JP2020199688A - 接合方法及びその方法で接合された複合材料 - Google Patents

接合方法及びその方法で接合された複合材料 Download PDF

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Kojiro Yamaguchi
紘次朗 山口
高橋 克典
Katsunori Takahashi
克典 高橋
幹文 森脇
Mikifumi Moriwaki
幹文 森脇
正規 中井
Masanori Nakai
正規 中井
浩一郎 市原
Koichiro Ichihara
浩一郎 市原
泰裕 冨永
Yasuhiro Tominaga
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Abstract

【課題】補強部材が、引張力が作用すると予想される領域に配置されるように、接合部材と被接合部材を接合する方法の提供。【解決手段】第1の部材28と第2の部材26を厚さ方向に重ねるとともに、第1の部材28と第2の部材26の間に補強部材30を配置する工程1と、工程1の後に、第1の部材28を第2の部材26に接合させて複合材料60を得る工程2を含み、第1の部材28の厚さは第2の部材26の厚さよりも小さく、複合材料の中立軸64が第2の部材26の中に含まれるように、第1の部材と第2の部材と補強部材の特性が決められている、第1の部材28と第2の部材26を接合する方法。【選択図】図3

Description

本発明は、接合方法及びその方法で接合された複合材料に関する。
カーボンファイバとメタルファイバを含む補強部材を挟んだ状態で2つの金属部材を圧着して複合材料を得る加工法が特許文献1に提案されている。この加工法から得られた複合材料は高い機械的強度を有している。そのため、例えば車両の構造部品は、この複合材料からプレス成形されることで高い機械的強度を得る。
特許第6124749号
一方、複合材料を他の部材に接合することで、該部材を補強したいという要請がある。特に、複合材料の補強部材がカーボンファイバ又はグラスファイバである場合、部材の引張強度は大きく向上し得る。したがって、高い引張強度を有する補強部材は、大きな引張応力が作用すると見込まれる特定の領域に配置されることが効果的である。
また、平坦な面を有さない、例えば曲面だけを有する部材に複合材料を接合することで、該部材を補強したいという要請がある。重量最適化のために、複合材料はできる限り軽量であることが好ましい。そのため、複合材料が、容易に変形可能で、また軽量であるように、複合材料が有する厚さは出来るだけ小さいことが好ましい。
そこで、本発明は、補強部材が、引張力が作用すると予想される領域に配置されるように、接合部材と被接合部材を接合する方法、及びその方法で形成された複合材料を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1に係る、第1の厚さを有する第1の部材と第2の厚さを有する第2の部材を接合する方法は、
前記第1の部材と前記第2の部材をそれらの厚さ方向に重ねるとともに、前記第1の部材と前記第2の部材の間に補強部材を配置する工程1と、
前記工程1の後に、前記第1の部材を前記第2の部材に接合させて複合材料を得る工程2を含み、
前記第1の厚さが前記第2の厚さよりも小さく、
前記複合材料の中立軸が前記第2の部材の中に含まれるように、前記第1の部材と前記第2の部材と前記補強部材の特性が決められている、ことを特徴とする。
請求項2に係る実施形態の方法は、
前記複合材料の厚さが0.01mm〜1mmである、ことを特徴とする。
請求項3に係る実施形態の方法は、
前記補強部材が、カーボンファイバ、グラスファイバ、又はケブラーを含む、ことを特徴とする。
請求項4に係る実施形態の方法は、
前記第1の部材と前記第2の部材の特性が厚さとヤング率であり、
前記補強部材の特性が断面積とヤング率である、ことを特徴とする。
請求項5に係る実施形態の方法は、
前記第1の部材を前記第2の部材に接合する力が、電磁誘導、爆発、レーザアブレーション、又は接着剤によって得られる、ことを特徴とする。
また、請求項6に係る、複合材料は、
第1の厚さを有する第1の部材と、
第2の厚さを有し、前記第1の部材に重ねられた第2の部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材の間に配置された補強部材とを備えており、
前記第1の部材と前記第2の部材が接合された複合材料であって、
前記第1の厚さが前記第2の厚さよりも小さく、
前記複合材料の中立軸が前記第2の部材の中に含まれるように、前記第1の部材と前記第2の部材と前記補強部材の特性が決められている、ことを特徴とする。
