JP2021026197A - 回折格子およびそれを有する光学機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 性能を確保しつつより製造が容易である回折格子、およびそれを有する光学機器を提供すること。【解決手段】 入射した光を変調する少なくとも2つの光軸上に並ぶ回折格子と前記回折格子で変調された光を受光する撮像素子を有し、前記撮像素子で取得した像に画像復元処理を行い画像を取得することを特徴とする。【選択図】 図1
Description
本発明は、回折格子およびそれを有する光学機器に関し、特に複数の異なる回折格子を有する光学機器に関する。
近年、レンズなし画像検出装置が特許文献1に開示されている。前記技術は、設計波長の光に対して、隣接する格子構造で位相の半波長シフトを誘導させる位相格子の干渉パターンと画像復元処理を利用している。位相格子に入射した光の分布を撮像素子で受光し、画像復元処理を行うことで位相格子の干渉パターンから写真および画像情報を抽出することができるため、レンズなしで画像検出が可能である。そのためレンズに頼る画像検出装置よりも小型かつ低コストで製造することができる。
しかしながら、レンズなし画像検出装置の性能はまだ十分ではなく、取得する像の明るさを変えずに性能を上げるためには、画像情報を抽出する位相格子の干渉パターンを複雑化する必要がある。そのためには位相格子の形状を複雑化しなくてはならなく、微細な加工が必要となるため位相格子の製造が困難になるといった課題がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、性能を確保しつつより製造が容易である回折格子、およびそれを有する光学機器を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る撮像システムは、
入射した光を変調する少なくとも2つの光軸上に並ぶ回折格子と前記回折格子で変調された光を受光する撮像素子を有し、前記撮像素子で取得された像に画像復元処理を行い画像を取得することを特徴とする。
入射した光を変調する少なくとも2つの光軸上に並ぶ回折格子と前記回折格子で変調された光を受光する撮像素子を有し、前記撮像素子で取得された像に画像復元処理を行い画像を取得することを特徴とする。
本発明によれば、性能を確保しつつより製造が容易である回折格子、およびそれを有する光学機器の提供を実現できる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、入射した光を変調する少なくとも2つの光軸上に並ぶ回折格子と、前記回折格子で変調された光を受光する撮像素子を有し、前記撮像素子で取得した像に画像復元処理を行い画像を取得する撮像装置である。図1は、本発明の撮像装置構成図であり、第1の回折格子1と第2の回折格子3は基板2の表と裏に配置してある。
ここで回折格子は透過位相格子を想定しており、回折格子の色の濃淡は光路長の違いを示し、色が濃いほど光路長が長いことを表わしている。光路長は回折格子の材料の屈折率で制御してもよく、同一材料を用いた場合は回折格子の高さで制御しても良い。
第1および第2の回折格子1、3は、それぞれ設計波長に対して異なる光路長が隣接する境界で位相を半波長シフトさせる機能を有している。位相が半波長シフトすると、干渉によってそれぞれの光路長を入射してきた光は強め合い、弱め合いが起こる。そのため、1点から発生した入射光5は、異なる光路長が隣接する境界で位相が変調され最終的に干渉パターン6を生成する。ここで設計波長とは撮像対象の波長帯内のある1つの波長であり、設計波長からずれた波長ほど位相シフト量が半波長からずれていく。そのため、設計波長は撮像対象の波長帯の中心波長や、波長の重み付けが大きい波長を選択することが好ましい。また干渉パターン6を生成するには前述した透過位相格子だけではなく、振幅格子や反射回折格子でも同様の効果を得られるため回折格子の種類は限定しない。以下に従来行われている一般的な画像劣化補正の方法を示す。
この撮像装置7で撮影された画像は、撮影画像に干渉パターン6が畳み込まれて形成されることになり、撮像素子4では光の分布が取得される。干渉パターン6には画像情報が含まれているため、この撮像素子4で取得された光の分布を近年提案されている、画像復元、画像回復などと呼ばれる画像劣化補正技術を用いて画像を再構成する。
通常のレンズを用いた撮像光学系によって撮影された被写体は、撮像光学系で発生する回折や収差等の影響によって、1点から発生した光が1点に収束することができなくなるため微小な広がりを持つこことなる。このような微小な広がりをもった分布をPSF(点像強度分布関数)と呼ぶ。本発明においてレンズは使用しないが回折格子によってできた干渉パターン6を以下、PSFと呼ぶ。
