本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
被介護者に関する情報を取得する取得部と、取得部により取得された情報に基づいて、被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者を抽出する抽出部と、抽出部により抽出された対象者に関する情報を出力する出力部とを有することを特徴とする出力装置。
このような出力装置は、被介護者のうち、介護行為の検討対象となる対象者の抽出を行い、抽出された対象者に関する情報を出力することができる。例えば、出力装置は、被介護者の情報に基づいて、トイレで排泄が可能と推定される被介護者等、自立的な排泄行為が可能な被介護者を抽出し、抽出した被介護者の情報を介護者等に提供することができる。このような処理の結果、出力装置は、例えば、被介護者の自立的な排泄行為等といった行動を支援することができる結果、被介護者のQOLを向上させ、被介護者に対する適切な介護を促進することができる。
なお、自立的な排泄行為とは、トイレまで行き、排泄を行い、戻ってくるといった一連の行為において、全てを自立的に行うことができずとも、介助をうけることで、トイレで排泄を行う行為を含むものとする。例えば、トイレに行ってトイレに座るまで介助を受け、トイレで排泄を行った後で、介助を受けてトイレから自室やベッド等まで移動する行為も、自立的な排泄行為に含むものとする。
また、出力装置は、全ての被介護者ではなく、被介護者の中から介護行為の検討対象となる対象者を抽出し、抽出した対象者に関する情報を出力する。例えば、出力装置は、トイレで排泄が可能と推定される被介護者や、介護行為に改善の余地がある被介護者等、介護行為の検討対象となる対象者の情報を出力する。このため、出力装置は、優先的に介護行為の検討対象とすべき被介護者の見定めを容易にすることができるので、効率的な介護を促進することができる。
ここで、出力装置は、介護行為として、排泄に関する行為の検討対象となる対象者を抽出してもよい。
このような出力装置によれば、例えば、被介護者の情報に基づいて、トイレに誘導するタイミングや、排泄時における介助内容等の検討対象となる対象者を抽出するので、適切な排泄に関する介護行為を促進することができる。
また、出力装置は、被介護者に関する情報が所定の条件を満たすか否かに基づいて、被介護者のうち、排泄に関する行為を改善する余地がある被介護者を対象者として抽出する。
このような出力装置によれば、例えば、予め設定された条件に基づき、排泄に関する行為を改善可能な対象者を抽出することができるので、介護行為の検討対象とすべき被介護者を適切に抽出するとともに、被介護者に対する適切な介護を促進することができる。
また、出力装置は、被介護者に関する情報が所定の条件を満たすか否かに基づいて、被介護者のうち、被介護者に対する介護行為を改善する余地がある被介護者を対象者として抽出する。
このような出力装置によれば、例えば、予め設定された条件に基づき、トイレへの誘導といった各種の介助や吸収性物品の交換態様等といった介護に関する行為の改善可能な対象者となりえる被介護者を抽出することができるので、介護行為の検討対象とすべき被介護者を適切に抽出するとともに、被介護者に対する適切な介護を促進することができる。
また、出力装置は、対象者に関する情報として、対象者の排泄に関する行為を改善するための施策を示す情報を出力する。
このような出力装置によれば、例えば、排泄に関する行為の改善を容易にすることができるので、被介護者に対する適切な介護を促進することができる。
また、出力装置は、取得された情報に基づいて、対象者に対する介護行為を検討する優先度を決定し、対象者に関する情報を優先度に応じた順序で出力する。
このような出力装置によれば、例えば、どの被介護者から優先的に介護行為の検討を行えばよいかの指針を与えることができるので、被介護者に対する適切な介護の実現を容易にすることができる。
また、出力装置は、対象者に関する統計的な情報を出力する。
このような出力装置によれば、例えば、施設に所在する被介護者のうち、介護行為の検討を行うべき対象者の割合がどれくらいであるかといった大局的な情報を提供することができるので、例えば、経営的観点等、大局的な観点から適切な介護の実現を促進する情報を提供することができる。
また、出力装置は、対象者の時系列的な遷移を示す情報を出力する。
このような出力装置によれば、例えば、施策の実施に伴い、対象者がどれくらい減ったかといった情報を提供することができるので、改善度合いの理解を容易にすることができる。
また、出力装置は、対象者に関する情報として、対象者が利用する吸収性物品に関する情報を出力する。
このような出力装置によれば、例えば、対象者が利用する吸収性物品が適切であるかや、見直しを行うべきであるか否かといった判断の指針を提供することができるので、適切な介護の実現を促進することができる。
また、出力装置は、出力した情報に基づく施策が行われた後における被介護者に関する情報を新たに取得し、新たに取得された情報に基づいて、対象者を新たに抽出し、抽出部が過去に抽出した対象者に関する情報と、抽出部が新たに抽出した対象者に関する情報とを比較した情報を出力する。
このような出力装置によれば、例えば、施策の実施に伴う対象者の変動を示す情報を提供することができるので、改善度合いの理解を容易にすることができる。
また、出力装置は、複数の施設における被介護者に関する情報を取得し、施設ごとに、当該施設における被介護者のうち対象者を抽出し、施設ごとに当該施設における対象者に関する情報を出力するとともに、複数の施設における対象者の情報に基づいて比較された各施設の情報を出力する。
このような出力装置によれば、例えば、他の施設と比較した場合の対象者の情報を提供するので、介護行為の検討内容や検討の要否の指標を与えることができる結果、適切な介護の実現を促進することができる。
また、出力装置は、対象者に関する情報に基づいて、対象者の生活の質を示す指標値を算出する算出部を有し、対象者に関する情報として、対象者に関する情報に基づいて算出された指標値を出力する。
このような出力装置によれば、例えば、QOLが向上したか否かの指針を与えることができる結果、適切な介護の実現を促進することができる。
また、出力装置は、被介護者に関する情報として、被介護者の排泄に関する行為の履歴を取得する。
このような出力装置によれば、例えば、被介護者のうち排泄に関する介護行為の検討対象となる対象者を抽出することができるので、排泄に関する適切な介護を促進することができる。
また、出力装置は、被介護者に関する情報として、被介護者が利用する吸収性物品の利用態様に関する情報を取得する。
このような出力装置によれば、例えば、適切ではない吸収性物品を利用する被介護者を対象者として抽出することができるので、排泄に関する適切な介護を促進することができる。
また、出力装置は、被介護者に関する情報として、被介護者が可能な動作を示す情報を取得する。
このような出力装置によれば、例えば、排泄行為を補助している被介護者のうち、トイレで排泄行為を行えると推定される被介護者を対象者として抽出することができるので、被介護者のQOLを向上させ、適切な介護を促進することができる。
また、出力装置は、対象者のうち、出力部が出力した情報に基づく施策により排泄に関する行為が改善した対象者の情報を収集する収集部と、収集部が周集した対象者の情報の特徴をモデルに学習させる学習部とを有し、学習が行われたモデルを用いて、被介護者のうち対象者を抽出する。
このような出力装置によれば、例えば、排泄に関する介護行為について改善の余地がある被介護者を対象者として抽出することができるので、被介護者のQOLを向上させ、適切な介護を促進することができる。
また、出力装置は、被介護者に関する情報のうち、抽出部が抽出した対象者に関する情報に基づき、排泄ケアに関する所定の指標がそれぞれ評価された評価値を示すレーダーチャートを出力する。
このような出力装置によれば、例えば、施設に対して、排泄ケアに関する所定の指標のうちどの指標がどれだけ改善されてきているか、あるいは、どの指標がどれだけ悪化してしまったかを一目で把握させることができるため、効果的に介護業務を見直しさせることができる。
また、出力装置は、所定期間における対象者に関する情報に基づき所定の指標がそれぞれ評価された評価値を示すレーダーチャートと、所定期間よりも過去の所定期間における対象者に関する情報に基づき所定の指標がそれぞれ評価された評価値を示すレーダーチャートとを出力する。
このような出力装置によれば、施設に対して、排泄ケアに関する所定の指標について、過去と比較した場合の現在の改善状況、あるいは、現在の悪化状況一目で把握させることができるため、効果的に介護業務を見直しさせることができる。
また、出力装置は、対象者に関する情報として、対象者のうち、排泄行為に伴って行われる肌ケアを受けた対象者の人数に関する人数情報を出力する。
このような出力装置によれば、施設に対して、肌ケアの現在の実施状況を視覚化することができるため、施設に対して肌ケアに関する業務を効果的に見直しさせることができる。
また、出力装置は、対象者に関する情報として、対象者のうち、便の状態が所定の状態である対象者の人数に関する人数情報を出力する。
このような出力装置によれば、より多くの被介護者が自然な排便ができるような排便コントロールについて効果的に対策させることができる。
また、出力装置は、人数情報の時系列的な遷移を示す情報を出力する。
このような出力装置によれば、各から現在にかけて肌ケアの実施状況が改善されてきているか否かや、自然な排便を目指すための排便コントロールが行われてきているか否かを一目で把握させることができる。
また、出力装置は、被介護者に関する情報が取得された取得元の施設で利用されている製品が、所定の製造元の製品でない場合には、対象者に関する情報のうち、製品の製造元の違いに応じて変化し得る情報以外の情報を、施設における対象者に関する情報として出力する。
このような出力装置によれば、実施形態に係る提供システムを利用する利用者にとって不確かな情報を提供しないよう制御することができる。
以下に、出力装置、出力方法および出力プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により出力装置、出力方法および出力プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[実施形態]
〔1.提供システムの一例について〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る提供システムの一例について説明する。図1は、実施形態に係る提供システムの一例を示す図である。図1に示すように、提供システムは、出力装置の一例である情報提供装置10と、複数の端末装置101、102(以下、「端末装置100」と総称する場合がある)と、を有する。
なお、以下の説明では、被介護者のうち、トイレに誘導する、排泄を促す、おむつを交換する等といった自立排泄に向けた活動、すなわち、各種排泄に関する介護行為の改善を目的に提供システムが実行する処理の一例について説明するが、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、情報提供装置10は、介護行為を見直すことで、被介護者のQOLを向上させることができる被介護者を対象者として抽出するのであれば、任意の介護行為について、以下に説明する出力処理を適用してよい。
また、以下の説明において、主に被介護者の自立的な排泄行為(介助の有無を問わずトイレにて排泄を行う行為)を支援するための介護行為として、大きく排泄物(尿、便を含む)の漏れの低減、被介護者の夜間良眠の支援、トイレへの誘導の観点を主な介護行為として特定し、それらの介護行為の改善提案やレポートの出力について説明を行う。なお、それぞれの介護行為と自立的な排泄行為との関係性については以下の通りである。例えば、排泄物の漏れを低減させることで、被介護者の排泄物の汚れによる不快感の低減、介護者のシーツや衣服の交換による作業増加の低減により自立的な排泄行為を支援する介護活動の時間確保を実現することができる。また、被介護者の夜間の良眠(夜間まとまった時間の睡眠、一定のリズムでの入眠・起床等)を支援することで、被介護者の生活のリズム、すなわち排泄のリズムを整えることで、自立的な排泄行為の誘導などを行いやすくすることができる。さらには、被介護者は夜間の睡眠を十分に確保することで日中覚醒しやすくなり、離床を促進することができる。また、被介護者を適切にトイレへ誘導することにより、寝たきりでおむつ内に排泄をせずに、離床してトイレで排泄することができる。なお、離床を促進することで、被介護者の心身に変化(体を起こすことで残尿や床ずれ等を低減する、目線や視界が変わり様々な刺激を受けることで心的な変化を受ける等)を与えることができる。このように、不快感の低減や離床の促進により、被介護者のQOLを向上させることができる。
また、以下に説明する被介護者は、所定の施設で介護者による介護を受けている利用者であれば、任意の態様の介護を受ける利用者であってよい。例えば、被介護者は、施設に居住している利用者であってもよく、デイケア等、日帰りで介護を受ける利用者、若しくは、数日間や数週間等の一定期間のみ施設に住居している利用者であってもよい。
また、以下の説明では、被介護者が使用する吸収性物品として、おむつを利用する例について説明するが、実施形態は、これに限定されるものではなく、吸収性物品を含む消費財であってもよい。特に消費財である吸収性物品の一例として挙げられる、使い捨てのおむつや生理用品、失禁パッド等であってもよい。このような被介護者が使用するべき物品は、着用者の成長や体調、身体が可能な行為等、使用される状況によって異なる(例えば、被介護者の介護度(身体自由度等)に応じておむつの吸収量を変更したり、排泄量(夜に利用するか、昼に利用するか、体調等)に応じて物品のサイズや吸収量を変更したりする)。そのため、このような吸収性物品を含む消費財は、1つの製品を大量に購入しておくことは適切ではなく、また、一般的な衣服などと異なり、その利用者の状況に合わせた物品を定期的に購入する必要があるという特徴がある。
