JP2021008078A - 三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法 - Google Patents

三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021008078A
JP2021008078A JP2019123160A JP2019123160A JP2021008078A JP 2021008078 A JP2021008078 A JP 2021008078A JP 2019123160 A JP2019123160 A JP 2019123160A JP 2019123160 A JP2019123160 A JP 2019123160A JP 2021008078 A JP2021008078 A JP 2021008078A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
powder layer
modeling apparatus
energy beam
dimensional modeling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019123160A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7301634B2 (ja
Inventor
木谷 耕治
Koji Kitani
耕治 木谷
三木 勉
Tsutomu Miki
勉 三木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2019123160A priority Critical patent/JP7301634B2/ja
Priority to PCT/JP2020/025065 priority patent/WO2021002277A1/ja
Publication of JP2021008078A publication Critical patent/JP2021008078A/ja
Priority to US17/557,278 priority patent/US20220111553A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP7301634B2 publication Critical patent/JP7301634B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency

Abstract

【課題】例えば、炭化ケイ素粉末と、炭化ケイ素の昇華温度よりも低い融点を持つホウ化金属粉末とを含む混合粉末を用いた粉末層の形成と、エネルギービームの照射を繰返して固化層を積層する際に、意図しない突起が形成されるのを抑制する技術が求められていた。【解決手段】粉末層形成部による粉末層の形成処理と、前記粉末層へのエネルギービームの照射処理と、を繰り返し行う三次元造形物の製造方法であって、前記エネルギービームの照射処理において前記粉末層から飛散する粉末が、前記粉末層形成部に到達しないように遮蔽部で遮蔽する、ことを特徴とする三次元造形物の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、いわゆる粉末積層溶融法にかかる三次元造形装置、およびそれを用いた三次元造形物の製造方法に関する。
近年、いわゆる3Dプリンタの開発が盛んに行われており、さまざまな方式が試みられている。例えば、熱溶融積層造形法、光硬化性樹脂を用いた光造形法、粉末積層溶融法、等のさまざまな方式が知られている。
粉末積層溶融法(Powder Bed Fusion)は、ナイロン樹脂、セラミクス、金属等の原料粉末を層状に敷く工程と、レーザ光を照射して粉末層の一部を選択的に溶融させる工程とを繰り返し行なうことにより三次元造形物を形成する方法である。レーザ光の代わりに、電子ビーム等の他の加熱手段を用いて粉末層の一部を選択的に溶融させる場合もある。
近年では、高い機械強度や良好な熱伝導性が要求される物品を製造する方法として、金属粉末を原料に用いた粉末積層溶融法が活用されはじめている。
金属粉末を層状に敷く粉敷きプロセスでは、スキージやローラ等の粉敷き部材(リコータ)を使って、造形ステージ上に粉末からなる層を形成する。一例として、リコータの往復動作の往き方向で、スキージ等で適量の粉末を造形ステージ上に運び、帰り方向で造形ステージと適切な間隔に調整したローラで一層分の厚みになるよう粉末をならす方法が挙げられる。粉末層の形成方法はこの例に限るものではないが、粉敷きプロセスの後に、ビーム照射プロセスが行われる。ビーム照射プロセスでは、作成したい造形物の形状に応じて粉末層上に前述のレーザビームや電子ビームを走査照射し、粉末を焼結あるいは溶融させる。ビーム照射後、造形ステージを1層分下降させ再び粉敷きプロセスを行う。以上の動作を繰り返すことで三次元立体形状物を造形する。
金属粉末を原料とする造形では、ビームを照射して加熱した際に、粉末層が局所的に非常に高温になるため金属蒸気が発生し、粉末層の上の空間に金属蒸気が凝集したサブマイクロメータレベルの微小粒子が発生する。こうした微小粒子はヒュームと呼ばれるが、ヒュームはレーザ光路を漂い、さらには、光源からレーザ光を入射するための照射窓に付着する。ヒュームが光路に滞留したり照射窓に付着すると、レーザ光を吸収もしくは反射し、粉末層を照射するレーザ光の強度に影響を与え、粉末層の熔融、焼結状態が変化して造形が不安定になる。
特許文献1には、造形エリア上に、ガスの供給ノズルと排気ノズルを対向配置して、エアカーテン状の排気をしてヒュームを除去する方法が記載されている。
また、特許文献2には、レーザを入射する照射窓を加熱して、ヒュームの付着を防ぐ構成をとり、レーザの照射強度の安定性を確保する方法が記載されている。
ところで、近年では、軽量性、耐摩耗性、耐熱衝撃、化学安定性などに優れ、幅広い分野での用途が期待されているが機械加工が難しい材料である炭化ケイ素について、粉末を使った造形方法が検討されている。ただし、炭化ケイ素は、常圧では融点を持たず、2545℃付近(あるいは2700℃など諸説あり)で昇華してしまう材料である。
特許文献3には、炭化ケイ素粉末と、炭化ケイ素の昇華温度よりも低い融点を持つホウ化金属粉末とを含む混合粉末により粉末層を形成し、エネルギービームを照射して造形を行う方法が開示されている。炭化ケイ素とホウ化金属の混合物が加熱により共晶または亜共晶することを利用し、加熱した際に炭化ケイ素に過渡液相を生じせしめ、粉末層を溶融固化させる方法である。
国際公開第2011/049143号 特表2008−510633号公報 特開2019−64226号公報
上述した炭化ケイ素粉末と、炭化ケイ素の昇華温度よりも低い融点を持つホウ化金属粉末とを含む混合粉末を用いて、粉末層の形成とエネルギービームの照射を繰返して固化層を積層してゆく際には、固化層に意図しない突起が形成される場合があった。意図しない突起は硬質であり、突起が形成されると三次元造形物の形状精度が低下するだけでなく、突起と粉敷き機構が干渉して造形ステージ上で三次元造形物が転倒したり、粉敷き機構が停止あるいは損傷してしまうという問題が発生した。
かかる突起に起因する問題は、特許文献1や特許文献2に記載されたヒュームに対する対策技術では解決することができなかった。
