JP2020524173A - 肺炎症を低減させる方法 - Google Patents

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Abstract

高濃度の吸入用キレート剤、特にCaEDTAを投与することにより肺内の炎症を処置または予防する方法。

Description

本発明は、高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより肺内の炎症を処置または予防する方法、および本方法で使用する製剤に関する。本発明の一実施形態では、肺内の炎症は、嚢胞性線維症に伴う、または嚢胞性線維症により引き起こされる。
嚢胞性線維症は、炎症および肺損傷の原因となる感染症への感受性を特徴とする。しかし、炎症および肺損傷はまた細菌感染症の非存在下でも生じ得る(Slyら、Am J Respir Crit Care Med.2009年、180巻(2号):146〜52頁)。
炎症は侵襲に対する身体の応答であり、これは、感染症、外傷、および過敏症を含む。炎症性応答は複雑であり、病原菌からの防御、組織の修復のための様々な機序を含む。肺内の、炎症は普通病原菌により、または毒素、汚染物質、刺激剤、およびアレルゲンへの曝露により引き起こされる。
炎症の間、多くの種類の炎症細胞が活性化される。それぞれがサイトカインおよび伝達物質を放出して、他の炎症細胞の活性を改変する。これらの細胞および分子の組織化は、炎症の進行をもたらす。臨床的に、急性炎症は肺炎および急性呼吸促迫症候群(ARDS)などの疾患に見られるのに対して、慢性炎症は、喘息、嚢胞性線維症および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの疾患に現れる。肺は気体交換にとって重要な器官であるため、過剰な炎症は、生命にかかわる可能性がある。炎症と抗炎症との間の微妙なバランスが肺ホメオスタシスに不可欠である。
免疫は、先天性および適応性システムを含む。先天性免疫は非特異的であり、病原体の侵襲に直面した際の炎症を含めた急速な応答を引き起こす。適応性免疫は抗原特異的である。この適応性免疫は、最初に特定の抗原を検出し、次いで炎症細胞を動員して、その特定の抗原を標的とする。先天性および適応性システムは構成成分を共有し、病原菌からの防御のために協調して作用する。
気道上皮は、様々な物質、例えば、ムチン、デフェンシン、リゾチーム、ラクトフェリン、および一酸化窒素などを分泌し、これらの物質は、微生物の攻撃から呼吸器を非特異的に保護する。上皮細胞はまた、いくつかの伝達物質、例えば、反応性酸素ラジカル、サイトカイン(TNF−α、IL−1β、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子[GM−CSF])など、および血小板活性化因子を生成して、炎症部位上に炎症細胞を集める。サイトカインは膜脂質からのアラキドン酸放出を刺激して、エイコサノイドの産生をもたらし、これが杯細胞および組織炎症による粘液分泌をさらに刺激する。
界面活性剤は、肺胞表面に位置し、4種の界面活性剤タンパク質(SP A〜D)を含有する。肺表面の緊張を低減するのに重要なのは、これらのタンパク質が肺胞表面への界面活性剤吸収に決定的役割を果たすことである。SP−AおよびSP−Dはまた、宿主防御にも参加する。これらは細菌性表面分子に結合し、白血球活性をモジュレートし、病原体オプソニン化をもたらす。
形質細胞により分泌されるIgAは、追加の上皮保護的バリアを形成し、これは、上皮表面への微生物の付着を妨げる。IgAはまた病原菌に結合し、ファゴサイトーシスおよび抗体依存性細胞媒介性細胞毒性を引き起こす。イムノグロブリンE(IgE)は、呼吸器において即時型タイプの過敏症を誘発する。IgEは、肥満細胞、好塩基球、好酸球、およびBリンパ球の表面のIgE受容体への結合により激しい反応を生成する。同じ抗原への曝露の繰返しは、脱顆粒ならびにヒスタミン、プロスタグランジン、ロイコトリエン、およびトリプターゼを含む炎症誘発性伝達物質の放出を誘発する。これらは、血管系浸透率、気管支収縮、および炎症細胞浸潤を増加させる。
米国特許出願公開第2016/0263151号は、酸性化亜硝酸および鉄キレート化剤と組み合わせて吸入用抗生剤を使用することにより、細菌感染症を処置することを教示している。米国特許出願公開第2016/0263151号の製剤中に存在する鉄キレート化剤は、酸性化亜硝酸と組み合わせた場合、相乗効果を提供する働きをして、抗生剤が作用する能力を増強させる。
肺炎症に対する現在の処置は、宿主の炎症性応答を標的とする経口または吸入用ステロイドおよび非ステロイド性薬物を含む。しかし、作用は一時的であり、連続的な処置を必要とし、著しい副作用がある。
肺内の炎症を処置または予防する方法、または少なくともこれまで公知の処置方法を補足するまたは代替を提供するための方法に対する必要性が存在する。
本発明は、高濃度の吸入用キレート剤を投与することによって、肺内の炎症を処置または予防するための改善された方法または代替法を提供することを模索している。
背景技術の先行する考察は、本発明の理解を促進することのみを意図している。この考察は、言及された材料のいずれもが、出願の優先日において共通の一般知識の一部である、または一部であったことを承認または許可するものではない。
本発明は、高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより肺内の炎症を処置または予防する方法を提供する。
好ましくは、高濃度の吸入用キレート剤は37.5mg/投与を超える。
好ましくは、高濃度の吸入用キレート剤は50mg/投与を超える。
本発明の1つの形態では、高濃度キレート剤は、少なくとも50mg/投与、または50mg/投与〜300mg/投与の間を含有する製剤(dosage form)により提供される。キレート剤は、約1,200mg/日まで、好ましくは少なくとも150mg/日の全用量が毎日1〜4回の間投与されてもよい。
本発明の1つの形態では、高濃度キレート剤は、少なくとも37.5mg/投与または37.5mg/投与〜300mg/投与の間を含有する製剤で提供される。キレート剤は、約1,200mg/日まで、好ましくは少なくとも150mg/日の全用量が毎日1〜4回の間投与されてもよい。
好ましくは、37.5mg/日〜1,200mg/日のキレート剤が投与される。好ましくは、少なくとも50mg/日のキレート剤が投与される。キレート剤は、約1,200mg/日までの総1日用量を毎日1〜4回の間で投与することができる。
好ましくは、キレート剤の各用量は、8時間以下の期間にわたり投与される。好ましくは、キレート剤および/または抗生剤は、1時間以下の期間にわたり投与される。
好ましくは、キレート剤はCaEDTAである。
本発明は、高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより、肺内の炎症を処置または予防する方法であって、炎症の処置または予防が努力呼気肺活量(FEV)の増加をもたらす方法をさらに提供する。
本発明はまた、高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより、肺内の炎症を処置または予防する方法であって、炎症の処置または予防がマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性の低減を伴う方法を提供する。
本発明は、高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより、肺内の炎症を処置または予防する方法であって、炎症の処置または予防がヒドロキシラジカルの産生の低減を伴う方法をさらに提供する。
本発明は、高濃度のキレート剤を含有する吸入用製剤(formulation)を提供する。
本発明は、高濃度のキレート剤を含有する吸入用製剤を提供し、高濃度の吸入用キレート剤を単回用量として送達することが可能である。
本発明は、(i)高濃度のキレート剤を含有する吸入用製剤と、(ii)使用のための指示とを備える、肺内の炎症を処置または予防するためのキットを提供する。
本発明は、(i)高濃度の吸入用キレート剤を単回用量として送達することが可能な吸入用製剤と、(ii)使用のための指示とを備える、肺内の炎症を処置または予防するためのキットを提供する。
肺内の炎症を処置または予防するための吸入用製剤の製造における高濃度のキレート剤の使用。
肺内の炎症を処置または予防するために、高濃度の吸入用キレート剤を単回用量として送達するための医薬の製造における吸入用キレート剤の使用。
本発明のさらなる特徴は、いくつかのその非限定的実施形態の以下の説明においてより完全に記載されている。この説明は、単に本発明を例証するという目的のためだけに含まれている。この説明は、上記に提示されたような本発明の広範な概要、開示または説明を制限するものとして理解されるべきではない。添付の図を参照して説明する。
EDTAのサブミクロン粒子が緑膿菌バイオフィルムを死滅させ、in vitroでトブラマイシンと相乗的に作用することを示す図である。CF粘液中の緑膿菌バイオフィルムを、エアゾール化EDTA粒子および/またはトブラマイシンで処理した。小滴中のトブラマイシンの最終濃度は325μg/mlであった。図1A)BacLight LIVE/DEADで染色したバイオフィルムの共焦点顕微鏡画像である;図1B)処置の定量的作用を示す細菌カウント数である。 CaEDTAが、抗生剤単独での処置より速くCF肺内の細菌量を低減させることを示す図である。CF対象を噴霧用CaEDTA(EDTA)または生理食塩水(プラセボ)で処置し、喀痰された粘液中の細菌量をモニターした(粘液1グラム当たりのコロニー形成単位)。 図3Aは、処置の開始から、10週間全体にわたる(処置後4週間)CaEDTAまたはプラセボで処置した患者におけるFEV1(%ポイント)の平均変化を示す図である。図3Bは、FEV1の改善(0〜2週間)と体重との間の関係を示す図である。 75mgの噴霧用CaEDTAによる処置から5分後および2時間後に、3人のCF対象の痰において達成されたEDTA濃度を示す図である。 高濃度のキレート化剤のマウス肺への投与が感染症の非存在下で炎症を低減させることを実証している。空気またはたばこの煙(CS)に曝露し、ビヒクルまたはデフェロキサミン(DFO)のいずれかの鼻腔内投与で処置したマウスから得た気管支肺胞洗浄液(BALF)の全白血球カウント数を示している。予想された通り、たばこの煙は白血球の数を誘発するが、DFOでの処置はこの作用を有意に低減させている。 高濃度のキレート化剤のマウス肺への投与が感染症の非存在下で炎症を低減させることを実証している。空気またはCSに曝露し、上記のようにビヒクルまたはDFOで処置したマウスの肺内の重量を示している。重量の増加はより多くの炎症があることを示すので、肺重量は炎症の代用として使用することができる。CS処置したマウスにおいて、肺重量は、予想された通り有意に増加し、DFO処置は平均重量を低減させ、炎症の低減を示唆している。 高濃度のキレート化剤のマウス肺への投与が感染症の非存在下で炎症を低減させることを実証している。CSはBALF鉄含有量を増加させるが、デフェロキサミンでの処置はこの作用を低減させることを示している。左:マウスの各グループに対する平均鉄含有量;右:同じデータの散布図。
