JP2021018285A - レンズおよび撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】近赤外線カット能を有し、かつ、光路長の違いによる分光特性のずれが生じ難いレンズ、該レンズを用いた撮像装置およびカメラモジュールを提供すること。【解決手段】本発明のレンズは、近赤外線吸収剤を含有しないレンズ部を有し、かつ、内部に近赤外線吸収層を有するレンズであって、波長400〜700nmの全範囲において、前記レンズ部と前記近赤外線吸収層の各波長における屈折率の差が0.1以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明はレンズおよび撮像装置に関する。より詳しくは、近赤外線吸収特性を有するレンズおよび該レンズを用いた撮像装置に関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などの固体撮像装置には、カラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが使用されている。これら固体撮像素子は、その受光部において近赤外線に感度を有するセンサーを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、光学フィルター(例えば近赤外線カットフィルター)を用いることが多い。
このような光学フィルターとしては、従来から、各種方法で製造されたものが使用されており、例えばノルボルネン系樹脂に誘電体多層膜を積層した、近赤外線反射膜を有する近赤外線カットフィルターが知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、このような近赤外線反射膜を有する近赤外線カットフィルターでは、光線透過特性の入射角依存性が大きく、視野角が広い固体撮像装置では画像の中央と周辺部で色味が異なる不具合が発生していた。また、近年、固体撮像装置のさらなる低背化が求められているが、近赤外線カットフィルター等の光学フィルターを用いた場合、その要求を満足することが難しい状況にある。さらに、近赤外線カットフィルター等の光学フィルターを用いると、部品数および製造工程が増加するため、製品価格が上昇するという問題もある。
そのため、撮像レンズとして、近赤外線吸収色素を含む材料からなるレンズを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかしながら、レンズ中に色素を含有させると光路長の違いによる分光特性のずれが発生し、画面中央と端で色目が変わる色シェードが発生する。また、レンズ内に光学フィルターを設置する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、これらの方法では、光学フィルター部にTiO2等の高屈折率材が積層されており、レンズと光学フィルターの屈折率が異なるため、界面で反射光が発生し、迷光となってゴーストが発生する。
特許第4513420号公報 特開2006−241410号公報 特開2014−066918号公報 特開2011−128355号公報
本発明の課題は、近赤外線カット能を有し、かつ、光路長の違いによる分光特性のずれが生じ難いレンズ、該レンズを用いた撮像装置およびカメラモジュールを提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、レンズに色素を含有させるのではなく、近赤外線吸収層をレンズ内部に有する形態とし、かつ、特定の波長範囲におけるレンズ部と近赤外線吸収層の各波長における屈折率を同程度とすることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の例を以下に示す。
[1] 近赤外線吸収剤を含有しないレンズ部を有し、かつ、内部に近赤外線吸収層を有するレンズであって、波長400〜700nmの全範囲において、前記レンズ部と前記近赤外線吸収層の各波長における屈折率の差が0.1以下であるレンズ。
[2] 前記近赤外線吸収層の両面にレンズ部が形成されている、項[1]に記載のレンズ。
[3] 前記近赤外線吸収層が、近赤外線吸収剤および樹脂を含む、項[1]または[2]に記載のレンズ。
[4] 前記近赤外線吸収剤が、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、シアニン系化合物、ジイモニウム系化合物、金属ジチオラート系化合物、ピロロピロール系化合物およびリン酸銅塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項[3]に記載のレンズ。
[5] 前記樹脂が、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、マレイミド系樹脂、脂環エポキシ熱硬化型樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂、およびゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、項[3]または[4]に記載のレンズ。
[6] 固体撮像装置用である、項[1]〜[5]のいずれか1項に記載のレンズ。
[7] 項[1]〜[6]のいずれか1項に記載のレンズを含む固体撮像装置。
[8] 項[1]〜[6]のいずれか1項に記載のレンズを含むカメラモジュール。
[9] 項[1]〜[6]のいずれか1項に記載のレンズを製造する方法であって、近赤外線吸収層の片面もしくは両面にレンズ状成形体を接合する工程を含む、レンズの製造方法。
[10] 項[1]〜[6]のいずれか1項に記載のレンズを製造する方法であって、近赤外線吸収層とレンズ成形材料を、インサート成形または射出成形する工程を含む、レンズの製造方法。
本発明によれば、近赤外線吸収特性を有するとともに、光路長の違いによる分光特性のずれが生じ難いレンズを提供することができる。そのため、該レンズを用いれば、レンズと光学フィルターを兼ねることが可能となるため、撮像装置を低背化することができるとともに、部品数および製造工程数の低下に伴い、撮像装置の製造コストを大幅に削減することができる。