請求項7に係る実施形態の複合材料は、
前記複合材料の厚さが0.01mm〜1mmである、ことを特徴とする。
請求項8に係る実施形態の複合材料は、
前記補強部材が、カーボンファイバ、グラスファイバ、又はケブラーを含む、ことを特徴とする。
請求項9に係る実施形態の複合材料は、
前記第1の部材と前記第2の部材の特性が厚さとヤング率であり、
前記補強部材の特性が断面積とヤング率である、ことを特徴とする。
本願の請求項1に記載の発明によれば、補強部材を挟んだ状態で第1の部材と第2の部材を接合する方法を提供できる。この方法で形成された複合材料は、中立軸よりも第2の部材側において、高い引張強度を有する。
本願の請求項2に記載の発明によれば、他の部材の形状に合うように、容易に変形して、接合される複合材料を得る方法を提供できる。
本願の請求項3に記載の発明によれば、高い引張強度と大きな弾性率を有する補強部材を備える複合材料を得る方法を提供できる。
本願の請求項4に記載の発明によれば、複合材料の中立軸が第2の部材の中に含まれるように、第1の部材と第2の部材の厚さとヤング率、及び補強部材の断面積とヤング率が決められる方法を提供できる。
本願の請求項5に記載の発明によれば、電磁誘導、爆発、レーザアブレーション、又は接着剤によって得られる力により、補強部材を挟んだ状態で第1の部材と第2の部材を接合する方法を提供できる。
本願の請求項6に記載の発明によれば、補強部材を挟んだ状態で第1の部材と第2の部材を接合することで得られる複合材料を提供できる。この複合材料は、中立軸よりも第2の部材側において、高い引張強度を有する。
本願の請求項7に記載の発明によれば、他の部材の形状に合うように、容易に変形して、接合される複合材料を提供できる。
本願の請求項8に記載の発明によれば、高い引張強度と大きな弾性率を有する補強部材を備える複合材料を提供できる。
本願の請求項9に記載の発明によれば、複合材料の中立軸が第2の部材の中に含まれるように、第1の部材と第2の部材の厚さとヤング率、及び補強部材の断面積とヤング率が決められて、補強部材を挟んだ状態で第1の部材と第2の部材を接合することで得られる複合材料を提供できる。
電磁成形法を用いて複合材料を得る電磁成形装置の実施形態を示す概略図である。 接合部材に電磁力が与えられていない状態において、接合部材、被接合部材及び補強部材の位置関係を模式的に示す図である。 接合部材に電磁力が与えられた状態において、接合部材、被接合部材及び補強部材の位置関係を模式的に示す図である。 複合材料を図3のIV方向から見た模式図である。 被接合部材の両面にそれぞれ接合部材を配置し、これら被接合部材と接合部材の間に補強部材を接合した複合材料の構成を模式的に示す図である。 衝突接合された複合材料と被成形部材の構成を模式的に示す図である。 爆発圧接による複合材料を得る方法を説明する図で、爆発力が接合部材に与えられていない状態の接合部材、被接合部材及び補強部材を模式的に示す。 爆発圧接による複合材料を得る方法を説明する図で、爆発力が接合部材に与えられた状態の接合部材、被接合部材及び補強部材を模式的に示す。 レーザアブレーションによる複合材料を得る方法を説明する図で、レーザが接合部材に照射されていない状態の接合部材、被接合部材及び補強部材を模式的に示す。 レーザアブレーションによる複合材料を得る方法を説明する図で、レーザが接合部材に照射されている状態の接合部材、被接合部材及び補強部材を模式的に示す。 熱硬化性接着剤を用いて複合材料を得る方法を説明する図で、熱硬化性接着剤に熱が与えられている状態の接合部材、被接合部材及び補強部材を模式的に示す。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る接合方法の実施形態を、その接合方法から得られる複合材料と、その複合材料を被成形部材に接合することで得られる成形部材と共に説明する。
[1.部材同士の衝突による接合]
[1.1:電磁成形]
図1は、本発明の実施形態に係る電磁成形装置100の概略構成を示す。電磁成形装置100は、導電性接合部材(第1の部材)を被接合部材に接合する成形装置である。
図1に示すように、電磁成形装置100は、概略、下部構造10と、該下部構造10の上に配置された上部構造12を有する。
下部構造10は、図1の手前側から奥側に向かって伸びる直方体形状の導体14を備える。導体14は、パルス発生回路16に電気的に接続されている。パルス発生回路16は、一般的な充放電回路からなり、直流電源18、コンデンサ20、及びスイッチ22を含み、スイッチ22を開閉することによって、コンデンサ20に蓄えた電荷を導体14に瞬間的に流すことができるように構成されている。
