以下、本発明の実施の形態に係る地盤工事用補助具としてのアダプタとこのアダプタを用いた地盤工事の施工方法について、図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
まず、本実施形態に係る地盤工事の施工方法について説明する前に、従来の地盤工事の施工方法の一例について、図6を参照しながら説明する。図6は、従来の外構工事により施工された後の床面の部分拡大図である。なお、図6では、インターロッキングと称する施工方法により施工された地盤を例に説明する。
図6に示す従来の外構工事では、まず最初に、施工を行う地盤について、敷設するブロック材の厚み及び下地となる砕石が敷設されて形成される砕石層の厚みを考慮した深さだけ掘削する掘削処理を行う。
続いて、掘削された地盤に砕石を敷設し、転圧機等を用いて転圧し、その後、下地としての砂を敷設して、レーキ等の器具で平坦に均す下地処理を行う。なお、他の施工方法として、例えば、砕石の敷設・転圧の後に、下地としてのコンクリートを打設する場合もある。
次に、下地処理が行われた地盤に対し、方形状に所定のサイズで予め切削された床材200を規則性をもって敷き詰めるように設置する処理を行う。このとき、排水桝等の円筒状あるいは円柱状の埋設物(例えば、蓋301により上面が閉塞された排水桝300)に干渉することとなる床材200については、当該床材200を設置する前に、予め、切削部分に墨付けをし、これに従ってグラインダ(「サンダー」と称する場合もある。)等の切削器具で切削することで、埋設物(排水桝300等)の外径に沿って床材200を切削する。この作業は、埋設部により敷設の干渉となる全ての床材に対して行う必要があるため、1つの埋設物に対して複数の床材の加工が必要となる場合がある。なお、図6に示す例では、床材200として天然石を方形状に所定のサイズで予めブロック状に切削されたものを用いたが、天然石に限らず、乱形石やレンガやタイル等であっても同様である。ここで、床材200を曲線状に切削することは、高度の切削技術を要する。そのため、例えば、床材200として肉厚で硬質の天然石を切削する場合では、時間あたりの切削量と、その難易度の高さから、1つの床材200を切削する作業時間は数時間に上る場合もある。また、敷地内には排水桝・止水栓等の埋設物が十数か所にも及ぶため、これらに適応させるために加工が必要な床材200の数は多数に上る。さらには、埋設物の外径(曲率)が小さいほど、その作業難易度は一層高くなる。その結果、切削作業を行う作業者の熟練度によって、切削加工の仕上がりに大きな差が出てしまう。また、切削加工を施す末端部分では床材が脆くなりがちで、その結果、床材が破損してしまう場合もある。すなわち、作業者の熟練度によっては、地盤工事全体の施工品質に影響が出てしまうことがある。さらには、天然石といった硬質の床材を切削する場合には、刃先にダイヤモンドチップが固着されたダイヤモンドディスクが用いられるが、曲線に沿って切削する場合には、曲率が小さいほどディスクの側面にかかる負荷が大きくなり、ダイヤモンドチップが剥離してしまう場合もある。つまり、従来の外構工事では、このような事情から、工期が長くなってしまい、トータルコストも大きくなってしまうという問題が認識されている。
なお、床材の設置処理工程における他の施工方法として、例えば、埋設物に干渉することとなる床材について、当該床材を設置する前に、予め、ハンマー等の破砕器具を用いて干渉部分を破砕する場合もある。この場合、床材の破砕面がランダムな形状となるため、後述するように、埋設物と床材とにより生じた隙間については、モルタル等の接着材が充填されることとなるが、埋設物の周囲と床材との間の隙間が不規則であるため、美観に劣るという問題が認識されている。
上述のようにして床材200が設置された後、床材200間の目地(間隙)400に砂を充填して砂締めをし、床面を転圧して床面を仕上げる仕上げ処理を行う。なお、他の仕上げ処理としては、例えば、ブロック材間の目地にモルタル等の接着材を充填し、床面を磨くことによって仕上げ処理を行う場合もある。