本発明のレンズの一例を示す模式図である。 本発明のレンズの一例を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[レンズ]
本発明に係るレンズは、近赤外線吸収剤を含有しないレンズ部を有し、かつ、内部に近赤外線吸収層を有するレンズであって、波長400〜700nmの全範囲において、前記レンズ部と前記近赤外線吸収層の各波長における屈折率の差が0.1以下であることを特徴とする。
<近赤外線吸収層>
本発明のレンズを構成する近赤外線吸収層は、近赤外線吸収能を有し、レンズ機能を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、該近赤外線吸収層を含む基材を有する光学フィルターなどの形態でレンズ内部に設けることができる。また、前記光学フィルターは、前記基材の少なくとも一方の面に誘電体多層膜を有していてもよい。
前記基材は、近赤外線吸収層を有していれば、単層であっても多層であってもよい。前記基材の態様としては、例えば、近赤外線吸収剤および樹脂を含む樹脂製基板(近赤外線吸収層)のみからなる態様、近赤外線吸収剤を含む樹脂製基板上に硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層を有する態様、支持体上に近赤外線吸収剤および樹脂を含有する樹脂層(近赤外線吸収層)が積層された態様、近赤外波長領域に吸収極大を有するガラス(以下「近赤外線吸収ガラス」ともいう。)からなる態様が挙げられる。
前記光学フィルターの厚みは、特に限定されないが、好ましくは40〜1000μm、より好ましくは50〜800μm、さらに好ましくは80〜500μm、特に好ましくは90〜250μmである。
前記近赤外線吸収層の屈折率は、波長400〜700nmにおいて、好ましくは1.4〜1.65、より好ましくは1.45〜1.62、さらに好ましくは1.50〜1.60である。
<近赤外線吸収剤>
前記近赤外線吸収剤は、近赤外線吸収能を有していれば特に限定されないが、好ましくは波長650nm以上800nm未満、より好ましくは660nm以上795nm以下、さらに好ましくは670nm以上790nm以下の領域に吸収極大波長を有する。
このような近赤外線吸収剤としては、例えば、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、シアニン系化合物、ジイモニウム系化合物、金属ジチオラート系化合物、ピロロピロール系化合物およびリン酸銅塩などが挙げられ、特にスクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物およびシアニン系化合物が好ましい。これら色素の構造は特に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわないものであれば一般的に知られているものや市販品を使用することができる。また、本発明の効果を損なわないものであれば、近赤外線吸収層に含有させる近赤外線吸収剤は、1種でも複数種でもよい。
前記近赤外線吸収剤の使用量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、前記基材として、例えば、近赤外線吸収剤を含有する樹脂製基板からなる基材や、近赤外線吸収剤を含有する樹脂製基板上に硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材を用いる場合には、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜2.0質量部、より好ましくは0.03〜1.5質量部、さらに好ましくは0.05〜1.0質量部であり、前記基材として、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体などの支持体上に近赤外線吸収剤を含有する樹脂層が積層された基材を用いる場合には、樹脂層を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.4〜20.0質量部、より好ましくは0.6〜15.0質量部、さらに好ましくは0.8〜12.5質量部である。
<樹脂>
前記近赤外線吸収層や樹脂製支持体を構成する樹脂としては、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、マレイミド系樹脂、脂環エポキシ熱硬化型樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂、およびゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂などが挙げられる。
前記樹脂として、市販品を用いてもよい。環状ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、JSR(株)製アートン、日本ゼオン(株)製ゼオノア、三井化学(株)製APEL、ポリプラスチックス(株)製TOPASなどを挙げることができる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品としては、住友化学(株)製スミカエクセルPESなどを挙げることができる。ポリイミド系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学(株)製ネオプリムLなどを挙げることができる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、帝人(株)製ピュアエースなどを挙げることができる。フルオレンポリカーボネート系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学(株)製ユピゼータEP−5000などを挙げることができる。フルオレンポリエステル系樹脂の市販品としては、大阪ガスケミカル(株)製OKP4HTなどを挙げることができる。アクリル系樹脂の市販品としては、(株)日本触媒製アクリビュアなどを挙げることができる。シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂の市販品としては、新日鐵化学(株)製シルプラスなどを挙げることができる。
