本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。はじめに、本実施形態における回転式粉体圧縮成形機(以下「成形機」という)の全体概要を述べる。図1に示すように、成形機のフレーム1内には、回転軸となる立シャフト2が設立され、その立シャフト2の上部に接続部21を介して回転盤3が取り付けられる。立シャフト2の下端側には、ウォームホイール7が取り付けられる。ウォームホイール7には、ウォームギア10が噛合する。ウォームギア10は、モータ8により駆動されるギア軸9に固定している。モータ8が出力する駆動力は、ベルト11によってギア軸9に伝わり、ウォームギア10、ウォームホイール7を介して立シャフト2を回転させる。そして、立シャフト2が回転することにより、回転盤3及び杵5、6が回転する。
回転盤3は、立シャフト2の軸回りに水平回転、即ち自転する。回転盤3は、テーブル(臼ディスク)31と、上杵保持部32と、下杵保持部33とからなる。図2に示すように、テーブル31は略円板状をなしており、その外周部に回転方向に沿って所定間隔で複数の臼孔4を有する。臼孔4は、テーブル31を上下方向に貫通している。なお、テーブル31は、複数のプレートに分割するものでもよい。また、テーブル31自体に直接臼孔4を有するものでなく、臼孔4を備える臼をテーブル31に装着するものであってもよい。
各臼孔4の上下には、上杵5及び下杵6を、それぞれが個別に臼孔4に対して上下方向に摺動可能であり、上杵胴部52を上杵保持部32で、下杵胴部62を下杵保持部33で保持する。上杵5の杵先53は、臼孔4に対して出入りする。下杵6の杵先63は、常時臼孔4に挿入してある。上杵5及び下杵6は、回転盤3とともに立シャフト2の軸回りに水平回転、即ち公転する。
図9に示すように、ギア軸9の端部には、ギア軸9ひいては回転盤3(のテーブル31、臼孔4及び杵5、6)の回転角度及び回転速度を検出するロータリエンコーダ23を、減速装置24を介して接続してある。ロータリエンコーダ23は、ギア軸9が所定角度回転する都度パルス信号を出力する。そのパルス列を受信することで、本システムの制御装置Cが、回転盤3の回転角度及び回転速度を検出、つまりはテーブル31上のどの臼孔4が現在どの位置にあるのかを知得することができる。図8に示す制御装置Cは、プロセッサ、メモリ、補助記憶デバイスや入出力インタフェースを備えたマイクロコンピュータシステムであったり、プログラマブルコントローラであったり、汎用のパーソナルコンピュータ又はワークステーションであったりする。減速装置24は、ギア軸9の回転速度をロータリエンコーダ23の入力速度に適するように減速してロータリエンコーダ23に伝達する。
回転盤3の臼孔4に対して粉体を充填するためには、充填装置であるフィードシューXを用いる。本実施形態では、フィードシューXとして、内蔵した攪拌羽根を回転させて粉体を攪拌しながら臼孔4内に落とし込む攪拌フィードシューを想定している。フィードシューXは、回転するテーブル31の外周部、特に臼孔4の回転軌道の直上に位置している。テーブル31が回転盤3とともに回転することで、フィードシューXはテーブル31及び臼孔3に対して相対的に変位することとなる。
図4及び図5に示すように、フィードシューXは、粉体供給装置(粉体混合供給装置)Zから粉体の供給を受けてこれを臼孔4に注ぎ入れるハウジングX2と、ハウジングX2内で回転して粉体を攪拌する一又は複数の攪拌羽根X1と、攪拌羽根X1を回転駆動するための駆動力を出力する少なくとも一基のモータX4と、モータX4の出力軸の回転を各攪拌羽根X1の軸にそれぞれ伝達する伝動機構X3とを主たる構成要素とする。
ハウジングX2は、ハウジング本体X21の下方に底板部材X22を固定してなる、内部に空間を包有した扁平な筐体状をなす。ハウジング本体X21の上面には、ハウジングX2内に粉体を導き入れるための粉体投入口を開設している。この粉体投入口は、粉体供給装置Zと接続する。具体的には、図7に示すように、ハウジングX2の粉体投入口に、粉体供給装置Z内の粉体混合度測定装置Mの排出部M6である粉体供給管191を連結しており、この粉体供給管191を通じて粉体混合度測定装置MからフィードシューXに粉体の供給を行う。粉体混合度測定装置Mの供給部M5への粉体の供給には、バッファタンクZ3bを用いる。
底板部材X22は、ハウジング本体X21の内部空間の大部分を下方から閉塞する、平板な皿形状の部材である。底板部材X22には、当該底板部材X22を貫通する平面視略円弧状の溝X23を開設している。溝X23は、成形機のテーブル31の臼孔4に充填するべき粉体をハウジングX2内から臼孔4に向けて落下させる落下口となるもので、フィードシューXを成形機における所定の取付位置に取り付けたときに臼孔4が通過する経路と平面視重なる。
攪拌羽根X1は、中心軸となるハブX11から平面視放射状に複数本の翼X12が延び出している部材であり、ハウジングX2の内部空間に収容され、その翼X12によってハウジングX2内の粉体を攪拌する。本実施形態のフィードシューXは一対の攪拌羽根X1を備えており、各攪拌羽根X1がそれぞれハブX11を回転中心として鉛直軸回りに水平回転する。
伝動機構X3は、噛合する複数の歯車を有したギアボックスである。そして、そのうちの一つの歯車X31にモータX4の出力軸を固定するとともに、何れかの歯車X31に一方の攪拌羽根X1の軸であるハブX11を固定し、かつ他の何れかの歯車X32に他方の攪拌羽根X1の軸であるハブX11を固定することで、一基のモータX4が出力する駆動力を両攪拌羽根X1に伝達するようにしている。伝動機構X3の歯車列は、ハウジングX2内において攪拌羽根X1の直上の高さ位置する。モータX4はハウジングX2の上方にあり、下方に伸長した出力軸がハウジングX2の上面に穿ってある軸孔を貫通してハウジングX2内に進入し歯車X31と接続する。
各攪拌羽根X1の回転速度は、モータX4の回転速度及び伝動機構X3が有する歯車列の変速比により定まる。歯車列の各歯車の歯数を調整することで、一方の攪拌羽根X1の回転速度と他方の攪拌羽根X1の回転速度との比を任意に変更することができる。
さらに、モータX4と各攪拌羽根X1との間に介在する歯車の個数を調整することで、各攪拌羽根X1の回転方向を任意に変更することもできる。即ち、一方の攪拌羽根X1を他方の攪拌羽根X1とは逆の方向に回転させることができ、両攪拌羽根X1を同じ方向に回転させることもできる。
なお、攪拌羽根X1を回転駆動するモータX4の数は、攪拌羽根X1の数よりも少ないとは限られない。モータX4を、攪拌羽根X1と同数配設しても構わない。例えば、図11に示すように、複数の攪拌羽根X1と同数のモータX4を用い、各モータX4の出力軸をそれぞれ各攪拌羽根X1の軸となるハブX11に接続することで、各モータX4により各攪拌羽根X1を個別に回転駆動しても構わない。このようなものであれば、各モータX4の回転速度や回転方向の制御を通じて、各攪拌羽根X1の回転速度や回転方向を個別に変更することができる。
また、攪拌羽根X1の数は、三個以上であることもあり得る。
噴射装置Yは、臼孔4の内周面及び下杵6の杵先63の上端面、さらには上杵5の杵先53の下端面に向けて、外部滑沢剤を吹き付ける。滑沢剤は、一部の粉体が臼孔4の内周に固着するバインディングや、一部の粉体が杵5、6の杵先53、63に固着するスティッキング(何れも、製品に傷や荒れ、欠けをもたらす)を予防するためのものである。滑沢剤は、例えば、ステアリン酸金属塩(特に、ステアリン酸マグネシウム)その他のワックス、タルク等である。
滑沢剤は、噴射装置Yから噴射される際に強制的に静電帯電する。一方で、臼孔4及び杵5、6は回転盤3の地絡を通じて地絡されており、静電帯電した滑沢剤は金属面である臼孔4の内周面、下杵6の杵先63の上端面及び上杵5の杵先53の下端面に強力に吸着する。吸着した滑沢剤は、杵5、6の上下運動の振動や回転盤3の高速回転による風圧程度では剥離せず、杵5、6による粉体の圧縮成形と同時に強く粉体に押し付けられ、臼孔4及び杵5、6の杵先53、63から錠剤へと転位付着する。
図3に示すように、上杵5、下杵6の立シャフト2の軸回りの公転軌道上には、上杵5、下杵6を挟むようにして上下に対をなす予圧上ロール12及び予圧下ロール13、本圧上ロール14及び本圧下ロール15がある。予圧上ロール12及び本圧上ロール14は、上杵5の頭部51を押圧し、予圧下ロール13及び本圧下ロール15は、下杵6の頭部61を押圧する。そして、予圧上ロール12及び予圧下ロール13並びに本圧上ロール14及び本圧下ロール15は、臼孔4内に充填された粉体を杵先53、63の先端面で上下から圧縮するべく、上杵5及び下杵6を互いに接近させる方向に付勢する。