[処置または予防の方法]
本発明は、高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより肺内の炎症を処置(treat)または予防する方法を提供する。
好ましくは、高濃度の吸入用キレート剤は37.5mg/投与を超える。
好ましくは、高濃度の吸入用キレート剤は50mg/投与を超える。
吸入用EDTAは単独では細菌感染症を処置しないことが以前に示されている(Brownら(Am J Dis Child.1985年、139巻(8号):836〜9頁);Hassett(Front Microbiol.2016年、7巻:291頁))。Brownら(1985年)は、緑膿菌に慢性的に感染しているCF小児を、噴霧用ナトリウムEDTAで3カ月処置し、肺機能における変化は観察されなかった。EDTAは濃度依存性気管支収縮(Beasleyら(Br Med J(Clin Res Ed).1987年、294巻(6581号):1197〜8頁))を引き起こすこと、EDTAはFEV1に対する作用がないことが他者により報告された(Asmusら、(J Allergy Clin Immunol.2001年、107巻(1号):68〜72頁))。したがって、キレート剤が、対象に対して、例えば、嚢胞性線維症(CF)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または炎症を引き起こすまたはこれに伴う肺の他の状態を有するものなどに対して任意のプラス効果を有すると信じる根拠は何もない。しかし、本発明は驚くことに、吸入用キレート剤が肺炎症を処置または予防することができることを見出した。
CF肺環境は酸性であると一般に信じられている。しかし、CF肺は正常な肺と同じpHを有することが最近になり示されている(Schultzら、「Airway surface liquid pH inchildren with cystic fibrosis」Nature Communications 2017年、8巻(1号):1409頁)。したがって、酸性化亜硝酸を使用する現行の技術、例えば、米国特許出願公開第2016/0263151号において論じられているものなどは、製剤は、酸性化された状態には留まらず、正常な肺のpH7.4に直ちに戻るので、CFにおいて臨床的に働く可能性は低い。
CF肺の酸性度は正常ではあるが、鉄のレベルは正常な肺とは著しく異なることが判明した。Stitesら、(Am J Respir Crit Care Med.1999年、160巻(3号):796〜80頁)は、鉄のレベルはCF患者の肺内で、ならびに喫煙者の肺内で、健康な個体と比較して大きく上昇していることを示した。この鉄の大部分は、第一鉄の形態、Fe(II)であり、疾患重症度と有意に相関することも示されている(Hunterら、MBio.2013年、4巻(4号):1〜8頁)。第一鉄は、組織およびDNAを激しく損傷し得る極めて反応性の高い酸素ラジカルを生成するフェントン反応に参加することができる(Jomovaら、Toxicology.、2011年、283巻(2〜3号):65〜87頁;MacNee、Eur J Pharmacol.、2001年、429巻(1〜3号):195〜207頁)。
理論に制約されることを望むことなく、本発明の方法は、(i)亜鉛のキレート化によるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の不活化、(ii)鉄のキレート化による反応性酸素種(ROS)の産生の低減、ならびに/または(iii)鉄および亜鉛などの主要なイオンを細菌から奪うことによる肺内の細菌量の低減、により炎症を低減させると考えられている.個々の肺内の作用は、炎症を低減させる理論化された方法のうちの1つのまたは任意の組合せであってよい。
吸入は、局所化した投与方法であり、したがって、標的とする領域、すなわち、肺に到達するのにより有効であり得、吸入用キレート剤の高い濃度および局所化した濃度を提供することができる。吸入は、活性物質の全身暴露による所望しない副作用を回避し、患者が耐性を発症する危険性を低減させる。
本発明は、高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより肺内の炎症を処置または予防する方法であって、炎症の処置または予防がFEVの増加をもたらす方法をさらに提供する。
本発明は、高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより肺内の炎症を処置または予防する方法であって、炎症の処置または予防がMMP活性の低下を伴う方法をさらに提供する。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が肺損傷を引き起こすこと(Garrattら、Eur Respir J.2015年、46巻(2号):384〜94頁)およびMMP活性がZn2+に依存すること(Hazraら、Molecular Vision、2012年;18巻:1701〜1711頁)は公知である。しかし、肺内のMMPを標的にする過去の試みは不成功であった。本発明は、肺内で亜鉛をキレートする吸入用キレート剤を使用し、よってMMP誘発性肺損傷を低減させ、炎症を処置または予防する。
本発明は、高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより肺内の炎症を処置または予防する方法であって、炎症の処置または予防がヒドロキシルラジカルの産生の低下を伴う方法をさらに提供する。Feはヒドロキシルラジカルの形成を触媒するので、鉄は肺損傷における主要因子である(Stitesら、(Am J Respir Crit Care Med.、1999年、160巻(3号):796〜80頁)。しかし、抗酸化剤治験は、今までのところ肺機能における著しい改善をもたらすことができでいない。本発明は肺内の鉄をキレート化するために吸入用キレート剤を使用し、よってヒドロキシルラジカル誘発性肺損傷を低減させ、炎症を処置または予防する。
本発明は、高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより肺内の感染症を処置または予防する方法であって、炎症の処置または予防が、キレート剤の存在により、肺内の細菌により生成されるバイオフィルムの除去または低減によりもたらされる方法をさらに提供する。バイオフィルムの低減は、咳嗽および喀痰による細菌およびバイオフィルムの除去の増加を可能にする。
本発明は、高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより肺内の炎症を処置または予防する方法であって、炎症の処置または予防が、局所炎症を刺激し、局所的組織損傷を引き起こし、抗生剤活性を中和し得る、細菌により生成されるプロテアーゼ酵素の除去または低減によりもたらされる方法をさらに提供する。これらの酵素は、主としてカチオン依存性であり、環境からカチオンを除去することは、これらの酵素を脱活性化すると予想される。
好ましくは、キレート剤は鉄キレート剤または亜鉛キレート剤である。より好ましくは、キレート剤は鉄と亜鉛の両方のキレート化剤である(鉄/亜鉛キレート化剤)。代わりに、キレート剤は、2種またはそれより多くのキレート剤の混合物、例えば、鉄キレート剤と亜鉛キレート剤、または鉄/亜鉛キレート剤と亜鉛キレート剤、または鉄キレート剤と鉄/亜鉛キレート剤の混合物であってよい。
キレート剤は、好ましくは、クエン酸、リン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のジナトリウム塩、トリナトリウム塩およびテトラナトリウム塩、EDTAのカルシウム塩、エチレングリコール−ビス−(b−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA);1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA);エチレン−N,N’−ジグリシン(EDDA);2,2’−(エチレンジイミノ(ethylendiimino))−ジブタン酸(EBDA);ラウロイルEDTA;ジラウロイルEDTA、トリエチレンテトラミンジヒドロクロリド(dihydrochioride)(TRIEN)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTG)、デフェロキサミン(DFO)、デフェラシロクス(DSX)、ジメルカプロール、クエン酸亜鉛、ペニシラミン(penicilamine)、サクシマー、エジトロネート、ヘキサメタリン酸ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、D−ペニシラミン、ポリフェノール、ガロール、カテコール、ジメルカプロール、テトラチオモリブデート、ラクトフェリン、およびクリオキノールおよびこれらの組合せからなる群から選択される。
好ましくは、キレート剤は薬学的に許容されるキレート剤である。
一実施形態では、キレート剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。別の実施形態では、キレート剤はデフェロキサミン(DFO)である。別の実施形態では、キレート剤はデフェラシロクス(DSX)である。
好ましくは、キレート剤は、EDTAとおよそ同じ鉄親和性、および/またはEDTAとおよそ同じ亜鉛親和性を有する。25℃および0.1MでのEDTAに対する生成定数または安定度定数(log K)は、Fe2+に対しては14.3であり、Fe3+に対しては25.1であり、亜鉛に対しては16.5である。
一実施形態では、キレート剤はキレート剤のカルシウム塩である。好ましくは、キレート剤はCaEDTAである。
一実施形態では、キレート剤は、37.5mg/投与〜300mg/投与の間、50mg/投与〜300mg/投与の間、約75mg/投与〜200mg/投与の間、約75mg/投与〜100mg/投与の間、約37.5mg/投与〜200mg/投与の間、約50mg/投与〜200mg/投与の間;好ましくは約37.5mg/投与、50mg/投与、75mg/投与、100mg/投与、200mg/投与または300mg/投与を含有する吸入用投与形態で提供される。キレート剤は、少なくとも37.5mg/投与を含有する吸入用投与形態で好ましくは提供される。キレート剤は、少なくとも50mg/投与を含有する吸入用投与形態で好ましくは提供される。
1日当たり吸入されるキレート剤の総量は、好ましくは約37.5mg/日〜1,200mg/日の間、約50mg/日〜1,200mg/日の間、約100mg/日〜1,000mg/日の間、約300mg/日〜900mg/日の間、約400mg/日〜800mg/日の間;好ましくは約150mg/日、300mg/日、500mg/日または600mg/日である。
