JP2021014434A - うつ病またはうつ症状の予防または治療剤としてのトランスフォーミング増殖因子β1 - Google Patents
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Abstract
【課題】うつ病またはうつ症状に対して予防または治療効果を有する新たな化合物を提供すること。【解決手段】有効成分として、トランスフォーミング増殖因子β1又はその塩を含む、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤。【選択図】なし
Description
本発明は、トランスフォーミング増殖因子β1またはその塩を含むうつ病またはうつ症状の予防または治療剤などに関する。
社会生活様式の変化や社会の高齢化に伴い、精神疾患に罹患した患者数は、全体として増加傾向にある。
代表的な精神疾患として、うつ病や統合失調症などが挙げられ、薬物治療が行われているが、臨床現場で実際に使用されている薬剤は、一部の患者や一部の症状には有効であるが、効果が無い、あるいはいわゆる治療抵抗性の患者が存在することも知られている。
したがって、依然として、精神疾患に対する新しい治療薬の開発が切望されている。
代表的な精神疾患として、うつ病や統合失調症などが挙げられ、薬物治療が行われているが、臨床現場で実際に使用されている薬剤は、一部の患者や一部の症状には有効であるが、効果が無い、あるいはいわゆる治療抵抗性の患者が存在することも知られている。
したがって、依然として、精神疾患に対する新しい治療薬の開発が切望されている。
非特許文献1には、大うつ病とTGF−β1との関連が記載され、大うつ病でトランスフォーミング増殖因子β1(TGF−β1)が減少し、治療後に増加することが開示されている。
また、非特許文献2には、TGF−β1のシグナル伝達経路を阻害することにより、うつ症状の改善がなされる旨が開示されている。
さらに、非特許文献3〜5においては、TGF−β1が、統合失調症、パーキンソン病およびアルツハイマー病に関連することが開示されている。
また、非特許文献2には、TGF−β1のシグナル伝達経路を阻害することにより、うつ症状の改善がなされる旨が開示されている。
さらに、非特許文献3〜5においては、TGF−β1が、統合失調症、パーキンソン病およびアルツハイマー病に関連することが開示されている。
J Affect Disord. 2005 Oct;88(2):167-173
FASEB J. 2019 Jan;33(1):606-618
Psychoneuroendocrinology. 2019 Jan;99:265-270
J Cell Mol Med. 2019 Apr;23(4):2568-2582
J Mol Neurosci. 2019 Jan;67(1):142-149
しかしながら、非特許文献1では、表2では有意な差は認められていないし、表2の結果は、既存の抗うつ薬などで治療した結果、8週間後において、治療前と比べて改善したという結果を開示しているに過ぎない。また、非特許文献2に開示される抗うつ効果は、TGF−β1のシグナル伝達経路を阻害することによる効果として示されている。
本発明が解決しようとする課題は、うつ病またはうつ症状に対して予防または治療効果を有する新たな化合物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行って、うつ病またはうつ症状に対して予防または治療効果を有する新たな化合物を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)
有効成分として、トランスフォーミング増殖因子β1またはその塩を含む、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤。
(2)
有効成分として、トランスフォーミング増殖因子β1またはその塩を含む、うつ病またはうつ症状の予防または治療用の医薬組成物。
(3)
TGFβ−1およびTGFβ−1受容体カスケードを亢進することによる、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法。
(4)
TGFβ−1受容体が、TGFBR1またはTGFBR2である、(3)に記載のスクリーニング方法。
(5)
TGFβ−1およびTGFβ−1受容体カスケードの亢進を、TGFβ−1の発現上昇により確認する、(3)又は(4)に記載のスクリーニング方法。
(6)
mRNAの発現上昇を指標とする、(5)に記載のスクリーニング方法。
(7)
さらに、行動試験を行う、(5)または(6)に記載のスクリーニング方法。
(1)
有効成分として、トランスフォーミング増殖因子β1またはその塩を含む、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤。
(2)
有効成分として、トランスフォーミング増殖因子β1またはその塩を含む、うつ病またはうつ症状の予防または治療用の医薬組成物。
(3)
TGFβ−1およびTGFβ−1受容体カスケードを亢進することによる、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法。
(4)
TGFβ−1受容体が、TGFBR1またはTGFBR2である、(3)に記載のスクリーニング方法。
(5)
TGFβ−1およびTGFβ−1受容体カスケードの亢進を、TGFβ−1の発現上昇により確認する、(3)又は(4)に記載のスクリーニング方法。
(6)
mRNAの発現上昇を指標とする、(5)に記載のスクリーニング方法。
(7)
さらに、行動試験を行う、(5)または(6)に記載のスクリーニング方法。
トランスフォーミング増殖因子β1(TGF−β1)は、うつ病やうつ症状の予防または治療に有効である。
本発明のうつ病またはうつ症状の予防または治療剤は、有効成分として、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF−β1)またはその塩を含む。
非特許文献2は、本発明と逆の作用を示すものであり、TGF−β1と抗うつ作用に関する見解は一致していないが、本発明においては、以下の実施例で示すとおり、抗うつ作用の評価モデルとして知られた複数の動物モデルにおける行動試験において、TGF−β1の即効性抗うつ作用および持続作用を確認している。
非特許文献2は、本発明と逆の作用を示すものであり、TGF−β1と抗うつ作用に関する見解は一致していないが、本発明においては、以下の実施例で示すとおり、抗うつ作用の評価モデルとして知られた複数の動物モデルにおける行動試験において、TGF−β1の即効性抗うつ作用および持続作用を確認している。
