JP2020183746A - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】流体の供給に伴い駆動側回転体と従動側回転体との相対回転位相の変位が迅速に行われる弁開閉時期制御装置を構成する。【解決手段】駆動側回転体20と、従動側回転体30とを備え、これらに相対回転自在な中間部材41を従動側回転体30の環状部31の内周側に備えている。進角室Caに連通する進角流路23aと、遅角室Cbに連通する遅角流路23bとが、駆動側回転体20の壁部23の内面に溝状に形成されている。中間部材41の外周と従動側回転体30の内周との間に加圧流体が供給される加圧空間PSが形成され、回転軸芯を中心にした中間部材41の姿勢の設定により、加圧空間PSの加圧流体を進角流路23aと遅角流路23bとの少なくとも一方へ供給する流体制御部42が中間部材41に備えられている。【選択図】図6

Description

本発明は、流体の給排により内燃機関のバルブタイミングを制御する弁開閉時期制御装置に関する。
上記構成の弁開閉時期制御装置として、特許文献1には、タイミングプーリの内周のギヤ部と、カムシャフトのインナギヤとに噛み合うヘリカルスプラインを内外面に有するカムフォロアを備え、カムフォロアをカムシャフトの軸芯に沿う方向に移動させる油圧型の作動系を備えた構成が示されている。
この特許文献1では、油圧型の作動系として、タイミングプーリが回転する状況において、油室の油圧が作用することによりブレーキにパワーピストンが固定され、カムフォロアの脚部がパワーピストンのカム面に当接した状態で移動(カムシャフトの軸芯に沿う方向への移動)し、油圧がカムフォロアに作用することにより、カムフォロアをカムシャフトの軸芯に沿う方向に移動させるものが示されている。
このような移動により、特許文献1では、ヘリカルスプラインの移動に伴いタイミングプーリとカムシャフトとの回転位相を変化させバルブタイミングの制御が実現される。
また、上記構成の弁開閉時期制御装置として特許文献2には、クランクシャフトと同期回転する外部ロータ(駆動側回転体)と、筒状の連結ボルトでカムシャフトに連結固定された内部ロータ(従動側回転体)と、をカムシャフトと同軸芯に配置し、カムシャフトの軸芯と同軸芯に電磁制御弁を配置した構成が示されている。
この特許文献2では、外部ロータと内部ロータとの間に流体圧室が形成され、内部ロータの外周に形成したベーンで流体圧室を区画することにより進角室と遅角室とが形成されている。また、電磁制御弁のスプールが、筒状の連結ボルトに収容され、このスプールを外部から電磁的に移動させることにより、進角室と遅角室とに対する作動油の給排を制御し、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転位相を制御するように構成されている。
特開平02−149707号公報 特開2015−161231号公報
例えば、エンジンの吸気バルブに備えられる弁開閉時期制御装置では、クランクシャフトの回転速度(単位時間あたりの回転数)に拘わらず設定された最適なタイミングで吸気バルブを開閉することが理想である。
これに対し、特許文献1に記載される装置では、流体を供給した後に、 パワーピストンが作動して固定状態に達し、カムフォロアが変位することでタイミングプーリと、カムシャフトとの相対回転位相が変化するものであるため、流体の供給開始から相対回転位相の変化開始までのタイムラグが比較的大きいことが想像できる。
また、特許文献2に記載される装置では、スプールと、進角室あるいは遅角室との間に形成される流路長を比較的短くできるため、流体の供給開始から外部ロータ(駆動側回転体)と、内部ロータ(従動側回転体)との相対回転位相の変位開始までの時間を短縮できるものである。
しかしながら、特許文献2のように流路長を比較的短くできる構成であっても、流路の流路抵抗により圧損を招き、流体の相対回転位相の変位が開始されるまでに僅かなタイムラグを生ずるものであった。
このような理由から、流体の供給に伴い駆動側回転体と従動側回転体との相対回転位相の変位が迅速に行われる弁開閉時期制御装置が求められる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の特徴構成は、内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、前記駆動側回転体の回転軸芯と同軸芯に配置され、前記回転軸芯と同軸芯の環状部を有し、弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体と、前記環状部の内周側に前記回転軸芯と同軸芯で配置され、前記駆動側回転体と前記従動側回転体とに対し相対回転自在である中間部材と、が備えられ、前記駆動側回転体の内周側で、且つ前記環状部の外周側に、流体供給により前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相を進角方向に変位させる進角室と、流体供給により前記相対回転位相を遅角方向に変位させる遅角室とが形成され、前記進角室に連通する進角流路と前記遅角室に連通する遅角流路とが、前記駆動側回転体のうち前記回転軸芯に直交する姿勢の壁部の内面に溝状に形成され、前記中間部材の外周と前記環状部の内周との間に加圧流体が供給される加圧空間と、流体の排出が可能なドレン空間とが形成され、前記中間部材の前記回転軸芯を中心に回動した姿勢の設定により、前記加圧空間の加圧流体を前記進角流路と前記遅角流路との一方へ供給すると共に、前記進角流路と前記遅角流路との他方からの流体を前記ドレン空間に排出する流体制御部が前記中間部材に備えられている点にある。