上記のような特徴を持つ消費財において、その消費財を購入する者は、常に、どのような製品をいつ購入すれば良いかを検討する必要がある。購入のタイミングを誤ると、使用しない消費財を大量に取置くこととなり、また使用者に合わないものを使用し続けると、例えば排泄物の漏れや肌のかぶれなどの使用者の不利益となる。したがって、その消費財を購入するものにとって、自身が購入している消費財に関する情報が提供されることは単なる広告と比して非常に有益である。このような各種の消費財について、実施形態に係る出力処理を実行することで、提供システムは、利用者に対して非常に有益な情報を提供することができる。
情報提供装置10は、出力処理を行う情報処理装置であり、例えば、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。例えば、情報提供装置10は、LTE(Long Term Evolution)や、LETの一種であるLET−Advancedを含む4G(Generation)、将来標準化が行われるであろう5G等といった各種の移動通信システム、Wifi(登録商標)若しくは無線LAN(Local Area Network)等といった各種の無線通信網若しくは各種の有線通信網といったネットワークN(例えば、図2参照)を介して、端末装置100との間で通信を行う。
端末装置100は、各種の利用者が利用する端末装置であり、PC(Personal Computer)、サーバ装置、スマートテレビジョン、スマートフォン若しくはタブレット等といったスマートデバイス等により実現され、ネットワークNを介して、情報提供装置10との間で通信を行うことができる携帯端末装置である。また、端末装置100は、液晶ディスプレイ等の画面であって、タッチパネルの機能を有する画面を有し、利用者から指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、情報提供装置10から配信されるコンテンツに対する各種の操作を受付け可能な機能を有していてもよい。
ここで、端末装置101は、1人または複数の介護者Pにより、複数の被介護者R1、R2(以下、「被介護者R」と総称する場合がある。)の介護が行われる施設#Aに設置された端末装置である。例えば、端末装置101は、介護者Pにより各種の情報が入力される端末装置である。なお、端末装置101は、センサや施設#A内外にある装置などから送信される各種情報(すなわち、センサ情報)の入力を受け付ける構成を有していてもよい。また、施設#Aには、任意の数の介護者Pや被介護者Rが所在していてもよい。また、施設#Aには、各種の経営判断を行うような責任者Oが所在しているものとする。
また、端末装置102は、施設#Aに対し、各種の提案を行う提案者Cが利用する端末装置である。例えば、提案者Cは、後述する出力処理により情報提供装置10が出力した情報に基づいた各種の提案を、介護者Pや責任者Oに提供する。なお、提案者Cは、例えば、施設#Aに対して吸収性物品を納入する業者に所属する利用者であってもよい。また、提案者Cは、施設#Aに所在する利用者であってもよい。このような場合、端末装置102は、施設#Aに設置された端末装置であってもよく、例えば、端末装置101と同一の装置であってもよい。
以下、提供システムが実行する出力処理の流れについて説明する。まず、介護者Pは、被介護者Rに関する情報である被介護者情報を収集する(ステップS1)。例えば、介護者Pは、被介護者情報として、被介護者に対してどのような介護に関する行為を行ったかを示す情報を被介護者情報として収集する。より具体的な例を挙げると、介護者Pは、各被介護者Rがいつトイレに行ったか、いつ介護者Pが被介護者Rをトイレへと誘導したか、トイレで排泄できたか否か、どれくらい排泄したか、トイレに行こう若しくは排泄しようという声掛けをいつ行ったかというように、被介護者Rの排泄に関する各種の介護行為を示す情報を被介護者情報として収集する。また、介護者Pは、被介護者が排泄を行いたい旨の発話等をいつ行ったかを被介護者情報として収集する。なお、介護者Pは、排泄を行いたい旨、トイレに行きたい旨、トイレに誘導してほしい旨等、被介護者Rの排泄行為を示唆する何かしらの発話や手話、ジェスチャー等を被介護者Rが行った日時等を示す情報を被介護者情報として収集してもよい。また、介護者Pは、各種の介護行為を誰が、何人の介護者Pにより、いつ行われたかといった情報を収集する。
なお、被介護者情報は、吸収性物品に関する情報であってもよい。例えば、被介護者情報は、おむつの製品名やサイズを示す情報であってもよい。また、被介護者情報は、尿漏れや便漏れに関する情報であってもよい。例えば、被介護者情報は、尿漏れや便漏れの有無、尿量、便量、便質、尿漏れや便漏れなどによって着衣を交換したか、シーツ等の寝具を交換したか等といった情報であってもよい。なお、このような各種の情報は、各施設が独自に記録している介護履歴等から特定されるものであってもよい。また、このような各種の被介護者情報は、各種のセンサによって検出され、各種のセンサが端末装置100へと送信することで収集されたものであってもよい。また、上述した排泄に関する各種の被介護者情報は、あくまで一例である。
また、被介護者情報は、被介護者Rの身体的な条件を示す情報であってもよい。例えば、被介護者情報は、被介護者Rの、身長、体重、力の強さ(所持可能な荷物)等を示す情報であってもよい。また、被介護者情報は、被介護者Rが可能な動作や、被介護者Rが可能な排泄に関する動作を示す情報であってもよい。例えば、被介護者情報は、歩行可能か否か、1人でトイレに座れるか否か、1人で排泄可能か否か、介助があれば立てるか否か、寝たきりであるか否かといた情報であってもよい。また、介護者情報は、被介護者Rの手や足を動かすことができる範囲等の情報であってもよい。これら以外にも、介護者Pは、介護行為に関する任意の情報を被介護者情報として収集してよい。
続いて、介護者Pは、収集した被介護者情報を端末装置101に登録する(ステップS2)。例えば、介護者Pは、収集した被介護者情報を、介護に関する各種の記録として、端末装置101に登録する。このような場合、情報提供装置10は、端末装置101から、被介護者情報を取得する(ステップS3)。なお、情報提供装置10は、被介護者情報の全てを取得してもよく、後述するように、対象者の抽出や施策の提案に用いる情報のみを取得してもよい。
また、被介護者情報がセンサ等によって検出や測定される情報である場合、ステップS1〜ステップS2における被介護者情報の収集及び被介護者情報の端末装置101への入力は、例えば、センサが検出や測定した被介護者情報を端末装置101に入力するようにしてもよい。また、センサが被介護者情報を検出・測定してもよいし、センサが検出や測定したデータを、端末装置101が被介護者情報に加工したりデータに基づいて被介護者情報を生成したりしてもよい。
例えば、センサ等を用いてトイレへの移動や誘導を検出する場合、施設#Aのトイレの入り口には、各種の無線タグリーダといったセンサが設置される。このようなセンサが被介護者Rや介護者Pを検出することで、介護者Pが被介護者Rをトイレに誘導したといった被介護者情報を測定してもよい。同様に、各種のセンシング技術を用いて、各種センサが検出した情報(例えば、吸収性物品の交換や漏れの発生等)を検出し、検出結果を端末装置101が収集することで、各種の被介護者情報を取得してもよい。
そして、情報提供装置10は、被介護者Rのうち、排泄行為の改善に関する条件を被介護者情報が満たす対象者を抽出する(ステップS4)。すなわち、情報提供装置10は、被介護者情報に基づいて、排泄に関する介護行為に改善の余地がある被介護者Rを対象者として抽出する。例えば、情報提供装置10は、被介護者情報に基づいて、対象者に対して行われている介護行為と、被介護者が可能な行為との乖離が大きいと推定される被介護者Rを特定する。より具体的な例を挙げると、情報提供装置10は、トイレで排泄が可能な被介護者Rのうち、トイレでの排泄の成功率が低い被介護者Rや、おむつでの排泄が多い被介護者Rを特定する。
このような利用者は、トイレで排泄ができるにも関わらず、現在の介護行為ではトイレでの排泄に課題があると考えられる。例えば、就寝時間前等といった所定の時間にトイレに誘導したものの、被介護者Rに排泄の意図が無い場合、トイレでの排泄が行われず、結果として、就寝中におむつでの排泄を行ってしまっている可能性がある。このような被介護者Rに対し、適切な介護行為を実施することで、不要なトイレへの移動やおむつへの排泄を減らし生活の質が改善すると考えられる。そこで、情報提供装置10は、このように、トイレでの排泄を実現するための適切な介護行為と、提供されている介護行為とに齟齬がある被介護者Rを対象者として抽出する。
また、例えば、情報提供装置10は、就寝前の排泄から就寝までの時間が所定の閾値を超えている、あるいは、就寝時間中に起きてしまったり漏れが生じてしまっている被介護者Rを対象者として選択してもよい。このような被介護者Rは、就寝直前に排泄を促すことで、就寝中の排泄の頻度を減らし、就寝中に排泄のために起きたり就寝中の排泄による漏れを防ぐことができ、安眠を実現することができる可能性がある。そこで、情報提供装置10は、被介護者情報が就寝前の排泄から就寝までの時間が所定の閾値を超え、かつ、就寝時間中に起きてしまったり漏れが生じた旨を示す被介護者Rを対象者として選択する。
なお、これら対象者の抽出は、被介護者情報が所定の条件を満たすか否かにより実現可能である。例えば、情報提供装置10は、被介護者情報が示す情報のうち、被介護者Rが可能な行為あるいは被介護者Rの行動と、被介護者Rに対して行われている介護行為とが、予め定められた所定の条件を満たすか否かの判定結果から、自力で可能な排泄の行為と、提供されている介護行為とに齟齬がある被介護者R、すなわち、介護行為に検討の余地がある被介護者Rを対象者として抽出すればよい。
また、上述した条件を満たす被介護者R以外にも、被介護者RのQOLを向上させるという観点から、介護行為に検討の余地があると推定される被介護者Rを抽出するのであれば、情報提供装置10は、任意の内容の条件を満たす対象者の抽出を行ってよい。すなわち、情報提供装置10は、被介護者Rに関する情報が所定の条件を満たすか否かに基づいて、被介護者Rのうち、排泄に関する行為(例えば、トイレで排泄をしているか等)を改善する余地がある被介護者や、介護者に対する介護行為(例えば、トイレでの排泄の誘導回数)を改善する余地がある被介護者を、介護行為の検討対象として抽出するのであれば、任意の条件に基づいて、対象者の抽出を行ってよい。
続いて、情報提供装置10は、対象者の排泄行為を改善するための改善策を決定する(ステップS5)。より具体的には、情報提供装置10は、対象者の被介護者情報に基づいて、対象者に対してどのような介護行為を行えば、対象者の排泄行為を改善することができるかを示す改善策を決定する。例えば、情報提供装置10は、被介護者情報が所定の条件を満たすか否かに基づいて、対象者の排泄行為を改善するための改善策を決定する。例えば、情報提供装置10は、被介護者Rが可能な行為と、被介護者Rに対して行われている介護行為とに対して、予め紐付られた改善策を特定してもよい。また、情報提供装置10は、被介護者Rが可能な行為に予め紐付られた改善策を特定してもよい。
そして、情報提供装置10は、対象者と改善策とを端末装置102に出力する(ステップS6)。すなわち、情報提供装置10は、対象者に関する情報を出力する。例えば、情報提供装置10は、対象者がどの被介護者Rであるか、対象者の排泄行為を改善するための改善策等を示す各種のレポートを出力する。
この結果、例えば、提案者Cは、対象者の排泄行為の改善を促進するための情報を施設#Aに提供することができる。例えば、提案者Cは、実際に被介護者Rの介護を行っている介護者Pに対し、具体的な対象者と改善策との提案を行うことができる(ステップS7)。
一方、責任者Oにとっては、介護行為の改善対象となる具体的な対象者の情報等よりも、施設に所在する被介護者Rのうち、介護行為の改善対象となる対象者の割合等、対象者に関する統計的な情報が有用であると考えられる。そこで、提案者Cは、対象者に対する統計的な情報を責任者Oに提供してもよい(ステップS8)。例えば、情報提供装置10は、対象者に対する統計的な情報を各種レポートとして出力する。そして、提案者Cは、このようなレポートを責任者Oに提供してもよい。このような処理の結果、情報提供装置10は、大局的な介護行為の改善と、局所的な介護行為の改善とを実現する結果、より適切な介護行為の促進を図ることができる。
〔2.機能構成の一例について〕
以下、上述した出力処理を実現するための機能構成の一例について説明する。なお、以下の説明では、情報提供装置10が有する機能構成の概要について説明し、その後、情報提供装置10が有する機能構成が発揮する処理の一例について説明する。
〔2−1.端末装置100が有する機能構成の概要について〕
図2は、実施形態に係る端末装置が有する機能構成の一例を示す図である。図2に示すように、情報提供装置10は、通信部20、記憶部30、および制御部40を有する。
通信部20は、ネットワークNと有線または無線で接続され、端末装置100との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部20は、通信用の回路等によって実現される。