実空間(x、y)上で、PSFによって畳み込まれる前の画像(以下劣化を受ける前の画像)をf(x、y)、PSFをh(x、y)、PSFによって畳み込まれた後の光の分布画像(以下劣化画像)をg(x、y)と定義する。すると、これらは以下に示す式(1)のようなモデルで書くことができる。
g(x、y)=∬f(X,Y)*h(x−X、y−Y)dXdY ・・・(1)
上記(1)式にフーリエ変換を施し、実空間(x、y)から周波数空間(u、v)への変換を行うと、
G(u、v)=F(u、v)*H(u、v) ・・・(2)
と書くことができる。ここで、F(u、v)はf(x、y)のフーリエ変換であり、G(u、v)はg(x、y)のフーリエ変換であり、H(u、v)はh(x、y)のフーリエ変換である。
上記(1)式にフーリエ変換を施し、実空間(x、y)から周波数空間(u、v)への変換を行うと、
G(u、v)=F(u、v)*H(u、v) ・・・(2)
と書くことができる。ここで、F(u、v)はf(x、y)のフーリエ変換であり、G(u、v)はg(x、y)のフーリエ変換であり、H(u、v)はh(x、y)のフーリエ変換である。
更に上記式(2)を変形すると、
F(u、v)=G(u、v)/H(u、v) ・・・(3)
となる。これは周波数空間上で、劣化画像g(x、y)のフーリエ変換G(u、v)をPSFであるh(x、y)のフーリエ変換であるH(u、v)で割ることにより、劣化を受ける前の画像f(x、y)のフーリエ変換であるF(u、v)を得ることができるということを意味する。したがって、F(u、v)にフーリエ逆変換を施せば、劣化を受ける前の画像f(x、y)を得ることができる。
F(u、v)=G(u、v)/H(u、v) ・・・(3)
となる。これは周波数空間上で、劣化画像g(x、y)のフーリエ変換G(u、v)をPSFであるh(x、y)のフーリエ変換であるH(u、v)で割ることにより、劣化を受ける前の画像f(x、y)のフーリエ変換であるF(u、v)を得ることができるということを意味する。したがって、F(u、v)にフーリエ逆変換を施せば、劣化を受ける前の画像f(x、y)を得ることができる。
しかしながら、実際にこのような処理を行って劣化を受ける前の画像を得ようとすると、特にH(u、v)上に0近傍の値がある場合、1/H(u、v)が非常に大きな値となってしまう問題がある。そこで、この問題を解決するために下記式(4)で表わされるウィナーフィルタを用いることが知られている。ここで、H(u、v)は光学伝達関数であり、Γは処理上の0除算を回避するための定数項である。
W(u、v)=1/H(u、v)*|H(u、v)|^2/(|H(u、v)|
^2+Γ) ・・・(4)
上記式(4)を、劣化画像g(x、y)のフーリエ変換G(u、v)に乗算すれば、回折格子によって劣化された画像を復元することができる。すなわちウィナーフィルタを用いた画像復元処理により、復元された画像の周波数空間情報をR(u、v)とすると、
R(u、v)=G(u、v)*W(u、v) ・・・(5)
が得られる。
^2+Γ) ・・・(4)
上記式(4)を、劣化画像g(x、y)のフーリエ変換G(u、v)に乗算すれば、回折格子によって劣化された画像を復元することができる。すなわちウィナーフィルタを用いた画像復元処理により、復元された画像の周波数空間情報をR(u、v)とすると、
R(u、v)=G(u、v)*W(u、v) ・・・(5)
が得られる。
ウィナーフィルタを用いた画像復元は計算コストが低いが、これまで述べてきたように最も大きな問題は、光学伝達関数H(u、v)の周波数空間での値が0あるいは非常に小さい値である場合に発生する。式(4)においてΓの値を調整して0除算を回避したとしても、その周波数領域では実質的に復元効果を得られないことである。
したがってウィナーフィルタを用いて画像復元を行う際は、H(u、v)の値に、0あるいは非常に小さい値が少なければ高い復元効果が得られる。H(u、v)の値を上げるにはPSFを微小にする、または生成される干渉パターン6に様々な空間周波数が含まれるようにすればよい。
通常のレンズを使用した結像光学系のPSFを微小にするにはレンズの収差をできる限り抑えるよう設計すればよいが、本発明の撮像装置はレンズを使用しないためPSFを微小にするには開口を小さくすればよい。しかしながら、開口の大きさが撮像装置の明るさに直結するため、取りこむ光量が少なくなり像が暗くなってしまう。そのためPSFを微小にすることで周波数空間上のH(u、v)の値を高くすることは好ましくない。したがって周波数空間上のH(u、v)の値に0を極力少なくするために、回折格子に様々な空間周波数が含まれるように設計すればよい。
