JP2020187103A - 試料中の標的物質を検出又は定量する方法 - Google Patents

試料中の標的物質を検出又は定量する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、試料中の標的物質を高感度に検出又は定量する新たな方法を提供することを目的とする。【解決手段】試料中の標的物質を検出する方法であって、(a)標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体と、試料とを、インキュベーションする工程、(b)工程(a)の前又は後に、銀イオン及び還元剤を、前記複合体に接触させて、金ナノ粒子を銀で被覆する工程、(c)工程(a)の後に、前記試料から標的物質に結合していない複合体を除去する工程、(d)工程(b)及び工程(c)の後に、酸化剤及び酸化によって呈色する色原性基質を試料に添加する工程、(e)工程(d)の後に、試料の呈色反応の強度と、予め調製した標的物質を含まない陰性対照の呈色反応の強度とを比較して、試料の呈色反応の強度が強い場合に、試料中に標的物質が存在すると判定する工程、を含む、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、試料中の標的物質を検出又は定量する方法に関する。
抗原と抗体の反応を利用した測定法である免疫測定法は、高価な設備を必要としないことから、様々な分野で用いられている。例えば、医学分野では疾患の診断に利用されたり、食品分野では野菜の残留農薬の測定に使用されたりしている。免疫測定法の代表的なものとして、酵素結合免疫吸着法(ELISA法)があり、インフルエンザウイルスの検出等に利用されている(特許文献1)。
また、特許文献2には、標的物質に対する抗体を金ナノ粒子に結合させ、金ナノ粒子が有するペルオキシダーゼ様活性による過酸化水素下での色原性基質の呈色反応に基づいて、標的物質を検出又は定量する方法が記載されている。
国際公開第2013/088367号 特開2018−21864号公報
本発明は、試料中の標的物質を高感度に検出又は定量する新たな方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、標的物質に対する抗体を結合させた金ナノ粒子を、さらに銀で被覆することにより、より高感度に標的物質を検出又は定量することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
試料中の標的物質を検出する方法であって、
(a)標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体と、試料とを、インキュベーションする工程、
(b)工程(a)の前又は後に、銀イオン及び還元剤を、上記複合体に接触させて、金ナノ粒子を銀で被覆する工程、
(c)工程(a)の後に、上記試料から標的物質に結合していない複合体を除去する工程、
(d)工程(b)及び工程(c)の後に、酸化剤及び酸化によって呈色する色原性基質を試料に添加する工程、
(e)工程(d)の後に、試料の呈色反応の強度と、予め調製した標的物質を含まない陰性対照の呈色反応の強度とを比較して、試料の呈色反応の強度が強い場合に、試料中に標的物質が存在すると判定する工程、
を含む、方法。
[2]
試料中の標的物質を定量する方法であって、
(a)標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体と、試料とを、インキュベーションする工程、
(b)工程(a)の前又は後に、銀イオン及び還元剤を、上記複合体に接触させて、金ナノ粒子を銀で被覆する工程、
(c)工程(a)の後に、上記試料から標的物質に結合していない複合体を除去する工程、
(d)工程(b)及び工程(c)の後に、酸化剤及び酸化によって呈色する色原性基質を試料に添加する工程、
(e)工程(d)の後に、試料の呈色反応の強度から、既知濃度の標的物質を含む標準試料の呈色反応の強度に基づいて作成した検量線を使用して、試料中の標的物質を定量する工程、
を含む、方法。
[3]
工程(c)の前に、固相に結合された、標的物質に対する第2の抗体と、試料とをインキュベーションする工程をさらに含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]
工程(a)の前に、固相に試料を吸着させる工程を含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[5]
上記金ナノ粒子の表面がブロッキングされた金ナノ粒子を含む複合体を用いて工程(a)を行い、工程(a)の後に工程(b)を行う、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
工程(b)の後、かつ、工程(d)の前に、金ナノ粒子を被覆していない銀を除去する工程をさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]
上記還元剤がヒドロキノンである、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]
上記酸化剤が過酸化水素である、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]
テトラクロリド金(III)酸、
標的物質に対する第1の抗体を金ナノ粒子に結合させる試薬、
銀化合物、
還元剤、
酸化剤、及び
酸化によって呈色する色原性基質
を含む、標的物質を検出又は定量するためのキット。
[10]
標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体、
銀化合物、
還元剤、
酸化剤、及び、
酸化によって呈色する色原性基質
を含む、標的物質を検出又は定量するためのキット。
[11]
上記還元剤がヒドロキノンである、[9]又は[10]に記載のキット。
[12]
標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体であって、上記金ナノ粒子が銀で被覆されている、複合体、
酸化剤、及び、
酸化によって呈色する色原性基質
を含む、標的物質を検出又は定量するためのキット。
[13]
上記酸化剤が過酸化水素である、[9]〜[12]のいずれかに記載のキット。
[14]
標的物質に対する第2の抗体が結合された固相をさらに含む、[9]〜[13]のいずれかに記載のキット。