そこで、炭化ケイ素粉末と、炭化ケイ素の昇華温度よりも低い融点を持つホウ化金属粉末とを含む混合粉末を用いた粉末層の形成と、エネルギービームの照射を繰返して固化層を積層する際に、意図しない突起が形成されるのを抑制する技術が求められていた。また、他の粉末を原料として用いる場合であっても、意図しない突起が形成されるのを抑制する技術が求められていた。
本発明の一態様は、粉末層を形成する粉末層形成部と、前記粉末層形成部が形成した粉末層にエネルギービームを照射するエネルギービーム源と、前記エネルギービーム源が前記粉末層にエネルギービームを照射する時に前記粉末層から飛散する粉末が前記粉末層形成部に到達しないように遮蔽する遮蔽部と、を備える、ことを特徴とする三次元造形装置である。
また、本発明の別の一態様は、粉末層形成部による粉末層の形成処理と、前記粉末層へのエネルギービームの照射処理と、を繰り返し行う三次元造形物の製造方法であって、前記エネルギービームの照射処理において前記粉末層から飛散する粉末が、前記粉末層形成部に到達しないように遮蔽部で遮蔽する、ことを特徴とする三次元造形物の製造方法である。
本発明によれば、例えば、炭化ケイ素粉末と、炭化ケイ素の昇華温度よりも低い融点を持つホウ化金属粉末とを含む混合粉末を用いた粉末層の形成と、エネルギービームの照射を繰返して固化層を積層する際に、意図しない突起が形成されるのを抑制できる。
実施形態1の三次元造形装置において、レーザを照射中の状態を示す模式図。 (a)実施形態1におけるレーザを照射した後の状態を示す模式図。(b)実施形態1における粉末層形成プロセスの一段階を示す模式図。(c)実施形態1において、遮蔽部材を屈曲させてリコータを移動する状態を示す模式図。 (a)〜(c)実施形態1における粉末層形成プロセスの各段階を示す模式図。 実施形態1において、粉末層形成が終了した段階を示す模式図。 (a)実施形態2においてレーザを照射中の状態を示す模式図。(b)実施形態2における粉末層形成プロセスの前段階を示す模式図。 (a)実施形態3において、レーザを照射中の状態を示す模式図。(b)実施形態3における粉末層形成プロセスの前段階を示す模式図。 実施形態4において、レーザを照射中の状態を示す模式図。 実施形態5において、レーザを照射中の状態を示す模式図。 (a)実施形態6において、レーザを照射中の状態を示す模式図。(b)実施形態6における粉末層形成プロセスの一段階を示す模式図。 (a)実施形態6の変形例である金属カーテンの斜視図。(b)延伸した状態の金属カーテンの側面図。(c)湾曲した状態の金属カーテンの側面図。 (a)従来の三次元造形装置において、粉末層にレーザビームを照射している状態を説明するための模式図。(b)従来の三次元造形装置において、粉末層を形成する際に付着物が落下する状況を説明するための模式図。 (a)従来の三次元造形装置において、粉末層上に付着物が落下した状態でレーザを照射する状況を説明するための模式図。(b)従来の三次元造形装置において、突起部が形成された状態を説明するための模式図。 レーザ照射後の粉末層の平面写真。 昇華により粉末が飛散する状況を説明するための模式図。
図面を参照して、本発明の実施形態である三次元造形装置および三次元造形物の製造方法について説明する。尚、以下の説明において参照する図面では、特に但し書きがない限り、同一の機能を有する部材については同一の参照番号を付して示すものとする。
[実施形態1]
図1は、実施形態1の三次元造形装置200において、粉末層18にレーザビーム12を照射している状態を示す模式図である。
まず、三次元造形装置200の構成について説明する。粉末積層溶融法による造形が可能な三次元造形装置200は、ガスを導入可能なチャンバー1を備えている。チャンバー1には、例えば窒素ガスを導入するガス導入口4と、ガス置換時にチャンバー内を排気するための真空ポンプ19が付設されている。
チャンバー1内には、三次元造形物を形成するための基台である造形プレート11、造形プレート11が着脱可能に装着される造形ステージ2、原料粉末を貯留する粉末供給槽3、粉末供給槽3を支持する粉末供給ステージ20、リコータ5が設けられている。造形ステージ2と粉末供給ステージ20は、互いに独立に上下動が可能である。
粉末層形成部としてのリコータ5は、粉末供給部としての粉末供給槽3から粉末を造形プレート11上に搬送し、厚みが10〜100μm程度の所定の厚みの粉末層18を形成する。リコータ5は、スキージ6とローラ7を備える。スキージ6は、R方向に移動しながら粉末供給槽3の粉末を造形プレート近傍、あるいは造形プレート上まで搬送する機能を有する。ローラ7は、R方向またはL方向に移動しながら、造形プレート11上あるいは造形途中の造形物上に粉末を搬送し、圧縮もしくは押し出すことにより、粉末層18の上面を平坦化して粉末層を所定の厚みに整える機能を持つ。スキージ6による粉末の搬送とローラ7による粉末層の平坦化が好適に行われるように、スキージ6の下端面の高さは適宜変更可能に構成されている。すなわち、スキージ6は、下端面の高さがローラ7の下端と同一になる姿勢か、下端面の高さがローラ7の下端よりも上の位置になる姿勢を取り得るように構成されている。ローラ7は、粉末を圧接しながら水平方向(L方向、R方向)に移動するが、下端の高さが変動しないように、ローラ7には高い剛性で変形しにくい材料を用い、水平移動機構には上下動が抑制された高い剛性の駆動装置を用いる。
リコータ5による粉末層形成時に余剰となった粉末を回収するため、粉末供給槽3の左側と造形ステージ2の右側には、回収溝21が配置されている。リコータ5は、粉末層を形成する動作を行わない時には、図1に示すように造形ステージ2から離間した位置に配置されるが、この位置を待機位置と呼ぶ。
チャンバー1内において、リコータ5の待機位置と造形ステージ2の間には、本実施形態の特徴的部分である遮蔽部としての遮蔽部材8が設けられている。遮蔽部材8は、回動可能な関節部81を介して接続された上下の板状部材を備えており、関節部81を動作させることにより屈曲姿勢または延伸姿勢をとり得る。図1は、延伸姿勢、すなわち関節部81を挟んで上下の板状部材が鉛直方向に沿って直線的に配置された姿勢を示している。関節部81はリコータ5の最上部よりも高い位置に配置されており、関節部81を回動することにより、リコータ5を水平方向(L方向−R方向)に移動させても遮蔽部材8が干渉しないような屈曲姿勢をとることができる。屈曲姿勢を、図2(c)、図3(a)〜図3(c)等に図示するが、これらの図については後述する。
チャンバー1の外には、エネルギービーム源としてのレーザ発振器15と、レーザビームを走査するためのガルバノミラー16や集光するためのf−θレンズ17を備えた走査光学系14が設けられている。造形プレート11の上側には、走査光学系14から出射されるレーザビーム12を透過させる透過窓13があり、透過窓13を介してレーザビーム12が造形プレート11上の粉末層18に適宜照射される。
本実施形態では、レーザ発振器15として、例えば波長1070nmのファイバーレーザ(最大出力300W)を使用する。レーザ発振器15から出力されたレーザビーム12は、三次元造形物の形状データに応じて駆動されるガルバノミラー16とf−θレンズ17によって、造形プレート11上の粉末層18の表面の所望の位置に集光し走査される。
次に、三次元造形装置200を用いて三次元造形物を形成するプロセスを説明する。