上部構造12は、図1の手前側から奥側に向かって伸びる直方体形状の剛性の高い固定部24を備える。上部構造12は、固定部24の下方に配置される板状の被接合部材(第2の部材)26(後述する)が落下しないように、被接合部材26の端部を支持する治具(例えばスペーサ)を有する(図示せず)。
[1.1.1:成形方法]
図1,2を参照して、上述の構成を有する電磁成形装置100を用いた成形方法の一例を説明する。実際の成形にあたって、図の手前側から奥側に向かって伸びる板状の導電性接合部材(第1の部材)28は、導体14の上方に該導体14との間に隙間をあけて設置される。実施形態において、補強部材30は、綱又は紐のような複数のストランドからなり、図の手前側から奥側に向かって配置され、接合部材28の上面の略中央部に載せられる。被接合部材26は、図の手前側から奥側に向かって伸びる板状の部材で、固定部24の下に配置される。実施形態では、被接合部材26の厚さ(第2の厚さ)は接合部材28の厚さ(第1の厚さ)よりも大きい。被接合部材26の幅は接合部材28の幅と同一又はほぼ同一である。例えば、被接合部材26は、その全面が補強部材30を挟んで接合部材28のほぼ全面に対向して配置される。説明のために、被接合部材26と補強部材30は、それらの間に十分な隙間をあけて示されている。実際の成形では、被接合部材26と補強部材30との距離は両者の接合に最も適した値に設定される。
上述の状態で、導体14に接続されるパルス発生回路16は、約10kA〜約200kA、パルス幅約100μsec以下のシングルパルスからなる、一点鎖線で示されるパルス電流40を導体14に印加する。
これにより、図1に示すように、一点鎖線で示される瞬間的な磁場42が導体14の周りに発生する。同時に、電磁誘導により、パルス電流40と逆方向(図1における奥側から手前側に向かう方向)に、二点鎖線で示される誘導電流44が、接合部材28の内部に流れる。その結果、二点鎖線で示される上方に向かう電磁力46が、磁場42と誘導電流44に直交する方向に発生する。その結果、接合部材28が、上方の被接合部材26に向けて飛翔するように瞬間的に付勢されて、該被接合部材26に大きな力で衝突し、接合部材28と被接合部材26が補強部材30を挟んだ状態で接合される(図3参照)。接合部材28が被接合部材26に衝突するときの衝撃は、固定部24に吸収される。
[1.1.2:複合材料]
上述した実施形態において、例えば、接合部材28は、約0.1mmの厚さ(第1の厚さ)を有するアルミニウムのプレートで構成される。補強部材30は、多数のカーボンファイバ(単繊維)を束ねた長繊維束の多数のフィラメントからなる約0.06mmの径を有するトウを複数並列配置して構成される。被接合部材26は、約0.25mmの厚さ(第2の厚さ)を有する鉄のプレートで構成される。
上述した実施形態において、パルス発生回路16がパルス電流40を導体14に印加することで、約0.1mmの厚さを有する接合部材28と約0.25mmの厚さを有する被接合部材26が補強部材30を挟んだ状態で接合され、約0.35mmの厚さを有する複合材料60が得られる。この場合、アルミニウムのプレートからなる接合部材28と鉄のプレートからなる被接合部材26の接合界面には、特徴的な波状模様62が表れる(図3参照)。
図3に示す複合材料60を下に凸又は上に凸に曲げたとき、複合材料60の中で引張応力が生じる領域(引張領域)と圧縮応力が生じる領域(圧縮領域)の境界となる中立軸64の位置は、アルミニウムからなる接合部材28と鉄からなる被接合部材26とカーボンファイバからなる補強部材30のそれぞれの特性、例えば厚さとヤング率から求まる。実施形態では、補強部材30はカーボンファイバの束で構成されている。そのため、補強部材30の厚さは、直接求められないため、近似的に求める必要がある。例えば、カーボンファイバの総断面積を複合材料60の幅(図3における左右方向の幅)で除した値が、補強部材30の厚さと仮定される。
実施形態ではまた、例えば複合材料60を下に凸に曲げたとき、補強部材30が、中立軸64の下側、すなわち、引張側に位置するように、接合部材28と被接合部材26の厚さとヤング率、及び補強部材30の断面積とヤング率が決められている。これにより、例えば、図3に示す複合材料60を下に凸に変形させるような曲げモーメントが複合材料60に作用したとき、補強部材30は引張力に抵抗してその曲げ変形を抑える。また、図3に示す複合材料60の上面が、被補強部材において引張力が作用する面に接合されると、補強部材30が引張力に抵抗して被補強部材の曲げ変形を抑える。被補強部材に複合材料60を接合し易くするために、複合材料60の厚さは、例えば約0.01mm〜約1mm、好ましくは約0.1mm〜約1mmにすることが好ましい。この条件を考慮して、接合部材28と被接合部材26の厚さ、及び補強部材30の断面積が決められることが好ましい。
