JP2020524141A - がんを処置するための方法および組成物 - Google Patents

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    • C12Y304/21Serine endopeptidases (3.4.21)
    • C12Y304/21037Leukocyte elastase (3.4.21.37), i.e. neutrophil-elastase

Abstract

複数の態様は、(i) 非がん細胞の生存能に影響を及ぼすことなく、広範囲のがん細胞を死滅させる能力を有する好中球分泌因子に、または (ii) CD95分解ポリペプチド成分を含む治療用組成物、およびそれを用いてがんを処置する方法に指向している。本発明者らによって、(1) 好酸球カチオン性タンパク質 (ECP) および (2) 好中球エラスターゼ (ELANE))の2種類の好中球殺滅因子が同定された。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月15日に出願された米国仮特許出願第62/530,325号および2017年12月27日に出願された米国仮特許出願第62/610,711号の優先権を主張し、これらはいずれも全体として参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
ある特定の態様は、一般的に生物学、医学、およびがん治療に指向している。ある特定の局面は、種々のがん細胞に対して毒性のあるタンパク質またはポリペプチド成分を有する、タンパク質組成物に指向している。他の局面は、CD95を分解するタンパク質またはポリペプチドを有するまたは送達する、タンパク質組成物に指向している。
背景
精密医療とは、遺伝子プロファイリングまたは分子プロファイリングを用いることによって特定の患者群に対する効率または治療上の利点を最適化するように設計される医療であり、がんの処置に関して非常に勢いを増している。(i) がんを発症するリスクをもたらす、(ii) 腫瘍成長に影響を及ぼす、かつ (iii) 転移を調節する、特異的なゲノム異常を同定することにより、どのようにがんを診断するのかがを明確にされ、どのように標的療法を展開および実行するのかが決まり、そしてがん予防戦略が形づくられてきた。
がんにおける精密医療の必要性は主に、腫瘍細胞を健常な非がん細胞と区別する目安となる、腫瘍細胞における標的にすることが可能な特性を同定できないことに基づいている。実際に、放射線照射および/または化学療法は、ほとんどではないにしても多くのがん細胞を効率的に死滅させる能力を有するものの、それらの有効性は非がん細胞に対する細胞毒性効果によって著しく制限される。これらの知見により、放射線療法および化学療法によって標的にされる特性である迅速な細胞分裂が、広範な副作用を制限するために必要な特異性を達成するほどまでは、がん細胞に特有ではないことが実証される。
CD95 (FAS/APO-1/TNFRSF6) は、複数の機構を介してアポトーシスを誘発する細胞表面受容体である。伝統的な機構により、FASリガンド (FASL/CD95L) がCD95に結合すると、そのデスドメイン (DD) は、アダプター分子FADD、プロカスパーゼ-8/10、およびカスパーゼ-8/10調節因子c-FLIPを含む多くの因子を動員するよう誘導される。細胞死誘導シグナル伝達複合体 (DISC) が形成されると、カスパーゼ-8の自己タンパク質分解プロセシングおよび活性化が起こり、これによってカスパーゼ-3が直接または間接的に活性化されてアポトーシスを誘導する (Peter and Krammer, Cell Death Differ., 2003(非特許文献1))。
FASLを用いてCD95媒介性アポトーシスを誘発してがんを処置することに大きな関心が寄せられたが、このアプローチは2つの重大な障害にぶつかった。第一に、CD95は全身で遍在的に発現され、胸腺、肝臓、心臓、および腎臓において特に多量に発現される。したがって、FASLを送達することによってがん細胞を死滅させる試みは、肝細胞などの健常な非がん細胞においてアポトーシスを誘導し、急性肝壊死を引き起こすことによって妨げられた (Bidere et al., Annu. Rev. Immunol., 2006(非特許文献2))。第二に、腫瘍細胞には、CD95/CD95L媒介性アポトーシスに対して耐性を持つようになるための複数の方法がある(Algeciras-Schimnich et al., Proc Natl Acad Sci USA., 2003(非特許文献3);Ivanov et al., Mol Cell Biol., 2003(非特許文献4)、Ivanov et al., J Biol Chem., 2006(非特許文献5))。加えて、これらの耐性腫瘍細胞は、免疫系を回避しようとして、実際にFASLを過剰発現して浸潤性T細胞を死滅させ得る (O’Connell et al. J. Exp. Med., 1996(非特許文献6))。
より最近の研究により、CD95がまた、FASL媒介性経路から独立している第2の機構を介してがん細胞のアポトーシスを誘発し得ることが示された(Chen et al., Nature., 2010(非特許文献7);Hadji et al., Cell Rep., 2014(非特許文献8))。これらの研究により、siRNAまたはshRNAによるCD95ノックダウンが、「CD95R/Lの除去によって誘導される細胞死」(DICE) と称される経路を介して、複数のがん細胞株において腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することが示された。DICEは、細胞膨張、活性酸素種 (ROS) の産生、ならびにその後のDNA損傷、カスパーゼの活性化、およびミトコンドリア外膜透過性 (MOMP) の喪失を伴う経路により、がん細胞においてアポトーシスを誘導する。肝がん細胞または卵巣がん細胞におけるCD95の遺伝子欠失は、マウスにおいてアポトーシスを誘導し、免疫細胞の浸潤およびがん進行の顕著な軽減をもたらした。対照的に、CD95ノックアウト (Cd95-/-) マウスは、T細胞の枯渇は別として、正常な非腫瘍保有マウスにおいて細胞死の徴候も成長不全の徴候も示さず、DICEががん細胞に優先的に影響を及ぼし、正常細胞(免疫細胞を除いて)にはほとんど影響しないことが示唆された (Adachi et al., Nat. Genet., 1995(非特許文献9); Karray et al., J. Immunol., 2004(非特許文献10))。
これらの知見から、siRNAまたはshRNAを送達して腫瘍細胞におけるCD95レベルを下げることは、がんを処置するための実行可能なアプローチであり得ることが示唆される。しかしながら、この戦略には2つの重大な問題がある。第一に、がん治療のためにsiRNA薬を実行に移すには、細胞取り込みが不十分であること、生理的条件下で不安定であること、オフターゲット効果、および免疫原性の可能性をはじめとする重大な障害がなお存在する(Dominska and Dykxhoorn., J Cell Sci., 2010(非特許文献11);Jackson and Linsley et al., Nat Rev Drug Discov., 2010(非特許文献12);Moschos et al., Bioconjug Chem., 2007(非特許文献13))。第二に、CD95はT細胞の生存、増殖、および活性化に必須であり、T細胞におけるCD95の欠失はマウスにおいてリンパ球減少症を引き起こすため(Hao et al., J. Exp. Med., 2004(非特許文献14);Krammer., Nature, 2000(非特許文献15))、このアプローチは、T細胞を枯渇させ、抗腫瘍免疫を阻害することにより、望ましくない副作用を生じ得る。
非がん細胞および組織に対する毒性が最小限であり、かつ長期的な負の副作用が最小限であるかまたはない、広範囲にわたるがん特異的治療のためのさらなる方法および組成物の必要性が存在する。
Peter and Krammer, Cell Death Differ., 2003 Bidere et al., Annu. Rev. Immunol., 2006 Algeciras-Schimnich et al., Proc Natl Acad Sci USA., 2003 Ivanov et al., Mol Cell Biol., 2003 Ivanov et al., J Biol Chem., 2006 O’Connell et al. J. Exp. Med., 1996 Chen et al., Nature., 2010 Hadji et al., Cell Rep., 2014 Adachi et al., Nat. Genet., 1995 Karray et al., J. Immunol., 2004 Dominska and Dykxhoorn., J Cell Sci., 2010 Jackson and Linsley et al., Nat Rev Drug Discov., 2010 Moschos et al., Bioconjug Chem., 2007 Hao et al., J. Exp. Med., 2004 Krammer., Nature, 2000
概要
オフターゲットのがん治療毒性問題に対する1つの解決法は、がん細胞を健常細胞と区別する目安となる、がん細胞における標的を同定することにより、がん細胞を死滅させ、健常細胞を無傷のままにしておく能力を有する標的がん療法を開発することである。標的療法の1つの方法は、がん細胞を標的にし得る抗がん分子の使用である。これらの分子は、細胞から単離され得、および/または合成によって製造され得る。これらのがん殺滅分子はまた、がん殺滅の有効性を改善するために、放射線療法、化学療法、免疫療法、標的療法、または抗ホルモン療法と併用することもできる。そのような標的にされたがんの殺滅分子の1つの供給源は、好中球である。本発明者らは、広範囲のがん細胞を死滅させる能力を有する好中球分泌因子を発見した。ある特定の局面において、該因子は、非がん細胞の生存能に及ぼす影響が最小限であり、かつ負の副作用が最小限であるかまたはない。
複数の態様では、細胞ベースの療法の代わりに、治療用ポリペプチド(抗がん剤)組成物を用いる。本明細書に記載される治療用組成物は、少なくとも3つの理由で、好中球および/または好中球刺激剤もしくは好中球動員剤よりも有利である:(1) 本明細書に記載される抗がん剤(すなわち、本明細書に記載されるポリペプチド組成物)を送達することによって、投与計画をよりよく制御し、ひいては治療剤の有効性および潜在的毒性をよりよく調節することができる。(2) 実質的証拠から、腫瘍が、早期がんにおける抗腫瘍好中球を腫瘍促進性表現型に再プログラム化し、ひいては転移を促進し得ることが示唆される(Eruslanov et al., 2014;Mishalian et al., 2013;Coffelt et al., 2016)。したがって、腫瘍が、送達された好中球が抗がん剤を放出する能力を阻止するか、またはさらに悪いことには、腫瘍形成促進因子の産生を刺激する可能性がある。(3) 注入する前に好中球を生存したまま維持すること、および白血球の注入後の移植片対宿主病は、現在のところ課題である(Kopolovic et al., 2015;Fox et al., 2010)。
本発明者らによって、(1) 好酸球カチオン性タンパク質 (ECP)および (2) 好中球エラスターゼ (ELANE)の2種類の好中球分泌因子が同定された。本発明者らは、これらの成分およびそれらの変種が、がん特異的な殺滅能力を有し、それがこれらの因子の様々な組み合わせによって増強され得ると判断した。
ある特定の局面において、好酸球カチオン性タンパク質 (ECP) またはその変種は、
Figure 2020524141
に対して、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、または155個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、96、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。他の局面は、SEQ ID NO:1に対して90、92、94、69、98、99から100%同一であるECPポリペプチドまたは該ECPポリペプチドの50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、もしくは155個の連続したアミノ酸を有するその変種(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)に指向している。該ポリペプチドの断片またはセグメントは、アミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、または155から開始しかつアミノ酸5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、または160で終了する、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、または155個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含み得る。好ましくは、該セグメントは、がん細胞に対する細胞毒性を維持する機能的セグメントである。なおさらなる局面において、ECPポリペプチドは、アミノ酸側鎖の化学修飾(例えば、架橋、グリコシル化等)によって、または該ペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端において異種ペプチド配列を含めることによって、改変され得る。いくつかの態様において、ECPポリペプチドはグリコシル化される。
ある特定の局面において、好中球エラスターゼ (ELANE) またはその変種は、
Figure 2020524141
に対して、50、75、100、125、150、175、200、225、250、または260個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、69、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。他の局面は、SEQ ID NO:2に対して90、92、94、69、98、99から100%同一であるELANEポリペプチドまたは該ELANEの50、75、100、125、150、175、200、225、250、もしくは260個の連続したアミノ酸を有するその変種(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)に指向している。該ポリペプチドの断片またはセグメントは、アミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、または262から開始しかつアミノ酸6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、または267で終了する、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または260個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含み得る。好ましくは、該セグメントは、がん細胞に対する細胞毒性を維持する機能的セグメントである。本発明者らが、ELANE細胞毒性に触媒活性が必要でないと判断したことから、上記組成物および方法はまた、がん細胞に対する細胞毒性を維持するが、ELANEのセリンプロテアーゼ活性を保持しない改変ELANEを含み得る。例えば、ELANE変種は、このセリンプロテアーゼの触媒三残基を形成するアミノ酸H70、D117、およびS202のうちの1つまたは複数におけるアミノ酸置換、ならびに酵素活性を阻害する他の変異を有し得る。なおさらなる局面において、ELANEポリペプチドは、アミノ酸側鎖の化学修飾(例えば、架橋、グリコシル化等)によって、または該ペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端において異種ペプチド配列を含めることによって、改変され得る。ある特定の局面において、ELANEポリペプチドはグリコシル化される。
ある特定の態様は、2種類の好中球分泌因子またはそれらの変種の様々な組み合わせを含む、治療用組成物または抗がん組成物に指向している。ある特定の局面において、ポリペプチド組成物は、(1) ELANE、または (2) ELANEおよびECPを含み得る。ある特定の局面において、抗がん組成物はELANEポリペプチドの有効量を含み得る。特定の態様において、該組成物はELANEおよびECPを含む。ポリペプチドは、ELANE 0、1、2、3、4、または5 対 ECP 0、1、2、3、4、または5の比率で組成物中に存在してよく、この場合、少なくとも1種類または2種類のポリペプチドが組成物中に存在する。該ポリペプチドは、組成物中に存在し得るか、または個々に、1、50、100、150、200、250、300、350、400、450μg/mL〜500、550、600、650、700、750、800、850、900、950μg/mL;または1、10、20、30、40、50、60、70、80、90 mg/mL〜100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200 mg/mLの濃度(すべての範囲およびそれらの間のすべての値を含む)で存在し得る。ある特定の局面において、該組成物のいずれか一方のポリペプチドは、必ずしも必要ではないが、他方のポリペプチドと会合し得るかまたは複合体を形成し得る。会合するかまたは複合体を形成する場合、該ポリペプチドは共有結合的または非共有結合的に会合する。他の局面において、治療用組成物は、1種類もしくは複数種類のELANE活性化因子、例えばELANE阻害物質を阻害する化合物もしくは成分を含み得るか、またはそれらと併用され得る。ELANEの活性化因子には、α-1アンチトリプシン (A1AT)、分泌型白血球ペプチダーゼ阻害物質 (SLPI)、セルピンファミリーBメンバー1 (SERPINB1)、プラスミノーゲン活性化因子阻害物質1 (PAI1)、アンチトロブミン (antithrobmin)(ATIII)、および同様のものが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載される組成物は、がん細胞の遺伝学に関わらず、多種多様ながん細胞を死滅させ得る。したがって、本明細書に記載される組成物は、様々なタイプのがんを処置し得る。ある特定の局面において、がんは、膀胱がん、血液がん、骨がん(例えば、骨肉腫)、骨髄がん(例えば、白血病)、脳/神経系がん(例えば、神経芽細胞腫、神経膠芽腫)、乳がん、結腸直腸がん(例えば、結腸がん)、食道がん、胃腸がん、頭部がん、腎がん、肝がん(例えば、肝細胞がん)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、鼻咽頭がん、頸部がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、皮膚がん(例えば、メラノーマ)、胃がん、精巣がん、舌がん、または子宮がんである。本明細書に記載される組成物は、がん細胞に対して毒性があるが、非がん細胞に対して毒性はないか、または毒性は限られている。
ある特定の態様は、がんを有する患者に治療用組成物の有効量を投与する段階を含む、がんを処置するための方法に指向している。ある特定の局面において、がんは、膀胱がん、血液がん、骨がん、骨髄がん、脳がん、乳がん、結腸直腸がん、食道がん、胃腸がん、頭部がん、腎がん、肝がん、肺がん、鼻咽頭がん、頸部がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、舌がん、または子宮がんである。ある特定の局面において、ポリペプチド組成物は、該ポリペプチド組成物の有効性を高めるために、付加的な抗がん剤をさらに含み得る。ある特定の局面において、これらの付加的な抗がん剤は、ポリペプチド組成物の投与の前;間;後;前および間;前および後;間および後;または前、間、および後に投与され得る。ある特定の局面において、本明細書に記載される組成物は、免疫療法、化学療法、放射線療法、または標的療法(例えば、抗ホルモン療法等)の実施の前;間;後;前および間;前および後;間および後;または前、間、および後に投与され得る。ある特定の例には、シグナル伝達阻害物質、遺伝子発現調節剤、アポトーシス誘導剤、血管新生阻害物質、抗がん抗体(例えば、モノクローナル抗体)、および同様のものと組み合わせて投与される、本明細書に記載される組成物を含む、がんを処置するための方法が含まれる。ある特定の局面において、本明細書に記載されるポリペプチド組成物は、化学療法、例えばドキソルビシンおよび/またはパクリタキセルと組み合わせて投与される。
他の局面において、タンパク質組成物は抗菌剤として使用され得る。ある特定の局面において、本明細書に記載されるポリペプチド組成物は、緑膿菌 (P. Aeruginosa)、A. バウマニ (A. baumannii)、緑膿菌、または肺炎桿菌 (K. pneumonia) 感染症を軽減または処置するために使用され得る。
FASL関連がん療法のオフターゲット毒性をなくすための1つの解決法は、CD95を分解の標的にして、がん細胞の死滅をもたらす一方で健常細胞を無傷のままにしておく、がん療法を開発することである。そのような標的療法の1つの方法は、CD95を分解し、がん細胞特異的アポトーシスを誘導するプロテアーゼ組成物の使用である。CD95分解プロテアーゼ組成物は、がん殺滅の有効性を改善するために、放射線療法、化学療法、免疫療法、または抗ホルモン療法と併用され得る。本発明者らは、ある特定のプロテアーゼが広範囲のがん細胞を死滅させる能力を有することを発見した。ある特定の局面において、該プロテアーゼは、非がん細胞の生存能に及ぼす影響が最小限であり、かつ負の副作用が最小限であるかまたはない可能性がある。
5種類のCD95分解ポリペプチドが本発明者らによって同定された:(1) カテプシンG (CTSG)、(2) プロテイナーゼ3 (PRTN3)、(3) マウス好中球エラスターゼ (mELANE)、(4) ブタ膵エラスターゼ (PPE/pELA1)、ラット膵エラスターゼ (RPE/rELA1)、および (5) ヒト好中球エラスターゼ (ELANE)。本発明者らは、これらの成分およびそれらの変種が、がん特異的な殺滅能力を有すると判断した。
カテプシンG (CTSG) は、ペプチダーゼS1タンパク質ファミリーのメンバーであり、好中球多形核白血球のアズール顆粒中に見出される。このプロテアーゼは、キモトリプシンCの特異性と類似した特異性を有し、貪食された病原体の死滅および消化、ならびに炎症部位における結合組織リモデリングに関与し得る。GenPeptアクセッション番号NP_001902.1は、ヒト (Homo sapiens) のカテプシンGプレプロタンパク質を記載している。CTSGプレタンパク質は、
Figure 2020524141
のアミノ酸配列を有する。ある特定の局面において、CTSGポリペプチドまたはその変種は、SEQ ID NO:3の、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または255個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、96、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。該ポリペプチドの断片またはセグメントは、アミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、または250から開始しかつアミノ酸6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、または255で終了する、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含み得る。ある特定の局面において、CTSGポリペプチドは、CD95を分解し、がん細胞死を誘導する能力を維持する機能的なポリペプチドセグメントであり得る。ある特定の局面において、ポリペプチドセグメントは、SEQ ID NO:3の、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含む。特定の局面において、CTSGポリペプチドは、SEQ ID NO:3のアミノ酸21〜241(トリプシン様プロテアーゼドメイン)を含み得る。なおさらなる局面において、CTSGポリペプチドは、アミノ酸側鎖の化学修飾(例えば、架橋、グリコシル化等)によって、または該ペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端において異種ペプチド配列を含めることによって、改変され得る。
