本願で開示する装置、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的実施形態について、これから説明する。これらの実施形態のうちの1つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示される装置、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることが理解されるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
更に、本開示においては、実施形態の同様の参照符合を付した構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の参照符合を付した各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。加えて、開示されるシステム、装置、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及び装置、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及び装置が内部で用いられる対象の解剖学的構造、システム及び装置が一緒に用いられる構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が用いられる方法及び手順に依存し得る。
第1及び第2のジョーを有する外科用クリップアプライヤ、並びに外科手技中に外科用クリップアプライヤを使用して血管、管、シャントなどに外科用クリップを適用するための方法が本明細書に提示される。ジョーに対するクリップの整列が維持されるようにするため、外科用クリップアプライヤのジョーのうちの少なくとも1つは、ジョーの間に外科用クリップを保持するように構成された少なくとも1つのクリップ保持部材を含み得る。少なくとも1つのクリップ保持部材は、ジョーの内向き表面内に画定されたクリップトラックの上に形成されても、そのクリップトラックの中に形成されても、そのクリップトラックに連結されてもよく、少なくとも1つのクリップ保持部材は、クリップがジョーの間に配置されるときに、クリップに付勢力を印加することができる。クリップ保持部材は、多くの異なる形態を有してよく、ジョーは、その1つ以上の表面上にあるか又はそれらに連結された複数のクリップ保持部材を含んでもよい。
図1〜図4Bは、外科用クリップアプライヤ100の一実施形態を示す。図示のように、外科用クリップアプライヤ100は一般に、固定ハンドル104と、ハウジング102に枢動的に連結される可動ハンドル又はトリガ106と、を有するハウジング102を含んでいる。細長シャフト108が、ハウジング102から遠位に延在しており、その遠位端108d上に形成されたジョーアセンブリ110を含んでおり、また、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な第1のジョー112及び第2のジョー114を含んでいる。第1のジョー112及び第2のジョー114は、対向する内向き表面を含み、各内向き表面は、クリップのレッグを第1のジョー112及び第2のジョー114の中に受け入れて案内するために、それら内向き表面に沿って形成されたクリップトラックを有する。細長シャフト108は、回転ノブ103を介してハウジング102に対して回転され得る。
図2及び図3に示されるように、細長シャフト108は、外側支持管120と、外側管120に対して遠位側に連結された上側シュラウド122と、下側シュラウド124と、を含み得る。外側支持管120並びに上側シュラウド122及び下側シュラウド124は、シャフト108の外側ケーシングを形成する。図2及び図3に示されるように、複数の外科用クリップを含んだクリップスタック126が、第1のジョー112及び第2のジョー114に対して近位側のシャフト108のクリップトラック又はホルダ128内に配置され、遠位方向に付勢される。フロア130がクリップスタック126の下に延在しており、これは、クリップスタック126をシャフト108内で整列状態に維持するためのものであり、また最遠位クリップ126dをジョー112、114の中へと案内するためのものである。クリップスタック126が遠位移動するのを防止するためのリフタばね132が、ジョー112、114に対してすぐ近位に、かつクリップスタック126に対して遠位に位置付けられており、最遠位クリップ126dは、リフタばね132の周りに配設される。最遠位クリップ126dをジョーの中へと供給するためのフィーダバー134が、細長シャフト108を通って延在する。上側シュラウド122及び下側シュラウド124が取り外されたクリップアプライヤ100を表す図3に示されるように、フォーマー管136は、ジョー112、114の近位端の周りに延在しており、ジョー112、114を、それらの間に配置されたクリップ127を成形するための閉鎖位置へと遠位にカム駆動するように移動可能である。
外科用クリップアプライヤ100は、様々な構成要素を含んだクリップ成形アセンブリを有しており、それらの構成要素は、トリガ106が作動されたときに一緒に動作してジョー112、114を閉鎖させ、それによって、ジョー内に配設されたクリップ(例えば、クリップ127)が組織に適用(成形)されるようにするものである。クリップ成形アセンブリは、フォーマー管136と、作動されるとフォーマー管136を遠位方向に移動させ、それによってジョー112、114を閉鎖させるように構成されたトリガ106に連結された他の構成要素と、を包含する。外科用クリップアプライヤ100のクリップ前進アセンブリは、図4A及び図4Bに示されるように、トリガ106から近位方向に延在するリンク107を介してトリガ106に同様に連結されるフィーダバー134を含む。このようにして、トリガ106が作動されると、フィーダバー134は、トリガ106の作動時にフォーマー管136が移動される遠位方向とは反対に近位に移動されることになる。
クリップ成形及びクリップ前進アセンブリは、任意の好適な構成を有し得る。例えば、図示の実施形態では、図4A及び図4Bに示されるように、クリップ成形アセンブリのフォーマー管136は、内側連結部138を介してハンドル104内のフォーマープレート140に連結され、次にこのフォーマープレートは、ピン141を介してトリガ106に連結され、クリップ前進アセンブリのフィーダバー134は、リンク107を介してトリガ106に連結されるフィーダプレート142を介してトリガ106に同様に連結されている。図4Aに示されるように、フィーダプレート142は、その遠位端にアーム144a、144bを有し、それらのアームは、外側連結具146の近位端(部分的に透過的に示される)に被さって配設され、それらの近位端と嵌合する。外側連結具146の遠位端にある接続ピン148は、フィーダバー134を外側連結具146に取り付ける。図4A及び図4Bは、説明のみを目的として、外側ケーシングの一部が取り除かれたハンドル104を示し、図4Bは、フィーダプレート142を有さないハンドル104を示している。外科用クリップアプライヤ100は、簡潔さのために本明細書に記載されていない様々な他の構成要素及びアセンブリを含み得ることを理解されたい。
使用時に、ハンドル104のトリガ106が作動されると(例えば、固定ハンドル104に向かって移動されると)、クリップ成形アセンブリのフォーマープレート140は遠位方向に前進されて、フォーマー管136をジョー112、114の上方で遠位に前進させ、それによってジョー112、114を閉鎖位置にカム駆動する。同時に、クリップ前進アセンブリのフィーダプレート142が近位方向に移動され、それによってフィーダバー134を近位方向に引っ張り、フィーダバー134をクリップスタック126の最遠位クリップ126dの近位に位置付ける。クリップのレッグがジョーのそれぞれのクリップトラック内に受け入れられるようにジョー112、114内に配置されたクリップ127が完全に成形されると、トリガ106が解放され、それにより、クリップ前進アセンブリが遠位方向に移動する間に、クリップ成形アセンブリは近位方向に移動する。図2は、元の予備成形された構成にあるクリップ127を示す。クリップ成形アセンブリの近位移動は、フォーマー管136をジョーに対して後退させ、したがってジョー112、114は元の開放位置に移動し、それによって、成形されたクリップを解放することが可能となる。クリップ前進アセンブリの遠位移動は、フィーダバー134を遠位方向に移動させ、フィーダバー134はそれによって最遠位クリップ126dを遠位方向に押し、リフタばね132の付勢力を克服し、リフタばね132を邪魔にならないように撓曲させ、それによって最遠位クリップ126dはジョー112、114の中へと前進することが可能となる。このようにして、最遠位クリップは、図3のクリップ127のように、ジョーのクリップトラック内に位置付けられる。フロア130は、最遠位クリップをジョー112、114のクリップトラックの中へと案内するのに役立つ。
トリガが図示及び説明されているが、当業者であれば、本明細書に開示されるクリップアプライヤはトリガを含む必要はなく、様々な他の作動機構を有し得ることを理解するであろう。例えば、クリップアプライヤは給電されてもよく、モータを作動させて装置の発射を制御するための作動ボタンを含んでもよい。他の実施形態では、装置の作動がロボットシステム又はテレマニピュレータシステムを介して制御されるようにするため、ハウジングがロボットシステム又はテレマニピュレータシステムに連結するように構成されてもよい。
上述のように、外科用クリップアプライヤ100の対向する第1のジョー112及び第2のジョー114のそれぞれは、図5Aにより詳細に示されるように、対向する内向き表面203、205を含んでいる。対向する内向き表面203、205はそれぞれ、ジョーの中にクリップを受け入れて案内するためのクリップトラックを画定し得る。クリップトラックは、クリップガイドチャネルの形態をなし得るものであり、シャフト108内に配置されたクリップスタック126から最遠位クリップを受け入れる。図5Aに示されるように、各内向き表面203、205は、クリップ207(図5Bに別途、示されている)のレッグ207a、207bを第1のジョー112及び第2のジョー114の中に受け入れて案内するために、内向き表面に沿って形成されたクリップガイドチャネルを有している。クリップ207は、図2及び図3のクリップ127と同様であってもよく、あるいは他の構成を有してもよい。第1のジョー112の内向き表面203は、クリップガイドチャネル206を含んでいるのに対し、対向するジョー114の内向き表面205のクリップガイドチャネルは不明確である。図5Aに更に示されるように、クリップガイドチャネル206は、上側レール208uと、下側レール208lと、上側レール208uと下側レール208lとの間に延在する側方壁部210と、によって画定される。クリップ207がシャフト108からジョー112、114の中へと前進されるとき、クリップ207は、図3に示されるような様式で位置付けられる。
上側レール208u及び下側レール208lは、クリップトラック内にクリップを保持するのに役立ち得るが、外科用クリップアプライヤのジョーによるクリップの適切な保持において難題をもたらし得る。クリップにおける製造のばらつきに適応するために、クリップトラックは、その中に一定量のクリアランスを設けるようにサイズ決めされ得る。この結果として、ジョーによるクリップの把持が不適切となることがあり、またクリップはそれによって、クリップトラックに対して傾斜するか、ないしは別様に不適切に位置付けられることがある。クリップとジョーとの間のそのような不十分な保持は、クリップの(例えば、鋏様の)不良成形、早すぎるクリップの排出、又は外科手技を損なう可能性がある他の望ましくない結果をもたらす可能性がある。
