JP2020203380A - 多層フィルム、積層体、積層体の製造方法、及びエアバッグ - Google Patents

多層フィルム、積層体、積層体の製造方法、及びエアバッグ Download PDF

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Abstract

【課題】高温及び/又は高湿の環境下での耐久性に優れた積層体の製造を可能にする多層フィルムを提供する。【解決手段】ポリエステルを含む基布に接着して使用される多層フィルムであって、前記基布に接着される側となる接着層と、当該接着層に結合されている気密層とを有し、前記接着層は、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーを含み、前記気密層の融点は前記接着層の融点よりも高い。【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルム、積層体、積層体の製造方法、及びエアバッグに関する。
従来、基布とその上に積層されたフィルムとを備えた積層体が知られている。例えば、特許文献1には、車両用エアバッグとして使用される積層体であって、経糸及び緯糸を有する織物にフィルムがドライラミネートされてなるものが開示されている。
国際公開第2015/065273号
ところで、上記のような積層体は、温度若しくは湿度、又はその両方が高い環境で使用されることがある。そのため、近年、積層体には、そのような厳しい環境下での耐久性の向上が求められている。
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、高温及び/又は高湿での積層体の耐久性については、何ら検討されていない。
上記の点に鑑みて、本発明の一形態は、高温及び/又は高湿の環境下での耐久性に優れた積層体の製造を可能にする多層フィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一形態は、ポリエステルを含む基布に接着して使用される多層フィルムであって、前記基布に接着される側となる接着層と、当該接着層に結合されている気密層とを有し、前記接着層は、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーを含み、前記気密層の融点は前記接着層の融点よりも高い。
本発明の一形態によれば、高温及び/又は高湿の環境下での耐久性に優れた積層体の製造を可能にする多層フィルムを提供することができる。
本発明の一形態による多層フィルムの模式的な断面図である。 本発明の一形態による多層フィルムの模式的な断面図である。 本発明の一形態による多層フィルムの模式的な断面図である。 本発明の一形態による積層体の模式的な断面図である。 本発明の一形態による積層体の模式的な断面図である。 本発明の一形態による積層体を製造するための装置の模式図である。 本発明の一形態による積層体の製造工程における基布と多層フィルムとの積層について説明する模式図である。
(多層フィルム)
本発明の一形態による多層フィルムは、ポリエステルを含む基布に接着して使用されるものであって、基布に接着される側となる接着層と、接着層に結合されている気密層とを有し、接着層は、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーを含み、気密層の融点は接着層の融点よりも高い。
図1に、多層フィルムの一例を模式的な断面図で示す。図1の例では、多層フィルム1は、気密層4と、この気密層4に接合されている、すなわち気密層4に直接的に結合されている接着層2とを有する。多層フィルム1は、基布に接着させて使用することができ、接着の際には、接着層2は、基布に接着される側となる。多層フィルム1が基布に接着されて図4に示すような積層体10が形成される場合、接着層2は、基布8に直接的に積層され、得られた積層体10中では、基布8と気密層4との間に挟まれた内部の層となる。よって、接着層2は、気密層4と基布8とを結合させる層ともいえる。
本明細書において、気密層とは、当該層の内外で気体を流通させない機能(以下、気密機能ともいう)を有する層である。また、接着層とは、基布に対する接着性を示す層であり、この接着性は、所定の条件下、例えば温度及び/又は圧力を上昇させた条件下で軟化又は融解させることにより発現されるものであってよい。
本形態では、多層フィルムが、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーを含む接着層を有することによって、多層フィルムを、ポリエステルを含む基布に接着させて積層体を作製した場合に、高温及び/又は高湿の環境下での耐久性に優れた積層体を得ることができる。なお、本明細書では、高温とは、常温を超える温度を指し、高湿とは、常湿を超える湿度を指す。ここで、常温とは、5〜35℃の温度範囲を指し、常湿とは、45〜85%の相対湿度の範囲を指す。よって、本形態の多層フィルムは、35℃を超える温度及び/又は85%を超える相対湿度の条件下で所定時間保存された後であっても、優れた耐久性を示すことができる。また、本形態の多層フィルムは、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上の温度条件であっても、且つ/又は好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の湿度条件であっても、優れた耐久性を示すことができる。また、上記の高温及び高湿条件下で、例えば、84時間以上、より好ましくは168時間以上、さらに好ましくは408時間以上で保存した後であっても優れた耐久性を示すことができる。
積層体の耐久性は、例えば、多層フィルムと基布とを接着させて積層体を作製し、その積層体を、上述のような高温及び/又は高湿の環境下で所定時間保存した後、多層フィルムと基布との間での耐層間剥離性(剥離強度又は破壊強度)を測定することによって評価することができる。この耐層間剥離性の評価には、多層フィルム内の各層間での耐層間剥離性の評価を含めることができる。