プロテイナーゼ3 (PRTN3) は、主に好中性顆粒球において発現されるセリンプロテアーゼ酵素である。好中球の機能におけるその正確な役割は不明であるが、ヒト好中球において、プロテイナーゼ3は、タンパク質分解による抗菌ペプチドの生成に寄与する。これはまた、多発血管炎性肉芽腫症(以前は「ウェゲナー肉芽腫症」として知られていた)において頻繁に見出されるタイプの抗体である、c-ANCA(細胞質サブタイプ)クラスの抗好中球細胞質抗体 (ANCA)の標的でもある。GenPeptアクセッション番号NP_002768.3は、ヒトのPRTN3を記載している。PRNT3タンパク質は、
Figure 2020524141
のアミノ酸配列を有する。ある特定の局面において、PRNT3ポリペプチドまたはその変種は、SEQ ID NO:4の、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または256個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、96、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。該ポリペプチドの断片またはセグメントは、アミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、または251から開始しかつアミノ酸6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、または256で終了する、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含み得る。ある特定の局面において、PRTN3ポリペプチドは、CD95を分解し、がん細胞死を誘導する能力を維持する機能的なポリペプチドセグメントであり得る。ある特定の局面において、ポリペプチドセグメントは、SEQ ID NO:4の、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含む。特定の局面において、PRNT3ポリペプチドは、SEQ ID NO:4のアミノ酸28〜246(トリプシン様プロテアーゼドメイン)を含み得る。なおさらなる局面において、PRNT3ポリペプチドは、アミノ酸側鎖の化学修飾(例えば、架橋、グリコシル化等)によって、または該ペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端において異種ペプチド配列を含めることによって、改変され得る。
ある特定の局面において、好中球エラスターゼ (ELANE) またはその変種は、
Figure 2020524141
に対して、50、75、100、125、150、175、200、225、250、または260個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、69、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。他の局面は、SEQ ID NO:2に対して90、92、94、69、98、99から100%同一であるELANEポリペプチドまたは該ELANEの50、75、100、125、150、175、200、225、250、もしくは260個の連続したアミノ酸を有するその変種(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)に指向している。該ポリペプチドの断片またはセグメントは、アミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、または262から開始しかつアミノ酸6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、または267で終了する、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または260個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含み得る。ある特定の局面は、がん細胞に対する細胞毒性を維持するELANE機能的ポリペプチドセグメントに指向している。ある特定の局面において、ポリペプチドセグメントは、SEQ ID NO:2の、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含む。なおさらなる局面において、ELANEポリペプチドは、アミノ酸側鎖の化学修飾(例えば、架橋、グリコシル化等)によって、または該ペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端において異種ペプチド配列を含めることによって、改変され得る。ある特定の局面において、ELANEポリペプチドはグリコシル化される。
ある特定の局面においては、マウス好中球エラスターゼ (mELANE) またはその変種が使用され、これは、
Figure 2020524141
(GenPeptアクセッション番号NP_056594.2)に対して、50、75、100、125、150、175、200、225、250、または260個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、69、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。他の局面は、SEQ ID NO:5に対して90、92、94、69、98、99から100%同一であるmELANEポリペプチドまたは該mELANEの50、75、100、125、150、175、200、225、250、もしくは265個の連続したアミノ酸を有するその変種(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)に指向している。該ポリペプチドの断片またはセグメントは、アミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、または260から開始しかつアミノ酸6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、または265で終了する、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または260個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含み得る。ある特定の局面において、mELANEポリペプチドは、CD95を分解し、がん細胞死を誘導する能力を維持する機能的なポリペプチドセグメントであり得る。ある特定の局面において、ポリペプチドセグメントは、SEQ ID NO:5の、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含む。特定の局面において、mELANEポリペプチドは、SEQ ID NO:5のアミノ酸29〜245(トリプシン様プロテアーゼドメイン)を含み得る。
ある特定の局面においては、ブタ膵エラスターゼ (pELA1) またはその変種が使用され得、これは、
Figure 2020524141
(SPアクセッション番号P00772)の、50、75、100、125、150、175、200、225、250、260から266個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、69、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。他の局面は、SEQ ID NO:6に対して90、92、94、69、98、99から100%同一であるpELA1ポリペプチドまたは該pELA1の50、75、100、125、150、175、200、225、250、もしくは265個の連続したアミノ酸を有するその変種(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)に指向している。該ポリペプチドの断片またはセグメントは、アミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、または261から開始しかつアミノ酸6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、または266で終了する、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または260個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含み得る。ある特定の局面において、pELA1ポリペプチドは、CD95を分解し、がん細胞死を誘導する能力を維持する機能的なポリペプチドセグメントである。ある特定の局面において、ポリペプチドセグメントは、SEQ ID NO:6の、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または265個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含む。特定の局面において、pELA1ポリペプチドは、SEQ ID NO:6のアミノ酸60〜275(トリプシン様プロテアーゼドメイン)を含み得る。
ある特定の態様は、CD95分解プロテアーゼもしくはそれらの変種の様々な組み合わせを含む治療用組成物もしくは抗がん組成物、またはそれらをコードする発現ベクターもしくは発現カセットに指向している。ある特定の局面において、ポリペプチド組成物は、(1) カテプシンG (CTSG)、(2) プロテイナーゼ3 (PRTN3)、(3) マウス好中球エラスターゼ (mELANE)、(4) ブタ膵エラスターゼ (pELA1)、または (5) ヒト好中球エラスターゼ (ELANE) のうちの1つまたは複数を含み得る。該ポリペプチドは個々に、1、50、100、150、200、250、300、350、400、450μg/mL〜500、550、600、650、700、750、800、850、900、950μg/mL;または1、10、20、30、40、50、60、70、80、90 mg/mL〜100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200 mg/mLの濃度(すべての範囲およびそれらの間のすべての値を含む)で組成物中に存在し得る。
本明細書に記載される組成物は、がん細胞の遺伝学に関わらず、多種多様ながん細胞を死滅させ得る。したがって、本明細書に記載される組成物は、様々なタイプのがんを処置し得る。ある特定の局面において、がんは、膀胱がん、血液がん、骨がん(例えば、骨肉腫)、骨髄がん(例えば、白血病)、脳/神経系がん(例えば、神経芽細胞腫、神経膠芽腫)、乳がん、結腸直腸がん(例えば、結腸がん)、食道がん、胃腸がん、頭部がん、腎がん、肝がん(例えば、肝細胞がん)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、鼻咽頭がん、頸部がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、皮膚がん(例えば、メラノーマ)、胃がん、精巣がん、舌がん、または子宮がんである。本明細書に記載される組成物は、がん細胞に対して毒性があるが、非がん細胞に対して毒性はないか、または毒性は限られている。
ある特定の態様は、がんを有する患者に治療用組成物の有効量を投与する段階を含む、CD95の分解によってがん細胞を死滅させるための方法に指向している。ある特定の局面において、がんは、膀胱がん、血液がん、骨がん、骨髄がん、脳がん、乳がん、結腸直腸がん、食道がん、胃腸がん、頭部がん、腎がん、肝がん、肺がん、鼻咽頭がん、頸部がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、舌がん、または子宮がんである。ある特定の局面において、ポリペプチド組成物は、該ポリペプチド組成物の有効性を高めるために、付加的な抗がん剤をさらに含み得る。ある特定の局面において、これらの付加的な抗がん剤は、ポリペプチド組成物の投与の前;間;後;前および間;前および後;間および後;または前、間、および後に投与され得る。ある特定の局面において、本明細書に記載される組成物は、免疫療法、化学療法、抗ホルモン療法、または放射線療法の実施の前;間;後;前および間;前および後;間および後;または前、間、および後に投与され得る。ある特定の局面において、本明細書に記載されるポリペプチド組成物は、化学療法、例えばドキソルビシンおよび/またはパクリタキセルと組み合わせて投与される。
ある特定の態様は、プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、もしくは好中球由来セリンプロテアーゼの全体またはセグメント、詳細には本明細書に記載されるポリペプチドをコードする発現ベクターまたは発現カセットに指向している。対象は、標的細胞においてCD95の分解に作用するように、標的細胞またはその近傍においてプロテアーゼを発現させる目的で、そのようなベクターまたはカセットを投与され得る。
「有効量」という用語は、必要な投薬量および期間において、所望の治療結果または予防結果を達成するのに有効な量を意味する。
がん細胞の成長を減少させることに関する抗がん剤(例えば、本明細書に記載されるポリペプチド組成物)の「有効量」は、ある種のがん細胞または腫瘍細胞の成長をある程度減少させることができる量を意味する。本用語は、がん細胞または腫瘍細胞の成長阻害、細胞増殖抑制および/もしくは細胞毒性効果、ならびに/またはアポトーシスを引き起こすことができる量を含む。
がんの処置に関する「治療的有効量」は、以下の効果:(1) 成長の緩徐化もしくは完全な成長停止を含む、がんもしくは腫瘍成長のある程度の阻害;(2) がん細胞もしくは腫瘍細胞の数の減少;(3) 腫瘍サイズの縮小;(4) 末梢器官へのがん細胞もしくは腫瘍細胞の浸潤の阻害(すなわち、減少、緩徐化、もしくは完全な停止);(5) 転移の阻害(すなわち、減少、緩徐化、もしくは完全な停止);(6) 腫瘍の退縮もしくは拒絶をもたらし得るが、必ずしもその必要はない、抗腫瘍免疫応答の増強、または (7) がんもしくは腫瘍と関連する1つもしくは複数の症状のある程度の緩和、のうちの1つまたは複数を引き起こすことができる量を意味する。治療的有効量は、個体の病状、年齢、性別、および体重、ならびに1種類または複数種類の抗がん剤が個体において所望の応答を誘発する能力などの要因に応じて変動し得る。「治療的有効量」はまた、何らかの毒性または有害作用を治療的有益効果が上回る量である。
「がんを処置する」および「がんの処置」という語句は、がん細胞の複製を減少させる、低下させる、もしくは阻害すること;がんの拡散(転移の形成)を減少させる、低下させる、もしくは阻害すること;腫瘍サイズを縮小させること;腫瘍の数を減少させること(すなわち、腫瘍量を低下させること);体内のがん性細胞の数を減らすもしくは低下させること;外科切除もしくはその他の抗がん療法後のがんの再発を予防すること;またはがんによって引き起こされる疾患の症状を改善するまたは軽減することを意味する。
「発現ベクター」または「発現構築物」という用語は、宿主細胞の形質転換に適しており、かつそれに機能的に連結された1つまたは複数の異種コード領域の発現を(宿主細胞と連動して)指示および/または制御する核酸配列を含むベクターを指す。発現構築物は、それに機能的に連結されたコード領域の転写、翻訳に影響を及ぼすかまたはそれらを制御し、イントロンが存在する場合にはそのRNAスプライシングに影響する配列を含み得るが、これらに限定されない。
「阻害する」、「低下させる」、もしくは「予防」という用語、またはこれらの用語の任意の変化形は、特許請求の範囲および/または本明細書において用いられる場合、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少または完全な阻害を含む。
特許請求の範囲および/または明細書において「含む」という用語と共に用いられる場合の「1つの (a)」または「1つの (an)」という単語の使用は、「1つ」を意味し得るが、それはまた、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは2つ以上」の意味と一致する。
種々の態様が、本出願の全体を通じて議論される。1つの局面に関して議論されたいずれの態様も、同様に他の局面に当てはまり、その逆もまた同様である。本明細書において記載される各態様は、すべての局面に適用可能な態様であると理解される。本明細書において議論されるいずれの態様も、いずれの方法または組成物に関しても実行することができ、その逆もまた同様であることが企図される。さらに、組成物およびキットを用いて、本明細書において開示される方法を達成することができる。
本出願の全体を通じて、「約」という用語は、値が、その値を決定するために使用された装置または方法に関する誤差の標準偏差を含むことを示すために用いられる。
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替物のみを指すように明記されている場合、または代替物が相互に排他的である場合を除いて、「および/または」を意味するために用いられるが、本開示は代替物のみおよび「および/または」を指す定義を支持する。「または」という用語を用いて列挙されたものはいずれもまた、明確に除外され得ることも企図される。
本明細書および特許請求の範囲において用いられる場合、「含む (comprising)」(ならびに「含む (comprise)」および「含む (comprises)」などの、含む (comprising) の任意の形態)、「有する (having)」(ならびに「有する (have)」および「有する (has)」などの、有する (having) の任意の形態)、「含む (including)」(ならびに「含む (includes)」および「含む (include)」などの、含む (including) の任意の形態)、または「含有する (containing)」(ならびに「含有する (contains)」および「含有する (contain)」などの、含有する (containing) の任意の形態)という単語は、包括的または非制限的であり、かつ付加的な明記されない要素または方法段階を排除しない。「含む (comprising)」という用語の文脈において本明細書に記載される態様はまた、「〜からなる」または「本質的に〜からなる」という用語の文脈においても実行され得ることが企図される。
他の態様が、本出願の全体を通じて議論される。1つの局面に関して議論されたいずれの態様も、同様に他の局面に当てはまり、その逆もまた同様である。実施例の項における態様は、すべての局面に適用可能な態様であると理解される。
本発明のその他の目的、特色、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、精神および範囲の範囲内の様々な変更および修正が、この詳細な説明から当業者に明らかとなると考えられるため、詳細な説明および具体例は、具体的な態様を示しながら、例示として与えられているに過ぎないことが理解されるべきである。
治療、診断、もしくは予防の目的または効果の状況における任意の方法はまた、記載された治療、診断、もしくは予防の目的または効果を達成または実行するための、本明細書において議論される任意の化合物、組成物、または作用物質「の使用」などの「使用」のクレーム用語においても記載され得る。
本明細書において開示されるいずれの態様も、本明細書において開示される任意の他の態様と共に実行するか、またはそれと組み合わせることができ、これには、化合物に関する態様の局面を組み合わせることおよび/または置換することができ、ありとあらゆる化合物を、本明細書に記載される任意の方法の状況において実行できることが含まれる。同様に、任意の方法態様の局面を、本明細書において開示される任意の他の方法態様と組み合わせることおよび/または置換することができる。さらに、本明細書において開示されるいずれの方法も、その方法を達成するための「組成物の使用」の形態で列挙され得る。本発明の1つの態様に関して議論されたいずれの限定も、本発明の任意の他の態様に当てはまり得ることが、具体的に企図される。さらに、本発明の任意の組成物を本発明の任意の方法において用いることができ、本発明の任意の方法を用いて、本発明の任意の組成物を生成するか、または使用することができる。
以下の図面は本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の局面をさらに実証するために含めるものである。本明細書に提示された明細書態様の詳細な説明と併せてこれらの図面の1つまたは複数を参照することにより、本発明をよりよく理解することができる。
図1A〜C. ヒト好中球由来因子は、正常な健常細胞を死滅させることなく、広範囲のがん細胞を死滅させる。ヒト末梢血好中球 (PMN) を健常ドナーから単離し、それらの分泌因子を収集するために無血清DMEM中でインキュベートした(PMN培地)。(a〜b) ヒトまたはマウスのがん細胞 (a)、または健常細胞 (b) を、PMN培地または対照無血清DMEM(対照培地)と共に24時間インキュベートした。細胞生存度をカルセインAM染色によって評価した。(c) ヒトまたはマウスのがん細胞を、PMN培地または対照培地で6時間処理した。カスパーゼ3/7活性を発光活性アッセイによって調べ、細胞表面アネキシンV染色をフローサイトメトリーによって評価した。結果から、PMN培地がアポトーシスを介してがん細胞死を誘導することが示された。*、p<0.05、スチューデントのt検定。 PMN培地はパクリタキセルと協同して、がん細胞を死滅させる。MDA-MB-231細胞を、PMN培地およびパクリタキセル (100nM) で単独でまたは組み合わせて6時間処理した。細胞生存度をカルセインAM染色によって評価した。*、p<0.05、スチューデントのt検定。 図3A〜C. プロテオミクスにより、ELANEおよびECPが、PMN培地のがん細胞殺滅能力を媒介する2つの候補タンパク質として同定される。(a) 線形回帰分析(直線)により、MDA-MB-231がん細胞の死滅がPMN培地の用量と十分に相関することが示された。(b) PMN培地を0.22μmフィルターに通し、タンパク質濃度およびMDA-MB-231がん細胞に対する殺滅活性を、フィルター前溶液およびフィルター後溶液の両者において測定した。(c) プロテオミクス解析により、PMN培地中に890種類のタンパク質(≧ペプチド2個)が同定され、そのうちの2種類のみが両ドナーにおいて濾過により有意に減少した(G検定、p<0.001):好中球エラスターゼ (ELANE) および好酸球カチオン性タンパク質 (ECP)。濾過前および濾過後のPMN培地中のELANEレベルおよびECPレベルを、質量分析(スペクトルカウント)によって定量化した。 図4A〜C. ELANEとECPは協同してがん細胞を選択的に死滅させる。(a) ELANEまたはECPを、免疫沈降によりPMN培地から枯渇させ;枯渇はウェスタンブロッティングによって確認した。MDA-MB-231細胞を様々な用量の枯渇培地で4時間処理し、死滅をカルセインAMによって評価した。殺滅活性は、(添加した培地の体積 (uL) 当たりの、4時間で死滅したがん細胞の%)*100と定義された。結果から、ELANEまたはECPを枯渇させるとPMN培地中の殺滅活性が弱まることが示される。枯渇前のPMN培地 = Orig、および枯渇後のPMN培地 = FT。非特異的IgGを対照として用いた。(b) MDA-MB-231細胞またはヒト単球由来マクロファージ (HMDM) を、様々な用量の精製した天然のELANEまたはECPで24時間処理し、死滅をカルセインAM染色によって評価した。(c) MDA-MB-231細胞およびHMDMを、PMN培地中に存在するレベルのELANE (0.25μg/mL) またはECP (0.05μg/mL) で単独でまたは組み合わせて24時間処理し、死滅をカルセインAM染色によって調べた。結果から、ELANEとECPが協同してがん細胞を死滅させ、この混合物が非がん細胞に対して毒性がないことが示される。*、p<0.05、スチューデントのt検定。 図5A〜B. ELANEはPMN培地中の主要な生物活性因子であり、その抗がん機能は触媒活性を必要とする。(a) 精製した天然のELANEまたはPMN培地をPMSF (100 uM) またはα-1アンチトリプシン(A1AT;42 nM)で30分間処理し、ELANE触媒活性の消失を発色基質アッセイによって確認した。24時間の処理のためにMDA-MB-231細胞を処理することにより死滅アッセイを行い、カルセインAM染色によって評価した。(b) PMN培地中のELANE活性を発色基質活性アッセイによって測定し、PMN死滅を、様々な用量のPMN培地に4時間曝露したMDA-MB-231細胞におけるカルセインAM染色によって測定した。殺滅活性は、(添加した培地の体積 (uL) 当たりの、4時間で死滅したがん細胞の%)*100と定義された。結果から、PMN培地中のELANE触媒活性が、9名の健常ドナー由来のPMN培地のがん細胞殺滅活性と直線的に相関すること(直線)が示される。*、p<0.05、スチューデントのt検定。 ELANEは、広範囲のがん細胞を死滅させるが、正常な健常細胞は死滅させない。(a) がん細胞または健常細胞を、50 nMの精製した天然のELANEまたは対照DMEM培地 (対照) 培地で24時間処理し、細胞生存度をカルセインAM染色によって評価した。