JP2020180406A - 導電性繊維構造物および電極部材 - Google Patents

導電性繊維構造物および電極部材 Download PDF

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千草 亀本
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直希 浅井
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恵司 竹田
典子 長井
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典子 長井
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Abstract

【課題】 高い導電性と低インピーダンスを実現する導電性繊維構造物、および生体にかぶれを生じさせず、摩擦堅牢性が良好な電極部材を提供する。【解決手段】本発明の導電性繊維構造物は、基材繊維に導電性物質及びバインダからなる導電体が付着されてなる導電性繊維構造物であって、導電性物質がカーボンブラックであり、前記導電体が前記基材繊維を構成する単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙および単糸と単糸の間隙に担持されている導電性繊維構造物であって、JIS L 0849(1996)の乾燥試験および湿潤試験における摩擦堅牢度がいずれも3級以上であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性繊維構造物および電極部材に関するものである。
人体や動物の脳波や心電図、筋電図等、生体電気信号を測定するためや、生体に電気刺激を付与するために用いる生体電極は、ゲル電極やゴム電極、金属薄板を使用した電極、導電性繊維素材を使用したものなど、様々なタイプの生体電極が使用されている。
上記ゲル電極やゴム電極は、柔軟性に富み、生体の体表面に密着し、安定した生体信号取得が可能であるというメリットがある一方、通気性が悪く、接触箇所に蒸れが生じ、かぶれなどを引き起こすという問題があった。
また、金属薄板を使用した電極は疎水性で硬く、水分が豊富で柔軟である生体の体表面と接触する用途には適合性が低いという問題があった。体表面に密着させるには、高い接圧を必要とするか、導電性のペースト(ゼリー)を使用する必要があった。
導電性のペースト等を使用することなく、生体の体表面に直接貼付し得る電極として、導電性を有するテキスタイル形状の電極は、有効であると考えられ、さまざまな提案がなされている。テキスタイル電極は折り曲げに強く、体表面の凹凸に合わせて形状変化させることができる。テキスタイル形状の電極において、導電性を付与するため、繊維に金属メッキしたものや、導電性高分子をコーティングしたものが提案されている。これらの技術は広く使用されている一方で、金属メッキ繊維はアレルギー反応を引き起こす場合があり、また体表面に密着させるために高い接圧を必要とする。
また、導電性高分子をコーティングしたテキスタイル電極について、例えば生体への適合性が良い材料として、チオフェン系のPEDOT-PSS((3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸))を使用した電極が提案されている。優れた導電性及び親水性を有し、生体の体表面と接触する用途には適合性が高い一方で、接合する他の金属製の電極部材の腐食を引き起こすことがあり、電極としての保存安定性に課題がある。
テキスタイル電極の導電性物質として、カーボンを使用したものが提案されている。カーボンはアレルギー反応や金属の腐食を引き起こしにくく、また安価である。カーボンを使用したテキスタイル電極として、シリコンラバーにカーボンブラック粉末を加えた、水分に対して不浸透性である導電性素材を用いた電極が提案されている(特許文献1参照)。
カーボンを使用したテキスタイルとして、繊維にカーボンを練り込んだ繊維構造体が提案されている。芳香族ポリエステルにカーボンブラックを含有した樹脂組成物からなり、合成繊維特有の賦型性、しなやかさや強度、高い耐摩耗性を有し、温湿度変化によらず一定の導電性を有し、表面からの導電剤の脱落が少ない、導電性繊維構造体を提供するとされている(特許文献2参照)。
また、カーボンを使用したテキスタイルとして、金属又はカーボン被覆した繊維基材の周囲を、導電性高分子を含む導電体で被覆した電極が提案されている。また導電性高分子であるPEDOT-PSSを繊維や繊維束(糸)の内外に固定させた複合素材が提案されている(特許文献3、4、5)。
特許第4860155号公報 特開2010−100971号公報 特開2015−140493号公報 国際公開第2015/115441号 国際公開第2013/073673号
しかしながら、特許文献1に開示の布地電極の電極部は、導電性物質であるカーボンブラック又は銀の粉末を加えたシリコンラバーであるが、シリコンラバーを接着剤や熱プレスで布地に接合するため、導電体が繊維間隙担持しておらず、生体電極として利用する場合、体表面に沿わせるためなどで導電性繊維構造物を屈曲させる際に、導電体の連続性が失われ、微弱な信号を取得または入力することが困難となる。
特許文献2に記載の技術は、導電性繊維を布帛とした際に、繊維と繊維の接点のみでしか導通が取れないことから、導電性能には限界があった。また、カーボンを錬り込むことにより絶縁性のポリマ内に埋没することから、繊維表面の導電性を有さない部分が生じ、電気信号や電気刺激を伝える用途ではインピーダンスが高くなってしまう。さらに、布帛の動きにより繊維と繊維の接点で浮きや離れが生じることにより導通が乱れることがあり、生体電極として使用することは難しかった。
また、特許文献3、4、5の技術は、導電性物質として導電性高分子とカーボンブラックを併用した際、摩擦による導電性物質の脱落による堅牢性の低下を引き起こすという問題があった。
上記に鑑み、本発明は高い導電性と低インピーダンスを実現し、かつ高い摩擦堅牢性により導電性物質による肌や衣類への汚染の発生を抑えることができ、生体にかぶれを生じさせない導電性繊維構造物および電極部材を提供することを課題とする。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の導電性繊維構造物は、基材繊維に導電性物質及びバインダからなる導電体が付着されてなる導電性繊維構造物であって、導電性物質がカーボンブラックであり、前記導電体が前記基材繊維を構成する単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙に担持されている導電性繊維構造物であって、JIS L 0849(1996)の乾燥試験および湿潤試験における摩擦堅牢度がいずれも3級以上であることを特徴とする。
また、本発明の導電性繊維構造物は、生体電極を構成する電極部材として用いることが好ましい。
また、本発明の生体電極用の電極部材は、前記の導電性繊維構造物を用いることを特徴とする。
本発明によれば、高い導電性と低インピーダンスを実現し、かつ高い摩擦堅牢性により導電性物質による肌や衣類への汚染の発生を抑えることができ、生体にかぶれを生じさせない導電性繊維構造物および電極部材が得られる。
