JP2020507593A - タンパク質処理用賦形剤化合物 - Google Patents

タンパク質処理用賦形剤化合物 Download PDF

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Abstract

本明細書中に開示されるのは、ヒンダードアミン、アニオン性芳香族、機能化アミノ酸、オリゴペプチド、短鎖有機酸、低分子量脂肪族ポリ酸から成る群から選択される粘度低減賦形剤化合物を与えること、及び、タンパク質関連プロセス用のキャリヤー溶液に、粘度低減量の少なくとも1つの粘度低減賦形剤化合物を加えることであって、しかも、キャリヤー溶液が、対象のタンパク質を含有すること、を含む、タンパク質関連プロセスのパラメーターを改善する方法、及び粘度低減賦形剤、及び対象のタンパク質が溶解している液体媒体、を含むキャリヤー溶液であって、しかも、粘度低減賦形剤の存在を除いてキャリヤー溶液と実質的に同様な対照溶液よりも低い粘度を有する、前記のキャリヤー溶液。

Description

関連出願
本出願は米国仮特許出願第62/459,893号(2017年2月16日出願)の利益を主張する。上記出願の全内容が参照によって本明細書中に組み込まれる。
出願の分野
本出願は、一般に、バイオポリマーを加工(処理)及び送達するための製剤(配合物)に関する。
背景
バイオポリマーは、治療用又は非治療用目的で使用できる。抗体又は酵素製剤などのバイオポリマーベースの治療は、疾患を治療する上で広範囲に使用される。酵素、ペプチド、及び構造タンパク質などの非治療用バイオポリマーは、家庭、栄養補給、商業、及び工業使用などの非治療用途において有用性を有する。
治療用途で使用されるバイオポリマーは、疾患の治療のために体内中へのそれらの導入が可能なように配合されなければならない。例えば、ある特定の状況下では、抗体及びタンパク質/ペプチドバイオポリマー製剤を、静脈内(IV)注入によって投与する代わりに、これらの製剤を、皮下(SC)又は筋肉内(IM)ルートによって送達することが有利である。だが、一層良い患者コンプライアンスを達成してSC又はIM注入を快適にするために、シリンジ注入の液体容積は、典型的に、2〜3ccsに限定され、そして、製剤の粘度は、製剤が従来の医療用具及び小口径の針を使用して送達できるように、典型的に、約20センチポイズ(cP)よりも低い。これらの送達パラメーターは、送達されている製剤に対する投与量要求にいつも十分に適合しているわけではない。
例えば、抗体は、それらの意図される治療効果を発揮するために、高い投与レベルで送達される必要がある場合がある。高い投与レベルの抗体製剤を送達するために制限された液体容積を使用することは、送達手段中の抗体がときどき150mg/mLのレベルを越える高濃度であることを要求し得る。この投与量レベルでは、タンパク質溶液の粘度対濃度プロットは、それらの線形−非線形遷移の向こうにあり、その結果、製剤の粘度は、濃度の増大により劇的に上昇する。しかし、増大した粘度は、標準的なSC又はIM送達システムと適合しない。バイオポリマーベースの治療用溶液は、沈殿形成、かすみ、乳白光、変性、及びゲル形成、可逆的又は不可逆的凝集などの安定性の問題の傾向もある。安定性の問題は、溶液の貯蔵寿命を制限し、特別な取扱いを要求する。
注入用タンパク質製剤を製造するための1つのアプローチは、治療用タンパク質溶液を、SC又はIM送達に好適な懸濁液を形成するために再構成できる粉末に、変換することである。凍結乾燥が、タンパク質粉末を製造するための標準的な技術である。凍結乾燥、噴霧乾燥、及び、沈殿形成とその後の超臨界流体抽出さえも、その後の再構成のためにタンパク質粉末を生成するのに使用されてきた。粉末化懸濁液は、(同じ全体投与で溶液と比較して)再溶解前の粘度が低く、こうして、SC又はIM注入に好適であることができ、与えられた粒子は、針を通して適合するのに十分に小さい。しかし、粉末中に存在するタンパク質結晶は、免疫応答を誘発する固有のリスクを有する。再溶解に続く不確実なタンパク質安定性/活性は、更なる懸念を引き起こす。タンパク質粉末懸濁液によって導入される制限を避けながら、治療用目的の低い粘度のタンパク質製剤を製造する技術の必要性が、この技術分野では残っている。
上記のタンパク質の治療用途に加えて、酵素、ペプチド、及び構造タンパク質などのバイオポリマーは、非治療用途で使用できる。これらの非治療用バイオポリマーは、多くの異なる経路から製造でき、例えば、植物起源、動物起源に由来でき、又は、細胞培養物から製造できる。
非治療用タンパク質は、顆粒状又は粉末材料として又は溶液又は分散物として(通常は水中で)、製造でき、輸送でき、貯蔵でき、そして取り扱うことができる。非治療的のための用途のバイオポリマーは、球状又は線維状タンパク質であることができ、これら材料のある特定の形態は、溶解すると高い粘度を示すか又は水中で限定された溶解性を有し得る。これらの溶液特性は、製剤、取扱い、貯蔵、ポンプ移送、及び非治療用材料の性能に対するチャレンジを提示し得るのであり、こうして、非治療用タンパク質溶液の安定性及び溶解性を改善して粘度を低減する方法の必要性が存在する。
タンパク質は複合バイオポリマーであり、各々が、独自の折り畳み3−D構造及び表面エネルギーマップ(疎水性/親水性領域及びチャージ(電荷))を持つ。濃縮されたタンパク質溶液では、これら巨大分子は、それらの正確な形状及び表面エネルギー分布に応じて、強く相互作用し得るのであり、複雑なやり方でさらにインターロックし得る。強い特定の相互作用の「ホットスポット」は、タンパク質クラスター化を生じ、溶液粘度が増大する。これらの懸念に対処するために、局所的な相互作用及びクラスター化を妨げることによって溶液粘度の低減を目的として、多くの賦形剤化合物が、バイオ治療用製剤中に使用される。これらの努力は個別に調整され、しばしば経験的に、ときどきインシリコシミュレーションによってガイドされる。賦形剤化合物の組合せを提供することができるが、そのような組合せの最適化は、再び、経験的に及びケースバイケースで進歩しなければならない。
非線形条件下にて所定の濃度でのタンパク質製剤の粘度を低減する本当に一般的なアプローチの必要性が、この技術分野では残っている。タンパク質の活性を維持しながらこの粘度低減を達成する追加の必要性が、この技術分野には存在する。粘度低減システムを、整調できて持続される解放プロファイルを有する製剤での使用に適合させること、及び、デポ注入用に適合される製剤での使用に適合させることが、更に望ましいであろう。加えて、タンパク質及び他のバイオポリマーを製造するプロセスを改善することが望ましい。
本発明の概要
様々な実施形態において本明細書中に開示されるのは、ヒンダードアミン、アニオン性芳香族、機能化アミノ酸、オリゴペプチド、短鎖有機酸、低分子量脂肪族ポリ酸から成る群から選択される賦形剤化合物とタンパク質とを含む液体製剤であり、しかも、賦形剤化合物は、粘度低減量で添加される。様々な実施形態において、タンパク質はPEG化タンパク質であり、賦形剤は低分子量脂肪族ポリ酸である。様々な実施形態において、製剤は医薬品組成物であり、治療用製剤は治療用タンパク質を含み、しかも、賦形剤化合物は医薬的に許容される賦形剤化合物であり。様々な実施形態において、製剤は非治療用製剤であり、非治療用製剤は非治療用タンパク質を含む。様々な実施形態において、粘度低減量は、製剤の粘度を、対照製剤の粘度よりも低い粘度に低減する。様々な実施形態において、製剤の粘度は、対照製剤の粘度よりも少なくとも約10%少ないか、又は、対照製剤の粘度よりも少なくとも約30%少ないか、又は、対照製剤の粘度よりも少なくとも約50%少ないか、又は、対照製剤の粘度よりも少なくとも約70%少ないか、又は、対照製剤の粘度よりも少なくとも約90%少ない。様々な実施形態において、粘度は、約100cP未満、又は約50cP未満、又は約20cP未満、又は約10cP未満である。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、<5000Da、又は<1500Da、又は<500Daの分子量を有する。様々な実施形態において、製剤は、少なくとも約25mg/mLのタンパク質、又は少なくとも約100mg/mLのタンパク質、又は少なくとも約200mg/mLのタンパク質、又は少なくとも約300mg/mLのタンパク質を含有する。様々な実施形態において、製剤は、約5mg/mL〜約300mg/mLの間の賦形剤化合物を含むか、又は約10mg/mL〜約200mg/mLの間の賦形剤化合物を含むか、又は約20mg/mL〜約100mg/mLの間の又は約25mg/mL〜約75mg/mLの間の賦形剤化合物を含む。様々な実施形態において、製剤は、対照製剤と比較したとき改善された安定性を有する。様々な実施形態において、賦形剤化合物はヒンダードアミンである。様々な実施形態において、ヒンダードアミンは、カフェイン、テオフィリン、チラミン、プロカイン、リドカイン、イミダゾール、アスパルテーム、サッカリン、及びアセスルファムカリウムから成る群から選択される。様々な実施形態において、ヒンダードアミンはカフェインである。様々な実施形態において、ヒンダードアミンは、局部注入可能な麻酔化合物である。ヒンダードアミンは、独立の薬理特性を持つことができ、ヒンダードアミンは、独立の薬理効果を有する量で製剤中に存在できる。実施形態では、ヒンダードアミンは、治療有効量未満の量で製剤中に存在できる。独立の薬理活性は、局部麻酔活性であることができる。様々な実施形態において、独立の薬理活性を持つヒンダードアミンは、製剤の粘度を更に減少させる第2の賦形剤化合物と組み合わせる。第2の賦形剤化合物は、カフェイン、テオフィリン、チラミン、プロカイン、リドカイン、イミダゾール、アスパルテーム、サッカリン、及びアセスルファムカリウムから成る群から選択できる。様々な実施形態において、製剤は、防腐剤、界面活性剤、糖、多糖、アルギニン、プロリン、ヒアルロニダーゼ、安定剤、及び緩衝剤から成る群から選択される添加剤を含むことができる。
更に本明細書中に開示されるのは、哺乳動物に液体治療用製剤を投与することを含む、哺乳動物の障害又は疾患を治療する方法であり、しかも、治療用製剤は、治療有効量の治療用タンパク質を含み、しかも、製剤は、ヒンダードアミン、アニオン性芳香族、機能化アミノ酸、オリゴペプチド、短鎖有機酸、及び低分子量脂肪族ポリ酸から成る群から選択される医薬的に許容される賦形剤化合物を更に含み;しかも、治療用製剤は、障害又は疾患の治療に効果的である。様々な実施形態において、治療用タンパク質はPEG化タンパク質であり、賦形剤化合物は低分子量脂肪族ポリ酸である。様々な実施形態において、賦形剤はヒンダードアミンである。様々な実施形態において、ヒンダードアミンは局部麻酔化合物である。様々な実施形態において、製剤は、皮下注入により、又は筋肉内注入により、又は静脈内注入により投与される。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、粘度低減量で治療用製剤中に存在し、粘度低減量は、治療用製剤の粘度を、対照製剤の粘度未満の粘度に低減する。様々な実施形態において、治療用製剤は、対照製剤と比較して改善された安定性を有する。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、本質的に純粋である。
更に本明細書中に開示されるのは、注入によって液体治療用製剤を投与すること:を含む、必要性のある哺乳動物の治療用タンパク質の注入部位での痛みを低減する方法であって、しかも、治療用製剤は治療有効量の治療用タンパク質を含み、しかも、製剤は、局部注入可能な麻酔化合物から成る群から選択される医薬的に許容される賦形剤化合物を更に含み、しかも、医薬的に許容される賦形剤化合物は、粘度低減量で製剤に添加され;しかも、哺乳動物は、対照治療用製剤の投与よりも賦形剤化合物を含む治療用製剤の投与で、より少ない痛みを受け、しかも、対照治療用製剤は、賦形剤化合物を含有せず、そして、他の場合には、治療用製剤と同一である。
様々な実施形態において、本明細書中に開示されるのは、ヒンダードアミン、アニオン性芳香族、機能化アミノ酸、オリゴペプチド、及び短鎖有機酸、及び低分子量脂肪族ポリ酸から成る群から選択される賦形剤化合物及び治療用タンパク質を含む液体タンパク質製剤を調製すること:を含む、液体タンパク質製剤の安定性を改善する方法であり、しかも、液体タンパク質製剤は、対照液体タンパク質製剤と比較して改善された安定性を例証し、しかも、対照液体タンパク質製剤は、賦形剤化合物を含有せず、そして、他の場合には、液体タンパク質製剤と同一である。液体製剤の安定性は、冷蔵条件安定性、室温安定性又は高温安定性であることができる。
様々な実施形態において、また本明細書中に開示されるのは、ヒンダードアミン、アニオン性芳香族、機能化アミノ酸、オリゴペプチド、短鎖有機酸、及び低分子量脂肪族ポリ酸から成る群から選択される賦形剤化合物及びタンパク質を含む液体製剤であり、しかも、製剤中の賦形剤化合物の存在は、タンパク質拡散相互作用パラメーターkD、又は第2ビリアル係数B22で測定して改善されたタンパク質−タンパク質相互作用の特徴になる。様々な実施形態において、製剤は治療用製剤であり、治療用タンパク質を含む。様々な実施形態において、製剤は非治療用製剤であり、非治療用タンパク質を含む。
様々な実施形態において、更に本明細書中に開示されるのは、上記の液体製剤を与えること及びそれを加工方法に使用することを含む、タンパク質関連プロセスを改善する方法である。様々な実施形態において、加工方法は、ろ過、ポンプ移送、混合、遠心分離、膜分離、凍結乾燥、又はクロマトグラフィーを含む。様々な実施形態において、加工方法は、細胞培養物収穫、クロマトグラフィー、ウイルス不活化、及びろ過から成る群から選択される。様々な実施形態において、加工方法は、クロマトグラフィープロセス又はろ過プロセスである。様々な実施形態において、ろ過プロセスは、ウイルスろ過プロセス又は限外ろ過/透析ろ過プロセスである。
また本明細書中に開示されるのは、下記の工程を含む、タンパク質関連プロセスのパラメーターを改善する方法である:ヒンダードアミン、アニオン性芳香族、機能化アミノ酸、オリゴペプチド、短鎖有機酸、低分子量脂肪族ポリ酸、及びジオン及びスルホンから成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤化合物を含む粘度低減賦形剤添加剤を与えること、及び、タンパク質関連プロセス用のキャリヤー溶液に、粘度低減量の少なくとも1つの賦形剤化合物を加えることであって、しかも、キャリヤー溶液が、対象のタンパク質を含有すること、それによって、パラメーターを改善すること。様々な実施形態において、パラメーターが、タンパク質の製造コスト、タンパク質の製造量、タンパク質の製造速度、及びタンパク質の製造効率から成る群から選択できる。パラメーターがプロキシパラメーターであることができる。様々な実施形態において、タンパク質関連プロセスが、上流の加工プロセスである。上流の加工プロセス用のキャリヤー溶液が、細胞培養培地であることができる。様々な実施形態において、もしもキャリヤー溶液が細胞培養培地であるならば、キャリヤー溶液に賦形剤添加剤を加える工程が、補足媒体に賦形剤添加剤を加えて賦形剤含有補足媒体を形成する第1のサブステップと、細胞培養培地に賦形剤含有補足媒体を加える第2のサブステップとを含む。他の実施形態において、タンパク質関連プロセスが、下流の加工プロセスである。下流の加工プロセスが、クロマトグラフィープロセスであることができ、そして、クロマトグラフィープロセスが、タンパク質−Aクロマトグラフィープロセスであることができる。様々な実施形態において、クロマトグラフィープロセスが、対象のタンパク質を回収し、しかも、対象のタンパク質が、対照溶液と比較して、改善された純度、改善された収率、より少ない粒子、より少ないミスフォールディング、又は、より少ない凝集から成る群から選択される改善されたタンパク質関連パラメーターによって特徴付けられる。様々な実施形態において、改善されたタンパク質関連パラメーターが、クロマトグラフィープロセスからの対象のタンパク質の改善された収率である。他の実施形態において、タンパク質関連プロセスが、ろ過、注入、シリンジ注入、ポンプ移送、混合、遠心分離、膜分離、及び凍結乾燥から成る群から選択されるプロセスであり、そして、選択されたプロセスが、対照プロセスよりも少ない力を要求することができる。様々な実施形態において、タンパク質関連プロセスが、細胞培養物プロセス、細胞培養物収穫プロセス、クロマトグラフィープロセス、ウイルス不活化プロセス、及びろ過プロセスから成る群から選択される。様々な実施形態において、タンパク質関連プロセスが、ウイルス不活化プロセスであり、そして、ウイルス不活化プロセスが、約2.5〜約5.0のpHレベルで実施されるか、又は、ウイルス不活化プロセスが、対照プロセスよりも高いpHで実施される。他の実施形態において、タンパク質関連プロセスがろ過プロセスである。ろ過プロセスが、ウイルス除去ろ過プロセス又は限外ろ過/透析ろ過プロセスであることができる。ろ過プロセスが、改善されたろ過関連パラメーターによって特徴付けられることができる。改善されたろ過関連パラメーターが、対照溶液のろ過速度よりも高速のろ過速度であることができる。改善されたろ過関連パラメーターが、対照ろ過プロセスによって製造される凝集タンパク質の量よりも少量の凝集タンパク質の製造であることができる。改善されたろ過関連パラメーターが、対照ろ過プロセスの物質移動効率よりも高い物質移動効率であることができる。改善されたろ過関連パラメーターが、対照ろ過プロセスによって製造される対象のタンパク質の濃度又は収率よりも対象のタンパク質のより高い濃度又はより高い収率であることができる。
更に本明細書中に開示されるのは、粘度低減賦形剤添加剤が、2つ以上の賦形剤化合物を含む、上記の方法である。様々な実施形態において、少なくとも1つの賦形剤化合物が、ヒンダードアミンである。様々な実施形態において、少なくとも1つの賦形剤化合物が、カフェイン、サッカリン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、テオフィリン、タウリン、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、ナイアシンアミド、及びイミダゾールから成る群から選択される。様々な実施形態において、少なくとも1つの賦形剤化合物が、カフェイン、タウリン、ナイアシンアミド、及びイミダゾールから成る群から選択される。様々な実施形態において、少なくとも1つの賦形剤化合物が、アニオン性芳香族賦形剤であり、そして、いくつかの実施形態において、アニオン性芳香族賦形剤が、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸であることができる。様々な実施形態において、粘度低減量が、少なくとも1つの賦形剤化合物の約1mg/mL〜約100mg/mLの間であるか、又は、粘度低減量が、少なくとも1つの賦形剤化合物の約1mM〜約400mMの間であるか、又は、粘度低減量が、約2mM〜約150mMの量である。様々な実施形態において、キャリヤー溶液が、防腐剤、糖、多糖、アルギニン、プロリン、界面活性剤、安定剤、及び緩衝剤から成る群から選択される添加剤を含む。様々な実施形態において、対象のタンパク質が、治療用タンパク質であり、そして、治療用タンパク質が、組み換えタンパク質であることができるか、又は、モノクローナル抗体、ポリクロナール抗体、抗体フラグメント、融合タンパク質、PEG化タンパク質、抗体−薬物コンジュゲート、合成ポリペプチド、タンパク質フラグメント、リポタンパク質、酵素、及び構造ペプチドから成る群から選択されることができる。様々な実施形態において、当該方法は、キャリヤー溶液に第2の粘度低減賦形剤を加える工程を更に含み、しかも、第2の粘度低減化合物を加える工程が、パラメーターに追加の改善を加える。
加えて、キャリヤー溶液は、本明細書中に開示されるとおりであり、粘度低減添加剤、及び対象のタンパク質が溶解している液体媒体を含み、しかも、キャリヤー溶液は、対照溶液よりも低い粘度を有する。キャリヤー溶液が、防腐剤、糖、多糖、アルギニン、プロリン、界面活性剤、安定剤、及び緩衝剤から成る群から選択される添加剤を更に含むことができる。
図面の簡単な記述
図1は、例えばモノクローナル抗体などの治療用タンパク質を製造するための発酵プロセス(「上流の加工」)中の工程を示すブロック図を示す。
図2は、例えばモノクローナル抗体などの治療用タンパク質を製造するための精製プロセス(「下流の加工」)中の工程を示すブロック図を示す。
詳細な記述
本明細書中に開示されるのは、濃縮されたタンパク質溶液の送達を可能とする製剤及びそれらの製造方法である。様々な実施形態において、本明細書中に開示されるアプローチは、伝統的なタンパク質溶液と比較して、液体製剤中でのより高い濃度の治療用タンパク質又は非治療用タンパク質又はより低い粘度の液体製剤を生産できる。様々な実施形態において、本明細書中に開示されるアプローチは、伝統的なタンパク質溶液と比較したとき、改善された安定性を有する液体製剤を生産できる。安定な製剤は、冷蔵条件、室温条件、又は高温貯蔵条件であろうがなかろうが貯蔵条件下で貯蔵した時に、それらの中に含有するタンパク質が、その物理的及び化学安定性及びその治療効力又は非治療効力を実質的に保持するものである。有利には、安定な製剤は、その中に溶解するタンパク質の凝集又は沈殿形成に対する保護をも提供できる。例えば、冷蔵条件は、冷蔵庫又は冷凍庫中での貯蔵を伴い得る。いくつかの例では、冷蔵条件は、10°未満の温度での貯蔵を伴い得る。追加の例では、冷蔵条件は、約2℃〜約10℃の温度での貯蔵を伴う。他の例では、冷蔵条件は、約4℃の温度での貯蔵を伴う。追加の例では、冷蔵条件は、例えば約−20℃未満などの凍結温度での貯蔵を伴う。他の例では、冷蔵条件は、約−20℃〜約0℃の温度での貯蔵を伴う。室温貯蔵条件は、例えば約10℃〜約30℃の周囲温度での貯蔵を伴い得る。上昇貯蔵条件は、より高い温度での貯蔵を伴い得る。例えば約30℃〜約50℃の温度の高温安定性は、典型的な周囲(10〜30℃)条件での長期貯蔵を予測するために、促進エージング検討として一部使用できる。
溶液中のタンパク質は、絡み合いを形成する傾向があり、それは、絡み合った鎖の並進流動性を制限してタンパク質の治療効力又は非治療効力に干渉し得るということは、高分子科学及び工学の当業者には周知である。様々な実施形態において、本明細書中に開示されるような賦形剤化合物は、溶液中の対象のタンパク質と賦形剤化合物との間の特定の相互作用に起因するタンパク質クラスター化を抑制できる。本明細書中に開示されるような賦形剤化合物は、天然又は合成のものであることができ、望ましくは、FDAが安全であると一般に認識する(“GRAS”)物質である。
1.定義
本開示の目的のために、用語「タンパク質」は、分子量が典型的には1〜3000kDの間である、個別の三次構造を製造するのに十分に長い鎖長を有するアミノ酸のシーケンスを示す。いくつかの実施形態において、タンパク質の分子量は約50kD〜200kDの間である。他の実施形態において、タンパク質の分子量は約20kD〜1000kDの間であり、又は約20kD〜2000kDの間である。用語「タンパク質」と対照的に、用語「ペプチド」は、個別の三次構造を有しないアミノ酸のシーケンスを示す。広範囲の様々なバイオポリマーが用語「タンパク質」の範囲内に含まれる。例えば、用語「タンパク質」により、抗体、アプタマー、融合タンパク質、PEG化タンパク質、合成ポリペプチド、タンパク質フラグメント、リポタンパク質、酵素、構造ペプチド及びペプチド薬物などを含めた、治療用タンパク質又は非治療用タンパク質が示され得る。
