JP2021013731A - 中性子線透過調整デバイス、中性子線透過調整デバイスの製造方法、及び中性子線照射量の調整方法 - Google Patents

中性子線透過調整デバイス、中性子線透過調整デバイスの製造方法、及び中性子線照射量の調整方法 Download PDF

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達也 新美
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Takuya Saito
拓也 斉藤
健 加茂前
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健 加茂前
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Abstract

【課題】透過後の中性子線を所望の特性に変調させることができる中性子線透過調整デバイスを提供する。【解決手段】中性子反応物質を含み、透過する中性子線20のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能な中性子線透過部、を有する中性子線透過調整デバイス30であり、コリメータ21と腫瘍組織の間に配置され、照射される中性子線量が所望の量に調整される。【選択図】図2B

Description

本発明は、中性子線透過調整デバイス、中性子線透過調整デバイスの製造方法、及び中性子線照射量の調整方法に関する。
中性子捕捉療法は、原子炉や加速器等を用いて、エネルギーの比較的低い中性子線を、腫瘍細胞に照射する治療方法である。中性子捕捉療法においては、ホウ素やガドリニウムなどの放射線増感元素を、あらかじめ腫瘍細胞内に取り込ませておき、放射線増感元素を取り込んだ腫瘍細胞に、中性子線を体外から照射する。
中性子捕捉療法では、中性子線と腫瘍細胞に取り込まれた放射線増感元素の間で核反応が生じ、この核反応により発生したアルファ線等により、放射線増感元素を取り込んだ腫瘍細胞を選択的に死滅させることができる。
具体的には、放射線増感元素を含み、腫瘍細胞に選択的に取り込まれる放射線増感剤としては、例えば、ホウ素を含む化合物(ホウ素化合物)などが用いられる。ここで、ホウ素化合物と中性子との核反応により生じるアルファ線とLi粒子は、細胞の径と同程度の距離(約10μm程度)しか飛ばない。このため、中性子捕捉療法では、ホウ素化合物をほとんど取り込まない正常細胞へのダメージを抑制しつつ、ホウ素化合物を多く取り込む腫瘍細胞を、ホウ素と中性子との核反応により発生したアルファ線とLi粒子により大きなダメージを与えて死滅させることができる。
中性子捕捉療法においては、例えば、原子炉や加速器等から取り出した10keV以上のエネルギーを有する高速中性子を、減衰部材により0.5keV〜10keV程度の熱外中性子に変換して、人体(患部)に照射する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の中性子捕捉療法では、腫瘍細胞に向けて均一なエネルギー及び量(特性)の中性子線を照射するため、腫瘍細胞の周囲の正常組織における耐用線量を超過してしまう場合や、腫瘍細胞に対する治療の効果が十分でない場合があった。
本発明は、透過後の中性子線を所望の特性に変調させることができる中性子線透過調整デバイスを提供することを目的とする。
この課題を解決するための手段としての本発明の中性子線透過調整デバイスは、中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能な中性子線透過部、を有する。
本発明によると、透過後の中性子線を所望の特性に変調させることができる中性子線透過調整デバイスを提供できる。
図1は、腫瘍組織周辺を撮影したCT(Computed Tomography)画像を模式化した図面の一例である。 図2Aは、従来技術における、中性子捕捉療法で中性子線を照射する際の様子の一例を示す模式図である。 図2Bは、本発明の中性子線透過調整デバイスの一例を用いて、中性子捕捉療法で中性子線を照射する際の様子の一例を示す模式図である。 図2Cは、本発明の中性子線透過調整デバイスの一例を用いて、中性子捕捉療法で中性子線を照射する際の様子の他の一例を示す模式図である。 図3は、マテリアルジェッティング方式の立体造形装置を用いて、中性子線透過調整デバイスを製造する際の様子の一例を示す図である。 図4は、マテリアルジェッティング方式の立体造形装置を用いて形成した中性子線透過調整デバイスから支持体を剥離する際の様子の一例を示す図である。 図5は、層状粘土鉱物及び層状粘土鉱物を水中で分散させた状態の一例を示す模式図である。 図6は、実施例3における中性子線透過調整デバイスを撮影した写真である。 図7は、中性子線透過調整デバイスにおける、透過する中性子線の中性子反応物質の厚みに対する依存性の一例を示すグラフである。 図8は、中性子線透過調整デバイスにおける、透過する中性子線の中性子反応物質の濃度に対する依存性の一例を示すグラフである。 図9は、実施例16から18における中性子線透過調整デバイスを撮影した写真である。
本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有するものとする。本明細書中で参照する全ての特許、出願、公開された出願、及び他の出版物は、その全体を参照により本明細書に援用する。また、本明細書において参照された文献と本明細書の記載に矛盾が生じた場合は、本明細書の記載が優先されるものとする。
(中性子線透過調整デバイス)
本発明の中性子線透過調整デバイスは、中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能な中性子線透過部を有し、更に必要に応じてその他の部材(手段)を有する。
また、本発明の中性子線透過調整デバイスは、一つの側面では、従来技術においては、中性子線を所望の特性に変調させることができないという知見に基づくものである。
より具体的には、本発明は、一つの側面では、従来の中性子捕捉療法に関する技術では、腫瘍細胞に向けて均一なエネルギー及び量の中性子線を照射するため、腫瘍細胞の周囲の正常組織における耐用線量を超過してしまう場合があるという知見に基づくものである。また、本発明は、一つの側面では、従来の中性子捕捉療法に関する技術では、腫瘍細胞の組織の形状等によっては、腫瘍細胞に達したときのエネルギーが大きすぎ、中性子線が放射線増感元素と反応せずに通過してしまうなどにより、十分な治療が行えない場合があるという知見に基づくものである。このため、まず、本発明の中性子線透過調整デバイスの好適な用途の一つである中性子捕捉療法について説明する。
中性子捕捉療法とは、放射線増感元素を取り込んだ病変細胞に対して、熱中性子線や熱外中性子線などの中性子線を照射することにより、当該病変細胞を処置する治療法を意味する。
中性子捕捉療法において対象とする病変細胞としては、放射線増感元素を取り込むことができ、中性子線に曝露することができる病変細胞であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、腫瘍細胞が挙げられる。本発明において「腫瘍」は、ポリープなどの良性腫瘍及びがんなどの悪性腫瘍を含むが、好ましくは悪性腫瘍である。また、本発明において「がん」(cancer)は、上皮由来の「癌」(carcinoma)、「肉腫」(sarcoma)、及び血液悪性腫瘍を含む。
また、本明細書においては別段の記載のない限り、放射線増感元素がホウ素である場合(ホウ素中性子捕捉療法(BNCT;Boron Neutron Capture Therapy)と称することがある)について述べるが、これは本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、単に説明の簡潔化のためであって、本明細書の記載は他の放射線増感元素を用いた場合にも適用可能である。
中性子捕捉療法においては、腫瘍細胞は正常細胞に比べ代謝が活発であり、点滴等により体内に注入された放射線増感剤を積極的に取り込む性質があることを利用して、腫瘍細胞に放射線増感剤を取り込ませる。次に、中性子捕捉療法では、腫瘍細胞に中性子線を照射して、放射線増感剤における放射線増感元素と核反応を起こさせる。この核反応により、放射線増感元素(ホウ素原子)は、アルファ(α)線とLi粒子を生成する。そして、生成されたアルファ線とLi粒子が、腫瘍細胞に大きなダメージを与えて、腫瘍細胞を破壊して死滅させる。この際、アルファ線とLi粒子は、10μm程度しか飛程できないため、放射線増感剤を取り込んだ細胞しか破壊することができず、腫瘍細胞を選択的に破壊することが可能である。また、通常の放射線治療では、数十回の放射線照射(約1〜2か月程度の期間を要する)を行う必要があるが、中性子捕捉療法では、多くの場合、1回の照射のみで治療が完了し、患者への負担が小さいというメリットがある。
ここで、従来技術の中性子捕捉療法では、中性子線として、通常、原子炉や加速器から取り出された中性子が用いられる。これらの中性子は、10keV以上のエネルギーを有し、高速中性子と称される。中性子捕捉療法においては、モデレータなどにより高速中性子におけるエネルギーを低減して、0.5keV〜10keV程度のエネルギーを有する熱外中性子に変換する。ここで、モデレータとしては、例えば、中性子を減速する機能と、中性子のエネルギーを選別して均一化(平均化)させる機能があるものを用いる。
続いて、中性子捕捉療法では、得られた熱外中性子を患者の腫瘍細胞に照射する。照射された熱外中性子は、生体内の水素等により散乱・減速し、徐々にエネルギーが低下して、0.5eV以下の熱中性子に変換される。この熱中性子が腫瘍細胞に到達し、腫瘍細胞が積極的に取り込んだ放射線増感剤中の放射線増感元素(ホウ素原子)と核反応を起こし、核反応により発生したアルファ線とLi粒子が腫瘍細胞を選択的に破壊する。
