JP2021018040A - 金属原料溶解装置、金属溶湯溶解保持システムおよび金属原料溶解方法 - Google Patents

金属原料溶解装置、金属溶湯溶解保持システムおよび金属原料溶解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保持炉に容易に組み込むことができ、安全に使用可能であり、迅速かつ効率良く金属原料を溶解可能な金属原料溶解装置を提供する。【解決手段】金属溶湯保持炉100内に設置される金属原料溶解装置1であって、吸引口P1と吐出口P6とを連通路で連通したボディ2に設けられ、金属溶湯保持炉100の金属溶湯を吸引口P1から吸引して吐出口P6から吐出するように駆動する駆動部と、ボディ2に設けられ、駆動部が金属溶湯を駆動することにより形成される渦中に投入される金属原料を溶解する溶解部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、金属原料溶解装置、金属溶湯溶解保持システムおよび金属原料溶解方法に関し、より詳しくは、金属原料を金属溶湯に溶解させるための金属原料溶解装置、当該金属原料溶解装置を有する金属溶湯溶解保持システム、および金属原料溶解方法に関する。
従来、アルミニウム、銅、マグネシウム等の非鉄金属を溶解し保持する非鉄金属溶解保持炉は、(i)炉本体のみから構成されるタイプ、(ii)炉本体の内部を二つに仕切り、容積の小さい方を前炉としたタイプ、(iii)前炉にメカニカルポンプを設け、非鉄金属の溶解と循環を行うタイプ、および(iv)炉本体の外側に溶解炉を付設したタイプに大別される。
特開2013−76537号公報
しかしながら、上記従来のタイプi〜ivの溶解保持炉は以下のような問題がある。
タイプiの場合、金属溶湯の成分の均一化および溶湯温度の均一化を図るために炉内の金属溶湯を撹拌する必要がある。しかしながら、この撹拌作業は人手により行われるため、大変危険であるという問題がある。
タイプiiの場合、アルミニウム切粉等の金属原料を前炉に投入して金属溶湯中に溶解させる。しかしながら、炉内の金属溶湯が循環していないため、金属原料の投入に伴い前炉内の溶湯温度が急低下する。このため、金属原料の溶解効率が非常に低くなってしまうという問題がある。
タイプiiiの場合、メカニカルポンプで炉内の金属溶湯を循環させるため、金属原料を投入しても溶湯温度が大きく下がらない。しかしながら、メカニカルポンプの損傷が激しいため、比較的短期間でメカニカルポンプを修理または交換しなくてはならない。このため、ランニングコストが嵩むという問題がある。
タイプivの場合、炉本体に外付けされた溶解炉に金属原料が投入される。例えば特許文献1に記載されているように、渦室を有する溶解炉の外周または下方に配置された永久磁石を回転駆動させる。これにより、渦室内の溶湯が渦電流により回転し、渦を形成する。この渦に切粉等の金属原料が投入されると、金属原料は渦の中に引き込まれ、金属溶湯中に溶解する。メカニカルポンプを使用することなく、炉内の金属溶湯を循環させることができる。しかしながら、炉本体と溶解炉との間の接続部分から金属溶湯が漏れ出したり、渦室から金属溶湯が飛び出るおそれがあるという問題がある。また、炉本体の壁に穴を開けて溶解炉を接続したり、永久磁石およびその駆動機構を含む磁場装置を設置等するために大がかりな工事が必要となる。
本発明は上記の技術的認識に基づいてなされたものであり、その目的は、保持炉に容易に組み込むことができ、安全に使用可能であり、迅速かつ効率良く金属原料を溶解可能な金属原料溶解装置、当該金属原料溶解装置を有する金属溶湯溶解保持システム、および当該金属原料溶解装置を用いた金属原料溶解方法を提供することである。
本発明に係る金属原料溶解装置は、
金属溶湯保持炉内に設置される金属原料溶解装置であって、
吸引口と吐出口とを連通路で連通したボディに設けられており、前記金属溶湯保持炉の金属溶湯を前記吸引口から吸引して前記吐出口から吐出するように駆動する駆動部と、
前記ボディに設けられており、前記駆動部が金属溶湯を駆動することにより形成される渦中に投入される金属原料を溶解する溶解部と、
を備え、
前記駆動部は、
前記連通路の途中に形成され、駆動室入口と駆動室出口を有する駆動室部と、
前記ボディの天面から底面に向かう方向に沿って前記天面から穿けた止り穴として前記駆動室部の上方部分に形成された磁場装置収納室と、
前記磁場装置収納室に収納され、前記駆動室部内の金属溶湯に上下方向に磁力線を走らせる磁場装置と、
前記駆動室入口と前記駆動室出口を結ぶ方向と交差する幅方向に前記駆動室部を挟むように配置され、前記駆動室部内の金属溶湯を介して前記幅方向に電流を流すための一対の電極と、
を有し、
前記溶解部は、前記ボディの前記天面から前記連通路に連通するまで穿設された渦室を有し、
前記渦室は、前記ボディの前記天面に開口した金属原料投入口と、前記渦室の側壁に開口した渦室入口と、前記渦室の側壁に開口した渦室出口とを有し、
前記渦室入口および前記渦室出口は、前記渦室入口から流入して前記渦室出口から流出する金属溶湯が前記渦室内に金属溶湯の渦を形成するように、前記渦室の接線方向に沿って開口する位置に設けられ、
前記渦室入口は前記ボディの前記吸引口と連通し且つ前記渦室出口は前記駆動室入口に連通し、または、前記渦室入口は前記駆動室出口に連通し前記渦室出口は前記ボディにおける前記吐出口に連通することを特徴とする。
本発明に係る金属原料溶解方法は、
金属溶湯保持炉内に設置される金属原料溶解装置を用いた金属原料の溶解方法であって、前記金属原料溶解装置は、吸引口と吐出口とを連通路で連通したボディに設けられ、前記金属溶湯保持炉の金属溶湯を前記吸引口から吸引して前記吐出口から吐出するように駆動する駆動部と、前記ボディに設けられ、前記ボディの天面から前記連通路に連通するまで穿設された渦室を有する溶解部と、を有し、