<その他の色素>
前記基材は、さらに、前記近赤外線吸収剤に該当しない、その他の色素を含有してもよい。その他の色素としては、吸収極大波長が600nm未満もしくは800nm超のものであれば特に制限されないが、吸収極大波長が800nm超のものが好ましい。このような色素としては、例えば、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、シアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、オクタフィリン系化合物、ジイモニウム系化合物、ペリレン系化合物、および金属ジチオラート系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
その他の色素の含有量は、前記基材として、例えば、その他の色素を含有する樹脂製基板からなる基材を用いる場合には、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.005〜1.0質量部、より好ましくは0.01〜0.9質量部、特に好ましくは0.02〜0.8質量部であり、前記基材として、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体などの支持体上にその他の色素を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材や、近赤外線吸収剤を含有する樹脂製基板上にその他の色素を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材を用いる場合には、その他の色素を含む樹脂層を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05〜4.0質量部、より好ましくは0.1〜3.0質量部、特に好ましくは0.2〜2.0質量部である。
<その他成分>
前記基材は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに酸化防止剤、近紫外線吸収剤および蛍光消光剤等の添加剤を含有してもよい。これらその他成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記近紫外線吸収剤としては、例えばアゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
なお、これら添加剤は、前記基材を製造する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を合成する際に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、前記樹脂100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部、好ましくは0.05〜2.0質量部である。
<支持体>
前記基材に用いることができる支持体の材質としては、例えば、前記樹脂、ガラス板、強化ガラス板や、リン酸ガラス、フツリン酸ガラス、アルミナガラス、アルミン酸イットリウム、酸化イットリウムなどの特殊ガラスなどが挙げられる。
≪ガラス板≫
前記ガラス板としては、例えば、ケイ酸ガラス、リン酸ガラス、リン酸銅ガラス、フツリン酸ガラス、フツリン酸銅ガラスなどが挙げられる。
≪強化ガラス板≫
前記強化ガラス板としては、例えば、物理強化ガラス、強化合わせガラス、化学強化ガラスなどが挙げられる。これらの中では、圧縮層の厚みが薄く、基材厚みを薄く加工することができる化学強化ガラスが好ましい。化学強化ガラスの具体例としては、旭硝子社製「Dragontrail」、Corning社「Gorilla Glass」などが挙げられる。
≪特殊ガラス≫
前記リン酸ガラスや前記フツリン酸ガラスとしては、例えば、松浪硝子工業社製のBS3、BS4、BS6、BS7、BS8、BS10、BS11、BS12、BS13、BS16、BS17等が挙げられる。前記アルミナガラスとしては、例えば日本ガイシ社製「ハイセラム」などが挙げられる。前記アルミン酸イットリウムや前記酸化イットリウムとしては、例えば、クアーズテック社製「EXYRIA(登録商標)」などが挙げられる。
<基材の製造方法>
前記基材が、前記近赤外線吸収剤を含有する樹脂製基板を含む基材である場合、該樹脂製基板は、例えば、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、さらに、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤をコーティングすることで、オーバーコート層が積層された基材を製造することができる。
前記基材が、支持体上に近赤外線吸収剤を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層(近赤外線吸収層)が積層された基材である場合、例えば、前記支持体に近赤外線吸収剤を含む樹脂溶液を溶融成形またはキャスト成形することで、好ましくはスピンコート、スリットコート、インクジェットなどの方法にて塗工した後に溶媒を乾燥除去し、必要に応じてさらに光照射や加熱を行うことで、支持体上に近赤外線吸収層が形成された基材を製造することができる。
≪溶融成形≫
