既存の光ベース通信システムに伴う一つの問題は、セル間のハンドオーバ及び干渉である。各個々の照明器具が、それ自体の別個のアクセスポイントである場合、すなわち、照明器具毎に1つのセルである場合を考える。部屋などの小さな領域では、限られた範囲をそれぞれ有するそのような照明器具が複数存在する場合があるので、照明システムを介して通信しようとするモバイルユーザデバイスが、異なる照明器具からの相互に干渉する信号に遭遇する場合があり、それ自体が個々の照明器具間で短期間に何度もハンドオーバしていることに気付く場合がある。
このことを回避するために、本開示は、所与の領域(例えば、所与の部屋)内の複数の照明器具が全て、同じダウンリンク信号が埋め込まれた光を放出するシステムを提供する。それゆえ、対象となる領域(例えば、部屋)内でモバイルデバイスが移動するときは常に、ハンドオーバが必要とされず、それらの照明器具間で信号間干渉(すなわち、異なるデータによる干渉)が経験されない。デバイスの観点では、領域は1つの大きなセルを形成しており、デバイスは、支配的に信号を受信する照明器具が、ある照明器具から別の照明器具へと移行しつつあることを知る必要がない。ハンドオーバは、モバイルデバイスがこの領域の外側、例えば、隣りの部屋に移動する場合にのみ必要とされる。
しかし、このことが従来のVLC対応照明器具を使用して実施される場合、事実上の一つの問題は、大きな冗長性が存在することであり、各照明器具は、単に同じ信号のインスタンスを生成するために、それ自体の別個の変調器を含むことになり、リソースが無駄になる。更に、これを行うために全ての変調器を制御するために、照明器具間で複雑で高精度な同期メカニズムが必要となるであろう。
このことに対処するために、本開示は、集中型変調器が変調波形を生成するように構成され、この集中的に生成された変調波形が、中央変調器から、(セルに対応する)グループ内の各照明器具に分配される、システムを提供する。各照明器具では、信号注入器が、それぞれの光源を駆動するために当該照明器具のドライバによって生成される、注入がなければ定常である電流に、波形を注入する。それゆえ、同じ波形(よって同じ信号)が、変調器の重複を必要とせずに、かつ対象となる照明器具間の複雑な同期メカニズムを必要とせずに、グループ(すなわち、セル)内の各照明器具によって放出される光に埋め込まれる。
一方でしかし、そのようなシステムの下では、異なるそれぞれの照明器具によって放出されるダウンリンク信号の異なるインスタンス間に位相差が導入される場合がある。そのような位相差の潜在的な一原因は、集中的に生成された変調波形を異なる照明器具に分配するための分配ネットワークにあり、変調波形が従来の同軸ケーブル又は電力線通信などの従来手段を介して送達された場合、変調器と異なる照明器具との間のケーブルの長さの違いが、異なる遅延を導入するであろう。それゆえ、信号間干渉(異なる信号間の干渉)が存在しない場合があるが、ユーザデバイスで受信されるときに同じ信号の異なるインスタンスが、それでもなお非コヒーレントであり、場合によっては弱め合う自己干渉をもたらし、よって検出を妨げる場合がある。本開示によれば、この問題は、変調波形を異なる照明器具に分配するための媒体として光ファイバを選ぶことによって解決され得る。
当該技術分野では、通信システムのアップリンクサブシステム内でアップリンク信号を合成することが知られているが、従来技術のアップリンクサブシステムは、更に改良され得る。
本明細書に開示される一態様によれば、光通信用に構成された光照射システムに使用するためのアップリンクサブシステムであって、照明器具のグループと、ユーザデバイスから無線で送信されたアップリンク信号のそれぞれのインスタンスをそれぞれにサンプリングするためのセンサのグループであって、センサの異なるそれぞれのセンサが、グループの照明器具のそれぞれに組み込まれているか、若しくはグループの照明器具のそれぞれと同じ場所に配置されているか、又は、センサが、照明器具のグループによって照明される同じ空間領域にサービス提供する(serve)ように照明器具の間に点在させられている、センサのグループと、復調器ユニットと、センサのグループのそれぞれから復調器ユニットにアップリンク信号のそれぞれのインスタンスを供給するように構成されたアップリンク分配ネットワークと、を備え、復調器ユニットはアダプタを備え、アダプタは、アップリンク信号のインスタンスのそれぞれの、それぞれの受信信号強度の測定値に基づいて、受信信号強度のそれぞれの測定値に応じて、それぞれの重みを各インスタンスに適用するように、かつ、重みの適用に続いてアップリンク信号のインスタンスを合成し、それによって合成信号を生成するように、構成されており、復調器ユニットは、合成信号を復調するように構成された復調器を更に備え、アップリンクサブシステムは、タイムスロットが個々のアップリンクユーザに割り当てられる時分割多重アクセス方式を利用し、アダプタ(13)は、それぞれのタイムスロットに割り当てられたそれぞれのアップリンクユーザ、及びアップリンクユーザ信号が検出された従前に記録されたインスタンスに基づいて、タイムスロットベースで重みを割り当て、それによって、アップリンク信号のインスタンスの重みの切り替えが、タイムスロットと同期され、かつ、重みが、現在のタイムスロットと関連付けられたアップリンクユーザからの信号のインスタンスの予想される到着に適合されるようになっている、アップリンクサブシステムが提供される。
それゆえ、受信信号インスタンスの全てを中央復調器へと上流に送信し、最も強い寄与を復調前に合成することにより、このことは再び、プロトコル層でのハンドオーバの複雑性を招く必要なしに、ユーザデバイスが、照明器具から照明器具へ又はノードからノードへ速やかに移行することを有利に可能にする。ユーザデバイスがある照明器具の近くから別の照明器具の近くに移動すると、最も強い信号が、復調に使用するために単に物理層で自動的に選択されることになるので、実質的には、グループ内の照明器具の全ては、アップリンクの観点では単一のセルとして作動する。しかし、最も強い信号のみを使用することにより、このことは、複数の受信ノードが、最も弱い受信ノードからのノイズを緩和しながら単一のセルとして作動することを可能にする。
本発明者らは、特に、異なるタイムスロットがアップリンクで異なるユーザに割り当てられる時分割多重アクセス(time division multiple access;TDMA)システムを使用する場合に、そのようなアダプタは、アップリンク信号のインスタンスの重みがタイムスロットの割り当てと同期して好適に切り替えられる点で、更に改良され得ることを更に認識している。加えて、アップリンクユーザからの信号のインスタンスに割り当てられる重みは、ユーザ信号のインスタンスが従前に検出された位置、すなわち、センサ位置が、重みづけにおいて支持されるように、それぞれのアップリンクユーザに適応され得る。アップリンクユーザからの予想されるメッセージと同期して、それぞれのユーザに適応されるように、重みを割り当てることにより、ユーザアップリンク信号のインスタンスの改良された合成が可能になる。
実施形態では、アダプタは、(ローカル自動ゲインを既に行い得る)それぞれのセンサからの信号が、中央アダプタに引き続き転送され、それによって、ユーザ信号のインスタンスが集中的に重みづけされることを可能にする星形トポロジを形成する、集中的な手法を使用する。
実施形態では、アダプタはまた、それぞれのセンサからの信号が分散的な様式で合成される、分散的な手法を使用してもよい。分散的な実装は、例えば、複数の星形を含む、より広範なトポロジ、又は星形構成よりも効率的なケーブル敷設を可能にするツリー構造を可能にする。特に効率的な分散的な手法は、デイジーチェーン手法である。後続の入力合成が、星形構成よりも多くのノイズを導入する場合があるが、ケーブル長の観点からは、はるかに効率的にすることができる。加えて、後続の合成から生じるノイズの導入を低減するために、例えば、ノイズ又は干渉の蓄積を回避するために、ゼロの重みをローカルに使用することによる、つまり、可能な場合にはローカル入力をゲーティングすることによる、更なる対策が実施されてもよい。
実施形態では、アダプタは、少なくとも0及び1(すなわち、1)を含むセットから重みを選択するように、かつ、受信信号強度のそれぞれの測定値が閾値を下回る場合には重みの一部をゼロに選択するように、構成されてもよい。
代わりに、重みづけは、受信信号インスタンスのそれぞれを、それぞれの受信信号強度に比例して重みづけすることを含んでもよい。
実施形態では、信号強度の測定は、アップリンク信号の所定のプリアンブルに基づいてもよい。
実施形態では、受信信号強度の測定値は、ノイズフロアに対する信号強度の測定値であってもよく、ノイズフロアは、所定であってもよく、又はアダプタは、アップリンク信号中の所定のプリアンブルに基づいて、若しくはアップリンク信号がない推定期間中に存在するノイズフロアを推定するノイズ推定アルゴリズムに基づいて、ノイズフロアを経験的に決定するように構成されてもよい。
実施形態では、アップリンク信号のインスタンスが復調器ユニットに供給されるアップリンク分配ネットワークは、全体的に又は部分的に光ファイバから形成されてもよい。
実施形態では、照明器具のそれぞれは、ユーザデバイスによる検出のために、可視光通信によってダウンリンク信号を放出するようにも構成されてもよい。
実施形態では、センサのそれぞれは赤外線センサを備えてもよく、その場合に、アップリンク信号は、赤外線を介してユーザデバイスから受信される。
代わりに、アップリンクは、別の媒体、例えば、超音波などの別のアンライセンス媒体を使用することができる。
本明細書に開示される別の態様によれば、光通信用に構成された光照射システムであって、本明細書で上述されたようなアップリンクサブシステムと、ダウンリンクサブシステムと、を備える光照射システムが提供される。ダウンリンクサブシステムは、照明器具のグループと、ユーザデバイスによる検出のためにダウンリンク信号を放出するように照明器具のグループを制御するための変調器ユニットと、光ファイバから形成され、変調器ユニットを光ファイバを介してグループ内の照明器具のそれぞれに接続する、ダウンリンク分配ネットワークと、を備え、変調器ユニットは、ダウンリンク信号に対応する変調波形を生成するように構成された変調器と、ダウンリンク分配ネットワークの光ファイバを介してグループ内の照明器具のそれぞれに変調波形を送信するように構成された光送信器と、を備え、グループ内の照明器具のそれぞれは、光を放出するための照明要素と、光を放出するために照明要素に給電する駆動電流を用いて照明要素を駆動するための駆動回路と、を備え、グループ内の照明器具のそれぞれは、ダウンリンク分配ネットワークの光ファイバを介して変調器から同じ変調波形を受信するように構成された光受信器と、放出される光にダウンリンク信号を埋め込ませるために変調波形を駆動電流に注入するように構成された信号注入器と、を更に備える。
発光要素は、可視照明を放出するための光照射要素であり、ダウンリンク信号が埋め込まれる光は、可視照明であることが好ましい。
