図面では、同一の数字は全体を通して同一の要素を示す。特定の専門用語は、便宜上だけのために本装置において使用され、本発明に対する限定としては取られるべきではない。専門用語には、具体的に言及される用語、その派生語、および類義語を含む。以下に図示する実施形態は、全てを網羅している訳ではなく、また、開示されるそのままの形態に本装置を限定するものでもない。これらの実施形態は、本装置の原理およびその適用と実際の使用を最良に説明するため、および、他の当業者が本装置を最良に利用することを可能にするために、選択され、説明される。
本明細書では「一実施形態」または「実施形態」に参照することは、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、または特性を本装置の少なくとも一つの実施形態に含めることができることを意味する。本明細書の様々な場所における「一実施形態における」という語句の外観は、必ずしも同じ実施形態を参照するものでも、別個の実施形態または代替的な実施形態では必ずしも他の実施形態と相互に排他的なものではない。同じことが用語「実施」にも適用される。
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される場合、「模範的」という語は、実施例、事例または例示の役割を果たすために使用される。本明細書に「模範的」として記載される任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計に対して好ましいまたは有益と解釈されるべきではない。むしろ、模範的という単語の使用は、具体的な方法で概念を示すことが意図されている。
髄内釘、システム、挿入器具、および治療方法が提供される。髄内釘は、骨折した長骨の髄内管内部への埋め込み、そしてその後、例えば一つ以上のアンカー、締結具、固定ねじ等による近位固定および/または遠位固定を提供するのに好適であり得る。好適な長骨は、上腕骨、橈骨、尺骨、大腿骨、脛骨等を含み得る。大腿骨の股関節骨折または脛骨の骨折を参照してさらなる説明がなされているが、髄内釘及びシステムは、任意の長骨とともに用いるように適応させてもよいことが理解されよう。
従来の股関節骨折固定アプローチでは、四つの主な故障モード、すなわち軸方向カットアウト、頭方向カットアウト、近位小片回転、および癒着不良がある。「カットアウト」は、股関節の関節面内への股関節ねじ沈下のための擁護である。カットアウトは、頭方向(頭部に向かう)または軸方向(股関節ねじの軸に沿う)のいずれかにおいて行われることができる。軸方向カットアウトは、軸方向の平行移動に対する抵抗をほとんど提供しない小さな軸方向プロファイルを有するインプラントの結果である。軸方向カットアウトは、ある最新の股関節骨折釘に対しては、「制御されたつぶれ」特徴によって対処されることができる。すなわち、股関節ねじは、止めねじが適所に係止された後であっても、釘を通して平行移動することが可能である。頭方向カットアウトは、狭いインプラントの結果の、股関節内の弱い海綿骨を通した「フロントガラスワイパ」である釘の径方向の平行移動である。近位小片回転は、近位股関節小片に対する支点としての役割を果たす円形プロファイルの股関節ねじの結果である。骨折癒着不良は、骨の治癒過程には不適合である生物学的または機械的因子の結果である。患者の生物学的因子は、インプラントによっては制御されない。機械的因子は、通常は、過剰に堅固であるかまたは過剰に柔軟である固定を許すようなものである。癒着不良は、たいていの場合、その他三つの不良モードのうちの一つの前兆である。場合によっては、癒着不良は、骨が欠損する前に釘が疲労で破損することを生じさせる。
本明細書に記載された髄内釘およびシステムは、これらの不良モードのうちの一つ以上に対処し得る。いくつかの実施形態では、髄内釘は、例えばカットアウトを防止するための近位および遠位係止を含む。他の実施形態では、髄内釘は、例えば股関節骨の最も強い部分である大腿骨の距部における骨の固定とともに、食い付きの収束および分散を提供することによって、連結する二つの固定素子(例えば、ねじ)を含む近位係止を含み得る。よって、カットアウトおよび/または回転に起因する不良のリスクを低減させることができる。
加えて、いくつかの髄内釘埋め込みシステムは、埋め込み中の小片の回転の問題に適切に対処することができない。回転は、埋め込み手技中、骨の小片がねじの軸を中心として回転するときに生じる。従来の回転防止技術は、付加的な機器の使用を必要とするか、またはワイヤ配置がただ一つに制限される。いくつかの実施形態では、挿入器具は、髄内釘に直接結合され、回転防止ガイドワイヤの配置のための付加的な機器を要さず、ユーザが、釘の前方および/または後方に一つ以上のガイドワイヤを配置することが可能になる。これらのガイドワイヤは、大腿骨頭および頸部の遠位小片が、手技中にアンカーの軸を中心として回転することを防止するように位置付けられることができる。
いくつかのシステムは、埋め込み手技中、バックアウトを受けやすい場合がある。バックアウトは、髄内釘を通してねじを挿入するために用いられるガイドシースが、骨から離れて近位に移動するときに生じる。従来のシステムはいずれも、手技中の手の標準的な位置付けを妨げ、結果としてガイドシースが解放されて床に落下するリスクが生じるバックアウトを防止するか、またはさもなければバックアウト防止策を提供するための特徴を有していない。挿入器具上のラチェットは、挿入器具上のグリップ部に向かって面する解放ボタンを有し得、ユーザの手が滑って、意図せずボタンを押す危険が存在し得る。偶発的にボタンを押すことは、結果として、シースを解放し、シースが床上に落ちることになる可能性がある。いくつかの実施形態では、バックアウト防止システム(例えば、ラチェットシステム)は、挿入器具の下側端に配置され得、これは、ユーザに、ラチェット解放ボタンを意図せず押すリスクなしに、挿入器具のグリップ上に手を置かせることを可能にする。
本技術のいくつかの実施形態のさらに具体的な詳細が、図1A〜8Cを参照して以下に説明される。髄内釘の埋め込みのための装置、システム、および方法に関する実施形態の多くが以下に記載されるが、他の実施形態が、本技術の範囲内である。加えて、本技術の他の実施形態は、本明細書に記載されたものとは異なる構成、構成要素、およびおよび/または手順を有することができる。例えば、他の実施形態は、本明細書に記載されたものを超える付加的な要素および特徴を含むことができるか、または他の実施形態は、本明細書に示されかつ記載された要素および特徴のうちのいくつかを含まなくてもよい。
参照を容易にするために、本開示全体を通して、同一の参照番号は、同様または類似の構成要素または特徴を特定するために用いられるが、同じ参照番号の使用は、該部分が同一であると解釈されるべきであることを含意するものではない。実際に、本明細書に記載された多くの例では、同一番号を付された部分が、構造および/または機能において別個である。
図1Aおよび3Fは、髄内釘109の一例を表し、その髄内釘109は、第一の、遠位部分または端110から、第二の、近位部分または端111に延在する略細長本体を備え得る。細長本体は、骨折した骨の髄内管内部で長手方向に延在するように構成された細長い管状ロッドの形状であり得る。細長ロッドは、その長さに沿って中空であってもよく、または中実であってもよい。細長本体は、釘109の長手方向軸に沿って略直線状であってもよく、または髄内管の解剖学的形状に一致するような一つ以上の湾曲または屈曲を含んでもよい。釘109の断面は、髄内釘109の中心長手方向軸に対して直角に取られており、円形、楕円形(oval、elliptical)、またはその他の任意の好適な断面形状であってもよい。近位部分111は、釘109の遠位部分110に対して拡大された直径または頭部分を有し得る。拡大された頭部分111は、大腿骨の大転子部位で受容されるようにサイズ決定および構成され得る。髄内釘109は、大脳延髄(cephalomedullary)固定のために大腿骨の近位端に位置付けられるように構成され得る。しかしながら、髄内釘109が、骨(例えば、大腿骨、脛骨)および骨折の種類によって、他の手法および部位(例えば、遠位端)を通って位置付けられるように構成され得ることを想定する。
遠位端110は、髄内釘109の遠位端110を通って横方向に延在する一つ以上の骨アンカー、締結具、または遠位固定装置147を受容するように構成された一つ以上の開口125を含み得、それによって、管内で釘109の遠位端110を固定するように構成される。遠位固定装置147は、釘109の遠位係止のために構成された骨ねじまたはアンカーを含み得る。遠位固定装置147は、当該技術において周知の従来の多軸または固定角の係止用骨ねじおよびアンカーを含み得る。
近位端111もまた、髄内釘109の近位端111を通って横方向に延在する一つ以上の骨アンカーまたは締結具119を受容するように構成されている一つ以上の開口123を含み得、それによって管内で釘109の近位端111を固定するように構成される。近位固定装置119は、釘109の近位係止のために構成された骨ねじまたはアンカーを含み得る。固定装置119は、近位上腕骨の距部領域に向けられるように構成された距部用ねじまたはアンカーであり得、これは、その領域で最品質の骨を構成し得る。開口部123およびアンカー119は、骨の距部領域に係合するよう、釘109に対して約100°〜150°、110°〜140°、または約120°〜135°に傾斜し得る。距部用ねじ119は、遠位ねじ147に対して拡大された直径を有し得る。近位固定装置119は、当該技術において周知の従来の多軸または固定角の距部用ねじおよびアンカーを含み得る。近位端111はまた、例えば、一つ以上の交差係止装置(例えば、以下でより詳細に記載される装置205)のための追加の開口123を含み得る。
