JP2021024989A - 放熱部材用組成物、放熱部材、電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】取り扱いが容易な放熱部材用組成物であって、高熱伝導性を有する放熱部材を形成可能な放熱部材用組成物を得ること。【解決手段】本発明の放熱部材用組成物は、環構造と少なくとも2つの重合性基を有し、80℃において液体であり、250℃において熱分解しない重合性化合物と;前記重合性化合物を硬化させる硬化剤と;無機フィラーと;を含む。【選択図】図1
Description
本発明は、電子機器内部等に生じた熱を効率よく伝導する放熱部材を形成可能な放熱部材用組成物であって、該部材を形成する際に取り扱いが容易な流動性を有する放熱部材用組成物に関する。
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車などの電力制御用の半導体素子や、高速コンピューター用のCPUなどにおいて、内部の半導体の温度が高くなり過ぎないように、パッケージ材料の高熱伝導化が望まれている。すなわち半導体チップから発生した熱を効果的に外部に放出させる能力が重要になっている。
このような放熱問題を解決する方法としては、発熱部位に高熱伝導性材料(放熱部材)を接触させて熱を外部に導き、放熱する方法が挙げられる。熱伝導性が高い材料としては、金属や金属酸化物などの無機材料が挙げられる。しかし、このような無機材料は、加工性や絶縁性などに問題があり、単独で半導体パッケージの充填材に使用することは非常に難しい。そのため、これら無機材料と樹脂を複合化し、高熱伝導化した放熱部材の開発が行われている。
複合材の高熱伝導化は、一般的に、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの汎用樹脂に、金属充填材などの無機充填材を多量に添加することにより行われてきた。しかし、無機充填材の熱伝導率は物質固有の値であり上限が決まっている。そのため、樹脂の熱伝導率を向上させ、複合材の熱伝導率をボトムアップさせる方法が広く試みられている。特許文献1には、液晶性を有する重合性化合物のメソゲン部位を一定の方向に配向させて重合することにより得られる、分子配列が固定された重合体からなる放熱部材が開示されている(段落0007)。しかし、実施例で用いられている無機フィラー粒子、重合性液晶化合物、硬化剤はすべて25℃付近において固体であり、組成物の調製や放熱部材の形成において、取り扱いが容易であるとはいい難い。
上記のとおり、電子機器の発達に伴い、該電子機器に使用される放熱部材はより効果の高い熱伝導性を有することが望まれている。
そこで本発明は、取り扱いが容易な放熱部材用組成物であって、高熱伝導性を有する放熱部材を形成可能な放熱部材用組成物を提供することを課題とする。
そこで本発明は、取り扱いが容易な放熱部材用組成物であって、高熱伝導性を有する放熱部材を形成可能な放熱部材用組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定の構造を有する重合性化合物であって、所定の温度で液体である重合性化合物と、硬化剤と、無機フィラーとを組合せた組成物は、取り扱いが容易であり、当該組成物から形成された放熱部材は、熱伝導の主な要素であるフォノンの伝達損失が抑制され、組合せの相乗効果により熱伝導率の高い複合材を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の態様に係る放熱部材用組成物は、少なくとも2つの環が縮合した環構造と、少なくとも2つの重合性基とを有し、80℃において液体であり、かつ250℃において熱分解しない重合性化合物と;前記重合性化合物を硬化させる硬化剤と;無機フィラーと;を含む。「液体」とは、一定の体積をもつが、流動性があり、どのような形の器にも入るものをいう。
このように構成すると、少なくとも2つの環が縮合した環構造を有する重合性化合物を用いることにより、前記組成物から形成された放熱部材の熱伝導性を向上させることができる。さらに、重合性化合物は80℃において液状であるため、組成物は流動性を有することができ、組成物の作り易さ及び扱い易さを向上させることができる。さらに、重合性化合物は、耐熱性を有し圧縮成形に必要な温度において熱分解しないため好ましい。
パワー半導体等へ使用される放熱部材は、一般的に、250℃以上の耐熱性が要求される。このため、250℃において熱分解しない重合性化合物が必要である。このような重合性化合物としては、250℃において熱分解するような構造を、化合物の骨格に持たないことが重要である。このような250℃において熱分解するような構造としては、公知となっている全ての構造が挙げられるが、最も一般的に使用されているのがエステル基である。すなわち、本発明の重合性化合物の骨格に上記エステル等は含まれない。
このように構成すると、少なくとも2つの環が縮合した環構造を有する重合性化合物を用いることにより、前記組成物から形成された放熱部材の熱伝導性を向上させることができる。さらに、重合性化合物は80℃において液状であるため、組成物は流動性を有することができ、組成物の作り易さ及び扱い易さを向上させることができる。さらに、重合性化合物は、耐熱性を有し圧縮成形に必要な温度において熱分解しないため好ましい。
パワー半導体等へ使用される放熱部材は、一般的に、250℃以上の耐熱性が要求される。このため、250℃において熱分解しない重合性化合物が必要である。このような重合性化合物としては、250℃において熱分解するような構造を、化合物の骨格に持たないことが重要である。このような250℃において熱分解するような構造としては、公知となっている全ての構造が挙げられるが、最も一般的に使用されているのがエステル基である。すなわち、本発明の重合性化合物の骨格に上記エステル等は含まれない。
本発明の第2の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記環構造は、ナフタレン構造又はデカヒドロナフタレン構造であり、前記環構造の2つの環にそれぞれ少なくとも1つの前記重合性基を有する。
このように構成すると、重合性化合物が2つの接続した環を含む環式化合物であるため、熱をより効率よく伝導させることができる。
このように構成すると、重合性化合物が2つの接続した環を含む環式化合物であるため、熱をより効率よく伝導させることができる。
本発明の第3の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第2の態様に係る放熱部材用組成物において、前記重合性化合物は、下記式(11)又は(12)で表される化合物である。
前記式(11)及び(12)中、Raは、それぞれ独立して下記式(2−1)又は(2−2)で表される重合性基であり、
下記式(2−1)及び(2−2)中、Rbは水素、ハロゲン、又は炭素数1〜5のアルキルであり、mは1〜8の整数であり、かつqは0又は1である。
このように構成すると、放熱部材用組成物は、より好ましい重合性化合物を含有することができる。これらの化合物は熱硬化性であるため、フィラーの量に影響を受けずに組成物を硬化させることができ、硬化物は耐熱性に優れる。
下記式(2−1)及び(2−2)中、Rbは水素、ハロゲン、又は炭素数1〜5のアルキルであり、mは1〜8の整数であり、かつqは0又は1である。
本発明の第4の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第3の態様に係る放熱部材用組成物において、前記式(11)又は(12)で表される化合物は、C2対称性を有しない。本明細書において「式(11)又は(12)で表される化合物は、C2対称性を有する」とは、2つの重合性基を、ナフタレン環又はデカヒドロナフタレン環の1位と5位、2位と6位、3位と7位、又は4位と8位にそれぞれ有することをいう。
このように構成すると、化合物はC2対称性を有せず、上記以外の位置に重合性基が配置されるため、化合物は25℃に近い温度において液体の状態になり得る。しかし、化合物の構造は対称に近い構造となるためフォノンの伝搬に有利となる。
このように構成すると、化合物はC2対称性を有せず、上記以外の位置に重合性基が配置されるため、化合物は25℃に近い温度において液体の状態になり得る。しかし、化合物の構造は対称に近い構造となるためフォノンの伝搬に有利となる。
本発明の第5の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第3の態様又は第4の態様に係る放熱部材用組成物において、前記式(11)又は(12)で表される化合物は、前記ナフタレン構造又は前記デカヒドロナフタレン構造の1位及び6位に前記重合性基を有する。
