速V及び実操舵角速度ωrを、総じて「EPS状態量Ce」と記載する場合がある。
EPS状態量Ceのうち、実操舵角θr及び実操舵角速度ωrは舵角制御部300に入力され、操舵トルクTtは切換判定/徐変ゲイン生成部220、舵角制御部300及びアシスト制御部230に入力され、車速Vは舵角制御部300及びアシスト制御部230に入力される。
なお、実操舵角θrとしてコラム舵角(トーションバーの下側の角度)を使用しても良く、また、回転角センサ22aで検出したモータ回転角θmを実操舵角θrとしても良い。更に、実操舵角速度ωrは、回転角センサ22aで検出されるモータ回転角θmの差分演算とギア比から算出しても良く、実操舵角θrの差分演算から算出しても良い。また、EPS状態量検出部210の最終段に、高周波ノイズ低減のためにLPF(ローパスフィルタ)を挿入しても良く、その場合、HPF(ハイパスフィルタ)とゲインにより実操舵角速度ωrを算出しても良い。
なお、実操舵角θrとしてコラム舵角(トーションバーの下側の角度)を使用しても良く、また、回転角センサ22aで検出したモータ回転角θmを実操舵角θrとしても良い。更に、実操舵角速度ωrは、回転角センサ22aで検出されるモータ回転角θmの差分演算とギア比から算出しても良く、実操舵角θrの差分演算から算出しても良い。また、EPS状態量検出部210の最終段に、高周波ノイズ低減のためにLPF(ローパスフィルタ)を挿入しても良く、その場合、HPF(ハイパスフィルタ)とゲインにより実操舵角速度ωrを算出しても良い。
切換判定/徐変ゲイン生成部220は、車両側ECU100からの切換信号SW及び操舵トルクTtに基づいて自動操舵と手動操舵の切換判定を行い、その判定結果に基づいて徐変ゲインを決定する。徐変ゲインとして、舵角制御出力徐変ゲインGfa1、速度制御徐変ゲインGfa2、速度指令徐変ゲインGfa3、舵角指令徐変ゲインGfa4、アシスト制御出力徐変ゲインGft1及びアシストマップ徐変ゲインGft2を求める。そして、Gfa1及びGft1は切換部240に、Gfa2、Gfa3及びGfa4は舵角制御部300に、Gft2はアシスト制御部230に入力される。切換判定/徐変ゲイン生成部220の詳細については後述する。
舵角制御部300は、舵角制御を行うために、車両側ECU100からの舵角指令値θref、EPS状態量検出部210からのEPS状態量Ce並びに切換判定/徐変ゲイン生成部220からの徐変ゲインGfa2、Gfa3及びGfa4を用いて、舵角制御電流指令値IrefP1を算出する。舵角制御電流指令値IrefP1は切換部240に入力される。なお、実操舵角速度ωrを、EPS状態量検出部210ではなく、舵角制御部300で算出しても良い。舵角制御部300の詳細については後述する。
アシスト制御部230は、アシスト制御を行うために、切換判定/徐変ゲイン生成部220から出力されるアシストマップ徐変ゲインGft2、操舵トルクTt及び車速Vに基づいて、アシストマップを使用して、アシスト制御電流指令値IrefT1を算出する。アシスト制御部230の詳細については後述する。
切換部240は、舵角制御電流指令値IrefP1、アシスト制御電流指令値IrefT1並びに徐変ゲインGfa1及びGft1を用いて、電流指令値Irefを算出する。切換部240の詳細については後述する。
電流制御/駆動部250は、電流指令値Irefとモータ電流検出器38で検出されるモータ電流Imを用いたフィードバック制御によって、モータを駆動制御する。電流制御/駆動部250の詳細については後述する。
切換部240は、舵角制御電流指令値IrefP1、アシスト制御電流指令値IrefT1並びに徐変ゲインGfa1及びGft1を用いて、電流指令値Irefを算出する。切換部240の詳細については後述する。
電流制御/駆動部250は、電流指令値Irefとモータ電流検出器38で検出されるモータ電流Imを用いたフィードバック制御によって、モータを駆動制御する。電流制御/駆動部250の詳細については後述する。
(切換判定/徐変ゲイン生成部220の詳細な構成)
切換判定/徐変ゲイン生成部220は、図3に示すように、切換判定部221と、徐変ゲイン生成部222とを備え、切換判定部221は、手入力判定部223と、操舵状態判定部224とを備えている。
手入力判定部223は、操舵トルクTtを用いて手入力の有無を判定する。手入力判定部223は、図4に示すように、平滑化フィルタ部225と、絶対値化部226と、判定処理部227とを備えている。
切換判定/徐変ゲイン生成部220は、図3に示すように、切換判定部221と、徐変ゲイン生成部222とを備え、切換判定部221は、手入力判定部223と、操舵状態判定部224とを備えている。
手入力判定部223は、操舵トルクTtを用いて手入力の有無を判定する。手入力判定部223は、図4に示すように、平滑化フィルタ部225と、絶対値化部226と、判定処理部227とを備えている。
平滑化フィルタ部225は、平滑化フィルタを有しており、操舵トルクTtを平滑化フィルタにより平滑化し、平滑化後の操舵トルクTt'を出力する。この操舵トルクTt'は絶対値化部226に入力される。
絶対値化部226は、操舵トルクTt'の絶対値(絶対値データ)|Tt'|を出力する。この絶対値|Tt'|は判定処理部227に入力される。
判定処理部227は、予め定められた閾値Tthと絶対値|Tt'|を比較し、絶対値|Tt'|が閾値Tth以上の場合、「手入力あり」と判定し、絶対値|Tt'|が閾値Tth未満の場合、「手入力なし」と判定し、判定結果を手入力判定信号Jhとして出力する。この手入力判定信号Jhは操舵状態判定部224に入力される。
絶対値化部226は、操舵トルクTt'の絶対値(絶対値データ)|Tt'|を出力する。この絶対値|Tt'|は判定処理部227に入力される。
判定処理部227は、予め定められた閾値Tthと絶対値|Tt'|を比較し、絶対値|Tt'|が閾値Tth以上の場合、「手入力あり」と判定し、絶対値|Tt'|が閾値Tth未満の場合、「手入力なし」と判定し、判定結果を手入力判定信号Jhとして出力する。この手入力判定信号Jhは操舵状態判定部224に入力される。
操舵状態判定部224は、車両側ECU100からの切換信号SWと、判定処理部227からの手入力判定信号Jhとから操舵状態を判定する。切換信号SWが「アシスト制御モード」又は手入力判定信号Jhが「手入力あり」の場合、操舵状態は「手動操舵」であると判定し、そうではない場合、つまり、切換信号SWが「舵角制御モード」であり且つ手入力判定信号Jhが「手入力なし」の場合、操舵状態は「自動操舵」であると判定する。判定結果は、操舵状態判定信号Jsとして出力する。この操舵状態判定信号Jsは徐変ゲイン生成部222に入力される。
なお、手入力判定信号Jhのみから操舵状態を判定しても良い。つまり、手入力判定信号Jhが「手入力あり」の場合、操舵状態は「手動操舵」であると判定し、手入力判定信号Jhが「手入力なし」の場合、操舵状態は「自動操舵」であると判定しても良い。
なお、手入力判定信号Jhのみから操舵状態を判定しても良い。つまり、手入力判定信号Jhが「手入力あり」の場合、操舵状態は「手動操舵」であると判定し、手入力判定信号Jhが「手入力なし」の場合、操舵状態は「自動操舵」であると判定しても良い。
徐変ゲイン生成部222は、操舵状態判定部224からの操舵状態判定信号Jsに基づいて徐変ゲインを決定する。徐変ゲインは操舵状態によって異なる値を取り、操舵状態は操舵状態判定信号Jsにより判断する。
徐変ゲインGfa1、Gfa2、Gfa3及びGfa4は、自動操舵状態では100[%]、手動操舵状態では0[%]であり、自動操舵状態から手動操舵状態へ及び手動操舵状態から自動操舵状態への移行に際しては、値が徐々に変化する。例えば、自動操舵状態から手動操舵状態へ移行する場合、徐変ゲインGfa1〜Gfa4は、図5(A)に示すように変化する。即ち、時点t1で操舵状態判定信号Jsが「自動操舵」から「手動操舵」に変わると、その時点から徐変ゲインは逐次減少し、時点t2において0[%]となる。手動操舵状態から自動操舵状態へ移行する場合は、これとは逆に、操舵状態判定信号Jsが「自動操舵」に変わった時点から徐変ゲインは逐次増加する。徐変ゲインが減少中又は増加中(以下、この状態を「切換状態」とする)に操舵状態判定信号Jsの値が変わったら、徐変ゲインは、減少中ならば増加に、増加中ならば減少に転じる。
徐変ゲインGfa1、Gfa2、Gfa3及びGfa4は、自動操舵状態では100[%]、手動操舵状態では0[%]であり、自動操舵状態から手動操舵状態へ及び手動操舵状態から自動操舵状態への移行に際しては、値が徐々に変化する。例えば、自動操舵状態から手動操舵状態へ移行する場合、徐変ゲインGfa1〜Gfa4は、図5(A)に示すように変化する。即ち、時点t1で操舵状態判定信号Jsが「自動操舵」から「手動操舵」に変わると、その時点から徐変ゲインは逐次減少し、時点t2において0[%]となる。手動操舵状態から自動操舵状態へ移行する場合は、これとは逆に、操舵状態判定信号Jsが「自動操舵」に変わった時点から徐変ゲインは逐次増加する。徐変ゲインが減少中又は増加中(以下、この状態を「切換状態」とする)に操舵状態判定信号Jsの値が変わったら、徐変ゲインは、減少中ならば増加に、増加中ならば減少に転じる。
なお、図5(A)では切換状態での徐変ゲインは直線的に変化させているが、切換動作を円滑にするために、S字カーブのように変化させても良く、直線的に変化する徐変ゲインをLPF、例えばカットオフ周波数が2[Hz]の1次LPFに通して使用しても良い。また、徐変ゲインGfa1〜Gfa4は連動した同じ変化をする必要はなく、それぞれ独立した変化をしても良い。
アシスト制御出力徐変ゲインGft1は、自動操舵状態ではαt1[%](0≦αt1≦150)、手動操舵状態では100[%]であり、図5(B)に示すように、徐変ゲインGfa1〜Gfa4の場合と同様に、切換状態では値を徐々に変化させる。
アシストマップ徐変ゲインGft2は、自動操舵状態ではαt2[%](0≦αt2≦150)、手動操舵状態では100[%]であり、図5(C)に示すように、徐変ゲインGfa1〜Gfa4の場合と同様に、切換状態では値を徐々に変化させる。
アシストマップ徐変ゲインGft2は、自動操舵状態ではαt2[%](0≦αt2≦150)、手動操舵状態では100[%]であり、図5(C)に示すように、徐変ゲインGfa1〜Gfa4の場合と同様に、切換状態では値を徐々に変化させる。
(アシスト制御部230の詳細な構成)
アシスト制御部230は、図6に示すように、電流指令値演算部31と、加算部32Aと、電流制限部33と、補償信号生成部34とを備えている。
ここで、アシスト制御部230は、図示省略するが、回転角センサ22aからのモータ回転角θmに基づき、モータ角速度ωm及びモータ角加速度αmを演算するモータ角速度演算部及びモータ角加速度演算部を備えている。
アシスト制御部230は、図6に示すように、電流指令値演算部31と、加算部32Aと、電流制限部33と、補償信号生成部34とを備えている。
ここで、アシスト制御部230は、図示省略するが、回転角センサ22aからのモータ回転角θmに基づき、モータ角速度ωm及びモータ角加速度αmを演算するモータ角速度演算部及びモータ角加速度演算部を備えている。
電流指令値演算部31は、入力された操舵トルクTt及び車速Vに基づいてアシストマップを用いて電流指令値を求める。更に、この電流指令値(以下、「アシストマップ出力電流」と称す)に対して、入力されたアシストマップ徐変ゲインGft2を乗算して、電動モータ22に供給する電流の制御目標値である電流指令値Iref1を演算する。電流指令値Iref1は加算部32Aに入力される。
補償信号生成部34は、収れん性補償部34Aと、慣性補償部34Bと、SAT推定フィードバック部34Cと、加算部34D及び34Eとを備えている。
補償信号生成部34は、収れん性補償部34Aと、慣性補償部34Bと、SAT推定フィードバック部34Cと、加算部34D及び34Eとを備えている。
収れん性補償部34Aは、不図示のモータ角速度演算部から入力されたモータ角速度ωmに基づき、車両のヨーの収れん性を改善するためにハンドル11が振れ回る動作に対して、ブレーキをかけるように、収れん性補償値Icを算出する。収れん性補償部34Aは、算出した収れん性補償値Icを加算部34Dに出力する。
慣性補償部34Bは、不図示のモータ角加速度演算部から入力されたモータ角加速度αmに基づき、電動モータ22の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止するための慣性補償値Iiを算出する。慣性補償部34Bは、算出した慣性補償値Iiを加算部34Dに出力する。
慣性補償部34Bは、不図示のモータ角加速度演算部から入力されたモータ角加速度αmに基づき、電動モータ22の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止するための慣性補償値Iiを算出する。慣性補償部34Bは、算出した慣性補償値Iiを加算部34Dに出力する。
SAT推定フィードバック部34Cは、操舵トルクTt、モータ角速度ωm、モータ角加速度αm及び電流指令値演算部31で演算した電流指令値Iref1を入力し、これらに基づいてセルフアライニングトルクSATを推定演算する。SAT推定フィードバック部34Cは、演算したセルフアライニングトルクSATを加算部34Dに出力する。
加算部34Dは、入力された慣性補償値IiとセルフアライニングトルクSATとを加算して、加算結果を加算部34Eに出力する。