髄内釘109およびアンカー119、147は、任意の好適な生体適合材料で構成され得る。髄内釘109およびアンカー119、147は、、チタン、コバルトクロム、コバルトクロムモリブデン、ステンレス鋼、炭化タングステン、炭素複合体、プラスチックまたはポリマー、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン、超高分子ポリエチレン(UHMWPE)、吸収性ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール(PGA)、そのような材料の組み合わせまたは合金、もしくは骨を固定し保持するために十分な強度を有し、また一方で体内に埋め込まれるための十分な生体親和性を有する他の適当な生体適合材料で構成され得る。
図1Aおよび1Bはそれぞれ、髄内釘109を埋め込むためのシステム101の一実施形態の斜視図および側面図を表す。システム101は、結合部分105およびハンドル部分107を有する挿入器具103を含む。いくつかの実施形態では、結合部分105およびハンドル部分107は、ともに取り外し可能に接合された別個の部分であることができ、一方で他の実施形態では、結合部分105ハンドル部107は、単一の一体形成された構成要素の異なる領域であることができる。結合部分105は、釘109の近位部分111に着脱可能に係合または結合する。例えば、結合部分105の自由端は、髄内釘109を通って固定装置119を挿入する前に、髄内釘109の一部分を一時的に保持するスナップ嵌め設計で提供され得る。しかしながら、当業者には、他の結合機構が用いられてもよいことが理解されよう。
ハンドル部分107は、一つ以上のガイドワイヤ113、115を受容するように構成された、一つ以上の開口127、129を含み得る。一実施形態において、システム101は、第一および第二のガイドワイヤ113、115、ならびに固定装置119が通り得る(例えば、固定装置119はドライバ121を使用して挿入され得る)任意選択のガイドシース117を含み得る。図示のように、第一および第二のガイドワイヤ113、115は、釘109および固定装置119の両方の両側(例えば、後側上および前側上)を通り得る。例証の実施形態は二つのガイドワイヤを示すが、他の実施形態では、単一のガイドワイヤおよび対応するガイドワイヤ穴が使用されてもよい。また別の実施形態では、三つ以上のガイドワイヤが使用されてもよい。加えて、ガイドワイヤ穴の位置および向きは、例えば、挿入器具に沿ってより近位方向、またはより遠位方向に配置されるなど、種々の実施形態で異なる。
図示のように、挿入器具103は、ユーザが一つ以上のガイドワイヤ113、115を配置することを可能にする。一実施形態において、ガイドワイヤ113、155は、釘109の前側および後側の両方に位置付けられる。ガイドワイヤ113、115は、手技中に固定装置119が釘109を通って骨に進められるときに、骨の遠位骨片(例えば、大腿骨頭および頸部の遠位骨片)が固定装置119の軸を中心に回転することを防止するように、この様式で位置付けられ得る。挿入器具103のハンドル部分107は、器具103の両側に穴127、129といった二つのガイドワイヤ受容特徴を含み得、これはガイドワイヤ113、115がそれぞれの穴を通ることを可能にする。ガイドワイヤ113、115は、挿入器具103を安定させるのに役立つように軟組織を通って骨に通される。この構成では、挿入器具103は、ワイヤ113、115を患者に誘導する任意の他の機器を必要としない場合がある。挿入器具103は、釘109の軸を中心とする回転動作および釘109の軸に沿った軸方向並進の両方に抵抗することによって安定性を達成し得る。
図2A〜2Cは、図1Aおよび1Bに示されるシステム101の挿入器具103の様々な図を表す。特に、図2Aはガイドシース117に隣接する挿入器具103の部分分解斜視図であり、図2Bはガイドシース117が一部中に挿入された挿入器具103の斜視図であり、図2Cはガイドシース117と挿入器具103との係合部の拡大部分断面図である。
ガイドシース117は、挿入器具103のハンドル部分107に形成された穴131といったガイドシース受容特徴を通って取り外し可能に挿入され得る。ガイドシース穴131は、釘109の第一孔123と交差する軸を画定する。ガイドシース117は、釘109の第一孔123と実質的に整列するようにガイドシース穴131を通って位置付けられ得、これは、骨の距部部位に向けられた固定装置119を受容するように構成される。ガイドシース117は、ガイドシース117の外面上に第一保持部材133を含み得る。第一保持部材133は、例えば、ガイドシース穴131内に配置された対応する第二保持部材135に係合するように構成された、隆起した歯、突起、または他のそのような面を含み得る。第二保持部材135は、一つ以上の隆起または突起を同様に含み得る。第一および第二保持部材133、135は一緒に保持機構137を形成し、これはガイドシース117が髄内釘109に向かってラチェット動作する一方、ガイドシース117の髄内釘から離れる動作を制限することを可能にする。保持解除機構139は、ユーザによって押されたときに第一保持部材133から第二保持部材135を脱係合し得る。例えば、保持解除機構139は、ハンドル部分107の下部表面141に配置されたボタンであり得る。この保持解除機構139を挿入ハンドルの下部表面141に位置付けることは、装置操作中(例えば、ハンドル部分107を把持している間)に、ユーザがガイドシース117を偶発的に解除してしまうことを防止し得る。
図3A〜3Fは、髄内釘を骨折した大腿骨143に埋め込むステップの一方法を表す。最初に図3Aを参照すると、大腿骨143の近位端に接近することができ、骨錐(bone drill)およびリーマー145を使用して、大腿骨143の髄腔をリーマーで広げることができる。次に、図3Bに示されるように、髄内釘109は挿入器具103に結合され、髄内釘109が大腿骨143のリーマーで広げられた腔内に配置される。図3Cでは、使用される場合、第一および第二ガイドワイヤ113および115のうちの一つ以上は、例えば、釘109の両側の平行軌道に沿って軟組織を通って挿入され得る。ガイドワイヤ113、115は、釘109が適所に置かれた後、大腿骨143の遠位骨片の不注意な回転を制限または防止し得る。近位固定装置119(例えば、ラグねじまたは他の好適な骨アンカー)もまた、釘109の第一孔123を通って大腿骨143の頭/頸部部位に通される。図3Dでは、ガイドワイヤ113、115は縮退され、図3Eでは、遠位固定装置147が釘109の遠位孔125を通って追加で挿入され得る。遠位装置147はガイドシース117を使用して位置付けられ得、これはシース1117が釘109の遠位開口125と整列するように、ハンドル部分107の別の開口を通って位置付けられる。図3Fでは、挿入器具103が釘109から脱係合され、これはここで近位固定装置119および遠位固定装置147を介して適所に固定される。示されるように、釘109は、大腿骨143の長さの一部分に沿って延在し得る。しかしながら、釘109が、例えば、異なる解剖学的形態および骨折に適応するように、より長くかつ/または異なる直径の様々なサイズおよび形状であり得ることも企図する。
図4A〜4Dは、髄内釘109に類似した、釘201を近位係止するための交差係止特徴が追加された髄内釘201の別の実施形態を表す。髄内釘201は、髄内釘109に関する上述の特徴のうちのいずれかを含み得る。髄内釘201は、例えば、股関節の骨の最も強い部分である大腿骨229の距部における骨の固定とともに、食いつきの収束および分散を提供することによって、二つの相互係止用近位固定装置203、205(例えば、骨アンカー、締結具、またはねじ)をさらに含み得る。よって、カットアウトおよび/または回転に起因する不良のリスクを低減させることができる。
図4A〜4Dはそれぞれ、第一固定装置203に隣接する髄内釘201の側面図、側面断面図、および二つの斜視図を示す。図5A〜5Dはそれぞれ、髄内釘201を通って挿入された第一の、近位固定装置203の側面図、側面断面図、および二つの斜視図を示す。図6A〜6Dはそれぞれ、第一固定装置203が中に挿入された髄内釘201に隣接する第二の、交差係止用固定装置205を有するシステムの側面図、側面断面図、および二つの斜視図を示す。図7A〜7Dはそれぞれ、髄内釘201および第一固定装置203の両方を通って挿入され、それによって釘201の近位係止のための交差係止特徴を作り出す第二固定装置205を有するシステムの側面図、側面断面図、および二つの斜視図を示す。
