JP2021001747A - 偏心計測方法、レンズの製造方法、および偏心計測装置 - Google Patents

偏心計測方法、レンズの製造方法、および偏心計測装置 Download PDF

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Atsushi Maeda
充史 前田
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健一 宮里
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Abstract

【課題】レンズの面間偏心を高精度かつ高速に計測する偏心計測方法、レンズの製造方法、および偏心計測装置を提供すること。【解決手段】偏心計測方法は、第1軸に対して対称な非球面である第1面と第2軸に対して対称な非球面である第2面とを備えるレンズの偏心量を計測する偏心計測方法であって、レンズで反射された第1反射光を用いて第2軸に対する第1面の傾斜を取得する第1の工程S2と、レンズで反射された第2反射光を用いて第1軸に対する第2面の傾斜を取得する第2の工程S1と、第1の工程で取得された傾斜、第2の工程で取得された傾斜、第1面の曲率、第2面の曲率、および第1面と第2面との距離を用いて偏心量を取得する第3の工程S3とを有する。【選択図】図7

Description

本発明は、偏心計測方法、レンズの製造方法、および偏心計測装置に関する。
近年、カメラや半導体露光装置などの光学機器では、具備される光学系の小型化のために、非球面レンズが用いられている。特にカメラなどでは、両面が非球面である両非球面レンズの導入が進んでいる。また、光学機器により得られる像の高精細化のために、両非球面レンズの製造には高精度化が求められる。そのためには、両非球面レンズの両面間での非球面軸のずれ(面間偏心)を高精度に計測する必要がある。
特許文献1には、貫通穴を備えたホルダーで非球面レンズを保持して面間偏心を計測する方法が開示されている。この方法では、まず、非球面レンズの第1面と貫通穴を走査し、両者の位置関係を求める。次に、非球面レンズをホルダーごと反転させ、非球面レンズの第2面と貫通穴を走査し、両者の位置関係を求める。その後、貫通穴の位置を基準として、第1面と第2面との位置関係、すなわち面間偏心を求める。
特許第4767255号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、非球面レンズを反転させる際に重力方向の反転や熱変動によってホルダーに対して非球面レンズが動く可能性があり、計測精度が劣化する可能性がある。また、非球面レンズを反転させて非球面レンズの両面を走査する必要があり、面間偏心の計測に時間を要する。
本発明は、レンズの面間偏心を高精度かつ高速に計測する偏心計測方法、レンズの製造方法、および偏心計測装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての偏心計測方法は、第1軸に対して対称な非球面である第1面と第2軸に対して対称な非球面である第2面とを備えるレンズの偏心量を計測する偏心計測方法であって、レンズで反射された第1反射光を用いて第2軸に対する第1面の傾斜を取得する第1の工程と、レンズで反射された第2反射光を用いて第1軸に対する第2面の傾斜を取得する第2の工程と、第1の工程で取得された傾斜、第2の工程で取得された傾斜、第1面の曲率、第2面の曲率、および第1面と第2面との距離を用いて偏心量を取得する第3の工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、レンズの面間偏心を高精度かつ高速に計測する偏心計測方法、レンズの製造方法、および偏心計測装置を提供することができる。
第1実施形態の被検レンズの構成を説明する模式図である。 第1実施形態の偏心計測装置の構成を説明する模式図である。 図2とは異なる状態の偏心計測装置の構成を説明する模式図である。 検出部の構成を説明する模式図である。 マイクロレンズアレイの構成を説明する模式図である。 撮像素子の受光面に形成されるスポット群の模式図である。 第1実施形態の偏心計測手順を説明するフローチャートである。 第2面傾斜計測工程の手順を説明するフローチャートである。 スポットパラメータ群の算出の手順を説明するフローチャートである。 測定光軸の近傍の第1面からの反射光が検出部に入射してスポット群を形成する様子を説明する模式図である。 仮の第2面傾斜の算出の手順を説明するフローチャートである。 第1面傾斜工程の手順を説明するフローチャートである。 第2実施形態の偏心計測手順を説明するフローチャートである。 第4実施形態の被検レンズの構成を説明する模式図である。 第4実施形態の偏心計測手順を説明するフローチャートである。 第4実施形態の被検レンズ16の位置と反射光の関係を示す模式図である。 第5実施形態の偏心計測装置の構成を説明する模式図である。 第5実施形態の偏心計測手順を説明するフローチャートである。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
[被検レンズと面間偏心の説明]
図1は、計測対象である被検レンズ12の構成を説明する模式図である。被検レンズ12には、第1面12aと第2面12bが形成されている。第1面12aは第1軸12cに対して軸対称な形状を示す非球凸面、第2面12bは第2軸12dに対して軸対称な形状を示す非球凸面となっている。すなわち、被検レンズ12は、両凸の両非球面レンズである。なお、被検レンズ12は、両凸レンズに限らず、両凹レンズであってもよい。
被検レンズ12では、第1軸12cと第2軸12dが一致し、かつ第1面12aが式(1)のz(x,y)に、第2面12bが式(2)のz(x,y)に従うように設計されている。
ここで、kとkはそれぞれ、第1面12aと第2面12bのコーニック係数を表す。Rは第1軸12c近傍における第1面12aの曲率半径、Rは第2軸近傍における第2面12aの曲率半径を表す。c1,2iとc2,2iはそれぞれ、第1面12aと第2面12bの非球面係数を表す。dは、第1軸12c上での第1面12aと第2面12bとの距離、すなわち被検レンズ12の厚みを表す。いずれの設計式も、第1面12aと第1軸12cの交点を原点とする座標系に基づいている。また、r=x+yである。
被検レンズ12は、研削・研磨加工やモールド加工によって形成される。ただし、形成の際の製造誤差により、第1軸12cと第2軸12dは厳密には一致しない。本発明では、この不一致、すなわち第1軸12cと第2軸12dのずれ量を面間偏心として計測することを目的としている。
本実施形態では、面間偏心を、両軸の傾きの差である傾斜偏心と、位置の差である平行偏心に分解して定義する。図1(a)は、本実施形態において計測する傾斜偏心と平行偏心の模式図である。xyz直交座標系を図1に示されるように定義した場合、傾斜偏心は第1軸12cに対する第2軸12dのθ方向の傾斜量Δθg,xとθ方向の傾斜量Δθg,yとして表される。平行偏心は、第2面12bと第1軸12cの交点と第2面12bと第2軸12dの交点のx位置の位置ずれ量Δg,xと、y位置の位置ずれ量Δg、yとして表わされる。
ただし、(Δθg,x,Δθg,y)と(Δg,x,Δg、y)以外であっても、第1軸12cと第2軸12dの位置関係を表すパラメータは全て面間偏心に包括され、本発明による取得が可能である。また、以下の説明では、面間偏心を単に「偏心」を称する場合もある。
[偏心計測装置の説明]
図2は、偏心計測装置100の構成を説明する模式図である。偏心計測装置100は、光源1、シングルモード光ファイバー1a、光ファイバーコネクタ1b、虹彩絞り1e、レンズ4,5,11、ステージ7、ステージコントローラー7a、およびホルダー7bを備える。また、偏心計測装置100は、ハーフミラー8、検出部9、処理部10、モニタ10e、および測長器15を備える。
光源1から射出された光は、シングルモード光ファイバー1aを介して光ファイバーコネクタ1bから射出され、測定光軸1cに沿って球面波として進行する。本実施形態では、光源1として単色のレーザーを用いるが、発光ダイオードなどを用いてもよい。また、シングルモード光ファイバー1aを用いることなく、光源1から自由空間に射出された光を不図示のレンズで集光して不図示のピンホールに入射し、そこから射出される球面波の光を利用してもよい。球面波の光束径は、虹彩絞り1eの開口径によって制御される。
ステージ7は、ステージコントローラー7aからの指令に基づいて被検レンズ12を移動させる。ステージ7では、被検レンズ12と同様に、図2に示されるxyz直交座標系が定義されている。z軸は測定光軸1cに平行であり、測定光軸1c上でx=y=0である。ステージ7は、この座標系に基づいて、x,y,z,θ,θ,θの6軸方向へ移動可能に構成されている。ホルダー7bは、ステージ7に取り付けられ、被検レンズ12を保持する。