上杵5、下杵6はそれぞれ、ロール12、13、14、15によって押圧される頭部51、61と、この頭部51、61よりも細径な胴部52、62とを有する。回転盤3の上杵保持部32は、上杵5の胴部52を上下に摺動可能に保持し、下杵保持部33は、下杵6の胴部62を上下に摺動可能に保持する。胴部52、62の先端部位53、63は、臼孔4内に挿入可能であるように、それ以外の部位と比べて一層細く、臼孔4の内径に略等しい直径である。杵5、6の公転により、ロール12、13、14、15は杵5、6の頭部51、61に接近し、頭部51、61に乗り上げるようにして接触する。さらに、ロール12、13、14、15は上杵5を下方に押し下げ、下杵6を上方に押し上げる。ロール12、13、14、15が杵5、6上の平坦面に接している期間は、杵5、6が臼孔4内の粉体に対して所要の圧力を加え続ける。
図10に示すように、成形機の上ロール12、14には、ロール12、13、14、15が杵5、6を介して臼孔4内の粉体を圧縮する際の圧力を検出するためのロードセル25を付設してある。制御装置Cは、ロール12、13、14、15に付帯するロードセル25が出力する信号を受信することで、予圧ロール12、13が粉体を圧縮する圧力(予圧圧力)の大きさや、本圧ロール14、15が粉体を圧縮する圧力(本圧圧力)の大きさを知得することができる。また、ロードセル25からもたらされる信号は、一組の杵5、6が一つの臼孔4の粉体を圧縮する圧力が最大となる時点でピークを迎えるようなパルス信号列の形をとる。故に、制御装置Cは、そのパルス列の数を計数することを通じて、成形機における単位時間あたりの成形品の製造数量を知得することができる。
本圧上ロール14及び本圧下ロール15による加圧位置から、回転盤3、上杵5及び下杵6の回転方向に沿って先に進んだ下流位置には、成形品回収部を構成する。この成形品回収部は、臼孔4から押し出された成形品を案内するダンパ17を備える。ダンパ17は、成形品回収位置18を基端とし、その先端が臼4の回転の軌跡よりもテーブル31の中心側にあるように延びている。下杵6により臼孔4から押し出された成形品は、このダンパ17に接触して、成形品回収位置18に向かって移動することとなる。
上杵5及び下杵6の上下運動は、カムレールR1、R2、R3、R4、R5、R6によって惹起される。レールR1、R2、R3、R4、R5、R6は、杵5、6の回転(公転)方向に沿って拡張し、杵5、6の頭部51、61と係合して、杵5、6を案内しながら上下動させる。
図3に示しているように、上杵5の頭部51の回転軌道上には、ダンパ17の上流側で上杵5を持ち上げてその杵先53を臼孔4から抜出させる上昇レール(上昇カム)R1と、ロール12、14の上流側で上杵5を押し下げてその杵先53を臼孔4内に挿入し後の粉体の圧縮に備えさせる降下レール(降下カム)R5とを設けている。
他方、下杵6の頭部61の回転軌道上には、ダンパ17の上流側で下杵6を持ち上げてその杵先63をテーブル31の上面と略同等の高さにする押上レールR4と、フィードシューXの上流側又は近傍で下杵6を引き下げて杵先63上にある臼孔4の容積を成形品の構成材料となる粉体の量に対応した大きさとする低下器R2と、フィードシューXの下流側で下杵6を幾分持ち上げて臼孔4に充填される粉体の量の微調整を図る分量レールR3とを設けている。分量レールR3の後半部では、量を調整した後の臼穴4内の粉体が向心力等により臼孔4からこぼれないよう、下杵6を若干引き下げる構造となっている。
成形品の製造工程を概説すると、まず、図3に示すように、下杵6が降下し、下杵6の杵先63が挿入されている臼孔4の内周面、下杵6の杵先63の上端面、及び上杵5の杵先53の下端面に、噴射装置Yから滑沢剤が噴射される(外部滑沢剤噴射工程)。次いで、下杵6の杵先63が挿入されている臼孔4内に、フィードシューXから粉体(混合粉体)が充填され(充填工程)、臼孔4内の粉体が必要量となるように下杵6が上昇して、臼孔4から溢れた粉体が擦り切られる。
そして、上杵5が下降し、予圧上ロール12及び予圧下ロール13が上杵5の頭部51及び下杵6の頭部61を押圧し、それら杵5、6の杵先53、63で臼孔4内の粉体を圧縮する予圧縮が行われる。続いて、本圧上ロール14及び本圧下ロール15が上杵5の頭部51及び下杵6の頭部61を押圧し、杵5、6の杵先53、63で臼孔4内の粉体を圧縮する本圧縮を行う(圧縮成形工程)。
その後、下杵6の杵先63の上端面が臼孔4の上端つまりはテーブル31の上面と略同じ高さとなるまで下杵6が上昇して、臼孔4内にある成形品を臼孔4から盤面上に押し出す。臼孔4を出た成形品は、回転盤3の回転によりダンパ17に接触し、ダンパ17に沿って成形品回収位置18まで移動する。
なお、本成形機の成形品回収部には、特定の成形品、例えばサンプリング品や不良品を、成形品回収位置18に回収する成形品群から選り分けるための成形品排除機構Wを設けている。具体的には、ダンパ17の内部に、加圧空気を流通させる空気通路16を形成し、その空気通路16の先端を回転盤3の径方向に沿って外側方に向けて開口させた空気噴射ノズル16aとしている。加圧空気を供給するポンプ等の空気供給源(図示せず)と空気通路16とを接続する流路20上には、当該流路20を開閉する制御バルブ22を設置してある。制御バルブ22は、例えば、制御装置Cから与えられる制御信号により開弁する電磁ソレノイドである。
臼孔4から押し出された特定の成形品がダンパ17に接触する前、空気噴射ノズル16aの近傍を通過するときに、制御バルブ22を開弁すると、空気供給源から供給される加圧空気が、流路20及びダンパ17内の空気通路16を経由して空気噴射ノズル16aから噴出する。この噴出した空気は、特定の成形品をテーブル31の外側方に吹き飛ばす。吹き飛ばされた当該成形品は、ダンパ17に沿った先にある成形品回収位置18に到着することはない。このように、本成形機にあっては、空気供給源から供給される空気の流通路16、20、噴射ノズル16a及び制御バルブ22が、成形品排除機構Wを構成する。
因みに、上記の成形品排除機構Wは、打錠した成形品のサンプリングに利用することもできる。
以降、バッファタンクZ3bに粉体を供給する装置、換言すればフィードシューXに直結する供給管191に向けて粉体を送出する装置である粉体供給装置Zについて述べる。図7に示すように、本実施形態における粉体供給装置Zでは、計量フィーダZ1を複数台(Z1a、Z1b、Z1c)使用する。フィーダZ1の台数や配置は、混合する粉体の種類数によって変化し得るため、一意に限定されない。図示例において、垂直混合装置Z3aよりも上流に位置するフィーダZ1a、Z1b、即ち当該フィーダZ1a、Z1bから吐出される粉体が垂直混合装置Z3aの手前で合流し同垂直混合装置Z3aにより混合されるようなフィーダZ1a、Z1bの数は二台である。だが、三台以上のフィーダZ1を垂直混合装置Z3aの上流に配置してもよいし、フィーダZ1を一台だけ垂直混合装置Z3aの上流に配置してもよい。
また、本実施形態では、第一計量フィーダZ1a、第二計量フィーダZ1b、第三計量フィーダZ1cではそれぞれ別種の粉体を計量供給するが、同種の粉体を計量供給するものであってもよい。本実施形態においては、例えば、第一計量フィーダZ1aは主薬、第二計量フィーダZ1bは乳糖等の賦形剤等の粉体、第三計量フィーダZ1cは滑沢剤をそれぞれ計量供給する。
図7に示しているように、粉体供給装置Zは、第一計量フィーダZ1aと、第二計量フィーダZ1bと、垂直混合装置(第一混合装置)Z3と、計量フィーダZ1(Z1a、Z1b)と垂直混合装置Z3aとを接続する第一接続管Z2aと、水平混合装置(第二混合装置)Z4と、垂直混合装置Z3aと水平混合装置Z4とを接続する第二接続管Z2bと、第三計量フィーダZ1cと水平混合装置Z4とを接続する第三接続管Z2cと、水平混合装置Z4とバッファタンクZ3bとを接続する第四接続管Z2dとから構成される。図4は成形機に粉体供給装置Zを取り付けた状態を示す斜視図、図5は粉体供給装置Zの側面図である。
第一計量フィーダZ1a及び第二計量フィーダZ1bの各々では、粉体即ち主薬及び賦形剤等を計量しながら第一接続管Z2aに供給する。第三計量フィーダZ1cでは、粉体即ち滑沢剤を計量しながら第三接続管Z2cに供給する(計量供給工程)。これら計量フィーダZ1は、例えばロスインウェイト方式(減量積算値方式)の既知の定量供給フィーダである。