まず本実施形態で用いられ得る原料粉末について説明する。本実施形態では、例えば平均粒径Φ14.7μmの炭化ケイ素(SiC)粉末(大平洋ランダム製)と、平均粒径Φ3〜6μmの二ホウ化クロム(CrB)粉末(日本新金属製)の2種類の粉末を混合して使用することができる。炭化ケイ素と二ホウ化クロムの原子組成比が炭化ケイ素:二ホウ化クロム=70:30(at.%)となるようにそれぞれの粉末を計量し、計量した粉末をポリエチレン瓶に入れて混合する。上記混合した粉末を粉末供給槽3に充填する。
次に真空ポンプ19を使って、チャンバー1内を真空引きする。十分に真空引きを実施した後、ガス導入口4から不活性ガスを導入し、チャンバー1内の圧力が大気圧と等しくなるようにする。不活性ガスとしては、窒素(N)やアルゴン(Ar)等が主に使われ得るが、本実施形態ではNガスを用いる。
次に、粉末層の形成処理の準備として、造形プレート11の上下方向の原点出しをする。造形プレート11を取り付けた造形ステージ2をリコータ5のローラ7の動作領域と干渉しない領域に下げておき、その状態で、リコータ5を造形プレート11の直上を含む動作領域内をL方向−R方向に往復動作させる。その後、造形ステージ2をステップ状に上昇させ、造形プレート11とローラ7が接触した位置(高さ)を造形プレート11の原点とする。本実施形態では、接触したことを判断するために、造形ステージ2に荷重センサ(不図示)を組み込んで、接触による荷重の上昇を検出することにより接触を判定する。どの程度荷重が上昇したら接触と判断するかは装置の剛性にもよるが、本実施形態の装置では10Nの荷重がかかった時に接触したと判断し、その位置を造形ステージ2の原点とする。
造形プレート11上に粉末層を形成するには、まず、形成する粉末層の厚み分よりも少し大きく造形ステージ2を下降させる。例えば、形成する粉末層の厚みを50μmにする場合には、70μm下降させる。その後に、粉末供給槽3を支持する粉末供給ステージ20を120μm上昇させ、粉末を上部に押し出す。そして、スキージ6の下端面がローラ7の最下部と同じ高さになるようスキージ6の姿勢を調整したリコータ5をR方向に駆動し、待機位置から粉末供給槽3の右側まで移動させて、粉敷きに必要な量の粉末を造形ステージ2の左側まで運ぶ。
続けて、リコータ5をR方向に駆動し、造形ステージ2の右側までリコータ5を移動させ、造形ステージ2上に粉を敷く。
最後に、造形ステージ2を20μm上げた後、スキージ6の下端面がローラ7の最下部よりも上になるようスキージ6を上げた姿勢でリコータ5をL方向に駆動する。ローラ7のみを使って鉛直方向に圧縮しながら余分な粉を造形エリア外に押し出し、50μmの均一な厚みの粉末層を造形ステージ2上に形成する。以上により、粉末層形成部としてのリコータ5による粉末層の形成処理が1層分完了する。
次に、形成した粉末層にレーザビームを照射する照射処理を行う。CAD等で作成した造形モデルをスライサーソフトウェアで1層毎のレーザ照射パターンに変換する。変換したレーザ照射パターンに応じてガルバノミラー16を制御し、粉末層18にレーザビーム12を照射する。例えば、レーザパワーは100W、レーザスキャン速度は500mm/s、スキャンピッチは0.05mmとするが、これに限られるものではない。またレーザビーム12を照射する時には、不図示のヒュームコレクターを作動させ、レーザビーム12を照射する時に発生するヒュームを回収するのが望ましい。レーザビーム12を照射した領域の粉末は溶融し、特許文献3に記載された共晶現象を経てバルク体として凝固し、それ以外の領域は粉末層の状態のままで残る。
1層の粉末層についてレーザビーム12の照射が終了すると、前述の粉敷きプロセスを再度行って炭化ケイ素と二ホウ化クロムの混合粉末による粉末層を敷設し、次の層のパターンに応じてレーザビームを粉末層上に照射する。以上の動作を繰り返すことで、炭化ケイ素を主成分とする層を順次積み重ねて三次元立体形状物を造形することができる。
本実施形態においては、図1に示すように、粉末層に対してレーザビーム12を照射している間、遮蔽部材8を延伸姿勢にして、飛散する粉末100がリコータ5の表面に付着するのを防止するという特徴的な動作を実施する。すなわち、レーザビームが照射された粉末層からリコータに向けて飛翔する粉末の軌道を遮蔽する位置に遮蔽部材8を配置する。尚、リコータに向けて飛翔する粉末の軌道を遮蔽する位置とは、典型的には粉末層からリコータに至る放物線軌道を遮蔽する位置であるが、チャンバーの内壁等で反射されてリコータに向かう粉末の軌道を遮蔽する位置であってもよい。そして、後述するように、リコータ5を用いて次の粉末層を形成する際には遮蔽部材8を屈曲姿勢にして、リコータ5の動作に干渉しないようにする。
この特徴についての理解を容易にするため、粉末層の形成とレーザビームの照射を繰返して固化層を積層する際に、従来の装置において意図しない突起が形成されていた原因について、本発明者が得た知見を説明する。
図11(a)は、従来の三次元造形装置300において、粉末層にレーザビームを照射している状況を説明するための模式図である。図1に示した実施形態1の装置と共通する要素については同一の番号を付して説明を省略するが、従来の三次元造形装置300には、遮蔽部材8が設けられていないことに留意する。
本発明者は、従来の三次元造形装置300において、炭化ケイ素と二ホウ化クロムの混合粉からなる粉末層18を形成した後、レーザビーム12を照射すると、照射された箇所の周辺の粉末が飛散してリコータ5にまで飛翔することを見出した。図11(a)に模式的に示すように、リコータ5にまで飛翔した粉末100は、リコータ5の側面に付着したり上面に積載されたりしていた。リコータ5の側面に付着したり上面に積載された粉末100を調べると、粉末層18に用いられている原料粉末と同様の組成であった。
図13に示すのは、炭化ケイ素と二ホウ化クロムの混合粉からなる粉末層にレーザビームを直線的に走査した後、上から撮影した顕微鏡写真(平面図)である。レーザを照射した箇所(図面中央のライン)には炭化ケイ素と二ホウ化クロムを含む造形物(固体)ができているが、造形物の周辺では粉末が無くなり、造形プレートが露出しているのがわかる。写真において、ラインに沿って白っぽく見える部分が造形プレートの露出部である。造形プレートが露出している部分にあった粉末は飛散しており、少なくともその一部がリコータ5にまで到達したものと考えられる。
図14を参照して、レーザビームを照射した部分の周辺の粉末が飛散するメカニズムについて考察する。図14に示すように、炭化ケイ素と二ホウ化クロムの混合粉にレーザを照射すると、局所的に加熱された部分は、共晶現象によって液状態(以下、メルトプールともいう)となる。粉末状態から液状態に変化する過程で、一部の炭化ケイ素が共晶過程を経ずに昇華する。つまり、レーザ照射を受ける粉末層の表面近傍には炭化ケイ素粉末が存在しているが、レーザビームの照射によって炭化ケイ素粉末の温度が急激に上昇すると、その一部は二ホウ化クロムと共晶する前にして昇華温度を超えて昇華してしまうのである。この部分的な炭化ケイ素の昇華によって、レーザ照射部の周辺の粉末100が吹き飛ばされ、ライン周縁部の粉末が無くなるものと推定される。
この現象は、レーザビームから粉末に投入されるエネルギーを増大させると顕著になるため、造形が可能な範囲でレーザエネルギーを下げてみたが、リコータ5に到達する粉末100の飛散を完全に防ぐことはできなかった。また、レーザ照射中に、ヒューム対策として造形ステージ上に流していたエアカーテンの流量(吸排気量)を調整したが、粉末層に影響を与えない範囲での吸排気量の調整では、リコータ5への付着を防ぐことはできなかった。蒸気が凝集してサブマイクロメータレベルの微小粒子として漂うヒュームと比較して、吹き飛ばされた粉末100は質量と運動量がはるかに大きいためである。
