JP2020195182A - 太陽電池モジュールの発電性能予測方法、及び太陽電池モジュールの発電性能予測システム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、長期稼働後の太陽電池モジュールの発電性能を予測することのできる太陽電池モジュールの発電性能予測方法、及び太陽電池モジュールの発電性能予測システムを提供することにある。【解決手段】発電性能予測方法は、測定対象の太陽電池モジュールについて、ラマン測定によりEVA封止材の劣化度を測定すると共に、太陽電池モジュールの最大出力を測定する工程と、EVA封止材の劣化度と最大出力との相関式を算出する工程と、相関式に基づいて太陽電池モジュールの測定時発電劣化率を算出する工程と、測定時発電劣化率に基づいて太陽電池モジュールの発電性能予測式を算出する工程と、発電性能予測式に基づいて測定対象の太陽電池モジュールの予測発電劣化率を算出する工程とを備える。【選択図】図5
Description
本発明は、太陽電池モジュールの発電性能予測方法、及び太陽電池モジュールの発電性能予測システムに関する。
近年、炭酸ガスの増加に伴う地球温暖化や、石油等の化石燃料の枯渇の不安から、太陽電池モジュールを利用した発電システムへの期待が益々高くなっている。太陽電池モジュールの更なる普及には、製造コストや材料コスト等の原価低減や、出力性能や耐用寿命の向上が求められている。また、太陽電池モジュールの製品検査や性能評価には、種々の検査装置及び検査方法が用いられている。例えば、特許文献1には、ラマン検査装置を使用して、シリコン基板の表面形状や欠陥の有無を検査する方法が開示されている。また、特許文献2及び3に開示されるように、太陽電池モジュールの寿命評価を目的として、ラマン検査装置を使用してEVA封止材の劣化度を評価する方法も提案されている。
発電所等、太陽電池モジュールの設置現場では、太陽電池アレイを構成する全ての太陽電池モジュールのコネクタを外して、太陽電池モジュールの発電性能を1枚ずつ検査することが行われている。メガソーラ等の発電所では、数百〜数千の太陽電池モジュールが設置されているため、全ての太陽電池モジュールの発電性能を上記のように検査すると、その検査費用は莫大になる。このため、パワーコンディショナー毎の交流出力を毎日モニタリングして集計して、発電所全体での発電性能を検査することが行われている。
4年稼働後の太陽電池モジュールの場合、その発電劣化率は、約2%程度であり、極僅かである。このため、パワーコンディショナー毎の交流出力を毎日モニタリングする方法では、発電劣化率が5〜6%程度まで上昇しないと、太陽電池モジュールの発電劣化を認識するのは難しい。つまり、この方法では、太陽電池モジュールの発電劣化を認識するのに、約10年を要する。よって、この方法は、太陽電池モジュールの発電劣化を予測する方法として、相応しくない。
また、太陽光発電設備を売却するセカンダリー市場では、顕著な発電劣化のない4〜5年稼働後の発電所プラントが多く出回っている。ここで、購入者は、利回り(売電収入−費用)のみを参考にして、発電所プラントを購入するか否かを判断している。本来は、購入者にとって、発電所プラントを購入する判断基準として、20年稼働後の発電所プラントの発電性能に基づく利回りが表示されることが望ましい。しかしながら、例えば10年、20年といった長期稼働後の太陽電池モジュールの発電性能を予測する方法は、現時点で確立されていない。
本発明の目的は、長期稼働後の太陽電池モジュールの発電性能を予測することのできる太陽電池モジュールの発電性能予測方法、及び太陽電池モジュールの発電性能予測システムを提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、太陽電池モジュールの発電性能予測方法であって、前記太陽電池モジュールは、シリコンセルと、前記シリコンセルの表面側に配置されるカバーガラスと、前記シリコンセルと前記カバーガラスとの間に充填されるエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるEVA封止材とを備え、前記発電性能予測方法は、測定対象の太陽電池モジュールについて、ラマン測定により前記EVA封止材の劣化度を測定すると共に、前記測定対象の太陽電池モジュールの最大出力を測定する工程と、前記測定対象の太陽電池モジュールについて前記EVA封止材の劣化度及び最大出力の各実測値をX座標及びY座標とする測定座標位置と、初期状態の太陽電池モジュールについて前記EVA封止材の劣化度及び前記最大出力をX座標及びY座標とする初期座標位置とに基づいて、前記EVA封止材の劣化度と前記最大出力との相関式を算出する工程と、前記相関式に基づいて、前記測定対象の太陽電池モジュールの測定時発電劣化率を算出する工程と、前記測定時発電劣化率に基づいて、前記測定対象の太陽電池モジュールの発電性能を予測する際に用いる発電性能予測式を算出する工程と、前記発電性能予測式を用いて、前記EVA封止材の劣化度及び最大出力の各実測値を取得した後の前記測定対象の太陽電池モジュールの予測発電劣化率を算出する工程とを備えることを要旨とする。
