JP2021020416A - 立体造形用データ生成プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】材料押出法によりゴムを材料として立体物を良好に造形する技術の提供。【解決手段】立体物OBを構成する各層を形成するにあたり、対象層S1に対し大きさの異なる同心の相似形を複数描くための線に対応するパスが事前に決定される。そして、決定されたパスに沿って、吐出ノズル13の先端と材料RUの着地先との間隔Hを積層ピッチhと同等程度のh1にした状態で、線1本分の空間を隔てて隣接する線L1,L3,L5が描かれる。次に、間隔Hを積層ピッチhより大きいh2にした状態で、先に描かれた線L1,L3,L5の各々に挟まれる空間を埋めるようにして線L2,L4が描かれる。このように線を描くことで、吐出ノズル13が隣接する線に干渉するのを回避することができ、隣接する線の端部が隆起する現象の発生を未然に防止して、ゴムを主成分とする材料RUから立体物OBを良好に造形することが可能となる。【選択図】図7

Description

本発明は、3Dプリンタ等の立体造形装置により立体物を造形する際に用いられる立体造形用データ生成プログラム及び立体造形物の製造方法に関し、特に、材料押出法によりゴムを材料として立体物を造形する際に用いられる立体造形用データ生成プログラム及び立体造形物の製造方法に関する。
近年、付加製造(Additive Manufacturing)の技術が注目を集めている。複数ある付加製造方式のうち、材料押出法は、熱溶解積層法とも称されることからも分かるように、熱可塑性の材料を加熱して溶解し流動化させた状態でノズルから押し出して積層させる造形方式であり、構造がシンプルである上に材料や機械部品が安価であるため、一般消費者向けの装置も含めて広く普及している。材料押出法による造形は、樹脂を材料として用いるものの実用化が特に進んでおり、樹脂を材料とした造形過程で生じる課題に対しては様々な解決策が既に開示されている(例えば、特許文献1,2を参照。)。
特開2006−192710号公報 国際公開第2017/130685号
このような背景の下で、ゴムを主成分とする材料を用いて材料押出法により立体物を造形する試みがなされているが、造形過程で生じる課題は用いる材料の性質により自ずと相違してくる。材料押出法による造形過程での課題について開示されている上記の解決策は、いずれも樹脂を材料とすることを前提としたものであるが、樹脂とゴムとでは性質が異なるため、樹脂の場合に好適に作用するからといって、ゴムの場合にも同じように好適に作用するものではない。したがって、ゴムを材料として材料押出法により立体物を良好に造形するためには、ゴム特有の性質に起因する課題を解決することができる方法を見出さなければならない。
そこで、本発明は、材料押出法によりゴムを材料として立体物を良好に造形する技術の提供を目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の立体造形用データ生成プログラムを提供する。なお、以下の括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、本発明の立体造形用データ生成プログラムは、ゴム状弾性体を主成分とする材料を層状に積層して立体を造形する立体造形装置により用いられるデータを生成する立体造形用データ生成プログラムであって、コンピュータに、造形される立体を複数の層に分割した場合に立体を構成する各層に対し、平行する複数の経路からなる平行経路群を決定する経路決定ステップと、各層の造形にあたり、平行経路群のうち相互に隣接しない複数の経路である第1経路群を造形させた後に、材料を供給する高さ方向の位置を第1経路群の造形時より高くした状態で平行経路群のうち未だ造形されていない経路である第2経路群を造形させる命令データを生成する命令生成ステップとを実行させる。
ゴム状弾性体は、弾性を有しており、外力が加わると変形し、外力から開放されると元の状態に復元する。立体造形装置においては、材料の供給部位(吐出ノズル)から材料が吐出されることとなるが、ゴム状弾性体を主成分とする材料(例えば、加硫剤を加えた合成ゴム)を用いる場合には、材料は、吐出される直前までは供給部位の内部で圧縮されているのに対し、外部に吐出されると圧力から開放されるため直後に大きく膨張し、その後も緩やかに膨張しながら元の状態に復元していく。
ところで、立体造形装置においては、材料の供給部位の先端部が非常になだらかなテーパ形状をなしており、かつ、その先端はある程度の幅を有しているのが一般的である。そのため、ある経路に材料を吐出して造形し、このときと同様の状態で、隣接する経路に材料を吐出して造形しようとすると、材料の供給部位が先に造形されて膨張した隣接する経路に干渉し、隣接する経路の造形状態を悪化させる虞がある。
これに対し、上記の態様の立体造形用データ生成プログラムにより生成される命令データは、立体造形装置に対して、平行する複数の経路からなる平行経路のうち、相互に隣接しない複数の経路である第1経路を先ず造形させるため、第1経路の造形時に、材料の供給部位が造形済みの経路に干渉するのを回避することができる。また、第1経路を造形させた後に、材料を供給する高さ方向の位置を第1経路の造形時より高くした状態で、平行経路のうち未だ造形されていない経路である第2経路を造形させるため、第2経路の造形時に、材料の供給部位が先に造形された第1経路に干渉するのを回避することができる。したがって、上記の態様の立体造形用データ生成プログラムによれば、隣接する複数の経路を良好に造形することができる。
好ましくは、立体造形用データ生成プログラムにおいて、経路決定ステップは、角を含んだ平行する複数の経路からなる前記平行経路群を決定し、命令生成ステップは、第2経路群をなす各経路の造形にあたり、角を連続的に造形させることなく、角の頂点を始端又は終端のいずれかとする2本の直線により角を造形させる命令データを生成する。
上記の態様においては、第2経路の造形時には、材料を供給する高さ方向の位置を第1経路の造形時よりも高くするため、吐出される材料は、供給部位の先端で着地先に押し当てられず、着地先に接触する面積が第1経路の造形時と比較して少なくなる。また、ゴム状弾性体を主成分とする材料は、粘度が高いため、着地しても直ぐには着地先に接着しにくい。そのため、第2経路に含まれる角を連続的に造形しようとすると、供給部位が角の頂点の位置を超えた直後の段階では、材料は、未だその位置に接着しきれていない上に接触面積も少ないことから、角の頂点の位置に仮留めされたような状態となる。その結果、第2経路に含まれる角の頂点には、鋭さが現れにくくなる虞がある。
これに対し、この態様の立体造形用データ生成プログラムにより生成される命令データは、第2経路に含まれる角を連続的に造形させることなく、角の頂点を始端又は終端のいずれかとする2本の直線により角を造形させるため、角の頂点を鋭い形状とすることができる。したがって、この態様の立体造形用データ生成プログラムによれば、角を含んだ経路を良好に造形することができる。
より好ましくは、立体造形用データ生成プログラムにおいて、命令生成ステップは、第1経路群及び第2経路群をなす各経路の造形にあたり、各経路内の始端から各経路内の所定の地点に向かうにつれて造形速度を段階的に上昇させる命令データを生成する。
上述したように、ゴム状弾性体を主成分とする材料は、吐出されても直ぐには着地先に接着しにくい。そして、吐出された材料が確実には接着していない状態で材料の供給部位を高速に移動させると、吐出された材料が着地先から剥がれて、材料からなる紐状の線が材料の供給部位に引きずられているような状況に陥る場合がある。こうなると、造形は中断せざるを得なくなる。