多層フィルムは、気密層と接着層とを有する少なくとも2層を有する多層構造となっている。これにより、多層フィルムを基布へ接着させる際の接着機能と、得られる積層体における気密機能とを各層に別個に持たせることができる。そのため、本形態による多層フィルムを用いた場合、単層フィルムを基布に接着させる場合と比べて、多層フィルムの接着機能と気密機能との両方を確実に発揮する高品質の積層体を製造することができる。
また、気密層の融点は、接着層の融点よりも高くなっている。このように、本形態では、気密層及び接着層の各層に、熱に対する挙動が異なる材料を用いているため、多層フィルムを加熱して基布に接着させる場合、気密層の軟化を抑えつつ、接着層を、基布との接着に適した柔らかさに軟化又は融解させることができる。これにより、製造時の温度や圧力の条件の変動があっても、基布への確実な接着と多層フィルムの気密性の維持とを両立させて積層体を製造することができる。
上述のように接着層が接着機能を発揮できるため、多層フィルムは、別途接着剤等を用いることなく、基布に良好に接着させることができる。これにより、接着剤の使用による手間やコストを低減することができる。また、長期間使用する場合や高温高湿の環境下で使用する場合等に、接着剤の変質によって積層体が柔軟性を失ったり、層間剥離が生じたりすることを防止できる。
本明細書において、層の融点とは、層の温度を上昇させた場合に層が軟化して、層中のポリマーの分子同士が相対運動を始め、ポリマーが流動性を示すようになる温度を指す。よって、接着層及び気密層の融点は、それぞれ接着層及び気密層中のポリマー成分(ポリマーアロイを含む)の融点ということができる。このようなポリマーの融点は、示差走査熱量計で測定された融解ピーク温度とすることができる。
(接着層)
上述のように、接着層は、多層フィルムを基布に接着させる際に、基布側となる層であり、所定条件下で基布に対する接着性を示す層である。さらに、得られる積層体においては、接着層は気密機能を有することもできる。
本形態では、接着層は、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーを含む。接着層が、エポキシ基を含むポリマーを含んでいることで、ポリエステルを含む基布に対し、高温及び/又は高湿の環境下での接着性を向上させることができるため、基布と接着層との間で剥離が生じにくくなり、耐久性を向上させることができる。
接着層に含まれるエポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーは、エポキシ基を含有するモノマー単位と、別のモノマー単位とを含むコポリマーであると好ましく、例えば、α−オレフィン/不飽和カルボン酸エステル/エポキシ基を有するモノマー単位のターポリマー(三元共重合体)とすることができる。
ターポリマー中のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン、及び1−トリアコンテンが挙げられる。上記のα−オレフィンは、ターポリマー中に単独で又は2種以上含まれていてよい。
上記ターポリマーにおける不飽和カルボン酸エステルは、アルキル(メタ)アクリレートであると好ましい。本明細書においては、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及び/又はアクリレートを指す。アルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル基が1〜24個の炭素原子を有するものが挙げられる。具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、及び2−エチルへキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらのアルキル(メタ)アクリレートは、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマー中に単独で又は2種以上含まれていてよい。
上記ターポリマーにおけるエポキシ基を有するモノマー単位は、不飽和エポキシドであると好ましい。不飽和エポキシドとしては、脂肪酸のグリシジルエステル及びエーテル、並びに脂環式グリシジルのエステル及びエーテル等が挙げられる。脂肪酸のグリシジルエステル及びエーテルとしては、例えばアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルマレエート、グリシジルイタコネート、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、脂環式グリシジルのエステル及びエーテルとしては、例えば、2−シクロヘキセン−1−グリシジルエーテル、シクロヘキセン−4,5−ジグリシジルジカルボキシレート、シクロヘキセン−4−グリシジルカルボキシレート、5−ノルボルネン−2−メチル−2−グリシジルカルボキシレート、及びジグリシジルエンド−シス−ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジグリシジルカルボキシレートが挙げられる。上記のうち、基布に対する接着性が良好であることから、脂肪酸のグリシジルエステルが好ましく、グリシジルメタクリレートがより好ましい。上記不飽和エポキシドは、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマー中に単独で又は2種以上含まれていてよい。
エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーは、モノマー(すなわち、エチレン、アルキル(メタ)アクリレート、及び不飽和エポキシド)のラジカル重合で得ることができる。