本発明の導電性繊維構造物の一態様の横断面概略図である。 実施例1で評価した導電体フィルムの電子微鏡観察写真である。 比較例2で評価した導電体フィルムの電子顕微鏡観察写真である。
以下に、本発明にかかる導電性繊維構造物の実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
<<導電性繊維構造物>>
本発明の導電性繊維構造物は、基材繊維に導電性物質及びバインダからなる導電体が付着されてなる導電性繊維構造物であって、導電性物質がカーボンブラックであり、前記導電体が前記基材繊維を構成する単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙に担持されている導電性繊維構造物である。
本発明においては、単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙に導電体が担持され、前記表面および間隙を導電体で繋ぐことにより、導電体のコーティング糸や導電体の練り込み糸を布帛とした場合に比し、導電パスを多く有することで優れた導電性繊維構造物が得られるものである。図1は本発明の導電性繊維構造物の一態様の横断面の概念図であるが、導電性繊維構造物1の断面中、単繊維2の表面もしくは単繊維間隙に導電体3が存在し、導電パスを多く継続している。
<導電体>
導電体は、導電性繊維構造物に導電性を付与するための配合物であり、(A)導電性物質と(B)バインダからなる。導電体は(A)導電性物質と(B)バインダ以外に他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、(C)導電性向上剤、(D)柔軟性付与剤、(E)界面活性剤及び/又はレベリング剤、架橋剤、触媒、消泡剤等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、本発明の導電性繊維構造物は、JIS L 0849(1996)の乾燥試験および湿潤試験における摩擦堅牢度がいずれも3級以上であるものである。繊維構造物を生体電極として利用する場合、摩擦による堅牢性がないと、肌面との接触によって導電性物質の脱落を引き起こし、導電性物質による肌や衣類への汚染を発生させるおそれがあるが、本発明の導電性繊維構造物は摩擦堅牢性を有することでの導電性物質による肌や衣類への汚染の発生を抑えることができる。
摩擦堅牢性の低い導電性繊維構造物は、基材繊維に塗布する導電体溶液をPETフィルム上に塗布して導電体フィルムを作成したとき、導電体フィルムに凹凸やヒビ割れが起こることが判明した。すなわち、基材繊維に塗布する前の導電体について、CB、バインダおよびその他任意の成分を混合して調液した導電体の溶液をPETフィルム上に塗布して作成した導電体フィルムの表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、直径10μmを超える凹凸やヒビ割れがないものとすることが好ましい。CBとバインダを混合した際に、CBの分散性の低下を招くことが原因であり、摩擦堅牢性の低下のみならず、導電性の低下を招く。SEM観察で直径が10μmを超える凹凸やヒビ割れがない導電体を使用することで、導電性に優れ、摩擦堅牢性の良好な導電性繊維構造物を得ることができる。
図2は、実施例1で評価した導電体フィルムの電子微鏡観察写真であり、図3は比較例2で評価した導電体フィルムの電子顕微鏡観察写真である。図2においては導電体フィルムの表面に直径が10μmを超える凹凸やヒビ割れが見られない観察像、図3に直径が10μmを超える凹凸やヒビ割れが見られる観察像が示されている。本発明において、上記導電体は、後述する(A)導電性物質と(B)バインダおよび任意成分としての他の成分を配合して導電体とし、導電性繊維構造物の製造に供されるが、前記導電体フィルムを作製したときにひび割れを生じないことを確認して、各成分の組み合わせを選択するのが効率的である。
<(A)導電性物質>
本発明に使用する導電性物質はカーボンブラック(以下CBと記載)である。CBを含有した導電体におけるCB含有量は5質量%〜80質量%が好ましく、20質量%〜50質量%がより好ましい。5質量%以上とすることで、カーボンブラックの連続性により導電性繊維構造物における導電性能が顕在化し、20質量%以上でさらに導電性能が向上する。また、CB含有量を80質量%以下とすることで導電性繊維構造物の摩擦における堅牢性が得られる。
なお、CBによる導電性付与にあたっては、CBのベースを形成している粒子径(ストラクチャーを構成する粒子の粒子径、以下前記粒子を一次粒子、前記粒子径を一次粒子径と称する場合もある)と連鎖構造であるストラクチャー、それに粒子表面性状を考慮することが肝要である。CBとバインダを含む溶液を調製する場合、特に重要なのは、粒子表面性状の比表面積が大きいことである。比表面積が大きいことは粒子表面に細孔が多いことを意味し、細孔にバインダが入り込み、粒子間距離を小さくすることができ、高い導電性を得ることに繋がっている。比表面積はBET法で測定することができ、BET比表面積が400〜2000m/gのものが好ましく、600〜1600m/gのものがより好ましい。400m/g以上とすることで、粒子間距離が十分小さくなり、繊維構造物へ十分な導電性を付与できる範囲となり、600m/g以上でよりいっそう高い導電性能が得られる。上限を2000m/g以下とすることでストラクチャーを維持することができ、繊維構造物へ安定した導電性能の付与が可能となる。
また、高い導電性を得るためには、CBの一次粒子が小さいことが望ましく、CBの一次粒子の平均粒子径を1〜200nmの範囲とすることが好ましく、5〜100nmの範囲がより好ましい。1nm以上とすることで導電性繊維構造物の摩擦における堅牢性が顕在化し、5nm以上で高い堅牢性が得られる。200nm以下とすることで、繊維構造物への導電性能付与が十分となり、さらに100nm以下とすることで高い導電性が付与される。
また、高い導電性を得るためには、ストラクチャーが高度に発達していることが望ましく、ストラクチャーの大きさの指標であるジブチルフタレート(DBP)吸収量が100〜600cm/100gのものが好ましく、300〜500cm/100gのものがより好ましい。100cm/100g以上とすることで、ストラクチャーの発達により導電性能が顕在化し、300cm/100g以上でさらに導電性能が向上する。導電性繊維構造物の摩擦における堅牢性が顕在化し、5nm以上で高い堅牢性が得られる。600cm/100g以下とすることで粘度を高く抑えられ、繊維の内部に十分浸透させることができ、繊維構造物に十分な導電性能を付与できる。
<(B)バインダ>
導電体は上記(A)導電性物質に加え、さらに(B)バインダを含有する。ここで用いられる(B)バインダの役割は、導電体を構成する配合物を、繊維基材を構成する単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙に担持させることである。本発明において、単繊維とは、例えばマルチフィラメントを構成するフィラメント一本分、紡績糸を構成する短繊維一本分等一本の繊維を指し、糸とはマルチフィラメント、紡績糸、合撚糸等の単繊維の集合体で構成される一本の糸を指す。
