JP2020516626A - アジリジンを含有するエポチロン類似体、合成方法、治療方法及び薬物コンジュゲート - Google Patents

アジリジンを含有するエポチロン類似体、合成方法、治療方法及び薬物コンジュゲート Download PDF

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キリアコス シー. ニコラウ
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デレク ローデス
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ヤンピン ワン
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Abstract

一態様では、本開示は、下記式(I)のエポチロン類似体を提供し、ここで、変数は、本明細書で定義するとおりである。別の態様では、本開示はまた、本明細書に開示される化合物を調製する方法も提供する。別の態様では、本開示はまた、医薬組成物及び本明細書に開示される化合物の使用方法も提供する。さらに、化合物の細胞標的化部分を含む薬物コンジュゲートも提供される。

Description

本出願は、2017年4月11日に出願された米国特許仮出願番号第62/484,262号に対する優先権の利益を主張し、この出願の内容全体が、本明細書に参考として組み込まれる。
本発明は、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)による報償を受けたGrant No.AI055475に基づく政府の援助によりなされた。政府は、本発明に特定の権利を有する。
本開示の開発は、一部分は、Welch Foundationによって、Grant No.C−1819に基づいて資金提供された。
1.分野
本開示は、医学、薬理学、化学及び腫瘍学の分野に関する。特に、エポチロンのアジリジン含有類似体に関する新規な化合物、組成物、治療方法及び合成方法が、開示される。
2.関連技術
天然産物であるエポチロンA、B、C及びD(1〜4)は、全合成経路の開発及び天然産物からの半合成の探求及び鍵となる中間体を含め、多くの合成研究の主題である(Nicolaou及びSnyder、2003、Altmannet al.、2007、Altmannet al.、2009、Pfeifferet al.、2009、Altmannet al.、2011、Pfeifferet al.、2012、Altmannet al.、2014及びSchiesset al.、2015)。この合成に関する全ての努力から、転移性又は局所的に進行した脳癌の治療のための臨床薬剤として最近承認されたもの(5、イクサベピロン、Ixempra(登録商標))を含め、いくつかの薬物候補物質が導かれている。この薬剤は、天然に存在するエポチロンBから半合成経路によって作られる(2)(Vahdat、2008及びBorzilleriet al.、2000)。他の注目すべきエポチロンB類似体は、メチルチオエポチロンB(ABJ879、6)、アミノメチルエポチロンB(BMS−310705、7)、C12−C13アジリジニルエポチロンA類似体(8)(WO9954319A1号、Regueiro−Renet al.、2001、WO02098868A1号、US20070276018A1号、WO2007140297A1号、WO2007140298A1号及びWO2008147941A1号)、及びそのN−アルキル化誘導体(BMS−748285、9)(US20070275904A1号、Kimet al.、2011、Gokhaleet al.、2013)であり、このアジリジン類似体は両方とも臨床試験に入っているが、承認を得るための適切な治療ウィンドウを示さなかった(Sessaet al.、2007)。さらに、BMS−748285(9)は、標的化された化学治療薬の一部として葉酸と結合されたが、初期の臨床試験後に断念された(Peethambaramet al.、2015)。イクサベピロン(5)及び12,13−アジリジニルエポチロンA(8)は、それぞれ、天然産物、エポチロンB(Borzilleriet al.、2000)(2)及びエポチロンA(WO9954319 A1号、Regueiro−Renet al.、2001、WO02098868A1号、US20070276018A1号、WO2007140297A1号、WO2007140298A1号及びWO2008147941A1号)(1)からの半合成によって調製された。
非常に細胞毒性のある化合物を抗体−薬物コンジュゲート(ADC)に配合する能力及び他の標的化治療薬の手法は、毒性の課題に起因して、その高い効能を実行可能な薬物にすることができないこれらの化合物の治療指数を向上させる一様式を与える(Chariet al.、2014及びSrinivasaraoet al.、2015)。したがって、これらの標的化された治療手法のための化学ペイロードとして作用し得る非常に強力な化学療法剤が依然として必要とされている。
概要
本開示は、下記式の化合物:
Figure 2020516626
〔式中、
は、−O−又は−NR−であり、ここで、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
は、ヘテロアリール(C≦12)、−ヘテロアレーンジイル(C≦8)−R、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
は、アルキル(C≦12)、アリール(C≦12)、アラルキル(C≦12)、ヘテロアリール(C≦12)、ヘテロアラルキル(C≦12)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
は、水素又はアルキル(C≦12)、シクロアルキル(C≦12)、又は任意のいずれかの基の置換された態様であり、
は、アルキル(C≦12)、シクロアルキル(C≦12)、又は任意のいずれかの基の置換された態様である〕
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
〔式中、
は、−O−又は−NR−であり、ここで、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
は、ヘテロアリール(C≦12)、−ヘテロアレーンジイル(C≦8)−R、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
は、アルキル(C≦12)、アリール(C≦12)、アラルキル(C≦12)、ヘテロアリール(C≦12)、ヘテロアラルキル(C≦12)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
及びRは、それぞれ独立して、水素又はアルキル(C≦12)、シクロアルキル(C≦12)、又は任意のいずれかの基の置換された態様であり、
但し、Rが水素であり、Rが2−メチルチアゾール−4−イルである場合、Rは、水素又はヒドロキシエチルではない〕
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
〔式中、
、R及びRは、上に定義されるとおりであり、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
は、
Figure 2020516626
であり、式中、
は、−O−又は−NRであり、ここで、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル(C≦6)、置換アルキル(C≦6)、ヘテロアリール(C≦8)、置換ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、置換ヘテロアラルキル(C≦8)、アルコキシ(C≦6)、置換アルコキシ(C≦6)、アルキルチオ(C≦6)又は置換アルキルチオ(C≦6)であるか、又は
Figure 2020516626
であり、式中、
及びXは、それぞれ独立して、−O−又は−NR−であり、ここで、
は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アリール(C≦8)、アラルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
及びRは、それぞれ独立して、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)、置換アルコキシ(C1−3)、アルキルチオ(C1−3)又は置換アルキルチオ(C1−3)であるか、又は
Figure 2020516626
であり、式中、
、X及びXは、それぞれ独立して、−O−、−S−又は−NR−であり、ここで、
は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)である〕、又は
化合物〔式中、
、R及びRは、上に定義されるとおりであり、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
は、
Figure 2020516626
であり、式中、
10は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
11は、アルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)又は置換ヘテロアリール(C≦8)である〕、
化合物〔式中、
、R及びRは、上に定義されるとおりであり、
は、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
は、
Figure 2020516626
であり、式中、
12は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
13は、アルキル(C≦6)又は置換アルキル(C≦6)であり、
但し、R
Figure 2020516626
である場合、Rは、2−ヒドロキシエチルではない〕
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
であり、式中、
、R及びXは、上に定義されるとおりである〕
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
であり、式中、
及びRは、上に定義されるとおりである〕
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
であり、式中、
及びRは、上に定義されるとおりである〕
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
であり、式中、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
は、
Figure 2020516626
であり、式中、
は、−O−又は−NRであり、ここで、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル(C≦6)、置換アルキル(C≦6)、ヘテロアリール(C≦8)、置換ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、置換ヘテロアラルキル(C≦8)、アルコキシ(C≦6)、置換アルコキシ(C≦6)、アルキルチオ(C≦6)又は置換アルキルチオ(C≦6)である〕、又は
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
他の実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
であり、式中、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
は、
Figure 2020516626
であり、式中、
及びXは、それぞれ独立して、−O−又は−NR−であり、ここで、
は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アリール(C≦8)、アラルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
及びRは、それぞれ独立して、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であるか、又は
但し、R
Figure 2020516626
である場合、Rは、2−ヒドロキシエチルではない〕
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
他の実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
であり、式中、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
は、
Figure 2020516626
であり、式中、
、X及びXは、それぞれ独立して、−O−、−S−又は−NR−であり、ここで、
は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)である〕
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
他の実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
であり、式中、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
は、
Figure 2020516626
であり、式中、
10は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
11は、アルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)又は置換ヘテロアリール(C≦8)である〕、
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
他の実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
であり、式中、
は、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
は、
Figure 2020516626
であり、式中、
12は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
13は、アルキル(C≦6)又は置換アルキル(C≦6)である〕
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、Rは、アルキル(C≦6)、例えばメチルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル(C≦6)、例えば、メチルである。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、Xは、−O−である。
いくつかの実施形態では、Rは、水素である。他の実施形態では、Rは、アルキル(C≦6)、例えば、−CHCH(CHである。他の実施形態では、Rは、置換アルキル(C≦6)、例えば、2−ヒドロキシエチル、2−アジドエチル、2−メルカプトエチル、2−アミノエチル又は2−アセトキシエチルである。他の実施形態では、Rは、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)である。他の実施形態では、Rは、アルキン(C≦6)、例えば、−CHCCHである。
いくつかの実施形態では、Rは、
Figure 2020516626
であり、式中、
は、−O−又は−NRであり、ここで、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル(C≦6)、置換アルキル(C≦6)、ヘテロアリール(C≦8)、置換ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、置換ヘテロアラルキル(C≦8)、アルコキシ(C≦6)、置換アルコキシ(C≦6)、アルキルチオ(C≦6)又は置換アルキルチオ(C≦6)である。
他の実施形態では、Rは、
Figure 2020516626
であり、式中、
は、−O−又は−NRであり、ここで、
は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル(C≦6)、置換アルキル(C≦6)、ヘテロアリール(C≦8)、置換ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、置換ヘテロアラルキル(C≦8)、アルコキシ(C≦6)、置換アルコキシ(C≦6)、アルキルチオ(C≦6)又は置換アルキルチオ(C≦6)である。
いくつかの実施形態では、Rは、アルキル(C≦6)、例えば、メチルである。他の実施形態では、Rは、置換アルキル(C≦6)である。他の実施形態では、Rは、アルキルチオ(C≦6)、例えば、−SCHである。他の実施形態では、Rは、置換アルキルチオ(C≦6)である。
他の実施形態では、Rは、
Figure 2020516626
であり、式中、
及びXは、それぞれ独立して、−O−又は−NR−であり、ここで、
は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アリール(C≦8)、アラルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
及びRは、それぞれ独立して、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)、置換アルコキシ(C1−3)、アルキルチオ(C1−3)又は置換アルキルチオ(C1−3)である。
いくつかの実施形態では、Rは、アルキル(C1−3)、例えば、メチルである。他の実施形態では、Rは、置換アルキル(C1−3)である。他の実施形態では、Rは、アリール(C≦8)である。他の実施形態では、Rは、置換アリール(C≦8)、例えば、4−フルオロフェニルである。他の実施形態では、Rは、アルキルチオ(C1−3)、例えば、−SCHである。他の実施形態では、Rは、置換アルキルチオ(C1−3)である。
いくつかの実施形態では、Rは、アリール(C≦8)である。他の実施形態では、Rは、置換アリール(C≦8)、例えば、4−アミノフェニル、3−フルオロ−4−アミノフェニル又は3−トリフルオロメチル−4−アミノフェニルである。他の実施形態では、Rは、ヘテロアラルキル(C≦8)である。他の実施形態では、Rは、置換ヘテロアラルキル(C≦8)、例えば、ピラゾリルメチルである。
他の実施形態では、Rは、
Figure 2020516626
であり、式中、
、X及びXは、それぞれ独立して、−O−、−S−又は−NR−であり、ここで、
は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)である。
いくつかの実施形態では、Rは、存在しないか、又は水素である。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル(C1−3)又は置換アルキル(C1−3)である。
他の実施形態では、Rは、
Figure 2020516626
であり、式中、
10は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
11は、アルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)又は置換ヘテロアリール(C≦8)である。
いくつかの実施形態では、R10は、水素である。
いくつかの実施形態では、R11は、アルキル(C≦6)、例えば、メチルである。他の実施形態では、R11は、ヘテロアリール(C≦8)である。他の実施形態では、R11は、置換ヘテロアリール(C≦8)、例えば、4−メチルチアゾール−2−イルである。
他の実施形態では、Rは、
Figure 2020516626
であり、式中、
12は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
13は、アルキル(C≦6)又は置換アルキル(C≦6)である。
いくつかの実施形態では、R12は、水素である。いくつかの実施形態では、R13は、アルキル(C≦6)、例えば、メチルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
Figure 2020516626
Figure 2020516626
Figure 2020516626
Figure 2020516626
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
Figure 2020516626
Figure 2020516626
Figure 2020516626
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、化合物は、さらに、以下のように定義される:
Figure 2020516626
Figure 2020516626
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
別の態様では、本開示は、下記式を有する化合物、
Figure 2020516626
又はその医薬的に許容される塩を提供する。
さらに別の態様では、本開示は、
(a)本開示の化合物と、
(b)医薬的に許容される担体と、を含む、医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口、脂肪内、動脈内、関節内、頭蓋内、皮内、病巣内、筋肉内、鼻腔内、眼球内、心膜内、腹腔内、胸膜内、直腸内、髄腔内、気管内、腫瘍内、臍下、膣内、静脈内、小胞内、硝子体内、リポソーム内、局部、粘膜内、非経口、直腸内、結膜下、皮下、舌下、局所、経口腔、経皮、経膣内、クリームで、脂質組成物で、カテーテルを介して、洗浄を介して、連続注入を介して、注入を介して、吸入を介して、注射を介して、局所送達を介して、又は局所的な灌流を介して投与されるために配合される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、単位用量として配合される。
さらに別の態様では、本開示は、患者において、疾患又は障害を治療する方法であって、これを必要とする患者に、治療有効量の本開示の化合物又は組成物を投与することを含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、癌、例えば、癌腫、肉腫、リンパ腫、白血病、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫又は精上皮腫である。いくつかの実施形態では、癌は、膀胱、血液、骨、脳、脳、中枢神経系、頸部、結腸、子宮内膜、食道、胆嚢、胃腸管、生殖器、尿生殖路、頭部、腎臓、咽頭、肝臓、肺、菌組織、首、口腔又は鼻粘膜、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、脾臓、小腸、大腸、胃、睾丸又は甲状腺の癌である。
いくつかの実施形態では、本方法は、さらに、手術、第2の化学療法剤、放射線療法又は免疫療法などの第2の癌治療を含む。いくつかの実施形態では、患者は、哺乳動物、例えば、ヒトである。いくつかの実施形態では、本方法は、化合物を1回投与することを含む。他の実施形態では、本方法は、化合物を2回以上投与することを含む。
さらに別の態様では、本開示は、
(a)抗体と、
(b)本開示の化合物と、を含む、抗体薬物コンジュゲートを提供する。
いくつかの実施形態では、抗体と化合物とが、酵素分解可能なリンカーなどのリンカーによって接続している。いくつかの実施形態では、抗体は、抗体に結合される2つ以上の化合物を含む。
さらに別の態様では、本開示は、下記式の化合物を調製する方法であって、
Figure 2020516626
〔式中、
は、−O−又は−NR−であり、ここで、
は、水素、一価アミン保護基、又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、アラルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
及びYは、それぞれ独立して、アミノ、ヒドロキシ、又はアルコキシ(C≦8)、アラルコキシ(C≦8)、アシルオキシ(C≦8)、アルキルアミノ(C≦8)、ジアルキルアミノ(C≦8)、アミド(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であるか、又は−ORであり、ここで、
は、ヒドロキシ保護基であり、
及びRは、それぞれ独立して、水素又はアルキル(C≦12)、シクロアルキル(C≦12)、アルケニル(C≦12)、アルキニル(C≦12)、アリール(C≦12)、又はこれらの任意の基の置換された態様である〕
下記式の化合物、
Figure 2020516626
〔式中、
、Y、Y、R及びRは、上に定義されるとおりである〕と、
O−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミンとを、Rh触媒存在下で反応させることを含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、Rh触媒は、Rh(II)触媒、例えば、Rh(esp)である。いくつかの実施形態では、Rh触媒は、約0.25%〜約5%のモル%で存在する。他の実施形態では、モル%は、約2%である。
いくつかの実施形態では、本方法は、式VIの化合物とO−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミンとを約1:1〜約1:5の比率で加えることを含む。他の実施形態では、比率は、約1:1.5である。
本明細書で記載される任意の方法及び組成物は、本明細書に記載される任意の他の方法又は組成物に関して実行されてもよいことが想定される。例えば、ある方法によって合成される化合物を、異なる方法に従って最終化合物の調製に使用してもよい。
「1つの(a)」又は「1つの(an)」との用語の使用は、特許請求の範囲及び/又は明細書中で「〜を含む」という用語と組み合わせて使用される場合、「1つ」を意味していてもよいが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」及び「1つ又は1つより多く」の意味とも一致している。「約」という語句は、述べられている数字の±5%を意味する。
本開示の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。しかし、詳細な説明及び具体例は、本開示の具体的な実施形態を示しているが、単なる具体例として与えられていることが理解されるべきである。本開示の精神及び範囲内の種々の変更及び改変が、この詳細な説明から当業者には明らかになるからである。
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示の特定の態様をさらに示すために含まれている。本開示は、詳細な説明と組み合わせて、これら1つ以上の図面を参照することによって、よりよく理解されるだろう。
図1A〜1Hは、MES SA細胞について、化合物1〜4、パクリタキセル及びMMAE(図1A)、MMAE及び8〜12(図1B)、MMAE及び13〜17(図1C)、MMAE及び18〜22(図1D)、MMAE及び23〜27(図1E)、MMAE及び28〜32(図1F)、MMAE及び33〜37(図1G)、及びMMAE、38〜40、73、79及び81(図1H)についての死滅アッセイを示す。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 図2A〜2Hは、MES SA DX細胞について、化合物1〜4、パクリタキセル及びMMAE(図2A)、MMAE及び8〜12(図2B)、MMAE及び13〜17(図2C)、MMAE及び18〜22(図2D)、MMAE及び23〜27(図2E)、MMAE及び28〜32(図2F)、MMAE及び33〜37(図2G)、及びMMAE、38〜40、73、79及び81(図2H)についての死滅アッセイを示す。 図2Aの説明を参照のこと。 図2Aの説明を参照のこと。 図2Aの説明を参照のこと。 図2Aの説明を参照のこと。 図2Aの説明を参照のこと。 図2Aの説明を参照のこと。 図2Aの説明を参照のこと。 図3A〜3Hは、HEK 293T細胞について、化合物1〜4、パクリタキセル及びMMAE(図3A)、MMAE及び8〜12(図3B)、MMAE及び13〜17(図3C)、MMAE及び18〜22(図3D)、MMAE及び23〜27(図3E)、MMAE及び28〜32(図3F)、MMAE及び33〜37(図3G)、及びMMAE、38〜40、73、79及び81(図3H)についての死滅アッセイを示す。 図3Aの説明を参照のこと。 図3Aの説明を参照のこと。 図3Aの説明を参照のこと。 図3Aの説明を参照のこと。 図3Aの説明を参照のこと。 図3Aの説明を参照のこと。 図3Aの説明を参照のこと。 図4A及び4Bは、化合物10(図4A)及び39(図4B)のX線結晶構造を示す。
本開示は、12、13位にアジリジン環を含むエポチロン誘導体を提供する。これらの化合物は、抗体薬物コンジュゲート中の化学ペイロードとして使用されるものを含め、癌の治療に用いられてもよい。いくつかの態様では、化合物は、既知のエポチロンと比較して、向上した活性又は他の薬理学的特徴を示す。
二重結合を含有する出発物質から、アジリジンを含有するエポチロン類似体を調製する方法も本明細書で提供される。Ess−Kuerti−Falckアジリジン化条件を用い、メチルケトン誘導体を、アジリジンを含有するエポチロン類似体へと変換することができた。この類似体を得るために、アジリジン基を導入した後、Horner−Wadsworth−Emmons条件下でメチルケトンをホスホネートイリドと反応させ、最終生成物を得た。
I.化合物及びその製剤
A.化合物
本開示によって提供される化合物は、例えば、上の概要の章及び以下の実施例及び特許請求の範囲に示される。この化合物は、実施例の章に概説される方法を用いて作られてもよい。本明細書に記載のアジリジンを含有するエポチロン類似体は、例えば、以下の実施例の章に記載される方法にしたがって合成することができる。これらの方法は、当業者によって応用されるような有機化学の原理及び技術を用い、さらに改変され、最適化されてもよい。このような原理及び技術は、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure(2007)に教示されており、本明細書に参考として組み込まれる。
本明細書に記載のアジリジンを含有するエポチロン類似体は、1個以上の非対称に置換された炭素原子又は窒素原子を含んでいてもよく、光学的に活性な形態又はラセミ形態で単離されてもよい。したがって、特定の立体化学又は異性体形態が特定的に示されている場合を除き、ある化学式の全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ形態、エピマー形態及び全ての幾何異性体形態が意図されている。化合物は、ラセミ体及びラセミ混合物、一種類のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして得られてもよい。いくつかの実施形態では、1種類のジアステレオマーが得られる。本開示の化合物のキラル中心は、S配置又はR配置を有していてもよい。
本明細書に記載のアジリジンを含有するエポチロン類似体を表すために用いられる化学式は、典型的には、可能ないくつかの異なる互変異性体のうち1つのみを示すだろう。例えば、多くの種類のケトン基は、対応するエノール基との平衡状態で存在することが知られている。同様に、多くの種類のイミン基は、エナミン基と平衡状態で存在する。所与の化合物についてどの互変異性体が示されているかに関わらず、どれが最も一般的であるかに関わらず、所与の化学式の全ての互変異性体が意図される。
本明細書に記載のアジリジンを含有するエポチロン類似体はまた、本明細書で述べられる適応症に使用されるか、又はそれ以外に使用されるかによらず、従来技術で知られている化合物よりも効果が高く、毒性が低く、作用が長く続き、より強力であり、生じる副作用が少なく、より容易に吸収され、及び/又はよりよい薬物動態プロフィールを有し(例えば、口腔バイオアベイラビリティが高く、及び/又はクリアランスが低い)、及び/又は他の有用な薬理学的、物理的又は化学的特徴を有し得るという利点を有していてもよい。
これに加え、本明細書に記載のアジリジンを含有するエポチロン類似体を構成する原子は、このような原子の全ての同位体形態を含むことを意図している。同位体は、本明細書で使用される場合、同じ原子番号を有するが、質量数が異なる原子を含む。一般例として、限定されないが、水素の同位体としては、三重水素及び重水素が挙げられ、炭素の同位体としては、13C及び14Cが挙げられる。
本明細書に記載のエポチロン類似体はまた、プロドラッグ形態で存在していてもよい。プロドラッグは、医薬の望ましい多くの品質(例えば、溶解度、バイオアベイラビリティ、製造など)を高めることが知られているため、本開示のいくつかの方法で使用される化合物は、所望な場合、プロドラッグ形態で送達されてもよい。したがって、本開示は、本開示の化合物のプロドラッグ及びプロドラッグを送達する方法を想定する。本明細書に記載のアジリジンを含有するエポチロン類似体のプロドラッグは、通常の操作で、又はin vivoで、修飾が開裂して親化合物になるような様式で、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製されてもよい。したがって、プロドラッグとしては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基又はカルボキシ基が任意の基に結合し、プロドラッグが対象に投与されると、それぞれ開裂してヒドロキシ、アミノ又はカルボン酸を生成する、本明細書に記載の化合物が挙げられる。
全体として薬理学的に許容されるものである限り、本明細書で提供される化合物の任意の塩形態の一部を形成する特定のアニオン又はカチオンは、重要ではないことが理解されるべきである。医薬的に許容される塩及びその調製方法及び使用方法のさらなる例は、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,and Use(2002)に示されており、本明細書に参考として組み込まれる。
有機化学の当業者は、多くの有機化合物が、これらと反応するか、又はこれらから沈殿又は結晶化する溶媒と複合体を形成し得ることを理解するだろう。これらの複合体は、「溶媒和物」として知られる。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られる。本明細書に記載のエポチロン類似体の溶媒和物は、本開示の範囲内である。多くの有機化合物が、1つより多い結晶形態に存在し得ることも、有機化学の当業者によって理解されるだろう。例えば、結晶形態は、溶媒和物ごとにさまざまであってもよい。したがって、本明細書に記載のエポチロン類似体の全ての結晶形態は、本開示の範囲内である。
B.製剤
本発明のいくつかの実施形態では、アジリジンを含有するエポチロン類似体は、医薬製剤に含まれる。ミクロスフィア及び/又はマイクロカプセルの調製に使用するための材料は、例えば、生分解性/生体内崩壊性ポリマー、例えば、ポリガラクチン、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)及びポリ(乳酸)である。制御放出非経口製剤を配合するときに使用可能な生体適合性担体は、炭水化物(例えば、デキストラン)、タンパク質(例えば、アルブミン)、リポタンパク質又は抗体である。インプラントで使用するための材料は、非生分解性(例えば、ポリジメチルシロキサン)又は生分解性(例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)又はポリ(オルトエステル)又はこれらの組み合わせ)であってもよい。
経口使用のための製剤としては、非毒性の医薬的に許容される賦形剤との混合物の状態での有効成分(例えば、本明細書に記載のエポチロン類似体)を含有する錠剤が挙げられる。このような製剤は、当業者に知られている。賦形剤は、例えば、不活性希釈剤又はフィラー(例えば、ショ糖、ソルビトール、糖、マンニトール、微晶質セルロース、ジャガイモデンプンを含むデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);顆粒化剤及び崩壊剤(例えば、微晶質セルロースを含むセルロース誘導体、ジャガイモデンプンを含むデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギネート又はアルギン酸);架橋剤(例えば、ショ糖、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファデンプン、微晶質セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、カルボキシメチルセルロース ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はポリエチレングリコール);及び滑沢剤、滑剤及び接着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素化植物油又はタルク)であってもよい。他の医薬的に許容される賦形剤は、着色剤、香味剤、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤などであってもよい。
錠剤は、コーティングされていなくてもよく、又は場合により胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせ、それによって、さらに長い期間にわたる持続する作用を与えるために、既知の技術によってコーティングされていてもよい。コーティングは、所定のパターンで活性薬物を放出するように適応されてもよく(例えば、制御放出製剤を達成するために)、又は胃を通過する後まで、活性薬物が放出されないように適応されてもよい(腸溶性コーティング)。コーティングは、糖コーティング、膜コーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレートコポリマー、ポリエチレングリコール及び/又はポリビニルピロリドンに由来する)、又は腸溶性コーティング(例えば、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、シェラック及び/又はエチルセルロース)であってもよい。さらに、時間遅延材料、例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートを使用してもよい。
II.癌及び他の過剰増殖性疾患
過剰増殖性疾患は、細胞に制御不可能に複製を開始させる任意の疾患に関連していてもよいが、典型的な例は癌である。癌の鍵となる要素の1つは、細胞の正常なアポトーシスサイクルが中断され、従って、細胞成長を中断する薬剤は、これらの疾患を治療するための治療薬剤として重要である。本開示では、本明細書に記載のアジリジンを含有するエポチロン類似体を使用し、細胞数を減らし、このように、様々な種類の癌系を治療するために潜在的に使用することができる。いくつかの態様では、本明細書に記載のアジリジンを含有するエポチロン類似体を使用し、任意の悪性腫瘍を実際に治療してもよいことが理解される。
本開示の化合物を用いて治療可能な癌細胞としては、限定されないが、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、脳、結腸、食道、胃腸、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、首、卵巣、前立腺、皮膚、胃、膵臓、睾丸、舌、頸部又は子宮からの細胞が挙げられる。これに加え、癌は、特定的には、以下の組織学的種類を有していてもよいが、これらに限定されない。新生物、悪性;癌腫;癌腫、未分化;巨細胞及び紡錘細胞癌腫;小細胞癌腫;乳糖癌腫;扁平上皮細胞癌腫;リンパ上皮癌腫;基底細胞癌腫;石灰化上皮癌腫;移行細胞癌腫;乳糖移行細胞癌腫;腺癌;ガストリノーマ、悪性;胆管癌腫;肝細胞癌腫;肝細胞がん胆管細胞がんの混合型;索状腺癌;腺様嚢胞癌腫;腺腫性ポリープ中の腺癌;腺癌、家族性大腸ポリポーシス;固形癌腫;カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支−肺胞腺癌;乳糖腺癌;色素嫌性癌腫;好酸性癌腫;好酸性腺癌;好塩基性癌腫;明細胞腺癌;顆粒細胞癌腫;濾胞状腺癌;乳糖及び濾胞状腺癌;非被包性硬化性癌腫;副腎皮質癌腫;類内膜癌腫;皮膚付属器癌腫;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌;粘膜表皮癌腫;嚢胞腺癌;乳糖嚢胞腺癌;乳糖漿液性嚢胞腺癌;粘液嚢胞腺癌;粘液腺癌;印環細胞癌腫;浸潤性導管癌腫;髄様癌腫;小癌腫;炎症性癌腫;ページェット病、乳房;腺房細胞癌腫;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生随伴腺癌;胸腺腫、悪性;卵巣間質腫瘍、悪性;卵胞膜細胞腫、悪性;顆粒膜細胞腫瘍、悪性;男性胚腫、悪性;セルトリ細胞癌腫;ライディッヒ細胞腫瘍、悪性;脂質細胞腫瘍、悪性;傍神経節腫、悪性;乳房外傍神経節腫、悪性;褐色細胞腫;グロムス血管肉腫;悪性黒色腫;メラニン欠乏性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑中の悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質肉腫;混合腫瘍、悪性;ミュラー管混合腫瘍;腎芽細胞腫;肝芽腫;癌肉腫;間葉腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胎児性癌腫;奇形腫、悪性;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛癌腫;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管周囲細胞腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨ユーイング肉腫の巨細胞腫瘍;歯原性腫瘍、悪性;エナメル上皮肉腫;エナメル上皮腫、悪性;エナメル上皮線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;上衣腫;星状細胞腫;原形質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星状芽細胞腫;膠芽腫;乏突起膠腫;乏突起膠腫;未分化神経外胚葉性腫瘍;小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽腫;網膜芽腫;嗅神経腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫瘍、悪性;悪性リンパ腫;ホジキン病;側肉芽腫;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、大細胞、びまん性;悪性リンパ腫、濾胞状;菌状息肉腫;他の特定の非ホジキンリンパ腫;ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;マスト細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞白血病;骨髄白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;マスト細胞白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;ヘアリー細胞白血病;及びヘアリー細胞白血病が挙げられる。特定の態様では、腫瘍は、骨肉腫、血管肉腫、横紋肉腫、平滑筋肉腫、ユーイング肉腫、膠芽細胞腫、神経芽細胞腫又は白血病を含んでいてもよい。
III.細胞標的化部分
いくつかの態様では、本開示は、細胞標的化部分に対して直接的に結合されているか、又はリンカーを介して結合されている化合物を提供する。いくつかの実施形態では、細胞標的化部分に対して化合物が結合されると、疾患又は障害を治療する際の化合物の有効性が増加する。本実施形態の細胞標的化部分は、例えば、抗体、成長因子、ホルモン、ペプチド、アプタマー、ホルモンなどの低分子、造影剤、又は補因子、又はサイトカインであってもよい。例えば、本実施形態の細胞標的化部分は、Hep3B細胞などの肝臓癌に結合してもよい。gp240抗原は、種々の黒色腫で発現するが、正常な組織では発現しないことが示されている。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の化合物を、癌細胞によって発現されるが、正常な組織では発現されない特定の抗原のための抗体とのコンジュゲートで使用してもよい。
特定のさらなる実施形態では、癌細胞標的化部分が、多種類の癌細胞に結合することが想定される。例えば、8H9モノクローナル抗体及びこれから誘導される一本鎖抗体は、脳癌、肉腫及び神経芽細胞腫で発現する糖タンパク質に結合するOnda、et al.、2004)。別の例は、種々の癌種で発現する抗原であるMUC−1に結合する、米国特許出願公開第2004/005647号及びWinthrop、et al.(2003)に記載される細胞標的化剤である。したがって、特定の実施形態では、本実施形態の細胞標的化構築物は、複数種類の癌又は腫瘍に対して標的化されてもよいことが理解されるだろう。
さらに、特定の細胞表面分子は、ヒト絨毛膜ゴナドトロピン受容体及びゴナドトロピン放出ホルモン受容体などのホルモン受容体を含め、腫瘍細胞中で高度に発現する(Nechushtanet al.、1997)。したがって、対応するホルモンは、癌治療において細胞特異的な標的化部分として使用されてもよい。さらに、使用可能な細胞標的化部分としては、補因子、糖、薬物分子、造影剤、又は蛍光染料が挙げられる。多くの癌性細胞は、葉酸受容体を過剰に発現することが知られており、そのため、葉酸又は他の葉酸誘導体を、本開示のコンジュゲートと細胞との間の細胞特異的な相互作用の引き金になるコンジュゲートとして使用してもよい(Campbell、et al.、1991;Weitman、et al.、1992)。
多数の細胞表面受容体が、種々の系統の造血細胞中で同定されており、これらの受容体に特異的なリガンド又は抗体を、細胞特異的な標的化部分として使用してもよい。IL−2はまた、IL−2R+細胞を標的化するために、キメラタンパク質において細胞特異的な標的化部分として使用されてもよい。又は、B7−1、B7−2及びCD40などの他の分子を使用し、活性化T細胞を特異的に標的化してもよい(The Leucocyte Antigen Facts Book、1993、Barclay、et al.(編集)、Academic Press)。さらに、B細胞は、CD19、CD40及びIL−4受容体を発現し、CD40リガンド、IL−4、IL−5、IL−6及びCD28などのこれらの受容体に結合する部分によって標的化されてもよい。T細胞及びB細胞などの免疫細胞の除去は、リンパ腫の治療には特に有用である。
特異的な細胞サブセットを標的とするために使用可能な他のサイトカインとしては、インターロイキン(IL−1〜IL−15)、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子、白血病阻害因子、腫瘍壊死因子、トランスフォーミング成長因子、上皮成長因子、インスリン様成長因子及び/又は線維芽細胞成長因子が挙げられる(Thompson(編集)、1994、The Cytokine Handbook、Academic Press、San Diego)。いくつかの態様では、標的化ポリペプチドは、Fn14受容体、例えばTWEAKに結合するサイトカインである(例えば、本明細書に参考として組み込まれるWinkles、2008;Zhou、et al.、2011及びBurkly、et al.、2007を参照)。
当業者は、赤血球生成促進因子(4つのらせんの束)(例えば、EPO(エリスロポエチン)、IL−2(T細胞成長因子)、IL−3(マルチコロニーCSF)、IL−4(BCGF−1、BSF−1)、IL−5(BCGF−2)、IL−6 IL−4(IFN−β2、BSF−2、BCDF)、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−13(P600)、G−CSF、IL−15(T細胞成長因子)、GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、OSM(OM、オンコスタチンM)及びLIF(白血病阻害因子));インターフェロン(例えば、IFN−γ、IFN−α及びIFN−β);免疫グロブリンスーパーファミリー(例えば、B7.1(CD80)及びB7.2(B70、CD86));TNFファミリー(例えば、TNF−α(カケクチン)、TNF−β(リンホトキシン、LT、LT−α)、LT−β、CD40リガンド(CD40L)、Fasリガンド(FasL)、CD27リガンド(CD27L)、CD30リガンド(CD30L)及び4−1BBL));及び特定のファミリーに割り当てられないもの(例えば、TGF−β、IL 1α、IL−1β、IL−1RA、IL−10(サイトカイン合成阻害剤F)、IL−12(NK細胞刺激因子)、MIF、IL−16、IL−17(mCTLA−8)及び/又はIL−18(IGIF、インターフェロンγ誘発因子))を含め、種々の既知のサイトカインが存在することを認識する。さらに、抗体の重鎖のFc部分を使用し、Fc受容体を発現する細胞を標的としてもよい(例えば、マスト細胞及び好塩基球を標的化するためのIgE抗体のFc部分の使用)。
さらに、いくつかの態様では、細胞標的化部分は、ペプチド配列又は環状ペプチドであってもよい。例えば、本実施形態に従って使用可能な細胞標的化ペプチド及び組織標的化ペプチドは、例えば、米国特許第6,232,287号、同第6,528,481号、同第7,452,964号、同第7,671,010号、同第7,781,565号、同第8,507,445号及び同第8,450,278号に与えられ、それぞれが本明細書に参考として組み込まれる。
したがって、いくつかの実施形態では、細胞標的化部分は、抗体又はアビマーである。抗体及びアビマーは、任意の細胞表面マーカーに対して実際に作成することができる。したがって、目的の任意の細胞集合に実際にGrBを送達することを標的とした方法を提供する。細胞標的化部分として使用可能な抗体を作成する方法を以下に詳細に記載する。所与の細胞表面マーカーに結合するアビマーを作成する方法は、米国特許出願公開第2006/0234299号及び第2006/0223114号に詳細に記載され、それぞれ本明細書に参考として組み込まれる。
さらに、本明細書に記載の化合物が、ナノ粒子又は他のナノ材料と結合されてもよいことが想定される。ナノ粒子のいくつかの非限定的な例としては、金属ナノ粒子、例えば、金又は銀のナノ粒子又はポリマーナノ粒子、例えば、ポリ−L−乳酸又はポリ(エチレン)グリコールポリマーが挙げられる。本発明の化合物と結合されることが可能なナノ粒子及びナノ材料としては、米国特許出願公開第2006/0034925号、同第2006/0115537号、同第2007/0148095号、同第2012/0141550号、同第2013/0138032号及び同第2014/0024610号、及びPCT国際公開第2008/121949号、同第2011/053435号及び同第2014/087413号に記載されているものが挙げられる(それぞれが本明細書に参考として組み込まれる)。
IV.治療
A.医薬製剤及び投与経路
臨床用途が想定される場合、意図した用途に適した形態で医薬組成物を調製することが必要であろう。いくつかの実施形態では、本開示のアジリジンを含有するエポチロン類似体を含むこのような製剤が想定される。一般的に、この製剤は、発熱物質を本質的に含まず、ヒト又は動物に有害であり得る他の不純物を本質的に含まない組成物を調製することを伴う。