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、出力処理を実行させるための各種データが登録される。例えば、図2に示す例では、記憶部30には、施設データベース31、被介護者データベース32、条件データベース33、およびモデルデータベース34(以下、「各データベース31〜34」と総称する場合がある。)が登録されている。
以下、図3〜図5を用いて、各データベース31〜34に登録される情報の一例について説明する。
施設データベース31には、各施設に関する情報が登録される。ここで、施設とは、介護者が被介護者の介護を行う各種の施設であり、例えば、老人ホーム等である。例えば、図3は、実施形態に係る施設データベースに登録される情報の一例を示す図である。図3に示すように、施設データベース31には、施設ID(Identifier)、施設情報、端末情報およびレポート履歴といった項目を有する情報が登録される。なお、図3に示す情報以外にも、施設データベース31には、施設に関する各種の情報が登録されていてよい。
ここで、「施設ID」とは、施設を識別するための識別子である。また、「施設情報」とは、施設に関する情報であり、例えば、施設の名称、所在地、法的な施設の種別、介護可能な被介護者の数、介護者の数等といった情報である。また、「端末情報」とは、施設に設置された端末装置100を識別するための情報であり、例えば、端末装置100との通信を行う際に用いる情報(各種のアドレス情報)等である。また、「レポート履歴」とは、施設に対して提供された各種レポートの履歴である。
例えば、図3に示す例では、施設ID「A1」、施設情報「施設情報#A1」、端末情報「端末情報#A1」、レポート履歴「履歴#A1」といった情報が対応付けて登録されている。このような情報は、施設ID「A1」が示す施設に関する施設情報が「施設情報#A1」であり、端末情報「端末情報#A1」が示す端末装置100が設置されている旨を示す。また、このような情報は、施設ID「A1」が示す施設に対して提供された各種レポートの履歴が「履歴#A1」である旨を示す。
なお、図3に示す例では、「施設情報#A1」、「端末情報#A1」、および「履歴#A1」といった概念的な値を記載したが、実際には、施設データベース31には、施設の名称や住所等といった施設情報を示す数値や文字列、端末装置100を識別するための各種アドレス、提供したレポートのデータ等が登録されることとなる。
被介護者データベース32には、被介護者に関する情報、すなわち、被介護者情報が登録される。例えば、図4は、実施形態に係る被介護者データベースに登録される情報の一例を示す図である。図4に示すように、被介護者データベース32には、被介護者ID、施設ID、本人情報および被介護者情報とが対応付けて登録されている。なお、被介護者データベース32には、図4に示す情報以外にも、被介護者に関する任意の情報が登録されていてよい。
「被介護者ID」とは、被介護者Rを識別するための識別子である。また、「施設ID」は、対応付けられた「被介護者ID」が示す被介護者Rが介護を受けている施設を示す施設IDである。また、「本人情報」とは、被介護者Rに関する各種の情報であり、例えば、被介護者Rの指名、部屋番号、年齢、性別、身長、体重、要介護度といった情報である。
また、「被介護者情報」とは、介護者やセンサ等によって収集された各種の情報であって、被介護者に対する介護に関する各種の情報である。例えば、被介護者データベース32には、「被介護者情報」として、「動作情報」、「介護態様情報」、「行動情報」、「排泄行為情報」、および「利用態様情報」といった項目を有する情報が登録される。なお、図4に示す情報以外にも、被介護者データベース32には、被介護者の介護に関連する各種の情報が被介護者情報として登録されていてよい。
ここで「動作情報」とは、被介護者が可能な動作を示す情報であり、例えば、被介護者が可能なADL(activities of daily living:日常生活動作)を示す情報である。より具体的な例を挙げると、「動作情報」には、排泄に関する行為を行えるか否かを示す情報が含まれる。また、「介護態様情報」とは、介護者がどのような介護を行っているかを示す情報であり、例えば、被介護者に対して行われる排泄に関する介護行為(排泄ケア)を示す情報が含まれてもよい。また、「行動情報」とは、被介護者の行動を示す情報であり、例えば、いつ起床したか、いつ就寝したか、いつ食事をおこなったかといった情報が含まれる。
また、「排泄行為情報」とは、被介護者が行った排泄行為に関する情報であり、例えば、いつ排尿や排便をおこなったか、トイレに行った際に排泄が成功したか否かといった排泄に関する各種の情報が含まれる。また、「利用態様情報」とは、利用者が利用しているおむつの種別やサイズ、尿漏や便漏れが発生したかいなか、いつおむつを利用したか、着衣やシーツの交換をおこなったか否かといった情報が含まれていてよい。
例えば、図4に示す例では、被介護者データベース32には、被介護者ID「R1」、施設ID「A1」、本人情報「本人情報#R1」、動作情報「動作情報#R1」、介護態様情報「介護態様#R1」、行動情報「行動情報#R1」、排泄行為情報「排泄行為情報#R1」、および利用態様情報「利用態様情報#R1」といった情報が登録される。このような情報は、被介護者ID「R1」が示す被介護者Rが、施設ID「A1」が示す施設で介護を受けており、氏名等の各種本人情報が「本人情報#R1」である旨を示す。また、このような情報は、被介護者ID「R1」が示す被介護者Rが、動作情報「動作情報#R1」が示す動作を行うことが可能であり、介護態様情報「介護態様#R1」が示す態様の介護をうけている旨を示す。また、このような情報は、被介護者ID「R1」が示す被介護者Rが、行動情報「行動情報#R1」が示す行動を行うとともに、排泄に関する行動として、排泄行為情報「排泄行為情報#R1」が示す行動を行った旨を示す。また、このような情報は、被介護者ID「R1」が示す被介護者Rが、利用態様情報「利用態様情報#R1」が示す利用態様でおむつ等の吸収性物品を利用した旨を示す。
なお、図4に示す例では、「本人情報#R1」、「動作情報#R1」、「介護態様#R1」、「行動情報#R1」、「排泄行為情報#R1」、「利用態様情報#R1」といった概念的な値を記載したが、実際には、各種上述した情報を示す数値や文字列等といった各種のデータが登録されることとなる。
条件データベース33には、被介護者Rのうち対象者を抽出するための条件、すなわち、被介護者Rを介護行為の検討対象とするか否かを示す条件が登録される。換言すると、条件データベース33には、被介護者Rを排便に関する介護行為の改善対象とするか否かを示す情報が登録される。
例えば、図5は、条件データベースに登録される情報の一例を示す図である。図5に示すように、条件データベース33には、条件ID、条件内容、改善スコア、および提案情報といった項目を有する情報が登録される。なお、図5に示す情報以外にも、条件データベース33には、各種の情報が登録されていてよい。
ここで、「条件ID」とは、条件を識別するための識別子である。また、「条件内容」とは、介護行為の検討対象とする被介護者Rの被介護者情報が満たす条件を示す情報である。また、「改善スコア」とは、対応付けられた「条件内容」が示す条件を被介護者情報が満たした場合に、どれくらい優先的に被介護者に対する介護行為を改善するかの指標となる数値である。換言すると、「改善スコア」とは、対象者に対する介護行為を改善する際の優先度を示す情報である。また、「提案情報」とは、対応付けられた「条件内容」が示す条件を満たす被介護者に対する介護行為の改善を提案するためのメッセージである。
例えば、図5に示す例では、条件データベース33には、条件ID「条件#1」、条件内容「尿漏れ回数>A かつ 排泄から就寝までの時間>B」、改善スコア「10」、提案情報「提案情報#1(就寝前の排泄)」といった情報が対応付けて登録されている。このような情報は、ある被介護者Rの被介護者情報が、被介護者の尿漏れ回数が閾値Aを超え、かつ、排泄から就寝までの時間が閾値Bを超える場合に、その被介護者Rを対象者とする旨を示す。また、このような情報は、対象者に対する介護行為の改善を行う優先度が「10」であり、このような対象者の介護について「提案情報#1」が示す情報、例えば、就寝予定時間の所定時間前に排泄を行わせるようにするといった提案を示す旨を示す。
なお、図5に示す例では、条件内容として、具体的な条件の一例について記載したが、実際には、各介護者情報と対応する閾値の情報等が各種の数式として登録されることとなる。また、図5に示す例では「提案情報#1」というように、概念的な値を記載したが、実際には、対応付けられた条件を満たす対象者の介護を行う介護者Pに対して提案される各種のメッセージ等が登録される。また、条件内容には、任意の条件が採用可能である。例えば、条件内容には、「尿漏れ回数>A」もしくは「排泄から就寝までの時間>B」のいずれか一方、若しくは、両方の論理和を示す条件が採用されていてもよい。
モデルデータベース34には、後述する学習処理によって学習が行われるモデルのデータが登録される。ここで、モデルとは、ある入力データが入力された際に、その入力データと対応する出力データを出力するように、各種のパラメータが制御された数式や各種のモデルである。例えば、このようなモデルは、重回帰分析で学習がおこなわれた数式の係数、SVM(Support Vector Machine)、DNN(Deep Neural Network)等といった各種のモデルにより実現可能である。なお、モデルデータベース34には、モデルの各種パラメータが登録されるものとして、登録される情報の詳細な図示については、省略する。
図2に戻り、説明を続ける。制御部40は、例えば、各種の処理を実行するための演算処理装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、所定の記憶装置(例えば、記憶部30)に記憶されている各種プログラム(出力プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部80は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
図2に示す例では、制御部40は、取得部41、抽出部42、算出部43、特定部44、出力部45、収集部46、および学習部47を有し、以下に説明する取得処理、出力処理および学習処理を実行する。
〔2−2.取得処理について〕
まず、図6を用いて、取得処理の流れの一例について説明する。図6は、実施形態に係る情報提供装置が実行する取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。例えば、取得部41は、端末装置100から被介護者情報の登録要求を受付けたか否かを判定する(ステップS101)。そして、取得部41は、登録要求を受付けていない場合は(ステップS101:No)、受付けるまで待機する。そして、取得部41は、登録要求を受付けた場合は(ステップS101:Yes)、端末装置から被介護者に関する情報である被介護者情報を取得し、取得した被介護者情報をデータベースに登録して(ステップS102)、処理を終了する。
〔2−3.出力処理について〕
続いて、図7を用いて、出力処理の流れの一例について説明する。図7は、実施形態に係る情報提供装置が実行する出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず抽出部42は、所定の処理タイミングであるか否かを判定する(ステップS201)。そして、抽出部42は、所定の処理タイミングではない場合は(ステップS201:No)、所定の処理タイミングまで待機する。なお、所定の処理タイミングとは、例えば、施設や提案者Cからの依頼があった場合や、新たな被介護者情報が登録された場合、所定の時間間隔等、任意の処理タイミングが採用可能である。
そして、抽出部42は、所定の処理タイミングとなった場合は(ステップS201:Yes)、処理対象となる施設を選択する(ステップS202)。例えば、抽出部42は、各種レポートや提案の依頼元となる施設や、提案者Cが指定した施設、最新の各種レポート等を作成していない施設等を処理対象として選択する。
続いて、抽出部42は、選択した施設に所在する被介護者の被介護者情報を特定する(ステップS203)。例えば、抽出部42は、被介護者データベース32を参照し、選択した施設の施設IDが紐付られた被介護者の被介護者情報を特定する。そして、抽出部42は、被介護者情報が所定の条件を満たす被介護者を対象者として抽出する(ステップS204)。
例えば、抽出部42は、特定した被介護者情報のうち、条件データベース33に登録された条件を満たす被介護者情報を特定し、特定した被介護者情報と対応する被介護者IDを対象者の被介護者IDとして特定する。より具体的な例を挙げると、抽出部42は、被介護者情報からトイレで排泄が可能であると推定されるが、トイレでの排泄が極端に少ない被介護者(例えば、トイレでの排泄回数が所定の閾値を下回る被介護者や、トイレでの排泄成功割合が所定の閾値を下回る被介護者等)や、排泄から就寝までの期間や、排泄した日時から就寝までの期間が所定の閾値を超えるが、就寝中に排泄のために起きてしまったり、おむつに排泄したり、着衣やシーツに漏れが生じていする被介護者を対象者として特定する。
このように、抽出部42は、被介護者情報が、被介護者に対する介護に関する行為を改善するための所定の条件を満たす被介護者を抽出する。より具体的には、被介護者情報が、被介護者の排泄に関する行為を改善するための所定の条件を満たす被介護者を抽出する。このような処理の結果、抽出部42は、被介護者が可能な行動と介護行為との間に齟齬がある被介護者や、介護行為の改善の余地がある被介護者等、介護行為に検討の余地がある被介護者を対象者として特定する。より具体的には、抽出部42は、介護行為として、排泄に関する行為の検討対象となる対象者を抽出する。