図4A〜8Cを一緒に参照すると、髄内釘201は、第一固定装置203および第二固定装置205の両方を中に受容するように構成されている。髄内釘201は、近位部位213内で、中を通って形成された第一孔209および第二孔211、ならびに、遠位部位217内に形成された第三孔215を有する細長の本体207を含む。第一孔209は、中を通って第一固定装置203を受容するようにサイズ決定および構成され得、第二孔211は、中を通って第二固定装置205を受容するようにサイズ決定および構成され得る。
第一固定装置203は、本明細書に記載の近位固定装置119と同じまたは同様であり得、釘201の近位係止のために構成された骨ねじまたはアンカーを含み得る。例えば、第一固定装置203は、近位上腕骨の距部領域に向けられるように構成された距部用ねじまたはアンカーであり得る。距部用ねじ203は、その遠位先端部においてねじ山部分と、ねじ203の実質的な長さ方向に沿って非ねじ山部分とを有し得る。距部用ねじ203は、当該技術において公知の従来の多軸または固定角の距部用ねじおよびアンカーを含み得る。
第二固定装置205もまた、釘201の近位係止のために構成された骨ねじまたはアンカーを含み得る。この骨アンカーまたはねじ205は、距部用ねじ203に対して実質的により短い長さおよび小さい直径であり得る。骨アンカーまたはねじ205は、釘201の近位端の第二開口211を通って第一固定装置203の中のチャネル219に位置付けられるように実質的にサイズ決定および構成されている。このように、第二装置205は、例えば、骨に対する強化された食いつきおよび骨の固定など、第一固定装置203と相互係止するように構成されている。第二固定装置205が第一固定装置203の上に位置付けられ、第一固定装置203との接点へ下方に曲げられた状態で示されるが、これらの相関位置は反転され得るか、または固定装置203、205は装置203、205が互いに相互係止するために互いに対して別様に曲げられ得ることも想定される。第二固定装置205は、第一固定装置203の中に形成されたスロットまたはチャネル219を通るように構成され得る。第一固定装置203および第二固定装置205のこの相互係止特徴は、食いつきの収束および分散を提供することによってカットアウトおよび回転を防止し得る。大腿骨の場合、これはまた距部部位での骨の固定を提供し得る。第一固定装置203の中の細長のスロット219は、体重の負荷または靭帯整復術(ligamentotaxis)による骨片間の自然圧を活用する制御された折り畳みを可能にする。制限付きの折り畳みは、大腿骨頸部の非制御短縮および過剰な短縮を防止するようにスロット219の長さによって制御される。第一固定装置203は、遠位ねじ山221、およびドライバー(図示せず)に係合するように構成された近位ドライブインタフェース223を含み得る。第二固定装置205は、第二固定装置205が第一固定装置203の中のスロット219を通過することができるように、第一固定装置203より小さい直径を有し得る。第二固定装置205はまた、遠位ねじ山225、およびドライバー(図示せず)に係合するように構成された近位ドライブインタフェース227を含み得る。
スロット219は、第一固定装置203の中軸に配置することができ、第二固定装置205がそれを通ることを可能にするようにサイズ決定および構成され得る。スロット219は、第二固定装置205が適所に置かれた後、第一固定装置203の並進を可能にするために必要以上に長くなり得る。スロット219は、第二固定装置205が適所に置かれた後、第一固定装置203の回転を防止するために十分な強さであり得る。スロット219は、第一固定装置203の材料を最大限化しつつ、第二固定装置205の近位および遠位の間隙を可能にする、傾斜した近位縁および遠位縁を有し得る。第一固定装置203の中においてスロット219は、例えば、180°刻みでの第二固定装置205の位置付けを可能にするように対称的であり得る。
少なくとも一実施形態では、止めねじまたは座金などの係止装置230が、第一固定装置203および/または第二固定装置205を適所に係止するために使用されてもよい。図7Bで最良に見られるように、係止装置230には、釘201の中空の内側部分にわたってねじ山が設けられ得る。係止装置230は、雄ねじ山を有し得、これらは、釘201の中空の内側部分に沿って嵌合する雌ねじ山に対応するようにサイズ決定および構成される。係止装置230が下方にねじ山が設けられ、かつ第一固定装置203または第二固定装置205と接触したとき、それぞれの固定装置203、205は、釘201に対して適所で係止される。いくつかの実施形態では、相互係止用固定装置203、205が選択的に使用されてもよい。例えば、ねじ山が設けられた係止装置230は、第二固定装置205に係合するようにねじ山が設けられていてもよく、あるいは、、ねじ山が設けられた係止装置230は、例えば、第二固定装置205が使用されない場合、第一固定装置203を係止するようにさらに下までねじ山が設けられていてもよい。これにより、ユーザが、術中に、従来の構築物かまたは相互係止用構築物かを選択することが可能となる。
釘201と、相互係止用の第一固定装置203および第二固定装置205とを含むシステムを埋め込むための挿入器具103は、追加のガイドシース穴が、適切な軌道に沿ってガイドシースに適応するようにハンドル部分107の中に形成されて、第二固定装置205を、釘201の中の第二孔211を通して第一固定装置203との係合部へと挿入し得ることを除き、図1A〜2Cに関する上述システム101と実質的に同様であってもよい。
図8A〜8Cは、髄内釘201を、相互係止用固定装置203、205と共に、骨折した大腿骨229に埋め込むステップの一方法を表す。最初に図8Aを参照すると、釘201は、大腿骨229のリーマーで広げられた髄腔内に挿入されており、第一固定装置203は、図3A〜3Dに関して上述された手法と同様、釘201の中の第一孔209を通って挿入されている。図8Bを参照すると、遠位固定装置231は、図3Eに関する上述手法と同様、釘201の中の第三孔215を通って挿入され得る。図8Cを参照すると、第二固定装置205は、釘201の中の第二孔211を通って挿入され、かつ第一固定装置203の中のスロット219を通って挿入される。述べたように、これらの交差する第一固定装置203および第二固定装置205は、大腿骨229の頭および頸部部位に追加の食いつきを提供し、特に、第二固定装置205は、距部での骨の固定を提供し得る。よって、相互係止用の第一固定装置203および第二固定装置205は、髄内釘埋め込みの一般的な故障形態に対する改善された安定性および保護を提供し得る。
図9A〜図9Nは、髄内釘309の別の例を図示し、それは、第一の、遠位部分または端310から、第二の、近位部分または端311に延在する略細長本体を備え得る。細長本体は、骨折した骨の髄内管内部で長手方向に延在するように構成された細長い管状ロッドの形状であり得る。細長ロッドは、その長さに沿って中空であってもよく、または中実であってもよい。細長本体は、釘309の長手方向軸に沿って略直線状であってもよく、または髄内管の解剖学的形状に一致するような一つ以上の湾曲または屈曲を含んでもよい。図9Aに示す釘309の実施形態では、釘309が梨状窩入口部において利用されてもよく、曲率はAP(前後)方向に与えられてもよい。この湾曲により、釘309を順行性(図9A)でも逆行性(図9D)でも、および、右脚でも左脚でも使用することができる。図9Cに示す実施形態では、釘309’は、AP方向における曲率、および、ML(内側−外側)方向における曲がりを有し、より大きな大転子の先端で進入するのを容易にする。その他の態様では、釘309および309’は、別段の記載がない限り、同じである。釘309の断面は、髄内釘309の中心長手方向軸に対して直角に取られており、円形、楕円形(oval、elliptical)、またはその他の任意の好適な断面形状であってもよい。
図10A〜10Cを参照すると、釘309のAP曲率の計算プロセスが説明される。釘309の曲率半径は、釘309が挿入されている大腿骨の解剖学的曲率と一致し得るように、釘309の長さに応じて変化し得る。より長い大腿骨(背がより高い患者)においては、曲率の半径が小さすぎることがよくあり、外科医は骨に損傷を与えることなく釘を挿入するのに苦労している。本明細書に記載の変位に基づいて半径を計画する方法により、解剖学的により正しい(より大きい)半径を提供することによって、問題が起こる可能性が低くなる。
図10Aに示すように、大腿骨の終点は垂直線であってもよい。したがって、有効な開始点が、半径Rを有する釘長さLmmであると仮定する場合、タンジェント円を使用してAP曲率半径を計算できる。図10Bを参照すると、各タンジェント円が半径Rを有することになる。Rを斜辺と1/2とし、釘長さLを三角形の一辺として、タンジェント円の中心Cから直角三角形を描くと、もう一方の片が長さz.を有することになる。曲率によって、辺1/2Lおよびzを満たす点は、タンジェント点Tから距離yだけ離間することになる。よって、R=y+z、および、R2=L2/4+z2。式を合わせると、R=y/2+L2/8yとなる。当初の仮定を利用すると、定数yを計算することができる。定数yを計算すると、長さLそれぞれに対する曲率半径Rがわかる。以下は、釘長さが半径Rを有するとした仮定を利用した、様々な長さLに対して算出された半径Rの表である。
