JP2021018417A - 液晶素子、液晶組成物、車両用前照灯装置、および、液晶素子の製造方法 - Google Patents

液晶素子、液晶組成物、車両用前照灯装置、および、液晶素子の製造方法 Download PDF

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吉治 平井
和寛 荻田
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和寛 荻田
史尚 近藤
Fuminao Kondo
史尚 近藤
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Abstract

【課題】液晶性化合物の配向を垂直配向と水平配向にパターニングした液晶素子の構成を簡素化し、液晶素子への印加電圧制御の故障時におけるグレア光の発生を防止するフェールセーフ機能を有する車両用前照灯装置を提供する。【解決手段】少なくとも1つの基板にポリイミドのような配向膜を事前に形成していない液晶セルに、水平配向制御層形成モノマーと垂直配向制御層形成モノマーを含む液晶組成物を封入し、液晶相の等方相転移温度以上で加熱し、例えばフォトマスクを介しながら一部の領域に偏光紫外線を照射することで、液晶性化合物の水平配向と垂直配向を制御する。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶素子、液晶組成物、車両用前照灯装置、および、液晶素子の製造方法に関する。特に、光フリース転位、光異性化および光二量化の少なくとも1つを生じる水平配向制御層形成モノマーと、極性基を少なくとも1つ有する垂直配向制御層形成モノマーとを含有する液晶組成物を用い、ポリイミドのような従来の配向膜を用いることがなく、液晶性化合物の配向を制御した液晶素子に関する。この液晶素子においては、加熱偏光露光された一部の領域の液晶性化合物が水平配向に制御され、加熱偏光未露光の領域の液晶性化合物が垂直配向に制御される。また、このような液晶性化合物の配向を水平配向と垂直配向にパターニングした液晶素子を用いた車両用前照灯装置に関する。
光透過状態と光散乱状態をとることができる高分子分散型の液晶素子へ印加電圧を照射領域毎に制御することでハイビーム用配光パターンおよびロービーム用配光パターンを形成する車両用前照灯が開示されている(特許文献1)。ここで用いられる高分子分散型の液晶素子は、垂直配向膜を液晶セル内に事前に形成されたリバースモード方式が提案されている。
また、液晶素子を用いた配向可変型前照灯(Adaptive Driving Beam)において、液晶素子への印加電圧制御の故障時におけるグレア光の発生を防止するフェールセーフ機能を有する車両用前照灯が開示されている(特許文献2)。ここで用いられる液晶素子は、配光パターンを形成するように液晶の配向方向が分割されたものであり、この液晶素子を組み合わせることで、液晶素子への印加電圧制御の故障時におけるフェールセーフ機能が発現するようである。
そこで、このようなフェールセーフ機能を有する配光パターンを形成可能な液晶素子の配向膜レス化について検討した。
特開2012−15044号公報 国際公開第2019/069672号
車両用前照灯装置に用いる液晶素子は、印加電圧制御の故障によって透過状態を制御できなくなることがある。例えば、特許文献1の車両用前照灯装置において、ハイビーム点灯時に故障が発生して液晶素子への印加電圧を変化させられなくなった場合、特許文献1の車両用前照灯装置は、ロービームへの切替えができないことで対向車や通行人にグレア光を照射して不要な眩しさを感じさせる場合がある。また、液晶を採用した配光可変型前照灯装置(ADB)においては、通行人や対向車等の存在を検出することで検出したエリアへの照射のみを自動的に暗部にしてグレア光を発生させずに前方を照明できることを利点とする。そのため、液晶に印加電圧の故障が生じても最低限として通行人や対向車等にグレア光を照射すること無く前照灯装置として機能するフェールセーフ機能が求められる。
本発明の課題は、液晶性化合物の配向を垂直配向と水平配向にパターニングした液晶素子の構成を簡素化することである。そして、本発明の別の課題は、液晶素子への印加電圧制御の故障時におけるグレア光の発生を防止するフェールセーフ機能を有する車両用前照灯装置を提供することである。
本発明は、一対の基板のうち少なくとも一方の基板にポリイミドのような配向膜が形成されていない液晶素子において、水平配向制御層形成モノマーと垂直配向制御層形成モノマーを含む液晶組成物を、一部の領域において、加熱偏光露光することで、この照射領域の液晶性化合物の配向を水平配向に制御し、未露光領域の液晶性化合物の配向を垂直配向に制御することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、下記の態様などを含む。
[1] 対向して配置された第一の基板と第二の基板との間に液晶層が挟持され、
前記第一の基板と前記液晶層との間、および、前記第二の基板と前記液晶層との間に、液晶性化合物の配向を制御する配向制御層を有し、
前記液晶層は、液晶組成物から形成され、
前記液晶組成物は、少なくとも1つの前記液晶性化合物と、第一添加物として、式(1−A)で表される、光照射により光フリース転位、光異性化、および光二量化の少なくとも1つを生じる水平配向制御層形成モノマーと、第二添加物として、式(1−B)で表される、少なくとも1つの極性基を有する垂直配向制御層形成モノマーを含有し、
前記配向制御層は、少なくとも前記水平配向制御層形成モノマーと前記垂直配向制御層形成モノマーとを重合させてなる共重合体を含有し、
前記配向制御層は、第一領域と、第二領域とを有し、
前記第一領域では、前記液晶性化合物が水平配向に制御され、前記第二領域では、前記液晶性化合物が垂直配向に制御されている、液晶素子。
式(1−A)において、
、RおよびRは、独立して、水素または炭素数1から10のアルキルであり、このR、RおよびRにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−NH−で置き換えられてもよく;
nは、独立して、0、1または2であり;
aは、0、1、2または3であり;
環Aは、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、テトラヒドロピラン−3−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、1,3−ジオキサン−3−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−7−イル、フェナントレン−2−イル、フェナントレン−7−イル、アントラセン−2−イル、アントラセン−6−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル、2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルであり、
環Aは、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,2−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−1,4−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,4−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロペンテン−1,3−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、
環Aは、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり;
およびZは、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このZおよびZにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NH−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよいが、ZおよびZの中で少なくとも1つは、−COO−、−OCO−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH=CHCO−または−COCH=CH−であり;
Sp、Sp、SpおよびSpは、独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このSp、Sp、SpおよびSpにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
c、dおよびeは、独立して、0、1、2、3または4であり、c、dおよびeの和は、1、2、3または4であり;
、P、PおよびPは、独立して、重合性基であり;
式(1−B)において、
100は、炭素数1から15のアルキルであり、このR100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
環A100および環A200は、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、この環A100および環A200において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数2から12のアルケニル、炭素数1から11のアルコキシ、または炭素数2から11のアルケニルオキシで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
100は、0、1、2、3、または4であり;
100は、単結合または炭素数1から6のアルキレンであり、このZ100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
Sp100は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、式(1a)で表される基の群から選択される少なくとも1つの基で置き換えられていてもよく;
式(1a)において、
Sp200は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
100およびM200は、独立して、水素、ハロゲン、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり:
200は、水素、炭素数1から15のアルキル、または式(1g)で表される基であり、このR200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
式(1−B)において、
100は、式(1d)、式(1e)および式(1f)で表される基の群から選択される少なくとも1つの基であり;
式(1d)、式(1e)および式(1f)において、
Sp300は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp300において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
300およびM400は、独立して、水素、ハロゲン、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;
300は、式(1g)、式(1h)および式(1i)で表される基の群から選択される少なくとも1つの基であり;
式(1g)、式(1h)および式(1i)において、
Sp400およびSp500は、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp400およびSp500において、少なくとも1つの−CH−は、
−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
式(1h)および式(1i)において、
100は、>CH−または>N−であり、S200は、>C<または>Si<であり;
式(1f)、式(1g)、式(1h)および式(1i)において、
は、−OH、−NH、−OR500、−N(R500、−COOH、−SH、−B(OH)、または−Si(R500であり;
−OR500、−N(R500、および−Si(R500において、
500は、独立して、水素または炭素数1から10のアルキルであり、このR500において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよい。
[2] 前記式(1−A)において、
、RおよびRは、独立して、水素または炭素数1から10のアルキルであり、このR、RおよびRにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−NH−で置き換えられてもよく;
nは、独立して、0、1または2であり;
aは、0、1、2または3であり;
環Aは、シクロヘキシル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−7−イル、フェナントレン−2−イル、フェナントレン−7−イル、アントラセン−2−イルまたはアントラセン−6−イルであり、
環Aは、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイルまたはアントラセン−1,4−ジイルであり、
環Aは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、またはアントラセン−1,4−ジイルであり;
およびZは、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このZおよびZにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NH−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよいが、ZおよびZの中で少なくとも1つは、−COO−、−OCO−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH=CHCO−または−COCH=CH−であり;
Sp、Sp、SpおよびSpは、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp、Sp、SpおよびSpにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
c、dおよびeは、独立して、0、1、2、3または4であり、c、dおよびeの和は、1、2、3または4であり;
、P、PおよびPは、独立して、式(1P−1)で表される重合性基であり;
式(1P−1)において、
41およびM42は、独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;
41は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、炭素数1から9のアルコキシ、または炭素数2から9のアルコキシアルキルであり、このR41において、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい、[1]に記載の液晶素子。
[3] 前記式(1−B)で表される垂直配向制御層形成モノマーが、式(1−B−1)、式(1−B−2)、式(1−B−3)、および式(1−B−4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、[1]または[2]に記載の液晶素子。
式(1−B−1)から式(1−B−4)において、
100は、炭素数1から12のアルキルであり、このR100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
環A100および環A200は、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、この環A100および環A200において、少なくとも1つの水素は、フッ素、炭素数1から8のアルキル、炭素数2から8のアルケニル、炭素数1から7のアルコキシ、または炭素数2から7のアルケニルオキシで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
100は、0、1、2、3、または4であり;
100は、単結合または炭素数1から6のアルキレンであり、このZ100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
lは、0、1、2、3、4、5または6であり、この−(CH−の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、この−(CH−において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
Sp100は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
Sp200は、単結合または炭素数1から5のアルキレンであり、このSp200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
100およびM200は、独立して、水素、フッ素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルであり;
200は、水素または炭素数1から5のアルキルであり、このR200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
Sp300は、単結合または炭素数1から5のアルキレンであり、このSp300において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−または−COO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
300およびM400は、独立して、水素、フッ素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルであり;
Sp400は、単結合または炭素数1から5のアルキレンであり、このSp400において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−または−COO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
は、−OHまたは−N(R500であり;
−N(R500において、
500は、独立して、水素または炭素数1から5のアルキルであり、このR500において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
[4] 前記配向制御層中の前記水平配向制御層形成モノマーと前記垂直配向制御層形成モノマーとを重合させてなる重合体における前記水平配向制御層形成モノマーに由来するユニットの重量と、前記液晶層中の前記水平配向制御層形成モノマーの重量との合計量の割合が、前記液晶性化合物の合計量を100重量部としたときに、0.01重量部から5重量部の範囲であり、
前記配向制御層中の前記水平配向制御層形成モノマーと前記垂直配向制御層形成モノマーとを重合させてなる重合体における前記垂直配向制御層形成モノマーに由来するユニットの重量と、前記液晶層中の前記垂直配向制御層形成モノマーの重量との合計量の割合が、前記液晶性化合物の合計量を100重量部としたときに、0.01重量部から3重量部の範囲である、[1]から[3]のいずれかに記載の液晶素子。
[5] 前記液晶組成物が、式(2)から式(4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの液晶性化合物を含有する、[1]から[4]のいずれかに記載の液晶素子。
式(2)から式(4)において、
11およびR12は、独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR11およびR12において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
環B、環B、環Bおよび環Bは、独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンまたはピリミジン−2,5−ジイルであり;
11、Z12およびZ13は、独立して、単結合、−(CH−、−CH=CH−、−C≡C−または−COO−である。
[6] 前記液晶組成物が、式(5)から式(7)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの液晶性化合物をさらに含有する、[1]から[5]のいずれかに記載の液晶素子。
式(5)から式(7)において、
13は、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR13において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
11は、フッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHFまたは−OCFCHFCFであり;
環C、環Cおよび環Cは、独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
14、Z15およびZ16は、独立して、単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−CH=CF−CFO−、−CF=CF−CFO−または−(CH−であり;
11およびL12は、独立して、水素またはフッ素である。
[7] 前記液晶組成物が、式(8)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの液晶性化合物をさらに含有する、[1]から[6]のいずれかに記載の液晶素子。
式(8)において、
14は、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR14において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
12は、−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nであり;
環Dは、独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
17は、独立して、単結合、−(CH−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−または−CHO−であり;
13およびL14は、独立して、水素またはフッ素であり;
iは、1、2、3または4である。
[8] 前記液晶組成物が、式(9)から式(21)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの液晶性化合物をさらに含有する、[1]から[7]のいずれかに記載の液晶素子。
式(9)から式(21)において、
15およびR16は、独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR15およびR16において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
17は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、または炭素数2から10のアルケニルであり、このR17において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
環E、環E、環Eおよび環Eは、独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
環Eおよび環Eは、独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルまたはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
18、Z19、Z20、およびZ21は、独立して、単結合、−(CH−、−COO−、−CHO−、−OCF−または−OCF−(CH−であり;
15およびL16は、独立して、フッ素または塩素であり;
11は、水素またはメチルであり;
Xは、独立して、−CHF−または−CF−であり;
j、k、m、n、p、q、rおよびsは、独立して、0または1であり、k、m、nおよびpの和は、0、1、2または3であり、q、rおよびsの和は、0、1、2または3であり、tは、1、2または3である。
[9] 前記液晶組成物が、第三添加物として、前記水平配向制御層形成モノマーおよび垂直配向制御層形成モノマーとは異なる重合性化合物をさらに含有し、前記配向制御層は、前記水平配向制御層形成モノマー、前記垂直配向制御層形成モノマーおよび前記第三添加物を重合させてなる共重合体を含有する、[1]から[8]のいずれかに記載の液晶素子。
[10] 前記第三添加物が、式(16α)で表される、[9]に記載の液晶素子。
式(16α)において、
環Fおよび環Iは、独立して、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、テトラヒドロピラン−3−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、1,3−ジオキサン−3−イル、ピリミジン−2−イル、ピリジン−2−イル、ピリミジン−5−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−7−イル、フェナントレン−2−イル、フェナントレン−7−イル、アントラセン−2−イル、アントラセン−6−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル、2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルであり、この環Fおよび環Iにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;
環Gは、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,2−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルまたはピリジン−2,5−ジイルであり、この環Gにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;
22およびZ23は、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このZ22およびZ23において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−、−C≡C−、−C(CH)=CH−、−CH=C(CH)−または−C(CH)=C(CH)−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
11、P12およびP13は、独立して、重合性基であり;