第一接続管Z2aは、第一計量フィーダZ1a及び第二計量フィーダZ1bと垂直混合装置Z3aとを接続する管であり、第一計量フィーダZ1aから排出される主薬及び第二計量フィーダZ1bから排出される賦形剤等を垂直混合装置Z3aに供給する。第二接続管Z2bは、垂直混合装置Z3aと水平混合装置Z4とを接続する管であり、垂直混合装置Z3aから排出される主薬と賦形剤との混合粉体を水平混合装置Z4に供給する。第三接続管Z2cは、第三計量フィーダZ1cと水平混合装置Z4とを接続する管であり、第三計量フィーダZ1cから排出される滑沢剤を水平混合装置Z4に供給する。並びに、第四接続管Z2dは、水平混合装置Z4とバッファタンクZ3bとを接続する管であり、水平混合装置Z4から排出される主薬、賦形剤及び滑沢剤の混合粉体をバッファタンクZ3bに供給する。
より詳しく記すと、第一接続管Z2aは、第一計量フィーダZ1aと接続する第一枝管と、第二計量フィーダZ1bと接続する第二枝管と、第一枝管及び第二枝管とそれぞれ接続する主管とから構成される。主管の下部は、垂直混合装置Z3aと接続される。これにより、第一計量フィーダZ1a及び第二計量フィーダZ1bから計量供給された粉体は垂直混合装置Z3aで混合される(第一混合工程)。
垂直混合装置Z3aは、その略中央部に起立して配置され自転する攪拌軸と、攪拌軸に取り付けられた攪拌羽根(第一混合部材)と、攪拌軸を回転(自転)させるモータとを備えるようにしてもよい。垂直混合装置Z3aでは、必ずしも攪拌軸Z33が垂直に配置されている必要はなく、斜めに傾いていてもよい。垂直混合装置Z3aは、これに供給された粉体が下方に流れ、その間に粉体を攪拌しながら混合する(第一混合工程)ことができるものであればよい。
垂直混合装置Z3aにおいて混合される粉体は、ある程度垂直混合装置Z3aの貯留部内に留まる。つまり、垂直混合装置Z3a内で、第一計量フィーダZ1a及び第二計量フィーダZ1bから計量供給された粉体の少なくとも一部が貯留部に留まり(貯留工程)、その状態で攪拌されることによって粉体の混合度が向上する。
第二接続管Z2bは、垂直混合装置Z3aと後述する水平混合装置Z4とを接続する管である。第二接続管Z2bは、垂直混合装置Z3aの下部及び水平混合装置Z4の上部にそれぞれ接続され、垂直混合装置Z3aにおける排出口を通過した粉体を水平混合装置Z4に供給する。
第二混合装置である水平混合装置Z4は、筒状のケースZ41と、ケースZ41の略中央部に横たえて配置され自転する攪拌軸Zと、その攪拌軸に取り付けられ回転により略水平方向に粉体を移動させる攪拌羽根と、攪拌軸を回転(自転)させるモータZ43とから構成される。この水平混合装置Z4により、供給された粉体、即ち主薬及び賦形剤等と滑沢剤とを混合する(第二混合工程)。本実施形態では、ケースZ41は回転(自転)しないが、ケースZ41が回転するような構成でもよい。さすれば、粉体の混合度はさらに向上する。
ケースZ41は、上部にケースZ41内に粉体を供給するための複数の供給口Z411、Z412と、ケースZ41から混合粉体を排出する排出口Z413とを備える。本実施形態では、二ヶ所の供給口(第一供給口Z411、第二供給口Z412)を使用し、第二接続管Z2bは水平混合装置Z4のケースZ41における第一供給口Z411に接続されている。第一供給口Z411は、ケースZ41内に主薬と賦形剤等とを混合した粉体を供給する供給口である。ケースZ41内に供給された混合粉体は、攪拌羽根の回転により、ケースZ41の排出口Z413に向かって移動する。第二供給口Z412は、第三接続管Z2cからもたらされる滑沢剤を供給する供給口である。ケースZ41内に供給された滑沢剤は、攪拌軸及び攪拌羽根の回転により、ケースZ41の排出口Z413に向かって移動する。なお、使用しない供給口は蓋で閉塞する。
排出口Z413は、ケースZ41の下部に配置されている。排出口Z413には、第四接続管Z2dが接続されている。そして、ケースZ41内の混合粉体は、攪拌羽根Z44の回転により、排出口Z413から排出され、第四接続管Z2dに移動する。
第三計量フィーダZ1cは、滑沢剤を水平混合装置Z4に計量供給するためのものである。第三計量フィーダZ1cの下部には、第三接続管Z2cが接続されている。第三計量フィーダZ1c内の滑沢剤は、第三接続管Z2cを通じて水平混合装置Z4に供給される(滑沢剤供給工程)。なお、滑沢剤を水平混合装置Z4に供給するために、噴霧装置又は噴射装置を用いてもよい。
第四接続管Z2dは、上端が水平混合装置Z4の排出口Z413と接続され、下端はバッファタンクZ3bの供給口と接続されている。水平混合装置Z4により混合粉体が排出口Z413から第四接続管Z2dを通過してバッファタンクZ3bに供給される。
バッファタンクZ3bの下部は、成形機内のフィードシューXに接続されている。バッファタンクZ3bを通過した混合粉体は、フィードシューXに供給され、最終的に臼孔4内で圧縮成形される。バッファタンクZ3bは、フィードシューXに供給管191を介して直結する単なる粉体貯留用のタンクであってもよいが、当該バッファタンクZ3b内で粉体を混合する混合装置を兼ねていてもよい。例えば、バッファタンクZ3bを、垂直混合装置Z3aと同様の構成を有するものとし、成形機のフィードシューXに供給するべき粉体、即ち主薬及び賦形剤等と滑沢剤とを、バッファタンクZ3b内でさらに攪拌して混合する(第三混合工程)ことが考えられる。
粉体供給装置ZのバッファタンクZ3bから成形機に向けて排出される混合粉体は、粉体混合度測定装置Mによりその混合度が測定される。混合度が所定範囲外であれば、その混合粉体の排出、警告音の鳴動、装置の停止等を行う。つまり、粉体供給装置Zにより、混合された粉体の混合度をリアルタイムで測定し対応している。
混合粉体の混合度を測定する方法としては、ラマン分光分析、赤外分光、X線回折、X線透過測定、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等、様々なものが挙げられるが、混合粉体の混合度をリアルタイムで測定することができるものであればどのような方法であってもかまわない。本実施形態では、主に近赤外分光分析(NIR、又は近赤外吸収スペクトル法)を用いている。即ち、粉体供給装置Zから成形機のフィードシューXに向けて移動する混合粉体における主薬の占める量又は割合(比率)、換言すれば混合粉体の均一性(偏析が生じていないかどうか)を評価するべく、移動する混合粉体に対して近赤外分光を照射し、光の吸収及び散乱を計測し、スペクトルを用いて主薬の濃度その他の定性・定量分析を行うことを、所定周期で繰り返す。測定波長としては、賦形剤や滑沢剤のピークがなく主薬の特異的な吸収ピークである波長帯を利用する。また、近赤外分光分析によれば、混合粉体の粒径を測定することもできる。
本実施形態では、粉体の混合度等を測定するPAT(Process Analytical Technology)センサとして、近赤外線センサを用いる。本実施形態ではまず、バッファタンクZ3bに混合粉体が貯留される前に、近赤外線センサである第一センサS1を用いて混合粉体の混合度を測定する。
粉体供給装置Zによって混合された粉体は、第一センサS1によりその混合度を測定した後、貯留装置であるバッファタンクZ3bによって一時的に貯留される。バッファタンクZ3bに貯留された粉体は、再度近赤外線センサS2を用いてその混合度を測定した後に、粉体混合度測定装置Mに供給される。なお、既に述べた通り、バッファタンクZ3b内で混合粉体をさらに攪拌混合するような構成であってもよい。
図12及び図13に示すように、粉体混合度測定装置Mは、ケースと、ケース内の移動部材である回転体と、回転体を駆動させる駆動装置であるモータと、粉体の混合度を測定する近赤外線センサである第二センサS2及び第三センサS3と、不良の混合粉体を排除するための粉体排除部と、バッファタンクZ3bからもたらされる混合粉体をケースM1内に導入するための供給部M5と、成形機の攪拌フィードシューXに不良でない混合粉体を排出する排出部M6とからなる。
第一センサS1、第二センサS2及び/又は第三センサS3を介して測定した粉体の混合度、即ち混合粉体における主薬の占める量又は割合(比率)が所定範囲外であることが分かると、その混合粉体が粉体混合度測定装置Mの粉体排除部によって、排出部M6以外の経路に排除される。なお、第一センサS1、第二センサS2、第三センサS3によるすべての混合度の測定値が所定範囲外の場合に混合粉体を排除することとしてもよく、何れかのセンサSによる測定値が所定範囲外の場合に混合粉体を排除することとしてもよい。