限定されない例として、治療用タンパク質は、下記にものを含むことができる:哺乳動物のタンパク質、例えば、ホルモン及びプロホルモン(例えば、インスリン及びプロインスリン、グルカゴン、カルシトニン、甲状腺ホルモン(T3又はT4又は甲状腺刺激ホルモン)、副甲状腺ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモン、成長ホルモン、成長ホルモン放出因子など);凝固及び抗凝固因子(例えば、組織因子、フォン・ウィルブランド因子、第VIIIC因子、第IX因子、タンパク質C、プラスミノゲン活性化因子(ウロキナーゼ、ヒト組織プラスミノゲン活性化因子)、トロンビン);サイトカイン、ケモキネシス、及び炎症性メディエイター;インターフェロン;コロニー刺激因子;インターロイキン(例えば、IL−1からIL−10まで);成長因子(例えば、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、形質転換成長因子、神経栄養成長因子、インスリンと同種の成長因子、など);アルブミン;コラーゲン及びエラスチン;造血因子(例えば、エリスロポイエチン、トロンボポイエチン、など);骨誘導因子(例えば、骨形成タンパク質);受容体(例えば、インテグリン、カドヘリンなど);表面膜タンパク質;輸送タンパク質;調節タンパク質;抗原タンパク質(例えば、抗原の機能を果たすウイルス成分);及び抗体。用語「抗体」は、ここでは、その最も広い意味で使用され、限定されない例として、下記のものを含む:モノクローナル抗体(例えば、免疫グロブリンFc領域を持つ全長抗体を含む)、単鎖分子、二重特異性及び多重特異性抗体、2機能性抗体、抗体−薬物コンジュゲート、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、ポリクロナール抗体(例えば、免疫不全患者用の治療に使用されるポリクロナール免疫グロブリン)、及び抗体のフラグメント(例えば、Fc、Fab、Fv、及びF(ab’)2を含む)。抗体は、「免疫グロブリン」とも称することができる。抗体は、生物学的に重要な材料である特定のタンパク質又は非タンパク質「抗原」に対して向けられていると理解され;患者に対する抗体の治療有効量の投与は、抗原と複合し得るのであり、それによって、患者が治療効果を受けるようにその生物学的特性を変え得る。
様々な実施形態において、タンパク質はPEG化され、それは、それらがポリ(エチレングリコール)(“PEG”)及び/又はポリ(プロピレングリコール)(“PPG”)単位を含むことを、意味する。PEG化タンパク質、又はPEG−タンパク質コンジュゲートは、溶解性、薬物動力学、薬力学、免疫原性、腎クリアランス、及び安定性などのそれらの有益な特性に起因して治療用途における有用性を見出した。PEG化タンパク質の限定されない例は、PEG化インターフェロン(PEG−IFN)、PEG化VEGF抗体、PEGタンパク質コンジュゲート薬物、Adagen、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペグロチカーゼ、ペグビソマント、PEG化エポエチン−β、及びセルトリズマブペゴルである。
PEG化タンパク質は、1つ又は複数の反応性官能基を有するPEG試薬とタンパク質との反応などの様々な方法によって、合成できる。PEG試薬上の反応性官能基は、リジン、ヒスチジン、システイン、及びN−末端などの対象のタンパク質部位でのタンパク質との結合を形成できる。典型的なPEG化試薬は、タンパク質上の対象のアミノ酸残基との特定の反応性を有するアルデヒド、マレイミド、又はスクシンイミド基などの反応性官能基を有する。PEG化試薬は、約1〜約1000のPEG及び/又はPPG反復単位のPEG鎖長を有することができる。PEG化の他の方法は、グリコ−PEG化を含み、そこでは、タンパク質が最初にグリコシル化され、その後、グリコシル化残基が、第2の工程においてPEG化される。ある特定のPEG化プロセスは、シアリルトランスフェラーゼ及びトランスグルタミナーゼのような酵素によってアシストされる。
PEG化タンパク質が天然の非PEG化タンパク質に比べた治療用利点を提供できる一方で、これらの材料は、それらを精製、溶解、ろ過、濃縮、及び投与するのを困難にする物理的又は化学的特性を有することができる。タンパク質のPEG化は、天然のタンパク質と比較してより高い溶液粘度を生じることができ、これは、より低い濃度のPEG化タンパク質溶液の製剤を一般に要求する。
安定な低い粘度溶液中で治療用タンパク質を配合するのが望ましく、それにより、それらは、最小の注入容積で患者に投与できる。例えば、薬物の皮下(SC)又は筋肉内(IM)注入は、好ましくは2mL未満の小さい注入容積を一般に要求する。SC及びIM注入ルートは、自己投与ケアに十分に適しており、これは、直接の医師の管理下でのみ実施される静脈内(IV)注入と比較して、より少ないコストであり、より利用しやすい治療の形態である。SC又はIM注入用の製剤は、一般に30cP未満で好ましくは20cP未満の低い溶液粘度を要求し、それにより、狭軌針を通しての治療用溶液の易流動性を可能とする。小さい注入容積及び低い粘度要求のこの組合せは、SC又はIM注入ルートでの治療用PEG化タンパク質の使用に対するチャレンジを提示する。
治療効果を有するそのようなタンパク質は「治療用タンパク質」と称されることがあり、治療用タンパク質を治療有効量で含有する製剤は「治療用製剤」と称されることがある。治療用製剤に含有される治療用タンパク質はまた、その「タンパク質有効成分」と称されることがある。典型的には、治療用製剤は、治療有効量のタンパク質有効成分と、賦形剤とを、他の随意的な成分の有無にかかわらず含む。本明細書中で使用される場合、用語「治療的」には、既存障害の処置と、障害の防止との両方が含まれる。治療用タンパク質は、例えば、下記のタンパク質を含む:ベバシズマブ、トラスツズマブ、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ダルベポエチンアルファ、エポエチンアルファ、セツキシマブ、フィルグラスチム、及びリツキシマブなど。他の治療用タンパク質は、当業者によく知られているであろう。
「処置」(「治療」)には、障害の症状の発症を予防すること、又は遅らせること、ならびに/あるいは障害の症状を緩和すること、又は改善することを含めて、障害を治療するために、治癒させるために、緩和するために、改善するために、修復するために、又は他の場合には有益な影響を障害に反して与えるために意図される手段がどのようなものであれ含まれる。処置を必要としているそのような患者には、特定の障害を既に有する人々、及び障害の防止が望ましい人々の両方が含まれる。障害は、急性疾患又は慢性疾患を含めて、哺乳動物の恒常的安寧を変化させるどのような状態でもあり、あるいは哺乳動物を急性疾患又は慢性疾患に罹患させやすくする病理学的状態である。障害の限定されない例には、ガン、代謝性障害(例えば、糖尿病)、アレルギー性障害(例えば、喘息)、皮膚科学的障害、心血管障害、呼吸器障害、血液学的障害、筋骨格障害、炎症性障害又はリウマチ学的障害、自己免疫障害、胃腸障害、泌尿器系障害、性障害及び生殖障害、神経学的障害などが含まれる。用語「哺乳動物」は処置目的の場合には、ヒト、家畜化動物、ペット動物、農場動物、スポーツ用動物及び作業用動物などを含めて、哺乳動物として分類される動物をどのようなものであれ示すことができる。したがって、「処置」には、獣医学的処置及びヒト処置の両方が含まれ得る。便宜上、そのような「処置」を受ける哺乳動物は「患者」と呼ぶことができる。ある特定の実施形態において、患者は、子宮内の胎児動物を含めて、どのような年齢であっても可能である。
様々な実施形態において、処置には、治療有効量の治療用製剤をその必要性のある哺乳動物に与えることが伴う。「治療有効量」は最低でも、その必要性のある哺乳動物に投与されて、既存障害の処置又は予想された障害の防止を達成するための治療用タンパク質の最小濃度である(この場合、そのような処置又はそのような防止のどちらもが「治療的介入」である)。有効成分として治療用製剤に含まれ得る様々な治療用タンパク質の治療有効量がこの技術分野ではよく知られている場合がある。あるいは、発見される、又は本明細書中下記では治療的介入に適用される、治療用タンパク質については、治療有効量を、日常的にすぎない実験を使用して、当業者によって行われる標準的な技術により決定することができる。
非治療目的(すなわち、処置を伴わない目的)のために、例えば、家庭用途、栄養補給用途、商業用途及び工業用途などのために使用されるそのようなタンパク質は、「非治療用タンパク質」と称される場合がある。非治療用タンパク質を含有する製剤は「非治療用製剤」と称される場合がある。非治療用タンパク質は植物起源若しくは動物起源に由来することができ、又は細胞培養物から製造することができる。非治療用タンパク質はまた、酵素又は構造タンパク質が可能である。非治療用タンパク質は、家庭用途、栄養補給用途、商業用途及び工業用途において使用することができ、例えば、触媒、ヒト及び動物への栄養補給、加工助剤、洗浄剤及び廃棄物処理などにおいて使用することができる。
非治療用バイオポリマーの1つの重要なカテゴリーは、酵素である。酵素は、例えば、触媒、ヒト及び動物の栄養補給成分、加工助剤、洗浄剤及び廃棄物処理剤として、多くの非治療用途を有する。酵素触媒が、様々な化学反応を促進させるために使用される。非治療的使用のための酵素触媒の例には、カタラーゼ、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ及びリガーゼが含まれる。ヒト及び動物での酵素の栄養学的使用には、栄養補助食品、栄養となるタンパク質源、微量栄養素のキレート化又は制御された送達、消化補助剤及びサプリメントが含まれ、これらは、アミラーゼ、プロテアーゼ、トリプシン及びラクターゼなどに由来することができる。酵素の加工助剤が、パン製造、ビール醸造、発酵、果汁加工及びワイン醸造のような業務において食品製造物及び飲料製造物の製造を改善するために使用される。これらの食品加工助剤及び飲料加工助剤の例には、アミラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、グルカナーゼ、リパーゼ及びラクターゼが含まれる。酵素はまた、バイオ燃料の製造において使用することができる。例えば、バイオ燃料用のエタノールは、バイオマス原料(例えば、セルロース系材料及びリグノセルロース系材料など)の酵素分解によって促進され得る。そのような原料物質をセルラーゼ及びリグニナーゼで処理することにより、バイオマスが、燃料に発酵され得る基質に変換される。他の商業用途において、酵素が、洗濯用途、食器洗い用途、表面清浄用途及び機器清浄用途のための洗剤、洗浄剤及び汚れ落とし助剤として使用される。この目的のための典型的な酵素には、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びリパーゼが含まれる。加えて、非治療用酵素が、様々な商用プロセス及び工業用プロセスにおいて、例えば、セルラーゼによる繊維柔軟化、皮革加工、廃棄物処理、汚染沈殿物の処理、水処理、パルプ漂白、ならびにパルプの柔軟化及び剥離などにおいて使用される。これらの目的のための典型的な酵素が、アミラーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ及びリグニナーゼである。
非治療用バイオポリマーの他の例には、線維状タンパク質又は構造タンパク質(例えば、ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、フィブロイン、アクチン、チューブリンなど)、あるいはそれらの加水分解形態、分解形態又は誘導体化形態が含まれる。これらの物質は、食品成分(例えば、ゼラチン、アイスクリーム、ヨーグルト及び菓子など)の調製及び配合において使用される。これらはまた、増粘剤、レオロジー調整剤、口当たり改善剤として、また、栄養補給タンパク質の供給源として食品に加えられる。化粧品及びパーソナルケア産業において、コラーゲン、エラスチン、ケラチン及び加水分解ケラチンが、スキンケア製剤及びヘアケア製剤における成分として広範囲に使用されている。非治療用バイオポリマーのさらに他の例が、乳清タンパク質、例えば、ベータ−ラクトグロブリン、アルファ−ラクトアルブミン及び血清アルブミンなどである。これらの乳清タンパク質は乳製品生産過程からの副産物として大量に製造され、様々な非治療用途のために使用されてきている。
2.測定
様々な実施形態において、本明細書中に記載されるタンパク質含有製剤は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析で測定してモノマーロスに対して抵抗性である。ここで使用されるようなSEC分析では、検体のメインピークは、一般に、製剤中に含有する対象のタンパク質に関連し、タンパク質のこのメインピークを、モノマーピークと呼ぶ。モノマーピークは、凝集物(二量体、三量体、オリゴマーなど)又はフラグメント状態と対照的に、モノマー状態で、例えばタンパク質有効成分などの対象のタンパク質の量を表わす。モノマーピーク面積は、対象のタンパク質に関連するモノマー、凝集物、及びフラグメントピークの合計面積と比較できる。こうして、タンパク質含有製剤の安定性は、経過時間後のモノマーの相対量によって観察でき;したがって、本発明のタンパク質含有製剤の安定性の改善は、賦形剤を含有しない対照製剤中のパーセントモノマーと比較して、ある特定の経過時間後のより高いパーセントモノマーとして測定できる。
様々な実施形態において、理想的な安定性の結果は、SEC分析によって決定して98〜100%のモノマーピークを有することである。様々な実施形態において、本発明のタンパク質含有製剤の安定性の改善は、ストレス条件への暴露後に、賦形剤を含有しない対照製剤が同じストレス条件に暴露される時のそのような対照製剤におけるパーセントモノマーと比較して、より高いパーセントモノマーとして測定できる。様々な実施形態において、ストレス条件は、低温貯蔵、高温貯蔵、空気への暴露、ガス気泡への暴露、剪断状態への暴露、又は凍結/解凍サイクルへの暴露であることができる。
様々な実施形態において、本明細書中に記載されるようなタンパク質含有製剤は、動的光散乱(DLS)分析で測定してタンパク質粒径の増大に対して抵抗性である。ここで使用されるようなDLS分析では、タンパク質含有製剤中のタンパク質の粒径は、メジアン粒径として観察できる。理想的には、対象のタンパク質のメジアン粒径は、DLS分析にかけた時に、相対的に変化するべきでない。なぜなら、粒径は、凝集物(二量体、三量体、オリゴマーなど)又はフラグメント状態と対照的に、モノマー状態の有効成分を表わすからである。メジアン粒径の増大は、凝集タンパク質を表わすことが可能である。こうして、タンパク質含有製剤の安定性は、経過時間後のメジアン粒径の相対的な変化によって観察できる。
様々な実施形態において、本明細書中に記載されるようなタンパク質含有製剤は、動的光散乱(DLS)分析で測定して多分散粒度分布の形成に対して抵抗性である。様々な実施形態において、タンパク質含有製剤は、コロイドタンパク質粒子の単分散粒度分布を含有することができる。様々な実施形態において、理想的な安定性の結果は、製剤の初期のメジアン粒径と比較してメジアン粒径の10%未満の変化を有することである。様々な実施形態において、本発明のタンパク質含有製剤の安定性の改善は、賦形剤を含有しない対照製剤のメジアン粒径と比較して、ある特定の経過時間後、メジアン粒径のより低いパーセントの変化として測定できる。様々な実施形態において、本発明のタンパク質含有製剤の安定性の改善は、ストレス条件への暴露後に、賦形剤を含有しない対照製剤が同じストレス条件に暴露される時のそのような対照製剤のメジアン粒径のパーセント変化と比較して、メジアン粒径のより低いパーセント変化として測定できる。様々な実施形態において、ストレス条件は、低温貯蔵、高温貯蔵、空気への暴露、ガス気泡への暴露、剪断状態への暴露、又は凍結/解凍サイクルへの暴露であることができる。様々な実施形態において、本発明タンパク質含有製剤治療用製剤の安定性の改善は、粒度分布賦形剤を含有しない対照製剤が同じストレス条件に暴露される時のそのような対照製剤の多分散性と比較して、DLSで測定してより少ない多分散粒度分布として測定できる。
様々な実施形態において、本発明のタンパク質含有製剤は、濁度、光散乱、及び/又は粒子計数分析で測定して沈殿形成に対して抵抗性である。濁度、光散乱、又は粒子計数分析においては、より低い値は、製剤中のより少ない数の懸濁粒子を一般に表わす。濁度、光散乱、又は粒子計数の増大は、対象のタンパク質の溶液が安定でないことを示し得る。こうして、タンパク質含有製剤の安定性は、経過時間後の濁度、光散乱、又は粒子計数の相対量によって観察できる。様々な実施形態において、理想的な安定性の結果は、低い及び相対的に一定の濁度、光散乱、又は粒子計数値を有することである。様々な実施形態において、本発明のタンパク質含有製剤の安定性の改善は、ある特定の経過時間後、賦形剤を含有しない対照製剤の濁度、光散乱、又は粒子計数値と比較して、より低い濁度、より低い光散乱、又はより低い粒子計数として測定できる。様々な実施形態において、本明細書中に記載されるようなタンパク質含有製剤の安定性の改善は、ストレス条件への暴露後に、賦形剤を含有しない対照製剤が同じストレス条件に暴露される時のそのような対照製剤の濁度、光散乱、又は粒子計数と比較して、より低い濁度、より低い光散乱、又はより低い粒子計数として測定できる。様々な実施形態において、ストレス条件は、低温貯蔵、高温貯蔵、空気への暴露、ガス気泡への暴露、剪断状態への暴露、又は凍結/解凍サイクルへの暴露であることができる。
3.治療用製剤
1つの態様において、本明細書中に開示される製剤及び方法は、治療有効量での治療用タンパク質と、賦形剤化合物とを含む改善された又は低減された粘度の安定な液体製剤を提供する。様々な実施形態において、製剤は、許容できる濃度の有効成分と、許容できる粘度とを提供しながら、安定性を改善することができる。様々な実施形態において、製剤は、対照製剤と比較したとき、安定性における改善をもたらす。なお、本開示の目的のために、対照製剤は、乾燥重量基準で、賦形剤化合物を欠くことを除いてあらゆる点で治療用製剤と同一である、タンパク質有効成分を含有する製剤である。様々な実施形態において、タンパク質含有製剤の改善された安定性は、対照製剤と比較して、より低いパーセンテージの可溶性凝集物、微粒子、肉眼では見えない粒子、又はゲル形成の形態である。
液体タンパク質製剤の粘度が、タンパク質自体(例えば、酵素、抗体、受容体、融合タンパク質など)の性質、そのサイズ、三次元構造、化学組成及び分子量、製剤中のその濃度、タンパク質以外の製剤の成分、所望のpH範囲、製剤のための貯蔵条件、ならびに製剤を患者に投与する方法を含むがそれらに限定されない様々な要因によって影響され得ることが理解される。本明細書中に記載される賦形剤化合物との使用のために最も好適である治療用タンパク質は好ましくは本質的に純粋であり、すなわち、混入タンパク質を含まない。様々な実施形態において、「本質的に純粋な」治療用タンパク質は、少なくとも90重量%の治療用タンパク質を含むタンパク質組成物、又は好ましくは、少なくとも95重量%の治療用タンパク質を含むタンパク質組成物、又はより好ましくは、少なくとも99重量%の治療用タンパク質を含むタンパク質組成物である(これらはすべてが、組成物における治療用タンパク質及び混入タンパク質の総重量に基づく)。明確化のために、賦形剤として加えられるタンパク質は、この定義に含まれることは意図されない。本明細書中に記載される治療用製剤は、タンパク質有効成分の所望される治療効力が達成され得るような形態で、かつ、製剤が投与されることになる哺乳動物に対して毒性である成分を含有しない医薬品規格の製剤(すなわち、哺乳動物を処置する際の使用のために意図される製剤)として使用するために意図される。
様々な実施形態において、治療用製剤は、少なくとも25mg/mLのタンパク質有効成分を含有する。他の実施形態において、治療用製剤は、少なくとも100mg/mLのタンパク質有効成分を含有する。他の実施形態において、治療用製剤は、少なくとも200mg/mLのタンパク質有効成分を含有する。さらに他の実施形態において、治療用製剤溶液は、少なくとも300mg/mLのタンパク質有効成分を含有する。一般には、本明細書中に開示される賦形剤化合物は約5〜約300mg/mLの間での量で治療用製剤に加えられる。様々な実施形態において、賦形剤化合物は約10〜約200mg/mLの量で加えることができる。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、約20〜約100mg/mLの量で加えることができる。様々な実施形態において、賦形剤は、約25〜約75mg/mLの量で加えることができる。
様々な分子量の賦形剤化合物が、製剤中のタンパク質有効成分と組み合わせた時の特定の好都合な特性のために、選択される。賦形剤化合物を含む治療用製剤の例を、下記に与える。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、<5000Daの分子量を有する。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、<1000Daの分子量を有する。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、<500Daの分子量を有する。
様々な実施形態において、本明細書中に開示される賦形剤化合物は粘度低減量で治療用製剤に加えられる。様々な実施形態において、粘度低減量は、対照製剤と比較したとき、製剤の粘度を少なくとも10%低減する賦形剤化合物の量である。なお、本開示の目的のために、対照製剤は、乾燥重量基準で、賦形剤化合物を欠くことを除いてあらゆる点で治療用製剤と同一である、タンパク質有効成分を含有する製剤である。様々な実施形態において、粘度低減量は、対照製剤と比較したとき、製剤の粘度を少なくとも30%低減する賦形剤化合物の量である。様々な実施形態において、粘度低減量は、対照製剤と比較したとき、製剤の粘度を少なくとも50%低減する賦形剤化合物の量である。様々な実施形態において、粘度低減量は、対照製剤と比較したとき、製剤の粘度を少なくとも70%低減する賦形剤化合物の量である。様々な実施形態において、粘度低減量は、対照製剤と比較したとき、製剤の粘度を少なくとも90%低減する賦形剤化合物の量である。
様々な実施形態において、粘度低減量は、100cP未満の粘度を有する治療用製剤を生産する。他の実施形態において、治療用製剤は、50cP未満の粘度を有する。他の実施形態において、治療用製剤は、20cP未満の粘度を有する。さらに他の実施形態において、治療用製剤は、10cP未満の粘度を有する。用語「粘度」は、本明細書中で使用される場合、本明細書中に開示される方法によって測定した時の動的粘度値を示す。