Sp11、Sp12およびSp13は、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp11、Sp12およびSp13において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
uは、0、1または2であり;
f、gおよびhは、独立して、0、1、2、3または4であり、f、gおよびhの和は、2以上である。
[11] 前記第一の基板上に少なくとも櫛歯状電極が形成されている、[1]から[10]のいずれかに記載の液晶素子。
[12] [1]から[11]のいずれかに記載の液晶素子を製造する液晶素子の製造方法であって、
対向して配置された前記第一の基板と前記第二の基板との間に、前記液晶組成物を挟持する工程と、
前記液晶組成物を、ネマチック相から等方相への転移温度TNI以上の温度範囲に保持し、前記液晶組成物の一部の領域に偏光紫外線を照射して、前記配向制御層における前記第一領域を形成する工程とを、備え、
前記第一領域では、少なくとも前記水平配向制御層形成モノマーと前記垂直配向制御層形成モノマーとが共重合することによって前記液晶性化合物が水平配向に制御され、
前記第二領域では、前記垂直配向制御層形成モノマーの作用によって前記液晶性化合物が垂直配向に制御される、液晶素子の製造方法。
[13] 前記液晶組成物を、TNI以上、TNI+15℃以下の温度範囲に保持して、波長300nmから400nmの範囲にピークを有し、照度が2mW/cmから300mW/cmの範囲で、0.03J/cmから30J/cmの露光量となる範囲で偏光紫外線を照射する、[12]に記載の液晶素子の製造方法。
[14] 前記偏光紫外線を照射し、さらに、追加の非偏光紫外線を、前記液晶組成物を20℃以上45℃以下の温度範囲に保持して、波長330nmから400nmにピークを有し、照度が1mW/cmから50mW/cmの範囲で、1J/cmから10J/cmの露光量となる範囲で照射する、[12]または[13]に記載の液晶素子の製造方法。
[15] [12]から[14]のいずれかに記載の液晶素子の製造方法に用いる液晶組成物であって、
ネマチック相から等方相への転移温度TNIを有し、少なくとも1つの液晶性化合物と、第一添加物として、水平配向制御層形成モノマーを少なくとも1つと、第二添加物として、垂直配向制御層形成モノマーを少なくとも1つと、を含有する、液晶組成物。
[16] [12]から[14]のいずれかに記載の液晶素子の製造方法に用いる液晶組成物であって、
ネマチック相から等方相への転移温度TNIを有し、少なくとも1つの液晶性化合物と、第一添加物として、水平配向制御層形成モノマーを少なくとも1つと、第二添加物として、垂直配向制御層形成モノマーを少なくとも1つと、第三添加物として、前記水平配向制御層形成モノマーおよび垂直配向制御層形成モノマーとは異なる重合性化合物をさらに含有する、液晶組成物。
[17] [1]から[11]のいずれかに記載の液晶素子を備える、車両用前照灯装置。
本例示は、次の項も含む。(a)重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、および消泡剤のような添加物の少なくとも2つをさらに含有する上記の液晶組成物。(b)上記の液晶組成物に化合物(1−A)、化合物(1−B)、または化合物(16α)とは異なる重合性化合物を添加することによって調製した重合性組成物。(c)上記の液晶組成物に化合物(1−A)、化合物(1−B)、および化合物(16α)を添加することによって調製した重合性組成物。(d)重合性組成物を重合させることによって調製した液晶複合体。
本発明によれば、第一の基板上、または、第二の基板上に事前に配向膜が形成されていない液晶素子に、配向制御層形成モノマーを含む誘電率異方性が正または負の液晶組成物を封入し、加熱しながら偏光紫外線が照射される第一領域と未照射の第二領域を作ることで、液晶性化合物の電圧無印加時の配向を垂直配向と水平配向に分割可能となる。そして、このような液晶素子によれば、液晶素子への印加電圧制御の故障時におけるグレア光の発生を防止するフェールセーフ機能を有する車両用前照灯装置を実現できる。
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。「液晶組成物」および「液晶素子」の用語をそれぞれ「組成物」および「素子」と略すことがある。「液晶素子」は液晶パネルおよび液晶モジュールの総称である。「液晶性化合物」は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが、ネマチック相の温度範囲、粘度、誘電率異方性のような特性を調節する目的で組成物に混合される化合物の総称である。この化合物は、例えば1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、その分子構造は棒状(rod like)である。また、この化合物を棒状の分子の集合体と仮想した場合、この棒状の分子のことを、「液晶分子」と称する場合がある。「重合性化合物」は、組成物中に重合体を生成させる目的で添加する化合物である。
液晶組成物は、複数の液晶性化合物を混合することによって調製される。この液晶組成物に、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、極性化合物のような添加物が必要に応じて添加される。液晶性化合物の割合は、添加物を添加した場合であっても、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。添加物の割合は、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量部)で表される。すなわち、液晶性化合物や添加物の割合は、液晶性化合物の全重量に基づいて算出される。重量百万分率(ppm)が用いられることもある。重合開始剤の割合は、例外的に重合性化合物の重量に基づいて表される。
式(1−A)で表される化合物を「化合物(1−A)」と略すことがある。化合物(1−A)は、式(1−A)で表される1つの化合物、2つの化合物の混合物、または3つ以上の化合物の混合物を意味する。このルールは、式(2)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物などにも適用される。六角形で囲んだB、C、D、E、Fなどの記号は、それぞれ環B、環C、環D、環E、環Fなどに対応する。六角形は、シクロヘキサン環やベンゼン環のような六員環またはナフタレン環のような縮合環を表す。式(1−A)、式(16α)などにおいて、六角形の一辺を横切る直線は、環上の任意の水素が、−(R)nや−Sp11−P11などの基で置き換えられてもよいことを表す。‘f’などの添え字は、置き換えられた基の数を示す。添え字が0のとき、そのような置き換えはない。添え字‘f’が2以上のとき、環F上には複数の−Sp11−P11が存在する。−Sp11−P11が表す複数の基は、同一であってもよく、または異なってもよい。これらのルールは、他の式においても適用される。「環Fおよび環Iは、独立して、X、Y、またはZである」の表現では、主語が複数であるから、「独立して」を用いる。主語が「環F」であるときは、主語が単数であるから「独立して」を用いない。
末端基R11の記号を複数の成分化合物に用いた。これらの化合物において、任意の2つのR11が表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(2)のR11がエチルであり、化合物(3)のR11がエチルであるケースがある。化合物(2)のR11がエチルであり、化合物(3)のR11がプロピルであるケースもある。このルールは、他の末端基、環、結合基などの記号にも適用される。式(8)において、iが2のとき、2つの環Dが存在する。この化合物において、2つの環Dが表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。このルールは、iが2より大きいときの任意の2つの環Dにも適用される。このルールは、他の環、結合基などの記号にも適用される。
「少なくとも1つの‘A’」の表現は、‘A’の数は任意であることを意味する。「少なくとも1つの‘A’は、‘B’で置き換えられてもよい」の表現は、‘A’の数が1つのとき、‘A’の位置は任意であり、‘A’の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく選択できる。このルールは、「少なくとも1つの‘A’が、‘B’で置き換えられた」の表現にも適用される。「少なくとも1つのAが、B、C、またはDで置き換えられてもよい」という表現は、少なくとも1つのAがBで置き換えられた場合、少なくとも1つのAがCで置き換えられた場合、および少なくとも1つのAがDで置き換えられた場合、さらに複数のAがB、C、Dの少なくとも2つで置き換えられた場合を含むことを意味する。例えば、少なくとも1つの−CH−(または、−(CH−)が−O−(または、−CH=CH−)で置き換えられてもよいアルキルには、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルが含まれる。なお、連続する2つの−CH−が−O−で置き換えられて、−O−O−のようになることは好ましくない。アルキルなどにおいて、メチル部分(−CH−H)の−CH−が−O−で置き換えられて−O−Hになることも好ましくない。
液晶性化合物において、アルキルは、直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルであり、環状アルキルを含まない。直鎖アルキルは、一般的に分岐鎖アルキルよりも好ましい。これらのことは、アルコキシ、アルケニルなどの末端基についても同様である。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、ネマチック相の上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。2−フルオロ−1,4−フェニレンは、下記の2つの二価基を意味する。化学式において、フッ素は左向き(L)であってもよいし、右向き(R)であってもよい。このルールは、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルのような、環から水素を2つ除くことによって生成した非対称な二価基にも適用される。
本発明の液晶素子では、液晶組成物を、対向して配置された第一の基板と第二の基板との間に液晶層として挟持される。
具体的には、まず、第一の基板上に、第一の電極と、第一の電極と同一の基板上に設けられ、この第一の電極との間に電界を生じさせる第二の電極が設けられる。第一の電極と第二の電極としては、例えば櫛歯状電極が挙げられる。さらに、第二の基板上に第三の電極として対向電極が設けられていてもよい。ここでは、液晶層を配向させる配向膜は事前に形成されていなくてもよい。そして、液晶組成物は、第一の基板と第二の基板との間に液晶層として挟持される。
本発明の実施形態の液晶組成物が封入された液晶素子を構成する基板は、ガラス、その他の透明基板を用いることができる。使用する電極はITOなどの透明電極が好ましい。
本発明の実施形態にかかる液晶組成物は、液晶性化合物と、水平配向制御層形成モノマーと、垂直配向制御層形成モノマーと、を含有する。
水平配向制御層形成モノマー成分と、垂直配向制御層形成モノマー成分および液晶性化合物については後述する。水平配向制御層形成モノマー成分と、垂直配向制御層形成モノマー成分の含有量が、液晶性化合物全量に対して所定範囲内であることで、配向制御層形成モノマーを重合させるまで、液晶組成物中の液晶性化合物の配向状態は基板に対して垂直配向である。
そして、これらの配向制御層形成モノマーを重合させると、液晶性化合物の配向状態は基板に対して水平配向となり、その水平配向性は追加の紫外線を未偏光で照射しても維持される。
ここで、前記[1]項中の「前記液晶層は、液晶組成物から形成され」について説明しておく。液晶素子の製造過程において、液晶組成物中の水平配向制御層形成モノマーと垂直配向制御層形成モノマーを重合させた後は、液晶組成物は実質的に液晶性化合物のみからなる。そして、この実質的に液晶性化合物のみからなる液晶組成物が、液晶素子の液晶層を構成することを、「前記液晶層は、液晶組成物から形成され」は、意味する。ここで、「実質的に」とは、未反応の水平配向制御層形成モノマーおよび垂直配向制御層形成モノマーまたは後述する「その他の添加物」を含んでいてもよいことを示す。
本発明の実施形態にかかる液晶組成物は、式(1−A)で表される水平配向制御層形成モノマー、および、式(1−B)で表される垂直配向制御層形成モノマー、とは異なる重合性化合物が含まれていてもよい。これらの配向制御層形成モノマーとは異なる重合性化合物の具体例などについては後述する。
これらの配向制御層形成モノマーとは異なる重合性化合物は、配向制御層形成モノマーの重合反応を促進させたり、電気的特性を向上させたりする成分である。この重合性化合物が含まれる液晶組成物を液晶表示素子に封入した後に紫外線露光することで、液晶性化合物の配向特性に影響を与えることなく、配向制御層形成モノマーの重合反応を促進させ、例えば、電圧保持率などの電気的特性が向上する。
<液晶素子の製造方法>
本発明の実施形態にかかる液晶素子の製造方法は、上記の液晶組成物を用いて製造される。そして、液晶素子は、対向して配置された第一の基板と第二の基板との間に液晶層が挟持される。この第一の基板上に、例えば上記の櫛歯状電極が設けられ、さらに、第二の基板上に第三の対向電極が設けられる。第一の基板上、および、第二の基板上の少なくとも一方に液晶層を配向させる配向膜を有していてもよく、第一の基板と液晶層との間、および、第二の基板と液晶層との間に、配向膜とは異なり、かつ液晶性化合物を配向制御する配向制御層を有する。
本発明の実施形態にかかる液晶素子の製造方法は、必要に応じて、第一の基板、および、第二の基板のうちの少なくとも一方に、液晶層を配向させる配向膜を形成する工程と、対向して配置された第一の基板と第二の基板との間に、液晶組成物を挟持する工程と、ネマチック相から等方相への転移温度(TNI)以上に加熱しながら、液晶組成物に偏光紫外線をフォトマスク等により部分的に照射する工程と、を備える。そして、配向制御層は、加熱偏光露光がされた第一領域と、加熱偏光露光がされなかった第二領域とで、液晶性化合物を異なる配向に制御する。第一領域では、水平配向制御層形成モノマーと垂直配向制御層形成モノマーとが共重合することによって、液晶性化合物が水平配向に制御される。一方で、第二領域では、偏光紫外線の未照射領域が、垂直配向制御層形成モノマーの作用によって、液晶性化合物が垂直配向に制御される。
本発明の実施形態にかかる液晶表示素子の製造方法では、液晶組成物を配向させるための配向膜を事前に形成された基板、または、事前に形成された配向膜を有さない基板は、前述した液晶組成物が封入された液晶表示素子を構成する基板と同じもの(ガラス、その他の透明基板)を用いることができる。
また、液晶表示素子に封入される液晶組成物は、上記で説明したものを用いることができる。
本発明の実施形態にかかる液晶表示素子の製造方法において、紫外線露光を行う際の光照射は非偏光でも偏光でもよいが、光利用効率の観点から、非偏光を用いることが好ましい。液晶性化合物の配向方向を高精度で制御する場合は、偏光を用いることが好ましく、直線偏光を用いることがより好ましい。直線偏光を得る手段としては、偏光板を用いる方法、プリズム系素子若しくはブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、一方の基板面に対して斜め方向から加熱非偏光照射を行う方法、または偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が採用できる。また、フィルターや波長変換素子などを用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
本発明の実施形態では、配向制御層形成モノマーとして、光照射により光フリース転位、光異性化、および光二量化の少なくとも1つを生じる水平配向制御層形成モノマーと、少なくとも1つの極性基を有する垂直配向制御層形成モノマーとを用いる。そして、第一の基板上、および、第二の基板上のいずれか一方に液晶層を配向させる配向膜を有してもよい液晶素子に液晶組成物を注入し、等方相の転移温度以上で、フォトマスク等により部分的に加熱偏光露光する。加熱偏光露光がされた第一領域は、液晶性化合物の配向状態を水平配向とすることができ、加熱偏光露光がされなかった第二領域は、液晶性化合物の配向状態を垂直配向とすることができる。このような水平配向領域と垂直配向領域の形成は、水平配向制御層形成モノマーと垂直配向制御層形成モノマーの添加量をそれぞれ調整することで、制御可能である。
液晶組成物中に、重合性基を有し、光照射により光フリース転位、光異性化および光二量化の少なくとも1つを生じる水平配向制御層形成モノマーと、少なくとも1つの極性基を有する垂直配向制御層形成モノマーと、を添加した液晶組成物を素子に封入する。
第一添加物としての水平配向制御層形成モノマーは、重合性基としてα−アルコキシアルキルアクリレートを有する場合、α−アルコキシアルキルアクリレートが基板と相互作用しやすいと考えられるため、紫外線露光工程より前の工程である液晶組成物の封入工程で水平配向制御層形成モノマーが基板界面側に移動すると考えられる。また、重合性基としてα−フルオロアクリレートを有する水平配向制御層形成モノマーは、液晶性化合物との相溶性がアクリレートより良くなる傾向があるので、析出を抑制できるようになると考えられる。
また、中心構造(結合基)として、−NH−を有する水平配向制御層形成モノマーは、基板と相互作用しやすいと考えられるため、液晶組成物の封入工程で水平配向制御層形成モノマーが基板界面側に移動しやすいと考えられる。
上記の重合性基や結合基を有してもよい水平配向制御層形成モノマーは、式(1−A)で表される化合物である。
水平配向制御層形成モノマーは、偏光紫外線照射により構造が方向性をもって変化するため、液晶分子の水平配向制御に寄与する。また、重合性基を有するため、配向制御層形成モノマーからなる重合体は水平配向制御膜としての役割を有する。
水平配向制御層形成モノマーが、芳香族エステル構造を有する場合、偏光照射により光フリース転位を生じる。芳香族エステル構造を有すると、紫外光を吸収し、芳香族エステル部位がラジカル開裂しヒドロキシケトンへの転位、すなわちフリース転位を生じる。光フリース転位において、芳香族エステル部位の光分解は偏光紫外光の偏光方向と芳香族エステル部位の長軸方向が同一方向であった場合に生じる。光分解後は再結合し、互変異性化により水酸基が分子内に生じる。この水酸基により、基板界面の相互作用が生じ、水平配向制御層形成モノマーが基板界面側や事前に形成されていてもよい配向膜に異方性を持って吸着しやすくなると考えられる。また、α−アルコキシアルキルアクリレートのような重合性基を有している場合や、中心構造にアミン結合を有する場合は基板界面側での重合が生じやすく、これにより重合体が基板界面側に固定化される。α−フルオロアクリレートのような重合性基を有している場合は、重合性部位が液晶性化合物と比較的相溶化しやすいため、基板界面側や事前に形成されていてもよい配向膜への異方性を持った吸着は、より均一になりやすいと考えられる。このような性質を利用して液晶分子を水平配向させることが可能な薄膜を形成することができる。この薄膜を形成するために、照射する紫外線は直線偏光が適している。このような水平配向制御層形成モノマーとしては、式(1−A−1)から式(1−A−73)で表される化合物が挙げられる。
配向制御層形成モノマーがビニレン構造を有する場合、紫外光が照射されることにより、光二量化、光異性化や光分解を生じる。ビニレン基を有する配向制御層形成モノマーは、紫外光が照射されることでトランス体からシス体への光異性化や、二量化によるシクロブタン環の形成が生じると考えられる。この性質を利用して液晶分子を配向させることが可能な薄膜を形成することができる。ビニレン基が含まれるカルコン構造やシンナメート構造を有する場合でも同様な効果があるため好ましい。この薄膜を形成するために、照射する紫外線は直線偏光が適している。このような水平配向制御層形成モノマーとしては、式(1−A−38)から式(1−A−41)で表される化合物が挙げられる。
垂直配向制御層形成モノマーは、少なくとも1つの極性基を有し、偏光紫外線照射により重合する成分である。上記の工程において、偏光紫外線照射前は基板界面側に移動し、液晶性化合物の垂直配向を促進する。次に、偏光紫外線照射により水平配向制御層形成モノマーとの共重合が進行することにより、水平配向制御層形成モノマーの寄与が垂直配向制御層形成モノマーの寄与よりも大きくなることで、基板に対して垂直配向状態であった液晶性化合物が、基板に対して水平配向状態へと変化する。
液晶性化合物の基板に対する偏光紫外線照射後の垂直配向性と水平配向性は、配向制御層形成モノマーの添加量や、垂直配向制御層形成モノマーの極性基により制御される。
水平配向制御層形成モノマーは、本明細書においては化合物(1−A)と称され、垂直配向制御層形成モノマーは、化合物(1−B)と称される。配向制御層形成モノマーとは異なる、添加物としての重合性化合物は、本明細書においては化合物(16α)と称される。さらに、構造の詳細に言及する場合など必要に応じて、化合物(16α)、化合物(16α−A)と分けて称される。
以下に、1.化合物(1−A)、化合物(1−B)、および化合物(16α);2.化合物(1−A)、化合物(1−B)および化合物(16α)の合成;化合物(1−A)、化合物(1−B)および化合物(16α)を含む組成物として3.液晶組成物;当該組成物を含有する素子として4.液晶素子;当該素子を含む5.車両用前照灯装置を順に説明する。
1.化合物(1−A)、化合物(1−B)および化合物(16α)、それを用いた液晶組成物の例示
1−1.化合物(1−A)、化合物(1−B)および化合物(16α)
式(1−A)で表される化合物。
式(1−A)において、
、RおよびRは、独立して、水素または炭素数1から10のアルキルであり、このR、RおよびRにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−NH−で置き換えられてもよい。
nは、独立して、0、1または2である。
aは、0、1、2または3である。
環Aは、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、テトラヒドロピラン−3−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、1,3−ジオキサン−3−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−7−イル、フェナントレン−2−イル、フェナントレン−7−イル、アントラセン−2−イル、アントラセン−6−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル、2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルであり、好ましくは、シクロヘキシル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−7−イル、フェナントレン−2−イル、フェナントレン−7−イルまたはアントラセン−2−イル、アントラセン−6−イルである。
環Aは、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,2−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−1,4−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,4−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロペンテン−1,3−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、好ましくは、1,4−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイルまたはアントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,4−ジイルである。
環Aは、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、好ましくは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、またはアントラセン−1,4−ジイルである。
およびZは、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このZおよびZにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NH−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよいが、ZおよびZの中で少なくとも1つは、−COO−、−OCO−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH=CHCO−または−COCH=CH−である。
Sp、Sp、SpおよびSpは、独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、好ましくは、単結合または炭素数1から10のアルキレンである。このSp、Sp、SpおよびSpにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよいが、好ましくは、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
c、dおよびeは、独立して、0、1、2、3または4であり、c、dおよびeの和は、1、2、3または4である。
、P、PおよびPは、独立して、重合性基であり、好ましくは式(1P−1)で表される重合性基である。
式(1P−1)において、
41およびM42は、独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。
41は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、炭素数1から9のアルコキシ、または炭素数2から9のアルコキシアルキルであり、このR41において、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
、P、PおよびPが式(1P−1)で表される重合性基である場合、P、P、PおよびPの少なくとも1つの式(1P−1)では、R41が、炭素数2から9のアルコキシアルキルであることが好ましい。
一方で、P、P、PおよびPが式(1P−1)で表される重合性基である場合に、少なくとも1つのR41は、炭素数2から9のアルコキシアルキル以外の基であってもよい。このような場合、式(1−A)で表される化合物としては、式(1−A−X1)で表される化合物が挙げられる。より好ましい化合物としては、式(1−A−X2)から(1−A−X4)で表される化合物が挙げられる。