上記バインダの好ましい具体例としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂およびアクリル系樹脂等が好ましく挙げられ、この群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。(B)バインダとしては、導電性繊維構造物中の導電体を構成する配合物の基材繊維からの脱落を防ぎ、より確実に導電性を付与する点から、(B1)ウレタン樹脂、又は(B2)アクリル系樹脂が好ましい。
<(B1)ウレタン樹脂>
(B1)ウレタン樹脂をバインダとして用いることは、導電性繊維構造物中の導電体を構成する配合物を、繊維基材に担持させ、脱落を防ぐ効果が極めて高いので、好ましい。(B1)ウレタン樹脂は原材料のポリオールによりエーテル系、エステル系、カーボネート系、変性ポリオール、またエステル/カーボネート系、あるいはそれらを組み合わせたポリマ等に分類されるが、いずれも用いることができる。耐加水分解性の観点から、特にエーテル系ウレタン樹脂、カーボネート系ウレタン樹脂が好ましい。
(B1)ウレタン樹脂として使用できる市販品としては、エーテルまたはカーボネート系ウレタン樹脂として、“レザミンD(登録商標)”(大日精化社製)、エーテル系、カーボネートまたはエステル系ウレタン樹脂としてスーパーフレックス(第一工業製薬社製)、エーテル系またはエステル系ウレタン樹脂としてコロネート(東ソー株式会社製)等が挙げられる。
<(B2)アクリル系樹脂>
(B2)アクリル系樹脂をバインダとして用いることは、導電性繊維構造物中の導電体を構成する配合物を、繊維基材に担持させ、脱落を防ぐ効果が高いので好ましい。(B2)アクリル系樹脂としては、アクリル酸エステルおよび/またはメタアクリル酸エステルを原材料モノマーとして用いて得られるアクリル樹脂、メタアクリル樹脂いずれも用いることができる。アクリル樹脂は原材料のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの種類により様々な特性が得られるが、本発明においてはいずれも用いることができる。樹脂としては特に制限されるものではないが、なかでもアクリル酸エステル及び/またはメタアクリル酸エステル単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが、柔軟性、耐水性等の特性を付与できることから好ましい。(B2)アクリル系樹脂として使用できる市販品としては、ボンコートAN(DIC社製)、ポリゾールAT(昭和電工社製)、カセゾールARS(日華化学株式会社製)等が挙げられる。
本発明の導電性繊維構造物において、(B)バインダとしては、得られる導電性繊維構造物の柔軟性の観点から、バインダのガラス転移温度(Tg)が−60〜±0℃あることが好ましい。また得られる導電性繊維構造物の耐摩擦性の観点から、バインダ単体の引張強度が5〜50MPaであることが好ましい。5MPa以上とすることで、導電性繊維構造物の摩擦による堅牢性が得られ、50MPa以下とすることで、導電性繊維構造物のテキスタイル特有の柔軟性を保持することができる。
なお、上記において引張強度は、後述するバインダの引張強度の測定法に基づき測定される値である。
(B)バインダとしては、溶剤系と水系があり、製造時におけるVOC低減の観点から、水系を使用することが好ましい。バインダは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の導電性繊維構造物において、(B)バインダの含有量は、特に限定されないが、(A)導電性物質の固形分100質量部に対して10〜1000質量部が好ましく、100〜500質量部がより好ましい。10質量部以上とすることで、得られる導電性繊維構造物の(A)導電性物質が脱落しにくく、1000質量部以下とすることで、導電性繊維構造物中の(A)導電性物質の含有量が少なくなりすぎず、電極部材として使用した際に十分な導電性を確保することができるので好ましい。
本発明の導電性繊維構造物において、導電体は(A)導電性物質、(B)バインダ以外に他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、(C)導電性向上剤、(D)柔軟性付与剤、(E)界面活性剤及び/又はレベリング剤、架橋剤、触媒、消泡剤等が挙げられる。
<(C)導電性向上剤>
導電体には、(C)導電性向上剤を添加しても良い。(C)導電性向上剤としては、特に限定されないが、例えば、沸点が100℃以上で分子内に2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物、沸点が100℃以上で分子内に少なくとも1つのスルフィニル基を有する化合物、沸点が60℃以上で分子内に少なくとも1つのカルボニル基を有する化合物、沸点が100℃以上で分子内に少なくとも1つのアミド基を有する化合物等が挙げられる。これらの(C)導電性向上剤は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
沸点が100℃以上で分子内に2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、β−チオジグリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、エリトリトール、インマトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、スクロース等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
沸点が100℃以上で分子内に少なくとも1つのスルフィニル基を有する化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
沸点が60℃以上で分子内に少なくとも1つのカルボニル基を有する化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メタン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、安息香酸、p−トルイル酸、p−クロロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、フタル酸、イソフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
沸点が100℃以上で分子内に少なくとも1つのアミド基を有する化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−エチルアセトアミド、N−フェニル−N−プロピルアセトアミド、ベンズアミド等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
導電体が(C)導電性向上剤を含有する場合、その含有量は特に限定されないが、(A)導電性物質100質量部に対して0.01〜100000質量部が好ましく、0.1〜10000質量部がより好ましい。(C)導電性向上剤の含有量が0.01質量部以上であることで、十分な導電性向上効果が得られ、100000質量部以下であることで、導電性繊維構造物の乾燥性が良好である。
<(D)柔軟性付与剤>