図6に示す床面は、以上のような工程を経て形成されたものである。
以上のように、上述した工程による地盤工事では、作業者の熟練度により仕上がりに差が出て施工品質に影響を与えるばかりか、作業難易度の高さから作業時間を要し、工期が長くなってしまい、トータルコストも大きくなる。本実施形態では、以下のようにして埋設物に地盤工事用補助具としてのアダプタを適用することで、上記課題を解決するものである。
続いて、図1を参照しながら、本実施形態に係る地盤工事用補助具の一例としての排水桝用アダプタ101について説明する。なお、本実施形態では、同一形状の4つの排水桝用アダプタ101を使用して排水桝用アダプタユニット100(図4(A)参照)を構成するが、その他の態様によりユニットを構成するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、敷地内の建築物から排出される汚水を案内する汚水管の点検及び清掃を行うための汚水桝や、敷地内で採取された雨水を案内する雨水管の点検及び清掃を行うための雨水桝を総称して排水桝と称して用いている。また、一般に、排水桝は、敷地内の地中だけでなく、公道や私道の地中にも埋設されており、また、形状や外径も様々である。例えば、排水桝のサイズ(呼び径)については、50、75、100、150といった小径のものから、300以上の比較的大径のものまであり、設置場所や用途に応じて使い分けられる。本実施形態に係る排水桝用アダプタ101は、特に円筒状の排水桝に好適に適用することができるものであるが、他の形状に適用するものであってもよい。また、本実施形態に使用される排水桝用アダプタユニット100及び排水桝用アダプタ101は、並設される排水桝300のサイズに応じて適宜の大きさに設定することでいずれのサイズについても適用することができるが、後述するように、特に、呼び径が150以下の小径のものについては、床材200の加工難易度を下げることができるので、好適に利用することができる。また、呼び径が300以上の大径のものにあっては、床材200の加工本数が多くなる傾向があるが、1本あたりの作用時間の短縮を図ることができ、これも好適に利用することができる。
図1に示すように、本実施形態に係る排水桝用アダプタ101は、硬質のポリ塩化ビニルにより成形されており、地盤工事の施工完了後に床面となる床面部102を備えている。
床面部102は、平面視で方形状の外形をなすとともに、左下隅部を中心として円弧状に切り欠かれた形状をなしている。すなわち、床面部102は、円弧状に切り欠かれた縁部が排水桝300(図4参照)の外周形状に沿った形状をなした内縁部103と、平面視で上辺及び右側辺が直線形状をなしている外縁部104とを有している。また、図1において図示しないが、床面部102の上面には、滑り止めの溝が形成されており、例えば、排水桝300の蓋301に整合させた模様に形成することで、美観を向上させることができるが、蓋301とは異なる模様に形成してもよい。また、模様を形成しないものであってもよく、設置する蓋301の模様に合わせて適宜切削するようにしてもよい。また、本実施形態では、外縁部104を角状に形成したが、外縁部104の欠損を防止するために面取り加工を行うようにしてもよい。
また、排水桝用アダプタ101は、外縁部104から側壁部105が下方に延びており、排水桝300に沿って立設可能に構成されている。本実施形態では、側壁部105が上端から下端にかけて厚さが漸次小さくなる側面視台形状をなしており、成形後の金型からの抜けを容易にしているが、他の形状に設定してもよく、例えば、側面視方形状に形成されてもよい。また、側壁部105には端面106が形成されており、上端縁が内縁部103と外縁部104とを接続している。この端面106は、後述するように突合部として機能するものであり、地盤工事において隣接配置される他の排水桝用アダプタ101の端面106と対向して配置される。側壁部105の高さは、地盤工事において設置され、床面を構成する床材の厚さと略同じに設定されている。なお、使用される床材の厚さは様々であるため、使用される可能性のある床材の厚さ以上の厚さのものを予め成形し、使用される床材の厚さに合わせて切削するなどして厚さを調整するようにしてもよい。
