JP2021013731A - 中性子線透過調整デバイス、中性子線透過調整デバイスの製造方法、及び中性子線照射量の調整方法 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、放射線増感元素を含み、腫瘍細胞に選択的に取り込まれる放射線増感剤としては、例えば、ホウ素を含む化合物(ホウ素化合物)などが用いられる。ここで、ホウ素化合物と中性子との核反応により生じるアルファ線と7Li粒子は、細胞の径と同程度の距離(約10μm程度)しか飛ばない。このため、中性子捕捉療法では、ホウ素化合物をほとんど取り込まない正常細胞へのダメージを抑制しつつ、ホウ素化合物を多く取り込む腫瘍細胞を、ホウ素と中性子との核反応により発生したアルファ線と7Li粒子により大きなダメージを与えて死滅させることができる。
しかしながら、従来の中性子捕捉療法では、腫瘍細胞に向けて均一なエネルギー及び量(特性)の中性子線を照射するため、腫瘍細胞の周囲の正常組織における耐用線量を超過してしまう場合や、腫瘍細胞に対する治療の効果が十分でない場合があった。
本発明の中性子線透過調整デバイスは、中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能な中性子線透過部を有し、更に必要に応じてその他の部材(手段)を有する。
より具体的には、本発明は、一つの側面では、従来の中性子捕捉療法に関する技術では、腫瘍細胞に向けて均一なエネルギー及び量の中性子線を照射するため、腫瘍細胞の周囲の正常組織における耐用線量を超過してしまう場合があるという知見に基づくものである。また、本発明は、一つの側面では、従来の中性子捕捉療法に関する技術では、腫瘍細胞の組織の形状等によっては、腫瘍細胞に達したときのエネルギーが大きすぎ、中性子線が放射線増感元素と反応せずに通過してしまうなどにより、十分な治療が行えない場合があるという知見に基づくものである。このため、まず、本発明の中性子線透過調整デバイスの好適な用途の一つである中性子捕捉療法について説明する。
中性子捕捉療法において対象とする病変細胞としては、放射線増感元素を取り込むことができ、中性子線に曝露することができる病変細胞であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、腫瘍細胞が挙げられる。本発明において「腫瘍」は、ポリープなどの良性腫瘍及びがんなどの悪性腫瘍を含むが、好ましくは悪性腫瘍である。また、本発明において「がん」(cancer)は、上皮由来の「癌」(carcinoma)、「肉腫」(sarcoma)、及び血液悪性腫瘍を含む。
続いて、中性子捕捉療法では、得られた熱外中性子を患者の腫瘍細胞に照射する。照射された熱外中性子は、生体内の水素等により散乱・減速し、徐々にエネルギーが低下して、0.5eV以下の熱中性子に変換される。この熱中性子が腫瘍細胞に到達し、腫瘍細胞が積極的に取り込んだ放射線増感剤中の放射線増感元素(ホウ素原子)と核反応を起こし、核反応により発生したアルファ線と7Li粒子が腫瘍細胞を選択的に破壊する。
また、上述したように、従来の中性子捕捉療法においては、照射された熱外中性子が、生体内の水素等の影響により徐々にエネルギーが低下して熱中性子に変換され、腫瘍細胞に取り込まれた放射線増感元素に捕捉されることで核反応が進行する。このため、腫瘍細胞の組織の形状等によっては、照射された熱外中性子線のエネルギーを十分低減できず、腫瘍細胞に達したときのエネルギーが大きすぎ、中性子線が放射線増感元素と反応せずに通過してしまうことにより、十分な治療が行えない場合があった。
さらに、中性子線の中性子捕捉療法以外の用途においても、均一な中性子線が照射されるために、中性子線の特性を十分に制御することができず、中性子線の照射精度が不十分となってしまう場合があった。
そこで、本発明者らは、透過後の中性子線を所望の特性に変調させることができるデバイス等について鋭意検討を重ね、本発明を想到した。すなわち、本発明者らは、中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能な中性子線透過部、を有する中性子線透過調整デバイスにより、透過後の中性子線を所望の特性に変調させることができることを見出した。
図1は、腫瘍組織周辺を撮影したCT(Computed Tomography)画像を模式化した図面の一例である。図1に示すように、中性子捕捉療法において治療の対象となる腫瘍組織(斜線部)は、複雑な形状を有している場合がある。
従来技術における既存の中性子捕捉療法においては、図2Aに示すように、例えば、腫瘍組織に対して、コリメータを用いて収束した中性子線(中性子ビーム)を照射する。なお、図2Aにおいては、中性子線を照射した際に、組織に達する中性子線の量(線量)の一例を、等高線マップで示している。
既存の中性子捕捉療法では、均一な(一様な)中性子線を照射するため、腫瘍組織の周囲の正常組織における耐用線量を超過して、正常組織に不必要な被爆のダメージを与えてしまう場合がある。図2Aの例では、組織に達する中性子線の量の一例を示す等高線マップからわかるように、腫瘍組織以外の正常組織(格子模様の部分)にも中性子線が比較的多く照射されている。
さらに、既存の中性子捕捉療法では、図1及び2Aに示すような複雑な形状の腫瘍組織を対象とする場合、腫瘍組織の部位によっては、中性子線が腫瘍細胞に達したときのエネルギーが大きすぎ、中性子線が放射線増感元素と反応せずに通過し、十分な治療の効果が得られないときがある。
図2Bの例においては、腫瘍組織の形状等に応じて、中性子線のエネルギー及び量が変調されており、正常組織に照射される中性子線の量が抑制されている。さらに、図2Bの例においては、腫瘍組織の形状等に応じて、中性子線が腫瘍細胞に達したときのエネルギー及び量が変調されており、腫瘍組織に取り込まれたが放射線増感元素と反応しやすいとともに、適切な量の中性子線が腫瘍組織に照射されている。