レンズ4,11は、ハーフミラー8を透過した光ファイバーコネクタ1aからの光を収束光に変換し、被検レンズ12を照明する。ハーフミラー8は、測定光軸1cに対して45°傾斜して配置されている。これにより、被検レンズ12の反射光の進行方向は、測定光軸1cに沿う方向から、測定光軸1cに対して直交する測定光軸1dに沿う方向に変換される。測定光軸1c,1dは、ハーフミラー8上で交わっている。レンズ5は、被検レンズ12で反射された光をコリメートしたり収束させたりする。
レンズ4,5,11のフォーカス距離や有効径は、被検レンズ12の第1面12aの有効径および曲率半径と、検出部9の検出面の大きさとに基づいて決定される。レンズ4と被検レンズ12との距離は、レンズ4を透過した光が第1面12aの曲率中心近傍に収束するように設定する。その結果、レンズ4を透過した光は第1面12aに対して全面に亘ってほぼ垂直に入射し、その反射光L1はハーフミラー8に至るまで入射光とほぼ同じ光路を進行する。また、レンズ5、ハーフミラー8、レンズ4、およびレンズ11は、第1面12aで反射された光を倍率mで検出部9に結像するように、その間隔やフォーカス情報を設定される。すなわち、レンズ4、レンズ11、ハーフミラー8、およびレンズ5は、結像レンズ14aとして機能する。この場合、第1面12aと検出部9は、結像レンズ14aを介して共役な位置関係となる。設計形状の異なる複数の被検レンズ12に対して上記条件が常に満たされるように、結像レンズ14aに可動機構を備えてもよい。ただし、第1面12aの反射光L1の角度は、第1面12aの非球面量(球面からの偏差)や形状誤差に依存する。第1面12aの非球面量が大きい場合、第1面12aの反射光の角度は入射光の角度からずれる。
測長器15は通常、測定光軸1cから離れた場所に設置されているが、不図示の駆動機構によりレンズ4と被検レンズ12の間に挿入され、測定光軸1c上での被検レンズ12の高さを計測することができる。測長器15としては、三角測量による測長器を用いてもよいし、レーザー測長器を用いてもよいし、白色干渉計を用いてもよいし、多波長干渉計を用いてもよい。
また、ステージ7は、第2面12bの曲率中心がレンズ4を透過した光の収束点近傍に位置するまでz方向へ移動することができる。レンズ5は、不図示の駆動機構により偏心計測装置100からの脱着が可能となっている。図3は、レンズ5が退避している状態の偏心計測装置100の構成を説明する模式図である。レンズ4を透過した光が第2面12bの曲率中心近傍で収束する位置にステージ7が位置し、レンズ4、ハーフミラー8、およびレンズ11は第2面12bで反射された光を倍率mで検出部9に結像する結像レンズ14bとして機能する。この場合、第2面12bと検出部9は、結像レンズ14bを介して共役な位置関係となる。
図4は、検出部9の構成を説明する模式図である。検出部9は、複数の光学素子である複数のマイクロレンズ(ML:microlens)2aを備えるマイクロレンズアレイ(MLA:microlens array)2、および撮像素子3から構成される。撮像素子3として、CCDカメラを用いてもよいし、CMOSカメラを用いてもよい。また、MLA2の代わりに、複数の微小な凹面ミラーが配列しているミラーアレイなどを導入してもよい。検出部9では、ξη直交座標系が定義されている。ξ軸およびη軸はいずれも測定光軸1dに対して直交し、測定光軸1d上ではξ=η=0となる。撮像素子3の受光面3aとMLA2はいずれもξη平面に対して平行に配置され、両者は面間隔lだけ離れている。検出部9は、光波面センサーとして汎用的に使用されているシャックハルトマンセンサー(SHS:Shack−Hartmann Sensor)と同様の構成であり、市販のSHSを用いてもよい。なお、本実施形態では、MLA2を第1面12aの共役面に一致させているが、受光面3aなど、検出部9内のその他の面を第1面12aの共役面に一致させてもよい。
図5は、MLA2の構成を説明する模式図である。MLA2は、同一面内に等間隔で配置されている円形のML2a、およびML2a以外の箇所に入射した光を遮光するための遮光マスク2bから構成される。ML2aの焦点距離はいずれもfであり、受光面3aとMLA2との間の面間隔lにほぼ等しい。遮光マスク2bの非遮光領域は円形であり、その中心はML2aの光軸とほぼ一致している。ただし、ML2aや遮光マスク2bの非遮光領域の形状は円形に限らず、方形や六角形でもよい。本実施形態では、ξ方向およびη方向に沿ってML2aが間隔pで正方格子状に配置されている。例えば、ML2aの1つであるML2cであれば、「k行j列目のML」と表現する。ただし、ML2aは、必ずしも正方格子状に配置されていなくてもよい。また、本実施形態では、表記の便宜上、測定光軸1dに最も近いMLを「0行0列目のML」とする。
ML2aの光軸の位置(ξ0,j,k,η0,j,k)は、例えば、Applied Optics Vol.44,No.30,p6419に記載の方法で事前に取得しておく。検出部9は距離lが焦点距離fに等しくなるように組み立てられているが、その組立には有限の誤差が存在する。そこで、距離lについても、校正し、精密な値を事前に取得しておく。本実施形態では、全てのML2aと受光面3aとの距離が面間隔lで均一であるとして扱うが、ML2aごとに受光面3aとの距離lj,kを求め、後述の第2面傾斜の算出式などに反映してもよい。
処理部10は、算出機能を持つCPU10aを備え、算出部として機能する。また、処理部10は、不図示のインターフェースを介して撮像素子3の出力信号を入力したり、ステージコントローラー7aに対して被検レンズ12の位置制御情報を出力したりすることが可能である。さらに、処理部10は、レンズ5の不図示の駆動機構に対して脱着制御信号を出力したり、測長器15の駆動機構に対して挿入・退避の制御信号を出力したり、測長器15に対して測長の指令を出力したりすることが可能である。
処理部10は、これらの機能を利用して、後述する被検レンズ12の偏心計測手順に従って計測処理を行う。計測処理を行うためには、計測処理を行うプログラム、検出部9の構成に関する情報、被検レンズ12の設計情報、およびレンズ4,5,11やハーフミラー8の形状と配置に関する情報などが必要となる。これらのデータは、例えば、処理部10に備えられたROM10bやRAM10cなどのメモリの所定領域に格納される。
また、処理部10は、例えば、IEEE802.3規格のネットワークインターフェースなどから構成される通信手段10dを有し、モニタ10eに接続されている。CPU10aは、偏心計測結果やそれに基づく被検レンズ12の評価結果を、モニタ10eに表示したり、通信手段10dを介して偏心計測装置100が設置された両非球面レンズの製造プラントの他の機器に送信したりすることができる。
[第1面12aが検出部9の共役面に位置する場合のスポット像の説明]
被検レンズ12がホルダー7bに設置され、第1面12aが結像レンズ14aを介して形成される検出部9の共役面と一致する位置にステージ7が移動すると、レンズ4で収束された光の一部は第1面12aで反射される。反射された反射光L1は、レンズ4,11を通過し、ハーフミラー8で反射されてレンズ5でおおよそコリメートされ、検出部9に入射する。
図4では、反射光L1が検出部9に入射する様子が示されている。図4は模式図であり、MLやスポットの数は図示された数に限定されない。検出部9は結像レンズ14aを介して第1面12aと共役な位置関係にあるため、検出部9に入射する反射光L1の波面W1には第1面12aの非球面形状が反映される。すなわち、波面W1は、非球面となる。その後、反射光L1は、MLA2によって分割され、受光面3aにスポット群SP1を形成する。具体的には、スポット群SP1は、各MLの中心を通過する波面W1の法線(光線R1)と受光面3aの交点に形成される。
図6は、受光面3aに形成されるスポット群の模式図である。図6は模式図であり、スポットの数は図示された数に限定されない。スポット群SP1は、白丸で示されている。波面W1は非球面なので、MLA2ではML2aが等間隔に配列しているにも関わらず、スポット群SP1は不等間隔に配列する。ただし、第1軸12cの近傍では第1面12aは球面で近似されるので、波面W1も測定光軸1dの近傍では球面となり、測定光軸1dの近傍(受光面3aの中央部)に限ってスポット群SP1は等間隔に配列する。
一方、レンズ4で収束された光の一部は、第1面12aを通過し、第2面12bで反射される。反射された反射光L2は、一旦第1面12aの近傍で集光した後に発散光となり、レンズ4,11でおおよそコリメートされ、レンズ5に入射する。ただし、レンズ5に入射する反射光L2は、その光束径がレンズ5の口径を大きく上回るため、そのほとんどがレンズ5を保持するホルダー5aによって遮られる。その結果、反射光L2の中でも、測定光軸1d近傍の光、すなわち第2軸12d近傍の第2面12bで反射された光のみがレンズ5を透過する。第2面12bも第2軸12dの近傍では球面で近似されるので、レンズ5を透過する反射光L2の波面W2も球面で近似される。反射光L2はレンズ5によって収束され、球面波として検出部9の中央部に入射する。