加算部34Dは、入力された慣性補償値IiとセルフアライニングトルクSATとを加算して、加算結果を加算部34Eに出力する。
加算部34Eは、加算部34Dの加算結果と収れん性補償部34Aで算出した収れん性補償値Icとを加算し、その結果を指令補償値Icomとして加算部32Aに出力する。
加算部32Aは、電流指令値演算部31が出力した電流指令値Iref1に、補償信号生成部34が出力した指令補償値Icomを加算し、補償後の電流指令値Iref2を電流制限部33に出力する。
電流制限部33は、入力された電流指令値Iref2の最大値を制限して、制限された電流指令値Iref2を、アシスト制御電流指令値IrefT1として切換部240に出力する。
加算部32Aは、電流指令値演算部31が出力した電流指令値Iref1に、補償信号生成部34が出力した指令補償値Icomを加算し、補償後の電流指令値Iref2を電流制限部33に出力する。
電流制限部33は、入力された電流指令値Iref2の最大値を制限して、制限された電流指令値Iref2を、アシスト制御電流指令値IrefT1として切換部240に出力する。
(電流制御/駆動部250の詳細な構成)
電流制御/駆動部250は、図6に示すように、減算部32Bと、PI制御部35と、PWM制御部36と、インバータ37とを備えている。
減算部32Bは、切換部240から入力される電流指令値Irefと、モータ電流検出器38からフィードバックされているモータ電流Imとの偏差ΔI(Iref−Im)を演算して、演算した偏差ΔIをPI制御部35に出力する。
PI制御部35は、入力された偏差ΔIを用いて操舵動作の特性改善のためのPI(比例積分)制御を行って電圧制御指令値Vrefを演算する。そして、演算した電圧制御指令値VrefをPWM制御部36に出力する。
電流制御/駆動部250は、図6に示すように、減算部32Bと、PI制御部35と、PWM制御部36と、インバータ37とを備えている。
減算部32Bは、切換部240から入力される電流指令値Irefと、モータ電流検出器38からフィードバックされているモータ電流Imとの偏差ΔI(Iref−Im)を演算して、演算した偏差ΔIをPI制御部35に出力する。
PI制御部35は、入力された偏差ΔIを用いて操舵動作の特性改善のためのPI(比例積分)制御を行って電圧制御指令値Vrefを演算する。そして、演算した電圧制御指令値VrefをPWM制御部36に出力する。
PWM制御部36は、入力された電圧制御指令値Vrefに基づきパルス幅変調されたゲート駆動信号を生成し、生成したゲート駆動信号をインバータ37に出力する。
インバータ37は、半導体スイッチング素子としてのFETのブリッジ回路で構成されており、入力されたゲート駆動信号によって駆動し電動モータ22にPWM制御された駆動電圧を印加する。これにより、電動モータ22に駆動電流を供給して電動モータ22を駆動する。このとき、電動モータ22のモータ電流Imはモータ電流検出器38で検出され、減算部32Bにフィードバックされる。
インバータ37は、半導体スイッチング素子としてのFETのブリッジ回路で構成されており、入力されたゲート駆動信号によって駆動し電動モータ22にPWM制御された駆動電圧を印加する。これにより、電動モータ22に駆動電流を供給して電動モータ22を駆動する。このとき、電動モータ22のモータ電流Imはモータ電流検出器38で検出され、減算部32Bにフィードバックされる。
(舵角制御部300の詳細な構成)
舵角制御部300は、図7に示すように、舵角指令値可変制限部310と、可変レート制限部320と、ハンドル振動除去部330と、位置制御部340と、操舵介入補償部350と、速度指令値可変制限部360と、舵角速度制御部370とを備えている。加えて、ハンドル制振部380と、安定化補償部390と、舵角制御電流指令値制限部400と、乗算部391及び392と、加算部393、394及び395とを備えている。
舵角制御部300は、図7に示すように、舵角指令値可変制限部310と、可変レート制限部320と、ハンドル振動除去部330と、位置制御部340と、操舵介入補償部350と、速度指令値可変制限部360と、舵角速度制御部370とを備えている。加えて、ハンドル制振部380と、安定化補償部390と、舵角制御電流指令値制限部400と、乗算部391及び392と、加算部393、394及び395とを備えている。
舵角指令値可変制限部310は、車両側ECU100から受信する自動操舵等のための舵角指令値θrefに対して、通信エラー等による異常な値や過剰な値が舵角制御に入力されるのを防止するために、制限値(上限値、下限値)を設定して制限をかける。そして、この制限をかけられた舵角指令値θrefを、舵角指令値θref1として出力する。
ここで、舵角指令値可変制限部310では、自動操舵状態及び手動操舵状態において適切な制限値を設定すべく、舵角指令徐変ゲインGfa4に応じて制限値を設定している。
ここで、舵角指令値可変制限部310では、自動操舵状態及び手動操舵状態において適切な制限値を設定すべく、舵角指令徐変ゲインGfa4に応じて制限値を設定している。
例えば、図8に示すように、舵角指令徐変ゲインGfa4が100[%]の場合を自動操舵状態であると判断して、実線で示す制限値で制限をかけ、舵角指令徐変ゲインGfa4が0[%]の場合を手動操舵状態であると判断して、破線で示すような自動操舵状態のときよりも絶対値が小さい制限値で制限をかける。舵角指令徐変ゲインGfa4が0〜100[%]の間の場合は切換状態であると判断して、実線と破線の間の値で制限をかける。
なお、切換状態のとき、実線の自動操舵状態での制限値又は破線の手動操舵状態での制限値で制限をかけてもよい。また、上限値の大きさ(絶対値)と下限値の大きさは異なっていてもよい。
なお、切換状態のとき、実線の自動操舵状態での制限値又は破線の手動操舵状態での制限値で制限をかけてもよい。また、上限値の大きさ(絶対値)と下限値の大きさは異なっていてもよい。
図7に戻って、可変レート制限部320は、舵角指令値θrefの急変によって、舵角制御の出力である舵角制御電流指令値が急激に変動することを避けるために、舵角指令値θref1の変化量に対して制限値を設定して制限をかける。そして、制限のかけられた舵角指令値θref1を、舵角指令値θref2として出力する。
具体的に、例えば、1サンプル前の舵角指令値θref1からの差分を変化量とし、その変化量の絶対値が所定の値(制限値)より大きい場合、変化量の絶対値が制限値となるように、舵角指令値θref1を加減算し、舵角指令値θref2として出力する。一方、制限値以下の場合は、舵角指令値θref1をそのまま舵角指令値θref2として出力する。
具体的に、例えば、1サンプル前の舵角指令値θref1からの差分を変化量とし、その変化量の絶対値が所定の値(制限値)より大きい場合、変化量の絶対値が制限値となるように、舵角指令値θref1を加減算し、舵角指令値θref2として出力する。一方、制限値以下の場合は、舵角指令値θref1をそのまま舵角指令値θref2として出力する。
なお、舵角指令値可変制限部310の場合と同様に、自動操舵状態及び手動操舵状態において適切な制限値を設定すべく、舵角指令徐変ゲインGfa4に応じて制限値を設定している。舵角指令徐変ゲインGfa4より操舵状態を判断し、自動操舵状態では予め定められた制限値とし、手動操舵状態では制限値をゼロとし、舵角指令値θref2が変化せずに一定となるようにする。切換状態では両制限値の中間の値を使用するが、自動操舵状態での制限値又は手動操舵状態での制限値を使用しても良い。なお、変化量の絶対値に対して制限値を設定するのではなく、変化量に対して上限値及び下限値を設定して制限をかけるようにしても良い。
乗算部391は、可変レート制限部320からの舵角指令値θref2に切換判定/徐変ゲイン生成部220からの舵角指令徐変ゲインGfa4を乗算して、この乗算結果を舵角指令値θref3として出力する。これにより、自動操舵状態から手動操舵状態への切換状態における後述のハンドル振動除去部330から出力される目標操舵角θtをゼロに漸近させ、舵角制御を中立状態に作用させることができる。
ハンドル振動除去部330は、乗算部391からの舵角指令値θref3に含まれる振動周波数成分を低減する。自動操舵中、舵角指令が変化しているときに、舵角指令値θref3に、トーションバーのバネ性及びステアリングホイールの慣性モーメントによる振動を励起する周波数(約10[Hz]前後)成分が発生する。この舵角指令値θref3に含まれるハンドル振動周波数成分を、LPFやノッチフィルタ等でのフィルタ処理又は位相遅れ補償により低減し、目標操舵角θtを出力する。フィルタとしては、ハンドル振動周波数の帯域のゲインを下げるもので且つECUに実装可能なものであれば、任意のフィルタを使用して良い。ハンドル振動除去部330の手前に、舵角指令徐変ゲインGfa4を乗算する乗算部391を設置することにより、舵角指令徐変ゲインGfa4の乗算により発生するハンドル振動周波数成分の低減を可能としている。なお、ハンドル振動周波数成分が微小な場合等では、ハンドル振動除去部330を省略しても良い。
位置制御部340は、目標操舵角θtと実操舵角θrの偏差に基づいて、目標操舵角θtに実操舵角θrを近づけるための舵角速度指令値(基本舵角速度指令値)ωref1を算出する。また、目標操舵角θtに対する実操舵角θrの制御帯域を高周波側まで広げるために、規範モデル及びFF(フィードフォワード)フィルタを使用する。これにより、舵角制御の応答性(追従性)を向上させることができる。
具体的に、位置制御部340は、図9に示すように、規範モデル部341と、比例ゲイン部342と、フィルタ部343と、減算部344と、加算部345とを備える。
規範モデル部341は、下式(1)で定義される伝達関数Gmodelを有し、伝達関数Gmodelを用いて、目標操舵角θtを目標操舵角θt1に変換する。
具体的に、位置制御部340は、図9に示すように、規範モデル部341と、比例ゲイン部342と、フィルタ部343と、減算部344と、加算部345とを備える。
規範モデル部341は、下式(1)で定義される伝達関数Gmodelを有し、伝達関数Gmodelを用いて、目標操舵角θtを目標操舵角θt1に変換する。
Gmodel=1/{(Tm1s+1)4・(Tm2s+1)2} ・・・(1)
上式(1)において、Tm1=1/(2π×fm1)、Tm2=1/(2π×fm2)であり、fm1及びfm2はカットオフ周波数、sはラプラス演算子である。伝達関数Gmodelはモデル規範制御の手法での所望の伝達特性を定義するものであり、上式(1)では分母が6次、分子が0次としているが、これに限られるものではない。
上式(1)において、Tm1=1/(2π×fm1)、Tm2=1/(2π×fm2)であり、fm1及びfm2はカットオフ周波数、sはラプラス演算子である。伝達関数Gmodelはモデル規範制御の手法での所望の伝達特性を定義するものであり、上式(1)では分母が6次、分子が0次としているが、これに限られるものではない。
減算部344は、規範モデル部341からの目標操舵角θt1からEPS状態量検出部210からの実操舵角θrを減算し、この減算結果を偏差θeとして出力する。この偏差θeは比例ゲイン部342に入力される。
比例ゲイン部342は、入力された偏差θeに比例ゲインKppを乗算し、P制御により舵角速度指令値ωrefaを算出する。この舵角速度指令値ωrefaは加算部345に入力される。
比例ゲイン部342は、入力された偏差θeに比例ゲインKppを乗算し、P制御により舵角速度指令値ωrefaを算出する。この舵角速度指令値ωrefaは加算部345に入力される。
フィルタ部343は、FFフィルタを有しており、FFフィルタにより目標操舵角θtを舵角速度指令値ωrefbに変換する。FFフィルタの伝達関数Gfは下式(2)で定義される。
Gf=Kff・Gmodel/Pωθ ・・・(2)
上式(2)において、KffはFFフィルタゲインであり、Pωθは後述の加算部393からの出力である舵角速度指令値ωrefから実操舵角θrまでの伝達関数であり、フィッティングによる同定等により予め定義されている。FFフィルタゲインKffは、車速Vに応じて変化させる。車速に応じて路面反力や後述の操舵介入補償マップが変化することにより、舵角指令値に対する実操舵角の応答性が変化してしまうので、FFフィルタゲインKffを車速感応型とする。これにより、車速によらずに、舵角指令値に対する実操舵角の応答性をほぼ一定にすることができる。
具体的に、FFフィルタゲインKffは、例えば、図10に示すように、車速Vが0[km/h]から大きくなるにつれ単調に減少し、車速Vが20[km/h]のときに1.1となり、車速Vが60[km/h]のときに1となり、それ以降は1のままで一定となるように変化する。
Gf=Kff・Gmodel/Pωθ ・・・(2)
上式(2)において、KffはFFフィルタゲインであり、Pωθは後述の加算部393からの出力である舵角速度指令値ωrefから実操舵角θrまでの伝達関数であり、フィッティングによる同定等により予め定義されている。FFフィルタゲインKffは、車速Vに応じて変化させる。車速に応じて路面反力や後述の操舵介入補償マップが変化することにより、舵角指令値に対する実操舵角の応答性が変化してしまうので、FFフィルタゲインKffを車速感応型とする。これにより、車速によらずに、舵角指令値に対する実操舵角の応答性をほぼ一定にすることができる。
具体的に、FFフィルタゲインKffは、例えば、図10に示すように、車速Vが0[km/h]から大きくなるにつれ単調に減少し、車速Vが20[km/h]のときに1.1となり、車速Vが60[km/h]のときに1となり、それ以降は1のままで一定となるように変化する。