この特徴構成によると、加圧空間が中間部材の外周と従動側回転体の内周との間に形成され、駆動側回転体の内周側で従動側回転体の環状部の外周側に進角室と遅角室とが形成されるため、進角室および遅角室と加圧空間との距離を短縮でき、進角流路と遅角流路との流路抵抗も小さくできる。また、加圧空間には常に加圧流体が貯溜され、中間部材の姿勢の設定により、流体制御部が加圧空間の加圧流体を、進角流路または遅角流路に供給するため、流体の供給を開始する際にも圧力の立ち上がりを速くできる。更に、進角室または遅角室から流体を排出する際には、ドレン空間までの距離が短いため流体の排出に要する時間も短縮できる。
従って、流体の供給に伴い駆動側回転体と従動側回転体との相対回転位相の変位が迅速に行われる弁開閉時期制御装置が構成された。特に、相対回転位相の制御が迅速に行われるため、相対回転位相の制御の精度の向上が可能であり、しかも、流路抵抗が小さいため、例えば、温度低下に伴い流体の粘性が上昇する場合でも、相対回転位相の変位速度の低下も抑制できる。
他の構成として、前記中間部材が前記回転軸芯を中心とする環状であり、前記中間部材の内周側に前記カムシャフトと一体回転する基端部材が配置され、前記回転軸芯を中心にした前記中間部材の姿勢を設定するための前記加圧流体の流体圧を得る流体空間が、前記基端部材の外周部と前記中間部材の内周部との間に形成されても良い。
これによると、中間部材の内周部と基端部材の外周部との間に形成された流体空間に対する流体の給排により、流体圧によって回転軸芯を中心とした中間部材の姿勢を設定し、進角室または遅角室に対して流体を供給できる。また、この構成では、電磁弁等によって流体圧室に対する作動油の給排も可能となる。
他の構成として、前記進角流路と前記遅角流路との内端部が、前記従動側回転体の前記環状部より内周側まで延設され、前記中間部材が中立姿勢にある状態で、前記進角流路の内端部に重複して前記進角流路を閉塞するように当該中間部材の外周から外方に突出する進角側制御体と、前記遅角流路の内端部に重複して前記遅角流路を閉塞するように当該中間部材の外周から外方に突出する遅角側制御体とで、前記流体制御部が構成されても良い。
これによると、中間部材が中立姿勢にある状態では、中間部材の進角側制御体が進角流路を閉塞し、中間部材の遅角側制御体が遅角流路を閉塞するため、進角室と遅角室との何れにも流体は供給されず相対回転位相は維持される。これに対し、中間部材の姿勢が中立姿勢から何れかの方向に変化した場合には、進角側制御体と遅角側制御体との何れかによる閉塞を解除して加圧空間の加圧流体を進角流路と遅角流路とに何れか一方に供給でき、進角流路と遅角流路との何れか他方からの流体をドレン空間に排出できる。
他の構成として、前記ドレン空間から排出された流体を前記加圧空間に戻す還元流路が形成され、前記加圧空間の圧力が前記ドレン空間の圧力より高い場合に前記還元流路を閉塞し、前記ドレン空間の圧力が前記加圧空間の圧力より高い場合に前記還元流路での流体の流れを許容する逆止弁を、前記還元流路に備えても良い。
これによると、中間部材の姿勢の設定により加圧空間の流体を進角室または遅角室の一方に供給し、進角室または遅角室の他方からドレン空間に流体が排出される際に、ドレン空間の圧力が加圧空間の圧力より高い場合には、ドレン空間に排出された流体の一部を、逆止弁を介して加圧空間に戻し、加圧空間の流体量の低下を抑制して迅速な作動を維持できる。
他の構成として、前記進角側制御体の突出端と、前記遅角側制御体の突出端との少なくとも一方に、前記ドレン空間から前記加圧空間への流体の流れを可能にする還元流路が凹状に形成され、前記従動側回転体の内周に接するシール体が当該還元流路に嵌め込む状態で備えられ、前記加圧空間の圧力が前記ドレン空間の圧力より高い場合に前記シール体がシール位置に保持されることで前記還元流路が閉塞され、前記ドレン空間の圧力が前記加圧空間の圧力より高い場合に前記シール体が、非シール位置に変位することで前記還元流路での流体の流れが許容されても良い。
これによると、シール体を備えることにより、加圧空間の圧力がドレン空間の圧力より高い場合には、シール体がシール位置に保持されることにより、還元流路が閉塞される。また、ドレン空間の圧力が加圧空間の圧力より高い状況に達した場合には、シール体が非シール位置に変位することにより、ドレン空間の流体の一部が還元流路を介して加圧空間に供給される。このようにドレン空間の流体の一部が加圧空間に供給されることにより、加圧空間の流体量の低下を抑制して迅速な作動を維持できる。
弁開閉時期制御装置の全体図を示す断面図である。 進角方向に位相が変位する際の弁開閉時期制御装置の断面図である。 位相の変位が停止した状態の弁開閉時期制御装置の断面図である。 遅角方向に位相が変位する際の弁開閉時期制御装置の断面図である。 弁開閉時期制御装置のハウジングとロータとの分解斜視図である。 加圧室の作動油の給排が停止する状態を示す展開図である。 加圧室の作動油が進角室に供給される状態を示す展開図である。 加圧室の作動油が遅角室に供給される状態を示す展開図である。 別実施形態(a)の構成を示す図 別実施形態(b)の弁開閉時期制御装置の一部を示す図である。 別実施形態(b)の構成の分解斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1〜図5に示すように、駆動側回転体としてのハウジング20と、従動側回転体としてのロータ30と、このロータ30のロータ本体31(環状部の一例)の内周側に配置される環状の中間部材41と、この中間部材41の内周に配置される環状の基端部材45と、流体としての作動油を制御する電磁制御弁Vとを備えて弁開閉時期制御装置Aが構成されている。