これに対し、この態様の立体造形用データ生成プログラムにより生成される命令データは、各経路内の始端から移動し始めると(すなわち材料の吐出を開始又は再開し始めると)、造形速度を段階的に上昇させるため、材料をゆっくりと着地先に着地させることができ、少なくとも経路内の始端部をなす材料を着地先に確実に接着させることができる。したがって、この態様の立体造形用データ生成プログラムによれば、材料からなる紐状の線が材料の供給部位に引きずられているような状況に陥ることなく、各経路を良好に造形することができる。なお、各経路内の終端に近づく(すなわち材料の吐出を終了又は中断する位置に近づく)につれて、造形速度を段階的に下降させる構成としてもよい。これにより、経路内の始端部に加えて終端部をなす材料についても、着地先に確実に接着させることが可能となる。
さらに好ましくは、立体造形用データ生成プログラムにおいて、命令生成ステップは、第1経路群及び第2経路群をなす各経路の造形にあたり、各経路内の始端部及び終端部を除く各地点においては所定量の材料を供給させるのに対し、始端部においては材料を所定量より多く供給させ、終端部においては材料を所定量より少なく供給させる命令データを生成する。
材料吐出法においては、経路内の始端で材料の吐出を開始又は再開し、造形台(又は材料の供給部位)を移動させながら材料の吐出を継続し、経路内の終端で材料の吐出を終了又は中断する。ここで、材料の吐出を開始又は再開する際や終了又は中断する際には、供給部位の内部において材料に対する圧力が制御されるが、ゴム状弾性体を主成分とする材料に特有の弾性が作用するため、応答性が悪い。そのため、移動が開始又は再開されるタイミングと材料の吐出が実際に開始又は再開されるタイミングとの間、及び、移動が終了又は中断されるタイミングと材料の吐出が実際に終了又は中断されるタイミングとの間にはズレが生じる。その結果、実際に吐出される材料の量は、始端においては想定より不足気味になる一方で、終端においては想定より余り気味になり、造形される端部の形状に斑が生じる傾向がみられる。
これに対し、この態様の立体造形用データ生成プログラムにより生成される命令データは、経路内における材料の通常の供給量と比較して、始端部においては吐出量を増加させ、終端部においては供給量を減少させるため、端部における材料の供給量を適量に調整することができる。したがって、この態様の立体造形用データ生成プログラムによれば、造形される端部の形状に斑を生じさせることなく、各経路を良好に造形することができる。
本発明によれば、材料押出法によりゴムを材料として立体物を良好に造形することができる。
立体造形装置が動作する環境の構成図である。 立体造形用データ生成プログラムが動作する環境の構成図である。 立体造形装置の外観図である。 立体造形用データ生成プログラムの機能ブロック図である。 立体造形用データ生成処理の手順例を示すフローチャートである。 層形成用データ生成処理の手順例を示すフローチャートである。 第1実施形態における各層の形成態様を示す平面図である。 第1実施形態における各層の形成態様を示す垂直断面図(図7中のVIII−VIII切断線に沿う断面図)である。 第1実施形態の第1変形例を示す平面図である。 第1実施形態の第1変形例における各層の形成態様を示す平面図である。 第1実施形態の第3変形例を示す平面図である。 第1実施形態の第4変形例を示す正面図である。 第2実施形態における各層の形成態様を示す平面図(1/2)である。 第2実施形態における各層の形成態様を示す平面図(2/2)である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は好ましい例示であり、本発明はこの例示に限定されるものではない。
図1は、一実施形態における立体造形用データ生成プログラムにより生成された立体造形用データを用いて立体物を造形する立体造形装置10が動作する環境の構成図である。
立体造形装置10は、USBポートやパラレルポート等を介してプリンタサーバ20に接続されており、プリンタサーバ20との間でデータの送受信が可能である。プリンタサーバ20は、一般的なプリンタサーバと同様に、立体造形装置10に対するプリントジョブの管理及び制御を行うコンピュータであり、ネットワーク30に接続されている。ネットワーク30は、有線又は無線の通信網である。端末40は、立体造形装置10を利用するコンピュータであり、立体造形用データ生成プログラムは端末40の内部に実装されている。端末40は、立体物の造形を行う際に、プリント要求(造形要求)とともに、この立体物を造形する上で用いられる立体造形用データをネットワーク30を介してプリンタサーバ20に送信する。
プリンタサーバ20は、端末40からのプリント要求を受信すると、これを1つのプリントジョブとしてキューに挿入するとともに、プリント要求に伴って送信された立体造形用データを受信する。立体造形装置10によりプリントジョブが開始されると、プリンタサーバ20は、立体造形用データを小出しにして立体造形装置10に送信する。このとき、立体造形装置10に送信されるデータ量は、プリンタサーバ20の内部に実装されている制御プログラムによって適量に調整される。1つのプリントジョブに対する立体造形用データが全て立体造形装置10に送り出され、立体造形装置10がこれらのデータによる動作を終えると、立体造形装置10はプリント(造形)を終了する。
なお、この図においては、端末40がプリンタサーバ20を介して立体造形装置10を利用する場合の構成を例に挙げて説明したが、プリンタサーバ20を介することなく端末40に立体造形装置10を直接接続して利用したり、或いは、立体造形用データが格納されたUSBメモリやSDカード等の記憶媒体をセットすることにより立体造形装置10を単独で(端末40から切断された状態で)利用することも可能である。
図2は、一実施形態における立体造形用データ生成プログラムが動作する環境の構成図である。立体造形用データ生成プログラムは、上述したように端末40の内部に実装されている。
端末40は、一般的なコンピュータの機能が搭載されたコンピュータであり、ハードウェアとしては、CPU41、RAM42、ネットワークインタフェース(I/F)43、HDD44の他、マウス、キーボード又はタッチパネル等の入力デバイス45や、液晶ディスプレイ等の表示デバイス46を備えている。また、ソフトウェアとしては、端末40には、立体形状を表すポリゴンの集合体からなるポリゴンデータ(例えば、STL形式のデータ)を出力する3Dモデリングソフト47、3Dモデリングソフト17から出力されたポリゴンデータに基づいて立体造形用データを生成する立体造形用データ生成ソフト100、端末40が立体造形装置10を利用する上で必要となるプリンタドライバ48等がインストールされている。ここで、立体造形用データ生成ソフト100は、いわゆる「スライサ」であり、一実施形態の立体造形用データ生成プログラムにより実装されている。
3Dモデリングソフト17により出力されたポリゴンデータが立体造形用データ生成ソフト100に入力されると、立体造形用データ生成ソフト100は、ポリゴンデータにより形作られる立体形状を平板状にスライス(水平に切断)する処理を積層方向(高さ方向)に繰り返し行い、これにより生じた各層を形成するためのパスを決定して、決定したパスに沿って材料を吐出させるための命令データを次々と生成していく。そして、立体形状を構成する全ての層を形成するための命令データが生成されると、立体造形用データ生成ソフト100は、これらの命令データの集合体を立体造形用データ(例えば、G-Code形式のデータ)として出力する。立体物の造形を行う際には、端末40は、プリンタドライバ48を介しネットワークインタフェース43を通じて、プリント要求及び立体造形用データをプリンタサーバ20に送信する。
なお、この図においては、立体造形装置10を利用する端末40に3Dモデリングソフト47がインストールされている場合の構成を例に挙げて説明したが、3Dモデリングソフト47は必ずしもインストールされている必要はなく、立体造形用データ生成ソフト100に対して造形対象とする立体物を形作るポリゴンデータが入力できればよい。また、端末40には、必要に応じてその他のソフトウェアや外部デバイス等が装備されていてもよい。