代わりに、照明要素は、照明器具によって放出される可視照明に加えて、赤外光の形態で光を放出するための赤外線要素であってもよい。この場合、ダウンリンク信号が埋め込まれる光は赤外光である。
実施形態では、ダウンリンク分配ネットワークの光ファイバは、全体的に又は部分的にプラスチック光ファイバを備えてもよい。
代わりに、光ファイバ分配ネットワークは、全体的に又は部分的にガラス光ファイバで形成されてもよい。プラスチックファイバは、より太く(例えば、直径1mm)、工事業者による取り扱いが容易であるが、ガラスファイバのオプションは除外されない。別の可能性は、高品質の同軸ケーブルであるが、伝送中の位相シフトを最小化することから、光ファイバが好ましい。
変調波形の分配のために光ファイバを選ぶ別の有利な特徴は、それが電気絶縁性であり、設置が容易であることである。例えば、従来の同軸ケーブルは、電力線ケーブルと同じ導管を通されることを許容されないが、光ファイバには、そのような制限がない。
それゆえ、実施形態では、ダウンリンク分配ネットワークの光ファイバの一部又は全ては、照明器具、変調器ユニット、及び/又は1つ以上の他の構成要素、のうちの1つ以上に給電するように構成された1つ以上の電力線と、同じ1つ又は複数の導管内に形成されてもよい。
場合によっては、光ファイバを介した通信は光速であり、よって本目的にとっては事実上瞬間的であるが、照明器具自体が、ファイバからの変調波形の受信と、放出された光における波形のレンダリングとの間で異なる遅延度を導入する異なるタイプのものである場合、位相差が依然として導入される場合がある。これは、(例えば、グループ内の照明器具が全て同じモデルであり得る)可能な全ての実装で、必ずしもそうではないが、場合によっては、グループ内の照明器具は、それらの光受信器、注入器回路、ドライバ回路、及び/又は光照射要素内に異なる電子機器を含む場合があり、このことは、ダウンリンク信号をレンダリングする際に異なる遅延度を招く場合がある。例えば、各照明器具内の光照射要素がLEDベースランプであり、各ランプが(例えば、ストリング又はアレイに配置された)1つ以上のLEDを備えているが、ランプのうち異なる照明器具内にある異なるランプが、異なる蛍光体を含むLEDを用いている場合を考える。これらは、信号をレンダリングする際に異なる励起遅延を経験することになる。また、隣り合う照明器具からの信号インスタンスが、わずかに異なる角度からユーザデバイスによって受信されると、それらは、異なる長さの物理的な経路を移動することになる。再び、このことは、位相差をもたらすことになる。
本発明者らは、VLCなどの光ベース通信が、これらの位相差に対して相変わらずロバストであり得、よって、問題は、上流の中央変調器の使用にとって障壁である必要がないことを認識している。無線周波数(radio frequency;RF)通信では、スペクトルが制限され、信号が典型的に、伝送のために高周波搬送波変調にシフトアップされる。一方で、例えば部屋の大きさのオーダーに、範囲が制限される光ベース通信の場合、スペクトルに関する制約が少なく、よってアップコンバートする必要がない。いずれの場合も、(EMアンテナと比較して)遅反応性であるLEDは、高周波搬送波変調を行うことができない。それゆえ、光ベース通信、特にVLCは典型的に、ベースバンド変調を使用し、それにより、変調周波数は、搬送波周波数よりもはるかに低い。本発明者らは、時間的に変化する「光子密度」がデータの埋め込みに使用される光通信では、搬送光波の波長(400〜700ナノメートル)が、波相殺の決定に関連するというよりは、むしろ単一ビットが当該シンボル持続時間中に横断する距離及び/又は回路の種類に関連することを認識している。VLCの変調レートは典型的に、空気中で30m又は少なくとも数メートルのオーダーのシンボル波長(波長は、本目的では単一のシンボルによってカバーされる移動距離を意味する)に対応するが、本発明者らは、受信デバイスにて大きな寄与を与える照明器具間の位相差が、約1m以下に相当する傾向があることを確認している。より大きな経路差は、離れた照明器具により生じる場合があるが、すると信号強度差は、受信デバイスのすぐ近傍からの信号インスタンスが支配的となるようなものになる。このことは、電力4への距離の光出力損失によって更に促進される。
それゆえ、実施形態では、ダウンリンク信号は、光に埋め込まれたときに空気中で3mを超えるシンボル波長を有してもよい。光に埋め込まれるときのダウンリンク信号の空気中でのシンボル波長は、10mを超えることがより好ましい。一部の実施形態では、光に埋め込まれるときのダウンリンク信号の空気中でのシンボル波長は、30mを超える。例えば、グループ内の任意の照明器具ペア間の位相差は、10度以下又は変調のシンボル波長の10%以上に相当してもよい。
位相差に関する上記の考慮は、ダウンリンクのみではなく、1つのユーザデバイスからの信号が複数の受信ノードを介して到着するアップリンクにも当てはまる(間もなく論じられる)。
しかし、ダウンリンク信号及び/又はアップリンク信号のシンボル波長はまた、実質的に同様の電子機器を有する照明器具及び/又はセンサユニットを、これらの構成要素によって導入される遅延が異なるノード間で実質的に同じになるように使用するなど、潜在的な位相差の影響を緩和する他の対策が講じられる場合に、より短く(すなわち、より高いデータレートに)できることにも留意されたい。
位相差に対するロバスト性は、好ましくは少なくともダウンリンクで、直交周波数分割多重化(OFDM)を用いて変調波形を形成することによっても、改良することができる。つまり、上流の変調器にて生成され、ファイバを介して送信され、照明器具によって放出されるときの変調波形は、OFDM方式に従って変調される。OFDMは、同じ信号の異なる重畳された受信インスタンス間の位相差に対して本質的にロバストである既知の技術である。OFDMを使用すると、一部の周波数が相殺することも許容可能となる。
特に、OFDMは、位相差の影響を更に緩和し、マルチパス伝搬に対して本質的にロバストである。OFDMにおける位相相殺は、当該副搬送波の特定のサブセットにおける信号の損失をもたらすが、これは、(残りの)副搬送波に沿った冗長性(典型的には誤り訂正符号化、符号化OFDM)によって補償される。本開示のように高速光リンクの使用と組み合わせると、波相殺は大いに回避されることができるので、冗長性が余り必要とされず、(チャネル推定、搬送波ビットローディングなどを含む)信号処理はより単純であり得る。しかし、本開示の範囲はOFDMに限定されず、PAMなどの他の変調法が代わりに使用されてもよいことに留意されたい。
それゆえ、実施形態では、変調器は、OFDM方式に従って変調波形を生成するように構成されてもよく、それによって、ダウンリンク分配ネットワークの光ファイバを介して送信されるときの変調波形がOFDM変調波形の形態をとる。
更なる代替的又は追加的な実施形態では、システム又は少なくともダウンリンクサブシステムは、不透明な仕切りによって互いに光学的に隔てられた複数の空間領域に分割されてもよく、領域のそれぞれは、データが埋め込まれた光を放出するデータ放出用照明器具のそれぞれのセットを備え、照明器具のグループは、領域の1つにあるデータ放出用照明器具のセットであり、ダウンリンク信号は、当該領域のためにそれぞれのデータを通信し、領域の所与の1つの各領域内では、当該領域に放出されるいずれの光にも同じデータのみが埋め込まれてもよいが、領域の異なる領域に放出される光には、異なるデータが埋め込まれてもよい。
同じ信号を放出する複数の照明器具を領域毎に設けるが、領域間の不透明な分割を確実にすることにより、これは、さもなければ干渉が存在するであろう異なる照明器具からの重なり合う照明の間の「グレーエリア」を有利に回避する。例えば、領域のそれぞれは、建物の異なるそれぞれの部屋であってもよく、その場合、仕切りは壁である。それゆえ、各部屋は、ダウンリンクサブシステムの異なるそれぞれのセルを形成し、それぞれのセルは、建物の既存の特徴によって隣接するセルから遮蔽される。例えば、オフィスビルでは、異なる部屋は、1つ以上のオフィス、そのようなオフィス間の廊下、会議室、及び/又は食堂若しくは休憩室などであってもよく、又はそれらを含んでもよく、あるいは、住居では、異なる部屋は、リビングルーム、台所、1つ以上の寝室などであってもよく、又はそれらを含んでもよい。
本明細書に開示される別の態様によれば、ダウンリンクシステムの照明器具のグループが、アップリンクシステムに使用されるのと同じ照明器具のグループである、システムが提供される。ユーザデバイスも、同じユーザデバイスであってもよい。
換言すれば、一態様によれば、光通信用に構成された光照射システムであって、ダウンリンクサブシステム及びアップリンクサブシステムを備え、アップリンクサブシステム及びダウンリンクサブシステムが以下を備える、光照射システムが提供され得る。ダウンリンクサブシステムは、照明器具のグループと、ユーザデバイスによる検出のためにダウンリンク信号を放出するように照明器具のグループを制御するための変調器ユニットと、変調器ユニットをグループ内の照明器具のそれぞれに接続するダウンリンク分配ネットワークと、を備え、変調器ユニットは変調器を備え、変調器は、ダウンリンク信号に対応する変調波形を生成するように構成され、ダウンリンク分配ネットワークを介してグループ内の照明器具のそれぞれに変調波形を送信するように構成されており、グループ内の照明器具のそれぞれは、光を放出するための照明要素と、光を放出するために照明要素に給電する駆動電流を用いて照明要素を駆動するための駆動回路と、を備え、グループ内の照明器具のそれぞれは、ダウンリンク分配ネットワークを介して変調器から同じ変調波形を受信するように構成されており、放出される光にダウンリンク信号を埋め込ませるために変調波形を駆動電流に注入するように構成された信号注入器を更に備える。アップリンクサブシステムは、復調器ユニットと、ユーザデバイスから無線で送信されたアップリンク信号のそれぞれのインスタンスをそれぞれサンプリングするためのセンサのグループと、センサのそれぞれから復調器ユニットにアップリンク信号のそれぞれのインスタンスを供給するように構成されたアップリンク分配ネットワークと、を備え、復調器ユニットはアダプタを備え、アダプタは、アップリンク信号のインスタンスのそれぞれの、それぞれの受信信号強度の測定値に基づいて、受信信号強度のそれぞれの測定値に応じて、それぞれの重みを各インスタンスに適用するように、かつ、重みの適用に続いてアップリンク信号のインスタンスを合成し、それによって合成信号を生成するように、構成されており、復調器ユニットは、合成信号を復調するように構成された復調器を更に備える。ダウンリンク分配ネットワークは、光ファイバネットワークであり、つまり、変調波形は、光ファイバを介して変調器から照明器具に分配されることが好ましい。
アップリンク分配ネットワーク及びダウンリンク分配ネットワーク(変調波形をダウンリンクで照明器具に分配するために使用される光ファイバ分配ネットワーク)は、同じ光ファイバネットワークの異なるチャネルとして実装することができる。例えば、それらは、同じ1つ又は複数の導管を通って又はより一般的には1つ以上の同じ経路に沿って延びる異なる平行なファイバ又はファイバ束から形成されてもよい。別の例として、アップリンク分配ネットワーク及びダウンリンク分配ネットワークは、1つ以上の同じ物理的ファイバ上の異なる時分割多重化チャネルによって実装することができる。代わりに、例えば、ダウンリンクに光ファイバ、アップリンクに同軸ケーブル又は電力線通信など、アップリンク及びダウンリンクのために別個の分配ネットワークが使用され得ることは除外されない。