したがって、外科用クリップアプライヤのジョーを用いたクリップの適切な保持を確実にするための技術が提供される。具体的には、上述のように、いくつかの実施形態において、外科用クリップアプライヤのジョーのうちの少なくとも1つは、その中に配置された少なくとも1つの可撓クリップ保持部材を含み得る。クリップ保持部材は、ジョー内に配置されたクリップのレッグに付勢力を印加し、それによってジョー内にクリップを保持するように構成され得る。このようにして、クリップがジョーの間に配置されるように前進されるとき、保持部材は、第1の非圧縮構成から第2の圧縮構成へと移動し得る。少なくともいくつかの実施形態において、クリップ保持部材によって加えられる付勢力は、クリップとジョーとの間のサイズの差を補正し、それによって、クリップをジョーの間にしっかりと保持し得る。
クリップ保持部材は、様々な構成を有し得るものであり、また様々な方式で外科用クリップのジョー上に位置付けられ得る。例えば、クリップ保持部材は、ジョーの内向き表面に沿った1つ以上の位置でジョー上に形成されるか、あるいはジョーに連結され得る。1つ以上のクリップ保持部材は、クリップガイドチャネルの側方壁部上、クリップガイドチャネルの上側レール及び下側レールの一方若しくは両方、又はジョーの任意の他の部分に配置され得る。
図6は、図に示されるように、外科用クリップアプライヤ300の第1のジョー312の内向き表面303上に位置付けられた可撓クリップ保持部材302の一実施形態を示しており、対向するジョー314は、図7及び図8に示されるように、内向き表面305上に可撓クリップ保持部材304を有している。内向き表面303に沿って延在するクリップ保持部材302は、内向き表面303内に形成されたクリップトラック又はクリップガイドチャネル306内に配置され得る。簡略化のために図6には示されていないが、クリップガイドチャネル306は、クリップガイドチャネル206(図5A)と同様に構成されてもよく、これにより、クリップガイドチャネル306は、上側レールと、下側レールと、上側レールと下側レールとの間に延在する側方壁部と、を有し得ることを理解されたい。クリップ保持部材302は、クリップ保持部材302がクリップのレッグを対向するジョーに向かって付勢するように、クリップガイドチャネル306の側方壁部上に形成されるか又は配置され得る。クリップ保持部材302は、ジョー312の長手方向長さに沿って延在し得るものであり、また、最遠位クリップがクリップガイドチャネル306の中へと前進されるときに、第1の非圧縮構成から第2の圧縮構成へと移動するように構成され得る。
図6のクリップ保持部材302は、様々な構成を有してよく、ジョー312の内向き表面303に様々な方式で連結され得る。図示の実施形態において、クリップ保持部材302は、好適な様式で、表面303上のクリップガイドチャネル306の側方壁部に連結された細長い板ばねの形態をなしている。クリップ保持部材302の幅W(図6に示す)は、その長さ方向に沿って同じであっても、又は実質的に同じであってもよい。少なくともいくつかの実施形態において、幅は、クリップガイドチャネル306の高さよりも小さくてもよい。更に、この例では、図6に示されるように、クリップ保持部材302は、その遠位端302dがジョー312の遠位端312dから近位にオフセットされるように位置付けられ得る。同様に図示のように、クリップ保持部材302の近位端302pは、ジョー312の近位端312pにおいて内向き表面303に連結され得る。近位端302pは、1つ、2つ、又はそれ以上の別個の取り付け点を含んでもよく、あるいは、クリップ保持部材302の近位端302pの領域全体が、ジョーの内向き表面303に連結されてもよい。図6において、クリップ保持部材302の遠位端302dは、ジョーの表面303に連結されず、表面303に接触し、この表面に対して付勢される。その結果、遠位端302dは自由に移動可能となり、クリップ保持部材302が撓曲するときに遠位方向に摺動することができる。しかしながら、クリップ保持部材は、ジョーの内向き表面に2つ以上の位置で連結されてもよいことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、クリップ保持部材302の近位端302p及び遠位端302dの両方が、任意の好適な様式で内向き表面303に連結されてもよく、あるいは、遠位端302dのみが内向き表面303に連結されてもよい。
図6及び図7に示されるように、非圧縮構成では、ジョー312上に配置されたクリップ保持部材302は、クリップ保持部材302の中間部分305が内向き表面303から最も離れて位置付けられるように、対向するジョーに向かって湾曲している。クリップ保持部材302は、非圧縮構成において1つ(この例のように)又はそれより多くの曲線を有するように構成され得ることを理解されたい。
図7は、ジョー312、314の対向する内向き表面303、305上のクリップ保持部材302、304の両方をそれぞれ示す。外科用クリップ307がジョー312、314の間に位置付けられるように前進されるとき、クリップ保持部材302、304は、クリップ307のレッグ307a、307bに付勢力をそれぞれ印加する。クリップ307が、クリップ保持部材302、304をそれぞれ有するジョー312、314の間に配置されるとき、クリップ保持部材302、304は、図8に示されるように、第1の非圧縮構成から第2の圧縮構成へと移動する。この構成では、クリップ保持部材302、304によってクリップ307に加えられる付勢力は、クリップをジョー内にしっかりと保持する助けとなる。ジョー312とジョー314との間に位置付けられると、クリップ307が成形され得る。図1〜図4Bに関連して上述されたように、ジョー312、314がそれらの間に組織をクランプし、その中に配置されたクリップを成形するとき、クリップスタックの後続クリップ(例えば、図2及び図3のクリップスタック126)は、クリップ前進アセンブリによって前進されてジョー312とジョー314との間に位置付けられ得る。
図6、図7、及び図8に示される実施形態では、第1のジョー312上のクリップ保持部材302、並びに対向する第2のジョー314上のクリップ保持部材304は、第1のジョー312及び第2のジョー314を通じて延在する平面P(図6)の方向(図6の矢印309によって示される)に、クリップのそれぞれのレッグに付勢力を印加するように構成され得る。クリップレッグ307a、307b上のクリップ保持部材302、304によって印加される側方負荷は、ジョー312、314によるクリップ保持を改善する。
クリップ保持部材302、304の代表として論じられるクリップ保持部材302は、任意の所望の様式で付勢力を印加するように構成され得る。例えば、クリップ保持部材302は、ジョーの長さ方向に沿って、同じか又は実質的に同じ強度で付勢力を印加するように構成され得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、クリップ保持部材302によって加えられる付勢力は、ジョー312の長手方向長さに沿って変化し得る。付勢力は、図6に示されるジョー312の長手方向軸Aに沿って好適な様式で変化し得る。例えば、図6に概略的に示されるように、クリップ保持部材302の遠位部分322dは、クリップ保持部材302の近位部分322pよりも柔軟であり得る。これは、クリップが成形されるときにクリップのレッグを互いから所望の距離に維持し、クリップの変形の可能性を低減するのに役立ち得る。
クリップ保持部材302の遠位部分322d及び近位部分322pは、例として示されたものであり、遠位部分及び近位部分は、同じ又は異なる長さを含めて、任意の好適な長さを有し得ることを理解されたい。図6に示される例など、少なくとも1つの実施形態において、クリップ保持部材302の遠位部分322dは、クリップ保持部材302の近位部分322pよりも小さくてもよい。更に、クリップ保持部材302によって加えられる付勢力の強度は、クリップ保持部材302の遠位端302dからクリップ保持部材302の近位端302pに向かって増加するように徐々に変化し得るため、遠位部分322d及び近位部分322pは別個の部分でなくてもよい。クリップ保持部材302の遠位部分322dは、その近位部分322pと比べて、より柔軟であっても、より軟質であっても、あるいはより低い強度で付勢力を印加するように構成されてもよい。付勢力は、クリップ保持部材の弾性、剛性、又は任意の他の特性など、クリップ保持部材の特性に応じて変化し得る。例えば、一実施形態において、クリップ保持部材は、クリップ保持部材の残部の弾性率よりも低い弾性率を有する遠位端を有してもよい。クリップ保持部材の剛直性又は剛性は、近位方向に徐々に変化(例えば、増大)してもよい。
いくつかの実施形態において、追加的に又は代替的に、クリップ保持部材は、その長さ方向に沿って別様にサイズ決め及び付形されてもよい。また、2つのクリップ保持部材302、304が図6、図7、及び図8に関連して記載されているが、外科用クリップアプライヤのジョーのうちの1つのみが、クリップ保持部材を含んでもよいことを理解されたい。更に、いくつかの実施形態において、2つ以上のクリップ保持部材(例えば、2つ、3つ、又は4つ以上)が、外科用クリップアプライヤのジョーのうちの少なくとも1つの内向き表面上に形成又は連結されてもよい。同じ数の又は異なる数のクリップ保持部材が外科用クリップアプライヤの対向するジョー上に配置されてよく、クリップ保持部材は、クリップのレッグに様々な様式で付勢力を印加するように構成され得る。
図6〜図8に関連して上述された実施形態では、クリップ保持部材はクリップガイドチャネルの側方壁部に沿って配置される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのクリップ保持部材は、クリップガイドチャネルのレールの上側及び下側表面に沿って配置された2つのクリップ保持部材の形態をなし得る。しかしながら、少なくとも1つのクリップ保持部材は、クリップガイドチャネルの上側及び下側表面のいずれかの表面上に形成された単一の保持部材の形態をなし得ることを理解されたい。
図9A及び図9Bは、ジョー400内のクリップトラックを画定するレールの内向き表面403上に形成された少なくとも1つの可撓クリップ保持部材402を有する外科用クリップアプライヤのジョー412の実施形態を示す。図9Bに示されるように、ジョー400は、ガイドチャネル406の上側表面408uを画定する上側レールと、ガイドチャネルの下側表面408lを画定する下側レールと、上側表面408uと下側表面408lとの間に延在する側方壁部410と、を含むクリップガイドチャネル406を有する。図示の実施形態において、クリップ保持部材402は、上側表面408a上に配置された第1の可撓クリップ保持部材402a、及び下側表面408b上に配置された第2の可撓クリップ保持部材402bの形態をなしてよく、それによって、第1の可撓クリップ保持部材402a及び第2の可撓クリップ保持部材402bは、それらの間に収容されたクリップ407のレッグの頂部及び底部表面と係合するようになっている。クリップ407は、図5Bのクリップ207と同様であってもよく、あるいは、第1及び第2のレッグを有し、ジョーがそれらの間に組織をクランプするときに成形されるように構成された任意の他のクリップであってもよい。
図9Aは、簡略化のために、クリップ保持部材402a、402bのうちの1つ、すなわちクリップ保持部材402bを示している。外科用クリップアプライヤの対向するジョーは、簡略化のために図9A及び図9Bに示されていないが、対向するジョーはクリップ保持部材402と類似した1つ以上のクリップ保持部材を有し得ることを理解されたい。