算出部43は、優先度を算出する(ステップS205)。より具体的には、算出部43は、各対象者の情報を介護者P等に提供する優先度を算出する。例えば、算出部43は、対象者の被介護者情報が満たした条件と対応付けられた改善スコアの値を特定し、特定した改善スコアの値の合計を優先度とする。
特定部44は、対象者に対する介護行為を改善するための施策案を特定する(ステップS206)。例えば、特定部44は、対象者の被介護者情報が満たした条件と対応付けられた提案情報を施策案として特定する。
出力部45は、対象者に関する情報を示す各種レポートを生成し(ステップS207)、生成したレポートを端末装置100に対して出力する(ステップS208)。例えば、出力部45は、被介護者情報に基づいた優先度であって、対象者に関する情報であるレポートや対象者に対して行われた介護行為を示すためのレポート、対象者に対する介護行為を検討する優先度に応じた順序で各対象者の情報を並べたレポートを生成して出力する。また、出力部45は、責任者Oに提供するレポートとして、対象者に関する統計的な情報を示す統計レポートを生成して出力する。
ここで、出力部45は、対象者の時系列的な遷移を示す統計レポートを生成してもよい。また、出力部45は、対象者に関する情報として、対象者の排泄に関する行為を改善するための施策を示す情報、すなわち、特定部44が特定した施策案を含むレポートを生成してもよい。
〔2−4.出力される情報の一例について〕
以下、図8〜図11を用いて、出力部45が生成して出力する各種の情報の一例について説明する。図8は、実施形態に係る情報提供装置が生成するレポートの一例を示す第1の図である。また、図9は、実施形態に係る情報提供装置が生成するレポートの一例を示す第2の図である。また、図10は、実施形態に係る情報提供装置が生成するレポートの一例を示す第3の図である。また、図11は、実施形態に係る情報提供装置が生成するレポートの一例を示す第4の図である。
まず、図8を用いて、出力部45が生成して出力する統計レポートSRの一例を説明する。なお、図8では、施設#Aにおける対象者が抽出された際に出力部45が生成する統計レポートSRの一例を示した。図8に示すように、出力部45は、施設ごとに、施設に所属する被介護者のうち対象者となった被介護者に関する統計的な情報を特定し、特定した情報を配置した統計レポートSRを生成する。より具体的には、出力部45は、被介護者の排泄に関する行動について、対象者とそれ以外の被介護者との割合を示す情報を統計情報として生成し、生成した統計情報を配置した統計レポートSRを生成する。
例えば、図8に示す例では、出力部48は、施設#Aにおける各被介護者のトイレでの排泄に関する行動を特定する。例えば、出力部48は、被介護者データベース32を参照し、施設#Aにおける被介護者のうち、トイレでの排泄が適切に行われている被介護者(例えば、図8において「適切」で示される被介護者)、トイレでの排泄の介護に検討の余地がある被介護者(例えば、図8において「課題あり」で示される被介護者)、およびトイレでの排泄ができない被介護者(例えば、図8において「トイレ利用対象外」で示される被介護者)をそれぞれ特定する。そして、出力部48は、特定した各被介護者の割合を示す棒グラフを生成する。また、出力部48は、被介護者情報の履歴に基づいて、複数の期間(例えば、1週間ごとや1月ごと)ごとに、各被介護者の割合を示す棒グラフを生成する。そして、出力部48は、各棒グラフを並べた統計情報SR1を生成する。
また、出力部48は、施設#Aのレポート履歴等から、トイレでの排泄に関する介護行為の対象者として特定した対象者の情報を取得する。例えば、出力部48は、トイレでの排泄の介護に検討の余地がある被介護者のうち、改善の優先度が所定の閾値を超える被介護者を「優先者」として特定し、介護に検討の余地がある被介護者のうち、改善の優先度が所定の閾値以下となる被介護者を「非優先者」として特定する。そして、出力部48は、優先者と非優先者との数や割合を示す棒グラフを並べた統計情報SR2を生成する。例えば、出力部48は、優先者に対する対応を行った結果、介護に検討の余地がある被介護者の数が徐々に少なくなった場合は、図8に示すように、優先者の割合が徐々に少なくなるにつれ、介護に検討の余地がある被介護者の数が徐々に少なくなるといった状態を示す統計情報SR2を生成する。そして、出力部48は、統計情報SR1、SR2を並べた統計レポートSRを生成する。
なお、出力部48は、トイレでの排泄に関する行為以外にも、各種の行為に関する各被対象者の数や対象者の割合を示す統計レポートを生成してもよく、被対象者の数や対象者の割合の遷移を示す統計レポートを生成してもよい。また、出力部48は、各行動について、各被対象者の割合を示す統計レポートを生成してもよい。
続いて、図9を用いて、出力部45が生成して出力するレポートCRの一例を説明する。なお、図9では、施設#Aにおける対象者の情報を優先度順に並べたレポートCRの一例を示した。例えば、出力部45は、図9に示すように、漏れに関する介護行為の検討対象となる対象者のリストを、漏れ改善対象者リストCR1として生成する。
例えば、出力部45は、尿漏れや便漏れの回数が所定の条件を満たすとして抽出された対象者の優先度を特定する。そして、出力部45は、特定した対象者の情報を、優先度の順で並べた優先順位リストCR3を生成する。例えば、出力部45は、各対象者の各期間における尿漏れ回数や便漏れ回数を並べた優先順位リストCR3を生成する。また、出力部45は、これらの対象者が満たした条件と紐付られた提案情報CR2を取得する。そして、出力部45は、提案情報CR2と優先順位リストCR3とを並べた漏れ改善対象者リストCR1を生成する。
また、例えば、出力部45は、図9に示すように、トイレでの排泄に関する介護行為の検討対象となる対象者のリストを、排泄リストCR4として生成する。例えば、出力部45は、介助があれば歩くことができるが、おむつを利用しているとして抽出された対象者の情報を優先度順に並べた優先順位リストCR6を生成する。また、例えば、出力部45は、介助があればトイレ等に座ることができるが、おむつを利用しているとして抽出された対象者の情報を優先度順に並べた優先順位リストCR7を生成する。また、出力部45は、これらの条件と紐付られた提案情報CR5を取得し、提案情報CR5や優先順位リストCR6、CR7を並べた排泄リストCR4を生成する。
なお、このような情報以外にも出力部45は、対象者に関する任意の情報を配置したレポートCRを生成してよい。例えば、出力部45は、上述した条件を満たす対象者以外にも、例えば、排泄のために就寝中に起きてしまっている対象者のリスト等をレポートCRに含めてもよい。これら以外にも、出力部45は、介護行為の検討対象となる対象者を示す情報であれば、任意の対象者の情報をレポートCRに含めて提供して良い。
続いて、図10を用いて、出力部45が生成して出力するレポートPCRの一例を説明する。なお、図10では、対象者として選択されたある被介護者に関する各種の情報を配置したレポートPCRの一例を示した。例えば、出力部45は、被介護者R1の指名や部屋番号、介助ありで歩行できるか等といったADL、トイレ誘導を拒否したか等といった本人情報を配置するとともに、被介護者R1のおむつの利用態様を示すレポートPCRを生成する。例えば、出力部45は、被介護者R1が使ったおむつの利用日時や、被介護者R1が使ったおむつの製品情報を示すレポートPCRを生成する。また、出力部45は、被介護者R1が所定の就寝時間内(例えば、午後10時から午前4時)までの間にトイレのために起床しなかった回数である良眠回数、トイレで排泄した回数、尿漏れや便漏れの回数等の時系列的な変化を示すレポートPCRを生成する。
続いて、図11を用いて、出力部45が生成して出力するレポートPCCの一例を説明する。なお、図11では、対象者として選択されたある被介護者に対する介護行為の履歴を示すレポートPCCの一例を示した。例えば、出力部45は、被介護者R1の被介護者情報に基づいて、被介護者R1日してケアを行った場所(例えば、排泄を行った場所)、排尿や排便の有無、尿意の有無、若しくは尿や便の漏れの有無等を各時間ごとに示すレポートPCCを生成する。例えば、出力部45は、図11に示すように、各曜日における各時間において、トイレやベッド等排泄に関するケアを行った場所、すなわち、排泄に関する介護行為を行った場所や排尿の有無等を示すレポートPCCを生成する。なお、このレポートPCCに、介護行為の改善の提案(トイレ誘導時間を見直しましょう、深夜交換を見直しましょう等)を含むようにしてもよい。また、このようなレポートPCCのうち、改善対象となる介護行為を強調表示してもよく、改善結果として提案される介護行為の内容や時間帯等を表示してもよい。このような構成とすることで、介護者はレポートPCCを確認するだけで、被介護者の記録と改善ポイントを把握することができる。
このような各種の情報を出力する結果、情報提供装置10は、施設#Aの責任者Oや介護者Pに対し、どの被介護者に対するどのような介護行為について、優先的に検討すべきかを認識させることができる。また、情報提供装置10は、各種の情報を出力することで、被介護者に対する介護行為を改善する結果、被介護者のQOLを改善し、適切な介護を促進することができる。
〔2−5.出力される情報のその他の一例について〕
上記実施形態では、情報提供装置10(出力部45)が、統計レポートSR、レポートCR、レポートPCR、レポートPCCを生成し出力する例を示した。しかしながら、情報提供装置10は、これらのレポート以外にもケア(排泄ケア)に関する各種情報が示されるレポートを生成し出力してもよい。例えば、情報提供装置10は、施設に所在する被介護者の被介護者情報に基づいて、当該施設における排泄ケアに関する統計情報が示されるレポートを生成し、生成したレポートを出力してもよい。この点について、図12〜図14を用いて説明する。
〔2−5−1.肌ケアに関する情報出力〕
まず、被介護者の排泄行為に伴って被介護者の肌ケアを行うことは非常に重要である。このような肌ケアとしては、排泄行為後の陰部洗浄、軟膏塗布などが挙げられる。例えば、排泄行為により肌に付着した尿や便が拭き取れておらず、不衛生な環境が持続された場合、肌のかぶれにつながるため、定期的に陰部洗浄を行い肌を清潔な状態に保っておくことが重要である。また、被介護者が肌のかぶれを起こしてしまった場合には、これ以上かぶれが悪化しないよう、定期的に軟膏を塗布するといった処置を行うことが重要である。
しかしながら、施設では、業務量多さや介護者の人員数の少なさ等の理由から、適切な肌ケアを実現することが難しい場合がある。また、肌ケアを行ったことが介護記録として記録されていたとしても、その結果が活用されているとはいい難い。したがって、被介護者に対する肌ケアの現在の実施状況を、例えば、施設の職員に向けて視覚化することは、肌ケアの見直しに効果的であると考えられる。このようなことから、出力部45は、対象者に関する情報として、排泄行為に伴って行われる肌ケア(例えば、陰部洗浄、軟膏塗布など)を受けた対象者の人数に関する人数情報を出力する。例えば、出力部45は、係る人数情報の時系列的な遷移を示す情報を出力する。例えば、出力部45は、これまでの各月での肌ケアの実施状況が月別の統計グラフとして一覧表示されるレポートを生成し、生成したレポートを処理対象の施設に対応する端末装置100に出力する。
ここで、図12を用いて、出力部45が生成して出力する肌ケア人数に関する統計レポートC3の一例を説明する。図12は、肌ケア人数に関する統計レポートC3の一例を示す図である。なお、図12の例では、施設#Aに所在する被介護者を対象に出力部45が生成する統計レポートC3の一例を示した。また、図12の例では、陰部洗浄を肌ケアの一例として取り上げている。すなわち、施設#Aは、被介護者ごとに、当該被介護者に対して実施した陰部洗浄に関する情報を日ごとの介護記録(肌ケア記録)として記録している。
このような状態において、出力部45は、被介護者データベース32を参照し、施設#Aに対応する被介護者情報のうち、陰部洗浄に関する情報が示される介護記録を抽出する。例えば、出力部45は、このような介護記録として、7ヶ月前までの各月の介護記録、および、1年前の月(現在が2月であれば前年2月)での介護記録を抽出する。
そして、出力部45は、月ごとに、当該月に対応する介護記録に基づいて、施設#Aに所在する被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合を算出する。前月を例に挙げると、出力部45は、前月1ヶ月の間に1日1回以上の陰部洗浄を受けた被介護者をカウントし、このカウント結果を陰部洗浄が実施された被介護者の人数として定める。そして、出力部45は、施設#Aに所在する被介護者の人数に対する、前月において陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合を算出する。
また、出力部45は、前月以外の全ての月においても、同様の処理を行うことで、7ヶ月前までの各月および1年前の月それぞれでの陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合を算出する。
そして、出力部45は、月ごとに、当該月での施設#Aに所在する被介護者の人数、および、当該月において陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合が一覧表示される一覧テーブルTB31を生成する。また、例えば、出力部45は、陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合を示す棒グラフ(排泄行為に伴って行われる肌ケアを受けた対象者の人数に関する人数情報)を月ごとに生成し、生成した棒グラフを並べた統計情報IF32を生成する。