因みに、粉体混合度測定装置Mの粉体排除部は、混合粉体のサンプリングに利用することもできる。
粉体混合度測定装置Mの粉体排除部で排除されなかった混合粉体は、粉体供給管191及び排出部M6に移動する。粉体供給管191に移動した混合粉体は、成形機の攪拌フィードシューX内に導かれる前に、近赤外線センサである第四センサS4によりその混合度を測定する。さらに、本実施形態では、フィードシューX内でも、近赤外線センサである第五センサS5を用いて混合粉体の混合度を測定する。
第四センサS4及び/又は第五センサS5を介して測定した粉体の混合度が所定範囲外である場合には、その混合粉体を一旦フィードシューXから成形機のテーブル31の臼孔4に充填し、これを上杵5及び下杵6により圧縮成形して成形品の形にする。その上で、当該成形品を、成形品回収位置18に到達する前に、成形品排除機構Wにより排除する。即ち、成形機において、不良の混合粉体が充填され成形品が打錠された臼孔4が空気噴射ノズル16aの近傍を通過するときに制御バルブ22を開弁し、空気噴射ノズル16aから空気を噴射して当該成形品をテーブル31外に吹き飛ばす。
総じて言えば、第一センサS1、第二センサS2及び/又は第三センサS3により混合粉体の混合度が所定範囲外であることが判明したならば、その混合粉体は粉体混合度測定装置Mの粉体排除部で排除され、第四センサS4及び/又は第五センサS5により混合粉体の混合度が所定範囲外であることが判明したならば、当該混合粉体が圧縮成形された後に成形品排除機構Wにより排除される。
なお、成形機に実装されたロードセル25により、臼孔4内で粉体を圧縮する際の圧縮圧力が所定範囲外であることが判明した場合にも、当該臼孔4内で圧縮成形された成形品が成形品排除機構Wにより排除される。
本実施形態のシステムにより実施される、連続式の圧縮成形品の製造の流れをおさらいする。まず、第一計量フィーダZ1aにより主薬を計量しながら供給し、第二計量フィーダZ1bにより賦形剤等を計量しながら供給する(計量供給工程)。次に、第一混合装置である垂直混合装置Z3aにそれら主薬及び賦形剤等の粉体が供給されて混合される(第一混合工程)。垂直混合装置Z3aは、略上下方向の軸である攪拌軸を中心として攪拌羽根が回転し、主薬及び賦形剤等の粉体を混合する。
第一混合工程を経た主薬及び賦形剤等の混合粉体は、第二混合装置である水平混合装置Z4に供給されて再度混合される(第二混合工程)。水平混合装置Z4は、略水平方向の軸である攪拌軸を中心として攪拌羽根が回転し、主薬及び賦形剤等の粉体を混合する。このような工程を経ることにより、少なくとも二種類の粉体(主薬及び賦形剤等)の混合度が向上し、主薬の偏析も生じにくくなる。なお、既に述べた通り、水平混合装置Z4による第二混合工程の後に、さらなる垂直混合装置Z3bに粉体が供給されてこれが混合されてもよい(第三混合工程)。さすれば、より一層粉体の混合度が向上する。
前記第一混合工程においては、前記粉体の少なくとも一部を垂直混合装置Z3a内に一時貯留する貯留工程を備えるものが好ましい。つまり、垂直混合装置Z3a内に設けた、複数の孔を備える粉体通過部材において、粉体は孔を通過するが、孔を通過する粉体の量より垂直混合装置Z3aに供給される粉体の量のほうが多くしたり、垂直混合装置Z3aの補助羽根の回転速度を増加したりすることにより、粉体は貯留部に貯留する。そして補助羽根による攪拌により粉体は混合されつつ上記の孔を通過する。
以上に加えて、第三計量フィーダZ1cにより滑沢剤を計量しながら供給する(滑沢剤供給工程)。本実施形態では、滑沢剤を水平混合装置Z4に供給しているが、滑沢剤の供給場所は水平混合装置Z4に限定されず、例えば第二垂直混合装置Z3ab又はフィードシューXに滑沢剤を供給してもよい。
主薬、賦形剤等及び滑沢剤を混合して製造した混合粉体は、成形機に至るバッファタンクZ3bに供給される。バッファタンクZ3bに供給された混合粉体は、その後に混合度をセンサS2、S3により測定する(測定工程)。無論、混合粉体がバッファタンクZ3bに供給される前に、センサS1により混合粉体の混合度を測定してもよい。
測定した混合粉体の混合度が所定範囲外の場合には、その混合粉体を排除する(排除工程)。続いて、混合粉体は、充填装置であるフィードシューXに供給される。なお、フィードシューX内でセンサS5により混合粉体の混合度を測定してもよいし、混合粉体がフィードシューXに供給される直前にセンサS4により混合粉体の混合度を測定してもよい。
フィードシューXに供給された混合粉体は、成形機の回転盤3のテーブル31に設けている臼孔4に充填される(充填工程)。なお、既に述べた通り、粉体の充填工程に先んじて、臼孔4の内周面、下杵6の上端面及び上杵5の下端面に滑沢剤を噴射することがある(外部滑沢剤噴射工程)。臼孔4内に充填された混合粉体は、上杵5及び下杵6により圧縮成形される(圧縮成形工程)。圧縮成形された混合粉体は、成形品としてダンパ17によって成形品回収位置18に回収される。但し、本システムの制御装置Cは、粉体供給装置ZによりフィードシューXに供給され臼孔4に充填される混合粉体の混合度を、第四センサS4及び/又は第五センサS5を介して反復的に測定しており、その測定した混合粉体の混合度が所定範囲外である場合には、当該混合粉体が充填された臼孔4において圧縮成形された不良の成形品を、成形機が備える成形品排除機構Wによって排除する(成形品排除工程)。
さらに、制御装置Cは、各臼孔4内で杵5、6により粉体を圧縮して成形品を成形する際の圧縮圧力をロードセル25を介して測定し、圧縮圧力が所定範囲外の大きさとなった場合には、圧縮圧力が所定範囲外であった臼孔4において圧縮成形された不良の成形品を成形品排除機構Wによって排除する(成形品排除工程)。臼孔4に適正量よりも多量の粉体が充填されると、ロードセル25により計測される圧縮圧力が所定範囲よりも大きくなり、臼孔4に適正量よりも少量の粉体が充填されると、ロードセル25により計測される圧縮圧力が所定範囲よりも小さくなる。何れにせよ、当該臼孔4内で圧縮成形される成形品の重量、密度及び硬度が所望の値から逸脱することとなり、不良の成形品となる。
混合度が所定範囲外の不良の混合粉体が充填されたと推測される臼孔4や圧縮圧力が所定範囲外であった臼孔4、換言すれば不良の可能性がある成形品が、空気噴射ノズル16aの近傍を通過するタイミングは、ロータリエンコーダ23の出力信号を参照して知得することができる。
元来、主薬の単位時間あたりの供給重量(流量)は第一計量フィーダZ1aによりフィードバック制御され、賦形剤等の単位時間あたりの供給重量は第二計量フィーダZ1bによりフィードバック制御され、かつ滑沢剤の単位時間あたりの供給重量は第三計量フィーダZ1cによりフィードバック制御されており、それらの混合比率は所望の比率となっているはずである。にもかかわらず、何らかの理由により、計量フィーダZ1から吐出され混合装置Z3a、Z4に供給される粉体の量が、その本来の目標量から乖離することがあり得る。現に、計量フィーダZ1から混合装置Z3a、Z4に供給される粉体の量が目標量よりも少ないことは間々あり、その結果として、混合粉体における主薬の占める量が所望の比率に満たず、あるいは逆に過剰となる場合がある。そのような混合粉体を圧縮成形して得た成形品は、期待される薬効を発揮することができない不良品となる。
そうでなくとも、混合装置Z3a、Z4における粉体の混合が不十分で、成形機のフィードシューXに供給される混合粉体に含まれる主薬又は賦形剤等に偏析が生じると、個々の成形品毎に含有成分の量がばらつき、やはり不良品が発生してしまう。
そこで、本システムの制御装置Cは、第一センサS1、第二センサS2、第三センサS3、第四センサS4及び/又は第五センサS5による混合粉体の混合度の測定値に基づいて、各計量フィーダZ1a、Z1b、Z1cによるそれぞれの粉体の供給量、垂直混合装置Z3aの攪拌軸、攪拌羽根及び補助羽根の回転速度、水平混合装置Z4の攪拌軸及び攪拌羽根、垂直混合装置たるバッファタンクZ3bの攪拌軸、攪拌羽根及び補助羽根の回転速度を調節する。
