JP2020531054A - 渦巻き縫合装置および方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、複雑な手術中の干渉および障害を最小限にする縫合装置を提供する。渦巻き縫合装置は、螺旋形状に配置された糸の渦巻き部に続く角を成した糸の半剛性部の前に配置された停止機構を組み込んでいる特別に製造された糸に取り付けられた針を備えることによって従来の縫合具よりも大幅に短くなっている。停止機構は、針と停止機構の中間に位置する針と糸が縫合点を通って引っ張られることで、糸の動きを停止し、アクセスのための残りの糸を固定する。これにより、糸の半剛性部は、糸の渦巻き部と併せて利用され、既製の結び目を形成するために、ユーザーが螺旋形状にいつでもアクセスできるようにし、手術中の干渉および障害を最小限にする。糸は、結び目の形成時に糸の追加の半剛性部および追加の渦巻き部を形成するように製造されてもよい。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、「渦巻き縫合装置および方法」と題する2017年8月17日に提出した出願番号第15/679,978号の優先権を主張するものであり、その全開示内容は参照により本明細書に組み込まれ、その優先権は本出願において主張される。
本発明は、複雑な手術中の干渉および障害を最小限にする縫合装置を提供する。渦巻き縫合装置は、停止機構を組み込んだ特別に製造された糸に取り付けられた針を備えており、停止機構は、角を成した糸の半剛性部の前に配置されており、停止機構の後には螺旋形状に配置された糸の渦巻き部が続く。このような構成を備えた渦巻き縫合装置は、従来の縫合具よりも大幅に短くなっている。停止機構は、針、および針と停止機構との間に位置する糸が縫合点を通って引っ張られることで、糸の動きを止め、残りの糸を固定することでユーザーがアクセスできるようにする。これにより、糸の半剛性部は、糸の渦巻き部と併せて利用され、既製の結び目を形成するために、ユーザーが螺旋形状にいつでもアクセスできるようにし、手術中の干渉および障害を最小限にする。糸は、結び目の形成時に糸の追加の半剛性部および追加の渦巻き部を形成するように製造されてもよい。
腹腔鏡手術または他の同様の手術において、医療提供者は患者の体の特定の空洞の内部で作業する必要があることがある。カメラ、空洞を適切な方法で開いたままにしておく器具、および内部組織の修復を可能にするための複数の縫合糸および関連する糸など、この空洞内の作業において、医療提供者が空洞の内部で処置を行うことを可能にするために、器具が患者に挿入されることがある。これらの器具の使用は、結局、医療提供者の作業スペースを占領し、円滑で効率的な外科手術を妨げる。
本発明は、既製の結び目または複数の既製の結び目を可能にする特別に製造された糸を備えた渦巻き縫合装置を提供する。これにより、医療提供者は、片手のみで縫合を行うことができ、他方の手は、例えば、手術で利用されるカメラを保持してもよい。さらに、標準的な縫合糸から手動で結び目を作る必要性を排除することにより、糸は針から先端まで大幅に短くすることができる。したがって、外科空洞内の空間が確保される。角をなした糸の半剛性部および対応する糸の渦巻き部が共に外科空洞の適切な部分における縫合領域に集まる。これにより、医療提供者は外科空洞内の自分の視野の範囲内で操作することができる。この配置はまた、カメラの位置の調整をより少なくすることを可能にする。これにより、処置および患者の身体の両方の阻害が減少する。停止機構は、これらの利点をさらに促進することができる。なぜならば、停止機構は、縫合工程中に縫合糸の渦巻き部が適切な位置に留まることを確保することによって、医療提供者が結び目をより容易に作ることを可能にするからである。さらに、医療提供者が縫合糸と縫合される組織の両方を片手で制御することを可能にすることで、医療提供者は、組織および外科空洞をさらに破壊することなく、必要に応じて、最終的な縫合点を調節することができる。
以下に概説するように、縫合糸の渦巻き部を提供する様々な参考文献がある。しかしながら、従来技術は、糸の停止機構も、糸の渦巻き部と併用して使用されたときに所望の領域をより効果的に縫合するための、角を成した糸の半剛性部も提供していない。したがって、先行技術は、腹腔鏡手術において医療提供者を効果的に支援しない。先行技術は、さらに、特定の外科手術のために縫合装置を調整する際に考慮すべき様々な停止機構を考慮していない。