送達ベクターを安定にし、標的細胞による取り込みを可能にするために、適切な塩及びバッファーを使用することが一般的に望ましいだろう。組換え細胞が患者に導入されるとき、バッファーも使用されるだろう。本開示の水性組成物は、医薬的に許容される担体又は水性媒体に溶解又は分散された、細胞に対して有効量のベクターを含む。このような組成物は、接種材料とも呼ばれる。「医薬的又は薬理学的に許容される」との句は、適切な場合、動物又はヒトに投与したときに、有害なアレルギー反応又は他の不都合な反応を引き起こさない分子部分及び組成物を指す。本明細書で使用される場合、「医薬的に許容される担体」としては、任意及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収を遅らせる薬剤などが挙げられる。医薬的に活性な基質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野でよく知られている。任意の従来の媒体又は薬剤が、本開示のベクター又は細胞と不適合である場合を除き、治療組成物における使用が想定される。補助的な有効成分も、組成物に組み込まれてもよい。
本開示の活性な組成物は、従来の医薬製剤を含んでいてもよい。本開示のこれらの組成物の投与は、標的組織がこの経路によって利用可能である限り、任意の一般的な経路によってなされる。このような経路としては、経口、経鼻、口腔内、直腸、膣又は局所経路が挙げられる。又は、投与は、同所、皮内、皮下、筋肉内、腫瘍内、腹腔内又は静脈内の注射によるものであってもよい。このような組成物は、通常は、上述の医薬的に許容される組成物として投与されるだろう。
活性化合物はまた、非経口又は腹腔内で投与されてもよい。遊離塩基又は薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水中で調製することができる。分散物は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物、及び油中で調製されてもよい。通常の保存条件及び使用条件で、これらの製剤は、微生物の成長を防ぐために、防腐剤を含有する。
注射可能な使用に適した医薬形態としては、滅菌の水溶液又は分散物、及び滅菌注射可能溶液又は分散物のその場での調製のための滅菌粉末が挙げられる。全ての場合に、この形態は、滅菌でなければならず、容易なシリンジ操作性が存在する程度まで流体でなければならない。この形態は、製造条件及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の混入作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、これらの適切な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散媒体であってもよい。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えばレシチン)を使用することによって、分散の場合に必要な粒径を維持することによって、界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって引き起こされてもよい。多くの場合、等張剤、例えば、糖類又は塩化ナトリウムを含むことが好ましいだろう。注射可能組成物の持続性吸収は、吸収を遅らせる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン)の組成物での使用によってもたらされてもよい。
滅菌注射可能溶液は、活性化合物を必要な量で、上に引用した他の成分のいくつかを含む適切な溶媒に組み込み、必要な場合、その後に濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散物は、種々の滅菌した有効成分を、上に列挙したものからの塩基性分散媒体及び必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射可能溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、既に滅菌濾過した溶液から有効成分と任意の更なる所望な成分の粉末が得られる減圧乾燥及び凍結乾燥技術である。
本明細書で使用される場合、「医薬的に許容される担体」としては、任意及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収を遅らせる薬剤などが挙げられる。医薬的に活性な基質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野でよく知られている。任意の従来の媒体又は薬剤が、有効成分と不適合である場合を除き、治療組成物における使用が想定される。補助的な有効成分も、組成物に組み込まれてもよい。
経口投与の場合、本明細書に記載のアジリジンを含有するエポチロン類似体は、賦形剤と共に組み込まれ、非消化性マウスウォッシュ及び歯磨き剤として使用されてもよい。マウスウォッシュは、有効成分を必要な量で、適切な溶媒に、例えば、ホウ酸ナトリウム溶液(Dobell溶液)に組み込んで調製されてもよい。又は、有効成分は、ホウ酸ナトリウム、グリセリン及び炭酸水素カリウムを含有する殺菌消毒洗浄液に組み込まれてもよい。有効成分はまた、ゲル、ペースト、粉末及びスラリーを含む歯磨き剤に分散されてもよい。有効成分は、治療有効量で、水、バインダー、研磨剤、香味剤、気泡剤及び湿潤剤を含んでいてもよいペースト歯磨き剤に加えられてもよい。
本開示の組成物は、中性形態又は塩形態で配合されてもよい。医薬的に許容される塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基を用いて生成する)、無機酸、例えば、塩酸又はリン酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸を用いて生成するものが挙げられる。遊離カルボキシル基と形成される塩も、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムの水酸化物又は水酸化第二鉄などの無機塩基から誘導されてもよく、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導されてもよい。
製剤化したら、溶液は、投薬製剤と適合する様式で、治療に有効な量で投与されるだろう。例えば、注射可能溶液、薬物放出カプセルなどの製剤は、種々の投薬形態で容易に投与される。水溶液での非経口投与の場合、例えば、溶液は、必要な場合、緩衝化されていなければならず、液体希釈剤は、まず、十分な生理食塩水又はグルコースを用いて等張性にしなければならない。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に特に適している。これに関連して、使用可能な滅菌水性媒体は、本開示の観点で当業者に知られているだろう。例えば、ある投薬量を1mlの等張性NaCl溶液に溶解し、1000mlの皮下注入液に加えるか、又は提案された注入部位に注射してもよい(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第15版、1035−1038及び1570−1580頁を参照)。投薬量のある程度の変動は、治療される対象の状態に応じて必然的に起こるだろう。投与を担う者は、いずれにしても、個々の対象に適した用量を決定するだろう。さらに、ヒト投与の場合、製剤が、FDA’s Division of Biological Standards and Quality Control of the Office of Compliance and Biologics Qualityによって必要とされるような滅菌性、発熱原性、全体的な安全性及び純度の基準を満たすべきである。
B.治療方法
特に、対象(例えば、ヒト対象)において癌を治療するために使用可能な組成物が、本明細書で開示される。上述の組成物は、好ましくは、哺乳動物(例えば、げっ歯類、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ネコなど)に有効な量で、すなわち、治療される対象において望ましい結果を生じさせる(例えば、癌細胞のアポトーシスを引き起こすか、又は最近細胞を死滅させる)ことが可能な量で投与される。本開示の方法で利用される組成物の毒性及び治療有効性は、標準的な医薬手順によって決定することができる。医学分野及び獣医学分野でよく知られているように、任意の動物への投薬量は、対象の大きさ、身体の表面積、体重、年齢、投与される特定の組成物、投与時間及び投与経路、全身の健康状態、感染又は癌の臨床症状、及び同時に投与される他の薬物を含め、多くの因子に依存して変わる。本明細書に記載の組成物は、典型的には、血液学的パラメータ(全血球数−CBC)の減少、又は癌細胞の成長又は増殖を同定することによって評価されるように、癌細胞の死を誘発する(例えば、癌細胞のアポトーシスを誘発する)投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、癌細胞のアポトーシスを誘発するために使用される、アジリジンを含有するエポチロン類似体の量は、約0.01mg〜約10,000mg/日であると計算される。いくつかの実施形態では、この量は、約1mg〜約1,000mg/日である。いくつかの実施形態では、これらの用量は、特定の患者の生物学的因子(例えば、薬物の代謝破壊の増加又は減少、又は経口投与された場合の消化管による取り込みの減少)に基づいて減らしてもよく、又は増やしてもよい。さらに、エポチロン類似体は、さらに有効であってもよく、したがって、同様の効果を達成するために、より少ない用量が必要である。このような用量は、典型的には、1日に1回、数週間にわたって、又は癌細胞の十分な減少が達成されるまで投与される。
本開示の治療方法(予防的治療を含む)は、一般的に、これを必要とする対象(哺乳動物を含む、特にヒト)に本明細書に記載の組成物を治療有効量投与することを含む。このような治療は、ある疾患、障害、又はこれらの症状を患うか、有するか、有する疑いがあるか、又はリスクがある対象(特にヒト)に適切に投与される。「リスクがある」これらの対象の決定は、診断テスト、又は対象又は健康な介護担当者の意見(例えば、遺伝子検査、酵素又はタンパク質マーカー、マーカー(本明細書に定義されるもの)、家族歴など)によって、任意の客観的又は主観的な決定によって行うことができる。
一実施形態では、本開示は、治療の進行をモニタリングする方法を提供する。本方法は、診断マーカー(例えば、限定されないが、CD34、CD38、CD90及びCD117を含んでいてもよい)として細胞表面タンパク質を用い、血液学的パラメータ及び/又は癌幹細胞(CSC)分析、又は癌(例えば、白血病)に関連する障害又は症状を患っているか、又はこれらにかかりやすい対象における診断測定(例えば、スクリーニング、アッセイ)の変化レベルを判定する工程を含み、ここで、対象は、本明細書に記載の治療量の組成物を既に投与されている。本方法で決定されるマーカーのレベルは、対象の疾患状態を確立するために、健康で正常なコントロール又は他の罹患した患者における既知のマーカーのレベルと比較することができる。好ましい実施形態では、対象におけるマーカーの第2のレベルは、第1のレベルの判定よりも遅い時間点で判定され、この2つのレベルを比較し、疾患の経過又は治療の有効性をモニタリングする。特定の好ましい実施形態では、対象におけるマーカーの治療前レベルは、本明細書に記載する方法に従って治療を開始する前に決定される。次いで、マーカーのこの治療前レベルを、治療を行った後の対象におけるマーカーのレベルと比較し、治療の有効性を決定することができる。
C.併用療法
本明細書に記載のエポチロン類似体を、患者が経験する1つ以上の副作用を軽減する1つ以上の癌治療又は化合物との併用療法で使用してもよいことが想定される。癌治療分野において、治療法を組み合わせるのは一般的である。以下は、本開示の治療と組み合わせて使用可能な治療の一般的な記載である。
本開示の方法及び組成物を用いて癌を治療するために、一般的に、腫瘍細胞又は対象と、化合物及び少なくとも1つの他の治療とを接触させる。これらの治療は、1つ以上の疾患パラメータの減少を達成するのに有効な組み合わせた量で与えられてもよい。このプロセスは、例えば、両方の薬剤を含む単一の組成物又は薬理学的製剤を用い、又は細胞/対象と2種類の別個の組成物又は製剤とを同時に接触させ、1つの組成物は、化合物を含み、他の組成物は、他の薬剤を含むことによって、細胞/対象と、薬剤/治療を両方とも同時に接触させることを含んでいてもよい。
又は、本明細書に記載のアジリジンを含有するエポチロン類似体は、数分から数週間までの範囲の間隔によって、他の治療の前に行ってもよく、又は後に行ってもよい。一般的に、それぞれの送達時間の間に、かなりの時間が経過しないことを確実にし、その結果、この治療は、細胞/対象に対する有利な併用効果を発揮することができるだろう。このような場合に、細胞と、互いに約12〜24時間以内、互いに約6〜12時間以内、又は遅延時間がわずか約1〜2時間の方法とを接触させることが想定される。ある状況では、治療のための期間を顕著に延ばすことが望ましい場合がある。しかし、それぞれの投与の間に数日間(2、3、4、5、6又は7日間)から数週間(1、2、3、4、5、6、7又は8週間)が経過する。
化合物又は他の治療のいずれかの1つより多い投与が望ましいことも考えられる。以下に例示されるように、種々の組み合わせが使用可能であり、ここで、本開示の化合物は「A」であり、他の治療は、「B」である。
Figure 2020516626
他の組み合わせも想定される。以下は、本開示の化合物と組み合わせて使用可能な癌治療の一般的な記載である。
1.化学療法
「化学療法」との用語は、癌を治療するための薬物の使用を指す。「化学療法剤」は、癌の治療において投与される化合物又は組成物を暗示するために使用される。これらの薬剤又は薬物は、例えば、細胞周期に影響を与える段階で、細胞内のこれらの活性態様に分類される。又は、ある薬剤は、DNAを直接的に架橋する能力、DNAにインターカレーションする能力、又は核酸合成を行うことによって染色体及び有糸分裂の異常を誘発する能力に基づいて特徴付けられてもよい。大部分の化学療法剤は、以下のカテゴリーに含まれる。アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤及びニトロソ尿素。
化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、イムプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ及びウレドーパ;エチレンイミン及びメチラメラミン、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロロメラミンを含む;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトセシン(合成アナログであるトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログであるKW−2189及びCB1−TM1を含む);エリューセロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン及びラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアミシン、特に、カリケアミシンγ1及びカリケアミシンω1);ダイネミシン、ダイネミシンAを含む;ウンシアラマイシン及びその誘導体;ビスホスホネート、例えば、クロンドロネート;エスペラミシン;及びネオカルジノスタチンクロモフォア及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6ージアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン又はゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エフロールニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド、例えば、メイタンシン及びアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロキソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T−2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ、タキソイド、例えば、パクリタキセル及びドセタキシル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金配位複合体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT−11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン;シスプラチン(CDDP);カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソ尿素、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲン受容体結合剤、タキソール、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランス白金、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン及びメトトレキサート、及び上述のいずれかの医薬的に許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。
2.放射線療法
放射線療法(Radiotherapy)は、放射線療法(radiation therapy)とも呼ばれ、電離放射線を用いた癌及び他の疾患の治療である。電離放射線は、遺伝子物質を損傷させることによって、治療される領域中の細胞を傷つけるか、又は破壊するエネルギーを有しており、これらの細胞が成長し続けるのを不可能にする。放射線は、癌細胞と正常細胞を両方とも損傷するが、正常細胞は、自身で修復し、適切に機能することができる。
本開示に従って使用される放射線治療としては、限定されないが、腫瘍細胞へのγ線、X線及び/又は放射線同位体の指向送達の使用が挙げられる。マイクロ波及びUV照射など、DNA損傷因子の他の形態も想定される。これらの因子の全てが、DNAに対し、DNAの前駆体に対し、DNAの複製及び修復に対し、染色体のアセンブリ及び管理に対し、広範囲の損傷を誘発する可能性が最も高い。X線の投薬範囲は、長期間にわたって(3〜4週間)1日線量が12.9〜51.6mC/kgから、1回の線量0.516〜1.55C/kgまでの範囲である。放射線同位体の投薬範囲は、非常にさまざまであり、同位体の半減期、発せられる放射線の強度及び種類、新生物性細胞による取り込みに依存する。
放射線療法は、癌部位に直接的に放射線の線量を運ぶ放射性標識された抗体の使用を含んでいてもよい(放射免疫療法)。抗体は、抗原(免疫系によって外来であると認識される物質)の存在に応答して身体によって作られる、非常に特異的なタンパク質である。ある種の腫瘍細胞は、腫瘍特異的抗体の産生の引き金となる特異的抗原を含む。大量のこれらの抗体は、実験室で作られ、放射性基質に接続してもよい(放射性ラベリングとして知られるプロセス)。身体に注射したら、抗体は、癌細胞を能動的に探し出し、放射線の細胞死滅(細胞毒性)作用によって破壊される。この手法は、健康な細胞への放射線損傷のリスクを最小限にすることができる。
原体照射療法は、通常の放射線療法と同じ放射線療法の機械と、リニアアクセラレーターを用いるが、金属ブロックをx線の光路に置き、癌の形状と適合するような形状に変える。これにより、確実に、より高い放射線用量が腫瘍に与えられる。健康な周囲の細胞及び付近の構造は、低用量の放射線を受けるため、副作用の可能性が減る。マルチリーフコリメーターと呼ばれるデバイスが開発され、これを金属ブロックの代替物として使用してもよい。マルチリーフコリメーターは、リニアアクセラレーターに固定された多くの金属シートからなる。各層は、放射線療法の光線を、金属ブロックを必要とせずに治療領域に合うような形状にし得るように調節することができる。放射線療法の機械の正確な位置決めは、原体照射療法による治療にとって非常に重要であり、特殊なスキャニング機を使用し、各治療の開始時に内部の臓器の位置を確認してもよい。
高解像度の強度調整型の放射線療法も、マルチリーフコリメーターを使用する。この治療中、マルチリーフコリメーターの層が移動し、その間に治療が与えられる。この方法は、治療光線のさらにより正確な形状を達成すると思われ、全治療領域にわたって放射線療法の用量を一定にすることが可能になる。
研究試験は、原体照射療法及び強度調節型放射線療法が、放射線療法の治療の副作用を減らし得ることを示しているが、このように治療領域を正確に成形すると、治療領域のすぐ外側にある微視的な癌細胞が破壊されるのが止まる場合がある。このことは、これらの特殊な放射線療法の技術を用いると、将来的に癌が再発するリスクを高くし得ることを意味する。
科学者らも、放射線療法の有効性を高める様式を探求している。2種類の治験薬を、放射線を受けている細胞に対する効果について試験している。放射線増感剤は、腫瘍細胞が損傷を受けやすくし、放射線保護剤は、正常な組織を放射線の影響から保護する。温熱療法(熱の使用)も、組織を放射線に感作性にする際の有効性について試験されている。
3.免疫療法
癌治療の観点で、免疫療法は、一般的に、癌細胞を標的とし、破壊するための免疫エフェクター細胞及び分子の使用に依存する。トラスツズマブ(Herceptin(商標))は、このような一例である。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞表面にあるいくつかのマーカーに特異的な抗体であってもよい。抗体のみが、治療のエフェクターとして役立ってもよく、又は細胞の死滅に実際に影響を与える様に、他の細胞を動員してもよい。抗体はまた、薬物又は毒素(化学療法薬、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)と結合され、単に標的化剤として役立ってもよい。又は、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的又は間接的に相互作用する表面分子を保有するリンパ球であってもよい。種々のエフェクター細胞は、細胞傷害性T細胞及びNK細胞を含む。治療法の組み合わせ、すなわち、直接的な細胞毒性活性と、ErbB2の阻害又は減少は、ErbB2を発現する癌の治療において、治療上の利点を与える。
免疫療法の一態様では、腫瘍細胞は、標的化(すなわち、他の細胞の大部分には存在しない)のために修正可能ないくつかのマーカーを有していなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれかが、本開示の観点でのターゲティングに適している場合がある。一般的な腫瘍マーカーとしては、癌胎児性抗原、前立腺に特異的な抗原、泌尿器腫瘍に関連する抗原、胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、Sialyl Lewis抗原、MucA、MucB、PLAP、エストロゲン受容体、ラミニン受容体、erb B及びp155が挙げられる。免疫療法の代替的な態様は、抗癌効果と免疫刺激効果を合わせることである。サイトカイン、例えば、IL−2、IL−4、IL−12、GM−CSF、γ−IFN、ケモカイン、例えば、MIP−1、MCP−1、IL−8、及び成長因子、例えば、FLT3リガンドを含め、免疫刺激分子も存在する。タンパク質として、免疫刺激分子を組み合わせると、又は腫瘍抑制因子と組み合わせて遺伝子送達を用いると、抗腫瘍効果が高まることが示されている(Juet al.、2000)。さらに、これらいずれかの化合物に対する抗体を使用し、本明細書に記載の抗癌剤を標的化してもよい。
現在調査中又は使用中の免疫療法の例は、免疫アジュバント、例えば、Mycobacterium bovis、Plasmodium falciparum、ジニトロクロロベンゼン及び芳香族化合物(米国特許第5,801,005号及び同第5,739,169号;Hui及びHashimoto、1998;Christodoulideset al、1998);サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、β、及びγ;IL−1、GM−CSF及びTNF(Bukowskiet al.、1998;Davidsonet al、1998;Hellstrandet al、1998);遺伝子療法、例えば、TNF、IL−1、IL−2及びp53(Qinet al、1998;Austin−Ward及びVillaseca、1998;米国特許第5,830,880号及び同第5,846,945号);及びモノクローナル抗体、例えば、抗ガングリオシドGM2、抗HER−2、抗p185(Pietras、et al、1998;Hanibuchi、et al.、1998;米国特許第5,824,311号)である。1つ以上の抗癌療法を、本明細書に記載の遺伝子サイレンシング治療と共に使用してもよいことが想定される。
能動免疫療法では、抗原ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質、又は自己又は同種異系の腫瘍細胞組成物又は「ワクチン」が、一般的に別個の細菌アジュバントと共に投与される(Ravindranath及びMorton、1991;Morton、et al.、1992;Mitchell、et al.、1990;Mitchell、et al.、1993)。
養子免疫療法において、患者の循環リンパ球、又は腫瘍浸潤リンパ球は、in vitroで単離され、IL−2などのリンホカインによって活性化されるか、又は腫瘍壊死の遺伝子と共に形質導入され、再投与される(Rosenberg、et al.、1988;1989)。
4.手術
癌を有するヒトの約60%が、ある種の外科手術を受けており、予防手術、診断手術、又は病気診断、治療、緩和の手術が含まれる。治療の外科手術は、他の治療、例えば、本開示の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法及び/又は代替療法と組み合わせて使用可能な癌治療である。
治療の外科手術は、癌組織の全て又は一部を物理的に除去し、切除し、及び/又は破壊する切除術を含む。腫瘍切除は、腫瘍の少なくとも一部の物理的な除去を指す。腫瘍切除に加え、外科手術による治療としては、レーザー手術、凍結手術、電気手術、及び顕微鏡下手術(モース手術)が挙げられる。本開示を、表在癌、前癌又は偶発的な量の正常組織の除去と組み合わせて使用してもよいことがさらに想定される。
癌性細胞、組織又は腫瘍の一部又は全てを切除すると、体内に空洞が作られる場合がある。治療は、さらなる抗癌治療を用いた灌流、直接的な注射、又は領域への局所的な適用によって達成されてもよい。このような治療は、例えば、1日ごと、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、又は7日ごと、又は1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、又は1ヶ月ごと、2ヶ月ごと、3ヶ月ごと、4ヶ月ごと、5ヶ月ごと、6ヶ月ごと、7ヶ月ごと、8ヶ月ごと、9ヶ月ごと、10ヶ月ごと、11ヶ月ごと、又は12ヶ月ごとに繰り返されてもよい。これらの治療は、同様にさまざまな投薬量であってもよい。
いくつかの特定の実施形態では、腫瘍を除去した後、本開示の化合物を用いた補助療法は、腫瘍の再発を減らすのに特に有効であると考えられる。さらに、本開示の化合物は、新補助設定で使用することも可能である。
5.他の薬剤
他の薬剤を本開示と共に使用してもよいことが想定される。これらのさらなる薬剤としては、免疫調整剤、細胞表面受容体及びGAP接合部のアップレギュレーションに影響を与える薬剤、細胞増殖抑制剤及び分化剤、細胞接着阻害剤、アポトーシス誘発剤に対する過剰増殖性細胞の感度を高める薬剤、又は他の生物学的薬剤が挙げられる。免疫調整剤としては、腫瘍壊死因子;インターフェロンα、β及びγ;IL−2及び他のサイトカイン;F42K及び他のサイトカイン類似体;又はMIP−1、MIP−1β、MCP−1、RANTES、及び他のケモカインが挙げられる。過剰増殖性細胞に対する自己分泌効果又は傍分泌効果を確立することによって、細胞表面受容体又はそのリガンド(例えば、Fas/Fasリガンド、DR4又はDR5/TRAIL(Apo−2リガンド))のアップレギュレーションは、本開示のアポトーシス誘発能力を強化し得ることがさらに想定される。GAP接合部の数を増やすことによる、細胞内シグナル伝達の増加は、隣接する過剰増殖する細胞集合に対する抗過剰増殖効果を高めるだろう。他の実施形態では、治療の抗過剰増殖の有効性を高めるために、細胞増殖抑制剤及び分化剤を、本開示と組み合わせて使用してもよい。細胞接着の阻害剤は、本開示の有効性を高めると考えられる。細胞接着阻害剤の例は、焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤及びロバスタチンである。過剰増殖性細胞のアポトーシスに対する感度を高める他の薬剤、例えば、抗体c225を、治療の有効性を向上させるために、本開示と組み合わせて使用してもよいことがさらに想定される。
細胞毒性の化学療法薬を導入した後の癌治療において、多くの進化があった。しかし、化学療法の結果の1つは、薬物耐性表現型の発現/獲得及び多剤耐性の発現である。薬物耐性の発現は、このような腫瘍の治療において、依然として大きな妨害であり、したがって、遺伝子治療などの代替手法が明らかに必要とされている。
化学療法、放射線療法又は生物学的療法と組み合わせて使用する別の形態の治療としては、患者の組織を高温(106°Fまで)にさらす手技である温熱療法が挙げられる。外部又は内部の加熱デバイスは、局所、領域、又は全身への温熱療法の適用を伴っていてもよい。局所への温熱療法は、小さな領域(例えば、腫瘍)への熱の適用を含む。熱は、身体の外側にあるデバイスから腫瘍を標的とする高周波を用い、外部で発生してもよい。内部加熱は、薄い加熱ワイヤ又は温水が満たされた中空の管を備え、マイクロ波アンテナが移植されているか、又は高周波電極を備える滅菌プローブを伴っていてもよい。
領域治療のために患者の臓器又は肢を加熱し、この加熱は、磁石などの高エネルギーを発生させるデバイスを用いて達成される。又は、患者の血液の一部を除去し、内部で加熱される領域に灌流される前に加熱してもよい。全身温熱はまた、癌が身体全体に広がっている場合に実施されてもよい。温水ブランケット、熱いワックス、誘電コイル及び熱チャンバをこの目的で使用してもよい。
当業者は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第15版、第33章、特に、624〜652頁に関心が向けられる。投薬量のある程度の変動は、治療される対象の状態に応じて必然的に起こるだろう。投与を担う者は、いずれにしても、個々の対象に適した用量を決定するだろう。さらに、ヒト投与の場合、製剤が、FDA’s Division of Biological Standards and Quality Control of the Office of Compliance and Biologics Qualityによって必要とされるような滅菌性、発熱原性、全体的な安全性及び純度の基準を満たすべきである。
上述の治療のいずれかが、癌を治療する際にそれ自身が有用であることがわかる場合があることも指摘しておくべきである。
V.合成方法
いくつかの態様では、本開示のアジリジンを含有するエポチロン類似体は、本出願に記載されるような有機化学方法を用いて合成することができる。これらの方法は、当業者によって応用されるような有機化学の原理及び技術を用い、さらに改変され、最適化されてもよい。このような原理及び技術は、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure(2007)に教示されており、本明細書に参考として組み込まれる。
A.処理のスケールアップ
本明細書に記載の合成方法は、連続又はバッチのいずれかで、当業者に適用されるような処理化学の原理及び技術を用い、分取、パイロットスケール又は大規模な製造のためにさらに改変され、最適化されてもよい。このような原理及び技術は、例えば、Practical Process Research & Development(2000)に教示され、本明細書に参考として組み込まれる。本明細書に記載の合成方法は、本明細書に記載のエポチロン類似体を調製スケールの量製造するために使用されてもよい。
B.化学物質の定義
化学基の観点で使用される場合、「水素」は、−Hを意味し、「ヒドロキシ」は、−OHを意味し、「オキソ」は、=Oを意味し、「カルボニル」は、−C(=O)−を意味し、「カルボキシ」は、−C(=O)OH(−COOH又は−COHとも書かれる)を意味し、「ハロ」は、独立して、−F、−Cl、−Br又は−Iを意味し、「アミノ」は、−NHを意味し、「ヒドロキシアミノ」は、−NHOHを意味し、「ニトロ」は、−NOを意味し、イミノは、=NHを意味し、「シアノ」は、−CNを意味し、「イソシアネート」は、−N=C=Oを意味し、「アジド」は、−Nを意味し、「ヒドラジン」は、−NHNHを意味し、一価の内容で、「ホスフェート」は、−OP(O)(OH)又はその脱プロトン化形態を意味し、二価の内容で、「ホスフェート」は、−OP(O)(OH)O−又はその脱プロトン化形態を意味し、「メルカプト」は、−SHを意味し、「チオ」は、=Sを意味し、「ヒドロキシスルホニル」は、−SOHを意味し、「スルホニル」は、−S(O)−を意味し、「スルフィニル」は、−S(O)−を意味する。
化学式の内容で、記号「−」は、単結合を意味し、「=」は、二重結合を意味し、「≡」は、三重結合を意味する。記号
Figure 2020516626
は、任意の結合を表し、存在する場合には、単結合又は二重結合のいずれかである。記号
Figure 2020516626
は、単結合又は二重結合を表す。したがって、例えば、式
Figure 2020516626
は、
Figure 2020516626
を含む。このような環原子はいずれも、1個より多い二重結合の一部を形成しないことが理解される。さらに、共有結合記号「−」は、1個又は2個の立体中心原子が接続する場合に、任意の好ましい立体化学を示していないことを注記すべきである。その代わりに、全てのその立体異性体及び混合物を包含する。記号
Figure 2020516626
は、結合に対して垂直に描かれる場合
Figure 2020516626
、その基の接続点を示す。なお、接続点は、典型的には、読者が接続点を明確に同定するのに役立つように、より大きな基について、この様式でのみ同定される。記号
Figure 2020516626
は、くさびの太い方の末端に接続した基が、「紙面から飛び出している」単結合を意味する。記号
Figure 2020516626
は、くさびの太い方の末端に接続した基が、「紙面の中に入り込んでいる」単結合を意味する。記号
Figure 2020516626
は、二重結合の周囲の幾何学(例えば、E又はZのいずれか)が同定されていない単結合を意味する。したがって、両選択肢及びその組み合わせが意図される。本出願で示される構造の原子上の規定されていない価数は、その原子に結した水素原子を暗に表す。炭素原子上の太字の点線は、その炭素に接続した水素が、紙面から飛び出す方向を向いていることを示す。
基「R」が、環系上に「浮いている基」として示されている場合、例えば、下記式において、
Figure 2020516626
Rは、安定な構造が形成される限り、示されている水素、暗示されている水素又は明確に定義されている水素を含め、任意の環原子に接続した任意の水素原子を置き換えていてもよい。基「R」が、縮合した環系上に「浮いている基」として示されている場合、例えば、下記式のように、
Figure 2020516626
Rは、特に明記されない限り、縮合環のいずれかの任意の環原子に接続した任意の水素原子を置き換えていてもよい。置き換え可能な水素としては、安定な構造が形成される限り、示されている水素(例えば、上の式中の窒素に接続した水素)、暗示されている水素(例えば、示されていないが、存在すると理解されている、上の式の水素)、明確に定義されている水素、及び環原子の属性に依存して存在する任意の水素(例えば、Xが−CH−に等しいとき、X基に接続する水素)が挙げられる。示されている例において、Rは、縮合環系の5員環又は6員環のいずれかの上に存在していてもよい。上の式において、R基のすぐ後に括弧に含まれている下付き文字「y」は、数値的な変数を表す。特に明記されない限り、この変数は、0、1、2、又は2より大きい任意の整数であってもよく、環又は環系の置き換え可能な水素原子の最大数によってのみ制限される。
以下の基及び種類について、以下の括弧内の下付き文字は、さらに、以下のような群/種類を規定する。「(Cn)」は、基/種類の中の炭素原子の実際の数を規定する。「(C≦n)」は、基/種類の中にあってもよい炭素原子の最大数(n)を規定し、最小数は、その問題の基について可能な限り小さく、例えば、基「アルケニル(C≦8)」又は種類「アルケン(C≦8)」の中の炭素原子の最小数は2であると理解される。例えば、「アルコキシ(C≦10)」は、1〜10個の炭素原子を含むアルコキシ基を示す。(Cn−n’)は、その基の中の炭素原子の最小数(n)と最大数(n’)の両方を定義する。同様に、「アルキル(C2−10)」は、2〜10個の炭素原子を含むアルキル基を示す。特に明記されない限り、炭素原子の制限なく一連の特許請求の範囲に列挙されている任意の化学基又は化合物の種類は、12個以下の炭素原子の制限を有する。
「飽和」との用語は、本明細書で示される場合、以下に示されるものを除き、そのように修飾される化合物又は基が、炭素−炭素二重結合も炭素−炭素三重結合も含まないことを意味する。飽和基の置換された態様の場合、1つ以上の炭素酸素二重結合又は炭素窒素二重結合が存在してもよい。このような結合が存在する場合、ケト−エノール互変異性又はイミン/エナミン互変異性の一部として存在し得る炭素−炭素二重結合は、除外されない。
「脂肪族」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、そのように修飾される化合物/基が、非環状又は環状であるが、非芳香族炭素化合物又は基であることを表す。脂肪族化合物/基において、炭素原子は、直鎖、分枝鎖又は非芳香族環(非環状)の中で一緒に接続していてもよい。脂肪族化合物/基は、単結合によって接続する飽和であってもよく(アルカン/アルキル)、又は1つ以上の二重結合を有する(アルケン/アルケニル)か、又は1つ以上の三重結合を有する(アルキン/アルキニル)、不飽和であってもよい。
「芳香族」との用語は、ある化合物又は化学基を修飾するために使用される場合、完全に共役した環状π系に4n+2原子を有する平面の原子の不飽和環を指す。
「アルキル」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、接続点として炭素原子を含み、直鎖又は分枝鎖の非環状構造を含み、炭素及び水素以外の原子を含まない、一価の飽和脂肪族基を指す。−CH(Me)、−CHCH(Et)、−CHCHCH(n−Pr又はプロピル)、−CH(CH(i−Pr、Pr又はイソプロピル)、−CHCHCHCH(n−Bu)、−CH(CH)CHCH(sec−ブチル)、−CHCH(CH(イソブチル)、−C(CH(tert−ブチル、t−ブチル、t−Bu又はBu)及び−CHC(CH(neo−ペンチル)といった基は、アルキル基の非限定的な例である。「アルカンジイル」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、接続点として1個又は2個の炭素原子を含み、直鎖又は分枝鎖の非環状構造を含み、炭素−炭素二重結合又は三重結合を含まず、炭素及び水素以外の原子を含まない、二価の飽和脂肪族基を指す。−CH−(メチレン)、−CHCH−、−CHC(CHCH−及び−CHCHCH−といった基は、アルカンジイル基の非限定的な例である。「アルキリデン」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、二価の基である=CRR’を指し、ここで、R及びR’は、独立して水素又はアルキルである。アルキリデン基の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。=CH、=CH(CHCH)及び=C(CH。「アルカン」は、化合物H−Rを指し、ここで、Rは、この用語を上に定義したとおりのアルキルである。これらの用語のいずれかが、「置換」という修飾語と共に使用される場合、1個以上の水素原子が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。以下の基は、置換アルキル基の非限定的な例である。−CHOH、−CHCl、−CF、−CHCN、−CHC(O)OH、−CHC(O)OCH、−CHC(O)NH、−CHC(O)CH、−CHOCH、−CHOC(O)CH、−CHNH、−CHN(CH及び−CHCHCl。「ハロアルキル」との用語は、置換アルキルの一部であり、1個以上の水素原子が、ハロ基で置換されており、炭素、水素及びハロゲン以外の他の元素が存在しない。−CHCl基は、ハロアルキルの非限定的な例である。「フルオロアルキル」との用語は、置換アルキルの一部であり、1個以上の水素原子が、フルオロ基で置換されており、炭素、水素及びフッ素以外の他の元素が存在しない。−CHF、−CF及び−CHCFといった基は、フルオロアルキル基の非限定的な例である。
「シクロアルキル」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、接続点として炭素原子を含み、この炭素原子が、1つ以上の非芳香族環構造、シクロ構造又は環状構造の一部を形成し、炭素−炭素二重結合又は三重結合を含まず、炭素及び水素以外の原子を含まない、一価飽和脂肪族基を指す。シクロアルキル基の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。−CH(CH(シクロプロピル)、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル。「シクロアルカンジイル」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、接続点として1個又は2個の炭素原子を含み、この炭素原子が、1つ以上の非芳香族環構造、シクロ構造又は環状構造の一部を形成し、炭素−炭素二重結合又は三重結合を含まず、炭素及び水素以外の原子を含まない、二価飽和脂肪族基を指す。
Figure 2020516626
は、シクロアルカンジイル基の非限定的な例である。「シクロアルカン」は、化合物H−Rを指し、ここで、Rは、この用語を上に定義したとおりのシクロアルキルである。これらの用語のいずれかが、「置換」という修飾語と共に使用される場合、1個以上の水素原子が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。以下の基は、置換シクロアルキル基の非限定的な例である。−C(OH)(CH
Figure 2020516626
「アルケニル」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、接続点として炭素原子を含み、直鎖又は分枝鎖の非環状構造を含み、少なくとも1つの非芳香族炭素−炭素二重結合を含み、炭素−炭素三重結合を含まず、炭素及び水素以外の原子を含まない、一価の不飽和脂肪族基を指す。アルケニル基の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。−CH=CH(ビニル)、−CH=CHCH、−CH=CHCHCH、−CHCH=CH(アリル)、−CHCH=CHCH及び−CH=CHCH=CH。「アルケンジイル」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、接続点として2個の炭素原子を含み、直鎖又は分枝鎖のシクロ構造、環状構造又は非環状構造を含み、少なくとも1つの非芳香族炭素−炭素二重結合を含み、炭素−炭素三重結合を含まず、炭素及び水素以外の原子を含まない、二価の不飽和脂肪族基を指す。−CH=CH−、−CH=C(CH)CH−及び−CH=CHCH−といった基は、アルケンジイル基の非限定的な例である。なお、アルケンジイル基は脂肪族であるが、両端で接続すると、この基が芳香族構造の一部を形成することを除外しない。「アルケン」との用語は、式H−Rを有する化合物を指し、ここで、Rは、この用語を上に定義したとおりのアルケニルである。「末端アルケン」は、炭素−炭素二重結合を1つだけ有するアルケンを指し、その結合は、分子の一方の末端でビニル基を形成する。これらの用語のいずれかが、「置換」という修飾語と共に使用される場合、1個以上の水素原子が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。−CH=CHF、−CH=CHCl及び−CH=CHBrといった基は、置換アルケニル基の非限定的な例である。
「アルキニル」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、接続点として炭素原子を含み、直鎖又は分枝鎖の非環状構造を含み、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、炭素及び水素以外の原子を含まない、一価の不飽和脂肪族基を指す。本明細書で使用される場合、アルキニルとの用語は、1つ以上の非芳香族炭素−炭素二重結合の存在を除外しない。−C≡CH、−C≡CCH及び−CHC≡CCHといった基は、アルキニル基の非限定的な例である。「アルキン」は、化合物H−Rを指し、ここで、Rは、アルキニルである。これらの用語のいずれかが、「置換」という修飾語と共に使用される場合、1個以上の水素原子が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。
「アリール」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、接続点として芳香族炭素原子を含み、この炭素原子が、1つ以上の6員環芳香族環構造の一部を形成し、この環原子が全て炭素であり、この基が、炭素及び水素以外の原子からなっていない、一価不飽和芳香族基を指す。1個より多い環が存在する場合、環は、縮合していてもよく、又は縮合していなくてもよい。本明細書で使用される場合、この用語は、第1の芳香族環又は存在する任意のさらなる芳香族環に接続する1つ以上のアルキル基又はアラルキル基(炭素数の制限は可能である)の存在を除外しない。アリール基の非限定的な例としては、フェニル(Ph)、メチルフェニル、(ジメチル)フェニル、−CCHCH(エチルフェニル)、ナフチル、及びビフェニルから誘導される一価の基が挙げられる。「アレーンジイル」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、接続点として2個の芳香族炭素原子を含み、この炭素原子が、1つ以上の6員環芳香族環構造の一部を形成し、この環原子が全て炭素であり、この一価の基が、炭素及び水素以外の原子からなっていない、二価芳香族基を指す。本明細書で使用される場合、この用語は、第1の芳香族環又は存在する任意のさらなる芳香族環に接続する1つ以上のアルキル基、アリール基又はアラルキル基(炭素数の制限は可能である)の存在を除外しない。1個より多い環が存在する場合、環は、縮合していてもよく、又は縮合していなくてもよい。縮合していない環は、共有結合、アルカンジイル基又はアルケンジイル基(炭素数の制限は可能である)のうち1つ以上を介して接続していてもよい。アレーンジイル基の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2020516626
「アレーン」は、化合物H−Rを指し、ここで、Rは、この用語を上に定義したとおりのアリールである。ベンゼン及びトルエンは、アレーンの非限定的な例である。これらの用語のいずれかが、「置換」という修飾語と共に使用される場合、1個以上の水素原子が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。
「アラルキル」との用語が、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、一価の基−アルカンジイル−アリールを指し、この用語は、アルカンジイル及びアリールは、それぞれ、上に与えられる定義と一致する様式で使用される。アラルキルの非限定的な例は、フェニルメチル(ベンジル、Bn)及び2−フェニル−エチルである。アラルキルとの用語が、「置換」という修飾語と共に使用される場合、アルカンジイル基及び/又はアリール基からの1個以上の水素原子が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。置換アラルキルの非限定的な例は、以下である。(3−クロロフェニル)−メチル及び2−クロロ−2−フェニル−エタ−1−イル。
「ヘテロアリール」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、接続点として芳香族炭素原子又は窒素原子を含み、この炭素原子又は窒素原子が、1つ以上の芳香族環構造の一部を形成し、環原子の少なくとも1つが、窒素、酸素又は硫黄であり、ヘテロアリール基が、炭素、水素、芳香族窒素、芳香族酸素及び芳香族硫黄以外の原子からなるものではない、一価芳香族基を指す。1個より多い環が存在する場合、環は、縮合していてもよく、又は縮合していなくてもよい。本明細書で使用される場合、この用語は、芳香族環又は芳香族環系に接続する1つ以上のアルキル基、アリール基及び/又はアラルキル基(炭素数の制限は可能である)の存在を除外しない。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、フラニル、イミダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソオキサゾリル、メチルピリジニル、オキサゾリル、フェニルピリジニル、ピリジニル、ピローリル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリル、キナゾリル、キノキサリニル、トリアジニル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニル及びトリアゾリルが挙げられる。この用語が本明細書で使用される場合、ヘテロアリールとの用語は、ピリミジン塩基及び塩基類似体が挙げられる。「N−ヘテロアリール」との用語は、接続点として窒素原子を含むヘテロアリール基を指す。「ヘテロアレーンジイル」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、2個の接続点として、2個の芳香族炭素原子、2個の芳香族窒素原子、又は1個の芳香族炭素原子と1個の芳香族窒素原子を含み、これらの原子が、1つ以上の芳香族環構造の一部を形成し、環原子の少なくとも1つが、窒素、酸素又は硫黄であり、この二価の基が、炭素、水素、芳香族窒素、芳香族酸素及び芳香族硫黄以外の原子からなるものではない、一価芳香族基を指す。1個より多い環が存在する場合、環は、縮合していてもよく、又は縮合していなくてもよい。縮合していない環は、共有結合、アルカンジイル基又はアルケンジイル基(炭素数の制限は可能である)のうち1つ以上を介して接続していてもよい。本明細書で使用される場合、この用語は、芳香族環又は芳香族環系に接続する1つ以上のアルキル基、アリール基、アラルキル基及び/又はヘテロアラルキル基(炭素数の制限は可能である)の存在を除外しない。ヘテロアレーンジイル基の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2020516626
「ヘテロアレーン」は、化合物H−Rを指し、ここで、Rは、ヘテロアリールである。ピリジン及びキノリンは、ヘテロアレーンの非限定的な例である。これらの用語が、「置換」という修飾語と共に使用される場合、1個以上の水素原子が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。
「ヘテロアラルキル」との用語が、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、一価の基−アルカンジイル−ヘテロアリールを指し、この用語は、アルカンジイル及びヘテロアリールは、それぞれ、上に与えられる定義と一致する様式で使用される。ヘテロアラルキルの非限定的な例は、以下である。N−ピラゾリルメチル又はキノリルメチル。ヘテロアラルキルとの用語が、「置換」という修飾語と共に使用される場合、アルカンジイル基及び/又はヘテロアリール基からの1個以上の水素原子が、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。置換アラルキルの非限定的な例は、以下である。(3−ニトロピリミジニル)−メチル及び4−クロロ−2−キノリル−エタ−1−イル。