また、上記オレフィン系ポリマーは、エチレンと、アルキル(メタ)アクリレートと、任意に用いられるα−オレフィン、ビニルエステル、又はジエンとのコポリマーに、不飽和エポキシドをグラフトしたコポリマーであってもよい。グラフト操作自体は周知の方法によって行うことができる。しかし、オレフィン系ポリマーは、不飽和エポキシドをグラフトさせたポリマーではなく、各モノマーの共重合で得られたエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/不飽和エポキシドのランダムターポリマーであると好ましい。エチレン/(メタ)アクリルエステル/グリシジル(メタ)アクリレートのターポリマーであるとより好ましく、エチレン/アクリルエステル/グリシジルメタクリレートのターポリマーであるとさらに好ましい。
なお、上記オレフィン系ポリマーは、上記のモノマー単位以外のモノマー単位、例えば、飽和カルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニル、ジエン、例えば1,4−ヘキサジエン等のモノマー単位を含んでいてもよい。
接着層中の上記オレフィン系ポリマーに含まれるアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、オレフィン系ポリマー100質量%に対して、好ましくは5〜45質量%、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは20〜30質量%であってよい。また、接着層中の上記オレフィン系ポリマーに含まれる不飽和エポキシドの含有量は、オレフィン系ポリマー100質量%に対して、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%であってよい。不飽和エポキシドの含有量を1質量%以上とすることで、接着層とポリエステルを含む基布との接着性を向上させることができ、25質量%以下とすることで、オレフィン系ポリマーのゲル化を防止することができる。
接着層中の上記オレフィン系ポリマーに含まれる不飽和エポキシドの含有量は、オレフィン系ポリマー100質量%に対して、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは5〜10質量%とすることができる。エポキシ基を有するモノマーの含有量を0.1質量%以上とすることで、高温・高湿下での基布との接着性を向上させることができる。また、20質量%以下とすることで、接着層の化学的な安定性を確保することができる。
オレフィン系ポリマー中のエポキシ基の含有率は、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%にすることができる。
また、上記オレフィン系ポリマーの融点は、50〜150℃であると好ましく、55〜130℃であるとより好ましい。そして、接着層の融点も、50〜150℃であると好ましく、55〜130℃であるとより好ましい。接着層の融点が50℃以上であることで、多層フィルム及び積層体の常温での機械的強度を確保することができ、また接着層の融点が150℃以下であることで、多層フィルム及び積層体の製造の際に比較的低い温度で加工が可能となるので、加工性を向上させることができる。
接着層には、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマー以外の他のポリマー又はコポリマーを含有させることができる。接着層に含有させることのできる上記他のポリマーとしては、エポキシ基を含有しないオレフィン系ポリマー又はコポリマー、例えば、エチレン/アルキル(メタ)アクリレートのコポリマー等が挙げられる。
接着層には、上述した成分以外に添加剤が添加されていてよい。添加剤としては、顔料、充填材、酸化防止剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
接着層中の、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーの含有量は、接着層の全量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99.5質量%以上とすることができる。また、接着層に含まれるポリマー成分が、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーからなると好ましく、接着層が、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーからなるとより好ましい。
接着層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。接着層が2層以上ある場合、例えば、顔料等の着色剤を添加した層と、着色剤を添加しない層との2層とすることができる。これにより、全体として同じ厚みの接着層全体に着色剤を添加した構成に比べ、使用される着色剤の量を少なくすることができる。接着層全体の厚さは、5〜50μmであると好ましく、5〜30μmであるとより好ましい。
(気密層)
気密層は、上述のように、当該層の内外で気体を流通させない気密機能を有する層である。よって、例えば、本形態の多層フィルム及び積層体を袋状に形成した場合、袋の内部に空気を貯め込んだ場合、その空気が外へ漏れることを確実に防止する働きを気密層が担うことができる。
気密層は、熱可塑性ポリマーを含むことが好ましい。気密層に含まれる熱可塑性ポリマーは、特に限定されないが、熱可塑性エラストマー又は熱可塑性樹脂であってよく、熱可塑性エラストマーであると好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、アミド系エラストマー、エステル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、熱可塑性ゴム架橋体のうち1種以上を用いることができる。中でも、低温特性、柔軟性に優れていることからアミド系エラストマーを用いることが好ましい。
