JP2020518834A - 生体試料の属性を決定するためのシステムおよび方法 - Google Patents

生体試料の属性を決定するためのシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

生体試料の定量化後属性を用いてそれらの試料の定量化前属性を決定するシステムおよび方法を開示する。生体試料の集合を機器(例えば質量分析計)で実行する前に測定可能な方法においてその集合を変化させることにより、定量化後属性の関数として他の生体試料において未知の定量化前属性の決定を可能にするモデルを開発することができる。【選択図】図4

Description

本発明の分野は生体試料の試験である。
背景技術の記載は本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。これは、本出願に提供されている情報のいずれもが先行技術または現在特許請求されている発明に関連しているものであること、あるいは明確または暗黙的に参照されているあらゆる刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
診断および検査室検査産業において品質管理は主要な問題であり、そこでの結果の正確性は診断および治療手順の有効性だけでなく患者の健康にとっても最も重要である。混乱させる結果だけでなく、不十分な試料品質が検査室および研究者に時間および金銭面でかなりの負担をかけることがある。
試料品質に影響を与え得る多くの因子が存在する。例えば生体試料の採取、貯蔵または調製における誤りや差異は、試料をその解析前に著じるしく変化させることがある。例えば、貯蔵容器、温度、使用される試薬などにおける差異は試料品質に有害となり得る。
試料品質問題に対する1つの解決法は、測定前プロトコルに適用される厳密さを高めることである。例えば、Clinical Chemistry 61:7914−934(2015)内のEllervikおよびVaughtの“バイオバンキングにおけるヒト生体試料の完全性に影響を与える解析前の変数(Preanalytical Variables Affecting the Integrity of Human Biospecimens in Biobanking)”というタイトルの2015年の総説は、測定前誤差が臨床検査室の結果における大部分の誤差を占めていることを明らかにしている。彼らは検査室の職員が試料品質の低下を抑えるための解決法として、生体試料の測定前採取および取り扱いを取り巻くプロトコルおよび文書化の厳密さを高めることを提案している。
しかし、特に試料履歴(採取、取り扱いおよび調製に関する)が未知であったり、より高い品質試料を得ることが可能でなかったりする民間試験所では、実用的観点から多くの状況が存在する。これらの状況では追加または代わりの方法を使用して試料品質を決定しなければならない。
Jacobsらへの米国特許第5,846,492号は、分析装置の分注チップにおいて試料品質測定値を決定するための分光光度(測定)法について記載している。この方法では、患者試料をピペットチップの中に吸引したら、液体の吸光度スペクトルを解析する遮光筐体の中でチップをスキャンすることができる。この手法には多くの潜在的な限界が存在するが、特にこの参考文献では試料品質を決定する新しい方法を促進する技術における進歩を認めることができない。
本出願において考察されているこれらおよび全ての他の外部資料は、それら全体が参照により組み込まれる。組み込まれる参考文献における用語の定義または使用が本出願において提供されているその用語の定義と一貫していなかったり矛盾していたりする場合、本出願において提供されているその用語の定義を適用し、かつ参考文献におけるその用語の定義は適用しない。
従って、試料履歴が未知である場合にさらなる機器を必要せずに生体試料品質の決定を可能にする改善されたシステムおよび方法がなお必要とされている。
本発明は、標的生体試料(例えば、血液試料、タンパク質血清試料、組織試料、CSF試料、尿試料および便試料)の未知の定量化前属性を決定することに関する装置、システムおよび方法を提供する。
本発明の主題の一態様では、標的生体試料の未知の定量化前属性(例えば、標的生体試料の品質の表示)の決定方法が企図されている。本方法の実施形態はいくつかの工程を含む。1つの工程では、各生物学的データ対が変化した生体試料(例えば、公知の劣化を有する故意に劣化させたか偶発的に劣化した生体試料)に対応しており、かつ公知の定量化前属性および定量化後属性の集合を含んでいる生物学的データ対の集合を受信することを必要とする。別の工程では、生物学的データ対の集合を使用して定量化後属性と公知の定量化前属性との関係を記述するモデルをコンピュータで開発することを必要とする。そして別の工程では、標的生体試料の定量化後属性の集合をこのモデルに適用して標的生体試料の定量化前属性を決定すること(これはそうしなければ未知である)を必要とする。
いくつかの実施形態では、公知の定量化前属性は変化した生体試料が受けた1種の故意の劣化を含む。故意の劣化は、経過時間の形態、熱への曝露、寒冷への曝露、振動への曝露、加速への曝露、紫外光への曝露、外因性物質への曝露、他の環境的影響力もしくは因子への曝露またはそれらの任意の組み合わせにおいて生じさせることができる。いくつかの実施形態では、定量化後属性は質量分析計からの結果の出力を含んでもよい。例えば定量化後属性としては、タンパク質の定量化、タンパク質の存在量、タンパク質の濃度、タンパク質の活性、タンパク質の存在、ペプチドの定量化、ペプチドの存在、ペプチドの存在量、RNAの活性、発光波長測定値および質量対電荷比値を挙げることができる。
いくつかの実施形態では、コンピュータで開発されるモデルは、複数のモデル(例えば、モデルのシステム、計算モデルまたは一緒に機能するモデルの集合体)含むことができる。
いくつかの実施形態では、生物学的データ対の集合を使用してモデルをコンピュータで開発する工程は、不必要な定量化後属性を特定して無視することを追加で含む(例えば、質量分析計からの全ての情報が未知の定量化前属性の決定において有用であるわけではないため、不必要な定量化後属性を無視する)。