第一センサS1、第二センサS2、第三センサS3、第四センサS4及び/又は第五センサS5により反復的に測定している、混合粉体中に含まれる主薬の量又は割合と、その目標値との偏差の絶対値が所定の閾値を上回っている(つまり、主薬の占める割合が不当に小さいか不当に大きい)状態が一定時間以上続いている場合には、第一計量フィーダZ1a、第二計量フィーダZ1b及び第三計量フィーダZ1cのうちの何れか少なくとも一つによる粉体の供給量が適正でないと考えられる。この場合、制御装置Cは、計量フィーダZ1自身による重量フィードバック制御を一時中断させる割り込みを行い、第一センサS1、第二センサS2、第三センサS3、第四センサS4及び/又は第五センサS5で測定される混合粉体中の主薬の量又は割合が目標値近傍に収束するよう、各計量フィーダZ1の駆動モータの回転速度を調節する。例えば、測定された混合粉体中の主薬の量又は割合が目標値を下回っているのであれば、第一計量フィーダZ1aによる主薬の吐出量を増加させ、及び/又は、第二計量フィーダZ1bによる賦形剤等の吐出量や第三計量フィーダZ1cによる滑沢剤の吐出量を減少させる。逆に、測定された混合粉体中の主薬の量又は割合が目標値を上回っているのであれば、第一計量フィーダZ1aによる主薬の吐出量を減少させ、及び/又は、第二計量フィーダZ1bによる賦形剤等の吐出量や第三計量フィーダZ1cによる滑沢剤の吐出量を増加させる。
あるいは、混合粉体中に含まれる主薬の量又は割合とその目標値との偏差の絶対値が閾値を上回っている状態が一定時間以上続いている場合において、その供給量を適正化するべく、制御装置Cから各Z1a、Z1b、Z1cに指令している粉体の吐出量の目標値を変更するようにしても構わない。例えば、測定された混合粉体中の主薬の量又は割合が目標値を下回っているのであれば、第一計量フィーダZ1aに与える主薬の吐出量の目標値をそれ以前の値よりも引き上げ、及び/又は、第二計量フィーダZ1bに与える賦形剤等の吐出量の目標値や第三計量フィーダZ1cに与える滑沢剤の吐出量の目標値をそれ以前の値よりも引き下げる。逆に、測定された混合粉体中の主薬の量又は割合が目標値を上回っているのであれば、第一計量フィーダZ1aに与える主薬の吐出量の目標値をそれ以前の値よりも引き下げ、及び/又は、第二計量フィーダZ1bに与える滑沢剤等の吐出量の目標値や第三計量フィーダZ1cに与える滑沢剤の吐出量の目標値をそれ以前の値よりも引き上げる。
第一センサS1、第二センサS2、第三センサS3、第四センサS4及び/又は第五センサS5により反復的に測定している、混合粉体中に含まれる主薬の量又は割合と、その目標値との偏差の絶対値が閾値を上回っている状態が一定時間以上続いているわけではないものの、瞬時的に又は短時間だけ偏差の絶対値が閾値を上回る場合には、成形機のフィードシューXに向けて移動する混合粉体(の主薬、賦形剤等又は滑沢剤)に偏析が生じている、即ち局所的に主薬の濃度の高い部分と低い部分とができていると考えられる。この場合、制御装置Cは、垂直混合装置Z3aの攪拌軸ひいては攪拌羽根の回転速度をそれまでの速度から変化させる(加減する)、水平混合装置Z4の攪拌軸ひいては攪拌羽根の回転速度をそれまでの速度から変化させる(加減する)、及び、垂直混合装置たるバッファタンクZ3bの攪拌軸ひいては攪拌羽根の回転速度をそれまでの速度から変化させる(加減する)ことのうちの何れか少なくとも一を実行する。これにより、粉体の混合度をより一層高める。
なお、混合粉体中に含まれる主薬の量又は割合とその目標値との偏差の絶対値が閾値を上回っている状態が一定時間以上続いている場合においても、垂直混合装置Z3aの攪拌羽根の回転速度をそれまでの速度から変化させ、水平混合装置Z4の攪拌羽根の回転速度をそれまでの速度から変化させ、及び/又は、垂直混合装置Z3bの攪拌羽根の回転速度をそれまでの速度から変化させる制御を実施してかまわない。
成形機を使用した成形品の圧縮成形では、時として、バインディングやステッィキング、キャッピング即ち成形品が割れるといった深刻な打錠障害が起こり得る。また、成形品の硬度が不十分になることもある。
また、臼孔4内で圧縮された成形品と臼孔4の内周との摩擦が大きいと、下杵6により成形品を臼孔から押し出す際に下杵6に加わる圧力が過大化する。それにより、下杵6の頭部61とカムレールである押上レールR4とが強く摩擦して軋み、下杵6の頭部61又は押上レールR4が摩耗したり破損したりするおそれが生じる。
このような成形品の異常又は成形機の構成部材6、R4の損耗を抑制するべく、本システムの制御装置Cは、成形品の異常の有無、成形品を臼孔4から押し出す際に下杵6に加わる圧力、臼孔4、上杵5若しくは下杵6の温度、粉体の温度、又は粉体の湿度に応じて、臼孔4に充填するべき粉体に予め混入しておく内部滑沢剤の量(粉体に占める滑沢剤の割合)、及び/又は、臼孔4の内周及び杵先53、63に塗布する外部滑沢剤の量を増減調整する。
内部滑沢剤の量を増やすためには、粉体供給装置Zにおける第三計量フィーダZ1cによる滑沢剤の吐出量を増加させ、及び/又は、第一計量フィーダZ1aによる主薬の吐出量や第二計量フィーダZ1bによる賦形剤等の吐出量を減少させる。逆に、内部滑沢剤の量を減らすためには、第三計量フィーダZ1cによる滑沢剤の吐出量を減少させ、及び/又は、第一計量フィーダZ1aによる主薬の吐出量や第二計量フィーダZ1bによる賦形剤等の吐出量を増加させる。
外部滑沢剤の塗布量を増やすためには、成形機における噴射装置Yの噴射ノズルから噴出する滑沢剤の流量を増加させ、若しくは噴射ノズルから滑沢剤が噴出する時間を延長し、又は噴出する滑沢剤を帯電させる静電気発生電極に印加する電圧を高めて帯電する電荷量を増加させる。逆に、外部滑沢剤の塗布量を減らすためには、噴射装置Yの噴射ノズルから噴出する滑沢剤の流量を減少させ、若しくは噴射ノズルから滑沢剤が噴出する時間を短縮し、又は噴出する滑沢剤を帯電させる静電気発生電極に印加する電圧を引き下げて帯電する電荷量を減少させる。
成形品の異常の具体例としては、成形品の構成材料となる粉体が臼孔4の内周面に残留することで成形品の外周面に荒れや欠けが生じるバインディングや、粉体が上杵5の杵先53の下端面又は下杵6の杵先63の上端面に残留することで成形品の上面又は下面に荒れや欠けが生じるスティッキング、圧縮成形した成形品が割れるキャッピング、成形品の硬度の不足等を挙げることができる。バインディング及びスティッキングは、粉体に混入する内部滑沢剤の量を増やし、又は臼孔4や杵先53、63に塗布する外部滑沢剤の量を増やすことで抑制することができる。これに対し、キャッピングは、粉体に混入する内部滑沢剤の量を減らすことで抑制することができる。成形品の硬度もまた、内部滑沢剤の量を減らすことで改善(向上)することができる。
制御装置Cは、バインディング又はスティッキングの発生を検知した場合、粉体に混入する内部滑沢剤の量を基本量(製造するべき成形品の寸法、形状、重量、含有成分等に応じて定められた、当該成形品の生産の際のベースとなる量)よりも増量し、及び/又は、臼孔4や杵先53、63に塗布する外部滑沢剤の量を基本量よりも増量する。バインディング又はスティッキングの発生の有無は、例えば、圧縮成形された成形品を撮影するカメラセンサ(イメージセンサ)S7、又は臼孔4ないし杵先53、63を撮影するカメラセンサS7により得た画像を解析することで判定することができる。制御装置Cは、バインディング又はスティッキングの発生を検知したときに、これが再発しなくなるまで内部滑沢剤及び/又は外部滑沢剤の量を逓増させる。そして、バインディング又はスティッキングの発生を検知しなくなったならば、これが再発しない限りにおいて、内部滑沢剤及び/又は外部滑沢剤の量を基本量に近づけるように逓減させる。
並びに、制御装置Cは、キャッピングの発生を検知した場合、又は成形品の硬度が閾値未満である場合に、粉体に混入する内部滑沢剤の量を基本量よりも減量する。キャッピングの発生の有無は、例えば、圧縮成形された成形品を撮影するカメラセンサS7により得た画像を解析することで判定することができる。成形品の硬度は、例えば、硬度計を用いた計測又は近赤外線センサS8を介した近赤外分光分析により知得することができる。あるいは、杵5、6が臼孔4内の粉体を圧縮する瞬間に生じる打錠音をサンプリングして音声解析することで、成形品の硬度が所望の閾値に達しているか否かを判定してもよい。制御装置Cは、キャッピングの発生を検知し、又は成形品の硬度が所望の閾値に満たないことを検知したときに、これが再発しなくなるまで内部滑沢剤の量を逓減させる。そして、キャッピングの発生や成形品の硬度不足を検知しなくなったならば、これが再発しない限りにおいて、内部滑沢剤の量を基本量に近づけるように逓増させる。成形品の硬度とその目標値との偏差を縮小するように、内部滑沢剤の量を増減させるフィードバック制御を実施しても構わない。
