JP2020181148A - 位相差材 - Google Patents

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優樹 古川
真 畑中
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真 畑中
直也 西村
Naoya Nishimura
直也 西村
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Abstract

【課題】良好な垂直配向性を示し、正面とそれ以外の方向で可視光透過率の差が大きい位相差材を提供する。【解決手段】(A)成分として下記式(1)垂直配向性基を有する成分を含有する硬化膜形成組成物から得られる垂直配向膜と、その上に形成された、重合性液晶と二色性色素とを含有する液晶組成物から得られる重合性液晶層とを有する位相差材。(式[1]中、Y1、Y2は単結合等を表し、Y3は単結合または炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、Y4は単結合、2価の環状基等を表し、Y5はベンゼン環、シクロヘキサン環または複素環から選ばれる2価の環状基を表し、nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、Y5同士は同一でも異なっていてもよく、Y6は水素原子、炭素原子数1〜18アルキル基等を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は液晶分子を垂直に配向させる垂直配向材に適する硬化膜形成組成物に関する。特に本発明は、液晶表示装置(liquid crystal display;LCD)、具体的には正の誘電異方性を有する液晶(△ε>0)が充填されたIPS液晶表示装置(In−plane Switching LCD;面内配向スイッチングLCD)の視野角特性を改善するために使用される、+Cプレート(ポジティブCプレート)を作成するのに有用な硬化膜形成組成物、配向材および位相差材に関する。
IPS−LCDは、液晶分子の垂直方向の傾きが発生しないため、視野角による輝度変化/色変化が少ないのが特徴であるが、コントラスト比と輝度、応答速度を高くしにくい点が弱点として挙げられる。例えば特許文献1に開示されるように、提案初期のIPS−LCDでは、視野角の補償フィルムが使用されておらず、こうした視野角の補償フィルムを使用していないIPS−LCDでは、傾斜角の暗状態における相対的に大きな光漏れのため、低いコントラスト比の値を示すという短所がある。
特許文献2には、+Cプレートと+Aプレート(ポジティブAプレート)を使用したIPS−LCD補償フィルムが開示されている。本文献には、そこに記載の液晶表示素子について、以下の構成が示されている。
1)液晶層面に平行な電場が印加できる電極により供給される両基板の間に水平配向を有する液晶層が挟まれている。
2)一枚以上の+Aプレートと+Cプレートが両偏光板に挟まれている。
3)+Aプレートの主光軸は、液晶層の主光軸に垂直である。
4)液晶層の位相差値RLC、+Cプレートの位相差値R+C、+Aプレートの位相差値R+Aは、次式を満たすように決められる。
LC:R+C:R+A≒1:0.5:0.25
5)+Aプレートと+Cプレートの位相差値に対し偏光板の保護フィルムの厚み方向の位相差値の関係は示されていない(TAC、COP、PNB)。
また、傾斜角での暗状態の光漏れを最小化することにより正面及び傾斜角での高いコントラスト特性、低い色ずれ(Color Shift)を有するIPS−LCDを提供することを目的とした、+Aプレートと+Cプレートを有するIPS−LCDが開示されている(特許文献3)。
さらに、外光反射を抑えつつ、明るい表示が得られる表示装置として、垂直配向した二色性色素を含む表示装置も開示されている(特許文献4及び特許文献5)。
特開平2−256023号公報 特開平11−133408号公報 特開2009−122715号公報 特開2018−36295号公報 特開2018−147761号公報
従来提案されているように、+Cプレートは偏光板の視野角が大きいところでの光漏れを補償することが出来るため、IPS−LCDの光学補償フィルムとして非常に有用である。しかし、従来一般的に知られている延伸処理による方法では、垂直配向(ポジティブCプレート)性を発現させることは難しい。
また、ポリイミドを用いた垂直配向膜は、膜作成にあたりN−メチル−2−ピロリドン等のポリイミドの溶剤を使用する必要がある。このためガラス基材では問題にならないが、基材がフィルムの場合、配向膜形成時に基材にダメージを与えてしまうという問題がある。その上、ポリイミドを用いた垂直配向膜では、高温での焼成が必要となり、フィルム基材が高温に耐えられないという問題がある。
本発明は、以上の知見や検討結果に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、優れた垂直配向性を有するとともに、光学補償フィルムに求められる透明性や溶剤耐性を備え、樹脂フィルム上でも低温短時間の焼成条件で安定して二色性色素を含む重合性液晶を垂直に配向させることができる配向材を提供するための硬化膜形成組成物を提供することである。
そして、本発明の別の目的は、上記硬化膜形成組成物から得られ、優れた垂直配向性を備え、樹脂フィルム上でも低温短時間の焼成条件で、二色性色素を含む重合性液晶を安定して垂直に配向させることができる配向材とその配向材を用いて形成された+Cプレートに有用な位相差材を提供することにある。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、垂直配向性基を有し、アクリルポリマーをベースとする材料を選択することにより、優れた垂直配向性と溶剤耐性とを有する垂直配向膜を、比較的低温で形成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は第1観点として、
(A)成分として下記式(1)垂直配向性基を有する成分を含有するとともに、下記(Z1)〜(Z4)のいずれかを満たす垂直配向材形成組成物から得られる垂直配向膜と、その上に形成された、重合性液晶と二色性色素とを含有する液晶組成物から得られる重合性液晶層とを有する位相差材。
(Z1)垂直配向性基を有する成分が、(A1)垂直配向性基と熱架橋性基とを有するアクリルポリマーであり、さらに(B)成分として架橋剤を含有する。
(Z2)垂直配向性基を有する成分が、(A2)垂直配向性基と熱架橋性基とを有する低分子化合物であって、更に(B)成分として架橋剤を含有し、(C)成分として熱架橋性基を有するベースポリマーを含有する。
(Z3)垂直配向性基を有する成分が、(A3)垂直配向性基とC=C二重結合を含む重合性基とを有するポリマーであって、(D)成分としてラジカル重合開始剤をさらに含有する。
(Z4)垂直配向性基を有する成分が、(A4)垂直配向性基を有するポリマーであって、(D)成分としてラジカル重合開始剤をさらに含有し、(F)成分として、C=C二重結合を含む重合性基を有するモノマーおよびポリマーから選ばれる少なくとも一種を含有する。
Figure 2020181148

(式[1]中、
は単結合又は結合基を表し、
は単結合、炭素原子数1〜15のアルキレン基または−CH−CH(OH)−CH−を表すか、ベンゼン環、シクロヘキサン環または複素環から選ばれる2価の環状基を表し、前記環状基上の任意の水素原子が、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルコキシル基またはフッ素原子で置換されていてもよく、
は単結合または炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、
は単結合を表すか、ベンゼン環、シクロヘキサン環または複素環から選ばれる2価の環状基、または炭素原子数17〜30であってステロイド骨格を有する2価の有機基を表し、前記環状基上の任意の水素原子が、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルコキシル基またはフッ素原子で置換されていてもよく、
はベンゼン環、シクロヘキサン環または複素環から選ばれる2価の環状基を表し、これらの環状基上の任意の水素原子が、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルコキシル基またはフッ素原子で置換されていてもよく、
nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、Y同士は同一でも異なっていてもよく、
は水素原子、炭素原子数1〜18アルキル基、炭素原子数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシル基または炭素原子数1〜18のフッ素含有アルコキシル基を表し、
及びYとしてのアルキレン基、並びに、環状基上の置換基又はYとしてのアルキル基、フッ素含有アルキル基、アルコキシル基及びフッ素含有アルコキシ基は、直鎖状、枝分かれ状、又は環状の何れか又はそれらの組み合わせであってもよく、
またY及びYとしてのアルキレン基、並びに、Yとしてのアルキル基、フッ素含有アルキル基、アルコキシル基及びフッ素含有アルコキシ基は、結合基同士が隣り合わない限り1ないし3の結合基で中断されていてもよく、
さらにY、Y又はYが2価の環状基を表すか、Yがステロイド骨格を有する2価の有機基を表すか、Yが−CH−CH(OH)−CH−を表すか、Y又はYがアルキレン基を表すか、或いはYがアルキル基又はフッ素含有アルキル基を表すとき、該2価の環状基、該ステロイド骨格を有する2価の有機基、該−CH−CH(OH)−CH−、該アルキレン基、該アルキル基及び該フッ素含有アルキル基は、それらに隣接する基と結合基を介して結合していてもよく、
そして上記結合基は、−O−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−NH−CO−O−及び−NH−CO−NH−からなる群から選ばれる基を表し、
但し、Y乃至Yがそれぞれ表すところの炭素原子数1〜15のアルキレン基、ベンゼン環、シクロヘキサン環、複素環、ステロイド骨格を有する2価の有機基、−CH−CH(OH)−CH−、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシル基及び炭素原子数1〜18のフッ素含有アルコキシル基の炭素原子数の合計は6〜30である)。
本発明によれば、フィルム基材上であっても、低温焼成により、良好な垂直配向性及び溶剤耐性を示す垂直配向膜を形成することができ、それを用いて、正面とそれ以外の方向で可視光透過率の差が大きい位相差材を提供することができる。
<硬化膜形成組成物>
本発明の垂直配向膜の形成に用いる硬化膜形成組成物につき、以下、各成分の詳細を説明する。
<(A)成分>
本発明の硬化膜形成組成物に含有される(A)成分は、垂直配向性基を有する成分であり、(A1)垂直配向性基と熱架橋性基とを有するアクリルポリマー、(A2)垂直配向性基と熱架橋性基とを有する低分子化合物、(A3)垂直配向性基とC=C二重結合を含む重合性基とを有するポリマー、及び、(A4)垂直配向性基を有するポリマーから選ばれる。
本明細書において、垂直配向性基とは、例えば炭素原子数が6〜20程度の炭化水素基を含む基を表し、具体的には下記式[1]で表される基を指す。
Figure 2020181148
式[1]中、Yは単結合又は結合基を表す。上記結合基は、−O−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−NH−CO−O−及び−NH−CO−NH−からなる群から選ばれる基を表す。
式[1]中、Yは単結合、炭素原子数1〜15のアルキレン基または−CH−CH(OH)−CH−を表す。
またYとして、ベンゼン環、シクロヘキサン環または複素環から選ばれる2価の環状基が挙げられ、これら環状基上の任意の水素原子は、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルコキシル基またはフッ素原子で置換されていてもよい。
上記複素環としてはピロール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、ピラゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、プリン環、チアジアゾール環、ピリダジン環、ピラゾリン環、トリアジン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環、シンノリン環、フェナントロリン環、インドール環、キノキサリン環、ベンゾチアゾール環、フェノチアジン環、オキサジアゾール環、アクリジン環等が挙げられ、より好ましいのは、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラゾリン環、カルバゾール環、ピリダジン環、ピラゾリン環、トリアジン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環である。