また、本実施形態の排水桝用アダプタ101は、側壁部105及び床面部102と一体に形成され、側壁部105の内面から内縁部103に向けて延在する3つの補強リブ107a〜107cが設けられており、床面部102を下方から支持している。これらの補強リブ107a〜107cは、内縁部103の円弧中心Oから放射状をなす態様で設けられており、内縁部103の円弧が90度の円弧と仮定した場合、0度の位置から角度θ1(例えば、25度)回転した位置に第1補強リブ107aが形成され、第1補強リブ107aの位置から角度θ2(例えば、20度)回転した位置に第2補強リブ107bが形成され、第2補強リブ107cの位置から角度θ2回転した位置に第3補強リブ107cが形成されている。また、これらの補強リブ107a〜107cは、それぞれ上端から下端にかけて厚さが漸次小さくなる端面視で台形状をなしており、成形後の金型からの抜けを容易にしているが、他の形状に設定してもよく、例えば、端面視で方形状に形成されてもよい。また、補強リブ107a〜107cの端部を床面部102から下端にかけて側壁部105に向けてテーパ状をなすように形成してもよく、排水桝300に対する設置作業を容易にするようにしてもよい。
本実施形態の排水桝用アダプタ101は、上述したように、床面部102と側壁部105の3面を有するとともに、中空とされているため、使用する材料を少なくして作成することができ、製造コストに優れている。また、側壁部105から内方に向けて補強リブ107a〜107cを設けたので、耐荷重性が良化される。
本実施形態の排水桝用アダプタ101では、耐久性、難燃性に有利であり、高強度を有し、排水管や排水桝で広く用いられている硬質のポリ塩化ビニルを適用したが、これに限らず、他の種類の熱可塑性樹脂を適用してもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂等を採用してもよい。また、本実施形態では、軽量で加工性の良好なポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を適用したが、金属により成形してもよく、例えば、鋳鉄、アルミニウム、ステンレス等、本発明を逸脱しない範囲でいずれのものを採用してもよく、使用環境等の条件によって適宜選択することができる。さらに、本実施形態に係る排水桝用アダプタ101の材料を、排水桝300の蓋301(図4参照)の材料に整合させると、蓋301との一体性を持たせることができ、施工後の地盤のデザイン性を向上させることができる。
次に、図2を参照しながら、本実施形態に係る地盤工事用補助具の一例としてのバルブボックス用アダプタ1001について説明する。
バルブボックス用アダプタ1001は、公知のバルブボックスBBに適用されるアダプタである(図4(B)参照)。バルブボックスBBは、地中に埋設された止水栓にアクセスするための円筒管の上端に取り付けられる部材であり、その上面が地盤工事の施工後には地表に露出される。バルブボックスBBは、蓋部とこの蓋部を回動可能に支持する本体部とを有している。蓋部は、円盤状の蓋本体と外縁の一部が方形状に突設された支持体とが一体成形されてなり、本体部は、蓋部の外周を覆う形状をなすとともに、支持体を回動可能に支持するヒンジ部を有している。バルブボックスBBは、ヒンジ部を回動軸として蓋部を上方に回動させることにより、円筒管を開放させることができ、止水栓にアクセスできるようになる。
このように、止水栓に対応して設けられる円筒管のバルブボックスBBの外径形状は、円形で一部が方形状に突出した複雑な形状をなしており、バルブボックス用アダプタ1001は、これに対応している。なお、本実施形態では、左右対称の形状をなした一対のバルブボックス用アダプタ1001を使用してバルブボックス用アダプタユニット1000(図4(B)参照)を構成するが、4つのアダプタによりユニットを構成するようにしてもよい。