ここで、従来の中性子捕捉療法においては、原子炉や加速器から取り出された熱中性子線又は熱外中性子線を患者の腫瘍細胞(病変部)に照射する際に、コリメータなどを用いて、病変部周辺に熱中性子線又は熱外中性子線を集束させるように照射する。したがって、従来の中性子捕捉療法では、正常組織であるか病変部であるかに関わらず、同程度の量の中性子線が均一に照射されることになる。このため、従来の中性子捕捉療法では、腫瘍細胞の周囲の正常組織における耐用線量を超過してしまう場合があった。
また、上述したように、従来の中性子捕捉療法においては、照射された熱外中性子が、生体内の水素等の影響により徐々にエネルギーが低下して熱中性子に変換され、腫瘍細胞に取り込まれた放射線増感元素に捕捉されることで核反応が進行する。このため、腫瘍細胞の組織の形状等によっては、照射された熱外中性子線のエネルギーを十分低減できず、腫瘍細胞に達したときのエネルギーが大きすぎ、中性子線が放射線増感元素と反応せずに通過してしまうことにより、十分な治療が行えない場合があった。
さらに、中性子線の中性子捕捉療法以外の用途においても、均一な中性子線が照射されるために、中性子線の特性を十分に制御することができず、中性子線の照射精度が不十分となってしまう場合があった。
このように、本発明者らは、従来技術においては、照射される中性子線の量などの特性が均一であることなどにより、上述した問題が生じることを見出した。
そこで、本発明者らは、透過後の中性子線を所望の特性に変調させることができるデバイス等について鋭意検討を重ね、本発明を想到した。すなわち、本発明者らは、中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能な中性子線透過部、を有する中性子線透過調整デバイスにより、透過後の中性子線を所望の特性に変調させることができることを見出した。
ここで、上述したように、本発明の中性子線透過調整デバイスは、好ましい態様において、中性子捕捉療法に用いられる。さらに、本発明の中性子線透過調整デバイスは、中性子捕捉療法に用いられる場合、より好ましい態様において、病変部周辺に照射される中性子線を、病変部の状況(例えば、病変部の形状)、照射箇所の体表面の形状、病変部周辺の臓器の形状などに応じて、エネルギー及び量の少なくともいずれかを最適に変調可能である。言い換えると、本発明の中性子線透過調整デバイスは、例えば、患者(治療対象)ごとの状態に応じて、当該患者に照射される(デバイスを透過する)中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを、適切に変調可能である。これにより、本発明の中性子線透過調整デバイスは、例えば、患者(治療対象)の状態等に応じて、病変細胞に照射される中性子線のエネルギーと量を、治療効果が高まり、かつ周辺部への被曝のダメージが最低限になるように制御することができる。したがって、中性子捕捉療法に用いられる本発明の中性子線透過調整デバイスは、コリメータと治療対象との間に設置されるのが好ましい。
本発明の中性子線透過調整デバイスを中性子捕捉療法に用いる場合の一使用方法について、図面を参照して説明する。
図1は、腫瘍組織周辺を撮影したCT(Computed Tomography)画像を模式化した図面の一例である。図1に示すように、中性子捕捉療法において治療の対象となる腫瘍組織(斜線部)は、複雑な形状を有している場合がある。
従来技術における既存の中性子捕捉療法においては、図2Aに示すように、例えば、腫瘍組織に対して、コリメータを用いて収束した中性子線(中性子ビーム)を照射する。なお、図2Aにおいては、中性子線を照射した際に、組織に達する中性子線の量(線量)の一例を、等高線マップで示している。
既存の中性子捕捉療法では、均一な(一様な)中性子線を照射するため、腫瘍組織の周囲の正常組織における耐用線量を超過して、正常組織に不必要な被爆のダメージを与えてしまう場合がある。図2Aの例では、組織に達する中性子線の量の一例を示す等高線マップからわかるように、腫瘍組織以外の正常組織(格子模様の部分)にも中性子線が比較的多く照射されている。
さらに、既存の中性子捕捉療法では、図1及び2Aに示すような複雑な形状の腫瘍組織を対象とする場合、腫瘍組織の部位によっては、中性子線が腫瘍細胞に達したときのエネルギーが大きすぎ、中性子線が放射線増感元素と反応せずに通過し、十分な治療の効果が得られないときがある。
ここで、図2Bに、本発明の中性子線透過調整デバイスを中性子捕捉療法に用いた場合の一例を示す。図2Bに示す例においては、本発明の中性子線透過調整デバイスを、コリメータと腫瘍組織の間に配置し、中性子線透過調整デバイスを透過する中性子線の特性を変調している。なお、図2Bでは、中性子線透過調整デバイスを透過した後の変調後の中性子線の照射分布(特性の分布)をグラデーションで示している。
図2Bの例においては、腫瘍組織の形状等に応じて、中性子線のエネルギー及び量が変調されており、正常組織に照射される中性子線の量が抑制されている。さらに、図2Bの例においては、腫瘍組織の形状等に応じて、中性子線が腫瘍細胞に達したときのエネルギー及び量が変調されており、腫瘍組織に取り込まれたが放射線増感元素と反応しやすいとともに、適切な量の中性子線が腫瘍組織に照射されている。
加えて、図2Cに、本発明の中性子線透過調整デバイスを中性子捕捉療法に用いた場合の他の一例を示す。図2Cに示す例は、複数の中性子線源から、腫瘍組織に対して中性子線を照射する場合(多門化した場合)に、本発明の中性子線透過調整デバイスを、コリメータと腫瘍組織の間のそれぞれの位置に配置した例である。
図2Cの例においては、腫瘍組織の形状等に応じて、中性子線のエネルギー及び量が変調されており、正常組織に照射される中性子線の量がより抑制されている。さらに、図2Cの例においては、腫瘍組織の形状等に応じて、中性子線が腫瘍細胞に達したときのエネルギー及び量が変調されており、腫瘍組織に取り込まれたが放射線増感元素と反応しやすいとともに、より適切な量の中性子線が腫瘍組織に照射されている。
なお、図2Cの例では、一つのコリメータに対して、中性子線透過調整デバイスを一つ用いる場合を示したが、これに限られるものではなく、例えば、複数ある内の一つのコリメータのみに対して、中性子線透過調整デバイスを用いてもよい。
また、図2B及び2Cに示したように、本発明の中性子線透過調整デバイスを中性子捕捉療法に用いる場合において、中性子線透過調整デバイスは、中性子線源と腫瘍組織(病変部)との間に設置して用いる。このように、中性子線透過調整デバイスの設置箇所としては、特に制限はないが、例えば、中性子線の照射源と、中性子線が照射される照射対象との間とすることができる。より具体的には、中性子線透過調整デバイスの設置箇所としては、例えば、コリメータの直後(照射対象側)、治療の対象となる患者の体表面上などが挙げられる。さらに、複数の中性子線照射源(中性子線照射装置)から照射される中性子線は、通常、病変部周辺に集束されているため、一つの中性子線透過調整デバイスを病変部に近い位置に設置することで、複数の中性子線照射源からの中性子線をまとめて変調できるように配置してもよい。
また、本発明の中性子線透過調整デバイスを中性子捕捉療法に用いる場合において、図2B及び2Cに示したような、病変部の形状等に応じた中性子線の変調を行うために、例えば、中性子線透過調整デバイスにおける中性子線透過部が、照射対象(例えば、患者)における病変部状況に応じた変調を行うことが好ましい。
ここで、病変部状況とは、病変部の形状、病変部の周辺の臓器の形状、病変部の体表面からの深度、病変部の存在する箇所の体表面の形状など、中性子線の変調に影響する病変部の物理的状況を意味する。
また、本発明において、病変部状況データとは、この病変部状況の情報を含むデータを意味する。病変部状況データは、例えば、照射対象(患者)のCTデータやMRIデータなどの医学データに基づいて取得することができる。
つまり、本発明の中性子線透過調整デバイスを中性子捕捉療法に用いる場合において、中性子線の照射経路において、中性子線の照射源と、中性子線が照射される照射対象との間に配置されて用いられ、中性子線透過部が、照射対象における病変部状況に応じた変調を行うことが好ましい。こうすることにより、中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを適切に制御し、中性子捕捉療法の治療効果を向上できるとともに、病変部の周囲の正常組織に照射される中性子線を抑制できる。
以下では、本発明の中性子線透過調整デバイスが有する中性子線透過部について、更に詳細に説明する。
<中性子線透過部>
中性子線透過部は、中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、上述したように、本発明の中性子線透過調整デバイスは、中性子線透過部を有するデバイスであれば特に制限はなく、例えば、中性子線透過調整デバイスの全体が中性子線透過部であってもよいし、一部が中性子線透過部であってもよい。本発明においては、生産性などの観点から、中性子線透過調整デバイスの全体が中性子線透過部であることが好ましい。
<<中性子反応物質>>
中性子反応物質は、中性子線透過部を透過する中性子線のエネルギーや量を調節(変調)することができる物質を意味する。例えば、中性子反応物質は、中性子線のエネルギーを調節する際には、中性子線を散乱することができればよく、中性子線の量を調節する際には、中性子線を捕獲(吸収)することができればよい。したがって、本発明における中性子反応物質は、具体的には、例えば、中性子線を散乱及び吸収の少なくともいずれかを可能な物質とすることができる。
