JP2020186565A - 法面保護方法及び法面保護部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全かつ安定して法面を保護することの可能な、法面保護方法及び法面保護部材を提供する。【解決手段】法面を保護する法面保護方法であって、法面に沿わせて配置される平板状の落石防護網と、その上部に積層される前記落石防護網より目の粗い立体状の植栽基盤網とを、法面に設置した後、植生基材を吹付けることを特徴とする植栽を用いて法面を保護する法面保護方法であって、法面に沿わせて配置される平板状の落石防護網と、その上部に積層される前記落石防護網より目の粗い立体状の植栽基盤網とを、法面に設置した後、植生基材を吹付ける。【選択図】図1

Description

本発明は、法面を保護する法面保護方法及び法面保護部材に関する。
法面の風化・浸食を防止し法面の安定を図るべく実施される法面保護工は、植物を用いて法面を保護する植生工と、コンクリート等の構造物による保護工の2種類に大別され、一般には、経済性や美観の観点から植生工が採用される場合が多い。
植生工としては、例えば、法面に沿わせてラス網を設置した後、植物種子、肥料、基盤材、高分子系樹脂等を混合した植生基材を法面全面に吹付ける方法が広く一般に知られている。しかし、急峻な法面を植生工により保護しようとすると、植生基材が法面に十分定着せず、剥がれ落ちやすい。
このため、例えば特許文献1では、厚層金網と当該厚層金網から立設するようにして設置される保護柵を、人工的に締め固めた法面に設置した後、植物種子を含有した植生基材を吹付けて、法面に植生基盤を成形している。
また、特許文献2では、木片チップとセメントを含む吹付け材を、法面から離間させて配置した平面状のラス網に吹付けて、法面上にポーラスコンクリートを形成したのち、ポーラスコンクリート上に植生基材を吹付けて法面構造体を形成している。
特開2006−63758号公報 特開2003−82673号公報
一般的な作業手順として、上記の特許文献1及び特許文献2のような施工を行う前に、作業員が法肩から法尻まで斜面整形を行うとともに清掃を行ったのち、厚層金網やラス網の設置作業を行う。
すると、侵食を受けて表面崩壊が起きているような長大法面や急峻な法面では、斜面整形作業中に作業員が落石に遭遇する可能性が高いことから、様々な安全対策を行いつつ作業を行わざるを得ず、作業効率が低下しやすい。
また、斜面整形作業を終了したのち、植生基材や吹付け材の吹付作業を実施するまでに時間を要することから、この期間中に法面は風雨に晒された状態となる。このため、法面を斜面整形した後であっても吹付作業を実施する段階では、直径10cm程度の落石が生じやすい状態となる。
しかし、特許文献1のような厚層金網は目が粗いため、これらの落石を抑制することができない。また、特許文献2のようなラス金網は目が細かいものの、ポーラスコンクリートを法面に定着させるためには、ラス網を法面から離間させて配置しなければならず、やはり落石を抑制することができない。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、安全かつ安定して法面を保護することの可能な、法面保護方法及び法面保護部材を提供することである。
かかる目的を達成するため、本発明の法面保護方法は、法面を保護する法面保護方法であって、法面に沿わせて配置される平板状の落石防護網と、その上部に積層される前記落石防護網より目の粗い立体状の植栽基盤網とを、法面に設置した後、植生基材を吹付けることを特徴とする。
本発明の法面保護方法によれば、平板状の落石防護網と立体状の植栽基盤網を併用するため、侵食を受けて表面崩壊が起きているような長大法面や急峻な法面であっても落石防護網で落石を抑止しつつ、植栽基盤網に植生基材の厚層吹付けやポーラスコンクリートを形成するための吹付け材等の吹付け施工を実施することができる。これにより、様々な条件の法面に対して、安全かつ安定して植生工により法面を保護することが可能となる。
また、本発明の法面保護方法は、前記法面の法肩から法尻に向かって斜面整形を行いつつ前記落石防護網を設置した後、前記植栽基盤網を設置することを特徴とする。
本発明の法面保護方法によれば、斜面整形及び清掃作業を行いつつ落石防護網を設置するため、作業中における落石の発生を抑制でき、作業員は法尻近傍に至るまで安全に、斜面整形及び清掃作業を実施することができる。
