JP2020203852A - pH応答性溶出剤、pH応答性溶出剤被覆造粒物、食品および医薬品 - Google Patents

pH応答性溶出剤、pH応答性溶出剤被覆造粒物、食品および医薬品 Download PDF

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Abstract

【課題】生理活性物質からなる有効成分の被覆剤(保護剤)として使用したときに、酸性条件下で有効成分の放出を抑制する胃液耐性を有するとともに、中性条件下で有効成分を効果的に放出し得るpH応答性溶出剤を提供する。【解決手段】アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを含むことを特徴とするpH応答性溶出剤であり、好ましくは、固形分換算で、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上を15〜40質量%含むとともに、前記加工デンプンを30〜70質量%含むpH応答性溶出剤であり、より好ましくは、固形分換算で、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを、合計で50〜100質量%含むとともに、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上の合計質量/前記加工デンプンの質量で表される比が、20/80〜50/50となるように含むpH応答性溶出剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、pH応答性溶出剤、pH応答性溶出剤被覆造粒物、食品および医薬品に関する。
医薬品組成物や栄養機能補助食品の有効成分となる生理活性物質、例えば、酵素や乳酸菌、ローヤルゼリーなどの生理活性物質は、酸に弱いことから、胃酸から保護されつつ小腸へ到達することが望まれる。また、トウガラシやニンニク、鉄等の生理活性物質を多量に含有し、胃に負担をかけてしまう栄養機能補助食品においても、保護された状態で小腸まで到達することが望まれる。
上記医薬品や食品の有効成分を、胃では保護し小腸まで到達させるための被覆剤(保護剤)として、酸性条件下では溶解せず中性条件下で溶解する成分が求められていた。
このような医薬品や食品の被覆剤として、例えば、特許文献1(国際公開第2016/193034号パンフレット(WO2016/193034A1))には、アルギン酸ナトリウム含有物が提案されるようになっている。
WO2016/193034A1
ところで、医薬品組成物や栄養機能食品の有効成分を被覆剤で保護し、胃液耐性および腸溶性を有する製剤に使用する場合、日本薬局方溶出試験により第一液で2時間処理したときに、有効成分の放出量が、10質量%以下である耐酸性(胃液耐性)を有することが好ましく、5質量%以下である耐酸性(胃液耐性)を有することがより好ましい。
得ようとする製剤が上記耐酸性を有することにより、酸感受性の医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が抑制され、胃の粘膜を刺激する医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分が、多量に放出され難くなる。
一方、上記製剤は、日本薬局方溶出試験により第二液で1時間処理したときに、有効成分の放出量が、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。
得ようとする製剤が上記中性領域における有効成分の放出性(有効成分の溶出性)を有することにより、小腸内において有効成分を効果的に吸収することが可能になる。
しかしながら、本発明者等が検討したところ、製剤の被覆剤にアルギン酸ナトリウムを用いた場合、日本薬局方溶出試験により第一液で2時間処理したときに、有効成分が10質量%を超えて著量放出され得ることが判明した。
また、製剤の被覆剤として、アセチル化デンプンやアミロースの含有量の高いデンプン等の加工デンプンを用いることも考えられるが、製剤の被覆剤に加工デンプンを用いた場合、加工デンプンは、pH応答性を有さず単に経時的に溶出するものであることから、有効成分の放出を制御することが困難であることが判明した。
このような状況下、本発明は、生理活性物質からなる有効成分の被覆剤(保護剤)として使用したときに、酸性条件下で有効成分の放出を抑制する胃液耐性を有するとともに、中性条件下で有効成分を効果的に放出し得るpH応答性溶出剤を提供するとともに、pH応答性溶出剤被覆造粒物、食品および医薬品を提供することを目的とするものである。
上記技術課題を解決するために、本発明者等がさらに検討したところ、驚くべきことに、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを含むpH応答性溶出剤により、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、
(1)アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを含むことを特徴とするpH応答性溶出剤、
(2)固形分換算で、前記アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上を15〜40質量%含むとともに、前記加工デンプンを30〜70質量%含む上記(1)に記載のpH応答性溶出剤、