図2に示すように、本実施形態に係るバルブボックス用アダプタ1001は、硬質のポリ塩化ビニルにより成形されており、地盤工事の施工完了後に床面となる床面部1002を備えている。
床面部1002は、平面視で方形状の外形をなすとともに、左側中央を中心として半円状に切り欠かれ、さらに、一端側が方形状に切り欠かれた形状をなしている。すなわち、床面部1002は、半円状に切り欠かれた縁部がバルブボックスBB(図4(B)参照)の外周形状に沿った形状をなした内縁部1003と、平面視で上辺、下辺及び右側辺が直線形状をなしている外縁部1004とを有している。また、図2において図示しないが、床面部1002の上面には、滑り止めの溝が形成されており、例えば、バルブボックスBBの蓋に整合させた模様に形成することで、美観を向上させることができるが、蓋とは異なる模様に形成してもよい。また、模様を形成しないものであってもよく、設置するバルブボックスBBの蓋の模様に合わせて適宜切削するようにしてもよい。
また、バルブボックス用アダプタ1001は、外縁部1004から側壁部1005が下方に延びており、バルブボックスBBが取り付けられた円筒管に沿って立設可能に構成されている。本実施形態では、側壁部1005が上端から下端にかけて厚さが漸次小さくなる断面視台形状をなしており、成形後の金型からの抜けを容易にしているが、他の形状に設定してもよく、例えば、断面視方形状に形成されてもよい。また、側壁部1005には端面1006が形成されており、上端縁が内縁部1003と外縁部1004とを接続している。この端面1006のうち、平面視で下方に配置された端面1006は、後述するように突合部として機能するものであり、地盤工事において隣接配置される他のバルブボックス用アダプタ1001の端面1006と対向して配置される。側壁部1005の高さは、地盤工事において設置され、床面を構成する床材の厚さと略同じに設定されている。
また、本実施形態のバルブボックス用アダプタ1001は、側壁部1005及び床面部1002と一体に形成され、側壁部1005の内面から内縁部1003に向けて延在する4つの補強リブ1007a〜1007dが設けられており、床面部1002を下方から支持している。これらの補強リブ1007a〜1007dは、内縁部1003の円弧中心Oから放射状をなす態様で設けられており、内縁部1003の円弧が180度の半円と仮定した場合、−90度の位置から90度の位置にかけて角度θ3(例えば、30度)で6等分し、−90度から角度θ3の位置に第1補強リブ1007aが形成され、第1補強リブ1007aの位置から角度θ3回転した位置に第2補強リブ1007bが形成され、第2補強リブ1007bの位置から角度θ3×2回転した位置に第3補強リブ1007cが形成され、第3補強リブ1007cから角度θ3回転した位置に第4補強リブ1007dが形成されている。また、これらの補強リブ1007a〜1007cは、それぞれ上端から下端にかけて厚さが漸次小さくなる端面視で台形状をなしており、成形後の金型からの抜けを容易にしているが、他の形状に設定してもよく、例えば、端面視で方形状に形成されてもよい。
本実施形態のバルブボックス用アダプタ1001は、上述したように、床面部1002と側壁部1005の4面を有するとともに、中空とされているため、使用する材料を少なくして作成することができ、製造コストに優れている。また、側壁部1005から内方に向けて補強リブ1007a〜1000dを設けたので、耐荷重性が良化される。
なお、バルブボックス用アダプタ1001に適用可能な材料や形状は排水桝用アダプタ101と同様に本発明を逸脱しない範囲でいずれのものも採用することができる。
以上のようにして構成された排水桝用アダプタ101及びバルブボックス用アダプタ1001を適宜使用した地盤工事の一例としての敷地内における外構工事の施工手順について図3を参照しながら説明する。ここで、図3は、本実施形態に係る外構工事の施工手順について説明する図である。なお、以下に説明する外構工事は、インターロッキングによる施工方法について示すものであるが、他の施工方法についても適用可能である。