本発明の法面保護方法は、前記植生基材を吹付ける前に、前記植栽基盤網に、木質材料が練り混ぜられたセメントスラリーを吹付けることを特徴とする。
本発明の法面保護方法によれば、植生基材と地山との間に、木質材料が練り混ぜられたセメントスラリーが硬化して木質コンクリートが形成されるため、法面が酸性土壌を含む地山に存在している場合にも、地山から浸出する酸性湧水は木質コンクリートで中和され、中和された湧水が植生基材に浸水することから、植生基材に混合した植物種子を発芽させ、法面を緑化することが可能となる。また、植物種子の発芽適期までの間は、落石防護網と木質コンクリートにより法面が保護されるため、法面の表面侵食を防止することが可能になる。
本発明の法面保護方法は、前記植生基材をの上面に、植物種子を保持させた植生マットを設置することを特徴とする。
本発明の法面保護方法によれば、植生基材に大量の植物種子を混合させる必要がなく、また植物種子を含む場合と比較して植生基材の層厚を薄くできるため、経済的に法面を緑化することが可能となる。
また、植生基材が植生マットに被覆されることから、少ない植物でも植生基材の侵食を抑制することができ、安定して法面を緑化することが可能となる。さらに、植物が冬季に枯れる、もしくは法面上を動物が往来するといった不測の事態が生じても、植生マットにより植生基材が保護された状態にあるため、法面を長期にわたって健全な状態に維持することが可能となる。
本発明の法面保護部材は、植生基材が吹付けられる法面保護部材であって、法面に沿わせて設置された平板状の落石防護網と、該落石防護網の上部に積層された立体状の植栽基盤網と、該植栽基盤網に吹付けられた木質材料を練り混ぜたセメントスラリーが硬化した木質コンクリートと、を備えることを特徴とする。
本発明の法面保護部材によれば、植栽基盤網と落石防護網を併用することで、木質コンクリートを備える法面保護部材を、引張力に耐えることができるとともに靱性を有するた部材として取り扱うことができる。また、落石防護網を法面に沿わせて設置することで、落石防護網で土圧の一部を負担し、木質コンクリートに作用する土圧を低減できる。これにより、法面保護部材に作用する土圧に様々な変化が生じた場合にも、木質コンクリートに過大なひび割れや破壊を生じることなく、安定して法面を保護することが可能となる。
本発明によれば、平板状の落石防護網と立体状の植栽基盤網を併用することにより、様々な条件の法面に対して、植栽を用いて安全かつ安定して法面を保護することが可能となる。
本発明の実施の形態における落石防護網と植栽基盤網を併用した植生基盤を示す図である(第1の実施の形態)。 本発明の実施の形態における落石防護網と植栽基盤網の平面を示す図である。 本発明の実施の形態における法面保護方法(新設の場合)の手順を示す図である。 本発明の実施の形態における植生マットを用いた植生基盤を示す図である(第2の実施の形態)。 本発明の実施の形態における植生マットの詳細を示す図である。 本発明の実施の形態における植生基材の配合と植生マットに保持する植物種子の量を示す図である。 本発明の実施の形態における法面保護方法(補修の場合)の手順(その1)を示す図である(第3の実施の形態)。 本発明の実施の形態における法面保護方法(補修の場合)の手順(その2)を示す図である。 本発明の実施の形態におけるセメント入り植生基材のpHの推移を示す図である。 本発明の実施の形態における法面保護方法(補修の場合)の手順の他の事例を示す図である(第4の実施の形態)。
本発明の法面保護方法は、侵食を受けて表面崩壊が起きているような長大法面や急峻な法面を植生工により保護する際に、特に好適な法面保護方法であるが、盛土により形成された法面や地山を切土して形成された法面等、いずれの法面の保護にも適用可能な方法である。以下に、閉山後の鉱山のような、酸性土壌を含む地山の法面を事例に挙げ、法面保護方法の詳細を図1〜図10を参照しつつ説明する。
<第1の実施の形態>
図1(a)で示すように、地山10の法面を保護する植生基盤1は、法面上に積層された落石防護網2、植栽基盤網3、及び木片コンクリート5よりなる法面保護部材8と、植生基材4とにより形成されている。
落石防護網2は、法面保護工で広く用いられるいわゆるラス網(ひし形金網)であり、図2で示すように、平面視でひし形の網目を有する。網目の大きさは、法面から遊離して不安定な状態にある少なくとも直径10cm程度の浮石を捕捉可能な程度の大きさであればいずれでもよく、本実施の形態では約40mm×40mmのものを採用している。