このように構成すると、重合性化合物の分子構造は、対称及び直線に近い構造となるため、熱伝導の主な要素であるフォノンの伝搬に有利であると考えられる。前記式(11)又は(12)で表される化合物がC2対称性を有しない場合に、特に有利である。
このように構成すると、重合性化合物の分子構造は、対称及び直線に近い構造となるため、熱伝導の主な要素であるフォノンの伝搬に有利であると考えられる。前記式(11)又は(12)で表される化合物がC2対称性を有しない場合に、特に有利である。
本発明の第6の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第5の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記硬化剤は、下記式(3−1)又は(3−2)で表される少なくとも1つの化合物である。
E−Z−(L−Z)n−E (3−1)
L1−Z−E (3−2)
前記式(3−1)及び(3−2)中、
Lは、それぞれ独立して、シクロヘキシレン、フェニレン、又はナフタレンであり、これらの環の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく、
L1は、シクロヘキシル、フェニル、又はナフチルであり、これらの環の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく、
Zは、それぞれ独立して、単結合、又は炭素数1〜10のアルキレンであり、
Eは、それぞれ独立して、アミノ、水酸基、又はカルボキシであり、
nは、1〜7の整数である。
このように構成すると、本発明の放熱部材用組成物から形成される放熱部材の放熱特性が向上するため、放熱部材用組成物は、硬化剤としてより好ましい化合物を含有することができる。
E−Z−(L−Z)n−E (3−1)
L1−Z−E (3−2)
前記式(3−1)及び(3−2)中、
Lは、それぞれ独立して、シクロヘキシレン、フェニレン、又はナフタレンであり、これらの環の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく、
L1は、シクロヘキシル、フェニル、又はナフチルであり、これらの環の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく、
Zは、それぞれ独立して、単結合、又は炭素数1〜10のアルキレンであり、
Eは、それぞれ独立して、アミノ、水酸基、又はカルボキシであり、
nは、1〜7の整数である。
このように構成すると、本発明の放熱部材用組成物から形成される放熱部材の放熱特性が向上するため、放熱部材用組成物は、硬化剤としてより好ましい化合物を含有することができる。
本発明の第7の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第6の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記無機フィラーは、カップリング剤により処理されたフィラー、又はカップリング剤により処理された後、前記重合性化合物により表面修飾されたフィラーである。「表面修飾」とは、無機フィラーに結合しているカップリング剤にさらに重合性化合物を結合させることを言う。
このように構成すると、カップリング処理したフィラー、又は表面修飾したフィラーにより、放熱部材の厚み方向に、より高い熱伝導性を得ることができる。
このように構成すると、カップリング処理したフィラー、又は表面修飾したフィラーにより、放熱部材の厚み方向に、より高い熱伝導性を得ることができる。
本発明の第8の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第7の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記重合性化合物と前記硬化剤との重合による樹脂を含む。
このように構成すると、放熱部材用組成物は一部が硬化した状態(半硬化状態)であるため、扱い易さをより向上させることができる。例えば、半硬化状態の組成物をシート状に形成し、好みの形に切り取り、これを好適な部材と部材の間に配置し貼りあわせることが可能となる。
このように構成すると、放熱部材用組成物は一部が硬化した状態(半硬化状態)であるため、扱い易さをより向上させることができる。例えば、半硬化状態の組成物をシート状に形成し、好みの形に切り取り、これを好適な部材と部材の間に配置し貼りあわせることが可能となる。
本発明の第9の態様に係る放熱部材は、上記本発明の第1の態様〜第8の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物が硬化した、放熱部材である。
このように構成すると、放熱部材は、重合した重合性化合物の熱伝導性と無機フィラーの熱伝導性の相乗効果により、高い熱伝導性を有することができる。さらに、放熱部材は耐熱性に優れる。
このように構成すると、放熱部材は、重合した重合性化合物の熱伝導性と無機フィラーの熱伝導性の相乗効果により、高い熱伝導性を有することができる。さらに、放熱部材は耐熱性に優れる。
本発明の第10の態様に係る電子機器は、上記本発明の第9の態様に係る放熱部材と;発熱部を有する電子デバイスと;を備え、前記放熱部材が前記発熱部に接触するように前記電子デバイスに配置される。
このように構成すると、高熱伝導性を有する放熱部材により、電子デバイスに生じた熱を効率よく伝導させることができる。
このように構成すると、高熱伝導性を有する放熱部材により、電子デバイスに生じた熱を効率よく伝導させることができる。
本発明の放熱部材用組成物は、流動性を有するため扱い易く、さらに、本発明の放熱部材用組成物から形成された放熱部材は、優れた熱伝導性を有することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
「環の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく」の句は、例えば1,4−フェニレンの2,3,5,6位の水素の少なくとも1つがフッ素やメチル基等の置換基で置き換えられた場合の態様を意味する。
「化合物(1)」は、式(1)で表される化合物を意味し、また、式(1)で表される化合物の少なくとも1種を意味することもある。1つの化合物(1)が複数のAを有するとき、任意の2つのAは同一でも異なっていてもよい。複数の化合物(1)がAを有するとき、任意の2つのAは同一でも異なっていてもよい。この規則は、RaやZなど他の記号、基などにも適用される。
[放熱部材用組成物]
本発明の第1の実施の形態に係る放熱部材用組成物は、少なくとも2つの環が接続した環構造と、少なくとも2つの重合性基を有し、80℃において液体であり、250℃において熱分解しない重合性化合物と;前記重合性化合物を硬化させる硬化剤と;無機フィラーと;を含む組成物である。
本発明において、前記重合性化合物は樹脂を構成する主成分となる化合物である。「主成分」とは樹脂全体に占める割合が30重量%超、好ましくは35重量%以上、特に好ましくは40重量%以上である成分をいう。
なお本発明の放熱部材用組成物は硫化物を含まないことが好ましい。硫化物は硫化水素や二酸化硫黄を発生させる可能性があり、硫化水素や二酸化硫黄は金属類を腐食させる。本発明の放熱部材用組成物は硫化物を含まないことで、硫化水素や二酸化硫黄による金属類への腐食の問題を回避することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る放熱部材用組成物は、少なくとも2つの環が接続した環構造と、少なくとも2つの重合性基を有し、80℃において液体であり、250℃において熱分解しない重合性化合物と;前記重合性化合物を硬化させる硬化剤と;無機フィラーと;を含む組成物である。
本発明において、前記重合性化合物は樹脂を構成する主成分となる化合物である。「主成分」とは樹脂全体に占める割合が30重量%超、好ましくは35重量%以上、特に好ましくは40重量%以上である成分をいう。
なお本発明の放熱部材用組成物は硫化物を含まないことが好ましい。硫化物は硫化水素や二酸化硫黄を発生させる可能性があり、硫化水素や二酸化硫黄は金属類を腐食させる。本発明の放熱部材用組成物は硫化物を含まないことで、硫化水素や二酸化硫黄による金属類への腐食の問題を回避することができる。
[重合性化合物]
本発明の放熱部材用組成物が含有する重合性化合物は、式(1)で表される化合物であることが好ましい。化合物(1)は、骨格となる環構造Aと少なくとも2つの重合性基Raを有し、高い重合反応性、良好な混和性を有する。
Ra−A−Ra (1)
式(1)中、
Aは、少なくとも2つの環が接続した環構造であり、好ましくはナフタレン構造又はデカヒドロナフタレン構造であり、
