JP2020528283A - 臨床的管理プロトコール - Google Patents

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Abstract

本発明は、概して、ヒトおよび動物対象における創傷治癒と関連する、瘢痕化または潜在的瘢痕化の程度を管理する臨床的プロトコールにおける使用のためのアッセイに関する。アッセイは、線維芽細胞のアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングすることによる、線維症と関連する異常瘢痕形成の尤度の評価を含む。治療計画は、異常瘢痕形成のリスクを有する対象に提案する。本発明は、表面的創傷および内部的創傷に適用可能である。

Description

本出願は、「治療および予防の方法」と題する2016年9月6日出願の米国仮特許出願第62/373,916号、および「臨床的管理プロトコール」と題する2017年4月20日出願の米国仮特許出願第62/487,667号と関連し、その優先権を主張する。これらの全内容は、本明細書において参照により全体において組込まれる。
本発明は、概して、ヒトおよび動物対象における創傷治癒と関連する、瘢痕化または潜在的瘢痕化の程度を管理する臨床的プロトコールにおける使用のためのアッセイに関する。アッセイは、線維症と関連する異常瘢痕形成の尤度の評価を含む。治療計画は、異常瘢痕形成のリスクを有する対象に関して提案される。本発明は、表面的創傷および内部的創傷に適用可能である。
本明細書において著者により参照される公知文献の文献情報は、本説明の終わりにアルファベット順にまとめる。
任意の先行公表文献(もしくはこれに由来する情報)、または既知の任意の記事に本明細書において言及する場合、先行公表文献(もしくはこれに由来する情報)または既知の記事が、本明細書と関連する注力分野における一般常識の一部を形成するという、承認もしくは許可または任意の形態の示唆として解釈されず、また解釈されるべきではない。
創傷治癒は、絡み合った時間空間関係を有する複雑で多面的な過程であり、炎症期、増殖期および再構築期を含む(Guoら(2010)Journal Dent Res 89:219〜229;Shihら(2010)Wound Repair Regeneration 18:139〜153)。創傷治癒の一部の態様は、異常な症状、例えば、炎症、細胞の遊走および増殖、血管新生、新血管新生、肉芽組織の形成、ならびにコラーゲンの沈着における異常を生じ得る(Usuiら(2008)Journal of Histochem Cytochem 56:687〜696;Mustoeら(2004)Amer Journal Surgery 187:655〜705)。線維症は、結合組織の肥厚の後、しばしば、損傷の後および創傷治癒過程の間に発症する。増殖因子、例えば、アクチビンおよびサイトカインが、一般に関与する。
アクチビンは、形質転換増殖因子(TGF)βスーパーファミリーのメンバーである。アクチビンが高発現すると、創傷治癒が加速される一方で、このように創傷治癒が加速すると、創傷部位において線維症が発症し得る。
ケロイドは、創傷治癒の間および後に線維症によって引き起こされる良性型の腫瘍である。ケロイドは、線維芽細胞の過剰集合を特徴とし、これにより、細胞外基質(ECM)、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチンおよびプロスタグランジンの過量の成分が沈着する。ケロイドまたはケロイド状の瘢痕(Rapiniら(2007)Dermatology:全2巻、セントルイス、Mosby社、1499ページ)は、治癒する創傷の部位において形成し、肉芽組織の過剰増殖の結果として生じ、一般に、III型(初期)コラーゲンを含み得る。経時的に、このコラーゲンは、I型(後期)コラーゲンにより置き換えられる。ケロイド瘢痕は良性である一方で、これにより、冒された対象の外観を損ない、対象に不快感を与え得る。
ケロイドの治療は、複雑かつ困難であり、年齢依存性、原因依存性であり、予防的治療から介入的治療の範囲に及び、レーザー療法、コルチコステロイド、加圧療法、手術、放射線療法またはこれらの組合せを含み得る(Amoら(2014)BUMS 40(7):1255〜1266;Gauglitzら(2011)Molecular Medicine 17(1〜2):113〜125;Andrewsら(2016)Matrix Biology 51:37〜46)。
対象が、創傷治癒の線維性態様と関連する異常な瘢痕化を示す可能性があるかどうか、を予測する方法を開発する必要性が存在する。このような方法では、臨床的管理プロトコールによる計画によって、異常瘢痕の形成またはこれが形成する潜在性の最小化または緩和を推進することが可能となる。
本発明では、創傷治癒と関連する異常瘢痕形成を低減させる臨床的管理プロトコールにおける使用のためのアッセイを教示する。創傷は、外部的(真皮の)または内部的創傷であり得る。アッセイは、「瘢痕予測性試験」または「ケロイド/肥厚性瘢痕治療試験」と呼び、創傷治癒過程に対する対象の応答または予想される応答を評価し得る。試験の目的は、予想されるケロイドまたは肥厚性瘢痕のアウトカムと関連する、ヒトおよび動物対象における応答パターンを認識することである。試験ではまた、創傷の周囲の既に形成された瘢痕および治癒領域の評価が可能となり、これにより、治療プログラムを推進して、予測可能なアウトカムの向上をもたらすことができる。瘢痕予測性試験は、真皮線維芽細胞、および内部線維芽細胞を含む他の線維芽細胞の、アクチビンに対する経時的な感受性のレベルに基づく。一般には、線維芽細胞を含む生検試料をアッセイにおいて使用する。線維芽細胞のアクチビンに対する感受性は、瘢痕化の予想されるレベル、または既に形成した瘢痕の治療に対する傾向の基準である。ある実施形態では、高感受性は、有害な線維性瘢痕形成の尤度が高いことを示す。低感受性は、異常または過剰な瘢痕形成の尤度が低くなることの指標である。「異常瘢痕形成」は、ケロイドの発症および肥厚性瘢痕化を含む。アッセイは、外部的(真皮の)創傷および瘢痕化、ならびに、例えば、腸、尿路または他の解剖学的部位の周囲の内部的創傷および瘢痕化に適用可能である。
したがって、瘢痕予測性試験は、ある実施形態では、ケロイド/肥厚性瘢痕治療試験である。試験に基づいて、異常瘢痕形成を示す可能性のある対象は、アクチビン阻害剤、例えば、それらに限定されないが、TGF−βアンタゴニスト、または転写因子である活性化タンパク質1(AP−1)ファミリーメンバーの阻害剤により治療する。「TGF−βアンタゴニスト」としては、TGF−β1、2および3アンタゴニストが挙げられる。実施例では、TGF−βアンタゴニストは、フォリスタチン、PB−01(Paranta Biosciences Ltd社、ビクトリア州、豪国)またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォーム、あるいはAP−1阻害剤である。ある実施形態では、AP−1阻害剤は、Jun(v−Jun、c−Jun、Jun−8もしくはJunD)、Fos(v−Fos、c−Fos、FosB、Fra1もしくはFra2)、ATF(ATF2、ATF3/LRF1、B−ATF、JDP1もしくはJDP3)、および/またはMAF(c−MAF、MAFB、MAFA、MAFG/F/KもしくはNcl)のうちのいずれか1つまたは複数を阻害する。他の有用なアンタゴニストとしては、cAMP応答エレメント結合(CREB)タンパク質の阻害剤およびプロスタグランジンE2(PGE2)の阻害剤が挙げられる。したがって、瘢痕予測性試験を開発することにより、臨床的管理プロトコールを発展させることが可能となり、ケロイドまたは肥厚性瘢痕化を含む異常瘢痕形成の発症率またはリスクが低下する。このプロトコールは、既存の瘢痕にも使用することができる。
したがって、本発明では、異常瘢痕発症の尤度が高いことを示す瘢痕予測性試験結果を有する対象における線維症、例えば、皮膚または皮膚の下層あるいは内部組織の線維性症状を治療するアクチビン阻害剤の適用を教示する。本発明は、異常瘢痕発症を予防するか、または既存の異常瘢痕を治療する、アクチビン阻害剤の適用に及ぶ。ある実施形態では、アクチビン阻害剤は、TGF−βアンタゴニストおよびAP−1阻害剤からなる群から選択される。ある実施形態では、TGF−βアンタゴニストは、フォリスタチン、PB−01またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォーム、あるいはAP−1阻害剤である。線維症の治療としては、線維症と関連する炎症的様相の治療、例えば、線維性症状の発症を未然に防ぐ治療が挙げられる。
したがって、対象の創傷または潜在的創傷の部位における瘢痕形成の予想される程度を評価するアッセイであって、方法は、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位の線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップを含み、ここで、対照と比較して高い感受性が、異常瘢痕発症の尤度を示し、対照と比較して低いアクチビン感受性が、非異常瘢痕発症の尤度を示す、アッセイを本明細書において教示する。上記に示すように、「異常瘢痕発症」への言及としては、線維性症状、例えば、それらに限定されないが、ケロイドおよび/または肥厚性瘢痕の形成が挙げられる。試料は、実施形態において、真皮線維芽細胞または内部部位の線維芽細胞を含む、生検を含む。内部部位は、例えば、外科手術後の、創傷または潜在的創傷の部位を含む。瘢痕は、潜在的瘢痕または既存の瘢痕であり得る。感受性のレベルは、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/またはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標に基づく。ある実施形態では、種々の濃度のアクチビンに対する応答は、経時的に測定する。
異常瘢痕発症の尤度が存在する場合、または異常瘢痕が発症した場合は、臨床的管理治療プロトコールを実行する。試験により、異常瘢痕形成の認識のパターンがもたらされる。これは、例えば、生検を含む外科手術に起因する、表面的および内部的創傷または潜在的創傷に適用可能である。対象の創傷または潜在的創傷の部位における異常瘢痕形成の予想される程度を評価する臨床的管理プロトコールであって、方法は、対象の治癒領域由来の線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標における、対照と比較した急速な変化が、異常瘢痕発症の尤度を示し、発現プロファイルにおける対照と比較した緩徐な変化が、非異常瘢痕発症の尤度を示す、プロトコールを本明細書において可能とする。
対象における線維症の治療のための方法であって、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位の線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する感受性のレベルについてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに対して対照と比較して高感受性を示す対象として選択された対象に、アクチビン阻害剤を、線維症の作用を低減させるのに十分な時間および条件下で投与する、方法を本明細書において教示する。投与は、局所適用および注射による投与、または好都合な他の任意の方法による投与を含む。「注射」は、静脈内投与を含む。本明細書においては、ある実施形態において、非経口投与を包含する。さらに、対象における線維症と関連する炎症性症状の治療であって、方法は、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位の線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する感受性のレベルについてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに対して対照と比較して高感受性を示す対象として選択された対象に、アクチビン阻害剤を、炎症の作用を低減させるのに十分な時間および条件下で投与する、治療を本明細書において教示する。ある実施形態では、線維症は、創傷または皮膚症状と関連し、アクチビン阻害剤は、創傷もしくは皮膚症状に、またはこの付近に適用する。ある実施形態では、線維症は、内部的創傷と関連する。ある実施形態では、アクチビン阻害剤は、TGF−βアンタゴニスト、AP−1阻害剤、cAMP応答エレメント結合(CREB)タンパク質の阻害剤またはプロスタグランジンE2(PGE2)の阻害剤である。上記に示すように、TGF−βアンタゴニストとしては、TGF−β1、2および3アンタゴニストが挙げられる。例として、TFGβアンタゴニストは、フォリスタチン、PB−01またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォーム、あるいはAP−1阻害剤である。ある実施形態では、対象は、ヒトであるが、本発明では、非ヒト動物の治療に及ぶ。したがって、本発明は、ヒトへの適用および獣医学的適用を含む。線維症または線維症と関連する炎症性症状は、手術による外傷または損傷と関連する線維症、デュピュイトラン拘縮などのデュピュイトラン病、微生物またはウイルスによる感染部位、虫刺れ、面皰、または潰瘍、乾癬、限局性またはびまん性強皮症を含む他の皮膚病変、湿疹、擦過痕、線状皮膚萎縮(線条)、ざ瘡、熱傷、日光皮膚炎、ピアスの穴をあけた部位、ならびに黒色腫およびがん瘢痕、例えば、皮膚がん瘢痕と、皮膚筋炎または他の自己免疫疾患からなる群から選択されるが、これらに限定されない。また、例えば、手首および手を含む肩部および上肢、足首、膝または股関節を含む下肢の関節内瘢痕を含む、例えば、腸、尿路または器官の周囲の、内部的な創傷および瘢痕化を本明細書において検討する。創傷瘢痕は、ケロイドまたは肥厚性瘢痕を含む。
ある実施形態では、創傷もしくは皮膚症状または線維症は、1または2型糖尿病、肥満症、加齢、冠動脈心疾患、末梢血管疾患、創傷または皮膚感染症、黒色腫を含むがん、放射線または化学療法による免疫抑制およびこの作用、ならびに手術または他の外傷、あるいは皮膚筋炎または他の自己免疫疾患からなる群から選択される症状により増悪する。本発明は、既知の病因およびこれと関連する任意の炎症性症状の発症であるか否かにかかわらない、対象におけるケロイドおよび他の線維性症状の発症の治療であって、瘢痕予測性試験のためのアッセイに基づいて対象を選択するステップを含む、治療に及ぶ。対象は、対象の真皮線維芽細胞または他の内部線維芽細胞が、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標に基づいて、アクチビンに対して高度に感受性である、瘢痕緩和療法について選択される。対象は、既存の瘢痕を有し得るか、または手術もしくは自然治癒後に異常瘢痕を発症する可能性がある対象である。
創傷は、外部的な皮膚創傷を含む。ある実施形態では、創傷は、表皮層、真皮層または真皮下の層、例えば、皮下組織層のうちの1つまたは複数を冒す、皮膚創傷または皮膚症状である。創傷はまた、内部部位にあり、例えば、腸、尿路または器官の周辺の創傷化または瘢痕であり得る。例えば、手首および手を含む肩部および上肢、足首、膝または股関節を含む下肢の関節内瘢痕をまた、評価することができる。内部的または外部的創傷は、潜在的創傷、例えば、外科手術または生検の後に生じ得る創傷を含む。