「アシル」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、−C(O)R基を指し、ここで、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル又はヘテロアリールであり、これらの用語は、上に定義されるとおりである。−CHO、−C(O)CH(アセチル、Ac)、−C(O)CHCH、−C(O)CHCHCH、−C(O)CH(CH、−C(O)CH(CH、−C(O)C、−C(O)CCH、−C(O)CH、−C(O)(イミダゾリル)は、アシル基の非限定的な例である。「チオアシル」は、類似する様式で定義されるが、但し、−C(O)R基の酸素原子が硫黄原子と置き換わった−C(S)Rである。「アルデヒド」との用語は、少なくとも1つの水素原子が、−CHO基と置き換わった、上に定義されるようなアルカンである。「無水物」は、式ROR’の基であり、ここで、R及びR’は、上に定義されるようなアシル基である。これらの用語のいずれかが、「置換」という修飾語と共に使用される場合、1個以上の水素原子(存在する場合には、カルボニル基又はチオカルボニル基に直接的に接続する水素原子を含む)が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。−C(O)CHCF、−COH(カルボキシル)、−COCH(メチルカルボキシル)、−COCHCH、−C(O)NH(カルバモイル)及び−CON(CHといった基は、置換アシル基の非限定的な例である。
「アルキルアミノ」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、−NHR基を指し、ここで、Rはアルキルであり、この用語は上に定義されるとおりである。アルキルアミノ基の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。−NHCH及び−NHCHCH。「ジアルキルアミノ」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、−NRR’基を指し、ここで、R及びR’は、それぞれ独立して、同じ又は異なるアルキル基であってもよく、又はR及びR’が一緒になってアルカンジイルを表していてもよい。ジアルキルアミノ基の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。−N(CH、−N(CH)(CHCH)及びN−ピロリジニル。「アルコキシアミノ」、「シクロアルキルアミノ」、「アルケニルアミノ」、「シクロアルケニルアミノ」、「アルキニルアミノ」、「アリールアミノ」、「アラルキルアミノ」、「ヘテロアリールアミノ」、「ヘテロシクロアルキルアミノ」及び「アルキルスルホニルアミノ」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、−NHRとして定義される基を指し、ここで、Rは、それぞれ、アルコキシ、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル及びアルキルスルホニルである。アリールアミノ基の非限定的な例は、−NHCである。「アミド」(アシルアミノ)との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、−NHR基を指し、ここで、Rはアシルであり、この用語は上に定義されるとおりである。アミド基の非限定的な例は、−NHC(O)CHである。「アルキルイミノ」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、二価の基である=NRを指し、ここで、Rはアルキルであり、この用語は上に定義されるとおりである。「アルキルアミノジイル」との用語は、二価の基である−NH−アルカンジイル−、−NH−アルカンジイル−NH−又は−アルカンジイル−NH−アルカンジイル−を指す。これらの用語のいずれかが、「置換」という修飾語と共に使用される場合、1個以上の水素原子が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。−NHC(O)OCH及び−NHC(O)NHCHといった基は、置換アミド基の非限定的な例である。
「アルコキシ」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、−OR基を指し、ここで、Rはアルキルであり、この用語は上に定義されるとおりである。非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。−OCH(メトキシ)、−OCHCH(エトキシ)、−OCHCHCH、−OCH(CH(イソプロポキシ)及び−OC(CH(tert−ブトキシ)。「シクロアルコキシ」、「アルケニルオキシ」、「アルキニルオキシ」、「アリールオキシ」、「アラルコキシ」、「ヘテロアリールオキシ」、「ヘテロシクロアルコキシ」及び「アシルオキシ」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、−ORとして定義される基を指し、ここで、Rは、それぞれ、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル及びアシルである。「アルコキシジイル」との用語は、二価の基である−O−アルカンジイル−、−O−アルカンジイル−O−又は−アルカンジイル−O−アルカンジイル−を指す。「アルキルチオ」及び「アシルチオ」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、−SR基を指し、ここで、Rは、それぞれ、アルキル及びアシルである。「アルキルチオジイル」との用語は、二価の基である−S−アルカンジイル−、−S−アルカンジイル−S−又は−アルカンジイル−S−アルカンジイル−を指す。「アルコール」との用語は、上に定義されるようなアルカンに対応し、少なくとも1個の水素原子がヒドロキシ基と置き換わっている。「エーテル」との用語は、上に定義されるようなアルカン又はシクロアルカンに対応し、少なくとも1個の水素原子がアルコキシ基又はシクロアルコキシ基と置き換わっている。これらの用語のいずれかが、「置換」という修飾語と共に使用される場合、1個以上の水素原子が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。
「アルキルシリル」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、−SiR基を指し、それぞれ、各Rがアルキルであり、この用語は上に定義されるとおりである。「アルケニルシリル」、「アルキニルシリル」、「アリールシリル」、「アラルキルシリル」、「ヘテロアリールシリル」及び「ヘテロシクロアルキルシリル」との用語は、類似の様式で定義される。これらの用語のいずれかが、「置換」という修飾語と共に使用される場合、1個以上の水素原子が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。
「ホスフィン」及び「ホスファン」との用語は、本明細書で同義に使用される。「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、これらの用語は、式PRの化合物を指し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール又はアラルキルであり、これらの用語は、上に定義されるとおりである。非限定的な例としては、PMe、PPh及びPCy(トリシクロヘキシルホスフィン)が挙げられる。「トリアルキルホスフィン」及び「トリアルキルホスファン」も同義である。このような基は、ホスフィンの一部であり、各Rは、アルキル基である。「ジホスフィン」との用語は、「置換」という修飾語を用いずに使用される場合、式R−P−L−P−Rの化合物を指し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール又はアラルキルであり、Lは、アルカンジイル、シクロアルカンジイル、アルケンジイル又はアレーンジイルである。これらの用語のいずれかが、「置換」という修飾語と共に使用される場合、1個以上の水素原子が、独立して、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−NH、−NO、−N、−COH、−COCH、−CN、−SH、−OCH、−SCH、−OCHCH、−C(O)CH、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−C(O)NH、−C(O)NHCH、−C(O)N(CH、−OC(O)CH、−NHC(O)CH、−S(O)OH又は−S(O)NHによって置き換わっている。
上述のように、いくつかの態様では、細胞標的化部分は、抗体である。本明細書で使用される場合、「抗体」との用語は、示されるタンパク質又はペプチド、又はこれらのフラグメントと特異的に反応する免疫グロブリン及びそのフラグメントを含むことを意図している。適切な抗体としては、限定されないが、ヒト抗体、霊長類化抗体、脱免疫化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体、結合された抗体(すなわち、他のタンパク質、放射性標識、細胞毒素と結合又は融合された抗体)、小型モジュラー免疫医薬(「SMIP(商標)」)、一本鎖抗体、カメロイド抗体、抗体様分子(例えば、アンチカリン)及び抗体フラグメントが挙げられる。本明細書で使用される場合、「抗体」との用語は、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一本鎖ドメイン抗体(例えば、サメ一本鎖ドメイン抗体(例えば、IgNAR又はそのフラグメント))、少なくとも2つのインタクト抗体から作られる多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、所望な生体活性を示す場合に限り、抗体フラグメントも含む。本明細書で使用するための抗体ポリペプチドは、任意の種類のものであってもよい(例えば、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE)。一般的に、IgG及び/又はIgMが好ましい。これらが生理学的状況で最も一般的な抗体であり、実験室の設定で最も容易に製造されるからである。本明細書で使用される場合、抗体との用語はまた、抗体フラグメント、例えば、インタクト抗体の一部、例えば、抗体の抗原結合領域又は可変領域も包含する。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fc及びFvフラグメント;トリアボディ;テトラボディ;線形抗体;一本鎖抗体分子;及び抗体フラグメントから作られる多重特異性抗体が挙げられる。「抗体フラグメント」との用語は、特異的な抗原に結合して複合体を生成することによって抗体のように作用する、任意の合成されたタンパク質又は遺伝子操作されたタンパク質も含む。例えば、抗体フラグメントは、単離されたフラグメントと、重鎖及び軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメントと、軽鎖と重鎖の可変領域がペプチドリンカー(「ScFvタンパク質」)によって接続している組換え一本鎖ポリペプチド分子と、超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位とを含む。酸素に連結した抗体は、抗体とリンカー又は化合物との間の連結が、酸素原子を介して接続している化学官能基を有する抗体である。同様に、窒素に連結した抗体は、抗体とリンカー又は化合物との間の連結が、窒素原子を介して接続している化学官能基を有する抗体である。
「金属」は、本出願の内容では、遷移金属、又はI族又はII族の金属である。金属は、限定されないが、ホウ素及びアルミニウムなどの13族の元素であってもよい。
「リンカー」は、本出願の内容で、本開示の化合物に1つ以上の分子を接続するために使用可能な二価化学基である。リンカーはまた、カルボキシ末端及びアミノ末端がリンカーのための接続点として機能するアミノ酸鎖であってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、本開示の化合物に1つ以上の分子を接続するために使用されるそれぞれの末端に反応性官能基、例えば、カルボキシル、アミド、アミン、ヒドロキシ、メルカプト、アルデヒド又はケトンを含む。いくつかの非限定的な例では、−CHCHCHCH−、−C(O)CHCHCH−、−OCHCHNH−、−NHCHCHNH−及び−(OCHCH−(ここで、nは1〜1000である)は、リンカーである。
「アミン保護基」は、当該技術分野でよく理解されている。アミン保護基は、分子のいくつかの他の部分を修飾する反応中のアミン基の反応性を防ぐ基であり、所望なアミンを生成するために容易に除去することができる。アミン保護基は、Greene and Wuts、1999(本明細書に参考として組み込まれる)において少なくとも見出すことができる。アミノ保護基のいくつかの非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイルなど;スルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニルなど;アルコキシ−又はアリールオキシカルボニル基(保護されたアミンとウレタンを生成する)、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニルイル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−トリメチルシリルエチルオキシカルボニル(Teoc)、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル(Fmoc)、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなど;アラルキル基、例えば、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなど;及びシリル基、例えば、トリメチルシリルなどが挙げられる。さらに、「アミン保護基」は、一級アミン上の両水素原子が1個の保護基と置き換わった二価の保護基であってもよい。このような状況で、アミン保護基は、フタルイミド(phth)又はその置換誘導体であってもよく、ここで、「置換」との用語は、上に定義されるとおりである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化フタルイミド誘導体は、テトラクロロフタルイミド(TCphth)であってもよい。本明細書で使用される場合、「保護されたアミノ基」は、式PGMANH−又はPGDAN−の基であり、ここで、PGMAは、一価アミン保護基であり、一価に保護されたアミノ基」としても記載される場合があり、PGDAは、上述の二価アミン保護基であり、「二価に保護されたアミノ基」としても記載される場合がある。
「ヒドロキシル保護基」は、当該技術分野でよく理解されている。ヒドロキシル保護基は、分子のいくつかの他の部分を修飾する反応中のヒドロキシル基の反応性を防ぐ基であり、所望なヒドロキシルを生成するために容易に除去することができる。ヒドロキシル保護基は、Greene and Wuts、1999(本明細書に参考として組み込まれる)において少なくとも見出すことができる。ヒドロキシル保護基のいくつかの非限定的な例としては、アシル基、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイルなど;スルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニルなど;アシルオキシ基、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニルイル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−トリメチルシリルエチルオキシカルボニル(Teoc)、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル(Fmoc)、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなど;アラルキル基、例えば、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなど;及びシリル基、例えば、トリメチルシリルなどが挙げられる。本明細書で使用される場合、保護されたヒドロキシ基は、式PGO−基であり、ここで、PGは、上述のヒドロキシル保護基である。
「チオール保護基」は、当該技術分野でよく理解されている。チオール保護基は、分子のいくつかの他の部分を修飾する反応中のメルカプト基の反応性を防ぐ基であり、所望なメルカプト基を生成するために容易に除去することができる。チオール保護基は、Greene and Wuts、1999(本明細書に参考として組み込まれる)において少なくとも見出すことができる。チオール保護基のいくつかの非限定的な例としては、アシル基、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイルなど;スルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニルなど;アシルオキシ基、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニルイル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−トリメチルシリルエチルオキシカルボニル(Teoc)、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル(Fmoc)、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなど;アラルキル基、例えば、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなど;及びシリル基、例えば、トリメチルシリルなどが挙げられる。本明細書で使用される場合、保護されたチオール基は、式PGS−基であり、ここで、PGは、上述のチオール保護基である。
「立体異性体」又は「光学異性体」は、同じ原子が同じ他の原子に結合しているが、これらの原子の三次元での配置が異なっている、所与の化合物の異性体である。「エナンチオマー」は、左手と右手のような、互いに鏡像体である、所与の化合物の立体異性体である。「ジアステレオマー」は、エナンチオマーではない、所与の化合物の立体異性体である。キラル分子は、キラル中心を含有し、立体中心(stereocenter)又は立体中心(stereogenic center)とも呼ばれ、任意の2つの基の相互変換によって立体異性体が生じるような、分子を含む基の任意の点(必ずしも原子でなくてもよい)である。有機化合物において、キラル中心は、典型的には、炭素原子、リン原子又は硫黄原子であるが、有機化合物及び無機化合物において他の原子が立体中心であることも可能である。分子は、複数の立体中心を有していてもよく、多くの立体異性体を与える。立体異性が、四面体の立体中心(例えば、四面体炭素)に起因する化合物では、仮定上で可能な立体異性体の合計数は、2を超えず、nは、四面体立体中心の数である。対称性を有する分子は、多くは、可能な最大数よりも少ない立体異性体を含む。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物と呼ばれる。又は、エナンチオマーの混合物は、あるエナンチオマーが50%を超える量で存在するように、エナンチオマー的に濃縮されていてもよい。典型的には、エナンチオマー及び/又はジアステレオマーは、当該技術分野で知られている技術を用い、解像又は分離されてもよい。立体化学が定義されていないキラリティの任意の立体中心又は軸の場合、キラリティの立体中心又は軸は、ラセミ体及び非ラセミ混合物を含め、その(R)形態、(S)形態、又は(R)形態と(S)形態の混合物として存在してもよいことが想定される。本明細書で使用される場合、「他の立体異性体を実質的に含まない」との句は、組成物が、15%以下、より好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下、又は最も好ましくは1%以下の別の立体異性体を含むことを意味する。
VI.実施例
以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態を示すために含まれている。以下の実施例に開示される技術は、本開示の実施において十分に機能するように本願発明者によって開発された技術を表し、そのため、その実施のための好ましい態様を構成すると考えることができることが、当業者によって理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示の観点で、開示される具体的な実施形態において、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、同じ又は同様の結果が依然として得られる多くの変更をなし得ることを理解するべきである。
実施例1−アジリジンエポチロン類似体の合成
A.アジリジンエポチロンB類似体の調製
非常に活性なエポチロン中の特定の位置に塩基性窒素原子が存在することが必要なことによってひらめきを与え、結合試験のための接続点として適切な官能基の必要性によって動機付けされ(Nicolaou& Snyder、2003、Altmannet al.、2007、Altmannet al.、2009、Pfeifferet al.、2009、Altmannet al.、2011、Pfeifferet al.、2012、Altmannet al.、2014、Schiesset al.、2015及びWO9825929 A1号、WO9967252 A2号、WO9967253 A2号、WO03018002 A2号、WO2004014919 A1号、WO2007062288 A2号、Nicolaouet al.、2015、US2016057093号)、関心は、エポチロンBのエポキシド部分がアジリジン部分と置き換わっているエポチロン類似体に向けられた。エポチロンに向かう大部分の合成経路が、対応するC12〜C13オレフィンによって得られ、細菌開示されたEss−Kuerti−Falckアジリジン化の力を考慮し(Jat et al.、2014)、エポチロンC及びD(3及び4、スキーム1)が、この反応の基質として機能し得るかを試験するための実験を開始した。C12〜C13アジリジニルエポチロンBの合成は報告されていないが、非常に長いプロセスではあるが(WO9954319 A1、Regueiro−Renet al.、2001、WO02098868 A1号、US 20070276018号、WO2007140297 A1号、WO2007140298 A1号、WO2008147941 A1号)、対応するアジリジニルエポチロンA(8)は、以前、エポチロンA及びCから調製された(1及び3、スキーム2、パネルA)ことを注記すべきである。対照的に、スキーム1に示されるように、アジリジニルエポチロンA類似体8(収率70%)及びアジリジニルエポチロンB類似体10(収率66%)両方の調製は、Ess−Kuerti−Falck方法[O−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン(DPH)、Rh(esp)catによって直接的に達成され(Jatet al.、2014)]、一工程で、エポチロンC及びD(3及び4、スキーム3)からそれぞれ達成される。さらに、アジリジン化反応は、完全に位置選択的で立体選択的であることがわかっており、アジリジン8のNMRデータと、同じ化合物についてのBristol−Myers Squibb(BMS)によって報告されるものとの比較によってわかるように、望ましいエポチロン配置が導かれる(WO9954319 A1号、Regueiro−Ren et al.、2001、WO02098868 A1号、US 20070276018号、WO2007140297 A1号、WO2007140298 A1号、WO2008147941 A1号)。アジリジン10及びこの試験で得られる他のアジリジン化合物についてのβ配置の割り当ては、類似性によって達成された。これらの結果は、エポチロンB(2)が、その対応するオレフィン前駆体エポチロンD(4)から生成し、中程度のジアステレオ選択性(約5:1ジアステレオマー比)を示すプロセスであるエポキシ化反応[DMDO(ジメチルジオキシラン)又はTFDO(メチル(トリフルオロメチル)ジオキシラン)]とは対照的である(Nicolaouet al.、1997)。2−ブロモエタノール(DPH、KCO)を用いた、これらのアジリジンのその後のアルキル化によって、スキーム3に示すように、N−ヒドロキシエチルアジリジニルエポチロンA(9、収率97%)及びB(11、収率95%)がそれぞれ得られた。これらの構造上の一級ヒドロキシル基は、抗体及び他の送達系に対する潜在的な連結のためのリンカーを接続するための簡便な官能基として機能し得る。
スキーム1.エポチロンA〜D(1〜4)、イクサベピロン(5)、メチルチオエポチロンB(ABJ879、6)、アミノメチルエポチロンB(BMS−310705、7)、アジリジニルエポチロンA(8)及びそのN−アルキル化類似体(BMS−748285、9)の分子構造。
Figure 2020516626
スキーム2.パネルA:それぞれ、エポチロンB(2)及びエポチロンA(1)又はC(3)からのイクサベピロン(5)及び12,13−アジリジニルエポチロンA(8)の従前の合成。パネルB:β−ヘテロ芳香族ホスホネートII及びアジリジニルメチルケトンIIIから、アジリジニルエポチロンB類似体Iを入手するための一般的な合成戦略。アジリジニルメチルケトンIIIは、オレフィンメチルケトンIVから誘導され、最終的にエポチロンB(2)になる。HWE=Horner−Wadsworth−Emmons。
Figure 2020516626
スキーム3.エポチロンC(3)及びD(4)のアジリジン化、8及び10のN−アルキル化を介するN−ヒドロキシエチルアジリジニルエポチロンA及びB類似体9及び11の合成
Figure 2020516626
試薬及び条件:(a)8について、DPH(1.1当量)、Rh(esp)(0.05当量)、TFE、25℃、4h、70%、10について66%;(b)9について、2−ブロモエタノール(5.0当量)、KCO(6.0当量)、DMF、50℃、48h、97%、11について95%。DMF=N,N−ジメチルホルムアミド;DPH=O−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン;esp=α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−ベンゼンジプロピオン酸;TFE=2,2,2−トリフルオロエタノール。
B.アジリジニルエポチロンB側鎖類似体の合成のために企画されたStilleカップリング手法
複雑な基質ではなく、これらとのアジリジン化反応の実現可能性が確立され、チアゾール部分の優れた位置選択性及び立体選択性及び許容性が示され、スキーム2に示されるように、ヨウ化ビニル部分を特徴とするもの(例えば、71;広範囲の類似体への前駆体として機能する能力のために)及び種々のヘテロ環側鎖(例えば、N−メチル−5−メチルチオピラゾール;高い効能を付与する能力のために)などの他の基質に対する適用可能性を調べるために実験を開始した(Nicolaouet al.、2006)。したがって、トリオールヨージド前駆体69は、既に公開された方法を用いて容易に入手可能であり(Nicolaouet al.、1999)、これを、ビス−ヨージド70を介して、ヨージド71(NaBHCN、収率80%)に変換され、後者は、そのトシレート相当物によって、69から得られた(TsO、EtN、DMAP、次いで、TBAI、収率88%)。しかし、ヨージド71は、Ess−Kuerti−Falck条件で、アジリジン化のための基質として望ましい状態よりも多く残り、アジリジン72は、意味のある量で得ることができなかった。この問題を回避するために、スキーム2に示されるように、基質73は、ヨウ化ビニル前駆体71とピラゾリルスタンナン74とのStilleカップリングによって調製された(Nicolaouet al.、2006)[Pd(dba)cat.、CuI、AsPh、収率67%]。しかし、この基質がアジリジン化反応にさらされてしまうと、望ましいアジリジン(40)がうまく生成しなかった。理論によって束縛されることを望まないが、この反応の失敗は、電子リッチなメチルチオピラゾール部分の酸化的分解に起因するものであったと考えられる(Zenzolaet al.、2016)。
スキーム4.合成されたアジリジニルエポチロン類似体8〜40
Figure 2020516626
スキーム5.合成されたβ−ヘテロ環状ホスホネート41〜68
Figure 2020516626
スキーム6.ヨウ化ビニル69からのエポチロンD類似体73の合成、及びヨウ化ビニル71及びエポチロン73の企画されたアジリジン化
Figure 2020516626
試薬及び条件:(a)TsO(3.0当量)、EtN(5.0当量)、DMAP(1.0当量)、CHCl、0℃、20分;次いで、TBAI(5.0当量)、0℃、20分、88%;(b)NaBHCN(12当量)、DMPU、25℃、40分、80%;(c)DPH(1.1当量)、Rh(esp)(0.1当量)、TFE、25℃、16h、望ましくない生成物40又は72はない;(d)74(2.5当量)、Pd(dba)(0.5当量)、AsPh(1.0当量)、CuI(2.0当量)、DMF、0℃、1h、67%。dba=ジベンジリデンアセトン;DMAP=4−ジメチルアミノピリジン;DMPU=1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン;TBAI=n−テトラブチルアンモニウムヨージド;Ts=4−トルエンスルホニル。
C.置換アジリジニルエポチロンB類似体への新しい合成経路の開発
関心は、容易に入手可能な(発酵を介した)エポチロンB(2)の側鎖の破壊と、そのエポキシド部分の脱酸素によって、アジリジン部分と種々の側鎖が両方とも組み込まれた実行可能な前駆対を与えることに移った。Hoefle(Sefkowet al.、1998、Hoefleet al.、1999)及びBristol−Myers Squibb (BMS)科学者(Johnson et al.、2000)による以前の研究は、前者の目的は、オゾン分解によって達成し得ることを示しており、一方、後者は、in situで生成した還元金属(例えば、W又はMg/Ti)によって実現することができることを示している。
したがって、スキーム3に示されるように、エポチロンB(2)は、オゾン分解(O、次いで、MeS)によって、メチルケトン75へと変換され(収率94%)、次いで、これがTESOTf及び2,6−ルチジンにさらされ、ビス−TESエーテル76を収率84%で与えた。WCl/n−BuLiを用いたその後のエポキシド部分の脱酸素において、化合物75及び76を試験し、それぞれ必要なオレフィン性メチルケトン77[収率85%、(Z):(E)約5:1]及び78[収率86%、(Z)のみ]の調製のための基質としての実行能力があることがわかった。後者は、望ましい(Z)異性体についての排他的な幾何選択性に起因して、好ましい基質であることがわかった。両基質77又は78のアジリジン化も、標準的な条件でうまくいくことがわかり(Jatet al.、2014)、77は、アジリジン79を収率87%で与え、78は、アジリジン80を収率90%で生じ、両方とも完全な立体選択性を有する。化合物80は、エポチロンB類似体10に変換され(スキーム3)、NMR分光データは、スキーム1に記載されるように、エポチロンB(又はエポチロンD)から誘導されるサンプルのデータと一致し(Johnsonet al.、2000)、それによって、メチルケトン77及び78のアジリジン化の立体化学的割り当てを裏付けている。2−ブロモエタノール(ヒドロキシル基のTBS保護を有するもの、又は有さないもの)及びKCOを用いた、その後のアジリジン79(遊離ヒドロキシル基)及び80(TES保護されたヒドロキシル基)のアルキル化は、[79+2−ブロモエタノール→81(収率29%);80+2−ブロモエタノール−TBSエーテル→82(収率90%)]であったが、全体的な収率及び選択性の観点から、TES保護された化合物(すなわち、80)及び2−ブロモエタノールTBSエーテルが好ましい基質として区別された。次いで、前駆体82をn−BuLiの影響下、側鎖ホスホネート41とカップリングさせ、立体選択的なHorner−Wadsworth−Emmons(HWE)オレフィン化を確実に行い((a)Horneret al.、1958、(b)Horneret al.、1959、(c)Wadsworthet al.、1961、(d)Wadsworthet al.、1965及び(a)Maryanoff et al.、1989、(b)Nicolaouet al.、1997、(c)Gu et al.、2012、(d)Blakemoreet al.、2014、(e)Bisceglia及びOrelli、2015)、予想された保護されたアジリジニルエポチロンB類似体83を収率60%で得た。後者から、HF・pyを用い、脱シリル化生成物であるアジリジニルメチルチオエポチロンB類似体12が遊離した(収率79%)。同様の様式で、前駆体82をホスホネート42とカップリングし、このとき、NaHMDSの影響で、保護されたアジリジニルエポチロンB類似体84が得られた(収率68%)。スキーム7にまとめられているように、全体的な脱保護(HF py、次いでTFA)によって、アジリジニルアミノメチルエポチロンB類似体13を全体で収率48%で得た。
この合成経路は、明らかに、以前記載された経路と比較して、共通の中間体(すなわち、メチルケトン82、スキーム7)の多目的性及び実際の利用可能性に起因して、別個の利点を与え(例えば、8((WO9954319 A1、Regueiro−Renet al.、2001、WO02098868 A1号、US 20070276018号、WO2007140297 A1号、WO2007140298 A1号、WO2008147941 A1号)及び9(US 20070275904 A1、Kimet al.、2011、Gokhaleet al.、2013)、スキーム1)、ここから、広範囲の想像可能な側鎖のアジリジニルエポチロンB類似体へと多様化することができる。さらに、この合成研究は、高い複雑性を有する気質に対するEss−Kuerti−Falckアジリジン化の第1の応用と、複雑な天然産物及び設計された分子の合成のためのその将来の用途を十分に予測する観察結果を表す。
スキーム7.エポチロンB(2)からのアジリジニルエポチロンB類似体12及び13の合成
Figure 2020516626
試薬及び条件:(a)O;次いで、MeS(10.0当量)、CHCl、−78℃、5分、94%;(b)TESOTf(2.4当量)、2,6−ルチジン(3.0当量)、CHCl、−78℃、15分、84%;(c)WCl(2.0当量)、n−BuLi(4.0当量)、THF、−78→25℃、40分;次いで、75又は76(1.0当量)、−20→0℃、2時間、77[(Z):(E)約5:1]について85%、78[(Z)のみ]について86%;(d)DPH(1.5当量)、Rh(esp)(0.02当量)、TFE、25℃、30分、79について87%、80について90%;(e)2−ブロモエタノール又は2−ブロモエタノールTBSエーテル(5.0当量)、KCO(4.0当量)、DMF、70℃、12時間、81について29%、82について90%;(f)41(15当量)、n−BuLi(12当量);次いで、82(1.0当量)、THF、−78→0°C、3時間、60%;又は42(8.3当量)、NaHMDS(6.8当量);次いで、82(1.0当量)、THF、−78℃、2.5時間、68%;(g)HF・py(xs)、THF、0→25℃、1時間、79%;(h)HF・py(xs)、THF、0→25℃、5時間;次いで、TFA(xs)、CHCl、0→25℃、2.5時間、全体で48%。HMDS=ヘキサメチルジシラジド;OTf=トリフルオロメタンスルホネート;py=ピリジン;TBS=tert−ブチルジメチルシリル;TES=トリエチルシリル;TFA=トリフルオロ酢酸;THF=テトラヒドロフラン;xs=過剰量。
スキーム8.メチルケトン80又はN−保護されたメチルケトン87からの遊離アジリジニルエポチロンB類似体14の合成
Figure 2020516626
試薬及び条件:(a)41(9.6当量)、n−BuLi(7.7当量)、次いで、80(1.0当量)、THF、−78→25℃、1.5時間、59%;(b)HF・py (xs)、THF、0→25℃、1時間、93%;(c)BocO(3.0当量)、EtN(3.0当量)、DMAP(0.2当量)、MeCN、0℃、5分、78%;(d)SEMCl(1.5当量)、i−PrNEt(2.0当量)、CHCl、0℃、2時間、59%;(e)41(23当量)、n−BuLi(19当量)、次いで、86又は87(1.0当量)、THF、−78→10℃、3時間、不純物と共に単離された88;89について60%;(f)TFA(xs)、CHCl、0→25℃、1.5時間、75%。Boc=tert−ブチルオキシカルボニル;SEM=2−(トリメチルシリル)エトキシメチル。
D.遊離アジリジニルエポチロンB類似体への合成経路の延長
実験を開始し、スキーム4にまとめられているように、保護されていない(80)アジリジニル又は保護された(86及び87)アジリジニルメチルケトンを基質として用い、エポチロン側鎖の直接的な接続を観察した。遊離アジリジンビス−TES保護されたメチルケトン80は、メチルチオチアゾリルホスホネート41(n−BuLi、収率59%)とのHWE反応のための基質として役立ち、完全に幾何学的に制御しつつ[(E):(Z)>98:2]、対応する保護されたアジリジニルエポチロンB85を与え、その脱シリル化(HFpy、収率93%)によって、標的とするアジリジニルメチルチオエポチロンB類似体14へと円滑に導かれることが観察された。狭い基質範囲は、種々の保護基の選抜を促した。したがって、Boc保護されたアジリジニルメチルケトン86(EtN及びDMAP存在下、80及びBocOから調製、収率78%、スキーム8)をHWEオレフィン化反応の基質として用いたさらなる実験は、予想された生成物(すなわち、88)を与えず、このことは、おそらくカルバメート基によって付与されたアジリジン部分の活性化に起因して、その不適切さが効果的に機能していることを示している。4−メトキシベンジル(PMB)保護されたアジリジン部分との企画されたHWE反応も、うまくいかないことがわかった。一方、窒素原子上の保護デバイスとしてのSEM基の使用によって(基質87、スキーム4で示されるように80から調製)、ホスホネート41を用いたHWEオレフィン化反応が成功し、対応するアジリジニルエポチロンB誘導体89を収率60%で、単一の幾何異性体として得た[(E):(Z)>98:2]。後者の全体的な脱シリル化(TFA)によって、標的とするアジリジニルメチルチオエポチロンB類似体14を収率75%で得た。これらの知見は、他の設計された遊離アジリジニルエポチロンB類似体に対するこの合成戦略の範囲を広げた(以下のスキーム11及び17を参照)。
E.アジリジニルエポチロンB類似体の分子設計
適切な側鎖を有するアジリジニルエポチロンの構築のための効率的で立体選択的な合成戦略及びプロトコルが開発され、12,13−アジリジニルエポチロンB類似体8〜14の合成(スキーム3、7及び8)を用いて示されるように、これらの戦略は、種々のさらなるアジリジニルエポチロンB類似体の合成に適用された。これらの一連の努力の間に、HWEオレフィン化反応に対する新しい改変が開発された。この目的のために、26種類のさらなる類似体(15〜40、スキーム7)を一連の対応するβ−ヘテロ芳香族ホスホネートと共に開発した(スキーム5を参照)。エポチロンのこの12,13−アジリジニルファミリーを設計する際に、以前の有望な結果が、Nicolaou(Nicolaouet al.、1998、Nicolaouet al.、2001、Nicolaouet al.、2001、Nicolaouet al.、2002)、Altmann(Cachoux et al.、2006 Kuzniewskiet al.、2008、Altmannet al.、2010、Schiesset al.、2011、Gaugazet al.、2014)及びBMS(Sefkowet al.、1998、Hoefleet al.、1999)から示され、エポキシド部分を他の等量式(例えば、シクロプロパン又はアジリジン構造モチーフ)と置き換えることができることを示した。しかし、以前のアジリジン化の努力は、同時の合成方法論の限界に起因して、エポチロンAの探求で終わっていた(WO9954319 A1号、Regueiro−Ren et al.、2001、WO02098868 A1号、US 20070276018号、WO2007140297 A1号、WO2007140298 A1号、WO2008147941 A1号)。エポチロンBは、一般的に、エポチロンAよりも高い効能を示す(約10倍)ため(Nicolaou& Snyder、2003、Altmannet al.、2007、Altmannet al.、2009、Pfeifferet al.、2009、Altmannet al.、2011、Pfeifferet al.、2012、Altmannet al.、2014、Schiesset al.、2015)、アジリジン部分と種々のヘテロ環状側鎖をエポチロンB前駆対分子に組み込みつつ、達成され、広く拡大された目標である前者の構造の類似体に向けた直接的な努力が望ましかった。側鎖という観点で、Nicolaou実験室からの以前の研究は、例えば、メチルチオピラゾール(Nicolaouet al.、2006)及びメチルチオチアゾール(Nicolaouet al.、2002)部分を効力を高める構造モチーフとして示唆した。天然のエポチロン中に見出されるような、水素結合受容体として作用することが可能な塩基性ヘテロ原子(例えば、N)の必要性は、全ての設計で維持された。結合最適化のための多くの新しい考え方が、いかに記載されるように組み込まれた。最後に、適切な送達系へのリンカー接続又は直接的な結合のための部位の要求を満たすために、種々のさらなる官能基(例えば、特に、一級ヒドロキシル部分及びアミノ部分)が指定の分子に組み込まれた。特定のエポチロン設計のためのさらなる原理を、以下の合成と共に記載する。
スキーム9.メチルケトン82からのN−ヒドロキシエチル アジリジニル エポチロンB類似体15〜26の合成
Figure 2020516626
試薬及び条件:(a)43(14当量)、NaHMDS(14当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→0℃、4時間、69%;(b)HF py(xs)、THF、0→25℃、5時間、次いで、TFA(xs)、CHCl、0→25℃、6時間、全部で80%;(c)44(12当量)、NaHMDS(11当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→−40℃、1時間、次いで、HF py(xs)、THF、0→25℃、3時間、全体で37%[(E):(Z)約88:12]と、27%の回収した82;(d)45(15当量)、NaHMDS(13当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78℃、30分、65%;(e)HF py(xs)、THF、0→25℃、3時間、95%;(f)AcO(5.0当量)、DMAP(3.0当量)、CHCl、0→25℃、25分、74%;(g)46(12当量)、NaHMDS(9.7当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→0℃、2.5時間、50%;47(12当量)、NaHMDS(9.7当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→0℃、2.5時間、45%;(h)HF py(xs)、THF、0→25℃、4時間、90%;HF py(xs)、THF、0→25℃、5時間、次いで、TFA(xs)、CHCl、0→25℃、3時間、全体で71%;(i)48(28当量)、n−BuLi(22当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→25℃、2時間、94%;(j)HF py(xs)、THF、0→25℃、5時間、93%;(k)49(21当量)、n−BuLi(18当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→25℃、4時間、67%と、28%の回収した82;(l)HF py(xs)、THF、0→25℃、5時間、74%;(m)50(11当量)、NaHMDS(4.9当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78℃、1時間、次いで、t−BuOK(5.0当量)、THF、−20℃、5分、全体で28%[(E):(Z)約30:70];(n)HF py(xs)、THF、0→25℃、5時間、82%;(o)51(13当量)、n−BuLi(10当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→10℃、1.5時間、65%;(p)HF py(xs)、THF、0→25℃、9時間、81%;(q)52(11当量)、n−BuLi(10当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78℃、1.5時間、次いで、t−BuOK(5.0当量)、THF、−20℃、5分、全体で73%と、10%の回収した82;(r)HF py(xs)、THF、0→25℃、3時間、95%;(s)AcO(2.0当量)、i−PrNEt(2.0当量)、DMAP(0.05当量)、CHCl、0℃、1.5時間、71%。
スキーム10.メチルケトン82からのN−ヒドロキシエチル アジリジニル エポチロンB類似体27〜31の合成
Figure 2020516626
試薬及び条件:(a)53(31当量)、n−BuLi(29当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→0℃、3時間、32%;54(60当量)、n−BuLi(48当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→0℃、3時間、71%;(b)HF py(xs)、THF、0→25℃、3時間、27について80%、28について76%;(c)56(15当量)、NaHMDS(14当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→15℃、2.5時間、33%;(d)HF py(xs)、THF、0→25℃、3時間、95%;(e)55(11当量)、NaHMDS(10当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→−60℃、1時間、57%[(E):(Z)約75:25];(f)HF py(xs)、THF、0→25℃、3時間、90%;(g)57(15当量)、NaHMDS(14当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−60℃、1時間、35%[(E):(Z)約86:14]と、34%の回収した82;(h)HF py(xs)、THF、0→25℃、3時間、97%。
F.設計されたN−ヒドロキシエチルアジリジニルエポチロンB類似体15〜31の合成
設計されたアジリジニルエポチロンB類似体15〜31の合成(スキーム4)は、上述のアジリジニルエポチロンB類似体(すなわち、12〜14、スキーム7及び8)について上に記載した最適な中間体及び条件に依存している。スキーム9は、スキーム9に示されるように、32〜87%の範囲の全体的な収率で、オレフィン化(NaHMDS又はn−BuLi、スキーム9を参照)、その後、全体的な脱保護(HFpy又はHFpy次いでTFA)の一連の2工程による、保護されたメチルケトン82及び対応するホスホネート43〜52からのN−ヒドロキシエチルアジリジニルエポチロンDB類似体15〜26の構築をまとめている。ピリジン(21)、ベンゾチアゾール(24)及びN−メチル−5−メチルチオピラゾール(23)を含む類似体を合成した(スキーム9を参照)。これに加え、アミノチアゾール(15)、ヒドロキシエチルチアゾール(19)及びアミノエチルチアゾール(20)を含有する類似体は、天然産物の側鎖に対する新しい修飾を表すが、類似体は、あまり調査されていないメチルオキサゾール(16)を含有している(4−メトキシベンジル(PMB)保護されたアジリジン部分の企画されたHWE反応もうまくいかないことがわかった)。(Nicolaouet al.、1997)及び未知のメチルチオオキサゾール(17)構造モチーフも調製した。さらに、ビス−チアゾリル類似体22及び1,1−ジピラゾリルメチル類似体25の設計及び合成は、チアゾール窒素原子の近傍に十分に配置決めされた第2の塩基性窒素原子があるという仮説に基づいており(β―チューブリンに対するエポチロンの水素結合が仮定された)(Carlomagnoet al.、2003、Nettleset al.、2004、Reeseet al.、2007、Protaet al.、2013)、これらの化合物の効能が増加するだろう。最後に、細胞膜透過性が増加した結果、効能が向上する可能性を調べるために、パーアセチル化した類似体(18)及びモノアセチル化した(26)類似体を、それぞれ類似体17及び25から、標準的なアセチル化条件によって調製した(Rautioet al.、2008、Huttunenet al.、2011)。
スキーム10は、側鎖領域中の構造と活性の関係(SAR)をさらに調べる努力において、それぞれ、保護されたメチルケトン82及びホスホネート53〜57からの非天然のヘテロ間部分を有するN−ヒドロキシエチルアジリジニルエポチロンB類似体27〜31(すなわち、オキサジアゾール27、チアジアゾール28及び30、及びイソオキサゾール29及び31)の調製をまとめている。スキーム9に記載される合成した類似体と同様の様式で、このプロトコルは、標準的なオレフィン化(NaHMDS又はn−BuLi)/全体的な脱保護(HFpy)戦略に基づいており、スキーム10に示されるように、良好な全体的な収率を得ている。大部分のHWE反応が、所望な(E)異性体を排他的に与える[(E):(Z)>98:2]が、オキサゾール[類似体16、スキーム9、(E):(Z)約88:12]及びイソオキサゾール[類似体29及び31、スキーム10、(E):(Z)がそれぞれ約75:25及び86:14]ホスホネート(すなわち、それぞれ、44、55及び57)は、少量の対応するエポチロン(Z)異性体も与えるが、依然として非常にジアステレオ選択性であることは、注目すべきことである。これらの観察によれば、ヘテロ環部分の電子密度は、この反応の立体化学的結果を決定づける際に、ある役割を果たしている(以下にさらに記載する)。
G.設計された遊離アジリジニルエポチロンB類似体32及び33の合成
したがって、遊離アジリジニルエポチロンB類似体を構築するための上述の保護基戦略(すなわち、スキーム8)は、スキーム11に示すように、SEM−保護されたメチルケトン前駆体87からの類似体32及び33の合成に適用された。したがって、ホスホネート49及び52(n−BuLi)を用いた87のオレフィン化、次いで、脱保護(TFA)によって、スキーム11に示されるように、それぞれ、遊離アジリジニルエポチロンB類似体32(全体で収率29%)及び33(全体で収率28%)が得られた。この低い収率は、これらの困難な基質について、かなりの量の出発物質(すなわち、87)の回収によって相殺された(スキーム11の説明を参照)。
スキーム11.メチルケトン87からの遊離アジリジニルエポチロンB類似体32及び33の合成
Figure 2020516626