Raは、オキシラニル基又はオキセタニル基を含む重合性基であり、好ましくは式(2−1)又は(2−2)で表される重合性基である。Raは、同一の重合性基であってもよく、異なる重合性基であってもよい。
式(2−1)及び(2−2)中、Rbは、水素、ハロゲン、又は炭素数1〜5のアルキルであり、mは1〜8の整数であり、かつqは0又は1であることが好ましい。
重合性化合物の反応性を向上させ、150〜200℃程度の比較的低温で組成物を硬化するためには、qは0であることが好ましい。
Rbは、水素、ハロゲン、又は炭素数1〜5のアルキルであるが、重合性化合物の反応性を向上させ、比較的低温で組成物を硬化するためには、Rbは水素であることが好ましい。一方、化合物の融点を低下させるためには、ハロゲン、又は炭素数1〜5のアルキルであることが好ましく、メチルであることが最も好ましい。
なお、mは2〜8の整数であってもよく、3〜8の整数、4〜8の整数、5〜8の整数、6〜8の整数、又は7〜8の整数であってもよい。放熱特性を向上させるには、mは小さい方が好ましい。また化合物の融点を低下させるためには、mは2であることが最も好ましい。
式(2−1)及び(2−2)において、−(CH2)m−が直鎖状のアルキルであるため、重合性基はフォノンの伝搬に有利となり好ましい。なお、−(CH2)m−は、−(CmH2m)−と表記してもよい。すなわち、直鎖状のアルキルに限られず分岐状のアルキルであってもよい。
本発明の放熱部材用組成物が含有する重合性化合物は、式(1)で表される化合物であることが好ましい。化合物(1)は、骨格となる環構造Aと少なくとも2つの重合性基Raを有し、高い重合反応性、良好な混和性を有する。
Ra−A−Ra (1)
式(1)中、
Aは、少なくとも2つの環が接続した環構造であり、好ましくはナフタレン構造又はデカヒドロナフタレン構造であり、
Raは、オキシラニル基又はオキセタニル基を含む重合性基であり、好ましくは式(2−1)又は(2−2)で表される重合性基である。Raは、同一の重合性基であってもよく、異なる重合性基であってもよい。
重合性化合物の反応性を向上させ、150〜200℃程度の比較的低温で組成物を硬化するためには、qは0であることが好ましい。
Rbは、水素、ハロゲン、又は炭素数1〜5のアルキルであるが、重合性化合物の反応性を向上させ、比較的低温で組成物を硬化するためには、Rbは水素であることが好ましい。一方、化合物の融点を低下させるためには、ハロゲン、又は炭素数1〜5のアルキルであることが好ましく、メチルであることが最も好ましい。
なお、mは2〜8の整数であってもよく、3〜8の整数、4〜8の整数、5〜8の整数、6〜8の整数、又は7〜8の整数であってもよい。放熱特性を向上させるには、mは小さい方が好ましい。また化合物の融点を低下させるためには、mは2であることが最も好ましい。
式(2−1)及び(2−2)において、−(CH2)m−が直鎖状のアルキルであるため、重合性基はフォノンの伝搬に有利となり好ましい。なお、−(CH2)m−は、−(CmH2m)−と表記してもよい。すなわち、直鎖状のアルキルに限られず分岐状のアルキルであってもよい。
環構造Aがナフタレンの場合を化合物(11)、デカヒドロナフタレンの場合を化合物(12)として以下に例示する。化合物(11)及び(12)は、二環式化合物のそれぞれの環に少なくとも1つの重合性基Raを有する。重合性基Raの位置は任意であるが、1位及び6位であることが特に好ましい。また、化合物(1)は、C2対称性を有しない構造であることがより好ましい。
他の好ましい環構造Aとしては、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、2,2−ジフルオロ−1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、3−フルオロピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、9−メチルフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル、9−エチルフルオレン−2,7−ジイル、9−フルオロフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジフルオロフルオレン−2,7−ジイルなどが挙げられる。化合物(1)が3つ以下の環を有するときは粘度が低くより好ましい。
化合物(1)は、80℃で液体であることが好ましく、90℃で液体であることがより好ましい。さらに、化合物(1)は、250℃で熱分解しないことが好ましく、275℃で熱分解しないことがより好ましい。
本発明において、重合性化合物は硫黄原子(S)を含まないことが好ましい。重合性化合物が硫化物であると、硫化水素や二酸化硫黄が発生する可能性があり、硫化水素や二酸化硫黄は金属類を腐食させる。硫黄原子(S)を含まない重合性化合物を使用することで、硫化水素や二酸化硫黄による金属類への腐食の問題を回避することができる。
[化合物(1)の合成方法]
化合物(1)は、有機合成化学における公知の手法を組合せることにより合成できる。出発物質に目的の重合性基及び環構造を導入する方法は、例えば、ホーベン−ワイル(Houben-Weyl, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載されている。また、特開2006−265527号公報を参照してもよい。
化合物(1)は、有機合成化学における公知の手法を組合せることにより合成できる。出発物質に目的の重合性基及び環構造を導入する方法は、例えば、ホーベン−ワイル(Houben-Weyl, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載されている。また、特開2006−265527号公報を参照してもよい。
[硬化剤]
本発明の放熱部材用組成物が含有する硬化剤としては特に制限はなく、全ての公知のモノアミン、ジアミン、芳香環に2つの水酸基を有する化合物、又はジカルボン酸等が使用できる。好ましくは、式(3−1)又は(3−2)で表される化合物である。
E−Z−(L−Z)n−E (3−1)
L1−Z−E (3−2)
式(3−1)及び(3−2)中、
Lは、それぞれ独立して、シクロヘキシレン、フェニレン、又はナフタレンであり、これらの環の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく、
L1は、シクロヘキシル、フェニル、又はナフチルであり、これらの環の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく、
Zは、それぞれ独立して、単結合、又は炭素数1〜10のアルキレンであり、
Eは、それぞれ独立して、アミノ、水酸基、又はカルボキシであり、
nは、1〜7の整数である。
なお、Lが1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、又は1,6−ナフタレンであると直線性に優れるためより好ましい。
本発明の放熱部材用組成物が含有する硬化剤としては特に制限はなく、全ての公知のモノアミン、ジアミン、芳香環に2つの水酸基を有する化合物、又はジカルボン酸等が使用できる。好ましくは、式(3−1)又は(3−2)で表される化合物である。
E−Z−(L−Z)n−E (3−1)
L1−Z−E (3−2)
式(3−1)及び(3−2)中、
Lは、それぞれ独立して、シクロヘキシレン、フェニレン、又はナフタレンであり、これらの環の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく、
L1は、シクロヘキシル、フェニル、又はナフチルであり、これらの環の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく、
Zは、それぞれ独立して、単結合、又は炭素数1〜10のアルキレンであり、
Eは、それぞれ独立して、アミノ、水酸基、又はカルボキシであり、
nは、1〜7の整数である。
なお、Lが1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、又は1,6−ナフタレンであると直線性に優れるためより好ましい。
本発明において、硬化剤は硫黄原子(S)を含まないことが好ましい。硬化剤が硫化物であると、硫化水素や二酸化硫黄が発生する可能性があり、硫化水素や二酸化硫黄は金属類を腐食させる。硫黄原子(S)を含まない硬化剤を使用することで、硫化水素や二酸化硫黄による金属類への腐食の問題を回避することができる。
好ましいアミン系硬化剤としては、o−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ポリシクロヘキシルポリアミンなどが挙げられる。
