[0057] 実施形態を詳細に述べる前に、実施形態を実施することができる例示的な環境を示すことが有益である。
[0058] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射線又はDUV放射線)を調整するように構成された照明光学系(照明器)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1の位置決め装置PMに接続されたパターニングデバイス支持体又は支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2の位置決め装置PWに接続された基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTと、基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイを含む)上にデバイスMAをパターン形成することによって、放射ビームBに付与されたパターンを投影するように構成された投影光学系(例えば屈折投影レンズ系)PSを含む。
[0059] 照明光学系は、放射線を誘導、整形、又は制御するための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気、若しくは他のタイプの光学構成要素、又はそれらの任意の組合せなど、様々なタイプの光学構成要素を含むことがある。
[0060] パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び例えばパターニングデバイスが真空環境内に保持されているかどうかなどの他の条件に応じた様式でパターニングデバイスを保持する。パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスを保持するために機械的、真空、静電、又は他のクランプ技法を使用することができる。パターニングデバイス支持体は、フレーム又はテーブルでよく、例えば、必要に応じて固定式又は可動式でよい。パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置にくるようにすることができる。本明細書における「レチクル」又は「マスク」という用語の使用は、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義とみなすことができる。
[0061] 本明細書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを作成するように、ビームの断面にパターンを付与するために使用することができる任意のデバイスを表すものとして広く解釈すべきである。例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、放射ビームに付与されたパターンは、基板のターゲット部分での所望のパターンに正確には対応しないことがあることに留意されたい。一般に、放射ビームに付与されたパターンは、集積回路などのターゲット部分に作成されているデバイスでの特定の機能層に対応する。
[0062] パターニングデバイスは、透過型でも反射型でもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが挙げられる。マスクは、リソグラフィにおいてよく知られており、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、及びハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスクタイプ、並びに様々なハイブリッドマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例は、小さいミラーのマトリックス配置を採用し、各ミラーは、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜させることができる。傾斜したミラーは、放射ビームにパターンを付与し、この放射ビームがミラーマトリックスによって反射される。
[0063] 本明細書で示すように、装置は透過型(例えば透過型マスクを採用する)でよい。代替として、装置は反射型(例えば、上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを採用する、又は反射型マスクを採用する)でもよい。
[0064] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高い屈折率を有する液体、例えば水で基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものでもよい。リソグラフィ装置内の他の空間、例えばマスクと投影システムとの間に浸液を適用してもよい。投影システムの開口数を増加させるための液浸技法は、当技術分野においてよく知られている。本明細書で使用される「液浸」という用語は、基板などの構造が液体に浸されなければならないことを意味するのではなく、露光中に投影システムと基板との間に液体があることを意味するにすぎない。
[0065] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば放射源がエキシマレーザであるとき、放射源とリソグラフィ装置とは別体でもよい。そのような場合、放射源は、リソグラフィ装置の一部を成すとはみなされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビーム送達システムBDによって放射源SOからイルミネータILに送られる。他の場合には、例えば放射源が水銀ランプであるとき、放射源はリソグラフィ装置の一部でよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要であればビーム送達システムBDと共に、放射システムと呼ぶことができる。
[0066] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するための調節装置ADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側の半径範囲(通常、それぞれσ−外側及びσ−内側と呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなど様々な他の構成要素を含むことができる。イルミネータを使用して、放射ビームを調整し、その断面に所望の均一性及び強度分布を有するようにすることができる。
[0067] 放射ビームBは、パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTに保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAを通過すると、放射ビームBは、投影光学系PSを通過し、投影光学系PSは、ビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させ、それによってパターンの像をターゲット部分Cに投影する。第2の位置決め装置PW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2−Dエンコーダ、又は静電容量センサ)を用いて、例えば異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1の位置決め装置PM及び別の位置センサ(図1には明示されていない)を使用して、例えばマスクライブラリからの機械的な取出し後、又はスキャン中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。
[0068] パターニングデバイス(例えばマスク)MAと基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2と基板アライメントマークP1、P2とを使用してアライメントすることができる。図示される基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占めるが、ターゲット部分間の空間内に位置されてもよい(これらはスクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイス(例えばマスク)MAに複数のダイが設けられている状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に位置することができる。小さいアライメントマーカが、デバイスフィーチャの間でダイ内部に含まれてもよく、この場合、マーカはできるだけ小さく、隣接するフィーチャとは異なる結像又はプロセス条件を必要としないことが望ましい。アライメントマーカを検出するアライメントシステムについては、以下でさらに述べる。
[0069] この例でのリソグラフィ装置LAは、いわゆるデュアルステージタイプのものであり、2つの基板テーブルWTa、WTbと、2つのステーション(露光ステーションと測定ステーション)とを有し、それらのステーション間で基板テーブルを交換することができる。1つの基板テーブル上の1つの基板が露光ステーションで露光されている間に、別の基板を測定ステーションで他の基板テーブルに装填することができ、様々な予備ステップを行うことができる。予備ステップは、レベルセンサLSを使用して基板の表面制御をマッピングし、アライメントセンサASを使用して基板上のアライメントマーカの位置を測定することを含むことがある。これにより、装置のスループットを大幅に増加させることができる。
[0070] 図示される装置は、例えばステップモード又はスキャンモードを含む様々なモードで使用することができる。リソグラフィ装置の構成及び動作は当業者にはよく知られており、本発明の実施形態を理解するためにさらに述べる必要はない。
[0071] 図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、リソグラフィセルLC又はリソセル若しくはクラスタと呼ばれるリソグラフィシステムの一部を成す。また、リソグラフィセルLCは、基板に対して露光前及び露出後のプロセスを実施するための装置を含むこともできる。従来、これらは、レジスト層を堆積するためのスピンコータSC、露光されたレジストを現像するための現像装置DE、冷却プレートCH、及びベークプレートBKを含む。基板ハンドラ又はロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り、それらを異なるプロセス装置間で移動させ、次いでリソグラフィ装置のローディングベイLBに送達する。総称してトラックと呼ばれることが多いこれらのデバイスは、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、トラック制御ユニットTCUは、それ自体、監視制御システムSCSによって制御され、監視制御システムSCSはまた、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置を制御する。したがって、スループット及び処理効率を最大にするように異なる装置を動作させることができる。
[0072] 少なくとも1つのパターニングステップ(例えば光リソグラフィステップ)を含むパターニングプロセス(例えばデバイス製造プロセス)の設計、監視、制御などを行うために、パターン形成された基板を検査することができ、パターン形成された基板の1つ又は複数のパラメータが測定される。1つ又は複数のパラメータは、例えば、パターン形成された基板内又は基板上に形成された連続層間のオーバーレイ、例えばパターン形成された基板内又は基板上に形成されたフィーチャのクリティカルディメンジョン(CD)(限界線幅)、光リソグラフィステップの焦点又は焦点誤差、光リソグラフィステップのドーズ量又はドーズ誤差、光リソグラフィステップの光収差などを含むことがある。この測定は、製品基板自体のターゲット及び/又は基板上に提供される専用のメトロロジターゲットに対して実施することができる。走査型電子顕微鏡、像ベースの測定又は検査ツール、及び/又は様々な特殊ツールの使用を含め、パターニングプロセスで形成された構造の測定を行うための様々な技法がある。比較的高速で非侵襲的な形態の特殊メトロロジ及び/又は検査ツールは、放射ビームが基板表面上のターゲットに向けられ、散乱(回折/反射)ビームの特性が測定されるものである。基板によって散乱される前後のビームの1つ又は複数の特性を比較することによって、基板の1つ又は複数の特性を決定することができる。これは、回折ベースのメトロロジ又は検査と呼ばれることがある。
[0073] 図3は、例示的な検査装置(例えばスキャトロメータ)を示す。この検査装置は、基板W上に放射線を投影する広帯域(白色光)放射投影装置2を備える。再誘導された放射線は分光計検出器4に送られ、分光計検出器4は、例えば左下のグラフに示されるような鏡面反射放射線のスペクトル10(波長の関数としての強度)を測定する。このデータから、検出されたスペクトルを生じる構造又はプロファイルは、プロセッサPUによって、例えば厳密結合波解析及び非線形回帰によって、又は図3の右下に示されているようなシミュレートされたスペクトルのライブラリとの比較によって再構成することができる。一般に、再構成のために、構造の一般的な形態が知られており、構造が作られたプロセスの知識からいくつかの変数が仮定され、測定データから決定される構造の変数はいくつかのみである。そのような検査装置は、垂直入射検査装置又は斜入射検査装置として構成することができる。
[0074] 使用することができる別の検査装置が図4に示されている。このデバイスでは、放射源2によって放出された放射線は、レンズ系120を使用してコリメートされ、干渉フィルタ130及び偏光子170を透過され、部分反射面160によって反射され、対物レンズ150を介して基板W上のスポットSに集束される。対物レンズ150は、高い開口数(NA)、望ましくは少なくとも0.9又は少なくとも0.95を有する。液浸検査装置(水などの比較的高い屈折率の流体を使用する)は、1を超える開口数を有することさえあり得る。
[0075] リソグラフィ装置LAと同様に、測定動作中に基板Wを保持するために1つ又は複数の基板テーブルを設けることができる。基板テーブルは、図1の基板テーブルWTと形状が同様又は同一でよい。検査装置がリソグラフィ装置と一体化されている例では、それらは同じ基板テーブルでもよい。測定光学系に対して基板を正確に位置決めするように構成された第2の位置決め装置PWに、粗動位置決め装置及び微動位置決め装置を設けることができる。例えば、対象のターゲットの位置を獲得し、そのターゲットを対物レンズ150の下の位置に置くために、様々なセンサ及びアクチュエータが設けられる。通常、基板Wを横切る様々な位置で、ターゲットに対して多くの測定が行われる。基板支持体をX及びY方向に移動させて異なるターゲットを獲得し、Z方向に移動させて、光学系の焦点に対するターゲットの所望の位置を得ることができる。例えば実際には光学系が実質的に(典型的にはX及びY方向で、しかしおそらくZ方向でも)静止したままであり得て、基板だけが移動するときには、対物レンズが基板に対して様々な位置に導かれているかのように動作を考察して記載することが好都合である。基板と光学系の相対位置が正しいという前提で、原理的に、それらのどちらが現実世界で動いているのか、又は両方が動いているのか、又は光学系の一部が動いており(例えばZ及び/又は傾斜方向で)、光学系の残りの部分は静止しており、基板は動いている(例えばX及びY方向で、しかしまた任意選択でZ及び/又は傾斜方向で)という組合せなのかは問題とならない。
[0076] 次いで、基板Wによって再誘導された放射線は、部分反射面160を通過して検出器180に入り、スペクトルが検出される。検出器180を逆投影焦点面110(すなわち、レンズ系150の焦点距離)に位置してもよく、又は面110を、補助光学系(図示せず)を用いて検出器180上に再結像してもよい。検出器は、基板ターゲット30の2次元角散乱スペクトルを測定することができるように2次元検出器でよい。検出器180は、例えばCCD又はCMOSセンサのアレイでよく、また、例えばフレーム当たり40ミリ秒の積分時間を使用することができる。
[0077] 例えば、入射光線の強度を測定するために参照ビームを使用することができる。これを行うために、放射ビームが部分反射面160に入射するとき、放射ビームの一部が、参照ビームとして部分反射面160を透過されて、参照ミラー140に向かう。次いで、参照ビームは、同じ検出器180の異なる部分に投影されるか、又は異なる検出器(図示せず)に投影される。
[0078] 例えば405〜790nm、さらにはより低い、例えば200〜300nmの範囲内の対象波長を選択するために、1つ又は複数の干渉フィルタ130が利用可能である。干渉フィルタは、1セットの様々なフィルタを備えるのではなく、同調可能でよい。干渉フィルタの代わりに格子を使用することもできる。ターゲットへの放射線の入射角の範囲を制御するために、開口絞り又は空間光変調器(図示せず)を照明経路に設けることができる。