図9A及び図9Bに示される実施形態では、少なくとも1つのクリップ保持部材402は、それに付勢力を印加することによってクリップ407を保持する。クリップ407は、クリップ保持部材402a、402bの間に圧入されるか、ないしは別様に解放可能に係合され得る。クリップ保持部材402a、402bのそれぞれは、ジョー400及び対向するジョー(図示せず)を通って延在する平面P1に対して実質的に垂直な方向に、クリップ407のレッグに付勢力を印加するように構成されている。したがって、図9A及び図9Bは、クリップ保持部材402a、402bが、それぞれ矢印409a、409bによって示されるように、平面P1に対して実質的に垂直な対向するそれぞれの方向に、クリップ407のレッグに付勢力を印加することを概略的に示している。このようにして、クリップ407のレッグは、クリップ保持部材402aとクリップ保持部材402bとの間に係合される。クリップ407の別のレッグは、対向するジョー(図示せず)上に配置されたクリップ保持部材間に同様に係合され得る。
ジョー400の内向き表面403上に配置されたクリップ保持部材402a、402bは、任意の好適な構成を有し得る。例えば、それらのそれぞれは、本明細書に前述されたように、ジョー400に沿って長手方向に延在する板ばねの形態をなしてもよい。しかしながら、ジョー上に形成されたクリップ保持部材は、クリップ保持部材間で異なる構成を含めて、任意の好適な構成を有し得ることを理解されたい。更に、いくつかの実施形態において、外科用クリップアプライヤの1つのジョー上に配置された少なくとも1つのクリップ保持部材が、外科用クリップアプライヤの対向するジョー上に配置された少なくとも1つのクリップ保持部材とは異なっていてもよい。クリップ保持部材402a、402bによって加えられる付勢力は、クリップ保持部材302(図6)によって加えられる付勢力が変化し得るのと同様の方式で、ジョー400の長手方向の長さに沿って変化し得る。例えば、少なくとも1つのクリップ保持部材402の遠位部分は、少なくとも1つのクリップ保持部材402の近位部分よりも柔軟であり得る。
上述のように、2つのクリップ保持部材402a、402bが示されているが、いくつかの実施態様において、少なくとも1つのクリップ保持部材402は、ジョーのクリップガイドチャネルの上側及び下側表面のいずれかの表面上に形成された単一の保持部材の形態をなしてもよい。
いくつかの実施形態において、2つ以上のクリップ保持部材が、クリップガイドチャネルなどのクリップトラックに連結されてもよい。複数のクリップ保持部材は、対向するジョーに沿って異なる方式を含めて、様々な方式でジョーに連結され得る。クリップ保持部材は様々に異なっていてもよい。例えば、その全体的な高さが、ジョーの長手方向の長さに沿って変化してもよい。別の変形例として、異なる長さを有するクリップ保持部材が、ジョーの1つ以上の表面に連結されてもよい。
図10は、その内向き表面上に複数のクリップ保持部材を有する外科用クリップアプライヤ500の第1のジョー512及び第2のジョー514の一実施形態を示す。具体的に言えば、図示のように、第1のジョー512は、ジョー512のクリップガイドチャネル506aの側方壁部510aに連結された複数のクリップ保持部材502を有している。同様に、対向する第2のジョー514は、ジョー515のクリップガイドチャネル506bの側方壁部510bに連結された複数のクリップ保持部材504を有している。第1のジョー512及び第2のジョー514の各々は、単に一例として、3つのクリップ保持部材502、504をそれぞれ有するように示されていることを理解されたい。ジョーの間で異なる数を含めて、任意の好適な数(例えば、2つ、4つ以上など)のクリップ保持部材が、外科用クリップアプライヤの対向するジョー上に配置され得る。
図11は、その内向き表面上に複数のクリップ保持部材を有する外科用クリップアプライヤ600の第1のジョー612及び第2のジョー614の一実施形態を示す。この例では、第1のジョー612及び第2のジョー614のそれぞれは、クリップガイドチャネルの上側壁部及び下側壁部上に複数のクリップ保持部材を有している。したがって、図示のように、第1のジョー612は、ジョー612のクリップガイドチャネル606aを画定する上側レール及び下側レールのそれぞれ上側表面608u及び下側表面608lに連結された複数のクリップ保持部材602a、602bを有している。同様に、第2のジョー614は、ジョー614のクリップガイドチャネル606bを画定する上側レール及び下側レールのそれぞれ上側表面609u及び下側表面609lに連結された複数のクリップ保持部材604a、604bを有している。第1のジョー612及び第2のジョー614のそれぞれは、単なる例として、クリップガイドチャネル606a、606bの対応する上側及び下側表面上に3つのクリップ保持部材602a、602b及び604a、604bを有するように示されていることを理解されたい。ジョーの間で異なる数、及び各ジョーのクリップガイドチャネルの上側表面と下側表面と間で異なる数を含めて、任意の好適な数(例えば、2つ、4つ以上など)のクリップ保持部材が、対向するジョーのクリップガイドチャネルの上側及び下側表面上に配置されてよい。
図12は、その内向き表面上に複数のクリップ保持部材を有する外科用クリップアプライヤ700の第1のジョー712及び第2のジョー714の一実施形態を示す。この例では、第1のジョー712及び第2のジョー714のそれぞれは、クリップガイドチャネルの上側壁部、下側壁部、及び側方壁部上に複数のクリップ保持部材を有している。したがって、図示のように、第1のジョー712は、ジョー712のクリップガイドチャネルの上側表面、下側表面、及び側方壁部にそれぞれ連結された複数のクリップ保持部材702a、702b、702cを有している。同様に、第2のジョー714は、ジョー714のクリップガイドチャネルの上側表面、下側表面、及び側方壁部にそれぞれ連結された複数のクリップ保持部材704a、704b、704cを有している。図示の実施形態において、第1のジョー712のクリップガイドチャンネルの上側及び下側表面に配置されたクリップ保持部材702a、702bは、互いに対して整列され、それらは、第1のジョー712のクリップガイドチャンネルの側方壁部上に配置された保持部材702cよりも小さい横方向長さを有している。第2のジョー714のクリップ保持部材704a、704b、704cは、クリップ保持部材702a、702b、702cと同様である。
第1のジョー712及び第2のジョー714のそれぞれは、単なる例として、ジョーのクリップガイドチャネルの対応する上側及び下側表面並びに側方壁部上に3つのクリップ保持部材702a、702b、702c、及び704a、704b、704cを有するように示されていることを理解されたい。任意の好適な数(例えば、2つ、4つ以上など)のクリップ保持部材が、ジョーのクリップガイドチャネルの表面のうちのいずれかの上に配置され得る。
いくつかの実施形態において、上述のように、クリップ保持部材の高さは、ジョーの長手方向長さに沿って変化してもよい。図13は、内向き表面803、805上にクリップ保持部材を有する外科用クリップアプライヤ800の第1のジョー812及び第2のジョー814の一実施形態を示し、ジョーのそれぞれは異なる高さのクリップ保持部材を有している。具体的に言えば、図13に示されるように、第1のジョー812は、クリップガイドチャネル806aの上側表面上に配置された第1のクリップ保持部材802a及び第2のクリップ保持部材802bを有しており、第1のクリップ保持部材802aは第1の高さX1を有し、第2のクリップ保持部材802aは第2の高さX2を有している。クリップ807がジョー812とジョー814との間に配置されたときにクリップ807の内向きのテーパ構成を補正するために、第1の高さX1は第2の高さX2よりも高くされている。
図13の例では、クリップ保持部材802a、802bのそれぞれは、概ね湾曲した形状を有しており、その高さは、湾曲の頂部とジョーのそれぞれの内向き表面との間の距離として測定される。クリップ保持部材は、様々な他の構成を有してよく、その高さは、クリップ保持部材が配置されるジョーの内向き表面から最も遠いクリップ保持部材上の点の距離として定義され得る。図13に示される例では、第1のクリップ保持部材802aの長さは、第2のクリップ保持部材802bの長さよりも長く、クリップ保持部材802a、802bは互いからある距離に配置される。ジョー812の内向き表面803は、互いから任意の好適な距離で配置され得る2つより多いクリップ保持部材を有し得ることを理解されたい。ジョー814の内向き表面805上のクリップガイドチャネル806bは、クリップ保持部材802a、802bと同様に構成され得る第1のクリップ保持部材804a及び第2のクリップ保持部材804aを有している。
外科用クリップアプライヤの対向するジョーは、ジョーの内向き表面に沿って様々な方式で位置付けられる複数のクリップ保持部材を有し得る。図14A及び図14Bは、各ジョーの内向き表面に沿って食違い状にされ、同様に対向するジョーに対しても食違い状にされたクリップ保持部材を有する外科用クリップアプライヤ900の第1のジョー912及び第2のジョー914の一実施形態を示している。したがって、第1のジョー912は、クリップガイドチャネル906aの上側表面908u上にその第1のクリップ保持部材902aを有しており、それらのクリップ保持部材は、クリップガイドチャネル906aの下側表面908l上の第2のクリップ保持部材902bに対して食違い状にされている。第2のジョー914は、そのクリップガイドチャネル906bの上側表面909u上に第3のクリップ保持部材904aを有しており、それらのクリップ保持部材は、クリップガイドチャネル906bの下側表面909l上の第4のクリップ保持部材904bに対して食違い状にされている。また、第1のジョー912の第1のクリップ保持部材902a及び第2のクリップ保持部材902bは、第2のジョー914の第3のクリップ保持部材904a及び第4のクリップ保持部材904bに対して食違い状にされてもよい。ジョーは任意の好適な数のクリップ保持部材を有し得るので、ジョー912、914のそれぞれは、単に例として、ジョーのクリップガイドチャネルの上側及び下側表面上に3つのクリップ保持部材を有するように示されていることを理解されたい。また、クリップ保持部材902a、902b及び904a、904bは内向きに湾曲した部材の形態をなしているが、クリップ保持部材は、任意の他の好適な形状を有してよく、互いに様々な距離で配置されてよい。
図14Cは、外科用クリップアプライヤ940の第1のジョー942及び第2のジョー944の実施形態を示す。この例では、第1のジョー942及び第2のジョー944のそれぞれは、ジョーのクリップガイドチャネルの上側表面、下側表面、及び側方壁部上に形成されたクリップ保持部材を有し、そのクリップ保持部材は、図12に示されるものと同様である。図14Cに示されるように、第1のジョー942は、ジョーの上側表面928u、下側表面928l、及び上側表面928uと下側表面928lとの間に延在する側方壁部930上に形成された第1のクリップ保持部材922a、第2のクリップ保持部材922b、及び第3のクリップ保持部材922cを有している。図示のように、第1のクリップ保持部材922a及び第2のクリップ保持部材922bは、互いに対して食違い状にされており、第1のクリップ保持部材922a及び第3のクリップ保持部材922cは互いに対して整列されている。同様に、図14Cに示されるように、第2のジョー944は、ジョーの上側表面948u、下側表面948l、及び上側表面948uと下側表面948lとの間に延在する側方壁部950上に形成された第4のクリップ保持部材924a、第5のクリップ保持部材924b、及び第6のクリップ保持部材924cを有している。この例では、第4のクリップ保持部材924a及び第5のクリップ保持部材924bは、互いに対して食違い状にされており、第4のクリップ保持部材924a及び第6のクリップ保持部材924cは互いに対して整列されている。同じジョーのクリップガイドチャネルの異なる表面の間で異なる数のクリップ保持部材、及びジョーの間で異なる数のクリップ保持部材を含めて、ジョーは任意の好適な数のクリップ保持部材を有し得るので、9つのクリップ保持部材はジョー942、944のそれぞれの上に単なる例として示されたものであることを理解されたい。