植栽基盤網3は、図1(a)で示すように、法面保護工で広く一般に用いられるいわゆる厚層金網である。その形状は、例えば、螺旋状の針金を複数絡み合わせるなどして立体状に形成されており、落石防護網2と比較して十分な高さ(本実施の形態では、約90mm程度)を有する。
また、図2で示すように、網目の大きさは落石防護網2より目開きが大きく、植栽基盤網3の上面から吹付けられる植生基材4や木片コンクリート5等の吹付け材が網目を通過し、かつ吹付け材が法面上で跳ね返った際に捉えることのできる程度の大きさが適しており、本実施の形態では約125mm×約125mmの大きさのものを採用している。
植生基材4は、法面保護工の1つである植生基材吹付工で採用されるものと同様の材料よりなり、植物種子、肥料、植物種子の生育に必要な基材(例えば、現地発生土等)、及び接着剤(高分子系樹脂、増粘材等)等が適宜選択的に混合され、吹付け機によって法面に吹付可能な状態に調合されている。
木片コンクリート5は、木質材料が練り混ぜられたセメントスラリーが硬化したもので、セメントスラリーは吹付け機によって法面に吹付可能な状態に調整されている。木質材料には、チップ形状に加工した木質バイオマスを使用しており、環境に悪影響を与える有害物質を含まなければ、工事現場の伐採材、河川の流木、海水に浸った木材、建築材料に適さない木材等を使用することができる。
上記の植生基盤1を用いた法面保護方法は、まず、図3(a)で示すように、法面の法肩近傍(上端近傍)から法尻近傍(下端近傍)に向けて、法面上の浮石や浮土等を取り除いた後、表面の凹凸をなだらかに整地する斜面整形作業を行うとともに清掃を行いつつ、清掃が終了したエリアから順に、落石防護網2を設置する。落石防護網2は、法面の凹凸になじむように法面に接触させつつ沿わせて敷設し、防護網用アンカーボルト21を介して法面上に固定していく。
次に、図3(b)で示すように、落石防護網2を法尻まで設置及び固定したのち、法面の測量作業等を実施したうえで、図3(c)で示すように、落石防護網2の上面に植栽基盤網3を積層するようにして敷設し、基盤網用アンカーボルト31を介して法面に固定する。
従来より実施されている法面保護工の植生工では、法肩近傍から法尻近傍まで斜面整形及び清掃作業が終了させた後に落石防護網2を設置することが一般的である。しかし本実施の形態では、斜面整形及び清掃作業と落石防護網2の設置作業とを並行して実施している。
これにより、作業中の法面が侵食を受けて表面崩壊が起きているような長大法面や急峻な法面等であっても、落石を落石防護網2で抑止することができ、作業員は法尻近傍に至るまで安全に斜面整形及び清掃作業を実施することができる。なお、必要に応じて、落石防護網2の設置作業と併せて、法面に排水層を形成してもよい。
これらの作業が終了した後、植栽基盤網3に向けて木質材料が練り混ぜられたセメントスラリーを吹付け機を介して吹付けて硬化させ木片コンクリート5を形成したのち、図1(a)で示すように、木片押え用アンカーボルト51と植栽基盤網3を用いて木片コンクリート5を地山に定着させる。この後、木片コンクリート5の上面に、植生基材4を吹付け機を介して吹付ける。
これにより、地山10から浸出する酸性湧水を木片コンクリート5で中和し、中和した湧水を植生基材4に侵水させることができ、法面が酸性土壌を含む地山10に存在している場合にも、植生基材4に混合した植物種子を発芽させ、法面を緑化することが可能となる。また、植物種子の発芽適期までの期間も、落石防護網2と木片コンクリート5により法面が保護されるため、法面の表面侵食を防止することが可能になる。
なお、侵食を受けて表面崩壊が起きているような長大法面が位置する地山10が酸性土壌を含まない場合には、図1(b)で示すように、木片コンクリート5を用いることなく、植栽基盤網3を覆う程度に植生基材4を厚層吹付けしてもよい。
上記のとおり、法面保護方法では、直径約10cm程度の落石を抑止できる落石防護網2と、木片コンクリート5を法面に定着できる植栽基盤網3を併用する。これにより、侵食を受けて表面崩壊が起きているような法面に対して、落石を抑止しつつ、植栽基盤網3に植生基材4の厚層吹付けや木片コンクリート5を施工することができ、様々な条件の法面に対して、安全かつ安定して植生工により法面を保護することが可能となる。