本開示による治療用製剤は、ある種の好都合な特性を有する。様々な実施形態において、治療用製剤は、剪断劣化、相分離、混濁、酸化、脱アミド化、凝集、沈殿形成及び変性に対して抵抗性である。様々な実施形態において、治療用製剤は、加工、精製、貯蔵、シリンジによる注入、服用、ろ過及び遠心分離が、対照製剤と比較して、より効果的に行われる。様々な実施形態において、治療用製剤は、高濃度の治療用タンパク質で、患者に投与される。様々な実施形態において、治療用製剤は、治療用賦形剤を欠く同様な製剤により受けるであろうよりも不快ではなく、患者に投与される。様々な実施形態において、治療用製剤は、デポ注入として投与される。様々な実施形態において、治療用製剤は、治療用タンパク質の体内半減期を伸ばす。
本明細書中に開示されるような治療用製剤のこれらの特徴は、臨床的状況で、すなわち、筋肉内注入の患者の承諾が、IM/SC目的では典型的な小口径の針の使用及び許容(例えば、2−3ccの)注入容積の使用を含むであろう状況で、及び、これらの条件が、単一の注入部位での単一の注入の有効量の製剤の投与になる状況で、筋肉内又は皮下注入によってそのような製剤の投与を可能とするであろう。それに対して、従来の製剤技術を使用する同等の投与量の治療用タンパク質の注入は、従来の製剤のより高い粘度によって限定され、それにより、従来の製剤のSC/IM注入が臨床的状況では好適ではないであろう。本明細書中に記載される賦形剤化合物と配合される高濃度溶液の治療用タンパク質は、シリンジ又はプレフィルドシリンジを使用して患者に投与できる。
様々な実施形態において、治療用賦形剤は、治療用タンパク質を酸化的損傷に対して安定化する抗酸化特性を有する。様々な実施形態において、治療用製剤は、治療用タンパク質についての効能の感知できるほどの喪失を伴うことなく、周囲温度で貯蔵され、又は冷蔵庫条件で長期間にわたって貯蔵される。様々な実施形態において、治療用製剤は、必要とされるまでの貯蔵のために完全に乾燥される。その後、治療用製剤は、適切な溶媒(例えば、水)により再構成される。好都合には、本明細書中に記載されるように調製される製剤は、数ヶ月から数年までの長期間にわたって安定であり得る。ことのほか長期間の貯蔵が所望されるときには、製剤は、タンパク質変性の恐れを伴うことなく、冷凍庫での保存(及び、その後での再活性化)を行うことができる。様々な実施形態において、製剤を、冷蔵を必要としない長期貯蔵のために調製することができる。
治療用製剤を調製するための様々な方法が当業者にはよく知られているかもしれない。本発明の治療用製剤は、例えば、賦形剤化合物を、治療用タンパク質が溶液に加えられる前に、又は加えられた後で製剤に加えることによって調製することができる。治療用製剤は、例えば、治療用タンパク質と、賦形剤とを第1の(より低い)濃度で一緒にすることによって製造し、その後、第2の(より高い)濃度の治療用タンパク質を製造するためにろ過又は遠心分離によって処理することができる。治療用製剤は、カオトロープ剤、コスモトロープ剤、ヒドロトロープ剤及び塩とともに1つ又は複数の賦形剤化合物を用いて作製することができる。治療用製剤は、様々な技術(例えば、カプセル封入、分散、リポソーム及び小胞形成など)を使用して、1つ又は複数の賦形剤化合物を用いて製造することができる。本明細書中に開示される賦形剤化合物を含む治療用製剤を調製するための方法では、賦形剤化合物の組合せを含むことができる。様々な実施形態において、賦形剤の組合せが、より低い粘度、改善された安定性、又は低減された注入部痛の利益を生み出すことができる。他の添加剤が治療用製剤にその製造時に導入される場合があり、これらには、防腐剤、従来の界面活性剤、糖、スクロース、トレハロース、多糖、アルギニン、プロリン、ヒアルロニダーゼ、安定剤及び緩衝剤などが含まれる。本明細書中で使用される場合、医薬的に許容される賦形剤化合物は、非毒性、かつ、動物及び/又はヒトへの投与のために好適であるものである。
4.非治療用製剤
1つの態様において、本明細書中に開示される製剤及び方法は、賦形剤化合物及び有効量の非治療用タンパク質を含む、改善された又は低減された粘度の安定な液体製剤を与える。様々な実施形態において、製剤は、許容できる濃度の有効成分及び許容できる粘度を与えながら、安定性を改善する。様々な実施形態において、製剤は、対照製剤と比較したとき安定性の改善を与える。本開示の目的のために、対照製剤は、賦形剤化合物を欠くことを除いて乾燥重量基準であらゆる点で非治療用製剤と同一であるタンパク質有効成分を含有する製剤である。
液体タンパク質製剤の粘度は、下記のものを含むがそれらに限定されない様々な要因によって影響を受け得ることが理解される:タンパク質それ自体の性質(例えば、酵素、構造タンパク質、加水分解の程度など);そのサイズ、三次元構造、化学組成、及び分子量;製剤中のその濃度;タンパク質以外の製剤の成分;所望のpH範囲;及び製剤の貯蔵条件。
様々な実施形態において、非治療用製剤は、少なくとも25mg/mLのタンパク質有効成分を含有する。他の実施形態において、非治療用製剤は、少なくとも100mg/mLのタンパク質有効成分を含有する。他の実施形態において、非治療用製剤は、少なくとも200mg/mLのタンパク質有効成分を含有する。さらに他の実施形態において、非治療用製剤溶液は、少なくとも300mg/mLのタンパク質有効成分を含有する。一般に、本明細書中に開示される賦形剤化合物は、約5〜約300mg/mLの間の量で、非治療用製剤に添加される。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、約10〜約200mg/mLの量で添加される。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、約20〜約100mg/mLの量で添加される。様々な実施形態において、賦形剤は、約25〜約75mg/mLの量で添加される。
様々な分子量の賦形剤化合物が、製剤中のタンパク質有効成分と組み合わせた時の特定の好都合な特性のために、選択される。賦形剤化合物を含む非治療用製剤の例を、下記に与える。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、<5000Daの分子量を有する。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、<1000Daの分子量を有する。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、<500Daの分子量を有する。
様々な実施形態において、本明細書中に開示される賦形剤化合物は粘度低減量で非治療用製剤に加えられる。様々な実施形態において、粘度低減量は、対照製剤と比較したとき、製剤の粘度を少なくとも10%低減する賦形剤化合物の量である。なお、本開示の目的のために、対照製剤は、乾燥重量基準で、賦形剤化合物を欠くことを除いてあらゆる点で治療用製剤と同一である、タンパク質有効成分を含有する製剤である。様々な実施形態において、粘度低減量は、対照製剤と比較したとき、製剤の粘度を少なくとも30%低減する賦形剤化合物の量である。様々な実施形態において、粘度低減量は、対照製剤と比較したとき、製剤の粘度を少なくとも50%低減する賦形剤化合物の量である。様々な実施形態において、粘度低減量は、対照製剤と比較したとき、製剤の粘度を少なくとも70%低減する賦形剤化合物の量である。様々な実施形態において、粘度低減量は、対照製剤と比較したとき、製剤の粘度を少なくとも90%低減する賦形剤化合物の量である。
様々な実施形態において、粘度低減量は、100cP未満の粘度を有する非治療用製剤を生産する。他の実施形態において、非治療用製剤は、50cP未満の粘度を有する。他の実施形態において、非治療用製剤は、20cP未満の粘度を有する。さらに他の実施形態において、非治療用製剤は、10cP未満の粘度を有する。用語「粘度」は、本明細書中で使用される場合、動的粘度値を示す。
本開示による非治療用製剤は、ある種の好都合な特性を有する。様々な実施形態において、非治療用製剤は、剪断劣化、相分離、混濁、酸化、脱アミド化、凝集、沈殿形成及び変性に対して抵抗性である。様々な実施形態において、治療用製剤は、加工、精製、貯蔵、ポンプ移送、ろ過及び遠心分離が、対照製剤と比較して、より効果的に行われる。
様々な実施形態において、非治療用賦形剤は、非治療用タンパク質を酸化的損傷に対して安定化する抗酸化特性を有する。様々な実施形態において、非治療用製剤は、非治療用タンパク質についての効能の感知できるほどの喪失を伴うことなく、周囲温度で貯蔵され、又は冷蔵庫条件で長期間にわたって貯蔵される。様々な実施形態において、非治療用製剤は、必要とされるまでの貯蔵のために完全に乾燥される。その後、非治療用製剤は、適切な溶媒(例えば、水)により再構成される。好都合には、本明細書中に記載されるように調製される製剤は、数ヶ月から数年までの長期間にわたって安定である。ことのほか長期間の貯蔵が所望されるときには、製剤は、タンパク質変性の恐れを伴うことなく、冷凍庫での保存(及び、その後での再活性化)を行うことができる。様々な実施形態において、製剤を、冷蔵を必要としない長期貯蔵のために調製することができる。
本明細書中に開示される賦形剤化合物を含む非治療用製剤を調製するための様々な方法が当業者にはよく知られているかもしれない。例えば、非治療用タンパク質が溶液に加えられる前に、又は加えられた後で、賦形剤化合物を、製剤に加えることができる。非治療用製剤は、第1の(より低い)濃度で製造することができ、その後、第2の(より高い)濃度を製造するためにろ過又は遠心分離によって処理することができる。非治療用製剤は、カオトロープ剤、コスモトロープ剤、ヒドロトロープ剤及び塩とともに1つ又は複数の賦形剤化合物を用いて作製することができる。非治療用製剤は、様々な技術(例えば、カプセル封入、分散、リポソーム及び小胞形成など)を使用して、1つ又は複数の賦形剤化合物を用いて製造することができる。他の添加剤が非治療用製剤にその製造時に導入される場合があり、これらには、防腐剤、界面活性剤、安定剤などが含まれる。
5.賦形剤化合物
さまざまな賦形剤化合物が本明細書中に記載され、その各々は、1つ又は複数の治療用タンパク質又は非治療用タンパク質との使用のために好適であり、その各々は、タンパク質を高濃度で含有するように製剤を構成することを可能とする。いくつかのカテゴリーの賦形剤化合物を、下記に記載する:(1)ヒンダードアミン;(2)アニオン性芳香族;(3)機能化アミノ酸;(4)オリゴペプチド;(5)短鎖有機酸;(6)低分子量脂肪族ポリ酸;及び(7)ジオン及びスルホン。理論に拘束されることなしに、本明細書中に記載される賦形剤化合物は、治療用タンパク質のある特定のフラグメント、シーケンス、構造、又はセクションと結合すると考えられ、それらは、他の場合には、粒子間(すなわち、タンパク質−タンパク質)相互作用内に伴われるであろう。これらの賦形剤化合物と治療用又は非治療用タンパク質との結合は、タンパク質間相互作用をマスクすることができ、その結果、タンパク質は、過度の溶液粘度を引き起こさない高濃度に配合できる。賦形剤化合物は、有利には水溶性であることができ、したがって水性媒体との使用に好適である。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、>10mg/mLの水溶性を有する。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、>100mg/mLの水溶性を有する。様々な実施形態において、賦形剤化合物は、>500mg/mLの水溶性を有する。治療用タンパク質によって有利には、賦形剤化合物は、生物学的に許容できて非免疫原性でありこうして医薬品使用に好適な材料に由来することができる。治療用実施形態では、賦形剤化合物は、体内で代謝されることができ、生物学的に適合して非免疫原性副産物を生産する。
a.賦形剤化合物カテゴリー1:ヒンダードアミン
高濃度溶液の治療用タンパク質又は非治療用タンパク質は、賦形剤化合物としてヒンダードアミン小分子と配合できる。本明細書中で使用される場合、用語「ヒンダードアミン」は、下記の例と一致する少なくとも1つのバルキー又は立体障害基を含有する小分子を示す。ヒンダードアミンは、遊離塩基の形態で、プロトン付加形態で、又はその2つの組合せで、使用できる。プロトン付加形態では、ヒンダードアミンは、アニオン性対イオン、例えば、塩化物、水酸化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、アセテート、ホルメート、ホスフェート、サルフェート、又はカルボキシレートと結合することができる。賦形剤化合物として有用なヒンダードアミン化合物は、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム、ピリジニウム、ピロリドン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、又はグアニジニウム基を含有することができ、その結果、賦形剤化合物は、中性pHで水溶液中でカチオン電荷を有する。ヒンダードアミン化合物は、少なくとも1つのバルキー又は立体障害基、例えば、環状芳香族、脂環式、シクロヘキシル、又はアルキル基をも含有する。様々な実施形態において、立体障害基は、それ自体、アミン基、例えば、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、グアニジニウム、ピリジニウム、又は第4級アンモニウム基であることができる。理論に拘束されることなしに、ヒンダードアミン化合物は、カチオンpi相互作用によって、フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンなどのタンパク質の芳香族部位と結合すると考えられる。様々な実施形態において、ヒンダードアミンのカチオン性基は、タンパク質中の芳香族アミノ酸残基の電子リッチpi構造とのアフィニティーを有することができ、それにより、それらは、タンパク質のこれらの部位をシールドでき、それによって、そのようにシールドされたタンパク質が結合及び凝集する傾向を減少させる。
様々な実施形態において、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、下記のものを含む化学構造を有する:イミダゾール、イミダゾリン、又はイミダゾリジン基、又はそれらの塩、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、ヒスタミン、4−メチルヒスタミン、アルファ−メチルヒスタミン、ベタヒスチン、ベータ−アラニン、2−メチル−2−イミダゾリン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、尿酸、尿酸カリウム、ベタゾール、カルノシン、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムカリウム、キサンチン、テオフィリン、テオブロミン、カフェイン、及びアンセリン。様々な実施形態において、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、下記から成る群から選択される:ジメチルエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ヘキサメチレンビグアニド、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、イミダゾール、ジメチルグリシン、アグマチン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、エタノールアミンホスフェート、グルコサミン、塩化コリン、ホスホコリン、ナイアシンアミド、イソニコチンアミド、N,N−ジエチルニコチンアミド、ニコチン酸ナトリウム塩、チラミン、3−アミノピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3−ピリジンメタノール、ニコチンアミドアデノシンジヌクレオチド、ビオチン、モルホリン、N−メチルピロリドン、2−ピロリジノン、プロカイン、リドカイン、ジシアンジアミド−タウリン付加物、2−ピリジルエチルアミン、ジシアンジアミド−ベンジルアミン付加物、ジシアンジアミド−アルキルアミン付加物、ジシアンジアミド−シクロアルキルアミン付加物、及びジシアンジアミド−アミノメタンホスホン酸付加物。様々な実施形態において、本開示と一致するヒンダードアミン化合物は、プロトン付加アンモニウム塩として配合される。様々な実施形態において、本開示と一致するヒンダードアミン化合物は、対イオンとして無機アニオン又は有機アニオンとの塩として配合される。様々な実施形態において、高濃度溶液の治療用タンパク質又は非治療用タンパク質は、賦形剤化合物として安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、又はベンゼンスルホン酸とカフェインとの組合せで配合される。様々な実施形態において、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、体内で代謝されて、生物学的に適合する副産物を生産する。いくつかの実施形態において、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、約250mg/ml以下の濃度で製剤中に存在する。追加の実施形態では、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、約10mg/ml〜約200mg/mlの濃度で製剤中に存在する。更に追加の態様では、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、約20〜約120mg/mlの濃度で製剤中に存在する。
様々な実施形態において、ある特定のヒンダードアミン賦形剤化合物は、他の薬理特性を持つことができる。例として、キサンチンは、全身に吸収される時に刺激特性及び気管支拡張特性を含む独立の薬理特性を有するヒンダードアミンのカテゴリーである。代表的なキサンチンは、カフェイン、アミノフィリン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、パラキサンチン、ペントキシフィリン、テオブロミン、テオフィリンなどを含む。メチル化キサンチンは、心収縮力、心拍数、及び気管支拡張症に影響を与えると理解される。いくつかの実施形態において、キサンチン賦形剤化合物は、約30mg/ml以下の濃度で製剤中に存在する。
独立の薬理特性を有する他のカテゴリーのヒンダードアミンは、局部注入可能な麻酔化合物である。局部注入可能な麻酔化合物は、(a)親油性芳香族環、(b)中間エステル又はアミド結合、及び(c)第2級又は第3級アミンの三成分分子構造を有するヒンダードアミンである。このカテゴリーのヒンダードアミンは、ナトリウムイオンの流入を抑制して、それによって局部麻酔を引き起こすことによって、神経伝導を妨害すると理解される。局部麻酔化合物の親油性芳香族環は、炭素原子(例えば、ベンゼン環)から形成できるか、又は、それは、ヘテロ原子(例えば、チオフェン環)を含むことができる。代表的な局部注入可能な麻酔化合物は、下記のものを含むが、それらに限定されない:アミロカイン、アルチカイン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタニリカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン、エチドカイン、ヘキシルカイン、イソブカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メタブテタミン、メタブトキシカイン、メピバカイン、メプリルカイン、プロポキシカイン、プリロカイン、プロカイン、ピペロカイン、テトラカイン、トリメカイン、など。局部注入可能な麻酔化合物は、注入した時に低減した粘度、改善された安定性、及び低減した痛みなどのタンパク質治療用製剤中での複合的な利益を有することができる。いくつかの実施形態において、局部麻酔化合物は、約50mg/ml以下の濃度で、製剤中に存在する。
様々な実施形態において、独立の薬理特性を有するヒンダードアミンが、本明細書中に記載される製剤及び方法による賦形剤化合物として、使用される。いくつかの実施形態において、独立の薬理特性を持つ賦形剤化合物は、治療に有効でない及び/又は薬理効果を有しない量で存在する。他の実施形態において、独立の薬理特性を持つ賦形剤化合物は、治療に有効な及び/又は薬理効果を有する量で存在する。ある特定の実施形態において、独立の薬理特性を有するヒンダードアミンは、製剤粘度を減少するように選択された他の賦形剤化合物と組合せて使用され、そこでは、独立の薬理特性を有するヒンダードアミンは、その薬理活性の利益を与えるために、使用される。例えば、局部注入可能な麻酔化合物は、製剤を注入した時に痛みを低減させるために及びまた製剤粘度を低下させるために、使用できる。注入痛みの低減は、麻酔特性に起因し得るのであり;また、賦形剤によって粘度が低減する時は、より低い注入力を要求できる。あるいは、局部注入可能な麻酔化合物は、製剤の粘度を低減する他の賦形剤化合物と組み合わせながら、製剤注入の間に局部興奮の減少という望ましい薬理利益を与えるために、使用できる。
b.賦形剤化合物カテゴリー2:アニオン性芳香族
高濃度溶液の治療用タンパク質又は非治療用タンパク質は、賦形剤化合物としてアニオン性芳香族小分子化合物と配合できる。アニオン性芳香族賦形剤化合物は、例えば下記の芳香族官能基を含有することができる:フェニル、ベンジル、アリール、アルキルベンジル、ヒドロキシベンジル、フェノール、ヒドロキシアリール、複素環式芳香族基、又は縮合芳香族基。アニオン性芳香族賦形剤化合物は、例えば下記のアニオン性官能基をも含有することができる:カルボキシレート、オキサイド、フェノキサイド、スルホネート、サルフェート、ホスホネート、ホスフェート、又はスルフィド。アニオン性芳香族賦形剤が、酸、ナトリウム塩、又は他のものとして記載できるのに対して、賦形剤は様々な塩の形態で使用できることが理解される。理論に拘束されることなしに、アニオン性芳香族賦形剤化合物は、バルキーな立体障害分子であると考えられ、それは、タンパク質のカチオン性セグメントと結合することができ、それにより、それらは、タンパク質のこれらのセクションをシールドすることができ、それによって、タンパク質含有製剤を粘性にするタンパク質分子間の相互作用を減少させる。
