JP2020184862A - 車載充電器 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の温度センサを設ける構成で、温度センサの異常検出時に、PFC部側のものかコンバータ部側かのものかを確実に判定できるようにした車載充電器を提供する。【解決手段】車載バッテリ100に充電する車載充電器10は、PFC部20およびコンバータ部40を備える。交流入力はPFC部20から、直流入力はコンバータ部40から入力可能である。第1、第2温度センサ28、43を有し、PFC部20、コンバータ部40の温度を検出する。PFC部20は、交流入力のゼロクロス期間およびMOSトランジスタ27のオフ時のスイッチング時間を検出する検出回路31を備える。マイコン29は、温度センサ28、43により温度を検出し、両者の相関がずれたときに、MOSトランジスタ27のスイッチング時間から温度を推定し、故障した温度センサを特定する。【選択図】図1

Description

本発明は、車載充電器に関する。
交流電源から車載バッテリに充電する車載充電器では、交流電源から力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路(以下、PFC回路と称する)、コンバータ回路を介して充電を行う構成が採用されている。
コンバータ回路およびPFC回路にはそれぞれ充電動作中の回路の温度を検出するために温度センサが設けられる。温度センサは、例えばサーミスタなどの温度係数を有する抵抗素子を設けて温度を検出し、温度異常が検出された時には充電動作を停止するように構成されている。
この場合、従来のものでは、PFC回路およびコンバータ回路の温度センサは、充電動作を実施している時の温度変化の仕方にはある程度の相関関係があることがわかっている。これを利用して、両温度センサの検出温度の大小関係や温度変化の相関関係をあらかじめ記憶しておき、検出動作において大小関係や相関関係が崩れたことが検出された場合に、温度センサが故障していることを判定している。
しかしながら、上記構成のものでは、温度センサに異常を来して故障していることを判断することはできるが、故障している温度センサがPFC回路のものかコンバータ回路のものかについては、不変・短絡・断線モードの異常については判定しているが、例えば材料の経年劣化による特性変化などに起因する他の異常については個別の判定をしていない。このため、不変・短絡・断線モード以外の異常が発生している場合には、故障している温度センサを特定することができないものであった。
このため、交流電源からの充電だけでなく、コンバータ回路の入力部から直流電源により車載バッテリに充電することもできるように構成された車載充電器では、上記の構成を採用する場合には、温度センサの故障部位が特定できない場合には、どちらの充電も使用不能となるものであった。
特許第5569969号公報
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、複数の温度センサを設ける構成で、温度センサの異常検出時に、PFC部側のものかコンバータ部側かのものかを確実に判定できるようにした車載充電器を提供することにある。
請求項1に記載の車載充電器は、交流入力電圧を交流入力部から力率改善部(20)およびコンバータ部(40)を介して車載バッテリに充電するとともに、直流入力電圧を前記コンバータ部の直流入力部から前記車載バッテリに充電する車載充電器であって、前記力率改善部は、前記交流入力電圧を直流出力に変換する全波整流回路(21)と、前記全波整流回路の直流出力を、コイル(26)およびスイッチング素子(27)により力率改善して平滑コンデンサ(25)に充電する力率改善回路(22)とを備え、前記コンバータ部は、前記平滑コンデンサの直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路(41)と、前記インバータ回路の交流電圧を整流平滑して前記車載バッテリに供給する出力回路(42)とを備え、前記力率改善部および前記コンバータ部のそれぞれの温度を検出するように設けられた第1温度センサ(28)および第2温度センサ(43)と、前記交流入力電圧がゼロクロス近傍となるゼロクロス期間を検出し、前記ゼロクロス期間に前記スイッチング素子をオンオフ駆動してそのときのスイッチング時間を検出する検出回路(31)と、前記第1及び第2温度センサの検出信号から温度検出をするとともに、両検出信号の相関関係が所定範囲からずれたときに前記第1および第2温度センサのいずれかの故障状態を検出し、前記検出回路からのスイッチング時間から前記スイッチング素子の温度を推定する制御回路(29)とを備えている。