また、落石防護網2は、植栽基盤網3と比較して引張強さが大きく、引張力を負担する部材として機能するため、木片コンクリート5を備える法面保護部材8を、過大なひび割れや破壊を生じにくく、引張力に耐えることができるとともに靱性を有する部材とすることができる。また、落石防護網2を法面に接触させつつ沿わせて設置することで、落石防護網2で土圧の一部を負担し、木片コンクリート5に作用する土圧を低減できる。
したがって、例えば表層滑りを生じる可能性のある地山に用いると、斜面下部が盛り上がるような変形を抑制でき、膨潤性粘土を多く含む地山に用いると、粘土層が膨潤することにより地層の境目に生じる変形を最小限に抑えることが可能となる。なお、落石防護網2は法面に対して全面を接触させなくとも、法面と調和するよう沿わせて敷設すれば同様の効果が得られる。
さらに、法面の斜面整形及び清掃作業と落石防護網2の設置及び固定作業を並行して行うことにより、法面を安定させた状態で、植栽基盤網3の設置作業や、木片コンクリート5もしくは植生基材4の吹付け作業を実施できる。これにより、法面の表面侵食を確実に防ぐことが可能となるとともに、より安全に作業を行うことが可能となる。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、落石防護網2と植栽基盤網3を併用した植生基盤1による法面保護方法を説明したが、植生基盤1を設ける法面が傾斜65度を超えるような急峻な場合にあっては、植生基材4が崩落する可能性が生じる。そこで、第2の実施の形態では、植生基盤1に対してさらに、植生マット6を採用する場合を以下に示す。
図4(a)で示すように、法面上に落石防護網2と植栽基盤網3が積層して設置され、植栽基盤網3に木片コンクリート5が形成されて法面保護部材8が設置された後、その上面に植生基材4が吹付けられた植生基盤1には、植生基材4の上面に植生マット6が設置されている。
植生マット6は、図5で示すように、法面保護工の植生マット工で一般に採用されるマット材と同様のものであり、例えば、保湿性のある不織布、綿、紙、ヤシ繊維、フェルト等を用いてシート状に形成された多孔性フィルター材61に、植物種子S、肥料、保水材、土質改良材等を保持させ、ネット材や金網等の補剛材62で保護したものである。
このような植生マット6を採用することにより、植生基盤1が傾斜65度を超えるような急峻な法面に構築される場合であっても、植生基材4を木片コンクリート5上に確実に定着させることが可能になる。また、植生基材4が植生マット6に被覆されることにより、少ない植物でも植生基材4の侵食を抑制することができ、安定して法面を緑化することが可能となる。さらに、植栽に用いた植物が冬季に枯れる、もしくは法面上を動物が往来するといった不測の事態が生じても、植生マット6により植生基材4が保護された状態にあるため、法面を長期にわたって健全な状態に維持することが可能となる。
ところで、植生基材4の上面を被覆するように植生マット6を設置すると、植生マット6に肥料や保水材等を用いることなく、植物種子Sのみを保持させることで法面の緑化を図ることが可能である。具体的には、図6で示すように、厚さ5mm程度の植生マット6に、4.7g/m2程度の量の植物種子S(3種の植物種子(種子A、B、C)の合計)を保持させておけば、法面を緑化できる。この場合、植生基材4には植物種子Sを混合させておく必要がなく、また、植生基材4に植物種子を混合させる場合と比較して植生基材4の層厚も薄くできるため、経済的に法面を緑化することができる。
比較例として、図6に、植物種子Sの発芽量が植生マット6を用いる場合と同程度となるように、植生基材4に植物種子Sを混合させる際の植物種子の量を示す。植生マット6を適用しない場合の植物種子Sの量は、厚さ50mmに吹付けた植生基材4に対して、3種の植物種子(種子A、B、C)の合計で18g/m2程度となっており、植生マット6に保持させる場合の約4倍の量が必要となることがわかる。
なお、地山10が酸性土壌を含まない場合には、図4(b)で示すように、木片コンクリート5を用いることなく、植栽基盤網3を覆う程度に植生基材4を厚層吹付けした後、植生マット6を設置すればよい。
<第3の実施の形態>
第1及び第2の実施の形態では、地山10の法面に新設の植生基盤1を構築する場合を事例に挙げたが、第3の実施の形態では、法面の修復を目的とした法面保護方法を以下に示す。
図7(a)で示すように、酸性土壌を含む地山10には、法面に対して間隔を設けて設置されたラス網111、木片コンクリート112、及び植生基材113を含む既存の植生工11が形成されているものの、部分的に植生基材113が流亡し、木片コンクリート112が露出した状態にある。