上述のクリップ保持部材は、板ばね又は他の好適な要素の形態をなし得る。記載される実施形態に係るクリップ保持部材は、任意の好適な材料から作製され得る。例えば、クリップ保持部材が弾性的に変形可能となるように、金属、プラスチック、又は材料の任意の好適な組み合わせから作製され得る。クリップ保持部材は、弾性的に変形可能であり得る。いくつかの実施形態において、上述のように、クリップレッグ上のクリップ保持部材によって加えられる付勢力は変化し得る。このようにして、クリップ保持部材の弾性は、その長さ方向に沿って変化し得る。クリップ保持部材は、好適な機構を使用して、任意の好適な方式、例えば、溶接、接着、取り付けによって、ジョーのそれぞれの内向き表面に連結され得る。いくつかの実施形態において、クリップ保持部材は、ジョーの対応する内向き表面と一体的にかつ/又はモノリシックに形成され得る。上述のように、クリップ保持部材は、クリップ保持部材の1つ以上の部分において内向き表面に連結され得る。
外科用クリップアプライヤのジョーによるクリップの保持は、他の様々な方式で改善され得る。例えば、外科用クリップアプライヤのジョーは、ジョーによるクリップの保持並びに組織の通過及び成形に先立つクリップの適切な位置付けを容易にする他の機構を有してもよい。ジョーは、クリップがジョーの間に収容されるように前進されると、クリップが近位に後退する(backing up)ことを防止する1つ以上の機構を有してもよい。そのような機構は、タブであっても、突出部であっても、あるいはジョーによってその上に及ぼされる近位圧力に対するクリップの抵抗を促進する任意の他の種類の機構であってもよい。この機構は、機構が固定構成を有するようにジョー上に配置され得る。代替的に、この機構は、クリップがジョーの間で遠位に前進される際にジョーの表面と面一となるか、あるいはジョーの表面と整列し得るように撓曲可能であってもよく、また、クリップが機構を越えて遠位方向に移動すると欠損してもよい。
例えば、いくつかの実施形態において、外科用クリップアプライヤのジョーのクリップトラックは、クリップが少なくとも1つの可撓タブを越えて遠位方向に移動した後にクリップの近位表面と係合するように構成された少なくとも1つの可撓タブを含んでもよい。したがって、クリップトラック内の少なくとも1つの可撓タブは、クリップトラック内におけるクリップの近位移動を防止する。図15は、ジョー1012、1014の内向き表面にそれぞれ画定されたクリップトラック1006a、1006bに含められる可撓タブ1020、1022を有する、外科用クリップアプライヤ1000のジョー1012、1014の一実施形態を示す。タブ1020、1022は、図15に示されるように、クリップが可撓タブ1020、1022を越えて遠位方向に移動した後にクリップ1007の近位表面1007pと係合するように構成されている。タブ1020、1022は、ジョー1012、1014の遠位端1012d、1014dに向かって欠損するように構成されている。タブ1020、1022は、レッグ1007a、1007bのそれぞれの曲がり部1009a、1009bの近位にあるクリップ1007のレッグ1007a、1007bの領域と係合するように形成されている。タブ1020、1022は、任意の好適な方式でジョー1012、1014上に形成され得る。例えば、タブ1020、1022はジョーに連結されてもよく、あるいはジョー1012、1014と一体的に形成されてもよい。ジョーのクリップトラック内におけるクリップの近位移動を防止すために、任意の他の機構がクリップアプライヤのジョー上に配置され得るので、タブ1020、1022は図15に単なる例として示されたものである。
タブ1020、1022と類似したタブ又は任意の他の構成を有するタブが、クリップ保持部材と共に対向するジョー上に形成され得ることを理解されたい。したがって、図15はクリップ保持部材を示していないが、ジョー1012、1014は、本明細書に記載されるクリップ保持部材のうちのいずれかなどのクリップ保持部材をその上に配置され得る。また、本明細書に記載されるクリップ保持部材のいずれもが、クリップが可撓タブを越えて遠位方向に移動した後にクリップの近位表面に係合するように構成された1つ以上の可撓タブを伴って、クリップアプライヤのジョー上に配置され得る。
いくつかの実施形態において、ジョーのうちの少なくとも1つの内向き表面内に画定されたクリップトラックは、ジョー内に形成された溝又はチャネルの形態をなす。そのようなクリップトラックは、スタンピングすること又は任意の他の好適な技術を用いることによって、ジョーの表面内に形成され得る。しかしながら、他の実施形態では、クリップトラックは、好適な技術を用いてジョーに取り付けられる別個の構成要素であってもよい。このような実施形態において、クリップトラックは、クリップ保持部材として機能し得る。例えば、対向するジョーに面する部分など、ジョーに連結されたクリップトラックの少なくとも一部分は、クリップがジョーの間に配置されるときに撓曲又は変形してクリップのレッグの形状に適合するように構成され得る。製造コスト及び複雑さは、別個のクリップトラックが連結されるジョーを作製するために低減され得る。
図16は、その内向き表面1103にクリップトラック1106を連結された外科用クリップアプライヤのジョー1100を示す。クリップトラック1106は、好適な様式で、例えば、溶接すること、接着剤(例えば、紫外線(UV)硬化性接着剤)を塗布すること、又は取り付け機構(例えば、ピン、リベット、ねじなど)を使用することによって、ジョー1100に取り付けられる別個の構成要素である。この例では、クリップトラック1106は、概ね矩形の長手方向断面を有しており、図16に示されるように、内向き表面1103の長さ方向に沿って配置されている。クリップトラック1106は、ジョー1100及び対向するジョー(図示せず)を通って延在する平面に対して実質的に垂直の方向に、クリップのレッグに付勢力を印加するように構成されている。しかしながら、いくつかの実施態様において、クリップトラック1106は、外科用クリップアプライヤのジョー1100及びその対向するジョーを通って延在する平面の方向に、クリップのレッグに付勢力を印加するように構成される。更に、クリップトラックは、2つ以上の方向に付勢力を印加し得るように構成され得る。更に、クリップトラック1106は、いかなる追加のクリップ保持部材もなしに示されているが、いくつかの実施形態において、クリップトラック1106は、1つ以上のクリップ保持部材を連結されてもよい。
クリップトラック1106は、好適な金属、又は任意の他の好適な材料、又は材料の組み合わせから作製され得る。いくつかの実施形態において、クリップトラック壁の厚さは、約0.003インチ〜約0.030インチの範囲内にあり得る。クリップトラックの厚さは、その長さに沿って実質的に同じであってもよい。いくつかの実施形態において、クリップトラックの厚さは、その長さに沿って変化してもよく、例えば、クリップトラックの遠位端1106dからその近位端1106pに向かって減少してもよい。
図16のクリップトラック1106又は任意の他のクリップトラックなど、別個に形成され、ジョーに取り付けられたクリップトラックは、少なくとも部分的に変形可能であってよく、このことは、いくつかの異なる方式でなされ得る。例えば、クリップトラックは、好適な金属から作製(例えば、スタンピング)されてよく、また、クリップトラックの表面のうちの1つ以上にスタンピングされるかあるいは別様に導入される変形可能な要素(例えば、ばね又は他の変形可能な要素)を有してもよい。図17は、予備成形されたクリップトラック1206の例を示す。クリップトラック1206が変形可能であることを示すために、図17は、製造されたときにクリップトラックの壁が部分的に凹状の形状を意図的に有し、そのため、クリップがこれらのクリップトラック壁の中へと前進されると、クリップに抵抗圧縮圧力が与えられ、それによって凹状の形状が直線状にされることを概略的に示す(矢印1209)。クリップトラック1206は、その表面のうちの1つ以上の上にスタンピングされるか、ないしは別様に導入される1つ以上の変形可能な要素(図示せず)を有し得る。
いくつかの実施形態において、クリップトラックは、その1つ以上の表面上に配置された変形可能な要素を有し得る。クリップトラックは成型(例えば、金属射出成型)されてもよく、クリップのレッグの形状に適合するように撓曲又は変形し得る。図18は、変形可能なタブ1316を有するクリップトラック1306を連結された外科用クリップアプライヤのジョー1300の実施形態を示す。タブ1316は、好適な様式でクリップトラック1306に連結され得る。図示の実施形態において、タブ1316は、位置1311など、クリップトラック1306の近位端1306pにおいて、クリップトラック1306の内向き表面1307上のクリップトラック1306の長手方向長さに沿って延在する。
図19A及び図19Bは、変形可能なタブ1416を有するクリップトラック1406を連結された外科用クリップアプライヤのジョー1400の別の実施形態を示す。図示されたこの例では、タブ1416は、クリップトラック1406の内向き表面1411上に、クリップトラック1406の近位端1406pに隣接して形成される。タブ1416は、クリップトラック1406の長手方向長さの一部分に沿って延在するように比較的小さい。
タブ1316(図18)及びタブ1416(図19A及び図19B)は、それぞれのクリップトラック上の任意の好適な位置に配置され得ることを理解されたい。また、これらのタブのうちの1つ以上が、図15のタブ1020、1022と類似していてもよい。各タブは、任意の好適な様式でクリップトラックに連結され得る。例えば、タブは、クリップトラックの表面に成型されてもよい。更に、いくつかの実施形態において、タブは、クリップトラックと一体的に形成されてもよい。また、2つ以上のタブ又は他のクリップ保持機構がクリップトラック上に形成されてもよい。その特定の構成、サイズ、及びクリップトラックに対する位置にかかわらず、少なくとも1つのタブは、クリップトラックが取り付けられるジョーによるクリップのレッグの適切な保持を支援するように構成される。
クリップ保持部材は、多くの様々な形態を有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、クリップ保持部材は、クリップガイドチャネルに連結され、複数の可撓延長部を有する細長部材の形態をなし得る。例えば、複数の柔軟フィンガーなどの延張部は、クリップをガイドするとともにクリップの適切な位置を維持するために柔軟な支持をもたらすように構成される。図20〜図22は、複数の可撓延長部を有するクリップ保持部材の例を示す。図20は、クリップ保持部材1502を有するクリップガイドチャネル1506を有する外科用クリップアプライヤのジョー1500を示す。図示のように、クリップガイドチャネル1506の側方壁部上に配置され得るクリップ保持部材1502は、クリップ保持部材1502の近位端1502pと遠位端1502dとの間でクリップ保持部材1502の長手方向長さに沿って延在する複数の可撓延長部1511を有している。可撓延長部1511は、例えば、インサート成型によって、接着剤(例えば、紫外線活性化接着剤)を使用して、又は任意の他の好適な様式で、クリップ保持部材1502の本体1509に結合され得るフィンガー又は他の機構であってもよい。代替的に、いくつかの実施形態において、延長部1511は、クリップ保持部材1502の本体1509と一体的に形成されてもよい。可撓延長部1511は任意の好適な長さを有し得る。また、いくつかの実施形態では、図20に示される例と同様に、延長部1511は、クリップの移動の方向に、すなわち、ジョー1500の遠位端1500dに向かって付勢される。