上記構成を採用することにより、検出回路は、交流入力電圧がゼロクロス近傍となるゼロクロス期間を検出するとともに検出したゼロクロス期間にスイッチング素子をオンオフ駆動してそのときのスイッチング時間を検出する。制御回路は、第1及び第2温度センサの検出信号から温度検出をするとともに、両検出信号の相関関係が所定範囲からずれたときに第1および第2温度センサのいずれかの故障状態を検出する。そして、制御回路は、検出回路からのスイッチング時間に基づいてスイッチング素子の温度を推定するので、第1および第2温度センサのうちのいずれが故障しているかを判定することができる。
この結果、第1温度センサが故障していることが判定できた場合には、第1温度センサを用いることなく充電動作を実施する直流入力による充電時には、充電動作が可能となるので、緊急の場合などにおいても、充電を実施することができるようになる。
一実施形態を示す電気的構成図 検出回路の電気的構成図 温度検出処理の流れを示す図 タイミングチャートその1 タイミングチャートその2 タイミングチャートその3 動作原理を説明するための電気的構成図 作用説明図
以下、一実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
図1において、車載バッテリ100に充電を行う車載充電器10は、商用電源からの交流入力プラグ200、および直流電源からの急速充電用の直流入力プラグ300を備えている。車載充電器10は、PFC部20およびコンバータ部40を備えている。
PFC部20は、全波整流回路21、および力率改善回路22および制御部23を備えている。全波整流回路21は、ダイオードブリッジ回路により構成され、交流入力プラグ200から入力される交流電圧Vacを全波整流した直流出力Vdcを力率改善回路22に出力する。
力率改善回路22は、全波整流回路21の直流出力Vdcを力率改善してダイオード24を介して平滑コンデンサ25に充電する。力率改善は、トランス26の1次コイルとスイッチング素子としてのMOSトランジスタ27を駆動制御して昇圧をすることで行う。MOSトランジスタ27の近傍にサーミスタからなる第1温度センサ28が配置され、PFC部20の温度を検出する。
制御部23は、制御回路としてのマイコン29、駆動回路30、検出回路31などを備える。駆動回路30は、抵抗32を介してMOSトランジスタ27のゲートに駆動電圧Vdrvを与えてオンオフ駆動する。トランス26の一次コイルに流れる電流を、二次コイルの両端に接続した抵抗33により検出する。トランス26の二次コイル流れる電流により、抵抗33に電圧降下が発生し、マイコン29はこの電圧降下を電圧Vsenseとして検出する。
検出回路31は、MOSトランジスタ27のゲート電圧Vgs、駆動回路30の駆動電圧Vdrvおよび電圧Vsenseを取り込み、ゼロクロス期間およびMOSトランジスタ27のスイッチング時間を検出して検出信号Szc、Sswをマイコン29に出力する。マイコン29は、第1温度センサ28の検出信号が入力されるとともに、後述する第2温度センサ43の検出信号が入力される。マイコン29には表示部34が接続されており、表示部34に表示信号を出力してランプの点灯や表示素子への表示出力により、使用者に対して交流充電、直流充電のそれぞれが可能かどうかを通知する。
コンバータ部40は、インバータ回路41および出力回路42を備える。インバータ回路41は、4個のスイッチング素子であるMOSトランジスタ41a〜41dをブリッジ接続したもので、PFC部20の出力である直流電圧を所定の交流電圧に変換して出力回路42に出力する。インバータ回路41は、急速充電用の直流入力プラグ300にも接続されており、直流電圧が入力される。MOSトランジスタ41bの近傍には、コンバータ部40の温度を検出するようにサーミスタからなる第2温度センサ43が配置される。
出力回路42は、絶縁用のトランス44、全波整流回路45、コイル46およびコンデンサ47を備える。インバータ回路41の交流出力は、トランス44を介して全波整流回路45に入力される。全波整流回路45は、全波整流した直流出力をコイル46およびコンデンサ47により平滑する。車載バッテ入り100は、コンデンサ47の両端子から充電を行う。