(b) がん細胞を50 nM ELANEまたは対照培地で6時間処理し、アポトーシスを、カスパーゼ3/7発光活性アッセイ、またはフローサイトメトリーによる細胞表面アネキシンV染色によって評価した。*、p<0.05、スチューデントのt検定。 図7A〜D. ECPはELANE触媒活性のII型アロステリック活性化因子である。(a) 10nM ELANEを、様々な基質濃度において漸増ECP濃度と共にインキュベートした。触媒活性を発色基質活性アッセイによって測定した。(b) 曲線をミカエリスメンテン式(直線)に当てはめることにより、Km(app) 値およびVmax(app) 値を得た。(c) Km(app) 対 ECP濃度。(d) Vmax(app) 対 ECP濃度。ELANEをヒトPMN培地から免疫沈降させ、試料を抗ELANE抗体および抗ECP抗体でプロービングした。Orig = PMN培地、Sup = フロースルー、Wash = ビーズ洗浄液、Elute = 抗ELANE抗体に結合したもの。 図8A〜C. ELANE処理はCD95免疫反応性の消失をもたらす。157〜320;C-CD95)を、ELANE (0.02μg) またはビヒクル (Veh) と共に37℃で2時間インキュベートした。分解を、SDS-PAGEとその後のクマシーブルー染色によって評価した。結果から、ELANEがCD95のC末端ドメインを優先的に切断することが示される。(b) Mel888がん細胞をELANE (50 nM) で様々な時間処理し、CD95分解を、C末端特異的抗CD95抗体を用いてウェスタンブロット解析により評価した。*、分解産物。(c) がん細胞をELANE (50 nM) で1時間処理し、10%ホルマリン中で固定し、N末端またはC末端特異的抗CD95抗体で染色した(緑色)。Hoechst 33342溶液を核染色に用いた(青色)。40×で撮像した。結果から、ELANEで処理したがん細胞は、C末端特異的CD95抗体に対する免疫反応性を失うが、N末端特異的CD95抗体に対する免疫反応性は失わないことが示される。 図9A〜B. がん細胞によるELANE取り込みが、その抗がん機能に必要である。(a) がん細胞を、広域エンドサイトーシス阻害物質ダイナソア (80uM) の存在下または非存在下においてELANE (100nM) で30分間処理した。細胞溶解物中のELANE触媒活性を、発色基質アッセイによって評価した。(b) がん細胞を、ダイナソア (80uM) の存在下または非存在下においてELANE (30nM) で6時間処理した。細胞生存度をカルセインAM染色によって調べた。*、p<0.05、スチューデントのt検定。 図10A〜D. ELANEは、がん細胞において頑強な殺滅プログラムを誘導する。(a) がん細胞をELANE (50 nM) で4時間処理し、リン酸化型および全体のERK、NFkB、JNKをウェスタンブロッティングにより定量化した。E0771がん細胞についての免疫ブロットを一例として示す。(b) がん細胞を様々な用量のELANEで1時間処理し、ミトコンドリアROSを、CM-H2DCFDA色素を用いてフローサイトメトリーにより測定した。(c) がん細胞をELANE (50 nM) で処理し、DNA損傷を、ホスホ-H2AX (γH2AX) および全H2AXに関する免疫ブロッティングによって評価した。A549がん細胞についての免疫ブロットを一例として示す。(d) 細胞をELANE (50 nM) で8時間処理し、全長および切断型CASP3 (c-CASP3) ならびに切断型PARP (c-PARP) を免疫ブロッティングにより定量化した。LLC1がん細胞についての免疫ブロットを一例として示す。*、p<0.05、スチューデントのt検定。 図11A〜C. ELANEは、健常な非がん細胞において頑強な殺滅プログラムを誘導しない。(a) 健常な非がん細胞をELANE (50 nM) で4時間処理し、リン酸化型および全体のERK、NFkB、JNKを免疫ブロッティングにより定量化した。BMDMについての免疫ブロットを一例として示す。(b) 細胞を様々な用量のELANEで1時間処理し、ミトコンドリアROSを、CM-H2DCFDA色素を用いてフローサイトメトリーにより測定した。(c) 細胞をELANE (50 nM) で8時間処理し、全長および切断型CASP3 (c-CASP3) ならびに切断型PARP (c-PARP) を免疫ブロッティングにより定量化した。BMDMについての免疫ブロットを一例として示す。 図12A〜B. CD95を切断する能力は、プロテアーゼのがん細胞殺滅能力を予測する。(a) 全長組換えCD95タンパク質を、様々なセリンプロテアーゼ(ヒトELANE (80nM)、PR3 (80nM)、CSTG (80nM)、PPE (80nM)、マウスELANE (80nM)、RPE (500nM)、GZMB (80nM)、もしくはトリプシン (250nM))、または他のタイプのプロテアーゼ(CTSC (80nM);もしくは表示されていないMMP7 (80nM)、MMP9 (80nM)、CTSD (80nM))と共に37℃で2時間インキュベートした。分解を、SDS-PAGEとその後のクマシーブルー染色によって評価した。(b) MDA-MB-231がん細胞を様々なプロテアーゼと共に24時間インキュベートした。細胞生存度をカルセインAM染色によって評価した。PPE:ブタ膵エラスターゼ。RPE:ラット膵エラスターゼ。 図13A〜C. ブタ膵エラスターゼ (PPE) とELANEは、がん細胞に対して同等に毒性があるが、PPEは、セリンプロテアーゼ阻害物質による阻害に対してより抵抗性である。(a) MDA-MB-231がん細胞を様々な用量の精製した天然ELANEまたは精製した天然ブタ膵エラスターゼ (PPE) で6時間処理し、死滅をカルセインAM染色によって評価した。(b) 精製した天然ELANEまたは精製した天然PPEを、異なる濃度のα-1アンチトリプシン (A1AT) と共に15分間インキュベートした。触媒活性を、発色基質アッセイを用いて測定した。MDA-MB-231がん細胞を、A1ATの存在下または非存在下においてELANEまたはPPEで6時間処理し、続いてカルセインAM染色することにより、がん細胞殺滅能力を決定した。(c) 触媒活性を、発色基質アッセイを用いて測定した。MDA-MB-231がん細胞をFBSの存在下または非存在下においてELANEまたはPPEで6時間処理し、続いてカルセインAM染色することにより、がん細胞殺滅能力を決定した。 図14A〜B. 触媒的に活性のあるELANEは、腫瘍成長を減弱する。(a) ELANE、または1mM PMSFによる処理によって不活性化されたELANE (PMSF-ELANE) の触媒活性を、発色基質により決定した。(b) E0771、B16F10、またはLLC1がん細胞をC57BL/6マウスに注射した。腫瘍がほぼ100 mm3に達した時点で、ヒト血清アルブミン(HSA、11.6 ug)、ELANE (11.6 ug)、またはPMSF-ELANE (11.6 ug) を、1回/日で5日間、腫瘍内に送達した。腫瘍体積をノギスによって評価した。結果から、活性ELANEが腫瘍成長を遅らせるのに対して、PMSF-ELANEは腫瘍成長に対して効果がないことが示される。 図15A〜B. 腫瘍内に送達されたELANEは、多くのがんモデルにおいて腫瘍成長を減弱する。MDA-MB-231、A549、またはMEL888細胞(異種移植モデル)を胸腺欠損ヌードマウスに注射し;M1または4195腫瘍(TNBC PDXモデル)をSCIDマウスにおいて増殖させ;かつE0771、LLC1、またはB16F10細胞(同系モデル)をC57BL/6マウスに注射した。腫瘍がほぼ100 mm3に達した時点で、ELANE (11.6 ug) またはPMSF-ELANE (11.6 ug) を、1回/日で5日間、腫瘍内に送達した。n = マウス8〜15匹/群。腫瘍体積をノギスによって評価した (a)。カプラン・マイヤー曲線をプロットし、ログランク検定(メンテル・コックス (Mentel-Cox) 法)をマウス生存分析に用いた (b)。0日目は最初の処置日を指す。生存の終点は、腫瘍体積>1000 mm3 と定義される。 図16A〜B. 腫瘍内に送達されたELANEは、がん細胞アポトーシスを誘導する。(a) MDA-MB-231、A549、またはMEL888(異種移植モデル)細胞を胸腺欠損ヌードマウスに注射し;M1または4195腫瘍(TNBC PDXモデル)をSCIDマウスにおいて増殖させ;かつE0771、LLC1、またはB16F10細胞(同系モデル)をC57BL/6マウスに注射した。腫瘍がほぼ100mm3に達した時点で、ELANE (11.6 ug) またはPMSF-ELANE (11.6 ug) を、1回/日で5日間、腫瘍内に送達した。6日目に腫瘍を単離して、ホルマリン固定し、TUNEL、切断型PARP (cPARP)、および切断型CASP3 (cCASP3) に関する免疫組織化学または免疫蛍光染色によって調べた。40×で撮像した。(B) 腫瘍切片をN末端 (N-CD95) およびC末端 (C-CD95) 特異的抗CD95抗体で染色し、続いて二次抗体で染色した(C-CD95およびN-CD95に関してそれぞれAlex fluor 488および594)。3〜4領域/マウスにおいて、蛍光強度の定量化を行った。結果から、ELANE処置がインビボにおいてC-CD95レベルを減弱することが示される。*、p<0.05、スチューデントのt検定。 腫瘍内に送達されたELANEは、腫瘍の免疫細胞を増加させる。E0771、B16F10、またはLLC1がん細胞をC57BL/6マウスに注射した。腫瘍がほぼ100 mm3に達した時点で、ELANE (11.6μg) またはPMSF-ELANE (11.6μg) を、1回/日で5日間、腫瘍内に送達した。6日目に腫瘍を単離し、フローサイトメトリーによる免疫細胞解析のために消化した。CD45+細胞は全免疫細胞である;マクロファージ (Mac) はCD45+CD11b+CD11clowMHCIIlowと定義され、好中球 (Neu) はCD45+CD11b+Ly6G+と定義され、樹状細胞 (DC) はCD45+CD11b+CD11chighMHCIIhighと定義され、B細胞 (B) はCD45+B220+と定義され、NK細胞 (NK) はCD45+NK1.1+CD16+と定義され、CD4+ T細胞 (CD4T) はCD3+CD4+CD8-と定義され、CD8+ T細胞 (CD8T) はCD3+CD8+CD4-と定義され、CD8エフェクターT細胞(CD8Teff;エフェクターメモリーを含む)はCD3+CD8+CD4-CD62LlowおよびhighCD44+と定義される。*、p<0.05、スチューデントのt検定。 適応免疫細胞はELANEの治療有効性に寄与する。C57BL/6バックグラウンドのRag2欠損 (Rag2-/-) マウス(適応免疫なし)および野性型 (wt) C57BL/6マウスに、E0771がん細胞を注射した。腫瘍がほぼ100mm3に達した時点で、ELANE (11.6μg) またはHSA (11.6μg) を、1回/日で5日間、腫瘍内に送達した。(a) 腫瘍体積をノギスによって評価した。(B) カプラン・マイヤー曲線をプロットし、ログランク検定(メンテル・コックス法)を生存分析に用いた。生存の終点は、腫瘍体積>1000mm3 と定義される。 図19A〜B. 腫瘍内に送達されたELANEはアブスコパル効果を誘導する。(a) E0771がん細胞を、C57BL/6マウスの左側(細胞50万個)および右側(細胞40万個)の乳房脂肪体に注射した。左側の腫瘍がほぼ100 mm3に達した時点で、ELANE (11.6μg) またはPMSF不活性化ELANE (PMSF-ELANE) を、1回/日で5日間、左側腫瘍の腫瘍内に注射した。n = マウス10匹/群。右側の腫瘍(アブスコパル側)には、何の行為も行わなかった。両側の腫瘍体積をノギスによって測定した。(B) アブスコパル効果が、左側腫瘍から右側腫瘍へのELANEのスピルオーバーが原因であったという可能性を排除するために、E0771がん細胞をC57BL/6マウスの左側乳房脂肪体にのみ注射し、マウスを、右側乳房脂肪体へのELANE (11.6μg) またはPMSF-ELANEで毎日処置した。腫瘍体積をノギスによって測定した。結果から、ELANEは、反対側の(非腫瘍保有)乳房脂肪体に注射される場合に、腫瘍成長を低減しないことが示される。 腫瘍内に送達されたELANEは、TNBCのマウスモデルにおいて抗PDL1有効性を可能にする。E0771がん細胞をC57BL/6マウスに注射した。腫瘍がほぼ100 mm3に達した時点で、マウスを無作為に4群に分けた;ELANE (11.6μg)、PMSF不活性化ELANE (PMSF-ELANE)、抗PD-L1(BioXCell、10F.9G2、100μg)、およびELANE (11.6μg) + 抗PD-L1 (100μg)。n = マウス8〜9匹/群。抗PD-L1モノクローナル抗体は、腫瘍接種後の10、14、18、および22日目に腹腔内注射した。ELANEまたはPMSF-ELANEは、腫瘍が〜80 mm3に達した時点で(がん細胞注射の約14日後に)、腫瘍内に送達した。腫瘍体積をノギスによって測定した。カプラン・マイヤー曲線をプロットし、ログランク検定(メンテル・コックス法)をマウス生存分析に用いた。生存の終点は、腫瘍体積>1000mm3 と定義される。*、p<0.05、スチューデントのt検定。 図21A〜D. ELANEは明らかな毒性を生じない。ヒト血清アルブミン(HSA;11.6μg)またはELANE (11.6μg) を、健常な非腫瘍保有C57BL/6マウスの乳房脂肪体に、1日に1回連続5日間注射し、副作用をモニターした。(a) 最終注射の2日後の、アポトーシスマーカー(TUNEL、切断型CASP3 (c-CASP3)、切断型PARP (c-PARP))に関する免疫組織化学染色。(b) Δ体重。(c) 脾臓重量。(c) 血中ALT活性レベル(肝機能のマーカー)。
説明
好中球は、最も多量に存在する免疫細胞集団であり、全白血球の50〜70%を占める。約1011個の好中球/日が生成され、がんを有する対象では生成が増加する。腫瘍を有する宿主における好中球は、腫瘍進行に対抗し得るか、または腫瘍進行を増強し得る。腫瘍は、骨髄からの好中球放出を促進し、結果として未成熟な好中球を放出させ得る分子を放出することが公知である。これらの好中球は炎症部位において分化し得るか、または腫瘍は、未熟な好中球が、通常では行わない機能を行うように刺激する。通常、ヒトでは好中球の半減期は7時間であるが、腫瘍において、腫瘍関連サイトカインはその半減期を17時間まで延ばす。好中球極性化は、特異的な腫瘍由来因子に応じて、多岐にわたる表現型を引き起こす。ある因子は腫瘍および転移促進プログラムを活性化し、他の因子は好中球の腫瘍形成促進表現型の負の調節因子として働く。腫瘍が拡大し発達するにつれて、細胞傷害性好中球は腫瘍促進細胞に変換されるため、サイトカイン濃度および腫瘍生理(低酸素など)が好中球極性化において役割を果たす可能性がある。
好中球由来エラスターゼおよび好中球の免疫抑制能は、腫瘍開始に関係づけられている。好中球ががん促進性であるのかまたは抗腫瘍性であるのかは、不確かである。文献は、好中球の腫瘍促進性の役割を指し示す傾向がある。エラスターゼ、プロキネチシン2(PROK2、BV8としても公知である)、およびMMP9を含むいくつかの分裂促進分子および血管新生促進分子は、好中球駆動性の腫瘍成長に関係づけられている。
好中球は血管新生の強力なエフェクターであり、またがん細胞を内皮細胞に誘引して循環中への血管内異物侵入を促進し得る。原発部位における腫瘍拡大の興味深い結果は、播種性がん細胞が到達する前に内臓器官において好中球が蓄積することである。
他の局面において、本発明者らは、CD95分解をELANEががん細胞を死滅させる作用機序であると同定し、広範囲のプロテアーゼがELANEのCD95分解特性およびがん細胞殺滅特性を模倣し得ることをさらに示す。本発明の局面は、一部には以下の知見に基づいている。ELANEまたは好中球馴化培地を、2種類の不可逆的な非競合的ELANE阻害物質であるα-1アンチトリプシンまたはPMSFで処理すると、がん細胞がアポトーシスから保護される。ELANEをECPと共にインキュベートすると、その酵素活性が増加する。本発明者らは、ECPが、KMを変更することなくその基質に対するkcatを12倍増加させる、ELANEの2型アロステリック活性化因子として作用することを示した。これらの研究から、ECPがELANEと非常に強い親和性(KD 約20 nM)で結合することもまた決定された。ELANEは、精製CD95のC末端ドメインを分解する。重要なことには、この切断パターンはMMP7によって生じるものとは異なり、MMP7は、CD95の細胞外N末端ドメインを切断し、FASL媒介性アポトーシスからがん細胞を保護することが以前に示された (Strand et al., Oncogene, 2004)。がん細胞をELANEと共にインキュベートすると、細胞表面からCD95が消失する。フローサイトメトリー実験により、CD95の低いがん細胞が、高いアネキシンVおよびヨウ化プロピジウム染色を含む細胞死の2種類のマーカーについて正に染色されることが示された。CTSG、PRTN3、および他の種由来のELANE(マウス好中球エラスターゼまたはブタ膵エラスターゼ)を含む他のセリンプロテアーゼは、ELANEと同一の分解パターンで精製CD95を切断し、これらのプロテアーゼもまたがん細胞を死滅させた。
これらのプロテアーゼがCD95を切断する効率は、それらががん細胞を死滅させる能力と十分に相関した。したがって、分解に関してCD95を標的にすることは、上記のFASLおよびsiRNA/shRNAアプローチに勝る3つの重要な利点をもたらす。第一に、FASLで報告された耐性とは異なり、本発明者らは、がん細胞はインビトロおよびインビボにおいてこの分解経路に対して耐性を持つことができないことを示した。第二に、本発明者らは、複数のマウスがんモデルにおける精製ELANE(またはELANEおよびECP)の腫瘍内送達が、CD95分解経路を用いて広範なアポトーシスを誘導することを示した。これらの知見から、治療用タンパク質が、siRNA/shRNAアプローチに関して報告された送達および不安定性の問題を抱えることがないことが示唆される。第三に、本発明者らは、治療用タンパク質が、T細胞を含む非がん細胞に対して毒性がないことを示した。ヒト血液T細胞をこれらのELANE(またはELANEおよびECP)で処理すると、インビトロにおいてアポトーシスは誘導されなかった。さらに、がんを有するまたは有さないマウスにこれらのタンパク質を注射したところ、T細胞は枯渇しなかった。したがって、siRNA/shRNAアプローチとは異なり、本明細書に記載される治療用タンパク質は、T細胞を枯渇させることも、抗腫瘍免疫を抑制することもない。実際に、腫瘍瘍保有マウスをELANEで処置した場合、腫瘍および脾臓のT細胞数は上昇した。非腫瘍保有マウスにELANEを注射しても同様の効果は起こらなかったため、これらの増加は腫瘍保有マウスに特異的であった。これらの知見から、ELANEによって誘導されるがん細胞アポトーシスが強力な抗腫瘍適応免疫応答を誘発したことが示される。第四に、FASLアプローチとは異なり、治療用組成物はインビボにおいて肝毒性を誘導しない。
I. 組成物
A. 好中球分泌因子
本発明者らは、非がん細胞の生存能に有意に影響を及ぼすことなく、広範囲のがん細胞を死滅させる能力を有する好中球分泌因子を発見した。2種類の好中球殺滅因子が本発明者らによって同定された:(1) 好酸球カチオン性タンパク質 (ECP)、および (2) 好中球エラスターゼ (ELANE)。本発明者らは、これらの成分が互いに補完するまたは協同するというさらなる証拠を有する。特定の態様において、ELANEおよび/またはECPは、単独でまたは互いに組み合わせて効果的である。ある特定の態様は、本明細書に記載される、変種を含めた一方または両方のポリペプチドを含む組成物に指向している。
これらの因子は、(a) 健常ドナーから血液を採取し、(b) 末梢血好中球を単離し、好中球分泌因子を得るための方法を開発し、(c) 96ウェルプレート形式でがん細胞死を定量化するための方法を開発し、(d) 好中球馴化培地をフィルターおよびカラムを用いて分画するための方法を開発し、(e) 好中球馴化培地およびカラムからの画分をプロテオミクス解析するための方法を開発し、(f) 好中球馴化培地から関心対象の特異的タンパク質を枯渇させ、がん細胞の殺滅に及ぼす効果を試験するための方法を開発し、(g) 精製組換えタンパク質を用いて知見を確認し、(h) 抗がん効果についてタンパク質の組み合わせを最適化することによって、同定された。
1. 好酸球カチオン性タンパク質 (ECP)
好酸球カチオン性タンパク質 (ECP) は、リボヌクレアーゼ3としても公知であり、好酸球一次マトリックス中に位置する塩基性タンパク質である(タンパク質アクセッション番号NP_002926、SEQ ID NO:1)。ECPタンパク質は、好酸球の脱顆粒中に放出される。ECPには3つのグリコシル化型が存在し、その結果としてECPは18〜22 kDaの範囲の分子量を有する。ECPは、セリンプロテアーゼの活性化を増加させるために用いることができ、種々のセリンプロテアーゼと組み合わせて用いることができる。
ECPは、T細胞増殖応答およびB細胞による免疫グロブリン合成の抑制、肥満細胞の脱顆粒、線維芽細胞活性の調節、気道粘膜分泌の誘導、ならびに凝固系および補体系との相互作用を含む、多くの生物学的活性を有する。ECPはまた、細菌、寄生虫、ウイルス、呼吸上皮、およびがん細胞に対する細胞毒性活性を示す。ECPの作用機序は、細胞膜に孔を形成し、リン脂質二重層の不安定化および浸透圧性細胞溶解を結果として生じるその細胞毒性能を介して媒介される。
2. 好中球エラスターゼ (ELANE)
好中球エラスターゼは、キモトリプシンと同じファミリー内のセリンプロテイナーゼであり、幅広い基質特異性を有する(タンパク質アクセッション番号NP_001963、SEQ ID NO:2)。本タンパク質は炎症時に好中球およびマクロファージによって分泌され、細菌および宿主組織を破壊する。これはまた、セリンプロテアーゼにとって珍しい特性であるDNAに対するその高い親和性によって、好中球細胞外トラップ (NET) にも局在化する。他のセリンプロテイナーゼと同様に、これは、ポリペプチドの一次配列にわたって分散しており、折り畳みタンパク質の三次元立体構造において集まるヒスチジン、アスパラギン酸、およびセリン残基の触媒三残基から構成される電荷リレー系を含む。好中球エラスターゼは、グランザイムおよびカテプシンGなどの他の細胞傷害性免疫セリンプロテアーゼと密接に関係している。好中球型のエラスターゼは218アミノ酸長であり、アスパラギンに結合した2つの炭化水素鎖を有する。これは好中球細胞質のアズール顆粒中に存在する。
ELANEは生理的条件下で幅広い基質特異性を有し、過剰なELANEは、エラスチンのみならず他の細胞外マトリックスタンパク質の消化も引き起こす。腫瘍組織における免疫反応性NEの量は、乳がん患者および肺がん患者の独立した予後指標である。特異的ELANE阻害物質(例えば、シベレスタットおよびエラフィン)は、重症複合免疫不全マウスに移植されたがん細胞の成長を抑制することが示され、このことは、活性化好中球から放出されたELANEががん細胞の成長および進行を刺激することを意味し、これによって、ELANEの触媒活性がその腫瘍形成促進機能に必要であることが示唆された。対照的に、本発明者らは、ELANEが強力ながん細胞殺滅能力を有することを見出した。
B. プロテアーゼ組成物
本発明者らは、非がん細胞の生存能に有意に影響を及ぼすことなく、広範囲のがん細胞を死滅させる能力を有する様々なプロテアーゼを発見した。そのようなプロテアーゼには、(1) カテプシンG (CTSG)、(2) プロテイナーゼ3 (PRTN3)、(3) マウス好中球エラスターゼ (mELANE)、(4) マウス膵エラスターゼ (mELA1)、(5) ブタ膵エラスターゼ (pELA1)、(6) ラット膵エラスターゼ (rELA1/RPE)、および (7) ヒト好中球エラスターゼ (ELANE) が含まれる。
1. カテプシンG (CTSG)
カテプシンG (CTSG) は、ペプチダーゼS1タンパク質ファミリーのメンバーであり、好中球多形核白血球のアズール顆粒中に見出される。このプロテアーゼは、キモトリプシンCの特異性と類似した特異性を有し、貪食された病原体の死滅および消化、ならびに炎症部位における結合組織リモデリングに関与し得る。GenPeptアクセッション番号NP_001902.1は、ヒトのカテプシンGプレプロタンパク質 (SEQ ID NO:3) を記載している。ある特定の局面において、CTSGポリペプチドまたはその変種は、SEQ ID NO:3の、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または255個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、96、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。そのセグメントは、CD95を分解し、かつ/またはがん細胞死を誘導する能力を維持する機能的セグメントである。特定の局面において、CTSGポリペプチドは、SEQ ID NO:3のアミノ酸21〜241(トリプシン様プロテアーゼドメイン)を含み得る。なおさらなる局面において、CTSGポリペプチドは、アミノ酸側鎖の化学修飾(例えば、架橋、グリコシル化等)によって、または該ペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端において異種ペプチド配列を含めることによって、改変され得る。