本発明の方法によれば、試料中の標的物質を高感度に検出又は定量することができる。
工程(b)において、金ナノ粒子が銀で被覆される様子を表した模式図である。 酸化剤として過酸化水素(H)を用いた場合の、銀被覆金ナノ粒子と酸化剤と色原性基質との反応の模式図である。 実験例1−3で観察した金ナノ粒子(A)及び銀被覆金ナノ粒子(B)の透過型電子顕微鏡画像の写真である。 実験例1−5で測定した触媒活性の結果を示す図である。黒丸は銀被覆金ナノ粒子の最大反応速度を示し、黒四角は金ナノ粒子の最大反応速度を示す。 実験例1−6で評価した、触媒活性に対するナノ粒子へのブロッキングの影響を示す図である。黒丸は、銀で被覆したBSAブロッキング金ナノ粒子、白丸は、BSAでブロッキングした銀被覆金ナノ粒子、黒四角は、BSAでブロッキングした金ナノ粒子の触媒活性を示す。 実施例1の銀被覆金ナノ粒子を用いたイムノアッセイの結果を示す図である。左から、ノロウイルス様粒子(NoV−LPs)、インフルエンザ(flu)、BSA、コントロールについての吸光度である。 実施例1のイムノアッセイによる、ノロウイルス様粒子の濃度と吸光度との関係を示す図である。黒丸は銀被覆金ナノ粒子、白丸は金ナノ粒子、黒四角はホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)によるELISAを用いた場合を示す。 実施例2のイムノアッセイによる、ノロウイルス濃度(コピー数/ml)と吸光度との関係を示す図である。図8(A)は、ノロウイルスのGII.4についての図であり、図8(B)は、ノロウイルスのGII.3についての図である。黒丸は銀被覆金ナノ粒子、白丸は市販のノロウイルス検出キットを用いた場合を示す。
(原理)
本発明の標的物質の検出又は定量方法は、酸化によって呈色する色原性基質の呈色反応を利用する。金属ナノ粒子は、酸化剤と色原性基質を添加すると、金属ナノ粒子がペルオキシダーゼ様活性を有する金属触媒として働き、色原性基質が酸化され、呈色する。金属ナノ粒子に標的物質に対する抗体を結合させることにより、試料中に標的物質が存在する場合には、抗体を介して金属ナノ粒子に標的物質が結合するため、金属ナノ粒子によって触媒される色原性基質の呈色反応の強度を測定することにより、試料中の標的物質を検出又は定量することができる。本発明においては、金属ナノ粒子として、金ナノ粒子を銀で被覆した銀被覆金ナノ粒子を用いることにより、金ナノ粒子や銀ナノ粒子を用いる場合と比較して、ペルオキシダーゼ様活性が増強され、試料中の標的物質が低濃度の場合でも色原性基質がより強く発色する。すなわち、標的物質の検出感度が向上する。
(標的物質及び標的物質に対する第1の抗体)
本発明の検出又は定量方法において、検出の対象となる「標的物質」は、特に限定されず、抗原となる物質であればよい。例えば、ウイルス、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、糖、化学物質、ホルモン等が挙げられる。「第1の抗体」は、これらの抗原と特異的に結合するものであればよい。特異的な抗体を用いて診断される代表的なウイルスとしては、例えば、ノロウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、及び肝炎ウイルス等が挙げられる。ウイルスが標的物質である場合、ウイルスの表面抗原に対する抗体を、標的物質に対する第1の抗体として利用し得る。既知のウイルスの表面抗原を利用することができ、例えば、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)、ノロウイルスのGenogroup IおよびGenogroup II等が挙げられる。
本発明において、「第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体」は、金ナノ粒子と第1の抗体とが直接結合した複合体であってもよいし、標的物質に対する第1の抗体と金ナノ粒子とが、第1の抗体を認識する別の抗体を介して結合した複合体であってもよい。以下、本明細書において「複合体」とは、「第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体」のことを指す。
検出又は定量対象である標的物質は、液体中に存在していてもよく、固体、粉末、流動体、気体等の中に存在していてもよい。試料としては、例えば、ヒト又はヒト以外の動物から採取される、尿、便、血液、その他の体液、粘膜、毛髪、細胞、組織等を挙げることができる。本実施形態に係る、試料中の標的物質を検出又は定量する方法は、液体中で実施することが好ましい。このため、標的物質が液体以外の試料中に存在する場合には、適切なバッファー等に該試料を溶解又は懸濁し、本発明の方法に供する試料を液体にすることが好ましい。
(金ナノ粒子)
本発明の方法において使用される金ナノ粒子は、ナノオーダーの粒径を有する金粒子を意味する。金ナノ粒子の粒径は、特に限定されないが、例えば、金ナノ粒子の粒径の下限値を4nm、12nm又は20nmとすることができ、金ナノ粒子の粒径の上限を7nm、15nm又は30nmとすることができる。
金ナノ粒子は、例えば、テトラクロリド金(III)酸を還元剤で還元して調製することができる。テトラクロリド金(III)酸を還元する還元剤として、水素化ホウ素ナトリウム、クエン酸、タンニン酸、没食子酸、イソフラボン等が挙げられる。
(第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体)
抗体を金ナノ粒子に結合させる方法は、特に限定されないが、例えば、抗体と金ナノ粒子とを接触させることによって、吸着作用や静電気的作用により、抗体と金ナノ粒子とを結合させることができる。また、例えば、金ナノ粒子の表面にアミノ基、カルボキシ基、チオール基等の官能基を導入して、抗体を結合させてもよい。金ナノ粒子の表面に官能基を導入する方法は、特許文献2に記載の方法により行うことができる。複合体中の金ナノ粒子に対して、試料中の夾雑物質が非特異的に吸着することを避けるために、抗体を結合させた後、アルブミン等のタンパク質を用いて金ナノ粒子表面がブロッキングされた金ナノ粒子を含む複合体を用いることが好ましい。
(工程(a))