この弁開閉時期制御装置Aは、環状部としてのロータ本体31が、回転軸芯Xを中心とする環状に形成されている。また、弁開閉時期制御装置Aは、ハウジング20とロータ本体31との間に形成される進角室Caと遅角室Cbとに対する作動油の給排を行う位相制御ユニット40を備えており、この位相制御ユニット40は、中間部材41と基端部材45とを備えている。更に、位相制御ユニット40は、電磁制御弁Vによって作動油が給排されることにより中間部材41の姿勢を変化させ、進角室Caと遅角室Cbとに対する直接的な作動油の給排を実現する。位相制御ユニット40の詳細は後述する。
ロータ30(従動側回転体の一例)は、エンジンE(内燃機関の一例)の吸気カムシャフト5(カムシャフトの具体例)の回転軸芯Xと同軸芯に配置され、この吸気カムシャフト5と一体回転するように筒状の連結ボルト15により吸気カムシャフト5に連結固定されている。ハウジング20(駆動側回転体の一例)は、回転軸芯Xと同軸芯上に配置されると共に、回転軸芯Xを中心に相対回転自在にロータ30を内包している。
ハウジング20は、外周にタイミングスプロケット21Sが形成され、このタイミングスプロケット21Sと、エンジンEのクランクシャフト1の駆動スプロケット6とに亘ってタイミングチェーン7が巻回している。これによりハウジング20はクランクシャフト1と同期回転する。尚、排気側の排気カムシャフトの前端にもスプロケットが備えられ、このスプロケットにもタイミングチェーン7が巻回されている。
電磁制御弁Vは、エンジンEに支持される電磁ソレノイド部50を備えると共に、連結ボルト15の内部空間に収容されたスプール55を備えている。尚、連結ボルト15は回転軸芯Xと同軸芯に配置されている。
電磁ソレノイド部50は、内部のソレノイドに供給された電力に比例した量だけ回転軸芯Xに沿う方向に突出作動するように回転軸芯Xと同軸芯に配置されたプランジャ51を備えている。スプール55は、回転軸芯Xと同軸芯に配置され、プランジャ51が当接することで回転軸芯Xに沿って移動し作動油の給排を実現する。
このように、弁開閉時期制御装置Aは、エンジンEが稼動する状況において、電磁制御弁Vを制御することで位相制御ユニット40が、進角室Caと遅角室Cbに対する作動油の給排を制御する。この作動油の給排によりハウジング20とロータ30との相対回転位相(以下、相対回転位相と略称する)を変位させ、吸気バルブ5Vの開閉時期(バルブタイミング)の制御を実現する。
〔エンジンと弁開閉時期制御装置〕
図1のエンジンE(内燃機関の一例)は、乗用車などの車両に備えられるものを示している。エンジンEは、上部位置のシリンダブロック2のシリンダボアにピストン3を収容し、このピストン3とクランクシャフト1とをコネクティングロッド4で連結した4サイクル型に構成されている。エンジンEの上部には吸気バルブ5Vを開閉作動させる吸気カムシャフト5と、図示されない排気カムシャフトとを備えている。
吸気カムシャフト5を支持するエンジン構成部材10には、エンジンEで駆動される油圧ポンプPからの作動油を供給する供給流路8が形成されている。油圧ポンプPは、エンジンEのオイルパンに貯留される潤滑油を、供給流路8を介して作動油(作動流体の一例)として電磁制御弁Vに供給する。
図2〜図4に示すように、エンジンEが稼動する状況では、クランクシャフト1からの駆動力によりロータ30が駆動回転方向Sに向けて回転する。ロータ30がハウジング20に対して駆動回転方向Sと同方向に相対回転する方向を進角方向Saと称し、この逆方向への回転を遅角方向Sbと称する。この弁開閉時期制御装置Aでは、相対回転位相が進角方向Saに変位するほど吸気量を増大して吸気圧縮比を高め、相対回転位相が遅角方向Sbに変位するほど吸気量を低減して吸気圧縮比を低減するようにクランクシャフト1と吸気カムシャフト5との関係が設定されている。
尚、この実施形態では、吸気カムシャフト5に備えた弁開閉時期制御装置Aを示しているが、弁開閉時期制御装置Aを排気カムシャフトに備えることや、吸気カムシャフト5と排気カムシャフトとの双方に備えても良い。
図1〜図5に示すように、ハウジング20は、環状に形成されたハウジング本体21と、フロントプレート22と、リヤプレート23(壁体の一例)とを有しており、これらが複数の締結ボルト24の締結により一体化されている。前述したようにハウジング本体21の外周にタイミングスプロケット21Sが形成されている。
リヤプレート23は、吸気カムシャフト5挿通する孔部が中央に形成され、外周側に4つの締結ボルト24が挿通する4つのボルト挿通孔が形成されている。フロントプレート22は、連結ボルト15が挿通する孔部が中央に形成され、外周に4つの締結ボルト24が螺合するネジ孔が形成されている。
この弁開閉時期制御装置Aは、連結ボルト15の雄ネジ部が、吸気カムシャフト5の雌ネジ部に螺合することによりボルト頭部16と、吸気カムシャフト5の端部との間にロータ30と基端部材45とを挟み込む形態で、ロータ30と基端部材45と吸気カムシャフト5に連結される。
〔外部ロータ、内部ロータ〕