各センサは、グループ内の照明器具の異なるそれぞれの照明器具に組み込まれるか、又はそれらと同じ場所に配置されることが好ましい。代わりに、センサは、グループの照明器具間に点在させられてよく、(例えば、所与の部屋において照明器具間の位置で天井及び/又は壁に取り付けられた)照明器具によって照明される同じ空間領域にサービス提供する。後者の場合、必ずしも照明器具毎に1つのセンサが存在する必要はない。
いずれにしても、実施形態では、アップリンクセルは、ダウンリンクセルと同じである、例えば、各セルは同じ建物の異なるそれぞれの部屋であることが好ましい。
著しい位相シフトを回避するための光ファイバ分配ネットワーク、及び/又は、位相シフトに対するロバスト性を改良するためのOFDMと組み合わせて、集中型変調器を用いて変調器ロジックの重複を回避することにより、このことは、特定の領域内の複数の照明器具が同じ信号を放出することができ、よって、全てが、ダウンリンクの観点では同じセルを形成する、効率的かつ信頼性の高いシステムを可能にする。更に、アップリンクを目的としたネットワークのセルへの分割は、ダウンリンクの場合と同じであることが、典型的に好都合である。プロトコル層でのハンドオーバではなく、物理層で照明器具間を移行することにより、このことは、アップリンクでのハンドオーバの必要性も回避する。それゆえ、これらの特徴を共に機能させることは、複数の照明器具、例えば、室内の照明器具の全てにまたがる二重セルを可能にする。このことは、対象となる領域内での、例えば同じ部屋内での、ハンドオーバを無くすことによって、より高速な移行を可能にする。
無線放送における、すなわち、複数の受信者を意図したデータの一方向無線伝送の場合のための、単一周波数ネットワークが知られている。更に、本開示のシステムでは、当該使用は、ユーザ毎に異なるデータを有する、複数ユーザへの双方向通信に拡張される。本明細書では、セル間の重なり、セルサイズの半径、及び隣り合うセルにおける代替的な無線周波数の可用性において、オプティカルが無線セルラーシステムとは異なることが認識される。無線では、異なる無線を使用した隣りのセルへのハンドオーバが、無線帯域幅エリアの使用を制限するため、魅力的である。更に、光無線通信(例えば、VLC)では、通信がベースバンド内であり、他の搬送波周波数を有する代替チャネルが利用できない。よって、複数のランプによる信号の放出を可能にすることはOWCに役立てることができ、さもなければ再利用できる、帯域幅を浪費するという欠点を有さない。OWCシステムは、複数の照明器具のための重なり合う寄与を有する多くのエリアを有する、という傾向もある。これらのエリアでは、複数の照明器具からの受信は、信号を増大させることができる(信号が強め合うように加わり、よって大きな位相差を伴わない場合(上記の記述を参照されたい)、アップリンクでも、ダウンリンクに関して前述されたような位相整合性及び低遅延の同じ問題が当てはまる)。更に、数メートル以下の半径を有する非常に小さなセルでは、通常のハンドオーバ方式が、過度のハンドオーバレートをもたらすことになる。
また更なる実施形態では、アップリンク信号は、異なるアップリンク副搬送波を含むOFDM方式に従って変調されてもよく、復調器ユニットは、アップリンク副搬送波の異なる副搬送波間に遅延ダイバーシティを導入するように構成された位相シフタを備えてもよく、及び/又はダウンリンク信号の変調波形は、異なるダウンリンク副搬送波を含むOFDM方式に従って変調されてもよく、変調器ユニットは、ダウンリンク副搬送波の異なる副搬送波間に遅延ダイバーシティを含めるように構成された位相シフタを備えてもよい。
以下では、共通の光無線通信システムに接続されたいくつかの受信器によって広い光無線受信エリアを作り出すためのシステムについて説明する。光無線通信システムは、複数のプラスチック光ファイバによって異なる照明器具に接続された単一の変調器を有する送信器部と、共通の復調器へのいくつかのフィードバックチャネルを含む受信器部と、を備える。これらの要素は全て、例えば、同じ部屋に実装されてもよい。目的は、ノード間の重なりを管理し、またそれらの間のハンドオーバを不要にすることである。
ダウンリンクでは、システムはいくつかのエミッタを備えるが、それらは全て同じ信号を送信する。
アップリンクでは、システムは、異なる信号を送信するが、ポーリングを除いてほとんどの場合(TDMA)に同時には送信しない、いくつかの放出ユーザデバイスを備える。ユーザデバイスは、差し込まれて、ユーザデバイスが光無線を介して通信することを可能にするドングルを有する、例えばラップトップ又はタブレットなどのユーザ端末であってもよい。
ダウンリンクでは、対処する一問題は、いくつかの光源を、隣り合う2つの非同期光源間で干渉の問題を伴わずに使用する、無線光通信システムによる所与のエリアのカバレッジである。別の考慮は、光無線通信の配備コストである。
本明細書に開示される実施形態は、複数の光源を用いて同じ信号を放出することによって比較的広いカバレッジエリアを確保し、よって、当該エリア内でのハンドオーバ問題を解決する(つまり、プロトコル層でのハンドオーバの必要がない)、無線光通信システムを提供する。組み合わされたカバレッジ領域、すなわちセルは、セル間の光干渉が壁又は他の不透明な仕切りによって遮断されるような、そのような仕切りによって隔てられた部屋又は他の区分に対応することが好ましい。実施形態は、いくつかの光源を、これらの異なる光源から来るデータ信号のインスタンス間に有意な位相シフトがないことを保証しながら、1つのモデムで駆動することを可能にするデバイスも提供する。
そのようなシステムは、SNR低下(干渉)によりデータ受信が不良となり得る、2つの光源間の「グレー」ゾーンを有利に回避し得る。実施形態では、いくつかの光源に対して1つの無線光モデムを使用することによるコスト削減もある。更に、実施形態では、プラスチック光ファイバ(plastic optical fiber;POF)又はガラス光ファイバ(glass optical fiber;GOF)が、変調器から照明器具に信号を伝達する手段として使用され、よって、POF又はGOFを無線光通信(例えば、LiFi)と組み合わせる。結果として、異なる長さを有する長距離のケーブル敷設が、無線光モデムと光源との間で使用されてもよく、帯域幅の劣化が、長尺の接続でもほとんど又は全くない。実施形態は、追加の位相シフト制御を用いてもよい。
アップリンクに関して対処される問題は、所与の送信中のユーザデバイス(少なくとも1つのユーザデバイスが存在するが、必ずしも1つより多くはない)に対して複数の受信器が存在することである。実施形態では、複数の受信器は、天井の異なる照明器具内に、又はそれらの周りに含まれる。
開示されるアップリンクサブシステムは、複数の受信器(例えば、アップリンク信号が赤外線によってユーザデバイスから送信される場合にはフォトダイオード)によって検知された受信情報信号を合成する。支配的な信号の位相類似性によって促進される、それを行うための一方法は、受信センサの全てから(例えば、照明器具毎に1つのアップリンクセンサがある場合には、部屋内の照明器具の全てから)来る全ての信号を合計することであろう。しかし、この手法の欠点は、各受信器のノイズも合計してしまい、SNRを低下させることである。つまり、加算増幅器によって全ての受信信号を単に合成することは、ノイズフロアを増加させ、SNRを低下させるであろう。他の極端な解決策は、全ての信号が受信器ノード内でローカルに完全に復調され復号され、次いで、データペイロードを搬送することが見出された復号デジタル信号のみが中央ノードに送信されることである。しかし、これは、過剰な信号処理を招くという欠点があり、各個々の位置にある各受信ノードは、直交周波数分割多重化(OFDM)、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;FFT)、チャネル推定、誤り訂正などの受信処理を完全に実行する必要がある。信号を合成せずに、代わりに、分離されたチャネルを別個のADC入力で使用する場合、光無線通信の配備コストが増加するであろう。更に、最初にハードデジタル決定を行った後に合成することは、最初にアナログ信号をコヒーレントに合成することと比較して、性能の低下(ビットエラーの可能性が高くなる)をもたらすであろう。
1つのエミッタ及び1つの受信器のみを有するシステムに対して、より良好な又は少なくとも同等の性能を有するアップリンクサブシステムを提供することが望ましく、当該アップリンクサブシステムは、代わりに複数の受信器を使用するが、良好なSNRを有する信号に遭遇しないノードからの蓄積ノイズを回避する。システムは、複数の受信器での信号を使用して、信号がコヒーレントに増加するとともにノイズが非コヒーレントに増加するように、結合信号の振幅を増大させることが好ましい。これを行うために、開示されるアップリンクサブシステムは、例えばノイズフロアと比較して、少なくとも特定の受信信号強度を有する、それらの信号のみの(ほぼ)最適な合成を使用する。サブシステムは、各受信器信号を別々に制御し、例えば、所与の受信器の下での活動状態のプリアンブル確認位相スニフィングに基づいて、最適化されたSNRメカニズムによるアナログ受信信号の「スマートな」加算を適用する。
それゆえ、いくつかのIR受信器からの受信信号を1つのモデムによって合成することにより、広いエリアカバレッジを有する無線光通信システムを可能にし、よって、ハンドオーバ問題を解決するとともに、SNRの低下(ノイズフロアの増加)によりデータ受信が不良となり得る、2つのIR受信器間の「グレー」ゾーンを回避する、デバイスが提供される。実施形態は、各受信器のノイズフロア監視活動を最適化してもよい。更なる実施形態は、オプションとして、活動スニフィングのためにプリアンブルシーケンスを使用してもよい。
図1は、本明細書に開示される実施形態による照明システム(すなわち、光照射システム)の例を示す。
システムは、環境、すなわち、少なくとも1人のユーザによって占有可能な空間を照明するように配置された複数の照明器具2を備える。環境は、建物若しくは建物の個々の部屋などの屋内環境、又は公園若しくは庭園などの屋外環境、又はスタジアムなどの部分的に覆われた空間、又は船若しくは列車など乗り物の内部、又はそのような空間の任意の組み合わせとすることができる。3つの照明器具2a、2b、2cが、純粋に例示目的で示されている。照明器具は、従来的な又は従来的ではない、様々な形態のいずれかを取ってもよい。例えば、照明器具2の一部又は全てが、部屋の天井若しくは壁に取り付けられてもよく、又は自立型の照明器具であってもよい。または、照明器具の一部又は全てが、表面又は物品又は家具に組み込まれてもよい。
