図1〜図1Bは、連結アーム可搬式座標測定機(PCMM)1の1つの実施の形態を示している。例示した実施の形態において、PCMM1は、ベース10と、複数の剛性のアーム部材20と、座標取得部材50と、剛性のアーム部材20を互いにかつベース10および座標取得部材50に接続した複数の連結部材30〜36とを有する。各連結部材30〜36は、1つまたは複数の回転および/または角度の自由度を与える継手を提供するように構成されている。さまざまな連結部材30〜36によって、PCMM1をさまざまな空間的向きにおいて整列させることができ、これにより、三次元空間における座標取得部材50の精密な位置決めおよび向き付けを可能にする。したがって、座標取得部材50は、物体の表面における幾何学的または三次元データなどの1つまたは複数の特定の位置を測定するために使用することができる。
剛性のアーム部材20および座標取得部材50の位置は、手動による方法、ロボットによる方法、ロボットに準ずる方法および/またはあらゆるその他の調節方法を用いて調節されてもよい。1つの実施の形態において、PCMM1には、さまざまな連結部材30〜36によって、7つの回転運動軸線が提供されている。しかしながら、使用されてもよい運動軸線の数に厳格な制限はなく、より少ないまたは付加的な運動軸線がPCMM設計に組み込まれてもよいことが認められるであろう。
図1に示されたPCMM1の実施の形態において、連結部材30〜36は、それらの作動に基づいて2つの機能的グループ、すなわち、1)特定の伝達部材に関連した回転運動を可能にする連結部材30,32,34,36(以下では「回転継手」と呼ぶ)と、2)2つの隣接する部材の間または座標取得部材50とその隣接する部材との間に形成された相対角度の変化を可能にする連結部材31,33,35(以下では「ヒンジ継手」と呼ぶ)とに分けることができる。回転継手は、選択的に、少なくとも360度までの運動範囲を提供することができ、さらに、選択的に、(回転継手が、停止することなく同じ方向に連続的に回転することができるように)無限の回転を提供することができる。通常のヒンジのようなヒンジ継手は、通常、異なる角度における広範囲のさまざまな箇所に到達するようにアームにおける十分な柔軟性を提供するために、360度に近いが、360度未満の運動範囲を有する。例示した実施の形態は、7つの運動軸線を形成するように位置決めされた4つの回転継手と3つのヒンジ継手とを有するが、その他の実施の形態において、PCMMにおいて異なる運動特性を達成するためにヒンジ継手および回転継手の数および位置を変更することができる。例えば、6つの運動軸線を備える実質的に同じ装置は、単に、座標取得部材50と、隣接する連結部材20との間の回転継手30を有さないことができる。さらに別の実施の形態において、回転継手およびヒンジ継手を、異なる組み合わせにおいて組み合わせかつ/または使用することができる。
図2および図3に示したように、座標取得部材50は、選択された物体の表面と接触しかつプローブの接触に基づき三次元座標データなどの表面の幾何学的データを生成するように構成された、接触感知部材またはプローブ55(本明細書に記載されたその他の構成部材の機能を低減することなく非接触スキャニングのみが予定されているならば取り外すことができるまたはさもなければ設けられない、ハードプローブとして示されている)を選択的に有する。この座標データは、例えば、アームの位置、ひいてはプローブの位置を示す連結アームにおける他のセンサとの組み合わせにおいて生成することができる。例示した実施の形態において、座標取得部材50は、三次元座標データを取得するために、選択された物体との直接接触を必ずしも必要としない、非接触スキャニングおよび検出構成部材をも有する。示したように、非接触スキャニング装置は、直接物体接触なしに三次元座標データを得るために使用されてもよい非接触座標検出装置60(レーザ座標検出装置/レーザスキャナとして示されている)を有する。接触感知プローブ、非接触スキャニング装置、レーザスキャニング装置、構造化された光スキャナ、接触検出のためにひずみゲージを用いるプローブ、接触検出のために圧力センサを用いるプローブ、位置決めのために赤外線ビーム用いる装置、および静電的に応答するように構成されたプローブを含むさまざまな座標取得部材構成が、座標取得のために用いられてもよいことが認められるであろう。さらに、幾つかの実施の形態において、座標取得部材50は、1つ、2つ、3つまたは4つ以上の座標取得機構を有することができる。超音波スキャナ、X線スキャナ、または測定される物体の表面の内部の幾何学的特性を測定することができるその他のスキャナなどの、その他のスキャニング装置を使用することもできる。したがって、以下の説明では、PCMM1に取り付けられた非接触座標検出装置60が示されるが、表面において座標を測定しないまたは全く座標を測定しないその他の装置を使用することもできる。図5〜図9は、PCMMに取り付けられたさまざまな異なる測定およびスキャニング装置を示している。例えば、図5は、接触プローブ50Aおよびピストルグリップハンドルを備えるPCMM1Aを示している。図6は、ピストルグリップハンドルを備えない接触プローブ50Bを備えるPCMM1Bを示している。図7は、接触プローブ、レーザスキャナ50Cおよびピストルグリップハンドルを備えるPCMM1Cを示している。図8は、ピストルグリップハンドルを備えない、接触プローブおよびレーザスキャナを備えるPCMM1Dを示している。図9は、構造化された光スキャナ50Eおよびピストルグリップハンドルを備えるPCMM1Eを示している。
さらに、分光および過分光結像器、粗さセンサ、硬さセンサ、超音波センサおよび渦電流センサなどの、表面幾何学的データを測定しないが、代わりに物体の非幾何学的特性または物体の表面の内部の幾何学的特徴を測定するスキャニング装置を含むこともできる。非幾何学的特性は、色、化学的特性、粗さ、硬さ、および表面の内部の空所およびき裂などの特徴を含むことができる。特に、非幾何学的特性は、非接触座標検出装置60におけるカメラによって既に検出されることがある、色などの、標準的なカメラから求めることができる特性とは異なることができる。これらの非幾何学的センサから取得されたデータは、さらに、PCMM1(ひいてはスキャニング装置)の既知の位置および向きならびに(別々に測定することができる)物体の表面の既知のジオメトリを用いて幾何学的位置と関連させられることができる。例えば、分光二次元イメージにおけるピクセルは、スキャニング装置の既知の位置および物体の既知の形状および位置を用いて、物体における測定された三次元の位置と関連させられることができる。イメージにおけるピクセルは、イメージを捕捉するカメラまたはその他のセンサの中心点を起点とし、ピクセルの位置およびセンサの向きによって決定される角度で延びる光線に沿ったどこかの箇所に対応することが既知であることができる。光線が通過する(潜在的にPCMM1によって測定される)物体における最も近い三次元座標を、ピクセルと関連させられるように求めることができる。類似の技術を、(例えば、二次元イメージとして)二次元領域上の複数のデータを生成する他の測定装置と共に使用することができる。複数の位置における物体のこのような非幾何学的データを、物体における特定の三次元座標と関連させることは、物体のジオメトリも直接測定していないと、より困難である。