図11(a)に模式的に示したように、レーザ照射時に粉末100がリコータ5の側面に付着したり上面に積載されてしまうと、レーザ照射後にリコータ5が次の粉末層を形成する時に、粉末100が落下する場合がある。
図11(b)は、粉末100が側面に付着したり上面に積載されたリコータ5を用いて、次の粉末層を形成する状況を説明するための模式図である。図示のようにリコータ5をR方向に駆動し、その後、リコータ5をL方向に駆動して粉末層を形成する。このように、造形ステージ2の上でリコータ5を水平移動させる間に、リコータ5の側面に付着したり上面に積載された粉末100が塊となって落下することがある。特に、リコータ5を最後にL方向に駆動して粉末層と圧接しながら待機位置に向かう際に、粉末100の塊が後端側(図の右側)から粉末層の上に落下すると、すでにローラ7が通過した後なので、落下した粉末100の塊は粉末層の上にそのまま山積される。
図12(a)は、このように粉末層18の上に粉末100の塊が山積された状態において、次の固化層を形成するためのレーザビーム12が照射されている状態を模式的に示した図である。粉末100の塊が山積された部分にレーザビームが照射されると、図12(b)に示すように、三次元造形物には意図しない硬質な突起部101が形成されてしまう。突起部101が形成されると、もちろん三次元造形物の形状精度が低下してしまう。更には、次の粉末層を形成する際に、突起部101とリコータ5が干渉して三次元造形物が造形ステージ上で転倒したり、リコータ5が停止あるいは損傷してしまうという問題が発生していた。
これに対して、本実施形態は図1に示すように、レーザビームを照射している間に飛散してリコータ5に向かって飛翔する粉末100は、遮蔽部材8により軌道を遮蔽され、待機位置にあるリコータ5に到達しないためリコータ5に付着することはない。図2(a)は、レーザビームを照射して三次元造形物を構成する固化部31を形成した後のリコータ5の状態を模式的に示しており、リコータ5には粉末100が付着していないことがわかる。
レーザビームを照射した後、本実施形態では、リコータ5を用いて以下の手順で次の粉末層を造形ステージの上に形成する。
まず、図2(b)に示すように、粉末供給槽3を支持する粉末供給ステージ20を上昇させて粉末を上部に押し出すとともに、造形ステージ2を降下させる。
次に、図2(c)に示すように、関節部81を回動させ、延伸姿勢だった遮蔽部材8を屈曲姿勢にする。すなわち、遮蔽部材8の下端がリコータ5の上端よりも高い位置にあるようにする。これにより、リコータ5を水平移動させても遮蔽部材8とは干渉しなくなる。そこで、スキージ6の下端面がローラ7の最下部と同じ高さになるように姿勢を調整したリコータ5をR方向に駆動し、粉敷きに必要な量の粉を造形ステージ2の左側まで運ぶ。
続けて、図3(a)に示すように、リコータ5をR方向に駆動して造形ステージ2の右側まで移動させ、造形ステージ2上に粉を敷く。
さらには、図3(b)に示すように、造形ステージ2を上昇させ、スキージ6の下端面がローラ7の最下部よりも高い位置になるよう姿勢を調整したリコータ5をL方向に駆動して、ローラ7で押圧しながら均一な厚みの粉末層を形成する。
そして、図3(c)に示すように、リコータ5をさらにL方向に駆動して、待機位置に向かって移動させる。その際、遮蔽部材8は屈曲姿勢を維持しているため、リコータ5を移動させても干渉することはない。
図4に示すように、リコータ5が待機位置に戻ったら、次のレーザビームの照射時に飛翔する粉末からリコータ5を遮蔽するため、レーザビームの照射を開始する前に遮蔽部材8を延伸姿勢に戻す。
本実施形態では、飛翔する粉末100がリコータ5に付着するのを遮蔽部材8によって防止できるため、従来のように粉末層18の上にリコータに付着した粉末100を落下させて山積みにすることがない。
したがって、炭化ケイ素粉末と、炭化ケイ素の昇華温度よりも低い融点を持つホウ化金属粉末とを含む混合粉末を用いて、粉末層の形成とエネルギービームの照射を繰返して固化層を積層する際に、意図しない突起が形成されるのを抑制することが可能である。
以上述べた実施形態により、例えば、最大30mm×40mmのエリアで400層造形し、最大部寸法で30mm×40mm×20mmの造形物を得た。造形は停止することなく終了し、ローラ7に傷付きはなく、三次元造形物の形状精度は所定の規格を満足していた。造形途中の粉末層形成前に装置を確認したところ、リコータ5の表面上には、造形用の粉末に由来する飛散物(粉末)はほとんどなかった。以上のように、リコータ5に堆積した飛散物が造形エリアに脱落することを防ぐことが可能で、造形動作の安定性が高く、生産性に優れた造形装置を得ることができた。
尚、以上説明した実施形態では、遮蔽部材8に衝突した粉末100の多くは、図2(a)に示すように遮蔽部材8に付着する。延伸姿勢から屈曲姿勢への姿勢変換、または屈曲姿勢から延伸姿勢への姿勢変換の際に、遮蔽部材8に付着した粉末100が落下する可能性がある。しかし、リコータ5が水平方向に遮蔽部材8から離間した位置にあるタイミングで遮蔽部材8の姿勢変換をすれば、粉末100が落下したとしてもリコータ5に付着することはない。また、リコータ5が直下を通過するタイミングでは、遮蔽部材8は屈曲姿勢であり、例えば図2(c)に示すように粉末100は屈曲した遮蔽部材8の上面側にあり落下しにくいため、リコータ5に付着することはない。尚、遮蔽部材8に付着した粉末100は、造形後にチャンバーを開けた時に、例えば粉塵用掃除機を用いて吸引して排出することができる。
一方、本実施形態の変形例としては、遮蔽部材8に衝突した粉末100が遮蔽部材8に付着しないようにする構成も可能である。例えば、遮蔽部材8の表面に粉末100が付着しにくい材料をコーティングしたり、遮蔽部材8に超音波振動を印加する機構を設けたり、遮蔽部材8の表面に気流を吹きつける機構を設けることも可能である。その場合には、リコータ5が待機位置にある間に、遮蔽部材8に衝突した粉末100を落下させるが、落下した粉末100を回収するために、後述する図9の実施形態のように回収容器69をカーテン59の直下に設けてもよい。回収容器69には粉塵用集塵機を接続し、除去した飛散物が装置内に再び飛散することがないようにする。尚、回収した粉末100は、造形用の原料粉末として再利用しても良い。
[実施形態2]
図5(a)、図5(b)を参照して、実施形態2の三次元造形装置400について説明する。実施形態1と共通する部分については、説明を省略する。
実施形態1は、関節部81により屈伸可能な遮蔽部材8を遮蔽部として備えていたが、本実施形態では、屈伸はしないがシャッタのように上下動が可能な遮蔽板9を遮蔽部として備える。また、実施形態1では、遮蔽部としての遮蔽部材8を、粉末供給槽3よりもリコータ5の待機位置に近い位置に設けたが、本実施形態では遮蔽部としての遮蔽板9を、粉末供給槽3の左側の回収溝21の上方に配置した。
本実施形態では、図5(a)に示すように、レーザビーム12を照射している間は、遮蔽板9を下げておき、飛翔する粉末100がリコータ5に付着するのを遮蔽板9によって防止する。遮蔽板9に衝突した粉末100のうち落下するものは、回収溝21により回収される。
そして、レーザビームの照射が終了すると、図5(b)に示すように、リコータ5を水平方向(L方向、R方向)に移動させても遮蔽板9の下端がリコータ5の上端と干渉しない高さまで、遮蔽板9を上昇させる。遮蔽板9は、チャンバ−1と同じ雰囲気に内部が保たれた遮蔽板収納部10に収納される。遮蔽板収納部10の下端には、遮蔽板9の表面と摺動する不図示のスクレーパが設けられており、遮蔽板9を上昇させるときに遮蔽板9の表面に付着していた粉末100を掻き落す。遮蔽板9から掻き落された粉末100は、回収溝21に回収される。