照明システムは、光照射システムを介してユーザデバイス16との間でデータの二重通信を可能にする、アップリンクサブシステム及びダウンリンクサブシステムを更に備える。例えば、これは、ユーザデバイス16が、照明システムを介してリモートネットワーク又は他のデータサービスにアクセスすること、例えば、照明システムを介してインターネットにアクセスすること、を可能にしてもよい。
ダウンリンクを実施するために、各照明器具2は、それが放出する可視照明に変調された埋め込み信号を含めるように構成される。そのような技術は、VLC(可視光通信)又は「符号化光」と呼ばれることが多い。
ダウンリンク信号中のデータのシンボルは、放出光の任意の好適な特性を変調することによって表される。VLCのために、光は、EM放射自体の周波数、すなわち搬送波と比較して低い周波数に対するベースバンド変調に従って変調される。これは、例えば、振幅シフトキーイング又はパルス位置変調により、データシンボルを光の振幅又は強度に直接変調することによって行うことができる。代わりに、一部の方式は、人工的な搬送波波形を(光自体のEM周波数と比較して依然として低い周波数で)光に変調し、次いで、この搬送波の周波数又は位相などの特性を変調する、すなわち、周波数シフトキーイング又は位相シフトキーイングを使用する。いずれにしても、信号のシンボル波長は、光自体の波長と比較して長い。可視光は波長390〜700nmであるが、空気チャネル上のデータの基本シンボル長(変調方式の最小単位)は典型的に、メートルのオーダー、例えば、3m以上、10m以上、又は30m以上である。それでもなお、変調周波数は、人間の目に見えないほど十分に高いか、又は、少なくとも、目に見えるいずれのアーチファクトも許容可能であるように十分に高いものであることが好ましい。より短いシンボル波長も除外されない。
変調は、そのようなチャネルシンボルに、(ユーザビットと称される場合もある)データビットをマッピングするための、符号化スキームを含み得る。目に見えるフリッカを回避するために、DCフリー符号化方式が使用されること、すなわち、ゼロHzでゼロになるパワースペクトル密度を有することが好ましい。例は、DCコードなしのOFDM信号であり、場合によってはまた、一部の低周波数副搬送波が除去される。
放出される照明に埋め込まれた埋め込みダウンリンク信号は、ユーザデバイス16上の光センサ22によって検出される。検出された埋め込み波形は、ユーザデバイス16の好適な復調器及び復号器(図示せず)によって復調され復号される。ユーザデバイス16は、スマートフォン、タブレット若しくはラップトップコンピュータ、又はウェアラブルデバイスなどのモバイルユーザデバイスの形態をとってもよい。光センサ22は、例えば、フォトセル(点検出器)、又は、各フレームをライン毎にキャプチャするグローバルシャッタ型カメラ若しくはローリングシャッタ型カメラとすることができるカメラの形態をとってもよい。光センサ22は、ユーザデバイス16の本体に組み込まれてもよく、又は、例えばドングルの一部として、ユーザデバイスの外部ソケットに差し込まれてもよい。ユーザデバイス16の復調器及び復号器は、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせにて実装されてもよい。それらは、ユーザデバイス16自体に、又はユーザデバイス16が接続するローカル若しくはリモートデバイス(例えば、ケーブル若しくはローカル無線ネットワークによって接続するローカルホストコンピュータ、又はユーザデバイス16がインターネットなどの広域ネットワークを介して接続するリモートサーバ)に、又はそのような手法の任意の組み合わせにて実装されてもよい。
アップリンクでは、各照明器具2は、それぞれの受信器ユニット3(実施形態では、好ましくは赤外線(IR)受信器)と関連付けられる。各受信器ユニット3は、それぞれの照明器具2の本体内に、例えば同じ筐体内に組み込まれるか、又はそれぞれの照明器具2と少なくとも同じ場所に配置され、例えば、天井若しくは壁上でその隣りに取り付けられることが好ましい。代わりに、受信器ユニット3が他の場所に配置されるが、依然として照明器具によるVLCカバレッジと同じ概略の領域にサービス提供することは除外されない。照明器具2と厳密に同じ数の受信器ユニット3が存在することも必要とされない。例えば、受信器ユニット3は、天井に取り付けられ得る照明器具2の一部又は全ての間に点在させられて天井に取り付けられるであろう。しかし、照明器具2と受信器ユニット3を統合すること又は少なくとも同じ場所に配置することが、アップリンクとダウンリンクとの間で最も一貫したカバレッジを確保するために好ましい場合がある。以下では、そのような実施形態について説明する。
ユーザデバイス16は、受信器ユニット3の1つ以上によって受信されるアップリンク信号を無線で放出するためのエミッタ23を備える。これは、赤外線によって信号を送信するための、例えば、1つ以上のIR LEDから形成された、IRエミッタであることが好ましい。エミッタ23は、ユーザデバイス16の本体に組み込まれてもよく、又は、例えばドングルの一部として、ユーザデバイスの外部ソケットに差し込まれてもよい。エミッタが放出するアップリンク信号は、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせにて実装され得る、ユーザデバイス16の符号化器及び変調器(図示せず)から発信される。ユーザデバイス16の復調器及び復号器のように、当該変調器及び符号化器は、ユーザデバイス16自体に、又はユーザデバイス16が接続するローカル若しくはリモートデバイス(例えば、ローカルホストコンピュータ若しくはリモートサーバ)に、又はそのような手法の任意の組み合わせにて実装されてもよい。
各受信器ユニット3は、ユーザデバイス16によって無線アップリンクチャネルに放出された無線信号を検知するためのそれぞれのセンサ4を備える。各受信器ユニット3は、それぞれのセンサ4によって検知されたときの波形を、復調のために(及び、次いで、不図示の復号器による復号のために)、復調器10に送信するそれぞれの光送信器5も備える。これは間もなくより詳細に説明される。
図2も参照すると、環境は1つ以上のセル1に分割され、各セルは、照明器具2のそれぞれのグループによってサービス提供される。図2には、5つのセル1i...1v(例えば、部屋)が純粋に例示目的で示され、セルの1つが、例えば、図1の照明器具2a、2b、及び2cからなるグループによってサービス提供されるが、様々な他の構成が可能であることが理解されるであろう。
間もなくより詳細に説明されるように、各セル1内の照明器具2のグループは、全てが同じダウンリンク信号(小さいが許容可能な位相シフト、及び場合によっては他のわずかな変動を受ける)を同時に放出するように構成される。それゆえ、照明器具は全て、単一セルの連続的なダウンリンクサービス提供するように共に作動し、ユーザデバイス16が、セル1内である照明器具2の近くから別の照明器具2に移動するときに、ハンドオーバ動作を行う必要性を回避する。更に、所与のセル1内の照明器具2は、ユーザデバイス16からアップリンク信号を受信する際も共に作動するように構成され、よって、単一セルの連続的なアップリンクサービスを共に提供し、再び、当該セル1内でのハンドオーバの必要性を回避する。
注記:本明細書で使用するときの「ハンドオーバ」は、ある論理サービスエンティティから別の論理サービスエンティティへのハンドオーバを伴うプロトコル層の動作を指す。本開示によれば、複数の照明器具2によってサービス提供される所与のセル1内で、ポータブルユーザデバイス16は、当該セル1内の照明器具2の1つによってサービス提供されている状態から別のそのような照明器具2に移動するときに、(すなわち、プロトコル層での)ハンドオーバを行う必要がない。代わりに、システムは、ある照明器具2から別の照明器具に物理層で移行することを単に可能にするが、プロトコル層では、所与のセルの複数の照明器具2は、単一の論理サービスエンティティの単一の連続的なカバレッジエリアのように見える。このことは、単一の照明器具2のカバレッジエリアと比較して相対的に広いエリア内で、ある照明器具2から別の照明器具の使用に円滑かつ高速に移行することを可能にし、よって、光学的な組み合わせに関して従来可能であったよりも広い領域でのより円滑なカバレッジをもたらす。
セルは、より広い環境の光学的に隔離された物理的な区画、すなわち、壁などの光学的に不透明な仕切りによって実質的に隔てられた領域に対応するように配置されることが好ましい。例えば、セルは、同じ建物の異なる部屋であってもよい。例えば、オフィスビルにおいて、対象となる部屋は、1つ以上の廊下、個々のオフィス、会議室、受付、食堂、及び/又は休憩室などであってもよい。または、住宅において、対象となる部屋は、玄関、階段の踊り場、居間(リビングルーム)、台所、1つ以上の寝室、洗濯室、ガレージなどのいずれか2つ以上であってもよい。別の例として、セルの一部又は全ては、オフィスのキュービクルなど、部屋(おそらくは、当該部屋の外側の廊下に別のセルなどがある)の内部仕切りによって作り出された区画とすることができる。注記:不透明な仕切り(例えば、壁)が、(隣りのセル1からか又は昼光などの他のソースによるかにかかわらず)許容可能な量の光干渉のみが通過する窓11及びドア12など、いくつかの隙間を含み得ることは除外されない。
アップリンクセルは、ダウンリンクセルと同じカバレッジエリアであることが好ましい(ただし、厳密には全ての可能な実施においてそうである必要はない)。
図1に戻ると、各セル1について、システムは、当該セル内の照明器具2の全てによって共有されるモデムデバイス7を備える。モデムデバイス7は、変調器ユニット7D及び復調器ユニット7Uを備える。更に、システムは、モデムデバイス7を照明器具2及びそれらのセンサユニット3に接続する分配ネットワーク6を備える。分配ネットワークは、好ましくは光ファイバから、最も好ましくは、技術者によって最も容易に設置されるプラスチック光ファイバから形成される。しかし、ガラス光ファイバ(GOF)も除外されない。
分配ネットワーク6は、変調器ユニット7Dから照明器具2に信号を送信するためのダウンリンク分配ネットワーク6Dと、センサユニット3から復調器ユニット7Uに信号を送信するためのアップリンク分配ネットワーク6Uと、を備える。ダウンリンク分配ネットワーク6D及びアップリンク分配ネットワーク6Uは、同じネットワークの異なるチャネル、例えば、同じ経路に沿って若しくは同じ導管システムを通って延びる異なる平行なファイバ若しくは平行なファイバ束、又は同じ1本若しくは複数本の物理的なファイバによって実装される異なる時分割二重化チャネルであってもよい。代わりに、ダウンリンク及びアップリンク分配ネットワーク6D、6Uが、単に全く別個の2つのネットワークであり得ることは除外されない。
変調器ユニット7Dは、所与のセル1内の照明器具2によって放出される光に埋め込まれる変調波形を生成するための変調器9を備える。変調波形は、例えば、ユーザデバイス16上で実行されているアプリケーションによってアクセスされるサービスなど、任意のデータソース(図示せず)に最終的に由来するデータを符号化する符号化器(図示せず)によって生成された符号化信号を表す。変調器ユニット7Dは、ダウンリンク分配ネットワーク6Dを介してセル1内の照明器具2に信号を送信するための光送信器8Dを更に備える。照明器具2のそれぞれは、同じセル1内の照明器具2の全てに共通である中央変調器ユニット7Dからダウンリンク分配ネットワーク6Dを介して信号を受信するための光受信器36を備える。