加えて、制御装置Cが、キャッピングの発生を検知した場合や、成形品の硬度が閾値未満である場合に、そうでない場合と比較して、成形機のモータ8ひいては回転盤3及び杵5、6の回転速度を減速させ、杵5、6が臼孔4内の粉体に圧力を加える時間(ロール12、13、14、15が杵5、6を押圧する時間)をより長くすることもあり得る。
さらに、制御装置Cは、成形機において成形品を臼孔4から押し出す際に下杵6に加わる圧力が閾値以上に大きいと判断した場合に、粉体に混入する内部滑沢剤の量を基本量よりも増量し、及び/又は、臼孔4や杵先53、63に塗布する外部滑沢剤の量を基本量よりも増量する。滑沢剤を増量すれば、成形品と臼孔4の内周面との間の摩擦が低減し、成形品を臼孔4から押し出す際に下杵6に加わる圧力が低下することを期待することができる。
成形品を臼孔4から押し出す際に下杵6に加わる圧力、換言すれば下杵6の頭部61と押上レールR4との間で作用する力の大きさは、例えば、押上レールR4の変形若しくは変位を検出する変位センサ(測距センサ。非接触式変位センサであるレーザ変位センサや渦電流式磁気変位センサ、超音波式変位センサ、接触式の変位センサ(温度変化による変位量を測定するものであることがある)等)S9、下杵6の頭部61と押上レールR4との摩擦による熱を検出するする温度センサ(熱電対等)、押上レールR4のひずみを検出するひずみセンサ(歪みゲージ等)、押上レールR4が受ける衝撃を検出するショックセンサ等を用いた計測を通じて推定することができる。あるいは、下杵6の頭部61が押上レールR4に沿って摺動する瞬間に生じる騒音をサンプリングして音声解析することで、成形品を臼孔4から押し出す際に下杵6に加わる圧力の大きさが所定の閾値に達しているか否かを判定してもよい。制御装置Cは、成形品を臼孔4から押し出す際に下杵6に加わる圧力の大きさが所定の閾値以上であると判断したときに、その圧力が閾値を下回るまで内部滑沢剤及び/又は外部滑沢剤の量を逓増させる。そして、その圧力が閾値を下回ったと判断したならば、その圧力が再び閾値以上に増大しない限りにおいて、内部滑沢剤及び/又は外部滑沢剤の量を基本量に近づけるように逓減させる。成形品を臼孔4から押し出す際に下杵6に加わる圧力とその目標値との偏差を縮小するように、内部滑沢剤及び/又は外部滑沢剤の量を増減させるフィードバック制御を実施しても構わない。
なお、制御装置Cが、所要のセンサを介して臼孔4、上杵5若しくは下杵6の温度、臼孔4に充填される粉体の温度、及び/又は、粉体の湿度を計測し、それらの温度及び/又は湿度が所定範囲外にある場合に、内部滑沢剤及び/又は外部滑沢剤の量を基本量から増減させるフィードフォワード制御を実施することも考えられる。上記の所定範囲とは、成形品の異常や下杵6の頭部61又は押上レールR4の損耗が生じるおそれのない、又はそのおそれが十分に小さいような臼孔4の温度、杵5、6の温度、粉体の温度、及び/又は、粉体の湿度の範囲をいう。つまり、それらの温度及び/又は湿度が所定範囲内にある場合には、原則として内部滑沢剤及び/又は外部滑沢剤の量を基本量に調整する。一方、それらの温度及び/又は湿度が所定範囲内にある場合には、バインディングやスティッキング、下杵6の頭部61又は押上レールR4の損耗が懸念される状況下では内部滑沢剤及び/又は外部滑沢剤の量を基本量よりも増量し、キャッピングや成形品の硬度不足が懸念される状況下では内部滑沢剤及び/又は外部滑沢剤の量を基本量よりも減量する。
なお、成形品の異常の有無、成形品を臼孔4から押し出す際に下杵6に加わる圧力、臼孔4、上杵5若しくは下杵6の温度、粉体の温度、又は粉体の湿度に応じて、粉体供給装置Zにおいて(成形機に供給する前に予め)粉体に混合しておく内部滑沢剤と当該粉体との混合時間の長さを増減調整することも考えられる。
上述したように、各計量フィーダZ1a、Z1b、Z1cによる粉体の吐出量を増減させたり、垂直混合装置Z3の攪拌軸の回転速度を変化させたり、水平混合装置Z4の攪拌軸の回転速度を変化させたりすると、粉体供給装置Zから粉体供給管191に供給される混合粉体の単位時間あたりの流量が変動する可能性がある。
粉体供給管191に向かう混合粉体の流量が変化したにもかかわらず、成形機の回転盤3及び杵5、6を恒常的に一定の回転速度で回転させ続けていると、成形機における混合粉体の単位時間あたりの消費量が変化しないことから、粉体供給管191の内部において蓄積されている混合粉体の上面Lの高さが変動する。即ち、粉体供給管191への粉体の単位時間あたりの供給流量が、成形機による粉体の単位時間あたりの消費量よりも増大すると、粉体供給管191の内部での粉体の上面Lの高さが上昇する。逆に、粉体供給管191への粉体の単位時間あたりの供給流量が、成形機による粉体の単位時間あたりの消費量よりも減少すると、粉体供給管191の内部での粉体の上面Lの高さが低下する。
そして、フィードシューXの上方にあってフィードシューXに直結している粉体供給管191の内部での粉体の上面Lの高さが大きく上下すると、フィードシューXから臼孔4に充填される粉体の量が適正量よりも増加又は減少して、臼孔4内で成形される成形品が不良品化してしまうおそれが生じる。
このような粉体の充填量の増減変動を抑制するべく、本実施形態の制御装置Cは、粉体供給管191の内部における混合粉体の上面Lの高さをセンサS6を介して知得するとともに、その上面高さの高低に応じて、成形機のモータ8ひいては回転盤3及び杵5、6の回転速度を調節する。
図11に示すように、粉体供給管191には、センサS6として、二個の静電容量式のレベルスイッチS61、S62を付設している。各レベルスイッチS61、S62はそれぞれ、粉体供給管191の内部に蓄積されている粉体の上面Lの高さが当該レベルスイッチS61、S62よりも高いか低いかを検出するものである。制御装置Cは、それらレベルスイッチS61、S62を介して、供給管191の内部における粉体の上面Lの高さが、上方のレベルスイッチS61よりも高いか、上方のレベルスイッチS61よりも低く下方のレベルスイッチS62よりも高いか、下方のレベルスイッチS62よりも低いかを判定することが可能である。供給管191の内部の粉体の上面Lの高さが上方のレベルスイッチS61よりも低く下方のレベルスイッチS62よりも高いとき、その粉体の上面高さが所望の目標範囲内に収まっていると言うことができる。
尤も、供給管191の内部における粉体の上面Lの高さを検出するためのセンサS6は、二個のレベルスイッチS61、S62には限定されない。例えば、供給管191の内部に蓄積された粉体に直接接触してその上面Lの高さを計測する接触式のレベル計や、粉体の上面Lに向けて超音波や電磁波を放射しその反射波を受信することを通じて粉体の上面Lの高さを計測する非接触式のレベル計を、センサS6として採用することができる。あるいは、供給管191の内部をカメラセンサにより撮影し、得られた画像を制御装置Cにおいて解析して、粉体の上面Lの高さを知得することも考えられる。
本実施形態の制御装置Cは、粉体供給管191の内部における粉体の上面高さが目標範囲の上限以上となった場合、即ち上面高さが上方のレベルスイッチS61以上に高くなった場合に、上面高さが目標範囲内に収まっている場合と比較して成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度を増速する。これにより、成形機による粉体の単位時間あたりの消費量が増加し、粉体供給管191の内部における粉体の上面高さを目標範囲内に引き下げることができる。
翻って、粉体供給管191の内部における粉体の上面高さが目標範囲の下限以下となった場合、即ち上面高さが下方のレベルスイッチS61以下に低くなった場合に、上面高さが目標範囲内に収まっている場合と比較して成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度を減速する。これにより、成形機による粉体の単位時間あたりの消費量が減少して、粉体供給管191の内部における粉体の上面高さを目標範囲内に引き上げることができる。
成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度の制御においては、回転速度を増速する期間、即ち粉体供給管191における粉体の上面高さが目標範囲の上限から下限に向かって低下する期間と、回転速度を減速する期間、即ち供給管191の内部における粉体の上面高さが目標範囲の下限から上限に向かって上昇する期間とが交互に繰り返されることがある。