また、上述したように、立体造形用データ生成ソフト100の実体は一実施形態の立体造形用データ生成プログラムであるため、以下の説明においては、立体造形用データ生成ソフト100を立体造形用データ生成プログラム100として参照することとする。
図3は、立体造形装置10の外観図であり、立体造形装置10を正面側の上方からみた様子を表している。
立体造形装置10は、ゴムを主成分とする材料RUで立体物を造形する上で必要な構成を備えている。先ず、筐体11の上部には、材料RUを押し出す押出機12が固定されている。押出機12は、その内部に単軸スクリュー式の構造体とヒータとを有している。材料RUは、押出機12に供給される前の段階では固体の状態であるが、押出機12に供給されると、内部のヒータにより加硫しない程度の温度まで加熱されて溶融する。溶融した材料RUのフィラメントは、スクリューの正回転に伴って、押出機12の先端部をなす吐出ノズル13の吐出孔14から流動化した状態で下方へ吐出される。
なお、材料RUは、予め、原材料となる天然ゴムや合成ゴムを素練りして十分な可塑性を与え配合剤を混ざり易くしてから、補強材、充填剤、軟化剤、加硫剤等からなる配合剤を加えて混練りをした上で、シート状に圧延したものをリボン状(帯状)に切断して生成されている。押出機12に対しては、リボン状の材料RUが供給される。
また、筐体11の内部には、造形台16及び移動体17が設けられている。移動体17は、立体造形装置10の幅方向(X軸方向)に移動可能なX軸ステージ17xと、立体造形装置10の奥行方向(Y軸方向)に移動可能なY軸ステージ17yと、立体造形装置10の高さ方向(Z軸方向)に移動可能なZ軸ステージ17zとを備えるとともに、これらの各ステージを所定の方向に移動させるモータを内蔵している。造形台16は、移動体17の最上部に配置されており、移動体17をなす各ステージの動きに連動して、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向に移動可能である。造形台16を所望の方向に移動させることにより、造形台16と吐出ノズル13との位置関係、ひいては造形台16に対する材料RUの吐出位置(吐出ノズル13の相対的な位置)を変化させることができる。このようにして、吐出ノズル13から材料RUを吐出させつつ造形台16を移動させることにより、立体物OBを構成する複数の層が次々と重ねて形成されていき、立体物OBが造形される。造形された立体物OBに対しては、さらに常圧下での高温加熱を行うことにより加硫処理が行われ、最終的に立体物OBが完成する。
なお、造形台16の下にはヒータが装備されており、造形台16は、吐出された材料RUが加硫しない程度の温度に加熱される。造形台16を加熱することにより、吐出された材料RUが急速に冷えて固化するのを防止することができ、造形台16と最下層との間、及び、隣接する各層間における接着性を確保すること(造形途中での剥離を防止すること)が可能となる。
筐体11の内部で造形台16の上方に広がる空間における位置は、3次元の座標(X座標,Y座標,Z座標)で管理されている。立体物OBを造形する際に用いられる立体造形用データは、材料RUを吐出して各層を形成する(塗り潰す)線を描く上で必要となる命令(例えば、移動先の座標や移動速度を指示する命令や、材料RUの吐出幅を指示する命令等)が羅列された膨大なデータで構成されている。つまり、造形台16の動きは、これらの命令データに応じて細やかに制御され、造形台16に対する線の形状(直線、曲線、円形等)やその描かれ方(吐出孔14からの材料RUの吐出態様)についても、生成された命令データにより制御されることとなる。
図4は、立体造形用データ生成プログラム100の機能ブロック図である。この図に示されるように、立体造形用データ生成プログラム100は、立体形状入力部110、各種設定部120、立体切断部130、断面分析部140、隆起予測部150、パス決定部160及び生成データ出力部170を有している。
立体形状入力部110は、立体形状を形作るポリゴンデータを入力する。より具体的には、立体形状入力部110は、3D−CAD等の3Dモデリングソフトにより出力されたポリゴンデータを読み込む。ポリゴンデータは、端末40からアクセス可能な記憶領域(例えば、HDD44や別途接続された外部記憶媒体等)に格納されている。
各種設定部120は、立体造形用データ生成プログラム100が機能する上で必要となる各種の閾値やパラメータ値(例えば、材料RUの積層ピッチ(形成される層の高さ)の範囲や材料RUを温めるヒータの温度等)、描く形状のパターン等を予め設定する。各種設定部120はまた、端末40(立体造形装置10)の利用者向けの設定画面を提供し、この設定画面を介して利用者によりなされた設定内容を、端末40の内部記憶領域(HDD44)に格納する。
立体切断部130は、立体形状入力部110に入力されたポリゴンデータにより形作られる立体形状を複数の平板形状に(高さの異なる複数の位置で水平に)切断し、積層方向(高さ方向)に積み重ねられた複数の層に分割する。
断面分析部140は、立体切断部130により切断された各断面、すなわち分割された各層について、その形状や各種設定部120に設定された性質等の特性を分析する。
隆起予測部150は、断面分析部140により分析された結果及び各層の高さ方向における位置等に基づいて、各層を材料RUで形成する(線で塗り潰す)場合に隆起が発生することが予測される位置を計算により割り出す。なお、ここでいう「隆起」とは、吐出した材料RUが局所的に本来意図している高さ(積層ピッチ)よりも盛り上がる現象のことである。
パス決定部160は、隆起予測部150により予測された隆起の発生位置を踏まえて、各層を形成するための材料RUを吐出する経路、経路を辿る上での順序や方向や速度、材料RUの吐出幅や吐出量等、経路に関する詳細事項(以下、これらをまとめて「パス」と略称する。)を決定し、このパスを示す命令データを生成する。
生成データ出力部170は、パス決定部160により生成された命令データの集合体、すなわち立体造形用データを出力する。
材料RUを用いて立体物OBを造形する際には、主成分であるゴムの特性に起因して様々な現象が生じうる。より具体的には、材料RUが吐出後に膨張したり、吐出時にタイムラグが生じたり、或いは粘度の高さ(流動性の低さ)や瞬間的な接着力の弱さが作用したりして、造形に影響を及ぼしうる。そのため、これらの現象を踏まえて、最終的に想定される形状で立体物OBが造形されるようなパスを決定する必要がある。本実施形態においては、特に隆起予測部150及びパス決定部160が、上記のような現象を踏まえて立体物を良好に造形するための役割を担っている。
なお、ゴムの特性に起因して生じうる現象及びその現象への対応策については、別の図面を参照しながら詳しく後述する。
図5は、立体造形用データ生成処理の手順例を示すフローチャートである。立体造形用データ生成処理は、立体造形装置10を利用して立体物を造形する際に必要となる立体造形用データを生成するための処理である。
このフローチャートに示される各ステップを実行するのは立体造形用データ生成プログラム100であるが、立体造形用データ生成プログラム100を動作させる主体は端末40のCPU41であり、厳密にはCPU41が各ステップを立体造形用データ生成プログラム100が有する各機能部110〜170に実行させる。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS200:CPU41は、立体形状入力部110に立体形状入力処理を実行させる。この処理では、立体形状入力部110は、造形対象とする立体物の形状を形作るポリゴンデータを読み込む。