ダウンリンクでは、変調器9によって上流で生成された変調波形が、変調器7Dの光送信器8Dから送信され、そこから、ダウンリンク分配ネットワーク6Dを介してセル1内の照明器具2の全てに分配される。この波形は、各照明器具2内の光受信器36によって受信される。各照明器具2は、この受信波形を、当該照明器具2によって放出される光に埋め込むように構成される。光送信器8Dは、それぞれ異なるファイバ6Dを介して、セル1内の照明器具2のそれぞれの各光受信器36a、36b、36c...に、ダウンリンク信号のインスタンスを送信するようにそれぞれ構成された、それぞれの別個の光送信器要素を備えてもよい。代わりに、多重化手法は除外されず、例えば、異なる信号インスタンスは、同じ物理的なファイバ6D上で時分割多重化される。
復調器ユニット7Uは、所定のセル1内の複数のセンサユニット3によって検知された波形を合成することによって得られた変調波形を復調するための復調器10を備える。復調器ユニット7Uは、セル1内のセンサユニット3からアップリンク分配ネットワーク6Uを介して信号を受信するための光受信器8Uも備える。各センサユニットは、これらの信号をアップリンク分配ネットワーク6Uを介して復調器ユニット7Uに送信するための光送信器5を備える。アップリンクでは、センサユニット3のそれぞれによって検知された波形は、光送信器5からアップリンク分配ネットワーク6Uを介して送信され、セル1内の照明器具2の全てに共通である中央復調器ユニット7Uによって復調される。複数の受信波形は、復調器ユニット7Uの光受信器8Uによって受信され、次いで、復号器(図示せず)に渡される前に、合成された波形の復調のために復調器10に渡される前に、(間もなく説明されるように)選択的に合成される。最終的に、復号データは、ネットワークに接続されたサーバ(例えば、ローカルサーバ、又はインターネット上のサーバ)上で実行されているアプリケーションに渡される。
変調器9及び復調器10のそれぞれは、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせにて実装されてもよい。実施形態では、変調器9及び復調器10は、モデムデバイス7の同じ物理的なメモリユニットに記憶され、モデムデバイス7の同じ物理的なプロセッサ上で実行されるように構成されたコード部分として実装される。同様のコメントは、符号化器及び復号器(図示せず)に当てはまる。
図3は、ダウンリンクで送信するための照明器具2の更なる詳細を示す。各照明器具2は、それぞれのセル1に対応する空間を照明する可視照明を放出するための光照射要素33、すなわちランプと、光照射要素を駆動して当該照明を放出するための定常電流を生成するためのドライバ回路37と、を備える。光照射要素33は、1つ以上のLED、典型的にはストリング又はアレイに配置された複数のLEDを含む、LEDベースランプを備えることが好ましい。他の形態のランプ、例えばフィラメント電球も、場合によっては可能であるが、これらは、LEDよりもはるかに低い変調可能速度及びより短い寿命を有するであろう。駆動電流は、一定の電流レベルを有するようにドライバ回路37によって生成され、変調器9からファイバ6Dを介して受信された波形に基づいて含まれることになる変調を受ける(以下を参照されたい)。注記:照明器具2が調光性である場合、「一定」とは、所与の調光レベルに関して一定であること、すなわち、VLC変調のスケールに関して一定、換言すれば疑似スタティックであることを意味する。
信号を埋め込むために、各照明器具は、光受信器36によってファイバ6Dから(最終的に変調器9から発信される)サンプリング波形を受信し、この波形を駆動回路37によって生成され、さもなければ一定である、電流に注入するように構成されたVLC注入器38も備える。例えば、これは、受信波形に線形的に比例する電流を、駆動回路37によって生成された一定の駆動電流と加算又は乗算することによってもよい。
図9は、電流注入の実施例の更なる詳細を示す。
LED上の信号を変調する場合、これは、ACデータをDC電流によってコーミングすることを伴う。これを行うための一方法は、「バイアスT」40:コンデンサ41及びDCコイル42を備える単純な回路を用いることによる。光受信器36によってサンプリングされた波形は、サンプリング波形に比例する電流を出力する増幅器39を通される。この変動電流は、次いで、バイアスT回路40のコンデンサ41の端子の一方に渡される。バイアスT回路40のコイル(インダクタ42)は、この場合はLEDのストリング又はアレイである、光照射要素33と直列に接続される。つまり、ドライバ37によって生成された定電流は、直列のLED33及びコイル42を通される。コンデンサ41の他方の端子(AC電流波形が入力されるのとは異なる入力)は、LED33とコイル42との間の接合部に接続される。この影響は、ドライバ37によって生成され、さもなければ一定である、電流が、増幅器39から受信したAC電流により、光受信器36によって受信された波形の形状に比例して変化することである。つまり、ACとDCの両方の電流成分がLED33を通って流れる。
ただし、これは一例にすぎないことに留意されたい。他の可能な方法としては、例えばFETなどのトランジスタによって、LED33を通る全電流(AC+DC)を制御することが挙げられる。
図9は、変調器9及び復調器10が実行され得る、モデム7のデジタル信号プロセッサ34と、デジタルバージョンの変調波形を、変調器9による出力として、光送信器からファイバ6Dを介して送信するためのアナログ形態に変換するためのデジタル−アナログ変換器35と、も示す。
複数の照明器具2に共通の中央変調器9にて上流で変調波形を生成することにより、このことは、有利には、複雑で多量の電力を消費する変調器が各照明器具2内で重複することを回避し、また、複雑な同期メカニズムを必要とせずにグループ内の各照明器具2が同じ信号を同時に放出することを可能にする。
集中的に生成された変調波形を用いる構成は、場合によっては位相シフトの影響を受け易い場合がある。つまり、同じ変調波形の異なるインスタンスが、異なる照明器具2によって放出される前に異なる経路を、よって異なる相対位相シフトを経験する場合がある。それゆえ、隣り合う照明器具2によって放出されるVLC信号の異なるインスタンス間で弱め合う干渉が生じる可能性がある。しかし、分配ネットワーク6の媒体として(例えば、旧式の又は質の劣る同軸ケーブルの代わりに)光ファイバを選ぶことにより、光速での伝送が事実上瞬間的であるため、ケーブルの異なる長さに起因する位相差が排除され得る(最近の良質な同軸ケーブルは、ほとんど代替品になり得、一部の実施形態では代替品となるが、位相シフトを最小化するには光ファイバが好ましい)。いくらかの位相シフトが、照明器具2内の電子機器によって、例えば、光受信器36、注入器38、又はLED33内の蛍光体に起因して、導入される場合がある。異なる種類の、例えば、異なるモデル又は色の、照明器具2が使用される場合、同じVLC信号の異なるインスタンス間で、いくらかの相対位相差が導入される場合がある。しかし、本明細書では、そのような位相シフトは、1mのオーダーにすぎないことが確認される。一方、VLC信号は、少なくとも3m、好ましくは10m超、更には30m超のシンボル波長(例えば、基本シンボル期間)を有し得る。波長又はシンボル波長は、本目的では空気中での基本チャネルシンボルの長さを指すことに留意されたい。
しかし、特に、位相差を低減するために又は位相差に対するロバスト性を増加させるために他の対策が講じられる場合、より短いシンボル波長(より高いデータレート)が使用され得ることも除外されない。例えば、位相差を低減するための一手段は、照明器具2及び/又はセンサユニット3の関連する電子機器内に実質的に同一の構成要素、又は少なくとも実質的に同じ遅延を招く構成要素を使用することである。すなわち、ダウンリンクでは、ダウンリンク信号の波形の受信と、当該レンダリングとの間で同じ遅延を招く構成要素、または、アップリンクでは、アップリンク信号の検知と、アップリンク分配ネットワーク6Uへの当該出力との間で同じ遅延を招く構成要素。この場合、光ファイバの場合と同様に事実上瞬間的な分配ネットワーク6を仮定すると、相対位相シフトの唯一の原因は、空気中を通る信号が移動する物理的な経路の差である。ユーザデバイスが2つ又は3つの照明器具2(ダウンリンクの場合)又はセンサユニット3(アップリンクの場合)の真下に、それ自体を見出す高密度なノードのネットワークでは、これの幾何学的形状(高角度での小さな物理的な経路の差)に起因して、これらの位相差もかなり小さくすることができる。
実施形態では、相対位相シフトの影響を緩和するための別の代替的又は追加的な手段は、変調波形を生成するためにOFDMを使用することである。OFDMは、それ自体が既知の技術であり、チャネルが副搬送波に分割され、N(例えば、N=64)ビットの所与の信号を順次に送信する代わりに、それらのNビットは、異なる副搬送波で伝送される(なお、これは、所与のユーザのための所与の信号のためのものであり、複数アクセスのためにはOFDMが必要とされず、その代わりに時分割が使用され得る)。Nビットを高速で次々に送信することは、短い期間、よって広い帯域幅を意味する一方、Nビットを異なる副搬送波でより低速で並列に送信することは、チャネルをより緊密に制限された帯域幅に維持する。OFDMは、位相振幅変調(PAM)などの他の変調技術よりも大きな位相シフトも許容することができる。一般に、システムは位相シフトが小さい場合に最良に機能し、PAMなどの他の変調技術については、相対位相シフトは小さく(<<90度)あるべきである。しかし、OFDMについては、いくつかの周波数が相殺される場合でも許容可能である。実施形態は、ダウンリンクでOFDM、アップリンクでPAMを使用し得るが、アップリンクでのOFDMは除外されない。
元の形態のOFDMは、実数の非負信号を伝達するだけの光ベースバンドチャネルに適さないことに留意されたい。それゆえ、OFDMは、本明細書では、信号の全帯域幅よりも狭い狭帯域において各シンボルの伝送を可能にする、任意の形態のマルチキャリア変調を意味する。例えば、DCO−OFDM、ACO−OFDM、フリップ−ofdm、DMTベースマルチキャリア信号などの光学的な変形が使用されてもよい。また、OFDMAはまず、典型的には数十MHZの搬送波周波数搬送波に上方変調することができる。