図2Cの例においては、腫瘍組織の形状等に応じて、中性子線のエネルギー及び量が変調されており、正常組織に照射される中性子線の量がより抑制されている。さらに、図2Cの例においては、腫瘍組織の形状等に応じて、中性子線が腫瘍細胞に達したときのエネルギー及び量が変調されており、腫瘍組織に取り込まれたが放射線増感元素と反応しやすいとともに、より適切な量の中性子線が腫瘍組織に照射されている。
なお、図2Cの例では、一つのコリメータに対して、中性子線透過調整デバイスを一つ用いる場合を示したが、これに限られるものではなく、例えば、複数ある内の一つのコリメータのみに対して、中性子線透過調整デバイスを用いてもよい。
ここで、病変部状況とは、病変部の形状、病変部の周辺の臓器の形状、病変部の体表面からの深度、病変部の存在する箇所の体表面の形状など、中性子線の変調に影響する病変部の物理的状況を意味する。
また、本発明において、病変部状況データとは、この病変部状況の情報を含むデータを意味する。病変部状況データは、例えば、照射対象(患者)のCTデータやMRIデータなどの医学データに基づいて取得することができる。
中性子線透過部は、中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、上述したように、本発明の中性子線透過調整デバイスは、中性子線透過部を有するデバイスであれば特に制限はなく、例えば、中性子線透過調整デバイスの全体が中性子線透過部であってもよいし、一部が中性子線透過部であってもよい。本発明においては、生産性などの観点から、中性子線透過調整デバイスの全体が中性子線透過部であることが好ましい。
中性子反応物質は、中性子線透過部を透過する中性子線のエネルギーや量を調節(変調)することができる物質を意味する。例えば、中性子反応物質は、中性子線のエネルギーを調節する際には、中性子線を散乱することができればよく、中性子線の量を調節する際には、中性子線を捕獲(吸収)することができればよい。したがって、本発明における中性子反応物質は、具体的には、例えば、中性子線を散乱及び吸収の少なくともいずれかを可能な物質とすることができる。
中性子反応断面積が大きな物質(原子)としては、例えば、ホウ素原子(B:例えば、10B)、リチウム原子(Li:例えば、6Li)、ガドリニウム原子(Gd:例えば、155Gd、157Gd)などが挙げられる。言い換えると、本発明においては、中性子反応物質が、ホウ素原子、リチウム原子、及びガドリニウム原子の少なくともいずれか含むことが好ましい。中性子反応物質が、これらの原子を含むことにより、中性子線のエネルギーや量を容易に調節できるため、透過後の中性子線をより容易に所望の特性に変調させることができる。
中性子反応物質として利用可能な、リチウム原子を含む化合物としては、例えば、炭酸リチウム、酢酸リチウム、硝酸リチウム、クエン酸三リチウムなどの塩、フッ化リチウム、ヨウ化リチウムなどのハロゲン化物、酸化リチウム、水酸化リチウム、硫化物、窒化物、タンタル酸リチウム、チタン酸リチウムなどの複酸化物、クレイ(モンモリロナイト、ヘクトライト)、ジャダライト、リシア輝石などのケイ酸塩鉱物などが挙げられる。
中性子反応物質として利用可能な、ガドリニウム原子を含む化合物としては、塩化ガドリニウム、炭酸ガドリニウム、硫酸ガドリニウム、硝酸ガドリニウムなどの塩(いずれも水和物)、酸化物、窒化物、ハロゲン化物、ガドリニウム錯体などが挙げられる。
なお、これらの化合物は、単独で又は組み合わせて含有させることができる。
本発明において、中性子線を「変調する」とは、中性子線のエネルギー、量(線量)、分布などの中性子線の特性を変えることを意味する。したがって、本発明においては、中性子線の変調には、中性子線のエネルギーや量を増加させることも含むが、例えば、中性子捕捉療法に用いる場合には、中性子線のエネルギーや量を低減させる方向に変調させることが好ましい。
中性子線透過部が厚みの分布を有する場合、中性子線透過調整デバイスの形状は、例えば、図2Bに示すようになる。このとき、本発明においては、治療対象(照射対象)の病変部状況データに基づき計算された中性子線のエネルギーと量及び分布が得られるように、中性子線透過部の厚みの分布を制御することが好ましい。この場合、中性子線透過部は、例えば、均質な材質、より具体的には、中性子反応物質の濃度が一定となる材料により形成することができる。
中性子線透過部における材質としては、中性子反応物質を含み、中性子線を透過可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
中性子線透過部における形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
容器としては、中性子線を透過可能なものであれば制限はないが、中性子反応断面積が小さな材料を用いることができ、例えば、通常の樹脂などを用いることができる。容器は、当該技術分野における公知の方法で作製することができる。
厚みの分布を制御する場合は、例えば、病変部状況データに基づく基礎構造を形成し、この基礎構造に中性子反応物質を均質に混合する。
中性子反応物質の濃度分布を制御する場合には、厚みを一定とした基礎構造中に、中性子反応物質の濃度分布を設ける。中性子反応物質の濃度分布の設け方としては、特に制限はなく、例えば、当該技術分野において通常知られる方法を用いることができ、例えば、マテリアルジェッティング方式などを含むインクジェット方式の立体造形装置(3次元プリンタ)などを用いて設けることができる。
