以下、本発明の樹脂組成物、樹脂シート、回路基板、及び半導体チップパッケージについて詳細に説明する。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種以上の構造を有する樹脂、(B)芳香族構造を有するエポキシ樹脂、及び(C)熱伝導性フィラー、を含有し、(C)成分の平均粒子径が2.5μm〜5.0μmであり、比表面積が0.8m2/g以上である。
(A)成分、(B)成分、及び所定の平均粒子径及び所定の比表面積を有する(C)成分を樹脂組成物に含有させることで、熱伝導率及び金属層に対するピール強度に優れる絶縁層を得ることが可能となる。樹脂組成物は、必要に応じて、さらに(D)硬化剤、(E)硬化促進剤、(F)無機充填材((C)成分に該当するものは除く)および(G)難燃剤を含み得る。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種以上の構造を有する樹脂>
本発明の樹脂組成物は(A)成分として、分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種以上の構造を有する樹脂を含む。(A)成分は、分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種以上の構造を有することで柔軟性を示す。上記したように、(C)成分を単に高充填するだけでは、熱伝導率を向上させることができても、充填性が低下するとともにピール強度が低下する。(A)成分のような柔軟な樹脂を含有させることで、樹脂成分と(C)成分及び(F)成分との親和性が向上、あるいは全体としての密着性が向上するという理由により充填性の低下が抑制されるとともにピール強度に優れた絶縁層を得ることができる。
より具体的には、(A)成分は、ポリブタジエン及び水添ポリブタジエン等のブタジエン構造、シリコーンゴム等のポリシロキサン構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種または2種以上の構造を有することが好ましく、ポリブタジエン構造を有することがより好ましい。
(A)成分は柔軟性を示すために高分子量であることが好ましく、数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜9,00,000である。数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
(A)成分は柔軟性を示すために、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下の樹脂、及び25℃で液状である樹脂から選択される1種以上の樹脂が好ましい。
ガラス転移温度(Tg)が25℃以下である樹脂のガラス転移温度は、好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下である。ガラス転移温度の下限は特に限定されないが、通常−15℃以上とし得る。また、25℃で液状である樹脂としては、好ましくは20℃以下で液状である樹脂、より好ましくは15℃以下で液状である樹脂である。
(A)成分としては、相溶性を向上させる観点から、後述する(B)成分と反応し得る官能基を有することが好ましい。なお、(B)成分と反応し得る官能基としては、加熱によって現れる官能基も含めるものとする。
好適な一実施形態において、(B)成分と反応し得る官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、エポキシ基、イソシアネート基及びウレタン基からなる群から選択される1種以上の官能基である。中でも、当該官能基としては、ヒドロキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、エポキシ基、イソシアネート基及びウレタン基が好ましく、ヒドロキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、エポキシ基がより好ましく、フェノール性水酸基が特に好ましい。ただし、官能基としてエポキシ基を含む場合、(A)成分は芳香族構造を有さない。
(A)成分の好適な一実施形態は、ブタジエン樹脂である。ブタジエン樹脂としては25℃で液状またはガラス転移温度が25℃以下のブタジエン樹脂が好ましく、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂、ヒドロキシ基含有ブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ブタジエン樹脂、酸無水物基含有ブタジエン樹脂、エポキシ基含有ブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ブタジエン樹脂及びウレタン基含有ブタジエン樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂がより好ましく、フェノール性水酸基含有ブタジエン樹脂がさらに好ましい。ここで、「ブタジエン樹脂」とは、ポリブタジエン構造を含有する樹脂をいい、これらの樹脂においてポリブタジエン構造は主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。ポリブタジエン構造は一部または全てが水素添加されていてもよい。ここで、「水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂」とは、ポリブタジエン骨格の少なくとも一部が水素化された樹脂をいい、必ずしもポリブタジエン骨格が完全に水素化された樹脂である必要はない。
水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂としては、例えば水素化ポリブタジエン骨格含有エポキシ樹脂等が挙げられる。フェノール性水酸基含有ブタジエン樹脂としては、例えばポリブタジエン構造を有し、かつフェノール性水酸基を有する樹脂等が挙げられる。
ブタジエン樹脂の数平均分子量(Mn)は、柔軟性および密着性を示すために、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000、より好ましくは7,500〜30,000、さらに好ましくは10,000〜15,000である。ここで、樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
ブタジエン樹脂が官能基を有する場合の官能基当量は、柔軟性および密着性を示すために、好ましくは100〜10000、より好ましくは200〜5000である。なお、官能基当量とは、1グラム当量の官能基を含む樹脂のグラム数である。例えば、エポキシ基当量は、JIS K7236に従って測定することができる。水酸基当量はJIS K1557−1に従って測定した水酸基価でKOHの分子量を割ることで算出することができる。
ブタジエン樹脂の具体例としては、クレイバレー社製の「Ricon 657」(エポキシ基含有ポリブタジエン)、「Ricon 130MA8」、「Ricon 130MA13」、「Ricon 130MA20」、「Ricon 131MA5」、「Ricon 131MA10」、「Ricon 131MA17」、「Ricon 131MA20」、「Ricon 184MA6」(酸無水物基含有ポリブタジエン)、日本曹達社製の「JP−100」、「JP−200」(エポキシ化ポリブタジエン)、「GQ−1000」(水酸基、カルボキシル基導入ポリブタジエン)、「G−1000」、「G−2000」、「G−3000」(両末端水酸基ポリブタジエン)、「GI−1000」、「GI−2000」、「GI−3000」(両末端水酸基水素化ポリブタジエン)、ダイセル社製の「PB3600」、「PB4700」(ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、「エポフレンドA1005」、「エポフレンドA1010」、「エポフレンドA1020」(スチレンとブタジエンとスチレンブロック共重合体のエポキシ化物)、ナガセケムテックス社製の「FCA−061L」(水素化ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、「R−45EPT」(ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、等が挙げられる。
また(A)成分の他の好適な一実施形態として、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種以上の構造とイミド構造とを有する樹脂を使用することもできる。このような(A)成分として、ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(特開2006−37083号公報、国際公開第2008/153208号に記載のポリイミド)等が挙げられる。該ポリイミド樹脂のポリブタジエン構造の含有率は、好ましくは60質量%〜95質量%、より好ましくは75質量%〜85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、特開2006−37083号公報、国際公開第2008/153208号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、(A)成分の好適な一実施形態は、カーボネート樹脂である。カーボネート樹脂としてはガラス転移温度が25℃以下のカーボネート樹脂が好ましく、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、エポキシ基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂及びウレタン基含有カーボネート樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂が好ましい。ここで、「カーボネート樹脂」とは、ポリカーボネート構造を含有する樹脂をいい、これらの樹脂においてポリカーボネート構造は主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。
カーボネート樹脂の数平均分子量(Mn)、及び官能基当量はブタジエン樹脂と同様であり、好ましい範囲も同様である。