遮蔽板9の上昇が完了したら、実施形態1と同様にリコータ5を用いて新たな粉末層を形成する。新たな粉末層の形成が完了し、リコータ5が待機位置に戻ったら、遮蔽板9を粉末100の飛翔軌道を遮る位置にまで再び下降させる。
実施形態2により、例えば、最大30mm×40mmのエリアで400層造形し、最大部寸法で30mm×40mm×20mmの造形物を得た。造形は停止することなく終了し、ローラ7に傷付きはなく、三次元造形物の形状精度は所定の規格を満足していた。造形途中の粉末層形成前に装置を確認したところ、リコータ5の表面上には、造形用の粉末に由来する飛散物(粉末)はほとんどなかった。以上のように、リコータ5に堆積した飛散物が造形エリアに脱落することを防ぐことが可能で、造形動作の安定性が高く、生産性に優れた造形装置を得ることができた。
本実施形態では、粉末層形成時に余剰となった粉末だけでなく、遮蔽板9によって遮蔽された粉末100も回収溝21により回収することができる。尚、回収した粉末100は、造形用の原料粉末として再利用しても良い。
[実施形態3]
図6(a)、図6(b)を参照して、実施形態2の変形例である実施形態3について説明する。実施形態2と共通する部分については、説明を省略する。
実施形態2では、上下動可能な遮蔽板9を粉末供給槽3の左側の回収溝21の上方に配置したが、本実施形態では上下動可能な遮蔽板9を粉末供給槽3の上に配置した。
本実施形態においても、図6(a)に示すように、レーザビーム12を照射している間は、遮蔽板9を下げておき、飛翔する粉末100がリコータ5に付着するのを遮蔽板9によって防止する。遮蔽板9に衝突した粉末100のうち落下するものは、粉末供給槽3に落下する。粉末100は、前述のように粉末供給槽3に貯留されている原料粉末と成分が同一なので、原料粉末に混入しても問題はない。
そして、レーザビームの照射が終了すると、図6(b)に示すように、リコータ5を水平方向(L方向、R方向)に移動させても遮蔽板9の下端が干渉しない高さまで、遮蔽板9を上昇させる。遮蔽板9は、チャンバ−1と同じ雰囲気に内部が保たれた遮蔽板収納部10に収納される。遮蔽板収納部10の下端には、遮蔽板9の表面と摺動する不図示のスクレーパが設けられており、遮蔽板9を上昇させるときに遮蔽板9の表面に付着していた粉末100を掻き落す。遮蔽板9から掻き落された粉末100は、粉末供給槽3に落下し、原料粉末として再利用される。
実施形態3により、例えば、最大30mm×40mmのエリアで400層造形し、最大部寸法で30mm×40mm×20mmの造形物を得た。造形は停止することなく終了し、ローラ7に傷付きはなく、三次元造形物の形状精度は所定の規格を満足していた。造形途中の粉末層形成前に装置を確認したところ、リコータ5の表面上には、造形用の粉末に由来する飛散物(粉末)はほとんどなかった。以上のように、リコータ5に堆積した飛散物が造形エリアに脱落することを防ぐことが可能で、造形動作の安定性が高く、生産性に優れた造形装置を得ることができた。
本実施形態では、特に回収機構を設けなくとも、遮蔽板9に衝突した粉末100を粉末供給槽3の原料粉末に混入させて再利用することができる。
[実施形態4]
図7を参照して、実施形態4の三次元造形装置500について説明する。実施形態1と共通する部分については、説明を省略する。
実施形態1ないし実施形態3では、遮蔽部として可動部材を用いていたが、本実施形態では、遮蔽部として固定部材を用いる。すなわち、本実施形態では、リコータ5の待機位置の上方から造形プレートに向けてひさし状に延伸する遮蔽用天板49を設ける。遮蔽用天板49は、チャンバー1の天井に固定され、待機位置にあるリコータ5を、飛翔する粉末100から遮蔽する。リコータ5に向かって飛翔する粉末100を完全に遮蔽することが困難な場合もあるが、付着する飛散物の量は圧倒的にリコータ5の上部に多いため、従来装置と較べて、本実施形態の方が安定した造形ができる効果が得られる。
尚、遮蔽用天板49の上に溜まった粉末100は、造形後にチャンバーを開けた時に、例えば粉塵用掃除機を用いて吸引して排出することができる。
本実施形態では、遮蔽部としての遮蔽用天板49には可動部分がないため、三次元造形装置500の装置構造を単純にすることができる。
実施形態4により、例えば、最大30mm×40mmのエリアで400層造形し、最大部寸法で30mm×40mm×20mmの造形物を得た。造形は停止することなく終了し、ローラ7に傷付きはなく、三次元造形物の形状精度は所定の規格を満足していた。造形途中で、粉末層形成前に装置を確認したところ、リコータ5の表面上には、造形用の粉末に由来する飛散物(粉末)はほとんどなかった。以上のように、リコータ5に堆積した飛散物が造形エリアに脱落することを防ぐことが可能で、造形動作の安定性が高く、生産性に優れた造形装置を得ることができた。
[実施形態5]
図8を参照して、実施形態5の三次元造形装置600について説明する。実施形態1と共通する部分については、説明を省略する。
実施形態1ないし実施形態4では、遮蔽部として固体部材を用いていたが、本実施形態では、遮蔽部として流体を用いる。すなわち、本実施形態では、待機位置にあるリコータ5に向かって飛翔する粉末100の軌道を気流の流れ(エアカーテン)で変更して、粉末100からリコータ5を遮蔽する。
図8に示すように、造形ステージ2とリコータ5の待機位置の間の粉末回収口34の上部に、シートノズル36を設置する。また、粉末回収口34には、気流を循環させて粉末を捕捉して回収するための循環器32を直結しておく。循環器32には、ヒュームコレクター用の市販の機材を流用することができ、粉末回収口34から入った気体と粉末のうち粉末だけを捕捉し、シートノズル36へ気流を還流させることができる。循環器32として、例えば、アマノ株式会社製のヒュームコレクターVF−5H(商品名)を使用することができる。
シートノズル36は、例えば、装置の奥行き方向に40cm、幅方向に5mmの開口部を有しており、およそ40cm幅のシート状の気体流を吹き出すことができる。また、シートノズル36からの風量は、造形エリアから離れたところに噴出孔をもつバイパスノズル33とバイパスノズル33に流れる風量をコントロールするバルブ39にて調整する。例えば、ヒュームコレクターVF−5Hの循環量が仕様値で1.6立方メートル毎分、シートノズル36からの開口が20平方センチメートルである場合には、理論的には最大8000m毎分、すなわち、最大133m毎秒までの風速が可能である。尚、バイパスノズル33から噴出す気流を、リコータ5に吹き付けて表面をクリーニングしてもよい。
造形用の粉末の調整と、粉末供給槽への充填、チャンバー1の内部雰囲気のNガスへの置換、造形プレートの上下方向の原点出しを行なった後、循環器32を起動し、シートノズル36からの20m毎秒の風速になるように、バルブ39を制御する。その後、粉敷き、およびレーザ照射を繰り返し行い、三次元造形物を製造する。
実施形態5により、例えば、最大30mm×40mmのエリアで400層造形し、最大部寸法で30mm×40mm×20mmの造形物を得た。造形は停止することなく終了し、ローラ7に傷付きはなく、三次元造形物の形状精度は所定の規格を満足していた。造形途中で、粉末層形成前に装置を確認したところ、リコータ5の表面上には、造形用の粉末に由来する飛散物(粉末)はほとんどなかった。以上のように、リコータ5に堆積した飛散物が造形エリアに脱落することを防ぐことが可能で、造形動作の安定性が高く、生産性に優れた造形装置を得ることができた。