工程(a)は、標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体と、試料とを、インキュベーションする工程である。この工程により、試料中に標的物質が存在する場合には、標的物質と第1の抗体とが結合し、すなわち、標的物質と、第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体とが結合する。インキュベーション温度は、標的物質や第1の抗体に応じて適宜設定すればよく、例えば、20〜30℃とすることができる。インキュベーション時間は、標的物質と第1の抗体との結合が平衡に達するのに要する時間に設定すればよく、例えば60分〜2時間とすることができる。
(工程(b))
工程(b)は、銀イオン及び還元剤を、複合体に接触させて、金ナノ粒子を銀で被覆する工程である。この工程により、複合体に含まれる金ナノ粒子を、粒子表面が銀で被覆された銀被覆金ナノ粒子とすることができる。図1は、工程(b)において、金ナノ粒子が銀で被覆される様子を表した模式図である。金ナノ粒子10に対して、銀イオン(Ag)20と還元剤を添加すると、銀イオン20は、還元剤の還元電位及び銀イオンと金との間のガルバニ電位差を介して金ナノ粒子10の表面上で銀原子(Ag)30に還元され、金ナノ粒子10の表面に銀原子30が堆積し、金ナノ粒子が銀原子30で被覆される。金ナノ粒子10の表面が銀原子30で埋め尽くされ、銀原子30がある程度堆積すると、銀原子30の堆積がそれ以上進まなくなる。図1には便宜上抗体を図示しなかったが、本発明においては、上述のとおり、金ナノ粒子には第1の抗体又は第1の抗体を認識する別の抗体が結合して複合体を形成しているため、工程(b)で金ナノ粒子を銀で被覆する際には、金ナノ粒子に結合した抗体ごと銀で被覆することになる。しかしながら、第1の抗体の抗原結合部位が金ナノ粒子を被覆する銀の層の外側に出ていれば、第1の抗体と標的物質とが結合できる。工程(b)は、工程(a)の前に行ってもよいし、工程(a)の後に行ってもよい。ただし、試料中に含まれる夾雑物質が銀被覆金ナノ粒子の表面へ非特異的に吸着すると、工程(e)の測定工程におけるバックグラウンドを上昇させる場合があるので、それを避ける観点からは、上述のように金ナノ粒子の表面がブロッキングされた金ナノ粒子を含む複合体を用いて工程(a)を行い、工程(a)の後に工程(b)を行うことが好ましい。
金ナノ粒子を被覆する銀の層の厚さは特に限定されないが、例えば、銀の層の厚さの下限値を2nm、5nm又は10nmとすることができ、銀の層の厚さの上限値を5nm、10nm又は15nmとすることができる。銀の層の厚さの調整は、銀イオン及び還元剤と、複合体とを接触させるインキュベーション時間、並びに、銀イオン及び還元剤の濃度等を調整することにより行うことができる。銀イオン及び還元剤と、複合体とを接触させるインキュベーション時間は、例えば、20分〜1時間とすることができる。
銀イオンの濃度は、例えば、複合体を含む溶液中での濃度が100μM〜10mMであるようにすることが好ましく、500μM〜1mMであるようにすることがより好ましい。上記濃度の範囲では、過剰の銀が析出しにくく、バックグラウンドの上昇を抑えることができる。また、複合体を含む溶液中で、金ナノ粒子の濃度と、銀イオンの濃度との比が1:100〜1:10000となるように銀イオンを複合体に接触させると、銀が過剰にならず、金ナノ粒子の被覆が効率的に行われることから、好ましい。
銀イオンを複合体に接触させる方法は、特に限定されず、例えば、銀化合物を、複合体を含む溶液中に添加することにより行ってもよいし、銀化合物を溶解させた溶液を複合体に添加することにより行ってもよいし、液体中に純銀電極を入れ、電流を流して銀イオンを発生させた銀イオン溶液を複合体に添加することにより行ってもよい。
銀化合物としては、液体に溶解させると1価の銀イオン(Ag)を発生させるものであればよく、例えば、硝酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、リン酸銀、アンモニア銀液等の銀化合物を好適に使用することができる。この中でも硝酸銀が好ましい。銀化合物は、複合体を含む溶液中での銀イオンの濃度が上述の範囲の濃度となるように、溶液中に添加することが好ましい。
還元剤としては、銀イオンを銀原子に還元することができる化合物であれば特に限定されず、例えば、ヒドロキノン、アスコルビン酸、アルカノールアミン、ヒドラジン、ホルマリン等を挙げることができる。この中でもヒドロキノンが好ましい。
還元剤の濃度は、例えば、複合体を含む溶液中での濃度が100μM〜100mMであるようにすることが好ましく、500μM〜1mMであるようにすることがより好ましい。上記濃度の範囲では、過剰の銀が析出しにくく、バックグラウンドの上昇を抑えることができる。また、複合体を含む溶液中で、銀イオンの濃度と還元剤の濃度の比が1:100〜1:10000となるように銀イオン及び還元剤を複合体に接触させることが好ましい。
工程(b)では、銀イオン及び還元剤の濃度によっては、銀イオンの還元が進み、金ナノ粒子を核として含まない銀ナノ粒子が形成され、過剰の銀が析出する場合がある。そのような金ナノ粒子を被覆していない銀は、工程(e)の測定工程におけるバックグラウンドを上昇させる場合があるため、工程(b)の後に、除去することが好ましい。また、以下の工程(c)において、標的物質に結合していない複合体の除去と、金ナノ粒子を被覆していない銀の除去とが同時に行われてもよい。金ナノ粒子を被覆していない銀の除去は、例えば、洗浄液による洗浄によりおこなうことができる。洗浄液としては、脱イオン水、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート界面活性剤等)及びこれらの組み合わせが挙げられる。イオン強度の高いバッファーを用いると、溶液中の銀イオンが銀化合物を形成して沈殿する場合があるため、工程(b)の後に脱イオン水又は非イオン性界面活性剤で洗浄することが好ましい。洗浄は複数回行ってもよい。
(工程(c))
工程(c)は、工程(a)において複合体とインキュベーションした試料から、標的物質に結合していない複合体を除去する工程である。工程(c)は工程(a)の後に行えばよく、工程(b)を工程(a)の前に行う場合には、工程(b)→工程(a)→工程(c)の順に行うことができ、工程(b)を工程(a)の後に行う場合には、工程(a)→工程(b)→工程(c)の順、又は、工程(a)→工程(c)→工程(b)の順に行うことができる。標的物質に結合していない複合体を除去することによって、標的物質に結合していない複合体による呈色反応への影響を減少させ、工程(e)での呈色反応の強度測定におけるバックグラウンドの上昇を抑えることができる。結合していない複合体の除去は、洗浄液により洗浄することにより行うことができる。洗浄液としては、ELISAに使用される洗浄液として公知のものを使用することができ、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート界面活性剤等)、脱イオン水、及びこれらの組み合わせが挙げられる。洗浄は複数回行ってもよい。