この構成によれば、測定対象の太陽電池モジュールについてEVA封止材の劣化度と最大出力との相関関係に基づいて、測定対象の太陽電池モジュールの測定時発電劣化率を算出し、更に、測定対象の太陽電池モジュールの予測発電劣化率を算出することで、長期稼働後の太陽電池モジュールの発電性能を予測することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記EVA封止材の劣化度を測定する工程は、レーザを、前記測定対象の太陽電池モジュールのカバーガラス側から照射する工程と、エチレンの振動に対応する波長での散乱強度が最大となるようにレーザ発信位置を調整する工程と、アルカン構造に対応するラマンシフト:2825cm−1〜2860cm−1における散乱強度の最大値とエステル構造に対応するラマンシフト:1735〜1750cm−1における散乱強度の最大値との比に基づいて、前記EVA封止材の劣化度を算出する工程とを備えることを要旨とする。
この構成によれば、ラマンスペクトルの散乱強度の強度比に基づいて、EVA封止材の劣化度を定量的に測定することができる。これにより、測定対象の太陽電池モジュールについてEVA封止材の劣化度と最大出力との相関式を精度良く算出することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2の発明において、波長が532nmの緑色レーザを照射することを要旨とする。
赤色等、波長の長いレーザでは、EVA封止材が劣化して生成されるポリエン構造から発する蛍光を、観測することができない。その点、この構成によれば、波長が532nmの緑色レーザを用いることで、ポリエン構造から発する蛍光を観測することができ、EVA封止材の劣化度を定量的に測定することができる。
赤色等、波長の長いレーザでは、EVA封止材が劣化して生成されるポリエン構造から発する蛍光を、観測することができない。その点、この構成によれば、波長が532nmの緑色レーザを用いることで、ポリエン構造から発する蛍光を観測することができ、EVA封止材の劣化度を定量的に測定することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、レーザの深さ方向の発信位置を調整後、前記レーザ発信位置を平面方向に2mm以上移動させてから、前記ラマン測定を開始することを要旨とする。
レーザ発信位置を調整後、レーザ発信位置を移動させずにラマン測定を行うと、EVA封止材から発する蛍光がブリーチングにより減少するため、ポリエン構造の生成量を定量的に測定することができない。その点、この構成によれば、レーザの深さ方向の発信位置を調整後、レーザ発信位置を平面方向に2mm以上移動させるため、蛍光がブリーチングにより減少していない場所で、ラマン測定を行うことができる。これにより、EVA封止材の劣化度を定量的にかつ正確に測定することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のうちいずれか一項に発明において、共焦点顕微鏡が組み込まれた共焦点ラマン顕微鏡を用いることを要旨とする。
この構成によれば、共焦点ラマン顕微鏡を用いることで、レーザの深さ方向の発信位置を調整することが容易となる。このため、EVA封止材の厚み方向の中間位置にレーザの焦点を照射することが容易となる。これより、EVA封止材の劣化度を定量的にかつ迅速に測定することができる。
この構成によれば、共焦点ラマン顕微鏡を用いることで、レーザの深さ方向の発信位置を調整することが容易となる。このため、EVA封止材の厚み方向の中間位置にレーザの焦点を照射することが容易となる。これより、EVA封止材の劣化度を定量的にかつ迅速に測定することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の発明において、
前記測定対象の太陽電池モジュールの最大出力を測定する工程では、太陽光強度が700W/m2以上の条件下で測定した前記最大出力の実測値を、太陽光強度が1000W/m2でかつ前記測定対象の太陽電池モジュールの裏面温度が25℃のときの最大出力に換算することを要旨とする。
前記測定対象の太陽電池モジュールの最大出力を測定する工程では、太陽光強度が700W/m2以上の条件下で測定した前記最大出力の実測値を、太陽光強度が1000W/m2でかつ前記測定対象の太陽電池モジュールの裏面温度が25℃のときの最大出力に換算することを要旨とする。
この構成によれば、測定対象の太陽電池モジュールの最大出力の実測値として、基準状態から大きく外れない値を用いることで、EVA封止材の劣化度と最大出力との相関式をより一層精度良く算出することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記測定座標位置と、前記初期状態の太陽電池モジュールについて前記EVA封止材の劣化度を160とし太陽電池測定用シミュレータにより計測された銘板値を太陽光補正値で補正した値を最大出力とする初期座標位置とに基づいて、相関係数が0.65以上の相関式を算出することを要旨とする。
この構成によれば、相関係数が0.65以上の相関式を用いることで、測定対象の太陽電池モジュールについてEVA封止材の劣化度と最大出力との相関式を更に精度良く算出することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記相関式から得られた前記最大出力の値と、前記銘板値を前記太陽光補正値で補正した値との比に基づいて、前記測定対象の太陽電池モジュールの測定時発電劣化率を算出することを要旨とする。
この構成によれば、例えば、相関式から得られた最大出力の値を、測定対象の太陽電池モジュールの銘板値を太陽光補正値で補正した値で除することで、太陽電池モジュールの測定時発電劣化率を算出することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記太陽光補正値は0.902である、ことを要旨とする。
