詳細な説明
本発明のある特定の方法は、脂質製剤治療薬(複数可)の安全性及び忍容性の改善を促進するために使用することができる。例えば、本発明は、少なくとも1つの脂質製剤治療薬の、それを必要とする哺乳動物(例えば、それを必要とするヒトなどのヒト)への静脈内投与に伴うインフュージョンリアクションを治療する、予防する、発症のリスクもしくは可能性を低減する(例えば、感受性を低減する)、及び/または改善するための方法であって、少なくとも1つの脂質製剤治療薬を静脈内投与する前に、治療有効量の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を注射により哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
本明細書で使用される場合、用語「インフュージョンリアクション」とは、タンパク質、リポソーム、ミセル、及び他の天然もしくは合成の巨大分子、凝集体、またはナノ粒子、例えばサブミクロンサイズ範囲の脂質ナノ粒子の静脈内投与中及び投与後に時として起こる場合がある種々の症状を指す。そのような反応の徴候には、頻脈、徐脈、呼吸困難、低血圧、高血圧、胸痛、不整脈、紅潮、じんましん、全身性掻痒症、発熱、硬直、及び気管支痙攣を含み得るが、これらに限定されない。関連する検査所見の異常には、白血球過多、急性期反応物の増加、サイトカイン及びトロンボキサンB2濃度の増加が含まれ得る。反応は急性反応でも遅発性反応でもあり得る。例えば、実施例に記載されているように、急性高血圧作用は注入開始から数分以内に観察されるのに対して、遅発性低血圧は数時間後(例えば、注入開始の8〜9時間後)に観察された。所与の対象のインフュージョンリアクションは、単一の症状を含む場合もあれば、複数の症状を含む場合もある。さらに、注入開始後に所与の症状の複数発現を対象が経験する場合がある。一般に、症状は通常、注入開始後の約24時間以内に沈静化する。
したがって、本発明のある特定の実施形態では、インフュージョンリアクションは、頻脈、徐脈、呼吸困難、低血圧、高血圧、胸痛及び/または胸部圧迫感、不整脈、紅潮、じんましん、全身性掻痒症、発熱、硬直、気管支痙攣、白血球過多、急性期反応物の増加、サイトカイン濃度の増加、ならびにトロンボキサンB2濃度の増加から選択される1つ以上の症状を含む。ある特定の実施形態では、インフュージョンリアクションは高血圧及び/または低血圧を含む。ある特定の実施形態では、インフュージョンリアクションは高血圧とそれに続く低血圧を含む。ある特定の実施形態では、インフュージョンリアクションは血漿トロンボキサンB2濃度の増加を含む。
本明細書で使用される場合、用語「改善する」または「改善すること」とは、インフュージョンリアクションの1つ以上の症状の発生もしくは再発の予防、インフュージョンリアクションの症状の緩和、インフュージョンリアクションの直接的もしくは間接的な病理学的帰結の減少、インフュージョンリアクションの進行速度の低下、及び/またはインフュージョンリアクションの1つ以上の症状の重症度の軽減を指す。インフュージョンリアクションの症状を検出/測定するための方法は、当技術分野で公知であり、例えば、実施例に記載されている方法を使用する。ある特定の実施形態では、対照哺乳動物、例えばNSAIDの事前注射なしに脂質製剤治療薬を静脈内投与された哺乳動物と症状を比較する。
本発明のある特定の実施形態は、少なくとも1つの脂質製剤治療薬の、それを必要とする哺乳動物(例えば、それを必要とするヒトなどのヒト)への静脈内投与に伴うインフュージョンリアクションを治療する方法であって、少なくとも1つの脂質製剤治療薬を静脈内投与する前に、治療有効量の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を注射により哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
本発明のある特定の実施形態はまた、疾患または病態の治療を必要とする哺乳動物におけるその治療方法であって、少なくとも1つの脂質製剤治療薬を静脈内投与する前に、治療有効量の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を注射により哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
本明細書で使用される場合、「治療」(及び「治療する」または「治療すること」などのその文法上の変化形)とは、治療される個体の自然な経過を変化させる臨床的介入を指し、予防のためにまたは臨床病理学の過程で実施することができる。治療の望ましい効果として、疾患または病態の発生または再発の防止、症状の緩和、疾患または病態の直接的または間接的な病理学的帰結の減少、疾患または病態の進行速度の低下、疾患/病態の状態の改善または緩和、及び寛解または予後の改善が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、疾患または病態はB型肝炎ウイルス(HBV)感染症である。ある特定の実施形態では、疾患または病態はHBV及びD型肝炎ウイルス(HDV)感染症である。用語「B型肝炎ウイルス」(略してHBV)とは、ヘパドナウイルス科のウイルスの一部であり、ヒトにおいて肝臓の炎症を引き起こすことが可能である、オルソヘパドナウイルス属のウイルス種を指す。用語「D型肝炎ウイルス」(略してHDV)とは、ヒトにおいて肝臓の炎症を引き起こすことが可能であるデルタウイルス科のウイルス種を指す。
本明細書で使用される「核酸」という用語は、一本鎖または二本鎖の形態の少なくとも2つのヌクレオチド(すなわち、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド)を含むポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。「ヌクレオチド」には、糖デオキシリボース(DNA)またはリボース(RNA)、塩基、及びリン酸基が含まれる。ヌクレオチドはリン酸基を介して互いに結合されている。「塩基」には、プリン及びピリミジンを含み、これらにはさらに天然化合物のアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、イノシン、及び天然類似体、ならびにプリン及びピリミジンの合成誘導体が含まれ、合成誘導体には、限定されないが、アミン、アルコール、チオール、カルボキシレート、及びアルキルハライドなどであるが、それらに限定されない新しい反応基を配置する修飾を含む。核酸には、合成、天然、及び非天然であり、参照核酸と同様の結合特性を有する、既知のヌクレオチド類似体または修飾骨格残基もしくは架橋を含んでいる核酸を含む。そのような類似体及び/または修飾残基の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロアミダート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2’−O−メチルリボヌクレオチド、及びペプチド−核酸(PNA)が挙げられるが、これらに限定されない。それに加えて、核酸は1つ以上のUNA部分を含み得る。
「核酸」という用語には、任意のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含み、それに関して、最大60個のヌクレオチドで構成される断片が一般にオリゴヌクレオチドと呼ばれ、それより長い断片はポリヌクレオチドと呼ばれる。デオキシリボオリゴヌクレオチドは、デオキシリボースと呼ばれる五炭糖が、この糖の5’及び3’の炭素の位置でリン酸と共有結合して、非分枝状の交互ポリマーを形成したものからなる。DNAは、例えば、アンチセンス分子、プラスミドDNA、予め縮合したDNA、PCR産物、ベクター、発現カセット、キメラ配列、染色体DNA、またはこれらの群の誘導体及び組み合わせなどの形態であり得る。リボオリゴヌクレオチドは、五炭糖がリボースである類似の繰り返し構造からなる。RNAは、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、ダイサー基質dsRNA、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、mRNA、tRNA、rRNA、tRNA、ウイルスRNA(vRNA)、及びそれらの組み合わせの形態であり得る。したがって、用語「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」とは、天然の塩基、糖、及び糖間(骨格)結合からなるヌクレオチドまたはヌクレオシドモノマーのポリマーまたはオリゴマーを指す。用語「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」はまた、同様に機能する、非天然モノマーまたはその部分を含むポリマーまたはオリゴマーも含む。そのような修飾または置換されたオリゴヌクレオチドは、例えば、細胞内取り込みの増強、免疫原性の低減、及びヌクレアーゼ存在下での安定性の増加などの特性を理由として、天然型よりも好ましい場合が多い。
特に記載のない限り、特定の核酸配列には、明示された配列と同様に、その保存的に修飾された変異体(例えば、縮重コドン置換体)、アレル、オルソログ、SNP、及び相補的配列も暗黙裡に包含する。具体的には、縮重コドン置換体は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が混合塩基及び/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を生成することによって得ることができる(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.,19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.,260:2605−2608(1985);Rossolini et al.,Mol.Cell.Probes,8:91−98(1994))。
「単離された」または「精製された」DNA分子またはRNA分子は、その本来の環境と切り離されて存在するDNA分子またはRNA分子である。単離されたDNA分子またはRNA分子は、精製された形態で存在しても、または例えばトランスジェニック宿主細胞などの非天然の環境に存在してもよい。例えば、「単離された」または「精製された」核酸分子またはその生物学的に活性な部分は、組換え技術によって産生される場合は他の細胞性物質もしくは培地を実質的に含まないか、または化学合成される場合は化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。一実施形態では、「単離された」核酸は、核酸が由来する生物のゲノムDNAの核酸に天然に隣接する配列(すなわち、核酸の5’及び3’末端に位置する配列)を含まない。例えば、様々な実施形態において、単離された核酸分子は、核酸が由来する細胞のゲノムDNAの核酸分子に天然に隣接する、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満のヌクレオチド配列を含み得る。
用語「遺伝子」とは、ポリペプチドまたは前駆体ポリペプチドの産生に必要とされる部分長または全長のコード配列を含む核酸(例えば、DNAまたはRNA)配列を指す。
本明細書で使用される「遺伝子産物」とは、RNA転写物またはポリペプチドなどの遺伝子の産物を指す。
用語「閉環されない核酸塩基類似体」(略して「UNA」)とは、リボース環のC2’及びC3’原子が共有結合していない非環式の核酸塩基を指す。用語「閉環されない核酸塩基類似体」には、構造Aで表される以下の構造:
を有し、式中、Rはヒドロキシルであり、塩基は、例えばアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、及びチミン(T)のような任意の天然または非天然の塩基である、核酸塩基類似体を含む。UNAは、米国特許第8,314,227号に非環式2’−3’−seco−ヌクレオチドモノマーとして表された分子を含む。
オリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズされるか、または標的ポリヌクレオチド配列と相補的であり得る。本明細書で使用される「特異的にハイブリダイズ可能」及び「相補的」という用語は、安定かつ特異的な結合がDNAまたはRNA標的とオリゴヌクレオチドとの間で生じるような程度の十分な相補性を示す。オリゴヌクレオチドが特異的にハイブリダイズ可能であるためには、その標的核酸配列に対して100%相補的である必要はないものと理解される。好ましい実施形態では、特異的結合が求められる条件、すなわち、in vivoアッセイもしくは治療的処置の場合には生理的条件、またはin vitroアッセイの場合にはアッセイが行われる条件で、標的配列へのオリゴヌクレオチドの結合が標的配列の正常な機能を妨害して、標的配列からの有用性または発現を失わせ、かつ非標的配列へのオリゴヌクレオチドの非特異的結合を回避する程度の十分な相補性がある場合に、オリゴヌクレオチドは特異的にハイブリダイズ可能である。したがって、オリゴヌクレオチドは、それが標的とする、またはそれが特異的にハイブリダイズする遺伝子またはmRNA配列の領域と比較して、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の塩基置換を含んでもよい。
本明細書で使用される「低分子干渉RNA」または「siRNA」という用語は、siRNAが標的遺伝子または標的配列と同じ細胞にある場合に、標的遺伝子または標的配列の発現を(例えば、siRNA配列に相補的なmRNAの分解を媒介する、またはその翻訳を抑制することによって)低減または阻害することができる二本鎖RNA(すなわち二重鎖RNA)を指す。siRNAは、標的遺伝子または標的配列に対して実質的なまたは完全な同一性を有していても、またはミスマッチの領域(すなわちミスマッチモチーフ)を含んでもいてもよい。ある特定の実施形態では、siRNAは、約19〜25(二重)ヌクレオチド長であり得、好ましくは、約20〜24、21〜22、または21〜23(二重)ヌクレオチド長である。siRNA二重鎖は、約1〜約4ヌクレオチドまたは約2〜約3ヌクレオチドの3’オーバーハング、及び5’リン酸末端を含み得る。siRNAの例としては、限定されないが、一方の鎖がセンス鎖であり、他方の鎖が相補的アンチセンス鎖である、2つの別々の鎖分子から組み立てられた二本鎖ポリヌクレオチド分子が挙げられる。
好ましくは、siRNAは化学合成される。siRNAはまた、より長いdsRNA(例えば、約25ヌクレオチド長を超えるdsRNA)をE.coli RNaseIIIまたはダイサーにより切断することによっても生じさせることができる。これらの酵素は、dsRNAを生物学的に活性なsiRNAに分解する(例えば、Yang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:9942−9947(2002);Calegari et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:14236(2002);Byrom et al.,Ambion TechNotes,10(1):4−6(2003);Kawasaki et al.,Nucleic Acids Res.,31:981−987(2003);Knight et al.,Science,293:2269−2271(2001);及びRobertson et al.,J.Biol.Chem.,243:82(1968)を参照)。好ましくは、dsRNAは少なくとも50ヌクレオチド長から約100、200、300、400、または500ヌクレオチド長である。dsRNAは、1000、1500、2000、5000ヌクレオチド長、またはそれ以上の長さであり得る。dsRNAは全遺伝子転写物または部分遺伝子転写物をコードすることができる。ある特定の例では、siRNAはプラスミドによってコードされてもよい(例えば、ヘアピンループを有する二重鎖に自動的に折り畳まれる配列として転写される)。
「標的遺伝子の発現を阻害する」という語句は、標的遺伝子(例えば、HBVゲノム内の遺伝子)の発現をサイレンシングする、減少させる、または阻害するsiRNAの能力を指す。遺伝子サイレンシングの程度を調べるには、試験試料(例えば、標的遺伝子を発現する、対象となる生物からの生体試料、または標的遺伝子を発現する培養中の細胞の試料)を、標的遺伝子の発現をサイレンシングする、減少させる、または阻害するsiRNAと接触させる。試験試料での標的遺伝子の発現を、siRNAと接触させていない対照試料(例えば、標的遺伝子を発現する、対象となる生物からの生体試料、または標的遺伝子を発現する培養中の細胞の試料)での標的遺伝子の発現と比較する。対照試料(例えば、標的遺伝子を発現する試料)に値100%を割り当てることができる。特定の実施形態では、標的遺伝子の発現のサイレンシング、阻害、または減少は、試験試料の値が、対照試料(例えば、緩衝液のみ、異なる遺伝子を標的とするsiRNA配列、スクランブルsiRNA配列など)と比較して、約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%であるときに達成される。好適なアッセイとしては、限定されないが、例えばドットブロット、ノーザンブロット、in situハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能などの当業者に公知の技術を用いたタンパク質またはmRNAレベルの試験のほか、当業者に公知の表現型アッセイが挙げられる。siRNAなどの治療用核酸の「有効量」または「治療有効量」は、望ましい効果、例えば、siRNAの非存在下で検出される正常発現レベルと比較して標的配列の発現の阻害を生じさせるのに十分な量である。特定の実施形態では、標的遺伝子または標的配列の発現の阻害は、siRNAを用いて得られる値が、対照(例えば、緩衝液のみ、異なる遺伝子を標的とするsiRNA配列、スクランブルsiRNA配列など)と比較して、約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%であるときに達成される。標的遺伝子または標的配列の発現を測定するのに適したアッセイとしては、限定されないが、例えばドットブロット、ノーザンブロット、in situハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能などの当業者に公知の技術を用いたタンパク質またはmRNAレベルの試験のほか、当業者に公知の表現型アッセイが挙げられる。
用語「脂質」とは、脂肪酸のエステルを含むがこれに限定されず、水に不溶であるが多くの有機溶媒に可溶であることを特徴とする有機化合物の一群を指す。それらは通常少なくとも次の3つのクラスに分類される:(1)油脂及びワックスが含まれる「単純脂質」;(2)リン脂質及び糖脂質が含まれる「複合脂質」;ならびに(3)ステロイドなどの「誘導脂質」。
用語「脂質粒子」には、対象となる標的部位(例えば、細胞、組織、器官など)に治療薬(例えば、siRNAなどの核酸)を送達するために使用することができる脂質製剤を含む。好ましい実施形態では、脂質粒子は通常、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び場合により粒子の凝集を防止するコンジュゲート脂質から形成される。治療薬が含まれた脂質粒子を治療薬−脂質粒子と呼ぶ。核酸分子(例えば、siRNA分子)が含まれた脂質粒子を核酸−脂質粒子と呼ぶ。典型的には、脂質粒子に核酸を完全に内包し、それによって核酸を酵素分解から保護する。
ある特定の例では、核酸−脂質粒子は、静脈内(i.v.)注射後に長期の循環寿命を示すことができること、遠位部位(例えば、投与部位から物理的に離れた部位)に蓄積できること、及びそのような遠位部位で標的遺伝子発現のサイレンシングを媒介できることから、全身投与に極めて有用である。目的を問わず開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれるPCT公開番号WO00/03683に記載されているように、核酸を縮合剤と複合体化して、脂質粒子に内包することができる。
脂質粒子は、典型的には、約30nm〜約150nm、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、約70nm〜約100nm、約80nm〜約100nm、約90nm〜約100nm、約70〜約90nm、約80nm〜約90nm、約70nm〜約80nm、または約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、もしくは150nmの平均直径を有し、実質的に非毒性である。さらに、核酸粒子が脂質粒子中に存在すると、水溶液中でのヌクレアーゼによる分解に対して耐性がある。核酸−脂質粒子及びその調製方法は、例えば、米国特許公開第20040142025号及び同第20070042031号に開示されており、それらの開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用される場合、「内包脂質」とは、完全な内包、部分的な内包、またはその両方により、siRNAなどの治療用核酸を提供する脂質粒子を指す場合がある。好ましい実施形態では、核酸(例えばsiRNA)は、(例えば、核酸−脂質粒子を形成するために)脂質粒子に完全に内包される。
用語「脂質コンジュゲート」とは、脂質粒子の凝集を阻害するコンジュゲートされた脂質を指す。そのような脂質コンジュゲートとして、限定されないが、例えば、ジアルキルオキシプロピルと結合されたPEG(例えば、PEG−DAAコンジュゲート)、ジアシルグリセロールと結合されたPEG(例えば、PEG−DAGコンジュゲート)、コレステロールと結合されたPEG、ホスファチジルエタノールアミンと結合されたPEG、及びセラミドと結合されたPEG(例えば、米国特許第5,885,613号を参照)などのPEG−脂質コンジュゲート、カチオン性PEG脂質、ポリオキサゾリン(POZ)−脂質コンジュゲート(例えば、POZ−DAAコンジュゲート)、ポリアミドオリゴマー(例えば、ATTA−脂質コンジュゲート)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。POZ−脂質コンジュゲートのさらなる例は、PCT公開番号WO2010/006282に記載されている。PEGまたはPOZは、脂質に直接コンジュゲートすることも、またはリンカー部分を介して脂質と連結することもできる。PEGまたはPOZを脂質に結合するのに適したリンカー部分であれば、例えば、エステル以外で構成されるリンカー部分及びエステルで構成されるリンカー部分を含め、いずれを使用することもできる。ある特定の好ましい実施形態では、アミドまたはカルバメートなどのエステル以外で構成されるリンカー部分が使用される。
用語「両親媒性脂質」とは、部分的に、脂質材料の疎水性部分が疎水性相側に配向すると同時に、親水性部分が水相側に配向する任意の好適な材料を指す。親水性の特徴は、炭水化物、リン酸、カルボン酸、スルファト、アミノ、スルフヒドリル、ニトロ、ヒドロキシル、及びその他の類似する基などの極性基または荷電基の存在に由来する。疎水性は、長鎖の飽和及び不飽和脂肪族炭化水素基、ならびに1つ以上の芳香族基、脂環式基、または複素環式基(複数可)によって置換されたそのような基を含むがこれらに限定されない無極性基の付加によって得ることができる。両親媒性化合物の例として、リン脂質、アミノ脂質、及びスフィンゴ脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
リン脂質の代表例として、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、及びジリノレオイルホスファチジルコリンが挙げられるが、これらに限定されない。リンがない他の化合物、例えばスフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質ファミリー、ジアシルグリセロール、及びβ−アシルオキシ酸なども両親媒性脂質と呼ばれる群の範囲内である。加えて、上記の両親媒性脂質は、トリグリセリド及びステロールを含む他の脂質と混合することができる。
用語「中性脂質」とは、選択されたpHで非荷電または中性いずれかの双性イオン形態で存在するいくつかの脂質種のいずれかを指す。生理学的pHでは、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド、及びジアシルグリセロールがそのような脂質に含まれる。
用語「非カチオン性脂質」とは、あらゆる両親媒性脂質に加え、他の中性脂質またはアニオン性脂質のいずれをも指す。
用語「アニオン性脂質」とは、生理学的pHで負に帯電している任意の脂質を指す。このような脂質として、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N−ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N−スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N−グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、及びその他のアニオン性修飾基が中性脂質に結合したものが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「疎水性脂質」とは、長鎖の飽和及び不飽和脂肪族炭化水素基、ならびに1つ以上の芳香族基、脂環式基、または複素環式基(複数可)によって場合により置換されたそのような基を含むがこれらに限定されない無極性基を有する化合物を指す。好適な例として、ジアシルグリセロール、ジアルキルグリセロール、N−N−ジアルキルアミノ、1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパン、及び1,2−ジアルキル−3−アミノプロパンが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「カチオン性脂質」及び「アミノ脂質」は、本明細書で同義に使用され、1個、2個、3個、またはそれ以上の脂肪酸または脂肪アルキル鎖と、pH滴定アミノ頭部基(例えば、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ頭部基)とを有する脂質及びその塩を含む。カチオン性脂質は通常、そのカチオン性脂質のpKaより低いpHではプロトン化されており(すなわち、正に帯電)、pKaより高いpHでは実質的に中性である。カチオン性脂質は滴定カチオン性脂質と呼ばれる場合もある。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、プロトン化可能な第3級アミン(例えば、pH滴定)頭部基;各アルキル鎖が独立して0〜3個(例えば、0、1、2、または3個)の二重結合をもつC18アルキル鎖;及び頭部基とアルキル鎖との間のエーテル結合、エステル結合、またはケタール結合で構成される。そのようなカチオン性脂質として、DSDMA、DODMA、DLinDMA、DLenDMA、γ−DLenDMA、DLin−K−DMA、DLin−K−C2−DMA(別名DLin−C2K−DMA、XTC2、及びC2K)、DLin−K−C3−DMA、DLin−K−C4−DMA、DLen−C2K−DMA、γ−DLen−C2K−DMA、DLin−M−C2−DMA(別名MC2)、及びDLin−M−C3−DMA(別名MC3)が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「塩」には、カチオン性脂質と1つ以上のアニオンとで形成される錯体などの、任意のアニオン性及びカチオン性の錯体を含む。アニオンの非限定的な例として、無機及び有機のアニオン、例えば、水素化物イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シュウ酸(例えば、ヘミシュウ酸)イオン、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、酸化物イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、窒化物イオン、重亜硫酸イオン、硫化物イオン、亜硫酸イオン、重硫酸イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオン、硫酸水素イオン、ホウ酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、乳酸イオン、アクリル酸イオン、ポリアクリル酸イオン、フマル酸イオン、マレイン酸イオン、イタコン酸イオン、グリコール酸イオン、グルコン酸イオン、リンゴ酸イオン、マンデル酸イオン、チグリン酸イオン、アスコルビン酸イオン、サリチル酸イオン、ポリメタクリル酸イオン、過塩素酸イオン、塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、臭素酸イオン、次亜臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、ヒ酸イオン、亜ヒ酸イオン、クロム酸イオン、二クロム酸イオン、シアン化物イオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、過マンガン酸イオン、及びそれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるカチオン性脂質の塩は結晶塩である。