(サンドイッチ法)
工程(c)は、いわゆるサンドイッチ法を用いることにより、簡便に行うことができる。すなわち、本発明の検出又は定量方法は、工程(c)の前に、固相に結合された、標的物質に対する第2の抗体と、試料とをインキュベーションする工程をさらに含んでいてもよい。この工程では、標的物質に対する第2の抗体(捕獲抗体)が結合された固相を用いる。第2の抗体は、第1の抗体と同じであっても異なっていてもよく、第2の抗体が認識するエピトープは、第1の抗体が認識するエピトープと同じであっても異なっていてもよい。固相には複合体や試料の非特異的吸着を防ぐために、スキムミルクやアルブミン等の抗原抗体反応に関与しないタンパク質によるブロッキング処理が施されていてもよい。固相に結合された、第2の抗体と、試料とをインキュベーションすることにより、試料中に標的物質が存在する場合には、固相−第2の抗体−標的物質というように、第2の抗体を介して固相に標的物質が結合される。標的物質が固相に結合されているので、工程(c)の標的物質に結合していない複合体の除去が行いやすくなる。固相に結合された第2の抗体と試料とをインキュベーションする工程は、工程(c)の前に行うのであれば、工程(a)又は(b)の前に行ってもよく、工程(a)又は(b)の後に行ってもよい。工程(a)又は(b)の前に行う場合は、固相として、例えば通常のELISAで用いるプレート等を用いることができ、工程(a)又は(b)の後に行う場合は、固相として、例えばイムノクロマト法で用いるメンブレン等を用いることができる。
(直接吸着法)
工程(c)は、いわゆる直接吸着法を用いることによっても、簡便に行うことができる。すなわち、本発明の検出又は定量方法は、工程(a)の前に、固相に試料を吸着させる工程をさらに含んでいてもよい。この工程では、固相に試料を吸着させることによって、試料中に標的物質が存在する場合には、固相と標的物質が直接結合し、標的物質が固相に結合されているので、工程(c)の標的物質に結合していない複合体の除去が行いやすくなる。試料を固相に吸着させた後は、固相にスキムミルクやアルブミン等の抗原抗体反応に関与しないタンパク質によるブロッキング処理を施すことが好ましい。固相として、例えば通常のELISAで用いるプレート等を用いることができる。
(工程(d))
工程(d)は、酸化剤及び酸化によって呈色する色原性基質を試料に添加する工程であり、工程(b)及び工程(c)の後に行なう。本発明の標的物質を検出又は定量する方法では、色原性基質の酸化による呈色反応を利用する。銀被覆金ナノ粒子と酸化剤と色原性基質との間で以下の反応が起こると推測される。
銀被覆金ナノ粒子表面上の銀原子は、酸化剤により、酸化され、銀イオンが放出される。金と銀との電位差により、銀イオンの解離が促進される。銀イオンは色原性基質を酸化し、酸化により色原性基質が呈色する(反応1)。このときさらに、酸化剤が例えば過酸化水素のように、フリーラジカルを発生させるような酸化剤である場合、銀と酸化剤との反応により発生するフリーラジカルによっても、色原性基質が酸化され、呈色する(反応2)。また、金ナノ粒子表面上の銀原子が銀イオンになることにより、銀で被覆されていた金ナノ粒子表面が露出し、金ナノ粒子が酸化剤からのフリーラジカルの解離反応を触媒し、それにより発生するフリーラジカルによっても、色原性基質が酸化され、呈色する(反応3)。したがって、銀被覆金ナノ粒子を用いることによって、金ナノ粒子単独、又は銀ナノ粒子単独を用いた場合よりも、色原性基質が酸化されやすくなって感度が向上し、試料中の標的物質の濃度が少ない場合でも、検出又は定量できるようになる。
図2に、一例として、酸化剤として過酸化水素(H)を用いた場合の、銀被覆金ナノ粒子と酸化剤と色原性基質との反応の模式図を示す。銀原子30で被覆された金ナノ粒子に対してHと色原性基質を添加すると、金ナノ粒子10の表面上の銀原子30(Ag)がHにより銀イオン20(Ag)に酸化され、金ナノ粒子10の表面から離れる。一方、Hは銀原子30を酸化することにより、ヒドロキシラジカル(・OH)とヒドロキシルイオン(OH)となる。また、銀原子30が解離して銀被覆が剥がれた部分の金ナノ粒子10の触媒活性によっても、Hからヒドロキシラジカル(・OH)が発生する。ヒドロキシラジカル(・OH)と銀イオン(Ag)によって、色原性基質が酸化され、酸化型になった色原性基質が呈色する。なお、図2には便宜上図示しなかったが、本発明の方法においては、実際には、金ナノ粒子10には第1の抗体(又はさらに標的物質)が結合している。
本発明の方法において、用いることのできる色原性基質は、酸化によって呈色するものであれば特に限定されないが、例えば、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、2,2’−アジノビス[3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸]−ジアンモニウム塩(ABTS)、及びo−フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)が挙げられ、高感度の点からTMBが好ましい。例えば、TMBは酸化されることにより青色を呈する。色原性基質の濃度は、試料に添加した後に、10mM〜1Mとなるように添加することが好ましい。
工程(d)で用いる酸化剤は、色原性基質を酸化して呈色反応を起こすことができる酸化剤であれば特に限定されないが、例えば、過酸化水素、酸素、一酸化窒素等を挙げることができるが、この中でも過酸化水素が好ましい。酸化剤の濃度は、試料に添加した後に、10mM〜10Mとなるように添加することが好ましい。
工程(d)における、色原性基質の呈色反応は、例えば、室温にて、酸化剤及び色原性基質を添加した後1〜20分間反応させればよい。所定時間経過後に反応停止液を添加して、反応を確実に停止させ、それにより再現性よく測定を行うこともできる。反応停止液は、塩酸、硫酸等の酸が挙げられる。反応停止液の添加により、色原性基質の色がさらに変化することもあり、その場合、変化後の呈色反応を測定する。例えば、TMBは酸化により青色を呈するが、反応停止液として硫酸を添加すると、黄色に変化する。この場合、黄色への呈色反応を測定する。酸化型TMBの最大吸収波長は655nmであり、これに硫酸を添加すると最大吸収波長は450nmとなる。