たとえば、Gideon G. Panterにより2009年8月27日に公開された米国特許出願公開第2009/0216268号は、針に固定された縫合材の長さを含む結び目を結ぶことを容易にする縫合糸を開示している。縫合材の長さの少なくとも一部は、コイル状態に弾性的に偏っており、加えられた張力により真っ直ぐにすることができるが、解放されたときコイル状態に戻る。使用中、縫合材の一部は、縫合材の部分が組織の両端に位置するように、組織の領域を通って引っ張られる。次に、一方の部分を、他方の部分に形成された少なくとも1つの弾性的に形成されたコイルに通し、縫合材を引っ張ることにより、縫合材に結び目が形成される。
このPanterの縫合糸は、結び目の形成を手助けするためのコイル状の糸の使用について説明しているが、糸の停止機構も、提供されたコイルと共に使用され得る角を成した糸の半剛性部も提供していない。このような構成は、縫合装置の適切な場所に結び目を形成するために必要であり、また、医療提供者が縫合時に複数の組織領域を破壊することなくこれら組織領域同士を引き寄せることを助けるだろう。
1995年10月3日にManfred Boebelらに付与された米国特許第5454834号は、例えば内視鏡手術中など、スペースが限られている状況でさえ、ほとんど労力を費やさないで最大限の安全性で結び目の形成を可能にするための糸と、場合によっては、針を備えた外科用縫合材を開示している。縫合材は、少なくとも1つの本質的に安定したコイル、ループ、またはその長さの少なくとも1つの初期予備成形部に特徴づけられる同様の予備成形を有している。ループおよび/または結び目を形成する目的で、糸の別の部分または糸の端部をこの予備成形された特徴部に通すか案内することができる。予備成形部は、例えば略螺旋形状を有する予め形成された特徴の形状とすることができる。
しかしながら、このBoebelの特許は、上記Panterの縫合糸と同様に、糸の停止機構も、効果的な縫合のためのコイルと共に使用され得る角を成した糸の半剛性部も提供していない。さらに、Boebelの特許は、互いに同時に存在する糸の複数の予備成形部(すなわち、コイル)を必要とし、それは、本発明が意図するような、縫合プロセスを単純化および合理化する代わりに、単に縫合空間をさらに密集させるだけである。
したがって、角を成した糸の半剛性部および対応する糸の渦巻き部を組み込んでいる、既製の結び目または複数の既製の結び目を提供する特別に製造された縫合糸を提供することにより、外科手術中の干渉を減少させることを助ける渦巻き縫合装置が必要であり、手術中に既製の結び目を適切な領域に固定することにより結び目の形成を支援する糸の停止機構によって外科手術中の干渉の減少は部分的にさらに促進される。医療提供者が片手だけで適切な組織を縫合できるようにすることで、医療提供者は、外科空洞内の縫合糸と次の結び目の位置を簡単に調整でき、外科空洞内の干渉を減少させることができる。
本発明は、腹腔鏡手術などの複雑な手術中の干渉および障害を最小限にする縫合装置を提供する。渦巻き縫合装置は、特別に製造された縫合糸の端部に取り付けられた縫合針を備えている。縫合糸は、角を成した糸の半剛性部の直前に特別に配置された停止機構を組み込み、次に螺旋形状に配置された対応する糸の渦巻き部が続き、端部に到達する前にいくつかのループを形成する。したがって、渦巻き縫合装置は、現在使用可能な他の縫合具よりも大幅に短い。針と停止機構との間の中間に位置する針と糸が縫合点を通って引っ張られ、残りの糸は、縫合される組織の第1の側に固定されるので、停止機構は、糸の動きを停止させる役割を果たす。手術中の干渉および障害を最小限にするのを助けるために、停止機構の直後に、角を成した糸の半剛性部が、対応する糸の渦巻き部と併せて利用され、医療提供者が縫合装置に既製の結び目を可能にする螺旋形状にいつでもアクセスできるようにする。縫合糸は、前の結び目の形成時に、角を成した糸の追加の半剛性部および対応する糸の渦巻き部を自動的に形成するように製造されてもよい。このようにすることで、医療提供者の要求に応じて上述のプロセスを複製して追加の結び目を形成することを可能にする。縫合針の先端から特別に製造された縫合糸の端までの装置全体の長さは、長さが数フィートまで伸びることがある典型的な縫合具よりも著しく短い長さであり、外科手術中の干渉および障害の軽減にも役に立つ。
本発明は、外科分野における既存の問題を解決するものであり、すなわち、既存の結び目構造を提供し、縫合のプロセス中に結び目を形成する際に医療提供者を支援する、角を成した糸の半剛性部および対応する糸の渦巻き部を包含する追加の既製の結び目の形成を可能にし、さらに縫合プロセスをさらに合理化および簡素化するために、様々な停止機構および様々な糸の長さなどの追加の特徴を提供することによって組織片の縫合を支援する縫合装置を提供する。