特に、4,4’−ジアミノジフェニルメタン又は4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタンは、硬化後の構造が直線状になることができ、フォノンの伝播に好影響となるため、好ましい。
特に、4,4’−ジアミノジフェニルメタン又は4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタンは、硬化後の構造が直線状になることができ、フォノンの伝播に好影響となるため、好ましい。
好ましい水酸基含有硬化剤としては、ヒドロキノン、レソルシノール、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、4,4’−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられる。
好ましいカルボキシ含有硬化剤としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸などが挙げられる。
硬化剤の量は、エポキシ当量又はオキセタン当量により適宜選択すればよい。基本的には反応する当量を選択すればよい。例えば、エポキシ:アミンの場合は2:1、エポキシ:フェノールの場合は、1:1である。
[無機フィラー]
本発明の放熱部材用組成物が含有する無機フィラーとしては、高熱伝導性の充填材として、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素などの窒化物が挙げられる。ダイアモンド、黒鉛、炭化珪素、珪素、ベリリア、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化珪素、酸化銅、酸化チタン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化錫、酸化ホルミニウム、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化カルシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、金、銀、銅、白金、鉄、錫、鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、モリブデン、ステンレスなどの無機充填材や金属充填材であってもよい。好ましくは、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムである。窒化ホウ素、窒化アルミニウムは平面方向の熱伝導率が非常に高く、誘電率が低く、絶縁性が高いため好ましい。特に六方晶系の窒化ホウ素(h−BN)や窒化アルミニウムが好ましい。
本発明の放熱部材用組成物が含有する無機フィラーとしては、高熱伝導性の充填材として、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素などの窒化物が挙げられる。ダイアモンド、黒鉛、炭化珪素、珪素、ベリリア、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化珪素、酸化銅、酸化チタン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化錫、酸化ホルミニウム、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化カルシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、金、銀、銅、白金、鉄、錫、鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、モリブデン、ステンレスなどの無機充填材や金属充填材であってもよい。好ましくは、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムである。窒化ホウ素、窒化アルミニウムは平面方向の熱伝導率が非常に高く、誘電率が低く、絶縁性が高いため好ましい。特に六方晶系の窒化ホウ素(h−BN)や窒化アルミニウムが好ましい。
無機フィラーの形状としては、球状、無定形、繊維状、棒状、筒状、板状などが挙げられる。無機フィラーの種類、形状、大きさ、添加量などは、目的に応じて適宜選択できる。例えば、放熱部材が絶縁性を必要とする場合、所望の絶縁性が保たれれば導電性を有する無機フィラーであっても構わない。
無機フィラーの平均粒径は、例えば、0.1〜200μmであることが好ましい。より好ましくは、1〜100μmである。0.1μm以上であると熱伝導率がよく、200μm以下であると充填率を上げることができる。なお、本明細書において平均粒径とは、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定に基づく。すなわち、フランホーファー回折理論及びミーの散乱理論による解析を利用して、湿式法により、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量(体積基準)となる径をメジアン径とした。
無機フィラーの添加量は、例えば、放熱部材に用いる場合は、20〜95重量%であることが好ましい。より好ましくは、50〜95重量%である。20重量%以上であると熱伝導率が高くなり好ましい。95重量%以下であると放熱部材が脆くならず好ましい。
無機フィラーは、そのまま未修飾のもの(図2左)を使用してもよい。又は、その表面をカップリング剤で処理したもの(図2中央)を用いてもよい。例えば、図2に示すように、窒化ホウ素(h−BN)をシランカップリング剤で処理する。窒化ホウ素の場合は粒子の平面に反応基がないため、その周囲のみにシランカップリング剤が結合する。カップリング剤で処理された窒化ホウ素は、放熱部材用組成物中の重合性化合物との結合を形成でき、この結合は熱伝導に寄与すると考えられる。そのため、カップリング剤は、オキシラニル基、オキセタニル基、又は硬化剤の有する基と反応するものが好ましい。例えば、アミン系、又はオキシラニル基、オキセタニル基を有するものが好ましい。具体的には、JNC(株)製では、サイラエースS310,S320,S330,S360,S510,S530などが挙げられる。
無機フィラーは、カップリング剤で処理した後さらに重合性化合物で表面修飾したもの(図2右)を用いてもよい。例えば、図2に示すように、シランカップリング剤で処理された窒化ホウ素(h−BN)を重合性化合物で表面修飾する。重合性化合物で表面修飾された窒化ホウ素が、放熱部材用組成物中の重合性化合物や硬化剤と結合を形成できると、この結合は熱伝導に寄与すると考えられる。例えば、重合性化合物は、式(1)で示す化合物であってもよく、それ以外の重合性化合物であってもよい。
[その他の構成要素]
本発明の放熱部材用組成物は、例えば、上記化合物(1)を少なくとも1種含み、高熱伝導充填材である無機フィラーを含む。該組成物は、2種以上の化合物(1)で構成されてもよく、また、少なくとも1種の化合物(1)と、化合物(1)以外の少なくとも1種の化合物との組合せで構成されてもよい。このような化合物(1)以外の構成要素としては、特に限定されないが、例えば、化合物(1)以外の重合性化合物、非重合性化合物、重合開始剤、及び溶媒などが挙げられる。
本発明の放熱部材用組成物は、例えば、上記化合物(1)を少なくとも1種含み、高熱伝導充填材である無機フィラーを含む。該組成物は、2種以上の化合物(1)で構成されてもよく、また、少なくとも1種の化合物(1)と、化合物(1)以外の少なくとも1種の化合物との組合せで構成されてもよい。このような化合物(1)以外の構成要素としては、特に限定されないが、例えば、化合物(1)以外の重合性化合物、非重合性化合物、重合開始剤、及び溶媒などが挙げられる。
例えば、重合開始剤は、熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。熱ラジカル重合用の好ましい開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−t−ブチルパーオキシド(DTBPO)、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)などが挙げられる。
放熱部材用組成物は溶媒を含有してもよい。該組成物の重合は溶媒中で行っても、無溶媒で行ってもよい。好ましい溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、PGMEAなどが挙げられる。溶媒は1種単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