上記置換基として挙げたアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基が挙げられ、上記アルコキシル基としては、前記アルキル基の具体例として挙げた基に酸素原子−O−が結合した基を挙げることができる。また上記フッ素含有アルキル基、フッ素含有アルコキシル基としては、前記アルキル基及びアルコキシル基のうち任意の水素原子がフッ素原子で置換された基を挙げることができる。
これらベンゼン環、シクロヘキサン環または複素環から選ばれる2価の環状基のなかでは、合成の容易さの点から、ベンゼン環またはシクロへキサン環が好ましい。
上記式[1]中、Yは単結合または炭素原子数1〜15のアルキレン基を表す。
上記式[1]中、Yは単結合を表すか、ベンゼン環、シクロヘキサン環または複素環から選ばれる2価の環状基を表し、これら環状基上の任意の水素原子が、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルコキシル基またはフッ素原子で置換されていてもよい。
上記複素環並びに置換基として挙げたアルキル基等は、前述のYで挙げたものとすることができる。
さらに、Yとして、炭素原子数17〜30であってステロイド骨格を有する有機基から選ばれる2価の有機基であってもよい。その好ましい例は、コレステリル、アンドロステリル、β−コレステリル、エピアンドロステリル、エリゴステリル、エストリル、11α−ヒドロキシメチルステリル、11α−プロゲステリル、ラノステリル、メラトラニル、メチルテストロステリル、ノレチステリル、プレグネノニル、β−シトステリル、スチグマステリル、テストステリル、および酢酸コレステロ−ルエステル等から選ばれる構造から水素原子を2個取り去った構造を有する2価の基である。
これらのなかでも、合成の容易さの点から、Yはベンゼン環、シクロへキサン環または炭素原子数17〜30であってステロイド骨格を有する2価の有機基であることが好ましい。
式[1]中、Yはベンゼン環、シクロヘキサン環または複素環から選ばれる2価の環状基を表し、これらの環状基上の任意の水素原子が、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルコキシル基またはフッ素原子で置換されていてもよい。上記複素環並びに置換基として挙げたアルキル基等は、前述のYで挙げたものとすることができる。
これらのなかでも、Yはベンゼン環またはシクロへキサン環であることが好ましい。
また式[1]中、nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、Y同士は同一の基であっても異なる基であってもよい。なかでも、原料の入手性や合成の容易さの点から、nは0〜3が好ましい。より好ましいのは、0〜2である。
式[1]中、Yは水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシル基または炭素原子数1〜18のフッ素含有アルコキシル基を表す。
なかでも、Yは炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシル基または炭素原子数1〜10のフッ素含有アルコキシル基であることが好ましい。より好ましくは、Yは炭素原子数1〜12のアルキル基または炭素原子数1〜12のアルコキシル基である。特に好ましくは、Yは炭素原子数1〜9のアルキル基または炭素原子数1〜9のアルコキシル基である。
なお、Yがステロイド骨格を有する2価の有機基である場合は、Yは水素原子が好ましい。
上記式[1]中の定義において挙げたアルキレン基、アルキル基、フッ素含有アルキル基、アルコキシル基又はフッ素含有アルコキシ基は、直鎖状、枝分かれ状、又は環状の何れか又はそれらの組み合わせであってもよい。
例えば上記アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、n−ヘプチル基、1−メチル−n−ヘキシル基、2−メチル−n−ヘキシル基、3−メチル−n−ヘキシル基、1,1−ジメチル−n−ペンチル基、1,2−ジメチル−n−ペンチル基、1,3−ジメチル−n−ペンチル基、2,2−ジメチル−n−ペンチル基、2,3−ジメチル−n−ペンチル基、3,3−ジメチル−n−ペンチル基、1−エチル−n−ペンチル基、2−エチル−n−ペンチル基、3−エチル−n−ペンチル基、1−メチル−1−エチル−n−ブチル基、1−メチル−2−エチル−n−ブチル基、1−エチル−2−メチル−n−ブチル基、2−メチル−2−エチル−n−ブチル基、2−エチル−3−メチル−n−ブチル基、n−オクチル基、1−メチル−n−ヘプチル基、2−メチル−n−ヘプチル基、3−メチル−n−ヘプチル基、1,1−ジメチル−n−ヘキシル基、1,2−ジメチル−n−ヘキシル基、1,3−ジメチル−n−ヘキシル基、2,2−ジメチル−n−ヘキシル基、2,3−ジメチル−n−ヘキシル基、3,3−ジメチル−n−ヘキシル基、1−エチル−n−ヘキシル基、2−エチル−n−ヘキシル基、3−エチル−n−ヘキシル基、1−メチル−1−エチル−n−ペンチル基、1−メチル−2−エチル−n−ペンチル基、1−メチル−3−エチル−n−ペンチル基、2−メチル−2−エチル−n−ペンチル基、2−メチル−3−エチル−n−ペンチル基、3−メチル−3−エチル−n−ペンチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基等が挙げられる。
上記アルキレン基としては、前記アルキル基から任意の水素原子を1個除去した二価の基を挙げることができる。
上記アルコキシル基としては、前記アルキル基の具体例として挙げた基に酸素原子−O−が結合した基を挙げることができる。
また上記フッ素含有アルキル基、フッ素含有アルコキシル基としては、前記アルキル基及びアルコキシル基のうち任意の水素原子がフッ素原子で置換された基を挙げることができる。
上記Y及びYとしてのアルキレン基、並びに、環状基上の置換基又はYとしてのアルキル基、フッ素含有アルキル基、アルコキシル基及びフッ素含有アルコキシ基は、直鎖状、枝分かれ状、又は環状の何れか又はそれらの組み合わせであってもよい。
また、Y及びYとしてのアルキレン基、並びに、Yとしてのアルキル基、フッ素含有アルキル基、アルコキシル基及びフッ素含有アルコキシ基は、結合基同士が隣り合わない限り1ないし3の結合基で中断されていてもよい。
さらに、Y、Y又はYが2価の環状基を表すか、Yがステロイド骨格を有する2価の有機基を表すか、Yが−CH−CH(OH)−CH−を表すか、Y又はYがアルキレン基を表すか、或いはYがアルキル基又はフッ素含有アルキル基を表すとき、該2価の環状基、該ステロイド骨格を有する2価の有機基、該−CH−CH(OH)−CH−、該アルキレン基、該アルキル基及び該フッ素含有アルキル基は、それらに隣接する基と結合基を介して結合していてもよい。
また上記結合基は、−O−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−NH−CO−O−及び−NH−CO−NH−からなる群から選ばれる基を表す。
なお、Y乃至Yがそれぞれ表すところの炭素原子数1〜15のアルキレン基、ベンゼン環、シクロヘキサン環、複素環、ステロイド骨格を有する2価の有機基、−CH−CH(OH)−CH−、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシル基及び炭素原子数1〜18のフッ素含有アルコキシル基の炭素原子数の合計は6〜30であり、例えば6〜20である。
これらのうち、垂直配向性と重合性液晶の塗布性を考慮すると、垂直配向性基は、炭素原子数7〜18、特に8〜15のアルキル基を含む基であることが好ましい。
好ましい垂直配向性基としては、例えば炭素原子数6〜20程度の炭化水素基が挙げられる。炭素原子数6〜20の炭化水素基としては、直鎖状、枝分かれ状又は環状の炭素原子数6〜20のアルキル基または芳香族基を含む炭素原子数6〜20の炭化水素基が挙げられる。
垂直配向性基としては、例えば、上記Y乃至、Yが単結合であり、Yが単結合または炭素原子数1〜15のアルキレン基であり、nが0であり、Yが炭素原子数1〜18のアルキル基であり、炭素原子数の合計が6〜20であるアルキル基が好ましい。このようなアルキル基としては、前述のアルキル基のうち、炭素原子数の合計が6〜20であるアルキル基(a−1)が挙げられる。
垂直配向性基としては、上記以外にも、例えば、上記Y乃至Yが単結合であり、nが2乃至3であり、Yがベンゼン環及びシクロヘキサン感から選ばれる基であり、Yが炭素原子数1〜18のアルキル基である垂直配向性基(a−2)が好ましい。このような基(a−2)としては、下記(a−2−1)〜(a−2−7)等が好ましい。
Figure 2020181148
(式中、Yは上記と同で、Yは単結合を表すか、−O−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−NH−、−NHCO−、−NH−CO−O−および−NH−CO−NH−から選ばれる結合基を表す。)
垂直配向性基としては、上記以外にも、例えば、上記Y乃至Yが単結合であり、Yがステロイドであり、nが0であり、Yが水素原子である垂直配向性基(a−3)が好ましい。このような基(a−3)としては、例えば、下記式で表される垂直配向性基(a−3−1)〜(a−3−8)が挙げられる。
Figure 2020181148

(式中、*は結合位置を表す。)
(A)成分のうち、ポリマー(A1)、ポリマー(A3)及びポリマー(A4)を製造するのに用いられる垂直配向性基を有するモノマーとしては、下記PG1乃至PG6からなる群より選ばれる重合性基が、上記式[1]で表される垂直配向性基に結合したモノマーが挙げられる。
Figure 2020181148
熱架橋性基としては、ヒドロキシ基、ポリエチレングリコールエステル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、(ブロック)イソシアネート基及びアルコキシシリル基が挙げられる。低温短時間で熱硬化膜を形成するという点から、好ましい熱架橋性基としてはヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシシリル基である。
(A)成分のうち、ポリマー(A1)を製造するのに用いられるカルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノ−(2−(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、N−(カルボキシフェニル)マレイミド、N−(カルボキシフェニル)メタクリルアミドおよびN−(カルボキシフェニル)アクリルアミドなどが挙げられる。
(A)成分のうち、ポリマー(A1)を製造するのに用いられるエポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−エポキシブチル、メタクリル酸3,4−エポキシブチル、アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アリルグリシジルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−エテニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2−エポキシ−5−ヘキセンおよび1,7−オクタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
(A)成分のうち、ポリマー(A1)を製造するのに用いられるヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、カプロラクトン2−(アクリロイルオキシ)エチルエステル、カプロラクトン2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、5−アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトンおよび5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトンなどが挙げられる。
(A)成分のうち、ポリマー(A1)を製造するのに用いられるポリエチレングリコールエステル基を有するモノマーとしては、H−(OCHCH)n−OHのモノアクリレートまたはモノメタクリレートが挙げられる。そのnの値は2〜50であり、好ましくは2〜10である。
(A)成分のうち、ポリマー(A1)を製造するのに用いられるアミノ基を有するモノマーとしては、例えば、2−アミノエチルアクリレートおよび2−アミノメチルメタクリレートなどが挙げられる。
(A)成分のうち、ポリマー(A1)を製造するのに用いられるフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシスチレン、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドおよびN−(ヒドロキシフェニル)マレイミドなどが挙げられる。