カーボネート樹脂の具体例としては、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C−1090」、「C−2090」、「C−3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。
またヒドロキシル基末端ポリカーボネート、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(PCT/JP2016/053609)を使用することもできる。該ポリイミド樹脂のポリカーボネート構造の含有率は、好ましくは60質量%〜95質量%、より好ましくは75質量%〜85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、PCT/JP2016/053609の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、さらなる(A)成分の好適な一実施形態は、ポリシロキサン樹脂、イソプレン樹脂、イソブチレン樹脂である。
ポリシロキサン樹脂の具体例としては信越シリコーン社製の「SMP−2006」、「SMP−2003PGMEA」、「SMP−5005PGMEA」、アミン基末端ポリシロキサン、四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(国際公開第2010/053185号)等が挙げられる。イソプレン樹脂の具体例としてはクラレ社製の「KL−610」、「KL613」等が挙げられる。イソブチレン樹脂の具体例としてはカネカ社製の「SIBSTAR−073T」(スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体)、「SIBSTAR−042D」(スチレン−イソブチレンジブロック共重合体)等が挙げられる。
樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、柔軟性付与の観点から、(C)成分及び(F)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下、さらにより好ましくは50質量%以下である。また、下限は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらにより好ましくは25質量%以上である。
<(B)芳香族構造を有するエポキシ樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(B)成分として芳香族構造を有するエポキシ樹脂を含む。芳香族構造を有するエポキシ樹脂(以下、単に「エポキシ樹脂」ということがある。)は、芳香族構造を有していれば特に限定されない。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。
芳香族構造を有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有する線状脂肪族エポキシ樹脂、芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、芳香族構造を有する脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するスピロ環含有エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するトリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(B)成分は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂から選択される1種以上であることが好ましい。
芳香族構造を有するエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。芳香族構造を有するエポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香族構造を有するエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香族構造を有するエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。芳香族構造を有するエポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物の硬化物の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するエステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂及び芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂がさらに好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER806」、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス社製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、新日鐵化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4−グリシジルシクロヘキサン)、三菱化学社製の「YX7400」(高反発弾性エポキシ樹脂)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がさらに好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」、「HP−7200L」、「HP−7200HH」、「HP−7200H」、「HP−7200HHH」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「EXA7311−G4」、「EXA7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬社製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)、「157S70」(ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:15の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)樹脂シートの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)樹脂シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる等の効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:10の範囲がより好ましく、1:0.6〜1:8の範囲がさらに好ましい。
樹脂組成物中の芳香族構造を有するエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。
また、樹脂組成物中の芳香族構造を有するエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、(C)成分及び(F)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。
芳香族構造を有するエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜5000、より好ましくは50〜3000、さらに好ましくは80〜2000、さらにより好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
芳香族構造を有するエポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<(C)熱伝導性フィラー>
本発明の樹脂組成物は(C)熱伝導性フィラーを含み、(C)成分の平均粒子径は、2.5μm〜5.0μmであり、且つ比表面積は0.8m2/g以上である。所定の平均粒子径及び比表面積を有する(C)成分を含有させることで熱伝導率及びピール強度に優れる絶縁層を得ることができる。また、所定の平均粒子径及び比表面積を有する(C)成分は分散能が高いことから、樹脂ワニスの充填性を向上させることができる。ここで、本明細書において、熱伝導性フィラーとは、熱伝導率が、20W/m・K以上の無機充填材を意味する。
(C)成分の材料は、熱伝導率が上記範囲内であり、所定の平均粒子径及び所定の比表面積を有していれば特に限定されないが、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素等が挙げられる。これらの中でも、アルミナが特に好適である。(C)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、2種以上の同一材料を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分の平均粒子径は、熱伝導率及びピール強度の双方に優れる絶縁層を得る観点及び充填性を向上させる観点から、2.5μm〜5.0μmである。(C)成分の平均粒子径は2.5μm〜4.8μmが好ましく、2.5μm〜4.5μmがより好ましい。(C)成分の平均粒子径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、(C)成分を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA−500」、島津製作所社製「SALD2200」等を使用することができる。具体的には、後述する<熱伝導性フィラーの平均粒子径の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
(C)成分の比表面積は、熱伝導率及びピール強度の双方に優れる絶縁層を得る観点及び充填性を向上させる観点から、0.8m2/g以上である。(C)成分の比表面積は0.8m2/g〜10m2/gが好ましく、0.8m2/g〜5m2/gがより好ましい。(C)成分の比表面積は、窒素BET法により測定することができる。具体的には自動比表面積測定装置を使用して測定することができ、自動比表面積測定装置としては、マウンテック社製「Macsorb HM−1210」等を使用することができる。具体的には、後述する<熱伝導性フィラーの比表面積の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