そのような状況下において、本実施形態の制御装置Cは、図12に示すように、ある増速期間とその次に迎える増速期間とについて、後者が前者よりも長くなるように回転盤3及び杵5、6の回転速度を制御する。例えば、ある増速期間における回転盤3及び杵5、6の回転速度と比較して、その次の増速期間の回転盤3及び杵5、6の回転速度をより遅くする。
並びに、制御装置Cは、ある減速期間とその次に迎える減速期間とについて、後者が前者よりも長くなるように回転盤3及び杵5、6の回転速度を制御する。例えば、ある増速期間における回転盤3及び杵5、6の回転速度と比較して、その次の増速期間の回転盤3及び杵5、6の回転速度をより速くする。このようなの制御の結果、究極的に、粉体供給管191における粉体の上面高さが安定して目標範囲の上限にも下限にも到達しない状態に収束させることができる。
既に述べた通り、粉体供給管191に向けて粉体を送出する粉体供給装置Zの粉体混合度測定装置Mは、不良の粉体を粉体供給管191に供給せずに排除することがある。粉体混合度測定装置Mの粉体排除部において粉体を排除すると、粉体供給管191に向けて送出する単位時間あたりの粉体の量が減少することから、粉体供給管191の内部における粉体の上面高さが低下する懸念が生じる。
そこで、本実施形態の制御装置Cは、粉体の上面高さが上方のレベルスイッチS61よりも低く、かつ下方のレベルスイッチS62よりも高かったとしても、粉体混合度測定装置Mの粉体排除部が粉体の排除を実行する場合には、そうでない場合と比較して成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度を減速するフィードフォワード制御を実施する。具体的には、粉体排除部において駆動装置が作動して回転体の移動部に捕捉していた粉体が排除孔に落とされた旨を示す信号を制御装置Cが受信したときに、それ以前と比較して回転盤3及び杵5、6の回転速度をより遅くする。このときの回転盤3及び杵5、6の回転速度は、減速直前の回転速度に(0よりも大きく)1よりも小さい係数を乗算した値とする。
なお、粉体排除部による粉体の排除に呼応して成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度を減速する制御を実行する際には、その減速の直前の回転速度に応じて減速の割合を変えることが好ましい。
減速直前の回転盤3及び杵5、6の回転速度が比較的速い状況では、粉体混合供給装置Zから粉体供給管191ひいてはフィードシューXに供給されている単位時間あたりの粉体の流量が元々多い。一方で、粉体混合度測定装置Mの粉体排除部が一度の機会で排除する粉体の量は、回転体の一つの移動部に捕捉される粉体の量に等しく、これは基本的に一定量である。従って、回転盤3及び杵5、6の回転速度が比較的速い状況下で粉体の排除が起こった場合、粉体混合供給装置Zから粉体供給管191に供給される単位時間あたりの粉体の量の減少の割合は小さく、その影響は比較的軽微となる。故に、粉体の排除が起こったときの成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度の減速の割合は小さくてよく、減速直前の回転速度に乗算する係数をより大きく設定する。
翻って、減速直前の回転盤3及び杵5、6の回転速度が比較的遅い状況では、粉体混合供給装置Zから粉体供給管191に供給されている単位時間あたりの粉体の流量が元々少ない。一方で、粉体混合度測定装置Mの粉体排除部が一度の機会で排除する粉体の量は基本的に一定量であり、回転盤3及び杵5、6の回転速度が比較的遅い状況下で粉体の排除が起こった場合には、粉体混合供給装置Zから粉体供給管191に供給される単位時間あたりの粉体の量の減少の割合が大きく、その影響が比較的重大となる。故に、粉体の排除が起こったときの成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度の減速の割合を大きくとる必要があり、減速直前の回転速度に乗算する係数をより小さく設定する。
なお、フィードシューXの内部における粉体の上面の高さを知得するためのレベルスイッチ又はレベル計をフィードシューXに付設し、当該フィードシューXの内部における粉体の上面高さが一定の目標範囲内に収まるように、成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度を調節することもできる。その際には、フィードシューXの内部における粉体の上面高さが目標範囲の上限以上である場合に、そうでない場合と比較して回転盤3及び杵5、6の回転速度を増速する一方、フィードシューXの内部における粉体の上面高さが目標範囲の下限以下である場合に、そうでない場合と比較して回転盤3及び杵5、6の回転速度を減速する。
加えて、制御装置Cが、フィードシューXの内部における粉体の上面高さが前記目標範囲の上限以上である状態から目標範囲の下限に向かうように回転盤3及び杵5、6の回転速度を増速する期間と、フィードシューXの内部における粉体の上面高さが目標範囲の下限以下である状態から目標範囲の上限に向かうように回転盤3及び杵5、6の回転速度を減速する期間とを設けるにあたっては、ある増速期間とその次に迎える増速期間とについて、後者が前者よりも長くなるように回転盤3及び杵5、6の回転速度を制御し、また、ある減速期間とその次に迎える減速期間とについて、後者が前者よりも長くなるように回転盤3及び杵5、6の回転速度を制御することが好ましい。
さらに、供給管191及びフィードシューXに向けて粉体を送出する粉体供給装置Zが有している粉体排除部が所定量の粉体を供給管191に供給せずに排除した場合に、そうでない場合と比較して回転盤3及び杵5、6の回転速度を減速することが好ましい。
制御装置Cが、供給管191又はフィードシューXの内部における蓄積された粉体の上面Lの高さを目標範囲内に収めるべく、センサS6を介して検出される粉体の上面Lの高さとその目標値(目標範囲の中央値又は目標範囲の上限若しくは下限であることがある)との偏差の多寡に応じて、成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度を細かく調節するフィードバック制御を実施しても構わない。粉体の上面高さが目標値よりも高い場合には、その上面高さと目標値との偏差の絶対値が大きいほど成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度を減速する。翻って、粉体の上面高さが目標値よりも低い場合には、その上面高さと目標値との偏差の絶対値が大きいほど成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度を増速する。その際に、制御装置Cが具現する制御系のコントローラをどのように設計するかは、任意である。制御コントローラの設計手法としては、PID制御、モデル予測制御、学習制御その他種々の手法を採用することができる。
供給管191又はフィードシューXの内部における蓄積された粉体の上面Lの高さを目標範囲内に収める目的で、制御装置Cが、供給管191に供給される粉体の流量を流量計を介して計測し、その流量が多い場合に、流量が少ない場合と比較して回転盤3及び杵5、6の回転速度を増速する制御を実施することも考えられる。
さ供給管191又はフィードシューXの内部における蓄積された粉体の上面Lの高さを目標範囲内に収める目的で、制御装置Cが、供給管191の内部又はフィードシューXの内部の(蓄積された粉体から受ける)圧力を圧力計を介して計測し、その内部圧力が大きい場合に、内部圧力が少ない場合と比較して回転盤3及び杵5、6の回転速度を増速する制御を実施することも考えられる。
しかして、本実施形態の制御装置Cは、成形機のフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を、当該成形機が成形即ち打錠した成形品の性状を示唆するパラメータ、並びに回転盤3及び杵の5、6回転速度に応じて調節する。これにより、成形品の性状の意図せざる変動を抑制する。