ある実施形態では、線維性症状は、ケロイドである。しかし、目的の発明は、他の線維性の異変または線維症と関連する炎症性症状に及び、デュピュイトラン病、乾癬、強皮症、湿疹、線条、ざ瘡、熱傷、日光皮膚炎、黒色腫瘢痕および肥厚性瘢痕ならびに皮膚筋炎または他の自己免疫性疾患が挙げられる。
ある実施形態では、アクチビン阻害剤は、皮膚または上皮層の浸透を可能とする局所用ゲル、ヒドロゲルまたはナノチャネルシステムに製剤化される。注射用または他の非経口製剤も利用し得る。他のすべての適する投与形態を、本発明により包含する。本発明をいずれか1つの療法または作用機序に限定することなく、アクチビン阻害剤は、アクチビンまたは下流のシグナル伝達成分、例えば、結合組織増殖因子(CTGF)の活性を阻害する量において提供する。本発明は、アクチビン阻害剤への曝露に応答する、または炎症および/もしくは続発する線維性症状の発症後の、遺伝子、マイクロRNAおよび/もしくはタンパク質発現のプロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標に応じた、アクチビン阻害剤の用量の選択または追加の治療プロトコールの使用に及ぶ。
ある実施形態では、阻害剤の経時的な徐放または持続放出を可能とする媒体中にアクチビン阻害剤を含む、組成物を提供する。例えば、徐放または持続放出は、創傷もしくは皮膚症状の部位またはこの付近でなされ得る。このような媒体は、例えば、パッチ、絆創膏、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、皮下インプラント、ステント、含浸縫合材または外科用インプラントを含む。ある実施形態では、組成物は、注射による使用に適する形態である。ある実施形態では、創傷(内部的もしくは外部的)または皮膚症状の治療プロトコール、あるいは創傷を生じるプロトコール(例えば、手術または生検)は、アクチビン阻害剤を適用するステップを含む。これは、例えば、ゲルもしくは軟膏の形態で、または含浸した絆創膏の一部として、あるいは局所用または注射用の製剤により適用し得る。アクチビン阻害剤の適用はまた、in vivoでの外科手術の後、あるいは関節鏡検査もしくは血管形成術または他のカテーテル法の形態の後に生じ得る。
ある実施形態では、アクチビン阻害剤は、瘢痕予測性試験の後に異常瘢痕発症のリスクを有すると思われる対象におけるケロイドの発症を阻害するか、または低減させる。
真皮線維芽細胞試料または他の内部線維芽細胞試料におけるアクチビンのクリアランスまたは活性をモニターする剤を含む診断キットをまた、本明細書において考慮する。瘢痕予測性試験と組み合わせた使用のための治療キットをまた、本明細書において考慮する。
この主題の明細書を通して使用する略称のリストを表1に提供する。
上に接着したテフロン(登録商標)リングの位置決めを示すヒト腹部皮膚の切片の写真の表示である。この中では、3つのナノチャネル液体製剤(LPA、LPB、LPC)[Lyotropic Delivery Systems社、エルサレム、イスラエル]およびゲル製剤(LPD)を配置して皮膚表面に24時間曝露し、曝露時間が終了して除去した後、青色染料のタトゥーにより各リングの位置の輪郭を描いた。テフロン(登録商標)リングの直径は10mmであった。 3つのナノチャネル液体製剤(LPA、LPB、LPC)[Lyotropic Delivery Systems社、エルサレム、イスラエル]およびゲル製剤(LPD)に皮膚表面を24時間曝露した後のFST288のヒト腹部皮膚への経皮浸透を示すグラフの表示である。生理食塩水を非処理対照に使用し、何も導入していないナノチャネル液体製剤を溶媒対照として使用した。対照製剤(生理食塩水のみ)への曝露後の皮膚由来の各タンパク質抽出物ならびにナノチャネル液体およびゲル製剤を3重に作製して検査して、技術的平均値およびSEMを生成した。各皮膚層抽出物のFST288含有量は、抽出物の総タンパク質含有量に対して正規化して、対照製剤に曝露した皮膚に対する、抽出物中のFST288の相対的な存在量を提示した。 1つのナノチャネル液体製剤(LPA)およびゲル製剤(LPD)に皮膚表面を24時間、単回曝露した後のFST288のヒト眼瞼皮膚への経皮浸透を示すグラフの表示である。何も導入していないナノチャネル液体製剤を溶媒対照として使用した(con)。各タンパク質抽出物を3重に検査して、技術的平均値およびSEMを生成した。各皮膚層抽出物のFST288含有量は、抽出物の総タンパク質含有量に対して正規化して、抽出物中のFST288の相対的な存在量を提示した。 テストステロン処置が創傷治癒を遅延させることを示すグラフの表示である。テストステロンインプラントを有するか、または有しない、インタクトおよび去勢済の雄において創傷後3、5、7および14日目に測定した、A.創傷領域(cm)、B.創傷の幅(μm)およびC.表皮の厚さ(μm)の比較。テストステロン欠乏マウスでは、創傷閉鎖が早くなる。インタクト:インタクトと溶媒;インタクト+T:インタクトとテストステロン;去勢済:去勢済と溶媒;去勢済+T:去勢済とテストステロン。データは、平均値±SEMとして表す。1群あたりN=6。種々の文字で表示する平均値は、有意差を有する(p<0.05)。 テストステロンで処置すると創傷治癒が遅延することを示すグラフの表示である。創傷後3、5、7および14日目に、テストステロンインプラントを有するか、または有しない、インタクトおよび去勢済の雄において測定した、A.創傷領域(cm)、B.創傷の幅(μm)およびC.表皮の厚さ(μm)の比較を示す。テストステロン欠乏マウスでは、創傷閉鎖が早くなる。インタクト:インタクトと溶媒;インタクト+T:インタクトとテストステロン;去勢済:去勢済と溶媒;去勢済+T:去勢済とテストステロン。データは、平均値±SEMとして表す。1群あたりN=6。種々の文字で表示する平均値は、有意差を有する(p<0.05)。 テストステロンで処置すると創傷治癒が遅延することを示すグラフの表示である。創傷後3、5、7および14日目に、テストステロンインプラントを有するか、または有しない、インタクトおよび去勢済の雄において測定した、A.創傷領域(cm)、B.創傷の幅(μm)およびC.表皮の厚さ(μm)の比較を示す。テストステロン欠乏マウスでは、創傷閉鎖が早くなる。インタクト:インタクトと溶媒;インタクト+T:インタクトとテストステロン;去勢済:去勢済と溶媒;去勢済+T:去勢済とテストステロン。データは、平均値±SEMとして表す。1群あたりN=6。種々の文字で表示する平均値は、有意差を有する(p<0.05)。 テストステロンにより、アクチビンA、フォリスタチン、インターロイキン6(IL−6)および腫瘍壊死因子α(TNF−α)の増加が、雄マウスの創傷部位において刺激されることを示すグラフの表示である。損傷後のA.アクチビンA、B.フォリスタチン、C.IL−6およびD.TNF−αの皮膚レベルに対する、雄マウスにおける去勢およびテストステロン補充の作用を示す(1群あたりn=6)。インタクト:溶媒で処置したインタクトな雄;インタクト+T:テストステロンで処置したインタクトな雄;去勢済:溶媒で処置した去勢済の雄;去勢済+T:テストステロンで処置した去勢済の雄。データは、平均値±SEMとして表す。1群あたりn=6。種々の文字で表示する平均値は、有意差を有する(p<0.05)。 デュピュイトラン病の治療におけるフォリスタチンの役割を示すグラフの表示である。 100ng/mlのフォリスタチンで処理したか、または処理しない場合の、5日目の正常およびケロイドの両線維芽細胞の平均に対する、選択された遺伝子の上方制御および下方制御を実証する、RNAシーケンシングヒートマップ(a)を使用した、差次的遺伝子発現量の模式的表示である。選択された遺伝子のリストは、偽発見率(FDR)と、P値、ならびに上方制御および下方制御による絶対対数倍率変化(Abs log FC)を示す(b)。 正常およびケロイド組織由来のヒト真皮線維芽細胞におけるアクチビンAの作用を示すグラフの表示である。200pMのアクチビンAで24時間処理したか、または処理しない場合の相対遺伝子発現量を、qRT−PCRにより測定した。基底のケロイド線維芽細胞では、INHBA(a)およびIL−6(b)の遺伝子発現量が、正常対照よりも有意に高くなる。アクチビンAによる処理後の、一人の患者由来の正常およびケロイドの両線維芽細胞における、INHBA、CTGF(b)、IL−6、PAI1(e)、FOSB(g)、JUNB(h)およびTGFB2(m)の遺伝子発現量は、非処理線維芽細胞と比較して有意に上方制御された。CTGF発現量は、アクチビンで処理した、複数の患者由来の線維芽細胞において上昇した(n)。[vc;溶媒対照;ACT;200pMのアクチビンA]。
発明の詳細な説明
本明細書を通して、文脈上他に必要としない限り、単語「comprise(含む)」、または変化形、例えば、「comprises」もしくは「comprising」は、記述する要素もしくは整数または方法ステップあるいは要素もしくは整数または方法ステップの群を包含することを意味するが、他のいずれかの要素もしくは整数または方法ステップあるいは要素もしくは整数または方法ステップの群を除外することを意味しないことが理解される。
目的の明細書において使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明らかに指示しない限り、複数の態様を含む。したがって、例えば、「a fibrotic condition(線維性症状)」に言及する場合、単一の線維性症状と同時に2つ以上の線維性症状を含み、「an agent(剤)」に言及する場合、単一の剤と同時に2つ以上の剤を含み、「the disclosure(開示)」に言及する場合、開示により教示する、単一および複数の態様を含む等とする。本明細書において教示し、可能とする態様は、用語「発明」により包含する。本明細書において検討する任意の変形形態および派生形態は、本発明の「形態」により包含する。
創傷治癒と関連する異常瘢痕化を発症するか、または発症した対象の尤度またはその他を評価するアッセイを本明細書において教示する。本アッセイは、ケロイドまたは肥厚性瘢痕アウトカムの予想される程度に基づく、対象における応答パターン認識に、根拠の一部分を置く。異常瘢痕化は、線維症ならびにケロイドおよび肥厚性瘢痕化のような症状から生じる。患部は、既存の瘢痕もしくは治癒領域、または、例えば、外科手術もしくは生検後の、潜在的創傷の部位、あるいは症状であり得る。したがって、アッセイは、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、および真皮線維芽細胞によるアクチビンに対する感受性のレベルについてスクリーニングするステップを含む。感受性は、種々の濃度のアクチビンに経時的に応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現のプロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標に基づく。アクチビンに対する高感受性と関連する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル(またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標)は、異常瘢痕形成の潜在性を示す。低感受性は、異常瘢痕形成の尤度が低くなることを示す。異常瘢痕化を示すと予想される、すなわち、アクチビンに対して高度に感受性の真皮または内部の線維芽細胞を有する対象について、治療的管理プロトコールを実行する。これはまた、対象が高度に感受性の線維芽細胞を有する、既存の瘢痕の場合も実行する。異常瘢痕化のリスクを有すると思われる対象において検討する、線維性症状または線維性症状と関連する炎症性症状を予防または治療する方法であって、アクチビン阻害剤を対象に投与するステップを含む、方法を本明細書において可能とする。投与は、局所投与および注射を用いた投与、または適する他の任意の阻害剤適用方法、例えば、非経口投与による方法を含む。ある実施形態では、アクチビン阻害剤は、TGF−βアンタゴニストおよび/またはAP−1阻害剤である。「TGF−βアンタゴニスト」は、TGF−β1、2または3アンタゴニストのうちの1つまたは複数を含む。TGF−β2は、アクチビンAにより制御されることに留意されたい。例としては、フォリスタチン、PB−01またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォーム、あるいはAP−1阻害剤が挙げられる。ある実施形態では、AP−1阻害剤は、Jun(v−Jun、c−Jun、Jun−8もしくはJunD)、Fos(v−Fos、c−Fos、FosB、Fra1もしくはFra2)、ATF(ATF2、ATF3/LRF1、B−ATF、JDP1もしくはJDP3)、および/またはMAF(c−MAF、MAFB、MAFA、MAFG/F/KもしくはNcl)のうちのいずれか1つまたは複数を阻害する。本明細書において使用を検討する他のアンタゴニストは、cAMP応答エレメント結合(CREB)タンパク質の阻害剤およびプロスタグランジンE2(PGE2)の阻害剤を含む。ある実施形態では、線維性症状またはこれと関連する炎症性症状は、表皮層、真皮層または皮下組織層を含む、皮膚またはこの皮膚の層の症状である。ある実施形態では、線維性症状は、例えば、器官または管の周囲、例えば、腸または尿生殖路の周囲の、内部組織内またはこの内部組織に存在する。患部は、既存の瘢痕または潜在的瘢痕の部位であり得る。通常、炎症応答が先行する線維性症状は、皮膚もしくはこの皮膚層の表層性創傷部位において、または体内の創傷(内部的創傷)においてケロイド状の瘢痕化を生じる、ケロイドを含むが、これに限定されない。線維性症状は、手術、外傷、デュピュイトラン病、微生物もしくはウイルスによる感染症、虫刺れ、面皰、もしくは潰瘍を含む他の皮膚病変、乾癬、限局性もしくはびまん性強皮症、湿疹、擦過痕、線状皮膚萎縮(線条)、ざ瘡、熱傷、日光皮膚炎およびピアスの穴をあけた部位、ならびに黒色腫およびがん瘢痕、例えば、皮膚がん瘢痕、または皮膚筋炎もしくは他の自己免疫疾患であるか、あるいはこれらから生じ得る。創傷はまた、ケロイド状態にあるか否かにかかわらず、肥厚性瘢痕を含む。線維症、例えば、ケロイドの部位としては、外傷の任意の部位が挙げられ、胸部中央、鎖骨部を含む背部および肩部、頸部、顔および鼻部を含む頭部、耳、耳垂、上肢(肘、手首、手、指および親指を含む、上腕および前腕)、下肢(大腿、膝、脚、足首、足および趾)、ならびに骨盤部が挙げられる。内部部位は、腸もしくは尿生殖路または他の任意の解剖学的部位の周囲の領域を含む。本発明は、経時的アクチビン感受性により異常瘢痕形成の尤度の指標がもたらされるという驚くべき判定に、根拠の一部分を置く。遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイルの変化、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標の変化が急速または広範であるほど、異常瘢痕が形成する可能性が高まる。アクチビンに対する応答が緩徐であるほど、異常瘢痕形成の尤度が低くなることを示す。異常瘢痕は、ケロイドまたは肥厚性瘢痕化を含む。高瘢痕リスクを有する対象では、アクチビン阻害剤を、外部の皮膚表面または内部の解剖学的部位に投与して、異常線維芽細胞活性の発生率を低下させ、線維症、例えば、ケロイド、肥厚性瘢痕および他のコラーゲン沈着型症状、ならびに線維症と関連する炎症性症状の形成を低減または回復させる。投与は、治療する症状に適する任意の方法により行い、任意の非経口投与形態による投与を含み得る。例としては、局所投与および注射による投与が挙げられる。