(C)成分は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていてもよい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM−4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)等が挙げられる。
(C)成分の含有量は、熱伝導率及びピール強度の双方に優れる絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは87質量%以上、より好ましくは88質量%以上、さらに好ましくは89質量%以上、又は90質量%以上である。上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下である。
<(D)硬化剤>
本発明の樹脂組成物は(D)硬化剤を含み得る。硬化剤としては、(B)成分等の樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤などが挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。(D)成分は、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上であることが好ましく、フェノール系硬化剤、及び活性エステル系硬化剤から選択される1種以上であることが好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、配線層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び配線層との密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、明和化成社製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495V」、「SN375」、「SN395」、DIC社製の「TD−2090」、「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−1356」、「LA−3018−50P」、「EXB−9500」、「HPC−9500」、「KA−1160」、「KA−1163」、「KA−1165」、群栄化学社製の「GDP−6115L」、「GDP−6115H」等が挙げられる。
金属層との密着性に優れる絶縁層を得る観点から、活性エステル系硬化剤も好ましい。活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」、「HPC−8000H−65TM」、「EXB−8000L−65TM」(DIC社製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱化学社製)、「YLH1030」(三菱化学社製)、「YLH1048」(三菱化学社製)等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製の「V−03」、「V−07」等が挙げられる。
樹脂組成物が(D)成分を含有する場合、樹脂組成物中の硬化剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。また、下限は特に制限はないが0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。
<(E)硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、(E)硬化促進剤を含み得る。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学社製の「P200−H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
樹脂組成物が(E)成分を含有する場合、樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、0.01質量%〜1質量%が好ましい。
<(F)無機充填材((C)成分に該当するものは除く)>
本発明の樹脂組成物は(F)無機充填材を含み得る。(F)成分の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填材の平均粒径は、回路埋め込み性を向上させ、表面粗度の低い絶縁層を得る観点から、好ましくは5μm以下、より好ましくは2.5μm以下、さらに好ましくは2.2μm以下、より好ましくは2μm以下である。該平均粒径の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上である。無機充填材の平均粒径は(C)成分と同様に測定することができる。このような平均粒径を有する無機充填材の市販品としては、例えば、アドマテックス社製「YC100C」、「YA050C」、「YA050C−MJE」、「YA010C」、電気化学工業社製「UFP−30」、トクヤマ社製「シルフィルNSS−3N」、「シルフィルNSS−4N」、「シルフィルNSS−5N」、アドマテックス社製「SC2500SQ」、「SO−C6」、「SO−C4」、「SO−C2」、「SO−C1」等が挙げられる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。具体的な表面処理剤の市販品等は上記したとおりである。
樹脂組成物が(F)成分を含有する場合、樹脂組成物中の(F)成分の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
<(G)難燃剤>
樹脂組成物は、(G)難燃剤を含み得る。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三光社製の「HCA−HQ」等が挙げられる。
樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.5質量%〜10質量%、より好ましくは0.5質量%〜5質量%、さらに好ましくは0.5質量%〜3質量%がさらに好ましい。
<(H)任意の添加剤>
樹脂組成物は、さらに必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに、バインダー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
<樹脂組成物の物性>
本発明の樹脂組成物を180℃で90分間熱硬化させた硬化物は、金属層とのピール強度に優れるという特性を示す。詳細は、本発明の樹脂組成物を金属層に積層後、180℃で90分間熱硬化させたとき、硬化物と金属層とのピール強度が優れるという特性を示す。ピール強度としては、好ましくは0.4kgf/cm以上、より好ましくは0.45kgf/cm以上、さらに好ましくは0.5kgf/cm以上である。一方、ピール強度の上限値は特に限定されないが、1.5kgf/cm以下、1kgf/cm以下等とし得る。ピール強度の評価は、後述する<銅箔の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定及び評価>に記載の方法に従って測定することができる。
金属層としては、好ましくは銅を含む金属層であり、より好ましくは電解銅箔である。
本発明の樹脂組成物を180℃で90分間熱硬化させた硬化物は、熱伝導率に優れるという特性を示す。熱伝導率としては、好ましくは1.5W/m・K以上、より好ましくは1.8W/m・K以上、さらに好ましくは2.0W/m・K以上である。熱伝導率の上限は5.0W/m・K以下、4.0W/m・K以下、又は3.5W/m・K以下とし得る。熱伝導率の評価は、後述する<硬化物の熱伝導率の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物は、熱伝導率及びピール強度に優れる絶縁層をもたらすことができ、また、(B)成分を含むことから(A)成分の相溶性が良好である。したがって本発明の樹脂組成物は、半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための樹脂組成物(半導体チップパッケージの絶縁層用樹脂組成物)、回路基板(プリント配線板を含む)の絶縁層を形成するための樹脂組成物(回路基板の絶縁層用樹脂組成物)として好適に使用することができ、その上にメッキにより導体層が形成される層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(メッキにより導体層を形成する回路基板の層間絶縁層用樹脂組成物)としてさらに好適に使用することができる。
また、半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用樹脂組成物)、半導体チップに配線を形成するための樹脂組成物(半導体チップ配線形成用樹脂組成物)としても好適に使用することができる。
樹脂組成物中に含まれる樹脂成分における、高分子量成分の全質量をAとし、低分子量成分の全質量をBとしたとき、A/(A+B)が0.15以上を満たすことが好ましく、0.20以上を満たすことがより好ましく、0.25以上を満たすことがさらに好ましい。下限については特に限定されないが、0.60以下を満たすことが好ましく、0.55以下を満たすことがより好ましく、0.50以下を満たすことがさらに好ましい。ここで、高分子量成分とは、重量平均分子量が10000以上の樹脂組成物中に含まれる樹脂成分をいい、低分子量成分とは、重量平均分子量が5000以下の樹脂組成物中に含まれる樹脂成分をいう。重量平均分子量の測定方法は上記したとおりである。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体と接合している樹脂組成物層とを含んでなり、樹脂組成物層が本発明の樹脂組成物からなる。
樹脂組成物層の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、80μm以下、60μm以下、50μm以下又は40μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上、10μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」、東レ社製「ルミラーT60」帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