上記式において、
10およびP20は、独立して、重合性基であり、好ましくは、アクリロイルオキシ、メタアクリロイルオキシ、α−フルオロアクリロイルオキシ、α−アルコキシアクリロイルオキシ、トリフルオロメチルアクリロイルオキシ、ビニル、ビニルオキシ、またはエポキシである。
Sp10およびSp20は、独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このSp10およびSp20において、少なくとも1つの水素は、フッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、または式(Q−1)で表される基で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
式(Q−1)において、M10、M20およびM30は、独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり、Sp101は、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このSp101において、少なくとも1つの水素は、フッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
10、Z20およびZ30は、独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OCO−(CH−、−(CH−COO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−、−C≡C−C≡C−、−CONH−、−NHCO−、−(CH−、−(CH−または−(CF−であり、好ましくは、単結合、−COO−、−OCO−、−OCO−(CH−、−(CH−COO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−、−C≡C−C≡C−または−(CH−である。
10およびA30は、独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、この1,4−フェニレンにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、またはP10−Sp10−Z10−で置き換えられていてもよく、このフルオレン−2,7−ジイルにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、炭素数1から5のアルキルで置き換えられていてもよく、このビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく、好ましいA10およびA30は、独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、またはビフェニレン−4,4’−ジイルであり、この1,4−フェニレンにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、シアノ、ヒドロキシ、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく、このフルオレン−2,7−ジイルにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、炭素数1から5のアルキルで置き換えられていてもよく、このビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよい。
20は、式(A20−1)で表される基、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、式(A20−2)で表される基、ナフタレン−1,5−ジイル、式(A20−3)で表される基または式(A20−4)で表される基であり、好ましくは、式(A20−1)で表される基、式(A20−2)で表される基、式(A20−3)で表される基または式(A20−4)で表される基であり、より好ましくは、式(A20−1)で表される基、式(A20−3)で表される基または式(A20−4)で表される基である。
式(A20−1)において、Y10、Y11、Y12およびY13は、独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y10とY13の少なくとも一方は、水素である。好ましいY10、Y11、Y12およびY13は、独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y10とY13の少なくとも一方は、水素である。より好ましいY10、Y11、Y12およびY13は、独立して、水素、フッ素、ヒドロキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y10とY13の少なくとも一方は、水素である。
式(A20−2)において、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18およびY19は、独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y14とY19の少なくとも一方は、水素である。
式(A20−3)において、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26およびY27は、独立して、水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y20とY27の少なくとも一方は、水素である。
式(A20−4)において、Y28、Y29、Y30、Y31、Y32およびY33は、独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキルであるが、Y28とY31の少なくとも一方は、水素である。
式(1−A−X1)において、n10およびn30は、独立して、0、1、2または3である。
式(1−A−X2)から式(1−A−X4)において、
10は、独立して、水素、フッ素、またはメチルであり、好ましくは、水素またはメチルである。
31は、独立して、水素またはメチルであり、好ましくは、水素である。
10は、独立して、水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシまたはP10−Sp10−Z10−であり、好ましくは、水素、フッ素、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシである。
10は、0、1、2または3である。
11は、独立して、0、1、2、3または4であり、好ましくは、0、1または2であり、より好ましくは、0または1である。
式(1−B)で表される化合物。
式(1−B)において、
100は、炭素数1から15のアルキルであり、このR100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよい。
環A100および環A200は、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルである。この環A100および環A200において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数2から12のアルケニル、炭素数1から11のアルコキシ、または炭素数2から11のアルケニルオキシで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。
100は、0、1、2、3、または4である。
100は、単結合または炭素数1から6のアルキレンであり、このZ100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。
Sp100は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、式(1a)で表される基の群から選択される少なくとも1つの基で置き換えられていてもよい。
式(1a)において、
Sp200は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよい。
100およびM200は、独立して、水素、ハロゲン、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。
200は、水素、炭素数1から15のアルキル、または式(1g)で表される基であり、このR200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよい。
式(1−B)において、
100は、式(1d)、式(1e)および式(1f)で表される基の群から選択される少なくとも1つの基である。
式(1d)、式(1e)および式(1f)において、
Sp300は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp300において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよい。
300およびM400は、独立して、水素、ハロゲン、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。
300は、式(1g)、式(1h)および式(1i)で表される基の群から選択される少なくとも1つの基である。
式(1g)、式(1h)および式(1i)において、
Sp400およびSp500は、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp400およびSp500において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよい。
式(1h)および式(1i)において、
100は、>CH−または>N−であり、S200は、>C<または>Si<である。
式(1f)、式(1g)、式(1h)および式(1i)において、
は、独立して、−OH、−NH、−OR500、−N(R500、−COOH、−SH、−B(OH)、または−Si(R500である。
−OR500、−N(R500、および−Si(R500において、
500は、独立して、水素または炭素数1から10のアルキルであり、このR500において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよい。
式(1−B−1)から式(1−B−4)において、
100は、炭素数1から12のアルキルであり、このR100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
環A100および環A200は、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、この環A100および環A200において、少なくとも1つの水素は、フッ素、炭素数1から8のアルキル、炭素数2から8のアルケニル、炭素数1から7のアルコキシ、または炭素数2から7のアルケニルオキシで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
100は、0、1、2、3、または4である。
100は、単結合または炭素数1から6のアルキレンであり、このZ100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。
lは、0、1、2、3、4、5または6であり、この−(CH−の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
Sp100は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよい。
Sp200は、単結合または炭素数1から5のアルキレンであり、このSp200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい。
100およびM200は、独立して、水素、フッ素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである。
200は、水素または炭素数1から5のアルキルであり、このR200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
Sp300は、単結合または炭素数1から5のアルキレンであり、このSp300において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−または−COO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
300およびM400は、独立して、水素、フッ素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである。
Sp400は、単結合または炭素数1から5のアルキレンであり、このSp400において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−または−COO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
は、−OHまたは−N(R500である。
−N(R500において、
500は、独立して、水素または炭素数1から5のアルキルであり、このR500において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
式(16α)で表される化合物。
式(16α)において、
環Fおよび環Iは、独立して、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、テトラヒドロピラン−3−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、1,3−ジオキサン−3−イル、ピリミジン−2−イル、ピリジン−2−イル、ピリミジン−5−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−7−イル、フェナントレン−2−イル、フェナントレン−7−イル、アントラセン−2−イル、アントラセン−6−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル、2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルであり、この環Fおよび環Iにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよい。
環Gは、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,2−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルまたはピリジン−2,5−ジイルであり、この環Gにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよい。
22およびZ23は、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このZ22およびZ23において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−、−C≡C−、−C(CH)=CH−、−CH=C(CH)−または−C(CH)=C(CH)−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。
11、P12およびP13は、独立して、重合性基である。
好ましいP11、P12またはP13は、式(P−1)から式(P−7)で表される基の群から選択される重合性基である。より好ましいP11、P12またはP13は、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)または式(P−6)で表される基である。さらに好ましいP11、P12またはP13は、式(P−1)で表される基である。
式(P−1)から式(P−7)において、
11、M12、およびM13は、独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。好ましいM11、M12またはM13は、反応性を上げるために水素またはメチルである。さらに好ましいM11は、メチルであり、さらに好ましいM12またはM13は、水素である。
は、炭素数1から10のアルキル、炭素数1から9のアルコキシ、または炭素数2から9のアルコキシアルキルであり、このRにおいて、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよいが、好ましくは、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
特に好ましいP11、P12またはP13は、−OCO−CH=CH、−OCO−C(CH)=CH、−OCO−C(F)=CHまたは−OCO−C(CHCOCH)=CHである。
式(16α)において、
Sp11、Sp12およびSp13は、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp11、Sp12およびSp13において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。
uは、0、1または2である。
f、gおよびhは、独立して、0、1、2、3または4であり、f、gおよびhの和は、2以上である。
式(16α)で表される化合物の中で好ましい化合物として、化合物(16α−A)が挙げられる。
化合物(16α−A)は、式(16α)で表される化合物のうち、以下の条件を満たすものである。
uは、0または1である。
uが0のとき、
環Fおよび環Iは、シクロヘキシルであり、この環Fおよび環Iにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。
22は、単結合である。
uが1のとき、
環Fおよび環Iは、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、テトラヒドロピラン−3−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、1,3−ジオキサン−3−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリジン−2−イル、またはピリジン−3−イルである。
環Gは、1,4−シクロヘキシレンである。
この環F、環Gおよび環Iにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。
22およびZ23は、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このZ22およびZ23において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよいが、Z22とZ23の少なくとも一方は、単結合である。
1−2.化合物(1−A)、化合物(1−B)および化合物(16α)の態様
1−2−1.化合物(1−A)、化合物(1−B)の態様
化合物(1−A)は、ラジカル重合性の重合性基を有する。化合物(1−A)は、紫外線照射により系内にラジカルが生じると、重合性基が反応し、重合体となる。また、前記のように、α−アルコキシアルキルアクリレート構造は、基板表面と非共有結合的に相互作用する傾向があるので有用である。α−フルオロアクリレート構造は、液晶性化合物との相溶性がよい傾向があるので有用である。用途の一つは、液晶素子に使われる液晶組成物用の水平配向制御剤である。化合物(1−A)は液晶性化合物を水平配向させる重合体形成の目的で添加される。このような化合物は、液晶組成物への高い溶解度を有し、素子に密閉された条件下では化学的に安定であることが好ましい。化合物(1−A)は、このような特性をかなりの程度で充足する。
化合物(1−B)は、ラジカル重合性の重合性基を有する。化合物(1−B)は、紫外線照射により系内にラジカルが生じると、重合性基が反応し、重合体となる。また、前記のように少なくとも1つの極性基を分子構造の片末端に有することで、基板表面と非共有結合的に相互作用する傾向があり、垂直配向制御に寄与するので有用である。好ましい極性基としては、水酸基、アルコキシ等が挙げられる。垂直配向性の寄与を大きくするには、2つ以上の極性基を有するほうが好ましい。用途の一つは、液晶素子に使われる液晶組成物用の垂直配向制御剤である。化合物(1−B)は液晶性化合物を垂直配向させる重合体形成の目的で添加される。このような化合物は、液晶組成物への高い溶解度を有し、素子に密閉された条件下では化学的に安定であることが好ましい。化合物(1−B)は、このような特性をかなりの程度で充足する。
化合物(1−A)の好ましい例について説明をする。好ましい化合物(1−A)は、下記のように、化合物(1−A−1)から化合物(1−A−73)である。下記化合物におけるn1およびm1は、独立して、2から8の整数であり、好ましくは、2から6であり、より好ましくは、2から4である。R10は、独立して、水素、メチル、フッ素またはトリフルオロメチルであり、好ましくは、水素、メチルまたはフッ素である。また、化合物(1−A)は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
化合物(1−B)の好ましい例について説明をする。好ましい化合物(1−B)は、下記のような化合物である。
下記式において、R100は、炭素数1から10のアルキルである。Z100、Z120、およびZ130は、独立して、単結合、−(CH−、または−(CH−である。Sp200、Sp300、およびSp400は、独立して、単結合または炭素数1から5のアルキレンであり、このSp200、Sp300、およびSp400において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよい。L、L、L、L、L、L、L、L、L、L10、L11、およびL12は独立して、水素、フッ素、メチル、またはエチルである。lは、0、1、2、3、4、5、または6である。また、化合物(1−B)は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
1−2−2.化合物(16α)および化合物(16α−A)の態様
化合物(16α)および化合物(16α−A)は、化合物(1−A)および化合物(1−B)とは異なる中心骨格の構造を有することを特徴とする。
化合物(16α)は、紫外線照射によりラジカルが生じやすく、反応性(重合性)を上げるのに有用である。反応性を上げることで、紫外線照射後に残存するモノマー成分を低減することができるようになるため、素子の電気的信頼性が向上する。
化合物(16α−A)は、ビシクロヘキシル構造と重合性基とを有することを特徴とする。この化合物は、紫外線照射により系内にラジカルが生じると、重合性基が反応し、重合体となる。また、α−ヒドロキシメチルアクリレートやα−メトキシメチルアクリレートを有する化合物は、基板表面と非共有結合的に相互作用する傾向があるので有用である。この化合物は重合体の電気的抵抗を上げる目的で添加してもよい。この化合物は、液晶組成物への高い溶解度を有し、素子に密閉された条件下では化学的に安定であり、そして液晶素子に用いた場合の電圧保持率が大きいことが好ましい。この化合物は、このような特性をかなりの程度で充足する。
化合物(16α)の好ましい例について説明をする。好ましい化合物(16α)は、下記のように、化合物(16α−1)から化合物(16α−29)である。化合物(16α)は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
式(16α−1)から式(16α−29)において、
11、P12およびP13は、独立して、式(P−1)から式(P−3)および式(P−6)で表される重合性基の群から選択される基であり、ここでM11、M12およびM13は、独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。また、Rは、炭素数1から10のアルキル、炭素数1から9のアルコキシ、または炭素数2から9のアルコキシアルキルであり、このRにおいて、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよいが、好ましくは、少なくとも1つの水素は、
フッ素で置き換えられてもよい。
Sp11、Sp12およびSp13は、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp11、Sp12およびSp13において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。
化合物(16α−A)の好ましい例について説明をする。好ましい化合物(16α−A)は、下記のように、化合物(16α−A−1)から化合物(16α−A−13)である。下記化合物におけるM11は、独立して、水素、メチルまたはフッ素である。化合物(16α−A)は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
式(2)から(21)において、液晶組成物の成分である液晶性化合物が示されている。化合物(2)から(4)は小さな誘電率異方性を有する。化合物(5)から(7)は、正に大きな誘電率異方性を有する。化合物(8)はシアノ基を有するので正により大きな誘電率異方性を有する。化合物(9)から(21)は、負に大きな誘電率異方性を有する。これらの化合物の具体的な例は、あとで述べる。
2.化合物(1−A)、化合物(1−B)、および化合物(16α)の合成
2−1.化合物(1−A)の合成
化合物(1−A)の合成法について説明する。化合物(1−A−1)から化合物(1−A−41)は、国際公開第2017/047177号に記載された方法などに準拠して合成する。
化合物(1−A−42)から化合物(1−A−73)の合成法について説明する。これらの化合物は、国際公開第1995/022586号、特開2005−206579号公報、国際公開第2006/049111号、Macromolecules, 26, 1244-1247 (1993)、特開2003−238491号公報、国際公開第2010/133278号、特開2000−178233号公報、特開2012−1623号公報、特開2011−227187号公報に記載された方法に準拠して合成する。
α−フルオロアクリレートを有する化合物は、特開2005−112850号公報に記載の方法に準拠して合成する。α−トリフルオロメチルアクリレートを有する配向制御層形成モノマーは、特開2004−175728号公報に記載の方法に準拠して合成する。分子内に芳香族エステル部位とトラン部位を有する化合物は、国際公開第2001/053248号に準拠して合成する。分子内に芳香族エステル部位とシンナメート構造を有する化合物は、国際公開第2017/102068号に準拠して合成する。
化合物(1−B)は、国際公開第2017/209161号に準拠して合成する。
2−2.化合物(16α)の合成