ステップS210:CPU41は、立体切断部130に立体切断処理を実行させる。この処理では、立体切断部130は、前ステップS200で読み込まれたポリゴンデータにより形作られる立体形状を平板状(水平)に切断する処理を積層方向(高さ方向)に繰り返す。
ステップS220:CPU41は、断面分析部140に処理の対象とする層を更新させる。より具体的には、断面分析部140は、前ステップS210で立体形状が切断されたことにより生じた複数の層を下から順に1つずつ、後続する処理(ステップS230)の対象としてセットする。したがって、ステップS220が最初に実行される際には、最も下に位置する層が後続する処理の対象としてセットされる。
ステップS230:CPU41は、断面分析部140、隆起予測部150及びパス決定部160に層形成用データ生成処理を実行させる。この処理では、各機能部140〜160は、対象としてセットされた層(以下、「対象層」と称する。)に着目し、その層の特性(形状や性質)やそれ以下の層において隆起の発生が予測される位置を分析した上で、対象層を形成するために最適化した命令データを生成する。なお、具体的な処理の内容については、次の図面を参照しながらさらに後述する。
ステップS240:CPU41は、断面分析部140に未処理の層、すなわち未だ層形成用データ生成処理の対象とされていない層が残っているか否かを確認させる。未処理の層が残っている場合(ステップS240:Yes)、CPU41はステップS220に戻り、以降のステップを繰り返し実行する。一方、未処理の層が残っていない場合(ステップS240:No)、CPU41はステップS250に進む。
ステップS250:CPU41は、生成データ出力部170に生成データ出力処理を実行させる。この処理では、生成データ出力部170は、立体形状を構成する全ての層を対象としてステップS230が実行されたことにより生成された命令データの集合体を、立体造形用データとして出力する。
以上の手順を終えると、CPU41は、1つの立体物に対する立体造形用データの生成を終了する。
なお、生成データ出力処理の実行前に、各層に対する命令データを全体的に見直し、必要に応じて生成データを補正する処理を実行させてもよい。
図6は、層形成用データ生成処理の手順例を示すフローチャートである。層形成用データ生成処理は、立体造形装置10を利用して造形する立体物を構成する各層を形成(造形)する際に必要となる命令データを生成するための処理である。なお、各ステップの実行主体については、図5における場合と同様である。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS300:CPU41は、断面分析部140に断面を分析させる。より具体的には、断面分析部140は、対象層の特性(形状や性質)を分析する。
ステップS310:CPU41は、隆起予測部150に隆起の発生位置を予測させる。より具体的には、隆起予測部150は、対象層以下の層が決定されたパスに沿って形成された場合に隆起が発生すると考えられる位置を計算に基づいて予測する。
ステップS320:CPU41は、パス決定部160に線を描く経路を決定させる。より具体的には、パス決定部160は、ステップS300での対象層の分析結果及びステップS310での隆起発生位置の予測結果を踏まえて、先ず、対象層をどのような経路に沿って形成させるか(材料RUを吐出させる経路)を決定する。
ステップS330:CPU41は、パス決定部160に線を描く態様を決定させる。より具体的には、パス決定部160は、ステップS310での隆起発生位置の予測結果を踏まえて、対象層に対するパス、すなわちステップS320で決定された経路に沿って対象層をどのように形成させるか(材料RUを吐出させる際の態様)を決定する。線を描く態様として、例えば、線を描く順序や方向や速度、材料RUの吐出幅や吐出量、各経路における材料RUの着地先と吐出ノズル13の先端(ノズル先端15)との間隔等が詳細に決定される。なお、描線態様は各経路の状況に応じて決定されるため、1つの経路全体に対して同一の態様が決定される場合もあれば、1つ経路を複数の部位に細分化し個々の部位に対して異なる態様が決定される場合もある。
ステップS340:CPU41は、パス決定部160に命令データを生成させる。より具体的には、パス決定部160は、対象層に対するパスを示す命令データ、すなわちステップS320により決定された経路をステップS330により決定された態様により描かせる命令データを生成する。
以上の手順を終えると、CPU41は、1つの層(対象層)に対する命令データの生成を終了する。
〔各層の形成態様:第1実施形態〕
図7は、立体物OBを構成する各層の第1実施形態における形成態様を示す平面図である。第1実施形態は、隙間を空けて線を描くことにより層を塗り潰していく態様である。ここでは例として、対象層の形状が正方形である場合の形成手順を説明する。
なお、以降の図においては、未だ塗り潰されていない領域を白色で示し、既に塗り潰された領域を薄い灰色で示し、説明される手順によって塗り潰される領域を濃い灰色で示すこととする。以下、手順例に沿って説明する。
図7中(A):対象層S1に対し、大きさの異なる同心の正方形を複数描くパスが決定される。図示の例では、対象層S1に対し、大きさの異なる同心の正方形を5個描くための5本の線に対応するパスが決定されている。
図7中(B):決定されたパスに沿って、対象層S1に対する描線(材料RUによる塗り潰し)が開始される。先ず、最外周の線L1が描かれる。
図7中(C):次に、線L1の内側に線1本分の空間を隔てて隣接する線L3が描かれ、線L3の内側に線1本分の空間を隔てて隣接する線L5が描かれる。
図7中(D):そして、これまでに描かれた線L1,L3,L5の各々に挟まれる空間を埋めるようにして、線L2,L4が描かれる。以上の手順を経て、対象層S1の形成が完了する。
図8は、立体物OBを構成する各層の第1実施形態における形成態様を説明する垂直断面図(図7中のVIII−VIII切断線に沿う断面図)である。図7が層の形成態様を平面視により説明したのに対し、図8は層の形成態様を正面視により説明するものであり、図8中(A)〜(D)は、それぞれ図7中(A)〜(D)の各手順に概ね対応している。
図8中(A):対象層S1に対し、大きさの異なる同心の正方形を複数描くパスが決定される。決定されたパスにおいては、いずれの線に対しても積層ピッチhが設定される。
図8中(B):決定されたパスに沿って、対象層に対する描線(材料RUによる塗り潰し)が開始される。先ず、最外周の線L1が描かれる。このとき、ノズル先端15と造形台16(材料RUの着地先)との間隔H(高さ方向の距離)は、積層ピッチhと同等かそれよりやや小さいh1に設定される。
図8中(C):次に、線L1に線1本分の空間を隔てて隣接する線L3が描かれ、線L3に線1本分の空間を隔てて隣接する線L5が描かれる。このときも、間隔Hは、線L1が描かれたときと同様にh1に設定される。また、線L1,L3,L5が描かれてから時間が経過するにつれて、これらの線をなす材料RUが緩やかに膨張し、各線の上部は描かれた直後よりも少し膨れ上がった状態となる。
図8中(D):そして、これまでに描かれた線L1,L3,L5の各々に挟まれる空間を埋めるようにして、線L2,L4が描かれる。このとき、間隔Hは、線L1,L3,L5が描かれたときより大きく、さらに積層ピッチhよりも大きいh2に設定される。以上の手順を経て、対象層S1の形成が完了する。
なお、説明の便宜のため、図示の例においては対象層S1が造形台16の上に形成されている(材料RUの着地先が造形台16である)が、対象層S1が最下層以外の層である場合には、対象層S1は直下の層の上に形成されることとなる(材料RUの着地先が直下の層となる)。