図21は、クリップ保持部材1602を有するクリップガイドチャネル1606を有する外科用クリップアプライヤのジョー1600を示す。図示のように、クリップガイドチャネル1606の側方壁部上に配置され得るクリップ保持部材1602は、クリップ保持部材1602の近位端1602pと遠位端1602dとの間でクリップ保持部材1602の長手方向長さに沿って延在する複数の可撓延長部1611を有している。この例では、可撓延長部1611の長さは、クリップ保持部材1602の長手方向長さに沿って変化する。具体的に言えば、図21に示されるように、延長部1611の長さは、クリップ保持部材1602の近位端1602pからクリップ保持部材1602の遠位端1602dに向かって増加する。延長部1511(図20)と同様に、延長部1611は、クリップがジョー1600と対向するジョー(図示せず)との間に位置付けられるときに、クリップの移動の方向に、ジョー1600の遠位端1600dに向かって付勢され得る。
可撓延長部を有する少なくとも1つのクリップ保持部材が、ジョーのクリップガイドチャネルの上側及び下側表面、並びに側方壁部のうちの1つ以上の上に配置され得る。図22は、ジョー1700の内向き表面のクリップガイドチャネル1706の上側表面1708u上に配置された複数の可撓延長部1711を備えたクリップ保持部材1702を有する外科用クリップアプライヤのジョー1700の例を示す。
図20〜図22に示される可撓延長部、又は記載された技術による他の可撓延長部は、任意の好適な材料から形成され得る。例えば、それらは好適なプラスチックから形成されてもよい。可撓延長部は、エラストマー材料から作製されてもよい。
いくつかの実施形態において、変形可能なクリップ保持部材は、クリップガイドレール表面とは別個のものではなく、むしろ、内向きに斜行する上側及び下側ジョーレールの形態をなしており、その結果、わずかな締まり嵌めがジョーとクリップのレッグとの間に発生し、クリップのレッグは、ジョーガイドレールの側方壁部上で底部に付勢される。したがって、以下でより詳細に論じられるいくつかの実施形態では、外科用クリップアプライヤのジョー及び外科用クリップは、様々な方式で軸方向及び横断方向にテーパ付きにされ得るが、それにより、追加の付勢要素(例えば、ばね)は必要とされない。
いくつかの実施形態において、外科用クリップアプライヤの一方又は両方のジョーによるクリップ保持は、ジョー及び/又はクリップの嵌合機構を用いて、クリップをジョーの少なくとも1つと解放可能に係合させることによって、促進され得る。したがって、いくつかの実施形態において、外科用クリップアプライヤのジョーは、クリップがクリップアプライヤのジョーの間に位置付けられたときに外科用クリップの一部分と係合するように構成されたクリップガイドチャネル内に1つ以上の嵌合機構を有してもよい。例えば、凹部などの嵌合機構が、クリップガイドチャネル内のクリップ曲がり部が配置される位置で、ジョーのクリップガイドチャネル内に形成され得る。したがって、クリップの曲がり部は凹部と嵌合され得るが、それによって、クリップの成形中のクリップ保持が促進され得る。図23Aは、少なくとも第1のジョー1812がジョー1812のクリップガイドチャネル1806の側方壁部1810内の凹部1802の形態をなす嵌合機構を有する、外科用クリップアプライヤ1800の第1のジョー1812及び第2のジョー1814の実施形態を示す。凹部1802は、図23Bに示される外科用クリップ1807の第1のレッグ1807aの曲がり部1809aの位置に対応する位置に側方壁部1810内に形成されている。このようにして、クリップ1807がジョー1812とジョー1814との間に前進されるとき、クリップ1807の曲がり部1809は凹部1802内に受け入れられ得る。図23Aでは不明瞭であるが、第2のジョー1814はまた、その中に同様の嵌合機構を形成されており、その嵌合機構は、クリップ1807の第2のレッグ1807bの曲がり部1809bを受け入れるように構成されている。
図23C〜図23Eは追加的に、外科用クリップアプライヤ1840の第1のジョー1852及び第2のジョー1854の一実施形態を更に示しており、ここで、ジョー1852、1854のそれぞれは、ジョーのクリップガイドチャネルの側方壁部内の凹部1842、1844の形態をなすそれぞれの嵌合機構を有している。凹部1842、1844は、任意の好適な形状を有してよく、図示の実施形態では、クリップの曲がり部に適合するように付形及びサイズ決めされている。第1のジョー1852及び第2のジョー1854は、図23Aのジョー1812、1814と同様であってもよい。したがって、凹部1842、1844は、外科用クリップ1807の第1のレッグ1807aの曲がり部1819aの位置、及び外科用クリップ1807の第2のレッグ1807bの曲がり部1819bの位置に対応する位置に、ジョーそれぞれの側方壁部内に形成されている。図23Cは、未成形の構成でジョーの間に最初に前進されたときにジョー1852とジョー1854との間に配置されたクリップ1807を示す。図23Dは、クリップ1807の成形の中間段階の間(クリップを完全に成形する前)、クリップ1807がダイヤモンド形状になるように、クリップのレッグ1807a、1807bの遠位先端が寄せられていることを示す。凹部1852、1854は、クリップの曲がり部1819a、1819bの追加的な支持を発生させ、したがって、クリップ成形のこの中間段階の間にクリップ1807のいかなる傾斜又は追い出しにも抵抗する。図23Eは、完全に成形された構成でジョーの間に配置されたクリップ1807を示す。
図23A及び図23C〜図23Eにおける1つの凹部1802は単に例として示されたものであり、他の任意の数(例えば、2つ、3つ以上など)の凹部又は他の種類の嵌合機構がジョーの内向き表面上に形成されてよいことを理解されたい。少なくとも1つの凹部は、任意の好適な形状を有してよく、例えば、図示の実施形態においては、クリップの曲がり部の形状に適合する凹部を有してよい。しかしながら、凹部は、任意の他の好適な形状を有してよく、例えば、概ね矩形、卵形、細長形、又は任意の他の断面を有してよく、また、クリップの曲がり部ではないクリップの一部分と係合するように構成されてもよいことを理解されたい。その特定の構成にかかわらず、凹部、又はクリップの一部分と嵌合するように構成された他の嵌合機構は、ジョーの間で移動されるクリップと解放可能に係合し、したがって、クリップ成形前及びクリップ成形中にジョーによるクリップの保持を促進するように構成される。
いくつかの実施形態において、外科用クリップアプライヤのジョーの一方又は両方は、クリップがクリップアプライヤのジョーの間に位置付けられるときに外科用クリップの少なくとも1つの対応する嵌合機構に解放可能に係合するように構成された、クリップガイドチャネル内の少なくとも1つの嵌合機構を有し得る。図24A及び図24Bは、外科用クリップアプライヤ1900の第1のジョー1912の実施形態を示し、ジョー1912は、外科用クリップ1907上に形成された少なくとも1つの対応する雌型嵌合機構と嵌合するように構成された少なくとも1つの雄型嵌合機構を有している。図示のように、外科用クリップアプライヤ1900の両方のジョーを代表する第1のジョー1912は、ジョー1912のクリップガイドチャネル1906の側方壁部1910に形成された長手方向突出部の形態をなす嵌合機構1902を有する。クリップ1907は、その第1のレッグ1907a上に形成された対応する長手方向溝又は凹部1909aを有する。図24Bに示されるように、クリップの第2のレッグ1907bはまた、ジョー1912と反対側のジョーの突出部と嵌合するように構成された長手方向凹部1909bを有する。図24Aに示されるように、クリップ1907が外科用クリップアプライヤ1900のジョーの間に配置されるとき、ジョー1912の長手方向突出部1902は、クリップ1907に形成された凹部1909aと解放可能に嵌合する。この例では、図24Bに示されるように、凹部1909aは、クリップのレッグ1907aのうちの、クリップ成形中にジョーと嵌合する部分の全長に沿って形成される。ジョー1912の長手方向突出部1902の長さは、クリップ1907の凹部1909aの長さに対応してもよいが、任意の好適な長さを有してよい。
図24Aに示されるように、クリップ1907はジョー1912と嵌合し、それによって、間に延在する側方壁部1910(図24Bに示される)を有するジョー1912の上側レール1913及び下側レール1915にクリップ1907が囲まれるようになっている。少なくともいくつかの実施形態において、上側レール1913及び下側レール1915は、ジョー1912に取り外し可能に連結され得る。例えば、上側レール1913及び下側レール1915は、ジョーの本体1911のそれぞれの対向する側部と摩擦係合するように構成され得る。しかしながら、上側レール1913及び下側レール1915は、他の好適な方法でジョー1912に取り外し可能に連結されるように構成され得る。
クリップ1907の凹部1909a、1909bは、多くの様々な形で異なり得る。例えば、凹部1909a、1909bは、概ね矩形の断面を有するものとして示されているが、それらは任意の他の形状を有してもよい。同様に、突出部1902などのジョーの突出部は、図示の実施形態のように矩形の断面を有してもよく、あるいはジョーのそれぞれに形成された突出部は、他の実施形態では他の構成を有してもよい。また、クリップ内の1つの凹部がジョーの突出部と嵌合するように示されているが、いくつかの実施形態では、2つ以上の凹部がクリップのレッグに形成されてもよく、ジョーは、それゆえ、2つ以上の対応する突出部を有することになる。
図24Cは、図24A及び図24Bのクリップアプライヤ1900に類似した外科用クリップアプライヤの第1のジョー1912’及び第2のジョー1914’の別の例を示す。図24Cに示されるように、第1のジョー1912’及び第2のジョー1914’のそれぞれは、外科用クリップ1907’の第1のレッグ1907a’及び第2のレッグ1907b’の対応する凹部と嵌合するように構成されたそれぞれの突出部を有する。
図24Dは、図24A及び図26Bの外科用クリップアプライヤ1900と同様であり、したがって詳細には記載されない外科用クリップアプライヤ1920の第1のジョー1932及び第2のジョー1934の実施形態を示す。図24Dに示されるように、ジョー1932、1934は、クリップ1927の第1及び第2のレッグに形成されたそれぞれの凹部1929a、1929bと嵌合するように構成された、対応する長手方向突出部1922a、1922bをその側方壁部に有する。この例では、第1のジョー1932及び第2のジョー1934は、上側レール及び下側レールなしに示されている。上述のように、レールは取り外し可能であってもよい。したがって、ジョー1932、1934は、レールなしで図24Dに示されているが、ジョー1932、1934は、好適な上側レール及び下側レールと取り外し可能に嵌合するように構成され得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、クリップアプライヤ1920は、上側レール及び下側レールを有さないジョーと共に動作するように構成される。
上述のように、外科用クリップの嵌合機構、及びジョーの対応する(例えば、相補的な)嵌合機構は、様々な構成を有し得る。図24Eは、三角形の断面を有する長手方向突出部の形態をなす雄型嵌合機構1952を有する外科用クリップアプライヤのジョー1942の一実施形態を示す。図示のように、雄型嵌合機構1952は、外科用クリップ1937内の対応する長手方向凹部1939と嵌合するように構成され、凹部1939はまた、三角形の断面を有している。