上述した実施形態において、図1、2及び3における奥側から手前側に向かう方向の補強部材30の長さは接合部材28及び被接合部材26の長さよりも短いことが好ましい。この場合、接合部材28と被接合部材26との間に補強部材30の全体を収めた複合材料60が得られる(図4参照)。この構成によれば、補強部材30が外部に露出しないため、補強部材30の端部が他の金属と接触して電気化学的腐食(電食)を生じることがない。
上述した実施形態において、補強部材30を挟んだ状態で接合部材28を被接合部材26に衝突させることで、複合材料60が形成されているが、例えば図5に示すように、複合材料70は、3つの層、例えば2つの導電性の板状接合部材72A,72Bと、これら接合部材72A,72Bの間に配置された板状被接合部材74で構成されてもよい。この場合、例えば、接合部材72Aは該接合部材72Aと被接合部材74との間に補強部材76Aを挟んだ状態で被接合部材74に上方から衝突接合され、接合部材72Bは該接合部材72Bと被接合部材74との間に補強部材76Bを挟んだ状態で被接合部材74に下方から衝突接合される。
この実施形態では、補強部材76Aと76Bの少なくとも一方、好ましくは両方が、例えば複合材料70を下に凸に曲げたときの中立軸78より下側の引張領域に含まれるように、接合部材72A,72Bと被接合部材74の厚さとヤング率、及び補強部材76A,76Bの断面積とヤング率が決められる。
接合部材28,72A,72Bを構成する材料、及び被接合部材26,74を構成する材料は、上述した特定の金属に限るものでなく、樹脂であってもよい。また、補強部材30,76A,76Bは、カーボンファイバ以外の繊維材料、例えばグラスファイバ、ケブラーであってもよい。さらに、複合材料60,70が被成形部材(例えば、図6の被成形部材90)に接合される場合、被成形部材及びこれに接触する部材との間の電食を防止又は抑えるために、被成形部材に接触する導電性部材または被接合部材の材質は被成形部材と同一であることが好ましい。
[1.1.3:被成形部材への接合]
上述の方法で形成された複合材料60,70は、他の部材に接合されることで該部材の機械的強度(耐力(破壊強度)と剛性(変形強度、ヤング率)の両方を含む。)の内、引張強度を向上させる。
例えば、図6は、複合材料60を被成形部材90に接合する状況を示す。引張応力が、被成形部材90の上面92に作用するものと仮定する。この場合、図示するように、複合材料60が被成形部材90の上面92に接合されることで、被成形部材90は補強される。上面92に作用する引張応力は複合材料60にも作用するため、複合材料60の内部に含まれる補強部材30が引張応力に抵抗する。結果として、被成形部材90の引張強度が向上するため、被成形部材90の曲げ変形を抑えることができる。
図6において、複合材料60を被成形部材90に接合する方法は上述の電磁成形であるが、爆発圧接(後述する)又はレーザアブレーションを発生させることによる接合(後述する)若しくは溶接であってもよい。
[1.2:爆発圧接]
図7は、他の実施形態に係る爆発圧接装置200の概略構成を示す。爆発圧接装置200は、火薬の爆発力を利用して飛翔部材(第1の部材)を被接合部材に接合する成形装置である。
図7に示すように、爆発圧接装置200は、概略、下部構造210と、該下部構造210の上に配置された上部構造212を有する。
下部構造210は、図7の手前側から奥側に向かって伸びる直方体形状の剛性の高い固定部214を備える。この固定部214は、該固定部214の上面に配置される板状被接合部材216(後述する)の端部を固定する治具(例えばバイス)を有する(図示せず)。
上部構造212は、図7の手前側から奥側に向かって配置されている爆薬218を備える。この爆薬218は、該爆薬218の上面の左側に配置されている電気雷管220を有する。この電気雷管220は、起爆制御部222に接続され、起爆制御部222から伝わる電気信号を受信することで爆薬218を爆発させる構造を有する。上部構造212は、爆薬218の下面に配置される板状飛翔部材(第1の部材)224(後述する)の端部を支持する治具(例えばスペーサ)を有する(図示せず)。飛翔部材224は、爆薬218が爆発した後、被接合部材216に向かって飛翔するように支持されている。