図2〜図5に示すように、ハウジング本体21には径方向の内側に突出する複数の突出部21Tが一体的に形成されている。ロータ30は、ハウジング本体21の突出部21Tに密接する環状のロータ本体31と、ハウジング本体21の内周面に接触するようにロータ本体31の外周から径方向の外方に突出する複数(4つ)のベーン32とを有している。また、複数のベーン32の突出端には、棒状のシール33を備えている。
特に、ロータ30は、弁開閉時期制御装置Aが組み立てられた状態で回転軸芯Xを中心とする位置の環状のロータ本体31と、回転軸芯Xに直交する姿勢でフロントプレート22に接触する位置に配置されるプレート部31bとを一体形成しており、ロータ本体31の内周側の空間に前述した中間部材41と、基端部材45とが配置される。
図2〜図4に示すように、ハウジング20にロータ30を内包した状態において、ロータ本体31の外周側でハウジング20の複数の突出部21Tの中間(周方向での中間)に複数(4つ)の流体圧室Cが形成される。この流体圧室Cの各々が、対応するベーン32で仕切られることで複数(4つ)の進角室Caと遅角室Cbとが区画形成される。
図1に示すように、フロントプレート22とリヤプレート23とは回転軸芯Xに対して直交する姿勢で配置されるものであり、図2〜図5に示すようにハウジング20に備えられた壁部としてのリヤプレート23の内面に、進角室Caに連通する溝状の進角流路23aと、遅角室Cbに連通する溝状の遅角流路23bとが形成されている。
また、リヤプレート23には、貫通孔状となる複数(4つ)のドレン孔23dが形成されている。進角流路23aと、遅角流路23bとは、図2〜図4に示すように、各々の内端部がロータ本体31より内側(回転軸芯Xに近接する側)まで延設されている。
図1〜図5に示すように、この弁開閉時期制御装置Aの相対回転位相を最遅角位相に保持するロック機構Lを備えている。このロック機構Lは、4つのベーン32のうちの1つに対し回転軸芯Xに沿う姿勢で形成された支持孔部に対して出退自在に支持されるロック部材25と、このロック部材25を突出付勢するロックスプリング26と、フロントプレート22に形成したロック凹部22aとで構成されている。尚、ロック機構Lは、ロック部材25が径方向に沿って出退自在に支持されるものでも良い。
ロック機構Lは、相対回転位相が最遅角位相に達した場合に、ロックスプリング26の付勢力によりロック部材25がロック凹部22aに係合してロック状態に達するように構成されている。このようにロック機構Lがロック状態に達することによりハウジング20とロータ30との相対回転位相が最遅角位相に保持され、例えば、エンジンEの始動時のように油圧ポンプPから供給される作動油の油量が少ない場合でも相対回転位相が大きく変動する不都合を解消できる。
また、ロック機構Lがロック状態にある状況において、進角室Caに作動油が供給された場合には、作動油の圧力をロック部材25に対しロック解除方向に作用させるため、図5に示すロック解除流路22bがフロントプレート22に溝状に形成されている。これにより、弁開閉時期制御装置Aが最遅角位相にある状況で、進角室Caに作動油が供給された場合には、進角室Caの作動油の圧力でロック部材25のロックが解除され、この後に相対回転位相が進角方向Saに変位する。
〔位相制御ユニット〕
前述したように、位相制御ユニット40が中間部材41と基端部材45とで構成されている。図2〜図4に示すように、ロータ本体31の内周側と、基端部材45の外周側との間においてリヤプレート23の方向に開放する環状の空間が形成され、この空間に環状の中間部材41が配置されている。また、中間部材41は、ハウジング20とロータ30との何れに対しても相対回転自在に(回転軸芯Xを中心とした姿勢を変更できるように)支持されている。
中間部材41は、外周に対して流体制御部42としての複数の進角側制御体42aと、複数の遅角側制御体42bとが径方向の外方に突出形成されている。中間部材41の内周には、複数の規制突起43が径方向の内方に突出形成されている。中間部材41の環状部分には、半径方向に貫通する中間流路41aが穿設されている。尚、進角側制御体42aと遅角側制御体42bとは中間部材41の周方向で交互に配置されている。
図2〜図5に示すように、環状の基端部材45は、外周に一対の係合突起46が径方向の外方に突出形成され、基端部材45の環状部位のうち、一対の係合突起46の周方向での中間部分に、半径方向に貫通する基端流路45aが形成されている。
中間部材41は、進角側制御体42aと遅角側制御体42bとが、流体圧室Cと等しい数だけ形成され、互いに隣接する位置の1つの進角側制御体42aと1つの遅角側制御体42bとが、1つの流体圧室Cに対応する位置に配置されている。規制突起43は、流体圧室Cと等しい数だけ形成され、1つの規制突起43が1つの流体圧室Cに対応する位置に配置される。尚、「対応する位置」とは、ハウジング本体21の内周において隣合う2つの突出部21Tの中間の領域となる。
図2〜図4に示すように弁開閉時期制御装置Aは4つの流体圧室Cが形成されているため、中間部材41の外周には4つの進角側制御体42aと4つの遅角側制御体42bとが形成されている。また、中間部材41の内周には、4つの流体圧室Cの数と等しい数となる4つの規制突起43が形成される。
中間部材41において4つの規制突起43によって4つの領域に分割された4つの内周領域のうち中間流路41aに連通しない2つの領域に対し、基端部材45の2つの係合突起46が嵌り込む状態で配置されている。