中性子反応物質としては、例えば、中性子反応断面積が大きな物質(原子)であることが好ましい。ここで、中性子反応断面積とは、中性子がその物質を構成する原子の原子核に衝突し散乱又は吸収を起こす確率を表す量であり、中性子反応断面積が大きいほど散乱又は吸収が起こりやすいことを意味する。
中性子反応断面積が大きな物質(原子)としては、例えば、ホウ素原子(B:例えば、10B)、リチウム原子(Li:例えば、Li)、ガドリニウム原子(Gd:例えば、155Gd、157Gd)などが挙げられる。言い換えると、本発明においては、中性子反応物質が、ホウ素原子、リチウム原子、及びガドリニウム原子の少なくともいずれか含むことが好ましい。中性子反応物質が、これらの原子を含むことにより、中性子線のエネルギーや量を容易に調節できるため、透過後の中性子線をより容易に所望の特性に変調させることができる。
中性子反応物質として利用可能な、ホウ素原子を含む化合物としては、例えば、ホウ酸塩、メタホウ酸塩、酸化物、窒化物、硫化物、ハロゲン化物、などが挙げられる。
中性子反応物質として利用可能な、リチウム原子を含む化合物としては、例えば、炭酸リチウム、酢酸リチウム、硝酸リチウム、クエン酸三リチウムなどの塩、フッ化リチウム、ヨウ化リチウムなどのハロゲン化物、酸化リチウム、水酸化リチウム、硫化物、窒化物、タンタル酸リチウム、チタン酸リチウムなどの複酸化物、クレイ(モンモリロナイト、ヘクトライト)、ジャダライト、リシア輝石などのケイ酸塩鉱物などが挙げられる。
中性子反応物質として利用可能な、ガドリニウム原子を含む化合物としては、塩化ガドリニウム、炭酸ガドリニウム、硫酸ガドリニウム、硝酸ガドリニウムなどの塩(いずれも水和物)、酸化物、窒化物、ハロゲン化物、ガドリニウム錯体などが挙げられる。
なお、これらの化合物は、単独で又は組み合わせて含有させることができる。
<<中性子線の変調>>
本発明において、中性子線を「変調する」とは、中性子線のエネルギー、量(線量)、分布などの中性子線の特性を変えることを意味する。したがって、本発明においては、中性子線の変調には、中性子線のエネルギーや量を増加させることも含むが、例えば、中性子捕捉療法に用いる場合には、中性子線のエネルギーや量を低減させる方向に変調させることが好ましい。
本発明の中性子線透過調整デバイスにおける中性子線透過部を透過する中性子線は、中性子反応物質と反応することにより、エネルギー及び量の少なくともいずれかが変調される。ここで、中性子線透過部を透過する中性子線の変調の程度を制御する手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、好ましい態様としては、例えば、中性子線透過部が厚みの分布を有するようにすること、中性子反応物質の濃度分布を有するようにすることなどが挙げられ、これらの組み合わせであってもよい。
上述したように、本発明においては、例えば、中性子線透過部が厚みの分布を有することが好ましい。ここで、中性子線透過部が厚みの分布を有するとは、中性子線の透過方向における中性子線透過部の厚みが、場所によって異なることを意味する。中性子の透過方向に対して、中性子線が、中性子線透過部を通過する距離が長い(中性子線透過部の厚みが厚い)ほど、中性子と中性子反応物質が反応しやすいため、中性子のエネルギー及び量の少なくともいずれかをより低減させることができると考えられる。
中性子線透過部が厚みの分布を有する場合、中性子線透過調整デバイスの形状は、例えば、図2Bに示すようになる。このとき、本発明においては、治療対象(照射対象)の病変部状況データに基づき計算された中性子線のエネルギーと量及び分布が得られるように、中性子線透過部の厚みの分布を制御することが好ましい。この場合、中性子線透過部は、例えば、均質な材質、より具体的には、中性子反応物質の濃度が一定となる材料により形成することができる。
さらに、本発明においては、例えば、中性子線透過部が中性子反応物質の濃度分布を有することも好ましい。ここで、中性子線透過部が中性子反応物質の濃度分布を有するとは、中性子線透過部における中性子反応物質の濃度が、場所によって異なることを意味する。中性子の透過方向に対して、中性子線透過部における、中性子線が通過する箇所の中性子反応物質の濃度が濃いほど、中性子と中性子反応物質が反応しやすいため、中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかをより低減させることができると考えられる。このとき、本発明においては、治療対象(照射対象)の病変部状況データに基づき計算された中性子線のエネルギーと量及び分布が得られるように、中性子線透過部における中性子反応物質の濃度分布を制御することが好ましい。この場合、本発明においては、例えば、中性子線透過部の厚みは一定とし、中性子反応物質が濃度分布を有するようにすることができる。
また、上述したように、本発明においては、中性子線透過部の厚み及び中性子反応物質の濃度の両方を変化させて、透過する中性子線を変調させることも当然に可能である。
<<材質・形状>>
中性子線透過部における材質としては、中性子反応物質を含み、中性子線を透過可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
中性子線透過部における形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明においては、中性子線透過部の材質及び形状の好ましい形態として、例えば、下記の2つが挙げられる。
1つ目(形態1)は、容器に、中性子反応物質を含む物質を満たす形態である。具体的には、治療の対象となる患者の病変部状況データに基づいて算出された、中性子線のエネルギー及び量の分布が得られる厚み分布を有する中空構造を持つ容器を作製し、その容器を、中性子反応物質を含む物質(例えば、液体や固体)で満たすものである。
容器としては、中性子線を透過可能なものであれば制限はないが、中性子反応断面積が小さな材料を用いることができ、例えば、通常の樹脂などを用いることができる。容器は、当該技術分野における公知の方法で作製することができる。
2つ目(形態2)は、自立可能な材料の中に、中性子反応物質を混合する形態である。この形態においては、中性子線を変調する方法として、厚みの分布の制御を行う場合と、中性子反応物質の濃度分布の制御を行う場合のどちらの方法も利用可能である。
厚みの分布を制御する場合は、例えば、病変部状況データに基づく基礎構造を形成し、この基礎構造に中性子反応物質を均質に混合する。
中性子反応物質の濃度分布を制御する場合には、厚みを一定とした基礎構造中に、中性子反応物質の濃度分布を設ける。中性子反応物質の濃度分布の設け方としては、特に制限はなく、例えば、当該技術分野において通常知られる方法を用いることができ、例えば、マテリアルジェッティング方式などを含むインクジェット方式の立体造形装置(3次元プリンタ)などを用いて設けることができる。
このように、どちらの形態においても、中性子線透過部の材質としては、任意の材料を用いることができ、好ましくは、中性子反応断面積が小さな樹脂などの通常の材料を用いることができる。
また、本発明においては、中性子線透過部が変形可能であることが好ましい。ここで、中性子線透過部が変形可能である場合には、中性子線透過部の少なくとも一部の形状が変形可能であればよく、変形の程度などは、変調される中性子線の量やエネルギーが所望の変調程度から許容範囲を超えて変化しない限り特に限定されるものではない。
本発明においては、中性子線透過部が変形可能であることにより、例えば、中性子線透過部を照射対象(患者)の体表面に沿った形状とすることができる。より具体的には、例えば、中性子線透過調整デバイスを照射対象としての患者に接触させて用いる場合には、中性子線透過部の材質をゴムやゲルのような柔らかい材料として、当該患者の体表面に密着可能とすることにより、体表面に沿った形状とすることができる。こうすることにより、中性子線透過調整デバイスの支持や固定を、より容易に行うことができる。
また、本発明においては、中性子線透過調整デバイスの形状を、患者の体表面に沿った形状に形成することも好ましい。言い換えると、本発明においては、中性子線透過調整デバイスが、中性子線の照射対象(患者)の表面(体表面)に沿った形状を有することが好ましい。この場合、例えば、患者の中性子線照射部分の体表面形状データ(表面の凹凸など)を取得し、取得した体表面形状データに基づいて、中性子線透過調整デバイスの片面が体表面にフィットする形状となるようすることが好ましい。
このように、本発明の中性子線透過調整デバイスにおいては、中性子線透過部が、例えば、患者ごとの病変部状況に応じた厚みの分布及び中性子反応物質の濃度分布の少なくともいずれかを有し、更に当該患者の体表面にあわせて変形可能であることが好ましい。このような中性子線透過調整デバイスは、例えば、変形可能な柔らかな材料を用いて、患者の病変部状況データに応じてオーダーメイドに作製することにより実現可能である。患者の病変部状況データに応じて中性子線透過調整デバイスを作製する際には、例えば、複雑な形状の造形や小ロット生産に好適である立体造形装置を用いることが好ましい。
以上のことを考慮すると、本発明の中性子線透過調整デバイスにおける中性子線透過部の材料としては、例えば、以下の3つ条件を満たす材料であることが好ましい。
(1)中性子反応物質を含むこと
(2)自立可能(形状を保持可能)であること
(3)立体造形装置での造形に用いることができること
上記の3つの条件を満たす材料としては、例えば、ゲル化材料が挙げられ、ゲル化材料としては、以下に示すようなハイドロゲルが特に好ましい。
−ハイドロゲル−
本発明の中性子線透過調整デバイスに用いられるハイドロゲルは、水と、ポリマーと、鉱物と、を含むことが好ましい。言い換えると、本発明の中性子線透過調整デバイスにおける中性子線透過部が、水とポリマーと鉱物とを含むハイドロゲルを有することが好ましい。特に、有機溶媒に分散された鉱物と、重合性モノマーが重合したポリマーとが複合化して形成された三次元網目構造の中に、水が包含されているハイドロゲルであることが好ましい。また、ハイドロゲルは、必要に応じて、中性子反応物質やその他の成分を含んでもよい。