1日当たり吸入される薬剤の総量は、好ましくは約0.1mgキレート剤/kg(体重)〜15mgキレート剤/kg(体重)の間、約0.5mgキレート剤/kg(体重)〜10mgキレート剤/kg(体重)の間、約1.0mgキレート剤/kg(体重)〜5mgキレート剤/kg(体重)の間;約1.0mgキレート剤/kg(体重)〜3.5mgキレート剤/kg(体重)の間;好ましくは約1.0mgキレート剤/kg(体重)、1.5mgキレート剤/kg(体重)、2.0mgキレート剤/kg(体重)、2.5mgキレート剤/kg(体重)、3.0mgキレート剤/kg(体重)、3.5mgキレート剤/kg(体重)、4.0mgキレート剤/kg(体重)、4.5mgキレート剤/kg(体重)、5.0mgキレート剤/kg(体重)、10mgキレート剤/kg(体重)、15mgキレート剤/kg(体重)である。
75mgのキレート剤、例えば、CaEDTAなどが吸入された場合、約0.4mM〜1.34mMのキレート剤が5分後肺からの痰の中で検出され得ると判定されている。
吸入用キレート剤は、8時間、7時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、10分、または5分以下の期間にわたり好ましくは送達される。投与が乾燥粉末の送達による場合、吸入用キレート剤は、数秒の期間、例えば、エアゾール剤デバイスまたはドライパウダー吸入器の「パフ」1回当たり1秒にわたり送達することができ、各時間点で、1回または複数回のパフが投与される。
好ましくは吸入用キレート剤は少なくとも連続28日間投与される。吸入用キレート剤は、2日間またはそれよりも多く、3日間、4日間、5日間、6日間または7日間送達することができる。吸入用キレート剤は、2〜28日の間、1週間、2週間、3週間または4週間送達することができる。
一部の対象は、数日または数週の期間にわたるより高用量またはより頻繁な投与、これに続くより低い用量または維持量の投与で、対象に抗生剤および/またはキレート剤を「負荷する」期間により恩恵を受けることができる。
よって、本発明は、
・37.5mg/日〜1,200mg/日の間の吸入用キレート剤総量を送達する、
・少なくとも1日当たり1回から1日当たり6回まで、好ましくは1日4回まで投与される、
・8時間以下の期間にわたり投与される。
好ましくは、本発明は、
・37.5mg/日〜1,200mg/日の間の吸入用キレート剤総量を送達する、
・1日当たり1回もしくは2回投与される、
・1回の投与当たり1時間以下の期間にわたり投与される、
・CaEDTAをキレート剤として含有する。
任意のキレート剤の好ましい量は、薬剤のキレート化能力を、CaEDTAのものと比較し、次いで上に与えた用量範囲にその数をかけることにより計算することができる。結果は、好ましい量のEDTAにより提供される好ましいレベルのキレート化とおよそ等しいレベルのキレート化を提供するはずである。
好ましくは、感染症は、嚢胞性線維症(CF);喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);肺高血圧;肺がん;肺線維症;気管支拡張症;急性呼吸促迫症候群;結核;非結核性ミコバクテリア(NTM)肺感染症;これらに限定されないが、人工呼吸器関連肺炎、市中感染性肺炎、気管支肺炎、大葉性肺炎を含む肺炎;細菌、例えば、シュードモナス属の種、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、クラミジア(Chlamydia)、マイコプラズマ肺炎(Mycoplasma pneumonia)、ブドウ球菌属の種、クレブシエラ属の種(Klebsiella spp)、大腸菌(E.coli)、ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas spp)、およびアスペルギルス(Aspergillus)、スケドスポリウム(Scedosporium)ならびにカンジダ属の種(Candida sp)を含む真菌による感染症;感染症が、例えば、挿管したもしくは人工呼吸器をつけている患者に生じ得る状態に対する予防的処置もしくは予防;肺移植患者における感染症;気管支炎;百日咳(百日咳);内耳感染;連鎖球菌の喉感染症;肺炭疽;野兎病;または副鼻腔炎などの肺状態により引き起こされるか、またはこれらを引き起こすか、またはこれらに伴う。
好ましくは、製剤は、必要とする対象に、1日当たり約1回〜1日当たり約6回の間、より好ましくは1日当たり約4回投与される。
代わりに、製剤は、連続的吸入を介して、ネブライザーを介して、必要とする対象に投与することができる。噴霧された製剤は、24時間、12時間、8時間、6時間、4時間、2時間または1時間送達することができ、これらの送達のそれぞれは(24および12時間とは別に)、24時間の期間以内に数回繰り返すことができる。
対象は通常、約0.01〜15mg/kg/日のキレート剤、±20%または±10%の投与を受けることになる。この投与は、噴霧されるか、またはエアゾール剤デバイスからの少なくとも1回の、好ましくは数回の「パフ」により通常投与される.例えば、対象は、1日にわたり0.1mg/kgキレート剤〜15mg/kgの間の単回用量、または数回の投与を受けることができる。
1日当たりの総用量は、少なくとも1日当たり1回好ましくは投与されるが、1日当たり2回またはそれより多くの投与に分割してもよい。一部の対象は、数日または数週の期間にわたるより高用量またはより頻繁な投与、これに続くより低い用量または維持量の投与で、対象にキレート剤を「負荷する」期間により恩恵を受けることができる。嚢胞性線維症、COPDなどは通常慢性の状態であるため、対象は、長時間にわたりこのような療法を受けると予想されている。
薬物製剤の形態に関わらず、約0.1μm〜12μm、または約0.25μm〜6μm、好ましくは1μm〜6μm、より好ましくは約2μm〜4μmの範囲の吸入用小滴または粒子を作り出すことが好ましい。代わりに、粒子は0.1μm〜1.0μm、0.2μm〜0.9μm、0.3μm〜0.8μm、0.4μm〜0.7μm、または0.5μmであってよい。比較的に狭い範囲のサイズを有する吸入用粒子を作り出すことによって、ドラッグデリバリーシステムの効率をさらに増加させ、投薬の再現性を改善することが可能である。よって、粒子が0.1μm〜12μmまたは2μm〜6μmまたは約3〜4μmの範囲のサイズを有するだけでなく、平均粒径が狭い範囲内であることによって、対象に送達される粒子の80%またはこれより多くが、平均粒径の±20%、好ましくは平均粒径の±10%、より好ましくは±5%の範囲内である粒子直径を有することが好ましい。
「粒径」は、固体粒子、液体粒子(小滴)の寸法を比較するために導入された概念である。小滴およびエアゾール剤に対して、「空気力学的径」および「空気動力学的質量中央粒子径(MMAD)」などの用語が使用される。定義は以下に与える。
「空気力学的径」とは、対象の粒子と同じ限界沈降速度を有する単位−密度球の直径である。呼吸器内でこのような粒子がどこに堆積するかを予測するために使用される。
「空気動力学的質量中央粒子径」は、幾何平均空気力学的径である。50重量パーセントの粒子はMMADより小さく、50重量%の粒子はより大きい。
粒径測定の実験中、懸濁液は、動いている異なるサイズの無数の数の粒子を含有する。粒度測定機器がこれらの粒子を分析する場合、粒度測定機器は粒子分布曲線を形成し、この曲線は、1nmにもなり得る最も小さな粒子から出発して、100μmにもなり得る最も大きな粒子までの全粒径範囲を包含する。粒径分布曲線では、累積的頻度を粒子に対して計算する。D10は、懸濁液中の10%の数の粒子がこの特定の粒子直径より小さな直径または等しい直径を有するという特定の粒子直径を指す。
50:D10と同様に、D50は、製剤中の粒子集団の50%に対するカットオフ直径であり、懸濁液中の50%の粒子が、この特定の粒子直径より小さな直径または等しい直径を有するという特定の粒子直径を指す。
90:D90は、製剤中の粒子集団の90%に対するカットオフ直径であり、懸濁液中の90%の粒子が、この特定の粒子直径より小さな直径または等しい直径を有するという特定の粒子直径を指す。
「呼吸器官」という用語は、呼吸において機能する細胞および器官の系を意味するとみなされるものとし、特に、呼吸器の器官、組織および細胞は、肺、鼻、鼻道、副鼻腔、上咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支、呼吸器の細気管支、肺胞管、肺胞嚢、肺胞、肺細胞(1型および2型)、繊毛粘膜上皮、粘膜上皮、扁平上皮細胞、肥満細胞、杯細胞、および上皮内樹状細胞を含む。
本発明の1つの形態では、対象の肺内の炎症を処置または予防する方法は、治療的に有効なまたは予防に有効な濃度の吸入用キレート剤を、少なくとも37.5mg/投与の1回または複数回投与という形態で投与することを含み、キレート剤のその投与または各投与が8時間以下の期間にわたり投与される。
本発明の1つの形態では、対象の肺内の炎症を処置する方法は、治療的に有効な濃度の吸入用キレート剤を、少なくとも37.5mg/投与の1回または複数回投与という形態で投与することを含み、キレート剤のその投与または各投与が8時間以下の期間にわたり投与される。
本発明の1つの形態では、予防的に有効な濃度の吸入用キレート剤を、少なくとも37.5mg/投与の1回または複数回投与という形態で投与することにより対象の肺内の炎症を予防する方法であって、キレート剤のその投与または各投与が8時間以下の期間にわたり投与される方法。
本発明の1つの形態では、対象の肺内の炎症を処置または予防する方法は、このような処置を必要とする対象の肺内の炎症を処置または予防することを含む。
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、所望の投与レジメンに従い投与された場合、所望の治療効果を少なくとも部分的に達成する、あるいは炎症の開始を遅延させる、または進行を阻害する、開始もしくは進行を部分的にもしくは完全に停止するのに十分な製剤の量を意味する。
「予防有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、所望の投与レジメンに従い投与された場合、炎症を少なくとも部分的に予防する、またはその開始を遅延させるのに十分な製剤の量を意味する。
本明細書で使用される場合、「処置する」または「処置」は、疾患または状態を阻害すること、すなわち、その発症またはその臨床的または無症候性症状の少なくとも1つを止めるまたは低減させることを指す。「処置する」または「処置」は、疾患または状態を軽減すること、すなわち、疾患または状態またはその臨床的または無症候性症状の少なくとも1つの退縮を引き起こすことをさらに指す。処置することになる対象に対するメリットは、対象および/または医師にとって統計学的に有意であるか、または少なくとも知覚可能である。炎症を処置するという文脈で、処置という用語は、白血球浸潤(マクロファージ、多形核球好中球、リンパ球および他の免疫細胞を含む);イムノグロブリン;炎症誘発性サイトカインおよびケモカインならびにこれらの受容体;侵害性伝達物質、例えば、ROSおよびタンパク質分解酵素など;MMPの存在量および活性;酸化ストレスのマーカー;ならびに気管支過敏症および悪化のうちの1つまたは複数を低減することまたは排除することを含む。処置という用語は、抗炎症性サイトカインの増加、および肺機能(FEV1)の増加のうちの1つまたは複数をさらに含む。