化合物を薬学的に許容される酸性または塩基性の塩として投与することが適する場合がある。薬学的に許容される塩の例は、生理学的に許容されるアニオンを形成する酸と形成された有機酸付加塩、例えばトシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、及びα−グリセロリン酸塩である。好適な無機塩を形成してもよく、それには塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、及び炭酸塩を含む。
薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知の標準的な手順を用いて、例えばアミンなどの十分に塩基性の化合物を、生理学的に許容されるアニオンをもたらす適切な酸と反応させることにより得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、またはリチウム)塩またはアルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩を作製することもできる。
用語「アルキル」には、1〜24個の炭素原子を含んでいる直鎖または分枝鎖の非環式または環式の飽和脂肪族炭化水素を含む。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが挙げられ、対する飽和分枝鎖アルキルとしては、限定されないが、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチルなどが挙げられる。代表的な飽和環状アルキルとしては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられ、対する不飽和環状アルキルとしては、限定されないが、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどが挙げられる。
用語「アルケニル」には、隣接する炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含んでいる、上で定義されたようなアルキルを含む。アルケニルにはシス異性体とトランス異性体の両方を含む。代表的な直鎖及び分枝鎖のアルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アルキニル」には、隣接する炭素間に少なくとも1つの三重結合をさらに含んでいる、上で定義されたような任意のアルキルまたはアルケニルを含む。代表的な直鎖及び分枝鎖のアルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アシル」には、結合箇所の炭素が以下に定義されるオキソ基で置換されている任意のアルキル、アルケニル、またはアルキニルを含む。以下はアシル基の非限定的な例である:−C(=O)アルキル、−C(=O)アルケニル、及び−C(=O)アルキニル。
用語「複素環」には、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和、または芳香族のいずれかである5〜7員単環式または7〜10員二環式の複素環を含む。その場合、窒素ヘテロ原子及び硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてもよい。複素環には、上記の複素環のいずれかがベンゼン環と縮合されている二環式環を含む。複素環は、任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合されていてもよい。複素環には、以下に定義されるヘテロアリールに加え、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどを含むが、これらに限定されない。
用語「場合により置換されたアルキル」、「場合により置換されたアルケニル」、「場合により置換されたアルキニル」、「場合により置換されたアシル」、及び「場合により置換された複素環」とは、置換された場合に、少なくとも1個の水素原子が置換基で置き換えられることを意味する。オキソ置換基(=O)の場合、2個の水素原子が置き換えられる。これに関して、置換基には、限定されないが、オキソ、ハロゲン、複素環、−CN、−ORx、−NRxRy、−NRxC(=O)Ry、−NRxSO2Ry、−C(=O)Rx、−C(=O)ORx、−C(=O)NRxRy、−SOnRx、及び−SOnNRxRyが含まれ、式中、nは0、1、または2であり、Rx及びRyは同じかまたは異なっており、独立して水素、アルキル、または複素環であり、アルキル及び複素環置換基のそれぞれが、さらに1つ以上のオキソ、ハロゲン、−OH、−CN、アルキル、−ORx、複素環、−NRxRy、−NRxC(=O)Ry、−NRxSO2Ry、−C(=O)Rx、−C(=O)ORx、−C(=O)NRxRy、−SOnRx、及び−SOnNRxRyで置換されていてもよい。「場合により置換された」という用語は、置換基の列挙の前に使用される場合、列挙される各置換基が場合により本明細書に記載されるように置換されていてもよいことを意味する。
用語「ハロゲン」には、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを含む。
用語「融合性」とは、脂質粒子が細胞の膜と融合する能力を指す。膜は、原形質膜でも、または例えばエンドソーム、核などのオルガネラを取り囲む膜のいずれでもあり得る。
本明細書で使用される場合、用語「水溶液」とは、全体的にまたは部分的に水を含む組成物を指す。
本明細書で使用される場合、用語「有機脂質溶液」とは、脂質を有する有機溶媒を全体的にまたは部分的に含む組成物を指す。
脂質粒子を説明するために使用される場合、用語「電子密度の高いコア」とは、クライオ透過型電子顕微鏡(「クライオTEM」)を使用して可視化したときに暗く見える脂質粒子の内部部分を指す。脂質粒子によっては、電子密度の高いコアを有し、脂質二重層構造をもたない。脂質粒子によっては、電子密度の高いコアを有し、脂質二重層構造をもたず、逆相の六方晶構造または立方晶構造を有している。理論に束縛されるものではないが、非二重相脂質の充填構造により、内側に水及び核酸を有する円筒状脂質の3次元網状組織、すなわち、本質的に、核酸を含んでいる水性チャネルと相互浸透する脂肪滴が得られる。
本明細書で使用される場合、「遠位部位」とは、隣接する毛細血管床に限らず、生物全体に広く分布する部位を含めた、物理的に離れた部位を指す。
核酸−脂質粒子と関連した「血清安定性」とは、遊離DNAまたはRNAを有意に分解すると思われる血清またはヌクレアーゼによるアッセイへの曝露後にも、粒子が有意に分解されないことを意味する。好適なアッセイとしては、例えば、標準的な血清アッセイ、DNAseアッセイ、またはRNAseアッセイが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「全身送達」とは、生物内でsiRNAなどの活性薬剤の広い体内分布をもたらす脂質粒子の送達を指す。投与技術によっては、ある特定の薬剤の全身送達をもたらすことができるが、他の薬剤は全身送達されないものもある。全身送達とは、有用な量、好ましくは治療的に有用な量の薬剤が身体の大部分に曝露されることを意味する。広い体内分布を得るには、一般に、投与部位から離れた疾患部位に到達する前に、薬剤が(初回通過器官(肝臓、肺など)または急速な非特異的細胞結合などによって)急速に分解または除去されないような血中寿命が必要とされる。脂質粒子の全身送達は、例えば静脈内、皮下、及び腹腔内を含む、当技術分野で公知の任意の手段によるものであり得る。好ましい実施形態では、脂質粒子の全身送達は、静脈内送達によるものである。
本明細書で使用される場合、「局所送達」とは、siRNAなどの活性薬剤を生物内の標的部位へ直接送達することを指す。例えば、薬剤は、疾患部位、他の標的部位、または肝臓、心臓、膵臓、腎臓などの標的臓器への直接注射によって局所送達することができる。
本明細書で使用される「ウイルス粒子負荷量」という用語は、血液などの体液中に存在するウイルス粒子(例えば、HBV及び/またはHDV)数の尺度を指す。例えば、粒子負荷量は、例えば血液1ミリリットルあたりのウイルス粒子の数で表される場合がある。粒子負荷試験は、核酸増幅を用いた試験、ならびに核酸を用いない試験を使用して実施することができる(例えば、Puren et al.,The Journal of Infectious Diseases,201:S27−36(2010)を参照)。
用語「哺乳動物」とは、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ハムスター、モルモット、ウサギ、家畜などの任意の哺乳動物種を指す。
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)
本明細書で考察するように、本発明のある特定の実施形態は、少なくとも1つの脂質製剤治療薬の、それを必要とする哺乳動物(例えば、ヒト対象)への静脈内投与に伴うインフュージョンリアクションを改善する方法であって、少なくとも1つの脂質製剤治療薬を静脈内投与する前に、治療有効量の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を注射により哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
NSAIDは、鎮痛(痛み止め)作用及び解熱(発熱抑制)作用をもたらし、さらに高用量では抗炎症作用をもたらす薬物クラスである。非ステロイド系という用語は、広範囲の他の作用の中でも、同様のエイコサノイド抑制、抗炎症作用をもつステロイド由来薬物とは区別される。典型的には、NSAIDは、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の活性を阻害し、それによってプロスタグランジン及びトロンボキサンの合成を阻害する。
NSAIDとしては、例えば、アスピリン(アセチルサリチル酸)、ジフルニサル、サリチル酸、サリチル酸塩、サルサラート、イブプロフェン、デキシブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、アセクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、フェニルブタゾン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ニメスリド、クロニキシン、リコフェロン、フルニキシンメグルミン、及びH−ハルパギドが挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、NSAIDは、注射による(例えば、静脈内、筋肉内、または皮下などの非経口)投与が可能なNSAIDである。ある特定の実施形態では、NSAIDは、非経口投与が可能なNSAIDである。ある特定の実施形態では、NSAIDは、静脈内投与が可能なNSAIDである。ある特定の実施形態では、NSAIDは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるPain Medicine,2013;14:S11−S17に述べられたNSAIDである。
ある特定の実施形態では、NSAIDは、インドメタシン、ケトロラク、イブプロフェン、ジクロフェナク、ロルノキシカム、パレコキシブ、テノキシカム、フェニルブタゾン、及びフルニキシンメグルミンからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、NSAIDは、インドメタシン、ケトロラク、イブプロフェン、ジクロフェナク、ロルノキシカム、パレコキシブ、テノキシカムからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、NSAIDは、インドメタシン、ケトロラク、及びイブプロフェンからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、NSAIDはケトロラクである。ある特定の実施形態では、NSAIDはインドメタシンである。ある特定の実施形態では、NSAIDはイブプロフェンである。
本明細書で考察するように、NSAIDは一般に注射により投与される。したがって、ある特定の実施形態では、NSAIDは非経口投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは静脈内投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは筋肉内投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは皮下投与される。
治療薬
本明細書で考察するように、少なくとも1つの脂質製剤治療薬の静脈内投与前にNSAIDを注射するとインフュージョンリアクションを改善することができる。したがって、ある特定の実施形態では、治療薬は、脂質に(例えば、脂質ナノ粒子製剤(LNP)に)製剤化することができる薬剤である。
加えて、本発明のある特定の実施形態はまた、脂質製剤であってもなくてもよい、1つ以上の追加治療薬(すなわち、第2、第3、第4などの治療薬)の投与のために提供する。ある特定の実施形態では、1つ以上の追加治療薬を、NSAIDまたは脂質製剤治療薬と逐次投与または同時投与する。例えば、ある特定の実施形態では、デキサメタゾンを、NSAIDと逐次投与または同時投与することができる。
したがって、治療薬(すなわち、脂質製剤治療薬または追加治療薬)は、天然由来のものであっても、合成由来のものであってもよい。例えば、それは核酸、ポリペプチド、タンパク質、ペプチド、または有機化合物であり得る。ある特定の実施形態では、治療薬は核酸、ポリペプチド、または有機化合物である。一実施形態では、治療薬は、siRNA、mRNA、小分子、または抗体である。
ある特定の実施形態では、治療薬は、ポリペプチド、例えば、抗体、またはその断片もしくは誘導体、例えばFab断片、CDR領域、または一本鎖抗体である。ある特定の実施形態では、治療薬は、抗PD−1抗体またはその断片である。
ある特定の実施形態では、治療薬は小分子である。用語「小分子」には、約1000amu未満の分子量を有する有機分子を含む。一実施形態では、小分子は約800amu未満の分子量を有し得る。別の実施形態では、小分子は約500amu未満の分子量を有し得る。ある特定の実施形態では、治療薬はステロイド(例えば、デキサメタゾン)である。ある特定の実施形態では、治療薬はNSAID(例えば、本明細書に記載のNSAID)であり、これは注射により投与されるNSAIDと同じであっても異なっていてもよい。
ある特定の実施形態では、治療薬は核酸である。ある特定の実施形態では、核酸はmRNAである。ある特定の実施形態では、核酸は、対応するメッセンジャーRNA(mRNA)の転写または翻訳を阻害可能であるアンチセンス核酸(例えば、siRNAまたはshRNA)である。ある特定の実施形態では、核酸はsiRNAである。
siRNAは、複数の形態で提供することができ、例えば、これには1つ以上の単離された低分子干渉RNA(siRNA)二重鎖、それよりも長鎖の二本鎖RNA(dsRNA)、またはDNAプラスミド中の転写カセットから転写されるsiRNAもしくはdsRNAのような形態が含まれる。いくつかの実施形態では、siRNAを酵素合成または部分/全有機合成によって製造することができ、修飾リボヌクレオチドをin vitroの酵素合成または有機合成によって導入することができる。ある特定の例では、各鎖が化学的に調製される。RNA分子の合成方法は、当技術分野において公知であり、例えば、Verma and Eckstein(1998)に記載の、または本明細書に記載の化学合成法である。
RNAの単離方法、RNAの合成方法、核酸のハイブリダイズ方法、cDNAライブラリーの作製及びスクリーニング方法、ならびにPCRの実施方法は、当技術分野において周知されており(例えば、Gubler and Hoffman,Gene,25:263−269(1983);Sambrook et al.,前掲;Ausubel et al.、前掲を参照)、PCR方法(米国特許第4,683,195号及び同第4,683,202号;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innis et al.,eds,1990)を参照)も同様である。発現ライブラリーもまた当業者に周知されている。さらに、一般的な方法を開示しているさらなる基本教科書として、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(2nd ed.1989);Kriegler,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990);及びCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.,1994)が挙げられる。これらの参考文献の開示内容は、目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
通常、siRNAは化学合成される。siRNA分子を含むオリゴヌクレオチドは、Usman et al.,J.Am.Chem.Soc.,109:7845(1987);Scaringe et al.,Nucl.Acids Res.,18:5433(1990);Wincott et al.,Nucl.Acids Res.,23:2677−2684(1995);及びWincott et al.,Methods Mol.Bio.,74:59(1997)に記載されるもののような、当技術分野において公知である種々の技術のいずれかを使用して合成することができる。オリゴヌクレオチドの合成には、5’末端のジメトキシトリチル及び3’末端のホスホロアミダイトなどの一般的な核酸保護基及びカップリング基を利用する。非限定的な例として、小規模合成は、0.2μmol規模のプロトコルを用いてApplied Biosystemsのシンセサイザーで実施することができる。あるいは、0.2μmol規模での合成を、Protogene(Palo Alto,CA)製の96ウェルプレートシンセサイザーで実施することができる。ただし、それよりも大規模または小規模な合成も本発明の範囲内である。オリゴヌクレオチド合成に適した試薬、RNA脱保護の方法、及びRNA精製の方法は、当業者に公知である。
siRNA分子は、一方のオリゴヌクレオチドがsiRNAのセンス鎖を含み、他方がsiRNAのアンチセンス鎖を含む、2つの別々のオリゴヌクレオチドから組み立てることができる。例えば、各鎖を別々に合成することができ、これを合成及び/または脱保護の後のハイブリダイゼーションまたはライゲーションによってひとつに結合することができる。
ある特定の実施形態では、治療薬は、以下からなる群から選択される:
a)逆転写酵素阻害剤;
b)カプシド阻害剤;
c)cccDNA形成阻害剤;
d)sAg分泌阻害剤;
e)B型肝炎ゲノムを標的とするオリゴマーヌクレオチド;及び
f)免疫賦活剤。
逆転写酵素阻害剤
ある特定の実施形態では、逆転写酵素阻害剤はヌクレオシド類似体である。
ある特定の実施形態では、逆転写酵素阻害剤は、ヌクレオシド類似体の逆転写酵素阻害剤(NARTIまたはNRTI)である。
ある特定の実施形態では、逆転写酵素阻害剤は、ヌクレオチド類似体の逆転写酵素阻害剤(NtARTIまたはNtRTI)である。
逆転写酵素阻害剤という用語には、エンテカビル、クレブジン、テルビブジン、ラミブジン、アデホビル、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、テノホビルアラフェンアミド、アデホビルジポボキシル、(1R,2R,3R,5R)−3−(6−アミノ)−9H−9−プリニル)−2−フルオロ−5−(ヒドロキシメチル)−4−メチレンシクロペンタン−1−オール(米国特許第8,816,074号に記載)、エムトリシタビン、アバカビル、エルブシタビン、ガンシクロビル、ロブカビル、ファムシクロビル、ペンシクロビル、及びアムドキソビルを含むが、これらに限定されない。
逆転写酵素阻害剤という用語には、エンテカビル、ラミブジン、及び(1R,2R,3R,5R)−3−(6−アミノ−9H−9−プリニル)−2−フルオロ−5−(ヒドロキシメチル)−4−メチレンシクロペンタン−1−オールを含むが、これらに限定されない。
逆転写酵素阻害剤という用語には、上記の逆転写酵素阻害剤の共有結合したホスホロアミダートまたはホスホノアミダート部分、または例えば米国特許第8,816,074号、US2011/0245484A1、及びUS2008/0286230A1に記載のようなものを含むが、これらに限定されない。
逆転写酵素阻害剤という用語には、メチル(((((1R,3R,4R,5R)−3−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−4−フルオロ−5−ヒドロキシ−2−メチレンシクロペンチル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)−(DまたはL)−アラニネート及びメチル((((1R,2R,3R,4R)−3−フルオロ−2−ヒドロキシ−5−メチレン−4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)シクロペンチル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)−(DまたはL)−アラニネートなどの、ホスホロアミダート部分を含むヌクレオチド類似体を含むが、これらに限定されない。例えば、メチル((R)−(((1R,3R,4R,5R)−3−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−4−フルオロ−5−ヒドロキシ−2−メチレンシクロペンチル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)−(DまたはL)−アラニネート、及びメチル((S)−(((1R,3R,4R,5R)−3−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−4−フルオロ−5−ヒドロキシ−2−メチレンシクロペンチル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)−(DまたはL)−アラニネートを含む、その個々のジアステレオマーも含まれる。
逆転写酵素阻害剤という用語には、テノホビルアラフェンアミドなどのホスホノアミダート部分、ならびにUS2008/0286230A1に記載されているものを含むが、これらに限定されない。立体選択的ホスホロアミダートまたはホスホノアミダートを含んでいる活性物質を調製する方法は、例えば、米国特許第8,816,074号、ならびにUS2011/0245484A1及びUS2008/0286230A1に記載されている。
カプシド阻害剤
本明細書に記載されるように、用語「カプシド阻害剤」とは、直接的または間接的にカプシドタンパク質の発現及び/または機能を阻害することが可能な化合物を含む。例えば、カプシド阻害剤には、カプシドのアセンブリを阻害する化合物、非カプシドポリマーの形成を誘導する化合物、過剰なカプシドのアセンブリまたはカプシドのアセンブリの誤誘導を促進する化合物、カプシド安定化に影響を及ぼす化合物、及び/またはRNAのカプシド形成を阻害する化合物のいずれをも含み得るが、これらに限定されない。カプシド阻害剤はまた、複製過程内にある下流の事象(複数可)(例えば、ウイルスDNA合成、開環状DNA(rcDNA)の核への輸送、共有結合閉環状DNA(cccDNA)形成、ウイルス成熟、出芽及び/または放出など)においてカプシド機能を阻害する化合物のいずれをも含む。例えば、ある特定の実施形態では、阻害剤は、例えば本明細書に記載のアッセイを用いて測定される、カプシドタンパク質の発現レベルまたは生物学的活性を検出可能に阻害する。ある特定の実施形態では、阻害剤は、rcDNA及びウイルスのライフサイクルの下流産物のレベルを少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも90%阻害する。
カプシド阻害剤という用語には、以下の化合物:
を含む、国際特許出願公開番号WO2013006394、WO2014106019、及びWO2014089296に記載されている化合物を含む。
カプシド阻害剤という用語には、Bay−41−4109(国際特許出願公開番号WO/2013/144129を参照)、AT−61(国際特許出願公開番号WO/1998/33501;及びKing,RW,et al.,Antimicrob Agents Chemother.,1998,42,12,3179−3186を参照)、DVR−01及びDVR−23(国際特許出願公開番号WO2013/006394;及びCampagna,MR,et al.,J.of Virology,2013,87,12,6931を参照)といった化合物、ならびにその薬学的に許容される塩も含む。
cccDNA形成阻害剤
共有結合閉環状DNA(cccDNA)は、細胞核内でウイルスのrcDNAから生成され、ウイルスmRNAに対する転写鋳型として機能する。本明細書に記載されるように、用語「cccDNA形成阻害剤」には、直接的または間接的にcccDNAの形成及び/または安定性を阻害することが可能な化合物を含む。例えば、cccDNA形成阻害剤は、カプシド分解、核へのrcDNAの侵入、及び/またはrcDNAのcccDNAへの変換を阻害する化合物のいずれをも含み得るが、これらに限定されない。例えば、ある特定の実施形態では、本阻害剤は、例えば本明細書に記載のアッセイを用いて測定される、cccDNAの形成及び/または安定性を検出可能に阻害する。ある特定の実施形態では、阻害剤は、cccDNAの形成及び/または安定性を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも90%阻害する。
cccDNA形成阻害剤という用語は、以下の化合物:
を含む、国際特許出願公開番号WO2013130703に記載されている化合物を含む。