上記化合物(1)及び放熱部材用組成物は高い重合性を有するので、取り扱いを容易にするために、安定剤を添加してもよい。このような安定剤としては、公知のものを制限なく使用できる。例えば、ハイドロキノン、4−エトキシフェノール、及び3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)などが挙げられる。
さらに、放熱部材用組成物の粘度や色を調整するために添加剤(酸化物等)を添加してもよい。例えば、白色にするための酸化チタン、黒色にするためのカーボンブラック、粘度を調整するためのシリカの微粉末を挙げることができる。また、機械的強度をさらに増すために、例えば、ガラス、カーボンファイバーなどの無機繊維や、それらのクロス、又は、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなどの合成繊維、又は、超分子などを添加してもよい。
さらに、放熱部材用組成物の粘度や色を調整するために添加剤(酸化物等)を添加してもよい。例えば、白色にするための酸化チタン、黒色にするためのカーボンブラック、粘度を調整するためのシリカの微粉末を挙げることができる。また、機械的強度をさらに増すために、例えば、ガラス、カーボンファイバーなどの無機繊維や、それらのクロス、又は、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなどの合成繊維、又は、超分子などを添加してもよい。
[放熱部材]
本発明の第2の実施の形態に係る放熱部材は、上記第1の実施の形態に係る放熱部材用組成物を硬化させた硬化物を用途に応じて成形したものである。
放熱部材は、少なくとも1種の化合物(1)を含む放熱部材用組成物を重合させることによって得られる重合体である。この重合体は、高い熱伝導性を有するとともに、化学的安定性、耐熱性、硬度及び機械的強度などに優れている。なお、前記機械的強度とは、ヤング率、引っ張り強度、引き裂き強度、曲げ強度、曲げ弾性率、衝撃強度などである。
図1は、無機フィラーとして窒化ホウ素を用いた場合の放熱部材のイメージ図である。
本発明の第2の実施の形態に係る放熱部材は、上記第1の実施の形態に係る放熱部材用組成物を硬化させた硬化物を用途に応じて成形したものである。
放熱部材は、少なくとも1種の化合物(1)を含む放熱部材用組成物を重合させることによって得られる重合体である。この重合体は、高い熱伝導性を有するとともに、化学的安定性、耐熱性、硬度及び機械的強度などに優れている。なお、前記機械的強度とは、ヤング率、引っ張り強度、引き裂き強度、曲げ強度、曲げ弾性率、衝撃強度などである。
図1は、無機フィラーとして窒化ホウ素を用いた場合の放熱部材のイメージ図である。
放熱部材用組成物は、熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂は、熱等を加えることで、三次元の架橋構造を形成する架橋反応を起こし、硬化することができる。より架橋させるために架橋剤を添加してもよい。これにより、耐薬品性及び耐熱性に極めて優れた重合体(硬化物)を得ることができる。このような架橋剤としては、公知のものを制限なく使用できるが、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)などが挙げられる。
放熱部材用組成物の重合方法としては、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合などが挙げられるが、熱を利用した熱重合が適している。熱重合は熱ラジカル重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。得られる重合体は、単独重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよく、用途などに応じて適宜選択すればよい。
熱重合による熱硬化温度は、室温〜350℃、好ましくは室温〜250℃、より好ましくは50℃〜200℃の範囲である。硬化時間は、5秒〜10時間、好ましくは1分〜8時間、より好ましくは5分〜5時間の範囲である。重合後は、応力ひずみなどを抑制するために徐冷することが好ましい。また、再加熱処理を行い、ひずみなどを緩和させてもよい。
本発明の放熱部材は、シート、フィルム、薄膜、繊維、成形体などの形状で使用できる。好ましい形状は、フィルム及び薄膜である。フィルム及び薄膜は、放熱部材用組成物を基板に塗布した状態又は基板で挟んだ状態で重合させることによって得られる。また、溶媒を含有する放熱部材用組成物を、基板に塗布し溶媒を除去することによっても得られる。さらに、フィルムについては、重合体をプレス成形することによっても得られる。なお、本明細書におけるシートの膜厚は1mm以上であり、フィルムの膜厚は5μm以上、好ましくは10〜900μmであり、より好ましくは20〜800μmであり、薄膜の膜厚は5μm未満である。膜厚は用途に応じて適宜変更すればよい。
本発明の放熱部材は、高熱伝導性に加え、化学的安定性、耐熱性、硬度及び機械的強度などの優れた特性をも有する。よって、放熱板、放熱シート、放熱フィルム、放熱塗膜、放熱接着材、放熱成形品などに有用である。
本発明の放熱部材は、高熱伝導性に加え、化学的安定性、耐熱性、硬度及び機械的強度などの優れた特性をも有する。よって、放熱板、放熱シート、放熱フィルム、放熱塗膜、放熱接着材、放熱成形品などに有用である。
[放熱部材用組成物の製造方法]
無機フィラーにカップリング処理を施す場合の製造方法を以下に説明する。カップリング処理は公知の方法を用いることができる。
一例として、まず無機フィラー粒子とカップリング剤を溶媒に加える。スターラー等を用いて撹拌したのち、放置する。溶媒乾燥後に真空乾燥機等を用いて真空条件下で加熱処理をする。この無機フィラー粒子に溶媒を加えて、超音波処理により粉砕する。遠心分離機を用いてこの溶液を分離精製する。上澄みを捨てたのち、溶媒を加えて同様の操作を数回行う。オーブンを用いて精製後の無機フィラー粒子を乾燥させる。
次にカップリング処理された無機フィラー粒子と重合性化合物を、メノウ乳鉢等を用いて混合したのち、2軸ロール等を用いて混練する。その後、超音波処理及び遠心分離によって分離精製する。
さらにアミン系硬化剤を加え、メノウ乳鉢等を用いて混合したのち、2軸ロール等を用いて混練する。これにより、溶媒を含有しない放熱部材用組成物を得ることができる。
無機フィラーにカップリング処理を施す場合の製造方法を以下に説明する。カップリング処理は公知の方法を用いることができる。
一例として、まず無機フィラー粒子とカップリング剤を溶媒に加える。スターラー等を用いて撹拌したのち、放置する。溶媒乾燥後に真空乾燥機等を用いて真空条件下で加熱処理をする。この無機フィラー粒子に溶媒を加えて、超音波処理により粉砕する。遠心分離機を用いてこの溶液を分離精製する。上澄みを捨てたのち、溶媒を加えて同様の操作を数回行う。オーブンを用いて精製後の無機フィラー粒子を乾燥させる。
次にカップリング処理された無機フィラー粒子と重合性化合物を、メノウ乳鉢等を用いて混合したのち、2軸ロール等を用いて混練する。その後、超音波処理及び遠心分離によって分離精製する。
さらにアミン系硬化剤を加え、メノウ乳鉢等を用いて混合したのち、2軸ロール等を用いて混練する。これにより、溶媒を含有しない放熱部材用組成物を得ることができる。
[放熱部材の製造方法]
一例として、溶媒を含有しない放熱部材用組成物を用いて、放熱部材としてのフィルムを製造する方法を以下に説明する。
溶媒を含有しない放熱部材用組成物を、圧縮成形機を用いて加熱板中にはさみ、圧縮成形により成形する。重合性化合物が所定の温度、時間で重合し重合体を形成する。さらに適切な時間、温度で後硬化を施してもよい。なお、圧縮成形時の圧力は、50〜500kgf/cm2が好ましく、より好ましくは70〜250kgf/cm2である。硬化時の圧力は基本的には高い方が好ましい。しかし、金型の流動性や、目的とする物性(どちら向きの熱伝導率を重視するかなど)によって適宜変更し、適切な圧力を加えることが好ましい。
なお、放熱部材用組成物は一部を硬化させた状態(半硬化状態)とすると、扱い易さをより向上させることができる。例えば、半硬化状態の組成物をシート状に形成し、好みの形に切り取り、これを好適な部材と部材の間に配置し貼りあわせることが可能となる。
一例として、溶媒を含有しない放熱部材用組成物を用いて、放熱部材としてのフィルムを製造する方法を以下に説明する。
溶媒を含有しない放熱部材用組成物を、圧縮成形機を用いて加熱板中にはさみ、圧縮成形により成形する。重合性化合物が所定の温度、時間で重合し重合体を形成する。さらに適切な時間、温度で後硬化を施してもよい。なお、圧縮成形時の圧力は、50〜500kgf/cm2が好ましく、より好ましくは70〜250kgf/cm2である。硬化時の圧力は基本的には高い方が好ましい。しかし、金型の流動性や、目的とする物性(どちら向きの熱伝導率を重視するかなど)によって適宜変更し、適切な圧力を加えることが好ましい。