図4に示されるように、検出部9に入射した反射光L2はMLA2によって分割され、受光面3aにスポット群SP2を形成する。具体的には、スポット群SP2は、各MLの中心を通過する波面W2の法線(光線R2)と受光面3aの交点に形成される。
図6には、受光面3aに形成されるスポット群SP2が、黒丸で示されている。検出部9に入射した反射光L2は収束光であり、これによって形成されるスポット群SP2は、コリメート光によって形成されるスポット群SP1と比較して、狭い間隔で密集する。また、検出部9に入射する反射光L2の波面W2は球面であり、これによって形成されるスポット群SP2は等間隔に配列する。
ここで、「k行j列目のML」を透過した反射光L1が形成するスポットの位置を(ξu,j,k,ηu,j,k)、反射光L2が形成するスポットの位置を(ξb,j,k,ηb,j,k)とする。「k行j列目のML」が受光面3aの中央部(測定光軸1dの近傍)にある場合、スポット群SP1,SP2のいずれもが略等間隔に配列されるので、それらの位置は以下の式(3)〜(6)で近似される。
はスポット群SP1のスポット間隔、qはスポット群SP2のスポット間隔である。(ξu,0,0,ηu,0,0)は、「0行0列目のML」を透過した反射光L1が形成するスポットの位置であるとともに、スポット群SP1のシフト量である。また、(ξb,0,0、ηb,0,0)は、「0行0列目のML」を透過した反射光L2が形成するスポットの位置であるとともに、スポット群SP2のシフト量を表す。
[第2面12bが検出部9の共役面に位置する場合のスポット像の説明]
図3に示されるように、レンズ5が退避し、第2面12bが結像レンズ14bを介して形成される検出部9の共役面と一致する位置にステージ7が移動した場合について説明する。この場合、レンズ4で収束された光は再び発散した後にその一部が第1面12aを透過し、第2面12bで反射される。反射された反射光L4の波面には、第2面12bの非球面形状が反映される。反射光L4は、第1面12aを透過した後にレンズ4,11でコリメートされ、ハーフミラー8で反射された後に検出部9に入射する。
検出部9は結像レンズ14bを介して第2面12bと共役な位置関係にあるため、検出部9に入射する反射光L4の波面W4には第2面12bの非球面形状が反映される。その後、反射光L4は、MLA2によって分割され、受光面3aにスポット群SP4を形成する。スポット群SP4は、スポット群SP1と同様、不等間隔に配列したスポットから形成されるが、測定光軸1d近傍に限っては等間隔に配列する。
また、レンズ4で収束された光の一部は、第1面12aを透過することなく反射される。第1面12aへの入射光の波面曲率は第1面12aの曲率とは大きく異なるため、第1面12aで反射された反射光L3は大きく発散する。その結果、外周部で反射された光はレンズ4を保持するホルダー4aによって遮られ、第1軸1c近傍で反射された光のみがレンズ4,11によって収束し、検出部9の中央部に入射する。検出部9に入射した反射光L3はMLA2によって分割され、受光面3aの中央部に略等間隔なスポット群SP3を形成する。
[偏心計測手順の概要説明]
図7は、本実施形態の偏心計測手順を説明するフローチャートである。本実施形態の偏心計測は、加工対象物(ワーク)を加工して被検レンズ12を製作する加工ステップの後に実行される。本実施形態の偏心計測手順は、3つの工程(ステップ)に分けられる。
ステップ(第2面傾斜計測工程)S1では、図1(b)に示される、第1軸12cに対する第2面12bの傾斜(以下では単に「第2面傾斜」と表現する)(Δθx,2,Δθy,2)が計測される。ここでは、結像レンズ14aを構成することで、第1面12a全面からの反射光と第2面12bの中央部からの反射光を検出部9に入射させる。その後、第1軸12cを測定光軸1cに一致させた上で、第2面傾斜(Δθx,2,Δθy,2)が取得される。
ステップ(第1面傾斜計測工程)S2では、図1(b)に示される、第2軸12dに対する第1面12aの傾斜(以下では単に「第1面傾斜」と表現する)(Δθx,1,Δθy,1)が計測される。ここでは、結像レンズ14bを構成することで、第2面12b全面からの反射光と第1面12aの中央部からの反射光を検出部9に入射させる。その後、第2軸12dを測定光軸1cに一致させた上で、第1面傾斜(Δθx,1,Δθy,1)が取得される。
ステップ(面間偏心算出工程)S3では、面間偏心量が算出される。ここでは、ステップS1,S2で取得した傾斜に関するデータ、被検レンズ12の各面の曲率半径の設計値R,R、および面間距離の設計値dに基づいて、面間偏心である傾斜偏心(Δθg,x,Δθg,y)と平行偏心(Δg,x,Δg、y)が算出される。
なお、ステップS1では、第1軸1cを基準とした第2面12bの傾斜を取得するが、第1面12aを特徴付ける他の軸(特徴軸)を基準とした第2面12bの傾斜を取得してもよい。この場合、他の特徴軸を基準とした第2面12bの傾斜から簡易な補正によって第2面傾斜を取得することができる。また、ステップS3にて他の特徴軸と第1軸12cの関係を補正することで、面間偏心を算出すればよい。
以下では、ステップS1〜3の詳細について説明する。
[第2面傾斜計測工程:パラメータ算出]
図8は、第2面傾斜を計測するステップS1の手順を説明するフローチャートである。
ステップS101では、処理部10は、受光面3aに形成される可能性のあるスポット群に関連するパラメータ群(スポットパラメータ群)を装置設計値より算出する。
図9は、スポットパラメータ群の算出の手順を説明するフローチャートである。
ステップS101aでは、処理部10は、パラメータ群X(=(ξu,0,0,ηu,0,0,ξb,0,0,ηb,0,0,q,q))を算出する。パラメータ群Xを構成するパラメータはいずれも、式(3)〜(6)において、スポット位置を表現するために用いられているものである。パラメータ群Xの各パラメータは、以下の式(7)〜(12)で算出される。
ここで、ρ,ρはそれぞれ、検出部9に入射する波面W1,W2の曲率を表す。p,l,ξ0,0,0,η0,0,0については、事前に取得した値を代入すればよい。ρとρについては、被検レンズ12に入射する光波面の曲率の設計値、結像レンズ14aの結像倍率m、および被検レンズ12の設計形状や屈折率から解析的に算出してもよいし、光線追跡を行って算出してもよい。
図10は、測定光軸1dの近傍の反射光L1が検出部9に入射してスポット群SP1を形成する様子を説明する模式図である。図示されていないが、反射光L2が検出部9に入射してスポット群SP2を形成する様子も、これと同じである。式(7)〜(12)は、図10より幾何学的に導出される。ただし、図10では、反射光L1の波面W1が測定光軸1dに対して軸対称である。これは、図10と式(9)〜(12)において、偏心計測装置100を構成する全ての光学面が測定光軸1c,1dに対して軸対称であることが前提とされていることを意味する。具体的には、第1軸12cと第2軸12dが測定光軸1cに一致し、レンズ4,5,11が測定光軸1c,1dに対して軸対称な形状を示すことが前提とされている。
ステップS101bでは、処理部10は、パラメータ群W(=(w,w,I,I))を算出する。wとwはそれぞれ、スポット群SP1,SP2を構成するスポットの半径を表す。IとIはそれぞれ、スポット群SP1,SP2のピーク強度を表す。いずれのパラメータもスポット形状に関連している。スポット半径w,wについては、ML2aの設計値と、MLA2と受光面3aとの間の面間隔lから、フレネル回折やフラウンホーファ回折などの光伝搬公式を用いて計算する。光伝搬公式を用いる代わりに角スペクトル法やFDTD法などで光伝搬の計算を行ってもよいし、計算の際に反射光L1の波面W1や反射光の波面W2の形状を考慮してもよい。ピーク強度I,Iについては、検出部9に入射する反射光L1と反射光L2の照射密度、スポット半径w,w、および撮像素子3の受光感度から算出する。反射光L1と反射光L2の照射密度については、光源1の出力や結像レンズ14aの結像倍率などに基づいて解析的に算出してもよいし、光線追跡によってシミュレーションしてもよい。
ステップS101cでは、処理部10は、パラメータ群R(=(r,r,rap,r))を算出する。rとrはそれぞれ、図6に示されるように、受光面3aに入射する反射光L1の光束半径と反射光L2の光束半径を表す。rapとrはそれぞれ、後述のプレフィッティング工程とフィッティング工程でスポット像に対して解析する領域の半径(解析半径)を表す。いずれのパラメータもスポット像の解析領域に関連している。光束半径r,rは、被検レンズ12の外径や結像レンズ14aの結像倍率などに基づいて解析的に算出してもよいし、光線追跡によってシミュレーションしてもよい。解析半径rapは、スポット間隔qに対して2〜3倍程度に設定することが好ましい。これにより、プレフィッティング工程について、必要最低限の精度を確保しつつ、高速化を実現することができる。解析半径rは、第2面12bの光束半径rに対してスポット間隔q程度小さい値とすることが好ましい。これにより、レンズ5の縁のケラれて光量が低下しているスポットを除きつつ、多くのスポット群SP2をフィッティングすることが可能となり、高精度なフィッティングを実現することができる。