cccDNA形成阻害剤という用語には、一般的及び具体的には、米国特許出願公開番号US2015/0038515A1に記載されるものを含むが、これらに限定されない。cccDNA形成阻害剤という用語には、1−(フェニルスルホニル)−N−(ピリジン−4−イルメチル)−1H−インドール−2−カルボキサミド;1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボン酸(ピリジン−4−イルメチル)−アミド;2−(2−クロロ−N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド)−N−(ピリジン−4−イルメチル)アセトアミド;2−(4−クロロ−N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)−N−(ピリジン−4−イルメチル)アセトアミド;2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド)−N−(ピリジン−4−イルメチル)アセトアミド;2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−メトキシフェニルスルホンアミド)−N−(ピリジン−4−イルメチル)アセトアミド;2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)−N−((1−メチルピペリジン−4−イル)メチル)アセトアミド;2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)アセトアミド;2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)−N−(ピリジン−4−イルメチル)プロパンアミド;2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)−N−(ピリジン−3−イルメチル)アセトアミド;2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)−N−(ピリミジン−5−イルメチル)アセトアミド;2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)−N−(ピリミジン−4−イルメチル)アセトアミド;2−(N−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)フェニルスルホンアミド)−N−(ピリジン−4−イルメチル)アセトアミド;2−[(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−アミノ]−N−ピリジン−4−イルメチル−アセトアミド;2−[(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(トルエン−4−スルホニル)−アミノ]−N−ピリジン−4−イルメチル−アセトアミド;2−[ベンゼンスルホニル−(2−ブロモ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アミノ]−N−ピリジン−4−イルメチル−アセトアミド;2−[ベンゼンスルホニル−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アミノ]−N−(2−メチル−ベンゾチアゾール−5−イル)−アセトアミド;2−[ベンゼンスルホニル−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル)−フェニル)−アミノ]−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジル]−アセトアミド;2−[ベンゼンスルホニル−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アミノ]−N−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジル]−アセトアミド;2−[ベンゼンスルホニル−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アミノ]−N−ベンジル−アセトアミド;2−[ベンゼンスルホニル−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アミノ]−N−ピリジン−4−イルメチル−アセトアミド;2−[ベンゼンスルホニル−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アミノ]−N−ピリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;2−[ベンゼンスルホニル−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アミノ]−N−ピリジン−4−イルメチル−アセトアミド;4(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)−N−(ピリジン−4−イル−メチル)ブタンアミド;4−((2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)−アセトアミド)−メチル)−1,1−ジメチルピペリジン−1−イウムクロリド;4−(ベンジル−メチル−スルファモイル)−N−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド;4−(ベンジル−メチル−スルファモイル)−N−(2−メチル−1H−インドール−5−イル)−ベンズアミド;4−(ベンジル−メチル−スルファモイル)−N−(2−メチル−1H−インドール−5−イル)−ベンズアミド;4−(ベンジル−メチル−スルファモイル)−N−(2−メチル−ベンゾチアゾール−5−イル)−ベンズアミド;4−(ベンジル−メチル−スルファモイル)−N−(2−メチル−ベンゾチアゾール−6−イル)−ベンズアミド;4−(ベンジル−メチル−スルファモイル)−N−(2−メチル−ベンゾチアゾール−6−イル)−ベンズアミド;4−(ベンジル−メチル−スルファモイル)−N−ピリジン−4−イルメチル−ベンズアミド;N−(2−アミノエチル)−2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)−アセトアミド;N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(2−(3,4−ジヒドロ−2,6−ナフチリジン−2(1H)−イル)−2−オキソエチル)ベンゼンスルホンアミド;N−ベンゾチアゾール−6−イル−4−(ベンジル−メチル−スルファモイル)−ベンズアミド;N−ベンゾチアゾール−6−イル−4−(ベンジル−メチル−スルファモイル)−ベンズアミド;tert−ブチル(2−(2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)アセトアミド)−エチル)カルバメート;及びtert−ブチル4−((2−(N−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルスルホンアミド)−アセトアミド)−メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート、ならびに場合によりそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
sAg分泌阻害剤
本明細書に記載されるように、用語「sAg分泌阻害剤」には、HBV感染細胞に由来する、サブウイルス粒子及び/またはDNAを含んでいるウイルス粒子から産生されるsAg(S、M、及び/またはL表面抗原)の分泌を直接的または間接的に阻害することが可能な化合物を含む。例えば、ある特定の実施形態では、本阻害剤は、例えば当技術分野で公知のアッセイまたは本明細書に記載のアッセイを用いて、例えばELISAアッセイまたはウエスタンブロットにより測定されるsAgの分泌を検出可能に阻害する。ある特定の実施形態では、阻害剤は、sAgの分泌を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも90%阻害する。ある特定の実施形態では、阻害剤は、患者のsAgの血清濃度を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも90%阻害する。
sAg分泌阻害剤という用語は、米国特許第8,921,381号に記載の化合物、ならびに米国特許出願公開第2015/0087659号及び同第2013/0303552号に記載の化合物を含む。例えば、この用語には、化合物PBHBV−001及びPBHBV−2−15、ならびにそれらの薬学的に許容される塩を含む:
。
免疫賦活剤
用語「免疫賦活剤」には、免疫応答を調節することが可能な化合物(例えば、免疫応答を刺激する化合物(例えば、アジュバント))を含む。免疫賦活剤という用語には、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(ポリI:C)及びインターフェロンを含む。
免疫賦活剤という用語には、IFN遺伝子の刺激因子(STING)及びインターロイキンのアゴニストを含む。この用語にはまた、HBsAg放出阻害剤、TLR−7アゴニスト(GS−9620、RG−7795)、T細胞刺激剤(GS−4774)、RIG−1阻害剤(SB−9200)、及びSMAC模倣物(Birinapant)も含む。
オリゴマーヌクレオチド
B型肝炎ゲノムを標的とするオリゴマーヌクレオチドという用語には、Arrowhead−ARC−520を含む(米国特許第8,809,293号;及びWooddell CI,et al.,Molecular Therapy,2013,21,5,973−985を参照)。
オリゴマーヌクレオチドは、HBVゲノムの1つ以上の遺伝子及び/または転写物を標的とするように設計することができる。
B型肝炎ゲノムを標的とするオリゴマーヌクレオチドという用語はまた、それぞれがセンス鎖、及びセンス鎖にハイブリダイズするアンチセンス鎖を含む単離された二本鎖siRNA分子も含む。siRNAは、HBVゲノムの1つ以上の遺伝子及び/または転写物を標的とする。
治療薬を収容するキャリアシステム
脂質粒子
本発明のある特定の実施形態では、少なくとも1つの脂質製剤治療薬は、少なくとも1つの治療薬、カチオン性脂質、及び非カチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子(LNP)に製剤化される。ある特定の実施形態では、LNPは、粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質をさらに含む。一実施形態では、脂質粒子は、1つ以上の治療薬(例えば、siRNAまたはmRNAなどの核酸)、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質を含み得る。いくつかの実施形態では、治療薬は脂質粒子の脂質部分に完全に内包される。例えば、ある特定の実施形態では、治療薬は、脂質粒子内の核酸が水溶液中でのヌクレアーゼ分解に対して耐性であるように、脂質粒子の脂質部分に完全に内包されている核酸である。他の実施形態では、本明細書に記載の脂質粒子は、ヒトなどの哺乳動物に対して実質的に非毒性である。脂質粒子は、典型的には、約30nm〜約150nm、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、または約70〜約90nmの平均直径を有する。ある特定の実施形態では、脂質粒子は、約30nm〜約150nmのメジアン径を有する。脂質粒子はまた、典型的には、約1:1〜約100:1、約1:1〜約50:1、約2:1〜約25:1、約3:1〜約20:1、約5:1〜約15:1、または約5:1〜約10:1の脂質:治療薬比(例えば、脂質:核酸比)(質量/質量比)を有する。ある特定の実施形態では、治療薬−脂質粒子は、脂質:治療薬の質量比が約5:1〜約15:1である。ある特定の実施形態では、治療薬は核酸であり、核酸−脂質粒子は、脂質:核酸(例えば、siRNA)の質量比が約5:1〜約15:1である。
ある特定の実施形態では、治療薬は核酸である。したがって、本発明のある特定の実施形態は、1つ以上のsiRNAまたはmRNA分子、カチオン性脂質(例えば、本明細書に記載される式I〜IIIのうち1つ以上のカチオン性脂質またはその塩)、非カチオン性脂質(例えば、1つ以上のリン脂質とコレステロールとの混合物)、及び粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質(例えば、1つ以上のPEG−脂質コンジュゲート)を含む血清安定性の核酸脂質粒子を含む。脂質粒子は、対象となる遺伝子(例えば、HBV遺伝子)またはmRNA分子を標的とする少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のsiRNA分子を含み得る。核酸−脂質粒子及びその調製方法は、例えば、米国特許第5,753,613号;同第5,785,992号;同第5,705,385号;同第5,976,567号;同第5,981,501号;同第6,110,745号;及び同第6,320,017号;ならびにPCT公開番号WO96/40964に記載されており、それらの開示内容はそれぞれ目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
核酸−脂質粒子において、1つ以上の核酸分子(例えば、siRNA分子またはmRNA分子)が粒子の脂質部分に完全に内包され、それによってsiRNAがヌクレアーゼ分解から保護されていてもよい。ある特定の例では、核酸−脂質粒子内の核酸は、粒子を37℃で少なくとも約20、30、45、または60分間ヌクレアーゼに曝露した後も、実質的に分解されない。その他のある特定の例では、核酸−脂質粒子内の核酸は、37℃で少なくとも約30、45、もしくは60分間、または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、または36時間、粒子を血清中でインキュベートした後も、実質的に分解されない。他の実施形態では、核酸は粒子の脂質部分と複合体を形成している。この製剤の利点のひとつは、核酸−脂質粒子組成物がヒトなどの哺乳動物に対して実質的に非毒性であるということである。
用語「完全に内包された」とは、核酸−脂質粒子内の核酸(例えば、siRNA分子またはmRNA分子)が、遊離DNAまたはRNAを有意に分解すると思われる血清またはヌクレアーゼによるアッセイへの曝露後にも、有意に分解されないことを示す。完全な内包系では、通常であれば遊離核酸が100%分解されるであろう処理において、好ましくは粒子中の約25%未満の核酸、より好ましくは約10%未満、最も好ましくは粒子中の約5%未満の核酸が分解される。「完全に内包された」とはまた、核酸−脂質粒子が血清安定性であること、すなわちin vivo投与時に粒子がその構成部分へと急速に分解されないことを示す。
核酸に関連して、完全な内包化は、核酸と会合したときに蛍光が増強する色素を使用する膜不透過性蛍光色素排除アッセイを実施することにより決定することができる。OliGreen(登録商標)及びRiboGreen(登録商標)(Invitrogen Corp.;Carlsbad,CA)などの特定の色素を、プラスミドDNA、一本鎖デオキシリボヌクレオチド、及び/または一本鎖もしくは二本鎖リボヌクレオチドの定量的決定に利用可能である。内包化は、染料をリポソーム製剤に添加し、得られた蛍光を測定し、それを少量の非イオン性洗剤の添加時に観察された蛍光と比較することにより決定される。リポソーム二重層の界面活性剤を介在した破壊により、内包された核酸が放出され、それが膜不透過性色素と相互作用することを可能にする。核酸の内包化は、E=(I0−I)/I0(ここで、I及びI0は、界面活性剤の添加前及び添加後の蛍光強度を指す)で算出することができる(Wheeler et al.,Gene Ther.,6:271−281(1999)を参照)。
場合によっては、核酸−脂質粒子組成物は、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約90%〜約100%、約30%〜約95%、約40%〜約95%、約50%〜約95%、約60%〜約95%、約70%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約80%〜約90%、または少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)の粒子がその中に内包された核酸を有するように、粒子の脂質部分に完全に内包された核酸分子(例えば、siRNA分子またはmRNA分子)を含む。
それ以外の場合では、核酸−脂質粒子組成物は、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約90%〜約100%、約30%〜約95%、約40%〜約95%、約50%〜約95%、約60%〜約95%、約70%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約80%〜約90%、または少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)の投入核酸が粒子に内包されるように、粒子の脂質部分に完全に内包された核酸を含む。
脂質粒子の意図する使用に応じて、成分の割合を変更することができ、また特定の製剤の送達効率を、例えばエンドソーム放出パラメーター(ERP)アッセイを用いて測定することができる。
カチオン性脂質
種々のカチオン性脂質のいずれかまたはその塩を、単独で、または1つ以上の他のカチオン性脂質種もしくは非カチオン性脂質種と組み合わせて脂質粒子に使用することができる。カチオン性脂質には、その(R)及び/または(S)エナンチオマーを含む。
一態様では、カチオン性脂質はジアルキル脂質である。例えば、ジアルキル脂質には、アルキル鎖のそれぞれが置換されていても置換されていなくてもよい、2つの飽和または不飽和のアルキル鎖を含んでいる脂質を含み得る。ある特定の実施形態では、2つのアルキル鎖のそれぞれは、例えば、8個の炭素原子、10個の炭素原子、12個の炭素原子、14個の炭素原子、16個の炭素原子、18個の炭素原子、20個の炭素原子、22個の炭素原子、または24個の炭素原子を少なくとも含む。
一態様では、カチオン性脂質はトリアルキル脂質である。例えば、トリアルキル脂質には、アルキル鎖のそれぞれが置換されていても置換されていなくてもよい、3つの飽和または不飽和のアルキル鎖を含んでいる脂質を含み得る。ある特定の実施形態では、3つのアルキル鎖のそれぞれは、例えば、8個の炭素原子、10個の炭素原子、12個の炭素原子、14個の炭素原子、16個の炭素原子、18個の炭素原子、20個の炭素原子、22個の炭素原子、または24個の炭素原子を少なくとも含む。
一態様では、以下の構造を有する式Iのカチオン性脂質:
またはその塩であって、式中:
R1及びR2は同じかもしくは異なっており、独立して、水素(H)もしくは場合により置換されたC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、もしくはC2〜C6アルキニルであるか、またはR1とR2が結合されて、4〜6個の炭素原子と、窒素(N)、酸素(O)、及びそれらの混合物からなる群から選択される1個または2個のヘテロ原子とで構成される、場合により置換された複素環を形成してもよく;
R3は存在しないか、または水素(H)もしくはC1〜C6アルキルであり、四級アミンを形成し;
R4及びR5は、同じかまたは異なっており、独立して、場合により置換されたC10〜C24アルキル、C10〜C24アルケニル、C10〜C24アルキニル、またはC10〜C24アシルであり、ここでR4及びR5のうち少なくとも1つは少なくとも2つの不飽和部位を含んでおり;ならびに
nは0、1、2、3、または4であるものが有用である。
いくつかの実施形態では、R1及びR2は、独立して、場合により置換されたC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、またはC2〜C4アルキニルである。好ましい一実施形態では、R1及びR2はいずれもメチル基である。他の好ましい実施形態では、nは1または2である。他の実施形態では、pHがカチオン性脂質のpKaを超える場合にはR3が存在せず、またpHがカチオン性脂質のpKaを下回る場合にはR3が水素であり、その結果、アミノ頭部基はプロトン化される。代替的実施形態では、R3は、場合により置換されたC1〜C4アルキルであり、四級アミンを形成する。さらなる実施形態では、R4及びR5は、独立して、場合により置換されたC12〜C20もしくはC14〜C22アルキル、C12〜C20もしくはC14〜C22アルケニル、C12〜C20もしくはC14〜C22アルキニル、またはC12〜C20もしくはC14〜C22アシルであり、ここでR4及びR5のうち少なくとも1つは少なくとも2つの不飽和部位を含む。
ある特定の実施形態では、R4及びR5は、ドデカジエニル部分、テトラデカジエニル部分、ヘキサデカジエニル部分、オクタデカジエニル部分、イコサジエニル部分、ドデカトリエニル部分、テトラデカトリエニル部分、ヘキサデカトリエニル部分、オクタデカトリエニル部分、イコサトリエニル部分、アラキドニル部分、及びドコサヘキサエノイル部分、ならびにそれらのアシル誘導体(例えば、リノレオイル、リノレノイル、γ−リノレノイルなど)からなる群から独立して選択される。場合によっては、R4及びR5の一方に、分枝状アルキル基(例えば、フィタニル部分)またはそのアシル誘導体(例えば、フィタノイル部分)が含まれる。ある特定の例では、オクタデカジエニル部分がリノレイル部分である。その他のある特定の例では、オクタデカトリエニル部分が、リノレニル部分またはγ−リノレニル部分である。ある特定の実施形態では、R4及びR5はいずれも、リノレイル部分、リノレニル部分、またはγ−リノレニル部分である。特定の実施形態では、式Iのカチオン性脂質は、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジリノレイルオキシ−(N,N−ジメチル)−ブチル−4−アミン(C2−DLinDMA)、1,2−ジリノレオイルオキシ−(N,N−ジメチル)−ブチル−4−アミン(C2−DLinDAP)、またはそれらの混合物である。
いくつかの実施形態では、式Iのカチオン性脂質は、1つ以上のアニオンと塩(好ましくは結晶塩)を形成する。特定の一実施形態では、式Iのカチオン性脂質は、そのシュウ酸(例えば、ヘミオキサレート)塩であり、これは好ましくは結晶塩である。
DLinDMA及びDLenDMAなどのカチオン性脂質、ならびに追加のカチオン性脂質の合成については、米国特許公開第20060083780号に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。C2−DLinDMA及びC2−DLinDAPなどのカチオン性脂質、ならびに追加のカチオン性脂質の合成については、国際特許出願番号WO2011/000106に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
別の態様では、以下の構造を有する式II:
であり、式中、R1及びR2は同じかもしくは異なっており、独立して、場合により置換されたC12〜C24アルキル、C12〜C24アルケニル、C12〜C24アルキニル、またはC12〜C24アシルであり;R3及びR4は同じかもしくは異なっており、独立して、場合により置換されたC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、もしくはC2〜C6アルキニルであるか、またはR3とR4が結合されて、4〜6個の炭素原子と、窒素及び酸素から選択される1個または2個のヘテロ原子とで構成される、場合により置換された複素環を形成してもよく;R5は存在しないか、または水素(H)もしくはC1〜C6アルキルであり、四級アミンを形成し;m、n、及びpは、同じかまたは異なっており、独立して0、1、または2のいずれかであり(ただし、m、n、及びpは同時に0になることはない);qは0、1、2、3、または4であり;ならびにY及びZは同じかまたは異なっており、独立してO、S、またはNHである、カチオン性脂質(またはその塩)が有用である。好ましい実施形態では、qは2である。
いくつかの実施形態では、式IIのカチオン性脂質は、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C2−DMA;「XTC2」または「C2K」)、2,2−ジリノレイル−4−(3−ジメチルアミノプロピル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C3−DMA;「C3K」)、2,2−ジリノレイル−4−(4−ジメチルアミノブチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C4−DMA;「C4K」)、2,2−ジリノレイル−5−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキサン(DLin−K6−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−N−メチルペピアジノ−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−MPZ)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、2,2−ジオレオイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DO−K−DMA)、2,2−ジステアロイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DS−K−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−N−モルホリノ−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−MA)、2,2−ジリノレイル−4−トリメチルアミノ−[1,3]−ジオキソランクロリド(DLin−K−TMA.Cl)、2,2−ジリノレイル−4,5−ビス(ジメチルアミノメチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K2−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−メチルピペリジン−[1,3]−ジオキソラン(D−Lin−K−N−メチルピペリジン)、またはそれらの混合物である。一実施形態では、式IIのカチオン性脂質は、DLin−K−C2−DMAである。
いくつかの実施形態では、式IIのカチオン性脂質は、1つ以上のアニオンと塩(好ましくは結晶塩)を形成する。特定の一実施形態では、式IIのカチオン性脂質は、そのシュウ酸(例えば、ヘミオキサレート)塩であり、これは好ましくは結晶塩である。
DLin−K−DMAなどのカチオン性脂質、ならびに追加のカチオン性脂質の合成については、PCT公開番号WO09/086558に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。DLin−K−C2−DMA、DLin−K−C3−DMA、DLin−K−C4−DMA、DLin−K6−DMA、DLin−K−MPZ、DO−K−DMA、DS−K−DMA、DLin−K−MA、DLin−K−TMA.Cl、DLin−K2−DMA、及びD−Lin−K−N−メチルピペリジンなどのカチオン性脂質、ならびに追加のカチオン性脂質の合成については、2009年10月9日出願のPCT出願番号PCT/US2009/060251、表題「Improved Amino Lipids and Methods for the Delivery of Nucleic Acids」に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
さらなる態様では、以下の構造を有する式IIIのカチオン性脂質:
またはその塩であって、式中:R1及びR2は同じかもしくは異なっており、独立して、場合により置換されたC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、もしくはC2〜C6アルキニルであるか、またはR1とR2が結合されて、4〜6個の炭素原子と、窒素(N)、酸素(O)、及びそれらの混合物からなる群から選択される1個または2個のヘテロ原子とで構成される、場合により置換された複素環を形成してもよく;R3は存在しないか、または水素(H)もしくはC1〜C6アルキルであり、四級アミンを形成し;R4及びR5は存在しないか、または存在し、存在する場合には、同じかまたは異なっており、独立して、場合により置換されたC1〜C10アルキルまたはC2〜C10アルケニルであり;ならびに、nは0、1、2、3、または4であるものが有用である。
いくつかの実施形態では、R1及びR2は、独立して、場合により置換されたC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、またはC2〜C4アルキニルである。好ましい実施形態では、R1及びR2はいずれもメチル基である。別の好ましい実施形態では、R4及びR5はいずれもブチル基である。さらに別の好ましい実施形態では、nは1である。他の実施形態では、pHがカチオン性脂質のpKaを超える場合にはR3が存在せず、またpHがカチオン性脂質のpKaを下回る場合にはR3が水素であり、その結果、アミノ頭部基はプロトン化される。代替的実施形態では、R3は、場合により置換されたC1〜C4アルキルであり、四級アミンを形成する。さらなる実施形態では、R4及びR5は、独立して、場合により置換されたC2〜C6もしくはC2〜C4アルキル、またはC2〜C6もしくはC2〜C4アルケニルである。
代替的実施形態では、式IIIのカチオン性脂質に、アミノ頭部基と一方または両方のアルキル鎖との間のエステル結合が含まれる。いくつかの実施形態では、式IIIのカチオン性脂質は、1つ以上のアニオンと塩(好ましくは結晶塩)を形成する。特定の一実施形態では、式IIIのカチオン性脂質は、そのシュウ酸(例えば、ヘミオキサレート)塩であり、これは好ましくは結晶塩である。