導電体に(D)柔軟性付与剤を添加しても良い。(D)柔軟性付与剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセロール、ソルビトール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール‐ポリプロピレングリコールコポリマー等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
導電体が(D)柔軟性付与剤を含有する場合、その含有量は特に限定されないが、(A)導電性物質100質量部に対して10〜10000質量部が好ましく、100〜5000質量部がより好ましい。(D)柔軟性付与剤の含有量が10質量部以上で、十分な柔軟性が得られ、10000質量部以下で、繊維構造物の導電性や強度に優れ、耐洗濯性が大幅に低下することもない。
<(E)界面活性剤及び/又はレベリング剤>
本発明において、導電体を構成する配合物を導電体中に均一に分散するため添加する界面活性剤や、導電性繊維構造物の乾燥時の表面張力を均一化する目的で添加するレベリング剤を導電体に添加しても良い。なお、本発明の導電性繊維構造物においては、一の化合物が界面活性剤にもレベリング剤にも相当することがある。また、界面活性剤とレベリング剤とが異なる化合物の場合、界面活性剤とレベリング剤とを併用しても良い。
界面活性剤としては、固形成分の溶媒への分散を有するものが好ましく、その具体例としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系化合物;パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素含有有機化合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プロピレンオキシド重合体、エチレンオキシド重合体などのポリエーテル系化合物;ヤシ油脂肪酸アミン塩、ガムロジン等のカルボン酸;ヒマシ油硫酸エステル類、リン酸エステル、アルキルエーテル硫酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、スルホン酸エステル、コハク酸エステル等のエステル系化合物;アルキルアリールスルホン酸アミン塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のスルホン酸塩化合物;ラウリルリン酸ナトリウム等のリン酸塩化合物;ヤシ油脂肪酸エタノールアマイド等のアミド化合物;アクリル系化合物等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、レベリング性向上効果が顕著に得られることからはシロキサン系化合物及びフッ素含有有機化合物が好ましい。
レベリング剤としては、特に限定されず、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系化合物;パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素含有有機化合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プロピレンオキシド重合体、エチレンオキシド重合体等のポリエーテル系化合物;ヤシ油脂肪酸アミン塩、ガムロジン等のカルボン酸;ヒマシ油硫酸エステル類、リン酸エステル、アルキルエーテル硫酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、スルホン酸エステル、コハク酸エステル等のエステル系化合物;アルキルアリールスルホン酸アミン塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のスルホン酸塩化合物;ラウリルリン酸ナトリウム等のリン酸塩化合物;ヤシ油脂肪酸エタノールアマイド等のアミド化合物;アクリル系化合物等が挙げられる。これらのレベリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<導電性繊維構造物の製造方法>
本発明の導電性繊維構造物は、(A)導電性物質と(B)バインダとの混合物を主成分とする導電体を、基材繊維を構成する単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙に担持させることにより得られる。なお、導電体を担持させるに際しては、導電体の分散液若しくは溶液の態様で担持させるのが好ましい。なお、本明細書においては、導電体に含まれる全ての成分を完全に溶解させるもの(即ち、「溶媒」)と、不溶成分を分散させるもの(即ち、「分散媒」)とは特に区別せずに、いずれも「溶媒」と記載する。以下溶媒について説明する。
<溶媒>
上記溶媒としては、特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、グリセリン等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のプロピレングリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールエーテルアセテート類;テトラヒドロフラン;アセトン;アセトニトリル等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
溶媒は、水、又は、水と有機溶媒との混合物であることが好ましい。導電性繊維構造物が溶媒として水を含有する場合、水の含有量は、特に限定されないが、(A)導電性物質の固形分100質量部に対して、20〜1000000質量部が好ましく、200〜500000質量部がより好ましい。水の含有量が20質量部以上であることで、粘度が高くなりすぎずハンドリングが良好であり、1000000質量部以下とすることで、導電性繊維構造物の濃度が低くなりすぎず、液使用量が増え過ぎることもない。
本発明において、導電体溶液は(A)導電性物質と(B)バインダおよび任意成分としての他の成分を配合して導電体溶液を調製する際、各薬剤のイオン性および粒径を考慮する必要がある。イオン性の異なる溶剤を混合すると、粒子表面の電荷の中和が起こって凝集を引き起こし、分散性を悪化させるため好ましくない。非イオン性もしくはイオン性を一致させることで凝集を防ぐことができる。また粒径について、例えば、CBよりバインダの粒子サイズが大きいと、バインダがCB同士を繋いでしまい、溶液中もしくは乾燥後にCBの凝集を引き起こすため好ましくない。(A)導電性物質の平均粒径より(B)バインダの平均粒径を小さくすることが好ましく、凝集を防ぎ、各成分の分散性を向上させることができ、これにより導電体フィルムを作製したときのひび割れを抑制することができる。
本発明においては、導電体を浸漬法、コーティング法、スプレー法など通常の方法を用いて基材繊維に担持し、導電体を担持した繊維構造物を加熱して、導電性繊維構造物を得ることができる。
導電体を、繊維構造物を構成する単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙に多く担持できる点から、浸漬法やコーティング法が好ましい。