上記に基づき、複数の異なる処置および投与の手段を使用して単一の対象を処置することができることは、当業者であれば理解している。よって、このような薬物、例えば、静脈内シプロフロキサシンまたは抗生剤などの投与をすでに受けている対象は、本発明の製剤の吸入から恩恵を受けることができる。一部の対象は、本発明の製剤である高濃度のキレート剤のみの投与を吸入により受けることができる。このような対象は、嚢胞性線維症の症状を有していてもよいし、肺感染症を有すると診断されていてもよいし、または高濃度のキレート剤の対象への投与から恩恵を受けることができる症状である医学的状態の症状を有していてもよい。本発明の製剤はまた診断用に使用されてもよい。一実施形態では、例えば、対象は、本発明の製剤の投与を、肺感染症を診断する手順の一部として受けることができ、対象の症状の1つまたは複数が製剤に応答して改善する。
[製剤]
本発明は高濃度のキレート剤を含有する吸入用製剤を提供する。
吸入用製剤は吸入用の乾燥粉末形態、または吸入用の噴霧形態であってよい。好ましくは、製剤は肺内の炎症を処置または予防するための吸入に適応している。
一実施形態では、キレート剤はキレート剤のカルシウム塩である。好ましくは、キレート剤はCaEDTAである。
好ましくは、高濃度の吸入用キレート剤は、37.5mg/投与を超える。好ましくは、高濃度の吸入用キレート剤は50mg/投与を超える。好ましくは、高濃度キレート剤は、37.5mg/投与〜300mg/投与の間、50mg/投与〜300mg/投与の間、約75mg/投与〜200mg/投与の間、約75mg/投与〜100mg/投与の間、約50mg/投与〜200mg/投与の間;好ましくは約50mg/投与、75mg/投与、100mg/投与、200mg/投与または300mg/投与を含有する製剤で提供される。キレート剤は、少なくとも37.5mg/投与を含有する吸入用投与形態で好ましくは提供される。キレート剤は、少なくとも50mg/投与を含有する吸入用投与形態で好ましくは提供される。
1日当たり吸入されるキレート剤総量は、好ましくは約37.5mg/日〜1,200mg/日の間、50mg/日および1,200mg/日、約100mg/日〜1,000mg/日の間、約300mg/日〜900mg/日の間、約400mg/日〜800mg/日の間;好ましくは約300mg/日、500mg/日または600mg/日である。キレート剤は、約1,200mg/日まで、好ましくは少なくとも150mg/日の全用量を投与することができる。
1日当たり吸入されるキレート剤の総量は、好ましくは約37.5mg/日〜1,200mg/日の間、約50mg/日〜1,200mg/日の間、約100mg/日〜1,000mg/日の間、約300mg/日〜900mg/日の間、約400mg/日〜800mg/日の間;好ましくは約150mg/日、300mg/日、500mg/日または600mg/日である。
1日当たり吸入されるキレート剤の総量は、好ましくは約0.1mgキレート剤/kg(体重)〜15mgキレート剤/kg(体重)の間、約0.5mgキレート剤/kg(体重)〜10mgキレート剤/kg(体重)の間、約1.0mgキレート剤/kg(体重)〜5mgキレート剤/kg(体重)の間;約1.0mgキレート剤/kg(体重)〜3.5mgキレート剤/kg(体重)の間;好ましくは約1.0mgキレート剤/kg(体重)、1.5mgキレート剤/kg(体重)、2.0mgキレート剤/kg(体重)、2.5mgキレート剤/kg(体重)、3.0mgキレート剤/kg(体重)、3.5mgキレート剤/kg(体重)、4.0mgキレート剤/kg(体重)、4.5mgキレート剤/kg(体重)、5.0mgキレート剤/kg(体重)、10mgキレート剤/kg(体重)、15mgキレート剤/kg(体重)である。
例えば、50mg投与のCaEDTAは、4mLの33mM噴霧用溶液として投与することができる(分子質量C1012CaNNaは274.27g/モルである)。同様に、75mgの投与が50mMで4ml投与されてもよいし、または100mgの投与が66mMで4ml投与されてもよい。
好ましくは、製剤は、必要とする対象に、1日当たり約1回〜1日当たり約6回の間、より好ましくは1日当たり約4回投与される。
代わりに、製剤は、必要とする対象に、連続的な吸入を介して、ネブライザーを介して投与することができる.噴霧用製剤は、24時間、12時間、好ましくは8時間、6時間、4時間、2時間または1時間送達することができ、これらの送達のそれぞれを(24および12時間とは別に)24時間の期間以内に数回繰り返すことができる。
本発明の製剤は、使い捨てパッケージおよび携帯用、手持ち式、電池式デバイス、例えば、AERxデバイスなどを使用して対象に投与することができる(米国特許第5,823,178号、Aradigm、Hayward、Calif.)。代わりに、本発明の製剤は、機械的(非電子)デバイスを使用して行うこともできる。従来のジェット式ネブライザー、超音波ネブライザー、ソフトミスト吸入器、ドライパウダー吸入器(DPI)、定量式吸入器(MDI)、凝縮エアゾール剤発生器、および他のシステムを含めた他の吸入デバイスを使用して製剤を送達することができる。
エアゾール剤としての使用のため、本発明の化合物は、溶液または懸濁液中で、加圧したエアゾール剤容器に、従来のアジュバントと共に、適切な噴霧剤、例えば、プロパン、ブタン、またはイソブタンなどの炭化水素噴霧剤などと一緒に包装することができる。ドライパウダー吸入器は、極小容量に圧縮された医薬製剤の乾燥粉末粒子を生成する加圧した空気の供給源を用いて動作可能なシステムである。吸入のため、システムは、単回用量の医薬製剤および単回用量を放出するための選択要素をそれぞれ備える複数のチャンバーまたはブリスタ−を有する。
エアゾール剤は、膜の細孔に薬物を押し通すことにより作り出すことができ、この細孔は約0.25〜6μmの範囲のサイズを有する(米国特許第5,823,178号)。細孔がこのサイズを有する場合、細孔を介して脱出してエアゾール剤を作り出す粒子は、0.5〜12μmの範囲の直径を有することになる。薬物粒子は、粒子をこのサイズ範囲内に保つことを意図した気流と共に放出することができる。小粒子の生成は、約800〜約4000キロヘルツの範囲の振動周波数を提供する振動デバイスの使用により促進することができる。一部の調節は、パラメーター、例えば、薬物が放出される細孔のサイズ、振動周波数、圧力、および製剤の密度および粘度に基づく他のパラメーターなどにおいて行うことができることを、当業者であれば認識しているが、一部の実施形態の目的は約0.5〜12μmの範囲の直径を有するエアゾール化した粒子を提供することであることに留意されたい。
[賦形剤]
本明細書に記載されている製剤の上記で例示された形態は、製剤科学の当業者に周知の方法で製造することができる。さらに、本明細書に記載されている製剤は、本明細書に記載されている製剤の製造および/または投与に役立つ他の任意選択の賦形剤を含むことができる。このような賦形剤の非限定的例は当技術分野で周知であり、製剤の製造および/または投与に役立つ、香味剤、着色剤、パラタント、抗酸化剤、粘度調整剤、等張化剤、薬物担体、持続放出剤、快適助長剤、乳化剤、可溶化補助剤、滑沢剤、結合剤および他の安定化剤を含む。
好ましくは、本発明の製剤は滅菌である。別の実施形態では、本発明の製剤は安定している。
さらに、緩衝剤を加えて、製剤のpHレベルを調節することができる。好ましくは、本発明の製剤は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS、これはTHAMとしても公知、またはトロメタミン)を緩衝剤として含有する。TRISは、EDTAによる細菌死滅作用を増加させるさらなる作用を有し得る。好ましくは、TRISは、製剤を緩衝すること、細菌感染症の処置または予防におけるEDTAおよび/または抗生剤の有効性を増加させること、両方のために本発明の製剤に加える。
さらに、本発明の製剤は、抗菌性保存剤を含有することができる。
好ましくは、本発明の製剤のpHは、約6.5〜8.0の間、より好ましくは約7.0〜7.4の間である。細菌は、pHが落下するほど、抗菌性療法に対する耐性が強くなることが以前に判明している。好ましいpHは、酸性化亜硝酸の非存在下で、高濃度の吸入用キレート剤を、抗生剤と組み合わせて含有する製剤に対する菌耐性を回避することを助ける。
1つの代替の実施形態では、本発明の製剤は保存剤、懸濁剤、湿潤剤、等張化剤および/または希釈剤を含み得る。本明細書に提供されている製剤は、吸入による投与の際に生理学的に許容される、約0.01%〜約90%、または約0.01%〜約50%、または約0.01%〜約25%、または約0.01%〜約10%、または約0.01%〜約5%の1種または複数種の薬理学的に適切な懸濁化流体を含むことができる。本明細書での使用に対して薬理学的に適切な流体は、これらに限定されないが、ヒドロキシル基または他の極性基を含有する化合物を含めた、これらに限定されないが、極性溶媒を含む。溶媒は、これらに限定されないが、水またはアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ならびにプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロールおよびポリオキシエチレンアルコールを含むグリコールなどを含む。極性溶媒はまた、これらに限定されないが、水、1種または複数種の薬学的に許容される塩(複数可)を有する水性生理食塩水、アルコール、グリコールまたはこれらの混合物を含む、プロトン性溶媒を含む。1つの代替の実施形態では、本発明の製剤における使用のための水は、吸入用薬物における使用に対して適用可能な法的要求事項を満たすまたは超えるべきである。
一実施形態では、本明細書に記載されている製剤は水性であって、0〜90%の水を含有してもよい。他の実施形態では、本明細書に記載されている水性製剤は20〜80%の水を含有し得る。さらなる他の実施形態では、水性製剤は50〜70%の水を含有し得る。水は、淡水であり、蒸留させた、滅菌の、鉱質除去されたまたは脱イオン化された水をさらに含み得る。
代わりに、製剤は、非水性であって、水を含有しないか、またはごくわずかな量の水を含有してもよい(例えば1%未満、0.1%未満、0.01%未満)。
一実施形態では、製剤は、1種または複数種の薬学的もしくは生理学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤をさらに含む。
殺菌に加えてまたは殺菌の代わりに、本発明の製剤は微生物の夾雑の可能性を最小化するために薬学的に許容される保存剤を含有することができる。さらに、薬学的に許容される保存剤を本発明の製剤に使用して、製剤の安定性を増加させることができる。しかし、処置した組織は刺激剤に対して感受性があり得るので、吸入の安全性に対して任意の保存剤を選択しなければならないことに注目されたい。本明細書での使用に適切な保存剤は、これらに限定されないが、病原体の粒子との夾雑から溶液を保護するものを含み、フェニルエチルアルコール、塩化ベンズアルコニウムもしくは安息香酸、または安息香酸塩、例えば、安息香酸ナトリウムなどおよびフェニルエチルアルコールが含まれる。ある特定の実施形態では、本明細書の製剤は約0.001%〜約10.0%w/wの塩化ベンズアルコニウム、または約0.01%v/wのフェニルエチルアルコールを含む。保存剤はまた、約0.001%〜約1%、好ましくは約0.002%〜約0.02%、より好ましくは0.02%w/wの量で存在し得る。