式IIIにおけるアルキル鎖のそれぞれは、6位、9位、及び12位にシス二重結合(すなわち、cis,cis,cis−Δ6,Δ9,Δ12)を含んでいるが、代替的実施形態では、一方または両方のアルキル鎖の3つの二重結合のうち1つ、2つ、または3つがトランス位置にあってもよい。
特定の実施形態では、式IIIのカチオン性脂質は、以下の構造を有する:
。
γ−DLenDMA(15)などのカチオン性脂質、ならびに追加のカチオン性脂質の合成については、2009年7月1日出願の米国仮出願第61/222,462号、表題「Improved Cationic Lipids and Methods for the Delivery of Nucleic Acids」に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
DLin−M−C3−DMA(「MC3」)などのカチオン性脂質、ならびに追加のカチオン性脂質(例えば、MC3のある特定の類似体)の合成については、2009年6月10日出願の米国仮出願第61/185,800号、表題「Novel Lipids and Compositions for the Delivery of Therapeutics」、及び2009年12月18日出願の米国仮出願第61/287,995号、表題「Methods and Compositions for Delivery of Nucleic Acids」に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
脂質粒子に含まれていてもよい他のカチオン性脂質またはその塩の例としては、限定されないが、その開示内容の全体が目的を問わず参照により本明細書に組み込まれるWO2011/000106に記載されるもののようなカチオン性脂質、ならびに、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)、1,2−ジステアリルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DSDMA)、N−(1−(2,3−ジオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、3−(N−(N’,N’−(ジメチルアミノエタン)−カルバモイル)コレステロール(DC−Chol)、N−(1,2−ジミリスチルオキシプロパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスト−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエノキシ)プロパン(CLinDMA)、2−[5’−(コレスト−5−エン−3−ベータ−オキシ)−3’−オキサペントキシ)−3−ジメチル−1−(cis,cis−9’,1−2’−オクタデカジエノキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)、1,2−N,N’−ジオレイルカルバミル−3−ジメチルアミノプロパン(DOcarbDAP)、1,2−N,N’−ジリノレイルカルバミル−3−ジメチルアミノプロパン(DLincarbDAP)、1,2−ジリノレイルカルバモイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−C−DAP)、1,2−ジリノレイオキシ−3−(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin−DAC)、1,2−ジリノレイオキシ−3−モルホリノプロパン(DLin−MA)、1,2−ジリノレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2−ジリノレイルチオ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−S−DMA)、1−リノレオイル−2−リノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−2−DMAP)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TMA.Cl)、1,2−ジリノレオイル−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TAP.Cl)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−(N−メチルピペラジノ)プロパン(DLin−MPZ)、3−(N,N−ジリノレイルアミノ)−1,2−プロパンジオール(DLinAP)、3−(N,N−ジオレイルアミノ)−1,2−プロパンジオ(DOAP)、1,2−ジリノレイルオキソ−3−(2−N,N−ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin−EG−DMA)、1,2−ジオエイルカルバモイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DO−C−DAP)、1,2−ジミリストレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DMDAP)、1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアミノプロパンクロリド(DOTAP.Cl)、ジリノレイルメチル−3−ジメチルアミノプロピオネート(DLin−M−C2−DMA;別名DLin−M−K−DMAまたはDLin−M−DMA)、及びそれらの混合物などのカチオン性脂質が挙げられる。脂質粒子に含まれていてもよい追加のカチオン性脂質またはその塩は、米国特許公開第20090023673号に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
CLinDMAなどのカチオン性脂質、ならびに追加のカチオン性脂質の合成については、米国特許公開第20060240554号に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。DLin−C−DAP、DLinDAC、DLinMA、DLinDAP、DLin−S−DMA、DLin−2−DMAP、DLinTMA.Cl、DLinTAP.Cl、DLinMPZ、DLinAP、DOAP、及びDLin−EG−DMAなどのカチオン性脂質、ならびに追加のカチオン性脂質の合成については、PCT公開番号WO09/086558に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。DO−C−DAP、DMDAP、DOTAP.Cl、DLin−M−C2−DMAなどのカチオン性脂質、ならびに追加のカチオン性脂質の合成については、2009年10月9日出願のPCT出願番号PCT/US2009/060251、表題「Improved Amino Lipids and Methods for the Delivery of Nucleic Acids」に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。他のいくつかのカチオン性脂質及び関連する類似体の合成が、米国特許第5,208,036号;同第5,264,618号;同第5,279,833号;同第5,283,185号;同第5,753,613号;及び同第5,785,992号;ならびにPCT公開番号WO96/10390に記載されており、それらの開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、例えば、LIPOFECTIN(登録商標)(DOTMA及びDOPEを含み、Invitrogenから入手可能)、LIPOFECTAMINE(登録商標)(DOSPA及びDOPEを含み、Invitrogenから入手可能)、及びTRANSFECTAM(登録商標)(DOGSを含み、Promega Corp.から入手可能)など、いくつかの市販のカチオン性脂質製剤を使用することができる。
いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質のうち、約50mol%〜約90mol%、約50mol%〜約85mol%、約50mol%〜約80mol%、約50mol%〜約75mol%、約50mol%〜約70mol%、約50mol%〜約65mol%、約50mol%〜約60mol%、約55mol%〜約65mol%、または約55mol%〜約70mol%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成する。特定の実施形態では、カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質のうち、約50mol%、51mol%、52mol%、53mol%、54mol%、55mol%、56mol%、57mol%、58mol%、59mol%、60mol%、61mol%、62mol%、63mol%、64mol%、または65mol%(またはその端数もしくはその範囲内)を構成する。
他の実施形態では、カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質のうち、約2mol%〜約60mol%、約5mol%〜約50mol%、約10mol%〜約50mol%、約20mol%〜約50mol%、約20mol%〜約40mol%、約30mol%〜約40mol%、または約40mol%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成する。
脂質粒子に使用するのに適したカチオン性脂質のその他の比率及び範囲は、PCT公開番号WO09/127060、米国公開出願番号US2011/0071208、PCT公開番号WO2011/000106、及び米国公開出願番号US2011/0076335に記載されており、それらの開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
脂質粒子中に存在するカチオン性脂質の比率は目標量であり、製剤中に存在するカチオン性脂質の実際量は、例えば±5mol%変動する可能性がある。例えば、ある例示的な脂質粒子製剤において、カチオン性脂質の目標量は57.1mol%であるが、カチオン性脂質の実際量は、その目標量の±5mol%、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、または±0.1mol%である可能性があり、製剤の残部は他の脂質成分で構成されている(粒子中に存在する総脂質は合計して最大100mol%;ただし、端数処理されるため、総mol%が、100%をわずかに外れ、例えば99.9mol%または100.1mol%となる場合があることを当業者は理解されよう)。
脂質粒子に含有すると有用であるカチオン性脂質のさらなる例を以下に示す:
。
非カチオン性脂質
脂質粒子に使用される非カチオン性脂質は、安定な複合体を生成することができる様々な中性非荷電、双性イオン性、またはアニオン性の脂質のいずれかであり得る。
非カチオン性脂質の非限定的な例としては、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイル−ホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイル−ホスファチジルグリセロール(POPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)、ジパルミトイル−ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル−ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、モノメチル−ホスファチジルエタノールアミン、ジメチル−ホスファチジルエタノールアミン、ジエライドイル−ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、ステアロイルオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、リゾホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、及びそれらの混合物などのリン脂質が挙げられる。他のジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミンリン脂質もまた使用することができるこれらの脂質のアシル基は、好ましくはC10〜C24炭素鎖を有する脂肪酸から誘導されたアシル基、例えばラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、またはオレオイルである。
非カチオン性脂質の追加例として、コレステロールなどのステロール及びその誘導体が挙げられる。コレステロール誘導体の非限定的な例として、5α−コレスタノール、5β−コプロスタノール、コレステリル−(2’−ヒドロキシ)−エチルエーテル、コレステリル−(4’−ヒドロキシ)−ブチルエーテル、及び6−ケトコレスタノールなどの極性類似体;5α−コレスタン、コレステノン、5α−コレスタノン、5β−コレスタノン、及びコレステリルデカノエートなどの非極性類似体;ならびにそれらの混合物が挙げられる。好ましい実施形態では、コレステロール誘導体は、コレステリル−(4’−ヒドロキシ)−ブチルエーテルなどの極性類似体である。コレステリル−(2’−ヒドロキシ)−エチルエーテルの合成については、PCT公開番号WO09/127060に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、脂質粒子中に存在する非カチオン性脂質は、1つ以上のリン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物を含むかまたはそれからなる。他の実施形態では、脂質粒子中に存在する非カチオン性脂質は、1つ以上のリン脂質、例えば、コレステロールを含まない脂質粒子製剤を含むかまたはそれからなる。さらなる他の実施形態では、脂質粒子中に存在する非カチオン性脂質は、コレステロールまたはその誘導体、例えば、リン脂質を含まない脂質粒子製剤を含むかまたはそれからなる。
使用に適した非カチオン性脂質の他の例として、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、アセチルパルミテート、グリセロールリシノレート、ヘキサデシルステレート、イソプロピルミリステート、両性アクリルポリマー、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルアリールサルフェートポリエチルオキシレート化脂肪酸アミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、セラミド、スフィンゴミエリンなどの非リン含有脂質が挙げられる。
いくつかの実施形態では、非カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質のうち、約10mol%〜約60mol%、約20mol%〜約55mol%、約20mol%〜約45mol%、約20mol%〜約40mol%、約25mol%〜約50mol%、約25mol%〜約45mol%、約30mol%〜約50mol%、約30mol%〜約45mol%、約30mol%〜約40mol%、約35mol%〜約45mol%、約37mol%〜約45mol%、または約35mol%、36mol%、37mol%、38mol%、39mol%、40mol%、41mol%、42mol%、43mol%、44mol%、もしくは45mol%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成する。
脂質粒子がリン脂質とコレステロールまたはコレステロール誘導体との混合物を含有する実施形態では、その混合物が、粒子中に存在する総脂質のうち、最大約40mol%、45mol%、50mol%、55mol%、または60mol%を構成していてもよい。
いくつかの実施形態では、混合物中のリン脂質成分が、粒子中に存在する総脂質のうち、約2mol%〜約20mol%、約2mol%〜約15mol%、約2mol%〜約12mol%、約4mol%〜約15mol%、または約4mol%〜約10mol%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成していてもよい。ある特定の実施形態では、混合物中のリン脂質成分が、粒子中に存在する総脂質のうち、約5mol%〜約17mol%、約7mol%〜約17mol%、約7mol%〜約15mol%、約8mol%〜約15mol%、または約8mol%、9mol%、10mol%、11mol%、12mol%、13mol%、14mol%、もしくは15mol%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成する。非限定的な例として、リン脂質とコレステロールとの混合物を含んでいる脂質粒子製剤は、粒子中に存在する総脂質のうち、例えば約34mol%(またはその任意の端数)を占めるコレステロールまたはコレステロール誘導体と混合された、約7mol%(またはその任意の端数)を占めるDPPCまたはDSPCなどのリン脂質を含み得る。別の非限定的な例として、リン脂質とコレステロールとの混合物を含んでいる脂質粒子製剤は、粒子中に存在する総脂質のうち、例えば約32mol%(またはその任意の端数)を占めるコレステロールまたはコレステロール誘導体と混合された、約7mol%(またはその任意の端数)を占めるDPPCまたはDSPCなどのリン脂質を含み得る。
さらなる例として、有用な脂質製剤は、脂質と治療薬(例えば、核酸)との比が、約10:1(例えば、脂質:治療薬比が9.5:1〜11:1、または9.9:1〜11:1、または10:1〜10.9:1)である。ある特定の他の実施形態では、有用な脂質製剤は、脂質と治療薬(例えば、核酸)との比が、約9:1(例えば、8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1の脂質:治療薬比。これには9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1を含む)である。
他の実施形態では、混合物中のコレステロール成分が、粒子中に存在する総脂質のうち、約25mol%〜約45mol%、約25mol%〜約40mol%、約30mol%〜約45mol%、約30mol%〜約40mol%、約27mol%〜約37mol%、約25mol%〜約30mol%、または約35mol%〜約40mol%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成していてもよい。ある特定の好ましい実施形態では、混合物中のコレステロール成分は、粒子中に存在する総脂質のうち、約25mol%〜約35mol%、約27mol%〜約35mol%、約29mol%〜約35mol%、約30mol%〜約35mol%、約30mol%〜約34mol%、約31mol%〜約33mol%、または約30mol%、31mol%、32mol%、33mol%、34mol%、もしくは35mol%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成する。
脂質粒子がリン脂質を含まない実施形態では、コレステロールまたはその誘導体が、粒子中に存在する総脂質のうち、最大約25mol%、30mol%、35mol%、40mol%、45mol%、50mol%、55mol%、または60mol%を構成していてもよい。
いくつかの実施形態では、リン脂質を含まない脂質粒子製剤中のコレステロールまたはその誘導体が、粒子中に存在する総脂質のうち、約25mol%〜約45mol%、約25mol%〜約40mol%、約30mol%〜約45mol%、約30mol%〜約40mol%、約31mol%〜約39mol%、約32mol%〜約38mol%、約33mol%〜約37mol%、約35mol%〜約45mol%、約30mol%〜約35mol%、約35mol%〜約40mol%、または約30mol%、31mol%、32mol%、33mol%、34mol%、35mol%、36mol%、37mol%、38mol%、39mol%、もしくは40mol%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成していてもよい。非限定的な例として、脂質粒子製剤は、粒子中に存在する総脂質のうち、約37mol%(またはその任意の端数)のコレステロールを含んでいてもよい。別の非限定的な例として、脂質粒子製剤は、粒子中に存在する総脂質のうち、約35mol%(またはその任意の端数)のコレステロールを含んでいてもよい。
他の実施形態では、非カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質のうち、約5mol%〜約90mol%、約10mol%〜約85mol%、約20mol%〜約80mol%、約10mol%(例えばリン脂質のみ)、または約60mol%(例えば、リン脂質及びコレステロールもしくはその誘導体)(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成する。
脂質粒子に使用するのに適した非カチオン性脂質のその他の比率及び範囲は、PCT公開番号WO09/127060、米国公開出願番号US2011/0071208、PCT公開番号WO2011/000106、及び米国公開出願番号US2011/0076335に記載されており、それらの開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
脂質粒子中に存在する非カチオン性脂質の比率は目標量であり、製剤に存在する非カチオン性脂質の実際量は、例えば、±5mol%、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、または±0.1mol%で変動する可能性があるものと理解されるべきである。
脂質コンジュゲート
脂質粒子が、カチオン性脂質及び非カチオン性脂質に加えて、脂質コンジュゲートをさらに含んでいてもよい。コンジュゲート脂質は、粒子の凝集を防止するという点で有用である。好適なコンジュゲート脂質としては、PEG−脂質コンジュゲート、POZ−脂質コンジュゲート、ATTA−脂質コンジュゲート、カチオン性ポリマー−脂質コンジュゲート(CPL)、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、粒子は、CPLとともに、PEG−脂質コンジュゲートまたはATTA−脂質コンジュゲートのいずれかを含む。
好ましい実施形態では、脂質コンジュゲートはPEG−脂質コンジュゲートである。PEG脂質の例としては、限定されないが、例えば、PCT公開番号WO05/026372に記載のジアルキルオキシプロピルと結合されたPEG(PEG−DAA)、例えば、米国特許公開第20030077829号及び同第2005008689号に記載のジアシルグリセロールと結合されたPEG(PEG−DAG)、ホスファチジルエタノールアミンなどのリン脂質と結合されたPEG(PEG−PE)、例えば米国特許第5,885,613号に記載のセラミドにコンジュゲートされたPEG、コレステロールまたはその誘導体とコンジュゲートされたPEG、及びそれらの混合物が挙げられる。これらの特許文献の開示は、目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
使用に適したその他のPEG脂質として、限定されないが、mPEG2000−1,2−ジ−O−アルキル−sn3−カルボモイルグリセリド(PEG−C−DOMG)が挙げられる。PEG−C−DOMGの合成については、PCT公開番号WO09/086558に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに追加の好適なPEG−脂質コンジュゲートとしては、限定されないが、1−[8’−(1,2−ジミリストイル−3−プロパノキシ)−カルボキサミド−3’,6’−ジオキサオクタニル]カルバモイル−ω−メチル−ポリ(エチレングリコール)(2KPEG−DMG)が挙げられる。2KPEG−DMGの合成については、米国特許第7,404,969号に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
PEGは、2つの末端ヒドロキシル基を有するエチレンのPEG繰り返し単位の直鎖状の水溶性ポリマーである。PEGはその分子量によって分類され、例えば、PEG2000は約2,000ダルトンの平均分子量を有し、PEG5000は約5,000ダルトンの平均分子量を有する。PEGは、Sigma Chemical Co.及び他の会社から市販されており、限定されないが、モノメトキシポリエチレングリコール(MePEG−OH)、モノメトキシポリエチレングリコール−スクシネート(MePEG−S)、モノメトキシポリエチレングリコール−スクシンイミジルスクシネート(MePEG−S−NHS)、モノメトキシポリエチレングリコール−アミン(MePEG−NH2)、モノメトキシポリエチレングリコール−トレシレート(MePEG−TRES)、モノメトキシポリエチレングリコール−イミダゾリル−カルボニル(MePEG−IM)、ならびに末端メトキシ基の代わりに末端ヒドロキシル基を含有するそのような化合物(例えば、HO−PEG−S、HO−PEG−S−NHS、HO−PEG−NH2など)が挙げられる。米国特許第6,774,180号及び第7,053,150号に記載されるものなどの他のPEG(例えば、mPEG(20KDa)アミン)もまた、PEG−脂質コンジュゲートを調製するのに有用である。これらの特許の開示は、目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、モノメトキシポリエチレングリコール−酢酸(MePEG−CH2COOH)は、例えばPEG−DAAコンジュゲートを含む、PEG−脂質コンジュゲートの調製に特に有用である。
本明細書に記載のPEG−脂質コンジュゲートのPEG部分は、約550ダルトン〜約10,000ダルトンの範囲の平均分子量を備え得る。ある特定の例では、PEG部分は、約750ダルトン〜約5,000ダルトン(例えば、約1,000ダルトン〜約5,000ダルトン、約1,500ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約2,000ダルトンなど)の平均分子量を有する。好ましい実施形態では、PEG部分は、約2,000ダルトンまたは約750ダルトンの平均分子量を有する。
ある特定の例では、PEGは、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、またはアリール基で場合により置換することができる。PEGは、脂質に直接コンジュゲートすることも、またはリンカー部分を介して脂質と連結することもできる。PEGを脂質に結合するのに適したリンカー部分であれば、例えば、エステル以外で構成されるリンカー部分及びエステルで構成されるリンカー部分を含め、いずれを使用することもできる。好ましい実施形態では、リンカー部分はエステル以外で構成されるリンカー部分である。本明細書で使用される場合、用語「エステル以外で構成されるリンカー部分」とは、カルボン酸エステル結合(−OC(O)−)を含まないリンカー部分を指す。好適なエステル以外で構成されるリンカー部分としては、アミド(−C(O)NH−)、アミノ(−NR−)、カルボニル(−C(O)−)、カルバメート(−NHC(O)O−)、尿素(−NHC(O)NH−)、ジスルフィド(−S−S−)、エーテル(−O−)、スクシニル(−(O)CCH2CH2C(O)−)、スクシンアミジル(−NHC(O)CH2CH2C(O)NH−)、エーテル、ジスルフィド、ならびにそれらの組み合わせ(カルバメートリンカー部分とアミドリンカー部分の両方を含むリンカーなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、PEGと脂質との結合にカルバメートリンカーを使用する。
他の実施形態では、PEGと脂質との結合にエステルを含むリンカー部分を使用する。好適なエステルを含むリンカー部分としては、例えば、カーボネート(−OC(O)O−)、スクシノイル、リン酸エステル(−O−(O)POH−O−)、スルホン酸エステル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