(検出方法における工程(e))
本発明の検出方法において、工程(e)は、工程(d)の後に、試料の呈色反応の強度と、予め調製した標的物質を含まない陰性対照の呈色反応の強度とを比較して、試料の呈色反応の強度が強い場合に、試料中に標的物質が存在すると判定する工程である。試料の呈色反応の強度が陰性対象の呈色反応の強度よりも強いか否かの判断は、肉眼で観察することにより行っても、機器を用いて行ってもよい。肉眼で観察する場合には、例えば、試料及び陰性対象の色を比較し、試料の色が陰性対象の色よりも濃い場合に試料中に標的物質が存在すると判定してもよい。また、例えば、標的物質が存在する試料及び陰性対象の色見本を予め準備し、陰性対象の色見本よりも標的物質が存在する試料の色見本に近い場合に、試料中に標的物質が存在すると判定してもよい。機器を用いる場合には、例えば、分光光度計等により吸光度を測定し、陰性対象の呈色反応の吸光度の値との差が一定以上の場合に、試料中に標的物質が存在すると判定してもよい。また、例えば、陰性対象の吸光度に基づき予め設定しておいた吸光度以上の場合に、試料中に標的物質が存在すると判定してもよい。
(定量方法における工程(e))
本発明の定量方法において、工程(e)は、工程(d)の後に、試料の呈色反応の強度から、既知濃度の標的物質を含む標準試料の呈色反応の強度に基づいて作成した検量線を使用して、試料中の標的物質を定量する工程である。定量方法においては、呈色反応の強度は、機器により測定することが好ましく、例えば、分光光度計等の機器により測定した吸光度を呈色反応の強度とすることができる。検量線を使用する定量は、一般的な方法により行なうことができ、例えば、既知濃度の標的物質を含む複数の標準試料の呈色反応の強度から予め検量線を作成しておき、測定した試料の呈色反応の強度をこの検量線にあてはめることにより、試料中の標的物質の濃度を求めることができる。
(キット)
一実施形態において、標的物質を検出又は定量するためのキットは、テトラクロリド金(III)酸、標的物質に対する第1の抗体を金ナノ粒子に結合させる試薬、銀化合物、還元剤、酸化剤、及び酸化によって呈色する色原性基質を含む。このキットにおいては、使用者は、標的物質に対する第1の抗体と金ナノ粒子を結合させて複合体を自ら作製する。この場合、標的物質に合わせて抗体を自由に選択することができるという利点がある。標的物質に対する第1の抗体を金ナノ粒子に結合させる試薬には、テトラクロリド金(III)酸を還元する還元剤、縮合剤、カルボン酸の活性化試薬、架橋剤及びアミノ基又はカルボキシ基を有するチオール化合物等が含まれる。銀化合物としては、上で説明した、液体に溶解させると1価の銀イオン(Ag)を発生させる化合物を好適に使用でき、還元剤、酸化剤、及び色原性基質も上述したものを好適に使用できる。キットは、ブロッキング剤、洗浄剤、反応停止剤等をさらに含んでいてもよい。直接吸着法用のキットは、標的物質を吸着させる固相をさらに含んでいてもよく、サンドイッチ法用のキットは、標的物質に対する第2の抗体が結合された固相をさらに含んでいてもよい。
別の実施形態において、標的物質を検出又は定量するためのキットは、標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体、銀化合物、還元剤、酸化剤、及び、酸化によって呈色する色原性基質を含む。予め金ナノ粒子に標的物質に対する第1の抗体が結合されているので便利である。銀化合物、還元剤、酸化剤、色原性基質は上述のキットと同様である。また、上述のキット同様、ブロッキング剤、洗浄剤、反応停止剤等をさらに含んでいてもよく、標的物質を吸着させるための固相をさらに含んでいてもよく、標的物質に対する第2の抗体が結合された固相をさらに含んでいてもよい。
さらに別の実施形態において、標的物質を検出又は定量するためのキットは、標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体であって、前記金ナノ粒子が銀で被覆されている複合体、酸化剤、及び、酸化によって呈色する色原性基質を含む。予め金ナノ粒子に標的物質に対する抗体が結合され、さらに金ナノ粒子が銀で被覆もされているので、便利である。酸化剤、色原性基質は上述のキット同様である。また、上述のキット同様、ブロッキング剤、洗浄剤、反応停止剤等をさらに含んでいてもよく、標的物質を吸着させるための固相をさらに含んでいてもよく、標的物質に対する第2の抗体が結合された固相をさらに含んでいてもよい。
<実験例1.銀被覆金ナノ粒子の物理化学的分析>
(材料)
テトラクロリド金(III)酸三水和物(HAuCl・3HO)、ウシ血清アルブミン(BSA)及び硝酸銀(AgNO)は、Sigma−Aldrichから購入した。3,3’、5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)は、同仁堂(大阪、日本)から購入した。ジメチルスルホキシド(DMSO)、tween−20、過酸化水素(H)、スキムミルク、ヒドロキノン(HQ)、酢酸ナトリウム及び水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)は、和光純薬株式会社(大阪、日本)から購入した。使用する水は全て脱イオン水を用いた。
(金ナノ粒子の調製)
金ナノ粒子を、クエン酸還元法により調製した。すなわち、0.5mMテトラクロリド金(III)酸・三水和物40mLを沸騰させて、30分間撹拌し、次いで、2%(w/v)クエン酸三ナトリウム三水和物1mLを添加した。溶液の色が淡黄色から無色、そして徐々に赤ワイン色になった。溶液の色の変化後、溶液をさらに10分間撹拌した。溶液をその後室温まで冷却し、4℃で保存した。濃度を、紫外可視吸収スペクトルからの局在表面プラズモン共鳴に基づいて決定した。
(銀被覆金ナノ粒子の調製)
銀被覆金ナノ粒子を以下の方法により作製した。0.76nM金ナノ粒子溶液1mLを、1mM硝酸銀及び1mMヒドロキノンを含む溶液1mLと混合し、室温で10分間インキュベートした。反応後、ワインレッドから赤みがかったオレンジ色への色の変化が、はっきりと観察された。次いで、得られた混合物を4℃で、10分間9000gで遠心分離することにより精製し、銀被覆金ナノ粒子を得た。なお、実験例1においては、銀被覆金ナノ粒子に抗体は結合されていない。