以下、図面について説明する。同様の要素は、同様の数字で示される。
図1Aは、外科領域が模式的に描かれた患者を示す図である。
図1Bは、外科領域が模式的に描かれた患者と、外科領域に挿入された外科器具を示す図である。
図1Cは、本発明の渦巻き縫合装置を利用した、処置中の腹腔鏡手術を示す図である。
図1Dは、本発明の渦巻き縫合器を用いて外科領域に結び目を形成する、処置中の腹腔鏡手術を示す図である。
図2Aは、本発明の一実施形態における渦巻き縫合装置を示す模式図である。
図2Bは、本発明の第2の実施形態における渦巻き縫合装置を示す模式図である。
図2Cは、本発明の第3の実施形態における渦巻き縫合装置を示す模式図である。
図3Aは、本発明の渦巻き縫合装置を用いて、2つの組織片を第1の組織の内側から開始して縫合する方法を示す詳細図である。
図3Bは、本発明の渦巻き縫合装置を用いて、2つの組織片を第1の組織の外側から開始して縫合する方法を示す詳細図である。
図4は、本発明の渦巻き縫合装置を用いて2つの組織片を縫合し、組織片を結合させる方法を示す詳細図である。
図5は、本発明の渦巻き縫合装置を用いて2つの組織片を縫合し、組織片を縛る第1の結び目を形成する方法を示す詳細図である。
図6は、本発明の渦巻き縫合装置を用いて2つの組織片を縫合し、組織片を縛る第2の結び目を形成する方法を示す詳細図である。
図7は、本発明の渦巻き縫合装置を用いて組織片を縛る2つの結び目の結果として得られる組み合わせを示す詳細図である。
図8は、追加の結び目が追加の摩擦で組織片を縛ることを可能にする本発明の渦巻き縫合装置を用いて組織片を縛る2つの結び目の結果として得られる組み合わせを示す詳細図である。
図1A乃至図1Dには、本発明の渦巻き縫合装置100を使用した腹腔鏡手術が示されている。図1Aおよび図1Bに示すように、患者200は、図示した腹腔鏡手術のような外科手術を必要とすることがある。患者200は、外科空洞210を有している。この外科空洞210は、医療提供者が手術の過程で必要に応じて、それぞれの意図された機能を実行するためのさまざまな機器310を挿入して手術を行うためのものである。例えば、図1Cに示すように、外科空洞210を有する患者200は、医療提供者が効果的に手術を行うことができるように適切な方法で外科領域を設定するために外科空洞210に挿入された器具310A,310B、および310Cを伴うことがある。
典型的な腹腔鏡外科手術を示す図1Cおよび図1Dに示すように、外科空洞210の適切な領域に焦点を合わせたカメラ320がある。このカメラ320により、医療提供者は、外科空洞210の適切な領域を描写するようにフォーマットされたスクリーン330上で外科空洞210の適切な領域を見ることができる。しかしながら、カメラ320は、その性質上、視野に限界があり、外科空洞210の限られた視野しかスクリーン330上に描写することができない。したがって、医療提供者が外科空洞210の追加領域を見る必要がある場合、医療提供者は、外科空洞210の適切な領域を見るために、それに応じて様々な機器310およびカメラ320を継続的に調整する必要がある。そのような調整は、手術または患者200の身体的状態を阻害するか、またはそうでなければ、カメラ320の観察領域の外側で動作することで、手術中に問題が生じる可能性がある。
しかしながら、本発明の渦巻き縫合装置100を使用する際、カメラ320は、外科空洞210内でのカメラ320の最小限の動きで、スクリーン330上に手術領域の全範囲を映し出すことができる。例えば、図1Dに示すように、カメラ320は、外科空洞210の適切な領域を十分にとらえることができる。その結果、スクリーン330は、渦巻き縫合装置100の縫合方法の全体を描写することができる。当業者であれば理解されるように、外科空洞210の単一領域へのカメラ320のこの焦点合わせは、本明細書に記載のように特別に製造された糸に既製の結び目または複数の既製の結び目を提供する縫合装置の提供によって容易になり、それにより、医療提供者が手術を行う間に従来の方法で縫合糸に自分自身で結び目を作る必要がなくなる。