様々な鎖長及び飽和度の様々なアシル鎖基を有するホスファチジルエタノールアミンを、PEGにコンジュゲートして脂質コンジュゲートを形成することができる。そのようなホスファチジルエタノールアミンは市販されているか、または当業者に公知の従来技術を用いて単離または合成することができる。C10〜C20の範囲の炭素鎖長をもつ飽和または不飽和の脂肪酸を含むホスファチジル−エタノールアミンが好ましい。モノ不飽和脂肪酸またはジ不飽和脂肪酸、ならびに飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の混合物を有するホスファチジルエタノールアミンもまた使用することができる。好適なホスファチジルエタノールアミンとして、ジミリストイル−ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイル−ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、及びジステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「ATTA」または「ポリアミド」には、限定されないが、米国特許第6,320,017号及び同第6,586,559号に記載されている化合物を含み、それらの開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。このような化合物には、式:
を有する化合物であって、
式中、Rは水素、アルキル、及びアシルからなる群から選択される構成要素であり;R1は水素及びアルキルからなる群から選択される構成要素であるか;または、場合により、R及びR1、ならびにそれらが結合している窒素が、アジド部分を形成しており;R2は、水素、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、及びアミノ酸の側鎖から選択される群の構成要素であり;R3は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、ヒドラジノ、アミノ、及びNR4R5(式中、R4及びR5は独立して水素またはアルキルである)からなる群から選択される構成要素であり;nは4〜80であり;mは2〜6であり;pは1〜4であり;ならびにqは0または1である、化合物を含む。化合物が他のポリアミドであってもよいことは当業者に明らかであろう。
用語「ジアシルグリセロール」または「DAG」には、2つの脂肪族アシル鎖、R1及びR2を有し、その両方が、エステル結合によってグリセロールの1位及び2位に結合された2〜30個の炭素を独立して有する化合物を含む。アシル基は飽和していても、または様々な不飽和度を有していてもよい。好適なアシル基としては、ラウロイル(C12)、ミリストイル(C14)、パルミトイル(C16)、ステアロイル(C18)、及びイコソイル(C20)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、R1及びR2が同じである、すなわち、R1及びR2が両方ともミリストイル(すなわちジミリストイル)、R1及びR2が両方ともステアロイル(すなわちジステアロイル)などである。ジアシルグリセロールは以下の一般式を有する:
。
用語「ジアルキルオキシプロピル」または「DAA」には、2つのアルキル鎖、R1及びR2を有し、その両方が、2〜30個の炭素を独立して有する化合物を含む。アルキル基は飽和していても、または様々な不飽和度を有していてもよい。ジアルキルオキシプロピルは以下の一般式を有する:
好ましい実施形態では、PEG−脂質は、以下の式:
を有するPEG−DAAコンジュゲートであり、
式中、R1及びR2は独立して選択され、かつ約10〜約22個の炭素原子を有する長鎖アルキル基であり;PEGはポリエチレングリコールであり;ならびに、Lは、上記のようなエステル以外で構成されるリンカー部分またはエステルで構成されるリンカー部分である。長鎖アルキル基は飽和であっても不飽和であってもよい。好適なアルキル基としては、デシル(C10)、ラウリル(C12)、ミリスチル(C14)、パルミチル(C16)、ステアリル(C18)、及びイコシル(C20)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、R1及びR2が同じである、すなわち、R1及びR2が両方ともミリスチル(すなわちジミリスチル)、R1及びR2が両方ともステアリル(すなわちジステアリル)などである。
上記の式VIIにおいて、PEGは、約550ダルトン〜約10,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する。ある特定の例では、PEGは、約750ダルトン〜約5,000ダルトン(例えば、約1,000ダルトン〜約5,000ダルトン、約1,500ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約2,000ダルトンなど)の平均分子量を有する。好ましい実施形態では、PEGは、約2,000ダルトンまたは約750ダルトンの平均分子量を有する。PEGは、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、またはアリール基で場合により置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、末端ヒドロキシル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されている。
好ましい実施形態では、「L」はエステル以外で構成されるリンカー部分である。好適なエステル以外で構成されるリンカーとしては、アミドリンカー部分、アミノリンカー部分、カルボニルリンカー部分、カルバメートリンカー部分、尿素リンカー部分、エーテルリンカー部分、ジスルフィドリンカー部分、スクシンアミジルリンカー部分、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、エステル以外で構成されるリンカー部分はカルバメートリンカー部分である(すなわち、PEG−C−DAAコンジュゲート)。別の好ましい実施形態では、エステル以外で構成されるリンカー部分はアミドリンカー部分である(すなわち、PEG−A−DAAコンジュゲート)。さらに別の好ましい実施形態では、エステル以外で構成されるリンカー部分はスクシンアミジルリンカー部分である(すなわち、PEG−S−DAAコンジュゲート)。
特定の実施形態では、PEG−脂質コンジュゲートは、
;及び
から選択される。
PEG−DAAコンジュゲートは、当業者に公知の標準的な技術及び試薬を用いて合成される。PEG−DAAコンジュゲートは、様々なアミド結合、アミン結合、エーテル結合、チオ結合、カルバメート結合、及び尿素結合を含むであろうことが認識されよう。これらの結合を形成するための方法及び試薬が周知されており、容易に利用可能であることを当業者は認識しているであろう。例えば、March,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(Wiley 1992);Larock,COMPREHENSIVE ORGANIC TRANSFORMATIONS(VCH 1989);及びFurniss,VOGEL’S TEXTBOOK OF PRACTICAL ORGANIC CHEMISTRY,5th ed.(Longman 1989)を参照のこと。存在する官能基のいずれも、PEG−DAAコンジュゲートの合成時に異なる時点で保護及び脱保護が必要となる場合があることもまた理解されよう。そのような技術が周知されていることを当業者は認識しているであろう。例えば、Green and Wuts,PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS(Wiley 1991)を参照のこと。
好ましくは、PEG−DAAコンジュゲートは、PEG−ジデシルオキシプロピル(C10)コンジュゲート、PEG−ジラウリルオキシプロピル(C12)コンジュゲート、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(C14)コンジュゲート、PEG−ジパルミチルオキシプロピル(C16)コンジュゲート、またはPEG−ジステアリルオキシプロピル(C18)コンジュゲートである。これらの実施形態では、PEGが約750ダルトンまたは約2,000ダルトンの平均分子量を有することが好ましい。特に好ましい一実施形態では、PEG−脂質コンジュゲートにはPEG2000−C−DMAを含む。ここで、「2000」とはPEGの平均分子量を表し、「C」はカルバメートリンカー部分を表し、「DMA」はジミリスチルオキシプロピルを表す。別の特に好ましい実施形態では、PEG−脂質コンジュゲートにはPEG750−C−DMAを含む。ここで、「750」はPEGの平均分子量を表し、「C」はカルバメートリンカー部分を表し、「DMA」はジミリスチルオキシプロピルを表す。特定の実施形態では、PEGの末端ヒドロキシル基は、メチル基で置換されている。PEG−DAAコンジュゲートに他のジアルキルオキシプロピルを使用できることを当業者は容易に理解されよう。
上記に加えて、PEGの代わりに他の親水性ポリマーを使用できることが当業者には容易に明らかであろう。PEGの代わりに使用することができる好適なポリマーの例としては、ポリビニルピロリドン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド及びポリジメチルアクリルアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ならびにヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどの誘導体化セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
前述の成分に加えて、脂質粒子はさらにカチオン性ポリ(エチレングリコール)(PEG)脂質またはCPLを含んでいてもよい(例えば、Chen et al.,Bioconj.Chem.,11:433−437(2000);米国特許第6,852,334号;PCT公開番号WO00/62813を参照。それらの開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
好適なCPLとして、式VIII:
A−W−Y(VIII)
(式中、A、W、及びYは以下の通りである)の化合物が挙げられる。
式VIIIに関して、「A」は、両親媒性脂質、中性脂質、または疎水性脂質など、脂質アンカーとして作用する脂質部分である。好適な脂質の例として、ジアシルグリセロリル、ジアルキルグリセロリル、N−N−ジアルキルアミノ、1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパン、及び1,2−ジアルキル−3−アミノプロパンが挙げられるが、これらに限定されない。
「W」は、親水性ポリマーまたはオリゴマーなどのポリマーまたはオリゴマーである。好ましくは、親水性ポリマーは、非免疫原性であるか、または低い固有の免疫原性を保有する生体適合性ポリマーである。あるいは、適切なアジュバントとともに使用される場合、親水性ポリマーは弱抗原性であってもよい。好適な非免疫原性ポリマーとしては、PEG、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリグリコール酸コポリマー、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、ポリマーは約250〜約7,000ダルトンの分子量を有する。
「Y」はポリカチオン部分である。ポリカチオン部分という用語は、選択されたpH、好ましくは生理学的pHで、正電荷、好ましくは少なくとも2個の正電荷を有する化合物、誘導体、または官能基を指す。好適なポリカチオン部分には、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、リジン、及びヒスチジンなどの塩基性アミノ酸及びその誘導体;スペルミン;スペルミジン;カチオン性デンドリマー;ポリアミン;ポリアミン糖;ならびにアミノ多糖類を含む。ポリカチオン部分の構造は、直鎖テトラリジンなどの直鎖状、分枝状、またはデンドリマー状であり得る。ポリカチオン部分は、選択されたpH値で、約2〜約15の正電荷、好ましくは約2〜約12の正電荷、より好ましくは約2〜約8の正電荷を有する。どのポリカチオン部分を用いるかの選択は、粒子に求められる用途の種類によって決定することができる。
ポリカチオン部分の電荷は、粒子部分の全周に分布していても、あるいは粒子部分のある特定領域への電荷密度の離散的な集中、例えば電荷スパイクであってもよい。粒子に電荷密度が分布している場合、電荷密度は均等に分布していても、不均等に分布していてもよい。ポリカチオン部分の電荷分布の変動はすべて包含される。
脂質「A」と非免疫原性ポリマー「W」とは、種々の方法によって、好ましくは共有結合によって結合することができる。「A」と「W」の共有結合には、当業者に公知の方法を用いることができる。好適な結合として、アミド結合、アミン結合、カルボキシル結合、カーボネート結合、カルバメート結合、エステル結合、及びヒドラゾン結合が挙げられるが、これらに限定されない。結合を達成するには、「A」及び「W」が相補的官能基を有していなければならないことは当業者に明らかであろう。一方が脂質側にあり、他方がポリマー側にあるこれら2つの基の反応により、求める結合が得られることになる。例えば、脂質がジアシルグリセロールであるとき、末端ヒドロキシルを、例えばNHS及びDCCで活性化して活性エステルを形成し、さらにアミノ基を含むポリマー、例えばポリアミドなどと反応させると(例えば、米国特許第6,320,017号及び同第6,586,559号を参照。それらの開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、2つの基の間にアミド結合が形成される。
ある特定の例では、ポリカチオン部分には、標的指向性リガンド、またはカルシウムを錯化するためのキレート部分などのリガンドを結合することもできる。リガンドが結合された後も、カチオン部分は正電荷を維持することが好ましい。ある特定の例では、結合するリガンドは正電荷を有する。好適なリガンドとしては、反応性官能基を有する化合物またはデバイスが挙げられるが、これに限定されず、脂質、両親媒性脂質、担体化合物、生体親和性化合物、生体材料、生体ポリマー、生物医学的デバイス、分析で検出可能な化合物、治療活性化合物、酵素、ペプチド、タンパク質、抗体、免疫刺激剤、放射性標識、蛍光物質、ビオチン、薬物、ハプテン、DNA、RNA、多糖類、リポソーム、ビロソーム、ミセル、免疫グロブリン、官能基、他の標的指向性部分、または毒素を含む。
いくつかの実施形態では、脂質コンジュゲート(例えば、PEG−脂質)は、粒子中に存在する総脂質のうち、約0.1mol%〜約3mol%、約0.5mol%〜約3mol%、または約0.6mol%、0.7mol%、0.8mol%、0.9mol%、1.0mol%、1.1mol%、1.2mol%、1.3mol%、1.4mol%、1.5mol%、1.6mol%、1.7mol%、1.8mol%、1.9mol%、2.0mol%、2.1mol%、2.2mol%、2.3mol%、2.4mol%、2.5mol%、2.6mol%、2.7mol%、2.8mol%、2.9mol%、もしくは3mol%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成する。
他の実施形態では、脂質コンジュゲート(例えば、PEG−脂質)は、粒子中に存在する総脂質のうち、約0mol%〜約20mol%、約0.5mol%〜約20mol%、約2mol%〜約20mol%、約1.5mol%〜約18mol%、約2mol%〜約15mol%、約4mol%〜約15mol%、約2mol%〜約12mol%、約5mol%〜約12mol%、または約2mol%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成する。
さらなる実施形態では、脂質コンジュゲート(例えば、PEG−脂質)は、粒子中に存在する総脂質のうち、約4mol%〜約10mol%、約5mol%〜約10mol%、約5mol%〜約9mol%、約5mol%〜約8mol%、約6mol%〜約9mol%、約6mol%〜約8mol%、または約5mol%、6mol%、7mol%、8mol%、9mol%、もしくは10mol%(またはその任意の端数もしくはその範囲内)を構成する。
脂質粒子中に存在する脂質コンジュゲートの比率は目標量であり、製剤に存在する脂質コンジュゲートの実際量は、例えば、±5mol%、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、または±0.1mol%で変動する可能性があるものと理解されるべきである。
脂質粒子に使用するのに適した脂質コンジュゲートのさらなる比率及び範囲は、PCT公開番号WO09/127060、米国公開出願番号US2011/0071208、PCT公開番号WO2011/000106、及び米国公開出願番号US2011/0076335に記載されており、それらの開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
脂質コンジュゲートの濃度は、用いる脂質コンジュゲート、及び脂質粒子が融合性になる割合に応じて変動し得ることを当業者は理解されよう。
脂質コンジュゲートの組成及び濃度を制御することによって、脂質コンジュゲートが脂質粒子外部と交換される割合、それによって脂質粒子が融合性になる割合を制御することができる。例えば、PEG−DAAコンジュゲートを脂質コンジュゲートとして使用する場合、脂質粒子が融合性になる割合は、例えば、脂質コンジュゲートの濃度を変える、PEGの分子量を変える、またはPEG−DAAコンジュゲートのアルキル基の鎖長及び飽和度を変えることによって変更することができる。加えて、例えば、pH、温度、イオン強度などを含む他の変動要素を利用して、脂質粒子が融合性になる割合を変更及び/または制御することができる。本開示を読めば、脂質粒子が融合性になる割合を制御するために使用できる他の方法は当業者に明らかであろう。また、脂質コンジュゲートの組成及び濃度を制御することによって、脂質粒径を制御することもできる。
ある特定の治療薬−脂質粒子の実施形態の説明
治療薬−脂質粒子は、典型的には、1つ以上の核酸分子(例えば、カクテル)などの1つ以上の治療薬、カチオン性脂質、及び非カチオン性脂質を含み得る。ある特定の例では、治療薬−脂質粒子は、粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質をさらに含む。
いくつかの実施形態では、治療薬(例えば、siRNAまたはmRNAなどの核酸分子)は、治療薬−脂質粒子に完全に内包されている。治療薬のカクテルを含む製剤に関して、カクテルに存在する異なる種類の種(例えば、異なる配列を有するsiRNA化合物)を同じ粒子に同時に内包することも、またはカクテルに存在する各種類の種を別の粒子に内包することもできる。同一の、類似する、または異なる濃度またはモル比である2つ、3つまたはそれ以上の個々の薬剤(例えば、それぞれ固有の配列を有する個々の核酸分子)の混合物を使用して、カクテルを本明細書に記載の粒子に製剤化することができる。一実施形態では、核酸分子のカクテル(異なる配列を有する複数の核酸分子に相当する)は、同一の、類似する、または異なる濃度またはモル比である各種を使用して製剤化され、異なる種類の分子が同じ粒子に同時に内包される。別の実施形態では、カクテルに存在する各種類の核酸分子種は、同一の、類似する、または異なる核酸分子濃度またはモル比で異なる粒子に内包され、それによって形成された粒子(それぞれ異なる核酸分子ペイロードを含む)が個別に(例えば、治療レジメンに従った異なる時間に)投与されるか、または合剤化されて、1回の単位用量として(例えば、薬学的に許容される担体とともに)一緒に投与される。本明細書に記載の粒子は、血清安定性であり、ヌクレアーゼ分解に対して耐性であり、ヒトなどの哺乳動物に対して実質的に非毒性である。
本発明の治療薬−脂質粒子中のカチオン性脂質は、例えば、本明細書に記載の式I〜IIIの1つ以上のカチオン性脂質、または任意の他のカチオン性脂質種を含み得る。一実施形態では、カチオン性脂質はジアルキル脂質である。別の実施形態では、カチオン性脂質はトリアルキル脂質である。特定の一実施形態では、カチオン性脂質は、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C2−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、ジリノレイルメチル−3−ジメチルアミノプロピオネート(DLin−M−C2−DMA)、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル 4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin−M−C3−DMA;化合物(7))、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
別の特定の実施形態では、カチオン性脂質は、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))、3−((6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン(DLin−MP−DMA;化合物(8))、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル 4−(ジメチルアミノ)ブタノエート)(化合物(7))、(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル 5−(ジメチルアミノ)ペンタノエート(化合物(13))、それらの塩、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質のうち、約48mol%〜約62mol%を構成する。
本発明の治療薬−脂質粒子中の非カチオン性脂質は、例えば、1つ以上のアニオン性脂質及び/または中性脂質を含み得る。いくつかの実施形態では、非カチオン性脂質は、以下の中性脂質成分のうちの1つを含む:(1)リン脂質とコレステロールもしくはその誘導体との混合物;(2)コレステロールもしくはその誘導体;または(3)リン脂質。ある特定の好ましい実施形態では、リン脂質には、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、またはそれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、非カチオン性脂質はDPPCとコレステロールとの混合物である。好ましい実施形態では、非カチオン性脂質はDSPCとコレステロールとの混合物である。
ある特定の実施形態では、非カチオン性脂質は、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物を含み、その場合、リン脂質は、粒子中に存在する総脂質のうち、約7mol%〜約17mol%を構成し、コレステロールまたはその誘導体は、粒子中に存在する総脂質のうち、約25mol%〜約40mol%を構成する。
本発明の治療薬−脂質粒子中の脂質コンジュゲートは、粒子の凝集を阻害し、例えば、本明細書に記載の脂質コンジュゲートのうちの1つ以上を含み得る。特定の一実施形態では、脂質コンジュゲートにはPEG−脂質コンジュゲートを含む。PEG−脂質コンジュゲートの例として、PEG−DAGコンジュゲート、PEG−DAAコンジュゲート、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、PEG−脂質コンジュゲートは、PEG−ジアシルグリセロール(PEG−DAG)コンジュゲート、PEG−ジアルキルオキシプロピル(PEG−DAA)コンジュゲート、PEG−リン脂質コンジュゲート、PEG−セラミド(PEG−Cer)コンジュゲート、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(PEG−DMA)コンジュゲート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、PEG−脂質コンジュゲートはPEG−DAAコンジュゲートである。ある特定の実施形態では、脂質粒子中のPEG−DAAコンジュゲートは、PEG−ジデシルオキシプロピル(C10)コンジュゲート、PEG−ジラウリルオキシプロピル(C12)コンジュゲート、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(C14)コンジュゲート、PEG−ジパルミチルオキシプロピル(C16)コンジュゲート、PEG−ジステアリルオキシプロピル(C18)コンジュゲート、またはそれらの混合物を含み得る。ある特定の実施形態では、この場合のPEG−DAAコンジュゲートがPEG−ジミリスチルオキシプロピル(C14)コンジュゲートである。別の実施形態では、PEG−DAAコンジュゲートは、化合物(66)(PEG−C−DMA)コンジュゲート(例えば、PEG2000−C−DMA)である。別の実施形態では、脂質コンジュゲートに、POZ−DAAコンジュゲートなどのPOZ−脂質コンジュゲートを含む。
ある特定の実施形態では、粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質は、粒子中に存在する総脂質の約0.5mol%〜約3mol%を構成する。
ある特定の実施形態では、治療薬−脂質粒子は、総脂質:治療薬の質量比が約5:1〜約15:1である。
ある特定の実施形態では、治療薬−脂質粒子は、約30nm〜約150nmのメジアン径を有する。
ある特定の実施形態では、治療薬−脂質粒子は、電子密度の高いコアを有する。
いくつかの実施形態では、本発明は、以下を含む治療薬−脂質粒子を提供する:(a)少なくとも1つの治療薬;(b)粒子中に存在する総脂質のうち、約50mol%〜約85mol%を構成する1つ以上のカチオン性脂質またはその塩;(c)粒子中に存在する総脂質のうち、約13mol%〜約49.5mol%を構成する1つ以上の非カチオン性脂質;及び(d)粒子中に存在する総脂質のうち、約0.5mol%〜約2mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する1つ以上のコンジュゲート脂質。
この実施形態の一態様では、治療薬−脂質粒子は以下を含む:(a)少なくとも1つの治療薬;(b)粒子中に存在する総脂質のうち、約52mol%〜約62mol%を構成するカチオン性脂質またはその塩;(c)粒子中に存在する総脂質のうち、約36mol%〜約47mol%を構成する、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物;及び(d)粒子中に存在する総脂質のうち、約1mol%〜約2mol%を構成する、PEG−脂質コンジュゲート。特定の一実施形態では、この製剤は、約1.4mol%のPEG−脂質コンジュゲート(例えば、PEG2000−C−DMA)、約57.1mol%のカチオン性脂質(例えば、DLin−K−C2−DMA)またはその塩、約7.1mol%のDPPC(またはDSPC)、及び約34.3mol%のコレステロール(またはその誘導体)で構成される4成分系である。
この実施形態の別の態様では、治療薬−脂質粒子は以下を含む:(a)少なくとも1つの治療薬;(b)粒子中に存在する総脂質のうち、約56.5mol%〜約66.5mol%を構成するカチオン性脂質またはその塩;(c)粒子中に存在する総脂質のうち、約31.5mol%〜約42.5mol%を構成する、コレステロールまたはその誘導体;及び(d)粒子中に存在する総脂質のうち、約1mol%〜約2mol%を構成する、PEG−脂質コンジュゲート。特定の一実施形態では、この製剤は、約1.5mol%のPEG−脂質コンジュゲート(例えば、PEG2000−C−DMA)、約61.5mol%のカチオン性脂質(例えば、DLin−K−C2−DMA)またはその塩、及び約36.9mol%のコレステロール(またはその誘導体)で構成される、リン脂質を含まない3成分系である。
その他の製剤は、PCT公開番号WO09/127060及び公開済みの米国特許出願公開番号US2011/0071208A1に記載されており、それらの開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