化合物(16α−A−1)から化合物(16α−A−13)の合成法について説明する。これらの化合物は、国際公開第2008/061606号に記載された方法などに準拠して合成する。
合成法を記載しなかった化合物は、公知の有機合成化学の方法を適切に組み合わせることにより合成できる。「オーガニック・シンセシス」(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、「オーガニック・リアクションズ」(Organic Reactions, John Wiley &Sons, Inc)、「コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス」(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、「新実験化学講座」(丸善)などの成書を参照してもよい。
3.液晶組成物
3−1.配向制御層形成モノマー(成分A)
液晶組成物は、配向制御層形成モノマーとして、水平配向制御層形成モノマーと垂直配向制御層形成モノマーを成分Aとして含み、下に示す成分B、C、D、およびEから選択された液晶性化合物をさらに含むことが好ましい。
液晶組成物は、配向制御層形成モノマーとして、芳香族エステル部位を有する重合性化合物である第一添加物として化合物(1−A)を、少なくとも1つの極性基を有する重合性化合物である第二添加物として化合物(1−B)を含有する。化合物(1−A)および化合物(1−B)は、系内で発生したラジカルにより反応が開始する重合性基を有する。化合物(1−A)および化合物(1−B)の例は、前記の通りである。化合物(1−A)および化合物(1−B)は、配向制御層形成モノマーとして重合することにより、配向制御能を有する重合体として寄与する。
配向制御層形成モノマーの割合は、紫外線照射前の液晶性化合物を基板に対して垂直配向させ、紫外線照射後に、液晶性化合物を基板に対して水平配向させるには、以下の範囲であることが好ましい。
水平配向制御層形成モノマーの割合は、液晶性化合物の全重量(100質量部)に対して、0.01重量部から5.0重量部の範囲であり、好ましくは0.3重量部から5.0重量部の範囲であり、より好ましくは0.5重量部から3.0重量部の範囲であり、さらに好ましくは0.8重量部から1.5重量部の範囲である。
垂直配向制御層形成モノマーの割合は、液晶性化合物の全重量(100質量部)に対して、0.01重量部から3.0重量部の範囲であり、好ましくは0.05重量部から1.0重量部の範囲であり、より好ましくは0.08重量部から0.6重量部の範囲であり、さらに好ましくは0.16重量部から0.3重量部の範囲である。
また、水平配向制御層形成モノマーと垂直配向制御層形成モノマーの重量比(水平配向制御層形成モノマー/垂直配向制御層形成モノマー)は、約3/1から約7/1の範囲が好ましく、約4/1から約6/1の範囲がより好ましい。
液晶組成物は、第三添加物としての化合物(16α)を含有してもよい。第三添加物としては、前記の通り、化合物(16α)および化合物(16α−A)が挙げられる。
化合物(16α)の好ましい割合は、反応性を上げることで、紫外線照射後に残存するモノマー成分の低減を促進させるため、液晶性化合物の全重量に対して、好ましくは0.03重量部から5.0重量部の範囲であり、より好ましくは0.05重量部から3.0重量部の範囲であり、さらに好ましくは0.08重量部から1.5重量部の範囲である。
配向制御層形成モノマー(化合物(1−A)および化合物(1−B))の総量に対する、化合物(16α)あるいは化合物(16α−A)の重量比(配向制御層形成モノマーの総量/化合物(16α)あるいは化合物(16α−A))は、配向制御層の高抵抗化のために約1/9以上であり、紫外線に対して高い反応性を得るために約9/1以下である。さらに好ましい重量比は、約4/1から約1/2の範囲である。最も好ましい重量比は、約2/1から約1/2の範囲である。
3−2.液晶性化合物(成分Bから成分E)
成分Bは、化合物(2)から(4)である。成分Cは、化合物(5)から(7)である。成分Dは、化合物(8)である。成分Eは、化合物(9)から(21)である。この組成物は、化合物(2)から(21)とは異なる、その他の液晶性化合物を含んでもよい。この組成物を調製するときには、正または負の誘電率異方性の大きさなどを考慮して成分B、C、D、およびEを選択することが好ましい。成分を適切に選択した組成物は、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性(すなわち、大きな光学異方性または小さな光学異方性)、正または負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、熱または紫外線に対する安定性、および適切な弾性定数(すなわち、大きな弾性定数または小さな弾性定数)を有する。
成分Bは、2つの末端基がアルキルなどである化合物(2)から(4)である。成分Bの好ましい例として、化合物(2−1)から(2−11)、化合物(3−1)から(3−19)、および化合物(4−1)から(4−7)を挙げることができる。成分Bの化合物において、R11およびR12は、独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR11およびR12において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
成分Bは、誘電率異方性の絶対値が小さいので、中性に近い化合物である。化合物(2)は、主として粘度の減少または光学異方性の調整に効果がある。化合物(3)および(4)は、上限温度を高くすることによってネマチック相の温度範囲を広げる効果、または光学異方性の調整に効果がある。
成分Bの含有量を増加させるにつれて組成物の誘電率異方性が小さくなるが粘度は小さくなる。そこで、素子のしきい値電圧の要求値を満たす限り、含有量は多いほうが好ましい。IPS、VAなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分Bの含有量は、液晶組成物の重量に基づいて、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。
成分Cは、右末端にフッ素、塩素、またはフッ素含有基を有する化合物(5)から(7)である。成分Cの好ましい例として、化合物(5−1)から(5−16)、化合物(6−1)から(6−113)、および化合物(7−1)から(7−61)を挙げることができる。成分Cの化合物において、R13は、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR13において、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、X11は、フッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHFまたは−OCFCHFCFである。
成分Cは、誘電率異方性が正であり、熱、光などに対する安定性が非常に優れているので、IPS、FFS、OCBなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。成分Cの含有量は、液晶組成物の重量に基づいて1重量%から99重量%の範囲が適しており、好ましくは10重量%から97重量%の範囲であり、さらに好ましくは40重量%から95重量%の範囲である。成分Cを誘電率異方性が負である組成物に添加する場合、成分Cの含有量は液晶組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。成分Cを添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
成分Dは、右末端基が−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nである化合物(8)である。成分Dの好ましい例として、化合物(8−1)から(8−64)を挙げることができる。成分Dの化合物において、R14は、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR14において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく、X12は、−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nである。
成分Dは、誘電率異方性が正であり、その値が大きいので、TNなどのモード用の組成物を調製する場合に主として用いられる。この成分Dを添加することにより、組成物の誘電率異方性を大きくすることができる。成分Dは、液晶相の温度範囲を広げる、粘度を調整する、または光学異方性を調整する、という効果がある。成分Dは、素子の電圧−透過率曲線の調整にも有用である。
TNなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分Dの含有量は、液晶組成物の重量に基づいて1重量%から99重量%の範囲が適しており、好ましくは10重量%から97重量%の範囲、さらに好ましくは40重量%から95重量%の範囲である。成分Dを誘電率異方性が負である組成物に添加する場合、成分Dの含有量は液晶組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。成分Dを添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
成分Eは、化合物(9)から(21)である。これらの化合物は、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンのように、ラテラル位が2つのフッ素または塩素で置換されたフェニレンなどを有する。成分Eの好ましい例として、化合物(9−1)から(9−9)、化合物(10−1)から(10−19)、化合物(11−1)から(11−2)、化合物(12−1)から(12−3)、化合物(13−1)から(13−11)、化合物(14−1)から(14−3)、化合物(15−1)から(15−3)、および化合物(16)から(21)を挙げることができる。成分Eの化合物において、R15およびR16は、独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR15およびR16において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく、R17は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、または炭素数2から10のアルケニルであり、このR17において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
成分Eは、誘電率異方性が負に大きい。成分Eは、IPS、VA、PSAなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。成分Eの含有量を増加させるにつれて組成物の誘電率異方性が負に大きくなるが、粘度が大きくなる。そこで、素子のしきい値電圧の要求値を満たす限り、含有量は少ないほうが好ましい。誘電率異方性が−5程度であることを考慮すると、充分な電圧駆動をさせるには、含有量が40重量%以上であることが好ましい。
成分Eのうち、化合物(9)は、二環化合物であるので、主として、粘度の減少、光学異方性の調整、または誘電率異方性の増加に効果がある。化合物(10)および(11)は、三環化合物であるので、上限温度を高くする、光学異方性を大きくする、または誘電率異方性を大きくするという効果がある。化合物(12)から(21)は、誘電率異方性を大きくするという効果がある。
IPS、VA、PSAなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分Eの含有量は、液晶組成物の重量に基づいて、好ましくは40重量%以上であり、さらに好ましくは50重量%から95重量%の範囲である。成分Eを誘電率異方性が正である組成物に添加する場合は、成分Eの含有量が液晶組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。成分Eを添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
以上に述べた成分B、C、D、およびEを適切に組み合わせることによって、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、正または負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などの特性の少なくとも1つを充足する液晶組成物を調製することができる。必要に応じて、成分B、C、D、およびEとは異なる液晶性化合物を添加してもよい。
本発明の液晶組成物に用いられる配向制御層形成モノマーとしての重合性化合物は、液晶組成物中に重合体を生成させる目的で添加される。化合物(1−A)および化合物(1−B)は、単独あるいは2種以上の組み合わせで用いてもよい。また、化合物(16α)および化合物(16α−A)は、単独あるいは2種以上の組み合わせで用いてもよい。配向制御層形成モノマーと化合物(16α)および化合物(16α−A)のいずれかから共重合体を形成させてもよい。共重合体を形成する場合、配向制御層形成モノマーは、化合物(16α)および化合物(16α−A)のいずれかと共有結合で固定化され、配向制御層形成モノマーは、重合性基や中心構造が基板表面と非共有結合的に相互作用した状態でも固定化される。このような共重合により、液晶分子の配向する能力がさらに向上すると同時に、配向制御層形成モノマー、化合物(16α)および化合物(16α−A)が液晶組成物中に拡散するのを防ぐ。配向制御層形成モノマー、化合物(16α)および化合物(16α−A)は重合によって重合体を与え、化合物(16α−A)により高抵抗化すると考えられる。この重合体は配列されているので、基板表面においては、液晶性化合物に適切なプレチルトを付与できる。この重合体は、液晶分子の配向を安定化するので、素子の応答時間を短縮し、そしてスイッチング時の焼き付き(残像)を改善する。化合物(16α)の好ましい例は、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、α−フルオロアクリレート化合物、α−メトキシメチルアクリレート化合物、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル化合物、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、およびビニルケトン化合物である。さらに好ましい例は、少なくとも1つのアクリロイルオキシを有する化合物、少なくとも1つのメタクリロイルオキシを有する化合物、少なくとも1つのα−フルオロアクリロイルオキシを有する化合物、および少なくとも1つのα−メトキシメチルアクリロイルオキシを有する化合物である。さらに好ましい例には、アクリロイルオキシとメタクリロイルオキシの両方を有する化合物、メタクリロイルオキシとα−フルオロアクリロイルオキシの両方を有する化合物、メタクリロイルオキシとα−メトキシメチルアクリロイルオキシを有する化合物、アクリロイルオキシとα−メトキシメチルアクリロイルオキシの両方を有する化合物、およびアクリロイルオキシとα−フルオロアクリロイルオキシの両方を有する化合物も含まれる。
3−3.その他の添加物
液晶組成物は公知の方法によって調製される。例えば、成分化合物を混合し、そして加熱によって互いに溶解させる。用途に応じて、この組成物に配向制御層形成モノマー以外のその他の添加物を添加してもよい。添加物の例は、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤などである。このような添加物は当業者によく知られており、文献に記載されている。
重合開始剤を添加することによって、重合性化合物を速やかに重合させることができる。反応温度を最適化することによって、残存する重合性化合物の量を減少させることができる。光ラジカル重合開始剤の例は、IGM Resins社のOmniradシリーズからTPO、127、1173、2022、2100、4265、184、369、379、500、651、754、819、907、BP、LR8953X、および2959である。
光ラジカル重合開始剤の追加例は、4−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(4−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、およびベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物である。
液晶組成物に光ラジカル重合開始剤を添加したあと、紫外線を照射することによって重合を行うことができる。しかし、未反応の重合開始剤または重合開始剤の分解生成物は、素子に焼き付きなどの動作不良を引き起こすかもしれない。これを防ぐために重合開始剤を添加しないまま光重合を行ってもよい。照射する光の好ましい波長は、150nmから500nmの範囲である。さらに好ましい波長は、250nmから450nmの範囲であり、最も好ましい波長は、300nmから400nmの範囲である。
重合性化合物を保管するとき、重合を防止するために重合禁止剤を添加してもよい。重合性化合物は、通常は重合禁止剤を除去しないまま組成物に添加される。重合禁止剤の例は、ヒドロキノン、メチルヒドロキノンのようなヒドロキノン誘導体、4−t−ブチルカテコール、4−メトキシフェノ−ル、およびフェノチアジンなどである。
光学活性化合物は、液晶分子にらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与えることによって逆ねじれを防ぐ、という効果を有する。光学活性化合物を添加することによって、らせんピッチを調整することができる。らせんピッチの温度依存性を調整する目的で2つ以上の光学活性化合物を添加してもよい。光学活性化合物の好ましい例として、下記の化合物(Op−1)から(Op−18)を挙げることができる。化合物(Op−18)において、環Jは、1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、R28は、炭素数1から10のアルキルである。
酸化防止剤は、大きな電圧保持率を維持するために有効である。酸化防止剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−1)から(AO−3);IRGANOX 415、IRGANOX 565、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 3114、およびIRGANOX 1098(商品名:BASF社)を挙げることができる。紫外線吸収剤は、上限温度の低下を防ぐために有効である。紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。具体例として下記の化合物(AO−4)および(AO−5);TINUVIN 329、TINUVIN P、TINUVIN 326、TINUVIN 234、TINUVIN 213、TINUVIN 400、TINUVIN 328、およびTINUVIN 99−2(商品名:BASF社);および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を挙げることができる。
立体障害のあるアミンのような光安定剤は、大きな電圧保持率を維持するために好ましい。光安定剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−6)および(AO−7);TINUVIN 144、TINUVIN 765、およびTINUVIN 770DF(商品名:BASF社)を挙げることができる。また、光安定剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−8)から化合物(AO−23)を挙げることができる。熱安定剤も大きな電圧保持率を維持するために有効であり、好ましい例としてIRGAFOS 168(商品名:BASF社)を挙げることができる。消泡剤は、泡立ちを防ぐために有効である。消泡剤の好ましい例は、ジメチルシリコーンオイル、およびメチルフェニルシリコーンオイルなどである。
化合物(AO−1)において、R40は、炭素数1から20のアルキル、炭素数1から20のアルコキシ、−COOR41、または−(CH−COOR41であり、ここでR41は、炭素数1から20のアルキルである。化合物(AO−2)から(AO−6)において、R42は、炭素数1から20のアルキルであり、R43は、水素、メチル、またはO(酸素ラジカル)であり、環Kは、1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、zは、1、2または3である。
4.液晶素子
上記の液晶組成物は、PC、TN、STN、OCB、またはPSAなどの動作モードを有し、アクティブマトリックス方式で駆動する液晶素子に使用できる。この組成物は、PC、TN、STN、OCB、VA、IPS、FFSまたはVA−IPSなどの動作モードを有し、パッシブマトリクス方式で駆動する液晶素子にも使用することができる。これらの素子は、反射型、透過型、および半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。
この組成物は、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子、液晶中に三次元網目状高分子を形成して作製したポリマー分散型液晶素子(PDLCD)、そしてポリマーネットワーク液晶素子(PNLCD)にも使用できる。また、この組成物を用いて、PSAモードの液晶素子が作製される。PSAモードの素子は、アクティブマトリックス、およびパッシブマトリクスのような駆動方式で駆動させることができる。このような素子は、反射型、透過型、および半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。重合性化合物の添加量を増やすことによって、高分子分散(polymer dispersed)モードの素子も作製することができる。
配向膜は、液晶分子を一定方向に配列させるための膜である。一般にはポリイミドの薄膜が用いられる。本発明の液晶素子では、このような配向膜を、片側の基板側に事前に形成した状態で有していてもよい。もう一方の基板上および事前に形成された配向膜上に配向制御層を形成するために、配向制御層形成モノマーとして化合物(1−A)および化合物(1−B)などを含有する組成物が用いられる。化合物(1−A)および化合物(1−B)が重合によって重合体を与える。この重合体は、配向膜の機能を有するので、配向膜の代わりに用いることができる。
本発明における素子を製造する方法の一例は、次のとおりである。アレイ基板と対向基板と呼ばれる2つの基板を有する素子を用意する。第一の基板上に、第一の電極と、第一の電極と同一の基板上に設けられ、この第一の電極との間に電界を生じさせる第二の電極が設けられる。第一の電極と第二の電極は、櫛歯状電極である。さらに、第二の基板上に第三の電極(対向電極)が設けられる。ここでは、液晶層を配向させる配向膜は事前に形成されていなくてもよい。ポリイミドなどの配向膜を事前に形成する場合、ラビング処理や偏光紫外線による光配向処理が行われていることが好ましい。適用できるポリイミド系の配向膜は、プレチルト角が0度以上5度以下、好ましくは0度以上3度以下となることが好ましい。光配向処理を行う場合は、光異性化型、あるいは光分解型のポリイミドを用いることが好ましい。このような光配向膜としては、具体的には、国際公開2011/115078号、国際公開2011/115079号、国際公開2013/161569号、特開2016−080985号公報、特開2016−224415号公報、特開2018−106096号公報、国際公開2013/161569号などに開示されている。
次に、電極が形成された面が内側になるように対向させ、スペーサを介してセルギャップを調整し、両基板を貼りあわせて素子とする。得られる液晶層の厚みが1μmから100μmとなるように調整するのが好ましい。好ましくは1.5μmから10μmである。次に、上記の化合物(1−A)および化合物(1−B)を含む液晶組成物を素子に注入する。なお、この液晶組成物には、必要に応じて添加物をさらに添加してもよい。この素子を、液晶組成物のネマチック相から等方相への転移温度(TNI)以上に加熱し、液晶組成物を等方相状態に変化させた状態で、フォトマスク等を介して部分的に偏光紫外線照射を行う。この偏光紫外線照射を「第一の紫外線照射」ということがある。ここでの偏光紫外線は、事前に形成されていてもよい配向膜になされたラビング処理や光配向処理で規定される液晶の配向方向を打ち消さない偏光方向に規定するのが好ましい。偏光紫外線が照射された第一領域の液晶性化合物の配向は水平配向となり、偏光紫外線が照射されなかった第二領域の液晶性化合物の配向は垂直配向である。
次に、液晶層を20℃以上TNI未満の温度範囲に保持して、非偏光紫外線照射を行ってもよい。この非偏光紫外線照射を「第二の紫外線照射」ということがある。第二の紫外線照射を行うことによって、「第一の紫外線照射」が未照射の領域において、その領域内に残存している重合性化合物や、未反応の重合性基を完全に消費できる場合がある。ここでは、第一の紫外線照射である偏光紫外線照射により配向制御層がほぼ形成されているので、後述のように、第二の紫外線照射は、非偏光状態でも液晶配向の均一性は維持される。このような紫外線照射によって、液晶分子の配向が、均一な水平配向と、均一な垂直配向にパターニングされた配向制御層が生成し、目的の素子が作製される。
この手順において、液晶層を液晶組成物の等方相への転移温度(TNI)以上の温度範囲に保持し、例えば波長280nmから400nmの範囲にピークを有する偏光紫外線で照射すると、水平配向制御層形成モノマーである化合物(1−A)が芳香族エステル部位を有する場合、芳香族エステル部位が光分解し、ラジカルが形成され、光フリース転位する。光フリース転位において、芳香族エステル部位の光分解は偏光紫外線の偏光方向と芳香族エステル部位の長軸方向が同一方向であった場合に生じる。光分解後は再結合し、互変異性化により水酸基が分子内に生じる。この水酸基により、基板界面の相互作用が生じ、水平配向制御層形成モノマーが基板界面側に異方性を持って相互作用しやすくなると考えられる。水平配向制御層形成モノマーである化合物(1−A)がビニレン構造を有する場合、紫外光が照射されることにより、光二量化や光異性化を生じる。ビニレン基を有する水平配向制御層形成モノマーは、紫外光が照射されることでトランス体からシス体への光異性化や、二量化によるシクロブタン環の形成が生じ、異方性を形成し、水平配向制御層形成モノマーが基板界面側に相互作用すると考えられる。
偏光紫外線が照射されなかった第二領域では、垂直配向制御層形成モノマーの寄与が、水平配向制御層形成モノマーの寄与よりも強く作用するため、上記の紫外線照射工程において、液晶性化合物の垂直配向を促進する。
