JP2020193925A - 温度測定装置、温度測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料における中性子共鳴吸収を利用して試料の温度を非接触かつ高精度で測定する。【解決手段】この温度測定装置1においては、白色スペクトル、パルス状の中性子線N0を発する中性子源100が用いられ、中性子線N0は、温度が測定される対象となる試料S0に照射される。試料S0を透過後の中性子線N1は、材料構成が既知であるインディケータS1に照射される。γ線検出器20によってインディケータS1から中性子線N1の照射に伴って発せられるγ線が検出される。γ線検出器20によって測定された飛行時間スペクトルには温度依存性が存在し、これを解析することによって、試料S0の温度を算出することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、中性子の共鳴吸収を用いて非接触で試料の温度を測定する温度測定装置、温度測定方法に関する。
試料の温度を測定する方法として、試料と温度センサとを接触させる接触型の測定方法と、試料と非接触の状態で試料の温度を測定する非接触型の測定方法の2種類がある。試料と温度センサとを接触させることが困難な状況の場合には、特に非接触型の測定方法が好ましい。
非接触型の測定方法としては、例えば試料から発せられる熱赤外線の強度を基にして温度を測定する方法が広く用いられている。一方、例えば放射性廃棄物の温度を測定する場合には、試料と温度センサとを接触させることが困難な上に、更にこの試料が他の物質(キャニスタ等)で覆われている場合もあるが、放射性廃棄物の管理上、その温度を認識することは重要である。この場合には試料が発した熱赤外線を外部で検知することが困難であるため、熱赤外線により試料の温度を検知することが困難である。
このため、このようにキャニスタ等で覆われた内部の試料の温度を非接触で測定する方法として、非特許文献1に記載されたように、キャニスタ及び試料を透過するX線を用いる方法が知られている。この測定方法においては、温度の変化に伴う試料の密度の変化が、透過X線を用いて認識される。プローブとして使用されるX線としては、高強度の放射光が特に好ましく用いられる。しかしながら、この方法においては、キャニスタにおけるX線の透過率が十分に高い場合にのみ温度測定が可能となるため、キャニスタの厚さや材料に対する制限が大きい。
これに対して、一般的に、中性子(線)の物質に対する透過率はX線等と比べて非常に高いため、中性子を上記のX線の代わりにプローブとして使用する場合には、上記のようなキャニスタに対する制限は緩くなるため、非常に有効である。例えば非特許文献2、3には、中性子線をプローブとして用いる温度測定方法が記載されている。図8は、この測定装置の構成を模式的に示す図であり、ここでは、中性子源100からパルス状に制御して生成された幅広いエネルギーをもつ(白色スペクトルの)中性子線N0が試料Sに対して照射され、試料Sを透過した中性子線N1の強度が、中性子検出器90によって、高い時間分解能で検出される。この場合において試料の温度の算出に使用される中性子検出器90における測定結果の例である。図9においては、パルス状に発せられた中性子の飛行時間(検出時刻)と検出強度(中性子カウント)との関係が示されており、早く到達した(横軸が大きい側の)中性子がエネルギーの高い中性子に対応し、遅く到達した(横軸が小さい側の)中性子がエネルギーの低い中性子に対応する。このため、図9の特性は中性子線N1のエネルギースペクトルに対応する。ここで、図8においては、試料Sのみが記載されているが、実際には中性子線N0、N1に対する透過率が高い他の材料(例えばキャニスタ)が光軸上に存在していても、上記の測定を行うことができる。中性子の物質透過率は他の放射線等と比べて高いため、こうした材料として、多くのものを用いることができる。
中性子線N0が仮にエネルギーが一定の白色スペクトルであり、試料Sが存在せずに中性子線N0がそのまま中性子検出器90で検出された場合には、図9の破線で示されたように、白色のエネルギースペクトルを反映した時間的に一定の検出強度が得られる。一方、試料Sが存在する場合には、中性子線N0が試料Sを透過する際に、試料S(試料S中の核種)における中性子の共鳴吸収に固有のエネルギーをもつ中性子が特に強く吸収される。このため、試料Sを透過後の中性子線N1においては、上記の固有のエネルギーに対応する飛行時間で強い吸収(検出強度の低下:ディップ)が発生する。このエネルギーは、例えば試料SがTaで構成される場合には4.3eV程度となる。