(A)成分のうち、ポリマー(A1)を製造するのに用いられるイソシアネート基を有するモノマーとしては、例えば、アクリロイルエチルイソシアネート、メタクリロイルエチルイソシアネートおよびm−テトラメチルキシレンイソシアネートなどが挙げられる。
(A)成分のうち、ポリマー(A1)を製造するのに用いられるアルコキシシリル基を有するモノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン及びアリルトリエトキシシラン等が挙げられる。
C=C二重結合を含む重合性基としては、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基及びマレイミド基等が挙げられる。
(A)成分のうち、ポリマー(A3)におけるC=C二重結合を含む重合性基は、炭素原子数が3〜16であって、末端に不飽和結合を有するものであることが好ましく、式(b2)のように表される特定側鎖が特に好ましい。
Figure 2020181148

式(b2)中、R51は、炭素原子数が1〜14であり、脂肪族基、環式構造を含む脂肪族基および芳香族基よりなる群から選ばれる有機基、または、この群から選ばれる複数の有機基の組み合わせからなる有機基である。R51は、エステル結合、エーテル結合、アミド結合またはウレタン結合などを含んでいてもよい。
式(b2)において、R52は水素原子またはメチル基であり、R52が水素原子である特定側鎖が好ましく、より好ましくは、末端がアクリロイル基、メタクリロイル基またはスチリル基である特定側鎖である。
(A)成分として、垂直配向性基と熱架橋性基とを有するポリマー(A2)を用いたい場合、そのようなポリマーを得るための方法としては、ラジカル重合などの重合方法によって、垂直配向性基を有するモノマーと、熱架橋性基を有するモノマーとを共重合すればよい。
(A)成分として、垂直配向性基とC=C二重結合を含む重合性基とを有するポリマー(A3)を用いたい場合、ポリマーにC=C二重結合を含む重合性基を導入する方法としては、例えば、予めラジカル重合などの重合方法によって、垂直配向性基と特定官能基を有する重合体を生成する。次いで、この特定官能基と反応する基およびC=C二重結合を含む重合性基を有する化合物(以下、特定化合物と称す。)を反応させることにより、(A)成分のポリマーにC=C二重結合を含む重合性基導入することができる。
その他の方法としては、特定官能基を有する重合体に対して、特定官能基と反応する基および垂直配向性基を有する化合物と、特定官能基と反応する基およびC=C二重結合を含む重合性基を有する化合物との両方を反応させることにより、(A)成分のポリマー(A3)を得ることができる。
ここで、特定官能基とは、カルボキシル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、活性水素を有するアミノ基、フェノール性ヒドロキシ基若しくはイソシアネート基などの官能基、または、これらから選ばれる複数種の官能基を言う。
上述した特定官能基との反応において、特定官能基と、特定化合物が有する官能基であって反応に関与する基との好ましい組み合わせは、カルボキシル基とエポキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基、フェノール性ヒドロキシ基とエポキシ基、カルボキシル基とイソシアネート基、アミノ基とイソシアネート基、または、ヒドロキシ基と酸クロリドなどである。
また、特定官能基を有する重合体を得る方法は、特に限定されない。一例としては、特定化合物と反応するための官能基(特定官能基)を有するモノマー、すなわち、カルボキシル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、活性水素を有するアミノ基、フェノール性ヒドロキシ基またはイソシアネート基などを有するモノマー(特定モノマーともいう)を重合して得ることができる。ここで、重合に用いる特定官能基を有するモノマーは、単独でもよいし、重合中に反応しない組み合わせであれば複数種を併用してもよい。
また、本発明においては、(A)成分である重合体を得る際に、上記垂直配向性基を有するモノマー、熱架橋性基を有するモノマー及び特定官能基を有するモノマーの他に、該モノマーと共重合可能な、その他モノマーを併用することができる。
そのようなその他モノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
その他モノマーであるアクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、グリシジルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルアクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルアクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルアクリレート等が挙げられる。
その他モノマーであるメタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトンメタクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルメタクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルメタクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルメタクリレート等が挙げられる。
その他モノマーであるビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アリルグリシジルエーテル、3−エテニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、及び、1,7−オクタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
その他モノマーであるスチレン化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
その他モノマーであるマレイミド化合物としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、及びN−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
(A)成分の例である重合体を得る方法は特に限定されないが、例えば、上記のモノマーと重合開始剤等とを共存させた溶剤中において、50℃〜110℃の温度下で重合反応する。その際、用いられる溶剤は、用いられる特定官能基を有さないモノマーおよび重合開始剤等を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する<溶剤>の項に記載する。
以上の方法により得られる(A)成分の例であるアクリル重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。
また、上記方法で得られた(A)成分の例であるアクリル重合体の溶液を、攪拌下のジエチルエーテルや水等に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後に、常圧または減圧下で、常温乾燥または加熱乾燥し、(A)成分の例であるアクリル重合体の粉体とすることができる。上述の操作により、(A)成分の例であるアクリル重合体と共存する重合開始剤および未反応のモノマーを除去することができ、その結果、精製した(A)成分の例であるアクリル重合体の粉体が得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解させ、上述の操作を繰り返し行えば良い。
(A)成分のポリマーは、重量平均分子量が1,000乃至200,000であることが好ましく、2,000乃至150,000であることがより好ましく、3,000乃至100,000であることがさらになお好ましい。重量平均分子量が200,000を超えて過大なものであると、溶剤に対する溶解性が低下しハンドリング性が低下する場合があり、重量平均分子量が1,000未満で過小なものであると、光硬化時に硬化不足になり溶剤耐性及び耐熱性が低下する場合がある。
(A)成分のポリマー中、垂直配向性基の存在割合が、該ポリマーの全繰り返し単位100モルあたり、3モル%〜50モル%であることが好ましく、5モル%〜45モル%がさらに好ましい。
(A)成分のポリマー(A1)中、熱架橋性基の存在割合が、該ポリマーの全繰り返し単位100モルあたり、20モル%〜97モル%であることが好ましく、25モル%〜95モル%であることがさらに好ましい。
(A)成分のポリマー(A3)中、C=C二重結合を含む重合性基の存在割合が、該ポリマーの全繰り返し単位100モルあたり、20モル%〜97モル%であることが好ましく、25モル%〜95モル%であることがさらに好ましい。
(A)成分として用いることができる、垂直配向性基と熱架橋性基とを有する低分子化合物(A2)としては、上記式(1)で表される垂直配向性基にヒドロキシ基が結合したアルコール化合物A2−1、フェノール化合物A2−2、カルボキシル基が結合したカルボン酸化合物A2−3、アミノ基が結合したアミン化合物A2−4およびアルコキシシリル基が結合したアルコキシシラン化合物A2−5から選ばれる熱架橋性基が結合した化合物が挙げられる。
このような低分子化合物として好ましい化合物は下記の通りである。
アルコール化合物A2−1としては、上記アルキル基(a−1)にヒドロキシ基が結合した化合物が挙げられ、具体的には、カプリルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール等が挙げられる。
アルコール化合物A2−1としては、上記(a−3−1)〜(a−3−8)にヒドロキシ基が結合したアルコールが挙げられる。具体的には、例えばコレステロール、ラノステロール、エルゴステロール等が挙げられる。
また、アルコール化合物A2−1としては、上記(a−2−3)、(a−2−4)または(a−2−7)にヒドロキシ基が結合した化合物が挙げられる。
フェノール化合物A2−2としては、上記(a−2−1)、(a−2−2)、(a−2−5)または(a−2−6)にヒドロキシ基が結合した化合物が挙げられる。
カルボン酸化合物A2−3としては、上記アルキル基(a−1)にカルボキシル基が結合した化合物が挙げられる。このような化合物としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸等の長鎖カルボン酸が挙げられる。
また、カルボン酸化合物A2−3としては、上記(a−2−1)〜(a−2−7)にカルボキシル基が結合した化合物が挙げられる。
アミン化合物A2−4としては、上記アルキル基(a−1)にアミノ基が結合した化合物が挙げられる。このような化合物としては、CH(CHNH、CH(CHNH、CH(CHNH、CH(CHNH、CH(CHNH、CH(CH10NH、CH(CH11NH、CH(CH12NH、CH(CH13NH、CH(CH14NH、CH(CH15NH、CH(CH16NH、CH(CH17NH、CH(CH18NH、CH(CH19NH等の長鎖アミンが挙げられる。
また、アミン化合物A2−4としては、上記(a−2−1)〜(a−2−6)にアミノ基が結合した化合物が挙げられる。
アルコキシシラン化合物A2−5としては、上記アルキル基(a−1)にアルコキシシリル基が結合した化合物が挙げられる。このような化合物としては、CH(CHNHSi(OCH、CH(CHSi(OCH、CH(CHSi(OCH、CH(CHSi(OCH、CH(CHSi(OCH、CH(CH10Si(OCH、CH(CH11Si(OCH、CH(CH12Si(OCH、CH(CH13Si(OCH、CH(CH14Si(OCH、CH(CH15Si(OCH、CH(CH16Si(OCH、CH(CH17Si(OCH、CH(CH18Si(OCH、CH(CH19Si(OCH、CH(CHSi(OCHCH、CH(CHSi(OCHCH、CH(CHSi(OCHCH、CH(CHSi(OCHCH、CH(CHSi(OCHCH、CH(CH10Si(OCHCH、CH(CH11Si(OCHCH、CH(CH12Si(OCHCH、CH(CH13Si(OCHCH、CH(CH14Si(OCHCH、CH(CH15Si(OCHCH、CH(CH16Si(OCHCH、CH(CH17Si(OCHCH、CH(CH18Si(OCHCH、CH(CH19Si(OCHCHなどが挙げられる。
また、(A)成分である低分子化合物としては、上記フェノール化合物A2−2またはカルボン酸化合物A2−3と、エポキシ基及びエピスルフィド基から選ばれる基を有する化合物とを反応させて得られる化合物A2−6が挙げられる。