本明細書に提供されている製剤はまた、約0.001%〜約90%、または約0.001%〜約50%、または約0.001%〜約25%、または約0.001%〜約10%、または約0.001%〜約1%の1種または複数種の乳化剤、湿潤剤、または懸濁剤を含んでもよい。本明細書の使用するためのこのような薬剤は、これらに限定されないが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたはポリソルベート、例えば、これらに限定されないが、ポリエチレンモノオレイン酸ソルビタン(ポリソルベート80)、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン)、ポリソルベート65(ポリオキシエチレン(20)トリステアリン酸ソルビタン)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタンを含めたもの;レシチン;寒天;カラギーナム;ローカストビーンガム;グアーガム;トラガント;アカシア;キサンタンガム;インドゴム;ペクチン;アミド化したペクチン;アンモニウムホスファチド;微結晶性セルロース;メチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;エチルメチルセルロース;カルボキシメチルセルロース;脂肪酸のナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩;脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリド;脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドの酢酸エステル;脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドの乳酸エステル;脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル;脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドの酒石酸エステル;脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドのモノアセチル酒石酸エステルおよびジアセチル酒石酸エステル;脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドの混合した酢酸および酒石酸エステル;脂肪酸のスクロースエステル;スクログリセリド;脂肪酸のポリグリセロールエステル;ヒマシ油のポリ凝縮脂肪酸のポリグリセロールエステル;脂肪酸のプロパン−1,2−ジオールエステル;ナトリウムステアロイル−21アクリレート(actylate);カルシウムステアロイル−2−ラクチレート;ステアロイル酒石酸塩;モノステアリン酸ソルビタン;トリステアリン酸ソルビタン;モノラウリン酸ソルビタン;モノオレイン酸ソルビタン;モノパルミチン酸ソルビタン;キラヤ抽出物;大豆油の二量体化脂肪酸のポリグリセロールエステル;酸化的重合した大豆油;およびペクチン抽出物を含む。
本発明の製剤は、粘膜の乾燥を阻害し、刺激を予防するための約0.001重量%〜約5重量%の保湿剤を含み得る。ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールまたはその混合物を含めた、様々な薬学的に許容される保湿剤のいずれも利用することができる。
本発明の製剤は、気管支拡張剤、別の抗炎症剤、界面活性剤、アスピリン、またはエチルアルコールなどのアジュバントをさらに含み得る。
本発明の製剤に場合によって使用されている気管支拡張剤は、これらに限定されないが、β−アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、アルブテロール、バンブテロール、サルブタモール、サルメテロール、ホルモテロール、アルホルモテロール、レボサルブタモール、プロカテロール、インダカテロール、カルモテロール、ミルベテロール、プロカテロール、テルブタリンなど)、および抗ムスカリン(例えば、トロスピウム、イプラトロピウム、グリコピロニウム、アクリジニウムなど)を含む。薬物の組合せを使用することができる。
本発明の製剤に場合によって使用してもよい追加の抗炎症剤は、これらに限定されないが、吸入用コルチコステロイド(例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルチカゾン、エチプレドノール、モメタゾンなど)、ロイコトリエン受容体アンタゴニストおよびロイコトリエン合成阻害剤(例えば、モンテルカスト、ジレウトン、イブジラスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、アメルバント、タイペルカストなど)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、イブプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック、インドメタシン、ナプロキセン、ザルトプロフェン、ロルノキシカム、メロキシカム、セレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、ピロキシカム、アンピロキシカム、シンノキシカム、ジクロフェナク、フェルビナク、ロルノキシカム、メサラジン、トリフルサール、チノリジン、イグラチモド、パミコグレルなど)を含む。薬物の組合せを使用することができる。抗炎症剤として作用するアスピリンもまた加えることができる。
本発明により包含される界面活性剤は、これらに限定されないが、合成界面活性剤(Exosurf(登録商標))、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびオレイン酸を含む。薬物の組合せを使用することができる。
抗酸化剤、例えば、グルタチオンおよびビタミンE、亜鉛およびEDTAの亜鉛塩などを加えることができる。
エチルアルコール蒸気は、肺内で消泡剤として作用し、痰をより液状化させ、これによって、呼吸を補助し、肺浮腫を低減させることができる。エタノールを本発明の製剤に、0.5%〜60%の間、より好ましくは1〜40%の間、1〜20%の間、または1〜10%の間になるように加えることができる。エタノールを、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%または60%になるように加えることができる。
本発明はまた、吸入を介して投与される他の薬物と組み合わせた高濃度のキレート剤の使用に関する。これら他の薬物は、適切な送達ベクター、例えば、プラスミドまたはウイルスベクターなどに組み込まれてもよいヌクレオチド配列を含むことができる。他の薬物は、治療用ヌクレオチド配列(DNA、RNA、siRNA)、粘液の粘弾性を低減させる酵素、例えば、DNaseおよび他の粘液溶解剤など、塩素イオンチャネルを上方調節するもしくは細胞を横断するイオンの流動を増加させる化学物質、ニコチン、P2Y2アゴニスト、例えば、α−1アンチトリプシン(AAT)を含むエラスターゼ阻害剤、N−アセチルシステイン、抗生剤およびカチオン性ペプチド、例えば、ランチビオティック、具体的には、デュラマイシン、短時間作用性気管支拡張剤(例えば、β2−アドレナリン受容体アゴニスト様アルブテロールまたはインダカテロール)、M3ムスカリンアンタゴニスト(例えば、イプラトロピウム臭化物)、K−チャネルオープナー、長時間作用性気管支拡張剤(例えば、ホルモテロール、サルメテロール)、ステロイド(例えば、ブデソニド、フルチカゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、シクレソニドなど)、キサンチン、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルカストナトリウム)、ホスホジエステラーゼ4阻害剤、アデノシン受容体アンタゴニスト、他の様々な抗炎症剤(例えば、Sykキナーゼ阻害剤(AVE−0950)、トリプターゼ阻害剤(AVE−8923およびAVE−5638)、タキキニンアンタゴニスト(AVE−5883)、誘導性一酸化窒素シンターゼ阻害剤(GW−274150)およびその他)、転写因子デコイ、TLR−9アゴニスト、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、DNA、CGRP、リドカイン、逆β2−アゴニスト、抗感染酸化治療法、サイトカインモジュレーター(例えば、CCR3受容体アンタゴニスト(GSK−766994、DPC−168、AZD−3778)、TNF−α産生阻害剤(LMP−160およびYS−TH2)、ならびにIL−4アンタゴニスト(AVE−0309))、IgEの小分子阻害剤、細胞接着分子(CAM)阻害剤、小分子を標的とするVLA4受容体もしくはインテグリン.アルファ.4.β.1(例えば、R−411、PS−460644、DW−908eおよびCDP−323)、カルシニューリンの阻害によりT細胞シグナル伝達を遮断するものを含む免疫調節物質(タクロリムス)、ヘパリン中和剤(タラクトフェリンα)、サイトゾルのPLA2阻害剤(Efipladib)、またはその組合せであってよい。必要とする対象がCFを有する場合、対象にはまた、標準的な実施に従い、本発明の製剤と組み合わせて、標準的薬物、例えば、イバカフトル、プルモザイム、マンニトールなど、または他の承認薬物も投与することができる。
組合せ生成物の送達は、薬物を合わせて1つの安定した製剤にする、または投与の時点で合わせることになる別個の容器内の薬物を提供する、または代わりに逐次的に生成物を送達することにより達成することができる。
好ましくは、本発明の製剤は安定している。本明細書で使用される場合、本明細書に提供されている製剤の安定性とは、所与の温度で、原薬、例えば、キレート剤および抗生剤の最初の量の80%超、85%、90%または95%が製剤中に存在する時間の長さを指す。例えば、本明細書に提供されている製剤は、約15℃〜約30℃の間で貯蔵されてもよく、少なくとも1、2、12、18、24または36カ月の間依然として安定している。また、製剤は、25℃での、1、2、12、18、24または36カ月超の貯蔵後、必要とする対象への投与に適切となり得る。また、別の代替の実施形態では、Arrhenius速度論を使用して、約15℃〜約30℃の間での1、2、12、18、24または36カ月超の製剤の貯蔵後も、原薬(例えば、キレート剤および抗生剤)の最初の量の80%超、または85%超、または90%超、または95%超が残存する。
本明細書で使用される場合、製剤が「長期貯蔵」の間安定しているという記述は、製剤が25℃において1、2または3カ月を超える利用時間という予測された貯蔵寿命および5℃において1、2または3年を超えるまたは等しい貯蔵時間を有する場合、製剤はそれを必要とする対象への投与に適切であることを意味する。本明細書のある特定の実施形態では、Arrhenius速度論を使用して、このような貯蔵後、>80%または>85%または>90%または>95%のキレート剤および抗生剤が残存することが予測される。