加算部345は、比例ゲイン部342からの舵角速度指令値ωrefaとフィルタ部343からの舵角速度指令値ωrefbとを加算し、この加算結果を舵角速度指令値ωref1として出力する。
なお、規範モデル及びFFフィルタによる処理は必須ではなく、減算部344及び比例ゲイン部342によるP制御のみで舵角速度指令値ωref1を算出するようにしても良い。
なお、規範モデル及びFFフィルタによる処理は必須ではなく、減算部344及び比例ゲイン部342によるP制御のみで舵角速度指令値ωref1を算出するようにしても良い。
図7に戻って、操舵介入補償部350は、操舵トルクTtに応じた操舵介入補償のための舵角速度指令値(補償舵角速度指令値)ωref2を算出する。舵角速度指令値ωref2と位置制御部340からの舵角速度指令値ωref1を加算したものが舵角速度指令値ωrefとなる。操舵介入補償部350の機能により、操舵トルクの発生を緩和する方向に舵角速度指令値を生成することができ、自動操舵中での操舵介入を実現することができる。また、操舵介入補償部350は、操舵トルクTtに対して、車速感応型の操舵介入補償マップによる補償と位相補償を施すことにより、適度なフィーリングを成立させることができる。
具体的に、操舵介入補償部350は、図11に示すように、操舵介入位相補償部351と、補償マップ部352とを備える。
具体的に、操舵介入補償部350は、図11に示すように、操舵介入位相補償部351と、補償マップ部352とを備える。
操舵介入位相補償部351は、位相補償として位相進み補償を設定し、操舵トルクTtを操舵トルクTt1に変換する。例えば、分子のカットオフ周波数を1.0[Hz]、分母のカットオフ周波数を1.3[Hz]とした1次フィルタで位相進み補償を行う。これにより、急操舵した場合等でのスッキリ感や引っ掛かり感を改善することができる。なお、コスト重視の場合等では、操舵介入位相補償部351は省略可能である。
補償マップ部352は、操舵介入補償マップを有し、操舵介入補償マップを用いて舵角速度指令値ωref2を求める。操舵介入補償マップは、操舵トルクに対する舵角速度指令値の特性を定めたマップであり、車速に応じた複数のマップを有している。従って、補償マップ部352は、入力された現在の車速Vに応じたマップを選択し、選択したマップから、入力された操舵トルクTt1に対応する舵角速度指令値ωref2を求める。操舵介入補償マップはチューニングにより調整されており、例えば、図12(A)に示すように、操舵トルクが増加するにつれて舵角速度指令値も増加するが、車速が増加するにつれて舵角速度指令値は減少する。高車速ほど舵角速度指令値が小さくなり、フィールとしては重くなり、逆に、低車速では軽いフィールとなる。
なお、図12(A)の例では、補償マップ部352は、上記特性を有した複数の操舵介入補償マップを有する操舵介入補償マップ部352aと、符号部352bと、乗算部352cとを有している。即ち、補償マップ部352は、操舵介入補償マップ部352aにより、入力された車速Vに応じた操舵介入補償マップを選択する。そして、選択した操舵介入補償マップから入力された操舵トルクTt1の大きさに応じた舵角速度指令値ωref2の大きさを求め、これを乗算部352cに出力する。加えて、符号部352bにより、入力された操舵トルクTt1の符号(+1、−1)を乗算部352cに出力する。そして、乗算部352cにより、入力された舵角速度指令値ωref2の大きさを示す値に、入力された操舵トルクTt1の符号を乗算し、舵角速度指令値ωref2を求める。即ち、入力される操舵トルクTt1の符号に応じて出力の値が正逆反転するため、操舵トルクTt1の符号を乗算することで対応している。
一方、図12(A)の構成例に限らず、例えば図12(B)に示すように、正負の操舵トルクTt1に応じたマップを構成してもよい。この場合、操舵トルクTt1が正の場合と負の場合とで変化の態様を変えてもよい。また、図12(A)及び(B)に示すマップは車速感応であるが、車速感応でなくてもよい。
また、操舵介入位相補償部351は、補償マップ部352の後に設置しても良い。
なお、図12(A)の例では、補償マップ部352は、上記特性を有した複数の操舵介入補償マップを有する操舵介入補償マップ部352aと、符号部352bと、乗算部352cとを有している。即ち、補償マップ部352は、操舵介入補償マップ部352aにより、入力された車速Vに応じた操舵介入補償マップを選択する。そして、選択した操舵介入補償マップから入力された操舵トルクTt1の大きさに応じた舵角速度指令値ωref2の大きさを求め、これを乗算部352cに出力する。加えて、符号部352bにより、入力された操舵トルクTt1の符号(+1、−1)を乗算部352cに出力する。そして、乗算部352cにより、入力された舵角速度指令値ωref2の大きさを示す値に、入力された操舵トルクTt1の符号を乗算し、舵角速度指令値ωref2を求める。即ち、入力される操舵トルクTt1の符号に応じて出力の値が正逆反転するため、操舵トルクTt1の符号を乗算することで対応している。
一方、図12(A)の構成例に限らず、例えば図12(B)に示すように、正負の操舵トルクTt1に応じたマップを構成してもよい。この場合、操舵トルクTt1が正の場合と負の場合とで変化の態様を変えてもよい。また、図12(A)及び(B)に示すマップは車速感応であるが、車速感応でなくてもよい。
また、操舵介入位相補償部351は、補償マップ部352の後に設置しても良い。
図7に戻って、加算部393は、位置制御部340からの舵角速度指令値ωref1と操舵介入補償部350からの舵角速度指令値ωref2とを加算し、この加算結果を舵角速度指令値ωrefとして出力する。
乗算部392は、加算部393からの舵角速度指令値ωrefに切換判定/徐変ゲイン生成部220からの速度指令徐変ゲインGfa3を乗算して、この乗算結果を舵角速度指令値ωrefgとして出力する。
ここで、速度指令徐変ゲインGfa3は、手動操舵状態から自動操舵状態への切換時に円滑な切換を実現するために用いられる。なお、速度指令徐変ゲインGfa3は、舵角制御電流指令値IrefP1に乗算される舵角制御出力徐変ゲインGfa1と同期して変化する(完全な同期でなくても良い)。
乗算部392は、加算部393からの舵角速度指令値ωrefに切換判定/徐変ゲイン生成部220からの速度指令徐変ゲインGfa3を乗算して、この乗算結果を舵角速度指令値ωrefgとして出力する。
ここで、速度指令徐変ゲインGfa3は、手動操舵状態から自動操舵状態への切換時に円滑な切換を実現するために用いられる。なお、速度指令徐変ゲインGfa3は、舵角制御電流指令値IrefP1に乗算される舵角制御出力徐変ゲインGfa1と同期して変化する(完全な同期でなくても良い)。
速度指令値可変制限部360は、舵角速度指令値ωrefgに対して、制限値(上限値、下限値)を設定して制限をかけ、制限のかけられた舵角速度指令値ωrefgを目標舵角速度ωtとして出力する。
ここで、制限値は、速度指令徐変ゲインGfa3に応じて設定される。例えば、速度指令徐変ゲインGfa3が所定の閾値未満では、制限値の大きさ(絶対値)を図13の破線で示すような小さい値とし、それ以上では制限値の大きさを実線で示す値まで大きくする。なお、所定の閾値を切換状態での速度指令徐変ゲインGfa3の任意の値とし、Gfa3が所定の閾値未満では、制限値の大きさは破線の小さい値で固定とし、Gfa3が所定の閾値を超えたら、実線のところまで制限値の大きさを徐々に大きくするようにしても良い。なお、上限値の大きさと下限値の大きさは異なっていても良い。
ここで、制限値は、速度指令徐変ゲインGfa3に応じて設定される。例えば、速度指令徐変ゲインGfa3が所定の閾値未満では、制限値の大きさ(絶対値)を図13の破線で示すような小さい値とし、それ以上では制限値の大きさを実線で示す値まで大きくする。なお、所定の閾値を切換状態での速度指令徐変ゲインGfa3の任意の値とし、Gfa3が所定の閾値未満では、制限値の大きさは破線の小さい値で固定とし、Gfa3が所定の閾値を超えたら、実線のところまで制限値の大きさを徐々に大きくするようにしても良い。なお、上限値の大きさと下限値の大きさは異なっていても良い。
舵角速度制御部370は、目標舵角速度ωt、実操舵角速度ωr及び速度制御徐変ゲインGfa2を入力し、実操舵角速度ωrが目標舵角速度ωtに追従するような舵角制御電流指令値IrefWを、I−P制御(比例先行型PI制御)により算出する。
具体的に、舵角速度制御部370は、図14に示すように、ゲイン乗算部371及び372と、積分部373と、減算部374及び375と、乗算部376とを備える。
ゲイン乗算部371は、減算部374で算出される目標舵角速度ωt及び実操舵角速度ωrの偏差ωe(=ωt−ωr)にゲインKviを乗算し、この乗算結果を操作量D1として出力する。
積分部373は、ゲイン乗算部371からの操作量D1を積分し、制御量Ir1を算出する。
具体的に、舵角速度制御部370は、図14に示すように、ゲイン乗算部371及び372と、積分部373と、減算部374及び375と、乗算部376とを備える。
ゲイン乗算部371は、減算部374で算出される目標舵角速度ωt及び実操舵角速度ωrの偏差ωe(=ωt−ωr)にゲインKviを乗算し、この乗算結果を操作量D1として出力する。
積分部373は、ゲイン乗算部371からの操作量D1を積分し、制御量Ir1を算出する。
乗算部376は、積分部373からの制御量Ir1に切換判定/徐変ゲイン生成部220からの速度制御徐変ゲインGfa2を乗算し、この乗算結果を制御量Ir3として出力する。速度制御徐変ゲインGfa2の乗算は、手動操舵状態と自動操舵状態間の円滑な切換を実現するために行われ、これにより、切換時の舵角速度制御での積分値の蓄積の影響を緩和することができる。
ゲイン乗算部372は、EPS状態量検出部210からの実操舵角速度ωrにゲインKvpを乗算し、この乗算結果を制御量Ir2として出力する。
減算部375は、乗算部376からの制御量Ir3からゲイン乗算部372からの制御量Ir2を減算(Ir3−Ir2)し、この減算結果を舵角制御電流指令値(基本舵角制御電流指令値)IrefWとして出力する。なお、積分部373の積分として、実装上実現可能な積分方式であれば、任意の方式を使用可能であり、擬似積分を使用する場合は、1次遅れの伝達関数及びゲインで構成すれば良い。また、速度制御徐変ゲインGfa2は、舵角制御出力徐変ゲインGfa1と同期して変化させても良い。
なお、舵角速度制御部370はI−P制御を使用しているが、一般的に使用されている制御方法、例えばPI制御、2自由度PI制御、モデル規範制御、モデルマッチング制御、ロバスト制御等を使用しても良い。
ゲイン乗算部372は、EPS状態量検出部210からの実操舵角速度ωrにゲインKvpを乗算し、この乗算結果を制御量Ir2として出力する。
減算部375は、乗算部376からの制御量Ir3からゲイン乗算部372からの制御量Ir2を減算(Ir3−Ir2)し、この減算結果を舵角制御電流指令値(基本舵角制御電流指令値)IrefWとして出力する。なお、積分部373の積分として、実装上実現可能な積分方式であれば、任意の方式を使用可能であり、擬似積分を使用する場合は、1次遅れの伝達関数及びゲインで構成すれば良い。また、速度制御徐変ゲインGfa2は、舵角制御出力徐変ゲインGfa1と同期して変化させても良い。
なお、舵角速度制御部370はI−P制御を使用しているが、一般的に使用されている制御方法、例えばPI制御、2自由度PI制御、モデル規範制御、モデルマッチング制御、ロバスト制御等を使用しても良い。
図7に戻って、ハンドル制振部380は、トーションバートルク信号である操舵トルクTtに基づいて、ハンドルの振動を制振する。自動操舵中のハンドル振動に対して、ハンドル振動除去部330も効果を奏するが、ハンドル制振部380により、更に効果を向上させることができる。ハンドル制振部380は、ゲインと位相補償によりハンドル振動の制振を行い、トーションバーの捩れを解消する方向に働く舵角制御電流指令値IrefVを出力する。また、ハンドル制振部380は、捩れ角を低減する方向に働き、運転者による手入力の介入時の引っ掛かりの違和感を低減する効果も兼ねている。
具体的に、ハンドル制振部380は、図15に示すように、ゲイン部381と、制振位相補償部382とを備える。
具体的に、ハンドル制振部380は、図15に示すように、ゲイン部381と、制振位相補償部382とを備える。
ゲイン部381は、操舵トルクTtにゲインKvを乗算し、この乗算結果を制御量Irvとして出力する。
制振位相補償部382は、例えば1次フィルタで構成され、制御量Irvを舵角制御電流指令値IrefVに変換する。なお、1次フィルタではなく、2次以上の位相補償フィルタで構成しても良い。
制振位相補償部382は、例えば1次フィルタで構成され、制御量Irvを舵角制御電流指令値IrefVに変換する。なお、1次フィルタではなく、2次以上の位相補償フィルタで構成しても良い。
図7に戻って、加算部394は、舵角速度制御部370からの舵角制御電流指令値IrefWと、ハンドル制振部380からの舵角制御電流指令値IrefVとを加算し、この加算結果を舵角制御電流指令値IrefP3として出力する。
安定化補償部390は、EPS状態量検出部210からの実操舵角速度ωrを、下式(3)に示す伝達関数Gsで定義された1次のハイパスフィルタを用いて安定化補償電流指令値IrefSへと変換する。そして、この安定化補償電流指令値IrefSを加算部395へと出力する。