線維症はまた、例えば、これらに限定されないが、1もしくは2型糖尿病、潰瘍、肥満症、対象の加齢、冠動脈心疾患、末梢血管疾患、創傷もしくは皮膚感染症、黒色腫を含むがん、ならびに放射線もしくは化学療法による免疫抑制およびこの作用、または皮膚筋炎もしくは他の自己免疫疾患に起因する、創傷治癒の遅延と関連する症状から生じるか、あるいはこれらにより増悪し得る。本発明は、既知の病因およびこれと関連する任意の炎症性症状の発症であるか否かにかかわらず、ケロイド、肥厚性瘢痕および他の線維性症状の発症の治療に及ぶ。このような治療プロトコールは、これでもやはり、瘢痕予測性試験の結果に依存する。
遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質の濃度もしくはレベルの判定、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標の判定により、対照と比較した発現プロファイルに基づく診断規則の確立が可能となる。あるいは、診断規則は、統計学および機械学習のアルゴリズムの適用に基づく。このようなアルゴリズムでは、訓練データにおいて(既知の感受性レベルにより)観察される、指標とアクチビン感受性状態との間の関係を使用して関係を推測し、次いで、これを使用してアクチビン感受性に関して未知の状態を有する対象の状態を予測する。アルゴリズムを利用し、これにより、対象がアクチビンに対して高または低感受性を有する確立指数を提示し得る。
したがって、本発明では、既知のアクチビン感受性状態を有する対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位線維芽細胞の指標レベルを含む、訓練データの知識ベースを使用してベースラインを生成し、これにより、未知のアクチビン感受性状態を有する対象由来の同一の指標レベルを含む、データの第2の知識ベースと比較して確立指数を提示し、これにより、アクチビンに対する感受性のレベルを予測することを検討する。
用語「訓練データ」は、対照と比較した指標レベルの知識を含む。「対照」は、既知のアクチビン感受性状態を有する対象における指標レベルとの比較を含むか、または試験に基づいて統計学的に判定されたレベルであり得る。用語「レベル」はまた、指標レベルの比率を包含する。
「訓練データ」はまた、アクチビンにより媒介されるシグナル伝達の指標、例えば、遺伝子、miRNAおよび/またはタンパク質発現のレベルのうちの1つまたは複数の濃度を含む。次いで、臨床的管理プロトコールは、異常瘢痕発症のリスクが高い対象において実行する。
したがって、対象における線維性症状またはこれと関連する炎症性症状の予防または治療のための方法であって、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標における、対照と比較した急速な変化が、治療を必要とする対象における異常瘢痕発症の尤度を示し、ならびに線維性症状または炎症性症状を回復させるのに有効な量のアクチビン阻害剤を、治療を必要とする対象に投与するステップを含む、方法を本明細書において可能とする。投与は、非経口的方法、例えば、局所投与または注射を用いた投与による方法を含む、任意の方法による投与であり得る。対象の創傷または潜在的創傷の部位における異常瘢痕形成の予想される程度を評価する臨床的管理プロトコールであって、対象の治癒領域由来の線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標における、対照と比較した急速な変化が、異常瘢痕発症の尤度を示し、発現プロファイルにおける対照と比較した緩徐な変化が、非異常瘢痕発症の尤度を示す、プロトコールを本明細書において教示する。
ある実施形態では、対象における皮膚またはこの皮膚層の線維性症状またはこれと関連する炎症性症状の予防または治療のための方法であって、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標における、対照と比較した急速な変化が、異常瘢痕発症の尤度を示し、ならびに線維性症状または炎症性症状を回復させるのに有効な量のアクチビン阻害剤を、治療を必要とする対象に投与するステップを含む、方法を本明細書において教示する。
また、対象における線維性症状またはこれと関連する炎症性症状の予防または治療のための方法であって、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標における、対照と比較した急速な変化が、異常瘢痕発症の尤度を示し、ならびにアクチビンおよび/または下流の調節因子の活性を阻害さもなければ抑制するのに有効な量のアクチビン阻害剤を、治療を必要とする対象に投与するステップを含む、方法を本明細書において可能とする。
ある実施形態では、対象における皮膚またはこの皮膚層の線維性症状またはこれと関連する炎症性症状の予防または治療のための方法であって、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標における、対照と比較した急速な変化が、異常瘢痕発症の尤度を示し、ならびにアクチビンおよび/または下流の調節因子の活性を阻害さもなければ抑制するのに有効なアクチビン阻害剤、例えば、それに有効な量のフォリスタチン、PB−01またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォームを、治療を必要とする対象に投与するステップを含む、方法を本明細書において教示する。
上記に示すように、投与は、非経口投与、例えば、局所投与または注射による投与を含む、好都合な任意の方法による投与であり得る。上皮創傷の治療は、このような表面への熱傷による損傷を含む。創傷および皮膚症状は、手術による外傷もしくは損傷と関連する線維性症状の発症および関連炎症性症状、デュピュイトラン病、例えば、デュピュイトラン拘縮、微生物もしくはウイルスによる感染部位、虫刺れ、面皰、もしくは潰瘍を含む他の皮膚病変、乾癬、限局性もしくはびまん性強皮症、湿疹、擦過痕、線状皮膚萎縮(線条)、ざ瘡、熱傷、日光皮膚炎、ピアスの穴をあけた部位、黒色腫およびがん瘢痕、例えば、皮膚がん瘢痕、またはカテーテル法(例えば、関節鏡検査もしくは血管形成術)の後、あるいは皮膚筋炎または他の自己免疫疾患を含む。
創傷を治療するアクチビン阻害剤の局所投与は、この特定の創傷または皮膚症状の部位へ、またはこの付近への局所投与を意味する。注射による投与もまた、本明細書において考慮する。すべての投与形態を本発明により包含する。線維性症状の回復に言及する場合、線維芽細胞が、過量の細胞外基質(ECM)複合物、例えば、コラーゲンを分泌する程度を低下させることを含む。回復はまた、線維芽細胞または活性線維芽細胞の数が減少することにより生じ得る。さらに回復は、線維性症状が生じる程度を低下させること、または既に生じている場合、この継続的発症を低減させることを含む。別のある実施形態では、炎症性症状または線維症と関連する症状の発症は、回復する。ある実施形態では、この効果は、アクチビンおよび/または下流の調節因子、例えば、結合組織増殖因子(CTGF)を阻害することにより達成される。「局所的投与」は、経皮、皮下、経真皮、経上皮および上皮下の投与等を含む。治療は、皮膚創傷の表面上もしくは付近または表面下、あるいは内部の上皮表面上または上皮層上に行われ得る。ある実施形態では、投与は、非経口経路による投与である。
「アクチビン」に言及する場合、アクチビンAもしくはアクチビンBまたはアクチビンABを意味する。ある実施形態では、アクチビンは、アクチビンAである。アクチビンAおよびBのすべての形態を本発明により包含する。アクチビンAは、二量体タンパク質であり、2つのアクチビンβサブユニットを含む。「アクチビンA」に言及する場合、この天然バリアントおよびアイソフォームならびにこの前駆体、プロタンパク質および中間形態を含む。例えば、TGF−β2は、アクチビンAにより制御される。さらに、アクチビンAプロモーターは、cAMP応答エレメント(CRE)部位を有し、プロスタグランジンE2(PGE2)により、cAMP応答エレメント結合(CREB)タンパク質のレベルが上昇し得る。アクチビンBは、二量体タンパク質であり、2つのβサブユニットを含む。「アクチビンB」に言及する場合、この天然バリアントおよびアイソフォームならびにこの前駆体、プロタンパク質および中間形態を含む。さらに、アクチビンは、アクチビンABであり、βおよびβ鎖ならびにこの前駆体、プロタンパク質および中間形態を含み得る。
ある実施形態では、線維性症状は、ケロイドであり、これは、ケロイド瘢痕を含む。目的の方法によりケロイドが回復するということは、この方法により、ケロイドが形成する程度が低下するか、または既に形成している場合、この継続的発症が低減することを意味する。
したがって、対象におけるケロイド症状の予防または治療のための方法であって、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標における、対照と比較した急速な変化が、異常瘢痕発症の尤度を示し、ならびにケロイドを回復させるのに有効な量のアクチビン阻害剤またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォームを、治療を必要とする対象に投与するステップを含む、方法を本明細書において教示する。
ある実施形態では、対象におけるケロイド症状の予防または治療のための方法であって、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップとを含み、ここで、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標における、対照と比較した急速な変化が、異常瘢痕発症の尤度を示し、ならびに、アクチビンおよび/または下流の調節因子の活性を阻害さもなければ抑制するのに有効な量のアクチビン阻害剤を、治療を必要とする対象に投与するステップを含む、方法を本明細書において可能とする。
上記に示すように、アクチビンに言及する場合、アクチビンAもしくはアクチビンBまたはアクチビンABあるいは種々のこの天然バリアントまたはアイソフォームを意味する。下流の調節因子は、CTGFを含むが、これに限定されない。「アクチビン阻害剤」に言及する場合、とりわけフォリスタチン、PB−01、またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォーム、TGF−βアンタゴニスト(TGF−β1、2または3アンタゴニストのうちのいずれか1つを含む)およびAP−1阻害剤ならびに他のアクチビン阻害剤、例えば、抗体を含む。PB−01は、TGF−βアンタゴニストである(Paranta Biosciences Ltd社、ビクトリア州、豪国)。他のアンタゴニストは、CREBタンパク質の阻害剤およびPGE2の阻害剤を含む。
治療する対象に言及する場合、ヒトおよび非ヒト霊長類、ならびにウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、アルパカ、ラマ、ラクダ、イヌまたはネコならびに実験室試験動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスターまたはウサギを含む。上記に示すように、治療する線維性症状または関連する炎症性症状としては、損傷、手術、デュピュイトラン病、微生物またはウイルスによる感染症、虫刺れ、面皰、または潰瘍を含む他の皮膚病変、乾癬、強皮症(限局性もしくはびまん性)、湿疹、肥厚性瘢痕、擦過痕、線状皮膚萎縮(線条)、ざ瘡、熱傷、日光皮膚炎、ピアスの穴をあけた部位、ならびに黒色腫およびがん瘢痕、例えば、皮膚がん瘢痕と、皮膚筋炎または他の自己免疫疾患から生じるか、あるいはこれらを含む、創傷および他の外傷または症状が挙げられる。加えて、創傷または線維性症状もしくは関連炎症症状は、1もしくは2型糖尿病、潰瘍、肥満症、対象の加齢、冠動脈心疾患、末梢血管疾患、創傷もしくは皮膚感染症、黒色腫を含むがん、ならびに放射線もしくは化学療法による免疫抑制および作用、または皮膚筋炎もしくは他の自己免疫疾患から生じるか、あるいはこれらにより増悪し得る。ある実施形態では、創傷もしくは皮膚症状の治療プロトコール、または創傷を生じるプロトコール、例えば、手術もしくは生検は、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標における、対照と比較した急速な変化が、異常瘢痕発症の尤度を示し、次いで、アクチビンに対する高感受性に基づく治療を必要とする対象に、アクチビン阻害剤を適用するステップを含む。これは、例えば、ゲルもしくは軟膏の形態で、または含浸した絆創膏の一部として、あるいは注射用製剤であり得る。アクチビン阻害剤の適用はまた、外科手術の後、あるいは関節鏡検査もしくは血管形成術または他のカテーテル法の形態の後に生じ得る。
治療を必要とする対象内またはこの対象上の創傷または皮膚症状の治療のための方法であって、対象由来の真皮線維芽細胞または内部部位線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標における、対照と比較した急速な変化が、異常瘢痕発症の尤度を示し、次いで、創傷もしくは皮膚症状の部位および/またはこの周辺領域に、フォリスタチン、PB−01またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォームを、創傷または皮膚症状の部位の線維症の作用を低減させるのに十分な時間および条件下で投与するステップを含む、方法を本明細書において可能とする。この方法は、既存の瘢痕にも適用する。他の有用な阻害剤は、CREBタンパク質の阻害剤またはPGE2の阻害剤を含む。
使用するフォリスタチンは、一般に、治療する対象である哺乳動物の同一種由来である。次いで、フォリスタチンは、治療する対象と相同であると考えられる。したがって、例えば、ヒトフォリスタチンは、ヒトにおいて使用し、ウシフォリスタチンは、ウシにおいて使用する等とする。それにもかかわらず、異種哺乳動物フォリスタチンは、異なる哺乳動物において使用することができ、この場合、フォリスタチンは、脱免疫化しているか、または免疫抑制剤と組み合わせて使用する。ある種の哺乳動物フォリスタチン間では著しい相同性が存在し、このため、限られた状況において、異種フォリスタチンを利用し得る。
フォリスタチンの任意のアイソフォームまたは天然もしくは人工的に作製した形態(すなわち、バリアント)を使用し得る。国際特許出願PCT/AU2004/001253号および国際特許出願PCT/AU2004/001359号を好都合に参照することができる。「フォリスタチン」に言及する場合、この前駆形態、前駆形式、前駆分泌形態、ならびにフォリスタチンの任意の機能性天然バリアントもしくはアイソフォームまたは機能性人工的に創出された誘導体を含む。
フォリスタチンの「バリアント」は、天然または非天然のいずれかの供給源由来の、断片、部分、一部または誘導体を含み、アイソフォームを含む。非天然供給源は、例えば、組換えまたは合成の供給源を含む。「組換え供給源」は、フォリスタチンを採取する細胞供給源が、遺伝子改変されていることを意味する。これは、例えば、この特定の細胞供給源による生成率および容量を増加させるか、さもなければ増強するために生じ得る。部分または断片は、例えば、フォリスタチンの活性領域を含む。バリアントは、アミノ酸の挿入、欠失または置換により導出し得る。