上記した検出回路31は、図2に示すように、コンパレータ31a、フリップフロップ31b、インバータ31c、コンパレータ31d、アンド回路31e、カウンタ31fを備えている。コンパレータ31aは、反転入力端子に電圧Vsenseが入力され、非反転入力端子に参照電圧Vrefが入力される。参照電圧Vrefはゼロクロス期間を判定するためのもので、0Vよりも少し大きい電圧に設定されている。
コンパレータ31aの出力端子はフリップフロップ31bのセット端子Sに接続される。フリップフロップ31bのリセット端子Rには駆動電圧Vdrvが入力される。フリップフロップ31bの出力端子Qは、インバータ31cを介して反転させた出力信号をゼロクロス信号Szcとして出力する。
コンパレータ31dは、反転入力端子に比較電圧Vcompが入力され、非反転入力端子にゲート電圧Vgsが入力される。比較電圧Vcompは、ゲート電圧Vgsが減衰してほぼ0Vになるまでのスイッチング時間Tswを検出するために設定された電圧である。コンパレータ32dの出力端子はアンド回路31eの一方の入力端子に接続される。アンド回路31eの他方の入力端子には駆動電圧Vdrvの反転信号が入力される。
アンド回路31eの出力端子はカウンタ31fの入力端子ENに接続される。カウンタ31fのクロック端子CLKにはクロック信号CLKが入力される。カウンタ31fは、入力端子ENの入力信号がハイレベルである期間中、クロック信号CLKをカウントアップしてカウント信号Stcとして出力端子から出力する。
次に、上記構成の作用について、図3から図8も参照して説明する。
車載充電器10において、商用の交流電源から車載バッテリ100に充電する場合には、交流入力プラグ200から交流電圧VacがPFC部20の全波整流回路21に入力される。交流電圧Vacは、全波整流回路21で全波整流され、脈流状の直流電圧Vdcとして力率改善回路22に入力される。このとき、マイコン29は、駆動回路30に駆動信号を与えて力率改善回路22のMOSトランジスタ27をオンオフの駆動電圧Vdrvにより駆動し、力率改善をしながら平滑コンデンサ25に充電を実施する。
コンバータ部40では、PFC部20の平滑コンデンサ25の直流電圧を取り込んで車載バッテリ100の電圧に対応するように調整をして出力する。まず、インバータ回路41のMOSトランジスタ41a〜41dを駆動制御して所定の交流電圧に変換し、トランス44を介して全波整流回路で直流変換し、コイル46を介してコンデンサ47に出力する。これにより、車載バッテリ100に対応した直流電圧に変換された状態で充電動作を実行する。
上記の動作を実行する状態では、マイコン29は、第1温度センサ28および第2温度センサ43からの温度検出信号を取り込み、PFC部20およびコンバータ部40の温度を監視している。充電動作を継続することで、PFC部20およびコンバータ部40の温度は徐々に上昇する。このとき、PFC部20とコンバータ部40とは、同様に動作しているので、温度上昇の傾向は互いに相関がある。このことを利用して、第1温度センサ28および第2温度センサ43の温度を推定する処理を実行している。
また、これら第1温度センサ28および第2温度センサ43のうちの一方が故障した場合に備えて、マイコン29は、スイッチング素子であるMOSトランジスタ27の温度を異なる検出原理に基づいて検出している。この検出原理と実際の動作について、以下に説明する。
まず、MOSトランジスタ27のオン時もしくはオフ時のスイッチング時間の検出について説明する。図7は、本実施形態のMOSトランジスタ27部分に対応するモデルを示すものである。電源電圧VDDとグランドとの間に、トランス26の一次コイルに相当するコイルLとMOSトランジスタ27に相当するMOSトランジスタTrが直列に接続された構成である。
次に、図8において、MOSトランジスタTrのドレイン・ソース間に電圧VDSが印加された状態でスイッチング動作すると、ゲート電圧Vgsの波形にミラー期間が発生する。このミラー期間の長さは、電圧VDSの大きさやドレイン電流IDによって変化する。これは、MOSトランジスタTrは、端子間にそれぞれ寄生容量Cgs、Cgd、Cdsを有しているからである。