図9A〜図9Nを再度参照すると、釘309の遠位端310は、髄内釘309の遠位端310を通って横方向に延在する一つまたは複数の骨アンカー、締結具、または遠位固定装置330、332を受容するように構成された一つまたは複数の遠位開口312〜318を含み得、それによって、管内で釘309の遠位端310を固定するように構成される。遠位固定装置330、332は、釘309を遠位で係止し、また、再建するために構成された骨ねじまたはアンカーを含み得る。遠位固定装置330、332は、当該技術において公知の従来の多軸または固定角の係止用骨ねじおよびアンカーを含み得る。
図示した実施形態では、遠位開口部は、AP係止スロット312と、AP係止開口部314とを含む。開口部はまた、一対のML係止開口部313、315およびML係止スロット317を含む。APおよびML係止スロット312、317は、設置中に圧縮等が加えられた場合に、釘309と係止ねじ330との間の相対移動を容易にする。遠位開口部はまた、再建ねじ332を受け、誘導するように構成された、一対の傾斜開口316、318を含む。図9Jに示すように、傾斜開口316、318はそれぞれ、釘309の軸に対して角度がα1、α2である。角度α1、α2は、45°〜60°の範囲にあり、図示した実施形態では、それぞれ50°である。角度α1、α2は、傾斜開口316、318が互いの鏡像であるように互いに対して等しく、それによって、釘309が右脚および左脚の両方で利用可能となる。遠位傾斜開口316、318により、どの外科医も、遠位ねじを斜めにロックするか、または、より近位のねじ入口点から遠位断片に近付くことを可能にする。この構成は、関節周囲骨折および顆状分離骨折の治療に有用であり得る。さらに、斜め遠位開口部316、318によって、外科医は進入時に、膝または腰部の関節近くで軟組織を損傷するリスクを冒すことなく、顆状骨折にアクセスするのを可能にする。
近位端311は、髄内釘309の近位端311を通って横方向に延在する一つ以上の骨アンカーまたは締結具330、332を受容するように構成されている一つ以上の近位開口部123を含み、それによって管内で釘309の近位端311を固定し、再建するように構成される。近位固定装置330、332は、骨ねじまたはアンカーを含み得る。固定装置330は係止ねじであり得、固定装置332は、距部用ねじまたは近位上腕骨の距部領域に向けられるように構成されたまたはアンカーであり得、これは、その領域で最品質の骨を構成し得る。
近位開口部は、一対のML開口部321、323およびMLスロット325を含み得る。ML開口部321、323およびMLスロット325は、係止ねじ330を受けるように構成される。ML係止スロット325は、設置中に圧縮等が加えられた場合に、釘309と係止ねじ330との間の相対移動を容易にする。遠位開口部はまた、複数の傾斜開口322、324、326、327を含み、これらは対称の対を含むことが好ましい。より具体的には、図9K〜図9Nを参照すると、上側傾斜開口322および324は鏡象であり、余角β1、β2、すなわち、β1+β2=180°といった余角を形成する。例えば、斜め角β1は、釘309に対して約100°〜150°、110°〜140°、または約120°〜135°であってよく、角度β2は、約30°〜80°、40°〜70°、または45°〜60°である。同様に、下側傾斜開口326、327は鏡像であり、余角β3、β4、すなわち、β3+β4=180°といった余角を形成し、これは、開口部322、324に対する上記のものと類似した範囲上に延在してもよい。このような構成では、近位傾斜開口322、324、326、および327は、右脚または左脚のいずれでも同一に機能することになるように整列される。図示した実施形態では、角度β11、β3は等しく、角度β12、β4は等しいが、必須ではない。
さらに、軸が互いの鏡像である開口部はまた、AP面において矢状面から、一方は前方にθ1、他方は前方に角度θ2だけ、オフセットしている。図9Kおよび図9Lに図示するように、開口部322はθ1だけオフセットされており、開口部324はθ2だけオフセットしている。同様に、図9Mおよび図9Nに図示するように、開口部326はθ3だけオフセットされており、開口部327はθ4だけオフセットしている。図示した実施形態では、より大きなオフセットθ2、θ4は、対応するオフセットθ2、θ4の二倍大きい。これにより、ねじ330が後方に通過してこれらの二つの再建ねじ332に入る余裕が生まれ、固定角度構築物を作製する。図示した実施形態では、開口部322のオフセットθ1は開口部327のオフセットθ4に等しく、開口部324のオフセットθ2は開口部326のオフセットθ3に等しい。この構成では、類似傾斜した一対の開口部322および326のオフセットが互いに対してオフセットすることになり、類似傾斜した一対の開口部324および327のオフセットが互いに対してオフセットすることになる。
釘309は、ハイブリッドな順行性/逆行性と、左/右釘をもたらす。こうした釘309は、在庫を減らし、外科手術のプランニングを簡略化するため、病院および外科医にとって有利である。双方向近位傾斜開口322、324、326、327は、近位大腿骨骨折固定のための様々な選択肢、および、より安定した構築物を提供する。さらに、近位開口部321〜327の配置により、ねじ330、332によって作られた固定角構築物が可能となる。設計はさらに、大腿骨ネック内に固定されることになる三つのねじを提供する。この固定角構築物は、従来の二つのねじ構成よりもさらなる生体力学的安定性をもたらす。
図9Iおよび図11A〜図11Eを参照すると、髄内釘309を挿入器具350で取り付ける方法が説明される。本実施形態の釘309は、近位端311に開口部334を有する。開口部334内の肩部335は、釘309の近位部分311の内径上に円周スロット336を画定する。この構成は、一般的な螺合接続よりも釘309の近位端311に占める空間が少なくなり、それによって、より近位に位置する係止穴のための空間を確保できる。
釘309を挿入器具350に接続するため、挿入器具350は、拡張コレット370と接続ボルト354とを含む。挿入器具350の照準アーム352の貫通通路353内で接続するアライメントチップ360は、ボルト354を拡張コレット370と整列させるように構成される。アライメントチップ360は、本体362の近位端361から遠位端363まで延在する貫通通路364を有する中空本体362を含む。本体362の近位端361は、照準アーム352の貫通通路353内に圧入して受けられるように構成されるが、その他の接続機構が利用されてもよい。図11Dおよび図11Eに図示するように、肩部368は本体362から半径方向に延在し、完全に挿入されると、照準アーム352と係合する。本体362の遠位端363は、釘309の近位端の開口部334に受けられるように構成された凹部部分366を有する。
拡張コレット370は、貫通通路374が本体372の近位端371から遠位端373まで延在する中空本体372を含む。遠位端373は、半径方向外向きに延在するカラー376、タブ、突起部、等を有する。カラー376は、釘309の近位端311の円周スロット336内に受けられるように構成される。軸方向スロット375は、本体372の遠位端373から延在し、本体372の遠位端が、半径方向内向きに圧縮され、それによって、カラー376が、釘309の近位端311内で、アライメントチップ貫通通路364と肩部335とを通過するのを可能にする。コレット370上の外部肩部377は、アライメントチップ360上の内部肩部367に接触して、アライメントチップ360に対するコレット370の動きの範囲を制限する。カラー376が肩部335を越えると、カラー376は自在に半径方向外向きに膨張する。コレット本体372の遠位端373は、接続ボルト354のねじ山355と係合するように構成された雌ねじ山378を含む。
接続ボルト354は次に、拡張可能コレット370の貫通通路374を通って駆動し、ねじ山378と係合する。接続ボルト354がねじ山378にねじ込まれるにつれ、カラー376をその主要直径に対して外向きに押し、さらに、カラー376を釘309内の円周スロット336内に駆動する。さらに、ボルト354のヘッド356の底面側がアライメントチップ360の上部と接触すると、近位釘309全体に圧縮を加えることができ、それによって接続部における任意の空間を圧縮する。アセンブリにより、釘309を照準アーム352に、素早く、簡単に、且つ剛直に接続することができる。本明細書に記載の髄内釘のいずれかは、内部円周スロットを含み得、記載されるように、拡張コレットを利用して、挿入器具等に接続され得ることに留意する。
図12A〜図12Kを参照すると、自己保持ねじ400およびドライバ430アセンブリが説明されている。ねじは、外科技術者または看護士によってバックテーブルでドライバに貼り付けられることが多く、必要なところにねじを配置するときに外科医に手渡される。バックテーブルとの間、および、ねじを骨に最終的に着座させる間、多くの行動によってドライバからねじが外れ、それによって、例えば、ねじが手術室の床に当たるなどにより、ねじが非滅菌となる場合がある。脱落の可能性を最小限にするために、自己保持釘係止ねじ400は、より安全な接続を達成する特徴を有する。