図4は、本開示の実施形態によるモデムデバイス7の復調器ユニット7Uの更なる詳細を示す。光受信器8Uは、セル1内のセンサユニット3の異なるセンサユニットによって検知されたときの、ユーザデバイス16からのアップリンク信号のインスタンスを、異なるそれぞれのファイバ6Uを介して受信するようにそれぞれ構成された、それぞれの光受信器要素8a、8b、8c...を備えてもよい。代わりに、例えば、異なる信号インスタンスが同じ物理的なファイバ6U上で時分割多重化される、多重化手法は除外されない。いずれにしても、復調器ユニット7Uは、光受信器8Uと復調器10との間に配置されたアダプタ13を備える。アダプタ13は、加算器43(すなわち、加算ブロック)と、それぞれのゲイン(すなわち、重み)a1、a2、a3...を、異なるそれぞれのセンサユニット3から受信された信号インスタンスの異なるインスタンスに適用するように構成された、それぞれの重みづけブロック15a、15b、15c...と、を備える。これらの信号インスタンスの重みづけバージョンは、次いで、それらが合成される加算器43に入力され、得られた合成信号は、復調器10に渡され、復調される。
重みは、センサ3によって受信されたときの、それぞれの信号インスタンスの受信信号強度に基づいて決定される。これらは、アダプタ13によって測定されてもよく、又は代わりに、アダプタ13がその後重みを決定し得ることに基づいて、センサ3によって測定され、(例えば、ファイバネットワーク6を介して)アダプタ13に知らされてもよい。重みがアダプタ13によって決定される集中的な手法は、TDMAタイムスロット割り当ての知識が分散される必要がないという利点を有する。
更に別の可能性として、各センサユニット3は、それ自体の重みを決定し、これを(例えば、ファイバネットワーク6を介して)アダプタ13に信号で伝えてもよく、受信された重みは、アダプタ13にて適用される。代わりに、ローカルセンサユニットがTDMAスケジュールを知ることができない場合、センサユニットは、当該重みをローカルに適用し、そのような重みづけは、自動ゲイン制御設定に基づくことができるが、アダプタにて使用される重みは、
−(例えば、使用される実際のAGC設定をアダプタに転送することによる)自動ゲイン制御設定と、
−TDMAスケジュールと、を考慮することが好ましく、
重み選択をタイムスロットと同期させ、タイムスロットに割り当てられたそれぞれのアップリンクユーザに重みを適応させる。
上述されたように、センサユニットがTDMAスケジュールを知ることができないときの、更なる代替、重みづけは代わりに、最も関連する(好ましくは最も強い)スロット信号にとって適切な、1TDMAフレーム中で一定値である、自動ゲイン制御設定に基づくことができる。
センサユニットが当該重みをローカルに適用する更なる分散的な手法では、ローカルセンサユニットは、TDMA構造に従い、そうすることで、異なるスロットで、信号が異なる振幅で到達することを認識する。ローカルセンサは、次いで、1TDMAスロットの持続時間のみにわたって一定ゲインを適用し、次いで、次のTDMAスロットにおいて別の一定ゲインに切り替える。それゆえ、全てのタイムスロットにおいて、ゲインは、シンボルレベルの信頼できる検出を確実にするのに十分なほど一定である一方で、ゲイン変化は、TDMAスロット間で(のみ)行われる。
代替的な分散的な手法では、アダプタは、TDMAスケジュール又はTDMAスケジュールに基づく重みをそれぞれのセンサユニットに通信してもよい。センサユニットは、次いで、アップリンクユーザからの信号インスタンスをローカルに重みづけしてもよい。センサユニットによって送信される、結果として得られる信号は、割り当てられたアップリンクユーザ信号がアップリンク信号のインスタンス内に存在する場合、よって既にローカルに増幅されていてもよく、及び/又は、存在しない可能性がある場合、ノイズが既に抑制されていてもよい。
重みが集中的な様式で適用される場合、このことは、星型状のトポロジをもたらすことになる一方、重みが分散的な様式で適用される場合、相互接続された一組の星からツリー構造に至る様々なトポロジ又はデイジーチェーントポロジをもたらし得る。デイジーチェーントポロジは、天井照明器具の効率的な配線を可能にする点で特に有用であるが、個々の分散的な手法のいずれが最も効率的であるかは概して、光照射システムの空間的レイアウトに依存する。
測定される場合は常に、実施形態では、信号強度は、ユーザデバイス16からのアップリンク信号に含まれる所定のプリアンブル部分(すなわち、信号強度測定を行うエンティティ13又は3に予め知られている部分)に基づいて測定されてもよい。TDMAシステムでは、ユーザがフレーム内の同じタイムスロットを繰り返し使用するか又はタイムスロットが個々のアップリンクユーザに割り当てられる場合、ブランチ/インスタンスの重み/ゲイン設定は、一定に保たれることが好ましく、その結果、信号強度が、同じユーザについて、連続するスロット内で一定に保たれることが好ましい一方、変更が次のスロットへの移行時に適用されることが好ましい。
オプションとして、アダプタ13は、それぞれの受信信号インスタンスの1つ以上の位相を調節するために信号ブランチの1つ以上に含まれる、それぞれの位相シフタ14a、14b、14cも含んでもよい。しかし、これは、可能な実施形態の全てでは必要とされない。
実施形態では、重みの一部又は全てが、非バイナリであってもよく、受信信号強度(例えば、RSSI)に比例(例えば、線形的に比例)するように決定されてもよい。例えば、重みは、最大比合成(maximum ratio combining;MRC)の原理に従って決定されてもよい。または、代替的な実施形態では、重みの一部又は全てが、バイナリ重みであってもよく、つまり、アダプタ13は、信号強度の閾値を超えるそれらの信号インスタンスのみを選択するためのセレクタとして作動する。いずれにしても、信号強度をメトリック測定する多くの可能性がある。実施形態では、信号強度の測定法は単に、受信信号電力(例えば、RSSI)の絶対測定法である。代わりに、使用される測定法は、推定ノイズフロアに対する受信信号電力を測定してもよい。これは単に、対象となる環境の領域(例えば、部屋)に関するノイズフロアの固定された所定の(すなわち、事前の)推定であってもよい。代わりに、測定を行う構成要素(アダプタ13又はセンサユニット3)は、ノイズフロアを経験的に推定してもよい(すなわち、事後測定)。例えば、所定のプリアンブルに基づいてノイズを推定できる、及び/又は信号が発生しない期間を推定し、これを使用して背景ノイズを推定する、ノイズ推定アルゴリズムが知られている。
図5は、アダプタ13が、バイナリ重み間で選択する、つまり、各受信信号インスタンスを使用するか否かを選択する「はい/いいえ」セレクタとして作動する、実施形態の実施例の更なる詳細を示す。ここで、アダプタ13はセレクタ18を備え、重みづけブロック15のそれぞれはスイッチ(例えば、トランジスタスイッチ)を備える。セレクタ18は、各信号インスタンスの信号強度が所定の閾値を超えるかどうかを判定するように構成される。セレクタ18は、強度測定及び閾値比較をそれ自体が行ってもよく、又はセンサ3から報告された標示に基づいてこの情報を判定してもよい。いずれにしても、セレクタは、閾値信号強度を超えるそれらの信号インスタンスの重み15を1(すなわち、1)に設定し、閾値を満たさないものの重みを0(ゼロ)に設定する。非ゼロの重みを有する選択された信号インスタンスは、次いで加算器43に渡され、加算される。得られた合成信号は、それがデジタルに変換されるアナログ−デジタル変換器21に出力され、次いで、デジタルに合成された信号は、例えば、DSP34上で実行され得る、復調器10に入力される。図示の例では、加算器43は、加算増幅器19及び潜在的な割算器構成17、18から形成される。しかし、他の回路設計も可能である。
それゆえ、複数の照明器具2のセンサユニット3からの信号インスタンスを集め、それらの信号の最も強いものを復調に使用するために選択又は支持することにより、異なる照明器具2は、モバイルデバイス16があるノードから次のノードに移動するときに物理層のみで円滑な移行を伴う、1つの連続的な論理セルとしても作動することができる。
上述のように、一部の実施では、信号強度測定値及び重みは、分散的な様式で決定されてもよく、つまり、各個々のセンサ3は、それ自体のそれぞれの受信信号インスタンスの受信信号強度を測定し、それぞれの重みを演算して、それ自体のそれぞれの信号インスタンスに適用する。この場合、各センサユニット3は、重みが適用されるために、復調器ユニット7U内のアダプタ13にそれぞれの重みを知らせる。重みがバイナリ重みでありゼロである場合、つまり、組み合わせ43に信号を含めるか否かの選択である場合、実施形態では、センサユニット3は、それぞれの受信信号インスタンスをアダプタ13に単に送信するか又は送信しないかのいずれかによって、それぞれの重みを暗黙的に知らせてもよい。アダプタ13は、受信されたそれらの信号インスタンスを合成するだけで、重みを暗黙的に適用する。
上記の機能性を説明するために使用され得る別の用語がノイズゲートであり、又はノイズゲート機能、すなわち、信号を送信するかどうか、又は受信信号を使用するかどうかを、ノイズフロアに対する当該信号強度に応じて選択すること、と呼ばれる場合がある。一般的なノイズゲートは、ハード(オン−オフ)又はソフト(ノイズフロアに対するそれらの信号強度に応じた非ゼロ重みで重みづけされた信号インスタンス)とすることができる。
異なる受信信号インスタンスの個々のものを組み合わせ43に含めるか否かについて選択が行われる(つまり、重み15は、例えば図5のように、はい/いいえの値である)シナリオに関する別の注記:実施形態では、システムが選択間で急速に行ったり来たりするのを防止するメカニズムを含むことが望ましい場合がある。例えば、ユーザが、2つの照明器具2のカバレッジエリア間の中間又は同じセル1内の照明器具2の2つのサブセットのカバレッジエリア間の中間にちょうどいる場合を考える。この時点で、選択が一方の照明器具/サブセットを選択する側になるか、他方を選択する側になるかは微妙であり、また、ユーザデバイス16のいかなる小さな移動、又は受信アップリンク信号の強度若しくは背景ノイズのわずかな変動が、選択を切り替えさせ得る。2つ(又はそれ以上)の異なる決定結果の間での急速な行ったり来たりの切り替えを回避するために、ヒステリシスが切り替え閾値(下り途中と上り途中とは異なる閾値)に適用されてもよい。代わりに、特定の時間制約が適用されてもよく、例えば、一旦決定が行われると、これは少なくとも最小時間窓にわたって持続するか、又は、決定は、周期的な時間インターバル毎に1回だけ、例えばフレーム毎又はメッセージ毎に1回だけ、行われる(つまり、メッセージの半ば又はフレームの半ばでは切り替えない)。
当該方式は、異なるタイムスロットがアップリンクの異なるユーザに割り当てられる時分割多重アクセス(time division multiple access;TDMA)システムにも適用することができる。次いで、切り替えは、異なるユーザからのメッセージの予想到着時刻に同期することができる。それゆえ、TDMAフレームの間に、中央ユニットは、異なるユーザに割り当てられたスロット、及びユーザにとって最良の受信器という観点で当該ユーザの従前に記録された「位置」に割り当てられたスロットに従って、全てのサブタイムスロット中に特定の設定を見込む。