本発明の主題の別の態様では、標的生体試料の品質の決定方法が企図されている。この方法はいくつかの工程を含む。1つの工程では、各生物学的データ対が変化した生体試料に対応しており、かつ公知の品質および定量化後属性の集合を含んでいる生物学的データ対の集合を受信することを必要とする。別の工程では、生物学的データ対の集合を使用して、(1)定量化後属性の部分集合と(2)公知の品質との関係を記述するモデルをコンピュータで開発することを必要とする。別の工程では、標的生体試料の定量化後属性の集合をこのモデルに適用して標的生体試料の品質を決定することを必要とする。
標的生体試料(例えば、血液試料、タンパク質血清試料、組織試料、CSF試料、尿試料および便試料)の品質を決定するために、当該モデルは、標的生体試料の定量化後属性を含む入力を受信し、かつ標的生体試料の品質を含む出力を生成する。
いくつかの実施形態では、変化した生体試料は当該劣化が公知の品質に対応し、かつ公知の品質を低品質から高品質までの範囲の連続体として表現することができるように劣化されている。
変化した生体試料が曝露された故意の劣化の種類は例えば、熱、寒冷および/または紫外光であってもよい。この方法では定量化後属性は、例えばタンパク質の定量化、タンパク質の存在量、タンパク質の濃度、タンパク質の活性、タンパク質の存在、ペプチドの定量化、ペプチドの存在、ペプチドの存在量、RNAの活性、発光波長測定値および質量対電荷比値であってもよい。
当該モデルは単一のモデル、モデルのシステム、計算モデルまたは一緒に機能するモデルの集合体であってもよいと企図されている。
本発明の主題の別の態様では、機器と共に使用するためのシステムが企図されている。本システムは、標的生体試料の未知の定量化前属性を決定するためのモデルを開発する。本システムは、当該機器に通信可能に接続されたコンピュータモデル化装置を備える。当該機器は変化した生体試料を解析して、その変化した生体試料に対応する定量化後属性の集合を生成するように構成されている。当該機器によって解析された変化した生体試料はそれぞれ対応する生物学的データ対を有し、各生物学的データ対は公知の定量化前属性および定量化後属性の集合を含む。
コンピュータモデル化装置はいくつかの機能を行う。それは生物学的データ対の集合を入力として受信し、次いでそれは(1)定量化後属性と(2)公知の定量化前属性との関係を記述するモデルをコンピュータで開発する。当該モデルを標的生体試料の定量化後属性の集合に適用して、標的生体試料の未知の定量化前属性を決定することができる。
いくつかの実施形態では、本システムは、例えば質量分析計、比色計、分光光度計、クロマトグラフ、ゲル電気泳動システム、血液化学分析装置、蛍光分光光度計、イムノアッセイシステム、プロテオミクスアッセイシステムおよび免疫比濁システムであってもよい。
いくつかの実施形態では、公知の定量化前属性は変化した生体試料が曝露された1種の故意の劣化である。例えば変化する生体試料は、熱、寒冷および紫外光に曝露させることができる。
他の実施形態と同様に、コンピュータで開発されるモデルは、複数のモデル(例えば、モデルのシステム、計算モデルまたは一緒に機能するモデルの集合体)を含むことができる。
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様および利点は、同様の符号が同様の構成要素を表す添付の図面と共に、好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
機器による解析の前後の生体試料の集合を示す。 機器による解析の前後の生体試料のモデル構築集合を示す。 生体試料のモデル構築集合からの生体試料に対応する生物学的データ対を示す。 モデルを作成するためのモデル開発において使用される生物学的データ対を示す。 定量化後標的生体試料の集合を示す。 未知の定量化前属性を有する定量化後標的生体試料の生物学的データ対を示す。 標的生体試料に対応する未知の定量化前属性の値を求めるために適用されるモデルを示す。 コンピュータモデル化装置が定量化機器に物理的かつ情報的に接続されているシステムを示す。 コンピュータモデル化装置が定量化機器に情報的に接続されているが物理的には接続されていないシステムを示す。 定量化前が品質の尺度である方法のフローチャートである。
以下の考察は本発明の主題の例示的な実施形態を提供する。各実施形態は本発明の要素の単一の組み合わせを表しているが、本発明の主題は開示されている要素の全ての可能な組み合わせを含むものとみなされる。従って、一実施形態が要素A、BおよびCを含み、かつ第2の実施形態が要素BおよびDを含む場合、たとえ明示的に開示されていないとしても、本発明の主題はA、B、CまたはDの他の残りの組み合わせも含むものとみなされる。
本出願の明細書および以下の特許請求の範囲全体を通して使用されているように、「1つの(a)」「1つの(an)」および「前記(その)(the)」の意味は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り複数の参照物を含む。また本出願の明細書において使用されているように、「〜の中」の意味は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り「〜の中」および「〜の上」を含む。
また本出願で使用されており、かつ文脈がそうでないことを示していない限り、「〜に接続されている」という用語は、直接的接続(ここでは互いに接続されている2つの要素は互いに接触している)および間接的接続(ここでは少なくとも1つのさらなる要素が2つの要素間に位置している)の両方を含むことが意図されている。従って、「〜に接続されている」および「〜と接続されている」という用語は同義で使用される。