(3)固形分換算で、前記アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを、合計で50〜100質量%含むとともに、前記アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上の合計質量/前記加工デンプンの質量で表される比が、20/80〜50/50となるように含む上記(1)に記載のpH応答性溶出剤、
(4)前記アルギン酸塩が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸リチウム、アルギン酸アンモニウム等から選ばれる一種以上である上記(1)に記載のpH応答性溶出剤、
(5)前記加工デンプンが、アセチル化デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸化架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプンおよびリン酸架橋デンプンから選ばれる一種以上である上記(1)に記載のpH応答性溶出剤、
(6)生理活性物質を含有する芯材の外表面上に、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のpH応答性溶出剤からなる被覆層を有することを特徴とするpH応答性溶出剤被覆造粒物、
(7)上記(6)に記載のpH応答性溶出剤被覆造粒物を含むことを特徴とする食品、
(8)上記(6)に記載のpH応答性溶出剤被覆造粒物を含むことを特徴とする医薬品
を提供するものである。
本発明によれば、生理活性物質からなる有効成分の被覆剤(保護剤)として使用したときに、酸性条件下で有効成分の放出を抑制する胃液耐性を有するとともに、中性条件下で有効成分を効果的に放出し得るpH応答性溶出剤を提供するとともに、pH応答性溶出剤被覆造粒物、食品および医薬品を提供することができる。
本発明の実施例における評価結果を示す図である。 本発明の比較例における評価結果を示す図である。 本発明の比較例における評価結果を示す図である。
先ず、本発明に係るpH応答性溶出剤について説明する。
本発明に係るpH応答性溶出剤は、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを含むことを特徴とするものである。
アルギン酸は、β−D−マンヌロン酸およびそのC−5エピマーであるα−L−グルロン酸といういずれもカルボキシルを有する二種の単糖が(1−4)−結合した直線状のポリマーである。
α−L−グルロン酸残基(G)を構成単位とするブロックは固く、六残基以上からなるGブロックは二価カチオン(Ca2+等)と安定な複合体を成し三次元ゲルを形成する。
一般にG単位(α−L−グルロン酸残基)の含有割合の高いアルギン酸は、生理活性物質を被覆する被覆剤の構成成分として使用したときに所望のpH応答溶出性を発揮し難いが、本発明に係るpH応答性溶出剤によれば、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを含むことから、G単位(α−L−グルロン酸残基)の含有割合の高低に拘わらず、所望のpH応答溶出性を容易に発揮することができる。
アルギン酸またはアルギン酸塩としては、1質量%の水溶液としたときに、その粘度が、30センチポアズ(cp)〜720cpであるものが好ましく、40cp〜450cpであるものがより好ましく、40cp〜400cpであるものがさらに好ましい(なお、1cP=1mPa・s[mPas]である)。
本出願書類において、上記アルギン酸またはアルギン酸塩の粘度は、欧州薬局方(European Pharmacopeia) 第7版、総則(general chapter)2、分析法(methods of analysis)、2.2.8および2.2.10、第27頁以降に記載された方法に従ってスピンドル式粘度計を使用して測定される値を意味する。
より具体的には、先ず、3gのアルギン酸またはアルギン酸塩を、ビーカー中で250mlの蒸留水と混合し、オーバーヘッドスターラーを使用して800rpmで撹拌した後、ビーカーの壁をすすぎながら47mlの蒸留水を加えて2時間にわたり撹拌し、完全に溶液化した1質量%の水溶液を得る。次いで、25℃(77゜F)の温度下において、LV型のブルックフィールド粘度計を用い、100cP以上の粘度を有する試料の場合は2番スピンドルを用いて60rpmで、100cPを下回る粘度を有する試料の場合は1番スピンドルを用いて60rpmで測定したときの値を意味する。
なお、水の重さは25℃であってもほぼ正確に1g/mlであるので、本出願書類において、質量%((質量/質量)×100)は、(質量/容量)×100による算出値を同等とみなすものとする。
本発明に係るpH応答性溶出剤において、アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸リチウム、アルギン酸アンモニウム等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明に係るpH応答性溶出剤において、加工デンプンとは、食品衛生法で添加物に指定された化学的処理を施された澱粉であって食用として供されるものを意味する。