回折格子に様々な空間周波数を含むようにするには回折格子の形状も複雑になり、特に高周波な空間周波数を含めるよう設計すると微細な形状になっていく。微細な格子加工は加工機器の制御が困難となり、特に脆性材料を回折格子材料に用いる場合、格子に欠けが発生してしまう恐れがある。また射出成型の場合も微細構造の谷部に格子材料が十分充填されず、格子のエッジ部分がなまってしまい光学性能を著しく低下させる要因となる。
そこで本発明は、入射した光を変調する少なくとも2つの光軸上に並ぶ回折格子と、前記回折格子で変調された光を受光する撮像素子を有し、前記撮像素子で取得した像に画像復元処理を行い画像を取得することを特徴とする。
本発明の構成とすることで、従来の回折格子が1枚の構成と比較し、性能を確保しつつ回折格子の製造容易性を向上することを見出した。
少なくとも2つの光軸上に並ぶ回折格子の格子形状は、光軸上に並べた際に光軸をz軸ととると、それぞれxy平面上で異なることが好ましい。前記複数の回折格子の格子形状が光軸上に並べた際に同一の格子形状であると、得られるPSFは回折格子が1つの場合とほぼ等価なため、本発明の複数回折格子を組み合わせて性能を確保するといった効果が得られなくなる。そのため同一形状の回折格子でも、光軸上に並べる際にxy平面上でどちらかを回転させるなどxy平面上で格子形状は異なるように配置する。
更に少なくとも2つの回折格子のうち、少なくとも1つは透過位相格子であることが好ましい。回折格子は振幅格子であると入射光が遮蔽されるため撮像素子で受光される光の分布の強度が減少する。そのため複数の回折格子のうち少なくとも1つを透過位相格子にすることで明るさを確保する。透過位相格子の位相シフトを与える光路長は、透過位相格子の格子高さで制御、または屈折率変化どちらで制御しても良い。
回折格子が透過位相格子である場合、その格子の位相進行部と位相遅延部の位相差は設計波長において半波長であることが望ましい。位相格子で回折、干渉が発生し強め合いと弱め合いが生じ、その位相差が半波長であると弱めあうところの光の強度が最も弱くなり、PSFとなる干渉パターンが最もシャープになる。干渉パターンがシャープであると格子形状の周波数特性を最も含んでいるため、画像復元処理の効果が大きくなる作用を有する。
設計波長からずれた波長の光が位相格子に入射した場合、位相差は半波長ではないため、それらの波長における位相格子で生じる干渉パターンは設計波長の干渉パターンと比較すると広がった干渉パターンとなる。また、設計波長より半分の波長の光が位相格子に入射した場合、位相差が1波長となるため干渉パターンは生じない。そのため広い波長帯や複数の波長帯で性能を確保する場合、少なくとも2つの透過位相格子はそれぞれ設計波長が異なり、各設計波長において位相進行部と位相遅延部の位相差がそれぞれ半波長とすることが好ましい。
より好ましくは、広い波長帯や複数の波長帯を撮像する前記透過位相格子の設計波長は、
2^n−0.5<λL/λS<2^n+0.5 ・・・(1)
なる条件式を満たす複数の波長で、位相差がそれぞれ半波長になるような異なる光路長を生成することである。ここでλSは複数の設計波長において短い設計波長、λLは長い設計波長である。前記条件を満たすことで、前記複数のぞれぞれの波長でより効果的にH(u、v)の値を高めることが可能となり、また更には複数波長帯の同軸撮像が可能となる効果が付加される。
2^n−0.5<λL/λS<2^n+0.5 ・・・(1)
なる条件式を満たす複数の波長で、位相差がそれぞれ半波長になるような異なる光路長を生成することである。ここでλSは複数の設計波長において短い設計波長、λLは長い設計波長である。前記条件を満たすことで、前記複数のぞれぞれの波長でより効果的にH(u、v)の値を高めることが可能となり、また更には複数波長帯の同軸撮像が可能となる効果が付加される。
広い波長帯や複数の波長帯を撮像する前記透過位相格子のピッチは、設計波長λSの位相を半波長シフトする光路長のピッチよりも、より長い設計波長λLを半波長シフトする光路長のピッチよりも狭いことを特徴とする。透過位相格子に設計波長が入射すると、回折および干渉が発生し、透過位相格子のピッチ、もしくは波長に応じて光の強度が強くなるポイントがある伝播距離でできる。図2、3に透過位相格子1の入射光の伝播の一断面を示す。図2は同ピッチの透過位相格子による伝播の波長依存性を示しており、図2(a)はλL、図2(b)はλSのそれぞれ位相が半波長シフトしたときの伝播を示している。図3(a)は同波長の透過位相格子による伝播のピッチ依存性を示しており、図2(a)のピッチPNは、図2(b)のピッチPWよりも狭く、それぞれのピッチである波長の位相が半波長シフトしたときの伝播を示している。図2(a)、(b)および図3(a)、(b)の8は、この光の強度が強くなっているポイントであり、以下このポイントを焦点とする。