同様に、一度に1つの位置において測定されたデータを、接触感知部材55と共に使用するために類似の形式でPCMM1を用いて求めることができる。例えば、超音波センサまたは渦電流センサはデータを記録することができ、このデータを、PCMM1の配置および位置に従って、測定される物体における三次元位置と関連させることができる。
図10に示した1つの例において、接触プローブまたは非接触スキャニング装置などの幾何学的測定装置を、PCMM1に取り付け、物体の表面における三次元座標データを測定するために使用することができる。次いで、この幾何学的測定装置を取り外し、物体の非幾何学的特性を測定する装置などの第2のスキャニング装置と交換することができ、物体の第2の特性を第2のスキャニング装置によって測定することができる。このプロセスを、第3のスキャニング装置、第4のスキャニング装置などのために反復することができる。さらに、付加的なスキャニング装置を、物体の表面における三次元座標データを測定するために選択的に使用することができる。例えば、第1および第2のスキャニング装置は両方とも、(構造化された光スキャナ、次いでレーザスキャナなどを用いて)表面における三次元座標データを測定してもよく、次いで、表面の非幾何学的特性を測定することができる。
特に、幾つかの実施の形態において、1つのスキャニング装置を別のスキャニング装置と交換するステップが不要であるように、複数のスキャニング装置を同時にPCMM1に取り付けることが可能であることがある。さらに、1つの装置がより正確に測定し、別の装置がより正確でないが、より迅速に測定するなどの場合に、幾何学的特性を測定するための複数の装置を使用することが望ましいことがある。これにより、使用者は、どの装置がPCMM1に取り付けられているかを変更する必要なく、大きな面積をより不正確に、小さな面積をより正確に測定することができる。
これらのさまざまなスキャニング装置を使用することによって、測定される物体のより完全なモデルを生成することができる。例えば、以前は、測定されたデータは物体の表面におけるジオメトリのみを示していたが、今では、表面内部き裂、開放空間、材料における不連続、または表面内部のその他の特性を含む、物体の完全な幾何学的描写を生じることができる。例えば、PCMM1に取り付けることができる超音波センサ、渦電流センサまたはX線センサを用いて、表面内部の特徴を測定することができる。さらに、付加的なセンサによって測定することができる材料特性、テクスチャ、硬さ、色およびその他の特性などの付加的な特性を、物体のモデルに含むことができる。
装置のオペレータが、物体全体が測定されたかどうか、特に幾つかの測定が物体の表面内部においてなされたかどうかを認識することが困難であることがある。幾つかの実施の形態において、装置は、まず、物体の内部空間の範囲をも求めるために十分な物体の表面のモデルを生成するために物体の表面における幾何学的座標を測定するために使用することができる。次いで、この幾何学的データを、物体の内部のモデルを生成するために、PCMM1(座標取得部材50、取り付けられた特定のスキャニング装置またはPCMMのベースなど)におけるまたはPCMMと電子通信する別個の計算装置におけるプロセッサによって利用することができる。次いで、このモデルは、物体の表面のすべて(および選択的に物体の内部のすべてを含む)または物体の所望の部分のすべてにわたる特定の特性を測定するためにどこで付加的な測定がなされる必要があるかをPCMM1のオペレータに示すためにプロセッサによって利用することができる。プロセッサは、選択的に、物体全体または物体の所望の部分の測定がいつ完了したかを示すこともできる。図12は、使用者に表示することができるイメージを示しており、このイメージは、物体100の1つの実施の形態において測定された箇所110を示しており、測定された三次元座標に基づいて物体の形状を求めることができる。
例えば、幾つかの実施の形態において、PCMM1は、測定される物体のイメージに重ね合わされた特定のシンボルまたは色によって物体の表面内部の位置を示すことなどによって、どこで付加的な測定がなされる必要があるかをPCMMのオペレータに示すことができるディスプレイ43を有することができる(または別個のディスプレイと通信することができる)。別の実施の形態において、ディスプレイは、測定されていない物体のあらゆる部分を測定するために、存在すべきPCMM1のための所望の位置を提案することができ、提案された位置をディスプレイに示す。PCMM1のオペレータを所望の測定位置へさらに案内するために、ディスプレイは、選択的に、同じスクリーンにおいて所望の位置に加えてPCMM1の現在の位置を示すことができ、必要な残りの移動を強調する。所望の位置のこのような表示は、物体の表面内部の特性を測定するときに特に役立つことができる。なぜならば、表面において測定するための最適な位置は、使用者に即座に分からないことがあるからである。物体全体(または物体の所望の部分)の測定が完了したとき、ディスプレイ上の信号または音声信号などの信号を使用者に提供することができる。同様に、ディスプレイは、測定がどこで既になされたかを示すことができる。これらの方法は、物体の表面において測定を行うために使用することもでき、物体の表面内部の測定に限定されない。
したがって、物体の表面において座標データを測定することに加え、PCMM1は、物体の1つまたは複数の付加的な特性を測定することもできる。さらに、示したように、これらは、選択的に、表面における幾何学的座標から始めて、次いで、表面内部の幾何学的座標、次いで、1つまたは複数の付加的な測定のように、順次行うことができる。表面内部の幾何学的座標を測定する前に表面のさまざまな付加的な(非幾何学的座標)特性を測定するなど、その他のシーケンスも可能である。