2. プロテイナーゼ3 (PRTN3)
プロテイナーゼ3 (PRTN3) は、主に好中性顆粒球において発現されるセリンプロテアーゼ酵素である。好中球の機能におけるその正確な役割は不明であるが、ヒト好中球において、プロテイナーゼ3は、タンパク質分解による抗菌ペプチドの生成に寄与する。これはまた、多発血管炎性肉芽腫症(以前は「ウェゲナー肉芽腫症」として知られていた)において頻繁に見出されるタイプの抗体である、c-ANCA(細胞質サブタイプ)クラスの抗好中球細胞質抗体 (ANCA)の標的でもある。GenPeptアクセッション番号NP_002768.3は、ヒトのPRTN3 (SEQ ID NO:4) を記載している。ある特定の局面において、PRNT3ポリペプチドまたはその変種は、SEQ ID NO:4の、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または256個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、96、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。そのセグメントは、CD95を分解し、かつ/またはがん細胞死を誘導する能力を維持する機能的セグメントである。特定の局面において、PRNT3ポリペプチドは、SEQ ID NO:4のアミノ酸28〜246(トリプシン様プロテアーゼドメイン)を含み得る。なおさらなる局面において、PRNT3ポリペプチドは、アミノ酸側鎖の化学修飾(例えば、架橋、グリコシル化等)によって、または該ペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端において異種ペプチド配列を含めることによって、改変され得る。
3. 好中球エラスターゼ (ELANE)
好中球エラスターゼ (ELANE) は、キモトリプシンと同じファミリー内のセリンプロテイナーゼであり、幅広い基質特異性を有する(タンパク質アクセッション番号NP_001963、SEQ ID NO:2)。本タンパク質は炎症時に好中球およびマクロファージによって分泌され、細菌および宿主組織を破壊する。これはまた、セリンプロテアーゼにとって珍しい特性であるDNAに対するその高い親和性によって、好中球細胞外トラップ (NET) にも局在化する。他のセリンプロテイナーゼと同様に、これは、ポリペプチドの一次配列にわたって分散しており、折り畳みタンパク質の三次元立体構造において集まるヒスチジン、アスパラギン酸、およびセリン残基の触媒三残基から構成される電荷リレー系を含む。好中球エラスターゼは、グランザイムおよびカテプシンGなどの他の細胞傷害性免疫セリンプロテアーゼと密接に関係している。好中球型のエラスターゼは218アミノ酸長であり、アスパラギンに結合した2つの炭化水素鎖を有する。これは好中球細胞質のアズール顆粒中に存在する。
ELANEは生理的条件下で幅広い基質特異性を有し、過剰なELANEは、エラスチンのみならず他の細胞外マトリックスタンパク質の消化も引き起こす。腫瘍組織における免疫反応性ELANEの量は、乳がん患者および肺がん患者の独立した予後指標である。特異的ELANE阻害物質(例えば、シベレスタットおよびエラフィン)は、重症複合免疫不全マウスに移植されたがん細胞の成長を抑制することが示され、これによって、好中球由来ELANEが腫瘍形成を促進することが示唆された。しかしながら、本発明者らは、マウス好中球(骨髄、腹腔、または肺から単離された)はELANEを放出するものの、このELANEが触媒的に不活性であることを示した。さらに、これらのマウス好中球から収集された馴化培地は、インビトロでがん細胞を死滅させることができなかった。したがって、マウスにおいて観察されたシベレスタットおよびエラフィンの抗がん機能が、好中球由来ELANEの触媒活性を阻害する能力によって媒介された可能性は低い。
ある特定の局面において、ヒト好中球エラスターゼ (ELANE) またはその変種は、SEQ ID NO:2に対して、50、75、100、125、150、175、200、225、250、または260個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、69、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。他の局面は、SEQ ID NO:2に対して90、92、94、69、98、99から100%同一であるELANEポリペプチドまたは該ELANEの50、75、100、125、150、175、200、225、250、もしくは260個の連続したアミノ酸を有するその変種(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)に指向している。好ましくは、そのセグメントは、がん細胞に対する細胞毒性を維持する機能的セグメントである。なおさらなる局面において、ELANEポリペプチドは、アミノ酸側鎖の化学修飾(例えば、架橋、グリコシル化等)によって、または該ペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端において異種ペプチド配列を含めることによって、改変され得る。ある特定の局面において、ELANEポリペプチドはグリコシル化される。
ある特定の局面においては、SEQ ID NO:5(GenPeptアクセッション番号NP_056594.2)に対して、50、75、100、125、150、175、200、225、250、または260個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、69、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有するマウス好中球エラスターゼ (mELANE) またはその変種が使用され得る。他の局面は、SEQ ID NO:5に対して90、92、94、69、98、99から100%同一であるmELANEポリペプチドまたは該mELANEの50、75、100、125、150、175、200、225、250、もしくは265個の連続したアミノ酸を有するその変種(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)に指向している。そのセグメントは、CD95を分解し、がん細胞死を誘導する能力を維持する機能的セグメントである。特定の局面において、mELANEポリペプチドは、SEQ ID NO:5のアミノ酸29〜245(トリプシン様プロテアーゼドメイン)を含み得る。
ある特定の局面においては、SEQ ID NO:6(GenBankアクセッション番号xp_005655631またはSP P0072)に対して、50、75、100、125、150、175、200、225、250、260、270、280、290から297個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、69、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有するブタ膵エラスターゼ (pELA1) またはその変種が使用され得る。他の局面は、SEQ ID NO:6に対して90、92、94、69、98、99から100%同一であるpELA1ポリペプチドまたは該pELA1の50、75、100、125、150、175、200、225、250、もしくは265個の連続したアミノ酸を有するその変種(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)に指向している。そのセグメントは、CD95を分解し、がん細胞死を誘導する能力を維持する機能的セグメントである。特定の局面において、pELA1ポリペプチドは、SEQ ID NO:6のアミノ酸67〜302(トリプシン様プロテアーゼドメイン)を含み得る。
ある特定の局面においては、マウス膵エラスターゼ (mELA1) またはその変種が使用され得、これは、
Figure 2020524141
(GenPeptアクセッション番号NP_291090.2)に対して、50、75、100、125、150、175、200、225、250、260、270、280、290から297個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、69、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。他の局面は、SEQ ID NO:7に対して90、92、94、69、98、99から100%同一であるmELA1ポリペプチドまたは該mELA1の50、75、100、125、150、175、200、225、250、もしくは265個の連続したアミノ酸を有するその変種(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)に指向している。該ポリペプチドの断片またはセグメントは、アミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、または261から開始しかつアミノ酸6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、または266で終了する、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または260個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含み得る。該セグメントは、CD95を分解し、がん細胞死を誘導する能力を維持する機能的セグメントである。特定の局面において、mELA1ポリペプチドは、SEQ ID NO:7のアミノ酸26〜258(トリプシン様プロテアーゼドメイン)を含み得る。
ある特定の局面においては、ラット膵エラスターゼ (rELA1/RPE) またはその変種が使用され得、これは、
Figure 2020524141
(GenPeptアクセッション番号NP_036684.1)に対して、50、75、100、125、150、175、200、225、250、260から266個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)にわたって、90、92、94、69、98、99から100%同一(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)であるアミノ酸配列を有する。他の局面は、SEQ ID NO:8に対して90、92、94、69、98、99から100%同一であるrELA1ポリペプチドまたは該rELA1の50、75、100、125、150、175、200、225、250、もしくは265個の連続したアミノ酸を有するその変種(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)に指向している。該ポリペプチドの断片またはセグメントは、アミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、または264から開始しかつアミノ酸6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、または269で終了する、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または260個の連続したアミノ酸(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含み得る。該セグメントは、CD95を分解し、がん細胞死を誘導する能力を維持する機能的セグメントである。特定の局面において、rELA1ポリペプチドは、SEQ ID NO:のアミノ酸26〜258(トリプシン様プロテアーゼドメイン)を含み得る。
C. ポリペプチド組成物および製剤
「ポリペプチド」は、ペプチド結合または修飾型ペプチド結合によって連結されたアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質を指す。「ポリペプチド」は、ペプチド、オリゴペプチド、またはオリゴマーを含む短い鎖、およびタンパク質を含むより長い鎖を指す。ポリペプチドは、遺伝子によってコードされる20種類のアミノ酸以外のアミノ酸を含み得る。「ポリペプチド」には、翻訳後プロセシングなどの天然の過程、または当技術分野で周知の化学修飾技術もしくは他の合成技術のいずれかによって改変されたアミノ酸配列が含まれる。改変は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシ末端を含む、ポリペプチドのいずれの位置においても起こり得る。所与のペプチド内のいくつかの部位において、同じタイプの改変が同程度または様々な程度で存在し得ることが理解されよう。また、所与のポリペプチドは多くのタイプの改変を含んでもよい。改変には、末端融合(N末端および/またはC末端)、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトール (phosphotidylinositol) の共有結合、架橋、環状化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有結合による架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などの転移RNAを介したタンパク質へのアミノ酸の付加、ならびにユビキチン化が含まれる。
ポリペプチドおよびその変種に付着させることができる、多種多様な検出可能な標識が存在する。細胞外検出および細胞内検出の両方のためのフローサイトメトリー適用に関して、一般的な有用なフルオロフォアは、フルオレセインイソチオシアネート (FITC)、アロフィコシアニン (APC)、R-フィコエリトリン (PE) 、ペリジニンクロロフィルタンパク質(PerCP)、テキサスレッド、Cy3、Cy5、蛍光共鳴エネルギータンデムフルオロフォア、例えばPerCPCy5.5、PE-Cy5、PE-Cy5.5、PE-Cy7、PE-テキサスレッド、およびAPC-Cy7などであってよい。他のフルオロフォアには、とりわけ、Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa 25 Fluor(登録商標)532、Alexa Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Alexa Fluor(登録商標)647(Molecular Probes, Inc.、Eugene, OR, USAから入手可能なモノクローナル抗体標識キット)、BODIPY色素、例えばBODIPY 493/503、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY TR、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665など、カスケードブルー、カスケードイエロー、ダンシル、リサミンローダミンB、マリナブルー、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン、テキサスレッド(Molecular Probes, Inc.、Eugene, OR, USAから入手可能)、およびCy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7が含まれる。標識アビジン、ストレプトアビジン、カプタビジン、またはニュートラビジンを用いた二次検出のためには、ポリペプチドをビオチンで標識することが有用であり得る。ポリペプチドは、33P、32P、35S、3H、および125Iなどの放射性同位体で標識することができる。別の例として、ポリペプチドが標的放射線療法のために使用され得る場合には、標識は、3H、228Th、227Ac、225Ac、223Ra、213Bi、212Pb、212Bi、211At、203Pb、194Os、188Re、186Re、153Sm、149Tb、131I、125I、111In、105Rh、99mTc、97Ru、90Y、90Sr、88Y、72Se、67Cu、または47Scであってよい。
「単離された」という用語は、その元の供給源の細胞物質、細菌物質、ウイルス物質、もしくは培養液(組換えDNA技術によって生成される場合)、または化学的前駆体もしくは他の化学物質(化学的に合成される場合)を実質的に含んでいない核酸またはポリペプチドを指し得る。さらに、単離されたポリペプチドは、単離されたポリペプチドとして対象に投与され得るものを指し;言い換えれば、ポリペプチドは、カラムに付着しているかまたはゲル中に包埋されている場合には、「単離された」とは単純に見なされ得ない。さらに、「単離された核酸断片」または「単離されたペプチド」は、断片として天然には存在していない、かつ/または典型的には機能的な状態にない核酸またはタンパク質断片である。
「アミノ酸」または「残基」という用語は、アミノ基 (NH2)、カルボン酸基 (COOH)、および様々な側基のいずれかを含み、基本式NH2CHRCOOHを有し、かつペプチド結合によって共に連結してタンパク質を形成する、化合物を意味すると理解されるべきである。アミノ酸は、例えば、酸性、塩基性、芳香族、極性、または誘導体であってよい。非標準アミノ酸は、「ノンカノニカルアミノ酸」と称される場合もある。アミノ酸は、天然にはα型およびL型で見出されるが、β型およびD型アミノ酸を調製することもできる。
天然に存在するペプチドおよびタンパク質に一般的に組み込まれる20種類の「カノニカル」アミノ酸残基の同一性を指定するために、1文字略号系がしばし適用され、これらの指定は当技術分野において周知である。そのような1文字略号は、3文字略号または省略されていないアミノ酸名と意味の上で完全に互換可能である。カノニカルアミノ酸およびそれらの3文字および1文字コードには、アラニン (Ala) A、グルタミン (Gln) Q、ロイシン (Leu) L、セリン (Ser) S、アルギニン (Arg) R、グルタミン酸 (Glu) E、リジン (Lys) K、スレオニン (Thr) T、アスパラギン (Asn) N、グリシン (Gly) G、メチオニン (Met) M、トリプトファン (Trp) W、アスパラギン酸 (Asp) D、ヒスチジン (His) H、フェニルアラニン (Phe) F、チロシン (Tyr) Y、システイン (Cys) C、イソロイシン (Ile) I、プロリン (Pro) P、およびバリン (Val) Vが含まれる。
ある特定の態様はまた、本明細書に記載されるポリペプチドの変種を含む。開示されたポリペプチドの変種は、該ポリペプチド配列内でアミノ酸付加もしくは挿入、アミノ酸欠失、アミノ酸置換、および/またはアミノ酸残基の化学的誘導体化を行うことによって作製することができる。望ましいアミノ酸置換(保存的であるか非保存的であるかに関わらない)は、ポリペプチドの効力を維持または増強しながら安定性を向上させるための、本明細書に提供される指針に従って、当業者によって決定され得る。ある特定の態様において、保存的アミノ酸置換は、生体系における合成によるのではなく、化学的ペプチド合成によって典型的に組み込まれる非天然アミノ酸残基を包含し得る。
保存的改変は、そのような改変が行われるペプチドと同様の機能的、物理的、および化学的特徴を有するペプチドをもたらし得る。対照的に、ペプチドの機能的および/または化学的特徴の実質的改変は、(a) 例えばαヘリックス立体構造としての、置換領域内の分子骨格の構造、(b) 標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または (c) 分子のサイズ、の維持に及ぼす作用が有意に異なる、アミノ酸配列内の置換を選択することによって達成され得る。例えば、「保存的アミノ酸置換」は、その位置のアミノ酸残基の極性または電荷にほとんどまたは全く影響のないように、天然アミノ酸残基を非天然残基で置換することを伴い得る。
本明細書において開示されるポリペプチドの作製、または標的細胞もしくは組織における、本明細書において開示されるポリペプチドの発現には、組換えDNAおよび/もしくはRNAを介したタンパク質発現ならびにタンパク質工学技術、またはペプチド調製の任意の他の方法が適用可能である。「組換え」という用語は、物質(例えば、核酸またはポリペプチド)が人間の介入により人工的または合成的に(すなわち、非自然的に)改変されていることを意味すると理解されるべきである。改変は、その自然環境もしくは自然状態にある、またはそこから取り出された物質に対して行うことができる。例えば、「組換え核酸」は、例えばクローニング、DNAシャッフリング、または他の周知の分子生物学的手法の間に、核酸を組み換えることによって作製されるものである。そのような分子生物学的手法の例は、Maniatis et al., Molecular Cloning. A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y., 1982において見出される。「組換えDNA分子」は、そのような分子生物学的技術を用いて共に連結されたDNAのセグメントからなる。本明細書で用いられる「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」という用語は、組換えDNA分子を用いて発現されるタンパク質分子を指す。「組換え宿主細胞」は、組換え核酸を含むおよび/または発現する細胞である。
前記ポリペプチドは、当業者に公知の方法に従って、形質転換宿主細胞内で作製することができる。簡潔に説明すると、ペプチドをコードする組換えDNA分子または構築物を調製する。そのようなDNA分子を調製する方法は、当技術分野において周知である。例えば、適切な制限酵素を用いて、ペプチドをコードする配列をDNAから切り出すことができる。様々な態様の実施において、多数の利用可能かつ周知の宿主細胞のいずれかを用いることができる。特定の宿主の選択は、例えば、選択された発現ベクターとの適合性、DNA分子によってコードされるポリペプチドの毒性、形質転換の割合、ポリペプチドの回収の容易性、発現特性、バイオセーフティー、およびコストを含む多くの要因に依存する。すべての宿主が特定のDNA配列の発現に等しく有効であるとは限らないという理解の下で、これらの要因のバランスを取るべきである。これらの一般的な指針内で、有用な培養下の微生物宿主細胞には、細菌(大腸菌 (Escherichia coli) 種など)、酵母(サッカロミセス種など)、ならびに他の真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、哺乳動物(ヒトを含む)細胞、例えばCHO細胞およびHEK293細胞が含まれる。改変はDNAレベルでも行うことができる。ペプチドをコードするDNA配列を、選択された宿主細胞とより適合するコドンに変更してもよい。大腸菌(E. coli)については、最適化コドンが当技術分野において公知である。制限部位を除去するか、またはサイレント制限部位を含めるようにコドンを置換することができ、このことは、選択された宿主細胞内でのDNAのプロセシングに役立ち得る。次に、形質転換された宿主を培養し、精製する。宿主細胞は、所望のポリペプチドが発現されるように、従来の発酵条件下で培養することができる。加えて、DNAは任意に、融合タンパク質のコード領域の5'側に、発現されるポリペプチドに機能的に連結されたシグナルペプチド配列(例えば、分泌シグナルペプチド)をさらにコードする。