試料Sの温度が変化した場合に、このディップの極小点の位置(エネルギー:飛行時間)は変化しないが、ディップの形状(深さや幅)は、原子核の熱運動によるドップラー効果により定まり、試料Sの温度に応じて変動する。例えば、図9において、特性Aは温度23℃、特性Bは500℃におけるTaの共鳴吸収に対応する。このため、試料Sに含まれる元素(核種)が特定され、中性子検出器90の検出結果でこのようなディップの形状の差異を認識することができれば、試料Sの温度を認識することができる。この際、試料Sに複数種類の元素が含まれる場合においては、各元素(核種)についてこの解析を行うことができるが、試料Sが単体の構造物である場合にはどの元素の場合でも原理的には同じ温度が算出される。このため、この元素としては、このうちの一種のみを選択すれば十分であり、このディップが最も顕著となった核種(共鳴吸収のエネルギー)に対してこの解析を行うことにより、試料Sの温度を算出することができる。
「物体内部の温度を非破壊で計測可能な3次元X線サーモグラフィー技術を開発」、日立製作所HP、URL:https://www.hitachi.co.jp/rd/news/topics/2018/0926.html Tetsuya Kai、Kosuke Hiroi、Yusha Su、Takenao Shinohara、Joseph D.Parker、Yoshihiro Matsumoto、Hirotoshi Hayashida、 Mariko Segawa、Takeshi Nakatani、Kenichi Oikawa、 Shuoyuan Zhang、 and Yoshiaki Kiyanagi、「Reliability Estimation of Neutron Resonance Thermometry Using Tantalum and Tungsten」、Physics Precedia(2017年)、Volume.88、306頁 A.S.Tremsin、W.Kockelmann、 D.E.Pooley、 W.B.Feller、「Spatially Resolved Remote Measurement of Temperature by Neutron Resonance Absorption」、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A:Accelerators(2015年12月)、Volume.18、15頁
図9におけるディップの形状(深さ、幅)から温度を算出するに際しては、図9におけるバックグラウンド値であるI0からの、ディップにおける検出強度(中性子カウント)の減少分を認識することが必要となる。このため、I0と共に、ディップの極小点におけるI0からの減少値ID等を正確に認識することが必要となり、上記のようにディップの形状から温度を正確に算出するためには、比率ID/I0が大きいことが要求される。しかしながら、I0は非共鳴領域の(共鳴吸収のエネルギーから十分に離間したエネルギーをもつ)中性子の強度であり、これはプローブとなる中性子線N0の強度に対応するため、I0は常に大きな値となるのに対して、試料Sにおける共鳴吸収により生じたIDは小さい場合がある。このため、比率ID/I0を十分に大きくすることは実際には困難であり、温度算出の精度は充分ではなかった。更に、試料Sに複数の元素が含まれる場合には、I0は、対象とするディップを形成する元素以外の他の元素の影響も受けるため、算出において採用すべきI0の値自身にも不定性が存在する。このため、実際には、上記の様な中性子を用いた温度測定方法においては、測定される絶対温度Tの分解能ΔT/Tは5%以上(例えば400Kで20K程度)となり、温度測定の精度は充分ではなかった。