連結アーム可搬式座標測定機なしで、代わりに、図11に示された一般的な座標測定装置を用いて同様の測定を行うこともできる。例えば、幾つかの実施の形態において、スキャニング装置の位置および向きを求めるために、PCMM1と同様の形式においてさまざまなスキャニング装置と共にレーザトラッカ(および関連する再帰性反射体)を使用することができる。スキャニング装置は、再帰性反射体に追従するようにその向きを調節することができるレーザを用いて検出することができる1つまたは複数の再帰性反射体を有することができる。レーザによって発射されかつ再帰性反射体によって反射された光を検出し、スキャニング装置の位置を求めるために利用することができる。レーザおよび再帰性反射体の代わりに、独立した光源またはその他の視覚的に認識可能な物体などを使用して、レーザトラッカシステムにおける変化態様を用いることもできる。レーザトラッカは、物体の表面の3D座標を測定するために使用することができ、(スキャニング装置などの)第2の測定装置は、第2の特性を測定するために使用することができる。その他の実施の形態において、ジオメトリ測定スキャニング装置を別のスキャニング装置と共に取り付けることができ、ジオメトリ測定スキャニング装置は、同じ領域において現在測定された座標を前に測定された座標と比較し、測定された座標の両セットに存在する個々の特徴を特定し、スキャニング装置に対する特徴の距離および向きを求めるために座標の各セットにおける個々の特徴の異なる位置および向きを使用することによって、その固有の位置を決定することができる。物体の三次元表面ジオメトリを求めるために、その他の座標測定装置を使用することもできる。
図3、図3A、図3B、図4Aおよび図4Bを特に参照すると、PCMM1のさまざまな実施の形態において、さまざまな測定装置は、オペレータが、専門の工具なしにスキャニング装置を変更することができるように、手動でPCMM1から取り外されかつ再接続されるように構成することができる。したがって、オペレータは、1つの測定装置を迅速かつ容易に取り外し、(座標取得装置または非幾何学的スキャニング装置などの)別の測定装置と交換することができる。このような接続は、あらゆる迅速切り離しまたは手動切り離し装置を含んでもよい。座標取得装置のこの迅速接続能力は、比較的短時間において広範囲のさまざまな測定技術のために使用することができるPCMM1において特に有利である可能性がある。示したように、レーザ座標検出装置60のみが取り外されるが、幾つかの実施の形態において、接触感知部材55を同様の形式で取り外しかつ交換することもできる。
図2に示したように、座標取得部材50は、オペレータによってアクセス可能であるように構成されたボタン41を有することもできる。ボタン41のうちの1つまたは複数を一回、複数回または予め設定された順序で押すことによって、オペレータは、PCMM1にさまざまなコマンドを入力することができる。幾つかの実施の形態において、ボタン41は、座標読み取りが、記録される準備ができていることを示すために使用することができる。その他の実施の形態において、ボタン41は、測定される位置がホーム位置であり、その他の位置がホーム位置に対して測定されるべきであることを示すために使用することができる。その他の実施の形態において、ボタン41は、接触感知部材55を使用してポイントを記録し、非接触座標検出装置60を使用してポイントを記録し、非幾何学的スキャニング装置を使用してデータを記録しまたは装置を切り換えるために使用されてもよい。その他の実施の形態において、ボタン41は、オペレータの特定のニーズを満たすようにプログラム可能であることができる。座標取得部材50におけるボタン41の配置は、オペレータが、座標取得部材50を使用しながらPCMM1のさまざまな機能を起動させるためにベース10またはコンピュータにアクセスする必要がないという点で有利である可能性がある。この位置決めは、特に長いアーム部材20を有し、ほとんどの位置においてベース10を座標取得部材50のオペレータが届かないところに配置するPCMMの実施の形態において、特に有利であることがある。PCMM1の幾つかの実施の形態において、あらゆる数のオペレータ入力ボタン(例えば、3つ以上または2つ未満)を設けることができる。有利には、示したように、ボタン41は、トリガ位置においてハンドル40に配置されているが、その他の実施の形態において、最後の軸線L1のバレルに沿ってなど、座標取得部材50におけるその他の位置またはPCMM1におけるどこかにボタンを配置することが望ましいことがある。PCMMのその他の実施の形態は、オペレータ入力ボタンの代わりにまたはオペレータ入力ボタンに加えて、スイッチ、回転ダイヤル、タッチスクリーンまたはタッチパッドなどの、PCMMまたは座標取得部材50に配置されたその他のオペレータ入力装置を有することができる。さらに、幾つかの実施の形態において、入力装置は、PCMM1に取り付けることができかつPCMM1から取り外すことができる(非接触座標検出装置60などの)スキャニング装置に含むことができる。これらの入力装置は、選択的に、それらの関連するスキャニング装置に特定のものであることができる。
特に図1を参照すると、ベース10は、磁気マウント、真空マウント、ボルトまたはその他の結合装置によって作業面に結合することができるまたはその代わりに作業面に載置することができる。加えて、ベース10は、プラグ、ソケットまたはアタッチメントポートなどのさまざまな電気的インターフェースを有することができる。アタッチメントポートは、PCMM1と、汎用コンピュータなどのプロセッサへの接続のためのUSBインターフェース、電源との接続のためのAC電力インターフェースまたはモニタへの接続のためのビデオインターフェースとの間に接続可能性を提供することができる。PCMM1は、汎用コンピュータ、スマートフォン、タブレットまたはその他のデバイスへのWi−Fi接続、Bluetooth接続、RF接続、赤外線接続またはその他の無線通信プロトコルなどによって、外部プロセッサまたは汎用コンピュータとの無線接続を有するように構成することもできる。これらは、選択的に、幾何学的および非幾何学的スキャニング装置などの、ベースとは反対側でPCMM1に取り付けることができるさまざまなスキャニング装置との無線通信を提供することもできる。さまざまな電気的インターフェースまたはアタッチメントポートは、特に、特定のPCMM1の要求を満たすように特別に構成することができる。
引き続き図1を参照すると、アーム部材20は、好ましくは、部材20に実質的な剛性を提供するために中空の概して円筒状の管状部材から構成されている。アーム部材20は、PCMM1のための実質的に剛性の延長部を提供するあらゆる適切な材料から形成することができる。アーム部材20は、好ましくは、伝達部材20に付加的な剛性を提供するために二重管アセンブリを形成している。さらに、さまざまなその他の実施の形態におけるアーム部材20は、三角形または八角形の横断面を有するアーム部材20など、代替的な形状に形成することができると考えられる。