前記駆動部が前記ボディの駆動室部内の金属溶湯をローレンツ力により駆動して前記渦室内の金属溶湯を吸引することにより前記渦室に渦を形成するステップと、
前記ボディの天面に開口した金属原料投入口から前記形成された渦の中に金属原料を投入して溶解させるステップと、
を備えることを特徴とする。
実施形態に係る金属溶湯溶解保持システムの平面図である。 実施形態に係る金属原料溶解装置の平面図である。 図2のI−I線に沿う断面図である。 図2のII−II線に沿う断面図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 実施形態に係る金属原料溶解装置のボディの平面図である。 図6のI−I線に沿う断面図である。 図6のII−II線に沿う断面図である。 図6のIII−III線に沿う断面図である。 実施形態に係る磁場装置の一部断面図である。 図10のIV−IV線に沿う断面図である。 動作状態における、実施形態に係る金属溶湯溶解保持システムの平面図である。 図12のI−I線に沿う断面図である。 図12のII−II線に沿う断面図である。 図12のIII−III線に沿う断面図である。 実施形態の変形例1に係るボディの長手方向に沿う断面図である。 実施形態の変形例2に係る金属原料溶解装置の平面図である。 実施形態の変形例3に係る金属原料溶解装置の平面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図においては、同等の機能を有する構成要素に同一の符号を付している。
<金属溶湯溶解保持システム>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る金属溶湯溶解保持システム1000について説明する。
図1に示すように、金属溶湯溶解保持システム1000は、金属溶湯保持炉100と、この金属溶湯保持炉100内に設置された金属原料溶解装置1と、を備えている。なお、以下の説明では金属溶湯保持炉を単に「保持炉」ともいう。
金属溶湯溶解保持システム1000は、後ほど詳しく説明するように、金属原料溶解装置1の溶解部(渦室2A)に投入された金属原料(アルミニウム切粉、粉状原料など)を金属溶湯に溶解させるとともに、金属原料溶解装置1の駆動部により駆動された金属溶湯を保持炉100に吐出して炉内撹拌を行うものとして構成されている。
金属溶湯は、非鉄金属の溶湯であり、金属(例えばAl,Cu,Zn,Si)または合金(例えばAl,Cu,ZnおよびSiのうち少なくとも2つからなる合金、またはマグネシウム合金)の溶湯である。
図1に示すように、金属原料溶解装置1は、金属溶湯保持炉100の側壁面に沿って設置されている。例えば、金属原料溶解装置1は、ボルト・ナット等の締結部材を用いて保持炉100の側壁(外壁)に固定される。
金属溶湯保持炉100は、上方が開口し、四方を外壁で囲まれた構成を有する。保持炉100内に仕切りを設けて、容積の小さい方を前炉とすることもある。
なお、金属原料溶解装置1は、図1に示すように保持炉100の側壁面に沿って設置する場合に限られない。保持炉100の大きさや形状に応じて、保持炉100内の金属溶湯を効率的に撹拌可能な位置に金属原料溶解装置1を設置してもよい。
また、図1では保持炉100内に金属原料溶解装置1を1つだけ設置しているが、複数の金属原料溶解装置1を設置してもよい。例えば、保持炉100の対角線上の2隅にそれぞれ金属原料溶解装置1を設置してもよいし、保持炉100の四隅にそれぞれ金属原料溶解装置1を設置してもよい。
また、保持炉100が前炉を有する場合、前炉に金属原料溶解装置1を設置してもよい。あるいは、前炉を有する場合であっても、あえて前炉ではなくメインバスの方に金属原料溶解装置1を設置してもよい。
<金属原料溶解装置>
次に、図2〜図11を参照して、実施形態に係る金属原料溶解装置1について詳しく説明する。
金属原料溶解装置1は、ローレンツ力を利用して金属溶湯を駆動する駆動部と、この駆動部によって金属溶湯が吸引されることにより渦室2Aに形成される引き渦に投入される金属原料を溶解する溶解部とを備えている。駆動部および溶解部の具体的な構成については後述する。
図2〜図5に示すように、金属原料溶解装置1は、耐火材からなるボディ2と、ボディ2内を流れる金属溶湯に磁場を印加する磁場装置3と、ボディ2内を流れる金属溶湯に電流を流すための一対の電極4,5と、電極4,5に接続され所定の電流を出力する電源装置6と、を有している。以下、各構成要素について詳しく説明する。
まず、ボディ2について図6〜図9を参照して説明する。図6はボディ2の平面図である。図7は図6のI−I線に沿う断面図である。図8は図6のII−II線に沿う断面図である。図9は図6のIII−III線に沿う断面図である。
ボディ2は、本実施形態では略直方体状を有しており、円柱穴状の渦室2Aと、磁場装置収納室3Bとが設けられている。このボディ2は耐火材(例えばシリコンカーバイド(SiC))から構成される。
ボディ2は、吸引口P1と吐出口P6とを連通路で連通している。この連通路は、図6に示すように、渦室流入路2P、渦室2A、渦室流出路2Q、駆動室部2Rおよび流出路2Sを含む。ここで、渦室流入路2Pは、吸引口P1と渦室入口P2とを連通する流路である。渦室流出路2Qは、渦室出口P3と駆動室入口P4とを連通する流路である。なお、流出路2Sは必要に応じて省略してもよい。
本実施形態では、渦室入口P2は吸引口P1と連通し、渦室出口P3は駆動室部2Rの駆動室入口P4に連通している。