このうち支配的なのはゲート・ソース間の寄生容量Cgsであるため、ゲートをオフする動作は寄生容量Cgsから電荷を引き抜く動作となる。この電荷引き抜き動作では、ゲート電圧Vgsが低下してくると、ドレイン・ソース間電圧VDSが上昇し始め(t1)これにより変位電流iG=Cgd・(dVDS/dt)がドレインからゲートに流れるようになる。
このため、寄生容量Cgsからの電荷引き抜きが阻害され、ゲート電圧Vgsが下がらないミラー期間が発生する。このミラー期間はVDSが電源電圧VDDに達するまで(t2)続く。また、ミラー期間の長さはdV/dtに依存するためVDDに依存し、また電流値IDにも依存するため、ゲートのスイッチング速度はPFCの動作中に大きく変化することになる。
これに対して、MOSトランジスタTrのドレイン・ソース間に電圧VDSが印加されていない状態では、図8に示しているように、上記したようなミラー期間が発生しないので、ゲート電圧Vgsが所定レベルVthまで低下した時点までの時間を計測することでスイッチング時間を検出することができる。
また、上記したゲート・ソース間の寄生容量Cgsは、温度依存性を有することがわかっているので、ゲート電圧Vgsの上昇時間あるいは下降時間を測定することで、予め設定した相関データを参照することでMOSトランジスタ27の温度を推定することができる。
このため、本実施形態においては、検出回路31によりMOSトランジスタ27のドレイン・ソース間に電圧が印加されない期間をゼロクロス期間として検出し、マイコン29により、ゼロクロス期間中にMOSトランジスタ27のスイッチング時間Tswを測定して温度を推定するように構成している。
具体的には、図4に示すように、正弦派の交流入力Vacを全波整流回路29にて全波整流する際に、ダイオードの順方向電圧Vfの電圧降下により、ゼロクロス期間Tzcが発生する。具体的には、例えば60Hzの交流200Vでは、ゼロクロスtzの前後に直流電圧Vdcが0Vとなるゼロクロス期間Tzcが20us程度発生する。この期間Tzcでは、MOSトランジスタ27のドレイン・ソース間に電圧VDSが印加されない期間となるので、スイッチング時間を検出することに利用できる。
図4に示すように、時刻tza〜tzb間のゼロクロス期間Tzcでは、MOSトランジスタ27に電流が流れないので、Vsenseもゼロとなる期間である。このゼロクロス期間Tzc中にも駆動回路30からMOSトランジスタ27のゲートに駆動電圧Vdrvが印加されるので、オフとなる時点t0からMOSトランジスタ27のゲート電圧Vgsが所定レベルVcomp以下になるまでの時間を測定する。
次に、検出回路31の動作について説明する。コンパレータ31aは、図5に示すように、MOSトランジスタ27の電流IDの信号であるVsenseがほぼゼロとなる参照電圧Vref以下の状態でハイレベルの信号S1を出力する。そして、フリップフロップ31bおよびインバータ31cにより、信号S1がハイレベルの状態では、駆動電圧Vdrvがオンになるタイミングすなわち、駆動電圧Vdrvによって電流が流れない期間をゼロクロス信号Szcとして検出する。ゼロクロス信号Szcがハイレベルとなる時刻t1からt2の期間がゼロクロス期間Tzcとなる。
また、検出回路31において、スイッチング時間の計測は、図5に示したゼロクロス信号Szcがハイレベルの期間中で、駆動電圧Vdrvがオフになるタイミングで実施する。図6に示すように、駆動電圧Vdrvが時刻t0でローレベルになると、MOSトランジスタ27のゲート電圧Vgsは、寄生容量Cgsの電荷が抵抗32を介して放電されるので徐々に低下していく。
コンパレータ31dは、ゲート電圧Vgsがゼロレベルを判定するVcomp以上の状態では、出力信号S2がハイレベルの状態となる。アンド回路31eにおいては、駆動電圧Vdrvがローレベルの状態で、コンパレータ31dからハイレベルの出力信号S2が入力される時刻t0からt1の期間中、出力信号S3はハイレベルとなる。出力信号S3がハイレベルとなる期間は、MOSトランジスタ27のオフのスイッチング時間に相当する。
カウンタ回路31fは、アンド回路31eからの信号S3がハイレベルの期間をクロック信号CLKに基づいてカウントアップしたカウント信号Sswとして出力する。カウント信号Sswのカウント値すなわち波高値がスイッチング時間Tswに相当する。これにより、マイコン29には、検出回路31からゼロクロス信号Szcおよびカウント信号Sswが入力される。