ハイドロゲルは、例えば、次に示す材料を適当な方法により分散混合し、ハイドロゲル前駆体としてインク化し、このインクを適切な方法にて硬化させることにより得ることができる。以下に、ハイドロゲル前駆体における材料について説明する。
−水−
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。水には、保湿性付与、抗菌性付与、導電性付与、硬度調整などの目的に応じて有機溶媒等のその他の成分を溶解ないし分散させてもよい。
−鉱物−
鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水膨潤性層状粘土鉱物などが挙げられる。
水膨潤性層状粘土鉱物は、単一層の状態で水に分散した図5の上部に示すように、例えば、単位格子を結晶内に持つ二次元円盤状の結晶が積み重なった状態となり、水膨潤性層状粘土鉱物を水中で分散させると、図5の下部に示すように、各単一層状態で分離して円盤状の結晶となる。
水膨潤性層状粘土鉱物としては、例えば、水膨潤性スメクタイト、水膨潤性雲母などが挙げられる。より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、中性子反応断面積が大きなLi原子を構造中に有する水膨潤性ヘクトライトが好ましい。
水膨潤性ヘクトライトは、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)、SWN(Coop Chemical Ltd.製)、フッ素化ヘクトライトSWF(Coop Chemical Ltd.製)などが挙げられる。これらの中でも、本発明の中性子線透過調整デバイスの硬度・弾性率の点から、合成ヘクトライトが好ましい。
ここで、水膨潤性とは、図5に示すように層状粘土鉱物の層間に水分子が挿入され、水中に分散されることを意味する。
水膨潤性層状粘土鉱物の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中性子強度変調部材を構成する材料全量に対して、1質量%〜40質量%が好ましい。
−ポリマー−
ポリマーとしては、例えば、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有するポリマーが挙げられ、水溶性であることが好ましい。
ポリマーは、ホモポリマー(単独重合体)であってもよいし、ヘテロポリマー(共重合体)であってもよく、また、変性されていてもよいし、公知の官能基が導入されていてもよく、また塩の形態であってもよいが、ホモポリマーが好ましい。
本発明において、ポリマーの水溶性とは、例えば、30℃の水100gに該ポリマーを1g混合して撹拌したとき、その90質量%以上が溶解するものを意味する。
水溶性有機ポリマーは、重合性モノマーが重合したものであり、重合性モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、重合性モノマーを重合させることにより、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機ポリマーが得られる。アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機ポリマーは、水系のゲルの強度を保つために有利な構成成分である。
重合性モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中性子強度変調部材を構成する材料全量に対して、0.5質量%〜20質量%が好ましい。
−中性子反応物質−
また、ハイドロゲルに含まれる中性子反応物質としては、上述した中性子反応物質を適宜用いることができる。なお、中性子反応物質が鉱物に含まれる場合には、中性子反応物質自体を別途添加しなくてもよい。
−有機溶媒−
有機溶媒は、例えば、本発明の中性子線透過調整デバイスの保湿性を高めるために用いられる。
有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜4のアルキルアルコール類;アミド類;ケトン又はケトンアルコール類;エーテル類;ポリアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、多価アルコールの低級アルコールエーテル類;アルカノールアミン類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。また、特開2017−202178号公報に記載の有機溶媒が使用することもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保湿性の点から、多価アルコールが好ましく、グリセリンがより好ましい。
有機溶媒の添加量としては、中性子線透過調整デバイスを形成する材料全量に対して、10質量%以上50質量%以下であること好ましい。有機溶媒の添加量が、10質量%以上であると、乾燥を効果的に抑制でき、50質量%以下であると、水膨潤性層状粘土鉱物の分散性を向上できる。
−その他の成分−
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、安定化剤、表面処理剤、光重合開始剤、着色剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
ハイドロゲル前駆体は、例えば、重合開始剤を用いて硬化され、ハイドロゲルを形成する。以下に示す重合開始剤は、ハイドロゲル前駆体を含むインクの中に添加され使用される。
−重合開始剤−
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、レドックス(酸化還元)開始剤などが挙げられる。
光重合開始剤としては、光(特に波長220nm〜400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
いずれの開始剤も特開2017−202178号公報に記載の開始剤が使用できる。
<その他の部材>
その他の部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中性子線透過部を支持する支持部材などが挙げられる。
なお、ここまでは、本発明の中性子線透過調整デバイスを中性子捕捉療法に用いる場合について主に説明したが、中性子線透過調整デバイスの用途は中性子捕捉療法だけに限られるものではなく、中性子線を所望の特性に変調させることが望まれる用途であれば、特に制限はない。
(中性子線透過調整デバイスの製造方法)
本発明の中性子線透過調整デバイスの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、立体造形装置(3Dプリンタ)を用いる方法、型造形を用いる方法など、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。
ここで、本発明の中性子線透過調整デバイスは、上述のとおり、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能なデバイスであり、好ましくは、例えば、治療対象の病変部状況(病巣や体表面の形態や重要臓器との位置関係など)を考慮し、治療対象の状況合わせて中性子線を最適変調するデバイスである。したがって、本発明の中性子線透過調整デバイスの形状は、例えば、病変部状況データ及び材料の中性子反応特性に基づいて決定されることが好ましい。
本発明の中性子線透過調整デバイスを構成する材料の中性子反応特性(例えば、中性子減衰特性)は、例えば、実測又はモンテカルロ計算により、適宜求めることができる。例えば、治療対象の病変部形状データに基づいて、デバイスの形態、材料の組成、デバイスの形状等を最適化するように計算を行うことで、中性子線透過調整デバイスの造形データを作成することができる。言い換えると、本発明においては、例えば、中性子線が照射される照射対象における病変部状況に応じた造形データに基づいて、中性子線透過調整デバイスを製造することが好ましい。
このように、造形データに基づいて中性子線透過調整デバイスを製造する場合、当該造形データの構造を忠実に(正確に)再現して、形状の精度を高くするという観点から、立体造形装置を用いて中性子線透過調整デバイスを製造することが好ましい。
中性子線透過調整デバイスを、容器に、中性子反応物質を含む物質を満たす形態(形態1)とする場合は、例えば、中空構造を有する容器を立体造形装置で作製し、これに中性子反応物質を含む液体や固体を満たすことで、中性子線透過調整デバイスを製造することができる。
また、中性子線透過調整デバイスを、自立可能な材料の中に、中性子反応物質を混合する形態(形態2)とする場合は、例えば、造形後に自立できる材料(例えば、ハイドロゲル)の中に中性子反応物質を混合し、この材料を用いて立体造形装置により直接造形することで、中性子線透過調整デバイスを製造することができる。
なお、形態2とする場合においては、例えば、任意の形状を有する型枠(例えば、中空構造を有する容器など)に、中性子反応物質を含む液状の材料を任意の厚みとなるように入れた後、硬化剤(例えば、重合開始剤など)で硬化することにより、材料を自立可能とすることで、中性子線透過調整デバイスを製造してもよい。
中性子線透過調整デバイスの製造に用いることができる立体造形装置の造形方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マテリアルジェッティング方式などを含むインクジェット方式、光造形方式、レーザー焼結方式、ディスペンサーによりインクを吐出しUV光により硬化する方式などが挙げられる。