いくつかの実施形態では、本発明の特定の実施形態を記述し、かつ特許請求するために使用される成分、濃度などの特性、反応条件などの量を表す数は、場合によっては「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。従って、いくつかの実施形態では、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、特定の実施形態によって得ることが試みられる所望の特性によって異なり得る近似値である。いくつかの実施形態では、数値パラメータは、報告されている有効数字の数を考慮し、かつ通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。本発明のいくつかの実施形態の広い範囲を記載している数値範囲およびパラメータは近似値であるにも関わらず、具体例に記載されている数値は実用的であるように正確に報告されている。本発明のいくつかの実施形態で示されている数値は、それらのそれぞれの試験測定値に認められる標準偏差により必ず生じる特定の誤差を含んでいてもよい。さらに特に文脈が反対のことを示していない限り、本出願に記載されている全ての範囲は、それらの両端の値を含むものとして解釈されるべきであり、かつ非限定的な範囲は商業的に実用的な値のみを含むように解釈されるべきである。同様に、値の全てのリストは、文脈が反対のことを示していない限り中間値を含むものとして解釈されるべきである。
なおコンピュータに関するあらゆる言葉は、サーバ、インタフェース、システム、データベース、エージェント、ピア、エンジン、コントローラまたは個々もしくは集団で動作する他の種類の計算装置を含む計算装置のあらゆる好適な組み合わせを含むように解釈されるべきである。これらの計算装置は、有形の非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、RAM、フラッシュ、ROMなど)に格納されたソフトウェア命令を実行するように構成されたプロセッサを備えるものと理解すべきである。ソフトウェア命令は好ましくは、開示されている装置に関して以下で考察されている役割、責任または他の機能性を提供するように計算装置を構成する。特に好ましい実施形態では、各種サーバ、システム、データベースまたはインタフェースは、おそらくHTTP、HTTPS、AES、公開鍵−秘密鍵交換、ウェブサービスAPI、公知の金融取引プロトコルまたは他の電子情報交換方法に基づく標準化プロトコルまたはアルゴリズムを用いてデータを交換する。データ交換は好ましくはパケット交換網、インターネット、LAN、WAN、VPNまたは他の種類のパケット交換網を介して行われる。以下の説明は本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。本出願に提供されている情報のいずれもが先行技術または現在特許請求されている発明に関連しているものであること、あるいは明確または暗黙的に参照されているあらゆる刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
本出願に記載されているシステムおよび方法は、生体試料の公知の定量化後属性(例えば、質量分析計などの機器を用いて生体試料を解析した後に発見された属性)と生体試料の未知の定量化前属性(例えば、機器による解析前の生体試料の特徴である未知の測定基準、品質または他の属性)との関係を記述するモデルの開発に関する技術革新に関する。本発明の主題に従って記載されているモデルは生物学的データ対を用いて開発する。各生物学的データ対は公知の定量化前属性および公知の定量化後属性の集合を含み、その両方ともが生体試料に対応している。
本発明の主題の方法は、以下により詳細に考察されているいくつかの工程を含む。前付として、{...,...,...}として表されている集合の表記は、項目(例えば、生体試料、属性など)の集合を表すために本出願で使用されている。例えば集合が{a,...,a}として表されている場合、その集合は、i個のaを含む。集合は集合の表記を用いる代わりにテキストで記載されている場合もあり、従って当然のことながら集合の表記が使用されていない場合であっても、それは特定の項目を集合として表すこともできるという可能性を否定するものではない。
集合の単一の要素が例えばaと称されている場合、それはその集合のi番目の要素を指し、その場合、その集合では1≦i≦試料総数であり、iは整数値である。機器によって解析された生体試料と解析されていない生体試料とを区別するためにプライム表記法が使用されている。生体試料の集合の要素が例えばa’と表示されている場合、それはそれが対応する定量化後属性の集合を有する定量化後試料であることを意味する。但し試料集合を一般に参照する場合、プライム表記法および非プライム表記法はそれらがなお生体試料の同じ集合を指すように同義で使用することができる。
図1に示すように、生体試料の集合は試料の集合{b,...,b}として表されている。全ての生体試料{b,...,b}は図1に示すように最終的に機器102で実行される。生体試料{b,...,b}を機器102で実行した後に、それらが当該機器によって解析されたことを示すためにそれらは集合{b’,...,b’}として記録される。本出願では、「定量化前」は試料が機器によって解析される前の状況を指し、「定量化後」は試料が機器によって解析された後の状況を指す。従って、定量化前属性は機器による解析前に定量化可能である生体試料の属性(例えば、生体試料の品質)であり、定量化後属性は機器による解析の結果(例えば、解析の結果)である。定量化後属性は使用される機器および行われる解析に応じて集合として生じることが多い。
生体試料の集合{b,...,b}は例えば、血液試料、タンパク質血清試料、組織試料、脳脊髄液(CSF)試料、尿試料および便試料のうちの1つまたは任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、生体試料の集合における全ての試料は同じ種類のものである。他の実施形態では、生体試料の集合は様々な異なる種類の生体試料を含むことができると考えられている。