保持炉100内の金属溶湯は、吸引口P1から金属原料溶解装置1内に吸引され、連通路を通って吐出口P6から吐出される。より詳しくは、吸引口P1から吸引された金属溶湯は、渦室流入路2Pを通って渦室2Aに流入する。渦室流入路2Pを通って渦室2Aに流入した金属溶湯は、渦室2Aに形成された旋回渦に沿って旋回した後、渦室出口P3から外に出て、渦室流出路2Qを通って駆動室部2Rに流入する。駆動室部2Rに流入した金属溶湯は、ローレンツ力(後述)を受けながら駆動室部2R内を流動し、その後、流出路2Sを通って吐出口P6からボディ2の外に吐出される。図12に示すように、吐出口P6から吐出された金属溶湯は保持炉100内を循環する。
ボディ2には、金属溶湯保持炉100の金属溶湯を吸引口P1から吸引して吐出口P6から吐出するように駆動する駆動部と、金属溶湯中に投入される金属原料を溶解する溶解部とが設けられている。本実施形態では、溶解部は駆動部の下流側におけるボディ2に設けられている。溶解部と駆動部はボディ2に一体に設けられている。溶解部と駆動部の詳細については後ほど詳しく説明する。
ボディ2には、図6、図7および図9に示すように、円柱穴状の渦室2Aが形成されている。この渦室2Aは、ボディ2の天面2uから前述の連通路に連通するまで穿設されたものとして構成されている。本実施形態では、図8に示すように、渦室2Aは中心軸が鉛直方向に平行な円柱穴状に形成されており、渦室2Aの底面は平坦である。なお、渦室2Aの形状は円柱状に限らず、楕円形状、多角形状等であってもよい。
渦室2Aは、図7および図9に示すように、円柱穴状の渦室2Aの側壁に開口した渦室入口P2および渦室出口P3と、ボディ2の天面2uに開口した金属原料投入口P7と、を有する。このように本実施形態では、従来の渦室のように渦室の底面に渦室から金属溶湯を流出させる出口を設けない。このため、渦室の底面から鉛直下方に伸びる溶湯排出路を設ける必要がない。溶湯排出路を設けないため、深い渦室を形成することができ、その結果、深い渦を形成することができるようになる。
渦室入口P2および渦室出口P3は、図6に示すように、渦室入口P2から流入して渦室出口P3から流出する金属溶湯が渦室2A内に金属溶湯の渦を形成するように、円柱穴状の渦室2Aの接線方向に沿って開口する位置に設けられている。より詳しくは、渦室流入路2Pの側壁2Ps1および側壁2Ps2のうち少なくとも外側の側壁2Ps1が渦室2Aの側壁に滑らかに接続するように渦室入口P2は設けられている。同様に、渦室流出路2Qの側壁2Qs1および側壁2Qs2のうち少なくとも外側の側壁2Qs1が渦室2Aの側壁に滑らかに接続するように渦室出口P3は設けられている。図6に示すように、本実施形態では、側壁2Ps1および側壁2Qs1は円柱状の渦室2Aの側壁の接線方向に沿って延在するように形成されている。
また、ボディ2には、図6、図8および図9に示すように、磁場装置収納室2Bが設けられている。この磁場装置収納室2Bは、ボディ2の天面2uから底面2wに向かう方向に沿って天面2uから穿けた止り穴として駆動室部2Rの上方部分に形成されている。磁場装置収納室2Bには、駆動室部2R内に磁場を生じさせる磁場装置3が収納されている。
なお、磁場装置収納室2Bの側面2Bsおよび/または底面2Bbには断熱層(図示せず)が設けられていてもよい。これにより、保持炉100内の金属溶湯等の熱により磁場装置3が加熱されることを抑制し、磁場強度を維持することができる。
図6および図8に示すように、磁場装置収納室2Bの底面2Bbには、2つの筒部2C1および2C2が設けられている。
筒部2C1は、図8に示すように、磁場装置収納室2Bの底面2Bbにおける溶湯溜まり部ES1の開口を囲むように底面2Bbから凸設されている。そして、図2および図4に示すように、電極4が筒部2C1に挿入されている。 同様に、筒部2C2は、磁場装置収納室2Bの底面2Bbにおける溶湯溜まり部ES2の開口を囲むように底面2Bbから凸設されている。そして、電極5が筒部2C2に挿入されている。
このような筒部2C1,2C2を設けることにより、図14に示すように、渦室2Aの液面レベルに合わせて溶湯溜まり部ES1,ES2から上昇した金属溶湯が磁場装置収納室2Bに漏れ出すことを防止できる。
図6,図8および図9に示すように、ボディ2には、金属溶湯がローレンツ力により駆動される駆動室部2Rが設けられている。この駆動室部2Rは、連通路の途中に形成され、駆動室入口P4と駆動室出口P5を有する。
図6および図8に示すように、ボディ2には、溶湯溜まり部ES1,ES2が設けられている。溶湯溜まり部ES1は、駆動室部2Rの側壁2Rs1に凹状に設けられており、駆動室部2Rの側壁2Rs1と磁場装置収納室2Bの底面2Bbとを連通させる。同様に、溶湯溜まり部ES2は、駆動室部2Rの側壁2Rs2に凹状に設けられており、駆動室部2Rの側壁2Rs2と磁場装置収納室2Bの底面2Bbとを連通させる。
なお、ボディ2には、金属原料溶解装置1を保持炉100内に設置または交換する際に用いられる係合部(図示せず)が設けられてもよい。例えば、ボディ2の天面2uにおいて複数箇所にフックが設けられる。
また、ボディ2は、本実施形態では耐火材を用いて一体的に形成されているが、複数の部材を組み合わせて構成されてもよい。
次に、磁場装置3について説明する。
磁場装置3は、磁場装置収納室2Bに収納され、駆動室部2R内の金属溶湯に上下方向に磁力線を走らせるように構成されている。
図10に示すように、磁場装置3は、磁石体31と、送風装置32と、磁石体31を収納する収納容器33と、を有する。
磁石体31は、ほぼドーナツ状の永久磁石で、下面および上面が磁化されて、N極とS極となっている(図10では下面がN極、上面がS極に磁化されている)。これにより、上下方向の磁力線MLが走ることになる。この磁力線MLは、図4および図5に示すように、磁場装置収納室2Bと駆動室部2Rを隔てる耐火材を貫通し、駆動室部2Rの金属溶湯に到る。図14に示すように、磁力線MLと電極4,5間に流れる電流Iが交差することにより金属溶湯にローレンツ力が作用し、金属溶湯は駆動室入口P4から駆動室出口P5に向かって駆動される。