本発明の樹脂組成物は(C)熱伝導性フィラーを含むため、樹脂ワニスの固形分濃度が85質量%以上であっても支持体等上に塗布することができ、シート状に成形することができる、即ち充填性に優れるという特性を示す。樹脂ワニスの固形分濃度が85質量%以上である場合、樹脂ワニスの粘度としては、好ましくは1.5Pa・s以下、より好ましくは1.3Pa・s以下、さらに好ましくは1.0Pa・s以下である。下限は特に限定されないが、0.01Pa・s以上等とし得る。樹脂ワニスの粘度は、25℃にてE型粘度計で測定した値である。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分間〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
本発明の樹脂シートの代わりに、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグを用いてもよい。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは900μm以下であり、より好ましくは800μm以下、さらに好ましくは700μm以下、さらにより好ましくは600μm以下である。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されないが、通常、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上等とし得る。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
プリプレグの厚さは、上述の樹脂シートにおける樹脂組成物層と同様の範囲とし得る。
本発明の樹脂シートは、半導体チップパッケージの製造において絶縁層を形成するため(半導体チップパッケージの絶縁用樹脂シート)に好適に使用することができる。例えば、本発明の樹脂シートは、回路基板の絶縁層を形成するため(回路基板の絶縁層用樹脂シート)に好適に使用することができ、その上にメッキにより導体層が形成される層間絶縁層を形成するため(メッキにより導体層を形成する回路基板の層間絶縁層用)にさらに好適に使用することができる。このような基板を使ったパッケージの例としては、FC−CSP、MIS−BGAパッケージ、ETS−BGAパッケージが挙げられる。
また本発明の樹脂シートは、半導体チップを封止するため(半導体チップ封止用樹脂シート)、または半導体チップに配線を形成するため(半導体チップ配線形成用樹脂シート)に好適に使用することができ、例えばFan−out型WLP(Wafer Level Package)、Fan−in型WLP、Fan−out型PLP(Panel Level Package)、Fan−in型PLP等に好適に使用することができる。また、半導体チップを基板に接続した後に用いるMUF(Molding Under Filling)材料等にも好適に使用することができる。
本発明の樹脂シートはまた、高い絶縁信頼性が要求される他の広範な用途、例えば、プリント配線板等の回路基板の絶縁層を形成するために好適に使用することができる。
[回路基板]
本発明の回路基板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。
本発明の回路基板の製造方法は、
(1)基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた、金属層としての配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程、
(2)本発明の樹脂シートを、配線層が樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程、
(3)配線層を層間接続する工程を含む。また、回路基板の製造方法は、(4)基材を除去する工程、を含んでいてもよい。
工程(3)は、金属層としての配線層とは別の配線層を層間接続することができれば特に限定されないが、絶縁層にビアホールを形成し、配線層を形成する工程、及び絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させる工程の少なくともいずれかの工程であることが好ましい。
<工程(1)>
工程(1)は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程である。通常、配線層付き基材は、基材の両面に基材の一部である第1金属層、第2金属層をそれぞれ有し、第2金属層の基材側の面とは反対側の面に配線層を有する。詳細は、基材上にドライフィルム(感光性レジストフィルム)を積層し、フォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像しパターンドライフィルムを形成する。現像したパターンドライフィルムをめっきマスクとして電解めっき法により配線層を形成した後、パターンドライフィルムを剥離する。なお、第1金属層、第2金属層は有していなくてもよい。
基材としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板(ステンレスや冷間圧延鋼板(SPCC)など)、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板が挙げられ、基板表面に銅箔等の金属層が形成されていてもよい。また、表面に剥離可能な第1金属層及び第2金属層(例えば、三井金属社製のキャリア銅箔付極薄銅箔、商品名「Micro Thin」)等の金属層が形成されていてもよい。
ドライフィルムとしては、フォトレジスト組成物からなる感光性のドライフィルムである限り特に限定されず、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等のドライフィルムを用いることができる。ドライフィルムは市販品を用いてもよい。
基材とドライフィルムとの積層条件は、後述する工程(2)の樹脂シートを配線層に埋め込まれるように積層させる際の条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
ドライフィルムを基材上に積層後、ドライフィルムに対して所望のパターンを形成するためにフォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像を行う。
配線層のライン(回路幅)/スペース(回路間の幅)比は特に制限されないが、好ましくは20/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは10/10μm以下、さらに好ましくは5/5μm以下、よりさらに好ましくは1/1μm以下、特に好ましくは0.5/0.5μm以上である。ピッチは、配線層の全体にわたって同一である必要はない。配線層の最小ピッチは、40μm以下、36μm以下、又は30μm以下であってもよい。
ドライフィルムのパターンを形成後、配線層を形成し、ドライフィルムを剥離する。ここで、配線層の形成は、所望のパターンを形成したドライフィルムをめっきマスクとして使用し、めっき法により実施することができる。
配線層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、配線層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。配線層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成されたものが挙げられる。中でも、配線層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
配線層の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、好ましくは3μm〜35μm、より好ましくは5μm〜30μm、さらに好ましくは10〜20μm、又は15μmである。工程(3)において絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて金属層としての配線層とは別の配線層を層間接続する工程を採用する場合は、層間接続する配線と、接続しない配線の厚みは異なっていることが好ましい。配線層の厚みは、前述のパターン形成を繰り返すことで調整することができる。各配線層のうち、最も厚みがある配線層(導電性ピラー)の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、好ましくは100μm以下2μm以上である。また層間接続する配線は凸型となっていてもよい。
配線層を形成後、ドライフィルムを剥離する。ドライフィルムの剥離は、例えば、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ性の剥離液を使用して実施することができる。必要に応じて、不要な配線パターンをエッチング等により除去して、所望の配線パターンを形成することもできる。形成する配線層のピッチについては、先述のとおりである。
<工程(2)>
工程(2)は、本発明の樹脂シートを、配線層が樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程である。詳細は、前述の工程(1)で得られた配線層付き基材の配線層を、樹脂シートの樹脂組成物層に埋め込まれるように積層させ、樹脂シートの樹脂組成物層を熱硬化させ絶縁層を形成する。
配線層と樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、例えば、支持体側から樹脂シートを配線層に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを配線層に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、配線層の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
配線層と樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力13hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