異なる種類の生体試料を含む生体試料の集合において、その集合における全ての生体試料はなお好ましくはいくつかの方法で関連づけられている。「関連づけられている」ようにするために、試料は例えば共通するいくつかの他の属性を有していてもよい。例えば血液試料、タンパク質血清試料、組織試料、CSF試料、尿試料および便試料のいくつかの組み合わせを含む生体試料の集合は、当該試料が試料の種類以外のいくつかの方法で関連づけられている場合に、図1に見られるような生体試料の集合{b,...,b}としてなお使用することができる。
「関連づけられている」生体試料は、同じ患者、同じ病院、同じ地域、同じ基礎疾患などから得られるという点で重複を有する場合がある。それは、生体試料が体の同様の系によって生じるもの(例えば、尿試料および便試料はどちらも排泄物である)など、共通する他の属性を有する場合であってもよい。別の例では、生体試料の集合が血液試料および組織試料の両方を含む場合、その集合における生体試料は、同じもしくは同様のタンパク質、抗体(例えば、免疫グロブリンG)、細胞密度、電解質、DNA、血液細胞などを有することによって関連づけられていてもよい。この同じ重複している属性の集合は、血液および組織試料だけでなく多くの異なる種類の生体試料に適用可能であってもよい。
生体試料の集合{b,...,b}および機器102を用いて、生体試料の集合{b,...,b}を機器102によって解析(または定量化)することができる。上述のように、これにより定量化後生体試料の集合{b’,...,b’}が得られる。機器102は質量分析計、比色計、分光光度計、クロマトグラフ、ゲル電気泳動システム、血液化学分析装置、蛍光分光光度計、イムノアッセイシステム、プロテオミクスアッセイシステムおよび免疫比濁システムを含む様々な機器であってもよい。他の考えられる機器としては、Nanostring(登録商標)nCounter(登録商標)などのゲノム機器(DNA、miRNA、mRNA、IncRNAの遺伝子発現を測定するための機器)、lllumina(登録商標)次世代シーケンサー(NGS)などのゲノム機器(遺伝子シーケンサー)、ならびにSomaLogic(登録商標)SOMAscanアッセイおよびSDS Page機器などのタンパク質アッセイ機器(プロテオミクス機器)が挙げられる。
生体試料のモデル構築集合と呼ばれる別の生体試料の集合は、図2に見られるように集合{bm,...,bm}として表示されている。生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}は、いくつかの実施形態では、図1に示されている生体試料の集合{b,...,b}に属する。生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}が生体試料の集合{b,...,b}の部分集合である実施形態では、j<iである。しかし他の実施形態では、生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}は生体試料の集合{b,...,b}の部分集合ではない。それらの実施形態では、それはなおj<iの場合である。これは、本発明の主題の方法がモデル構築生体試料の比較的小さい集合を利用して、集合{b,...,b}に属する生体試料のそうしなければ未知である定量化前属性の決定を可能にするモデルを作成するのに最も有用であるからである。
生体試料の集合{b,...,b}は1つ以上の種類(上に記載したような種類)のものであってもよく、生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}は生体試料の集合{b,...,b}と種類において重複を共有しない1つ以上の種類のものであってもよい。本発明の主題の方法で使用される異なる種類の生体試料は関連づけられていることが重要である。例えば、1つの種類の生体試料のモデル構築集合を使用して開発されたモデルは、他の種類の生体試料にも関連する定量化後属性を考慮に入れることができる。従って、生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}は生体試料の集合{b,...,b}と同じ種類の生体試料である必要はない。
生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}における各生体試料は、公知の定量化前属性(例えば、変化または劣化)を有する。いくつかの実施形態では、生体試料のモデル構築集合における各生体試料を図1の機器による解析(または定量化)前に測定可能な方法で変化させる。各変化する生体試料(すなわち、生体試料のモデル構築集合における各生体試料{bm,...,bm})は、例えば各生体試料を故意に劣化させることによって変化させることができる。
その変化が未知である他の試料におけるその同じ変化を決定するためのモデルを開発するための生体試料の変化(例えば、故意の劣化または偶発的な変化もしくは変動の観察および測定)は以前に行われたことがなく、かつ現在の考えというレンズを通した半直感的なものある。現在では、試料劣化、汚染またはあらゆる種類の変化を排除するために全ての可能な予防措置が講じられている。しかし、変化(例えば劣化)を導入する(または存在を測定する)ことにより、存在、不存在または変化の程度が未知である生体試料における同様の変化の特定を促進するモデルの開発においてその変化が中心的役割を担い得ることが発見された。
過去において、生体試料を故意に変化させる(または変化が公知である偶発的に変化した生体試料を使用する)ことは、その包括的な目標が常に機器によって解析された全ての試料が常に「良好である」ということを保証することであったため意味をなしていなかった。この文脈における「良好」は、生体試料が汚染されていない、変化していない、劣化していない、またはそれ以外の方法で外力、作力、材料、条件などによる影響を受けていないことを意味することができる。生体試料が「良好である」ことを保証するためのこれらの努力を行う際のその望みは、生体試料を解析するための機器を用いた結果として生じる定量化後属性が可能な「最良の」定量化後属性を生成するために可能な限り未知の変化(例えば未知の劣化)によって影響を受けていない状態に近いことを保証することである。