この構成によれば、測定対象の太陽電池モジュールの測定時発電劣化率を算出する際に、太陽電池測定用シミュレータにより計測した銘板値に0.902を乗ずることで、銘板値を実測値相当の値として取り扱うことができる。
この構成によれば、測定対象の太陽電池モジュールの測定時発電劣化率を算出する際に、太陽電池測定用シミュレータにより計測した銘板値に0.902を乗ずることで、銘板値を実測値相当の値として取り扱うことができる。
上記の目的を達成するために、請求項10に記載の発明は、太陽電池モジュールの発電性能予測システムであって、前記太陽電池モジュールは、シリコンセルと、前記シリコンセルの表面側に配置されるカバーガラスと、前記シリコンセルと前記カバーガラスとの間に充填されるエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるEVA封止材とを備え、前記発電性能予測システムは、前記EVA封止材の劣化度を測定するラマン分光計と、前記太陽電池モジュールの最大出力を測定する発電性能測定装置と、前記太陽電池モジュールの発電劣化を予測するための演算を行う演算装置とを備え、前記演算装置は、測定対象の太陽電池モジュールについて前記EVA封止材の劣化度及び最大出力の各実測値をX座標及びY座標とする測定座標位置と、初期状態の太陽電池モジュールについて前記EVA封止材の劣化度及び前記最大出力をX座標及びY座標とする初期座標位置とに基づいて、前記EVA封止材の劣化度と前記最大出力との関係を示す相関式を算出すると共に、前記相関式に基づいて、前記測定対象の太陽電池モジュールの測定時発電劣化率を算出する発電劣化率算出部と、前記測定時発電劣化率に基づいて、前記測定対象の太陽電池モジュールの発電性能を予測する際に用いる発電性能予測式を算出すると共に、前記発電性能予測式を用いて、前記EVA封止材の劣化度及び最大出力の各実測値を取得した後の前記測定対象の太陽電池モジュールの予測発電劣化率を算出する発電性能予測部とを備えることを要旨とする。
この構成によれば、請求項1に記載の発明と同等の作用効果を奏することができる。
本発明によれば、例えば10年、20年といった長期稼働後の太陽電池モジュールの発電性能を予測することができる。
以下、本発明に係る太陽電池モジュール10の発電性能予測方法及びシステムを具体化した一実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。まず、太陽電池モジュール10の発電劣化メカニズムについて、図1及び図2を参照して説明する。
図1に示すように、太陽電池モジュール10は、シリコンセル11と、シリコンセル11の表面側に配置されるカバーガラス12と、シリコンセル11とカバーガラス12との間に充填されるエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるEVA封止材13とを備えている。シリコンセル11は、太陽の光エネルギーを吸収して直接電気に変換する発電素子として機能する。シリコンセル11の表面には、図示しないインターコネクタや、集電用の銀フィンガー電極14が形成されている。また、太陽電池モジュール10は、シリコンセル11の裏面側に配置される図示しないバックシートを備えている。また、シリコンセル11とバックシートとの間には、シリコンセル11の表面側と同様に、図示しないEVA封止材が充填されている。
太陽電池モジュール10では、太陽の光エネルギーを受けて発電が開始されると、カバーガラス12やフレームを含むパネル外装部分とシリコンセル11との間に電気的なバイアスが発生する。このとき、カバーガラス12に含まれるナトリウム(Na)はナトリウムイオン(Na+)となり、シリコンセル11に向かって引き寄せられる。カバーガラス12から溶出したナトリウムイオンは、シリコンセル11の表面に付着して水酸化ナトリウムとなり、シリコンセル11上の銀フィンガー電極14をイオン化する。これにより、銀フィンガー電極14の断面積が小さくなり、銀フィンガー電極14の電子集電性能が低下する。こうして、太陽電池モジュール10の稼働後は、時間の経過と共に、発電劣化が進み、発電性能が低下する。
また、太陽電池モジュール10を屋外に設置した状態で、EVA封止材13の劣化が、太陽光の紫外線(UV)によって徐々に進行する。すると、EVA封止材13の劣化により、EVA樹脂のエステル基から酢酸(CH3COOH)が生成されて、脱酢酸反応が生じる。EVA封止材13に含まれる酢酸イオン(CH3COO−)の濃度が高くなると、ナトリウムイオンの移動速度が高くなり、それに伴い、シリコンセル11に堆積するナトリウムイオンの堆積速度も高くなる。その結果、シリコンセル11上でのナトリウムイオンの堆積量に比例して、太陽電池モジュール10の発電劣化速度も大きくなる。
図2に示すように、EVA封止材13では、紫外線照射による脱酢酸反応の進行に伴い、EVA樹脂の分子構造にポリエン(C=C)構造が生成される。このポリエン構造から発する蛍光は、ラマンスペクトルのバックグラウンドの散乱強度を上昇させる特性を有している(図6参照)。つまり、ラマンスペクトルのバックグラウンドの散乱強度の上昇は、ポリエン構造の生成量の増加、即ち、EVA封止材13の劣化レベルを反映している。本発明は、ラマンスペクトルを利用してEVA封止材13の劣化度を定量的に測定したうえで、EVA封止材13の劣化度と太陽電池モジュール10の最大出力との相関式から測定時発電劣化率を算出し、更に、太陽電池モジュール10の予測発電劣化率を算出することで、例えば10年、20年といった長期稼働後の太陽電池モジュール10の発電性能を予測するものである。