トランスフォーミング増殖因子(Transforming growth factor、TGF)は、トランスフォーミング成長因子とも呼ばれる組織発生、細胞分化、胚発育などにおいて重要な役割を担っている増殖因子の1つとして知られる。
TGF−β1は、腎臓、骨髄、血小板などほぼすべての細胞で産生され、5種類のサブタイプ(β1〜β5)が存在している。
TGF−β1は高分子量の不活性型(潜在型)として分泌され、標的細胞の近傍で活性化を受けて作用を発揮する。
本発明において、TGF−β1は、不活性型および活性型の双方を意味するが、活性型TGF−β1であることが好ましい。
なお、不活性型として投与して、生体内で、活性型へと変換させてもよい。
TGF−β1は、腎臓、骨髄、血小板などほぼすべての細胞で産生され、5種類のサブタイプ(β1〜β5)が存在している。
TGF−β1は高分子量の不活性型(潜在型)として分泌され、標的細胞の近傍で活性化を受けて作用を発揮する。
本発明において、TGF−β1は、不活性型および活性型の双方を意味するが、活性型TGF−β1であることが好ましい。
なお、不活性型として投与して、生体内で、活性型へと変換させてもよい。
TGF−β1として分類されるタンパク質であれば特に限定されるものではなく、従来公知のTGF−β1を本発明における有効成分として用いてよい。
TGF−β1としては、好適には、ヒト由来のTGF−β1を用いることができ、天然タンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質であってもよく、一部のアミノ酸配列が改変された人工タンパク質であってもよい。
アミノ酸配列の改変とは、天然タンパク質のアミノ酸配列において、80%以上、好ましくは、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の相同性を有するタンパク質であって、TGF−β1としての機能を失っていないことを意味する。
また、アミノ酸配列の改変とは、天然タンパク質のアミノ酸配列において、1または複数のアミノ酸が置換、欠失または挿入されていてもよいことを意味する。
TGF−β1としては、好適には、ヒト由来のTGF−β1を用いることができ、天然タンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質であってもよく、一部のアミノ酸配列が改変された人工タンパク質であってもよい。
アミノ酸配列の改変とは、天然タンパク質のアミノ酸配列において、80%以上、好ましくは、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の相同性を有するタンパク質であって、TGF−β1としての機能を失っていないことを意味する。
また、アミノ酸配列の改変とは、天然タンパク質のアミノ酸配列において、1または複数のアミノ酸が置換、欠失または挿入されていてもよいことを意味する。
本発明におけるTGF−β1としては、TGF−β1としての機能を失わない範囲で、天然のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を有するTGF−β1において、一部のまとまりあるアミノ酸配列が欠失しているタンパク質であってもよい。
本発明におけるTGF−β1は、細胞などを用いた生体内反応により製造されたものであってもよく、人工的に、例えば、化学合成により製造されたものであってもよい。
本発明におけるTGF−β1の塩とは、特に限定されるものではなく、タンパク質の塩として知られる形態の塩であってよく、薬理学的に許容される塩として知られる塩から選択してもよい。
本発明において、用語「有効成分として」とは、主要な活性成分として含むという意味であり、TGF−β1またはその塩を薬効成分として含むものであれば、その含有量は特に限定されない。
本発明において、用語「うつ病またはうつ症状の予防または治療」とは、うつ病またはうつ症状の発症を未然に防ぐ、あるいは、うつ病を罹患する患者やうつ症状を示す患者におけるうつ症状の緩和や改善といった治療効果を発揮することを意味する。
精神疾患の一種であるうつ病またはうつ症状は、長期間(年単位)にわたり進行する病気であることから、早期に治療を開始することで、症状の進行を予防することもできる。
また、潜在的に、うつ病またはうつ症状に罹患しやすい遺伝的バックグラウンドを有するような患者に対して、うつ病またはうつ症状の症状を呈する前に投与することにより、うつ病またはうつ症状の発症予防にも用いることもできる。
本発明におけるうつ病またはうつ症状の予防剤としては、うつ病またはうつ症状の発症予防剤であってもよく、症状の進行予防剤であってもよい。また、本発明におけるうつ病またはうつ症状の治療剤は、症状の進行を防止する、あるいは、症状の緩和や改善するといった、治療効果を有する。
精神疾患の一種であるうつ病またはうつ症状は、長期間(年単位)にわたり進行する病気であることから、早期に治療を開始することで、症状の進行を予防することもできる。
また、潜在的に、うつ病またはうつ症状に罹患しやすい遺伝的バックグラウンドを有するような患者に対して、うつ病またはうつ症状の症状を呈する前に投与することにより、うつ病またはうつ症状の発症予防にも用いることもできる。
本発明におけるうつ病またはうつ症状の予防剤としては、うつ病またはうつ症状の発症予防剤であってもよく、症状の進行予防剤であってもよい。また、本発明におけるうつ病またはうつ症状の治療剤は、症状の進行を防止する、あるいは、症状の緩和や改善するといった、治療効果を有する。
本発明において「うつ病」とは、特に限定されるものではないが、医学的に「うつ病」と診断される疾患である。例えば、アメリカ精神医学会による「精神障害の診断と統計マニュアル第5版」により「うつ病」とされる疾患であってもよく、国際疾病分類により「うつ病」とされる疾患であってもよい。また、日本うつ病学会の発行するガイドラインにより「うつ病」とされる疾患であってもよい。
うつ病としては、大うつ病性障害(major depressive disorder;MDD)、小児うつ病および成人うつ病などを含む。
うつ病としては、大うつ病性障害(major depressive disorder;MDD)、小児うつ病および成人うつ病などを含む。