他の実施形態では、本発明は、以下を含む治療薬−脂質粒子を提供する:(a)少なくとも1つの治療薬;(b)粒子中に存在する総脂質のうち、約2mol%〜約50mol%を構成する1つ以上のカチオン性脂質またはその塩;(c)粒子中に存在する総脂質のうち、約5mol%〜約90mol%を構成する1つ以上の非カチオン性脂質;及び(d)粒子中に存在する総脂質のうち、約0.5mol%〜約20mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する1つ以上のコンジュゲート脂質。
この実施形態の一態様では、治療薬−脂質粒子は以下を含む:(a)少なくとも1つの治療薬;(b)粒子中に存在する総脂質のうち、約30mol%〜50mol%を構成するカチオン性脂質またはその塩;(c)粒子中に存在する総脂質のうち、約47mol%〜約69mol%を構成する、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物;及び(d)粒子中に存在する総脂質のうち、約1mol%〜約3mol%を構成する、PEG−脂質コンジュゲート。特定の一実施形態では、この製剤は、約2mol%のPEG−脂質コンジュゲート(例えば、PEG2000−C−DMA)、約40mol%のカチオン性脂質(例えば、DLin−K−C2−DMA)またはその塩、約10mol%のDPPC(またはDSPC)、及び約48mol%のコレステロール(またはその誘導体)で構成される4成分系である。
さらなる実施形態では、本発明は、以下を含む治療薬−脂質粒子を提供する:(a)少なくとも1つの治療薬;(b)粒子中に存在する総脂質のうち、約50mol%〜約65mol%を構成する1つ以上のカチオン性脂質またはその塩;(c)粒子中に存在する総脂質のうち、約25mol%〜約45mol%を構成する1つ以上の非カチオン性脂質;及び(d)粒子中に存在する総脂質のうち、約5mol%〜約10mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する1つ以上のコンジュゲート脂質。
この実施形態の一態様では、治療薬−脂質粒子は以下を含む:(a)少なくとも1つの治療薬;(b)粒子中に存在する総脂質のうち、約50mol%〜約60mol%を構成するカチオン性脂質またはその塩;(c)粒子中に存在する総脂質のうち、約35mol%〜約45mol%を構成する、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物;及び(d)粒子中に存在する総脂質のうち、約5mol%〜約10mol%を構成する、PEG−脂質コンジュゲート。ある特定の例では、製剤中の非カチオン性脂質混合物に、(i)粒子中に存在する総脂質のうち、約5mol%〜約10mol%を占めるリン脂質;及び(ii)粒子中に存在する総脂質のうち、約25mol%〜約35mol%を占めるコレステロールまたはその誘導体が含まれる。特定の一実施形態では、この製剤は、約7mol%のPEG−脂質コンジュゲート(例えば、PEG750−C−DMA)、約54mol%のカチオン性脂質(例えば、DLin−K−C2−DMA)またはその塩、約7mol%のDPPC(またはDSPC)、及び約32mol%のコレステロール(またはその誘導体)で構成される4成分系である。
この実施形態の別の態様では、治療薬−脂質粒子は以下を含む:(a)少なくとも1つの治療薬;(b)粒子中に存在する総脂質のうち、約55mol%〜約65mol%を構成するカチオン性脂質またはその塩;(c)粒子中に存在する総脂質のうち、約30mol%〜約40mol%を構成する、コレステロールまたはその誘導体;及び(d)粒子中に存在する総脂質のうち、約5mol%〜約10mol%を構成する、PEG−脂質コンジュゲート。特定の一実施形態では、この製剤は、約7mol%のPEG−脂質コンジュゲート(例えば、PEG750−C−DMA)、約58mol%のカチオン性脂質(例えば、DLin−K−C2−DMA)またはその塩、及び約35mol%のコレステロール(またはその誘導体)で構成される、リン脂質を含まない3成分系である。
有用な製剤のその他の実施形態は、公開済みの米国特許出願公開番号US2011/0076335A1に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明のある特定の実施形態では、治療薬−脂質粒子は以下を含む:(a)少なくとも1つの治療薬;(b)粒子中に存在する総脂質のうち、約48mol%〜約62mol%を構成するカチオン性脂質またはその塩;(c)リン脂質が、粒子中に存在する総脂質のうち、約7mol%〜約17mol%を構成し、コレステロールまたはその誘導体が、粒子中に存在する総脂質のうち、約25mol%〜約40mol%を構成する、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物;及び(d)粒子中に存在する総脂質のうち、約0.5mol%〜約3.0mol%を構成する、PEG−脂質コンジュゲート。本発明のこの態様の例示的な脂質製剤A〜Zを以下に挙げる。
例示的な脂質製剤Aは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(1.2%)、カチオン性脂質(53.2%)、リン脂質(9.3%)、コレステロール(36.4%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.2%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(53.2%)であり、リン脂質はDPPC(9.3%)であり、コレステロールは36.4%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Aに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Bは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(0.8%)、カチオン性脂質(59.7%)、リン脂質(14.2%)、コレステロール(25.3%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(0.8%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(59.7%)であり、リン脂質はDSPC(14.2%)であり、コレステロールは25.3%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Bに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Cは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(1.9%)、カチオン性脂質(52.5%)、リン脂質(14.8%)、コレステロール(30.8%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(1.9%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))(52.5%)であり、リン脂質はDSPC(14.8%)であり、コレステロールは30.8%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Cに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Dは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(0.7%)、カチオン性脂質(60.3%)、リン脂質(8.4%)、コレステロール(30.5%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(0.7%)であり、カチオン性脂質は3−((6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン(DLin−MP−DMA;化合物(8))(60.3%)であり、リン脂質はDSPC(8.4%)であり、コレステロールは30.5%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Dに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Eは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(1.8%)、カチオン性脂質(52.1%)、リン脂質(7.5%)、コレステロール(38.5%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.8%)であり、カチオン性脂質は(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル 4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(化合物(7))(52.1%)であり、リン脂質はDPPC(7.5%)であり、コレステロールは38.5%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Eに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Fは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(0.9%)、カチオン性脂質(57.1%)、リン脂質(8.1%)、コレステロール(33.8%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(0.9%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))(57.1%)であり、リン脂質はDSPC(8.1%)であり、コレステロールは33.8%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Fに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Gは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(1.7%)、カチオン性脂質(61.6%)、リン脂質(11.2%)、コレステロール(25.5%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(1.7%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))(61.6%)であり、リン脂質はDPPC(11.2%)であり、コレステロールは25.5%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Gに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Hは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(1.1%)、カチオン性脂質(55.0%)、リン脂質(11.0%)、コレステロール(33.0%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.1%)であり、カチオン性脂質は(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル 5−(ジメチルアミノ)ペンタノエート(化合物(13))(55.0%)であり、リン脂質はDSPC(11.0%)であり、コレステロールは33.0%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Hに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Iは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(2.6%)、カチオン性脂質(53.1%)、リン脂質(9.4%)、コレステロール(35.0%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.6%)であり、カチオン性脂質は(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル 5−(ジメチルアミノ)ペンタノエート(化合物(13))(53.1%)であり、リン脂質はDSPC(9.4%)であり、コレステロールは35.0%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Iに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Jは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(0.6%)、カチオン性脂質(59.4%)、リン脂質(10.2%)、コレステロール(29.8%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(0.6%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(59.4%)であり、リン脂質はDPPC(10.2%)であり、コレステロールは29.8%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Jに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Kは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(0.5%)、カチオン性脂質(56.7%)、リン脂質(13.1%)、コレステロール(29.7%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(0.5%)であり、カチオン性脂質は(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル 4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(化合物(7))(56.7%)であり、リン脂質はDSPC(13.1%)であり、コレステロールは29.7%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Kに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Lは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(2.2%)、カチオン性脂質(52.0%)、リン脂質(9.7%)、コレステロール(36.2%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(2.2%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))(52.0%)であり、リン脂質はDSPC(9.7%)であり、コレステロールは36.2%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Lに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Mは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(2.7%)、カチオン性脂質(58.4%)、リン脂質(13.1%)、コレステロール(25.7%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.7%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(58.4%)であり、リン脂質はDPPC(13.1%)であり、コレステロールは25.7%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Mに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Nは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(3.0%)、カチオン性脂質(53.3%)、リン脂質(12.1%)、コレステロール(31.5%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(3.0%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(53.3%)であり、リン脂質はDPPC(12.1%)であり、コレステロールは31.5%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Nに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Oは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(1.5%)、カチオン性脂質(56.2%)、リン脂質(7.8%)、コレステロール(34.7%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.5%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(56.2%)であり、リン脂質はDPPC(7.8%)であり、コレステロールは34.7%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Oに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Pは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(2.1%)、カチオン性脂質(48.6%)、リン脂質(15.5%)、コレステロール(33.8%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(2.1%)であり、カチオン性脂質は3−((6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン(DLin−MP−DMA;化合物(8))(48.6%)であり、リン脂質はDSPC(15.5%)であり、コレステロールは33.8%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Pに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Qは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(2.5%)、カチオン性脂質(57.9%)、リン脂質(9.2%)、コレステロール(30.3%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.5%)であり、カチオン性脂質は(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル 5−(ジメチルアミノ)ペンタノエート(化合物(13))(57.9%)であり、リン脂質はDSPC(9.2%)であり、コレステロールは30.3%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Qに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Rは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(1.6%)、カチオン性脂質(54.6%)、リン脂質(10.9%)、コレステロール(32.8%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.6%)であり、カチオン性脂質は3−((6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン(化合物(8))(54.6%)であり、リン脂質はDSPC(10.9%)であり、コレステロールは32.8%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Rに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Sは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(2.9%)、カチオン性脂質(49.6%)、リン脂質(16.3%)、コレステロール(31.3%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.9%)であり、カチオン性脂質は(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル 5−(ジメチルアミノ)ペンタノエート(化合物(13))(49.6%)であり、リン脂質はDPPC(16.3%)であり、コレステロールは31.3%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Sに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Tは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(0.7%)、カチオン性脂質(50.5%)、リン脂質(8.9%)、コレステロール(40.0%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(0.7%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(50.5%)であり、リン脂質はDPPC(8.9%)であり、コレステロールは40.0%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Tに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Uは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(1.0%)、カチオン性脂質(51.4%)、リン脂質(15.0%)、コレステロール(32.6%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(1.0%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(51.4%)であり、リン脂質はDSPC(15.0%)であり、コレステロールは32.6%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Uに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Vは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(1.3%)、カチオン性脂質(60.0%)、リン脂質(7.2%)、コレステロール(31.5%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(1.3%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)(60.0%)であり、リン脂質はDSPC(7.2%)であり、コレステロールは31.5%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Vに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Wは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(1.8%)、カチオン性脂質(51.6%)、リン脂質(8.4%)、コレステロール(38.3%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.8%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(51.6%)であり、リン脂質はDSPC(8.4%)であり、コレステロールは38.3%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Wに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Xは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(2.4%)、カチオン性脂質(48.5%)、リン脂質(10.0%)、コレステロール(39.2%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.4%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))(48.5%)であり、リン脂質はDPPC(10.0%)であり、コレステロールは39.2%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Xに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Yは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(2.6%)、カチオン性脂質(61.2%)、リン脂質(7.1%)、コレステロール(29.2%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.6%)であり、カチオン性脂質は(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル 5−(ジメチルアミノ)ペンタノエート(化合物(13))(61.2%)であり、リン脂質はDSPC(7.1%)であり、コレステロールは29.2%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Yに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
例示的な脂質製剤Zは以下の成分を含む(成分の百分率値はモルパーセントである):PEG−脂質(2.2%)、カチオン性脂質(49.7%)、リン脂質(12.1%)、コレステロール(36.0%)。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。例えば、代表的な一実施形態では、PEG脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(2.2%)であり、カチオン性脂質は(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル 4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(化合物(7))(49.7%)であり、リン脂質はDPPC(12.1%)であり、コレステロールは36.0%存在する。ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または、例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)で変動する可能性がある。したがって、本発明のある特定の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの治療薬(例えば、核酸分子)を含む、製剤Zに基づく治療薬−脂質粒子を提供する。
結果として、本発明のある特定の実施形態は、脂質が製剤A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、またはZのいずれか1つに記載されるように製剤化された、本明細書に記載の治療薬−脂質粒子を提供する。
脂質粒子の調製
治療薬(例えば、siRNAまたはmRNAなどの核酸)が粒子の脂質部分に内包され、分解から保護される治療薬−脂質粒子は、連続混合法、直接希釈法、及びインライン希釈法を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意の方法によって作製することができる。