図2〜図4に示すように、係合突起46が収容される一対の規制突起43の周方向での間隔より、係合突起46の周方向での長さが短く設定され、係合突起46が収容される一対の規制突起43の周方向での端部と、規制突起43との間に進角制御室Gaと、遅角制御室Gbとが形成されている。中間部材41の姿勢を設定する流体圧を得るための流体空間として進角制御室Gaと、遅角制御室Gbとが形成されている。
進角制御室Gaは、図6〜図8に示すように、弁ユニットVbの進角制御流路63と連通し、遅角制御室Gbは、弁ユニットVbの遅角制御流路64と連通している。また、電磁制御弁Vのスプール55の制御により、進角制御室Gaと、遅角制御室Gbとに選択的に作動油を給排し、中間部材41と基端部材45とを、回転軸芯Xを中心に相対回転させ、結果として、中間部材41の回転の制御を可能にしている。この流路構成と中間部材41の作動形態の詳細は後述する。
図1、図5に示すように、中間部材41は、ロータ本体31のプレート部31bの内面(リヤプレート23に対向する面)と、リヤプレート23の内面とに挟まれる位置に配置される。また、このように中間部材41が配置された状態で、中間部材41の複数の進角側制御体42aの突出端と、複数の遅角側制御体42bの突出端とがロータ本体31の内周側に接触する。
これと同様に、基端部材45のうち、環状部位と一対の係合突起46とは、ロータ本体31のプレート部31bの内面(リヤプレート23に対向する面)と、リヤプレート23の内面とに挟まれる位置に配置される。
これにより、中間部材41の姿勢が回転軸芯Xを中心に変化した場合にも、中間部材41の一方の端面がプレート部31bの内面に密接し、中間部材41の他方の端面がリヤプレート23の内面に密接する状態が維持される。更に、複数の進角側制御体42aの突出端と複数の遅角側制御体42bの突出端とが、ロータ30の環状となるロータ本体31の内周面に密接する状態が維持される。
位相制御ユニット40は、中間部材41の外周側で、1つの流体圧室Cに対応する進角側制御体42aと遅角側制御体42bとの間に加圧空間PSを形成している。この加圧空間PSに対して油圧ポンプPからの作動油が基端流路45aと中間流路41aとを介して供給される。また、中間部材41の外周側で加圧空間PSが形成されない部位にドレン空間DSを形成しており、このドレン空間DSがリヤプレート23のドレン孔23dと連通している。
位相制御ユニット40は、図3に示すように、中間部材41が中立姿勢にある場合に、進角側制御体42aが進角流路23aの内端部を覆う位置にあり、遅角側制御体42bが遅角流路23bの内端部を覆う位置にある。これにより、進角室Caと遅角室Cbとの何れにも作動油が給排されず、弁開閉時期制御装置Aの相対回転位相が維持される。
〔電磁制御弁〕
図1に示すように、電磁制御弁Vは、電磁ソレノイド部50を有すると共に、筒状の連結ボルト15と、この連結ボルト15に内嵌されたスリーブ17と、スリーブ17に収容され回転軸芯Xに沿って移動自在なスプール55とを備えている。
連結ボルト15は外端側(図1で左側)にボルト頭部16が形成されると共に、内端側(図1で右側)に雄ネジ部が形成されている。スリーブ17は、連結ボルト15に内嵌固定され、作動油に含まれる異物を除去するフィルタ18を内端に備えている。
図1に示すように、スリーブ17の内端側に中間支持部材53を備えている。この中間支持部材53は一部に筒状部が形成され、この筒状部の内部にスプリングで閉じ方向に付勢されるチェック弁54が備えられている。筒状部にはチェック弁54を通過した作動油を送り出す連通孔が形成され、連通孔から送り出された作動油を連結ボルト15の外周の吐出ポート15cに供給する流路が形成されている。
この吐出ポート15cから送り出された作動油は、図6〜図8に示す加圧流路62を介して、加圧空間PSに供給される。また、加圧流路62に供給された作動油は、基端部材45の基端流路45aと、中間部材41の中間流路41aとを介して中間支持部材53の外周の加圧空間PSに供給される。
図1に示すようにスプール55は、進角制御ランド55aと、遅角制御ランド55bとが回転軸芯Xに沿う方向での端部に形成されている。また、スプール55を突出方向(図1で左側)に付勢するスプールスプリング56が連結ボルト15の内部に収容されている。更に、連結ボルト15の内周には、スプール55の突出限界を決めるストッパー57を備えている。
また、スプール55の内部に回転軸芯Xを中心とする内部流路55cが形成され、この内部流路55cと連通するドレン開口55dがスプール55の突出側の端部に形成されている。図面には示していないが、フィルタ18を通過した作動油をスプール55の進角制御ランド55aと遅角制御ランド55bとの中間に供給するセンター流路がスリーブ17の外周と連結ボルト15の境界に形成されている。
スプール55は、電磁ソレノイド部50のプランジャ51から圧力が作用しない状態(非操作状態)で、遅角制御ランド55bの外端がストッパー57に当接することで図1に示す遅角ポジションに維持される。
また、遅角ポジションを基準にしてプランジャ51が所定量突出することで、スプール55が設定量だけ押し込まれ、中立ポジションに設定される。更に、この中立ポジションからプランジャ51が更に突出することで、スプール55が更に押し込まれ、進角ポジションに設定される。