分子内に1個のエポキシ基を有する化合物としては、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルや、ラウリルアルコールのグリシジルエーテル、脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド変性グリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−(t−ブチル)フェニルグリシジルエーテル、フェノールのアルキレンオキサイド変性グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリルアルコールのアルキレンオキサイド変性グリシジルエーテル等が挙げられる。
分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
上記エポキシ化合物のうち、市販されているものとしては、例えば、エピコート828EL、エピコート1004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピコート806、エピコート4004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、R−710等のビスフェノールE型エポキシ樹脂(三井石油化学工業(株)社製)、エピクロンEXA1514(大日本インキ社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、RE−810NM(日本化薬社製)等の2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロンEXA7015(大日本インキ社製)等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、EP−4000S(旭電化社製)等のプロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、EX−201(ナガセケムテックス社製)等のレゾルシノール型エポキシ樹脂、エピコートYX−4000H(ジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂、YSLV−50TE(東都化成社製)等のスルフィド型エポキシ樹脂、YSLV−80DE(東都化成社製)等のビフェニルエーテル型エポキシ樹脂、EP−4088S(旭電化社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれも大日本インキ社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂、エピコート630(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン430(大日本インキ社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ZX−1542(東都化成社製)、エピクロン726(大日本インキ社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611、(ナガセケムテックス社製)等のアルキルポリオール型エポキシ樹脂、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等のグリシジルエステル化合物、その他YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも東都化成社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EXA−7120(大日本インキ社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
また、これらエポキシ化合物の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィドも用いることができる。
上記カルボン酸化合物A2−2またはフェノール化合物A2−3と上記エポキシ化合物を反応させて上記化合物A2−6を得る際には、エポキシ化合物のエポキシ基に対して1乃至1.2等量のカルボン酸化合物A2−2またはフェノール化合物A2−3を、有機溶媒中、室温で反応させればよい。その際の有機溶媒としては、後述する<溶剤>に記載した溶剤が挙げられる。
また、本発明においては、(A)成分である垂直配向成分は、複数種の垂直配向成分の混合物であってもよい。
<(B)成分>
本発明の硬化膜形成組成物における(B)成分は、架橋剤である。
(B)成分である架橋剤は、前記(A)成分の熱架橋可能な官能基と架橋を形成する基、例えばメチロール基またはアルコキシメチル基を有する架橋剤であることが好ましい。
これらの基を有する化合物としては、例えば、アルコキシメチル化グリコールウリル、アルコキシメチル化ベンゾグアナミンおよびアルコキシメチル化メラミン等のメチロール化合物が挙げられる。
アルコキシメチル化グリコールウリルの具体例としては、例えば、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリノン、および1,3−ビス(メトキシメチル)−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリノン等が挙げられる。市販品として、日本サイテック・インダストリーズ(株)(旧 三井サイテック(株))製グリコールウリル化合物(商品名:サイメル(登録商標)1170、パウダーリンク(登録商標)1174)等の化合物、メチル化尿素樹脂(商品名:UFR(登録商標)65)、ブチル化尿素樹脂(商品名:UFR(登録商標)300、U−VAN10S60、U−VAN10R、U−VAN11HV)、DIC(株)(旧 大日本インキ化学工業(株))製尿素/ホルムアルデヒド系樹脂(高縮合型、商品名:ベッカミン(登録商標)J−300S、同P−955、同N)等が挙げられる。
アルコキシメチル化ベンゾグアナミンの具体例としてはテトラメトキシメチルベンゾグアナミン等が挙げられる。市販品として、日本サイテック・インダストリーズ(株)(旧 三井サイテック(株))製(商品名:サイメル(登録商標)1123)、(株)三和ケミカル製(商品名:ニカラック(登録商標)BX−4000、同BX−37、同BL−60、同BX−55H)等が挙げられる。
アルコキシメチル化メラミンの具体例としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。市販品として、日本サイテック・インダストリーズ(株)(旧 三井サイテック(株))製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:サイメル(登録商標)300、同301、同303、同350)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:マイコート(登録商標)506、同508)、(株)三和ケミカル製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:ニカラック(登録商標)MW−30、同MW−22、同MW−11、同MS−001、同MX−002、同MX−730、同MX−750、同MX−035)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:ニカラック(登録商標)MX−45、同MX−410、同MX−302)等が挙げられる。
また、このようなアミノ基の水素原子がメチロール基またはアルコキシメチル基で置換されたメラミン化合物、尿素化合物、グリコールウリル化合物及びベンゾグアナミン化合物を縮合させて得られる化合物であってもよい。例えば、米国特許第6323310号に記載されているメラミン化合物およびベンゾグアナミン化合物から製造される高分子量の化合物が挙げられる。前記メラミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)303等が挙げられ、前記ベンゾグアナミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)1123(以上、日本サイテック・インダストリーズ(株)(旧 三井サイテック(株))製)等が挙げられる。
さらに、(B)成分の架橋剤として、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のヒドロキシメチル基(すなわちメチロール基)またはアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物またはメタクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマーも用いることができる。
そのようなポリマーとしては、例えば、ポリ(N−ブトキシメチルアクリルアミド)、N−ブトキシメチルアクリルアミドとスチレンとの共重合体、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミドとメチルメタクリレートとの共重合体、N−エトキシメチルメタクリルアミドとベンジルメタクリレートとの共重合体、及びN−ブトキシメチルアクリルアミドとベンジルメタクリレートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。このようなポリマーの重量平均分子量(ポリスチレン換算値)は、1,000〜500,000であり、好ましくは、2,000〜200,000であり、より好ましくは3,000〜150,000であり、更に好ましくは3,000〜50,000である。
これらの架橋剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、(B)成分の架橋剤を兼ねて、後述する(C)成分で例示した単位構造としてN−アルコキシメチル基とC=C二重結合とを含む重合性基とを有するポリマー(特定共重合体2)を用いることも出来る。
本発明の硬化膜形成組成物における(B)成分の架橋剤の含有量は、(A)成分の100質量部に基づいて1質量部〜300質量部であることが好ましく、より好ましくは5質量部〜200質量部である。架橋剤の含有量が過小である場合には、硬化膜形成組成物から得られる硬化膜の溶剤耐性が低下し、垂直配向性が低下する。他方、含有量が過大である場合には垂直配向性および保存安定性が低下することがある。
<(C)成分>
本発明の硬化膜形成組成物は、(C)成分として、熱架橋性基を有するポリマーを含有していても良い。(C)成分であるポリマーとしては、例えば、アクリル重合体、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルポリカルボン酸、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、セルロース類(セルロースまたはその誘導体)、フェノールノボラック樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等の直鎖構造または分岐構造を有するポリマー、シクロデキストリン類等の環状ポリマー等が挙げられる。
(C)成分である特定重合体としては、好ましくは、アクリル重合体、ヒドロキシアルキルシクロデキストリン類、セルロース類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール並びにポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。
(C)成分の特定重合体の好ましい一例であるアクリル重合体としては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、ビニル化合物等の不飽和二重結合を有するモノマーを重合して得られる重合体であって、熱架橋性基を有するモノマーを含むモノマーまたはその混合物を重合させることにより得られる重合体であればよく、アクリル重合体を構成する高分子の主鎖の骨格および側鎖の種類などについて特に限定されない。
熱架橋性基を有するモノマーとしては、上記(A)成分の項で挙げたカルボキシル基を有するモノマー、エポキシ基を有するモノマー、ヒドロキシ基を有するモノマー、ポリエチレングリコールエステル基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー、イソシアネート基を有するモノマー、及びアルコキシシリル基を有するモノマーが挙げられる。
また、(C)成分である重合体を得る際に、熱架橋性基を有するモノマーの他に、該モノマーと共重合可能な、その他モノマーを併用することができる。その他モノマーとしては、(A)成分の項で挙げたその他モノマーが挙げられる。
(C)成分の例であるアクリル重合体を得るために用いる特定官能基を有するモノマーの使用量は、(C)成分であるアクリル重合体を得るために用いる全モノマーの合計量に基づいて、2モル%〜98モル%であることが好ましい。
(C)成分の例であるアクリル重合体を得る方法は特に限定されないが、例えば、熱架橋性基を有するモノマーを含むモノマーと、所望によりその他モノマーと、重合開始剤等とを共存させた溶剤中において、上記(A)成分である重合体の項に記載したラジカル重合反応を行えばよい。