[0079] 検出器180は、再誘導された放射線の強度を単一波長(又は狭い波長範囲)で測定することができ、複数の波長で個別に、又はある波長範囲にわたって積分して強度を測定することもできる。さらに、検出器は、横方向の磁気偏光放射線と横方向の電気偏光放射線の強度、及び/又は横方向の磁気偏光放射線と横方向の電気偏光放射線との位相差を個別に測定することができる。
[0080] 基板W上のターゲット30は、現像後に固体レジストラインからバーが形成されるように印刷された1−D格子でよい。ターゲット30は、2−D格子でもよく、現像後にレジスト内の固体レジストピラー又はバイアから格子が形成されるように印刷される。バー、ピラー、又はバイアは、基板内又は基板上に(例えば、基板上の1つ又は複数の層内に)エッチングすることができる。(例えば、バー、ピラー、又はバイアの)パターンは、パターニングプロセスにおける処理の変化(例えば、リソグラフィ投影装置(特に投影システムPS)における光収差、焦点の変化、ドーズ量の変化など)に敏感であり、印刷された格子のばらつきとして現れる。したがって、印刷された格子の測定データを使用して、格子が再構成される。線幅及び/又は形状など1−D格子の1つ若しくは複数のパラメータ、又はピラー若しくはバイアの幅若しくは長さ若しくは形状など2−D格子の1つ若しくは複数のパラメータを、印刷ステップ及び/又は他の検査プロセスの知識からプロセッサPUによって実施される再構成プロセスに入力することができる。
[0081] 再構成によるパラメータの測定に加えて、回折ベースのメトロロジ又は検査を、製品及び/又はレジストパターンでのフィーチャの非対称性の測定において使用することができる。非対称性測定の特定の用途は、例えばオーバーレイの測定に関するが、他の用途も知られている。この場合、ターゲット30は通常、互いに重ね合わされた1セットの周期フィーチャを備える。例えば、非対称性は、ターゲット30からの回折スペクトルの対向する部分を比較すること(例えば、周期構造の回折スペクトルにおける−1次と+1次を比較すること)によって測定することができる。図3又は図4の機器を使用する非対称性測定の概念は、例えば、全体を参照により本明細書に援用する米国特許出願公開第2006066855号に記載されている。簡単に述べると、ターゲットの回折スペクトルでの回折次数の位置はターゲットの周期性によってのみ決定されるが、回折スペクトルにおける非対称性は、ターゲットを構成する個々のフィーチャの非対称性を示す。検出器180がイメージセンサでよい図4の機器では、そのような回折次数の非対称性は、検出器180によって記録される瞳孔像の非対称性として直接現れる。この非対称性は、PU単位でデジタル画像処理によって測定することができ、オーバーレイの既知の値に対して較正することができる。
[0082] 図5は、図4の装置における典型的なターゲット30及び照明スポットSの広がりの平面図を示す。周囲の構造からの干渉がない回折スペクトルを得るために、一実施形態では、ターゲット30は、照明スポットSの幅(例えば直径)よりも大きい周期構造(例えば格子)である。スポットSの幅は、ターゲットの幅及び長さよりも小さくてよい。換言すると、ターゲットは照明によって「アンダーフィル(underfilled)」されており、回折信号は、ターゲット自体の外部の製品フィーチャなどからのいかなる信号も本質的に含んでいない。照明構成2、120、130、170は、対物レンズ150の後焦点面にわたって均一な強度の照明を提供するように構成することができる。代替として、例えば照明経路にアパーチャを含めることによって、照明をオンアクシス方向又はオフアクシス方向に制限することができる。
[0083] 図6は、メトロロジを使用して得られた測定データに基づいてターゲットパターン30’の1つ又は複数の対象の変数の値を決定する例示的なプロセスを概略的に示す。検出器180によって検出された放射線は、ターゲット30’に関する測定された放射分布108を提供する。
[0084] 所与のターゲット30’について、例えば数値マクスウェルソルバ210を使用して、パラメータ化モデル206から放射分布208を計算/シミュレートすることができる。パラメータ化モデル206は、ターゲットを構成する、及びターゲットに関連する様々な材料の例示的な層を示す。パラメータ化モデル206は、考慮下のターゲットの部分のフィーチャ及び層に関する1つ又は複数の変数を含むことがあり、それらの変数は変更及び導出することができる。図6に示されるように、1つ又は複数の変数は、1つ又は複数の層の厚さt、1つ又は複数のフィーチャの幅w(例えばCD)、1つ又は複数のフィーチャの高さh、及び/又は1つ又は複数のフィーチャの側壁角度αを含むことがある。示されていないが、1つ又は複数の変数は、限定はしないが、1つ又は複数の層の屈折率(例えば実屈折率又は複素屈折率や屈折率テンソルなど)、1つ又は複数の層の吸光係数、1つ又は複数の層の吸収、現像中のレジスト損失、1つ又は複数のフィーチャのフッティング、及び/又は1つ又は複数のフィーチャのラインエッジ粗さをさらに含むことができる。変数の初期値は、測定されているターゲットに関して予想されるものでよい。次いで、測定された放射分布108は、212で、計算された放射分布208と比較されて、2つの放射分布の差が決定される。差があった場合、パラメータ化モデル206の1つ又は複数の変数の値を変えることができ、測定された放射分布108と計算された放射分布208との間に十分な合致が生じるまで、新たな計算された放射分布208を算出して、測定された放射分布108と比較することができる。その時点で、パラメータ化モデル206の変数の値は、実際のターゲット30’の幾何学的形状の良好な又は最良の合致を提供する。一実施形態では、測定された放射分布108と計算された放射分布208との差が公差閾値内にあるとき、十分な合致が存在する。
[0085] 実施形態での使用に適したさらなる検査装置が図7Aに示されている。例えば、そのようなメトロロジ装置、又は他の任意の適切なメトロロジ装置があり得る。ターゲットTとターゲットを照明するために使用される測定放射の回折放射線とが、図7Bにさらに詳細に示されている。図示した検査装置は、暗視野メトロロジ装置として公知のタイプである。検査装置は、スタンドアロン型デバイスとすることができるし、又は、例えば、測定ステーション若しくはリソグラフィックセルLCのいずれかで、リソグラフィ装置LAに組み込むこともできる。装置全体にわたっていくつかの分岐を有する光軸は、点線Oで示されている。この装置では、放射源11(例えば、キセノンランプ)によって放射された放射線は、レンズ12、14及び対物レンズ16を含む光学系によって、光学要素15を介して基板Wに誘導される。これらのレンズは、2連の4F構成で配置されている。異なるレンズ構成が、例えば基板像を検出器上に形成し、同時に、空間周波数フィルタリング用の中間瞳面のアクセスを可能にするという条件で、異なるレンズ構成を使用することができる。したがって、放射線が基板に入射する角度範囲は、ここでは(共役)瞳面と称される、基板平面の空間スペクトルを示す平面の空間強度分布を画定することで選択することができる。特に、これは、レンズ12、14間で、対物レンズ瞳面の後方投影像である平面内に、適切な形態のアパーチャプレート13を挿入することで行うことができる。図示した例では、アパーチャプレート13は、様々な照明モードが選択されるのを可能にする、13N及び13Sの符号を付けた様々な形態を有する。この例の照明システムは、オフアクシス照明モードを形成している。第1の照明モードでは、アパーチャプレート13Nは、単に説明のために「北(N)」と指定した方向からのオフアクシス放射線をもたらす。第2の照射モードでは、アパーチャプレート13Sは、同様であるが「南(S)」の符号を付けた反対の方向から照明するために使用される。様々なアパーチャを使用することで、他の照明モードが可能である。所望の照明モード以外の任意の不必要な放射は、所望する測定信号に干渉することになるので、瞳面の残部は暗色とするのが望ましい。
[0086] 図7Bに示すように、ターゲットTは、基板Wが対物レンズ16の光軸Oに垂直な状態で配置されている。基板Wは、サポート(図示せず)によって支持することができる。軸Oから外れた角度からターゲットTに当たった測定放射線Iは、ゼロ次光線(実線0)及び2つの一次光線(一点鎖線+1及び二点鎖線−1)を生じさせる。小ターゲットがオーバーフィルされる場合、これらの光線は、メトロロジターゲットT及び他のフィーチャを含む基板の領域にわたる多数の平行光線の1つにすぎないことを忘れてはならない。プレート13のアパーチャは、(有用な放射量を受け入れるのに必要な)有限の幅を有するので、入射光線Iは、事実上、所定の角度範囲を占め、回折光線0及び回折光線+1/−1は幾分広がる。小ターゲットの点広がり関数によれば、各次数+1、−1は、示すような単一の理想光線ではなく、所定の角度範囲にわたってさらに広がる。ターゲットの周期構造ピッチ及び照明角は、対物レンズに入射する一次光線が、中心光軸と密接して整列するように設計及び調整できることに留意されたい。図7A及び図7Bに示した光線は、単に、光線が図中でより容易に区別されるのを可能にするために、幾分軸から外れて示されている。
[0087] 基板W上のターゲットTで回折した少なくとも0次及び+1次のものは、対物レンズ16によって集められ、逆戻りして光学要素15を通る。図7Aに戻ると、北(N)及び南(S)として符号を付けた直径方向両側のアパーチャを指定することで、第1及び第2の照明モードの両方が示されている。測定放射の入射光線Iが光軸の北側から来ると、すなわち、アパーチャプレート13Nを使用する第1の照明モードが適用されると、+1(N)の符号を付けた+1回折光線が、対物レンズ16に入射する。それに対して、アパーチャプレート13Sを使用する第2の照明モードが適用されると、(−1(S)の符号を付けた)−1回折光線がレンズ16に入射する。
[0088] ビームスプリッタ17は、回折ビームを2つの測定分岐に分流する。第1の測定分岐では、光学系18は、ゼロ次及び一次回折ビームを使用して、ターゲットの回折スペクトル(瞳面像)を第1のセンサ19(例えば、CCD又はCMOSセンサ)に形成する。各回折次数はセンサの異なる部分に当たるので、画像処理により、各次数を比較し、対照させることができる。センサ19によって取り込まれた瞳面像は、検査装置の焦点を合わせる、及び/又は一次ビームの強度照度測定値を正規化するために使用することができる。瞳面像は、再現などの多くの測定目的に使用することもできる。
[0089] 第2の測定分岐では、光学系20、22は、ターゲットTの像をセンサ23(例えば、CCD又はCMOSセンサ)に形成する。第2の測定分岐では、開口絞り21が、瞳面と共役である平面に設けられる。開口絞り21は、ゼロ次回折ビームを遮断するように機能するので、センサ23に形成されるターゲットの像は、−1又は+1の一次ビームからのみ形成される。センサ19、23によって取り込まれた像はプロセッサPUに出力され、プロセッサPUは像を処理し、プロセッサPUの機能は、行われる特定のタイプの測定によって決まる。「像」という用語は、ここでは広い意味で使用されることに留意されたい。−1及び+1の次数の1つだけが存在する場合に、周期構造特徴の像は形成されない。
[0090] 図7A、7C及び7Dに示すアパーチャプレート13及び視野絞り21の特定の形態は単なる例である。一実施形態では、ターゲットのオンアクシス照明が使用され、オフアクシス開口を有する開口絞りを使用して、実質的に1つだけの一次回折放射をセンサに送る。さらに別の実施形態では、一次ビームの代わりに、又は一次ビームに加えて、二次、三次、さらに高次のビーム(図7A、7B、7C又は7Dに示していない)を測定に使用することができる。
[0091] これらの様々なタイプの測定に適合可能な測定放射を行うために、アパーチャプレート13は、ディスクのまわりに形成された複数のアパーチャパターンを含むことができ、このディスクは、所望のパターンを所定の位置に合わせるために回転する。アパーチャプレート13N又はアパーチャプレート13Sは、一方向(構成に応じてX又はY)に向けられた周期構造を測定するためにのみ使用することができることに留意されたい。直交周期構造の測定の場合、ターゲットを90°及び270°だけ回転させることができる。図7Cと図7Dには異なるアパーチャプレートが示されている。これらの使用、並びに装置の多くの他の変形及び応用は、上述した特許出願公開に記載されている。
[0092] 図8は、既知の慣例に従って基板に形成された(複合)ターゲットを示す。この例におけるターゲットは、互いに近接して位置決めされた4つの周期構造(例えば格子)32〜35を備え、周期構造は全て、検査装置のメトロロジ放射照明ビームによって形成される測定スポット31内にある。したがって、4つの周期構造は全て同時に照明され、センサ19と23に同時に結像される。オーバーレイの測定に特化した例では、周期構造32〜35は、それら自体、例えば基板Wに形成された半導体デバイスの異なる層にパターン形成された周期構造をオーバーレイすることによって形成される複合周期構造である。周期構造32〜35は、複合周期構造の異なる部分が形成されている層間のオーバーレイの測定を容易にするために、異なるバイアスのオーバーレイオフセットを有することがある。オーバーレイバイアスの意義は、図8を参照して以下に説明する。また、周期構造32〜35は、入射放射線をX方向及びY方向に回折するように、図示されるようにそれらの向きが異なっていてもよい。一例では、周期構造32及び34は、それぞれバイアスオフセット+d、−dを有するX方向周期構造である。周期構造33及び35は、それぞれバイアスオフセット+d、−dを有するY方向周期構造である。これらの周期構造の個別の像を、センサ23によって捕捉された像内で識別することができる。これはターゲットの一例にすぎない。ターゲットは、4つよりも多い若しくは4つよりも少ない周期構造、又は1つの周期構造のみを備えていてもよい。
[0093] 図9は、図7Dのアパーチャプレート13NW又は13SEを使用して、図7の装置において図8のターゲットを用いてセンサ23に形成され得て、センサ23によって検出され得る像の一例を示す。瞳面イメージセンサ19は、異なる個々の周期構造32〜35を解像することはできないが、イメージセンサ23はその解像を行うことができる。濃い色の矩形はセンサ上の像のフィールドを表し、そのフィールド内部で、基板上の照明されたスポット31は、対応する円形エリア41内に結像される。この円形エリア41内で、矩形エリア42〜45は、小さいターゲット周期構造32〜35の像を表す。ターゲットが製品エリアにある場合、製品フィーチャもこの像フィールドの周辺に見えることがある。画像処理装置及び制御システムPUは、パターン認識を使用してこれらの像を処理し、周期構造32〜35の別個の像42〜45を識別する。このようにすると、像をセンサフレーム内の特定の位置に非常に正確にアライメントする必要がない。これは、測定装置全体のスループットを大幅に改良する。
[0094] 周期構造の個別の像が識別されると、それらの個々の像の強度を、例えば識別されたエリア内の選択された画素強度値を平均又は合計することによって測定することができる。像の強度及び/又は他の特性は、互いに比較することができる。これらの結果を組み合わせて、パターニングプロセスの様々なパラメータを測定することができる。オーバーレイ性能は、そのようなパラメータの重要な一例である。
[0095] 図10は、例えば国際公開第2011/012624号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている方法を使用して、成分周期構造32〜35を含む2つの層間のオーバーレイ誤差(すなわち、望ましくなく且つ意図的でないオーバーレイミスアライメント)が測定される様子を示す。この測定は、強度非対称性の尺度を得るためにターゲット周期構造の通常の回析次数の像と相補的な回析次数の像における強度を比較することによって明らかになるターゲット非対称性を識別することによって行われる。一実施形態では、通常の回析次数は+1次放射線であり、相補的な回析次数は−1次放射線である。本明細書の論述は、+1次放射線としての通常の回析次数及び−1次放射線である相補的な回析次数に焦点を置くが、他の対応するさらに高い次数(例えば、+2次と−2次)の強度を比較することができる。
[0096] ステップS1で、基板、例えば半導体ウェハは、図2のリソグラフィセルなどのリソグラフィ装置によって1回又は複数回処理されて、周期構造32〜35を含むターゲットを作成する。ステップS2で、図7の検査装置を使用して、1次回折ビームの1つ(例えば+1次)のみを用いて周期構造32〜35の像が取られる。ステップS3で、照明モードを変更すること、若しくは結像モードを変更することによって、又は検査装置の視野内で基板Wを180°回転させることによって、他の一次回折ビーム(−1次)を用いた周期構造の第2の像を得ることができる。その結果、第2の像において−1次回折放射線が捕捉される。
[0097] 各像に一次回折放射線の半分しか含まないことにより、ここで言う「像」は、従来の暗視野顕微鏡像ではないことに留意されたい。ターゲット周期構造の個々のターゲットフィーチャは解像されない。各ターゲット周期構造は、単に特定の強度レベルのエリアによって表される。ステップS4で、各成分ターゲット周期構造の像内で関心領域(ROI)が識別され、そこから強度レベルが測定される。