図2(a)、(b)から入射する波長が長いほど、焦点が発生する伝播距離は短くなり、波長が短ければ焦点が発生する伝播距離は長くなることがわかる。図3(a)、(b)からは透過位相格子のピッチが狭いほど、焦点が発生する伝播距離は短くなり、ピッチが長いほど焦点が発生する伝播距離が長くなることがわかる。焦点は透過位相格子によって回折された入射光が干渉して発生しているものでるため、通常の回折格子と同様に波長とピッチの変化で回折角が変化するため、このような焦点の変動が起こる。
透過位相格子によって回折および干渉した入射光は焦点が発生していると伝播距離で伝播光が最も細くなっていることがわかる。そのため、その伝播距離における干渉パターン6はシャープになるため、周波数空間上のH(u、v)の高周波領域の値が最も高い干渉パターンとなる。したがって、最も画像復元の効果が得られるため、撮像素子4上に焦点が発生するように透過位相格子のピッチを調整し設計することが望ましい。更に、それぞれの設計波長で位相が半波長シフトする光路長のピッチをその設計波長の焦点に応じて与えることで、広い使用波長帯域で画像回復の効果が得やすい干渉パターンが得られるという作用を有する。
次に透過位相格子に使用する材料は、使用波長全てに対して透明であることが望ましい。透過位相格子に使用する材料に、一部の使用波長に対して不透明な材料を使用すると光の利用効率が悪く、暗い撮像装置となってしまうため好ましくない。そのため前記条件を満たすような材料を透過位相格子に選択することで、透過位相格子の全領域で使用波長全ての光を透過するという作用を有する。
図4に本発明の撮像システムの構成図を示す。
撮像素子4で取得された撮影画像を復元する画像復元処理は、画像処理部9で行う。図4(a)に画像処理部9が撮像装置7外に設けられている撮像システム10を、図4(b)に画像処理部9が撮像装置7内に設けられている撮像システム9を示す。
画像復元処理は図4(a)のように外部機器を用いて撮像装置7の外部で処理をしても、図4(b)のように撮像装置7の内部で処理を行ってもどちらでも良い。画像装置7内に画像処理部9を設けることで撮像装置7の小型化、また撮像装置7外に画像処理部9を設けることで画像復元処理の高速化といった作用を有する。
画像復元手法としては前述したウィナーフィルタやLucy−Richardson等様々な画像復元手法を用いても同様の効果が得られるため、これに限定するものではない。
以下に、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
本発明の実施例1は2つの透過位相格子から構成される撮像システムであり、石英ガラスから成る基板の両面にフォトリソグラフィまたはその他の方法でそれぞれ波長550nmにおいて位相差が半波長となるように第1および第2の回折格子の形状を形成する。基板2の厚みは特に指定しないが、厚すぎると入射してくる角度によってPSFの形が異なるため、画像復元処理におけるW(u、v)を画角によって変えなくてはいけないため、計算負荷が高くなり好ましくない。
第1の回折格子1の材料は石英ガラスであるため回折格子内で屈折率分布は均一である。第2の回折格子も同様である。本実施例では位相差を同一材料の格子の高さを変化させることで与えているが、回折格子の内部に所望の屈折率分布を持たせることで、2つの回折格子にそれぞれ光路長を与えても同様の効果が得られるため、光路長の与え方はこれに限定されない。
図5に実施例1の撮像システム、図6(a)に第1の回折格子1、図6(b)に第2の回折格子3、図6(c)に第1および第2の回折格子を透過した設計波長のPSF、図6(d)に設計波長の2次元MTFを示す。
図6(a)、(b)において格子の濃淡が濃いほど、格子の高さが高いことを表わしている。また、MTFとは光学伝達関数の絶対値であり、図において輝度が高いほどMTFの値が高いことを表わしており、輝度が0の値はMTFが0となっている周波数領域を表わしている。
比較例として、図15に従来の1つの回折格子から成る撮像装置、図16(a)に従来の1つの回折格子、図16(b)に回折格子を透過した設計波長のPSF、図16(c)に設計波長の2次元MTFを示す。比較例の回折格子1は透過位相格子であり、設計波長は550nm、格子材料は石英ガラスである。