尚、図8の例では、シートノズル36から吹き出した気体を循環器32で循環させて再使用したが、循環させずに全て排気して、シートノズル36から新規の気体を送風してもよい。さらに、シートノズル36から吹き出した気体の回収をシートノズル36直下の粉末回収口34から行なったが、気流による粉末の舞い上がり等の問題が生じない限り、粉末回収口はチャンバーの側面など、いろいろな場所に配置してもよい。また、真空ポンプ19に圧力調整機構を設けて、真空ポンプ19に排出させることも可能である。
[実施形態6]
図9(a)、図9(b)を、参照して、実施形態6の三次元造形装置700について説明する。実施形態1と共通する部分については、説明を省略する。
実施形態1ないし実施形態3では、遮蔽部として可動部材を用い、リコータ5を水平方向に移動させる時には、遮蔽部の一部または全部を動かしてリコータ5と接触しないように退避させていた。これに対して、本実施形態では、リコータ5を水平方向に移動させる時に遮蔽部がリコータ5と接触するが、リコータの移動にならって遮蔽部が容易に変形可能な構成とした。具体的には、遮蔽部として可撓性のカーテン59を設けた。
図9(a)に示すように、リコータ5の待機位置と粉末供給槽3の間の空間に、遮蔽部としてのカーテン59が設置されている。カーテン59は、少なくとも最下部がリコータ5の上面よりも低い位置になる長さを有し、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の樹脂系材料のような可撓性を有する材料で形成されている。例えば、フッ素ゴムであるクレハエラストマー株式会社製 FB750Nの1mm厚のシート材料を、カーテン59としてチャンバー1の天井に取り付ける。
図9(a)に示すように、本実施形態では、カーテン59に衝突した粉末100が、カーテン59に付着せずに落下するようにする。例えば、カーテン59の表面に粉末100が付着しにくい材料をコーティングしたり、カーテン59に超音波振動を印加する機構を設けたり、カーテン59の表面に気流を吹きつける機構を設けることが可能である。カーテン59の下方には、カーテン59から落下した粉末100を回収するための回収容器69を設けている。回収容器69には不図示の粉塵用集塵機を接続し、回収した粉末100が装置内に飛散して再び付着することがないようにする。尚、回収した粉末100は、造形用の原料粉末として再利用しても良い。
本実施形態では、カーテン59に粉末100が付着しにくく、しかもカーテン59は可撓性を有する材料で形成されているため、図9(b)に示すように、粉敷きの際にR方向またはL方向に移動するリコータ5とカーテン59が接触しても問題は生じない。このため、複雑な機構を用いずとも粉末を遮蔽可能な遮蔽部を設けることができる。
実施形態6により、例えば、最大30mm×40mmのエリアで400層造形し、最大部寸法で30mm×40mm×20mmの造形物を得た。造形は停止することなく終了し、ローラ7に傷付きはなく、三次元造形物の形状精度は所定の規格を満足していた。造形途中で、粉末層形成前に装置を確認したところ、リコータ5の表面上には、造形用の粉末に由来する飛散物(粉末)はほとんどなかった。以上のように、リコータ5に堆積した飛散物が造形エリアに脱落することを防ぐことが可能で、造形動作の安定性が高く、生産性に優れた造形装置を得ることができた。
尚、実施形態6の変形として、可撓性を有する材料で形成した一体物のカーテンを用いる代わりに、例えば図10(a)〜図10(c)に示すような、金属薄板35をリベット38で接続した金属性のカーテンを用いてもよい。図10(a)に斜視図、図10(b)に側面図を示すように、このカーテンは、リベット用の孔が開いた金属薄板35をリベット38で連結したものである。図10(a)と図10(b)は、カーテンがリコータ5と接触していない状態、すなわち鉛直方向に垂れ下がっている状態を示している。図10(c)に示す側面図は、カーテンがリコータ5と接触している状態、すなわち外力を受けて湾曲した状態を図示している。リベット用の孔をリベット38の軸径よりも大きくして遊びを設けることにより、金属薄板35がある程度姿勢を変えることが可能になるため、カーテンに求められる可撓性を全体として実現することができる。金属のように材料自体の可撓性が小さい部材を用いても、このような連結方法を採用することにより、遮蔽機能を有するとともに、リコータの移動を妨げないカーテンを構成することができる。金属性のカーテンは、遮蔽部としてのカーテンに高い耐久性が求められる場合や、粉末層を加熱するためのエネルギービームとして電子ビームを用い、チャンバー内雰囲気を真空にする場合などに好適に用いることができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
リコータ5に粉末が到達するのを遮蔽する機構の種類と配置は、上記実施形態に例示したものに限られるわけではない。例えば、ある実施形態で例示した種類の遮蔽機構を、別の実施形態で示した位置に配置してもよい。要は、レーザビームが照射された粉末層からリコータに向けて飛翔する粉末の軌道を遮蔽する位置に遮蔽部を配置できればよい。リコータに向けて飛翔する粉末の軌道を遮蔽する位置とは、典型的には粉末層からリコータに至る放物線軌道を遮蔽する位置であるが、チャンバーの内壁等に衝突して反射されてリコータに向かう粉末の軌道を遮蔽する位置であってもよい。
実施形態では炭化ケイ素粉末と二ホウ化クロム粉末の組み合わせについて説明したが、これ以外の組み合わせの粉末を用いても良い。実施形態のように共晶現象を利用しなくてもよく、例えば昇華性の炭化ケイ素粉末と、金属粉末とを使って、溶融金属を炭化ケイ素同士を繋げるバインダーの役割として使ってもよい。また、構造材として用いられる昇華性の材料としては、炭化ケイ素(SiC)以外に窒化ケイ素(Si)などがあり、これらの昇華性材料を含む粉末層に対しても本発明は同様の効果を発揮できる。また、昇華性材料と共晶する材料としては、二ホウ化クロム(CrB)の他に、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、ホウ化チタニウム(TiB)、ホウ化バナジウム(VB)などの粉末を用いてもよい。また、炭化ケイ素のような昇華性材料に限らず、樹脂の粉末や金属粉末でも、エネルギービームの照射条件によっては突沸により周囲の粉が飛散してリコータ表面に付着することもあり得るため、同様の効果が期待できる。
粉末層の加熱に用いるエネルギービームは、レーザビームには限られず、他の光ビームや電子ビームでもよい。チャンバー内の雰囲気はN雰囲気には限られず、用いるエネルギービームや粉末材料の種類に応じて適宜変更すればよい。エネルギービーム源として電子ビーム源を用いた場合には、チャンバー内は真空雰囲気に維持されるため、昇華による周辺の粉末の飛散は大気圧中よりもより多いと考えられ、より大きな効果が期待できる。
1・・・チャンバー/5・・・リコータ/6・・・スキージ/7・・・ローラ/8・・・遮蔽部材/9・・・遮蔽板/14・・・走査光学系/15・・・レーザ発振器/18・・・粉末層/12・・・レーザビーム/31・・・固化部/35・・・金属薄板/36・・・シートノズル/38・・・リベット/49・・・遮蔽用天板/59・・・カーテン/81・・・関節部/100・・・粉末/101・・・突起部/200・・・三次元造形装置