線を描く材料RUは、主成分であるゴムの特性により、吐出された後に膨張する。より具体的には、材料RUは、吐出されるまでは吐出ノズル13の内部で圧縮されているのに対し、外部に吐出されると圧力から開放されて本来の状態に復元しようとするため、先ず吐出された直後に大きく膨張し、その後も緩やかに膨張していくため、材料RUにより描かれた線は、間隔Hを積層ピッチhよりやや小さくして描かれたとしても、最終的には積層ピッチhと同等程度まで、或いは、それより大きく膨張する場合もある。
ここで、材料RUが吐出される吐出孔14は、吐出ノズル13の先端部中央に位置しているが、吐出ノズル13はその先端部が非常になだらかなテーパ形状をなしており、かつ、ノズル先端15がある程度の幅を有している。そのため、先に描かれた線に隣接させて新たな線を描く際には、吐出ノズル13が隣接する線に干渉し易い。ノズル先端15と材料RUの着地先との間隔Hを、仮に、積層ピッチhと同等かそれ以下に設定すると、吐出ノズル13が隣接する線に干渉するため、造形台16の移動に伴ってノズル先端15が隣接する線の上面を擦り、隣接する線の最上部をなす材料RUを造形台16の移動と逆行する方向に徐々に寄せていく。その結果、隣接する線の端部に寄せられた材料RUが溜まって隆起した部位が生じることが確認されている。
そこで、本実施形態においては、隙間を空けて線を描くパスを決定することにより、隣接する線を直後に描かないようにするとともに、線を隣接させて描く際(隙間を埋めるようにして線を描く際)に、間隔Hを、隣接する線の積層ピッチhよりも大きいh2に設定している。こうすることで、吐出ノズル13が隣接する線に干渉するのを回避することができ、隣接する線の端部が隆起する現象の発生を未然に防止することが可能となる。
なお、吐出孔14とノズル先端15との径の大きさの比率や、線幅及び線を描く間隔の設定によっては、吐出ノズル13は、隣接する線(1本隣の線)のみならずその線に隣接する線(2本隣の線)にも干渉しうる。このような場合には、線2本分の空間を隔てて隣接する複数の線を先に描き、その後で、間隔Hを先に描かれた線の積層ピッチhよりも大きくした状態で線2本分の空間を埋めるようにして線を描けばよい。吐出ノズル13が3本目以降の隣接する線に干渉しうる場合についても、上記と同様の方法により対応が可能である。
また、間隔Hの設定は、先に描かれた線の状況等に応じて、隣接させる線(隙間を埋めるようにして描く線)を描き始める前にh2に変更してもよいし、隣接させる線を描きながら段階的に変更を行い、hから少しずつ大きくしていき最終的にh2となるようにしてもよい。例えば、先に描かれた線の長さが短く、その線に隣接させる線を描き始める時点では未だ大きく膨張していない場合には、線を描きながら間隔Hを徐々に大きくしていくことによっても、吐出ノズル13の干渉を未然に回避することができる。
〔第1実施形態の第1変形例〕
図9は、第1実施形態の第1変形例を示す平面図であり、図7に示した正方形をなす対象層を第1変形例を適用して形成する場合の例を示している。
上述したように、第1実施形態においては、隙間を空けて線(例えば、L1,L3,L5)が描かれた後に、その隙間を埋めるようにして新たな線(例えば、L2,L4)が先に描かれた線に隣接させて描かれていくが、第1変形例は、隣接させる新たな線に角が含まれる場合に、角の頂点を境として新たな線を複数に分節し(例えば、L2をL2a〜L2dに分節し、L4をL4a〜L4dに分節して)、1個の角を分節された2本の線で描くものである。
図10は、第1実施形態の第1変形例における各層の形成態様を示す平面図であり、図9に示した対象層の具体的な形成手順を表している。以下、手順例に沿って説明する。
図10中(A):対象層S1に対し、最外周の線L1と、その内側に線1本分の空間を隔てて隣接する線L3と、その内側に線1本分の空間を隔てて隣接する線L5とが、最初に描かれる。その後で線L1,L3に挟まれる空間を埋めるようにして、先ず、線L2aが奥側から手前側に向かって描かれる。このとき、材料RUの吐出は線L2aの終端(手前側)で終了するが、その後で吐出ノズル13の相対的な位置変更がなされる。具体的には、造形台16を移動させることにより、吐出ノズル13は、相対的にみて線L2aの延長上の位置に移動し、さらに次に描くこととなる線L2bの延長上の位置に移動する。
図10中(B):次に、線L2bが左側から右側に向かって描かれる。このとき、吐出ノズル13は、相対的にみて線L2bの延長上の位置から移動を開始し、線L2bの始端(左側)で材料RUの吐出を始めて終端(右側)で吐出を終える。また、材料RUの吐出を終えた後に再び吐出ノズル13の相対的な位置変更がなされ、造形台16の移動により、吐出ノズル13は、相対的にみて線L2bの延長上の位置に移動し、さらに次に描くこととなる線L2cの延長上の位置に移動する。
図10中(C):次に、線L2cが手前側から奥側に向かって描かれる。このとき、吐出ノズル13は、相対的には線L2cの延長上の位置から移動を開始し、線L2cの始端(手前側)で材料RUの吐出を始めて終端(奥側)で吐出を終える。また、材料RUの吐出を終えた後に再び吐出ノズル13の相対的な位置変更がなされ、造形台16の移動により、吐出ノズル13は、相対的にみて線L2cの延長上の位置に移動し、さらに次に描くこととなる線L2dの延長上の位置に移動する。
図10中(D):そして、線L2dが右側から左側に向かって描かれる。このとき、吐出ノズル13は、相対的には線L2dの延長上の位置から移動を開始し、線L2cの始端(右側)で材料RUの吐出を始めて終端(左側)で吐出を終える。以上の手順を経て、線L2a〜L2dが描かれ、線L1,L3に挟まれる空間が全て埋められる。この後に上記と同様の手順を経て、線L4a〜L4dが描かれて線L3,L5に挟まれる空間が全て埋められると、対象層S1の形成が完了する。
このように、第1変形例においては、先に描かれた角を含む線に隣接させて描く線は、一方向に連続的に描かれることなく、角の頂点を境として線が複数に分節され(図示の例においては、L2a〜L2d及びL4a〜L4d)、分節された各線が、その始端や終端における吐出ノズル13の相対的な位置変更を伴って、個別に描かれる。
第1実施形態においては、隣接させる線は、ノズル先端15と材料RUの着地先との間隔Hを積層ピッチhよりも大きいh2とした状態で描かれるため、間隔Hを積層ピッチhと同等かそれよりやや小さいh1とした状態で先に描かれる線と比較すると、着地先と接触する面積が少なく、着地先への接着度は低くなる。また、材料RUは粘度が高いため、着地しても直ぐには着地先に接着しにくい。そのため、隣接させる線に含まれる角を仮に一筆描きする(経路に沿って一方向に連続的に描く)場合には、先に描かれる線に含まれる角を一筆描きする場合と比較すると、角の頂点に鋭さが現れにくく、やや丸みを帯びたような形状に形成され易い。
このような課題に対し、第1変形例を適用することにより、先に描かれた線に隣接させる線に角が含まれる場合には、その角は一筆描きされることなく、個別に描かれる2本の直線により形成されることとなるため、角の頂点を想定通りの鋭い形状に形成することが可能となる。なお、先に描かれる線(上記の例における線L1,L3、L5)に対して第1変形例を適用してもよい。
〔第1実施形態の第2変形例〕
第2変形例は、経路内の端点付近における材料RUの吐出量を調整する態様である。
材料吐出法においては、均一な太さの線を描く際には、先ず、線の一端(始端)で材料の吐出を開始し、パスに沿って造形台(又は吐出ノズル)を移動させながら材料の吐出を継続し、線の他端(終端)で材料の吐出を終了する。このとき、材料の吐出量は一定とするのが一般的である。また、角を含む形状をなす線を描く際にも、やはり同様にその形状に応じて決定されたパスに沿って造形台(又は吐出ノズル)を移動させながら材料の吐出を行うが、角の頂点の位置に達すると、瞬間的に造形台(又は吐出ノズル)の移動及び材料の吐出を中断して造形台(又は吐出ノズル)の移動方向を切り替え、その上で造形台(又は吐出ノズル)の移動及び材料の吐出を再開する。つまり、角を含む形状をなす線においては、頂点も終端となりかつ始端ともなる。そして、理論上は、どの地点においても材料RUが斑なく吐出され、線が均一な太さで描かれることが想定される。