なお、磁石体31の形状はドーナツ状に限られず、他の形状であってもよい。例えば、磁石体31は、複数の永久磁石の棒磁石を送風管32dの外周に沿って磁極が揃うように縦方向に並べたものとして構成されてもよい。
また、磁石体31は電磁石で構成されてもよい。この場合には、消費電力が増すのは当然である。
送風装置32は、図10に示すように、ブロワー32aと、接続管32bと、フレキシブル接続管32cと、ドーナツ状の磁石体31を貫通する中空の送風管32dと、を有している。ブロワー32aは、接続管32bおよびフレキシブル接続管32cを介して送風管32dの上端に冷却用の空気を送り込む。送風管32dに送り込まれた空気は送風管32dを通って磁石体31を冷却し、その後、図10に示すように、送風管32dの下端から噴出し、収納容器33の下底33c2に吹き付けられて反射する。反射した空気は、上底33c1の空気孔H2を通って磁石体31の側面を通過し、空気孔H1を通って収納容器33の外部に排出される。このようにして送風装置32から送風される空気により磁石体31の周囲にエアカーテンが形成される。これにより、保持炉100内の金属溶湯等の熱により磁石体31が加熱されることを抑制し、磁場強度を維持することができる。
収納容器33は、図10に示すように、ステンレス等の非磁性部材かつ耐熱性の材料からなる外筒33aと、この外筒33aの内部に、いわゆる入れ子状態に収納された、断熱材筒33bおよびステンレス筒33cとを有している。
最も内側のステンレス筒33cの底は、上底33c1と下底33c2の二重底になっている。上底33c1によりステンレス筒33cの内部は、上側の空間と下側の空間に区画されている。さらに、この上底33c1には、この上底33c1を貫通し、上側の空間と下側の空間とを連通させる空気孔H2が穿設されている。ブロワー32aから送風管32dを通じて下側の空間に送られた冷却用の空気は、これらの空気孔H2から上側の空間に流入し、空気孔H1から外部に流出することになる。空気孔H1は、外筒33aの蓋33dに設けられた孔31daと、断熱材筒33bの蓋33eに設けられた孔31eaと、ステンレス筒33cの蓋33fに設けられた孔31faが連通したものとして構成されている。
なお、磁場装置3は上記の構成に限られない。例えば、磁場装置3は永久磁石のみで構成されてもよい。この場合、磁場装置収納室2Bの側面2Bsおよび底面2Bbに断熱層を設けることが好ましい。
また、磁場装置3は、磁場装置収納室2Bに縦方向に沿って位置調整可能に収納されて、駆動室部2R内の磁場強度を調整可能としてもよい。この場合、磁場装置3の縦方向の位置を調整する移動手段(図示せず)が設けられる。この移動手段は、収納容器33を縦方向に移動させるものであってもよいし、あるいは、収納容器33は移動させず、収納容器33内の磁石体31を送風管32dに沿って上下に移動させるものであってもよい。移動手段は、例えば、高さ可変の台座であってもよいし、高さの異なる複数種類の台座であってもよいし、磁場装置3を高さ可変に吊り下げるクレーンであってもよい。
上記のように磁場装置3の縦方向位置を変えることにより、駆動室部2R内の金属溶湯を貫通する磁場強度を変化させ、駆動部の駆動力(ローレンツ力)を調整することができる。すなわち、磁場装置3を下側に移動させる(すなわち、磁場装置収納室2Bの底面2Bbに近づける)につれて、駆動室部2R内の金属溶湯を貫通する磁場強度が大きくなり、駆動力は大きくなる。反対に、磁場装置3を上側に移動させる(すなわち、磁場装置収納室2Bの底面2Bbから遠ざける)につれて、駆動室部2R内の金属溶湯を貫通する磁場強度が小さくなり、駆動力は小さくなる。
上記のように磁場装置3を上下動させることで、電極4および電極5間に一定の電流を流した状態においても、金属溶湯に作用するローレンツ力を調整することができるようになる。これにより、例えば、電極4,5に流す電流によって駆動力を一次調整し、その後、磁場装置3の縦方向位置により駆動力を二次調整することができる。これにより、駆動力の調整範囲の幅を拡げることができる。また、二次調整により、消費電力の増加を回避し、ランニングコストの低減を図ることができる。
次に、一対の電極4,5について説明する。
一対の電極4,5は、図2および図4に示すように、駆動室部2Rの幅方向(すなわち、駆動室入口P4と駆動室出口P5を結ぶ方向と交差する方向)に駆動室部2Rを挟むように配置されている。電極4,5は、駆動室部2R内の金属溶湯を介して駆動室部2Rの幅方向に電流を流すための電極である。
電極4は、図14に示すように、使用状態において、駆動室部2Rから溶湯溜まり部ES1に流れ込んだ金属溶湯に接触するように配置されている。同様に、電極5は、使用状態において、駆動室部2Rから溶湯溜まり部ES2に流れ込んだ金属溶湯に接触するように配置されている。このように電極4,5は、溶湯溜まり部ES1,ES2内の金属溶湯に浸されるように配置されることで、駆動室部2Rの金属溶湯に幅方向の電流を流すように構成される。このような構成により、本実施形態によれば、消耗品である電極を容易に取り替えることができる。
電極4,5の先端部分(金属溶湯と接触する部分)はタングステンなどの耐摩耗材で構成されている。
なお、電極4,5の形状は、本実施形態では丸棒状であるが、これに限られず、平板状、櫛状、網状等の他の形状であってもよい。また、電極4,5は、互いに電気的に接続された複数本の電極棒から構成されてもよい。
次に、電源装置6について説明する。
電源装置6は、図4に示すように、電極4,5に配線7を介して接続された直流電源61と、直流電源61を制御して所定の電流を出力させる制御部(電源制御盤)62と、を有する。