立体造形装置の造形方式としては、マテリアルジェッティング方式であることが好ましい。立体造形装置がマテリアルジェッティング方式であると、組成分布や形状制御を容易に行うことができ、所望の形状や物性を有するデバイスを容易に形成することができる。さらに、立体造形装置がマテリアルジェッティング方式であると、中性子線透過調整デバイスを形成する材料を複数用いることができるため、デバイス全体を同一組成ではなく、組成に分布を設けることが可能になる。特に、自立可能な材料の中に、中性子反応物質を混合する形態(形態2)とする場合に、中性子線透過部における中性子反応物質の濃度分布を制御するときに、容易に濃度分布を設けることができ好ましい。
また、例えば、中性子線透過調整デバイスを、容器に、中性子反応物質を含む物質を満たす形態(形態1)とする場合、容器中に液体材料を中に満たすことを考慮すると、液体漏れの無いような材質及び方式で形成することが好ましい。
さらに、本発明の中性子線透過調整デバイスの製造方法においては、中性子線が照射される照射対象における病変部状況に応じた造形データに基づいて、中性子線透過部における厚みの分布を制御することが好ましい。こうすることにより、本発明においては、中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを適切に制御し、中性子捕捉療法の治療効果を向上できるとともに、病変部の周囲の正常組織に照射される中性子線を抑制できる。
また、本発明の中性子線透過調整デバイスの製造方法においては、中性子線が照射される照射対象における病変部状況に応じた造形データに基づいて、中性子反応物質の濃度分布を制御することが好ましい。こうすることにより、本発明においては、中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを適切に制御し、中性子捕捉療法の治療効果を向上できるとともに、病変部の周囲の正常組織に照射される中性子線を抑制できる。
図3は、マテリアルジェッティング方式の立体造形装置を用いて、中性子線透過調整デバイスを製造する際の様子の一例を示す図である。
図3に示すマテリアルジェッティング(MJ)方式の3D(三次元)プリンター10は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニットを用いて、デバイス形成用液体材料噴射ヘッドユニット11からデバイス形成用液体材料を、支持体用液体材料噴射ヘッドユニット12から支持体形成用液体材料を、造形体支持基板14に向けて噴射し、隣接した紫外線照射機13でデバイス形成用液体材料及び支持体形成用液体材料を硬化しながら積層する。
また、デバイス形成用液体材料としては、例えば、ハイドロゲル前駆体液を用いることが好ましい。支持体形成用液体材料としては、インクジェットヘッドから吐出可能であり、紫外線等のエネルギー線により硬化可能な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系材料などが挙げられる。
液体材料噴射ヘッドユニット11、12及び紫外線照射機13と、造形体(デバイス)17及び支持体(サポート材)18とのギャップを一定に保つため、積層回数に合わせて、ステージ15を下げながら積層する。
三次元プリンター10では、紫外線照射機13は矢印A、Bいずれの方向に移動する際も使用し、その紫外線照射に伴って発生する熱により、積層された支持体形成用液体材料表面が平滑化され、結果として造形体(デバイス)17の寸法安定性が向上できる。
造形終了後、図4に示すようにデバイス17と支持体18を水平方向に引っ張ることにより、支持体18は一体として剥離され、デバイス17を容易に取り出すことができる。
また、三次元プリンター10としては、形成材料の回収、リサイクル機構などを付加することも可能である。ノズル面に付着した形成材料を除去するブレードや不吐出ノズルの検出機構を具備していてもよい。更に造形時の装置内環境温度を制御することも好ましい。なお、三次元プリンター10としては、噴射されたデバイス形成用液体材料を平坦化する平滑化部材16を有するものが好ましい。
中性子反応物質の濃度分布を制御する方法としては、例えば、デバイス形成用液体材料(例えば、ハイドロゲル前駆体液)に含有される溶媒の量を調整することなどが挙げられる。これは、例えば、異なる中性子反応物質の濃度を有する複数のデバイス形成用液体材料を保持可能であり、これらのデバイス形成用液体材料を、それぞれのインクジェットヘッドより吐出する手段を有する装置を用いることなどにより実現できる。
さらに、中性子反応物質の濃度分布を制御する方法としては、例えば、所定の中性子反応物質の濃度を有するデバイス形成用液体材料と、濃度調整用液体(例えば、純水)とを、それぞれのインクジェットヘッドより吐出する形態であってもよい。この場合、例えば、造形面におけるデバイス形成用液体材料と濃度調整用液体との重量比を制御することにより、中性子反応物質の濃度分布を制御することができる。また、中性子反応物質の濃度分布の制御は、例えば、インクジェットヘッドから吐出するデバイス形成用液体材料の吐出量を制御することにより行ってもよい。
上述の装置を用いると、中性子線が照射される照射対象における病変部状況に応じた造形データに合わせて、中性子線透過調整デバイスにおける中性子線透過部の厚みや中性子反応物質の濃度分布を容易に制御することができ、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを適切に制御することができる。
<中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)>
本発明の中性子線透過調整デバイスは、本発明の中性子線照射量の調整方法に好適に用いることができる。本発明の中性子線照射量の調整方法は、照射する中性子線の照射量を調整する際に、目的に応じて適宜用いることができるが、例えば、中性子捕捉療法に好適に用いられる。なお、中性子線照射量の調整方法における照射対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、中性子捕捉療法の患者に限られるのものではない。
例えば、上述したように、図2B及び2Cに示すように、コリメータと人体の間に本発明の中性子線透過調整デバイスを配し、治療対象(照射対象)ごとに最適に変調された中性子ビームを照射することで、効果的にがん細胞を死滅させることが可能である。これにより、治療効果を高めるだけでなく、治療対象の負荷も低減することができる。このように、本発明の中性子線透過調整デバイスを用いる中性子捕捉療法は、画期的ながんの処置方法(がん治療)ということができる。このように、本発明の中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)は、中性子捕捉療法に好適に応用することができる。
本発明の中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)は、例えば、以下のステップ:
(a)中性子線透過調整デバイスを通して、中性子線を治療対象に照射するステップ、を含む。
本発明の中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)に用いられる中性子線透過調整デバイスとしては、上述した中性子線透過調整デバイスを用いることができる、上述のとおり、中性子線透過調整デバイスの配置としては、例えば、中性子線の照射経路において、中性子線の照射源と照射対象(患者)との間とすることができ、コリメータの直後(照射対象側)、治療の対象となる患者の体表面上に配置してもよい。言い換えると、本発明の中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)においては、例えば、中性子線の照射源から中性子線の照射対象に中性子線を照射する際に、中性子線の照射経路において、照射源と照射対象との間に、本発明の中性子線透過調整デバイスを配置する。また、本発明の中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)においては、本発明の中性子線透過調整デバイスにより、照射対象の状況に応じた変調を行うことが好ましい。
本発明の中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)は、好ましい態様において、ステップ(a)の前に以下のステップ:
(a−1)処置対象(治療対象)の病変部状況データを取得するステップ、
(a−2)中性子線透過調整デバイスを製造するステップ、
の少なくともいずれかをさらに含んでもよい。
ステップ(a−1)は、処置対象の病変部状況データを得るステップである。病変部状況データは、上述したように、例えば、CTデータ、MRIデータ、レントゲン撮影データなどの処置対象の疾患に関するあらゆる医学データに基づいて取得することができる。
ステップ(a−2)は、中性子線透過調整デバイスを製造するステップであり、中性子線を所定のエネルギー及び/又は量に変調するような汎用的なデバイスを製造してもよいし、処置対象に最適化した変調(処置対象における病変部状況に応じた変調)が可能な、当該処置対象用のデバイスを製造してもよい。この場合、例えば、処置対象用デバイスを製造するための造形データの作成に用いる病変部状況データは、ステップ(a−1)から得られたものであってもよいし、別のデータを用いてもよい。
なお、ステップ(a−2)としては、例えば、上述した本発明の中性子線透過調整デバイスの製造方法を用いることができる。
また、ステップ(a−1)及び(a−2)は、それぞれ独立して中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)に含まれ得る。また、これらのステップにおける順番も適宜選択することができるが、いずれのステップも、ステップ(a)の前に実施される。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1においては、本発明の中性子線透過調整デバイスの一例として、ハイドロゲルにより形成され、全体が中性子線透過部となる中性子線透過調整デバイスを作製した。