本発明においては、中性子線透過部が変形可能であることにより、例えば、中性子線透過部を照射対象(患者)の体表面に沿った形状とすることができる。より具体的には、例えば、中性子線透過調整デバイスを照射対象としての患者に接触させて用いる場合には、中性子線透過部の材質をゴムやゲルのような柔らかい材料として、当該患者の体表面に密着可能とすることにより、体表面に沿った形状とすることができる。こうすることにより、中性子線透過調整デバイスの支持や固定を、より容易に行うことができる。
また、本発明においては、中性子線透過調整デバイスの形状を、患者の体表面に沿った形状に形成することも好ましい。言い換えると、本発明においては、中性子線透過調整デバイスが、中性子線の照射対象(患者)の表面(体表面)に沿った形状を有することが好ましい。この場合、例えば、患者の中性子線照射部分の体表面形状データ(表面の凹凸など)を取得し、取得した体表面形状データに基づいて、中性子線透過調整デバイスの片面が体表面にフィットする形状となるようすることが好ましい。
以上のことを考慮すると、本発明の中性子線透過調整デバイスにおける中性子線透過部の材料としては、例えば、以下の3つ条件を満たす材料であることが好ましい。
(1)中性子反応物質を含むこと
(2)自立可能(形状を保持可能)であること
(3)立体造形装置での造形に用いることができること
本発明の中性子線透過調整デバイスに用いられるハイドロゲルは、水と、ポリマーと、鉱物と、を含むことが好ましい。言い換えると、本発明の中性子線透過調整デバイスにおける中性子線透過部が、水とポリマーと鉱物とを含むハイドロゲルを有することが好ましい。特に、有機溶媒に分散された鉱物と、重合性モノマーが重合したポリマーとが複合化して形成された三次元網目構造の中に、水が包含されているハイドロゲルであることが好ましい。また、ハイドロゲルは、必要に応じて、中性子反応物質やその他の成分を含んでもよい。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。水には、保湿性付与、抗菌性付与、導電性付与、硬度調整などの目的に応じて有機溶媒等のその他の成分を溶解ないし分散させてもよい。
鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水膨潤性層状粘土鉱物などが挙げられる。
水膨潤性層状粘土鉱物は、単一層の状態で水に分散した図5の上部に示すように、例えば、単位格子を結晶内に持つ二次元円盤状の結晶が積み重なった状態となり、水膨潤性層状粘土鉱物を水中で分散させると、図5の下部に示すように、各単一層状態で分離して円盤状の結晶となる。
水膨潤性ヘクトライトは、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)、SWN(Coop Chemical Ltd.製)、フッ素化ヘクトライトSWF(Coop Chemical Ltd.製)などが挙げられる。これらの中でも、本発明の中性子線透過調整デバイスの硬度・弾性率の点から、合成ヘクトライトが好ましい。
水膨潤性層状粘土鉱物の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中性子強度変調部材を構成する材料全量に対して、1質量%〜40質量%が好ましい。
ポリマーとしては、例えば、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有するポリマーが挙げられ、水溶性であることが好ましい。
ポリマーは、ホモポリマー(単独重合体)であってもよいし、ヘテロポリマー(共重合体)であってもよく、また、変性されていてもよいし、公知の官能基が導入されていてもよく、また塩の形態であってもよいが、ホモポリマーが好ましい。
水溶性有機ポリマーは、重合性モノマーが重合したものであり、重合性モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合性モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中性子強度変調部材を構成する材料全量に対して、0.5質量%〜20質量%が好ましい。
また、ハイドロゲルに含まれる中性子反応物質としては、上述した中性子反応物質を適宜用いることができる。なお、中性子反応物質が鉱物に含まれる場合には、中性子反応物質自体を別途添加しなくてもよい。
有機溶媒は、例えば、本発明の中性子線透過調整デバイスの保湿性を高めるために用いられる。
有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜4のアルキルアルコール類;アミド類;ケトン又はケトンアルコール類;エーテル類;ポリアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、多価アルコールの低級アルコールエーテル類;アルカノールアミン類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。また、特開2017−202178号公報に記載の有機溶媒が使用することもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保湿性の点から、多価アルコールが好ましく、グリセリンがより好ましい。
有機溶媒の添加量としては、中性子線透過調整デバイスを形成する材料全量に対して、10質量%以上50質量%以下であること好ましい。有機溶媒の添加量が、10質量%以上であると、乾燥を効果的に抑制でき、50質量%以下であると、水膨潤性層状粘土鉱物の分散性を向上できる。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、安定化剤、表面処理剤、光重合開始剤、着色剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、レドックス(酸化還元)開始剤などが挙げられる。