幾つかの実施の形態において、アーム部材20の少なくとも一部を構成するために、炭素繊維材料などの複合材料を使用することが望ましい可能性がある。幾つかの実施の形態において、PCMM1のその他の構成部材も、炭素繊維材料などの複合材料を含むことができる。炭素繊維などの複合材からアーム部材20を構成することは、炭素繊維が、鋼またはアルミニウムなどの金属材料と比較して熱的影響に反応しにくい可能性があるという点で特に有利である可能性がある。したがって、座標測定は、さまざまな温度において正確かつ一貫して行うことができる。その他の実施の形態において、アーム部材20は、金属材料を含むことができるまたは金属材料、セラミック、熱プラスチックまたは複合材料などの材料の組み合わせを含むことができる。また、当業者によって認められるように、PCMM1のその他の構成部材の多くも、炭素繊維などの複合材から形成することができる。現在、複合材のための製造能力は、金属のための製造能力と比較したとき概して正確でないので、概して、より高い寸法精度を要求するPCMM1の構成部材は、概して、アルミニウムなどの金属から形成される。複合材の製造能力が改良されると、PCMM1のより多数の構成部材も複合材から形成することができることが予想できる。
引き続き図1を参照すると、PCMM1の幾つかの実施の形態は、PCMMの重量の効果を軽減することによってオペレータを補助することができるカウンターバランスシステム110を有してもよい。幾つかの向きにおいて、アーム部材20がベース10から延長させられるとき、アーム部材の重量は、オペレータにとって困難を生じる可能性がある。したがって、カウンターバランスシステム110は、便利な測定のためにオペレータがPCMM1を位置決めするために必要とする労力を減じるために特に有利である可能性がある。幾つかの実施の形態において、カウンターバランスシステム110は、アーム部材を片持ち支持するための重いおもりを必要とすることなくアーム部材20の運動を容易にするように構成された抵抗ユニット(図示せず)を有することができる。その他の実施の形態において、抵抗ユニットの代わりにまたは抵抗ユニットと組み合わせて、単純な片持ち支持されたカウンターウェイトを使用することができることが当業者によって認められるであろう。さらに、示したように、1つのカウンターバランスシステム110ユニットのみが設けられているが、その他の実施の形態において、より多くを設けることができる。
幾つかの実施の形態において、抵抗ユニットは、アーム部材20の運動のための補助を提供するために流体抵抗を利用する液圧式抵抗ユニットを含むことができる。その他の実施の形態において、抵抗ユニットは、空圧式抵抗装置またはリニアまたはロータリばねシステムなどのその他の抵抗装置を含んでもよい。
任意の瞬間における空間における接触感知部材55の位置は、各剛性アーム部材20の長さおよび各連結部材30〜36の特定の位置を知ることによって計算することができる。各連結部材30〜36は、1つの回転運動自由度に限定されることができ、各回転運動自由度は、専用の回転トランスデューサを使用して測定される。各トランスデューサは、信号(例えば、電気信号)を出力し、この信号は、その運動の程度において連結部材の移動に従って変化する。信号は、電線を通じて伝送することができるまたはその他の方式でベース10(またはPCMM1に関連した別のプロセッサ)へ送信することができる。そこから、信号は、処理されかつ/または空間における座標取得部材50およびそのさまざまな部材の位置を求めるためにコンピュータへ送信することができる。
1つの実施の形態において、トランスデューサは、光学エンコーダを有することができる。1つの例において、各エンコーダは、軸の運動を、連続する透明バンドおよび不透明バンドを有する一対の内部ホイールに連結することによって、軸の回転位置を測定する。このような実施の形態において、一対の電気出力を供給する光学センサに、ホイールを通じて光を照射することができる。軸は円弧を通じてスイープするので、アナログエンコーダの出力は、実質的に、90度位相がずれた2つの正弦波信号であることができる。2つの信号の極性の変化を監視することによって、粗い位置決めが生じることができる。問題となる瞬間における2つの信号の実際の値を測定することによって、精密な位置決めを決定することができる。ある実施の形態において、出力が電子的ノイズによって損なわれる前に出力を正確に測定することによって、最大の精度を得ることができる。PCMM1の例示した実施の形態の付加的な詳細および実施の形態は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる米国特許第5829148号明細書に見ることができる。それぞれの全体が引用により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0112786号明細書に記載のアブソリュートエンコーダまたは米国特許第7743524号明細書に記載の球形エンコーダなどのその他のタイプのエンコーダを使用することもできる。
図1、図1Aおよび図1Bを参照すると、幾つかの実施の形態において、PCMM1は、1つまたは複数の回転可能なグリップアセンブリ122,124を有することができる。例示した実施の形態において、PCMM1は、下側の回転可能なグリップアセンブリ122および上側の回転可能なグリップアセンブリ124を有することができる。有利には、最後の伝達部材21に配置された下側の回転可能なグリップアセンブリ122および上側の回転可能なグリップアセンブリ124を有することにより、オペレータは、PCMM1を位置決めする際に両手を容易に使用することができる。その他の実施の形態において、PCMM1は、1つまたは3つ以上の回転可能なグリップを有することができる。グリップアセンブリの付加的な詳細は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる米国特許第7779548号明細書に見ることができる。
PCMM1の複数の実施の形態および関連する特徴が本明細書において概略的に説明されているが、PCMM1の付加的な詳細および実施の形態は、それらの特許の全体が引用により本明細書に組み込まれる米国特許第5829148号明細書、米国特許第7174651号明細書および米国特許第8112896号明細書に見ることができる。
図1に示したように、PCMMは、そのアームの遠位端部に座標取得部材50を有することができる。図2および図3は、類似の座標取得部材50をより詳細に示している。図示したように、座標取得部材50は、前端部54に面した接触感知部材55およびスキャニング装置60を有することができる。座標取得部材50は、さらに、下端部51においてハンドル40に、後端部52においてPCMM1に取り付けることができる。座標取得部材50は、さらに、上端部53を有することができる。後端部52において、座標取得部材50は、さらに、スリップリング接続、直接電線またはいくつかのその他の接続などの、ヒンジ31とのデータ接続(図示せず)を有することができる。これにより、座標取得部材50とPCMM1との間でデータを伝送することができる。PCMM1は、そのアームに沿って、座標取得部材50とベース10との間のデータ伝送を可能にする類似のデータ伝送エレメント、またはPCMMアームの外部のあらゆる周辺計算媒体を有することができる。類似のデータ伝送は、無線接続によって提供することもできる。