(実験例1−1.金ナノ粒子及び銀被覆金ナノ粒子の光学的分析)
金ナノ粒子及び銀被覆金ナノ粒子の光学的性質をUV−Vis分光法を用いて分析した。吸光度を、透明なキュベット(l=10mm)を用いて、UV−vis分光光度計(UV−1800、島津製作所製)で測定した。金ナノ粒子は525nm付近に1つのプラズモン吸光度を示した。銀被覆反応後、新しいプラズモンバンドが約398nmに現れた。この新しいプラズモンバンドは、銀が金ナノ粒子の表面上に堆積したことを示している。金プラズモンバンド自体は、銀被覆により、525nm付近から490nmにブルーシフトした。
(実験例1−2.ゼータ電位及び流体力学的サイズの測定)
さらに、金ナノ粒子への銀被覆に際しての銀イオン濃度の影響を、金ナノ粒子の濃度を一定にして、15分間の反応におけるゼータ電位及び流体力学的サイズの変化を測定することによって、評価した。ゼータ電位及び流体力学的サイズは、Malvern Zetasizer(Nano−ZS、Malvern製)を使用して、脱イオン水中で測定した。
最初、金ナノ粒子は表面電荷を有しており、ゼータ電位は約−38mV、流体力学的サイズは18nmであった。銀イオンの濃度が増加するにつれて、金ナノ粒子のゼータ電位は徐々に正に近づき、そして−10mVでほぼ一定になった。同時に、流体力学的サイズは銀イオンの濃度の増加につれて18nmから増加し、30nmでほぼ一定になり、金ナノ粒子上の銀被覆形成の飽和に達した。
(実験例1−3.透過型電子顕微鏡像による観察)
金ナノ粒子及び銀被覆金ナノ粒子の形態とサイズを、透過型電子顕微鏡を用いて観察した。金ナノ粒子については透過型電子顕微鏡(JEM−2100F、日本電子株式会社製)を100kVで操作して、銀被覆金ナノ粒子については透過型電子顕微鏡(JEM−2100F)を200kVで操作した。
銀被覆反応の前に、金ナノ粒子のサイズは約12nmであった(図3(A))。しかし、銀イオン/ヒドロキノン溶液を添加した後、約27nmの大きさの二層粒子が高分解能透過型電子顕微鏡イメージングによって明確に観察された(図3(B))。金ナノ粒子(14nm)に対応する暗い部分(黒矢印)と金ナノ粒子の周囲に堆積した銀に対応する明るい部分(白矢印)の間の電子密度の差によって、境界が明確であった(図3(B))。図3(B)の画像から判断して、銀被覆金ナノ粒子は銀の層の厚さが均一である、金/銀のコア/シェル構造を示す。
(実験例1−4.触媒活性測定その1)
銀被覆金ナノ粒子の触媒活性を評価するために、速度論的パラメータである最大反応速度v及びミカエリス−メンテン定数K、ターンオーバー数kcatを、様々な初期濃度のH及びTMBを用いて、酸化型TMBの最大吸収波長である655nmでの吸光度から決定した。HとTMBの初期濃度を、Hが脱イオン水中で0.1〜5.0M、TMBがDMSO中で0.1〜5.0mMの範囲であるように変化させた。反応時間を1分未満とし、10%硫酸を添加して反応を停止させた。硫酸添加後の最大吸収波長である450nmの吸光度を、マイクロプレートリーダーを用いて、参照波長を655nmとして、測定した。比較対象として金ナノ粒子の触媒活性も同様に測定した。
下記表1に示すように、TMB及びHに対する銀被覆金ナノ粒子のK値は、金ナノ粒子のK値よりも著しく低く、それぞれ約10倍及び約40倍の差があった。これらの結果は、TMB及びHに対する親和性が、銀被覆金ナノ粒子の方が金ナノ粒子よりも高いことを示している。さらに、触媒効率(kcat/K)を両方のナノ粒子で比較すると、TMBに対する触媒効率は、金ナノ粒子と銀被覆金ナノ粒子とで同程度であった。対照的に、Hに対する触媒効率は、銀被覆金ナノ粒子は金ナノ粒子より高い触媒効率を示した。基質間の触媒効率を比較すると、金ナノ粒子のHに対しての触媒効率はTMBに対しての触媒効率よりも低かった。対照的に、銀被覆金ナノ粒子は、TMBに対してよりもHに対しての触媒効率が高かった。以上の結果から、銀被覆金ナノ粒子は、金ナノ粒子よりも効率的な触媒活性及び高い基質親和性を有することが示された。
(実験例1−5.触媒活性測定その2)
さらに、最大反応速度(v)を銀被覆金ナノ粒子と金ナノ粒子との間で比較した。銀被覆金ナノ粒子及び金ナノ粒子の初期濃度を、0.76nM〜6pMの間で変化させて、マイクロプレートウェル(250μL)中のH/TMBに添加し、1分後に吸光度を測定した。H及びTMBの濃度をそれぞれ5.7M、2.67mMとした。ナノ粒子が低濃度のとき、基質濃度はKと比較して十分に高いので、反応速度(v)は最大反応速度(v)に等しいと仮定することができる。酸化型TMBへの反応速度を最大反応速度としてナノ粒子濃度に対してプロットした(図4)。図4中、黒丸は銀被覆金ナノ粒子の最大反応速度を示し、黒四角は金ナノ粒子の最大反応速度を示す。ランベルト・ベールの法則に基づいて、直線の傾きはプロットの直線範囲内でkcatとして定義できる。金ナノ粒子及び銀被覆金ナノ粒子のkcatの値は、それぞれ5.58×10−1及び4.67×10−1であった。この結果は、銀被覆金ナノ粒子のターンオーバー数が金ナノ粒子のターンオーバー数よりも著しく高いことを示す。
(実験例1−6.触媒活性に対するナノ粒子へのブロッキングの影響)
金ナノ粒子上への銀の被覆は、触媒活性及びHへの親和性を増大させることが示されたが、ナノ粒子へ夾雑物質の非特異的結合を減少させるために一般的に使用されるブロッキングタンパク質(例えばBSA)のために、銀被覆金ナノ粒子の活性部位がタンパク質で遮断されうる。各ナノ粒子の触媒活性に対するブロッキングの影響を以下のようにして評価した。金ナノ粒子及び銀被覆金ナノ粒子を様々な濃度のBSAとともにインキュベートし、遠心分離してコーティングされていないBSAを分離し、BSAでブロッキングした金ナノ粒子(BSAブロッキング金ナノ粒子)及び銀被覆金ナノ粒子(BSAブロッキング銀被覆金ナノ粒子)を作製した。次いで、触媒活性を測定した。金ナノ粒子及び銀被覆金ナノ粒子の両方が、粒子表面のBSAブロッキングにより、60%を超える触媒活性の低下を示した。