試薬及び条件:(a)49(18当量)、n−BuLi(15当量)、次いで、87(1.0当量)THF、−78→25℃、4時間、34%と、50%の回収した87;(b)TFA(xs)、CHCl、0→25℃、2時間、85%;(c)52(15当量)、n−BuLi(14当量)、次いで、87(1.0当量)、THF、−78℃、40分、次いで、t−BuOK(3.0当量)、THF、−20℃、5分、全体で53%と、28%の回収した87;(d)TFA(xs)、CHCl、0→25℃、2時間、52%。
スキーム12.類似体12からのアジリジニルエポチロンB類似体34〜36の合成
Figure 2020516626
試薬及び条件:(a)TsO(5.0当量)、EtN(4.0当量)、CHCl、0→25℃、45分、次いで、NaN(4.0当量)、DMF、25℃、17時間、34について全体で40%;(b)TsO(2.0当量)、EtN(2.0当量)、CHCl、0℃、5分、次いで、NaSH(2.0当量)、DMF、0→15℃、1.5時間、35について全体で54%;(c)AcCl(2.0当量)、i−PrNEt(2.0当量)、CHCl、0℃、1時間、88%。
スキーム13.保護されたアジリジニルエポチロンB類似体85からのアジリジニルエポチロンB類似体37の合成、及びメチルケトン80からのアジリジニルエポチロンB類似体38及び39の合成
Figure 2020516626
試薬及び条件:(a)90(6.0当量)、KCO(5.0当量)、DMF、75℃、12時間、32%と、35%の回収した85;(b)HF py(xs)、THF、0→25℃、2時間、次いで、TFA(xs)、CHCl、0℃、1時間、全体で65%;(c)92(6.0当量)、KCO(5.0当量)、DMF、75℃、16時間、92%;(d)41(13当量)、n−BuLi(10当量)、次いで、93(1.0当量)、THF、−78→10℃、1.5時間、65%;(e)HF py(xs)、THF、0→25℃、3.5時間、92%;(f)95(5.0当量)、KCO(4.0当量)、DMF、80℃、18時間、90%;(g)41(20当量)、n−BuLi(17当量)、次いで、96(1.0当量)、THF、−78→0℃、3時間、63%;(h)HF py(xs)、THF、0℃、2時間、次いで、TBAF/AcOH(1:1、xs)、THF、25℃、8時間、全体で68%。
H.設計されたN−置換アジリジニルエポチロンB類似体34〜39の合成
この新しいエポチロンライブラリーのSARをさらに調べるために、また、種々の潜在的な結合部位を組み込むために、側鎖領域に非常に強力な部分(すなわち、メチル−チオチアゾール)を維持しつつ、アジリジン環上に異なる官能基を有する一連の類似体を合成した。これらの試みの結果をスキーム12及び13に示す。したがって、スキーム12に示すように、N−アジドエチル(34)、N−チオエチル(35)及びN−アセトキシエチル(36)アジリジニルエポチロンB類似体を、一級ヒドロキシル基の選択的な官能基化[TsOを用いた選択的なトシル化、次いで、トシレートをNaN(34、全体で収率40%)又はNaSH(35、全体で収率54%)と置き換え、AcCl、i−PrNEtを用いた12の選択的なアセチル化(36、収率88%)、スキーム12を参照]によって、N−ヒドロキシエチルアジリジニルエポチロン12(上述のように調製、スキーム7)から調製した。
N−アミノエチル、N−シクロプロピルメチル及びN−ホモプロパルギルアジリジニルエポチロンB類似体37〜39の合成をスキーム13にまとめている。したがって、臭素90を用いたビス−TES保護されたアジリジニルエポチロンB類似体85(その合成については、スキーム8を参照)のN−アルキル化によって、前駆体91(KCO、収率32%)が得られ、その全体的な脱保護(HFpy、次いでTFA、全体的な収率で65%)によって、適切な送達系に対する結合に適した一級アミノ基を取り付けた目標の類似体37が得られた。シクロプロピル類似体38の合成を、アジリジニルメチルケトン80及び臭素92を用いて開始し、塩基性条件(KCO、収率92%)でのカップリングが、中間体のメチルケトン93を完成させた。次いで、ホスホネート41(n−BuLi、収率65%)を用いた後者のオレフィン化によって、排他的に前駆体94[(E):(Z)>98:2]が得られ、HFpyを用いて脱シリル化することによって、目標の類似体38を収率92%で得た。臭化ホモプロパルギル95をアルキル化剤(KCO、収率90%)として使用し、同じ前駆体(すなわち、アジリジニルメチルケトン80)からの同様の経路によって、メチルケトン中間体96を得た。後者は、同じホスホネート(すなわち、41) を用いて同様の条件でオレフィン化すると、得られたTMS保護されたアセチレン前駆体97(収率63%)から、所望な類似体39が、スキーム13に示されるように、全体的な脱保護によって生成した(HFpy、次いで、TBAF/AcOH、全体で収率68%)。
I.安定なβ−ヒドロキシホスホネート付加物の観察及び単離
これらの一連の観察でみられたHWE反応の特徴は、特定の基質を含む安定なβ−ヒドロキシホスホネート付加物の生成であった(スキーム14及び15)(Petrovaet al.、1990、Ameret al.、1991、Angelovaet al.、1992、Petrovaet al.、1992、Vassilevet al.、1993、Vassilev et al.、1994、Mizunoet al.、1998、Modroet al.、1998、Takakiet al.、2000、Tsugeet al.、1988及びHarusawaet al.、2002)。したがって、スキーム14に示されるように、 ホスホネート52及びn−BuLiから生成したカルバニオンを用いたメチルケトン基質82及び87の処理によって、それぞれβ−ヒドロキシホスホネート付加物98及び99が得られた。これらの付加物は、薄層クロマトグラフィー及び高解像度質量分析法(HRMS)によって観察されたが、精製はされなかった。むしろ、未精製物質をその後、t−BuOKで処理し、保護された類似体100(82から全体で73%と、10%の回収した82)及び101(87から全体で53%と、28%の回収した87)をそれぞれ得て、排他的な(E)幾何形状[(E):(Z)>98:2]を有していた。(化合物52の対応する2−フルオロエトキシホスホネートは、HWE反応において十分に機能せず、出発物質のみが回収された。このことは、ケトンとβ−ヘテロ芳香族ホスホネートとの間のHWE反応における2−フルオロエトキシホスホネートの成功が、ヘテロ環部分の電気的性質に大きく依存することを示唆している。この結果は、フェニルメチルホスホン酸のジエチルエステルとベンズアルデヒドとによって、trans−スチルベンのみが得られることを報告したSeyden−Penne及びBottin−Strzalkoの研究を連想させる(Deschampset al.、1972及びBottin−Strzalko及びSeyden−Penne 1984)。しかし、さらなる実験は、以下に記載するように、β−ヘテロ芳香族ホスホネート及びメチルケトンから誘導されるβ−ヒドロキシホスホネートの塩基誘発性脱離が、常に高い(E)選択性を与えるわけではないことを示した。
したがって、スキーム15に示されるように、NaHMDSを用いたホスホネート50の処理、次いで、得られたカルバニオンをメチルケトン82を有する付加物102の溶液にジアステレオ異性体の混合物(約3:7)として移し、クロマトグラフィーにより安定であることがわかり、その単離が純粋な形態で、収率37%で可能である(しかし、未だ分離不可能なジアステレオマー混合物として存在)。その後、t−BuOKを用いたこの混合物102)の処理によって、保護されたアジリジニルエポチロンB類似体103(収率75%)を、幾何異性体の分離不可能な混合物として得た。[(E)−103:(Z)−103約3:7、スキーム15]。102及び103の保存されたジアステレオマー比(約3:7)は、β−ケトホスホネートの従来の機構的研究と一致している(Horneret al.、1958、Horneret al.、1959、Wadsworthet al.、1961、Wadsworthet al.、1965、Denmark及びDorow1990、Zargeset al.、1991、Narasakaet al.、1993、Brandtet al.、1998、及びAndo1999)(すなわち、102について3:7ジアステレオマー比は、3:7syn/anti付加物分布に対応する、スキーム16を参照)。Petrova及び共同研究者らによる研究は、この比率が保存される現象を、2種類のβ−ヒドロキシホスホネート付加物の相対配置の「化学的証拠」と定義している(Petrovaet al.、1990)。この観察は、この特定の基質ではsynβ−ヒドロキシホスホネートに向かう平衡は起こらないことを示唆しており(スキーム16を参照)、この結果は、β−フラニルホスホネートとメチルケトンとの反応によって、対応するβ−ヒドロキシホスホネート付加物のジアステレオマー比率に適合する幾何学的比率を有するオレフィンが得られることを報告したTsuge及び共同研究者らからの以前の研究(Tsugeet al.、1988)を正確に映し出す結果である。興味深いことに、付加物102の主要なジアステレオ異性体は、おそらくanti異性体であり、ベンジルホスホネートとアルデヒド又はケトンの反応が、顕著なsyn選択性を示すことを観察したPetrovaからの以前の報告(Petrovaet al.、1990及びPetrovaet al.、1992)とは対照的な結果である。
スキーム14.HWE付加物98及び99の観察と、保護されたアジリジニルエポチロンB類似体100及び101を与える塩基を用いた処理
Figure 2020516626
試薬及び条件:(a)52(11当量)、n−BuLi(10.0当量)、次いで、82(1.0当量)、−78℃、1.5時間、次いで、t−BuOK(5.0当量)、THF、−20℃、5分、全体で73%と、10%の回収した82;(b)52(15当量)、n―BuLi(14当量)、次いで、87(1.0当量)、THF、−78℃、40分、次いで、t―BuOK(5.0当量)、THF、−20℃、5分、全体で53%と、28%の回収した87。
スキーム15.HWE付加物102の検出及び単離、及び保護されたアジリジニルエポチロンB類似体103を与えるための塩基を用いた処理
Figure 2020516626
試薬及び条件:(a)50(11当量)、NaHMDS(4.9当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78℃、1時間、37%;(b)t−BuOK(5.0当量)、THF、−20℃、5分、75%。
スキーム16.オレフィン幾何形状形成のための従来のHorner−Wadsworth−Emmons機構(Kuertiet al.、2005)。幾何学的選択性は、(1)初期のカルボニル付加工程の立体化学、(2)中間体が平衡状態になる能力といった機能である。syn及びantiのβ−ヒドロキシホスホネート付加物の平衡状態は、transオキサホスフェタンの方に進み、最終的には、望ましい熱力学的生成物である[(E)オレフィン]が得られる。EWG=電子吸引基。
Figure 2020516626
J.メチルケトン82及び87を用いたβ−ヘテロ芳香族ホスホネートのHWE反応に対するエトキシ基置換の効果
上述のように、標準的なエトキシホスホネートの大部分(すなわち、41〜49、51〜57)は、収率及び幾何学的選択性という観点で、対応するメチルケトンエポチロン前駆体との反応中に十分に機能した。望ましいN−メチル−5−メチルチオピラゾール類似体23を合成するために使用される標準的なエトキシホスホネート50の選択性がなく、収率向上の余裕がないこと(スキーム15を参照)から、このβ−ヘテロ芳香族ホスホネートについて、さらに立体選択的なHWE反応の研究における観察を促した。後者の困難な状況は、電子リッチなメチルチオピラゾール部分の電子供与性と、ホスホネート基の電子吸引能力との間の望ましくない不均衡に起因するものであると思われた。この仮説を確認するために、ホスホネート50に、異なる溶媒中、一連の塩基を作用させ、その相対的な脱プロトン化を、得られたアニオンのDOクエンチと、その後のH NMR分光分析によって評価した。これらの結果を表1に列挙する。0〜25℃でのNaHMDSの使用は、上述のいくつかのホスホネートの脱プロトン化に適したものであったが、周囲温度でさえ、非効率であった(0.5時間後に25%Dの組み込み)(表1、エントリー1)。さらに驚くべきことに、種々の溶媒中、HMPA非存在下又は存在下(表1のエントリー2〜4を参照)、−78℃で、t−BuLi又はn−BuLiを用いてホスホネート50を処理すると、本願発明者らの実験における低い重水素取り込み(25〜45%)からわかるように、部分的な脱プロトン化のみが起こった。対照的に、ホスホネート50を、THF中、−78℃でSchlosser塩基(n−BuLi/t−BuOK)(Schlosser 1988)、又はDMF中のKHに25℃でさらすと、重水素の取り込みはそれぞれ80%及び85%であり、このことは、高度な脱プロトン化を示す(表1、それぞれエントリー5及び6)。しかし、これらの条件は、メチルケトン基質(すなわち、82)には厳し過ぎることがわかり、基質の分解に起因して、予想される生成物の生成が起きなかった。
(表1)ホスホネート50の重水素標識試験
Figure 2020516626
反応は、0.8当量の塩基を用いて行われた。反応は、過剰量の塩基を用いて行われた。未精製反応混合物のH NMR分光分析によって決定されるような、おおよそのD組み込み
(表2)保護されたアジリジニルエポチロンB類似体103の合成に対するエトキシ基置換の影響
Figure 2020516626
Oを用いた所定時間の後、ホスホネート/塩基混合物をクエンチした後の未精製サンプルのH NMR分光分析によって決定されるようなおおよそのD組み込み詳細については、裏付ける情報を参照。反応は、0.8当量の塩基を用いて行われた。同定されていない混合物β−ヒドロキシホスホネート付加物の生成(102、スキーム11を参照)ホスホネートの分解が観察された
これらの失敗(表1及び表2、エントリー1及び2を参照)によって、反応性を高めるためにそのpKを小さくすることによってホスホネート(すなわち、50)を活性化するための代替的な手法が促された。ホスホネート部分のアルキル基の上の電子吸引残基がこの目的を達成することの理由を調べるため、本願発明者らは、表2に示されるように、多くのフッ素化誘導体及び塩素化誘導体を調べた。標準的なホスホネート50を用いた試みが失敗した後、2,2,2−トリフルオロエトキシホスホネート58(Still−Gennari方法(Still−Gennari 1983)から適応)を使用し、これをn−BuLi存在下でメチルケトン82と反応させ、所望な生成物(すなわち、103)を収率70%で得たが、この新しく作られた三置換オレフィン結合では1:1の幾何学的比率の分離不可能なオレフィン異性体として得た(表2、エントリー3)。有機合成に対するこの影響にもかかわらず、β−ヘテロ芳香族ホスホネートを用いた従来のStill−Gennari立体選択的オレフィン化反応は、本願発明者らの知っている限り、報告されていない。さらに、元々のStill−Gennariプロトコルからはずれた内容でのジエトキシホスホネート上の種々のハロゲン置換の効果の系統的な研究は、本願発明者らの知っている限り、行われていない。このように、フッ素化ホスホネート58及びメチルケトン82を用いた観察(表2、エントリー3)は、メチルケトン基質82及び87の立体選択的オレフィン化の研究において、フッ素置換基及び塩素置換基を含むさらなるホスホネートの反応性の観察を促した。
3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ−及び2,2,2−トリクロロエトキシホスホネート59及び60を調製したが、表2(エントリー4〜6)に示すように、基質82との意図したカップリングにおいて十分に機能を発揮しなかった。2,2−ジフルオロホスホネート61をNaHMDSと組み合わせると、−78℃でメチルケトン82と円滑に反応し、所望なオレフィン生成物(すなわち、103)が、幾何異性体の混合物としてではあるが、収率52%で得られ[(E):(Z)約1:1、表2、エントリー7]、2,2,2−トリフルオロエトキシホスホネート58を用いた結果も共に示している(表2、エントリー3)。最後に、2−フルオロエトキシホスホネート62を使用した(表2、エントリー8)。このNaHMDS及び基質82を用いた企画された反応は、その分解を引き起こしたが(表2、エントリー8)、得られたこのホスホネートは、さらに実験を行うと、以下に記載したように、アジリジニルエポチロンB103にとって望ましい幾何学的選択性の解決策を与えた。
スキーム17(パネルA)は、メチルケトン87及びホスホネート62[スキーム17にまとめられているように、ホスホネート50から、TMSCl、(COCl)、2−フルオロプロパノールを用いた段階的な処理によって全体的な収率78%で合成された]から作られる中間体β−ヒドロキシホスホネート(すなわち、104、ジアステレオ異性体の分離不可能な混合物、ジアステレオ比が約3:7)の単離及び同定を行った実験を示す。したがって、−78℃で10分間の62とn−BuLiとの反応、次いで、得られたカルバニオンをメチルケトン87溶液に添加、次いで、反応混合物を1時間後に−78℃でクエンチすると、付加物104が収率28%(加えて、42%の回収した87)がジアステレオ異性体の分離不可能な混合物として得られ(ジアステレオマー比が約 3:7)、これはクロマトグラフィーによって安定であることがわかった。この付加物(104)をt−BuOKにさらすと、所望な保護されたエポチロン類似体105が収率63%で得られ、排他的な(E)オレフィン幾何学[(E):(Z)>98:2]を有していた。これらの条件をさらに洗練させると、スキーム17(パネルB)にまとめられているように、メチルケトン87及びホスホネート62の反応から、オレフィン生成物(105)の現実的な1工程での生成が起こった。したがって、ホスホネート62及びn−BuLiから−78℃〜0℃で生成するカルバニオンを用いたメチルケトン87の処理によって、全体的な脱保護(TFA)の後、非常に立体選択的な様式で[(E):(Z)約92:8]、アジリジニルエポチロンB類似体40(全体収率52%)を得た。同様に、スキーム17(パネルB)に示されているように、メチルケトン82を(ー78〜−40℃)で、n−BuLi(−78℃)存在下で生成したホスホネート62のアニオンと反応させ、前駆体(E)−103(収率62%)が得られ、HFpyを用いて全体的な脱シリル化を行うと、標的のアジリジニルエポチロンB類似体(E)−23が収率82%で得られた。これらの場合に、スキーム17(パネルA;−78℃でクエンチした87と62のHWE反応)の結果とは対照的に、メチルケトン87又は82とホスホネート62とのHWEカップリングを0℃又は−40℃まで加温し(スキーム12、パネルB)、対応するin situで生成するβ−ヒドロキシホスホネート(例えば、104)を得て、これを脱離させ、直接的に保護されたアジリジニルエポチロンB類似体105及び(E)−103をそれぞれ得た。
スキーム17.ホスホネート50からのホスホネート62の合成、及び塩基を用いたHWE付加物104の検出、単離及び処理によって、保護されたアジリジニルエポチロンB類似体105と、類似体23及び40の立体選択的な合成を与えた
Figure 2020516626
試薬及び条件:パネルA:(a)TMSCl(5.1当量)、80℃、72時間、次いで、(COCl)(2.5当量)、CHCl、0→25℃、4時間、次いで、2−フルオロプロパノール(4.0当量)、EtN(6.0当量)、DMAP(0.02当量)、CHCl、0→25℃、12時間、全体で78%;(b)62(22当量)、n−BuLi(18当量)、10分、次いで、87(1.0当量)、THF、−78℃、1時間、28%と、42%の回収した87;(c)t−BuOK(5.0当量)、THF、−20℃、5分、70%。パネルB:(d)62(22当量)、n−BuLi(18当量)、次いで、87(1.0当量)、THF、−78→0℃、4時間、63%;(e)TFA(xs)、CHCl、0→25℃、2時間、82%;(f)62(16当量)、n−BuLi(13当量)、次いで、82(1.0当量)、THF、−78→−40℃、1時間、62%;(g)HFpy(xs)、THF、0→25℃、5時間、82%。TMS=トリメチルシリル
スキーム18.保護されたアジリジニルエポチロンB類似体103の(Z)選択的な合成について提案された原理
Figure 2020516626
まとめると、スキーム17に示される結果は、この反応の熱力学的制御を示し、温度が高いほど、反応中間体及び/又は他の熱力学的因子(例えば、pKaの効果)の平衡が望ましくなり(例えば、リンを含む炭素中心でのエピマー化)、高い立体選択性を有する(E)オレフィン結合が生成する[(E):(Z)>98:2]。これらの結果に基づき、メチルケトン基質82及び87とホスホネート50との反応[(E):(Z)約3:7]及び62との反応[(E):(Z)>98:2]異なる立体化学の結果の機構的な原理が提案されている(それぞれスキーム18及び19)。したがって、スキーム18に示されるように、基質82は、エトキシホスホネート50(NaHMDS)から生成するカルバニオンと反応し、syn及びantiβ−ヒドロキシホスホネートの混合物(syn−102及びanti−102、ジアステレオマー比は約3:7)を得た。Newmanの予測からわかるだろうが、これらのジアステレオマーは、t−BuOKの影響下、対応するオキサホスフェタン中間体A及びBをそれぞれ生成するように平衡状態にあり、trans及びcis脱離によってそれぞれ、(E)−オレフィン生成物及び(Z)−オレフィン生成物へと崩壊し(スキーム18を参照)、初期のジアステレオ選択性が保持されている[(E):(Z)約3:7]。これは、反応条件でのC17エピマー化に対するジアステレオ異性体syn−102及びanti−102の安定性及び/又はこれらの付加物が出発物質(すなわち82及び50)に戻らないようにする耐性であり、対応する(E)及び(Z)オレフィンへの立体特異的な変換を説明する。これらの事象の片方又は両方が起こり[例えば、スキーム18、anti−102はsyn−102と平衡状態にあり(それぞれ82及び50に戻ることによって)、又は17−epi−anti−102(エピマー化によって)及びこれらのオレフィン(E)−103への変換]、これらのβ−ヒドロキシホスホネート付加物の変換は妨害されている。
スキーム19.保護されたアジリジニルエポチロンB類似体(E)−105の立体選択的な合成について提案された原理
Figure 2020516626
エトキシホスホネート50と同様に、スキーム19に示されるように、ビス(2−フルオロエトキシ)ホスホネート62もメチルケトン87と反応し、この場合にはn−BuLiの影響下、最初に、β−ヒドロキシホスホネートsyn−104及びanti−104を同様の比率で得た(ジアステレオマー比が約3:7、単離され、構造が暫定的に割り当てられた)。この付加物の混合物の排他的な変換を説明するために、(E)−オレフィン(E)−105に対してt−BuOKでさらに処理した後、anti−ジアステレオ異性体(anti−104)から17−epi−anti−104へのエピマー化(Newmanの予測)が起こることが想定され、オキサホスフェタンFを介する(E)−オレフィン(E)−105への様式を見出し、後者は、trans脱離を受けている。なお、オキサホスフェタン中間体D及びF(スキーム19)は、エナンチオマーの遷移状態を表し、そのため、trans脱離すると、同じ望ましい(E)オレフィン生成物を与える。
anti−104及び17−epi−anti−104の容易な平衡状態は、ホスホネート62上のフッ素残基の電子吸引効果の結果であり、17Hがエトキシホスホネート50中の対応物よりも酸性になり、同様の条件下で明らかにエピマー化を受けない(スキーム18を参照)。しかし、除外することができない可能性は、これらの電子吸引基によって、系内で系の可逆化が起こる(すなわち、逆HWE)、それによって、熱力学的に望ましい(E)オレフィンの生成が促される(スキーム16を参照)。
この研究によって、オレフィンヘテロ環化合物[例えば、(E)−103及び(E)−105]の合成において、β−ヘテロ芳香族2−フルオロエトキシホスホネート62のHWE反応の固有の用途が得られた。他のβ−ヘテロ環及びβ−ケトホスホネートを含む、これらの種類のホスホネートのさらなる適用は、合成有機化学及び医薬品化学における用途を見出すと予想される。この観察全体でヘテロ環部分という観点で例外的に広い基質範囲が観察されたが、ホスホネート63〜68は、所望なオレフィン化生成物を得る方向には向かいにくいことを注記しておくべきである。特定的には、メチルケトン82とチアジアゾリルホスホネート63及びオキサジアゾリルホスホネート64との反応によって、副生成物の同定不可能な混合物が生成し、一方、イミダゾリルホスホネート65及びN−アリールピラゾリルホスホネート66〜68によって、回収された出発物質のみが得られた。
実施例2−一般的な方法及び材料
特に示されていない限り、全ての反応は、アルゴン雰囲気下、乾燥溶媒を用い、無水条件下で行われた。乾燥アセトニトリル(MeCN)、ジエチルエーテル(EtO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、塩化メチレン(CHCl)、テトラヒドロフラン(THF)、トリエチルアミン(EtN)及びトルエンは、市販のあらかじめ乾燥させた酸素を含まない製剤を、活性化されたアルミナカラムを通すことによって得られた。収率は、特に示されない限り、クロマトグラフィー及び分光法(H NMR)による均質な物質を指す。試薬は、特に示されていない限り、最も高い商業的品質で購入され、さらに生成することなく使用された。反応は、S−2 0.25mm E.Merckシリカゲルプレート(60F−254)で、視覚化剤としてUV光を使用し、p−アニスアルデヒドの酸性水溶液、硫酸セリウムの水溶液、又は過マンガン酸カリウムの塩基性水溶液を用い、現像剤として熱を用いて行われた薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニタリングされた。E.Merckシリカゲル(60、粒径0.040〜0.063mm)をフラッシュカラムクロマトグラフィーに使用した。NMRスペクトルは、Bruker DRX−600装置で記録され、残留する未重水素化溶媒(CDCl:δ=5.32ppm、δ=53.84ppm;CDCl:δ=7.26ppm、δ=77.16ppm;C:δ=7.16ppm、δ=128.06ppm)を内部標準として用いて較正した。多重性を示すために、以下の省略語を使用した。s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、qd=二重線の四重線、dd=二重線の二重線、ddd=二重線の二重線の二重線、dddd=二重線の二重線の二重線の二重線、dt=三重線の二重線、dq=四重線の二重線、ddq=四重線の二重線の二重線、br=広い。赤外(IR)スペクトルを、Perkin−Elmer 100 FT−IR分光計で記録した。高解像度質量スペクトル(HRMS)は、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)又はESI(エレクトロスプレーイオン化)を用い、Agilent ESI−TOF(飛行時間)質量分光計で記録した。旋光は、POLARTRONIC M100偏光計で、589nmで記録し、10−1(°cm−1)の単位で報告している。
実施例3−化合物の特性決定
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[(1E)−1−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(8):
Figure 2020516626
エポチロンC(3;50mg、0.11mmol、1.0当量)の2,2,2−トリフルオロエタノール(1.1mL)溶液を25℃で撹拌し、これにO−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン(23mg、0.12mmol、1.1当量)を加え、その後、ビス[ロジウム(α,α,α’,α’,−テトラメチル−1,3−ベンゼンジプロピオン酸)](4.0mg、5.3μmol、0.05当量)を加えた。4時間後、反応混合物を酢酸エチル(5mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(3mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、4→11% メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、純粋なエポチロン8を白色アモルファス固体として得た(38mg、77μmol、収率70%)。8:R=0.22(シリカゲル,7%メタノールのジクロロメタン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12−テトラメチル−3−[(1E)−1−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(9):
Figure 2020516626
エポチロン8(12mg、24μmol、1.0当量)のジメチルホルムアミド(0.2mL)溶液を25℃で撹拌し、これに2−ブロモエタノール42(8.5μL、0.12mmol、5.0当量)を加え、次いで、炭酸カリウム(7.2mg、52μmol、6.0当量)を加えた。反応混合物を48時間で50℃まで加熱し、次いで、25℃まで冷却した。反応混合物を酢酸エチル(2.5mL)で希釈し、水(2.5mL)で洗浄した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(1mL×3回)。合わせた有機層を食塩水(2mL)で抽出し戻し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、12%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、純粋なエポチロン9を白色アモルファス固体として得た(12mg、23μmol、収率97%)。9:R=0.18(シリカゲル,7%メタノールのジクロロメタン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(10):
Figure 2020516626
エポチロンD(4;50mg、0.10mmol、1.0当量)の2,2,2−トリフルオロエタノール(1.1mL)溶液を25℃で撹拌し、これにO−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン(23mg、0.12mmol、1.1当量)を加え、その後、ビス[ロジウム(α,α,α’,α’,−テトラメチル−1,3−ベンゼンジプロピオン酸)](4mg、5.3μmol、0.05当量)を加えた。4時間後、反応混合物を酢酸エチル(5mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(3mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、4→11% メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、純粋なエポチロン10を白色アモルファス固体として得た(33mg、66μmol、収率66%)。10:R=0.24(シリカゲル,7%メタノールのジクロロメタン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(11):
Figure 2020516626
エポチロン10(15mg、30μmol、1.0当量)のジメチルホルムアミド(0.8mL)溶液を25℃で撹拌し、これに2−ブロモエタノール(11μL、0.15mmol、5.0当量)を加え、次いで、炭酸カリウム(22mg、0.16mmol、6.0当量)を加えた。反応混合物を48時間で50℃まで加熱し、次いで、25℃まで冷却した。反応混合物を酢酸エチル(2.5mL)で希釈し、水(2.5mL)で洗浄した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(1mL×3回)。合わせた有機層を食塩水(2mL)で抽出し戻し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、12%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、純粋なエポチロン11を白色アモルファス固体として得た(15mg、29μmol、収率95%)。11:R=0.19(シリカゲル,7%メタノールのジクロロメタン溶液);
Figure 2020516626
(4S,7R,8S,9S,13E,16S)−4,8−ジヒドロキシ−13−(ヨードメチル)−16−[(1E)−1−ヨードプロパ−1−エン−2−イル]−5,5,7,9−テトラメチルオキサシクロヘキサデカ−13−エン−2,6−ジオン (70):
Figure 2020516626
アリルアルコール69(9.6mg、18μmol、1.0当量)のジクロロメタン(0.5mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(13μL、90μmol、5.0当量)を加え、次いで、p−トルエンスルホン酸無水物(18mg、54μmol、3.0当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(2.2mg、18μmol、1.0当量)を加えた。20分後、反応混合物を乾燥アセトン(3mL)で希釈し、約1.5mLの溶媒が残るまで、減圧下で濃縮した。次いで、0℃で撹拌しつつ、この反応混合物に、ヨウ化n−テトラブチルアンモニウム(33mg、90μmol、5.0当量)を加えた。20分後、反応混合物を水(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。混合物を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なビス−ヨージド−(10mg、15μmol、収率88%)を無色油状物として得た。70:R=0.24(シリカゲル,25%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(4S,7R,8S,9S,13Z,16S)−4,8−ジヒドロキシ−16−[(1E)−1−ヨードプロパ−1−エン−2−イル]−5,5,7,9,13−ペンタメチルオキサシクロヘキサデカ−13−エン−2,6−ジオン(71):
Figure 2020516626
ビス−ヨージド70(10.0mg、15.5μmol、1.0当量)の1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(0.5mL)の溶液を25℃で撹拌し、これにシアノ水素化ホウ素ナトリウム(12.4mg、0.186mmol、12当量)を加えた。40分後、反応混合物を水(5mL)でクエンチし、酢酸エチル(50mL)で希釈し、食塩水で洗浄した(10mL×3回)。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なヨウ化ビニル71(6.5mg、12μmol、収率80%)を無色油状物として得た。71:R=0.36(シリカゲル,30%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(4S,7R,8S,9S,13Z,16S)−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−{(1E)−1−[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}オキサシクロヘキサデカ−13−エン−2,6−ジオン(73):
Figure 2020516626
トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(37.8mg、41.3μmol、0.5当量)、ヨウ化銅(31.4mg、165μmol、2.0当量)及びトリフェニルアルシン(25.3mg、82.6μmol、1.0当量)のジメチルホルムアミド(0.5mL)懸濁物を0℃で撹拌し、これにヨウ化ビニル71(43.0mg、82.6μmol、1.0当量)及びピラゾリルスタンナン74(88.0mg、211μmol、2.5当量)のジメチルホルムアミド(0.2mL)溶液をカニューレを介して加え、元のフラスコをジメチルホルムアミドで十分に洗浄した(0.2mL×3回)。1時間後、反応混合物を酢酸エチル(5mL)で希釈し、短いCelite(登録商標)パッドを通して濾過し、酢酸エチル(15mL)を用いて十分に洗浄した。次いで、濾液を水(5mL)及び食塩水(5mL)で洗浄し、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(5mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→50%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なエポチロン73(29.0mg、55.7μmol、収率67%)を白色泡状物として得た。73:R=0.38(シリカゲル,50%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−アセチル−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(75):
Figure 2020516626
エポチロンB(2、122mg、24.0μmol、1.0当量)のジクロロメタン(5mL)溶液を−78℃で撹拌し、これに、新しく発生させたオゾンをバブリングさせた。反応混合物の色が淡い青色に変わった後(約5分間)、ジメチルスルフィド(0.180mL、2.45mmol、10.0当量)でクエンチし、25℃まで加温した。1時間後、減圧下で溶媒を除去し、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、40→70%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なメチルケトン75(93.0mg、22.5μmol、収率94%)をアモルファス固体として得た。75:R=0.26(シリカゲル,40%ヘキサンの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(4S,7R,8S,9S,13Z,16S)−16−アセチル−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチルオキサシクロヘキサデカ−13−エン−2,6−ジオン(77):
Figure 2020516626
六塩化タングステン(0.163g、0.413mmol、2.0当量)のテトラヒドロフラン(2mL)の懸濁物を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、0.52mL、0.83mmol、4.0当量)を滴下した。10分後、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温し、さらに30分間撹拌した。次いで、反応混合物を−20℃まで冷却し、メチルケトン75(85.4mg、0.207mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を滴下し、反応混合物をゆっくりと0℃まで加温した。2時間後、反応混合物を、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→50%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なオレフィン系メチルケトン77(57.0mg、0.144mmol、収率70%)を無色油状物として、その(E)異性体として得た(12.3mg、31.0μmol、収率15%)。77:R=0.28(シリカゲル,40%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−アセチル−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(79):
Figure 2020516626
オレフィン系メチルケトン77(47.0mg、0.119mmol、1.0当量)の2,2,2−トリフルオロエタノール(0.5mL)溶液を25℃で撹拌し、これにO−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン(35.5mg、0.180mmol、1.5当量)を加え、次いで、ビス[ロジウム(α,α,α’,α’,−テトラメチル−1,3−ベンゼンジプロピオン酸)](1.8mg、2.4μmol、0.02当量)を加えた。30分後、反応混合物をジクロロメタン(30mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL×3回)及び食塩水(10mL)で洗浄した。2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→30%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なアジリジン79(42.5mg、0.103mmol、収率87%)を白色アモルファス固体として得た。79:R=0.22(シリカゲル,20%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−アセチル−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(81):
Figure 2020516626
アジリジン79(68.8mg、167μmol、1.0当量)のジメチルホルムアミド(0.5mL)の溶液を25℃で撹拌し、これに2−ブロモエタノール(104mg、0.835mmol、5.0当量)を加え、次いで、炭酸カリウム(92.5mg、0.669mmol、4.0当量)を加え、反応混合物を70℃まで加熱した。12時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、水(3.5mL)でクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出し(2mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→10%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、純粋なN−ヒドロキシエチルアジリジン81(22.0mg、48.3μmol、収率29%)を白色アモルファス固体として得た。81:R=0.38(シリカゲル,10%メタノールのジクロロメタン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−アセチル−8,8,10,12,16−ペンタメチル−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(76):
Figure 2020516626
メチルケトン75(0.150g、0.364mmol、1.0当量)のジクロロメタン(5mL)溶液を−78℃で撹拌し、これに2,6−ルチジン(0.13mL、1.1mmol、3.0当量)を加え、次いで、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(0.20mL、0.87mmol、2.4当量)を加えた。15分後、反応混合物を水(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出し(8mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、515%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なビス−TESエーテル76(0.196g、0.306mmol、収率84%)を白色泡状物として得た。76:R=0.37(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(4S,7R,8S,9S,13Z,16S)−16−アセチル−5,5,7,9,13−ペンタメチル−4,8−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]オキサシクロヘキサデカ−13−エン−2,6−ジオン(78):
Figure 2020516626
六塩化タングステン(0.496g、1.25mmol、2.0当量)のテトラヒドロフラン(7mL)の懸濁物を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(1.6−ヘキサン溶液、1.56mL、2.50mmol、4.0当量)を滴下した。10分後、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温し、さらに30分間撹拌した。次いで、反応混合物を−20℃まで冷却し、ビス−TESエーテル76(0.401g、0.626mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液を滴下し、反応混合物をゆっくりと0℃まで加温した。2時間後、反応混合物を、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2.5→30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なオレフィン系メチルケトン78(0.335g、0.536mmol、収率86%)を無色油状物として得た。78:R=0.21(シリカゲル,10%ジエチルエーテルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−アセチル−8,8,10,12,16−ペンタメチル−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(80):
Figure 2020516626
オレフィン系メチルケトン78(0.320g、0.512mmol、1.0当量)の2,2,2−トリフルオロエタノール(3mL)溶液を25℃で撹拌し、これにO−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン(153mg、0.768mmol、1.5当量)を加え、次いで、ビス[ロジウム(α,α,α’,α’,−テトラメチル−1,3−ベンゼンジプロピオン酸)](7.8mg、10.2μmol、0.02当量)を加えた。30分後、反応混合物をジクロロメタン(60mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15mL×3回)及び食塩水(20mL)で洗浄した。2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2.5→5%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、純粋なアジリジン80(0.296g、0.462mmol、収率90%)を淡黄色泡状物として得た。80:R=0.29(シリカゲル,5%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−アセチル−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(82):
Figure 2020516626
アジリジン80(105mg、0.164mmol、1.0当量)のジメチルホルムアミド(0.8mL)溶液を25℃で撹拌し、これに(2−ブロモエトキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(196mg、0.820mmol、5.0当量)を加え、次いで、炭酸カリウム(90.7mg、0.656mmol、4.0当量)を加え、反応混合物を70℃まで加熱した。12時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、水(3.5mL)でクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出し(2mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→40%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なN−アルキル化アジリジン82(0.118g、0.148mmol、収率90%)を淡黄色泡状物として得た。82:R=0.31(シリカゲル,30%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
スキームS1.ホスホネート41の合成
Figure 2020516626
4−ブロモ−2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール(S2):
Figure 2020516626
2,4−ジブロモチアゾールS1(1.97g、8.11mmol、1.0当量)のエタノール(10mL)溶液を0℃で撹拌し、これにナトリウムチオメトキシド(1.70g、24.3mmol、3.0当量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。6時間後、反応混合物を水(30mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した(50mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2→8%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なメチルチオチアゾールS2(Nicolaou、et al.、1998;Nicolaou、et al.、1999、及びNicolaou、et al.、2002)(1.50 g、7.14mmol、収率88%)を白色アモルファス固体として得た。S2:R=0.43(シリカゲル、10%エチルエーテルのヘキサン溶液);FT−IR(film)Vmax3006,2990,1275,1260,764,750cm−1H NMR(600NMR、CDCl)δ=7/07(s,1H),2.70(s,3H)ppm;13C NMR(151MHz,CDCl)δ=168.1,124.5,115.7,16.8ppm。
[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メタノール(S3):
Figure 2020516626
メチルチオチアゾールS2(1.48g、7.04mmol、1.0当量)のジエチルエーテル(20mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにtert−ブチルリチウム(1.4Mヘキサン溶液、6.0mL、8.4mmol、1.2当量)を滴下した。5分後、ジメチルホルムアミド(1.03mL、14.1mmol、2.0当量)を加え、撹拌をさらに20分間続けた。次いで、反応混合物をメタノール(20mL)でクエンチし、0℃まで加温し、水素化ホウ素ナトリウム(533mg、14.1mmol、2.0当量)を加えた。30分後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)でクエンチし、水(20mL)で希釈し、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(20mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20→50%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なヒドロキシメチルチアゾールS3(0.850g、5.27mmol、収率75%)を無色油状物として得た。S3:R=0.26(シリカゲル,50%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