次に図2A乃至図2Cを参照すると、本発明の渦巻き縫合装置100の実施形態は、渦巻き縫合装置100の一端に針110を備え、針110とは反対側の渦巻き縫合装置100の端部に糸の渦巻き部150を備えている。糸120は、様々な長さであってもよく、医療提供者又は縫合の専門家が特定の処置の必要に応じて適切なサイズの渦巻き縫合装置100を選択できるようにする。例えば、医療提供者は、ある処置のために36インチまたは90cmの長さの縫合装置を使用し、または異なる処置のためにより短い6インチまたは15cmの縫合装置を使用できることが当技術分野で知られている。しかしながら、先行技術の全ての例において、組織が適切に修復されることを確実にするために、医療提供者が処置中および処置完了時に適切な組織に糸を通し、縫合糸を適切に結ぶための十分な余裕を与えるために、縫合装置は、数インチの長さでなければならない。したがって、図2A乃至図2Cに示す例示的な間隙125はいくつかの様々な長さを示し、本発明の渦巻き縫合装置100は様々な長さの糸120を有することができるが、渦巻き縫合装置100は、概ね基本的に、一連の渦巻き部150を有さない対応する縫合装置よりも短い長さの糸120を備えている。一連の渦巻き部150を有さない対応する縫合装置は、組織を縫合する最終段階で結び目を準備して形成するために追加の長さを必要とする。
糸120は、縫合糸材料として一般に入手可能な様々な材料のいずれかから構成されてもよい。例えば、糸120は、非吸収性外科縫合糸であるPROLENEのようなポリプロピレン縫合糸であってもよい。非吸収性外科縫合糸の他の例は、ETHIBONDのようなポリエステル縫合糸、またはETHILONまたはNUROLONのようなナイロン縫合糸である。このような非吸収性縫合糸は、心臓血管手術のように、医療提供者が他の吸収性糸よりも強くて長持ちする糸を必要とする特定の外科手術で好ましいことがある。あるいは、糸120は、MONOCRYLのようなポリグリカプロン縫合糸、VICRYLのようなポリグラクチン縫合糸、またはPDS IIのようなポリジオキサノン縫合糸のような吸収性糸で作られてもよいが、これらに限定されない。このような縫合糸は、縫合糸が最終的にある期間内に患者の体内で分解されることが好ましい特定の手術において好ましいことがある。たとえば、特定の吸収性糸は、わずか2週間で分解されて患者の体内に吸収される場合や、1年以上持ちこたえる場合がある。しかしながら、このような吸収性縫合糸は、血管の縫合の修復や、心臓血管または神経系の手術など、縫合糸が、2つの組織片を修復するだけでなく、永久に接続する手術においては好ましくない。本発明の渦巻き縫合装置100は、一種類の糸120に限定されるものではなく、吸収性糸または非吸収性糸のいずれかとして利用できるので、医療提供者は、渦巻き縫合装置100に備えられた糸120の種類に部分的に基づいて、適切な種類の渦巻き縫合装置100を選択してもよい。
さらに、糸120は、編組型でもよく、非編組型でもよい。糸120が編まれる場合、糸120は、弦のように織り合わされた複数のより糸を備えていてもよい。そのような編組糸は、ポリエステル、絹、または他の材料で作ることができ、縫合糸に追加のグリップを提供し、非編組糸よりも強く成り得る。しかしながら、渦巻き縫合装置100の糸120としては、非編組糸が好ましい。なぜなら、非編組糸は、感染しにくく、体内でより円滑な外科的処置を提供し得るからである。本発明の渦巻き縫合装置100の糸120は、この編組型または非編組型のいずれであってもよい。これにより、医療提供者は、糸120が編組されているかまたは編組されていないかに部分的に基づいて適切なタイプの渦巻き縫合装置を選択することができる。
渦巻き縫合装置100の針110は、異なる実施形態で提供されてもよい。縫合針は、一般に、切断針、逆切断針、先細針、逆先細針の4種類である。渦巻き縫合装置の針110は、切断、逆切断、先細、または逆先細のいずれであってもよい。これにより、医療提供者は、針110が切断、逆切断、先細、または逆先細針であるかどうかに部分的に基づいて、適切なタイプの渦巻き縫合装置を選択することができる。
図2A乃至図2Cに戻り、渦巻き縫合装置100は、針110とは反対側の端部において、一連の糸の渦巻き部150を含む端部と、糸の渦巻き部150の直前の角を成した糸の半剛性部140と、糸の半剛性部140の直前に設けられた停止機構130とを備えている。糸の半剛性部140は、ストッパー130と糸の渦巻き部150との間の中間構造物として作用する。上述した外科的考慮事項を説明するために、いくつかの糸は、絹などの柔軟なタイプの材料から構成されてもよい。そのような場合、糸の半剛性部140は、糸の半剛性部140が半剛性構造を保持することを確実にするために、プラスチック又はポリグリカプロンのような半剛性特性を有する材料の追加コーティングを備えてもよいが、プラスチック又はポリグリカプロンに限定されるものではない。