光重合開始剤としては、光(特に波長220nm〜400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
いずれの開始剤も特開2017−202178号公報に記載の開始剤が使用できる。
その他の部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中性子線透過部を支持する支持部材などが挙げられる。
本発明の中性子線透過調整デバイスの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、立体造形装置(3Dプリンタ)を用いる方法、型造形を用いる方法など、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。
ここで、本発明の中性子線透過調整デバイスは、上述のとおり、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能なデバイスであり、好ましくは、例えば、治療対象の病変部状況(病巣や体表面の形態や重要臓器との位置関係など)を考慮し、治療対象の状況合わせて中性子線を最適変調するデバイスである。したがって、本発明の中性子線透過調整デバイスの形状は、例えば、病変部状況データ及び材料の中性子反応特性に基づいて決定されることが好ましい。
中性子線透過調整デバイスを、容器に、中性子反応物質を含む物質を満たす形態(形態1)とする場合は、例えば、中空構造を有する容器を立体造形装置で作製し、これに中性子反応物質を含む液体や固体を満たすことで、中性子線透過調整デバイスを製造することができる。
また、中性子線透過調整デバイスを、自立可能な材料の中に、中性子反応物質を混合する形態(形態2)とする場合は、例えば、造形後に自立できる材料(例えば、ハイドロゲル)の中に中性子反応物質を混合し、この材料を用いて立体造形装置により直接造形することで、中性子線透過調整デバイスを製造することができる。
なお、形態2とする場合においては、例えば、任意の形状を有する型枠(例えば、中空構造を有する容器など)に、中性子反応物質を含む液状の材料を任意の厚みとなるように入れた後、硬化剤(例えば、重合開始剤など)で硬化することにより、材料を自立可能とすることで、中性子線透過調整デバイスを製造してもよい。
立体造形装置の造形方式としては、マテリアルジェッティング方式であることが好ましい。立体造形装置がマテリアルジェッティング方式であると、組成分布や形状制御を容易に行うことができ、所望の形状や物性を有するデバイスを容易に形成することができる。さらに、立体造形装置がマテリアルジェッティング方式であると、中性子線透過調整デバイスを形成する材料を複数用いることができるため、デバイス全体を同一組成ではなく、組成に分布を設けることが可能になる。特に、自立可能な材料の中に、中性子反応物質を混合する形態(形態2)とする場合に、中性子線透過部における中性子反応物質の濃度分布を制御するときに、容易に濃度分布を設けることができ好ましい。
図3に示すマテリアルジェッティング(MJ)方式の3D(三次元)プリンター10は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニットを用いて、デバイス形成用液体材料噴射ヘッドユニット11からデバイス形成用液体材料を、支持体用液体材料噴射ヘッドユニット12から支持体形成用液体材料を、造形体支持基板14に向けて噴射し、隣接した紫外線照射機13でデバイス形成用液体材料及び支持体形成用液体材料を硬化しながら積層する。
また、デバイス形成用液体材料としては、例えば、ハイドロゲル前駆体液を用いることが好ましい。支持体形成用液体材料としては、インクジェットヘッドから吐出可能であり、紫外線等のエネルギー線により硬化可能な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系材料などが挙げられる。
造形終了後、図4に示すようにデバイス17と支持体18を水平方向に引っ張ることにより、支持体18は一体として剥離され、デバイス17を容易に取り出すことができる。
さらに、中性子反応物質の濃度分布を制御する方法としては、例えば、所定の中性子反応物質の濃度を有するデバイス形成用液体材料と、濃度調整用液体(例えば、純水)とを、それぞれのインクジェットヘッドより吐出する形態であってもよい。この場合、例えば、造形面におけるデバイス形成用液体材料と濃度調整用液体との重量比を制御することにより、中性子反応物質の濃度分布を制御することができる。また、中性子反応物質の濃度分布の制御は、例えば、インクジェットヘッドから吐出するデバイス形成用液体材料の吐出量を制御することにより行ってもよい。
本発明の中性子線透過調整デバイスは、本発明の中性子線照射量の調整方法に好適に用いることができる。本発明の中性子線照射量の調整方法は、照射する中性子線の照射量を調整する際に、目的に応じて適宜用いることができるが、例えば、中性子捕捉療法に好適に用いられる。なお、中性子線照射量の調整方法における照射対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、中性子捕捉療法の患者に限られるのものではない。
例えば、上述したように、図2B及び2Cに示すように、コリメータと人体の間に本発明の中性子線透過調整デバイスを配し、治療対象(照射対象)ごとに最適に変調された中性子ビームを照射することで、効果的にがん細胞を死滅させることが可能である。これにより、治療効果を高めるだけでなく、治療対象の負荷も低減することができる。このように、本発明の中性子線透過調整デバイスを用いる中性子捕捉療法は、画期的ながんの処置方法(がん治療)ということができる。このように、本発明の中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)は、中性子捕捉療法に好適に応用することができる。