4−(ブロモメチル)−2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール(S4):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルチアゾールS3(642mg、3.98mmol、1.0当量)のジクロロメタン(6mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(1.10g、4.18mmol、1.05当量)を加え、次いで、N−ブロモスクシンイミド(708mg、3.98mmol、1.0当量)を加えた。5分後、反応混合物を水(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1→5%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルチアゾールS4(0.696g、3.10mmol、収率78%)を無色油状物として得た。S4:R=0.27(シリカゲル,10%エチルエーテルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}ホスホネート(41):
Figure 2020516626
ブロモメチルチアゾールS4(1.02g、4.55mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(5.0mL、29mmol、6.4当量)溶液を撹拌し、これを160℃まで加熱した。2時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、70→100%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート41(1.18g、4.19mmol、収率92%)を無色油状物として得た。41:R=0.20(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(83):
Figure 2020516626
ホスホネート41(115mg、0.409mmol、15当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、0.20mL、0.33mmol、12当量)を滴下した。45分後、メチルケトン82(21.6mg、27.0μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を加え、反応混合物をゆっくりと0℃まで加温した。2時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→15%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン83(15.0mg、16μmol、収率60%)を無色油状物として得た。83:R=0.30(シリカゲル,15%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(12):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン83(30.0mg、32.4μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。1時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(5mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン12(15.0mg、25.7mmol、収率79%)を白色アモルファス固体として得た。12:R=0.41(シリカゲル,20%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS2.ホスホネート42の合成
Figure 2020516626
(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)メタノール(S5):ヒドロキシメチルチアゾールS5を、既に記載したように、市販の2,4−ジブロモチアゾールS1から調製した。物理的データ及びスペクトルデータは、報告されているものと一致している(Nicolaouet al.、1998)。
4−ブロモ−2−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−1,3−チアゾール(S6):シリルエーテルチアゾールS6を、既に記載したように、ヒドロキシメチルチアゾールS5から調製した。物理的データ及びスペクトルデータは、報告されているものと一致している(Simeonet al.、2007)。
[2−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−1,3−チアゾール−4−イル]メタノール(S7):S3の調製について上に記載した手順に従って、シリルエーテルチアゾールS6(2.42g、7.85mmol、1.0当量)から調製し、ヒドロキシメチルチアゾールS7(1.59g、6.13mmol、収率78%)を無色油状物として得た。物理的データ及びスペクトルデータは、報告されているものと一致している(Leeet al.、2001)。
4−(ブロモメチル)−2−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−1,3−チアゾール(S8):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルチアゾールS7(1.41g、5.43mmol、1.0当量)のアセトニトリル(45mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(2.42g、9.23mmol、1.7当量)を加え、次いで、2,6−ルチジン(0.25mL、2.2mmol、0.4当量)及び四臭化炭素(3.06g、9.23mmol、1.7当量)を加えた。2時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(20mL)で希釈した。2相を分離し、水層をジエチルエーテルで抽出した(15mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→10%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルチアゾールS8(1.60g、4.96mmol、収率91%)を無色油状物として得た。S8:R=0.31(シリカゲル,10%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[2−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}ホスホネート(S9):
Figure 2020516626
ブロモメチルチアゾールS8(0.20g、0.63mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(2.2mL、13mmol、20当量)溶液を撹拌し、これを160℃まで加熱した。3時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネートS9(190mg、0.51mmol、収率80%)を無色油状物として得た。S9:R=0.28(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
ジエチル{[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}ホスホネート(S10):
Figure 2020516626
ホスホネートS9(1.53g、4.03mmol、1.0当量)のジメチルホルムアミド(25mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリス(ジメチルアミノ)スルホニウムジフルオロトリメチルシリケート(5.55g、20.2mmol、5.0当量)のジメチルホルムアミド(14mL)溶液を加え、次いで、水(0.73mL、40mmol、10.0当量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。10時間後、この反応混合物に水(30mL)を加え、次いで、酢酸エチル(30mL)を加え、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(15mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、純粋なヒドロキシメチルホスホネートS10(687mg、2.56mmol、収率64%)を無色油状物として得た。S10:R=0.33(シリカゲル,5%メタノールのジクロロメタン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[2−(アジドメチル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}ホスホネート(S11):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルホスホネートS10(687mg、2.59mmol、1.0当量)のジクロロメタン(10.4mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(0.72mL、5.2mmol、2.0当量)を加え、次いで、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(32mg、0.26mmol、0.1当量)を加えた。反応混合物を−20℃まで冷却し、p−トルエンスルホン酸無水物(1.27g、3.89mmol、1.5当量)を添加した。30分後、反応混合物を水(5mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、未精製トシレートを撹拌しつつ、ジメチルホルムアミド(5mL)に再び溶解し、−20℃まで冷却した。ナトリウムアジド(505mg、7.77mmol、3.0当量)を加え、15分後、反応混合物を水(5mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(3mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、純粋なアジドメチルホスホネートS11(643mg、2.22mmol、収率86%)を無色油状物として得た。S11:R=0.44(シリカゲル,5%メタノールのジクロロメタン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル[(2−{[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]メチル}−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]ホスホネート(42):
Figure 2020516626
アジドメチルホスホネートS11(0.20g、0.69mmol、1.0当量)の酢酸エチル(4mL)溶液を25℃で撹拌し、これに5%炭素担持パラジウム(50mg、25%w/w)を加え、水素雰囲気(1atm)を導入した。12時間後、水素雰囲気を除去し、反応混合物をCelite(登録商標)パッドを通して濾過し、酢酸エチル(20mL)を用いて十分に洗浄し、減圧下で濃縮した。次いで、未精製アミンを撹拌しつつ、25℃でテトラヒドロフラン(5mL)に再び溶解し、トリエチルアミン(0.26mL、1.8mmol、2.6当量)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(9.0mg、7.0μmol、0.1当量)及びジ−tert−ブチルジカーボネート(332mg、1.52mmol、2.2当量)を続けて加えた。反応混合物を2.5時間で60℃まで加熱し、25℃まで冷却し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(2mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート42(293mg、0.63mmol、収率91%)を無色油状物として得た。42:R=0.27(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
ジ−tert−ブチル({4−[(1E)−2−{(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−5,9−ジオキソ−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカ−3−イル}プロパ−1−エン−1−イル]−1,3−チアゾール−2−イル}メチル)イミドジカルボネート(84):
Figure 2020516626
ホスホネート42(97.0mg、0.209mmol、8.3当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、0.17mL、0.17mmol、6.8当量)を滴下した。35分後、メチルケトン82(20mg、25μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.4mL)溶液を加え、反応混合物をさらに2時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン84(18.8mg、17μmol、収率68%)を無色油状物として得た。84:R=0.24(シリカゲル,15%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−{(1E)−1−[2−(アミノメチル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(13):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン84(32mg、29μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.20mL、7.7mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。5時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(5mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。未精製物質を撹拌しつつ、ジクロロメタン(2.0mL)に再び溶解し、0℃まで冷却した。トリフルオロ酢酸(0.50mL、6.5mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。2.5時間後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣を撹拌しつつ、25℃で酢酸エチル(15mL)に再び溶解した。次いで、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)を加えた。10分後、2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→20%メタノールのアセトン溶液)によって精製し、純粋なエポチロン13(10.6mg、14.0μmol、全体で収率48%)を白色アモルファス固体として得た。13:R=0.18(シリカゲル,10%メタノールのアセトン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(85):
Figure 2020516626
ホスホネート41(190mg、0.675mmol、9.6当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.22mL、0.55mmol、7.7当量)を滴下した。30分後、メチルケトン80(45mg、70μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。1時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、30→100%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン85(32mg、42μmol、収率59%)を無色油状物として得た。85:R=0.34(シリカゲル,30%ヘキサンの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(14):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン85(13.0mg、17.0μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。1時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→15%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン14(8.5mg、16μmol、収率93%)を白色アモルファス固体として得た。14:R=0.29(シリカゲル,15%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
tert−ブチル(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−アセチル−8,8,10,12,16−ペンタメチル−5,9−ジオキソ−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−17−カルボキシレート(86):
Figure 2020516626
メチルケトン80(28mg、39μmol、1.0当量)のMeCN(1.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(16mg、0.12mmol、3.0当量)を加え、次いで、ジ−tert−ブチルジカーボネート(26mg、0.12mmol、3.0当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(1.0mg、8.2μmol、0.2当量)を加えた。5分後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→15%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なカルバメート86(23mg、31μmol、収率78%)を無色油状物として得た。86:R=0.36(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−アセチル−17−(4−メトキシベンジル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(86a):
Figure 2020516626
メチルケトン80(71.8mg、0.112mmol、1.0当量)のDMF(0.5mL)溶液を0℃で撹拌し、これにp−メトキシベンジルブロミド(27.1mg、0.135mmol、1.2当量)を加え、次いで、炭酸カリウム(18.7mg、0.135mmol、1.2当量)を加えた。3時間後、反応混合物を水(5mL)でクエンチし、25℃まで加温し、酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→40%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、p−メトキシベンジルアジリジン86a(61.7mg、81.1μmol、収率78%)を無色油状物として得た。86a:R=0.29(シリカゲル,30%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−アセチル−8,8,10,12,16−ペンタメチル−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−17−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(87):
Figure 2020516626
メチルケトン80(65.0mg、0.102mmol、1.0当量)のCHCl(0.5mL)溶液を0℃で撹拌し、これにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(26.3mg、0.203mmol、2.0当量)を加え、次いで、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(25.5mg、0.153mmol、1.5当量)を加えた。2時間後、反応混合物を水(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×2回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なアジリジン87(46.0mg、59.7μmol、収率59%)を無色油状物として得た。87:R=0.23(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−17−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(89):
Figure 2020516626
ホスホネート41(0.120g、0.427mmol、23当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.14mL、0.34mmol、19当量)を滴下した。30分後、反応混合物を、メチルケトン87(14.0mg、18.2μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌したものに移し、反応混合物を2.5時間でゆっくりと10℃まで加温した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(5mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。The 得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→15%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン89(9.8mg、11μmol、収率60%)を無色油状物として得た。89:R=0.23(シリカゲル,15%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(14):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン89(6.0mg、6.7μmol、1.0当量)のジクロロメタン(1.2mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリフルオロ酢酸(0.3mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。1.5時間後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、25%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン14(2.7mg、5.0μmol、収率75%)を白色アモルファス固体として得た(14の特性決定については、上を参照)。
スキームS3.ホスホネート43の合成
Figure 2020516626
エチル 2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(S13):
Figure 2020516626
アミノチアゾールエステルS12(0.500g、2.90mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(9.7mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(0.53mL、3.8mmol、1.3当量)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(35mg、0.29mmol、0.1当量)及びジ−tert−ブチル−ジカーボネート(696mg、3.19mmol、1.1当量)を続けて加え、反応混合物を60℃まで加熱した。1時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(15mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なチアゾリルカルバメートS13(569mg、2.10mmol、収率72%)を白色固体として得た。S13:R=0.24(シリカゲル,25%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
tert−ブチル[4−(ヒドロキシメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]カルバメート(S14):
Figure 2020516626
チアゾールカルボキシレートS13(1.14g、4.19mmol、1.0当量)のジエチルエーテル(14mL)溶液を25℃で撹拌し、これに水素化ホウ素リチウム(2.0Mテトラヒドロフラン溶液、10.5mL、21.0mmol、5.0当量)を加えた。1時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)で注意深くクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(8mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(30%ヘキサンの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なヒドロキシメチルチアゾールS14(907mg、3.94mmol、収率94%)を無色油状物として得た。S14:R=0.57(シリカゲル,30%ヘキサンの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
tert−ブチル[4−(ブロモメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]カルバメート(S15):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルチアゾールS14(115mg、0.500mmol、1.0当量)のジクロロメタン(5mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(135mg、0.510mmol、1.05当量)を加え、次いで、N−ブロモスクシンイミド(89mg、0.50mmol、1.0当量)を加えた。15分後、反応混合物を水(2.5mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。The 得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルチアゾールS15(104mg、0.350mmol、収率71%)を無色油状物として得た。S15:R=0.31(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル({2−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)ホスホネート(43):
Figure 2020516626
ブロモメチルチアゾールS15(210mg、0.71mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(2.4mL、14mmol、20当量)の溶液を撹拌し、これを160℃まで加熱した。3時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。未精製物質を撹拌しつつ、25℃でテトラヒドロフラン(2.4mL)に再び溶解し、トリエチルアミン(0.26mL、1.9mmol、2.6当量)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(9.0mg、70μmol、0.1当量)及びジ−tert−ブチル−ジカーボネート(340mg、1.6mmol、2.2当量)を続けて加えた。反応混合物を3.5時間で60℃まで加熱し、25℃まで冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(35%ヘキサンの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なホスホネート43(260mg、0.57mmol、収率80%)を無色油状物として得た。43:R=0.28(シリカゲル,35%ヘキサンの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
ジ−tert−ブチル {4−[(1E)−2−{(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−5,9−ジオキソ−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカ−3−イル}プロパ−1−エン−1−イル]−1,3−チアゾール−2−イル}イミドジカルボネート(15a):
Figure 2020516626
ホスホネート43(118mg、0.266mmol、14当量)のテトラヒドロフラン(1.2mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、0.266mL、0.266mmol、14当量)を滴下した。30分後、メチルケトン82(15.0mg、19.0μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を加え、反応混合物を3.5時間かけて0℃までゆっくりと加温した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、保護されたエポチロン15a(14.2mg、13.1μmol、収率69%)を無色油状物として得た。15a:R=0.20(シリカゲル,10%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−[(1E)−1−(2−アミノ−1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(15):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン15a(10mg、9.1μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.05mL、1.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。5時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。未精製物質を撹拌しつつ、ジクロロメタン(1.0mL)に再び溶解し、0℃まで冷却した。トリフルオロ酢酸(0.10mL、1.3mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。6時間後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣を撹拌しつつ、25℃で酢酸エチル(15mL)に再び溶解した。次いで、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)を加えた。10分後、2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、純粋なエポチロン15(4.0mg、7.2μmol、全体で収率80%)を白色アモルファス固体として得た。15:R=0.13(シリカゲル,10%メタノールのジクロロメタン溶液);
Figure 2020516626
スキームS4.ホスホネート44の合成
Figure 2020516626
(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)メタノール(S23):
Figure 2020516626
オキサゾールメチルエステルS22(0.500g、3.54mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(35mL)溶液を0℃で撹拌し、これに水素化アルミニウムリチウム(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、3.54mL、3.54mmol、1.0当量)を滴下した。30分後、反応混合物を、硫酸ナトリウム十水和物(11.4g、35.4mmol、10.0当量)で注意深くクエンチし、25℃まで加温した。次いで、クエンチした反応混合物をCelite(登録商標)パッドを通して濾過し、酢酸エチル(40mL)を用いて十分に洗浄し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)によって精製し、純粋なヒドロキシメチルオキサゾールS23(390mg、3.45mmol、収率97%)を無色油状物として得た。S23:R=0.39(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール(S24):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルオキサゾールS23(502mg、4.44mmol、1.0当量)のジクロロメタン(37mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(1.98g、7.55mmol、1.7当量)、2,6−ルチジン(0.21mL、1.8mmol、0.4当量)及び四臭化炭素(2.50g、7.55mmol、1.7当量)を連続して加えた。1時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(8mL)及び飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(8mL)でクエンチした。2相を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、25%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルオキサゾールS24(672mg、3.82mmol、収率86%)を無色油状物として得た。S24:R=0.34(シリカゲル,25%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル[(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)メチル]ホスホネート(44):
Figure 2020516626
ブロモメチルオキサゾールS24(0.10g、0.57mmol、1.0当量)のベンゼン(1.9mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルホスファイト(0.49mL、2.85mmol、5.0当量)を加えた。反応混合物を24時間で100℃まで加熱し、25℃まで冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→5%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なホスホネート44(111mg、0.480mmol、収率84%)を無色油状物として得た。44:R=0.35(シリカゲル,5%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(16):
Figure 2020516626
ホスホネート44(108mg、0.460mmol、61当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、0.44mL、0.44mmol、58当量)を滴下した。20分後、反応混合物のアリコート(0.30mL、約91μmol、12当量44)を、メチルケトン82(6.1mg、7.6μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.3mL)溶液を−78℃で撹拌したものにすばやく移した。反応混合物を30分かけてゆっくりと−40℃まで加温し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液(1.0mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(1mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣は、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20→50%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、保護されたエポチロン(収率約42%)及びメチルケトン82の混合物を得た(収率約27%)。混合物を分離するのは困難であり、これを以下の工程に直接使用した。
保護されたエポチロン(2.8mg、3.2μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.2mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。3時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、5%メタノールの酢酸エチル溶液+1.5%水酸化アンモニウム)によって精製し、純粋なエポチロン16[1.5mg、2.8μmol、全体で収率37%、(E):(Z)=88:12]を白色アモルファス固体として得て、脱保護されたメチルケトン81(0.96mg、2.1μmol、82から27%)を白色アモルファス固体として得た。16:R=0.40(シリカゲル,20%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS5.ホスホネート45の合成
Figure 2020516626
エチル 2−(メチルスルファニル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(S26):
Figure 2020516626
ブロモオキサゾールエチルエステルS25(0.500g、2.27mmol、1.0当量)のエタノール(15mL)溶液を25℃で撹拌し、これにナトリウムチオメトキシド(635mg、9.06mmol、4.0当量)を加えた。2時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(20mL)で希釈した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出し(5mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なオキサゾールエチルエステルS26(111mg、0.480mmol、収率84%)を無色油状物として得た。S26:R=0.35(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
[2−(メチルスルファニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メタノール(S27):
Figure 2020516626
オキサゾールエチルエステルS26(520mg、2.8mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(28mL)溶液を0℃で撹拌し、これに水素化アルミニウムリチウム(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、1.4mL、1.4mmol、0.5当量)を加えた。30分後、反応混合物を、硫酸ナトリウム十水和物(9.0g、28mmol、10当量)で注意深くクエンチし、25℃まで加温した。次いで、クエンチした反応混合物をCelite(登録商標)パッドを通して濾過し、酢酸エチル(30mL)を用いて十分に洗浄し、溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、25%ヘキサンの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なヒドロキシメチルオキサゾールS27(333mg、2.29mmol、収率82%)を無色油状物として得た。S27:R=0.39(シリカゲル,25%ヘキサンの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
4−(ブロモメチル)−2−(メチルスルファニル)−1,3−オキサゾール(S28):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルオキサゾールS27(333mg、2.29mmol、1.0当量)のジクロロメタン(23mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(1.02g、3.89mmol、1.7当量)及び四臭化炭素(1.29g、3.89mmol、1.7当量)を連続して加えた。1時間後、反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(8mL)及び飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(8mL)で連続してクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、25%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルオキサゾールS28(367mg、1.76mmol、収率77%)を白色アモルファス固体として得た。S28:R=0.32(シリカゲル,10%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[2−(メチルスルファニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}ホスホネート(45):
Figure 2020516626
ブロモメチルオキサゾールS28(416mg、2.00mmol、1.0当量)のベンゼン(6.7mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルホスファイト(1.7mL、10mmol、5.0当量)を加えた。反応混合物を12時間で95℃まで加熱し、25℃まで冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート45(498mg、1.88mmol、収率94%)を無色油状物として得た。45:R=0.28(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(17a):
Figure 2020516626
ホスホネート45(493mg、1.86mmol、219当量)のテトラヒドロフラン(5.0mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、1.75mL、1.75mmol、206当量)を滴下した。20分後、反応混合物のアリコート(0.46mL、約130μmol、15当量45)を、メチルケトン82(6.8mg、8.5μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.4mL)溶液を−78℃で撹拌したものに移した。30分後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(0.6mL)でクエンチし、水(5mL)及び酢酸エチル(5mL)で希釈し、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(3mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20→50%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、さらに分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン17a(5.0mg、5.5μmol、収率65%)を無色油状物として得た。17a:R=0.20(シリカゲル,15%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(17):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン17a(5.0mg、5.5μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。3時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン17(2.9mg、5.2μmol、収率95%)を白色アモルファス固体として得た。17:R=0.32(シリカゲル,10%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−アセトキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−5,9−ジオキソ−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−7,11−ジイルジアセテート(18):
Figure 2020516626
エポチロン17(1.0mg、2.4μmol、1.0当量)のジクロロメタン(0.25mL)溶液を0℃で撹拌し、これに新しく蒸留した無水酢酸(1.1μL、12μmol、5.0当量)を加え、次いで、4−ジメチルアミノピリジン(0.90mg、7.2μmol、3.0当量)を加えた。反応混合物を25分間で25℃までゆっくりと加温し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液(1.0mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(0.5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、25%ヘキサンの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン18(0.90mg、1.8μmol、収率74%)を無色膜状物として得た。18:R=0.34(シリカゲル,25%ヘキサンの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS6.ホスホネート46及び47の合成
Figure 2020516626
2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)エタノール(S16):
Figure 2020516626
2,4−ジブロモチアゾールS1(10.2g、42.0mmol、1.0当量)のジエチルエーテル(250mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、16.8mL、42.0mmol、1.0当量)を滴下した。20分後、エチレンオキシド(2.5Mテトラヒドロフラン溶液、16.8mL、42.0mmol、1.0当量)を加え、その後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート複合体(5.18mL、42.0mmol、1.0当量)のジエチルエーテル(30mL)溶液を滴下した。20分後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(80mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、30→60%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なヒドロキシエチルチアゾールS16(5.42g、26.0mmol、収率62%)を無色油状物として得た。S16:R=0.24(シリカゲル,50%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
4−ブロモ−2−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−1,3−チアゾール(S17):
Figure 2020516626
ヒドロキシエチルチアゾールS16(5.38g、25.9mmol、1.0当量)のジメチルホルムアミド(25mL)溶液を25℃で撹拌し、これにtert−ブチルジメチルシリルクロリド(4.68g、31.0mmol、1.2当量)を加え、次いで、イミダゾール(2.64g、38.9mmol、1.5当量)を加えた。1時間後、反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、次いで、水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄した。2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2→8%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なシリルエーテルS17(8.25g、25.6mmol、収率99%)を無色油状物として得た。S17:R=0.24(シリカゲル,5%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
[2−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−1,3−チアゾール−4−イル]メタノール(S18):
Figure 2020516626
シリルエーテルS17(2.45g、7.60mmol、1.0当量)のジエチルエーテル(75mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにtert−ブチルリチウム(1.7Mペンタン溶液、5.40mL、9.12mmol、1.2当量)を滴下した。1分後、ジメチルホルムアミド(1.17mL、15.2mmol、2.0当量)を滴下した。5分後、反応混合物をメタノール(30mL)でクエンチし、水素化ホウ素ナトリウム(1.44g、38.0mmol、5.0当量)を加え、反応混合物を0℃まで加温した。5分後、反応混合物を水(60mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(40mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、30→60%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なヒドロキシメチルチアゾールS18(1.70g、6.23mmol、収率82%)を無色油状物として得た。S18:R=0.32(シリカゲル,60%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
4−(ブロモメチル)−2−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−1,3−チアゾール(S19):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルチアゾールS18(2.45g、8.96mmol、1.0当量)のジクロロメタン(30mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(2.47g、9.41mmol、1.05当量)を加え、次いで、N−ブロモスクシンイミド(1.59g、8.96mmol、1.0当量)を加えた。5分後、反応混合物を水(50mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(20mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2→8%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルチアゾールS19(2.93g、8.71mmol、収率97%)を無色油状物として得た。S19:R=0.19(シリカゲル,5%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[2−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}ホスホネート(46):