成形品の性状を示唆するパラメータの具体例としては、成形品の重量、硬度、厚さ、密度、有効成分である主薬又はその他の成分(水分等であることがある)の含有量、成形品が含む成分の均一性の度合い(含有する各成分の混合度、偏析が発生していないかどうか、偏析の度合い)、バインディング、スティッキング又はキャッピングといった成形品の異常の有無、等が挙げられる。制御装置Cは、重量計S10を介して成形品の重量を測定したり、硬度計又は近赤外線センサS8を介した近赤外分光分析等により成形品の硬度、密度、有効成分又はその他の成分の含有量、成分の均一性の度合いを測定したり、ロードセル25を介して成形品を圧縮成形したときの圧力を測定して当該成形品の厚み寸法を推測したり、カメラセンサS7で成形品を撮影して得た画像を解析することで当該成形品についてのバインディング、スティッキング又はキャッピングの発生の有無を確認したりする。成形品の重量その他の測定は、成形機で成形した成形品の一部をサンプリングして行ってもよく、成形機で成形した成形品をインラインでセンシングして行ってもよい。
その上で、制御装置Cは、例えば、
・成形品の重量が小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を減速するか、成形品の重量が所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を減速する
・成形品の重量が小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を増速するか、成形品の重量が所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を増速する
・成形品の硬度が小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を減速するか、成形品の硬度が所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を減速する
・成形品の硬度が小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を増速するか、成形品の硬度が所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を増速する
・成形品の密度が小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を減速するか、成形品の密度が所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を減速する
・成形品の密度が小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を増速するか、成形品の密度が所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を増速する
・成形品の厚さが小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を減速するか、成形品の厚さが所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を減速する
・成形品の厚さが小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を増速するか、成形品の厚さが所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を増速する
・成形品が含有する所定の成分の量が小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を減速するか、所定の成分の量が所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を減速する
・成形品が含有する所定の成分の量が小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を増速するか、所定の成分の量が所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を増速する
・成形品の成分の均一性の度合いが小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を減速するか、成分の均一性の度合いが所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を減速する
・成形品の成分の均一性の度合いが小さいほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を増速するか、成分の均一性の度合いが所定値未満である場合に所定値以上である場合と比較して攪拌羽根X1の回転速度を増速する
・成形品にバインディング、スティッキング又はキャッピングが起こっている場合に、そうでない場合と比較してフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を減速する
・成形品にバインディング、スティッキング又はキャッピングが起こっている場合に、そうでない場合と比較してフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を増速する
等のうちの何れか少なくとも一つの制御を実施する。フィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度は、これを回転駆動するモータX4の回転速度を制御することにより制御できる。
さらには、成形機の回転盤3及び杵5、6の現在の回転速度の高低に応じて、フィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を調節しても構わない。例えば、成形品の重量、硬度、嵩高さ又は寸法、密度、成形品が含有する所定の成分量、成形品が含有する成分の均一性の度合い、成形品の異常の有無、等の成形品の性状が同等である条件の下で、制御装置Cが、回転盤3及び杵5、6の回転速度が低いほどフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を減速するか、あるいは逆に攪拌羽根X1の回転速度を増速する。
本実施形態では、臼孔4を設けたテーブル31、及び臼孔4の上下に配置される杵5、6を上下摺動可能に保持する杵保持部32、33を備えており杵5、6とともに回転する回転盤3と、テーブル31の直上に配置され粉体を攪拌する攪拌羽根X1を備えておりその攪拌羽根X1を回転させながらテーブル31の臼孔4内に粉体を充填するフィードシューXとを具備し、臼孔4内に充填された粉体を杵5、6により圧縮して成形品を成形する回転式粉体圧縮成形機を制御するものであって、成形品の性状を示唆するパラメータに応じてフィードシューの攪拌羽根の回転速度を調節することのできる回転式粉体圧縮成形機の制御装置Cを構成した。本実施形態によれば、フィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度の制御を通じて、成形機が成形する成形品の性状の変動を抑制できる。
特に、成形品の性状を示唆するパラメータ、並びに回転盤3及び杵5、6の回転速度に応じて、攪拌羽根X1の回転速度を調節することにより、成形機の回転盤3の回転速度の変更の前後で成形品の性状が変動することを効果的に抑止できる。
本制御装置Cは、フィードシューXに直結しフィードシューXに対して粉体を供給する供給管191の内部又はフィードシューXの内部における粉体の上面L高さが一定の目標範囲内に収まるように、回転式粉体圧縮成形機の回転盤3及び杵5、6の回転速度を調節し、かつフィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を調節する。即ち、フィードシューX内で粉体が欠乏する前に回転盤3の回転速度を低下させて粉体の消費量を低減し、また粉体のオーバーフローが起こる前に回転盤3の回転速度を上昇させて粉体の消費量を増加させる。これにより、回転式粉体圧縮成形機の稼働を停止せざるを得なくなる事態を未然に防ぐ。それとともに、フィードシューXの攪拌羽根X1の回転速度を調節して、成形品の性状の変動を抑制する。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。各部の具体的な構成や処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形することができる。