(A)導電性物質は、あらかじめ(E)界面活性剤と混合し、溶媒中に均一に分散されていることが望ましく、さらに(B)バインダを混合しても分散性が保持されることが望ましい。導電性物質を溶媒中に均一に分散する工程において、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根、スターラー等による機械撹拌法等が挙げられるが、これに限定されない。
導電性繊維構造物の導電性の向上、安定化の観点から、導電体を含んだ繊維構造物に、さらにグリセロール、生理食塩水などを付与したものを好適に利用できるが、本発明の導電性繊維構造物はこれらに限定されるものではない。これら例示した導電体を浸漬法、コーティング法、スプレー法など既知の方法を用いて基材繊維に付与することで、基材繊維を構成する単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙に導電体が担持され導電体の連続層を形成することができる。
<基材繊維>
本発明の導電性繊維構造物において、基材繊維を構成する繊維の断面形状については、丸断面、三角断面、扁平断面、多角断面、中空型、その他、異形度が高い異形断面の形状でも特に限定されるものではない。
本発明に用いられる基材繊維は天然繊維や半合成繊維でもよいが、加工性の観点から合成繊維が好ましい。基材繊維を構成する繊維の材料であるポリマは、既知の方法で繊維化できるポリマであれば特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを主成分とするポリオレフィン系繊維用ポリマ、レーヨン、アセテート等の化学繊維用繊維素およびポリエステル、ナイロン等の熱可塑性合成繊維用ポリマを言うがこれらに限定されるものではない。
本発明にかかる基材繊維の形態は、メッシュ、抄紙、織物、編物、不織布、リボン、紐などが上げられるが使用目的に応じた形態であれば良く、特に限定されない。
繊維の形態は、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、ステープル糸のいずれでもかまわないが、導電体の基材繊維への担持ならびに導電性繊維構造物の高導電性の観点から、基材繊維が複数の単繊維から構成されるマルチフィラメント糸を含んでいることが好ましい。
単繊維繊度としては、特に制限されず、例えば0.0001dtex〜300dtex程度が挙げられる。
さらに、本発明にかかる基材繊維において、単繊維の全部または一部に繊維径5μm以下の所謂マイクロファイバーを含んでいることが好ましい。さらに1μm未満の所謂ナノファイバーを含んでいることがより好ましい。マイクロファイバーやナノファイバーは単繊維が密に集合しており、単繊維間隙が微細であるため、少ない量の導電体でも充填することができるため、導電性繊維構造物の導電性向上に好適である。
基材繊維は、繊維の絡合、起毛の他に、収縮処理、形態固定処理、圧縮処理、染色仕上げ処理、油分付与処理、熱固定処理、溶剤除去、形態固定剤除去、コーミング処理、つや出し処理、平面(ロール)ブレス処理や高性能ショートカットシャーリング処理(立毛のカット)など多くの処理が、各工程のそれぞれの所で適宜組合せて実施されるが、電極としての性能を損なわない限り、実施が限定されるものではない。
また、本発明の導電性繊維構造物の目付けは、5g/m以上、500g/m以下であることが好ましい。目付けが5g/m以上であることで、生地が薄過ぎず、繊維構造物が十分な強度を有し、目付けが500g/m以下であることで、良好な柔軟性を有する。より好ましくは10g/m以上250g/m以下である。
<繊維構造物の特徴>
本発明の導電性繊維構造物は、上記好ましい態様とすることにより、導電性繊維構造物の薄切片の光学顕微鏡観察にて導電体の担持状態を確認したとき、導電体が前記基材繊維を構成する単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙に担持されていることを確認するものである。導電体が前記基材繊維を構成する単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙に担持されていないと、生体電極として利用する場合、体表面に沿わせるためなどで導電性繊維構造物を屈曲させる際に、導電体の連続性が失われ、微弱な信号を取得または入力することが困難となるが、本発明の導電性繊維構造物は、導電体が前記基材繊維を構成する単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙に担持されており、体表面に沿わせるためなどで導電性繊維構造物を屈曲させる際に、導電体の連続性が失われることなく、微弱な信号を取得または入力することが可能である。
本発明の導電性繊維構造物は、上記好ましい態様とすることによりJIS K 7194(1994)に示される5点測定の方法で体積抵抗率を測定したとき、体積抵抗率1×10Ω・cm以下であることが好ましい。生体電極として利用する場合、抵抗値が高いと微弱な信号を取得または入力することが困難となるが、本発明の導電性繊維構造物は、抵抗値が低く、微弱な信号を取得または入力することが可能である。より好ましくは体積抵抗率1×10Ω・cm以下である。
本発明の導電性繊維構造物は、好ましい態様とすることでANSI規格4.2.2.1にて、荷重を500gとしたときの2枚の導電性繊維構造物間インピーダンス2kΩ以下を達成することも可能である。生体電極として利用する場合、導電性繊維構造物間インピーダンスが高いと微弱な信号を取得または入力することが困難となるが、本発明においては、導電性繊維構造物間インピーダンスが低く、微弱な信号を取得または入力することが可能な導電性繊維構造物とすることが可能である。
また本発明の導電性繊維構造物は、イオン交換水0.005mLを注射針で滴下させたとき、試験片が水滴を吸収するまでの時間を測定する吸水性試験を行ったとき、吸水時間を1800秒以下とすることも可能である。繊維構造物を生体電極として利用する場合、吸水性がないと肌面の汗によるムレ、カブレを発生させるおそれがあるが、本発明の導電性繊維構造物は吸水性を有することで肌面の汗を吸収し、ムレ、カブレの発生を抑えることができる。
SEM−EDX(エネルギー分散型蛍光X線)による元素分析を行い、導電性繊維構造物の表面層の硫黄元素含有量(質量濃度)を測定するとき、その含有量が1質量%以下であることが好ましい。ここでいう表面層とは、SEM−EDX(エネルギー分散型蛍光X線)によって観察される導電性繊維構造物の表面のことを言い、実質的に導電性繊維構造物の導電性に関与する部分である。1質量%以下とすることで、導電性繊維構造物に接触する金属部材や金属配線の腐食を引き起こすことなく、長期間にわたり金属の良好な導通を図ることができる。硫黄成分が含まれていると、熱分解や紫外線、空気中の酸素、経時劣化等により金属腐食を誘引する硫化水素や二酸化硫黄、硫化カルボニル等の腐食性硫黄ガスやスルホン酸のような酸性物質が生成し、金属表面を硫化する全面腐食を引き起こすことや、アノードの位置を局在化して集中的に腐食する局部腐食を引き起こすことがある。上記腐食の観点からは導電性繊維構造物の表面層の硫黄元素含有量を制御することが好ましいので、ここでは前記の導電性繊維構造物の表面層の硫黄元素含有量を評価するために、上記方法で測定を行う。