いくつかの実施形態において、外科用クリップアプライヤのジョーは、少なくとも1つの雌型嵌合機構を有し、外科用クリップのレッグは、対応する雄型嵌合機構を有する。図25Aは、外科用クリップアプライヤ1960の第1のジョー1962及び第2のジョー1964の一実施形態を示す。図25Aに示されるように、第1のジョー1962及び第2のジョー1964は、外科用クリップ1957の第1のレッグ1957a及び第2のレッグ1957bの突出部1959a、1959bの形態をなす対応する雄型嵌合機構と嵌合するように構成された凹部1972a、1972bの形態をなすそれぞれの雌型嵌合機構を有する。この例では、凹部1972a、1972b及び突出部1959a、1959bは、概ね矩形の断面を有する。図25Bは、外科用クリップアプライヤ1960’の第1のジョー1962’及び第2のジョー1964’の一実施形態を示す。図25Aに示されるように、第1のジョー1962’及び第2のジョー1964’は、外科用クリップ1957’の第1のレッグ1957a’及び第2のレッグ1957b’の突出部1959a’、1959b’の形態の対応する雄型嵌合機構と嵌合するように構成された凹部1972a’、1972b’の形態のそれぞれの雌型嵌合機構を有する。この例では、凹部1972a、1972b及び突出部1959a、1959bは、概ね半円形の断面を有する。ジョーの雌型嵌合機構及びクリップ内の対応する雄型嵌合機構は、様々な構成を有し得ることを理解されたい。
いくつかの実施形態において、外科用クリップアプライヤのジョーは、上側レール及び下側レール上に第1及び第2の雌嵌合機構を有し、外科用クリップのレッグは、ジョーの上側レール及び下側レールに面する表面上に形成された対応する雄型嵌合機構を有する。図26は、外科用クリップアプライヤ2200のジョー2212の一実施形態を示す。図示のように、ジョー2212は、その上側レール2201a及び下側レール2201b上に形成された長手方向凹部の形態をなす第1の雌型嵌合機構2202a及び第2の雌型嵌合機構2202bを有する。外科用クリップ2207のレッグは、クリップ2207がクリップアプライヤ2200のジョー2212と対向するジョー(図示せず)との間で前進されるとき、ジョーの雌型嵌合機構2202a、2202bに面する長手方向突出部の形態をなす対応する第1の雄型嵌合機構2209a及び第2の雄型嵌合機構2209bを有する。図26に示されていないクリップ2207の対向するレッグは、同様の雄型嵌合機構を有することを理解されたい。この例では、ジョーの長手方向凹部は、概ね三角形の横断面を有し、クリップの長手方向突出部2202a、2202bもまた、概ね三角形の横断面を有している。
図27は、外科用クリップ2307と嵌合するように構成された外科用クリップアプライヤ2300の第1のジョー2312及び第2のジョー2314の一実施形態を示す。この例では、クリップ2307の第1のレッグ2307a及び第2のレッグ2307bは、それぞれ小さな突出部を有する。したがって、第1のレッグ2307aは、第1のジョー2312の上側レール及び下側レールに面する対向する表面上に第1の長手方向突出部2309a及び第2の長手方向突出部2309bを有し、第2のレッグ2307bは、第2のジョー2314の上側レール及び下側レールに面する対向する表面上に第3の長手方向突出部2309c及び第4の長手方向突出部2309dを有する。突出部2309a、2309b、2309c、2309dは小さいため、クリップ成形中にクリップ2307とジョーとの係合は促進するが、成形されたクリップのジョーからの解放は妨げないようになっている。突出部2309a、2309b、2309c、2309dは、概ね半円形として図27に示されているが、それらは、異なる形状を含めて、任意の他の形状を有してもよい。
図28は、外科用クリップ2407と嵌合するように構成された外科用クリップアプライヤ2400の第1のジョー2412及び第2のジョー2414の一実施形態を示す。この例では、クリップ2407の第1のレッグ2407a及び第2のレッグ2407bは、その対向する上側表面及び下側表面に形成された長手方向凹部をそれぞれ有しており、それらの凹部は、ジョーの上側レール及び下側レール上に形成された対応する長手方向突出部と嵌合するように構成されている。図示のように、第1のクリップレッグ2407aは、第1のジョー2412の上側レール及び下側レールに面する対向する表面上に第1の長手方向突出部2409a及び第2の長手方向突出部2409bを有しており、その第1の長手方向突出部2409a及び第2の長手方向突出部2409bは、第1のジョー2412の上側レール及び下側レール上の対応する第1の凹部2402a及び第2の凹部2402bと嵌合するように構成されている。同様に、第2のクリップレッグ2407bは、第2のジョー2414の上側レール及び下側レール上の対応する第3の凹部2402c及び第4の凹部2402dと嵌合するように構成された第3の長手方向突出部2409c及び第4の長手方向突出部2409dを有する。この例では、クリップの長手方向凹部2409a、2409b、2409c、2409dは、概ね三角形の横断面を有し、ジョーの長手方向突出部2402a、2402b、2402c、2402dもまた、概ね三角形の横断面を有している。
いくつかの実施形態において、上述のように、外科用クリップアプライヤのジョーは、外科用クリップがジョーの間を前進されるときにジョーが部分的に可逆的に変形され得るように、少なくとも部分的に柔軟でありかつ屈曲可能であり得る。追加的に又は代替的に、いくつかの実施形態において、外科用クリップは、ジョーによる保持を改善するために、ジョーの間で前進されるときに変形されるように屈曲可能であり得る。ジョー及び/又はクリップは、追加の付勢要素(例えば、ばね)を必要とせずに付勢力を提供するために、軸方向又は長手方向のみではなく、横断方向にのみテーパ付きにされてもよい。
図29Aは、少なくとも部分的に屈曲可能である外科用クリップ2507と係合するように構成された外科用クリップアプライヤ2500の第1のジョー2512及び第2のジョー2514の一実施形態を示す。したがって、図29Aに示されるように、クリップ2507がジョー2512とジョー2514との間で前進されるとき、クリップの第1のレッグ2507a及び第2のレッグ2507bは、この例においては、ジョー2512、2514の側方壁部2510a、2510bに対して外向きに屈曲するように変形される。この実施形態では、ジョーの上側レール及び下側レールは、内向きにかつ互いに向かって傾斜するか若しくはテーパ付きになっている。したがって、例えば、第1のジョー2512の上側レール2511a及び下側レール2511bは、内向きにかつ互いに向かってテーパ付きになっている。この例では、図示のように、レールのそれぞれは、その幅がジョーの側方壁部から離れる方向に増加するように、横断方向にテーパ付きになっている。したがって、ジョー2512の上側レール2511aは、その幅が側方壁部2510aに隣接する部分からレールの縁部2513に向かって増加するようにテーパ付きになっている。外科用クリップアプライヤ2500のジョーの他のレールも同様に構成される。このようなジョーの横断方向におけるテーパは、追加の付勢要素を必要とせずに、ジョーによるクリップの係合を促進する。クリップ2507は、ジョーの間に(またジョーのそれぞれのレールの間に)圧入されて、ジョーの間に解放可能に保持され得る。クリップ2507が成形されるとき、その構成は、図29Aに示されるようにそのレッグがもはや屈曲しないように変更される。
図29Bは、ジョーが可逆的に変形可能であり、テーパ付きの上側レール及び下側レールを有する、外科用クリップアプライヤ2520の第1のジョー2532及び第2のジョー2534の実施形態を示す。この実施形態では、第1のジョー2532及び第2のジョー2534は、図29Bに示されるように、それらの上側レール及び下側レールが内向きに互いに向かって傾斜するように構成される。しかしながら、図29Bでは、ジョー2532、2534は、単に図示の目的でクリップアプライヤ2520などの実際の外科用クリップアプライヤにおいて傾斜しているよりも大きく傾斜するものとして、概略的に示されていることを理解されたい。また、図29Bに示されるように、ジョーのレールは、それらの幅が横断方向に変化するように、かつ/又はレール全体が横断方向に傾斜するように、テーパ付きであってもよいことに留意されたい。第1のジョー2532及び第2のジョー2534は、それらの上側レール及び下側レールがクリップ2527に向かって付勢されるように構成されている。したがって、この例では、ジョー2532、2534は、ほぼダブテールの形状(上述のように図29Bで誇張されている)を有し、各ジョーの重心は、第2のジョー2534の基準「C」によって示されるように、ジョーの縁部の下方にある。外科用クリップ2527がジョー2532とジョー2534との間を前進されるとき、クリップの第1のレッグ2527a及び第2のレッグ2527aがそれぞれのジョーの上側レールと下側レールとの間へと前進され、上側レール及び下側レールを押しやってわずかに離して、ジョーによって保持されるようにする。したがって、第1のレッグ2527aは、図29Bに示されるように第1のジョー2532の上側レール2521aと下側レール2521bとの間に押し込まれ、第2のレッグ2527bは、第2のジョー2534によって同様に係合される。クリップが成形されると、ジョーはクリップを解放し、元の構成に戻る。
外科用クリップアプライヤのジョーが図29Bに示されるように構成される実施形態では(例えば、各ジョーの上側レール及び下側レールは、内向きにかつ互いに向かって傾斜される)、ジョーは、いくつかの望ましくない状況下でも外科用クリップを保持する。例えば、クリップが(意図せず)回転される場合、ジョーは依然としてクリップを適切に保持し、クリップが成形されるとそのクリップを解放する。図29Cは、クリップが回転されたときのシナリオの一例を示しており、このようなクリップの1つのレッグ2527a’(回転されて概略的に示されている)がジョー2532’によって係合されて示されている。
外科用クリップアプライヤのジョーは、外科用クリップとの様々なテーパ関係をなし得る。図30A〜図30Dは、外科用クリップとの様々なテーパ関係にある外科用クリップアプライヤの例を示す。図30A〜図30Dは、クリップ成形の初期段階中の、クリップがジョーの間に前進された直後であり、ジョーは依然として開放しているがジョーがクリップを保持しているときのクリップアプライヤとクリップを示していることに留意されたい。また、図30A〜図30Dに示される例では、ジョー及び/又はクリップ(又はクリップのレッグなどのその一部分)は、少なくとも部分的にかつ可逆的に変形可能であり得る。
図30Aは、外科用クリップアプライヤ2600の第1のジョー2612a及び第2のジョー2612bの一実施形態を示しており、ジョー2612a、2612bは互いに実質的に平行である。図30Aにも示されるように、ジョー2612aとジョー2612bとの間に配置されて示されている外科用クリップ2607は、そのレッグが互いに対して鈍角θc1に配置されるように構成されている。
図30Bは、外科用クリップアプライヤ2600’の第1のジョー2612a’’及び第2のジョー2612b’の別の実施形態を示しており、ジョー2612a’、2612b’は互いに対して鈍角θj1に配置されている。図30Bにも示されるように、ジョー2612a’とジョー2612b’との間に配置されて示されている外科用クリップ2607’は、そのレッグが互いに対して鈍角θc2に配置されるように構成されており、ここで角度θc2は、ジョー2612a’とジョー2612b’との間の角度θj1よりも大きい。