図12A〜図12Fを参照すると、ねじ400は、遠位先端404から近位ヘッド406へ延在するシャフト402を含む。図示した実施形態では、シャフト402は、進行をより容易にする二つのねじ山403、405を含む。ヘッド406は、近位トルク孔410およびその遠位のねじ山孔416を画定する。トルク孔410およびねじ山孔416は、互いに連通し、同軸であることが好ましい。トルク孔410は、相補的なトルク器具と係合するための係合面を有する構成を有する。図示した実施形態では、トルク孔410は、中央開口部から半径方向に延在する複数の葉形凹部412を有するヘキサローブ構成を有する。葉形凹部412は、最大直径Dを画定し、中央開口部は小さな直径dを画定する。葉形凹部412は、下記により詳細に説明する通り、駆動ツールヘッド430上で相補的ローブ436を受けるように構成される。ねじ山孔416は、トルク孔410の底部でねじ山孔416の中へと締め付けられるねじ山付きロッド(図示せず)によって係合されるように構成された、複数の雌ねじ山417を画定する。トルク孔410とねじ山孔416を組み合わせることにより、ねじ山付きロッドを利用してねじ400を確実に送達し、必要であればトルク孔410と係合したトルクドライバを利用して、ねじ400をさらに締め付けるのを可能にする。
図12G〜図12Kを参照すると、中に図示されたトルクドライバヘッド430はテーパ形状を有し、突き刺して、それ自体の保持特徴を把持できる。トルクドライバヘッド430は、近位本体432と、それから延在する遠位シャフト434とを含む。近位本体432およびシャフト434は、近位端431から遠位端433へ延在する単一構造であることが好ましい。複数のローブ436は、シャフト434から半径方向に延在し、ねじ400のトルク孔410の葉形凹部412に対する相補的構成を有する。ローブ436は先細りとなっており、遠位方向に向かって狭くなる。テーパは第一長さE1では略一定であり、さらに、長さE2では遠位端433においてより明らかである。テーパを有する場合、ローブ436は、シャフト434の近位部分においてより大きな最大直径F1を(図12J参照)、シャフト343の遠位部分においてより小さい最大直径F2を(図12K参照)画定する。より大きい直径F1は、すなわちF1>D>F2といった、葉形凹部412の最大直径Dより大きいことが好ましく、より小さな直径F2は、葉形凹部412の最大直径Dより小さいことが好ましい。この構成では、トルクドライバヘッド430の遠位端433はトルク孔410内に容易に移動するが、トルクドライバヘッド430がさらに挿入されるにつれ、ローブ436が摩擦ばめでローブ凹部412に係合し、突き刺し、および保持特徴を把持する。一部の実例では、この特徴は、ねじ山付きロッドおよびねじ山付き孔416を利用する必要なしに、十分確実な接続をもたらし得る。
図13A〜図13Fを参照すると、ねじ400’のヘッドレスバージョンが説明される。外科医は、可能な限り、ねじ上でヘッドを目立たなくしたいという、いくつかのシナリオがある。例えば、関節腔近くで骨折が起こると、外科医は関節表面を通してねじを配置する必要がある場合が多い。関節の機能を保持し、且つ、関節に痛みが出ないようにするため、使用する係止ねじが、その領域の骨または軟組織の動きを妨げないことが不可欠である。また、骨の上の軟組織が非常に薄い領域(例えば、近位脛骨内)では、術後に、患者が突起したねじヘッドを触知する、または患者に見えてしまうため、ヘッドレスねじが所望される場合もある。
ヘッドレスねじ400’は、以前の実施形態のねじと類似しており、遠位先端404から近位ヘッド406’へ延在するシャフト402を含む。図示した実施形態では、シャフト402は、進行をより容易にする二つのねじ山403、405を含む。しかし、ねじ400’は、単一ねじ山付き開始点、または、その他任意の好適な構成を有し得ることが理解されよう。前述の実施形態と同様に、ヘッド406’は、近位トルク孔410およびその遠位にあるねじ山付き孔416とを画定する。トルク孔410は、相補的なトルクツールと係合する係合表面を有する構成を有し、ねじ山付き孔416は複数の雌ねじ山417を画定する。
本実施形態のヘッド406’は、複数の雄ねじ山407を有する。図示した実施形態では、ねじ山407は、シャフトねじ山のピッチの半分である四つの開始ねじ山を有し得る。ねじ山407によって、ヘッド406’が骨の表面の下に沈むことができる。本明細書に記載の、あるいは公知の髄内釘と併用する場合、ヘッドレスねじ400’により、標準係止ねじと同じように作用するヘッドレスオプションの特異性を提供する。
例示的な実施形態では、髄内釘システムは、少なくとも一つのヘッドレスねじまたは締結具と組み合わせた髄内釘を含む。髄内釘は、本明細書に記載される髄内釘109、201、309、500、または、一般的に既知の、または以下で発展されるその他任意の髄内釘を含み得る。ヘッドレスねじまたは締結具は、ねじが完全にねじ山を付けられているように、またはねじ山の長軸方向の直径を越えて突き出た頭部または頭部を持つ頭部もしくは留め具を含むねじ、または締め具(例えば、ねじ山部)を含むねじまたはファスナーを包含することが意図されている。例えば、ヘッドレスねじは、本明細書に記載のヘッドレスねじ400’、または、これは一般的に既知または将来開発されるその他任意のヘッドレスねじを含み得る。
一実施形態によると、髄内釘109、201、309、500は、少なくとも一つのヘッドレスねじ400’またはヘッドレス締結具と組み合わせて使用される。ヘッドレスねじ400’またはその他のヘッドレス締結具は、シャフト402が釘109、201、309、500の一つまたは複数の開口部内に存在するように、釘109、201、309、500の本体を通して位置付けられ得る。ヘッドレスねじ400’のシャフト402は、ロック方式(例えば、ねじ山嵌合)または非ロック方式で髄内釘109、201、309、500と嵌合するように構成され得る。例えば図9Aで最良に見られるように、ヘッド406’が骨の外面、またはその近くに位置付けられるように、ヘッドレスねじ400’のねじ山付きヘッド406’が位置付けられ得る。髄内釘109、201、309、500と組み合わせて、ヘッドレスねじ400’のヘッド406’を骨に対して(または骨にわずかに挿入されて)位置付けることにより、髄内システムが患者に実質的に感知不可となり得る。従来のヘッド付きねじが使用される場合、患者はねじまたはねじヘッドが外科手術部位から突出するのを感じることができ、それが炎症または痛みを引き起こしている、と患者から不満が出る場合がある。従って、一つまたは複数のヘッドレスねじまたは締結具が、髄内釘の遠位端および/または近位端を固定する場合に使用されることが好適であり得、それによって患者のより良い結果を得ることができる。
図14A〜図14Cを参照すると、ねじ山付き穴454を有する釘部450が説明される。不安定な骨折において、または劣悪な骨質を有する患者においては、外科医は、ねじに対する釘の横方向への平行移動を安定させるための能力を有することが不可欠である。これは、締まり嵌めと称されることが多い。ねじ400または類似の係止ねじとの締まり嵌めを達成するよう、釘450には、釘450の細長本体452に沿った一つまたは複数のねじ山付き穴454が提供されている。ねじ山付き穴454は、二条ねじ山を有するねじ山453、455を含む。図示された実施形態では、ねじ山453、455は、60°加工の二条ねじ山を提供する。ねじ山453、455は、ねじ400のねじ山403、405と同じピッチを有する。前述のように、ねじシャフト402はまた、容易に進入するための二条ねじ山を有する。釘450のねじ山付き二条穴454自体は、現在の干渉穴よりも有利であるが、これは、製造が容易であり、且つ、外科医側にさらなるステップや特別な技術を必要としないためである。
図15A〜図15Cを参照すると、ねじに、より大きな圧縮をもたらすよう構成されたワッシャ470が説明される。一部の用途では、ねじおよび釘は、十分な干渉をもたらさない場合がある。例えば、骨質が悪い場合、または、深刻な粉砕骨折がねじの配置に干渉する場合、外科医は釘自体とインターフェース接続されるねじを必要とすることが多い。近くの皮質壁が安定していないというのは、多くの大腿骨複雑骨折の場合に起こり得るが、その場合、締まり嵌めねじさえも、近くの外皮ではいかなる引っ掛かり(purchase)も得ることなく、よって固定が安定しない。条件によってそのような必要性が示されている場合、ねじおよび釘アセンブリと併用するオプションとして、ワッシャ470が提供され得る。
ワッシャ470は、本体472の近位端471から本体472の遠位端473へ延在する貫通通路474を有する中空体472を含む。本体472の遠位端473は、遠位先端476の間に複数の切欠部475を含む。切欠部475はそれぞれ、対向する切欠部475の各対が同軸であり、それによって、釘の外径が可能になるよう、およそ90°である。ワッシャ470は、ねじの主要直径にわたって嵌合し、ヘッドの下側と同一平面になる。それは、ねじおよびドライバとともに、組織保護スリーブを通して挿入され得る。ワッシャ470の遠位先端476が釘の外径と接触し、釘が対向する切欠部475内に受けられると、ねじは、ワッシャ470が釘の側面を把持する間は、回転し続ける。これにより、ねじが釘の遠くの側面に圧縮をかけることを可能にし、ねじ/ワッシャ構築物を釘の側面にしっかりと保持することができる。これにより、皮質骨がそうするのに十分に強くないときの、剛直な固定方法が提供される。ワッシャ470はそれによって、釘を使用できる表示を拡張させる。