図1に示すように連結ボルト15には、進角ポート15aと、遅角ポート15bと、前述した吐出ポート15cとが形成されている。図6〜図7に示すように、吐出ポート15cからの作動油を加圧流路62に供給し、進角ポート15aからの作動油を進角制御流路63に供給し、遅角ポート15bからの作動油を遅角制御流路64に供給するように流路が形成されている。
〔作動形態〕
このような構成から、例えば、スプール55が図6に示す中立ポジションにある場合には、進角制御流路63と遅角制御流路64とに作動油が供給される。このため、進角制御室Gaと遅角制御室Gbとに作動油の圧力が作用する状態が維持され、中間部材41は中立姿勢に維持される。
このように中間部材41が中立姿勢に維持されることで、進角側制御体42aが進角流路23aの内端側を閉塞し、遅角側制御体42bが遅角流路23bの内端側を閉塞する。この結果として、進角室Caと遅角室Cbとの作動油の給排が行われず、相対回転位相は維持される。
これに対し、スプール55が図7に示す進角ポジションに設定された場合には、進角ポート15aを介して進角制御流路63に作動油が供給され、遅角制御流路64から作動油が遅角ポート15bからスプール55の外周に流れ、スプール55の前端部分から外部に排出される。
このため、進角制御室Gaの圧力が遅角制御室Gbの圧力より上昇する。この圧力関係から、基端部材45に対して中間部材41が図2〜図4において反時計廻りに姿勢が変化し(図7では中間部材41が左側に作動し)、進角側制御体42aの姿勢変化に伴い加圧空間PSの作動油を、進角流路23aを介して進角室Caに供給する。また、遅角側制御体42bの姿勢変化に伴い遅角室Cbの作動油を、遅角流路23bを介してドレン孔23dに排出する。
このように進角室Caと遅角室Cbとの間に作動油の給排が行われることにより、相対回転位相は進角方向Saに変位する。特に、電磁ソレノイド部50のプランジャ51の突出量の制御により、進角ポート15aから供給される作動油の流量が多いほど(圧力が高いほど)、基端部材45に対する中間部材41の変位量が大きく、進角方向Saへの変位速度の増大が可能となる。
これとは逆に、スプール55が図8に示す遅角ポジションに設定された場合には、遅角ポート15bを介して遅角制御流路64に作動油が供給され、進角制御流路63から作動油が進角ポート15aからスプール55の内部に流れ、スプール55の先端のドレン開口55dから外部に排出される。
このため、遅角制御室Gbの圧力が進角制御室Gaの圧力より上昇する。この圧力関係から、基端部材45に対して中間部材41が図2〜図4において時計廻りに姿勢が変化し(図8では中間部材41が右側に作動し)、遅角側制御体42bの姿勢変化に伴い加圧空間PSの作動油を、遅角流路23bを介して遅角室Cbに供給する。また、進角側制御体42aの姿勢変化に伴い進角室Caの作動油を、進角流路23aを介してドレン孔23dに排出する。
このように進角室Caと遅角室Cbとの間に作動油の給排が行われることにより、相対回転位相は遅角方向Sbに変位する。特に、電磁ソレノイド部50のプランジャ51の突出量の制御により、遅角ポート15bから供給される作動油の流量が多いほど(圧力が高いほど)、基端部材45に対する中間部材41の変位量が大きく、遅角方向Sbへの変位速度の増大が可能となる。
この弁開閉時期制御装置Aでは、ロータ30と基端部材45とが一体的に回転する構造であり、例えば、相対回転位相が最進角位相に達した場合には、基端部材45の係合突起46が中間部材41の規制突起43の一方に当接することで中間部材41を中立姿勢に保持する。これにより、進角制御室Gaに対して作動油の供給が継続しても進角室Caに作動油が供給される不都合を解消している。
これと同様に、例えば、相対回転位相が最遅角位相に達した場合には、基端部材45の係合突起46が中間部材41の規制突起43の他方に当接することで中間部材41を中立姿勢に保持する。これにより、遅角制御室Gbに対して作動油の供給が継続しても遅角室Cbに作動油が供給される不都合を解消している。
〔実施形態の作用効果〕
このように弁開閉時期制御装置Aでは、ロータ30の内周と、中間部材41の外周との間に高圧の作動油が貯溜される加圧空間PSを配置し、内端の位置が加圧空間PSに達する進角流路23aと、内端位置が加圧空間PSに達する遅角流路23bとをリヤプレート23に形成することで、進角流路23aと遅角流路23bとの流路長を短縮して流路抵抗の低減を実現している。
更に、中間部材41の姿勢の変更に伴い、加圧空間PSの作動油を進角室Caと遅角室Cbとの一方に対して最短距離で供給すると同時に、進角室Caと遅角室Cbとの他方から作動油を最短距離でドレン空間DSに送り出すことで相対回転位相の迅速な変位を実現している。また、相対回転位相の制御が迅速に行われるため、相対回転位相の制御の精度の向上が可能であり、しかも、流路長を短縮できるため、温度低下に伴い作動油の粘性が上昇しても、相対回転位相の変位速度の低下を抑制できる。
この構成の弁開閉時期制御装置Aでは、電磁制御弁Vでの作動油の給排によって中間部材41の姿勢を制御するものであるが、例えば、制御弁によって進角室Caと遅角室Cbとに対する作動油の給排を制御する従来構成と比較すると、電磁制御弁Vで給排される作動油の油量を少なくでき、作動油の圧力の低減も可能である。