(C)成分の好ましい例であるアクリル重合体は、重量平均分子量が3000〜200000であることが好ましく、4000〜150000であることがより好ましく、5000〜100000であることがさらに好ましい。尚、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準資料としてポリスチレンを用いて得られる値である。以下、本明細書においても同様とする。
次に、(C)成分の特定重合体の好ましい一例であるポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコールやビスフェノールA、トリエチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコールにプロピレンオキサイドやポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を付加したものが挙げられる。ポリエーテルポリオールの具体例としてはADEKA製アデカポリエーテルPシリーズ、Gシリーズ、EDPシリーズ、BPXシリーズ、FCシリーズ、CMシリーズ、日油製ユニオックス(登録商標)HC−40、HC−60、ST−30E、ST−40E、G−450、G−750、ユニオール(登録商標)TG−330、TG−1000、TG−3000、TG−4000、HS−1600D、DA−400、DA−700、DB−400、ノニオン(登録商標)LT−221、ST−221、OT−221等が挙げられる。
(C)成分の特定重合体の好ましい一例であるポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸等の多価カルボン酸にエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジオールを反応させたものが挙げられる。ポリエステルポリオールの具体例としてはDIC製ポリライト(登録商標)OD−X−286、OD−X−102、OD−X−355、OD−X−2330、OD−X−240、OD−X−668、OD−X−2108、OD−X−2376、OD−X−2044、OD−X−688、OD−X−2068、OD−X−2547、OD−X−2420、OD−X−2523、OD−X−2555、OD−X−2560、クラレ製ポリオールP−510、P−1010、P−2010、P−3010、P−4010、P−5010、P−6010、F−510、F−1010、F−2010、F−3010、P−1011、P−2011、P−2013、P−2030、N−2010、PNNA−2016等が挙げられる。
(C)成分の特定重合体の好ましい一例であるポリカプロラクトンポリオールとしては、トリメチロールプロパンやエチレングリコール等の多価アルコールを開始剤としてε−カプロラクトンを開環重合させたものが挙げられる。ポリカプロラクトンポリオールの具体例としてはDIC製ポリライト(登録商標)OD−X−2155、OD−X−640、OD−X−2568、ダイセル化学製プラクセル(登録商標)205、L205AL、205U、208、210、212、L212AL、220、230、240、303、305、308、312、320等が挙げられる。
(C)成分の特定重合体の好ましい一例であるポリカーボネートポリオールとしては、トリメチロールプロパンやエチレングリコール等の多価アルコールと炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、エチレンカーボネート等を反応させたものが挙げられる。ポリカーボネートポリオールの具体例としてはダイセル化学製プラクセル(登録商標)CD205、CD205PL、CD210、CD220、クラレ製のC−590、C−1050、C−2050、C−2090、C−3090等が挙げられる。
(C)成分の特定重合体の好ましい一例であるセルロースとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース類およびセルロース等が挙げられ、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類が好ましい。
(C)成分の特定重合体の好ましい一例であるシクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγシクロデキストリン等のシクロデキストリン、メチル−α−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリンならびにメチル−γ−シクロデキストリン等のメチル化シクロデキストリン、ヒドロキシメチル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシメチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシメチル−γ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシエチル−α−シクロデキストリン、2−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、3−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、3−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、3−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、2,3−ジヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、2,3−ジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2,3−ジヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン等のヒドロキシアルキルシクロデキストリン等が挙げられる。
(C)成分の特定重合体の好ましい一例であるフェノールノボラック樹脂としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物などが挙げられる。
本実施形態の硬化膜形成組成物において、(C)成分のポリマーは、粉体形態で、または精製した粉末を後述する溶剤に再溶解した溶液形態で用いてもよい。
本発明の硬化膜形成組成物における(C)成分の含有量は、(A)成分の100質量部に対して、好ましくは400質量部以下、より好ましくは10質量部〜380質量部、更に好ましくは40質量部〜360質量部である。
また、本実施の形態の硬化膜形成組成物において、(C)成分は、(C)成分として例示されたポリマーの複数種の混合物であってもよい。
<(D)成分>
本発明の硬化膜形成組成物における(D)成分は、ラジカル重合開始剤である。
ラジカル重合開始剤としては、公知のものが使用することが可能であり、例えば、アルキルフェノン類、ベンゾフェノン類、アシルホスフィンオキシド類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート類、オキシムエステル類、テトラメチルチウラムモノスルフィド類、チオキサントン類等が挙げられる。
本発明で用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、ジアセチルなどのα−ジケトン類;ベンゾインなどのアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのアシロインエーテル類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;アセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−アセトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、1−[2−メチル−4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、α,α−ジメトキシ−α−モルフォリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン類;アントラキノン、1,4−ナフトキノンなどのキノン類;フェナシルクロライド、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのハロゲン化合物;[1,2'−ビスイミダゾール]−3,3',4,4'−テトラフェニル、[1,2'−ビスイミダゾール]−1,2'−ジクロロフェニル−3,3',4,4'−テトラフェニルなどのビスイミダゾール類、ジ−tert−ブチルパ−オキサイドなどの過酸化物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド類などが挙げられる。
市販品としては、イルガキュア184、369、379EG、651、500、907、CGI369、CG24−61(以上、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、ルシリンLR8728、ルシリンTPO(以上、BASF(株)製)、ダロキュア1116、1173(以上、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、ユベクリルP36(UCB(株)製)などの商品名で市販されているものを挙げることができる。
上記の中では、1−[2−メチル−4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン類、フェナシルクロライド、トリブロモメチルフェニルスルホン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、1,2'−ビスイミダゾール類と4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノンとメルカプトベンゾチアゾールとの併用、ルシリンTPO(商品名)、イルガキュア651(商品名)、イルガキュア369(商品名)が好ましい。
上記ラジカル重合開始剤は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記ラジカル重合開始剤は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは1〜30質量部、特に好ましくは2〜30質量部の量で用いることができる。ラジカル重合開始剤の使用量が前記範囲より少ないと、酸素によるラジカルの失活の影響(感度の低下)を受けやすく、前記範囲よりも多いと、相溶性が悪くなったり、保存安定性が低下したりする傾向がある。
<(E)成分>
本発明の組成物は、さらに、(E)成分として架橋触媒を含有することができる。
(E)成分である架橋触媒としては、例えば、酸または熱酸発生剤とすることができる。この(E)成分は、本発明の組成物を用いた硬化膜の形成において、熱硬化反応の促進に有効となる。
(E)成分として酸または熱酸発生剤を用いる場合、(E)成分は、スルホン酸基含有化合物、塩酸またはその塩、プリベークまたはポストベーク時に熱分解して酸を発生する化合物、すなわち温度80℃乃至250℃で熱分解して酸を発生する化合物であれば特に限定されるものではない。
そのような化合物としては、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、p−キシレン−2−スルホン酸、m−キシレン−2−スルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロ(2−エトキシエタン)スルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸またはその水和物や塩等が挙げられる。
また、熱により酸を発生する化合物としては、例えば、ビス(トシルオキシ)エタン、ビス(トシルオキシ)プロパン、ビス(トシルオキシ)ブタン、p−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、o−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、1,2,3−フェニレントリス(メチルスルホネート)、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩、p−トルエンスルホン酸モルフォニウム塩、p−トルエンスルホン酸エチルエステル、p−トルエンスルホン酸プロピルエステル、p−トルエンスルホン酸ブチルエステル、p−トルエンスルホン酸イソブチルエステル、p−トルエンスルホン酸メチルエステル、p−トルエンスルホン酸フェネチルエステル、シアノメチルp−トルエンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエチル p−トルエンスルホネート、2−ヒドロキシブチル p−トルエンスルホネート、N−エチル−4−トルエンスルホンアミド、および下記式[TAG−1]乃至式[TAG−41]で表される化合物等を挙げることができる。