まず、図3(a)に示すように、施工を行う地盤を掘削する公知の掘削処理を行う。地盤には、汚水桝300A,300Bや雨水桝300Cといった排水桝や、止水栓にアクセスするための円筒管300Dがそれぞれ上下方向に向けて埋設されていることがあるが、掘削処理では、これらの埋設物を損傷しないように回避しながら地盤を掘削する。掘削する地盤の深さは、敷設する床材の厚み及び下地となる砕石が敷設されて形成される砕石層の厚みを考慮した深さとなる。
掘削処理が完了すると、続いて、図3(b)に示すように、下地処理が行われる。具体的には、掘削した地盤に砕石を敷設し、転圧機等を用いて転圧し、その後、下地としての砂を敷設して、レーキ等の器具で平坦に均す。
下地処理が完了すると、図3(c)に示すように、地盤に埋設されている埋設物のうち、外径の小さい汚水桝300A、雨水桝300C及び円筒管300Dについて、これらを囲むようにして複数の排水桝用アダプタ101あるいは複数のバルブボックス用アダプタ1001を配置する。より具体的には、汚水桝300A及び雨水桝300Cについては、それぞれの外形に整合する同形状の4つの排水桝用アダプタ101を、汚水桝300Aあるいは雨水桝300Cを囲むように配置する。このとき、4つの排水桝用アダプタ101の端面106が対向するように、間隙G(図4参照)を設けて配置され、これにより排水桝用アダプタユニット100が構成される。また、同様にして、バルブボックスBBが取り付けられた円筒管300Dについては、外径に整合する左右対称の2つのバルブボックス用アダプタ1001a,1001bを、円筒管300D及びバルブボックスBBを囲むように配置し、これによりバルブボックス用アダプタユニット1000を構成する。このようにして配置された排水桝用アダプタ101やバルブボックス用アダプタ1001は、床面に対して床面部102(床面部1002)が面一に配置される。すなわち、排水桝用アダプタユニット100及びバルブボックス用アダプタユニット1000の表面が床面に対して面一となって配置される。本実施形態では、複数の排水桝用アダプタ101やバルブボックス用アダプタ1001を配置する際に間隙Gが形成されるように配置されており、これにより、地震等による地盤の振動や車両等の重量物による荷重が分散されて破損しにくくなるので、排水桝用アダプタユニット100やバルブボックス用アダプタユニット1000の耐振動性能や耐荷重性能が向上する。なお、本実施形態では、外径の大きい汚水桝300Bについては、排水桝用アダプタ101を配置しないようにしたが、排水桝用アダプタ101を配置するようにしてもよく、外径の大きな排水桝300が埋設された地盤に床材200を敷設する場合、当該排水桝300の形状に整合させるために床材200を十数個も加工する必要が生じる場合があり、このような場合に大幅な加工時間の短縮が図れる。
以上のようにして、排水桝用アダプタユニット100やバルブボックス用アダプタユニット1000が配置されると、次に、図3(d)に示すように、下地処理が施された地盤に方形ブロック状に切削あるいは形成された床材200を規則性をもって敷き詰めるように設置する敷設処理が行われる。このとき、排水桝用アダプタユニット100やバルブボックス用アダプタユニット1000に干渉することとなる床材200については、当該床材200を設置する前に、予め、排水桝用アダプタユニット100あるいはバルブボックス用アダプタユニット1000の外径に沿ってグラインダ等の切削器具で干渉部分を切削する。本実施形態では、図4(A)及び同図(B)に示すように、排水桝300(汚水桝300A、雨水桝300C)やバルブボックスBB(円筒管300Dの先端に取り付けられたバルブボックスBB)が排水桝用アダプタユニット100あるいはバルブボックス用アダプタユニット1000によって方形状に囲まれるので、床材200を直線状に切削することで配置が可能となり、床材200を曲線状に切削するよりも切削作業が容易であり、切削作業にかかる時間が短縮され、作業効率が飛躍的に向上する。