樹脂組成物層を、配線層が埋め込まれるように配線層付き基材上に積層した後、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120℃〜240℃の範囲、硬化時間は5分間〜120分間の範囲とすることができる。樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。
樹脂シートの支持体は、配線層付き基材上に樹脂シートを積層し熱硬化した後に剥離してもよく、配線層付き基材上に樹脂シートを積層する前に支持体を剥離してもよい。また、後述する粗化処理工程の前に、支持体を剥離してもよい。
<工程(3)>
工程(3)は、配線層を層間接続する工程である。詳細は、絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程である。または絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて金属層とは別の配線層を層間接続する工程である。
絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程を採用する場合、ビアホールの形成は特に限定されないが、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられるが、レーザー照射によって行われることが好ましい。このレーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。詳細は、樹脂シートの支持体の面側からレーザー照射を行って、支持体及び絶縁層を貫通して配線層を露出させるビアホールを形成する。
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
ビアホールの形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。
ビアホール形成後、ビアホール内のスミア除去工程である、いわゆるデスミア工程を行なってもよい。後述する導体層の形成をめっき工程により行う場合には、ビアホールに対して、例えば湿式のデスミア処理を行ってもよく、導体層の形成をスパッタ工程により行う場合には、例えばプラズマ処理工程などのドライデスミア工程を行ってもよい。また、デスミア工程は粗化処理工程を兼ねていてもよい。
導体層を形成する前に、ビアホール及び絶縁層に対して粗化処理を行ってもよい。粗化処理は通常行われる公知の手順、条件を採用することができる。乾式の粗化処理の例としてはプラズマ処理等が挙げられ、湿式の粗化処理の例としては膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
ビアホールを形成後、導体層を形成する。導体層を構成する導体材料は特に限定されず、導体層は、めっき、スパッタ、蒸着等従来公知の任意好適な方法により形成することができ、めっきにより形成することが好ましい。好適な一実施形態は、例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。また、樹脂シートにおける支持体が金属箔である場合、サブトラクティブ法等の従来公知の技術により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。
詳細は、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより電解めっき層を形成する。その際、電解めっき層の形成とともに、ビアホールを電解めっきにより埋め込んでフィルドビアを形成してもよい。電解めっき層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。なお、導体層を形成する際、マスクパターンの形成に用いるドライフィルムは、上記ドライフィルムと同様である。
導体層は、線状の配線のみならず、例えば外部端子が搭載され得る電極パッド(ランド)なども含み得る。また導体層は、電極パッドのみから構成されていてもよい。
また、導体層は、めっきシード層形成後、マスクパターンを用いずに電解めっき層及びフィルドビアを形成し、その後、エッチングによるパターニングを行うことにより形成してもよい。
絶縁層を研磨又は研削し、金属層としての配線層を露出させて金属層とは別の配線層を層間接続する工程を採用する場合、絶縁層の研磨方法又は研削方法としては、配線層を露出させることができ、研磨又は研削面が水平であれば特に限定されず、従来公知の研磨方法又は研削方法を適用することができ、例えば、化学機械研磨装置による化学機械研磨方法、バフ等の機械研磨方法、砥石回転による平面研削方法等が挙げられる。絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程と同様に、スミア除去工程、粗化処理を行う工程を行ってもよく、導体層を形成してもよい。また、全ての金属層としての配線層を露出させる必要はなく、金属層としての配線層の一部を露出させてもよい。
<工程(4)>
工程(4)は、基材を除去し、本発明の回路基板を形成する工程である。基材の除去方法は特に限定されない。好適な一実施形態は、第1及び第2金属層の界面で回路基板から基材を剥離し、第2金属層を例えば塩化銅水溶液などでエッチング除去する。必要に応じて、導体層を保護フィルムで保護した状態で基材を剥離してもよい。
[半導体チップパッケージ]
本発明の半導体チップパッケージの第1の態様は、上記本発明の回路基板上に、半導体チップが搭載された、半導体チップパッケージである。上記本発明の回路基板に、半導体チップを接合することにより半導体チップパッケージを製造することができる。
半導体チップの端子電極が回路基板の回路配線と導体接続する限り、接合条件は特に限定されず、半導体チップのフリップチップ実装において使用される公知の条件を使用してよい。また、半導体チップと回路基板間に絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板に圧着する。圧着条件としては、例えば、圧着温度は120℃〜240℃の範囲(好ましくは130℃〜200℃の範囲、より好ましくは140℃〜180℃の範囲)、圧着時間は1秒間〜60秒間の範囲(好ましくは5秒間〜30秒間)とすることができる。
また、他の好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板にリフローして接合する。リフロー条件としては、例えば、120℃〜300℃の範囲とすることができる。
半導体チップを回路基板に接合した後、例えば、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填することで半導体チップパッケージを得ることも可能である。モールドアンダーフィル材で充填する方法は公知の方法で実施することができる。本発明の樹脂組成物または樹脂シートはモールドアンダーフィル材としても使用することができる。
本発明の半導体チップパッケージの第2の態様は、例えば、図1に一例を示すような半導体チップパッケージ(Fan−out型WLP)である。図1に一例を示すような半導体チップパッケージ(Fan−out型WLP)100は、封止層120を、本発明の樹脂組成物または樹脂シートで製造した半導体チップパッケージである。半導体チップパッケージ100は、半導体チップ110、半導体チップ110の周囲を覆うように形成された封止層120、半導体チップ110の封止層に覆われている側とは反対側の面に再配線形成層(絶縁層)130、導体層(再配線層)140、ソルダーレジスト層150、及びバンプ160を備える。このような半導体チップパッケージの製造方法は、
(A)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(B)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(C)本発明の樹脂シートの樹脂組成物層を、半導体チップ上に積層、又は本発明の樹脂組成物を半導体チップ上に塗布し、熱硬化させて封止層を形成する工程、
(D)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(E)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層(絶縁層)を形成する工程、
(F)再配線形成層(絶縁層)上に導体層(再配線層)を形成する工程、及び
(G)導体層上にソルダーレジスト層を形成する工程、を含む。また、半導体チップパッケージの製造方法は、(H)複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程を含み得る。
<工程(A)>
工程(A)は、基材に仮固定フィルムを積層する工程である。基材と仮固定フィルムの積層条件は、回路基板の製造方法における工程(2)における配線層と樹脂シートとの積層条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
基材に使用する材料は特に限定されない。基材としては、シリコンウェハー;ガラスウェハー;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;ガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板(例えばFR−4基板);ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)からなる基板などが挙げられる。
仮固定フィルムは、後述する工程(D)において半導体チップから剥離することができるとともに、半導体チップを仮固定することができれば材料は特に限定されない。仮固定フィルムは市販品を用いることができる。市販品としては、日東電工社製のリヴァアルファ等が挙げられる。
<工程(B)>
工程(B)は、半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程である。半導体チップの仮固定は、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の公知の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体パッケージの生産数等に応じて適宜設定することができ、例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に整列させて仮固定することができる。
<工程(C)>