特定の実施形態では、カチオン性脂質は、式I〜IIIの脂質またはその塩を、単独でまたは他のカチオン性脂質と組み合わせて含み得る。他の実施形態では、非カチオン性脂質は、卵スフィンゴミエリン(ESM)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−ホスファチジルコリン(POPC)、ジパルミトイル−ホスファチジルコリン(DPPC)、モノメチル−ホスファチジルエタノールアミン、ジメチル−ホスファチジルエタノールアミン、14:0PE(1,2−ジミリストイル)−ホスファチジルエタノールアミン(DMPE))、16:0PE(1,2−ジパルミトイル−ホスファチジルエタノールアミン(DPPE))、18:0PE(1,2−ジステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン(DSPE))、18:1PE(1,2−ジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(DOPE))、18:1トランスPE(1,2−ジエライドイル−ホスファチジルエタノールアミン(DEPE))、18:0〜18:1PE(1−ステアロイル−2−オレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(SOPE))、16:0〜18:1PE(1−パルミトイル−2−オレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(POPE))、ポリエチレングリコール系ポリマー(例えば、PEG2000、PEG5000、PEG修飾ジアシルグリセロール、またはPEG修飾ジアルキルオキシプロピル)、コレステロール、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせである。
ある特定の実施形態では、治療薬−脂質粒子は、連続混合法、例えば、治療薬を含む水溶液を第1のリザーバーに供給すること、有機脂質溶液を第2のリザーバーに供給すること(ここで、有機脂質に存在する脂質が、有機溶媒、例えばエタノールなどの低級アルカノールに溶解される)、及び水溶液を有機脂質溶液と混合させ、それによって、脂質小胞内に治療薬を内包する脂質小胞(例えばリポソーム)をほぼ瞬時に生成するように有機脂質溶液を水溶液と混合することを含む方法によって作製した。この方法及びこの方法を実施するための装置は、米国特許公開第20040142025号に詳細に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
混合チャンバ内などの混合環境に脂質及び緩衝溶液を連続して導入する操作により、緩衝溶液による脂質溶液の連続希釈を生じさせ、それによって混合時にほぼ瞬時に脂質小胞を生成する。本明細書で使用される場合、「脂質溶液を緩衝溶液で連続希釈する」(及びその変形)という語句は、一般に、水和過程において、小胞生成をもたらすのに十分な力で脂質溶液が十分急速に希釈されることを意味する。治療薬を含む水溶液を有機脂質溶液と混合することによって、緩衝溶液(すなわち水溶液)の存在下で有機脂質溶液が連続する段階希釈を受け、治療薬−脂質粒子が得られる。
連続混合法を用いて形成される治療薬−脂質粒子は、典型的には、約30nm〜約150nm、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、約70nm〜約100nm、約80nm〜約100nm、約90nm〜約100nm、約70〜約90nm、約80nm〜約90nm、約70nm〜約80nm、約120nm未満、110nm未満、100nm未満、90nm未満、もしくは80nm未満、または約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、もしくは150nm(またはその任意の端数もしくはその範囲内)のサイズを有する。このようにして形成された粒子は凝集せず、また必要に応じて分級することで均一な粒径が得られる。
別の実施形態では、治療薬−脂質粒子は、脂質小胞(例えばリポソーム)溶液を形成すること、及び制御量の希釈緩衝液を入れた収集容器に脂質小胞溶液を即時かつ直接導入することを含む直接希釈法によって製造される。好ましい態様では、収集容器は、希釈を容易にするために収集容器の内容物を撹拌するように構成された1つ以上の要素を備える。一態様では、収集容器内に存在する希釈緩衝液の量は、そこに導入される脂質小胞溶液の体積とほぼ等しい。非限定的な例として、45%エタノール中の脂質小胞溶液を、等容量の希釈緩衝液を入れた収集容器に導入すると、より小さな粒子が得られるため有利であると考えられる。
さらに別の実施形態では、治療薬−脂質粒子は、希釈緩衝液を入れた第3のリザーバーを第2の混合領域と流体連結するインライン希釈法によって作製した。この実施形態では、第1の混合領域で形成された脂質小胞(例えばリポソーム)溶液を、第2の混合領域で希釈緩衝液と即時かつ直接混合する。好ましい態様では、第2の混合領域は、脂質小胞溶液のフローと希釈緩衝液のフローが180°対向するフローとして合流するように配置されたT字コネクターを備えるものであるが、それよりも鋭角、例えば約27°〜約180°(例えば約90°)になるコネクターを使用することができる。ポンプメカニズムは、第2の混合領域に送液される緩衝液のフローを制御可能にする。一態様では、第2の混合領域に供給される希釈緩衝液の流速は、第1の混合領域から第2の混合領域に導入される脂質小胞溶液の流速と実質的に等しくなるように制御される。この実施形態は、第2の混合領域で脂質小胞溶液と混合する希釈緩衝液のフローをより制御することが可能であり、その結果、第2の混合過程全体にわたり緩衝液中の脂質小胞溶液の濃度もまた制御することが可能であるという点で有利である。希釈緩衝液の流速がそのように制御されることで、低濃度での小粒子径の形成が可能になるという利点がある。
これらの直接希釈法及びインライン希釈法を実施するためのこれらの方法及び装置は、米国特許公開第20070042031号に詳細に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
直接希釈法及びインライン希釈法を用いて形成される治療薬−脂質粒子は、典型的には、約30nm〜約150nm、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、約70nm〜約100nm、約80nm〜約100nm、約90nm〜約100nm、約70〜約90nm、約80nm〜約90nm、約70nm〜約80nm、約120nm未満、110nm未満、100nm未満、90nm未満、もしくは80nm未満、または約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、もしくは150nm(またはその任意の端数もしくはその範囲内)のサイズを有する。このようにして形成された粒子は凝集せず、また必要に応じて分級することで均一な粒径が得られる。
リポソームの分級に利用可能な方法のうちいずれによっても脂質粒子を分級することができる。分級は、望ましいサイズ範囲及び比較的狭い粒度分布を達成するために実施される場合がある。
望ましいサイズに粒子を分級する技術がいくつか利用可能である。リポソームに使用され、本発明の粒子に同様に適用可能な分級方法のひとつは、米国特許第4,737,323号に記載されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。超音波浴処理またはプローブ型超音波処理のいずれかによって粒子懸濁液を超音波処理すると、粒子が約50nm未満の大きさまで段階的にサイズ縮小される。均一化という別の方法があり、これは剪断エネルギーを利用して大きい粒子を小さい粒子に粉砕する。典型的な均一化手順では、選択した粒径、通常は約60〜約80nmが確認されるまで、標準的なエマルションホモジナイザーによって粒子を再循環させる。いずれの方法でも、従来のレーザービーム粒度識別法、すなわちQELSによって粒度分布をモニターすることができる。
小孔ポリカーボネート膜または不均整なセラミック膜を通した粒子押出も、比較的明確に規定された粒度分布に粒径を縮小するのに有効な方法である。典型的には、望ましい粒度分布に到達するまで、1回以上、膜を通して懸濁液を循環させる。順々に小さい孔の膜に通して粒子を押し出すことで、サイズを徐々に縮小することができる。
いくつかの実施形態では、粒子内に存在する治療薬(例えば、核酸分子)は、米国特許出願第09/744,103号に記載されるように予備縮合されており、その開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
他の実施形態では、この方法は、本発明の組成物を使用して細胞のリポフェクションを行うのに有用である非脂質ポリカチオンを添加することをさらに含んでもよい。好適な非脂質ポリカチオンの例として、臭化ヘキサジメトリン(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,Wisconsin,USAからPOLYBRENE(登録商標)という商品名で販売されている)または他のヘキサジメトリンの塩が挙げられる。他の好適なポリカチオンとして、例えば、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニン、ポリ−L−リジン、ポリ−D−リジン、ポリアリルアミン、及びポリエチレンイミンの塩が挙げられる。これらの塩の添加は、粒子が形成された後に行われるのが好ましい。
いくつかの実施形態では、形成された治療薬−脂質粒子中の脂質に対する治療薬(例えば、siRNAまたはmRNAなどの核酸)比(質量/質量比)が、約0.01〜約0.2、約0.05〜約0.2、約0.02〜約0.1、約0.03〜約0.1、または約0.01〜約0.08の範囲になる。出発材料の割合(投入量)もこの範囲内である。他の実施形態では、粒子の調製には、総脂質10mgあたり約400μgの治療薬、または脂質に対して約0.01〜約0.08、より好ましくは約0.04の質量比の治療薬(これは治療薬50μgあたり1.25mgの総脂質に相当する)を使用する。他の好ましい実施形態では、粒子は約0.08の治療薬:脂質質量比を有する。
他の実施形態では、形成された治療薬−脂質粒子中の治療薬(例えば、siRNAまたはmRNAなどの核酸)に対する脂質比(質量/質量比)は、約1(1:1)〜約100(100:1)、約5(5:1)〜約100(100:1)、約1(1:1)〜約50(50:1)、約2(2:1)〜約50(50:1)、約3(3:1)〜約50(50:1)、約4(4:1)〜約50(50:1)、約5(5:1)〜約50(50:1)、約1(1:1)〜約25(25:1)、約2(2:1)〜約25(25:1)、約3(3:1)〜約25(25:1)、約4(4:1)〜約25(25:1)、約5(5:1)〜約25(25:1)、約5(5:1)〜約20(20:1)、約5(5:1)〜約15(15:1)、約5(5:1)〜約10(10:1)、または約5(5:1)、6(6:1)、7(7:1)、8(8:1)、9(9:1)、10(10:1)、11(11:1)、12(12:1)、13(13:1)、14(14:1)、15(15:1)、16(16:1)、17(17:1)、18(18:1)、19(19:1)、20(20:1)、21(21:1)、22(22:1)、23(23:1)、24(24:1)、もしくは25(25:1)、またはその任意の端数もしくはその範囲内となる。出発材料の割合(投入量)もこの範囲内である。
前述のように、コンジュゲート脂質はさらにCPLを含んでもよい。脂質粒子−CPL(CPL含有脂質粒子)を作製するための様々な一般法を本明細書で考察する。一般技術としては、「ポストインサーション」技術、すなわち、例えば予備形成された脂質粒子へのCPLの挿入、及び例えば脂質粒子形成段階で脂質混合物にCPLを加える「標準」技術という2つが挙げられる。ポストインサーション技術では、主に脂質粒子二重層膜の外面にCPLを有する脂質粒子が得られるのに対して、標準技術では、内面及び外面の両方にCPLを有する脂質粒子が得られる。この方法は、リン脂質(コレステロールを含有していてもよい)から作製される小胞、及び(PEG−DAA及びPEG−DAGなどの)PEG脂質を含む小胞にも特に有用である。脂質粒子−CPLを作製する方法は、例えば、米国特許第5,705,385号;同第6,586,410号;同第5,981,501号;同第6,534,484号;及び同第6,852,334号;米国特許公開第20020072121号;ならびにPCT公開番号WO00/62813に教示されており、それらの開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
追加のキャリアシステム
使用に適した追加の脂質系キャリアシステムの非限定的な例として、リポプレックス(例えば、米国特許公開第20030203865号;及びZhang et al.,J.Control Release,100:165−180(2004)を参照)、pH感受性リポプレックス(例えば、米国特許公開第20020192275号を参照)、可逆マスクリポプレックス(例えば、米国特許公開第20030180950号を参照)、カチオン性脂質系の組成物(例えば、米国特許第6,756,054号;及び米国特許公開第20050234232号を参照)、カチオン性リポソーム(例えば、米国特許公開第20030229040号、同第20020160038号、及び同第20020012998号;米国特許第5,908,635号;ならびにPCT公開番号WO01/72283を参照)、アニオン性リポソーム(例えば、米国特許公開第20030026831号を参照)、pH感受性リポソーム(例えば、米国特許公開第20020192274号;及びAU2003210303を参照)、抗体で被覆されたリポソーム(例えば、米国特許公開第20030108597号;及びPCT公開番号WO00/50008を参照)、細胞型特異的リポソーム(例えば、米国特許公開第20030198664号を参照)、核酸及びペプチドを含むリポソーム(例えば、米国特許第6,207,456号を参照)、放出可能な親水性ポリマーで誘導体化された脂質含有リポソーム(例えば、米国特許公開第20030031704号を参照)、脂質を捕捉した核酸(例えば、PCT公開番号WO03/057190及びWO03/059322を参照)、脂質に内包された核酸(例えば、米国特許公開第20030129221号;及び米国特許第5,756,122号を参照)、他のリポソーム組成物(例えば、米国特許公開第20030035829号及び同第20030072794号;ならびに米国特許第6,200,599号を参照)、リポソームとエマルションとの安定化混合物(例えば、EP1304160を参照)、エマルション組成物(例えば、米国特許第6,747,014号を参照)、及び核酸マイクロエマルション(例えば、米国特許公開第20050037086号を参照)が挙げられる。
使用に適したポリマー系キャリアシステムの例としては、カチオン性ポリマー−核酸複合体(すなわち、ポリプレックス)が挙げられるが、これに限定されない。ポリプレックスを形成するには、核酸(例えば、siRNA分子またはmRNA分子)を、典型的には、直鎖、分枝鎖、星形、または樹状ポリマー構造を有する、核酸を縮合するカチオン性ポリマーと複合体化し、細胞表面のアニオン性プロテオグリカンと相互作用してエンドサイトーシスにより細胞へ侵入することが可能である正電荷を帯びた粒子にする。いくつかの実施形態では、ポリプレックスには、ポリエチレンイミン(PEI)(例えば、米国特許第6,013,240号を参照のこと;Qbiogene,Inc.(Carlsbad,CA)からIn vivo jetPEI(商標)として市販されている直鎖形態のPEI)、ポリプロピレンイミン(PPI)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ−L−リジン(PLL)、ジエチルアミノエチル(DEAE)−デキストラン、ポリ(β−アミノエステル)(PAE)ポリマー(例えば、Lynn et al.,J.Am.Chem.Soc.,123:8155−8156(2001)を参照)、キトサン、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー(例えば、Kukowska−Latallo et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:4897−4902(1996)を参照)、ポルフィリン(例えば、米国特許第6,620,805号を参照)、ポリビニルエーテル(例えば、米国特許公開第20040156909号を参照)、多環式アミジニウム(例えば、米国特許公開第20030220289号を参照)、第1級アミン基、イミン基、グアニジン基、及び/またはイミダゾール基を含む他のポリマー(例えば、米国特許第6,013,240号;PCT公開番号WO/9602655;PCT公開番号WO95/21931;Zhang et al.,J.Control Release,100:165−180(2004);及びTiera et al.,Curr.Gene Ther.,6:59−71(2006)を参照)、ならびにそれらの混合物などのカチオン性ポリマーと核酸との複合体を含む。他の実施形態では、ポリプレックスは、米国特許公開第20060211643号、同第20050222064号、同第20030125281号、及び同第20030185890号、ならびにPCT公開番号WO03/066069に記載のようなカチオン性ポリマー−核酸複合体;米国特許公開第20040071654号に記載の生分解性ポリ(β−アミノエステル)ポリマー−核酸複合体;米国特許公開第20040142475号に記載のポリマーマトリックスを含む微粒子;米国特許公開第20030157030号に記載の他の微粒子組成物;米国特許公開第20050123600号に記載の縮合核酸複合体;及びAU2002358514及びPCT公開番号WO02/096551に記載のナノカプセル及びマイクロカプセル組成物を含む。
ある特定の例では、核酸はシクロデキストリンまたはそのポリマーと複合体を形成していてもよい。シクロデキストリン系キャリアシステムの非限定的な例として、米国特許公開第20040087024号に記載のシクロデキストリン修飾ポリマー−核酸複合体;米国特許第6,509,323号、同第6,884,789号、及び同第7,091,192号に記載の直鎖シクロデキストリンコポリマー−核酸複合体;及び米国特許第7,018,609号に記載のシクロデキストリンポリマー−錯化剤−核酸複合体が挙げられる。ある特定の他の例では、核酸はペプチドまたはポリペプチドと複合体を形成していてもよい。タンパク質系キャリアシステムの例として、PCT公開番号WO95/21931に記載のカチオン性オリゴペプチド−核酸複合体が挙げられるが、これに限定されない。
脂質粒子の投与
脂質粒子(例えば、核酸脂質粒子などの治療薬−脂質粒子)は、混合するかまたは接触させると、ほぼあらゆる細胞型に吸着することができる。吸着した後、粒子は細胞の一部によってエンドサイトーシスされるか、脂質を細胞膜と交換するか、または細胞と融合することができる。粒子の治療薬部分の移動または取り込みは、これらの経路のうちのいずれか1つを経由して起こり得る。特に、融合が起こると、粒子膜は細胞膜に取り込まれ、粒子の内容物は細胞内流体と混合される。
脂質粒子(例えば、治療薬−脂質粒子)は、単独で投与することも、または投与経路及び標準的な薬務に従って選択される薬学的に許容される担体(例えば、生理食塩水またはリン酸緩衝液)と混合して投与することもできる。一般に、通常の緩衝生理食塩水(例えば、135〜150mMのNaCl)が、薬学的に許容される担体として用いられることになる。他の好適な担体として、例えば、アルブミン、リポタンパク質、グロブリンなどの安定性を高めるための糖タンパク質を含んだ、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどが挙げられる。その他の好適な担体は、例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)に記載されている。本明細書で使用される場合、「担体」には、あらゆる溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング剤、希釈剤、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイドなどを含む。「薬学的に許容される」という語句は、ヒトに投与したときにアレルギー反応または同様の不都合な反応を生じさせない分子実体及び組成物を指す。
薬学的に許容される担体は一般に、脂質粒子形成後に添加される。したがって、脂質粒子を形成した後に、その粒子を、通常の緩衝生理食塩水などの薬学的に許容される担体で希釈することができる。
医薬製剤中の粒子濃度は幅広く、すなわち約0.05重量%未満、通常は約2重量%〜約5重量%、もしくは少なくとも約2重量%〜約5重量%、最大で約10〜90重量%まで変更することができ、また選択される特定の投与様式に従って、主として液量、粘度などに基づいて選択される。例えば、濃度を増やすと、治療に伴う流体負荷を低下させることができる。これは、アテローム性動脈硬化症に関連した鬱血性心不全または重度高血圧症を有する患者において特に望ましい場合がある。あるいは、刺激性脂質からなる粒子を希釈して濃度を低下させ、投与部位の炎症を緩和することができる。
医薬組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌することができる。水溶液は、用途別に包装されていても、または無菌条件下で濾過して凍結乾燥されていてもよい。この凍結乾燥製剤は投与前に滅菌水溶液と混合される。組成物は、生理的条件に近づけるために、必要に応じて、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤などの薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化カルシウムを含むことができる。さらに、粒子懸濁液は、貯蔵時にフリーラジカル及び脂質過酸化による損傷から脂質を保護する脂質保護剤を含んでいてもよい。アルファトコフェロールなどの親油性フリーラジカル失活剤、及びフェリオキサミンなどの水溶性鉄特異的キレート剤が適している。
in vivo投与
in vivo治療のための全身送達、例えば、循環などの生体システムを経由した遠位標的細胞への本明細書に記載の治療薬(核酸など)の送達は、PCT公開番号WO05/007196、WO05/121348、WO05/120152、及びWO04/002453(それらの開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどの治療薬−脂質粒子を使用して達成される。
in vivo投与の場合、投与は、当技術分野で公知の任意の方法、例えば注射、経口投与、吸入(例えば、経鼻または気管内)、経皮塗布、または直腸投与によるものであり得る。投与は単回投与または分割投与によって行うことができる。医薬組成物は、非経口的に、すなわち関節内、静脈内、腹腔内、皮下、または筋肉内に投与することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ボーラス注射によって静脈内または腹腔内に投与される(例えば、米国特許第5,286,634号を参照)。細胞内核酸送達もまた、Straubringer et al.,Methods Enzymol.,101:512(1983);Mannino et al.,Biotechniques,6:682(1988);Nicolau et al.,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.,6:239(1989);及びBehr,Acc.Chem.Res.,26:274(1993)で考察されている。脂質を用いた治療薬を投与するさらに他の方法は、例えば、米国特許第3,993,754号;同第4,145,410号;同第4,235,871号;同第4,224,179号;同第4,522,803号;及び同第4,588,578号に記載されている。脂質粒子は、疾患部位への直接注射によって、または疾患部位から離れた部位への注射によって投与することができる(例えば、Culver,HUMAN GENE THERAPY,MaryAnn Liebert,Inc.,Publishers,New York.pp.70−71(1994)を参照)。上記の参考文献の開示は、目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
脂質粒子が静脈内投与される実施形態では、粒子の総注射用量の少なくとも約5%、10%、15%、20%、または25%が、注射後約8、12、24、36、または48時間後の血漿中に存在する。他の実施形態では、脂質粒子の総注射用量の少なくとも約20%超、30%超、40%超、及び約60%、70%、または80%程度が、注射後約8、12、24、36、または48時間後の血漿中に存在する。ある特定の例では、投与後約1時間で、約10%を超える複数の粒子が哺乳動物の血漿中に存在する。他の特定の例では、脂質粒子の存在は、粒子の投与から少なくとも約1時間後に検出可能である。いくつかの実施形態では、核酸分子などの治療薬の存在は、投与から約8、12、24、36、48、60、72、または96時間後に細胞内で検出可能である。いくつかの実施形態では、核酸分子などの治療薬の効果は、投与から約8、12、24、36、48、60、72、または96時間後に細胞内で検出可能である。他の実施形態では、siRNA分子によるウイルス配列または宿主配列などの標的配列の発現の下方制御は、投与から約8、12、24、36、48、60、72、または96時間後に検出可能である。さらに他の実施形態では、siRNA分子によるウイルス配列または宿主配列などの標的配列の発現の下方制御は、感染細胞及び/または感染可能な細胞に優先的に起こる。さらなる実施形態では、投与部位と近接するまたは離れた部位の細胞での治療薬の存在または効果は、投与から約12、24、48、72、もしくは96時間後、または約6、8、10、12、14、16、18、19、20、22、24、26、または28日後に検出可能である。追加実施形態では、脂質粒子は非経口的にまたは腹腔内に投与される。
組成物は、単独で、または他の好適な成分と組み合わせ、吸入によって(例えば、鼻腔内または気管内に)投与されるエアロゾル製剤にすることができる(すなわち、「噴霧」することができる)(例えば、Brigham et al.,Am.J.Sci.,298:278(1989)を参照)。エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などのような加圧された許容される噴射剤に入れることができる。
ある特定の実施形態では、医薬組成物は鼻腔内スプレー、吸入、及び/または他のエアロゾル送達媒体によって送達されてもよい。経鼻エアロゾルスプレーによる核酸組成物の肺への直接送達方法は、例えば、米国特許第5,756,353号及び同第5,804,212号に記載されている。同様に、鼻腔内微粒子樹脂及びリゾホスファチジル−グリセロール化合物(米国特許第5,725,871号)を使用した薬物の送達もまた製薬業界では周知されている。同様に、ポリテトラフルオロエチレン担持マトリックスの形態での経粘膜薬物送達が、米国特許第5,780,045号に記載されている。上記の特許の開示は、目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
例えば、関節内(関節内部)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、及び皮下経路などの非経口投与に適した製剤として、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び対象レシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性の等張滅菌注射溶液、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、及び防腐剤を含み得る、水性及び非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。