Claims (20)

  1. 粉末層を形成する粉末層形成部と、
    前記粉末層形成部が形成した粉末層にエネルギービームを照射するエネルギービーム源と、
    前記エネルギービーム源が前記粉末層にエネルギービームを照射する時に前記粉末層から飛散する粉末が前記粉末層形成部に到達しないように遮蔽する遮蔽部と、を備える、
    ことを特徴とする三次元造形装置。
  2. 前記粉末層形成部は、前記エネルギービーム源が前記粉末層にエネルギービームを照射する時には待機位置に配置され、
    前記遮蔽部は、前記待機位置と前記粉末層との間に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の三次元造形装置。
  3. 前記遮蔽部は、位置または姿勢を変更可能であり、
    前記エネルギービーム源が前記粉末層にエネルギービームを照射する時と、前記粉末層形成部が粉末層を形成する時とで、前記遮蔽部が位置または姿勢を変更する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元造形装置。
  4. 前記粉末層形成部が粉末層を形成する時には、前記遮蔽部は前記粉末層形成部と干渉しない位置または姿勢をとる、
    ことを特徴とする請求項3に記載の三次元造形装置。
  5. 前記遮蔽部は、
    前記エネルギービーム源が前記粉末層にエネルギービームを照射する時には延伸姿勢をとり、前記粉末層形成部が粉末層を形成する時には屈曲姿勢をとる、
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の三次元造形装置。
  6. 前記遮蔽部は、
    前記エネルギービーム源が前記粉末層にエネルギービームを照射する時には下端が前記粉末層形成部の上端よりも低い位置にあり、前記粉末層形成部が粉末層を形成する時には下端が前記粉末層形成部の上端よりも高い位置にある、
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の三次元造形装置。
  7. 前記遮蔽部は、可撓性を有する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の三次元造形装置。
  8. 前記遮蔽部は、気流を供給するノズルを備える、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元造形装置。
  9. 前記遮蔽部は、前記遮蔽部に到達した粉末を落下させる、
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の三次元造形装置。
  10. 前記遮蔽部は、前記待機位置と、原料粉末を貯留する粉末供給部の間に設けられている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の三次元造形装置。
  11. 前記遮蔽部の下に、前記粉末層から前記遮蔽部まで飛散した粉末を回収する回収機構を備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の三次元造形装置。
  12. 前記遮蔽部は、原料粉末を貯留する粉末供給部の上に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の三次元造形装置。
  13. 前記粉末層形成部は、昇華性材料を含む粉末層を形成する、
    ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の三次元造形装置。
  14. 前記昇華性材料が、炭化ケイ素である、
    ことを特徴とする請求項13に記載の三次元造形装置。
  15. 粉末層形成部による粉末層の形成処理と、前記粉末層へのエネルギービームの照射処理と、を繰り返し行う三次元造形物の製造方法であって、
    前記エネルギービームの照射処理において前記粉末層から飛散する粉末が、前記粉末層形成部に到達しないように遮蔽部で遮蔽する、
    ことを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  16. 前記遮蔽部は位置または姿勢を変更可能であり、
    前記粉末層の形成処理と、前記エネルギービームの照射処理とで、前記遮蔽部が位置または姿勢を変更する、
    ことを特徴とする請求項15に記載の三次元造形物の製造方法。
  17. 前記粉末層の形成処理において、前記遮蔽部は前記粉末層形成部と干渉しない位置または姿勢をとる、
    ことを特徴とする請求項15または16に記載の三次元造形物の製造方法。
  18. 前記エネルギービームの照射処理において、前記遮蔽部に到達した粉末を落下させる、
    ことを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  19. 前記粉末層の形成処理は、昇華性材料を含む粉末層を形成する処理である、
    ことを特徴とする請求項15乃至18のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  20. 前記昇華性材料が、炭化ケイ素である、
    ことを特徴とする請求項19に記載の三次元造形物の製造方法。
JP2019123160A 2019-07-01 2019-07-01 三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法 Active JP7301634B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019123160A JP7301634B2 (ja) 2019-07-01 2019-07-01 三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法
PCT/JP2020/025065 WO2021002277A1 (ja) 2019-07-01 2020-06-25 三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法
US17/557,278 US20220111553A1 (en) 2019-07-01 2021-12-21 Additive manufacturing apparatus and method of manufacturing three-dimensionally shaped object