偏光紫外線が照射された第一領域では、上記の紫外線照射工程において、水平配向制御層形成モノマーと垂直配向制御層形成モノマーの共重合が進行すると、水平配向制御層形成モノマーの寄与は、垂直配向制御層形成モノマーの寄与よりも大きくなる。そのため、基板に対して垂直配向状態であった液晶性化合物が、基板に対して水平配向状態へと変化すると考えられる。
上記の紫外線照射工程では、化合物(1−A)が重合性基を有しているため、重合により、重合体が基板界面側に固定化される。この重合体が、液晶分子を均一に配向させる配向制御層となる。化合物(16α)あるいは化合物(16α−A)を添加する場合、化合物(1−A)が重合する際、化合物(16α)あるいは化合物(16α−A)も共重合するので配向制御層に組み込まれる。
次に、第二の紫外線照射として、液晶層を20℃以上TNI未満の温度範囲に保持し、例えば波長330nmから400nmにピークを有する非偏光紫外線を照射すると、配向制御層形成モノマーである化合物(1−A)が芳香族エステル部位を有する場合、配向制御層中に残存している芳香族エステル部位が光フリース転位する、あるいは、未反応の配向制御層形成モノマーおよび化合物(16α)あるいは化合物(16α−A)が配向制御層に沿って重合すると考えられる。ここでの光フリース転位は、第一の紫外線照射で方向付けられた重合体の内部で生じるため、配向制御層の異方性が高まる方向に転位反応が進行する傾向にあると考えられる。水平配向制御層形成モノマーである化合物(1−A)がビニレン構造を有する場合、水平配向制御層中に残存している未反応のビニレンが光二量化や光異性化する、あるいは、未反応の水平配向制御層形成モノマーおよび化合物(16α)あるいは化合物(16α−A)が配向制御層に沿って重合すると考えられる。ここでの光二量化や光異性化は、第一の紫外線照射で方向付けられた重合体の内部で生じるため、水平配向制御層の異方性が高まる方向に転位反応が進行する傾向にあると考えられる。
未反応の配向制御層形成モノマーおよび化合物(16α)あるいは化合物(16α−A)の追加重合も配向制御層の異方性付与に寄与すると考えられる。
偏光紫外線が照射されなかった第二領域では、水平配向制御層形成モノマーおよび垂直配向制御層形成モノマーが存在するが、第二の紫外線照射工程を、液晶層を20℃以上TNI未満の温度範囲に保持することで、垂直配向を維持しながら、重合を促進することができると考えられる。
次に、素子への紫外線照射について説明する。本発明では、一段階で紫外線照射を行う場合と、少なくとも二段階で紫外線を照射する場合がある。一段階で紫外線照射を行う場合には、第一の紫外線照射のみを行う。また、二段階で紫外線を照射する場合には、第一の紫外線照射、および第二の紫外線照射を行う。光源の例は、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、およびショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)である。光源の好ましい例は、メタルハライドランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプおよび高圧水銀ランプである。光源と液晶素子との間にフィルターなどを設置して特定の波長領域のみを通すことにより、照射光源の波長領域を選択してもよい。
第一の紫外線照射における液晶層の保持温度は、TNI以上の温度範囲である。好ましい液晶層の保持温度は、TNI以上TNI+15℃以下の温度範囲である。
第一の紫外線照射で照射する偏光紫外線は、波長約280nmから約400nmの範囲にピークを有する紫外線である。好ましい偏光紫外線は、波長約300nmから約400nmにピークを有し、照度が約2mW/cmから約300mW/cmの範囲で、約0.03J/cmから約30J/cmの露光量(照度(単位:mW/cm)と照射時間(単位:秒)の積)となる範囲である紫外線である。より好ましい偏光紫外線は、波長約300nmから約400nmにピークを有し、照度が約2mW/cmから約300mW/cmの範囲で、約0.03J/cmから約26J/cmの露光量となる範囲である紫外線である。特に好ましい偏光紫外線は、313nm付近、335nm付近および365nm付近にピークを有し、照度が約2mW/cmから約100mW/cmの範囲で、約0.03J/cmから約10J/cmの露光量となる範囲である紫外線である。この第一の紫外線照射によって大部分の重合性化合物が重合する。
第二の紫外線照射における液晶層の保持温度は、20℃以上TNI未満の温度範囲である。好ましい液晶層の保持温度は、20℃以上45℃以下の温度範囲である。
第二の紫外線照射で照射する非偏光紫外線は、波長約330nmから約400nmにピークを有する紫外線である。好ましい非偏光紫外線は、波長約330nmから約400nmにピークを有し、照度が約1mW/cmから約50mW/cmの範囲で、約1J/cmから約10J/cmの露光量となる範囲である紫外線である。より好ましい非偏光紫外線は、照度が約1mW/cmから約50mW/cmの範囲で、約1J/cmから約10J/cmの露光量となる範囲である紫外線である。特に好ましい非偏光紫外線は、335nm付近および365nm付近にピークを有し、照度が約1mW/cmから約50mW/cmの範囲で、約1J/cmから約10J/cmの露光量となる範囲である紫外線である。この第二の紫外線照射によって、追加のフリース転位、光二量化あるいは光異性化を生じさせることができる。また、未反応の配向制御層形成モノマーおよび化合物(16α)あるいは化合物(16α−A)を重合体に変換することができる。このような追加重合を行う場合、未反応物は極めて少なくなる。したがって、電圧保持率の大きな素子が得られることが期待される。
本発明の液晶素子において、偏光紫外線が照射された第一領域は、電圧無印加時に、配向制御層の作用によって、液晶性化合物は基板面に対して略水平配向する。液晶性化合物と基板との角度(すなわちプレチルト角)は、0度以上5度以下である。好ましくは0度以上3度以下である。
一方で、偏光紫外線が照射されなかった第二領域は、電圧無印加時に、垂直配向制御層の作用によって、液晶性化合物は基板面に対して略垂直配向する。液晶性化合物と基板との角度(すなわちプレチルト角)は、90度±10度であり、好ましくは、90度±5度であり、より好ましくは90度±3度である。
このような水平配向と垂直配向がパターニングされた液晶素子を偏光板と組み合わせることにより、液晶素子への印加電圧制御の故障時におけるフェールセーフ機能が発現する、配光パターンを形成可能な液晶素子を達成できる。
5.車両用前照灯装置
本発明の液晶素子は、液晶素子への印加電圧制御の故障時におけるフェールセーフ機能が発現する、配光パターンを形成可能な国際公開2019/069672号に開示された液晶パネルと置き換えることができる。
誘電率異方性が正である液晶組成物を、本発明の素子に封入し、上記の露光処理を行った素子について説明する。
本発明の液晶素子を用いた車両用前照灯装置では、ロービーム用とハイビーム用に印加電圧を分離する。ロービーム用には、本発明の光学素子における、第一領域(水平配向制御領域)を用い、ハイビーム用には第二領域(垂直配向制御領域)を用いる。また、通電時に液晶性化合物は水平配向となるが、このときに、光透過強度が極大の状態となるように偏光板の吸収軸を設定する。第一の基板上には櫛歯状の電極を形成(IPS方式、FFS方式)し、第二の基板上には対向電極が形成されていてもよい。
このような場合、第一領域が光透過状態であれば、ロービームの光が透過し、第二領域が光透過状態であれば、ハイビームの光が透過する。このときは、前照灯の全体から、光が発せられる「全灯状態」となる。また、第一領域が光透過状態であり、かつ、第二領域が光遮断状態であれば、ロービームの光のみが透過する。このときは、前照灯のロービーム側のみから、光が発せられる「ロービーム状態」となる。
液晶素子の第一領域への印加電圧がOFFの場合、第一領域では、液晶性化合物は水平配向に制御されており、光透過状態となる。
一方、液晶素子の第二領域への印加電圧がOFFの場合、第二領域では、液晶性化合物は垂直配向に制御されており、光遮断状態となる。
そして、液晶素子の第一領域および第二領域への印加電圧をONにした場合、第一領域では、水平配向に制御された液晶性化合物は、第一の基板面内で生じる電気力線に沿って初期配向の設定軸から回転することで、より光が透過しやすくなり、光透過強度が極大の状態となる。つまり、第一領域への印加電圧を大きくすることで、ロービームの光の光透過強度を高められる。一方、第二領域では、垂直配向に制御された液晶性化合物は、第一の基板面内で生じる電気力線に沿って垂直配向から水平配向になり、第一領域の液晶性化合物と同一の配向方向に揃い、光透過強度が極大の状態となる。つまり、第二領域への印加電圧をONとすることで、ハイビームの光を光透過状態とできる。このとき、前照灯からの光は、「全灯状態」となる。
なお、車両用前照灯装置の印加電圧制御が故障し、液晶素子への印加電圧が常時OFFになった場合、第二領域では、液晶性化合物は垂直配向に戻るため、光は遮断される。つまり、車両用前照灯装置の印加電圧制御が故障した場合には、前照灯からの光は、「ロービーム状態」となり、グレア光の発生を抑制できる(フェールセーフ)。
誘電率異方性が負である液晶組成物を用いる場合は、垂直配向制御領域の対向基板に第三の電極を形成し、いわゆるVA−IPS方式のセル構造にするとよい。なお、この場合、第一の基板上には櫛歯状の電極を形成(IPS方式、FFS方式)する。
ロービーム用には、本発明の光学素子における、第一領域(水平配向制御領域)を用い、ハイビーム用には第二領域(垂直配向制御領域)を用いる。また、通電時に液晶性化合物は水平配向となるが、このときに、光透過強度が極大の状態となるように偏光板の吸収軸を設定する。
このような場合において、液晶素子の第一領域および第二領域への印加電圧をONにした場合、第一領域では、水平配向に制御された液晶性化合物は、初期配向の設定軸から回転することで、より光が透過しやすくなり、光透過強度が極大の状態となる。一方、第二領域では、垂直配向に制御された液晶性化合物は、第一の基板と第二の基板との間で生じる電気力線に直交するように、垂直配向から水平配向になり、第一領域の液晶性化合物と同一の配向方向に揃わせることで、光透過状態となる。
このような場合でも、車両用前照灯装置の印加電圧制御が故障した場合には、第二領域では、液晶性化合物は垂直配向に戻るため、光は遮断され、前照灯からの光は、「ロービーム状態」となり、グレア光の発生を抑制できる(フェールセーフ)。
実施例(合成例、使用例を含む)により、本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例によっては制限されない。本発明は、使用例の組成物の少なくとも2つを混合することによって調製した混合物をも含む。
特に記載のないかぎり、反応は窒素雰囲気下で行った。化合物(1−A)、化合物(1−B)および化合物(16α)あるいは化合物(16α−A)は、合成例などに示した手順により合成した。合成した化合物は、NMR分析などの方法により同定した。特性は、下記の方法により測定した。
NMR分析:測定には、ブルカーバイオスピン社製のDRX−500を用いた。H−NMRの測定では、試料をCDClなどの重水素化溶媒に溶解させ、測定は、室温で、500MHz、積算回数16回の条件で行った。テトラメチルシランを内部標準として用いた。19F−NMRの測定では、CFClを内部標準として用い、積算回数24回で行った。核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sexはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードであることを意味する。
ガスクロマト分析:測定には、島津製作所製のGC−2010型ガスクロマトグラフを用いた。カラムは、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いた。キャリアーガスとしてはヘリウム(1mL/分)を用いた。試料気化室の温度を300℃、検出器(FID)部分の温度を300℃に設定した。試料はアセトンに溶解して、1重量%の溶液となるように調製し、得られた溶液1μLを試料気化室に注入した。記録計には島津製作所製のGCSolutionシステムなどを用いた。
HPLC分析:測定には、島津製作所製のProminence(LC−20AD;SPD−20A)を用いた。カラムはワイエムシー製のYMC−Pack ODS−A(長さ150mm、内径4.6mm、粒子径5μm)を用いた。溶出液はアセトニトリルと水を適宜混合して用いた。検出器としてはUV検出器、RI検出器、CORONA検出器などを適宜用いた。UV検出器を用いた場合、検出波長は254nmとした。試料はアセトニトリルに溶解して、0.1重量%の溶液となるように調製し、この溶液1μLを試料室に導入した。記録計としては島津製作所製のC−R7Aplusを用いた。
測定試料:相構造および転移温度(透明点、融点、重合開始温度など)を測定するときには、化合物そのもの、または、組成物を試料として用いた。
測定方法:特性の測定は下記の方法で行った。これらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA;Japan Electronics and Information Technology Industries Association)で審議制定されるJEITA規格(JEITA・ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法であった。測定に用いたTN素子には、薄膜トランジスター(TFT)を取り付けなかった。
(1)相構造
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に試料を置いた。この試料を、3℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、相の種類を特定した。
(2)転移温度(℃)
測定には、パーキンエルマー社製の走査熱量計、Diamond DSCシステムまたはエスエスアイ・ナノテクノロジー社製の高感度示差走査熱量計、X−DSC7000を用いた。試料は、3℃/分の速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピークまたは発熱ピークの開始点を外挿により求め、転移温度を決定した。化合物の融点、重合開始温度もこの装置を使って測定した。化合物が固体からスメクチック相、ネマチック相などの液晶相に転移する温度を「液晶相の下限温度」と略すことがある。化合物が液晶相から液体に転移する温度を「透明点」と略すことがある。
結晶はCと表した。結晶の種類の区別がつく場合は、それぞれをC、Cのように表した。スメクチック相はS、ネマチック相はNと表した。スメクチック相の中で、スメクチックA相、スメクチックB相、スメクチックC相、またはスメクチックF相の区別がつく場合は、それぞれS、S、S、またはSと表した。液体(アイソトロピック)はIと表した。転移温度は、例えば、「C 50.0 N 100.0 I」のように表記した。これは、結晶からネマチック相への転移温度が50.0℃であり、ネマチック相から液体への転移温度が100.0℃であることを示す。
(3)ネマチック相の上限温度(TNIまたはNI;℃)
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。試料が液晶性化合物と母液晶との混合物であるときは、TNIの記号で示した。試料が液晶性化合物と成分B、C、Dのような化合物との混合物であるときは、NIの記号で示した。
(4)ネマチック相の下限温度(T;℃)
ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、T<−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
(5)粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s)
測定には、東京計器株式会社製のE型回転粘度計を用いた。
(6)光学異方性(屈折率異方性;25℃で測定;Δn)
測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性(Δn)の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
(7)比抵抗(ρ;25℃で測定;Ωcm)
電極を備えた容器に試料1.0mLを注入した。この容器に直流電圧(10V)を印加し、10秒後の直流電流を測定した。比抵抗は次の式から算出した。(比抵抗)={(電圧)×(容器の電気容量)}/{(直流電流)×(真空の誘電率)}。
誘電率異方性が正の試料と負の試料とでは、特性の測定法が異なることがある。誘電率異方性が正であるときの測定法は、項(8a)から(12a)に記載した。誘電率異方性が負の場合は、項(8b)から(12b)に記載した。
(8a)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s)
正の誘電率異方性:測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。ツイスト角が0度であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。この素子に16Vから19.5Vの範囲で0.5V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM.Imaiらの論文、40頁の計算式(10)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。
(8b)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s)
負の誘電率異方性:測定は、東陽テクニカ株式会社の回転粘性率測定システムLCM−2型を用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が10μmのVA素子に試料を注入した。この素子に矩形波(55V、1ms)を印加した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値および誘電率異方性を用いて、回転粘度の値を得た。誘電率異方性は、測定(9b)に記載された方法で測定した。
(9a)誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
正の誘電率異方性:2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
(9b)誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
負の誘電率異方性:誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。誘電率(ε‖およびε⊥)は次のように測定した。
1)誘電率(ε‖)の測定:よく洗浄したガラス基板にオクタデシルトリエトキシシラン(0.16mL)のエタノール(20mL)溶液を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回転させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであるVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。
2)誘電率(ε⊥)の測定:よく洗浄したガラス基板にポリイミド溶液を塗布した。このガラス基板を焼成した後、得られた配向膜にラビング処理をした。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、ツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。
(10a)弾性定数(K;25℃で測定;pN)
正の誘電率異方性:測定には横河・ヒューレットパッカード株式会社製のHP4284A型LCRメータを用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである水平配向素子に試料を入れた。この素子に0Vから20Vの電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。測定した静電容量(C)と印加電圧(V)の値を「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.99)からK11およびK33の値を得た。次に171頁にある式(3.18)に、先ほど求めたK11およびK33の値を用いてK22を算出した。弾性定数Kは、このようにして求めたK11、K22およびK33の平均値で表した。
(10b)弾性定数(K11およびK33;25℃で測定;pN)
負の誘電率異方性:測定には株式会社東陽テクニカ製のEC−1型弾性定数測定器を用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである垂直配向素子に試料を入れた。この素子に20Vから0Vの電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。静電容量(C)と印加電圧(V)の値を、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.100)から弾性定数の値を得た。
(11a)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)
正の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が0.45/Δn(μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧で表した。
(11b)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)
負の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。
この素子に印加する電圧(60Hz、矩形波)は0Vから20Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が10%になったときの電圧で表した。
(12a)応答時間(τ;25℃で測定;ms)
正の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に矩形波(60Hz、5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。立ち上がり時間(τr:rise time;ミリ秒)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立ち下がり時間(τf:fall time;ミリ秒)は透過率10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立ち上がり時間と立ち下がり時間との和で表した。
(12b)応答時間(τ;25℃で測定;ms)
負の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が3.2μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のPVA素子に試料を入れた。この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子にしきい値電圧を若干超える程度の電圧を1分間印加し、次に5.6Vの電圧を印加しながら23.5mW/cmの紫外線を8分間照射した。この素子に矩形波(60Hz、10V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。応答時間は透過率90%から10%に変化するのに要した時間(立ち下がり時間;fall time;ミリ秒)で表した。
(13)電圧保持率
重合性化合物を重合させた素子に60℃でパルス電圧(1Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で500ミリ秒間測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率で表した。
(14)照度
紫外線照度の測定には、ウシオ電機株式会社製の紫外線照度計、UIT−250型(センサー:UVD−S313およびUVD−S365)を用いた。
(15−1)水平配向領域の均一性
水平配向制御層が形成された素子を偏光顕微鏡にセットして液晶の水平配向状態を観察した。偏光顕微鏡の偏光子と検光子は各々の透過軸が直交するように配置した。まず、液晶分子の配向方向と偏光顕微鏡の偏光子の透過軸が平行となるように、すなわち、液晶分子の配向方向と偏光顕微鏡の偏光子の透過軸がなす角度が0度となるように、素子を偏光顕微鏡の水平回転ステージ上に設置した。素子の下側、すなわち、偏光子側から光を照射し、検光子を透過する光の有無を観察した。検光子を透過する光が観察されなかった場合(黒状態)、配向は「良好」であると判定した。この黒状態における光透過強度の測定は横河電機株式会社製のマルチメディアディスプレイテスタ・3298を用いた。同様の観察において検光子を透過する光が観察された場合は、配向は「不良」であると判定した。次に、素子を偏光顕微鏡の水平回転ステージ上で回転させ、偏光顕微鏡の偏光子の透過軸と液晶分子の配向方向がなす角度を0度から変化させた。検光子を透過する光の強度は、偏光顕微鏡の偏光子の透過軸と液晶分子の配向方向がなす角度が大きくなるにしたがい増大し、その角度が45度である時に、ほぼ最大となることを確認した。この光透過状態における光強度の測定も黒状態における光透過強度の測定と同様に行った。得られた光透過強度から、下記式により、透過率比を算出した。
(透過率比)=(光透過状態での光透過強度)/(黒状態での光透過強度)
この透過率比が大きいほど、水平配向の均一性が高いと判断した。
(15−2)垂直配向領域の均一性
得られた素子を偏光顕微鏡にセットし、下から素子に光を照射し、光漏れの有無を観察した。液晶分子が充分に垂直配向し、光が素子を通過しない場合は、垂直配向性が「良好」と判断した。素子を通過した光が観察された場合は、「配向欠陥あり」と表した。
(16)プレチルト角(度)
プレチルト角の測定には、シンテック株式会社製のOpti−Proを使用した。
(17)膜厚
配向膜の膜厚測定はSEM(走査型電子顕微鏡、株式会社日立ハイテクノロジー製SU−70)を用いて行った。
なお、配向制御層の厚みは、以下の式に基づいて算出した。
配向制御層の厚み(単位:μm)={セルギャップ(単位:μm)×配向制御層形成モノマーの添加量(単位:重量部)/100(単位:重量部)}/2
ここで、セルギャップは、第一の基板と第二の基板上の配向膜との間隔、あるいは、第一の基板上の配向膜と第二の基板との間隔であり、通常、スペーサの厚みと等しい。
化合物(1−A)は、以下に示した化合物から選ばれる。
化合物(1−B)は、以下に示した化合物から選ばれる。
以下の化合物を、第三添加物として使用した。