(a)中性子線透過調整デバイスを通して、中性子線を治療対象に照射するステップ、を含む。
本発明の中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)に用いられる中性子線透過調整デバイスとしては、上述した中性子線透過調整デバイスを用いることができる、上述のとおり、中性子線透過調整デバイスの配置としては、例えば、中性子線の照射経路において、中性子線の照射源と照射対象(患者)との間とすることができ、コリメータの直後(照射対象側)、治療の対象となる患者の体表面上に配置してもよい。言い換えると、本発明の中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)においては、例えば、中性子線の照射源から中性子線の照射対象に中性子線を照射する際に、中性子線の照射経路において、照射源と照射対象との間に、本発明の中性子線透過調整デバイスを配置する。また、本発明の中性子線照射量の調整方法(がんの処置方法)においては、本発明の中性子線透過調整デバイスにより、照射対象の状況に応じた変調を行うことが好ましい。
(a−1)処置対象(治療対象)の病変部状況データを取得するステップ、
(a−2)中性子線透過調整デバイスを製造するステップ、
の少なくともいずれかをさらに含んでもよい。
なお、ステップ(a−2)としては、例えば、上述した本発明の中性子線透過調整デバイスの製造方法を用いることができる。
実施例1においては、本発明の中性子線透過調整デバイスの一例として、ハイドロゲルにより形成され、全体が中性子線透過部となる中性子線透過調整デバイスを作製した。
まず、純水1060質量部を攪拌させながら、中性子反応物質を含む鉱物として、[Mg5.34Li0.66Si8O20(OH)4]Na− 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)60質量部を少しずつ添加しつつ、更に1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸3質量部を添加し、攪拌して分散液を調製した。
作製した100重量部のハイドロゲル形成用材料1に、重合開始剤として8.4重量部のペルオキソ二硫酸カリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)の2重量%水溶液を添加し、縦10cm×横10cm×高さ4cmの容器に、中性子線透過調整デバイスの平均厚みが3mmになるよう入れ、密閉して中性子線透過調整デバイス1を作製した。
実施例1において、中性子線透過調整デバイスの平均厚みを5mmとした以外は、実施例1と同様にして、中性子線透過調整デバイス2を作製した。
実施例1において、中性子線透過調整デバイスの平均厚みを10mmとした以外は、実施例1と同様にして、中性子線透過調整デバイス3を作製した。
実施例1において、中性子線透過調整デバイスの平均厚みを20mmとした以外は、実施例1と同様にして、中性子線透過調整デバイス4を作製した。
実施例1において、中性子線透過調整デバイスの平均厚みを35mmとした以外は、実施例1と同様にして、中性子線透過調整デバイス5を作製した。
中性子線透過調整デバイス1〜5を用いて、中性子線透過調整デバイスを透過する中性子線の減衰特性を計測した。
中性子線透過調整デバイスの厚み方向に対して、中性子線照射装置を用いて中性子線を照射し、中性子線の照射面(入口)と透過面(出口)にて、照射した中性子線における中性子束の相対強度を測定して比較した。
<ハイドロゲル形成用材料2の調製>
まず、純水700質量部を攪拌させながら、中性子反応物質を含む鉱物として、[Mg5.34Li0.66Si8O20(OH)4]Na− 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)60質量部を少しずつ添加しつつ、更に1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸3質量部を添加し、攪拌して分散液を調製した。
言い換えると、ハイドロゲル形成用材料1の調製において、純水を700質量部とした以外は、ハイドロゲル形成用材料1の調製と同様にして、ハイドロゲル形成用材料2を調製した。
ドデシルアクリレート(東京化成工業株式会社製)29質量部、ステアリルアクリレート(東京化成工業株式会社製)29質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン株式会社製、商品名:イルガキュア184)2質量部、1−ドデカノール(東京化成工業株式会社製)40質量部を、均質な混合物が得られるまで撹拌した。続いて、ろ過を行い、不純物等を除去し、更に真空脱気を10分間実施し、均質な支持体形成用材料を得た。
図3に示すようなマテリアルジェッティング方式の三次元プリンターに、ハイドロゲル形成用材料2、濃度調整用純水、支持体形成用材料を、インクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)4個に充填した。
中性子線透過調整デバイス6の作製にあたっては、ハイドロゲル形成用材料2と濃度調整用純水を、造形面(吐出面)において100:0(重量比)となるように造形(成膜)した。
そして、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)で350mJ/cm2の光量を照射して、ハイドロゲル形成用材料2及び支持体形成用材料を硬化させながら、ハイドロゲル形成用材料2の硬化物及び支持体の形成を行った。なお、支持体は、ハイドロゲル形成用材料2の硬化物の外縁部を取り囲むように形成した。