様々な実施形態において、アニオン性芳香族賦形剤化合物の例は、例えば、下記の化合物を含む:サリチル酸、アミノサリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、パラ−アミノ安息香酸、ベンゼンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタリンジスルホン酸、ヒドロキノンスルホン酸、スルファニル酸、バニリン酸、バニリン、バニリン−タウリン付加物、アミノフェノール、アントラニル酸、ケイ皮酸、クマル酸、アデノシン一リン酸、インドール酢酸、尿酸カリウム、フランジカルボン酸、フラン−2−アクリル酸、2−フランプロピオン酸、フェニルピルビン酸ナトリウム、ヒドロキシフェニルピルビン酸ナトリウム、ジヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、ピロガロール、安息香酸、及び前記の酸の塩。様々な実施形態において、アニオン性芳香族賦形剤化合物は、イオン化された塩の形態で配合される。様々な実施形態において、アニオン性芳香族化合物は、ジメチルシクロヘキシルアンモニウムヒドロキシベンゾエートなどのヒンダードアミンの塩として、配合される。様々な実施形態において、アニオン性芳香族賦形剤化合物は、有機カチオンなどの様々な対イオンと配合される。様々な実施形態において、高濃度溶液の治療用タンパク質又は非治療用タンパク質は、アニオン性芳香族賦形剤化合物及びカフェインと配合される。様々な実施形態において、アニオン性芳香族賦形剤化合物は、体内で代謝されて、生物学的に適合する副産物を生産する。
c.賦形剤化合物カテゴリー3:機能化アミノ酸
高濃度溶液の治療用タンパク質又は非治療用タンパク質は、1つ又は複数の機能化アミノ酸と配合でき、そこでは、1つ又は複数の機能化アミノ酸を含むオリゴペプチド又は単一の機能化アミノ酸は、賦形剤化合物として使用できる。様々な実施形態において、機能化アミノ酸化合物は、加水分解又は代謝してアミノ酸を生産可能な分子(「アミノ酸前駆体」)を含む。様々な実施形態において、機能化アミノ酸は、例えば下記の芳香族官能基を含有することができる:フェニル、ベンジル、アリール、アルキルベンジル、ヒドロキシベンジル、ヒドロキシアリール、複素環式芳香族基、又は縮合芳香族基。様々な実施形態において、機能化アミノ酸化合物は、例えば下記のエステル化アミノ酸を含有することができる:メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、シクロアルキル、グリセリル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、PEG、及びPPGエステル。様々な実施形態において、機能化アミノ酸化合物は、下記のものから成る群から選択される:アルギニンエチルエステル、アルギニンメチルエステル、アルギニンヒドロキシエチルエステル、及びアルギニンヒドロキシプロピルエステル。様々な実施形態において、機能化アミノ酸化合物は、水溶液中で中性pHの荷電イオン化合物である。例えば、単一のアミノ酸は、アセテート又はベンゾエートのようなエステルを形成することによって誘導体化されることができ、加水分解生成物は、酢酸又は安息香酸(両方共に天然の材料)プラス、アミノ酸であろう。様々な実施形態において、機能化アミノ酸賦形剤化合物は、体内で代謝されて、生物学的に適合する副産物を生産する。
d.賦形剤化合物カテゴリー4:オリゴペプチド
高濃度溶液の治療用タンパク質又は非治療用タンパク質は、賦形剤化合物としてオリゴペプチドと配合できる。様々な実施形態において、オリゴペプチドは、構造が荷電セクション及びバルキーセクションを有するように、設計される。様々な実施形態において、オリゴペプチドは、2〜10の間のペプチドサブユニットから成る。オリゴペプチドは、二官能性であることができ、例えば、非極性なものと結合したカチオン性アミノ酸、又は、非極性なものと結合したアニオン性のものである。様々な実施形態において、オリゴペプチドは、2〜5の間のペプチドサブユニットから成る。様々な実施形態において、オリゴペプチドは、ホモペプチド、例えば、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリ−リジン、ポリ−アルギニン、及びポリ−ヒスチジンである。様々な実施形態において、オリゴペプチドは、実効カチオン電荷を有する。他の実施形態において、オリゴペプチドは、Trp2Lys3などのヘテロペプチドである。様々な実施形態において、オリゴペプチドは、ABA反復パターンなどの交互構造を有することができる。様々な実施形態において、オリゴペプチドは、Arg−Gluなどのアニオン性アミノ酸及びカチオン性アミノ酸の両方を含有することができる。理論に拘束されることなしに、高粘度溶液を生じる分子間相互作用を低減するようなやり方でタンパク質と結合できる構造を、オリゴペプチドは含む;例えば、オリゴペプチド−タンパク質結合は、電荷間相互作用であることができ、それは、タンパク質のまわりの水和層の水素結合を乱すようにいくらかの非極性アミノ酸を残し、こうして粘度が低減する。いくつかの実施形態において、オリゴペプチド賦形剤は、約50mg/ml以下の濃度で、組成物中に存在する。
e.賦形剤化合物カテゴリー5:短鎖有機酸
本明細書中で使用される場合、用語「短鎖有機酸」は、C2−C6有機酸化合物及びそれらの塩、エステル、又はラクトンを示す。このカテゴリーは、飽和及び不飽和カルボン酸、ヒドロキシ機能化カルボン酸、及び線状、分枝、又は環状カルボン酸を含む。様々な実施形態において、短鎖有機酸中の酸基は、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、又はそれらの塩である。
上記4つの賦形剤カテゴリーに加えて、高濃度溶液の治療用タンパク質又は非治療用タンパク質は、賦形剤化合物としてソルビン酸、吉草酸、プロピオン酸、カプロン酸、及びアスコルビン酸の酸又は塩の形態などの短鎖有機酸と配合できる。このカテゴリーの賦形剤化合物の例は、ソルビン酸カリウム、タウリン、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム、及びアスコルビン酸ナトリウムを含む。
f.賦形剤化合物カテゴリー6:低分子量脂肪族ポリ酸
高濃度溶液の治療用又は非治療用PEG化タンパク質は、より低い溶液粘度を可能にするある特定の賦形剤化合物と配合でき、そこでは、そのような賦形剤化合物は、低分子量脂肪族ポリ酸である。本明細書中で使用される場合、用語「低分子量脂肪族ポリ酸」は、少なくとも2つの酸性基を有し及び<約1500の分子量を有する有機脂肪族ポリ酸を示し、そこでは、酸性基は、プロトン供与性部位であると理解される。酸性基の限定されない例は、カルボキシレート、ホスホネート、ホスフェート、スルホネート、サルフェート、硝酸塩、及び亜硝酸基を含む。低分子量脂肪族ポリ酸上の酸性基は、カルボキシレート、ホスホネート、ホスフェート、スルホネート、サルフェート、硝酸塩、及び亜硝酸塩などのアニオン性塩の形態であることができ;それらの対イオンは、ナトリウム、カリウム、リチウム、及びアンモニウムであることができる。本明細書中に記載されるようなPEG化タンパク質との相互作用に有用な低分子量脂肪族ポリ酸の特定の例は、マレイン酸、酒石酸、グルタル酸、マロン酸、クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸 (EDTA)、アスパラギン酸、グルタミン酸、アレンドロン酸、エチドロン酸及びそれらの塩を含む。アニオン性塩の形態の低分子量脂肪族ポリ酸の更なる例は、ホスフェート(PO 3−)、リン酸水素塩(HPO 3−)、二水素リン酸塩(HPO )、サルフェート(SO 2−)、重硫酸塩(HSO )、ピロリン酸塩(P 4−)、炭酸塩(CO 2−)、及び重炭酸塩(HCO )を含む。アニオン性塩の対イオンは、Na、Li、K、又はアンモニウムイオンであることができる。これらの賦形剤は、賦形剤と組合せて使用することもできる。本明細書中で使用される場合、低分子量脂肪族ポリ酸は、アルファヒドロキシ酸であることもでき、ここでは、グリコール酸、乳酸、及びグルコン酸及びそれらの塩などの第1の酸性基に隣接するヒドロキシル基が存在する。様々な実施形態において、低分子量脂肪族ポリ酸は、ポリアクリル酸、ポリホスフェート、ポリペプチド及びそれらの塩などの2つよりも多い酸性基を生じるオリゴマーの形態である。いくつかの実施形態において、低分子量脂肪族ポリ酸賦形剤は、約50mg/ml以下の濃度で、組成物中に存在する。
g.賦形剤化合物カテゴリー7:ジオン及びスルホン
効果的な粘度低減賦形剤は、pH7での正味中性電荷を有してそして298Kで純水中で少なくとも1g/Lの可溶性であるスルホン、スルホンアミド、又はジオン官能基を含有する分子であることができる。好ましくは、当該分子は、1000g/mol未満、より好ましくは500g/mol未満の分子量を有する。粘度低減に効果的なジオン及びスルホンは、複数の二重結合を有し、水溶性であり、pH7での正味電荷を有せず、強い水素結合ドナーではない。理論には拘束されないが、二重結合の特徴は、タンパク質との弱いpi−スタッキング相互作用を可能とする。様々な実施形態において、高濃度で高粘度を展開するだけであるタンパク質において及び高いタンパク質濃度で、荷電賦形剤は効果的ではない。なぜなら、静電相互作用は、より長い範囲の相互作用だからである。溶媒和タンパク質表面は、主に親水性であり、それらを水溶性にする。タンパク質の疎水性領域は、3次元構造の範囲内に一般にシールドされるが、構造は、絶えず、展開し、広がり、及び再び折り重なっており(ときどき「ブリージング」と呼ばれる)、そして、隣接タンパク質の疎水性領域は、お互いに接触でき、疎水性相互作用による凝集を引き起こす。ジオン及びスルホン賦形剤のpi−スタッキング特徴は、そのような「ブリージング」の間に暴露され得る疎水性パッチをマスクできる。賦形剤の他の重要な役割は、溶液粘度を効果的に低減するであろう、極めて接近したタンパク質間の水素結合及び疎水性相互作用を乱すことであることができる。この記述に適合するジオン及びスルホン化合物は、下記のものを含む:ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、エチルメチルスルホニルアセテート、エチルイソプロピルスルホン、ビス(メチルスルホニル)メタン、メタンスルホンアミド、メチオニンスルホン、1,2−シクロペンタンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、1,4−シクロペンタンジオン、及びブタン−2,3−ジオン。
6.タンパク質/賦形剤溶液:特性及びプロセス
ある特定の実施形態において、ヒンダードアミン、アニオン性芳香族、機能化アミノ酸、オリゴペプチド、又は短鎖有機酸、低分子量脂肪族ポリ酸、及びジオン及びスルホンなどの、上述の賦形剤化合物又はそれらの組合せ(以下、「賦形剤添加剤」)と配合した治療用タンパク質又は非治療用タンパク質の溶液は、第2ビリアル係数B22又はタンパク質拡散相互作用パラメーターkDで測定して、改善されたタンパク質−タンパク質相互作用の特徴になる。本明細書中で使用される場合、上記賦形剤化合物又はそれらの組合せを使用する試験製剤によって達成される1つ又は複数のタンパク質−タンパク質相互作用パラメーターの「改善」は、賦形剤化合物又は賦形剤添加剤を含有しない同等の製剤と同等の条件下で試験製剤を比較した時に、タンパク質−タンパク質引力相互作用の減少を示すことができる。そのような改善は、全体のプロセス又はそれらの態様に適用するある特定のパラメーターを測定することによって確認でき、そこでは、パラメーターは、プロセスに関してメートル法であり、しかも、変更が、定量化でき、先の状態又は対象と比較できる。パラメーターは、プロセスそれ自体、例えば、その効率、コスト、収率、又は速度に関することができる。
パラメーターは、より大きいプロセスの態様又は特徴に関するプロキシパラメーターであることもできる。例として、kD又はB22パラメーターなどのパラメーターは、プロキシパラメーターと称されることができる。kD及びB22の測定は、業界で標準的な技術を使用してなされることができ、そして、溶液中のタンパク質の改善された溶液特性又は安定性などのプロセス関連パラメーターのインジケーターであることができる。理論には拘束されないが、高度にネガティブなkD値は、タンパク質が強い引力相互作用を有するということを示すことができると、理解され、そして、これは、凝集、不安定性、及びレオロジーの問題を生じ得る。ある特定の上記賦形剤化合物又はそれらの組合せの存在下に配合した時に、同じタンパク質は、より少なくネガティブなkD値又はゼロの近くか又はそれよりも高いkD値の改善されたプロキシパラメーターを有することができ、この改善されたプロキシパラメーターは、プロセス関連パラメーターの改善に関連する。
様々な実施形態において、ある特定の上記の賦形剤化合物又はそれらの組合せが、例えば、ヒンダードアミン、アニオン性芳香族、機能化アミノ酸、オリゴペプチド、短鎖有機酸、低分子量脂肪族ポリ酸、及び/又はジオン及びスルホンが、様々な加工方法(例えば、ろ過、シリンジ注入、移動、ポンプ移送、混合、熱交換による加熱又は冷却、ガス移動、遠心分離、クロマトグラフィー、膜分離、遠心濃縮、タンジェンシャルフローろ過、ラジアルフローろ過、アキシアルフローろ過、凍結乾燥及びゲル電気泳動など)を使用するタンパク質関連プロセス(例えば、タンパク質含有溶液の製造、加工、無菌充填、精製及び分析など)を改善するために使用される。これらの及び関連するタンパク質関連プロセスにおいて、対象のタンパク質は、加工装置を通してそれを運ぶ溶液中に溶解される。ここでは「キャリヤー溶液」と呼ぶそのような溶液は、(例えば対象の分泌タンパク質を含有する)細胞培養培地、宿主細胞の溶解に続く溶解物溶液(ここでは、対象のタンパク質は、溶解物中に存在する)、(クロマトグラフ分離に続き対象のタンパク質を含有する)溶出液、電気泳動溶液、加工装置中の配管を通して対象のタンパク質を運ぶための輸送溶液など、を含むことができる。対象のタンパク質を含有するキャリヤー溶液は、タンパク質含有溶液又はタンパク質溶液とも称され得る。下記でより詳細に記載するように、1つ又は複数の粘度低減賦形剤は、様々な態様の加工を改善するために、タンパク質含有溶液に添加することができる。本明細書中で使用される場合、用語「改善する」、「改善」などは、パラメーターを、対照溶液中で測定した同じパラメーターと比較した時に、キャリヤー溶液中のパラメーター対象の有利な変化を示す。本明細書中で使用される場合、「対照溶液」は、粘度低減賦形剤を欠くがそれ以外にはキャリヤー溶液と実質的に同様な溶液を意味する。本明細書中で使用される場合、対照ろ過プロセス、対照クロマトグラフプロセスなどの「対照プロセス」は、キャリヤー溶液の代わりに対照溶液で実施されて、対象のタンパク質関連プロセスと実質的に同様なタンパク質関連プロセスである。
例えば、タンパク質含有溶液が配管(例えば、フローチャンバー、導管又はチューブ)を通してポンプ移送されるプロセスでは、ポンプ移送プロセスの間に又はそれよりも前に上記のようにタンパク質溶液に粘度低減賦形剤を加えることは、溶液をポンプ移送するのに要求される動力及び力を実質的に低減することができる。流体は流れ抵抗すなわち粘度を一般に示すこと、及び、流れを引き起こして広めるためにこの粘度を克服する流体に力が適用されなければならないことが、理解される。動力Pは、下記の式で示されるように、容量Q及びヘッドHでポンプ移送スケールで要求される:
粘性流体は、ポンプ移送のための動力要求を増大させる傾向、ポンプ効率を低減する傾向、ポンプヘッド及び容量を減少させる傾向、及び、導管中の摩擦抵抗を増大させる傾向、がある。ポンプ移送の間に又はそれよりも前に上記の粘度低減賦形剤をタンパク質溶液に加えることは、ヘッド(H、式1)又は容量(Q、式1)のいずれか又はその両方を減少させることによって、加工コストを実質的に低減できる。低減した粘度の利益は、例えば、改善された処理量、増大した収率、又は減少した加工時間によって、明白に示すことができる。その上、配管を通しての流体の移送からの摩擦ロスは、そのような流体を運ぶことに関連する顕著な割合のコストの原因となり得る。ポンプ移送の間に又はそれよりも前に上記の粘度低減賦形剤をタンパク質溶液に加えることは、ポンプ移送プロセスに伴って起こる摩擦を減少することによって加工コストを実質的に低減できる。加工コストの測定は、粘度低減賦形剤を使用することによって改善できる加工パラメーターを表わす。
タンパク質溶液のためのこれらのプロセス及び加工方法は、製造工程、処理工程、精製工程及び分析工程の期間中における溶液中のタンパク質の、より低い粘度、改善された溶解性、又は改善された安定性に起因する改善された効率を有し得る。溶液中のタンパク質の粘度、溶解性又は安定性などのプロキシパラメーターの測定又は加工効率の測定は、粘度低減賦形剤を使用することによって改善できる加工パラメーターを表わす。さまざまな異なる要因が、加工の間にタンパク質粘度、溶解性、及び安定性に有害な影響を与えることが理解される。例えば、タンパク質含有溶液は、ポンプ移送、混合、遠心分離、及びろ過を含むがそれらに限定されない典型的な加工操作を通してタンパク質溶液を扱うことによって引き起こされる顕著な剪断ストレスを含む製造及び精製の間の様々な物理的ストレス要因に、付される。加えて、これらの加工(処理)工程の間に、タンパク質が吸着し得る流体の範囲内に、気泡が混入することになり得る。加工の間に直面する典型的な剪断ストレスと結合したそのような界面張力は、吸着タンパク質分子が広がって凝集する原因になり得る。更に、顕著なタンパク質の広がりは、限外ろ過及び透析ろ過膜などの、製造の間に固体表面への暴露の間に及びポンプ移送キャビテーション事象の間に、起こり得る。そのような事象は、タンパク質折りたたみ及び製品品質を弱め得る。
ニュートン流体では、下記の式で示されるように、流体の粘度η及び剪断速度γでの所定のプロセススケールによって、ストレスτが課される:
1つ又は複数の上記の賦形剤化合物又はそれらの組合せとタンパク質溶液を配合することによって、溶液粘度が減少し、こうして、タンパク質溶液によって直面する剪断ストレスが減少する。減少した剪断ストレスは、例えば加工パラメーターの一層良い又はより望ましい測定によって、明白に示されるように、加工されている製剤の安定性を改善できる。そのような改善された加工パラメーターは、低減されたレベルのタンパク質凝集物、粒子、又は肉眼では見えない粒子(濁度として巨視的に明白に示される)、低減された製造物ロス、又は改善された全体の収率などの測定基準を含むことができる。改善された加工パラメーターの他の例として、タンパク質含有溶液の低減粘度は、溶液の加工時間を減少できる。所定の単位操作の加工時間は、一般に、剪断速度に反比例する。したがって、所定の特徴ストレスでは、上記の賦形剤化合物又はそれらの組合せの添加によるタンパク質溶液粘度の減少は、剪断速度(γ、式2を参照)の増大に関連し、したがって加工時間の減少に関連する。
加工の間、溶液中のタンパク質は、所望のタンパク質有効成分、例えば治療用又は非治療用タンパク質であることができると理解される。本明細書中に記載される賦形剤を使用するそのようなタンパク質有効成分の加工を容易にすることは、タンパク質有効成分の製造の速度又は収率を増大でき、又は、特定のプロセスの効率を改善でき、又は、エネルギー使用などを減少でき、それらの結果はいずれも、粘度低減賦形剤の使用によって改善された加工パラメーターを表わす。バイオプロセシングの発酵及び精製工程の間などの、ある特定の加工技術の間に、タンパク質汚染物質が形成し得ることも、理解される。汚染物質をより速く、より十分に、又はより能率的に除去することは、所望のタンパク質、すなわち、タンパク質有効成分の加工をも改善でき;これらの結果は、粘度低減賦形剤化合物又は添加剤の使用によって改善された加工パラメーターを表わす。本明細書中に記載されるように、溶液粘度を低減して、タンパク質安定性を改善して、及び/又は、タンパク質溶解性を増大させることによって、本明細書中に記載されるようなある特定の賦形剤は、所望のタンパク質有効成分の輸送を改善でき、そして、望ましくないタンパク質汚染物質の除去を改善でき;粘度低減賦形剤又は添加剤の使用によって改善された加工パラメーターを表わすその両方の効果は、タンパク質製造の全体のプロセスをこれらの賦形剤又は添加剤が改善することを、示す。
治療用タンパク質製造及び精製のための特定のプラットフォーム単位操作は、本明細書中に開示されるような粘度低減賦形剤の有利な使用の更なる例、及び、これらの賦形剤の又は添加剤の改善加工パラメーターの更なる例を提供する。例えば、下記のように、これらの製造及び精製プロセスの中に、上記の1つ又は複数の粘度低減賦形剤を導入することは、分子安定性及び回収率の実質的な改善及び操作コストの減少を与えることができる。
モノクローナル抗体のような治療用タンパク質を製造及び精製するための広範囲に実施される技術は、発酵プロセスとその後の精製加工用の一連の工程から一般に成る、ということが、この技術分野では理解される。発酵又は上流の加工(USP)は、細菌性又は哺乳動物の細胞系統を典型的に使用する、バイオリアクター中で治療用タンパク質が成長するそれらの工程を、含む。様々な実施形態において、USPは、図1に示されるものなどの工程を含むことができる。様々な実施形態において、精製又は下流の加工(DSP)は、図2に示されるものなどの工程を含むことができる。
図1に示されるように、USPは、マスター細胞バンク(MCB)からのバイアルの解凍の工程102で、開始できる。MCBは、工程104に示されるように、拡大でき、ワーキング細胞バンク(示されていない)を形成する、及び/又は、更なる製造用のワーキングストックを製造する。細胞培養が、工程108及び110に示されるように、一連のシード及び製造バイオリアクター中で起こり、工程114に示されるように所望の治療用タンパク質が収穫できるそれらのバイオリアクター製造物112を生産する。収穫114に続き、製造物は、更なる精製(すなわち、下記でより詳述されているような及び図2に描かれているような、DSP)に付することができ、又は、これらの製造物は、典型的には約−80℃の温度での凍結及び貯蔵によって、まとめて貯蔵できる。
様々な実施形態において、細胞培養技術によって製造されるタンパク質は、プロセス−関連パラメーターの改善によって明白に示されるように、上記賦形剤の使用によって改善できる。様々な実施形態において、所望の賦形剤は、細胞培養培地の粘度を少なくとも20%低減するような効果的な量でUSPの間に、添加することができる。他の実施形態において、所望の賦形剤は、細胞培養培地の粘度を少なくとも30%低減するような効果的な量でUSPの間に、添加することができる。様々な実施形態において、所望の賦形剤は、約1mM〜約400mMの量で、細胞培養培地に添加することができる。様々な実施形態において、所望の賦形剤は、約20mM〜約200mMの量で、細胞培養培地に添加することができる。様々な実施形態において、所望の賦形剤は、約25mM〜約100mMの量で、細胞培養培地に添加することができる。所望の賦形剤又は賦形剤の組合せは、細胞培養培地に直接添加することができ、又は、それは、例えば別々に配合されて細胞培養培地に添加される栄養分含有溶液又は「フィード溶液」である、より複合的な補足媒体の成分として、添加することができる。様々な実施形態において、第2の粘度低減化合物は、補足媒体を介して又は直接に、キャリヤー溶液に添加することができ、そこでは、第2の粘度低減化合物は、特定の対象のパラメーターに対する追加の改善を与える。