前記ポリペプチドはまた、合成法によって作製することもできる。固相合成は、小ペプチドを作製する最も費用対効果の高い方法であるため、個々のポリペプチドを作製する技術として用いることができる。例えば、周知の固相合成技術は、保護基、リンカー、および固相支持体の使用、ならびに特定の保護および脱保護反応条件、リンカー切断条件、スカベンジャーの使用、および固相ペプチド合成の他の局面を含む。適切な技術は当技術分野で周知である。例えば、Merrifield, Chem. Polypeptides, Katsoyannis and Panayotis eds., pp. 335-361, 1973;Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85: 2149, 1963;Davis et al., Biochem. Intl. 10:394-414, 1985;Stewart and Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 1969;米国特許第3,941,763号;Finn et al., The Proteins, 3rd ed., 2:105-253, 1976;およびErickson et al., The Proteins, 3rd ed., 2: 257-527, 1976;“Protecting Groups in Organic Synthesis,” 3rd ed., T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Eds., John Wiley & Sons, Inc., 1999;NovaBiochem Catalog, 2000;“Synthetic Peptides, A User's Guide,” G. A. Grant, Ed., W.H. Freeman & Company, New York, N.Y., 1992;“Advanced Chemtech Handbook of Combinatorial & Solid Phase Organic Chemistry,” W. D. Bennet, J. W. Christensen, L. K. Hamaker, M. L. Peterson, M. R. Rhodes, and H. H. Saneii, Eds., Advanced Chemtech, 1998;“Principles of Peptide Synthesis, 2nd ed.,” M. Bodanszky, Ed., Springer-Verlag, 1993;“The Practice of Peptide Synthesis, 2nd ed.,” M. Bodanszky and A. Bodanszky, Eds., Springer-Verlag, 1994;“Protecting Groups,” P. J. Kocienski, Ed., Georg Thieme Verlag, Stuttgart, Germany, 1994;“Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis, A Practical Approach,” W. C. Chan and P. D. White, Eds., Oxford Press, 2000;G. B. Fields et al., Synthetic Peptides: A User's Guide, 77-183, 1990を参照されたい。
別のペプチド、ビヒクル(例えば、担体)、または半減期延長部分に直接的にまたはリンカー部分を介して間接的に、共有結合的に連結、付着、または結合したポリペプチドを含む組成物は、(例えば、翻訳後もしくは合成後に)化学的手段によってコンジュゲートされるか、組換え融合によってコンジュゲートされるかに関わらず、「コンジュゲート」または「コンジュゲートされた」分子である。ポリペプチドのコンジュゲーションは、該ポリペプチドのN末端および/もしくはC末端を介してもよいし、またはペプチドの一次アミノ酸配列に対して挿入されてもよい。がん細胞に対するポリペプチドの特異性により、ポリペプチドを他の細胞毒性部分に結合させて、がん細胞への特異的送達を促進すること、および本明細書に記載されるポリペプチドの細胞毒性を増強することができる。リンカーを用いて、付加的な部分の導入を可能してポリペプチドの死滅または局在化を増強する融合タンパク質を作出することができる。関心対象の特定部分には、化学療法剤、アポトーシス促進因子、標的治療薬(例えば、キナーゼ阻害物質等)、または死滅を促進する他の作用物質が含まれ得る。
いくつかの態様においては、1種類、2種類、3種類、または4種類のポリペプチドを、同じもしくは異なる送達ビヒクル、例えば担体(例えば、粒子)もしくはリポソームなどに結合させるか、またはそれらの中に封入する。いくつかの態様において、担体へのポリペプチドの結合は、1つまたは複数の共有結合的および/または非共有結合的相互作用を含む。1つの態様において、担体は金属性粒子またはポリマー粒子である。1つの態様において、担体はリポソームである。粒子のサイズは、微視的またはナノスケールであってよい。ある特定の局面において、粒子は、少なくとも0.1μm、最大で0.1μm、または約0.1μmから少なくとも10μm、最大で10μm、または約10μmの直径を有する。別の局面において、粒子は、少なくとも0.3μm、最大で0.3μm、もしくは約0.3μmから少なくとも5μm、最大で5μm、もしくは約5μmの、0.5μmから少なくとも3μm、最大で3μm、もしくは約3μmの、または0.2μmから少なくとも2μm、最大で2μm、もしくは約2μmの平均直径を有する。ある特定の局面において、粒子は、少なくとも0.1μm、最大で0.1μm、もしくは約0.1μmの、または少なくとも0.2μm、最大で0.2μm、もしくは約0.2μmの、または少なくとも0.3μm、最大で0.3μm、もしくは約0.3μmの、または少なくとも0.4μm、最大で0.4μm、もしくは約0.4μmの、または少なくとも0.5μm、最大で0.5μm、もしくは約0.5μmの、または少なくとも1.0μm、最大で1.0μm、もしくは約1.0μmの、または少なくとも1.5μm、最大で1.5μm、もしくは約1.5μmの、または少なくとも2.0μm、最大で2.0μm、もしくは約2.0μmの、または少なくとも2.5μm、最大で2.5μm、もしくは約2.5μmの、または少なくとも3.0μm、最大で3.0μm、もしくは約3.0μmの、または少なくとも3.5μm、最大で3.5μm、もしくは約3.5μmの、または少なくとも4.0μm、最大で4.0μm、もしくは約4.0μmの、または少なくとも4.5μm、最大で4.5μm、もしくは約4.5μmの、または少なくとも5.0μm、最大で5.0μm、もしくは約5.0μmの平均直径(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を有し得る。
いくつかの態様において、担体の電荷(例えば、正、負、中性)は、用途に特異的な恩恵(例えば、生理学的適合性、有益な表面-ペプチド相互作用等)を付与するように選択される。いくつかの態様において、担体は正味の中性電荷または負電荷を有する(例えば、概して正味の負電荷を帯びた細胞表面への非特異的結合を低減するため)。場合によっては、担体を複数のポリペプチドに結合させ、担体は、表面上に露出された、2、3、4、5、6、7、8、9、10 ... 20 ... 50 ... 100、またはそれ以上のコピーのある特定のポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせを有し得る。いくつかの態様において、担体は単一の種類のポリペプチドを提示する。いくつかの態様において、担体は表面上に複数の異なるポリペプチドを提示する。
本明細書で用いられる「パッケージされた」、「封入された」、および「捕捉された」という用語は、リポソームもしくは同様の小胞内へのポリペプチドの取り込み、またはそれらとの会合を指す。ポリペプチドは、脂質二重層と会合させてもよいし、もしくはリポソームの水性内部に存在してもよいし、またはその両方であってもよい。
前記リポソームは、一般的に中性および負荷電のリン脂質およびコレステロールなどのステロールを含む、標準的な小胞形成脂質から形成され得る。脂質の選択は一般的に、例えばリポソームサイズおよび血流中でのリポソームの安定性を考慮して導かれる。リポソームを生成するために、様々なタイプの脂質が用いられる。例えば、使用される両親媒性脂質は、双性イオン性、酸性、または陽イオン性脂質である。双性イオン性両親媒性脂質の例は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン等である。酸性両親媒性脂質の例は、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等である。陽イオン性両親媒性脂質の例は、ジアシルトリメチルアンモニウムプロパン、ジアシルジメチルアンモニウムプロパン、ステアリルアミン等である。中性脂質の例には、ジグリセリド、例えば、ジオレイン、ジパルミトレイン、および混合カプリリン-カプリンなど;トリグリセリド、例えば、トリオレイン、トリパルミトレイン、トリリノレイン、トリカプリリン、およびトリラウリンなど;ならびにそれらの組み合わせが含まれる。加えて、例えば多胞状リポソームを作製するために、コレステロールまたは植物性ステロールが用いられる。
リポソームの調製には、例えばSzoka et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9:467 (1980)、米国特許第4,235,871号;同第4,501,728号;および同第4,837,028号に記載されているような種々の方法が利用可能であり、これらの文献はすべて参照により本明細書に組み入れられる。1つの方法では、不均一なサイズの多層小胞を生成する。この方法では、小胞形成脂質を適切な有機溶媒または溶媒系に溶解し、真空下または不活性ガス下で乾燥させて脂質薄膜を形成する。あるいは、脂質を第3級ブタノールなどの適切な溶媒に溶解し、次いで凍結乾燥させて、より容易に水和される粉末状の形態である、より均一な脂質混合物を形成してもよい。この膜または粉末を水性緩衝液で被覆し、典型的には15〜60分間にわたって撹拌しながら水和させる。得られる多層小胞のサイズ分布は、より激しい撹拌条件下で脂質を水和させるか、またはデオキシコール酸などの界面活性剤を添加することによって、より小さいサイズへと移行させることができる。
多層リポソームは、例えば、好ましくは薄膜蒸発装置の使用または振盪もしくはボルテックス混合により、分散液を撹拌することによって形成される。単層小胞は、例えば超音波処理またはホモジナイザーもしくはフレンチプレスなどのマイクロ流動化装置の使用により、脂質固相の水性分散液に剪断力を加えることによって形成される。剪断力は、注入、凍結および融解、脂質からの界面活性剤溶液の透析除去、またはリポソームの調製に用いられる他の公知の方法を用いて加えることもできる。リポソームのサイズは、剪断力の持続の制御を含む、種々の公知の技術を用いて制御することができる。
「単一層小胞」とも称される「単層リポソーム」は、単一の閉鎖された水性区画を規定する1つの脂質二重膜を含む球状の小胞である。二重膜は、脂質の2つの層(または「小葉」);内層および外層を含む。脂質分子の外層は、親水性の頭部部分を外部の水性環境に向け、かつ疎水性尾部をリポソームの内部に向かって下向きに配向される。脂質の内層は外層の直下に存在し、脂質は、頭部をリポソームの水性内部に面して、かつ尾部を脂質の外層の尾部に向けて配向される。
「多層小胞」または「多重層小胞」とも称される「多層リポソーム」は、2つ以上の脂質二重膜を含み、その膜は2つ以上の閉鎖された水性区画を規定する。その膜は、ちょうどタマネギのように、異なる膜が水性区画によって分離されるように、同心円状に配置される。
II. 発現および発現ベクター
本明細書に記載される任意のポリペプチドをコードする核酸は、任意の適切な発現系の中に挿入するか、またはそれと共に用いることができる。組換え発現は、プラスミド、ウイルス等のベクターを用いて達成され得る。ベクターは、1つまたは複数のポリペプチドをコードする核酸に機能的に連結されたプロモーターを含み得る。ベクターはまた、転写および翻訳に必要な他のエレメントを含み得る。本明細書で用いられる場合、ベクターは、外因性DNAを含む任意の担体を指す。したがって、ベクターは、分解することなく細胞内に外因性核酸を輸送し、それが送達された細胞内で該核酸の発現をもたらすプロモーターを含む作用物質である。ベクターには、プラスミド、ウイルス核酸、ウイルス、ファージ核酸、ファージ、コスミド、および人工染色体が含まれるが、これらに限定されない。プロテアーゼをコードする核酸を運搬するのに、コードするのに、および/または発現させるのに適した種々の原核生物および真核生物発現ベクターを生成することができる。そのような発現ベクターには、例えば、pET、pET3d、pCR2.1、pBAD、pUC、および酵母ベクターが含まれる。ベクターは、例えば、種々のインビボおよびインビトロ状況において使用され得る。ベクターは、遺伝子治療ベクター、例えば、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、またはCRISP-Rベクターであってよい。
発現カセット、発現ベクター、およびカセットまたはベクター中の配列は、異種であってよい。本明細書で用いられる場合、発現カセット、発現ベクター、調節配列、プロモーター、または核酸に関して用いられる場合の「異種」という用語は、何らかの方法で操作された発現カセット、発現ベクター、調節配列、または核酸を指す。例えば、異種プロモーターは、発現されるべき核酸に天然では連結されていないか、または細胞形質転換手法によって細胞に導入されたプロモーターであってよい。異種の核酸またはプロモーターにはまた、生物にとって天然であるが、何らかの方法で改変された(例えば、異なる染色体位置に配置された、変異された、複数コピーで付加された、非天然のプロモーターもしくはエンハンサー配列に連結された等)核酸またはプロモーターが含まれる。異種核酸は、cDNAを含む配列を含み得る。例えば、異種コード領域が、天然では該コード領域と会合して見出されないプロモーターなどの調節エレメントを含むヌクレオチド配列に連結されている場合、または異種コード領域が、天然では見出されない染色体の部分と会合している場合に(例えば、コード領域によってコードされるタンパク質が通常では発現されない遺伝子座において発現される遺伝子)、異種コード領域は内因性コード領域と区別され得る。同様に、異種プロモーターは、天然で連結されていないコード領域に連結されているプロモーターであってよい。
用いられ得るウイルスベクターには、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、エイズウイルス、神経栄養性ウイルス、シンドビス、および他のウイルスに関連するものが含まれる。ベクターとしての使用に適しているこれらのウイルスの特性を共有する任意のウイルスファミリーもまた有用である。用いられ得るレトロウイルスベクターには、Verma, I. M., Retroviral vectors for gene transfer. In Microbiology-1985, American Society for Microbiology, pp. 229-232, Washington, (1985) に記載されているものが含まれる。例えば、そのようなレトロウイルスベクターには、マウスモロニー白血病ウイルス、MMLV、および所望の特性を発現する他のレトロウイルスが含まれ得る。典型的に、ウイルスベクターは、非構造初期遺伝子、構造後期遺伝子、RNAポリメラーゼIII転写産物、複製およびキャプシド形成に必要な逆位末端反復配列、ならびにウイルスゲノムの転写および複製を制御するためのプロモーターを含む。ベクターとして操作される場合、ウイルスから典型的には初期遺伝子のうちの1つまたは複数が除去され、遺伝子または遺伝子/プロモーターカセットが、除去されたウイルス核酸の代わりにウイルスゲノムに挿入される。
プロモーター、エンハンサー、翻訳開始配列、転写終結配列、および他のエレメントを含む種々の調節エレメントを、発現カセットおよび/または発現ベクター中に含めることができる。「プロモーター」は一般的に、転写開始部位に対して比較的固定された位置にある場合に機能する、DNAの1つまたは複数の配列である。例えば、プロモーターは、プロテアーゼをコードする核酸セグメントの上流に存在し得る。「プロモーター」は、RNAポリメラーゼおよび転写因子の基本的な相互作用に必要なコアエレメントを含み、上流エレメントおよび応答エレメントを含み得る。「エンハンサー」は一般的に、転写開始部位から固定されない距離において機能し、転写単位の5'側または3'側のいずれかにあってよい、DNAの配列を指す。さらに、エンハンサーは、イントロン内およびコード配列自体の内部にあってもよい。それらは通常10〜300ヌクレオチドの長さであり、シスに機能する。エンハンサーは、近くのプロモーターからの転写を増加させるように機能する。エンハンサーはまた、プロモーターと同様に、転写の制御を媒介する応答エレメントを含む場合が多い。エンハンサーは多くの場合、発現の調節を決定する。
真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または有核細胞)において用いられる発現ベクターはまた、mRNA発現に影響し得る、転写の終結に必要な配列も含み得る。これらの領域は、組織因子タンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分におけるポリアデニル化セグメントとして転写される。3'非翻訳領域はまた、転写終結部位を含む。転写単位はポリアデニル化領域もまた含むことが好ましい。この領域の1つの利点は、それが、転写単位がmRNAのようにプロセシングされ、輸送される可能性を高めることである。発現構築物におけるポリアデニル化シグナルの同定および使用は、十分に確立されている。発現構築物において同種のポリアデニル化シグナルが用いられることが好ましい。
発現カセットまたは発現ベクターからの1つまたは複数のプロテアーゼの発現は、原核細胞または真核細胞における発現が可能な任意のプロモーターによって制御され得る。使用され得る原核生物プロモーターの例には、SP6、T7、T5、tac、bla、trp、gal、lac、またはマルトースプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。使用され得る真核生物プロモーターの例には、構成的プロモーター、例えばCMV、SV40、およびRSVプロモーターなどのウイルスプロモーター、ならびに調節可能なプロモーター、例えばtetプロモーター、hsp70プロモーター、およびCREによって調節される合成プロモーターなどの誘導性または抑制性プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。細菌発現のためのベクターにはpGEX-5X-3が含まれ、かつ真核生物発現のためのベクターにはpCIneo-CMVが含まれる。
前記発現カセットまたはベクターは、マーカー産物をコードする核酸配列を含み得る。このマーカー産物は、遺伝子が細胞に送達されたかどうか、およびひとたび送達された後に発現されるかどうかを判定するために用いられる。好ましいマーカー遺伝子は、βガラクトシダーゼをコードする大腸菌lacZ遺伝子、および緑色蛍光タンパク質である。いくつかの態様において、マーカーは選択可能なマーカーであってよい。そのような選択可能なマーカーの宿主細胞への移入が成功した場合、形質転換された宿主細胞は、選択圧下に置かれた場合に生存し得る。選択計画には、広く用いられている別個のカテゴリーが2つ存在する。第1のカテゴリーは、細胞の代謝、および補充培地に依存せずに成長する能力を欠いている変異細胞株の使用に基づく。第2のカテゴリーは優性選択であり、これは、任意の細胞型において用いられ、変異細胞株の使用を必要としない選択スキームを指す。これらのスキームは典型的に、宿主細胞の成長を停止させるための薬物を用いる。新規遺伝子を有する細胞は、薬剤耐性を伝達するタンパク質を発現し、選択を切り抜けて生存する。そのような優性選択の例では、薬物ネオマイシン (Southern P. and Berg, P., J. Molec. Appl. Genet. 1: 327 (1982))、ミコフェノール酸 (Mulligan, R. C. and Berg, P. Science 209: 1422 (1980))、またはハイグロマイシン (Sugden, B. et al., Mol. Cell. Biol. 5: 410-413 (1985)) を用いる。
遺伝子導入は、これらに限定されないが、プラスミド、ウイルスベクター、ウイルス核酸、ファージ核酸、ファージ、コスミド、および人工染色体中の遺伝物質の直接的な移入を用いて、あるいは細胞または陽イオン性リポソームもしくはウイルスなどの担体中の遺伝物質の移入を介して得ることができる。そのような方法は当技術分野で周知であり、本明細書に記載される方法において用いるために容易に適合可能である。移入ベクターは、細胞内に遺伝子を送達するために用いられる任意のヌクレオチド構築物(例えば、プラスミド)、または遺伝子を送達するための一般的な戦略の一部として、例えば組換えレトロウイルスもしくはアデノウイルス (Ram et al. Cancer Res. 53:83-88, (1993)) の一部としての任意のヌクレオチド構築物であってよい。ウイルスベクター、化学的トランスフェクタント、またはエレクトロポレーションおよびDNAの直接的拡散などの物理的機械的方法を含む、トランスフェクションのために適切な手段は、例えば、Wolff et al., Science, 247, 1465-1468, (1990);およびWolff, Nature, 352, 815-818, (1991) によって記載されている。
例えば、プロテアーゼをコードする核酸分子、発現カセットおよび/またはベクターは、カルシウム媒介性形質転換、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、微粒子銃、および同様のものを含むがこれらに限定されない任意の方法によって、細胞に導入され得る。この細胞を培養において拡大し、次いで対象、例えばヒトなどの哺乳動物に投与することができる。投与される細胞の量または数は変動し得るが、細胞約106〜約109個の範囲内の量が使用され得る。細胞は一般的に、生理食塩水または緩衝生理食塩水などの生理溶液中で送達される。細胞はまた、リポソーム、エキソソーム、または微小胞の集団などのビヒクル中で送達され得る。
前記プロテアーゼは、プロテアーゼを含有するエキソソームまたは微小胞を産生するトランスジェニック細胞によって産生され得る。エキソソームおよび微小胞は、多種多様なタンパク質、脂質、mRNA、およびマイクロRNAの分泌を媒介し、隣接する細胞と相互作用し、それによって細胞から細胞へシグナル、タンパク質、脂質、および核酸を伝達し得る(例えば、Shen et al., J Biol Chem. 286(16): 14383-14395 (2011);Hu et al., Frontiers in Genetics 3 (April 2012);Pegtel et al., Proc. Nat'l Acad Sci 107(14): 6328-6333 (2010);WO/2013/084000を参照されたい;これらはそれぞれ、全体として参照により本明細書に組み入れられる)。
したがって、1つまたは複数のプロテアーゼを発現する異種発現カセットまたは発現ベクターを有するトランスジェニック細胞を対象に投与することができ、トランスジェニック細胞によって産生されるエキソソームが、対象において腫瘍および/またはがん細胞にプロテアーゼを送達する。
上記に従って、本開示は、本明細書において規定されるプロテアーゼのポリペプチド配列をコードする核酸分子を含む、遺伝子工学および遺伝子治療において慣習的に用いられるベクター、詳細にはプラスミド、コスミド、ウイルス、およびバクテリオファージを導出するための方法に関する。ある特定の場合において、ベクターは、発現ベクターおよび/または遺伝子導入ベクターもしくは遺伝子ターゲティングベクターである。レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、またはウシパピローマウイルスなどのウイルスに由来する発現ベクターを、列挙されたポリヌクレオチドまたはベクターを標的にされた細胞集団に送達するために用いることができる。当業者に周知である方法を用いて、組換えベクターを構築することができる。あるいは、列挙された核酸分子およびベクターは、標的細胞に送達するためのリポソーム中に再構成することができる。本開示の核酸分子を含むベクターは、周知の方法によって宿主細胞に移入することができ、その方法は細胞宿主の型に応じて変動する。
本発明の別の局面は、プロテアーゼ遺伝子構築物を含む遺伝子治療ベクターに指向している。遺伝子治療ベクターは当技術分野で公知であり、これにはレンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、プラスミド、および同様のものが含まれるが、これらに限定されない。本発明の遺伝子治療ベクターの構築は、当技術分野で公知の方法によって行うことができる。ある特定の局面において、遺伝子治療ベクターは、約10、約100、約1000、約1×104、約1×105、約1×106、約1×107、約1×108、約1×109、約1×1010、約1×1011、約1×1012個、最大で10、最大で100、最大で1000、最大で1×104、最大で1×105、最大で1×106、最大で1×107、最大で1×108、最大で1×109、最大で1×1010、最大で1×1011、最大で1×1012個、または少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも1×104、少なくとも1×105、少なくとも1×106、少なくとも1×107、少なくとも1×108、少なくとも1×109、少なくとも1×1010、少なくとも1×1011、少なくとも1×1012個のウイルス粒子 (VP) またはコロニー形成単位 (CFU) (すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)の量で投与され得る。遺伝子治療ベクターの一例として、プロテアーゼ発現カセットをレンチウイルスベクター中に含めることができる。治療用ベクターをエクスビボで細胞に形質導入し、その細胞を患者に送達することができる。同様に、本発明の治療用ベクターを患者に直接送達することもできる。