組成物中の化合物は、下記の表1の1)〜5)の定義に基づいて記号により表した。表2において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。記号の後にあるかっこ内の番号は化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、液晶組成物の特性値をまとめた。特性は、先に記載した方法にしたがって測定し、測定値を(外挿することなく)そのまま記載した。
[組成物(M1)]
2−HH−3 (2−1) 21%3−HH−4 (2−1) 5%3−HB−O2 (2−5) 2.5%1−BB−3 (2−8) 4%3−HHB−1 (3−1) 1.5%3−HBB−2 (3−4) 9.5%2−H1OB(2F,3F)−O2 (9−5) 7%3−H1OB(2F,3F)−O2 (9−5) 11%3−HDhB(2F,3F)−O2 (10−3) 3.5%3−HH1OB(2F,3F)−O2 (10−5) 8%2−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 3%3−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 9%5−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 7%V−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 8%
NI=80.8℃;Tc<−20℃;Δn=0.108;Δε=−3.8;Vth=2.02V;η=19.8mPa・s;γ1=115.0mPa・s.
[組成物(M2)]
2−HH−3 (2−1) 21%3−HH−4 (2−1) 5%3−HBB−2 (3−4) 9%3−HHB−3 (3−1) 8%5−HBB(F,F)−F (6−24) 20%3−HBB(F,F)−F (6−24) 30%2−HHBB(F,F)−F (7−6) 3%3−HHBB(F,F)−F (7−6) 4%NI=85.1℃;Tc<−20℃;Δn=0.109;Δε=5.3;Vth=1.83V;η=20.1mPa・s;γ1=82.4mPa・s.
[組成物(M3)]
3−HH−V (2−1) 18%3−HH−4 (2−1) 11%5−HB−O2 (2−5) 2%3−HHB−1 (3−1) 5%3−HHB−3 (3−1) 5%3−HHB−O1 (3−1) 6%3−HHB(F,F)−F (6−3) 10%3−BB(F)B(F,F)−F (6−69) 7%3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−97) 14%3−HHXB(F,F)−F (6−100) 2%3−GHB(F,F)−F (6−109) 4%4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−47) 10%5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−47) 6%NI=78.4℃;Tc<−20℃;Δn=0.108;Δε=10.4;Vth=1.35V;η=17.8mPa・s;γ1=79.9mPa・s.
[組成物(M4)]
3−HH−V (2−1) 34%V−HHB−1 (3−1) 12%V−HBB−2 (3−4) 5%3−HBB−2 (3−4) 5%3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−97) 15%3−GB(F,F)XB(F,F)−F (6−113) 4%3−HHB(F,F)XB(F,F)−F (7−29) 8%3−HBBXB(F,F)−F (7−32) 5%3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (7−56) 4%4−GB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−57) 4%5−GB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−57) 4%NI=77.4℃;Tc<−20℃;Δn=0.108;Δε=10.2;Vth=1.35V;η=13.2mPa・s;γ1=69.0mPa・s.
[組成物(M5)]
3−HH−V (2−1) 29%3−HH−V1 (2−1) 2%V−HHB−1 (3−1) 5%2−BB(2F,3F)−O2 (9−3) 3%3−BB(2F,3F)−O2 (9−3) 10.5%3−H2B(2F,3F)−O2 (9−4) 5%V2−HHB(2F,3F)−O2 (10−1) 12%V−HHB(2F,3F)−O2 (10−1) 11.5%3−HH2B(2F,3F)−O2 (10−4) 9%V−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 11%V−HBB(2F,3F)−O4 (10−7) 2%NI=89.1℃;Tc<−20℃;Δn=0.107;Δε=−3.7;Vth=2.32V;γ1=129.7mPa・s.
[組成物(M6)]
2−HH−3 (2−1) 20%3−HH−VFF (2−1) 6%V−HBB−2 (3−4) 10%3−HB(2F,3F)−O2 (9−1) 12%5−HB(2F,3F)−O2 (9−1) 11%3−HHB(2F,3F)−O2 (10−1) 9%V−HHB(2F,3F)−O1 (10−1) 3%V−HHB(2F,3F)−O2 (10−1) 8%2−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 3%3−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 9%4−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 9%NI=85.8℃;Tc<−20℃;Δn=0.104;Δε=−3.5;Vth=2.11V;γ1=106mPa・s.
[実施例1]
上記の組成物(M1)100重量部に、水平配向制御層形成モノマーとして化合物(1−A−42−1)を1.0重量部の割合で添加し、垂直配向制御層形成モノマーとして化合物(1−B−4−1−2)を0.2重量部の割合で添加した。この組成物のネマチック相から等方相への転移温度は、約81℃であった。3.2μmのスペーサとシール剤を介して2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)を3.2μmに設定した配向膜を有しない櫛歯状電極(第一の基板側)と対向基板(第二の基板側)にITOのベタ電極を有する液晶素子(以下ではVA−IPS素子または単に素子ということがある)に、この組成物を90℃(ネマチック相の上限温度+約10℃)で注入した。組成物を90℃に保持しながら、第一の紫外線照射として、波長313nm、波長335nmおよび波長365nmにピークを有する偏光紫外線を、フォトマスクを介し、素子に対して法線方向から6J/cm照射(波長313nmにおける照度は3mW/cm。ウシオ電機株式会社製UIT−150およびUVD−S313を用いて測定した。)し、配向制御層を形成した。なお、配向制御層は、加熱偏光露光がされた第一領域と、加熱偏光露光がされなかった第二領域とに分かれている。
紫外線の照射ランプは、ウシオ電機株式会社製のUSH−250BYを用いた。露光機ユニットはウシオ電機株式会社製ML−251A/Bを用いた。偏光紫外線は、ワイヤーグリッド偏光子(ポラテクノ社製のProFlux UVT260A)を用いて得た。偏光方向は、電圧印加時に液晶が駆動するように設定した。
次に、上記で得られたVA−IPS素子を偏光顕微鏡にセットして、第一領域に対応する、液晶性化合物の水平配向の均一性を観察したところ、光抜けは観察されず配向は良好であった。
第二領域に対応する、液晶性化合物の垂直配向の均一性を観察したところ、光抜けは観察されず配向は良好であった。
また、VA−IPS素子を偏光顕微鏡の水平回転ステージ上で回転させ、偏光顕微鏡の偏光子の透過軸と液晶分子の配向方向がなす角度を0度から変化させた。検光子を透過する、第一領域における光の強度は、偏光顕微鏡の偏光子の透過軸と液晶分子の配向方向がなす角度が大きくなるにしたがい増大し、その角度が45度である時に、ほぼ最大となることを確認した。以上により得られた素子では液晶分子が素子の基板の主面に対して略水平な方向に配向しており、「水平配向」であると判定した。
水平配向の均一度を評価するために、液晶性化合物の配向方向と偏光顕微鏡の偏光子の透過軸がなす角度が0度となるときの光透過強度と、45度となるときの光透過強度の比を前記式に従い算出したところ、約1000であった。
一方、第二領域における光は、偏光顕微鏡の偏光子の透過軸と液晶分子の配向方向がなす角度が大きくなっても一定であり、暗視野のままであることから、「垂直配向」であると判定した。
[実施例2]
実施例1で得られた第一の紫外線照射をしたVA−IPS素子を用い、液晶層を室温(25℃)に保持しながら、第二の紫外線照射として、アイグラフィックス株式会社製のブラックライト、F40T10(ピーク波長335nmおよび365nm)を用い、非偏光状態(ワイヤーグリッド偏光子を用いない)で、素子に対して法線方向から5.4J/cm照射し(波長365nmにおける照度は3mW/cm。ウシオ電機社製UIT−150およびUVD−S365を用いて測定した。)、素子への追加露光処理を行った。
実施例1と同様に配向性を評価したところ、第一領域は良好な水平配向であり、水平配向の均一度は約1050であった。一方、第二領域は良好な垂直配向であった。
[実施例3]
上記の組成物(M1)100重量部に、水平配向制御層形成モノマーとして化合物(1−A−42−1)を1.0重量部の割合で添加し、垂直配向制御層形成モノマーとして化合物(1−B−4−1−2)を0.2重量部の割合で添加し、さらに第三添加物として、化合物(16α−1−1)を0.3重量部添加した。この組成物のネマチック相から等方相への転移温度は、約81℃であった。実施例1と同様な方法で得られたVA−IPS素子へ、実施例1と同様な方法で第一の紫外線照射を行い、配向制御層を形成した。この素子における液晶性化合物の配向性を評価したところ、第一領域は良好な水平配向であり、水平配向の均一度は約990であった。一方、第二領域は良好な垂直配向であった。
[実施例4]
実施例3で得られた第一の紫外線照射をしたVA−IPS素子を用い、液晶層を室温(25℃)に保持しながら、第二の紫外線照射として、アイグラフィックス株式会社製のブラックライト、F40T10(ピーク波長335nmおよび365nm)を用い、非偏光状態(ワイヤーグリッド偏光子を用いない)で、素子に対して法線方向から5.4J/cm照射し(波長365nmにおける照度は3mW/cm。ウシオ電機社製UIT−150およびUVD−S365を用いて測定した。)、素子への追加露光処理を行った。
実施例1と同様に配向性を評価したところ、第一領域は良好な水平配向であり、水平配向の均一度は約1040であった。一方、第二領域は良好な垂直配向であった。
[比較例1]
実施例1に記載の水平配向制御層形成モノマーである化合物(1−A−42−1)を添加しないこと以外は、実施例1と同様な方法でVA−IPS素子を作製した。
なお、この組成物のネマチック相から等方相への転移温度は、約80℃であった。実施例1と同様な方法で第一の紫外線照射を行い、配向制御層を形成した。この素子における液晶性化合物の配向性を評価したところ、第一領域と第二領域は共に垂直配向であった。
[比較例2]
実施例1に記載の垂直配向制御層形成モノマーである化合物(1−B−4−1−2)を添加しないこと以外は、実施例1と同様な方法でVA−IPS素子を作製した。
なお、この組成物のネマチック相から等方相への転移温度は、約81℃であった。実施例1と同様な方法で第一の紫外線照射を行い、配向制御層を形成した。この素子における液晶性化合物の配向性を評価したところ、第一領域は良好な水平配向であったが、第二領域は配向欠陥が多発しており、配向していなかった。
実施例1から4の素子は、第一領域(水平配向領域)と第二領域(垂直配向領域)のいずれも配向均一性は良好であり、従来の配向膜を事前に形成していなくとも配向分割ができているといえる。
一方、比較例1および2の素子では、垂直配向領域または水平配向領域のいずれかを形成できるが、もう一方の領域では所望の配向を制御できなかった。配向制御層形成モノマーが、水平配向制御層形成モノマーおよび垂直配向制御層形成モノマーのうちのいずれか1種だけでは、配向制御層の機能発現も不足するためと考えられる。
このことから、本発明の液晶組成物を用いることで、従来の配向膜を事前に形成していなくても液晶性化合物の水平配向と垂直配向をパターニングした液晶素子を得られることが分かる。
また、第三添加物を併用する場合でも同様な効果が得られることが分かる。他の液晶組成物、他の配向制御層形成モノマーを用いても同様な効果を期待できる。液晶組成物の誘電率異方性が正の場合でも同様な効果が期待される。また、配向制御層形成モノマーは、偏光紫外線照射により配向制御層形成に消費されるので、液晶組成物の誘電率異方性への影響はほとんどないと考えられる。
本発明の液晶素子を用いることで、印加電圧制御の故障時におけるフェールセーフ機能が発現する、配光パターンを形成可能な車両用前照灯装置が実現できると期待される。
本発明の方法で製造された液晶素子は、車両用前照灯装置、高分子分散モードを利用した調光素子などに用いることができる。