典型的に、TDMA方式では、各フレームの持続時間及び個々のユーザスロットの数は、経時的に急激に変化しないか、又は標準値に固定されさえする。アダプタは、各個々の、場合によっては反復的な、アップリンクユーザタイムスロットにおけるスロット及び信号強度のプロファイルを決定できることが好ましい。加えて、ノイズレベルは、特に、干渉も同様の/同じTDMAタイミングパターンに従う場合に、干渉によるノイズがTDMAフレーム上で変動し得るため、スロット毎に評価されてもよい。
TDMAタイムスロット及び従前に知られているユーザ位置を考慮することにより、ゲイン設定などの設定は、現在のタイムスロットと関連付けられたユーザが従前に検出されたアップリンク信号のインスタンスに対応するセンサ信号を支持するように選択されることができる。
一代替案では、復調器10は、タイミング誤差のリスクなしに重み15が適切な瞬間に切り替えられ得るように、TDMA同期基準をアダプタ13に提供することが好ましい。
重み15は、例えば、以下で説明されるようないくつかの基準に基づくことができる:
1.全てのタイムスロットにおいて、指定されたタイムスロットのアップリンクユーザと関連付けられた従前の最も強い経路のみを開く、このことは、特に集中型アダプタ15において関心を引く。マルチユーザ設定において、最も強いもののみを選択し、より弱いブランチを排除することは、ネットワーク内の異なる位置における同時伝送の期間中に信号が有害に干渉することを回避するのに役立ち得る。
2.全てのタイムスロットにおいて、当該ブランチについてのみ当該スロットにおける信号強度又は(SNR、SINR)に依存するゲイン制御曲線に従う。このことは、分散型の重み制御システムにおいて特に該当し、
−信号が検出されなかったか又は低閾値を下回るままである場合、重みはゼロに設定され、
−信号が所定の閾値を超えるが、アップリンク信号のインスタンスとしては小さすぎることを示す更なる所定の閾値を下回る場合、信号は、当該スロット内で減衰されてダイナミックレンジを低減させる。
3.常に、タイムスロットの最も強い3つの従前の検出値/インスタンスを開いた状態に保つ。
4.システムの空間的レイアウトの知識を使用して、設定を選択する/重みを割り当てる。特に、信号が1つのブランチ/インスタンスによって強く受信される場合、ハンドオーバを容易にするように、ユーザの既に見込まれた動きに対して開かれている隣接する位置からブランチ/インスタンスを開くことができる。後者は、アップリンクユーザがセンサを「スキップ」しない低速で移動するアップリンクユーザであることが知られている場合に、特に良好に機能する。
5.モバイルであることが知られているアップリンクユーザのアクティブな最後のタイムスロットと、同じモバイルアップリンクユーザのスケジュールされた次のタイムスロットとの間で、設定された所定の期間が経過した場合、知られている最後の位置を支持するのではなく、代わりに、全てのインスタンス/ブランチを、それらの1つ又はいくつかを支持するのではなく、全て開いて考慮することが有利である。
変調方式に関して、PAMがアップリンクで使用されてもよく、又は代わりにOFDMは除外されない。支配的な(強い)信号間の位相差は、(例えば、2つの照明器具間のエリアを比較すると)小さくなることに留意されたい。ここでは、経路差も小さくなり、数十度以下の位相差をもたらす。
いくつかのトポロジが可能である。第1のオプションは星型ネットワークであり、全ての受信器3が中央モデム7に接続される。信号処理は、集中化することができる。
第2はデイジーチェーンであり、中央モデム7は、第1の受信器ノード3aからの信号を受信する。この第1の受信器ノード3aは、信号を中央モデム7に送信する出力部だけではなく、第2の受信器ノード3bなどから信号を得ることができる入力部も有する。このことの実用的な一制限は、デイジーチェーン内の多くのホップにより、デイジーチェーン内の最後の受信器3n(すなわち、モデム7から最も遠いもの)については、当該信号が他の全ての受信器3n−1...3c、3b、3aを通過する事実により、良好なSNRを有することが困難になることであり、より多くの段階は、より多くのノイズを意味する。
第3のオプションは、ツリートポロジ:星型とデイジーチェーンとのハイブリッド、すなわち、上記2つの組み合わせである。中央モデム7は複数の入力部を有するが、受信器ノード3も、第2の受信器からの信号を取り込むメカニズムを有する。
第4のオプションはバスネットワークであり、各受信器ノードは、どの信号をバスに乗せるかを自律的に決定する。
デイジーチェーン又はバスネットワークでは、各受信器3は、自律的であり、それ自体で、それがアクティブとなるか否かを決定することができ、例えば、受信信号の平均値を監視し、それを閾値と比較する。これは、非常に単純な解決策であるという利点を有するが、正しい閾値は、内部ノイズと、また周囲ノイズ(例えば、ネオン光からの100Hz)とも比較するために較正されなければならない。
実施形態では、受信器ノード3は、ハードな切り替えの代わりに信号のゲインを自律的に設定する。当該ゲインを信号強度に比例させることが好ましい。このことは、最大比合成(MRC)の考え方を反映する。従来、MRCは、1つの共通ブロックに処理が集中化されるシステムで使用されている。次いで、全ての信号について位相調節14も行うことができる。しかし、実施形態では、振幅のみの調節を行う分散型システムが実装されてもよい。屋内の光無線通信(optical wireless communication;OWC)の場合、そのような仮定は現実的であり、前述のように、位相差は、シンボル波長と比較して小さくすることができる。光の波長は非常に短いが、VLCは典型的に、10又は100MHzまでのシンボル速度(30〜3メートルのシンボル波長)で、光のベースバンド変調を使用する。そのようなシンボル波長の場合、異なる照明器具にて弱め合う波干渉が発生する可能性は低い。また、位相問題は、光ファイバ分配及び/又はOFDMによって緩和することができる。
実施形態では、ゲイン制御は、信号強度と必ずしも線形比例ではなく、一部のシナリオでは、このことは、受信器3とモデム7との間のリンクのダイナミックレンジに幾分悪い影響を及ぼす場合がある。受信信号が過度に一定である場合、ゲインは、例えば、一定のゲインに、又は(通常の状況とは対照的に)信号強度と共に低減するゲインに低減される場合がある。
開示されるシステムは、受信器3がそれ自体のゲインを設定する星型構成でも機能することができる。考えられる一欠点は、例えば、1つの受信器3が、(当該出力ノイズが最大であるため)それ自体のゲインを最大値に設定する場合があり、このノイズが、最小ゲインを設定する第2の受信器から来る信号に加えられることである。第2の受信器の信号に関するSNRは、最適でない場合がある。しかし、このことは、複数のノード3からのスマートに合成された信号を処理する1つの共通の受信器3によって緩和され得る。実施形態では、全てのノードが同じノイズフロアを有することが仮定されてもよい。次いで、MRC規則に従って、非常に強い信号を受信するノード3のみが、フルゲインを適用することを許容され、次いで、これは、受信器にて支配的な信号となり、当該信号は、事実上ノイズを含まないためOKである。第2の弱い信号が追加され得るが、それは、相対的に多くのノイズを含むため、より小さなゲインで追加されるべきである。更なる実施形態では、異なるノイズフロアレベルも、異なる受信器3について使用されてもよい。異なるノイズレベルのために、信号はまず、参照ノイズレベルに等しいノイズレベルを有するように増幅される。その後にMRC規則が適用され、信号強度に線形的に比例して増幅する。
デイジーチェーントポロジでは、以下の動作が、補助入力も有する受信器ノード3によって行われてもよく、少なくとも1つの信号を通過し、信号強度又はSNRの観点から、ローカルに受信された信号又は第2の受信器(又は、更に上流のノード)からの着信信号のいずれか最良のものを選択し、信号を適切な方法で合成し、好ましくはMRCを適用する。
別の実施形態では、分散的なMRCが、ツリー構造に適用されてもよい。この場合、システム内の全ての受信器ノード3が、信号強度及びノイズレベルを評価することができる。各ノードで別々に動作するMRCが、信号全体のMRCをもたらすことが示され得る。
場合によって、システムは、ノイズレベルを評価できない場合があるが、自動ゲインを適用することができ、ゲインは信号強度に依存する。デイジーチェーン又はツリートポロジにおいて、このことの解決策は、ローカルに受信した信号の振幅強度A_local及び補助信号の振幅強度A_auxをシステムに測定させ、着信信号を増幅A_auxを伴って通過させ、ローカルに受信した信号を増幅A_Localを伴って通過させることである。
デイジーチェーンの別の実施形態では、各受信器3は、受信信号の平均値を監視し、受信信号を使用するか否かを決定する情報をモデム7に送信する。このことの利点は、それが実施するのが簡単な解決策であり、モデム7は、受信器3からの全ての信号を直接管理し、受信信号がモデムに到達できない状態を回避する。平均値を供給するために、追加の接続が設けられてもよい。
任意のトポロジに適用し得る別の実施形態では、各受信器3は、受信信号をモデム7に直接送信し、モデムは、ユーザが受信器3の下にいるか否かを検出するための情報を監視することになる。ユーザ検出は、例えば、(a)受信信号の平均値を抽出し、それを閾値と比較するか、又は(b)受信信号を復調し、プリアンブル及び/又はユーザIDを検出する、2つの方法の一方で行うことができる。モデム7は、各受信器3からの情報を一旦有すると、どの信号がいつ使用されるかを選択することができる。それゆえ、このことは、合計されることになる受信信号の数を制限し、ノイズレベルの悪化を制限する。
図8は、光ファイバ(例えば、POF)システムのための、又は、グループ遅延特性が劣る同軸ケーブルなどの他の伝送媒体を使用するシステムのための、複数の受信器に使用され得る別の考え方を示す。図8に示される手法は、受信ブランチの少なくとも1つに位相シフタ14'を含めることで、異なる受信器ノード3からの信号インスタンス間の位相差を意図的に、OFDMが機能しないほど大きくないが、異なる副搬送波上で実質的に異なるように意図的に大きくする。
これは、異なるセンサ又は受信器3にて受信された信号インスタンス間の位相差が、位相相殺効果が無視できないほど小さくない場合を取り扱う。考え方は、(前述のような)位相差を最小化する試みとは逆であるが、つまり、大きな位相差が作為的に導入されるが、副搬送波周波数毎の位相差が異なる。これは、遅延ダイバーシティと呼ばれることもある。利点は、それが、短い遅延の場合に発生し得る、全周波数帯域が同じ波相殺を示すリスクを扱うことである。全周波数帯域が同じ波相殺を示す場合、相殺は「オールオアナッシング(all or nothing)」となり、つまり、相殺が存在しない場合がある一方、全ての副搬送波が相殺を経験するリスクもある。遅延ダイバーシティは、このことを回避する。全帯域は相殺することができない。周波数帯域には、常に一部の良好な部分(及び一部の不良な部分)が存在する。