制御部62は、保持炉100内の金属溶湯を十分に撹拌するために必要な金属溶湯の吐出量や、渦室2Aで金属原料を効率良く溶解させるために必要な渦の深さ等に応じて、直流電源61が出力する電流の大きさを決定する。
制御部62は、保持炉100内の金属溶湯の液面レベルに応じて、電極4,5に出力する電流の大きさを変化させてもよい。この場合、金属溶湯の液面レベルは、浮体等を利用した公知の計測手段により計測される。
より詳しくは、制御部62は、保持炉100内の金属溶湯の液面レベルが所定のレベルよりも低い場合、電流を上げるように直流電源61を制御する。液面レベルが低い場合、渦室2A内の液面レベルも低くなるため渦室2Aの渦が浅くなり、金属原料の溶解効率が低下する。しかし、液面レベルが低下した場合に電流を上げることで、駆動部は渦室2Aの金属溶湯をより強い力で駆動室部2Rに吸引するため、渦室2A内の金属溶湯がより速く旋回するようになり、渦室2Aの渦を深くすることができる。制御部62は、保持炉100内の金属溶湯の液面レベルが所定のレベル以上の場合、電流を下げるように直流電源61を制御してもよい。これにより、消費電力を抑えることができる。
なお、作業者が手動で直流電源61の出力を調整してもよい。
また、直流電源61に代えて、パルス電源を用いてもよい。
次に、上述した構成(ボディ2、磁場装置3、電極4,5および電源装置6)から構成される駆動部および溶解部について説明する。
[駆動部]
まず、金属溶湯を駆動する駆動部について説明する。
駆動部は、駆動室部2Rと、磁場装置収納室2Bと、磁場装置3と、一対の電極4,5と、電源装置6とを有している。
磁場装置3(磁石体31)から出力される磁力線MLは、図14および図15に示すように、上下方向に走り、磁場装置収納室2Bと駆動室部2Rを隔てる耐火材を貫通し、駆動室部2Rの金属溶湯に到る。また、電極4および電極5間を流れる電流Iは、駆動室部2Rの金属溶湯中を幅方向に流れる。
磁力線MLと電流Iが交差することにより駆動室部2Rの金属溶湯にローレンツ力が作用する。これにより、駆動室部2Rの金属溶湯は、駆動室入口P4から駆動室出口P5に向かって駆動される。このローレンツ力による駆動によって、保持炉100の金属溶湯は、吸引口P1からボディ2内に吸引され、渦室2Aで渦を形成した後、駆動室部2Rを流れて吐出口P6より吐出される。
その結果、図12に示すように、保持炉100内の金属溶湯は流れFに沿って撹拌されることとなる。このように金属原料溶解装置1(駆動部)は、保持炉100内の金属溶湯を撹拌するポンプとして機能する。
また、ローレンツ力により駆動室部2Rの金属溶湯が吐出口P6に向けて駆動されることで、渦室2Aの金属溶湯が吸引され、渦室2Aに螺旋状の引き渦が形成されることとなる。
なお、図2等に示すように、渦室流出路2Qの幅は、渦室出口P3から駆動室入口P4に進むにつれて広くなるようにしてもよい。これにより、駆動室部2Rの幅が広がり、電極4と電極5間の電流路を長くすることができる。その結果、金属溶湯に作用するローレンツ力が大きくなり、駆動部による金属溶湯の駆動力を向上させることができる。
[溶解部]
次に、金属溶湯中に投入される金属原料を溶解する溶解部について説明する。
溶解部は、ボディ2に形成された渦室2Aを有する。渦室2Aの金属溶湯は、図12および図13に示すように、駆動部の吸引力によって渦室2Aの金属溶湯が引っ張られて、渦室2Aに螺旋状の引き渦Vが形成される。渦室入口P2から流入した金属溶湯は引き渦Vの螺旋に沿って下降してゆき、渦室2Aの下部に設けられた渦室出口P3から流出して、駆動室部2Rに向かう。
このように渦室2Aに形成された螺旋状の渦に金属原料投入口P7から金属原料(アルミニウム溶湯についてはアルミニウム切粉など)を投入することで、金属溶湯に金属原料を急速に溶解させることができる。
渦室2Aに投入するもの(溶解対象物)としては、切粉または粉状の材料など、比重が比較的小さく、軽くて浮き易い材料であればよい。
なお、図7に示すように、渦室流入路2Pの底面2Pbは、渦室2Aの底面2Abよりも高い位置に位置するようにしてもよい。これにより、渦室入口P2から流入する金属溶湯によって渦の底部分が乱されることが抑制されるため、渦室2A内に渦が明瞭に深く形成されるようになる。その結果、金属原料の溶解効率を向上させることができる。
また、図7に示すように、渦室入口P2の底面2Pbの高さは、渦室出口P3の上端の高さと同じにしてもよい。
また、図7に示すように、渦室出口P3は、その下端が渦室2Aの底面2Abに接するように設けられていてもよい。これにより、同じ液面レベルに対してより深い渦を形成することができ、金属原料の溶解効率を向上させることができる。さらに、金属原料溶解装置1の動作を停止させたときに渦室2A内の金属溶湯が渦室2A内に残留することを防止できる。
また、渦室流入路2Pは、図6に示すように、その幅が吸引口P1から渦室入口P2に進むにつれて狭くなるようにしてもよい。これにより、渦室2Aに流入する金属溶湯の流速が上昇し、渦室2Aにしっかりとした渦を形成することができる。
<作用効果>
上記のように、本実施形態に係る金属原料溶解装置1は、保持炉100内に設置されて使用されるものであり、ローレンツ力を利用して金属溶湯を駆動する駆動部が溶解部の下流側に設けられ、渦室2Aの金属溶湯を吸引するように構成されている。これにより、渦室2A内に深くしっかりとした引き渦が形成される。このため、金属原料投入口P7から投入された金属原料は、切粉または粉状等の比較的見かけ比重の軽いものであっても、渦の中に螺旋状に引き込まれて金属溶湯中に効率良く溶解する。また、金属原料の投入により温度が低下した金属溶湯が吐出口P6から吐出され、吸引口P1からは高温の金属溶湯が吸引されるため、渦室2A内の金属溶湯の温度は高温に維持され、投入された金属原料を迅速に溶解することができる。