安定化補償部390は、EPS状態量検出部210からの実操舵角速度ωrを、下式(3)に示す伝達関数Gsで定義された1次のハイパスフィルタを用いて安定化補償電流指令値IrefSへと変換する。そして、この安定化補償電流指令値IrefSを加算部395へと出力する。
Gs=Ks・(s/2πfc)/{(s/2πfc)+1} ・・・(3)
上式(3)において、Ksはフィルタゲイン、sはラプラス演算子、πは円周率、fcはカットオフ周波数である。
実操舵角速度ωrをハイパスフィルタにてフィルタリングすることで、擬似的な微分が行われる。これにより、実操舵角速度ωrを実操舵角加速度の次元に変換している。
ここで、より軽い操舵介入を実現するためには、操舵介入補償部350の操舵介入補償マップの勾配を大きくすることが効果的である。しかし、勾配を大きくすると制御システムが不安定になり発振が生じる。これにより、高域の振動が発生し、この振動は運転者に対して不快な操舵感を与える。
上式(3)において、Ksはフィルタゲイン、sはラプラス演算子、πは円周率、fcはカットオフ周波数である。
実操舵角速度ωrをハイパスフィルタにてフィルタリングすることで、擬似的な微分が行われる。これにより、実操舵角速度ωrを実操舵角加速度の次元に変換している。
ここで、より軽い操舵介入を実現するためには、操舵介入補償部350の操舵介入補償マップの勾配を大きくすることが効果的である。しかし、勾配を大きくすると制御システムが不安定になり発振が生じる。これにより、高域の振動が発生し、この振動は運転者に対して不快な操舵感を与える。
そこで、本実施形態では、操舵介入補償マップの勾配を大きくしたことによる制御システムの不安定化を阻止すべく、制御システムの安定性を補償するための安定化補償値として上記安定化補償電流指令値IrefSを求め、これを舵角制御電流指令値IrefP3に加算するようにしている。
従って、フィルタゲインKs、カットオフ周波数fcは、操舵介入補償マップの勾配を大きく設定したことに応じて生じる制御システムの不安定化を阻止可能な値に調整されている。
従って、フィルタゲインKs、カットオフ周波数fcは、操舵介入補償マップの勾配を大きく設定したことに応じて生じる制御システムの不安定化を阻止可能な値に調整されている。
加算部395は、加算部394からの舵角制御電流指令値IrefP3と安定化補償部390からの安定化補償電流指令値IrefSとを加算し、この加算結果を舵角制御電流指令値IrefP2として出力する。
舵角制御電流指令値制限部400は、舵角制御電流指令値IrefP2に対して、過出力防止のために、制限値(上限値、下限値)を設定して制限をかけ、制限のかけられた舵角制御電流指令値IrefP2を舵角制御電流指令値IrefP1として出力する。
例えば、図16に示すように、上限値及び下限値を設定して舵角制御電流指令値IrefP2に対して制限をかける。なお、上限値の大きさ(絶対値)と下限値の大きさは異なっていても良い。
舵角制御電流指令値制限部400は、舵角制御電流指令値IrefP2に対して、過出力防止のために、制限値(上限値、下限値)を設定して制限をかけ、制限のかけられた舵角制御電流指令値IrefP2を舵角制御電流指令値IrefP1として出力する。
例えば、図16に示すように、上限値及び下限値を設定して舵角制御電流指令値IrefP2に対して制限をかける。なお、上限値の大きさ(絶対値)と下限値の大きさは異なっていても良い。
(切換部240の詳細な構成)
一方、切換部240は、図7に示すように、乗算部241及び242と、加算部243とを備えている。
乗算部241は、舵角制御部300からの舵角制御電流指令値IrefP1に、切換判定/徐変ゲイン生成部220からの舵角制御出力徐変ゲインGfa1を乗算し、この乗算結果を舵角制御電流指令値IrefPとして出力する。
ここで、舵角制御出力徐変ゲインGfa1は、手動操舵状態と自動操舵状態間の切換動作を円滑に行い、運転者への違和感の除去や安全性の確保等を実現するために用いられる。
一方、切換部240は、図7に示すように、乗算部241及び242と、加算部243とを備えている。
乗算部241は、舵角制御部300からの舵角制御電流指令値IrefP1に、切換判定/徐変ゲイン生成部220からの舵角制御出力徐変ゲインGfa1を乗算し、この乗算結果を舵角制御電流指令値IrefPとして出力する。
ここで、舵角制御出力徐変ゲインGfa1は、手動操舵状態と自動操舵状態間の切換動作を円滑に行い、運転者への違和感の除去や安全性の確保等を実現するために用いられる。
乗算部242は、アシスト制御部230からのアシスト制御電流指令値IrefT1に切換判定/徐変ゲイン生成部220からのアシスト制御出力徐変ゲインGft1を乗算し、この乗算結果をアシスト制御電流指令値IrefTとして出力する。
ここで、アシスト制御出力徐変ゲインGft1は、手動操舵状態と自動操舵状態間の切換動作を円滑に行い、自動運転中の運転者による操舵介入を実現するために用いられる。
加算部243は、乗算部241からの舵角制御電流指令値IrefPと、乗算部241からのアシスト制御電流指令値IrefTとを加算し、この加算結果を電流指令値Irefとして出力する。
ここで、アシスト制御出力徐変ゲインGft1は、手動操舵状態と自動操舵状態間の切換動作を円滑に行い、自動運転中の運転者による操舵介入を実現するために用いられる。
加算部243は、乗算部241からの舵角制御電流指令値IrefPと、乗算部241からのアシスト制御電流指令値IrefTとを加算し、この加算結果を電流指令値Irefとして出力する。
前述のアシスト制御部230で使用されるアシストマップ徐変ゲインGft2も、アシスト制御出力徐変ゲインGft1と同じ目的で用いられる。自動操舵状態において、図5(B)及び(C)に示されるように、Gft1をαt1に、Gft2をαt2に設定し、αt1及びαt2を調整することにより、システムの安定性を向上させ、振動の発生を抑えることが可能となる。また、自動操舵状態におけるシステムの安定性を維持できるのであれば、簡易的にαt1を0%、αt2を100%としても良い。この場合、αt1は0%ということより、アシスト制御電流指令値IrefTはゼロ指令となり、アシスト制御をなくした状態においても操舵介入を実現できることとなる。
(動作)
以下、EPS側ECU200の動作例を、図17〜図20のフローチャートに基づき説明する。
動作を開始すると、図17に示すように、まず、EPS状態量検出部210は実操舵角θr、操舵トルクTt、車速Vを検出し(ステップS10)、実操舵角θrを舵角制御部300に、操舵トルクTtを切換判定/徐変ゲイン生成部220、舵角制御部300及びアシスト制御部230に、車速Vを舵角制御部300及びアシスト制御部230にそれぞれ出力する。更に、EPS状態量検出部210は、実操舵角θrより実操舵角速度ωrを算出し(ステップS20)、算出した実操舵角速度ωrを舵角制御部300に出力する。
以下、EPS側ECU200の動作例を、図17〜図20のフローチャートに基づき説明する。
動作を開始すると、図17に示すように、まず、EPS状態量検出部210は実操舵角θr、操舵トルクTt、車速Vを検出し(ステップS10)、実操舵角θrを舵角制御部300に、操舵トルクTtを切換判定/徐変ゲイン生成部220、舵角制御部300及びアシスト制御部230に、車速Vを舵角制御部300及びアシスト制御部230にそれぞれ出力する。更に、EPS状態量検出部210は、実操舵角θrより実操舵角速度ωrを算出し(ステップS20)、算出した実操舵角速度ωrを舵角制御部300に出力する。
操舵トルクTtを入力した切換判定/徐変ゲイン生成部220は、車両側ECU100から出力される切換信号SWの入力の有無も踏まえて自動操舵と手動操舵の切換判定を行い、その判定結果に基づいて徐変ゲインを決定する(ステップS30)。そして、決定した徐変ゲインGfa2、Gfa3及びGfa4を舵角制御部300に、Gft2をアシスト制御部230に、Gfa1及びGft1を切換部240にそれぞれ出力する。切換判定/徐変ゲイン生成部220の動作の詳細については後述する。
舵角制御部300は、車両側ECU100からの舵角指令値θref、EPS状態量検出部210からの実操舵角θr、実操舵角速度ωr、操舵トルクTt及び車速V、並びに切換判定/徐変ゲイン生成部220からの徐変ゲインGfa2、Gfa3及びGfa4を入力し、それらを用いて舵角制御電流指令値IrefP1を算出し(ステップS40)、切換部240に出力する。舵角制御部300の動作の詳細については後述する。
アシスト制御部230は、操舵トルクTt、車速V及びアシストマップ徐変ゲインGft2を入力し、アシストマップ出力電流(電流値)を算出する(ステップS50)。そして、アシストマップ出力電流にアシストマップ徐変ゲインGft2を乗算し(ステップS60)、この乗算結果に基づき、アシスト制御電流指令値IrefT1を算出し(ステップS70)、切換部240に出力する。
切換部240は、入力した舵角制御電流指令値IrefP1に対して舵角制御出力徐変ゲインGfa1を乗算部241で乗算し(ステップS80)、乗算結果である舵角制御電流指令値IrefPを加算部243に出力する。また、入力したアシスト制御電流指令値IrefT1に対してアシスト制御出力徐変ゲインGft1を乗算部242で乗算し(ステップS90)、乗算結果であるアシスト制御電流指令値IrefTを加算部243に出力する。加算部243は、舵角制御電流指令値IrefP及びアシスト制御電流指令値IrefTを加算し(ステップS100)、加算結果である電流指令値Irefを電流制御/駆動部250に出力する。
電流制御/駆動部250は、減算部32B、PI制御部35、PWM制御部36及びインバータ37により、電流指令値Iref及びモータ電流検出器38で検出されたモータ電流Imを用いて、モータ電流Imが電流指令値Irefに追従するように制御し(ステップS110)、モータを駆動制御する。
次に、切換判定/徐変ゲイン生成部220の動作例の詳細を、図18のフローチャートに基づき説明する。なお、操舵状態判定部224において、操舵状態判定信号Jsには、初期値として「手動操舵」が設定されているとする。
入力した操舵トルクTtは、切換判定部221内の手入力判定部223に入力される。
手入力判定部223は、操舵トルクTtを平滑化フィルタ部225で平滑化し(ステップS210)、平滑化後の操舵トルクTt'の絶対値|Tt'|を絶対値化部226で求める(ステップS220)。絶対値|Tt'|は判定処理部227に入力される。判定処理部227は、絶対値|Tt'|が閾値Tth以上の場合(ステップS230のYes)、「手入力あり」と判定し(ステップS240)、絶対値|Tt'|が閾値Tth未満の場合(ステップS230のNo)、「手入力なし」と判定し(ステップS250)、判定結果である手入力判定信号Jhを操舵状態判定部224に出力する。
入力した操舵トルクTtは、切換判定部221内の手入力判定部223に入力される。
手入力判定部223は、操舵トルクTtを平滑化フィルタ部225で平滑化し(ステップS210)、平滑化後の操舵トルクTt'の絶対値|Tt'|を絶対値化部226で求める(ステップS220)。絶対値|Tt'|は判定処理部227に入力される。判定処理部227は、絶対値|Tt'|が閾値Tth以上の場合(ステップS230のYes)、「手入力あり」と判定し(ステップS240)、絶対値|Tt'|が閾値Tth未満の場合(ステップS230のNo)、「手入力なし」と判定し(ステップS250)、判定結果である手入力判定信号Jhを操舵状態判定部224に出力する。
操舵状態判定部224は、切換信号SWの入力の有無を確認し(ステップS260)、切換信号SWを入力していると判定すると(ステップS260のYes)、切換信号SWが「アシスト制御モード」又は手入力判定信号Jhが「手入力あり」の場合(ステップS270のYes)、操舵状態判定信号Jsを「手動操舵」に更新する(ステップS280)。一方、切換信号SWが「アシスト制御モード」又は手入力判定信号Jhが「手入力あり」ではない場合(ステップS270のNo)、操舵状態判定信号Jsを「自動操舵」に更新する(ステップS290)。また、切換信号SWを入力していない場合(ステップS260のNo)は、操舵状態判定信号Jsはそのままとする。操舵状態判定信号Jsは徐変ゲイン生成部222に入力される。
徐変ゲイン生成部222は、操舵状態判定信号Jsの値を確認する(ステップS300)。そして、操舵状態判定信号Jsが「手動操舵」の場合(ステップS300のYes)、各徐変ゲイン(Gfa1〜Gfa4、Gft1、Gft2)を手動操舵状態での値(Gfa1〜Gfa4では0[%]、Gft1及びGft2では100[%])に遷移させる(ステップS310)。一方、操舵状態判定信号Jsが「自動操舵」の場合(ステップS300のNo)、各徐変ゲインを自動操舵状態での値(Gfa1〜Gfa4では100[%]、Gft1ではαt1[%]、Gft2ではαt2[%])に遷移させる(ステップS320)。
次に、舵角制御部300の動作例の詳細を、図19及び図20のフローチャートに基づき説明する。
動作を開始すると、図19に示すように、舵角指令値可変制限部310は、入力した舵角指令徐変ゲインGfa4の値を確認し(ステップS410)、Gfa4が0[%]の場合、制限値を、図8に示す「手動操舵時」の制限値とする(ステップS420)。一方、Gfa4が100[%]の場合、図8に示す「自動操舵時」の制限値とし(ステップS430)、Gfa4が0〜100[%]の場合、中間の値を制限値とする(ステップS440)。そして、設定された制限値を用いて、車両側ECU100から入力した舵角指令値θrefに対して制限をかけ(ステップS450)、制限のかけられた舵角指令値θrefを舵角指令値θref1として出力する。