スキャニング装置60は、(レーザとして示された)光源65および(カメラとして示された)光学センサ70を有することができ、三角測量などの方法によって位置データを取得することができる。レーザまたは光源65は、レーザラインL4を含む照明されたレーザ平面を生じることができる。カメラ70は、レーザ平面からずらすことができ、さらに、レーザ平面に対して非平行であることができる。したがって、カメラ70は、レーザ65からより遠いまたはレーザ65により近いそれらの位置に応じて、カメラ70によって捕捉されるイメージにおいてより高いまたはより低いものとしてレーザによって照明されるポイントを撮影する。同様に、カメラ70は、レーザ65に対するそれらの実際の位置に従って、さらに左または右へなどレーザによって照明されたポイントを撮影する。レーザ65およびカメラ70の位置および向きの幾何学的関係を比較することにより、当業者は、カメラ70によって捕捉されたイメージにおけるレーザ照明されたポイントのイメージの位置を、座標取得部材50それ自体の位置に関する空間における実際の三次元の位置に適切に変換することができる。
その他の実施の形態において、光源65は、構造化された光パターンなどの二次元パターンを発射することができる。次いで、カメラは、測定される物体におけるこのパターンのイメージを取得することができ、投影された既知のパターンと、イメージにおいて取得されたパターンと、カメラ70および光源65の相対的な位置および向きとの変化を使用して、物体における幾何学的座標を求めることができる。このようなシステムの別の記載は、例えば、Geng, Jason, DLP-based Structured Light 3D Imaging Technologies and Applications, Proc. SPIE 7932, Emerging Digital Micromirror Device Based Systems and Applications III, 79320B (11 February 2011); doi:10.1117/12.873125に見ることができ、これは、引用により全体が組み込まれる。
図1において、複数の運動軸線は、座標取得部材50への近接性に従ってマークされている。示したように、座標取得部材50は、スイベル30における最後の回転軸線L1を中心に回転することができる。最後の回転軸線L1およびスイベル30は、図2Aおよび図2Cにより明確に示されている。図示したように、スキャニング装置60は、PCMMアーム1の端部における軸受150,151に取り付けられている。軸受150,151の向きおよび位置は、最後の軸線L1を実質的に規定することができる。したがって、スキャニング装置60は、(プローブとして示された)接触感知部材55から独立して、最後の軸線L1を中心に回転することができる。幾つかの実施の形態において、接触感知部材55は回転不能であり、接触感知部材55と最後の軸線L1との間のあらゆる偏心性からの潜在的なエラーを減じる。スイベル30は、ヒンジ継手31における最後の剛性伝達部材21の端部における、最後から2番目の回転軸線L2を中心に回転することができる。軸受150,151および最後の軸線L1と同様に、最後から2番目の軸線L2は、実質的にヒンジシャフト140によって規定することができる。示したように、最後の軸線L1はロール軸線であると考えることもでき、最後から2番目の軸線は、ピッチ軸線であると考えることもできる。同様に、最後から3番目の軸線L3を中心とする回転は、ヨー軸線であると考えることができる。
ハンドル40は、概して、ピストルグリップスタイルを有することもでき、ピストルグリップスタイルは、さらに、人間の指(図示せず)に対応する人間工学的な溝を有することができる。ハンドルは、概して中心軸線を有することもできる。選択的に、ハンドル40内に、バッテリを保持することができる。幾つかの実施の形態において、ハンドル40は、引用により全体が本明細書に組み込まれる2007年11月8日に公開された米国特許出願公開第2007/0256311号明細書に記載されたように、シールされたバッテリを有することができる。さらに、バッテリを、ハンドル40の底部を通じて挿入することができる。その他の実施の形態において、バッテリを、ハンドル40の上側を通じて挿入することができ、ハンドル40を、バッテリ挿入および取出しのための開口を露出させるように座標取得部材50から解放させることができる。バッテリは、スキャニング装置、連結部材30〜36のうちの1つを中心とする回転モータおよび/またはその他のタイプのプローブまたは装置に電力を供給するために設けることができる。これは、アームを通じた電流を減じ、全体的な電力需要を減じかつ/またはアームのさまざまな部分において発生する熱を減じることができる。
データを、座標取得部材50またはスキャニング装置60およびPCMM1のベースへまたはこれらからまたはコンピュータなどの外部デバイスへ無線で送信することができる。これは、PCMM1を通る内部電線の数を減じることができる。それは、PCMM1とコンピュータとの間の電線の数を減じることもできる。
図3に最も詳しく示したように、ハンドル40の上方において、座標取得部材50は本体90を有することができる。本体90は、座標取得部材50の後端部52においてヒンジ31に直接接続することができる。本体90は、さらに、接触感知部材55を保持することができる。好ましい実施の形態において、本体90は、さらに、接触感知部材55の軸線がスイベル30の最後の軸線L1の近くに延びるように、スイベル30とほぼ整列して接触感知部材55を保持することができる。幾つかの実施の形態において、接触感知部材55の軸線は、スイベル30の最後の軸線L1を通過することができる。別の実施の形態において、接触感知部材55の軸線は、最後の軸線L1の10mm以内を通過することができる。
図2Bに最も詳しく示したように、本体90は、ディスプレイ43を有することもできる。ディスプレイ43は、本体90の上端部後側に示されているが、他の位置に配置することもできる。ディスプレイ43は、本体90が、本明細書においてさらに説明されるように上部における上側ハウジング80を有することができるスキャニング装置60によってカバーされることを防止するために、本体90の後側に向かって配置することができる。ディスプレイ43は、本明細書において説明されるように、使用者によって操作される、装置によって取得されたまたは装置によって取得されるべき測定に関する情報などの、使用者へのフィードバックを提供することができる。ディスプレイ43は、バッテリレベル、温度またはその他の問題などのPCMM1またはスキャニング装置60に関する診断情報などのその他の情報を提供することもできる。