上記アミド系エラストマーは、ハードセグメントとしてポリアミドを有し、ソフトセグメントとしてポリエステル又はポリエーテルを有するものが好ましい。ポリアミド系エラストマー中のポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられ、中でもナイロン12が好ましい。ポリアミド系エラストマーは、ハードセグメントとして、上述のポリアミドを単独で又は2種以上含んでいてよい。
なお、気密層における熱可塑性エラストマー中のハードセグメントの含有量は、熱可塑性エラストマー100質量%に対して、65〜95質量%であると好ましく、75〜85質量%であるとより好ましい。また、気密層における熱可塑性エラストマー中のソフトセグメントの含有量は、熱可塑性エラストマー100質量%に対して、5〜35質量%であると好ましく、15〜25質量%であるとより好ましい。
気密層に含まれる熱可塑性エラストマーの融点は、気密層の融点が接着層の融点より高い温度となるのであれば、特に限定されないが、100〜300℃であると好ましく、130〜210℃であるとより好ましい。そして、気密層の融点も、100〜300℃であると好ましく、130〜210℃であるとより好ましい。
上述のように、気密層の融点は接着層の融点よりも高くなっているが、気密層の融点と接着層の融点との差は、好ましくは10〜150℃とすることができ、より好ましくは30〜100℃とすることができる。多層フィルムを、熱を利用して基布に接着させる際には、気密層の融点と接着層の融点との差を上記の範囲とすることで、製造時の加熱温度が多少変動することがあっても、気密層の気密機能及び接着層の接着機能を確保することができる。そのため、接着層が十分に軟化せずに基布との接着が良好にできなかったり、或いは気密層が変形又は変質したりする等して気密性が損なわれた不良品が発生することを低減でき、生産安定性を向上させることができる。
気密層には、熱可塑性エラストマーでないポリマー、例えばポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリカーカーボネート等を配合することができる。
気密層中のアミド系エラストマーの含有量は、気密層の全量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99.5質量%以上とすることができる。気密層に含まれるポリマー成分が、アミド系エラストマーからなると好ましく、気密層が、アミド系エラストマーからなるとより好ましい。
また、気密層には、上述した成分以外に添加剤が添加されていてよい。添加剤としては、顔料、充填材、酸化防止剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
気密層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。気密層全体の厚さは、5〜50μmであると好ましく、5〜30μmであるとさらに好ましい。
(中間層)
本形態による多層フィルムでは、気密層と接着層との間に中間層を設けることができる。図2に、中間層を備えた多層フィルムの一例を模式的な断面図で示す。図2に示すように、多層フィルム1は、接着層2、中間層3、及び気密層4の順に積層されている。
中間層は、気密層と接着層とを結合させる機能を有する層である。中間層の組成は、気密層及び接着層の組成や厚さ、多層フィルムの用途等に応じて選択することができる。中間層を設けることで、気密層と接着層との結合力を強化することができ、これにより、多層フィルム内の層間剥離を防止することができる。また、中間層を設けることで、機械的強度等の特性を向上させることもできる。
中間層は、用いられる気密層及び接着層の種類にもよるが、熱可塑性ポリマーを含むことが好ましく、オレフィン系ポリマーであることがより好ましい。特に、中間層は、オレフィン系の樹脂又はエラストマーを含むことがより好ましく、オレフィン系樹脂を含むことがより好ましい。オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブチレン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LPDE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)が挙げられる。中間層は、上記オレフィン系ポリマーを、単独で又は2種以上含んでいてよい。
上記オレフィン系ポリマーは、不飽和カルボン酸又はその無水物が付加反応やグラフト反応等により結合させて得られる変性オレフィン系ポリマーであってもよい。そのような変性オレフィン系ポリマーとしては、無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂又は無水マレイン酸変性オレフィン系エラストマーが挙げられる。具体的には、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。中間層は、上記変性オレフィン系ポリマーを単独で又は2種以上含んでいてよい。
気密層がポリアミドを含む場合には、中間層は、ポリアミドとの接着性が良好であることから、上述のような無水マレイン酸変性されたオレフィン系ポリマーを含むことが好ましく、無水マレイン酸変性ポリエチレンを含むことがより好ましく、無水マレイン酸変性低密度ポリエチレンを含むことがさらに好ましい。また、接着層が、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーを含む場合には、中間層は、無水マレイン酸変性されていないポリエチレンを含むことが好ましく、変性されていないポリエチレンを含むことがより好ましく、無水マレイン酸変性されていない高密度ポリエチレンを含むことがさらに好ましい。
中間層に含まれるオレフィン系ポリマーの融点は、50〜200℃であると好ましく、60〜180℃であるとより好ましい。そして、中間層の融点は、50〜200℃であると好ましく、60〜180℃であるとより好ましい。