そこで、以下のようにして銀被覆金ナノ粒子を調製した。BSAでブロッキングした金ナノ粒子(BSAブロッキング金ナノ粒子)を、銀イオン(1mM)及びヒドロキノン(1mM)を含む溶液に添加して、BSAブロッキング金ナノ粒子の表面を銀で被覆した。図5に、銀で被覆したBSAブロッキング金ナノ粒子(銀/BSA/金ナノ粒子)(図5中の黒丸)、BSAでブロッキングした銀被覆金ナノ粒子(BSA/銀/金ナノ粒子)(図5中の白丸)、BSAでブロッキングした金ナノ粒子(BSA/金ナノ粒子)(図5中の黒四角)の触媒活性(1分あたりの450nm吸光度)を示す。銀で被覆したBSAブロッキング金ナノ粒子では、ブロッキングによる触媒活性の低下は40%未満であった。この結果は、金ナノ粒子を銀で被覆してからブロッキングするよりも、金ナノ粒子をブロッキングしてから銀で被覆する方が、ブロッキングによる触媒活性への影響が少ないことを示す。BSAでブロッキングされた、金ナノ粒子及び銀被覆金ナノ粒子は、BSAの被覆により金属表面の活性部位を失い、触媒活性が低下するが、予めBSAでブロッキングした金ナノ粒子上への銀被覆は、高い活性を維持した。
<実施例1.ノロウイルス様粒子の検出及び定量>
(材料)
実施例1では、検出対象である標的物質をノロウイルス様粒子とし、銀被覆金ナノ粒子を用いたイムノアッセイを行った。第1の抗体として、ノロウイルスのGII群に広く反応する抗ノロウイルス抗体(NS14抗体)を用いた。ノロウイルス様粒子(NoV−LP)を、ウイルス様粒子調製の標準的な方法に従って調製し(Ahmedら、2017年1月、Biosensors and Bioelectronics、第87巻、第15号、p.558−565)、ノロウイルスのモデルとして用いた。インフルエンザウイルスA/Hongkong/H9N2は、ProSpec−Tany Technogene、Ltd.から入手した。10×PBSを、塩化ナトリウム80g、塩化カリウム2g、リン酸水素ナトリウム11.5g、及びリン酸二水素カリウム2g(全て和光純薬株式会社から購入)を1L中に混合することによって調製した。その他の材料は、実験例1で用いた材料と同様の材料を用いた。
(抗体結合金ナノ粒子の調製)
以下のようにして、金ナノ粒子の表面にNS14抗体が結合したNS14抗体結合金ナノ粒子を調製した。金ナノ粒子が分散した脱イオン水(0.76nM)1mLに、NS14抗体(0.3μg/mL)10μLを加え、1時間穏やかに撹拌した。夾雑物質の非特異的吸着を防ぐために10%BSA溶液400μLを加えて金ナノ粒子の残りの表面をブロッキングした。液をさらに1時間撹拌した後、4℃、10000gで10分間遠心分離した。金ナノ粒子とNS14抗体が結合していることは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR分光光度計、FT−IR 6300、JASCO製)を用いて確認した。NS14抗体結合金ナノ粒子の懸濁液を、0.5×PBS(0.5%BSA含有、pH7.4)中に再分散させ、4℃で保存した。
(ノロウイルス様粒子の検出)
以下のようにして、ノロウイルス様粒子を検出した。
まず、NS14抗体(100ng/mL)を含むPBS100μLをマイクロタイタープレートのウェルに一晩静置し、NS14抗体を捕捉抗体(第2の抗体)としてウェルに固定化した。ウェルを、0.1%Tween−20を含む1×PBS(PBS−T)250μLで3回洗浄した。なお、以下、銀被覆工程までの各工程の後に、ウェルを同様に洗浄した。捕捉抗体の固定化後、ウェルの残りの部分を、5%スキムミルクを含むPBSで2時間ブロッキングした。ブロッキング後、種々の濃度のノロウイルス様粒子を含むPBSを加え、1時間インキュベーションした。比較対象として、ノロウイルス様粒子の代わりに、インフルエンザウイルス、BSA、PBS(コントロール)を、捕捉抗体が固定化されたそれぞれ別のウェルに加えた。次いで100μLのNS14抗体結合金ナノ粒子を添加し、1時間インキュベートした。この段階で、捕捉抗体に捕捉されたノロウイルス様粒子はNS14抗体結合金ナノ粒子と結合し、NS14抗体−ノロウイルス様粒子−NS14抗体結合金ナノ粒子のサンドイッチ構造がウェル上で形成された。
サンドイッチ構造形成後、硝酸銀溶液(1mM)とヒドロキノン溶液(1mM)を体積比1:1で混合した溶液100μLを、サンドイッチ構造が形成されたウェルに添加した。その結果、銀層が15分以内にNS14抗体結合金ナノ粒子の表面上に形成され、銀被覆金ナノ粒子となった。銀層形成は、溶液の色が無色から薄い褐色に変化することにより確認されたが、定量的には透過電子顕微鏡により確認した。PBS−Tで3回、続いて脱イオン水で2回強く洗浄した後、9M H水及び40mM TMB溶液を体積比9:1で含む溶液100μLを、ウェルに添加した。1分間の反応時間後、10%硫酸溶液をウェルに加えて反応を停止させた。最後に、マイクロプレートリーダー(Model 680、Bio−Rad製)を用いて、450nmでの吸光度を測定した。
(結果)
測定した吸光度を図6に示す。図6の左側から、ノロウイルス様粒子(NoV−LPs)、インフルエンザ(flu)、BSA、コントロールについての吸光度である。結果は、ノロウイルス様粒子を含有するウェルのみで、H及びTMBを添加した直後に溶液の色が青く変化し、硫酸溶液を加えて反応を停止させると、溶液の色が青色から黄色に変化し、図6に示すように450nmで高い吸光度を示した。したがって、銀で被覆したNS14抗体結合金ナノ粒子が他のウイルス又はタンパク質に反応しなかったことが実証された。
銀被覆金ナノ粒子を用いたノロウイルス様ウイルス粒子検出の感度を、ノロウイルス様粒子の濃度と吸光度との関係から評価した。その結果、ノロウイルス様粒子濃度と吸光度の関数として、0.965の相関係数(R)を有する直線応答が得られた(図7、黒丸)。検出限界は、約10.8pg/mLと算出された。図7には、比較対象として、銀被覆金ナノ粒子の代わりに、銀で被覆していない金ナノ粒子を用いた場合(白丸)、及び、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)を用いた従来のELISAの場合(黒四角)の、ノロウイルス様粒子濃度対吸光度の関係も示した。銀被覆金ナノ粒子を用いた場合の検出感度は、銀で被覆していない金ナノ粒子を用いた場合の1000倍である。HRPを用いたELISAでは、銀で被覆していない金ナノ粒子を用いた場合よりは高い感度を示したが、銀被覆金ナノ粒子と比較すると100分の1の感度であり、ノロウイルス様粒子が高濃度にならないと反応しなかった。
<実施例2.ノロウイルスの検出及び定量>
(材料)
実施例2では、検出対象である標的物質をノロウイルスとし、銀被覆金ナノ粒子を用いたイムノアッセイを行った。ノロウイルスは、感染性胃腸炎患者の0.1g量の便サンプルを900μLのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、pH7.4)に懸濁し、固体を分離した後、上清から単離した。遺伝子型によって、ノロウイルスのGII.4とノロウイルスのGII.3に分類した。