特に、特許文献2(特開2015‐161231号公報)に記載される従来構成のように、弁開閉時期制御装置Aの回転軸芯Xと同軸芯に配置した制御弁で進角室Caと遅角室Cbに給排するものでは、制御弁と進角室Caまたは遅角室Cbとの間に形成される流路断面積が制限されるものである。これに対して本構成の弁開閉時期制御装置Aでは、加圧空間PSに作動油を供給するための加圧流路62の断面積の拡大が容易であり、相対回転位相の制御時の作動を高速で行える。更に、相対回転位相を変化させる際に、カム変動トルクが作用しても、この変動に伴う圧力を加圧空間PSで受け止めることが可能となりカム変動トルクの影響の低減も可能にする。
また、本構成の弁開閉時期制御装置Aでは、特許文献2(特開2015−161231号公報)に記載される従来構成の一部を変更する程度の改良により、製造することが可能であるため、弁開閉時期制御装置Aの設計時間も短縮でき、従来構成のパーツ類を流用して製造することも可能となる。
尚、本構成の弁開閉時期制御装置Aでは、加圧空間PSに対して加圧された作動油を常時供給しておき、中間部材41の姿勢が変化した際に、進角室Caまたは遅角室Cbに対して迅速に作動油の供給できるように中間流路41aと基端流路45aと加圧流路62との流路断面積を拡大することが望ましい。
更に、本構成の弁開閉時期制御装置Aでは、相対回転位相が、最進角位相と最遅角位相との何れに達した場合でも、基端部材45の係合突起46が中間部材41の規制突起43に当接することで中間部材41を強制的に中立姿勢に維持するため、進角制御室Gaと遅角制御室Gbとの何れかに対して無駄に作動油を供給し続ける不都合が解消される。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
(a)図9に示すように、ドレン孔23dから排出される作動油を、加圧空間PSに戻す還元流路Rをリヤプレート23に形成し、この還元流路Rの流路中に逆止弁70を備え、加圧空間PSの圧力がドレン空間DSの圧力より高い場合に還元流路Rを閉塞し、ドレン空間DSの圧力が加圧空間PSの圧力より高い場合に還元流路Rでの流体の流れを許容するように構成する。
この別実施形態(a)の構成では、加圧空間PSの圧力がドレン空間DSの圧力より高い場合には、逆止弁70が閉塞するため還元流路Rに作動油が流れることはなく、加圧空間PSの圧力を高い状態に維持する。これに対して、例えば、進角室Caに対し進角流路23aを介し加圧空間PSの作動油が供給される状況のように、一時的に加圧空間PSの圧力が低下した場合には、還元流路Rでの作動油の流れが許容されるため、ドレン空間DSの作動油の一部が加圧空間PSに戻される。
これにより、加圧空間PSの作動油の油量が低下する状況でも、ドレン空間DSの作動油を加圧空間PSに戻し、作動油の油量の低下を抑制し、加圧空間PSの作動油の圧力の低下も抑制できる。尚、図9には単一の還元流路Rを示しているが、隣接する全てのドレン空間DSと加圧空間PSとの間に還元流路Rを形成し、これらに逆止弁70を備えるように構成しても良い。
(b)図10、図11に示すように、中間部材41に形成される複数の進角側制御体42aと複数の遅角側制御体42bとの突出端に、回転軸芯Xに沿う方向に凹状となる還元流路Rを形成し、各々の還元流路Rに嵌め込む状態でブレード状のシール体71を備えている。シール体71は、保形性が良好で僅な弾性変形が可能なゴム板や、樹脂板で構成されている。
この別実施形態(b)では、還元流路Rの幅W1(弁開閉時期制御装置Aの回転方向に沿う方向の間隔)が、シール体71の厚さ方向の寸法W2より大きく設定されている。また、還元流路Rの深さD1(中間部材41の半径方向に沿う方向での溝深さ)がシール体71の板幅D2(半径方向での寸法)より大きく設定されている。
更に、還元流路Rの一対の内壁のうち、加圧空間PSから作用する圧力によりシール体71が当接する面に平滑な内壁となるシール面Rsが形成され、一対の内壁のうちドレン空間DSから作用する圧力によりシール体71が当接する面に突起Rtが形成されている。この突起Rtが形成されることにより、シール体71が突起Rtに当接した状態でシール体71の当接側の外面に流路が形成される。
このような構成から、別実施形態(b)では、加圧空間PSの圧力がドレン空間DSの圧力より高い場合には、加圧空間PSから作用する圧力によってシール体71がシール面Rsに当接するシール位置に保持され、還元流路Rが閉塞された状態が維持される。また、シール体71の突出側の端部がロータ30(従動側回転体)の環状部としてのロータ本体31の内周に接することにより、この部位での作動油のリークも抑制できる。
これに対して、ドレン空間DSの圧力が加圧空間PSの圧力より高い状態にある場合には、ドレン空間DSから作用する圧力によってシール体71が変位して突起Rtに当接する非シール位置に保持されるため、ドレン空間DSの作動油が還元流路Rを介して加圧空間PSに供給可能となる。これにより、ドレン空間DSに排出された作動油の一部を、還元流路Rを介して加圧空間PSに戻し、加圧空間PSの流体量の低下を抑制して迅速な作動を維持できる。
この別実施形態(b)では、シール体71と凹状の還元流路Rとの組み合わせにより、シール体71を逆止弁として機能させている。尚、この構成のシール体71は、進角側制御体42aと複数の遅角側制御体42bと全てに備えずに弁開閉時期制御装置Aを構成することも可能である。
(c)中間部材41を図3に示す中立姿勢に付勢する中立バネを備える。具体構成として、例えば、リヤプレート23と中間部材41との間にトーション型の中立バネを備える構成が考えられる。
このように構成することにより、進角制御室Gaあるいは遅角制御室Gbに対する作動油の供給が停止したタイミングで、中間部材41を中立姿勢に戻し、相対回転位相の変位を停止することが可能となる。