図3Bに最も詳しく示したように、本体90は、さらに、取り付け部分91と、凹所92と、(レーザスキャナとして示された)スキャニング装置60と相互作用するように構成されたデータポート93とを有することができる。レーザスキャナ60は、図3Aに最も詳しく示したように、上側ハウジング80と、レーザ65と、データポート101とを有することができる。図3に示したように、レーザスキャナ60は、(他の実施の形態において異なる装置を有することができる)補助ボディとして本体90に取り付けられるように構成することができる。上側ハウジング80は、取り付け部分91に合致するように成形することができ、したがって、その取り付け部分によって収容することができる。凹所92を、取り付け部分91が上側ハウジング80を収容したときレーザ65を収容するように成形することができる。これらの相互作用により、データポート93,101は、本体90とレーザスキャナ60との間で(したがって、上述のようにPCMMアーム1に沿ってさらに)情報を送信するために相互作用することができる。レーザスキャナ60は、さらに、ベースプレート75を有することができる。ベースプレート75は、レーザスキャナ60が本体90に取り付けられたとき接触感知部材55を収容するように構成されたポート85を有することができる。
ベースプレート75は、反復可能な運動学的マウントを有することもでき、この場合、工具を用いずに(例えば、スナップ・ロック機構と組み合わせて)レーザスキャナ60を本体90から取り外しかつ本体90に再び取り付けることができる。ベースプレート75は、(一対のシリンダとして示された)ベースプレート75における3つの運動学的取り付け部分94と、(シリンダの対の間に収容される、丸みのあるまたは球形のボディとして示された)本体90における3つの運動学的取り付け部分104とを含む、3点運動学的シートの使用によって高いレベルの反復性で再び取り付けることができる。取り付け部分94,104は、角度位置を一定に保持する運動学的マウンティングを形成するために互いに合致するように正確に成形されることができる。取り付け部分の4つ以上のセットなどの、異なる形状または異なる数の取り付け部分94,104、および一対のシリンダの代わりに四面体の孔を使用するなど、この設計の変化態様を使用することもできる。
図4Aおよび図4Bに最も詳しく示したように、スキャナ60を本体90にしっかりと固定するためにロッキング装置120を使用することができる。ロッキング装置120は、スキャナ60におけるポート85と同様の形式で接触感知部材55を収容するポートを有することができる。これにより、スキャナ60がロッキング装置と本体90との間に位置するようにロッキング装置120を取り付けることができる。ロッキング装置120は一対のフックを有することができる。一対のフックは、ハンドルの回転時に回転し、本体90におけるハンドルに引っ掛かり、スキャナ60を本体90に保持する。ハンドルのさらなる回転は、本体90に対してスキャナ60を押し付けることができ、これにより、スキャナ60を本体90にしっかりと固定する。(波形ばねまたはコイルばねなどの)ばね、ワッシャおよびパッド付き構造などの弾性変形することができるさまざまな弾性部材をスキャナ60と本体90との間、スキャナ60とロッキング装置120との間またはロッキング装置120と本体90との間に設けることができる。ロッキング圧力がボディのうちのいずれかのたわみにつながらないようにまたは1つのボディにおけるたわみが別のボディにおけるたわみを生じないように、弾性部材はこれらの構成部材を機械的に隔離することができる。したがって、例えば、接触感知部材55が測定されるアイテムと接触し、このアイテムおよび本体90をたわませると、機械的隔離は、スキャナ60におけるあらゆる一致するたわみを減じる。弾性部材は、選択的に、本体90とスキャナ60との間の断熱を提供することもできる。
その他のスキャニング装置は、選択的に、レーザスキャナ60と類似の形状を有することができる。例えば、その他のスキャニング装置は、(例えば、ボディにおける孔を通じて)接触感知部材55を収容するように構成されたポート85を有するベースプレート75(または別のボディ)を有することができる。同様に、その他のスキャニング装置は、レーザ65と同様の形式で凹所92に収容することができる(レーザ、プロジェクタまたは一般的な光源などの)光源を有することができる。さらに、幾つかの実施の形態において、PCMM1における取り付け部分91の形状は、その他のスキャニング装置を収容するように変化することができる。例えば、幾つかの実施の形態において、本体90のボディを、取り付け部分91に取り付けられてもよいスキャニング装置におけるその他の構成部材のための間隙を提供するように、減じることができる。本体90に取り付けられる(かつ本体90によって収容される)その他の装置の例は、図7、図8および図9に示されている。
PCMM1が、正確な位置データを提供することが意図されているとき、PCMMは、接触感知部材55および非接触座標検出装置60の両方におけるエラーを最小限に減じるように設計することができる。座標取得部材50のエラーは、接触感知部材55およびスキャニング装置60の両方における最後の3つの軸線のエラーの効果を最小限に減じることによって減じることができる。例えば、示されているように、カメラ70、接触感知部材55および光源65は、最後の軸線L1と直接的に一体化することができる。例えば、示されているように、カメラ70、接触感知部材55および光源65は、(例えば、軸線L1に沿って)前方から見たとき、中央において接触感知部材55と概して同一線上にありかつ最後の軸線L1と整列させられていることができる。さらに、示されているように、上側ハウジング80、接触感知部材55および光源65を、概して、最後の軸線L1に対して平行に配置することができる。しかしながら、カメラ70を、選択的に、最後の軸線L1に対して所定の角度で向けることができる。
このような配置は、複数の点で有利である可能性がある。例えば、この配置において、L1を中心とするエレメントの角度位置は、(最後の軸線L1の異なる側にあるときの180度のずれを除き)ほぼ等しいことができ、データ処理要求を単純化する。別の例として、最後の軸線L1と整列したこれらのエレメントを提供することは、最後の軸線を中心とするこれらのエレメントの重量を釣り合わせることを容易にすることができ、可能なたわみからのエラーを減じ、軸線を中心とする運動を容易にする。さらに、最後の軸線L1を中心とする回転の角度に関連したエラーは、軸線から(光源の焦点中心などの)光源65によって発射されるパターンの中心までの(垂直の距離などの)距離によって増幅させられる。この向きにおいて、距離が最小限に減じられる。幾つかの実施の形態において、投射されたパターンの中心から最後の軸線までの垂直の距離は、35mm以下であることができる。特に、その他の実施の形態において、光源65を最後の軸線L1と直接的に整列させる(光源65を、接触感知部材55が図面に示されているところに配置する)ことなどによって、光源65を最後の軸線L1のさらに近くへ移動させることが望ましいことがある。しかしながら、接触感知部材55の精度も、最後の軸線L1に対するその近接性に部分的に依存し、後述するように、光源65をカメラ70から分離させることによっていくつかのその他の利点が生じる可能性がある。