図2Aに示すように、渦巻き縫合装置100は、縫合糸に直接被せられ、かつ角を成した糸の半剛性部140に直接隣接する追加の材料層130Aを備えた停止機構130を備えていてもよい。渦巻き縫合装置100が組織片を通って引っ張られると、追加の材料層130Aで覆われた縫合糸の領域は結果的に糸120の主要部よりも厚いので、追加の材料層130Aは渦巻き縫合装置のストッパーとして作用する。したがって、追加の材料層130Aは、糸120ほど簡単に組織を通って引っ張られることができず、縫合されている組織を通って引っ張られるためには、かなりの余分な力を必要とする。したがって、針110が組織片を通って引っ張られると、糸120の主要部分は、追加の材料層130Aまで、組織片を通って引っ張られるが、糸の半剛性部140および糸の渦巻き部150は、追加の材料層130Aの作用により、組織の第1の側に残る。追加の材料層130Aは、非吸収性縫合糸に設けられることが好ましい場合がある。そうでなければ、追加の材料層130Aが、上述のように、吸収性縫合糸が体内で適切に分解されることを妨げる可能性があるからである。
図2Bに示すストッパー結び目130Bは、追加の材料層130Aとほぼ同じように機能する。糸の半剛性部140がストッパー結び目130Bと糸の渦巻き部150との間の中間構造体として作用するように、ストッパー結び目130Bは、角を成した糸の半剛性部140に直接隣接して設けられている。ストッパー結び目130Bは、針110および糸120が組織片を通って引っ張られると、ストッパー結び目130Bが組織片を通る糸120の進行を止めるように構成されている。したがって、ストッパー結び目130B、糸の半剛性部140、および糸の渦巻き部150は、組織の第1の側に残り、以下により詳細に説明する縫合糸の結び目の形成の準備が整う。このストッパー結び目130Bは、吸収性縫合糸に設けられていることが好ましい。なぜなら、ストッパー結び目130Bは、吸収性縫合糸と同じ材料で形成され、それゆえに、上述したように、手術のために選択された吸収性縫合糸の要件に従って体内で適切に分解されるからである。
図2Cに示す返し構造130Cは、追加の材料層130Aおよびストッパー結び目130Bとほとんど同じように機能する。糸の半剛性部140が返し構造130Cと糸の渦巻き部150との間の中間構造体として作用するように、返し構造130Cは、角を成した糸の半剛性部140に直接隣接して設けられている。返し構造130Cは、針110および糸120が組織片を通って引っ張られると、返し構造130Cが組織片に引っ掛かることにより、組織片を通る糸120の進行を止めるように構成されている。したがって、返し構造130C、糸の半剛性部140、および糸の渦巻き部150は、組織の第1の側に残り、以下でより詳細に説明する縫合糸の結び目の形成の準備が整う。この返し構造130Cは、吸収性縫合糸に設けられていることが好ましい。なぜなら、返し構造130Cは、吸収性縫合糸と同じ材料で形成され、それゆえに、上述したように、手術のために選択された吸収性縫合糸の要件に従って体内で適切に分解されるからである。
停止機構130は、上述した追加の材料層130A、ストッパー結び目130B、または返し構造130Cに限定されるものではなく、様々な形態をとってもよい。例えば、停止機構は、糸の進行を停止させることができる様々な異なるギザギザのエッジ、結び目、または追加の材料で構成された、糸の一部であってもよい。
図2A乃至図2Cに示すように、糸の渦巻き部150は、限定されるものではないが、第1のカール150A、第2のカール150B、および第3のカール150Cを含んでもよい。結び目を適切に形成するために、以下に説明するように、糸の渦巻き部150は、少なくとも第1のカール150Aおよび第2のカール150Bを備え、好ましくは第3のカール150Cも備える。しかしながら、糸の渦巻き部150は、より大きなまたはより頑丈な結び目を可能にするために、第4のカールまたは第5のカールのような追加のカールを備えてもよい。追加のカールは、医療提供者がいくつかの処置において好ましい。
図2A乃至図2Cに示すように、第1の糸の半剛性部140と糸の渦巻き部150の組み合わせが渦巻き縫合装置100に予め存在するように、角を成した糸の半剛性部140と糸の渦巻き部150とから成る本発明の既製の結び目構造は、特別に製造され得る。しかし、糸の追加の半剛性部および対応する糸の渦巻き部は、複数の結び目を可能にするように、先の組み合わせから結び目の形成時に自動的に形成される。これらの追加の既製の結び目構造を包含する本発明の好ましい実施形態を以下に説明する。