「炎症」という用語は、本明細書で使用される場合、侵襲、このような感染症、環境の攻撃(たばこの煙を含む)、外傷または過敏症に対する身体の応答の1種または複数種の徴候を意味する。炎症は、急性または慢性のいずれかであってよく、徴候は、組織の腫脹、異なるタイプの炎症細胞の動員、サイトカインおよび伝達物質の放出、ならびに気管支過敏症を含む。炎症は、局所化し、無症候性または一時的であり、または炎症はより広範囲におよび、慢性になる可能性がある。炎症は、体液性および細胞の免疫応答性の両方を含むことができ、それを誘発した侵襲が除去された後も持続することがある。炎症の徴候として、これらに限定されないが、炎症細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、好中球、リンパ球、好酸球および肥満細胞)のレベルの上昇、炎症誘発性サイトカイン(例えばTNFα、IL−1β、IL−6、IL−8、およびIFNγ)およびこれらの受容体のレベルの上昇、MMP、ROSおよび他の伝達物質を含む過剰なプロテアーゼ、ならびに炎症のマーカー、例えば、C反応性タンパク質(CFP)ならびに痰および血清カルプロテクチンなどが挙げられる。短期間の炎症(「急性」)は、呼吸数および呼吸困難の増加、喘鳴、咳、ならびにFEV1の低減を含み得る臨床症候と共に、気道腫脹、肺コンプライアンスの変化、気道反応性および粘液過剰分泌をもたらし、これが持続した場合(「慢性」)、線維症、嚢胞性変化および気管支拡張症という形態で気道壁および肺実質の構造的損傷をもたらす。
[医薬の製造法]
肺内の炎症を処置または予防するための吸入用製剤の製造における高濃度のキレート剤の使用。
肺内の炎症を処置または予防するための単回用量として、高濃度の吸入用キレート剤を送達するための医薬の製造における吸入用キレート剤の使用。
好ましくは、高濃度キレート剤は、少なくとも37.5mg/投与、少なくとも50mg/投与、または50mg/投与〜300mg/投与の間、または37.5mg/投与〜300mg/投与の間を含有する製剤で提供される。キレート剤は、約1,200mg/日までの、好ましくは少なくとも150mg/日の全用量までが毎日1〜4回の間投与され得る。好ましくは、キレート剤はCaEDTAである。
[キット]
本発明は、(i)高濃度のキレート剤を含有する吸入用製剤と、(ii)使用のための指示とを備える肺内の炎症を処置または予防するためのキットを提供する。
本発明は、(i)高濃度の吸入用キレート剤を単回用量として送達することが可能な吸入用製剤と、(ii)使用のための指示とを備える肺内の炎症を処置または予防するためのキットを提供する。
好ましくは、高濃度キレート剤は、少なくとも37.5mg/投与、少なくとも50mg/投与、または37.5mg/投与〜300mg/投与の間、または50mg/投与〜300mg/投与の間を含有する製剤で提供される。キレート剤は、約1,200mg/日まで、好ましくは少なくとも150mg/日の全用量までが毎日1〜4回の間投与され得る。好ましくは、キレート剤はCaEDTAである。
一実施形態では、本発明のキットは、治療有効量の高濃度の吸入用キレート剤を含む製剤を含む。代替の実施形態では、製剤は、予め測定され、プレミックスされ、および/または予め包装されている。好ましくは、吸入溶液は滅菌されている。
本発明のキットはまた、ユーザーコンプライアンスを促進するように設計された指示を含み得る。指示とは、本明細書で使用される場合、任意のラベル、添付文書などを指し、包装材料の1つもしくは複数の表面上に配置してもよいし、または指示は別個のシート上、もしくはその任意の組合せで提供することができる。例えば、一実施形態では、本発明のキットは、本発明の製剤を投与するための指示を含む。一実施形態では、指示は、本発明の製剤が肺の炎症の処置に適切であることを示す。このような指示はまた、製剤についての指示、ならびにネブライザーまたはドライパウダー吸入器を介した投与についての指示も含み得る。
吸入用キレート剤および任意のさらなる活性剤は、医師またはユーザーがそれぞれを必要に応じた医薬製剤へと製剤化できるように個々に包装することができる。代わりに、吸入用キレート剤および任意のさらなる活性剤を含む医薬製剤を一緒に包装することができ、よって、医師またはユーザーによるデミニマス製剤が必要となる。いずれにしても、包装は、活性成分の化学的、物理的、および見た目に美しい統合性を維持すべきある。
[通則]
当業者であれば、本明細書に記載されている本発明は、具体的に記載されているもの以外の変更形態および修飾形態の可能性があることを認識している。本発明は、すべてのこのような変更形態および修飾形態を含む。本発明はまた、明細書において言及されたまたは示されたステップ、特徴、製剤および化合物のすべてを、個々にまたは総合的に、ならびにいずれかのおよびすべての組合せまたはいずれか2つのもしくはそれより多くのステップまたは特徴を含む。
本テキストに引用された各文書、参考文献、特許出願または特許は、それら全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれており、これは、それがリーダーによりこのテキストの一部として読み取られ、考えられるべきであることを意味する。本テキストで引用された文書、参考文献、特許出願または特許が本テキストで繰り返されていないということは、単に簡潔さの理由によるものである。
本明細書中に記述されている任意の製品に対するまたは本明細書で参照により組み込まれている任意の文書における、任意の製造業者の指示、説明、製品明細書、および製品シートは、本明細書によって参照により本明細書に組み込まれ、本発明の実施において利用することができる。
本発明は、本明細書に記載されている特定の実施形態のいずれかによっても、範囲が限定されないものとする。これらの実施形態は、例証のみの目的を意図する。機能的に同等の製品、製剤および方法は明確に、本明細書に記載されているように本発明の範囲内である。
本明細書に記載されている本発明は、1つまたは複数の範囲の値(例えば、サイズ、置換および磁界の強さなど)を含むことができる。値の範囲とは、範囲内のすべての値を含むと考えられ、これには、その範囲を定義する値、および範囲に対する境界を定義する値に直ちに隣接する値と同じまたは実質的に同じ結果をもたらす範囲に隣接する値が含まれる。したがって、特にそれとは反対の指示がない限り、明細書および特許請求の範囲に記載の数値的パラメーターは、本発明により得ようとされる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。したがって「約80%」とは、「約80%」、さらに「80%」も意味する。少なくとも、各数値的パラメーターは、有効桁数および普通の四捨五入手法を踏まえて解釈されるべきである。
本明細書全体にわたり、文脈により他が必要とされない限り、単語「含む(comprise)」または変化形、例えば、「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」は、述べられている整数または整数の群の包含を意味すると考えられているが、任意の他の整数または整数の群を排除するものではない。本開示および特に特許請求の範囲および/または段落の中で、「含む(comprises)」、「含んだ(comprised)」、「含んでいる(comprising)」などの用語は、米国特許法に帰属する意味を有することができる。例えば、これらは、「含む(includes)」、「含まれた(included)」、「含んでいる(including)」などを意味することができ、「本質的に〜からなっている(consisting essentially of)」および「本質的に〜からなる(consists essentially of)」などの用語は米国特許法に帰する意味を有し、例えば、これらは、明示的に列挙されていない要素を許容するが、従来の技術に見出される、または本発明の基本的もしくは新規の特徴に影響を与える要素を排除することにも注目されたい。
本明細書で使用されている、選択された用語に対する他の定義は、発明の詳細な説明の中に見出すことができ、全体にわたり適用される。他に定義されない限り、本明細書で使用されているすべての他の科学用語および技術用語は、本発明が属する分野の当業者により共通して理解されているものと同じ意味を有する。「活性剤」という用語は、1種の活性剤を意味してもよいし、または2種もしくはそれより多くの活性剤を包含してもよい。
以下の実施例は、上に記載された発明を使用する方式をより完全に記載するよう、ならびに本発明の様々な態様を実行するために想定される最も良いモードを記載するように機能する。これらの方法は、本発明の真の範囲を限定するように機能するわけでは決してなく、むしろ例示的目的のために提示されていることを理解されたい。
本発明のさらなる特徴は、以下の非限定的例においてより完全に説明される。この説明は、本発明を例証する目的のためだけに含まれている。上記に提示されているような本発明の広範な説明に対する制限として理解されるべきではない。
[実施例1]
高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより、肺内の感染症を処置または予防する方法
上皮細胞株から収集した嚢胞性線維症粘液の懸濁液滴を使用して、現実的なin vitroモデルにおいてバイオフィルムを成長させた(Haleyら、BMC Microbiol、2012年、12巻:181頁)。緑膿菌臨床株(MICトブラマイシン>256μg/ml)の培養物は、栄養素制限を模倣するために、炭素源なしで、M63中で増殖させて後期静止相に移行させた。
数滴の粘液(5μl)を、反転させたIBIDIカバースリップから懸濁させ、10のコロニー形成単位(CFU)を植菌し、次いで加湿環境で、35℃で72時間インキュベートして、バイオフィルムを発生させた。次いで、液滴を、噴霧用トブラマイシン(20mg/ml)、エアゾール化CaEDTA粒子(10mg/ml)のいずれか、または両方で、5分間処理した。対照を噴霧用0.9%生理食塩水/水の50/50溶液で処理した。処理後、液滴を16時間インキュベートし、次いでBacLight LIVE/DEAD(1μl)で染色し、パラホルムアルデヒド蒸気で30分間固定した。共焦点顕微鏡を使用して、バイオフィルムを視覚化した。
図1Aは、噴霧用生理食塩水での処理後の、大部分生細胞(グリーン)を有する、厚いおよび強力なバイオフィルムを示している。耐性株で予想された通り、トブラマイシン単独での処理は生存率に対する作用がわずかである。EDTA単独で、ある程度の死滅(赤血球)を引き起こす。トブラマイシンおよびEDTAの組合せは、際立ってバイオフィルム細胞の大部分を死滅させている。図1Bは、図1Aの顕微鏡法画像の定量的表示を示す。対照バイオフィルムは1×10CFU/mlであったが、EDTA−トブラマイシン処理したバイオフィルムは、>6桁低減させ、<10CFU/mlまで低減させた。
症状増悪により入院した、年齢≧6才のCFを有する患者を、無作為抽出して、静脈内抗生剤および噴霧用トブラマイシンによるこれらの通常処置に加えてEDTAまたは生理食塩水(プラセボ)を投与する。EDTAを、トブラマイシンと一緒に、4mlの50mM CaNaEDTA、0.9%生理食塩水中111mMトリス、pH7.1の噴霧用溶液として投与した。無作為抽出後、対象を病院内で2週間処置し、この間患者には1日4回処置を施した(300mgのEDTA/日、または3.3mgEDTA/kg/日まで)。次いで、患者を退院させ、処置を1日2回4週間継続した。患者をさらに4週間モニターし、全実験時間を10週間とした。