また、出力部45は、上記のようにして生成したテーブルTB31と、統計情報IF32とが一覧表示されるコンテンツを、肌ケア人数に関する統計レポートC3として端末装置100に出力する。図12の例では、出力部45は、前月における施設#Aの介護記録から、前月における施設#Aに所在する被介護者の人数(対象者人数)として「85」、前月において陰部洗浄が実施された被介護者の人数(陰部洗浄実施者人数)として「28」を特定したことにより、前月において陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合「33」を算出している。また、出力部45は、このような算出結果が示されるテーブルTB31および統計情報IF32を生成している。
このように、実施形態に係る情報提供装置10は、各月での肌ケアの実施状況が月別の統計グラフとして一覧表示されるレポートを出力する。これにより、情報提供装置10は、施設に対して、肌ケアの現在の実施状況を視覚化することができる。この結果、情報提供装置10は、施設に対して肌ケアの見直しのきっかけを与えることができるため、適切な肌ケアにより被介護者の病気への罹患を効果的に防止することができる。
ここで、被介護者は、排泄の観点から、トイレにおいて自立的な排泄行為が可能な被介護者、トイレで排泄が可能と推定されるがトイレでの排泄の成功率が低かったりおむつでの排泄が多い被介護者(排泄に関する介護行為に改善の余地がある被介護者)、トイレでの排泄ができない被介護者、といった3つのパターンに大別される。しかしながら、いずれのパターンに属する被介護者も、その多くは身体に不自由があることから、自身で排泄物を適切に拭き取ることができないことが多い。したがって、全ての被介護者が、定期的な陰部洗浄(例えば、1日1回以上の陰部洗浄)を受けることが望ましい。
このようなことから、出力部45は、上記説明した通り、施設に所在している被介護者の全体数に対する、陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合を算出している。一方で、出力部45は、排泄に関する介護行為に改善の余地がある被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合を算出してもよい。
また、出力部45は、統計情報IF32が所定の条件を満たすか否かに基づいて、肌ケアに関する施策を示す施策情報をコメントとしてさらに出力してもよい。例えば、出力部45は、陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合が所定割合を下回る月が、所定月数より多く存在すると判定される場合には、「スキントラブルを抑制する為に、1日1回+便時の陰部洗浄を目指しましょう」といった施策コメントをさらに出力してもよい。図12の例では、出力部45は、統計情報IF32が「陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合が5割を下回る月が5ヶ月以上」という条件を満たしていると判定されたことにより、統計レポートC3内に係る施策コメントをさらに表示させている。
なお、所定の条件を満たすか否かに基づいて、どのような施策コメントを出力部45が出力するようにするかは、例えば、予めルールベースで規定されていてよい。
〔2−5−2.便状態に関する情報出力〕
また、被介護者の排便(便の性状)をコントロールすることも非常に重要である。例えば、被介護者は、高齢であること、排便環境、手足の麻痺や筋力の低下を伴う疾患、消化管機能の問題、直腸あるいは肛門機能の問題などの要因で自然な排便が困難になっている場合がある。このため、施設では、便秘解消のため、日常的に下剤による排便コントロールを行っている。例えば、施設では、投与する下剤の種別、投与する下剤の量、下剤を投与するタイミングなどを被介護者ごとに調整している。しかしながら、上記のような要因は複雑に絡み合っているうえ、被介護者ごとにこの状況や程度は異なるため、全ての被介護者に対して等しく排便コントロールが上手くいくとは限らない。このため、かえって便秘を促進させてしまったり、下痢を悪化させてしまうという状況も起こり得る。
したがって、下剤を使用せず、なるべく自然な排便をできるようにすることが被介護者の身体的負担の軽減や、自立的な排便の実現に効果的であると考えられる。一方で、自然な排便へと向かわせるには、所定の性状の便が排出される状態をなるべく長く維持できるよう、投与する下剤の種別、投与する下剤の量、投与するタイミングなどを調整することが求められる。また、これを実現するためには、所定の性状の便を排出可能な被介護者の人数の人数変化を管理することが重要であるが、便の状態が排便記録として残されていたとしても、その結果が活用されているとはいい難い。したがって、所定の性状の便を排出可能な被介護者の人数の人数変化を、例えば、施設の職員に向けて視覚化することは、自然な排便ができるよう排便コントロールを見直しさせる点で効果的であると考えられる。このようなことから、出力部45は、対象者に関する情報として、対象者のうち、便の状態が所定の状態である対象者の人数に関する人数情報を出力する。
例えば、出力部45は、所定の性状の便を排出可能な被介護者の人数の人数変化が月別の統計グラフとして一覧表示されるレポートを生成し、生成したレポートを処理対象の施設に対応する端末装置100に出力する。
なお、医療や介護の現場では、患者の便の状態(便の性状)を指標する指標値としてブリストルスケールが用いられる。したがって、本実施形態でもブリストルスケールに基づくレポートを出力するものとする。例えば、ブリストルスケール「1」〜「2」は、便の状態「固め」を指し示しており、このような便の性状であると判定された被介護者は、便秘傾向といえる。一方、ブリストルスケール「6」〜「7」は、便の状態「やわらかい」(泥状便、水様便)を指し示しており、このような便の性状であると判定された被介護者は、下痢傾向といえる。また、ブリストルスケール「3」〜「5」は、便の状態「やや硬い〜普通〜やや柔らかい」を指し示しており、このような便の性状であると判定された被介護者は、比較的正常な便であるといえる。
このようなことから、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出できる被介護者を増やせるよう、被介護者に対して排便コントロールすることが、自然な排便をすることができる被介護者を増やすことにつながる。したがって、出力部45は、ブリストルスケールに基づくレポートとして、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能な被介護者の人数の人数変化を視認可能なレポートを出力する。
ここで、図13を用いて、出力部45が生成して出力する、所定の性状の便を排出可能な被介護者の人数の人数変化に関する統計レポートC4(以下、「人数変化に関する統計レポートC4」と略す)の一例を説明する。図13は、所定の性状便排出可能人数に関する統計レポートC4の一例を示す図である。なお、図13の例では、施設#Aに所在する被介護者を対象に出力部45が生成する統計レポートC4の一例を示した。すなわち、施設#Aは、被介護者ごとに、当該被介護者による毎回の便の状態がブリストルスケールで示された情報を日ごとの介護記録(排便記録)として記録している。
このような状態において、出力部45は、被介護者データベース32を参照し、施設#Aに対応する被介護者情報のうち、便の状態に関する情報が示される介護記録を抽出する。例えば、出力部45は、このような介護記録として、7ヶ月前までの各月の介護記録、および、1年前の月(現在が2月であれば前年2月)での介護記録を抽出する。
そして、出力部45は、月ごとに、当該月に対応する介護記録に基づいて、施設#Aに所在する被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能な被介護者の人数の割合を算出する。
例えば、1ヶ月の間での排便回数に対する、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便が排出された排出回数の割合(排出率)が所定割合(例えば、8割)以上の被介護者を、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能な被介護者と定めるものとする。係る場合、出力部45は、前月の1ヶ月間での介護記録に基づいて、被介護者ごとに排出率を算出し、算出した排出率が所定割合以上の被介護者をカウントする。そして、出力部45は、このカウント結果を、前月においてブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能であった被介護者の人数として定める。そして、出力部45は、施設#Aに所在する被介護者の人数に対する、前月においてブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能であった被介護者の人数の割合を算出する。
また、出力部45は、前月以外の全ての月においても、同様の処理を行うことで、7ヶ月前までの各月および1年前の月それぞれにおいて、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能であった被介護者の人数の割合を算出する。
そして、出力部45は、月ごとに、当該月での施設#Aに所在する被介護者の人数、および、当該月においてブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能であった被介護者の人数の割合が一覧表示される一覧テーブルTB41を生成する。また、例えば、出力部45は、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能であった被介護者の人数の割合を示す棒グラフ(便の状態が所定の状態である対象者の人数に関する人数情報)を月ごとに生成し、生成した棒グラフを並べた統計情報IF42を生成する。
また、出力部45は、上記のようにして生成したテーブルTB41と、統計情報IF42とが一覧表示されるコンテンツを、人数変化に関する統計レポートC4として端末装置100に出力する。図13の例では、出力部45は、前月における施設#Aの介護記録から、前月における施設#Aに所在する被介護者の人数(対象者人数)として「85」を特定し、また、前月においてブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能であった被介護者の人数として「45」人を算出している。また、これにより図13の例では、出力部45は、前月においてブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能であった被介護者の人数の割合「53」を算出している。また、出力部45は、このような算出結果が示されるテーブルTB41および統計情報IF42を生成している。
このように、実施形態に係る情報提供装置10は、所定の性状の便を排出可能な被介護者の人数の人数変化に関する統計レポートを出力する。これにより、情報提供装置10は、施設に対して、所定の性状の便を排出可能な被介護者の人数の人数変化を視覚化することができる。この結果、情報提供装置10は、施設に対して排便コントロールの見直しのきっかけを与えることができるため、より多くの被介護者が自然な排便ができるような排便コントロールについて効果的に対策させることができる。また、情報提供装置10は、施設において便秘や下痢の症状を示す被介護者の人数がどのように変化してきているかを把握させることもできる。
ここで、被介護者は、排泄の観点から、トイレにおいて自立的な排泄行為が可能な被介護者、トイレで排泄が可能と推定されるがトイレでの排泄の成功率が低かったりおむつでの排泄が多い被介護者(排泄に関する介護行為に改善の余地がある被介護者)、トイレでの排泄ができない被介護者、といった3つのパターンに大別される。しかしながら、いずれのパターンに属する被介護者も、食事の内容、下剤の処方のされ方、便秘の有無、現在下痢であるか否かなどに応じて便の状態は様々である。したがって、全ての被介護者が、排便コントロールの対象となる。
このようなことから、出力部45は、上記説明した通り、施設に所在している被介護者の全体数に対する、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能である被介護者の人数の割合を算出している。一方で、出力部45は、排泄に関する介護行為に改善の余地がある被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能であった被介護者の人数の割合を算出してもよい。
また、出力部45は、統計情報IF42が所定の条件を満たすか否かに基づいて、排便コントロールに関する施策を示す施策情報をコメントとしてさらに出力してもよい。例えば、出力部45は、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能である被介護者の人数の割合が所定割合を下回る月が、所定月数より多く存在すると判定される場合には、「ブリストルスケール「3」〜「5」の排便をする為に、自然排便を目指しましょう」といった施策コメントをさらに出力してもよい。図13の例では、出力部45は、統計情報IF42が「ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能である被介護者の人数の割合が5割を下回る月が5ヶ月以上」という条件を満たしていると判定されたことにより、統計レポートC4内に係る施策コメントをさらに表示させている。
なお、所定の条件を満たすか否かに基づいて、どのような施策コメントを出力部45が出力するようにするかは、例えば、予めルールベースで規定されていてよい。
〔2−5−3.排泄ケアに関する各種統計情報の一覧を出力〕