前記溶融成形としては、具体的には、樹脂と近赤外線吸収剤とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法;樹脂と近赤外線吸収剤とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法;または、近赤外線吸収剤、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法などが挙げられる。溶融成形方法としては、射出成形、溶融押出成形またはブロー成形などを挙げることができる。
≪キャスト成形≫
前記キャスト成形としては、近赤外線吸収剤、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶剤を除去する方法;または近赤外線吸収剤と、光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂とを含む硬化性組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶媒を除去した後、紫外線照射や加熱などの適切な手法により硬化させる方法などにより製造することもできる。
前記基材が、近赤外線吸収剤を含有する樹脂製基板からなる基材である場合には、該基材は、キャスト成形後、支持体から塗膜を剥離することにより得ることができる。この場合の支持体は、上述した材質からなる支持体に限定されない。
また、前記基材が、支持体上に近赤外線吸収層が積層された基材である場合には、該基材は、キャスト成形後、塗膜を剥離しないことで得ることができる。この場合の支持体は、上述した材質からなる支持体であることが好ましい。
前記方法で得られた樹脂層(樹脂製基板)中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよい。具体的には、前記残留溶剤量は、樹脂層(樹脂製基板)の重さに対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。残留溶剤量が前記範囲にあると、変形や特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる樹脂層(樹脂製基板)が得られる。
<誘電体多層膜>
前記光学フィルターは、前記基材の少なくとも一方の面に誘電体多層膜を有していてもよい。本発明における誘電体多層膜とは、近赤外線を反射する能力を有する膜または可視域における反射防止効果を有する膜であり、誘電体多層膜を有することでより優れた可視光透過率と近赤外線カット特性を達成することができる。
前記誘電体多層膜は前記基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合、高い強度を有し、反りやねじれが生じにくい光学フィルターを得ることができる。
前記誘電体多層膜は、好ましくは波長700〜1100nm、より好ましくは波長700〜1150nm、さらに好ましくは700〜1200nmの範囲全体にわたって反射特性を有することが望ましい。
誘電体多層膜としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層したものが挙げられる。高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.7〜2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛または酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分に対して0〜10質量%)含有させたものが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.2〜1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これらの材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に限定はない。例えば、基材上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。
高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、0.1λ〜0.5λの厚さが好ましい。λ(nm)の値としては、例えば700〜1400nm、好ましくは750〜1300nmである。厚さがこの範囲であると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)がλ/4で算出される光学的膜厚と、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さとがほぼ同じ値となって、反射・屈折の光学的特性の関係から、特定波長の遮断・透過を容易にコントロールできる傾向にある。
誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、光学フィルター全体として16〜70層であることが好ましく、20〜60層であることがより好ましく、24〜50層であることが特に好ましい。各層の厚み、光学フィルター全体としての誘電体多層膜の厚みや合計の積層数が前記範囲にあると、十分な製造マージンを確保できる上に、光学フィルターの反りや誘電体多層膜のクラックを低減することができる。
本発明では、近赤外線吸収剤の吸収特性に合わせて高屈折率材料層および低屈折率材料層を構成する材料種、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さ、積層の順番、積層数を適切に選択することで、可視域に十分な透過率を確保した上で近赤外波長域に十分な光線カット特性を有し、且つ、斜め方向から近赤外線が入射した際の反射率を低減することができる。
ここで、前記条件を最適化するには、例えば、光学薄膜設計ソフト(例えば、Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用い、可視域の反射防止効果と近赤外域の光線カット効果を両立できるようにパラメーターを設定すればよい。上記ソフトの場合、例えば第一光学層の設計にあたっては、波長400〜700nmの目標透過率を100%、Target Toleranceの値を1とした上で、波長705〜950nmの目標透過率を0%、Target Toleranceの値を0.5にするなどのパラメーター設定方法が挙げられる。これらのパラメーターは基材(i)の各種特性などに合わせて波長範囲をさらに細かく区切ってTarget Toleranceの値を変えることもできる。