[0098] 個々のターゲット周期構造ごとにROIを識別し、その強度を測定すると、ターゲットの非対称性、したがってオーバーレイ誤差を決定することができる。これは、ステップS5において、ターゲット周期構造32〜35ごとに通常の及び相補的な回折次数の放射線に関して得られた強度値を比較して、それらの強度非対称性(例えば、それらの強度の差)を識別して(例えば、プロセッサPUによって)行われる。「差」という用語は、減算のみを表すものとは意図されていない。差は、比率の形で算出されてもよい。ステップS6では、いくつかのターゲット周期構造に関する測定された強度非対称性を、それらのターゲット周期構造の任意の既知の課されたオーバーレイバイアスの知識と共に使用して、ターゲットTの近傍でのパターニングプロセスの1つ又は複数の性能パラメータを算出する。
[0099] 図11A〜図11Dは、異なるバイアスオフセットを有するターゲット周期構造(オーバーレイ周期構造)の概略断面図を示す。図7〜図9で見られるように、これらは基板W上のターゲットTとして使用することができる。単に例として、X方向で周期性を有する周期構造が示されている。異なるバイアス及び異なる向きを有するこれらの周期構造の異なる組合せを、個別に又はターゲットの一部として提供することができる。
[00100] 図11Aから始めると、符号L1及びL2で表される少なくとも2つの層に形成されたターゲット600が示されている。下部又は底部層L1では、第1の周期構造(下部又は底部周期構造)、例えば格子が、基板606のフィーチャ602及び空間604によって形成される。層L2では、第2の周期構造、例えば格子が、フィーチャ608及び空間610によって形成される(フィーチャ602、608(例えばライン)が紙面奥へ延びるように断面が描かれている)。周期構造パターンは、両層においてピッチPで繰り返している。フィーチャ602及び608は、ライン、ドット、ブロック、及びバイアホールの形態を取ることがある。図11Aに示される状況では、ミスアライメントによるオーバーレイ寄与、例えばオーバーレイ誤差及び課されたバイアスがなく、したがって、第2の構造の各フィーチャ608が、第1の構造でのフィーチャ602の真上に位置する。
[00101] 図11Bで、第1の既知の課されたバイアス+dを有する同じターゲットが示され、第1の構造のフィーチャ608が、第2の構造のフィーチャに対して右に距離dだけずらされているバイアス距離dは、実際には数ナノメートル、例えば10nm〜20nmでよく、ピッチPは、例えば300〜1000nmの範囲、例えば500nm又は600nmである。図11Cには、第2の既知の課されたバイアス−dを有する別のフィーチャが示されており、フィーチャ608が左にシフトされている。dの値は、各構造に関して同じである必要はない。図11Aから図11Cに示されるこのタイプのバイアス周期構造は、上述した先行特許出願公開に記載されている。
[00102] 図11Eは、図11A〜Cに示されるものなどの上層及び下層における周期構造を含むサブターゲット612、614、616、618を有する例示的なターゲット600を上方から概略的に示す。下層は、図11Eには示されていない。一実施形態では、サブターゲット612、614、616、618は、2つの垂直方向(例えば、X及びY)におけるオーバーレイを測定するように設計され、その測定を容易にするように課されたバイアスdを有する(図11B及び11Cに関して上述されるように)。図11Eの実施形態は4つのサブターゲットを示しているが、異なる数でもよく、それらはすべて、1つの方向におけるオーバーレイを測定するため又は2つを超える方向におけるオーバーレイを測定するために使用することができる。
[00103] 一実施形態では、サブターゲット612及び614は共に、X方向におけるオーバーレイを測定するように設計される。一実施形態では、サブターゲット612は+dのバイアスを有し、サブターゲット614は−dのバイアスを有する。一実施形態では、サブターゲット616及び618は共に、Y方向におけるオーバーレイを測定するように設計される。一実施形態では、サブターゲット616は+dのバイアスを有し、サブターゲット618は−dのバイアスを有する。
[00104] 図11Fは、図11Eに示されるものなどのターゲット600からのステップS2からの通常の次数(例えば、+1次)の放射線の検出された回折信号の例を示す。図11Gは、図11Eに示されるものなどのターゲット600からのステップS3からの相補的な次数(例えば、−1次)の放射線の検出された回折信号の例を示す。各周期構造方向(X及びY)に対し、図11F及び11Gにおいて「+」(+dバイアスの場合)及び「−」(−dバイアスの場合)によって示されるような反対方向の意図的なバイアスを有する2つの周期構造が存在する。したがって、X+は、サブターゲット612から検出された回折信号を表し、X−は、サブターゲット614から検出された回折信号を表し、Y+は、サブターゲット618から検出された回折信号を表し、Y−は、サブターゲット616から検出された回折信号を表す。したがって、周期構造の周期性方向ごとに4つの回折強度信号が検出される。
[00105] 図11Hは、2層周期構造(図11A〜Cに示されるものなど)を有するターゲット(サブターゲット612、614、616又は618など)からの放射線の回折を説明するための簡単なモデルの概略的な描写である。上層及び下層から回析された放射線の複素振幅が示されている。下層から回析された放射線は、オーバーレイからの位相寄与を含む。
[00106] 図12において、曲線702は、ターゲットを形成する個々の周期構造内、特に第1の構造の個々の周期構造内でオフセットを有さず、及び構造的非対称性を有さない「理想的な」ターゲットに関するオーバーレイOVと強度非対称性Aとの関係(例えば、+1次及び−1次回折強度の強度間の差)を示す。その結果、この理想的なターゲットのターゲット非対称性は、既知の課されたバイアス及びオーバーレイ誤差OVEから生じる第1の構造と第2の構造とのミスアライメントによるオーバーレイ寄与のみを含む。このグラフ及び図13のグラフは、本開示の背景にある原理のみを示しており、各グラフにおいて、強度非対称性A及びオーバーレイOVの単位は任意である。実際の寸法の例は、以下にさらに提示する。
[00107] 図12の「理想的な」状況では、曲線702は、強度非対称性Aがオーバーレイとの非線形の周期的な関係(例えば正弦関係)を有することを示す。正弦波変動の周期Pは、周期構造の周期又はピッチPに対応し、当然、適切なスケールに変換される。この例では正弦波形は純粋なものであるが、現実の状況では高調波を含むことがある。
[00108] 上述したように、オーバーレイを測定するために、単一の測定量に依拠するのではなく、(既知の課されたオーバーレイバイアスを有する)バイアス周期構造を使用することができる。このバイアスは、それが生成されたパターニングデバイス(例えばレチクル)で定義される既知の値を有し、これは、測定された強度非対称性に対応するオーバーレイの基板上での較正として働く。図面には、算出結果がグラフで示されている。ステップS1〜S5において、(例えば図11B及び図11Cに示されるように)課されたバイアス+d及び−dをそれぞれ有する周期構造に関して、強度非対称性測定量A+d及びA−dが得られる。これらの測定量を正弦曲線に当てはめると、図示のように点704及び706が得られる。バイアスを知ると、真のオーバーレイ誤差OVEを算出することができる。正弦曲線のピッチPは、ターゲットの設計から分かっている。曲線702の垂直スケールは、最初は分かっておらず、未知の係数であり、1次高調波比例定数Kと呼ぶことができる。したがって、オーバーレイ感度Kは、オーバーレイに対する強度非対称性測定量の感度の尺度である。一実施形態では、オーバーレイ感度Kは、オーバーレイに対する測定された強度の割合である。したがって、オーバーレイ感度Kは、オーバーレイのプロセス依存性を検出する助けとなる。
[00109] 等式としては、オーバーレイ誤差OVEと強度非対称性Aとの関係は、以下のように仮定される。
A±d=Ksin(OVE±d) (1)
ここで、オーバーレイ誤差OVEは、ターゲットピッチPが角度2πラジアンに対応するようにスケール調整して表される。異なる既知のバイアス(例えば+d及び−d)を有する周期構造の2つの測定量を使用して、以下の式を用いてオーバーレイ誤差OVEを算出することができる。
[00110] 図11Hに戻ると、オーバーレイOV(オーバーレイ誤差OVEとも呼ばれる)は、以下の通り評価することもできる。具体的には、図11Hに表されているモデルに基づいて、+1次及び−1次の回析された放射線の強度を以下の通り算出することができる。
ここで、
は、オーバーレイ及びバイアスによる位相差であり、
は、上層から回析された放射線と下層から回析された放射線との残りの位相差であり、上部周期構造と下部周期構造との間の層の厚さTに比例し、入射放射線の波長に反比例する。
[00111] 便宜上、1つの周期構造方向(例えば、X)における4つの強度は、以下の通り指定することができる。
− PBN(正のバイアス周期構造からの+1次回折)
− PBC(正のバイアス周期構造からの−1次回折)
− NBN(負のバイアス周期構造からの+1次回折)
− NBC(負のバイアス周期構造からの−1次回折)
したがって、ΔIPBは、PBN−PBCとして指定することができ、ΔINBは、NBN−NBCとして指定することができる。次いで、+1次及び−1次放射線からの回析された波の振幅及び位相(オーバーレイ位相を除く)が等しく、また、正のバイアス及び負のバイアス周期構造からの回析された波の振幅及び位相も等しく、メトロロジデバイスの光学機器自体が対称であると仮定すると、+1次放射線の強度と−1次放射線の強度との差は、ΔI=K.sin(ΦOV)として導出され、Kは、オーバーレイ比例係数であり、K=4A.B.sin(β)に等しい。したがって、オーバーレイは、以下の通り算出することができる。
[00112] ここで、図11Dは、構造的非対称性、この場合には第1の構造における構造的非対称性(下方又は底部構造非対称性)の現象を概略的に示す。図11A〜図11Cでの周期構造内のフィーチャは、完全に四角形の面で示されているが、現実のフィーチャは、面にいくらかの傾斜及びある程度の粗さを有する。それにもかかわらず、それらは、プロファイルが少なくとも対称であるように意図されている。図11Dでの第1の構造のフィーチャ602及び/又は空間604は、もはや全く対称形ではなく、1つ又は複数の処理ステップによって歪められている。したがって、例えば、各空間の底面は傾斜している(底壁傾斜)。例えば、フィーチャ及び空間の側壁角度が非対称になっている。この結果、ターゲットの全体的なターゲット非対称性は、構造的非対称性とは無関係のオーバーレイ寄与(すなわち、第1の構造と第2の構造のミスアライメントによるオーバーレイ寄与;それ自体、オーバーレイ誤差と任意の既知の課されたバイアスとからなる)と、ターゲットにおけるこの構造的非対称性による構造的寄与とを含む。
[00113] バイアス周期構造を2つだけ使用して図10の方法によってオーバーレイが測定されるとき、プロセスに起因する構造的非対称性は、ミスアライメントによるオーバーレイ寄与と区別することができず、結果としてオーバーレイ測定(特に、望ましくないオーバーレイ誤差の測定)は信頼できないものとなる。ターゲットの第1の構造(底部周期構造)における構造的非対称性は、構造的非対称性の一般的な形態である。この構造的非対称性は、例えば、第1の構造が最初に形成された後に実施される化学機械研磨(CMP)などの基板処理ステップで発生し得る。
[00114] 図13は、構造的非対称性、例えば図11Dに示される底部周期構造非対称性を導入する第1の効果を示す。「理想的な」正弦曲線702は、もはや当てはまらない。しかし、少なくとも概して、底部周期構造非対称性又は他の構造的非対称性は、強度非対称性A±dに強度シフト項K0及び位相シフト項φを加える効果を有する。結果として得られる曲線は、グラフ中に符号712として示され、ラベルK0は強度シフト項を示し、ラベルφは位相オフセット項を示す。強度シフト項K0及び位相シフト項φは、ターゲットと、測定放射線の選択された特徴、例えば測定放射線の波長及び/又は偏光との組合せに依存し、プロセス変動に敏感である。等式としては、ステップS6での算出に使用される関係は以下のようになる。
A±d=K0+Ksin(OVE±d+φ) (5)
[00115] 構造的非対称性がある場合、式(2)によって記述されるオーバーレイモデルは、強度シフト項K0及び位相シフト項φによって影響を及ぼされるオーバーレイ誤差値を提供し、結果として不正確になる。また、構造的非対称性は、強度及び位相シフトが例えば波長及び/又は偏光に依存するので、オーバーレイ誤差をマッピングするときに、1つ又は複数の異なる測定パラメータ(例えば測定ビームの波長や測定ビームの偏光など)を使用する同じターゲットの測定の差をもたらす。
[00116] 修正されたステップS6のオーバーレイ算出は、いくつかの仮定に依拠する。第1に、強度非対称性がオーバーレイの正弦関数として挙動し、周期Pが周期構造ピッチに対応すると仮定する。これらの仮定は、現在のオーバーレイ範囲に有効である。小さいピッチ−波長比は、周期構造からの少数の伝播回折次数のみを可能にするので、高調波の数を小さく設計することができる。しかし、実際には、ミスアライメントによる強度非対称性に対するオーバーレイ寄与は、必ずしも真に正弦波形ではないことがあり、またOV=0に関して必ずしも完全に対称ではないことがある。
[00117] したがって、構造的非対称性の影響は、概して以下のように定式化することができる。
ΔI+=K(OV+d)+ΔIBG (6)
ΔI−=K(OV−d)+ΔIBG (7)
ここで、ΔI−(A−とも同義)及びΔI+(A+とも同義)は、負のバイアス周期構造及び正のバイアス周期構造に関してそれぞれ測定された強度非対称性を表し、ΔIBGは、構造的非対称性の強度非対称性に対する寄与である。したがって、オーバーレイ誤差ΔOVは、ΔIBG/Kの関数とみなすことができる。
[00118] ここで、ターゲット内の構造的非対称性に加えて、又はその代わりに、ターゲットの隣接する周期構造間又は隣接するターゲット間のスタック差が、オーバーレイ測定などの測定の精度に悪影響を及ぼす因子となり得ることがさらに明らかになっている。スタック差は、隣接する周期構造又はターゲット間の物理的構成の設計外の相違と理解することができる。スタック差は、隣接する周期構造又はターゲットにおいてよくあるオーバーレイ誤差以外、意図的なバイアス以外、及び構造的非対称性以外による、隣接する周期構造又はターゲット間の測定放射線の光学特性(例えば強度や偏光など)の差を引き起こす。スタック差は、限定はしないが、隣接する周期構造又はターゲット間の厚さの差(例えば、1つの周期構造又はターゲットが、実質的に等しいレベルになるように設計された別の周期構造又はターゲットよりも高くなる又は低くなるような、1つ又は複数の層の厚さの差)、隣接する周期構造又はターゲット間の屈折率の差(例えば、実質的に等しい合成屈折率を有するように設計されたとしても、1つの周期構造又はターゲットに関する1つ又は複数の層に関する合成屈折率が、別の周期構造又はターゲットに関する1つ又は複数の層に関する合成屈折率とは異なるような、1つ又は複数の層の屈折率の差)、隣接する周期構造又はターゲット間の材料の相違(例えば、実質的に同じ材料を有するように設計された、1つの周期構造又はターゲットと別の周期構造又はターゲットとに関する材料の相違が存在するような、1つ又は複数の層の材料タイプや材料均一性などの相違)、隣接する周期構造又はターゲットの構造の周期構造周期の差(例えば、実質的に同じ周期構造周期を有するように設計された、1つの周期構造又はターゲットと別の周期構造又はターゲットとに関する周期構造周期の差)、隣接する周期構造又はターゲットの構造の深さの差(例えば、実質的に同じ深さを有するように設計された、1つの周期構造又はターゲットと別の周期構造又はターゲットとの構造の深さのエッチングによる差)、隣接する周期構造又はターゲットのフィーチャの幅(CD)の差(例えば、フィーチャの実質的に同じ幅を有するように設計された、1つの周期構造又はターゲットと別の周期構造又はターゲットとのフィーチャの幅の差)などを含む。いくつかの例では、スタック差は、パターニングプロセスにおいて、CMP、層堆積、エッチングなどの処理ステップによって導入される。一実施形態では、互いに200μm以内、互いに150μm以内、互いに100μm以内、互いに75μm以内、互いに50μm以内、互いに40μm以内、互いに30μm以内、互いに20μm以内、又は互いに10μm以内にある場合、周期構造又はターゲットは隣接している。
[00119] スタック差(格子間の格子不均衡と呼ぶこともできる)の効果は、概して以下のように定式化することができる。
ΔI+=(K+ΔK)(OV+d) (8)
ΔI−=(K−ΔK)(OV−d) (9)
ここで、ΔKは、スタック差に起因するオーバーレイ感度の差を表す。したがって、オーバーレイ誤差ΔOVは、