中間層は、2層以上であってもよい。中間層が2層以上である場合、各層の組成は、同じであってもよいし異なっていてもよい。中間層を2層以上とした場合、多層フィルムにおける各層間の接着性が向上するように、各中間層の材料を選択することで、各層間の結合をより強固にすることができ、これにより、多層フィルム内の層間剥離を防止することができる。
図3に、2層の中間層を備えた多層フィルムの一例を模式的な断面図で示す。図3に示すように、多層フィルム1は、接着層2、第1中間層3a、第2中間層3b、及び気密層4の順に積層されている。第1中間層3aは接着層2と直接結合しており、第2中間層3bは接着層4と直接結合している。
気密層がポリアミドを含み、且つ接着層が、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーを含む場合には、気密層と直接結合している第2中間層は、好ましくは無水マレイン酸変性されたオレフィン系ポリマー、より好ましくは無水マレイン酸変性低密度ポリエチレンを含むことができる。また、接着層と直接結合している第1中間層は、好ましくは無水マレイン酸変性されていないポリエチレン、より好ましくは変性されていないポリエチレン、さらに好ましくは無水マレイン酸変性されていない高密度ポリエチレンを含むことができる。
中間層全体の厚さは、好ましくは5〜50μm、より好ましくは5〜30μmとすることができる。
中間層の各層には、上述した成分以外に添加剤が添加されていてよい。添加剤としては、顔料、充填材、酸化防止剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
(多層フィルムの製造)
多層フィルムは、接着層と気密層とを直接的に結合させることによって製造することができる。また、多層フィルムが中間層を有する場合には、接着層と中間層とを直接的に結合させ、且つ中間層と気密層とを直接的に結合させることによって製造することができる。その場合、予め、接着層、気密層、及び必要に応じて中間層をそれぞれ別個のシートとして押出成形等により成形しておき、互いを接合させて一体化させることができる。例えば、各シートを重ねて熱プレス又は熱ロールによって溶融圧着する方法、成形されたシート上に溶融した材料を押し出す押出ラミネート法等が挙げられる。
また、接着層、気密層、及び必要に応じて中間層の材料をそれぞれ溶融状態にして、同時に押出成形し(共押出し)、インフレーション法、Tダイ法等を用いて成形することができる。このうち、大面積化が可能であり生産性に優れるインフレーション法を用いることが好ましい。
製造された多層フィルムは、用途に応じて、所望の形状及び大きさに切断することができる。また、多層フィルムは、リール等に巻き付けられていてよく、使用時に巻き解かれるようにしてもよい。さらに、多層フィルムには、少なくとも接着層側に剥離シートが設けられていてよく、これにより、使用直前まで接着層を保護することができる。
(基布)
本形態による多層フィルムは、基布に接着させて使用することができる。本明細書において、基布とは、多層フィルムと基布との積層により得られる積層体の機械的強度を確保するための支持体として機能するシート状の構造体である。ここで、シート状とは、平面状の他、全体として見た場合に筒状、袋状、風船状に形成されている形状も含む。
基布は、繊維を含むものが好ましい。基布は、織物、編物、不織布であってよく、全体にわたり又は部分的に縫製が施されたものであってもよい。中でも、機械的強度が高いことから織物が好ましく、複数の経糸と複数の緯糸とを組み合わせた2軸構造であると好ましく、複数の経糸と、複数の緯糸と、複数の斜糸とを組み合わせた3軸構造とすることもできる。2軸構造の基布である場合、織り方は限定されず、平織、綾織、繻子織等であってよい。強度及び製造の容易性から、基布は、平織された織物であるとより好ましい。また、基布には、平面状の基布ではなく、目的とする製品の形状に合わせて、湾曲面を有することができるよう、縫い目なく筒状又は袋状に織り上げられたOPW(One Piece Woven)も含まれる。
上記OPWは、膨らませて内部に空気を貯めた状態で使用することができ、車両用エアバッグ等の用途で好適に用いることができる。このうち、カーテンエアバッグのために利用されるOPWは、複数の部屋が形成された複雑な曲面を有しており、膨らませた時に凹凸を有する構造を有し得る。通常、このような凹凸のある構造を有する基布にフィルムを接着させた場合、凹凸のない基布にフィルムを接着させるのに比べて、基布とフィルムとの間で剥離が生じやすい。しかしながら、本形態による多層フィルムを用いることで、凹凸のあるOPWであっても、多層フィルムを良好に接着することができ、層間剥離を防止することができる。
本形態では、基布はポリエステルを含むことができる。より具体的には、基布は、ポリエステルからなる繊維又はポリエステルを含む繊維を含むことができる。すなわち、基布は、ポリエステル製繊維を、混織等により他の繊維と混合して含んでいてよいし、ポリエステルとポリエステル以外の材料との混紡繊維を含んでいてもよいし、或いはポリエステルとポリエステル以外の材料とからなる、芯鞘型、サイドバイサイド型、分割型等の複合繊維を含んでいてもよい。基布がポリエステルを含むことで、積層体の機械的強度、耐候性を確保しつつ、積層体を比較的安価に製造することができる。また、基布がポリエステル製の繊維からなっている場合には、上記効果がより一層発揮される。
基布に含まれるポリエステルとしては、ポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンンナフタレートが好ましい。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のホモポリエステル、ポリエステルの繰り返し単位を構成する酸成分にイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸等を共重合したコポリマーが挙げられる。上記ポリエステルは、単独で、又は混織、混紡、複合繊維、又はポリマーブレンドの形態で2種以上組み合わせて用いることができる。