本発明において「うつ症状」とは、特に限定されるものではないが、気分の抑うつ、意欲の低下、不安およびそれらに伴う不眠、食欲不振などの症状を意味する。また、うつ症状としては、上述のように診断されるうつ病と診断されなくても、気分の抑うつ、意欲の低下、不安およびそれらに伴う不眠、食欲不振などの症状等を奏していると診断される状態を含む。
うつ症状を呈する疾患としては、うつ症状とその対極の症状である躁症状とを繰り返す双極性障害、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、全般性不安障害、強迫性障害、社交不安障害、心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic stress disorder;PTSD)、統合失調症、摂食障害、物質使用障害(薬物依存を含む)などの疾患が挙げられる。
本発明におけるうつ症状の予防または治療剤は、これら疾患におけるうつ症状の予防または治療に用いることができる。
うつ症状を呈する疾患としては、うつ症状とその対極の症状である躁症状とを繰り返す双極性障害、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、全般性不安障害、強迫性障害、社交不安障害、心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic stress disorder;PTSD)、統合失調症、摂食障害、物質使用障害(薬物依存を含む)などの疾患が挙げられる。
本発明におけるうつ症状の予防または治療剤は、これら疾患におけるうつ症状の予防または治療に用いることができる。
本発明における「うつ病またはうつ症状の予防または治療」に用いられる「TGF−β1またはその塩」は、R−ケタミンの抗うつ効果を示すと考えられるので、R−ケタミンにおけるうつ病またはうつ症状の予防または治療と同様に用いることができる。
R−ケタミンにおけるうつ病またはうつ症状の予防または治療については、特開2015−78181号公報に記載されるとおりである。
R−ケタミンにおけるうつ病またはうつ症状の予防または治療については、特開2015−78181号公報に記載されるとおりである。
本発明においては、うつ症状には、うつ病による症状も含まれるが、本発明のうつ病またはうつ症状の予防または治療剤は、うつ病またはうつ症状の治療剤であることが好ましく、うつ病の治療剤であることがより好ましい。
本発明のうつ病またはうつ症状の予防または治療剤は、うつ病、うつ症状、抑うつ症状、大うつ病性障害、双極性障害、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害(Attention−deficit hyperactivity disorder;ADHD)、全般性不安障害、強迫性障害、社交不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症、摂食障害、物質使用障害(薬物依存を含む)、自殺念慮の抑制のための、または気分の抑うつ、意欲の低下、不安、不眠、若しくは食欲不振における必要とする対象での改善のため予防または治療剤であってよく、うつ病の予防または治療剤であるか、気分の抑うつ、意欲の低下、不安、不眠、若しくは食欲不振における予防または治療剤であることが好ましく、うつ病の予防または治療剤であることがより好ましい。
本発明におけるうつ症状としては、上記に挙げた疾患以外の精神疾患(精神障害)や神経変性疾患におけるうつ症状であってもよく、がん、循環器系疾患などの精神疾患(精神障害)や神経変性疾患以外の他の疾患に付随して起こるうつ症状であってもよい。
本発明におけるうつ病またはうつ症状の予防または治療剤、薬剤および医薬組成物は、経口的または非経口的に投与することができる。
経口投与には、錠剤、カプセル、コーティング錠、トローチ、溶液または懸濁液などの液剤といった既知の投与用剤形を用いることができる。また、非経口投与は、注射による静脈内、筋肉内または皮下への投与、粉末、滴剤、スプレーまたはエアロゾルなどを用いた経鼻腔や口腔などの経粘膜投与、クリームまたは坐薬などを用いた直腸投与、パッチ、リニメントまたはゲルなどを用いた経皮投与などが挙げられる。
投与経路は、好ましくは経鼻腔投与または注射による静脈内投与である。
経口投与には、錠剤、カプセル、コーティング錠、トローチ、溶液または懸濁液などの液剤といった既知の投与用剤形を用いることができる。また、非経口投与は、注射による静脈内、筋肉内または皮下への投与、粉末、滴剤、スプレーまたはエアロゾルなどを用いた経鼻腔や口腔などの経粘膜投与、クリームまたは坐薬などを用いた直腸投与、パッチ、リニメントまたはゲルなどを用いた経皮投与などが挙げられる。
投与経路は、好ましくは経鼻腔投与または注射による静脈内投与である。
本発明における医薬組成物は、TGF−β1またはその塩に加え、TGF−β1以外のうつ病またはうつ症状の治療または予防に用いられる他の薬効成分を有効成分として含んでもよい。
また、医薬組成物は、これら薬効成分の他に、適宜、投与形態などに応じて、当業者によく知られた適切な薬学的に許容される担体を含んでもよい。
薬学的に許容される担体としては、特に限定されないが、例えば、抗酸化剤、安定剤、防腐剤、矯味剤、着色料、溶解剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、粘度調整剤、ゲル化剤、吸収促進剤、分散剤、賦形剤およびpH調整剤などが挙げられる。
また、医薬組成物は、これら薬効成分の他に、適宜、投与形態などに応じて、当業者によく知られた適切な薬学的に許容される担体を含んでもよい。
薬学的に許容される担体としては、特に限定されないが、例えば、抗酸化剤、安定剤、防腐剤、矯味剤、着色料、溶解剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、粘度調整剤、ゲル化剤、吸収促進剤、分散剤、賦形剤およびpH調整剤などが挙げられる。
本発明におけるうつ病またはうつ症状の予防または治療剤、薬剤および医薬組成物を注射用製剤として調製する場合は、溶液剤または懸濁剤の製剤の形態が好ましく、経鼻腔や口腔などの経粘膜投与用製剤として調製する場合は、粉末、滴剤またはエアロゾル剤の製剤の形態が好ましく、直腸投与用製剤として調製する場合は、クリ−ム剤または坐剤のような半固形剤の製剤の形態が好ましい。
これらの製剤はいずれも、例えばレミントンの製薬科学(マック・パブリッシング・カンパニー、イーストン、PA、1970年)に記載されているような製薬技術上当業者に知られているいずれかの方法によって調製することができる。