上述のように、生体試料の変化は定量化前属性として表される。定量化前属性は例えば、試料を採取した人または実体の同一性、試料が採取された位置、定量化前に試料を処理するために行われる工程、または試料に関係しているが患者の予後に直接関連づけられていないあらゆる他の属性(例えば、疾患の診断、プロトコルにおける誤り、または採血、組織試料採取における誤りなどの試料取得における誤りなど)であってもよい。またその変化は熱への曝露、寒冷への曝露、紫外光への曝露、化学的手段への曝露、あるいは、例えば酸、塩基、無機塩、有機溶媒(例えば、アルコール、エーテルおよびクロロホルム)、架橋剤、ジスルフィド結合還元剤、カオトロピック剤またはそれらの任意の組み合わせを介した変性試薬への曝露であってもよい。またそれらの変化は、生物学的手段(例えば、酵素活性)、放射線(任意の種類)、撹拌(例えば、振盪、振動など)、圧力(例えば、高もしくは低圧力(1気圧の圧力に対して)、または圧力における変化への曝露であってもよい。さらに定量化前属性は、いくつかの定量化前属性の集合(例えば、本出願で考察されている定量化前属性の任意の組み合わせ)として表すことができる。
また定量化前属性は変化の公知の不存在であってもよいと考えられている。言い換えると、公知の変化(またはその欠如)はモデル構築生体試料に対応する公知の定量化前属性である。従って試料が変化を受けていない場合、定量化前属性は変化の不存在を単に示す。
機器を用いて(上述のように)生体試料を解析する前に当該試料の集合を変化させた場合、その変化に関する情報は、他の生体試料の定量化後属性を使用してそれらの他の生体試料が同じ種類の変化を受けたか否かを決定することができるモデルを作成するためのモデル開発において使用することができる。
図1および図2に関して上で考察した例は生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}が生体試料{b,...,b}の部分集合として存在することを示しているが、生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}は必ずしも生体試料のより広い集合{b,...,b}に属する必要はないとも考えられている。生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}が生体試料{b,...,b}の部分集合ではない実施形態では、その生体試料のモデル構築集合を用いて作り出されたモデルはそれにも関わらず、生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}が生体試料の集合{b,...,b}に関連づけられている限り、生体試料の集合{b,...,b}から生体試料の未知の解析前属性を決定するために有用であり得る。生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}が生体試料の集合{b,...,b}に関連づけられている場合、生体試料の集合{b,...,b}の部分集合であるか否かに関わらず、生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}を用いて開発されたモデルは、その関連性のおかげで生体試料の集合の定量化後属性になお適用することができる。
好ましい実施形態では、生体試料{b,...,b}および生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}は同じ種類の機器で実行される(例えば、両集合は質量分析計によって解析されるが、同じ種類の定量化後属性が生成される限りそれは全く同じ質量分析計である必要はない)。当該機器がモデル開発(以下により詳細に記載されている)において有用な定量化後属性を生成する限り、本発明の主題の方法で使用される生体試料はローカルまたはリモートのいずれかで機器において実行することができると考えられている。
生体試料はグループで、順番に、全て一度になどように当該機器で実行することができる。このプロセスは、ある時間、日数、週または月にわたって行うことができる。つまり生体試料それ自体に影響を与える制約(例えば貯蔵寿命)以外は、試料を機器で実行しなければならないときに関する時間限界は存在しないと考えられている。いくつかの実施形態では、生体試料のモデル構築集合の各要素を採取する時期とそれらの要素を機器で実行する時期との間で経過した時間の量はモデル開発で使用される定量化前属性であってもよい。
定量化後生体試料の集合{b’,...,b’}を作り出すために当該機器で実行される生体試料の集合{b,...,b}のように、生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}も図2に見られるように、生体試料の定量化後モデル構築集合{bm’,...,bm’}を作り出すために、機器(例えば、生体試料{b,...,b}と同じ機器)で実行される。
上述のように、生体試料を機器で実行することにより定量化後属性の集合と呼ばれるものを生成する。定量化後生体試料{b’,...,b’}はそれぞれ対応する定量化後属性の集合を有する。同様に、定量化後モデル構築生体試料{bm’,...,bm’}もそれぞれ対応する定量化後属性の集合を有する。
当該機器に応じて定量化後属性は、例えばタンパク質の定量化、タンパク質の存在量、タンパク質の濃度、タンパク質の活性、タンパク質の存在、ペプチドの定量化、ペプチドの存在、ペプチドの存在量、RNAの活性、発光波長測定値および質量対電荷比値を含むことができる。さらに各定量化後属性それ自体がデータの集合であってもよい。