タンパク質合成において組み込む非天然アミノ酸および誘導体の例としては、ノルロイシン、4−アミノ酪酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、t−ブチルグリシン、ノルバリン、フェニルグリシン、オルニチン、サルコシン、4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン酸、2−チエニルアラニンおよび/またはアミノ酸のD異性体の使用が挙げられるが、これらに限定されない。
修飾フォリスタチン分子を発現させるために利用し得る核酸配列の誘導体は、単一または複数のヌクレオチドの置換、欠失および/または付加により同様に導出し、他の核酸分子との融合を含み得る。
フォリスタチンアイソフォームの「バリアント」または「変異体」は、そのバリアントまたは変異体であるフォリスタチン形態の機能活性のうちの少なくとも一部を示す分子を意味すると理解されるべきである。バリエーションまたは変異は、任意の形態をとることがあり、天然または非天然に生じ得る。
「相同体」は、分子が、本発明の方法により治療する種以外の種に由来することを意味する。これは、例えば、治療を受ける対象により天然に生成されたフォリスタチンアイソフォームの機能特性に類似かつ適する機能特性を示す、フォリスタチンアイソフォームの一形態を、治療する種以外の種が生成すると判定される場合に起こり得る。このような誘導体ならびにバリアントおよびアイソフォームは、PB−01にも適用する。
本発明に従って、アクチビン阻害剤は、異常瘢痕形成のリスクを有すると思われる対象の皮膚または内部層に局所的に投与して、これにより、線維性症状、例えば、ケロイドが発症する潜在性を低減することができるか、または形成している場合、これらの更なる発症を低減することができると判定する。治療はまた、線維性症状と関連する炎症性症状の作用を回復させることができる。したがって、アクチビン阻害剤は、少なくとも表皮層(真皮層でもよく、さらには皮下組織層でもよい)へのアクチビン阻害剤の浸透を促進する方法で製剤化する。したがって、局所製剤は、アクチビン阻害剤、および皮膚を通して線維性症状の部位まで、または治療部位が対象の体内にある場合、上皮層を通して浸透を可能とする媒体を含む。本発明は、例えば、注射に適する、任意の非経口製剤に及ぶ。症状は、手術による創傷もしくは外創傷の周囲の、またはこれによる、ケロイドまたはコラーゲン関連症状の発症、デュピュイトラン病の部位、例えば、デュピュイトラン拘縮、微生物またはウイルスによる局所的感染部位、虫刺れ、面皰または他の皮膚病変、乾癬または限局性もしくはびまん性強皮症の患部、湿疹、肥厚性瘢痕、擦過痕、線状皮膚萎縮(線条)、ざ瘡、熱傷、日光皮膚炎、ピアスの穴をあけた部位、黒色腫およびがん瘢痕、例えば、皮膚がん瘢痕、あるいは皮膚筋炎または他の自己免疫疾患を含むが、これらに限定されない。アクチビン阻害剤はまた、例えば、1または2型糖尿病、皮膚潰瘍、肥満症、加齢と関連する障害、冠動脈心疾患、末梢血管疾患、創傷感染症、がん、あるいは免疫抑制のための別の治療計画における成分であり得る。加えて、他の活性剤、例えば、局所性の抗テストステロンもしくは他の抗アンドロゲン化合物、抗菌もしくは抗ウイルス剤、抗生剤、インスリンまたは麻酔剤を含み得る。あるいは、アクチビン阻害剤は、エストロゲンと組み合わせて使用して治癒を向上させ、瘢痕形成を低減し得る。
本発明により効果的に治療し得る創傷は、表皮(例えば、5つの表皮層:基底層、有棘層、顆粒層、淡明層、および角質層のうちのいずれか)の細胞および組織を含む表皮創傷、皮膚の真皮の2つの層の細胞および組織を含む真皮創傷、ならびに特定の解剖学的部位(例えば、器官または管)の内部的創傷を含む。したがって、本発明の方法および組成物を使用して、表面的創傷、例えば、表皮剥脱、真皮および表皮への損傷を含む創傷、ならびに表面下の創傷を治療し、例えば、外科手術後の切開部の閉鎖を促進させることができる。内部的な創傷または瘢痕も治療し得る。創傷はまた、肥厚性瘢痕であり得る。このような瘢痕は、治癒が緩徐な瘢痕であり、必ずしもケロイドではないが、ケロイドになり得る。これらは、赤みを生じ、損傷の部位に限局され、成熟瘢痕までの治癒が長期的に遅延する。本発明は、瘢痕予測性試験の後に異常瘢痕発症のリスクを有すると思われる対象における、アクチビン阻害剤またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォームの局所投与または注射による、対象における線維症またはこれと関連する炎症性症状の治療にさらに及ぶ。
「創傷の治療」または「皮膚症状の治療」は、創傷の閉鎖、創傷の収縮、成熟および再構築、線維増殖および肉芽組織形成、ならびに/または上皮再形成を促進、加速および/または増強することを意味する。加えて、「線維症の治療」は、アクチビン阻害剤またはこの機能性形態を局所投与または注射して線維症を治療することを意味する。線維症の治療はまた、炎症性成分を治療することを含み、これにより線維症が、しばしば未然に防がれる。治療は、異常瘢痕形成を予防すること、または既存の瘢痕を治療することであり得る。
一製剤媒体としては、ナノサイズの自己組織化した液滴が挙げられ、これにより、アクチビン阻害剤を可溶化することが可能である。あるいは、媒体は、低粘度、弱ゲル特性およびアクチビン阻害剤の高い導入能力を有する、修飾したリオトロピック液晶構造を含む。このような媒体は、例えば、Lyotropic Delivery Systems社、エルサレム、イスラエルにより開発され、これより入手可能である。このような媒体はともに、水および油のナノ液滴、またはナノチャネルからなり、これらは、熱力学的に安定である。他の浸透促進製剤、例えば、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤ならびに非キレートおよび非界面活性剤をまた、利用し得る。米国特許第6,287,860号を好都合に参照することができる。
他の局所用媒体または注射用媒体をまた利用して、外皮および内皮ならびに上皮層の浸透を促進し、このような媒体としては、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐剤、噴霧剤、液剤、散剤および軟膏が挙げられる。アクチビン阻害製剤はまた、含浸した絆創膏、パッチ、ステント、皮下インプラントまたは含浸した徐放もしくは持続放出縫合糸についての徐放または持続放出製剤の一部であり得る。アクチビン阻害剤はまた、カテーテル、または生検の採取に利用する器具に付随し得る。アクチビン阻害剤を含む、局所用または注射用媒体は、他の活性剤、例えば、局所性の抗テストステロンもしくは他のアンドロゲン剤、抗菌もしくは抗ウイルス剤、抗生剤、インスリンまたは麻酔剤を含み得る。加えて、アクチビン阻害剤は、エストロゲンと組み合わせて使用し得る。ありとあらゆる非経口製剤の形態の使用を本明細書において検討する。
したがって、フォリスタチンまたはこの機能性バリアントもしくはアイソフォーム、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を含む、瘢痕予測性試験の後に異常瘢痕形成のリスクを有すると思われる対象における使用のための、非経口製剤を本明細書において可能とする。あるいは、製剤は、PB−01、CREBタンパク質の阻害剤および/またはPGE2の阻害剤のうちのいずれかを含み得る。ある実施形態では、製剤は、局所用または注射用製剤である。
さらに、瘢痕予測性試験の後に異常瘢痕形成のリスクを有すると思われる対象における使用のためのアクチビン阻害剤の、皮膚または皮膚層の線維性症状または関連する炎症性症状の治療のための医薬の製造における使用を可能とする。
またさらに、線維性症状の治療における使用のための、瘢痕予測性試験の後に異常瘢痕形成のリスクを有すると思われる対象における使用のためのアクチビン阻害剤またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォームを教示する。
ある実施形態では、線維性症状は、ケロイドである。
したがって、瘢痕予測性試験の後に異常瘢痕形成のリスクを有すると思われる対象における使用のためのアクチビン阻害剤の、ケロイドの治療のための医薬の製造における使用を本明細書において可能とする。
ある実施形態では、アクチビン阻害剤は、アクチビンAもしくはアクチビンBまたは下流の調節因子、例えば、CTGFを阻害する。
ある実施形態では、線維性症状は、デュピュイトラン病、微生物もしくはウイルスによる感染部位、虫刺症、面皰、もしくは潰瘍を含む他の皮膚病変、乾癬、限局性もしくはびまん性強皮症、湿疹、肥厚性瘢痕、または皮膚筋炎もしくは他の自己免疫疾患から生じるか、またはこれらにより増悪する。したがって、瘢痕予測性試験の後に異常瘢痕発症のリスクを有すると思われる対象における使用のためのアクチビン阻害剤の、デュピュイトラン病、乾癬、強皮症の一形態、皮膚筋炎もしくは他の自己免疫疾患、湿疹、肥厚性瘢痕、擦過痕、線状皮膚萎縮(線条)、熱傷、日光皮膚炎、ピアスの穴をあけた部位、黒色腫、がん瘢痕、皮膚がん瘢痕、生検を行った部位、カテーテル法を行った部位、または手術による外傷、あるいは事故による外傷の治療ための医薬の製造における使用を本明細書において可能とする。ある実施形態では、デュピュイトラン病は、デュピュイトラン拘縮である。
したがって、瘢痕予測性試験の後に異常瘢痕形成のリスクを有すると思われる対象における使用のためのアクチビン阻害剤の、手術を含む外傷もしくは事故による外傷、微生物もしくはウイルスによる感染症、虫刺れ、面皰もしくは他の皮膚病変、擦過痕、線状皮膚萎縮(線条)、熱傷、日光皮膚炎、ピアスの穴をあけた部位、または黒色腫、がん瘢痕、皮膚がん瘢痕、生検を行った部位、あるいはカテーテル法を行った部位の治療のための医薬の製造における使用を本明細書において可能とする。
本明細書において「治療」および「予防」に言及する場合、これらの最も広範な文脈において検討される。用語「治療」は、対象が完全に回復するまで治療することを必ずしも意味しない。用語「治療」は、創傷前または後に治癒領域を治療することを包含する。同様に、「予防」は、対象があるレベルの線維症またはあるレベルの炎症を最終的に発症しないことを必ずしも意味しない。したがって、治療および予防は、特定の線維性症状の症候の回復、または特定の線維性症状もしくは関連する炎症症状の発症リスクの予防さもなければ低減を含む。このような症状は、ケロイドを含む。用語「予防」は、特定の線維性症状の重症度または発生を低減すると考えられ得る。「治療」はまた、既存の線維性症状または関連する炎症性症状の重症度を低減する。
局所投与は、概して、皮膚または内部の上皮層の領域あたりで表す。例えば、皮膚または上皮1cmあたり、例えば、10μg〜約100mgの量のフォリスタチンを本明細書において考慮する。このような量は、皮膚または上皮1cmあたり10、20、30、40、50、60、70、80、90および100μgならびに皮膚1cmあたり100、200、300、400、500、600、700、800、900および1000μgならびに皮膚または上皮1cmあたり1、20、30、30、40、50、60、70、80、90および100μgを含む。ある実施形態では、フォリスタチンの量を別の単位で表す。したがって、皮膚または上皮1cmあたり0.1nM〜100nMのフォリスタチンを投与することにより、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1nMを含むか、または1cmあたり10、20、30、40、50、60、70、80、90、100nMのフォリスタチンを利用し得る。治療は、これにより、線維性症状、例えば、ケロイドが完全に予防されるか、またはこの症状が臨床的に管理可能なレベルまで緩和されるかにかかわらず、毎日または毎週または毎月あるいは良好な臨床アウトカムに影響するのに必要とされる限りの時間、行い得る。
本開示では、in vitroでの皮膚線維症におけるアクチビンのレベルを検出する剤を含む、診断キットをさらに可能とする。これにより、フォリスタチンの徐放または持続放出が経時的に(例えば、数時間から数日間、数週間、数カ月間まで)可能となり得る。
さらに、治療を必要とする対象内またはこの対象上でフォリスタチンの徐放または持続放出を経時的に可能とする媒体中にアクチビン阻害剤を含む、治療キットを本明細書において可能とする。これはまた、PB−01またはCREBタンパク質の阻害剤あるいはPGE2阻害剤に適用する。ある実施形態では、対象内もしくは対象付近の創傷部位で、またはこの付近でアクチビン阻害剤の徐放または持続放出を経時的に可能とする媒体中にアクチビン阻害剤またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォームを含む、局所用または注射用組成物を本明細書において教示する。したがって、本発明は、症状または治療プロトコールの範囲における、例えば、形成手術、がん手術、一般手術、カテーテル法、生検、熱傷の管理、感染症の管理、免疫療法および化学療法ならびに放射線療法における、有用性を有する。
本明細書において「遺伝子、miRNAおよび/またはタンパク質発現プロファイル」に言及する場合、アクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標の測定値を排除しない。このような指標は、種々の濃度のアクチビンに対する経時的な真皮線維芽細胞生検の感受性のレベルを示す。他の指標は、mRNAおよびRNA断片を含む。
本明細書において開示する態様は、以下の非限定的実施例により、さらに説明する。
瘢痕形成を予測するためのアクチビン感受性試験
プロトコールを開発して、臨床医が、肥厚性瘢痕またはケロイド瘢痕を発症するリスクを有する患者を同定し、創傷修復を向上して瘢痕形成を低減する治療計画を提供するのに役立てる。
後続の実施例に基づいて、アクチビンによる刺激によって、手術後に肥厚性およびケロイドの瘢痕化を発症する可能性のある患者の真皮線維芽細胞におけるアクチビンの自己制御が引き起こされることを提唱する。
プロトコールは、次のステップを使用する、皮膚生検の真皮線維芽細胞試料のアクチビン感受性についてのin vitroでの手術前評価を含む:
1)外科医により2mmの皮膚生検を採取する、
2)生検を研究室へ移して評価する、
3)生検の組織をin vitroで培養し、種々の濃度のアクチビンで処理し、アクチビンの経時的クリアランスについて、遺伝子、miRNAおよび/またはタンパク質発現量の基準を使用して試験する、
4)この瘢痕予測性試験に対する組織の応答に基づいて、手術後の有意な瘢痕化の尤度を判定し、この情報を使用して適切な治療方法を決定する、
5)この試験により、組織のアクチビン感受性が高いことが示される場合、推奨する治療は次のとおりである:TGF−βアンタゴニスト(TGF−β1、2もしくは3アンタゴニストを含む)またはアクチビン阻害剤、例えば、AP−1、フォリスタチン、PB−01、CREBタンパク質の阻害剤もしくはPGE2阻害剤。
瘢痕予測性試験により、肥厚性およびケロイドの瘢痕化のリスクを有する患者が明らかに示され、推奨する治療により、有意な瘢痕形成の尤度が予防または低減されることが予想される。この技術により、瘢痕形成、例えば、熱傷、ざ瘡、乾癬、ケロイド等が正常型である場合の、治療に対する応答を、臨床医が評価することも可能となる。