工程(C)は、発明の樹脂シートの樹脂組成物層を、半導体チップ上に積層、又は本発明の樹脂組成物を半導体チップ上に塗布し、熱硬化させて封止層を形成する工程である。工程(C)では、本発明の樹脂シートの樹脂組成物層を、半導体チップ上に積層し、熱硬化させて封止層を形成することが好ましい。
半導体チップと樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、例えば、支持体側から樹脂シートを半導体チップに加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを半導体チップに加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、半導体チップの表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
また、半導体チップと樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、真空ラミネート法により実施してもよい。真空ラミネート法における積層条件は、回路基板の製造方法における工程(2)における配線層と樹脂シートとの積層条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
樹脂シートの支持体は、半導体チップ上に樹脂シートを積層し熱硬化した後に剥離してもよく、半導体チップ上に樹脂シートを積層する前に支持体を剥離してもよい。
樹脂組成物の塗布条件としては、本発明の樹脂シートにおける樹脂組成物層を形成する際の塗布条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
<工程(D)>
工程(D)は、基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程である。剥離する方法は、仮固定フィルムの材質等に応じて適宜変更することができ、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法、及び基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法等が挙げられる。
仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法において、加熱条件は、通常、100℃〜250℃で1秒間〜90秒間又は5分間〜15分間である。また、基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法において、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm2〜1000mJ/cm2である。
<工程(E)>
工程(E)は、半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層(絶縁層)を形成する工程である。
再配線形成層(絶縁層)を形成する材料は、再配線形成層(絶縁層)形成時に絶縁性を有していれば特に限定されず、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、本発明の樹脂シートを形成するための樹脂組成物と同じ組成の樹脂組成物を用いてもよい。
再配線形成層(絶縁層)を形成後、半導体チップと後述する導体層を層間接続するために、再配線形成層(絶縁層)にビアホールを形成してもよい。
ビアホールを形成するにあたって、再配線形成層(絶縁層)を形成する材料が感光性樹脂である場合、まず、再配線形成層(絶縁層)の表面にマスクパターンを通して活性エネルギー線を照射し、照射部の最配線層を光硬化させる。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量、照射時間は、感光性樹脂に応じて適宜変更することができる。露光方法としては、マスクパターンを再配線形成層(絶縁層)に密着させて露光する接触露光法と、マスクパターンを再配線形成層(絶縁層)に密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法のいずれを用いてもよい。
次に、再配線形成層(絶縁層)を現像し、未露光部を除去することで、ビアホールを形成する。現像は、ウェット現像、ドライ現像のいずれも好適である。ウェット現像で用いる現像液は公知の現像液を用いることができる。
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング方式、スクラッピング方式等が挙げられ、解像性の観点から、パドル方式が好適である。
再配線形成層(絶縁層)を形成する材料が熱硬化性樹脂である場合、ビアホールの形成は特に限定されないが、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられるが、レーザー照射によって行われることが好ましい。レーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、UV−YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
ビアホールの形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。ビアホールのトップ径(再配線形成層(絶縁層)表面の開口の直径)は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。
<工程(F)>
工程(F)は、再配線形成層(絶縁層)上に導体層(再配線層)を形成する工程である。再配線形成層(絶縁層)上に導体層を形成する方法は、回路基板の製造方法における工程(3)の絶縁層にビアホールを形成した後の導体層を形成する方法と同様であり、好ましい範囲も同様である。なお、工程(E)及び工程(F)を繰り返し行い、導体層(再配線層)及び再配線形成層(絶縁層)を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
<工程(G)>
工程(G)は、導体層上にソルダーレジスト層を形成する工程である。
ソルダーレジスト層を形成する材料は、ソルダーレジスト層形成時に絶縁性を有していれば特に限定されず、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、本発明の樹脂シートを形成するための樹脂組成物と同じ組成の樹脂組成物を用いてもよい。
また、工程(G)では、必要に応じて、バンプを形成するバンピング加工を行ってもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなど公知の方法で行うことができる。また、バンピング加工におけるビアホールの形成は工程(E)と同様に行うことができる。
<工程(H)>
半導体チップパッケージの製造方法は、工程(A)〜(G)以外に工程(H)を含んでいてもよい。工程(H)は、複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程である。
半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングする方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明の半導体チップパッケージの第3の態様は、例えば、図1に一例を示すような半導体チップパッケージ(Fan−out型WLP)における再配線形成層(絶縁層)130、ソルダーレジスト層150を本発明の樹脂組成物または樹脂シートで製造した半導体チップパッケージである。
[半導体装置]
本発明の半導体チップパッケージを実装することとなる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<ピール強度測定用サンプルの調製>
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、パナソニック社製R5715ES)の両面をメック社製CZ8100に浸漬して銅表面の粗化処理を行った。
(2)樹脂シートの作製
実施例及び比較例で作製した樹脂ワニスをアルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL−5」)で離型処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、以下「離型PET」ということがある。)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが100μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80℃〜100℃(平均90℃)で7分間乾燥し樹脂シートを得た。
(3)樹脂シートのラミネート
作製した樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が内層回路基板と接合するように、内層回路基板の両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、120℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。
(4)金属層(銅箔)とのラミネート
その後、支持体を剥離し、露出した樹脂組成物層の表面に、樹脂組成物層と電解銅箔の粗化面とが接合するように、電解銅箔(JX日鉱日石金属社製「JTCP」、厚み35μm、粗化面の最大高さ(Rz:JIS B0601−2001):6μm)を積層した。次いで、上記ラミネーター装置を用いて、同条件にて積層した。
(5)樹脂組成物の硬化
積層後、180℃、90分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化した。
<銅箔の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定及び評価>
電解銅箔に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具(ティー・エス・イー社製のオートコム型試験機「AC−50C−SL」)で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に20mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、ピール強度を求めた。