しかしながら、材料RUを用いて造形する場合には、主成分とするゴムの弾性が作用するため、吐出ノズル13からの材料RUの吐出を終了又は中断するには圧力を一定以下に下げる必要があり、また、材料RUの吐出を開始又は再開するには所定の圧力をかける必要がある。ここで、吐出の終了又は中断については、押出機12の内部でスクリューを逆回転させることで、圧力を一定以下まで下げることが比較的容易に可能ではあるが、圧力が下がる前に吐出ノズル13の外側に出ていた材料RUはその位置に吐出されることとなる。また、吐出の開始又は再開については、スクリューを正回転させても直ぐには所定の圧力まで昇圧させることができない。こうした材料RUの吐出に関する応答性の悪さに加えて、造形台16の移動が中断される際や再開される際には、造形台16に慣性がはたらく。
これらのことに起因して、造形台16の移動が開始又は再開されるタイミングと材料RUの吐出が実際に開始又は再開されるタイミングとの間、及び、造形台16の移動が終了又は中断されるタイミングと材料RUの吐出が実際に終了又は中断されるタイミングとの間には、ズレが生じる。そして、これらのタイムラグにより、実際に吐出される材料RUの量は、始端においては想定より少なくなる(不足する)一方で、終端においては想定より多くなり(余り)、端点付近における線の形状に斑が生じる傾向がみられることが、発明者の検証により確認されている。また、吐出ノズル13の干渉を避けるべくノズル先端15と材料RUの着地先との間隔Hを通常より大きくして線を描く場合には、上記のタイムラグの影響を受け易くなる。
そこで、こうした問題に対応すべく、第2変形例においては、経路内の始端で移動せずに吐出のみを行うようなパスを設定する。これにより、始端において実際に吐出される材料RUの量が不足する問題を解消することができる。なお、始端で移動せずに吐出のみを行う設定に代えて、始端から非常に短い区間(例えば、1.0mm程度)において材料RUの吐出量を増やす設定を行ってもよい。
また、第2変形例においては、経路内の終端の直前の非常に短い区間(例えば、1.0mm程度)で材料RUの吐出量を減少させたパスを設定する。これにより、終端において実際に吐出される材料RUの量が余る問題を解消することができる。なお、終端の直前の非常に短い区間において材料RUの吐出量を減らす設定に代えて、この区間において材料RUの吐出を行わない設定を行ってもよい。
このように、第2変形例によれば、端点付近においても材料RUを斑なく吐出して均一な太さで線が描くことができ、材料RUの吐出に関する応答性の悪さに起因する問題を解消することができる。
〔第1実施形態の第3変形例〕
図11は、第1実施形態の第3変形例を示す平面図であり、正方形をなす層を第3変形例を適用して形成する場合の例を示している。
第3変形例は、経路内の部位に応じて描線速度を細やかに変化させながら線を描く態様である。図11においては、経路内の各地点における描線速度の大小が網かけの濃淡で示されており、線がより高速に描かれる地点はより濃い網かけが施され、より低速に描かれる地点はより薄い網かけが施されている。なお、図示された描線速度の大小(網掛けの濃淡)は、飽くまで一例であり、これに限定されない。
材料RUは、主成分とするゴムの特性により、粘度が高い(流動性が低い)ため、吐出されても直ぐには着地先に接着しにくい。ここで、材料吐出法において既に実用化が進んでいる樹脂の場合には、流動性が高く着地先になじみ易いため、線を高速(例えば、80mm/秒)に描いても概ね良好に造形を行うことができる。しかしながら、材料RUを用いて造形を行う場合に線を高速に描こうとすると、着地した材料RUが未だ着地先に十分に接着していなければ、高速な移動に伴って着地先から剥がれてしまう。そして、材料RUからなる紐状の線が吐出ノズル13に引きずられているような状況に陥り、造形を中断せざるを得なくなる。
これに対し、線を描く速度(より正確には、造形台16の移動速度)を落として、吐出される材料RUをゆっくりと着地させることにより、着地先への接着性を向上させる効果が得られることが、発明者の検証により確認されている。
そこで、第3変形例は、経路内の部位に応じて描線速度を細やかに変化させる態様を採っている。例えば、各経路内において材料RUの吐出を開始又は再開する位置(以下、「経路内の始端」と称する。)では低速(例えば、5mm/秒)にして、徐々に速度を上昇させていき、所定の速度(例えば、30mm/秒)まで到達したら、単調な経路(例えば、直線や緩やかな曲線等)であればその速度を暫く維持する。そして、各経路内において材料RUの吐出を終了又は中断する位置(以下、「経路内の終端」と称する。)に近づくと、徐々に速度を下降させていき、低速(例えば、5mm/秒)で材料RUの吐出を終える。描線速度をこのように調整することで、少なくとも経路内の始端部及び終端部においては材料RUをゆっくりと着地させることができるため、吐出した直後に確実に着地先に接着させることができる。
第3変形例においては、始端部が低速で描かれるため、始端部をなす材料RUを着地先に確実に接着させることができ、描かれ始めた線が着地先から剥がれることはない。また、終端部もまた低速で描かれるため、終端部をなす材料RUを着地先に確実に接着させることができ、線を描き終えた後に異なる経路に移動する際に、直前に描き終えられた線が着地先から剥がれることもない。したがって、第3変形例によれば、材料RUからなる紐状の線が吐出ノズル13に引きずられて造形を中断せざるを得ない状況に陥るのを未然に回避することができる。
また、第3変形例は、始端部と終端部の間をなす区間(以下、「中間区間」と称する。)の形状によっても速度を変化させる。例えば、中間区間が直線や非常に緩やかな曲線等の単調な形状である場合には、上述したような態様により、低速で描線を開始し、所定の速度まで到達したらその速度を維持し、低速で描線を終える。これに対し、中間区間が角をなす形状である場合には、角の頂点の前後においても速度を変化させ、例えば、角の頂点に近づくと徐々に速度を下降させ、角の頂点を超えると再び徐々に速度を上昇させる。
なお、角の頂点の前後における速度は、描かれる角の角度や直線の長さ等に応じて適宜調整される。例えば、角の角度が小さい(描線時の変更角度が大きい)場合には、角の角度が大きい(描線時の変更角度が小さい)場合よりも低速に設定される。なお、「変更角度」とは、角をなす形状を描く際に角の頂点においてそれまでの進行方向に対し角度を変更する大きさのことであり、例えば、点Pを頂点として180°の角をなす形状は、言い換えると点Pを通過する直線であるが、この直線を描く際には点Pにおいて角度の変更はなされないため、変更角度は0°である。角の角度が非常に大きい場合、例えば、角の角度が120°以上(変更角度が60°以下)である場合には、ある程度の接着性を確保できるため、頂点の前後において速度を変化させない場合もありうる。いずれにしても、描線速度をこのように調整することで、角の頂点付近をなす材料RUについても着地先に確実に接着させることができる。
なお、第3変形例は、上述した材料RUの吐出に関する応答性の悪さに起因する問題にも同時に対応することができる。すなわち、第3変形例においては、角の頂点付近での移動速度が低速に設定されるため、頂点での吐出の中断及び再開に伴い生じる頂点付近における吐出のタイムラグを緩和することができ、頂点付近においても材料RUを斑なく吐出して均一な太さで線が描くことが可能となる。
〔第1実施形態の第4変形例〕
図12は、第1実施形態の第4変形例を示す平面図である。
第4変形例は、少なくとも経路内の始端部において、ノズル先端15と材料RUの着地先との間隔Hを積層ピッチhよりも小さくして線を描く態様である。図12中(A)は、ゴムを主成分とする材料RUの吐出態様を示しており、図12中(B)は、比較例として、樹脂を主成分とする材料REの吐出態様を示している。