基布に含み得る、ポリエステル繊維以外の繊維としては、ポリエステル以外の材料からなる合成繊維、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、無機繊維の1種以上であってよい。また、ポリエステル以外の材料としては、ポリアミド、ポリオレフィン、アラミド、アクリル、ビニロン、ポリウレタン等が挙げられる。
基布が織物である場合、基布は2種以上の異なる繊維を含んでいてよく、その場合、例えば、異なる方向に延在する繊維又は糸を、互いに異なる種類とすることができる。例えば、経糸と緯糸とを含む2軸構造を有する場合、経糸と緯糸とを異なる種類の繊維とすることができる。この場合、経糸及び緯糸の少なくとも一方をポリエステル製繊維とすることができる。
基布に含まれる糸は、モノフィラメントであってもよいし、マルチフィラメントであってもよい。糸がマルチフィラメントである場合、糸の総繊度(単糸繊度×合糸数)が100〜700dtexであることが好ましい。また、基布に用いられている繊維の単糸繊度は、1〜10dtexであると好ましい。また、基布が平織の織物である場合、織り密度としては、経糸及び緯糸がそれぞれ、5〜30本/cmであることが好ましい。
基布の目付(1m当たり質量)は、積層体(最終製品)の収納性やコストを考慮して、300g/m以下、より好ましくは200g/m以下、さらに好ましくは190g/m以下、さらに好ましくは150g/m以下、100g/m以下とすることができる。また、機械的強度を確保する観点から、好ましくは30g/m以上、より好ましくは50g/m以上、さらに好ましくは70g/m以上とすることができる。
なお、基布は、目の詰まったものであってもよいし、得られる積層体をより軽量にできることから、開口を有するものであってもよい。本形態では、基布にポリマー組成物をコーティングすることによって層を形成するのではなく、予め形成しておいた多層フィルムを基布に積層させて積層体とする。そのため、本形態の多層フィルムに接着させる基布として、開口を有する基布を用いたとしても、粘度が比較的低いポリマー組成物が裏抜けする等の不都合が発生することなく、十分な機械的強度や気密性を有する積層体を得ることができる。
(積層体)
図4に、本発明の一形態による積層体の模式的な断面図を示す。積層体10は、上述した気密層4と接着層2とを備えた多層フィルム1と、基布8とが接着されて構成されている。
図4の例では、基布8の一方の面に多層フィルム1が配置されているが、本形態の多層フィルムは、基布8の両面に設けることもできる。また、基布8としてOPWを用いた場合、図5に示すように、袋の空気を抜き畳んだ状態で、OPW9(基布8)の表面に、上方及び下方からそれぞれ多層フィルム1A、1Bが積層されたものであってもよい。図5に示す形態の積層体は、内側に空気を貯めることができるため、エアバッグ等に使用することができる。
また、図4、5の例では、多層フィルム1、1A、1Bは、中間層を備えていないが、各例の多層フィルムは、1層又は2層以上の上述の中間層を備えていてよい。
積層体の製造においては、製品の低コスト化が常に求められている。特に車両用エアバッグの分野では、基布の材料として従来、ナイロン等のポリアミドが用いられることが多かったが、近年では、比較的安価なポリエステル製の基布が使用されるようになっている。そのため、ポリエステル製糸を含む基布に対しても接着性の高いフィルム材料が求められていた。しかしながら、従来のフィルムでは、ポリエステル製糸を含む基布に対する接着性が十分でない場合があった。これに対し、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーを含む接着層を備えた上述の多層フィルムを、ポリエステルを含む基布に接着させて積層体を製造した場合、高温及び/又は高湿の条件下の条件において多層フィルムと基布との間での層間剥離が生じにくく、優れた耐久性を示す。
積層体は、上述の多層フィルムを、加熱及び/又は加圧することによって、基布に接着させることができる。その際、接着層中のオレフィン系ポリマーに含まれるエポキシ基が、基布中のポリエステルと不可逆的に反応し、結合が形成されると考えられる。このような結合によって、積層体の高温及び/又は高湿下での耐久性を向上させることができる。
(積層体の製造方法)
本発明の一形態は、上述の多層フィルムと、基布とを有する積層体の製造方法であって、気密層が融解しない温度で加熱しながら、多層フィルムと基布とを加圧することにより、多層フィルムと前記基布とを接着させる工程を含む。
図6に、本形態による積層体の製造方法を実施するための積層体製造装置100を模式的に示す。図6では、基布8の両面に多層フィルムが積層された積層体を製造するための装置について説明する。積層体製造装置100は、加熱部102及び冷却部104を備えている。
図6の積層体製造装置100を用いた製造方法においては、まず、予めリール等に巻き取られていた基布8、及び多層フィルム1A、1Bをそれぞれ巻き解いて、基布8の両面(上面及び下面)に多層フィルム1A、1Bをそれぞれ重ね合せる。重ね合された多層フィルム1A、基布8、及び多層フィルム1Bを、加熱部102に送り、加熱部102において加熱しながら加圧する。