図7における飛翔部材224、補強部材226、及び被接合部材216は、図1,2,3に示す実施形態における、接合部材28、補強部材30、及び被接合部材26と同様の構成を有し、爆薬218から固定部214に向かって配置されている。この状態から、起爆制御部222が電気信号を送信すると、電気雷管220は発火する。その結果、爆薬218は爆発して、発生した爆発力228が飛翔部材224を被接合部材216に向かって付勢する(図8参照)。飛翔部材224は被接合部材216に大きな力で衝突して、飛翔部材224と被接合部材216が補強部材226を挟んだ状態で接合され、複合材料260が得られる。飛翔部材224が被接合部材216に衝突するときの衝撃は、固定部214に吸収される。
図8に示すように、複合材料260は中立軸262を有する。中立軸262の位置は、図3を参照して説明した方法で求めることができる。本実施形態でも、図3に示す実施形態と同様に、補強部材226が中立軸262を境界とする引張側に位置するように、飛翔部材224と被接合部材216の厚さとヤング率、及び補強部材226の断面積とヤング率が決められている。これにより、補強部材226が引張力に抵抗することで、引張強度の高い複合材料260が得られる。
[1.3:レーザアブレーションを発生させることによる接合]
図9は、他の実施形態に係るレーザ照射装置300の概略構成を示す。レーザ照射装置300は、レーザアブレーションを利用して飛翔部材(第1の部材)を被接合部材に接合する成形装置である。
図9に示すように、レーザ照射装置300は、概略、下部構造310と、該下部構造310の上に配置された上部構造312を有する。
下部構造310は、図9の手前側から奥側に向かって伸びる直方体形状の剛性の高い固定部314を備える。この固定部314は、該固定部314の上面に配置される板状被接合部材316(後述する)の端部を固定する治具(例えばバイス)を有する(図示せず)。
上部構造312はレーザ照射機318を有する。レーザ照射機318は、レーザ発振器320と、ミラー322と、レンズ324を有する。レーザ発振器320から出力されるレーザは、YAGレーザ、COレーザ、その他のレーザのいずれであってもよい。レーザ照射機318は、レーザ発振器320から発振されるレーザをミラー322を介してレンズ324から照射するように構成されている。上部構造312は、レーザ照射機318の下方に配置される板状飛翔部材(第1の部材)326(後述する)の端部を支持する治具(例えばスペーサ)を有する(図示せず)。飛翔部材326は、レーザがレーザ照射機318から飛翔部材326の上面に照射されてレーザアブレーションが飛翔部材326の上面に発生すると、その衝撃によって飛翔部材326が被接合部材316に向かって飛翔するように支持されている。
図9における飛翔部材326、補強部材328、及び被接合部材316は、図1,2,3に示す実施形態における、接合部材28、補強部材30、及び被接合部材26と同様の構成を有して、レーザ照射機318から固定部314に向かって配置されている。この状態から、レーザ照射機318が飛翔部材326にレーザを照射すると、一点鎖線で示すように、飛翔部材326の上面構成物質が爆発的に放出される現象(レーザアブレーション)が、レーザを照射された位置330周辺で発生する(図10参照)。その結果、飛翔部材326は被接合部材316に向かって飛翔するように付勢される。飛翔部材326は被接合部材316に大きな力で衝突することで、飛翔部材326と被接合部材316が補強部材328を挟んだ状態で接合して、複合材料360が得られる。飛翔部材326が被接合部材316に衝突するときの衝撃は、固定部314に吸収される。
図10に示すように、複合材料360は中立軸362を有する。中立軸362の位置は、図3を参照して説明した方法で求めることができる。本実施形態でも、図3に示す実施形態と同様に、補強部材328が中立軸362を境界とする引張側に位置するように、飛翔部材326と被接合部材316の厚さとヤング率、及び補強部材328の断面積とヤング率が決められている。これにより、補強部材328が引張力に抵抗することで、引張強度の高い複合材料360が得られる。
[2.接着剤による接合]
図11は、本発明の実施形態に係る接着剤加熱装置400の概略構成を示す。接着剤加熱装置400は、熱硬化性接着剤を用いて接合部材を被接合部材に接合する成形装置である。
図11に示すように、接着剤加熱装置400は、概略、下部構造410と、該下部構造410の上に配置された上部構造412を有する。
下部構造410は、図11の手前側から奥側に向かって伸びる直方体形状の剛性の高い固定部414を備える。この固定部414は、該固定部414の上面に配置される板状被接合部材416(後述する)の端部を固定する治具(例えばバイス)を有する(図示せず)。