図12中(A):ゴムを主成分とする材料RUの吐出態様を示している。第4変形例においては、少なくとも経路内の始端部において、ノズル先端15と材料RUの着地先との間隔Hが積層ピッチhよりも小さくなるように、Z座標が設定される。ここで、「経路内の始端部」とは、経路内において材料RUの吐出が開始又は再開され始める部位のことであり、経路内の始端から所定の距離(例えば、数mm程度)の区間が該当する。
材料RUは、主成分とするゴムの特性により、材料同士の瞬間的な接着力は弱いものの両者がなじむと接着力が強まる、という性質を有している。経路内の始端部において、仮に、間隔Hを積層ピッチhと略同等か積層ピッチhより大きくすると、材料RUに圧力がかからないため、材料RUを着地先に置くようにして線が描き始められることとなり、吐出された材料RUは着地先に接着しにくい。その結果、描かれた線は着地先から剥がれ易くなり、その後の描線に支障をきたす虞がある。
これに対し、間隔Hを積層ピッチhより小さくすると、材料RUをノズル先端15で着地先に押し当てるようにして線が描き始められるため、直下の層をなす材料RUと吐出された材料RUとをなじませて両者間の接着力を強めることができる。したがって、第4変形例によれば、始端部をなす材料RUを着地先に確実に接着させることができ、その後の描線を安定的に行うことが可能となる。
ところで、材料RUは、吐出された直後に大きく膨張し、その後も緩やかに膨張しながら元の状態に復元していく。そのため、間隔Hを積層ピッチhより小さくして線が描かれた場合でも、材料RUが有する復元力により、描かれた線の高さは積層ピッチhと略同等まで回復する。したがって、間隔Hを積層ピッチhより小さくして描かれた部位においても、最終的には積層ピッチhを確保することができる。
なお、間隔Hの具体的な値は、材料RUが吐出される対象層における先に描かれた線との干渉の有無や、対象層以下の層における隆起発生位置の予測結果等を踏まえて、適切に設定される。また、間隔Hは、経路内の始端部を超えた後に積層ピッチhと略同等である通常の高さに戻してもよいし、隣接する線が未だ描かれていない場合(吐出ノズル13の干渉が生じない場合)には、積層ピッチhより小さくしたまま維持してもよい。
図12中(B):比較例として、樹脂を主成分とする材料REの吐出態様を示している。材料REを用いて造形する場合には、一般的に、経路内の始端部においても、ノズル先端15と材料REの着地先との間隔H´が積層ピッチhと略同等になるように、Z座標が設定される。
溶融した状態の材料REは、流動性が高く着地先への接着性も高いため、上述した材料RUの場合とは異なり、材料REをノズル先端15で着地先に押し当てるようにして線を描くことなく、材料REを着地先に良好に密着させることができる。
なお、接着性の問題に対しては、第3変形例(部位に応じて描線速度を細やかに変化させる態様)及び第4変形例(経路内の始端部において間隔Hを積層ピッチhより小さくする態様)の他に、経路内の各端部においてX座標及びY座標を固定したままZ座標のみ上昇及び下降を行うことで各端部をノズル先端15で下方に押し付けることによっても、改善の効果が得られることが発明者の検証により確認されている。したがって、状況により適宜いずれかの方法を適用することにより、材料RUの着地先への接着性を向上させることが可能である。
なお、上述した第1変形例から第4変形例は、それぞれを第1実施形態に対して単独で適用してもよいし、複数の変形例を組み合わせて複合的に適用してもよい。
これまでに説明した第1実施形態は、吐出ノズル13の干渉による隆起の発生を未然に防止する(隆起を発生させない)ための形態であるが、隆起の発生をある程度は止むを得ないものとして、異なる側面からこの問題を解消することも可能である。そこで、これ以降は、吐出ノズル13の干渉により隆起が生じることを前提として、立体物OBを全体として良好に造形するための実施形態について説明する。
〔各層の形成態様:第2実施形態〕
図13及び図14は、立体物OBを構成する各層の第2実施形態における形成態様を示す平面図である。第2実施形態は、隣接する層の形成態様を異ならせ、吐出ノズル13の干渉により隆起する部位の位置が隣接層間で重複しないように分散させる態様である。
図13は、第2実施形態の一例として、隣接する層を異なる経路に沿って形成する場合の例を示している。
図13中(A):正方形をなす対象層S1は、例えば、奥行方向に平行する10本の経路に沿って形成される。この場合には、対象層S1に対しては、先ず、最も左側の線L1が手前側から奥側に向かって描かれ、次に、隣接する線L2が奥側から手前側に向かって描かれ、次に、隣接する線L3が手前側から奥側に向かって描かれる、という具合に、手前側と奥側の間を往復移動するようにして隣接する線が次々と描かれていき、最後に最も右側の線L10が奥側から手前側に向かって描かれる。ここで、吐出孔14及びノズル先端15は平面視した下端の形状が略円形であり、例えば、線L10の終端部を描く際には図中に二点鎖線で示した位置に達する。線L10は、吐出孔14から材料RUを吐出しながら造形台16を移動させることにより描かれるが、このときノズル先端15は、先に描かれた隣接するL9に終始干渉している。したがって、このようにして対象層S1が形成されると、図中に網掛けで示した位置に材料RUが隆起した部位が生じ易い。なお、発明の理解を容易とするために、隆起した部位が生じ易い位置については、誇張して図示している(以降の図も同様)。
図13中(B):対象層S1の上に重ねられる次層S2は、例えば、幅方向に平行する10本の経路に沿って形成される。この場合には、次層S2に対しては、先ず、最も手前側の線L11が右側から左側に向かって描かれ、次に、隣接する線L12が左側から右側に向かって描かれ、次に、隣接する線L13が右側から左側に向かって描かれる、という具合に、右側と左側の間を往復移動するようにして隣接する線が次々と描かれていき、最後に最も奥側の線L20が左側から右側に向かって描かれる。このようにして次層S2が形成されると、図中に網掛けで示した位置に材料RUが隆起した部位が生じ易い。
上述したように、パスの決定は、対象層に関する分析結果や、それより下の層における隆起発生位置(層の形成後に隆起が発生すると考えられる位置)の予測結果を踏まえてなされる。言い換えると、隆起の発生する位置は、立体造形用データ生成プログラム100の隆起予測部150により、計算によって事前に予測することができる。そこで、この例においては、隣接する層において隆起の発生する位置を重複させないよう、異なる経路によるパスが決定される。
図13に示されるように、対象層S1と次層S2とでは、隆起の発生する位置が異なっている。仮に、次層S2と対称層S1と全く同じ態様で形成する場合には、次層S2においても対象層S1における場合と概ね同様の位置に材料RUが発生することになる。そのため、複数の層を同じ態様で形成していくと、個々の層における隆起は目立たない程度の小さなものであるとしても、複数の層が形成されていくうちに同じ位置に隆起が積み重なり、最終的に造形される立体物OBには大きな隆起が生じてしまう。
これに対し、上述した例のように隣接する層を異なる経路に沿って形成すれば、隆起の発生する位置を複数の層の間で分散させることができる。したがって、この態様によれば、最終的に造形される立体物OBに大きな隆起が発生するのを未然に回避して、立体物OBを全体として概ね良好に造形することが可能となる。
なお、次層S2より上に重ねられる各層に対しては、対象層S1及び次層S2に対する2種類の形成態様を交互に繰り返し適用してもよいし、さらなる形成態様を設けて3種類以上の形成態様を循環的に適用したり、或いはそれらの形成態様の中から任意の順番で適用したりしてもよい。