上記図12および図13での説明によると、情報提供装置10は、排泄ケアに関する統計情報を個別に出力している。例えば、図12の例では、情報提供装置10は、施設や提案者Cからの統計レポートC3の提供依頼があった場合に、依頼元に対応する被介護者情報に基づき統計レポートC3を生成し、生成した統計レポートC3をこの依頼元に対応する端末装置100に出力している。また、図13の例では、情報提供装置10は、施設や提案者Cからの統計レポートC4の提供依頼があった場合に、依頼元に対応する被介護者情報に基づき統計レポートC4を生成し、生成した統計レポートC4をこの依頼元に対応する端末装置100に出力している。
一方で、情報提供装置10は、排泄ケアに関する各種統計情報が一覧表示される一覧コンテンツを生成し、生成した一覧コンテンツを、例えば、排泄ケアダッシュボードとして出力してもよい。例えば、情報提供装置10は、施設や提案者Cから排泄ケアダッシュボードの提供依頼があった場合に、依頼元に対応する被介護者情報に基づき、排泄ケアに関する各種統計情報(レポート)が一覧表示される一覧コンテンツを生成する。そして、情報提供装置10は、生成した一覧コンテンツを排泄ケアダッシュボードとして依頼元に対応する端末装置100に出力する。
ここで、図14を用いて、出力部45が生成して出力する排泄ケアダッシュボードDBの一例を説明する。図14は、実施形態に係る排泄ケアダッシュボードDBの一例を示す図である。なお、図14の例では、施設#Aに所在する被介護者を対象に出力部45が生成する排泄ケアダッシュボードDBの一例を示した。
図14の例では、出力部45が、所定の指標がそれぞれ評価された評価値を示すレーダーチャートが統計グラフとして表示されるレポートRCと、ADL別人数およびコメントが表示されるレポートCMと、被介護者のうち所定物品の夜間交換が行われた被介護者の人数変化が月別の統計グラフとして表示されるレポートC1と、被介護者のうちトイレでの排泄に成功した被介護者の人数変化が月別の統計グラフとして表示されるレポートC2、図12で説明したレポートC3、図13で説明したレポートC4、被介護者のうち排泄漏れが生じた被介護者の人数変化が月別の統計グラフとして表示されるレポートC5と、被介護者に対する所定物品の交換業務に費やした時間の時間変化が月別の統計グラフとして表示されるレポートC6、といった計8つの統計情報を一度にレポートできるようこれらが一覧表示された一覧コンテンツである排泄ケアダッシュボードDBを生成している例が示されている。
このようなことから、出力部45は、施設や提案者Cから排泄ケアダッシュボードの提供依頼があった場合に、依頼元に対応する被介護者情報に基づき、図14に示されるこのような排泄ケアダッシュボードDBを生成する。そして、出力部45は、生成した排泄ケアダッシュボードDBを依頼元に対応する端末装置100に出力する。
以下では、図14に示す排泄ケアダッシュボードDB内に表示される各レポートに、当該レポートに対応する統計情報について説明する。なお、レポートC3およびC4については図12および図13で説明済みのため省略する。
まず、被介護者のうち所定物品の夜間交換が行われた被介護者の人数変化が月別の統計グラフとして表示されるレポートC1について説明する。また、ここでは、所定物品は、大人用おむつであるものとして説明するが、衣服や介護用のシーツであってもよい。
例えば、出力部45は、被介護者データベース32を参照し、施設#Aに対応する被介護者情報のうち、排泄漏れ(尿漏れ、あるいは、便漏れ)が原因で夜間における大人用おむつの交換に関する情報が示される介護記録(夜間示交換記録)を抽出する。例えば、出力部45は、このような介護記録として、7ヶ月前までの各月の介護記録、および、1年前の月(現在が2月であれば前年2月)での介護記録を抽出する。
そして、出力部45は、月ごとに、当該月に対応する介護記録に基づいて、施設#Aに所在する被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数の割合を算出する。
例えば、1ヶ月間において夜間での大人用おむつの交換回数が所定回数(あるいは、1ヶ月間において夜間での大人用おむつの交換率が所定割合)以上の被介護者を、夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者と定めるものとする。係る場合、出力部45は、前月の1ヶ月間での介護記録に基づいて、交換回数(あるいは交換率)を算出し、算出した交換回数(あるいは交換率)が所定回数(あるいは所定合割合)以上の被介護者をカウントする。そして、出力部45は、このカウント結果を、前月において夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数として定める。そして、出力部45は、施設#Aに所在する被介護者の人数に対する、夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数の割合を算出する。
また、出力部45は、前月以外の全ての月においても、同様の処理を行うことで、7ヶ月前までの各月および1年前の月それぞれにおいて、夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数の割合を算出する。
そして、出力部45は、月ごとに、当該月での施設#Aに所在する被介護者の人数、および、当該月において夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数の割合が一覧表示される一覧テーブルTB11を生成する。また、例えば、出力部45は、夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数の割合を示す棒グラフを月ごとに生成し、生成した棒グラフを並べた統計情報IF12を生成する。
また、出力部45は、上記のようにして生成したテーブルTB11と、統計情報IF12とが一覧表示されるコンテンツであるレポートC1を生成する。図14の例では、出力部45は、前月における施設#Aの介護記録から、前月における施設#Aに所在する被介護者の人数(対象者人数)として「85」を特定し、また、前月において夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数として「28」を算出している。また、これにより図14の例では、出力部45は、前月において夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数の割合「33」を算出している。また、出力部45は、このような算出結果が示されるテーブルTB11および統計情報IF12を生成している。
このように、情報提供装置10は、被介護者のうち所定物品の夜間交換が行われた被介護者の人数変化が月別の統計グラフとして表示されるレポートC1を含む排泄ケアダッシュボードDBを出力する。これより、情報提供装置10は、施設に対して、夜間交換を減らすことができるよう介護業務を見直しさせることができる。例えば、情報提供装置10は、夜間交換を減らすことで被介護者の夜間の睡眠を十分に確保できるよう介護業務を見直しさせることで、日中覚醒による離床を促進させることができるようになる。
次に、被介護者のうちトイレでの排泄に成功した被介護者の人数変化が月別の統計グラフとして表示されるレポートC2について説明する。
例えば、出力部45は、被介護者データベース32を参照し、施設#Aに対応する被介護者情報のうち、トイレでの排泄(自立排泄)に関する情報が示される介護記録を抽出する。例えば、出力部45は、このような介護記録として、7ヶ月前までの各月の介護記録、および、1年前の月(現在が2月であれば前年2月)での介護記録を抽出する。
そして、出力部45は、月ごとに、当該月に対応する介護記録に基づいて、トイレでの排泄が可能と推定される被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、トイレでの排泄に成功した被介護者の人数の割合を算出する。なお、情報提供装置10は、被介護者の行動情報(ADL)に基づいて、施設#Aに所在する被介護者の中から、トイレでの排泄が可能な被介護者を推定することができる。例えば、情報提供装置10は、ADL「介助があっても座れない」といった被介護者については、トイレでの排泄が不可能と判断する。
前月を例に挙げると、出力部45は、前月1ヶ月の間に所定回数回以上トイレでの排泄に成功した被介護者をカウントし、このカウント結果をトイレでの排泄に成功した被介護者の人数として定める。そして、出力部45は、トイレでの排泄が可能と推定される被介護者の人数に対する、トイレでの排泄に成功した被介護者の人数の割合を算出する。
また、出力部45は、前月以外の全ての月においても、同様の処理を行うことで、7ヶ月前までの各月および1年前の月それぞれについて、トイレでの排泄に成功した被介護者の人数の割合を算出する。
そして、出力部45は、月ごとに、当該月でのトイレでの排泄が可能と推定される被介護者の人数、および、当該月においてトイレでの排泄に成功した被介護者の人数の割合が一覧表示される一覧テーブルTB21を生成する。また、例えば、出力部45は、トイレでの排泄に成功した被介護者の人数の割合を示す棒グラフを月ごとに生成し、生成した棒グラフを並べた統計情報IF22を生成する。
また、出力部45は、上記のようにして生成したテーブルTB21と、統計情報IF22とが一覧表示されるコンテンツであるレポートC2を生成する。図14の例では、出力部45は、前月における施設#Aの介護記録から、トイレでの排泄が可能と推定される被介護者の人数(対象者人数)として「85」を特定し、また、前月においてトイレでの排泄に成功した被介護者の人数(トイレ排泄成功人数)として「70」を算出している。また、これにより図14の例では、出力部45は、前月においてトイレでの排泄に成功した被介護者の人数の割合「82」を算出している。また、出力部45は、このような算出結果が示されるテーブルTB21および統計情報IF22を生成している。
このように、実施形態に係る情報提供装置10は、被介護者のうちトイレでの排泄に成功した被介護者の人数変化が月別の統計グラフとして表示されるレポートC2を含む排泄ケアダッシュボードDBを出力する。これより、情報提供装置10は、トイレでの排泄を成功させることのできる被介護者を増やせるよう、例えば、施設に対してトイレでの排泄訓練を見直しさせることができるため、より多くの被介護者が自立排泄できる方向に向かえるよう支援することができる。
次に、被介護者のうち排泄漏れが生じた被介護者の人数変化が月別の統計グラフとして表示されるレポートC5について説明する。
例えば、出力部45は、被介護者データベース32を参照し、施設#Aに対応する被介護者情報のうち、排泄漏れ(尿漏れ、あるいは、便漏れ)に関する情報が示される介護記録を抽出する。例えば、出力部45は、このような介護記録として、7ヶ月前までの各月の介護記録、および、1年前の月(現在が2月であれば前年2月)での介護記録を抽出する。
そして、出力部45は、月ごとに、当該月に対応する介護記録に基づいて、施設#Aに所在する被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、排泄漏れが生じた被介護者の人数の割合を算出する。前月を例に挙げると、出力部45は、前月1ヶ月の間に所定回数回以上排泄漏れが生じた被介護者をカウントし、このカウント結果を排泄漏れが生じた被介護者の人数として定める。
また、出力部45は、前月以外の全ての月においても、同様の処理を行うことで、7ヶ月前までの各月および1年前の月それぞれでの排泄漏れが生じた被介護者の人数の割合を算出する。
そして、出力部45は、月ごとに、当該月での施設#Aに所在する被介護者の人数、および、当該月において排泄漏れが生じた被介護者の人数の割合が一覧表示される一覧テーブルTB51を生成する。また、例えば、出力部45は、排泄漏れが生じた被介護者の人数の割合の割合を示す棒グラフを月ごとに生成し、生成した棒グラフを並べた統計情報IF52を生成する。
また、出力部45は、上記のようにして生成したテーブルTB51と、統計情報IF52とが一覧表示されるコンテンツであるレポートC5を生成する。図14の例では、出力部45は、前月における施設#Aの介護記録から、施設#Aに所在する被介護者の人数(対象者人数)として「85」を特定し、また、前月において排泄漏れが生じた被介護者の人数(モレ人数)として「50」を算出している。また、これにより図14の例では、出力部45は、前月において排泄漏れが生じた被介護者の人数の割合「59」を算出している。また、出力部45は、このような算出結果が示されるテーブルTB51および統計情報IF52を生成している。
このように、実施形態に係る情報提供装置10は、被介護者のうち排泄漏れが生じた被介護者の人数変化が月別の統計グラフとして表示されるレポートC5を含む排泄ケアダッシュボードDBを出力する。これより、情報提供装置10は、排泄漏れを起こす被介護者を減らせるよう、使用する大人用おむつを見直しさせたり、交換技術の向上を図るよう外語業務を見直しさせたりすることができる。また、排泄漏れを起こす被介護者を減らすことで、情報提供装置10は、介護業務の負担を効果的に軽減させることができる。
次に、被介護者に対する所定物品の交換業務に費やした時間の時間変化が月別の統計グラフとして表示されるレポートC6について説明する。
例えば、被介護者は、尿意が必要とされない援助を受けることで、尿意を訴える機会がなくなり、尿意を感じることさえ忘れてしまうことがある。一方で、例えば、所定時間(例えば、1〜2時間)ごとに被介護者に対して尿意や尿漏れの白覚を確認し、例えば、失禁がない場合や尿意を認めた場合には賞賛することで成功体験を認識させ、排泄行為を習慣づけできれば、尿意を感じないことによる大人用おむつ内での排泄に伴う大人用おむつの交換に要する時間を削減することができると考えられる。また、例えば、就寝前に尿意の有無を確認し、尿意を訴えた場合にはトイレで用を足させておく、尿意を訴えない場合でも念のためトイレで用を足させておくなどにより大人用おむつの交換に要する時間を削減することができると考えられる。