定量化後属性は、機器(例えば質量分析計)によって直接測定された結果を含むことができると考えられているが、定量化後属性が当該機器によって直接測定された結果から推測される情報をさらに含むことができるとも考えられている。例えば、直接測定されない情報は質量分析計によって出力される生データから(例えば、生の非対応の質量対電荷比値により)推測することができる。別の例では、タンパク質を合成した(例えばRNAから翻訳された)後に、それは小分子の追加またはペプチドの除去のいずれかによって修飾されることが多い。質量分析計はたとえ間接的であってもこれらの修飾を特定するのを助けることができ、かつ修飾の存在、不存在またはレベルを定量化後属性にすることができる。
定量化前属性(例えば変化または劣化)が公知である生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}からの定量化後生体試料のために、図3に示すように生物学的データ対300を生成する。従って各定量化後生体試料bm’は対応する定量化前属性302および定量化後属性の集合304を有し、それらはどちらも生物学的データ対300を構成している。生物学的データ対は、公知の定量化前属性を有する各定量化後生体試料bm’(例えば、生体試料のモデル構築集合に属する生体試料)に固有である。
次に図4に示すように、生体試料のモデル構築集合{bm’,...,bm’}における各定量化後生体試料bm’に対応する生物学的データ対402、404、406および408を使用して、図4に示すようなモデル410を開発する。モデル410は定量化後属性の集合の関数としての標的定量化前属性を表し、ここでは当該モデルを使用することによって値を求めることができる標的定量化前属性は、生物学的データ対402、404、406および408からの公知の定量化前属性と同じである。いくつかの実施形態では、生物学的データ対402、404、406および408からの全ての定量化後属性はモデル開発で使用される。しかし他の実施形態では、いくつかの定量化後属性を捨てて、全ての定量化後属性の部分集合のみを用いて当該モデルを開発する。モデル410は、複数のモデル(例えば、モデルのシステム、計算モデルまたは一緒に機能するモデルの集合体)を含むことができると考えられている。
モデル410はコンピュータで開発する。モデル開発中にコンピュータは、図4に示され、かつ上に記載されているように生体試料のモデル構築集合に対応する生物学的データ対を入力として受信する。当該モデルを開発したら、それを使用して図5に示すように標的生体試料の集合{bt’,...,bt’}(これらの試料はそれらに関連づけられた定量化後属性を有する定量化後試料にしなければならないので、「プライム」集合として表示されている)に属する標的生体試料に対応する未知の定量化前属性の値を決定することができる。例えば、各生体試料{bm’,...,bm’}が公知の熱への曝露を有する場合、当該モデルにより、各試料bt’について定量化前属性が未知である定量化後標的生体試料{bt’,...,bt’}における熱への曝露の値を求めることが可能になる。
標的生体試料の集合は、上限は理論上無制限であるが、当該集合においてたった1つの試料を有する場合があると考えられている。当該モデルを適用可能なものにするために、当該標的生体試料の集合は全て、その生体試料のモデル構築集合が実行された機器(例えば、同じ機器または同じ種類の機器)で実行されたものでなればならない。当該標的生体試料の集合を機器で実行した後に、次いで各標的生体試料bt’は図6に示すように対応する生物学的データ対600を有し、ここでは、生物学的データ対600は公知の定量化後属性602(t_postとも表示される)の集合および未知の標的定量化前属性604(t_preとも表示される)を有する。
生体試料の定量化後モデル構築集合{bm’,...,bm’}からの定量化後生体試料に対応する生物学的データ対を用いて開発されたモデル(ここでは生体試料のモデル構築集合{bm,...,bm}は生体試料の集合{b,...,b}の部分集合である)に関して、標的生体試料の集合は、定量化後生体試料の集合{b’,...,b’}の要素から生体試料の定量化後モデル構築集合{bm’,...,bm’}を差し引いたものであってもよい。これらの実施形態では、当該モデルは、生体試料の集合{b,...,b}中の生体試料の全てが(例えば、上述の種類または任意の他の「関連性」品質によって)関連づけられているので、定量化後生体試料の集合{b’,...,b’}の残りの要素に容易に適用可能であり得る。
上述のように、標的生体試料の集合{bt’,...,bt’}は、標的生体試料の集合{bt’,...,bt’}が定量化後生体試料{b’,...,b’})の部分集合であるとしても、生体試料の集合{b’,...,b’}以外の完全に異なる種類の生体試料であってもよい。また標的生体試料の集合{bt’,...,bt’}が生体試料の集合の要素であることを要件としていない。
標的生体試料が生体試料のモデル構築集合を含む生体試料の種類以外の異なる種類の生体試料である事例では、標的生体試料に対応する定量化後属性の集合を生体試料のモデル構築集合を用いて開発されたモデルになお当てはめることを可能にしてもよい。異なる種類の生体試料は多くの定量化後属性のために異なる値を生成するが、定量化後属性の入力される集合が標的生体試料の種類に関わらず当該モデルの実行のために十分である場合、本発明の主題に従って生成されたモデルを上手く使用して標的定量化前属性を決定することができる。
例えば、全てが組織試料である生体試料のモデル構築集合を用いてモデルを開発する場合、血液試料および組織試料を含む多くの異なる種類の生体試料は同様に劣化するので、当該モデルが組織試料の変化または劣化(すなわち定量化前属性)を知らせるものとして解釈する定量化後属性の集合は、血液試料における変化または劣化(すなわち、定量化後属性の集合)のマーカーと同じまたは同様であってもよい。
従って図7に示すように、本発明の主題に従って開発されたモデルを定量化後属性の集合{t_post,...,t_post}に適用して、標的定量化前属性の解の集合{t_pre,...,t_pre}を求めることができる。解を求めたら、定量化前属性および定量化後属性の集合を{t_post,t_pre}として表される標的生体試料に対応する生物学的データ対にグループ化することができる。