図14は、第2実施形態の異なる一例として、隣接する層を同じ経路に沿いつつ描線方向を異ならせて形成する場合の例を示している。
図14中(A):正方形をなす対象層S1は、例えば、大きさの異なる同心の正方形をなす5本の経路に沿って形成される。この場合には、対象層S1に対しては、先ず、最外周の線L1が時計回りに描かれ、次に、その内側に隣接する線L2が時計回りに描かれ、次に、その内側に隣接する線L3が時計回りに描かれ、次に、その内側に隣接する線L4が時計回りに描かれ、最後に、その内側に隣接する(中央部をなす)線L5が時計回りに描かれる。ここで、吐出孔14及びノズル先端15は平面視した下端の形状が略円形であり、例えば、線L2が描かれる際には、ノズル先端15は、先に描かれた隣接するL1に終始干渉している。したがって、このようにして対象層S1が形成されると、対象層S1には図中に網掛けで示した位置に材料RUが隆起した部位が生じ易い。
図14中(B):対象層S1の上に重ねられる次層S2は、例えば、大きさの異なる同心の正方形をなす5本の経路に沿って形成される。この場合には、次層S2に対して決定される経路は対象層S1における場合と同じであるが、線を描く方向が反対に設定される。すなわち、次層S2に対しては、先ず、最外周の線L6が反時計回りに描かれ、次に、その内側に隣接する線L7が反時計回りに描かれ、次に、その内側に隣接する線L8が反時計回りに描かれ、次に、その内側に隣接する線L9が反時計回りに描かれ、最後に、その内側に隣接する(中央部をなす)線L10が反時計回りに描かれる。このようにして次層S2が形成されると、次層S2には図中に網掛けで示した位置に材料RUが隆起した部位が生じ易い。
このように、対象層S1と次層S2とでは、隆起した部位が生じ易い位置が異なっている。また、次層S2が形成される際には、図13中(A)に網掛けで示した位置に生じていた隆起をノズル先端15で逆方向になぞりながら各線が描かれるため、層S1に生じた隆起した部位を均すことができる。これと同様に、次層S2に生じた隆起した部位は、その次の層の形成に伴って均すことができる。なお、線L6〜L10を描く順序を逆にして、最初に最内周の線L10を反時計回りに描き、最後に最外周の線L6を反時計回りに描いてもよい。
このように、隣接する層を同じ経路に沿いつつ描線方向を異ならせて形成することにより、各層において隆起の発生する位置を簡易的に異ならせることができるとともに、対象層S1で隆起の発生した部位を次層S2の形成に伴って均すことができる。したがって、この態様によっても、最終的に造形される立体物OBに大きな隆起が発生するのを未然に回避して、立体物OBを全体として良好に造形することが可能となる。
〔各層の形成態様:第3実施形態〕
第3実施形態は、材料RUが膨張することを踏まえて積層ピッチを調整しながら線を描く態様である。
上述したように、材料RUは、主成分であるゴムの特性により、吐出された直後に大きく膨張し、その後も緩やかに膨張していくため、形成される各層の高さが、ある程度の時間が経過すると形成直後よりも高くなり、その結果、各層の膨張分が積み重なって最終的に造形される立体物OBの高さが想定よりも高くなる傾向にある。しかしながら、造形に用いる材料RUがどの程度まで膨張するのかは、検証を重ねることにより見極めることが可能である。そこで、第3実施形態においては、材料RUの膨張度合いを踏まえて、各層における積層ピッチを調整したり、或いは、全体としての積層高を補正したりした上で、各層に対するパスを決定する。
このようにして決定されたパスに沿って造形することにより、最終的に造形される立体物OBを想定される高さに仕上げることができる。したがって、第3実施形態によれば、立体物OBを全体として良好に造形することが可能となる。
なお、上述した第1変形例から第4変形例は、説明の便宜のため、第1実施形態の変形例として説明したが、これらの変形例を第1実施形態に代えて第2実施形態又は第3実施形態に適用することも可能である。また、その際には、各変形例を単独で適用してもよいし、複数の変形例を組み合わせて複合的に適用してもよい。
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、種々に変更して実施することが可能である。また、実施形態を説明する過程で挙げた各種数値はあくまで例示であり、上述した内容に限定されるものではない。
上述した実施形態においては、材料RUとして、ゴムに加硫剤等の配合剤を加えたものを用いているが、これに代えて、ウレタン樹脂やシリコン樹脂等のようなゴム状の合成樹脂を用いることも可能である。また、材料RUに加硫剤が加えられていない場合には、造形された立体物OBに対する加硫処理は不要となる。
上述した実施形態においては、押出機12が固定され造形台16が移動可能とされた立体造形装置10が用いているが、これに限定されず、造形台が固定され押出機が移動可能とされた立体造形装置を用いてもよい。また、そのような立体造形装置は、デルタ状に配置された2本で1ペアの軸3組の移動可能な部位に吐出ノズルが支持されているタイプのもの(いわゆる「デルタ型3Dプリンタ」)であってもよいし、吐出された材料を回転軸で巻き取っていく構造を有する特に円筒形状の造形に適したタイプのもの(いわゆる「旋盤型3Dプリンタ」)であってもよい。或いは、吐出ノズルを支持させたロボットアームを立体造形装置として用いることも可能である。
10 立体造形装置
13 吐出ノズル
15 ノズル先端
16 造形台
20 プリンタサーバ
30 ネットワーク
40 端末
41 CPU
100 立体造形用データ生成プログラム
OB 立体物
RU ゴムを主成分とする材料

Claims (4)

  1. ゴム状弾性体を主成分とする材料を層状に積層して立体を造形する立体造形装置により用いられるデータを生成する立体造形用データ生成プログラムであって、
    コンピュータに、
    造形される立体を複数の層に分割した場合に前記立体を構成する各層に対し、平行する複数の経路からなる平行経路群を決定する経路決定ステップと、
    前記各層の造形にあたり、前記平行経路群のうち相互に隣接しない複数の経路である第1経路群を造形させた後に、前記材料を供給する高さ方向の位置を前記第1経路群の造形時より高くした状態で前記平行経路群のうち未だ造形されていない経路である第2経路群を造形させる命令データを生成する命令生成ステップと
    を実行させる立体造形用データ生成プログラム。
  2. 請求項1に記載の立体造形用データ生成プログラムにおいて、
    前記経路決定ステップは、
    角を含んだ平行する複数の経路からなる前記平行経路群を決定し、
    前記命令生成ステップは、
    前記第2経路群をなす各経路の造形にあたり、前記角を連続的に造形させることなく、前記角の頂点を始端又は終端のいずれかとする2本の直線により前記角を造形させる命令データを生成することを特徴とする立体造形用データ生成プログラム。
  3. 請求項1又は2に記載の立体造形用データ生成プログラムにおいて、
    前記命令生成ステップは、
    前記第1経路群及び前記第2経路群をなす各経路の造形にあたり、前記各経路内の始端から前記各経路内の所定の地点に向かうにつれて造形速度を段階的に上昇させる命令データを生成することを特徴とする立体造形用データ生成プログラム。
  4. 請求項3に記載の立体造形用データ生成プログラムにおいて、
    前記命令生成ステップは、
    前記第1経路群及び前記第2経路群をなす各経路の造形にあたり、前記各経路内の始端部及び終端部を除く各地点においては所定量の前記材料を供給させるのに対し、前記始端部においては前記材料を前記所定量より多く供給させ、前記終端部においては前記材料を前記所定量より少なく供給させる命令データを生成することを特徴とする立体造形用データ生成プログラム。
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