Claims (17)

  1. 対向して配置された第一の基板と第二の基板との間に液晶層が挟持され、
    前記第一の基板と前記液晶層との間、および、前記第二の基板と前記液晶層との間に、液晶性化合物の配向を制御する配向制御層を有し、
    前記液晶層は、液晶組成物から形成され、
    前記液晶組成物は、少なくとも1つの前記液晶性化合物と、第一添加物として、式(1−A)で表される、光照射により光フリース転位、光異性化、および光二量化の少なくとも1つを生じる水平配向制御層形成モノマーと、第二添加物として、式(1−B)で表される、少なくとも1つの極性基を有する垂直配向制御層形成モノマーを含有し、
    前記配向制御層は、少なくとも前記水平配向制御層形成モノマーと前記垂直配向制御層形成モノマーとを重合させてなる共重合体を含有し、
    前記配向制御層は、第一領域と、第二領域とを有し、
    前記第一領域では、前記液晶性化合物が水平配向に制御され、前記第二領域では、前記液晶性化合物が垂直配向に制御されている、液晶素子。

    式(1−A)において、
    、RおよびRは、独立して、水素または炭素数1から10のアルキルであり、このR、RおよびRにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−NH−で置き換えられてもよく;
    nは、独立して、0、1または2であり;
    aは、0、1、2または3であり;
    環Aは、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、テトラヒドロピラン−3−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、1,3−ジオキサン−3−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−7−イル、フェナントレン−2−イル、フェナントレン−7−イル、アントラセン−2−イル、アントラセン−6−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル、2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルであり、
    環Aは、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,2−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−1,4−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,4−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロペンテン−1,3−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、
    環Aは、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり;
    およびZは、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このZおよびZにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NH−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよいが、ZおよびZの中で少なくとも1つは、−COO−、−OCO−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH=CHCO−または−COCH=CH−であり;
    Sp、Sp、SpおよびSpは、独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このSp、Sp、SpおよびSpにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    c、dおよびeは、独立して、0、1、2、3または4であり、c、dおよびeの和は、1、2、3または4であり;
    、P、PおよびPは、独立して、重合性基であり;