すなわち、試料における中性子共鳴吸収を利用して試料の温度を非接触かつ高精度で測定することが望まれた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の温度測定装置は、試料における中性子の共鳴吸収を用いて前記試料の温度を非接触で測定する温度測定装置であって、前記試料における前記共鳴吸収が発生するエネルギーを含むエネルギー範囲のスペクトルをもつ中性子で構成されたパルス状の中性子線を発生させる中性子源と、前記試料において前記共鳴吸収が発生するエネルギー領域で前記共鳴吸収をおこす核種を含んで構成され、前記試料を透過後の前記中性子線が照射されるインディケータと、前記インディケータからの前記共鳴吸収に伴う即発γ線、又は前記中性子線の光軸から外れた散乱中性子線の強度の経時変化である飛行時間スペクトルを検出する検出部と、前記飛行時間スペクトルから前記試料の温度を算出する解析部と、を具備することを特徴とする。
本発明の温度測定装置において、前記インディケータは、前記試料と共通の核種を含んで構成されることを特徴とする。
本発明の温度測定装置において、前記解析部は、前記飛行時間スペクトルと、予め記憶された参照スペクトルからの差分の積分値を算出し、当該積分値に基づいて前記温度を算出することを特徴とする。
本発明の温度測定方法は、前記温度測定装置において、異なる共鳴吸収エネルギーを有する複数の核種を含有する前記試料に対して、前記複数の核種を含有する前記インディケータを用い、前記複数の核種の各々に対して前記温度を算出することを特徴とする。
本発明の温度測定方法において、前記複数の核種は、前記試料における別体とされた複数の部分にそれぞれ別に含有され、当該部分毎に前記温度を算出することを特徴とする。
本発明は以上のように構成されているので、試料における中性子共鳴吸収を利用して試料の温度を非接触かつ高精度で測定することができる。
本発明の実施の形態に係る温度測定装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る温度測定装置における検出部で測定される飛行時間スペクトルを説明する図である。 本発明の実施例となる温度測定装置で得られた飛行時間スペクトルの例である。 本発明の実施例となる温度測定装置で得られた飛行時間スペクトルにおける、Taの共鳴吸収エネルギー近傍を拡大した例である。 本発明の実施例となる温度測定装置で得られた飛行時間スペクトルにおけるTaの共鳴吸収エネルギー近傍の2種類の温度における形状の例を示す図である。 本発明の実施例における飛行時間スペクトルから算出された評価値の温度依存性を示す。 別体とされた2つの試料に対する測定を本発明の実施の形態に係る温度測定装置で行う場合の構成を示す図である。 中性子の共鳴吸収を用いた従来の温度測定装置の構成を示す図である。 従来の温度測定装置によって試料の温度を算出するための測定結果を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係る温度測定装置について説明する。図1は、この温度測定装置1の構成を示す図である。この温度測定装置1においては、白色スペクトル、パルス状の中性子線N0を発する中性子源100が用いられ、中性子線N0は、温度が測定される対象となる試料S0に照射される。この点については、図8の構成と同様である。ただし、試料S0を透過後の中性子線N1は、材料構成が既知であるインディケータS1に照射される。インディケータS1の周囲における中性子線N0、N1の光軸から外れた箇所には、γ線検出器(検出部)20が設けられており、これによってインディケータS1から中性子線N1の照射に伴って発せられるγ線が検出される。
ここで検出されるγ線は、中性子線N1がインディケータS1中で共鳴吸収された直後に発せられる即発γ線Gである。このため、前記の中性子検出器90と同様に、このγ線を高い時間分解能で検出してその経時変化を検出すれば、この特性には、図9と同様に、インディケータS1中における中性子の共鳴吸収の影響が反映される。一方、中性子線N1には、図9に示された通りに、試料S0中における中性子の共鳴吸収の影響も現れる。データ解析部(解析部)30は、例えばパーソナルコンピュータであり、γ線検出器20の出力から後述するような計算を行うことにより、試料S0の温度を算出する。