以上で、スポットパラメータ群の算出が終了する。ステップS101で算出されたパラメータ群X,W,Rは、ROM10b(またはRAM10c)に格納される。なお、ステップS101の処理は、面間偏心の計測を開始する前に事前に行っておいてもよい。また、パラメータ群は、本実施形態では装置設計値に基づいて算出されたが、偏心計測装置100上で実測されてもよい。
[第2面傾斜計測工程:仮の第2面傾斜の取得]
ステップS102aでは、ステージ7のθ方向における位置を0°に設定した上で、被検レンズ12をホルダー7bに設置する。その際、第1軸12cを測定光軸1cにおおよそ一致させる。そのために、あらかじめホルダー7bに目印を備えてこれに合わせて被検レンズ12を設置してもよいし、ホルダー7bに不図示の位置決めピンなどを備えて被検レンズ12を突き当ててもよい。また、これ以降の工程を含め、ステージ7を移動する際には、処理部10からステージコントローラー7aに指令を出す。
ステップS102bでは、レンズ5を挿入して結像レンズ14aを構成する。
ステップS102cでは、ステージ7を移動して第1面12aを検出部9の共役面におおよそ一致させる。このときのステージ7の移動量は、例えばステージ7、ホルダー7b、および被検レンズ12の設計値に基づいて決定すればよい。
ステップS102a〜S102cを実行した結果、受光面3aには図6に示されるようにスポット群SP1,SP2が形成される。そのため、ステップS102a〜S102cの処理は、スポット群形成工程に相当する。
ステップS103aでは、被検レンズ12をx方向、y方向、θ方向、およびθ方向においてアライメントする。
ステップS103bでは、被検レンズ12をz方向においてアライメントする。
ステップS104では、撮像素子3にてスポット群SP1,SP2を同時に撮像し、受光面3における光強度分布I(ξ,η)をスポット像として取得する。取得したスポット像は、処理部10に取り込まれる。
ステップS105では、処理部10は、ステップS104で取得されたスポット像から仮の第2面傾斜(Δθ2,x,Δθ2,y)を算出する。
図11は、ステップS105で実行される、仮の第2面傾斜の算出の手順を説明するフローチャートである。ステップS105は、スポット像をプレフィッティングするステップS105a、スポット像をフィッティングするステップS105b、および仮の第2面傾斜を算出するステップS105cから構成される。
ステップS105を構成する3つのステップのうち、まず、スポット像をフィッティングする2つ目のステップS105bについて説明する。このフィッティングでは、取得したスポット像と以下の式(13)で算出されるスポット像との差が最小となるスポット位置を表すパラメータ群Xが算出される。
算出の際には、Excelソフトのソルバー機能や、Matlabソフトのfminsearch関数などの、非線形最適化プログラムを使用すればよい。フィッティング対象とするスポット像は、ステップS101cで算出された半径rの解析領域AR1内に限定する。
ここで、フィッティングにおいてスポット像のモデリングに用いた式(13)について説明する。式(13)では、各スポットの強度分布をガウス関数で、スポット像をその重ね合わせとして表現している。スポットの強度分布を適切に表現するものであればガウス関数に限定されることはなく、ベッセル関数やsinc関数などを用いてもよい。スポットは、スポット群SP1,SP2の両方において、等間隔に配列され、式(3)〜(6)に従うことを前提としている。この前提は、解析領域AR1が受光面3の中央部に限られていることに基づく。第2面傾斜(Δθ2,x,Δθ2,y)は、上述したように、第1軸12cの傾斜と第2面12bの傾斜の差として定義されている。被検レンズ12の第1軸12cが傾斜すると、第1面12aも傾斜し、反射光L1の波面W1が傾斜し、スポット群SP1がシフトする。同様に第2面12bが傾斜すると、反射光L2の波面W2が傾斜し、スポット群SP2がシフトする。その結果、第2面傾斜は、スポット群SP1のシフト量(ξu,0,0,ηu,0,0)とスポット群SP2のシフト量(ξb,0,0,ηb,0,0)のずれに反映されることとなり、これを包含するパラメータ群Xにも反映されることとなる。ステップS105bにおいてパラメータ群Xを出力する理由はこの点にある。
ところが、ステップS105bにおいて、式(13)を用いてスポット像を正しくフィッティングするためには、高精度なパラメータ群W(=(w、w、I、I))を入力する必要がある。ステップS101bにおいてパラメータ群Wを算出しているが、これは装置設計値から算出したものであり、偏心計測装置100の製造誤差が反映されていない。そのため、ステップS101bで算出されたWは、ステップS105bで使用するには精度が不足している。
また、広域においてスポット像を非線形最適化プログラムでフィッティングする場合、スポット間隔q,qの初期値には高い精度が求められる。スポット間隔q,qの初期値が実際のスポット間隔からずれていると、外周部のスポットの位置が大きくずれた状態からフィッティングが開始されることとなり、その収束性が低下する。ステップS101aではスポット間隔q,qを算出しているが、これは装置設計値から算出したものであり、偏心計測装置100の製造誤差が反映されていない。そのため、ステップS101aで算出されたスポット間隔q,qは、ステップS105bで使用するには精度が不足している。
そこで、本実施形態では、ステップS105bの処理の前に、スポット像をプレフィッティングするステップS105aの処理が実行される。ステップS105aでは、解析領域AR1よりも小さい解析領域AR2のスポット像に対して式(13)でプレフィッティングを施し、パラメータ群X,Wが算出される。プレフィッティングにおけるパラメータ群X,Wの初期値として、ステップS101で算出された値を用いる。プレフィッティングの解析領域AR2は十分に小さいため、装置設計値に基づくパラメータ群X,Wを初期値としても、高い収束性を得ることができる。ステップS105bのフィッティングでは、パラメータ群WをステップS105aで算出した値に固定するとともに、ステップS105aで算出されたパラメータ群Xを初期値とする。このようなプレフィッティング工程を事前に導入することにより、ステップS105bでは高精度かつ高速なフィッティングを実現することができる。
ところで、ステップS105aのプレフィッティングでは、式(13)を用いており、スポットシフト量(ξu,0,0,ηu,0,0),(ξb,0,0,ηb,0,0)のフィッティング初期値には式(9)〜(12)の結果を用いている。上述したように、式(9)〜(12)は、波面W1が測定光軸1dに対して軸対象であることを前提としている。
すなわち、プレフィッティングの対象とするスポット像は、波面W1が測定光軸1dに対して軸対称である状態で取得されている必要がある。そのためには、被検レンズ12の第1軸12cが測定光軸1cと一致している必要がある。これらの軸が一致していないと、被検レンズ12の第1面12aや第2面12bで反射される光の波面が大きく傾斜し、波面W1,W2も大きく傾斜する。その結果、スポット群SP1,SP2のシフト量が大きくずれることとなり、式(13)で算出されるシフト量を初期値としてフィッティングを行っても、安定した収束性は期待できない。ステップS102では突き当て機構などを利用して第1軸12cを測定光軸1cとおおよそ一致させるものの、これだけではプレフィッティングに必要な設置精度は得られない。
そこで、本実施形態では、ステップS104でスポット像を取得する前に、ステップS103aにおいて、被検レンズ12をx方向、y方向、θ方向、およびθ方向においてアライメントする。具体的にはまず、ステップS104と同様に、スポット像を取得する。上述したように、検出部9には反射光L1,L2が入射しており、光束径は反射光L1の方が大きい。そのため、受光面3aには、反射光L1によるスポット群SP1のみが形成された、ドーナツ状の領域が存在する。この領域であれば、スポット群SP2が存在しないので、従来の簡易な方法に従ってスポット群SP1の位置を検出することができる。そこで、本実施形態では、特開2016−38300に記載の方法などに従い、処理部10によってこのドーナツ状の領域に存在するスポット群SP1を構成するスポットの位置を検出し、そこから反射光L1の波面W1の傾斜成分とコマ収差成分とを算出する。さらには、特開2015−75396に記載の方法などに従い、波面W1の傾斜成分とコマ収差成分から、測定光軸1cに対する被検レンズ12の第1軸12cのx方向、y方向、θ方向、およびθ方向の位置ずれを処理部10で算出する。すなわち、スポット群SP1を参照して第1軸12cを検出する。その後、処理部10は、ステージコントローラー7aに指令を出し、算出された位置ずれ量を相殺するようにステージ7を駆動する。