次に、本発明に係る太陽電池モジュール10の発電性能予測システム20の構成について、図3〜図8を参照して説明する。
図3及び図4に示すように、発電性能予測システム20は、ラマン分光計21と、発電性能測定装置としてのIVチェッカー22と、演算装置としてのノート型パソコン23とを備えている。ラマン分光計21は、EVA封止材13の劣化度を測定するために用いられる。IVチェッカー22は、太陽電池モジュール10の発電性能を測定するために用いられる。ノート型パソコン23は、キーボードから各種データを入力するために用いられる。また、ノート型パソコン23は、ラマン分光計21やIVチェッカー22から入力されるデータから算出した検査結果や計算結果を確認するために用いられる。
図3及び図4に示すように、発電性能予測システム20は、ラマン分光計21と、発電性能測定装置としてのIVチェッカー22と、演算装置としてのノート型パソコン23とを備えている。ラマン分光計21は、EVA封止材13の劣化度を測定するために用いられる。IVチェッカー22は、太陽電池モジュール10の発電性能を測定するために用いられる。ノート型パソコン23は、キーボードから各種データを入力するために用いられる。また、ノート型パソコン23は、ラマン分光計21やIVチェッカー22から入力されるデータから算出した検査結果や計算結果を確認するために用いられる。
ラマン分光計21は、対物レンズ21a、結像レンズ21b、スリット21c、分光部21d、スペクトル解析部21e、図示しないレーザ照射部等からなる。EVA封止材13のラマン測定時には、レーザ照射部から、波長が532nmの緑色レーザ光が照射される。緑色レーザ光は、対物レンズ21aを通過してから、測定対象の太陽電池モジュール10に照射される。緑色レーザ光が太陽電池モジュール10のカバーガラス12を通過してEVA封止材13で焦点を結ぶと、焦点位置からラマン散乱光が生じる。ラマン散乱光は、照射した緑色レーザ光より振動数が僅かにずれ、物質固有の振動数を持った散乱光である。
焦点から発散されたラマン散乱光は、結像レンズ21bとスリット21cとにより分光部21d上で結像する。分光部21d上でラマン散乱光が結像すると、撮像素子によってラマン散乱光のスペクトル(ラマンスペクトル)が形成される。分光部21dで得られたスペクトルは、スペクトル解析部21eに入力される。例えば、EVA封止材13を構成するEVA樹脂のアセテートのC=Oは、1735cm−1にスペクトルピークを有している。エチレン基は、2847cm−1にスペクトルピークを有している。太陽光の紫外線(UV)を受けてEVA封止材13が劣化して生じるアルデヒドケトンは、1716cm−1にスペクトルピークを有している。
ラマン分光計21は、1μm〜数μmのz方向の分解能を有する共焦点顕微鏡が組み込まれた共焦点ラマン顕微鏡である。ラマン分光計21は、レーザ照射位置をx、y、z軸の3軸方向に移動自在に構成されている。この場合、z方向は、レーザの深さ方向に相当し、x方向及びy方向は、レーザの深さ方向と直交する平面方向に相当する。このため、ラマン分光計21は、対物レンズ21aの焦点位置として、カバーガラス12の表面上の平面位置に加え、カバーガラス12の表面からバックシートの表面までの間の深さ位置についても設定可能である。ラマン分光計21は、焦点位置からの反射光に基づくラマンスペクトルを、予め登録された種々の物質のラマンスペクトルと比較しながら、焦点位置が所望の位置になるまで、対物レンズ21aをz軸に沿って移動させる。
IVチェッカー22は、測定者が操作する操作ボタン22aと、ディスプレイ22bとを備えている。ディスプレイ22bは、太陽電池モジュール10の発電性能の測定結果を表示する。IVチェッカー22は、ケーブル24を介して太陽電池モジュール10の正極(+)と負極(−)とにそれぞれ接続された状態で使用される。IVチェッカー22により測定可能な項目として、例えば、最大出力、短絡電流、開放電圧、曲線因子、最大出力動作電流、最大出力動作電圧、変換効率、日射強度、外気・裏面温度、IV基準状態換算、IV曲線微分特性等が挙げられる。
ノート型パソコン23は、測定者が操作するキーボード23aと、ディスプレイ23bとを備えている。ディスプレイ23bは、ラマン分光計21やIVチェッカー22からのデータに基づく検査結果や演算結果を表示する。また、ノート型パソコン23には、CPU23d、メモリ、ハードディスク等が搭載されている。CPU23dは、ラマン分光計21やIVチェッカー22から入力されたデータに基づき、太陽電池モジュール10の発電劣化率に関する各種演算処理を実行する。本実施形態において、CPU23dは、測定対象の太陽電池モジュール10についてEVA封止材13の劣化度と最大出力との関係を示す相関式を算出すると共に、相関式に基づいて測定対象の太陽電池モジュール10の測定時発電劣化率を算出する発電劣化率算出部として機能する。また、CPU23dは、測定時発電劣化率に基づいて、測定対象の太陽電池モジュール10の発電性能を予測する際に用いる発電性能予測式を算出すると共に、発電性能予測式を用いて、EVA封止材13の劣化度及び最大出力の各実測値を取得した後の測定対象の太陽電池モジュール10の予測発電劣化率を算出する発電性能予測部として機能する。