本実施例のPSFと比較例のPSFを比較するとほぼ同様の形であり、そのためMTFもほぼ同等である。しかし回折格子1枚で図16(b)のようなPSFを生成しようとすると回折格子1は図16(a)のような複雑な微細形状となるため製造が困難である。一方、本実施例は従来例の図16(a)と比べ、比較的容易な2枚の格子形状から構成しているため製造容易性が向上している。
本実施例では画像処理部9を撮像装置7の外部に持つ撮像システム10である。第1、第2の回折格子1、3を透過した光は撮像素子4にて電気信号に変換し、撮影画像を生成する。生成された撮影画像は撮像装置外部の画像処理部9において、あらかじめ保持しておいた第1、第2の回折格子1、3を透過して得られる光学伝達関数のデータを用いて画像復元を行う。
処理の内容については、前述したため割愛する。
画像復元後の画像は、図5では省略しているが、表示部で出力される。画像表示部は撮像システムの内部、外部どちらでも良く、限定しない。
本発明の実施例2は2つの振幅格子から構成される撮像システムである。
図7に本実施例の撮像システムを、図8(a)に第1の回折格子1を、図8(b)に第2の回折格子3を示す。
第1および第2の回折格子1,3はそれぞれ可視域で透明なポリエステルフィルムを基板2とし、前記ポリエステルフィルムに格子形状を印刷したものであり、位相格子で回折格子を製造するより容易に回折格子が製造可能となる。図8(a)、(b)において格子の濃淡が濃い部分は光が遮蔽されることを表わしている。印刷するフィルムは撮像波長帯で透明であれば良いため基板2はポリエステルフィルムに限定されない。
第1の回折格子と第2の回折格子の面間隔は特に指定しないが、面間隔が長すぎると入射してくる角度によってPSFの形が異なるため、画像復元処理におけるW(u、v)を画角によって変えなくてはいけないため、計算負荷が高くなり好ましくない。
本実施例では画像処理部9を撮像装置7に内蔵した撮像システム10である。第1、第2の回折格子1、3を透過した光は撮像素子4にて電気信号に変換し、撮影画像を生成する。撮像装置7内の画像処理部9において、あらかじめ保持しておいた第1、第2の回折格子1、3を透過して得られる光学伝達関数のデータを用いて画像復元を行う。
処理の内容については、前述したため割愛する。
画像復元後の画像は、図3では省略しているが、表示部で出力される。画像表示部は撮像システムの内部、外部どちらでも良く、限定しない。
本発明の実施例3は1つの振幅格子と1つの透過位相格子から構成される撮像システムである。
図9に本実施例の撮像システム、図10(a)に第1の回折格子、図10(b)に第2の回折格子を示す。
第1の回折格子は振幅格子であり、ポリエステルフィルムを基板2とし、前記ポリエステルフィルムに格子形状を印刷したものである。第2の回折格子は透過位相格子であり、石英ガラスから成る基板2の片面にフォトリソグラフィまたはその他の方法で波長550nmにおいて位相差が半波長となるように第2の回折格子の形状を形成する。本実施例において第1および第2の回折格子の基板は別材料となっているが、石英ガラスにクロムなど光を撮像波長帯の光を遮光する材料で振幅格子を描画することで基板を第1および第2の回折格子で共有しても良い。
振幅格子は光を遮光してしまうため、回折格子に入射した光よりも減光してしまい得られる像が暗くなってしまう。そこで、本実施例のように複数の回折格子のうち少なくとも1つを透過位相格子とすることで、撮像装置の光量を確保することが可能となる。
本発明の実施例4は3つの透過位相格子から構成される撮像システムである。
図11に本実施例の撮像システムを、図12(a)に第1の回折格子、図12(b)に第2の回折格子、図12(c)に第3の回折格子を示す。
第1、第2、第3の回折格子1、3、12の基板2は高密度ポリエチレンであり、設計波長は10μmである。第1および第2の回折格子の基板2は共通であり、基板2の両面にそれぞれ第1および第2の回折格子が設けられている。第1、第2、第3の回折格子1、3、12の格子形状は同一であるが光軸11上に並べる際に光軸11を中心に回転しており、光軸方向をz軸ととると各々の格子形状はxy平面上で異なっている。本実施例の構成とすることで、得られる干渉パターンをそれぞれの回折格子の回転で制御することが可能となり、撮像システム10の性能が調整可能となる。
実施例1では比較例である従来の回折格子1枚の撮像装置のPSFと2次元MTFがほぼ等価となるような第1および第2の回折格子の格子形状とした。しかし、本実施例のように光軸を中心にxy平面上で異なるように回転させた複数枚の比較例の回折格子を配置すると、従来の回折格子1枚の撮像装置よりも高性能な撮像装置を提供することができる。