に比例し得る。
[00120] したがって、スタック差を特徴付けるために、1つ又は複数のスタック差パラメータを定義することができる。上記のように、スタック差パラメータは、隣接する周期構造又はターゲットの設計外の異なる物理的構成の尺度である。一実施形態では、スタック差パラメータは、隣接する周期構造又はターゲットの断面を評価することから決定することができる。
[00121] 一実施形態では、スタック差パラメータは、上側周期構造が適用される前に下側隣接周期構造を評価することによって、複合周期構造の下側隣接周期構造に関して決定することができる。一実施形態では、スタック差パラメータは、隣接する周期構造若しくはターゲットの光学測定量から、又は隣接する周期構造若しくはターゲットの断面積からの、隣接する周期構造若しくはターゲットの再構成により導出することができる。すなわち、物理的寸法、特徴、材料特性などが再構成され、隣接する周期構造又はターゲット間の差が、スタック差パラメータに達するように決定される。
[00122] スタック差パラメータの一実施形態は、以下のように定義することができる周期構造強度不均衡(GI)である。
ここで、
は、+dバイアスを有する第1の周期構造によって回折された+1次回折強度信号
と、+dバイアスを有する第1の周期構造によって回折された−1次回折強度信号
との平均値である。同様に、
は、−dバイアスを有する第2の周期構造によって回折された+1次回折強度信号
と、−dバイアスを有する第2の周期構造によって回折された−1次回折強度信号
との平均値である。一実施形態では、周期構造強度不均衡(GI)は、
などの導出バージョンでよい。
[00123] さらに、ターゲットの測定精度及び/又は感度は、ターゲット自体の1つ若しくは複数の属性、及び/又はターゲットに提供される測定放射線の1つ若しくは複数の属性、例えば、放射線の波長、放射線の偏光、及び/又は放射線の強度分布(すなわち、角度若しくは空間強度分布)に関して変化し得る。一実施形態では、放射線の波長範囲は、ある範囲から選択される(例えば、約400nm〜900nmの範囲から選択される)1つ又は複数の波長に制限される。さらに、放射ビームの異なる偏光(例えば、TE偏光放射線及びTM偏光放射線)の選択を提供することができ、例えば複数の異なるアパーチャを使用して様々な照明形状を提供することができる。
[00124] したがって、そのような選択及び測定を可能にするために、測定システムを使用する測定の1つ又は複数のパラメータを指定するメトロロジレシピを用いることができる。一実施形態では、「メトロロジレシピ」という用語は、測定自体の1つ若しくは複数のパラメータ、測定されたターゲットのパターンの1つ若しくは複数のパラメータ、又はそれら両方を含む。
[00125] これに関連して、測定されるターゲットのパターン(「ターゲット」又は「ターゲット構造」とも呼ばれる)は、光学的に測定されるパターン、例えばその回折が測定されるパターンでよい。測定されるターゲットのパターンは、測定目的のために特に設計又は選択されたパターンでよい。ターゲットの複数のコピーが基板上の多くの場所に配置されてもよい。
[00126] 一実施形態では、メトロロジレシピが測定自体の1つ又は複数のパラメータを含む場合、測定自体の1つ又は複数のパラメータは、測定を行うために使用される測定ビーム及び/又は測定装置に関する1つ又は複数のパラメータを含むことがある。例えば、メトロロジレシピで使用される測定が回折ベースの光学測定である場合、測定自体の1つ又は複数のパラメータは、測定放射線の波長、及び/又は測定放射線の偏光、及び/又は測定放射線強度分布、及び/又は測定放射線の基板に対する照明角度(例えば入射角や方位角など)、及び/又は回折測定放射線の基板上でのパターンに対する相対向き、及び/又はターゲットの測定された点若しくはインスタンスの数、及び/又は基板上で測定されたターゲットのインスタンスの位置を含むことがある。測定自体の1つ又は複数のパラメータは、測定に使用されるメトロロジ装置の1つ又は複数のパラメータを含むことがあり、これは、検出器感度や開口数などを含むことができる。
[00127] 一実施形態では、メトロロジレシピが、測定されたパターンの1つ又は複数のパラメータを含む場合、測定されたパターンの1つ又は複数のパラメータは、1つ又は複数の幾何学的特徴(パターンの少なくとも一部の形状、及び/又はパターンの少なくとも一部の向き、及び/又はパターンの少なくとも一部のピッチ(例えば、下部周期構造の層よりも上の層における上部周期構造のピッチ、及び/又は下部周期構造のピッチを含む、周期構造のピッチ)、及び/又はパターンの少なくとも一部のサイズ(例えばCD)(例えば、上部周期構造及び/又は下部周期構造のフィーチャのCDを含む、周期構造のフィーチャのCD)、及び/又はパターンのフィーチャのセグメント化(例えば、下位構造への周期構造のフィーチャの分割)、及び/又は周期構造若しくは周期構造のフィーチャの長さ)、並びに/又はパターンの少なくとも一部の材料特性(例えば、屈折率、吸光係数、材料タイプなど)、並びに/又はパターンの識別(例えば、あるパターンと別のパターンとの区別)などを含むことがある。
[00128] メトロロジレシピは、(r1,r2,r3,…,rn;t1,t2,t3,…,tm)のような形で表現することができる。ここで、r1は、測定の1つ又は複数のパラメータであり、tjは、測定される1つ又は複数のパターンの1つ又は複数のパラメータである。理解されるように、n及びmは1でよい。さらに、メトロロジレシピは、測定の1つ又は複数のパラメータと、測定される1つ又は複数のパターンの1つ又は複数のパラメータとの両方を有する必要はない。測定の1つ又は複数のパラメータのみを有することも、測定される1つ又は複数のパターンの1つ又は複数のパラメータのみを有することもできる。
[00129] 2つのメトロロジレシピA及びBを使用してターゲットを測定することができ、メトロロジレシピA及びBは、例えば、ターゲットが測定される段階が異なる(例えば、Aは、ターゲットが潜像構造を備えるときターゲットを測定し、Bは、ターゲットが潜像構造を備えないときにターゲットを測定する)、及び/又はそれらの測定のパラメータが異なる。メトロロジレシピAとBは、少なくとも、測定されるターゲットが異なることがある(例えば、Aは第1のターゲットを測定し、Bは第2の異なるターゲットを測定する)。メトロロジレシピAとBは、それらの測定及びターゲット測定のパラメータが異なることがある。基板測定レシピAとBは、同じ測定技法に基づいていなくてもよい。例えば、レシピAは、回折に基づく測定に基づいてよく、レシピBは、走査電子顕微鏡(SEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)測定に基づいてよい。
[00130] ここで、上記のように、オーバーレイを決定するいくつかの技術は、測定強度非対称性が周期構造層間の実際のオーバーレイシフトのみに比例すると仮定する。しかしこれは、測定非対称性が、構造的非対称性、スタック差などのターゲットの周期構造の製造において生じる様々なフィーチャ非対称性の影響によっても影響を受けるので、必ずしも当てはまらない。これらのフィーチャ非対称性の影響は、一次非対称性ベースのオーバーレイ測定を乱し、測定のバイアス、延いては不正確なオーバーレイ測定をもたらす可能性がある。
[00131] 構造的非対称性、スタック差などのフィーチャ非対称性の影響を説明することを目的とするオーバーレイ分析技術は、全体を参照により本明細書に援用する国際公開第2015/018625号及び米国特許出願公開第2016/0161864号に記載されているA+対A−の分析を使用した自己参照技術を伴う。
[00132] 一実施形態では、これは、負のバイアス周期構造(例えば、周期構造614)からの放射線の非対称性A−(例えば、正の1次放射線と負の1次放射線との間の差)の関数として、正のバイアス周期構造(例えば、周期構造612)からの放射線の非対称性A+(例えば、正の1次放射線と負の1次放射線との間の差)を決定することによって回折ベースのオーバーレイ測定を分析することを含むA+対A−の分析を伴う。一実施形態では、A+及びA−は、いくつかの異なる測定瞳画素及び/又はいくつかの異なる波長偏光組み合わせに関して(すなわち、いくつかの異なるメトロロジレシピに関して)決定される。このデータから、データを通る曲線(例えば、直線)又は関数(例えば、曲線を表す関数、特に直線を表す関数)のフィットが得られる。一実施形態では、フィッティングは、回帰によって得られる。一実施形態では、フィッティングは、線形回帰によって得られる。一実施形態では、曲線又は関数から、オーバーレイの尺度を決定することができる(例えば、直線又はその直線に関する関連関数の傾きから)。本明細書の記載は、曲線(例えば、線)に焦点を当てるが、理解されるように、それに加えて又はその代替として、関数(直線などの曲線を表す関数など)が、データに当てはめられてもよい。また、本明細書の記載は、A+対A−のプロットに焦点を当てるが、理解されるように、A+対A−のデータのプロットは、データを通るフィッティング曲線又は関数の決定に必要ではない。
[00133] 図14は、フィッティングの一例を示すために、放射線に存在する唯一の非対称性が、バイアス及びオーバーレイによる非対称性であるように、フィーチャ非対称性の影響を持たないオーバーレイ周期構造に関するA+(A+dと表示される)対A−(A−dと表示される)の例示的プロットである。この場合、A+とA−の関係は、原点を通ってフィットする直線、具体的には直線上にある(フィーチャ非対称性の影響が仮定されていないため)。全てのメトロロジレシピに関する対応するA+対A−のデータ点がこの線上にある。この線の傾き(フィッティング)は、実際のオーバーレイに関連する。図14は、データの性質に応じて生じる6つの例示的な線を示す。OV=0と表された点線は、ゼロオーバーレイを示す線であり、−1の傾きを有する。この線は、オーバーレイがゼロの場合に生じる。OV∞と表された点線は、+1の傾きを有する線であり、無限大に近づくオーバーレイを示す。したがって、データにオーバーレイエラーが存在する場合には、例えば、OV<0と表された実線(−1未満の傾きを有する線であり、0未満のオーバーレイを示す)、又はOV>0と表された実線(−1よりも大きい傾きを有する線であり、ゼロよりも大きいオーバーレイを示す)が存在する。さらに、+dに等しいオーバーレイ(ここで、dは周期構造バイアス)が、y軸に沿ってプロットされた線をもたらし、及び−dに等しいオーバーレイが、x軸に沿ってプロットされた線をもたらすことが分かる。
[00134] 図15は、オーバーレイターゲットがフィーチャ非対称性の影響を持つ上記の技術によるA+対A−のプロットである。オーバーレイターゲットがフィーチャ非対称性の影響を持たない上述の技術によれば、データ点930は、原点を通る線900でフィッティングされる。しかし、本実施形態では、データ点は、必ずしも原点を通らない線910によって、最良フィット法(例えば、最小二乗)に従ってフィッティングされる。このようにして、オーバーレイは、依然として、線910の傾きから計算することができるが、線910が、フィーチャ非対称性の影響を持たない同じ測定構造の場合に見られる線を示す線920と平行であることが分かる。線910の軸切片(線920(線910と同じ傾きを有するが、原点を通ってプロットされた線)からの線910のオフセット)は、フィーチャ非対称性影響の影響を量的に示す。
[00135] したがって、例えば回帰によるA+対A−のデータを通る曲線又は関数のフィッティングは、データセットを通るフィッティング線の傾きを決定することによって、フィーチャ非対称性影響に起因する寄与がないかのようなオーバーレイのより正確な値をもたらすことができる。この線は、必ずしも、原点を通って当てはめられるわけではない。任意選択で、フィーチャ非対称性影響は、原点からのフィッティング線のオフセット(例えば切片項)によって決定することができる。
[00136] 図16A〜Cは、フィーチャ非対称性影響の様々なシナリオ(それの欠如を含む)に関して、どのようにデータがシフトするかを明示するA+対A−のプロットである。図16Aは、フィーチャ非対称性の影響を持たない(例えば、構造的非対称性がなく、及びスタック差がない)オーバーレイターゲットに関するA+対A−のプロットである。線1600は、特定のオーバーレイを有するオーバーレイターゲットに関するデータを表し、線1610は、異なるオーバーレイを有するオーバーレイターゲットに関するデータを表す。上で論じたように、これらの線の傾きは、オーバーレイの大きさに対応する。したがって、矢印は、どのようにデータ、延いては線が、オーバーレイの大きさに応じて回転するかを示す。
[00137] 図16Bは、例えばオーバーレイターゲットの構造的非対称性によって、どのようにデータが影響を受けるかを示す、A+対A−のプロットである。線1620は、フィーチャ非対称性の影響を持たない(及び特定のオーバーレイを有する)オーバーレイターゲットに関するデータを表す。上で論じたように、線1620は、フィーチャ非対称性の影響がない原点を通過する。ここで、線1630は、構造的非対称性(例えば、底部格子構造的非対称性)を有するが、同じオーバーレイを有するオーバーレイターゲットに関するデータを表す。構造的非対称性は、データ、延いては線を、同じ傾きを維持しながら変位させる。したがって、矢印は、どのようにデータ、延いては線1630が、構造的非対称性の大きさに応じて変位するかを示す。
[00138] 図16Cは、例えばオーバーレイターゲットのスタック差によって、どのようにデータが影響を受けるかを示す、A+対A−のプロットである。線1640は、フィーチャ非対称性の影響を持たない(及び特定のオーバーレイを有する)オーバーレイターゲットに関するデータを表す。上で論じたように、線1640は、フィーチャ非対称性の影響がない原点を通過する。ここで、線1650は、スタック差を有するが、同じオーバーレイを有するオーバーレイターゲットに関するデータを表す。スタック差は、データ、延いては線を、異なる量で変位させる。したがって、矢印は、どのようにデータ、延いては線1650が、スタック差の大きさに応じて変位するかを示す。重大なことに、線の傾きが影響を受けることが分かる。
[00139] 図17Aは、フィーチャ非対称性の影響を持たないオーバーレイターゲットに関する、異なる偏光−波長の組み合わせの(シミュレートされた)データに関する、A+対A−のプロットである。既に論じたように、全てのデータが同じ線上にフィットすることが分かる。図17Bは、図17Aと同様であるが、フィーチャ非対称性の影響(具体的には、0.5nmの床傾斜)が存在するプロットを示す。図17A及び17Bの両方で、円で表示されたデータは、TE放射線を表し、十字で表示されたデータは、TM放射線を表す。ここでは見ることができないが、線に沿った位置は、より短い(紫色)波長が線の上端(A+=6〜8)で見つけられる傾向があり、より長い(赤色)波長が線の下端で見つけられる傾向があるように、大部分は波長(所与の偏光に関する)によって決定される。
[00140] 直線関係からの波長依存及び偏光依存偏差が、原点付近の領域1000で観測されることが、図17Bから分かる。オーバーレイ感度(この例では、0.5nmの床傾斜)は、TE偏光に関して最小である。さらに、最大のK値(測定された放射線におけるオーバーレイと非対称性との間の比例係数)、すなわちオーバーレイに対する最大感度を有するデータは、簡単に識別することも可能であり、これは、依然として、原点から最も離れて直線関係を示すデータ1010である。この例におけるデータ1010は、短波長(紫色)領域の放射線に関するものである。その結果、このようなプロットは、周期構造の測定に用いられた場合に、オーバーレイに対して最も敏感であり、且つフィーチャ非対称性の影響に最も依存しないデータ1010を生成する最適なメトロロジレシピの選択を可能にする。
[00141] 実際のメトロロジレシピの最適化において、基板にわたって、いくつかの測定が、基板上(例えば、エッジにおける)の全ての可能なフィーチャ非対称性影響が考慮されるように、異なる波長及び偏光に関して行われるべきである。最適な又は所望のレシピが選択されると、この単一のレシピ(例えば、波長−偏光−照明角の組み合わせ)を用いて、測定が行われ得る。
[00142] 単一のメトロロジレシピが、十分なフィーチャ非対称性影響のロバスト性を提供しない場合には、上で説明したA+対A−の分析を用いて、2又は3個のメトロロジレシピの組み合わせを識別することが可能であってもよい。これは、個々のメトロロジレシピが数多くのデータ入力をもたらし、2〜3個のメトロロジレシピを通る線が、非ゼロ軸カットオフを示すケースである場合があり、このような線の傾きは、依然として、フィーチャ非対称性影響に対して比較的ロバストなオーバーレイデータを生成する。このためには、実際のオーバーレイ測定に対して2又は3個のメトロロジレシピが使用される。