また、高度の切削技術を要しないため、仕上がりにばらつきが生じにくく、しかも、高い施工品質の外構工事を実施することができるようになり、工期の短縮を図ることもできる。さらには、床材200を直線状に切削するため、グラインダ等の切削器具に取り付けられる切削用ディスクに対する負荷も軽減される。また、このことは、特に、自然石等の厚肉で硬質の床材を使用する場合において顕著である。また、本実施形態によれば、床材を直線状に切削するため、床材の脆弱性が低減されるとともに、排水桝用アダプタユニット100により、耐荷重性及び耐震動性が良化されるので、地盤工事の施工完了後の陥没や割れの可能性が低減される。なお、汚水桝300Bについては、外径が大きく(例えば、呼び径が600)、排水桝用アダプタユニット100を設けていない。当該汚水桝300Bに干渉することとなる床材200については、当該汚水桝300Bの外形に沿って床材200を切削することになるが、曲率が大きいため、床材200の切削難易度はそれほど高くはなく、また、このような外径の大きい汚水桝300Bについては、排水桝用アダプタユニット100を使用しないことで、排水桝用アダプタユニット100を作成するための材料コストを低減できるので有利であるが、外径の大きな排水桝についても排水桝用アダプタユニット100を使用するようにしてもよい。
上述したようにして、床材200の敷設が完了した後、床面の仕上げとして、ブロック材間の間隙(目地)に硅砂等の砂材を充填し、転圧して床材と面一になるように仕上げる仕上げ処理を行う。
以上説明したように、本実施形態における排水桝用アダプタ101は、排水桝300の外周に沿って立設されるとともに、外構工事の施工完了後に上面が床面として構成される平面状の床面部102を備える。床面部102は、排水桝300の外周に対向配置される内縁部103と、外縁となる位置の外縁部104とを有している。内縁部103は、排水桝300の外周形状に沿った形状をなしており、外縁部104は、直線形状をなしている。その結果、地盤工事の施工期間が短縮でき、仕上がりのばらつきを抑制できる地盤工事用補助具を提供することができる。
また、排水桝用アダプタ101は、外縁部104から下方に延びた側壁部105を備えるとともに、床面部102が板状に形成され、側壁部105には、内方に向けて補強リブ107a〜107cが突設されている。その結果、材料を少なくして耐荷重性を高めることができる。
また、排水桝用アダプタ101は、熱可塑性樹脂により形成されているので、軽量で加工性に優れ、作業効率が向上する。
また、本実施形態における排水桝用アダプタユニット100は、排水桝300の外周を囲むように排水桝用アダプタ101を複数並べて配置して用いられるものであり、複数の排水桝用アダプタ101が互いに間隙Gを有して配置される。そのため、耐震動性や耐荷重性がさらに向上する。
また、排水桝用アダプタユニット100を構成する複数の排水桝用アダプタ101は、間隙Gに接する部分に端面106が形成されている。端面106は、内縁部103と外縁部104とを接続するとともに面状に形成されて床面部102から下方に延びた形状をなしている。複数の排水桝用アダプタ101が互いに間隙Gを有して配置されたときに、隣接する排水桝用アダプタ101の端面106が対向する。そのため、地盤工事用補助具の端部が肉厚となり、耐荷重性がさらに向上する。
また、本実施形態における外構工事の施工方法は、排水桝300を残存させつつ施工部分の地盤を掘削する掘削工程と、掘削工程において掘削された地盤に砕石及び砂を敷設して下地処理をする下地処理工程と、排水桝300を囲むようにして排水桝用アダプタユニット100を設置する設置工程と、施工部分の地盤の床面を構成する床材200を敷設する敷設工程と、床材200が敷設された床面を仕上げる仕上げ工程とを含み、敷設工程において敷設される床材200のうち、排水桝用アダプタユニット100に干渉することとなる部分を含む床材200については、排水桝用アダプタユニット100に干渉する部分を予め切削してから敷設するようにした。その結果、床材を切削して並べて敷設する作業において、円筒状の埋設物に干渉することとなる床材を切削加工する場合に、直線的に切削することで仕上がりを良好にして敷設が可能となり、しかも切削作業が効率化されて地盤工事の施工期間が短縮でき、また、仕上がりのばらつきを抑制することができるようになる。