加工デンプンとしては、アセチル化デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸化架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプンおよびリン酸架橋デンプン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明に係るpH応答性溶出剤は、固形分換算で、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上を、10〜45質量%含むことが好ましく、15〜40質量%含むことがより好ましく、20〜35質量%含むことがさらに好ましい。
本発明に係るpH応答性溶出剤は、固形分換算で、加工デンプンを20〜70質量%含むことが好ましく、30〜70質量%含むことがより好ましく、40〜65質量%含むことがさらに好ましい。
本発明に係るpH応答性溶出剤は、固形分換算で、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを、合計で、40〜100質量%含むことが好ましく、50〜100質量%含むことがより好ましく、65〜90質量%含むことがさらに好ましい。
本発明に係るpH応答性溶出剤は、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを、固形分換算で、「アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上の合計質量/加工デンプンの質量」で表される比が、10/90〜60/40となるように含むことが好ましく、20/80〜50/50となるように含むことがより好ましく、30/70〜40/60となるように含むことがさらに好ましい。
上述したように、生理活性物質の被覆剤の構成成分としてアルギン酸またはアルギン酸塩を使用した場合、所望のpH応答溶出性を発揮し難いが、本発明者等が検討したところ、これはアルギン酸またはアルギン酸塩を含む溶液が高粘度化し易く、このためにpH応答溶出性を発揮するアルギン酸またはアルギン酸塩を含む固形分の含有割合を増加させ難いためであることが判明した。
これに対して、本発明に係るpH応答溶出剤は、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを含むことにより、pH応答性溶出剤の粘度の上昇を抑制しつつ所望のpH応答溶出性を容易に発揮することができる。
本発明に係るpH応答性溶出剤は、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプン以外に、例えば、アミロース等のデンプン、セルロース等の多糖類、ポリビニルアルコール等の重合体(共重合体)等から選ばれる一種以上を含んでもよく、アミロース等のデンプンを含むことが好ましい。
本発明に係るpH応答性溶出剤がアミロース等のデンプンを含む場合、その含有割合は、固形分換算で、20〜70質量%であることが好ましく、30〜65質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることがさらに好ましい。
本発明に係るpH応答性溶出剤がアミロース等のデンプンを含むことにより、生理活性物質の被覆膜(保護膜)として使用したときに、耐水性(水不溶性)を容易に発揮して、優れた耐酸性(胃液耐性)を容易に発揮することができる。
本発明に係るpH応答性溶出剤は、固形状のものであってもよいし、適宜不活性溶媒に分散させた液体状のものであってもよい。
本発明に係るpH応答性溶出剤が液体状のものである場合、その固形分含有割合は、5〜12質量%、2〜6質量%または5〜10質量%から選択され得る。
本発明に係るpH応答性溶出剤は、アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを含むものであることにより、固形分含有割合の高い液体状物とすることができる。
本発明に係るpH応答性溶出剤は、生理活性物質からなる有効成分の被覆剤(保護剤)として使用したときに、日本薬局方溶出試験法により第一液で2時間処理時における有効成分の放出量が、10質量%以下である耐酸性(胃液耐性)を有することが好ましく、8質量%以下である耐酸性(胃液耐性)を有することがより好ましく、5質量%以下である耐酸性(胃液耐性)を有することがさらに好ましい。
また、本発明に係るpH応答性溶出剤は、生理活性物質からなる有効成分の被覆剤(保護剤)として使用したときに、日本薬局方溶出試験により第二液で1時間処理時における有効成分の放出量が、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、日本薬局方溶出試験とは、第十七改正日本薬局方一般試験法、項目6.10溶出試験法に記載のパドル法による測定方法を意味する。
本発明によれば、生理活性物質からなる有効成分の被覆剤(保護剤)として使用したときに、酸性条件下で有効成分の放出を抑制する胃液耐性を有するとともに、中性条件下で有効成分を効果的に放出し得るpH応答性溶出剤を提供することができる。
次に、本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物について説明する。