なお、放熱部材用組成物は一部を硬化させた状態(半硬化状態)とすると、扱い易さをより向上させることができる。例えば、半硬化状態の組成物をシート状に形成し、好みの形に切り取り、これを好適な部材と部材の間に配置し貼りあわせることが可能となる。
溶媒を含有する放熱部材用組成物を用いて、放熱部材としてのフィルムを製造する方法を以下に説明する。
基板上に放熱部材用組成物を塗布し、溶媒を乾燥除去して膜厚の均一な塗膜層を形成する。塗布方法としては、例えば、スピンコート、ロールコート、カテンコート、フローコート、プリント、マイクログラビアコート、グラビアコート、ワイヤーバーコート、デップコート、スプレーコート、メニスカスコート法などが挙げられる。
溶媒の乾燥除去は、例えば、室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどにより行うことができる。溶媒除去の条件は特に限定されず、溶媒がおおむね除去され、塗膜層の流動性がなくなるまで乾燥すればよい。
基板上に放熱部材用組成物を塗布し、溶媒を乾燥除去して膜厚の均一な塗膜層を形成する。塗布方法としては、例えば、スピンコート、ロールコート、カテンコート、フローコート、プリント、マイクログラビアコート、グラビアコート、ワイヤーバーコート、デップコート、スプレーコート、メニスカスコート法などが挙げられる。
溶媒の乾燥除去は、例えば、室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどにより行うことができる。溶媒除去の条件は特に限定されず、溶媒がおおむね除去され、塗膜層の流動性がなくなるまで乾燥すればよい。
[電子機器]
本発明の第3の実施の形態に係る電子機器は、上記第2の実施の形態に係る放熱部材と、発熱部を有する電子デバイスとを備える。放熱部材は、前記発熱部に接触するように電子デバイスに配置される。放熱部材の形状は、放熱板、放熱シート、放熱フィルム、放熱接着材、放熱成形品などのいずれであってもよい。
例えば、電子デバイスとして、半導体素子を挙げることができる。本発明の放熱部材は、高熱伝導性に加えて、高耐熱性、高絶縁性を有する。そのため、半導体素子の中でも高電力のためより効率的な放熱機構を必要とする絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)に特に有効である。IGBTは半導体素子のひとつで、MOSFETをゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタであり、電力制御の用途で使用される。IGBTを備えた電子機器には、大電力インバータの主変換素子、無停電電源装置、交流電動機の可変電圧可変周波数制御装置、鉄道車両の制御装置、ハイブリッドカー、エレクトリックカーなどの電動輸送機器、IH調理器などを挙げることができる。
本発明の第3の実施の形態に係る電子機器は、上記第2の実施の形態に係る放熱部材と、発熱部を有する電子デバイスとを備える。放熱部材は、前記発熱部に接触するように電子デバイスに配置される。放熱部材の形状は、放熱板、放熱シート、放熱フィルム、放熱接着材、放熱成形品などのいずれであってもよい。
例えば、電子デバイスとして、半導体素子を挙げることができる。本発明の放熱部材は、高熱伝導性に加えて、高耐熱性、高絶縁性を有する。そのため、半導体素子の中でも高電力のためより効率的な放熱機構を必要とする絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)に特に有効である。IGBTは半導体素子のひとつで、MOSFETをゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタであり、電力制御の用途で使用される。IGBTを備えた電子機器には、大電力インバータの主変換素子、無停電電源装置、交流電動機の可変電圧可変周波数制御装置、鉄道車両の制御装置、ハイブリッドカー、エレクトリックカーなどの電動輸送機器、IH調理器などを挙げることができる。
以下に、本発明に対して実施例を用いて詳細に説明する。しかし本発明は、以下の実施例に記載された内容に限定されるものではない。
[NMR測定]
NMRは、VARIAN社製のVARIAN NMR SYSTEMで計測した。1H NMR測定での磁場強度は500MHzであり、試料はCDCl3などの重水素化溶媒に溶解させ、測定は室温で行った。この際、積算回数は16回である。内部標準は、テトラメチルシランである。NMRの符号のうち、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sexはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードを意味する。
NMRは、VARIAN社製のVARIAN NMR SYSTEMで計測した。1H NMR測定での磁場強度は500MHzであり、試料はCDCl3などの重水素化溶媒に溶解させ、測定は室温で行った。この際、積算回数は16回である。内部標準は、テトラメチルシランである。NMRの符号のうち、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sexはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードを意味する。
[合成例1]
式(1−2a)で表される化合物の合成は以下のとおりである。
J.Org.Chem.,34(12),4060(1969).に従い合成した4−ブロモ−1,2−ブチレンオキシド 7.30g(48.3mmol)、1,6−ジヒドロキシナフタレン 3.22g(20.1mmol)、K2CO3 6.68g(48.3mmol)の混合物を、2−ブタノン溶液 84ml中、20時間還流した。反応液を冷却後、純水及びトルエン各200mlを加えた。有機層を分離後、同量の純水で2回洗浄し、MgSO4で乾燥した。ろ過及び溶剤を減圧留去後、得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/酢酸エチル=10/1)で精製することにより、化合物(1−2a)を得た。収量4.47g(収率74%)。化合物は、室温で液体であった。
式(1−2a)で表される化合物の合成は以下のとおりである。
1H NMR(ppm);8.16(d,1H,J=8.0Hz),7.35−7.31(m,2H),7.14−7.10(m,2H),6.70(dd,1H,J=7.0,1.5Hz),4.33−4.20(m,4H),3.26−3.18(m,2H),2.86−2.84(m,2H),2.65−2.60(m,2H),2.25−1.98(m,4H).
[合成例2]
式(1−1b)で表される化合物の合成は以下のとおりである。
4−ブロモ−1,2−ブチレンオキシドに代え、有機合成化学協会誌,29(5),530(1971).に従い合成した、4−クロロ−2,3−ブチレンオキシドを用い、合成例1と同様の方法で合成した。化合物(1−1b)は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/酢酸エチル=10/1)で精製した。収率9%。化合物は、室温で液体であった。
式(1−1b)で表される化合物の合成は以下のとおりである。
1H NMR(ppm);8.21−8.16(m,1H),7.38−7.30(m,2H),7.20−7.08(m,2H),6.84−6.66(m,1H),4.60−4.05(m,4H),3.34−2.71(m,4H),1.55−1.36(m,6H).
[合成例3]
式(1−3a)で表される化合物の合成は以下のとおりである。
4−ブロモ−1,2−ブチレンオキシドに代え、J.Org.Chem.,34(12),4060(1969).に従い合成した、5−ブロモ−1,2−ペンチレンオキシドを用い、合成例1と同様の方法で合成した。化合物(1−3a)は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/酢酸エチル=10/1)で精製した。収率57%。融点75℃。化合物は、25℃で固体であるが80℃では液体である。
式(1−3a)で表される化合物の合成は以下のとおりである。
1H NMR(ppm);8.16(d,1H,J=8.0Hz),7.35−7.31(m,2H),7.11−7.08(m,2H),6.66(dd,1H,J=7.0,1.5Hz),4.21−4.08(m,4H),3.06−3.00(m,2H),2.80−2.78(m,2H),2.54−2.52(m,2H),2.12−1.67(m,8H).