次に図3Aおよび図3Bを参照すると、本発明の渦巻き縫合装置100を使用した縫合方法の一部が示されている。図3Aに示すように、針110は、第1の組織片220に第1の穴225を形成するために、内側アプローチから開始して第1の組織片220に挿入されてもよい。その後、針110が第2の組織片230に挿入され、第2の組織片230に第2の穴235が形成される。あるいは、図3Bに示すように、医療提供者に対する第1の組織片220および第2の組織片230の相対的な位置によっては、針110は、第1の組織片220に第1の穴225を形成するために、外側アプローチから開始して第1の組織片220に挿入されてもよい。その後、針110が第2の組織片230に挿入され、第2の組織片230に第2の穴235が形成される。いずれにせよ、渦巻き縫合装置100の針110は、このように、典型的な縫合方法で第1の組織片および第2の組織片を接続する。
図3Aおよび図3Bは、互いに比較的近接し、針110が第1の組織片220および第2の組織片230の両方に同時に接続されるのに十分に接近した2つの組織片を示しているが、第1の組織片220および第2の組織片230は、縫合の開始時に針110が第1の穴225および第2の穴235を形成する過程にあるときに、渦巻き縫合装置の糸120が第1の組織片220および第2の組織片230を一緒に接続することができるような互いに離れた距離にあってもよい。
次に、図4を参照すると、先の図3Aおよび3Bに関連して、本発明の渦巻き縫合装置100を使用する縫合方法の描写が部分的に継続される。図示されるように、組織の内側からでも外側からでも、上記の針110による第1の組織片220および第2の組織片230の穿刺時に、縫合方法は、一対の鉗子のうちの第1の鉗子340Aによって針110が引っ張られることからさらに構成される。一対の鉗子のうちの第2の鉗子340Bは、同時に糸の反対側の端部を、渦巻き縫合装置100の停止機構130が利用されるような距離で保持する。その結果、先の図3Aおよび図3Bに示すように、第1の組織片220と第2の組織片230との間の間隙240は、接続領域250で互いに強制的に近接される。渦巻き縫合装置100の停止機構130が第1の組織片220の第1の穴225に隣接しているとき、糸120はもはや第1の組織片220の第1の穴225を通って引っ張られないことがわかるだろう。代わりに、第1の組織片220は、第2の組織片230に近づくように引っ張られ、第1の組織片220と第2の組織片230との間の間隙240を最小にして接続領域250を形成する。加えて、図示された渦巻き縫合装置100の角を成した糸の半剛性部140および糸の渦巻き部150のような既製の結び目構造は、第1の組織片220の第1の穴225を通って引っ張られることはなく、代わりに第1の組織片220の外側でそのまま残る。
図4に示されかつ上述のように、第1の組織片220および第2の組織片230が一緒に引っ張られると、角を成した糸の半剛性部140は、第1の組織片220の外側に残る。これにより、この糸の直線部分140は、所望の結び目を形成する際に医療提供者がより簡単にアクセスできるように、糸の渦巻き部150のための空間を提供する。
図3A、図3B、および図4に示すように、本発明の渦巻き縫合装置100を使用した縫合方法は、医療提供者が、針110を、第1の組織片220の外側に設けられた糸の渦巻き部150を通して、第2の組織片230から針110を引き出すことを含む。医療提供者は、針110を、最初に、糸の半剛性部140から最も遠い第1のカール150Aに通し、次に第2のカール150B、第3のカール150C、および糸の渦巻き部150に設けられ得る追加のカールに針110を通す。
次に、図5を参照すると、本発明の渦巻き縫合装置100を使用する縫合方法の描写が部分的に継続される。ここで、渦巻き縫合装置100の第1の結び目155は、図4に示され、上述されたように、針110が糸の渦巻き部150を通って案内された後に、医療提供者が一対の鉗子のうちの第1の鉗子340Aを使用して針110を引っ張ると同時に、一対の鉗子のうちの第2の鉗子340Bで糸120の反対側の端部を引っ張ることで形成される。渦巻き縫合装置100で結び目を形成している間に、一対の鉗子340および糸120による針110の引っ張り動作は、また、第1の組織片220と第2の組織片230の間の間隙240を効果的に閉じる。その結果、第1の組織片220および第2の組織片230は、処置の必要に応じて、互いに隣接して引っ張られて所望の接続領域250を形成し、それにより、第1の結び目155は、縫合糸の位置を保持する。