III. 薬学的製剤および投与
ある特定の態様において、複数の態様はまた、薬学的に許容される希釈剤;担体;可溶化剤;乳化剤;および/または保存剤のうちの1つまたは複数と共に、(1) 好酸球カチオン性タンパク質 (ECP)、(2) ヒト好中球エラスターゼ (ELANE)、(3) カテプシンG (CTSG)、(4) プロテイナーゼ3 (PRTN3)、(5) マウス好中球エラスターゼ (mELANE)、(6) マウス膵エラスターゼ (mELA1)、(7) ブタ膵エラスターゼ (pELA1)、(8) ラット膵エラスターゼ (rELA1/ RPE) またはそれらの変種のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または全8つを含む組成物を提供する。そのような組成物は、少なくとも1種の抗がん剤または複合体の有効量を含有し得る。したがって、医薬の薬学的組成物の調製における、本明細書に記載される1種類または複数種類の抗がん剤の使用もまた含まれる。そのような組成物は、種々のがんの処置において用いることができる。
前記抗がん剤は、これらに限定されるわけではないが、液体溶液または懸濁液、錠剤、丸剤、散剤、坐剤、高分子マイクロカプセルまたは微小胞、リポソーム、および注射可能または注入可能な溶液などの種々の剤形で治療用組成物中に製剤化され得る。好ましい剤形は、投与様式および標的とされる特定の疾患に依存する。組成物はまた、好ましくは、当技術分野で周知の薬学的に許容されるビヒクル、担体、または補助剤を含む。
薬学的調製物のための許容される製剤成分は、用いられる投与量および濃度において、レシピエントに対して無毒性である。提供される抗がん剤に加えて、組成物は、例えば、組成物のpH、浸透圧、粘度、透明度、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、解離もしくは放出の速度、吸着、または透過性を改変、維持、または保存するための成分を含有し得る。薬学的組成物を製剤化するための適切な材料には、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジンなど);抗菌剤;抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、もしくは亜硫酸水素ナトリウムなど);緩衝剤(酢酸、ホウ酸、炭酸水素、Tris-HCl、クエン酸、リン酸、もしくは他の有機酸など);増量剤(マンニトールもしくはグリシンなど);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸 (EDTA) など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、βシクロデキストリン、もしくはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなど);充填剤;単糖類;二糖類;および他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど);着色剤、香味剤、および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、もしくは過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールもしくはソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤もしくは湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80等のポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパールなど);安定性増強剤(スクロースもしくはソルビトールなど);等張性増強剤(ハロゲン化アルカリ金属、好ましくは塩化ナトリウムもしくは塩化カリウム、マンニトール ソルビトールなど);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤、および/または薬学的補助剤が含まれるが、これらに限定されない。(参照により本明細書に組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18 th Ed., (A. R. Gennaro, ed.), 1990, Mack Publishing Companyを参照されたい)。
製剤成分は、投与部位に許容される濃度で存在する。生理的pHまたはわずかにより低いpHで、典型的には、少なくとも4.0、最大で4.0、もしくは約4.0から少なくとも8.5、最大で8.5、もしくは約8.5のpH範囲内、または代替的に少なくとも5.0から8.0、最大で5.0から8.0、もしくは約5.0から8.0の間のpH範囲内に(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)、組成物を維持するために、緩衝剤が有利に用いられる。薬学的組成物は、少なくともpH 6.5〜8.5、最大でpH 6.5〜8.5、もしくは約pH 6.5〜8.5のTRIS緩衝液(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)、または少なくともpH 4.0〜5.5、最大でpH 4.0〜5.5、約pH 4.0〜5.5の酢酸緩衝液(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)を含み得、ソルビトールまたはその適切な代替物をさらに含んでもよい。
インビボ投与に用いられるべき薬学的組成物は、典型的に無菌である。滅菌は、滅菌濾過膜を通す濾過によって達成され得る。組成物が凍結乾燥される場合、滅菌は、凍結乾燥および再構成の前または後のいずれかに実施され得る。非経口投与用の組成物は、凍結乾燥形態でまたは溶液中で保存され得る。ある特定の態様において、非経口用組成物は、無菌アクセス口を有する容器、例えば、皮下注射針によって穿孔可能な栓を有する静脈注射用溶液のバッグもしくはバイアル、または注射に即時使用可能な無菌の前充填シリンジ中に入れられる。
上記の組成物は、静脈内、腹腔内、経口、リンパ管内、皮下投与、動脈内、筋肉内、胸膜内、くも膜下腔内、および局部カテーテルを通じた灌流によるものを含むがこれらに限定されない、従来の送達様式を用いて投与することができる。問題の腫瘍(例えば、腫瘍内)への局所投与もまた企図される。組成物を注射によって投与する場合、投与は持続注入によるものであってもよく、または単回もしくは複数回ボーラスによるものであってもよい。非経口投与に関して、抗転移剤は、薬学的に許容されるビヒクル中に所望の抗がん剤を含む、発熱物質不含の非経口的に許容される水溶液中で投与され得る。非経口注射に特に適したビヒクルは無菌蒸留水であり、その中で、1種類または複数種類の抗がん剤が、適切に保存された無菌等張溶液として製剤化される。
ひとたび薬学的組成物が製剤化されると、それは、溶液、懸濁液、ゲル、乳濁液、固体として、または脱水もしくは凍結乾燥された粉末として、無菌バイアル中に保存され得る。そのような製剤は、即時使用可能な形態、または投与前に再構成される形態(例えば、凍結乾燥されたもの)のいずれかで保存され得る。
必要に応じて、スクロース、トレハロース、またはグリシンなどの、薬学的組成物中で従来用いられている安定剤を用いてもよい。典型的に、そのような安定剤は、例えば、少なくとも0.1%、最大で0.1%、または約0.1%から少なくとも0.5%、最大で0.5%、または約0.5% (w/v) に及ぶ少量で添加される。TWEEN(登録商標)-20またはTWEEN(登録商標)-80(ICI Americas, Inc.、Bridgewater, N.J., USA)などの界面活性剤安定剤もまた、従来の量で添加され得る。
薬学的組成物を製剤化するために用いられる成分は、好ましくは高純度であり、潜在的に有害な混入物を実質的に含まない(例えば、少なくともNational Food (NF) グレード、一般的には少なくとも分析グレード、およびより典型的には少なくとも医薬グレード)。さらに、インビボでの使用が意図される組成物は、通常は無菌である。使用の前に所与の化合物が合成される必要がある限りにおいて、得られる産物は典型的には、いかなる潜在的毒性物質も実質的に含まない。非経口投与のための組成物もまた、無菌で、実質的に等張であり、GMP条件下で製造される。
単独でのまたは薬学的組成物の一部としての、本明細書に記載される化合物に関して、そのような用量は、少なくとも0.001 mg/kg〜10 mg/kg体重、最大で0.001 mg/kg〜10 mg/kg体重、または約0.001 mg/kg〜10 mg/kg体重、好ましくは少なくとも1〜5 mg/kg体重、最大で1〜5 mg/kg体重、または約1〜5 mg/kg体重、最も好ましくは0.5〜1 mg/kg体重(すべての値およびそれらの間のすべての範囲を含む)である。
治療的に有効な用量は、当業者によって容易に決定され、疾患の重症度および経過、患者の健康状態および処置に対する応答、患者の年齢、体重、身長、性別、既往歴、ならびに処置を行う医師の判断に依存する。
いくつかの方法において、がん細胞は腫瘍細胞である。がん細胞は患者に存在してもよい。患者は固形腫瘍を有してもよい。そのような場合、複数の態様は、腫瘍のすべてまたは一部を切除するなど、患者に対して手術を行うことをさらに伴い得る。組成物は、手術の前、後、またはそれと同時に患者に投与され得る。さらなる態様において、患者はまた、直接、内視鏡によって、気管内に、腫瘍内に、静脈内に、病巣内に、筋肉内に、腹腔内に、局部的に、経皮的に、局所的に、動脈内に、膀胱内に、または皮下に投与され得る。治療用組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、またはそれ以上投与され得、それらは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間ごと、または1、2、3、4、5、6、7日ごと、または1、2、3、4、5週間ごと、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月ごとに投与され得る。
前記方法は、化学療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法(もしくは他の標的療法)、または遺伝子治療より選択される第2のがん治療を対象に実施する段階をさらに含み得る。該方法は、1種類、2種類、3種類、4種類、または全5種類のポリペプチドもしくはそれらの変種を対象に2回以上投与する段階をさらに含み得る。
がんを処置する方法は、化学療法または放射線療法を患者に実施する段階をさらに含んでもよく、それらは2回以上実施され得る。化学療法には、シスプラチン (CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ビスルファン、ニトロソウレア、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン (plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド (VP16)、タモキシフェン、タキソテール、タキソール、トランス白金 (transplatinum)、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキサート、ゲムシタビン、オキサリプラチン、イリノテカン、トポテカン、またはそれらの任意の類似体もしくは誘導体変種が含まれるが、これらに限定されない。放射線治療には、X線照射、UV照射、γ照射、電子線照射、またはマイクロ波が含まれるが、これらに限定されない。さらに、細胞または患者に、方法の一部として、タキサンを含むがこれに限定されない微小管安定化剤が投与され得る。化合物または誘導体または類似体のいかなるものも、これらの併用療法と共に用いることができることが具体的に企図される。
ある特定の局面において、本明細書に記載されるポリペプチドとの併用がん療法に有用な他の治療剤には、抗血管新生剤または血管新生阻害物質が含まれる。例えば、TNP-470、血小板第4因子、トロンボスポンジン-1、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP1およびTIMP2)、プロラクチン(16 Kd断片)、アンジオスタチン(プラスミノーゲンの38 Kd断片)、エンドスタチン、bFGF可溶性受容体、トランスフォーミング増殖因子β、インターフェロンα、可溶性KDRおよびFLT-1受容体、胎盤プロリフェリン関連タンパク質、ならびにCarmeliet and Jain (2000) によって列挙されるものを含む、多くの抗血管新生剤が同定されており、当技術分野で公知である。1つの態様において、該阻害物質は、VEGFアンタゴニストまたはVEGF受容体アンタゴニスト、例えば、抗VEGF抗体、VEGF変種、可溶性VEGF受容体断片、VEGFまたはVEGFRを遮断し得るアプタマー、中和抗VEGFR抗体、VEGFRチロシンキナーゼの阻害物質、およびこれらの任意の組み合わせなど(例えば、抗hVEGF抗体A4.6.1、ベバシズマブまたはラニビズマブ)と併用され得る。
本明細書に記載される組成物は、シグナル伝達阻害物質と組み合わせることができる。そのような薬剤の例には、Herceptin (トラスツズマブ)、Erbitux (セツキシマブ)、Yervoy (イピリムマブ)、およびペルツズマブなどの抗体療法が含まれるが、これらに限定されない。そのような療法の例にはまた、低分子キナーゼ阻害物質、例えば、イマチニブ (Gleevec)、スニチニブ (Sutent)、ソラフェニブ (Nexavar)、エルロチニブ (Tarceva)、ゲフィチニブ (Iressa)、ダサチニブ(Sprycel)、ニロチニブ (Tasigna)、ラパチニブ (Tykerb)、クリゾチニブ (Xalkori)、ルキソリチニブ (Jakafi)、ベムラフェニブ (Zelboraf)、バンデタニブ (Caprelsa)、パゾパニブ (Votrient)、アファチニブ、アリセルチブ、アムバチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、ブリバニブ、カネルチニブ、カボザンチニブ、セジラニブ、クレノラニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダヌセルチブ、ドビチニブ、フォレチニブ、ガネテスピブ、イブルチニブ、イニパリブ、レンバチニブ、リニファニブ、リンシチニブ、マシチニブ、モメロチニブ、モテサニブ、ネラチニブ、ニラパリブ、オプロゾミブ、オラパリブ、ピクチリシブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、リゴセルチブ、ルカパリブ、サラカチニブ、サリデジブ、タンヅチニブ、タソシチニブ、テラチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トファシチニブ、トラメチニブ、バタラニブ、ベリパリブ、ビスモデジブ、ボラセルチブ、BMS-540215、BMS777607、JNJ38877605、TKI258、GDC-0941、BZE235、およびその他などが含まれるが、これらに限定されない。
免疫療法または生体応答修飾物質療法を、本明細書に記載される療法と併用することができる。これらの処置は、疾患と闘うために免疫系を用いる。免疫療法は、免疫系ががん細胞を認識するのを助け得るか、またはがん細胞に対する応答を増強し得る。免疫療法には、能動免疫療法および受動免疫療法が含まれる。能動免疫療法が身体自体の免疫系を刺激するのに対して、受動免疫療法は一般的に、体外で作出された免疫系成分を用いる。
能動免疫療法の例には、がんワクチン、腫瘍細胞ワクチン(自家もしくは同種)、ウイルスワクチン、樹状細胞ワクチン、抗原ワクチン、抗イディオタイプワクチン、DNAワクチン、もしくはインターロイキン-2 (IL-2) を伴う腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) ワクチンを含むワクチン、またはリンホカイン活性化キラー (LAK) 細胞療法が含まれるが、これらに限定されない。
受動免疫療法の例には、モノクローナル抗体、および毒素を含む標的療法が含まれるが、これらに限定されない。モノクローナル抗体には、裸の抗体およびコンジュゲートされた抗体(タグ化抗体、標識抗体、または積載 (loaded) 抗体とも称される)が含まれる。裸のモノクローナル抗体には、薬物も放射性物質も結合していないのに対して、コンジュゲートされたモノクローナル抗体は、例えば、化学療法薬(化学標識された)、放射性粒子(放射標識された)、または毒素(免疫毒素)に結合している。
ある特定の態様では、裸のモノクローナル抗体薬などの受動免疫療法を、本明細書に記載されるポリペプチド組成物と併用して、がんを処置することができる。これらの裸モノクローナル抗体薬の例には、例えばB細胞非ホジキンリンパ腫を処置するために用いられる、CD20抗原に対する抗体であるリツキシマブ (Rittman);例えば進行乳がんを処置するために用いられる、HER2タンパク質に対する抗体であるトラスツズマブ (Herceptin);例えばB細胞性慢性リンパ性白血病 (B-CLL) を処置するために用いられる、CD52抗原に対する抗体であるアレムツズマブ (Campath);例えば進行結腸直腸がんおよび頭頸部がんを処置するために例えばイリノテカンと併用される、EGFRタンパク質に対する抗体であるセツキシマブ (Erbitux);ならびにVEGFタンパク質に対して作用する抗血管新生療法であり、例えば転移性結腸直腸がんを処置するために例えば化学療法と併用されるベバシズマブ (Avastin) が含まれるが、これらに限定されない。使用され得る治療用抗体のさらなる例には、転移性乳がん患者を処置するためのヒト化抗HER2モノクローナル抗体であるHERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)(Genentech、CA);血餅形成を予防するための、抗-血小板上糖タンパク質IIb/IIIa受容体であるREOPRO(登録商標)(アブシキシマブ)(Centocor);急性腎臓同種移植片拒絶を予防するための免疫抑制性ヒト化抗CD25モノクローナル抗体であるZENAPAX(登録商標)(ダクリズマブ)(Roche Pharmaceuticals、Switzerland);マウス抗17-IA細胞表面抗原IgG2a抗体であるPANOREX(商標)(Glaxo Wellcome/Centocor);マウス抗イディオタイプ(GD3エピトープ)IgG抗体であるBEC2 (ImClone System);キメラ抗EGFR IgG抗体であるIMC-C225 (ImClone System);ヒト化抗αVβ3インテグリン抗体であるVITAXIN(商標)(Applied Molecular Evolution/MedImmune);ヒト化抗CD52 IgG1抗体であるCampath 1H/LDP-03 (Leukosite);ヒト化抗CD33 IgG抗体であるSmart M195 (Protein Design Lab/Kanebo);キメラ抗CD20 IgG1抗体であるRITUXAN(商標)(IDEC Pharm/Genentech、Roche/Zettyaku);ヒト化抗CD22 IgG抗体であるLYMPHOCIDE(商標)(Immunomedics);LYMPHOCIDE(商標)Y-90 (Immunomedics);Lymphoscan(Tc-99m標識;放射性イメージング;Immunomedics);Nuvion(対CD3;Protein Design Labs);CM3はヒト化抗ICAM3抗体である (ICOS Pharm);IDEC-114は霊長類化(primatied)抗CD80抗体である (IDEC Pharm/Mitsubishi);ZEVALIN(商標)は放射標識マウス抗CD20抗体である (IDEC/Schering AG);IDEC-131はヒト化抗CD40L抗体である(IDEC/Eisai);IDEC-151は霊長類化(primatized)抗CD4抗体である (IDEC);IDEC-152は霊長類化抗CD23抗体である (IDEC/Seikagaku);SMART抗CD3はヒト化抗CD3 IgGである (Protein Design Lab);5G1.1はヒト化抗補体因子5 (C5) 抗体である(Mexion Pharm);D2E7はヒト化抗TNF-a抗体である (CAT/BASF);CDP870はヒト化抗TNF-α Fab断片である (Celltech);IDEC-151は霊長類化抗CD4 IgG1抗体である (IDEC Pharm/SmithKline Beecham);MDX-CD4はヒト抗CD4 IgG抗体である (Medarex/Eisai/Genmab);CD20-ストレプトアビジン(+ビオチン-イットリウム90;NeoRx);CDP571はヒト化抗TNF-α IgG4抗体である (Celltech);LDP-02はヒト化抗α4β7抗体である (LeukoSite/Genentech);Orthodone OKT4Aはヒト化抗CD4 IgG抗体である (Ortho Biotech);ANTOVA(商標)はヒト化抗CD40L IgG抗体である (Biogen);ANTEGREN(商標)はヒト化抗VLA-4 IgG抗体である (Elan);およびCAT-152はヒト抗TGF-β2抗体である (Cambridge Ab Tech) が含まれ得るが、これらに限定されない。
ある特定の態様では、コンジュゲートされたモノクローナル抗体などの受動免疫療法を、本明細書に記載されるポリペプチド組成物と併用して、がんを処置することができる。これらのコンジュゲートされたモノクローナル抗体の例には、放射能をがん性Bリンパ球に直接送達し、例えばB細胞非ホジキンリンパ腫を処置するために用いられる放射標識抗体イブリツモマブチウキセタン (Zevalin);例えばある特定のタイプの非ホジキンリンパ腫を処置するために用いられる放射標識抗体トシツモマブ (Bexxar);およびカリチアマイシンを含有し、例えば急性骨髄性白血病 (AML) を処置するために用いられる免疫毒素ゲムツズマブオゾガマイシン (Mylotarg) が含まれるが、これらに限定されない。BL22は、例えばヘアリー細胞白血病を処置するためのコンジュゲートされたモノクローナル抗体であり、例えば、白血病、リンパ腫、および脳腫瘍を処置するための免疫毒素、ならびに例えば結腸直腸がんおよび卵巣がんに対するOncoScintならびに例えば前立腺がんに対するProstaScintなどの放射標識抗体がある。
ある特定の態様では、毒素を含む標的療法を、本明細書に記載されるポリペプチド組成物と併用して、がんを処置することができる。毒素を含む標的療法は、増殖因子、または特定の態様においては本明細書に記載されるポリペプチドに連結された毒素であり、抗体を含まない。