上部構造412は、図11の手前側から奥側に向かって伸びる直方体形状の伝熱部418を備える。伝熱部418は電源420に電気的に接続され、熱硬化性接着剤422(後述する)が硬化できる高温を発するように構成されている。上部構造412は、伝熱部418の下方に配置される板状接合部材424(後述する)を上方から付勢するように構成されている。
図11における接合部材424、補強部材426、及び被接合部材416は、図1,2,3に示す実施形態における、接合部材28、補強部材30、及び被接合部材26と同様の構成を有して、伝熱部418から固定部414に向かって配置されている。また、熱硬化性接着剤422が、補強部材426と共に、接合部材424と被接合部材416との間に配置されている。この状態から、伝熱部418が接合部材424に熱を与えると、その熱は熱硬化性接着剤422に伝わる。その結果、熱硬化性接着剤422が硬化することで、接合部材424と被接合部材416は補強部材426と熱硬化性接着剤422を挟んだ状態で接合して、複合材料460が得られる。
図11に示すように、複合材料460は中立軸462を有する。中立軸462の位置は、図3を参照して説明した方法で求めることができる。本実施形態でも、図3に示す実施形態と同様に、補強部材426が中立軸462を境界とする引張側に位置するように、接合部材424と被接合部材416の厚さとヤング率、及び補強部材426の断面積とヤング率が決められている。これにより、補強部材426が引張力に抵抗することで、引張強度の高い複合材料460が得られる。
上述の方法で形成される複合材料460を被成形部材に接合する方法は、複合材料460を形成する方法と同様に、接着剤による接合が好ましい。
26,74,216,316,416:第2の部材(被接合部材)
28,72A,72B,224,326,424:第1の部材(接合部材、飛翔部材)
30,76A,76B,226,328,426:補強部材
60,70,260,360,460:複合材料
64,78,262,362,462:中立軸

Claims (9)

  1. 第1の厚さを有する第1の部材と第2の厚さを有する第2の部材を接合する方法であって、
    前記第1の部材と前記第2の部材をそれらの厚さ方向に重ねるとともに、前記第1の部材と前記第2の部材の間に補強部材を配置する工程1と、
    前記工程1の後に、前記第1の部材を前記第2の部材に接合させて複合材料を得る工程2を含み、
    前記第1の厚さは前記第2の厚さよりも小さく、
    前記複合材料の中立軸が前記第2の部材の中に含まれるように、前記第1の部材と前記第2の部材と前記補強部材の特性が決められている、ことを特徴とする方法。
  2. 前記複合材料の厚さが0.01mm〜1mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記補強部材が、カーボンファイバ、グラスファイバ、又はケブラーを含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第1の部材と前記第2の部材の特性が厚さとヤング率であり、
    前記補強部材の特性が断面積とヤング率である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記第1の部材を前記第2の部材に接合する力が、電磁誘導、爆発、レーザアブレーション、又は接着剤によって得られる、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 第1の厚さを有する第1の部材と、
    第2の厚さを有し、前記第1の部材に重ねられた第2の部材と、
    前記第1の部材と前記第2の部材の間に配置された補強部材とを備えており、
    前記第1の部材と前記第2の部材が接合された複合材料であって、
    前記第1の厚さは前記第2の厚さよりも小さく、
    前記複合材料の中立軸が前記第2の部材の中に含まれるように、前記第1の部材と前記第2の部材と前記補強部材の特性が決められている、ことを特徴とする複合材料。
  7. 前記複合材料の厚さが0.01mm〜1mmである、ことを特徴とする請求項6に記載の複合材料。
  8. 前記補強部材が、カーボンファイバ、グラスファイバ、又はケブラーを含む、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の複合材料。
  9. 前記第1の部材と前記第2の部材の特性が厚さとヤング率であり、
    前記補強部材の特性が断面積とヤング率である、ことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の複合材料。
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