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019123160A JP7301634B2 (ja) 2019-07-01 2019-07-01 三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021008078A true JP2021008078A (ja) 2021-01-28
JP7301634B2 JP7301634B2 (ja) 2023-07-03

Family

ID=74198478

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019123160A Active JP7301634B2 (ja) 2019-07-01 2019-07-01 三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7301634B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003231183A (ja) * 2002-02-06 2003-08-19 Minolta Co Ltd 三次元造形装置
US20180281284A1 (en) * 2017-03-28 2018-10-04 Velo3D, Inc. Material manipulation in three-dimensional printing
US20180298215A1 (en) * 2015-10-09 2018-10-18 Syddansk Universitet Feedstock for 3d printing and uses thereof

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003231183A (ja) * 2002-02-06 2003-08-19 Minolta Co Ltd 三次元造形装置
US20180298215A1 (en) * 2015-10-09 2018-10-18 Syddansk Universitet Feedstock for 3d printing and uses thereof
US20180281284A1 (en) * 2017-03-28 2018-10-04 Velo3D, Inc. Material manipulation in three-dimensional printing

Also Published As

Publication number Publication date
JP7301634B2 (ja) 2023-07-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220111553A1 (en) Additive manufacturing apparatus and method of manufacturing three-dimensionally shaped object
JP6811283B2 (ja) 3次元プリンタ用の粉末リコータ
EP3833192B1 (en) Additive manufacturing system with gas flow head
JP7193473B2 (ja) 付加製造のための複数材料および印刷パラメータ
US11583930B2 (en) Apparatus for and process of additive manufacturing
US10758978B2 (en) Additive manufacturing with powder and densification material dispensing
US20140252685A1 (en) Powder Bed Fusion Systems, Apparatus, and Processes for Multi-Material Part Production
CA2293638C (en) Jetting layers of powder and the formation of fine powder beds thereby
CN107876759B (zh) 增材制造方法
JP7305463B2 (ja) 三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法
KR20180042306A (ko) 적층 제조 시스템을 위한 프린트헤드 모듈들의 어레이
KR20180061137A (ko) 적층 제조에서의 재료 디스펜싱 및 압축
CN104010749A (zh) 用于制备三维物体的方法和装置
EP3434396A1 (en) Pre-fusion laser sintering for metal powder stabilization during additive manufacturing
KR20200013066A (ko) 다면 및 갈보 거울 스캐너들을 이용한 적층 제조
JP2015101739A (ja) 溶融層の積層構造の製造装置、溶融層の積層構造の製造方法及び溶溶融層の積層構造
TW201930055A (zh) 利用兩件式多邊形掃描器的增材製造
JP2021008078A (ja) 三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法
US20240308138A1 (en) Material manipulation in additive manufacturing
KR102398928B1 (ko) 다면 스캐너를 이용한 적층 제조
JP6996310B2 (ja) 立体造形物の製造方法
JP2020007170A (ja) 粉末積層溶融法を用いた立体物の製造方法
Chen Ceramic powder-based hybrid binder jetting system
JP2023137267A (ja) 三次元造形装置、および三次元造形物の製造方法
US20240293865A1 (en) Powder, article, and method of manufacturing article

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20200206

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20200207

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230314

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230509

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230523

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230621

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7301634

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151