また局部腐食には、異種金属が接触しガルバニ電池を形成して電位の低い方が腐食する異種金属接触腐食があり、導電性繊維構造物の金属元素の含有量を1質量%以下とすることが望ましい。特に貴金属である金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムはイオン化傾向が低いため、卑な金属部材を接合させた場合、部材を腐食させやすく、低含有量であることが好ましい。また卑金属である鉄鋼や銅、ニッケルは自身が化学的に腐食されやすく、低含有量であることが好ましい。
また、本発明の導電性繊維構造物は、JIS L0217(1995)103法にて、20回洗濯を繰り返した後の電極間インピーダンスが2kΩ以下であることが好ましい。導電性繊維構造物中の導電性物質について、洗濯による脱落の評価が種々行われているが、洗濯前後で抵抗値や抵抗率にあまり変化がなくとも、電極間インピーダンスの上昇が起こることを見出した。抵抗値や抵抗率は導電性繊維構造物全体における残存量に依存するが、電極間インピーダンスは導電性繊維構造物の最表層における残存量に依存するため洗濯による脱落の影響がより顕著になることが理由と考えられる。洗濯後の電極間インピーダンスを低値に保つことは、洗濯のような水中での強い刺激に対して、導電性繊維構造物から導電性物質が脱落しないことを担保することができる。
本発明の電極部材の形状、大きさは、生体信号の検出および入力ができれば特に規定されるものではない。
また、本発明の導電性繊維構造物を用いた電極部材では、導電性繊維構造物の生体接触面と反対の面に、樹脂層が積層されていても良く、繊維やフィルムなどが積層されていてもよい。樹脂や繊維やフィルムは電気刺激の絶縁や、透湿、保湿などの目的で積層することが可能であるが、これに限らない。
本発明の導電性繊維構造物の好ましい使用態様としては、生体と直接接触し電気信号の取得および/または電気信号や電気刺激を付与できる形態が挙げられる。生体からの電気信号を取得する心電位、筋電位、脳波などの電極部材、または、生体への電気刺激を付与する低周波、高周波、EMSなどの電極部材が挙げられる。
具体的な形状としては、前記導電性繊維構造物からなる電極、電線、ウェア、パンツ、手袋、靴下、ブラジャー、ヘッドバンド、リストバンド、首巻、帽子、腹巻、サポーター、靴、シーツ、めがね、カチューシャ、髪飾り貼付材、ヘッドフォン、時計、いす、便座、ハンドル、ベッド、カーペット、各種カバーなど直接肌に接するものを好ましく挙げることができるが、これらに限らない。そしてこれらの製品の一部、例えば導電性繊維構造物と導通が取れるようにセンサや電気刺激装置等を取付けることで、電極部材の機能を有する各種製品とすることができる
電極の場合では、電極単独および/または上記直接肌に接するものとの組み合わせによる形態も好適に利用できる。電極単独では、形状は、円径、多角形など限定するものではない。
電極の大きさは、所望の生体信号が取得できるための接触面積とすれば良く、限定するものではない。生体との密着性を向上させるため、一般的な平電極では、動きと連動しやすいようにループ状など立体構造としてもよいし、エアーで膨らませても良い。
電極として衣服等の他構造物と組みあわせて使用する場合、所望の部位の電気信号を取得できるよう、導電性繊維構造物をボタン、ホック、磁石、マジックテープ(登録商標)の併用により衣服に着脱可能な形状としても好適に利用できる。
次に、実施例により本発明の導電性繊維構造物について詳細に説明する。本発明の導電性繊維構造物はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例における測定値は、次の方法で得たものである。
<基材繊維の単繊維繊度>
本発明の基材繊維を構成する単繊維の繊度は、原糸または導電体付与処理前の試料である基材繊維から糸を抜き出し、混繊糸の場合は繊度ごとに分割した。この分割した糸について、それぞれ1mの質量(g)を測定し、10000倍することで糸繊度を算出した。これを10回繰り返し、その単純平均値の小数点第2位を四捨五入した値を、糸を構成する単繊維の本数で割った値を単繊維繊度(dtex)とした。
<基材繊維の繊維径>
本発明の導電体付与処理前の試料である基材繊維からから抜き出した糸条をエポキシ樹脂で包埋し、クライオセクショニングシステム(Reichert社製FC・4E型)で凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したウルトラミクロトーム(Reichert−Nissei ultracut N)で切削した。その後、その切削面を走査型電子顕微鏡(SEM)(キーエンス社製VE−7800型)にて、ナノファイバーは5000倍、マイクロファイバーは1000倍、その他は500倍で撮影した。得られた写真から無作為に選定した10本の単繊維を抽出し、写真について画像処理ソフト(WINROOF)を用いて全ての単繊維断面の面積を測定し、面積から繊維断面を仮に真円としたときの繊維径を算出し、10本の平均を繊維径(nm)とした。
<基材繊維の目付>
本発明の導電体付与処理前の試料である基材繊維について、JIS L1096(一般織物試験方法)(1999)及びJIS L1018(ニット生地試験方法)(1999)の標準状態における単位面積あたりの目付けを測定した。
<バインダの引張強度(MPa)>
導電体に配合する前のバインダについて、バインダ溶液をコロナ放電処理PETフィルム上に塗布し、予備乾燥として室温で15時間、本乾燥として80℃で6時間、乾熱処理として120℃で20分処理を行い、膜厚0.5mmの皮膜を形成し、前記コロナ放電処理PETフィルムから剥離して試験片を得た。30mmx10mmの試験片を作成し、引張強度試験機(島津製作所社製オートグラフ)にて引張強度を測定した。試験雰囲気は23℃、50%RH、チャック間距離を10mm、試験速度を100mm/分とした。
<CBの比表面積>
導電体に配合する前のCBについて、JIS K 6217−2(2001年度版)に従い、自動比表面積・細孔径分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製BELSORP−mini2)を用いて測定した。
<CBのDBP吸油量>
導電体に配合する前のCBについて、JIS K 6217−4(2001年度版)に従い、アブソープトメータ(ブラベンダー社製アブソープトメータC型)を用いて測定した。
<CBの一次粒子径>
導電体に配合する前のCBをエポキシ樹脂中に包埋したブロックをウルトラミクロトームにて切断して60nm〜100nmの厚さの薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察装置(日立製作所製H−7100FA型)にて、加速75kVで、倍率2万〜10万倍のうちCBの一次粒子径を明確に測定できる任意の倍率で観察を行い、得られた写真を白黒にデジタル化した。該写真をコンピューターソフトウェアの三谷商事社製WinROOF(バージョン2.3)において黒で見えるCBを画像解析することによって、一次粒子径を確認した。写真上の存在するすべてのCBの面積をそれぞれ計算し、該面積値から略円形と判断して計算したCBの直径によって算出し、平均したものを平均粒子径とした。
<導電体の表面状態>