発電性能予測システム20は、発電所等、太陽電池モジュール10の設置現場で使用される。発電性能予測システム20の使用時、ノート型パソコン23には、ケーブル25を介してラマン分光計21とIVチェッカー22とが接続される。ラマン測定によりEVA封止材13の劣化度を測定する際、ラマン分光計21は、測定対象の太陽電池モジュール10の表面における中央付近の位置に載置された状態で使用される。また、このとき、図3の拡大図に示すように、ラマン分光計21は、プローブ21fの先端を太陽電池モジュール10の表面に当接させた状態で載置される。測定対象の太陽電池モジュール10の最大出力を測定する際、IVチェッカー22は、正極端子と負極端子とをケーブル24を介して太陽電池モジュール10の正極(+)と負極(−)とにそれぞれ接続した状態で使用される。まず初めに、測定者は、ラマン分光計21を太陽電池モジュール10の表面に載置した状態で計測した後、ラマン分光計を太陽電池モジュール表面から取り除く。その後、IVチェッカー22とノート型パソコン23とをそれぞれ操作しつつ、測定対象の太陽電池モジュール10についてEVA封止材13の劣化度や、最大出力等の発電性能を測定する。
次に、上記の発電性能予測システム20、及び発電性能予測システム20を用いた太陽電池モジュール10の発電性能予測方法の作用について、図5〜図8を参照して説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール10の発電性能予測方法を説明するフローチャートを示す。以下、図5に示すフローチャートに従って、図6〜図8の各グラフを参照しつつ、太陽電池モジュール10の発電劣化予測処理が終了するまでの一連の手順を説明する。ここでは、同一形式の太陽電池モジュール10で構成されかつ数千台の太陽電池モジュール10が同一方位、同一傾斜角で設置された太陽電池アレイについて、稼働開始から4.7年経過しており、本方法により稼働開始から20年経過後の発電性能を予測する場合について説明する。また、太陽電池アレイを構成する太陽電池モジュール10のうち、18台の太陽電池モジュール10を、EVA封止材13の劣化度及び最大出力を測定する測定対象の太陽電池モジュール10とする。
図5に示すように、発電劣化予測処理が開始されると、まず、ラマン分光計21を用いてEVA封止材13のラマンスペクトルが取得されると共に、IVチェッカー22を用いて太陽電池モジュール10の最大出力が測定される(ステップS1)。ラマン測定時には、波長が532nmの緑色レーザが、カバーガラス12を通過してEVA封止材13に照射される。このとき、レーザ照射位置をz軸に沿って移動させながら、レーザの焦点位置が、EVA封止材13の厚み方向の中間位置となるように調整される。ここでは、エチレンの振動に対応する波長での散乱強度が最大となるようにレーザ発信位置が調整される。レーザの深さ方向の発信位置を調整後、レーザ発信位置を平面方向に2mm以上移動させてから、ラマン分光計21によるEVA封止材13のラマン測定が開始される。
図6は、ラマン分光法により取得された劣化度の異なる4種類のEVA封止材13のラマンスペクトルを示す。図中、ラマンスペクトルSP1は、劣化の無いEVA封止材13のラマン測定の結果を示す。ラマンスペクトルSP2,SP3,SP4は、劣化が進行したEVA封止材13のラマン測定の結果をそれぞれ示す。EVA封止材13の劣化度は、ラマンスペクトルSP2,SP3、SP4の順に大きくなっている。ラマンスペクトルSP1,SP2,SP3、SP4のいずれにおいても、EVA樹脂のエチレンの振動に対応する波長(2847cm−1)にピークが見られる。また、波長1735〜1750cm−1における散乱強度の最大値は、ラマンスペクトルSP1,SP2,SP3、SP4の順に大きくなっている。これは、EVA封止材13の劣化により生じる蛍光成分の増加に比例して、ラマンスペクトルの散乱強度が大きくなることによる。このため、エステル構造に対応するラマンシフト:1735〜1750cm−1における散乱強度の最大値をBとし、アルカン構造に対応するラマンシフト:2825cm−1〜2860cm−1における散乱強度の最大値をAとした場合、EVA封止材13の劣化度Dは、以下の式(1)によって算出される。
発電性能予測システム20は、発電所等、天候や気象条件の影響を受け易い屋外で使用される。このため、IVチェッカー22により測定される各種の実測値は、基準状態のときの値から外れていることが多い。このため、IVチェッカー22は、実測値を基準状態のときの値に換算するため、以下のような機能を備えている。例えば、IVチェッカー22により測定した太陽電池モジュール10の最大出力の実測値は、太陽光強度が1000W/m2でかつ太陽電池モジュール10の裏面温度が25℃である基準状態のときの値に換算される。具体的には、基準状態での電圧値V2、電流値i2、日射強度e2(=1000W/m2)、被測定用太陽電池温度t2(=25℃)とし、IVチェッカー22により測定した電圧値V1、電流値i1、日射強度e1、被測定用太陽電池温度t1、及び短絡電流iscとした場合、以下の式(2)(3)を用いて、実測値から、基準状態のときの値に換算される。
次に、EVA封止材13の劣化度と太陽電池モジュール10の最大出力との関係を示す相関式を算出する(ステップS2)。ここでは、図7に示すように、測定対象の18台の太陽電池モジュール10について、IVチェッカー22により測定した最大出力(W)を、ラマン測定により求めたEVA封止材13の劣化度Dにそれぞれ対応させてプロットする。図中、黒丸(●)は、初期状態の太陽電池モジュール10のEVA封止材13の劣化度DをX座標とし最大出力(W)をY座標とする初期座標位置を示す。太陽電池モジュール10が2013年以降に製造された場合、初期状態の太陽電池モジュール10におけるEVA封止材13の劣化度の値として160が用いられる。つまり、2013年以降に製造された太陽電池モジュール10の場合、カバーガラス12から溶出したナトリウムイオンがシリコンセル11の表面に到達するまでは、EVA封止材13の劣化度Dが160(固定値)である。