注射用製剤は、担体として、例えば、アルブミンなどの血漿由来タンパク、グリシンなどのアミノ酸、およびマンニトールなどの糖を用いてもよく、さらに緩衝剤、溶解補助剤および等張剤などを用いてもよい。また、水溶製剤または凍結乾燥製剤として使用する場合、凝集を防ぐために、例えば、Tween(登録商標)80およびTween(登録商標)20などの界面活性剤を用いてもよい。
注射用製剤以外の非経口投与用製剤は、担体として、例えば、蒸留水または生理食塩液、ポリエチレングリコ−ルのようなポリアルキレングリコ−ル、植物起源の油、および水素化したナフタレンなどを用いてもよい。例えば、坐剤のような直腸投与用製剤は、賦形剤として、例えば、ポリアキレングリコ−ル、ワセリンおよびカカオ油脂などを用いてもよい。膣投与用製剤では、担体として、例えば、胆汁塩、エチレンジアミン塩、およびクエン酸塩などの吸収促進剤を用いてもよい。吸入用製剤は、固体でもよく、賦形剤として、例えば、ラクト−スを用いてもよい。経鼻腔投与用滴剤は、水または油溶液であってもよい。
これらの製剤はいずれも、例えばレミントンの製薬科学(マック・パブリッシング・カンパニー、イーストン、PA、1970年)に記載されているような製薬技術上当業者に知られているいずれかの方法によって調製することができる。
注射用製剤は、担体として、例えば、アルブミンなどの血漿由来タンパク、グリシンなどのアミノ酸、およびマンニトールなどの糖を用いてもよく、さらに緩衝剤、溶解補助剤および等張剤などを用いてもよい。また、水溶製剤または凍結乾燥製剤として使用する場合、凝集を防ぐために、例えば、Tween(登録商標)80およびTween(登録商標)20などの界面活性剤を用いてもよい。
注射用製剤以外の非経口投与用製剤は、担体として、例えば、蒸留水または生理食塩液、ポリエチレングリコ−ルのようなポリアルキレングリコ−ル、植物起源の油、および水素化したナフタレンなどを用いてもよい。例えば、坐剤のような直腸投与用製剤は、賦形剤として、例えば、ポリアキレングリコ−ル、ワセリンおよびカカオ油脂などを用いてもよい。膣投与用製剤では、担体として、例えば、胆汁塩、エチレンジアミン塩、およびクエン酸塩などの吸収促進剤を用いてもよい。吸入用製剤は、固体でもよく、賦形剤として、例えば、ラクト−スを用いてもよい。経鼻腔投与用滴剤は、水または油溶液であってもよい。
本発明におけるうつ病またはうつ症状の予防または治療剤、薬剤および医薬組成物の正確な投与量および投与計画は、個々の治療対象毎の所要量、治療方法、疾病または必要性の程度などに依存して調整される。
投与量は、具体的には年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組合せ、および患者の病状などに応じて決めることができ、さらに、その他の要因を考慮して決定してもよい。
本発明におけるうつ病またはうつ症状の予防または治療剤、薬剤および医薬組成物を、うつ病またはうつ症状を有する患者に投与する場合は、TGF−β1またはその塩を、各精神疾患の症状に有効な量で含むことが好ましい。
TGF−β1またはその塩は、R−ケタミン同様に、副作用少なく安全に使用することができる可能性があり、1日の投与量は、患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路などによって異なるが、非経口投与の場合は、通常、約0.01〜1000mg/人/日、好ましくは0.1〜500mg/人/日であり、また、経口投与の場合は、通常、約0.01〜500mg/人/日、好ましくは0.1〜100mg/人/日である。
本発明においては、TGF−β1またはその塩は単回での投与であってよく、週に1〜2回の投与であってもよい。
投与量は、具体的には年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組合せ、および患者の病状などに応じて決めることができ、さらに、その他の要因を考慮して決定してもよい。
本発明におけるうつ病またはうつ症状の予防または治療剤、薬剤および医薬組成物を、うつ病またはうつ症状を有する患者に投与する場合は、TGF−β1またはその塩を、各精神疾患の症状に有効な量で含むことが好ましい。
TGF−β1またはその塩は、R−ケタミン同様に、副作用少なく安全に使用することができる可能性があり、1日の投与量は、患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路などによって異なるが、非経口投与の場合は、通常、約0.01〜1000mg/人/日、好ましくは0.1〜500mg/人/日であり、また、経口投与の場合は、通常、約0.01〜500mg/人/日、好ましくは0.1〜100mg/人/日である。
本発明においては、TGF−β1またはその塩は単回での投与であってよく、週に1〜2回の投与であってもよい。
本発明において、TGF−β1またはその塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、うつ病またはうつ症状の予防または治療方法であってもよい。
それを必要とする患者は、特に限定されず、哺乳動物であり、好ましくは、ヒトである。
TGF−β1またはその塩は、治療上有効量で投与されることが好ましい。
それを必要とする患者は、特に限定されず、哺乳動物であり、好ましくは、ヒトである。
TGF−β1またはその塩は、治療上有効量で投与されることが好ましい。
本発明においては、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤として用いることのできる化合物のスクリーニング方法にも関する。
以下の実施例において詳述するように、本明細書において、うつ病モデル動物においてR−ケタミンの抗うつ効果がTGFβ−1の発現と関連することが示されている。また、本明細書において、うつ病モデル動物における実験結果から、TGFβ−1受容体を介したカスケードの亢進によりR−ケタミンの抗うつ効果が奏されるものと理解できる。したがって、TGFβ−1およびTGFβ−1受容体カスケードを亢進することを確認できる化合物については、R−ケタミンの抗うつ効果と同様に抗うつ効果を奏することが期待できる。
ここで、TGFβ−1およびTGFβ−1受容体のカスケードを亢進するとは、TGFβ−1がTGFβ−1受容体に結合して惹起されるシグナル経路のことを意味する。
したがって、本発明は、TGFβ−1及びTGFβ−1受容体カスケードを亢進することによる、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法を提供する。