<ハイドロゲル形成用材料1の調製>
まず、純水1060質量部を攪拌させながら、中性子反応物質を含む鉱物として、[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)60質量部を少しずつ添加しつつ、更に1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸3質量部を添加し、攪拌して分散液を調製した。
次に、得られた分散液に、重合性モノマーとして、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したN,N−ジメチルアクリルアミド(富士フイルム和光純薬株式会社製)30質量部、アクリロイルモルホリン(東京化成工業株式会社製)180質量部、及びメチレンビスアクリルアミド(東京化成工業株式会社製)2.5質量部、グリセリン(東京化成工業株式会社製)120質量部を添加した。続いて、氷浴で冷却しながら、テトラメチルエチレンジアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を4質量部添加して、攪拌混合の後減圧脱気を10分間実施した。次に、ろ過を行って不純物等を除去し、均質なハイドロゲル形成用材料1を得た。
<中性子線透過調整デバイス1の作製>
作製した100重量部のハイドロゲル形成用材料1に、重合開始剤として8.4重量部のペルオキソ二硫酸カリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)の2重量%水溶液を添加し、縦10cm×横10cm×高さ4cmの容器に、中性子線透過調整デバイスの平均厚みが3mmになるよう入れ、密閉して中性子線透過調整デバイス1を作製した。
(実施例2)
実施例1において、中性子線透過調整デバイスの平均厚みを5mmとした以外は、実施例1と同様にして、中性子線透過調整デバイス2を作製した。
(実施例3)
実施例1において、中性子線透過調整デバイスの平均厚みを10mmとした以外は、実施例1と同様にして、中性子線透過調整デバイス3を作製した。
(実施例4)
実施例1において、中性子線透過調整デバイスの平均厚みを20mmとした以外は、実施例1と同様にして、中性子線透過調整デバイス4を作製した。
(実施例5)
実施例1において、中性子線透過調整デバイスの平均厚みを35mmとした以外は、実施例1と同様にして、中性子線透過調整デバイス5を作製した。
ここで、図6は、実施例3における中性子線透過調整デバイスを撮影した写真である。図6に示すように、ハイドロゲルにより形成され、全体が中性子線透過部となる中性子線透過調整デバイスを作製できていることがわかる。
<中性子線の減衰特性と厚みの評価>
中性子線透過調整デバイス1〜5を用いて、中性子線透過調整デバイスを透過する中性子線の減衰特性を計測した。
中性子線透過調整デバイスの厚み方向に対して、中性子線照射装置を用いて中性子線を照射し、中性子線の照射面(入口)と透過面(出口)にて、照射した中性子線における中性子束の相対強度を測定して比較した。
図7は、中性子線透過調整デバイスにおける、透過する中性子線の透過する中性子線の中性子反応物質の厚みに対する依存性の一例を示すグラフである。図7においては、縦軸が透過面における中性子線透過調整デバイスが無い状態における強度に対する、中性子線透過調整デバイスが有る状態における強度を示した相対強度、横軸が中性子線透過調整デバイスの平均厚みである。図7から、中性子束の相対強度が、中性子線透過調整デバイスの厚みに応じて変化しており、加えて熱中性子と熱外中性子の比率が、中性子線透過調整デバイスの厚みに応じて変化していることから、本発明の中性子線透過調整デバイスが、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能であることがわかる。
(実施例6)
<ハイドロゲル形成用材料2の調製>
まず、純水700質量部を攪拌させながら、中性子反応物質を含む鉱物として、[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)60質量部を少しずつ添加しつつ、更に1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸3質量部を添加し、攪拌して分散液を調製した。
次に、得られた分散液に、重合性モノマーとして、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したN,N−ジメチルアクリルアミド(富士フイルム和光純薬株式会社製)30質量部、アクリロイルモルホリン(東京化成工業株式会社製)180質量部、及びメチレンビスアクリルアミド(東京化成工業株式会社製)2.5質量部、グリセリン(東京化成工業株式会社製)120質量部を添加した。続いて、氷浴で冷却しながら、テトラメチルエチレンジアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を4質量部添加して、攪拌混合の後減圧脱気を10分間実施した。次に、ろ過を行って不純物等を除去し、均質なハイドロゲル形成用材料2を得た。
言い換えると、ハイドロゲル形成用材料1の調製において、純水を700質量部とした以外は、ハイドロゲル形成用材料1の調製と同様にして、ハイドロゲル形成用材料2を調製した。
<支持体形成用材料の調製>
ドデシルアクリレート(東京化成工業株式会社製)29質量部、ステアリルアクリレート(東京化成工業株式会社製)29質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン株式会社製、商品名:イルガキュア184)2質量部、1−ドデカノール(東京化成工業株式会社製)40質量部を、均質な混合物が得られるまで撹拌した。続いて、ろ過を行い、不純物等を除去し、更に真空脱気を10分間実施し、均質な支持体形成用材料を得た。
<中性子線透過調整デバイス6の作製>
図3に示すようなマテリアルジェッティング方式の三次元プリンターに、ハイドロゲル形成用材料2、濃度調整用純水、支持体形成用材料を、インクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)4個に充填した。
中性子線透過調整デバイス6の作製にあたっては、ハイドロゲル形成用材料2と濃度調整用純水を、造形面(吐出面)において100:0(重量比)となるように造形(成膜)した。
そして、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)で350mJ/cmの光量を照射して、ハイドロゲル形成用材料2及び支持体形成用材料を硬化させながら、ハイドロゲル形成用材料2の硬化物及び支持体の形成を行った。なお、支持体は、ハイドロゲル形成用材料2の硬化物の外縁部を取り囲むように形成した。
造形後、ハイドロゲル形成用材料2の硬化物と支持体を剥離し、ハイドロゲル形成用材料2の硬化物で形成された中性子線透過調整デバイス6を作製した。
このようにして、実施例1で作製した中性子線透過調整デバイス1と類似形状の中性子線透過調整デバイス6を上記の三次元プリンターで作製した。中性子線透過調整デバイス6の大きさとしては、縦10cm×横10cm、厚みを10mmとなるように造形を行った。
(実施例7)
実施例6において、ハイドロゲル形成用材料2と濃度調整用純水を、造形面(吐出面)において90:10(重量比)となるように造形した以外は、実施例6と同様にして、中性子線透過調整デバイス7を作製した。
(実施例8)
実施例6において、ハイドロゲル形成用材料2と濃度調整用純水を、造形面(吐出面)において75:25(重量比)となるように造形した以外は、実施例6と同様にして、中性子線透過調整デバイス8を作製した。
(実施例9)
実施例6において、ハイドロゲル形成用材料2と濃度調整用純水を、造形面(吐出面)において50:50(重量比)となるように造形した以外は、実施例6と同様にして、中性子線透過調整デバイス9を作製した。
<中性子線の減衰特性と中性子反応物質の濃度の評価>
中性子線透過調整デバイス6〜9を用いて、中性子線透過調整デバイスを透過する中性子線の減衰特性を計測した。
中性子線透過調整デバイスの厚み方向に対して、中性子線照射装置を用いて中性子線を照射し、中性子線の照射面(入口)と透過面(出口)にて、照射した中性子線における中性子束の相対強度を測定して比較した。
図8は、中性子線透過調整デバイスにおける、透過する中性子線の中性子反応物質の濃度に対する依存性の一例を示すグラフである。図8においては、縦軸が透過面における中性子線透過調整デバイスが無い状態における強度に対する、中性子線透過調整デバイスが有る状態における強度を示した相対強度、横軸が中性子反応物質を含む合成ヘクトライト分散体の濃度(質量%)である。また、図8における各プロットは、左から順に、実施例9、8、7、6の結果を示すプロットである。図8から、中性子束の相対強度が、中性子反応物質の濃度に応じて変化しており、加えて熱中性子と熱外中性子の比率が、中性子反応物質の濃度に応じて変化していることから、本発明の中性子線透過調整デバイスが、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能であることがわかる。
次に、中性子線照射装置のコリメータ側に装着し、照射対象における病変部状況に応じた変調を行う場合における本発明の中性子線透過調整デバイスの実施例を示す。