<硬化物の熱伝導率の測定>
(1)硬化物試料の調製
実施例及び比較例で作製した樹脂ワニスをアルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL−5」)で離型処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、以下「離型PET」ということがある。)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが100μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80℃〜100℃(平均90℃)で7分間乾燥し樹脂シートを得た。
作製した樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層を3枚重ね合わせた後、180℃、90分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化し、試料を得た。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後20秒間、120℃、圧力0.4MPaでプレスすることにより硬化物試料を得た。
(2)熱拡散率αの測定
硬化物試料について、該硬化物試料の厚さ方向の熱拡散率α(m2/s)を、ai−Phase社製「ai−Phase Mobile 1u」を用いて温度波分析法により測定した。同一試料について3回測定を行い、平均値を算出した。
(3)比熱容量Cpの測定
硬化物試料について、示差走査熱量計(SIIナノテクノロジー社製「DSC7020」)を用いて、−40℃から80℃まで10℃/分で昇温し、測定することにより、硬化物試料の25℃での比熱容量Cp(J/kg・K)を算出した。
(4)密度ρの測定
硬化物試料の密度(kg/m3)を、メトラー・トレド社製分析天秤XP105(比重測定キット使用)を用いて測定した。
(5)熱伝導率λの算出
上記(2)乃至(4)で得られた熱拡散率α(m2/s)、比熱容量Cp(J/kg・K)、及び密度ρ(kg/m3)を下記式(I)に代入して、熱伝導率λ(W/m・K)を算出した。
λ=α×Cp×ρ (I)
<充填性の評価>
実施例及び比較例で作製した樹脂ワニスの固形分濃度が85質量%以上となるように樹脂ワニスを調製し、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL−5」)で離型処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、以下「離型PET」ということがある。)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが100μmとなるようにダイコーターにて塗布した。問題なくシート状に成形可能であった場合を○、樹脂ワニス粘度が1.5Pa・s(25℃、E型粘度計)を超え、成形性が悪く筋が入った場合を△、樹脂ワニス粘度が2.5Pa・s(25℃、E型粘度計)を超え、シート状に成形できなかった場合を×とした。
<合成例1:エラストマー1の合成>
反応容器にG−3000(2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、数平均分子量=5047(GPC法)、ヒドロキシル基当量=1798g/eq.、固形分100質量%:日本曹達社製)69gと、イプゾール150(芳香族炭化水素系混合溶媒:出光石油化学社製)40g、ジブチル錫ラウレート0.005gを混合し均一に溶解させた。均一になったところで50℃に昇温し、更に撹拌しながら、イソホロンジイソシアネート(エボニックデグサジャパン社製、IPDI、イソシアネート基当量=113g/eq.)8gを添加し約3時間反応を行った。次いで、この反応物を室温まで冷却してから、これにクレゾールノボラック樹脂(KA−1160、DIC社製、水酸基当量=117g/eq.)23gと、エチルジグリコールアセテート(ダイセル社製)60gを添加し、攪拌しながら80℃まで昇温し、約4時間反応を行った。FT−IRより2250cm−1のNCOピークの消失の確認を行った。NCOピーク消失の確認をもって反応の終点とみなし、反応物を室温まで降温してから100メッシュの濾布で濾過して、ポリブタジエン構造及びフェノール性水酸基を有するエラストマー1(不揮発分50質量%)を得た。数平均分子量は5500であった。
<合成例2:エラストマー2の合成>
反応容器にG−3000(2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、数平均分子量=5047(GPC法)、ヒドロキシル基当量=1798g/eq.、固形分100質量%:日本曹達社製)50gと、イプゾール150(芳香族炭化水素系混合溶媒:出光石油化学社製)23.5g、ジブチル錫ラウレート0.005gを混合し均一に溶解させた。均一になったところで50℃に昇温し、更に撹拌しながら、トルエン−2,4−ジイソシアネート(イソシアネート基当量=87.08g/eq.)4.8gを添加し約3時間反応を行った。次いで、この反応物を室温まで冷却してから、これにベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(酸無水物当量=161.1g/eq.)8.96gと、トリエチレンジアミン0.07gと、エチルジグリコールアセテート(ダイセル社製)40.4gを添加し、攪拌しながら130℃まで昇温し、約4時間反応を行った。FT−IRより2250cm−1のNCOピークの消失の確認を行った。NCOピーク消失の確認をもって反応の終点とみなし、反応物を室温まで降温してから100メッシュの濾布で濾過して、イミド構造、ウレタン構造、及びポリブタジエン構造を有するエラストマー2(不揮発分50質量%)を得た。数平均分子量は13700であった。
<熱伝導性フィラーの平均粒子径の測定>
20mlのバイアル瓶に、熱伝導性フィラー0.01g、ノニオン系分散剤(日本油脂社製「T208.5」)0.2g、純水10gを加え、超音波洗浄機にて10分間超音波分散を行い、サンプルを調製した。次いでレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製「SALD2200」)にサンプルを投入し、循環させながら超音波を10分間照射した。その後、超音波を止め、サンプルの循環を維持したまま粒度分布の測定を行い、熱伝導性フィラーの平均粒子径を求めた。なお、測定時の屈折率は1.45−0.001iに設定した。
<熱伝導性フィラーの比表面積の測定>
比表面積は、自動比表面積測定装置(マウンテック社製「Macsorb HM−1210」)を用い、窒素BET法により求めた。
<使用した熱伝導性フィラー>
アルミナ1:平均粒子径及び比表面積の異なるアルミナを混合し、平均粒径4.2μm、比表面積0.8m2/gとなるように調製した。
アルミナ2:平均粒子径及び比表面積の異なるアルミナを混合し、平均粒径3.0μm、比表面積1.5m2/gとなるように調製した。
アルミナ3:平均粒子径4μmのアルミナ(昭和電工社製「CB−P05」、比表面積0.7m2/g)
アルミナ4:平均粒子径2μmのアルミナ(昭和電工社製「CB−P02」、比表面積1.1m2/g)
<実施例1>
高反発弾性エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)4部、液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)3部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量:185g/eq)2部をシクロヘキサノン10部に溶解し、アルミナ1を215部、エラストマー1(固形分50質量%、数平均分子量5500)20部、固体状ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学社製「SN485」、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液)6部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
<実施例2>
高反発弾性エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)6部、液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)2部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量:185g/eq)2部をシクロヘキサノン10部に溶解し、アルミナ2を210部、エラストマー1(固形分50質量%、数平均分子量5500)20部、固体状ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学社製「SN485」、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液)6部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
<実施例3>
高反発弾性エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)4部、液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)4部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量:185g/eq)2部をシクロヘキサノン10部に溶解し、アルミナ2を210部、エラストマー1(固形分50質量%、数平均分子量5500)24部、固体状ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学社製「SN485」、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液)6部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、メチルエチルケトン13部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
<実施例4>