上記工程の全てまたはいくつかは機器(例えば質量分析計)と共に使用するために設計されたシステムで実行することもできる。そのようなシステムでは、情報およびデータ交換を容易にするため電子装置を機器に情報的に接続させることができる。電子装置は代わりに既存の計算装置(例えば、サーバ上、装置またはサーバのネットワーク上などに機器と共に既に存在する計算装置)にソフトウェアとして実装することができるとさらに考えられている。
いくつかの実施形態では、図8に示されているもののように、電子装置800は機器802に物理的かつ情報的に接続されている。他の実施形態では、図9に示されているもののように、装置900は機器902に情報的に接続されているが機器902に物理的に接続されていなくてもよい。好ましい実施形態では、当該電子装置は、モデル開発およびデータ(例えば、定量化前属性、定量化後属性、生物学的データ対など)の格納および操作などのタスクを処理し、必要に応じて本発明の主題の方法の実行を容易にするように実装されている。
本発明の主題の電子装置は仮想の環境(例えばソフトウェア)に実装することができるので、それらは例えばデータを当該機器(例えばクラウドサーバ)と交換するように構成されたサーバまたはサーバのセットに実装することができる。当該装置と当該機器との間での情報交換はネットワーク接続を介して行うことができるが、それは手動のデータ交換(例えば、フラッシュドライブまたは携帯可能なハードドライブなどの携帯可能なデータ記憶装置を用いてデータを転送すること)によって行うこともできる。
図10のフローチャートに表されている例では、1つの工程1000において電子装置は、各生物学的データ対が生体試料のモデル構築集合に属する変化した生体試料に対応している生物学的データ対の集合を受信する。各生物学的データ対は、公知の品質(例えば、生体試料の変化に関する情報に基づき、かつ定量化前属性として表される品質決定)と、定量化後属性の集合(例えば、機器を用いた解析の結果)とを含む。別の工程1002では、当該装置は生物学的データ対の集合を使用して(1)定量化後属性の部分集合(ここでは部分集合は集合全体であってもよい)と(2)公知の品質(例えば、公知の定量化前属性)との関係を記述するモデルをコンピュータで開発する。開発されたモデルを用いて、次の工程1004は、標的生体試料の定量化後属性の集合をこのモデルに適用して各標的生体試料の品質(例えば未知の定量化前属性)を決定する(例えば値を求める)ためのものである。
本発明の主題の実装は、1000の血液血清試料の集合に属する血液血清試料の品質を決定する際に使用することができる。これを行うために、5人の異なる健康な患者からの30の血液血清試料の第1の集合を選択する。30の集合に属する各試料を異なる劣化レジメンに供し、これを劣化データ(すなわち、公知の定量化前属性)として記録する。例えば、各患者の試料の3分の1を一般に高過ぎるとみなされる40℃よりも高い温度に曝露することができ、3分の1は代わりにアルコールなどの変性試薬に曝露することができ、最後の3分の1は劣化を有しない対照として取って置くことができる。
この例では、公知の劣化レベル(すなわち、公知の定量化前属性)を有する生体試料のモデル構築集合を質量解析機器において解析して、モデル構築集合における各血液血清試料に対応する定量化後属性の集合として表される出力値(例えば、全てが定量化後属性の集合として表される生の質量対電荷比値または推定値のいずれか)を生成する。
劣化データ(すなわち定量化前属性)と共に得られる定量化後属性を使用してモデルを生成し、ここでは当該モデルは、劣化(すなわち定量化前属性)に対応するかそれを予測する出力値(すなわち定量化後属性)からマーカー/変数を特定する。
次いで、未知の品質の生体試料の第2の集合(すなわち標的生体試料の集合)を質量解析機器で実行することができる。次いで当該モデルをこの第2の集合のために出力値(すなわち定量化後属性)に適用して、試料の第2の集合のそれぞれの品質レベル(すなわち定量化前属性)を決定することができる。
本発明の主題の方法は、例えば医学研究者が解析するための血液試料の集合を有し、かつ当該試料の少なくとも1つが質量分析計による解析前に過剰な熱に曝露されたことに気づいているが当該研究者がこの条件に曝露された1つまたは2つの特定の試料についてのみ知っている場合にも有用であり得る。当該研究者は最初に彼らが熱に曝露されたことを知っている集合からの生体試料を実行して定量化後属性を熱劣化に関連づけるモデルを生成し、次いでその後にそのモデルにより未知の品質(例えば未知の熱劣化)を有する全ての残りの試料を実行して、それらの試料のうちのどれが熱に関連する劣化を受けたかを決定することができる。
以上、具体的な装置、システムおよび方法を開示してきた。但し、本出願における本発明の概念から逸脱することなくそれらの既に記載されているもの以外のさらに多くの修正が可能であることは当業者には明らかであるはずである。従って本発明の主題は、本開示の趣旨以外では限定されない。さらに本開示を解釈する際に、全ての用語は本文脈に一貫した最も広い可能な方法で解釈されるべきである。「〜を含む(「comprise」および「comprising」)」という用語は、非排他的な方法で要素、構成要素または工程に言及するものとして解釈されるべきであり、これはその言及されている要素、構成要素または工程が存在することができるか利用することができること、あるいは明記されていない他の要素、構成要素または工程と組み合わせることができることを示す。

Claims (21)

  1. 標的生体試料の未知の定量化前属性の決定方法であって、
    各生物学的データ対が故意に劣化させた生体試料に対応しており、かつ公知の定量化前属性および定量化後属性の集合を含んでいる生物学的データ対の集合を受信する工程と、
    前記生物学的データ対の集合を使用して、(1)前記定量化後属性の部分集合と(2)前記公知の定量化前属性との関係を記述するモデルをコンピュータで開発する工程と、
    標的生体試料の定量化後属性の集合を前記モデルに適用して前記標的生体試料の前記未知の定量化前属性を決定する工程と