ケロイド病変形成におけるアクチビンシグナル伝達経路
ケロイドは、創傷治癒の間および後に線維症により引き起こされる良性腫瘍として知られ、症候性の外観を損なう瘢痕を生じる。創傷治癒は、複雑な過程であり、これは、アクチビンを含む種々のサイトカインの作用を必要とする。アクチビンは、形質転換増殖因子βスーパーファミリーのメンバーであり、創傷治癒の間に有意に上方制御される。アクチビンが高発現すると、創傷治癒が加速されるが、創傷部位において線維症が増加する。多くの研究によりケロイド疾患の病因および臨床的特性が検討されているが、ケロイド進行の分子機構は、依然として不明なところが多い。
正常およびケロイドの組織試料を11人の患者から採取し、初代線維芽細胞培養物を樹立するのに使用した。このような線維芽細胞を使用して、相対遺伝子発現量についてのqRT−PCRおよび相対タンパク質発現量についての酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を実施した。線維芽細胞をまた、200pMのアクチビンで24時間処理して、線維症関連遺伝子に対する作用を調べた。
結果は、アクチビンA遺伝子発現量が、ケロイド線維芽細胞において、正常線維芽細胞と比較して有意に上方制御されたことを示す。遺伝子発現量の上方制御と一致して、ケロイド線維芽細胞のアクチビンAタンパク質レベルは、正常対照のレベルよりも有意に高くなり、高レベルのアクチビンAタンパク質がまた、in vitroでの培養培地において検出された。線維症と関連する遺伝子である結合組織増殖因子(CTGF)は、ケロイド線維芽細胞において、正常線維芽細胞と比較して有意に上方制御された。アクチビンAによる24時間の処理後、アクチビンAおよびCTGF遺伝子発現量は、正常およびケロイドの両線維芽細胞において有意に上方制御された。
データは、ケロイド由来線維芽細胞のアクチビンの局所的生成が、ケロイド疾患進行との因果関係を有することを示す。
ケロイド病変形成における原因因子としてのアクチビン
正常およびケロイドの組織試料を11人の患者から採取し、実施例1に説明するように、初代線維芽細胞培養物を樹立するのに使用した。線維症関連遺伝子の相対発現量を、qRT−PCRを使用して調べた。アクチビンおよびアクチビンアンタゴニストであるフォリスタチンのタンパク質レベルをまた、真皮線維芽細胞のライセートにおいて、ELISAおよび放射免疫アッセイにより測定した。さらに、ケロイド線維芽細胞を1nMのフォリスタチンで24時間処理して、線維症関連遺伝子に対する作用を調べた。
結果は、アクチビン遺伝子発現量が、ケロイド線維芽細胞において、正常線維芽細胞と比較して有意に上方制御されたことを示す。遺伝子発現量と一致して、ケロイド線維芽細胞のアクチビンAタンパク質レベルは、正常対照のレベルよりも有意に高くなり、高産生量のアクチビンAタンパク質がまた、in vitroで培地において検出された。CTGFは、ケロイド線維芽細胞において、正常線維芽細胞と比較して有意に上方制御された。フォリスタチン処理後、CTGF遺伝子発現量は、有意に低下した。
ケロイド由来線維芽細胞のアクチビンの局所的生成は、ケロイド疾患進行との因果関係を有する。アクチビンおよびCTGF遺伝子発現を抑制するフォリスタチンの作用は、このタンパク質がケロイドおよび他の線維性疾患を治療する役割を有する。
ケロイド病変形成の新規治療剤としてのフォリスタチン
正常およびケロイドの線維芽細胞を患者から単離して培養した。線維症関連遺伝子の相対的発現量を、qRT−PCRを使用して調べた。アクチビンおよびフォリスタチンのタンパク質レベルをまた、実施例2に説明するように、真皮線維芽細胞において、ELISAおよび放射免疫アッセイにより測定した。さらに、ケロイド線維芽細胞を1nMのフォリスタチンで1、3および5日間毎日処理して、線維症関連遺伝子に対する作用を調べた。
ケロイド線維芽細胞は、アクチビン自己分泌経路により、アクチビンA遺伝子発現を高度に引き起こした。このようなアクチビンの作用は、in vitroでの細胞培養の間に徐々に刺激された。1nMのフォリスタチンによる24時間の処理後、アクチビンA遺伝子発現量は、正常線維芽細胞と比較して有意に低下した。フォリスタチンで処理した5日間に、アクチビンAおよびこの下流の標的であるCTGFの遺伝子発現量は、有意に低下した。フォリスタチンで処理して5日目に、ケロイド線維芽細胞におけるCTGF遺伝子発現量は、正常線維芽細胞と同様であった。
ケロイド疾患は、アクチビンAの局所的生成と相関する(実施例1)。アクチビンAおよびCTGF遺伝子発現を抑制するフォリスタチンの作用は、このタンパク質がケロイドおよび他の線維性疾患を治療する役割を示す。
線維症を治療するフォリスタチンの皮膚送達
手術時に入手した正常および種々の線維性疾患ヒト組織(例えば、瘢痕、熱傷瘢痕、ケロイド、デュピュイトラン病、強皮症、湿疹、乾癬)から初代線維芽細胞培養物を確立した。このような培養物を使用して、ヒトフォリスタチンアイソフォーム288(FST288)[PB−01]の有効性を、炎症性および線維性の遺伝子およびタンパク質の発現の同定、減少および制御において調べた。試験では、2つの一般的ヒト線維性疾患である、ケロイドおよびデュピュイトラン拘縮に特に着目した。実施例1〜3では、ともに細胞内に存在し培養培地中に分泌された、アクチビンA遺伝子およびこのタンパク質の、対照線維芽細胞と比較した有意な上方制御、ならびにフォリスタチンによる処理後、アクチビンA遺伝子およびこのタンパク質の発現量の有意な下方制御が示された。アクチビンAは、特徴が明確なタンパク質であり、炎症応答および線維症に関与している。ケロイド線維性疾患を有する患者由来の正常およびケロイドの真皮線維芽細胞において、アクチビンA遺伝子発現および分泌を制御することにおける、フォリスタチンの有効性を図1に示す。
この試験により、in vitroでの正常および疾患関連の線維芽細胞における広範囲の炎症性および線維性遺伝子の発現パターンの検査がまた可能となり、細胞内および細胞倍培地中の両方において、これらそれぞれのタンパク質レベル、例えば、フォリスタチン、IL−6、ならびにアクチビンAおよびBを測定する。
この実施例では、フォリスタチンは、分子が皮膚を通過可能とするようにデザインした、液体およびゲルのナノサイズ化局所送達媒体中に製剤化する(Lyotropic Delivery systems社、エルサレム、イスラエル)。この「LDSナノチャネルシステム」は、フォリスタチンのヒト皮膚への輸送のための、有効な導入、保存および経皮送達の方法を提供する。これは、本明細書において「ナノチャネルシステム」と呼ぶ。
工程では、はじめに、フォリスタチンアイソフォーム288(FST288)のためのナノチャネルシステムの最適化を必要とした。これは、GMP品質のFST288(Paranta Biosciences社、メルボルン、豪国)のナノチャネルシステムへの試導入、および種々の保存条件下での製剤安定性、FST288の溶解性の実証の成功、ならびに生物学的機能を変えないフォリスタチンの放出の成功を含んだ。
製剤の最適化に成功した後、既知用量のFST288をナノチャネルに導入し、次いで、これを3つの液体製剤および1つのゲル製剤として送達して、ヒトを対象とする研究に関する倫理における承認のもと、手術時に新たに採取した生ヒト皮膚に適用した。
この試験では、新鮮な生きているヒト皮膚を、手術時に3人の患者から入手した。患者から切除した直後、正常な皮膚の張力を維持しながら、一連のテフロン(登録商標)リング(直径10mm)を皮膚表面と相互に等距離に接着し(図2)、製剤をマイクロピペット(200μL)で各テフロン(登録商標)リングに導入した。蒸発を防ぐために、テフロン(登録商標)リングをパラフィンフィルムで覆った。皮膚を室温に維持し、この皮膚の皮膚表面を、フォリスタチンを導入した、液体またはゲルのナノチャネルに最大48時間曝露した。
各テフロン(登録商標)リング中の製剤(液体またはゲル)は、新たな製剤200μLと24時間で交換した。生理食塩水および何も導入していないナノチャネルを対照として使用して、種々の皮膚切片におけるFST288の自然含有量を推定した。すべての工程は、清浄環境において実施した。24または48時間の曝露後、テフロン(登録商標)リングをマイクロピペットにより空にし、皮膚表面を滅菌ガーゼで穏やかに拭き取ることにより、いかなる残留液をも除去した。次いで、皮膚表面を生理食塩水で注意深くすすいで、ナノチャネルからのFST288のいかなる表面夾雑をも除去した。電動採皮刀を使用して、最初の実験から皮膚層を採取する最初の試みでは、それぞれ約300ミクロンの2つの層の作製のみが可能であり、次いで、手持ちの採皮刀を使用して、実験皮膚のより均一な薄層を入手した。第2および第3の皮膚試料は、手持ちのHumby採皮刀により分離し、これにより、皮膚を表層から深層まで均一で連続的な最大4つの層:表層表皮、深層表皮、表層(乳頭)真皮および深層(網状)真皮に、より的確に分割することが可能となった。
この分割技術により、皮膚の均一な分離層を用意することができ、これを使用して、FST288がナノチャネル製剤から皮膚に浸透した深度を判定した。各実験の終わりに、各皮膚試料から皮膚全層の小片を採取し、線維芽細胞を培養して、皮膚が依然として生きていることを確認した。標準的タンパク質抽出方法を使用して、FST288を各皮膚層から抽出し、対照および処理した皮膚の各層におけるFST288のレベルを、放射免疫アッセイを使用して測定した。FST288の量は、抽出物中の総タンパク質量に対して正規化した。対照対照および溶媒対照の皮膚試料由来のタンパク質抽出物を使用して、皮膚層におけるFST288の内在レベルを測定および説明した。
3つの液体ナノチャネル製剤(LPA、LPBおよびLPC)および1つのゲルナノチャネル製剤(LPD)を3人の異なる患者の皮膚試料に対して使用して、この試験から入手したデータにより、液体およびゲルの両ナノチャネルが、FST288を良好に保存し、次いで、腹壁形成術時に腹部および眼瞼形成術時に眼瞼から採取したヒト皮膚の表皮および真皮層へ、FST288を良好に輸送したことが示されることによって、仮説が裏付けられた(図3および4)。
LPBは、FST288の皮膚層を通した経皮移動が最も良好な液体製剤であったが、真皮層、特に深層真皮層に侵入したFST288の相対量は、すべての製剤の中でも、表皮における相対量のレベル未満であった。皮膚試料由来の線維芽細胞の良好な培養物では、このような実験において、採取し、最大48時間の期間にわたって使用したヒト皮膚が、実験後、生存を維持したことを示した。実験時に種々の皮膚層に侵入したFST288の、この現在の測定は、正規化プロトコールを使用して各試料から抽出した総タンパク質量と比較したFST288の量である。
この実施例では、既知量のFST288を含む大量のナノチャネルを生ヒト皮膚上に適用し、FST288の皮膚層への皮膚浸透を測定する技術を確立し、これを、同様の方法で皮膚に適用した生理食塩水(対照対照)および何も導入していないナノチャネル(溶媒対照)と比較する。生理食塩水および何も導入していないナノチャネルは、皮膚に内在するFST288の存在を制御するようにデザインする。適する技術を確立し、厳格な手術条件下で手持ちの採皮刀を使用して、表層表皮から深層(網状)真皮までの処理した皮膚の薄層を採取する。
この試験は、種々の皮膚層におけるFST288の測定、およびFST288のナノチャネル製剤から皮膚層への移動を実証することを可能とした。結果により、ナノチャネル製剤が、FST288を、ヒト皮膚を通して効果的に輸送することが確認される。
ヒトケロイド線維芽細胞により高レベルのアクチビンBが生成される
この実施例では、高レベルのアクチビンB遺伝子およびタンパク質発現が、ケロイド疾患を有する患者由来の真皮線維芽細胞において見出される。
平凡な病歴を有する21歳のコーカサス人種の女性を選択した。この女性は、右耳垂上および比較的程度は低いが左耳垂上に良性腫瘍を示していた。女性は6年前に、問題なく両耳垂にピアスの穴をあけ、女性は発症の12カ月前に、かゆみと圧痛を伴い、時々有痛性の小結節が発生し、両耳垂に拡大するのを認め、これは、右側で悪化した。耳垂ケロイドの診断がなされ、外科切除を行って、右耳垂の前部および後部をそれぞれ13×7×3mmおよび15×4×9mm除去した。耳垂ケロイドの再発は、手術以来、患者から報告されていない。他の関連する病歴は、良性母斑の手術による除去後の背部の正常瘢痕、他のらせん状周縁部およびケロイド形成のない臍部のピアスの穴の存在、ならびに正常に治癒したタトゥーの存在を有した。
ケロイド組織を10%v/vのホルマリン中に固定、パラフィンワックスに包埋、5μm厚の切片を作成し、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)またはMassonのトリクローム染色のいずれかで染色した。組織学的検査では、正常型と比較して、表皮が肥厚して平板化するとともに乳頭真皮が非常に厚く、悪性病変のエビデンスはないことが明らかとなった。このような切片では、乳頭真皮において細胞数の増加が観察され、これは、組織切片における広範なMassonのトリクローム染色により示すように、ケロイド組織における高レベルのコラーゲンの存在と相関した。
in vitroで培養した、患者由来のケロイド線維芽細胞の遺伝子発現試験では、正常皮膚試料由来の線維芽細胞と比較して、アクチビンA(INHBA)およびB(INHBB)遺伝子がともに高レベルで示された(n=4)。高レベルのINHBAおよびINHBBは、細胞溶解液中の高含有量のアクチビンAおよびBタンパク質と直接関連した。さらに、このようなケロイド線維芽細胞における高レベルのアクチビンA発現は、無血清培地中の高レベルのアクチビンAと相関した。ケロイド患者由来の線維芽細胞はまた、大量のアクチビンBを無血清培地中に分泌したが、培養した正常線維芽細胞の培地中には、アクチビンBは検出されなかった。
したがって、耳垂ケロイドを有する21歳のコーカサス人種の少女では、線維芽細胞は、アクチビンAの高発現を予想通り引き起こしたが、特に、異常に高い量のアクチビンBの発現をも引き起こした。アクチビンは、創傷治癒および線維症において多くの機能を有し、アクチビンAは、創傷修復の間の細胞増殖および分化を刺激することが示されている。ケロイド線維芽細胞は、正常線維芽細胞よりも29倍高いアクチビンAレベルを引き起こすことが報告されている(Mukhopadhyayら(2007)Am J Physiol Cell Physiol 292:C1131〜1338)。マウスでは、アクチビンAおよびBのmRNAは、7日間の創傷治癒の間に有意に上方制御され(Hubnerら(1996)Dev Biol 173:490〜498)、アクチビンAが高発現したトランスジェニックマウスは、創傷治癒が向上したことを示した(Mungら(1999)EMBOJ 18:5205〜5215)。この高レベルのアクチビンA遺伝子発現はまた、患者由来のケロイド線維芽細胞において見出され、INHBA遺伝子の高発現は、線維芽細胞の溶解液中の高レベルのアクチビンAタンパク質、および培養した線維芽細胞培地中のin vitroで分泌されたアクチビンAタンパク質と正に相関した。重要なことには、線維芽細胞により分泌されたアクチビンAはまた、ヒト皮膚中に存在する他の細胞に影響し得る。このような所見は、ケロイド線維芽細胞の線維性症状および創傷の修復活性とアクチビンAとの間の明白かつ重要な関連を示す。