<その他の機能膜>
前記光学フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、機能膜を適宜設けることができる。
前記光学フィルターは、機能膜からなる層を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。前記光学フィルターが機能膜からなる層を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
機能膜を積層する方法としては、特に限定されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを基材または誘電体多層膜上に、溶融成形またはキャスト成形する方法等を挙げることができる。
また、前記コーティング剤は、硬化性組成物をバーコーター等で基材または誘電体多層膜上に塗布した後、紫外線照射および/または加熱等により硬化することによっても製造することができる。得られる基材の破断強度の向上、傷つきにくさ、反りの低減などから、硬化性組成物の機能膜を有することが好ましい。
前記硬化性組成物としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。これらのコーティング剤を含む前記硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
前記ウレタン系もしくはウレタンアクリレート系硬化性組成物に含まれる成分としては、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴウレタン(メタ)アクリレート類を挙げることができる。これら成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらにポリウレタン(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはポリマーや、ポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはポリマーを配合してもよい。
前記ビニル化合物類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。これら成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エポキシ系もしくはエポキシアクリレート系硬化性組成物に含まれる成分としては、特に限定されないが、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。これら成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらにポリエポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはポリマーを配合してもよい。
前記硬化性組成物の市販品としては、東洋インキ製造(株)製「LCH」、「LAS」;荒川化学工業(株)製「ビームセット」;ダイセル・サイテック(株)製「EBECRYL」、「UVACURE」;JSR(株)製「オプスター」、「デソライトZ」などが挙げられる。
また、前記硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。前記重合開始剤としては、公知の光重合開始剤または熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100質量%とした場合、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化性組成物の硬化特性および取り扱い性が優れ、所望の硬度を有する反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を得ることができる。
さらに、前記硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては、公知のものを使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記機能膜の厚さは、好ましくは0.1μm〜20μm、さらに好ましくは0.5μm〜10μm、特に好ましくは0.7μm〜5μmである。
また、基材と機能膜および/または誘電体多層膜との密着性や、機能膜と誘電体多層膜との密着性を上げる目的で、基材や機能膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
<レンズ部>
本発明のレンズを構成するレンズ部は、近赤外線吸収剤を実質的に含有しない。レンズ部が近赤外線吸収剤を含有すると、光路長の違いによる分光特性のずれが発生し、画面中央と端で色目が変わる色シェードが発生する。レンズ部が近赤外線吸収剤を実質的に含有しないことで、分光特性のずれが発生せず、画面全体で色目が変わらないため、色シェードが発生しない。
前記レンズ部は、前記近赤外線吸収層(または近赤外線吸収層を含む光学フィルター;以下同様)の少なくとも片面、好ましくは両面に形成されており、いずれにおいても前記近赤外線吸収層はレンズ部と一体化された状態でレンズ内部に配置される。
前記レンズ部の形状としては、凸状でも凹状でもよく、一方の面が凸状で他方が凹状でもよい。図1に近赤外線吸収層14の両面に凸状のレンズ部12、16(第1のレンズ部、第2のレンズ部)が形成されたレンズ10の模式図を示し、図2に近赤外線吸収層14の一方の面に凸状のレンズ部12(第1のレンズ部)が形成され、他方が凹状のレンズ部18(第2のレンズ部)が形成されたレンズ19の模式図を示す。