ステップS103aを実行することにより、被検レンズ12はアライメントされ、第1軸12cは測定光軸1cに一致する。これにより、スポット群SP1のシフト量が式(9),(10)で算出される値にほぼ一致するのに加え、スポット群SP2のシフト量が式(11),(12)で算出される値に近づく。その結果、ステップS105aにおけるプレフィッティングの収束性が向上する。
スポットS105cでは、処理部10は、第2面傾斜の情報が含まれているパラメータ群Xを参照して仮の第2面傾斜を算出する。ここで、ステップS103aで行ったアライメントの基準となる波面計測結果には有限の誤差が存在し、アライメント後の被検レンズ12にも有限の設置誤差が存在することがある。第1軸12cが測定光軸1cに対してθ方向へθx,u、θ方向へθy,uだけ傾斜している場合、検出部9に入射する反射光L1の波面W1の傾斜(φξ,u,φη,u)は式(14),(15)で表される。
第2面12bがθ方向へθx,b、θ方向へθy,bだけ傾斜している場合、検出部9に入射する反射光L2の波面W2の傾斜(φξ,b,φη,b)は以下の式(16),(17)で表される。なお、mは結像レンズ14aの結像倍率、nは被検レンズ12の屈折率である。
一方、スポット群SP2のシフト量(ξb,0,0,ηb,0,0)は、波面W2の傾斜(φξ,b,φη,b)と以下の式(18),(19)の関係にある。
したがって、第1軸12cと第2面12bの傾斜の差である第2面傾斜(Δθ2,x,Δθ2,y)は、以下の式(20),(21)で算出される。
ステップS105cでは、ステップS105bで算出したパラメータ群Xを式(20),(21)に代入することによって第2面傾斜(Δθ2,x,Δθ2,y)を算出し、これを仮の第2面傾斜(Δθ’2,x(θ=0)、Δθ’2,y(θ=0))とする。
結像レンズ14aの結像倍率は、第1面12aが検出部9の共役面に設置されている場合には、設計通りmとなる。しかしながら、ステップS102cやステップS103aの直後では、ステップS102cでは考慮されていない被検レンズ12の製造誤差などに起因して、第1面12aが検出部9の共役面からずれることがある。第1面12aが共役面からずれると、結像倍率はmからずれた値となり、式(20),(21)で算出される第2面傾斜に誤差が生じる。そこで、結像レンズ14aの結像倍率をmに一致させるために、スポット像を取得するステップS104の前には、被検レンズ12のz位置をアライメントし、第1面12aを共役面に一致させるステップS103bが設けられている。ステップS103bでは、測長器15で被検レンズ12のz位置ずれをモニタしながら、その位置ずれを相殺するようにステージ7をz方向において移動させる。その際、測長機15によるz位置測定結果を処理部10に取り込み、その結果に基づいて、処理部10からステージコントローラー7aにステージ駆動量を送信する。
なお、偏心計測を実行する前に、ξ0,0,0=η0,0,0=0となるように検出部9の配置を調整しておいてもよい。この際、簡略化された式(20),(21)から、スポット間隔q,qの値を用いることなく第2面傾斜を算出することができる。また、θx,u=θy,u=0としても式(20),(21)を簡略化することが可能であり、ステップS103aにて高精度なアライメントが実現する場合には適用可能である。
なお、極端に高精度な偏心計測値が必要ない場合、ステップS105bを実施することなく、ステップS105aのプレフィッティングによって取得したパラメータ群Xから仮の第2面傾斜の値を算出してもよい。
なお、スポットシフト量(ξu,0,0,ηu,0,0),(ξb,0,0,ηb,0,0)やスポット間隔q,qを取得する際には、スポット像を所定の関数でフィッティングする代わりに、スポット像に対してフーリエ変換を施してもよい。
なお、本実施形態のステップS105bでは、ξ,η方向に沿って正方行列状にML2aが配列していることを前提としたが、MLA2の製造誤差や、MLA2の光軸周りの回転方向の設置誤差のため、ML2aが正方行列状の配置からずれることがある。その場合、式(13)の代わりに、これらの誤差まで考慮された以下の式(22)を用いてスポット像をフィッティングしてもよい。
上述したように、各ML2aの位置(ξ0,j,k,η0,j,k)は校正済みであり、フィッティングは校正値を式(22)に代入した上で行う。この方法は、MLがそもそもランダムに配列するように設計されている場合にも適用することができる。
[第2面傾斜計測工程:系統誤差の補正]
式(9)〜(12)では、レンズ4,5,11がそれぞれ測定光軸1c,1dに対して精密に軸対称であることを前提としており、ここから導出される式(20),(21)も同じ前提に基づいている。しかしながら、実際には、レンズ4,5,11には製造誤差や設置誤差があるため、厳密に軸対称となることはない。そのため、式(20),(21)で算出される第2面傾斜には、レンズ4,5,11の非軸対称性に由来する系統誤差が発生する。そこで、本実施形態では、計測した仮の第2面傾斜からレンズ4,5,11の非軸対称性に由来する系統誤差を抽出し、補正する。
ステップS106では、処理部10は、ステージ7のθ方向の位置が180°であるかどうかを判定する。ステージ7のθ方向の位置が180°である場合、ステップS108に進み、ステージ7のθ方向の位置が180°でない場合、ステップS107に進む。
ステップS107では、処理部10は、ステージ7をθ方向へ180°回転させる。その後、ステップS103a,S103b,S104,S105の処理を再び行い、仮の第2面傾斜(Δθ’2,x(θ=π),Δθ’2,y(θ=π))を算出する。ここまでの工程は、被検レンズ12を回転させながら、第2面傾斜のデータ(仮の第2面傾斜)を複数(θ=0,πの2つ)取得することに相当する。
ステップS108では、処理部10は、以下の式(23),(24)を用いて、仮の第2面傾斜に含まれる系統誤差(Δθs,2,x,Δθs,2,y)を算出する。
式(23),(24)は、仮の第2面傾斜が以下の式(25)〜(28)で表されることに由来する。
ステップ109では、処理部10は、仮の第2面傾斜(Δθ’2,x(0),Δθ’2,y(0))から系統誤差(Δθs,2,x,Δθs,y)を除去することで、第2面傾斜(Δθ2,x、Δθ2,y)を算出する。すなわち、仮の第2面傾斜に含まれる系統誤差を補正する。
なお、系統誤差の算出とそれに必要な仮の第2面傾斜(Δθ’2,x(π),Δθ’2,y(π))の取得は偏心計測装置100の組立後の初回計測のみで行い、2回目以降のステップS109では初回に取得した系統誤差で仮の第2面傾斜を補正してもよい。また、ステップS107を実施することなく、ステップS108にて第2面傾斜を、式(13)から導出される以下の式(29),(30)で算出してもよい。
さらに、本実施形態ではθ=0,πの2つのデータのみから系統誤差(Δθs,2,x、Δθs,2,y)を算出したが、被検レンズ12を回転させながらより多くのθについて仮の第2面傾斜データを取得し、それらを参照して系統誤差を算出してもよい。より多くのθについてのデータを参照することにより、算出する系統誤差の精度を向上させることができる。
[第1面傾斜計測工程の説明]
図12は、第1面傾斜を計測するステップS2の手順を説明するフローチャートである。
ステップS201では、処理部10は、受光面3aに形成される可能性のあるスポット群に関連するスポットパラメータ群を装置設計値より算出する。算出の手順はステップS101と同様に図9のフローチャートに従うが、算出に当たってはレンズ5を含まない結像レンズ14bによる結像を前提とする。また、第1面12aにおける光の屈折についても考慮することが望ましい。ステップS201も、ステップS101と同じく、偏心計測を開始する前に事前に行っておいてもよい。
ステップS202aでは、レンズ5を退避して結像レンズ14bを構成する。
ステップS202bでは、ステージ7をz方向へ移動して第2面12bを検出部9の共役面におおよそ一致させる。ただし、被検レンズ12を反転させるなどの作業は行わないため、ステップS1と同様、測定光は被検レンズ12に対して第1面12a側から入射する。必要に応じて、被検レンズ12を照明する光の光束径が被検レンズ12の口径と一致するように、虹彩絞り1eの開口径を変更してもよい。
ステップS203aでは、第2軸12dが測定光軸1cと一致するように、被検レンズ12をx方向、y方向、θ方向、θ方向においてアライメントする。アライメントの方法はステップS103aとほぼ同じであるが、反射光L1が形成するスポット群SP1の代わりに、反射光L4が形成するスポット群SP4を参照する点で異なる。また、第1軸12cを検出して測定光軸1cに一致させる代わりに、第2軸12dを検出して測定光軸1cに一致させる点でも異なる。