TGFβ−1受容体としては、例えば、TGFBR1またはTGFBR2が挙げられる。
以下の実施例において詳述するように、本明細書において、うつ病モデル動物においてR−ケタミンの抗うつ効果がTGFβ−1の発現と関連することが示されている。また、本明細書において、うつ病モデル動物における実験結果から、TGFβ−1受容体を介したカスケードの亢進によりR−ケタミンの抗うつ効果が奏されるものと理解できる。したがって、TGFβ−1およびTGFβ−1受容体カスケードを亢進することを確認できる化合物については、R−ケタミンの抗うつ効果と同様に抗うつ効果を奏することが期待できる。
ここで、TGFβ−1およびTGFβ−1受容体のカスケードを亢進するとは、TGFβ−1がTGFβ−1受容体に結合して惹起されるシグナル経路のことを意味する。
したがって、本発明は、TGFβ−1及びTGFβ−1受容体カスケードを亢進することによる、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法を提供する。
TGFβ−1受容体としては、例えば、TGFBR1またはTGFBR2が挙げられる。
TGFβ−1及びTGFβ−1受容体カスケードの亢進は、TGFβ−1の発現上昇により確認してもよく、TGFβ−1受容体に結合して、アゴニスト作用を有する化合物を確認してもよい。
本発明は、TGFβ−1の発現を上昇させることを確認することによる、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法であってよい。
本発明において、TGFβ−1の発現の上昇は、タンパク質自体の発現の上昇を確認することもできるが、TGFβ−1のmRNAの発現の上昇を指標として確認することが好ましい。
タンパク質の発現の上昇や、mRNAの発現の上昇は、従来公知の方法により実施することが可能である。
TGFβ−1の発現の上昇の確認においては、TGF−β1受容体拮抗薬として知られる化合物や、TGF−β1の中和抗体となる抗TGF−β1抗体などを用いて、TGFβ−1の発現の上昇を確認してもよい。
本発明は、TGFβ−1受容体に結合して、アゴニスト作用を有する化合物を確認することによる、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法であってよい。
本発明において、TGFβ−1受容体に結合する化合物の探索や、当該化合物がアゴニスト作用を有するかの確認は、従来公知の方法により実施することが可能である。
本発明は、TGFβ−1の発現を上昇させることを確認することによる、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法であってよい。
本発明において、TGFβ−1の発現の上昇は、タンパク質自体の発現の上昇を確認することもできるが、TGFβ−1のmRNAの発現の上昇を指標として確認することが好ましい。
タンパク質の発現の上昇や、mRNAの発現の上昇は、従来公知の方法により実施することが可能である。
TGFβ−1の発現の上昇の確認においては、TGF−β1受容体拮抗薬として知られる化合物や、TGF−β1の中和抗体となる抗TGF−β1抗体などを用いて、TGFβ−1の発現の上昇を確認してもよい。
本発明は、TGFβ−1受容体に結合して、アゴニスト作用を有する化合物を確認することによる、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法であってよい。
本発明において、TGFβ−1受容体に結合する化合物の探索や、当該化合物がアゴニスト作用を有するかの確認は、従来公知の方法により実施することが可能である。
また、本発明のスクリーニング方法においては、TGFβ−1およびTGFβ−1受容体のカスケードの亢進が確認できる化合物について、行動試験をさらに行って、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法とすることが好ましい。
本発明においては、TGFβ−1の発現を上昇させることを確認できる化合物を選択し、当該化合物をモデル動物に投与して行動試験によるうつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法としてもよい。
行動試験としては、特に限定されないが、抗うつ薬のスクリーニングに指標として用いられる行動試験が挙げられ、例えば、自発運動試験(LMT)、尾懸垂試験(TST)、強制水泳試験(FST)およびショ糖嗜好性試験(SPT)などを単独で、または組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、TGFβ−1の発現を上昇させることを確認できる化合物を選択し、当該化合物をモデル動物に投与して行動試験によるうつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法としてもよい。
行動試験としては、特に限定されないが、抗うつ薬のスクリーニングに指標として用いられる行動試験が挙げられ、例えば、自発運動試験(LMT)、尾懸垂試験(TST)、強制水泳試験(FST)およびショ糖嗜好性試験(SPT)などを単独で、または組み合わせて用いてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。また、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
全ての試験は千葉大学動物実験委員会の許諾の下に実施した。
全ての試験は千葉大学動物実験委員会の許諾の下に実施した。
うつ病の社会的敗北ストレスモデルマウスを使用し、該モデル動物のうつ様行動に対する、(S)−ケタミンあるいは(R)−ケタミンを投与による前頭皮質における遺伝子発現の差をRNA−seq解析で網羅的に解析した。
1.材料および方法
(S)−ケタミン塩酸塩および(R)−ケタミン塩酸塩は、国際公開第2019/065900号に記載の方法に準じて調製した。これら異性体の純度は、高速液体クロマトグラフィー(CHIRALPAK(登録商標) IA、カラムサイズ:250×4.6mm、移動相;n−ヘキサン/ジクロロメタン/ジエチルアミン(75/25/0.1)、ダイセル社)により確認した。
(S)−ケタミン塩酸塩および(R)−ケタミン塩酸塩は、国際公開第2019/065900号に記載の方法に準じて調製した。これら異性体の純度は、高速液体クロマトグラフィー(CHIRALPAK(登録商標) IA、カラムサイズ:250×4.6mm、移動相;n−ヘキサン/ジクロロメタン/ジエチルアミン(75/25/0.1)、ダイセル社)により確認した。