本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物は、生理活性物質を含有する芯材の外表面上に、本発明に係るpH応答性溶出剤からなる被覆層を有することを特徴とするものである。
本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物において、芯材は、生理活性物質を含むものであり、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分等の生理活性物質を含むものが適当である。
栄養機能食品(nutraceuticals)は、ノイトラシューティカルズ(neutraceuticals)とも称され、ヒトの健康に医療効果を及ぼすとされる食品の抽出物であれば特に制限されない。
栄養機能食品としては、例えば、抗酸化剤としてのブドウ生成物由来のレスベラトロール、可溶性食物繊維生成物(例えば高コレステロール血症を軽減するためのオオバコ種殻)、がん予防剤(cancer preservative)としてのブロッコリー(スルファン)および動脈の健康を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)、フルボノイド(flvonoid)、抗酸化剤、アマニ由来のα−リノレン酸、マリーゴールドの花弁由来のβ−カロテンまたはベリー類由来のアントシアニン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
医薬品有効成分としては、例えば、鎮痛薬、抗生物質もしくは抗感染薬、抗体、抗てんかん薬、植物由来の抗原、抗リウマチ薬、ベータ遮断薬、ベンゾイミダゾール誘導体、ベータ遮断薬、心臓血管薬、化学療法剤、CNS薬、ジギタリス配糖体、胃腸薬、例えばプロトンポンプ阻害薬、酵素、ホルモン、液体または固体の天然抽出物、オリゴヌクレオチド、ペプチドホルモンタンパク質、治療用細菌、ペプチド、タンパク質、プロトンポンプ阻害剤、(金属)塩、例えばアスパラギン酸塩、塩化物、オロト酸塩(orthates)、泌尿器薬、ワクチン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
芯材を構成する生理活性物質の含有割合は、固形分換算で、0質量%を超え80質量%以下、0質量%を超え60質量%以下、0質量%を超え50質量%以下、0質量%を超え30質量%以下、5質量%〜95質量%、10質量%〜70質量%、25質量%〜60質量%、30質量%〜55質量%、30質量%〜50質量%、10質量%〜30質量%または5質量%〜20質量%から選択され得る。
本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物において、芯材は、さらに水不溶性ポリマーや、賦形剤を含んでもよい。
本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物において、水不溶性ポリマーとしては、特に制限されず、公知のものを使用することができる。
水不溶性ポリマーは、市販品であってもよく、例えば、EUDRAGIT(登録商標)NE、EUDRAGIT(登録商標)NM、EUDRAGIT(登録商標)RLおよびEUDRAGIT(登録商標)RS(いずれも、エボニック社製)から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物において、芯材が水不溶性ポリマーを含有する場合、芯材中に占める水不溶性ポリマーの含有割合は、固形分換算で、5質量%〜80質量%、10質量%〜50質量%または15質量%〜40質量%から選択され得る。
本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物において、賦形剤としては、例えば、酸化防止剤、増白剤、結合剤、フレーバリング剤、流動助剤、芳香剤、滑沢剤、浸透促進剤、顔料、可塑剤、孔形成剤、安定化剤等から選ばれる一種以上や、アルギン酸、アルギン酸塩および水不溶性ポリマーとは異なるポリマーを挙げることができる。
本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物において、芯材が賦形剤を含有する場合、芯材中に占める賦形剤の含有割合は、固形分換算で、0質量%を超え90質量%以下、0質量%を超え80質量%以下、0質量%を超え70質量%以下、0質量%を超え60質量%以下、0質量%を超え50質量%以下、0質量%を超え40質量%以下または0質量%を超え30質量%以下から選択され得る。
本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物において、芯材は、例えば、水不溶性ポリマーのマトリックス中に、生理活性物質と、必要に応じて賦形剤等とを分散させた後、公知の方法によって球形等の形状に成形することによって作製することができる。
例えば、上記芯材の構成成分からなる混合材料を、直接圧縮して成形したり、乾燥顆粒、湿潤顆粒もしくは焼結顆粒の圧縮により成形したり、押出に引き続いての丸み付けにより成形したり、湿式造粒もしくは乾式造粒により成形したり、または直接的にペレット化することにより成形することができる。
本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物において、芯材の外表面を被覆する(被覆層の構成材料となる)本発明に係るpH応答性溶出剤の詳細は、上述したとおりである。