次に、図6を参照すると、本発明の渦巻き縫合装置100を使用する縫合方法の描写がさらに部分的に継続される。ここで、第1の結び目155の形成時に、医療提供者は、糸120が自動的に第2の既製の結び目を形成するように一対の鉗子のうちの第2の鉗子340Bを緩めてもよい。第2の既製の結び目は、第1の組織片220の外側の、角を成した糸の第2の半剛性部160と、対応する糸の第2の渦巻き部170とから成る。この追加の既製の結び目構造は、第1の結び目155が形成されたのとほぼ同じ方法で、本発明の渦巻き縫合装置100に追加の結び目を形成することを可能にする。ここで、角を成した糸の第2の半剛性部160は、所望の結び目を形成する際に医療提供者が容易にアクセスできるように、糸の渦巻き部170のための空間を提供する。したがって、医療提供者は、一対の鉗子のうちの第1の鉗子340Aの使用により、糸の第2の渦巻き部170を通して針110を導くことができる。医療提供者は、具体的には、針110を、最初に、角を成した糸の第2の半剛性部160から最も遠い第1のカール170Aに通し、次に第2のカール170B、第3のカール170C、および糸の第2の渦巻き部170に設けられ得る追加の渦巻きに針110を通す。
その後、医療提供者は、図5に示すように、針110が糸の第2の渦巻き部170を通って案内された後に、一対の鉗子のうちの第1の鉗子340Aを使用して針110を引っ張ると同時に一対の鉗子のうちの第2の鉗子340Bで糸120の反対側の端部も引っ張ることによって、図7に示すように、第2の結び目175を形成することができる。この第2の結び目175を、第1の結び目155に沿って形成することにより、第1の組織片220と第2の組織片230の間の接続領域250をさらに固定するための追加の摩擦を縫合糸に生じさせる。追加の摩擦は、手術により必要とされる場合がある。これにより、第1の結び目155および第2の結び目175は、縫合糸の位置をしっかりと保持する。
したがって、形成された縫合糸の結果に満足する場合、医療提供者は、渦巻き縫合装置100の余分な糸と針を切断してもよい。そうでなければ、医療提供者は、図8に示すように、縫合糸の第1の結び目155と第2の結び目175との間により大きな摩擦を望むことがある。この場合は、一対の鉗子のうちの第2の鉗子340Bを再び緩めることによって、第1の組織片220の外側の、角を成した糸の第3の半剛性部180と、対応する糸の第3の渦巻き部190から成る第3の既製の結び目を糸120に形成する。これによって、本発明の渦巻き縫合装置100に別の結び目を形成することができる。この追加の既製の結び目は、第2の結び目175が形成されたのと同じ方法で、渦巻き縫合装置100に別の結び目を形成することを可能にする。
本発明の渦巻き縫合装置100を使用することによって、医療提供者は、他の手段によって縫合糸に結び目を形成する必要がないことを前提として、片手のみで適切な組織を効果的に縫合することができる。したがって、縫合中に、医療提供者が次の結び目が適切な位置にないことを認識した場合、医療提供者は、外科的空洞内の縫合糸および次の結び目の位置を簡単に調整することができる。このような調節は、渦巻き縫合装置100およびその既製の結び目を一部使用することによって容易になる。なぜなら、医療提供者は、片手のみで渦巻き縫合装置100および組織220または組織230の両方の動きを制御することができるからである。
また、渦巻き縫合装置100を片手のみで操作して適切な組織を効果的に縫合することによって、渦巻き縫合装置100は、それにより、器具および当技術分野で現在利用可能な縫合装置を使用した腹腔鏡手術の処置で生じる密集を減らすこともできる。さらに、医療提供者が、上述され、図1Cおよび1Dに示されるように、腹腔鏡手術において典型的に制限される自分の利用可能な表示領域をより効果的に利用できるように、渦巻き縫合装置100はまた、手術の外科領域を、糸の渦巻き部150,160、および/または糸の渦巻き部170を備えている領域に集中させる。
本発明では、その精神から逸脱することなく、多くの変更および修正を行うことができる。したがって、本発明に対する私の権利が、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることを願う。

Claims (20)

  1. (i)針と、
    (ii)前記針に動作可能に取り付けられた糸とを備え、前記糸はさらに
    (a)少なくとも第1のカール、第2のカール、および第3のカールを備えた糸の渦巻き部と、
    (b)前記糸の渦巻き部の直前の糸の半剛性部と、
    (c)前記糸の半剛性部の直前の停止機構と、
    (d)前記針と前記停止機構の中間の糸の中間部とを備え、
    前記糸の渦巻き部の前記複数のカールは、螺旋形状を有し、