Figure 2020516626
ブロモメチルチアゾールS19(2.83g、8.41mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(5.0mL、29mmol、3.5当量)溶液を撹拌し、これを160℃まで加熱した。2時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート46(3.29g、8.36mmol、収率99%)を無色油状物として得た。46:R=0.35(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−3−{(1E)−1−[2−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−8,8,10,12,16−ペンタメチル−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(19a):
Figure 2020516626
ホスホネート46(0.200g、0.508mmol、12当量)のテトラヒドロフラン(0.8mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、0.41mL、0.41mmol、9.7当量)を滴下した。25分後、メチルケトン→(33.6mg、42.1μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を加え、反応混合物をゆっくりと0℃まで加温した。2時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→15%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン19a(21.8mg、21.0μmol、収率50%)を無色油状物として得た。19a:R=0.36(シリカゲル,15%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−3−{(1E)−1−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(19):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン19a(6.9mg、6.6μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(1.5mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.03mL、1.2mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。4時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→30%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン19(3.5mg、6.0μmol、収率90%)を白色アモルファス固体として得た。19:R=0.35(シリカゲル,30%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[2−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}ホスホネート(S20):
Figure 2020516626
ホスホネート46(2.75g、6.99mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.90mL、35mmol、5.0当量)を加えた。1時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(20mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→10%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、純粋なヒドロキシエチルホスホネートS20(1.94g、6.95mmol、収率99%)を無色油状物として得た。S20:R=0.20(シリカゲル,5%メタノールのジクロロメタン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[2−(2−アジドエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}ホスホネート(S21):
Figure 2020516626
ヒドロキシエチルホスホネートS20(1.37g、4.91mmol、1.0当量)のジクロロメタン(10mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(2.05mL、14.7mmol、3.0当量)及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(60.0mg、0.491mmol、0.1当量)を加えた。反応混合物を−20℃まで冷却し、p−トルエンスルホン酸無水物(3.20g、9.81mmol、2.0当量)を添加した。30分後、反応混合物を水(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、未精製トシレートを撹拌しつつ、25℃でジメチルホルムアミド(5mL)に再び溶解した。次いで、ナトリウムアジド(957mg、14.7mmol、3.0当量)を加え、反応混合物を65℃まで加熱した。2時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、水(20mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した(15mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→4%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、純粋なアジドエチルホスホネートS21(1.16g、3.81mmol、収率78%)を無色油状物として得た。S21:R=0.38(シリカゲル,5%メタノールのジクロロメタン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル[(2−{2−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]ホスホネート(47):
Figure 2020516626
アジドエチルホスホネートS21(1.06g、3.48mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン/水(9:1、15mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(2.74g、10.5mmol、3.0当量)を加え、反応混合物を65℃まで加熱した。1.5時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、水(6mL)、炭酸水素ナトリウム(0.882g、10.5mmol、3.0当量)及びジ−tert−ブチルジカーボネート(1.52g、6.96mmol、2.0当量)を連続して加えた。2.5時間後、2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(15mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→7.5%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製し、ホスホネート47(1.65g、3.44mmol、収率99%)を無色油状物として得た。47:R=0.37(シリカゲル,5%メタノールのジクロロメタン溶液);
Figure 2020516626
ジ−tert−ブチル(2−{4−[(1E)−2−{(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−5,9−ジオキソ−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカ−3−イル}プロパ−1−エン−1−イル]−1,3−チアゾール−2−イル}エチル)イミドジカルボネート(20a):
Figure 2020516626
ホスホネート47(330mg、0.690mmol、12当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、0.41mL、0.41mmol、9.7当量)を滴下した。25分後、メチルケトン→(45.0mg、56.4μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を加え、反応混合物をゆっくりと0℃まで加温した。2時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン20a(28.2mg、25.1mmol、収率45%)を無色油状物として得た。20a:R=0.30(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−{(1E)−1−[2−(2−アミノエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(20):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン20a(14.9mg、13.3μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.06mL、2.31mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。5時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。未精製物質を撹拌しつつ、ジクロロメタン(1.0mL)に再び溶解し、0℃まで冷却した。トリフルオロ酢酸(0.10mL、1.3mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温し、さらに3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣を撹拌しつつ、25℃で酢酸エチル(15mL)に再び溶解した。次いで、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)を加えた。10分後、2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、40%メタノールのアセトン溶液)によって精製し、純粋なエポチロン20(5.5mg、10μmol、全体で収率71%)を白色アモルファス固体として得た。20:R=0.39(シリカゲル,40%メタノールのアセトン溶液);
Figure 2020516626
スキームS7.ホスホネート48の合成
Figure 2020516626
ジエチル(ピリジン−2−イルメチル)ホスホネート(48):
Figure 2020516626
ブロモメチルピリジニウム臭化水素酸塩S29(0.410g、2.38mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(1.5mL、8.8mmol、3.7当量)溶液を撹拌し、これを160℃まで加熱した。2.5時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→80%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート48(355mg、2.87mmol、収率65%)を無色油状物として得た。48:R=0.33(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(ピリジン−2−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(21a):
Figure 2020516626
ホスホネート48(317mg、1.38mmol、28当量)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.44mL、1.1mmol、22当量)を滴下した。30分後、メチルケトン82(40.0mg、50μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。1.5時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(5mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→40%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン21a(41mg、47μmol、収率94%)を無色油状物として得た。21a:R=0.23(シリカゲル,30%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(ピリジン−2−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(21):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン21a(39.0mg、44.5μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.20mL、7.7mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。5時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→40%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン21(22mg、42μmol、収率93%)を白色アモルファス固体として得た。21:R=0.40(シリカゲル,30%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS8.ホスホネート49の合成
Figure 2020516626
4,4’−ジメチル−2,2’−ビー1,3−チアゾール(S34):
Figure 2020516626
4−メチルチアゾールS32(2.00g、20.2mmol、1.0当量)のm−キシレン(40mL)溶液を25℃で撹拌し、これにナトリウム2 ピリドネートS33(53.0mg、0.404mmol、0.02当量)を加え、次いで、CuCl(20.0mg、0.202mmol、0.01当量)を加えた。アルゴン雰囲気下、反応混合物を5分間で150℃になるまで加熱した。次いで、アルゴン雰囲気を取り除き、解放空気下で環流を続けた。60時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、Celite(登録商標)を通して濾過し、酢酸エチル(50mL)を用いて十分に洗浄した。濾液を水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なチアゾールS34(0.720g、3.67mmol、収率36%)を淡黄色固体として得た。S34:R=0.44(シリカゲル、30%酢酸エチルのヘキサン溶液);融点134〜135℃;
Figure 2020516626
4−(ブロモメチル)−4’−メチル−2,2’−ビー1,3−チアゾール(S35):
Figure 2020516626
チアゾールS34(557mg、2.84mmol、1.0当量)の四塩化炭素(8mL)溶液を25℃で撹拌し、これにN−ブロモスクシンイミド(556mg、3.12mmol、1.1当量)を加えた。反応混合物を5分間で80℃まで加熱し、次いで、過酸化ベンゾイル(68.8mg、0.284mmol、0.1当量)を加えた。1.5時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、酢酸エチル(100mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)及び食塩水(30mL)で洗浄した。2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2.5→15%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルチアゾールS35(0.704g、2.56mmol、収率90%)を淡黄色アモルファス固体として得た。S35:R=0.34(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル[(4’−メチル−2,2’−ビー1,3−チアゾール−4−イル)メチル]ホスホネート(49):
Figure 2020516626
ブロモメチルチアゾールS35(0.670g、2.44mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(2.02g、12.2mmol、5.0当量)溶液を撹拌し、これを160℃まで加熱した。1.5時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート49(0.423g、1.27mmol、収率52%)を無色油状物として得た。49:R=0.21(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(4’−メチル−2,2’−ビー1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(22a):
Figure 2020516626
ホスホネート49(130mg、0.391mmol、21当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.13mL、0.33mmol、18当量)を加えた。10分後、反応混合物を、メチルケトン82(14.5mg、18.2μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌したものに移し、反応混合物を4時間でゆっくりと25℃まで加温した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)でクエンチし、2相を分離した。有機層を酢酸エチルで抽出し(5mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→15%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン22a(11.8mg、12.1μmol、67%と、28%の回収したメチルケトン82)を無色油状物として得た。22a:R=0.27(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(4’−メチル−2,2’−ビー1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(22):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン22a(11mg、11μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%、0.20mL、7.6mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。5時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(15mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン22(5.2mg、8.2μmol、収率74%)を白色アモルファス固体として得た。22:R=0.32(シリカゲル,15%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS9.ホスホネート50及び58〜62の合成
Figure 2020516626
メチル 1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(S49):
Figure 2020516626
シドノンS47(Hammick及びVoaden、1961及びMasuda及びOkutani、1974)(3.09g、21.1mmol、1.0当量)のキシレン(10mL)懸濁物を25℃で撹拌し、これにプロピオール酸メチル(3.76mL、42.3mmol、2.0当量)を加え、反応混合物を130℃まで加熱した。12時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なピラゾリルエステルS49(2.44g、13.1mmol、収率62%)を無色油状物として、その位置異性体S50(0.943g、5.06mmol、収率24%)を無色油状物として得た。
S49:R=0.26(シリカゲル,40%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
S50:R=0.37(シリカゲル,40%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール(S51):
Figure 2020516626
ピラゾリルエステルS50(2.44g、13.1mmol、1.0当量)のジクロロメタン(36mL)溶液を−78℃で撹拌し、これに水素化ジイソブチルアルミニウム(1.0Mジクロロメタン溶液、40.0mL、40.0mmol、3.0当量)を滴下した。10分後、反応混合物を塩酸水溶液(2.0M、30mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2時間後、2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(20mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なヒドロキシメチルピラゾールS51(1.70g、10.7mmol、収率82%)を無色油状物として得た。S51:R=0.22(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
3−(ブロモメチル)−1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール(S52):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルピラゾールS51(1.70g、10.7mmol、1.0当量)のジクロロメタン(20mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(2.96g、11.3mmol、1.05当量)を加え、次いで、N−ブロモスクシンイミド(1.90g、10.7mmol、1.0当量)を加えた。5分後、反応混合物を水(20mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(15mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルピラゾールS52(2.03g、9.06mmol、収率85%)を無色油状物として得た。S52:R=0.30(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(50):
Figure 2020516626
ブロモメチルピラゾールS52(2.03g、9.06mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(4.0mL、23mmol、2.6当量)溶液を撹拌し、160℃まで加熱した。2時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→90%アセトンのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な ホスホネート50(2.49g、8.97mmol、収率99%)を無色油状物として得た。50:R=0.43(シリカゲル,アセトン);
Figure 2020516626
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル){[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(58):
Figure 2020516626
ホスホネート50(2.49g、8.97mmol、1.0当量)の塩化トリメチルシリル(5.75mL、45.3mmol、5.1当量)の溶液を撹拌し、これを80℃まで加熱した。72時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、塩化トリメチルシリルを減圧下で除去し、未精製物50aを得た。未精製残渣を撹拌しつつ、ジクロロメタン(30mL)に再び溶解し、0℃まで冷却した。次いで、塩化オキサリル(3.05g、24.0mmol、2.5当量)のジクロロメタン(5mL)溶液を滴下し、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。4時間後、減圧下で溶媒を除去し、50bを得た。未精製残渣を撹拌しつつ、ジクロロメタン(30mL)に再び溶解し、0℃まで冷却した。次いで、トリエチルアミン(7.58mL、54.4mmol、6.0当量)、2,2,2−トリフルオロエタノール(2.72mL、36.2mmol、4.0当量)及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(22.1mg、0.181mmol、0.02当量)を連続して加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。12時間後、反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄した。2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20→60%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なトリフルオロエチルホスホネート58(3.00g、7.77mmol、全体で87%)を無色油状物として得た。58:R=0.17(シリカゲル,50%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル){[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(59):
Figure 2020516626
未精製物50b(約172mg、0.662mmol、1.0当量)のジクロロメタン(10mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(0.29mL、4.0mmol、6.0当量)を加え、次いで、3,3,3−トリフルオロプロパノール(0.300g、2.65mmol、4.0当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(1.6mg、13μmol、0.02当量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。12時間後、反応混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄した。2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なトリフルオロプロピルホスホネート59(0.137g、0.330mmol、全体で収率50%)を無色油状物として得た。59:R=0.34(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
ビス(2,2,2−トリクロロエチル){[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(60):
Figure 2020516626
未精製物50b(約172mg、0.662mmol、1.0当量)のジクロロメタン(10mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(0.29mL、4.0mmol、6.0当量)を加え、次いで、2,2,2−トリクロロエタノール(0.396g、2.65mmol、4.0当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(1.6mg、13μmol、0.02当量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。12時間後、反応混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄した。2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、40→70%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なトリクロロエチルホスホネート60(0.167g、0.344mmol、収率52%)を無色油状物として得た。60:R=0.45(シリカゲル,20%ヘキサンの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
ビス(2,2−ジフルオロエチル){[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(61):
Figure 2020516626
未精製物50b(約191mg、0.737mmol、1.0当量)のジクロロメタン(10mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(0.62mL、4.4mmol、6.0当量)を加え、次いで、2,2−ジフルオロエタノール(0.242g、2.95mmol、4.0当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(2.0mg、16μmol、0.02当量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。3時間後、反応混合物を酢酸エチル(60mL)で希釈し、水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄した。2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→90%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なジフルオロエチルホスホネート61(0.205g、0.585mmol、全体で収率79%)を無色油状物として得た。61:R=0.33(シリカゲル,10%ヘキサンの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
ビス(2−フルオロエチル){[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(62):
Figure 2020516626
未精製物50b(約191mg、0.737mmol、1.0当量)のジクロロメタン(10mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(0.62mL、4.4mmol、6.0当量)を加え、次いで、2−フルオロエタノール(0.189g、2.95mmol、4.0当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(2.0mg、16μmol、0.02当量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。3時間後、反応混合物を酢酸エチル(60mL)で希釈し、水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄した。2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、40→80%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なフルオロエチルホスホネート62(0.180g、0.573mmol、全体で収率78%)を無色油状物として得た。62:R=0.28(シリカゲル,40%ヘキサンのアセトン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン103[(E)のみ]:
Figure 2020516626
ホスホネート62(124mg、0.395mmol、16当量)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.13mL、0.32mmol、13当量)を滴下した。20分後、反応混合物のアリコート(0.4mL、約5.7当量62)を、メチルケトン82(19.6mg、24.6μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液に−78℃で加え、反応混合物を30分で−40℃までゆっくりと加温した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(15mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン103(14.0mg、15.2μmol、収率62%)を無色油状物として得た。103:R=0.32(シリカゲル,30%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
保護されたエポチロン103[(E):(Z)約1:1]:
ホスホネート58(350mg、906μmol、16当量)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.29mL、0.73mmol、13当量)を滴下した。45分後、メチルケトン82(45.0mg、56.4μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.6mL)溶液を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温し、さらに2時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(15mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→60%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン103[36.5mg、39.6μmol、70%、(E):(Z)約1:1]を無色油状物として得た(103の特性決定については、上を参照)。
保護されたエポチロン103[(E):(Z)約30:70]:
ホスホネート付加物102(2.5mg、2.3μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.6mL)溶液を−20℃で撹拌し、これにカリウム tert ブトキシド(1.3mg、12μmol、5.0当量)を加えた。5分後、反応混合物を水(3mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン103[1.6mg、1.7μmol、75%、(E):(Z)約30:70]を無色油状物として得た(103の特性決定データについては、上を参照)。
ジエチル(2−{(1S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−5,9−ジオキソ−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカ−3−イル}−2−ヒドロキシ−1−[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]プロピル)ホスホネート(102):
Figure 2020516626
ホスホネート50(120mg、0.431mmol、11当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、0.21mL、0.21mmol、4.9当量)を滴下した。30分後、反応混合物を、メチルケトン82(32.8mg、41.0μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.4mL)溶液を−78℃で撹拌したものに移し、さらに30分間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)によって精製し、ホスホネート付加物102(16.5mg、15.3μmol、37%、ジアステレオマー比約3:7)を無色油状物として得た。102:R=0.24(シリカゲル,80%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(23):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン103(8.0mg、8.7μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。5時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(20mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン23(22.0mg、41.5μmol、収率82%)を白色アモルファス固体として得た。23:R=0.28(シリカゲル,20%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS10.ホスホネート51の合成
Figure 2020516626
2−(ブロモメチル)−1,3−ベンゾチアゾール(S31):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルベンゾチアゾールS30(1.00g、6.05mmol、1.0当量)のジクロロメタン/テトラヒドロフラン(1:1、40mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(1.59g、6.05mmol、1.0当量)を加え、次いで、N−ブロモスクシンイミド(1.08g、6.05mmol、1.0当量)を加えた。5分後、反応混合物を水(20mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(30mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2→8%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルベンゾチアゾールS31(780mg、3.42mmol、収率57%)を白色アモルファス固体として得た。S31:R=0.48(シリカゲル,10%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルメチル)ホスホネート(51):
Figure 2020516626
ブロモメチルベンゾチアゾールS31(775mg、3.40mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(2.0mL、12mmol、3.4当量)溶液を撹拌し、160℃まで加熱した。2時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、60→90%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート51(820mg、2.87mmol、収率84%)を無色油状物として得た。51:R=0.32(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
(1S,3R,7R,10S,11S,12R,16S)−3−[(1E)−1−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(24a):
Figure 2020516626
ホスホネート51(150mg、0.533mmol、13当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.17mL、0.43mmol、10.0当量)を滴下した。20分後、メチルケトン82(28.7mg、35.9μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を加え、反応混合物をゆっくりと10℃まで加温し、さらに1時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(5mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン24a(22mg、27μmol、収率65%)を無色油状物として得た。24a:R=0.30(シリカゲル,15%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−[(1E)−1−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(24):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン24a(22.0mg、23.6mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。9時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン24(11.3mg、19.2μmol、収率81%)を白色アモルファス固体として得た。24:R=0.39(シリカゲル,20%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS11.ホスホネート52及び52aの合成
Figure 2020516626
[1−(1H−ピラゾール−1−イルメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール(S39):
Figure 2020516626
ピラゾリルエステルS38(523mg、2.54mmol、1.0当量)のジクロロメタン(11mL)溶液を−78℃で撹拌し、これに水素化ジイソブチルアルミニウム(1.0Mジクロロメタン溶液、3.80mL、3.80mmol、1.5当量)を滴下した。10分後、反応混合物をメタノール(12mL)でクエンチし、0℃まで加温した。水素化ホウ素ナトリウム(0.288g、7.62mmol、3.0当量)を加え、10分後、反応混合物を飽和酒石酸カリウムナトリウム水溶液(40mL)でクエンチし、25℃まで加温した。4時間後、クエンチした反応混合物をCelite(登録商標)パッドを通して濾過した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(30mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1→5%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なヒドロキシメチルピラゾールS39(0.370g、2.08mmol、収率82%)を無色油状物として得た。S39:R=0.26(シリカゲル,5%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
3−(ブロモメチル)−1−(1H−ピラゾール−1−イルメチル)−1H−ピラゾール(S40):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルピラゾールS39(0.358g、2.01mmol、1.0当量)のジクロロメタン(12mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(580mg、2.21mmol、1.1当量)を加え、次いで、N−ブロモスクシンイミド(0.393g、2.21mmol、1.1当量)を加えた。5分後、反応混合物を水(20mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(15mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20→50%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルピラゾールS40(0.330g、1.37mmol、収率68%)を白色アモルファス固体として得た。S40:R=0.22(シリカゲル,50%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[1−(1H−ピラゾール−1−イルメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(52):
Figure 2020516626
ブロモメチルピラゾールS40(0.301g、1.25mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(0.312g、1.88mmol、1.5当量)溶液を撹拌し、160℃まで加熱した。2時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→10%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なホスホネート52(2.49g、8.97mmol、収率89%)を無色油状物として得た。52:R=0.23(シリカゲル,10%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
ビス(2−フルオロエチル){[1−(1H−ピラゾール−1−イルメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(52a):
Figure 2020516626
ホスホネート52(0.230g、0.771mmol、1.0当量)の塩化トリメチルシリル(0.490mL、3.86mmol、5.0当量)の溶液を撹拌し、これを80℃まで加熱した。72時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、塩化トリメチルシリルを減圧下で除去した。未精製残渣を撹拌しつつ、ジクロロメタン(10mL)に再び溶解し、0℃まで冷却した。次いで、塩化オキサリル(0.244g、1.93mmol、2.5当量)のジクロロメタン(5mL)溶液を滴下し、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。4時間後、減圧下で溶媒を除去した。未精製残渣を撹拌しつつ、ジクロロメタン(10mL)に再び溶解し、0℃まで冷却した。次いで、トリエチルアミン(0.644mL、4.63mmol、6.0当量)、2−フルオロエタノール(197mg、3.08mmol、4.0当量)及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(5.0mg、41μmol、0.05当量)を連続して加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。1時間後、反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、水(10mL)及び食塩水(10mL)で洗浄した。2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20→60%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート52a(185mg、0.553mmol、収率72%)を無色油状物として得た。52a:R=0.27(シリカゲル,10%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[1−(1H−ピラゾール−1−イルメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(100):
Figure 2020516626
ホスホネート52(45.0mg、0.151mmol、11当量)のテトラヒドロフラン(0.6mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、55μL、0.14mmol、10.0当量)を滴下した。40分後、反応混合物を、メチルケトン82(10.5mg、13.2μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌したものに移し、さらに1時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、付加物98{HRMS(ESI)によって確認した:C5410310PSi [M+H]について計算値1096.6745、実測値1096.6749}と保護されたエポチロン100の未精製混合物を得た。
得られた未精製残渣を撹拌しつつ、テトラヒドロフラン(1.0mL)に再び溶解し、−20℃まで冷却した。カリウム tert−ブトキシド(7.3mg、66μmol、5.0当量)を加え、5分後、反応混合物を水(3mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20→50%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン100(9.1mg、9.7μmol、全体で収率73%と、10%の回収したメチルケトン82)を無色油状物として得た。100:R=0.19(シリカゲル,40%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[1−(1H−ピラゾール−1−イルメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(25):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン100(8.1mg、8.6μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(1.8mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%、0.30mL、11mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。3時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→30%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン25(4.9mg、8.2μmol、収率95%)を白色アモルファス固体として得た。25:R=0.27(シリカゲル,25%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
2−[(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−5,9−ジオキソ−3−{(1E)−1−[1−(1H−ピラゾール−1−イルメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカ−17−イル]エチルアセテート(26):
Figure 2020516626