造形後、ハイドロゲル形成用材料2の硬化物と支持体を剥離し、ハイドロゲル形成用材料2の硬化物で形成された中性子線透過調整デバイス6を作製した。
実施例6において、ハイドロゲル形成用材料2と濃度調整用純水を、造形面(吐出面)において90:10(重量比)となるように造形した以外は、実施例6と同様にして、中性子線透過調整デバイス7を作製した。
実施例6において、ハイドロゲル形成用材料2と濃度調整用純水を、造形面(吐出面)において75:25(重量比)となるように造形した以外は、実施例6と同様にして、中性子線透過調整デバイス8を作製した。
実施例6において、ハイドロゲル形成用材料2と濃度調整用純水を、造形面(吐出面)において50:50(重量比)となるように造形した以外は、実施例6と同様にして、中性子線透過調整デバイス9を作製した。
中性子線透過調整デバイス6〜9を用いて、中性子線透過調整デバイスを透過する中性子線の減衰特性を計測した。
中性子線透過調整デバイスの厚み方向に対して、中性子線照射装置を用いて中性子線を照射し、中性子線の照射面(入口)と透過面(出口)にて、照射した中性子線における中性子束の相対強度を測定して比較した。
また、これらの実施例で用いられる造形データは、実測及びシミュレーション(モンテカルロ計算)から得られた、中性子線透過調整デバイスを構成する材料の中性子反応特性の算出結果に基づき、中性子線が照射される患者における病変部状況に応じて作成されたものである。
図3に示すようなマテリアルジェッティング方式の三次元プリンターに、ハイドロゲル形成用材料1、支持体形成用材料を、インクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)4個に充填した。
中性子線透過調整デバイスの造形は、図1に示すような病変部のCTデータに基づき、ハイドロゲル形成用材料1の中性子減衰特性に応じて造形データを作成し、造形した。
造形後、ハイドロゲル形成用材料1の硬化物と支持体を剥離して、ハイドロゲル形成用材料1の硬化物で形成された中性子線透過調整デバイス10を作製した。
<ハイドロゲル形成用材料3の調製>
まず、純水700質量部を攪拌させながら、中性子反応物質を含む鉱物として、[Mg5.34Li0.66Si8O20(OH)4]Na− 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)6質量部を少しずつ添加しつつ、更に1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸3質量部を添加し、攪拌して分散液を調製した。
言い換えると、ハイドロゲル形成用材料2の調製において、合成ヘクトライトを6質量部とした以外は、ハイドロゲル形成用材料2の調製と同様にして、ハイドロゲル形成用材料3を調製した。よって、ハイドロゲル形成用材料3は、ハイドロゲル形成用材料2と比較して、合成ヘクトライト濃度(Li原子濃度)が1/10程度である。
図3に示すようなマテリアルジェッティング方式の三次元プリンターに、ハイドロゲル形成用材料2、ハイドロゲル形成用材料3、支持体形成用材料を、インクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)4個に充填した。そして、ハイドロゲル形成用材料2とハイドロゲル形成用材料3とを別々のインクジェットヘッドから吐出し、図1に示すような病変部のCTデータに基づき、ハイドロゲル形成用材料2及び3の中性子減衰特性に応じて作成した造形データに基づく割合で造形面にて混合し、中性子反応物質(Li原子)の濃度分布を制御して、Li原子の濃度分布を形成した。
そして、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)で350mJ/cm2の光量を照射して、ハイドロゲル形成用材料2及び3、支持体形成用材料を硬化させながら、ハイドロゲル形成用材料2及び3の硬化物及び支持体の形成を行った。
造形後、ハイドロゲル形成用材料2及び3の硬化物と支持体を剥離して、ハイドロゲル形成用材料2及び3の硬化物で形成された中性子線透過調整デバイス11を作製した。
実施例12においては、本発明の中性子線透過調整デバイスの一例として、硬質形成体で形成された容器に、中性子反応物質を含む物質を満たす形態の中性子線透過調整デバイスを作製した。
中性子反応物質として、ホウ素を選択し、具体的には、メタホウ酸ナトリウム四水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)5質量部、純水95質量部を混合して、中性子反応物質含有液1を調製した。
硬化性材料1として、ウレタンアクリレート(三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤビームUK6038)10質量部、硬化性材料2として、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:KAYARAD MANDA)90質量部、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:イルガキュア184)3質量部を均質な混合物が得られるまで撹拌した。続いて、ろ過を行い、不純物等を除去し、更に真空脱気を10分間実施し、均質な硬質成形体用材料を得た。
図3に示すようなマテリアルジェッティング方式の三次元プリンターに、硬質成形体用材料、支持体形成用材料を、インクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)4個に充填した。
中性子線透過調整デバイスの造形は、図1に示すような病変部のCTデータに基づき、中性子反応物質含有液1の中性子減衰特性に応じて造形データを作成し、造形した。
造形後、容器と支持体を剥離して(容器内部の支持体は加温して液体状態で取り出した)、容器における枠の厚みが1mmである中空形状を有する容器を作製した。