マイコン29は、図3に示す流れにしたがって第1温度センサ28および第2温度センサ43による温度検出処理を行うとともに、検出温度データに基づいて第1及び第2温度センサ28および43のうちのいずれかの故障を判定する。また、マイコン29は、第1及び第2温度センサ28および43のうちのいずれかが故障したときには、検出回路31からゼロクロス信号Szcおよびカウント信号Sswに基づいて、予め記憶されているスイッチング時間Tswと素子温度の相関データにより温度を推定する。さらに、推定した温度と第1温度センサ28の計測温度との間に乖離があれば第1温度センサ28の故障を判断する。
マイコン29は、図3に示す温度検出処理を適宜のタイミングで繰り返し実行している。図3において、マイコン29は、まず、ステップS101で、第1温度センサ28および第2温度センサ43による温度検出を行う。この処理では、マイコン29は、第1温度センサ28および第2温度センサ43により検出される検出信号に基づき、予め記憶されている温度と検出信号との相関データに基づいて温度を検出する。
次に、マイコン29は、ステップS102で、第1温度センサ28および第2温度センサ43の検出温度差ΔTが所定範囲内にあるか否かを判断する。交流入力により車載バッテリ100への充電を実施している状態では、PFC部20およびコンバータ部40がともに動作し、両者に電流が流れることで、第1温度センサ28および第2温度センサ43の間で一定の相関関係を有する。この温度センサ間の相関関係は、温度の上昇の仕方と両者間の温度差データが予め記憶されており、この温度差データと比較して大きく外れているか否かを判断するものである。
マイコン29は、第1温度センサ28および第2温度センサ43の検出温度差ΔTが所定範囲内にある場合にはYESと判断し、正常に温度検出が行われているとともに、異常な温度が検出されていないとして温度検出処理を終了する。
これに対して、第1温度センサ28および第2温度センサ43の検出温度差ΔTが所定範囲から外れている場合には、マイコン29はNOと判断し、次にステップS103に移行する。この場合、検出温度差ΔTが所定範囲から外れているということは、第1温度センサ28および第2温度センサ43が同時に故障することは稀であるから、いずれか一方が故障していることが推定できる。
マイコン29は、ステップS103で、前述したスイッチング時間TswのデータからMOSトランジスタ27の温度すなわちPFC部20の温度を推定する処理を実施する。このとき推定する温度は、第1温度センサ28による検出温度とは無関係に得るものであるから、第1温度センサ28が正常に温度検出をしている場合には、推定温度と相関関係があるはずである。
次に、マイコン29は、ステップS104で、スイッチング時間Tswから推定したPFC部20の温度と、第1温度センサ28により検出した温度とが相関関係にあるか否かを判定する。ここで、NOの場合すなわち相関関係が無い場合には、マイコン29は、ステップS105に進み、第1温度センサ28が異常であることを判定する。
そして、この場合には、第1温度センサ28によるPFC部20の温度検出ができない状態であるから、マイコン29は、ステップS106でPFC部20を用いる交流入力による充電を禁止し、さらに表示部34により使用者に交流入力による充電を禁止する旨の表示を行わせ、温度検出処理を終了する。
なお、第1温度センサ28の故障が判定されたことで、第2温度センサ43はまだ使える状態であるから、PFC部20を介さずに直流充電を行う急速充電は可能であるものと判断し、直流電圧による急速充電は可能である旨を表示部34において表示させることも可能である。
一方、マイコン29は、ステップS104で、YESの場合すなわち相関関係がある場合には、マイコン29は、ステップS107に進み、第2温度センサ43が異常であることを判定する。
そして、この場合には、第2温度センサ43によるコンバータ部40の温度検出ができない状態であるから、マイコン29は、ステップS106でコンバータ部40を用いる交流入力および直流入力の充電をいずれも禁止し、さらに表示部34により使用者に交流入力による充電および直流入力による充電を禁止する旨の表示を行わせ、温度検出処理を終了する。
このような本実施形態では、第1温度センサ28および第2温度センサ43による温度検出に加えて、制御回路PFC部20のMOSトランジスタ27のスイッチング時間によってPFC部20の温度を別途検出することで、第1温度センサ28および第2温度センサ43の故障時に、いずれが故障したかを特定できるようにした。