動作を開始すると、図19に示すように、舵角指令値可変制限部310は、入力した舵角指令徐変ゲインGfa4の値を確認し(ステップS410)、Gfa4が0[%]の場合、制限値を、図8に示す「手動操舵時」の制限値とする(ステップS420)。一方、Gfa4が100[%]の場合、図8に示す「自動操舵時」の制限値とし(ステップS430)、Gfa4が0〜100[%]の場合、中間の値を制限値とする(ステップS440)。そして、設定された制限値を用いて、車両側ECU100から入力した舵角指令値θrefに対して制限をかけ(ステップS450)、制限のかけられた舵角指令値θrefを舵角指令値θref1として出力する。
舵角指令値θref1は、舵角指令徐変ゲインGfa4及び実操舵角θrと共に、可変レート制限部320に入力される。可変レート制限部320は、舵角指令徐変ゲインGfa4の値を確認し(ステップS460)、Gfa4が0[%]の場合、制限値をゼロとし(ステップS470)、保持している1サンプル前の舵角指令値θref1の値を実操舵角θrの値にする(ステップS471)。ステップS471は、Gfa4が0[%]より大きくなる舵角制御が開始された時点では、前の舵角制御終了時の値が残った状態であり、その値をそのまま使用すると舵角指令値の急変によりハンドルが急変するおそれがあるので、実操舵角θrと一致させた状態で開始させることにより急変を抑制するための処置である。
一方、Gfa4が100[%]の場合、制限値を予め定められた値とし(ステップS480)、Gfa4が0〜100[%]の場合、中間の値を制限値とする(ステップS490)。そして、舵角指令値θref1と1サンプル前の舵角指令値θref1との差分(変化量)を算出する(ステップS500)。変化量の絶対値が制限値より大きい場合(ステップS510のYes)、変化量の絶対値が制限値となるように、舵角指令値θref1を加減算し(ステップS520)、この演算結果を舵角指令値θref2として出力する(ステップS530)。一方、変化量の絶対値が制限値以下の場合(ステップS510のNo)、舵角指令値θref1をそのまま舵角指令値θref2として出力する(ステップS530)。
舵角指令値θref2は、乗算部391で舵角指令徐変ゲインGfa4を乗算され(ステップS540)、この乗算結果が舵角指令値θref3として出力され、舵角指令値θref3はハンドル振動除去部330に入力される。
ハンドル振動除去部330は、舵角指令値θref3に対して、振動周波数成分を低減し(ステップS550)、この低減後の舵角指令値θref3を目標操舵角θtとして位置制御部340に出力する。
ハンドル振動除去部330は、舵角指令値θref3に対して、振動周波数成分を低減し(ステップS550)、この低減後の舵角指令値θref3を目標操舵角θtとして位置制御部340に出力する。
目標操舵角θtは、位置制御部340内の規範モデル部341及びフィルタ部343に入力される。規範モデル部341は、上式(1)を用いて、目標操舵角θtを目標操舵角θt1に変換する(ステップS560)。目標操舵角θt1は減算部344に加算入力され、実操舵角θrが減算部344に減算入力され、目標操舵角θt1と実操舵角θrの偏差θeが求められる(ステップS570)。この偏差θeは比例ゲイン部342に入力され、比例ゲイン部342は、偏差θeに比例ゲインKppを乗算し、舵角速度指令値ωrefaを算出する(ステップS580)。目標操舵角θtを入力したフィルタ部343は、車速Vも入力し、図10に示す特性を用いて車速VからFFフィルタゲインKffを求め、上式(2)を用いて、目標操舵角θtを舵角速度指令値ωrefbに変換する(ステップS590)。舵角速度指令値ωrefa及びωrefbは加算部345で加算され(ステップS600)、舵角速度指令値ωref1が出力される。舵角速度指令値ωref1は加算部393に入力される。
一方、図20に示すように、操舵介入補償部350は、車速V及び操舵トルクTtを入力し、車速Vは補償マップ部352に、操舵トルクTtは操舵介入位相補償部351に入力される。操舵介入位相補償部351は、位相補償により、操舵トルクTtを操舵トルクTt1に変換する(ステップS610)。操舵トルクTt1は、車速Vと共に、補償マップ部352に入力される。補償マップ部352は、例えば、図12(A)又は図12(B)に示す特性に基づいて、車速Vより決定された操舵介入補償マップを用いて、操舵トルクTt1の大きさ及び符号に対する舵角速度指令値ωref2を求める(ステップS620)。舵角速度指令値ωref2は加算部393に入力される。
加算部393に入力された舵角速度指令値ωref1及びωref2は加算され(ステップS630)、この加算結果が舵角速度指令値ωrefとして出力される。舵角速度指令値ωrefは、乗算部392で速度指令徐変ゲインGfa3を乗算され(ステップS640)、この乗算結果が舵角速度指令値ωrefgとして速度指令値可変制限部360に入力される。
速度指令値可変制限部360は、舵角速度指令値ωrefgと共に、速度指令徐変ゲインGfa3を入力し、速度指令徐変ゲインGfa3の値を確認する(ステップS650)。そして、Gfa3が所定の閾値未満の場合(ステップS650のYes)、制限値を、図13に示す「Gfa3小」の制限値とし(ステップS660)、所定の閾値以上の場合(ステップS650のNo)、「Gfa3大」の制限値とする(ステップS670)。設定された制限値を用いて、舵角速度指令値ωrefgに対して制限をかけ(ステップS680)、この制限のかけられた舵角速度指令値ωrefgを目標舵角速度ωtとして出力する。目標舵角速度ωtは舵角速度制御部370に入力される。
速度指令値可変制限部360は、舵角速度指令値ωrefgと共に、速度指令徐変ゲインGfa3を入力し、速度指令徐変ゲインGfa3の値を確認する(ステップS650)。そして、Gfa3が所定の閾値未満の場合(ステップS650のYes)、制限値を、図13に示す「Gfa3小」の制限値とし(ステップS660)、所定の閾値以上の場合(ステップS650のNo)、「Gfa3大」の制限値とする(ステップS670)。設定された制限値を用いて、舵角速度指令値ωrefgに対して制限をかけ(ステップS680)、この制限のかけられた舵角速度指令値ωrefgを目標舵角速度ωtとして出力する。目標舵角速度ωtは舵角速度制御部370に入力される。
舵角速度制御部370は、目標舵角速度ωtと共に、実操舵角速度ωr及び速度制御徐変ゲインGfa2を入力する。目標舵角速度ωtは減算部374に加算入力され、実操舵角速度ωrは減算部374に減算入力され、目標舵角速度ωtと実操舵角速度ωrの偏差ωeがゲイン乗算部371に入力される(ステップS690)。ゲイン乗算部371は偏差ωeにゲインKviを乗算し(ステップS700)、操作量D1を算出する。操作量D1は積分部373に入力され、積分部373は、操作量D1を積分して制御量Ir1を算出し(ステップS710)、この制御量Ir1を乗算部376に出力する。乗算部376は、制御量Ir1に速度制御徐変ゲインGfa2を乗算し(ステップS720)、制御量Ir3を算出する。この制御量Ir3は減算部375に加算入力される。また、実操舵角速度ωrはゲイン乗算部372にも入力され、ゲイン乗算部372は、実操舵角速度ωrにゲインKvpを乗算し(ステップS730)、制御量Ir2を算出する。この制御量Ir2は減算部375に減算入力される。減算部375では、制御量Ir3と制御量Ir2との偏差が算出され(ステップS740)、この偏差が舵角制御電流指令値IrefWとして、加算部394に出力される。
操舵トルクTtはハンドル制振部380にも入力される。ハンドル制振部380では、ゲイン部381が、入力した操舵トルクTtにゲインKvを乗算し(ステップS750)、制御量Irvを出力する。制御量Irvは制振位相補償部382で位相補償され(ステップS760)、この位相補償された制御量Irvが舵角制御電流指令値IrefVとして、加算部394に出力される。
加算部394に入力された舵角制御電流指令値IrefW及びIrefVは加算され(ステップS770)、この加算結果が舵角制御電流指令値IrefP3として加算部395に入力される。
安定化補償部390は、実操舵角速度ωrを入力し、この実操舵角速度ωrに対して上式(3)に示す伝達特性を有する1次のハイパスフィルタにてフィルタ処理して(ステップS780)、このフィルタ処理結果を、安定化補償電流指令値IrefSとして出力する。この安定化補償電流指令値IrefSは、加算部395に入力される。
加算部394に入力された舵角制御電流指令値IrefW及びIrefVは加算され(ステップS770)、この加算結果が舵角制御電流指令値IrefP3として加算部395に入力される。
安定化補償部390は、実操舵角速度ωrを入力し、この実操舵角速度ωrに対して上式(3)に示す伝達特性を有する1次のハイパスフィルタにてフィルタ処理して(ステップS780)、このフィルタ処理結果を、安定化補償電流指令値IrefSとして出力する。この安定化補償電流指令値IrefSは、加算部395に入力される。
加算部395に入力された舵角制御電流指令値IrefP3及び安定化補償電流指令値IrefSは加算され(ステップS790)、この加算結果が舵角制御電流指令値IrefP2として舵角制御電流指令値制限部400に入力される。
舵角制御電流指令値制限部400は、舵角制御電流指令値IrefP2に対して、図16に示す特性の制限値を用いて制限をかけ、舵角制御電流指令値IrefP1を出力する(ステップS800)。
舵角制御電流指令値制限部400は、舵角制御電流指令値IrefP2に対して、図16に示す特性の制限値を用いて制限をかけ、舵角制御電流指令値IrefP1を出力する(ステップS800)。
なお、舵角制御部300の動作とアシスト制御部230の動作は、順番が逆でも、並行して実行されても良い。舵角制御部300の動作においては、加算部393に入力される舵角速度指令値ωref1の算出までの動作と舵角速度指令値ωref2の算出までの動作、加算部394に入力される舵角制御電流指令値IrefWの算出までの動作と舵角制御電流指令値IrefVの算出までの動作等も、それぞれ順番が逆でも、並行して実行されても良い。
(シミュレーション結果に基づく効果の説明)
図21に示すように、図2に示す制御システムの制御対象を物理モデルから構成されたプラント500としてシミュレーション用の制御システム(以下、「シミュレーションシステム」と称す)を構成した。以下、このシミュレーションシステムにてシミュレーションを行った結果に基づき操舵介入補償部350による操舵介入補償及び安定化補償部390による安定化補償の効果を説明する。
プラント500は、図21に示すように、ハンドル操舵における運転者の特性とEPS及び車両のメカ特性とを模擬した制御対象の物理モデルから構成され、運転者操舵伝達特性510と、メカ伝達特性520とを備える。運転者の操舵により発生するハンドル手入力トルクTh及びEPS側ECU200からのモータ電流Imに基づいてメカ系が動作し、それにより車両及びEPSに関する状態情報EVが生じるので、メカ伝達特性520は、その状態情報EVを出力する。
この状態情報EVは、上記EPS状態量Ceと上記車両状態量Cvとを合わせたものと等価である。
状態情報EV中のハンドル舵角θh(実操舵角θrに相当)に応じて運転者の操舵によるハンドル手入力トルクTh(操舵トルクTtに相当)が発生するので、運転者操舵伝達特性510は、そのハンドル手入力トルクThを出力する。
図21に示すように、図2に示す制御システムの制御対象を物理モデルから構成されたプラント500としてシミュレーション用の制御システム(以下、「シミュレーションシステム」と称す)を構成した。以下、このシミュレーションシステムにてシミュレーションを行った結果に基づき操舵介入補償部350による操舵介入補償及び安定化補償部390による安定化補償の効果を説明する。
プラント500は、図21に示すように、ハンドル操舵における運転者の特性とEPS及び車両のメカ特性とを模擬した制御対象の物理モデルから構成され、運転者操舵伝達特性510と、メカ伝達特性520とを備える。運転者の操舵により発生するハンドル手入力トルクTh及びEPS側ECU200からのモータ電流Imに基づいてメカ系が動作し、それにより車両及びEPSに関する状態情報EVが生じるので、メカ伝達特性520は、その状態情報EVを出力する。
この状態情報EVは、上記EPS状態量Ceと上記車両状態量Cvとを合わせたものと等価である。
状態情報EV中のハンドル舵角θh(実操舵角θrに相当)に応じて運転者の操舵によるハンドル手入力トルクTh(操舵トルクTtに相当)が発生するので、運転者操舵伝達特性510は、そのハンドル手入力トルクThを出力する。
まず、操舵介入補償部350の効果について説明する。
舵角指令値θrefを0[deg]に固定して、運転者の目標角度θarmを入力した場合の自動操舵のシミュレーションを行った。参考として、同条件で運転者の操舵モデルを考慮したシミュレーションでの運転者の目標角度θarmの時間変化に対する実操舵角θr及び操舵トルクTtの時間応答を、図22に示す。図22において、縦軸が実操舵角度[deg]及び操舵トルク[Nm]、横軸が時間[sec]であり、太実線が運転者の目標角度θarm、細実線が実操舵角(本実施形態ではハンドル舵角)θr、破線が操舵トルクTtを示す。なお、図22において、アシスト制御出力徐変ゲインGft1は0[%]、つまりアシスト制御は効かないようにした。また、図22は、運転者の目標角度θarmの変化に対して、実操舵角θr及び操舵トルクTtが変化する様子を説明するためのシミュレーションの一例である。