また、本実施形態では、磁場装置3が駆動室部2Rの上方に配置されるため、金属溶湯の流路をボディ2の低い位置に設けることができる。それにより、渦室出口P3を低い位置に設けることが可能となり、渦室2Aに深い渦を形成することができるようになる。その結果、効率良く金属原料を溶解させることができる。
このように、本実施形態によれば、アルミニウム切粉等の金属原料を迅速かつ効率良く溶解させることができる。
さらに、本実施形態によれば、保持炉に外付けされる従来の溶解炉の場合のように、保持炉の壁に穴を開けて溶解炉を接続したり、保持炉もしくは溶解炉の側壁または底壁の近傍に磁場装置を設置等するための大がかりな改造工事が不要であり、保持炉内に金属原料溶解装置1を設置するだけで既存の保持炉に容易に組み込むことができる。その結果、工事費用を大幅に低減することができる。
さらに、本実施形態によれば、溶解炉と保持炉との間の接合部分から金属溶湯が漏れ出るおそれが全くないため、従来に比べて極めて安全に使用することができる。また、渦室2Aから金属溶湯が飛び出した場合でも、金属原料溶解装置1が保持炉100内に配置されているため、飛び出した溶湯は保持炉100内に留まり、安全性は損なわれない。
さらに、本実施形態に係る金属原料溶解装置1は、渦室2Aから吸引された金属溶湯を吐出口P6から保持炉100内に吐出することで、保持炉100内の金属溶湯を撹拌するポンプないしスターラとしても機能する。金属原料溶解装置1の保持炉100への設置位置は特に制限されないため、金属原料の溶解または金属溶湯の撹拌が最も効率良く行われる位置(保持炉の隅部など)を選んで金属原料溶解装置1を設置することができる。
また、本実施形態の金属原料溶解装置1は磁場装置3を含むオールインワン型として構成されているため、金属原料溶解装置1の故障時や清掃時において、保持炉100から金属原料溶解装置1を取り出して新しいものに交換するだけでよい。金属原料溶解装置1を取り出して、吸引口P1や吐出口P6等に付着した非鉄金属の滓を除去するための清掃を容易に行うことができる。また、金属原料溶解装置1に不具合が生じた場合であっても、保持炉100から金属原料溶解装置1を取り出して修理することができる。修理している間も、予備の金属原料溶解装置1を保持炉100内に設置したり、従来方式による溶湯撹拌作業を行うことで、ダウンタイムによる損失を僅少にすることができる。
また、金属原料溶解装置1はボディ2の底面2wが保持炉100の炉底に接するように配置されるため、渦室2Aの底面は従来の外付けの渦室に比べて低い位置にある。これにより、保持炉100の金属溶湯の液面レベルが変動しても、渦室2A内に渦を形成するために必要な溶湯量を確保でき、溶解能力が大きく低下することを回避できる。
また、本実施形態に係る金属原料溶解装置1は保持炉100内のどの位置にも設置可能であることから、保持炉100が前炉を有するタイプのものにあっても、容積の小さい前炉に金属原料溶解装置1を設置する必要はない。すなわち、前炉は容積が小さいため原料の投入位置によっては金属溶湯の温度が急激に下がってしまうところ、容積の大きなメインバスに金属原料溶解装置1を設置することで、原料投入時の温度低下を防いで、効率良く金属原料を溶解させることができる。
また、本実施形態では、磁場装置3は永久磁石を利用するため、電磁石の場合に比べて消費電力を格段に低減することができるとともに、磁場装置3の構造を簡易にすることができる。
前述したように本実施形態によれば、従来に比べて大幅に溶解効率を向上させることができる。また、永久磁石によるローレンツ力を利用するため、消費電力を大幅に減らすことができる。このため、100トン炉を例にとると、炉内撹拌のために従来は300〜500kW出力の撹拌装置を必要としたが、本実施形態によれば、撹拌装置は不要であり、10kW未満の電力で金属原料溶解装置1を動作させることで炉内撹拌を十分に行うことができる。
また、本実施形態では、メカニカルポンプを使用せずに炉内の金属溶湯を撹拌するため、メカニカルポンプのメンテナンスを行う必要がない。よって、メンテナンス性を向上させ、ランニングコストを大幅に低減させることができる。
また、本実施形態に係る金属原料溶解装置1は、ボディ2内に磁場装置3を備えており、駆動室部2R中において所定の磁場強度が得られるように予め磁場装置収納室2Bの底面2Bbの厚さ等が設計されている。したがって、本実施形態によれば、保持炉への金属原料溶解装置1の組み込みにあたって、磁場装置を保持炉の側壁または底壁の近傍に設置する場合のように保持炉の壁の厚さなどを考慮して磁場装置3の磁場強度を調整ないし設定する必要がない。
また、一般に保持炉の側壁や底壁は分厚いため、保持炉の外部に磁場装置を配置して炉内の金属溶湯を十分な駆動力で駆動するには、磁場装置3の磁場強度をかなり大きくしなければならず、磁場装置3の大型化や高コスト化が避けられない。これに対し、本実施形態では、金属原料溶解装置1は磁場装置3を内蔵しており、ボディ2内において磁場装置3と駆動室部2Rは比較的薄い耐火材壁により隔てられ配置されていることから、比較的小さい磁場強度で十分な駆動力を確保することができ、従来の外付けタイプの磁場装置に比べて磁場装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、金属原料投入口P7に投入された金属原料を金属溶湯中に引き込み溶解する駆動力としてローレンツ力を利用する。このため、電流および磁場強度のうち少なくともいずれか一方を調整することで、所望の吸引力を発生させ、渦室2Aに渦を形成することができる。例えば、直流電源61が出力する電流の大きさによる調整(一次調整)を行った後、駆動室部2R内の磁場強度による調整(二次調整)を行うことにより金属溶湯の吸引力を調整することができる。このように磁場強度を調整するための手段を複数備えることにより、本実施形態によれば、金属溶湯の駆動力の調整を容易にすることができるとともに駆動力の調整範囲の幅を拡げることができる。また、永久磁石を駆動室部2Rに近づけることで、電流を増やすことなく駆動力を増強させることができる。すなわち、二次調整を行うことにより、一次調整に比べてランニングコストを抑えることができる。