さらに示されているように、スキャニング装置60が本体90に取り付けられているとき、接触感知部材55およびスキャニング装置はコンパクトな設計を形成することができる。例えば、光源65および/またはカメラ70は、軸受150,151のうちの一方または両方を超えて延びていることができる。その他の実施の形態において、これらのエレメントは、軸受まで延びており、軸受を超えて延びていないことができる。概して、これらのエレメントを重ね合わせることは、座標取得部材50の所要の長さを減じる。
幾つかの実施の形態において、このようなコンパクトな設計により、座標取得エレメントが、最後から2番目の軸線L2および最後の軸線L1により近づくことができる。したがって、最後から2番目の軸線L2と、(例えば、接触感知部材55の先端部および/またはカメラ70の焦点における)測定ポイントとの間の距離を減じることができる。最後から2番目の軸線L2に沿った座標取得部材50の角度位置におけるエラーはこれらの距離によって増幅させられるので、これも、その他の形式におけるPCMM1のエラーを減じる。例えば、コンパクトな設計は、カメラ70の焦点から、最後から3番目の軸線L3までの距離に関連したエラーも減じることができる。加えて、座標取得部材50のエレメントを、最後から2番目および3番目の軸線L2,L3のより近くに提供することは、たわみを減じることができ、エラーをさらに減じる。幾つかの実施の形態において、接触感知部材55は、最後から2番目および/または3番目の軸線L2,L3から185mm以内にあることができ、カメラ70の焦点は、最後から3番目の軸線から285mm以内にあることができる。コンパクトな設計のさらに別の利点として、座標取得部材50の鉛直方向高さを減じることができ、より狭いスポットにおける測定を可能にする。幾つかの実施の形態において、高さは、260mm以下であることができる。特に、示された実施の形態における座標取得部材50は最後の軸線L1を中心に回転するので、高さは、座標取得部材50の最大長さも表すことができる。
幾つかの実施の形態において、スキャニング装置60は、付加的な利点を有することができる。例えば、スキャニング装置60は、PCMMアーム1の他の部分によって発生された熱から光源65を隔離することができる。例えば、図3に示したように、ベースプレート75は、接触感知部材55によって分離された、一方の端部おける光源65と、他方の端部におけるカメラ70とを保持している。幾つかの実施の形態において、ベースプレート75は、インバー、セラミックまたは炭素繊維などの、低い熱膨張率を有する材料を含むことができる。熱膨張を減じることは、測定に付加的なエラーを導入するなどの問題を生じる可能性がある、光源65および/またはカメラ70の位置および向きの変化を減じることができる。同様に、ベースプレート75は、例えばカメラ70から光源65またはPCMM1への熱の伝達を妨げる低い熱伝導率を有する材料を含むこともできる。
示されているように、カメラ70をスキャナ60の上側ハウジング80に保持することができ、幾つかの実施の形態において、上側ハウジングは複数のカメラを有することができる。複数のカメラを備える実施の形態において、カメラを最後の回転軸線L1の互いに反対側に配置することができ、選択的に、2つのカメラのそれぞれと光源65との間の軸線L1を中心とする等しい角度距離を規定している。代替的に、図11に示したように、カメラを、最後の軸線L1を通過する鉛直平面に関して対称的に、回転軸線L1の互いに反対側に配置することができる。別の実施の形態において、カメラの間の角度距離は、最後の軸線L1を中心とするカメラ、光源およびあらゆるその他の構成部材の重量を平衡させるように決定することができる。
上側ハウジング80は、アルミニウムまたはプラスチックなどの材料を含むこともできる。加えて、上側ハウジング80は、ほこりなどの大気汚染物質、液体、周囲光からカメラ70を保護することができる。同様に、光源65は、本体90の凹所92によって保護することができる。幾つかの実施の形態において、凹所92は、光源を外部の熱から保護しかつ実質的にその整列を保つ、低い熱膨張率および/または低い熱伝導率を有する断熱ディスクまたはプレートを有することができる。
多くの実施の形態において、スキャニング装置60に関連したエレクトロニクス160は、実質的な量の熱を生じる可能性がある。上述のように、さまざまな構成部材を、例えば低い熱膨張率および低い熱伝導率を有する材料によってこの熱から保護することができる。示されているように、エレクトロニクス160をスキャニング装置60の上側ハウジング80に配置することができる。
しかしながら、その他の実施の形態において、エレクトロニクス160を、完全に別個のハウジングなど、センサ55,60からさらに遠くに配置することができる。例えば、幾つかの実施の形態において、やはりベースプレート75に取り付けられた別個のハウジングにおいてエレクトロニクス160をスキャニング装置60によって保持することができる。その他の実施の形態において、エレクトロニクス160を、剛性の伝達部材20またはベース10など、PCMM1のさらに下方に配置することができる。エレクトロニクス160をPCMM1のさらに下方に配置することは、アームの端部における重量を減じることができ、アームのたわみを最小限に減じる。同様に、幾つかの実施の形態において、エレクトロニクス160は、別個のコンピュータなど、PCMM1の完全に外部にあることができる。センサ55,70からのデータは、アームにおける内部ケーブルにおいてPCMM1を通って、無線で、またはその他のデータ送信方法によって送信することができる。幾つかの実施の形態において、データポート93,101は、ケーブルが外部に曝されないように、ばね荷重をかけられたピンを有することができる。
示された実施の形態の別の利点として、システムの示されたレイアウトはより小さな体積を使用することができる。スキャニング装置60は、時に、三角測量の理論において作動することができる。したがって、光源65とカメラ70との間に距離を残すことが望ましいことがある。示された実施の形態は、有利には、この空間内に接触感知部材55を配置し、座標取得部材50の体積を減じる。加えて、最後の軸線L1もこの空間を通過し、回転軸線を中心としてシステムを平衡させ、座標取得部材50の回転体積を減じる。この構成において、軸線およびスキャニング装置の組み合わせは、さらに、重量を減じるために独特に最適化させることができる。なぜならば、よりコンパクトな設計は、たわみを減じ、したがって、重負荷軸受材料の必要性を減じるからである。