エポチロン25(3.7mg、6.2μmol、1.0当量)のジクロロメタン(1mL)溶液を0℃で撹拌し、これにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.6mg、12μmol、2.0当量)を加え、次いで、無水酢酸(1.3mg、12μmol、2.0当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.4mg、3μmol、0.05当量)を加えた。1.5時間後、反応混合物をメタノール(1mL)でクエンチし、25℃まで加温した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、5%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、エポチロン26(2.8mg、4.4μmol、収率71%)を白色アモルファス固体として得た。26:R=0.33(シリカゲル,5%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS12.ホスホネート53の合成
Figure 2020516626
ジエチル(1,2,5−オキサジアゾール−3−イルメチル)ホスホネート(53):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルオキサジアゾールS36(0.245g、2.45mmol、1.0当量)のジクロロメタン(6mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(0.706g、2.69mmol、1.1当量)を加え、次いで、四臭化炭素(0.892g、2.69mmol、1.1当量)を加えた。10分後、反応混合物を水(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルパッドを通して濾過し、ヘキサン(20mL)を用いて十分に洗浄し、未精製ブロモメチルオキサジアゾールS37を揮発性油状物として得た(未精製NMRを与えた)。S37:R=0.27(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);H NMR(600MHz、CDCl)δ=8.35(s,1H)、4.56(s,2H)ppm;13C NMR(150MHz、CDCl)δ=152.5,141.7、17.0ppm。
未精製ブロモメチルオキサジアゾールS37のトリエチルホスファイト(0.814g、4.90mmol、2.0当量)溶液を撹拌し、これを160℃まで加熱した。2時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→80%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート53(0.205g、0.93mmol、全体で収率38%)を無色油状物として得た。53:R=0.30(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(27a):
Figure 2020516626
ホスホネート53(90.0mg、0.409mmol、31当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.15mL、0.37mmol、29当量)を滴下した。10分後、反応混合物を、メチルケトン82(10.5mg、13.2μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌したものに加え、3時間で0℃までゆっくりと加温した。次いで、反応混合物を水(5mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン27a(3.6mg、4.2μmol、収率32%)を無色油状物として得た。27a:R=0.31(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(27):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン27a(1.5mg、1.7μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.9mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。3時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン27(0.8mg、1.5μmol、収率80%)を白色アモルファス固体として得た。27:R=0.25(シリカゲル,15%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS13.ホスホネート54の合成
Figure 2020516626
ジエチル(1,2,5−チアジアゾール−3−イルメチル)ホスホネート(54):
Figure 2020516626
クロロメチルチアジアゾールS41(0.150g、1.11mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(0.484g、2.92mmol、2.6当量)溶液を撹拌し、これを160℃まで加熱した。2時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、40→70%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート54(0.210g、0.889mmol、収率80%)を無色油状物として得た。54:R=0.30(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(1,2,5−チアジアゾール−3−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(28a):
Figure 2020516626
ホスホネート54(90.0mg、0.381mmol、60当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.12mL、0.31mmol、48当量)を滴下した。10分後、反応混合物を、メチルケトン82(5.0mg、6.3μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌したものに加え、3時間で0℃までゆっくりと加温した。次いで、反応混合物を水(5mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン28a(3.9mg、4.4μmol、収率71%)を無色油状物として得た。28a:R=0.37(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(1,2,5−チアジアゾール−3−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(28):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン28a(2.8mg、3.2μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.9mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%、0.10mL、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。3時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン28(1.3mg、2.4μmol、収率76%)を白色アモルファス固体として得た。28:R=0.29(シリカゲル,15%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS14.ホスホネート55の合成
Figure 2020516626
ジエチル[(3−メチル−1,2−オキサゾール−5−イル)メチル]ホスホネート(55):
Figure 2020516626
ブロモメチルイソオキサゾールS44(250mg、1.42mmol、1.0当量)のベンゼン(4.7mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルホスファイト(1.2mL、7.1mmol、5.0当量)を加えた。反応混合物を6時間で90℃まで加熱し、25℃まで冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→5%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なホスホネート55(77mg、0.33mmol、収率23%)を無色油状物として得た。55:R=0.37(シリカゲル,5%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(3−メチル−1,2−オキサゾール−5−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(29a):
Figure 2020516626
ホスホネート55(73mg、0.31mmol、43当量)のテトラヒドロフラン(0.7mL)溶液を−50℃で撹拌し、これにナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、0.29mL、0.29mmol、41当量)を滴下した。20分後、反応混合物のアリコート(0.25mL、約79μmol、11当量55)を、メチルケトン82(5.7mg、7.2μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.25mL)溶液を−78℃で撹拌したものに移し、反応混合物を1時間でゆっくりと−60℃まで加温した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(0.8mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(1mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、15→50%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、さらに、分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン29a[3.6mg、4.1μmol、57%、(E):(Z)約75:25]を無色油状物として得た。29a:R=0.33(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(3−メチル−1,2−オキサゾール−5−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(29):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン29a(3.6mg、4.1μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.7mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。3時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン29[2.0mg、3.7μmol、90%、(E):(Z)約75:25]を白色アモルファス固体として得た。幾何学的に純粋な(E)−29を、分取薄層クロマトグラフィーを繰り返すことによって得た(シリカゲル、20%メタノールの酢酸エチル溶液、4回実行)。29:R=0.25(シリカゲル,20%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS15.ホスホネート56の合成
Figure 2020516626
5−(ブロモメチル)−4−メチル−1,2,3−チアジアゾール(S43):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルチアジアゾールS42(0.600g、4.61mmol、1.0当量)のジクロロメタン(46mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(1.81g、6.92mmol、1.5当量)を加え、次いで、四臭化炭素(2.29g、6.92mmol、1.5当量)を加えた。15分後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)及び飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチした。2相を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した(8mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→15%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルチアジアゾールS43(0.870g、4.51mmol、収率98%)を無色油状物として得た。S43:R=0.27(シリカゲル,15%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル[(4−メチル−1,2,3−チアジアゾール−5−イル)メチル]ホスホネート(56):
Figure 2020516626
ブロモメチルチアジアゾールS43(0.870g、4.51mmol、1.0当量)のベンゼン(9.0mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルホスファイト(3.9mL、23mmol、5.0当量)を加えた。反応混合物を16時間で95℃まで加熱し、25℃まで冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート56(1.02g、4.08mmol、収率90%)を無色油状物として得た。56:R=0.29(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(4−メチル−1,2,3−チアジアゾール−5−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(30a):
Figure 2020516626
ホスホネート56(133mg、0.530mmol、98当量)のテトラヒドロフラン(1.3mL)溶液を−30℃で撹拌し、これにナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、0.50mL、0.50mmol、93当量)を滴下した。20分後、反応混合物のアリコート(0.28mL、約81μmol、15当量56)を、メチルケトン82(4.3mg、5.4μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.25mL)溶液を−78℃で撹拌したものに加え、2時間でゆっくりと15℃まで加温した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(0.5mL)でクエンチし、水(5mL)及び酢酸エチル(5mL)で希釈した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(3mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、15→50%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、さらに分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン30a(3.2mg、3.6μmol、収率33%)を無色油状物として得た。30a:R=0.34(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(4−メチル−1,2,3−チアジアゾール−5−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(30):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン30a(3.2mg、3.6μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.6mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。3時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(5mL)で希釈した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン30(1.9mg、3.4μmol、収率95%)を白色アモルファス固体として得た。30:R=0.21(シリカゲル,10%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS16.ホスホネート57の合成
Figure 2020516626
3−(ブロモメチル)−5−(4−フルオロフェニル)−1,2−オキサゾール(S46):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルイソオキサゾールS45(630mg、3.26mmol、1.0当量)のジクロロメタン(26mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(1.63g、4.90mmol、1.5当量)を加え、次いで、四臭化炭素(2.04g、4.90mmol、1.5当量)を加えた。25分後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)及びチオ飽和硫酸ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→10%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルイソオキサゾールS46(810mg、3.16mmol、収率97%)を白色アモルファス固体として得た。S46:R=0.33(シリカゲル,10%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[5−(4−フルオロフェニル)−1,2−オキサゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(57):
Figure 2020516626
ブロモメチルイソオキサゾールS46(800mg、3.1mmol、1.0当量)のベンゼン(10mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルホスファイト(2.7mL、16mmol、5.0当量)を加えた。反応混合物を18時間で95℃まで加熱し、25℃まで冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液→5%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なホスホネート57(880mg、4.0mmol、収率90%)を無色油状物として得た。57:R=0.39(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−3−{(1E)−1−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2−オキサゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−8,8,10,12,16−ペンタメチル−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(31a):
Figure 2020516626
ホスホネート57(312mg、1.00mmol、145当量)のテトラヒドロフラン(3.0mL)溶液を−50℃で撹拌し、これにナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、0.95mL、0.95mmol、138当量)を滴下した。20分後、反応混合物のアリコート(0.40mL、約0.10mmol、15当量57)を、メチルケトン82(5.5mg、6.9μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.35mL)溶液を−60℃で撹拌したものに移した。1時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(1.2mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(1mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20→40%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、さらに、分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン31a[2.3mg、2.4μmol、35%、(E):(Z)約86:14と、34%の回収したメチルケトン82]を無色油状物として得た。31a:R=0.44(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−{(1E)−1−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2−オキサゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシエチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(31):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン31a(2.3mg、2.4μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。3時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(10mL)で希釈した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン31[1.4mg、2.3μmol、97%、(E):(Z)=86:14]を白色アモルファス固体として得た。31:R=0.34(シリカゲル,10%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(4’−メチル−2,2’−ビー1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−17−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(32a):
Figure 2020516626
ホスホネート49(40.0mg、120μmol、18当量)のテトラヒドロフラン(5.0mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、39μL、96μmol、15当量)を滴下した。10分後、反応混合物を、メチルケトン87(5.0mg、6.5μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.2mL)溶液を−78℃で撹拌したものに移した。1時間後、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温し、さらに3時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン32a(2.1mg、2.2μmol、34%と、50%の回収したメチルケトン87)を無色油状物として得た。32a:R=0.33(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(4’−メチル−2,2’−ビー1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(32):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン32a(1.9mg、2.0μmol、1.0当量)のジクロロメタン(0.4mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリフルオロ酢酸(0.10mL、1.3mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。2時間後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、25%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン32(1.0mg、1.7μmol、収率85%)を白色アモルファス固体として得た。32:R=0.37(シリカゲル,20%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[1−(1H−ピラゾール−1−イルメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−17−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(101):
Figure 2020516626
ホスホネート52(68.0mg、0.228mmol、15当量)のテトラヒドロフラン(0.7mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、82μL、0.21mmol、14当量)を滴下した。10分後、反応混合物を、メチルケトン87(11.5mg、14.9μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌したものに加えた。30分後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗ホスホネート付加物99を得た{HRMS(ESI)によって確認した:C529910PSi [M+H]について計算値1068.6432、実測値1068.6462}。
得られた未精製残渣を撹拌しつつ、テトラヒドロフラン(1.0mL)に溶解し、−20℃まで冷却した。カリウム tert−ブトキシド(5.0mg、45μmol、3.0当量)を加え、5分後、反応混合物を水(3mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、45%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン101(7.2mg、7.9μmol、全体で収率53%と、28%の回収したメチルケトン87)を無色油状物として得た。101:R=0.32(シリカゲル,40%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[1−(1H−ピラゾール−1−イルメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(33):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン101(6.2mg、6.8μmol、1.0当量)のジクロロメタン(1.2mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリフルオロ酢酸(0.30mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物を25℃まで加温した。2時間後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン33(2.0mg、3.6μmol、収率52%)を白色アモルファス固体として得た。33:R=0.44(シリカゲル,20%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
ビス(2−フルオロエチル) {2−ヒドロキシ−1−[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]−2−[(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−5,9−ジオキソ−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−17−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカ−3−イル]プロピル}ホスホネート(104):
Figure 2020516626
ホスホネート62(49.0mg、0.156mmol、22当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、50μL、0.13mmol、18当量)を滴下した。10分後、反応混合物を、メチルケトン87(5.5mg、7.1μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.4mL)溶液を−78℃で撹拌したものに移し、さらに1時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)によって精製し、純粋なホスホネート付加物104(3.2mg、3.0μmol、28%、ジアステレオマー比約3:7と、42%の回収したメチルケトン87)を無色油状物として得た。104:R=0.33(シリカゲル,80%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−17−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(105):
Figure 2020516626
ホスホネート付加物104(4.5mg、4.1μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.8mL)溶液を−20℃で撹拌し、これにカリウム tert−ブトキシド(2.5mg、22μmol、5.0当量)を加えた。5分後、反応混合物を水(3mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン105(2.6mg、2.9μmol、収率70%)を無色油状物として得た。105:R=0.31(シリカゲル,25%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
保護されたエポチロン105(1ポット手順):
ホスホネート62(47.7mg、0.152mmol、22当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5Mヘキサン溶液、48μL、0.120mmol、18当量)を加えた。10分後、反応混合物を、メチルケトン87(5.3mg、6.9μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を撹拌したものに移した。30分後、反応混合物を0℃までゆっくりと加温した。4時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン105(3.9mg、4.4μmol、収率63%)を無色油状物として得た(105の特性決定データについては、上を参照)。
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[1−メチル−5−(メチルスルファニル)−1H−ピラゾール−3−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(40):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン105(3.7mg、4.1μmol、1.0当量)のジクロロメタン(0.8mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリフルオロ酢酸(0.20mL、2.6mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。2時間後、溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン40(1.8mg、3.4μmol、収率82%)を白色アモルファス固体として得た。40:R=0.34(シリカゲル,20%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
tert−ブチル (2−{(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−5,9−ジオキソ−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカ−17−イル}エチル)カルバメート(91):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン85(20.0mg、26.1μmol、1.0当量)のジメチルホルムアミド(0.3mL)溶液を25℃で撹拌し、これにtert−ブチル−N−(2−ブロモエチル)カルバメート90(35.0mg、157μmol、6.0当量)を加え、次いで、炭酸カリウム(18.0mg、0.130mmol、5.0当量)を加え、反応混合物を75℃まで加熱した。12時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、水(5mL)でクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→40%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン91(7.5mg、8.2μmol、32%と、35%の回収した保護されたエポチロン85)を無色油状物として得た。91:R=0.34(シリカゲル,40%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−アミノエチル)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(37):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン91(6.0mg、6.6μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。2時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、撹拌しつつ0℃でジクロロメタン(1mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(0.10mL、1.3mmol、過剰量)を加えた。1時間後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣を撹拌しつつ、25℃で酢酸エチル(50mL)に再び溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム(5mL)水溶液を加えた。5分後、2相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→30%メタノールのアセトン溶液)によって精製し、純粋なエポチロン37(2.5mg、4.3μmol、全体で収率65%)を白色アモルファス固体として得た。37:R=0.30(シリカゲル,30%メタノールのアセトン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−アセチル−17−(シクロプロピルメチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(93):
Figure 2020516626
アジリジン80(40.0mg、62.5μmol、1.0当量)のジメチルホルムアミド(0.4mL)溶液を25℃で撹拌し、これに(ブロモメチル)シクロプロパン92(50.6mg、0.375mmol、6.0当量)を加え、次いで、炭酸カリウム(43.0mg、0.312mmol、5.0当量)を加え、反応混合物を75℃まで加熱した。16時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、水(3mL)でクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出し(15mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→40%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なシクロプロピルメチルアジリジン93(40.0mg、57.6μmol、収率92%)を淡黄色油状物として得た。93:R=0.23(シリカゲル,30%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(シクロプロピルメチル)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(94):
Figure 2020516626
ホスホネート41(150mg、0.533mmol、13当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.17mL、0.425mmol、10.3当量)を滴下した。20分後、シクロプロピルメチルアジリジン93(28.7mg、41.3μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を加え、反応混合物をゆっくりと10℃まで加温し、さらに1時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(15mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン94(22.1mg、26.9μmol、収率65%)を無色油状物として得た。94:R=0.22(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(シクロプロピルメチル)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(38):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン94(18.0mg、21.9μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%、0.20mL、7.7mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。3.5時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(20mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1→5%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン38(12.0mg、20.2μmol、収率92%)を白色アモルファス固体として得た。38:R=0.39(シリカゲル,5%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−3−アセチル−8,8,10,12,16−ペンタメチル−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−17−[4−(トリメチルシリル)ブタ−3−イン−1−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(96):
Figure 2020516626
アジリジン80(26.4mg、41.2μmol、1.0当量)のジメチルホルムアミド(0.5mL)溶液を25℃で撹拌し、これに臭化ホモプロパルギル95(42.3mg、0.206mmol、5.0当量)を加え、その後、炭酸カリウム(22.8mg、0.165mmol、4.0当量)を加え、反応混合物を80℃まで加熱した。18時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、水(3mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10→30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なアルキン96(28.4mg、37.2μmol、収率90%)を淡黄色油状物として得た。96:R=0.31(シリカゲル,30%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−17−[4−(トリメチルシリル)ブタ−3−イン−1−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(97):
Figure 2020516626
ホスホネート41(82.0mg、0.291mmol、20当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.10mL、0.25mmol、17当量)を滴下した。10分後、反応混合物を、アルキン96(11.0mg、14.4μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を−78℃で撹拌したものに加え、反応混合物を3時間でゆっくりと0℃まで加温した。次いで、反応混合物を水(5mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロン97(8.1mg、9.1μmol、収率63%)を無色油状物として得た。97:R=0.43(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(ブタ−3−イン−1−イル)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(39):
Figure 2020516626
保護されたエポチロン97(5.6mg、6.3μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.9mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加えた。2時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を撹拌しつつ、25℃でテトラヒドロフラン(0.5mL)に再び溶解し、酢酸(90.0mg、1.50mmol、過剰量)及びn−テトラブチルアンモニウムフルオリド(1.0MのTHF溶液、1.50mL、1.50mmol、過剰量)をテトラヒドロフラン(0.5mL)中であらかじめ混合した溶液を加えた。8時間後、反応混合物を水(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)によって精製し、純粋なエポチロン39(2.5mg、4.2μmol、全体で収率68%)を白色アモルファス固体として得た。39:R=0.24(シリカゲル,20%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−17−(2−アジドエチル)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(34):
Figure 2020516626
エポチロン12(12.8mg、22.0μmol、1.0当量)のジクロロメタン(1mL)溶液を0℃で撹拌し、これにp トルエンスルホン酸無水物(35.8mg、0.110mmol、5.0当量)を加え、次いで、トリエチルアミン(12.3μL、88.0μmol、4.0当量)を加えた。反応混合物を30分でゆっくりと25℃まで加温市、さらに15分間撹拌した。次いで、反応混合物をメタノール(0.5mL)及び水(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(15mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルパッドを通して濾過し、酢酸エチル(15mL)を用いて十分に洗浄し、減圧下で濃縮した。次いで、得られた残渣トシレートを撹拌しつつ、25℃でジメチルホルムアミド(0.5mL)に溶解し、ナトリウムアジド(5.7mg、88.0μmol、4.0当量)を加えた。17時間後、反応混合物を水(5mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した(15mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→90%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン34(5.3mg、8.7μmol、全体で収率40%)を白色アモルファス固体として得た。34:R=0.35(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−17−(2−スルファニルエチル)−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(35):
Figure 2020516626
エポチロン12(5.0mg、8.6μmol、1.0当量)のジクロロメタン(0.5mL)溶液を0℃で撹拌し、これにp−トルエンスルホン酸無水物(5.6mg、17μmol、2.0当量)を加え、次いで、トリエチルアミン(2.4μL、17μmol、2.0当量)を加えた。5分後、反応混合物をメタノール(0.5mL)及び水(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルパッドを通して濾過し、酢酸エチル(15mL)を用いて十分に洗浄し、減圧下で濃縮した。得られた未精製トシレートを撹拌しつつ、0℃でジメチルホルムアミド(0.5mL)に溶解し、硫化水素ナトリウム(1.0mg、17μmol、2.0当量)を加え、反応混合物を1.5時間でゆっくりと15℃まで加温した。次いで、反応混合物を水(5mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、10%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン35(2.6mg、4.3μmol、全体で収率54%)を白色アモルファス固体として得た。35:R=0.18(シリカゲル,10%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
2−[(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−{(1E)−1−[2−(メチルスルファニル)−1,3−チアゾール−4−イル]プロパ−1−エン−2−イル}−5,9−ジオキソ−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカ−17−イル]エチルアセテート(36):
Figure 2020516626
エポチロン12(3.5mg、6.0μmol、1.0当量)のジクロロメタン(1mL)溶液を0℃で撹拌し、これにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.1mg、12μmol、2.0当量)を加え、次いで、塩化アセチル(1.1mg、12μmol、2.0当量)を加えた。1時間後、反応混合物をメタノール(1mL)及び水(5mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、2.5%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン36(3.3mg、5.3μmol、収率88%)を白色アモルファス固体として得た。36:R=0.19(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
スキームS17.ホスホネート65の合成
Figure 2020516626
(2−メチル−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−イミダゾール−4−イル)メタノール(S59):
Figure 2020516626
アルデヒドS57(0.485g、4.40mmol、1.0当量)のジクロロメタン(12mL)溶液を0℃で撹拌し、これに2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(0.953g、5.72mmol、1.3当量)を加え、次いで、N,N ジイソプロピルエチルアミン(0.996mL、5.72mmol、1.3当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(27mg、0.22mmol、0.05当量)を加えた。20分後、反応混合物をメタノール(12mL)で希釈し、水素化ホウ素ナトリウム(0.168g、4.40mmol、1.0当量)を加えた。10分後、反応混合物をアセトン(10mL)及び水(40mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→15%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なヒドロキシメチルイミダゾールS59(0.820g、3.38μmol、収率77%)を無色油状物として得た。S59:R=0.41(シリカゲル,20%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
ジエチル[(2−メチル−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−イミダゾール−4−イル)メチル]ホスホネート(65):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルイミダゾールS59(0.604g、2.49mmol、1.0当量)の入ったフラスコに、撹拌しつつ、0℃で塩化チオニル(1.8mL、25mmol、10当量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。2時間後、塩化チオニルを減圧下で除去した。得られた残渣に、撹拌しつつトリエチルホスファイト(830mg、5.0mmol、2.0当量)を加え、反応混合物を160℃で加熱した。2時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→15%メタノールのアセトン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート65(550mg、1.5mmol、収率61%)を無色油状物として得た。65:R=0.36(シリカゲル,20%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS18.ホスホネート63の合成
Figure 2020516626
1,2,3−チアジアゾール−4−イルメタノール(S54):
Figure 2020516626
チアジアゾールエチルエステルS53(650mg、4.11mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(41mL)溶液を0℃で撹拌し、これに水素化アルミニウムリチウム(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、1.39mL、1.39mmol、0.5当量)を滴下した。45分後、反応混合物を、硫酸ナトリウム十水和物(13.2g、41.0mmol、10.0当量)を注意深く加えてクエンチし、25℃まで加温した。次いで、反応混合物をCelite(登録商標)パッドを通して濾過し、酢酸エチル(50mL)で十分に洗浄し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液によって精製し、純粋なヒドロキシメチルチアジアゾールS54(267mg、2.30mmol、収率56%)を無色油状物として得た。S54:R=0.21(シリカゲル,50%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