いくつかの態様はまた、本明細書に記載されるポリペプチド組成物と組み合わせたアジュバント免疫療法の使用を含み、そのようなアジュバント免疫療法には、サイトカイン、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 (GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF)、マクロファージ炎症性タンパク質 (MIP)-1α、インターロイキン(IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、およびIL-27を含む)、腫瘍壊死因子(TNF-αを含む)、およびインターフェロン(IFN-α、IFN-β、およびIFN-γを含む)など;水酸化アルミニウム(ミョウバン);ウシ型弱毒結核菌ワクチン (BCG);キーホールリンペットヘモシアニン (KLH);不完全フロイントアジュバント (IFA);QS-21;DETOX;レバミソール;およびジニトロフェニル (DNP)、ならびにこれらの組み合わせ、例えばIL-2などのインターロイキンとIFN-αなどの他のサイトカインとの組み合わせなどが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの態様はまた、本明細書に記載されるペプチド組成物と組み合わせたホルモン療法(抗ホルモン剤)の使用を含む。抗ホルモン剤には、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように働く薬剤、例えば、抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節剤 (SERM) などであり、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびFARESTONトレミフェンなど;副腎でのエストロゲン産生を調節する、酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害物質、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタニー (formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、およびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールなど;および抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンなど;ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えば、PKC-α、Ralf、およびH-Rasなどの、細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの;リボザイム、例えばVEGF発現阻害物質(例えば、ANGIOZYME(登録商標)リボザイム)およびHER2発現阻害物質など;遺伝子治療ワクチンなどのワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害物質;ABARELIX(登録商標)rmRH;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの態様は、遺伝子発現調節剤を含む。本明細書で用いられる場合、「遺伝子発現調節剤」は、(i) 転写の不活性化;(ii) mRNAの分解もしくは隔離;(iii) 転写の阻害もしくは減弱、または (iv) 翻訳の阻害もしくは減弱を含み得る、アンチセンス機構を含むがこれに限定されない機構により、またはRNA干渉 (RNAi) を介した経路により、生細胞における遺伝子発現の選択的調節を誘導できるオリゴヌクレオチド剤であってよい。オリゴヌクレオチド遺伝子発現調節剤には、調節性RNA(例えば、実質的に任意の調節性RNA)、例えば、これらに限定されないがアンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、RNAi、shRNA、aiRNA、ダイサー基質、アプタマー、およびそれらの任意の類似体または前駆体など、ならびにHDAC阻害物質、例えばパノビノスタットおよびベリノスタットなどが含まれる。
いくつかの態様において、本明細書に記載される組成物が投与されるがんは、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸直腸、食道、胃腸、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頸部、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、または子宮の細胞であってよい。
IV. 抗菌組成物および方法
別の態様において、治療用組成物は、抗菌ポリペプチド組成物として用いることができる。細菌における抗生物質および/または薬物耐性の蔓延は、主たる公衆衛生の脅威の1つとなっている。現在の抗生物質は、病原体の重要な生物学的過程を妨げ、細菌の死滅または成長停止を引き起こす。結果として、抗生物質療法は、強力な選択圧を発揮して、抗生物質耐性株の出現を支持する。そのため、第一線の抗生物質に対して耐性のある細菌株の数が驚くべき速さで増加するが、市場にもパイプラインにも代替処置の徴候は存在しない。存在する数少ない代替物は、高価であり、毒性が高く、かつ/または作用が遅い。結核、サルモネラ、大腸菌、および淋病などの、今日、容易に処置可能であると見なされている感染症の中でさえ、耐性は増加している。
いくつかの態様において、ポリペプチド組成物は、アシネトバクター・バウマニ (Acinetobacter baumannii)、セレウス菌 (Bacillus cereus)、炭疽菌 (Bacillus anthracis)、ボツリヌス菌 (Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシレ (Clostridium difficile)、破傷風菌 (Clostridium tetani)、ウェルシュ菌 (Clostridium perfringens)、ジフテリア菌、腸球菌(例えば、ストレプトコッカスD)、リステリア菌 (Listeria monocytogenes)、肺炎球菌感染症(例えば、肺炎球菌 (Streptococcus pneumoniae))、ブドウ球菌感染症、および連鎖球菌感染症などの細菌感染症;バクテロイデス属、百日咳菌 (Bordetella pertussis)、ブルセラ、カンピロバクター感染症、腸管出血性大腸菌(EHEC/大腸菌O157:H7) 腸管侵入性大腸菌 (EIEC)、腸管毒素原性大腸菌 (ETEC)、インフルエンザ菌 (Haemophilus influenzae)、ピロリ菌 (Helicobacter pylori)、肺炎桿菌 (Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ属種、カタル球菌 (Moraxella catarrhalis)、淋菌 (Neisseria gonnorrhoeae)、髄膜炎菌 (Neisseria meningitidis)、プロテウス属種、緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa)、サルモネラ属種、赤痢菌属種、コレラ菌 (Vibrio cholera)、およびエルシニア属を含むグラム陰性菌;結核菌 (Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ (Mycobacterium avium-intracellulare)、ヨーネ菌 (Myobacterium johnei)、ライ菌 (Mycobacterium leprae)、非定型細菌、クラミジア属、マイコプラズマ属、リケッチア属、スピロヘータ、梅毒トレポネーマ (Treponema pallidum)、回帰熱ボレリア (Borrelia recurrentis)、ライム病ボレリア(Borrelia burgdorfii)、および黄疸出血病レプトスピラ (Leptospira icterohemorrhagiae) を含む抗酸菌、ならびにアクチノミセス属およびノカルジア属を含む他の種々の細菌を処置および/または予防するために用いることができる。
耐性病原体は特に病院で蔓延している。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) (MRSA) などの特に危険な株。ある特定の局面では、ポリペプチド組成物を用いて、いくつかの医療関連 (HA) 株およびコミュニティ関連 (CA) 株を処置することができる。HA株およびCA株には、ST228、ST239、ST5、ST22、ST45、ST240、ST247、ST250、ST15、ST30、ST36、ST579、ST45、ST59、ST80、ST1:USA400、およびST8:USA300が含まれるが、これらに限定されない。
ある特定のグラム陰性菌などのある特定の微生物によって起こる感染症は、医薬がその厚い細胞壁を貫通することができないために、概して現代の抗生物質に反応しない。結核菌を含むある特定の抗酸菌もまた、多剤耐性となる。
前記抗菌組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、直腸、または局所を含むがこれらに限定されない任意の適切な経路を介して投与/使用するために、従来の薬学的に許容される担体、補助剤、およびビヒクルを含有する投与単位製剤中に製剤化することができる。本明細書で用いられる非経口という用語には、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、胸骨内、腱内、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、注入技法 腹腔内が含まれる。好ましい態様において、組成物は、抗菌剤として用いるために、局所クリーム、懸濁剤、経口製剤、または静脈内製剤として投与/使用するために製剤化される。
前記抗菌組成物は、細菌の感染または混入を改善または減弱するために、医療装置と共に用いることができる。生物医療装置は、該生物医療装置上および/または中に配置されたポリペプチド複合体を含み得る。ポリペプチド組成物は、細菌感染、特に黄色ブドウ球菌および/または緑膿菌感染に供される任意の生物医療装置と共にあってよいことが企図される。様々な非限定的な態様において、生物医療装置は、整形外科用インプラント(骨折固定装置、人工関節(膝、股関節、肩等)等など)、ステント、グラフト、シャント、ステントグラフト、血管形成装置、血管カテーテル、尿路カテーテル、動脈グラフト、バルーンカテーテル、フィステル、創傷被覆材、歯科インプラント、コンタクトレンズ滅菌溶液、および任意の植込型薬物送達装置を含むがこれらに限定されない医療用インプラントであってよい。組成物は、任意の適切な量または配置で生物医療装置上に存在してよく、1種類または複数種類の他の成分と組み合わせてもよい。1つの態様において、組成物はポリマーコーティングと共に付加される。他の局面において、ポリペプチド複合体が抗菌組成物中で用いられる。様々な非限定的態様において、抗菌組成物は固体(例えば固形石鹸)または液体(例えば液体石鹸)であってよく、基材(例えば消毒ワイプ)上に配置されてもよい。
ある特定の局面は、それを必要とする対象に、該感染症を処置するのに有効な量のポリペプチド複合体を投与する段階を含む、細菌感染症を処置する方法を提供する。本方法を用いて、細菌感染症を有する任意の対象を処置することができる。
本明細書で用いられる場合、「細菌感染症を処置する」とは、(a) 対象における感染の軽減または排除;(b) 細菌感染症の1つまたは複数の症状の重症度の軽減;(c) 細菌感染症の1つまたは複数の症状の発生の制限または予防;(d) 細菌感染症の1つまたは複数の症状の悪化の抑制;および (e) 以前に関連症状の徴候があった対象における細菌感染症の1つまたは複数の症状の再発の制限または予防のうちの1つまたは複数を達成することを意味する。
ある特定の局面は、表面を抗菌組成物と接触させる段階を含む、表面を消毒するための方法に指向している。カウンター、シンク、トイレ、ドアの取っ手、机、医療ツール(病院における電化製品、家具、ベッド等など)を含むがこれらに限定されない任意の適切な表面を消毒することができる。
V. 実施例
以下の実施例は、様々な態様を説明する目的で提供され、態様を限定することは決して意図されていない。当業者は、目標を達成し、かつ記載される目的および利点、ならびに本明細書に固有の目標、目的、および利点が得られるように、本発明が十分に適合化されることを容易に認識するであろう。本明細書に記載される方法と共に本実施例は、目下、好ましい態様を代表するものであり、範囲に対する限定として意図されない。特許請求の範囲によって規定される精神内に包含される、その中での変更および他の使用が、当業者に想起されるであろう。
実施例1
がんを処置する方法
ヒトPMNは広範囲にかつ選択的にがん細胞を死滅させる。 ヒト末梢血好中球 (PMN) を健常ドナーから単離し、それらの分泌因子を収集するために無血清DMEM中でインキュベートした(PMN培地)。(A〜B) ヒトまたはマウスのがん細胞 (A)、または健常細胞 (b) を、PMN培地または対照無血清DMEM(対照培地)と共に24時間インキュベートした。細胞生存度をカルセインAM染色によって評価した。(C) ヒトまたはマウスのがん細胞を、PMN培地または対照培地で6時間処理した。カスパーゼ3/7活性を発光活性アッセイによって調べ、細胞表面アネキシンV染色をフローサイトメトリーによって評価した。結果から、PMN培地がアポトーシスを介してがん細胞死を誘導することが示された。*、p<0.05、スチューデントのt検定。(図1)。
ヒト好中球馴化培地は広範囲のがん細胞を死滅させる。 ヒト末梢血好中球を健常ドナーから単離した。細胞を無血清DMEM中にプレーティングし、好中球馴化培地 (Neu CM)を24時間かけて収集した。がん細胞(ヒト高悪性度漿液性卵巣がん細胞株であるCAOV3が例として示される)を20μg/mL Neu CMで24時間処理し、がん細胞の死滅を、ライト・ギムザ染色、カルセインAM、アネキシンV染色、およびカスパーゼ-3/7活性によって確認した。
ヒト好中球馴化培地は非がん細胞に対して毒性がない。 ヒト末梢血好中球を健常ドナーから単離した。細胞を無血清DMEM中にプレーティングし、好中球馴化培地 (Neu CM)を24時間かけて収集した。非がん細胞(例として示されるヒト単球由来マクロアファージ)を100μg/mL Neu CMで24時間処理し、毒性がないことを、ライト・ギムザ染色、カルセインAM、アネキシンV染色、およびカスパーゼ-3/7活性によって確認した。
選択的殺滅を媒介する因子を同定するためのアプローチ。 生物活性因子を追跡するために、定量的がん細胞殺滅アッセイを開発した。MDA-MB-231細胞を様々な用量のPMN培地で処理し、細胞生存度をカルセインAM生細胞蛍光染色によって評価した。(図3A)線形回帰分析(直線)により、MDA-MB-231がん細胞の死滅がPMN培地の用量と十分に相関することが示された。(図3B)PMN培地を0.22μmフィルターに通し、タンパク質濃度およびMDA-MB-231がん細胞に対する殺滅活性を、フィルター前溶液およびフィルター後溶液の両者において測定した。(図3C)プロテオミクス解析により、PMN培地中に890種類のタンパク質(≧ペプチド2個)が同定され、そのうちの2種類のみが両ドナーにおいて濾過により有意に減少した(G検定、p<0.001):好中球エラスターゼ (ELANE) および好酸球カチオン性タンパク質 (ECP)。濾過前および濾過後のPMN培地中のELANEレベルおよびECPレベルを、質量分析(スペクトルカウント)によって定量化した。
好中球馴化培地中の候補がん細胞殺滅タンパク質としてのECP、ELANE、ANXA6、DEFA1、およびCASP3の同定。 2名の異なるドナー(ドナー1およびドナー2)から好中球馴化培地を得た。本発明者らは、馴化培地を0.2μm滅菌フィルターに通すことにより、全タンパク質濃度が低下することなく、がん細胞殺滅活性が除去されることを見出した。これらの知見から、0.2μm滅菌フィルターが、他のものを枯渇させることなく、がん細胞殺滅タンパク質を特異的に枯渇させることが示唆された。0.2μm滅菌フィルターによって枯渇したタンパク質の同一性を決定するために、本発明者らは、各ドナーからのフィルター前およびフィルター後の馴化培地に対して定量的プロテオミクス解析を行った。プロテオミクス解析により2000種類のタンパク質が同定され、そのうちの4種類(ECP、ELANE、ANXA6、およびDEFA1)が両ドナー由来の試料において枯渇した(G検定、p<0.05)。本発明者らは、これらのタンパク質が互いに相互作用または補完し得るという可能性を探索した。2つのアプローチを用いてこの仮説を試験した。第一に、本発明者らは、好中球馴化培地を、抗ELANE抗体に結合させた磁気ビーズと共にインキュベートし、上清 (sup)、洗浄液、および溶出液(溶出)をウェスタンブロッティングによって解析した。この解析により、ECP、DEFA1、およびCASP3がELANE結合タンパク質として同定された。第二に、本発明者らは、好中球馴化培地を陰イオン交換カラム(HiTrap Q-セファロース)で分画し、ELANE、ECP、DEFA1、ANXA6、およびCASP3がすべて同じ画分(画分13)中に共溶出し、これがやはりがん細胞殺滅活性を有する唯一の画分であることを見出した。
好中球馴化培地からECP、ELANE、ANXA6、DEFA1、またはCASP3を免疫枯渇させることによってがん細胞殺滅活性が弱まる。 好中球馴化培地を、非結合磁気ビーズ(対照)、または抗ECP抗体、抗ELANE抗体、抗ANXA6抗体、抗DEFA1抗体、もしくは抗CASP3抗体に結合させた磁気ビーズと共にインキュベートした。磁気ビーズからの上清を収集し、MDA-MB-231細胞(ヒトトリプルネガティブ乳がん細胞株)を死滅させるそれらの能力についてカルセイン-AMによって試験した。
ELANEおよび/またはECPが原因であったのかどうかを判定するために、本発明者らは、(1) PMN培地からELANEまたはECPを枯渇させ;(2) がん細胞または正常細胞を、商業的供給元からの精製した天然のELANEまたはECPで処理した。(図6A)ELANEまたはECPを、免疫沈降によりPMN培地から枯渇させ;枯渇はウェスタンブロッティングによって確認した。枯渇前のPMN培地 = Orig、および枯渇後のPMN培地 = FT。非特異的IgGを対照として用いた。(図6B)MDA-MB-231細胞またはヒト単球由来マクロファージ (HMDM) を、様々な用量の精製した天然のELANEまたはECPで24時間処理し、死滅をカルセインAM染色によって評価した。(図6C)MDA-MB-231細胞およびHMDMを、PMN培地中に存在するレベルのELANE (0.25μg/mL) またはECP (0.05μg/mL) で単独でまたは組み合わせて24時間処理し、死滅をカルセインAM染色によって調べた。結果から、ELANEとECPが協同してがん細胞を死滅させ、この混合物が非がん細胞に対して毒性がないことが示される。*、p<0.05、スチューデントのt検定。
高用量のECPまたはELANEはがん細胞を死滅させ得る。 本発明者らは、精製ヒトECP (Lee Biosolutions)、ヒトELANE (Abcam)、ヒトDEFA1 (Abcam)、ヒトANXA6 (R&D Systems)、またはヒトCASP3 (Abcam) の個々の添加が、非がん細胞を死滅させることなくがん細胞を死滅させ得るかどうかを判定しようとした。漸増用量の各タンパク質をMDA-MB-231細胞に添加して5時間おくか、またはヒト単球由来マクロファージ (HMDM) に添加して24時間おき、細胞生存度をカルセイン-AMによって決定した。ECPおよびELANEが最も高いがん細胞殺滅活性を有し;DEFA1が少量の活性を有するのに対して;ANXA6およびCASP3はがん細胞を死滅させることができないことが見出された。ECPのみが、ヒト単球由来マクロファージに対する毒性を示した 。
ELANEとECPは協同してがん細胞を選択的に死滅させる。 MDA-MB-231およびヒト単球由来マクロファージ (HMDM) を、PMN培地中に存在するレベルのELANE (0.25μg/mL) またはECP (0.05μg/mL) で単独でまたは組み合わせて24時間処理し、死滅をカルセインAM染色によって調べた。結果から、ELANEとECPが協同してがん細胞を死滅させ、この混合物が非がん細胞に対して毒性がないことが示される。
ELANEはアポトーシスを誘導することによってがん細胞を選択的に死滅させる。 (図6A)がん細胞または健常細胞を、50 nMの精製した天然ELANEまたは対照DMEM培地 (対照) 培地で24時間処理し、細胞生存度をカルセインAM染色によって評価した。(図6B)がん細胞を50 nM ELANEまたは対照培地で6時間処理し、アポトーシスを、カスパーゼ3/7発光活性アッセイ、またはフローサイトメトリーによる細胞表面アネキシンV染色によって評価した。*、p<0.05、スチューデントのt検定。
化学療法剤と好中球馴化培地を組み合わせることによりヒトトリプルネガティブ乳がん細胞の殺滅が増強される。 MDA-MB-231細胞を、好中球馴化培地(Neu-CM;4μg/mL)、ドキソルビシン(DOX;0.3μM)、またはパクリタキセル(PTX;3 nM)で個々にまたは組み合わせて4時間処理し、細胞生存度をカルセイン-AMによって評価した。ドキソルビシンまたはパクリタキセルを好中球馴化培地と組み合わせることにより、がん細胞の殺滅が増強されることが見出された。
実施例2
CD95の分解およびがんの処置
ELANE触媒活性がその選択的がん細胞殺滅に必要である。 (図5A)精製した天然のELANEまたはPMN培地をPMSF (100 nM) またはα-1アンチトリプシン(A1AT;42 nM)で30分間処理し、ELANE触媒活性の消失を発色基質アッセイによって確認した。24時間の処理のためにMDA-MB-231細胞を処理することにより死滅アッセイを行い、カルセインAM染色によって評価した。(図5B)PMN培地中のELANE活性を発色基質活性アッセイによって測定し、PMN死滅を、PMN培地に4時間曝露したMDA-MB-231細胞におけるカルセインAM染色によって測定した。結果から、PMN培地中のELANE触媒活性が、9名の健常ドナー由来のPMN培地のがん細胞殺滅能力と直線的に相関すること(直線)が示される。*、p<0.05、スチューデントのt検定。
ECPはELANE触媒活性のII型アロステリック活性化因子である。 (図7A)10nM ELANEを、様々な基質濃度において漸増ECP濃度と共にインキュベートした。触媒活性を発色基質活性アッセイによって測定した。(図7B)曲線をミカエリスメンテン式(直線)に当てはめることにより、Km(app) 値およびVmax(app) 値を得た。(図7C)Km(app) 対 ECP濃度。(図7D)Vmax(app) 対 ECP濃度。ELANEをヒトPMN培地から免疫沈降させ、試料を抗ELANE抗体および抗ECP抗体でプロービングした。Orig = PMN培地、Sup = フロースルー、Wash = ビーズ洗浄液、Elute = 抗ELANE抗体に結合したもの。
ELANEはがん細胞においてCD95レベルを低下させかつCD95レベルの低下はアポトーシスと関連している。 (図8A)全長CD95 (FL-CD95)、CD95のN末端ドメイン(アミノ酸1〜173;N-CD95)、またはCD95のC末端ドメイン(アミノ酸157〜320;C-CD95)に相当する組換えタンパク質 (1μg) を、ELANE (0.05μg) またはビヒクル (Veh) と共に37℃で2時間インキュベートした。分解を、SDS-PAGEとその後のクマシーブルー染色によって評価した。結果から、ELANEがCD95のC末端ドメインを優先的に切断することが示される。(図8B)Mel888がん細胞をELANE (50 nM) で様々な時間処理し、CD95分解を、C末端特異的抗CD95抗体を用いてウェスタンブロット解析により評価した。(図8C)がん細胞をELANE (50 nM) で1時間処理し、10%ホルマリン中で固定し、N末端またはC末端特異的抗CD95抗体で染色した(緑色)。Hoechst 33342溶液を核染色に用いた(青色)。40×で撮像した。結果から、ELANEで処理したがん細胞は、C末端特異的CD95抗体に対する免疫反応性を失うが、N末端特異的CD95抗体に対する免疫反応性は失わないことが示される。*、分解産物。
ELANEはCD95のC末端ドメインを選択的に切断する。 CD95経路は、広範囲のがん細胞の生存に必須であるが、正常細胞の生存にはほとんど必要でない(Adachi et al., Nat. Genet., 1995;Karray et al., J. Immunol., 2004)。CD95機能は、タンパク質分解によって調節され得る (Strand et al., Oncogene, 2004)。ELANE媒介性の細胞殺滅におけるCD95の関与を試験するために、ELANE (0.05μg) を1μgの組換えヒトC末端(aa. 157〜320)またはN末端(aa. 1〜173)CD95と共に37℃で2時間インキュベートした。分解を、SDS-PAGEとその後のクマシーブルーによる染色によって評価した。C末端ドメイン切断。N末端ドメイン切断。がん細胞をELANE (50 nM) で1時間処理し、10%ホルマリン中で固定し、N末端またはC末端特異的抗CD95抗体で染色した。Hoechst 33342溶液を核染色に用いた。40×で撮像した。結果から、ELANE処理後にC末端特異的抗体との免疫反応性は消失するが、N末端抗体染色は消失しないことが示される。Mel888がん細胞をELANE (50nM) で様々な時間処理し、CD95分解を、C末端特異的抗CD95抗体を用いてウェスタンブロット解析により評価した。
がん細胞を死滅させるためにはELANE内部移行が必要である。 (図9A)がん細胞を、広域エンドサイトーシス阻害物質ダイナソア (80μM) の存在下または非存在下においてELANE (100 nM) で30分間処理した。細胞溶解物中のELANE触媒活性を、発色基質アッセイによって評価した。(図9B)がん細胞を、ダイナソア (80μM) の存在下または非存在下においてELANE (30 nM) で6時間処理した。細胞生存度をカルセインAM染色によって調べた。*、p<0.05、スチューデントのt検定。
ELANEはがん細胞において頑強な殺滅プログラムを誘導する。 (図10A)がん細胞をELANE (50 nM) で4時間処理し、リン酸化型および全体のERK、NFkB、JNKをウェスタンブロッティングにより定量化した。E0771がん細胞についての免疫ブロットを一例として示す。(図10B)がん細胞を様々な用量のELANEで1時間処理し、ミトコンドリアROSを、CM-H2DCFDA色素を用いてフローサイトメトリーにより測定した。(図10C)がん細胞をELANE (50 nM) で処理し、DNA損傷を、ホスホ-H2AX (γH2AX) および全H2AXに関する免疫ブロッティングによって評価した。A549がん細胞についての免疫ブロットを一例として示す。(図10D)細胞をELANE (50 nM) で8時間処理し、全長および切断型CASP3 (c-CASP3) ならびに切断型PARP (c-PARP) を免疫ブロッティングにより定量化した。LLC1がん細胞についての免疫ブロットを一例として示す。*、p<0.05、スチューデントのt検定。