ステップS203bでは、ステップS103bと同様に被検レンズ12をz方向においてアライメントする。この際、第2面12bを検出部9の共役面に一致させる。
ステップS204では、ステップS104と同様にスポット像を取得する。ただし、このときの結像光学系は結像レンズ14bであり、ステップS104における結像光学系である結像レンズ14aとは異なっている。すなわち、第1面傾斜を計測するためのステップS204では、被検レンズ12で反射された光を、第2面傾斜を計測するためのステップS104とは異なる光学系を介して検出部9まで伝搬する。
ステップS205では、仮の第1面傾斜(Δθ’1,x(θ=π),Δθ’1,y(θ=π))を処理部10で算出する。仮の第2面傾斜を算出する方法にほぼ従うが、スポットシフト量から仮の第1面傾斜を算出する際には、式(20),(21)に代わって以下の式(31),(32)を用いる。
ステップS206では、処理部10は、ステージ7のθ方向の位置が0°であるかどうかを判定する。ステージ7のθ方向の位置が0°である場合、ステップS208に進み、ステージ7のθ方向の位置が0°でない場合、ステップS207に進む。
ステップS207では、処理部10は、ステージ7をθ方向へ180°回転させる。その後、ステップS203a,S203b,S204,S205の処理を再び行い、仮の第1面傾斜(Δθ’1,x(θ=0),Δθ’1,y(θ=0))を算出する。
ステップS208では、ステップS108と同様の方法で系統誤差を算出する。
ステップS209では、ステップS109と同様の方法で第1面傾斜(Δθ1,x,Δθ1,y)を算出する。
[面間偏心算出工程の説明]
ステップS3では、処理部10は、ステップS1で算出された第2面傾斜(Δθ2,x,Δθ2,y)とステップS2で算出された第1面傾斜(Δθ1,x,Δθ1,y)より、傾斜偏心(Δθg,x,Δθg,y)と平行偏心(Δg,x,Δg,y)を算出する。
ここで、第2面傾斜と第1面傾斜から傾斜偏心と平行偏心を算出する式を導出する。第1面12aと第1軸12cの交点をx=y=z=0の原点、第1軸12cをz軸とする座標系を考える。上述したように、被検レンズ12の第1面12aの形状z(x,y)と第2面12bの形状z(x,y)は、それぞれ式(1),(2)に基づいて設計されている。ただし、第1軸12cや第2軸12dの近傍に限定した場合、第1面12aと第2面12bを球面で近似することができる。さらに、球面は、放物面で近似することができる。また、面間偏心の存在により、第2面12bはz軸に対して非軸対称な形状を示す。これらの点を考慮すると、第1面12aと第2面12bの形状はそれぞれ以下の式(33),(34)で表される。
,yはそれぞれ、面間偏心の存在に伴う、第2面12bにおける放物面頂点のx方向およびy方向への横ずれを表す。また、第2軸12dは、以下の式(35)で表される。
であり、
第2軸12dの傾き(Δθg,x,Δθg,y)は、以下の式(36)で表される。
第1面12aとの交点(δg,x,δg,y)は、以下の式(37)で表される。
第2面傾斜(Δθ2,x,Δθ2,y)は、以下の式(38)で表される。
第1面傾斜(Δθ1,x,Δθ1,y)は、以下の式(39)で表される。
式(33),(34),(37)を式(38),(39)に代入し、式(36)と合わせて解くことにより、x,yが消去され、以下の式(40),(41)が導出される。
ここで、βとγはそれぞれ以下の式(42)で表される。
ステップS3では、処理部10は、式(40)に基づいて平行偏心、式(41)に基づいて傾斜偏心を算出する。
処理部10は、式(40),(41)を用いて、第1面傾斜、第2面傾斜、第1面12aの曲率半径、第2面12bの曲率半径、および厚みのみを参照して、傾斜偏心と面間偏心を算出している。曲率半径は曲率の逆数なので、これを参照することは曲率を参照することと同義である。これらの少ないパラメータから面間偏心を算出できるのは、以下のメカニズムに基づいている。第2面12bを球面(≒放物面)として近似するモデルにおいて、第2面傾斜と第2面12bの曲率が決定すると、第2面12bの曲率中心が決定される。これにより第2軸12dが通過する1点を決定することができる。次に、この1点、第1面12aの曲率半径、および第1面傾斜を参照すれば、第2軸12dの傾斜、すなわち傾斜偏心が一意に決定される。最後に、第2軸12dと第2面12bの交点として、平行偏心が決定される。式(40),(41)は、このような面間偏心決定プロセスを数式化したものに相当する。
式(40),(41)に基づいて面間偏心を算出する際、曲率半径と厚みについては、事前に計測しておいた値を代入してもよいが、設計値を代入してもよい。一般的なレンズにおいて、曲率半径や厚みの設計値に対する誤差は1%以下に抑制されている。これらの設計値に対する誤差が1%程度である場合に式(40),(41)に基づいて面間偏心を算出したとしても、平行偏心計測値に与える影響は1um以下、傾斜偏心計測値に与える影響は0.1分以下である。これらの偏心計測値を参照して非球面レンズを製造した場合であっても、誤差が結像性能に与える影響は極めて微小であり、無視できるものである。
なお、上述したように、面間偏心として、第1軸12cと第2軸12dの関係を表すパラメータではあるが、(Δθg,x,Δθg,y)、(Δg,x,Δg、y)以外のパラメータの取得が求められる場合もある。そのような場合には、式(40),(41)で算出したパラメータに対して補正や座標変換を施してもよいし、式(40),(41)を修正した上で適用してもよい。
[効果]
従来の両非球面レンズの偏心計測方法では、レンズ外部の基準物を参照して第1面と第2面のデータを接続していたが、一般的に外部基準は不安定であり、これを参照するデータ接続は計測精度の劣化を招く。これに対し本発明では、外部基準を参照することなく、被検レンズの曲率と厚みのみを参照して第1面と第2面を接続する。すなわち、被検レンズの曲率と厚みを基準として第1面と第2面を接続する。そのため、本発明では、外部基準を参照する従来の計測手法と比較して、精度の高い面間偏心データを得ることができる。また、本発明では、第1面から入射する光のみを利用するので、途中でレンズを反転させる必要がない。そのため、本発明によれば、面間偏心データを高速に取得することができる。
なお、本発明に想到するには、被検レンズの曲率と厚みが第1面と第2面とを接続する基準として機能することを見出す必要があり、当業者といえども容易ではない。
[第2実施形態]
本実施形態では、第1実施形態と同じく、偏心計測装置100を使用する。ただし、計測フローが第1実施形態とは異なる。具体的には、第1実施形態で取得した第1面傾斜と第2面傾斜を取得せず、仮の第1面傾斜と仮の第2面傾斜を取得するに留める。その後、取得した仮の第1面傾斜と仮の第2面傾斜から仮の面間偏心を算出し、さらにそこに含まれる系統誤差を補正することで面間偏心を取得する。
図13は、本実施形態の偏心計測手順を説明するフローチャートである。
ステップS301では、スポットパラメータ群を装置設計値から算出する。ここでは、第1実施形態のステップS101におけるパラメータの算出と、ステップS201におけるパラメータの算出の両方を行う。
ステップS302では、第1実施形態のステップS102aと同様に、ステージ7のθ方向における位置を0°に設定した上で、被検レンズ12をホルダー7bに設置する。
ステップS303では、第1実施形態のステップS102b〜S105と同様の手順で、仮の第2面傾斜(Δθ’2,x(0)、Δθ’2,y(0))を取得する。
ステップS304では、第1実施形態におけるステップS202a〜205と同様に、仮の第1面傾斜(Δθ’1,x(0)、Δθ’1,y(0))を取得する。
ステップS305では、式(39),(40)に従い、仮の傾斜偏心(Δ’θg,x(θ=0),Δ’θg,y(θ=0))と仮の平行偏心(Δ’g,x(θ=0),Δ’g,y(θ=0))を仮の面間偏心として算出する。
ステップS306では、処理部10は、ステージ7のθ方向の位置が180°であるかどうかを判定する。ステージ7のθ方向の位置が180°である場合、ステップS308に進み、ステージ7のθ方向の位置が180°でない場合、ステップS307に進む。
ステップS307では、処理部10は、ステージ7をθ方向へ180°回転させる。その後、ステップS303〜S305の処理を再び行い、仮の平行偏心(Δ’g,x(θ=π),Δ’g,y(θ=π))を取得する。
ステップS308では、以下の式(43),(44)に基づき、系統誤差が補正された面間偏心を算出する。
本実施形態では、直接的には面間偏心の系統誤差を補正したが、そもそもこれは第1面傾斜と第2面傾斜の系統誤差に由来するものであり、間接的に第1面傾斜と第2面傾斜の系統誤差を補正したことに相当する。
本実施形態によれば、第1実施形態と比較してステージ7を180°回転する回数が少ないため、より高速に面間偏心を計測することができる。