図30Cは、外科用クリップアプライヤ2600’’の第1のジョー2612a’’及び第2のジョー2612b’’の別の実施形態を示しており、ジョー2612a’’、2612b’’は互いに対して鋭角θj2に配置されている。図30Bはまた、ジョー2612a’’とジョー2612b’’との間に配置されて示されている外科用クリップ2607’’を示しており、そのレッグが互いに対して実質的に平行に配置されるように構成されている。
図30Dは、外科用クリップアプライヤ2800の第1のジョー2812及び第2のジョー2814の別の実施形態を示しており、第1のジョー2812及び第2のジョー2814は近位でテーパ付きにされ、外科用クリップ2807はジョーの間に配置されて示され、クリップは、同様に近位でテーパ付きにされている第1及び第2のレッグを有している。
クリップの保持及び整列を促進する様々なクリップ保持部材及び他の機構が、外科用クリップアプライヤ1(図1〜図4B)などの任意の好適な構成を有する外科用クリップアプライヤ、又は任意の他のクリップアプライヤの少なくとも1つのジョー上に形成され得る。本明細書に開示される様々なクリップ保持機構は、本願と同日に出願され、「Jaw For Clip Applier」と題された米国特許出願第[]号(代理人整理番号第47364−312F01US号、第END8265USNP号)において開示されているように、様々な他の構成を有してもよく、この特許出願は、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。クリップアプライヤの特定の構成にかかわらず、クリップ保持部材は、クリップをジョーと整列した状態に維持し、したがって、クリップの適切な成形を確実にするのに役立つ。
図31A及び図31Bは、第1のジョー2012及び第2のジョー2014を有する外科用クリップアプライヤ2000を使用して外科用クリップを組織に適用するための方法の一実施形態を示す。外科用クリップアプライヤ2000は、例えば、外科用クリップアプライヤ100(図1〜図4B)と類似したものでもよく、あるいは任意の他の構成を有してもよい。その特定の構成にかかわらず、外科用クリップアプライヤ2000は、外科手術中に手術部位において、血管、管、シャントなどの組織に外科用クリップを適用するために使用され得る。外科用クリップは、部分的に又は完全に閉鎖した構成で適用され得る。
腹腔鏡手術及び内視鏡手術では、手術部位へのアクセスを得るために、小さな切開部が患者の体内に形成される。皮膚切開部から手術部位まで延在する作業チャネルを画定するために、カニューレ又はアクセスポートが使用され得る。外科手術中に血管又は他の管を通る血流を停止することが必要となる場合があり、したがって、いくつかの処置はシャントの使用を必要とする場合がある。したがって、外科用クリップは、血管をクリンプするために、あるいはシャントを血管に固定するために使用され得る。
したがって、クリップアプライヤ2000などの外科用クリップアプライヤは、カニューレを通して導入されるか、ないしは別様に手術部位に導入され得る。第1のジョー2012及び第2のジョー2014は、図31Aに示されるように、第1のジョー2012と第2のジョー2014との間に組織2001(例えば、血管、シャント、又は他の種類の組織)を位置付けるように操作され得る。第1のジョー2012及び第2のジョー2014のそれぞれは、それらのジョーの中に形成され、ジョーの内向き表面に画定されたそれぞれのクリップトラックを有し得る。クリップトラックは、例えば、クリップガイドチャネル206(図5A)、クリップガイドチャネル306(図6)、又は任意の他の構成を有するクリップトラックなどのクリップガイドチャネルであり得る。いくつかの実施形態では、図16及び図17に関連して上述されたように、クリップトラックは、ジョーに連結された別個の要素であり得る。
第1のジョー2012及び第2のジョー2014のクリップトラックは、それらの中に配置された弾性クリップ保持部材2002、2004をそれぞれ有することができ、それらの弾性クリップ保持部材は、図31Aに第1の非圧縮構成として示されている。クリップ保持部材2002、2004は、本明細書に記載されたクリップ保持部材のうちのいずれかであってよい。クリップ保持部材2002、2004は、クリップガイドチャネルの上側表面と下側表面の一方又は両方及び側方壁部上に形成され得る。クリップ保持部材は、板ばね、他の変形可能な要素(例えば、弾性変形可能な要素)、又は任意の他の種類の要素であり得る。いくつかの実施形態において、ジョー2012、2014のうちの少なくとも1つは、クリップトラックにおけるクリップの近位移動を防止し得る少なくとも1つの可撓タブをクリップトラック内に有してもよい。いくつかの実施形態において、ジョー2012、2014のうちの少なくとも1つは、例えば、図23A〜図30Dに示されるように、クリップの対応する機構と嵌合するように構成された機構を有してもよい。ジョーによるクリップ保持を促進し、ジョーに対するクリップの整列を維持するために、ジョー及びクリップ上に任意の他の機構が形成されてもよい。
図31Aに示されるように、組織2001が第1のジョー2012と第2のジョー2014との間に位置付けられた後、クリップアプライヤ2000は、(例えば、図1のクリップアプライヤ100のトリガ106などのトリガを使用して)作動され、第1のジョー2012及び第2のジョー2014を開放位置から閉鎖位置へと移動させ、第1のジョー2012及び第2のジョー2014内に形成されたクリップトラック内に位置付けられたクリップ2007を変形させ、それによってクリップ2007のレッグの間に組織2001を係合させ得る。変形された構成で図31Bに概略的に示されたクリップ2007は、クリップアプライヤ2000の細長シャフト2018を通って延在するクリップ前進アセンブリによって、遠位方向にジョー2012、2014の中へと前進させられている。第2の圧縮構成で図31Bに示された第1のジョー2012及び第2のジョー2014のクリップ保持部材2002、2004はそれぞれ、ジョー2012、2014が開放位置から閉鎖位置に移動されるときに、クリップ2007をジョー2012、2014と整列させて維持するために、クリップ2007に付勢力を印加する。次いで、トリガが解放されて、閉じられたクリップ2007(部分的に若しくは完全に閉じられ得る)が解放され得るが、細長シャフト2018内に配置され得る追加のクリップを適用するために必要であれば、手順が繰り返され得る。
いくつかの事例において、少なくとも1つのクリップ保持部材をそのジョーのうちの少なくとも1つに有する外科用クリップアプライヤの複数回の使用の後、クリップ保持部材及び/又はクリップと相互作用するジョーの一部分のクリップ保持強度が低下し得る。これは、疲労による材料の経時的な劣化、又は、クリップ、ステープル、若しくは他の硬質な構造(例えば、別の外科用ツール)から受ける損傷が原因で引き起こされ得る。したがって、いくつかの実施形態において、クリップ保持強度が回復されるようにクリップ保持部材の「修復」を可能にする技術が提供される。例えば、外科用クリップアプライヤのジョーの少なくとも一部分、又はクリップ保持部材が、自己修復特性を有し、したがって機械的損傷に耐性を有するポリ(ウレアウレタン)(PUU)材料から形成されてもよい。PUU材料、又は任意の他の好適なポリマー自己修復材料は、人の介入を一切伴わずに、損傷を自動的に修理する能力を有する。自己修復材料は、それらの物理的特性及び機械的特性を完全に又は部分的に回復することができ、このことは外部刺激(例えば、触媒)を利用して行われてもよく、あるいは損傷は自発的に修復され得る。このようにして、クリップ保持部材又はクリップを保持する働きをするジョーの任意の部分が、そのような自己修復材料から形成されると、経時的な装置性能の劣化が低減される。加えて、PUU材料は生体適合性材料であり、したがって外科用途に好適である。
図32〜図34は、それぞれの第1のクリップ保持部材2102及び第2のクリップ保持部材2104を有する外科用クリップアプライヤ2100の第1のジョー2112及び第2のジョー2114の一実施形態を示す。この例では、クリップ保持部材2102、2104のそれぞれは、それぞれのジョーに連結されたクリップトラックの形態をなしている。第1のクリップ保持部材2112のクリップトラック2106aは、上側壁部2108uと、下側壁部2108lと、上側壁部2108uと下側壁部2108ulとの間に延在する側方壁部2110と、を有する。第2のクリップ保持部材2114は、同様のクリップトラック2106aである。クリップ保持部材2102、2104は、任意の好適な形状及びサイズを有し得るものであるため、図32には単に例として示されていることを理解されたい。例えば、本明細書に記載されるクリップ保持部材のいずれもが、追加的に又は代替的に使用され得る。クリップ保持部材2102、2104は、プラスチックエラストマー又は他の弾性材料から作製された別個の部材であってもよく、それらは好適な様式でジョー2112、2114に連結され得る。
この実施形態において、クリップ保持部材2102、2104のそれぞれの少なくとも一部分は、PUU又は他の自己修復材料などの自己修復材料を含む。例えば、各クリップ保持部材の表面のうちの対向するジョーに面する少なくとも一部分が自己修復材料から形成されるように、クリップ保持部材2102、2104がそのような材料でコーティングされてもよい。別の変形例として、クリップ保持部材2102、2104は、自己修復材料から少なくとも部分的に形成され得る。また、クリップアプライヤのジョーの部分(例えば、ジョーの内向き表面)がクリップ保持機構として機能する実施形態では、ジョーのこれらの部分は、例えばPUUなどの自己修復材料から形成され得る。
図33は、ジョーを形成するために使用される自己修復材料がどのようにして、クリップが不適切に成形されたときにジョーに対する損傷を緩和し得るかの例を示す。この例では、第1のクリップ2107が組織の周囲に形成された後、第2のクリップ2109は、既に成形された第1のクリップ2107の上に(組織上ではなく)意図せずに適用される。図示のように、ジョー2112、2114は、先に適用されたクリップ2107を有する組織2101の上に位置付けられる。次いで、ジョー2112、2114のクリップトラック2106a、2106b内に配置されたクリップ2109を成形するために、クリップアプライヤ2100は、ジョー2112、2114が組織2101及びクリップ2107の上にクランプされるように作動される。クリップ2109を組織2100及びクリップ2107の上に発射する間、クリップ2109がクリップ保持部材2102、2104の表面に対して押圧されて、クリップ2109に付勢力が印加される。したがって、クリップ保持部材2102、2104に対する損傷は、例えば、図33に概略的に示されるように、保持部材2102、2104の表面に対する損傷2113、2115、2117の形態で生じ得る。損傷領域2113、2115、2117は、第2のクリップ2109が成形済みのクリップ2107に被さって成形されることによって、かき傷、割れ、破損、欠け、へこみ、又はそれ以外の影響を受けることがあり、その結果、クリップ保持部材の構造的な完全性が、したがって性能が損なわれることになる。
図示の実施形態において、クリップ保持部材2102、2104は、PUU又は他の自己修復材料でコーティングされるか、あるいは少なくとも部分的にそれらから作製されるため、損傷した材料がその元の(損傷前の)状態に少なくとも部分的に戻るように、保持部材2102、2104に対する損傷2113、2115、2117は自己修復し得る。図34は、損傷区域2113、2115、2117(図33に示される)が復元され、したがって、図28の位置2113’、2115’’、2117’’として標識されていることを示す。このようにして、クリップ保持部材のクリップ保持強度の低下が防止又は排除される。本明細書に記載された任意のクリップ保持部材、又は任意の他のクリップ保持部材は、少なくとも部分的に、PUU又は他の自己修復材料から作製されてもよく、あるいはそれらを含み得ることを理解されたい。このようにして、使用中にクリップ保持部材に生じ得る損傷は修理され得る。