下記のように、1つ又は複数の粘度低減賦形剤の使用によって改善できるUSPの間の多くのプロセス−関連パラメーターが存在する。例えば、様々な実施形態において、粘度低減賦形剤の使用は、接種拡大104、及び細胞培養108及び110などの工程の間に細胞成長の速度及び/又は程度などのパラメーターを改善でき、及び/又は、様々なプロセスパラメーターの改善と関連があるプロキシパラメーターを改善できる。例えば、製造バイオリアクター工程110などの工程でUSPプロセスに上記賦形剤を加えることは、細胞培養培地の粘度を減少することができ、それは、熱交換効率及びガス移動効率をその後に改善できる。細胞培養プロセスが、タンパク質発現を可能にするために細胞への酸素注入を要求するので、及び、したがって、細胞中への酸素の拡散が、速度制限工程になり得るので、溶液粘度の減少を通してガス移動効率を改善することによって酸素摂取の速度を改善することは、タンパク質発現の速度又は量及び/又はその効率を改善できる。このような状況において、酸素摂取の速度及びガス移動効率の速度などのパラメーターは、プロキシパラメーターとみなすことができ、その改善は、改善されたタンパク質発現又は改善された加工効率のプロセスパラメーターの改善と関連がある。他の例として、粘度低減賦形剤の有効性は、タンパク質発現に要求されるタンパク質成長因子の溶解性などのプロキシパラメーターを改善することによって、例えば、接種拡大工程104の間の及び細胞培養工程108及び110の間の加工を改善でき;改善された成長因子溶解性で、これらの物質は、細胞に対してより有効になることができ、それによって、細胞成長を容易にする。
様々な実施形態において、USPの間のタンパク質回収の速度又はタンパク質回収の量などのプロセスパラメーターは、さまざまなメカニズムによってUSPの間の粘度を低減することによって、改善できる。例えば、完結した細胞培養からの収穫114の間の溶解工程の終わりでの治療用タンパク質の収穫は、より効率的であることができ、又は、上記賦形剤の使用で改善できる。理論には拘束されないが、発現したタンパク質の粘度を低減することによって、これらの粘度低減賦形剤は、他の溶解物成分から離れた治療用タンパク質の拡散の効率を増大できる。加えて、タンパク質含有上澄みからの膜及び他の細胞片の分離は、粘度低減賦形剤の使用で、より高速の分離速度又は上澄み純度のより高い程度で達成でき、それによって、USP効率のプロセスパラメーターを改善する。更に、遠心分離又はろ過工程を使用するタンパク質分離工程は、粘度低減賦形剤の使用で、より高速で達成できる。なぜなら、賦形剤は、媒体の粘度を低減するからである。
様々な実施形態において、追加の利益として、細胞培養中の上記の粘度低減賦形剤の使用は、USPの間のタンパク質収率などのプロセスパラメーターを増大できる。なぜなら、タンパク質のミスフォールディング及び凝集が低減されるからである。細胞培養が最適化されて組み換えタンパク質の最大収率を生み出すと、ミスフォールディングになり得る高度に濃縮されたやり方で、得られたタンパク質が発現するということが理解され;粘度低減賦形剤を加えることは、ミスフォールディング及び凝集を生じるタンパク質−タンパク質引力相互作用を低減でき、それによって、収穫114に有効なインタクト組み換えタンパク質の量が増大する。
例示的な実施形態で図2に描かれている下流の加工(DSP)は、例えばモノクローナル抗体、バイオ医薬品、ワクチン、及び他の生物製剤などの治療用タンパク質の回収及び精製になる一連の工程を伴う。USPの終わりに、対象の治療用タンパク質は、宿主細胞から分泌された、細胞培養培地中に、溶解できる。治療用タンパク質は、流体媒体中にも溶解でき、USPシーケンスの終わりに宿主細胞の溶解に続く。DSPは、溶解している溶液(例えば、培地又は宿主細胞溶解物培地)から対象のタンパク質を取り出してそれを精製するために、実施される。DSPの間に、(i)様々な汚染物質(例えば、不溶性細胞片及び微粒子)が培地から除去され、(ii)タンパク質生成物が、抽出、沈殿形成、吸着又は限外ろ過などの技術を通して単離され、(iii)タンパク質生成物が、アフィニティークロマトグラフィー、沈殿形成、又は結晶化などの技術を通して精製され、(iv)当該生成物が更に磨かれて、ウイルスが除去される。
図2に示されるように、(図1にも記載されているような)細胞培養物収穫200からの原料は、まず、タンパク質−Aクロマトグラフィー又は他の類似のクロマトグラフ工程を典型的に伴う、アフィニティークロマトグラフィー204にかける。ウイルス不活化工程208は、原料を低pH保持に付することを、典型的に伴う。1つ又は複数の研磨クロマトグラフィー工程210及び212は、宿主細胞タンパク質(HCP)、DNA、チャージバリアント、及び凝集物などの不純物を除去するために、実施される。例えば、カチオン交換(CEX)クロマトグラフィーが、初期の研磨クロマトグラフィー工程210として、一般に使用されるが、それは、それに先行するか又はそれに続く第2のクロマトグラフィー工程212を伴い得る。第2のクロマトグラフィー工程212は、凝集物などの製造物関連不純物又は宿主細胞−関連不純物(例えば、HCP又はDNA)を更に除去する。アニオン交換(AEX)クロマトグラフィー及び疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)が、第2のクロマトグラフィー工程212として使用できる。ウイルスろ過214が、ウイルス除去を有効にするために、実施される。最終精製工程218は、製剤の限外ろ過及び透析ろ過、及び調製を含むことができる。
一般に上記のように、発酵プロセスに続く精製プロセス又はDSPは、下記のものを含むことができる:(1)細胞培養物収穫、(2)クロマトグラフィー(例えば、イオン交換及び疎水性相互作用クロマトグラフィーを含む、タンパク質−Aクロマトグラフィー及びクロマトグラフ研磨工程)、(3)ウイルス不活化、及び(4)ろ過(例えば、タンパク質を濃縮してタンパク質を製剤緩衝剤に交換するための、ウイルスろ過、無菌ろ過、透析、及び限外ろ過及び透析ろ過工程)。これらの精製プロセスに関連するプロセスパラメーターを改善するために、本明細書中に記載されるような粘度低減賦形剤の使用からの利点を例証する例が、下記に与えられる。粘度低減賦形剤又はそれらの組合せは、それをキャリヤー溶液に加えることによって、又は、可溶性又は安定化形態であろうがなかろうが、対象のタンパク質と賦形剤との接触を設計するいかなる他のやり方で、DSPのいかなる相で、導入できることが理解される。様々な実施形態において、第2の粘度低減化合物は、DSPの間にキャリヤー溶液に添加することができ、ここでは、第2の粘度低減化合物は、対象の特定のパラメーターの追加の改善を提供する。
(1)細胞培養物収穫:
細胞培養物収穫は、遠心分離及びデプスろ過操作を一般に伴い、そこでは、細胞片が、タンパク質含有溶液から物理的に除去される。遠心分離工程は、粘度低減賦形剤の利益で、細胞片からの可溶性タンパク質のより完全な分離を与えることができる。バッチ又は連続的な加工で実施されるであろうがなかろうが、遠心分離での分離は、対象のタンパク質の回収率を最大にするために緻密な相ができるだけ多く強固になることを要求する。様々な実施形態において、上記賦形剤又はそれらの組合せの添加は、例えば、遠心分離による分離プロセスの緻密な相から流出するタンパク質含有遠心分離液の収率を増大させることによって、タンパク質収率のプロセスパラメーターを増大できる。デプスろ過工程は、粘度限定工程であり、こうして、溶液粘度を低減する賦形剤を使用することによってより効率的に実施できる。これらのプロセスは、タンパク質溶液中に気泡を導入することもでき、それは、精製されている治療用タンパク質分子を不安定化するために剪断誘導ストレスと結合できる。上記のように細胞培養物収穫よりも前に及び/又はその間にタンパク質含有溶液に粘度低減賦形剤を加えることは、タンパク質をこれらのストレスから保護することができ、それによって、定量化された製造物回収率のプロセスパラメーターを改善できる。
(2)クロマトグラフィー:
遠心分離又はろ過による細胞培養物収穫の後で、発酵液から治療用タンパク質を分離するために、クロマトグラフィーが典型的に使用される。治療用タンパク質が抗体の時は、タンパク質Aクロマトグラフィーが使用される:タンパク質Aは、IgG抗体に対して選択的であり、高い流速及び容量で動的に結合するであろう。カチオン交換(CEX)クロマトグラフィーは、タンパク質Aクロマトグラフィーのコスト効果的な代替として、使用できる。もしもCEXが使用されるならば、フィードのpHが調整されなければならず、動的結合容量を最適化するためにカラム上へのローディングよりも前にその導電率が減少する。擬態樹脂も、タンパク質Aクロマトグラフィーの代替として使用できる。これらの樹脂は、免疫グロブリンを結合するためのリガンドを与える。例えば、タンパク質G又はタンパク質LのようなIg−結合タンパク質、合成リガンド、又はタンパク質Aと同種の多孔性ポリマー。
DSPの間に、他のクロマトグラフィープロセスを使用できる。例えば、浸出タンパク質A、細胞系統からの内毒素又はウイルス、残っている宿主細胞タンパク質又はDNA、又は培地成分などの、先のプロセスの間に導入された不純物を除去するために、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)を使用できる。CEX又はアニオン交換クロマトグラフィーであろうがなかろうが、タンパク質Aクロマトグラフィーの後に直接、IECを適用できる。疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、補体IECであることができ、凝集物を除去するために研磨工程として一般に使用される。様々な実施形態において、上記賦形剤の使用は、クロマトグラフィーカラムローディング工程の間に、宿主細胞タンパク質の粘度を減少でき、その溶解性を増大できる。様々な実施形態において、上記賦形剤の使用は、クロマトグラフィーカラムローディング工程及び溶出工程の間に、治療用タンパク質の粘度を減少でき、その溶解性を増大できる。
タンパク質精製の間のクロマトグラフプロセスは、タンパク質製剤に厳しい条件を課する:例えば、(a)タンパク質−Aクロマトグラフィーカラムからの溶出の間の低いpH条件、(b)クロマトグラフ樹脂の細孔空間内の上昇した局部タンパク質濃度(しばしば300−400mg/mLの程度)、(c)イオン交換クロマトグラフィーの間の上昇した塩濃度、及び(d)HICカラムからの溶出の間の塩析剤の上昇した濃度。上記のように、クロマトグラフィーよりも前に及び/又はその間に、タンパク質含有溶液に粘度低減賦形剤を加えることは、クロマトグラフィーカラムを通るタンパク質の通過を容易にすることができ、それにより、それらは、クロマトグラフ処理工程によって課される潜在的な損傷条件への暴露がより少なくなる。加えて、カラム細孔空間内の上昇した局部タンパク質濃度は、この空間内の高度に粘性の材料になり得るのであり、それは、カラムに顕著な逆圧を置く。この逆圧を緩和するために、相対的に大きい細孔を持つ培地が、典型的に使用される。しかし、大きい細孔の培地の解像力は、小さい細孔の対応物よりも低い。上記のような粘度改質賦形剤の組込みは、クロマトグラフ培地中のより小さい細孔の使用を可能にする。様々な実施形態において、タンパク質−Aクロマトグラフィーからの溶出工程は、治療用タンパク質を、低いpH条件に暴露し、それは、対象のタンパク質の凝集を増大して溶解性を低減でき;賦形剤の添加は、対象のタンパク質の溶解性を増大でき、その結果、タンパク質−Aクロマトグラフィー工程からの回収収率が改善される。他の実施形態において、賦形剤の使用は、より高いpHでタンパク質−A樹脂から対象のタンパク質の溶出を可能にすることができ、これは、対象のタンパク質上の化学ストレスを低減でき、処理の間にタンパク質分解量を低減することによってタンパク質収率のプロセスパラメーターを改善するという結果になる。
(3)ウイルス不活化
ウイルス不活化プロセスは、例えば4より低いpHなどの低いpHでタンパク質溶液を長期間保持することを、典型的に伴う。しかし、この環境は、治療用タンパク質を不安定にし得る。例えば、ウイルス不活化プロセスよりも前に及び/又はその間に粘度低減賦形剤を加えることによって、粘度低減賦形剤の存在下にタンパク質を配合することは、タンパク質の安定性又は溶解性又はその実効収率などのプロセスパラメーターを改善できる。
(4)ろ過
ろ過プロセスは、ウイルス粒子を除去するためのウイルスろ過プロセス(ナノろ過)、及び、タンパク質溶液を濃縮してそして緩衝液システムを交換するための限外ろ過/透析ろ過プロセスを、含む。
(a)ウイルスろ過は、組み換えヒトモノクローナル抗体のサイズの2倍程度であることができる、ウイルス粒子を除去することによってタンパク質溶液を精製する。こうして、ウイルスろ過用のろ過膜は、ナノサイズの細孔を要求し得る。タンパク質が通過しなければならない小さい細孔サイズの結果として、このろ過工程は、タンパク質にストレスを導入し得るのであり、そして、タンパク質凝集物粒子からの顕著なレベルの膜汚損を伴う。例えば、上記のように、ろ過よりも前に及び/又はその間に粘度低減賦形剤を添加することは、個体群拡散率を増大することによってろ過システム中の逆圧などの測定可能なパラメーターを低減でき、そして、膜汚損をひき起こすタンパク質−タンパク質相互作用を緩めることによって膜汚損の傾向を減少できる。最終結果は、タンパク質精製の間のウイルスろ過単位の改善された性能を示すそれらのパラメーターの改善である。
(b)限外ろ過及び透析ろ過(UF/DF)プロセスは、対象のタンパク質よりも小さい特徴的な分子量カットオフを持つろ過膜を通してタンパク質含有溶液を通過させることによって、タンパク質溶液を濃縮し、緩衝液システムを交換する。この工程では、タンパク質溶液は、ろ過単位内の高い剪断ストレス、上昇したタンパク質濃度、及び、UF/DFプロセスの間に典型的に使用される疎水性膜へのタンパク質の吸着に直面し、これらのすべては、タンパク質凝集を増大し得る。例えば、上記のように、UF/DFプロセスよりも前に及び/又はその間に粘度低減賦形剤を添加することは、(例えばkの増大によって測定される)個体群拡散率の増大によってろ過システム中の逆圧を低減できる。これは、膜を横切る剪断ストレスを低減するだけでなく、ろ過膜からの逆拡散を促進もするのであり、こうして、膜界面での効果的なタンパク質濃度を低減して、透過流量を増大させる。結果として、粘度低減賦形剤の使用は、これらのろ過プロセスの間のより高い処理量に関連するパラメーターを改善でき、製造物ロスが低減して実効収率が増大する。更に、限外ろ過及び透析ろ過を通しての粘性流体の通過は、ろ過装置を横切る大きい圧力降下を生み出しえるのであり、分離を非効率的にする。上記のような粘度低減賦形剤の存在下にタンパク質溶液を配合することは、ろ過装置を横切る圧力降下を実質的に低減でき、それによって、操作コスト及び処理時間のプロセスパラメーターの両方を減少させることによって、それらを改善する。
添加された賦形剤で上流のタンパク質処理又は下流の精製が完結した後に、賦形剤は、薬物物質混合物の一部として残り得るのであり、又は、それは、タンパク質有効成分から分離できる。緩衝剤交換、イオン交換、限外ろ過、及び透析など、タンパク質有効成分から賦形剤を分離するために、典型的な小分子分離法が使用できる。上記で概略を説明したようなタンパク質精製プロセスに対する有益な効果に加えて、上記賦形剤の使用は、タンパク質製造、加工、及び精製で使用される機器を保護して維持することができる。例えば、設備関連のプロセス(例えば、タンパク質処理設備の清掃、滅菌及び保守など)を、低下した汚損、低下した変性、より低い粘度、及びタンパク質の改善された溶解性のために、上記賦形剤の使用によって容易にすることができ、そして、これらのプロセスの改善に関連するパラメーターが、同様に改善される。
上流の及び/又は下流の加工(処理)を改善するための賦形剤化合物の使用が、本明細書中で広範囲に記載されている一方で、対象のパラメーターの改善などの所望の効果を達成するために、賦形剤の組合せを一緒に添加できることが理解される。用語「賦形剤添加剤」とは、所望の効果又は改善されたパラメーターを生じる単一の賦形剤化合物か、又は、組合せが所望の効果又は改善されたパラメーターを生じる賦形剤化合物の組合せのいずれか、を示すことができる。

材料:
・ウシガンマグロブリン(BGG)、>99%純度、カタログ#G5009、Sigma Aldrich
・ヒスチジン、Sigma Aldrich
・下記の例に記載される他の材料は、特別の定めのない限り、Sigma Aldrich製である。
例1:賦形剤化合物及び試験タンパク質を含有する製剤の調製
賦形剤化合物及び試験タンパク質を使用して、製剤が調製された。そこでは、試験タンパク質は、治療用製剤で使用されるであろう治療用タンパク質か、非治療用製剤で使用されるであろう非治療用タンパク質か、のいずれかをシミュレートすることが意図された。そのような製剤は、下記のやり方で、粘度測定用の異なる賦形剤化合物で、50mMヒスチジン塩酸塩中で調製された。蒸留水中に1.94gのヒスチジンを溶解して、1Mの塩酸(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)でpHを約6.0に調整し、その後、メスフラスコ中で蒸留水で最終容積250mLに希釈することによって、ヒスチジン塩酸塩がまず調製された。その後、賦形剤化合物を、50mMヒスチジンHCl中に溶解させた。賦形剤のリストが、下記の例4、5、6、及び7に与えられる。いくつかの場合は、賦形剤化合物は、50mMヒスチジンHCl中に溶解させる前に、pH6に調整された。この場合は、賦形剤化合物は、脱イオン水中に約5wt%でまず溶解させ、そして、塩酸又は水酸化ナトリウムのいずれかでpHが約6.0に調整された。その後、調製された塩溶液は、水を蒸発させて固体賦形剤を単離するために、対流実験室オーブン中に約65℃で置かれた。50mMヒスチジンHCl中の賦形剤溶液が一旦調製されると、試験タンパク質ウシガンマグロブリン(BGG)を、1mLの賦形剤溶液当り約0.336gのBGGの比率で、溶解させた。これは、約280mg/mLの最終タンパク質濃度という結果になった。賦形剤を含む50mMヒスチジンHCl中のBGGの溶液は、20mLバイアル中に配合されて、オービタルシェーカーテーブル上で100rpmで一晩中、振とうに付された。その後、BGG溶液は、2mLの微量遠心管に移し、粘度測定よりも前に混入した空気を除去するために、IEC MicroMax微量遠心分離機中で2300rpmで10分間、遠心分離された。
例2:粘度測定
例1で記載したように調製された製剤の粘度測定は、DV−IIT LVコーン及びプレート粘度計(Brookfield Engineering, Middleboro, MA)で実施された。粘度計は、CP−40コーンを具備し、25℃及び3rpmで操作された。製剤が、容積0.5mLで粘度計の中にロードされて、所定の剪断速度及び温度で3分間及びその後の20秒の測定収集時間、インキュベートに付された。その後、これは、1分の剪断インキュベーション及びその後の20秒の測定収集時間から成る2つの追加の工程が続いた。その後、収集された3つのデータポイントが平均化されて、サンプルの粘度として記録された。
例3:タンパク質濃度測定
実験溶液中のタンパク質の濃度は、UV/VIS分光計(Perkin Elmer Lambda 35)で波長280nmでタンパク質溶液の光学的吸収を測定することによって決定した。まず、機器は、pH6の50mMヒスチジン緩衝液でゼロ吸収へキャリブレーションをとった。次に、タンパク質溶液は、同じヒスチジン緩衝液で300倍に希釈され、280nmでの吸収が記録された。溶液中のタンパク質の最終濃度が、減衰係数値1.264mL/(mg x cm)を使用することによって計算された。
例4:ヒンダードアミン賦形剤化合物を含む製剤
280mg/mL BGGを含有する製剤が、添加された賦形剤化合物を含有するいくつかのサンプルで、例1で記載したように調製された。これらの試験では、ヒンダードアミン賦形剤化合物の例として、ナイアシンアミド、及び、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、ジシクロヘキシルメチルアミン(DCHMA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)の塩酸塩が試験された。また、DMCHAのヒドロキシ安息香酸塩及びタウリン−ジシアンジアミド付加物が、ヒンダードアミン賦形剤化合物の例として、試験された。各々のタンパク質溶液の粘度が、例2に記載するように測定された。結果は、下記の表1に提示され、粘度低減の点で添加された賦形剤化合物の利益を示す。
例5:アニオン性芳香族賦形剤化合物を含む製剤
280mg/mL BGGの製剤が、添加された賦形剤化合物を含有するいくつかのサンプルで、例1で記載したように調製された。各々の溶液の粘度が、例2に記載するように測定された。結果は、下記の表2に提示され、粘度低減の点で添加された賦形剤化合物の利益を示す。
例6:オリゴペプチド賦形剤化合物を含む製剤
オリゴペプチド(n=5)が、>95%純度でNeoBioLab Inc. (Woburn, MA)によって合成された。遊離アミンとしてN末端及び遊離酸としてC末端を持つ。ジペプチド(n=2)が、95%純度でLifeTein LLC (Somerset, NJ)によって合成された。280mg/mL BGGの製剤が、例1で記載したように調製された。いくつかのサンプルは、添加された賦形剤化合物として合成オリゴペプチドを含有する。各々の溶液の粘度は、例2に記載するように測定された。結果は、下記の表3に提示され、粘度低減の点で添加された賦形剤化合物の利益を示す。
例8:グアニルタウリン賦形剤の合成
グアニルタウリンが、米国特許第2,230,965に記載の方法で調製された。タウリン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)3.53部が、1.42部のジシアンジアミド(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)と混合され、そして、均一の混合物が得られるまで、乳鉢と乳棒で粉砕された。次に、混合物は、フラスコ中に置かれ、200℃で4時間加熱された。製造物(生成物)は、更なる精製なしで使用された。
例9:賦形剤化合物を含有するタンパク質製剤
賦形剤化合物及び試験タンパク質を使用して、製剤が調製された。そこでは、試験タンパク質は、治療用製剤で使用されるであろう治療用タンパク質か、非治療用製剤で使用されるであろう非治療用タンパク質か、のいずれかをシミュレートすることが意図された。そのような製剤は、下記のやり方で、粘度測定用の異なる賦形剤化合物で、50mM水性ヒスチジン塩酸塩緩衝溶液中で調製された。蒸留水中に1.94gのヒスチジンを溶解して、1Mの塩酸(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)でpHを約6.0に調整し、その後、メスフラスコ中で蒸留水で最終容積250mLに希釈することによって、ヒスチジン塩酸塩緩衝溶液がまず調製された。その後、賦形剤化合物を、50mMヒスチジンHCl緩衝溶液中に溶解させた。賦形剤のリストが、表4に与えられる。賦形剤化合物は、50mMヒスチジンHCl緩衝溶液中に溶解させた。得られた溶液pHは、モデルタンパク質の溶解よりも前にpH6を達成するために、少量の水酸化ナトリウム又は塩酸で調整された。いくつかの場合は、賦形剤化合物は、50mMヒスチジンHCl中に溶解させる前に、pH6に調整された。この場合は、賦形剤化合物は、脱イオン水中に約5wt%でまず溶解させ、そして、塩酸又は水酸化ナトリウムのいずれかでpHが約6.0に調整された。その後、調製された塩溶液は、水を蒸発させて固体賦形剤を単離するために、対流実験室オーブン中に約65℃で置かれた。50mMヒスチジンHCl中の賦形剤溶液が一旦調製されると、試験タンパク質ウシガンマグロブリン(BGG)を、約280mg/mLの最終タンパク質濃度を達成するような比率で、溶解させた。賦形剤を含む50mMヒスチジンHCl中のBGGの溶液は、20mLバイアル中に配合されて、オービタルシェーカーテーブル上で100rpmで一晩中、振とうに付された。その後、BGG溶液は、2mLの微量遠心管に移し、粘度測定よりも前に混入した空気を除去するために、IEC MicroMax微量遠心分離機中で2300rpmで10分間、遠心分離された。