なお、本発明の実施の形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
本実施形態では、排水桝用アダプタ101及びバルブボックス用アダプタ1001を地盤工事用補助具として機能し、4つの排水桝用アダプタ101を組み合わせた排水桝用アダプタユニット100あるいは2つのバルブボックス用アダプタ1001a,1001bを組み合わせたバルブボックス用アダプタユニット1000により地盤工事用補助ユニットとして機能するようにしたが、例えば、排水桝300あるいは円筒管の外形よりも大きな角柱状部材の中心を円柱状に刳り抜いて形成された1つの排水桝用アダプタ部材により地盤工事用補助具として機能するものであってもよい。
また、図5(A)に示すように、排水桝用アダプタ2001について、角柱体に対して円弧状に刳り抜いた形状をなしたものを適用してもよいし、同図(B)に示すように、バルブボックス用アダプタ3001について、角柱体に対して円弧状に刳り抜くとともに、バルブボックスBBのヒンジ部が位置する部分を切り落としてバルブボックスBBのヒンジ部の周囲を囲うような形状をなしたものを適用してもよい。また、バルブボックスBBのヒンジ部分については、バルブボックス用アダプタ3001を使用し、ヒンジ部分とは反対側については、排水桝用アダプタ2001を組み合わせてバルブボックス用アダプタユニットをなすようにしてもよい。また、同図(C)に示すように、長辺の長さを排水桝300あるいは円筒管の外形よりも大きくして半円柱状に刳り抜いて形成された排水桝用アダプタ4001を2つ用いて排水桝300等を囲むようにして排水桝用アダプタユニットを構成してもよい。また、この排水桝用アダプタユニット4001とバルブボックス用アダプタ3001とを組み合わせて用いてバルブボックス用アダプタユニットとして構成するようにしてもよい。排水桝用アダプタユニット及びバルブボックス用アダプタユニットを構成するアダプタの数は上記に限らず、例えば、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
また、本実施形態では、円筒状の埋設物として敷地内に埋設された排水桝及び円筒管を例に説明したが、これに限らず、例えば、地中に収納可能な車止め柵柱を収納する円筒状の埋設管や、管状体を屈曲形成して端部が地中に埋設されるガードレールや、地中から上方に延びて立設される円柱状の防護柵や、門扉の支柱や、マンホールや、道路標識等の円筒状あるいは円柱状のあらゆる埋設物についても上述した地盤工事用補助具を適用することができる。また、埋設物の形状は平面視で真円形状のものに限らず、楕円形状のものや、角がR形状とされた方形状のものについても適用することができる。
また、本実施形態では、地盤工事の施工方法として敷地内の地盤部分の外構工事を例にして説明したが、公道や私道においても実施することができる。例えば、公道に設置された排水桝や、上述した円筒状の埋設管等、種々の円筒状あるいは円柱状のあらゆる埋設物について上述した地盤工事用補助具を適用し、地盤工事を行うこともでき、例えば、遊歩道において、デザイン性を向上させるために、インターロッキングの施工方法による地盤工事を行う場合においても適用することができる。
また、本実施形態では、施工方法の一例としてインターロッキングの施工方法を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、コンクリートやモルタルの下地にタイルや石材をランダムに破砕して形成した乱形石といった床材を敷設した地盤の施工において適用することもできる。また、コンクリートやアスファルトに埋設された電柱、標識、各種桝及びマンホール等についても適用することができ、この場合、コンクリートやアスファルトのひび割れを軽減することができる。