アクチビンBは、アクチビンAと類似の機能を有するが、ほとんどの試験では、アクチビンBの線維性疾患に対する関係に着目していない(Hedgerら(2011)Vitam Horm 85:255〜297)。これは、アクチビンBタンパク質が、正常およびケロイド真皮線維芽細胞において、非常に低レベルでしか、これまでに測定されていないためである。この試験では、ケロイド患者由来の正常線維芽細胞の細胞溶解液において、極度に低い基底レベルのアクチビンBが確認されたが、この患者のケロイド線維芽細胞由来の細胞ライセートにおいて、異常に高くかつ有意な上昇レベルのアクチビンBが示され、これは、アクチビンB遺伝子(INHBB)発現量の有意な上方制御と正に相関した。
ケロイドは、現在、この外観を損なう症候性の腫瘍に有効な治療法が存在しないため、制御困難な臨床単位である。ステロイドまたは類似の剤の注射、放射線療法、加圧療法および外科切除の反復は、すべて提唱されており、変わりやすい長期的結果と、しばしば患者への持続的な心理社会的影響を伴う。この実施例では、患者は、ケロイドが損傷の数年後に発症していると説明され、真皮のケロイド線維芽細胞からin vitroで、極度に高レベルのアクチビンBだけでなく、アクチビンA遺伝子発現およびタンパク質分泌も有する。ケロイド線維芽細胞における、この異常に高レベルのアクチビンB遺伝子およびタンパク質発現は、この患者におけるケロイドの発症に外因子が必要とされる可能性を示す。このような所見は、多因子性のケロイドの予想される原因に支持を加え、強力なアクチビン阻害剤による、このまたは他のケロイドの治療により、ケロイドを制御および収縮させる有効な薬学的方法がもたらされ得ることを示唆する。したがって、対象内または対象上の創傷または皮膚症状の治療のための方法であって、創傷または皮膚症状の部位および/またはこの周辺領域に、フォリスタチンまたはこの機能性バリアントもしくはアイソフォームを、線維症または線維症と関連する炎症性症状の創傷または皮膚症状に対する作用を低減させるのに十分な時間および条件下で局所的に適用するステップを含む、方法を本明細書において可能とする。ある実施形態では、創傷は、損傷または手術による外傷、デュピュイトラン病の部位、微生物またはウイルスによる感染部位、虫刺れ、面皰または他の皮膚病変、乾癬または強皮症の領域、湿疹、擦過痕、線状皮膚萎縮(線条)、ざ瘡、熱傷、日光皮膚炎、ピアスの穴をあけた部位、ならびに黒色腫およびがん瘢痕、例えば、皮膚がん瘢痕と、肥厚性瘢痕からなる群から選択される。ある実施形態では、創傷は、1または2型糖尿病、皮膚潰瘍、肥満症、加齢、冠動脈心疾患、末梢血管疾患、創傷感染症、がん、放射線または化学療法による免疫抑制およびこの作用、ならびにカテーテル法を行った部位または生検を行った部位からなる群から選択される症状により増悪する。
テストステロンの非存在下で、アクチビンA、フォリスタチンおよび真皮創傷に対する炎症応答が減少し、創傷修復が加速される
この実施例では、テストステロンおよびこの中止が、アクチビンAおよびフォリスタチンの皮膚レベルを調節することにより、創傷治癒に影響するという仮説を検討する。試験の目的は、(i)成体雄マウスにおける皮膚創傷治癒の間に、アンドロゲンの存在(インタクト)および非存在(去勢済)下で、アクチビンAおよびフォリスタチンの循環および皮膚レベルを比較すること、(ii)インタクトおよび去勢済の成体雄マウスにおける創傷修復の間の皮膚において、皮膚濃度のアクチビンAおよびフォリスタチンに対するテストステロンの外因的投与の作用を調べること、(iii)外因性テストステロンによりアクチビンAおよびフォリスタチンを調節すると、創傷修復の間に、炎症マーカーであるIL−6およびTNF−αのレベルならびに浸潤性白血球の数に影響するかどうかを判定することであった。
動物
モナシュ大学、クレイトン、ビクトリア州、豪国のMonash University Animal Servicesから入手した6〜9週齢の雄のBalb/cJASMUマウスを、実験の前および間に次の条件下で飼育した:温度範囲21℃〜24℃;光サイクル明12時間、暗12時間。すべてのマウスは、餌および水を自由に入手可能であった。
ケタミン/キシラジンの腹腔内注射により動物を麻酔した(ケタミン:90mg/kg体重、Parnell Australia Pty Ltd社、NSW州、豪国;キシラジン:10mg/kg体重、Troy Laboratories Pty Ltd社、NSW州、豪国)。すべての外科手術(性腺摘除術、サイラスティック製インプラントの留置、創傷)について麻酔を使用した。麻酔のレベルは、尾部をつまむか、足の反射により点検した。長時間作用する全身性鎮痛剤(カプロフェン5mg/kg、Lyppard Australia社、メルボルン、豪国)を投与して、手術後の疼痛を緩和させた。
6週齢の雄のマウスを麻酔下で去勢し、3週間後に創傷治癒について試験した。精巣を鼠経管から腹腔内へ穏やかに押し込み、腹側正中線を小さく(0.5cm)腹部切開することにより露出した。各精巣を精巣上体から穏やかに解剖し、精巣の血管系を結紮した後、摘出した。5/0絹製縫合糸(Johnson&Johnson Medical社、NSW州、豪国)で2箇所を断続的に縫合することにより、すべての切開部を閉じた。
サイラスティック製インプラント
インプラントは、医療用のサイラスティック(ポリジメチルシロキサン)製の管(内径1.5mm、外径2.3mm、Aunet Pty Ltd社、WA州、豪国)を所望の長さ(1cm長)に切断し、多目的接着剤(Dow Corning RTV Sealant)で一端を封着することにより調製した。24時間後、各管に結晶テストステロン(Sigma社#T−1500)を充填するか、または空のまま(溶媒インプラント)とした。次いで、開口端を封着し、インプラントを少なくとも24時間乾燥させた後、手術により移植した。インプラントのサイズは、テストステロンを含む管の長さであると考えられた。皮下挿入の前に、インプラントを無水エタノール中で10分間滅菌し、これにより、この外面に接着する、いかなるアンドロゲンをも除去した。各テストステロンまたは溶媒インプラントは、創傷治癒実験の3週間前に、インタクトおよび去勢済の雄マウスにおいて、5mmの項部切開により皮下に挿入し、切開部位を5/0縫合糸で閉じた。
創傷実験
麻酔下において、9週齢マウス(n=6/群)それぞれの背側腹を注意深く剪毛し、70%v/vのエタノールで洗浄した。創傷を作るために、各側腹上の皮膚および下層にある脂肪層のカルニサス筋から全層を傍矢状に真直ぐ切開し(1cm長)、創傷の各両端から3mmに位置する2箇所を5/0の絹製縫合糸で縫合することにより各創傷を閉じた。後に動作可能なように、疼痛を最小化するために鎮痛を受けたすべての動物は、温熱パッド上で回復させ、次いで、1ケージあたり4匹の群で飼育した。3、5、7日目および創傷後に切開部を調べ、評価した。
血清採取
実験プロトコールに従って、種々の時点(0日目、3日目、5日目、7日目または14日目)において、午前10:00〜10:30に心穿刺により血液試料を採取した。試料は、30分間凝固させ、次いで、10,000gで10分間遠心分離して血清を採取し、これを、試験にかけるまで−20℃で保存した。
組織採取および処理
瀉血の後、麻酔下の動物を頸椎脱臼により犠死させた。約3mmの境界に囲まれた全創傷瘢痕からなる、皮膚創傷の全層試料を切り取り、二分した。各試料の半分を−80℃で凍結し、他方の半分を4%v/vのパラホルムアルデヒド(Sigma−Aldrich社、NSW州、豪国)中に固定し、処理して組織学的検査を行った。各動物の尾部付近の躯幹背側から非創傷皮膚を入手して、タンパク質レベルを判定した。
テストステロンで処置した、および処置しない動物由来の精巣、精巣上体、および精嚢を解剖し、付随する脂肪および結合する組織を除去し、秤量した。次いで、重量を使用して、去勢済の雄の生殖器に対するテストステロン補充の有効性を比較し、また、溶媒またはテストステロンのいずれかを含むインプラントを有する正常マウス間の器官重量における任意の差異を調べた。このような器官重量は、循環するアンドロゲンレベルの生理学的基準である。
肉眼的評価
最初の切開の直後ならびに創傷後3、5、7および14日目に、各背側皮膚創傷のデジタル画像を、Nikon D5000カメラ(Nikon社、東京、日本)を使用して、標準化した焦点距離、開口および露光時間で取得した。創傷領域を創縁内で測定し、画素面積をAdobe Photoshop CS5(バージョン12.0、Adobe Systems Inc社)を使用して計算した。創傷後3日目および5日目に、すべての群において紅斑の領域を測定し、すべての時点で、すべての群において創傷領域を測定した。
病理組織学的測定
各創傷の中央から採取した皮膚の横組織切片(5μm)を、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)[Harrisのヘマトキシリン、1%v/vのエオシン、Amber Scientific社、ミッドベール、WA州、豪国]で染色し、光学顕微鏡により解析した。すべての組織学的解析は、各試料の同一性の知識を有さずに盲検により実施した。組織切片をスキャンして、Aperio ScanScope AT Turbo Scanner(Aperio社、CA州、米国)を使用して評価し、Aperio ImageScopeを使用して、電子スライド(eSlide)を可視化および解析した。
表皮−真皮の接合部における非創傷の真皮縁間の距離を測定することにより、創傷の幅を計算した(Gilliverら(2008)endocrinology 149(11):5747〜5757)。幅が0.2mm未満である場合、創傷は、閉鎖していると見なされた。次の採点方法を使用して、上皮再形成を評価した:0、存在せず;1、存在し、創傷の50%未満に及ぶ;2、存在し、創傷の50%超および100%未満に及ぶ;3、存在し、不規則な厚さで100%に及ぶ;4、存在し、規則的な厚さで100%に及ぶ(Steedら(1997)77(3):575〜586)。表皮の肥厚化を判定するために、各創傷部位の顆粒層と表皮−真皮の接合部との間の平均距離を計算した(10×の対物レンズを使用して1切片あたり10回測定)。非創傷皮膚を対照として使用した。
7日目および14日目の創傷の切片をまた、Massonのトリクロームで染色して、結合組織を強調した。表皮の基底面と下の脂肪層のカルニサスとの間に位置する領域を明確化することにより、肉芽組織の領域を測定した。次の採点方法を使用して、コラーゲン配向を評価した:1、バスケット織線維;2、バスケット織>平行線維;3、平行線維>バスケット織線維;4、平行線維(AshcroftおよびMills(2002)J Clin Invest 110(5)615〜624)。
白血球浸潤の免疫組織学的解析
白血球共通抗原(LCA)としても知られるCD45を使用して、浸潤する白血球を炎症マーカーとして検出した(Hermistonら(2003)Annul Rev Immunol 21:107〜137)。5ミクロン厚の切片を切り出し、Menzel−Glaser Polysine(登録商標)スライド(Thermo Scientific社)上に配置し、風乾して室温で保存した。室温で自動システム(DAKO Autostainer Plus)を使用してスライドを染色し、切片を水で戻し、pH6.1のDakoクエン酸緩衝液を用いて抗原を回収した。スライドは、メタノール中3%v/vの過酸化水素(H)で10分間、ペルオキシダーゼ活性を遮断した。次いで、これらをCAS−Block(Invitrogen社、CA州、米国)で10分間ブロッキングし、次いで、一次抗体(CD45ビオチン化ラット抗マウス抗体、1:200)とともに20分間インキュベートした。その後、Vectastain ABCキット(Vector Labs社、バーリンゲーム、CA州)を30分間適用し、さらに、ジアミノベンジジン(DAB)により5分間、比色検出を完了した。切片をヘマトキシリンで対比染色し、DePexを用いてスライドにカバーガラスを載せた。
各群由来の1組織切片あたり4つのランダムな高倍率視野(HPF)においてCD45+細胞の平均数を計算することにより、白血球浸潤を評価した。提示するデータは、創傷後3および5日目の、創傷領域の1視野あたりの平均総細胞数を反映する。
アッセイ
直接放射免疫アッセイ(RIA)テストステロンキット(IM1119−Immunotech社、マルセイユ、仏国)を製造者の指示に従って使用して、I125標識化テストステロンを放射性トレーサーとして用いて、血清テストステロンレベルを測定した。イムノアッセイにおいて使用する抗体は、テストステロンに対して高度に特異的であり、関連分子、例えば、5α−ジヒドロテストステロンまたはΔ4−アンドロステンジオンに対して極度に低い交差反応性(<0.75%)を有する。血清テストステロンに対するアッセイ感度は15.63pg/mlであり、イントラアッセイ変動係数は7.9%であった。1回の実験から採取したすべての試料は、同一のアッセイにおいて測定した。
創傷および非創傷皮膚の凍結試料を、1%v/vのプロテアーゼ阻害剤(Calbiochem社、サンディエゴ、CA州)中でホモジナイズし(Janke&Kunkel Ultraturrax T25ホモジナイザー、IKA Labortechnik社、シュタウフェン、独国)、ホモジネートを4℃で遠心分離して壊死組織を除去した後、アッセイを行った。
血清および皮膚のフォリスタチンレベルは、RIAにより、ヒト組換えフォリスタチン288をI125による標識後に標準物質およびトレーサーとして使用して測定した(O’Connerら(1999)Hum Reprod 14(3):827〜832)。血清フォリスタチンについてのアッセイ感度は1.52ng/mlであり、イントラアッセイ変動係数は5.4〜5.7%であった。
血清および皮膚におけるアクチビンAレベルは、特定のELISAおよびヒト組換えアクチビンAを標準物質として使用して、製造者の指示に従って測定した(Oxford Bioinnovations社、チャーウェル、オクスフォードシャー州、英国)[Knightら(1996)J Endocrinol 148(2):267〜279]。血清アクチビンAについてのアッセイ感度は11pg/mlであり、イントラアッセイ変動係数は4.6〜7.5%、インターアッセイ変動係数は10.6%であった。
IL−6およびTNF−αの皮膚レベルは、皮膚試料において、製造者の指示に従ってELISAを使用して測定した(R&D Systems Inc社、MN州、米国)。IL−6のELISAの感度は5.97pg/ml、イントラアッセイ変動係数は3.4%、およびインターアッセイ変動係数は4.1%であった。TNF−αアッセイでは、マウス組換え物を標準物質として使用し、ELISAの感度は9.04pg/ml、イントラアッセイ変動係数は12.8%、およびインターアッセイ変動係数は12.7%であった。濃度は、組織1mg(湿重量)あたりで表す。
統計学的解析
データは、平均値±SEMとして表す。統計学的解析は、SPSSバージョン15(IBM社、アーモンク、NY州、米国)を使用して実施した。データは、二元配置分散分析を使用して解析した。インタクトおよび去勢済の群間の基底(0日目)の比較は、Studentのt検定を使用して解析した。群間の比較は、一元配置分散分析をTukeyの事後検定とともに使用して解析した。上皮再形成およびコラーゲンスコアは、Kruskal−WallisおよびMann−WhitneyのノンパラメトリックU検定により解析した。傾斜分布のため、血清テストステロンレベルは、対数変換してパラメトリックな試験を可能とした。差異は、p<0.05で統計学的に有意であると見なされた。