このように本実施形態では、駆動力の大きさを電流および磁場強度の2つのパラメータにより調整可能である。ここで、駆動力(ローレンツ力)は大きければ良いというものではなく、金属原料を効率良く溶解するためにシステムごとに適正な大きさの値とすることが望ましい。本実施形態によれば、2つのパラメータ(すなわち、電流と磁場強度)により駆動力を調整可能であるため、駆動力をシステムに応じた適正な大きさに容易に設定することができる。
次に、上述した実施形態に係る金属原料溶解装置の変形例1〜3について説明する。いずれの変形例によっても、上記と同様の効果を得ることができる。
<変形例1>
本変形例に係る金属原料溶解装置1Aでは、図16に示すように、渦室2Aの形状の中心軸が鉛直方向から所定の角度傾いている。これにより、切粉等の原料が渦により取り込まれ易くすることができる。より詳しくは、渦室2Aが傾いて設けられていることで、金属溶湯の渦はその頂部付近で一部が崩れ落ち、渦室2Aに投入された金属原料に覆い被さることとなる。その結果、さらに効率良くアルミニウム切粉等の金属原料の溶解を行うことができる。
<変形例2>
本変形例に係る金属原料溶解装置1Bでは、図17に示すように、渦室2Aの下流側だけでなく、渦室2Aの上流側にも駆動部が設けられている。すなわち、本変形例では、ボディ2に渦室2Aを挟んで2つの駆動部が設けられている。これにより、金属溶湯の駆動力がさらに大きくなるため、渦室2Aにしっかりとした深い渦を形成するとともに、保持炉100内の金属溶湯を大きな撹拌力で撹拌することができる。
本変形例では、渦室入口P2は上流側の駆動室部2RBの駆動室出口P5Bに連通し、渦室出口P3は下流側の駆動室部2Rの駆動室入口P4に連通している。
なお、渦室2Aの下流側に設けられた駆動部に駆動力に比べて、渦室2Aの上流側に設けられた駆動部の駆動力を小さくしてもよい。これにより、駆動力を高めつつ、渦室2Aに引き渦を形成することができる。駆動力の調整は、渦室2Aの上流側に設けられた駆動部の電極4B,5B間に流す電流の大きさを、渦室2Aの下流側に設けられた駆動部の電極4,5間に流す電流よりも小さくする、および/または、渦室2Aの上流側に設けられた駆動部の磁場装置3の高さを渦室2Aの下流側に設けられた駆動部の磁場装置3よりも高くする(すなわち、駆動室部2Rの磁場強度を低下させる)ことにより行うことが可能である。
<変形例3>
本変形例に係る金属原料溶解装置1Cでは、図18に示すように、渦室2Aの下流側に代えて、渦室2Aの上流側に駆動部が設けられている。本変形例では、渦室入口P2は上流側の駆動室部2RBの駆動室出口P5Bに連通し、渦室出口P3はボディ2の吐出口P6Bに連通している。
以上、本発明に係る実施形態および変形例について説明した。上記のように本発明に係る金属原料溶解装置は、オールインワン型のものとして構成されている。すなわち、本発明に係る金属原料溶解装置は、単体完結型アセンブリとして構成されており、他に一切の部材ないし装置を必要とせずに、自装置だけで、溶解炉として機能するとともにスターラとしても機能する。よって、本発明に係る金属原料溶解装置は産業利用上極めて有用である。
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
1,1A,1B,1C 金属原料溶解装置
2 ボディ
2A 渦室
2Ab 底面
2B 磁場装置収納室
2Bb 底面
2C1,2C2 筒部
2P 渦室流入路
2Pb 底面
2Q 渦室流出路
2R 駆動室部
2Rs1,2Rs2 側壁
2S 流出路
2u (ボディの)天面
2w (ボディの)底面
3 磁場装置
31 磁石体
32 送風装置
32a ブロワー
32b 接続管
32c フレキシブル接続管
32d 送風管
33 収納容器
33a 外筒
33b 断熱材筒
33c ステンレス筒
33c1 上底
33c2 下底
33d,33e,33f 蓋
33da,33ea,33fa 孔
4,4B,5,5B 電極
6 電源装置
61 直流電源
62 制御部
7 配線
100 金属溶湯保持炉
1000 金属溶湯溶解保持システム
ES1,ES2 溶湯溜まり部
F (金属溶湯の)流れ
H1,H2 空気孔
I 電流
M 金属溶湯
P1 吸引口
P2 渦室入口
P3 渦室出口
P4 駆動室入口
P5 駆動室出口
P6 吐出口
P7 金属原料投入口
S,T 空間
V (渦室の)渦

Claims (15)

  1. 金属溶湯保持炉内に設置される金属原料溶解装置であって、
    吸引口と吐出口とを連通路で連通したボディに設けられており、前記金属溶湯保持炉の金属溶湯を前記吸引口から吸引して前記吐出口から吐出するように駆動する駆動部と、
    前記ボディに設けられており、前記駆動部が金属溶湯を駆動することにより形成される渦中に投入される金属原料を溶解する溶解部と、
    を備え、
    前記駆動部は、
    前記連通路の途中に形成され、駆動室入口と駆動室出口を有する駆動室部と、
    前記ボディの天面から底面に向かう方向に沿って前記天面から穿けた止り穴として前記駆動室部の上方部分に形成された磁場装置収納室と、
    前記磁場装置収納室に収納され、前記駆動室部内の金属溶湯に上下方向に磁力線を走らせる磁場装置と、
    前記駆動室入口と前記駆動室出口を結ぶ方向と交差する幅方向に前記駆動室部を挟むように配置され、前記駆動室部内の金属溶湯を介して前記幅方向に電流を流すための一対の電極と、