Figure 2020181148
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Figure 2020181148
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Figure 2020181148
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本発明の組成物における(E)成分の含有量は、(A)成分の100質量部に対して、好ましくは0.01質量部乃至10質量部、より好ましくは0.05質量部乃至8質量部、さらに好ましくは0.1質量部乃至6質量部である。(E)成分の含有量を0.01質量部以上とすることで、充分な熱硬化性と溶剤耐性を付与することができ、露光に対する高い感度をも付与することができる。また、10質量部以下とすることで、硬化膜形成組成物の保存安定性を良好にすることができる。
<(F)成分>
本発明の硬化膜形成組成物は、(F)成分として、C=C二重結合を含む重合性基を有するモノマーおよびポリマーから選ばれる少なくとも一種を含有していても良い。
なお、本明細書では(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方をいう。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸をいう。また、(メタ)アクリロイル基は、CH2=CHCO-と、CH2=C(CH3)CO-を表す。
以下、本発明の(F)成分C=C二重結合を含む重合性基を有するモノマーおよびポリマーとしては、膜強度を高める観点から、C=C二重結合を含む重合性基を1分子中に2個以上有するモノマーおよびポリマーが好ましい。以下、好適な化合物の一例を挙げるが、(F)成分はこれらの例示に限定されるものではない。
(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ウンデシレノキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物は、市販品を好適に使用でき、例えば、ライトアクリレート3EG−A、ライトアクリレート4EG−A、ライトアクリレート9EG−A、ライトアクリレート14EG−A、ライトアクリレートPTMGA−250、ライトアクリレートNP−A、ライトアクリレートMPD−A、ライトアクリレート1.6HX−A、ライトアクリレート1.9ND−A、ライトアクリレートMOD−A、ライトアクリレートDCP−A、ライトアクリレートBP−4EAL、ライトアクリレートBP−4PA、ライトアクリレートHPP−A、ライトエステルG−201P、ライトエステルP−2M、ライトエステルEG、ライトエステル2EG、ライトエステル3EG、ライトエステル4EG、ライトエステル9EG、ライトエステル14EG、ライトエステル1.4BG、ライトエステルNP、ライトエステル1.6HX、ライトエステル1.9ND、ライトエステルG−101P、ライトエステルG−201P、ライトエステルBP−2EMK[以上、何れも共栄社化学(株)製];NKエステル701A、同A−200、同A−400、同A−600、同A−1000、同A−B1206PE、同ABE−300、同A−BPE−10、同A−BPE−20、同A−BPE−30、同A−BPE−4、同A−BPEF、同A−BPP−3、同A−DCP、同A−DOD−N、同A−HD−N、同A−NOD−N、同APG−100、同APG−200、同APG−400、同APG−700、同A−PTMG−65、同1G、同2G、同3G、同4G、同9G、同14G、同23G、同BPE−80N、同BPE−100、同BPE−200、同BPE−500、同BPE−900、同BPE−1300N、同DCP、同DCP−N、同HD−N、同NOD−N、同NPG、同1206PE、同701、同9PG[以上、何れも新中村化学工業(株)製];FANCRYL FA−124AS、同FA−129AS、同FA−222A、同FA−240A、同FA−P240A、同FA−P270A、同FA−321A、同FA−324A、同FA−PTG9A、同FA−121M、同FA−124M、同FA−125M、同FA−220M、同FA−240M、同FA−320M、同FA−321M、同FA−3218M、同FA−PTG9M[以上、何れも日立化成(株)製];DPGDA、HODA、TPGDA、EBECRYL(登録商標)145、同150、IRR214−K、PEG400DA−D、EBECRYL(登録商標)11、HPDNA[ダイセル・オルネクス(株)製];ビスコート#195、同#230、同#260、同#310HP、同#335HP、同#700HV、同#540、同#802、同#295[以上、何れも日本合成化学工業(株)製]等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を3個有する化合物(3官能化合物)としては、例えば、エチレンオキシド変性1,1,1−トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート[エチレンオキシド付加モル数3〜30]、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート[エチレンオキシド付加モル数3〜30]、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート[プロピレンオキシド付加モル数3〜30]、エチレンオキシド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート[エチレンオキシド付加モル数3〜30]、プロピレンオキシド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート[プロピレンオキシド付加モル数3〜30]、トリス(2−(アクリロイルオキシ)エチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス(2−(アクリロイルオキシ)エチル)イソシアヌレート[ε−カプロラクトン付加モル数1〜30]、1,1,1−トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記3官能化合物は、市販品を好適に使用でき、例えばビスコート#360[大阪有機化学工業(株)製];NKエステルA−GLY−9E、同A−GLY−20E、同AT−20E[以上、何れも新中村化学工業(株)製];TMPEOTA、OTA480、EBECRYL(登録商標)135[以上、何れもダイセル・オルネクス(株)製]、ビスコート#295、同#300[以上、何れも大阪有機化学工業(株)製];ライトアクリレートTMP−A、同PE−3A、ライトエステルTMP[以上、何れも共栄社化学(株)製];NKエステルA−9300、同A−9300−1CL、同A−TMM−3、同A−TMM−3L、同A−TMM−3LM−N、同A−TMPT、同TMPT[以上、何れも新中村化学工業(株)製];PETIA、PETRA、TMPTA、EBECRYL(登録商標)180[以上、何れもダイセル・オルネクス(株)製]等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を4個有する化合物(4官能化合物)としては、例えば、エチレンオキシド変性ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート[エチレンオキシド付加モル数4〜40]、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート[エチレンオキシド付加モル数4〜40]、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記4官能化合物は、市販品を好適に使用でき、例えばNKエステルATM−4E、同ATM−35E[以上、何れも新中村化学工業(株)製];EBECRYL(登録商標)40[ダイセル・オルネクス(株)製]等、ビスコート#300[大阪有機化学工業(株)製];ライトアクリレートPE−4A[共栄社化学(株)製];NKエステルAD−TMP、同A−TMMT[以上、何れも新中村化学工業(株)製];EBECRYL(登録商標)140、同1142、同180[以上、何れもダイセル・オルネクス(株)製]等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を5個以上有する化合物(5官能以上の化合物)としては、例えば、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート[エチレンオキシド付加モル数6〜60]、エチレンオキシド変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート[エチレンオキシド付加モル数6〜60]、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記5官能以上の化合物は、市販品を好適に使用でき、例えばNKエステルA−DPH−12E[新中村化学工業(株)製]、ビスコート#802[大阪有機化学工業(株)製];ライトアクリレートDPE−6A[共栄社化学(株)製];NKエステルA−9550、同A−DPH[以上、何れも新中村化学工業(株)製];DPHA[ダイセル・オルネクス(株)製]等が挙げられる。
2官能ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物とヘキサメチレンジイソシアネートとのウレタン化物、フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物とトルエンジイソシアネートとのウレタン化物等が挙げられる。
上記2官能ウレタン(メタ)アクリレートは、市販品を好適に使用でき、例えばAH−600、AT−600[以上、何れも共栄社化学(株)製];NKオリゴU−2PPA、同U−200PA、同UA−160TM、同UA−290TM、同UA−4200、同UA−4400、同UA−122P、同UA−W2A[以上、何れも新中村化学工業(株)製];EBECRYL(登録商標)210、同215、同230、同244、同245、同270、同280/15IB、同284、同285、同4858、同8307、同8402、同8411、同8804、同8807、同9227EA、同9270、KRM(登録商標)7735[以上、何れもダイセル・オルネクス(株)製];紫光(登録商標)UV−6630B、同7000B、同7461TE、同2000B、同2750B、同3000、同3200B、同3210EA、同3300B、同3310B、同3500BA、同3520TL、同3700B、同6640B[以上、何れも日本合成化学工業(株)製]等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を3個有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物の市販品の具体例としては、NKオリゴUA−7100[新中村化学工業(株)製];EBECRYL(登録商標)204、同205、同264、同265、同294/25HD、同1259、同4820、同8311、同8465、同8701、同9260、KRM(登録商標)8296、同8667[以上、何れもダイセル・オルネクス(株)製];紫光(登録商標)UV−7550B、同7000B、同7510B、同7461TE、同2750B[以上、何れも日本合成化学工業(株)製]等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を4個有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物の市販品の具体例としては、EBECRYL(登録商標)8210、同8405、KRM(登録商標)8528[以上、何れもダイセル・オルネクス(株)製];紫光(登録商標)UV−7650B[日本合成化学工業(株)製]等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を5個以上有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物(5官能以上のウレタン(メタ)アクリレート)としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとのウレタン化物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとトルエンジイソシアネートとのウレタン化物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートとのウレタン化物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとのウレタン化物等が挙げられる。