    を含む方法。
  2. 前記公知の定量化前属性は前記故意に劣化させた生体試料が受けた1種の故意の劣化を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記公知の定量化前属性は、熱への曝露、寒冷への曝露、紫外光への曝露、化学的手段への曝露、変性試薬への曝露、酵素活性への曝露、放射線への曝露、撹拌への曝露、圧力への曝露および圧力の変化に対する曝露のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記モデルは複数のモデルを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記未知の定量化前属性は前記標的生体試料の品質の表示の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記定量化後属性は質量分析計からの結果の出力を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記生物学的データ対の集合を使用してモデルをコンピュータで開発する前記工程は、不必要な定量化後属性を特定して無視することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記標的生体試料は、血液試料、タンパク質血清試料、組織試料、CSF試料、尿試料および便試料のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記定量化後属性の集合の定量化後属性は、タンパク質の定量化、タンパク質の存在量、タンパク質の濃度、タンパク質の活性、タンパク質の存在、ペプチドの定量化、ペプチドの存在、ペプチドの存在量、RNAの活性、発光波長測定値、翻訳後修飾の存在、アミノ酸配列および質量対電荷比値のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 標的生体試料の品質の決定方法であって、
    各生物学的データ対が故意に劣化させた生体試料に対応しており、かつ公知の品質および定量化後属性の集合を含んでいる生物学的データ対の集合を受信する工程と、
    前記生物学的データ対の集合を使用して、(1)前記定量化後属性の部分集合と(2)前記公知の品質との関係を記述するモデルをコンピュータで開発する工程と、
    標的生体試料の定量化後属性の集合を前記モデルに適用して前記標的生体試料の前記品質を決定する工程と
    を含み、
    前記モデルは前記標的生体試料の定量化後属性を含む入力を受信し、かつ前記標的生体試料の前記品質を含む出力を生成することを特徴とする方法。
  11. 前記故意に劣化させた生体試料は前記劣化が前記公知の品質に対応するように劣化されている、請求項10に記載の方法。
  12. 前記品質は低品質から高品質までの範囲の連続体を含む、請求項10に記載の方法。
  13. 前記故意の劣化の種類は、熱への曝露、寒冷への曝露、紫外光への曝露、化学的手段への曝露、変性試薬への曝露、酵素活性への曝露、放射線への曝露、撹拌への曝露、圧力への曝露および圧力の変化に対する曝露のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
  14. 前記標的生体試料は、血液試料、タンパク質血清試料、組織試料、CSF試料、尿試料および便試料のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
  15. 前記定量化後属性の集合の定量化後属性は、タンパク質の定量化、タンパク質の存在量、タンパク質の濃度、タンパク質の活性、タンパク質の存在、ペプチドの定量化、ペプチドの存在、ペプチドの存在量、RNAの活性、発光波長測定値、翻訳後修飾の存在、アミノ酸配列および質量対電荷比値のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
  16. 前記モデルは複数のモデルを含む、請求項10に記載の方法。
  17. 機器と共に使用するためのシステムであり、かつ標的生体試料の未知の定量化前属性を決定するためのモデルを開発するシステムであって、
    故意に劣化させた生体試料を解析して前記故意に劣化させた生体試料に対応する定量化後属性の集合を生成するように構成された前記機器に通信可能に接続されたコンピュータモデル化装置を備え、
    前記機器によって解析された各故意に劣化させた生体試料は生物学的データ対に対応し、各生物学的データ対は公知の定量化前属性および定量化後属性の集合を含み、
    前記装置は、
    生物学的データ対の集合を入力として受信し、かつ
    前記モデルを標的生体試料の定量化後属性の集合に適用して前記標的生体試料の前記未知の定量化前属性を決定することができるように、(1)前記定量化後属性と(2)前記公知の定量化前属性との関係を記述するモデルをコンピュータで開発する
    ことを特徴とするシステム。
  18. 前記機器は、質量分析計、比色計、分光光度計、クロマトグラフ、ゲル電気泳動システム、血液化学分析装置、蛍光分光光度計、イムノアッセイシステム、プロテオミクスアッセイシステムおよび免疫比濁システムのうちの少なくとも1つである、請求項17に記載のシステム。
  19. 前記公知の定量化前属性は、前記故意に劣化させた生体試料が受けた1種の故意の劣化を含む、請求項17に記載の方法。
  20. 前記故意の劣化の種類は、熱への曝露、寒冷への曝露、紫外光への曝露、化学的手段への曝露、変性試薬への曝露、酵素活性への曝露、放射線への曝露、撹拌への曝露、圧力への曝露および圧力の変化に対する曝露のうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の方法。
  21. 前記モデルは複数のモデルを含む、請求項17に記載の方法。
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