尚、太陽電池モジュール10が2013年以前に製造されたものであれば、初期状態の太陽電池モジュール10におけるEVA封止材13の劣化度の値として130が用いられる。つまり、2013年以前に製造された太陽電池モジュール10の場合、カバーガラス12から溶出したナトリウムイオンがシリコンセル11の表面に到達するまでは、EVA封止材13の劣化度Dが130(固定値)である。
また、初期状態の太陽電池モジュール10の最大出力として、IEC8125に従い太陽電池測定用シミュレータにより計測された銘板値(250W)が用いられる。尚、図中黒丸(●)のY座標は、上記の銘板値(250W)に、太陽光補正値Qに0.902を乗じて補正した値である。
図中、白四角(□)は、4.7年稼働後の太陽電池モジュール10についてEVA封止材13の劣化度DをX座標とし最大出力(W)をY座標とする測定座標位置を示す。図中、18台の太陽電池モジュール10についてEVA封止材13の劣化度D及び最大出力(W)の各実測値をX座標及びY座標とする18個の測定座標位置がプロットされている。図中、点線は、18個のプロットデータに基づくEVA封止材13の劣化度Dと最大出力(W)との関係を示す相関式を示す。この相関式は、EVA封止材13の劣化度Dと最大出力(W)とを用いて、最小二乗法によって算出される。この場合、相関係数が0.65以上であれば、EVA封止材13の劣化度Dと最大出力(W)とに強い相関があるといえる。このため、ステップS2では、相関係数が0.65以上の相関式を算出することが望ましい。尚、図7は、相関式の一例として、Y=0.1499X+249.43を示す。
次に、ステップS2で算出された相関式Yに基づいて、太陽電池モジュール10の測定時発電劣化率Kが算出される(ステップS3)。上記相関式から得られた最大出力をPmax、銘板値をP0、太陽光補正値をQとした場合、測定時発電劣化率Kは、以下の式(4)によって算出される。
次に、ステップS3で算出された測定時発電劣化率Kに基づいて、発電劣化予測式が算出される(ステップS4)。発電劣化予測式は、原点(0,0)と、太陽電池モジュール10の稼働年数をX座標とし測定時発電劣化率KをY座標とする劣化後座標位置(X,K)とを結ぶ直線式として算出される。ここでは、ステップS3において、4.7年稼働後の太陽電池モジュール10の測定時発電劣化率Kが2.45%と算出されたため、図8は、原点(0,0)と、劣化後座標位置(4.7,2.45)とを結ぶ直線式(Z=0.52X)が発電劣化予測式として算出される。
続いて、ステップS4で算出された発電性能予測式に基づいて、20年後の太陽電池モジュール10の予測発電劣化率Zが算出される(ステップS5)。ここで、上記の発電劣化予測式(Z=0.52X)のXに20を代入すれば、20年後の太陽電池モジュール10の予測発電劣化率Zとして10.4(%)が算出される。算出された予測発電劣化率Zは、各種データや検出結果と共に、ノート型パソコン23のディスプレイ23bに表示される。その後、発電劣化予測処理は終了する。
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)発電性能予測システム20によれば、測定対象の太陽電池モジュール10についてEVA封止材13の劣化度と最大出力との相関関係に基づいて、測定対象の太陽電池モジュール10の測定時発電劣化率を算出し、更に、測定対象の太陽電池モジュール10の予測発電劣化率を算出することで、長期稼働後の太陽電池モジュール10の発電性能を予測することができる。
(1)発電性能予測システム20によれば、測定対象の太陽電池モジュール10についてEVA封止材13の劣化度と最大出力との相関関係に基づいて、測定対象の太陽電池モジュール10の測定時発電劣化率を算出し、更に、測定対象の太陽電池モジュール10の予測発電劣化率を算出することで、長期稼働後の太陽電池モジュール10の発電性能を予測することができる。
また、発電性能予測システム20による発電性能予測方法は、太陽電池モジュールのコネクタを外して発電性能を1枚ずつ検査する方法や、パワーコンディショナー毎の交流出力を毎日モニタリングして発電性能を検査する方法とは異なり、太陽電池モジュール10の発電劣化メカニズムに基づいて長期稼働後の発電劣化を予測するものである。このため、発電性能予測システム20によれば、例えば10年、20年といった長期稼働後の太陽電池モジュール10の発電性能を精度良く予測することができる。
また、発電性能予測システム20は、EVA封止材13の劣化度を測定するラマン分光計21と、太陽電池モジュール10の最大出力を測定するIVチェッカー22と、ノート型パソコン23とを組み合わせて構成されている。つまり、発電性能予測システム20は、既存の分析機器や計算器を組み合わせたものであり、ラマン分光計21、IVチェッカー22及びノート型パソコン23はいずれも携帯可能である。このため、検査者は、発電所等、太陽電池モジュール10の設置現場で、長期稼働後の太陽電池モジュール10の発電性能の予測結果を確認することができる。