例示的な大腿骨釘を記述したが、図16A〜図17Kを参照して、その埋め込み用の脛骨釘およびシステムの実施形態が説明される。図16A〜図16Dを参照すると、第一脛骨髄内釘500が記載される。釘500の特徴は、脛骨釘において使用することに限定されず、他の髄内釘に組み入れられてもよいことが認識される。髄内釘500は、概して、第一の、すなわち遠位部分または端503から、第二の、すなわち近位部分または端501に延在する細長本体502を備える。細長本体502は、骨折した骨の髄内管内部で端長手方向に延在するように構成された細長い管状ロッドの形状であり得る。細長ロッドは、その長さに沿って中空であってもよく、または中実であってもよい。細長本体は、釘500の長手方向軸に沿って略直線状であってもよく、または髄内管の解剖学的形状に一致するような一つ以上の湾曲または屈曲を含んでもよい。図16A〜16Dに図示された釘500の実施形態では、釘500は脛骨で利用され、近位端がシャフトに対して屈曲λを有し、遠位端がシャフトに対して屈曲χを有する。図示された実施形態では、屈曲λは、およそ10°であり、一方で遠位端屈曲χは、およそ3°である。屈曲λ及びχは、記載された角度に限定されず、骨の解剖学的構造に依存して、より大きいかまたはより小さな屈曲を有していてもよい。
脛骨釘500の遠位端503は、四つの開口部510〜513を包含する。開口510、512は、ML方向に向けられ、開口511、513は、AP方向に向けられる。図示された実施形態では、ML開口510及びAP開口511はそれぞれ、図14Cに関して上述されたのと同様に、係止ねじとともに固定角度構造を作り出すために用いられる二条ねじ514を含む。固定角度構造は、きわめて不安定な骨折を処置するために用いられる。
図16E〜16Gを参照すると、釘500’の代替的な遠位端503’が説明される。この実施形態では、ML開口部510は、第一開口部521および第二開口部522がそれぞれ、矢状面から30°、といった、斜め角である、組み合わされた斜めロック開口部520と置き換えられる。組み合わされた斜め係止開口部520は、外科医が係止ねじ530を二つの異なる配向に挿入することを可能にし、それによって代替的な固定角度構築物を作り出す。
図16Hを参照すると、釘500”の別の代替的な遠位端503”は、固定角度構築物を作るために利用され得る追加的な特徴を示す。この実施形態では、AP開口部511’は、ブローチングされた穴として画定され、AP開口部513’は、ねじ山付き穴として画定される。固定角度構造物は、ねじ山付きまたはブローチングされた穴を通して係止ねじを挿入することにより作成される。係止ねじ山は、釘500”に対するねじ530の動きを制限することによって、骨折を安定化するために、ねじ山付きまたはブローチングされた特徴と係合する。
図16A及び16Cに戻ると、脛骨釘500の近位端501は、開口515〜518を包含し、一対の近位傾斜開口515と、AP傾斜開口516と、近位MLスロット517と、近位ML開口517とを含む。近位傾斜開口515は、図9Aに図示した実施形態に関して上述したものと類似している。AP傾斜開口516は、係止ねじ付きの固定角度構造を作り出すために用いられる二条ねじ519を包含する。近位MLスロット517は、骨折の圧縮および静的/動的係止モードに使用される。
例証的な脛骨釘500の様々な特徴を説明してきたが、脛骨釘500を挿入する器具、システム、および方法が、図17A〜17K参照して説明される。脛骨釘500は、入口部位における切開を通して髄管の中に挿入される。図17Aは、膝蓋アプローチを利用して髄内釘500を埋め込むためのシステム535の例証的な実施形態を図示する。膝蓋アプローチは、脛骨釘500の挿入のための産業の標準的なアプローチである。このアプローチは、通常、過屈曲(HF)位置における脚で行われる。脛骨釘500は、切開を通して、脛管の中に直接挿入される。
システム535は、挿入器具540及び照準ガイド560を含む。挿入器具540は、結合部分545およびハンドル部分547を含む。いくつかの実施形態では、結合部分545およびハンドル部分547は、ともに取り外し可能に接合された別個の部分であることができ、一方で他の実施形態では、結合部分545ハンドル部547は、単一の一体形成された構成要素の異なる領域であることができる。ハンドル部分547は、好ましくは堅固であり、例えばステンレス鋼から作られ、また、衝撃シャフト546及び圧縮ボルト544に取り付けるための設備を有する。結合部分545は、釘500の近位部分501に着脱可能に係合または結合するように構成された接続部548を有する。図示した実施形態では、接続部分548は螺合コネクタを含む。しかしながら、当業者には、他の結合機構が用いられてもよいことが理解されよう。
ハンドル部分547は、ハンドル部分547を照準ガイド560に着脱可能に取り付けるための接続アセンブリ550を含む。接続アセンブリ550は、本体551を含み、その中に二つの孔552、554が画定される。接続ボタン553は、孔552のうちの一つに延在する。図17Bに示す通り、接続ボタン553は、接続位置に付勢される。接続ボタン553は、照準ガイドの接続ポスト572上のスロット573と係合するように構成された孔552内の係合部分556を有し、これは以下でより詳細に説明される。図示した実施形態では、係合部分556は、直径が小さい開口部557を有するプレートを含む。係合部分556を係合解除するために、ボタン553は、より大きい直径開口部558が接続ポスト572と整列するように押下される。当業者には、他の接続機構を使用してもよいことが理解されよう。
脛骨釘照準ガイド560は、係止ねじを脛骨釘500の中に設置するために用いられる。照準ガイド560は、係止ねじの軌道を、釘500の近位開口515〜518と整合するように設定する。少なくとも一つの実施形態では、照準ガイド560は、放射線透過性材料から作られる。照準ガイド560は、対向する端支持ブロック564間に延在するアーチ形の本体562を含む。各端支持ブロック564は、ML開口518と位置合わせされる穴開口563と、MLスロット517と位置合わせされるスロット開口565とを画定する。複数の中間サポートブロック568A〜Cは、本体562から延在する。サポートブロック568Aは、AP傾斜開口516と整列した穴開口部569を含む。サポートブロック568Bおよび568Cはそれぞれ、それぞれの傾斜開口515と整列した穴開口部569を含む。開口部563、565、および569は、上述のガイドシース117と類似した、それぞれのガイドシース580を支持するよう構成される。シース580は、穿孔工程中、軟組織を保護するために用いられる。シース580は、様々なサイズのドリルスリーブ及びトロカールを受容する。ガイドシース580およびブロック564、568A〜Cは、上述のものと類似した保持部材を有し得、ブロック564、568A〜Cはそれぞれ、それぞれの解除機構567を有する。
照準ガイド560は、挿入ハンドル540上の接続アセンブリ570と嵌合するように構成された接続アセンブリ570をさらに含む。接続アセンブリ570は、接続アセンブリ550の孔552、554内に受けられるように構成された、一対の接続ポスト572、574がそれから延在する本体571を含む。接続ポスト572は、接続ボタン553の係合部分556に選択的に係合するように構成されたスロット573を含む。コネクタアセンブリ570は、堅固な構造体であり、例えば金属から作られ得る。
よって、システム535は、挿入ハンドル547に、照準ガイド560を取り付けるための高信頼かつ便利な接続アセンブリを提供する。押しボタン接続部および解除システムにより、器具なしでの照準ガイド560の着脱を可能となる。また、挿入ハンドル547は、骨折間隙を圧縮するために、動的位置において圧力係止ねじを適用するために用いられる外部圧縮ボルト544を包含する。照準ガイド560は、軟組織シース580を定位置にロックする押しボタン解除機構567を利用する。解除機構567は、軟組織シース580の挿入を可能にするが、それが後退するのを防止する。この特徴は、正確なねじ長さ測定のために軟組織シース580の位置を維持することを助け、穿孔及びねじ挿入を容易にする。照準ガイド560は、改善された照準精度のために、拡張されたシースガイド580をもって設計される。
膝蓋骨アプローチは、膝の上方の脛骨入口点を用いる。膝蓋骨アプローチとともに用いるシステム530’が、図17F〜17Lを参照して説明される。システム530’は、先の実施形態に略同様であるが、カニューレアセンブリ590をさらに含む。図17Fに図示されるように、釘500の挿入時に、釘500及び挿入器具540の接続部545は、カニューレアセンブリ590を通して挿入される。カニューレアセンブリ590は、釘挿入工程中、膝の関節面を保護する。以下に説明されるように、カニューレアセンブリ590はさらに、拡孔中に膝の関節面を保護する。拡孔は、ドリルガイド610を通して、カニューレアセンブリ590のカニューレ592において行われる。その後、ドリルガイド610が取り除かれ、カニューレ592を通して、入口切開の中への釘500の挿入が行われる。