(ノロウイルスの検出)
ノロウイルスのGII.4とノロウイルスのGII.3の2種類のノロウイルスについて、実施例1と同様の方法で、銀被覆金ナノ粒子を用いて検出した。比較のために、市販のノロウイルス検出キット(NV−AD III、デンカ生研株式会社、東京、日本)を用いて両種類のノロウイルスを検出した。なお、この市販のノロウイルス検出キットでは、HRPを用いたELISAを使用している。
(結果)
銀被覆金ナノ粒子を用いて検出した場合、最終的なウェルの色は、ノロウイルスのGII.4とノロウイルスのGII.3の両種類のノロウイルスとも、ウイルス濃度が増加するにつれて、色が濃くなった。図8(A)及び(B)に、銀被覆金ナノ粒子を用いた場合(黒丸)と、市販のノロウイルス検出キットを用いた場合(白丸)のノロウイルス濃度(コピー数/ml)と吸光度との関係を示す。図8(A)は、ノロウイルスのGII.4についての図であり、図8(B)は、ノロウイルスのGII.3についての図である。図8(A)及び(B)に示すように、銀被覆金ナノ粒子を用いた場合、吸光度はノロウイルス濃度(コピー数/mL)に応じて増加した。銀被覆金ナノ粒子を用いた場合、市販のノロウイルス検出キットを用いた場合と比較して、検出感度は著しく向上した。銀被覆金ナノ粒子を用いた場合、ノロウイルスGII.4についてはウイルスRNAの10コピー/mLの濃度で、ノロウイルスGII.3については10コピー/mLの濃度で、ブランクに対する吸光度変化を示したが、市販のノロウイルス検出キットを用いた場合、両種類のノロウイルスについて、ウイルスRNAの10コピー/mLの濃度で吸光度変化を示した。銀被覆金ナノ粒子を用いた場合の検出限界は、ノロウイルスGII.4について16.3コピーウイルスRNA/mL(163コピーのウイルスRNA/g便サンプルに相当)及び、ノロウイルスGII.3について13.2コピーのウイルスRNA/mL(132コピーのウイルスRNA/g便サンプルに相当)と算出された。
10…金ナノ粒子、20…銀イオン、30…銀原子。

Claims (14)

  1. 試料中の標的物質を検出する方法であって、
    (a)標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体と、試料とを、インキュベーションする工程、
    (b)工程(a)の前又は後に、銀イオン及び還元剤を、前記複合体に接触させて、金ナノ粒子を銀で被覆する工程、
    (c)工程(a)の後に、前記試料から標的物質に結合していない複合体を除去する工程、
    (d)工程(b)及び工程(c)の後に、酸化剤及び酸化によって呈色する色原性基質を試料に添加する工程、
    (e)工程(d)の後に、試料の呈色反応の強度と、予め調製した標的物質を含まない陰性対照の呈色反応の強度とを比較して、試料の呈色反応の強度が強い場合に、試料中に標的物質が存在すると判定する工程、
    を含む、方法。
  2. 試料中の標的物質を定量する方法であって、
    (a)標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体と、試料とを、インキュベーションする工程、
    (b)工程(a)の前又は後に、銀イオン及び還元剤を、前記複合体に接触させて、金ナノ粒子を銀で被覆する工程、
    (c)工程(a)の後に、前記試料から標的物質に結合していない複合体を除去する工程、
    (d)工程(b)及び工程(c)の後に、酸化剤及び酸化によって呈色する色原性基質を試料に添加する工程、
    (e)工程(d)の後に、試料の呈色反応の強度から、既知濃度の標的物質を含む標準試料の呈色反応の強度に基づいて作成した検量線を使用して、試料中の標的物質を定量する工程、
    を含む、方法。
  3. 工程(c)の前に、固相に結合された、標的物質に対する第2の抗体と、試料とをインキュベーションする工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(a)の前に、固相に試料を吸着させる工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記金ナノ粒子の表面がブロッキングされた金ナノ粒子を含む複合体を用いて工程(a)を行い、工程(a)の後に工程(b)を行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 工程(b)の後、かつ、工程(d)の前に、金ナノ粒子を被覆していない銀を除去する工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記還元剤がヒドロキノンである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記酸化剤が過酸化水素である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. テトラクロリド金(III)酸、
    標的物質に対する第1の抗体を金ナノ粒子に結合させる試薬、
    銀化合物、
    還元剤、
    酸化剤、及び
    酸化によって呈色する色原性基質
    を含む、標的物質を検出又は定量するためのキット。
  10. 標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体、
    銀化合物、
    還元剤、
    酸化剤、及び、
    酸化によって呈色する色原性基質
    を含む、標的物質を検出又は定量するためのキット。
  11. 前記還元剤がヒドロキノンである、請求項9又は10に記載のキット。
  12. 標的物質に対する第1の抗体及び金ナノ粒子を含む複合体であって、前記金ナノ粒子が銀で被覆されている、複合体、
    酸化剤、及び、
    酸化によって呈色する色原性基質
    を含む、標的物質を検出又は定量するためのキット。
  13. 前記酸化剤が過酸化水素である、請求項9〜12のいずれか一項に記載のキット。
  14. 標的物質に対する第2の抗体が結合された固相をさらに含む、請求項9〜13のいずれか一項に記載のキット。
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