(d)中間部材41の姿勢の制御によって進角室Caと遅角室Cbに対する作動油の給排を制御するものでは、中間部材41の姿勢を設定するために油圧を用いる必要はなく、例えば、電動モータの駆動力や、電磁ソレノイドの駆動力によって中間部材41の姿勢を設定するように構成できる。
この別実施形態(d)のように、油圧を用いないで中間部材41の姿勢を制御するものでは、弁開閉時期制御装置Aの内部に形成される流路を単純にできる。また、電動モータや電磁ソレノイドを用いるものでは、油圧を用いるものと比較して制御が容易で、迅速な作動も可能となる。
(e)実施形態のように、進角流路23aと遅角流路23bとをリヤプレート23に形成する構成に代えて、例えば、進角流路と遅角流路とをフロントプレート22に形成するように、弁開閉時期制御装置Aを構成する。このように進角流路と遅角流路とを形成するものでは、フロントプレート22にドレン孔を形成することが合理的となる。
本発明は、流体の給排により内燃機関のバルブタイミングを制御する弁開閉時期制御装置に利用することができる。
1 クランクシャフト
5 吸気カムシャフト(カムシャフト)
20 ハウジング(駆動側回転体)
23 リヤプレート(壁体)
23a 進角流路
23b 遅角流路
30 ロータ(従動側回転体)
31 ロータ本体(環状部)
41 中間部材
42a 進角側制御体、流体制御部
42b 遅角側制御体、流体制御部
45 基端部材
70 逆止弁
71 シール体
Ca 進角室
Cb 遅角室
DS ドレン空間
E エンジン(内燃機関)
Ga 進角制御室(流体空間)
Gb 遅角制御室(流体空間)
PS 加圧空間
R 還元流路
X 回転軸芯

Claims (5)

  1. 内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、
    前記駆動側回転体の回転軸芯と同軸芯に配置され、前記回転軸芯と同軸芯の環状部を有し、弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体と、
    前記環状部の内周側に前記回転軸芯と同軸芯で配置され、前記駆動側回転体と前記従動側回転体とに対し相対回転自在である中間部材と、が備えられ、
    前記駆動側回転体の内周側で、且つ前記環状部の外周側に、流体供給により前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相を進角方向に変位させる進角室と、流体供給により前記相対回転位相を遅角方向に変位させる遅角室とが形成され、
    前記進角室に連通する進角流路と前記遅角室に連通する遅角流路とが、前記駆動側回転体のうち前記回転軸芯に直交する姿勢の壁部の内面に溝状に形成され、
    前記中間部材の外周と前記環状部の内周との間に加圧流体が供給される加圧空間と、流体の排出が可能なドレン空間とが形成され、
    前記中間部材の前記回転軸芯を中心に回動した姿勢の設定により、前記加圧空間の加圧流体を前記進角流路と前記遅角流路との一方へ供給すると共に、前記進角流路と前記遅角流路との他方からの流体を前記ドレン空間に排出する流体制御部が前記中間部材に備えられている弁開閉時期制御装置。
  2. 前記中間部材が前記回転軸芯を中心とする環状であり、
    前記中間部材の内周側に前記カムシャフトと一体回転する基端部材が配置され、
    前記回転軸芯を中心にした前記中間部材の姿勢を設定するための前記加圧流体の流体圧を得る流体空間が、前記基端部材の外周部と前記中間部材の内周部との間に形成されている請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
  3. 前記進角流路と前記遅角流路との内端部が、前記従動側回転体の前記環状部より内周側まで延設され、
    前記中間部材が中立姿勢にある状態で、前記進角流路の内端部に重複して前記進角流路を閉塞するように当該中間部材の外周から外方に突出する進角側制御体と、前記遅角流路の内端部に重複して前記遅角流路を閉塞するように当該中間部材の外周から外方に突出する遅角側制御体とで、前記流体制御部が構成されている請求項1又は2に記載の弁開閉時期制御装置。
  4. 前記ドレン空間から排出された流体を前記加圧空間に戻す還元流路が形成され、前記加圧空間の圧力が前記ドレン空間の圧力より高い場合に前記還元流路を閉塞し、前記ドレン空間の圧力が前記加圧空間の圧力より高い場合に前記還元流路での流体の流れを許容する逆止弁を、前記還元流路に備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載の弁開閉時期制御装置。
  5. 前記進角側制御体の突出端と、前記遅角側制御体の突出端との少なくとも一方に、前記ドレン空間から前記加圧空間への流体の流れを可能にする還元流路が凹状に形成され、前記従動側回転体の内周に接するシール体が当該還元流路に嵌め込む状態で備えられ、
    前記加圧空間の圧力が前記ドレン空間の圧力より高い場合に前記シール体がシール位置に保持されることで前記還元流路が閉塞され、前記ドレン空間の圧力が前記加圧空間の圧力より高い場合に前記シール体が、非シール位置に変位することで前記還元流路での流体の流れが許容される請求項3に記載の弁開閉時期制御装置。
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