[00143] したがって、一実施形態では、A+対A−の分析を用いて、正のバイアス(A+)を有する周期構造及び負のバイアス(A−)を有する周期構造を備えるターゲットのメトロロジレシピを評価することができる。したがって、性能パラメータとしてのオーバーレイに関して、各メトロロジレシピに関してA+及びA−が決定され、決定されたA+の値が、決定されたA−の値に対して評価され、このようなデータを通るフィッティングが生成される。このフィッティングに関連する値が、ターゲットのインスタンスに関する実際のオーバーレイのより正確な値に対応する。例えば、線の傾きが、オーバーレイの尺度を提供する。それに従って、較正ルーチンでは、あるセット、既知のオーバーレイ、このセットにおける又はこのセットに近いフィッティングの傾き値を生成するメトロロジレシピを用いて、既知のオーバーレイは、大量測定に関するメトロロジレシピの有力候補である。
[00144] 図18を参照すると、特定のメトロロジレシピでの測定結果において、著しい分散が存在し得る。例えば、2つの例示的測定結果1800、1805が、特定の単一のメトロロジレシピ(例えば、特定の測定放射線波長)に関する図18のA+対A−のプロットに示される。この場合、各測定結果は、同じオーバーレイであるが、特定のターゲットの異なるインスタンスのものに関連付けられる。実線1810、1820の傾きによって示されるように、各測定結果1800、1805は、フィーチャ非対称性の影響を持たない(すなわち、線が原点を通過する)と仮定すると、非常に異なるオーバーレイを生じさせる。実際、測定結果1800に対応するターゲットのインスタンスは、著しいフィーチャ非対称性の影響(例えば、構造的非対称性)を有するが、測定結果1805に対応するターゲットのインスタンスは、それを有さない。したがって、著しいフィーチャ非対称性の影響(例えば、構造的非対称性、スタック差など)が存在する場合には、単一のメトロロジレシピ(例えば、単一波長)が、決定されたオーバーレイ(具体的には、測定結果1800から決定されたオーバーレイ)に誤差を与え得ることが分かる。
[00145] しかし、複数の異なるメトロロジレシピ(例えば、2つの異なるメトロロジレシピ)から得られた測定を用いて、オーバーレイは、より正確に決定することができる(フィーチャ非対称性影響に対してよりロバストであるため)。図18を再び参照すると、結果1800、1805に関する第1のメトロロジレシピとは異なる特定の第2のメトロロジレシピ(例えば、特定の測定放射線波長)に関するさらなる2つの例示的測定結果1830、1835が、図18のA+対A−のプロットに示されている。この場合、測定1800、1805と同様に、各測定結果1830、1835は、同じオーバーレイであるが、特定のターゲットの異なるインスタンスのものに関連付けられる。測定結果1830は、測定結果1800と同じターゲットのインスタンスのものであり、測定結果1835は、測定1805と同じターゲットのインスタンスのものである。上記のように、実際には、測定結果1800、1830に対応するターゲットのインスタンスは、著しいフィーチャ非対称性の影響(例えば、構造的非対称性)を有するが、測定結果1805、1835に対応するターゲットのインスタンスは、それを有さない。
[00146] しかしここで、点線1840、1850の傾きによって示されるように、測定結果1800、1805、1830、1835の組み合わせは、フィーチャ非対称性の影響とは無関係に、実質的に同じオーバーレイを生成する。したがって、原点からの線1850の距離1860によって示される著しいフィーチャ非対称性の影響(例えば、構造的非対称性、スタック差など)が存在しても、2つ以上のメトロロジレシピ(例えば、複数の波長)が、フィーチャ非対称性影響に対してかなりロバストな、決定されたオーバーレイを生成することができることが分かる。
[00147] したがって、一実施形態では、それらによってターゲットのインスタンスが測定され、及びそれらの結果の組み合わせから、ターゲットのインスタンスに関する可能なフィーチャ非対称性影響に対してロバストなオーバーレイが決定される、2つ以上の異なるメトロロジレシピが選択される。すなわち、一実施形態では、フィーチャ非対称性影響又は他のスプリアス強度非対称性(スタック差、構造的非対称性など)源に対して比較的であるオーバーレイ結果を提供するために使用され得る適切なメトロロジレシピの組み合わせを選ぶための技術が提供される。
[00148] 図19を参照すると、基板にわたり測定されたターゲットの複数のインスタンス(ターゲットの各インスタンスは、異なるメトロロジレシピを用いて測定される)に関する、A+対A−のデータのプロットが示されている。この場合、各メトロロジレシピは、測定放射線波長(具体的には、図19のサイドバーに示される、500nm〜858nmの範囲内の特定の異なる波長)に関して異なる。この例の各メトロロジレシピは、同じ偏光(90°)を有するが、理解されるように、偏光は、波長に加えて又は波長の代替として、変化し得る。A+対A−のプロットにおける各円は、基板にわたる異なる位置でのメトロロジターゲットの特定のインスタンスに関するデータを表す。
[00149] 図19に見られるように、及び例えば17Aと比較して、これらの結果を通ってフィッティングされた線に対する結果の著しいばらつきが存在することが分かる。ここで、分散の一部は、ターゲットの異なるインスタンスで異なるオーバーレイ値が存在することに起因する。しかし、さらに論じられるように、分散の一部は、フィーチャ非対称性の影響に起因する。これらの結果においてフィーチャ非対称性の影響を考慮するために、2セットの結果に注目する。1900で表される第1の結果のセットは、500nmの波長を有する測定放射線を含むメトロロジレシピを用いたターゲットのインスタンスの測定に対応する。1910で表される第2の結果のセットは、617nmの波長を有する測定放射線を含むメトロロジレシピを用いたターゲットの同じインスタンスの測定に対応する。
[00150] 図20は、基板にわたり測定されたターゲットの複数のインスタンス(ターゲットの各インスタンスは、500nmの波長を有する測定放射線を含む第1のメトロロジレシピを用いて、及び617nmの波長を有する測定放射線を含む第2のメトロロジレシピを用いて測定される)に関する、A+対A−のデータのプロットを示す。1900で表される第1の結果のセットは、第1のメトロロジレシピに対応し、1910で表される第2の結果のセットは、617nmの波長を有する測定放射線を含むメトロロジレシピを用いたターゲットの同じインスタンスの測定に対応する。したがって、図20は、図19からのデータのサブセットを表す。さらに、図20では、ターゲットの特定のインスタンスに関する第1及び第2のメトロロジレシピを用いた関連する結果は、線によって接続される。一般に図20において分かるように、いくつかの線が、原点又は原点の非常に近くを通過する。したがって、これらの線の傾きは、ターゲットのそれらのインスタンスに関するオーバーレイの良好な尺度を提供するはずである。しかし、それでもやはり、いくつかの線が原点を通過せず、したがって、これらの1つ又は複数の線の傾きが、ターゲットのそれらのインスタンスに関するオーバーレイの良好な尺度を提供しない(それらがフィーチャ非対称性の影響によって影響を受けるように見えるため)可能性があることが一般に分かる。
[00151] 図21は、図20からのデータのサブセットの接続線が描かれる、A+対A−のデータのプロットを描いている。特に、線が示されるターゲットのインスタンスは、基板の中心にある又はその近くにあるものである。理解できるように、このデータのサブセットにおいて、ターゲットの同じインスタンス2つのメトロロジレシピに関する結果をつなぐ線の大部分は、原点又は原点の非常に近くを通過する。したがって、各メトロロジレシピは、ターゲットのそれらのインスタンスに関するオーバーレイの正確な測定を提供する(それらの結果が、原点又は原点の非常に近くを通過するA+対A−の線上を通過するため)。したがって、それらのインスタンスに対して、第1又は第2のメトロロジレシピの一方を使用することができるだけでなく、第1及び第2のメトロロジレシピの両方を使用して、オーバーレイの比較的正確な測定を取得することができる。
[00152] しかし、図22は、図21とは異なる図20からのデータのサブセットの接続線が描かれる、A+対A−のデータのプロットを描く。特に、線が示されるターゲットのインスタンスは、基板のエッジ又はその近くにあるものである。理解できるように、このデータのサブセットにおいて、ターゲットの同じインスタンスの2つのメトロロジレシピに関する結果をつなぐ線の多くは、原点又は原点の非常に近くを通過しない。したがって、各メトロロジレシピは、それ自体は、ターゲットのそれらのインスタンスに関するオーバーレイの正確な測定を提供しない場合がある(それらの結果が、必ずしも原点又は原点の非常に近くを通過するA+対A−の線上に位置しないため)。しかし、ターゲットのインスタンスを測定する2つ以上のメトロロジレシピの結果を有することは、フィーチャ非対称性の影響が存在する状況においてオーバーレイを識別する助けとなり得る。
[00153] しかし、理解されるように、通常、ターゲットのインスタンスがフィーチャ非対称性の影響を有するか否かは、事前に分かっていない。それに従って、それによってターゲットのインスタンスが測定され、及びそれの結果の組み合わせから、ターゲットのインスタンスに関する可能なフィーチャ非対称性影響に対してロバストなオーバーレイが決定される、2つ以上の異なるメトロロジレシピの組み合わせを決定する技術が提供される。
[00154] 一実施形態では、2つ以上のメトロロジレシピが、基準としての複数の異なるメトロロジレシピに関する集合A+対A−のデータを通るフィッティング曲線、フィッティング関数、又は統計値を決定し、次いで、特定の閾値(例えば、許容可能なばらつきレベル未満)を満たす又は超える基準からの集合A+対A−のデータのばらつきを有する少なくとも2つのメトロロジレシピを選択することによって決定される。一実施形態では、基準に関する複数の異なるメトロロジレシピは、考慮下の及びA+対A−のデータが利用可能な全ての異なるメトロロジレシピを含む。一実施形態では、基準に関する複数の異なるメトロロジレシピは、より大きな異なるメトロロジレシピのセットから選択された2つ以上の異なるメトロロジレシピのサブセットを含み、基準は、複数のこのようなサブセットの各サブセットに関して、選択された少なくとも2つのメトロロジレシピとしてサブセットの少なくとも1つを選択するように取得される。一実施形態では、選択されたサブセットは、別のサブセットのものよりも小さい基準からの集団A+対A−のデータのばらつきを有する。次いで、選択された少なくとも2つのメトロロジレシピを使用して、測定されたオーバーレイのより正確な値を取得するために、大量用途におけるターゲットのインスタンスを測定することができる。
[00155] 図23を参照すると、メトロロジレシピのサブセットを決定する例示的方法のフローチャートが提示されている。この例では、2つのメトロロジレシピが識別される。しかし、異なる複数のメトロロジレシピが識別されてもよい。さらに、以下の説明(及び本明細書において一般に)は、例示的実施形態としてA+対A−のデータに焦点を当てるが、より一般的に、例えばメトロロジターゲット(例えば、A+データ)の第1のバイアスターゲット構造に関する信号データ、及びメトロロジ(例えば、A−データ)の第2の異なるバイアスターゲット構造に関する信号データとして理解されるべきである。一実施形態では、この各信号データは、非対称性光学パラメータデータ(例えば、回折次数の強度における非対称性)である。
[00156] 2310では、複数の異なるメトロロジレシピの各メトロロジレシピに関する、メトロロジターゲット(例えば、A+データ)の第1のバイアスターゲット構造に関する信号データ、及びメトロロジ(例えば、A−データ)の第2の異なるバイアスターゲット構造に関する信号データが、特定のパターニングプロセスを用いて処理される特定のターゲットに関して取得される。一実施形態では、複数のメトロロジレシピは、3つ以上のメトロロジレシピを含む。一実施形態では、メトロロジレシピは、1つ複数の測定パラメータに関して異なる。一実施形態では、メトロロジレシピの2つ以上が、測定ビーム波長に関して異なる。一実施形態では、メトロロジレシピの2つ以上が、測定ビーム偏光のタイプに関して異なる。一実施形態では、メトロロジレシピの2つ以上が、ターゲットへの測定ビーム照明入射角に関して異なる。一実施形態では、それらに関してA+及びA−のデータが取得されるメトロロジレシピが、ユーザ指定される。一実施形態では、それらに関してA+及びA−のデータが取得されるメトロロジレシピが、検査装置で利用可能な1つ又は複数の特定の波長、検査装置で利用可能な1つ又は複数の特定の偏光、及び/又は検査装置で利用可能な1つ又は複数の特定の照明入射角から選択された2つ以上の組み合わせの全て又は特定のサブセットに対応する。
[00157] 一実施形態では、A+対A−のデータは、異なる様式で定義され得る。例えば、A+対A−は、1つの基板又は複数の基板に固有、1つ又は複数の基板上の特定の位置に固有、ターゲット(例えば、画素レベルで評価された)の特定のインスタンスに固有、取得された像(例えば、複数の基板又はターゲットのインスタンスからのデータを使用して)の特定の画素に固有などであってもよい。
[00158] 例えば、一実施形態では、A+対A−のデータは、図19にプロットされたような、1つ又は複数の基板にわたりターゲットの複数のインスタンスに関して取得され得る。例えば、基板にわたるターゲットの複数のインスタンスの異なるバイアス周期構造からの+1次回折の放射線及び−1次回折の放射線の平均強度値が、A+対A−のデータを作成するために取得され得る。
[00159] 一実施形態では、A+対A−のデータは、1つ又は複数の基板上の特定の場所に関して取得され得る。例えば、複数の基板上の同じ場所におけるターゲットの複数のインスタンスの異なるバイアス周期構造からの+1次回折の放射線及び−1次回折の放射線の平均強度値が、A+対A−のデータを作成するために取得され得る。例えば、データは、多くの基板から取得され得る。
[00160] 一実施形態では、ターゲットは、A+対A−のデータ又は周期構造に関する画素レベルのオーバーレイ値を取得するために、画素レベルで分析され得る。一実施形態では、画素は、A+及びA−若しくはオーバーレイデータを獲得するために使用される検査装置の検出器の画素、及び/又はA+及びA−若しくはオーバーレイデータを獲得するために使用される検査装置の検出器によって生成される像の画素に対応する。例えば、図11F及び図11GのX−像及びX+像が、画素に関するデータを取得するために、画素レベルで分析され得る。一実施形態では、データを生成するために使用されるX−像及びX+像の画素が、左から右、及び上から下へのラスタ走査様式で選択される。したがって、例えば、A+データとしてのX+像からの左上隅画素と組み合わせて、X−像からの左上隅画素に関する放射線データが、A−データとして使用され、次いで、A+及びA−のデータが、ラスタ走査様式で選択される後続の画素から取得される。理解されるように、X−像及びX+像からの画素間の関連性は、異なる様式で選択することができる。したがって、一実施形態では、画素レベルデータは、ターゲットの特定のインスタンスに固有となり得る。一実施形態では、画素レベルデータは、1つ又は複数の基板にわたるターゲットの複数のインスタンスに関して(したがって、X−像及びX+像からの平均強度とは区別される)取得され得る。A+対A−のデータとしてのこのような画素レベルデータの実施形態が、図24及び図25に示され、各円は、個々の画素からのデータに対応する。図24及び図25では、使用される測定ビーム波長に関して異なる2つのメトロロジレシピが存在する。図24では、データ2400は、500nmの測定ビーム波長を用いて取得されたデータに対応し、データ2410は、583nmの測定ビーム波長を用いて取得されたデータに対応する。図25では、データ2500は、517nmの測定ビーム波長を用いて取得されたデータに対応し、データ2410は、650nmの測定ビーム波長を用いて取得されたデータに対応する。
[00161] 一実施形態では、画素レベルデータは、特定の画素に固有となり得る。例えば、一実施形態では、特定の画素レベルデータは、1つ又は複数の基板にわたるターゲットの複数のインスタンスに関して(したがって、X−像及びX+像からの平均強度とは区別される)、及び/又は複数の基板にわたるターゲット1つのインスタンスから取得され得る。
[00162] 2320では、異なるメトロロジレシピの2つ以上に関する取得されたデータを通る曲線、関数、又は統計値は、基準として例えば回帰によって決定される。基準としてのA+対A−のデータに関するこのような曲線又は関数(直線又は一次関数の形式)の例は、図14〜16及び図18に示される線の1つ又は複数である。したがって、曲線又は関数は、データ(例えば、A+対A−のデータ)の基準フィッティングを効果的に形成する。一実施形態では、統計値は、2つのメトロロジレシピ(例えば、上記のようにA+対A−のデータの傾きから決定されたオーバーレイ)に関する対応するデータの傾きの分布の平均又は尺度である。上記のように、データ(例えば、A+対A−のデータ)は、異なって指定されてもよく、したがって、基準は、パターニングプロセスの特定の基板に固有、パターニングプロセスの基板上の特定の位置に固有、パターニングプロセスの基板上のターゲットの特定の画素に固有などとなり得る。