噴霧用3%高張生理食塩水を8〜10L/分、≧5分間用いて痰を誘発させた。処置前に試料を収集し、2、6および10週の時点で関連プロトコルに従い処理し、−80℃で貯蔵した。粘液を透明な痰から解離し、Sputalysin(痰1グラム当たり1ml)と混合し、ボルテックスし、1時間インキュベートし、次いでSkim Milk Glycerol貯蔵媒体内に配置し、−80℃で貯蔵した。
最初のスクリーニング、次いで臨検3(2週後辺り)、臨検5(6週)および最後に追跡調査(10週)において対象からの喀痰により痰試料を得た。粘液を透明な痰から解離し、Sputalysin(痰1グラム当たり1ml)で処理し、Skim Milk Glycerol貯蔵媒体(1ml/100mgの粘液)内に配置し、ボルテックスにより混合し、−80℃で貯蔵した。
試料を氷上で解凍し、元の濃度の最大10〜7まで段階希釈を作製し、20μLの各希釈物を、McConkey(McC)寒天またはBlood寒天(BA)の3つの培養物プレートのそれぞれの上に配置した。プレートを35℃でインキュベートした。
シュードモナス属の種は、McC寒天プレート上の透明なまたは非常に薄いピンク色のラクトースネガティブコロニーとして定義された。粗い形態のコロニーは、金属のつやおよび粗いコロニーエッジを有し、平滑な形態のコロニーは、McC寒天上に規則的なコロニー境界があって、成長が遅く、粘液状形態のコロニーは、細菌により分泌された大量のアルギン酸塩で取り囲まれていた。
粗いコロニー、平滑なコロニーおよび粘液状のコロニーの数を24時間の時点で、McC寒天とBAプレート上の両方でカウントし、プレートをさらに24時間再度インキュベートし、各コロニー形態の確認カウントを行った。各試料中に存在する各形態の単一のコロニーを拾い上げ、BAプレート上で筋状にして、純粋な培養物を得た。
グラム染色を行って分離株がグラム陰性、棒状細胞からなっていたことを確認すること、およびコロニーの極めて小さな一部をオキシダーゼ試験ストリップに擦り込むことによるオキシダーゼ陽性状態の確認によって、さらなる識別を行った。濃い青色の急速な発生は酸化的な陽性分離株を示す。
C390抗生剤に対する耐性を試験することにより、シュードモナス属の種の確認を行った。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中にMcFarland密度0.5までの純粋な分離株の懸濁液が拡散している栄養素寒天(NA)プレート上に、抗生剤を含浸させたディスクを配置した。35℃で終夜インキュベーションした後、ディスク周辺には、いかなる阻害ゾーンも存在しなかったことは、抗生剤への耐性を示すものであった。各分離株内に存在する確認されたシュードモナス属の種(おそらくP.aeruginosa)の各形態のタイプの単一コロニーを拾い上げ、グリセロール/血清貯蔵媒体中に再懸濁させ、−80℃で貯蔵した。図2は、2および6週の時点での緑膿菌(P.aerugionsa)(McC)に対するコロニーカウント数の変化を、処置の開始時と比較して示している。処置の2週後、コロニーカウント数の低減は、プラセボ群での4.5倍と比較して、EDTA群では>400倍であった。
[実施例2]
肺炎症の処置はFEV1の用量依存性増加をもたらす
症状増悪により入院した、年齢≧6才のCFを有する対象を、無作為抽出して、静脈内抗生剤および噴霧用トブラマイシンによるこれらの通常処置に加えてEDTAまたは生理食塩水(プラセボ)を投与する。EDTAを、トブラマイシンと一緒に、4mlの50mM CaEDTA、0.9%生理食塩水中111mMトリス、pH7.1の噴霧用溶液として投与した。無作為抽出後、対象を病院内で2週間処置し、この間患者には1日4回処置を施した(300mgのEDTA/日)。退院後、処置を1日2回4週間継続した。対象をさらに4週間モニターし、全実験時間を10週間とした。
各実験の臨検において、肺機能をスパイロメトリで測定した。3回の試みのうち最も良いものとしてデータを記録し、結果を予測値の%として表現した。
図3Aは、処置開始後、2、6および10週の時点での、両方の群に対するFEV1の平均変化を示している。2週間後のFEV1の平均増加は、EDTA群では16%ポイントであったのに対して、プラセボ群では5%ポイントであった。この差異は処置の完了後4週間持続し、EDTA群では7%ポイントの増加、これに対してプラセボ群では2%ポイントの増加であった。これは、EDTA群における肺機能の明白な改善を実証しているが、プラセボ群ではわずかな変化しか実証していない。図3Bは、EDTA群(R=0.70)におけるFEV1改善と体重の間の逆の相関関係を示しているが、トブラマイシン単独で処置したプラセボ群には相関関係がないことを示している(R=0.01)。これは、EDTAが、肺機能に対して用量依存性作用(mg EDTA/kg体重)があることを示す。
図4は、75mgのCaEDTAの肺への送達は、投与から5分後に0.41〜1.34mMのEDTAピーク濃度をもたらすことを示している。
[実施例3]
たばこの煙誘発性肺炎症は高用量のキレート化剤を肺に投与することによって処置することができる
キレート化剤の肺炎症に対する作用を慢性閉塞性肺疾患(COPD)のマウスモデルで試験した。たばこの煙(CS)は、肺炎症を誘発することが公知であり、肺炎症は、白血球カウント数の増加および肺重量の増加により測定することができる。
雄のBALB/cマウス(各グループ8匹)を、定められた用量のたばこの煙(3本の煙草、1日3回、月曜日〜金曜日)、または濾過した部屋の空気に2週間の期間にわたり曝露した。実験期間の間、たばこの煙への各曝露の30〜60分間前、マウスを、1日3回、鉄キレート化剤デフェロキサミン(DFO、50μl中3.8mg)またはビヒクルで鼻腔内処置した。次いで、マウスを屠殺し、気道および肺を、たばこの煙誘発性炎症に対する作用および元素の濃度について評価した。
気管支肺胞洗浄液(BALF)を収集し(およそ1ml/マウス)、肺を外科的に除去し、秤量した。等量のトリパンブルーをBALFに混合し、Zeiss Axioscope蛍光顕微鏡を使用して、標準的Neubauer血球計算器で、手作業でカウントすることによりBALF中の生存細胞の総数を決定した。レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA−ICP−MS)を使用する元素分析により鉄を測定し、公知の金属含有量の標準と比較して定量化した。
図5は、予想された通り、たばこの煙はBALF白血球の総数を有意に増加させることを示している。鉄キレート化剤DFOでの処置は、この作用を有意に低減させている。
これと一致して、図6は、平均肺重量がたばこの煙による処理により有意に増加するが、CFOでの処置はこの作用を防ぐことを示している。
これまで記述した通り、Stitesら(Am J Respir Crit Care Med.1999年、160巻(3号):796〜80頁)は、CF患者の肺ならびに喫煙者の肺内では、健康な個体と比較して、鉄レベルが大きく上昇していることを示した。図7(左)は、たばこの煙に曝露したマウスのBALFにおいて平均鉄レベルが有意に増加し、DFOでの処置が平均BALF鉄含有量を低減させることを確認している。図7(右)は、DFOで処理した7匹のマウスのうちの6匹において(1匹は処置とは関係のない理由で死んだ)、BALF鉄含有量が、空気に曝露したマウスのレベルと同じレベルであったことを示している。
[仮想実施例P1:感染症、炎症、および酸化ストレスに対する高用量の乾燥粉末キレート剤の作用のin vivo実験]
乾燥粉末トブラマイシンでの処置を必要とする、CFを有する対象を、4つのコホートに割り振り、112mgの乾燥粉末を1日2回、28日間投与する。加えて、コホート1(患者>18才)には、上昇する用量の乾燥粉末CaEDTA(37.5mg BIDを1週間;75mg BIDを2週間、150mg BIDを1週間)を投与する。コホート2(患者>18才)には、CaEDTA(37.5mg BIDを1週間;75 BIDを2週間;75mg QIDを1週間)投与する。コホート3(患者12〜18才)には、CaEDTA(37.5mg BIDを1週間;75mg BIDを2週間、150mg BIDを1週間)投与する。最後に、観察用コホートにはトブラマイシン単独を28日間投与する。
痰試料を毎週収集し、感染症および炎症のマーカーについて評価する。細菌を痰コロニーカウント数によりモニターする。構造的損傷の尺度として、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)およびメタロプロテイナーゼ(TIMP)の組織阻害剤のレベルを、ゼラチンザイモグラフィーおよびイムノアッセイをそれぞれ使用して、以前に記載されている通り測定する(Gaggarら、Eur Respir J.2011年、38巻(3号):721〜727頁;Garrattら、Eur Respir J.2015年、46巻(2号):384〜94頁)。痰の中の鉄の量を以前に記載されている通りICP−MSで定量化する(Hunterら、Mbio.2013年、4巻(4号):1〜8頁)。イムノアッセイを使用して、鉄結合タンパク質の量を評価する。ミエロペルオキシダーゼ活性もまた好中球の炎症の尺度として、以前に記載されている通りアッセイする(Gaggarら、Eur Respir J.2011年、38巻(3号):721〜727頁)。3−クロロチロシンを強力な酸化剤である次亜塩素酸のバイオマーカーとして測定する。質量分析法を用いた安定同位体希釈ガスクロマトグラフィーを使用してレベルを測定する(Gaggarら、Eur Respir J.2011年、38巻(3号):721〜727頁)。市販のイムノアッセイキットを使用して、反応性酸素種(ROS)の指標としてタンパク質カルボニルを測定する(Gaggarら、Eur Respir J.2011年、38巻(3号):721〜727頁)。イムノアッセイを使用して、以前に記載されている通りグルタチオン(GSSGおよびGSH)を測定することにより、酸化ストレスを評価する(Kettleら、Eur Respir J.2014年、44巻(1号):122〜9頁)。炎症性および酸化ストレスマーカー(例えばIL−8、IL−6、TNFa)の遺伝子発現もまたNanostringでモニターし、タンパク質をELISAで測定する。酸化ストレスはまた、代謝産物を介して、例えば、マロンジアルデヒド(molondialdehyde)(比色分析アッセイ)または8−イソプラスタン(ELISA)などで測定することができる。鉄は、レーザー除去−誘導結合された血漿−質量分析法(LA−ICP−MS)を使用して、元素分析で測定する。
この実験は、プラセボ群と比較して、EDTA群における炎症性マーカーの低減および鉄レベルの低下を示すことが予想される。この実験は、MMPとTIMPとの間、特にMMP−9とTIMP−1との間のバランスの変化(これは気管支拡張症の進行に伴う)を示すことがさらに予想される。