前記レンズ部を構成する材料は、特に限定されず、公知のレンズ材料、例えば上述した樹脂などを用いることができる。また、前記レンズ部が前記光学フィルターの透明樹脂層を構成する樹脂と同じ樹脂で構成されている場合、レンズ部と光学フィルターの屈折率が同じとなり、光学的な界面を回避できることから、特に好ましい。
前記レンズ部の屈折率は、波長400〜700nmにおいて、好ましくは1.4〜1.65、より好ましくは1.45〜1.62、さらに好ましくは1.50〜1.60である。
また、波長400〜700nmの全範囲において、前記レンズ部と前記近赤外線吸収層の各波長における屈折率の差(Δn)は、0.1以下、好ましくは0.05以下である。このように屈折率の差が小さいと、レンズ部と近赤外線吸収層との界面で発生する反射光が小さくなり、ゴーストが低減される。
前記レンズ部の厚み、すなわち光路となる領域の最大厚みは、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上、さらに好ましくは300μm以上である。これにより視野角依存性が低減された固体撮像装置を得ることができる。また、固体撮像装置の低背化を考慮すると、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下であり、特に好ましくは1.0mm未満である。
前記レンズ部のアッベ数は、好ましくは45以上、より好ましくは46以上、更に好ましくは47以上である。これにより、光の波長分散が小さくなり、解像度が向上し、光学特性により優れたものとすることができる。
前記レンズ部の可視光領域におけるヘイズは、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
[レンズの製造方法]
本発明のレンズの製造方法は、本発明の効果を損なわずに前記近赤外線吸収層の少なくとも一方の面にレンズ部を形成することができれば、特に限定されない。例えば、レンズ部を構成する材料として硬化性樹脂を用いて前記近赤外線吸収層上にレンズ部を直接形成してもよく、前記近赤外線吸収層とは別にレンズ部(レンズ状成形体)を公知の方法で成形した後、前記近赤外線吸収層と接合してもよく、レンズ部を構成する材料と前記近赤外線吸収層を構成する材料とを射出成形により一体成形してもよく、レンズ部を構成する材料と前記近赤外線吸収層とを用いてインサート成形を行ってもよい。
より詳細に述べると、近赤外線吸収層上にレンズ部を形成する場合は、例えば近赤外線吸収層の片面または両面に溶剤または光学用接着剤を塗布し、予め準備したレンズ状成形体を圧着して張り合わせることで所望のレンズが得られる。加熱が不要となるので熱歪の影響、近赤外線吸収層に含まれる色素や顔料の劣化を避けることができる。溶剤または光学用接着剤の代わりに樹脂の溶融温度以上を付与し熱圧着を用いても所望のレンズが得られる。溶剤または光学用接着剤によるソルベントクラックの発生や、残留溶媒によるカメラ部品への汚染を抑制することができる。
レンズ部を構成する材料と近赤外線吸収層を構成する材料とを射出成形する場合は、近赤外線吸収層となる樹脂等の材料とレンズ材となる樹脂を溶融温度以上に加熱溶融し、射出成形することで所望のレンズが得られる。近赤外線吸収層とレンズ部を同時に成形できるため、生産性が向上する。
レンズ部を構成する材料と近赤外線吸収層を構成する材料とをインサート成形する場合は、近赤外線吸収層を予め準備し、レンズ材となる樹脂を溶融し、インサート成形することで所望のレンズが得られる。近赤外線吸収層部分をインジェクション成形しないことから、近赤外線吸収層への熱履歴が抑制され近赤外線吸収層に含まれる色素や顔料の劣化を避けることができる。
[固体撮像装置]
本発明の固体撮像装置は、本発明のレンズを具備する。ここで、固体撮像装置とは、CCDやCMOSイメージセンサー等といった固体撮像素子を備えたイメージセンサーであり、具体的にはデジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、デジタルビデオカメラ等の用途に用いることができる。例えば、本発明のカメラモジュールは、本発明のレンズを具備する。また、本願のレンズを固定撮像装置に直接貼り付けるWLO(WAFER LEVEL OPTICS)用途に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。また、各物性値の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
<屈折率>
近赤外線吸収層及びレンズ部の屈折率については、メトリコン社製モデル2010/Mプリズムカプラを用い、各波長での屈折率を求めた。
<画像評価>
画像評価におけるゴーストについては、暗室に株式会社アイテック製TSPA22x8−57W−4白色LED光源を設置し、カメラの視野の端にLED光源を映した際のゴーストの発生の有無を確認し、ゴーストが発生しなかった場合を「○」とし、ゴーストが発生した場合を「×」と評価した。
また、画像評価における色シェードについては、A光源下で紫色のパンジーをカメラの視野の端と中央で撮影した際の色目の変化の有無で確認し、色目の変化がなかった場合を「○」とし、変化があった場合を「×」とした。
[実施例1]
レンズ材としてJSR製「アートン樹脂F4520」、近赤外線吸収層の材料(以下「光学フィルター材」ともいう。)としてJSR製「色素入りアートンフィルムFLXL100HES」を用いた。レンズ材を溶融温度以上に加熱し、光学フィルター材を事前にセットしたインサート成形用の金型に射出し、図1に示す形状のレンズ(直径12mm)を得た。得られたレンズをBASLER社製レンズC125−0418−5Mに組み込み、組み込んだレンズをBASLER社製CマウントカメラacA3088−57ucにセットし、画像評価を実施した。結果を表1に示す。
[実施例2]