このようなことから、「尿意を感じないことによるおむつの交換(特に夜間交換)」に要する時間というのは、介護業務の時間内で効果的に削減可能な時間であるといえる。また、これに伴い「排泄漏れによるアウターの交換」に要する時間や、「排泄漏れによる衣服やシーツの交換」に要する時間も、介護業務の時間内で効果的に削減可能な時間であるといえる。
したがって、出力部45は、7ヶ月前までの各月の介護記録、および、1年前の月(現在が2月であれば前年2月)での介護記録を抽出し、月ごとに当該月において削減可能な時間を項目毎に算出する。例えば、出力部45は、「尿意を感じないことによるおむつの夜間交換」(尿意なしでの夜間交換)、「排泄漏れによるアウターの交換」(アウターモレ交換)、「排泄漏れによる衣服やシーツの交換」(服・シーツモレ交換)といった項目ごとに、これら項目が示す交換作業にかけられた累計時間あって、1ヶ月間での累計時間を月ごとに算出する。
例えば、出力部45は、尿意を感じないことによるおむつの夜間交換作業1回あたりに要する時間を5分として累計時間を算出する。また、出力部45は、排泄漏れによるアウターの交換作業1回あたりに要する時間を10分として累計時間を算出する。また、出力部45は、排泄漏れによる衣服やシーツの交換作業1回あたりに要する時間を10分として累計時間を算出する。
そして、出力部45は、各項目が示す交換作業にかけられた累計時間の合計をその月における「削減可能な時間」として算出し、月ごとの算出結果が一覧表示される一覧テーブルTB61を生成する。また、出力部45は、「削減可能な時間」示す棒グラフを月ごとに生成し、生成した棒グラフを並べた統計情報IF62を生成する。
そして、出力部45は、図14に示すように、一覧テーブルTB61および統計情報IF62が表示されるコンテンツであるレポートC6を含む排泄ケアダッシュボードDBを出力する。例えば、介護現場で働く人々は、忙しい業務の中で、どのような業務をどれだけの時間削減可能であるかを把握するのは困難な場合が多い。このような状況において、情報提供装置10は、レポートC6の出力により、どのような業務をどれだけの時間削減可能であるかを一目で把握させることができるため、業務負担を効果的に削減できるよう業務スケジュールの改善を見直しさせることができる。
〔2−5−4.レーダーチャートについて〕
図14に示すように、出力部45は、所定の指標がそれぞれ評価された評価値を示すレーダーチャートが統計グラフとして表示されるレポートRCを含む排泄ケアダッシュボードDBを出力する。ここでは、このレーダーチャートについて説明する。具体的には、出力部45は、被介護者に関する情報のうち、抽出部42が抽出した対象者に関する情報に基づき、排泄ケアに関する所定の指標がそれぞれ評価された評価値を示すレーダーチャートを生成する。例えば、出力部45は、所定期間における対象者に関する情報に基づき所定の指標がそれぞれ評価された評価値を示すレーダーチャートと、この所定期間よりも過去の所定期間における対象者に関する情報に基づき所定の指標がそれぞれ評価された評価値を示すレーダーチャートとを生成する。そして、出力部45は、生成したレーダーチャートが統計グラフとして表示されるレポートRCを含む排泄ケアダッシュボードDBを出力する。
本実施形態では、排泄ケアに関する所定の指標として、「自立排泄」、「夜間良眠」、「排便コントロール」、「スキンケア」、「排泄漏れ」、「業務負担軽減」といった6つの指標を例に挙げるが、排泄ケアに関する指標であればいかなる指標がレーダーチャートの項目として用いられてもよい。
例えば、出力部45は、処理対象の月における、トイレでの排泄が可能と推定される被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、トイレでの排泄に成功した被介護者の人数の割合(レポートC2)に基づいて、処理対象の月での「自立排泄」を10段階評価する。例えば、出力部45は、トイレでの排泄に成功した被介護者の人数の割合が高いほど、排泄に関する介護行為が改善されてきているとの観点から、10段階の数値のうちより高い値で「自立排泄」を評価する。
また、例えば、出力部45は、処理対象の月における、施設#Aに所在する被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数の割合(レポートC1)に基づいて、処理対象の月での「夜間良眠」を10段階評価する。例えば、出力部45は、夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数の割合が低いほど、排泄に関する介護行為が改善されてきているとの観点から、10段階の数値のうちより高い値で「夜間良眠」を評価する。
また、例えば、出力部45は、処理対象の月における、施設#Aに所在する被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能な被介護者の人数の割合(レポートC4)に基づいて、処理対象の月での「排便コントロール」を10段階評価する。例えば、出力部45は、ブリストルスケール「3」〜「5」の性状の便を排出可能な被介護者の人数の割合が高いほど、排泄に関する介護行為が改善されてきているとの観点から、10段階の数値のうちより高い値で「排便コントロール」を評価する。
また、例えば、出力部45は、処理対象の月における、施設#Aに所在する被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合(レポートC3)に基づいて、処理対象の月での「スキンケア」を10段階評価する。例えば、出力部45は、陰部洗浄が実施された被介護者の人数の割合が高いほど、排泄に関する介護行為が改善されてきているとの観点から、10段階の数値のうちより高い値で「スキンケア」を評価する。
また、例えば、出力部45は、処理対象の月における、施設#Aに所在する被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、排泄漏れが生じた被介護者の人数の割合(レポートC5)に基づいて、処理対象の月での「排泄漏れ」を10段階評価する。例えば、出力部45は、排泄漏れが生じた被介護者の人数の割合が低いほど、排泄に関する介護行為が改善されてきているとの観点から、10段階の数値のうちより高い値で「排泄漏れ」を評価する。
また、例えば、出力部45は、処理対象の月における、被介護者に対する所定物品の交換業務に費やされた累計時間(レポートC6)に基づいて、処理対象の月での「業務負担軽減」を10段階評価する。例えば、出力部45は、被介護者に対する所定物品の交換業務に費やされた累計時間が短いほど、業務負担が改善されてきているとの観点から、10段階の数値のうちより高い値で「業務負担軽減」を評価する。また、「業務負担軽減」は、排泄に関する介護行為が改善に伴うものであるため、出力部45は、処理対象の月におけるレポートC1〜C5に基づいて、「業務負担軽減」を評価してもよい。
ここで、図14の例では、出力部45は、処理対象の月を「当月」(所定期間の一例)として、当月での情報に基づいて、上記6項目をそれぞれ評価し、評価結果を示すレーダーチャートRD2を生成している。また、出力部45は、処理対象のもう1つの月を「6ヶ月前の月」(所定期間よりも過去の所定期間の一例)として、6ヶ月前の月での情報に基づいて、上記6項目をそれぞれ評価し、評価結果を示すレーダーチャートRD1を生成している。そして、図14の例では、出力部45は、レーダーチャートRD1およびRD2が重ねて表示されるレポートRCを生成し、これを含む排泄ケアダッシュボードDBを出力している。
また、図14に示すように、出力部45は、「当月」に対応する排泄ケアに関する指標(6項目)を総合評価した総合評価値(図14の例では「7.0」)と、「6ヶ月前の月」に対応する排泄ケアに関する指標(6項目)を総合評価した総合評価値(図14の例では「5.2」)とをさらに表示させてもよい。
このように、情報提供装置10は、排泄ケアに関する所定の指標がそれぞれ評価された評価値を示すレーダーチャートを出力する。例えば、情報提供装置10は、所定の異なる期間それぞれの情報に基づき、各期間でのレーダーチャートを生成し、生成したレーダーチャートを重ねて出力する。これにより情報提供装置10は、施設に対して、どの指標がどれだけ改善されてきているか、あるいは、どの指標がどれだけ悪化してしまったかを一目で把握させることができるため、効果的に介護業務を見直しさせることができる。
また、出力部45は、ADL別人数およびコメントが表示されるレポートCMを含む排泄ケアダッシュボードDBを出力してもよい。例えば、出力部45は、過去の所定の月(例えば、7ヶ月前の月)から「前月」にかけて、所定のADLを示す被介護者の人数がどのように変わってきているかその統計情報がADL別人数として示されるレポートCMを含む排泄ケアダッシュボードDBを出力する。
例えば、出力部45は、ADL「1人で歩ける」、ADL「介助があれば歩ける」、ADL「介助があれば立てる」、ADL「介助があれば座れる」、ADL「介助があっても座れない」といったADL5項目ごとに、被介護者の人数変化を算出し、算出結果がADL別人数として示されるレポートCMを含む排泄ケアダッシュボードDBを出力する。
また、出力部45は、図14に示すレーダーチャートに含まれる各項目ごとに個別のレーダーチャートを出力してもよい。例えば、出力部45は、「被介護者がトイレに行く/行かない」、「自分で排泄できる/介助が必要/できない」、といった自立排泄に関する各指標(項目)を評価した評価値に基づいて、自立排泄に特化したレーダーチャートを生成しこれを出力するようにしてもよい。
また、出力部45によって出力されるレーダーチャートは、同じ施設の所定期間前の評価値を表示するだけでなく、類似する他の施設(例えば、被介護者数が類似する・介護者数が類似する、業態が類似する等)の評価値や、他の施設の平均値等を参考値として出力してもよい。これにより、施設担当者は自身の施設が業界における排泄ケアに対する取り組みがどの程度のレベルにあるかを把握することができる。
〔2−6.利用状況に応じた情報の出し別け〕
また、出力部45は、施設における製品の利用状況(契約状況)に応じて、当該施設に対して出力する情報を制御してもよい。例えば、出力部45は、被介護者に関する情報が取得された取得元の施設で利用されている製品が、所定の製造元の製品でない場合には、介護行為の検討対象となる対象者に関する情報のうち、製品の製造元の違いに応じて変化し得る情報以外の情報を、この施設における対象者に関する情報として出力する。換言すると、出力部45は、被介護者に関する情報が取得された取得元の施設で利用されている製品が、所定の製造元の製品でない場合には、介護行為の検討対象となる対象者に関する情報のうち、製品の製造元の違いに応じて変化し得る情報を閲覧不可能に制御する。
例えば、介護施設では、大人用おむつ、シーツなどの使い捨て吸収性物品や、排泄物などを拭き取るためのスキンケア製品といった各種介護用製品が大量に消費される。このため、介護施設は、特定の製造元による介護用製品の提供を定期的に受けられるよう契約している場合がある。また、このような契約をしていなくとも、特定の製造元による介護用製品を中心に大量購入されていることがある。
ここで、例えば、施設♯Aは、実施形態に係る提供システムに加入することで、これまで説明してきたような情報提供を受けられるような状態になっているとする。また、一方では、施設♯Aは、実施形態に係る提供システムを運営する事業者(事業者T1)とは異なる事業者(事業者T2)を製造元とする介護用製品を利用しているものとする。例えば、施設♯Aは、事業者T2により製造された吸収性物品として、大人用おむつPD2の提供を定期的に受けられるよう事業者T2に対して契約しているものとする。
このような場合、事業者T1製造の大人用おむつPD1と、事業者T2製造の大人用おむつPD2とでは、各種スペック(例えば、吸収性能)が異なるため、大人用おむつPD1を基準とする排泄予測ロジックが、大人用おむつPD2にも適用可能とは限らない。そうすると、実施形態に係る提供システムへの加入により大人用おむつPD1を基準とする排泄予測ロジックにより予測された排泄時期の提供を受ける一方で、大人用おむつPD2を利用している施設♯Aでは、予測結果が外れてしまい排泄漏れが多くなるといった状況になり得ることが考えられる。
このようなことから排泄漏れに関する情報は、大人用おむつの製造元の違いに応じて変化し得る情報といえる。例えば、施設#Aに所在する被介護者(被介護者のうち介護行為の検討対象となる対象者の一例)の人数に対する、夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数の割合(レポートC5)は、大人用おむつの製造元の違いに応じて変化し得る情報といえる。
したがって、出力部45は、施設における製品の利用状況(契約状況)に基づいて、施設♯Aが大人用おむつPD1を利用しているか否かを判定する。そして、出力部45は、施設♯Aが大人用おむつPD1を利用していないと判定した場合(被介護者に関する情報が取得された取得元の施設で利用されている製品が、所定の製造元の製品でない場合の一例)には、夜間に大人用おむつの交換が行われた被介護者の人数に関する人数情報(例えば、テーブルTB51および統計情報IF52)が表示されるレポートC5以外の情報を、施設#Aにおける対象者に関する情報として出力する。例えば、出力部45は、レポートC5を含まない排泄ケアダッシュボードDBを生成しこれを出力する。