(2)エステル構造に対応するラマンシフト:1735〜1750cm−1における散乱強度の最大値Bと、アルカン構造に対応するラマンシフト:2825cm−1〜2860cm−1における散乱強度の最大値Aとに基づいて、EVA封止材13の劣化度を算出する。この構成によれば、ラマンスペクトルの散乱強度の強度比に基づいて、EVA封止材13の劣化度を定量的に測定することができる。これにより、測定対象の太陽電池モジュール10のEVA封止材13の劣化度と最大出力との相関式を精度良く算出することができる。
(3)赤色等、波長の長いレーザでは、EVA封止材13が劣化して生成されるポリエン構造から発する蛍光を、観測することができない。その点、この構成によれば、波長が532nmの緑色レーザを、測定対象の太陽電池モジュール10のカバーガラス12側から照射する。これにより、ポリエン構造から発する蛍光を観測することができ、EVA封止材13の劣化度を定量的に測定することができる。
(4)レーザ発信位置を調整後、レーザ発信位置を移動させずにラマン計測を行うと、EVA封止材13から発する蛍光がブリーチングにより減少するため、ポリエン構造の生成量を定量的に測定することができない。この点、この構成によれば、レーザの深さ方向の発信位置を調整後、レーザ発信位置を平面方向に2mm以上移動させるため、蛍光がブリーチングにより減少していない場所で、ラマン測定を行うことができる。これにより、EVA封止材13の劣化度を定量的にかつ正確に測定することができる。
(5)EVA封止材13の劣化度の測定には、共焦点顕微鏡が組み込まれた共焦点ラマン顕微鏡を用いる。この構成によれば、ラマン測定時に、レーザの深さ方向の発信位置を調整することが容易となる。このため、EVA封止材13の厚み方向の中間位置にレーザの焦点を照射することが容易となる。これより、EVA封止材13の劣化度を定量的にかつ迅速に測定することができる。
(6)太陽電池モジュールの最大出力を測定する工程では、太陽光強度が700W/m2以上の条件下で測定した実測値を、太陽光強度が1000W/m2でかつ太陽電池モジュールの裏面温度が25℃のときの最大出力に換算する。この構成によれば、測定対象の太陽電池モジュール10の最大出力の実測値として、基準状態から大きく外れない値を用いることで、EVA封止材13の劣化度と最大出力との相関式をより一層精度良く算出することができる。
(7)相関係数が0.65以上の相関式を用いることにより、測定対象の太陽電池モジュール10についてEVA封止材13の劣化度と最大出力との相関式を更に精度良く算出することができる。
(8)上記の式(4)のように、相関式から得られた最大出力Pmaxを、測定対象の太陽電池モジュール10の銘板値P0を太陽光補正値Qで補正した値(P×Q)で除することで、太陽電池モジュール10の測定時発電劣化率Kを算出することができる。また、この場合、太陽光補正値Qを0.902とすることで、銘板値P0を実測値相当の値として取り扱うことができる。
本実施形態は、以下のように変更してもよい。
・本実施形態において、太陽電池アレイ全体の発電劣化率を予測するため、18台の太陽電池モジュール10を測定対象としたが、測定対象の太陽電池モジュール10の数は、少なくとも1台以上であれば、任意に変更してもよい。
・本実施形態において、太陽電池アレイ全体の発電劣化率を予測するため、18台の太陽電池モジュール10を測定対象としたが、測定対象の太陽電池モジュール10の数は、少なくとも1台以上であれば、任意に変更してもよい。
・本実施形態において、稼働開始から4.7年経過した太陽電池モジュール10を測定対象としたが、稼働開始から任意の年数が経過した太陽電池モジュール10を測定対象としてもよい。要するに、本発明によれば、T年経過後の太陽電池モジュール10の測定時発電劣化率Kを算出し、原点と(T,K)とを結ぶ直線式を発電劣化予測式として算出すれば、30年や40年といった20年を超す長期稼働後の太陽電池モジュール10の発電性能であっても容易に予測することができる。
・本実施形態において、演算装置としてノート型パソコン23を用いたが、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を用いてもよい。また、演算装置としてモバイル端末を用いる場合、ラマン分光計21やIVチェッカー22との接続は、無線接続であってもよい。
・本実施形態において、発電性能測定装置としてIVチェッカー22を用いたが、太陽電池モジュール10の最大出力を測定可能であれば、任意の測定機器を用いてもよい。
・本発明は、数千台の太陽電池モジュール10が同一方位、同一傾斜角で設置された太陽電池アレイの予測に適用したが、太陽電池モジュール10単体の発電劣化率の予測に適用してもよい。
・本発明は、数千台の太陽電池モジュール10が同一方位、同一傾斜角で設置された太陽電池アレイの予測に適用したが、太陽電池モジュール10単体の発電劣化率の予測に適用してもよい。
10…太陽電池モジュール、11…シリコンセル、12…カバーガラス、13…EVA封止材、20…発電性能予測システム、21…ラマン分光計、22…IVチェッカー(発電性能測定装置)、23…ノート型パソコン(演算装置)、23d…CPU(発電劣化率算出部、発電性能予測部)。
Claims (10)
- 太陽電池モジュールの発電性能予測方法であって、
前記太陽電池モジュールは、
シリコンセルと、
前記シリコンセルの表面側に配置されるカバーガラスと、
前記シリコンセルと前記カバーガラスとの間に充填されるエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるEVA封止材とを備え、