うつ病の社会的敗北ストレスモデルマウスは、Golden SA, et al. A standardized protocol for repeated social defeat stress in mice. Nat Protoc. 2011; 6(8):1183-1191.に従い、C57/B6雄性マウスをICR雄性マウス(体の大きい攻撃的なマウス)と10日間連続で接触させる「社会的敗北ストレス」と呼ばれるストレスを与えることにより作成した。社会的敗北ストレスを受けたマウスは、うつ様行動が観察された。具体的には、社会的敗北ストレスモデルマウスは、抗うつ薬のスクリーニングに指標として用いられる行動試験である2つの試験、尾懸垂試験(Tail suspension test;TST)および強制水泳試験(Force swimming test;FST)のいずれでも無動時間の増加が認められた。またショ糖嗜好性試験(sucrose preference test;SPT)ではショ糖水を飲む割合が有意に低下したことから、抑うつ様行動が惹起されたことが示唆された。一方、運動機能の指標である自発運動試験(Locomotion test;LMT)では、社会的敗北ストレスマウスと正常マウスとの間で自発運動量に差異はなかった。
上記うつ病モデル動物の作成、および薬剤の投与は、具体的には次に記載するように実施した(図1A)。マウスは、雄性のC57/B6マウス(7週齢、日本SLC社)およびICRマウス(9週齢、日本SLC社)を使用した。マウスには水および飼料を自由に摂取させた。社会的敗北ストレスは、1匹のC57/B6マウスと1匹のICRマウスを10日間同居させることにより行った。11日目に社会的相互作用の試験を実施し、うつ症状を呈するマウスを選び、(S)−ケタミン塩酸塩(10mg/kg)あるいは(R)−ケタミン塩酸塩(10mg/kg)を腹腔内投与した。投与3日後に、イソフルラン麻酔後、速やかに脳を取り出し、すばやく前頭皮質を分割し、−80℃の冷凍庫に保管した。サンプルは、タカラ株式会社へ送付し、RNA−seq解析を実施した。得られたデータのGSEA(gene set enrichment analysis)を実施した。
上記と同様にして、社会的敗北ストレスモデルマウスを作成し、(S)−ケタミン塩酸塩(10mg/kg)あるいは(R)−ケタミン塩酸塩(10mg/kg)の投与3日後に、イソフルラン麻酔後、速やかに脳を取り出し、すばやく前頭皮質および海馬を分割し、−80℃の冷凍庫に保管した(図2)。前頭皮質および海馬におけるTGF−β1、TGF−β2およびそれぞれの受容体(TGFBR1、TGFBR2)の遺伝子発現は、アプライドバイオシステム社のプライマーを使用して定量した。
薬剤の抗うつ効果の検討は、TST、FST、LMT、およびSPTなどの行動試験を実施した(図3〜図8)。LMTおよびTSTは投与した日に実施し、FSTは投与翌日に実施した。SPTは、投与2日後、4日後および7日後に実施した。
TSTは次のように行った。まず、マウスをケージから取り出し、そしてその尾の先端からおよそ2cmの部分に接着テープの小片を貼り付けた。該小片に小さい穴を開け、マウスをそれぞれフックに吊り下げた。各マウスの無動時間を10分間記録した。マウスが無抵抗かつ完全静止であるときのみを無動であると判断した。うつ状態では無動時間が増加する。
FSTは次のように行った。まず、シリンダー(径:23cm、高さ:31cm)に水を15cmまで満たして23±1℃に維持し、各シリンダーにそれぞれマウスを入れた。マウスは、自動強制水泳装置中で、SCANET MV−40(メルクエスト社)を使用して試験した。無動時間は、合計時間から活性時間を減じた値として、該装置の解析ソフトウエアを使用して算出した。累積無動時間は、試験期間中、6分間にわたって記録を取った。
LMTは次のように行った。まず、マウスを実験ケージ(長さ×横幅×高さ:560×560×330mm)に入れた。マウスの自発運動活性をSCANETMV−40により計数し、累積運動を60分間記録した。ケージは試験と次の試験の間に洗浄した。うつ状態では無動時間が増加する。
SPTは、通常の飲料水と1%ショ糖溶液とを用意して自由に摂取させ、ショ糖溶液の消費量の割合を測定することにより実施した。うつ状態では報酬反応であるショ糖溶液の消費が低減する。
TSTは次のように行った。まず、マウスをケージから取り出し、そしてその尾の先端からおよそ2cmの部分に接着テープの小片を貼り付けた。該小片に小さい穴を開け、マウスをそれぞれフックに吊り下げた。各マウスの無動時間を10分間記録した。マウスが無抵抗かつ完全静止であるときのみを無動であると判断した。うつ状態では無動時間が増加する。
FSTは次のように行った。まず、シリンダー(径:23cm、高さ:31cm)に水を15cmまで満たして23±1℃に維持し、各シリンダーにそれぞれマウスを入れた。マウスは、自動強制水泳装置中で、SCANET MV−40(メルクエスト社)を使用して試験した。無動時間は、合計時間から活性時間を減じた値として、該装置の解析ソフトウエアを使用して算出した。累積無動時間は、試験期間中、6分間にわたって記録を取った。
LMTは次のように行った。まず、マウスを実験ケージ(長さ×横幅×高さ:560×560×330mm)に入れた。マウスの自発運動活性をSCANETMV−40により計数し、累積運動を60分間記録した。ケージは試験と次の試験の間に洗浄した。うつ状態では無動時間が増加する。
SPTは、通常の飲料水と1%ショ糖溶液とを用意して自由に摂取させ、ショ糖溶液の消費量の割合を測定することにより実施した。うつ状態では報酬反応であるショ糖溶液の消費が低減する。
社会的敗北ストレスモデルマウスを用いて、R−ケタミンの抗うつ効果に及ぼすTGF−β1受容体拮抗薬RepSox(Selleckchem社)の効果を調べた(図3)。社会的敗北ストレスを10日間実施し、翌日に社会的相互作用試験を実施し、うつ症状を示すマウスだけを選び、次の実験に使用した。Repsox(10mg/kg)あるいは生理食塩水(10mL/kg)をR−ケタミン塩酸塩(10mg/kg)あるいは生理食塩水(10mL/kg)投与30分前に腹腔内投与した。LMTはR−ケタミン投与1時間後に実施し、TSTはR−ケタミン投与3時間後に実施した。FSTは投与翌日に実施した。SPTは、投与2日後に実施した。