基材繊維に塗布する前の導電体について、(A)カーボンブラックと(B)バインダを混合して導電体溶液を調液し、コロナ放電処理PETフィルム上に塗布し、予備乾燥として室温で15時間、本乾燥として80℃で6時間、乾熱処理として120℃で20分処理を行い、膜厚0.5mmの皮膜を形成し、導電体フィルムを作成した。導電体フィルムについて、導電性繊維構造物を試料台に水平に固定し、SEM(日立ハイテクノロジーズ製S−3400N)にて、拡大倍率を1000倍に調整して観察し、直径が10μmを超える凹凸やヒビ割れがあるものについては表面不良あり、ないものについては表面不良なしとした。
<導電性繊維構造物のCB付着量>
標準状態(20℃×65%RH)での導電体の分散液塗布前後の試験布である繊維構造体の質量変化により導電体付着量を測定した。計算式は下記の通り。
導電体付着量(g/m)=(加工後の試験布質量(g)−加工前の試験質質量(g))/試験布の分散液を塗布した面積(m
さらに導電体中のCB固形分比率を乗じてCB付着量を算出した。計算式は下記の通り。
CB付着量(g/m)=導電体付着量(g/m)xCB固形分比率(%)
<導電性繊維構造物の体積抵抗率>
JIS K 7194(1994)に示される5点測定の方法で測定した。抵抗計(三菱アナリテック四探針抵抗計Loresta−AX MCP−T370)を用いて20℃、40%RH環境下で抵抗値(Ω)を測定した。また、生地厚みをJIS L 1096(2010)8.4A法によって、2cm直径のプレッサーフートを持った厚み測定装置(大栄科学精器製作所製中型測厚計UF−60A)にて測定した。得られた測定値および補正係数から、体積抵抗率(Ω・cm)を算出した。
<導電性繊維構造物の電極間インピーダンス>
導電性繊維構造物を4cm×4cmの試験片とし、荷重を500gとして、ANSI規格4.2.2.1に従い、電極間インピーダンス(kΩ)を測定した。
<導電性繊維構造物の吸水性>
吸水性試験として、イオン交換水0.005mLを注射針で滴下させたとき、試験片が水滴を吸収するまでの時間を測定する。具体的には、標準状態(20℃×65%RH)で導電性繊維構造物の試験片をしわ、たるみがないように水平に広げ、試験片に注射針を用いて蒸留水を0.005mL滴下し、水滴が試験片の表面に達したときから、試験片が水滴を吸収するにつれ鏡面反射が消え、湿潤だけ残った状態となるまでの時間をストップウォッチで10秒単位で測定し、5枚の試験片の平均値を十桁の位の数字を四捨五入して表す。ただし、1800秒以上経過しても吸収されない試験片が1枚以上ある場合には1800秒以上と付記する。
<導電性繊維構造物の摩擦堅牢度>
導電性繊維構造物についてJIS L 0849(1996)に従い(但し、規格中100回往復摩擦のところを30回往復摩擦とする)、摩擦試験機II形(学振形)にて乾燥試験(試験片および摩擦用白綿布は標準状態に4時間以上放置)および湿潤試験(試験片は標準状態に4時間以上放置、摩擦用白綿布は水でぬらし約100%の湿潤状態)を行い、着色判定は汚染用グレースケール判定にて1級から5級の級数判定を行う。
<導電性繊維構造物の表面層の硫黄含有量>
走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、SEM−EDX(エネルギー分散型蛍光X線)による元素分析により、導電性繊維構造物の表面層の硫黄元素含有量を求めた。具体的には、導電性繊維構造物の表面層が観察面になるように試料台に水平に固定し、SEM(日立ハイテクノロジーズ製S−3400N)にて、拡大倍率を100倍に調整し、加速電圧15KV、試料−検出器距離(WD)を10mmとして、SEM−EDX(堀場製作所製EX−250 x−act)を起動し、SEM−EDX制御プログラム(堀場製作所製EMAX ENERGY)のポイント&ID機能にて観察視野全体を選択して導電性繊維構造物の表面層の元素の定量分析を実施し、検出された全元素の質量濃度を100%としたときの、硫黄の質量濃度(質量%)を求めた。定量分析で検出される元素は、定性分析にて検出された元素のうち標準偏差の3倍以上の質量濃度(%)を有する元素であり、上記装置の検出限界濃度は全元素の質量濃度を100%としたとき、およそ0.1%である。
<導電体の担持状態>
導電性繊維構造物をアクリル樹脂中に包埋したブロックをミクロトームにて切断して1μm〜10μmの厚さの薄切片を作成し、薄切片をスライドガラスに載せ、光学顕微鏡にて、導電性繊維構造物を形成する単繊維が判別できる任意の倍率(例えば、単繊維の繊維径が0.7μmのとき、2000倍程度)で、導電体の担持状態を透過観察し、導電体が前記基材繊維を構成する単繊維の表面または単繊維と単繊維の間隙に担持されているか確認した。具体的には、光を透過しないCBを含む導電性繊維構造物の表面層が、基材繊維の表層に積層されている場合、表面担持ありとする。また、光を透過しないCBを含む導電性繊維構造物の表面層が、輪郭を残して光を透過する基材繊維の単繊維と単繊維の間隙に充填されている場合は、間隙担持ありとする。
<導電性繊維構造物の洗濯耐久性>
JIS L0217(1995)103法にて、20回洗濯を繰り返した後の導電性繊維構造物について、前述の導電性繊維構造物の電極間インピーダンスの試験方法に従って電極間インピーダンス(kΩ)を測定する。
以下、本発明にかかる導電性繊維構造物の実施例および比較例について説明する。
[実施例1]
島成分がポリエチレンテレフタレート、海成分がポリエステルの酸成分としてテレフタル酸と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合体からなるアルカリ熱水可溶型ポリエステルの75dtex−112F(海島比率30%:70%、島数127島/F)の海島型複合繊維と33dtex−6Fの高収縮糸を混繊したポリエステル混繊糸を用いて、スムース組織で丸編物を製編した。
次いで、得られた編物を水酸化ナトリウム3質量%水溶液(75℃、浴比1:30)に浸漬することで易溶解成分を除去し、ナノファイバーと高収縮糸の混繊糸使いの編物を得た。得られた基材繊維としての編物を、下記に示した(A)カーボンブラックとして「“ライオンペースト(登録商標)”W−376R」(ライオンスペシャリティケミカル社製、ケッチェンブラック分散液)400g/Lと、(B)バインダとして「“スーパーフレックス(登録商標)”460S」(第一工業製薬社、無黄変型イソシアネートカーボネート系水系ウレタン樹脂)526g/Lとを含む混合溶液に浸漬し、150℃で加熱して導電性繊維構造物を得た。なお、上記混合溶液は、“スーパーフレックス(登録商標)”460S」を予めイオン交換水で希釈し、撹拌した後、別途予め振とう、撹拌した「“ライオンペースト(登録商標)”W−376R」を添加、撹拌機を用いて撹拌し、各成分を十分に分散させ、混合溶液を調製した。
使用した材料および得られた導電性繊維構造物の特性を表1、元素分析の結果を表2に示す。得られた導電性繊維構造物は、優れた体積抵抗率、電極間インピーダンスを示した。また、吸水性を有していることから、ムレやかぶれを引き起こしにくい生体電極用の電極部材としての使用できる。硫黄および前記金属元素(具体的には金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、鉄、銅、ニッケル(以下前記金属元素と称する))が検出限界以下であり、洗濯耐久性も合格であったことから、摩擦堅牢性、洗濯耐久性に優れる生体電極用の電極部材を提供できる。
[実施例2]