これにより、第1温度センサ28が故障である場合には、交流入力による充電ができない状態となるが、第2温度センサ43が正常であることから、直流入力による車載バッテリへの充電が可能であることを使用者に通知することができるようになる。
(他の実施形態)
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
なお、上記実施形態では、第1温度センサ28が故障していることが特定できた場合に、PFC部20が第1温度センサ28による温度検出が不能となることで交流入力による充電動作を禁止することとしたが、第2温度センサ43が正常で且つMOSトランジスタ27のスイッチング時間Tswを検出することでPFC部20の温度検出動作が継続可能な場合には、交流入力による充電を許容することも可能である。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
図面中、10は車載充電器、20はPFC部、21は全波整流回路、22は力率改善回路、23は制御部、25は平滑コンデンサ、26はトランス(コイル)、27はMOSトランジスタ(スイッチング素子)、28は第1温度センサ、29はマイコン(制御回路)、30は駆動回路、31は検出回路、34は表示部、40はコンバータ部、41はインバータ回路、42は出力回路、43は第2温度センサ、100は車載バッテリ、200は交流入力プラグ、300は直流入力プラグである。

Claims (6)

  1. 交流入力電圧を交流入力部から力率改善部(20)およびコンバータ部(40)を介して車載バッテリに充電するとともに、直流入力電圧を前記コンバータ部の直流入力部から前記車載バッテリに充電する車載充電器であって、
    前記力率改善部は、
    前記交流入力電圧を直流出力に変換する全波整流回路(21)と、
    前記全波整流回路の直流出力を、コイル(26)およびスイッチング素子(27)により力率改善して平滑コンデンサ(25)に充電する力率改善回路(22)とを備え、
    前記コンバータ部は、
    前記平滑コンデンサの直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路(41)と、
    前記インバータ回路の交流電圧を整流平滑して前記車載バッテリに供給する出力回路(42)とを備え、
    前記力率改善部および前記コンバータ部のそれぞれの温度を検出するように設けられた第1温度センサ(28)および第2温度センサ(43)と、
    前記交流入力電圧がゼロクロス近傍となるゼロクロス期間を検出し、前記ゼロクロス期間に前記スイッチング素子をオンオフ駆動してそのときのスイッチング時間を検出する検出回路(31)と、
    前記第1及び第2温度センサの検出信号から温度検出をするとともに、両検出信号の相関関係が所定範囲からずれたときに前記第1および第2温度センサのいずれかの故障状態を検出し、前記検出回路からのスイッチング時間から前記スイッチング素子の温度を推定する制御回路(29)と
    を備えた車載充電器。
  2. 前記制御回路は、前記ゼロクロス期間での前記スイッチング素子のスイッチング時間から推定した前記スイッチング素子の温度に基づいて、前記第1および第2温度センサのうちのいずれが前記故障状態となったか判定する請求項1に記載の車載充電器。
  3. 前記制御回路は、前記第1および第2温度センサのうちのいずれが前記故障状態となったか判定した結果、前記第1温度センサが故障していた場合には、前記直流入力電圧を前記コンバータ回路の直流入力部から前記車載バッテリに充電することを許容する請求項2に記載の車載充電器。
  4. 前記検出回路は、前記交流入力電圧が前記全波整流回路を構成するダイオードの順方向電圧以下となる期間をゼロクロス期間として検出する請求項1から3のいずれか一項に記載の車載充電器。
  5. 前記制御回路は、前記スイッチング素子をPWM制御により駆動制御し、
    前記検出回路は、前記スイッチング素子の電流を監視して電流が流れなかったサイクルをゼロクロス期間として検出する請求項1から4のいずれか一項に記載の車載充電器。
  6. 前記制御回路は、前記スイッチング素子の温度と前記スイッチング時間との相関データを内部に記憶されている請求項1から5のいずれか一項に記載の車載充電器。
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