上記5官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、市販品を好適に使用でき、例えば
UA−306H、UA−306T、UA−306I、UA−510H[以上、何れも共栄社化学(株)製];NKオリゴU−6LPA、同U−10HA、同U−10PA、同U−1100H、同U−15HA、同UA−53H、同UA−33H[以上、何れも新中村化学工業(株)製];EBECRYL(登録商標)220、同1290、同5129、同8254、同8301R、KRM(登録商標)8200、同8200AE、同8904、同8452[以上、何れもダイセル・オルネクス(株)製];紫光(登録商標)UV−1700B、同6300B、同7600B、同7605B、同7610B、同7620EA、同7630B、同7640B、同7650B[以上、何れも日本合成化学工業(株)製]等が挙げられる。
本発明の(F)成分は、分子内に1個以上の末端が重合性不飽和結合である側鎖を有する高分子化合物であってもよい。このような末端が重合性不飽和結合である側鎖を有する高分子化合物としては、好ましくは分子内の2個以上の側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子化合物が挙げられる。
上記高分子化合物としては、ウレタンアクリル系、エポキシアクリル系、各種(メタ)アクリレート系等の(メタ)アクリロイル基を1個以上含有する高分子化合物が挙げられる。
(F)成分の高分子化合物の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは5,000〜50,000である。
そのような(F)成分である高分子化合物としては、例えば、アクリット8BR−930M、同8UH−1006、同8KQ−2001、同8KX−078、同1SX−1055[以上、大成ファインケミカル株式会社製]、SMP−250A、SMP−360A、SMP−550A[以上、共栄社化学株式会社製]等のポリマーが挙げられる。
(F)成分を含有させる場合の含有量は、(A)成分の100質量部あたり、10質量部乃至1000質量部であり、好ましくは、15質量部乃至500質量部である。
<(G)成分>
本発明の液晶配向剤は(G)成分として、形成される硬化膜の接着性を向上させる成分(以下、密着向上成分とも言う。)を含有することもできる。
(G)成分である密着向上成分は、配向材と重合性液晶の層との密着性が向上するよう、重合性液晶の重合性官能基と配向材の架橋反応部位を共有結合によりリンクさせることができる。その結果、本実施形態の配向材上に硬化した重合性液晶を積層してなる本実施形態の位相差材は、高温高質の条件下でも、強い密着性を維持することができ、剥離等に対する高い耐久性を示すことができる。
(G)成分としては、ヒドロキシ基及びN−アルコキシメチル基から選ばれる基と、重合性基とを有するモノマー及びポリマーが好ましい。
このような(G)成分としては、ヒドロキシ基と(メタ)アクリル基とを有する化合物、N−アルコキシメチル基と(メタ)アクリル基とを有する化合物、N−アルコキシメチル基と(メタ)アクリル基を有するポリマー等が挙げられる。以下、それぞれ具体例を示す。
(G)成分の一例として、ヒドロキシ基を含有した多官能アクリレート(以下、ヒドロキシ基含有多官能アクリレートとも言う。)を挙げることができる。
(G)成分の例であるヒドロキシ基含有多官能アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびジペンタエリトリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
(G)成分の一例として、1つのアクリル基と、1つ以上のヒドロキシ基とを有する化合物も挙げられる。
また、(G)成分の化合物としては、1分子中にC=C二重結合を含む重合性基を少なくとも1つと、N−アルコキシメチル基を少なくとも1つ有する化合物が挙げられる。
C=C二重結合を含む重合性基としては、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基、マレイミド基等が挙げられる。
1分子中にC=C二重結合を含む重合性基を少なくとも1つと、N−アルコキシメチル基を少なくとも1つ有する化合物としては、好ましくは、例えば下記の式(X1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020181148

(式中、R31は水素原子又はメチル基を表し、R32は水素原子、若しくは直鎖又は分岐の炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す)
上記式(X1)で表される化合物の具体例としては、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物又はメタクリルアミド化合物が挙げられる。なお(メタ)アクリルアミドとはメタクリルアミドとアクリルアミドの双方を意味する。
(G)成分のC=C二重結合を含む重合性基とN−アルコキシメチル基を有する化合物の別の態様としては、好ましくは、例えば下記の化合物が挙げられる。
Figure 2020181148
本発明の実施形態の液晶配向剤における(G)成分の含有量は、(A)成分である配向成分の100質量部に対して、好ましくは1質量部〜100質量部であり、更に好ましくは5質量部〜70質量部である。
<溶剤>
本発明の硬化膜形成組成物は、主として溶剤に溶解した溶液状態で用いられる。その際に使用する溶剤は、(A)成分、(B)成分、必要に応じて(C)成分/または後述するその他添加剤を溶解できればよく、その種類および構造などは特に限定されるものでない。
溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、3−メチル−2−ペンタノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、シクロペンチルメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
本発明の硬化膜形成組成物を用い、樹脂フィルム上に硬化膜を形成して配向材を製造する場合は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−ヘプタノン、イソブチルメチルケトン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が、樹脂フィルムが耐性を示す溶剤であるという点から好ましい。
これらの溶剤は、1種単独でまたは2種以上の組合せで使用することができる。
<その他添加剤>
さらに、本発明の硬化膜形成組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、増感剤、密着向上剤、シランカップリング剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤等を含有することができる。
<硬化膜形成組成物の調製>
本発明の硬化膜形成組成物は、(A)成分として下記式(1)垂直配向性基を有する成分を含有するとともに、下記(Z1)〜(Z4)のいずれかを満たす組成物である。
(Z1)垂直配向性基を有する成分が、垂直配向性基と熱架橋性基とを有するアクリルポリマーであり、さらに(B)成分として架橋剤を含有する。
(Z2)垂直配向性基を有する成分が、垂直配向性基と熱架橋性基とを有する低分子化合物であって、更に(B)成分として架橋剤を含有し、(C)成分として熱架橋性基を有するベースポリマーを含有する。
(Z3)垂直配向性基を有する成分が、垂直配向性基とC=C二重結合を含む重合性基とを有するポリマーであって、(D)成分としてラジカル重合開始剤をさらに含有する。
(Z4)垂直配向性基を有する成分が、垂直配向性基を有するポリマーであって、(D)成分としてラジカル重合開始剤をさらに含有し、(F)成分として、C=C二重結合を含む重合性基を有するモノマーおよびポリマーから選ばれる少なくとも一種を含有する。
そして、本発明の硬化膜形成組成物は、所望により(E)成分である架橋触媒、(F)成分として、C=C二重結合を含む重合性基を有するモノマーおよびポリマーから選ばれる少なくとも一種、(G)成分として密着促進剤、更に本発明の効果を損なわない限りにおいてその他の添加剤を含有することができる組成物である。そして通常は、それらが溶剤に溶解した溶液の形態として用いられる。
本発明の硬化膜形成組成物を溶液として用いる場合の配合割合、調製方法等を以下に詳述する。
本発明の硬化膜形成組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り、特に限定されるものではないが、1質量%〜60質量%であり、好ましくは2質量%〜50質量%であり、より好ましくは2質量%〜20質量%である。ここで、固形分とは、硬化膜形成組成物の全成分から溶剤を除いたものをいう。
本発明の硬化膜形成組成物の調製方法は、特に限定されない。調製法としては、例えば、溶剤に溶解した(A)成分の溶液に(B)成分、(C)成分、(D)成分等を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法、或いは、この調製法の適当な段階において、必要に応じてその他添加剤をさらに添加して混合する方法が挙げられる。
また、調製された硬化膜形成組成物の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
<硬化膜、配向材および位相差材>
本発明の硬化膜形成組成物の溶液を基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属、例えば、アルミニウム、モリブデン、クロムなどが被覆された基板、ガラス基板、石英基板、ITO基板等)やフィルム基板(例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アクリルフィルム、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルム)等の上に、バーコート、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布、印刷などによって塗布して塗膜を形成し、その後、ホットプレートまたはオーブン等で加熱乾燥することにより、硬化膜を形成することができる。該硬化膜はそのまま配向材として適用できる。
加熱乾燥の条件としては、硬化膜(配向材)の成分が、その上に塗布される重合性液晶溶液に溶出しない程度に、架橋剤による架橋反応が進行すればよく、例えば、温度60℃〜200℃、時間0.4分間〜60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度および加熱時間が採用される。加熱温度および加熱時間は、好ましくは70℃〜160℃、0.5分間〜10分間である。
本発明の硬化性組成物を用いて形成される硬化膜(配向材)の膜厚は、例えば、0.05μm〜5μmであり、使用する基板の段差や光学的、電気的性質を考慮し適宜選択することができる。
本発明の硬化膜組成物から形成された配向材は耐溶剤性および耐熱性を有しているため、この配向材上に、重合性液晶及び二色性色素を含有する溶液を塗布し、配向材上で配向させることができる。そして、配向状態となった位相差材料をそのまま硬化させることにより、光学異方性を有する層として位相差材を形成することができる。そして、配向材を形成する基板がフィルムである場合には、位相差フィルムとして有用となる。
また、上記のようにして形成された、本発明の配向材を有する2枚の基板を用い、スペーサを介して両基板上の配向材が互いに向かい合うように張り合わせた後、それらの基板の間に液晶を注入して、液晶が配向した液晶表示素子とすることもできる。
このように本発明の硬化膜形成組成物は、各種位相差材(位相差フィルム)や液晶表示素子等の製造に好適に用いることができる。
以下、例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例で用いる略記号]
以下の実施例で用いる略記号の意味は次の通りである。
<重合体原料>
LAA:ラウリルアクリレート
MAA:メタクリル酸
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
AA:アクリル酸
BMAA:N-(n-ブトキシメチル)アクリルアミド
AIBN:α, α’ - アゾビスイソブチロニトリル
<(A)成分>
A1:4-(4‘-ペンチル-[1,1’-ビ(シクロヘキサン)]-4-イル)フェノール
ARU:東亞合成(株)製 ARUFON UF-5041
<(C)成分>
ACS:荒川化学工業(株)製 ACS-543A
<(D)成分>
IRG:BASF社製 IRGACURE 907
OXE:BASF社製 IRGACURE OXE 02
<(E)成分>
PTSA:p-トルエンスルホン酸・一水和物
<(F)成分>