舵角指令値θrefを0[deg]に固定して、運転者の目標角度θarmを入力した場合の自動操舵のシミュレーションを行った。参考として、同条件で運転者の操舵モデルを考慮したシミュレーションでの運転者の目標角度θarmの時間変化に対する実操舵角θr及び操舵トルクTtの時間応答を、図22に示す。図22において、縦軸が実操舵角度[deg]及び操舵トルク[Nm]、横軸が時間[sec]であり、太実線が運転者の目標角度θarm、細実線が実操舵角(本実施形態ではハンドル舵角)θr、破線が操舵トルクTtを示す。なお、図22において、アシスト制御出力徐変ゲインGft1は0[%]、つまりアシスト制御は効かないようにした。また、図22は、運転者の目標角度θarmの変化に対して、実操舵角θr及び操舵トルクTtが変化する様子を説明するためのシミュレーションの一例である。
このような運転者の目標角度θarmを入力した場合の実操舵角θr及び操舵トルクTtの変化について、操舵介入補償がなくPI制御にて速度制御を行った場合と操舵介入補償がある場合とで比較を行った。なお、前者では、本実施形態との比較のために、アシスト制御出力徐変ゲインGft1及びアシストマップ徐変ゲインGft2を共に100[%]として、積分方式の違いを見ることにした。後者では、アシスト制御出力徐変ゲインGft1を0[%]とした。また、従来の先行技術(例えば特許文献1)においては、切換前の舵角制御中ではアシスト制御指令値は0[deg]であるが、前者の場合よりも操舵介入が困難であると推測されるので割愛した。
このシミュレーション結果は図23に示した。図23において、縦軸が操舵トルク[Nm]、横軸が実操舵角[deg]であり、操舵介入補償がない場合を破線で、操舵介入補償がある場合を実線で示している。但し、操舵介入補償部350において、操舵介入補償マップは原点からの直線とした。
図23中の破線で示すように、操舵介入補償がない場合、7.5[deg]までは実操舵角θrを切れているが、速度制御でのPI制御の積分の影響により、速度偏差(舵角速度指令値と実操舵角速度の偏差)が蓄積され続けることで、最終的に舵角指令値θref(=0[deg])まで強制的に戻されてしまい、更に、15[Nm]以上の非常に大きな操舵トルクが発生してしまい、運転者による操舵が困難な状態となる。
図23中の破線で示すように、操舵介入補償がない場合、7.5[deg]までは実操舵角θrを切れているが、速度制御でのPI制御の積分の影響により、速度偏差(舵角速度指令値と実操舵角速度の偏差)が蓄積され続けることで、最終的に舵角指令値θref(=0[deg])まで強制的に戻されてしまい、更に、15[Nm]以上の非常に大きな操舵トルクが発生してしまい、運転者による操舵が困難な状態となる。
これに対して、図23中の実線で示すように、操舵介入補償がある場合は、約22[deg]まで操舵できており、舵角指令値θref(=0[deg])に引き戻されることもない。これは、位置制御部340から出力される舵角速度指令値ωref1に操舵介入補償部350から出力される舵角速度指令値ωref2が加算され、操舵した状態における舵角速度指令値ωrefと実操舵角速度ωrの速度偏差が0近傍で釣り合うためである。
このように、操舵介入補償部350の機能により、運転者による操舵介入を実現することが可能となる。また、操舵介入補償部350からの出力のゲイン(操舵介入補償マップの勾配)を大きくすることで、より軽い操舵を実現することができる。
このように、操舵介入補償部350の機能により、運転者による操舵介入を実現することが可能となる。また、操舵介入補償部350からの出力のゲイン(操舵介入補償マップの勾配)を大きくすることで、より軽い操舵を実現することができる。
次に、安定化補償部390の効果を説明する。
上述したように、操舵介入補償部350の操舵介入補償マップの勾配を大きくすると、より軽い操舵介入が可能となるが、勾配を大きくすると制御システムが不安定になって制御的な発振による高域の振動が発生する。この振動は、運転者に対して不快な操舵感を与える要因となる。安定化補償部390は、実操舵角速度ωrを上式(3)に示す伝達関数Gsで表される伝達特性を有するハイパスフィルタにてフィルタ処理して安定化補償電流指令値IrefSを生成し、生成した安定化補償電流指令値IrefSにて、制御システムの安定性を補償するものである。
上述したように、操舵介入補償部350の操舵介入補償マップの勾配を大きくすると、より軽い操舵介入が可能となるが、勾配を大きくすると制御システムが不安定になって制御的な発振による高域の振動が発生する。この振動は、運転者に対して不快な操舵感を与える要因となる。安定化補償部390は、実操舵角速度ωrを上式(3)に示す伝達関数Gsで表される伝達特性を有するハイパスフィルタにてフィルタ処理して安定化補償電流指令値IrefSを生成し、生成した安定化補償電流指令値IrefSにて、制御システムの安定性を補償するものである。
まず、安定化補償部390による安定化補償が無い状態で、操舵介入補償部350への入力信号(操舵トルクTt)を開放にし、実操舵トルクの代わりにサインスイープ信号を入力し、このサインスイープ信号として入力した操舵トルクに操舵介入補償部350にてマイナスゲインを掛け、制御システムの開ループでの周波数伝達特性を演算した。このシミュレーション結果を、図24に示すボード線図にて表した。図24において、横軸が周波数[Hz]、左側縦軸がゲイン[dB]、右側縦軸が位相[deg]であり、実線がゲイン[dB]、破線が位相[deg]を示す。
かかるボード線図は、図24中の破線で示す位相が「−180[deg]」のときに、図24中の実線で示すゲインが「1(0[dB])」よりも大きくなっており、公知のナイキストの安定判別法から、制御システムが不安定な状態となっていることが解る。
かかるボード線図は、図24中の破線で示す位相が「−180[deg]」のときに、図24中の実線で示すゲインが「1(0[dB])」よりも大きくなっており、公知のナイキストの安定判別法から、制御システムが不安定な状態となっていることが解る。
また、操舵介入補償部350の設定(操舵介入補償マップの勾配)をそのままに、同じく安定化補償が無い状態で、閉ループ(操舵介入補償部350への入力信号を開放しない状態)で操舵を模倣したシミュレーションを行った。このシミュレーション結果は、図25に示すように、実操舵角θrの時間変化に対する操舵トルクTtの時間変化で示した。ここで、図25の上図において、横軸が時間[sec]、縦軸が実操舵角θr[deg]であり、図25の下図において、横軸が時間[sec]、縦軸が操舵トルクTt[Nm]である。
図25に示すように、操舵開始の約0.2[s]後から操舵トルクTtが振動し始めており、実操舵角が約50[deg]に至るまで実操舵角が大きくなるに連れて振動が徐々に大きくなっている(即ち発振が生じている)。その後、実操舵角の増加量の減少に応じて振動がやや小さくなり、保舵時(操舵角が約54[deg]で一定)は、徐々に振動が小さくなっていき最終的に振動が収まっているのが解る。この操舵トルクTtの振動は、運転者に不快な操舵感を与える要因となる。なお、図示省略するが、操舵介入補償マップの勾配を更に大きくすることで振動は更に悪化する。
図25に示すように、操舵開始の約0.2[s]後から操舵トルクTtが振動し始めており、実操舵角が約50[deg]に至るまで実操舵角が大きくなるに連れて振動が徐々に大きくなっている(即ち発振が生じている)。その後、実操舵角の増加量の減少に応じて振動がやや小さくなり、保舵時(操舵角が約54[deg]で一定)は、徐々に振動が小さくなっていき最終的に振動が収まっているのが解る。この操舵トルクTtの振動は、運転者に不快な操舵感を与える要因となる。なお、図示省略するが、操舵介入補償マップの勾配を更に大きくすることで振動は更に悪化する。
また、操舵介入補償部350の設定をそのままに、安定化補償がある状態で、制御システムの開ループでの周波数伝達特性を演算した。なお、その際に、上式(3)におけるカットオフ周波数fcを150[Hz]に設定した。そして、このシミュレーション結果を、図26に示すボード線図にて表した。図26において、横軸が周波数[Hz]、左側縦軸がゲイン[dB]、右側縦軸が位相[deg]であり、実線がゲイン[dB]、破線が位相[deg]を示す。
かかるボード線図は、図26中の破線で示す位相が「−180[°]」のときに、図26中の実線で示すゲインが「1(0[dB])」よりも小さくなっている。具体的に、ゲイン余裕が約11[dB]、位相余裕が約6[°]となっている。従って、公知のナイキストの安定判別法から、制御システムが安定な状態となっていることが解る。
かかるボード線図は、図26中の破線で示す位相が「−180[°]」のときに、図26中の実線で示すゲインが「1(0[dB])」よりも小さくなっている。具体的に、ゲイン余裕が約11[dB]、位相余裕が約6[°]となっている。従って、公知のナイキストの安定判別法から、制御システムが安定な状態となっていることが解る。
また、操舵介入補償部350の設定をそのままに、同じく安定化補償がある状態で、閉ループで操舵を模倣したシミュレーションを行った。このシミュレーション結果は、図27に示すように、実操舵角θrの時間変化に対する操舵トルクTtの時間変化で示した。ここで、図27の上図において、横軸が時間[sec]、縦軸が実操舵角θr[deg]であり、図27の下図において、横軸が時間[sec]、縦軸が操舵トルクTt[Nm]である。
図27に示すように、操舵開始から実操舵角が約54[deg]で一定となる保舵状態に至るまで操舵トルクTtが振動していないことが解る。即ち、このシミュレーション結果から、安定化補償部390を設けて安定化補償を行うことで、操舵介入補償マップの勾配を大きくした場合の制御システムの不安定化による振動の発生を十分に抑えることができることが解る。
図27に示すように、操舵開始から実操舵角が約54[deg]で一定となる保舵状態に至るまで操舵トルクTtが振動していないことが解る。即ち、このシミュレーション結果から、安定化補償部390を設けて安定化補償を行うことで、操舵介入補償マップの勾配を大きくした場合の制御システムの不安定化による振動の発生を十分に抑えることができることが解る。
ここで、上記実施形態において、加算部393が舵角速度指令値演算部に対応し、加算部395が舵角制御電流指令値演算部に対応し、切換部240が最終電流指令値演算部に対応する。
また、上記実施形態において、舵角速度指令値ωref1が基本舵角速度指令値に対応し、舵角速度指令値ωref2が補償舵角速度指令値に対応し、舵角制御電流指令値IrefWが基本舵角制御電流指令値に対応する。
また、上記実施形態において、舵角速度指令値ωref1が基本舵角速度指令値に対応し、舵角速度指令値ωref2が補償舵角速度指令値に対応し、舵角制御電流指令値IrefWが基本舵角制御電流指令値に対応する。
(実施形態の作用及び効果)
実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、アシスト制御部230が、操舵トルクTt、車速V及びモータ回転角θmに基づいて、アシスト制御電流指令値IrefT1を演算する。加えて、舵角制御部300が、操舵トルクTt、舵角指令値θref、実操舵角θr及び実操舵角速度ωrに基づいて、舵角制御のための舵角制御電流指令値IrefP1を演算する。更に、切換部240が、アシスト制御電流指令値IrefT1及び舵角制御電流指令値IrefP1に基づき電動モータ22を駆動制御する電流指令値Irefを演算する。
具体的に、舵角制御部300は、位置制御部340が、舵角指令値θref及び実操舵角θrに基づいて舵角速度指令値(基本舵角速度指令値)ωref1を演算する。操舵介入補償部350が、操舵トルクTtに基づき、舵角制御中の運転者の操舵介入を補償するための舵角速度指令値(補償舵角速度指令値)ωref2を求める。具体的に、操舵介入補償部350は、操舵トルクTtに対する補償舵角速度指令値の特性を定めた車速感応型の操舵介入補償マップを有する補償マップ部352を備え、補償マップ部352を介して、操舵トルクTtより補償舵角速度指令値ωref2を求める。
実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、アシスト制御部230が、操舵トルクTt、車速V及びモータ回転角θmに基づいて、アシスト制御電流指令値IrefT1を演算する。加えて、舵角制御部300が、操舵トルクTt、舵角指令値θref、実操舵角θr及び実操舵角速度ωrに基づいて、舵角制御のための舵角制御電流指令値IrefP1を演算する。更に、切換部240が、アシスト制御電流指令値IrefT1及び舵角制御電流指令値IrefP1に基づき電動モータ22を駆動制御する電流指令値Irefを演算する。
具体的に、舵角制御部300は、位置制御部340が、舵角指令値θref及び実操舵角θrに基づいて舵角速度指令値(基本舵角速度指令値)ωref1を演算する。操舵介入補償部350が、操舵トルクTtに基づき、舵角制御中の運転者の操舵介入を補償するための舵角速度指令値(補償舵角速度指令値)ωref2を求める。具体的に、操舵介入補償部350は、操舵トルクTtに対する補償舵角速度指令値の特性を定めた車速感応型の操舵介入補償マップを有する補償マップ部352を備え、補償マップ部352を介して、操舵トルクTtより補償舵角速度指令値ωref2を求める。