ここで、例えば、試料S0を構成する元素(正確には核種)と、インディケータS1を構成する元素(正確には核種)とが同一である場合には、中性子線N0中では試料S0において、中性子線N1中ではインディケータS1において、同じエネルギーで共鳴吸収が発生する。この場合におけるγ線検出器20で検出されるγ線強度、あるいはインディケータS1と透過する中性子強度の経時変化等を模式的に図2に示す。ここで、検出されるγ線が即発γ線Gであるため、図2における横軸の時間経過は図9における中性子線N1の中性子の飛行時間(エネルギー)に対応し、この結果は即発γ線Gの飛行時間スペクトルとなる。中性子線N0がパルス状に制御されて発せられるため、即発γ線Gに対するこうした測定を行うことができる。
図2において、仮に試料S0が存在しない場合(試料S0における共鳴吸収が全く存在しない場合)には、インディケータS1には中性子線N0が直接照射される。この状況は、図8における試料SがインディケータS1となった場合と等価であるため、インディケータS1を透過した中性子のエネルギースペクトルは、インディケータS1における共鳴吸収に対応したディップを具備する図9の特性A、Bと同様の特性Cとなる。γ線検出器20によって検出されるγ線がこの共鳴吸収による即発γ線Gのみであれば、このγ線の検出結果は、図2において、ディップの代わりに共鳴吸収のエネルギーに対応したピークをもつように、特性Cが反転した特性Dとなる。
ただし、図1の構成でインディケータS1に照射されるのは、試料Sを透過後の中性子線N1であり、この中性子線N1においては、インディケータS1における共鳴吸収と同一のエネルギーにおける共鳴吸収が存在する。このため、図1の構成においては、上記の特性Dにおけるピーク付近を構成する中性子の数は図9の特性A、Bにおけるディップのように減少し、試料S0とインディケータS1が同一材料で構成されれば、このディップの極小点のエネルギーは特性Dのピークのエネルギーと等しい。このため、図1に構成においてγ線検出器20で検出される特性は、図2において、共鳴吸収のエネルギーでディップが存在し、その両側にピークが存在し、かつこのエネルギーから離間したエネルギーでは強度が零となるような、極小点(共鳴吸収のエネルギー)の両側で略対称な特性Eとなる。
図9の特性においては、検出結果において、共鳴吸収に関わらない領域(バックグラウンド値I0の部分)が大部分となり、その中で共鳴吸収に関わる部分(I0からの減少値がIDとなるディップの部分)が存在し、一般的には比率ID/I0は小さかった。これに対して、図2の特性Eにおいて認識されるのは、共鳴吸収によるディップに対応した部分の近傍のみとなり、共鳴吸収に関わらないバックグラウンド成分は存在しない。一方、図9の結果より、特性Eで強度が認識されたディップに対応した部分には、試料S0の温度に依存する成分が存在する。このため、γ線検出器20によって測定された飛行時間スペクトル(図2の特性Eの形状)には温度依存性が存在し、これを解析することによって、試料S0の温度を算出することができる。
実際に図1の構成で測定を行った結果について説明する。中性子源100として、J−PARC(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構)の中性子核反応測定装置(BL04:ANNRI)を用い、試料S0を40μm、インディケータS1を100μmの厚さのTaとし、中性子源100からの距離をそれぞれ24.5m、27.9mとした。γ線検出器20としては、シンチレータ(NaI)と光電子増倍管とを組み合わせたものが用いられた。より正確には、この組み合わせのγ線検出器が中性子線N0、N1の光軸と90°、125°の角度に2つ設置され、それぞれが即発γ線を検出する計測が行われた。
インディケータS1の温度は室温(23℃:非加熱)とされ、試料S0の温度は室温、100、200、300、400、500℃の6種類とされた。図3は、γ線検出器20による上記の測定結果を示す。ここでは、Ta原子核の複数の共鳴吸収のエネルギー(飛行時間:TOF)に対応して多数のディップあるいはピークが存在する。図4は、このうち、Ta原子核の共鳴吸収エネルギーである4.3eVに対応する部分を拡大した図である。この測定結果は図2における特性Eの形状をもち、かつ、この特性は試料S0の温度に応じて変動している。特に、この測定結果においては、温度の上昇に伴い、中央の極小点が浅く、その両側のピークの高さが低くなるように変化している。このため、この測定結果から試料Sの温度を算出することができる。