血清テストステロンレベルおよび生殖器重量を使用した去勢およびテストステロン補充実験の検証
雄マウスの去勢により、血清テストステロンレベル(インタクトな雄:14.12±3.2 対 去勢済の雄:0.04±0.01、p<0.001;表2)、ならびに精嚢(0.27±0.01 対 0.04±0.01、p<0.05)および精巣上体(0.05±0.04 対 0.02±0.02、p<0.05)のサイズおよび重量が、インタクトな雄と比較して有意に低下した。去勢済の雄におけるテストステロンの補充により、血清テストステロンレベルが、インタクトおよびインタクト+Tの両方の雄に見られる対照レベルまで有意に再上昇し(表2)、精嚢(0.42±0.02、p<0.05)および精巣上体(0.05±0.02、p<0.05)のサイズおよび重量が、インタクトな雄に見られるサイズまで戻った。
創傷後、生殖器重量は、実験工程の終わりまで、各群において一定のままであった。
創傷後3日目にすべての動物において創傷部位の周囲の紅斑が観察された。溶媒処置群では、インタクトな雄(インタクト)は、創傷後3日目に、去勢済の雄(去勢済)と比較して紅斑の領域が増大した(0.51±0.05 対 0.16±0.02 cm2、p<0.001)。テストステロンを去勢済の雄に補充した場合(去勢済+T)、紅斑の領域は、去勢済の群と比較して有意に増大した(0.16±0.02 対 0.42±0.03 cm2、p<0.001)。インタクト+Tと去勢済+Tとの間またはインタクトとインタクト+Tとの間の雄では、有意差は観察されなかった。
インタクト群においては、創傷後3および5日目に、創傷の外面に沿って痂皮が存在したが、去勢済の群においては、3日目までに痂皮は消失しており、微細な瘢痕を残すのみであった。テストステロンを去勢済の雄に補充した場合、3および5日目の両日に、インタクトな雄のものと同様に痂皮が観察され、瘢痕は、去勢済の群のものよりも厚く顕著であった。
溶媒で処置したインタクトな雄における創傷領域は、創傷後3および5日目で類似し、7日目に有意に減少した(p<0.05)。去勢済の群では、創傷領域は、創傷後3、5および7日目の間で類似し、14日目にさらに減少した(p<0.05)。群間では、創傷領域は、創傷後3および5日目にインタクト群において、去勢済の群と比較して増大した。テストステロンで処置した去勢済の動物では、創傷後3および5日目に、溶媒で処置した去勢済の動物と比較して創傷領域が増大し、領域は、インタクトな雄と類似した(図4A)。
創傷後3日目の創傷の組織学的評価では、すべての群の創傷表面上に壊死組織の層の存在が示された。インタクトおよび去勢済+Tの雄の創傷において、3日目までに上皮再形成が開始し、ケラチノサイトが痂皮の下に遊走したが、この過程は、いずれの群においてもまだ完了していなかった。対照的に、創傷の上皮再形成は、去勢済の群において、3日目までに完了していた。創傷後5日目までには、上皮再形成は完了し、肉芽組織は、インタクトおよび去勢済+Tの群の創傷において、形成を開始していた。
創傷の幅は、インタクト群において、14日目まで変化を示さず、この14日目から、3、5および7日目と比較して有意に減少した。去勢済の群においても、創傷後3、5および7日目の創傷の幅に変化はなかったが、14日目に有意に減少した。しかし、各時点において、去勢済の群における創傷の幅は、インタクト群よりも有意に小さかった(図4B)。
去勢済の雄にテストステロンを補充すると、創傷後3および5日目に、去勢済の群と比較して、創傷の幅が有意に増大し、インタクトな雄において観察されるパターンと類似の創傷修復パターンを有した。インタクトな雄をテストステロンで処置すると、創傷後3日目に、インタクト群と比較して、創傷の幅が減少した(図4B)。
表皮の厚さは、インタクト群において、創傷後3、5および7日目に有意に増大したが、14日目までに正常な厚さに戻った。去勢済の群においても、創傷後3および5日目に表皮の厚さの増大を示したが、これは、7日目までに創傷前の厚さに戻った。両溶媒処置群における表皮の厚さを比較すると、インタクトな雄において、創傷後7日目に、表皮の厚さの有意な増大が示された。去勢済+T群では、創傷後3、5および7日目に表皮の厚さが増大し、14日目までに創傷前の厚さに戻ったことが示され、これは、インタクトな雄において観察されたパターンと類似のパターンであった(図4C)。
まとめると、テストステロンにより、雄マウスにおいて創傷の閉鎖が遅延して、損傷後に紅斑の領域が増大し、表皮構造の回復が遅延した。
アクチビンAおよびフォリスタチンの血清レベルに対する作用
雄マウスの去勢により、血清テストステロンレベルが有意に低下し、血清アクチビンまたはフォリスタチンレベルに対する有意な作用はなかった。皮膚の創傷後、溶媒で処置したインタクトおよび去勢済の雄間で血清アクチビンにおける有意差は存在しなかった。しかし、血清フォリスタチンは、去勢済の雄において、インタクトな雄と比較して、創傷後14日目までに有意に上昇した(p<0.05)。去勢済の雄にテストステロンを補充すると、創傷後3および5日目の両日に、去勢済+Vh群と比較して、血清アクチビンレベルが低下した(p<0.05、表2)。
皮膚の創傷後にテストステロンによりアクチビンAの皮膚レベルが上昇する
インタクトな雄マウスの創傷後、3日目までにアクチビンAの皮膚レベルが29倍上昇し、これは、7日目まで上昇を維持し、14日目までにアクチビンAの有意な低下が生じたが、濃度は、基底レベルよりも上を維持した。去勢済の群では、皮膚アクチビンAは、創傷後3日目までに4倍上昇して、最大7日目まで上昇を維持したが、14日目までに基底レベルに戻った。両溶媒群では、創傷領域から遠位の部位から採取した非創傷皮膚におけるアクチビンAの基底レベルは、インタクトな雄において、去勢済の群と比較して有意に低下した(1.05±0.3 2対 4.41±0.61pg/mg;p<0.05)。しかし、創傷後、インタクトな雄におけるアクチビンAの皮膚レベルは、3日目には去勢済の雄のレベルの2倍となり、5日目には3倍高くなった(図5A)。
去勢済の雄にテストステロンを補充すると、創傷後3日目に、アクチビンAの皮膚レベルにおいて17倍の上昇が刺激され、これは、去勢済の雄のレベルの2倍であった。しかし、創傷後7および14日目までには、去勢済の群において、アクチビンレベルが高くなった。去勢済+Tの雄とインタクトな雄との間でも、インタクトおよびインタクト+Tの群間でも、有意差は観察されなかった(図5A)。
インタクトな雄マウスの創傷後、フォリスタチンは、創傷後3日目までに4倍上昇し、次いで、7日目までに低下したが、14日目に基底レベルよりも上を維持した。去勢済の雄では、フォリスタチンは、創傷後5日目まで上昇しなかったが、次いで、14日目まで上昇を維持し、ベースラインまでは戻らなかった。2つの溶媒対照群を比較すると、フォリスタチンレベルは、3および5日目に、インタクトな雄において、去勢済の雄と比較して有意に高くなった(p<0.05、図4B)。
去勢済の雄にテストステロンを補充すると、早ければ創傷後3日目にフォリスタチンの皮膚レベルが上昇したが、このようなレベルは、7日目までにベースラインに戻った。2つの去勢済の群では、皮膚のフォリスタチンレベルは、創傷後3日目に、テストステロン補充群において、溶媒群と比較して有意に高くなった(p<0.001)。テストステロンをインタクトな雄に投与した場合は、創傷後3日目にフォリスタチンが上昇し、さらなる経時的な低下はなかった。しかし、このようなレベルは、溶媒を投与したインタクトな雄のレベルよりも、依然として有意に低くなった(p<0.05、図4B)。
皮膚の創傷後の炎症に対するテストステロンの作用
創傷後3日目に、インタクトおよび去勢済の両方の雄は、健常な非創傷皮膚と比較して、CD45+炎症細胞の浸潤の増加を示した。しかし、創傷後5日目までに、去勢済の群において、細胞数は有意に減少したが、インタクト群において、CD45+細胞数に変化はなかった。去勢済の群にテストステロンを補充した場合は、CD45+細胞数は、創傷後3および5日目の両日に、去勢済の群と比較して有意に増加した。
インタクトおよび去勢済の雄におけるIL−6の皮膚レベルに対する創傷およびテストステロンの作用
非創傷皮膚におけるIL−6の基底レベルは、インタクトな雄において、去勢済の雄よりも高くなった。インタクトな雄に創傷した後、創傷後3日目にIL−6の皮膚レベルが有意に上昇し(p<0.01)、これは、実験期間に有意な上昇を維持した。去勢済の雄は、創傷後3日目にIL−6の有意な上昇を示した(p<0.005)。しかし、5日目までに、このようなレベルは、ベースラインに戻り、さらなる変化はなかった。このようなレベルは、創傷後5、7および14日目に、去勢済の雄において、インタクト群よりも有意に低下した(図4C)。
去勢済の雄にテストステロンを補充すると、創傷後3日目にIL−6の上昇が刺激され、これは、去勢済の群のレベルの2倍であったが、去勢済+Tの雄におけるIL−6レベルは、7日目までにベースラインに戻った。去勢済+Tおよびインタクト+Tの雄では、IL−6のパターンは類似しており、創傷後3日目に有意に上昇して、7日目までにベースラインに戻ったが、去勢済+Tの雄では、非創傷皮膚(0日目)ならびに創傷後7および14日目のIL−6のレベルが低くなった。インタクトな雄にテストステロンを処置すると、基底IL−6レベルが上昇し、創傷後3日目に、IL−6レベルは、インタクトな雄の群のレベルのほぼ2倍となった。このような群間で、さらなる差異は観察されなかった(図4C)。
皮膚のTNF−αレベルは、インタクト群においては、創傷後5および7日目に有意に上昇したが(p<0.05)、去勢済の群においては、一定のままであった。このような2つの群間では、インタクトな雄において、創傷後3、5および7日目に、レベルが有意に高くなった(p<0.05、図4D)。
去勢済の雄にテストステロンを補充した場合は、TNF−αの皮膚レベルは、創傷後7日目に有意に上昇した(p<0.05)。さらに、このようなレベルは、5および7日目に、去勢済の雄と比較して有意に高くなった。興味深いことには、インタクトな雄にテストステロンを与えた場合、TNF−αの皮膚レベルは、創傷後3日目に、インタクト群と比較して有意に上昇した(図4D)。
まとめると、テストステロンにより、白血球の創傷部位への遊走および浸潤の増加が引き起こされて、炎症性サイトカインのレベルが上昇し、雄マウスにおいて炎症期が延長した。
創傷真皮構造に対するテストステロンの作用
処置したインタクトな雄の真皮のコラーゲン線維は、創傷修復の初期に崩壊し、創傷後7および14日目には、表皮に平行に配向されたコラーゲン線維が顕著となった。去勢済の群では創傷後7日目に、インタクト群と同様に、平行なコラーゲン線維が顕著となった。しかし、14日目までに、正常真皮構造に特有の、バスケット織に配向されたコラーゲン線維が、去勢済の群において顕著となり、創傷の縁部に毛包が観察された。
テストステロンで処置した去勢済の雄では、創傷後7日目に、創傷部位において未成熟の肉芽組織を示し、コラーゲン線維は、平行に配向した。14日目までに、肉芽組織が成熟してコラーゲンの沈着が完了したが、コラーゲン線維は、依然として、平行な配向が顕著であり、これは、去勢済の群において観察されたコラーゲン線維のバスケット織真皮構造と有意に異なった(図4)。
インタクトな雄、ならびにテストステロンで処置したインタクトおよび去勢済の雄では、創傷後7および14日目に、表皮に平行なコラーゲン線維が顕著であった。
この実施例では、テストステロンによって、正常な皮膚のアクチビンAのレベルが制御されるということだけでなく、皮膚損傷後にアクチビンA応答が修飾されて、炎症過程が変更され、これにより、皮膚の修復が遅延することをも実証する。テストステロン非存在下では、皮膚のアクチビンAレベルは、創傷に応答して有意に上昇する。しかし、テストステロンの存在下では、アクチビンAレベルの有意なより大幅な上昇が観察された。同様に、皮膚における炎症性サイトカイン、例えば、IL−6およびTNF−αのレベルは、インタクトな雄マウスにおいて、去勢済の雄よりも有意に大幅な上昇を示し、これは、テストステロンが創傷に対する炎症応答を確立する重要な役割を示した。さらに、治癒の炎症期の間に、このような炎症促進性マーカーの増加とアクチビンAレベルの上昇との正の相関が存在し、これは、テストステロンおよびアクチビンAがともに作用して、創傷修復の間の炎症応答を促進させることを示唆した。
テストステロンの存在下では、アクチビンAおよびフォリスタチンの両方の皮膚レベルが上昇し、これは、テストステロン欠乏雄マウスのレベルと比較して、有意に高くなった。創傷修復の炎症期の間に、アクチビンAレベルの上昇が観察され、これにより、炎症促進性の刺激が表皮構造に影響することが証明された。
データは、創傷3日目に、健常な非創傷皮膚と比較して、CD45+細胞数が増加し、皮膚のIL−6およびアクチビンAのレベルが上昇し、これが、治癒の炎症期と一致したことを示す。しかし、創傷後5日目までに、CD45+細胞数およびIL−6のレベルは、テストステロン欠乏雄マウスにおいてのみ低減した。このデータは、炎症細胞の創傷領域への浸潤が、すべての雄マウスにおけるアクチビンA、IL−6およびTNF−αの皮膚レベルの誘導と一致したことを実証する。しかし、炎症細胞の浸潤は、テストステロンが欠乏した雄において、正常レベルのテストステロンを有するインタクトな雄マウスと比較して有意に減少し、これは、テストステロンのレベルによって、皮膚の修復および再生に必要なCD45+細胞の浸潤に必要とされる環境が確立されることを示唆した。これは、創傷部位において炎症を刺激し、創傷修復を遅延させる、アクチビンAとテストステロンとの関連についての問題を再び提起する。
この実施例では、創傷治癒過程の間に、テストステロンがアクチビンAと相互作用して、炎症を促進し、創傷修復を遅延させることを示す。実施例では、アクチビンAが、炎症応答を促進し、過剰なコラーゲンの沈着を生じ、真皮構造を変更することにより、テストステロンの線維化促進媒介因子として作用しているという見解に、さらなる支持をもたらす。創傷後の最適な瘢痕発症には、アンドロゲン、アクチビンAおよびフォリスタチンの間の影響の繊細なバランスが必要とされる。このようなデータに基づいて、インタクトな雄マウスにおける創傷部位の周囲へフォリスタチンを外因的に投与すると、アクチビンAレベルおよび炎症促進性サイトカインのレベルが低下し、線維症の低減および創傷修復間の瘢痕形成の向上が生じることが示唆される。
ケロイド疾患における新規治療剤としての、アクチビンアンタゴニスト、フォリスタチン
正常およびケロイド線維芽細胞を単離し、標準的線維芽細胞培養プロトコールを使用してin vitroで培養した。相対遺伝子発現量は、qRT−PCRを使用して調べた。アクチビンおよびフォリスタチンのタンパク質レベルはまた、酵素結合免疫吸着アッセイおよび放射免疫アッセイにより、真皮線維芽細胞において、それぞれ測定した。細胞はまた、100ng/mlのフォリスタチンで5日間処理して、線維症関連遺伝子の発現に対する作用を調べた。
ケロイド線維芽細胞では、アクチビン自己分泌経路による、アクチビンA遺伝子およびタンパク質発現のレベルの上昇が示された。このようなアクチビンの作用は、in vitroでの細胞培養の間に徐々に刺激された。フォリスタチンによる単回処理の後、ケロイド線維芽細胞におけるアクチビンA遺伝子発現量は、有意に低下し、これにより、アクチビンの自己分泌作用が、この処理によって阻害されたことが確認された。さらに、アクチビンの下流の標的、例えば、結合組織増殖因子(CTGF)は、ケロイド線維芽細胞において、対照と比較して有意に低下した。