なお、面間偏心データに高い精度が求められない場合には、ステップS307,S308を行ったり、ステップS303〜S305を繰り返したりすることなく、初回のステップS305で算出した仮の面間偏心をそのまま面間偏心データとして出力してもよい。この方法であれば、より高速に面間偏心を計測することができる。
[第3実施形態]
本実施形態では、第1実施形態と同じく、偏心計測装置100を用い、図7のフローチャートに従って面間偏心を計測する。ただし、第1実施形態のステップS3では、第1面12aと第2面12bの形状に含まれる非球面成分を無視して面間偏心を解析的に算出するのに対し、本実施形態のステップS3では非球面成分まで考慮して数値的に算出する。
傾斜偏心(Δθg,x,Δθg,y)と平行偏心(Δg,x,Δg,y)を考慮すると、第2面12bの形状を表す式(2)は、以下の式(45)に修正される。
また、第1面12aと第2軸12dの交点の位置(δg,x,δg,y)は、以下の式(46)で表される。
本実施形態のステップS3では、式(1),(45),(46)が代入された式(38),(39)を数値的に解くことにより、傾斜偏心と平行偏心を算出することができる。算出に当たっては、例えば式(1),(45),(46)が代入された式(38),(39)の両辺の差の二乗和を評価関数とし、これを最小とするような傾斜偏心(Δθg,x,Δθg,y)と平行偏心(Δg,x,Δg,y)を探索すればよい。
本実施形態では、被検レンズの曲率半径と厚みに加え、コーニック係数と非球面係数まで考慮するため、面間偏心をより精密に算出することが可能となる。
[第4実施形態]
第1〜第3実施形態では両凸非球面レンズの面間偏心を計測する例を示したが、本実施形態においては、メニスカス両非球面レンズの面間偏心を計測する例を示す。
図14は、本実施形態の面間偏心を計測するメニスカス両非球面レンズである、被検レンズ16の構成を説明する模式図である。第1面16aは凸非球面、第2面16bは凹非球面であり、それぞれ第1軸16cと第2軸16dに対して対称に形成されている。本実施形態では第2面16bの方が曲率半径の絶対値が大きい例を示すが、第1面16aの方が大きい場合であっても、本発明を適用可能である。
本実施形態では、第1実施形態と同じく、偏心計測装置100を用いる。ただし、偏心計測手順は第1実施形態と異なる。図15は、本実施形態の偏心計測手順を説明するフローチャートである。
ステップS401では、第1実施形態のステップS101と同様に、スポットパラメータ群を装置設計値から算出する。
ステップS402では、第1実施形態のステップS102と同様に、ステージ7をθ方向における位置を0°に設定した上で、被検レンズ16をホルダー7bに搭載する。
ステップS402aでは、レンズ5を挿入する。
ステップS403では、検出部9の共役面に対して第1面16aが−z方向へずれるようにステージ7を移動する。
ステップS404では、第1実施形態のステップS103aと同様に、被検レンズ16をx方向、y方向、θ方向、およびθ方向においてアライメントする。ただし、メニスカス非球面レンズである被検レンズ16では、第1面16aと第2面16bの曲率が近い。
図16は、被検レンズ16の位置と、入射光L0と、第1面16aで反射された反射光L5と、第2面16bで反射された反射光L6と、検出部9の共役面CPの関係を示す模式図である。第1面16aと第2面16bの曲率が近いため、第1実施形態のステップS103aのように第1面16aを検出部9の共役面CPに設置した場合、図16(a)に示されるように反射光L5,L6の光束径が共役面CP上でおおよそ一致する。その結果、検出部9においても、反射光L5,L6の光束径がおおよそ一致する。この場合、検出部9において反射光L5のみによって照明される領域が狭いため、この領域におけるスポット群を参照して第1軸16cを精度良く検出することが困難となり、しいては第1軸16cを測定光軸1cに精度良く一致させることが困難となる。
そこで、本実施形態では、ステップS404を実行する直前にステップS403を実行する。ステップS403では、図16(b)に示されるように、第1面16aが検出部9の共役面CPから所定量−Δz(Δz>0)だけz方向へずれるように、ステージ7を移動する。これにより、反射光L6を共役面CP近傍に集光させ、検出部9における光束径を縮小させる。このとき、反射光L5についても共役面CPでの光束径は縮小するが、第2面16bに対して有限の曲率半径差が存在するため、反射光L6ほどは縮小しない。検出部9における光束径も同様である。その結果、検出部9には反射光L5のみによって照明される領域が生まれ、ステップS404ではこの領域のスポット群を参照することにより第1軸16cを精密に検出することができる。所定量−Δzの大きさは、光線追跡の結果を参照するなどして事前に決定しておくことが好ましい。また、のステップS401でスポットパラメータ群を算出する際には、所定量−Δzのずれを踏まえて算出することが好ましい。
ステップS405では、第1実施形態のステップS103bと同様の方法で、被検レンズ16をz方向においてアライメントする。本ステップでは、第1面16aが共役面CPに対して−Δzだけz方向へずれた位置にアライメントする。
ステップS406では、第1実施形態のステップS104,S105と同様の方法で、スポット像を取得して仮の第2面傾斜を算出する。
ステップS407では、共役面CPに対して第1面16aが所定量Δz(Δz>0)だけz方向へずれるように、ステージ7を移動する。図16(c)に示されるように、ステージ7の移動の結果、共役面CPまで仮想的に延長された反射光L5の光束径は反射光L6の光束径と比較して縮小される。その結果、検出部9では反射光L6のみによって照明される領域が生まれ、この領域におけるスポット群を参照して第2軸16dを精密に検出することが可能となる。
ステップS408では、第1実施形態のステップS203aと同様の方法で、第2軸16dが測定光軸1cと一致するように、被検レンズ16をx方向、y方向、θ方向、およびθ方向においてアライメントする。
ステップS409では、第1実施形態のステップ103bと同様の方法で、被検レンズ16をz方向においてアライメントする。本ステップでは、第1面16aが共役面CPに対してΔzだけz方向へずれた位置にアライメントする。
ステップS410では、第1実施形態のステップS204,S205と同様の方法で、スポット像を取得して仮の第1面傾斜を算出する。
ステップS411では、第2実施形態のステップS305と同様の方法で、仮の面間偏心を算出する。
ステップS412では、処理部10は、ステージ7のθ方向の位置が180°であるかどうかを判定する。ステージ7のθ方向の位置が180°である場合、ステップS413に進み、ステージ7のθ方向の位置が180°でない場合、ステップS414に進む。
ステップS413では、処理部10は、ステージ7をθ方向へ180°回転させる。その後、ステップS403〜S411の処理を繰り返す。
ステップS414では、第2実施形態のステップS307と同様の方法で、系統誤差が補正された面間偏心を算出する。
本実施形態に従って実験を行ったところ、平行偏心にして1.2μm、傾斜偏心にして0.04分の精度で面間偏心を計測できることを確認した。これだけの精度が保障された非球面レンズが例えばカメラに導入されれば、そのカメラは十分な結像性能を示すことが期待される。この実験結果より、本発明の有用性が示唆される。
[第5実施形態]
本実施形態では、図14のメニスカス両非球面レンズである被検レンズ16を対象として、その面間偏心を計測する例について説明する。ただし、計測対象は、両凸両非球面レンズや両凹両非球面レンズであってもよい。
図17は、本実施形態の偏心計測装置200を説明する模式図である。偏心計測装置200は、ホルダー27c、ステージ23,27a,27b、ステージコントローラー23a,27d、オートコリメータ22、測長器24、および処理部30から構成される。
ホルダー27cは、被検レンズ16を保持することが可能で、ステージ27bに取り付けられている。ステージ27bは、x方向、y方向、θ方向、およびθ方向へ移動可能で、ステージ27aに取り付けられている。ステージ27aはθ方向へ回転可能であり、その回転軸21は偏心計測装置200におけるz軸と一致している。ステージ27a,27bは、ステージコントローラー27dに接続されており、ステージコントローラー27dからの指令に基づいて被検レンズ16を駆動することができる。
ステージ23は、測長器24を支持しており、ステージコントローラー23aに接続されている。ステージ23は、ステージコントローラー23aからの指令に基づいて、測長器24をx方向、およびθ方向へ駆動することができる。測長器24は、被検レンズ16の第1面16aや第2面16bの外周部の高さを非接触で計測する光学式の測長器である。測長器24として、白色干渉計を用いてもよいし、多波長干渉計を用いてもよいし、レーザー測長器を用いてもよいし、三角測量による測長器を用いてもよい。ステージ23によりx方向、およびθ方向へ移動することで、測長器24から射出された光は第1面16aや第2面16bの外周部に対して垂直に入射することができる。