ELANEは健常な非がん細胞において頑強な殺滅プログラムを誘導しない。 (図11A)健常な非がん細胞をELANE (50 nM) で4時間処理し、リン酸化型および全体のERK、NFkB、JNKを免疫ブロッティングにより定量化した。BMDMについての免疫ブロットを一例として示す。(図11B)細胞を様々な用量のELANEで1時間処理し、ミトコンドリアROSを、CM-H2DCFDA色素を用いてフローサイトメトリーにより測定した。(図11C)細胞をELANE (50 nM) で8時間処理し、全長および切断型CASP3 (c-CASP3) ならびに切断型PARP (c-PARP) を免疫ブロッティングにより定量化した。BMDMについての免疫ブロットを一例として示す。
その他のセリンプロテアーゼはCD95のC末端ドメインを切断しかつC末端ドメインを切断する能力ががん細胞殺滅と関連している。 (図12A)全長組換えCD95タンパク質を、様々なセリンプロテアーゼ(ヒトELANE (80 nM)、PR3 (80 nM)、CSTG (80 nM)、PPE (80 nM)、マウスELANE (80 nM)、ラットELANE (500 nM)、GZMB (80 nM)、もしくはトリプシン (250 nM))、または他のタイプのプロテアーゼ(CTSC (80 nM);もしくは表示されていないMMP7 (80 nM)、MMP9 (80 nM)、CTSD (80 nM))と共に37℃で2時間インキュベートした。分解を、SDS-PAGEとその後のクマシーブルー染色によって評価した。(図12B)MDA-MB-231がん細胞を様々なプロテアーゼと共に24時間インキュベートした。細胞生存度をカルセインAM染色によって評価した。
ブタ膵エラスターゼ (PPE) とELANEはがん細胞に対して同等に毒性があるが、PPEはセリンプロテアーゼ阻害物質による阻害に対してより抵抗性である。 (図13A)MDA-MB-231がん細胞を様々な用量の精製した天然ELANEまたは精製した天然ブタ膵エラスターゼ (PPE) で6時間処理し、死滅をカルセインAM染色によって評価した。(図13B)精製した天然ELANEまたは精製した天然PPEを、異なる濃度のα-1アンチトリプシン (A1AT) と共に15分間インキュベートした。触媒活性を、発色基質アッセイを用いて測定した。MDA-MB-231がん細胞を、A1ATの存在下または非存在下においてELANEまたはPPEで6時間処理し、続いてカルセインAM染色することにより、がん細胞殺滅能力を決定した。(図13C)触媒活性を、発色基質アッセイを用いて測定した。MDA-MB-231がん細胞をFBSの存在下または非存在下においてELANEまたはPPEで6時間処理し、続いてカルセインAM染色することにより、がん細胞殺滅能力を決定した。
ELANEは種々のがん細胞において頑強な殺滅プログラムを誘導する。 ヒトおよびマウスのがん細胞をELANEで処理し、がん細胞死と関連したシグナル伝達経路を評価した。細胞をELANE (50 nM) で4時間処理し、リン酸化型および全体のERK、NFkB、JNKをウェスタンブロッティングにより定量化した。細胞を様々な用量のELANEで1時間処理し、ミトコンドリアROSを、CM-H2DCFDA色素を用いてフローサイトメトリーにより測定した。細胞をELANE (50 nM) で処理し、DNA損傷を、ホスホ-H2AX (γH2AX) および全H2AXに関するウェスタンブロットによって評価した。細胞をELANE (50nM) で8時間処理し、全長および切断型のCASP3およびPARPをウェスタンブロッティングにより定量化した。
触媒的に活性のあるELANEは非がん細胞によって内部移行されてC末端特異的抗体との免疫反応性の消失をもたらす。 非がん細胞をELANE (50 nM) で1時間処理し、10%ホルマリン中で固定し、N末端またはC末端特異的抗CD95抗体で染色した。Hoechst 33342溶液を核染色に用いた。40×で撮像した。結果から、ELANE処理後にC末端特異的抗体との免疫反応性は消失するが、N末端抗体染色は消失しないことが示される。非がん細胞を、広域エンドサイトーシス阻害物質ダイナソア (80μM) の存在下または非存在下においてELANE (100 nM) で30分間処理した。細胞溶解物中のELANE触媒活性を、発色基質アッセイを用いて評価した。
ELANE誘導性の殺滅プログラムは非がん細胞において観察されない。 ヒトおよびマウスの非がん細胞をELANEで処理し、がん細胞死と関連したシグナル伝達経路を評価した。細胞をELANE (50 nM) で4時間処理し、リン酸化型および全体のERK、NFkB、JNKをウェスタンブロッティングにより定量化した。細胞を様々な用量のELANEで1時間処理し、ミトコンドリアROSを、CM-H2DCFDA色素を用いてフローサイトメトリーにより測定した。細胞をELANE (50 nM) で8時間処理し、全長および切断型のCASP3およびPARPをウェスタンブロッティングにより定量化した。
ELANE活性がインビボにおけるその抗腫瘍形成機能に必要である。 (図14A)ELANE、または100 nM PMSFによる処理によって不活性化されたELANE (PMSF-ELANE) の触媒活性を、発色基質により決定した。(図14B) E0771、B16F10、またはLLC1がん細胞をC57BL/6マウスに注射した。腫瘍がほぼ100 mm3に達した時点で、ヒト血清アルブミン(HSA、11.6μg)、ELANE (11.6μg)、またはPMSF-ELANE (11.6μg) を、1回/日で5日間、腫瘍内に送達した。腫瘍体積をノギスによって評価した。結果から、活性ELANEが腫瘍成長を遅らせるのに対して、PMSF-ELANEは腫瘍成長に対して効果がないことが示される。
腫瘍内に送達されたELANEは多くのがんモデルにおいて腫瘍成長を減弱する。 MDA-MB-231、A549、またはMEL888細胞(異種移植モデル)を胸腺欠損ヌードマウスに注射し;M1または4195腫瘍(TNBC PDXモデル)をSCIDマウスにおいて増殖させ;かつE0771、LLC1、またはB16F10細胞(同系モデル)をC57BL/6マウスに注射した。腫瘍がほぼ100mm3に達した時点で、ELANE (11.6μg) またはPMSF-ELANE (11.6μg) を、1回/日で5日間、腫瘍内に送達した。n = マウス8〜15匹/群。腫瘍体積をノギスによって評価した。カプラン・マイヤー曲線をプロットし、ログランク検定(メンテル・コックス法)をマウス生存分析に用いた。0日目は最初の処置日を指す。生存の終点は、腫瘍体積>1000mm3 と定義される。(図15B)
腫瘍内に送達されたELANEはがん細胞アポトーシスを誘導する。 (図16A)MDA-MB-231、A549、またはMEL888(異種移植モデル)細胞を胸腺欠損ヌードマウスに注射し;M1または4195腫瘍(TNBC PDXモデル)をSCIDマウスにおいて増殖させ;かつE0771、LLC1、またはB16F10細胞(同系モデル)をC57BL/6マウスに注射した。腫瘍がほぼ100mm3に達した時点で、ELANE (11.6μg) またはPMSF-ELANE (11.6μg) を、1回/日で5日間、腫瘍内に送達した。6日目に腫瘍を単離して、ホルマリン固定し、TUNEL、切断型PARP (cPARP)、および切断型CASP3 (cCASP3) に関する免疫組織化学または免疫蛍光染色によって調べた。40×で撮像した。(図16B)腫瘍切片をN末端 (N-CD95) およびC末端 (C-CD95) 特異的抗CD95抗体で染色し、続いて二次抗体で染色した(C-CD95およびN-CD95に関してそれぞれAlex fluor 488および594)。3〜4領域/マウスにおいて、蛍光強度の定量化を行った。結果から、ELANE処置がインビボにおいてC-CD95レベルを減弱することが示される。*、p<0.05、スチューデントのt検定。
ELANEは健常な非腫瘍保有マウスにおいて明らかな副作用を生じない。 4μMヒトアルブミン (対照) または4μM ELANEを、健常な非腫瘍保有C57BL/6マウスの乳房脂肪体に、1日に1回連続5日間注射し、副作用をモニターした。体重、脾臓重量、および血中ALT活性レベル(肝機能のマーカー)。最終注射の2日後の、アポトーシスマーカー(切断型CASP3 (c-CASP3)、切断型PARP (c-PARP))に関する免疫組織化学染色。最終注射の2日後の、血中のCD8+エフェクター細胞傷害性T細胞(CD3+CD8+CD62LLOCD44HIと定義される)の定量化。
免疫適格性マウスにおけるELANE処置は適応免疫不全マウスよりもより効果的である。 理論的根拠は、インビボにおいてがん細胞を死滅させる治療薬が、適応免疫応答を高めることが示されているという知見に基づく。したがって本発明者らは、ELANE媒介性のがん細胞殺滅が、腫瘍において免疫細胞に良い影響を及ぼし得るかどうかを探索した。C57BL/6バックグラウンドのRag2-/-マウス(適応免疫なし)および野性型 (wt) C57BL/6マウスを、いずれもJackson laboratoryから取り寄せた。E0771がん細胞を両マウスモデルに注射した。腫瘍がほぼ100 mm3に達した時点で、ELANE (11.6μg) またはHAS (11.6μg) を、1回/日で5日間、腫瘍内に送達した。腫瘍体積をノギスによって評価した。カプラン・マイヤー曲線をプロットし、ログランク検定(メンテル・コックス法)をマウス生存分析に用いた。生存の終点は、腫瘍体積>1000 mm3 と定義される。
腫瘍内に送達されたELANEは腫瘍の免疫細胞を増加させる。 E0771、B16F10、またはLLC1がん細胞をC57BL/6マウスに注射した。腫瘍がほぼ100 mm3に達した時点で、ELANE (11.6μg) またはPMSF-ELANE (11.6μg) を、1回/日で5日間、腫瘍内に送達した。6日目に腫瘍を単離し、フローサイトメトリーによる免疫細胞解析のために消化した。CD45+細胞は全免疫細胞である;マクロファージ (Mac) はCD45+CD11b+CD11clowMHCIIlowと定義され、好中球 (Neu) はCD45+CD11b+Ly6G+と定義され、樹状細胞 (DC) はCD45+CD11b+CD11chighMHCIIhighと定義され、B細胞 (b) はCD45+B220+と定義され、NK細胞 (NK) はCD45+NK1.1+CD16+と定義され、CD4+ T細胞 (CD4T) はCD3+CD4+CD8-と定義され、CD8+ T細胞 (CD8T) はCD3+CD8+CD4-と定義され、CD8エフェクターT細胞 (CD8Teff) はCD3+CD8+CD4-CD62L-CD44+と定義される。*、p<0.05、スチューデントのt検定。(図17)
適応免疫細胞はELANEの治療有効性に寄与する。 C57BL/6バックグラウンドのRag2欠損 (Rag2-/-) マウス(適応免疫なし)および野性型 (wt) C57BL/6マウスに、E0771がん細胞を注射した。腫瘍がほぼ100mm3に達した時点で、ELANE (11.6μg) またはHSA (11.6μg) を、1回/日で5日間、腫瘍内に送達した。(図18A)腫瘍体積をノギスによって評価した。(図18B)カプラン・マイヤー曲線をプロットし、ログランク検定(メンテル・コックス法)を生存分析に用いた。生存の終点は、腫瘍体積>1000mm3 と定義される。
腫瘍内に送達されたELANEはアブスコパル効果を誘導する。 (図19A)E0771がん細胞を、C57BL/6マウスの左側(細胞50万個)および右側(細胞40万個)の乳房脂肪体に注射した。左側の腫瘍がほぼ100 mm3に達した時点で、ELANE (11.6μg) またはPMSF不活性化ELANE (PMSF-ELANE) を、1回/日で5日間、左側腫瘍の腫瘍内に送達した。n = マウス10匹/群。右側の腫瘍(アブスコパル側)には、何の行為も行わなかった。両側の腫瘍体積をノギスによって測定した。(図19B)アブスコパル効果が、左側腫瘍から右側腫瘍へのELANEのスピルオーバーが原因であったという可能性を排除するために、E0771がん細胞をC57BL/6マウスの左側乳房脂肪体にのみ注射し、マウスを、右側乳房脂肪体へのELANE (11.6μg) またはPMSF-ELANEで毎日処置した。腫瘍体積をノギスによって測定した。結果から、ELANEは、反対側の(非腫瘍保有)乳房脂肪体に注射される場合に、腫瘍成長を低減しないことが示される。
腫瘍内に送達されたELANEはTNBCのマウスモデルにおいて抗PDL1有効性を可能にする。 E0771がん細胞をC57BL/6マウスに注射した。腫瘍がほぼ100 mm3に達した時点で、マウスを無作為に4群に分けた;ELANE (11.6μg)、PMSF不活性化ELANE (PMSF-ELANE)、抗PD-L1(BioXCell、10F.9G2、100μg)、およびELANE (11.6μg) + 抗PD-L1 (100μg)。n = マウス8〜9匹/群。抗PD-L1モノクローナル抗体は、腫瘍接種後の10、14、18、および22日目に腹腔内注射した。ELANEまたはPMSF-ELANEは、腫瘍が〜80 mm3に達した時点で(がん細胞注射の約14日後に)、腫瘍内に送達した。(図20A)腫瘍体積をノギスによって測定した。(図20B)カプラン・マイヤー曲線をプロットし、ログランク検定(メンテル・コックス法)をマウス生存分析に用いた。生存の終点は、腫瘍体積>1000 mm3 と定義される。*、p<0.05、スチューデントのt検定。
ブタ膵プロテアーゼ (PPE) はα1アンチトリプシン (A1AT) または血清による阻止に対してより低い感受性を示す。 様々な用量における精製した天然ELANEまたは精製した天然PPEのエラスターゼ活性を測定した。その対応する殺滅能もまた、MDA-MB-231がん細胞において試験した。死滅は、カルセインAM染色によって、処置の6時間後に評価した。精製した天然ELANE (40 nM) または精製した天然PPE (80 nM) を異なる濃度のA1ATと共に15分間インキュベートし、続いてエラスターゼ活性およびMDA-MB-231に対する殺滅能力を試験した。死滅は、カルセインAM染色によって、処置の6時間後に評価した。精製した天然ELANE (40 nM) または精製した天然PPE (80 nM) を異なる濃度のウシ胎仔血清 (FBS) と共に15分間インキュベートし、続いてエラスターゼ活性およびMDA-MB-231に対する殺滅能力を試験した。死滅は、カルセインAM染色によって、処置の6時間後に評価した。

Claims (43)

  1. 好酸球カチオン性タンパク質 (ECP)、好中球エラスターゼ (ELANE)、または、ECPおよびELANEを含む、治療用組成物。
  2. ポリペプチド成分が、ECP、ELANE、または、ECPおよびELANEを含む、請求項1に記載の組成物。
  3. ANXA6、DEFA、CASP3、ANXA6およびDEFA、ANXA6およびCASP3、または、DEFAおよびCASP3をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
  4. ポリペプチド複合体が、ECP、ELANE、ANXA6、DEFA、およびCASP3を含む、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記ポリペプチド成分が架橋されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記ポリペプチド成分が、ECP 0、1、2、3、4、または5 対 ELANE 0、1、2、3、4、または5 対 ANXA6 0、1、2、3、4、または5 対 DEFA 0、1、2、3、4、または5 対 CASP3 0、1、2、3、4、または5の比率で存在し、少なくとも2種類のポリペプチドが前記組成物中に存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. ECPタンパク質が、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. ELANEタンパク質が、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記ポリペプチド成分が基材に結合している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 前記基材が送達ビヒクルである、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記送達ビヒクルがナノ粒子である、請求項10に記載の組成物。
  12. SEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一である150〜260個のアミノ酸を有する好中球エラスターゼ (ELANE) ポリペプチドを含む、治療用組成物。
  13. ANXA6;DEFA;CASP3;ANXA6およびDEFA;ANXA6およびCASP3;DEFAおよびCASP3;またはANXA6、DEFA、およびCASP3をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
  14. SEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一である100〜155個のアミノ酸を有する好酸球カチオン性タンパク質 (ECP) ポリペプチドを含む、治療用組成物。
  15. ANXA6;DEFA;CASP3;ANXA6およびDEFA;ANXA6およびCASP3;DEFAおよびCASP3;またはANXA6、DEFA、およびCASP3をさらに含む、請求項14に記載の組成物。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物の有効量を投与する段階を含む、がんを処置するための方法。
  17. 前記がんが、膀胱がん、血液がん、骨がん、骨髄がん、脳/神経系がん、乳がん、結腸直腸がん、食道がん、胃腸がん、頭部がん、腎がん、肝がん、肺がん、鼻咽頭がん、頸部がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、舌がん、または子宮がんである、請求項16に記載の方法。
  18. 前記タンパク質またはペプチド複合体が、0.001 mg/kg体重および10 mg/kg体重の用量、好ましくは、少なくとも0.1〜5 mg/kg体重、最大で0.1〜5 mg/kg体重、または約0.1〜5 mg/kg体重の用量、最も好ましくは0.5〜1 mg/kg体重の用量で投与される、請求項16または17に記載の方法。
  19. 第2の抗がん療法を実施する段階をさらに含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記第2の抗がん療法が、化学療法、放射線療法、免疫療法、標的療法、または抗ホルモン療法である、請求項19に記載の方法。
  21. CD95を切断するプロテアーゼの有効量とがん細胞を接触させる段階を含む、CD95分解によって該がん細胞を死滅させるための方法。
  22. CD95のカルボキシ末端が分解される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記プロテアーゼがセリンプロテアーゼである、請求項21または22に記載の方法。
  24. 前記セリンプロテアーゼが好中球由来プロテアーゼである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記セリンプロテアーゼが、(i) SEQ ID NO:3(カテプシンG (CTSG))に対して90%同一であるポリペプチド、(ii) SEQ ID NO:4(プロテイナーゼ3 (PRTN3))に対して90%同一であるポリペプチド、(iii) SEQ ID NO:2(マウス好中球エラスターゼ (mELANE))に対して90%同一であるポリペプチド、(iv) SEQ ID NO:5(ブタ膵エラスターゼ (pELA1))に対して90%同一であるポリペプチド、および/または、SEQ ID NO:8(ラット膵エラスターゼ (rELA1/RPE))に対して90%同一であるポリペプチドである、請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記プロテアーゼが、プロテアーゼ活性を有するプロテアーゼ断片である、請求項21〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記プロテアーゼがCD95結合部分と結合している、請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記プロテアーゼが融合タンパク質である、請求項21〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記治療用組成物が注射または局所灌流によって投与される、請求項21 28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記治療用組成物が腫瘍内に投与される、請求項21〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記がんが、膀胱がん、血液がん、骨がん、骨髄がん、脳/神経系がん、乳がん、結腸直腸がん、食道がん、胃腸がん、頭部がん、腎がん、肝がん、肺がん、鼻咽頭がん、頸部がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、舌がん、または子宮がんである、請求項21〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 0.001 mg/kg体重および10 mg/kg体重の用量、好ましくは、少なくとも0.1〜5 mg/kg体重、最大で0.1〜5 mg/kg体重、または約0.1〜5 mg/kg体重の用量、最も好ましくは0.5 〜1 mg/kg体重の用量のプロテアーゼが存在する、請求項21〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 第2の抗がん療法を実施する段階をさらに含む、請求項21〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記第2の抗がん療法が、化学療法、放射線療法、免疫療法、標的療法、または抗ホルモン療法である、請求項33に記載の方法。
  35. カテプシンG (CTSG)、プロテイナーゼ3 (PRTN3)、マウス好中球エラスターゼ (mELANE)、またはブタ膵エラスターゼ (pELA1) を含む1つまたは複数のポリペプチド成分を含む、CD95分解を標的にするプロテアーゼ組成物。
  36. 前記CTSGタンパク質が、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列に対して90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項35に記載の組成物。
  37. 前記PRTN3タンパク質が、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列に対して90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項35または36に記載の組成物。
  38. 前記mELANEタンパク質が、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列に対して90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項35〜37のいずれか一項に記載の組成物。
  39. 前記pELA1タンパク質が、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列に対して90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項35〜38のいずれか一項に記載の組成物。
  40. 前記rELA1/RPEタンパク質が、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項35〜39のいずれか一項に記載の組成物。
  41. 前記ポリペプチド成分が、基材またはターゲティングリガンドに結合している、請求項35〜40のいずれか一項に記載の組成物。
  42. 前記基材が送達ビヒクルである、請求項41に記載の組成物。
  43. 前記送達ビヒクルがナノ粒子である、請求項42に記載の組成物。
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