    を有し、
    前記溶解部は、前記ボディの前記天面から前記連通路に連通するまで穿設された渦室を有し、
    前記渦室は、前記ボディの前記天面に開口した金属原料投入口と、前記渦室の側壁に開口した渦室入口と、前記渦室の側壁に開口した渦室出口とを有し、
    前記渦室入口および前記渦室出口は、前記渦室入口から流入して前記渦室出口から流出する金属溶湯が前記渦室内に金属溶湯の渦を形成するように、前記渦室の接線方向に沿って開口する位置に設けられ、
    前記渦室入口は前記ボディの前記吸引口と連通し且つ前記渦室出口は前記駆動室入口に連通し、または、前記渦室入口は前記駆動室出口に連通し前記渦室出口は前記ボディにおける前記吐出口に連通することを特徴とする金属原料溶解装置。
  2. 前記吸引口と前記渦室入口とを連通する渦室流入路の底面は、前記渦室の底面よりも高い位置に位置することを特徴とする請求項1に記載の金属原料溶解装置。
  3. 前記渦室出口と前記駆動室入口とを連通する渦室流出路の幅は、前記渦室出口から前記駆動室入口に進むにつれて広くなることを特徴とする請求項1または2に記載の金属原料溶解装置。
  4. 前記渦室出口は、その下端が前記渦室の底面に接するように設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属原料溶解装置。
  5. 前記ボディは、一体の耐火材からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属原料溶解装置。
  6. 前記磁場装置は、前記磁場装置収納室に縦方向に沿って位置調整可能に収納されて、前記駆動室部内の磁場強度を調整可能としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属原料溶解装置。
  7. 前記ボディには、
    前記駆動室部の第1の側壁と前記磁場装置収納室の底面とを連通させる第1の溶湯溜まり部と、
    前記駆動室部の第2の側壁と前記磁場装置収納室の底面とを連通させる第2の溶湯溜まり部と、
    が設けられており、
    前記一対の電極のうち一方の電極である第1の電極は、前記駆動室部から前記第1の溶湯溜まり部に流れ込んだ金属溶湯に接触するように配置され、
    前記一対の電極のうち他方の電極である第2の電極は、前記駆動室部から前記第2の溶湯溜まり部に流れ込んだ金属溶湯に接触するように配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属原料溶解装置。
  8. 前記ボディには、
    前記磁場装置収納室の前記底面における前記第1の溶湯溜まり部の開口を囲むように前記底面から凸設され、前記第1の電極が挿入される第1の筒部と、
    前記磁場装置収納室の前記底面における前記第2の溶湯溜まり部の開口を囲むように前記底面から凸設され、前記第2の電極が挿入される第2の筒部と、
    が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の金属原料溶解装置。
  9. 前記磁場装置は、底面および上面が磁化された永久磁石と、前記永久磁石を貫通する中空の送風管と、前記送風管の一端に冷却用の空気を送り込むブロワーと、を有し、
    前記送風管の他端から噴出し、前記磁場装置収納室の前記底面に吹き付けられ反射した空気は、前記永久磁石の側面を通過しエアカーテンを形成することを特徴とする請求項7または8に記載の金属原料溶解装置。
  10. 前記磁場装置収納室の側面および/または底面に断熱層が設けられていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の金属原料溶解装置。
  11. 前記渦室の中心軸が鉛直方向から所定の角度傾いていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の金属原料溶解装置。
  12. 前記一対の電極に電気的に接続された電源と、
    前記電源を制御して電流を出力させる制御部と、を有する電源装置を備え、
    前記制御部は、前記金属溶湯保持炉内の金属溶湯の液面レベルに応じて前記電流の大きさを変化させることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の金属原料溶解装置。
  13. 前記制御部は、前記液面レベルが所定のレベルよりも低い場合、前記電流を上げることを特徴とする請求項12に記載の金属原料溶解装置。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の金属原料溶解装置と、
    前記金属原料溶解装置が内部に設置される金属溶湯保持炉と、
    を備えることを特徴とする金属溶湯溶解保持システム。
  15. 金属溶湯保持炉内に設置される金属原料溶解装置を用いた金属原料の溶解方法であって、前記金属原料溶解装置は、吸引口と吐出口とを連通路で連通したボディに設けられ、前記金属溶湯保持炉の金属溶湯を前記吸引口から吸引して前記吐出口から吐出するように駆動する駆動部と、前記ボディに設けられ、前記ボディの天面から前記連通路に連通するまで穿設された渦室を有する溶解部と、を有し、
    前記駆動部が前記ボディの駆動室部内の金属溶湯をローレンツ力により駆動して前記渦室内の金属溶湯を吸引することにより前記渦室に渦を形成するステップと、
    前記ボディの天面に開口した金属原料投入口から前記形成された渦の中に金属原料を投入して溶解させるステップと、
    を備えることを特徴とする金属原料溶解方法。
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