加熱部102は、例えば、一対の対向するロール(ニップロール等)、又は図6の例のような一対の対向するベルトからなる加圧手段を備えている。このような加圧手段の一対のロール又はベルトの少なくとも一方を加熱し、この加圧手段の間に、重ね合わせられた多層フィルム1A、基布8、及び多層フィルム1Bを通すことで、加熱及び加圧を行うことができる。ここで、多層フィルムの接着層の融点は気密層の融点よりも低いので、例えば、加熱温度を、接着層が軟化又は融解する温度であって気密層が融解(溶融)しない温度としておくことで、気密層の機能を確保しつつ、接着層が十分に軟化又は融解した状態で接着層を基布へと押し付けることができる。そして、軟化又は融解した接着層は、基布の表面の凹凸の凹部にも入り込み、接着層を基布に密に接着させることができる。これにより、図示の形態では、多層フィルム1A、1Bを基布8へそれぞれ接着させることができ、多層フィルム1A、基布8、及び多層フィルム1Bを備えた積層体10が形成され、搬送される。上記加熱温度は、例えば、気密層の融点未満の温度とすることができ、これにより、気密層の機能をより確実に確保することができる。また、加熱温度は、気密層が熱の影響によりその気密機能を失わない温度であればよい。
加熱部102を通過した積層体10は、冷却部104へと搬送される。冷却部104においては、積層体10の温度を、好ましくは常温にまで下げることができる。つまり、本形態による積層体の製造方法は、冷却工程をさらに有していてよい。冷却部104は、冷却媒体を含む冷却手段や、吸気手段等を備えていてよい。また、冷却部104において、図6の例のように、一対の対向するベルトからなる加圧手段を用いて加圧されてもよいが、加圧は必ずしも必要ではない。積層体10は、図6に示すように、必要に応じてリールに巻かれる。
なお、図6の積層体製造装置100においては、多層フィルム1A及び1Bのいずれかを省略することができる。その場合、図4に示すような、基布8の片面に多層フィルム1が積層された積層体10を製造することができる。
また、基布8として、縫い目なく織られた筒状又は袋状のOPW9を用いることもできる。これにより、図5に示すような積層体を製造することができる。図6に示す装置において、基布8をOPWとする場合には、OPWの内部から空気が抜かれて平らにされ、予めリール等に巻かれたものを使用する。上述の例と同様に、OPWも、重ね合される前に巻き解かれ、その上面及び下面に、多層フィルム1A及び1Bがそれぞれ重ね合せられる。
図7に、平らにされた状態で積層体製造装置100に投入されたOPW9(基布8)の上面及び下面に、多層フィルム1A及び1Bがそれぞれ重ね合された状態の図を模式的に示す。図7に示すように重ね合わされた多層フィルム1A、OPW9(基布8)、及び多層フィルム1Bは、加圧部102において、一対の加圧手段によって両面から加圧される。これにより、多層フィルム1A及び1Bが、OPW9(基布8)の上面及び下面にそれぞれ接合され、また多層フィルム1A及び1Bの縁部が、加熱及び加圧により又は接着剤等により互いに接合されることで、図5に示すような積層体10を得ることができる。この際、接着層2A、2Bは、OPW9(基布8)の縁部全体を覆うように接着させることができる。また、積層体10の余分な縁部は、切断等により除去することができる。このようにして、基布が袋状に形成されており、OPW9(基布8)の表面全体に多層フィルムが形成されている積層体を製造することができる。このようにして得られた積層体は、エアバッグとして使用することができる。
積層体を製造する際の加熱温度は、気密層が融解しない温度であり、且つ接着層が軟化又は融解する温度であれば、特に限定されない。加熱温度は、気密層の融点未満の温度で、且つ接着層が軟化する温度とすることができる。加熱温度及び加圧圧力は、多層フィルム及び基布の構成にもよるが、加熱温度は、120〜250℃であると好ましく、100〜200℃であるとより好ましい。また、加圧圧力は、5〜50Nであると好ましく、10〜30Nであるとより好ましい。
(用途)
本形態による多層フィルム及び積層体は、車両用エアバッグ、アウトドア用品、包装用途等において好適に用いられ、特に車両用エアバッグ、とりわけカーテンエアバッグの製造に好適に用いられる。カーテンエアバッグとは、サイドウインドウ上部のルーフライン等に取り付けられており、衝突時等に高荷重が作用した場合に、サイドウインドウに沿わせて鉛直下方にカーテン状に展開させるエアバッグを指す。
カーテンエアバッグは、展開時には、作動後数秒間、例えば6〜7秒間にわたり膨らんだ状態で維持される必要があるため、カーテンエアバッグの材料には耐圧性が求められ、具体的には、引張強度、引裂強度等の機械的強度が求められる。また、カーテンエアバッグは、展開前は、長期間にわたり、折り畳まれた又は丸められた状態でケーシング等に収納されることが多いため、柔軟性も求められる。また、収納時には、高温・高湿の環境に晒されることも多い。しかしながら、本形態による多層フィルム及び積層体は、そのような用途であっても好適に使用することができる。
なお、フィルムと基布とを有する積層体が、車両のエアバッグとして用いられる場合には、安全性を考慮した様々な性能が要求される。安全性については各国で基準が設定されているが、その基準は厳しくなる傾向にある。例えば、米国においては近年、エアバッグの安全性基準が引き上げられ、高温及び高湿下での耐久性について言えば、例えば、従来の高温高湿接着性の試験における温度及び湿度の条件が、温度40℃、相対湿度92%であったものが、温度70℃、相対湿度95%というより過酷なものとなった。そのため、かかる過酷な高温高湿の環境下で耐えうるエアバッグの材料が求められていた。これに対し、本形態による多層フィルム及び積層体は、このような過酷な高温高湿下で保存された後であっても層間剥離を起こしにくく、優れた耐久性を示すことができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、多層フィルムを形成し、さらにその多層フィルムを基布に接着して積層体を製造し、評価を行った。
[評価]
<高温高湿接着性(高温高湿下での耐久性)>
多層フィルムと基布とを積層させて得られた積層体から、50×150mmの試験片を作製し、この試験片を密閉容器内に入れ、容器内の条件を温度70℃、相対湿度95%にして168時間にわたり保った。その後、容器から取り出した試験片(積層体)の基布の部分を固定しつつ、多層フィルムの部分を180°方向に引張速度100mm/分で引きはがした際に要した力を剥離力(N/mm)として測定した。評価基準は以下の通りである。