この実験は、対照患者と比較して、EDTAで処置した対象において、痰の中の細菌量の低減およびFEV1の増加を示すことがさらに予想される。
[仮想実施例P2:炎症、肺損傷、および酸化ストレスに対する高用量のキレート剤の作用のin vitro実験]
肺上皮細胞を組織培養物内で増殖させ、Fe(II)または過剰の酸素への曝露により炎症を誘発させる。細胞をCaEDTA(0、1、5、10、25、50mM)で30分間、1、3、24および48時間処理する。
イムノアッセイを使用して、炎症性マーカー、例えば、IL−6、IL−8、TNF−α、好中球エラスターゼおよびその他の変化をモニターする。還元グルタチオン(GSH)レベルおよびTUNELアッセイに基づくアポトーシスを評価することにより、酸化ストレスおよび毒性を測定し、この場合、両方とも市販のアッセイキット、例えば、ThermoFisher ScientificのGlutathione Fluorescent Detection KitおよびBioVision IncのTUNEL DNA Gragmentation Assay Kitなどを使用している。
この実験は、対照と比較して、EDTA処理した細胞において炎症性マーカーが濃度依存的に低減する;GSHが低減する(これは、対照と比較して、EDTA処理した細胞において反応性酸素種が低減することを示している);およびTUNELアッセイで測定した場合、対照と比較して、EDTA処理した細胞においてアポトーシスが低減することを示すことが予想される。
[仮想実施例P3:炎症、肺損傷、および酸化ストレスに対する高用量の噴霧用キレート剤の作用のin vivo実験]
症状増悪により入院した、年齢≧6才のCFを有する対象を、無作為抽出して、静脈内抗生剤および噴霧用トブラマイシンによるこれらの通常の処置に加えて噴霧用EDTAまたは生理食塩水(プラセボ)を投与する。EDTAは、トブラマイシンと一緒に、4mlの50mMCaEDTA、0.9%生理食塩水中111mMトリス、pH7.1の噴霧用溶液として投与する。
無作為抽出後、対象を病院内で2週間処置し、この間対象は1日4回の処置を受ける(300mgEDTA/日、または3.3mgEDTA/kg/日まで)。次いで、対象を退院させ、処置を1日2回4週間継続する。対象をさらに4週間モニターし、全実験時間を10週間とする。8〜10L/分で、≧5分間、噴霧用3%高張生理食塩水で誘発させることにより痰を収集する。試料を処置前に収集し、2、6および10週の時点で、関連するプロトコルに従い処理し、−80℃で貯蔵する。
・炎症性マーカーの発現
喀痰された痰をRNAlater(登録商標)中で貯蔵し、Qiagen RNEasy(登録商標)または同様の抽出キットを使用して全RNAを抽出し、cDNAに変換し、Sivanesonら(Mol Microbiol、79巻、1353〜1366頁)に記載されているようにqPCRを使用して、炎症性マーカーをモニターし、公知のハウスキーピング遺伝子、例えば、アクチンおよび/またはGAPDHなどと比べて定量化する。
この実験は、プラセボ群と比較して、EDTA群における炎症性マーカーの遺伝子発現の平均的低減を示すことが予想される。
・細胞損傷、遊離鉄および酸化ストレス
喀痰された痰を加工なしにそのまま凍結し、上記の通り炎症性マーカーについてアッセイする。構造的損傷の尺度として、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)およびメタロプロテイナーゼ(TIMP)の組織阻害剤のレベルを、ゼラチンザイモグラフィーおよびイムノアッセイをそれぞれ使用して、以前に記載されている通り測定する(Gaggarら、Eur RespirJ.2011年、38巻(3号):721〜727頁;Garrattら、Eur Respir J.、2015年、46巻(2号):384〜94頁)。痰の中の鉄の量を以前に記載されている通りICP−MSで定量化する(Hunterら、MBio.2013年、4巻(4号):1〜8頁)。イムノアッセイを使用して、鉄結合タンパク質の量を評価する。イムノアッセイを使用して、以前に記載されている通りグルタチオン(GSSGおよびGSH)を測定することにより、酸化ストレスを評価する(Kettleら、Eur Respir J.2014年、44巻(1号):122〜9頁)。
この実験は、プラセボ群と比較して、EDTA群の中の炎症性マーカーの低減を示すことが予想される。この実験は、MMPとTIMPとの間、特にMMP−9とTIMP−1との間のバランスの変化(これは気管支拡張症の進行に伴うものである)を示すことがさらに予想される。
[仮想実施例P4:炎症、肺損傷、および酸化ストレスに対する高用量のキレート剤の作用のin vivo実験]
嚢胞性線維症対象の単一施設、無作為抽出、二重盲検、クロスオーバー実験を行う。吸入用CaEDTAまたは生理食塩水(プラセボ)での2週間の処置に対して対象を無作為抽出する。この後、ウォッシュアウト期間および次いで2週間の他の処置(EDTAまたはプラセボ)が続く。
鉄のレベル、炎症性マーカー、MMP/TIMPおよびFEV1を上記の通りモニターする。以前に記載されている通り、好中球の炎症の尺度として、ミエロペルオキシダーゼ活性もまたアッセイする(Gaggarら、Eur Respir J.2011年、38巻(3号):721〜727頁)。強力な酸化剤次亜塩素酸のバイオマーカーとして3−クロロチロシンを測定する。質量分析法を用いた安定同位体希釈ガスクロマトグラフィーを使用してレベルを測定する(Gaggarら、Eur Respir J.2011年、38巻(3号):721〜727頁)。市販のイムノアッセイキットを使用して、反応性酸素種(ROS)の指標としてタンパク質カルボニルを測定する(Gaggarら、Eur Respir J.2011年、38巻(3号):721〜727頁)。
この実験は、プラセボと比較して、EDTAで処置した対象において、鉄および炎症性マーカーのレベルの低減、MMP/TIMPのバランスの変化、および平均FEV1の増加を示すことが予想される。この実験は、ミエロペルオキシダーゼ活性の低減およびクロロチロシンおよびカルボニルの平均レベルの引き下げを示すことがさらに予想される。
臨床データは、2週間の300mg/日における効力を実証している。同じ実験は、150mg/日(75mgBID)が肺機能および感染症に対して有益であることを実証している(細菌カウント数に減少については図2;肺機能の改善については図3A)。著しい規模の改善(FEV1平均16%ポイント)を考慮すると、当業者であれば理解されるように、仮想実施例P1により想定されるように、ずっとより低い用量が、すなわち75mg/日(37.5mgBID)が有効である可能性が極めて高い。
図4は、75mgのCaEDTAの単回投与が30分後、粘液栓内側で、1.34mMまでのEDTAをもたらすことを示す。トブラマイシンなどの薬物のCF痰への浸透は、有意に遅延型であり(Kuhn、R.J.(2001年).Formulation of aerosolized therapeutics.Chest 120巻、94S〜98S頁)、したがって、気道表面液体中のEDTAの濃度は中心より実質的に高い可能性が最も高いことは公知である。したがって、1日用量の37.5mg(臨床的メリットのある低用量より4倍低い)が完全に強化した実験において効力を示すと予想するのが妥当である。これは、体重当たりの用量がより高い量で投与される幼い患者に特に当てはまり、一般的にFEV1においてより大きな治療効果を示す(図3B)。
基本的本発明の概念から逸脱することなく、開示された発明に関係する上記教示に基づき、本発明の様々な実施形態を実行する、上に記載のモードの多くの変更形態および修飾形態が当業者には明らかである。本発明の上記実施形態は単に例示であり、限定であるとは決して解釈されるべきではなく、すべてのこのような変更形態および修飾形態は、その性質が前述の説明から決定される本発明の範囲内であると考えられるものとする。
本発明の研究は、Cystic Fibrosis Foundation Therapeuticsからの賞金により援助された。

Claims (21)

  1. 高濃度の吸入用キレート剤を投与することにより、肺内の炎症を処置または予防する方法。
  2. キレート剤の濃度が37.5mg/投与を超える、請求項1に記載の方法。
  3. キレート剤の濃度が50mg/投与を超える、請求項1または2に記載の方法。
  4. キレート剤が、37.5mg/投与〜300mg/投与の間を含有する製剤で提供される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. キレート剤が、50mg/投与〜300mg/投与の間を含有する製剤で提供される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. キレート剤が約1,200mg/日までの全用量で提供される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記キレート剤がCaEDTAである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 炎症の前記処置または予防がFEVの増加をもたらす、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 炎症の処置または予防がMMP活性の低減を伴う、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 炎症の処置または予防がヒドロキシラジカルの産生の低減を伴う、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記キレート剤が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)と組み合わせられる、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 高濃度のキレート剤を含有する吸入用製剤。
  13. キレート剤の濃度が37.5mg/投与を超える、請求項12に記載の製剤。
  14. キレート剤の濃度が50mg/投与を超える、請求項12に記載の製剤。
  15. キレート剤の濃度が37.5mg/投与〜300mg/投与の間である、請求項13または14に記載の製剤。
  16. キレート剤の濃度が50mg/投与〜300mg/投与の間である、請求項13または14に記載の製剤。
  17. キレート剤が約1,200mg/日までの全用量で提供される、請求項12から16のいずれか1項に記載の製剤。
  18. 前記キレート剤がCaEDTAである、請求項12から17のいずれか1項に記載の製剤。
  19. 前記キレート剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)と組み合わせられる、請求項12から18のいずれか1項に記載の製剤。
  20. (i)高濃度のキレート剤を含有する吸入用製剤と、(ii)使用のための指示とを備える、肺内の炎症を処置または予防するためのキット。
  21. 肺内の炎症を処置または予防するための吸入用製剤の製造における高濃度のキレート剤の使用。
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