図17Gを参照すると、例証的なカニューレアセンブリ590が記載される。カニューレアセンブリ590は、可撓性カニューレ592及び剛性ハンドル596を含む。カニューレ592は、ハンドル596の開口599と位置合わせされ、連続的な通路を画定する貫通路594を有する。一実施形態では、可撓性カニューレ592の材料は、硬質プラスチックハンドル596上にオーバ成型される。一対の脛骨ガイドスロット595は、ハンドル596を通り、カニューレ592の側部に沿って延在する。横方向の大腿骨ガイド穴597は、ハンドル596を通して延在する。図17Hに示されるように、ガイドスロット595及びガイド穴597は、固定ピン602を脛骨144または大腿骨143の中に案内する。
カニューレアセンブリ590は、皮膚における切開を通して挿入され、外科医が拡孔、穿孔、及び釘挿入を行うことができる入口として作用している。ガイドスロット595及び穴597は、外科医が手技中にカニューレ592を適所に固定することを可能にする。ガイドスロット595及び穴597は、カニューレが外科医の好みに依存して大腿骨143または脛骨144に先細ピン602で固定されることを可能にする。カニューレ592は、リバーシブルであり、患者のいずれの側においても用いられることができる。図17Iを参照すると、カニューレアセンブリ590は、金属ドリルスリーブ610及び円形トロカール612を受容するように設計される。金属ドリルスリーブ610上のコネクタ611を受け入れるカニューレハンドル596上に接続点603がある。図示された実施形態では、カニューレ592は、ドリルスリーブ610を容易に取り除くために先細にされる。軟質の可撓性カニューレ592は、解剖学的に、大腿骨顆間に嵌合し、関節面に対するダメージを最小限にするような形状にされる。
図17J〜図17Lを参照すると、別の例示的実施形態によるカニューレアセンブリ590’が説明される。カニューレアセンブリ590’は、前述の実施形態と類似しており、剛直なハブ596’から延在する可撓性カニューレ592’を含む。剛直なハブ596’は、カニューレ592’の各側面から延在する脚部593を含む。ハブ596’の各脚部593は、それぞれの脛骨固定穴595’および一連の大腿骨ピン穴597を画定する。二つの脛骨固定穴595’は、脛骨への固定のためにkワイヤまたはピン602を受け入れるように設計される。ワイヤまたはピン602は、一点に集まっていても、または平行であってもよい。大腿部ピン穴597は、半ピン598を使用する大腿骨固定のためのものである。カニューレアセンブリ590’は、ドリルスリーブ610および円形トロカール612を受容するように設計される。
図18を参照すると、照準ガイド601は、大腿骨143(図3A〜図3Fに示す)といった骨に髄内釘を挿入するために提供されている。照準ガイド601は、梨状筋およびより大きな大転子の入口点の両方を通して大腿骨釘を挿入する能力を提供し、順行性および逆行性の釘実装を可能にする。さらに、照準ガイド601は、インパクタおよび複数のモジュールの取り付けを可能にし、これにより、照準ガイド601の単純な動作を可能にしながら、臨床医にとって様々な係合オプションを可能にする。また、照準ガイド601は、釘に剛直な接続を提供して、大腿骨への挿入を支援し、大腿骨釘を大腿骨内に固定するため、レコン締結具またはねじおよび斜め締結具またはねじの両方を挿入する方法を提供するアセンブリの基部を提供する。順行性/逆行性の大腿骨釘を参照して説明したが、類似の照準ガイドに他の髄内システムが提供され得ることが理解されるであろう。
釘は、図9Aに示す釘309、図17Fに示す釘500、図23〜図26に示す釘699、またはその他の好適な髄内釘システムであってもよい。照準ガイド601は、レコン締結具またはねじ、斜め締結具またはねじ、および/または、横方向/中間係止締結具またはねじを、髄内釘内に取り付けるために使用され得る。照準ガイド601は、締結具またはねじの軌道を設定して、釘の近位端および遠位端のいずれかまたは両方にある対応する貫通穴とインターフェース接続するように構成される。組織スリーブは、穿孔工程中に軟組織を保護し、穿孔軌道を設定する一助となるよう使用され得る。
照準ガイド601は、細長い近位ハンドル部分604と、略弓状遠位インプラントアライメントチップコネクタ部分606とを有する略弓状または「J形状」本体605を含み得る。遠位インプラント先端コネクタ部分606は、近位ハンドル部分604の長手方向軸615と実質的に平行な先端軸613に沿って延在するように構成され得る遠位インプラントアライメントチップ608を有する。遠位インプラントアライメントチップ608は、遠位インプラントアライメントチップ608を所定位置に保持する一助となる遠位インプラント先端コネクタ部分606上に配置されるばね式摩擦パッド(図示せず)を介して、遠位インプラント先端コネクタ部分606に固定され得る。遠位インプラントアライメントチップ608はまた、例えば、図11Aに提供される方法で固定されてもよい。
一実施形態によれば、本体605とインプラントアライメントチップコネクタ部分606とを含む照準ガイド601は、例えば、炭素繊維などの単一材料から構成される単一構造であってもよい。遠位インプラントアライメントチップ608は、例えば、鋼などの金属といった、異なる材料から任意に構成されてもよい。金属は、インパクタ(図示せず)を、遠位インプラントアライメントチップコネクタ部分606に直接ねじ込むことを可能にする。
さらに、遠位インプラントアライメントチップ608は、遠位インプラントアライメントチップコネクタ部分606と取り外し可能に接続するよう、遠位インプラントアライメントチップコネクタ部分606の遠位端617で受信機614に挿入され得る。遠位インプラントアライメントチップ608は、上述のように、釘309、釘500、または釘699などの大腿骨釘を取外し可能に保持するように構成される。
ハンドル部分604の近位端616は、例えば、図19に示すレコンモジュール700などの第一のモジュールを取り外し可能に取り付けるための第一取付位置618を有し得る。第一取付位置618は、ハンドル部分604の外側部622上に凹部部分620を含む。ねじ山付き受信機624は、凹部部分620からハンドル部分604内に延在し、レコンモジュール700上でつまみねじ702と螺合するようサイズ決めされる。略斜めアライメントブッシング625は、受信機624を囲み得る。
近位ハンドル部分604は、ハンドル部分604の内側部632上にハンドグリップ630を含み得る。ハンドグリップ630は、照準ガイド601を使用している間、臨床医がハンドル部分604を把持し、臨床医のハンドルでハンドル部分604が回転する可能性を低減させるのを可能にする、複数のフィンガーインデント634を含む。ハンドグリップ630は、外側部622から内側部632へと間を通って延在する複数の貫通穴636を有する。貫通穴636の少なくとも一つは、ハンドル部分604の長手方向軸615に実質的に垂直に延在する穴軸に沿って延在する。例示的な実施形態では、貫通穴636はそれぞれ、ハンドル部分604の長手方向軸615に実質的に垂直に延在する穴軸に沿って延在する。
照準ガイドおよび/またはモジュールの貫通穴は、スリーブ340、342、344、および、ねじ330、332を大腿骨釘699と整列させるのに使用され得る。図26に示すように、貫通穴636は、スリーブ344およびねじ330を大腿骨釘699の開口部と整列させ得る。スリーブ344は、軟組織を保護し、髄内釘の開口部と整列し、それを通って骨内に挿入されるように構成されたドリル、ドライバ、締結具、またはねじ(例えば、締結具119、固定装置330、332)等の挿入を可能にするよう構成された、本明細書に記載のスリーブまたはシース(例えば、シース117)に類似してもよい。
ハンドル部分604から遠位にあり、遠位インプラントアライメントチップ部分606は、例えば、図20に示す斜めモジュール800などの第二のモジュールを取り外し可能に取り付けるための第二取付位置640をさらに含む。第二取付位置640は、遠位インプラントアライメントチップ部分606のそれぞれの側壁644、645(側壁645は図21に示されている)上に金属アライメントブロック642を含み得る。アライメントブロック642は、本体605上の斜めモジュール800を整列させるために使用されてもよい。ピン648は、アライメントブロック642の穴647に嵌合して(アライメントブロック642一つのみが示されている)、整列ブロックを本体605に保持する。ねじ山付き受信機646は、アライメントブロック642の間の遠位インプラントアライメントチップ部分606を通って延在し、斜めモジュール800上でつまみねじ802と螺合するようにサイズ決めされる(図20に示す)。遠位インプラントアライメントチップ部分606は、上述のインパクタを支持するよう、インパクタ取付部(図示せず)を取り外し可能に取り付けるための第三取付位置650をさらに備える。第三取付位置650は、インパクタ取付部にねじ山付きインサートを受けるねじ山付き開口部であってもよい。