位相の考慮は、次いで、正確な位相整合を確保することから、信号周波数成分の50%超の相殺を回避することにシフトする。OFDMは、少数の副搬送波の波相殺に対してロバストであるが、全周波数の相殺に対してロバストでない。それは、全ての副搬送波について異なる相殺度を有するために選ばれてもよい。例えば、位相オフセットはランダム化されてもよく、又は一定の遅延が、それが異なる周波数で異なる位相角をもたらすために選ばれ得る。位相のランダム化などにより、副搬送波の少なくとも半分に関して増幅が生じることを確実にすることができる。システムがOFDMを使用する場合、副搬送波の全てに広範な符号化を適用することにより、システムは、異なる副搬送波上の振幅差に対して非常にロバストになり得る。それゆえ、冗長性は、欠落した副搬送波を埋めることができる。
同じ考え方は、加えて(又は代わりに)ダウンリンクに適用されてもよく、つまり、異なる照明器具から放出される信号インスタンスの2つ以上の間に、作為的な位相シフトが導入されることに留意されたい。
更なる実施形態では、システムは、複数アクセス、すなわち、アップリンク及び/又はダウンリンクでの、複数のそれぞれのユーザデバイス16を使用した複数ユーザによる同時のアクセスを可能にする。実施形態では、このための多重化方式として、時分割多重アクセス(TDMA)が使用されてもよい。つまり、ダウンリンクで、各ユーザデバイス16は、反復する一連のタイムスロットにおける異なるそれぞれのタイムスロットを割り当てられる、及び/又はアップリンクで、各ユーザデバイス16は、反復する一連のタイムスロットにおける異なるそれぞれのタイムスロットを割り当てられる。ユーザデバイス16は、タイムスロットを割り当てられるために、セルに登録することを要求され得る。これは、「ペアリング」と呼ばれる場合がある。
図6及び図7は、MAC(medium access control;媒体アクセス制御)プロトコル20に適用され得る本開示のシステムの態様を示す。
開示される光通信システムを介した通信は、図6に示されるようなフレーム構造に基づいてもよい。
図6の上図は、ダウンリンクフレーム24の例を示す。第1の部分はビーコン部25であり、このとき、モデム7は、照明器具2を介して、同期及び割り当てリソースに関する情報を(ダウンリンク)送信する。ポーリングである第2の部分26にて、全てのユーザデバイス16は、(例えば、それらのドングルによって)システムと通信して、本セルとのペアリングを要求することができ、又は既にペアリングされている場合には、この関連付けを維持し続けるための信号を送信する。第3の部分にて、現在ペアリングされている各ユーザデバイス16は、モデムと通信するために、それ自体の期間27、28...(すなわち、それぞれのTDMAタイムスロット)を有する。
ポーリング期間26の間、データレートは低く、各ユーザデバイス16は、ペアリング要求を送信するか、又は光リンクを維持し続ける(すなわち、ペアリングを維持し続ける)ために当該IDを送信する。この期間26の間には、異なるユーザデバイス16からの要求間での衝突の可能性が低い。これには、例えば、要求が失敗した場合に、ランダムなバックオフ期間後に要求を自動的に再送信するように、ユーザデバイス16を構成することにより、対処することができる。
図6の下側の図は、アップリンクフレーム30の例を示す。第1の部分31は、それに基づいてセンサユニット3又はアダプタ13が受信信号強度、例えばRSSI又はSNRを測定できる、プリアンブルである。第2の部分32は、データペイロード、すなわち、ユーザデータ又はアプリケーションデータである。
通信を確立するためのメカニズムが、図7に示されている。「システム」による様々なステップは、照明器具2、上流のネットワークコントローラ、又はそれら2つの組み合わせのいずれかによって行われてもよい。例えば、ネットワークコントローラは、モデムデバイス7又はより上流のネットワーク要素の機能であってもよい。
ステップS10にて、ダウンリンクフレーム24の起動が始まる。ステップS20にて、照明器具2は、同期用のビーコン25を放出する。ステップS30にて、システムは、ユーザデバイス16が同期されているかどうかを判定する。同期されていない場合、システムはステップS100にジャンプし、フレーム24が終了する。しかし、同期されている場合、システムは、ステップS40に進み、ユーザデバイス16が照明器具2を介してセル1と正常にペアリングしたかどうかを判定する。ペアリングしていない場合、プロセスは、ステップS50に進み、ペアリング要求がユーザデバイス16から(例えば、当該ドングルから)システムに送信される。次いで、プロセスはステップS100にジャンプし、フレーム24が終了する。一方、ユーザデバイス16が正常にペアリングした場合、システムは、ステップS60に進み、タイムスロット27を含むリソースをユーザデバイスに割り当てる。ネットワーク及びユーザデバイス16は、次いで、セル1の照明器具2を介して互いにデータを送受信することができる(ステップS70)。ステップS80にて、システムは、ユーザデバイス16が当該通信において依然としてアクティブであるかどうかを判定する。アクティブである場合、システムはステップS100に進み、フレーム24が終了する。アクティブでない場合、システムは最初にステップS90に進み、ユーザデバイス16とのペアリングを解消し、ステップS100に進み、フレームが終了する。
一部の実施形態では、アップリンク及び/又はダウンリンクで使用される変調は、PAMと同じように単純であってもよい。良好な通信リンクの場合、要求されるSNRが低いはずである。モデム7は、全ての受信器を同時に起動することができ、1つ以上のユーザデバイス16の検出を待つ。一度に1つの受信器3のみが、どの受信器がユーザデバイス16からの信号を受信し、強度信号(例えば、RSSI)を測定できるかを確認することが可能である、実施形態では、ユーザデバイス16が検出されるとすぐに、モデム7は、どの受信器3の下にユーザが位置しているかを判定する。MAC層20にて、モデム7は、各ユーザデバイス16にとって最適な受信器3を記憶することになる。
フレーム27の第3の部分にて、モデム7は、どのユーザデバイスがいつ通信するかを知るため、当該ユーザデバイスにとって最良の受信器3を選択することになる。データレートが高い場合、使用される変調は、PAM−4方式若しくはそれ以上、又はOFDMとすることができる。その場合、ポーリング期間26と比較してSNRが大きく改良されるはずである。このことは、一度に1つの受信器3のみを有効にすることによって行われる。注釈:有効にするとは、対象となる受信器3の出力信号が復調器チャネル10に供給されることを意味する。受信器3は常にオンである。
上記の実施形態は、単に例として説明されている点が理解されるであろう。
例えば、照明器具2のそれぞれが、同じ信号又は同じ変調波形などの異なるインスタンスを放出するようである場合、このことは、当該小さな位相シフト又は他のわずかな差(すなわち、ダウンリンクサブシステムの機能の観点から無視できる差)を除外しない。むしろ、「同じ」信号は、複数の受信インスタンスが、受信ユーザデバイスにてコヒーレント信号に(重畳が正常に復調及び復号され得るように)重畳するように、実質的に同じ変調形態を使用して送信される同じデータシンボルを意味する。更に、ダウンリンクサブシステムは、全ての可能な状況で、同じ信号の異なるインスタンスを送信するために使用される必要はない。あるときには、信号は同じものとすることができ、他のときには、異なるデータ又は波形が送信されることができる。そのようなシステムでは、本目的のために言及される信号は、一度に送信されるデータのうち、対象となる照明器具から送信される信号インスタンスが実質的に同じである部分である。
換言すれば、対象となる信号又は波形は、受信ユーザデバイスにて復調可能かつ復号可能な情報にコヒーレントに合算するために必要とされる、変調シンボルの本質的な態様を指す。
更なる実施形態では、ダウンリンク信号は、可視光の代わりに赤外線の媒体を介して送信されてもよい。この場合、ダウンリンク信号を放出するように制御された発光要素は、例えば1つ以上のIR LEDから形成された、IRエミッタである。例えば、1つ以上のIR LEDは、各照明器具2の可視照明発光LEDの間で入れ子状にされてもよい。アップリンクもIRに限定されない。代わりに、例えば、超音波などの異なるアンライセンス媒体が、アップリンクに使用されてもよい。IRがアップリンク及びダウンリンクに使用される場合、これらは、異なるIR帯域(すなわち、周波数分割多重化)で送信されてもよい。代わりに、アップリンク及びダウンリンクが、同じIR搬送波波長を共用する(又は少なくとも、例えば850及び940ナノメートルなどの重なり合うIR帯域を有する)ことは除外されない。この場合、アップリンクとダウンとの間で別の多重化技術、例えば、アップリンク及びダウンリンクのために別個の(及び複数アクセスの場合、異なるユーザ信号のスロットペアについて別個の)タイムスロットを有する時分割多重化、が使用され得ることがオプションとなり得る。
更に、全ての可能な実施形態における上述のシンボル波長及び対応するデータレートは、蛍光体被覆LEDに特に適しているが、本開示の範囲はそれらによって限定されない。例えば、赤外線LEDがより高速で変調されてもよく、IR信号が毎秒100メガシンボルを超えてもよい。そのような場合、位相差がよりクリティカルになり得るが、このことは、「オールオアナッシング」の効果を回避するための、位相ランダム化又は遅延ダイバーシティなどのメカニズムによって、及び/又は、伝搬及びケーブル遅延が十分に類似するように、ユーザデバイス16が複数のLEDに遭遇する移行エリアにて予防策をとることによって、及び/又は(さもなければ大きな重なりを与えるであろう)広すぎるビームが使用されないことを確実にすることによって、取り扱うことができる。
更に、ダウンリンク分配ネットワーク6Uは、必ずしも光ファイバで形成される必要はない。代わりに、これは、特に、ダウンリンク変調方式としてOFDMを用いるなど、位相差を緩和するために他の対策が講じられる場合、高品質同軸ケーブルなどの低遅延誘導性の通信手段によって置き換えられてもよい。同様に、アップリンク分配ネットワーク6Uは、光ファイバで実装される必要はなく、代わりに、例えば高品質同軸ケーブルを使用して実装することができる。
更に、本明細書に開示される光照射システムは、二重通信に限定されない。他の用途では、本明細書に開示されるアップリンク又はダウンリンクサブシステムは、独立して使用されてもよい。
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する他の変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「備える(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項において列挙される、いくつかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される、光学記憶媒体又は固体媒体などの、好適な媒体上に記憶/分散されてもよいが、また、インターネット、又は他の有線若しくは無線の電気通信システムなどを介して、他の形態で分散されてもよい。請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。