[00163] 一実施形態では、基準を決定するための異なるメトロロジレシピの組み合わせは、考慮下の及びデータが利用可能な全ての異なるメトロロジレシピを含む。一実施形態では、基準を決定するための複数の異なるメトロロジレシピは、より大きな異なるメトロロジレシピのセットから選択された2つ以上の異なるメトロロジレシピのサブセットを含み、基準は、複数のこのようなサブセットの各サブセットに関して、(サブセットの少なくとも1つを選択するように)取得される。
[00164] 2330では、望ましくは、評価された複数のメトロロジレシピの少なくとも1つのメトロロジレシピが除外されるように、特定の閾値(例えば、許容可能なばらつきレベル未満)を満たす又は超える基準のパラメータからの集合データ(例えば、集合A+対A−のデータ)のばらつきを有する少なくとも2つのメトロロジレシピが選択される。例えば、基準のパラメータからのばらつきが小さい少なくとも2つのメトロロジレシピを識別することは、フィーチャ非対称性影響に対して比較的ロバストであるとして、少なくとも2つのメトロロジレシピを識別する。したがって、例えば線が原点からオフセットされているとしても、例えば、比較的高度に平行な、対応するA+対A−のデータ点の全てではないにしろ多くを接続する線を有する少なくとも2つのメトロロジレシピが選択される。オフセットされていたとしても、これらの線の傾きは、オーバーレイを表す。例として、パラメータは、基準の統計値、基準フィッティング線の傾き、又は基準フィッティング関数の係数でもよい。
[00165] 例えば、一実施形態では、基準に関する異なるメトロロジレシピの組み合わせは、考慮下の及びデータ(例えば、A+対A−のデータ)が利用可能な全ての異なるメトロロジレシピを含む。したがって、選択された少なくとも2つのメトロロジレシピは、集団データ(例えば、集団A+対A−のデータ)が特定の閾値を満たす又は超える基準パラメータからのばらつきを有する、その組み合わせから選択された2つ以上の異なるメトロロジレシピのサブセットである。例えば、組み合わせから選択された様々なサブセット(サブセットの1つ又は複数は、同じメトロロジレシピを共有し得るが、各サブセットは、2つ以上の異なるメトロロジレシピを含む)は、どのサブセット(又はいくつかのサブセット)がそのデータ中で基準パラメータからの最小のばらつきを有するかを識別するために評価され得る。一実施形態では、これは、考慮下のサブセットの集団A+対A−のデータを通ってフィットする曲線又は関数を決定すること、及び選択された少なくとも2つのメトロロジレシピとしてサブセット(例えば、基準曲線若しくは関数からの最小のばらつきを有するサブセット、又は基準曲線若しくは関数からの最小のばらつきを有する、10個以下のサブセット、5個以下のサブセット、若しくは2個のサブセット)を識別するために、各サブセットに関して基準パラメータに対する、そのサブセットの固有の曲線又は関数のパラメータのばらつきを評価することを伴い得る。具体例として、図19及び図20を参照して、サブセットのA+対A−のデータを通る線の傾き(例えば、2つの異なるメトロロジレシピの1つのサブセットの例示的傾きとしての線1930の傾き)が、選択された少なくとも2つのメトロロジレシピとして基準の傾きに最も近い傾きを有する1つ又は複数のサブセットを識別するために、基準フィッティング線の傾き(例えば、考慮下の及びA+対A−のデータが利用可能な全ての異なるメトロロジレシピを通る基準フィッティング線の傾きの一例としての線1920の傾き)に対して評価され得る。別の例として、基準は、A+対A−のデータ内の関連するデータ点間の傾きの分布(例えば、分散又は標準偏差)の尺度でもよく、考慮下のサブセットに関するA+対A−のデータ内の関連するデータ点間の傾きの分布の尺度が、最も近い合致を識別するために、分布の基準尺度と比較され得る。したがって、本実施形態において効果的に、複数の異なるメトロロジレシピに関するA+対A−のデータを通ってフィットする曲線(例えば、線)に関して、少なくとも2つの選択されたメトロロジレシピは、複数のメトロロジレシピのデータを通る基準フィッティング曲線に対して平行な、又は特定の閾値(例えば、特定の閾値未満)を満たす又は超える平行度を有する、それぞれのデータを通ってフィットする曲線(例えば、線)を有するものである。
[00166] 別の例として、一実施形態では、基準に関する複数の異なるメトロロジレシピは、より大きな異なるメトロロジレシピのセットから選択された2つ以上の異なるメトロロジレシピのサブセットを含み、基準は、複数のこのようなサブセットの各サブセット(サブセットの1つ又は複数は、同じメトロロジレシピを共有し得るが、各サブセットは、別のサブセットとは異なるメトロロジレシピを有する)に関して、選択された少なくとも2つのメトロロジレシピとしてサブセットの少なくとも1つを選択するように取得される。一実施形態では、選択されたサブセットは、別のサブセットのものよりも小さい、基準のパラメータからの集団データのばらつきを有する。したがって、実際には、複数のサブセット(各サブセットは、他のサブセットとは異なる2つ以上のメトロロジレシピの組み合わせを有する)が、それぞれ個々の基準のパラメータからの最小のばらつきを有するサブセット、又はそれぞれ個々の基準からの最小のばらつきを有する、10個以下のサブセット、5個以下のサブセット、若しくは2個のサブセットを識別するために、集合データに関する基準のパラメータからの集合データのばらつきを決定するために、それぞれ個々に評価される。一例として、図24及び図25を参照して、描かれた線(各線は、画素に対応する)の傾きの分布の尺度が、そこに提示されるメトロロジレシピの各組み合わせに対して決定され得る。次いで、小さい又は最小の分布を有するメトロロジレシピの組み合わせが、選択され得る。例えば、例えば関連するA+対A−のデータから画素に関して決定されたオーバーレイ(例えば、線の傾きを計算することによって)の標準偏差又は分散(例えば、3標準偏差)は、図24及び図25のそれぞれに関して計算することができ、次いで、それらの標準偏差又は分散を比較して、少なくとも2つの選択されたメトロロジレシピとして選択するための最小の偏差又は分散を識別することができる。したがって、この具体的なケースでは、図24に関連するメトロロジレシピが、図25よりも小さい分布を視覚的に(及び数値的に)提示するので、それらが選択される。
[00167] さらに、一実施形態では、A+対A−のデータに基づいた少なくとも2つのメトロロジレシピの選択は、A+対A−のデータの原点からの各メトロロジレシピに関するデータの距離を考慮し得る。例えば、メトロロジレシピに関するA+対A−のデータの質量中心が決定され、原点からのそれの距離が計算され得る。考慮下のメトロロジレシピの組み合わせの各レシピに関する上記の距離を用いて、これらの距離の組み合わせ(例えば、これらの距離の平均)を閾値に対して評価することによって、距離の組み合わせが閾値を満たすか、それとも上回るかを決定することができる。一実施形態では、閾値は、考慮下の別のメトロロジレシピの組み合わせの距離の組み合わせでもよい。このような選択により、一般に原点から最も遠いメトロロジレシピの組み合わせが好まれ得る(原点から最も遠いデータを有するメトロロジレシピが、オーバーレイに対して良好な感度を有する傾向があるため)。
[00168] したがって、要約として、A+対A−のデータの文脈では、原点を通るフィッティング線を生成するデータ(図16に描かれるような)は、パターニングプロセスで測定されたメトロロジターゲットが、フィーチャ非対称性影響に対して比較的ロバストなオーバーレイ結果を生成することを意味する。しかし、単に原点からオフセットされたA+対A−のデータの線(図17に描かれるような)は、フィーチャ非対称性の影響があることを意味するが、この線の傾きを使用して、オーバーレイの決定又は補正を行うことができる。しかし、単一のメトロロジレシピからのデータにとって、そのA+対A−のデータに関する線が原点を通過するか(又は単に原点からオフセットされるか)(この場合、それは、その傾きから良好なオーバーレイ結果を与え得る)、それともA+対A−のデータが、そのデータから良好なオーバーレイ結果が存在しないような、オーバーレイによる以外の傾斜を有するかは、不確かである。したがって、フィーチャ非対称性の影響を持たない、又は単にフィーチャ非対称性の影響によるオフセットを有するメトロロジターゲットを表すA+対A−のデータの線と本質的に平行なA+対A−のデータの線を生成するメトロロジレシピの組み合わせは、その線の傾きから導出されたオーバーレイがフィーチャ非対称性影響に対して比較的ロバストであることを意味する一方で、フィーチャ非対称性の影響を持たない、又は単にフィーチャ非対称性の影響によるオフセットを有するメトロロジターゲットを表すA+対A−のデータの線と交差するA+対A−のデータの線を生成するメトロロジレシピの組み合わせは、この組み合わせがフィーチャ非対称性影響に対してあまりロバストではない(このような交差する線に関するメトロロジレシピが、そうでなければ、例えば以下に記載するようなスイング曲線から選ばれた良好なメトロロジレシピとなり得るという事実にもかかわらず)ことを意味する。それに従って、データのA+対A−の線間の高度な平行度を効果的に有するメトロロジレシピの組み合わせを識別することによって、識別されたメトロロジレシピの組み合わせは、これらのメトロロジレシピを使用した測定が、全てではないにしろ、ほとんどのフィーチャ非対称性の影響に対してロバストなオーバーレイ値を生成する(例えば、それ自体はフィーチャ非対称性を決定する必要なく)ことを保証する助けとなり得る。したがって、一実施形態では、メトロロジレシピ選択(及びオーバーレイ分析方法)は、スタック情報を行うことを必要としない。
[00169] ステップ2330の結果として、前述の評価の後には、複数のメトロロジレシピ(例えば、測定波長)が残るはずである(当然、満足のいくメトロロジレシピが残らない場合には、1つ又は複数の他のメトロロジレシピパラメータ(例えば、ターゲット自体の1つ又は複数のパラメータ)を修正する必要があり得る)。この時点で、選択されたメトロロジレシピを出力し、ステップ2340において使用することができる。
[00170] 次いで、2340において、ターゲットからオーバーレイのより正確な結果を得るために、少なくとも2つの選択されたメトロロジレシピを使用して、ターゲットを測定することができる。すなわち、一実施形態では、少なくとも2つの選択されたメトロロジレシピを用いたターゲットの測定の結果は、オーバーレイのより正確な値を生成するために組み合わせられ得る。例えば、A+対A−のデータは、少なくとも2つの選択されたメトロロジレシピを用いて取得することができ、そのデータからオーバーレイを決定することができる(例えば、データを通ってフィッティングされる線の傾きを決定すること)。別の例として、2つ以上のオーバーレイ値を、選択された少なくとも2つのメトロロジレシピを用いて測定から決定することができ、次いで、統計的に組み合わせる(例えば、平均する)ことによって、より正確なオーバーレイ値を生成することができる。一実施形態では、選択された少なくとも2つのメトロロジレシピを使用して、測定されたオーバーレイのより正確な値を取得するために、大量用途におけるターゲットのインスタンスを測定する。
[00171] したがって、事実上、例えば、フィーチャ非対称性の影響に対して最も感度が低いメトロロジレシピの組み合わせの選択によってオーバーレイ値を決定するために、メトロロジターゲットを測定するための少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを選択する最適化プロセスが提供される。
[00172] 任意選択で、2300において、A+及びA−のデータを取得するために、複数の異なるメトロロジレシピが選ばれ得る。検査装置は、例えば、多数の測定放射線波長、多数の偏光、多数の測定放射線照明角などを提供することができるので、例えば、少なくとも2つのメトロロジレシピの選択のためのデータを取得するためにかなりの量の測定を必要とする多くの異なる組み合わせが存在し得る。したがって、一実施形態では、それらに関してA+及びA−のデータが取得される複数の異なるメトロロジレシピが、1つ又は複数の特定のパラメータ又は指標に対して異なるメトロロジレシピを評価することによって、より大きなメトロロジレシピのセットから事前選択され得る。一実施形態では、これは、以下により詳細に記載するようなスイング曲線データを使用することを伴い得る。
[00173] 以下では、そのような事前選択に対して様々なステップが順に示されているが、必ずしもその順序で実施される必要はない。さらに、すべてのステップが実施される必要はない。例えば、ステップの1つ又は複数が実施されてもよい。したがって、ステップから選択される任意の組合せを実施することができる。
[00174] 事前選択は、複数の異なる波長に対して、メトロロジターゲットのオーバーレイデータの分析をすることができる。データは実験から得ることができ、又はターゲットを使用する製品測定から得ることができる。例えば、考慮下のターゲットの複数のインスタンスを、そのターゲットが使用されるパターニングプロセスを使用して基板にわたって印刷することができ、次いで、各インスタンスを、適用可能なメトロロジ装置を用いて複数の異なる設定(例えば異なる波長)で測定することができる。さらに又は代替的に、ターゲットを測定するためにメトロロジレシピを使用することにより得られるオーバーレイ測定をシミュレートすることができる。シミュレーションでは、測定の1つ又は複数のパラメータは、メトロロジレシピのパラメータri及び/又はtjを使用して決定される(例えば、それらによって提供される、又はそれらから決定される)。例えば、メトロロジレシピに対応する放射線とターゲットとの相互作用は、例えばマクスウェルソルバ及び厳密結合波解析(RCWA)を使用することによって、又は他の数学的モデリングによって、メトロロジレシピのそれらのパラメータから決定することができる。したがって、ターゲット及び関連のメトロロジレシピを使用して予想される測定を、上記の相互作用から決定することができる。したがって、特定の状況では、例えば強い信号を生成するターゲット及び/又はメトロロジレシピを決定するために、測定プロセスのシミュレータを使用してデータを得ることができる。シミュレータは、メトロロジ装置を使用して、検査装置の測定技法(例えば回折ベースのオーバーレイ測定)に従って、特定のメトロロジレシピを使用して、例えば図7の装置などの検出器で測定される強度を算出することによって、特定の特徴の特定のターゲット(例えば、ピッチ、フィーチャ幅、材料の種類などに関して指定されたターゲット)がどのように測定されるかを数学的に導き出すことができる。ロバスト性データを得るために、シミュレータは、ある範囲(例えば、最大10%の変化、最大5%の変化、最大2%の変化、最大1%の変化、又は最大0.5%の変化)内で摂動を導入して、プロセス変動を模倣することができる(これは、基板にわたって拡張することができる)。
[00175] したがって、実験法又はシミュレーションは、例えば上述した式を使用して、OVやKなどの特定のパラメータ又は指標に関して値を生成することができる。
[00176] 1つのそのような指標は、スタック感度(SS)である(信号コントラストとも考えられる)。スタック感度は、ターゲット(例えば格子)層間の回折により、オーバーレイが変化するにつれて信号の強度がどれだけ変化するかの尺度として理解することができる。すなわち、オーバーレイの文脈では、スタック感度は、オーバーレイターゲットの上下の周期構造間のコントラストを検出し、したがって上下の周期構造間の回折効率のバランスを表す。したがって、スタック感度は、測定量の感度の例示的な尺度である。一実施形態では、スタック感度は、強度非対称性と相加平均強度との比である。一実施形態では、スタック感度は、SS=KL/IMとして定式化することができ、ここで、Lはユーザ定義定数(例えば、一実施形態では、値Lは20nm及び/又はバイアスdの値)であり、IMは、ターゲットによって回折された測定ビームの平均強度である。一実施形態では、メトロロジレシピに関するスタック感度を最大にすべきである。しかし、最大スタック感度でのメトロロジレシピの使用は最良でないことがある。例えば、スタック感度が最大である測定ビーム波長は、低いオーバーレイ感度及び低いプロセスロバスト性に対応することがある。
[00177] メトロロジレシピデータの例を図26及び図27に示す。データは、1つ又は複数のメトロロジレシピパラメータ、特に測定ビームの波長など測定自体の1つ又は複数のパラメータの関数として測定データの依存性を表すことができる。一実施形態では、データは、測定放射線波長の関数として測定データの振動依存性(例えば(像面での)フィールドデータとして又は(瞳面での)瞳孔データとして得られる強度)を表すことができる。図26は、単一の偏光(この場合は直線X偏光)に関する様々な波長での測定におけるターゲットに関するデータの例示的なグラフである。データに曲線が当てはめられており、したがって、この表現はスイング曲線と呼ぶことができる。理解されるように、データのみを処理することができるので、グラフを生成する必要はない。図27は、別の単一の偏光(この場合は直線Y偏光)に関する様々な波長での測定におけるターゲットに関するデータのグラフである。図26と図27どちらにおいても、スタック感度及びオーバーレイ感度が、様々な測定ビーム波長についてグラフ化されている。さらに、ここでの偏光は直線X及びY偏光であるが、異なる偏光又は追加の偏光(左楕円偏光放射線や右楕円偏光放射線など)でもよい。