図19および図21を参照すると、レコンモジュール700は、近位ハンドル部分604の近位端616に取り外し可能に取り付けられ得る。レコンモジュール700は、近位ハンドル部分604の近位端616と係合する接続片704を含む。接続片704は、しっかりと係合させるために、近位端616の凹部部分620の左右対称となる凹部部分706を含む。凹部部分706は、略楕円アライメントブッシング625を受け入れて、照準ガイド601に対してレコンモジュール700の平行移動または回転を防止するようサイズ決めされた略楕円受信機708を含む。略楕円アライメントブッシング625が受信機708に挿入された状態で、つまみねじ702をねじ山付き受信機624にねじ込むことによってレコンモジュール700が照準ガイド601に取り外し可能に固定され得るよう、つまみねじ702がねじ山付き受信機624に整列される。
図21に示す通り、レコンモジュール700は、レコンモジュール700が照準ガイド601に取り付けられると、近位ハンドル部分604の第一側壁644から延在する第一レコン部分712と、近位ハンドル部分604の第二側壁645から延在する第二レコン部分714とを有する弓状本体710を有してもよい。弓形本体710は、それを通って延在する複数のレコン貫通穴720、722、724、726を有するため、複数のレコン貫通穴のそれぞれが先端軸613と交差する軸に沿って延在する。
図20および図21を参照すると、斜めモジュール800は、遠位インプラントアライメントチップ部分606に取り外し可能に取り付けられ得る。斜めモジュール800は、つまみねじ802がねじ山付き受信機646と整列するように、斜めモジュール800が照準ガイド601上に挿入されたときにアライメントブロック642と係合する、略U字形状取付部位803を含む。斜めのモジュール800は、つまみねじ802をねじ山付き受信機646内にねじ込むことによって、照準ガイド601に取り外し可能に固定され得る。
斜めモジュール800は、図21に示すように、斜めモジュール800が照準ガイド601に取り付けられる場合、取付部位803の第一側面から延在する第一斜め部分806と、第一側面から遠位にある、取付部位803の第二側面から延在する第二傾斜部分808と、を有する細長本体804を有してもよい。細長本体804は、通って延在する複数の斜め貫通穴810、812、814、816を有するため、複数の斜め貫通穴810、812、814、816はそれぞれ、先端軸613と交差する軸に沿って延在する。
照準ガイド601、レコンモジュール700、および/または、斜めモジュール800は、図23〜図26に示すように、それを通して大腿骨釘699に挿入される複数のねじ330、332を支持する照準ガイドアセンブリを形成し得る。図23および図24では、レコン締結具332を配置できるよう、二つのレコンねじスリーブ340がレコンモジュール700を通って延在して、レコン締結具332を髄内釘699に整列させるように示され、図25では、レコン締結具またはねじ332を大腿骨頭内に配置できるよう、単一レコンねじスリーブ340がレコンモジュール700を通って延在する一方、釘699を通って大腿骨のより大きな大転子内へ斜めねじ332を配置できるよう、且つ、好ましくは大腿骨のより小さな大転子内には配置しないよう、単一斜めねじスリーブ342が斜めモジュール800を通って延在し、図26では、ねじ330を大腿骨釘699内に配置できるよう、単一斜めねじスリーブ342が斜めモジュール800を通って延在する一方、単一ドライバねじスリーブ344が照準ガイド601のハンドル部分604から延在する。ねじスリーブ340、342、344およびねじ構成のこれらの例示的な実施形態が示されているが、当業者であれば、その他のスリーブおよびねじ構成が照準ガイドアセンブリを備え得ることを理解するであろう。
レコンモジュール700および斜めモジュール800が照準ガイド601と共に示されているが、当業者であれば、レコンモジュール700および斜めモジュール800は独立して使用されても、または省略されてもよく、締結具またはねじ330、332を大腿骨釘699内に配置できるよう、照準ガイド601のみが、大腿骨釘699、および、照準ガイド601を通る一つまたは複数のスリーブ340、342、344と共に使用され得ることが理解されよう。
ここで図27を参照すると、照準ガイド900の代替的な実施形態は照準ガイド601に類似するが、単一材料からの単一構造ではなく、照準ガイド900は、例えば、炭素繊維といった第一材料から構成されるハンドル部分904と、例えば、金属またはプラスチックといった第二材料から構成される標準アーム部分906とを備える複数部品構造体902であってもよい。
図27に示すように、ハンドル部分904は、照準アーム部分906の略長方形の雌受信機912に嵌合するようサイズ決めおよび形状付けられた、略長方形の雄インサート910を有する。インサート910が受信機912内に挿入されると、係止穴914、916が互いに整列して、ピン(図示なし)が中に挿入されるのが可能になり、照準アーム部分906をハンドル部分904に固定するよう、インサート910は、照準アーム部分906の、同一数の複数の係止穴916に整列する複数の係止穴914を有する。
照準アーム部分906はまた、上述のインパクタを照準アーム部分906に直接接続するためのねじ山付き開口部950の形態の取付位置を含む。
照準ガイド900の操作は、上述の通り、照準ガイド601の操作と類似している。レコンモジュール700および斜めモジュール800はそれぞれ、照準ガイド900に取り外し可能に固定されて、ねじスリーブ330、331、340、および対応するねじが釘699内に入るのを狙うのを支援する。
ここで図28を参照すると、本開示の原理と一致する例示的照準ガイド1000が図示される。照準ガイド1000は、既に説明した照準ガイドと類似し得る。また、コレット1002および接続ボルト1004が図示されており、これらは既に説明した構成要素と類似し得る。接続ボルト1004をコレット1002(前述の通り釘1018)に接続するために、接続ボルトドライバ1006が使用され得る。接続ボルト1004は、接続ボルトドライバ1006の使用を通して、照準ガイド1000に挿入またはそれから除去され得る。接続ボルト1004は、自己保持するように構成され得る。例えば、例示的な実施形態によると、接続ボルト1004は、ボルトドライバ1006が接続ボルト1004のヘッド1008内に保持されるのを可能にする締まりばめを通してボルトドライバ1006によって保持され得る。
図29A〜図29Bは、ボルトドライバ1006への自己保持接続を提供する接続ボルト1004の例を示す。接続ボルト1004は、ドライバ1006の一部を受けるように構成された六角形の凹部1012を含み得る、ヘッド1008の内部に配置されたサークリップ1010を含み得る。接続ボルト1004は、サークリップ1010が装填され得る径方向の溝1014を含むように構成され得る。サークリップ1010は次に、接続ボルト1004のヘッド1008内部のボルトドライバ1006を保持する干渉部を提供するバネとして機能し得る。ボルトドライバ1006は、六角形の凹部1012内に挿入する六角形の端部1016を含み得る。ボルトドライバ1006がヘッド1008に挿入されると、端部1016は、サークリップ1010を開いて溝1014内に配置し得る。サークリップ1010は、図30に図示されているヘッド1008の内側にボルトドライバ1006を保持するバネ張力を有し得る。
上述のように、サークリップ機能は、ボルトドライバへの接続ボルトの自己保持を可能にする。これにより、ボルトの簡単な挿入と除去が可能になり、接続ボルトが意図せず床または患者の軟組織上に落下するリスクを最小化する。また、これにより、接続ボルトのヘッドへの角度付きアプローチというオプションをユーザに提供し得、これは特定の軟組織構造の周りの通過を容易にし得る。
本技術の実施形態の上述の詳細な説明は、網羅的であること、または該技術を上記で開示された厳密な形式に限定することは意図されていない。例証を目的として、当該技術の特定の実施形態、およびそれに対する例が上述されているが、当業者には認識されるように、当該技術の範囲内で様々な等価の改変が可能である。例えば、ステップが所与の順序で提示されているが、代替の実施形態は、当該ステップを異なる順序で行ってもよい。また、本明細書に記載された様々な実施形態は、さらなる実施形態を提供するようにさらに組み合わせられてもよい。
先の記載から、本発明の特定の実施形態が、例証を目的として本明細書に記載されてきたが、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを回避するために、周知の構成および機能は詳細に示されるかまたは説明されていないことが理解されよう。文脈が許す場合、単数語または複数語もまた、複数または単数語をそれぞれ含んでもよい。
また、例証を目的として、特定の実施形態が本明細書に記載されてきたが、本技術から逸脱することなく、様々な改変がなされてもよいことが理解されよう。さらに、本技術の一定の実施形態に関連付けられた利点が、これらの実施形態の文脈において説明されてきたが、他の実施形態もまた、そのような利点を呈し得、すべての実施形態が、必ずしもそのような当該技術の範囲内に含まれるような利点を呈する必要はない。よって、本開示および関連付けられた技術は、本明細書に明白に示されるかまたは記載されていない他の実施形態を包容することができる。