まず、木片コンクリート112が露出した部分に対して、木片コンクリート112及びラス網111を撤去して雑物を取り除き整地するとともに、清掃を行う。次に、図7(b)で示すように、落石防護網2を法面に沿わせて敷設し、防護網用アンカーボルト21を介して法面上に固定設置する。
次に、落石防護網2の上面に植栽基盤網3を積層して敷設し、基盤網用アンカーボルト31を介して法面に固定する。その後、植栽基盤網3に木質材料が練り混ぜられたセメントスラリーを吹付けて硬化させ新たな木片コンクリート5を形成し、木片押え用アンカーボルト51と植栽基盤網3を用いて木片コンクリート5を地山に定着させ、法面保護部材8を形成する。
そして、図7(c)で示すように、植栽基盤網3を覆うようにして吹付け機を介して植生基材4を吹付けた後、図8(a)で示すように、その上面に植生マット6を設置する。これにより、既存の植生基材113が流亡したような部位にも、あらたに植生基盤1を設置でき、地山10より浸出する酸性湧水を新たな木片コンクリート5で中和しつつ植生マット6により植生基材4を安定に保持して、法面の緑化を復元することが可能となる。
なお、大雨等により既存の木片コンクリート112による中和能力を超えるような大量の酸性湧水が浸出して植栽が朽ち、既存の植生基材113が流亡したような部位には、図8(b)で示すように、植生基材4に代えてセメント入り植生基材7を吹付けてもよい。
こうすると、地山10より進出する酸性湧水は、木片コンクリート5を通過する際に中和まで至らなかった場合にも、セメント入り植生基材7に流入して中和されて、植生マット6に到達する。これにより、植生マット6に保持させた植物種子Sは確実に生育し、大量の酸性湧水が浸出するような部位にも長期にわたって安定して法面を緑化することが可能となる。
図9に、植生基盤1にセメント入り植生基材7を採用した場合における、セメント入り植生基材7の吹付け時のpHと吹付け後1か月経過時のpHの推移を計測した実験結果を示す。
実験では、植生基材4にセメントを10、30、50kg/m3混合した場合の3パターンと、この3パターンそれぞれに土質改良材(中和1)を混合した場合の合計6パターンのセメント入り植生基材7を作成し、それぞれについてpHの推移を計測した。なお、植物は一般にpH4.5〜8.5の範囲で生育が可能であり、セメントを混合していない状態の植生基材4(肥料を含む)は、pH6.5程度である。
図9をみると、セメント入り植生基材7の6パターン各々で、吹付け時のpHにばらつきがあるものの、吹付け後1か月経過時後には、いずれもpH8.5程度に収まり、安定して中性を示している様子がわかる。これは、セメント入り植生基材7が、法面に吹付けられた後、水分に触れるたびにアルカリ分を溶出して植生基材4中の酸性分や地山10から発生する酸性湧水を中和し、セメント入り植生基材7をpH8.5程度に改質したものと想定できる。
<第4の実施の形態>
セメント入り植生基材7は法面への定着性が良いことから、酸性土壌を含まない地山12における法面の修復にも使用可能である。
図10(a)で示すように、酸性土壌を含まない地山12には、ラス網131と客土や植生基材等の吹付け材132による既存の植生工13が形成されているものの、部分的に吹付け材132が流亡した状態にある。
まず、法面における吹付け材132が流亡した部分に対して、浮石や雑物を取り除いて整地するとともに清掃を行い、既存のラス網131の上面に植栽基盤網3を設置する。既存のラス網131に腐食等がみられる場合にはこれを撤去し、図10(b)で示すように、新たに落石防護網2を法面に沿わせて敷設し、防護網用アンカーボルト21を介して法面上に固定設置する。また、既存のラス網131が継続して使用可能な状態にある場合は、既存のラス網131をそのまま使用すればよい。
次に、落石防護網2の上面に植栽基盤網3を積層して敷設し、基盤網用アンカーボルト31を介して法面上に固定設置する。この後、図10(c)で示すように、植栽基盤網3を覆うようにして吹付け機を介してセメント入り植生基材7を厚層吹付けした後、図10(d)で示すように、その上面に植生マット6を設置し、新たな植生基盤1を構築する。