なお、以下の実施例10〜15で使用するハイドロゲル形成用材料については、事前に中性子減衰特性(中性子が中性子線透過調整デバイスを透過した際のエネルギースペクトル、中性子束、γ線線量率の変化など)を測定し、照射対象(患者)における病変部状況に応じた変調を行えるようにした。
また、これらの実施例で用いられる造形データは、実測及びシミュレーション(モンテカルロ計算)から得られた、中性子線透過調整デバイスを構成する材料の中性子反応特性の算出結果に基づき、中性子線が照射される患者における病変部状況に応じて作成されたものである。
(実施例10)
図3に示すようなマテリアルジェッティング方式の三次元プリンターに、ハイドロゲル形成用材料1、支持体形成用材料を、インクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)4個に充填した。
中性子線透過調整デバイスの造形は、図1に示すような病変部のCTデータに基づき、ハイドロゲル形成用材料1の中性子減衰特性に応じて造形データを作成し、造形した。
そして、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)で350mJ/cmの光量を照射して、ハイドロゲル形成用材料1、支持体形成用材料を硬化させながら、ハイドロゲル形成用材料1の硬化物及び支持体の形成を行った。
造形後、ハイドロゲル形成用材料1の硬化物と支持体を剥離して、ハイドロゲル形成用材料1の硬化物で形成された中性子線透過調整デバイス10を作製した。
(実施例11)
<ハイドロゲル形成用材料3の調製>
まず、純水700質量部を攪拌させながら、中性子反応物質を含む鉱物として、[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)6質量部を少しずつ添加しつつ、更に1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸3質量部を添加し、攪拌して分散液を調製した。
次に、得られた分散液に、重合性モノマーとして、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したN,N−ジメチルアクリルアミド(富士フイルム和光純薬株式会社製)30質量部、アクリロイルモルホリン(東京化成工業株式会社製)180質量部、及びメチレンビスアクリルアミド(東京化成工業株式会社製)2.5質量部、グリセリン(東京化成工業株式会社製)120質量部を添加した。続いて、氷浴で冷却しながら、テトラメチルエチレンジアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を4質量部添加して、攪拌混合の後減圧脱気を10分間実施した。次に、ろ過を行って不純物等を除去し、均質なハイドロゲル形成用材料2を得た。
言い換えると、ハイドロゲル形成用材料2の調製において、合成ヘクトライトを6質量部とした以外は、ハイドロゲル形成用材料2の調製と同様にして、ハイドロゲル形成用材料3を調製した。よって、ハイドロゲル形成用材料3は、ハイドロゲル形成用材料2と比較して、合成ヘクトライト濃度(Li原子濃度)が1/10程度である。
<中性子線透過調整デバイス11の作製>
図3に示すようなマテリアルジェッティング方式の三次元プリンターに、ハイドロゲル形成用材料2、ハイドロゲル形成用材料3、支持体形成用材料を、インクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)4個に充填した。そして、ハイドロゲル形成用材料2とハイドロゲル形成用材料3とを別々のインクジェットヘッドから吐出し、図1に示すような病変部のCTデータに基づき、ハイドロゲル形成用材料2及び3の中性子減衰特性に応じて作成した造形データに基づく割合で造形面にて混合し、中性子反応物質(Li原子)の濃度分布を制御して、Li原子の濃度分布を形成した。
そして、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)で350mJ/cmの光量を照射して、ハイドロゲル形成用材料2及び3、支持体形成用材料を硬化させながら、ハイドロゲル形成用材料2及び3の硬化物及び支持体の形成を行った。
造形後、ハイドロゲル形成用材料2及び3の硬化物と支持体を剥離して、ハイドロゲル形成用材料2及び3の硬化物で形成された中性子線透過調整デバイス11を作製した。
(実施例12)
実施例12においては、本発明の中性子線透過調整デバイスの一例として、硬質形成体で形成された容器に、中性子反応物質を含む物質を満たす形態の中性子線透過調整デバイスを作製した。
<中性子反応物質含有液1の調製>
中性子反応物質として、ホウ素を選択し、具体的には、メタホウ酸ナトリウム四水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)5質量部、純水95質量部を混合して、中性子反応物質含有液1を調製した。
<硬質成形体用材料の調製>
硬化性材料1として、ウレタンアクリレート(三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤビームUK6038)10質量部、硬化性材料2として、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:KAYARAD MANDA)90質量部、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:イルガキュア184)3質量部を均質な混合物が得られるまで撹拌した。続いて、ろ過を行い、不純物等を除去し、更に真空脱気を10分間実施し、均質な硬質成形体用材料を得た。
<容器の造形>
図3に示すようなマテリアルジェッティング方式の三次元プリンターに、硬質成形体用材料、支持体形成用材料を、インクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)4個に充填した。
中性子線透過調整デバイスの造形は、図1に示すような病変部のCTデータに基づき、中性子反応物質含有液1の中性子減衰特性に応じて造形データを作成し、造形した。
そして、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)で350mJ/cmの光量を照射して、硬質成形体用材料、支持体形成用材料を硬化させながら、容器及び支持体の形成を行った。
造形後、容器と支持体を剥離して(容器内部の支持体は加温して液体状態で取り出した)、容器における枠の厚みが1mmである中空形状を有する容器を作製した。
<中性子線透過調整デバイス12の作製>
作製した容器に中性子反応物質含有液1を満たし、中性子線透過調整デバイス12を作製した。
(実施例13)
<中性子反応物質含有液2の調製>
中性子反応物質として、リチウムを選択し、具体的には、クエン酸三リチウム四水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)5質量部、純水95質量部を混合して、中性子反応物質含有液2を調製した。
実施例12において、中性子反応物質含有液2の中性子減衰特性に応じた造形データを用いた以外は、実施例12と同様にして、中性子線透過調整デバイス13を作製した。
(実施例14)
<中性子反応物質含有液3の調製>
中性子反応物質として、ガドリニウムを選択し、具体的には、塩化ガドリニウム六水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)5質量部、純水95質量部を混合して、中性子反応物質含有液3を調製した。
実施例12において、中性子反応物質含有液3の中性子減衰特性に応じた造形データを用いた以外は、実施例12と同様にして、中性子線透過調整デバイス14を作製した。
(実施例15)
実施例15では、本発明の中性子線透過調整デバイスの一例として、患者の体表面に沿った形状を有する中性子線透過調整デバイスを作製した。
具体的には、実施例10において、患者の中性子線照射部分の体表面形状(表面の凹凸)データを取得し、片面が体表面にフィットする形状となる造形データを用いた以外は、実施例10と同様にして、中性子線透過調整デバイス15を作製した。
なお、これらの実施例の評価は、例えば、図2Bに示すように、コリメータと患者の間に中性子線透過調整デバイスを配置し、病変部周辺の中性子束の分布を測定し、測定した分布と、患者のCTデータ等から特定される病巣の形態から求めた最適な中性子束の分布と比較することにより行うことができる。
以下では、中性子線透過調整デバイスの他の形状の作製例について説明する。
下記の実施例16〜18では、実施例6と同様の方法を用いて、直径が互いに異なる二つの円柱を重ねて一体化させた構造の中性子線透過調整デバイス16〜18を作製した。
(実施例16)
実施例16では、実施例6において、直径が互いに異なる二つの円柱を重ねた構造の中性子線透過調整デバイスについて、直径10cm、厚み10mmの円柱形状部が下段(下層)となり、直径6cm、厚み10mmの円柱形状部が上段(上層)となり、合計の厚みが20mmとなる造形データを用いた以外は、実施例6と同様にして、中性子線透過調整デバイス16を作製した。
(実施例17)
実施例17では、実施例16において、下段となる円柱形状部及び上段となる円柱形状部の厚みが、それぞれ5mmとなり、合計の厚みが10mmとなる造形データを用いた以外は、実施例16と同様にして、中性子線透過調整デバイス17を作製した。
(実施例18)
実施例18では、実施例16において、下段となる円柱形状部及び上段となる円柱形状部の厚みが、それぞれ2.5mmとなり、合計の厚みが5mmとなる造形データを用いた以外は、実施例16と同様にして、中性子線透過調整デバイス18を作製した。
図9は、実施例16〜18における中性子線透過調整デバイスを撮影した写真である。
図9においては、実施例16の中性子線透過調整デバイス16(厚み20mm)を中央部に示し、実施例17の中性子線透過調整デバイス17(厚み10mm)を左部に示し、実施例18の中性子線透過調整デバイス18(厚み5mm)を右部に示す。