社会的敗北ストレスモデルマウスを用いて、R−ケタミンの抗うつ効果に及ぼす別のTGF−β1受容体拮抗薬SB431542(Tocris Bioscience社)の効果を調べた(図4)。社会的敗北ストレスを10日間実施し、翌日に社会的相互作用試験を実施し、うつ症状を示すマウスだけを選び、次の実験に使用した。SB431542(10μM,2μL)あるいは生理食塩水(2μL)をR−ケタミン塩酸塩(10mg/kg)あるいは生理食塩水(10mL/kg)投与30分前に脳室内投与した。LMTはR−ケタミン投与1時間後に実施し、TSTはR−ケタミン投与3時間後に実施した。FSTは投与翌日に実施した。SPTは、投与2日後に実施した。
社会的敗北ストレスモデルマウスを用いて、R−ケタミンの抗うつ効果に及ぼすTGF−β1の中和抗体の効果を調べた(図5)。社会的敗北ストレスを10日間実施し、翌日に社会的相互作用試験を実施し、うつ症状を示すマウスだけを選び、次の実験に使用した。TGF−β1の中和抗体(R&D社、カタログ番号:MAB1835−500、1μg/mL、2μL)あるいは生理食塩水(2μL)をR−ケタミン塩酸塩(10mg/kg)あるいは生理食塩水(10mL/kg)投与30分前に脳室内投与した。LMTはR−ケタミン投与1時間後に実施し、TSTはR−ケタミン投与3時間後に実施した。FSTは投与翌日に実施した。SPTは、投与2日後に実施した。
社会的敗北ストレスモデルマウスを用いて、R−ケタミン同様、TGF−β1が抗うつ効果を示すかを調べた(図6)。社会的敗北ストレスを10日間実施し、翌日に社会的相互作用試験を実施し、うつ症状を示すマウスだけを選び、次の実験に使用した。生理食塩水(2μL)、R−ケタミン(1mg/mL、2μL)、リコンビナントのマウスTGF−β1(R&D社、カタログ番号:7666−MB−005、10ng/μL、2μL)を脳室内投与した。LMTはR−ケタミン投与1時間後に実施し、TSTはR−ケタミン投与3時間後に実施した。FSTは投与翌日に実施した。SPTは、投与2日後、投与4日後および、投与7日後に実施した。
社会的敗北ストレスモデルマウスを用いて、R−ケタミン同様、TGF−β2が抗うつ効果を示すかを調べた(図7)。社会的敗北ストレスを10日間実施し、翌日に社会的相互作用試験を実施し、うつ症状を示すマウスだけを選び、次の実験に使用した。生理食塩水(2μL)、R−ケタミン(1mg/mL、2μL)、リコンビナントのマウスTGF−β2(R&D社、カタログ番号:302−B2、10ng/μL、2μL)を脳室内投与した。LMTはR−ケタミン投与1時間後に実施し、TSTはR−ケタミン投与3時間後に実施した。FSTは投与翌日に実施した。SPTは、投与2日後、および投与4日後に実施した。
うつ病の炎症性動物モデルマウスは、マウスの成人期にリポポリサッカライド(以下、「LPS」と略称する)を投与することにより作成した(図8)。LPS投与したマウスではうつ様行動が観察され、このことからこのマウスがうつ病の新規動物モデルとなり得ることが示唆された。本モデルマウスは、本願発明者およびその協力者が作成したもので、幾つか論文報告を行っている(Zhang JC, et al. HYPERLINK "https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25628381" Antidepressant effects of TrkB ligands on depression-like behavior and dendritic changes in mice after inflammation. Int J Neuropsychopharmacol. 2014 Oct 31;18(4). pii: pyu077,Ma M et al, Antidepressant effects of combination of brexpiprazole and fluoxetine on depression-like behavior and dendritic changes in mice after inflammation. HYPERLINK "https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27844095" \o "Psychopharmacology." Psychopharmacology (Berl). 2017 Feb;234(4):525-533.)。本モデルマウスは、FSTでは、正常マウスと比較して無動時間の増加を示す一方、LMTでは、LPS投与マウスと正常マウスとの間で自発運動量に差異はなかった。これらの結果から、本モデルマウスではLPS投与により抑うつ様行動が惹起されたことが示唆された。
LPS(0.5mg/kg)あるいは生理食塩水(10mL/kg)を腹腔内投与し、23時間後に生理食塩水(2μL)あるいはリコンビナントのマウスTGF−β1(R&D社、カタログ番号:7666−MB−005、10ng/μL、2μL)を脳室内投与した。投与1時間後に運動量、投与3時間後にFSTを実施した。
LPS(0.5mg/kg)あるいは生理食塩水(10mL/kg)を腹腔内投与し、23時間後に生理食塩水(2μL)あるいはリコンビナントのマウスTGF−β1(R&D社、カタログ番号:7666−MB−005、10ng/μL、2μL)を脳室内投与した。投与1時間後に運動量、投与3時間後にFSTを実施した。
別のうつ病のモデルとして学習性無力モデルを用いた((1)Shirayama Y, et al. HYPERLINK "https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26419294" Alterations in brain-derived neurotrophic factor (BDNF) and its precursor proBDNF in the brain regions of a learned helplessness rat model and the antidepressant effects of a TrkB agonist and antagonist. Eur Neuropsychopharmacol. 2015 Dec;25(12):2449-58.,2) Shirayama Y, et al. HYPERLINK "https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27480092" Effects of a single bilateral infusion of R-ketamine in the rat brain regions of a learned helplessness model of depression. Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci. 2017 Mar;267(2):177-182.,3) Shirayama Y, et al. HYPERLINK "https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29155993" Lack of Antidepressant Effects of (2R,6R)-Hydroxynorketamine in a Rat Learned Helplessness Model: Comparison with (R)-Ketamine. Int J Neuropsychopharmacol. 2018 Jan 1;21(1):84-88.).。