    式(1−B)において、
    100は、炭素数1から15のアルキルであり、このR100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
    環A100および環A200は、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、この環A100および環A200において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数2から12のアルケニル、炭素数1から11のアルコキシ、または炭素数2から11のアルケニルオキシで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    100は、0、1、2、3、または4であり;
    100は、単結合または炭素数1から6のアルキレンであり、このZ100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    Sp100は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、式(1a)で表される基の群から選択される少なくとも1つの基で置き換えられていてもよく;

    式(1a)において、
    Sp200は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
    100およびM200は、独立して、水素、ハロゲン、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり:
    200は、水素、炭素数1から15のアルキル、または式(1g)で表される基であり、このR200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
    式(1−B)において、
    100は、式(1d)、式(1e)および式(1f)で表される基の群から選択される少なくとも1つの基であり;

    式(1d)、式(1e)および式(1f)において、
    Sp300は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp300において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
    300およびM400は、独立して、水素、ハロゲン、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;
    300は、式(1g)、式(1h)および式(1i)で表される基の群から選択される少なくとも1つの基であり;

    式(1g)、式(1h)および式(1i)において、
    Sp400およびSp500は、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp400およびSp500において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
    式(1h)および式(1i)において、
    100は、>CH−または>N−であり、S200は、>C<または>Si<であり;
    式(1f)、式(1g)、式(1h)および式(1i)において、
    は、−OH、−NH、−OR500、−N(R500、−COOH、−SH、−B(OH)、または−Si(R500であり;
    −OR500、−N(R500、および−Si(R500において、
    500は、独立して、水素または炭素数1から10のアルキルであり、このR500において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよい。
  2. 前記式(1−A)において、
    、RおよびRは、独立して、水素または炭素数1から10のアルキルであり、このR、RおよびRにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−NH−で置き換えられてもよく;
    nは、独立して、0、1または2であり;
    aは、0、1、2または3であり;
    環Aは、シクロヘキシル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−7−イル、フェナントレン−2−イル、フェナントレン−7−イル、アントラセン−2−イルまたはアントラセン−6−イルであり、
    環Aは、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイルまたはアントラセン−1,4−ジイルであり、
    環Aは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、またはアントラセン−1,4−ジイルであり;
    およびZは、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このZおよびZにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NH−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよいが、ZおよびZの中で少なくとも1つは、−COO−、−OCO−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH=CHCO−または−COCH=CH−であり;
    Sp、Sp、SpおよびSpは、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp、Sp、SpおよびSpにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    c、dおよびeは、独立して、0、1、2、3または4であり、c、dおよびeの和は、1、2、3または4であり;
    、P、PおよびPは、独立して、式(1P−1)で表される重合性基であり;

    式(1P−1)において、
    41およびM42は、独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;
    41は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、炭素数1から9のアルコキシ、または炭素数2から9のアルコキシアルキルであり、このR41において、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい、請求項1に記載の液晶素子。
  3. 前記式(1−B)で表される垂直配向制御層形成モノマーが、式(1−B−1)、式(1−B−2)、式(1−B−3)、および式(1−B−4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項1または2に記載の液晶素子。

    式(1−B−1)から式(1−B−4)において、
    100は、炭素数1から12のアルキルであり、このR100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    環A100および環A200は、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイルであり、この環A100および環A200において、少なくとも1つの水素は、フッ素、炭素数1から8のアルキル、炭素数2から8のアルケニル、炭素数1から7のアルコキシ、または炭素数2から7のアルケニルオキシで置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    100は、0、1、2、3、または4であり;
    100は、単結合または炭素数1から6のアルキレンであり、このZ100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    lは、0、1、2、3、4、5または6であり、この−(CH−の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、この−(CH−において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    Sp100は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp100において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく;
    Sp200は、単結合または炭素数1から5のアルキレンであり、このSp200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
    100およびM200は、独立して、水素、フッ素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルであり;
    200は、水素または炭素数1から5のアルキルであり、このR200において、少なくとも1つの−CH−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    Sp300は、単結合または炭素数1から5のアルキレンであり、このSp300において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−または−COO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    300およびM400は、独立して、水素、フッ素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルであり;
    Sp400は、単結合または炭素数1から5のアルキレンであり、このSp400において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−または−COO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    は、−OHまたは−N(R500であり;
    −N(R500において、
    500は、独立して、水素または炭素数1から5のアルキルであり、このR500において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
  4. 前記配向制御層中の前記水平配向制御層形成モノマーと前記垂直配向制御層形成モノマーとを重合させてなる重合体における前記水平配向制御層形成モノマーに由来するユニットの重量と、前記液晶層中の前記水平配向制御層形成モノマーの重量との合計量の割合が、前記液晶性化合物の合計量を100重量部としたときに、0.01重量部から5重量部の範囲であり、
    前記配向制御層中の前記水平配向制御層形成モノマーと前記垂直配向制御層形成モノマーとを重合させてなる重合体における前記垂直配向制御層形成モノマーに由来するユニットの重量と、前記液晶層中の前記垂直配向制御層形成モノマーの重量との合計量の割合が、前記液晶性化合物の合計量を100重量部としたときに、0.01重量部から3重量部の範囲である、請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶素子。
  5. 前記液晶組成物が、式(2)から式(4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの液晶性化合物を含有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の液晶素子。

    式(2)から式(4)において、
    11およびR12は、独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR11およびR12において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    環B、環B、環Bおよび環Bは、独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンまたはピリミジン−2,5−ジイルであり;
    11、Z12およびZ13は、独立して、単結合、−(CH−、−CH=CH−、−C≡C−または−COO−である。
  6. 前記液晶組成物が、式(5)から式(7)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの液晶性化合物をさらに含有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶素子。

    式(5)から式(7)において、
    13は、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR13において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    11は、フッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHFまたは−OCFCHFCFであり;
    環C、環Cおよび環Cは、独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
    14、Z15およびZ16は、独立して、単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−CH=CF−CFO−、−CF=CF−CFO−または−(CH−であり;
    11およびL12は、独立して、水素またはフッ素である。
  7. 前記液晶組成物が、式(8)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの液晶性化合物をさらに含有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶素子。

    式(8)において、
    14は、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR14において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    12は、−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nであり;
    環Dは、独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
    17は、独立して、単結合、−(CH−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−または−CHO−であり;
    13およびL14は、独立して、水素またはフッ素であり;
    iは、1、2、3または4である。
  8. 前記液晶組成物が、式(9)から式(21)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの液晶性化合物をさらに含有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の液晶素子。


    式(9)から式(21)において、
    15およびR16は、独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このR15およびR16において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    17は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、または炭素数2から10のアルケニルであり、このR17において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
    環E、環E、環Eおよび環Eは、独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
    環Eおよび環Eは、独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルまたはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
    18、Z19、Z20、およびZ21は、独立して、単結合、−(CH−、−COO−、−CHO−、−OCF−または−OCF−(CH−であり;
    15およびL16は、独立して、フッ素または塩素であり;
    11は、水素またはメチルであり;
    Xは、独立して、−CHF−または−CF−であり;
    j、k、m、n、p、q、rおよびsは、独立して、0または1であり、k、m、nおよびpの和は、0、1、2または3であり、q、rおよびsの和は、0、1、2または3であり、tは、1、2または3である。
  9. 前記液晶組成物が、第三添加物として、前記水平配向制御層形成モノマーおよび垂直配向制御層形成モノマーとは異なる重合性化合物をさらに含有し、前記配向制御層は、前記水平配向制御層形成モノマー、前記垂直配向制御層形成モノマーおよび前記第三添加物を重合させてなる共重合体を含有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の液晶素子。
  10. 前記第三添加物が、式(16α)で表される、請求項9に記載の液晶素子。

    式(16α)において、
    環Fおよび環Iは、独立して、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、テトラヒドロピラン−3−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、1,3−ジオキサン−3−イル、ピリミジン−2−イル、ピリジン−2−イル、ピリミジン−5−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−7−イル、フェナントレン−2−イル、フェナントレン−7−イル、アントラセン−2−イル、アントラセン−6−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル、2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル、または2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルであり、この環Fおよび環Iにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;
    環Gは、独立して、1,4−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,2−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、ペルヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルまたはピリジン−2,5−ジイルであり、この環Gにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;
    22およびZ23は、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このZ22およびZ23において、少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−、−C≡C−、−C(CH)=CH−、−CH=C(CH)−または−C(CH)=C(CH)−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    11、P12およびP13は、独立して、重合性基であり;
    Sp11、Sp12およびSp13は、独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このSp11、Sp12およびSp13において、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    uは、0、1または2であり;
    f、gおよびhは、独立して、0、1、2、3または4であり、f、gおよびhの和は、2以上である。
  11. 前記第一の基板上に少なくとも櫛歯状電極が形成されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の液晶素子。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の液晶素子を製造する液晶素子の製造方法であって、
    対向して配置された前記第一の基板と前記第二の基板との間に、前記液晶組成物を挟持する工程と、
    前記液晶組成物を、ネマチック相から等方相への転移温度TNI以上の温度範囲に保持し、前記液晶組成物の一部の領域に偏光紫外線を照射して、前記配向制御層における前記第一領域を形成する工程とを、備え、
    前記第一領域では、少なくとも前記水平配向制御層形成モノマーと前記垂直配向制御層形成モノマーとが共重合することによって前記液晶性化合物が水平配向に制御され、
    前記第二領域では、前記垂直配向制御層形成モノマーの作用によって前記液晶性化合物が垂直配向に制御される、液晶素子の製造方法。
  13. 前記液晶組成物を、TNI以上、TNI+15℃以下の温度範囲に保持して、波長300nmから400nmの範囲にピークを有し、照度が2mW/cmから300mW/cmの範囲で、0.03J/cmから30J/cmの露光量となる範囲で偏光紫外線を照射する、請求項12に記載の液晶素子の製造方法。
  14. 前記偏光紫外線を照射し、さらに、追加の非偏光紫外線を、前記液晶組成物を20℃以上45℃以下の温度範囲に保持して、波長330nmから400nmにピークを有し、照度が1mW/cmから50mW/cmの範囲で、1J/cmから10J/cmの露光量となる範囲で照射する、請求項12または13に記載の液晶素子の製造方法。
  15. 請求項12から14のいずれか1項に記載の液晶素子の製造方法に用いる液晶組成物であって、
    ネマチック相から等方相への転移温度TNIを有し、少なくとも1つの液晶性化合物と、第一添加物として、水平配向制御層形成モノマーを少なくとも1つと、第二添加物として、垂直配向制御層形成モノマーを少なくとも1つと、を含有する、液晶組成物。
  16. 請求項12から14のいずれか1項に記載の液晶素子の製造方法に用いる液晶組成物であって、
    ネマチック相から等方相への転移温度TNIを有し、少なくとも1つの液晶性化合物と、第一添加物として、水平配向制御層形成モノマーを少なくとも1つと、第二添加物として、垂直配向制御層形成モノマーを少なくとも1つと、第三添加物として、前記水平配向制御層形成モノマーおよび垂直配向制御層形成モノマーとは異なる重合性化合物をさらに含有する、液晶組成物。
  17. 請求項1から11のいずれか1項に記載の液晶素子を備える、車両用前照灯装置。
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