本発明の実施例5は、設計波長が異なる2つの透過位相格子から構成され、各々の透過位相格子は各設計波長において位相進行部と位相遅延部の位相差がそれぞれ半波長である撮像システムである。
図13に撮像システムを、図14(a)に第1の回折格子1、図14(b)に第2の回折格子3を示す。
図14(a)、(b)の回折格子の色の濃淡は光路長を表わしており、色が濃いほど光路長が長いことを表わしている。
第1および第2の回折格子の基板2は共通であり、基板2の両面にそれぞれ第1および第2の回折格子が設けられている。基板2は高密度ポリエチレンであり、第1の回折格子1の設計波長は10μmであり、第2の回折格子3の設計波長は5μmである。
位相格子を用いたレンズなし撮像装置の回折格子は、設計波長の位相を半波長シフトさせ干渉パターンを生成している。そのため、設計波長より半分の波長の光が位相格子に入射した場合、位相シフト量が1波長となるため干渉パターンは生じない。レンズなし撮像装置は干渉パターンから画像情報を抽出して画像を復元するため、干渉パターンが生じないとその波長の性能は著しく低下する。そのため広い波長帯や複数の波長帯で性能を確保する場合、少なくとも2つの位相格子はそれぞれ設計波長が異なり、各設計波長において位相進行部と位相遅延部の位相差がそれぞれ半波長とすることが好ましい。
以上、説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々に変形や変更が可能である。
1 第1の回折格子、2 基板、3 第2の回折格子、4 撮像素子、
5 入射光、6 干渉パターン、7 撮像装置、8 焦点、9 画像処理部、
10 撮像システム、11 光軸、12 第3の回折格子
5 入射光、6 干渉パターン、7 撮像装置、8 焦点、9 画像処理部、
10 撮像システム、11 光軸、12 第3の回折格子
Claims (10)
- 入射した光を変調する少なくとも2つの光軸上に並ぶ回折格子と前記回折格子で変調された光を受光する撮像素子を有し、前記撮像素子で取得した像に画像復元処理を行い画像を取得することを特徴とする撮像システム。
- 前記少なくとも2つの回折格子の格子形状は、光軸をz軸としたときにそれぞれxy座標上で異なることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
- 前記少なくとも2つの回折格子のうち、少なくとも1つは透過位相格子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像システム。
- 前記透過位相格子は、位相進行部と位相遅延部の位相差が設計波長において半波長であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の撮像システム。
- 少なくとも2つの透過位相格子は、それぞれ設計波長が異なり、各設計波長において位相進行部と位相遅延部の位相差がそれぞれ半波長であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の撮像システム。
- 前記少なくとも2つの透過位相格子の複数の設計波長において、短い設計波長をλS、より長い設計波長をλLとするとき、
2^n−0.5<λL/λS<2^n+0.5
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の撮像システム。
ここでnは整数である。 - 前記それぞれ異なる設計波長で設計された複数の透過位相格子において、短い設計波長λSで設計された透過位相格子のピッチは、より長い設計波長λLで設計された透過位相格子のピッチよりも狭いことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の撮像システム。
- 前記透過位相格子は設計波長に対して透明であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の撮像装システム。
- 前記撮像素子で取得された像を復元する画像復元処理は撮像装置内で処理することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の撮像システム。
- 前記撮像素子で取得された像を復元する画像復元処理は撮像装置外で処理することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の撮像システム。
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2019
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