作製した容器に中性子反応物質含有液1を満たし、中性子線透過調整デバイス12を作製した。
<中性子反応物質含有液2の調製>
中性子反応物質として、リチウムを選択し、具体的には、クエン酸三リチウム四水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)5質量部、純水95質量部を混合して、中性子反応物質含有液2を調製した。
<中性子反応物質含有液3の調製>
中性子反応物質として、ガドリニウムを選択し、具体的には、塩化ガドリニウム六水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)5質量部、純水95質量部を混合して、中性子反応物質含有液3を調製した。
実施例15では、本発明の中性子線透過調整デバイスの一例として、患者の体表面に沿った形状を有する中性子線透過調整デバイスを作製した。
具体的には、実施例10において、患者の中性子線照射部分の体表面形状(表面の凹凸)データを取得し、片面が体表面にフィットする形状となる造形データを用いた以外は、実施例10と同様にして、中性子線透過調整デバイス15を作製した。
下記の実施例16〜18では、実施例6と同様の方法を用いて、直径が互いに異なる二つの円柱を重ねて一体化させた構造の中性子線透過調整デバイス16〜18を作製した。
実施例16では、実施例6において、直径が互いに異なる二つの円柱を重ねた構造の中性子線透過調整デバイスについて、直径10cm、厚み10mmの円柱形状部が下段(下層)となり、直径6cm、厚み10mmの円柱形状部が上段(上層)となり、合計の厚みが20mmとなる造形データを用いた以外は、実施例6と同様にして、中性子線透過調整デバイス16を作製した。
実施例17では、実施例16において、下段となる円柱形状部及び上段となる円柱形状部の厚みが、それぞれ5mmとなり、合計の厚みが10mmとなる造形データを用いた以外は、実施例16と同様にして、中性子線透過調整デバイス17を作製した。
実施例18では、実施例16において、下段となる円柱形状部及び上段となる円柱形状部の厚みが、それぞれ2.5mmとなり、合計の厚みが5mmとなる造形データを用いた以外は、実施例16と同様にして、中性子線透過調整デバイス18を作製した。
図9においては、実施例16の中性子線透過調整デバイス16(厚み20mm)を中央部に示し、実施例17の中性子線透過調整デバイス17(厚み10mm)を左部に示し、実施例18の中性子線透過調整デバイス18(厚み5mm)を右部に示す。
図9に示すように、実施例16から18のいずれにおいても、造形データに従って、所望の形状を有する中性子線透過調整デバイスを作製することができた。
<1> 中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能な中性子線透過部、を有することを特徴とする中性子線透過調整デバイスである。
<2> 中性子捕捉療法に用いられる、前記<1>に記載の中性子線透過調整デバイスである。
<3> 前記中性子線の照射経路において、前記中性子線の照射源と、前記中性子線が照射される照射対象との間に配置されて用いられ、
前記中性子線透過部が、前記照射対象における病変部状況に応じた変調を行う、前記<2>に記載の中性子線透過調整デバイスである。
<4> 前記中性子反応物質が、ホウ素原子、リチウム原子、及びガドリニウム原子の少なくともいずれか含む、前記<1>から<3>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスである。
<5> 前記中性子線透過部が厚みの分布を有する、前記<1>から<4>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスである。
<6> 前記中性子線透過部が、前記中性子反応物質の濃度分布を有する、前記<1>から<5>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスである。
<7> 前記中性子線透過部が変形可能である、前記<1>から<6>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスである。
<8> 前記中性子線透過部が前記照射対象の表面に沿った形状を有する、前記<3>に記載の中性子線透過調整デバイスである。
<9> 前記中性子線透過部が、水とポリマーと鉱物とを含むハイドロゲルを有する、前記<1>から<8>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスである。
<10> 立体造形装置を用いて、前記<1>から<9>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスを製造することを特徴とする中性子線透過調整デバイスの製造方法である。
<11> 前記立体造形装置が、マテリアルジェッティング方式である、前記<10>に記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法である。
<12> 前記中性子線が照射される照射対象における病変部状況に応じた造形データに基づいて、前記中性子線透過調整デバイスを製造する、前記<10>から<11>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法である。
<13> 前記造形データに基づいて、前記中性子線透過部における厚みの分布を制御する、前記<12>に記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法である。