この特性から試料S0の温度を算出するための手法は、適宜設定が可能である。例えば、図4の結果において、温度が23℃の場合の特性を既知の標準データ(参照スペクトル)として、この特性からの変動を数値化して評価値として算出し、この評価値を温度に換算するという手法が可能である。図5は、この手法を温度が500℃の場合において適用した例を説明する図である。このような両者の特性の差は、図7の場合と比べて図5ではより顕著になっていることが確認できる。図5において、500℃の場合の特性は、中央のディップの部分では標準データよりも大きく、両側のピークの部分では標準データよりも小さくなっている。このため、図5における斜線部の積分値をこの評価値とすることができる。
図6は、500℃以外の温度についても同様にこの評価値(積分値)を算出し、試料S0の温度との関係を示した結果である。この評価値と温度との間には良好な線形性が見られるため、この数値から高精度で温度を算出することができる。具体的には、ここで示された温度範囲ではこの温度分解能ΔT/Tは1〜2%であり、500℃においてはΔT=5℃程度となる。
このため、図1におけるデータ解析部30は、上記のようにγ線検出器20の測定結果を数値化し、これを基にして試料S0の温度を算出する。なお、上記のような温度の算出方法は一例であり、図5の特性における温度依存性を利用して温度を算出(推定)するための手法として、上記の方法以外のものを用いることもできる。例えば、複数の温度における上記の測定結果を予め記憶し、この結果と実際の測定結果とを比較することによって、温度を算出してもよい。
上記の測定においては、試料S0、インディケータS1は共に同一の元素(Ta)で構成されるために、図2における特性Eのように、共鳴吸収のエネルギーの前後で対称な形状のピークをもつ測定結果が得られた。しかしながら、異なる元素であっても、共鳴吸収のエネルギーが近接している場合がある。この場合には、インディケータS1を構成する元素として、このように試料S0には含まれないが共鳴吸収のエネルギーが近接しているものを代わりに用いてもよい。
一方、例えば、試料S0が、異なる共鳴吸収エネルギーをもつ2種類の元素(核種)の化合物や混合物で構成され、インディケータS1を同様にこの2種類の元素の化合物や混合物で構成した場合には、この2種類の元素による異なる2つの共鳴吸収エネルギーの付近で上記のような解析をそれぞれ行い、温度を算出することができる。ただし、この場合には、どちらの結果においても、原理的には試料S0の温度として共通の温度が算出される。このため、インディケータS1を構成する元素としては、少なくとも試料S0に含まれる元素1種を用いれば十分である。試料Sの起源が予め判明している場合には、この設定は容易である。あるいは、試料Sが未知である場合には、γ線検出器20で得られた飛行時間スペクトルにおいて、図2の特性Eのような部分が存在した場合には、これを用いて試料S0に含まれる元素(核種)として可能性があるものを推定することができる。
また、例えば、図7にその構成が記載されるように、別体とされた2つの試料S01、S02が同時に設けられる場合もある。ここで、試料S01には元素(核種)X1が含まれ、試料S02には元素(核種)X2が含まれ、かつ試料S01には元素X2は含まれず、試料S02には元素X1は含まれないものとする。プローブとなる中性子線N0は試料S01、S02の双方を透過する必要があるために、これらは中性子線N0に対して直列に配置されている。この構成により、中性子線N0は試料S01で元素X1によってその一部が共鳴吸収されて中性子線N01となり、この中性子線N01が試料S02で元素X2によってその一部が共鳴吸収されて中性子線N1となる。ここで、例えば、試料S02は放射性廃棄物、試料S01をキャニスタと想定することができる。
ここで、この場合の中性子線N1には、元素X1と元素X2の共鳴吸収の影響が共に反映されている。このため、元素X1と元素X2とが異なる共鳴吸収エネルギーをもてば、上記の解析をそれぞれの共鳴吸収エネルギー付近の飛行時間スペクトルに対して行うことができ、これによって元素X1(試料S01)と元素X2(試料S02)の温度を個別に算出することができる。この際、上記のように得られた飛行時間スペクトルにおいては、図9における破線で示されたようなバックグラウンド成分は存在しないため、一方の飛行時間スペクトルに対する他方の共鳴吸収の影響は小さく、試料S01と試料S02の温度を高精度で算出することができる。図7では試料が2つとされたが、3つ以上の場合においても、同様である。すなわち、上記の温度測定装置を用いた温度測定方法においては、試料に含まれる複数の元素(核種)毎に温度を測定することができる。このため、試料が別体とされた複数の部分で構成される場合には、この部分毎の温度を1回の測定で算出することもできる。