上記のように調製された製剤の粘度測定は、DV−IIT LVコーン及びプレート粘度計(Brookfield Engineering, Middleboro, MA)で実施された。粘度計は、CP−40コーンを具備し、25℃及び3rpmで操作された。製剤が、容積0.5mLで粘度計の中にロードされて、所定の剪断速度及び温度で3分間及びその後の20秒の測定収集時間、インキュベートに付された。その後、これは、1分の剪断インキュベーション及びその後の20秒の測定収集時間から成る2つの追加の工程が続いた。その後、収集された3つのデータポイントが平均化されて、サンプルの粘度として記録された。賦形剤を含む溶液の粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対して正規化された。正規化粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の比率である。
例10:賦形剤の組合せ及び試験タンパク質を含有する製剤の調製
一次賦形剤化合物、二次賦形剤化合物及び試験タンパク質を使用して、製剤が調製された。そこでは、試験タンパク質は、治療用製剤で使用されるであろう治療用タンパク質か、非治療用製剤で使用されるであろう非治療用タンパク質か、のいずれかをシミュレートすることが意図された。以下の表5にリストされているように、一次賦形剤化合物は、アニオン性及び芳香族機能性の両方を有する化合物から選択された。二次賦形剤化合物は、以下の表5にリストされているように、イミダゾリン又はベンゼン環のいずれか及び非イオン性又はpH6でカチオン電荷のいずれかを有する化合物から選択された。これらの賦形剤の製剤は、下記のやり方で、粘度測定用に50mMヒスチジン塩酸塩緩衝溶液中で調製された。蒸留水中に1.94gのヒスチジンを溶解して、1Mの塩酸(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)でpHを約6.0に調整し、その後、メスフラスコ中で蒸留水で最終容積250mLに希釈することによって、ヒスチジン塩酸塩がまず調製された。その後、個々の一次賦形剤又は二次賦形剤化合物を、50mMヒスチジンHCl中に溶解させた。一次賦形剤及び二次賦形剤の組合せは、50mMヒスチジンHCl中に溶解させた。得られた溶液pHは、モデルタンパク質の溶解よりも前にpH6を達成するために、少量の水酸化ナトリウム又は塩酸で調整された。上記のように賦形剤溶液が一旦調製されると、試験タンパク質ウシガンマグロブリン(BGG)を、約280mg/mLの最終タンパク質濃度を達成するような比率で、各々の試験溶液中に溶解させた。賦形剤を含む50mMヒスチジンHCl中のBGGの溶液は、20mLバイアル中に配合されて、オービタルシェーカーテーブル上で100rpmで一晩中、振とうに付された。その後、BGG溶液は、2mLの微量遠心管に移し、粘度測定よりも前に混入した空気を除去するために、IEC MicroMax微量遠心分離機中で2300rpmで10分間、遠心分離された。
上記のように調製された製剤の粘度測定は、DV−IIT LVコーン及びプレート粘度計(Brookfield Engineering, Middleboro, MA)で実施された。粘度計は、CP−40コーンを具備し、25℃及び3rpmで操作された。製剤が、容積0.5mLで粘度計の中にロードされて、所定の剪断速度及び温度で3分間及びその後の20秒の測定収集時間、インキュベートに付された。その後、これは、1分の剪断インキュベーション及びその後の20秒の測定収集時間から成る2つの追加の工程が続いた。その後、収集された3つのデータポイントが平均化されて、サンプルの粘度として記録された。賦形剤を含む溶液の粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対して正規化された。下記の表5に要約される。正規化粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の比率である。サンプルは、一次賦形剤及び二次賦形剤の組合せが、単一の賦形剤よりも良い結果を与えることができることを、示す。
例11:賦形剤の組合せ及び試験タンパク質を含有する製剤の調製
一次賦形剤化合物、二次賦形剤化合物及び試験タンパク質を使用して、製剤が調製された。そこでは、試験タンパク質は、治療用製剤で使用されるであろう治療用タンパク質か、非治療用製剤で使用されるであろう非治療用タンパク質か、のいずれかをシミュレートすることが意図された。以下の表6にリストされているように、一次賦形剤化合物は、アニオン性及び芳香族機能性の両方を有する化合物から選択された。二次賦形剤化合物は、以下の表6にリストされているように、イミダゾリン又はベンゼン環のいずれか及び非イオン性又はpH6でカチオン電荷のいずれかを有する化合物から選択された。これらの賦形剤の製剤は、下記のやり方で、粘度測定用に蒸留水中で調製された。一次賦形剤及び二次賦形剤の組合せは、蒸留水中に溶解させた。得られた溶液pHは、モデルタンパク質の溶解よりも前にpH6を達成するために、少量の水酸化ナトリウム又は塩酸で調整された。上記のように蒸留水中の賦形剤溶液が一旦調製されると、試験タンパク質ウシガンマグロブリン(BGG)を、約280mg/mLの最終タンパク質濃度を達成するような比率で、溶解させた。賦形剤を含む蒸留水中のBGGの溶液は、20mLバイアル中に配合されて、オービタルシェーカーテーブル上で100rpmで一晩中、振とうに付された。その後、BGG溶液は、2mLの微量遠心管に移し、粘度測定よりも前に混入した空気を除去するために、IEC MicroMax微量遠心分離機中で2300rpmで10分間、遠心分離された。
上記のように調製された製剤の粘度測定は、DV−IIT LVコーン及びプレート粘度計(Brookfield Engineering, Middleboro, MA)で実施された。粘度計は、CP−40コーンを具備し、25℃及び3rpmで操作された。製剤が、容積0.5mLで粘度計の中にロードされて、所定の剪断速度及び温度で3分間及びその後の20秒の測定収集時間、インキュベートに付された。その後、これは、1分の剪断インキュベーション及びその後の20秒の測定収集時間から成る2つの追加の工程が続いた。その後、収集された3つのデータポイントが平均化されて、サンプルの粘度として記録された。賦形剤を含む溶液の粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対して正規化された。下記の表6に要約される。正規化粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の比率である。サンプルは、一次賦形剤及び二次賦形剤の組合せが、単一の賦形剤よりも良い結果を与えることができることを、示す。
例12:賦形剤化合物及びPEGを含有する製剤の調製
材料:すべての材料は、Sigma-Aldrich, St. Louis, MOから購入された。賦形剤化合物及びPEGを使用して、製剤が調製された。そこでは、PEGは、治療用製剤で使用されるであろう治療用PEG化タンパク質をシミュレートすることが意図された。そのような製剤は、賦形剤の溶液と等容積のPEGの溶液とを混合することによって調製された。両方の溶液は、7.3のpHで1mMのtrans−ケイ皮酸、135mMのNaCl、10mMのTrisから成るトリス緩衝液中で調製された。
PEG溶液は、平均Mw約1,000,000のポリ(エチレンオキサイド)(Aldrichカタログ#372781)の3gと、97gのトリス緩衝液とを混合することによって調製された。混合物は、完全な溶解のために、一晩中撹拌された。
賦形剤溶液調製の例は、下記の通りである:トリス緩衝液中のクエン酸の約80mg/mL溶液が、5mLのトリス緩衝液中に0.4gのクエン酸(Aldrich cat.#251275)を溶解させることによって、調製され、10MのNaOH溶液の最小量でpHが7.3に調整された。
PEG賦形剤溶液が、0.5mLのPEG溶液と0.5mLの賦形剤溶液とを混合することによって調製され、数秒間、渦を使用することによって混合された。対照サンプルは、0.5mLのPEG溶液と0.5mLのトリス緩衝液とを混合することによって調製された。
例13:賦形剤化合物及びPEGを含有する製剤の粘度測定
調製された製剤の粘度測定は、DV−IIT LVコーン及びプレート粘度計(Brookfield Engineering, Middleboro, MA)で実施された。粘度計は、CP−40コーンを具備し、25℃及び3rpmで操作された。製剤が、容積0.5mLで粘度計の中にロードされて、所定の剪断速度及び温度で3分間及びその後の20秒の測定収集時間、インキュベートに付された。その後、これは、1分の剪断インキュベーション及びその後の20秒の測定収集時間から成る2つの追加の工程が続いた。その後、収集された3つのデータポイントが平均化されて、サンプルの粘度として記録された。
結果は下記の表7に提示され、粘度低減の点で添加された賦形剤化合物の利益を示す。
例14:BSA分子当り1つのPEG鎖を持つPEG化BSAの調製
ビーカーに、200mLのリン酸緩衝生理食塩水(Aldrich Cat.#P4417)及び4gのBSA(Aldrich Cat.#A7906)が添加されて、磁気棒で混合された。次に、400mgのメトキシポリエチレングリコールマレイミド(MW=5,000)(Aldrich Cat.#63187)が、添加された。反応混合物は、室温で一晩中、反応に付された。次の日、反応を止めるために、20滴のHCl 0.1Mが添加された。反応生成物は、SDS-Page and SECによって特徴付けられ、これは、PEG化BSAを明確に示した。反応混合物は、30,000の分子量カットオフ(MWCO)でAmicon遠心管中に置かれ、数ミリリットルに濃縮された。次に、サンプルは、約6のpHで50mMのヒスチジン緩衝液で20回希釈されて、その後、高い粘度の流体が得られるまで、濃縮された。タンパク質溶液の最終濃度は、280nmでの吸収を測定して、0.6678のBSAの減衰係数を使用することによって、得られた。結果は、溶液中のBSAの最終濃度が342mg/mLであることを示した。
例15:BSA分子当り複数のPEG鎖を持つPEG化BSAの調製
7.2のpHで25mMのリン酸緩衝液中のBSAの5mg/mL溶液(Aldrich A7906)が、0.5gのBSAと100mLの緩衝剤とを混合することによって調製された。次に、1gのメトキシPEGプロピオンアルデヒドMw=20,000(JenKem Technology, Plano, TX 75024)が、その後、0.12gのシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Aldrich 156159)が、添加された。反応は、室温で一晩中進行させた。次の日、反応混合物は、トリス緩衝液(pH=7.3で135mM NaCl、10mM Tris)で13回希釈され、そして、約150mg/mLの濃度に達するまで、Amicon遠心管MWCO(30,000)を使用して濃縮された。
例16:リゾチーム分子当り複数のPEG鎖を持つPEG化リゾチームの調製
7.2のpHで25mMのリン酸緩衝液中のリゾチームの5mg/mL溶液(Aldrich L6876)が、0.5gのリゾチームと100mLの緩衝剤とを混合することによって調製された。次に、1gのメトキシPEGプロピオンアルデヒドMw=5,000(JenKem Technology, Plano, TX 75024)が、その後、0.12gのシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Aldrich 156159)が、添加された。反応は、室温で一晩中進行させた。次の日、反応混合物は、リン酸緩衝液(7.2のpHで25mM)で49回希釈され、そして、Amicon遠心管MWCO(30,000)を使用して濃縮された。タンパク質溶液の最終濃度は、280nmでの吸収を測定して、2.63のリゾチームの減衰係数を使用することによって、得られた。溶液中のリゾチームの最終濃度は、140mg/mLであった。
例17:BSA分子当り1つのPEG鎖を持つPEG化BSAの粘度に対する賦形剤の影響
0.3mLのPEG化BSA溶液に、6又は12ミリグラムの賦形剤塩を加えることによって、賦形剤を含む(上記の例14からの)PEG化BSAの製剤が調製された。溶液は、穏やかに振とうすることによって混合されて、粘度が、500sec−1の剪断速度でA10チャンネル(100ミクロン深さ)を具備するRheoSense microViscによって測定された。粘度計測定は、周囲温度で完了した。
表8に提示される結果は、粘度低減の点で添加された賦形剤化合物の効果を示す。
例18:BSA分子当り複数のPEG鎖を持つPEG化BSAの粘度に対する賦形剤の影響
0.2mLのPEG化BSA溶液に、8ミリグラムの賦形剤塩を加えることによって、賦形剤としてクエン酸Na塩を含む(上記の例15からの)PEG化BSAの製剤が、調製された。溶液は、穏やかに振とうすることによって混合されて、粘度が、500sec−1の剪断速度でA10チャンネル(100ミクロン深さ)を具備するRheoSense microViscによって測定された。粘度計測定は、周囲温度で完了した。表9に提示される結果は、粘度低減の点で添加された賦形剤化合物の効果を示す。
例19:リゾチーム分子当り複数のPEG鎖を持つPEG化リゾチームの粘度に対する賦形剤の影響
0.3mLのPEG化リゾチーム溶液に、6ミリグラムの賦形剤塩を加えることによって、賦形剤として酢酸カリウムを含む(上記の例16からの)PEG化リゾチームの製剤が、調製された。溶液は、穏やかに振とうすることによって混合されて、粘度が、500sec−1の剪断速度でA10チャンネル(100ミクロン深さ)を具備するRheoSense microViscによって測定された。粘度計測定は、周囲温度で完了した。次の表に提示される結果は、粘度低減の点で添加された賦形剤化合物の効果を示す。
例20:賦形剤の組合せを含有するタンパク質製剤
賦形剤化合物又は2つの賦形剤化合物の組合せ及び試験タンパク質を使用して、製剤が調製された。そこでは、試験タンパク質は、治療用製剤で使用されるであろう治療用タンパク質をシミュレートすることが意図された。これらの製剤は、下記のやり方で、粘度測定用に異なる賦形剤化合物を含む20mMヒスチジン緩衝液中で調製された。賦形剤の組合せは、20mMヒスチジン中に溶解させた。得られた溶液pHは、モデルタンパク質の溶解よりも前にpH6を達成するために、少量の水酸化ナトリウム又は塩酸で調整された。この例の賦形剤化合物は、下記の表11にリストされる。賦形剤溶液が一旦調製されると、試験タンパク質ウシガンマグロブリン(BGG)を、約280mg/mLの最終タンパク質濃度を達成するような比率で、溶解させた。賦形剤溶液中のBGGの溶液は、5mL無菌ポリプロピレンチューブ中に配合されて、オービタルシェーカーテーブル上で80−100rpmで一晩中、振とうに付された。その後、BGG溶液は、2mLの微量遠心管に移し、粘度測定よりも前に混入した空気を除去するために、IEC MicroMax微量遠心分離機中で2300rpmで10分間、遠心分離された。
上記のように調製された製剤の粘度測定は、DV−IIT LVコーン及びプレート粘度計(Brookfield Engineering, Middleboro, MA)で実施された。粘度計は、CP−40コーンを具備し、25℃及び3rpmで操作された。製剤が、容積0.5mLで粘度計の中にロードされて、所定の剪断速度及び温度で3分間及びその後の20秒の測定収集時間、インキュベートに付された。その後、これは、1分の剪断インキュベーション及びその後の20秒の測定収集時間から成る2つの追加の工程が続いた。その後、収集された3つのデータポイントが平均化されて、サンプルの粘度として記録された。賦形剤を含む溶液の粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対して正規化された。結果は、下記の表11に示される。正規化粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の比率である。
例21:粘度及び注入痛みを低減するための賦形剤を含有するタンパク質製剤
賦形剤化合物、第2の賦形剤化合物及び試験タンパク質を使用して、製剤が調製された。そこでは、試験タンパク質は、治療用製剤で使用されるであろう治療用タンパク質をシミュレートすることが意図された。第1の賦形剤化合物である賦形剤Aは局部麻酔特性を有する化合物の群から選択された。第1の賦形剤である賦形剤A、及び第2の賦形剤である賦形剤B、は表12にリストされる。これらの製剤は、下記のやり方で、賦形剤A及び賦形剤Bを使用して20mMヒスチジン緩衝液中で調製された。それにより、それらの粘度が測定できた。表12に開示される量の賦形剤を、20mMヒスチジン中に溶解させた。得られた溶液は、モデルタンパク質の溶解よりも前にpH6を達成するために、少量の水酸化ナトリウム又は塩酸でpH調整された。賦形剤溶液が一旦調製されると、試験タンパク質ウシガンマグロブリン(BGG)を、約280mg/mLの最終タンパク質濃度を達成するような比率で、溶解させた。賦形剤溶液中のBGGの溶液は、5mL無菌ポリプロピレンチューブ中に配合されて、オービタルシェーカーテーブル上で80−100rpmで一晩中、振とうに付された。その後、BGG−賦形剤溶液は、2mLの微量遠心管に移し、粘度測定よりも前に混入した空気を除去するために、IEC MicroMax微量遠心分離機中で2300rpmで10分間、遠心分離された。
上記のように調製された製剤の粘度測定は、DV−IIT LVコーン及びプレート粘度計(Brookfield Engineering, Middleboro, MA)で実施された。粘度計は、CP−40コーンを具備し、25℃及び3rpmで操作された。製剤が、容積0.5mLで粘度計の中にロードされて、所定の剪断速度及び温度で3分間及びその後の20秒の測定収集時間、インキュベートに付された。その後、これは、1分の剪断インキュベーション及びその後の20秒の測定収集時間から成る2つの追加の工程が続いた。その後、収集された3つのデータポイントが平均化されて、サンプルの粘度として記録された。賦形剤を含む溶液の粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対して正規化された。結果は、下記の表12に示される。正規化粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の比率である。
例22:賦形剤化合物及びPEGを含有する製剤
賦形剤化合物及びPEGを使用して、製剤が調製された。そこでは、PEGは、治療用製剤で使用されるであろう治療用PEG化タンパク質をシミュレートすることが意図され、賦形剤化合物は、表13にリストされるような量で与えられた。これらの製剤は、賦形剤の溶液と等容積のPEGの溶液とを混合することによって調製された。両方の溶液は、脱イオン(DI)水中で調製された。
PEG溶液は、平均Mw約100,000のポリ(エチレンオキサイド)(Aldrichカタログ#181986)の3gと、83.5gのDI水とを混合することによって調製された。混合物は、完全な溶解のために、一晩中撹拌された。
賦形剤溶液が、この一般的な方法によって、下記の表13に詳細されるように、調製された。5mLのDI水中に0.05gのリン酸カリウムを溶解させることによって、DI水中の三塩基性リン酸カリウム(Aldrichカタログ#P5629)の約20mg/mL溶液が調製された。PEG賦形剤溶液が、0.5mLのPEG溶液と0.5mLの賦形剤溶液とを混合することによって調製され、数秒間、渦を使用することによって混合された。対照サンプルは、0.5mLのPEG溶液と0.5mLDI水とを混合することによって調製された。粘度が測定され、結果が下記の表13に記録される。
例23:賦形剤を含むタンパク質溶液の改善された加工
2つのBGG溶液が、0.25gの固体BGGと4mLの緩衝溶液とを混合することによって調製された。サンプルAでは:緩衝溶液は20mMヒスチジン緩衝液(pH=6.0)であった。サンプルBでは:緩衝溶液は15mg/mlのカフェインを含有する20mMヒスチジン緩衝液(pH=6)であった。固体BGGの溶解は、100rpmでオービタルシェーカーセット中にサンプルを置くことによって、行われた。カフェイン賦形剤を含有する緩衝剤サンプルは、タンパク質をより高速で溶解することが観察された。カフェイン賦形剤を含むサンプル(サンプルB)では、BGGの完全な溶解が15分で達成された。カフェインなしのサンプル(サンプルA)では、溶解に35分必要だった。
次に、サンプルは、30,000分子量カットオフを持つ2つの別個のAmicon Ultra 4 Centrifugal Filter Unit中に置かれ、サンプルは、2,500rpmで10分間隔で遠心分離された。各々10分の遠心分離運転後に回収されたろ液容積が記録された。表14の結果は、サンプルBでのろ液のより高速の回収率を示す。加えて、サンプルBでは、追加の運転ごとの濃縮を保持したが、サンプルAでは、最大濃度点に達し、更なる遠心分離によっても更なるサンプル濃縮にはならなかった。
例24:複数の賦形剤を含有するタンパク質製剤
この例は、賦形剤としてアルギニン及びカフェインの組合せが、BGG溶液の粘度の減少に対して如何に有益な影響をもたらすかを、示す。4つのBGG溶液が、0.18gの固体BGGとpH6の0.5mLの20mMヒスチジン緩衝液とを混合することによって調製された。各々の緩衝溶液は、下記の表に記載するように異なる賦形剤又は賦形剤の組合せを含有した。溶液の粘度は、上記の例に記載するように測定された。結果は、ヒンダードアミン賦形剤であるカフェインが、アルギニンなどの公知の賦形剤と組み合わせることができること、及び、その組合せは、個々の賦形剤単独よりも良い粘度低減特性を有することを、示す。
アルギニンが、pH6のヒスチジン緩衝液中でBGGの280mg/mL溶液に添加された。表16に示されるように、50mg/mLよりも高いレベルでは、アルギニンを加えても、粘度は更に減少しなかった。
カフェインが、pH6のヒスチジン緩衝液中でBGGの280mg/mL溶液に添加された。表17に示されるように、10mg/mLよりも高いレベルでは、カフェインを加えても、粘度は更に減少しなかった。
例25:TFF濃縮プロセスの間のカフェイン効果