一般に、静脈内投与する場合、脂質粒子製剤は好適な医薬担体とともに製剤化される。好適な製剤は、例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)に記載されている。種々の水性担体、例えば、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどを使用することができ、これらは、アルブミン、リポタンパク質、グロブリンなどの安定性を高めるための糖タンパク質を含んでもよい。一般に、通常の緩衝生理食塩水(135〜150mMのNaCl)が、薬学的に許容される担体として用いられるが、他の好適な担体でも十分である。これらの組成物は、濾過などの従来のリポソーム滅菌技術によって滅菌することができる。組成物は、生理的条件に近づけるために必要に応じて薬学的に許容される補助物質、例えばpH調整剤及び緩衝剤、等張化剤、湿潤剤等、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート等を含むことができる。これらの組成物は、上記に参照する技術を使用して滅菌することも、あるいは無菌条件下で製造することもできる。得られた水溶液は、用途別に包装されていても、または無菌条件下で濾過して凍結乾燥されていてもよく、凍結乾燥製剤は投与前に滅菌水溶液と混合される。
ある特定の用途において、本明細書に開示される脂質粒子は、経口投与により個体に送達されてもよい。粒子は賦形剤と混合して、経口摂取用錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、丸剤、ロゼンジ剤、エリキシル剤、マウスウォッシュ剤、懸濁剤、経口懸濁液スプレー剤、シロップ剤、カシェ剤などの形態で使用することができる(例えば、米国特許第5,641,515号、同第5,580,579号、及び同第5,792,451号を参照。各開示内容は目的を問わずその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。これらの経口剤形にはまた、結合剤、ゼラチン、賦形剤、滑沢剤、及び/または着香剤が含有されていてもよい。単位剤形がカプセル剤である場合、上記の材料に加えて液体担体を含んでいてもよい。コーティング剤として、またはそれ以外に投与単位の物理的形態を変更するために、他の様々な材料が存在していてもよい。当然ながら、任意の単位剤形の調製に使用される任意の材料は、薬学的に純粋であり、使用量において実質的に非毒性であるべきである。
通常、これらの経口製剤は少なくとも約0.1%以上の脂質粒子を含み得るが、粒子の比率は、当然ながら変動する場合があり、利便上、製剤全体の重量または体積のうち、約1%または2%から約60%または70%の間であり得る。必然的に、各治療上有用な組成物中の粒子の量は、化合物の任意の所与の単位用量において適切な投薬量が得られるような方法で調製することができる。溶解度、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製品の有効期間などの要因、ならびに他の薬理学的考慮事項は、そのような医薬製剤を調製する当業者が検討することになるが、それに従って様々な投与量及び治療レジメンが望ましい場合がある。
経口投与に適した製剤は、(a)有効量の包装された治療薬(例えば、核酸分子)が、水、生理食塩水、またはPEG400などの希釈剤に懸濁された溶液;(b)それぞれ所定量の治療薬を液体、固体、顆粒、またはゼラチンとして含有する、カプセル剤、サシェ剤、または錠剤;(c)適切な液体への懸濁液;及び(d)好適な乳剤で構成される場合がある。錠剤形態には、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、増量剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、着香剤、色素、崩壊剤、ならびに薬学的に適合する担体のうち1種以上を含み得る。ロゼンジ形態は、香料、例えばスクロース中に治療薬を含むことができ、ならびにゼラチン及びグリセリンなどの不活性基剤中に治療薬を含む香錠、または治療薬に加えて、当技術分野において公知の担体を含有する、スクロース及びアラビアゴムの乳剤、ゲルなどを含み得る。
その別の使用例では、脂質粒子を広範囲の局所投与形態に組み込むことができる。例えば、治療薬−脂質粒子を含有する懸濁液を、ゲル、油、乳剤、局所用クリーム、ペースト、軟膏、ローション、フォーム、ムースなどに製剤化して投与することができる。
投与される粒子の量は、脂質に対する治療薬の比、使用される具体的な治療薬、治療する疾患または病態、患者の年齢、体重、及び状態、ならびに臨床医の判断に応じて異なるが、一般的には、体重のキログラムあたり約0.01〜約50mg、好ましくは約0.1〜約5mg/kg(体重)、または投与(例えば、注射)あたり約108〜1010粒子であると考えられる。
ある特定の実施形態では、治療薬は治療薬脂質粒子を介して投与される。
ある特定の実施形態では、脂質粒子に内包された治療薬のカクテル(例えば、核酸分子のカクテル)の使用を含む方法に関して、異なる治療薬が同じ脂質粒子に一緒に内包される。
ある特定の実施形態では、脂質粒子に内包された治療薬のカクテル(例えば、核酸分子のカクテル)の使用を含む方法に関して、カクテルに存在する治療薬種が種類ごとにその固有の粒子に内包される。
ある特定の実施形態では、脂質粒子に内包された治療薬のカクテル(例えば、核酸分子のカクテル)の使用を含む方法に関して、治療薬種のいくつかは同じ粒子に一緒に内包され、それ以外の治療薬種は別の粒子に内包される。
NSAID及び/または追加の治療薬(複数可)の製剤化及び投与
本明細書で考察するように、本発明のある特定の実施形態は、少なくとも1つの脂質製剤治療薬の投与前にNSAIDを投与するために提供する。本発明のある特定の実施形態では、NSAIDが注射によって投与され、さらに少なくとも1つの脂質製剤治療薬が静脈内投与される(すなわち、順に逐次投与される)。さらに、ある特定の実施形態では、1つ以上の追加の治療薬もまた(例えば、NSAID及び/または少なくとも1つの脂質製剤治療薬と同時または逐次)投与することができる。したがって、これらの薬剤は、以下に示すように哺乳動物に投与することができる。
薬剤は単一の製剤にまとめて製剤化することも、または別々に製剤化し、それによって、同時または逐次を問わず別々に投与できることが理解されよう。一実施形態では、薬剤を(例えば、異なる時間に)逐次投与する場合、それらの生物学的効果が重なるように薬剤を投与することができる(すなわち、各薬剤は、ある所与の一時点で生物学的効果を生じる)。
選択された薬剤に応じた任意の許容される投与経路に合わせて薬剤を製剤化し、その経路を用いて投与することができる。例えば、好適な経路として、経口、舌下、頬側、局所、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内、ならびに局所治療が望ましい場合には病巣内投与が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、本明細書で特定される小分子薬は、経口投与または注射によって(例えば、静脈などの血管に)投与することができる。別の実施形態では、核酸分子は(例えば、静脈などの血管への)注射によって、または皮下に投与することができる。
通常、NSAIDは注射により投与され、少なくとも1つの脂質製剤治療薬は静脈内に投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは非経口投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは静脈内投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは筋肉内投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは皮下投与される。
周囲温度、適切なpH、望ましい純度で、生理学的に許容される担体、すなわち、用いる投与量及び濃度でレシピエントに非毒性である担体と混合することによって、薬剤を個別に製剤化することができる。製剤のpHは主に具体的な使用及び化合物の濃度に応じて異なるが、通常は約3〜約8のどの範囲であってもよい。通常、薬剤は固体組成物として保存されるが、凍結乾燥製剤または水溶液も許容される。
薬剤を含む組成物は、良好な医療慣例と整合した方法で製剤化、投薬、及び投与することができる。これに関連して考慮すべき要因として、治療する個別の疾患または病態、治療する個別の哺乳動物、個々の患者の臨床病態、疾患の原因、投与部位、投与方法、投与計画、及び医療従事者に知られているその他の要因が挙げられる。
薬剤は、例えば、錠剤、散剤、カプセル、溶液、分散液、懸濁液、シロップ、スプレー、坐剤、ゲル、乳剤、パッチなどの利便な任意の投与形態で投与することができる。そのような組成物は、例えば、希釈剤、担体、pH調整剤、甘味剤、増量剤、及びさらなる活性剤といった、医薬調製物で慣用される成分を含有することができる。非経口投与が望ましい場合、組成物は滅菌されており、注射または注入に適した溶液または懸濁液の形態である。
好適な担体及び賦形剤は当業者に周知されており、例えば、Ansel,Howard C.,et al.,Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems.Philadelphia:Lippincott,Williams & Wilkins,2004;Gennaro,Alfonso R.,et al.Remington:The Science and Practice of Pharmacy.Philadelphia:Lippincott,Williams & Wilkins,2000;及びRowe,Raymond C.Handbook of Pharmaceutical Excipients.Chicago,Pharmaceutical Press,2005に詳細が記載されている。製剤はまた、良好な薬効を実現する、または医薬製品(すなわち医薬品)の製造に役立つ、1種以上の緩衝剤、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁剤、防腐剤、抗酸化剤、遮光剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、着香剤、矯味剤、希釈剤、及び他の公知の添加剤を含んでもよい。
薬剤は通常、少なくとも望ましい生物学的効果を達成するレベルで投与される。したがって、有効な投与レジメンは、望ましい生物学的効果を達成する少なくとも最小量、すなわち生物学的に有効な用量で投与されるものであるが、その投与量は、許容されない副作用が生物学的効果の利益を上回るほど高くないものであるべきである。したがって、有効な投与レジメンは、最大耐用量(「MTD」)以下の用量であると考えられる。最大耐用量は、用量制限毒性(「DLT」)の許容される発現をもたらす最高用量であると定義される。許容されない割合のDLTを引き起こす用量は非忍容とみなされる。通常、具体的なスケジュールでのMTDは第1相臨床試験で確定される。このような試験は通常、患者に実施され、齧歯類における重度の毒性用量(「STD10」)の10分の1の安全初期用量(mg/m2基準)で開始し、逓増階差が大きくなるに従って相対的増分が減少するという修正フィボナッチ数列に従って用量を増加させ(例えば、用量の増加が100%、65%、50%、40%、及び30%、それ以降は35%)、患者3人のコホートを得ることにより行う。患者3人のコホートにおいて、非忍容用量に到達するまで用量の増加を継続する。許容される割合のDLTを生じる用量レベルのすぐ下をMTDであるとみなす。
投与される薬剤の量は、使用される具体的な薬剤、治療する疾患または病態、患者の年齢、体重、及び状態、ならびに臨床医の判断に応じて異なるが、一般的には約0.2〜2.0グラム/日であると考えられる。例えば、ある特定の実施形態では、NSAIDは注射用に承認された投与量で投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは、約1mg〜約1000mgの用量で投与される。ある特定の実施形態では、ある用量のNSAIDが1日に1回以上投与される。例えば、ある特定の実施形態では、NSAIDは、注射用に製剤化されたケトロラクであり、その場合、約15mg〜約60mgの範囲の単回用量が投与されるか(例えば、約30mg〜約60mg)、または約15mg〜約30mgの用量が1日に複数回投与される(例えば、用量は6時間ごとに投与され、約60mg〜約120mg/日を超えない)。
投与レジメン
NSAIDと少なくとも1つの脂質製剤治療薬の併用
NSAID及び少なくとも1つの脂質製剤治療薬は別々に製剤化されて逐次投与される(NSAIDは少なくとも1つの脂質製剤治療薬の投与前に投与される)ものと理解される。本開示の目的では、そのような投与レジメンは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬と「組み合わせて」NSAIDを投与することとみなされる。
本明細書に記載されるように、NSAIDは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬が投与される前に投与される。例えば、第1の成分が、第2の成分が投与される、1週間前、72時間前、60時間前、48時間前、36時間前、24時間前、12時間前、6時間前、5時間前、4時間前、3時間前、2時間前、1時間前、59分前、58分前、57分前、56分前、55分前、54分前、53分前、52分前、51分前、50分前、49分前、48分前、47分前、46分前、45分前、44分前、43分前、42分前、41分前、40分前、39分前、38分前、37分前、36分前、35分前、34分前、33分前、32分前、31分前、30分前、29分前、28分前、27分前、26分前、25分前、24分前、23分前、22分前、21分前、20分前、19分前、18分前、17分前、16分前、15分前、14分前、13分前、12分前、11分前、10分前、9分前、8分前、7分前、6分前、5分前、4分前、3分前、2分前、または1分もしくは1分未満前に投与される場合、第1の成分が第2の成分の「前に」投与されるとみなすことができる。ある特定の実施形態では、NSAIDは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬が投与される約3時間前までに投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬が投与される約2時間前までに投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬が投与される約1時間前までに投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬が投与される約30分前までに投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬が投与される約20分前までに投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬が投与される約10分前までに投与される。例えば、ある特定の実施形態では、NSAIDは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬が投与される約1時間前までに筋肉内または皮下に投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬が投与される約1〜2時間前までに静脈内投与される。
ある特定の実施形態では、NSAIDは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬の投与前に少なくとも1回投与される。ある特定の実施形態では、NSAIDは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬の投与前に1回投与される。
追加治療薬をNSAIDまたは脂質製剤治療薬と併用する投与レジメン
NSAID及び少なくとも1つの追加治療薬を単一の製剤にまとめて製剤化することも、または別々に製剤化し、それによって、同時または逐次を問わず(各薬剤(複数可)の投与は、NSAIDの投与前でも投与後でもよい)別々に投与することもできることが理解されよう。一実施形態では、薬剤を(例えば、異なる時間に)逐次投与する場合、それらの生物学的効果が重なるように薬剤を投与することができる(すなわち、各薬剤は、ある所与の一時点で生物学的効果を生じる)。本開示の目的では、そのような投与レジメンは、少なくとも1つの追加治療薬または活性成分と「組み合わせて」NSAIDを投与することとみなされる。
また、少なくとも1つの脂質製剤治療薬と少なくとも1つの追加治療薬を単一の製剤にまとめて製剤化することも、または別々に製剤化し、それによって、同時または逐次を問わず(各薬剤(複数可)の投与は、少なくとも1つの脂質製剤治療薬の投与前でも投与後でもよい)別々に投与することもできることが理解されよう。一実施形態では、薬剤を(例えば、異なる時間に)逐次投与する場合、それらの生物学的効果が重なるように薬剤を投与することができる(すなわち、各薬剤は、ある所与の一時点で生物学的効果を生じる)。本開示の目的では、そのような投与レジメンは、少なくとも1つの追加治療薬または活性成分と「組み合わせて」少なくとも1つの脂質製剤治療薬を投与することとみなされる。
少なくとも1つの追加治療薬(追加成分)は、NSAIDまたは少なくとも1つの脂質製剤治療薬の投与前に対象に投与することができる。例えば、第1の成分が、第2の成分が投与される、1週間前、72時間前、60時間前、48時間前、36時間前、24時間前、12時間前、6時間前、5時間前、4時間前、3時間前、2時間前、1時間前、30分前、15分前、10分前、5分前、または1分未満前に投与される場合、第1の成分が第2の成分の「前に」投与されるとみなすことができる。他の実施形態では、少なくとも1つの追加治療薬/成分は、NSAIDまたは少なくとも1つの脂質製剤治療薬の投与後に対象に投与することができる。例えば、第1の成分が、第2の成分の投与の、1分後、5分後、10分後、15分後、30分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後、60時間後、72時間後に投与される場合、第1の成分が第2の成分の「後に」投与されるとみなすことができる。ある特定の実施形態では、追加治療薬はNSAIDであり、これは少なくとも1つの脂質製剤治療薬の投与後(例えば、脂質製剤治療薬が投与されてから約4〜約8時間後)に投与される。ある特定の実施形態では、追加されるNSAIDは、注射により投与されるNSAIDと同じであっても異なっていてもよく、同じ経路で投与されても異なる経路で投与されてもよい。
さらに他の実施形態では、少なくとも1つの追加治療薬は、NSAIDまたは少なくとも1つの脂質製剤治療薬と同時に対象に投与することができる。本発明の目的では、「同時」投与には、例えば、NSAIDまたは少なくとも1つの脂質製剤治療薬と、少なくとも1つの追加治療薬の単一剤形(例えば、合剤)での対象への投与、またはそれぞれが約30分以内に対象に投与される別々の剤形での投与を含む。別々の剤形で投与する場合、各剤形を同じ経路で投与することができる(例えば、NSAID/脂質製剤治療薬と追加治療活性成分の両方を静脈内投与することができる)。あるいは、各剤形を異なる経路で投与することができる(例えば、NSAIDを筋肉内投与し、脂質製剤治療薬を静脈内投与し、追加治療活性成分を経口投与することができる)。いずれの場合でも、本開示の目的では、単一剤形、同じ経路による別々の剤形、または異なる経路による別々の剤形での成分の投与はすべて「同時投与」とみなされる。本開示の目的では、追加治療薬の投与「前」、投与と「同時」、または投与「後」(これらの用語は本明細書で上に定義されている)のNSAID/脂質製剤治療薬の投与は、NSAID/脂質製剤治療薬と追加治療薬とを「組み合わせた」投与とみなされる。
本明細書に記載されるように、NSAIDまたは脂質製剤治療薬を、様々な投与量の組み合わせを用いて少なくとも1つの追加治療薬と合剤化した医薬組成物もまた使用することができる。
キット
一実施形態はキットを提供する。キットは、組み合わせを収容する容器を含み得る。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及びブリスターパックなどが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料で形成されていてよい。容器は、病態の治療に有効である組み合わせを収容することができ、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿孔可能な栓を有する静注液バッグまたはバイアルであり得る)。
キットは、容器の表面に、または容器に同梱されたラベルまたは添付文書をさらに含んでもよい。用語「添付文書」は、そのような治療薬の使用に関する適応症、使用法、投与量、投与、禁忌、及び/または警告に関する情報を含む、治療薬の販売パッケージに慣例的に含まれる説明書を指す際に使用される。一実施形態では、ラベルまたは添付文書には、少なくとも1つの脂質製剤治療薬の静脈内投与に伴うインフュージョンリアクションを改善するため、少なくとも1つの脂質製剤治療薬の静脈内投与の前に、注射によりNSAIDを投与することが指示されている。
ある特定の実施形態では、キットは、錠剤またはカプセル剤などの固体経口形態の治療薬の送達に適したものである。そのようなキットは、好ましくはいくつかの単位投与量を含む。そのようなキットには、投与量がその意図される使用順序で台紙に並べられたものを含み得る。そのようなキットの例は「ブリスターパック」である。ブリスターパックは包装業界で周知されており、医薬単位剤形の包装に広く使用されている。必要であれば、記憶を助けるため、例えば、治療スケジュールのうち、その投与量を投与してもよい日を指定した、数字、文字、もしくは他のマーキングの形態、またはカレンダー式添付物を提供することができる。
別の実施形態によれば、キットは、(a)1つの薬剤(例えば、NSAID)がその中に収容されている第1の容器;及び(b)第2の薬剤(例えば、脂質製剤治療薬)がその中に収容されている第2の容器を含み得る。その代わりに、またはそれに加えて、キットは、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、またはデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む第3の容器をさらに含んでもよい。さらに商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料、例えば他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含んでもよい。
キットはさらに治療薬の投与に関する指示書を含んでもよい。例えば、キットは、それを必要とする患者への治療薬の同時投与、逐次投与、または分割投与に関する指示書をさらに含んでもよい。
ある特定の他の実施形態では、キットには、分割ボトルまたは分割ホイルパケットなど、別々の組成物を収容するための容器を含み得るが、別々の組成物が単一の分割されていない容器に収容されていてもよい。ある特定の実施形態では、キットは別々の治療薬の投与に関する指示書を含む。キット形態は、別々の治療薬が異なる剤形(例えば、経口及び非経口)で投与されることが好ましい場合、異なる投与間隔で投与される場合、または組み合わされる個々の治療薬の処方医による滴定が望ましい場合に特に有利である。
ある特定の実施形態では、キットは、少なくとも1つの脂質製剤治療薬の静脈内投与に伴うインフュージョンリアクションを改善するための、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)及び少なくとも1つの脂質製剤治療薬、容器、ならびに少なくとも1つの脂質製剤治療薬の静脈内投与の前に、注射によるNSAIDの投与を指示する添付文書またはラベルを含む。ある特定の実施形態では、キットは少なくとも1つの追加治療薬を含む。
ここからは、以下の非限定的な実施例によって本発明を説明する。
実施例1
意識のあるミニブタでのLNPの評価
本試験の目的は、ケトロラクまたはデキサメタゾンのボーラス静脈内注射ありまたはなしで投与したとき、LNP2の静脈内注射が意識のある挙動自由なミニブタの血流力学的機能に与える効果を評価することであった。この試験で使用されたLNP製剤は、以下の脂質組成(モル比)を有する:PEG−脂質(PEG2000−C−DMA(1.1mol%);カチオン性脂質((6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル 5−(ジメチル−アミノ)ペンタノエート(54.6mol%);コレステロール(32.8mol%);及びDSPC(10.9mol%)。適切な脂質を90%エタノールに溶解して脂質原料を調製した(総濃度12.24mg/mL)。20mM EDTA緩衝液で、1.215mg/mLのsiRNA原料を作製した。Jeffs et al.の方法を用いて、2つの原料を合わせ、Tピース内で混合し、混合した懸濁液をさらにpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水で3倍に希釈した。次いで試料を濃縮し、タンジェンシャルフロー限外濾過(MWCO 100k、GE Healthcare)によって緩衝液交換を行った。次いで、LNPを滅菌濾過した(0.2μmフィルター)。濃度は、RiboGreen Assay及びVarian Cary Eclipse Fluorimeterを使用して決定した。粒径及び多分散度は、Malvern Nano Series Zetasizerを使用して決定した。
方法
4匹の未処置の雌Gottingenミニブタ(Marshall Farms,NY)にD70−PCT PhysioTel埋め込み型無線遠隔測定送信機(Data Sciences International,St. Paul,MN)を手術で埋め込み、身体活動、体温、ECG、心拍数、及び動脈圧の測定を行った。ブタを試験に使用する前に、少なくとも7日間手術から回復させた。
手術から回復させた後、同じ4匹のブタ(15〜20kg)に、表1に概要を示す、ビヒクル(0.9%生理食塩水)、LNP2、LNP2+ケトロラク、またはLNP2+デキサメタゾンを60分間の静脈内注入により投与した。7日間のウォッシュアウト期間によって各治療コホートを分類した。
各注入の直前、ならびに各注入の開始から約1、3、6、及び24時間後に、混合静脈血試料を採取して、血漿処理し、凍結保存し、その後のトロンボキサンB2(11−デヒドロトロンボキサンB2)の分析に使用した。各注入の30分前から、各注入を開始して24時間後まで、心拍数及び動脈圧を連続的に記録した。
結果と考察
LNP2の投与は、注入開始から1時間後及び3時間後に血漿トロンボキサンB2濃度の大幅な増加をもたらした。トロンボキサンB2の増加はビヒクル対照群では存在せず、ケトロラクとの同時投与によって完全に軽減され、またデキサメタゾンとの同時投与によって軽減されたが完全ではなかった(図1)。
トロンボキサンB2の増加は、注入中及び注入直後にLNP2で観察された血圧の全体的な増加と関連しているように思われる(図2)。LNP2が血圧に与える効果は二相性であり、注入開始から数分以内にほぼ即時に増加(約15〜20mmHg)が生じ、10分までにベースラインに戻り、その後徐々に増加して、注入開始後80〜85分までに増加のピークである約40mmHgに達した。LNP2に対するこの急性インフュージョンリアクションが、ケトロラクとの同時投与によっては完全に防止されたが、デキサメタゾンによっては防止されなかったことは注目に値する。LNP2注入の急性高血圧作用とは対照的に、LNP2注入後に、注入開始の約9時間後から始まる低血圧の発現(1回に1〜2時間続く)が数回観察された(図3)。そのたびごとに、ビヒクル対照と比較して平均動脈圧が20〜30mmHg減少し、ケトロラクまたはデキサメタゾンいずれかとの同時投与によって発現が防止された。
結論として、意識のある雌ミニブタへの60分にわたる0.3mg/kgのLNP2の静脈内注入は、注入中及び注入直後に発生し、静脈トロンボキサンB2濃度の上昇及び血圧の上昇を特徴とした急性インフュージョンリアクションをもたらした。注入終了の約8時間後に、低血圧の複数回の発現を含む、より遅発性のインフュージョンリアクションが起こった。LNP2とケトロラクとの同時投与は、急性インフュージョンリアクションを完全に防止し、より遅発性の低血圧を効果的に緩和した。LNP2とデキサメタゾンとの同時投与は、急性インフュージョンリアクションに対する効果は最低限から皆無であったが、より遅発性の低血圧を効果的に防止した。
すべての刊行物、特許、及び特許文献は、あたかも参照により個別に組み込まれているかのように参照により本明細書に組み込まれる。様々な具体的かつ好ましい実施形態及び技術を参照して本発明を説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに、多くの変形及び変更がなされ得るものと理解されるべきである。