オートコリメータ22は、オートコリメーション法に基づいて被検物の傾斜を非接触で計測する装置である。偏心計測装置200では、オートコリメータ22は被検レンズ16の中央部に光を照射し、第1面16aで反射された光と第2面16bで反射された光に基づいてそれぞれの傾斜を計測することができる。オートコリメータ22は、出射光の光軸(=測定光軸)がステージ23の回転軸21、すなわち偏心計測装置200のz軸と一致するように設置されている。両者が精密に一致するようにオートコリメータ22を設置するには、例えばステージ23上に不図示のカメラを設置し、ステージ23を回転させてもカメラ上での出射光の位置が変化しないようにオートコリメータ22の位置を調整すればよい。
処理部30は、これらの機能を利用して、後述の偏心計測手順に従って計測処理を行う。処理部30は、ステージコントローラー23a,27d、オートコリメータ22、測長器24に接続されており、計測の際にはこれらに各種指令を送ったり、これらから計測値を取得したり、取得した計測値に基づいて算出を行ったりする。
図18は、本実施形態の偏心計測手順を説明するフローチャートである。
ステップS501では、被検レンズ16をホルダー27cに搭載する。
ステップS502では、測長器24で第1面16aの外周部の高さを計測できるように、ステージ23を第1面計測位置に移動させる。このとき、測長器24を、出射光が第1面16aの外周部に照射されるようにx方向へ移動させ、出射光がその照射点において垂直に入射するようにθ方向へ移動させる。また、これ以降の工程を含め、ステージ23を移動させる際には、処理部30からステージコントローラー23aに指令を出す。同様に、ステージ27a,27bを移動させる際には、処理部30からステージコントローラー27dに指令を出す。
ステップS503では、第1軸16cが回転軸21と一致するように、ステージ27bの位置と傾斜を調整する。この際には例えば、処理部30の指令に基づいてオートコリメータ22で第1面16aの傾斜、測長器24で第1面16aの高さをモニタしながら、ステージ27aをθ方向へ回転させる。その上で、θ方向の位置を変化させても第1面16aの傾斜と高さが変化しないように、ステージ27bのx方向、y方向、θ方向、およびθ方向における位置を調整する。第1面16aの傾斜と高さ分布は第1軸16cの位置と傾斜に対応づけられるものであり、これらをモニタすることは第1軸16cを検出していることに相当する。
ステップS504では、処理部10の指令に基づいてオートコリメータ22で第2面傾斜を計測し、その結果を処理部10に取り込む。ステップS504を実行する時点では第1軸16cが既にオートコリメータ22の測定光軸に一致している。したがって、本ステップで第2面16bの傾斜を計測することは、第1軸16cに対する第2面16bの傾斜、すなわち第1実施形態で定義した「第2面傾斜」を計測することに他ならない。なお、第2面傾斜を計測した後に、ステージ27aを180°回転して再度、第2面傾斜を計測し、偏心計測装置200に含まれる系統誤差を補正してもよい。
なお、ステップS503では第1軸16cを回転軸21に合わせることなく、オートコリメータ22による第1面16aの傾斜と測長器24による第1面16aの高さを計測し、第1軸16cと回転軸21のずれ量を算出するだけでもよい。この場合、ステップS504で取得した第2面傾斜に対して、このずれ量の分だけ補正を施す。また、ステップS503で第1軸16cを回転軸21になるべく合わせた上で、合わせきれなかった分だけステップS504で補正してもよい。
ステップS505では、第2面16bの外周部の高さを計測できるように、ステージ23を第2面計測位置に移動させる。
ステップS506では、ステップS503と同様の方法で、第2軸16dが回転軸21と一致するように、ステージ27bの位置を調整する。
ステップS507では、オートコリメータ22により、第1面傾斜を計測する。
ステップS508では、第1実施形態のステップS3と同様の方法で、面間偏心を算出する。ここでは、ステップS504で取得した第2面傾斜と、ステップS507で取得した第1面傾斜の値を用いる。
本実施形態では、第1〜第4実施形態のように被検レンズ全面で反射された光を一括で検出する必要がなく、全面からの反射光を検出部まで伝播するための光学系を必要としない。そのため、第1〜第4実施形態と比較して、装置を小型化することができる。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
12,16 被検レンズ
12a,16a 第1面
12b,16d 第2面
12c,16c 第1軸
12d,16d 第2軸
L1,L3 反射光
L2,L4 反射光

Claims (11)

  1. 第1軸に対して対称な非球面である第1面と第2軸に対して対称な非球面である第2面とを備えるレンズの偏心量を計測する偏心計測方法であって、
    前記レンズで反射された第1反射光を用いて前記第2軸に対する前記第1面の傾斜を取得する第1の工程と、
    前記レンズで反射された第2反射光を用いて前記第1軸に対する前記第2面の傾斜を取得する第2の工程と、
    前記第1の工程で取得された前記傾斜、前記第2の工程で取得された前記傾斜、前記第1面の曲率、前記第2面の曲率、および前記第1面と前記第2面との距離を用いて前記偏心量を取得する第3の工程とを有することを特徴とする偏心計測方法。
  2. 前記第3の工程において、前記第1面の曲率、前記第2面の曲率、および前記第1面と前記第2面との距離のうち少なくとも1つについては、前記レンズの設計値を使用することを特徴とする請求項1に記載の偏心計測方法。
  3. 前記第1反射光および前記第2反射光は、前記第1面からの入射光が反射された光であることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏心計測方法。
  4. 前記第1の工程および前記第2の工程において、前記第1反射光および前記第2反射光は同一の検出器で検出されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の偏心計測方法。
  5. 前記第1の工程において、前記第1反射光は第1光学系を介して前記検出器に伝播し、
    前記第2の工程において、前記第2反射光は前記第1光学系とは異なる第2光学系を介して前記検出器に伝播することを特徴とする請求項4に記載の偏心計測方法。
  6. 前記第1の工程における前記検出器に対する前記レンズの位置は、前記第2の工程における前記検出器に対する前記レンズの位置と異なることを特徴とする請求項5に記載の偏心計測方法。
  7. 前記第1の工程および前記第2の工程において、前記レンズを回転させながら前記第1面の傾斜に対応する複数のデータを取得し、前記複数のデータに含まれる誤差を補正することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の偏心計測方法。
  8. 前記第1面および前記第2面からの反射光を複数の光学素子で分割して第1スポット群および第2スポット群を形成する形成工程を更に有し、
    前記第1の工程および前記第2の工程において、前記第1面の傾斜および前記第2面の傾斜は、前記第1スポット群および前記第2スポット群のシフト量を用いて算出されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の偏心計測方法。
  9. 前記第1の工程は、前記第2面の外周部の高さ分布を計測して前記第2軸を検出する工程を備え、
    前記第2の工程は、前記第1面の外周部の高さ分布を計測して前記第1軸を検出する工程を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の偏心計測方法。
  10. 第1軸に対して対称な非球面である第1面と第2軸に対して対称な非球面である第2面とを備えるレンズを形成する工程と、
    請求項1乃至9の何れか1項に記載の偏心計測方法を用いて前記レンズの偏心量を計測する工程とを有することを特徴とするレンズの製造方法。
  11. 第1軸に対して対称な非球面である第1面と第2軸に対して対称な非球面である第2面とを備えるレンズの偏心量を計測する偏心計測装置であって、
    前記レンズで反射された第1反射光および第2反射光を検出する検出部と、
    前記第2軸に対する前記第1面の傾斜、および前記第1軸に対する前記第2面の傾斜をそれぞれ前記第1反射光および前記第2反射光を用いて算出する算出部とを有し、
    前記算出部は、前記第1面の傾斜、前記第2面の傾斜、前記第1面の曲率、前記第2面の曲率、および前記第1面と前記第2面との距離を用いて前記偏心量を算出することを特徴とする偏心計測装置。
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