<14> 前記造形データに基づいて、前記中性子線透過部における、前記中性子反応物質の濃度分布を制御する、前記<12>から<13>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法である。
<15> 前記中性子線の照射源から前記中性子線の照射対象に前記中性子線を照射する際に、
前記中性子線の照射経路において、前記照射源と前記照射対象との間に、前記<1>から<9>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスを配置することを特徴とする中性子線照射量の調整方法である。
<16> 前記中性子線透過調整デバイスにより、前記照射対象の状況に応じた変調を行う、前記<15>に記載の中性子線照射量の調整方法である。
<17> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスを用いることを特徴とするがんの処置方法である。
<18> 前記中性子線の照射源から前記中性子線の照射対象に前記中性子線を照射する際に、
前記中性子線の照射経路において、前記照射源と前記照射対象との間に、前記中性子線透過調整デバイスを配置する、前記<17>に記載のがんの処置方法である。
<19> 前記中性子線透過調整デバイスにより、前記照射対象の病変部状況に応じた変調を行う、前記<17>から<18>のいずれかに記載のがんの処置方法である。
11 デバイス形成用液体材料噴射ヘッドユニット
12 支持体用液体材料噴射ヘッドユニット
13 紫外線照射機
14 造形体支持基板
15 ステージ
16 平滑化部材
17 造形体(デバイス)
18 支持体(サポート材)
20 中性子ビーム(中性子線の一例)
21 コリメータ
30 中性子線透過調整デバイスの一例
Claims (16)
- 中性子反応物質を含み、透過する中性子線のエネルギー及び量の少なくともいずれかを変調可能な中性子線透過部、を有することを特徴とする中性子線透過調整デバイス。
- 中性子捕捉療法に用いられる、請求項1に記載の中性子線透過調整デバイス。
- 前記中性子線の照射経路において、前記中性子線の照射源と、前記中性子線が照射される照射対象との間に配置されて用いられ、
前記中性子線透過部が、前記照射対象における病変部状況に応じた変調を行う、請求項2に記載の中性子線透過調整デバイス。 - 前記中性子反応物質が、ホウ素原子、リチウム原子、及びガドリニウム原子の少なくともいずれか含む、請求項1から3のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイス。
- 前記中性子線透過部が厚みの分布を有する、請求項1から4のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイス。
- 前記中性子線透過部が、前記中性子反応物質の濃度分布を有する、請求項1から5のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイス。
- 前記中性子線透過部が変形可能である、請求項1から6のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイス。
- 前記中性子線透過部が前記照射対象の表面に沿った形状を有する、請求項3に記載の中性子線透過調整デバイス。
- 前記中性子線透過部が、水とポリマーと鉱物とを含むハイドロゲルを有する、請求項1から8のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイス。
- 立体造形装置を用いて、請求項1から9のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスを製造することを特徴とする中性子線透過調整デバイスの製造方法。
- 前記立体造形装置が、マテリアルジェッティング方式である、請求項10に記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法。
- 前記中性子線が照射される照射対象における病変部状況に応じた造形データに基づいて、前記中性子線透過調整デバイスを製造する、請求項10から11のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法。
- 前記造形データに基づいて、前記中性子線透過部における厚みの分布を制御する、請求項12に記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法。
- 前記造形データに基づいて、前記中性子線透過部における、前記中性子反応物質の濃度分布を制御する、請求項12から13のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスの製造方法。
- 前記中性子線の照射源から前記中性子線の照射対象に前記中性子線を照射する際に、
前記中性子線の照射経路において、前記照射源と前記照射対象との間に、請求項1から9のいずれかに記載の中性子線透過調整デバイスを配置することを特徴とする中性子線照射量の調整方法。 - 前記中性子線透過調整デバイスにより、前記照射対象の状況に応じた変調を行う、請求項15に記載の中性子線照射量の調整方法。
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JP2020064293A Withdrawn JP2021013731A (ja) | 2019-07-10 | 2020-03-31 | 中性子線透過調整デバイス、中性子線透過調整デバイスの製造方法、及び中性子線照射量の調整方法 |
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-
2020
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