なお、上記の例では、γ線検出器(検出部)20が中性子の共鳴吸収直後の即発γ線Gを検出し、その検出強度の経時変化が飛行時間スペクトルとして得られた。しかしながら、インディケータS1を透過した中性子の強度以外で、同様にインディケータS1中における中性子の共鳴吸収の状況を検出できれば、即発γ線G以外のものを検出してもよい。例えば、検出部として中性子検出器を用い、インディケータS1における散乱中性子の強度を検出してもよい。この場合においては、特に試料を透過した中性子が検出されないようにすることが必要であり、図1、7におけるγ線検出器20と同様に、中性子線N0等の光軸から外れた中性子を中性子検出器が検出する構成とすることが好ましい。
また、上記の例において飛行時間スペクトルを取得するために検出部として用いられるγ線検出器、中性子検出器としては、例えば図4に示されたような特性が温度毎に分離して認識されるような時間分解能を有するものを適宜用いることができる。また、インディケータの形状、構成は、上記のような即発γ線や散乱中性子を検出可能なように適宜設定される。
1 温度測定装置
20 γ線検出器(検出部)
30 データ解析部(解析部)
90 中性子検出器
100 中性子源
G 即発γ線
N0、N01、N1中性子線
S、S0、S01、S02 試料
S1 インディケータ

Claims (5)

  1. 試料における中性子の共鳴吸収を用いて前記試料の温度を非接触で測定する温度測定装置であって、
    前記試料における前記共鳴吸収が発生するエネルギーを含むエネルギー範囲のスペクトルをもつ中性子で構成されたパルス状の中性子線を発生させる中性子源と、
    前記試料において前記共鳴吸収が発生するエネルギー領域で前記共鳴吸収をおこす核種を含んで構成され、前記試料を透過後の前記中性子線が照射されるインディケータと、
    前記インディケータからの前記共鳴吸収に伴う即発γ線、又は前記中性子線の光軸から外れた散乱中性子線の強度の経時変化である飛行時間スペクトルを検出する検出部と、
    前記飛行時間スペクトルから前記試料の温度を算出する解析部と、
    を具備することを特徴とする温度測定装置。
  2. 前記インディケータは、前記試料と共通の核種を含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の温度測定装置。
  3. 前記解析部は、前記飛行時間スペクトルと、予め記憶された参照スペクトルからの差分の積分値を算出し、当該積分値に基づいて前記温度を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の温度測定装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の温度測定装置において、異なる共鳴吸収エネルギーを有する複数の核種を含有する前記試料に対して、前記複数の核種を含有する前記インディケータを用い、
    前記複数の核種の各々に対して前記温度を算出することを特徴とする温度測定方法。
  5. 前記複数の核種は、前記試料における別体とされた複数の部分にそれぞれ別に含有され、当該部分毎に前記温度を算出することを特徴とする請求項4に記載の温度測定方法。
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Title
加美山 隆: "中性子共鳴吸収分光を用いた物体内部の非破壊温度測定", THE 28TH JAPAN SYMPOSIUM ON THERMOPHYSICAL PROPERTIES, JPN6022055143, 24 October 2007 (2007-10-24), pages 003, ISSN: 0004970370 *
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