本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物において、芯材の外表面を被覆する被覆層の被覆量は、芯材の外表面1cmあたり、固形分換算で、1〜5mg(1〜5mg/cm)、5〜10mg(5〜10mg/cm)、10〜25mg(10〜25mg/cm)から選択され得る。
本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物において、芯材の外表面に本発明に係るpH応答性溶出剤を被覆して被覆層を形成する場合、例えば、上記方法で得られた芯材の外表面に対し、本発明に係るpH応答性溶出剤を予め水または有機溶剤に分散して調製した水性分散液もしくは有機溶液を、噴霧法もしくは流動床噴霧造粒法によって塗布することによって被覆層を形成することができる。
本発明によれば、生理活性物質からなる有効成分の被覆剤(保護剤)として、本発明に係るpH応答性溶出剤を使用してなるものであることから、酸性条件下で有効成分の放出を抑制する胃液耐性を有するとともに、中性条件下で有効成分を効果的に放出し得るpH応答性溶出剤被覆造粒物を提供することができる。
次に、本発明に係る食品および医薬品について説明する。
本発明に係る食品は、本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物を含むことを特徴とするものである。
また、本発明に係る医薬品は、本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物を含むことを特徴とするものである。
本発明に係る食品および医薬品は、各々、本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物として、生理活性物質を含有する芯材として医薬品有効成分および栄養機能食品有効成分を有するものである。
本発明に係る食品または医薬品は、本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物を含むものであれば、その形態は特に限定されない。
本発明に係る食品または医薬品の形態は、本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物そのものであってもよいし、本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物を含有する、被覆錠剤、被覆小型錠剤、被覆ペレット剤、被覆顆粒剤、サシェ剤、被覆ペレットもしくは粉末もしくは顆粒で充填されたカプセル剤、または被覆ペレットもしくは粉末もしくは顆粒で充填された被覆カプセル剤であってよい。
本発明によれば、本発明に係るpH応答性溶出剤被覆造粒物を含むものであることから、酸性条件下で有効成分の放出を抑制する胃液耐性を有するとともに、中性条件下で有効成分を効果的に放出し得る食品または医薬品を提供することができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれ等の例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)アルギン酸ナトリウムとアセチル化デンプンを含むpH応答型溶出剤コーティング
下記組成となるように、コーティング成分混合物を処方した。
(コーティング成分混合物処方)
アセチル化デンプン:65.0g
アルギン酸ナトリウム:35.0g
グリセロール:13.0g
タルク:17.5g
上記コーティング成分混合物を総固形分濃度10質量%となるよう加熱した精製水に溶解ないし分散してpH応答性溶出剤を調製した。
次いで、L-トリプトファンを69.4質量%含む錠剤に対しドラム式錠剤コーティング機を用いて上記pH応答性溶出剤を固形分換算で25mg/cmとなるようにコーティングし、目的とするコーティング錠を得た。
上記コーティング錠に対し、第一七改正日本薬局方、一般試験法、項目6.10溶出試験法のパドル法に規定される装置及び操作にて溶出試験を行った。
溶出試験第一液(pH1.2)および溶出試験第二液(pH6.8)中における、錠剤中のL-トリプトファン溶出割合(質量%)の経時変化を測定した結果を、各々図1の(a)および(b)に示す。
なお、比較のために、上記コーティング処理を施さないL-トリプトファンを69.4質量%含む錠剤についても、同様に溶出試験第一液(pH1.2)および溶出試験第二液(pH6.8)で各々処理して、錠剤中のL-トリプトファン溶出割合(質量%)の経時変化を測定した結果を図中に併記する。
(比較例1)アルギン酸ナトリウムを含むpH応答型溶出剤コーティング
下記組成となるようにコーティング成分混合物を処方した。
(コーティング成分混合物処方)
アルギン酸ナトリウム:100.0g
タルク:50.0g
上記コーティング成分混合物を総固形分濃度5質量%となるよう精製水に溶解ないし分散してpH応答性溶出剤を調製した。
次いで、L-トリプトファンを69.4質量%含む錠剤に対しドラム式錠剤コーティング機を用いて上記pH応答性溶出剤を、各々、固形分換算で、4mg/cm、8mg/cm、13.5mg/cmとなるようにコーティングし、目的とするコーティング錠を得た。
上記コーティング錠に対し、第一七改正日本薬局方、一般試験法、項目6.10溶出試験法のパドル法に規定される装置及び操作にて溶出試験を行った。