この例では、タンジェンシャルフローろ過(TFF)を使用してカフェインの存在下に及び不存在下に、ウシガンマグロブリン(BGG)溶液が濃縮された。実験を行うために、EMD Millipore (Billerica, MA)によって製造されたThe Labscale TFF Systemが使用された。システムは、30kDa分子量カットオフを持つUltracel膜を含むPellicon XL TFFカセットを具備した(EMD Millipore, Billerica, MA)。公称の膜表面積は50cmであった。カセットへのフィード圧力が30psiに維持され、その一方で、保持圧力が10psiに維持された。ろ液流量が、時間の関数としてその質量を測定することによって、実験の過程で監視された。約12グラムのBGGが、15mg/mLカフェイン、150mM NaCl、及び20mMヒスチジンを含有する500mLの緩衝剤中に溶解され、pH6に調整された。対照サンプルは、150mM NaCl及び20mMヒスチジンを含有する500mLの緩衝剤中に12グラムのBGGを溶解させることによって調製され、pH6に調整された。緩衝剤成分は、Sigma−Aldrichから購入された。両方の溶液は、TFF処理よりも前に0.2μmPESフィルター(VWR, Radnor, PA)を通してろ過された。TFFの間の試験サンプル及び対照サンプルの性能が、物質移動係数によって測定された。物質移動係数は、(J. Hung, A. U. Borwankar, B. J. Dear, T. M. Truskett, K. P. Johnston, High concentration tangential flow ultrafiltration of stable monoclonal antibody solutions with low viscosities. J. Memb. Sci. 508, 113-126 (2016)に記載されるような)下記の式を使用して、各々のサンプルで決定された:
式3は、ろ液流量Jを記載し、ここで、kは物質移動係数であり、Cは膜付近のタンパク質濃度であり、Cは液体バルク中の濃度であり、それによって、式3は、物質移動係数kの計算を可能とする。ln(C)に対する計算された流量Jのグラフは、−kcの傾きを持つ直線プロットとなる。ここで、流量Jは、時間に関するろ液質量の導関数をとることによって計算され、Cは、マスバランスを使用して計算される。ベストフィットの物質移動係数が、表18にリストされる。15mg/mLカフェインの導入により、物質移動係数の値が、22.5から25.4Lm−2hr−1(LMH)へと、約13%増大した。
例26:TFF濃縮プロセスの間のカフェイン効果
この例では、タンジェンシャルフローろ過(TFF)を使用してカフェインの存在下に及び不存在下に、ウシガンマグロブリン(BGG)溶液が濃縮された。実験を行うために、EMD Millipore (Billerica, MA)によって製造されたThe Labscale TFF Systemが使用された。システムは、30kDa分子量カットオフを持つUltracel膜を含むPellicon XL TFFカセットを具備した(EMD Millipore, Billerica, MA)。公称の膜表面積は50cmであった。対照サンプルは、150mM NaCl及び20mMヒスチジンを含有する582mLの緩衝剤中に14.6グラムのBGGを溶解させることによって調製され、pH6に調整された。その結果、初期のBGG濃度は、公称で25.1mg/mLであった。材料は、0.2μmPESフィルター(VWR, Radnor, PA)を通してろ過され、その後、TFF装置で処理された。フィード圧力が初期に30psiになるようにポンプ速度が調整され、そして、保持圧力が初期に10psiになるように保持弁が調整された。材料は、4.1時間、ポンプ速度又は保持弁のいずれかの調整なしで、濃縮された。初期濃度及び最終濃度は、下記の表19に示されるように、Bradford分析により、それぞれ、25.4±0.6及び159±6mg/mLと決定された。カフェイン含有サンプルは、15mg/mLカフェイン、150mM NaCl、及び20mMヒスチジンを含有する566mLの緩衝剤中に14.2gのBGGを溶解させることによって調製され、pH6に調整され、その結果、初期のBGG濃度は、公称で25.1mg/mLであった。材料は、0.2μmPESフィルター(VWR, Radnor, PA)を通してろ過され、その後、TFF装置で処理された。ポンプ速度及び保持弁は、上記と同一レベルにセットされた。フィード及び保持圧力は、上記のように、それぞれ30psi及び10psiであることが確認された。材料は、4.1時間、ポンプ速度又は保持弁のいずれかの調整なしで、濃縮された。初期濃度及び最終濃度は、下記の表19に示されるように、Bradford分析により、それぞれ、24.4±0.5及び225±10mg/mLと決定された。TFF処理の間のカフェインの使用により、対照と比較したとき、最終タンパク質濃度は、159から225mg/mLへと約42%増大した。
例27:BGG溶液の無菌ろ過の間のカフェイン効果
ウシガンマグロブリン(BGG)、L−ヒスチジン、及びカフェインは、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO、それぞれ、製品番号G5009、H6034、及びC7731)から購入された。脱イオン(DI)水は、EMD Millipore (Billerica, MA)からのDirect-Q 3 UV精製システムで水道水から生成された。0.2−μm細孔を持つ25−mmポリエーテルスルホン(PES)フィルターは、GE Healthcare (Chicago, IL、カタログ番号6780−2502)から購入された。1−mLのLuer-Lokシリンジは、Becton, Dickinson and Company (Franklin Lakes, NJ、参照番号309628)から購入された。20−mMヒスチジン緩衝液(pH6.0)は、L−ヒスチジン、DI水を使用して調製され、1M HClでpH6.0に滴定された。カフェインの15mg/mL溶液は、ヒスチジン緩衝液を使用して調製された。カフェインを含まない緩衝液及びカフェイン含有緩衝液は、BGGを約280mg/mLの最終濃度に再構成するために、使用された。タンパク質濃度cは、下記の式を使用して計算された:

上記の式中、mはタンパク質の質量であり、bは、添加された緩衝液の容積であり、νは、BGGの部分比容であり、ここでは0.74mL/gである。各々のサンプルの粘度は、microVisc rheometer (RheoSense, San Ramon, CA)を使用して、温度23℃及び剪断速度250s−1で、測定された。BGG溶液が無菌ろ過を通過するのに要求されるエネルギーは、100Nロードセル(Instron, Needham, MA、部品番号2519−103)を具備する引張圧縮試験機(TCT, Instron, Needham, MA、部品番号3343)を使用して測定された。シリンジプランジャーは、50mmの距離に対して159mm/分の速度で押し下げられた。エネルギー所要量は、TCTによって測定された、負荷−対−伸長曲線を積分することによって計算された。結果は、下記の表20に要約される。
例28:タンパク質−Aクロマトグラフィー溶出を改善するための賦形剤
4つの精製された研究グレードバイオシミラー抗体、イピリムマブ、ウステキヌマブ、オマリズマブ、及びトシリズマブは、Bioceros (Utrecht, The Netherlands)から購入された。それらは、水性40mM酢酸ナトリウム、50mM tris−HCl緩衝液(pH5.5)中で、それぞれ、20、26、15及び23mg/mLのタンパク質濃度で、冷凍された一定分量として与えられた。タンパク質溶液は、測定前に室温で解凍され、その後、0.2μmポリエーテルスルホンフィルターを通してろ過された。ろ過されたタンパク質ストック溶液は、タンパク質ストック溶液:結合緩衝液が1:1の比率で、混合された。抗体とタンパク質−A樹脂との結合を促進するために使用される結合緩衝液は、脱イオン(DI)水中でpH7.2で0.1Mリン酸ナトリウム及び0.15塩化ナトリウムから構成された。DI水は、EMD Millipore (Billerica, MA)からのDirect-Q 3 UV精製システムで水道水を精製することによって、製造された。これらの溶液は、a PIERCETMProtein-A Spin Plate for IgG Screening (ThermoFisher Scientificカタログ#45202)を使用してタンパク質−A結合及び溶出の検討を実施するために、使用された。プレートは、96個のウェルを有しており、各々は、50μLのタンパク質−A樹脂を含有する。樹脂は、各々のウェルに200μLの結合緩衝液を加え、プレートを1000 x gで1分間遠心分離し、そしてフロースルーを廃棄することによって、結合緩衝液で洗浄された。すべてのその後の遠心分離工程は、1000 x gで1分間実施された。この洗浄手順は、一度繰り返された。これらの初期の洗浄工程に続いて、希釈タンパク質サンプル、すなわち、イピリムマブ、ウステキヌマブ、オマリズマブ、及びトシリズマブを含有するサンプルが、プレート中のウェル(ウェル当り200μL)に添加された。その後、プレートは、Daigger Scientific (Vernon Hills, IL) Labgeniusオービタルシェーカー上に置かれ、260rpmで30分間撹拌された。それに続いて、プレートは遠心分離されて、フロースルーは廃棄された。その後、ウェルは、各々のウェルに500μLの結合緩衝液を加え、プレートを遠心分離し、そしてフロースルーを廃棄することによって、洗浄された。この洗浄工程は、2回繰り返された。これらの洗浄工程の後に、タンパク質は、異なる賦形剤が添加された溶出緩衝液を使用して、プレートから溶出された。各々の溶出では、pH7の1Mリン酸ナトリウムから成る50μLの中和緩衝液が、収集プレートの各々のウェルに添加され、その後、200μLの溶出緩衝液が、プレートの各々のウェルに添加された。プレートは、260rpmで1分間撹拌され、その後、遠心分離された。フロースルーは、分析のために回収された。この溶出工程は、一度繰り返された。賦形剤を含まない対照緩衝液は、20mMクエン酸塩を含有し、2.6のpHを有した。タンパク質−A溶出緩衝液は若干の塩をしばしば含有するので、クエン酸緩衝液中の100mM NaClの溶出緩衝液が、第2対照として調製された。
表21は、この例で使用された賦形剤溶液、それらの濃度、及び溶出緩衝液の最終pHをリストする。すべての賦形剤は、以下のものを除いて、Sigma Aldrich (St. Louis, MO)から購入された。アスパルテームは、Herb Store USA (Los Angeles, CA)から購入され、トレハロースは、Cascade Analytical Reagents and Biochemicals (Corvallis, OR)から購入され、スクロースは、Research Products International (Mt. Prospect, IL、製品番号S24060)から購入された。すべての賦形剤含有溶出緩衝液は、適切な量の賦形剤と約10mLの塩を含まないクエン酸緩衝液対照とを混合することによって調製された。溶出緩衝液は、約100mMの賦形剤で調製された。しかし、すべての賦形剤がこのレベルで可溶性というわけではない;したがって、表21は、使用されたすべての賦形剤濃度をリストする。各々の溶出緩衝液のpHは、必要に応じて塩酸塩又は水酸化ナトリウムのいずれかを使用して、約2.6±0.1に調整された。
各々のタンパク質サンプルでは、HPLC workstation (Agilent HP 1100 system)に接続されたTSKgel SuperSW3000 column (30 cm x 4.6 mm ID, Tosoh Bioscience, King of Prussia, PA)を使用して、ASD高性能サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析が、実施された。分離は、室温で0.35mL/分のフローで、行われた。移動相は、pH7、300mM塩化ナトリウム、100mMリン酸ナトリウムの水性緩衝液であった。タンパク質濃度は、Agilent 1100 Series G1315Bダイオードアレイ検出器を使用して280nmでの吸収によって監視された。各々のタンパク質でのタンパク質−A樹脂から溶出したタンパク質の合計量(すなわち、イピリムマブ、ウステキヌマブ、オマリズマブ、及びトシリズマブ)は、クロマトグラムを積分することによって推定された。各々のタンパク質(すなわち、イピリムマブ、ウステキヌマブ、オマリズマブ、及びトシリズマブ)での積分されたピーク面積は、表22〜表25にリストされる。表22〜表25は、塩を含まない対照及び塩を含有する対照との実験ピーク面積をも比較する。100%よりも多い値は、溶出緩衝液が、対照よりも、タンパク質−A樹脂からのタンパク質をより多く回収したことを示す。それに対して、100%未満の値は、溶出緩衝液が、対照よりも、タンパク質−A樹脂からのタンパク質をより少なく回収したことを示す。





例29:タンパク質−Aクロマトグラフィー溶出を改善するための賦形剤
この例で使用される試験タンパク質は、例28と同一、すなわち、イピリムマブ、ウステキヌマブ、オマリズマブ、及びトシリズマブである。タンパク質−A結合及び溶出の検討が、例28と同一のプレートを使用して実施された。タンパク質−Aプレートから抗体をローディング及び溶出する方法は、溶出工程を除いて、例28と同一であった。例28では、2回の溶出洗浄が実施された。しかし、この例では、1回のみの洗浄が実施される。例28におけるように、溶出緩衝液は、pH2.6対照緩衝液、20mMクエン酸塩から調製された。溶出緩衝液は、下記の表26にリストされる。すべての賦形剤は、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO)から購入された。回収されたタンパク質は、例28と同一のやり方で、HPLCによって分析された。各々のタンパク質(すなわち、イピリムマブ、ウステキヌマブ、オマリズマブ、及びトシリズマブ)でのタンパク質回収の結果が、下記の表27〜表30に提供される。




例30:タンパク質−Aクロマトグラフィーカラムからのオマリズマブ溶出を改善するための賦形剤
研究グレードのオマリズマブが、Bioceros (Utrecht, The Netherlands)から購入され、水性40mM酢酸ナトリウム、50mM tris−HCl緩衝剤(pH5.5)中で15mg/mLで冷凍されて提供された。タンパク質は、実験前に室温で解凍され、0.2μmポリエーテルスルホンフィルターを通してろ過された。ろ過された材料は、DI水中でpH7、20mMリン酸ナトリウムから成る結合緩衝液と、1:1の比率で混合された。DI水を製造するために、EMD Millipore (Billerica, MA)からのDirect-Q 3 UV精製システムで、水道水が精製された。GE Healthcare (Chicago, IL、製品番号29048576)からのHiTrap Protein-A HP 1 mLカラムを使用して、タンパク質−A精製が実施された。各々の実験では、カラムは、まず、10mLの結合緩衝液で平衡化された。平衡化に続いて、30mgのタンパク質が、タンパク質−Aカラム上にロードされた。その後、カラムは、5mLの結合緩衝液で洗浄された。カラム洗浄後に、結合されたオマリズマブが、下記の表31にリストされた溶出緩衝液の1つのフラクションを使用してカラムから溶出された。溶出緩衝液は、pH4.0、20mMクエン酸緩衝液中に、示された賦形剤を溶解させることによって、調製された。すべての溶出緩衝液は、pH4.0に調整された。5つの1−mLフラクションが収集された。最終的に、タンパク質−Aは、5mLの100mMクエン酸塩、pH3.0緩衝剤でカラムを洗浄することによって、再生された。各々の工程の流量は、1mL/分であった。これは、Fusion 100注入ポンプ(Chemyx, Stafford, TX)によって、維持された。10-mL NormJect Luer Lokシリンジが、使用された(Henke Sass Wolf, Tuttlingen, Germany、参照番号4100−000V0)。
溶出フラクション、E1、E2、E3、E4、及びE5が、高性能サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析によって、合計タンパク質含有量の分析がなされた。SEC分析は、HPLC workstation (Agilent HP 1100 system)に接続されたTSKgel SuperSW3000 column (30 cm x 4.6 mm ID, Tosoh Bioscience, King of Prussia, PA)を使用して実施された。分離は、室温で0.35mL/分のフローで行われた。移動相は、pH7、300mM塩化ナトリウム、100mMリン酸ナトリウムの水性緩衝液であった。タンパク質濃度は、Agilent 1100 Series G1315Bダイオードアレイ検出器を使用して280nmでの吸収によって監視された。タンパク質−A樹脂から溶出したタンパク質の合計量は、クロマトグラムを積分することによって推定された。
クエン酸塩は、タンパク質−Aクロマトグラフィーで使用される普通の賦形剤であり、したがって、ここでは対照として使用された。対照サンプルでの溶出液フラクションは、沈殿相に形成によって明白に示されるように、4℃での一晩中の貯蔵により不溶性凝集物を示した。したがって、下記の表31に報告されたピーク面積は、溶出液フラクション中の合計可溶性タンパク質の量を表わす。不溶性凝集物は、対照サンプルでのみ観察され、他のいかなるサンプルもそのような凝集物を示さなかった、ということに、我々は注目する。(クエン酸塩賦形剤を使用する)対照よりも大きいピーク面積は、試験賦形剤の使用がカラムからのタンパク質のより効率的な分離を可能にし得る、ということを示す。
例31:異なる量のカフェイン賦形剤を含むBGGの製剤
製剤が、試験タンパク質及び(下記の表32にリストされる濃度で)異なるモル濃度のカフェインで、調製された。そこでは、試験タンパク質は、治療用製剤で使用されるであろう治療用タンパク質をシミュレートすることが意図された。この例の製剤は、下記のやり方での粘度測定用に20mMヒスチジン緩衝液中で調製された。0及び80mMカフェインのストック溶液が、20mMヒスチジン中で調製され、得られた溶液は、モデルタンパク質の溶解よりも前にpH6を達成するために、少量の水酸化ナトリウム又は塩酸でpH調整された。下記の表32にリストされる濃度で、一連のカフェイン含有溶液を提供するために、様々な容積比率で2つのストック溶液をブレンドすることによって、様々なカフェイン濃度での追加の溶液が調製された。これらの賦形剤溶液が一旦調製されると、0.25gの凍結乾燥BGG粉末に0.7mLの各々の賦形剤溶液を加えることによって、約280mg/mLの最終タンパク質濃度を達成するような比率で、試験タンパク質ウシガンマグロブリン(BGG)が、各々の試験溶液中に溶解された。BGG含有溶液は、5mL無菌ポリプロピレンチューブ中に配合されて、オービタルシェーカーテーブル上で100rpmで一晩中、振とうに付された。その後、これらの溶液は、2mLの微量遠心管に移し、粘度測定よりも前に混入した空気を除去するために、IEC MicroMax微量遠心分離機中で2400rpmで約5分間、遠心分離された。
上記のように調製された製剤の粘度測定は、microVisc粘度計(RheoSense, San Ramon, CA)で実施された。粘度計は、100ミクロンのチャンネル深さを有するA−10チップを具備し、25℃及び250 1/sの剪断速度で操作された。粘度を測定するために、ピペットからのすべての気泡を除去するように注意しながら、試験製剤が粘度計の中にロードされた。ロードされたサンプル製剤を含有するピペットは、機器中に置かれ、測定温度で約5分間、インキュベーションに付された。その後、機器は、安定な粘度読取り値によって示される、チャンネルが試験流体と十分に平衡化するまで、運転され、その後、粘度がセンチポイズで記録された。得られた粘度結果は、下記の表32に提示される。
例32:脱イオン水中の共溶質の溶液の調製
水中でのカフェイン溶解性を増大するために共溶質として使用される化合物はSigma-Aldrich (St. Louis, MO)から得られ下記のものを含んだ:ナイアシンアミド、プロリン、プロカインHCl、アスコルビン酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、リドカイン、サッカリン、アセスルファムK、チラミン、及びアミノ安息香酸。各々の共溶質の溶液は、脱イオン水中に乾燥固体を溶解させることに調製され、いくつかの場合は、必要に応じて5M塩酸又は5M水酸化ナトリウムで約6のpH〜約8のpHの間の値に、pHを調整した。その後、溶液は、Class Aメスフラスコを使用して25mL又は50mLのいずれかの最終容積に希釈され、そして、溶液の最終容積及び溶解した化合物の質量に基づいて、濃度が記録された。調製された溶液は、そのままで、又は、脱イオン水で希釈して、使用された。
例33:カフェイン溶解性試験
周囲温度(約23℃)でのカフェインの溶解性に対する異なる共溶質の影響が、下記のやり方で評価された。乾燥カフェイン粉末(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)が、20mLガラスシンチレーションバイアルに添加され、カフェインの質量が記録された。ある場合には、例32に従って調製された10mLの共溶質溶液が、カフェイン粉末に添加され;10mLの最終添加容積を維持しながら、他の場合には、共溶質溶液及び脱イオン水のブレンドが、カフェイン粉末に添加された。乾燥カフェイン粉末の容積寄与分は、いかなるこれらの混合物においては無視できると考えられた。小さい磁気撹拌棒が、バイアルに添加され、溶液が、撹拌プレート上で約10分間、激しく混合に付された。約10分後、乾燥カフェイン粉末の溶解のためにバイアルが観察された。結果は、下記の表33に与えられる。これらの観察により、ナイアシンアミド、プロカインHCl、2,5−ジヒドロキシ安息香酸ナトリウム塩、サッカリンナトリウム塩、及びチラミン塩化物塩は、すべて、報告されているカフェイン溶解限度(Sigma−Aldrichによれば、室温で約16mg/mL)の少なくとも約4倍のカフェインの溶解を可能にすることが、示された。
例34:HUMIRA(登録商標)のプロファイル