舵角制御部300は、更に、加算部393が、舵角速度指令値ωref1と舵角速度指令値ωref2とを加算して舵角速度指令値ωrefを演算する。舵角速度制御部370が、舵角速度指令値ωrefに速度指令徐変ゲインGfa3を乗算してなる舵角速度指令値ωrefgと実操舵角速度ωrとを用いて、I−P制御によって舵角制御電流指令値(基本舵角制御電流指令値)IrefWを演算する。安定化補償部390が、アシスト制御及び舵角制御を行う制御システムの安定性を補償するための安定化補償電流指令値IrefSを求める。具体的に、安定化補償部390は、実操舵角速度ωrに上式(3)に示す伝達関数Gsで定義される1次のハイパスフィルタにてフィルタ処理を施すことで安定化補償電流指令値IrefSを求める。
舵角制御部300は、更に、加算部395が、基本舵角制御電流指令値IrefWにハンドル制振部380からの舵角制御電流指令値IrefVを加算した舵角制御電流指令値IrefP3に安定化補償電流指令値IrefSを加算して舵角制御電流指令値IrefP2を演算する。舵角制御電流指令値制限部400が、舵角制御電流指令値IrefP2に対して、予め設定された制限値によって制限をかけて、舵角制御電流指令値IrefP1を求める。
ここで、速度指令徐変ゲインGfa3は、例えば、自動操舵状態から手動操舵状態への切換時は、図5(A)に示す特性を有し、手動操舵状態から自動操舵状態への切換時は、図5(A)とは逆に、時間の経過と共に手動操舵状態の0[%]から自動操舵状態の100[%]まで逐次増加する特性を有する。なお、以下に説明する舵角制御出力徐変ゲインGfa1、速度制御徐変ゲインGfa2及び舵角指令徐変ゲインGfa4についても同様となる。
ここで、速度指令徐変ゲインGfa3は、例えば、自動操舵状態から手動操舵状態への切換時は、図5(A)に示す特性を有し、手動操舵状態から自動操舵状態への切換時は、図5(A)とは逆に、時間の経過と共に手動操舵状態の0[%]から自動操舵状態の100[%]まで逐次増加する特性を有する。なお、以下に説明する舵角制御出力徐変ゲインGfa1、速度制御徐変ゲインGfa2及び舵角指令徐変ゲインGfa4についても同様となる。
この構成であれば、舵角制御において、操舵介入補償マップを利用して操舵介入の補償を行うようにしたので、自動操舵中に操舵介入があっても安全を確保しつつ違和感を低減することが可能である。加えて、実操舵角速度ωrを1次のハイパスフィルタでフィルタ処理して生成した安定化補償電流指令値IrefSによって、制御システムの安定性を補償することが可能である。これによって、例えば、軽い操舵介入を実現することを目的にマップの勾配を大きくすることによって生じる制御システムの不安定化を防ぐことが可能となる。その結果、制御システムの不安定化による制御的な振動の発生を抑えつつ、マップの勾配を大きくしてより軽い操舵介入を実現することが可能となる。
更に、舵角速度指令値ωrefに速度指令徐変ゲインGfa3を乗算するようにしたので、自動操舵状態から手動操舵状態への切換状態のときに舵角速度指令値ωrefを時間の経過と共に徐々に小さくし、手動操舵状態から自動操舵状態への切換状態のときに舵角速度指令値ωrefを時間の経過と共に徐々に大きくすることが可能となる。これにより、手動操舵状態と自動操舵状態との間の円滑な切換を実現することが可能となる。
更に、舵角速度指令値ωrefに速度指令徐変ゲインGfa3を乗算するようにしたので、自動操舵状態から手動操舵状態への切換状態のときに舵角速度指令値ωrefを時間の経過と共に徐々に小さくし、手動操舵状態から自動操舵状態への切換状態のときに舵角速度指令値ωrefを時間の経過と共に徐々に大きくすることが可能となる。これにより、手動操舵状態と自動操舵状態との間の円滑な切換を実現することが可能となる。
また、実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、更に、操舵介入補償部350が、操舵トルクTtに対して位相補償を行う操舵介入位相補償部351を備え、操舵介入位相補償部351及び補償マップ部352を介して、操舵トルクTtより補償舵角速度指令値ωref2を求める。
この構成であれば、急操舵した場合等でのスッキリ感や引っ掛かり感を改善することが可能となる。
この構成であれば、急操舵した場合等でのスッキリ感や引っ掛かり感を改善することが可能となる。
また、実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、更に、舵角制御部300の位置制御部340にて、規範モデル部341が、上式(1)に示す伝達関数Gmodelを有する規範モデルを用いて目標操舵角θtを目標操舵角θt1に変換する。更に、比例ゲイン部342が、目標操舵角θtと実操舵角θrとの偏差θeに比例ゲインKppを乗算して舵角速度指令値(第1の基本舵角速度指令値)ωrefaを算出する。更に、フィルタ部343が、上式(2)に示す伝達関数Gfを有する車速感応型のFFフィルタを用いて目標操舵角θtを舵角速度指令値(第2の基本舵角速度指令値)ωrefbに変換する。なお更に、加算部345が、舵角速度指令値ωrefaと舵角速度指令値ωrefbとを加算して、舵角速度指令値ωref1を演算する。ここで、FFフィルタは、そのFFフィルタゲインKffが車速感応型のゲインとなっている。
この構成であれば、車速によらずに、舵角指令値に対する実操舵角の応答性をほぼ一定にすることが可能になると共に、舵角制御(舵角指令値θrefに対する実操舵角θr)の追従性を向上することが可能となる。
この構成であれば、車速によらずに、舵角指令値に対する実操舵角の応答性をほぼ一定にすることが可能になると共に、舵角制御(舵角指令値θrefに対する実操舵角θr)の追従性を向上することが可能となる。
また、実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、更に、アシスト制御部230が、内部で求められるアシストマップ出力電流に対してアシストマップ徐変ゲインGft2を乗算して電流指令値Iref1を求める。なお更に、切換部240が、アシスト制御電流指令値IrefT1を調整するために、アシスト制御電流指令値IrefT1に対してアシスト制御出力徐変ゲインGft1を乗算して、アシスト制御電流指令値IrefTを求める。
ここで、アシスト制御出力徐変ゲインGft1は、例えば、自動操舵状態から手動操舵状態への切換時は、図5(B)に示すαt1の設定値に応じた特性を有する。例えば図5(B)に示す設定例(αt1<100)の場合は、時間の経過と共に自動操舵状態のαt1[%]から手動操舵状態の100[%]まで逐次増加する。一方、手動操舵状態から自動操舵状態への切換時は、図5(B)とは逆に、時間の経過と共に手動操舵状態の100[%]から自動操舵状態のαt1[%]まで逐次減少する特性を有する。なお、αt1を100[%]よりも大きい値に設定した場合は逆の特性となる。また、アシストマップ徐変ゲインGft2は、例えば、自動操舵状態から手動操舵状態への切換時は、図5(C)に示すαt2の設定値に応じた特性を有する。例えば、図5(C)に示す設定例(0<αt2)の場合は、時間の経過と共に自動操舵状態のαt2[%]から手動操舵状態の0[%]まで逐次減少する。一方、手動操舵状態から自動操舵状態への切換時は、図5(C)とは逆に、時間の経過と共に手動操舵状態の0[%]から自動操舵状態のαt2[%]まで逐次増加する特性を有する。
この構成であれば、手動操舵状態と自動操舵状態間の切換動作を円滑に行うことが可能となる。また、アシストマップ徐変ゲインGft2を例えば100%以上に上げることにより、制御システムの安定性に影響し、振動が発生する場合がある。このような場合に、アシスト制御出力徐変ゲインGft1によって調整し、安定性を確保することが可能である。
ここで、アシスト制御出力徐変ゲインGft1は、例えば、自動操舵状態から手動操舵状態への切換時は、図5(B)に示すαt1の設定値に応じた特性を有する。例えば図5(B)に示す設定例(αt1<100)の場合は、時間の経過と共に自動操舵状態のαt1[%]から手動操舵状態の100[%]まで逐次増加する。一方、手動操舵状態から自動操舵状態への切換時は、図5(B)とは逆に、時間の経過と共に手動操舵状態の100[%]から自動操舵状態のαt1[%]まで逐次減少する特性を有する。なお、αt1を100[%]よりも大きい値に設定した場合は逆の特性となる。また、アシストマップ徐変ゲインGft2は、例えば、自動操舵状態から手動操舵状態への切換時は、図5(C)に示すαt2の設定値に応じた特性を有する。例えば、図5(C)に示す設定例(0<αt2)の場合は、時間の経過と共に自動操舵状態のαt2[%]から手動操舵状態の0[%]まで逐次減少する。一方、手動操舵状態から自動操舵状態への切換時は、図5(C)とは逆に、時間の経過と共に手動操舵状態の0[%]から自動操舵状態のαt2[%]まで逐次増加する特性を有する。
この構成であれば、手動操舵状態と自動操舵状態間の切換動作を円滑に行うことが可能となる。また、アシストマップ徐変ゲインGft2を例えば100%以上に上げることにより、制御システムの安定性に影響し、振動が発生する場合がある。このような場合に、アシスト制御出力徐変ゲインGft1によって調整し、安定性を確保することが可能である。
また、実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、更に、切換部240が、舵角制御部300からの舵角制御電流指令値IrefP1に、切換判定/徐変ゲイン生成部220からの舵角制御出力徐変ゲインGfa1を乗算し、この乗算結果を舵角制御電流指令値IrefPとして出力する。
この構成であれば、手動操舵状態と自動操舵状態間の切換動作を円滑に行い、運転者への違和感の除去や安全性の確保等を実現することが可能となる。
この構成であれば、手動操舵状態と自動操舵状態間の切換動作を円滑に行い、運転者への違和感の除去や安全性の確保等を実現することが可能となる。
また、実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、更に、舵角制御部300の舵角速度制御部370において、減算部374が、目標舵角速度ωtと実操舵角速度ωrの偏差ωeを演算し、ゲイン乗算部371が偏差ωeにゲインKviを乗算して操作量D1を演算し、積分部373が、操作量D1を積分して制御量Ir1を算出する。更に、乗算部376が、制御量Irに速度制御徐変ゲインGfa2を乗算して制御量Ir3を演算し、ゲイン乗算部372が、実操舵角速度ωrにゲインKvpを乗算して制御量Ir2を演算し、減算部375が、制御量Ir3とIr2の偏差を算出して、これを舵角制御電流指令値IrefWとして出力する。
この構成であれば、制御量Irに速度制御徐変ゲインGfa2を乗算することによって、自動操舵状態から手動操舵状態への切換状態のときに制御量Irを時間の経過と共に徐々に小さくし、手動操舵状態から自動操舵状態への切換状態のときに制御量Irを時間の経過と共に徐々に大きくすることが可能となる。これにより、手動操舵状態と自動操舵状態との間の円滑な切換をより確実に実現することが可能となる。加えて、切換時の舵角速度制御での積分値の蓄積の影響を緩和することが可能となる。
この構成であれば、制御量Irに速度制御徐変ゲインGfa2を乗算することによって、自動操舵状態から手動操舵状態への切換状態のときに制御量Irを時間の経過と共に徐々に小さくし、手動操舵状態から自動操舵状態への切換状態のときに制御量Irを時間の経過と共に徐々に大きくすることが可能となる。これにより、手動操舵状態と自動操舵状態との間の円滑な切換をより確実に実現することが可能となる。加えて、切換時の舵角速度制御での積分値の蓄積の影響を緩和することが可能となる。
また、実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、舵角制御部300において、速度指令値可変制限部360が、速度指令徐変ゲインGfa3に基づき舵角速度指令値ωrefgに対して、制限値(上限値、下限値)を設定して制限をかけ、制限のかけられた舵角速度指令値ωrefgを目標舵角速度ωtとして出力する。
具体的に、速度指令値可変制限部360は、速度指令徐変ゲインGfa3が所定の閾値未満の場合、制限値を、図13に示す「Gfa3小」の制限値とし、所定の閾値以上の場合、「Gfa3大」の制限値とする。そして、設定された制限値を用いて、舵角速度指令値ωrefgに対して制限をかける。
この構成であれば、手動操舵状態と自動操舵状態間の円滑な切換をより確実に実現することが可能となる。
具体的に、速度指令値可変制限部360は、速度指令徐変ゲインGfa3が所定の閾値未満の場合、制限値を、図13に示す「Gfa3小」の制限値とし、所定の閾値以上の場合、「Gfa3大」の制限値とする。そして、設定された制限値を用いて、舵角速度指令値ωrefgに対して制限をかける。
この構成であれば、手動操舵状態と自動操舵状態間の円滑な切換をより確実に実現することが可能となる。
また、実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、舵角制御部300の舵角指令値可変制限部310が、舵角指令値θrefに対して、制限値(上限値、下限値)を設定して制限をかける。そして、この制限をかけられた舵角指令値θrefを、舵角指令値θref1として出力する。