高反発弾性エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)4部、液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)4部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量:185g/eq)2部をシクロヘキサノン7部に溶解し、アルミナ2を170部、エラストマー1(固形分50質量%、数平均分子量5500)24部、固体状ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学社製「SN485」、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液)6部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、メチルエチルケトン9部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
<実施例5>
高反発弾性エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)4部、液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)4部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量:185g/eq)3部をシクロヘキサノン13部に溶解し、アルミナ1を215部、エラストマー1(固形分50質量%、数平均分子量5500)12部、固体状ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学社製「SN485」、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液)8部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
<実施例6>
高反発弾性エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)4部、液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)3部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量:185g/eq)2部をシクロヘキサノン10部に溶解し、アルミナ1を215部、エラストマー2(固形分50質量%、数平均分子量13700)20部、固体状ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学社製「SN485」、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液)6部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
<実施例7>
高反発弾性エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)4部、液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)4部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量:185g/eq)2部をシクロヘキサノン10部に溶解し、アルミナ2を210部、エラストマー2(固形分50質量%、数平均分子量13700)24部、固体状ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学社製「SN485」、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液)6部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、メチルエチルケトン13部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
<比較例1>
高反発弾性エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)4部、液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量:185g/eq)3部をシクロヘキサノン14部に溶解し、アルミナ1を215部、ポリエステル樹脂(ユニチカ社製、UE3400)5部、固体状ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学社製「SN485」、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液)10部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、メチルエチルケトン18部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
<比較例2>
高反発弾性エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)4部、液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量:185g/eq)3部をシクロヘキサノン5部に溶解し、アルミナ1を100部、ポリエステル樹脂(ユニチカ社製、UE3400)5部、固体状ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学社製「SN485」、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液)10部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、メチルエチルケトン7部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
<比較例3>
高反発弾性エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)4部、液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)3部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量:185g/eq)2部をシクロヘキサノン10部に溶解し、アルミナ3を215部、エラストマー1(固形分50質量%、数平均分子量5500)20部、固体状ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学社製「SN485」、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液)6部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
<比較例4>
高反発弾性エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)4部、液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)4部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量:185g/eq)2部をシクロヘキサノン10部に溶解し、アルミナ4を210部、エラストマー1(固形分50質量%、数平均分子量5500)24部、固体状ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学社製「SN485」、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液)6部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、メチルエチルケトン13部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
下記表中の略語等は以下のとおりである。
エラストマー1:合成例1で製造したエラストマー
エラストマー2:合成例2で製造したエラストマー
YX7400:高反発弾性エポキシ樹脂、エポキシ当量440g/eq、三菱化学社製
ZX1059:ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq、新日鉄住金化学社製
YX4000HK:ビキシレノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量:185g/eq、三菱化学社製
アルミナ1:平均粒子径及び比表面積の異なるアルミナの混合物、平均粒径4.2μm、比表面積0.8m2/g
アルミナ2:平均粒子径及び比表面積の異なるアルミナの混合物、平均粒径3.0μm、比表面積1.5m2/g
アルミナ3:平均粒子径4μmのアルミナ(昭和電工社製「CB−P05」、比表面積0.7m2/g)
アルミナ4:平均粒子径2μmのアルミナ(昭和電工社製「CB−P02」、比表面積1.1m2/g)
SN485:固体状ナフトール系硬化剤、水酸基当量215、固形分50%のMEK溶液、新日鉄住金化学社製
DMAP:硬化促進剤、4−ジメチルアミノピリジン、固形分5質量%のMEK溶液
UE3400:ポリエステル樹脂、ユニチカ社製
(A)成分の含有量:(C)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの含有量(質量%)を表す。
(C)成分の含有量:樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの含有量(質量%)を表す。
実施例1〜7に示したように、(A)〜(C)成分を含有する樹脂組成物から形成された絶縁層は、熱伝導率及び金属層に対するピール強度に優れることがわかる。また、実施例1〜7は充填性に優れることから、シート状に製膜しやすいこともわかる。一方、(A)成分を含まない比較例1〜2はピール強度が実施例1〜7と比べて劣ることがわかる。また、(C)成分を含まない比較例3〜4は、粘度が2.5Pa・sを超えたことからシート状に成形することができず、ピール強度及び熱伝導率を評価することができなかった。なお、(D)及び(E)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。