HUMIRA(登録商標)(AbbVie Inc., Chicago, IL)は、激しい慢性乾癬及び若年性特発性関節炎を和らげ、リウマチ様関接炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、クローン病、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患の炎症性応答を低減するために典型的に処方された、治療用モノクローナル抗体アダリムマブ、TNF−アルファブロッカー、の市販の製剤である。HUMIRA(登録商標)は、下記のものを含有する0.8mLの単一の使用投与量で販売されている:40mgのアダリムマブ、4.93mg塩化ナトリウム、0.69mgリン酸ナトリウム一塩基性二水和物、1.22mgリン酸ナトリウム二塩基性二水和物、0.24mgクエン酸ナトリウム、1.04mgクエン酸一水和物、9.6mgマンニトール及び0.8mgポリソルベート80。この製剤の粘度vs濃度プロファイルが、下記のやり方で生成された。30kDa分子量カットオフを持つAmicon Ultra 15遠心分離濃縮器(EMD-Millipore, Billerica, MA)に、約15mLの脱イオン水が充填され、そして、膜をすすぐために、4000rpmで10分間、Sorvall Legend RT (ThermoFisher Scientific)中で遠心分離された。その後、残留水が除去されて、2.4mLの HUMIRA(登録商標)液体製剤が、濃縮器チューブに添加されて、25℃で4000rpmで60分間、遠心分離された。10マイクロリットルの保持液を1990マイクロリットルの脱イオン水で希釈して、希釈サンプルの280nmでの吸収を測定して、1.39mL/mg−cmの減衰係数及び希釈ファクターを使用して濃度を計算することによって、保持液の濃度が決定された。濃縮サンプルの粘度が、23℃で250sec−1の剪断速度で、A05チップを具備するmicroVisc粘度計(RheoSense, San Ramon, CA)で測定された。粘度測定後、サンプルは、少量のろ液で希釈され、濃度及び粘度測定が繰り返された。このプロセスは、下記の表34に示すように、アダリムマブ濃度を変化させて粘度値を得るために、使用された。
例35:粘度低減賦形剤でのHUMIRA(登録商標)の再配合
下記の例は、HUMIRA(登録商標)が粘度低減賦形剤で緩衝液中で再配合された一般的なプロセスを記載する。粘度低減賦形剤の溶液は、脱イオン水中に約0.15gヒスチジン及び0.75gカフェイン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を溶解させることによって、20mMヒスチジン中で調製された。得られた溶液のpHは、5M塩酸で約5に調整された。その後、溶液は、脱イオン水でメスフラスコ中の50mLの最終容積に希釈された。その後、得られた緩衝粘度低減賦形剤溶液は、高いmAb濃度でHUMIRA(登録商標)を再配合するために、使用された。次に、約0.8mLのHUMIRA(登録商標)が、30kDa分子量カットオフを持つすすがれたAmicon Ultra 15遠心分離濃縮器チューブに添加され、Sorvall Legend RT中で4000rpm及び25℃で8−10分間、遠心分離された。その後、上記のように調製された約14mLの緩衝粘度低減賦形剤溶液が、遠心分離濃縮器中で濃縮されたHUMIRA(登録商標)に添加された。穏やかな混合の後に、サンプルは、4000rpm及び25℃で約40−60分間、遠心分離された。保持液は、粘度低減賦形剤で緩衝中に再配合された濃縮されたサンプルのHUMIRA(登録商標)であった。サンプルの粘度及び濃度が測定され、そしていくつかの場合は、その後、より低い濃度で粘度を測定するために、少量のろ液で希釈された。粘度測定は、先の例における濃縮されたHUMIRA(登録商標)製剤と同じやり方で、microVisc粘度計で完了した。濃度は、脱イオン水中に希釈されたHUMIRA(登録商標)ストック溶液から生成された標準的な曲線を使用してBradford分析で決定された粘度低減賦形剤でのHUMIRA(登録商標)の再配合は、下記の表35に示すように、再配合しない市販の緩衝液中で濃縮されたHUMIRA(登録商標)の粘度値と比較して、30%〜60%の粘度低減を与えた。
例36:賦形剤としてカフェインを含むアダリムマブ溶液の改善された安定性
カフェイン賦形剤を含むアダリムマブ溶液及び含まないアダリムマブ溶液の安定性は、撹拌及び凍結−解凍という2つの異なるストレス条件にサンプルを暴露した後に、評価された。例34により詳細に記載された特性を有する、アダリムマブ薬物製剤HUMIRA(登録商標)(AbbVie)が使用された。HUMIRA(登録商標)サンプルは、例39に記載するように、元の緩衝溶液中の200mg/mLアダリムマブ濃度に濃縮された;この濃縮されたサンプルは、「サンプル1」と呼ぶ。第2のサンプルは、例40に記載するように、約200mg/mLのアダリムマブ及び15mg/mLの添加されたカフェインで、調製された;添加されたカフェインを含むこの濃縮されたサンプルは、「サンプル2」と呼ぶ。両方のサンプルは、下記の通りに希釈剤で1mg/mLアダリムマブの最終濃度に、希釈された:サンプル1の希釈剤は元の緩衝溶液であり、サンプル2の希釈剤は、20mMヒスチジン、15mg/mLカフェイン、pH=5である。両方のHUMIRA(登録商標)希釈物は、0.22μmシリンジフィルターを通してろ過された。希釈サンプルごとに、各々300μmの3バッチが、層流フード中の2mLエッペンドルフチューブ中で、調製された。サンプルは、下記のストレス条件に付された:撹拌では、サンプルは、オービタルシェーカー中に、300rpmで91時間、置かれた;凍結−解凍では、サンプルは、条件当り平均6時間、−17℃から30℃まで、7回サイクルされた。表36は、調製されたサンプルを記載する。
例37:動的光散乱(DLS)による安定性の評価
例36からのサンプル中のアダリムマブ分子の流体力学的半径を測定するために、及び、凝集物個体群の形成の証拠をさがすために、Brookhaven Zeta Plus動的光散乱機器が、使用された。表37は、例36に従って調製された6個のサンプルのDLS結果を示す:それらのいくつか(1−A、1−FT、2−A、及び2−FT)は、ストレス条件に暴露され(「ストレスを受けたサンプル」)、他のもの(1−C及び2−C)は、ストレスを受けなかった。表37のDLSデータは、カフェインを含有しないストレスを受けたサンプル中のモノクローナル抗体のマルチモダル粒度分布を示す。賦形剤としてカフェインの不存在下に、ストレスを受けたサンプル1−A及び1−FTは、ストレスを受けないサンプル1−Cよりも大きい有効径を示した。追加で、それらは、顕著により大きい直径の粒子の第2の個体群を示した;より大きい直径を持つ粒子のこの新しい集団は、肉眼では見えない粒子への凝集を明白に示す。カフェインを含有するストレスを受けたサンプル(サンプル2−A及び2−FT)のみが、ストレスを受けないサンプル2−Cと同様な粒径で、粒子の1つの個体群を示す。これらの結果は、これらのサンプルにカフェインを加えることで、肉眼では見えない粒子又は凝集物の形成が低減されたことを、例証する。
表38A及び表38Bは、粒度分布を示す例36からのアダリムマブサンプルのDLS生データを、示す。これらの表では、G(d)は、強度加重差分サイズ分布である。C(d)は、累積強度加重差分サイズ分布である。

例38:サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による安定性の評価
例36に記載されたストレスを受けた及びストレスを受けないアダリムマブサンプルからの約0.1ミクロン未満サイズの肉眼では見えない微粒子を検出するために、サイズ排除クロマトグラフィーが使用された。SECを実施するために、ガードカラムを持つTSKgel SuperSW3000 column (Tosoh Biosciences, Montgomeryville, PA)が、使用された。そして、溶出は、280nmで監視された。合計10μLの各々のストレスを受けた及びストレスを受けないサンプル(例36から)が、0.35mL/分の流速で、pH6.2緩衝液(100mMホスフェート、325mM NaCl)と共に、均一濃度で溶出された。アダリムマブモノマーのリテンションタイムは、約9分であった。カフェイン賦形剤を含有するサンプルでは、何の検出可能な凝集物も確認されなかった。そして、すべての3つのサンプル中のモノマーの量は、一定のままであった。
例39:HERCEPTIN(登録商標)製剤の粘度低減
モノクローナル抗体トラスツズマブ(GenentechからのHERCEPTIN(登録商標))が、凍結乾燥粉末として入荷され、DI水中の21mg/mLに再構成された。得られた溶液は、Amicon Ultra 4遠心分離濃縮器チューブ(分子量カットオフ、30kDa)中で、3500rpmで1.5時間、遠心分離することによって、そのまま濃縮された。サンプルを適切な緩衝液で200回希釈して、そして、1.48mL/mgの減衰係数を使用して280nmでの吸収を測定することによって、濃度が測定された。RheoSense microVisc粘度計を使用して、粘度が測定された。
蒸留水中にヒスチジン及び賦形剤を溶解させることによって単独で又は組合せてのいずれかで、その後、pHを適切なレベルに調整することによって、サリチル酸及びカフェインを含有する賦形剤緩衝液が、調製された。緩衝液システム1及び2の条件が、表39に要約される。
HERCEPTIN(登録商標)溶液は、賦形剤緩衝液中で約1:10の比率で希釈され、Amicon Ultra 15 (MWCO 30 kDa)濃縮器チューブ中で濃縮された。濃度は、Bradford分析を使用して決定され、ストックHERCEPTIN(登録商標)サンプルから作製された標準的なキャリブレーション曲線と比較された。粘度は、the RheoSense microVisc粘度計を使用して測定された。様々なHERCEPTIN(登録商標)溶液の濃度及び粘度測定が、下記の表40に示される。ここで、緩衝液システム1及び2は、表39に記載されたそれらの緩衝液を示す。
サリチル酸及びカフェインの両方を含有する緩衝液システム1は、対照サンプルと比較して215mg/mLで76%の最大粘度低減を有した。カフェインだけを含有する緩衝液システム2は、200mg/mLで59%までの粘度低減を有した。
例40:AVASTIN(登録商標)製剤の粘度低減
AVASTIN(登録商標)(Genentechによって市販されているモノクローナル抗体ベバシズマブ製剤)が、ヒスチジン緩衝液中の25mg/mL溶液として入荷された。サンプルは、Amicon Ultra 4遠心分離濃縮器チューブ(MWCO 30 kDa)中で、3500rpmで濃縮された。RheoSense microViscによって、粘度が測定された。280nmでの吸収(減衰係数、1.605mL/mg)によって、濃度が測定された。賦形剤緩衝液は、25mMヒスチジンHClと一緒に10mg/mLカフェインを加えることによって、調製された。AVASTIN(登録商標)ストック溶液は、賦形剤緩衝液で希釈され、その後、Amicon Ultra 15遠心分離濃縮器チューブ(MWCO 30 kDa)中で、濃縮された。賦形剤サンプルの濃度は、Bradford分析によって決定され、粘度は、the RheoSense microViscを使用して、測定された。結果が、下記の表41に示される。
AVASTIN(登録商標)は、対照AVASTIN(登録商標)サンプルと比較して、10mg/mLのカフェインで213mg/mLに濃縮した時、73%の最大粘度低減を示した。
例41:カフェイン、二次賦形剤及び試験タンパク質を含有する製剤の調製
カフェイン及び二次賦形剤及び試験タンパク質の組合せ又は賦形剤化合物としてカフェインを使用して、製剤が調製された。ここで、試験タンパク質は、治療用製剤で使用されるであろう治療用タンパク質をシミュレートすることが意図された。そのような製剤は、下記のやり方で粘度測定用に異なる賦形剤化合物を含む20mMヒスチジン緩衝液中で、調製された。賦形剤の組合せ(下記の表28に記載するように、賦形剤A及びB)を、20mMヒスチジン中に溶解させ、そして、得られた溶液は、モデルタンパク質の溶解よりも前にpH6を達成するために、少量の水酸化ナトリウム又は塩酸でpH調整された。賦形剤溶液が一旦調製されると、試験タンパク質ウシガンマグロブリン(BGG)を、約280mg/mLの最終タンパク質濃度を達成するような比率で、溶解させた。賦形剤溶液中のBGGの溶液は、20mLガラスシンチレーションバイアル中に配合されて、オービタルシェーカーテーブル上で80−100rpmで一晩中、振とうに付された。その後、BGG溶液は、2mLの微量遠心管に移し、粘度測定よりも前に混入した空気を除去するために、IEC MicroMax微量遠心分離機中で2300rpmで約10分間、遠心分離された。
上記のように調製された製剤の粘度測定は、DV−IIT LVコーン及びプレート粘度計(Brookfield Engineering, Middleboro, MA)で実施された。粘度計は、CP−40コーンを具備し、25℃及び3rpmで操作された。製剤が、容積0.5mLで粘度計の中にロードされて、所定の剪断速度及び温度で3分間及びその後の20秒の測定収集時間、インキュベートに付された。その後、これは、1分の剪断インキュベーション及びその後の20秒の測定収集時間から成る2つの追加の工程が続いた。その後、収集された3つのデータポイントが平均化されて、サンプルの粘度として下記の表42に記録された。賦形剤を含む溶液の粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対して正規化された。正規化粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の比率である。
例42:ジメチルスルホン及び試験タンパク質を含有する製剤の調製
試験タンパク質及び賦形剤化合物としてジメチルスルホン(Jarrow Formulas, Los Angeles, CA)を使用して、製剤が調製された。ここで、試験タンパク質は、治療用製剤で使用されるであろう治療用タンパク質をシミュレートすることが意図された。そのような製剤は、下記のやり方で粘度測定用に20mMヒスチジン緩衝液中で、調製された。ジメチルスルホンを、20mMヒスチジン中に溶解させ、そして、得られた溶液は、pH6を達成するために、少量の水酸化ナトリウム又は塩酸でpH調整され、その後、モデルタンパク質の溶解よりも前に0.22ミクロンフィルターを通してろ過された。賦形剤溶液が一旦調製されると、試験タンパク質ウシガンマグロブリン(BGG)を、約280mg/mLの濃度で、溶解させた。賦形剤溶液中のBGGの溶液は、20mLガラスシンチレーションバイアル中に配合されて、オービタルシェーカーテーブル上で80−100rpmで一晩中、振とうに付された。その後、BGG溶液は、2mLの微量遠心管に移し、粘度測定よりも前に混入した空気を除去するために、IEC MicroMax微量遠心分離機中で2300rpmで約10分間、遠心分離された。
上記のように調製された製剤の粘度測定は、DV−IIT LVコーン及びプレート粘度計(Brookfield Engineering, Middleboro, MA)で実施された。粘度計は、CP−40コーンを具備し、25℃及び3rpmで操作された。製剤が、容積0.5mLで粘度計の中にロードされて、所定の剪断速度及び温度で3分間及びその後の20秒の測定収集時間、インキュベートに付された。その後、これは、1分の剪断インキュベーション及びその後の20秒の測定収集時間から成る2つの追加の工程が続いた。その後、収集された3つのデータポイントが平均化されて、サンプルの粘度として記録された。賦形剤を含む溶液の粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対して正規化された。表43に記録された正規化粘度は、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の比率である。
均等物
本発明の具体的な実施形態が本明細書中に開示されているが、上記明細書は例示的であり、限定的ではない。本発明はその好ましい実施態様を参照して特に示され、記載されているが、形式及び細部における様々な変化が、添付された請求項によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく形式及び細部においてなされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。本発明の多くの変形が、本明細書を検討すると、には明らかになるであろう。別途示される場合を除き、本明細書及び請求項において使用されるような、反応条件及び成分の量などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるとして理解されなければならない。したがって、そうでないことが示される場合を除き、本明細書中で示される数値パラメーターは、本発明によって得られようと求められる所望の性質に依存して変わり得る近似値である。

Claims (39)

  1. 下記の工程を含む、タンパク質関連プロセスのパラメーターを改善する方法:
    ヒンダードアミン、アニオン性芳香族、機能化アミノ酸、オリゴペプチド、短鎖有機酸、低分子量脂肪族ポリ酸、及びジオン及びスルホンから成る群から選択される少なくとも1つの賦形剤化合物を含む粘度低減賦形剤添加剤を与えること、及び
    タンパク質関連プロセス用のキャリヤー溶液に、粘度低減量の少なくとも1つの賦形剤化合物を加えることであって、しかも、キャリヤー溶液が、対象のタンパク質を含有すること、
    それによって、パラメーターを改善すること。
  2. パラメーターが、タンパク質の製造コスト、タンパク質の製造量、タンパク質の製造速度、及びタンパク質の製造効率から成る群から選択される、請求項1の方法。
  3. パラメーターがプロキシパラメーターである、請求項1の方法。
  4. タンパク質関連プロセスが、上流の加工プロセスである、請求項1の方法。
  5. 上流の加工プロセス用のキャリヤー溶液が、細胞培養培地である、請求項4の方法。
  6. キャリヤー溶液に賦形剤添加剤を加える工程が、補足媒体に賦形剤添加剤を加えて賦形剤含有補足媒体を形成する第1のサブステップと、細胞培養培地に賦形剤含有補足媒体を加える第2のサブステップとを含む、請求項5の方法。
  7. タンパク質関連プロセスが、下流の加工プロセスである、請求項1の方法。
  8. 下流の加工プロセスが、クロマトグラフィープロセスである、請求項7の方法。
  9. クロマトグラフィープロセスが、タンパク質−Aクロマトグラフィープロセスである、請求項8の方法。
  10. クロマトグラフィープロセスが、対象のタンパク質を回収し、しかも、対象のタンパク質が、対照溶液と比較して、改善された純度、改善された収率、より少ない粒子、より少ないミスフォールディング、又は、より少ない凝集から成る群から選択される改善されたタンパク質関連パラメーターによって特徴付けられる、請求項8の方法。
  11. 改善されたタンパク質関連パラメーターが、クロマトグラフィープロセスからの対象のタンパク質の改善された収率である、請求項10の方法。
  12. タンパク質関連プロセスが、ろ過、注入、シリンジ注入、ポンプ移送、混合、遠心分離、膜分離、及び凍結乾燥から成る群から選択されるプロセスである、請求項1の方法。
  13. プロセスが、対照プロセスよりも少ない力を要求する、請求項12の方法。
  14. タンパク質関連プロセスが、細胞培養物プロセス、細胞培養物収穫プロセス、クロマトグラフィープロセス、ウイルス不活化プロセス、及びろ過プロセスから成る群から選択される、請求項1の方法。
  15. タンパク質関連プロセスが、ウイルス不活化プロセスであり、ウイルス不活化プロセスが、約2.5〜約5.0のpHレベルで実施される、請求項14の方法。
  16. タンパク質関連プロセスが、ウイルス不活化プロセスであり、ウイルス不活化プロセスが、対照プロセスよりも高いpHで実施される、請求項15の方法。
  17. タンパク質関連プロセスがろ過プロセスである、請求項14の方法。
  18. ろ過プロセスが、ウイルス除去ろ過プロセス又は限外ろ過/透析ろ過プロセスである、請求項17の方法。
  19. ろ過プロセスが、改善されたろ過関連パラメーターによって特徴付けられる、請求項17の方法。
  20. 改善されたろ過関連パラメーターが、対照溶液のろ過速度よりも高速のろ過速度である、請求項19の方法。
  21. 改善されたろ過関連パラメーターが、対照ろ過プロセスによって製造される凝集タンパク質の量よりも少量の凝集タンパク質の製造である、請求項19の方法。
  22. 改善されたろ過関連パラメーターが、対照ろ過プロセスの物質移動効率よりも高い物質移動効率である、請求項19の方法。
  23. 改善されたろ過関連パラメーターが、対照ろ過プロセスによって製造される対象のタンパク質の濃度又は収率よりも対象のタンパク質のより高い濃度又はより高い収率である、請求項19の方法。
  24. 粘度低減賦形剤添加剤が、2つ以上の賦形剤化合物を含む、請求項1の方法。
  25. 少なくとも1つの賦形剤化合物が、ヒンダードアミンである、請求項1の方法。
  26. 少なくとも1つの賦形剤化合物が、カフェイン、サッカリン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、テオフィリン、タウリン、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、ナイアシンアミド、及びイミダゾールから成る群から選択される、請求項25の方法。
  27. 少なくとも1つの賦形剤化合物が、カフェイン、タウリン、ナイアシンアミド、及びイミダゾールから成る群から選択される、請求項26の方法。
  28. 少なくとも1つの賦形剤化合物が、アニオン性芳香族賦形剤である、請求項1の方法。
  29. アニオン性芳香族賦形剤が、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸である、請求項28の方法。
  30. 粘度低減量が、少なくとも1つの賦形剤化合物の約1mg/mL〜約100mg/mLの間である、請求項1の方法。
  31. 粘度低減量が、少なくとも1つの賦形剤化合物の約1mM〜約400mMの間である、請求項1の方法。
  32. 粘度低減量が、約2mM〜約150mMの量である、請求項31の方法。
  33. キャリヤー溶液が、防腐剤、糖、多糖、アルギニン、プロリン、界面活性剤、安定剤、及び緩衝剤から成る群から選択される添加剤を含む、請求項1の方法。
  34. 対象のタンパク質が、治療用タンパク質である、請求項1の方法。
  35. 治療用タンパク質が、モノクローナル抗体、ポリクロナール抗体、抗体フラグメント、融合タンパク質、PEG化タンパク質、抗体−薬物コンジュゲート、合成ポリペプチド、タンパク質フラグメント、リポタンパク質、酵素、及び構造ペプチドから成る群から選択される、請求項34の方法。
  36. 治療用タンパク質が、組み換えタンパク質である、請求項34の方法。
  37. キャリヤー溶液に第2の粘度低減賦形剤を加える工程を更に含み、しかも、第2の粘度低減化合物を加える工程が、パラメーターに追加の改善を加える、請求項1の方法。
  38. 粘度低減添加剤、及び対象のタンパク質が溶解している液体媒体:を含むキャリヤー溶液であって、
    しかも、対照溶液よりも低い粘度を有する、前記のキャリヤー溶液。
  39. キャリヤー溶液が、防腐剤、糖、多糖、アルギニン、プロリン、界面活性剤、安定剤、及び緩衝剤から成る群から選択される添加剤を更に含む、請求項38のキャリヤー溶液。
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