具体的に、舵角指令値可変制限部310は、自動操舵状態及び手動操舵状態において適切な制限値を設定すべく、舵角指令徐変ゲインGfa4に応じて制限値を設定する。例えば、Gfa4が100[%]の場合は、自動操舵状態であると判断して図8中の実線で示す値を制限値とし、Gfa4が100[%]の場合は、手動操舵状態であると判断して図8中の破線で示す値を制限値とする。また、Gfa4が0〜100[%]の間の値である場合は、切換状態であると判断して図8中の実線と破線との間の値を制限値とする。
この構成であれば、車両側ECU100から受信する自動操舵等のための舵角指令値θrefに対して、通信エラー等による異常な値や過剰な値が舵角制御に入力されるのを防止することが可能となる。
具体的に、舵角指令値可変制限部310は、自動操舵状態及び手動操舵状態において適切な制限値を設定すべく、舵角指令徐変ゲインGfa4に応じて制限値を設定する。例えば、Gfa4が100[%]の場合は、自動操舵状態であると判断して図8中の実線で示す値を制限値とし、Gfa4が100[%]の場合は、手動操舵状態であると判断して図8中の破線で示す値を制限値とする。また、Gfa4が0〜100[%]の間の値である場合は、切換状態であると判断して図8中の実線と破線との間の値を制限値とする。
この構成であれば、車両側ECU100から受信する自動操舵等のための舵角指令値θrefに対して、通信エラー等による異常な値や過剰な値が舵角制御に入力されるのを防止することが可能となる。
また、実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、舵角制御部300の可変レート制限部320が、舵角指令値θref1の変化量に対して制限値を設定して制限をかける。そして、制限のかけられた舵角指令値θref1を、舵角指令値θref2として出力する。
具体的に、例えば、1サンプル前の舵角指令値θref1からの差分を変化量とし、その変化量の絶対値が所定の値(制限値)より大きい場合、変化量の絶対値が制限値となるように、舵角指令値θref1を加減算し、舵角指令値θref2として出力する。一方、制限値以下の場合は、舵角指令値θref1をそのまま舵角指令値θref2として出力する。このとき、舵角指令徐変ゲインGfa4より操舵状態を判断し、自動操舵状態では予め定められた制限値とし、手動操舵状態では制限値をゼロとして舵角指令値θref2が変化せずに一定となるようにする。
この構成であれば、舵角指令値θrefの急変によって、舵角制御の出力である舵角制御電流指令値が急激に変動することを回避することが可能となる。
具体的に、例えば、1サンプル前の舵角指令値θref1からの差分を変化量とし、その変化量の絶対値が所定の値(制限値)より大きい場合、変化量の絶対値が制限値となるように、舵角指令値θref1を加減算し、舵角指令値θref2として出力する。一方、制限値以下の場合は、舵角指令値θref1をそのまま舵角指令値θref2として出力する。このとき、舵角指令徐変ゲインGfa4より操舵状態を判断し、自動操舵状態では予め定められた制限値とし、手動操舵状態では制限値をゼロとして舵角指令値θref2が変化せずに一定となるようにする。
この構成であれば、舵角指令値θrefの急変によって、舵角制御の出力である舵角制御電流指令値が急激に変動することを回避することが可能となる。
また、実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、舵角制御部300の乗算部391が、可変レート制限部320からの舵角指令値θref2に舵角指令徐変ゲインGfa4を乗算して、この乗算結果を舵角指令値θref3として出力する。
この構成であれば、自動操舵状態から手動操舵状態への切換状態におけるハンドル振動除去部330から出力される目標操舵角θtをゼロに漸近させ、舵角制御を中立状態に作用させることが可能となる。
この構成であれば、自動操舵状態から手動操舵状態への切換状態におけるハンドル振動除去部330から出力される目標操舵角θtをゼロに漸近させ、舵角制御を中立状態に作用させることが可能となる。
(変形例)
上記実施形態では、安定化補償部390がモータの回転速度と等価な実操舵角速度ωrに対してフィルタ処理を行って安定化補償電流指令値IrefSを求める構成としたが、この構成に限らない。例えば、モータの回転速度そのものに対してフィルタ処理を施す構成や、他のモータ回転速度と等価なものにフィルタ処理を施す構成とするなど他の構成としてもよい。
上記実施形態では、安定化補償部390がモータの回転速度と等価な実操舵角速度ωrに対してフィルタ処理を行って安定化補償電流指令値IrefSを求める構成としたが、この構成に限らない。例えば、モータの回転速度そのものに対してフィルタ処理を施す構成や、他のモータ回転速度と等価なものにフィルタ処理を施す構成とするなど他の構成としてもよい。
また、上記実施形態では、安定化補償部390は、上式(3)で示す伝達関数Gsの伝達特性を有する1次のハイパスフィルタを用いて、実操舵角速度ωrを安定化補償電流指令値IrefSに変換する構成としたが、この構成に限らない。例えば、安定性を補償できる安定化補償電流指令値IrefSを得られるのであれば、2次のハイパスフィルタを用いるなど他の構成としてもよい。
また、上記実施形態では、舵角速度制御部370での速度制御徐変ゲインGfa2の乗算を、積分部373からの出力である制御量Ir1に対して行う構成としたが、この構成に限らない。例えば、減算部375からの出力である舵角制御電流指令値IrefWに対して行う構成や、減算部374からの出力である偏差ωeに対して行う構成など他の構成としてもよい。
また、上記実施形態では、速度指令値可変制限部360は、速度指令徐変ゲインGfa3に応じて制限値を設定し、Gfa3が所定の閾値になったときに制限値を切り換える構成としたが、この構成に限らない。例えば、Gfa3の代わりに舵角制御出力徐変ゲインGfa1を使用し、Gfa1が100%になったときに制限値を切り換える構成としてもよい。
また、上記実施形態では、電動モータ22として、3相ブラシレスモータを例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、電動モータ22を、4相以上のブラシレスモータから構成したり、ブラシモータから構成したりするなど他の構成としてもよい。
また、上記実施形態では、本発明をコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置に適用した例を説明したが、この構成に限らず、例えば、ラックアシスト式又はピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置に適用する構成としてもよい。
なお、上述で使用したすべての図(図1〜図27)は、本発明に関して定性的な説明を行うための概念図であり、これらに限定されるものではない。また、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
1…電動パワーステアリング装置、2…車両、11…ハンドル、12…ステアリングシャフト、13…操舵トルクセンサ、17…ステアリングギヤ、20…操舵補助機構、22…電動モータ、23…操舵角センサ、31…電流指令値演算部、32A…加算部、32B…減算部、33…電流制限部、34…補償信号生成部、35…PI制御部、36…PWM制御部、37…インバータ、38…モータ電流検出器、50…車速センサ、51…車載カメラ、52…車載センサ、55…動作モード切換スイッチ、100…車両側ECU、110…車両状態量検出部、120…切換指令部、130…目標軌道演算部、140…車両運動制御部、141…舵角指令値生成部、200…EPS側ECU、210…EPS状態量検出部、220…切換判定/徐変ゲイン生成部、230…アシスト制御部、240…切換部、241,242…乗算部、243…加算部、250…電流制御/駆動部、300…舵角制御部、310…舵角指令値可変制限部、320…可変レート制限部、330…ハンドル振動除去部、340…位置制御部、341…規範モデル部、342…比例ゲイン部、343…フィルタ部、350…操舵介入補償部、351…操舵介入位相補償部、352…補償マップ部、360…速度指令値可変制限部、370…舵角速度制御部、371,372…ゲイン乗算部、373…積分部、374,375…減算部、376…乗算部、380…ハンドル制振部、390…安定化補償部、391,392…乗算部、393,394,395…加算部、400…舵角制御電流指令値制限部、500…プラント、510…運転者操舵伝達特性、520…メカ伝達特性
Claims (11)
- 電流指令値に基づいてモータを駆動し、前記モータの駆動制御によって操舵系に対してアシスト制御及び舵角制御を行う制御システムを有する電動パワーステアリング装置であって、
少なくとも操舵トルクに基づいて、前記アシスト制御のためのアシスト制御電流指令値を演算するアシスト制御部と、
少なくとも前記操舵トルク、舵角指令値及び実操舵角に基づいて、前記舵角制御のための舵角制御電流指令値を演算する舵角制御部と、
前記アシスト制御電流指令値及び前記舵角制御電流指令値に基づき前記電流指令値を演算する最終電流指令値演算部と、を備え、
前記舵角制御部は、
前記舵角指令値及び前記実操舵角に基づいて基本舵角速度指令値を演算する位置制御部と、
前記操舵トルクに基づき、前記舵角制御中の運転者の操舵介入を補償するための補償舵角速度指令値を求める操舵介入補償部と、
前記基本舵角速度指令値及び前記補償舵角速度指令値に基づき舵角速度指令値を演算する舵角速度指令値演算部と、
前記舵角速度指令値及び実操舵角速度に基づき基本舵角制御電流指令値を演算する舵角速度制御部と、
前記制御システムの安定性を補償するための安定化補償電流指令値を求める安定化補償部と、
前記基本舵角制御電流指令値及び前記安定化補償電流指令値に基づき前記舵角制御電流指令値を演算する舵角制御電流指令値演算部と、を備え、
前記操舵介入補償部は、前記操舵トルクに対する前記補償舵角速度指令値の特性を定めた操舵介入補償マップを有する補償マップ部を備え、前記補償マップ部を介して、前記操舵トルクより前記補償舵角速度指令値を求め、
前記安定化補償部は、前記モータの回転速度にハイパスフィルタにてフィルタ処理を施すことで前記安定化補償電流指令値を求めることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記安定化補償部は、前記モータの回転速度に、下式(1)に示す伝達関数Gsにて定義される1次のハイパスフィルタにてフィルタ処理を施すことで前記安定化補償電流指令値を求める請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
Gs=Ks・(s/2πfc)/{(s/2πfc)+1} ・・・(1)
上式(1)において、Ksはフィルタゲイン、sはラプラス演算子、πは円周率、fcはカットオフ周波数である。 - 前記モータの回転速度として前記実操舵角速度を用いる請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記操舵介入補償マップは車速に応じて変化する請求項1から3のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記操舵介入補償部は、
前記操舵トルクに対して位相補償を行う操舵介入位相補償部を更に備え、
前記操舵介入位相補償部及び前記補償マップ部を介して、前記操舵トルクより前記補償舵角速度指令値を求める請求項1から4のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記舵角速度制御部は、前記舵角速度指令値及び前記実操舵角速度を用いて、I−P制御によって前記舵角制御電流指令値を演算する請求項1から5のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記位置制御部は、
規範モデルを用いて前記舵角指令値を目標操舵角に変換する規範モデル部と、
前記目標操舵角と前記実操舵角の偏差に比例ゲインを乗算して第1の基本舵角速度指令値を算出する比例ゲイン部と、
FFフィルタを用いて前記目標操舵角を第2の基本舵角速度指令値に変換するフィルタ部とを備え、
前記第1の基本舵角速度指令値に前記第2の基本舵角速度指令値を加算して前記基本舵角速度指令値を演算する請求項1から6のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記FFフィルタのフィルタゲインは車速に応じて変化する請求項7に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記アシスト制御電流指令値を調整するために、前記アシスト制御電流指令値に対してアシスト制御出力徐変ゲインを乗算する請求項1から8のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記アシスト制御部内で求められるアシストマップ出力電流に対してアシストマップ徐変ゲインを乗算する請求項1から9のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記舵角制御部は、
前記舵角制御電流指令値に対して、予め設定された制限値によって制限をかける舵角制御電流指令値制限部を更に備える請求項1から10のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
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