本明細書に記載された方法およびシステムにおける多くのその他の変化態様は、この開示から明らかになるであろう。例えば、実施の形態に応じて、本明細書に説明されたアルゴリズムのうちのいずれかのある動作、イベントまたは機能は、異なるシーケンスで行うことができ、付加し、統合しまたは完全に排除することができる(例えば、アルゴリズムの実行のためにすべての説明した動作またはイベントが必要なわけではない)。さらに、ある実施の形態において、動作またはイベントを、例えば、シーケンシャルではなく、マルチスレッド処理、割込み処理または多重プロセッサまたはプロセッサコアによってまたはその他の並列アーキテクチャにおいて同時に実行することができる。加えて、一緒に機能することができる異なるマシンおよび/または計算システムによって、異なるタスクまたはプロセスを実行することができる。
本明細書に開示された実施の形態に関連して説明されたさまざまなアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたは両者の組み合わせとして実行することができる。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明らかに示すために、さまざまな例示的なステップが、概してそれらの機能性の観点から上述された。このような機能性がハードウェアまたはソフトウェアとして実行されるかどうかは、特定の用途、および全体的なシステムに課せられる設計の制約に依存する。説明された機能性は、それぞれの特定の用途のためにさまざまな方法で実行することができるが、このような実行の決定は、開示の範囲からの逸脱を生じるものと解釈されるべきではない。
本明細書に開示された実施の形態に関連して説明されたさまざまな例示的なステップ、コンポーネントおよび(デバイス、データベース、インターフェースおよびエンジンのような)計算システムは、汎用プロセッサ、グラフィックスプロセッサユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはその他のプログラマブルロジックデバイス、離散的ゲートまたはトランジスタロジック、離散的ハードウェアコンポーネント、または本明細書に説明された機能を実行するために設計されたそれらのあらゆる組み合わせなどの、マシンによって実施または実行することができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであることができるが、代替例において、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、ステートマシンまたはそれらの組み合わせなどであることができる。プロセッサは、計算デバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、またはあらゆるその他のこのような構成の組み合わせとして実行することもできる。本明細書においては主にデジタル技術に関して説明されているが、プロセッサは、主にアナログコンポーネントを有することもできる。計算環境は、マイクロプロセッサに基づくコンピュータシステム、グラフィックスプロセッサユニット、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、ポータブル計算デバイス、パーソナルオーガナイザ、デバイスコントローラ、アプライアンス内の計算エンジンなどを含むがこれらに限定されないあらゆるタイプのコンピュータシステムを含むことができる。
本明細書に開示された実施の形態に関連して説明された、方法、プロセスまたはアルゴリズムのステップ、および前記ステップにおいて使用されるデータベースは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、または両者の組み合わせにおいて直接的に具体化することができる。ソフトウェアモジュール、エンジンおよび関連するデータベースは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、または一時的でないコンピュータ読み取り可能記憶媒体、メディアまたは従来公知の物理的コンピュータストレージなどの、メモリリソースに存在することができる。典型的な記憶媒体を、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取りかつ記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに接続することができる。代替例において、記憶媒体はプロセッサと一体的であることができる。プロセッサおよび記憶媒体は、ASICに存在することができる。ASICはユーザ端末に存在することができる。代替例において、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末に別個のコンポーネントとして存在することができる。
特に、「することができる」、「ことがある」、「してもよい」、「例えば」などの本明細書において使用される条件的な用語は、特に別段の定めがない限りまたは用いられる文脈において別段の理解がされない限り、概して、ある実施の形態が、ある特徴、要素および/または状態を含むが、他の実施の形態は含まないことを示唆することを意図したものである。したがって、このような条件的な用語は、概して、特徴、要素および/または状態が1つまたは複数の実施の形態のために全く必要とされないことまたは1つまたは複数の実施の形態が、これらの特徴、要素および/または状態があらゆる特定の実施の形態において含まれているまたは実行されるかどうかを、著作者入力またはプロンプティングを用いてまたは用いずに決定するためのロジックを必然的に含んでいることを示唆することは意図されていない。「含む」、「備える」、「有する」などの用語は、同義であり、包括的に、オープンエンド形式で使用され、付加的な要素、特徴、動作、オペレーションなどを排除しない。また、「または」という用語は、包括的な意味において使用されており(排他的な意味において使用されていない)、これにより、例えば、要素のリストをつなぐために使用されているとき、「または」という用語は、リストにおける要素のうちの1つ、いくつかまたはすべてを意味する。
上記の詳細な説明は、さまざまな実施の形態に適用された新規の特徴を示し、説明しかつ指摘しているが、例示された装置またはアルゴリズムの形式および詳細における変更を、開示の思想から逸脱することなく行うことができることが理解されるであろう。認識されるように、本明細書に説明された発明の実施の形態は、本明細書に示された特徴および利点のうちのすべてを提供するわけではない形式において具体化することができる。なぜならば、幾つかの特徴を、他の特徴とは別個に使用または実施することができるからである。