1日目と2日目に電気けいれん刺激を与え、3日目に試験を実施し、うつ症状を示すラットのみを次の試験に使用した(図9)。生理食塩水(5μL)あるいはリコンビナントのマウスTGF−β1(R&D社、カタログ番号:7666−MB−005、250ng/side、5μL、両側)を脳室内投与した。投与5日後に条件付逃避試験を実施した。
1日目と2日目に電気けいれん刺激を与え、3日目に試験を実施し、うつ症状を示すラットのみを次の試験に使用した(図9)。生理食塩水(5μL)あるいはリコンビナントのマウスTGF−β1(R&D社、カタログ番号:7666−MB−005、250ng/side、5μL、両側)を脳室内投与した。投与5日後に条件付逃避試験を実施した。
うつ病の炎症性動物モデルマウスを用いて、TGF−β1の鼻腔内投与の試験を実施した(図10)。LPS(0.5mg/kg)あるいは生理食塩水(10mL/kg)を腹腔内投与し、23時間後に生理食塩水(2μL)あるいはリコンビナントのマウスTGF−β1(R&D社、カタログ番号:7666−MB−005、10ng/μL、2μL)を鼻腔内投与した。投与1時間後に運動量、投与3時間後にFSTを実施した。
社会的敗北ストレスモデルにおける遺伝子発現の結果の統計分析は、一元配置分散分析およびそれに続いて最小有意差検定を行うことにより実施した。データは、平均±標準誤差(n=6マウス/群)で表す。社会的敗北ストレスモデルおよびLPS投与モデルの結果の統計分析は、一元配置分散分析およびそれに続いて最小有意差検定を行うことにより実施した。データは、平均±標準誤差(n=8マウス/群)で表す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001は生理食塩水を投与した社会的敗北ストレスマウス群と比較した有意差を示す。*p<0.05、**p<0.01は生理食塩水を投与したLPS投与マウス群と比較した有意差を示す。ラット学習性無力モデルの結果の統計分析は、t−検定を行うことにより実施した。データは、平均±標準誤差(n=5ラット/生食投与群、n=6ラット/TGF−β1投与群)で表す。
2.結果
両ケタミン異性体の投与3日後に、前頭皮質を取り出し、RNA−seq解析およびGSEAを実施した結果、両異性体で遺伝子発現に大きな差が認められたTGF−βシグナルが同定された(図1B)。
両ケタミン異性体の投与3日後に、前頭皮質を取り出し、RNA−seq解析およびGSEAを実施した結果、両異性体で遺伝子発現に大きな差が認められたTGF−βシグナルが同定された(図1B)。
社会的敗北ストレスモデルにおいて、TGF−β1の発現は、うつ症状を示すマウス前頭皮質および海馬で有意に低下し、R−ケタミン塩酸塩(10mg/kg)投与で増加したが、S−ケタミン塩酸塩(10mg/kg)投与では改善しなかった。TGF−β2の発現は、うつ症状を示すマウス前頭皮質および海馬で変化しなかった。TGF−β1受容体およびTGF−β2受容体の発現は、うつ症状を示すマウス前頭皮質および海馬で有意に低下し、R−ケタミン塩酸塩(10mg/kg)投与で増加したが、S−ケタミン塩酸塩(10mg/kg)投与では改善しなかった(図2)。
社会的敗北ストレスモデルにおいて、TGF−β1受容体拮抗薬RepSoxの前投与は、R−ケタミンの抗うつ効果および抗アンヘドニア効果を拮抗した(図3)。
社会的敗北ストレスモデルにおいて、TGF−β1受容体拮抗薬SB431542の前投与は、R−ケタミンの抗うつ効果および抗アンヘドニア効果を拮抗した(図4)。
社会的敗北ストレスモデルにおいて、TGF−β1の中和抗体の前投与は、R−ケタミンの抗うつ効果および抗アンヘドニア効果を拮抗した(図5)。
社会的敗北ストレスモデルにおいて、リコンビナントのマウスTGF−β1の脳室内投与は、R−ケタミンと同等の即効性抗うつ効果と持続効果を示した(図6)。
社会的敗北ストレスモデルにおいて、リコンビナントのマウスTGF−β2の脳室内投与は、R−ケタミンと異なり、抗うつ効果を示さなかった(図7)。
うつ病のLPS処置モデルにおいて、リコンビナントのマウスTGF−β1の脳室内投与は、抗うつ効果を示した(図8)。
うつ病のラット学習性無力モデルにおいて、リコンビナントのマウスTGF−β1の脳室内投与は、投与5日後において抗うつ効果を示した(図9)。
うつ病のLPS処置モデルにおいて、リコンビナントのマウスTGF−β1の鼻腔内投与は、抗うつ効果を示した(図10)。
本発明において、有効成分として、トランスフォーミング増殖因子β1またはその塩を含むうつ病またはうつ症状の予防または治療剤は、新規医薬品として有用である。
Claims (7)
- 有効成分として、トランスフォーミング増殖因子β1またはその塩を含む、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤。
- 有効成分として、トランスフォーミング増殖因子β1またはその塩を含む、うつ病またはうつ症状の予防または治療用の医薬組成物。
- TGFβ−1およびTGFβ−1受容体カスケードを亢進することによる、うつ病またはうつ症状の予防または治療剤のスクリーニング方法。
- TGFβ−1受容体が、TGFBR1またはTGFBR2である、請求項3に記載のスクリーニング方法。
- TGFβ−1およびTGFβ−1受容体カスケードの亢進を、TGFβ−1の発現上昇により確認する、請求項3又は4に記載のスクリーニング方法。
- mRNAの発現上昇を指標とする、請求項5に記載のスクリーニング方法。
- さらに、行動試験を行う、請求項3〜6のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
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