    前記停止機構および前記糸の半剛性部は、角を成しており、
    前記針は、切断針、逆切断針、先細針、逆先細針のいずれかであり、
    前記糸は、非吸収性縫合糸または吸収性縫合糸であり、
    前記糸の渦巻き部は、前記糸の渦巻き部が前記糸の結び目に変換されるまで、前記螺旋形状を保持し、
    前記糸は、前記糸に結び目を形成する際に、糸の追加の渦巻き部および対応する糸の半剛性部を形成することができる、縫合装置。
  2. 前記停止機構は、前記糸の半剛性部の直前の糸の一部を直接覆う追加の材料層を備えている、請求項1に記載の縫合装置。
  3. 前記停止機構は、前記糸の半剛性部の直前に設けられたストッパー結び目を備えている、請求項1に記載の縫合装置。
  4. 前記停止機構は、前記糸の半剛性部の直前に少なくとも1つの返しを備えている、請求項1に記載の縫合装置。
  5. 前記糸は、編組縫合糸である、請求項2に記載の縫合装置。
  6. 前記糸は、非編組縫合糸である、請求項2に記載の縫合装置。
  7. 前記糸は、編組縫合糸である、請求項3に記載の縫合装置。
  8. 前記糸は、非編組縫合糸である、請求項3に記載の縫合装置。
  9. 前記糸は、編組縫合糸である、請求項4に記載の縫合装置。
  10. 前記糸は、非編組縫合糸である、請求項4に記載の縫合装置。
  11. (i)縫合装置を用意する工程と、前記縫合装置は、
    (a)針と、
    (b)前記針に動作可能に取り付けられた糸とを備え、前記糸はさらに
    (1)少なくとも第1のカール、第2のカール、および第3のカールを備えた糸の渦巻き部と、
    (2)前記糸の渦巻き部の直前の糸の半剛性部と、
    (3)前記糸の半剛性部の直前の停止機構と、
    (4)前記針と前記停止機構の中間の中間部とを備え、
    前記糸の渦巻き部の前記複数のカールは、螺旋形状を有し、
    前記停止機構および前記糸の半剛性部は、角を成しており、
    前記針は、切断針、逆切断針、先細針、逆先細針のいずれかであり、
    前記糸は、非吸収性縫合糸または吸収性縫合糸であり、
    前記糸の渦巻き部は、前記糸の渦巻き部が前記糸の結び目に変換されるまで、前記螺旋形状を保持し、
    前記糸は、前記糸に結び目を形成する際に、糸の追加の渦巻き部および対応する糸の半剛性部を形成することができ、
    (ii)前記針を第1の組織片に挿入して前記第1の組織片に第1の穴を形成する工程と、
    (iii)前記糸の中間部が前記第1の組織片の前記第1の穴を通って引っ張られるように、前記針を引っ張って前記針を前記第1の組織片から離間させ、前記針を第2の組織片に挿入して前記第2の組織片に第2の穴を形成する工程と、
    (iv)前記停止機構が前記第1の組織片の前記第1の穴に隣接するまで、前記糸の中間部が前記第2の組織片の前記第2の穴を通って引っ張られるように、前記針を引っ張って前記針を前記第2の組織片から離間させる工程と、
    (v)前記針を前記糸の渦巻き部に挿入し、前記針を引っ張って該針を前記糸の渦巻き部から離間させることで、前記糸の渦巻き部が第1の結び目を前記糸に形成する工程と、
    (vi)前記第1の結び目の形成時に前記針及び前記糸を緩めることで、前記糸が前記糸の追加の渦巻き部および前記対応する糸の半剛性部を形成し、前記針を前記糸の追加の渦巻き部に挿入し、前記針を引っ張って該針を前記糸の追加の渦巻き部から離間させることで、前記糸の追加の渦巻き部が前記糸の前記第1の結び目に沿って追加の結び目を形成する工程とを含む、縫合方法。
  12. 前記停止機構は、前記糸の半剛性部の直前の糸の一部を直接覆う追加の材料層を備えている、請求項11に記載の縫合方法。
  13. 前記停止機構は、前記糸の半剛性部の直前に設けられたストッパー結び目を備えている、請求項11に記載の縫合方法。
  14. 前記停止機構は、前記糸の半剛性部の直前に少なくとも1つの返しを備えている、請求項11に記載の縫合方法。
  15. 前記糸は、編組縫合糸である、請求項12に記載の縫合方法。
  16. 前記糸は、非編組縫合糸である、請求項12に記載の縫合方法。
  17. 前記糸は、編組縫合糸である、請求項13に記載の縫合方法。
  18. 前記糸は、非編組縫合糸である、請求項13に記載の縫合方法。
  19. 前記糸は、編組縫合糸である、請求項14に記載の縫合方法。
  20. 前記糸は、非編組縫合糸である、請求項14に記載の縫合方法。
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