レンズ材はJSR製「アートン樹脂F4520」、光学フィルター材はJSR製「アートン樹脂F4520」に色素材として山田化学製「FDR−003」を予め混合したものを使用した。レンズ材を溶融温度以上に加熱し、光学フィルター部のスライド式入れ子を有するレンズ用金型に射出成形した。次いで、光学フィルター部のスライド式入れ子を抜き、光学フィルター材を溶融温度以上に加熱し、レンズ用金型部に射出成形することで図1に示す形状のレンズ(直径12mm)を得た。得られたレンズを用いて、実施例1と同様にして市販レンズに組み込み、画像評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
レンズ材はJSR製「アートン樹脂F4520」、光学フィルター材はJSR製「色素入りアートンフィルムFLXL100HES」を用いた。レンズ材を溶融温度以上に加熱して金型に射出することで、レンズ状成形体(2個)を得た。光学フィルター材の両面にメチルエチルケトンを滴下し、先に成形した2個のレンズ状成形体を光学フィルター材の両面にそれぞれ圧着後、80℃で真空乾燥することで、図1に示す形状のレンズ(直径12mm)を得た。得られたレンズを用いて、実施例1と同様にして市販レンズに組み込み、画像評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
光学フィルター材を日本電気硝子製「赤外線吸収フィルター800EXL」に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてレンズを作製して市販レンズに組み込み、画像評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
光学フィルター材を多摩エレクトロニクス製「BAG IRカットフィルター」に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてレンズを作製して市販レンズに組み込み、画像評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
レンズ材を三井化学(株)製「APEL」に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてレンズを作製して市販レンズに組み込み、画像評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
レンズ材を光学フィルター材と同じ材料(JSR製アートン樹脂F4520に色素材として山田化学製FDR−003を予め混合したもの)に変更したこと以外は、実施例2と同様にしてレンズを作製して市販レンズに組み込み、画像評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2021018285
表1中のレンズ材および光学フィルター材における記号の意味は以下のとおりである。
A1:JSR製「アートン樹脂F4520」
A2:三井化学(株)製「APEL」
B1:JSR製「色素入りアートンフィルムFLXL100HES」
B2:JSR製「アートン樹脂F4520」に色素材として山田化学製「FDR−003」を予め混合したもの
B3:日本電気硝子製「赤外線吸収フィルター800EXL」(近赤外線吸収ガラス)
B4:多摩エレクトロニクス製「BAG IRカットフィルター」(ガラス基材に近赤外線吸収層が積層された形態)
10 レンズ
12 第1のレンズ部
14 近赤外線吸収層または近赤外線吸収層を含む光学フィルター
16 第2のレンズ部(凸状)
18 第2のレンズ部(凹状)

Claims (10)

  1. 近赤外線吸収剤を含有しないレンズ部を有し、かつ、内部に近赤外線吸収層を有するレンズであって、波長400〜700nmの全範囲において、前記レンズ部と前記近赤外線吸収層の各波長における屈折率の差が0.1以下であるレンズ。
  2. 前記近赤外線吸収層の両面にレンズ部が形成されている、請求項1に記載のレンズ。
  3. 前記近赤外線吸収層が、近赤外線吸収剤および樹脂を含む、請求項1または2に記載のレンズ。
  4. 前記近赤外線吸収剤が、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、シアニン系化合物、ジイモニウム系化合物、金属ジチオラート系化合物、ピロロピロール系化合物およびリン酸銅塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載のレンズ。
  5. 前記樹脂が、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、マレイミド系樹脂、脂環エポキシ熱硬化型樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂、およびゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項3または4に記載のレンズ。
  6. 固体撮像装置用である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレンズ。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンズを含む固体撮像装置。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンズを含むカメラモジュール。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンズを製造する方法であって、近赤外線吸収層の片面もしくは両面にレンズ状成形体を接合する工程を含む、レンズの製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンズを製造する方法であって、近赤外線吸収層とレンズ成形材料を、インサート成形または射出成形する工程を含む、レンズの製造方法。
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