当業者であれば、本明細書に開示される装置、システム、及び方法は、従来の低侵襲性手術器具、及び開放手術器具に適用され、同様にロボット支援式手術に適用されることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される装置、システム、及び方法は、切開外科的処置のために提供され、他の実施形態では、装置、システム、及び方法は、腹腔鏡処置、内視鏡的処置、及び他の低侵襲性外科的処置のために提供される。これらの装置は、人間のユーザによって直接発射されるか、又はロボット若しくは類似の操作ツールの直接制御下でリモート発射されてよい。しかしながら、当業者は、本明細書に開示される様々な方法、システム、及び装置が、多数の外科的処置及び用途で用いられ得ることを理解するであろう。本明細書で開示される様々な器具が、例えば、自然開口部を通して、組織に形成された切開又は穿刺孔を通して、又はトロカールカニューレなどのアクセス装置を使用してなどの、何らかの方法で体内へ挿入され得ることを当業者は更に認識するであろう。例えば、これらの器具の作動部分、すなわちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接に挿入され得る、又は、手術用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトが内部を通過することが可能な作業チャンネルを有するアクセス装置を介して挿入され得る。
本明細書に開示される装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整には、装置の分解工程、それに続く洗浄工程又は特定の部品の交換工程、及びその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができる。特に、装置は分解することができ、装置の任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、装置を後の使用のために、再調整施設で、又は外科手技の直前に外科チームによってのいずれかで再組み立てることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。こうした技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
当業者には、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明される内容により限定されるものではない。本明細書において引用されている全ての刊行物及び参照文献は、それらの全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれている。
〔実施の態様〕
(1) 外科用クリップアプライヤであって、
遠位端に第1及び第2のジョーを有する細長シャフトであって、前記第1及び第2のジョーはそれらの間に組織を係合するために開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である、細長シャフトと、
前記細長シャフトを通って延在するクリップ前進アセンブリであって、前記細長シャフトを通して複数のクリップを前進させるように、かつ前記第1及び第2のジョーの中へと最遠位クリップを前進させるように構成されている、クリップ前進アセンブリと、を備え、
前記第1及び第2のジョーは対向する内向き表面を有し、各内向き表面は、クリップのレッグを前記第1及び第2のジョーの中に受け入れて案内するために、前記内向き表面に沿って形成されたクリップガイドチャネルを有し、前記第1及び第2のジョーのうちの少なくとも一方の前記クリップガイドチャネルは、その中に配置された少なくとも1つの可撓クリップ保持部材を含んでおり、前記可撓クリップ保持部材は、前記第1及び第2のジョー内に配置されたクリップのレッグに付勢力を印加し、それによって前記第1及び第2のジョー内に前記クリップを保持するように構成されている、外科用クリップアプライヤ。
(2) 前記少なくとも1つの可撓クリップ保持部材は、前記第1及び第2のジョーを通って延在する平面に対して実質的に垂直な方向に、クリップのレッグに前記付勢力を印加する、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(3) 前記少なくとも1つの可撓クリップ保持部材は、前記第1及び第2のジョーを通って延在する平面の方向に、クリップのレッグに前記付勢力を印加する、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(4) 前記少なくとも1つの可撓クリップ保持部材は、前記第1及び第2のジョーのうちの少なくとも一方の長手方向長さに沿って延在し、前記少なくとも1つの可撓クリップ保持部材によって加えられる前記付勢力は、前記長手方向長さに沿って変化する、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(5) 前記少なくとも1つの可撓クリップ保持部材は弾性変形可能である、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(6) 前記少なくとも1つの可撓クリップ保持部材は板ばねを含む、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(7) 前記クリップガイドチャネルは、上側表面と、下側表面と、前記上側表面と前記下側表面との間に延在する側方壁部と、を含んでおり、前記少なくとも1つの可撓クリップ保持部材は、前記側方壁部上に配置され、対向する前記ジョーに向かってクリップのレッグを付勢する、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(8) 前記クリップガイドチャネルは、上側表面と、下側表面と、前記上側表面と前記下側表面との間に延在する側方壁部と、を含んでおり、前記少なくとも1つの可撓クリップ保持部材は、前記上側表面上に配置された第1の可撓クリップ保持部材と、前記下側表面上に配置された第2の可撓クリップ保持部材と、を含み、それによって、前記第1及び第2の可撓クリップ保持部材は、それらの間のクリップのレッグと係合するようになっている、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(9) 前記クリップガイドチャネルは、少なくとも1つの可撓タブを更に含み、前記少なくとも1つの可撓タブは、クリップが前記少なくとも1つの可撓タブを越えて遠位方向に移動した後に、前記クリップの近位表面と係合するように構成されている、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(10) 前記少なくとも1つの可撓クリップ保持部材の少なくとも一部分は自己修復材料を含む、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(11) 外科用クリップアプライヤであって、
細長シャフト、並びに前記細長シャフトの遠位端上の第1及び第2のジョーであって、前記第1及び第2のジョーは、それらの間に組織を係合するために、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、前記第1及び第2のジョーは、前記ジョーの中にクリップを受け入れて案内するためのクリップトラックを画定する内向き表面と、前記第1のジョー及び第2のジョーのうちの一方の前記クリップトラック内に配置された少なくとも1つの圧縮可能なクリップ保持部材と、を有する、細長シャフト、並びに第1及び第2のジョーと、
前記細長シャフトを通って延在しており、前記細長シャフトを通して複数のクリップを遠位に前進させるように、かつ前記第1及び第2のジョー内の前記クリップトラックの中に前記複数のクリップのうちの最遠位クリップを前進させるように構成されたクリップ前進アセンブリであって、前記少なくとも1つのクリップ保持部材は、前記最遠位クリップが前記クリップトラックの中へと前進されるときに、第1の非圧縮構成から第2の圧縮構成へと移動するように構成されている、クリップ前進アセンブリと、を備える、外科用クリップアプライヤ。
(12) 前記少なくとも1つのクリップ保持部材の遠位部分は、前記少なくとも1つのクリップ保持部材の近位部分よりも柔軟である、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
(13) 前記少なくとも1つのクリップ保持部材は、前記クリップトラックの側方壁部上に配置され、前記側方壁部は、前記クリップトラックの上側壁部と下側壁部との間に延在する、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
(14) 前記少なくとも1つのクリップ保持部材は、前記クリップトラックの上側壁部、下側壁部、及び側方壁部のうちの少なくとも1つに配置され、前記側方壁部は、前記上側壁部と前記下側壁部との間に延在する、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
(15) 前記少なくとも1つのクリップ保持部材は、前記クリップトラックの上側壁部上に配置された第1の保持部材と、前記クリップトラックの下側壁部上に配置された第2の保持部材とを含み、それによって、前記第1及び第2の保持部材は、それらの間のクリップのレッグと係合するように構成されている、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
(16) 前記少なくとも1つのクリップ保持部材は、前記第1及び第2のジョーのうちの少なくとも1つに沿って長手方向に延在する板ばねを含む、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
(17) 前記クリップトラックは、少なくとも1つの可撓タブを更に含み、前記少なくとも1つの可撓タブは、クリップが前記少なくとも1つの可撓タブを越えて遠位方向に移動した後に、前記クリップの近位表面と係合するように構成されている、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
(18) 前記クリップ保持部材のうちの少なくとも1つの一部分が、ポリ(ウレアウレタン)を含む自己修復材料を含む、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(19) 外科用クリップを組織に適用するための方法であって、
クリップアプライヤ上の第1のジョーと第2のジョーとの間に組織を位置付けるように前記第1及び第2のジョーを操作することと、
前記第1及び第2のジョーを開放位置から閉鎖位置へと移動させて、前記第1及び第2のジョーのそれぞれに形成されたクリップトラック内に位置付けられたクリップを変形させ、それによって、前記クリップのレッグ間の前記組織と係合するように、前記クリップアプライヤを作動させることであって、前記第1及び第2のジョーのうちの少なくとも1つの中の前記クリップトラック内に配置された少なくとも1つの弾性クリップ保持部材は、前記ジョーが前記開放位置から前記閉鎖位置へと移動されるときに、前記クリップに付勢力を印加して、前記クリップを前記第1及び第2のジョーと整列した状態に維持する、ことと、を含む、方法。
(20) 前記クリップトラック内の少なくとも1つの可撓タブが、前記クリップトラック内での前記クリップの近位移動を防止する、実施態様19に記載の方法。