なお、セメント入り植生基材7は、セメントから溶出されるアルカリ成分により、セメント入り植生基材7及びその周辺地盤のpHが、植物の生育が可能な範囲であるpH8.5を超えないよう、混合するセメント量を調整しておく。また、植生マット6で発芽した植物の根が定着する程度となるよう、硬化後の強度も考慮してセメント量を調整するとよい。
これにより、酸性土壌を含まない地山12に対して、干ばつ等により植物が衰退する、もしくは雪や大雨により既存の吹付け材132が部分的に流亡したり、法面が傾斜65度を超えるような急峻な法面であるために既存の吹付け材132が自然崩落した場合にも、法面の緑化を復元し、かつ長期にわたって安定して法面を緑化することが可能となる。
また、地山12の性状が変化して酸性湧水が進出する事態となった法面であっても、酸性湧水はセメント入り植生基材7に流入して中和された後、植生マット6に到達する。したがって、植生マット6に保持させた植物種子Sを確実に生育させ、法面を緑化することが可能となる。
本発明の法面保護方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本実施の形態では、法面の斜面整形及び清掃作業を行いつつ、落石防護網2を設置し固定する作業を法尻まで行った後、落石防護網2の上面に植栽基盤網3を積層するようにして設置し固定した。しかし、手順はこれに限定されるものではなく、例えば、斜面整形及び清掃作業を行いつつ、落石防護網2と植栽基盤網3を法面に設置し固定する作業を並行して実施してもよい。また、あらかじめ落石防護網2と植栽基盤網3とを一体に形成しておき、これを斜面整形及び清掃作業時に設置してもよい。
また、本実施の形態では、植栽基盤網3に対して植生基材4を厚層吹付もしくは木片コンクリートを形成したが、植生工の吹付け材として使用可能な材料あれば、いずれの材料を用いてもよい。
また、本実施の形態では、防護網用アンカーボルト21、基盤網用アンカーボルト31、及び木片押え用アンカーボルト51として、いずれもL字型のアンカーピンを採用した。しかし、必ずしもこれに限定されるものではなく、酸性土壌を含む地山10に打設された場合にも腐食することのない耐腐食性の材料よりなり、落石防護網2、植栽基盤網3及び木片コンクリート5を地山に固定することの可能な形状であれば、いずれのものを採用してもよい。
さらに、防護網用アンカーボルト21、基盤網用アンカーボルト31、及び木片押え用アンカーボルト51はいずれも、法面の状態や地山10の性状等に応じて適宜採用すればよく、必ずしも用いなくてもよい。
1 植生基盤
2 落石防護網
21 防護網用アンカーボルト
3 植栽基盤網
31 基盤網用アンカーボルト
4 植生基材
5 木片コンクリート(木質コンクリート)
51 木片押え用アンカーボルト
6 植生マット
61 多孔性フィルター材
62 補剛材
7 セメント入り植生基材
8 法面保護部材
10 地山
11 既存の植生工
111 ラス網
112 木片コンクリート
113 植生基材
12 地山(酸性土壌を含まない)
13 植生工
131 ラス網
132 吹付け材
S 植物種子

Claims (5)

  1. 法面を保護する法面保護方法であって、
    法面に沿わせて配置される平板状の落石防護網と、その上部に積層される前記落石防護網より目の粗い立体状の植栽基盤網とを、法面に設置した後、
    植生基材を吹付けることを特徴とする法面保護方法。
  2. 請求項1に記載の法面保護方法において、
    前記法面の法肩から法尻に向かって斜面整形を行いつつ前記落石防護網を設置した後、前記植栽基盤網を設置することを特徴とする法面保護方法。
  3. 請求項1または2に記載の法面保護方法において、
    前記植生基材を吹付ける前に、
    前記植栽基盤網に、木質材料が練り混ぜられたセメントスラリーを吹付けることを特徴とする法面保護方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の法面保護方法において、
    前記植生基材の上面に、植物種子を保持させた植生マットを設置することを特徴とする法面保護方法。
  5. 植生基材が吹付けられる法面保護部材であって、
    法面に沿わせて設置された平板状の落石防護網と、
    該落石防護網の上部に積層された立体状の植栽基盤網と、
    該植栽基盤網に吹付けられた木質材料を練り混ぜられたセメントスラリーが硬化した木質コンクリートと、を備えることを特徴とする法面保護部材。
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