前記発電性能予測方法は、
測定対象の太陽電池モジュールについて、ラマン測定により前記EVA封止材の劣化度を測定すると共に、前記測定対象の太陽電池モジュールの最大出力を測定する工程と、
前記測定対象の太陽電池モジュールについて前記EVA封止材の劣化度及び最大出力の各実測値をX座標及びY座標とする測定座標位置と、初期状態の太陽電池モジュールについて前記EVA封止材の劣化度及び前記最大出力をX座標及びY座標とする初期座標位置とに基づいて、前記EVA封止材の劣化度と前記最大出力との相関式を算出する工程と、
前記相関式に基づいて、前記測定対象の太陽電池モジュールの測定時発電劣化率を算出する工程と、
前記測定時発電劣化率に基づいて、前記測定対象の太陽電池モジュールの発電性能を予測する際に用いる発電性能予測式を算出する工程と、
前記発電性能予測式を用いて、前記EVA封止材の劣化度及び最大出力の各実測値を取得した後の前記測定対象の太陽電池モジュールの予測発電劣化率を算出する工程と
を備える、太陽電池モジュールの発電性能予測方法。 - 請求項1に記載の太陽電池モジュールの発電性能予測方法において、
前記EVA封止材の劣化度を測定する工程は、
レーザを、前記測定対象の太陽電池モジュールのカバーガラス側から照射する工程と、
エチレンの振動に対応する波長での散乱強度が最大となるようにレーザ発信位置を調整する工程と、
アルカン構造に対応するラマンシフト:2825cm−1〜2860cm−1における散乱強度の最大値とエステル構造に対応するラマンシフト:1735〜1750cm−1における散乱強度の最大値との比に基づいて、前記EVA封止材の劣化度を算出する工程と
を備える、太陽電池モジュールの発電性能予測方法。 - 請求項2に記載の太陽電池モジュールの発電性能予測方法において、
波長が532nmの緑色レーザを照射する、太陽電池モジュールの発電性能予測方法。 - 請求項2又は3に記載の太陽電池モジュールの発電性能予測方法において、
レーザの深さ方向の発信位置を調整後、前記レーザ発信位置を平面方向に2mm以上移動させてから、前記ラマン測定を開始する、太陽電池モジュールの発電性能予測方法。 - 請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの発電性能予測方法において、
共焦点顕微鏡が組み込まれた共焦点ラマン顕微鏡を用いる、太陽電池モジュールの発電性能予測方法。 - 請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの発電性能予測方法において、
前記測定対象の太陽電池モジュールの最大出力を測定する工程では、
太陽光強度が700W/m2以上の条件下で測定した前記最大出力の実測値を、太陽光強度が1000W/m2でかつ前記測定対象の太陽電池モジュールの裏面温度が25℃のときの最大出力に換算する、太陽電池モジュールの発電性能予測方法。 - 請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの発電性能予測方法において、
前記測定座標位置と、前記初期状態の太陽電池モジュールについて前記EVA封止材の劣化度を160とし太陽電池測定用シミュレータにより計測された銘板値を太陽光補正値で補正した値を最大出力とする初期座標位置とに基づいて、相関係数が0.65以上の相関式を算出する、太陽電池モジュールの発電性能予測方法。 - 請求項7に記載の太陽電池モジュールの発電性能予測方法において、
前記相関式から得られた前記最大出力の値と、前記銘板値を前記太陽光補正値で補正した値との比に基づいて、前記測定対象の太陽電池モジュールの測定時発電劣化率を算出する、太陽電池モジュールの発電性能予測方法。 - 請求項8に記載の太陽電池モジュールの発電性能予測方法において、
前記太陽光補正値は0.902である、太陽電池モジュールの発電性能予測方法。 - 太陽電池モジュールの発電性能予測システムであって、
前記太陽電池モジュールは、
シリコンセルと、
前記シリコンセルの表面側に配置されるカバーガラスと、
前記シリコンセルと前記カバーガラスとの間に充填されるエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂からなるEVA封止材とを備え、
前記発電性能予測システムは、
前記EVA封止材の劣化度を測定するラマン分光計と、
前記太陽電池モジュールの最大出力を測定する発電性能測定装置と、
前記太陽電池モジュールの発電劣化を予測するための演算を行う演算装置とを備え、
前記演算装置は、
測定対象の太陽電池モジュールについて前記EVA封止材の劣化度及び最大出力の各実測値をX座標及びY座標とする測定座標位置と、初期状態の太陽電池モジュールについて前記EVA封止材の劣化度及び前記最大出力をX座標及びY座標とする初期座標位置とに基づいて、前記EVA封止材の劣化度と前記最大出力との関係を示す相関式を算出すると共に、前記相関式に基づいて、前記測定対象の太陽電池モジュールの測定時発電劣化率を算出する発電劣化率算出部と、
前記測定時発電劣化率に基づいて、前記測定対象の太陽電池モジュールの発電性能を予測する際に用いる発電性能予測式を算出すると共に、前記発電性能予測式を用いて、前記EVA封止材の劣化度及び最大出力の各実測値を取得した後の前記測定対象の太陽電池モジュールの予測発電劣化率を算出する発電性能予測部と
を備える、太陽電池モジュールの発電性能予測システム。
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