4−(ブロモメチル)−1,2,3−チアジアゾール(S55):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルチアジアゾールS54(251mg、2.16mmol、1.0当量)のジクロロメタン(22mL)溶液を0℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(850mg、3.24mmol、1.5当量)を加え、次いで、四臭化炭素(1.07g、3.24mmol、1.5当量)を加えた。30分後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(8mL)及び飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(8mL)で連続してクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層をジクロロメタンで抽出し(5mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5→15%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルチアジアゾールS55(248mg、1.39mmol、収率64%)を白色アモルファス固体として得た。S55:R=0.26(シリカゲル,15%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル(1,2,3−チアジアゾール−4−イルメチル)ホスホネート(63):
Figure 2020516626
ブロモメチルチアジアゾールS55(248mg、1.39mmol、1.0当量)のベンゼン(4.6mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルホスファイト(1.2mL、7.0mmol、5.0当量)を加えた。反応混合物を12時間で100℃まで加熱し、25℃まで冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→5%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なホスホネート63(305mg、1.29mmol、収率93%)を無色油状物として得た。63:R=0.32(シリカゲル,5%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
スキームS19.ホスホネート64の合成
Figure 2020516626
ジエチル(1,2,4−オキサジアゾール−3−イルメチル)ホスホネート(64):
Figure 2020516626
クロロメチルオキサジアゾールS56(0.230g、1.94mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(678mg、4.08mmol、2.1当量)溶液を撹拌し、これを160℃まで加熱した。2時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、40→90%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネート64(375mg、1.70mmol、収率89%)を無色油状物として得た。64:R=0.25(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
スキームS20.ホスホネート66〜68の合成
Figure 2020516626
[1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−イル]メタノール(S62):
Figure 2020516626
ピラゾールS61(15.0g、98.6mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(274mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、47.3mL、118mmol、1.2当量)を滴下した。20分後、ジメチルホルムアミド(9.10mL、118mmol、1.2当量)を加え、撹拌をさらに20分間続けた。次いで、反応混合物をメタノール(60mL)でクエンチし、0℃まで加温し、水素化ホウ素ナトリウム(7.46g、197mmol、2.0当量)を何回かに分けて加えた。30分後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)でクエンチし、水(100mL)で希釈した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(50mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なヒドロキシメチルピラゾールS62(17.4g、95.6mmol、収率97%)を無色油状物として得た。S62:R=0.22(シリカゲル,50%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
5−(ブロモメチル)−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール(S63):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルピラゾールS62(9.0g、49mmol、1.0当量)のジクロロメタン(490mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(13.7g、51.9mmol、1.05当量)を加え、次いで、N−ブロモスクシンイミド(8.88g、49.4mmol、1.0当量)を加えた。40分後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(250mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した(50mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20→40%ジエチルエーテルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルピラゾールS63(8.0g、33mmol、収率66%)を無色油状物として得た。S63:R=0.34(シリカゲル,40%ジエチルエーテルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−イル]メチル}ホスホネート(S64):
Figure 2020516626
ブロモメチルピラゾールS63(3.61g、14.7mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(17.6mL、103mmol、7.0当量)の溶液を撹拌し、100℃まで加熱した。18時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液によって精製し、純粋なホスホネートS64(3.55g、11.8mmol、収率80%)を無色油状物として得た。S64:R=0.33(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
ジエチル(1H−ピラゾール−3−イルメチル)ホスホネート(S65):
Figure 2020516626
ホスホネートS64(3.55g、11.7mmol、1.0当量)のエタノール(117mL)溶液を25℃で撹拌し、これに塩酸(濃塩酸、0.11mL、3.5mmol、0.3当量)を加えた。18時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、直接的に、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル0→5%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なホスホネートS65(2.51g、11.5mmol、収率98%)を無色油状物として得た。S65:R=0.35(シリカゲル,5%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[1−(4−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(S69):
Figure 2020516626
ホスホネートS65(544mg、2.49mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(25mL)溶液を25℃で撹拌し、水素化ナトリウム(鉱物油中60%w/w、398mg、9.96mmol、4.0当量)を加えた。30分後、フルオロベンゼンS66(0.28mL、2.61mmol、1.05当量)を加え、反応混合物を70℃まで加熱した。1時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液(15mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(7mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なホスホネートS69(255mg、0.750mmol、収率30%)を白色アモルファス固体として得た。S69:R=0.30(シリカゲル,50%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[1−(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(S70):
Figure 2020516626
ホスホネートS65(823mg、3.77mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(38mL)溶液を25℃で撹拌し、これに水素化ナトリウム(鉱物油中60%w/w、604mg、15.1mmol、4.0当量)を加えた。30分後、フルオロベンゼンS67(0.43mL、3.96mmol、1.05当量)を加え、反応混合物を70℃まで加熱した。1時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(8mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、25%ヘキサンの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なホスホネートS70(700mg、1.96mmol、収率52%)を白色アモルファス固体として得た。S70:R=0.28(シリカゲル,25%ヘキサンの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
ジエチル({1−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−3−イル}メチル)ホスホネート(S71):
Figure 2020516626
ホスホネートS65(809mg、3.71mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(37mL)溶液を25℃で撹拌し、これに水素化ナトリウム(鉱物油中60%w/w、592mg、14.8mmol、4.0当量)を加えた。30分後、フルオロベンゼンS68(0.54mL、3.90mmol、1.05当量)を加え、反応混合物を70℃まで加熱した。1時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(8mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)によって精製し、純粋なホスホネートS71(664mg、1.63mmol、収率44%)を白色アモルファス固体として得た。S71:R=0.39(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
ジエチル{[1−(4−アミノフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(S72):
Figure 2020516626
ホスホネートS69(350mg、1.03mmol、1.0当量)の酢酸エチル(21mL)溶液を25℃で撹拌し、これに10%Pd/C(25%w/w、88mg)を加え、次いで、水素雰囲気を導入した(1atm)。2時間後、水素雰囲気を除去し、反応混合物を短いCelite(登録商標)パッドを通して濾過し、酢酸エチル(50mL)を用いて十分に洗浄し、減圧下で濃縮した。得られたホスホネートS72(淡黄色アモルファス固体、316mg、1.02mmol、収率99%)は、次の工程に直接使用するのに十分に純粋であった。S72:R=0.27(シリカゲル,5%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
ジエチル{[1−(4−アミノ−3−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチル}ホスホネート(S73):
Figure 2020516626
ホスホネートS70(700mg、1.96mmol、1.0当量)の酢酸エチル(39mL)溶液を25℃で撹拌し、これに10%Pd/C(25%w/w、175mg)を加え、次いで、水素雰囲気を導入した(1atm)。2時間後、水素雰囲気を除去し、反応混合物を短いCelite(登録商標)パッドを通して濾過し、酢酸エチル(75mL)を用いて十分に洗浄し、減圧下で濃縮した。得られたホスホネートS73(白色アモルファス固体、628mg、1.92mmol、収率99%)は、次の工程に直接使用するのに十分に純粋であった。S73:R=0.39(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
ジエチル({1−[4−アミノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−3−イル}メチル)ホスホネート(S74):
Figure 2020516626
ホスホネートS71(667mg、1.64mmol、1.0当量)の酢酸エチル(33mL)溶液を25℃で撹拌し、これに10%Pd/C(25%w/w、167mg)を加え、次いで、水素雰囲気を導入した(1atm)。2時間後、水素雰囲気を除去し、反応混合物を短いCelite(登録商標)パッドを通して濾過し、酢酸エチル(70mL)を用いて十分に洗浄し、減圧下で濃縮した。得られたホスホネートS74(白色アモルファス固体、611mg、1.62mmol、収率99%)は、次の工程に直接使用するのに十分に純粋であった。S74:R=0.39(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
ジエチル[(1−{4−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]フェニル}−1H−ピラゾール−3−イル)メチル]ホスホネート(66):
Figure 2020516626
ホスホネートS72(251mg、0.810mmol、1.0当量)のアセトニトリル(8.1mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(0.34mL、2.4mmol、3.0当量)を加え、次いで、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.56mL、2.4mmol、3.0当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(29mg、0.24mmol、0.3当量)を加え、反応混合物を70℃まで加熱した。12時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(3mL×3回)。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)によって精製し、純粋なホスホネート66(220mg、0.43mmol、収率53%)を無色油状物として得た。66:R=0.30(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
ジエチル[(1−{4−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−フルオロフェニル}−1H−ピラゾール−3−イル)メチル]ホスホネート(67):
Figure 2020516626
ホスホネートS73(0.640g、1.96mmol、1.0当量)のアセトニトリル(19.6mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(0.82mL、5.9mmol、3.0当量)を加え、次いで、ジ−tert−ブチルジカーボネート(1.35mL、5.88mmol、3.0当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(72mg、0.59mmol、0.3当量)を加え、反応混合物を70℃まで加熱した。12時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液(15mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(5mL×3回)。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)によって精製し、純粋なホスホネート67(485mg、0.92mmol、収率47%)を無色油状物として得た。67:R=0.56(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
ジエチル[(1−{4−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}−1H−ピラゾール−3−イル)メチル]ホスホネート(68):
Figure 2020516626
ホスホネートS74(0.30g、0.80mmol、1.0当量)のアセトニトリル(8.0mL)溶液を25℃で撹拌し、これにトリエチルアミン(0.33mL、2.4mmol、3.0当量)を加え、次いで、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.55mL、2.40mmol、3.0当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(29mg、0.24mmol、0.3当量)を加え、反応混合物を70℃まで加熱した。12時間後、反応混合物を25℃まで冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチした。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(3mL×3回)。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)によって精製し、純粋なホスホネート68(405mg、0.700mmol、収率88%)を無色油状物として得た。68:R=0.56(シリカゲル,酢酸エチル);
Figure 2020516626
スキームS21.ホスホネートS78の合成
Figure 2020516626
(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メタノール(S76):
Figure 2020516626
チアゾリルエステルS75(1.50g、8.76mmol、1.0当量)のジクロロメタン(15mL)溶液を−78℃で撹拌し、これに水素化ジイソブチルアルミニウム(1.0Mジクロロメタン溶液、13.1mL、13.1mmol、1.5当量)を滴下した。5分後、反応混合物をメタノール(15mL)でクエンチし、0℃まで加温した。水素化ホウ素ナトリウム(994mg、26.3mmol、3.0当量)を加え、10分後、反応混合物を飽和酒石酸カリウムナトリウム水溶液(40mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(20mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50→100%酢酸エチルのヘキサン溶液によって精製し、純粋なヒドロキシメチルチアゾールS76(0.925g、7.16mmol、収率82%)を無色油状物として得た。S76:R=0.19(シリカゲル,20%ヘキサンの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール(S77):
Figure 2020516626
ヒドロキシメチルチアゾールS76(0.910g、7.04mmol、1.0当量)のジクロロメタン(20mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにトリフェニルホスフィン(1.85g、7.04mmol、1.0当量)を加え、次いで、N−ブロモスクシンイミド(1.25g、7.04mmol、1.0当量)を加えた。5分後、反応混合物を水(20mL)でクエンチし、25℃まで加温した。2相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(20mL×3回)。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、15→30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製し、純粋なブロモメチルチアゾールS77(0.820g、4.27mmol、収率61%)を無色油状物として得た。S77:R=0.38(シリカゲル,30%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
ジエチル[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]ホスホネート(S78):
Figure 2020516626
ブロモメチルチアゾールS77(0.808g、4.21mmol、1.0当量)のトリエチルホスファイト(1.75g、10.5mmol、2.5当量)溶液を撹拌し、これを160℃まで加熱した。2時間後、一定流量の窒素ガス下、トリエチルホスファイトを除去し、反応混合物を25℃まで冷却した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1→5%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なホスホネートS78(0.950g、3.81mmol、収率90%)を無色油状物として得た。S78:R=0.35(シリカゲル,5%メタノールの酢酸エチル溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−7,11−ビス[(トリエチルシリル)オキシ]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(S79):
Figure 2020516626
ホスホネートS78(102mg、0.409mmol、8.2当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を−78℃で撹拌し、これにn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、0.13mL、0.33mmol、6.5当量)を滴下した。30分後、メチルケトン55(45mg、70μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温し、さらに20分間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(5mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0→3%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋な保護されたエポチロンS79(12.6mg、17.1μmol、収率35%)を無色油状物として得た。S79:R=0.34(シリカゲル,2.5%酢酸エチルのヘキサン溶液);
Figure 2020516626
(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)プロパ−1−エン−2−イル]−4−オキサ−17−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(10):
Figure 2020516626
保護されたエポチロンS79(10.6mg、14.4μmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液を0℃で撹拌し、これにフッ化水素−ピリジン複合体(70%HF、0.10mL、3.9mmol、過剰量)を加え、反応混合物をゆっくりと25℃まで加温した。4時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチし、2相を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mL×3回)、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、30%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製し、純粋なエポチロン105.2mg、10μmol、収率71%)を白色アモルファス固体として得た。化合物10の特性決定は、上に含まれている。
実施例4−生体活性
A.細胞毒性アッセイのための方法
T75フラスコ中、50〜80%のコンフルエントになるまで細胞を培養し、トリプシンを用いて集め、単一の細胞懸濁物にした。500個の細胞/ウェルを、組織培養プレートに50μL/ウェル培地で接種し、37℃で18〜24時間インキュベートした。化合物を、DMSO中、最終的な所望濃度の400倍に希釈した。次いで、DMSO中の段階希釈は、最終DMSO濃度が0.25%になるように培地で希釈され、50μL/ウェルの最終希釈物を細胞に添加した(Vf=100μL)。接種し、処理したら、細胞をさらに72時間、インキュベーターに戻した。製造業者の指示に沿ってCellTiter−Glo試薬を調製し、100μL/ウェルで培養物に加えた。CellTiter−Gloによって、細胞内ATP濃度を定量することによって、代謝的に活性な細胞の相対的な列挙が可能になる。室温で、CellTiter−Gloと共に5分間インキュベートした後、125μL/ウェルのCell Titer Glo/細胞溶解物溶液を黒色アッセイプレートに移し、次いで、30分以内に照度計を用いて読み取った。処理を受けなかった(細胞培地のみ)培養物から得られた発光の読みを100%コントロールとして設定し、全ての他の発光値を、これらのコントロールに対して正規化した(例えば、正規化されたRLU、相対的な発光単位)。
B.生物学的アッセイのための細胞株
MES SA及びMES SA/Dx細胞は、ヒト子宮肉腫である。MES SA Dx細胞株をMES SAから作成し、MDR1のアップレギュレーションを達成した。MES−SA/Dx細胞は、多くの化学療法剤(ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ビンクリスチン、タキソール、コルヒチンを含む)に対して顕著な交差耐性を示し、マイトマイシンC及びメルファランに対して中程度の交差耐性を示す。293T細胞は、ヒト胎児腎臓細胞株である。
C.生物学的アッセイ
合成されたアジリジニルエポチロン類似体(8〜40)に対して、いくつかの薬物耐性細胞株(表3及び4を参照)を含むいくつかのヒト癌細胞株に対する細胞毒性及びチューブリン重合特性(表3)に関して、生物学的評価を行った。エポチロンDメチルチオピラゾリル類似体73(スキーム6)と、ヘテロ環状側鎖を欠くアジリジニルの末端切断したエポチロン中間体79及び81(スキーム11)、エポチロンA〜D(1〜4、スキーム1)、イクサベピロン(5、スキーム1)、チューブリン安定化剤であるモノメチルオーリスタチンE[MMAE、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris(登録商標))のペイロード]及びN−アセチルカリケアマイシンγ [NAC、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(登録商標))のペイロード]も、比較のためにこれら多くの合成された化合物と共に試験した(表3及び4を参照)。
表3からわかるだろうが、合成された化合物について、チューブリン重合と細胞毒性の強度との間には、かなりの相関関係があり(しかし、常にではない)、アジリジニルエポチロンB類似体9、14、17、23、34、36及び39は、非常に薬物耐性があるヒト卵巣癌細胞株を含め、一連のヒト癌細胞株に対して顕著な効能を示す[NCI/ADR−RES、GI50=対パクリタキセルで3.2〜8.8nM:GI50=4800nM;イクサベピロン(5):GI50=1400nM、表3を参照]。表4は、ヒト子宮肉腫細胞株MES SA、顕著な多剤耐性を有するヒト子宮肉腫細胞株MES SA DX及びヒト胎児腎臓癌細胞株HEK 293Tについて、合成したアジリジニルエポチロンB類似体の効能を示す。これらの試験において、最も顕著な効能は、類似体10、12、13、17、24、34及び36〜39によって示され、全てナノモル濃度未満の範囲である(IC50は、MMAEに対して0.02nMより低い:IC50≧0.068nM;NAC:IC50≧0.166nM;パクリタキセル:3種類全ての細胞株に対し、IC50≧1.76nM;表4を参照)。
本開示の化合物の多くは、顕著な多剤耐性を有するMES SA DX細胞株を含め、試験した細胞株に対して、低いピコモル濃度の活性を示した(IC50はMMAEに対して0.51nMより低い:IC50=88.19nM;NAC:IC50=15.31nM;パクリタキセル:IC50>400nM、表4を参照)これら多くのアジリジニルエポチロンB類似体及びその反応性化学部分の高い効能は、抗体−薬物コンジュゲートのための有望なペイロードとして定性する。これらの化合物についての死滅プロットを図1A〜3Hに示す。
12,13−オレフィンピラゾリルエポチロンD(エポキシド部分を欠く)類似体73の相対的に高い効能(GI50=5.0〜52nM、表3及び0.17〜39.18nM、表4)も示されている。ヘテロ環状側鎖を欠いているにもかかわらず、先端が切除されたメチルケトンアジリジンエポチロンの顕著な細胞毒性81(79とは対照的、表3及び4を参照)も注記する。これらの試験は、既に開発されたSARを確認し、拡大するエポチロン構造群中のさらなる構造−活性関係(SAR)の製剤を促した(Altmannet al.、2007)。したがって、C12−C13アジリジニルエポチロンB類似体は、一般的に、対応するエポキシド類似体より強力であることがわかっており、そのオレフィン前駆対よりも強力であることが知られている(エポチロンD類似体73を除く)。これらの観察結果は、分子のC12〜C13領域が、エポチロンの生物学的標的であるβ−チューブリンとの重大な結合相互作用に関与していないという仮説と一致する。この概念は、エポチロン−チューブリン複合体のX線結晶解析によって既に確認された。(Nettleset al.、2004)。アジリジン部分の窒素原子上の広範囲にわたる側鎖の変動が許容される。アジリジン置換基の広い官能基許容性も、多剤耐性ヒト癌細胞株に対して強い作用を示す類似体の中で明らかである(例えば、12、14、34、36及び39、表3及び4を参照)。
C12〜C13領域とは対照的に、高い効能のための置換基の許容性は、分子の側鎖領域でかなり大きく制限されていることがわかった。したがって、特定のC12〜C13アジリジニルエポチロンBファミリー(すなわち、N−ヒドロキシエチルアジリジン)内の20ヘテロ環状側鎖の一部が非常に活性であることがわかっており、これらの高い活性の化合物は、ヘテロ環中のほぼ同じ位置に、不可欠な塩基性窒素原子を有する。しかし、許容される側鎖の変動はかなり制限された範囲であるにも関わらず、これらの試験は、新しく非常に強力なヘテロ環状構造モチーフを明らかにし、メチルチオオキサゾールが類似体17の構造に含まれる。
(表3)チューブリン会合誘発(EC50)及び細胞毒性(GI50)アッセイデータ
Figure 2020516626
EC50は、コントロールの50%の未結合タンパク質上清を与える薬物濃度である。GI50は、細胞成長が50%減少するのに必要な化合物濃度である。ヒト乳癌細胞株ヒト卵巣癌細胞株非常に薬物耐性が高いヒト卵巣癌細胞株ヒト黒色腫細胞株ヒト膠芽腫細胞株
(表4) エポチロン類似体について、癌細胞株MES SA、MES SA DX及びHEK 293Tに対する細胞毒性データ
Figure 2020516626
IC50は、細胞成長に対する化合物の50%阻害濃度である。さらなる詳細については、上の細胞毒性方法の章を参照。ヒト子宮肉腫細胞株;顕著な多剤耐性を有するMES SA細胞株;ヒト胎児腎臓癌細胞株
本明細書に開示され、請求される全ての組成物及び/又は方法は、本開示の観点で過度な実験を行うことなく、なされ、実行されてもよい。本開示の組成物及び方法は、好ましい実施形態の観点で記載されてきたが、本開示の概念、精神及び範囲を逸脱することなく、本明細書に記載の組成物及び/又は方法、工程又は方法の工程の順序に変化が加えられてもよいことは当業者には明らかであろう。より特定的には、化学的及び生理学的に関連する特定の薬剤を、同じ結果又は同様の結果が達成されつつ、本明細書に記載される薬剤に交換されてもよいことは明らかであろう。当業者に明らかな全てのこのような同様の代替物及び改変は、添付の特許請求の範囲に定義されるような本開示の精神、範囲及び概念の範囲内であると考えられる。
V.参考文献
以下の参考文献は、本明細書に示されるものに対して補助的な例示的な手順又は他の詳細を与える程度まで、本明細書に具体的に参考として組み込まれる。
Figure 2020516626
Figure 2020516626
Figure 2020516626
Figure 2020516626
Figure 2020516626

Claims (25)

  1. 下記式の化合物:
    Figure 2020516626
    〔式中、
    は、−O−又は−NR−であり、ここで、
    は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
    は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
    は、ヘテロアリール(C≦12)、−ヘテロアレーンジイル(C≦8)−R、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
    は、アルキル(C≦12)、アリール(C≦12)、アラルキル(C≦12)、ヘテロアリール(C≦12)、ヘテロアラルキル(C≦12)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
    は、水素又はアルキル(C≦12)、シクロアルキル(C≦12)、又は任意のいずれかの基の置換された態様であり、
    は、アルキル(C≦12)、シクロアルキル(C≦12)、又は任意のいずれかの基の置換された態様である〕、
    又はその医薬的に許容される塩。
  2. 以下のようにさらに定義される、請求項1に記載の化合物:
    Figure 2020516626
    〔式中、
    、R及びRは、上に定義されるとおりであり、
    は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    は、−O−又は−NRであり、ここで、
    は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
    は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
    は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル(C≦6)、置換アルキル(C≦6)、ヘテロアリール(C≦8)、置換ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、置換ヘテロアラルキル(C≦8)、アルコキシ(C≦6)、置換アルコキシ(C≦6)、アルキルチオ(C≦6)又は置換アルキルチオ(C≦6)であるか、又は
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    及びXは、それぞれ独立して、−O−又は−NR−であり、ここで、
    は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アリール(C≦8)、アラルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
    及びRは、それぞれ独立して、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)、置換アルコキシ(C1−3)、アルキルチオ(C1−3)又は置換アルキルチオ(C1−3)であるか、又は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    、X及びXは、それぞれ独立して、−O−、−S−又は−NR−であり、ここで、
    は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
    は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)である〕、又は、
    化合物〔式中、
    、R及びRは、上に定義されるとおりであり、
    は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    10は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
    11は、アルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)又は置換ヘテロアリール(C≦8)である〕、
    化合物〔式中、
    、R及びRは、上に定義されるとおりであり、
    は、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    12は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
    13は、アルキル(C≦6)又は置換アルキル(C≦6)であり、
    但し、R
    Figure 2020516626
    である場合、Rは、2−ヒドロキシエチルではない〕、
    又はその医薬的に許容される塩。
  3. 以下のようにさらに定義される、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の化合物:
    Figure 2020516626
    〔式中、
    、R及びXは、上に定義されるとおりである〕、
    又はその医薬的に許容される塩。
  4. 以下のようにさらに定義される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2020516626
    〔式中、
    及びRは、上に定義されるとおりである〕、
    又はその医薬的に許容される塩。
  5. 以下のようにさらに定義される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2020516626
    〔式中、
    及びRは、上に定義されるとおりである〕、
    又はその医薬的に許容される塩。
  6. 以下のようにさらに定義される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2020516626
    〔式中、
    は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    は、−O−又は−NRであり、ここで、
    は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
    は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
    は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル(C≦6)、置換アルキル(C≦6)、ヘテロアリール(C≦8)、置換ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、置換ヘテロアラルキル(C≦8)、アルコキシ(C≦6)、置換アルコキシ(C≦6)、アルキルチオ(C≦6)又は置換アルキルチオ(C≦6)である〕、又は
    又はその医薬的に許容される塩。
  7. 以下のようにさらに定義される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2020516626
    〔式中、
    は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    及びXは、それぞれ独立して、 −O−又は−NR−であり、ここで、
    は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アリール(C≦8)、アラルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
    及びRは、それぞれ独立して、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であるか、又は
    但し、R
    Figure 2020516626
    である場合、Rは、2−ヒドロキシエチルではない〕、
    又はその医薬的に許容される塩。
  8. 以下のようにさらに定義される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2020516626
    〔式中、
    は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    、X及びXは、それぞれ独立して、−O−、−S−又は−NR−であり、ここで、
    は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
    は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)である〕、
    又はその医薬的に許容される塩。
  9. 以下のようにさらに定義される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2020516626
    〔式中、
    は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    10は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
    11は、アルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)又は置換ヘテロアリール(C≦8)である〕、
    又はその医薬的に許容される塩。
  10. 以下のようにさらに定義される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2020516626
    〔式中、
    は、シクロアルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    12は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
    13は、アルキル(C≦6)又は置換アルキル(C≦6)である〕、
    又はその医薬的に許容される塩。
  11. がアルキル(C≦6)である、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
  12. がアルキル(C≦6)である、請求項1、2及び11のいずれか一項に記載の化合物。
  13. が−O−である、請求項1〜3、11及び12のいずれか一項に記載の化合物。
  14. が、水素、アルキル(C≦6)、置換アルキル(C≦6)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)又はアルキン(C≦6)である、請求項1〜9、11、12及び13のいずれか一項に記載の化合物。
  15. 請求項1〜10、11、12、13及び14のいずれか一項に記載の化合物:〔式中、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    は、−O−又は−NRであり、ここで、
    は、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
    は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、アルキル(C≦6)、置換アルキル(C≦6)、ヘテロアリール(C≦8)、置換ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、置換ヘテロアラルキル(C≦8)、アルコキシ(C≦6)、置換アルコキシ(C≦6)、アルキルチオ(C≦6)又は置換アルキルチオ(C≦6)であり、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    及びXは、それぞれ独立して、−O−又は−NR−であり、ここで、
    は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、アリール(C≦8)、アラルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロアラルキル(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
    及びRは、それぞれ独立して、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)、置換アルコキシ(C1−3)、アルキルチオ(C1−3)又は置換アルキルチオ(C1−3)であり、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    、X及びXは、それぞれ独立して、−O−、−S−又は−NR−であり、ここで、
    は、存在しないか、水素又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、但し、Rが存在しない場合、結合される原子は、二重結合の一部であり、但し、Rが結合する原子である場合、Rは存在せず、
    は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
    は、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    10は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
    11は、アルキル(C≦8)、ヘテロアリール(C≦8)又は置換ヘテロアリール(C≦8)であるか、
    又はRは、
    Figure 2020516626
    であり、式中、
    12は、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、アルキル(C1−3)、置換アルキル(C1−3)、アリール(C≦8)、置換アリール(C≦8)、アルコキシ(C1−3)又は置換アルコキシ(C1−3)であり、
    13は、アルキル(C≦6)又は置換アルキル(C≦6)である〕。
  16. 前記化合物が、以下のようにさらに定義される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2020516626
    Figure 2020516626
    Figure 2020516626
    Figure 2020516626
    Figure 2020516626
    又はその医薬的に許容される塩。
  17. 以下のようにさらに定義される、請求項16に記載の化合物:
    Figure 2020516626
    Figure 2020516626
    Figure 2020516626
    Figure 2020516626
    又はその医薬的に許容される塩。
  18. 以下のようにさらに定義される、請求項17に記載の化合物:
    Figure 2020516626
    Figure 2020516626
    又はその医薬的に許容される塩。
  19. (a)請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物と、
    (b)医薬的に許容される担体と
    を含む、医薬組成物。
  20. 患者において、疾患又は障害を治療する方法であって、これを必要とする患者に、治療有効量の請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物又は組成物を投与することを含む、方法。
  21. 前記疾患又は障害が癌である、請求項20に記載の方法。
  22. (a)抗体と、
    (b)請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物
    とを含む、抗体薬物コンジュゲート。
  23. 前記抗体と前記化合物とがリンカーを介して接続している、請求項22に記載の抗体薬物コンジュゲート。
  24. 下記式の化合物を調製する方法であって、
    Figure 2020516626
    〔式中、
    は、−O−又は−NR−であり、ここで、
    は、水素、一価アミン保護基、又はアルキル(C≦8)、シクロアルキル(C≦8)、−アルカンジイル(C≦6)−シクロアルキル(C≦8)、アラルキル(C≦8)、又はこれらのいずれかの基の置換された態様であり、
    及びYは、それぞれ独立して、アミノ、ヒドロキシ、又はアルコキシ(C≦8)、アラルコキシ(C≦8)、アシルオキシ(C≦8)、アルキルアミノ(C≦8)、ジアルキルアミノ(C≦8)、アミド(C≦8)、又はこれらの任意の基の置換された態様であるか、又は−ORであり、ここで、
    は、ヒドロキシ保護基であり、
    は、アルキル(C≦12)、シクロアルキル(C≦12)、アルケニル(C≦12)、アルキニル(C≦12)、アリール(C≦12)、又はこれらの任意の基の置換された態様であり、
    は、水素又はアルキル(C≦12)、シクロアルキル(C≦12)、アルケニル(C≦12)、アルキニル(C≦12)、アリール(C≦12)、又はこれらの任意の基の置換された態様である〕、
    下記式の化合物、
    Figure 2020516626
    〔式中、
    、Y、Y、R及びRは、上に定義されるとおりである〕と、
    O−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミンとを、Rh触媒存在下で反応させることを含む、方法。
  25. 前記Rh触媒が、Rh(II)触媒であり、前記Rh触媒が、約0.25%〜約5%のモル%で存在するか、又は前記方法が、式VIの化合物とO−(2,4−ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミンとを約1:1〜約1:5の比率で加えることを含む、請求項24に記載の方法。
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