図9に示すように、実施例16から18のいずれにおいても、造形データに従って、所望の形状を有する中性子線透過調整デバイスを作製することができた。
以上、説明したように、本発明の中性子線透過調整デバイスは、中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能な中性子線透過部、を有する。これにより、本発明の中性子線透過調整デバイスは、透過後の中性子線を所望の特性に変調させることができる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能な中性子線透過部、を有することを特徴とする中性子線透過調整デバイスである。
<2> 中性子捕捉療法に用いられる、前記<1>に記載の中性子線透過調整デバイスである。
<3> 前記中性子線の照射経路において、前記中性子線の照射源と、前記中性子線が照射される照射対象との間に配置されて用いられ、
前記中性子線透過部が、前記照射対象における病変部状況に応じた変調を行う、前記<2>に記載の中性子線透過調整デバイスである。
<4> 前記中性子反応物質が、ホウ素原子、リチウム原子、及びガドリニウム原子の少なくともいずれか含む、前記<1>から<3>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスである。
<5> 前記中性子線透過部が厚みの分布を有する、前記<1>から<4>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスである。
<6> 前記中性子線透過部が、前記中性子反応物質の濃度分布を有する、前記<1>から<5>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスである。
<7> 前記中性子線透過部が変形可能である、前記<1>から<6>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスである。
<8> 前記中性子線透過部が前記照射対象の表面に沿った形状を有する、前記<3>に記載の中性子線透過調整デバイスである。
<9> 前記中性子線透過部が、水とポリマーと鉱物とを含むハイドロゲルを有する、前記<1>から<8>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスである。
<10> 立体造形装置を用いて、前記<1>から<9>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスを製造することを特徴とする中性子線透過調整デバイスの製造方法である。
<11> 前記立体造形装置が、マテリアルジェッティング方式である、前記<10>に記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法である。
<12> 前記中性子線が照射される照射対象における病変部状況に応じた造形データに基づいて、前記中性子線透過調整デバイスを製造する、前記<10>から<11>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法である。
<13> 前記造形データに基づいて、前記中性子線透過部における厚みの分布を制御する、前記<12>に記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法である。
<14> 前記造形データに基づいて、前記中性子線透過部における、前記中性子反応物質の濃度分布を制御する、前記<12>から<13>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法である。
<15> 前記中性子線の照射源から前記中性子線の照射対象に前記中性子線を照射する際に、
前記中性子線の照射経路において、前記照射源と前記照射対象との間に、前記<1>から<9>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスを配置することを特徴とする中性子線照射量の調整方法である。
<16> 前記中性子線透過調整デバイスにより、前記照射対象の状況に応じた変調を行う、前記<15>に記載の中性子線照射量の調整方法である。
<17> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスを用いることを特徴とするがんの処置方法である。
<18> 前記中性子線の照射源から前記中性子線の照射対象に前記中性子線を照射する際に、
前記中性子線の照射経路において、前記照射源と前記照射対象との間に、前記中性子線透過調整デバイスを配置する、前記<17>に記載のがんの処置方法である。
<19> 前記中性子線透過調整デバイスにより、前記照射対象の病変部状況に応じた変調を行う、前記<17>から<18>のいずれかに記載のがんの処置方法である。
前記<1>から<9>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイス、前記<10>から<14>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法、前記<15>から<16>のいずれかに記載の中性子線照射量の調整方法、及び前記<17>から<19>のいずれかに記載のがんの処置方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
特開2017−140417号公報
10 三次元プリンター(立体造形装置の一例)
11 デバイス形成用液体材料噴射ヘッドユニット
12 支持体用液体材料噴射ヘッドユニット
13 紫外線照射機
14 造形体支持基板
15 ステージ
16 平滑化部材
17 造形体(デバイス)
18 支持体(サポート材)
20 中性子ビーム(中性子線の一例)
21 コリメータ
30 中性子線透過調整デバイスの一例

Claims (16)

  1. 中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能な中性子線透過部、を有することを特徴とする中性子線透過調整デバイス。
  2. 中性子捕捉療法に用いられる、請求項1に記載の中性子線透過調整デバイス。
  3. 前記中性子線の照射経路において、前記中性子線の照射源と、前記中性子線が照射される照射対象との間に配置されて用いられ、
    前記中性子線透過部が、前記照射対象における病変部状況に応じた変調を行う、請求項2に記載の中性子線透過調整デバイス。
  4. 前記中性子反応物質が、ホウ素原子、リチウム原子、及びガドリニウム原子の少なくともいずれか含む、請求項1から3のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイス。
  5. 前記中性子線透過部が厚みの分布を有する、請求項1から4のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイス。
  6. 前記中性子線透過部が、前記中性子反応物質の濃度分布を有する、請求項1から5のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイス。
  7. 前記中性子線透過部が変形可能である、請求項1から6のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイス。
  8. 前記中性子線透過部が前記照射対象の表面に沿った形状を有する、請求項3に記載の中性子線透過調整デバイス。
  9. 前記中性子線透過部が、水とポリマーと鉱物とを含むハイドロゲルを有する、請求項1から8のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイス。
  10. 立体造形装置を用いて、請求項1から9のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスを製造することを特徴とする中性子線透過調整デバイスの製造方法。
  11. 前記立体造形装置が、マテリアルジェッティング方式である、請求項10に記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法。
  12. 前記中性子線が照射される照射対象における病変部状況に応じた造形データに基づいて、前記中性子線透過調整デバイスを製造する、請求項10から11のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法。
  13. 前記造形データに基づいて、前記中性子線透過部における厚みの分布を制御する、請求項12に記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法。
  14. 前記造形データに基づいて、前記中性子線透過部における、前記中性子反応物質の濃度分布を制御する、請求項12から13のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法。
  15. 前記中性子線の照射源から前記中性子線の照射対象に前記中性子線を照射する際に、
    前記中性子線の照射経路において、前記照射源と前記照射対象との間に、請求項1から9のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスを配置することを特徴とする中性子線照射量の調整方法。
  16. 前記中性子線透過調整デバイスにより、前記照射対象の状況に応じた変調を行う、請求項15に記載の中性子線照射量の調整方法。
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