[00178] このデータを使用して、1つ又は複数の特定のメトロロジレシピ(例えば波長)が検討から除外されて、さらなる可能な検討のための1セットのメトロロジレシピが選択される。この場合、メトロロジレシピは、同じターゲットを共有するが、測定放射線波長に関しては異なる。
[00179] ここで、その特定のターゲットに関するピッチ/波長限度を超えているという理由で、特定の波長を除去することができる。すなわち、ターゲットフィーチャのピッチ及び測定放射線波長は、この組合せでの測定が有効でなくなるようなものである。これら1つ又は複数のメトロロジレシピは、領域1500において除外される。
[00180] この選択の可能な態様は、閾値を満たす又は超える(すなわち、スタック感度値の特定の範囲内にある)スタック感度(例えば、基板にわたるターゲットの複数のインスタンスから得られる平均スタック感度(次いでこれを複数の基板に関して決定することができる))を有する1つ又は複数のメトロロジレシピを選択することである。一実施形態では、スタック感度を最大にすべきである(しかし、上で論じたように、他の指標又はパラメータを犠牲にせずに行う。プロセス変動に対するロバスト性に影響を及ぼし得るスタック感度に対する上限があり得る)。例えば、さらなる検討のために、0.05以上のスタック感度の絶対値を有する1つ又は複数のメトロロジレシピを選択することができる。当然、0.05を用いる必要はない。この場合、数がより大きい場合に、より多くのメトロロジレシピが除外される。したがって、この場合のスタック感度の数は比較的低い。したがって、選択のこの態様によって除外された1つ又は複数のメトロロジレシピは、領域1510として記されている(この領域は、この状況での検査装置によって利用可能な波長にほぼ対応する。連続波長範囲が利用可能であり、検査装置がその範囲内の任意の波長に正確に且つ安定して同調することができる場合、図26及び図27での曲線に適用される分析はより正確である)。
[00181] この選択の可能な態様は、ターゲットシグマの考慮である。ターゲットシグマ(TS)は、ターゲットにわたる複数の測定された画素に関する測定されたパラメータ(例えばオーバーレイ)の統計的ばらつきとして理解することができる。理論上は、検出器によって、特定のターゲットに関して同じパラメータ値を読み取るように各画素が測定されるはずである。しかし、実際には、画素間にばらつきがあり得る。一実施形態では、ターゲットシグマは、標準偏差の形態又は分散の形態である。したがって、ターゲットシグマの低い値は、ターゲットにわたる測定されるパラメータの望ましい小さいばらつきを意味する。ターゲットシグマ(TS)の高い値は、ターゲットの印刷の問題(例えば、歪んだ格子線)、汚染の問題(例えば、ターゲット上の著しい粒子)、測定ビームスポットの位置決めの問題、及び/又はターゲットにわたる測定ビーム強度ばらつきの問題を通知することができる。
[00182] したがって、この選択のさらなる態様は、閾値を満たす又は超える(すなわち、ターゲットシグマ値の特定の範囲内にある)ターゲットシグマ(例えば、基板にわたるターゲットの複数のインスタンスから得られる平均ターゲットシグマ(次いでこれを複数の基板に関して決定することができる))を有する1つ又は複数のメトロロジレシピを選択することでよい。一実施形態では、ターゲットシグマを最小にすべきである。例えば、さらなる検討のために、10nm以下のターゲットシグマを有する1つ又は複数のメトロロジレシピを選択することができる。当然、10nmを用いる必要はない。この場合、数がより小さい場合に、より多くのメトロロジレシピが除外される。したがって、この場合のターゲットシグマの数は比較的高い。したがって、選択のこの態様によって除外される1つ又は複数のメトロロジレシピは、領域1515として記されている(この領域は、この状況において検査装置によって利用可能な波長にほぼ対応する)。
[00183] 例えば、オーバーレイの測定誤差を低減するために、1セットの測定条件(例えば、ターゲット選択、測定ビーム波長、測定ビーム偏光など)を大きなオーバーレイ感度Kで選択すべきである。この選択の可能な態様は、閾値を満たす又は超える(すなわち、オーバーレイ感度値の特定の範囲内にある)オーバーレイ感度(例えば、基板にわたるターゲットの複数のインスタンスから得られる平均オーバーレイ感度(次いでこれを複数の基板に関して決定することができる))を有する1つ又は複数のメトロロジレシピを選択することである。一実施形態では、メトロロジレシピに関して、オーバーレイ感度を最大にすべきである。例えば、さらなる検討のために、最高オーバーレイ感度の絶対値の範囲にあるオーバーレイ感度の絶対値を有する1つ又は複数のメトロロジレシピを選択することができる。例えば、この範囲は、最高オーバーレイ感度値の35%以内、30%以内、25%以内、20%以内、15%以内、又は10%以内でよい。例えば、オーバーレイ感度値の極小値又は極大値からある範囲内の1つ又は複数のメトロロジレシピを選択することができる。例えば、この範囲は、極小値又は極大値の35%以内、30%以内、25%以内、20%以内、15%以内、又は10%以内でよい。当然、異なる範囲を使用することもできる。範囲が広いほど、より多くのメトロロジレシピが保持される。したがって、選択のこの態様によって除外される1つ又は複数のメトロロジレシピは、領域1520として記されている(この領域は、この状況において検査装置によって利用可能な波長にほぼ対応する)。
[00184] この選択の可能な側面は、閾値に対してスタック差パラメータを考慮することである。一実施形態では、スタック差パラメータは、格子不均衡(GI)を含む。したがって、例えば、周期構造不均衡(GI)(例えば、基板にわたるターゲットの複数のインスタンスから得られる(次いでこれを複数の基板に関して決定することができる)、平均格子不均衡又は格子不均衡のばらつき(例えば、分散、標準偏差など))を閾値に対して評価することによって、1つ又は複数のメトロロジレシピのサブセットを選択することができる。例えば、さらなる検討のために、0.05又は5%以下の格子不均衡を有する1つ又は複数のメトロロジレシピを選択することができる。当然、0.05又は5%を用いる必要はない。一実施形態では、スタック差パラメータが最小にされる。
[00185] これらのパラメータ又は指標の1つ又は複数の考慮の結果は、A+及びA−のデータを取得するためのメトロロジレシピの事前選択を生成し得る。さらに、波長に焦点を当てたが、偏光、測定ビーム照明入射角などの他の測定パラメータが考慮されてもよい。
[00186] 図28を参照すると、オーバーレイ感度及びスタック感度が、スイング曲線の形式で複数の波長に関してプロットされている。対象の例示的波長は、500nm、517nm、583nm、及び650nmと表示されている。これらの強調表示された波長は、スタック感度の比較的高い絶対値、及びオーバーレイ感度の比較的高い絶対値も有する。それに従って、これらの波長は、オーバーレイ測定において使用するのに相応しい候補となり、少なくとも、図23のプロセスにおいて使用するのに相応しい候補となる。例えば、これらの波長は、図23のプロセスに関して事前選択され得る。ここでは、これらの波長を使用することによって取得された例示的データが、図24及び図25に示されている。具体的には、500nm及び583nmを用いた測定に関するデータを図24に示し、517nm及び650nmを用いた測定に関するデータを図25に示す。しかし、これらの個々の波長は、上記のような例示的スイング曲線分析によって決定されるオーバーレイの測定に相応しい候補となるけれども、上記の図23の技術は、図24及び図25のデータに関するメトロロジターゲット及びパターニングプロセスに関して、メトロロジターゲットの測定を行うために、500nm及び583nmの測定放射線が、517nm及び650nmの測定放射線よりも優れていることを示す。
[00187] 図29は、性能を監視するために、並びにメトロロジ、設計及び/又は製造プロセスの制御の基礎として、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピが使用されるプロセスを示すフローチャートを示す。ステップD1では、適用可能なメトロロジレシピに従って本明細書で述べるような製品フィーチャ及び1つ又は複数のメトロロジターゲットを生成するために、基板が処理される。ステップD2では、パターニングプロセスパラメータ(例えば、オーバーレイ)値が、少なくとも2つの選択された異なるメトロロジレシピを使用して測定され、及び算出される。任意選択のステップD3では、測定されたパターニングプロセスパラメータ(例えば、オーバーレイ)値を使用して(利用可能であり得る他の情報と共に)、メトロロジレシピを更新する(例えば、波長を変更する)ことができる。更新されたメトロロジレシピは、パターニングプロセスパラメータの再測定のため及び/又は後続の処理基板に対するパターニングプロセスパラメータの測定のために使用される。このようにして、算出されたパターニングプロセスパラメータの精度が向上する。更新プロセスは、必要に応じて自動化することができる。ステップD4では、パターニングプロセスパラメータ値を使用して、リワークのため及び/又はさらなる基板の処理のためのデバイス製造プロセスにおけるリソグラフィパターニングステップ及び/又は他のプロセスステップを制御するレシピを更新する。この場合もやはり、必要に応じて、この更新を自動化することができる。
[00188] 一実施形態では、パターニングプロセスを用いて作成された、第1のバイアスターゲット構造及び第2の異なるバイアスターゲット構造を有するメトロロジターゲットに関して、第1のターゲット構造に関する信号データ対第2のターゲット構造に関する信号データを含むメトロロジデータを取得することであって、メトロロジデータが、複数の異なるメトロロジレシピに関して取得され、各メトロロジレシピが、測定の異なるパラメータを指定する、取得することと、基準としての複数の異なるメトロロジレシピに関するメトロロジデータを通る統計値、フィッティング曲線、又はフィッティング関数を決定することと、特定の閾値を超える又は満たす基準のパラメータからの少なくとも2つの異なるメトロロジレシピの集合メトロロジデータのばらつきを有する少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを識別することとを含む、方法が提供される。
[00189] 一実施形態では、この方法は、フィッティング曲線又は関数を決定することを含み、曲線又は関数は、直線である。一実施形態では、パラメータは、分布の統計的尺度である。一実施形態では、識別することは、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピのメトロロジデータを通る統計値、フィッティング曲線、又はフィッティング関数を決定することを含み、ばらつきは、複数の異なるメトロロジレシピに関する基準のパラメータと、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピのメトロロジデータを通る統計値、フィッティング曲線、又はフィッティング関数のパラメータとの間のものである。一実施形態では、基準に関する複数の異なるメトロロジレシピは、考慮下の及びメトロロジデータが利用可能な全ての異なるメトロロジレシピを含む。一実施形態では、基準は、メトロロジデータを通る曲線の傾きを含み、識別することは、基準の傾きにおける、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピの集合メトロロジデータを通る曲線の傾きとの差を決定することと、差が特定の閾値を満たす又は下回ることに応答して、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを識別することとを含む。一実施形態では、基準を決定することは、複数のサブセットの各サブセットに関して基準を決定することを含み、各サブセットは、より大きな異なるメトロロジレシピのセットから選択された2つ以上の異なるメトロロジレシピの異なる組み合わせを含み、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを識別することは、選択された少なくとも2つの異なるメトロロジレシピとして、別のサブセットのばらつきよりも小さい基準からの集団メトロロジデータのばらつきを有する、サブセットの少なくとも1つを選択することを含む。一実施形態では、ばらつきは、分布の尺度である。一実施形態では、メトロロジデータは、メトロロジデータを獲得するために使用される検査装置の検出器及び/又はメトロロジデータを獲得するために使用される検査装置の検出器によって生成される像の画素レベルで指定される。一実施形態では、この方法は、性能パラメータ又は指標に基づいて、より大きな異なるメトロロジレシピのセットから複数の異なるメトロロジレシピの選択を行うことをさらに含む。一実施形態では、メトロロジレシピは、メトロロジターゲットに関する測定放射線の波長に関して異なる。一実施形態では、この方法は、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを使用してメトロロジターゲットのインスタンスを測定することと、測定の結果からオーバーレイ値を決定することとをさらに含む。一実施形態では、オーバーレイ値を決定することは、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを用いて取得された、第1のターゲット構造に関する信号データ対第2のターゲット構造データに関する信号データを用いて、オーバーレイの決定又は補正を行うことを含む。一実施形態では、第1のターゲット構造に関する信号データは、第1のターゲット構造に関する非対称性データであり、第2のターゲット構造に関する信号データは、第2のターゲット構造に関する非対称性データである。一実施形態では、第1のターゲット構造に関する非対称性データは、A+データであり、第2のターゲット構造に関する非対称性データは、A−データである。
[00190] 一実施形態では、メトロロジターゲットに関して、複数の異なるメトロロジレシピを使用して、メトロロジターゲットを測定するために使用される検査装置の検出器及び/又はメトロロジターゲットを測定するために使用される検査装置の検出器によって生成される像の画素ごとのオーバーレイ値を取得することであって、メトロロジターゲットが、パターニングプロセスを用いて作成され、各メトロロジレシピが、測定の異なるパラメータを指定する、取得することと、複数の異なるメトロロジレシピのそれぞれに関してオーバーレイ値の統計値を決定することと、特定の閾値を超える又は満たす統計値の値を有する少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを識別することとを含む方法が提供される。
[00191] 一実施形態では、識別することは、2つの異なるメトロロジレシピの複数の他の組み合わせの値よりも小さい統計値の値少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを選択することを含む。一実施形態では、統計値は、分布の尺度を含む。一実施形態では、オーバーレイ値は、A+対A−のデータから決定される。一実施形態では、この方法は、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを使用してメトロロジターゲットのインスタンスを測定することと、測定の結果からオーバーレイ値を決定することとをさらに含む。一実施形態では、メトロロジレシピは、メトロロジターゲットに関する測定放射線の波長に関して異なる。
[00192] 上述した実施形態は、フィールド面における回折ベースのオーバーレイ測定(例えば、図7Aに示される装置の第2の測定ブランチを使用して行われる測定)に関して述べたが、原理的には、同じ方法を瞳孔に基づくオーバーレイ測定(例えば、図7Aに示される装置の第1の測定ブランチを使用して行われる測定)に使用することができる。したがって、本明細書で述べる概念は、フィールド面及び瞳孔面における回折ベースのオーバーレイ測定にも同様に適用可能であることを理解されたい。
[00193] 本明細書で述べるメトロロジターゲット及びプロセスパラメータの実施形態は、大抵は、オーバーレイを測定するために使用されるオーバーレイターゲットに関して述べたが、本明細書で述べるメトロロジターゲットの実施形態を使用して、1つ又は複数の追加又は代替のパターニングプロセスパラメータを測定することもできる。例えば、メトロロジターゲットを使用して、露光量変動の測定、露光焦点/焦点ずれの測定、端設置測定エラー、CDの測定などを行うことができる。さらに、本明細書における記載は、適宜修正を伴って、アライメントマークを使用するリソグラフィ装置での基板及び/又はパターニングデバイスなどのアライメントに適用することもできる。同様に、アライメント測定のための適切なレシピを決定することができる。