溶出試験第一液(pH1.2)および溶出試験第二液(pH6.8)中における、錠剤中のL-トリプトファン溶出割合(質量%)の経時変化を測定した結果を、各々図2の(a)および(b)に示す。
なお、比較のために、上記コーティング処理を施さないL-トリプトファンを69.4質量%含む錠剤についても、同様に溶出試験第一液(pH1.2)および溶出試験第二液(pH6.8)で各々処理して、錠剤中のL-トリプトファン溶出割合(質量%)の経時変化を測定した結果を図中に併記する。
(比較例2)アセチル化デンプンを含むpH非応答型溶出剤コーティング
下記組成となるようにコーティング成分混合物を処方した。
(コーティング成分混合物処方)
アセチル化デンプン:100.0g
グリセロール:20.0g
タルク:50.0g
上記コーティング成分混合物を総固形分濃度10質量%となるように加熱した精製水に溶解或いは分散して、pH非応答型溶出剤を調製した。
次いで、L-トリプトファンを69.4質量%含む錠剤に対し、ドラム式錠剤コーティング機を用いて上記pH非応答性溶出剤を25mg/cmとなるようにコーティングして、目的とするコーティング錠を得た。
上記コーティング錠に対し、第一七改正日本薬局方、一般試験法、項目6.10溶出試験法のパドル法に規定される装置及び操作にて溶出試験を行った。
溶出試験第一液(pH1.2)および溶出試験第二液(pH6.8)中における、錠剤中のL-トリプトファン溶出割合(質量%)の経時変化を測定した結果を、各々図3の(a)および(b)に示す。
なお、比較のために、上記コーティング処理を施さないL-トリプトファンを69.4質量%含む錠剤についても、同様に溶出試験第一液(pH1.2)および溶出試験第二液(pH6.8)で各々処理して、錠剤中のL-トリプトファン溶出割合(質量%)の経時変化を測定した結果を図中に併記する。
図1より、実施例1においては、L-トリプトファンを含む錠剤に対し、アルギン酸塩と加工デンプンとを含むpH応答性溶出剤をコーティングしていることから、酸性条件下(pH1.2)で有効成分であるL-トリプトファンの放出を抑制する胃液耐性を有するとともに、中性条件下(pH6.8)で有効成分を効果的に放出し得るpH応答性を発揮し得ることが分かる。
一方、図2より、比較例1においては、L-トリプトファンを含む錠剤に対し、アルギン酸塩を含むが加工デンプンを含まないpH応答性溶出剤をコーティングしていることから、酸性条件下(pH1.2)で有効成分であるL-トリプトファンの放出を抑制し得ず、胃液耐性を有さないことが分かる。
また、図3より、比較例2においては、L-トリプトファンを含む錠剤に対し、加工デンプンを含むがアルギン酸またはアルギン酸塩を含まないpH非応答性溶出剤をコーティングしていることから、中性条件下(pH6.8)で有効成分を効果的に放出し得ないことが分かる。
本発明によれば、生理活性物質からなる有効成分の被覆剤(保護剤)として使用したときに、酸性条件下で有効成分の放出を抑制する胃液耐性を有するとともに、中性条件下で有効成分を効果的に放出し得るpH応答性溶出剤を提供するとともに、pH応答性溶出剤被覆造粒物、食品および医薬品を提供することができる。

Claims (8)

  1. アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを含むことを特徴とするpH応答性溶出剤。
  2. 固形分換算で、前記アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上を
    15〜40質量%含むとともに、前記加工デンプンを30〜70質量%含む請求項1に記載のpH応答性溶出剤。
  3. 固形分換算で、前記アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上と加工デンプンとを、合計で50〜100質量%含むとともに、前記アルギン酸およびアルギン酸塩から選ばれる一種以上の合計質量/前記加工デンプンの質量で表される比が、20/80〜50/50となるように含む請求項1に記載のpH応答性溶出剤。
  4. 前記アルギン酸塩が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸リチウム、アルギン酸アンモニウム等から選ばれる一種以上である請求項1に記載のpH応答性溶出剤。
  5. 前記加工デンプンが、アセチル化デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸化架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプンおよびリン酸架橋デンプンから選ばれる一種以上である請求項1に記載のpH応答性溶出剤。
  6. 生理活性物質を含有する芯材の外表面上に、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のpH応答性溶出剤からなる被覆層を有することを特徴とするpH応答性溶出剤被覆造粒物。
  7. 請求項6に記載のpH応答性溶出剤被覆造粒物を含むことを特徴とする食品。
  8. 請求項6に記載のpH応答性溶出剤被覆造粒物を含むことを特徴とする医薬品。
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