DPHA:ジペンタエリストーヘキサアクリレート
<(G)成分>
DM-1:
Figure 2020181148


<溶媒>
実施例及び比較例の各樹脂組成物は溶剤を含有し、その溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル(BA)を用いた。
<重合体の分子量の測定>
重合例におけるアクリル共重合体の分子量は、(株)島津製作所製GPC装置(Shodex(登録商標)カラムKF803LおよびKF804L)を用い以下のようにして測定した。なお、下記の数平均分子量(以下、Mnと称す)および数平均分子量(以下、Mwと称す)はポリスチレン換算値にて表した。
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1mL/min
カラム温度:40°C
検量線作成用標準サンプル:昭和電工製 ポリスチレン(分子量 約 197,000、55,100、12,800、3,950、1,260、580)
<重合例1>
LAA 1.0g、MMA 3.0g、HEMA 1.0g、重合触媒としてAIBN 0.1gをPM15.1gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液(固形分濃度:20質量%)(P1)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは11,300、Mwは20,500であった。
<重合例2>
MMA 3.0g、HEMA 0.3g、重合触媒としてAIBN 0.3gをPM14.6gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液(固形分濃度:30質量%)(P2)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは18,000、Mwは32,800であった。
<重合例3>
LAA 3.0g、GMA 12.0g、重合触媒としてAIBN 0.3gをPM 45.7gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液を得た。得られたアクリル共重合体溶液をヘキサン500.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過及び減圧乾燥することでアクリル共重合体(P3)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは14,000、Mwは38,000であった。
<重合例4>
BMAA 100.0g、重合触媒としてAIBN 1.0gをPM 193.5gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液を得た。得られたアクリル重合体のMnは10,000、Mwは23,000であった。アクリル重合体溶液をヘキサン2000.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過及び減圧乾燥することで、重合体(PC-1)を得た。
<重合例5>
BMAA 100.0g、重合触媒としてAIBN 4.2gをPM 193.5gに溶解し、90℃にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液を得た。得られたアクリル重合体のMnは2,700、Mwは3,900であった。アクリル重合体溶液をヘキサン2000.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過及び減圧乾燥することで、重合体(PC-2)を得た。
<合成例1>
重合例1で得たアクリル共重合体(P3)7.5g、アクリル酸4.5g、ジブチルヒドロキシトルエン0.4g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.3gをPM30gに溶解させ、110℃で20時間反応させた。この溶液をヘキサン500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過及び減圧乾燥することで、アクリロイル基を有するアクリル共重合体(PA-1)を得た。1H-NMR分析を行い、アクリル共重合体(PA-1)がアクリロイル基を有することを確認した。
<液晶材料の調製>
重合性液晶(RMS03-015、メルク社製)49.0gに二色性色素(G-471、林原社製)0.3gとMIBK 0.7gを加え溶解し、固形分濃度30質量%の液晶層形成用組成物(LC-1)を調製した。
<液晶配向材の調製>
<実施例1>
(A)成分として重合例1で得た重合体(P1) 11.8g、(B)成分として重合例2で得た重合体(P2) 3.6g、(C)成分として重合例4で得た重合体(PC-1)を2.4g、(D)成分としてDM-1 0.7g、(E)成分としてPTSA 0.1gを混合し、これに溶媒としてのPM 19g、BA 76gを加えて溶液を得た。次いで、この得られた溶液を口径1μmのフィルタでろ過することにより、液晶配向材(A-1)を調製した。
<実施例2〜5>
下記表1に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、各液晶配向材(A-2)〜(A-5)を調製した。
Figure 2020181148
[垂直配向性と透過率の評価]
<実施例6〜7>
実施例1〜2の硬化膜形成組成物を、オゾン処理を施したCOPフィルム上にバーコーターを用いてWet膜厚4μmにて塗布した。その後、温度110℃で60秒間、熱循環式オーブン中で加熱乾燥を行い、硬化膜を形成した。
この硬化膜上に液晶層形成用組成物(LC-1)を、バーコーターを用いてWet膜厚6μmにて塗布した。その後、温度65℃で60秒間、ホットプレート上で加熱乾燥を行い、その後、この塗膜を500mJ/cm2で露光し、液晶フィルムを作製した。
作製した基材フィルム上の液晶フィルムを、Axometrics社製AxoScanを用いて面内位相差の入射角度依存性を測定した。入射角度0度での面内位相差値が0、入射角度±60度での面内位相差が38±5nmの範囲にあるものを垂直配向していると判断した。また、同じ装置を用いて、550nmの光の透過率の入射角度依存性を測定した。評価結果は、後に表2にまとめて示す。
<比較例1>
実施例6の液晶層形成組成物(LC-1)を、重合性液晶RMS03-015に代えた以外は同様の操作を行い、比較例1を得た。
<実施例8〜10>
実施例3〜5の硬化膜形成組成物を、オゾン処理を施したCOPフィルム上にバーコーターを用いてWet膜厚4μmにて塗布した。その後、温度110℃で60秒間、熱循環式オーブン中で加熱乾燥を行い、その後、この塗膜を500mJ/cm2露光し、硬化膜を形成した。
この硬化膜上に液晶層形成用組成物(LC-1)を、バーコーターを用いてWet膜厚6μmにて塗布した。その後、温度65℃で60秒間、ホットプレート上で加熱乾燥を行い、その後、この塗膜を500mJ/cm2で露光し、液晶フィルムを作製した。
作製した基材フィルム上の液晶フィルムを、Axometrics社製AxoScanを用いて面内位相差の入射角度依存性を測定した。入射角度0度での面内位相差値が0、入射角度±60度での面内位相差が38±5nmの範囲にあるものを垂直配向していると判断した。また、同じ装置を用いて、550nmの光の透過率の入射角度依存性を測定した。評価結果は、後に表2にまとめて示す。
<比較例2〜4>
実施例8〜10の液晶層形成組成物(LC-1)を、重合性液晶RMS03-015に代えた以外は同様の操作を行い、比較例2〜4を得た。
Figure 2020181148
表2に示すように、実施例の液晶配向材と液晶層形成組成物を用いて得られた液晶フィルムは、良好な垂直配向性を示し、正面とそれ以外の方向で可視光透過率に差が大きくなることが示された。それに対し比較例の液晶フィルムは正面とそれ以外の方向で可視光透過率に差がほとんどなかった。
本発明による硬化膜形成組成物は、液晶表示素子の液晶配向膜や、液晶表示素子に内部や外部に設けられる光学異方性フィルムを形成するための配向材を形成する材料として非常に有用であり、特に、IPS−LCDや、有機ELディスプレイの反射防止膜として使用される円偏光板の光学補償フィルム向け材料として好適である。

Claims (1)

  1. (A)成分として下記式(1)垂直配向性基を有する成分を含有するとともに、下記(Z1)〜(Z4)のいずれかを満たす硬化膜形成組成物から得られる垂直配向膜と、その上に形成された、重合性液晶と二色性色素とを含有する液晶組成物から得られる重合性液晶層とを有する位相差材。
    (Z1)垂直配向性基を有する成分が、垂直配向性基と熱架橋性基とを有するアクリルポリマーであり、さらに(B)成分として架橋剤を含有する。
    (Z2)垂直配向性基を有する成分が、垂直配向性基と熱架橋性基とを有する低分子化合物であって、更に(B)成分として架橋剤を含有し、(C)成分として熱架橋性基を有するベースポリマーを含有する。
    (Z3)垂直配向性基を有する成分が、垂直配向性基とC=C二重結合を含む重合性基とを有するポリマーであって、(D)成分としてラジカル重合開始剤をさらに含有する。
    (Z4)垂直配向性基を有する成分が、垂直配向性基を有するポリマーであって、(D)成分としてラジカル重合開始剤をさらに含有し、(F)成分として、C=C二重結合を含む重合性基を有するモノマーおよびポリマーから選ばれる少なくとも一種を含有する。
    Figure 2020181148

    (式[1]中、
    は単結合又は結合基を表し、
    は単結合、炭素原子数1〜15のアルキレン基または−CH−CH(OH)−CH−を表すか、ベンゼン環、シクロヘキサン環または複素環から選ばれる2価の環状基を表し、前記環状基上の任意の水素原子が、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルコキシル基またはフッ素原子で置換されていてもよく、
    は単結合または炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、
    は単結合を表すか、ベンゼン環、シクロヘキサン環または複素環から選ばれる2価の環状基、または炭素原子数17〜30であってステロイド骨格を有する2価の有機基を表し、前記環状基上の任意の水素原子が、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルコキシル基またはフッ素原子で置換されていてもよく、
    はベンゼン環、シクロヘキサン環または複素環から選ばれる2価の環状基を表し、これらの環状基上の任意の水素原子が、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜3のフッ素含有アルコキシル基またはフッ素原子で置換されていてもよく、
    nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、Y同士は同一でも異なっていてもよく、
    は水素原子、炭素原子数1〜18アルキル基、炭素原子数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシル基または炭素原子数1〜18のフッ素含有アルコキシル基を表し、
    及びYとしてのアルキレン基、並びに、環状基上の置換基又はYとしてのアルキル基、フッ素含有アルキル基、アルコキシル基及びフッ素含有アルコキシ基は、直鎖状、枝分かれ状、又は環状の何れか又はそれらの組み合わせであってもよく、
    またY及びYとしてのアルキレン基、並びに、Yとしてのアルキル基、フッ素含有アルキル基、アルコキシル基及びフッ素含有アルコキシ基は、結合基同士が隣り合わない限り1ないし3の結合基で中断されていてもよく、
    さらにY、Y又はYが2価の環状基を表すか、Yがステロイド骨格を有する2価の有機基を表すか、Yが−CH−CH(OH)−CH−を表すか、Y又はYがアルキレン基を表すか、或いはYがアルキル基又はフッ素含有アルキル基を表すとき、該2価の環状基、該ステロイド骨格を有する2価の有機基、該−CH−CH(OH)−CH−、該アルキレン基、該アルキル基及び該フッ素含有アルキル基は、それらに隣接する基と結合基を介して結合していてもよく、
    そして上記結合基は、−O−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−NH−CO−O−及び−NH−CO−NH−からなる群から選ばれる基を表し、
    但し、Y乃至Yがそれぞれ表すところの炭素原子数1〜15のアルキレン基、ベンゼン環、シクロヘキサン環、複素環、ステロイド骨格を有する2価の有機基、−CH−CH(OH)−CH−、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシル基及び炭素原子数1〜18のフッ素含有アルコキシル基の炭素原子数の合計は6〜30である)。
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