(B)バインダとして「“スーパーフレックス(登録商標)”460S」526g/Lから「“ポリゾール(登録商標)” AT−130N」(昭和電工社、アクリル酸エステル共重合樹脂)444g/Lに変更した以外は、実施例1と同じ処理を行って導電性繊維構造物を製造した。使用した材料および得られた導電性繊維構造物の特性を表1、元素分析の結果を表2に示す。得られた導電性繊維構造物は優れた体積抵抗率、電極間インピーダンスを示した。また、吸水性を有していることから、ムレやかぶれを引き起こしにくい生体電極用の電極部材としての使用できる。摩擦堅牢度試験で乾燥湿潤ともに合格洗濯耐久性も合格であったことから、摩擦堅牢性、洗濯耐久性に優れる生体電極用の電極部材を提供できる。
[実施例3]
(A)カーボンブラックを「“ライオンペースト(登録商標)”W−376R」から「“ライオンペースト(登録商標)”W−356A」(ライオンスペシャリティケミカル社製、ケッチェンブラック分散液)に変更した以外は、実施例1と同じ処理を行って導電性繊維構造物を製造した。使用した材料および得られた導電性繊維構造物の特性を表1、元素分析の結果を表2に示す。得られた導電性繊維構造物は、優れた体積抵抗率、電極間インピーダンスを示した。また、吸水性を有していることから、ムレやかぶれを引き起こしにくい生体電極用の電極部材としての使用できる。硫黄元素が1%以下、前記金属が検出限界以下であり、摩擦堅牢度試験で乾燥湿潤ともに合格洗濯耐久性も合格であったことから、摩擦堅牢性、洗濯耐久性に優れる生体電極用の電極部材を提供できる。
[実施例4]
(B)バインダを「“スーパーフレックス(登録商標)”460S」526g/Lから「“スーパーフレックス(登録商標)”E−4800」(第一工業製薬社製、無黄変型イソシアネートエーテル系水系ウレタン樹脂)500g/Lに変更した以外は、実施例1と同じ処理を行って導電性繊維構造物を製造した。使用した材料および得られた導電性繊維構造物の特性を表1、元素分析の結果を表2に示す。得られた導電性繊維構造物は、優れた体積抵抗率、電極間インピーダンスを示した。また、吸水性を有していることから、ムレやかぶれを引き起こしにくい生体電極用の電極部材としての使用できる。硫黄および一般記載に列挙した金属元素が検出限界以下であり、摩擦堅牢度試験で乾燥湿潤ともに合格洗濯耐久性も合格であったことから、摩擦堅牢性、洗濯耐久性に優れる生体電極用の電極部材を提供できる。
[比較例1]
“ライオンペースト(登録商標)”W−376Rを400g/L、シリコーン系バインダ“DOWSIL(登録商標)”IE−7170(東レ・ダウコーニング社シリコーン樹脂)を417g/L混合した溶液を、コロナ放電処理PETフィルム上に塗布し、予備乾燥として室温で15時間、本乾燥として80℃で6時間、乾熱処理として120℃で20分処理を行い、膜厚0.5mmの皮膜を形成し、前記コロナ放電処理PETフィルムから剥離して得たCBシリコーン薄膜を、実施例1と途中まで同じ処理を行って得られた基材繊維としての編物に積層し、加熱プレス機にて150℃15秒間加熱圧縮を行って、導電性繊維構造物を得た。使用した材料および得られた導電性繊維構造物の特性を表1、元素分析の結果を表2に示す。得られた導電性繊維構造物は、最表層を除き導電体の間隙担持がないことから、生体電極として利用する場合、体表面に沿わせるためなどで導電性繊維構造物を屈曲させる際に、導電体の連続性が失われ、微弱な信号を取得または入力することが困難となる。また吸水性が無いことから、生体電極用の電極部材としての使用した際、ムレやかぶれを引き起こす可能性がある。
[比較例2]
(B)バインダを「“スーパーフレックス(登録商標)”460S」526g/Lから「“DOWSIL (登録商標)” IE−7170(東レ・ダウコーニング社シリコーン樹脂)417g/Lに変更した以外は、実施例1と同じ処理を行って導電性繊維構造物を製造した。使用した材料および得られた導電性繊維構造物の特性を表1、元素分析の結果を表2に示す。得られた導電性繊維構造物は、摩擦堅牢度の湿潤試験で不合格であり、洗濯耐久性も不合格であったことから、電極部材として使用することが困難である。
[比較例3]
(A)カーボンブラックとして「“ライオンペースト(登録商標)”W−376R」(ライオンスペシャリティケミカル社製、ケッチェンブラック分散液)200g/Lと、(B)バインダとして「“スーパーフレックス(登録商標)”460S」(第一工業製薬社、無黄変型イソシアネートカーボネート系水系ウレタン樹脂)400g/Lとを含む混合溶液に、浸漬と150℃で加熱とを2回繰り返した以外は、以外は、実施例1と同じ処理を行って導電性繊維構造物を製造した。使用した材料および得られた導電性繊維構造物の特性を表1、元素分析の結果を表2に示す。得られた導電性繊維構造物は、摩擦堅牢度の湿潤試験で不合格であり、洗濯耐久性も不合格であったことから、電極部材として使用することが困難である。
[比較例4]
(B)バインダを「“スーパーフレックス(登録商標)”460S」から“デナトロン(登録商標)”FB308B(ナガセケムテックス社製、ポリチオフェン系導電性高分子とバインダの混合溶液)に変更した以外は、実施例1と同じ処理を行って導電性繊維構造物を製造した。使用した材料および得られた導電性繊維構造物の特性を表1、元素分析の結果を表2に示す。得られた導電性繊維構造物は、摩擦堅牢度の湿潤試験で不合格であり、洗濯耐久性も不合格であったことから、電極部材として使用することが困難である。
1:導電性繊維構造物
2:単繊維
3:導電体

Claims (6)

  1. 基材繊維に導電性物質及びバインダからなる導電体が付着されてなる導電性繊維構造物であって、導電性物質がカーボンブラックであり、前記導電体が前記基材繊維を構成する単繊維の表面および単繊維と単繊維の間隙に担持されている導電性繊維構造物であって、JIS L 0849(1996)の乾燥試験および湿潤試験における摩擦堅牢度がいずれも3級以上である導電性繊維構造物。
  2. 基材繊維に含まれる単繊維の全部または一部が5μm以下の繊維径である請求項1記載の導電性繊維構造物。
  3. JIS L0217(1995)103法にて、20回洗濯を繰り返した後の電極間インピーダンスが2kΩ以下である請求項1または2に記載の導電性繊維構造物。
  4. 体積抵抗率が1×10Ω・cm以下である請求項1〜3のいずれか記載の導電性繊維構造物。
  5. 生体電極を構成する電極部材として用いる、請求項1〜4のいずれかに記載の導電性繊維構造物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の導電性繊維構造物を用いることを特徴とする、生体電極用の電極部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020180405A (ja) * 2019-04-26 2020-11-05 東レ株式会社 導電性繊維構造物および電極部材
JP7302761B1 (ja) * 2022-03-24 2023-07-04 東レ株式会社 生体電極およびその製造方法
WO2023181631A1 (ja) * 2022-03-24 2023-09-28 東レ株式会社 生体電極およびその製造方法

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