〇:剥離力が0.5N/mm超であった。
△:剥離力が0.3〜0.5N/mmであった。
×:剥離力が0.3N/mm未満であった、又は多層フィルム内で層間剥離が生じた。
なお、剥離力測定では、剥離試験中に多層フィルムが破断したり延伸されたりすることを防ぐため、多層フィルムの気密層側に、接着剤を介して厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合せて補強して用いた。
[実施例1]
(多層フィルムの作製)
4つの押出機を有するインフレーション押出装置(Collin社製)に、エチレン、アクリルエステル、及びグリシジルメタクリレートのターポリマー(Arkema社製「LOTADER(登録商標)AX8900」、グリシジルメタクリレートの含有量:8質量%、融点:65℃)と、高密度ポリエチレン(Exxonmobile社製「HMA014」、融点:134℃)と、無水マレイン酸変性の低密度ポリエチレン(Lyondell Basell社製「Plexar PX800」、融点117〜125℃)と、ポリアミド(Evonik社製「Vestamid(登録商標)E62」、融点170℃)とを其々投入して、各樹脂の融点以上で溶融し、インフレーション法にて4層フィルムを作製した。各層の押出量は、10g/mであった。
得られた4層フィルムは、接着層としてエチレンとアクリルエステルとグリシジルメタクリレートとのターポリマー、第1中間層として高密度ポリエチレン、第2中間層として無水マレイン酸変性の低密度ポリエチレン、気密層としてポリアミドが、記載順に積層されたものであった。
(基布と多層フィルムとの積層)
積層装置(Mayer製 Twin−belt flat lamination system)を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)製基布と上記4層フィルムを接着層が基布表面に接した状態で、170℃に加熱したニップロールで18Nに加圧しながら、上記接着層を軟化させて、基布と4層フィルムを積層した。PET製基布としては、総繊度470dtexの経糸・緯糸で、織り密度が各22本/cmの平織基布を使用した。
上述のように高温高湿接着性を測定したところ、剥離力は0.52N/mmであった。よって、実施例1の積層体は、優れた高温高湿接着性を示すことが分かった。
1、1A、1B 多層フィルム
2、2A、2B 接着層
3 中間層
3a 第1中間層
3b 第2中間層
4、4A、4B 気密層
8 基布
9 OPW
10 積層体
100 積層体製造装置
102 加熱部
104 冷却部

Claims (14)

  1. ポリエステルを含む基布に接着して使用される多層フィルムであって、
    前記基布に接着される側となる接着層と、当該接着層に結合されている気密層とを有し、
    前記接着層は、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーを含み、
    前記気密層の融点は前記接着層の融点よりも高い、多層フィルム。
  2. 前記オレフィン系ポリマーのエポキシ基の含有率は、前記オレフィン系ポリマーの全量に対して0.05〜5質量%である、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記オレフィン系ポリマーは、エチレンと、(メタ)アクリルエステルと、グリシジル(メタ)アクリレートとを含むターポリマーである、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  4. 前記気密層は、160℃以上の融点を有するポリマーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  5. 前記気密層はポリアミドを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  6. 前記多層フィルムは、前記接着層と前記気密層との間に中間層を有する、請求項5に記載の多層フィルム。
  7. 前記中間層の融点は、前記接着層の融点より高く、前記気密層の融点より低い、請求項6に記載の多層フィルム。
  8. 前記中間層は、第1中間層と第2中間層とを有し、前記第1中間層は前記接着層に接合されており、前記第2中間層は前記気密層に接合されおり、
    前記第1中間層は、無水マレイン酸変性されていないポリエチレンを含み、前記第2中間層は、無水マレイン酸変性されたポリエチレンを含む、請求項6又は7に記載の多層フィルム。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の多層フィルムと、ポリエステルを含む基布とが接着されてなる、積層体。
  10. 基布と多層フィルムとを備えた積層体の製造方法であって、
    前記基布はポリエステルを含み、
    前記多層フィルムは、エポキシ基を含有するオレフィン系ポリマーを含む接着層と、当該接着層に結合され、当該接着層の融点よりも高い融点を有し、ポリマーを含む気密層とを有する多層フィルムであり、
    前記気密層が融解しない温度で加熱しながら、前記多層フィルムと基布とを加圧することにより、前記多層フィルムと前記基布とを接着させる工程を含む、積層体の製造方法。
  11. 前記加熱温度は130〜200℃である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記加圧圧力は10〜30Nである、請求項10又は11に記載の製造方法。
  13. 前記積層体を、前記接着層の融点以下の温度に冷却する工程をさらに含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14. 請求項1から8のいずれか一項に記載の多層フィルムを用いてなる、エアバッグ。
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