また、出力部45は、施設♯Aが大人用おむつPD1を利用していないと判定した場合には、施設♯Aに対して介護記録については利用可能に制御する一方で、介護記録に基づく全ての結果(すなわち、排泄ケアダッシュボードDB)については閲覧不可能に制御してもよい。
また、出力部45は、施設♯Aが大人用おむつPD1を利用していないと判定した場合には、排泄ケアダッシュボードDBに含まれる情報(レポートRC、レポートCM、レポートC1〜C6)のうち、いずれかの情報のみ閲覧可能にし、その他の情報については閲覧不可能に制御してもよい。
このように、情報提供装置10は、施設における製品の利用状況(契約状況)に応じて、当該施設に対して出力する情報を制御してもよい。例えば、情報提供装置10は、施設における製品の利用状況(契約状況)に応じて、当該施設に対して閲覧可能な情報を制御してもよい。上記例によると、情報提供装置10は、大人用おむつPD1の利用契約をしている施設に対しては全ての情報を閲覧可能に制御する一方で、大人用おむつPD1を利用せず他社製品を利用している施設に対しては一部の情報のみ閲覧可能に制御する。これにより、情報提供装置10は、実施形態に係る提供システムを利用する利用先を効果的に拡大することができる。
なお、利用状況の有無に応じて制御される情報は、他の形態でもよい。例えば、施設における製品の利用状況に応じて、レーダーチャートや入力された情報のグラフが表示されるが、入力された情報を分析することで得られた分析結果や、他の施設のトレンド、排泄ケアの提案情報などは非表示としてもよい。また、出力方法が印刷出力の場合は、非表示される部分について網掛けや表示例、他の画像を重畳させる等の処理が施された画像が印刷されるようにしてもよい。
〔2−7.学習処理の一例について〕
続いて、図15を用いて、学習処理の流れの一例について説明する。図15は、実施形態に係る情報提供装置が実行する学習処理の流れの一例を示すフローチャートである。例えば、収集部46は、対象者のうち、施策により排泄に関する行為が改善した対象者を特定する(ステップS301)。例えば、収集部46は、レポート履歴から対象者として抽出れた後で、対象者から除外された被介護者Rを特定する。そして、収集部46は、特定した被介護者Rの被介護者情報を収集する(ステップS302)。より具体的には、収集部46は、特定した被介護者が対象者として抽出されるよりも前の被介護者情報を収集する。
続いて、学習部47は、収集した被介護者情報が有する特徴をモデルに学習させ(ステップS303)、学習済のモデルをモデルデータベース34に登録し(ステップS304)、処理を終了する。例えば、学習部47は、収集した被介護者情報を入力した際に、被介護者が対象者である旨を出力するように、モデルの学習を行う。このような学習は、例えば、バックプロパゲーション等といった各種公知の学習手段が採用可能である。
なお、このようにして学習が行われた学習済のモデルは、新たな対象者の抽出に用いることができる。例えば、抽出部42は、学習済のモデルに対し、被介護者の介護者情報を入力し、学習済のモデルが対象者である旨の情報を出力した場合は、かかる被介護者を対象者として抽出すればよい。
〔3.処理のバリエーションについて〕
以下、上述した処理のバリエーションについて説明する。なお、以下に説明する出力処理は、それぞれ個別に実施されてもよく、任意の組み合わせで実施されてもよい。
〔3−1.出力する情報について〕
上述した各種の情報以外にも、情報提供装置10は、対象者に関する任意の情報を介護者P等に提供することで、適切な介護の促進を図ってもよい。
例えば、情報提供装置10は、対象者が利用する吸収性物品に関する情報を出力してもよい。例えば、装着位置やおむつのサイズ等といったおむつの利用態様が適切ではない場合、おむつからの尿や便の漏れが発生する可能性が高い。このため、尿や便の漏れが頻繁に生じている被介護者は、吸収性物品の利用態様が適切ではないと推定される。そこで、情報提供装置10は、被介護者情報に基づいて、尿や便の漏れの回数が所定の閾値を超える被介護者を対象者として選択する。また、情報提供装置10は、対象者の身長や体重、尿や便の量等から、対象者にとって適切なサイズや機能の吸収性物品を推定し、推定した吸収性物品を示す情報を提供してもよい。また、情報提供装置10は、対象者の排尿回数や排便回数等から、適切な吸収性物品の枚数を推定し、推定した枚数を示す情報を提供してもよい。
〔3−2.優先度について〕
上述した例では、情報提供装置10は、被介護者情報が満たす条件と対応する改善スコアの合計が高い順に、対象者の情報を提供した。ここで、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、情報提供装置10は、改善度合いが高いと推定される対象者の情報を優先的に適用することができるのであれば、任意の処理により、各対象者の優先度を決定して良い。例えば、情報提供装置10は、被介護者情報から推定される被介護者が可能な行動と、実際に行われている介護行動との間に乖離があるほど高い値の優先度を決定してもよい。
また、情報提供装置10は、施設における費用等を考慮した優先度を算出してもよい。例えば、情報提供装置10は、優先度が高い方から順に所定の数の対象者の介護行為を改善した場合に、使用されるおむつの数や、着衣若しくはシーツの交換回数の減少数を算出し、算出される減少数が最大化されるように、各対象者の優先度を決定してもよい。
また、情報提供装置10は、例えば、優先度が高い方から順に所定の数の対象者を抽出し、抽出した対象者(以下、「抽出対象者」と記載する。)の情報のみを出力してもよい。また、情報提供装置10は、施設ごとに抽出対象者の上限を設定してもよく、例えば、1つの部屋や所定人数の介護者ごとに、抽出対象者の上限を設定してもよい。
また、情報提供装置10は、対象者の抽出や優先度の算出等について、施設ごとに異なるロジックを採用してもよい。例えば、情報提供装置10は、施設ごとに内容が異なる条件データベース33を採用してもよい。
〔3−3.検討による成果について〕
ここで、情報提供装置10が出力した情報に基づいて、対象者に対する介護行為が検討され、異なる介護行為が行われるようになった場合、介護行為の改善度合いを示す情報を提供することで、より適切な介護を促進することができると考えられる。そこで、情報提供装置10は、介護行為の検討にともなる改善度合いを示す情報をさらに提供してもよい。
例えば、情報提供装置10は、新たに取得された被介護者情報に基づいて、対象者を新たに抽出し、過去に抽出した対象者に関する情報と、新たに抽出した対象者に関する情報とを比較した情報を出力してもよい。例えば、情報提供装置10は、対象者の数の遷移や増減を示す情報を生成して出力してもよい。
また、情報提供装置10は、対象者の生活の質を示す指標値や、指標値の遷移等を示す情報を提供してもよい。例えば、情報提供装置10は、対象者として選択された被介護者の被介護者情報に基づいて、QOLを示す指標値を算出する。なお、このような指標値の算出ロジックについては、任意のロジックが採用可能である。そして、情報提供装置10は、算出したQOLの指標値がどのように遷移したかを示す情報や増減を示す情報を提供してもよい。
このような情報を提供することで、情報提供装置10は、施策を行う前と後とでどのように対象者が変化したかといった情報を提供することができるので、施策を行うことによる介護行為の改善度合いを理解しやすくする結果、適切な介護をさらに促進することができる。
〔3−4.施設同士の比較結果について〕
また、情報提供装置10は、各施設における対象者の情報を比較するための情報を出力してもよい。例えば、情報提供装置10は、複数の施設における被介護者に関する情報を取得し、施設ごとに、施設における被介護者のうち対象者を抽出し、施設ごとに対象者に関する情報を出力するとともに、複数の施設における対象者の情報に基づいて比較された各施設の情報を出力してもよい。例えば、情報提供装置10は、ある地域に所在する同一種別の複数の施設について、対象者の人数等を比較した情報を生成し、生成した情報を出力してもよい。このような情報を提供することで、情報提供装置10は、各施設に対してより適切な介護の実現を促進させることができる。
〔3−5.その他〕
なお、上記した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、手動的に行われてもよい。また、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、公知の方法で自動的に行われてもよい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られるものではない。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されなくともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。また、各構成要素は、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成してもよい。また、上記してきた各処理は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実行されてもよい。
〔4.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る情報提供装置10は、例えば図16に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図16は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、キャッシュ1040、メモリ1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続される。
演算装置1030は、キャッシュ1040やメモリ1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。キャッシュ1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するキャッシュである。また、メモリ1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現されるメモリである。
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現されてよい。一方、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
例えば、入力装置1020は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置により実現されてもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体により実現されてもよい。
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する機能を有する。
ここで、演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行うこととなる。例えば、演算装置1030は、入力装置1020やメモリ1050からプログラムをキャッシュ1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。例えば、コンピュータ1000が情報提供装置10として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、キャッシュ1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部140の機能を実現することとなる。なお、本実施形態の提供方法として、端末装置101や端末装置102に専用のアプリケーションを搭載し、情報提供装置10に搭載されたプログラムと、端末装置101や端末装置102に搭載されたアプリケーションとが連携することで、本実施形態を利用者に提供してもよい。また、端末装置101や端末装置102は汎用的なブラウザを搭載し、端末装置101や端末装置102の汎用的なブラウザを介して情報提供装置10と接続されることで、本実施形態を利用者に提供するようにしてもよい。
〔5.効果〕
上述したように、情報提供装置10は、被介護者に関する各種の情報から、被介護者のうち、介護行為の検討対象となる対象者、すなわち、介護行為について改善の余地がある被介護者を対象者として抽出する。そして、情報提供装置10は、抽出した対象者の情報を出力する。このような処理の結果、情報提供装置10は、介護行為の検討においてどの被介護者から介護行為を改善すればよいかを容易に把握させることができるので、より適切な介護を促進することができる。
また、情報提供装置10は、自立的に各種の排泄行為を行うことができると推定される被介護者を対象者として抽出する。このため、情報提供装置10は、排泄行為の自立化を促す結果、被介護者の生活の質を向上させることができる。さらに、情報提供装置10は、対象者の介護の手間を削減できるので、例えば、自立的に排泄行為を行うことができない被介護者に対する介護行為のリソースを確保し、施設全体としてより適切な介護を促進することができる。
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明した。しかしながら、これらは例示であり、本願の実施形態は、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、所謂当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で実施することが可能である。また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。