[実施例1]
・熱拡散率測定用試料の作製
窒化ホウ素粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(合)製PolarTherm PTX―25)1g、式(1−1a)で表される化合物62mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン24mgをそれぞれ量りとってよく混ぜ、ステンレス製板中に挟み、150℃の温度に加温した圧縮成形機((株)井元製作所製IMC−19EC)にて20MPaの圧力をかけて45分間保持し、放熱部材としての厚みが768μmの四角片を取り出した。
・熱拡散率測定用試料の作製
窒化ホウ素粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(合)製PolarTherm PTX―25)1g、式(1−1a)で表される化合物62mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン24mgをそれぞれ量りとってよく混ぜ、ステンレス製板中に挟み、150℃の温度に加温した圧縮成形機((株)井元製作所製IMC−19EC)にて20MPaの圧力をかけて45分間保持し、放熱部材としての厚みが768μmの四角片を取り出した。
・熱伝導率評価
熱伝導率は、予め放熱部材の25℃における比熱((株)リガク製DSC型高感度示差走査熱量計Thermo Plus EVO2 DSC−8231で測定した)と25℃における比重(新光電子(株)製比電子はかり式比重計DME−220により測定した)を求めておき、その値を(株)アイフェイズ製ai−Phase Mobile 1u熱拡散率測定装置により求めた25℃における熱拡散率を掛け合わせることにより厚み方向の熱伝導率を求めた。
熱伝導率は、予め放熱部材の25℃における比熱((株)リガク製DSC型高感度示差走査熱量計Thermo Plus EVO2 DSC−8231で測定した)と25℃における比重(新光電子(株)製比電子はかり式比重計DME−220により測定した)を求めておき、その値を(株)アイフェイズ製ai−Phase Mobile 1u熱拡散率測定装置により求めた25℃における熱拡散率を掛け合わせることにより厚み方向の熱伝導率を求めた。
[実施例2]
実施例2は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)0.92g、式(1−2a)で表される化合物62mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン22mgを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
実施例2は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)0.92g、式(1−2a)で表される化合物62mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン22mgを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
[実施例3]
実施例3は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)1.0g、式(1−1a)で表される化合物51mg、式(4)で表される化合物7.7mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン22mgを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
・化合物(4)、JNC(株)製
化合物(4)は特許第5084148号公報に記載の方法で合成することができる。
実施例3は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)1.0g、式(1−1a)で表される化合物51mg、式(4)で表される化合物7.7mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン22mgを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
・化合物(4)、JNC(株)製
化合物(4)は特許第5084148号公報に記載の方法で合成することができる。
[実施例4]
実施例4は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)1.01g、式(1−2a)で表される化合物56mg、式(4)で表される化合物7.7mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン22mgを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
実施例4は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)1.01g、式(1−2a)で表される化合物56mg、式(4)で表される化合物7.7mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン22mgを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
[比較例1]
比較例1は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)1g、三菱ケミカル製エポキシ(jER807)64mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン20mgを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。jER807は室温で液体である。
比較例1は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)1g、三菱ケミカル製エポキシ(jER807)64mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン20mgを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。jER807は室温で液体である。
[比較例2]
比較例2は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)0.99g、三菱ケミカル製エポキシ(jER828)64mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン18mgを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。jER828は室温で液体である。
比較例2は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)0.99g、三菱ケミカル製エポキシ(jER828)64mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン18mgを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。jER828は室温で液体である。
[実施例5]
実施例5は、デンカ製アルミナ粒子(DAW−20)2.0g、式(1−1a)で表される化合物76mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン30mgを用い、よく混ぜあわせた組成物1.6gを量りとり、これを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
実施例5は、デンカ製アルミナ粒子(DAW−20)2.0g、式(1−1a)で表される化合物76mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン30mgを用い、よく混ぜあわせた組成物1.6gを量りとり、これを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
[実施例6]
実施例6は、デンカ製アルミナ粒子(DAW−20)2.0g、式(1−2a)で表される化合物75mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン29mgを用い、よく混ぜあわせた組成物1.6gを量りとり、これを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