[00194] したがって、対象の性能パラメータはオーバーレイであるが、パターニングプロセスの性能の他のパラメータ(例えば、ドーズ量、焦点、CDなど)を、例えば、多波長方程式に適切な修正を加えて、本明細書で述べる方法を使用して決定することもできる。性能パラメータ(例えば、オーバーレイ、CD、焦点、ドーズ量など)は、パターニングプロセスの改良、ターゲットの改良のためにフィードバック(又はフィードフォワード)することができ、及び/又は本明細書で述べるモデリング、測定及び算出プロセスを改良するために使用することができる。
[00195] 上述したターゲット構造は、測定目的のために特別に設計されて形成されたメトロロジターゲットであるが、他の実施形態では、基板に形成されたデバイスの機能部分であるターゲットに関して特性を測定することができる。多くのデバイスは、格子に似た規則的な周期構造を有する。本明細書で使用される「ターゲット」、「格子」、又はターゲットの「周期構造」という用語は、適用可能な構造が、実施される測定のために特別に提供されていることを必要としない。さらに、メトロロジターゲットのピッチPは、測定ツールの光学系の解像限界に近いが、ターゲット部分Cにパターニングプロセスによって形成される典型的な製品フィーチャの寸法よりもはるかに大きくてよい。実際には、周期構造のフィーチャ及び/又は空間は、製品フィーチャと寸法が同様のより小さい構造を含むように形成されてもよい。
[00196] 基板及びパターニングデバイスで実現されるようなターゲットの物理的構造に関連して、一実施形態は、機械可読命令及び/又は機能データの1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラムを含むことがあり、これらの機械可読命令及び/又は機能データは、ターゲット設計を記述し、基板及び/又はメトロロジレシピに関するターゲットを設計する方法を記述し、基板にターゲットを生成する方法を記述し、基板上のターゲットを測定する方法を記述し、及び/又はパターニングプロセスに関する情報を得るために測定量を分析する方法を記述する。このコンピュータプログラムは、例えば図7の装置におけるユニットPU及び/又は図2の制御ユニットLACU内で実行することができる。そのようなコンピュータプログラムを記憶したデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリや、磁気又は光ディスク)も提供することができる。例えば図7に示されるタイプの既存の検査装置が既に製造中及び/又は使用中である場合、実施形態は、本明細書で述べる方法の1つ又は複数をプロセッサに実施させるための更新されたコンピュータプログラム製品の提供によって実施することができる。プログラムは、光学系や基板支持体などを制御して、適切な複数のターゲットに対してパターニングプロセスのパラメータを測定する方法を実施するように任意選択で構成することができる。プログラムは、さらなる基板の測定のためにリソグラフィ及び/又はメトロロジレシピを更新することができる。プログラムは、さらなる基板のパターン形成及び処理のためにリソグラフィ装置を(直接的又は間接的に)制御するように構成することができる。
[00197] さらに、本明細書では、例えば回折次数からの強度から重なり合う周期構造の相対位置を測定する回折ベースのメトロロジ法に関して実施形態を述べてきた。しかし、本明細書における実施形態は、必要であれば適宜修正を伴って、像ベースのメトロロジにも適用することができ、これは、例えば、ターゲットの高品質像を使用して層1のターゲット1から層2のターゲット2までの相対位置を測定する。通常、これらのターゲットは、周期構造又は「ボックス」(Box−in−Box(BiB))である。
[00198] 本明細書で使用される「最適化する」及び「最適化」という用語は、パターニングプロセスの装置及び/又はプロセスを調節することを表し又は意味し、これは、リソグラフィプロセス若しくは装置を調節すること、又はメトロロジプロセス若しくは装置(例えばターゲットや測定ツールなど)を調節することを含むことがあり、それにより、性能指数が、より望ましい値、例えば測定量を有し、パターン形成及び/又はデバイス製造結果及び/又はプロセスが、1つ又は複数の望ましい特徴を有し、例えば、基板上への設計レイアウトの投影がより正確になり、プロセス窓がより広くなる。したがって、「最適化する」及び「最適化」は、設計変数の値の初期セットと比較した、性能指数の改良、例えば局所最適をもたらす1つ又は複数の設計変数に関する1つ又は複数の値を識別するプロセスを表す又は意味する。「最適な」及び他の関連の用語は、それに従って解釈すべきである。一実施形態では、最適化ステップを反復して適用して、1つ又は複数の性能指数をさらに改良することができる。
[00199] 本発明の一実施形態は、本明細書に開示されている方法を記述する機械可読命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はそのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態を取ることができる。さらに、機械可読命令は、2つ以上のコンピュータプログラムで具現化することができる。2つ以上のコンピュータプログラムは、1つ又は複数の異なるメモリ及び/又はデータ記憶媒体に記憶されてもよい。
[00200] 本明細書に開示されている1つ又は複数の態様は、制御システム内に実装することができる。本明細書で述べる任意の制御システムは、それぞれ又は組み合わせて、装置の少なくとも1つの構成要素内に位置された1つ又は複数のコンピュータプロセッサによって1つ又は複数のコンピュータプログラムが読み取られるときに動作可能であり得る。制御システムは、それぞれ又は組み合わせて、信号を受信、処理、及び送信するための任意の適切な構成を有することができる。1つ又は複数のプロセッサは、制御システムの少なくとも1つと通信するように構成される。例えば、各制御システムは、上述した方法のための機械可読命令を含むコンピュータプログラムを実行するための1つ又は複数のプロセッサを含むことができる。制御システムは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するためのデータ記憶媒体、及び/又はそのような媒体を受け取るためのハードウェアを含むことができる。したがって、制御システムは、1つ又は複数のコンピュータプログラムの機械可読命令に従って動作することができる。
[00201] 本発明によるさらなる実施形態は、以下の番号付き条項でさらに説明される。
1. パターニングプロセスを用いて作成された、第1のバイアスターゲット構造及び第2の異なるバイアスターゲット構造を有するメトロロジターゲットに関して、第1のターゲット構造に関する信号データ対第2のターゲット構造に関する信号データを含むメトロロジデータを取得することであって、メトロロジデータが、複数の異なるメトロロジレシピに関して取得され、各メトロロジレシピが、測定の異なるパラメータを指定する、取得することと、
基準としての複数の異なるメトロロジレシピに関するメトロロジデータを通る統計値、フィッティング曲線、又はフィッティング関数を決定することと、
特定の閾値を超える又は満たす基準のパラメータからの少なくとも2つの異なるメトロロジレシピの集合メトロロジデータのばらつきを有する少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを識別することと
を含む、方法。
2. フィッティング曲線又は関数を決定することを含み、曲線又は関数が、直線である、条項1に記載の方法。
3. パラメータが、分布の統計的尺度である、条項1又は2に記載の方法。
4. 識別することが、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピのメトロロジデータを通る統計値、フィッティング曲線、又はフィッティング関数を決定することを含み、ばらつきが、複数の異なるメトロロジレシピに関する基準のパラメータと、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピのメトロロジデータを通る統計値、フィッティング曲線、又はフィッティング関数のパラメータとの間のものである、条項1〜3の何れか一項に記載の方法。
5. 基準に関する複数の異なるメトロロジレシピが、考慮下の及びメトロロジデータが利用可能な全ての異なるメトロロジレシピを含む、条項1〜4の何れか一項に記載の方法。
6. 基準が、メトロロジデータを通る曲線の傾きを含み、識別することが、基準の傾きにおける、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピの集合メトロロジデータを通る曲線の傾きとの差を決定することと、差が、特定の閾値を満たす又は下回ることに応答して、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを識別することとを含む、条項5に記載の方法。
7. 基準を決定することが、複数のサブセットの各サブセットに関して基準を決定することを含み、各サブセットが、より大きな異なるメトロロジレシピのセットから選択された2つ以上の異なるメトロロジレシピの異なる組み合わせを含み、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを識別することが、選択された少なくとも2つの異なるメトロロジレシピとして、別のサブセットのばらつきよりも小さい基準からの集団メトロロジデータのばらつきを有する、サブセットの少なくとも1つを選択することを含む、条項1〜4の何れか一項に記載の方法。
8. ばらつきが、分布の尺度である、条項7に記載の方法。
9. メトロロジデータが、メトロロジデータを獲得するために使用される検査装置の検出器及び/又はメトロロジデータを獲得するために使用される検査装置の検出器によって生成される像の画素レベルで指定される、条項1〜8の何れか一項に記載の方法。
10. 性能パラメータ又は指標に基づいて、より大きな異なるメトロロジレシピのセットから複数の異なるメトロロジレシピの選択を行うことをさらに含む、条項1〜9の何れか一項に記載の方法。
11. メトロロジレシピが、メトロロジターゲットに関する測定放射線の波長に関して異なる、条項1〜10の何れか一項に記載の方法。
12. 少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを使用してメトロロジターゲットのインスタンスを測定することと、測定の結果からオーバーレイ値を決定することとをさらに含む、条項1〜11の何れか一項に記載の方法。
13. オーバーレイ値を決定することが、少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを用いて取得された、第1のターゲット構造に関する信号データ対第2のターゲット構造データに関する信号データを用いて、オーバーレイの決定又は補正を行うことを含む、条項12に記載の方法。
14. 第1のターゲット構造に関する信号データが、第1のターゲット構造に関する非対称性データであり、第2のターゲット構造に関する信号データが、第2のターゲット構造に関する非対称性データである、条項1〜13の何れか一項に記載の方法。
15. 第1のターゲット構造に関する非対称性データが、A+データであり、第2のターゲット構造に関する非対称性データが、A−データである、条項14に記載の方法。
16. メトロロジターゲットに関して、複数の異なるメトロロジレシピを使用して、メトロロジターゲットを測定するために使用される検査装置の検出器及び/又はメトロロジターゲットを測定するために使用される検査装置の検出器によって生成される像の画素ごとのオーバーレイ値を取得することであって、メトロロジターゲットが、パターニングプロセスを用いて作成され、各メトロロジレシピが、測定の異なるパラメータを指定する、取得することと、
複数の異なるメトロロジレシピのそれぞれに関してオーバーレイ値の統計値を決定することと、
特定の閾値を超える又は満たす統計値の値を有する少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを識別することと
を含む、方法。
17. 識別することが、2つの異なるメトロロジレシピの複数の他の組み合わせの値よりも小さい統計値の値少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを選択することを含む、条項16に記載の方法。
18. 統計値が、分布の尺度を含む、条項16又は17に記載の方法。
19. オーバーレイ値が、A+対A−のデータから決定される、条項16〜18の何れか一項に記載の方法。
20. 少なくとも2つの異なるメトロロジレシピを使用してメトロロジターゲットのインスタンスを測定することと、測定の結果からオーバーレイ値を決定することとをさらに含む、条項16〜19の何れか一項に記載の方法。
21. メトロロジレシピが、メトロロジターゲットに関する測定放射線の波長に関して異なる、条項16〜20の何れか一項に記載の方法。
22. パターニングプロセスのパラメータを測定するためのメトロロジ装置であって、条項1〜21の何れか一項に記載の方法を行うように動作可能であるメトロロジ装置。
23. 条項1〜21の何れか一項に記載の方法をプロセッサに実行させるための機械可読命令を含む非一時的なコンピュータプログラム製品。
24. 基板上のメトロロジターゲットに放射ビームを提供し、ターゲットによって回析された放射線を検出するように構成された検査装置と、
条項23に記載の非一時的なコンピュータプログラム製品と
を備えるシステム。
25. 放射ビームを変調するためにパターニングデバイスを保持するように構成された支持構造と、変調された放射ビームを放射線感受性基板上に投影するように配置された投影光学系とを備えるリソグラフィ装置をさらに備える、条項24に記載のシステム。
[00202] 光リソグラフィとの関連において、実施形態の使用について上記に特定の言及を行うことができたが、当然のことながら、本発明の実施形態は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィで使用することができ、状況が可能にする場合、光リソグラフィに限定されない。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィが、基板に形成されるパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層に押し付けることができ、レジストは、電磁放射、熱、圧力、又はそれらの組合せを加えることで硬化する。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残したままレジストから引き離される。
[00203] 本明細書で使用する「放射線」及び「ビーム」という用語は、(例えば、365、355、248、193、157、又は126nmの波長、或いはそれらの近辺の波長を有する)紫外(UV)線及び(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)極端紫外(EUV)線、さらには、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含む全てのタイプの電磁放射線を包含する。一実施形態では、測定放射線は、400nm〜950nmの範囲から選択される。
[00204] 「レンズ」という用語は、状況が可能にする場合、屈折式、反射式、磁気式、電磁気式、及び静電式光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントの任意の一つ、又はそれらの組合せを指すことができる。
[00205] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の実施形態の一般的な性質を明らかにするので、他者は、当業者の技能の範囲内の知識を適用することで、過度の実験を行うことなく、本発明の一般概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を容易に修正し、及び/又はそのような特定の実施形態を様々な用途に適合させることができる。したがって、そのような適合及び修正は、本明細書に提示した教示及びガイダンスに基づいて、開示した実施形態の等価物の趣旨及び範囲内であることを意図されている。当然のことながら、本明細書における専門語又は用語は、例を用いて説明するためのものであり、限定するものではなく、本明細書の用語又は専門語は、教示及びガイダンスに照らして、同業者によって解釈されるべきである。
[00206] 本発明の広さ及び範囲は、上記の例示的な実施形態の何れかによって限定されるのではなくて、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ規定されるべきである。