ケロイド疾患は、アクチビンAの局所的生成と関連づけられる。アクチビンAおよびCTGF遺伝子発現を抑制するフォリスタチンの作用は、このタンパク質がケロイドおよび他の線維性疾患を治療する新規の役割を示す。
デュピュイトラン病
デュピュイトラン病の治療におけるフォリスタチンの役割を、図6に示す。
正常対照と比較したケロイド組織の組織学的解析
ケロイド組織の組織構造は、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)、Massonのトリクローム、ならびにHartのエラスチン染色を使用して特性評価した。H&Eは、ケロイド組織において、正常対照皮膚試料と比較して、厚い表皮および乳頭真皮を示した。ケロイド組織では、正常組織よりも多数の細胞が、このような組織層内に存在した。Massonのトリクロームで染色した組織は、ケロイド組織の乳頭真皮において、正常組織のそれと比較して大量のコラーゲンの沈着を示した。対照的に、Hartのエラスチン染色に基づいて、正常組織では、エラスチン線維は広範な分布を示したが、ケロイド組織では、エラスチン線維は相対的にほとんど存在しなかった。
正常およびケロイド線維芽細胞の遺伝子およびタンパク質の発現
複数の患者試料において、ならびに一人の患者由来の正常およびケロイド線維芽細胞においても、遺伝子およびタンパク質発現量を比較した。正常線維芽細とケロイド線維芽細との一人の患者における比較により、安定で相補的な患者内解析がもたらされた。アクチビンA遺伝子(INHBA)発現量は、正常対照と比較した場合、ケロイド線維芽細胞において有意に上方制御された。しかし、アクチビンB遺伝子(INHBB)発現量は、正常線維芽細胞とケロイド線維芽細胞との間で異ならず、この発現量は、INHBAと比較して非常に低くなった。結合組織増殖因子(CTGF、CCN2としても知られる)は、周知の線維症関連遺伝子であり、これは、ケロイド線維芽細胞において、有意に上方制御された。しかし、ケロイド疾患に関連する、プラスミノーゲン活性化阻害因子1(PAI1、SERPINE1としても知られる)の発現量は、試料間で広範な変動を示した。INHBA発現量と一致して、細胞溶解液および培養培地におけるアクチビンAタンパク質は、ケロイド線維芽細胞において、正常線維芽細胞よりも有意に高くなった。アクチビンBタンパク質は、正常およびケロイドの両線維芽細胞において、非常に低いレベルで存在した。このような結果は、一人の患者の同一の部位由来の正常およびケロイド線維芽細胞において確認された。INHBA、CTGFおよびPAI1は、ケロイド線維芽細胞において有意に上方制御され、INHBBでは、正常およびケロイドの両線維芽細胞において、有意に低い発現量を示した。マトリックス関連遺伝子、フィブロネクチン(FN1)および組織メタプロテアーゼ阻害因子1(TIMP1)の発現量はまた、ケロイド線維芽細胞において有意に上昇したが、エラスチン(ELN)は、正常対照と比較して有意に低下した。ケロイド病変形成におけるアクチビンの役割を検討するために、アクチビンA遺伝子およびタンパク質発現を、ケロイドおよび正常線維芽細胞において7日間、測定した。正常線維芽細胞は、3日以降、アクチビンA遺伝子発現量の基底レベルを維持したが、アクチビンA遺伝子発現量は、ケロイド線維芽細胞において7日間、上昇が継続した。遺伝子発現量と一致して、ケロイド線維芽細胞におけるアクチビンAのタンパク質レベルは、7日後に、細胞ライセートおよび培養培地の両方において、正常対照と比較して有意に上昇した。同様に、CTGF発現量は、7日後に、ケロイド線維芽細胞において、正常対照と比較して有意に上方制御された。
RNAシーケンシング(RNAseq)および独創性経路解析(IPA)
正常およびケロイド線維芽細胞培養物をフォリスタチンで単回処理するか、または処理せずに、1日目および5日目にRNAseqを実施して(図7)、ケロイド疾患における遺伝子発現量の変化の程度を比較した。発明者らのqPCRおよびELISAデータと一致して、INHBA発現量は、5日目に、1日目の試料と比較して有意に上昇した(図7b)。このような上方制御されたINHBA発現は、5日間のフォリスタチンによる単回処理により低下した(図7b)。さらに、CTGFおよびPAI1はまた、5日目に、ケロイド線維芽細胞において有意に上方制御されたが、ELNは、下方制御された。一部のマトリックス関連遺伝子、例えば、FN1、FBN2、TIMP1、TIMP3、COL1A1、COL3A1、COL4A1、COL4A2、COL4A4、COL5A3、COL10A1、COL11A1およびCOL13A1はまた、ケロイド線維芽細胞において有意に上方制御された。しかし、他の遺伝子、例えば、DCN、MMP1、MMP3およびMMP11は、ケロイド線維芽細胞において有意に下方制御された(図7b)。注目すべきことには、フォリスタチンによる処理後に、上方制御されたCTGFおよびPAI1は、有意に低下し、また、他の基質関連遺伝子は、下方制御された(図7b)。
トランスクリプトームデータのIPA解析では、ケロイド線維芽細胞が高度に増強されたTGFβ経路を同定した。59の遺伝子(図7b)を同定して、ケロイド線維芽細胞におけるTGFβシグナル伝達に関連する、最も有意に上方制御(図7a)および下方制御された発現(図7a)を、正常線維芽細胞における、これらの遺伝子の発現と比較して示した。興味深いことには、Sma−およびMad−関連ファミリー(SMAD)遺伝子は、正常線維芽細胞とケロイド線維芽細胞との間で類似の発現パターンを示した。受容体制御型SMAD(SMAD2およびSMAD3)ならびに共通媒介型SMAD(SMAD4)では、有意差はなかったが、拮抗型または阻害型SMAD(SMAD7)は、常に有意に上方制御された。しかし、TGFβの負の制御因子、例えば、BMPおよびアクチビン膜結合阻害因子相同体(BAMBI)の発現量は、ケロイドにおいて有意に上方制御された(図7b)。免疫関連遺伝子IL6の発現量はまた、ケロイド線維芽細胞において有意に上方制御されたが、腫瘍抑制遺伝子TP53は、正常および対照線維芽細胞において変化がなかった。さらに、サイクリンD関連遺伝子(CCND1、CCND2およびCCND3)は、ケロイドにおいて高度に上方制御された(図7b)。
重要な転写制御因子、例えば、活性化タンパク質1(AP1)転写因子(JUN、JUNB、JUND、FOS、FOSB、FOSL1およびFOSL2)の発現は、1日目および5日目に、有意に上方制御され、FBJマウス骨肉腫ウイルス癌遺伝子相同体B(FOSB)およびJunB癌原遺伝子(JUNB)はまた、5日目に、有意に上方制御された(図7b)。しかし、cAMP応答エレメント結合タンパク質(CREB)関連遺伝子(CREB1、CREBBPおよびEP300)は、ケロイド線維芽細胞において上方制御されなかった。
正常およびケロイド組織由来のヒト真皮線維芽細胞におけるアクチビンAの作用
同一患者由来の正常およびケロイド線維芽細胞培養物を、200pMの外因性アクチビンAで24時間処理すると、ケロイド線維芽細胞において、アクチビンA遺伝子(INHBA)発現量のさらに有意な上方制御が引き起こされた(図8a)。アクチビンAで外因的に処理するとまた、同一の患者由来の正常およびケロイドの両線維芽細胞において、CTGF、IL6、PAI1、FOSB、JUNBおよびTGFB2の発現量が上方制御された(図8)。アクチビンAによるCTGFの上方制御は、複数の患者試料においても確認された(図8n)。
活性化タンパク質1(AP1)転写因子およびヒトフォリスタチン288(FST288)のヒト真皮線維芽細胞に対する作用
ケロイド病変形成におけるAP1の役割を検討するために、線維芽細胞を、AP1活性の阻害剤であるSR11302で3日間処理した。10μMおよび15μMの濃度のSR11302により、INHBAおよびCTGF遺伝子発現が、正常およびケロイド線維芽細胞において有意に低下した。しかし、培養中の正常およびケロイド線維芽細胞は、高い濃度のSR11302には耐えられず、20μMを超える高用量では、細胞死を生じた。アクチビンA遺伝子発現量と一致して、細胞溶解物および培地中のアクチビンAタンパク質は、正常およびケロイドの両線維芽細胞において、AP1阻害剤による処理後、有意に低下した。さらに、FST288の作用を調べるために、線維芽細胞を3日または5日間、処理した。3日目および5日目の両日に、INHBAは、正常およびケロイドの両線維芽細胞において、FST288処理により有意に下方制御された。
当業者は、本明細書に説明する本開示が、詳細に説明するもの以外の変形形態および変更形態を許容する余地を有することを理解する。本開示では、このようなすべての変形形態および変更形態について熟慮していることが理解される。本開示はまた、本明細書において言及または指示する、すべてのステップ、特徴、組成物および化合物を個別的または集合的に、ならびにステップまたは特徴または組成物または化合物のいずれか2つ以上のあらゆる組合せを可能とする。
本明細書において引用する、すべての特許、出願、公表文献、試験方法、資料、および他の記事は、本明細書において物理的に示す場合と同様に、これによって参照により全体に組み込む。
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Claims (28)

  1. 対象の創傷または潜在的創傷の部位における異常瘢痕形成の予想される程度を評価する臨床的管理プロトコールであって、対象の治癒領域由来の線維芽細胞の試料をアクチビンと接触させるステップ、およびアクチビンに対する経時的感受性についてスクリーニングするステップを含み、ここで、アクチビンに応答する、遺伝子、miRNAおよび/もしくはタンパク質発現プロファイル、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の他の指標における、対照と比較した急速な変化が、異常瘢痕発症の尤度を示し、発現プロファイルにおける対照と比較した緩徐な変化が、非異常瘢痕発症の尤度を示す、プロトコール。
  2. 異常瘢痕形成が、創傷または皮膚症状と関連する、線維症または炎症から生じる、請求項1に記載のプロトコール。
  3. 対象が、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ヤギ、ラマ、アルパカ、ラクダ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ハムスター、モルモットおよびウサギからなる群から選択される、請求項1または2に記載のプロトコール。
  4. 対象が、ヒトである、請求項3に記載のプロトコール。
  5. 線維症または炎症が、手術による外傷または損傷、デュピュイトラン病、微生物またはウイルスによる感染部位、虫刺れ、面皰または他の皮膚病変、乾癬または強皮症の領域、湿疹、擦過痕、線状皮膚萎縮(線条)、肥厚性瘢痕、熱傷、日光皮膚炎、ピアスの穴をあけた部位、黒色腫またはがん瘢痕、あるいは皮膚筋炎または他の自己免疫疾患からなる群から選択される症状と関連する、請求項2〜4のいずれか一項に記載のプロトコール。
  6. デュピュイトラン病が、デュピュイトラン拘縮である、請求項5に記載のプロトコール。
  7. 皮膚病変が、潰瘍である、請求項5に記載のプロトコール。
  8. 線維症または関連する炎症が、1または2型糖尿病、肥満症、加齢、冠動脈心疾患、末梢血管疾患、創傷または皮膚感染症、黒色腫を含むがん、放射線または化学療法による免疫抑制およびこの作用、あるいはカテーテル法または生検を行った部位からなる群から選択される症状により増悪する、請求項2〜7のいずれか一項に記載のプロトコール。
  9. 創傷が、皮膚創傷である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロトコール。
  10. 皮膚創傷が、表皮層、真皮層または皮下組織層のうちの1つまたは複数を冒す、請求項9に記載のプロトコール。
  11. アクチビンが、アクチビンAである、請求項1に記載のプロトコール。
  12. アクチビンが、アクチビンBである、請求項1に記載のプロトコール。
  13. アクチビンが、アクチビンABである、請求項11に記載のプロトコール。
  14. 異常瘢痕化を示す可能性があると思われるか、または異常瘢痕化を確かに示す対象に、アクチビン阻害剤または下流のシグナル伝達成分の阻害剤を投与する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロトコール。
  15. 下流のシグナル伝達成分が、結合組織増殖因子(CTGF)である、請求項14に記載のプロトコール。
  16. アクチビン阻害剤が、TGF−βアンタゴニスト、AP−1阻害剤、cAMP応答エレメント結合(CREB)タンパク質の阻害剤またはプロスタグランジンE2(PGE2)の阻害剤である、請求項14または15に記載のプロトコール。
  17. TGF−βアンタゴニストが、TGF−β1、2または3アンタゴニストである、請求項16に記載のプロトコール。
  18. TGF−βアンタゴニストが、フォリスタチン、PB−01、あるいはAP−1阻害剤またはこの機能性バリアントもしくはアイソフォームである、請求項16または17に記載のプロトコール。
  19. 抗アンドロゲン剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗生剤、インスリン、麻酔剤またはエストロゲンを投与するステップをさらに含む、請求項14〜18のいずれか一項に記載のプロトコール。
  20. 抗アンドロゲンが、抗テストステロンである、請求項19に記載の方法。
  21. 異常瘢痕形成のリスクを有すると思われる対象内またはこの対象上の、線維性症状または炎症性症状と関連する異常瘢痕形成の治療または予防における医薬の製造における、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロトコールに基づく、アクチビン阻害剤の使用。
  22. 異常瘢痕形成のリスクを有すると思われる対象内またはこの対象上の、線維性症状またはこれと関連する炎症性症状の局所治療における、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロトコールに基づく使用のためのアクチビン阻害剤。
  23. 線維性症状または炎症性症状が、皮膚の症状である、請求項21に記載の使用、または請求項22に記載のアクチビン阻害剤。
  24. 線維性症状または炎症性症状が、内部的創傷における症状である、請求項21に記載の使用、または請求項22に記載のアクチビン阻害剤。
  25. 内部的創傷が、腸または尿路の周囲に存在する、請求項21に記載の使用、または請求項22に記載のアクチビン阻害剤。
  26. 線維性症状が、ケロイドである、請求項21に記載の使用、または請求項22に記載のアクチビン阻害剤。
  27. 線維性症状が、デュピュイトラン病、乾癬、強皮症、湿疹、肥厚性瘢痕、熱傷、日光皮膚炎、黒色腫もしくは他のがん、カテーテル法を行った部位、または生検を行った部位であるか、またはそれにより増悪するものである、請求項21に記載の使用、または請求項22に記載のアクチビン阻害剤。
  28. 対象が、ヒトである、請求項21に記載の使用、または請求項22に記載のアクチビン阻害剤。
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