実施例6は、デンカ製アルミナ粒子(DAW−20)2.0g、式(1−2a)で表される化合物75mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン29mgを用い、よく混ぜあわせた組成物1.6gを量りとり、これを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
[比較例3]
比較例3は、デンカ製アルミナ粒子(DAW−20)3.0g、三菱ケミカル製エポキシ(jER807)150mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン39mgを用い、よく混ぜあわせた組成物2.0gを量りとり、これを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
比較例3は、デンカ製アルミナ粒子(DAW−20)3.0g、三菱ケミカル製エポキシ(jER807)150mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン39mgを用い、よく混ぜあわせた組成物2.0gを量りとり、これを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
[比較例4]
比較例4は、デンカ製アルミナ粒子(DAW−20)3.0g、三菱ケミカル製エポキシ(jER828)125mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン36mgを用い、よく混ぜあわせた組成物1.1gを量りとり、これを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
比較例4は、デンカ製アルミナ粒子(DAW−20)3.0g、三菱ケミカル製エポキシ(jER828)125mg、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン36mgを用い、よく混ぜあわせた組成物1.1gを量りとり、これを用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
各放熱部材の熱伝導率を下記に示す。
[実施例7]
実施例7は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)1.0g、式(1−1a)で表される化合物54mg、ビスフェノールA33mg、2−エチル−4−メチルイミダゾール5.4mgを用い、よく混ぜあわせた組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
実施例7は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)1.0g、式(1−1a)で表される化合物54mg、ビスフェノールA33mg、2−エチル−4−メチルイミダゾール5.4mgを用い、よく混ぜあわせた組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
[実施例8]
実施例8は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)0.97g、式(1−2a)で表される化合物54mg、ビスフェノールA33mg、2−エチル−4−メチルイミダゾール5.4mgを用い、よく混ぜあわせた組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
実施例8は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)0.97g、式(1−2a)で表される化合物54mg、ビスフェノールA33mg、2−エチル−4−メチルイミダゾール5.4mgを用い、よく混ぜあわせた組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
[比較例5]
比較例3は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)1.15g、三菱ケミカル製エポキシ(jER807)67.3mg、ビスフェノールA33mg、2−エチル−4−メチルイミダゾール5.4mgを用い、よく混ぜあわせた組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
比較例3は、窒化ホウ素粒子(PTX−25)1.15g、三菱ケミカル製エポキシ(jER807)67.3mg、ビスフェノールA33mg、2−エチル−4−メチルイミダゾール5.4mgを用い、よく混ぜあわせた組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
各放熱部材の熱伝導率を下記に示す。
1 重合性化合物
2 窒化ホウ素
2 窒化ホウ素
Claims (10)
- 少なくとも2つの環が縮合した環構造と、少なくとも2つの重合性基とを有し、80℃において液体であり、かつ250℃において熱分解しない重合性化合物と;
前記重合性化合物を硬化させる硬化剤と;
無機フィラーと;を含む、
放熱部材用組成物。 - 前記環構造は、ナフタレン構造又はデカヒドロナフタレン構造であり、
前記環構造の2つの環にそれぞれ少なくとも1つの前記重合性基を有する、
請求項1に記載の放熱部材用組成物。 - 前記式(11)又は(12)で表される化合物は、C2対称性を有しない、
請求項3に記載の放熱部材用組成物。 - 前記式(11)又は(12)で表される化合物は、前記ナフタレン構造又は前記デカヒドロナフタレン構造の1位及び6位に前記重合性基を有する、
請求項3又は請求項4に記載の放熱部材用組成物。 - 前記硬化剤は、下記式(3−1)又は(3−2)で表される少なくとも1つの化合物である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
E−Z−(L−Z)n−E (3−1)
L1−Z−E (3−2)
前記式(3−1)及び(3−2)中、
Lは、それぞれ独立して、シクロヘキシレン、フェニレン、又はナフタレンであり、これらの環の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく、
L1は、シクロヘキシル、フェニル、又はナフチルであり、これらの環の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく、
Zは、それぞれ独立して、単結合、又は炭素数1〜10のアルキレンであり、
Eは、それぞれ独立して、アミノ、水酸基、又はカルボキシであり、
nは、1〜7の整数である。 - 前記無機フィラーは、カップリング剤により処理されたフィラー、又はカップリング剤により処理された後、前記重合性化合物により表面修飾されたフィラーである、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。 - 前記重合性化合物と前記硬化剤との重合による樹脂を含む、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物が硬化した、
放熱部材。 - 請求項9に記載の放熱部材と;
発熱部を有する電子デバイスと;を備え、
前記放熱部材が前記発熱部に接触するように前記電子デバイスに配置された、
電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019145847A JP2021024989A (ja) | 2019-08-07 | 2019-08-07 | 放熱部材用組成物、放熱部材、電子機器 |
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JP2019145847A JP2021024989A (ja) | 2019-08-07 | 2019-08-07 | 放熱部材用組成物、放熱部材、電子機器 |
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JP2021024989A true JP2021024989A (ja) | 2021-02-22 |
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Family Applications (1)
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JP2019145847A Pending JP2021024989A (ja) | 2019-08-07 | 2019-08-07 | 放熱部材用組成物、放熱部材、電子機器 |
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